2005年8月分


・本
 『電波的な彼女−幸福ゲーム−』/片山憲太郎(集英社)
 『終わりのクロニクル5(上・下)』/川上稔(メディアワークス)
 『ユーベルブラット(0・1)』/塩野干支郎次(スクウェア・エニックス)
 『神様ゲーム』/麻耶雄嵩(講談社)
 『平井骸惚此中ニ有リ 其伍』/田代裕彦(富士見書房)
 『老ヴォールの惑星』/小川一水(早川書房)
 『貧乏姉妹物語(1)』/かずといずみ(小学館)

・ゲーム
 『SWAN SONG』(Le.Chocolat meets FlyingShine)
 『はぴねす!』体験版(ういんどみる)
 『最果てのイマ』(XUSE【純米】)


2005-08-31.

・しまった、昨日付けで更新していたのにアップロードするの忘れていた。凡ミスこそアイデンティティの焼津です、すみません。話題を強引に変えますとあやかしの人気投票、無事あの二人がそれぞれの部門でトップを飾ったようで。何はともあれ嬉しい気分。

・拍手レスってのはよォ
 いかにして──
 効率よく──
 ネタ不足をごまかせるかの──
 “理”そのものなんだよォッッッ

 最高にハイってやつだぁぁぁ
 こめかみを抉るのはほどほどに。

 薫ルート後、零奈さん妊娠してたら素晴しい修羅場が見れるんじゃまいか?と思ってしまった
 刀子先輩vs小姑愛人同盟+1による修羅場好きなておくれびと二号でしたとさ・・・。

 虎太郎先生が下す仮借なき教育的指導を想像しただけでミニッツ級の恍惚感。

 そんな事いってますと、消防車に轢かれると思います(ぁ)<ゲイバー
 車に轢かれたというか低速で数メートル引きずられたことはあります、リアルで。

 伊緒せつないよ伊緒→刹那伊緒?
 摂津な伊緒。

 嫉狂ひ、良い感じです。出来れば他のヒロインも…。トーニャとかどうなのよぅ。w
 とある部位を削ぎ落とされた如月双七傷害事件の真相を追う「剛力公園」は即座に没。

 幸運のしっぺ返しに不運が襲い掛かってくるイメージはありますね。小説でも漫画でもゲームでも。(sf)
 高層ビルとか高山とかに昇って頂上から断崖を眺め下ろしたとき、咄嗟に「落ちる!」という本能的な恐怖に駆られるのと似てます。幸所恐怖症。なんちて。

 うそモテ、メガストア収録版はROMレス起動が可能というのが嬉しいですねー いつでも望に会えますw
 望はある種至高の幼馴染みです喃。見た目で引いていては護身など完成しませぬ。

 そこにボタンが在れば押す!そう登山家の如く!
 げに恐ろしきはアルピニストよ。

『つよきす』、鉄乙女ルートで一周目終了。

 ぶっちゃけ、強気とかツンデレってのはそれほど重要なポイントと違うのではないか、という気がしてきました。「色とりどりバラエティ豊かなツンデレキャラ」を揃えようとしたせいで結果的に各個が希釈化し、当方の抱く「ツンデレ」像から離れてしまっている。ツンデレは定義上では絶対的な属性に見えますが、案外複数のキャラ間の関係が影響してきて「ツン」や「デレ」が目立つ傾向にあるので、こう一つ所にまとめてしまうと意味が変わってくるような。ベタ甘な妹キャラがいるからこそつれないクラスメートのツンデレたる輪郭が顕在する。「ツン」は言わば冷然と突出した態度ですから。なごみんの硬い反応さえも、明確には映りづらい環境。

 だから、このゲームは普通に学園モノとしての側面へアプローチしていった方が楽しむ近道ではないかと。脇役もちゃんとうまく利用してなにごともない日常から学園を上げての行事に至るまで楽しいムードを醸造している。テンポは軽快な割に展開が結構スローで、全身感覚を学園生活の繰り返しに漬け込んでいけはいくほど心地良くなってきますよ。スローとはいえ無駄が多いわけじゃありませんし、これはかなり優れたオートバランサーでも埋設しているのではないか。

 ともあれ乙女姉さん(*´Д`)ハァハァ。すずねえに骨抜きにされて以来目覚めてしまった姉属性が再燃してまいりました。主人公、その年になって「おねーちゃん、おしっこー」なイベントをかますとはとんだグッド度胸してますね。そこを寛容に応じる乙女姉さんも大した器。こんな調子では実弟である琢磨も相当なシスコンに陥っているのではないか、と登場しないキャラにまで心配の域を広げてしまう。シナリオに関しては、ちょこちょこと騒動があっても特に話が変に拡大することはなく、適度にイチャついて甘々しい雰囲気をつくったまま終わるので、一言でまとめるなら「無難」でしょう。やることはキッチリやった後での「無難」ですから大筋での文句はありません。けど、進行するごとにイベント密度が徐々に薄くなってくるので相対的な不満はちょっと残ったり。次は蟹あたりを攻めたく存じます。

佐藤友哉の『灰色のダイエットコカコーラ』、9月10日発売

 やっと出るのか。そういえばファウスト繋がりで思い出したけど奈津川サーガの3冊目ってどうなってるんだろう……。


2005-08-28.

・XUSEが『最果てのイマ』続編、『見果てぬエマ』の制作を告知……!

 夢でした。

 『SEVEN BRIDGE』のエマが出てくるんでなんかおかしいとは思いましたが。そんなこんなの焼津です、こんばんは。

『つよきす』、プレー中。

 属性特化モノの割に不安定感が一切ない、バランス重視型の一本となっております。広範に渡る層を想定したとおぼしきネタの数々は単純な爆発力こそ少なかれ、軽快なテンポによって継続的に蓄積されていく「心地良さ」は鉄壁の呼吸を見せ付ける。入りやすく馴染みやすい、正に間口が広くて中まで広々といった仕様。

 最初は面白幼馴染みキャラである蟹あたりをターゲットにしようと目論んでいましたが、アイアン・メイデンこと乙女姉さんの放つ過保護スレスレな年上スメルにたまらず屈服。くそ、お姉ちゃんぶりやがって。くそ、くそ。お姉ちゃんは最高だ。もはや退路は封じ、徹甲狙いで攻略するとしようではありませんか。このポン刀携えた「もののふ姫」が水飴のようにデレつく様を想像しただけで心は城塞破壊者(ブランダラ)と化しまする。

 っと、ヒロインたちが素晴らしい陰で野郎キャラどもも小憎らしく光ってますね。「男キャラが頑張っているゲームは面白い」というジンクスがありますが、その伝で行けば前半のみならず後半までも期待が持てそう。


2005-08-26.

『ダンシング・クレイジーズ』はひょっとして「踊る阿呆」の意味ではないかという突然の疑惑に駆られた焼津です、こんばんは。

『刃鳴散らす』の予告編ムービーを視聴。動きの少ない静かなムービーでしたが、「伊烏、伊烏、ああ伊烏!」以下の赤音のセリフがなかなか興趣をそそる感じで期待のゲージがちょっぴりアップ。赤音と伊烏の遣り取りは殺伐感の裏でどこか息が合った雰囲気を匂わせて楽しそう。もちろんBL展開に期待するわけじゃありませんが、二人の掛け合いが早く見たいものだ。

『最果てのイマ』、コンプリート。

 『つよきす』が発売する前に終わらせるつもりで集中的にやり込んでいましたが、なんとかギリギリで間に合いました。それにしても凄いわ、このソフト。やる前というかやり始めてからしばらくは正直舐めていました。オクルトゥムの情報が出た時期ということもあり、「ボイスレスの仕様・延び延びの発売日・ブログシステムとかいう謎の機能・後半が超展開の予感」といった不安要素にあっさり屈してイマへの期待を減らしオクへと想いを馳せていたのが偽らざる当時の心。実際、寸前まで購入しようかどうかさえ迷いてました。漏れ聞こえる評判も躊躇するに充分なものだったりして。

 ブログシステム自体は「文中の語句にリンクが配されていて、クリックすると説明が出てくる」という単純明快な代物で要は脚注だったし、別に混乱することはなかった。声なしという現実も、登場キャラの個性に馴染んでいくうち優先度の低い事項として意識にのぼらなくなりました。日常における掛け合い、差し挟まれるシリアスの雰囲気と、緩急を心得た呼吸でぐいぐい話に惹き込まれた次第。キレのあるテキスト(たまにクドくなりますが)となにげにイイBGMが場面場面で融合して緊迫感を盛り上げてくれるのも心地良かったです。いつの間にかすっかり「ロミオ節」にハマってしまい、イマを起動するたび変な安堵感さえ覚えるところまで至りました。実に末期。

 後半の展開は「戦争編」と公式に称されるほどのものなんで、前半とかなり乖離しているって明言しても差し支えはない。超展開といえばこれほどの超展開もないでしょう。「主人公SUGEEEEEEEE!」系要素と、「贖えぬ罪」的な自責の津波には辟易しかねない。しかし、ここまで情熱を込めて超展開へ持ち込むんなら、それはそれでアリだな、と個人的に思うのです。結構端折っている箇所は多いし、本意か不本意か知りませんが魅力はあるくせに活かし切れていない感の強いキャラも何人かいて、惜しいことは惜しいけれど、そうした瑣末事を意識から葬り去る勢いで物語を紡ぐ態度がもうたまらない。熱中しました。『CROSS†CHANNEL』を面白いと思いながらも『家族計画』は途中放棄しちゃったし、『神樹の館』はスルーしちゃったし、田中ロミオのファンになったという自覚が一向になかった当方ですが、これをプレーして信者化は当確。俄然オクルトゥムが楽しみになる一方で、「ロミオはイマを超えられるのか?」とファンにありがちな不安を抱いてしまうわけです、はい。

 ああでもやっぱり惜しい。もっとちゃんと調理してくれたら諸手を挙げて絶賛できそうだったのに。意欲的だから先鋭になったというより、徹底して細部まで詰める猶予が足りなかったから荒削りになってしまったという印象を受けます。このままで終わらせるのは残念すぎる。ファンディスクの類がつくりにくいゲームとは察せられますが、続編や派生ソフトに意欲的なXUSEのこと、何か補遺の目論みを孕んだ新作で空隙を埋めてくれないかしら。か細い糸とはいえ希望を捨て切れませぬ。

 それにしても今年は怖いくらい外れがないなぁ。ぶっちゃけ最初は「踏んだか?」と思ったイマさえも想像を絶する内容で楽しませてくれた。アタリ続きってのも不気味なもので、いっそここいらで地雷を食らった方が却って安心できそうな気がする。何も望んで駄作に手を付けたいわけじゃありませんけども。


2005-08-24.

・ゲイバーの春を愛す。こんばんは、意味が微妙に違ってくる略称の好きな焼津です。

・web拍手レスはいいものだ。

 嫉狂ひ、大変楽しく読ませていただきました。読んでいる間ずっとニヤニヤしてました。
 ウワーイヽ(´ワ`)ノ 光栄の至り。

 「嫉狂い」非常に面白かったです。つーかさくらタンハァハァ
 あやかしばんのさくらショートシナリオが楽しみでございますなハァハァ

 ↑こう言ったシットリ系のもいいと思うんですが矢張り刀子先輩vs小姑愛人同盟+1による修羅場を期待する
 自分が居る・・・。 思えば遠くへ来た(逝った?)もんだ。

 もはや当方もあなたも「ておくれびと」ですね。修羅場道万歳。

 見事です。見事に爆笑しましたとくに刑二郎の主張とか
 刑二郎は熱い男。たまに熱さの方向を間違えるだけ。きっと。たぶん。

 ミステリー文庫は方向の定まらなさも含めて好きですw(sf)
 あれだけ迷走しておきながらもぼちぼちやってるところが親しみを感じさせます。

 伊緒せつないよせつないよ伊緒
 伊緒せつないお。……ハッ、「口は災いの元」の予感!

 なれどまかりとおる!
 怪物め!

 いいや、押すねッ!!
 野郎、タブー中のタブーに触れやがった。

 「嫉狂ひ」の刀子さんもまた妙(たえ)なり。
 これすなわち神妙険。

 一乃谷愁厳編・・読みてぇ
 propellerCHiRALにて発売予定、と言ってみるテスト。

 くぅ〜、たまりまへんなぁ
 Qoo〜。

・かずといずみの『貧乏姉妹物語(1)』読了。

「我々の愛していた電気は止められた。なぜだ!」
「未払いだからさ」

 というような話ではなく、清貧の時代に取り残されたみたいな姉妹が送るほのぼのした日常をまったりスローペースで綴っている一冊です。姉のきょうと妹のあす、ともに地味な愛らしさがツボにキました。着手前はタイトルの「貧乏」という二文字が『銭ゲバ』系列の陰鬱としたフレグランスを僅かに香らせている気がしたものの、いざ読んでみるとあまり暗くならない方向で頑張っていて気楽に堪能せり。姉妹愛がテーマだけど怪しい雰囲気はないし、百合路線が苦手な当方にも美味。すっきりした絵柄も好みです。


2005-08-22.

・報告はサボってますがチマチマと『最果てのイマ』を進めている焼津です、こんばんは。

 やってるうちに声なしにも慣れて、すんなり楽しめるようになってきた現況。ひと口に「友達」とも括りがたい共同体の、なんとも絶妙にユルい関係がたまりませぬ。もうくだらないほどユルユルで、シリアスな場面でさえライターが好き勝手なこと書いてるから、逆に病みつきになってくる始末です。ロミオ節が心地良くて肌に馴染んできてなんかヤバい予感。話として面白いかどうかは請け合いかねますが、当方個人にはマッサージ椅子のような安心感を提供してくれます。気分はハチクロの美和子。ハチクロと言えば新刊(8巻)読みました。山田さんが切なすぎて誰にどう落とし前をつけさせればよいものやら。

講談社ノベルス、9月の発売予定に『邪魅の雫』

 ようやく公式にアナウンスされたわけだしこれ以上延びることはまずない……といいなぁ。

 それにしても新書の価格も徐々に高くなってきていますね。税抜きでさえ、どれもが900円以上とは。

ういんどみるの『はぴねす』、発売延期(9/30→10/21)

 あらら、こっちが延期してましたか。Fateのファンディスクと同じ日というのは割を食いそうな気がしないでもなく。

・小川一水の『老ヴォールの惑星』読了。

 表題作含む4編を収録した短編集。いえ、結構長い話もあるので中短編集と言った方がいいかな。著者にとってシリーズものではない作品集はこれが初となります。SF的色彩が基調ですが、作品間の繋がりは一切皆無。興味のある順に読んでいっても差し支えのない内容です。

 最初の一編「ギャルナフカの迷宮」はSFというよりファンタジー。ギャルナフカという男が地下につくった巨大迷宮が舞台となります。政治犯はそこへ投げ込まれ、たった一つだけ手渡された地図を頼りに生き抜いていくことを強いられる。刑期のない投宮刑。仕組まれたサバイバル生活の中で、主人公は「この迷宮を支配しているのは疑心暗鬼そのもの」と見抜くが……な話。サスペンス性はそれほど強くなく、割合淡々とした筆致で描かれるため、『クリムゾンの迷宮』みたいなノリを期待すると肩透かしになるかもしれません。とはいえ地下迷宮という閉鎖世界を刑罰としてではなく新しい人生としてより良く生きていくために努力する、絶望下での前向きな姿勢が読む手に熱を入れさせます。「シニガミボタルの淡い光が照らす地下迷宮」というシチュエーションにそそられる人ならイケるでしょう。終盤の展開がトントン拍子に見えてしまうのがちょっと不満でした。

 次が表題作にもなっている「老ヴォールの惑星」。SFマガジンの読者による掲載短編年間ベスト投票で国内編の1位を獲得した作品であり、知名度もそれなりに高いかと。『第六大陸』で小川に惚れ、なんとなくチェックしたSFマガジンにこれが読者賞を取ったと書かれていて、気になるあまり図書館でバックナンバーを漁ったものです。故にこれだけ既読。飛ばそうかとも思いましたが、あえて再読してみることにしました。異星における知的珪素生命体を、うざったくない程度のSFガジェットをまぶしつつ描いています。SFに詳しくない当方も「分かったつもり」で結構楽しめました。初読時もそれなりに楽しんだ記憶があるものの、再読してみると以前より面白く感じられる。人類のスケールを越えた生命の暮らしぶりが軽やかに伝わってくる感覚はSFというジャンルの持つ味わいを再確認させてくれました。短いせいもあり、幕切れがあっさりしているのはやっぱり不満かな。

 「幸せになる箱庭」、人類が宇宙に進出し、よその惑星の知的生命体とも交渉を持つようになった未来、超光速航行を可能とする人類以上の知的生命体と接触しようとする話。設定周りは微妙に『導きの星』とかぶっている気がしました。概要はかなりベタベタだし、内容もある意味バカ一。目新しさはなく、むしろ「懐かしい」と言えるくらいです。物語の構造がネタバレ要素と密接に関連しているのでいろいろ書くのは避けますが、とりあえずあの終わり方はハッピーエンドだったと個人的に思います。

 最後は書き下ろしで「漂った男」。辺境の惑星における偵察任務の最中、事故でベイルアウトした主人公。海面が全体を覆っているその惑星は気候温暖であり、外敵の心配もなく、手持ちの食糧が尽きた後もゲル状の海水を飲むことで生命を繋ぎ止めることができた。だが、未探査である上にあまりにも広大な惑星だったため、「海面のどこか」に不時着した彼を救出することは絶望的。彼は唯一の交信手段であるUフォンを心の糧にして生き続けるが……。「通信はできても発見はされない」という奇妙な状態に陥った男の漂流生活を、アイロニカルかつ喜劇的に綴っています。解説にもある通りシチュエーションは星新一のショートショートみたい。「疑心暗鬼」ではなく「孤独」が最重要ポイントになる点で巻頭「ギャルナフカの迷宮」とは対の関係になっています。ちょっと起伏に乏しいところはありますが、小川一水の理性的なくせに飄々としている作風が活きて見事に「ハマっている」一品。

 どれも面白かった。バラつきがあっても当然な作品集で、一つ一つが負けず劣らずの水準に達していて拮抗するとは、正に僥倖。ベストを挙げるとすれば「老ヴォールの惑星」。短くとも密度は高く、充実した仕上がり。当方は二度しか読んでませんが、きっと読めば読むほど味わいが増していくことでしょう。ただこの本、どこを切っても同じ金太郎飴というか一水飴みたいなところもあって、安定感が高い代わりに読んでいてハラハラさせられる場面が少なかった。贅沢な話とはいえ、ちょっぴり不均衡を感じさせる作品が欲しかった気もします。


2005-08-20.

・いい加減アホなネタでごまかすのも潮時であろうと、web拍手ページにておまけSSを公開。「もう一つの嫉狂ひ」といった内容です。公開と書きつつボタン押すのを禁じてみる当方は悪。というかアホ。

・田代裕彦の『平井骸惚此中ニ有リ 其伍』読了。

 講談調の文体、大正浪漫溢るる時代、探偵小説っぽい事件、自身が「ミステリー」であることに対して内省的な姿勢。諸要素が絡み合い、一つの魅力に結実していたシリーズもこれにて完結。一作ごとに着実に面白くなっていく手応えがあった分、なんとも惜しい。

 関東大震災というライトノベルで扱うにはいささか重い題材も避けることなく取り組んだ前作に続き、震災の爪跡を隠し切れぬ帝都で巻き起こった事件の顛末を描く今回。骸惚先生と澄夫人と溌子、涼と太一、二つの陣営に分かれ、それぞれ出席したパーティの事件に当たる、「ダブル探偵」の要素を機能的に活かす構成となっています。やがて明るみになる真相はちょっと強引と申しますか、いくつか無理のある点も散見されますけれど、つくり自体は意欲的で大いに楽しめました。分量も約350ページと割合たっぷりあって、主要キャラの活躍のみならず脇に至るまでのシーンもキチンキチンと盛り上げてくれる。初期の頃に比べると、要所を押さえる感覚が抜群に向上してきており、作者としてもシリーズとしても円熟の極みを実感させます。それだけにこれで最終巻とは悲しい。

 「ミステリー文庫」の名に恥じず、それでいて「L・O・V・E」という無茶な路線変更にも応じてみせた点についてもっと評価されてもいいであろう作品。番外編でも短編集でもいいから、補遺的な続刊が出て欲しいなぁ、と切に願う次第。これだけ熟成してきたシリーズを完全に終わらせてしまうのはどうにも勿体ない。特にあとがきでネタとして言っていた某「知恵の泉」との推理対決は是非見たいところだし。一方で心機一転の新シリーズも興味津々。なんであれ、次なる新刊に目一杯期待いたします。


2005-08-18.

・突如『結界師』にハマり始めた焼津です、こんばんは。少し前までは「結界師」と聞くと電撃文庫の『結界師のフーガ』を先に連想していましたが、田辺イエロウの方は3、4巻あたりから急速に面白くなってきて目が離せなくなった。遅まきながら全巻揃えて堪能する所存。

・web拍手レス。

 胸みたいな飾りはいらない
 何かしらの性[SAGA]を感じさせられるコメント。

 偉い人にはわからんのですっ!
 いとうのいぢも好きなガンダムゼリフ。

 飾りだぁああああ!!
 飾りをきっちり押してまで主張したあなたがステキ。

 デモベSSを読んで一言。じ、人外ロリ、侮りがたし……ッ!!
 連邦の人外ロリは化け物か! ……あ、トートロジー。

 >「刀子」をいつも「かたなこ」 俺もでーすw( ´∀`)ノ 犬江
 かたなこ、略して「なこ」の同志なり。

 私は得体の知れないタノさんがいつ冷静なまま狂うのかとか思ってました・・・orz
 あそこまで行って狂わないタノさんの精神構造もちょっと怖いですが、好き。

 あやかしSS続き希望!
 載せましたー。

 …ふむ。これはつまり、あれか。ウラジミール大人気!…え、違う?
 違いません。すべてはウラジミールへの愛です、たぶん。

 面白かったです、S厳vsウラジミールが気になりますね
 夢の頂上兄貴対決……いきなり妹自慢とか始めそう。

 ウチの親父はweb拍手なんて押しませんがねノシ
 このサイトの存在自体、親父にバレたら終わりです。いろいろと。

 「嫉狂ひ」、大変楽しゅう読ませて頂きました。 矢張り桜は良い・・・・・・いや、刀子さんやトーニャも
 良いんですが矢張り
 ちと失敗・・・やはりテンパッてる時のサクラ嬢の暴走具合は更に上逝ってますから。
 もし可能ならばこのまま後日談(さくらの目指せ愛人日記?)見たいな物も読んで見たいっす。

 あのまま続けたら血飛沫ナシで済ませられる自信がありません。
 「さくらちゃん」「だ、大事ありませ──」 ズン 「──んッ!?」「私は止めよと申しておりませぬ」

 嫉妬ひおもしろかったです。無責任だとは思いますがもっとあやかしびとのSS書いてください。応援してます
 無責任ぶりならこっちも負けませんよ、と言いつつ何か書いてたりします。

 あやかしSS、良いんじゃまいか
 ありがたきお言葉。

 嫉狂ひ完結編、めりっさ面白かったですぜ
 めりっさ感謝。重畳の至り。

 嫉狂ひ完結,お疲れ様でしたー。もう面白くて楽しくて。
 もしその気がおありでしたら,あやかしびとネタでまた何か,書いていただけたら・・・

 あやかしネタは少なくともあと一個は書くつもりです。

 「嫉狂い」読みました。大変面白かったです。ところで「依存er」ってどう読めば良いんでしょうか。
 「いぞなー」を想定してますが「いぞんなー」でもアリ。

 あやかしびとのSSもっと期待しています
 ではもう少し書いてみまする。

 焼津さんの独断と偏見による『私の愛したバッドエンド特集』が読みたいです、とか言ってみるテスト
 乾坤一擲のBEとしてインパクトが強いのは『Blow』。「蠅が卵を産み付ける」という意味を含んだタイトルだけあって全体的にヤバげですが、グッドに見せかけたバッドがさりげなく仕込まれているあたりなど、実に侮れない。

ういんどみるの『はぴねす!』、体験版プレー。

 「同人上がり」と言われるブランド群の中で現在も消えずに頑張っている割に、いまひとつネームバリューに欠ける風車。前作といい今月の新作といい、最近は狙いとなる層を微妙にしぼったソフトを出していますが、来月末に発売予定のこれは広告・宣伝の度合いからしてもかなり力を掛けているようで。「ここが勝負時」と心得ているのではないでしょうか。

 魔法の存在する現代日本を舞台とした学園モノ、ではありますがハリポタとかああいうノリではなく、一応主人公が普通科所属なこともあって基本的な部分ではよくある学園エロゲーと変わりない。朝、健気な妹キャラに起こされるところから一日が始まり、ダラダラと友人たちとのお喋りに時間を費やし、ヒロインたちに会う。少なくとも体験版の範囲では「魔法」はそれほど重要なモノではありません。要素として無視はしてないけど、別になくても充分成立しうる。後半のシリアス展開(きっとある)に差し掛かるまではあんまし絡んでこないと思います。なんか、窮地に陥った途端主人公の秘められた魔力が解放され、最強パワーで一気に事態解決──っていうバカの一つ覚えな展開が待ち受けている予感がヒシヒシと。

 さておき、前半の要となる日常シーンは楽しかったです。お約束まみれで斬新さこそないものの、王道ゆえの安定感で気分を寛がせてくれる。掛け合いのテンポがとても良い。キャラの魅力も、アクが強すぎない程度にほどほど主張されて暴走が抑えられています。イカれたノリが大好きな当方としてはそのヌルさがちょい不満でありますけど、変にテンション高くしてハズすよりはいいかな、と保守的に認める姿勢。まったりした歩調を享受できる点で美味しいことに違いはない。

 しかし、どうしても解せないことが一つ。これ、渡良瀬準がメインヒロインじゃないってのはどういうことなんですか。幼馴染みですよ? 冒頭で待ち合わせして一緒に買い物するんですよ? バレンタインに本命チョコを渡してくるんですよ? ナジミストの心を震わせる、とまで行かなくても充分に可愛らしい子ですよ? なのにそれが、メインじゃないどころか攻略すら不可能(スタッフ雑記帳05/28にそれっぽい言及)なんて。そりゃ確かに性別は♂ですけど。平らすぎる胸が明々白々ですけど。でも×××なんて飾りですよッ、偉……言ってて虚しくなりそうなのでやめるとして、既に「門」を開いてしまった身としてはあまりにも残念すぎますね。最近「こんなに可愛い子が〜」の言葉が骨身に染みてきています。準、見た目も反則ですが、声まで付くと戦略兵器並みの脅威に達する始末。「ヒロイン全部と引き換えにこいつ」なんて取引があったら一も二もなく応じてしまいそうぜよ。

 とまあ、体験版自体は好感触なれども準とくっつくことのできない失意から購買意欲は伸び悩み。他のヒロインではこの式森伊吹が気になってはいる。具体的に書けばツンデレの芳香。鼻に突き抜けるほどツーンと来た後でデレデレと濃厚な甘さが訪れそうな期待に小生、心と体のどっかがおっきしそう。キャラ紹介絵の背景にある表情一つで「ぬふぅ」と達しかねません。でもまあこの子も位置付けはサブヒロインみたいですし……うーん。


2005-08-16.

・「しまった、やりすぎた!」なんてセリフはおねきゅーの中だけ。そんなふうに考えていた時期が、当方にもありました。

 ──そのとき、双七は絶望に試される。

 「嫉狂ひ 完結編」を公開。完結編ゆえ、未読の方は「嫉狂ひ」から先にお読みください。修羅場属性ゆえ、燦々たる笑顔を振り撒きながら「この──泥棒猫」と明るく健やかに罵る刀子さんが見たくない人は読まないで正解です。あなたに幸いあれかし。

 相変わらずな文章の拙劣さを始めとして反省点の多く残る一編になりましたが、ひと握りに存在するであろう同好の士(修羅場スキー)に楽しんでいただければこの上もなき喜び。まだまだ「精進が足らん」と叱られそうですけれども。

・麻耶雄嵩の『神様ゲーム』読了。

 この、滲み出るような毒──麻耶はどこまで行っても麻耶か。

 ミステリーランドという、児童書を装った大人向けの豪華装丁レーベル第7回配本。同時期にライトノベルで同じタイトルの作品(宮崎柊羽の『神様ゲーム』)が刊行されていますが、読む層が違うせいか混同されることはほとんどありません。野良猫が連続して惨殺される事件、「ぼくは神様なんだよ」と嘯く少年など、いかにも麻耶っぽい悪意と不気味を織り交ぜた異様な要素がある一方で、特撮戦隊モノにハマったり少年探偵団ごっこに現を抜かして秘密基地に出入りしたり「探偵団と親友のどっちが大切なんだよ」と青い問い詰めをされたりクラスメイトの女子に初恋とも言えない仄かな想いを抱いたりなど、子供らしくてノスタルジックなガジェットもふんだんに用意されています。

 凄いのはそうした郷愁小道具の一切を、終盤で残らず引っくり返してまったくの裏返しにしてしまうことでしょう。まるで子供が一生懸命頑張ってつくったプラモデルを、ただ破壊するのではなく丹精込めて魔改造するような徹底した容赦なさ。表面上とはいえ一応子供向けを謳っているのだから、麻耶も少しくらい大人しい作品を書くのかと思っていました。とんだ思い過ごしでした。代表作『鴉』(絶版。来月講談社文庫にて復刊予定)も、「壊すためだけに世界を構築した」と評される出来でしたが、今回もやっぱり軒並み御破算にしてしまうためだけに少年の世界を組み上げていった感じがあります。多義的な解釈がいくらでも行える深読み誘発エンドもヨシ。

 カタストロフィこそ麻耶の味。酷くてむしろ安心しました。彼にはいつまでも悪意の北極星として輝いていてほしいものですね。


2005-08-14.

・辞書登録する習慣がないため、「刀子」をいつも「かたなこ」と打って変換している焼津です、こんばんは。関係ないですが体調不良で立ち眩みを起こし、あわや倒れるところの盆休みでした。視界が虫食いみたいになるし音が遠くなるしでリアルに大変なりき。

『SWAN SONG』、コンプリート。

 絶望試しすぎ、試しすぎだよ絶望。

 と、そんなこんなでクライマックスの展開にはすっかり気圧されてしまいました。テキスト先行というか文章の主張がえらく強いソフトでしたけれど、CGや音も負けず劣らずの踏ん張りを見せる。もはや鬼気迫るものを感じるより他なかった次第です。正規ルートが凄絶すぎて、悲惨なはずのバッドエンドさえも揃って味気なく見えてきますよ。むしろ「ここで終わった方がホッとするよな」ってほど。バッドエンドが大好きな人間としてこの状況を憂慮すべきか狂喜すべきか計りかねました。なんつー話だまったく。

 途轍もない規模の災害に遭遇し、外からの援助も期待できないまさしく孤立無援の最中に置き去られた主人公たちが必死に協力し合って生き抜こうとする、というのが大まかなストーリーであっても、「その時、人は絶望に試される」なんてコピーが舞っているくらいですから無論のこと心温まる内容ばかりじゃありません。これで変哲もない性善説的物語だったりしたら詐欺ってものでしょう。ライターもそのへんのことは心得ています。容赦しないときはひたすらしない。どれくらいしないかと言うと、『地獄の黙示録』のカーツ大佐くらい。詐欺だった方が良かったかもしれません。

 多視点形式を活かした群像劇としての出来は素晴らしく、堂に入ったストーリーテリングで見事に惹き付けられ、すっかり夢中になってプレーしました。語り口がやや冗長なこと、良くも悪くも筋が錯綜気味で先が読めないことなど、素直に絶賛しかねる箇所もあるにせよ、「お約束」に頼らないで地道な独自性を積み重ね、黙々と獣も通わぬ小径を踏破していく足取りには惚れました。客観的に見て、当方は瀬戸口廉也のファンというか儲に成り果てている気がしますので話半分に聞いてもらいたいのですが、読み手から希望を奪い取って逆手に利用し絶望的コンボを叩き込んでくる彼の手際はハメ殺しの域まで達していて素敵に無敵だと思います。キャラクターの際立った個性にではなく、何度も繰り返される接触と会話──コミュニケーションの蓄積によって愛着を持たせ、キャラの進退や生死に一喜一憂させる。サスペンスとしてだけの側面、成長物語としての側面だけを切り取っていてはこうはならない。激しく動的な場面も多く印象に残った一方で、最終的に一番脳に焼き付いているのはキャラとキャラとが触れ合いぶつかり合って生み出す静かな摩擦熱なんですよね。展開そのものは「鬱」と表現しても差し支えないのに、終始明るい何かがあるので決して暗くはならない。

 終盤付近についてはいくつか不満も残りましたけど、『CARNIVAL』で感じた最大の不満「一部のキャラクターしか活かせていない」はしっかり解消されているので文句はいちいち書かなくてもいいや、という気分。コンプまで掛かった時間は十数時間ですから昨今の基準に照らせば低ボリュームであるにせよ、内容が濃密だったおかげで分量に関する不満は皆無です。『CARNIVAL』にハマりつつも、どこかで『SWAN SONG』について「そこまで凄い作品じゃないだろう」と侮る気持ちがあったことは確かでした。今はその不覚を悔いるのみ。

 キャラクターはみんな好きですが、あえて一人選ぶとしたら田能村慎。最初は得体が知れないというかキャラの掴めない不気味な奴だったのに、気づけばもっとも頼りのある人になっていた。女性キャラでは妙子か。ありゃ反則ですよ。そして一番好きなシーンは幼い司と父親との会話。他にもいろいろありますが、いちいち挙げていたらキリがなくなってしまいます。

・入れ替わりに『最果てのイマ』のプレーを開始。

 タイトルが『永遠のアセリア』と掠っているニュアンスを漂わせるものの、特にこれといって内容的な関連はないXUSEの新作。『CROSS†CHANNEL』でプレーヤーの心をごっそりと毟り取っていった田中ロミオの新作とあってそれなりに注目されています。ただ、声が付かない、「戦争編」と称される後半部の噂、ややこしそうな「ブログシステム」など、期待を萎えさせる要素も散見され、不安はなきにしもあらずといった現況。

 とりあえず1時間ほど進めてみましたが、やっぱり昨今のボイス常備ソフトに慣れた身に無声はツライ。以前は「ゲームに声はなくてもいいや」と思っていたクチなれども、声優さんの演技力も高くなってきた現在においては物足りない感触を覚えてしまいます。冒頭でワイワイ喋り合っているシーン、ボイスレスだと誰がどのセリフを喋っているのか直感的に理解しにくく、馴染むまでのハードルが高かった。文章そのものはさらりとしていてキレが良く、読み応えはさして感じないけれど抵抗なくあっさりと受け容れられる。若干クセはあるにせよ、読みやすい部類でしょう。ひとまず今後の展開に期待してみる方針。


2005-08-12.

メガストアの10月号には『うそ×モテ』が完全収録されるそうな。やや複雑マインドの焼津です、こんばんは。リンク元の文章に「今回の完全収録ソフトは「うそ×モテ」。すみません、初めて聞くタイトルなんですが……。」なんてあるのはもう何と言えばよいやら。

・ネタに困り次第レスしまくってやる、とロジャー・ハーロン気味に拍手レス。

 あやかしびとSSおもしろい〜
 勿体なきお言葉なれど是非とも糧にいたしたく。

 あやかしびとSS期待してます
 予想を裏切るつもりで頑張ります。

 ボタン名に負けて押しましたー
 そろそろ名前で騙すのも悪い気がして変更しました。前よりふざけている気がするのは仕様です。

 さぽわー
 「最近/ぽん太が/ワーウルフに」の略と判断いたします。

 がんがれ! byデモベのssを心待ちにしている九重
 痛いところを突かれた顔をしつつもがんがる所存。

 少しばかり指摘をば。終わクロ:原田→原川
 わざとだったら申し訳ない。原田ではなく原川ですよ(終わクロ)

 レッツ修正ー、っと直しましたー。

 あやかしSS拝読させて頂きました。刀子さんの嫉妬っぷりが心臓を壊す勢いで凄まじかったのですが、
 みゅうと刑二郎の二人が目と目で通じ合っているなんて所に悶ました。七海が二人の様子を見とめて、
 自分の想いに先ずはひと段落をつける描写など、本当に欲しかったものが描かれていたのには驚き、
 嬉しくもありました
 まだ続きが結構ありそうな気配ですが、是非話にいい決着を付けてください。これからも応援してます。

 伊緒ってば見れば見るほど可愛くなってくる味わいの深い子で密かに好きですね。応援ありがとうございます。

 ぷう
 あと「肉骨粉」も「にこにこぷん」の略みたいで心憎い。

 無個性+いち
 足し算ですか。

『SWAN SONG』、ガンハマリでプレー中。

 まだ終盤には入ってないっぽいけど、そろそろ助走に差し掛かった予感。これまでは一人一人の個性よりも全体の関係が印象的だったのに、いよいよ個々のキャラクター性が完全覚醒へのスタートを切ったとばかりにスタンド・アローン化し始めている。やばい、尼子も田能村も鍬形も雲雀も柚香もあろえもみんな好きになってきた。ムジカ・マキーナぶりとかラスト侍なところとか原始的侵略者性とか騎士の手を引っ張るお姫様とかふて腐れの茨姫とか出番が少ない奴とかいった特徴のみを指して惚れたというより、その個性を構築し支える要素すべてに心惹かれる。誰それの属性が何々だから、というより、たとえば尼子というキャラクターの属性が正に「尼子」そのものであると納得させてくれるからたまらないのです。

 話の方も閉鎖社会サスペンスかと思えば回想形式で音楽への偏執的とも言える情熱に触れてみたり、歴史ロマンを僅かに覗かせる微伝奇展開があったり、気がつけばいつの間にか微笑ましい変なラブコメが始まっていたりと、良くも悪くも多彩で節操のない絢爛さを見せてこちらを翻弄させてくれます。そのへんも含めてテキストの自己主張がきつすぎると腐したい気持ちもありますが、読めば読むほど酔ってきてだんだんどうでも良くなってくる面もあり、「楽しけりゃいいだろ、楽しけりゃ」とかなり頭悪い状態になって愉悦を貪っておりますね。

 しかし、「萌え」とかそっち方面でのアプローチはまずないだろうと高を括ってたのに、まさかこんな奇襲を仕掛けてくるとは。本当に何考えているんだろう。意図は推し測れぬものの素直に享受しておきますよ。なんというか、ピンポイントで攻める手際が絶妙だなぁ、このソフト。

・何気なく見掛けて衝動買いした『ユーベルブラット(0〜1)』読了。

 「こんなに可愛い子が女の子なわけないだろ」という鉄則に従ったエルフチックな美少年が主人公。見た目はヤワいが強さは最高クラス。剣戟と流血と惨殺の嵐に次ぐ嵐で、ほとんど化け物ウォーズになっています。おかげでストーリーをあまり理解しなくても楽しめる。そういう意味では敷居の低いファンタジーとしてオススメできる内容。

 ストーリーは一言に要約すれば「復讐譚」です。「正義なんて糞は犬に喰わせとけ」と吐き捨てんばかりの憎悪と、憎悪を根底から支えるための「俺だけが真実を知っている」という孤高の感傷が入り混じって単純痛快に面白い。仇敵を殺し尽くしたところで喪われた人々がどうなるというわけでもないのに、一度口をつけたからにはひとかけらも食べ残そうとはしない執念がひたむきで前向きですらある。死人がゴロゴロ出てくる点については『北斗の拳』並みの世紀末ワールドであり、いっそ清々しい。ダークファンタジーにしては暗さや鬱味が少ないんで吐き気がするほどドロドロした展開を希望する方には物足りないかもしれませんが、「ガチなのは腰が引ける。でも生温いのはイヤ」という程々のダーク加減を求めている人には適量でしょう。

 個人的には0巻に出てくるエルーニェが好み。なれども、一番イイのはやっぱり主人公のケインツェルか。表紙を見たときは「凶相エルフっ娘(*´Д`)ハァハァ」と期待していたくせに、いざ本編を読み出してすぐに♂と判明するや、「 む し ろ そ れ が い い な 」と一瞬で順応できた無闇な懐の広さが自分でも怖い。青年誌だけに、気持ち程度とはいえお色気シーンが挿入されるのも、殺伐とエロスのメリハリになっててヨシ。とりあえず「表紙に騙された」とはならずにすんだ収穫品でした。


2005-08-10.

・20万ヒット突破しました。こんな字ばっかりでサイトデザインもクソもないページがよくもまぁ、とネガティブハッピーに感無量の焼津です、こんばんは。

・web拍手のメッセージもぽつぽつ溜まってきたのでレスします。

 てすとー
 明らかに自分のです。変換も面倒と平仮名で済ませているあたり怠惰。

 屍解仙?
 IDのことですね。「sikaisen」。yahooのIDもこれを逆さにしただけだったりします。

 脊髄反射の速度で。 犬江
 お礼に12000発の拍手を贈ろうと思いつつ自重しました。

 o(゜□゜)○)`ν゜)・∵. とりあえず、送ってみた。
 ∵.・(゜ν`(○(゜□゜)oとりあえず、返してみました。

 あやかしSS拝読させていただきました。……何つーか、スゲエっす。怪作といった感じ。やりすぎな気
 もする一方で、ありえそうな気もする。しかしいい所で続く、だなんて生殺しもいいところっす…

 それが刀子さんクオリティかと。分割は後半手直しの時間稼ぎが半分、読み手を甘殺してみようという茶目っ気が半分です。

 あやかしSSで俺の顎がどこかに行ってしまいました。かえしてー!
 「伊達にして帰すべし」がうちの心得ゆえ無理です。ごめんなさい。

 ほあー
 なにこの暇だからって謎奇声を自サイトの拍手に打ち込む管理人。

 嫉狂hi
 「い」ではなく「ひ」にしたのは視覚的インパクトを狙ったからであります、sir.

 「何の話だ」とか笑いました。>webはくーすの画面
 絵とか全然描けないのでごまかすより他ありませんのです。平身低頭。

『SWAN SONG』、相も変わらずプレー中。

 なんなんだろうな、このゲーム。見た目は地味なくせして強烈に惹き付けられる。一つ一つのシーンがやけに濃密に感じられ、ふと時計を覗いたら十数分しか経っていなくて驚いたり、そのくせ気づけば何時間もやり込んでいたり。今年プレーしたゲームはどれも面白くて、中には寝食忘れてのめり込んだものもあるけど、それらとはまた質を異にする手応え。熱中すると同時に戸惑います。なんなんだろ、本当にこのゲームは。

 外部からの救助がアテにできない、内部にも確固たる秩序維持のシステムがない──という極限状況下の集団社会にメスを入れつつ適度にサスペンスの要素を仕込む手つきは異色なれどエンターテインメント精神に溢れています。ちょっとテキストが過剰気味というか、一度にドバッと大量の文章を読ませたり長ゼリフを聞かせたりでテンポを危うくしている部分もあるし、難点もあるにはありますが一度慣れたらその時点で病みつきになりますね。一気にやり終えてしまうのがもったいないという気持ちの一方で早くこの作品の何もかもを知ってしまいたいと逸る心もあって悩ましい。

 今回進めた範囲では「迸る電波キタ━━(゚∀゚)━━!!」なところもあったりして良くも悪くもスリリング。まさかそう来るとは。そしてこのまま進めていくつもりなのか。悩ましく続きが気になります。

・川上稔の『終わりのクロニクル5(上・下)』読了。

 両方揃うまで待ち、日毎50ページペースでチマチマと一気に……ってなんだか少し矛盾している気がしないでもない読法によって完走。3や4のときも日にちを掛けてゆっくり読み進めたこともあり、当方の生活において終わクロはなるべく時間を延ばして読むことが習慣となっているみたいです。その分読んでる間は毎日楽しいですが、読み終わると途端に寂しくなる罠。佐山時空が圧倒的に恋しくなる始末です。

 さて、キレの良い短文と底なしにイカれた言動&表現を隅々まで堪能させてくれるこのシリーズも11冊目。いよいよ物語の核となる部分、これまで思わせぶりに伏せていたところを暴きにかかり、シリーズそのものの目的と直面する塩梅になっています。ファンの誰しもが大茫然のち大興奮。当方もこれは全然予想しておりませんでしたので仏魂消。この調子で行けばあとは4冊前後でまとまるのではなかろうか。終わクロを内包する“AHEAD”ワールドの次なる動きも、気の早い話だが今から楽しみで仕方ない。

 余談。今回の登場キャラで絵的に気に入ったのは戸田・命刻。ヨルスと並んで歩く場面の挿絵にはたまらないものがあります。「ぬふぅ」とばかりに。コンビで映えていたのは前回出てきたばかりのヒオ&原田。他の、「男の方がスケベ」という点で概ね共通しているカップルとは違って、原川が積極的にエロス行動を取っていないにも関わらず不運と踊りまくってしまうあたりがツボです。よッ、冤罪王。ピンでバリバリ輝いていたのは、やっぱり上巻の表紙を飾っている風見かなー。下巻のアレには圧倒されることしきり。もともとさほど注目してなかったキャラであった分、その輝きぶりがいっそう眩しく見える。ギャグについては満遍なく笑えました。「上出来です。──八号、よくやったと自己判断いたします」って導入の時点から既に噎せていたくらい。


2005-08-08.

・好きなコラムニストは小我恋次郎。こんばんは、未だに『電撃スーパーファミコン』の記事をスクラップして保管している焼津です。止め処ない下品さがツボでした。

「ジンガイマキョウ」のTOP絵に刀子さん+3

 袖から伸びる手といい肩に掛かる髪といい、実に過ときめきな一葉。黒髪ストレートロングに対する愛情が既にフェチの領域を突破している当方にはこう、肩に掛かる感じが、ね? 耳が分水嶺になっているところが、ね? 髪だけじゃなく表情も、ね? 分かりますよね?

 ところで「過ときめき」ってちょっと発音しにくいですね……。

「BACK TRICK」のあやかし雑記に肉じゃがを捧げ持つ刀子さん

 日付を見るとかなり今更な捕捉ですが。それでもやっぱりカーブを描いて肩に掛かる髪が、ね? 間から覗く耳が、ね? 髪だけじゃなく表情も、ね? 分かりますよね?

 暑苦しいと知りつつ迫るのをやめられないフェチのSa-Ga。

「+SAVAGE GARDEN」にあやかしSS「白ラン哀歌」

 ぐぐるさんを常用していたせいで今まで見逃していましたが、やふっちの検索によってようやく発見しました。薫エンド後、というより薫エンド前ですか。学園を舞台にした軽快コメディ。全キャラが活き活きとしています。なかんずくウラジミールの立ちっぷりは凄い。彼の言動に改めて惚れました。

 読むにつけ薫さんの嫉妬深さを再確認。ゲーム本編における刀子さんVS薫さんな「焼餅おっぱいがニバーイニバーイ これが究極、ダブルゼータばるんダム」的修羅場の不在がつくづく悔やまれる。

『SWAN SONG』、今日も今日とてプレー中。

 出だしのかったるさはもはや少しも感じることがなく、この世界にハマり込んだという確信を得ています。廃教会を舞台にした少人数生活もそれはそれで面白かったですけれど、やはりそれなりの規模の人数が集まるコミュニティと合流してからの展開が良い。多視点形式の使用というシナリオ構造も違和感を覚えさせることないし、極限状況におけるほのぼのした暮らしとサスペンスの緩急がこちらの興味を飽きさせない。日を増すごとに熱中の度合いが深くなっていきます。

 災害モノという珍しいジャンルなれど、飛び道具もナシにここまで頑張ってくれるとは。CGも美麗でサウンドも綺麗ですが、なにぶんテキストの印象が強烈で、シナリオライターに対する熱視線が自制できません。S.M.Lの『CARNIVAL』のライターということで期待するとともに不安がる心も抱いていたものの、なんか今では『CARNIVAL』云々を持ち出すまでもなく賞賛したい気分。儲と化すまでの過程をリアルタイムで実感しております。

 時間経過のおかげで個々のキャラクターにも魅力を感じ始めているにせよ、でも突き詰めていけば個々のキャラが好きというよりキャラ同士の遣り取り、関係の在り様をとっくりと眺める方が楽しくて好きだなぁ。寄り集まった人々のコミュニティをどう運営していくかなど、サスペンスとかに比べて地味な要素でさえ関心を持ってしまう。舞台の状況そのものは大きな視点から見れば閉鎖的なのに、ゲームとしての世界はあまり閉じていない。その妙が巧く活かされているように思えます。

 なんか誉め殺しのノリに近くなってきたので反面部分として気になるところも挙げておくと、グラフィックの自己主張が少ないという一点。このスワソンは立ち絵を使用しておらず、フェイスウィンドウみたいなものと一枚絵だけで画面構成を行っています。先々月に出たニトロプラスの『塵骸魔京』、あれの形式に似ていないこともない。似ているとまでははっきり言えませんが。ともあれ、そういった具合で画面を占めるCGの割合が少なく、またCG一切なしに文章と音だけで進む箇所もときたまあり、ここぞって場面で効果的にCGが出てきてもあまり印象に残りません。CGそのものの出来映えは素晴らしいのに、シナリオ・テキストを補佐するための添え物という性格が出すぎているきらいがあり。長ゼリフ、長描写が多いせいもあって、どうしても文章の方に主役の座を奪われがちな事態が惜しいかな、と。


2005-08-06.

・「九鬼」と見ると耀鋼さんの他に凍刃さんを連想する焼津です、こんばんは。『想師』、そろそろ新刊出ないかなぁ。というかamazonでは品切中なんですか。bk1の方には在庫あるみたいですけど。

『SWAN SONG』、プレー中。

 温泉に浸かりながらの猥談が妙にツボだったり、病院の跡地を舞台にちょっと人間ドラマっぽい展開を見せたりと、大筋で意表を衝くところこそないものの、地道に着実に物語が進行していっています。道具立てからだいたい今後どういった方向へ行くのか路線が読めてきましたが、あの瀬戸口廉也だから綺麗なだけの終わり方はしないだろうなぁ、ってな予感がビシバシ襲ってくる。

 それにしてもここまで恋愛要素や青春要素が希薄で、なのに人間模様の面白いシナリオっても珍しい。慣れるまではだるいけれど一度慣れたらそれこそ温泉気分。あんまし時間が取れなくてプレーが進まない割に、適度な満足感を覚えます。ただ厄介なのは、展開に緩急があるせいで「そろそろセーブして中断しよう」と思った矢先に突然先の気になるムードが醸し出されたりと、うっかりしていればついついやり込んでしまいそうになるところか。そんなにサスペンス尽くめって内容じゃないにせよ、まったりした話が続いた後にゆっくりと緊迫感が立ち上ってこられると飢えていた好奇心が食いついてしまって余計にやめにくい。小憎らしい構成ですな。

・片山憲太郎の『電波的な彼女−幸福ゲーム−』読了。

 前にも書きましたが、SD文庫の中でこれと『よくわかる現代魔法』はタイトルに巻数を打たないから新刊がシリーズにとって何冊目なのか分かりにくい。ちなみに本書は『電波的な彼女』シリーズの3冊目。前巻から4ヶ月と、ペースも着実に上がってきています。

 小中高、市内のあらゆる学校を含めた広い範囲で続発するイヤガラセ。一つ一つは警察も動き出さないほど小さな事件だったが、被害に遭う人間があまりにも多すぎた。金髪で、いつも愛想のない面をしているせいか周りから不良と思われている柔沢ジュウもこのイヤガラセの波に呑み込まれる。自称「前世からの付き合い」で、彼の下僕を嬉々として務めている堕花雨は、事件の共通点が「幸せそうな人間が狙われること」だと看破する。受け流すつもりだったジュウも、いつしか近しい人が「幸せ潰し」の渦中に巻き込まれていることを知り、見兼ねて「『幸せ潰し』を潰す」と決意するが……。

 成長よりも停滞を好む怠惰な少年と、「人間の種類は二つある──柔沢ジュウ様とそれ以外だ」な下僕マインド炸裂の少女がそこはかとなくハードラックな青春に立ち向かうシリーズも遂に3冊目であり、ここまで来るとキャラクターたちにもほんのり愛着が湧いてくる。前回新キャラとして登場した雪姫と円もしっかり作品の雰囲気と馴染んでいて、シリーズの地歩を無事固めた感触があります。

 サスペンスとはいえ今回も割とあっさりネタが分かるシンプルな構成。謎解き方面で攻めようとかいう関心はないみたいです。そんなせいもあってか話が動き出すまでの前半がまったりと味わい深いヘンテコ青春風景として楽しめる反面、いざストーリーが始動する後半以降の展開がいまひとつ見劣り。話のワンパターン化を避けるための努力も払われていてそこは誉めたいところだし、無能であるという自覚を持ち、有能な電波的彼女の助けを借りることに自己嫌悪しながらも事件を収束させようと願う主人公の気弱でいてタフネスな性格は面白いと思う。でも微妙にラブコメ臭の香る、生温い日常シーンの快さを考えるともっとLOVE寄せしてほしかったなぁ、などと痛切に願われてやまない。

 あと、今回も例によって象徴的な悪役が出てきますが、インパクトに関しては前作、前々作の連中を上回っているかと。似たような思想信念の持ち主は他の作品でも見かけますけど、「なぜ単独ではなく大規模なグループをつくってまで実行するのか?(グループが大きくなるほど秘密は漏れやすくなるはずでは)」という疑問点に対する回答など、そのスタイルが徹底されていてさすがに感心しました。

 キャラの旨味も遺憾なく引き出され、シリーズとしてますます円熟の兆しを見せておりますが……なんかこう、読めば読むほどヒロインではなく主人公に萌えてくる気がするのは何かの錯覚でしょうか? 口絵で「深夜アニメは何を観ているか」で盛り上がるヒロインたちに「柔沢くんは何観てる?」と話題を振られ、「……寝てるよ」と答える姿に胸がキュンとなったり。愚かだと分かっているのに行動をやめられないところに熱くなったり。野郎にドキドキするなんてDクラの物部景以来だ。

 去年のライトノベル系新人作家の中では地力のある方と見ていましたけど、ここまで好きになるとは予想してなかった。「ライトノベルでいま続きが気になっているシリーズは?」という質問に10個の枠があったらこれを挙げてしまう可能性は高い。4巻を刮目してして待ちます。


2005-08-04.

・仕置きという名の宴、はじめました。

 というわけで、あやかしびとSS「嫉狂ひ」を公開。正気にては大恋ならず、修羅道はシグルイなり。刀子さんSSだけど刀子さんのファンは読まない方が幸いかもしれません。あくまで「刀子さんはガチ」という主張を訴える所存であります。最後まで正気を保つ自信のある人だけお読みください。

『SWAN SONG』、プレー中。

 まったりとした共同生活がそれなりに楽しくなってきた頃、ようやくこの手のパニック・サスペンスらしい展開があって、ある意味安心するとともにドキドキハラハラしました。生存者が少ない代わりにひたすら被災による死者が描写され、エロスよりもタナトスとかそっち方面の香りが漂ってくるストーリーとなりつつありますが、それを悪趣味とも劇的とも感じさせずにサラリと読ませるムードが却って怖い。まだまだ今後の展開は予測できません。

 特定キャラのみを深く造型していかず、それぞれの登場人物たちが個性を発露させすぎないよう抑えながらちょこちょこと関係させ合うことによって集団やコミュニティそのものの魅力を生み出す手法自体はなんら珍しくないものの、やっぱりエロゲーのお約束からは外れているかな。「このキャラが好き」と思うようなことはあまりなく、一つ一つの遣り取りとかイベントがキャラ抜きで直接気に入ってしまうんです。たとえば尼子司と佐々木柚香、個々で見ていけばさして魅力を感じるキャラではないのに、ふたりが深夜に会話するシーンを眺めていると不思議に染み入ってくるものがある。この感覚の積み重ねによって当方は『SWAN SONG』という世界に没入しつつあります。

 雰囲気の構築という点に関してはゲームデザインから演出からと何から何まで凝っており、熱意のほどは窺い知れますがコンフィグの字が読みにくかったりするのは行き過ぎかな、と。ちょっと設定をいじろうと思っただけでもいちいち目を凝らさなくちゃいけなかった。前回の更新ではあまり進行していなくて報告をサボったりもしましたけど、今のところ手応えはちゃんとある感じですね。


2005-08-02.

・試験的にweb拍手を導入した焼津です、こんばんは。近々反応を窺ってみたいことが控えておりますゆえ。

『Fate/hollow ataraxia』、10月28日発売予定

 Fate本編発売から早一年半、遂にファンディスクの発売日告知が。規模的にFDというより番外編に近い気もします。ともあれ爽やかさんなセイバーを眺めつつ大期待。

・今月の予定。

(本)

 『スティール・ボール・ラン(8)』/荒木飛呂彦(集英社)
 『ビートのディシプリン SIDE4』/上遠野浩平(メディアワークス)
 『9S <ナインエス> Y』/葉山透(メディアワークス)
 『ヴぁんぷ!V』/成田良悟(メディアワークス)
 『平井骸惚此中ニ有リ 其伍』/田代裕彦(富士見書房)
 『Pumpkin Scissors(4)』/岩永亮太郎(講談社)
 『NEEDLESS(3)』/今井神(集英社)
 『ハチミツとクローバー(8)』/羽海野チカ(集英社)
 『妖幻の血(5)』/赤美潤一郎(スクウェア・エニックス)
 『すもももももも(2)』/大高忍(スクウェア・エニックス)
 『ホーンテッド!4』/平坂読(メディアファクトリー)
 『老ヴォールの惑星』/小川一水(早川書房)
 『ミステリ・オペラ(上・下)』/山田正紀(早川書房)

 一点突破的な物凄い期待作がない代わり、全体的に楽しみなラインナップ。SBRは単行本派なのでウルジャンへの移籍云々といったことにはピンと来ず、とりあえず版型が変わらなくて話も続くのであればそれでいいかな、と。ビーディシは最終巻。ブギポと比べても異能バトル要素が濃厚なシリーズだっただけに終わるのがやや残念。ナインエス、前巻の盛り上がりが個人的にいまひとつだったので挽回希望。ヴぁんぷは2巻と3巻が続きものになっているらしいから立て続けに読む予定。骸惚、一作ごとに着実に成長の痕跡が見られるシリーズではありましたが惜しくも今回で完結。気は早いですが新シリーズを待ち望みます。パンプキンシザーズは画力に物足りなさを覚えるもののだんだん面白くなってきてますね。思ったほどミリタリー要素が濃くないのも良い。

 ニードレス、異能バトルが好きな当方には直球の作品。ストーリーは壮大らしいけどまだそんなに進んでないのでもどかしい。ハチクロは少女マンガで買い続けている数少ないシリーズ。あとはのだめとっポイくらいかな。妖幻、延期でこの月に来ましたけど、今度はちゃんと発売してください。すもももももも、「も」は6回。アホなラブコメは好きです。ホーンテッドはこれが最終巻、って今月は完結シリーズが多いなぁ。3巻は失速の感があったし有終の美を成してほしいところ。老ヴォールはSF短編集。ところで『疾走!千マイル急行』の下巻はいつ出るんだろう。ミスオペはハードカバーを買い逃していたからこの際にと。二分冊でもかなり厚くなるんじゃないかな。

(ゲーム)

 『さくらむすび』(Cuffs)
 『最果てのイマ』(XUSE【純米】)
 『つよきす』(きゃんでぃそふと)

 発売日がバラバラなこの3本。正直、先月以上に決め手がない。さくらむすびは延期しなかったらスワソンに合わせて「ついで買い」してたでしょうけれど、実際は発売日が変にズレてしまったので様子見の姿勢。去年は期待していたイマも、発表からずるずる延びたせいで関心が薄れてきています。マスターアップの報告はありましたからもう延期こそないと思いますが、声が付かないとか後半で急展開とか、前情報がすこぶる微妙。オクルトゥムの情報公開とも重なって、期待心がそっちに逸れてしまったこともありますし。『つよきす』はまだ体験版やってないので保留。んー、今月はもう基本的に評判待ちでいいかな……。


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