2016年3月〜4月


2016-04-17.

・今期のアニメをひと通り視聴。オリジナルで気に入ったのは『ハイスクール・フリート』以外だと『迷家-マヨイガ-』『クロムクロ』『キズナイーバー』の3本な焼津です、こんばんは。

 『迷家-マヨイガ-』はジャンルで言うとホラー、あるいは伝奇サスペンス? 都市伝説としてまことしやかに囁かれる「地図に載っていない、存在を抹消された村」納鳴村(ななきむら)を目指し、「人生やり直し」という奇怪なお題目を掲げて組まれたバスツアー。納鳴村なんてものが本当に存在するのか? 彼らはそこに辿り着いて何を見、何をするのか? 1話目は完全に導入と割り切ったつくりで謎だらけのまま幕を引いてしまう。名有りのキャラが非常に多い。キッチリ数えたわけじゃないが、ザッと見ただけで30人くらいいます。こいつらが納鳴村で複数の派閥に分かれて争うのではないか、と推測される。水島努(監督)と岡田麿里(シリーズ構成)が『自殺島』的なアニメを作ったらこんな感じになるのかな、っていう雰囲気。サバイバル寄りなのか伝奇推しなのか、現時点では判然としないがこういうのはワクワクしますね。好きなノリです。シリーズ構成がマリーだけにアナタハン島展開に縺れ込んでいきそうな気もするけれど、それはそれで楽しみ。

 『クロムクロ』はロボアニメですね。ヒロインたち女生徒の制服がエロゲーみたいで扇情的。夏服にしても袖が短すぎる。敵のロボットが古来より「鬼」と呼ばれていた存在で、それを討つ主人公サイドのパイロットがコールドスリープ(?)から全裸で目覚めたサムライ。ヒロインは彼が守ろうとした姫の生まれ変わりか何か? タイトルの「クロムクロ」はまんま「黒骸」の模様。ただクロム鋼っぽい響きでもある。人物は活き活きと描けている感じながら、巨大ロボのデザインがあまり格好良くないな……でも2話の殺陣は見応えあったし、「ロボの巨大さ」を実感させる演出も巧みに織り込まれていて迫力があった。慣れてくると楽しめるかも。とりあえず私はヒロインの体目当てでしばらく追いかけるつもりです。

 『キズナイーバー』は「傷」「絆」「ナイーブ」を掛けたタイトル。「KIDS」も入ってるかもしれない。「新七つの大罪」として「脳筋DQN」やら「独善ウザ」やらといった自己中心的なキャラが続々と登場します。他人の痛みどころか自分の痛みさえ知らない蒙昧たる彼らに、「痛みを我が物としてもらう」べく編み出されたキズナシステム、それは「グループ間で痛みを共有し合う」という一蓮托生あるいは連帯責任めいた理不尽な「傷の輪」であった。「折れた足をいじられると彼は痛いが…わしは痛まない…!」と兵藤会長も言っていた通り、人間は他人の痛みに対してひどく鈍感であり、黒鉄一輝が自ら放つ「心の悲鳴」を聞き取れなくなるように己の痛みに対しても顧みないような局面が発生することはある。だから、常に「誰かの痛み」を「みんなの痛み」にする仕組みがあったら、人は自分に対しても他人に対しても優しくなれるのではないか……とかなり極論まみれでブッ飛んだ思想に基づく青春サスペンス。聞いた瞬間まず「危ないだろ」と感じるのが普通でしょう。メンバーの1人が致命的を超えたオーバーキルな傷を負ってしまえば、それすら共有してしまうことになる。一応分散はしているみたいだし無限増幅もなさそうだが、仮に7人分の耐久力が勘案されるとしてもカリバーン一発で即終了ですよ。「共感」とか「共有」を通り越して単なる「共倒れ」。最終決戦時の限定発動とかならまだしも常時発動は正気の沙汰じゃありません。が、しかし、独善的というか唯我独尊な感情で動いてきた者たちが痛みを介することで「他者を受け入れる」ことに目覚めていくというなら、これはなかなかエキサイティングだな、と思います。ED曲が流れる中、それぞれの登場人物が「らしからぬ表情」を見せる演出も心憎い。アニメのキャラは登場時点で人格がほぼ固まっていて、それが少しでも変容しようものなら「成長」ではなく「ブレ」として認識されてしまう傾向にある。そのため、服装から髪型から口調から、「このキャラはこう」とパターンが決まり切っちゃって幅が狭くなっています。良い意味でパターンを壊し、幅を広げる作品になってくれたら……と願うが、うまくまとめられるのかどうかは大いに心配。

「ハーヴェストオーバーレイ」などで知られるシナリオライター『砥石大樹』さんがラノベデビュー 最近MFはライター起用が目立つな(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 砥石大樹……? 知らないな、新人か? と思って調べてみたら、ああ、『幻想のアヴァタール』の人か! 大作路線を志向しながらなんやかんやで結局完成しない同人ソフト(『二十四季』……『ボアダムキラーズ ディレイレイン』……『ですろり』……)が多々ある中、時間を掛けつつもキチンと完成版まで辿り着いた希少な作品として記憶に残っています。もうよく覚えていないが、出来上がるまで確か3、4年は掛かってましたよね。へー、あの後でプロのライターになっていたのか。知らなかった。懐かしいし1巻目くらいは買ってみよう。

 同人ゲーと言えば、最近は『虚構英雄ジンガイア』という作品が気になっている。ジャンル名「いつか父親になるAVG」、普通のサラリーマン(妻子持ち)なのに怪物と戦う巨大ロボのパイロットに選ばれてしまう、みたいなストーリーらしい。サークルの説明曰く「『才能』『夢』『ヒーロー』や『凡人』『絶望』『偽善者』なんて言葉が好きなまま”大人”になってしまった男性の皆様に楽しんでいただきたく作りました」、いわゆる「鬱ゲー」に分類される暗いノリの物語だが、読み出した途端に引き込まれるような力があって「鬱とか鬱じゃないとかどうでもいい」って気分になります。ダウンロージページの一番下にある「5分でわかる虚構英雄ジンガイア」がもっとも手っ取り早く参考になるかと。てか、私が見たのはこれだけです。今年中に完結編『虚構英雄ジンガイア FINAL』を出す予定(「かなり作業量があるので冬とかになる気も」というコメントもあり、まだ先っぽいが)とのことで楽しみにしているが、同人ショップ等に委託されるかどうかは不明。どうもこれまではイベントオンリーで販売されてきたようなんですよね。ひぐらしもショップ委託が始まったのは暇潰し編からですし、ジンガイアもFINALで初めてショップ委託に乗り出す可能性はゼロじゃない……とりあえず期待だけはしておこう。

・拍手レス。

 イカベイ面白かったです。ベア子とベイは始まりの組合せで、アニメ化支援でも絡んだのに、ドラマCDの最後の戦いが個人的には消化不良でした。今回の補完でやっと受け入れられました
 イカベイは最初のインタビューシーンが終わったあたりまで進めました。ヴィルヘルムの穏やかな気取りがちょっと笑えたというか、「こいつのこういう面が見られる日が来るとはな」と少し感慨深かったり。

 月姫リメイクと、DDD続編、どちらかを優先して製作されるとしたらどちらを選ばれます?
 DDD続編ですかね、月姫は現状特に不満ないし。『月姫2/the dark six』的な奴を前提にしたリメイクだったら話は別ですけれど。


2016-04-10.

・『はいふり』こと『ハイスクール・フリート』が期待以上の面白さで絶頂している焼津です、こんばんは。

 放送前に「はいふりって何の略だろ」「ハングエムハイ・フリートだろ」とかいい加減なことを言っていたけど、案外外れてなかったという……プレートのずれによって海面が上昇し国土の大半が水没してしまった日本を舞台に、横須賀の海洋高校へ入学した女生徒たちが実習艦に乗ってあれやこれやする青春ストーリーです。『蒼海ガールズ!』を連想しつつ、まだ1話目だから導入としてのんびりした日常を描くのかな、と思いきやBパートでいきなり緊迫した展開に。『沈黙の猿島』から『亡国の晴風』へと目まぐるしく変転します。なんで実弾を積むことが前提になっているのか、もし主人公側が撃ち返してこなかったらどうするつもりだったのか、などなど謎だらけだが続きが気になる。キャラは多すぎて全然覚え切れないものの、これからどんどん盛り上がるにつれ少しは覚えられそうな予感がします。観た人の中には「なぜ女性乗組員ばかりなのか?」という疑問点を抱く方も出てくるでしょうけれど、あれです、きっと男たちはもっと悲惨な場所に回されているんですよ……南沙諸島とかソマリア沖とか。ともあれ、主人公と親友が敵同士になりそうな気配で、私とってもワクワクします。「さらば晴風、我が初恋もろとも海底に沈むがいい!」

 さて「いつから日常アニメと錯覚していた?」な詐欺プロモーションでほんのり話題を喚んだ『ハイスクール・フリート』ですが、実のところ違和感は発表時点からあった。キャラクターデザインを『のんのんびより』の「あっと」が担当する、と報じられた際「ん? これ内容が日常系だったらのんのんと丸被りじゃないか……絶対どこかで差別化を図ってくるはず」とは思いました。放送が近づいても詳しい情報があまり出てこないと判明した段階で何か仕掛けていることは明白でしたし、「正式名称は『ハイスクール・フリート』です」と言われても自然というか度肝を抜くほどの驚きはない。しかし、アニメでは希少な海戦モノが来たとあっちゃ、テンションが上がらずにはいられません。「要素としての海戦」はそこまで珍しくないけれど、「主題としての海戦」はやっぱり珍しいですからね。艦これやアルペジオで下地は出来ているし、人気も出そう。これでエンタメ全体に海洋冒険ブームの流れが訪れるといいな……具体的に言うと“トマス・キッド”シリーズの刊行が再開してほしい。早川書房曰く「予定はない」そうですが……そういえばジャック・オーブリーやボライソーも続刊は止まってるんでしたっけ。この2つは巻数が多いから集めるの断念しちゃったんだよな。ちょっとずつでも読んでみようかしら。

「マジャン〜畏村奇聞〜」がマンガ図書館Zで公開されたぞ!(近代麻雀漫画生活)

 『マジャン〜畏村奇聞〜』は麻雀漫画の隠れた傑作としてマニア人気が高かったものの、売上は伸び悩み、2冊目で紙書籍版の刊行が止まってしまいました。もともとは「エブリスタ」というサイトで連載されていたWEB漫画で、開始が2010年、完結が2014年だから約4年に渡る長期連載作品です。単行本に換算すると11冊分、さすがにこれだけの分量をまとめて発行することは難しく、「続きはWEBで読むしかない」と諦めに入った状態でした。今回マンガ図書館Zで公開されたことによりストーリーすべてが無料で読めるようになり、面白さの割に低かった知名度もちょっとずつ上がっていくのではないかと期待している。「でも俺はやっぱり紙媒体で読みたいんだよなぁ」という人にも朗報。なんとマジャン、実はオンデマンド印刷する方向で調整が進んでいるそうです。詳しい日程は明らかになっていないが、紙書籍として読たい人は作者である「カミムラ晋作」のアカウントをフォローしてこまめにチェックしておきましょう。

 白状すると、私がこの漫画に注目した最初の理由は「エロそう」でした。アキバBlogの紹介記事で存在を知り、大いに気になったけれど当時は麻雀のルールを理解していなかったから結局スルーしてしまいました。この翌年くらいに一念発起して麻雀のルールを覚えたので、嬉々として1巻を購入、「面白い! で、2巻は?」→(検索)→「出゛て゛な゛い゛じ゛ゃ゛ん゛!」と涙声で叫ぶハメに陥った。更にその翌年(つまり2013年)待望の2巻が発売されたものの、前述通り3巻目は刊行されず……作者のブログに「途中から自主制作による不定期更新になったり」や「半年に及ぶ収入なしの執筆期間」という記述もあって、どうやら終盤は原稿料も出ないまま手弁当で執筆を続けていたみたいです。それが基本的に無料で読めるというのはスゴイというか何というか。とりあえずPDF版を買っておいて、紙書籍版の発売に備えるとします。

・拍手レス。

 なろうで成金が無料公開になってました。本の山脈から掘り出さなくても読めてありがたいものです。
 わ、ホントだ。でも「ケダモノたちよ」の連載は止まったままか……。

 アルケミスト逝ったあああああああ!!??
 エロゲーの移植作をよく出していたところですよね……私が買ったのは恋楯くらいかな。ああ、『咲-Saki- Portable』もあったか。


2016-04-01.

・もうそろそろ終わるところもあるかもしれないけど、恒例のエイプリルフールネタを堪能する焼津です、こんばんは。

 Navelの『月に寄りそう乙女の作法Girls Side』で程良く温まった腹筋をフロントウイングのキングリ(KING OF GRISAIA)で破壊されてフェイタルKO。まさかのキンプリネタとは。万一グリザイアシリーズが劇場化した際には是非とも同時上映して欲しいものだ。ほか、気になったネタはLump of Sugarの『タユタマ2』アニメ化。開始年が「20017年」だったり放送局が「チャンネルNUKO」だったりとあからさまな嘘告知だが、SILVER LINKに協力してもらってそれっぽいキービジュを用意するなど手が込んでいる。今回は嘘ネタとしても、シルリンによるアニメ化はマジであるかも……あとlightが新作告知してるけど、これはエイプリルフールネタではなく本当の告知みたい。タイトルは不明だが、『シルヴァリオ ヴェンデッタ』の続編に当たる。『シルヴァリオ ヴェンデッタ』では第五次世界大戦の勃発によって「西暦時代」が終焉し、「新西暦」と呼ばれる次の時代が興っています。より詳しく書くと「西暦2578年」に世界が大破局を迎え、それから十世紀ほど経った「新西暦1027年」に「アスクレピオスの大虐殺」という事件が発生、更に4、5年経過した「新西暦1032年」が本編の時期となる。今回告知された新作もこの「新西暦」を舞台とした話になる模様、既に「新西暦サーガ」なる呼称も出ている。前に聞いた話だと今度も「シルヴァリオ ○○○○」みたいなタイトルにする予定で、新西暦サーガのタイトルはずっとそれで統一するような口振りだったが……うろ覚えだから正確じゃないかもしれない。とにかく『シルヴァリオ ヴェンデッタ』と繋がりがあることは確かです。lightは意外と続編タイトルが少ないメーカーで、“神座万象”シリーズという特殊な例(正式に続編と謳っているわけじゃないが設定上繋がっている)を除くとフルプライス規模の明白な続編タイトルは『ドキドキしすたぁパラダイス』と『相州戦神館學園』だけ。正田はしばらくDies関連の仕事で忙しいだろうし、ひょっとすると新西暦サーガが「ゲームメーカーとしてのlight」の看板タイトルになっていくのやも。

『Fate/EXTRA』TVアニメプロジェクト始動!2017年放送開始 制作:シャフト シリーズ構成:奈須きのこ(萌えオタニュース速報)

 EXTRAも遂にアニメ化か。stay night以外のFateアニメとしてはZeroに続く2番目ですね。虚淵が執筆したZeroと違ってEXTRAは奈須きのこががっつりシナリオを書いている。ファン向けにシナリオ集(全2冊)まで販売されたくらいで、確かな人気があります。ドラマCDを出していた時点で「ああ、アニメ化するつもりなんだろうな」と察していましたが……そういえばドラマCDの第四章(完結編)ってどうなったんだろう? 第三章が出てからもう2年くらい経ちましたよ。このまま有耶無耶になってしまうのかしら。しかしEXTRAが来たとなると、いよいよ他の外伝(strange Fake、Apocrypha、Prototype、蒼銀のフラグメンツ、ロード・エルメロイU世の事件簿、そして何よりGrand Order)のアニメ化も現実味を帯びてきましたね……「それよりもhollow ataraxiaをどうにかしろよ!」って声も出てきそうだが。ちなみに『Heaven's Feel』は全三章構成で第一章が2017年公開だそうな。うん、この調子だと「Fate20周年!」は余裕だろう。月姫リメイクもまだまだ遠そうだ。

DigitalCute「むすめーかーHD」が登場!!新規Hシーン、調教シーンのリニューアル、豪華版は抱き枕カバー付、そして新しい“むすめ”に会える!(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 へー、HD版出すのか。でもあれって結構前の(2008年)だし、まだワイド対応してなかったよな……? どうするんだろう、と怪訝な思いを抱きながら読み進め、「HDでグラフィックも超キレイ!」のところで噴いた。「なんとHDはグラフィック&画面サイズが、オリジナルの1.6倍! スクエアサイズ(800×600px)から、HDサイズ(1280×720px)に育ちました!」って書いてるけど、思いっきり画面の上下切ってるじゃないですか! そうするしかないのは分かっているけど、こうも堂々と謳ってみせるのはスゴイな。ワイド慣れしたユーザーのために、画面の上下を切って切って切りまくるリメイク版が今後も各社からドシドシ発売されることになるのかな……以前リメイクラッシュのときによく出ていた「フルボイス版」は音声のオンオフが任意で行えるからまだいいけど、こういう画面サイズ変更の場合は元サイズのCGってまず収録されないから、「ワイド→非ワイド」って自由に切り替えることはできないんですわ。関係ないけど、ワイド画面が主流になって以降、ヒロインがイベントCGで斜めに立つ(正確に言えばCGに角度が付いている)ことが多くなりましたね。まっすぐに観ようとすると首を傾げないといけないので、だんだん首が痛くなってくる……。

独占インタビュー「ラノベの素」 暁なつめ先生『この素晴らしい世界に祝福を!』(ラノベニュースオンライン)

 このすば原作者のインタビュー記事です。ライトノベルは学生時代に『スレイヤーズ』『魔術士オーフェン』を読んでいたそうで、「ああ、やっぱり」と納得。ペンネーム(暁なつめ)の由来が『艦これ』というのは意外だった。同じKADOKAWAだし、これはコラボ待ったなしか? 「アニメ化についての連絡をもらったのが2015年の1月くらい」とのことで、書籍デビューが2013年9月(奥付だと10月)だから約1年半後か。原作6巻が出る前くらいの時期です。連絡があった時点でどれだけ企画が進んでいたのか不明だが、その1年後にもう放送していることを考えると何気に超特急だな……そう考えると、2期の到来は案外早いかも。ほか、新人賞の応募歴があるなど興味深いトピックがぞろぞろ揃っていますので興味がある方は是非ご一読を。

推理小説をエロゲ化したら超名作確定じゃね?(2次元に捉われない)

 推理物は「シリーズ化しやすい」というメリットがあったため一時期はエロゲーでも重宝されたジャンルでしたが、反面で「長大なストーリーは紡ぎにくい」「マルチシナリオ展開し辛い」などのデメリットも抱えていたため、2000年代に入った頃からどんどん下火になっていきました。主人公が探偵だったり、殺人事件の謎を解き明かすようなソフトはそれ以降もチラホラ出ていますが、「探偵○○の事件簿」みたいなノリの奴はすっかり鳴りを潜めましたね。探偵小説風の猟奇色を売りにしたInnocent Greyも最近は『FLOWERS』という百合ゲーに力を注いでいますし、『id[イド]−Rebirth Session−』という閉鎖空間(クローズド・サークル)ミステリでデビューしたrootnukoも今やド直球ヌキゲーの『てにおはっ!』シリーズが主力になっています。低価格帯でなら「探偵○○の事件簿」系のエロゲーも需要があるんじゃないかって気はしますが、メインストリームでやっていくのはもう情勢的に厳しいでしょう。

MF文庫J刊『勇者と魔王が電撃同盟!キッカケは、お互いの恋を応援するため!?』の著者、あごバリア氏逝去(ラノベニュースオンライン)

 えっ? あごバリアが亡くなった? 突然すぎて理解が追いつかない。エロゲーのシナリオライターとして長く活躍してきた人で、王雀孫の先輩に当たります。少し前に『勇者と魔王が電撃同盟!』でライトノベルデビューしたばかりだった。アニメ化した『SHUFFLE!』が代表作ですが、それ散ること『それは舞い散る桜のように』のサブシナリオも手掛けています。それ散るの続編として構想された『けれど輝く夜空のような』ではメインシナリオを担当する予定だったのに、いろいろゴタゴタがあって実現しなかった。「それでもいつか」と儚い期待を寄せていたファンもいたけれど……遂に幻となってしまったか。なんか呆然としてしまう……どうか、安らかに。

・拍手レス。

 ガリガリ君がかわいそう過ぎて涙が出た。マクギリスがガチで幼女と幸せになりそうなのが、もうね。最後に、ビスケットは何のために死んだんだ・・・>鉄血最終回
 いや〜、最後の最後まで三日月が命の尊厳に無関心なキリングマシーンで全くブレなかったところが斬新でしたね・・・主人公はあくまでもぽんこつお嬢様の方で、そのあたりがよく書けていて、マリーの割には良くできた脚本に仕上がってましたよ。
 あと、プラモの出来が無茶苦茶良くて、自分はグレイズを全種制覇しました。いいですね〜、こういうのはホント嬉しい。

 最初に出てきたときから「あ、ガルマ枠だ」と察していたものの、あそこまでヒドい目に遭うとさすがに可哀想になる。泣き咽ぶ幼女の尻を撫でて我が世を謳歌していたマクギリスを誅滅すべく仮面の悪魔として復活する展開も期待したい。

 マジェプリ、来ましたね〜。スパロボOGの新作にマジェプリの声優がかなり入ってましたから、次の版権でマジェプリ参戦来そうですよ、あとダイミダラーも。
 マジェプリはいろいろと厳しそうだったので「やった!」って感じです。ダイミダラーは仮に来るとしてカットインがどうなるのか気になる……。

 刀剣乱舞のアニメ化は大体予想してたので驚きませんでしたが、プレイヤーだけでなく二次創作サイドにも良い顔をしようという八方美人的な考え丸出しで、ものの見事に大批判を浴びた艦隊これのアニメの二の舞になりやしないかと心配でなりません。(特に艦これは、元の戦艦のネタを逸脱した霧島のメガネ外しとか、提督の謎の吹雪贔屓の理由とか、かなり酷かった……)
 艦これアニメは元のゲームやってない視聴者にとっては「艦娘って結局何なの?」と腑に落ちないまま終わった感じですね。ゲームなら「そこは雰囲気で」と緩く流せる部分もアニメだと難しい。刀剣乱舞も、果たして「舞台となる世界がどういうところなのか」や「刀剣男士とは如何なる存在か」をちゃんと描写してくれるのだろうか。


2016-03-28.

・順調に配送が遅れて『Dies irae 〜Interview with Kaziklu Bey〜』ついさっきやっと着弾した焼津です、こんばんは。

 やっと届いた……何も考えずにテキトーな予約入れたから、メール便でゆっくり配送されるハメになってしまいましたよ。そんなわけでまだインストールも済ませていません。待ってる間プリリズのレインボーライブ観ながら「キンプリにヴィルヘルム参戦!」という妄想を温めていましたが、恐ろしいほど違和感がなかった。『少女たちは荒野を目指す』も気になるが、とにかくまずはイカベイだ。

・以下はすべて「コミックナタリー」からのニュースです。

「闇狩人」が復活!ビッグガンガンで新たに始動、「クズの本懐」「DW」付録も

 や、『闇狩人』! すっごく懐かしい……内容は必殺シリーズ的な「法で裁けぬ悪を討つ」系の始末人アクションで、特に斬新だったわけではないが当時小学生だった私には日常パートにおけるほのぼの感と暗殺パートにおいて発揮されるダーサさとのギャップが衝撃でした。ほんのりエッチなシーンもあって、そのへんも割とドキドキしたり。“月刊少年ジャンプ”は購読していなかったから単行本をテキトーに摘み読みしただけで全巻通読もしてないんですが、基本的に一話完結方式だったから別段支障はありませんでした。すごく好き、というほどではないにしろ、意外に印象が強くて今でも「法で裁けぬ悪を〜」みたいなの見かけると真っ先に『闇狩人』を連想してしまう。Wikipediaによると単行本は本編が6冊で外伝が2冊、我竜京介を主人公にしたスピンオフが1冊の計9冊が出ているらしい。ちょっと前に舞台化のニュースがあって、そちらでも『新闇狩人』について触れられていたようだが、完全に見落としていました。キービジュアルからすると、今回の主人公は女子高生? 『アラクニド』と被りそうな予感。そういえば『アラクニド』完結したんですっけ……最終巻買いましたが、エンディングを見たい気持ちと見たくない気持ちが鬩ぎあっていてまだ読んでいません。

「刀剣乱舞」Wアニメ化!10月と2017年に放送、制作は動画工房とufotable

 人気っぷりからアニメ化は既定路線でしたが、まさかの2作品同時発表。ティザービジュアルから察するに、花丸の方が日常系コメディで、無印の方がシリアス路線になるのかな? 両方面白いといいな。しかし、ニトロはもう完璧にこっちへ力を注ぐ態勢で、『装甲悪鬼村正』に関してはもうアニメ化を断念している雰囲気が……村正もフィギュア人気は高いみたいですけどね。如何せん、「設定が複雑でストーリーも長い」&「双輪懸を表現するのが難しい」でアニメ化には向いていない。個人的には、「とにかく贖罪編はよ」の一言に尽きますが。

「マジェスティックプリンス」劇場版が秋に公開!TVシリーズを繋ぐ新作アニメも

 復ッ活! MJP復ッ活! いやあ喜ばしい。最近CMでよく見かけるから「ひょっとして……」とは思っていたが、本当に来るとは。『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』は2013年に放送されたSFアニメで、少年少女が人型ロボットに搭乗して宇宙からやってくる謎の敵と戦う……って説明すると「またそれか」って反応されそうな、ぶっちゃけ目立つ特色はない作品です。主人公たち「チームラビッツ」は個々の能力こそ極めて高いものの、ひと癖もふた癖もある難有りなメンバーばかりでまとまりに欠け、周囲から「ザンネン5(ファイブ)」と揶揄されている――といったふうにコメディ要素が前面に押し出されている一方、「徴兵された段階で記憶を消されているので『家族』という概念がよくわからない」など過酷な環境に置かれており、見た目に反してシリアスなストーリーとなっている。アクション描写も出色であり、高速機動で展開されるロボットバトルは「是非とも劇場の大スクリーンで観たい」とかねてより願っておりました。それが実現。しかも完全新作! 「劇場版」って聞いたときはてっきり総集編だと勘違いしましたよ。総集編の代わりにTVシリーズを夏から毎週2話ずつ再放送して秋の劇場版に繋げてくれるみたいですね。全24話に新作の第25話を追加するだなんて、太っ腹だ。俄然盛り上がってきた。ちなみに一部で普及しているネットスラング「受け入れよ」の元ネタがこのマジェスティックプリンスである。ジアート(CV.緑川光)というキャラが兄の従者(愛人?)を押し倒す際に言い放ったセリフ。要するに「よいではないか」をもっと傲慢にしたようなニュアンスです。イケボだから許されるセリフでもある。

情報処理部の日常ふたたび!「ゆゆ式」アニメ新作エピソードの制作決定

 「新作エピソード」ってことはOVA? 『Aチャンネル+smile』みたいな感じかな。『きんいろモザイク』も同じく新作決定ということで、きららの勢いはまだまだ已むことを知らない。

・拍手レス。

 イカベイのげっちゅ屋特典マジヒデェwww
 「卿ら、私は退屈なのだ」ですか。とりあえず試聴。男三人寄り集まって恋バナ……だと? Diesはいったい何処へ向かっていくのか。


2016-03-21.

・キンプリこと『KING OF PRISM by PrettyRhythm』観てきた焼津です、こんばんは。

 キンプリとは何か? を解説する前に、まずは「by PrettyRhythm」の部分へ言及しておこう。「プリティーリズム」はタカラトミーの女児向けアーケードゲームに端を発するメディアミックス作品で、TVアニメは2011年から放送を開始しました。アニメは2011年の『プリティーリズム・オーロラドリーム』(以下AD)、2012年の『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』(以下DMF)、2013年の『プリティーリズム・レインボーライブ』(以下RL)、3つのシーズンから成っている。2014年前半の『プリティーリズム・オールスターセレクション』(以下ASS)は総集編というかプレイバックみたいな内容なので、解説から外します。女の子が歌って踊るアイドル物、という点では『アイカツ!』等と共通していますが、特徴の一つとして挙げられるのは「スケート靴を履いてステージ中を滑って回り、ここぞという場面でジャンプを決める」演出。フィギュアスケートのイメージを重ねているわけです。2014年後半からスタートした『プリパラ!』はゲームとしてもアニメとしても「プリティーリズム」の後継に当たるけれど、大きく仕切り直されていて、雰囲気はかなり違う。「フィギュアスケートのイメージ」がなくなっているし、作画面でも内容面でもプリリズ時代より更にデフォルメが利いており、全体的に対象年齢が下がった印象です。監督を始めとしてメインスタッフがごっそり変わっているのですから、当然と言えば当然ですが……監督がミルキィホームズの「森脇真琴」で、同じくミルキィホームズに関わっていた「ふでやすかずゆき」がちょくちょく脚本を書いているうえ、『はれときどきぶた』のワタナベシンイチが絵コンテを手掛けていることもある(余談だがナベシンはDMFでもいくつか絵コンテやってる)んですからねぇ。必然としてギャグ色が強くなります。女児人気は『プリパラ!』を期に爆発的な勢いで伸びたらしく、今では『アイカツ!』を凌ぐほどだとか。プリリズ時代は各シーズンが50話ほどで完結していたのに対し、プリパラは既に90話近くまで放送されていて、しかも4月からの新シーズン(3rdシーズン)も決定済だから100話超えは確実。下手するとプリリズ全部(153話、ASSも含めると164話)より長くなる可能性すら漂ってきた。ちなみにプリパラの内訳は1stシーズンが第1話から第38話まで、2ndシーズンが第39話から第89話まで。3rdシーズンは第90話からですね。1stシーズンが2ndシーズンよりも短いのはASSに枠を割いたから。

 ちょっと脱線気味になってきた。話を戻そう。アニメ版プリティーリズムはAD、DMF、RLの3作から成ることは説明しましたが、実のところ全てのストーリーが一直線に繋がっているわけではない。DMFはADの直接的な続編(ADの3年後が舞台)だが、RLの段階で一旦設定がリセットされており、ある種のパラレルワールドとなっています。つまり、「AD・DMF」の世界線と「RL」の世界線、「プリパラ」の世界線、この3つが存在している。中には世界線を越えるキャラもいますが、原則的に各界の行き来はできない。秋せつらの出てくる魔界都市〈新宿〉と十六夜京也が活躍する魔界都市〈新宿〉みたいな関係と申しますか……とにかく、RLはプリティーリズムの中でも独立した作品という位置付けにされているわけです。で、キンプリこと『KING OF PRISM』はそのRLのスピンオフ作品に当たる。最終話で結成された男子ユニット「Over The Rainbow」をメインに据えた物語であり、もちろん最終話以降のエピソード(約2年後)だから後日談的な性格も備えている。べる様こと「蓮乗寺べる」の凛々しくもお美しいお姿を拝見することができてうっとりとしました。が、キンプリの主人公「一条シン」を始めとするスタァ候補生はみんな今回が初登場となる新キャラばかりだし、「これまでのあらすじ」みたいな調子でオバレ結成に至るまでの経緯をちゃんとまとめてくれるし、別にRLの視聴が必須というわけでもない。「話題になっているけど、プリティーリズムとかよく知らないし……」って人も安心。予備知識なんぞなくとも、開始5分で腹筋がブレイクしそうになるはずです。ホント、笑いを堪えるのに必死でした。辛かった……大真面目にムチャクチャやってるのが素晴らしいですね。「お前をもう二度とステージに立てなくしてやるよ!」と獰猛な顔つきでダンスバトルを挑んでおきながら、いざ曲が始まったら横に並んでキッチリ一緒に踊り出すヤンキーとか。「えっ、仲良し?」って目が点になりますよそりゃ。

 出てくるキャラはほとんど男ばかりで、モブの観客を除くと女性キャラはほぼ不在です。しかし、意外と男性向けの萌えアニメやバトルアニメに通ずるノリ(女顔の男子と風呂場で遭遇して赤面とか、踊り続けないとボッシュートされる特訓装置、通称「殺人マシーン」とか)で、「これを女性専用アニメと分類するのは勿体ないな」と素直に感じる。60分弱と短い映画なので「あまりストーリーに絡まない奴もいる」とか「思わせぶりなところで『つづく』になってしまう」とか、難点もないではないですが。腹筋に自信のある方は劇場で観れるうちに観ておいた方がいいです。そしてサイケデリックな魅力に酔い痴れるといい。「劇場で爆笑しちゃってPRIDEが粉々になりそう」と危惧する人は発声OKの応援上映に行くか、あるいはビデオグラム化されるまで待ちましょう。あ、それと入場特典で選抜総選挙の投票券が貰えるのですが、私は大和アレクサンダー(CV.武内駿輔)に投票しました。ワイルド系のキャラなんですが、最初「山田アレクサンダー」と聞き間違えて「結構普通の名前なんだな……」と思ったりしました。エーデルローズだとタイガが好き。見た目だけならユキノジョウが至高。

 そろそろまとめに入る。スピンオフ元のRLが2013年のアニメで、終了から2年も経過しており、採算性が不透明だったことから全国で僅か14館という小規模なスケールのなか開幕したキンプリ。出足も悪く、公開2週目の時点で「最終予測3000万」と想定を大きく下回る数字に。予算ギリギリどころか超過して作られた「想定通りでも赤字」の映画だっただけに関係者はみな一様にお通夜ムードへ突入したという。しかし、ファンの地道な布教活動によって動員数が増加、公開から3ヶ月弱で来場者数は15万人を超え、興行成績も3億円を突破したという。ぶっちゃけ、こんな映画が存在するって私が知ったのも公開されてからなんですよね。口コミで「面白い」と伝わってきて、「ドロシーこの人がそう言うなら……」と足を運ぶ気になった。ゆえに私もオススメしておきたい。予備知識は不要と申しますか、むしろまったく知らない人の方がいろいろと衝撃や刺激を受けることができてオトクかも? 恐れる必要はありません、キンプリは心のエクスプロージョン!

アニメ「この素晴らしい世界に祝福を!」2期の制作が決定! 三嶋くろねさんの2期決定記念イラストも公開!(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 早っ! もう発表が来たのか。このすばは始まるまでファンも「キャラデザが残念」とあまり期待していなかったような雰囲気だったけど、いざ放送されるやアクア演じる雨宮天の見事なハマリ役っぷりも相俟って人気急上昇していきました。懸念されていたキャラデザ(と作画)も2、3話ですぐ慣れましたからね。80年代頃のお気楽ドタバタコメディみたいなノリ、ライトノベルで言うと『スレイヤーズすぺしゃる』『魔術士オーフェン無謀編』に通ずるテイストで、細かいツッコミどころは無数にあれど「無性に楽しい」というポイントは外さない。反面、面白さが回ごとにどんどん増していくだけに、角川お得意の全10話構成という短尺加減を憂いる視聴者も多かったが、こうして迅速に続編決定のニュースが飛び込んできたものだから「ひと安心」と胸を撫で下ろすばかり。あの終わり方で2期がなかったらアニメから入った人は大いに嘆いたことでしょう。次はもうちょっと話数を増やしてほしい。1期目は原作2巻までのエピソードをほぼ消化しましたが、尺が足りなかったせいでウィズとの出会いやキース、ダスト(サキュバスの店へ一緒に行ったふたり)と仲良くなる過程を端折られてしまいました。できれば次は2クール欲しいところだけど、さすがに厳しいか……2期と言えば冴えヒロ(冴えカノ)の2期目に当たる『冴えない彼女の育てかた♭(フラット)』は来年4月放送予定とのことで、かなり先になりましたね。このすばも始まるまで結構掛かりそうだ。

ファンタジア文庫のラノベ「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」がアニメ化決定! 空戦魔道士と同じく教官物のラノベ(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 これに関しては予想通りだった。特に意外とは思わない。発売当時の感想も張っておきます。魔術学院の非常勤講師になった主人公が教え子たちを導きながら活躍する……といったストーリーで、特に奇を衒ったところはない。いかにもライトノベル、っていう王道的な面白さで悠々と押し切っていく。作者が『フルメタル・パニック!』のファンだし、「ミリタリー要素をファンタジーに置き換えたフルメタ」を想像してもらえるとわかりやすいかも。さっき張った感想でも書いたけど、キャラ同士の掛け合いが肝だから冒頭100ページくらいを読んでみて「楽しい」と感じるかどうかで適性が決まります。興味がある方は公式サイトの試し読みをどうぞ。

・拍手レス。

 キノの旅、懐かしいっすね・・・ちょうど自分がラノベを追いかけるのを止めた直後の作品で、友人に薦められて読んだ記憶があります。
 あの頃は、自分はラノベに辟易してた頃で、禁書も10ページほど読んで「コイツ駄目だ・・・」と早々に見限ってたクチなんですが・・・後々、友人から借りてまとめて読んで激しく後悔しましたけどね。その時に一緒に借りて読んだのがキノの旅とシャナと戯言でしたね。
 止めた当時は、もう見るのも嫌だったラノベですが、少し離れてから再開すると、また新しい発見があったりして・・・駄目な作品も多いですし、書店の本棚のあの光景を見ると嫌になる人の気持ちも理解出来るんですが・・・

 私はキノと同じ頃に始まった『ダブルブリッド』でズブズブにハマっていきましたね。ヒロインがここまでヒドい目に遭うのか、と衝撃的でした。ライトノベルは「読み始めたキッカケ」や「ハマったキッカケ」、あるいは「やめたキッカケ」でそれぞれに時代が見えてくるあたりも面白い。

 ハンター×ハンターの連載再開と共に、遊戯王の特別編も掲載されることが決定したそうです。実に嬉しい限りなのですが、BORUTOの月イチ連載といい、遊戯王の特別編掲載といい、ハンター×ハンターの連載再開といい、現在のジャンプ編集部は若手の漫画家を育てることに力を入れていないのかなと感じます。ワンピースが終わったら、ジャンプの発行部数がガクリと下がりそうです…。
 二十年後くらいには「ルフィの息子が『セイファート銀河の至宝』を探すために宇宙海賊王を目指す! 『新ONE PIEACE―麦わらマシン猛レース!―』」みたいなのやってそう。若手が育たず衰退していくってのは、集英社だとコバルト文庫が既にそのコースへ入っちゃいましたね。新規シリーズはあらかた打ち切り、割と長く続いていた『鬼舞』も終わっちゃって、もう『炎の蜃気楼』(昭和編)『破妖の剣』(鬱金の暁闇)しか長期シリーズが残ってない……。


2016-03-15.

「HUNTER×HUNTER」連載再開決定!詳細は次号のジャンプでというニュースに喜ぶよりもまず目を疑った焼津です、こんばんは。

 「冨樫復活!」とか「ハンタ再開!」は各所で定番の嘘ニュースと化してますからね、今回も最初はデマか誤報だと思いました。どうも本当に再開するみたいです。と言っても今の冨樫に週刊ペースなんて耐えられないだろうし、またちょっとだけやってすぐに休載するんだろうな……と冷めた見方をしてしまう。それでも、嬉しいことは嬉しい。早く単行本を出してほしいです。

【略称:はつがまい】ALcotハニカム最新作「そして初恋が妹になる」 公式サイトOPEN! 双子の妹…ではなく、実は血のつながりのない他人『偽妹』☆(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 タイトルにおぅんごぅる先生の気配を感じ取ったが、予想は外れた。本当は血の繋がりがないんだけど世間体も考えて「双子の妹」ということにしている少女がヒロイン。戸籍はどうなってるんだろうな……重度のブラコンらしく、主人公に身命を捧げる覚悟もできているそうだが、他のヒロインとくっつきそうになったらどうするんやろ。ぐぬぬ顔をしながらも最終的には祝福するのか、「メスブタは出荷よー」なエクスターミネーターと化すのか。ヤンデレまで行かなくてもいいけど嫉妬で腸を焦がすところは見たいな。ブラコン妹と言えば最近読んだ『中原くんの過保護な妹』が良かった。「お前はオカンか!」ってぐらい世話焼きな妹がヒロイン。でも主人公はどちらかと言えば妹の友人の方に気があって、妹も理性では「兄と友人がくっついてくれたら嬉しい」と思うのだが、本能ではついついヤキモチを焼いてしまって……とほぼ理想的な仕上がり。容姿面でもドストライクです。2巻の表紙見れば分かるけど妹のまりあちゃん、結構おっぱいおっきいんですよね。友人の方がもっと巨乳だけど。

「とある魔術の禁書目録」×「バーチャロン」のコラボ小説『とある魔術の電脳戦機』が発売決定  どういうことなの・・・!?(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 コラボはわかるとしても、なぜ今になってバーチャロン……? 『電脳戦機バーチャロン』は1995年から稼働開始したアーケードゲームのシリーズであり、サードパーソン・シューティングのような感覚で対戦を行う、今で言うガンダム.VSシリーズみたいなノリのゲームです。操作性が若干特殊で習熟するまでうまく動かせない&対戦が超高速で目まぐるしく展開されるため、ハマる人はとことん病みつきになるのですが、出だしで躓いて「面白そうなんだけど付いていけないな」とフェードアウトしてしまう初心者も少なくなかった。私もその一人。オラタン(オラトリオ・タングラム)で楽しそうに盛り上がっている人たちを横目に指を噛んで羨ましがっていた記憶があります。シリーズに属する作品はこれまでに4つありましたが、一番新しいものでも2003年発売のマーズであり、シリーズとしてはほぼ展開が終了しているゲームである。とはいえ人気は根強く、未だにオラタンやフォースをやり込んでいるプレーヤーも珍しくない。でもさすがにこういうコラボを予想してた人はいなかったと思う。電撃文庫のキャラが出てくる格ゲーをセガがつくってるから、その流れか? でもなぜかまちーが書くのか……ひょっとしてバーチャロンのファン? ちなみに電撃は『エロマンガ先生』のアニメ化やら『魔法科高校の劣等生』劇場化やらで話題が絶えぬ。しかし魔法科高校の劇場版ったって何やるんだろう。追憶編じゃメインキャラほとんど話に絡まないし、来訪者編は劇場でやるには長すぎるし。禁書みたいなオリジナル?

【画像】 アニメ「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」のキービジュアルが不細工過ぎて笑えない・・・ どうすんだこれ・・・(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 不細工というか写実寄りのテイストで、原作絵からかなり雰囲気変えてきましたね。「凄惨な戦記モノ」という内容を考慮するとこっちの方が作風に合っているのかもしれませんが、合っているせいでギャップやインパクトは生じなさそう。アルデラミンのイラストレーターは途中で交代していますけれど、さんば挿の頃は割と明るく可愛らしいタッチで、「このイラストにこの内容か」という差が面白くもあった。原作ファン的にはこれくらい違った方が「アニメはアニメ」と割り切れていいかも。

ラノベ作家『新木伸』さん「ラノベと付けば飛ぶように売れた時代があった」 ほか(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 「電撃文庫なんて、毎月出てなくて、2ヶ月に1回、2冊ずつしか出てなかったし」という発言、以前電撃文庫の記事を書こうとして膨大なデータをまとめ切れず挫折した私が解説しましょう。電撃文庫は1993年6月に創刊しましたが、当初は隔月刊行でした。具体的なリストはこちらを参照していただきたいが、偶数月のみの刊行で、しかも3、4冊しか出ていなかったんです。翌年1995年の5月からやっと毎月刊行になる(電撃ゲーム文庫も含めた場合)けれど、冊数はなかなか増えず。2000年代に入ってからようやく爆発的に冊数が増加し始めます。当時電撃文庫の発売元だったメディアワークスは「角川のお家騒動」によって生まれた会社で、急な独立だったため販路にまで手を回すことができず、主婦の友社に販売事業を委託していた経緯がある。1999年頃になって主婦の友社との提携を解消し、角川の方で販売事業を行うようになった――という事情も「爆発的な増加」に絡んでいるかもしれません。主婦の友社から角川書店に切り換わったのはちょうど『ブギーポップは笑わない』が新たな潮流として話題になっていた時期で、私の記憶ではこのブギポがキッカケで「ライトノベル」という呼称が広まっていった(ような気がする)。このへんの電撃文庫はどれも凄い売れ行きで、奥付見たら十数刷とか当たり前のように書いてありましたからね。アニメ化作品がまだ少なかった時代だし、今考えると異常な状況ではあった。川上稔の『エアリアルシティ』なんていうややマニアックな作品でも増刷されていました(更にこの作品は新装版も出ている)。

 私含むラノベ好きの連中が平然と新刊を全部チェックしていた頃で、需要に対し供給が限られていたことから根深い飢餓感があり、文句を言いながらも切れずに読み続けていたシリーズはいくつかあった。刊行点数が増加した理由は複合的なものだろうから、一言で「これ」と言い切ることは難しい。でも「たぶん……」程度なら言えることはあります。ずばり、『キノの旅』(2000年7月刊)のヒット、これが大きく響いてるはず。ご存知の通り『キノの旅』は童話風というか児童文学風の平易な文章で綴られた一話読切形式のファンタジー。現在のライトノベルはもちろん、当時の作品群と比較しても異彩を放つシリーズでした。あまりにも異色な作風のため、「本当に需要があるのか?」と電撃側も懐疑的で、新人賞の最終候補には残ったものの結局何の賞も獲得することができなかった。一度“電撃hp”(“電撃文庫MAGAZINE”の前身)にお試し感覚で全文掲載され、好評を博して文庫化、すぐさま増刷が掛かる人気作に……とトントン拍子でヒット街道を驀進していきました。電撃が「新人は手当たり次第デビューさせる」という方向に舵を切ったのも、キノのブレイクが原因の一つだと私は考えている。シャナやハルヒや禁書やゼロ魔、若干ズレるが西尾維新の戯言シリーズのヒットも重なって「ライトノベル」のイメージがだんだん固まり始め、供給過剰という背景もあってだんだん「売れるシリーズ」と「売れないシリーズ」の格差が拡大していったのが2000年代後半。この頃はもう「新人の使い捨て」や「無情な打ち切り」が問題になっていて、「ラノベなら基本的に何でも売れる」時代じゃなくなっていました。2010年代へ突入してからについては、語ると長くなって疲れるので割愛。私自身も、若かったせいもあるだろうが、90年代後半から2000年代前半にかけては当たるを幸い何でも読み耽っていましたね。今もそうしたい気分はあるが、何しろ数が多すぎてチェックすらままならない……。

・拍手レス。

 「天牌」は天狗決戦が終わってから、尻すぼみしっぱなしですけどね・・・主人公がヘタレ過ぎるのと、黒沢が消えてから物語を貫目で支える漢がいなくなって、どうにもならなくなってる。外伝は相変わらず面白いんですが、本編の方は、もう追いかける気力も無くなりました。
 長野編あたりで低調になった感は否めませんが、少し前から津神元が再登場したりしてある意味面白くはなっています。途中で脱落するにせよ、麻雀漫画を楽しむうえで避けて通れない作品ではあると思う。


2016-03-06.

ラノベ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝」のアニメ化が決定! 【ダンまち】(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 『ソード・オラトリア』はベルくんが憧れる女剣士「アイズ・ヴァレンシュタイン」を中心にした外伝シリーズ。「ヤスダスズヒト」ではなく「はいむらきよたか」がイラストを手掛けている。現時点での刊行は5巻まで、ストック的に1クール程度なら大丈夫でしょう。しかし、本編2期ではなく外伝の方が来るとは……『緋弾のアリアAA』みたいなパターンだな。ごく一部の超人気作を除き、最近のアニメ作品は2期目でガクッと売上が下がる(というか宣伝の効果があまり出ない)ケースが目立ちます。2期ではなく外伝として独立させれば……と考える制作側の気持ちもわからなくはありません。が、やっぱり素直に2期やってほしかったな、というのが本音。2期が来るかどうかは『ソード・オラトリア』の結果次第でしょうね。なんとか繋げてほしいものだ。

「おそ松さん」で麻雀に興味を持った人にお勧めしたい麻雀漫画(近代麻雀漫画生活)

 『おそ松さん』は観たり観なかったりですが、この麻雀回は観てました。完全に不山戯け切ったなんちゃって麻雀と化すかと思いきや、少なくとも前半は真面目に打っていて驚いた。10分程度の短いエピソードなので麻雀のルールをよく知らない人は何が何だかわからないまま終わってしまったでしょう。そう、やっぱり麻雀はルールが分からないと面白くない。『アカギ』は麻雀のルールを知らない人でも楽しめるような工夫が凝らされていますし、実際に私も麻雀の役すら知らなかった頃に読んでエキサイトした記憶もありますが、ルールを覚えた後に読み返したときの方が格段に面白かった。というわけで、まずはルールを覚えるところから始めましょう。オススメは『咲―Saki― ラブじゃん マホちゃんの必殺技完成!』、『咲―Saki―』のファンブックと麻雀解説を兼ねた一冊なんで、『咲―Saki―』と併せて読むべき。麻雀知識ゼロのマホちゃんが一から習っていくストーリー仕立てになっており、「牌の種類がどれだけあるのかも知らない」って初心者の方でも入りやすい。これを読みながら適当な麻雀ゲームやってれば一週間くらいでド基礎が身に付くはず。ゲームはそのへんのフリーソフトでも結構ですが、キャラ物を選んだ方が楽しく遊べてちょうどいいかも。私は『こんぼく麻雀〜こんな麻雀があったら僕はロン!〜』に大変お世話になりました。

 そうしてルールを覚えたら、リンク先の紹介記事とも被りますが、定番は外せない。『アカギ』イチ推し。『天』という漫画に登場した雀士「赤木しげる」の少年・青年時代を描くスピンオフ作品なんですが、アカギのキャラが強烈すぎて大元の『天』よりも有名になってしまった。「死ねば助かるのに」「倍プッシュだ」「ケチな点棒拾う気なし」など印象的なセリフも目白押し。闘牌描写も丁寧で、初心者向けの解説があまりない『むこうぶち』よりも入っていきやすい。アニメ版である『闘牌伝説アカギ』を併せて視聴する手もある。ただ、この漫画の難点は「鷲巣麻雀編」という最大のエピソードがまだ終わっていないこと。1997年頃に始まったから、そろそろ20年になります。あまりにも長すぎてアニメ版は途中までしかやっていない。何年か前に福本伸行は鷲巣麻雀編が完結してもアカギはまだ続けるようなことを言っていたが、本当にそうなるのかどうか怪しくなってきた。今やってるのがオーラス(最後の一局)だから大詰めを迎えてはいる。迎えてはいるが、ホントいつになったら決着するんだろう。スピンオフ作品として『ワシズ』および『HERO』がある。『ワシズ』はハチャメチャ度が高く、『アカギ』のイメージで読むと戸惑うかもしれませんが、若き日の鷲巣様が活き活きしていて楽しい。『HERO』は『アカギ』のスピンオフというより、大元である『天』の後日談ですね。「市川」を名乗る人物が現れたりするので『アカギ』も読んでおいた方がいいけど、ストーリーの眼目は「新たな東西戦」であり、『天』に目を通しておかないと盛り上がりきれないかも。

 次は『兎―野性の闘牌―』。表紙だけだとわかりにくいので「なか見!検索」の方も見てほしいが、とにかく絵がカッコイイ。描き込みを抑え、「紙の白さ」を効果的に使った上條淳士系のタッチ(アシスタントをやってた時期があるらしい)が特徴。「危険牌を察知する」など、キャラそれぞれに固有の能力や戦法が設定されているあたりはゲーム風で、ある意味『咲―Saki―』の先駆けに当たります。セリフ回しもカッコ良く、「背骨だけ残して死ねばいい」とまるでバトル漫画のノリだ。実際、範馬勇次郎みたいなキャラも出てくる。ゲーム版もリリースされていて、掲載誌がもっとメジャーな所だったらアニメ化されていてもおかしくないくらいの人気があります。と言ったら近麻に失礼か。スピンオフとして『シャモア』『ユキヒョウ』がある。『シャモア』は本編で順調にヤムチャ化していったシャモアこと滝沢隆史が主人公、こっちでは赤井めが兄ぃ並みのスタイリッシュタフガイとして活躍する。ただし1巻のみで2巻は発売されていない。『ユキヒョウ』は『兎』のメインヒロイン「山口愛」の少女時代を題材に採った番外編。1冊完結なので、ちょっと物足りないところはあるかも。

 『おそ松さん』はクズキャラのレパートリーが広いことでも定評があるけれど、クズのオンパレードと言えばコレです。『凍牌』。1巻の頃は主人公「氷のK」がキャラとして固まっておらず「はい凍死」など本気で凍えそうなくらい寒いセリフを吐くものの、名物キャラの堂嶋が出てきたあたりから徐々に盛り上がってくる。何かとすぐ指を切り落としたり銃弾ブチ込んだり切腹して臓物がはみ出そうな状態で麻雀打ったりとメチャクチャに暴力的な描写が多く、「漫画でも血を見るのはダメ」って人には薦めがたいが、ここまで来るといっそ喜劇じみているので残虐ノリが苦手な人でも意外とイケるかも。先述した通り、出てくるキャラがひたすらクズ揃い。「こんなに出したら飽和しないか」と心配になるレベルでド汚い連中が次々と現れる。汲めども尽きぬクズの泉。比較的マシな奴でも「半裸の少女にアイスピック突き刺して固定」ですからね、ドン引きなんて次元は突き抜けてしまう。実写(Vシネマ)化されていますので、「絵柄がちょっと……」という人はそちらから入門するのもアリです。『凍牌〜人柱篇〜』はタイトルを変えた続編、要は賭博黙示録に対する賭博破戒録というか、センゴクに対するセンゴク天正記というか。スピンオフは『牌王伝説ライオン』『牌王血戦ライオン』、どちらも堂嶋がメインで伝説→血戦の順。内容が過激な点では『凍牌』と共通しているが、主人公の性格が違うせいもあってライオンの方はカラッとした読み口。『破滅の獅子』のタイトルで廉価版(コンビニコミック)が出ており、「ちょっと読んでみたいかも」ぐらいの人にはこっちがオススメ。

 真打は『天牌』。本編だけでも80巻以上あるのに、外伝もこないだ30巻に到達。番外編の列伝も含めると114冊……間違いなく麻雀漫画史上最長のシリーズです。連載ペース的にもアカギは追いつけないだろう。1巻の発行日を見ればわかりますが、なんと開始からまだ17年くらいしか経っていない。実は『ONE PIECE』より新しいんです。なのにもう本編の巻数だけで抜いてるという。長大なストーリーだから一言では説明し切れません、詳しいことは数年前に書いた私の感想&解説を読んでもらうとして。『天牌』の魅力は何と言っても「闘牌描写の細かさ」です。配牌がどんな感じで、ツモった牌は何か、捨てた牌は何か……を大きなコマで事細かく綴ってくれる。そのせいで話がなかなか進めない(決着するまで8冊くらい掛かったエピソードもある)が、「具体的にどういう打ち方をすればいいのか」が解説抜きでも伝わってくるところは初心者にとって超ありがたい。個々のキャラも立っているし、「ベタ降りなんて猿でも出来ることじゃないか」「そこに北はあるんだよ」「その神様を殺してでも この世界にしがみつきたかった」など印象的なセリフの宝庫だが、巻数の多さがどうしても障壁になって新規層が入り辛いみたい。100冊超えを通読するのはシンドイ、って方は総集編(コンビニコミック)でひとまず『天牌』の世界に触れてほしい。全日本学生選手権あたりならまだ売ってるコンビニがあるかも。私のオススメは赤坂決戦。『天牌外伝』は主人公の師匠に当たる「麻雀職人」黒沢義明があっちこっちで麻雀を打つ読み切り形式のエピソードを集めた番外編。沖本瞬(本編の主人公)と出会う前の過去編であるが、本編では脱衣麻雀ゲーム全盛期であるにも関わらず外伝で『麻雀格闘倶楽部』みたいな通信対戦機が描かれるなど時空の捻れも生じている。それはそれとして、気軽に読みたい人は外伝だけ手を出してみるのもOKだと思います。『天牌列伝』は入星などのサブキャラにスポットを当てた番外編で、こっちはさすがに本編読んでないと面白くないかも。掲載誌の休刊に伴って連載が中断し単行本は1冊きりとなっていましたが、どうも一昨年くらいに不定期で再開したらしい。2巻出るのかな。

 ほか、伝奇色が光る『マジャン』やマッドマックス的な荒廃した近未来を舞台にした『トーキョーゲーム』などもこの機会に推しておきたい。『マジャン』は簡単に言うと『ひぐらしのなく頃に』の雛見沢みたいな「麻上村」でいろんなものを賭けて麻雀する話なんですが、ストーリーのサスペンス性のみならず勝負ごとに特殊ルールが課される設定が面白い。残念ながら紙書籍版は2巻で打ち切りとなってしまったようだが、現在は全話無料公開(およびオンデマンド出版)に向けての編集作業中とのことで嬉しい、胸が高鳴るー。全部で11巻くらいになるそうだから、相当な量だよな……オンデマンドがいくら掛かるのかわからないが、2万、いや3万円までなら出せる。『トーキョーゲーム』は『GAMBLE FISH』『超人戦線』などで原作を担当している青山広美の漫画。今は原作のイメージが強いけど、昔は作画やってたんですよね。麻雀漫画だと『バード 砂漠の勝負師』も名作だが、今はリメイク版の『バード 最凶雀士VS天才魔術師』の方が入手しやすいか。

【悲報】『YU-NO』『同級生』などで知られるエルフがホームページの閉鎖を予告。東のエルフ、西のアリスと言われた時代も遠き日の思い出・・・(2次元に捉われない)

 姉妹ブランドのシルキーズはとうに閉鎖済みだし、elfの方も時間の問題だったとはいえ……全盛期を知らない葉鍵世代の私でもしんみりしてしまう。中には「もうとっくに死に体だっただろ」と冷めてる人もいるでしょう。ヒロインの行動がいろんな意味で話題になった『下級生2』の発売が2004年8月。あの騒動から数えても既に10年以上が経過している。私はプレーしてないけど、高遠七瀬が可愛くて注目していた時期はあった。『下級生2』以降も『AVキング』や『媚肉の香り』などの新作を出していたが、よくある「過去の遺作で食い繋ぐブランド」と化していた感は否めなかった。YU-NOの版権をMAGES.に譲渡したニュース(譲渡自体は2014年1月頃だが、報じられたのは12月になってから)で「もうYU-NOをリメイクする体力すら残ってないんだな……」と察するファンも多かったという。ガテン系シリーズが事実上の最終作となったけど、エルフの掉尾を飾るソフトにしては驚くほど反響が薄かった。現在は「シルキーズプラス」という元スタッフたちの寄り集まったブランドが運営されており、そういう意味ではelfの血が完全に途絶えたわけではないが、なんだかんだで「elf」(ないし「エルフ」)の三文字は直撃世代でない私にとっても特別だったな……と失ってから気づかされる。今となっては当たり前すぎて特に意識されることもない「マウスを使って画面を直接クリックする」という操作法をいち早く採り入れたのはelfの『ELLE』(1991年)だった(それまではコマンド直接入力方式またはコマンド選択方式が主流だった)。『同級生』は恋愛ゲームのエポックとして認識されていますが、「時間経過の概念をゲーム要素と結びつけた」、つまり「話が進んでいく」のではなく「日にちが経っていく」感覚をユーザーに植え付けた点が画期的だと指摘する方もいます。ドラクエやランスのようなRPGだと日にちの感覚が乏しく、宿に何泊しようと季節が変わったり主人公たちが歳を取ったりは基本的にしない。カレンダー(タイムスケジュール)を用意することで「夏休みの限られた期間」を追体験させた点が『同級生』のさりげなく革新的なポイントだった。『同級生』開発当初のコンセプトは「ナンパゲー」で、総勢50人くらいのヒロインを口説きまくる予定だったが、竹井正樹の絵が素晴らしかったため路線変更し人数絞って個々を厚くすることになったという経緯もある。「エロゲーユーザーなんてCGが目当てでシナリオはどうでもいいんだよ」みたいな、シナリオ軽視に見せかけたビジュアル軽視の意見もありますが、丹念にエロゲー史を辿っていくと「いかにグラフィックがシナリオに影響を及ぼしたか」がキチンと見えてきます。

 元社長にしてゲームデザイナーにしてシナリオライターの「蛭田昌人」がシンボリックな存在として有名だが、彼はelf最大のヒット作となった『同級生』にさして愛着がなかったらしい。他の人からの受け売りだが、蛭田はあくまで「創ること」に情熱を傾けるタイプであって、「創ったもの」への関心は人一倍希薄だったそうだ。『To Heart』どころか『ときめきメモリアル』も『同級生』なくしては存在しえなかっただろうし、そもそも「シナリオ重視」なんて呼ばれるジャンル自体も蛭田の『リップスティック・アドベンチャー』がなければ生まれてこなかった可能性すらある。だが、蛭田ゲーに影響された後続のエロゲーソフトたちが「ゲーム要素をほとんど必要としない」方向へ突き進んでいったことで、あべこべに蛭田ゲーの居場所がなくなる――時代を切り拓いて法則を変えた者が、新時代と新法則によって弾かれるという皮肉な事態を招きました。elfの没落は「蛭田の引退」や「業界の衰退」も要因として大きいだろうが、それ以上に「成功し過ぎたこと」(会社と業界の規模を拡大させまくってコントロールが効かなくなったこと)も響いているのかもしれない。ちなみに『冴えない彼女の育てかた』の丸戸史明も尊敬するエロゲ作家として蛭田昌人の名前を挙げており、主人公の性格などで影響を受けていることも認めています。たとえ蛭田ゲーが過去のものになったとしても、蛭田シナリオの血脈は今もなお保たれている。


2016-03-01.

AXLの新作『恋する乙女と守護の楯〜薔薇の聖母〜』が発売したけど、そういえば嘘粗筋カウントダウン漫画チェックするのスッカリ忘れていたな……と発売当日になって蒼褪めた焼津です、こんばんは。

 カウントダウンの開始が21日で、発売前日の25日までだから計5回。すぐに消されるから以前は見逃したらそれでもうオシマイだったんですが、今はげっちゅ屋のページで簡単に振り返ることができるようになったのでひと安心。超便利。ネタの内訳は「21日:プリキュア/22日:あいまいみー/23日:ダンジョン飯/24日:GATE/25日:ゴンさん(HUNTER×HUNTER)」か。

 製品版も一応インストールは済ませた。まだ冒頭しかやってないけど、課長が部長に昇進してる……修ちゃんも特装隊(特殊装備潜入部隊)とかいう新設部隊の隊長になっていて驚愕。が、隊員は修ちゃん一人だけとのこと。女装要員が一人しかいないから自動的に隊長になったのか。どこの黒印騎士団(シュワルツ・リッター)だよ、と苦笑しつつも楽しめている。早くやり込む時間を作りたい。他に『ノラと皇女と野良猫ハート』もインストールしたけど、起動確認したら「これは体験版なので製品版とは一部仕様が異なる可能性があります」みたいなメッセージが出てきて唖然。せ、製品版買ったはずなのに……まさかの時の有料体験版! 無論、単なるミスだったようで修正データにて「注意事項画面の文字を修正」とのこと。分かり切ったこととはいえ一瞬冷や汗が出たじゃないですか。勘弁してくださいよもう。

・長岡弘樹の新刊『教場2』が発売された。

 タイトルでお察しの通り、ちょっと前に文庫化された『教場』の続編である。警察学校を舞台にした異色の警察小説だが、うちに足繁く通っておられる方ならこれまたお察しの通り、私はまだ読んでおりません。というか長岡弘樹の作品は全部積んでます。なので『教場2』もそのまま積読の山へ置かれる運命なのですが、せっかくだからと作者紹介だけパッと目を通してみた。内容自体は大して変わり映えしない。しかし、「2003年「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞」という件でふと気づいた。この作品ってまだ単行本に収録されていないような……?

 気になって検索してみたところ、やっぱり現状は未収録だった。こちらのインタビュー記事によると「真夏の車輪」は自転車を盗まれた高校生が犯人を追う、というストーリーで、オチになるような仕掛けがなく「事のなりゆきをただ書いたもの」だったから雰囲気に合わないってことで単行本への収録を見送られたらしい。出来もあまり良くなかったみたいで、『文学賞メッタ斬り!』では「高校生の話のはずなのに、考えてることがまるでオッサン。文章のレベルも最低に近い」と酷評されました。それでもう10年以上経つのに、ほったらかしのままとなっている。“小説推理”の2003年8月号に掲載されたので古本を漁るなり国会図書館へ行くなりすれば読めないこともないけれど、そこまでして読みたいかと言うと……ちなみに長岡は「真夏の車輪」以前にも何度か新人賞に応募していたようで、最初に書いた作品は『線の波紋』の原型になったとか。

 こういう、「出来に問題があったのか刊行ないし収録はされていないけど、受賞作だから略歴には頻繁に出てくる作品」って結構あるんですよね。冴木忍の『風の輪舞』とか、ろくごまるにの『喪中の戦士』とか。電撃だと御堂彰彦の『王道楽土』。受賞はしてないけど鎌池和馬の『シュレディンガーの街』もある。『とある魔術のヘヴィーな座敷童が簡単な殺人妃の婚活事情』で「語られることのなかった世界」として言及されたそうだ。出ないくらいだからそんなに面白くはないだろう、と冷静に考えつつも読めるものなら読んでみたいジレンマ。『ハルチカ』が放送されている初野晴にも『しびとのうた』というデビュー前に書いた応募作(最終選考まで残った)があって、いずれリメイクする予定らしいが、今のところまだ刊行されてはいない。「幻の作品」って大概は期待するとガッカリな代物なれど、それでもワクワクせずにはいられない魔力が宿っています。

ラノベ作家「ろくごまるに」さんが『独占契約したけど本が出ない』という富士見を名指しで批判する小説をカクヨムに投稿www(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 カクヨムとは告発サイトだったのか……もう名前は「カクリークス」に変えた方がいいんじゃないかな。「いえね、プロットが通って原稿依頼、一ヶ月かけて書き上げた原稿がボツになってタダ働きになった! とかなら別によろしいのですよ」だけでも充分出版界の闇が覗けるが、契約書を取り交わしておいて放ったらかしとはさすがKADOKAWA。映画界でも「映画化権だけ取得して塩漬け」みたいなパターンはよくある(有望そうな原作に唾を付けておいて、人気が高まってきたタイミングを見計らって別の会社に転売する狙い等がある)けれど、出版で独占契約を結んでおいて放置というケースはさすがに珍しいか。カドカワもそんなにやる気がないんなら独占契約じゃなくてもよかっただろうに。2話で「富士見から連絡が来た」と触れており、今後の展開がリアルに気になります。カクヨム史上最大の盤外戦が今はじまる……のかも。

「まどマギ」や「FATE/ZERO」で有名なライター虚淵玄さんのラノベ『アイゼンフリューゲル』のコミカライズ連載が決定!(まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト)

 「えっ、今頃?」というのがこのニュースを知ったときの第一声でした。『アイゼンフリューゲル』の1巻が出たのって2009年だからもう6年以上経っています。もともとはアニメの企画として考案されたネタだそうですが、いろいろあって企画が流れてしまったので虚淵自らがノベライズすることになった。ドラゴンが存在する世界で、「ドラゴンよりも速い飛行機を作る」ことに情熱を傾けた男たちの物語です。「アイゼンフリューゲル」はドイツ語で「鉄の翼」という意味。全2巻でコンパクトにまとまっており、「これは是非とも劇場用アニメとして観たかったな」という所感を得ました。2010年に読んだライトノベル(発売は1・2巻とも2009年だが2巻を読むのは翌年にズレ込んだ)では一番の面白さ。この頃はまどかマギカもZeroもまだ放送される前でしたから「2011年は御大の年となりそうな気配です」なんて評も軽い冗談のつもりで記したけど、本当にそうなってしまって書いた本人がもっとも驚くハメになった。このコミカライズが首尾良く進めばアニメ化の可能性も……いや、ひょっとしてアニメ化企画が進行しているがゆえのコミカライズ? だとしたら御大の悲願が数年越しに叶うことになるが、さすがにその可能性は低そうかな。

 ただ、私は『アイゼンフリューゲル』よりも『鬼哭街』の劇場アニメ化をより強く夢想しております。脳内では既に続編の『鬼哭鎧』(砕け! ジャイアント・タオロー!)と更にその続編『鬼哭鎧U〜浄火の装甲〜』(海外でガッツァイダー!)も上映中。ベルナードが搭乗する「テトラグラマトン号」は操縦桿代わりに二挺ガンコンが付いており、機体にガン=カタを再現させて戦う。要は『マジンカイザーSKL』のブレストリガーです。


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