2015年7月〜8月


2015-08-28.

・アリスソフトの新作『ランス03 リーザス陥落』、遂に発売! 早速プレーを開始した焼津です、こんばんは。

 “ランス”シリーズは今年で27年目を迎える(つまり平成の年数と一致している)アリスソフトの名物エロゲーであり、「01」とか「02」とかナンバリングに「0」が付いているものはリメイク作品であることを意味します。なので『ランス03』は『RanceV』のリメイクってことになる。なんと24年ぶりだそうだ。何せ古いゲームなので元々はキャラクターにボイスが付いてなかったけれど、さすがに時流に合わないと判断したのか、今回はほとんどのキャラにボイスが付きます。「ランスに声が付くなんて……」と古参エロゲーマーは心中複雑みたいであり、アリスソフトもそこらへんは配慮したのか、スタート直後に「ボイスをオンにするかオフにするか」をいきなり選べる仕組みになっている。もちろんコンフィグで後から変更することも可能。さっき「ほとんどのキャラ」と書きましたが、主人公のランスには声が付きません。正確に述べると、ADVパートのセリフはボイスレスです。量が膨大ですからね、仕方ない。戦闘シーンの掛け声はキッチリ叫ぶが、このへんも設定で変えられるのかな? 

 物語の舞台はふたたびリーザス。突如王城の中に隣国ヘルマンの軍勢が湧き、成す術もなく陥落してしまった。不自然かつ不可解な侵攻は、魔王の配下である超越者「魔人」の手引きによるもの。助けを求めるべく、王城から脱出した女忍者・見当かなめは冒険者「ランス」を捜す。彼女が持ち出した国宝、リーザスの聖盾はランスに下賜された聖剣や聖鎧と合わせることで魔人に打ち勝つ力を発揮するのだという。しかし、生活に困窮したランスは各種公共料金支払いのため聖剣と聖鎧を既に売っ払っていた! 仕方なく買い戻しの資金集めに協力するかなめだったが……とこんな感じでストーリーが幕開けします。画面構成は01を踏襲したものになっており、一部の立ち絵は01のものがそのまま使い回されていますが、戦闘システムは若干異なっています。とはいえ01をプレーした人ならすんなり馴染めるだろう。うーん、にしてもランスに声が付いていると違和感あるな、やっぱり……声聞きながらだとテンポもサクサクってわけにはいかないし。ま、しばらくすりゃ慣れるでしょう。

 まだ序盤も序盤、リーザス王国に辿り着くどころかアイスの街、ランスが所属するキースギルドのあるところに留まっているので話に関しては不明点だらけ。早く時間をつくってやり込みたいです。ただやってるだけで楽しくて、気持ちが活き活きとしてくる。今のところ特にこれといって不満もない。強いて言えば、画面サイズがワイドじゃなくて左右が寂しい、ってことぐらいか。昔はこれが当たり前だったのに、気づけば「ワイドが標準」みたいな感覚に切り替わっているのだから恐ろしい。

・お、「哀しみの機械」の御名方さんが久々に『Dies irae』の記事を上げていますね。

 直接のキッカケはCF支援者限定で公開されたスペシャルムービーですが、そこに至るまでの過程、つまりアニメ化プロジェクトのクラウドファンディングに対する想いも語っておられます。Diesも息の長いゲームで、俗に「完全版」と呼ばれるファーブラ(いろいろと追加要素のあるAmantes amentesこそ真の完全版ではないか、という意見もあるが、あれは移植版で18禁じゃないですからね……エロゲーとしちゃあくまでファーブラが完全版って扱いです)から数えても6年近く。07年版からだと+2年だし、情報公開が行われた日からは9年以上、「学園伝奇バトルオペラ」の文字列が晒された日から10年以上が経っている。おかげで一口に「ファン」と言っても、どのへんで入ってきたかによって結構温度差があります。神咒や相州、あるいはシルヴァリオ ヴェンデッタなど最近のlightゲーから遡る形でプレーした新規ユーザー層にとっては「怒りの日」事件(もしくは翌月の『Garden』も加えた「怒りの庭」事件)なんてのは「むか〜しむかし、あるところに正田崇と服部代表がおってな、正田は山積みになった仕事を投げ出してシバき倒され、代表は『正田恐るべし(涙)』『ドウシテナミダガトマラナインダロウ』と川のような涙を流しつつ強引に発売する道を選択したそうじゃ」と「まんがlight昔ばなし」感覚で「へー」って聞き流す程度のものでしょう。しかし、ユーザーたちが揃いも揃って「lightが憎い、でもlightの示す微かな希望へ縋らずにはいられない……!」とアンビバレントな気持ちを抱いて過ごした時期(約2年間)は実在するのです。公式的には「なかったこと」にされているが、失望と不安と憤怒と焦燥に満ちた日々は確かに存在していたのだ。2007年に発売されたことから「07年版」と呼ばれる最初期バージョンをリアルタイムでプレーした古参たちは、決してあの「いつもにも増して暗かったクリスマス」を決して忘れないし忘れられない。興奮してつい2回も「決して」と書いてしまったことから私の気持ちを察していただきたい。

 服部代表はDiesのアニメ化を足掛かりに他社製のソフトまで視野に入れたアニメ企画の推進を目指しているようで、それ自体は賛同したい思いがないでもない(ぶっちゃけモノによる)けれど、「ならDies以外でもいいでしょ……もうDiesはそっとしておいてよ」というのがアニメ化プロジェクトを目にしたときの偽らざる心境でした。散々振り回されたんだから、もっぺん蒸し返すのは勘弁ねがいたかった。「ああlightよ、Diesの命日は何処にある?」 でも支援者限定小説の公表、声優陣のニコ生出演、ドラマCDの発売、新作ゲームの開発を経て「やっぱDies最高や! アニメの出来はこの際措くからどんどん新展開してくれ!」と涎を垂らして摺り寄ったのだからつくづく私も安い男だ。未だに魂は解き放たれず、永劫回帰に囚われている。

 あと、近年の玲愛先輩の扱いに対する違和感は大いに同意。「本編で悲惨な境遇だったからこそ、それ以外の場所ではっちゃけたキャラになっている」という面も少しはあるだろうが、それにしたって「私一人を諦めれば、みんな戻ってくるかもしれないよ」と頬に涙を伝わせていた在りし日の姿があまりに遠くなりすぎている。冷たそうに見えて、不思議ちゃんのようでいて、誰よりも深く蓮たちの身を案じていた子なんですよ。マリィルート終盤の見せ場には震えたじゃないですか。冗談抜きで「薄幸の美少女」枠だったのに、今じゃ「ファックオフ(失せろ)」と言いそう枠に……私も昔そんなネタを書いた気がする(「Fuck off foolish God!!」と吐き捨てながらニートをブチのめして「神様は性格悪いね。今度一発、私がキミの代わりに殴っておくよ」を回収する、みたいな)が、そろそろ真面目にイメージアップ活動期間に入った方が得策ではなかろうか。

エロゲの箱ってなんであんなでかいんや?(2次元に捉われない)

 「売り場で目立つから」が最大の理由。試しにCDケースやトールケースのサイズで出したら売上がガクンと落ちて、次回作で元のデカパッケージに戻したら回復した、なんて話もありますからね。デカい箱は邪魔になることも多いけど、「物欲をくすぐる」という効果が案外バカにならない。最近は通販やDL販売が伸長してきたせいか、一部のソフトでパッケージの縮小化が進んでいますけど、それでもやっぱりエロゲーはあの無駄にデカい箱じゃないと、って気がします。更に古いユーザーだと、あのネオジオみたいなプラスチックパッケージこそエロゲー箱の王道、って感覚になるそうですが。私はWinゲー世代なのでプラ箱派とは時代がズレるけれど、子供の頃に指を加えてネオジオのあのクソデカいカセットを収めたプラスチックパッケージ眺めていた記憶がまだ残っていますから、なんとなく気持ちはわかる。「エロゲーはフルプライスが8800円(税抜)で高い」ってよく言われるが、ネオジオのカセットなんて定価が1本3万円とか4万円でしたからね。中古だと1万円前後だったかな。今から20年以上前、古本すら10冊100円の店頭ワゴン品で凌いでいた少年には高嶺の花でした。

「ハイスコアガール」スクエニとSNKプレイモアが和解、出版・販売は継続(コミックナタリー)

 やっと和解か……長かったな。騒動そのものについては触れていないが、これの影響で落ち込んでいた時期については『ピコピコ少年SUPER』の最終話が詳しい。押切蓮介はもともと多作家で、一時期は毎月のように新刊を出していましたけど、「さすがにこのペースを今後も続けていくのは厳しい」と仕事量を絞って『ハイスコアガール』中心の態勢へ切り替えた矢先にアレですもの。尋常じゃない気落ちぶりでした。『ハイスコアガール』休止後も何本か(調べてみたら2作)連載を始めましたが、単行本は今年に入ってからだと『ピコピコ少年SUPER』しか出ていません。恐らくこれで休止が解けて『ハイスコアガール』の連載も再開されるものと思われますが、果たして騒動前に報じられていたアニメ化の話はどうなるのだろうか……立ち消えになってなきゃいいんですが。

13cm「ネコっかわいがり!」が9月30日発売のメガストア11月号に収録決定!パッケージ版が入手困難なレアエロゲ!(つでぱふ!)

 にゃーにゃーぜあついんずおぶとーたしぇーる♪ というわけで、長年プレミア化していた『ネコっかわいがり!』が遂にメガストアの付録になります。もう9年以上前のソフトか、あれ……買わなかったけど、OPムービーが気に入って何度も再生してたっけ。この機会に本編もやってみようかな。あと関係ないけど「声優・如月葵さんが引退を発表。代表作に「暁の護衛(倉屋敷妙)」、「真・恋姫†無双(夏侯淵)」など多数」を知って今更ショック受けてます。個人的には恋楯の有里と暁の護衛の妙ちんが好き。寂しいし残念ではあるが、引退を表明する機会もなくひっそりと消えていかれるよりはいい……かな。久々に恋楯や暁の護衛をやりたくなった。

Navelの新作『乙女理論とその後の周辺 -Belle Epoque-』、予約受付開始

 店舗特典情報によると今回のショップ特典ドラマCDはソフマップ、げっちゅ屋、トレーダーの3種みたいですね。ここから増える可能性もありますが。発売はまだ先だし、当分は様子見して11月頃に予約先を決めるつもり。例によって積ゲーの消化が捗らないし、もう特典には左右されず安いトコで予約するかな……「買わない」という選択肢はない。

・拍手レス。

 冲方氏の奥さんは、前々から性格に難のある人と言われていましたし、以前にも似たようなことで警察の御用となってましたから、正直「またか…」という感じです。事の真相は本人達にしかわからないのだし、事件に関しては自分は様子見という感じですけど、ファフナーや舞台版攻殻機動隊ARISEはどうなってしまうのかが心配ですね。良くて延期、悪くて中止になってしまうかもしれません…。
 脚本はとっくに上がっているでしょうから、作業工程的には問題ないかもしれませんが……どうなるんでしょう。夏目漱石や井上ひさしの頃とは時代も違うし、わかんないですね。


2015-08-25.

傷害容疑:妻へのDV 作家の冲方丁容疑者逮捕 渋谷署(毎日新聞)

 絶句した。『マルドゥック・ヴェロシティ』の執筆中に突然失踪して家族を心配させた、みたいなことを書いていたから私生活が割とアレなのは薄々察していたが……差し当たってファフナーはどうなるんだろうでしょうね。ファフナーで思い出したが、そういえば冲方の奥さんって一番最初のTVシリーズ(2004年に放送された奴)で「なんであんなにつまらないんですか」と発言して冲方が後半の脚本を執筆するキッカケを作った人だったな。

・馬場康誌の『ゴロセウム(1)』読んだ。

「この平和回路(ピースメイカー)は霊長類が棍棒を手にする以前の“平和”な世界へ帰す…」
「つまり」
「優れた肉体を持つステゴロの格闘家が 最強の兵器となる世界に」

 『空手小公子小日向海流』で知られる馬場康誌の新作。タイトルは素手喧嘩(ステゴロ)の「ゴロ」とコロセウムを掛けたもの。刃物や銃弾、果てはNBC兵器すら無効化する新技術「平和回路(ピースメイカー)」が登場した世界で、「素手こそ最強!」とばかりに激しい肉弾戦が繰り広げられる。技術を開発したのはロシア(なのになぜ「ピースメイカー」と英語呼びなのか……英語圏への挑発?)で、この力を後ろ盾に「平和的戦争」とやらを起こし、領土を拡大している――ってのが背景設定になります。モスクワが「プーチノフグラード」になっていたり、「大ロシア連邦終身大統領 ウラジスラフ・プーチノフ」というラスボスめいたキャラが出てきたりして笑ってしまうが、あまり冗談に思えないあたりが怖いところだ。

 どんなに強力な兵器を使っても無効化されるので、国家の発想は「極限まで人体を鍛え抜こう」という方向に進む。かくして改造レベルの手術を施した「神躯強化兵(チェルノボーグ、「躯」は本当だと品の方です)」が投入され、体重300kgとか400kgの筋肉達磨が戦場で無双ゲーみたいな光景を実現させる。これに立ち向かう主人公たちは100kg未満の「軽量級」、格闘技の威力で重量級どもを下していくジャイアントキリングなバトルシーンが見どころとなります。なんというか、とにかく派手かつ濃密。空手小公子シリーズと比べて、1冊あたりに詰まっているアイデアの量が桁違いです。「絶対に打ち切られてたまるか!」と青筋立てて筆を滑らせる作者の姿が目に浮かぶよう。

 前作が好きだった人はもちろん、「馬場康誌? 知らない漫画家だな」って人にも是非読んでもらいたい。プーチノフ以外にも有名人物をモチーフにしたキャラがバンバン出てくるのでワールドヒーローズめいた趣もあります。空手小公子シリーズのナイスミドル、立花宗護を若返らせたような美丈夫、「土方竜三」の留まる事を知らないカッコ良さに濡れる。もちろん、あの人の子孫です。一方女性陣、14歳とは思えぬ悩ましい肢体を持ったサーシャも無論魅力的であるが、股間に訴えかけてくるのはやはり巨乳眼鏡っ子の瑠海ちゃん。前作で言うと高倉晶子ポジです。こんなステキな漫画が打ち切られてしまっては残念どころじゃないので、みなさんも早く単行本を買いましょう。

・タイムシフトでHLCニコ生放送第三十四回を視聴。正田崇が痩せていて、というか窶れていてビックリしましたね。一瞬アス比を間違えたのかと思った。本当に諸作業で忙しいんだな。終わりの方で話していた「不死身なだけで別に強くないヒロインがひたすらリョナられる話」、『DADDYFACE 冬海の人魚』を思い出した。

・拍手レス。

 冲方丁逮捕のニュースに驚愕
 咄嗟に『修羅の棲む家』が脳裏をよぎりました。

 DVで逮捕って・・・おいおい、ファフナー大丈夫かよ・・・
 そのまま続行か、延期か、中止か……。

 古いエロゲーの中には旧式のウィンドウズの機種でないと起動しないものもありますからね。ウィンドウズも10に移行しているので、近年発売されたエロゲーもあと数年で機種違いで起動できなくなるソフトの仲間入りしてしまうのが残念ですね…。
 特にNT系が主流になる以前の奴は互換性が乏しい感じ。エロゲーは修正パッチも含め、時折プレーに至るまでが面倒臭かったりして困るんですよね……。

 『SHI-NO』のアニメ化は難しいと思う。
 あの作品は話の進みが遅いので1クールでは表現できないからね。

 尺を考えると短編連作ストーリーがもっともアニメ化に向いてるでしょうが、連作モノはなかなか人気出にくい、というジレンマ。


2015-08-23.

・発売が近づいてきたので今になって体験版をプレーし始めた『アヤカシ散華』がなかなか面白くて買おうかどうか迷っている焼津です、こんばんは。

 でぼの巣、というかStudio e.go!はかなり前に『キャッスルファンタジア』をやったきりなので十数年ぶり。『アヤカシ散華』は人界とは異なる世界、「魔界」を舞台にしたゲームで、人外ヒロインが多く登場する。タイトルの「散華」は「人外の処女を食い散らかす」というニュアンスだそうな。主人公の茨木甚九郎(いばらき・じんくろう)は茨木童子、つまり鬼族の末裔で、父親の承芳はかつて魔界を統べる王として君臨していたが「煩悩寺の変」にて死亡。魔界は3つの勢力に分かれてしまう。「煩悩寺」で察した方もおられるでしょうが、要するに戦国時代を魔界に置き換えたストーリーです。秀吉に相当する「猿神」と家康に相当する「狸平」、そして茨木遺臣が「3つの勢力」となって覇を競います。甚九郎は茨木遺臣をまとめ上げ、猿神と狸平を打倒しふたたび魔界を統一しようと画策するのですが、壊滅的に人望がないせいで呼び掛けに応えて集まった兵はたったひとりだけ……「廃嫡されたうつけ」という設定で「うつけ者とは世を忍ぶ仮の姿、みたいな『実は切れ者』系のキャラなのか?」と思いつつプレーしていたが、なんというか「なるほど、これは勘当もされるわ」と納得するぐらいセックス・アンド・バイオレンスな奴だった。

 ハッキリ言ってしまうとランス系統のキャラです。好みの女は見境なく犯ろうとするし、「兵が集まらないなら近くの村を襲って徴兵すればいい、見せしめに田畑も焼け」とかムチャクチャなことを言い出す。あまりにもヒドいので途中、「あれ? こいつ主人公じゃなくて『奴は四天王の中でもっとも小物』とか言われちゃうクラスの中ボスじゃね?」と錯覚しそうになった。全体的なムードは割とほのぼのしているから「アンチヒーロー」って雰囲気でもなく、「外道男」というよりは「普通にクズ」って感じです。「明るい卑劣漢」と言ってもいい。所有する異能も「チ○コのサイズを自由自在に変えられる」と、エロゲーでしか使い道のない代物だ。こういう奴はラスボスに向かないので、通常ならさっきも言った「四天王の中では最弱」ポジか、あるいは「序盤でチュートリアル的に倒される悪役」ポジに回されがちです。ここまで矮小さ、微妙なザコっぽさを剥き出しにした主人公はちょっと珍しい。正直、「メチャクチャ面白そう」って息を荒くするゲームではないが、普通にクズな主人公に奇妙な愛敬が宿っていてついつい魅力を感じてしまう。ユーザーから嫌われないようにという配慮なのか、「ドン引きするくらい洒落にならない外道さ」は排されていて、そこが少し物足りないかな。そもそもあまりシリアスな調子ではない(なんたって「煩悩寺」だ)し、コミカルなノリなので好みは分かれるでしょう。今月末はランス03に掛かり切りになることほぼ確定だから発売日に購入することはないだろうけど、評判次第では発売後に購入するかも。

 あ、ゲーム部分について言及するの忘れていましたが、ヌルゲーマーにも易しいシンプルなSRPGです。戸惑うことなく楽しめた。まぁ、初戦でいきなり全滅しましたが……。

みなとそふとの新作『少女たちは荒野を目指す』、ティザーサイト公開

 本サイト公開は9月25日の午後6時頃になるみたいです。ティザーサイトが出来るまで長かったですね……初めて情報が出たのは2013年12月、もう2年近く経っています。「ポシャったのではないか」と内心ヒヤヒヤしておりましたが、無事形になる模様。ただ残念なことに、全年齢対象、つまりエロゲーではないみたい。個人的には出るだけでもありがたいが。これでまたオクル実現に一歩近づいた……と思いたい。

ラノベ「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」は売れているのにも関わらずなぜアニメ化されないのか?(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 戦記ファンタジーは大軍同士のぶつかり合いを描くとなると作画が大変だし、状況説明にあまり尺が割けないので視聴者に戦いの趨勢が伝わりにくい。SFならレーダー等によるマップをモニターに表示することで補うこともできますが、ファンタジーだとそれも厳しい。やる前から鬼門と分かっているジャンルです。『魔弾の王と戦姫』も放送が始まる前から危惧されていましたが、案の定、制作陣の苦しみが伝わってくる仕上がりだった。合戦シーンがかなり割愛されて、総集編みたいになっている箇所もありましたね。「思ったよりは頑張っていた」という印象ですが、原作ファンとして満足できる内容だったかと訊かれると言葉に詰まる。『アルスラーン戦記』やってるくらいだし、決して「戦記ファンタジーのアニメ化は無理」じゃないだろうけど、他に弾があるうちはわざわざ手を伸ばすこともないと思われる。5巻以上続いている戦記ファンタジーはMFの『落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国』やファミ通の『覇剣の皇姫アルティーナ』、HJだと『百錬の覇王と聖約の戦乙女』『グラウスタンディア皇国物語』などがあるけど、この中で比較的アニメ化しやすそうなのは百錬かな。でも、「俺たちの戦いはこれからだ!」で決着が付かないことは目に見えていますもんね。1クールぐらいじゃキリのいいところまで進まない、ってのも戦記ファンタジー物の難点でしょう。『魔弾の王と戦姫』はかなり飛ばし気味にやって、それでもブリューヌ内戦まで(原作の5巻)で終わってしまった。「あのOPやEDに出てくる斧持った幼女は何だったんだよ!」「あの大鎌の戦姫にどんな意味があったの?」「ガヌロン公爵って必要だった?」「そもそもタイトルの『魔弾の王』って何なんだよ!」ってのがアニメ派の感想でしょう。アルデラミンは丁寧にアニメ化すると1クールで原作3巻までが限界でしょうね。それに、ファンタジーとはいえ精霊の力を利用した銃や砲も使用されるので、死者の数が凄まじく、血腥い描写も多い。正直、『皇国の守護者』をアニメ化するのと同等の難しさだと思います。皇国〜がアニメ化&成功して、それでようやく「アルデラミンもイケるかも」という希望が抱けるレベル。

【速報】抜きゲーではないエロゲーにエロはいらないと俺氏悟る(2次元に捉われない)

 ポルノ映画じゃない映画に濡れ場シーンはいらない、という感覚に通ずるものがある。セックスしている間はストーリーが停滞するので、先が気になる状況でおっぱじめられるとイライラするんですよね。一段落ついてちょっと小休止、「○○編」と「××編」の間、というタイミングで始まるとちょうどいいんですが。具体例を挙げると『Rumble 〜バンカラ夜叉姫〜』の聖バルチック女学院戦後。学園間のバトルが終結し、「他の子が被害に遭うくらいなら……」と渋々体を差し出す盾子にすごく興奮しました。そういえばRumbleの主人公・丈夫鋼(ますらお・はがね)の元ネタが最近になってやっとわかった。丈夫(ジョーブ)鋼(スティール)でスティーブ・ジョブズをもじっていたんですね……発売から15年も経って今更知るとは。

人の心が読める能力を持ってる男が主人公のエロゲってある?(2次元に捉われない)

 『はぁ・はぁ・テレパス』なんてのもあったな。読心能力を持った主人公はたまに見かけるけど、一つのジャンルとして語られることはあまりないですね。しかし、『SEVEN-BRIDGE』からもう10年経つのか……改めて確認してショックを受けた。『SEVEN-BRIDGE』は明らかに未完成というか、納期に間に合わないから細部を端折って無理矢理終わらせたようなゲームだったけど、エンディングに関しては我がエロゲー史の中でも随一の素晴らしさだった。七つの橋を巡る冒険が終わって、どこかの田舎村に辿り着いた主人公とヒロインが、残りの人生を仲睦まじい夫婦としてひっそりと過ごす様子をスタッフロールとともに描く。「冒険が終わっても人生は続いていく」という当たり前のことを力強く演出してくれた。ED曲の「Inliyor」も最高だ。読心とは違うが、相手の嘘がわかる『ハルウソ』も近接ジャンルに属する一本にはなると思う。

唐突に古いエロゲがやりたくなったりしね?(2次元に捉われない)

 あるライターの過去作がやりたくなって90年代のエロゲーソフトを買ったら、インストーラーさえ起動しなかった……動作しないのは問題外だけど、動いても難儀することは多い。シナリオ、グラフィック、サウンド、システムの四項目に分類すると、シナリオはそんなに大差ないし、グラフィックやサウンドのチープさも味として処理できるが、システムだけはどうにも不便で我慢ならないのです。シナリオとグラフィックとサウンドはそのまま、足回りのシステムだけを最新版にアップデートしたレトロエロゲーとか出してくれたら喜ぶオールドファンも少なくないでしょう。が、手間を考えると割に合わないだろうな。バグがヒドくてろくに遊べないゲームをユーザーたち自身の手でどうにかする「ユーザーデバック」や「ユーザーパッチ」は過去何度か行われていて、『秋桜の空に』の「C.H.A.O.S.」や『おたく☆まっしぐら』の「最果てへ☆まっしぐら」などといった前例があるけど、相当バグがヒドいゲームでもないかぎり「有志の活躍」は期待できない。物理的な劣化は免れないにせよページを開けばすぐ読める本と違って、エロゲーは「OSが変わったらそれでオシマイ」な危険性と常に隣り合わせですな。とりあえず『ぼくたちの美少女ゲームクロニクル』でも読んで懐古に耽るとしよう。

氷菓みたいに、ミステリをアニメ化したほうが面白いんじゃない?(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 時を越えて『SHI-NO』がアニメ化……しないか。名探偵コナンみたいな成功例もあるし、やってやれないことはないはずのジャンルである。一度当たれば延々と続けられるわけだから、美味しいことは美味しい。ただ、基本的にミステリ作品ってアニメ化よりも実写化に向いてますからね。コナンは実写だと辛い(子役がすぐに成長してしまう)からアニメ向きだけど、探偵役が20代以上だったら「わざわざアニメにする必要なくない?」って話になります。それにアニメは普通30分枠なので、1時間が原則の実写ドラマに比べて尺が厳しい。コナンみたいにある程度展開を定型化しないと起承転結が付けられません。

 あと、最近は例外も増えてきているが、非ライトノベルのミステリ作品は挿絵等のビジュアルイメージがないから新規にキャラデザを起こす必要がある。この場合、往々にして「イメージと違う!」って文句を言い出すファンが出てきます。「自分のイメージ」を大切にするファンほど、映像化にそっぽを向いてしまう。ファンにも新規にも受け入れられるキャラデザを以ってしてアニメ化するのは実に困難です。そうした無茶を承知のうえでアニメ化するとしたら、個人的には『幽霊刑事』を望むか。無念のまま殺され幽霊になってしまった主人公が、イタコの孫である後輩刑事とコンビを組んで事件捜査に当たる話。原作は一冊完結だけど、この設定を活かして連作化していけば面白くなると思う。設定だけ貰って原作再現を一切目指さないとしたら、清涼院流水のJDCシリーズもアリか……逆にガッツリ原作再現を目指してくれるなら、笠井潔の矢吹駆シリーズが観たい。『バイバイ、エンジェル』『サマー・アポカリプス』だけでもいいから。

・拍手レス。

 ま、本物の天才って報われないからね。今、問題になってるデザイン業界でもそうなんだが、基本、コネの有る奴しか金持ちにはなれないし。たまに、そういうダサイクルの中から本物が出て、そういう人が神輿として祭り上げられる事はあるけど。
 ゲームやアニメなど大人数のスタッフが関わるジャンルにおいてはどれが誰の功績かハッキリさせにくいぶん、「天才」の判定もあやふやな面はありますけどね。特にシナリオライターは裏方意識が強い人もいて、過剰な評価は迷惑って考える向きもあるし。

 失われた未来を求めてはアニメと同時にコンシューマ移植するわけでもないしで、商業的にはどんな狙いがあったのかと随分首を捻りましたね…。漫画くらいしか展開してるもの
 …なかったですし(途中送信失礼)

 本当はプロジェクトを凍結したかったけど「今更引き返せない」ってところまで進んでしまったので、仕方なく……という感じでしょうか。移植を企画しても『FORTUNE ARTERIAL』みたいに中止になっていた可能性もありますね。

・あ、そういえばDiesのCF限定ムービー観ました。ドラマCDの収録に合わせて録ったみたいで、キャストはほぼそのままスライド。蓮くんや戒くんは出てきませんが、オマケとは思えないレベルの豪華さです。内容は、「ファーブラから6年近く経って当時のノリを忘れかけている黒円卓の面々が勘を取り戻そうとする話」。ノリはベアトリスラジオ(「突撃グラズヘイム」だったっけ?)みたいな感じ。シュピーネさんが活き活きとしていて微笑ましかった。反面、ゾーネンキントさんのお約束じみたキャラ崩壊は……「玲愛先輩は犠牲になったのだ。ツイッター芸人として培われたキャラクター……その犠牲にな」と言いたくなる。さすがにアニメではああいう扱いも封印されていくものだと思うが、何にせよ、今回は壮大な内輪ネタといった趣でした。


2015-08-15.

・コミケで先行販売されるDies irae ドラマCD『Todestag Verloren』の公式サイトが出来ていることを今更言及する焼津です、こんばんは。

 誅仙陣ともどもとっくに予約済だったのでチェックが疎かになっていた。まあでも特に目新しい情報はないですね。メインふたりの名前が「■■■■・■■■■■■」と伏字になっている演出でクスっとしたくらい。キャスト全員の名前が横文字になるのはモルゲン以来か。第七位が未定とはいえ、黒円卓の十三騎士はほぼ揃っている……はずなのにサブが11人しかいなくて一瞬「あれ?」となったが、そうか、第二位(カイン)がいないのか。あれも確か安元が兼ねていたんだっけ。『Todestag Verloren(トーデスターク・フェアリーレン)』はプロローグの約1年前に当たるエピソードで、本編でも一応触れられていたけど詳しくは描かれなかった部分です。正直、『Dies irae』をまったく知らない人がここから入っても「何が何だか?」って首を傾げるでしょう。先に本編をプレーして、「あー、ここの話かー」と納得してから聴いた方がイイと思います。が、あえて何が何だかわかりにくいドラマCDを聴いてみて、そこに魅力を見出してみるのも一興。「アニメ化プロジェクトの話題で気になった」という方、ジャケット絵に心惹かれる方、安元洋貴が好きな方は是非チャレンジされたし。安元の演じているキャラ、本編だと寡黙設定でそんなに多く喋らないのですが、このドラマCDに関してはモノローグ含めて喋り通しだそうです。

 タイムシフト予約していたHLCニコ生放送第三十三回もチェックしたところ、クラウドファンディング支援者限定の録り下ろしムービーを公開予定とのことで思わず興奮。ホワイトデームービーみたいなノリらしいが、なんと20分を超える大ボリュームだそうだ。過去にやったDiesのバレンタインデーとホワイトデー、両方のムービーを足しても20分行かないんだから相当だぞこりゃ。あと『ハルウソ』の話題で「主人公に能力がある、ってぇとバトルオペラみたいなイメージが湧いてしまうが」といった趣旨の発言に対しすかさず「バトルオペラの何が悪いの」と食って掛かる正田に笑った。やっぱり「学園伝奇バトルオペラ」というジャンル名には思い入れがあるんだろうな。『Dies irae』って正式名称が公表される前から明かされてましたもんね、このジャンル名。確か2005年4月中旬頃のスタッフ日誌に載ったと思うんだけど、古すぎて検索しても該当する記述が見つからない。直後の4月30日にOHPがリニューアルされて、スタッフ日誌も新しい物に変わったから読んだ人が非常に少ないという幻の回。『ジーザス・クライスト=スーパースター』を意識したような記述もあった気がするけど、さすがにもう記憶不鮮明である。

田中ロミオとかいう余りにも報われない天才(2次元に捉われない)

 今日も今日とてオクルトゥムを求める亡者たちの「マダー?」という呻き声が夜の底に響き渡る。でもロミオはまだ報われている部類だと思いますけどね。エロゲー方面で想起する「報われない天才」は個人的に蓮海才太かな。『蒼色輪廻』のシナリオ書いた人。「蓮海もぐら」等のPNで小説作品もいくつか発表している。『緋色梵鐘』あるいは『煉獄のノア』というタイトルで新作企画も練っていたらしいが、残念ながら実現せず。「ふたなり美少女の気持ちを理解するために自ら女性ホルモンを注入した」という逸話の持ち主でもあり、『火花』を読んで真っ先に彼のことを思い出しました。

Navel最新作「乙女理論とその後の周辺 -Belle Epoque-」の公式サイトがプレオープン! 12月18日に発売予定(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 身元がバレるといろいろ困る、そんな訳アリの主人公が女装してメイドになりすます“つり乙”シリーズの4作目に当たるソフト。“つり乙”シリーズは発表順に並べると『月に寄りそう乙女の作法』(2012年)→『乙女理論とその周辺-Ecole de Paris-』(2013年)→『月に寄りそう乙女の作法2』(2014年)ですが、今回発表された『乙女理論とその後の周辺 -Belle Epoque-』は3作目である2ではなく、2作目である『乙女理論とその周辺』の後日譚という位置付けです。シリーズ開始点に当たる『月に寄りそう乙女の作法』の主人公は小倉朝日(女装時の偽名、本名は「大蔵遊星」)ですが、『月に寄りそう乙女の作法2』はその十数年後に当たる設定で、主人公の名前も「小倉朝陽(もちろん偽名)」と若干変わっている。朝日と朝陽の関係は解説しなくても察せられるでしょう。それ散るにも「朝陽」という名前のキャラがいたからホロリと来ちゃうエロゲーマーはいるかもしれない。ただし、王雀孫がシナリオに関わっていたのは『乙女理論とその周辺』までで、それ以降は東ノ助がピンでやっている模様。

 つまり、『乙女理論とその後の周辺』は小倉朝日をメインに据えた内容になるようだ、ってわけです。現時点では詳しい仕様が判明しておりませんから、合同FDみたいな形式で朝陽の方にも出番がある可能性は否定できない。何であれ、未プレーの方は1作目である『月に寄りそう乙女の作法』から着手することをオススメします。Vita移植版『月に寄りそう乙女の作法 〜ひだまりの日々〜』が11月26日発売予定なので、Vita持ってる人はそっちを待つといいかも。「ひだまりの日々」は追加シナリオが入るみたいだし、主人公も最初からボイス付だ。『月に寄りそう乙女の作法』発売時点では朝日には声が付いておらず、『乙女理論とその周辺』の初回特典として封入されたアペンドディスクのデータをインストールすることでようやくフルボイスになる仕組みでした(注意:乙女理論の方の朝日には声が付きません)。アペンドディスクには朝日のボイスデータ以外にも各ヒロインのアフターストーリーやエイプリルフール企画「衣遠兄様の華麗なる一日」が収録されていてファン垂涎であったが、そのぶん初回版を買い逃した新規層は涙目に。救済策として後日『月に寄りそう乙女の作法 アペンドディスク』が単品発売されました。私はずっと積んでいたので初回特典と知らず、つい買いそうになってしまいましたわ。「アペンドとかゴチャゴチャあって面倒クセェ」って方もおられるでしょうが、これでも良心的な方ですよ、Navelにとっては。開発が難航した俺翼こと『俺たちに翼はない』なんてもっとグチャグチャな売り方でしたからね。発売が間に合わず「Prelude」とか言ってお茶を濁したり、「AfterStory」で急にアクチを導入したり、「R」で香田亜衣を攻略可能にしたうえ新キャラ追加したり、移植版でやっと林田美咲を攻略可能にしたり……これに比べればまだ真っ当な売り方をしている。あと俺翼はドラマCDを都合10枚も出したけど、つり乙はドラマCDを何枚も作って売るような真似はしていません。せいぜいショップ特典のドラマCDを作ったくらい?

 ちなみにつり乙のショップ特典ドラマCDは

・『お嬢様のあられもないCD ルナ&瑞穂編』
・『お嬢様のあられもないCD 柳ヶ瀬湊編』
・『お嬢様のあられもないCD ユルシュール編』
・『お兄ちゃんは使用人リベンジ』
・『月に寄りそう乙女理論とその周辺 〜桜屋敷の乙女たちVSパリジェンヌ〜』
・『メタフィクション・帰ってきたお嬢様のあられもないCD』
・『乙女理論とそのほんの周辺』
・『射ペストリー制作秘話・主人の異常な愛情(または私は如何にして心配するのを止めて芸術を愛するようになったか)』
・『月に寄りそうシチュエーションCD』

 と現在9種類がある。他にオフィシャル通販特典の「告白ボイスCD」や抱き枕カバー特典の「ルナ様と添い寝CD」もあり、コンプしようとすると骨が折れるけど、恐らくどれもそんなにボリュームは多くないと思うので無理に収集する必要もないはず。「特典のドラマCDってこんなにあるのか……」と驚いたり呆れたりした方もおられるやもしれませんが、こんなのはまだいい方でしてね、『神咒神威神楽』のミニドラマCDなんて18禁版だけで11種類、全年齢版まで含めると14種類もあるんですよ。関連作のDiesも11種類あるから、足せばなんと25種類! 相州戦神館學園も、八命陣と万仙陣を合わせると20種類超える。つまり超熱心な正田崇ファンは40種類以上ものCDを余裕でコレクションしちゃってる計算に……恐ろしい、本当に恐ろしい。私はさすがに揃える気力もなく、単なる初回特典やどこでも付いてくる予約特典の類を除けばほとんど持っていません。「ミニドラマコンプリートBOX」みたいなのが出たら絶対買うつもりでいますけれど、まず出ないだろう。出ても「コンプリートBOXにも各ショップ特典が付きます!」みたいな笑えない事態に陥りそう。

ALcotハニカム最新作「キミのとなりで恋してる!The Respective Happiness」のティザーサイトがオープン 新キャラクター「知花彩香」が公開!(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 おるご……じゃない、おぅんごぅるの仕事が途切れなくて嬉しいかぎり。『キミのとなりで恋してる!』、略称「とな恋」は去年(2014年)11月に発売されたエロゲーで、祖母を安心させるため「嫁」のフリをしてくれる女の子を探そうとするところからラブコメ的な騒動が巻き起こる話。税抜6800円と比較的手を出しやすいミドルプライスで、発売直後に品薄となり、翌月にはもうパッケージを変更した2次ロットが出荷されるなど目覚ましい売れ行きを見せた。FD(ファンディスク)に当たる本作『The Respective Happiness』はまさしく待望の1本であり、価格も税抜3900円と非常に手頃。本編とFDを合わせたパック版をフルプライスで売ってもちゃんと買う人は出てくるでしょう。

 で、実はこのFD、情報自体はだいぶ前から出ていたんです。ただ、日付を見れば分かるように、エイプリルフールでの発表でした。マジなのかネタなのか、ちょっと判断に迷った次第。その後もちょくちょくブログで言及していたから「どうもネタじゃないらしい」と疑いは晴れたのですが、こうして具体的な情報が来るまでいまひとつ実感が湧かなかった。今は静かに喜びを噛み締めている。発売は11月、だいたい本編から1年後か。昔は半年以内に突貫工事で発売される内容極薄のボッタクリFDも珍しくなかったが、最近はこうしてじっくり時間を掛けて作る風潮が広まってくれたようでありがたいですね。予約開始は8月28日、『乙女理論とその後の周辺』も同じ日に予約開始するので、発売日は別々だけど一緒に予約を入れおくことにしよう。

『ゆゆ式』のアニメ、11月26日にBlu-ray BOX発売

 “待”ってたゼェ!! この“瞬間”をよォ!! というわけで2013年の春クールに放送された『ゆゆ式』のBD-BOXが出ます。放送終了後、BDを買おうかどうか逡巡したのですが、なんとなくBOXが出そうな予感がして見送ったんですよね。まさかの的中。『ゆゆ式』は4コマ漫画が原作で、俗に言う「きらら系アニメ」です。女子高生たちが割としょうもないことをテーマにダラダラと仲良くくっちゃべるだけの、平和すぎるほど平和で緩すぎるほど緩い「過剰なゆとり」が魅力の一つ。一昨年の2013年はゆるい日常アニメが破竹の勢いを見せた年で、春に『ゆゆ式』、夏に『きんいろモザイク』、秋に『のんのんびより』とほぼ毎クール日常アニメが話題に上がっていた。そして『ゆゆ式』の1年後、2014年春クールには『ご注文はうさぎですか?』が放送された。お気づきの方もおられるでしょう……『ゆゆ式』の後に放送されたきんモザ/のんのん/ごちうさは、2期が放送された/放送中/放送予定の作品である。『ゆゆ式』だけ、2期が決まっていない! ファンのほとんどは諦めモードに差し掛かっているが、このBOXの売上次第では2期企画が動き出す可能性もゼロではない……?

 あ、BOXとは書きましたがディスク2枚組なので、これといった特典がなければパッケージは普通のBDと同じくらいかもしれません。1クールアニメのBD-BOXで6枚組とかいうのはイヤガラセとしか思えないから、枚数が減るのは嬉しいです。ディスク入れ替えの手間も省けるし。欲を言うなら1枚に収めてほしかったが、さすがにそれだと画質や音質が厳しくなるか。参考小売価格は25,920円(税込)、普段アニメのBD買わない人からすると「高い!」って悲鳴を漏らしたくなるでしょう。ショップ値引を考慮しても2万円弱で、確かに決して安くはない。半分くらいはお布施の気持ちで購入しないと難しいだろう。北米版の『Yuyushiki: Complete Collection』が60ドルくらい(実売は35ドル前後)だから、約7500円(実売だと4500円くらい)――これならギリギリ払える、ってレベルじゃないでしょうか、一般のアニメオタにとっては。北米版は「既に日本国内で利益を回収している」「日本国内ならバカ高い価格でも買うマニアがいるけど、海外にそういうマニアはほとんどいない(というかそこまで熱心なマニアは北米版まで待たず日本版をさっさと輸入する)」などの理由から物凄く価格設定が安くなっている。「日本国内でも北米版並みの価格で売ればいいのに、そうすれば全体の売上がもっと増えるはず」という意見もありますが、実を言うと過去に北米版並みの廉価版がリリースされたことはあります(『GJ部 りぴーと! でぃすく』など)。しかし、これがメチャクチャ売れたかというと、そうでもない。ぐぐって調べてみるとGJ部はもともと全4巻で各3,000本、シリーズ累計で12,000本ほどの売上だったが、これに対し廉価版は4,500本程度。各巻平均本数よりは売れているが、累計本数から見ると半分以下である。そう、本来タダで観れるTVアニメに対し、わざわざ数千円も払ってディスクを求める層そのものが少数派なんです。

 ちょっと辛気臭い話になってしまったな。『ゆゆ式』の話に戻ろう。アニメ放送時に5巻が発売された『ゆゆ式』だが、現在は7巻まで出ている。概ね年に1冊のペースだ。4コマ漫画は単行本2巻分でどうにか1クールを維持できる(オリジナル多めなら1巻分に満たなくても可能だ)が、『ゆゆ式』は原作エピソードの消化率がかなり高い(しかもアニメ化した際にカットした部分を再利用できない形で消費している)のでやや厳しい。このあたりについて深く調査しているブログがあるので、詳しく知りたい方は「ゆゆ式のアニメで使われた原作の話を調べてみた」「ゆゆ式もファンの頑張り次第で2期の可能性が…?」「アニメ2期に向けてついに貯まった!?ゆゆ式の原作ストック」を参照されたし。ファン以外にはほとんど知られていないであろうドラマCD『If you want to be happy, be.』(コミケで先行販売した後、アニメイト限定で一般販売)で結構ネタを消費しているが、それでもギリギリ維持できるくらいのストックは溜まってきたみたいだ。というかドラマCDでやった部分をアニメ化しちゃいけないという理由も特にない。そう考えるとストックはもう充分なはず。さあ、今こそ『ゆゆ式』の2期よ来い、という祈りを込めてBD-BOX予約します。

まどそふと最新作『ワガママハイスペック』TVアニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 「あれ? もう発売してたっけ?」と首を傾げたが、やっぱりまだ開発中だったか。発売予定日すら決まってないので、アニメ放送と同時期に出る可能性もゼロじゃない。うたわれの新作みたいに。ソフトの発売時期とアニメの放送時期を合わせるというのは販売戦略的に超重要です。『失われた未来を求めて』なんか、アニメ企画が本格化した頃にはもうブランドが解散しちゃって、アニメのおかげで知名度が高まっているにも関わらず原作ゲームは再販されない、DL販売もされない、移植版も出ないというヒドい状態に陥ってしまった。それに比べれば「まだ発売もしていないゲームをアニメ化する」という無謀はまだマシ。延期しまくって放送終了してもまだ発売されない、なんてのはさすがに論外でしょうが。

 さておき、「まどそふと」は割と最近にできた新興ブランドです。2013年7月の『ナマイキデレーション』がデビュー作なので、活動期間はまだ2年ちょっと。Clochette(クロシェット)のような濃い目の塗りと、巨乳キャラを強調する、いわゆる「おっぱい軍拡」方針で着実に人気を稼いできている。そのため「クロシェットの分家」とか「クロシェットのフォロワー」みたいな扱いを受けることもしばしば。実際、コミケでもクロシェットと合同ブースを立ち上げているから付き合いがあるのかもしれませんね。シナリオで評価されるタイプのブランドではないためマニア受けはいまひとつなものの、女の子の可愛さとエロさでライト層のハートをガッチリ掴んでいる模様。ちなみに私は『ヤキモチストリーム』のキモウト・霧島沙那がお気に入り。

 クロシェットの単語が出たからここで脱線してしまおう。今ではすっかり「おっぱい軍拡」の雄と目されているクロシェットであるが、デビュー作の『かみぱに!』を見れば分かるように元から巨乳偏重主義だったわけではありません。2作目の『スズノネセブン』から徐々におっぱい領土が広がっていくが、人気投票で1位を獲得したのは「代官山すみれ」というちっぱいキャラであり、まだ巨乳の王国とは化していなかった。転機はやはり、『カミカゼ☆エクスプローラー!』であろう。通算5本目のソフトにして、クロシェットの名をエロゲー界に轟かせた代表作。1万本も売れれば充分ヒットという業界において約4万本の売上を記録したという。「乳袋」の話題でもたびたび挙げられるくらいおっぱいを強調したグラフィックでユーザーの股間を鷲掴みにしました。以降、『プリズム◇リコレクション!』『サキガケ⇒ジェネレーション!』と立て続けに巨乳イズジャスティスなソフトをリリースし、「クロシェット連峰」「豊満経営」「おっぱらいそ」の名をほしいままとする(一応言っておくけどジョークです)。しかし、この方針を続けることに限界を感じたのか、最新作『ここから夏のイノセンス!』で遂に極度の爆乳アピールを放棄した。「風船みたく異様に大きく膨らんだおっぱい」なんていうものは前世紀から確認されている代物で、それ自体は別に珍しくも何ともないが、「萌え系の絵柄で巨乳推し」という路線がメインストリームに食い込んできたのは主観だと2010年代に入ってからですね。エロゲーはただでさえヒロインの胸を盛る傾向が強かったが、カミカゼあたりからその流れがより顕著になった。原画の御敷仁曰く「描いているとすっごく楽しかったんですよ!この顔でこの大きさはいいなあって!」 そう、「この顔でこの大きさはいいなあって」というギャップ、ミスマッチがユーザーのハートを直撃し、童顔巨乳路線を加速させていったのではないだろうか。個人的には『ALIA's CARNIVAL!』のNanaWindあたりがアツい。

 とはいえ数年に渡って童顔巨乳を推し続けた結果、マンネリ感も生じてきたし、カミカゼ級のヒットが再来することもなかった。「巨乳ブームはもう終わった」「おっぱい軍拡競争は所詮一過性のもの」という見方もある。露骨な乳袋は心が受け付けない、という人も少なくない。たとえ性的アピールの表現として肯定する者が多数であろうと、エロのツボは人によって千差万別なのだから和解は難しかろう。秘すれば花、隠してこその胸という信念を抱く者とている。果たして『ワガママハイスペック』が乳袋界の希望となりうるのか。注目したい。

ギャルゲー出身の有名ライターがアニメやラノベ業界で起用される理由は『作品を完結させる腕と知名度』を持つから(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 一部遅筆の人もいますけど、ゲーム系のシナリオライターは基本的に筆が速くないと仕事が成り立たないから「短期間で書ける能力」を備えており、かつ「全文リテイク」みたいな苦行にも慣れているので、出版社側としては起用しやすいみたいです。あとライターは伝統的に会社間の垣根を越えて横の繋がりが強く、ゲーム系ライターがアニメ脚本家と仲良く付き合っていることはよくあるらしい。『To Heart』などで有名な高橋龍也がアニメ界に移ったのも、もともと倉田英之や黒田洋介などオルフェのライターと親交があったからですし。エロゲー界は様々な分野から雑多な才能が流れ着いてきた一種の吹き溜まりみたいな業界なので、そこから他ジャンルへ逆向きに浸透していくのはそんなにおかしいことでもない。

 リンク先の元記事では最後に「エロゲ出身のライターが描く注目のラノベ作品」を上げているが、丸戸・ロミオ・王に混じって衣笠彰梧の名前があって笑った。衣笠はよう実こと『ようこそ実力至上主義の教室へ』が好調みたいで、他の3人同様アニメ化を経験するライターになるかもしれませんね。


2015-08-11.

『プライマルハーツ2』が延期と聞いて「やっと発表が来たか」とむしろホッとした焼津です、こんばんは。

 情報公開が遅々として進まない状況を鑑みて、「こりゃ絶対延期するパターンだろうな」と睨んでおりました。1作目のときも延期しましたからね……例によって「クオリティアップのため」とかいう白々しい理由を述べるのだろう、と思って謝罪文を眺めたら、「サブキャラクターの1人を攻略可能にするため」という意外な釈明が行われていた。ぶっちゃけ、そういうのは1作目と2作目の合同FDでやればいいのに、と思わなくもない。だが、こうも明け透けに開発状況を語ってくれるのは面白い。本来なら隠し要素として発売まで伏せておくべき事柄だろうが、昨今はネットであっという間に情報が行き渡るから、「隠し要素」ってあんま意味ないんですよね。文中に「更なるクオリティアップ」というお約束の言葉も見つけて笑わせてもらったし、発売まで大人しく待たせてもらおう。

あかべぇそふとすりぃ最新作「空色イノセント」の公式サイトがOPEN!!! "水鳥をヒナから成鳥になるまで飼育して一緒に大空を飛ぶ”青春の感動作(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 素で「???」となった。水鳥を卵から育てる「生物部」と複座式の航空機を所有している「飛行機部」が協力して「カナダガンと一緒に空を飛ぶ」計画を立てる、青春学園モノにプロジェクト要素を足したようなストーリー。もはや完全にエロが添え物である。「エロさえあれば後は何をしてもいい」という自由さがかつてのエロゲーの特徴だったが、近年は「アレがないとダメ、コレはしちゃダメ」と暗黙の業界レギュレーションが細かく決まってしまって、従わないと流通が資金を融通してくれない状態に陥ってしまった。この「え? 水鳥の飼育? え? エロゲーなんだよね?」と訊き返したくなる感じ、カオス極まりなかった時期のソフトを彷彿とさせて微笑ましい。シナリオライターは新人みたいだが、企画原案は『アルテミスブルー』の井上啓二。ライトノベル作家によく似た名前の人(井上堅二)がいますけど、まったくの別人ですので注意。

スパイ小説「ジョーカー・ゲーム」TVアニメ化、キャラ原案は三輪士郎(コミックナタリー)

 まさかの三輪士郎。あの人の絵柄で「魔王」結城中佐が拝めるのか……ゴクリ。『ジョーカー・ゲーム』『陸軍中野学校』を若干スタイリッシュにしたようなノリのスパイ小説です。冷戦構造の崩壊からこっち、ジャンルとして凋落する一方だったスパイ小説ですが、『ジョーカー・ゲーム』は一つ一つのエピソードが比較的短くまとまっていて読みやすい&専門知識も必要ないことから、幅広い層にヒットしています。反面、マニアからは「新味がない」「文章が平易すぎる」と言われているけど……実写映画化も果たし、メディアミックス展開はほぼ終了したかな、というタイミングでアニメ化の発表が来たから驚きました。最近のKADOKAWAはライトノベル以外の作品をアニメ化することに熱心ですね。

 ちなみに『ジョーカー・ゲーム』、単行本の発売は2008年でしたが、翌年にはもう『Dの魔王』というタイトルでコミカライズされている。原作と同じタイトルの『ジョーカー・ゲーム』という漫画版もあるが、こちらは実写映画版をもとにしたコミカライズなので、このシリーズにまったく触れたことがない方は原作か、『Dの魔王』から入ることをオススメします。「短編連作ではなくガッツリした長編が読みたい」という方には『トーキョー・プリズン』を推す。そういえば、『ジョーカー・ゲーム』には「D機関」という架空のスパイ養成組織(モデルは先述した陸軍中野学校)が出てきますけど、西村京太郎にも『D機関情報』っていうスパイ小説があるんですよ。初期の傑作であり、ちょっと前に復刊されて入手しやすくなっておりますので、興味がある方はこの機会にどうぞ。

・拍手レス。

 ハルウソはニコ生見てて期待できそうだなぁと思いましたね。うまいことやったらすごく面白くなりそう。あと冬のヒロインがラスボスラスボス言われてたのはなんというか……w
 連作形式は出だしでコケるとみんな続き買わないだろうし、うまいことシステムを活用して期待を持たせてほしいですね。冬の人は何か秘密があるみたいだけど、能力者とかかな。

 平成ももう27年経ってますからね。昭和62〜平成元年生まれはもう27歳ですし、作るにしろプレイするにしろ、時代が変わってきてるんだなと感じます。
 ランスシリーズの開始が平成元年だったことを考えると隔世の感バリバリ。ランスどころか『To Heart』発売から数えても18年経ってますからね……「『To Heart』がキッカケでこの業界に入ったんだよなぁ」「あ、俺の『浩之』って名前、そのゲーム由来っス」「(白目)」みたいな光景さえ実現するのかもしれない。


2015-08-02.

『BLASSREITER』がBD-BOX化だと!? 待ち侘びていた焼津です、こんばんは。

 BLASSREITER(ブラスレイター)は2008年に放送されたアニメで、タイトルは「蒼褪めた馬の騎手」を意味するドイツ語。英語だと「ペイルライダー」ですね。「蒼褪めた馬を見よ。その背に跨りし者の名は死である」という黙示録の一節に由来しますが、詳しいことはぐぐってください。仮面ライダー大好きっ子の虚淵玄が「龍騎みたいな変身ヒーローたちがバトルロイヤルを繰り広げるアニメを」と意気込んだ企画でしたが、監督を担当した板野一郎が「概要を説明する際に『○○みたいな』とか言い出す作品などつくる意味がない」と一蹴。結果的に当初の予定とは全然違う内容に仕上がりました。「当初案の方がエンタメ的には面白かったのでは……」と思わんでもないが、没になったアイデア(サポート役のエレアが実は黒幕的な存在だったというサプライズ)が後年まどかマギカへ流用されることになるので、むしろ良かったのかもしれない。

 ブラスレイターは2クールアニメですが、ぶっちゃけ前半はちょっと退屈です。スロースターター型なので、一気観じゃないとなかなか面白さが実感できない。最低でも6話まで行かなきゃ魅力が伝わりません。ちなみに虚淵脚本は10話から。『ブラスレイター』が虚淵のアニメ脚本デビュー作なんですが、全24話のうち担当したのは8話分。実に1/3である。この頃は脚本の書き方に慣れていなかったのか、かなり不自然というかセリフ回しが硬かったですね。あまりにもぎこちないので始まった途端「あ、虚淵回だ」と分かるレベル。終盤の展開がやや腰砕けだったせいもあって評価は伸び悩みましたが、3DCGを駆使したアクションシーンはカッコ良かった。監督の板野一郎はアニメーター上がりで、『ガンダムを創った男たち』『SHIROBAKO』にも彼をモデルにしたキャラが出てくるぐらいの有名人。庵野秀明の師匠みたいな存在でもある。ネームバリューを考慮してもいずれBD-BOXは発売されるだろうと睨んでいたが、まさか本放送から8年近くも掛かるとはな。なんとなく思い出したけど、結城心一の『宇宙スレイヴ後藤田リサコ』にもブラスレネタがあったっけ。「私急いでヘルマン×ゲルト本の原稿の続き描かなきゃいけないの」とか「チャンプは総受けよねー」とか。あれももう6年前か……時の流れが早過ぎる。

lightstation Happy light Cafe第154回は『Dies irae』今後の展開と『神咒神威神楽』の振り返り。

 ゲストとして正田崇も出演していますが、最近は頻度多くてあまり希少感ないな。ラジオに初出演したとき(2009年4月24日、第11回)はめっちゃテンション上がったんですけどね。ずっと雲隠れしていた正田が遂に表舞台に出てくるということでファンの間にざわめきが広まったものだった。当時のパーソナリティはDiesを全然知らない人で、正田たちとの会話がちっとも噛み合わず、温度差凄かったわ。

 ともあれ、今回のラジオで気になった話題をポツポツ拾っていく。まずDiesアニメ化のCF、最終的に9600万円まで行った。詳しいことは「『Dies irae』アニメ化プロジェクトCFの最終集計が完了。5,187人から約9,650万円の支援を受ける」に書いてあります。一人当たり1.8万円くらいか。「正田は自炊派、外食はあまりしない」「煮物するのが好き、魚とか芋とか」「エビフライやトンカツも一人で作る」 思わず『食戟のタカシ』を妄想してしまった。「おあがりよ。貴様の慟哭はぬるすぎるのだ」 「この2ヶ月間で社内のモチベーションは確実に上がった」「過去記憶にないくらい長い2ヶ月だった」「時間が経つのが遅い」 正田が美麗刹那・序曲をブリアーした模様。「(Diesアニメは)テレビになりますか?」「現状テレビになるよう動いています」 確定ではないにしろ、TVシリーズの可能性が濃厚になってきました。「(Dies外伝の)ラインはもう動く」「(外伝が)終わった頃にアニメ脚本執筆のスケジュールになると思う」「(脚本書き上げて)まだ余裕があったらもう一個何かやるか、基本ゲームで」「一個一個はそんなにデカい企画ではない」 口振りからするとアニメの放送が始まるまで絶え間なくDies関連の仕事を手掛けていく予定みたいですね。ということは他の新作は作ったりしないんだろうか? 脚本と言えばツイッターで「さーて今からまどかマギカを全話一気に観る。」という呟きもあり、アニメの感覚を掴もうと努力しているみたいだ。脚本集の『魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story』も読んでそう。「Diesは何年も前なので演出パターンが古い、外伝は今の演出で作れるから楽しみ」 私はパラロスを今の演出にしてほしいです……やり直すたびに「演出ショボいなぁ」とガッカリする。真・三竦みのシーンとか、展開的には盛り上がっているだけにすごく残念なんですよねー。

 で、神咒の振り返り。「カタカナ表記の外国語を使わないなどの縛りがあった、今はもうやりたくない」 時代小説っぽい雰囲気は多少出ていたけど、手間を考えると「労力に見合わない」って感じだったかも。「神咒もアニメ化の可能性は?」「Dies以上に難しい、衣装のデザインが細かいから」 紫織が「――太・極――」したらアニメーターは発狂して悶絶死するでしょう。NARUTOの多重影分身もアニメーターにとっては「やめてくれナルト その術はオレに効く」らしいし。NARUTOと言えば超獣偽画も難しかったそうで、毛筆タッチの絵柄はアニメにとって鬼門なんだとか。「正田さん、神咒の思い出は?」「ものすっごい大変だった記憶しかない」 幕末っぽい時代が背景にあるので、「一週間」「時・分・秒」など雰囲気にそぐわない単位は使用できず苦労したという。あと今回は触れていないが神咒の構想は二転三転して最初の予定とは全然違うものになった経緯があり、相当な難産であった。神咒は「東征戦争」と呼ばれる出来事を軸に展開する話なんですが、当初のプロットだと東征戦争そのものを描くつもりはなく、「東征戦争から10年、かつての英雄たちは逆賊と化していた!」みたいな話にするつもりだったらしい。しかし構想を練っているうちに「やっぱり東征も書こう」となり、プロットを組み替えていった。「東征戦争」と「その10年後」、両方描くとなると相当なボリュームになってしまうから、結局東征のみに絞って書くことになったわけです。このへんの制作秘話はHLCの第64回で詳しく聞くことができます

 あとニコ生もありましたね。調べてみたら2時間近く……男ばかりの面子で2時間も喋り倒すのか……後で聞こう。ラジオがあってニコ生があって、近頃はチェックだけでも大変やわ。

Campusデビュー作「ハルウソ」の公式サイトがオープン!!“コスパ最強” がセールスポイントの春夏秋冬の4部作シリーズ(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 あ、ニコ生で言っていた奴だ。公式サイトがオープンしたのか。好意的に受け取れば「連作」、そうでなければ「分割」の試みに当たるソフトです。春・夏・秋・冬と季節ごとに話が分かれており、それぞれでヒロインが異なる。「姫野『桜』月」といったふうに、名前を見れば誰がどのヒロインかは瞭然。主人公が「相手の嘘を見抜く」特殊な能力を持っていて、ゲームシステム上だと「嘘のセリフ」が赤く表示されるそうだ。つまり、「『Dies irae』の実写映画化が決定しました!」 こんなふうに。夏のヒロインに当たる「和泉葵」はこのシステムがもっとも活用されるらしい。真顔で「嫌いです」みたいな。

 やり方次第では面白いシナリオが組めそうなシステムだが、このウソシリーズ自体はシナリオゲーというよりもイチャエロゲーで、イベントCGの大半はHシーン絡みになるとのこと。lightも以前は『ドキドキしすたぁパラダイス』みたいなヌキゲーを制作していたし、連作もさかここシリーズが既にあるけど、ここ数年はバトル系の燃えゲーがメインになっていたから最近入ってきた新規ユーザーからするとイメージにそぐわないかもしれませんね。light側も承知しているのか、棲み分けのためにわざわざブランドを新しく立ち上げています。その名も「Campus.」。昔そんなタイトルのエロゲーがあったな……「え? 『Canvas』じゃない?」と訊き返されそうだけど、違います、『Campus 〜桜の舞う中で〜』です。きみづか葵のデビュー作。絵に惹かれたけど、結局買わなかった。調べてみるとOVAも出てたんだな。

 それはさておき。はい、まーたlightのブランドが増えました。そもそも「light」とは株式会社グリーンウッドのブランドで、2000年に創設。翌年「Rateblack」という姉妹ブランドをつくったものの、いまいち路線がハッキリせず数年後に消滅。以降はずっとlight一本でやっていましたが、先述した通り燃えゲー色の強いブランドになっていったため、一昨年(2013年)にハートフルおよびラブコメ路線重視の「sweetlight」を立ち上げました。「だったら『ハルウソ』もsweetlightで出せばいいじゃん」という話なんですけど、察するに「低価格・エロ重視」路線を開拓する意図があるのではないかと思われる。1本当たり3000円(税抜)で抱き枕カバー付きの限定版は11000円(税抜)、という売り方は「fengの本気」こと『彼女のセイイキ』『妹のセイイキ』を彷彿とさせる。連作化することで制作に要する時間を分割し、且つ長期間に渡ってユーザーの気を引き続けることでグッズの販促を円滑に行う。今後はこういう「ルートごとのバラ売り」みたいなスタイルが一般的になっていくのでしょうか……DL販売だともう結構やってるところもありますが。とりあえず私は『ハルウソ』だけでも買ってみる予定。そのときの状況にもよりますが、たぶん『ナツウソ』も買う。『アキウソ』と『フユウソ』は、ハルやナツが面白かったら検討しよう。四季で思い出したけど、すみっこソフトの「秋」ゲーもそろそろ情報公開が来るかな。

 ところで、今回シナリオを手掛ける二人のライターのうち、「御堂劾」はたぶん『ひまわり!!』でもシナリオをやっていた「神堂劾」のことだと思う。誤字なのか、改名したのか、ちょっと判断が付かないが。もう一人の「工藤啓介」はlightの社員? ニコ生で「なんやて工藤」「せやかて工藤」と弄られることでお馴染みです。新人ですが、なんと平成生まれ……「平成生まれがエロゲーシナリオを書く時代なのか」と目が遠くなりました。


2015-07-30.

・前回の更新で書き忘れたけど『Dies irae』の外伝的な新作ゲームが出るらしい、と今更記す焼津です、こんばんは。

 HLCニコ生放送第三十二回でチラッとこの外伝の話に触れていたのですが、「詳しいことはHappy light Cafeの2015夏秋葉原公開録音回で」ってことなのでそちらを確認してから書こう……と思いつつ、ついそのまま忘れてしまった。正田崇曰く「そんなすっごい長い話じゃない」「値段的にもまぁお安く」とのことで、ボリューム的にはロープライスかミドルプライスになる様子。なんかこの情報、デジャヴるな……と既知感を覚えていたが、なんてことはない、以前日記に書き込んだ私自身の願望そのまんまだった。「おっ、Diesの新作ゲームをロープライスで販売したりするのか?」「文庫本1冊相当で2、3000円前後とか」 瓢箪から駒が出るとはな。内容に関しては漠然(ほんわり)としか決まってないらしく、具体的なストーリー紹介はナシ。しかし、Diesってバカスカといろんなバージョンが出ましたけど、純粋な意味での外伝的なゲームってこれが初になりますね……いや神咒は除いて。クンフトはシナリオの書き直し、ファーブラは本来含まれるはずだったシナリオの実装、AAは加筆修正レベルで、Fateのhollow ataraxiaみたいな位置づけのソフトはなかったんですよ。前述した通り規模は大したものじゃないだろうし、せいぜいドラマCDに毛が生えたレベルに留まるかもしれませんが、「遂にDiesにもそういうFDめいたアトモスフィアを放つソフトが……」と遠い目をしたくなりました。

 にしても、何やるんでしょうね。外伝ソフトはリリースしてないけどドラマCDはいくつか出している(新たに出る予定もある)ので、ファンが求める番外編はだいたいやり切った感がある。2007年当時は『Fate/Zero』みたいな『Dies/Zero』を夢想したりもしたが、今やモルゲンとかゼーゲンとかで前日譚はカバーしているし。強いて言えばトバルカインの初代と二代目、武蔵と鈴のエピソードが残ってるけど、これはクラウドファンディング支援者限定のショートーストーリーで書くような口ぶりだった。そうなるともう過去エピソードで補完するようなネタってあんまりないです。なのでやるとしたら後日談の類か? 一番要求が多いのはやっぱり螢アフターでしょうね。Dies未プレーの方を想定して解説しますと、ヒロインの一人である「櫻井螢」のルートでは主人公たちと黒円卓との戦いに決着がつかず、一旦計画を中止して「また今度改めて戦ろう」となるんです。で、20年後、黒円卓の行方を追い続けていた主人公たちはやっと奴らの尻尾を掴むが……ってところで終わる。決着がつかないルートは他にもあるんですが、そっちだと主人公サイドの戦力はほぼ壊滅していて続けようがない。螢ルート後なら、「ギリギリ対抗できるかも」という希望が残る。ゆえにファンが希求する螢アフターとは言わば『Dies irae2』みたいなもので、榊ガンパレで喩えると九州撤退後に相当する。シナリオライターの正田崇も、そういう要望が高まっていることは把握しています。問題は、本気で書くとなったら「すっごい長い話」になることはほぼ確実だということ。到底ロープライスでは収まりません。

 だとしたら、うーん、あと考えられるのは本編での扱いが不遇だった「陽だまり」にして「太陽」たる綾瀬香純の救済か。07年版では強引ながらもハッピーエンドっぽく終わっていたが、クンフトで一転「バッドエンドじゃねーか!」になってしまった。実質的な続編の神咒でも出番はアレだったし。「3章目がピークだった人」と言われる状況をどうにかしてほしいファンもいるでしょう。でも「3章目の盛り上がりが凄すぎた」とも言えるわけで、あれを凌駕できる外伝とか想像できません。無理ゲーです。ホント、何やるんでしょうかね。

 発売時期は冬を予定しているとのこと。また「冬予定」か……Diesは当初2006年の冬に発売する予定だった(作中の時期も2006年のクリスマスシーズンだ)が延期を重ねて2007年12月リリースとなり、かの「怒りの日」を招いた。クンフトを経た2年後、2009年12月にファーブラが発売されて、どうにかこうにか完結。古参ファンにとって「冬予定」は忌まわしい響きであると同時に宿命の音色を感じさせる言葉でもある。2006年の冬を1度目として数えるなら、この次に来るのは10度目の冬……節目となる傑作を期待しています。

7月30日(今日)発売のメガストア 2015年9月号、完全収録ソフトは『こなたよりかなたまで』

 『六畳間の侵略者!?』で知られる健速(たけはや)のデビュー作ですね。パッケージを見ただけだと普通の学園みたいに見えるが、実は……という内容で2003年の発売当時から話題になっていた。ただ、本数が少なかったのか発売からしばらく経って品薄になり、プチプレミア化したという経緯がある。それで2年後くらいに新装版として再販したんじゃなかったかな。調べてみると2007年にもパッケージリニューアル版が発売されていた。そのうえ2012年には廉価版まで発売されているので、ぶっちゃけそんなにレアなソフトではないです。メガストアの付録ゲームは現行OSに対応する必要がある関係上、DL販売すらされていないような超絶プレミアソフト(たとえば『書淫、あるいは失われた夢の物語』とか)が来ることはまずありません。「でも、ひょっとしたら……」という期待はあるので、毎月ついチェックはしてしまうのですが。

 もともとミドルプライス(税抜6800円)で発売されたソフトなので、ボリュームはそんなに多くないです。プレーした当時に書いた感想によると「途中攻略に詰まったせいで結局10時間くらい掛かってしまいましたけど、もっと要領よくサクサク進めていれば8、9時間で済んだと思います」。通常のエロゲーみたいな感覚でプレーすると「短い!」ってなるかもしれませんが、雑誌のオマケと考えるならむしろこれくらいが丁度いいでしょう。文章も整っているし、ダレずに最後までやれます、オススメ。ちなみに『こなかな2』という続編みたいなタイトルのゲームもありますが、こちらには健速は一切関わっていないので注意。

ラノベ原作映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の続編制作が決定(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 ネタ元の記事をよく読むと制作が決定しているのはM:Iの6作目であって、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の続編はまだ構想段階みたいだが……トムはやる気満々の模様。多額の宣伝広告費を掛けた割に興行収入が芳しくなくて「大コケ」の烙印を押された映画だが、興収以外の部分でペイしたのかな? もし実現するとしたら1作目よりも低予算な作りになりそうだけど。トム主演の映画と言ったら『アウトロー』、あれもそろそろ続編が来てほしいですね。原作はリー・チャイルドの小説で、“ジャック・リーチャー”シリーズの9作目。“ジャック・リーチャー”シリーズの翻訳は休止しそうになっていたのですが、あの映画のおかげで再開したんですよ。ただし期待していたほどのペースではなく、まだ10作以上が未翻訳のまま。ここらでもいっちょ刺激を与えてもらいたいものだ。

・拍手レス。

 新レーベルに榊一郎がいるのはもはや様式美w流石ですな。
 「傭兵」という異名は伊達じゃない。

 講談社タイガの執筆陣、「あ」で始まる名前の人が多すぎて吹いたw そして当然のようにいる榊一郎と杉井光w ラノベ作家と新本格ミステリの人達が並んでるのには時代を感じたりしますけど。
 新本格も始まってそろそろ30年経ちますね。「いつまで『新』と名乗っているつもりだよ、ケンちゃんラーメンかよ」とツッコまれたのも10年以上前だ、懐かしい。「あ」だと50音順で一番最初に来るせいか、エロゲーのメーカー名でも多い気がする。

 ハードカバーの本はその内文庫版出るだろ…って思うと躊躇しちゃうんですよね。あとやっぱり嵩張るのは大きいです。ほぼ文庫オンリーでも部屋ギチギチなのに。
 ハードカバーの利点は、文庫よりも分厚い本を作りやすいところでしょうね。なるべく分冊してほしくないから、「文庫本は上下2冊」みたいな場合だとハードカバー全1冊の方を選ぶこともあります。

 これはアニメですが、ヒロインの1人が力の代償で喋れなくなってしまう(最終話で回復)作品がちょっと前にありましたね 台詞のない間もスタッフの厚意でクレジットにはキャストの名前が載っていたという
 セリフがないことでキャラが立つこともあるけど、声優の方は大変でしょうね。呼吸音とかで演技しても、聞いてる人のほとんどは誰がやってるのかわからないだろうし。

 >「タイガ」で真っ先に連想したのは龍騎だった ナカーマ。弁護士ライダーの「英雄は、なろうとした瞬間に失格」のセリフが印象的でした
 「なろうとした瞬間に失格」は納得できるようでいて結構極論だな、と思いました。ダンまちのベルくんレベルなら別に失格というほどでもないだろうし。

 先日配信されたHLC公開録音で、
 続)正田崇がDies外伝を来年にも発売と発表していました。アニメは良い制作会社が空くのを待つため時間がかかるからと。楽しみでもあり、あの時のノリをどこまで取り戻せるのか心配だったり。まずは8月のドラマCDですね。

 本人も「勘を取り戻しているところ」と言っているくらいなので、すんなり元通りとは行かないでしょうが、もうこれ以上の続きは出ないと思っていたDiesが再始動するだけでも感慨深いです。


2015-07-25.

ファミ通文庫9月の新刊に「B6判/アルティーナ(仮)」とあり、「なんぞこれ?」って首を傾げてぐぐった焼津です、こんばんは。

 結論を言うと書き下ろし新作ではなく『覇剣の皇姫アルティーナ』の改稿版らしい。ツイッターでの作者のつぶやきによると「ざっくり言えば、1巻と2巻を合わせて大人向けに書き直したものです」とのこと。要は『西の善き魔女』とか『キマイラ』とか『魔術士オーフェン』みたいな合本か。「大人向け」というのは文体を変えて改行を少なめにする、程度のことで、ストーリーが大きく変わったりすることはない模様。アルティーナは1巻と2巻のストーリーがほぼ連続しているから、新規組にシリーズ入門として読んでもらうなら確かに合本した方が適切でしょう。

 しかし気になるのはこの愛蔵版、1冊だけで終わりなのか、今後も定期的に出るのかってことですね。ちょっと違うパターンだけど、『万能鑑定士Q』というシリーズは開始記念で1冊だけ単行本を出した(内容は文庫版の1巻と2巻の合本)。あれに近い形になるのかな。ライトノベルとして文庫書下ろしで発行した作品をハードカバーやソフトカバーで出し直す試みは頻繁じゃないにしろ、たまに行われています。『魔法少女育成計画』とか。『VRMMOをカネの力で無双する』は「THE ORIGIN」と銘打ち、書籍化した際に変更した内容をWEB版準拠に戻す――と逆行パターンに入った珍しい例だ。合本じゃない場合でも『十二国記』『GOSICK』『彩雲国物語』『少年陰陽師』『風の王国』など一般向けとして出し直すことはちょいちょいあるが、大抵は途中で刊行が止まってしまう。感覚的にはコミカライズに近いノリで、なかなか最後までフォローしてくれません。「売れなかったから」などの世知辛い理由で続きが出ないこともあるんだろうけど……できればやり遂げてほしいものだ。

 アルティーナはヨーロッパっぽい異世界を舞台にした戦記風ファンタジーで、常軌を逸した膂力の持ち主とかは出てくる(ヒロインのアルティーナも見た目は華奢なのに大剣を振り回す)が、魔法や化け物は出てこないぶん、『魔弾の王と戦姫』などに比べるとやや地味。しかし、下っ端の文官に過ぎなかった読書狂の主人公レジスが「本で読んだことあるから」と様々な知識を披露して事態を打開してみせる明瞭なシナリオは単純に痛快であり、ツッコミどころは多々あるにせよ娯楽ファンタジーとして読めば花丸の出来です。ヤン・ウェンリー型の主人公が嫌いでない方にはオススメしたい。最新刊まで読み進めていますが、改稿版が出るならもっぺん最初から読み直してもいいかな……と思える程度には好き。しかし急に愛蔵版を出すとか、アニメ化企画でも進行しているのかな。最近はこういう戦記風ファンタジーの波が来ているけど、アニメ化する際は大軍の描写がネックになるし、先駆けとして地上波に乗った『魔弾の王と戦姫』もいまいちパッとしなかったし、「調理が難しい」と敬遠されている雰囲気なのだが……これと『天鏡のアルデラミン』『落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国』『百錬の覇王と聖約の戦乙女』『グラウスタンディア皇国物語』が一斉にアニメ化したら凄いことになるだろうな。主にアニメーターの労力が。

声が出せないヒロインが登場するギャルゲ、エロゲってある?(2次元に捉われない)

 知名度で言えば上月澪(『ONE〜輝く季節へ〜』)が最上位か。「知ってるがお前の態度が気に入らない」の煽りAAにも使われており、名前を知らない人でも絵を見れば「ああ、あの子」ってなるでしょう。「声が出せない=ボイスも付けられない」ので、ボイスなしが当然だった頃に比べ今は無声ヒロインなぞかなり冒険めいた試みとなる。息遣いなどで演技することも可能っちゃ可能だが……ちなみに精神的なショックが原因で喋れなくなってしまうのは「失声症」と呼ばれ、脳の物理的な障害に起因する「失語症」とは区別されるので注意。マイナーな作品だけど、『銀の蛇 黒の月』のヒロインも口が利けない設定だったな。身振り手振りで感情表現を行うのが可愛かった。

山口貴由推薦!「武装少女マキャヴェリズム」3巻、PVも公開中(コミックナタリー)

 意表を突く人選に唖然とした。解説は控え目ながら割と術理重視のバトル漫画なんで、合ってると言えば合ってるが……PVまで作られているし、これはしばらく打ち切られないで済む流れか? 『しなこいっ』ドラマCDまで作られたのに結局打ち切りだったからまだまだ安心はできないが、当面は続きそうな気配でホッとしました。問題児が送られては矯正(というかほとんど去勢)されることで有名な、男子の人権が無に等しい「愛地共生学園」へ転校してきた主人公が、ひとまず外出許可を得るために奮闘する――ってのが『武装少女マキャヴェリズム』のストーリーです。外出許可証をゲットするには「天下五剣」と呼ばれる超強い女の子たち5人の判子および学園長印が必要で、あまりにもハードルが高いため、一度たりとも発行されたことがないという。要はエロやギャグを抑えてバトルてんこ盛りにした『監獄学園』です。「抑えて」と言っても『監獄学園』に比べれば、であって、サービスシーンやコミカルな場面もところどころに用意されている。このまま打ち切られないで行けばアニメ化の可能性も……術理重視だからアニメ映えするのかどうかはちょっと疑問ですが。

新レーベル「講談社タイガ」が10月に創刊! 『西尾維新』『野村美月』『野アまど』『京極夏彦』『上遠野浩平』『あざの耕平』など超豪華なメンツばかりwww(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 「タイガ」で真っ先に連想したのは龍騎だった。あとは講談社BOXでやっていた「大河ノベル」か。大河ノベル、島田荘司もチャレンジしたんだけど、結局完結しないまま放置されてるんですよね。ああ、そうそう、書いてて思い出したけど定金伸治の『四方世界の王』も未完なんだった。西尾維新の『刀語』と清涼院流水の『パーフェクト・ワールド』はなんとか完結したのに、その後がグダグダになってしまってあまり縁起が良いとは言えない「タイガ」の響きを新レーベルに冠するとは……シンボルマークから察するにイメージしたのは「針葉樹林」の方かもしれませんが。

 ともあれ、さすが講談社だけあってラインナップは豪華ですね。「麻耶雄嵩」で充分胸が躍ってしまったが、他にも浅井ラボやあざの耕平、荻原規子、恩田陸、上遠野浩平、京極夏彦、西尾維新、長谷敏司、森博嗣など錚々たる面子が揃っている。「講ラ(講談社ラノベ文庫)のときより本気出してきたな……」というのが偽らざる印象です。「A6判型」というのは要するに文庫本サイズ(105×148mm)のことなので、「全点新作」=文庫書下ろしってことになります。ライトノベルは昔から文庫書下ろしが基本でしたが、最近は出版不況のせいで一般文芸にも文庫書下ろし主体の作家が増えているんですよね。佐伯泰英は最たる成功例で、凄まじい売れ行きを誇っているが、大部分は微々たる印税で凌ぐことを強いられている。これまで売れてる作家は「雑誌や新聞などで連載(定期的に原稿料を貰う)→分量がまとまったところで単行本化(印税が貰える、加筆修正などの手間が生じる場合もあるが、ハードカバーだと単価が高いから1冊あたりの金額は大きい)→2、3年を目処に新書化・文庫化(印税が貰える、単価は安くなるが既に一度単行本化しているぶん、あまり手間も掛からず不労所得に近い)」と、一冊分につき最低でも三度は稼ぐのが基本パターン(映像化などで更に原作使用料が貰える場合もあるが、これは超売れっ子でもないかぎりそこまで大きな金額にはならない)だったのに、文庫書下ろしだと必然的に最後の奴だけになってしまいます。文庫だと1冊あたりの印税が50円〜80円くらいで、近頃は1万部スタートが標準と聞くから、増刷ナシだと50万〜80万の収入……年1冊や2冊では生活が厳しく、1年あたり4冊は書ける執筆力(というか1年あたり4冊も企画を通せるプレゼン力)か、あるいは「作家は単なる副業」と割り切って別の職業を持つ選択が必要になってくる。昔は小説家って「年に1冊も書けば左団扇」なイメージがあったのにな……本当にそれだけで食っていける人は元々少なかったそうだが、それでも現状ほどカツカツではなかったはず。

 不景気な方向に行ってしまったから軌道修正しよう。恐らくタイガが目指すのは「ライト文芸」とか「キャラクターノベル」とか呼ばれる、平たく言うと「ちょっと大人向けのライトノベル」みたいなジャンルだと思います。具体例を挙げると『謎解きはディナーのあとで』『ビブリア古書堂の事件手帖』など。この手の路線では厨二要素が敬遠されがちで、「難読漢字に『絶対そうは読まないだろ』というようなカタカナのルビを振った造語」や「異世界・魔法・異能・モンスター・ハーレム」といったものは控え目になる。バトル展開も、皆無ではないにしろそこまで多くない。代わりに増えるのが、事件が起きてその謎を解く、つまりミステリ要素。「ラノベっぽい雰囲気のミステリ」がトレンドとして浮上しつつある。そう、富士見ミステリー文庫は早すぎたんだよ……ちなみに今は富士見L文庫ってのがあります。講談社は言わずと知れた「新本格ミステリ」の牙城であり、森博嗣や西尾維新という「ライト文芸」および「キャラクターノベル」勃興の遠因となった作家を輩出してきた、ある意味で名門みたいなところ――なのだが、講談社ノベルスにしろ講談社BOXにしろ、ここ最近はすっかり存在感を失っていました。果たしてタイガが反撃の狼煙となるだろうか。個人的には「遅すぎるだろ、今更かよ」な感がなくもない。でも文庫化まで待たずに気になる作家の新作をすぐ買えるってのは素直にありがたいわ。定着するといいですね。

 しかし、これまでハードカバーで新作を出していたような作家が文庫書下ろしで出すとなると、当然ながらハードカバーの一般文芸作品は徐々に減っていくでしょうな……書店員の話によると、東野圭吾などの例外を除くとハードカバーの文芸作品はもう「ヤバいくらいに売れない」そうだ。ハードカバーは単価が高いので比較的小部数でも稼げる分野ながら、「高い」「重い」「嵩張る」と若い世代が嫌がるので年々加速的に売れなくなってきているんだとか。書店でもどんどん売り場が縮小されている。なろう連載作品などをまとめたソフトカバー作品が増えてきているし、単純に「置き場がない!」というのもある。刊行点数も減少気味で、新刊チェックしてて「今月はこれだけか」と寂しくなるくらい。新書サイズの小説同様、衰退は免れないでしょう。そのうち海外みたく「ハードカバーは完全受注生産」や「ハードカバーはオンデマンドで」が主流になってくるのかもしれない。

・拍手レス。

 美麗刹那をエロに使う蓮とか嫌過ぎる…www なるみおかずでまた時間停止モノとは…これは熱いですな……。
 蓮がドスケベキャラだったら美麗刹那に辿り着くまでもなく5章目でイチャイチャパラダイスに突入していたでしょうね。

 「Astral」復活にびっくりです。妹が可愛かった記憶が…。七月さんといえば、個人的には「イリスの虹」の主人公とヒロインの関係が好みだったのですが打ち切り…「シャナ」と似たような設定だったのがいけなかったのか。焼津さんの記事を読んで両作品とも久々に読み直してみたくなりました。
 『イリスの虹』は様子見しているうちに打ち切られちゃったから読んでないな。Astralに比べて一般向けには売りにくい内容だろうから、復刊や再開の可能性は低そう……三上延もビブリア堂であれだけ大ヒット飛ばした割にライトノベル時代の作品は全然復刊されないし。

 新作ガンダムですけど、Gのレコンギスタやビルドファイターズトライが終わってあまり時間が経ってないのに、こんなに早く新作出して大丈夫なのかと感じますね。放送するTBSとしては、ガンダムAGEが目も当てられないほどに大炎上してしまったから、オルフェンズで汚名返上したいところなんでしょうけれど、岡田氏はスタッフによって降り幅が変わる方ですからね。あの花やAKB0048はなかなか良かったですけれど……。それにしても、公式ページで登場キャラが今のところ野郎しかいないので、かなり男臭い作品になりそうだと思います。
 企画自体はAGE以前から動いていたみたいだし、むしろズレ込んでこの時期に来てしまったのではないでしょうか。キャラ見てるとあまりの男臭さに「ガンダムそっちのけで素手で殴り合うのでは」という気がしてくる。

 りのさんの割とどんなキャラの声でも違和感を与えることなく演じられる声質と演技力はキャスティングする側としても有り難いだろうなぁと思います。螢やベア子もそうですが、個人的にはDMFの麻衣とかすばひびの由岐とかも印象深いですね
 幼児期の螢とかもちゃんと演じていて驚きましたね。あの人の声は長時間聞いていても疲れないというか、場を維持する力が強い。出演本数が増えるのもむべなるかな。

 脚本がマリーな時点で、もう嫌な予感しかしないですね・・・大丈夫なんだろうか?>鉄血
 男の身勝手なロマンを描いた作品の脚本を女が書くと大概が残念なシロモノになりますからね・・・
 業界全体に金が無くて、それが業界全体に大きな悪影響を与えている、というのは、どの業界でも起こってる事ですがね。こんな奴を売り出すくらいなら、もっとマシな奴が居るだろうに、という新人や中堅のなんと多いことか・・・ま、それもこれも、業界が自ら蒔いた種ですからね。こんな業界見捨てて離れてしまった滝川氏の気持ちも、なんとなく理解できます。そりゃあ、嫌でしょうよ。
 少なくとも、実力のある人の原作を無能が劣化させたアニメは勘弁して欲しいですよね・・・きょうび、そういうアニメがほとんどですけど。

 オルフェンズでマリーが次のステージに上がる可能性もゼロじゃない……といいな。アニメはもっと業界のパワーを効率的に集約できる仕組みがあったらなぁ、と思いますが、それができたら誰も苦労しないだろうな、という諦めの念もあります。非効率でどこかおかしい業界だからこそ、時として異形の傑作が生まれるって面もあるでしょうし。


2015-07-17.

『NARUTO』のノベライズとかを書いていた東山彰良が直木賞を受賞してて「おおっ」と唸った焼津です、こんばんは。

 映像化した作品もないし、最近になってノベライズ作品で名前を知られるようになってきた作家だと思いますが、デビューしたのは2003年だからもう12年のキャリアがあります。デビュー作『逃亡作法』は、どんな内容だったか忘れたけど、当時はあまり評価していなかったような気がする。受賞後第一作の『ワイルド・サイドを歩け』は面白かった。その後も『路傍』で大藪春彦賞を獲ったり、ウサギが主人公のハードボイルドを書いたり、『ブラックライダー』なんていう大作を物したりもしたが、いまひとつ突き抜けずブレイクには至らなかった。今回の受賞作『流』は刊行当初から話題を喚んでいた一冊であり、「来るかもしれない」って予感はあったが実際に来るとなかなか感慨深い。馳星周はまた受賞を逃しちゃって残念だったが……。

 ちなみに芥川賞で又吉と同時受賞した羽田圭介は2003年デビューで、なんと東山彰良と一緒である。現役高校生でしたが、既に綿矢りさがいたせいか、飛び抜けて話題になることはなかったな。何度か候補に挙がっていたことがある(調べてみると『スクラップ・アンド・ビルド』で四度目)ので意外感はなく、「遂に」といった気配である。世間的には又吉の話題で一色になっていますが。しかし、羽田と又吉か……咄嗟に羽田小鳩(CV.又吉愛)を連想したのは私だけじゃないはず。羽田圭介は「はねだ」じゃなくて「はだ」ですけどね。

かわしまりのとかいう声優(2次元に捉われない)

 このサイトの閲覧者層を考えると「ベアトリスの中の人」って書けば通りが良いだろう。他にまじこいのマルギッテやシャルノスのメアリ、ワルロマのスィーリアなども演じている。透き通った声質で、クール系のキャラが基本イメージながら、ポンコツヒロインを演じてもなかなか可愛かったりする。結構芸歴の長い人で、かれこれ10年以上もエロゲーで活躍してますね。仕事量も膨大。出演リストを眺めると「ああ、あれもかわしまさんだったんだ」って驚くソフトがチラホラ。いわゆる「ヌキゲー」にも多数出演しており、そっちの演技もなかなか。個人的に印象深いのは『催眠術2』の葉子さんです。「ここまでやるか……」ってくらい熱の篭もった演技で圧倒されました。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』2015年10月4日より日5で放送開始!監督:長井龍雪、構成:岡田麿里、キャラデザ原案:伊藤悠(萌えオタニュース速報)

 長井龍雪監督のロボットアニメ……XENOGLOSSIA? という定番の反応はさておき、またしてもガンダムの季節がやってきたか。今回は、というか今回も系統としてはアナザーガンダム(年号に宇宙世紀を用いないガンダム作品)? タイトルのノリがKADOKAWAから山ほど出ているガンダムコミックみたい、という指摘を見て「なるほど」と頷いた。最初から幹じゃなくて枝、って印象なんですよね、この題名。

 しかし、シリーズ構成が岡田麿里か……この人は幅広いジャンルで仕事しているからロボットアニメもこれが初というわけじゃないけど、過去に担当した作品は『アクエリオンEVOL』に『M3〜ソノ黒キ鋼〜』……ぶっちゃけ「う〜ん」なラインナップである。キャラの掛け合いを重視し、紋切り型のセリフ回しにならぬよう腐心するタイプの書き手ゆえ、うまく嵌まったときは刺激的で面白みのあるシナリオになるが、外れると一気に空回る感じ。今回は長丁場だろうし、複数のライターで脚本を回すことになるでしょう、たぶん。連携がどこまで保てるかに掛かっているでしょうね。もしこれでシリーズ構成のみならず、全話脚本まで担当するのならば……良くも悪くも凄いことになりそう。それにしてもキャラデザ原案が伊藤悠とは驚いた。漫画版『皇国の守護者』を手掛けた人です。新城直衛がMS部隊を率いる妄想が捗っちゃうな。

Waffleが新作2作品を発表!!「完全時間停止」・「淫靡蕩少女―羽ばたきし鳥かごの天使―」(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 『完全時間停止』は『学園で時間よ止まれ』に続く時間停止モノか。時間停止シチュは好きだから『学園で時間よ止まれ』も体験版やってみたものの、あんまりピンと来なくて製品版はスルーしちゃったんだよな。うーん、Waffle特有のヌルッとした濃い目の塗りは苦手だけど、今回の原画(魚デニム)は割と好みのタイプだし、買ってみてもいいかしら。価格も3500円(税抜)とそんなにお高くない……え? シナリオは「なるみおかず」?

 購入確定。

 知る人ぞ知る、特殊シチュエロゲ御用達ライターです。時間ループに巻き込まれた主人公が「これならヒロインの処女を何度でも奪える!」と歓喜したり、事故で生霊と化した主人公がヒロインの周りにいる男たちに次々と憑依して立て続けにレイプしたりなど、一風変わったシチュエーションのもとに繰り広げられるエロがとても魅力的である。過去に『時間封鎖』というソフトも手掛けているので、時間停止モノの勘所は弁えているはずです。なるみおかず、ブログの更新も止まっていたし、どうしているのか心配だったが今回の報せでホッとしました。ランス03と一緒に予約しとこう。

 それにしても、いくらバトル系とはいえ時間を止める能力を持ちながらエロい方面にはまったく使っていないエロゲー主人公って、冷静に考えると異端だな……実際に時を止められるようになるのはかなり後半だから、仕方ない面もあるのだが。

・拍手レス。

 まさかのAstral復刊に驚きです。いや喜ばしい。未収録作は未読なので期待してます。
 でもイラストは変更だろうし、挿絵もナシだろうな……ともぞの絵が合っていただけに残念。


2015-07-09.

『Dies irae』アニメ化プロジェクトのクラウドファンディング、遂に受付終了。達成額は……未入金含めて1億超! あまりの金額に気が遠くなった焼津です、こんばんは。

 なるほど、これが副首領閣下の方術なのね。恐ろしくなる、本当に。いや、なんぼなんでも1億は行かんと思ってましたわ……申し込むだけ申し込んでおいて実際には入金しない人も出てくるでしょうけれど、既に確定しているだけで8000万円以上。9000万、つまり目標金額であった3000万のトリプルまでは行くかもしれません。「募集期間も2ヶ月だし、本当に集まるのかな……」と書いたのが2ヶ月前だが、まるで遥か昔のことのようだ。未だに勘違いしている人を見かけるけど、今回集まった金額(つまり上限1億円)でアニメを制作するというわけじゃありません。既に製作委員会的なものが出来あがっており、そこの予算に上乗せするためクラウドファンディングを行った……というのが今回の経緯です。服部代表の口ぶりからすると、この成功によって多方面から資金やら何やらを更に引っ張り出せるようになり、企画をより優位に進められる状況になるみたいだ。否応なく期待が膨らむけど、比例して不安も高まる。私はたとえアニメがヒドい出来だったとしても怒り狂わず「アニメなんてなかった」と記憶を改竄する気満々ですが、10万円以上ブッ込んでる方々は瞋恚のあまり気死しかねないですね。「ここまで支援させて、萎えるオチつけやがったら……」 グリーンウッドが地図から消されそう。ま、どんなにヒドかろうと2007年の「怒りの日」を上回ることはないでしょうけど。そういう意味で古参兵は気楽だ。

 ツイッター上では獣殿と水銀のアカウントで今後の予定についてチラチラ触れている。「アニメの具体的な話が出来るようになるまで、Dies iraeの関連作品は出続けるだろう。熱を冷ましてはいかんからな」「メディアミックスもあるだろうし、公式による外伝も出ると思うぞ」と嬉しい報告に加え、「レオンハルトのアフターストーリーなども要望が多いらしい。実際、それも少しは考えている」と気を持たせるような発言が……ま、まさかまさかの螢ルートアフター実現!? これはすごいことになるかもしれない(ゴクリンコ)。

lightstation Happy light Cafe、第153回は『Dies irae』を振り返る

 該当箇所は47分あたりから。正田崇とまゆきDがゲスト出演しています。「Diesってどんな話ですか?」と訊かれて正田曰く、「『ちょっと天才すぎて、オレ何やっても面白くないわ〜』っていうミサワ風な男ふたりが、いろいろと怪しげな友情をお互いに確認しつつ『オレつまんないから楽しい瞬間を求めようぜ』っていう間違った意識高い系の儀式に走っていく、心温まる話」。胡乱すぎる説明にもほどがあるよ! ミニシアターで上映される気取った映画かよ! 「その果てに真の友情を探そう」って、それじゃ双首領が主人公になっちゃうでしょ! ヒロインが飾りじゃねえか。実際、Diesはあらすじをざっくり説明し辛いんですよね。1940年代のドイツでいろいろとあって怪しげな儀式が執り行われ、ラスボスや幹部クラスに当たる連中が「ちょっくら異次元っぽい空間に行ってくるから、そっちの時間で60年くらいしたら呼んでねー。場所はシャンバラっつーかヤーパンでお願い」と旅立って、残留組が約束通り2000年代の日本で召喚儀式をやろうと大暴れ――ってのが状況の大枠である。この、「1940年代」をメインに説明するか、それとも主人公のいる「2000年代」を中心に語るかで話がだいぶ変わってきちゃう。前者だと「既知感=永劫回帰(ゲットー)の破壊」、後者だと「夜ごと見る首斬り魔の悪夢」といった具合に。あ、ちなみに『Dies irae』は当初の予定だと2006年の冬に発売されるはずだったこともあり、本編の時期は「2006年12月」となっています。

 「全部のキャラクターが何かしら自分なりの救いを求める物語」と正田は総括する。説明しにくいストーリーではあるが、それだけハマれば底なし沼のゲームでもあり、寄せられた感想のお便りの数々も相当熱かったらしい。バレンタインムービーがキッカケでプレーし始めたという人の感想には笑った。まさかDiesを「ちょっと変わったラブコメ」と思ってプレーする人がいようとは……正直Diesは恋愛の過程を描くところまで気が回らなかった感ある。比較的マシだったのが螢ルートか。「Dies(のファン)は『俺より詳しいんじゃない君ら』と思うことがあります」という正田の言にも笑う。今は覗いてないけど、2chのDiesスレとか凄かったもんなぁ。来る日も来る日もひたすら設定に関する議論を重ねる魔人の群れ。私も大概Diesのことばかり考えていた時期のある人間ですが、上には上がいるな、と畏怖しました。また、まゆきDが言うには「DiesはソフトもドラマCDもサントラも毎月毎月リピートが掛かる」そうだ。発売直後にロットアップしてそれっきりになることも珍しくないエロゲー界では異例のロングセラーである。

 正田崇のシナリオ論めいた話もちょっと聞けました。彼はあるキャラを登場させる際、そいつの思想や信念に対置するキャラも出すよう心掛けているという。確かにこれをしないと話が一本調子に陥る危険性が高くなります。「主人公の主張であっても『お前おかしいんじゃないの?』とカウンターは絶対作る」、これについては三雲岳斗も似たようなことを話していた記憶がある。主人公の信条に異論を唱える軸がないと、ストーリーが単調になって面白みがなくなる、みたいなことだったような。「対立構造だからこそ仲がいい」で他作品だけど『装甲悪鬼村正』の「英雄編」を思い出しました。お互いの価値観は相容れることがなかったけど、正反対のあなたがいてくれたからこそ、自分の立ち位置を確認することができる――っていう。不倶戴天のパートナー。キャラメイクの順に関しては「主人公→ラスボス→ヒロイン→敵幹部など」で、「主人公は作品世界に選ばれたヒーローであるべき」ってのが正田の持論というか己が適性ってことらしい。「大多数の中に混じった平凡な一人」が主人公を務める話も好きだけど、自分には向いていないと。世界の命運を双肩に担うだけの格が必要で、たとえば「ある日突然力に目覚めた」みたいな話でも「なぜその日その時に力が目覚めたのか」という因果が説明できないと納得できない。棚ボタ式の「俺TUEEEEEE!」ではなく、もっと運命や宿命を背負った設定にしたいようだ。「誰でもよかった」と嘯く相対性の地獄を生き抜くのではなく、「君でなければならなかった」と囁く絶対性の牢獄をブチ破る。そういう意味では割とクラシックな創作スタイルと言えるのかもしれません。

クラウドファンディングは作家の新しい収入源になるか?(まとレーベル@ラノベ新刊情報まとめサイト)

 「クラウドファンディング」自体、日本ではまだまだ浸透していないから難しそう。Diesアニメ化プロジェクトとか『シェンムー3』開発プロジェクトとかが話題になって少しは広まった気もしますが、「クラウドファンディングって何?」ってところから聞かれることが多そうだし。要はネットを介した資金調達法で、感覚としては不特定多数で寄付・募金・投資を行うようなもの。漫画だと木葉功一のweb漫画『イキル』雑君保プの『そして船は行く』続編「THE LAST VOYAGE編」などでCFが行われてサクセスしてるけど、それほど話題にはなっていない。「え? そんなのやってたの? 知っていたら自分もお金出していたのに」って方もおられるでしょう。まずプロジロェクトの周知そのものが難しい。そして仮に周知できたとしても、「ふーん、ちょっとは支援してもいいかもな」って人が実際に支援へ漕ぎ着けられるかどうかって問題もあります。支援サイトにアカウントを作って、クレカやwebマネーで振り込んだり、口座を用意して送金したり……と、ぶっちゃけ手続きが面倒臭い。手数料が掛かる場合もあり、心理的な抵抗が生まれてしまう。ソシャゲの課金並みに「気楽にお金を出せる」システムが整わないと、なかなか実際の支援まで結びついていかないでしょう。

 簡単に決済できるようになって、「作者は書く気があったけど売上の問題で続きを出すことができなくなった」みたいな打ち切りシリーズをサッと支援することのできる仕組みが整ったら、確かに理想的ではある。しかし、問題は「書く」と約束して支援もサクセスしておきながら「書けませんでした」な事態に陥る案件が一つでも出てきたら、CF全体への信頼感が損なわれかねないということです。今でもCFに対して「新手の詐欺ではないか?」と警戒している人はいる。事実、アメリカではCFに失敗して返金もできなくなった例がいくつかあるみたいだ。悪質なものだと最初から守るつもりのない約束を掲げるケースがあって、まさに「やるやる詐欺」。もしEGF(E.G.コンバットFinal)でCFをやっていたら、きっとえらいことになっていたでしょうね。渦巻く「まだかよ!」「いい加減にしろ!」の怒号。たぶん、私はそれを予感しながら「騙されてもいい、一縷の望みがあるなら……!」と5万くらいブッ込んでいただろう。で、そろそろ本気でオクルトゥムファンディングが始まりませんかね……冗談抜きで対ロミオ資金を貯め込んでいるのですが。奈良原一鉄の新作ファンディングが来たらそっちに転用するかもしれないけど。『陰と影』ファンディングは……うーん、10年くらい待たされそうだし、様子見。

七月隆文の新刊『君にさよならを言わない』、あらすじが……

 主人公の名前が「須玉明」……ひょっとしなくても『Astral』

 解説しよう! 七月隆文はもともと「今田隆文」の名義でノベライズ作品などを主に手掛けていたが、渾身の大作(になる予定だった)『フィリシエラと、わたしと、終わりゆく世界に』が無情にもたった1冊で打ち切られたため、仕切り直しとして改名を行ったのです。ぶっちゃけ改名直後はパッとしなかったが、『ラブ★ゆう』あたりから徐々に注目されるようになり、『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件』で遂にアニメ化まで果たした。しかし、彼最大のヒット作は『庶民サンプル』ではない。去年発売された、初の非ライトノベル作品『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』である。一般向け小説として売り出され、聞くところによると今月で35万部を突破したそうだ。『庶民サンプル』が累計120万部、現時点で既刊が10冊だから1巻あたりの部数はせいぜい12万部前後、倍以上の開きがあります。「隆文って一般向けの方が売れるやんけ!」って結論になったのか、初期作である『Astral』をタイトル変更して一般向け小説としてリリースすることにした模様。去年、なにげなく「『Astral』は今の方が高評価を浴びそうだけど、ライトノベル供給過多の状況を鑑みると単に復刊しても当時より売れないだろうな……ラノベレーベルじゃなく一般文庫の方で出し直した方がイイかも」なんてふうに書いたが、まさかの実現にビックリ。

 『Astral』は「事故がキッカケで幽霊が視えるようになった」という主人公の少年が様々な少女の霊たちと出会って、彼女らの未練を晴らすべく奔走する連作形式のストーリーです。ハッキリ言ってギャルゲーっぽい内容ですが、しっとりした雰囲気で文章もしっかりしており、「2000年代の電撃文庫における埋もれた佳品」と呼ぶに相応しいシリーズでした。「手堅い反面、突出した特徴がない」のが難点と言えば難点だったか。2巻まで発売されたものの3巻は発売されず、未収録作品が残る結果となりました。あらすじからすると1巻目の復刊みたいだが、これが好評なら2巻目や未収録作品、そして待望の書き下ろし新作、更にはシリーズ再開の可能性も……? 夢が膨らみます。

・拍手レス。

 あの長台詞、福山氏は一度言い切ったのに自主的にリテイク出したそうですね……底知れぬプロ魂を感じる
 もはや声の修行僧ですな。声質もイイけど、声質だけでは辿り着けない境地を目指している感じ。

 『風の白猿神』に関して出版社側は続きを出す気満々だったようで、一巻の発売から5年ぐらいたったドラゴンマガジンで特集組んで続きがもうすぐ出るという告知をしていたのを覚えています。 まあ最近のすぐ打ち切られるというのも悲しいですが、昔のように大御所なら10巻単位で保障しちゃうというのも問題あったと思います。 前もコメントに残しましたが、平井和正の長編作品なんかは、発売保障がなかったらもっと展開がスピーディになって評価がもっと上がっていたのではと思います。 一世を風靡しつつも後半(というか20巻以降)の失速っぷりがはんぱなかった藤川桂介の「宇宙皇子」なんかも全50巻構成という謳い文句のがあきらかに足を引っ張っていて、終盤の出版社的にも扱いに困っているのがみえてしまってかつてのファンとしては悲しくなりました。
 巻数予告と言えば、半村良の『太陽の世界』が「全80巻構想」とかブチ上げていましたね。実際は20巻も行かず中断し未完になりましたが、Wikipediaによると「作者半村良は、この作品の発行印税を80巻分一括で受け取ったと言われる」そうで。真偽はともかく、今の出版界じゃ考えられない話だ。もちろん質はずっと保ってほしいけど、「この作品は全100巻構想です、最後まで書き切る所存」と大口叩いてくれるような作家がまた出てこないかな。

 不況だからこそぐっと堪えて新人育成に力を入れて欲しいってのは、傲慢なんですかね……。エンジンかかるのが遅い大作とかはネットでやれって時代なんでしょうか
 手軽さ重視で、もはや大作志向がアナクロになりつつあるのかもしれませんね……シナリオ量的には大作が多いエロゲー界も状況はどんどん悪くなってますし。それでもやっぱり大作は浪漫なんだよなぁ。


2015-07-06.

・HLCニコ生放送第二十九回、ゲストは遊佐司狼役の……

 ええい、まどろっこしいのでハッキリ「ルネッサンス山田」と書いてしまおう。公式も書いてるだろ。男性声優の認知度が低いエロゲー界において10年以上活躍しているベテランのひとりです。トム・クノレーズや先割れスプーン、左高蹴など、名前を見てもピンと来ないが表名義を囁かれると「ああ、あの人か」となる他の男性声優たちと違って、「裏名義で言われないとピンと来ない」珍しいタイプ。正田ファンにとってはパラロスのジューダス・ストライフ役が印象的だろうけど、2002年の『僕と、僕らの夏』や『Sultan』にも出演しており、light歴は正田崇よりも古い。私個人は『朝の来ない夜に抱かれて』の主人公・八雲辰人の役で初めて名前を認識した。というか、あのソフトはデモムービーで見た八雲辰人に惚れて買った気がする。たぶん、『朝の来ない夜に抱かれて』は男目当てで購入した初のエロゲーだと思う。飄々とした口調が似合う軽やかな声質ながら、決めるべきシーンはバッチリ決める、最高にカッコイイ演技で骨抜きにされました。パラロスのジューダスが出てきたときも「この声……! ひゃっほう、ルネ山だ!」と歓喜したものだ。まぁ、好きだった割に名前を「ルネサンス山田」と微妙に間違って記憶しておりましたが……ともあれ、今まで彼がやってきた役の中でもっともハマっていると感じたのは、やっぱりジューダス・ストライフですね。プレー当時の感想から引用すると「ふつう、キザっぽいキャラが高笑いを上げるとどうにもわざとらしさが鼻を付くものですが、彼がやると自然に聞こえるものだから不思議です」、極論すればジューダスはルネ山以外には演じられないキャラだった。

 しかし、パラロスはCS移植版が存在しないから名義の関係もあって今回の放送では触れることさえできないだろうな……と諦めておりました。実際、話題は司狼メイン。途中ちょっとギャグマンガ日和のネタも拾っていたけど。司狼と蓮の絡み(エロい意味ではない)とか、ヴィルヘルムやシュライバーとのバトルとか、話題がとにかく男・男・男で「これホントに元エロゲだったソフトの話なんですかねぇ」という。司狼は事故の後遺症でインポテンツになっている設定だから濡れ場とかもともとないんですけども、野郎の話だけで時間が潰せるDiesはやっぱりいろんな意味で面白いな。チンピラ的なノリを封印していた正田崇が久々にヴィルヘルムを書いて、圧倒的千葉感に酔い痴れる件は笑った。

 興味深かったトピック、「正田は同業者(シナリオライター)との付き合いがほとんどない」。声優と遊ぶことはあるけど、シナリオに関して談義する相手は高濱くらいしかいないという。アレかな、過去の不義理のせいで業界から村八分に……いや、「魔窟」「修羅の国」と形容されるエロゲ界において正田くらいの不義理じゃ村八分にはならんか。単にフリーじゃないから横の繋がりができないってだけかも。シナリオライターは結構会社を越えて繋がっていることも多いのですが、他のライターから正田の名前が出たことってほとんどないんですよね。あまり接点がなさそうな王雀孫と奈須きのこでさえ付き合いがあったりするのに。昔ツイッターで東出祐一郎と遣り取りしてるの見かけたことあるけど、会って話したりとかはしないのかな。そもそも正田というかDies等lightゲーの話題自体、業界人はあんまりしないですね。とりあえず鋼屋ジンはパラロスの頃からプレーはしているみたいだが……『ヒトラーの呪縛 日本ナチ・カルチャー研究序説』の文庫改訂版でも巻末リストに名前が載った(07年版だけ)が、本文では触れられていなかった(ザッと見ただけなので読み落とした可能性もあり)し、『時間ループ物語論』でも無視されていたし、もっとガッツリ語ってくれるところが増えてくれると嬉しいな。

 CFの受付もそろそろ終了するとあって、経過報告も兼ねた定期生放送は今回が最後となる模様。もっとゲストの人たちの話を聞きたかったので残念だが、差し当たっては本家HLCでも聞こうか。第153回はlight15周年を記念して『Dies irae』を振り返る。バックナンバーを漁ってみると、過去振り返り企画は139回あたりから開始したみたいですね。なんか延期が多くてそんなにたくさん語ってはいないみたいだが……高濱自ら『Zero Infinity』を振り返る144回はそのうち聞こう。

ディーオー最新作「なないろ*クリップ」の公式サイトがオープン!!“恋する地元アイドル応援ADV”(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 てかD.O.ってまだ生きてたの!? てっきり過去の遺産で食い繋ぐ形骸ブランドと成り果てたものだとばかり思っていました。だって、「過去の遺産」じゃないゲームを最後に出したのって2006年くらいですよ。もう9年経ってる。実質的には潰れたも同然の休眠ブランドが突如浮上してくるケースは過去にもあった(TOPCATとか、アボガドパワーズ……はちょっと違うか)し、そんなに異例というわけでもないのだが。ここで一応の解説。D.O.(ディーオー)とは90年代を全盛期とするエロゲーブランドの一つ。今やエロゲーマーにすら忘れ去られた会社となっているが、かつてはソフ倫(コンピュータソフトウェア倫理機構)の代表格を務めたりして、アリスソフトやエルフ、F&Cに並ぶ大御所と目されていた。『加奈 〜いもうと〜』や『家族計画』など、田中ロミオが「山田一」名義だった時代にシナリオを手掛けたソフトは未だに名作として語り継がれている。今回の新作『なないろ*クリップ』でシナリオを担当するのは「北側寒囲」と「長谷川藍」、最近のエロゲーマーだと「あっ、AXLでよく見かける二人だ」って反応になるかもしれませんが、もともとこの二人はD.O.系列で一緒に仕事をしたことがあるライターです。でも厳密な意味でコンビを組むのはこれが初となるはず。内容は「島を守るために、少女たちはアイドルを目指す!」という「ラブ○イブかよ」な代物だが、北側・長谷川のガワガワコンビならそう大きく外すことはないはず。

ラノベ編集者「打ち切りの決まるタイミングは最近早まっている」(まとレーベル@ラノベ新刊情報まとめサイト)

 私が小説作品を読み始めたのは90年代の中頃で、ちょうど出版不況が幕を上げる時期だったんですが、当時は「3冊打ち切り」が基本だと噂されていた。どんなに売上が悪かろうと温情で3冊目までは出してくれる、みたいなニュアンスです。しかし、今のライトノベル業界は「2冊打ち切り」がスタンダードとなりつつあります。マイナーな作家の話題にならないシリーズは、なかなか3冊目まで辿り着けない。私が続きをすごく楽しみにしていた『リア王!』『Fランクの暴君』も、続刊は絶望的な状況となっています。ヒドいと、「2冊目の企画が通らなかった」という理由で1冊打ち切りになっちゃうことも……連載が主体の漫画と違ってライトノベルは書き下ろしが中心だから、ほとんどの場合において1冊目はナンバリングされない。便宜上、「○○の1巻」と呼んだりはしますが、よくよく確認するとタイトルに「1」やそれに類する表記が為されているシリーズ作品は少ないです。たとえば『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』、新人賞の大賞作品で続刊はほぼ確定的だったのに、それでも「万が一」のときにはサックリ打ち切れるよう巻数表記をしていませんでした。他社ですが実際、『風の白猿神』『暗号少女が解読できない』など大賞を取ったのに2冊目が出ないまま消えたパターンがありますからね。続刊が決まっていた『アクセル・ワールド』『ソードアート・オンライン』はちゃんと1巻目から巻数表記されていますが、これらは例外的な存在である。発売前から2巻目の刊行が決定していた『悪魔のミカタ』すら、慎重を期して巻数表記されていなかったくらいなのだ。電撃文庫は『メビウスクライン』『無限のリヴァイアス』で「1」と表記しながら2冊目を出すことができなかった――という失態を演じた過去がある。他レーベルでも、それなりに年数を重ねているところはだいたい似たようなことをやらかしている。『フィリシエラと、わたしと、終わりゆく世界に』とか。『砂の王』とか。なので大抵のレーベルは「1」的な表記をあまり使いたがらないのですが、スニーカー文庫は割と例外かな。キッチリ調べたわけじゃないけど、あそこは最初から「続刊しますよ」アピールすることが多いって印象ある。『ムシウタ』とか『薔薇のマリア』とか『マキゾエホリック』とか『レンズと悪魔』とか『戦闘城塞マスラヲ』(および『レイセン』)とか。最近だと『ラストエンブリオ』も該当するか。

 ただ、林トモアキの証言によると、ラノベの編集者は意外と「打ち切り」って言葉をそんなに使わないらしい。「そろそろ別のシリーズやりませんか?」といった具合に婉曲的な言い回しで打ち切りを暗に報せるケースが多いとか。無論、編集者によってはバッサリ「打ち切りです」と告げるでしょうが、そういう人ばかりにならない理由の一つは「ライトノベルの場合、終了したかどうかが当事者にとっても曖昧なことがある」からです。連載作品は雑誌の都合上、打ち切りなら打ち切りと終了時点をハッキリさせる必要がありますけど、さっき書いた通りライトノベルは書き下ろしが基本です。なので新刊が2年くらい出てなくても、単に「作者が遅筆」ってだけのパターンも存在する。『七姫物語』は年に1冊も出ればいい方で、ラスト付近は2年に1冊とか3年に1冊ってペースだった。『ウィザーズ・ブレイン』もたまに新刊を出しては「まだ終わってなかったの!?」とよく驚かれますね。また復刊・復刻に伴って続編や新作が書かれることもあり、『Dクラッカーズ+』『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』の完結編(完全版の11巻と12巻、番外編『opt.PLUS』は書き下ろし)にはファンも随喜の涙を流した。他に、「新作が当たったおかげで久々に続編が出せる」ってパターンもある。高橋弥七郎のデビューシリーズ『A/Bエクストリーム』は売れ行きが芳しくなかったのか2冊目で一旦刊行が止まりましたけど、新作『灼眼のシャナ』がヒットした功績でご祝儀的に3冊目(『アプラクサスの夢』)が出せました。でも結局それが売れなかったので、4冊目はナシ。逆に裕時悠示なんかは『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』が予想以上にヒットしたせいで『踊る星降るレネシクル』を休止気味にさせちゃいましたね。アシスタントを集めてチーム作りする必要があり、彼・彼女らにお給料を出さないといけないから「雑誌連載の原稿料+単行本の印税」じゃないとやっていけない漫画界と違い、アシスタント的な人材を抱える必要が概ねなく印税だけでギリギリ凌げる(凌げない人は消えていく)ライトノベル界は再始動コストが漫画より安いから「シリーズ継続/終了」の判断がかなりフレキシブルでファジーです。あらすじ読んでも完結するのかどうかイマイチわからない新作が山ほどあるし、あとがきまで読んでも「で、続き出るの? 出ないの?」と問い詰めたくなることがちょくちょくある。売れなくて2巻を出す予定が一度消えた作品でも、『後宮楽園球場』など稀に時間差で話題になって企画復活する例もあります。人気シリーズの場合は終わった後にも番外編やスピンオフがダラダラと刊行されたりしますし。『スレイヤーズ!』なんか番外編の方が長かった……しかもアレ、現在は休止中ですけど近々再開されるんじゃないかって話があったりなかったり。

 さておき、売上とは関係ない理由でシリーズが止まることもあります。作家のスランプとか、編集部とこじれたとか。あと、イラストレーター絡み。ライトノベルのイラストは「1冊につき何枚描いていくら」って仕事がほとんどで、たとえ担当作品が爆売れしてもイラストレーターの収入が直接増えることはない(ただし契約の種類によっては報酬が変わることもある)。しかも、だいたい作業時間が短い(特に作家が原稿を遅らせるとイラストレーターのスケジュールに皺寄せが行く)からキツいそうだ。どういう遣り取りの結果か知らないが、最近は途中でイラストレーターが交代になるケースも増えてきました。

 最後にまとめっぽいことを書くと、出版不況がどんどん深刻化する中、どこのレーベルも出してすぐパッと売れ行きに火が点く即戦力シリーズを欲しがるようになり、「新人を育てる」とか「腰を据えてじっくりとシリーズを展開させる」とか、そういう余裕がなくなってきています。川上稔並みに個性的な作家の面倒を数年がかりで診続けることはもはや不可能に近い。『六畳間の侵略者!?』みたいな本格的に盛り上がるまで何冊も掛かるシリーズも生存が厳しく、海外ドラマみたいに多少の無理をしてでも見所をはじめの方に持ってくる手法が目立ってきている。スタートダッシュに失敗することを恐れて「詰め込み過ぎ」や「テンプレ展開目白押し」となっちゃうシリーズもチラホラ。打ち切りが怖いからマラソンのようなペース配分ができず、短距離走の戦略で長距離を駆け抜けようとする無茶が横行しています。「アイデアを出し惜しみするな」というアドバイスはプロもよくやっていますが、それと「ペース配分をまったく考えない」ことは同義じゃない。読者も読者で、「マイナーだけど面白そうな作品」を見かけても「また打ち切りと知ってガックリする未来が訪れるのではないか」と疑って手を伸ばし辛い状況に置かれている。私も打ち切り連打に疲れてしまって、近頃はもう「ある程度巻数が溜まっているシリーズ」しか読んでみようという意欲が湧かなくなってしまった。既存のシリーズを追いかけるのに精一杯で、新規のシリーズにはなかなか手が回らない、というのも実情である。それでも『ゲーマーズ!』のようにリアルタイムで追いかけたいと願わせるシリーズもあって、結論としては「もっと積読を消化する時間が欲しい」ってことになります。私があと十人いれぱ、ライトノベル崩して国内小説崩して海外小説も崩してまとめ買いした漫画セットも崩してノンフィクションとかも崩してアニメのBDや洋画のDVDも消化して『うたわれるもの』や『装甲悪鬼村正』も再プレーして『シュタインズ・ゲート』や『相州戦神館學園八命陣』も再開して『シルヴァリオ ヴェンデッタ』やつり乙シリーズや溜まりに溜まったバルドシリーズも崩せるのに……あ、十人じゃ足りねーわコレ。ちなみに『シルヴァリオ ヴェンデッタ』はニコ生でやたら「高濱ァ!」連呼されてたのと、「シルヴァリオシリーズ」として連作化される予定って聞いたのとで、気になって買っちゃった。ヴァルゼライド総統閣下カッコイイ。

・拍手レス。

 今回のニコ生は地元ヤンキートークが盛り上がる男臭い回でしたね……。それにしても、宿儺の詠唱が当日に渡されたものだとは、プロの力量には驚くばかりです。
 もういっそ正田崇原作のヤンキー漫画をマガジンかチャンピオンあたりで連載してほしい。詠唱とは違うけど、福山潤が葵・トーリの長台詞を一気呵成に言い切ったときも「プロすげえ」って驚嘆しましたね。


2015-07-03.

・Diesの新作ドラマCD『Todestag Verloren』と相州戦神館學園のドラマCD『相州戦神館學園誅仙陣』が予約開始していることに今更気づいた焼津です、こんばんは。

 調べたら先週にはもう始まってたじゃんよ……毎度毎度アンテナ低いなこのサイト。未来警察ウラシマン並みに時代から取り残されている。焼津遅参公。さておき、両方とも8月28日発売予定です。『Todestag Verloren』はDies通算4枚目のドラマCD。ちなみに、これまでに発売されたドラマCDは『Wehrwolf』『Die Morgendammerung』『Verfaulen segen』です。この他にも「Wehrwolf 1945」や「Anfang」、「Zwei Wirklichkeit」、それに各種ショップ特典のボイスドラマが存在するけど煩雑なので割愛。「Todestag(トーデスターク)」は「命日」、「Verloren(フェアローレン)」は「失った」とか「無くした」を意味するドイツ語で、つまり「失われた命日」というようなタイトルです。文法的には正確じゃないかも、と正田崇は述べていたが。内容としては「1944年、ベルリン陥落前年。黒円卓第七位、『天秤』の座を決めるためのトーナメントが行われる――」ってなもの。本編でもちょろっと触れられていた毒壺最強決定戦です。みんな割と詳細を知りたかったイベントの一つ。今回のアニメ化プロジェクトがなければ、CF特典小説(類人猿作戦前後を描いた奴)ともども実現することはなかっただろうな……誅仙陣の方は、八命陣すらまだ途中の私にはよくわからん。万仙陣の内容も含んでいるみたいだから、聞くのは当分先になりそうだ。

『血界戦線』最終話が放送延期!最終話の分量が想定よりも多くなったため放送枠を調整し拡大版として放送(萌えオタニュース速報)

 エロゲーが延期するときの決まり文句、「クオリティアップのため」を思わず連想してしまった。いきなり総集編が入ったりしたし、制作体制がよっぽどキツいんだろうな……アニメ自体の反響はイイみたいだから、ひょっとするとこの延期した最終話の放送後に「セカンドシーズン制作決定!」みたいな発表が来るかも。原作ストックはまだあるはず。制作体制と言えば、1クール目が割とガタガタだったっぽいデレマス、2クール目がいよいよ今月開始ですね。この短期間で立て直せたかどうか怪しいものだが、とにかくストーリー以外の部分でハラハラさせないでほしいところですわ。

田中ロミオ氏の超名作が今、再び蘇る!!「最果てのイマ COMPLETE」がマスターアップ!豪華特装仕様の決定版(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 COMPLETE……? もしかして、幻の「category3」と「category4」が実装されたのか!? と思いきや、要はコンシューマー版の内容を追加しただけのフルボイス版か。てか「思いきや」というのは嘘で、最初から「そんなはずないよな」と諦めてはいた。でもほんの一片の期待は捨て切れなかったです。すごく大雑把に解説すると、『最果てのイマ』は2005年、今から10年前に発売されたエロゲーです。この時点ではボイスなしだった。『CROSS†CHANNEL』で名声が高まっていた田中ロミオの新作とあってマニア間の注目は高かったものの、相当難産だったらしく、発表から発売まで随分と間が空いた記憶がある。ロミオは「この企画は自分の能力を超えている」と疲弊してギブアップしかけたそうだが、どうにか「完成」に漕ぎ着けた。ただ、ボイスが付いていないことを除いても、「完成?」と疑問符が付く仕上がりだった。『最果てのイマ』のシナリオは階層化されており、プレーヤーはまず「category1」という階層からゲームを始める。そしてある程度進行したところで「category2」にシフトする。となれば当然、更に進めれば「category3」や「category4」に上がるのだろうな、と誰しも考えるところでしょう。しかし、それらは存在せず、「category2」の次にいきなり「category5」へ移ってゲームは終了となる。「category5」は「戦争編」とも呼ばれており、実は当初の予定だと「構想だけ存在していて本編では詳細が描かれない、封印された階層」になるはずだったんですが、プロデューサーだったかディレクターだったかが構想を読んで「面白い、こっちを本編に組み込もうよ」と急遽予定が変更されました。その煽りで「category3」と「category4」がお蔵入りになってしまったのでは? と囁かれている。『最果てのイマ』は種明かしされないまま終わった謎がいくつかあり、ファンたちが考察を重ねても結局判明しなかった分はお蔵入りした部分のシナリオで触れられる予定だったのかもしれない。そういった点では「未完成」とも言えるのだが、困ったことに実装される予定ではなかった「戦争編」が蓋を開けてみればすごく面白かったんですよね……娯楽的には予定を変更して正解だった、ということになる。2007年にフルボイス版、2012年にPSP移植版が発売されましたが、どちらにも田中ロミオが関わった痕跡はなく、追加されたシナリオについても「別のライターが書いたものだろう」という見方が強い。真の意味でファンの求める「完全版」がリリースされることは、恐らくないでしょう。幻のシナリオは、きっと幻のまま。さすがにもう10年だから断念する方向に気持ちが傾いています。それでも、それでもオクルトゥムだけは希い続ける……! 田中ロミオは今月新刊(『犬と魔法のファンタジー』)出すし、原作を手掛けている『ミサイルとプランクトン』の2巻も先月出たし、07th Expansionの新作(『トライアンソロジー』)にも参加するしで、結構仕事してることはしてるんだが……そういえばみなとそふとのアレ(『少女たちは荒野を目指す』)はどうなったんだ?

 話がイマから逸れてしまった。COMPLETEと言ってもそこまで劇的な違いはないので、新規の方にはDL販売で安価に購入できるフルボイス版がオススメ……って書こうとして調べたら、あちゃー、フルボイス版のダウンロード版は販売停止してますね。DL版は原則として「品切れ」が生じることはないけど、こういう「販売停止」がたまに現れるところは困りもの。私はボイスレス版しか持ってないし、そのうちフルボイス版をDL販売で買おうかな、と思ってたんですが……残念。

今夜のHLCニコ生放送、ゲストはルネ……じゃなくて前田剛。遊佐司狼や天魔・宿儺の役を演じた声優です。一般的には『ギャグマンガ日和』のクマ吉や聖徳太子で知られている。『シルヴァリオ ヴェンデッタ』のCS移植版が開発されているそうだから、最新作はそれってことになるのかな。ぶっちゃけ裏名義の方が有名な人ですね。前回はうっかり放送を聞き逃してしまったが、今回ばかりは絶対に外せない。これでまた放送中にスヤァッと眠ってしまったら泣くに泣けません。あっ、そろそろ始まるのでさっさと更新作業終わらせよう。では。

・拍手レス。

 今期は期待していた作品が順当に面白かったですね・・・個人的には、そろそろ虚淵精肉店の今年の動きが気になってきたところですが。
 今期だとユーフォニアムかな。出だしは地味だと思っていたけど、だんだん伸びていった。でも一番楽しんでるのは『うたわれるもの』の再放送。

 ジョジョもFateも、アニメ無事終わりましたねー。両方とも原作が古いだけに、原作再現を重視した内容でした。
 Fateは最終話がまさかの倫敦編で嬉しかった。夏にはうしとらが始まるし、懐かし原作の波はまだ続きそうですね。


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