2014年6月分


2014-06-29.

・新たにノートパソコンを買った焼津です、こんばんは。しかし設定するのが面倒でまだ開封すら済ませていない。

 一応、まだ前のPC(というか今使ってる奴)も動いていることは動いているんですよね。なまじ使用に耐えるだけになかなか移行の機運が湧き上がらない。でも時折、いかにも死に掛けという雰囲気でHDDが甲高い音を立てて泣き喚きます。故障が直ったわけでもなく、危機的であることに変わりはない。チキンレースの気分だ。もう重要なデータはバックアップを取ったから壊れても別段支障がないのだけど、かれこれ4年半も付き合ったとなるとさすがに愛着が湧く。できればもう少し使用を続けたいな……という気持ちが強いです。今回はクラッシュ前に対策が取れたから今までの買い替えパターン(いきなり変な音がして動かなくなる)よりはマシだったんですけど、やっぱり慣れ親しんだマシンが臨終しかかっている状況には食欲がなくなりますね。正直ちょっと落ち込みました。

 異音発生後、なるべくPCを使用しないように心掛け、ネットに接続するのも控えて過ごしました。二、三日くらいは禁断症状じみたイライラや不安に襲われたけど、しばらくして落ち着いた。むしろパソコンやネットのことを気にせず集中してじっくりと読書を堪能することができ、とても心地良かった。己にネット依存症じみたところがあることは自覚していますが、こうして改めて振り返ってみるとネット巡回よりも黙々と読書に耽る生活の方が性に合っているみたいです。積読解消のために週の半分くらいはネット断ちしてみようかな、と検討中。

『ノーゲーム・ノーライフ』BD1巻の特典ブックレット、書き下ろし短編小説「幕間(オミット・エピソード)」〔T〕スリーフォールド・レビテーションを読んだ。

 エルキアが「王国」から「連邦」に変わりつつある、原作3巻と4巻の間に当たる小エピソード。40×18の32ページ、ブックレットのサイズは大きいが文庫と同じ感覚で読める字数です。空が相変わらずステフをゲームで翻弄し続けているのだが、ステフも遂にキレてしまってある意味覚醒モードに突入する。そんな悟りを開いたステフが見所。

「……ステフ、寝よう。本当に反省してる。俺もここまで追い詰める気はなかった」

 という空のセリフからも彼女がどれだけ手遅れの状態であるかヒシヒシと伝わってきます。忘れてはならない、人類種(イマニティ)は追い詰められたときこそ「本物」になるのだ――! てか先王が見たら泣くな、コレ。確実に号泣するわ。ステフの「可能性」について示唆する話であり、十六種族(イクシード)の新情報を期待していた身としては少しアテが外れた感じもするが、幕間劇としては程好いノリに仕上がっています。しかし今になって原作3巻の後日談ということは、アニメ化されていない原作4巻以降に当たるエピソードは書き下ろし特典じゃ出さない方針なのかな? となると今後はクラミー、フィー、ジブリール、いづな、巫女あたりのちょっとした話がネタになるのかもしれません。

テレビアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 2』シリーズ構成に作家・冲方丁氏の参加が決定!(ファミ通.com)

 虚淵玄+冲方丁のコンビが成立してしまうのか……深見真もそのまま残留だとしたらえらく硝煙臭いライター陣になりますな。弾薬がいくらあっても足りない。テスタメントシュピーゲルも連載開始予定だというし、相変わらず冲方の体が持つのかどうか心配。役割分担としては「シリーズ構成:冲方丁、シナリオ監修:虚淵玄、シナリオ執筆:深見真?」になるのかしら。シリーズ構成というのはシナリオ全体の枠組みを決める役職で、「一話目ではこういうことをして、二話目から○○編に入って、六話目から××編に切り換える」といった具合に全話を構成するための大まかな設計図を引きます。個々の脚本家は既に仕上がっているシリーズ構成に従って書き進めていくため、マニア間で「脚本が悪い」「いや、そもそも構成が拙い」ってな会話が出てくるわけです。「監修」は何をやっているのかわかりにくい(実際名義だけ貸して何もしない人もいるって噂もある)役職だが、これは簡単に言いますと上がってきた脚本を読んで設定に矛盾した箇所やキャラクターの雰囲気に合わないセリフを指摘して弾いたりするのが主な仕事だそうです。要するに「飛影はそんなこと言わない」係。人によってはダメ出しして突っ返すだけですけど、頑張り屋の場合は修正案まで添えるのだそうな。だから場合によっては「これ最初から俺が書いた方が楽だったかも……」と笑い話みたいな事態に陥ることもある。サイコパスは1期目も深見たちが書いたシナリオを虚淵がブラッシュアップする遣り方だったので、見方によっては「そんなに変わらない」とも言える。BDのオマケに付いてきた脚本集を読むと、そこから更に絵コンテ等で修正された場面も多い。1話目、「監視官は何もしないでただ見ていればいい」みたいなことを言われて「そんなの……!」と食い下がる朱に対し、征陸は何も返事せず心を閉ざすように護送車の扉が閉められる……というシーンも確か脚本にはなかった。映像的な演出が強化されていてイイな、と感銘を受けた記憶があります。

 虚淵は鎧武の仕事もひと区切りついたみたいだし、そろそろ何か新しい仕事を始めそうな予感がします。アニメ関連の可能性が高いけど、意表を衝いて一般文芸の分野からハードカバーの書き下ろし小説を上梓したりして。実は虚淵って商業でハードカバーの単著を出したことがないんですよね。『白貌の伝道師』は版元が「ニトロプラス」で同人出版に近いし、それにあれサイズがちょっと小さかったんですよ。手にずっしりと来るような虚淵プレゼンツの四六判ハードカバー本、想像しただけでヨダレが出そうだ。あと虚淵と言えば来月『Fate/plus 虚淵玄 Lives 〜解析読本』ってのが発売されるらしい。遂に虚淵単独の研究本が世に問われる時代となったか……改めてスゴイ時代になったと痛感する。

【C86】新作『ひぐらしのなく頃に 奉』頒布決定!癒月さんの主題歌も聴けるOPムービーを公開(萌えオタニュース速報)

 「え? まだひぐらしやるの? もう終わったんじゃない?」と驚愕しかけましたが、公式サイトの説明を読むと新作というより総集編の色合いが濃いみたいですね。過去の『ひぐらしのなく頃に』全編(無印・解・礼)、『雛見沢停留所』(ひぐらしのプロトタイプ、リンク先は漫画版)、「ひぐらしアウトブレイク」(Wikipediaによると「ひぐらしデイブレイクオリジナルサウンドトラックのブックレット用に寄贈された竜騎士07書き下ろし短編」)、これに書き下ろしの新作「ひぐらしアウトブレイク〜神姦し編〜」を加えたものが『ひぐらしのなく頃に 奉』である、と。初のディスク2枚組でもあり、アニメで言うとDVDやブルーレイのBOXに相当するわけです。なので熱心なファンか、あるいはひぐらしを全くやったことがない新規プレーヤー向けのソフトになるのではないかと思われます。書き下ろしの分量がどの程度かわかりませんが、純粋な新作を期待して買うとガッカリするかも。

 『ひぐらしのなく頃に』のこれまでの歩みを、解説というかおさらい程度にザッとまとめてみる。まずあらかじめ言っておきますと、『ひぐらしのなく頃に』は竜騎士07を主催とするサークル「07th Expansion」の同人ゲームとして出発しました。その後人気が出て商業化していきますが、もともとはインディーズ的な存在のゲームだったんです。開始は2002年夏、第一部に相当する『ひぐらしのなく頃に〜鬼隠し編〜』がコミケで販売された。この時点ではほとんど注目されず、ごく一部のマニアが「面白い同人ゲームがある」と囁き合う程度だったそうです。2000年の冬コミでTYPE-MOONが送り出した『月姫』の影響もあって、この時期は同人ゲームへの注目が過熱していました。何せ『同人ゲームマニアックス』なんて本まで出ていた。「次はこれが来るかも」「いやむしろあれだろ」みたいな会話がそこかしこから聞こえてきたものです。ポスト『月姫』の座を占めるのではないか、と期待を寄せられるソフトもいろいろとありました。そのいくつかは完成に至らぬまま消えていきましたが……『二十四季』……さておき、『ひぐらしのなく頃に』が話題になり始めたのはスタートから2年後の2004年に入ってからです。第二部の「綿流し編」と第三部「祟殺し編」が発表されてストーリーが盛り上がっていたところで、第一部「鬼隠し編」が『ひぐらしのなく頃に』の体験版としてネットで丸ごと無料公開された。『ひぐらしのなく頃に』は一種のパラレルワールドじみたループ構造になっており、第一部が終わると時間が巻き戻って主人公・前原圭一が作品の舞台となる「雛見沢村」に引っ越してくる(第一部の記憶は保持していない)ところからふたたび第二部が始まる、という形式で「何度も同じ時期を変奏して繰り返す」仕様になっていました(番外編の第四部は例外)。もちろん、第一部と第二部のストーリーは別個のもので、それぞれ異なる道筋を辿り「違う未来」に行き着く。謎だらけのまま終わった第一部と違い、第二部はある程度「真相」を明かして幕を引きますが、それでも大量の謎が山積したままであることに変わりはなく、プレーヤーは更なる情報を求めて第三部に手を伸ばすわけだ。こうしたループ構造に伴うストーリー変奏はひぐらしの専売特許ではなく、ノベル系のゲームでは昔からよくあるスタイルではあった。ゲームは「繰り返しプレーする」ものであり、「プレーした記憶がユーザーに残る」以上、どうしてもクリエイターは前回のプレー内容が反映される「ループ構造という発想」を捨て切れないのです。ひぐらし開始よりも少し前に発売されたエロゲー『腐り姫』も「ある8月の4日間をひたすら繰り返す」というものだった。ひぐらしの珍しかったところは、選択肢やコマンドなどユーザーの操作を受け付けてシナリオに反映する「ゲームらしいゲーム」としての要素が(最終部の「祭囃し編」を除けば)ほとんどない点で、ユーザーはただシナリオを読んでそこにある謎をああでもないこうでもないと考える、非常に原始的な推理クイズの様相を呈していました。言わば「解決編の付いていない推理小説を売る」ようなもので、謎がよほど魅力的でなければ成立しない試みです。無論、謎が魅力的だったからこそドラマCD化・漫画化・アニメ化・コンシューマ移植化・映画化と多メディア展開を果たしたわけですが。

 2004年に第一部から第四部までを集めた『ひぐらしのなく頃に』(通称「出題編」)が委託販売方式で発売され、以降は各同人ショップで取り扱われるようになります。ひぐらし本編は全八部構成で、大きく分けて謎を提示することに専念した「出題編」(第一部〜第四部)と謎や伏線を回収していく「解答編」(第五部〜第八部)のふたつから成り、後者は『ひぐらしのなく頃に解』とも呼ばれている。「ひぐらしはゴチャゴチャといろんな話があってどこから読めばいいのかわからない」という方もおられるでしょうが、順序としては「出題編」をひと通り読んでから「解答編」に移る――という感じで、完結編の「祭囃し編」以外は好きな順番で読んでも構わないと思います。山のように出ている外伝作品は位置付けがバラバラなので順番を決めるのが難しいけれど、本編の基本設定(雛見沢症候群とか御三家とか)を最低限飲み込んでいればだいたいは理解できる、はず。後日談とかも混ざっている可能性があるので、本編を読み終えてからの方がベターかもしれません。コミカライズやアニメ化が開始されたのは2006年であり、ここから一気にブレイクして有名作品となりました。アニメ版は2期までTVシリーズとして放送されましたが、3期以降はOVA化し、テレビでは流れなくなります。2期目(『ひぐらしのなく頃に解』)放送期間中に16歳の少女が父親を手斧で切り殺す事件が発生し、『School Days』ともども「自粛」を余儀なくされましたが、そのことが影響したかどうかは定かではない。ともあれ「開始は2000年代前半だが、ブームになったのは2000年代後半」と書けば概ね間違いではないはずです。『ひぐらしのなく頃に』が始まった頃は“東方Project”のWindows版がスタートした頃でもあり、「月姫・東方・ひぐらし」がそれこそ「同人ゲームの御三家」みたいな扱いをされた時期もありました。

 ひぐらし以降の07th Expansionの動きも見ていきたいが、私はひぐらししかやってないから、なぞる程度に留めます。他サークルとのコラボ作品を除くと、ひぐらし自体は2006年のファンディスク『ひぐらしのなく頃に礼』で一旦完結。翌年2007年から『うみねこのなく頃に』を開始。ひぐらし同様、コミカライズやアニメ化もされるヒット作となりましたが、「解決編が存在しない(解答は存在するがあえて書かない)」という実験的な手法で物議を醸す。「問題編」に当たる無印と「展開編」に当たる『うみねこのなく頃に散』、ファンディスクの『うみねこのなく頃に翼』を経て2010年に完結。2011年、元は漫画用の原作だった『彼岸花の咲く夜に』をゲーム化。「第一夜」と「第二夜」のみで2011年中に完結。このへんからメディアミックスが減ってきて話題に上ることが少なくなってきます。2012年には新作『ROSE GUNS DAYS』を開始。ハードボイルドというジャンルに取り組み、これまでの「○○の×く△に」というタイトルパターンすら捨てた新境地だったが、なんか知らないうちに始まっていつの間にか終わっちゃったな、というくらい印象が薄い。season1・season2・season3・Last Seasonの4部作で、2013年の冬コミで完結しました。Last Seasonにシリーズ全部が収録されていますので、これから始める方は4作すべてを買い揃える必要はありません。明け透けに言ってしまうと「話題性の高さという観点から見れば、うみねこ以降はパッとしない」のが現状であり、今回の『ひぐらしのなく頃に 奉』発表に関して「またひぐらしか」「結局ひぐらしかよ」と冷ややかな反応を示す人も少なくない。私はひぐらし以外の作品にあまり興味を持てなかったので、「なんだよ今更」と口先では呆れつつ内心ちょっと嬉しかったのですが、うーん、総集編なのか……あの量(シナリオを引き写した文庫版は全17巻!)をもっぺん読み返すのはキツいし、「雛見沢停留所」とかの部分だけプレーしようかな。それで熱が再燃したら『うみねこのなく頃に』をいい加減崩しに掛かろう。私のペースだとひぐらしを全部やり切るのに2週間、累計50時間も掛かったので、恐らく同量と思われるうみねこにはつい怯んでしまってなかなか手が出せなかったんですよね。機会があれば、と思いつつ機会を得られなかった。積ゲーを増やすというのは一見「プレーする機会」を確保する行為のようでいて、むしろ自ら機会を潰す振る舞いではないか、と最近思うようになった。積めば積むほど不自由になり、一つのことに集中できなくなっていく。要は頭の中を散らかしてしまうのです。「コレクションしたい」という欲望と「プレーして楽しみたい」という欲望はキッチリ分けて考えた方が良さそうだ。

「パシフィック・リム」続編&アニメシリーズ公開決定、ギレルモ・デル・トロ監督の口から明かされる(Gigazine)

 噂はあったけど、いよいよ本決まりか。ワクワクしますね。『パシフィック・リム』は北米での興行がコケた(制作費2億ドル弱に対して1億ドル程度の興行収入)せいで続編制作が絶望視されたけど、国際市場ではヒットした(特に中国でのヒットが大きかった)おかげで望みが繋がれた、という経緯があります。中国市場を当て込んで、次の舞台は中国になるのでは……? とも囁かれている。噛ませ犬扱いだったクリムゾン・タイフーンが大暴れするのかもしれない。万里ウォールを突き破って大陸に侵入してくるカイジューどもの群れを少林寺三十六房的な訓練施設を突破したクンフーイェーガー軍団が迎え撃つ! みたいな展開は少し観たい。アニメの方は何をやるんだろ。前日譚(プリクエル)?

劇場版『蒼き鋼のアルペジオ』2015年公開予定!1弾はTV版再構成+新規、2弾は完全新作!(萌えオタニュース速報)

 2期を期待していたが、劇場2部作か……マクロスFみたいな感じになるのかな? 劇場の大スクリーンで超絶艦隊戦を拝めるのかと思うとテンション上がるが、公開規模がどの程度なのか気になるところだ。どうか地方でも上映されてほしい。私はこれとシドニアを観て3Dアニメ(厳密に書くと「2Dルックの3Dアニメ」)に対する偏見がなくなったし、ホント、近場での公開をお願いしたいところ。シドニアと言えばあっちも2期が決まりましたね。原作でも人気が高いヒロイン「白羽衣つむぎ」が出てくるとあって鼓動も弾む。放送まで時間は空くけど、来ることが確定しているなら安心して待てます。

『銀河英雄伝説』のBlu-ray BOX スタンダードエディション、8月から発売開始

 銀河声優伝説こと『銀河英雄伝説』、これまで発売されてきたBOXはクソ高くてとても手が伸びなかった(DVD-BOXもBD-BOXも全部集めようとすると定価で20万円以上掛かる)けれど、やっとギリギリで手頃と言える価格のエディションが出ます。なんと定価で揃えても10万円掛からない。「いや、高ぇよ!」と叫びたくなる方もおられるでしょうが、何せアニメ版銀英伝は全165話、時間にして4320分という超規格外のボリュームですからね……72時間、丸3日間不眠不休でぶっ続けに流してやっと終わる量ですよ。ショップ値引きも考慮すれば1話あたり500円程度、かつてのファンが「いいなぁ、今の連中は」と指を咥えて羨ましがる仕様だ。恐らく銀英伝の再アニメ化に向けて発売するものだと思いますが、再アニメの反響次第でもっと廉価なBOXが発売される可能性や、スタンダードエディションの在庫がだぶついて投げ売り価格になる可能性もあり、迷っている人はすぐに飛びつかないでもう少し静観を決め込んだ方が良さそうです。私はもう我慢できないから全力でポチりますが……衝動買いの歴史がまた1ページ。

・拍手レス。

 先日うちのノートPCも2年半でHDDがダメになりました。もっとも、延長保証のおかげで無償修理してもらえましたが。PCの寿命は大体4〜5年位が多いですね。性能的にはまだまだ大丈夫なことが多いので少々もったいないですが。自分は次は故障のリスクの少ない分離型デスクトップにしようかと思っていますが。
 その後延々とシーク音が鳴り響くばかりで起動せず、「遂に逝ったか!?」と思いきや電源入れ直したら普通に立ち上がりました。しぶとく生き残ってまだ動いてますが、さすがにメインPCとして酷使する気にはなれないのでいつ壊れてもいいサブPC(エロゲー専用機)として使うことにします。

 イクシード編集お疲れ様です。それにしてもノゲラの序列6位以上の存在を観てると、オーフェンのドラゴン種族を思い出します。
 私もドラゴン種族を連想しましたね。深淵の森狼(ディープ・ドラゴン)とか鋼鉄の軍馬(ウォー・ドラゴン)とか天なる人類(ウィールド・ドラゴン)とか、このへんの文字列は今読んでもワクワクします。


2014-06-22.

・HDDから「チッチッチッチッチ……」と異音がして数秒間ファイルが読み込めなくなるエラーが何度か起こり、「いよいよか……」と覚悟を決めた焼津です、こんばんは。

 思えば現行たるこのPCを使い始めたのは2009年12月、『Dies irae〜Acta est Fabula〜』が発売する前の頃だったから4年半が経過したことになります。当時の日記を読み返すと12月15日付で記述している。今のところ、普段通り使っている分にはこれといって支障がないのですが、スリープ状態に入ってから復帰すると例の異音が起こって一部の操作を受け付けなくなります。ぐぐってみた感じ、HDDのヘッドがヘタレている? 差し当たってはスリープ状態への移行を停止することで対応しているが、物理的な故障が疑われるので放っておいても直るような異常じゃなかろうし、買い替えの方向で検討を進めています。現行機は時間に迫られて一体型を選んでしまったけど、次こそはノートにしようかな……なんだかんだ言ってもPCはやっぱり消耗品ですね。

まんがタイムきららフォワード連載『がっこうぐらし!』TVアニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 以前きららアニメに関する話題で「まどかマギカみたいな非日常系のヒット作もあったけど、純粋なきらら系作品ではないせいか潮流に対する影響は比較的少ないですね。『がっこうぐらし!』あたりがアニメ化されたらさすがに「影響アリ」と見做さざるをえませんが……」と書きましたけど、まさか本当にアニメ化されるとは。これで非日常系のきららアニメ潮流が仕上がれば『棺担ぎのクロ。』などの映像化も夢ではない? というか幸腹が決まっちゃったし、きららの日常系もいよいよタマ切れが近くなっていますね。きらら系以外から、たとえば『大家さんは思春期!』あたりを引っ張ってこれなくもないが、どうなることか。あ、ちなみに『大家さんは思春期!』の3巻は8月7日発売予定です。

・実際にPCを買い替えるかどうか、本決まりではありませんが、どの道サイトの更新はしばらく途絶えると思います。もともと途絶え気味なのでわざわざ書く必要もない気がしますが、とりあえず。

・拍手レス。

 『Lien』を10年以上「りえん(離縁)」だと思ってました(笑)何げにDC版には追加シナリオやら音声やら色々期待していたのですが発売中止がつくづく恨めしい。なんか久々にやりたくなったけど、今のOSに対応したDL版でも発売してくれんかな。
 綴りを思い出すときに「リエン」が頭を過ぎるのは今も昔も変わらないです。確かねこねこの『White』と同時期の発売でしたよね……とぐぐってみたら同時期どころか同日発売だった。というかlightの『White Angel』もこの日だ。他に『ばらえてぃたくちくす!』『猪名川でいこう!!』『化石の歌』『Treating2U』……懐かしさで胸が潰れそう。

 あー、ありますよね。好きで始めたはずなのに、なんか気が付いたら義務感でやってて重荷になってるってこと。書き始めたSSが3日以内に上がらないと、大抵そうなります、自分。
 あくまで「完結に合わせて読み直す」ことが主目的だったのに、いつの間にか「解説を書くこと」を第一義にして本筋とは関係ない遣り取りを読み飛ばしている自分に気づいて「ああ、主客転倒だな」と。「解説したい」という欲望のためだけに読む(作品そのものを楽しまない)のは邪道なのでオーフェン特集はしばらく封印します。

 なるみおかずで検索して色々見ていく内に、気づけばDMMで時間封鎖を購入してしまい…w タイムストップ系ならばと期待した悪戯は思ったより少なかったものの、最後までプレイするとこれがなかなかいい話で困ってしまいました。
 発売と同時期に同じタイトルのSF小説が出たことで一部に有名な『時間封鎖』ですか。鬼畜ゲーでイイ話っていうと未だに『いたいけな彼女』(むりりんのエロゲー原画デビュー作という説もあるソフト)を思い出すけど、日付確認したらあれが10年以上前って……嘘だろ。

 オーフェンって、ロードス島とかそれまでの「ステレオタイプのファンタジー世界観」を借りてくるのではなく、自分で作中の世界観を1から構成する、ってのを行った最初期の作品だと思うんですよね。確か、表に出なかった設定が相当な量あったような。何かのあとがきで説明されてたソケット紙幣の設定に、当時中学生ながら「凄いな」と感心した記憶がある。
 1巻ではドラゴンの脅威が野盗レベルでしかなかったなど、明らかな後付もあるけど3巻あたりでだいたいの見取り図は出来てたみたいなんですよね。なので細かいネタまで拾っていくとキリがないというか、解説する量がどんどん増えて収拾不能に……。


2014-06-15.

・20日までにまとめると書いたオーフェン特集はどうにも頓挫しそうな気配で意気消沈の焼津です、こんばんは。

 言い訳はいくらでも思いつきますが、端的に述べれば「熱意と根気が続かなかった」の一言に尽きる。最初のうちは楽しんでまとめていたのに、だんだん義務感で書いているような気分に陥って辛くなった。逃げたいあまり途中で『ノーゲーム・ノーライフ』の原作をまとめ読みとかし出す始末。ノゲノラは現在6巻まで出ていて、1巻から3巻までが第一部、4巻と5巻が第二部、6巻が過去編という構成になっています。1巻につき4話とキレイに消化していってますし、アニメ版は恐らく第一部をやり切ったところで「俺たちの戦いはこれからだ!」になると思います。主要キャラクターが出揃って面白くなってくるのは4巻からなので、是非とも2期目も来て欲しいですね。6巻は前半がやや退屈というか読んでいて鬱憤が溜まったものの、主人公が「自分なりの戦い」を決意して立ち上がるところから俄然面白くなります。全盛期のジブリールも拝めるのでジブさん好きにもオススメ。あとメモとして「『ノーゲーム・ノーライフ』の十六種族(イクシード)超おおざっぱに解説」をまとめてみた。ネタバレ全開なので閲覧する際はどうかご注意を。

主人公かヒロインが幽霊のエロゲ教えてくれ(2次元に捉われない)

 真っ先に思い出したのは『Lien〜〜終わらない君の唄〜』。リンク先には載ってないけど2000年のソフトです。「たくみん」こと荒川工(あらかわ・たくみ)がコア人気を獲得するキッカケになった一本でもある。ただし、これの前に『狂拳伝説クレイジーナックル2』のシナリオを手掛けているので、『Lien』がたくみんのデビュー作というわけではない。余談だが『クレイジーナックル2』のノベライズ版『もぐら』でブレイクした矢月秀作が執筆しています。馳星周も別名義でエロゲーのノベライズ書いてたくらいだから、そこまで珍しい話ではない。いや、話を『Lien』に戻そう。タイトルは「リアン」と読む。フランス語で「紐」とか「絆」を意味する言葉だ。英語で言うと「Band」。交通事故で死んでしまって幽霊になった主人公が生前と変わらず学園に通ってドタバタする青春恋愛ストーリーです。前半はおちゃらけたムードが漂うものの、後半はどのルートもしんみりした展開。エロゲーにしては珍しく主人公の父親が名有りのキャラとして登場します。ぶっちゃけヒロインよりも父親の方が印象に残ってる人も多いんじゃないかな……『やましいゲームの作り方』は逆に主人公の父親が死んで魂が主人公の肉体に入っちゃう物語です。見方次第では『Lien』と対になっているとも言える。

 他に、実現はしなかったけど虚淵玄が一番最初に書いたエロゲーの企画書が「幽霊をヒロインにした恋愛モノ」だったらしい。本人がそんなに乗り気ではなかったせいもあって結局は『Phantom』を制作することになった。肉体的には死んでいて魂魄を機械人形(ガイノイド)に転写されている『鬼哭街』の瑞麗も幽霊っちゃ幽霊か? 一方、陵辱系でインパクトが大きかったのは『絶望〜青い果実の散花〜』。前作『悪夢〜青い果実の散花〜』で女子校のバスをジャックし集団強姦した事件で死刑になった勝沼紳一が亡霊となって甦り、生者の体を乗っ取ってふたたび鬼畜の宴を繰り広げようと画策する。乗っ取る相手はほぼ固定されているものの、いくつかの小イベントではテキトーな男の体に入ってそばにいた女性を犯し、終わったら何のフォローもなく抜け出して去っていく……という「まさに鬼畜」な振る舞いを見せた。こういう憑依タイプの陵辱ゲーは他にもあって、中でも代表的なソフトは『連続>>>レイプ』ですね。タイトルが直球すぎたせいか後のDL版などでは『連続>>>プレイ』と改められました。痴漢していた主人公が捕まりそうになって逃げたら電車に轢かれたとか、確かそんな導入だったかな。死んだわけじゃないけど全身不随の状態になった主人公が、「憑依」の力に目覚めて八つ当たり気味に暴れ回る。厳密には幽霊モノじゃなくて生霊モノ。乗っ取った体でヒロインを犯し、逃げた先にいる男を乗っ取ってまた犯す……という多段陵辱コンボがセールスポイントだった。シナリオを担当した「なるみおかず」はこの手の異常設定モノを得意とする、知る人ぞ知るライターであり、興味のある方はぐぐってみてください。

まんがタイムきらら連載、川井マコト『幸腹グラフィティ』TVアニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 飯テロ漫画がアニメとして深夜帯に降臨する。恐れおののいて腹を震わせるがいい。「女の子たちが美味しくご飯を食べる」ことに特化した、良くも悪くもヒネリのないストレートな内容で、「もうちょっと刺激が欲しい」と感じる方も出てくるかもしれません。なのでむしろ刺激に疲れたとき、そっと再生すべき。

・拍手レス。

 甘粕大尉の人柄について、今は亡き俳優の森繁久彌は「満州という新しい国に、我々若い者と一緒に情熱を傾け、一緒に夢を見てくれた。一つの国を立派に育て上げようという、大きな夢に酔った人だった」と言い、李香蘭は「ふっきれた感じの魅力のある人で、優しい人だった。ユーモアを解し、いたずら好きの一面もあった」と証言していますからね。辞世の句も「大ばくち 身ぐるみ脱いで すってんてん」と、自身の人生と満州国の末路をユーモアたっぷりに表現したものですし、『美は乱調にあり』が一旦途中で執筆休止となってしまったのもむべなるかなといった感じです。
 満州帰りで、満映時代の甘粕を遠目にチラッと見たことがある、って人が近所にいました。ただ見たときは気づかなくて、「あそこにいた人が甘粕さんよ」と後で言われて思い当たったそうですが。いわゆる「オーラ」みたいなものは感じない、平凡な印象の男性だったとおっしゃっていました。

 テキストサイトどころかブログでさえ検索にヒットいづらくなったこのご時世、SD文庫に関するいたれりつくせりなまとめ記事から本サイトにたどり着きました
 あの記事は妙に反響が大きくてビックリしたものでした。みんななんだかんだでスーパーダッシュが好きなんですねぇ。

 ワートリの人気投票、なかなか面白い結果になりましたねー。
 上位の差がほとんどないのがスゴいですね。

 内藤泰弘作品のアクションシーンは見づらいとよく言われますが、理解出来た時の格好よさも別格だと思います。個人的には絵よりセリフ回しが難解に感じることが多く、血界戦線における「ジャック百面相とその廃止」のエピソードなんか3回ぐらい読み返してようやく理解できたという思い出が。
 説明削ってエピソードを絞り込むタイプなので、集中力が切れると話の筋を追えなくなってしまうんですよね。ハマると何度も読み返すのが苦ではなくなりますが、まずそこに辿り着くのが大変。


2014-06-07.

・何度か中断を挟みながらどうにか『美は乱調にあり』を最後まで読み切った焼津です、こんばんは。

 大杉栄ともども関東大震災のドサクサに紛れて甘粕大尉に虐殺された女性、伊藤野枝の短い生涯(享年は28歳)を綴る長編小説……の前編です。実はこの小説、みんな大好き甘粕さんが登場するところまで進みません。大杉栄が3人の女性を同時に愛そうとして破綻した「フリーラブ」実験の末路、いわゆる「日蔭茶屋事件」が発生する件でフッツリと終わっています。「甘粕事件」が1923年で、日蔭茶屋の方は1916年だから7年前ですね。作者の瀬戸内さんも本当は野枝の最期まで書くつもりだったそうですが、連載中に寄せられた便りの数々で「甘粕は誤解されている」「悪人ではなく、実にいい人間」「あんなにやさしい人間はいない」と言われ、行く先々でも「甘粕善人説」を囁かれ続け、彼の人物像が定まらなかったため一旦途中で幕を下ろすことにしたのだという。単行本の初版は1966年、今から半世紀近く前の作品ながら、つい最近も柴門ふみによる漫画版が発売されました。80年代に入って続編『諧調は偽りなり』が書かれ、およそ20年掛かりで「野枝の物語」は完結します。

  タイトルは両方とも大杉栄の言葉、「美はただ乱調にある。階調は偽りである」(「生の拡充」)から来ている。しかし『美は乱調にあり』において大杉栄の出番は遅く、名前は先行してチョイチョイ現れるのですが、実際に野枝と出逢うのは200ページも過ぎた後です。全体が300ページくらいだから、約2/3が前フリということになる。前フリでは野枝の前夫に当たる辻潤や、野枝が編集に関わった雑誌『青鞜(せいとう)』の発起人・平塚らいてうに関する事柄がメインとなっています。『諧調は偽りなり』の冒頭を開くと「これまでのあらすじ」とばかりに『美は乱調にあり』のストーリーがダイジェスト形式で綴られているので、甘粕事件の方に興味がある方は『美は乱調にあり』のプロローグ、作者が大杉栄と伊藤野枝の子「魔子」から話を伺うところまで読んだら一気に『諧調は偽りなり』へ飛んで構わないと思います。ただ、『諧調は偽りなり』は単体でも割と長い。文庫版は全1冊になっていますけど、もともとの単行本は上下2分冊で発行されたくらいだ。300ページくらいの『美は乱調にあり』に対し、500ページを超えるボリュームもある。私は100ページちょっと読み進めてみたが、大杉栄を刺した神近市子が刑期を終えて出獄するあたりまで、だいたい1919年頃までしか話が動かなかった。またいずれ再開するつもりですが、読み通すのに時間が掛かりそうだな……。

 大雑把すぎる要約だが、ハーレムラノベの主人公みたいなことをやろうとして失敗した、昼メロも真っ青なドロドロ修羅場ショーが『美は乱調にあり』のクライマックスとなっている。これを読んで大杉栄が好きになる人はたぶんあまりいないだろう。もしアニメ化したら伊藤誠を凌駕する存在になりかねない。読みながら溜息をついたが、ライトノベルのハーレム物でもこれぐらいのことはやってほしいな、という気持ちがムラムラと湧き上がってくることも確かだった。ちなみに『装甲悪鬼村正』は1940年代の日本(ただし一種のパラレルワールドで、国名も「大和」になっている)が舞台となっており、大杉栄ならぬ「王杉栄」なる人物も名前だけ回想シーンで出てきます。ヒロインの一人、大鳥香奈枝は幼い頃に事件現場へ踏み込み、絶技開眼して虐殺者全員を始末したそうですが……ひょっとしてあの世界では甘粕大尉ってとっくに亡くなっている?

・あと『ケンガンアシュラ』も最近まとめ読みしました。

 「裏サンデー」というWEBマガジンサイトで連載されている格闘漫画です。タイトルは漢字で書くと「拳願阿修羅」。大企業や有名組織が巨額の金とか利権とかを賭け、各々が擁する闘技者を試合わせる――麻雀漫画で言うところの「代打ち」みたいな争いを「拳願」と呼び、延々とバトルに明け暮れる話である。筋肉成分多めだし、「バキみたいな漫画」というイメージで大まかなところはカバーできるけど、デタラメ度で言えばバキよりも上……いや、バキも最近の『刃牙道』になってくると「宮本武蔵のクローンを培養しよう」なんていう『放課後のカリスマ』みたいな話になっているし、「グラップラー時代のバキよりはデタラメ度が高め」と表現した方が正確でしょうか。少なくともブッ飛び具合でピクルに相当するレベルのキャラはまだ出てきていない。

 まとめ読みしたのは最近だけど、打ち明けますと1巻だけ発売の翌月くらいに読んでおりました。その時点では、正直あまり面白いとは思わなかった。「拳願」云々の設定がムードを陳腐にしていると感じたし、絵もデフォルメが利き過ぎていてもう一歩物足りないクオリティに留まっていた。そのせいで2巻以降は購入をやめていたのですけれど、だんだん周りで評判が高まっていくので気になってしまい、「最新刊は8巻か……頃合かもしれない」とつい手を伸ばしてしまったわけです。確かに2巻、3巻と進むにつれて面白さは加速していったし、絵のクオリティに関しても充分な域へ達してまったく気にならなくなった。拳願試合がどうのこうのっていうのは単なる前フリであり、本題というか『ケンガンアシュラ』最大の見せ場となる「拳願絶命トーナメント編」が3巻からスタートします。その名の通りのトーナメントバトルです。「天下一武道会みたいな奴」と言えばだいたい通じるでしょう、たぶん。予選等の事前イベントを経つつ、本選では32名の闘技者が4つのブロックに分かれてバトルします。基本的にただひたすらバトル、バトル、バトルの連続であり、『selector infected WIXOSS』のタマもきっと大喜び。「闘技者」と「雇用主」がだいたいセットになって出てくる形式となっており、「企業や組織のトップに近い存在」ということで必然的に中年キャラや爺キャラが多めだ。オッサン好き、ジイサン好きにはパライソだろう。トーナメントの参加者も野郎ばかりで、非常に男臭い。とはいえ女性キャラも何名か配置されており、目の保養になります。顔出し直後、「お前の子を産みたい」と主人公に全力で求愛してくる呉迦楼羅ちゃんが最萌である。名前のせいで「たぶん効かぬわァァァ!」な人を連想してしまうが(ちなみにあっちの表記は「伽楼羅」)。単に見た目だけで言えば音市さんと、あとアダム・ダッドリーの回想(正確には「アダム・ダッドリーの雇用主」の回想)にひとコマだけ出てくるテキサス娘も好き。

 トーナメント編で惹かれるポイントは、「どうやら全試合やるつもりらしい」ってところですね、やっぱり。32人のトーナメントなんざ、真面目に描こうとすれば31試合ぜ〜んぶキチンと創らなきゃならないことになる。さすがにそれは負担が大きすぎる……と判断して主要の試合だけに搾っていくのが普通なんですが、嬉しいことに『ケンガンアシュラ』という漫画はまったく普通じゃないようだ。過去の作例で「全試合を省略せずに描いた漫画」となるとまず『グラップラー刃牙』の「最大トーナメント編」が思い出される。乱入やら横槍やらがあってカウントし辛い部分もあるが、それでも30試合近く描き抜いてくれた。板垣恵介は『餓狼伝』の漫画版でも似たようなトーナメント戦を描いているが、あっちは半分程度の規模になっています(原作は更に小規模であり、あれはかなり膨らませてある)。それだけスケールを小さくしたにも関わらず、『餓狼伝』のトーナメントはだいたい6年ぐらい掛かってしまった。週刊漫画誌に連載していたバキでさえも、「最大トーナメント編」をやり切るのに4年くらいの月日を費やしている。とにかくトーナメントものは時間が掛かるのです。逆の言い方をすれば長期連載漫画にとってはうってつけの時間稼ぎ材料であり、ドラゴンボールや男塾等の影響で「展開に困ったり人気が低迷してきたら何はなくともトーナメント」な風潮が少年漫画界に出来上がってしまったほどである。あのドラゴンボールですら天下一武道会を開始するまでは読者人気が伸び悩んでいたほどで、もし梃入れに成功していなかったらそのまま打ち切りコースだったと元編集の角南攻も『メタクソ編集王』で語っている。不良漫画ですらたまにトーナメントバトルをやっている(例:『シュガーレス』の「ランブル1トーナメント」)。が、それでも30試合規模のトーナメントをキッチリ最後までやり遂げた例は少ない。続編含めて50冊以上にのぼった(そして残念ながら打ち切りが決まった)『空手小公子 小日向海流』でも、トーナメントは端折られ気味だった。最近『喧嘩稼業』として再開した『喧嘩商売』も「陰陽トーナメント」の参加者は16人と『餓狼伝』(漫画版)くらいの規模。しかも『喧嘩商売』は途中で終わってしまったため、トーナメントもまともに描かれていない。スポーツ漫画や部活漫画でもトーナメントの細部はガンガンとスキップされる傾向にあり、中んずく『咲―Saki―』の飛ばしっぷりは凄まじかった。端役どころか主人公チームの活躍さえオミットされがちで、全国大会(インハイ)の一回戦なんて丸ごと飛ばしている。実質的に二回戦からスタートする構成になっていますので、説明をよく読んでいない人は状況を飲み込めず混乱するでしょう。30試合規模のトーナメントなんか真面目にやってたら日が暮れてしまう、という描き手側の事情もわかる。トーナメントで必要以上にストーリーを足止めさせたくないと考えるのは、当然だろう。だが欲深い私はずっと「最大トーナメントのような興奮」をふたたび味わいたいと希求し続けてきたのだ。その願いが、ともすれば叶うかもしれない。期待に胸を高鳴らせ、年甲斐もなくワクワクしている。「誰が勝ち抜くのか、予想するのが難しくて楽しい」トーナメント物なんて、そうそう拝めないですよ。

内藤泰弘が描くSFアクション「血界戦線」アニメ化決定(コミックナタリー)

 内藤泰弘は『TRIGUN(トライガン)』で知られる漫画家。『TRIGUN』は90年代にアニメ化しましたが、原作がまだ完結していなかった状況も関係し、かなりオリジナル要素の強いストーリー(およびキャラ設定)になっています。私はアニメから入ったクチなので「アニメはアニメとして好き」なんですが、原作からアニメに移ると違和感が激しくなるかも。ご注意を。『TRIGUN』は原作だけでも複数のバージョンがあってややこしい、ざっと解説しましょう。大きく分けると『TRIGUN(無印)』とその続編『TRIGUN MAXIMUM(マキシマム)』の二つ。もともとは徳間書店の“月刊少年キャプテン”という漫画誌で連載(開始は1995年、今から20年近く前だ)されていたのですが、雑誌が休刊して“ヤングキングアワーズ”へ移籍することになった――という経緯がある。アワーズに移籍した後がマキシマムというだけで、話そのものは連続しています。無印の方は徳間版が全3冊、少年画報社版が全2冊で、大判サイズの新装版『TRIGUN NEO』も全2冊となっている。マキシマムはB6判が全14冊、大判サイズの『TRIGUN MAXIMUM NEO』が全7冊です。つまり一番巻数が少ない大判サイズを集めるとしたら全9冊ってことになります。『TRIGUNーMultiple Bullets』はアワーズ系の漫画家たちが参加したアンソロジーで、いわゆるトリビュートコミックとか、そういうのです。2010年の劇場版『TRIGUN Badlands Rumble』を最後に目立った展開はなくなったものの、未だにファンの支持が根強い作品なのでまた何かしら新作が来る可能性はゼロじゃないでしょう、たぶん。

 トライガンの後に『ガングレイヴ』のアニメ企画がありましたが、あれも既に10年前ですね……『血界戦線』で初めて内藤泰弘を知る、という人も結構現れるかもしれない。『血界戦線』はある日突然ニューヨークが異界と混ざり合って「ヘルサレムズロット」なる魔都に化してしまった、という設定の群像劇型伝奇アクション。内藤泰弘版“魔界都市”というか『バイオレンス・ジャック』というか。久正人の『エリア51』などもこの系統。さておき『血界戦線』は基本的に一話完結ストーリーで、「街にトラブルが発生して主人公たちがそれを解決すべく駆け回る」というスタイルをだいたい貫いています。なので「主人公たちは何か一つの目標を達成するために戦っている」とか「ラスボスみたいなキャラがいてそいつを倒せば面倒事は概ね解決」とか、そういうタイプの漫画ではない。アイデアが枯渇しなければいつまでも続けられるし、またどこでもスパッと終わらせることができる。臨機応変にして常在戦場。アメコミ好きな内藤泰弘の絵柄はちょっと独特だし、ボンヤリ観てると「なんだかよくわからない」ってなりそうな不安もありますが、「10年ぶりの内藤泰弘アニメ」ってことで期待しているファンも多かろう。まだ喜ぶには早いが、私も続報が届くのを心待ちにしています。それと去年、長らく絶版していた「みんなのトラウマ」こと内藤泰弘版『サムライスピリッツ』が復刊されましたので、「トライガンも血界戦線もちょっと巻数が多いな……」と躊躇い気味の方はまずこちらからどうぞ。来月には挿絵を手掛ける『DT覇王ドマイナー』なんてライトノベルも出るらしいが、こっちはよく知らない。

 タイトルの『血界戦線』には『人狼戦線』『魔獣戦線』『〈魔震〉戦線』などの「戦線モノ」に対するリスペクトを込めたそうですが、来月も新たに『超人戦線』が「戦線モノ」のラインナップに加わります。原作は青山広美、作画は山根和俊……そう、『GAMBLE FISH』『バード』のコンビです。まだどんな内容か知りませんが、ワクワクするっきゃない。ついでに書いておくと、『人狼戦線』は“アダルト・ウルフガイ”シリーズの第4弾(Kindle版では「第5弾」)であり、興味がある人はこれの前に『狼男だよ』『狼よ、故郷を見よ』『リオの狼男』を読んでおくといいかも。“アダルト・ウルフガイ”シリーズと“ヤング・ウルフガイ”シリーズはそれぞれ別宇宙を舞台にした作品と受け取った方が良く、博徳学園の犬神明が成長して“アダルト・ウルフガイ”の主人公になる、ってわけじゃありません。近年のコミカライズ版『ウルフガイ』を読んだ人には、「途中で出てくる神明が“アダルト・ウルフガイ”の主人公みたいな奴」と説明すれば伝わるだろうかな。ただし名前は「神明」ではなく「犬神明」、あくまでも「みたいな奴」であって設定上は別人です。『魔獣戦線』は故・石川賢の代表作であり、『月姫』に登場する「ネロ・カオス」の元ネタ的な漫画。マント描写がオトコノコ心をくすぐる。『真説魔獣戦線』という続編もあります。『〈魔震〉戦線』は菊地秀行の“魔界都市ブルース”の、えー、通算何冊目だっけ。長編シリーズとしては8番目に当たるが、全体の巻数からすると28冊目とか29冊目とかそれぐらいに当たるはず。長編シリーズでは現時点で一番最後に文庫化された作品です。この後も20冊近くに渡って新書版が刊行され続けているんですが、最近はずっと短編シリーズばっかりですね、文庫化するの。“魔界都市ブルース”は最初の『妖花の章』だけ読めばあとはどんなふうに手を付けても構わないと思います。

・拍手レス。

 いっそ賢い犬リリエンタールをアニメ化すればちゃんと終わりそうだしワールドトリガーの販促にもなると思うんですが。
 完結済の漫画やラノベがもっとたくさんアニメ化されるようになったらいいですね。『ウルフガイ』とか。

 虚淵氏が本家ライダーに携わった今こそ、嚆矢としてフィーチャーされても良さそうな……>ヴェドゴニア ところで劇場版鎧武は鋼屋ジン脚本だそうでちょっと残念のような、これはこれで大概のような
 『機神飛翔デモンベイン』の手際から言っても劇場シナリオ向きな人材という気がしますね。というかデモベを再アニメ化して劇場で機神飛翔やってほしい……。

 確かにワートリは、地味な絵に加えてお色気、恋愛、顔芸、超展開無しと一昔前の少年漫画ですよね。……よく今のジャンプで人気出たもんだ
 全体的に丁寧で、少年漫画だから活躍するのはほとんど少年たちだけど、大人の存在感もちゃんとある。割と広い世代に受け容れられそうな作風なのに、パッと見で魅力が伝わらないのがもどかしいです。


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