『ノーゲーム・ノーライフ』の十六種族(イクシード)超おおざっぱに解説(2014年6月15日の記事)


(はじめに)

 『ノーゲーム・ノーライフ』とは「おい、デュエルしろよ」なノリですべての揉め事を片付ける、そんな異世界「ディスボード」に降り立った廃人ゲーマー兄妹が「現実なんかをゲームと一緒にするな」ってばかりにリアル人生を擲って大活躍する話です。スターウォーズ一歩手前の「大戦」を経た結果すべての知的生命体を「十の盟約」というルールで縛るようになった盤上の世界(ディスボード)において、殺したり奪ったりなどの直接的な暴力は一切禁じられている。破ったら罰せられる、とかではなく「脳内リアルタイム検閲」によってそういう行動が取れないように制限されているのです。道徳や法律といった規範を超えたルールであって、誰も構造的に逸脱することができない。なので皆ルールに従って間接的な殴り合いを繰り広げていたわけですが、主人公兄妹は目先の争いに囚われず「本当に達成すべき目標」を見据えて動き出すことになります。彼らの前に立ちはだかる連中が、十六種族(イクシード)と呼ばれる「種を越えた交配が不可能な」16の知的生命体グループ。主人公兄妹は異世界人たちとゲームを通じて交流し、最終的な「ゲームクリア」を果たすための協力を取り付けていく。

 既存の作品で言うと『終わりのクロニクル』の全竜交渉みたいなイメージです。ハッタリも辞さない勢い任せの作風(もっと良く言えば「自分の勢いを信じている」作風)は、『戦闘城塞マスラヲ』『ミスマルカ興国物語』などの林トモアキ作品に通ずるものがあります。逆に言うと『ノーゲーム・ノーライフ』が好きな人には川上稔作品や林トモアキ作品がオススメであり、ここぞとばかりにぐいぐいプッシュしていきたいところですがそれは次の機会に譲る。

 今回は十六種族(イクシード)について超おおざっぱに語っていきたい。精密・正確なデータはもっと真面目なファンが他所でまとめてくれていると思うので、うちは力を抜いて好き勝手にダラダラと駄弁らせてもらいます。


・ネタバレ多し。また原作6巻目の時点における情報であり、妖魔種・妖精種・地精種の三種については位階序列が判明していないので、そのへんに関してはいい加減な予想で並べています)


・神霊種(オールドデウス) … 序列一位。いわゆる「神々」。各種概念が「神髄」を得て自我とともに顕現した存在である。「意思を持った法則」とも形容される。こいつらが唯一神の座「星杯(スーニアスター)」を巡って争ったことから、数万年に及ぶ神義なき戦い「大戦」が勃発した。第一次星杯戦争の発端にして元凶、言うなれば勝手に歩ける神輿たちである。天翼種(フリューゲル)を創造した戦神「アルトシュ」や森精種(エルフ)を創造した森神「カイナース」などがいる。人類種を除くほとんどのイクシードはこいつらの被造物。最強神と目されていたアルトシュが討たれ、新たに活性化した遊戯の神「テト」が星杯を収めて唯一神の座に就いたことで大戦は終結した。本編から遡ること6000年の昔である。「史上三度目の“神殺し”」という文言があるので、大戦中アルトシュ以外にも二柱討たれているはず。小さき者たちの願いや祈り、信じる心が神髄を生むなどとされているが、まだいろいろと謎の多い種族である。7巻から対神霊種戦に入る予定ということで、きっと情報もたくさん開示されるだろう。

・幻想種(ファンタズマ) … 序列二位。それら自体が独立した別世界である種。空飛ぶ都市。天高く雲のように漂うが、星を巡る精霊の流れを航路とするため、大気圏外に泳ぎ出すことはできない。現在確認されている個体は天翼種の都「アヴァント・ヘイム」のみ。アヴァント・ヘイムは戦神「アルトシュ」の使徒であったが、アルトシュが滅んだことについて今でも納得していないという。また幻想種の中には「魔王」なる突然変異体が存在しており、妖魔種(デモニア)を生み出した。デカすぎて実感しにくいが、それぞれの個体がちゃんと意思や感情を持っているらしい。いったい魔王は何を考えて妖魔種など産み落としたのか……『妖獣都市』のDVDでも観たのだろうか。森精種(エルフ)が「幻想種殺し」を造ったことから敵視し、大戦期は反森精種を掲げる「地精種(ドワーフ)同盟」に参加していた。

・精霊種(エレメンタル) … 序列三位。『ノーゲーム・ノーライフ』の世界を織り成す「精霊回廊」=「天に流れる星の力」の源。あらゆる種族は精霊を用いることで魔法や異能を駆使する。殺されたり壊されたりすると碧い光を放つ物質「霊骸」(「黒灰」とも呼ばれる)になり、一転して生物に対する毒として機能します。大きく分けて周囲に漂う「体外精霊」と身中に取り込んだ「体内精霊」の二つがあり、体外精霊を運用できない=魔法を使えない獣人種(ワービースト)がそれでも著しい運動性能を発揮できるのはひとえに体内精霊のおかげである。そういう意味では重要な存在だが、気のせいかあまりリスペクトされていないような……上位種族の割には一方的に搾取されたり霊骸にされたりで、どこか奴隷っぽい印象がある。位階序列は魔法適性値の高さに応じて決まるので、別に上に行くほど偉くなるというものではない。現段階でキャラクターとして登場した個体はいない。「水精」が存在することを考慮すると、ベースになっているのは地・水・火・風の四大元素? その場合だと第五元素(クウィンテセンス)も出てきそう。

・龍精種(ドラゴニア) … 序列四位。いわゆる「ドラゴン」。吐息(ブレス)による攻撃を特徴としている。「王」と「従龍(フォロワー)」に分かれるなど、群の中で上下関係が存在する。大戦期に「王」は三体しか存在せず、そのうち一体「焉龍」アランレイヴは機凱種(エクスマキナ)3496機によって殲滅された。森精種と契約していた個体もあった模様。1巻の冒頭、異世界に来たばかりの主人公たちが「龍」を目撃しているが、それも龍精種だったのだろうか?

・巨人種(ギガント) … 序列五位。詳細不明。大戦期は地精種と友好関係にあったらしい。

・天翼種(フリューゲル) … 序列六位。神殺しの種族。大戦期に戦神「アルトシュ」の手で生み出された、アルトシュ以外の神霊種を滅ぼすための兵器。光輪と翼を持つ外見は完全に天使のそれである。アルトシュの意のままに他種族を狩り回ったが、彼の死によって存在意義を失った。RONIN状態に耐え切れず自害する個体が続出したため、最高齢(26000歳)のアズリールは「主の敗因を暴く」という新たなレゾンデートルを設定。ゆえに大戦後は全員で「知識の収集」に血道を上げるようになった。2巻で味方に加わるジブリールは大戦末期に造られた最年少の個体だが、それでも6407歳。ババアとかいう次元ではない。全身を精霊回廊接続神経に変え、星の源潮流から汲み上げた精霊たちをブラックホール並みに凝縮して撃ち出す「天撃」によって森精種の都を滅ぼしたことがある(しかも3000人の術者による捨て身の防御を破って)、幻想種や龍精種、巨人種といった上位種族を単独で討伐したことがある(この中で一番序列が低い巨人種でも通常なら1体で天翼種5、6人に匹敵する戦力)など、最年少ながらジブリールの武勇伝は枚挙に暇がない。紛れもなく天翼種最強の悪魔である。全盛期のジブさんとかもろに妖怪首おいてけ。レア首だ!! レア首だろう!? なあレア首だろおまえ。割とドン引きだが、世の中にはギロチンがヒロインのゲームとかもありますから……。

・森精種(エルフ) … 序列七位。森の中に都市を造り自然と融和する種族。森神「カイナース」によって創造された。当然耳は尖っている。魔法の取扱いに長けており、こと術式を編纂する技量にかけては十六種族でもっとも上。個体レベルだと規模や威力で天翼種に負けるが、多彩さや繊細さでは森精種が凌駕する。格ゲーで喩えると強攻撃でブッパな天翼種と小刻みなコンボ主体の森精種って感じか? 「具象化しりとり」でジブリールが使った「久遠第四加護(クー・リ・アンセ)」は森精種の織り上げた最上位封印術式で、皮肉ながらジブリールの「天撃」による首都壊滅を受けて開発されたもの。実証はされていないが理論上は天撃をも防げるはずである。天撃を束ねた「神撃」はさすがに無理っぽい。また大戦期に完成させた霊壊術式「虚空第零加護(アーカ・シ・アンセ)」は幻想種の核を自壊させて力を強制解放するというトンデモ魔法だった。虚空第零加護(ほこ)と久遠第四加護(たて)をぶつけ合ったらどっちが勝つんだろう。国の名前は「エルヴン・ガルド」、陸地の三割近くを支配し、ディスボードにおいて最大の国とされる。地精種の国家「ハーデンフェル」と国境を接しているようで、領土問題を抱えて両種は絶えず緊張した関係に置かれている。「異世界からの召喚」も森精種の魔法で可能ということだから、エルヴン・ガルド編で空白兄妹の「同郷人」と遭遇する可能性はゼロじゃないが果たしてどうなることか。それとダークエルフがいるかどうかはまだ分かっていない。もしいるとしたら『ダークエルフ物語』みたいに地下で都市を築いているのかしら? それだと地精種と被りそうだが。ちなみにアニメ版では最初からフィー(フィール・ニルヴァレン)がクラミーの協力者として出てくるが、原作では「エルフの男」となっており、フィーが実際に登場するのは3巻から。幻惑魔法か何かで「エルフの男」に偽装していた可能性も考慮したが、偽装するメリットが特にないし、そもそも人類種に化けた方がいいよね。

・地精種(ドワーフ) … 序列八位? 名前は何度か出てくるが、序列に関する説明はなし。森精種と関連が深いようなので、差し当たって八位と仮定することにした。鍛神「オーケイン」の被造物であり、工業技術が優れている。大戦期は鋼鉄の空中戦艦を多数建造し、神霊種さえ殺せる「髄爆」(不活性化中の神霊種の神髄を起爆させる大規模破壊兵器)まで開発していた。「霊装」と呼ばれる魔法を行使するための武具が特徴。単なる予想だが、魔法を直接使うタイプではなく加工したマジックアイテムをバンバン使うタイプか? 森精種からは「モグラ」と蔑まれている。てことは地下に棲息している? ドワーフの国「ハーデンフェル」はエルヴン・ガルドに次ぐ世界第二位の大国だが、国力は半分以下。ドワーフといえば『怒矮夫風雲録』なんてのがあったな……全編当て字だらけというチャレンジングな翻訳ファンタジーだった。エルフは「枝流風」だったっけ。

・妖精種(フェアリー) … 序列九位? 正確な序列が不明なので仮の位置としてここに付けておいた。エルヴン・ガルドでは「高度な魔法の為に利用されている」奴隷だが、自国の有無は不明。大戦期は「森精種同盟」に参加して「地精種を共通の仮想敵とした」そうである。

・機凱種(エクスマキナ) … 序列十位。遥か昔に「不活性化」し、被造物にすら忘れ去られてしまった旧い神霊種が創った種族。過去編である6巻のヒロイン「シュヴィ」がこれに該当します。全身が機械によって構成されるメタル生物であり、科学の産物みたいに見えるが魔法は使える。「連結体(クラスタ)」という群を一つの単位にして行動し、原則的に自分たちから攻撃を仕掛けることはないが、やられたらクラスタ全体で反撃する仕組みになっている。端末のどれかが敵の攻撃を受けると、「相手の武装および攻撃法」を解析・模倣して同等の威力で撃ち返す。機凱種に同じ技は二度も通じぬ、今やこれは常識。某正宗の「因果応報・天罰覿面」や某覇吐の「桃花・黄泉返り」と違って喰らった個体がダメージに耐える必要はなく、破壊されても他の個体にデータが受け継がれる。この特性によって神霊種「アルトシュ」を滅ぼした(ただし具体的な描写はない)。大戦末期(6巻の主人公「リク」が子供だった頃)の時点で約14000機の戦力を保有していたが、アルトシュ戦などで消耗して終結時点では残存数が三桁か二桁だった様子。

・妖魔種(デモニア) … 序列十一位? 扱い的にはダンピールと同列ではないかな、と思ってこの位置を仮定した。なんかギーガー風のデザインでグチャグチャ触手とか伸ばしてネトネト粘液を垂らしていそうなイメージが漂うが、RPGで言うところのモンスターに相当する種族のよう。「オーガ」や「トロール」などが存在する。幻想種の突然変異「魔王」によって生み出された種族で、基本的に知能は低いが「上位」と呼ばれる知性を持った魔物もいるらしい。RPGなら雑魚敵扱いは必至だが、少なくとも人間が直接攻撃して倒せるような強度の相手ではない。「オーク」が出てきたら薄い本で大暴れしそう。その際絶対エルフが餌食になるな。

・吸血種(ダンピール) … 序列十二位。ステルスやスキーニング系統の隠密幻惑を得意とする種族。平たく言えばニンジャ? 「ごまかし」にかけては随一だが、日の光を浴びると死んでしまう(魔法によってある程度は防げる)、吸血するとその症状が他の種族にも伝染ってしまう、などの理由から「百害あって一利なし」と見做され、ほとんどの種族から接触を断たれて盟約後は緩やかに衰退して行った。日の光を浴びることがない海棲種とトレードして共存共栄を目論むも、提案したアイデアを理解できなかった海棲種(バカども)のせいで滅亡待ったなし。今や男性の個体が一人しか存在しておらず、人類種以上の危地に立たされている。マジでハイクを詠む五秒前。一応、血以外にも汗や唾液、精液などの体液を摂取することによってひとまず存えることは可能だが、血以外の体液では成長することができずアレを吸えどもナニを啜れども幼年体のままである。まさにペドゴニア。

・月詠種(ルナマナ) … 序列十三位。天上に浮かぶ朱い月を棲家とする種族。創造主である神霊種と一緒に暮らしているらしいが、詳しいことは不明。作者が作者だけに、たぶんウサギ耳なんだろうな……と想像している。むしろ違っていたら驚く。

・獣人種(ワービースト) … 序列十四位。獣の耳と獣の尻尾、そして非常に発達した五感と身体能力を持つ種族。天然の嘘発見器であり、心音、サーモ、匂いの変化など相手の肉体的な反応から発言の真偽を探ることが習いとなっている。魔法は使えないながら素でエンチャントが掛かっているような状態であり、フルダイブゲーム内などで相手の魔法を封じれば『筋肉番付』に出演した室伏広治の如く無双することが可能。大戦期は人類種を捕食していたが、「あまり美味しくはない動物」とのことで食料としては好んでなかったらしい。盟約後、複数の部族に分かれて小競り合いを繰り広げていたところ「巫女」と呼ばれる指導者が擡頭、やがて無数の島々から成る海洋国家「東部連合」として糾合されることに。東部連合の規模は世界第三位。体内精霊の暴走によって引き起こされる、毛細血管が破裂して血を噴き出すくらいの超過駆動、通称「血壊」が可能な個体がごく僅かながら存在する。一種のトランザムだが、『極黒のブリュンヒルデ』の鎮死剤切れ同様「服の洗濯が大変そう」と心配になるビジュアルだ。血壊で思い出したが今度『血界戦線』がアニメ化するそうですよ。

・海棲種(セーレーン) … 序列十五位。海中に生息する種族。水精のみ操る。いわゆる「人魚」で、上半身が人間、下半身が魚。間違っても深きものども(ディープワン)の類ではない。女性体のみ存在し、盟約前は他種族のオスを引きずり込んで搾り尽くすことで生殖していた。遺伝子を取り込むわけではなく性交を通じて相手の魂を奪い、それを原料にして己のクローンをつくるという方式。盟約によって相手の同意なしに危害を加えることが禁じられたため、吸血種ともども滅亡の道をひた走っていた。しかし十六種族においてぶっちぎりの脳天気、「ハゲザル未満」とまで称される痴愚蒙昧さゆえ、まったく悲壮感はなく享楽的に生きている。他種族のオスを殺さないレベルの軽い搾取で繁殖することが可能な個体を「女王」とするシステムを採用したが、女王となるべき個体が「王子様の迎え」を期待して眠りに就き800年も目覚めなかったなど、運用はガバガバである。「実は海棲種全体のことを案じてあえて眠りに就いた」とか、そういう深遠な意図は本当にまったく何もなく、ただの独断専行だったというのだから白目が止まらない。

・人類種(イマニティ) … 序列十六位。適性がないため魔法を使うどころか感知することさえできない、最弱の種。「目の前で堂々とイカサマ魔法を使われてもわからない」というのだから致命的。他種族から「ハゲザル」や「言葉を喋る猿」と見下されており、ことあるごとに滅びかけることで定評がある。記録に残されていないためテトくらいしか覚えていないが、大戦を終結させるべく尽力し、見事その念願を叶えた種族でもあった。詳しくは原作6巻を参照。大戦の間は種族名すら持っていなかったが、終結後にテトから敬意を込めて「免疫(イマニティ)」の名を贈られた。地球人類と同じく猿から進化した種族であって、神霊種によって創られた存在ではない。そのため精霊回廊接続神経を持たず「獣と同等」と見做されている。かつてはルーシア大陸の多くを領土としていたものの「十の盟約」制定後の6000年間でゲームに負け続け、1巻の時点では首都「エルキア」を残すのみとなっていた。追い詰められてからが本番だが、追い詰められないと本気を出さない点では厄介。まるで締切がギリギリまで迫らないとペンが吼えたり燃えたりしない作家のようである。


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