2004年5月分


・本
 『先輩とぼく』/沖田雅(メディアワークス)
 『ラッシュライフ』/伊坂幸太郎(新潮社)
 『導きの星4』/小川一水(角川春樹事務所)
 『とある魔術の禁書目録』/鎌池和馬(メディアワークス)
 『スティール・ボール・ラン(1〜2)』/荒木飛呂彦(集英社)
 『イニシエーション・ラブ』/乾くるみ(原書房)
 『三億を護れ!』/新堂冬樹(徳間書店)
 『幽霊人命救助隊』/高野和明(文藝春秋)

・ゲーム
 『リアライズ』(PLAYM)──(1)
 『リアライズ』(PLAYM)──(2)
 『Like Life』体験版(HOOK)
 『天使のいない12月』(Leaf)──(1)
 『天使のいない12月』(Leaf)──(2)
 『天使のいない12月』(Leaf)──(3)
 『まじぷり』体験版(Purple)
 『お願いお星さま』体験版(PULLTOP)
 『3days』体験版(Lass)
 『MinDeaD BlooD』体験版(BlackCyc)
 『巣作りドラゴン』体験版(ソフトハウスキャラ)


2004-05-31.

『ナツノクモ』を『ナノツクモノ(名の付くモノ)』と誤読していた焼津です、こんばんは。

『まぶらほ』DVD5巻のパッケージ・イラスト(DAIさん帝国)

 さすがこつえー、「ぱんつはいてない」の代名詞。この業には戦慄を禁じ得ませんでした。なんて恐ろしい……。

・高野和明の『幽霊人命救助隊』読了。

 ゴースト・バスターならぬゴースト・レスキュー。「幽霊救助隊」ではなく「幽霊人命救助隊」となっているところがポイントです。この世に未練を残し彷徨える幽霊たちを救うのではなく、むしろ幽霊たちがチームを組んで現世に生きる人々を助けて回る。「幽霊が生者の悩みを解消する」という話は割とよく見かけますが、さすがに「チームを組んで」となると少し珍しいのではないかと。

 著者は『13階段』で江戸川乱歩賞を取ってデビューした人。同作品は映画化もしました。幽霊〜は第4長編にあたります。第2長編の『グレイヴディッガー』はジャンルで言えば『13階段』と同じくサスペンスに属する作品でありながら、また違った趣でスリル溢れる物語を紡いでみせ、巷での評判はいまいち芳しくなかったけれど「これはこれで面白い」と喜んだ記憶がある。しかし、第3長編の『K・Nの悲劇』は正直評価しかねた。リーダビリティはあるが核となる要素が新鮮味に欠くうえ、ハッピー/アンハッピーを別にしてスッキリしない読後感が残ってしまい、当方内部で一気に高野和明の株が下がった次第。本作『幽霊人命救助隊』もぶっちゃけてしまえば「なんだこりゃ?」なタイトルおよび設定で、キナ臭いムードが漂っており、書店の平台で発見してもすぐには購入意欲が湧いてきませんでした。

 意を決して購入した後、例によって例のごとく積読していましたが、ふと気紛れで本を開いてみた。かなり大雑把なイメージで構成された「あの世」、威厳らしい威厳もなく淡々と交通標識みたいに現れる「神」。率直に申せば序盤は微妙すぎます。読み進める気力が萎えるかどうかの瀬戸際でどうにかページを繰り続け、いざ本編たる「人命救助」の件に差し掛かり──引き込まれた。ずるずると、最初は惰性にも似た弱い力で、しかし気づけばぐいぐいと、栞を挟む必要がないくらい猛烈に興味が引っ張られていた。

 なにぶん、主人公たちは幽霊であり、オレンジ色のド派手なレスキュー服を身にまとっていながらも生者たちの目につくことはない(霊感体質の少女に目撃されるシーンはあるが、些細なエピソードに過ぎず、本筋には絡んで来ない)。一応物には触れることができるので地面は歩けるし電車にも乗れるが、ドアを開け閉めしたりすることはできない。身体に関する欲求は取り払われているのでお腹は空かないし、眠くならないし、性欲も滾らない。万全のステルス機能を有した幽霊とはいえ、ポテンシャルは結構低い。現世に対してほとんど干渉できないわけです。もちろん、全然干渉できないのでは人命救助もヘッタクレもありませんゆえ、限定的ながら干渉方法は用意されています。

 ひとつが「心を読む」こと。幽霊は人間に接触することができず、触れ合おうとしてもすり抜けてしまうだけですが、触れた瞬間に相手の考えていることや現在感じている気持ち、身体に宿っている感覚がダイレクトに伝わってくる。リーディング能力者みたいなものです。気分はサイキッカー。もうひとつは「語りかける」こと。幽霊の声は生者に聞こえないが、幽霊の発した言葉は「ふとした思い付き」として生者の内側に響く。「あんた、まだ死ぬ前にやることがあるだろう」と囁きかけたら、「そうだ、俺にはやりたいことがあった」と厭世観が薄らぎ、ちょっとだけ前向きになれるという仕組み。文字通り「ゴーストがささやくのよ」。相手の心へダイヴして境遇を知り、「どうして死にたくなっているのか」をある程度突き止めたうえで自殺を回避するよう必死の説得を続ける──動的な要素があまりなく、言葉ばかりになるので絵的にはとても地味ですが、読んでみるとこれがなかなか白熱します。下手な説教や慰めでは効果がなく、却って裏目に出てしまうこともあり、自殺を止めるつもりが後押しする形になりかけたり。ドキドキハラハラと実にサスペンスフル。カウセリングというよりネゴシエーティングです。トライ&エラーを繰り返し、徐々に説得のノウハウを身に付けていくあたりが面白い。最初は渋々「人命救助」をやっていた面々が、次第にプライドを持ち始めていく展開を含め、燃える。ヘンテコかつ地味な設定なのに、夢中になって貪り読んでしまうほど熱かった。

 全体を通し、設定以外はとにかくベタで直球です。凝った仕掛けはありません。複合的な悩みに心を引き裂かれ、「死にたい」という衝動に負けかけている自殺志願者たちを、救って救って救いまくる。幽霊だから言葉を語りかける範囲内でしか対処できず、マテリアルな問題等々には間接的な協力しかできないが、「誰であれ、最終的に自分を救うのは自分自身」「だから、彼らが自分で自分を救えるよう、俺たちは命だけでも助けるんだ」との信念を支えに東京の街を東奔西走。「王道的人情話」を濃縮したがごときテイストは、もはや「クサい」を通り越しています。

 キャラクターのひとりひとりが個性を押し出して活き活きとしている(死んでいるけど)し、自殺志願者にまつわるひとつひとつのエピソードも読み応えがあるしで、序盤を除けば最初から最後まで飽きず退屈せず物語を楽しむことができました。ただ、いくつものエピソードが連なっているため、「この話はもっと続きが読みたいなぁ」と思わされることもしばしば。贅沢な悩みかも。

 連載マンガみたく常に読者の興味を惹きつけながら、ダレたり疲れたりしないよう緩急もつけられている。作者のストーリー・テリング能力が遺憾なく発揮された1冊だと思います。重すぎず、軽すぎず、それでいてちゃんとテーマを追求している、エンターテイメント小説の理想型。高野作品で一番揺さぶられ、熱中した。イチオシです。下がっていた株も持ち直したことですし、早くも次作の刊行が期待されるところ。


2004-05-29.

・いくら「プリンセス」と「プレスミス」が似ているからといってこれはさすがに面倒なことですね。しばらく静観の姿勢を取ります。

日記絵にてバキ×Fateネタ(上座蔵)

 やはりここのネタは笑ってしまう。当然、このファイティングスタイルを修得した暁には自らのサーヴァントへ同じ技術を叩き込むはず。もしそれがゲーム開始時点より前だったなら、聖杯戦争の行方はまた違ったものになっていたかもしれない……なわきゃねぇか。

冲方丁×乙一によるライトノベル必読書100冊・アンケート「まいじゃー推進委員会!」経由)

 当方は46冊。結構少なかったです。まあ、ライトノベルをあれこれ読むようになったのは割と最近ですし、ちょっと前のヤツなんかは「見かけたことはあるけど手に取ったことはない」というのがほとんどなので、半数割っているのもむべなるかな。

・新堂冬樹の『三億を護れ!』読了。

 府中の三億円事件……ではなく宝くじの当選金を題材にしたコン・ゲーム小説です。平凡な教材販売員だった主人公が年末ジャンボ宝くじで一等前後賞合わせて3億円当たり、有頂天になったのも束の間、金の匂いを嗅ぎつけたハイエナどもに付きまとわれる。近所の住人、商店街の人々、顔も知れない遠い縁者、怪しげな勧誘。終いには詐欺師集団のターゲットとして狙われるハメになり、タイトルのごとく3億円を守り抜けるかどうかが物語の焦点となってきます。

 宝くじに当選したせいでトラブルが起こったという話はよく聞きますし、ネタとしてはそんなに珍しくない。コン・ゲームものとしても、「あえてベタな手で行こう」と詐欺師集団のリーダー自らが言い放つくらいで、犯罪計画に斬新な要素もなく、平凡と言えば平凡。だが、本書の肝はそこにあらず。全編に唸る新堂節──奇抜な比喩表現と直截な罵詈雑言が織り成す「下品ですけど、何か?」と開き直った疾走感溢れるギャグにこそある。過去作における過剰な暴力描写、性描写で人気を稼いだ作者だが、実のところ「笑い」についても定評がある。『無間地獄』『カリスマ』『溝鼠』などの作品にはかなり極端化された造型のキャラクターが出てきては無軌道な言動を繰り返し、地の文でツッコまれている。本書でも「底抜けの阿呆」と何度も罵られる主人公・河内が、見事なまでの勘違いぶりを炸裂させて周りの失笑を買う。それ以外のキャラも含め、とにかくどいつもこいつも強烈でアクが強く、人によっては読んでいて不快感を催してしまう可能性も否めないです。

 作者の描く構図はひたすらに分かり易い。絶妙なテンポを生み出すために細かいところで気を遣っているが、それを意に介さず読んだところで抱腹絶倒の体験とエンカウントすることに変わりはない。また、「分かり易さ」とは裏腹に比喩のセンスがなかなか飛んでいる。「レマン湖の湖水のように澄み切った瞳」なんて文章が平然と出てくるだけでもメーターが上がりそうですが、「他人の迷惑を省みないグロテスクフェイスの連発」「ガンジーのように己を殺すことも厭わないつもりだった」「ダッチワイフのように口を開けトランス状態に陥っていた」とイカレまくったテキストが連打されるとさすがに堪え切れない。随所に笑いどころが設けられ、横隔膜が痛くなってきます。文章を構成するネタ自体はどれも簡潔明瞭なものばかりで、意味が汲み取れないことなどは一切ない。下品なネタが嫌いな人や、笑いの波長が合わない人を除けば、この本が初めて手をつけた新堂作品って読者でも簡単に楽しめる。

 性や暴力に関する描写がこれまでの作品に比べておとなしめで、クライム・サスペンスとしての味わいは薄く、ロマン・ノワールの要素ともなれば欠片ほども見当たらない。「どうなる3億円?」という金の行方を追う筋よりも、文中にちりばめられたネタの方が面白いです。コン・ゲーム仕立てのコメディ小説と受け取るのがちょうど良いかと。下ネタもDQNなキャラもOKで、笑える小説を求めている人にオススメしたい一冊。主人公がひたすらにダメダメなので感情移入は難しいけれど、終いにゃ彼の阿呆さ加減も心地良くなってくる……かもしれません。


2004-05-27.

古橋版デモンベイン、7月から8月に延期

 さすが古橋“逃げ水”秀之! 一筋縄では発売させぬときたか。正確には7月1日から7月末に延期ですけれど、1ヶ月ほど遅れる点では変わりなし。

第1回「Fate/stay night」人気投票、結果発表

 6月にズレ込むことを危惧していましたが、なんとかギリギリで間に合った模様。今回は久々に奈須きのこのコメントも付いてきます。

 で、当方が1位票を投じたキャラは24位。健闘した、と言っていいのだろうか……。

・ソフトハウスキャラの『巣作りドラゴン』体験版をプレー。

 ここのところ体験版ばっかりやってますが、まだまだ積んでいる分があります。はっきり言って今月は体験版のプレー報告だけで終わる見込みが大につき、月末発売分はスルーの可能性濃厚。

 アリスソフトと並び、「やり込み性の高いエロゲー」をつくるブランドとして(一部に)有名なソフトハウスキャラの新作。竜族の主人公が普段は人間形態で生活しつつ、婚約者を迎え入れるための巣を作り、巣を守るためのモンスターたちを雇い入れ、資金調達を目的として街を襲い、また夜の営みで粗相がないよう充分に練習を重ねておくべく捕虜を凌辱する。やってることは完璧に悪役だが、あっさり淡々としたノリで進行していくのでダークな雰囲気はちっともない。この薄味テイストはソフキャラの特徴につき根源的なもので、合うか合わないかでとことん人を選ぶところかもしれず。個人的にはしっくり肌に合う感じで好きです。仰々しくダークや鬼畜を謳うノリとて嫌いじゃないが、こういった無造作な非道さも密かにツボだったりします。アリスソフトのゲームでも殺戮や凌辱がいともサックリ行われる傾向があり、そうした淡泊なムードが物語に興味を惹きつけすぎず、かと言って退屈させない適度なテンションを保ってくれるように感じられ。

 少ない資金をやりくりして巣を豪華にしたり、雇ったモンスターを育てて強くしたり、街を効率良く襲えるよう工夫したりと、単調のようでいてなかなかやり込み甲斐がありそうな具合です。ただ、こうした「やり込み性の高いエロゲー」は初回が熱中できる反面、複数のシナリオを攻略するために行う2周目以降のプレーが「作業」めいて苦痛になってくる恐れがあります。攻略期間がタイトすぎず、それでいて飽きない程度の長さで収まってくれると嬉しいのですが……。

 ともあれここの絵柄は好みですし、「ソフキャラ的」と表現して差し支えない独特の雰囲気にも馴染んできてしまっていますゆえ、6月の購入予定表に加えておく所存。ちなみにキャラは誰が気に入ったかと言えば、リュミスベルン。最凶許婚(*´Д`)ハァハァ。「刃向かうヤツは皆殺し」と無言で威圧する灼熱の鬼気がステキ。なかなか出てこない彼女をたったひと目見るためだけに何度も何度もやり返してしまいましたよ? 一刻も早く添い遂げたい。

・乾くるみの『イニシエーション・ラブ』読了。

 「あいつとは同じ空手道場で学んだよしみ、拳で語ってやろう」と熱く意気込んで勝負を挑んだら、あっさり拳銃でドタマを撃ち抜かれた──というステキな反則展開を見せた『チャイルド☆プラネット』。その頼りになりそうな面してるくせして速攻で退場した空手家少年の気分が素で味わえる一冊こそこれです。「問題作」「微妙」という世間の評判から「どんなすげぇ謎が待ってんだ、オラわくわくすっぞ」と読み出した結果、ズキュゥゥゥゥンとこめかみを撃ち抜かれました。「やりやがったな!」とコンバット越前声で唸りたくなります。

 要約すれば80年代を舞台にした恋愛ストーリーです。非モテ大学生の鈴木くんが合コンでマユコという女性と出会って初恋を経験するところから始まり、卒業後地元の企業に就職したのに東京へ転勤することになった鈴木くんがマユコとの遠距離恋愛に四苦八苦する様を描く。「イニシエーション・ラブ」というタイトルは直球で、意味はそのまんまです。あまりにもそのまんますぎて、かなりヌルめの恋愛小説になってしまっている。淡々としたヘタレ加減、うっすらと漂う愚かさ。地味に生々しく、ロマンスとしての魅力はいささか乏しい。

 やってることは単純です。とにかく単純です。それでも「問題作」「微妙」と言われてしまうに足るアレな仕上がりとなっています。個人的には面白かったし好きですけど、「傑作」や「良作」という評価を下すのはためらいを感じる。ちょっと退屈でダレるところありましたし。やはり、「微妙」と表現した方がしっくり来るかな。乾くるみを御存知ない方、このなんともいいがたい微妙っぷりを味わってみてはいかがでしょうか? うーん、もう少しストーリーに読み手の興味を惹き付けるパワーがあれば賞賛できるのになぁ……。


2004-05-25.

小説を読む際のビジュアル化「Mystery Laboratory」経由)

 当方はイラスト付きの小説(ライトノベルとか)は大抵その絵を元にイメージを膨らませていくタイプで、動的なシーンではアニメーション、静的なシーンでは止め絵が漠然と浮かびます。色付きか白黒かはモノによりけり。カバーや口絵のカラーイラストが素晴らしい作品では色付きになりますが、モノクロページの方が良い場合は白黒で行きます。設定の説明や観念的な描写など、イメージ化が困難な部分ではごく抽象的なイメージが湧くのみか、さっぱりイメージが湧かず文字列をそのまま読んで解釈するに留まりますが。

 ただ、サブキャラなど、イラストに出てこない脇役については絵のタッチになるべく似せる形でイメージします。情報量が少ないキャラは組み上げるのも、しばらく時間をおいてから再登場する段で構築し直すのも手間がかかるので、役割・性格・外見を分かり易く一致させてしまうため原文を無視したイメージを行ってしまうこともままあります。ヤラレ役のザコキャラに至っては案山子か戦闘員か、といった程度の安易なイメージしかしない。使い回しも平気でします。

 それから声については、気分次第で付いたり付けなかったりといった塩梅。声優には詳しくないんですが、過去の記憶から検索して「こういうキャラにはこういう声だよな」とテキトーに当てます。でも具体的なキャスティングはしないし、アニメ化などで実際に声が付くと違和感を覚える方が多いです。それと、これはあんまりないことですが、アニメの方を見てから原作を読む場合は挿絵を無視してアニメ絵の方を優先し、声優もそのままで楽しみますね。「あんまりない」と書いたのは、原作付きのアニメに興味を抱いた場合はアニメそのものより先に原作を読みに行く傾向が強いからです。大抵は原作の方が面白い、ってパターン多いですから。いろいろ裏切られているせいでメディアミックスはあまり好きじゃないです。最近でも『星界の紋章』くらいしか「アニメの方を見てから原作を読む」のパターンを踏襲した記憶がない。

 一方、絵のない小説では漠然度が上がるものの、イメージ自体は放棄しません。アニメよりはドラマ化、映画化向きといった感じの作品では実写で、マンガ・アニメ寄りの内容はライトノベルなんかと同様アニメーションか止め絵を思い描きます。リンク先にもありますが「実写は情報量が多い」ので、よほどダイナミックなシーン以外は静止画で済ませる。ちなみに当方、俳優やアイドルの名前を言われても「誰、それ?」と答えてしまうくらい芸能界に疎い(50代の母より疎いです)ゆえ、実在のキャスティングはしない。従ってボイスも基本的に付かないです。

 イメージを行った方が読み易く熱中度も高まるので基本的に「思い浮かべよう」と心掛けて読んでますが、ほとんどの場合は努力するまでもなく勝手にイメージが先行します。冒頭2、3行に目を通しただけでも自動的に組み上がっていきますね。たぶん読書に慣れているせいでイメージングも効率化されているせいだと思いますが。ハリウッド映画とか、ストーリーは単純だけど映像の演出が凄い、という作品は派手なシーンを想像する際に役立つので、なんだかんだ文句を垂れながらも結構見るようにしています。

 あと最後に。これはビジュアル化とあまり関係ないんですが、当方は人物の名前を読むとき、文字列としてではなく一つの記号として捉える傾向が強いです。たとえば「権藤」という名前が出てきても、「権」と「藤」で「権藤」──というふうに理解するのではなく、「権藤」を丸のまま飲み込みます。名前を覚えているというより、「○」や「△」を記憶する作業に近い。誰が誰で、誰が誰か、と識別する最低限の注意しか払っていないんです。だから「権藤」がどんなキャラであるか名前を見ただけでパッと分かる状態であっても、読み終わった後に「あれ、そういやあのキャラ、なんて名前だったけ」となりがち。ひどい場合には主人公の名前さえ忘れてしまいます。特にカタカナの長ったらしい名前では最初と最後の2、3字程度しか目で掴みませんので、思い出したつもりでもメチャクチャ間違っていたりしますねぇ……。

・BlackCycの『MinDeaD BlooD』体験版をプレー。

 ブランドの略称は「黒サイク」で。「ブサイク」はあんまりってもんです。

 吸血鬼が出てくる猟奇モノということで、一般人が血ぃ吸われてギャー!みたいなホラーとか、『ヴェドゴニア』みたく平凡な少年がずるずると吸血鬼たちの闘争に巻き込まれていくバイオレンス、吸血鬼に目をつけられ逃げ回りつつ撃退法を練るハリウッド系のサスペンスと、いろんなパターンを想像していましたが、どれも違った。主人公、速攻で吸血鬼化してあっさり状況を受け入れてしまいます。「吸血鬼ってのも悪かねぇ、悪かねぇよなぁ」とばかりに。襲われる側ではなく、襲う側としてストーリーが進行していくんです。ハンターも出てくるけど、「命の取り合い」みたいな燃え駆け引き要素はなさげ。シナリオは込み入ったところがないし、あまり重厚なストーリーを期待すると肩透かしになるのかも。

 初期状態で既に双子の吸血鬼姉妹を喰えるってシチュエーションはそれなりに美味しい。ドラキュリーナならではの要素ってのは特になかったけれど、普通に可愛いからOK。マップ移動形式であちこち出歩けば攻略可能なヒロインも出てくる。体験版ゆえ、期待を持たせつつ「たべれません」といったヒロインもいますが。

 ザッとやってみましたが、さして大きなイベントも発生することなく終了しました。攻略次第ではいろいろ特殊イベントが見れたりして、それなりに「遊べる」体験版らしいんですが、感触はだいたい掴めたのであえてやり込みは避けました。体験版を遊びすぎると却って製品版へ向かう意欲が下がってしまうことを過去の実例から学んだ上での判断。物凄くツボを刺激する部分があるわけじゃないものの、血と十字を意識したユーザーインターフェースとか、のんびり街を散策しつつ吸血圏を拡大していく感覚とか、サクサクと快い箇所もあって興味を惹かれます。製品版に手をつけてみたいくらいの関心は充分に湧いてきました。たぶん、購入に走るものと予測されます。

 ちなみに。双子姉妹もさることながら、メイドのありさも好きです。メイド属性はないのに、なんとなく容姿を見て一目惚れ。もっと彼女と戯れたいです、先生。

・荒木飛呂彦の『スティール・ボール・ラン(1・2)』読了。

 北米大陸6000キロ横断レース、優勝賞金は5000万ドル。己の力、己の馬を信じ、アメリカのみならず全世界から集まった者たちが野心とともに騎乗する。大地に響き渡る蹄の音。19世紀末の荒野を走り抜け、一攫千金の夢を叶えるのは誰か……。

 単発作品に近い扱いをされていますが、一応『ジョジョ』の第7部に相当する内容。ただし、1890年と、時代はかなり遡っている。ジョジョ好きなら目にしただけでも嬉しくなるような名前がぞろぞろ出てくるが、既存のキャラクターとの関係は明確にされておらず、単なる同姓とも何らかの血縁とも受け取れる仕様だ。しかしそれでいて、今までまったくジョジョを読んだことがない人でも楽しめるジョッキーものとなっており、先鋭化していった成れの果ての第6部『ストーン・オーシャン』と違って初心に返った趣がある。あくまでレースが中心で、「波紋」や「スタンド」といったジョジョ特有の設定も今のところは深く絡んでこないし、途中から読み出した人でも充分付いていける話に仕上がっているかと。

 これまでのジョジョ、特に第3部以降はクセが強く途中参加が難しいマンガで、毎週ずっとジャンプを買っていたのにジョジョの部分は読み飛ばし、「なんか、変なマンガ」程度の認識しかしていなかったという人もいます。会話の最中にはっきりとジョジョをマイナー作品扱いされて、どうリアクションしたらいいものやら困惑した記憶も……。第6部ともなればファンすら付いていきがたい次元に突入し、半ばくらいで当方もとうとう投げてしまいました。第3部や第5部は二桁回数の読み返しをするほど好きなんですけども。

 それだけにこのSBRもどの程度の出来なんだか期待と不安がごった煮で、店頭でもしばし購入をためらいましたが、「1巻と2巻を同時刊行」という企画が作者や編集者の自信の表れであると信じて買った。そして見事にアタリ。2巻まででちょうどよくひと区切りが付いているし、何より「スティール・ボール・ラン」の説明箇所で「これから始まる大レース!」とばかりに心が浮き立った。大会ネタは少年マンガの王道で、ありきたりと言えば実にありきたりだけど、その単純明快さ、「王道でも全力を尽くして駆ける」という確かな熱意が面白さに結び付いているので文句を垂れる気はしません。適宜ヒネリを加えながらもこのまま王道を驀進していってもらいたい。

 荒木イズムの刺激感と王道主義の安心感が同時に味わえるあたり、美味しくも珍味。この作品はまだまだ面白くなるでしょう。2nd.STAGEの開幕が早くも楽しみだ。


2004-05-23.

『天使ノ二挺拳銃』、ページ更新。

 キャラ紹介およびスペック。見るからに相棒といった様子のふたりでしたが、やはりコンビということで決定みたいです。現時点で「夏発売予定」ということは7月〜8月あたりか。機神咆哮、機神胎動と来てこの天銃といった塩梅になりそう。日本の夏、ニトロの夏。

・Lassの『3days』体験版をプレー。

 これはそんなに長くもなかった。と言っても、2時間以上掛かったから、「短い」ってこともない。周知だと思いますからバラしますけど、このゲームはループゲーです。タイトル通り3日目を終端に時間が巻き戻り、プレー開始地点から再スタートとなります。なぜループが起こるのか? といった謎は体験版の範囲では明かされず、製品版における本編の核となるでしょう……たぶん。これで「ループが発生した理由は特にない。偶然」とかいうオチだったら凹みますよ?

 平凡な少年が世話焼き幼馴染みに起こされるシーンから始まるなど、だいたいの部分は学園エロゲーのパターンを踏襲していますが、何分「グロテスクな表現があります」と断っておくくらいの猟奇サスペンス、それなりにショッキングでドキドキハラハラするシーンが盛り込まれている。挿入するタイミングも絶妙で、まったり安心しかけたところを横っ面から殴りかかられたような衝撃を味わうことに。猟サスとしては期待できそうなノリだ。ただ、まあ、ラストのあれは声の方に注意を取られて、別の意味で驚いてしまいましたけど……んー、でも一度驚いてしまえば以降はもう大丈夫、かな。

 むしろ、「平穏な日常」の雰囲気を出そうとしてコメディっぽい遣り取りしている部分の方が浮いていますね。前作の『青と蒼のしずく』は「笑い」に重きを置いていて、演出もいろいろ凝っていた(標識とか)が、今回はそうしたところがオマケに過ぎないせいもあり、ちょっと滑っているように見えました。ネタがくどいと言いますか、もう少しセーブした方が良かった気ぃします。月子登場イベントもギリギリなムードですし。たまきとのまったり感漂う会話など、「平穏な日常」パートそのものは悪くないから、ギャグの配分は更なる気遣いを願われ。

 グロ描写は思ったほどでもなく、ちょっとライト? さすがに氏賀Y太級の過激さを求めるわけじゃないですが、もう少し残虐にイッてほしかったかなぁ。それでも血はブシャブシャ飛沫いてますし、臓器の絵も出ますので、グロがダメって人はやはり止めた方がよいかと。

 いくつか気になる設定(昔と女子の制服が違うこととか)もあり、それが伏線となって活きてくるかどうかは不明なものの、一応これ以降の展開は気になります。前作の評価がパッとしなかったこともあって期待の度合いは微妙ですけど。ループゲーのジャンルに一石投じるような内容か、猟奇サスペンスゲーの歴史に名を連ねるに足る内容か。延期しちゃったことですし、何はともあれゆっくり待つしかない。

・鎌池和馬の『とある魔術の禁書目録』読了。

 ジョージ・P・ペレケーノスの『硝煙に消える』は最初の1ページを読んだ時点で「これは絶対面白いに違いない」と確信し、まさしく面白かったのでとても清々しい気分で巻を置くことができた。本書に関しても流れは同様であり、まず1ページ目で惚れ、その勢いのまま夢中になってページを繰り続け、一気に読了するや「灰村キヨタカのイラストに釣られてよかった」と胸を撫で下ろした次第。いえ、新人好きですからイラストが灰村キヨタカでなくともたぶん購入に走っていたでしょうけど。

 超能力者を育成する学園都市の高校生・上条当麻がある日学生寮のベランダに引っ掛かっていた銀髪白装の少女・インデックスを成り行きで部屋に上げてしまったことをキッカケとして面倒事に巻き込まれていく──というストーリーで、要はボーイ・ミーツ・ガールです。「〜だよ」「〜もん」口調で、しかもいささかトボけた味わいのあるノリを発揮するヒロイン相手に軽快な漫才を繰り広げるあたりはラブコメというより単にコメディチック。「表紙を一目見ただけで地雷と分かるマンガ」なる表現をはじめ、「不思議ギンパツ女の子」「新手のスタンド使い」といった言い回しや、「禁書目録」と書いて「インデックス」、「連絡網」と書いて「ラヴコール」、「風紀委員」と書いて「ジャッジメント」と読ませるルビの多用ぶり、そして「好感度(パラメータ)」「フラグ」「ハァハァ」「属性」などの用語と、要素の一つ一つが「ヲ」の字で象徴されるジャンルに属するようなものばかり。ライトノベルとエロゲー(ないしギャルゲー)の垣根はどんどん低くなっている昨今ですが、ここまで来るともはやどっち寄りなのか判別できません。発達しすぎた科学と魔法みたいな関係ですね。

 「科学と魔法」と言えば、この作品では超能力者と魔術師が並存しています。大抵はどっちかに統一するのでちょっと珍しい。一応相違点も定義されており、物語に組み込まれています。ただ、シリーズ1作目ということもあってか、二者の違いはそれほど深く掘り下げられておらず、詳細は今後の展開待ち。口絵にも出てくる「あのキャラ」も本編じゃほとんどいてもいなくてもイイぐらい中途半端な役柄になっているし、恐らく2巻以降の構想もあるはずです。というか来月出る予定です、2巻。

 ネタの種類といい、設定といい、構成といい、本気で「インデックスルート」を攻略している気分になるストーリーであり、ボーイ・ミーツ・ガールをこよなく愛好する向きには是非オススメしたい一品。ただ、文章センスにクセがあることと、シナリオに幾分か粗さが見られることから、読み手の嗜好によっては「なにこれ?」となりかねない内容でもあります。そのへんは賭けですね。読んでみないと分からない。正直、バトルもの、アクションものとしてはツッコミどころが多すぎる。

 このサイトを閲覧している方なら恐らくイケるであろうと予測しますが……さてはて、どんなものでしょう。ともあれ、電撃レーベルから今後が楽しみになる新人作家がまた出てきました。これ1冊では作風の幅がどの程度なのか読み切れない点も含め、早く次作以降を求めたい気持ちでいっぱいです。

 それにしても七天七刀ってどうやって鞘から抜くんだろう。2メートル超ですよ、2メートル超。やっぱり、いろいろ計算しているのかな。角度とか。


2004-05-21.

・古い文書ファイルを漁っていたら「スオンカース・カムヒア」「いぬみみデリホーライ!!」なる謎のネタを発見。なんだこれは、と調べてみたらどうも『うたわれるもの』のネタだった模様。思い出したもののいまいちピンと来ない。自分で書いたネタが分からないというのはとても切ないです。

第57回日本推理作家協会賞の結果「Mystery Laboratory」経由)

 『ワイルド・ソウル』は大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞の受賞に続き、遂に三冠達成。作者の垣根涼介は6月に『ギャングスター・レッスン』という新作を刊行する予定です。『ヒートアイランド』の続編。『ヒートアイランド』も6月に文庫化されます。垣根作品にハズレなし。ということで、デビュー作である『午前三時のルースター』を含め、全作オススメ。

 『葉桜の季節に君を想うということ』は本格ミステリ大賞と合わせて二冠。このミスと本ミスで1位を取っていることを考えれば四冠と言っていいかも。個人的に葉桜〜は本格ミステリじゃないと思ってますが、内容が面白いことに関しては激しく肯定します。実のところ歌野作品は葉桜〜以外だと初期作くらいしか読んでませんが、新本格やってた頃より、やや本格から離れた方面へ進出し始めた『ROMMY』以降の作品が評判いいみたいです。クセのある作風だけど、ハマると病みつきになる面白さだとか。

・PULLTOPの『お願いお星さま』体験版をプレー。

 これもこれで長かった……また2日分の暇が消え去りましたし。一昨日の『まじぷり』よりは気持ち程度短かったですが、計ってないので厳密には対比できず。

 ふつうにエロくてふつうに素直じゃない、至ってありきたりな造型の主人公が、すぐ暴力を振るう短髪活発系の幼馴染みや1日違いの早生まれでほとんど同い年なのに上級生となっているおっとり巨乳な幼馴染み、その他、規律に厳しいデコ眼鏡生徒会長やスクープとエロをこよなく好むポニテ新聞部部長、小さくて騒がしい関西弁娘といったキャラたちとともに微エロチックな騒動へ巻き込まれていく。概要としては何の変哲もない学園エロゲーです。ここでスパイスとなるのが謎のロリっ子ふたりの存在。彼女たちが騒動の元凶であり、狂言回しの役割をこなすことになる。ロリっ子のくせしておっぱい星人という時点でもアレだが、それだけに留まらず、ただでさえエロがちな事態をよりエロくしようと努力を惜しまない、主人公にとって迷惑、プレーヤーにとって福音となる位置付けを押さえている。あと単純に可愛いので、普通にしていてもそれはそれで美味しいという抜かりなさ。

 豊富な立ち絵パターンを裏付けとした演出の多用さがプレーしてこちらを飽きさせない。乱暴な青髪幼馴染みのひびきとギャーギャー口喧嘩交わしたり、見た目に反して内面がやや幼い真朋とまったり時を過ごしたり、口うるさい生徒会長や野次馬根性爆裂の新聞部部長に振り回されたり、謎のロリっ子どもに面倒な役目を押し付けられたりと、ドタバタ学園コメディにおける「お約束」の連続によって成り立っているため、ベタベタな展開を愛好する人にとっては絶妙に舌をくすぐられる出来栄え。逆に言えば「ベタベタ」から心が離れつつある人にはあまりに型通りの流れで興醒めしかねない、諸刃の剣。当方はそこそこベタ好きですが、「ベタのために死ねる!」というほどでもないので、プロローグの途中あたりでダレそうになりました。

 というか、体験版の範囲でもプロローグは終わってないらしく、まだ続きがあるんだそうです。超長い。だから、途中でダレそうになった方は多少飛ばしてでも本編に漕ぎ着けた方が良策かと。『お願いお星さま』の肝となる「星図盤パート」を見ずして投げ出してしまうのはもったいない。この「星図盤パート」、詳しく説明しませんが、要はエロイベントです。主人公たちをエロい目に遭わせるため仕組まれた、18禁ソフトゆえの宿命的イベント。エロといっても直接的な濡れ場を描くわけではなく、うっかり接触でドキッ、うっかりチラリズムでドキッ、といったテイストの微エロばかり。コンシューマに移植できるかどうかは微妙ですが、少年マンガの土壌なら確実に持っていくことができるくらいの内容。作中の表現を借りれば「バラエティ番組みたい」というのが適切です。あえてエロを抑制することでコメディムードを引き立て、生み出された「笑い」が今度は逆にエロを盛り上げる。「取り替えっこ」──主人公のパンツとあるヒロインのパンツをそれぞれ履き替えっこするシーンは想定外のエロさに驚くばかりでした。天と地の狭間には思いも寄らぬエロチシズムが潜んでいるようだぞ、ホレイショー。

 プロローグだけなら購買意欲が湧いたかどうか怪しかったですが、「星図盤パート」のおかげで一定ラインの関心が保たれています。『まじぷり』とかち合っていますし、これもやはり月末の状況次第で。どちらかを選ぶとすれば……うーん。どっちでしょう? 「面白さ」の宿る部位がそれぞれ異なるので甲乙つけがたい。


2004-05-19.

・ドライカレーにカレールーをかけるのはさすがにしつこいと反省した焼津です、こんばんは。

「ジンガイマキョウ」一周年

 おめでとうございます。うちも同時期に開設したのでそろそろ一周年。つうか明日だ。ダラダラ運営していたらあっという間に時間が経っていた、という感覚ですね……これもわざわざうちのサイトを見に来てくれる方々、みなさんのおかげです、はい。今後も頑張ったり頑張らなかったりします、と玉虫色の意志を掲げつつ多方面へ感謝を捧げます。

・Purpleの『まじぷり』体験版プレー。

 なッげぇ……。

 最近の体験版が長大化傾向にあるのは重々承知していましたが、それでも2日間の暇が潰せるほどの内容が遊べるとなると驚かないわけにもいかず。じっくり声聞きながらプレーしましたが、少なくとも4時間以上は掛かったかと。堪能したと言うより他ない。

 端的に書けば『秋桜の空に』を思い出すノリでした。主人公の思考はブーストかかりまくりでイカレているうえ、ヒロインたちの造型はあざといくらいに直球「萌え」、おまけに変な口癖まで付いてくる。ドタバタ基調の話としてはいっそ潔いまでに王道を突き進んでいる。行き当たりばったりの奇行と、ギリギリのハイテンションは受け手次第でハマるかスベるか明暗が分かれるところでしょう。当方は結構ハマりました。爆笑……とまで行かずとも、幾度か笑いが漏れたり。しかし、「妹パンツ!」「犬っ娘ワンワン」「俺は激しく憤慨した」など、同じ用語が何度も繰り返すあたりや、一つ一つのシーンを延々と引っ張り過ぎるところなどはくどい。1日が過度に濃密で疲れます。会話のテンポにはキレの良さを感じますが、もう少しシーンあたりのペース配分を考えてほしかった。

 その「ダルさ」を脇におけば、なかなかの楽しさではありました。なぜか犬耳の付いている妹に、「恥ずかしがるとスカートの裾を持ち上げてフリフリする」癖があるなど、狙ったというか狙い澄まされたネタが仕込まれていてプレーヤーのハートを射抜く。射抜いても足らぬとばかりになおも攻め立てる。おねーちゃんぶっていながら明らかにダメダメな雰囲気を発しており、リボンを合わせて「ウーパールーパー」扱いされている空──彼女の天然和み力をたらふく腹に喰らえば「まう〜」なる謎奇声もどうってことなくなる。むしろ「叫べ、もっと叫べよ!」と中毒者気味に。パツキンバニー風の容姿とは裏腹に「その萌えに叛逆する!」と言わんばかりのアルクも熱い。冷めているのに熱い。年下でありながら余裕綽々と放つ悪友ムードに痺れた。そしてメインヒロインの有里はいわずもがな。蟹のようであり多脚戦車のようでもある攻撃的な頭部が象徴する通り、打てば響くツッコミキャラにしてツンデレ有望株の強気少女だ。「……ってそんなわけあるか!」連発。彼女と主人公が繰り広げる漫才は見ているだけで疲れそう。というより見ていて疲れました、実際。面白いけど、やはり引き延ばし過ぎ。

 ラストのアレは「気になる」は「気になる」でもどちらかと言えば「不安になる」という意味合いが強く、あっこから先をプレーしたいかと問われれば「微妙」の一言に尽きる。言っちゃ悪いが、この体験版だけで既におなかいっぱい。一説によればシナリオファイルは2MBもあるとかで、「ダルさ」を懸念事項の一つとして数えている当方には期待材料というより不安材料です。

 それでも面白かったことは確かですし、巡り合わせによっては突っ込む可能性とてないでもなく。月末の状況次第ですね。


2004-05-17.

・Leafの『天使のいない12月』、コンプリート。

 一言で書けば「こんなゲームがあってもいいんじゃないか」という感想に落ち着きます。いまいち面白みに欠く日常描写、パッとしないキャラ立て、シンプルすぎるストーリー構成、何より加速かけまくった思考展開と、シナリオ方面での問題は山積みですけど、美麗グラフィックと聞き心地良いサウンドのおかげでプレーしているときはそれなりに楽しく、ゲーム全体としての雰囲気は悪くない。「ありきたりの幸せ」といった予定調和的な目標へ向かうことを忌避し、自分は何者であるかを把握できていない主人公がいろんなものに惑わされながら、進んでいく道を模索しようと足掻くあたりに「よくある恋愛エロゲー」とは違った面白さがありましたけど、結局、鬱にもハッピーにも徹底し切れない中途半端さが祟って不完全燃焼の色合いが濃厚のまま閉幕となってしまうので、結局は灰色印象ですが。

 主人公が恋愛感情を解さないという設定になっている以上、通常のラブストーリーで息づいている「お約束」を転用することはできず、独自の武器をつくって話を進めていかないといけないわけですが……んー、主人公のあの煮え切らない倦怠感だけで押し切ろうとするのはさすがに無理がある。「恋愛以前の問題に躓く」ところが醍醐味と言えば醍醐味と言えるかもしれないが、主人公の造型は浅いと言わざるをえない。部分的に「等身大の少年」ではありますが、半分かそれ以上は案外と「ふつうのエロゲー主人公」的要素を抱いており、テーマを掘り下げる際の障害となっているように見受けられた。そのうえストーリー展開にうねりが乏しく、コンセプトを完遂できていない。なんでもかんでもキャラたちに喋らせようという、言葉に頼りすぎた構成が退屈で、せっかく積み上げてきた要素群さえ陳腐に見せてしまう。言葉よりもむしろストーリーでテーマを浮き彫りにしていってもらいたかった。

 小指の先に灯った希望を糧にして生き続ける、やや散文詩寄りの日常を描いている点で個人的には好きですが、かと言って誉める気はしない一作です。客観的な評価があまり意味をなさず、波長が合うか合わないかで全然面白さが違ってきてしまう作品ですし。当方は栗原透子というひどくイジメ甲斐のあるヒロインが出てきただけで満足した、ってことにしておきます。根底にあるのは無力感──自分が世界に対して無力であることと、世界が自分に対して無力であること──ですから、「意志や行動には意味と価値がある」「努力はそれなりに報われる」といったことを期待する向きにはオススメしません。

・小川一水の『導きの星4』読了。

 宇宙、戦乱、そして真相。

 刊行期間にして2002年1月から2003年11月までと2年近く、作中時間においては約600年──だいたい300倍くらいの速度で展開された壮大な箱庭的文明誘導物語も、これにてようやく完結です。冊数で言えば4冊、それほど長大でもないんですけれど、やはり話のスケールもあってか読み終えた際の感慨はなかなかに大きかった。

 リスに似た体長1メートルほどのオセアノ人を、火の獲得から宇宙進出まで、時間を飛び飛びに要所を押さえながら見守っていく展開は『シムシティ』のプレー感覚にも似て、既決されたストーリーを一方的に読み進めていくだけなのにSLGを攻略するような面白さを体験させてくれました。多方面に渡る知識を淀みなく捌き切る手つきに惚れ惚れし、オセアノ人を中心とした大河ストーリーに熱中し、どんどんスケールが拡大していく謎の陰謀に興味を惹かれ、まるで「退屈」の二文字とは無縁の内容でした。

 スケールが膨らみすぎたせいで1巻の頃の面白みと4巻における味わいが違ったモノになってきているのは楽しくもあり、少し残念でもあります。物語の形式として「日常から非日常への移行」を避けるのは難しく、そういつまでも「オセアノ文明の発展を見守る」という主人公たちの「日常」を続けていてはストーリーの転換も終結もままならず、心地良い箱庭遊びに見切りをつけないといけないのは分かりますが……うーん、あくまで生温い「日常」の湯に浸かっていたかった心境もあって複雑。

 しかし、このシリーズ4冊を通じて当方が小川一水への関心を激しく増加させたことは確実につき、6月からの新シリーズ『復活の地』3部作も今から期待を高めて待っています。


2004-05-16.

・製品版どころか体験版すら積み始めている状況に溜め息が漏れそうな焼津です、こんばんは。なんかもう最近は製品版ブッチして体験版だけやっとけば充分なんじゃないか、とさえ思えてきます。

『モエカす』、仕様変更

 メディアがCD-ROMからDVD-ROMに変わり、価格も6800円から7800円へ。延期+値上げのダブルパンチに購買意欲は削がれ放題。そろそろ「様子見」という手段の採択も検討し始めています。6月は注目作が多いことですし。とりあえず優先順位を引き下げとこうかと。

・Leafの『天使のいない12月』、プレー中。

 残すヒロインはあとひとり。選択肢が必要最低限の数しか出てこないので攻略は楽チンです。しかし、どういった選択をすればどのヒロインを攻略できるのか、が分かりにくいので、コンプ目的じゃない場合は苦戦するかも。

 シナリオに関しては何とも言い難いです。正直、主人公の思考には付いていけないものがある。「スキだけど愛していない」など、ひたすら恋愛ゲーの王道とはまったく逆の路線を突き進んでいくストーリーで、既存の恋愛ゲーに対するメタ的な視線を孕んでいたりもしますが、なぜその子のことを好ましく思っていながら恋人にしたくないのか──という説明がその都度その都度で微妙に異なり、たまに主人公が何を考えているんだか本気で分からなくなることもあります。

 電波がかっているのは主人公だけに留まらず、ヒロインたちも結構アレな子が多い。まんべんなくズレてます、このゲームに出てくるキャラクターの性格。どいつもこいつもエゴイスト、と断じても差し支えないかと。やってることは恋の駆け引きというより、ほとんどエゴ・バトルの領域です。「あたしはあたしのことしか考えられないぃ!」の叫びには感銘すら覚えた。キャラのひとりひとりが独自の「俺ルール」みたいなものを持っていて、それを破った奴はたとえ自分自身でも許せねぇ、と異常な頑なさを見せる。中国の武侠モノにおける理解しがたいロマンのように、なんとも解釈しにくい価値観が彼らを支えている模様です。修羅場っていても何が問題の争点なのか把握できないこともしばしば。

 こちらを置いてけ堀にしがちという点では実に誉めにくいシナリオです。脇役が不自然くらいベラベラと喋って主人公の知らない情報を補足するなど、構成にも甘さが見え隠れする。それでも部分部分に膝を打ちたくなる巧い話運びがあったりして、難はあっても嫌いになれない。しのぶシナリオは粗さが目立つけど、ラストあたりは個人的に好き。「願ったのはつかの間の安らぎ──叶ったのは永遠という贖罪──」「それは永遠でなく。真実でなく。ただ、そこにあるだけの想い……」と気取っている割には未消化感が激しく、もったいないとは思いますが。

 それにしてもメインヒロインである栗原透子のボイスがすごい。なんというか、耳にこびりつく。黒髪ショート+眼鏡と、外見からして「クラスメート(女子)」みたいに名前すら与えられないサブキャラの雰囲気を漂わせていますが、声ともなれば「マジでこれがメインヒロイン?」と聞き返したくなる代物。『いたいけな彼女』の七瀬ほのかと同様「いじめたくなるボイス」の一種なんですけども、トロ臭くたどたどしい調子がこれ以上ないくらいに発音されている。いちいちマジメに聞いていたら神経がささくれそうになります。でもそれは第一段階。このもたもたした喋りに慣れ始めたところからが危ない。よりによって愛着を覚え始めてしまうんです。庇護欲をそそられるというより、単に「こういう可愛らしさもアリじゃない?」という軽いノリで受け入れてしまう。透子のポンコツでダメダメなところがちっとも悪く思えなくなってくる。素で共依存の心理が味わえてきますよ。終いには「天いな」と全然関係ない文書を読んでいても勝手に透子ボイスで読み上げられてしまう始末。本当にこびりついてます。怖いねぇ。

 グラフィックの美麗さゆえにシナリオの瑕疵が幾分かカバーされているといった印象が強く、ゲームそのものはプレーしていて退屈じゃないけれど、主人公が何も目的意識を抱いていない分、物語のゴールが見えず、つい先を急ぎたくなるって思いが湧き、いくつかのシーンでスキップを掛けてしまいました。波長が合わないと少し辛いですね、この話。んー、暗い青春モノはなにげに好みなので着手してみましたが、アタリでもなくハズレでもなく。もうちょっと頑張ってコンプリートまで漕ぎ着けるとします。そうしたら最終的な評価を出そうかと。


2004-05-14.

・もう随分とコンシューマ・ゲーム機のソフトをやっていないことに気づいた焼津です、こんばんは。たまたまゲーム屋に寄ってPS2ソフトの棚を覗いたんですが、興味を惹くソフトが驚くほどあって、買う気もないのに丹念に見て回ってしまいました。これだけ沢山面白そうなのがあると、却って復帰する気がしない。ポリゴンへの苦手意識が強い旧弊なゲーマーゆえ、3Dバリバリの最近作には気後れしますし。やはりゲームは2Dが落ち着く。

・『School Ramble』5巻の初回限定版は「番外編コミックブックレット付」とのこと。冊子系統の特典には心動かされますが、そろそろ限定商法に迷わされるのも疲れてきたので素直に通常版を購入する所存。

Fate絵、キャスター&セイバー

 キャスターさんは素顔が見えなかったときから可愛いと思っていたクチですが何か? 位置的にはヨゴレ役に近いけど、何をしても「まあ、キャスターさんだしねー」みたいな感じで許されてしまう独特の雰囲気があるような。

「バンゲリングベイ」のストーリー

 1時間もプレーせずに中古屋へ売り払った記憶のある一作。しかし何気にこんな熱いバック・ストーリーがあったとは。再プレーしたくなってくる始末。というかこの攻略本がほしい。

・なんとなく『天使のいない12月』をプレーし始めてみる。あっという間に一周。スタッフロールも流れないので、バッドエンドないしノーマルエンドっぽい。主人公以外はフルボイスだし、ひょっとするとこの天いな、それほどテキスト量はないのかも。

 「生きるのも面倒臭いが死ぬのも面倒臭い」とやや人生に倦怠気味な少年が成り行きでクラスの地味な女子(眼鏡)とヤってしまい、恋愛感情もないのにズルズルと関係を引き摺ってしまう──というダラけた雰囲気の青春ストーリー。主人公の性格は鬱屈している、というほどでもなく普通に暗い。『雫』の長瀬祐介みたいに並み程度の社交性は有している。「灰色の青春」を扱った話としては適度にヌルく、のめり込む要素はないにしてもそこそこ楽しい。ヒロインに関しては栗原透子以外ちょっとよく分からなかったですけど、この透子に関してはなかなか。もたもたしたボイスと言動から立ち昇るトロ臭いムードがイイ具合にウザったく、「イジめたい、イジりたい」といった欲求を沸き立たせる。ただ今のところイジめ甲斐を強く感じるようなイベントがないので、満足には至らないけれど。

 中途半端にお人好しで中途半端に自分勝手な主人公を、ヒロインたちという複数の鏨でどれだけ彫り込んでいくことができるか。少しばかり期待しながら続けるとします。


2004-05-12.

Lassの『3days』が5月末から6月末に延期

 猟奇サスペンスとして期待していただけに「な、なんだってー!?」という気分。しかし、確か5月末という予定も元はと言えば4月末から延期した結果だったような……ループするのは作中だけにしておいてくだされ。

TYPE-MOONにて「Fate/side side materiale」公開

 Fateのメーカー通販特典。発売から3ヶ月以上経って遂にWeb公開されました。Fateの企画発足から発売までの流れを追った「タイプムーン年代記」はリアルタイムで2年間待ち続けたファンにとっては感慨深いものと思われます。その他イラストなどもふんだんに盛り込まれており、予想していたよりも豪華な内容。Fateスキーの方は言われなくても速攻でDLしていることでしょうが、ネタバレはないのでFate未プレーの方であっても安心してご覧になれます、はい。

『Like Life』体験版をプレー。

 いろんな意味で話題になっているこのソフト、期待と不安を半々にして着手してみましたが……あー、んー、なんというんだろう。ほとんどノリと勢い「だけ」。良くも悪くもハイテンションで、無闇にテンポが早い。地の文がほとんどなく、主人公の心情描写や状況の説明はひたすら省略されている。「会話はキャッチボール」と言いますけど、このLLのキャラどもは暴投しまくりです。ポンと言ってポンと返されても即座に意味を汲み取ることができず、「こいつはどういう脈絡でこのセリフを吐いたのか?」との疑問が解消され理解が及ぶまで少し時間が掛かってしまう。スピード感はあるが、決してテンポが良いとも言えない。独特の感触。賛否両論なのも頷ける。

 案外体験版の範囲が短かったせいで作品のコンセプトも把握できなかった。「器物が人間になってしまう」という騒動を描いた話らしいのに、それっぽい説明が全然ないし。主要キャラが次から次へと出てきては自己主張して脇へ去っていく。散らかすだけ散らかしておいて少しも片付けていない印象。混沌としています。

 えーと、なんかちっとも誉めてないんですが、不快感しか覚えなかったかといえば否。生温かくて僅かにベトついている結未のボイス、そしていつも通り安定している順にゃんの姫子ボイスが織り成す音声砂上楼閣に当方の脳はとろけっぱなし。このふたりのボイスは耳にしているだけで「春が来た、春が来た」と実感するほどブレイン・ウォームでハート・マイルド。ぶっちゃけイイ具合でハマります。高速ドタバタ劇に「わけわからん」とボヤきつつも、いつの間にか異空間テイストに酔い痴れてメロメロになってしまっている。アルコールが入ったときや無闇にテンションの高い深夜時にプレーすればもっとイイ具合でノれるかもしんなァい。

 ふつうに見ればアレですが、頭の中のツマミを捻ってふつうじゃない見方をすると妙に楽しい一本であります。箸が転がってもおかしいというか、深夜番組の滑ってるギャグを目にしてもケタケタ爆笑してしまう感性の持ち主にオススメしたい。

・伊坂幸太郎の『ラッシュライフ』読了。

 偶然とはいえ上の『Like Life』とタイトルが似通っているあたり、何らかの巡り合わせを感じるような感じないような。『オーデュボンの祈り』でデビューした著者の第2長編で、前作から2年くらい間が空いていたせいもあって刊行時に「おお、まだ生き残っていたのか」と感心した記憶があります。オーデュボン〜が「予言者である案山子が殺害された!」というふざけた話でなければ新人の作品と間違えていてもおかしくなかった。このラッシュライフが出た時点じゃ伊坂幸太郎は話題に昇ることもないマイナー作家だったわけです。それが今や「このミス」にランクインしたり直木賞の候補になったりですっかり有名になってしまったものだから分からないものだ。

 で、肝心のストーリーですが……すみません、すごく説明し辛いのであえて書きません。要は複数の視点を用いて物語を構築していく形式で、「モザイク型」とか呼ばれるタイプだけれども、全編を代表するようなエピソードがないため、どうあらすじを書いても内容が巧く伝わらない。一応、タイトルの「ラッシュライフ」や、永遠に階段を回り続けるエッシャーの騙し絵が作品のテーマになっているにはいるんですけど。

 最初は全然関係なさそうだったエピソード群の相互の繋がりが次第に見えてきて、クライマックスに至り全体像を把握できるようになるあたりはこの手の話の醍醐味であり、それに関しては申し分ない仕上がりです。少しセリフ回しが説明的だったり、話の持っていき方が強引だったりしますが、勢いはあるし興趣をそそる展開も心得ているので読者を飽きさせる抜かりはなし。欲を言えばもう一つ衝撃があればよかったが、『オーデュボンの祈り』と比べて確実に成長の痕跡が見られ、次作以降はもっと面白くなっているはずだ──と楽しみな気分にさせられる。

 一番印象に残っているキャラクターは、やはりあの老犬か。あいつの存在が物語を引き締めているように思えます。『スナッチ』といい、こうした引っ掻き回しの激しい話には犬とか猫とか、人間以外のキャラが良いアクセントになるのかもしれない。小気味良いストーリーを堪能したい方にオススメ。


2004-05-10.

・3日連続で弁当放置プレイ。こんばんは、焼津です。せっかく弁当を買ったきてもしばらく置いているうちに食べ忘れてしまい、そのまま一昼夜放置という荒技をかまします。ラーメン屋で豚骨醤油を啜っている最中に「あ、弁当……」と思い出し、消費期限ブッちぎっているし腹は既に膨れつつあるしといろんな意味で手遅れになっていることを痛感して悶える仕儀。ここまで忘れっぽいともはや痴呆の領域かもしれず。

・そういえば武内崇(『月姫』『Fate/stay night』の原画)が新装版『ヴァンパイヤー戦争』のイラストを手掛けるとかいう話がありましたけど、6月に1巻と2巻が発売される予定みたいです。講談社文庫。角川文庫版は持っていますが、絵の出来次第で買い直そうかとも思案中。

・そして古橋版デモベは7月1日に発売予定(ページ下の「お知らせ」参照)とのこと。CS版の発売に合わせたのだろうか。本当にこれが最後の延期だといいんですけど……『機神咆吼』『機神胎動』ともども。

「異形」

 井上雅彦の「脱ぎ捨てる場所」と、木村裕一の“あらしのよるに”、そしてニトロのアレが未だ胸の奥に突き刺さっている当方にとって回避不可能の直撃弾。美醜を意識すればするほど愛しさが募る。


2004-05-08.

・へろへろになって昨日更新できなかった焼津です、すみません。隔日くらいのペースは保ちたかったんですが……。

 割と中途半端な連休だったとはいえ、心身ともに限りなく休眠モードへ近づいていた模様。まあ、『大番長』引っ張り出して夜な夜な睡眠時間を削っちゃったのも響いてる気がしますけど……『学園KING』や『鬼畜王ランス』に狂っていた頃と少しも変わらない自分へ生温かい愛視線。

「このライトノベルがすごい!」、結果発表

 トップのあれは「やはり」といったところですが、その下で意外な作品が健闘していてビックリ。イラストと文章が噛み合って織り成す緩やかな雰囲気が好きではあるけれど、なにぶん本の刊行速度もストーリーの進行速度もスローリーなので、こうも上位に食い込むとは予想できなかった。

『こんねこ』、6月から10月に延期

 夏から秋へのワン・シーズン・ジャンプ。割と真っ当に期待していた作品だっただけに残念。とはいえ6月は個人的に注目作が多い(買うかどうかはともかくチェックしているソフトが15本)し、費用面で言えば助かったかもしれず。これがスタンピードの始まりで、次々チェックしてたソフトが6月のフィールドから去っていく……なんてことになったら「助かった」とも言ってられないけれど。


2004-05-05.

・よりによってこんな天気の日に用事ができるとは。雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ。でも本音を言うと素直に負けて部屋に篭もりたかったです。

PLAYM『リアライズ』、コンプリート。

 結論から書くと、個人的には楽しめたが人には少しばかり薦めにくいソフト。一番の難点はシナリオが不完全燃焼であることです。思わせぶりに出てきたキャラが本筋に絡んでこなかったり、クライマックスの展開がやけに性急で慌しく無理矢理畳んだ印象があったり、つくづく「惜しいなぁ」という念が湧く。

 自我を具象化したもの──「エゴ」を操る少年少女がメインとなって右往左往、東奔西走するサイキック・ストーリーで、エゴによるバトル展開をふんだんに盛り込みつつキャラたちの内面描写を丁寧に行っているところが良かったです。一応、松浦亮が主人公ということになってますが、視点はコロコロ変わって他のキャラの思考や心情も描かれるため、下手すると亮よりも出番の少ないサブキャラの方に感情移入してしまいかねない。何せ亮は寡黙少年で、いまいちどういう性格をしているんだか掴み所がないので……。

 肝心の要素となる「エゴ」は自我が形を獲得した結果生まれるものなので、当然持ち主の個性が色濃く反映されます。エゴはエゴ使いにしか見えない、という設定はジョジョのスタンドと一緒ですが、物質にも直接影響を及ぼすことができるスタンドとは違い、エゴは精神にしか直接働きかけることができない。エゴのバトルは基本的に内面の闘争です。エゴというもの自体が異様なものだから、その持ち主もまた尋常ならざるパーソナリティを保有したひと癖もふた癖もある人間ばかりで、「我を通す」ことに執着する傾向がある。だから、「エゴ使いたちは戦い合わねばならない」というルールがあるわけでもないのにしょっちゅうバトルが巻き起こってしまう。そのうえエゴは他のエゴを攻撃し、その破片を吸収することでより強くなる──戦えば戦うほど強くなる性質を持っているとなれば戦いがどんどん激化していくのは当り前。ひょんなことからエゴの力に目覚めてしまった主人公は否応もなくこの争いの渦に巻き込まれていく。

 どんなに凄いエゴでもタバコ一本動かすことができず、マテリアルな視点から見ればまっこと非生産的なこと極まりない能力ですが、その代わり「精神への作用」は抜群。巧いことやれば相手の精神をハックして好き勝手なことをできてしまうとても危険な能力でもあります。エゴそのものにタバコを持ち上げる能力がなくとも、エゴで操っている人間にタバコを持ち上げさせることは可能なんです。特にエゴへの抵抗手段を持たない一般人相手となれば本当に為すがまま。あっさり奴隷にできてしまう。ほとんど『雫』の毒電波と変わらない凶悪なパワー。ただし、エゴの持ち主は大抵どうしようもない性格の連中ばっかりなので、「エゴ使いたちが新人類となり、旧人類を侵略・征服する」みたいな展開にはならない。せいぜい少数の仲間同士でつるむ程度の協調性しかなく、大それた計画を実行に移そうとする奴は「出る杭は打たれる」方式でボコられる。組織みたいなのもあることはあるみたいですが、少なくとも舞台となる関東にはそれほど影響力のあるグループは存在していない。

 人とは違う超常的な力を手に入れたら早速悪用してみたくなるのが人情ですけれど、この『リアライズ』の世界では「出る杭は打たれる」のです。調子に乗ってエゴで遊んでいると囲まれた挙句さっくりシメられます。だから能力者はなるべく自分の正体を隠しているし、保身のため人目に付くところではエゴを使わない。そのへんの基本が出来てない奴から真っ先に狩られていく。こういった「弱肉強食」のシステム──エゴ使いだからといって楽じゃない、むしろ何も知らない一般人の方が却って幸せ、という状況が面白かった。

 自我や精神といったものが中心になっていく以上、どうしても話は観念的な方面へ走りがちになりますが、主人公たちは常に「何が正しくて何が間違っているか」などの意見を戦わせ、各々のエゴを認識し合うことで己の立ち位置を模索していく。バトルと同じくらいかそれ以上に苦悩や思考が繰り返されるのは、読んでいて地味だし盛り上がりに欠けるけども、そうした地道さの積み重ねが作品世界のバランス感覚を明瞭にしている。決して無駄ではない。

 素地はいいんです。キャラクターがたくさんいて、いっぱい戦いながらいっぱい喋り合っていっぱい考えて、「当り前にエゴが存在する世界」を築き上げている点については当方も評価したい。けれど、それが後半に入った途端失速してしまうのが残念。ノベルゲーの分量としてはそこそこであっても、風呂敷を広げすぎたせいでボリューム不足の憂き目がリアライズしてしまっている。トゥルーエンドに至るルートや、バッド扱いながらも限りなくトゥルーに近いルートなど、注目に値する部分もちゃんとあるのに……果たして時間切れだったのか、力尽きたのか。最小限にしかまとまっておらず、惜しい結果となっています。

 それと、バトルについては「知力を振り絞る」みたいなノリではなく、戦闘開始前からだいたいカードの組合せで勝敗が読めてしまうものが多い。展開にしろ描写にしろ淡々としていて、熱狂的な盛り上がりを見せるシーンはない。「燃え」を期待すると肩透かし。ただ、「一瞬の油断が命取り」「優位性は簡単には揺らがない」「負けるときは負ける」といった非情なまでの簡潔さが主人公たちを取り巻くエゴ・ワールドの殺伐とした雰囲気を表しているようで、「精神離脱」のBGMに漂う不安感とマッチしている。個人的にはサムズアップしたいくらいナイス。主人公のエゴはあんまり魅力を感じなかったが、「銀色のギア」は最高。演出とも重なってあのエゴがもっとも印象的だった。デザインで言えば「蛍光オレンジ」も胸キュン。

 キャラに関しては、亮と修二の友情も捨てがたいけれど、麻生春秋、宮路沙耶のふたりがなんといっても良かった。春秋は眼鏡にパッとしない髪型で、いかにもザコっぽい。でもそんなに弱くはない。かと言って主役を張るための確固たる信念もなく、また悪役を任されるほど強烈な欲望もない。どうにも中途半端。だが、そのセコさ、無動機ぶり、小者感がたまらなく愛しい。終盤ではこいつが出てくるたびワクワクしました。一方、宮路沙耶は男キャラがやたらくたら目立つこのゲームにおいて、女キャラとしてはたぶん一番存在感がある子だと思います。他人のエゴを「吸収する」のではなく「切り捨てる」ことで己のエゴを磨き上げていくスタンスに震える。「孤独を研ぎ澄ます」なんてカッコ良すぎ。あるキャラとカップリングされるんですが、そいつとイイ関係になる際の過程がいまひとつ強引で納得いかない。そこでもっと工夫を凝らしてくれたら一層魅力が増しただろうに……。あ、それから「可愛くない笑顔」が実は可愛いと思うのって当方だけ?

 もう結論は最初に書いてしまったからまとめる必要もないんですが、とにかく残念なソフトでしたね、これ。プレー前はそれほど大きな期待をしていなかったけど、いざ始めてみたらなかなか面白く、じわじわと引き込まれて期待が膨らんでいっただけに、最終的に当初の期待に添うレベルで落ち着かれても不満が噴出してしまう。なまじ途中までが良かっただけに、ラストの失速が悔まれます。やはりこれだけの大人数は捌き切れなかったのだろうか。

 できればファンディスクなり続編なりで大いに補完してほしいけど、FDや2が出るようなゲームでもなさそうですし、期待できるかどうかで言えば微妙。加えて何年も経ってから──とかいうんだったらさすがにそれまで待てるもんだか自信がない。

 面白かったけど、いろいろしこりの残る一本でした。


2004-05-03.

・えっと、確か3年ぶり? 『BASTARD!!』の新刊を買った焼津です、こんばんは。刊行速度のあまりにあまりな遅さといくつか投げっ放しになっている展開があるせいでとうに購入リストから外したシリーズですが、『PARADISE LOST』の影響で少し懐かしくなり、つい購入してしまいました。中身はCGバリバリ。手描きスキーの当方としては少し萎え。ノリはパラロスというよりデモベだったかな。ともあれ、古橋版『デモンベイン』がまた延期したことによる悲しみをほんの少し癒すことができたので個人的には満足。

『リアライズ』、プレー開始。1周目終了。

 どうもバッドエンドっぽい? イイ具合に盛り上がってきたところで中途半端な結末を迎えました。うーん、何が悪かったのだろう……それとも、初周は固定でBEなのかな? なんであれ2周目にチャレンジしないと。

 ある日突然、他の人には見えない不思議な浮遊物を目にすることができるようになった少年・松浦亮が、「エゴ」と呼ばれる能力を使う者たちの争いに巻き込まれていく……といった感じのサイキック・アクションです。最近だと「異能バトル」とか書いた方が通じ易いかも。要はスタンド、ペルソナ、アルターみたいな召喚系の超能力を扱ったストーリーで、少年マンガやライトノベルに多いタイプだ。視点の数が多く、一応松浦亮が主人公ということになっているが、他のキャラもおざなりな扱いは受けておらず、それぞれにスポットライトが当たる構成になっています。正に「青春群像劇」。脇役までしっかり立ち絵や顔絵、名前を用意しているため、作品世界に馴染んでいくことは容易い。

 過剰も不足もなく、とても読み心地のいいテキストにまず好感触を抱きましたが、次いで良いのが「エゴ」周りの作りこみ。グラフィックからして素晴らしく、外見や性能の説明も端的で当を得ている。絵と文が絶妙にマッチし、もともとこの手の異能モノが好きな当方はあっさり引き込まれて夢中になってしまいました。「銀色のギア」なんか、パッと見で「?」と思わせた後に、実戦で「!」と驚かせてくれる。いやぁ、たまらない。ギア最高。

 バトルの比重はそれなりに高く、ザコまで怠ることなく活躍してみせるあたり心憎いけれど、「エゴ」にまつわる非日常的な要素と、学園生活などといった日常的な要素がうまく混ざり合い、全然雰囲気の違う場面へ移行しても違和感が発生しないスムーズな手応えがまったくもって巧い。現実感との兼ね合い、バランス感覚が実にさりげない。もはや舌を巻きたい。強いて挙げれば上遠野浩平のブギポと通じるノリ。ヒーローなんかいなくて、誰もが等分の生を与えられており、目を疑う奇妙な闘争さえ彼らにとっては日常の延長線上……と、なんとも淡々たる空気が流れている。少年マンガみたく傷だらけになって大量の血を垂れ流しながら戦う無闇なまでの「熱さ」はない。血のほとんど流れない、抑制された闘争心と冷ややかな悪意が作品世界の一部を支えている。

 「一応主人公」の松浦亮が寡黙すぎるのはたまにイライラしますが、軽率さがなく、慎重に行動する性格というあたりには好感が持てる。彼女に当たる蛍も、ちょうどいい濃度の日常ムードを出してくれてうざったさを感じさせない。後輩の倫とか、いまひとつ役割の分からないキャラもいますけど、プレーしていて「邪魔」と思ったキャラがひとりもいないのは大したものかと。誰かが出てくるたびにそっちへ興味が湧いて果てることがない。

 読んでいて退屈しない、それどころか先が気になってどんどん読んでしまう、ノベルゲーとしては「アタリ」の感触を強く得た一作でした。まだ1周しただけですし、どんなオチがつくのかも読み切れませんから、評価は先送りにしておこう。ただ、仮に投げ遣りな結末を迎えたとしても、途中まで随分楽しませてくれたことは確かですし、どうあっても誉める余地を見つけるつもりでいます。

 当方の好きなキャラは麻生春秋と宮路沙耶。次いで修二、亮といった塩梅。理由はまたいずれ。

・沖田雅の『先輩とぼく』読了。

 第10回電撃ゲーム小説大賞「銀賞」受賞作。電ゲ賞(次回からは「ゲーム」が消えて単に「電撃小説大賞」となりますが)において銀賞は大賞、金賞に次ぐ三席目であり、この後も選考委員奨励賞、最終候補作、二次落ち作品……と続いていきます。だから、新人のランク(と言っていいものかどうか)としてはちょうど真ん中ぐらいに当たるわけです。レベルは低くないものの、若干クセがあり、万人受けしにくい──そんな感じの作品が多く、やや中途半端な位置。過去の受賞者たちを見ても、金賞や奨励賞など前後の席から出てきた作家の方が目立って活躍しています。それでも阿智太郎、三雲岳斗あたりは頑張っていますし、寡作ながら印象の強い三枝零一もいて、決して侮れない。侮れないんですが……やはり「微妙」といった感触がどうしても残ってしまう。

 で、「先ぼく」について。今年2月にこの1巻が出て、来月に2巻が出る運びとなっており、ペースはまずまず。しかし、シンプル過ぎてどんな内容なのだか想像の膨らまない地味タイトルゆえ店頭に置かれていても存在感は希薄。イラストは『処女宮』の日柳こより。個人的には好みの絵柄ですが、これもインパクトは弱い。とにかく「目立たないこと」に特化したような一冊です。内容を一言で表すとすれば、「好奇心旺盛な先輩に振り回される主人公」──UFOも超能力も幽霊も実在する割と大雑把な世界で、押しの弱い主人公が破天荒な性格の先輩によってスラップスティックな騒動に巻き込まれていく顛末を綴ったコメディ。谷川流のハルヒシリーズと少し重なる部分があるノリだ。で、正直に書いてしまうと……かなり粗い。文章力、構成力、ネタのセンスなど、基本的なところに難が多いせいでストーリーは盛り上がらず、コメディのキレも鈍い。ウケるところよりも滑るところが大部分。言い回しに違和感を覚えるところがいくつかあり、テンポもいまひとつです。

 が、それでもなお「面白い」と思うことができたのは、ひとえに設定のおかげ。いや、設定というよりむしろシチュエーションか。バラしてしまえばこの話はトランスジェンダーものであり、そこの部分を十全に活かしてラブコメを描いている。これが勝利の鍵だ。ホント、誰もが一度は妄想したことのあるシチュだと思います、これ。ネタそのものは斬新ではないし、類例はたくさんあるけれど、ほんの少しアプローチを変えただけで見事な面白みを引き出しています。気持ち程度のエロネタを混ぜてうっすら倒錯感を漂わせているところもナイス。当方、実はこの手のジャンルが好きなんですよ。欲を言えばもっと「先輩とぼく」のカップルがイチャイチャして比類なきバカップルぶりを周囲に見せ付ける展開がほしかったし、シチュに関しても更なる掘り下げをしてほしかった。ライトノベルのトランスジェンダーものとしては適度なヌルさだけど、「適度」に収まるようじゃ、ハマれない。

 「先輩LOVE」の点で言えば同レーベルの『護くんに女神の祝福を!』に軍配が上がるものの、シチュの美味しさに関して言えばこっちも見逃せない。ただ、シチュはともかく他の基礎的な部分については不安が残りますので、『先輩とぼく』シリーズには期待できても沖田雅という作家には期待できるかどうか曖昧。このシリーズにしたって、長期化するとなると相当のネタ+作者の体力が必要ですから、それほど引っ張れないだろうし……同レーベル某作品に匹敵するギリギリの踏み込みを見せるならば話は別ですが、あくまで「まったりほのぼの微エロラブコメ」の路線を貫くためには何らかの梃がないと。


2004-05-01.

・久々に変な夢を見ました。なんかやたら強烈な印象があったので起きてすぐに書き取ってしまった。こちらがそれです。今読み返してみるとまるで訳が分からない。実に奇っ怪。とはいえ少し懐かしかった。

Signの新作『七人の妹』、発売延期

 ギリギリなバカっぽさが密かにツボで期待していたのに……残念。5月の注目作が一つ減ってしまった。

桐野夏生さんの「OUT」、エドガー賞逃す「Mystery Laboratory」経由)

 こちらも残念。「ひょっとしたら……」と続報を心待ちにしていたのですが。それはそうと積んでいる『残虐記』『玉蘭』もいい加減崩しどきかな。

「それは、宇宙を侵す愛」第5話公開。

 最終話。これにて完結です。幕を降ろすために強行軍となってしまいました……今後はもっとペース配分を考えたいところです。といってもノリと勢いで書くのが性分の当方、難しいでしょうな。と、他人事みたいにほざいてみる。

 何はともあれキリリク作品も無事──かどうかはともかく、なんとか幕を引くことができたことですし、早速気になる新作に手をつけてみようかと。まずは『リアライズ』。高橋龍也&水無瀬徹の完全新作としては実に7年ぶり。期待と不安が半々ってところです。というか、情報収集を怠っていたせいでぶっちゃけどんな内容のゲームなのか、詳しいことに関してはまったくさっぱりだったり。


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