2014年2月分


2014-02-28.

・さて、いよいよ『相州戦神館學園 八命陣』の発売日が来た。待ちきれないので封印していた体験版をプレーしている焼津です、こんばんは。

 『相州戦神館學園 八命陣』、長いので以降は戦神館と略す。これは正田崇にとって『PARADISE LOST』『Dies irae』『神咒神威神楽』に次ぐ4本目の伝奇エロゲーとなる。他に正田が参加してソフトとして『Dear My Friend』(サブライター、メインはNYAON)と『Imitation Lover』(これは企画原案のみ)の2本を挙げることもできるが、両方とも伝奇要素がないゲームなので雰囲気はだいぶ異なります。パラロス、ディエス、神咒の3作はすべて背景となる世界の設定が共通しており、「神座」なるシステムを巡ることから“神座万象”シリーズと名付けられていますが、今のところ続編を出す予定がないことから「神座三部作」と呼ばれることも多い。「世界の設定が共通」とは書いたものの、パラロスのキャラがディエスや神咒に直接そのまま登場したり絡んだりするわけではありません。パッと見だと作品ごとに話が進むどころか、歴史的にどんどん遡っていく(パラロスは近未来、ディエスは現代、神咒は強いて言えば幕末くらい)感覚すらある。「作品ごとに宇宙の法則が乱れる」程度の大雑把さでイメージしてもらえれぱ丁度イイ。神座について語り出すと長くなるうえネタバレしてしまいそうなので詳しい説明は割愛する。とにかく正田は2004年のパラロスから2013年の『神咒神威神楽 曙之光』(神咒の移植版)まで10年近くに渡って紆余曲折を経ながら神座関連のシナリオばかり(DMFは例外)を書き綴ってきました。正田と言えば神座、神座と言えば正田といった具合であり、このふたつはほとんど不可分で切り離せない項目でしたけど、さすがに神座ばっかりでは新規ユーザーも入ってきにくいだろう……という配慮があったのか「“神座万象”から完全に独立した設定の新作をつくる」として戦神館の企画を立ち上げるに至りました。

 戦神館は主人公の柊四四八(ひいらぎ・よしや)が「千信館學園」に通う学生なのでざっくり「学園モノ」に分類しても間違いではありませんが、「夢界(カナン)」という「もう一つの現実」において6つの勢力(神祇省・裏勾陳・鋼牙・逆十字・貴族院辰宮・べんぼう)が対立して険悪にいがみ合っている……という壮大な伝奇設定が背景にあり、感覚としては「学園モノ」と「異世界モノ」が相半ば。言うなれば「起きてる間は普通に生活できるけど、寝たらMMORPG(デスペナあり)に強制参加」である。SAOとかログホラとかで見られる「ログアウト不能系」の変種ですね。ちょくちょく現実には戻れるんだけど、本質的にはログアウトできていない。そして夢界の行動がだんだん現実へ影響してくるようになる。「単にログアウトできない」よりも恐ろしい状況を描いています。主人公たちは「戦真館」というチームを組んで六大勢力に立ち向かいつつ、夢界の真実を探ろうとする。ボリューム的にはDiesよりも少ないそうだが、シナリオ総量は3MBに及ぶと云う。これはだいたいニトロの村正と同じであり、原稿用紙に換算すると400字詰に改行ナシでびっしり書き込んで約4000枚といったところ。エロゲーのシナリオはスクリプト込みか否かでまた容量が変わってくるので簡単には比較できませんが、「長いエロゲー」の代表格であるFateでもsnは4.3MBくらい。Diesも確か4MB超えてたはず。公表されている範囲では最大級の『W.L.O.世界恋愛機構』ともなると6.5MBですが、さすがにこれは規格外。製作に10年掛かった『仏蘭西少女』は、公表されていないけど「ライトノベル36冊分」という触れ込みを元に概算すると10MB前後か……そういえば「シナリオが全部完成してからゲーム化してくれる会社を探した」という変り種の企画『エルフェンブレイズ〜精剣血風録〜』もあったな。ライター曰く17.8MB。2008年12月にageが手を上げたが、あまりの超ボリュームゆえか5年経ってもゲーム化されず、完全に音を上げた形となっています。と、いかんいかん、脱線しました。話を戻そう。

 「戦神館」「千信館」「戦真館」と同音の用語が3つもあるため混乱を来しそうになりますが、「戦神館=タイトル名」「千信館=主人公たちの通う学園名」「戦真館=主人公たちのチーム名」と区別して覚えましょう。戦真館は千信館の旧名でもあり、このゲームの醍醐味である「『もう一つの現実』の中で歴史を遡る」という要素とも絡んできます。夢界は階層構造になっていて、第四層に到達するとなぜか明治時代へ辿り着く。「異世界召喚」や「ログアウト不能」に加えて「歴史改変」も具材として盛り込まれているわけだ。登場文物の中に大杉栄光という名前のキャラがおり、どうしても実在したアナーキスト「大杉栄」を連想せずにはいられないが、果たして関連はありやなしや……ちなみに体験版を再開する直前、たまたま瀬戸内寂聴に興味が湧いて『美は乱調にあり』を読み、そこから派生する形で『日本脱出記』を読んでいた。再開した途端に栄光の顔が出てきて、そこはかとなく運命を感じました。戦の真は栄の光に顕現する。

・悲しいことに『百舌の叫ぶ夜』をはじめとする“公安”シリーズ新装版は実写カバーで確定みたいだ……ドラマはドラマ、原作は原作と分けて楽しみたい人にとって実写カバーはあまり好ましいものでない。買い直しするかどうか、もうちょっと検討することにします。

天狐『英雄*戦姫GOLD』フルアニメーションOPが公開!タモリ倶楽部www(2次元に捉われない)

 漫画版しか読んでない当方でもなんかワクワクしてしまう。しかし『白詰草話』の頃に比べて、アニメにおける大槍絵の再現度も随分と向上したなぁ……と今更な感想を抱いた。大槍絵自体が変化してアニメ向きになってきている部分もありますけど。今となっては語られることも少ない『白詰草話』、雑誌で企画が発表された当時は大槍絵の衝撃とFFDなる演出の新規さでエロゲーの未来を垣間見た思いがした、というのは既に何度も繰り返してきた。結局エロゲーはそちらに進まなかったけど、もし進んでいたら……という益体もない想像を働かせるのが楽しい。FFDはまだ我々の心の中で残り続けています。

ワールドトリガー×ぼんち揚、パッケージを葦原大介が執筆(コミックナタリー)

 『ワールドトリガー』読んでいるとぼんち揚食べたくなるもんな、実際当方もワートリ読んだ後に買っちゃった。けど、久々に食べたら甘さが気になった……食感は相変わらず好きなんだけど、ぶっちゃけ加齢とともに甘辛系の味付けが苦手になりました。焼肉のタレとかでもフルーツ混ぜてるようなのはダメ。もちろんテリヤキの類も好きではない。なぜか世間では甘辛系が人気みたいなので、初めて口にするタレ系フードはつい「甘辛じゃないだろうな」と警戒してしまう。ぼんち揚はパッケージだけじゃなくて、味のバリエーションも拡充してほしいところだ。

『ブラック・ラグーン』待望のコミックス第10巻が5月19日に発売決定!限定版にアートワーク集&謎のお風呂ポスターが付属!(萌えオタニュース速報)

 ついに来たか……4年半ぶりですよ。作者の体調不良が理由で2010年頃から休載となったアクション漫画です。2013年1月から再開してポツポツと雑誌に原稿を載せていましたが、やっと単行本が出せるほど溜まった模様。痺れを切らして一旦既刊を処分しそうになった時期もありましたけど、堪えて良かった。で、そろそろ『シェイターネ・バーディ』を映画化しません? 大スクリーンで動くシャドーファルコンが観たい。

『六畳間の侵略者!?』今夏テレビアニメ化 キャスト:中村悠一、悠木碧、竹達彩奈 ほか(ひまねっと)

 HJ文庫における「影の長期シリーズ」が遂にアニメ化とな。『六畳間の侵略者!?』がスタートしたのは2009年2月(公式発売日は3月1日だが、実際は月末に店頭へ並んだ)、今から5年前。実は『百花繚乱』と同じ月に開始しているんです。『百花繚乱』が既に2期目まで終えていることを考えると、映像化までやけに時間が掛かったな……という気がする。作者は健速、「けんそく」ではなく「たけはや」です。エロゲーシナリオ出身のライターで、「完璧超人じみた(けれどナイーブな)主人公の活躍を丹念なテキストで紡ぐ」作風によって固定ファン層を築いている。ただ過去に「匿名で自画自賛した」という疑惑が生じたため、健速ファンであることを公言したり健速の作品を誉めたりすると「また自画自賛なんだろ」という意味を込めて「健速乙」と返す行為が定型化した、って経緯があります。まあこれも既に廃れている風習かもしれませんが……彼のライターデビュー作は2003年の『こなたよりかなたまで』ながら、出世作となったのは2006年の『遥かに仰ぎ、麗しの』と2007年の『そして明日の世界より――』。なので「エロゲーライターとしての健速」に興味がある方はまず『かにしの』と『そし明日』の2本をやってみればよろしいかと。ちなみに『かにしの』は健速と丸谷秀人のダブルライター制であり、健速が担当したのは「本校ルート」と呼ばれる方。丸谷の「分校ルート」とはだいぶ作風が違うので、それを念頭に置いてプレーすべし。個人的にはこなかなが一番好きなんですけど、デビュー作だけあっていろいろ粗が目立つのと、ボリューム的にちょっと短いのが難点。しかし『乃木坂春香の秘密』のイラストなどで知られる「しゃあ」が唯一原画を手掛けたエロゲーでもあり、レアっちゃレアです。機会があればプレーしてみるのも一興。『六畳間の侵略者!?』は5年もやってるだけあって最新刊が15巻となかなかの冊数に達しています。2桁の巻数に挑むのはしんどい、と怯んでしまうアナタには『風とリュートの調べにのせて』を薦めておく。最新刊が4巻とまだ少ない。こっちはこっちで、打ち切られなかったらどこまで続くかわからないくらい「止め処なく壮大なストーリー」の気配が漂っていますけども。

・拍手レス。

 こういうことを言うのは無粋なんでしょうけど、忍殺書いてるの奈良原だと思ってます。原作は海法とかで。まあ明確な根拠があるわけじゃないんですけど。ただそう思ってるおかげで、奈良原新作まだー、とは思わずに済んでます。
 忍殺のツイッター連載が始まったのは2010年……時期的には符合しますね。忍殺かどうかはわからないですけど、別名義で活動している可能性は少なからずあるかもしれません。先日亡くなった山本兼一もインタビューで「ペンネームでティーンズ小説を書いたり、単行本のゴーストライターをしたり」と語っていましたが、未だに旧PNがわからない。好きな作家やライターでも名義が変わると一気に追跡が難しくなります。


2014-02-21.

・逢坂剛の“公安”シリーズの新装版が来月に何冊か出る、と聞いて「なんで今頃? 映像化でもすんの?」と勘繰った焼津です、こんばんは。ぐぐったらドラマ化するみたいだと判明しました。

 確認できたのは『百舌の叫ぶ夜』『幻の翼』『砕かれた鍵』の3冊。他は4月以降出るのかな? “公安”シリーズは“百舌”シリーズと呼ばれることもある(amazonの表記でもそうなっている)し、そっちの方が通りはいいみたいだけど、シリーズ第1弾に当たる『裏切りの日日』には百舌が出てこないので“百舌”シリーズと呼ぶのはちょっと違和感があるんですよね……「百舌」というのはシリーズ第2弾『百舌の叫ぶ夜』から登場した殺し屋の名称で、こいつの存在が大きすぎてシリーズ全体を乗っ取られてしまった感がある。『天』におけるアカギみたいなキャラ。“新宿鮫”で言うと『毒猿』ポジションだから、シリーズ化は予定してなかったんじゃないかな、という気がします。『百舌の叫ぶ夜』は最初の単行本が1986年発行だからもう30年近く前の小説だ。ヒネリの利いたサスペンスで、これをキッカケにして読書にハマったと語る人も結構多い。当方にとっても初めて読んだ逢坂作品なので思い入れは深い。「孤狼岬」という作中の地名が妙に印象的だった。

 “公安”シリーズは『砕かれた鍵』のあと『よみがえる百舌』『ノスリ(狂の下に鳥)の巣』の2冊が出ています。ノスリあたりまで行くと正直ちょっと……ムニャムニャ……という具合なのでファンはこれ以上の続編をあまり待望していないのですが、ドラマ化に合わせてか“小説すばる”誌上で新作『墓標なき街』の連載も始まった。“公安”シリーズ第7弾である。ドラマ公式サイトではノスリを「第5巻」と表記しており、『裏切りの日日』はなかったことにされているみたいで、その伝で行くと『墓標なき街』は第6巻ということになります。確かに百舌は出てこないけど、重要人物の一人である「津城俊輔」をより深く知るうえでも『裏切りの日日』は外せないと思いますけどね……せめて「エピソード0」的な扱いにしてほしい。『裏切りの日日』は90年代に古谷一行主演で2時間ドラマ化しているみたいですが、この機会にリメイクされないかしら。

 今回ドラマの原作として使われるのは『百舌の叫ぶ夜』と『幻の翼』の部分だけみたいです。好評だったら続編も、という腹案? 『幻の翼』は『百舌の叫ぶ夜』の直接的な続編で、いきなりここから読み出すとネタバレのオンパレードなうえ設定や人間関係が分かりづらい。素直に『百舌の叫ぶ夜』→『幻の翼』の順で堪能しましょう。本音を申すとドラマにはそこまで期待していないけれど、新装版が出るならイイ機会だし買い直すことにしよう。当方が持ってるのって中学生の頃に購入した奴ですからね、いい加減ボロっちくなってきたのでそろそろ買い替えたいとは考えていました。でもカバーが実写だったら迷うな……最近は減ったきたようだけど、ドラマや映画に合わせて原作の表紙を実写に差し替える試みはホントやめてほしいです。

オリジナルTVアニメ『アルドノア・ゼロ』発表!監督:あおきえい、ストーリー:虚淵玄、制作:A-1 Pictures×TROYCA(萌えオタニュース速報)

 ロボアニメ? 「ノア」の部分は綴りからして「ノアの箱船」のノアじゃないかと思うけど、情報が少なすぎてよくわからんな……しかしホント御大の仕事は途切れないですね。鋼屋も、ドグラQは止まってるけど他でポツポツやってるし。問題は奈良原……ビックリするほど音沙汰がないです。退社説すら囁かれているが、それもそれで確実な裏付けがないし。今年で村正5周年、いい加減何かの動きがあってほしいが……。

えんどコイチ「死神くん」TVドラマ化!主演は嵐・大野智(コミックナタリー)

 おっ、懐かしい。えんどコイチが『ついでにとんちんかん』の前に手掛けていた一話完結方式の漫画シリーズですね。『イキガミ』読んで『死神くん』を思い出したという人も多いでしょう。死神くんが手帳を落として、拾った少年がそこにいじめっ子の名前を書くと……みたいなエピソードもあって『デスノート』との関連を取り沙汰されたこともあったが、水木しげるも「不思議な手帖」って短編漫画描いてるし、これらの元ネタを辿っていくと結局は閻魔帳(鬼籍)に行き着くので不毛な議論になること請け合いです。

「主人公が一度、とことんまでどん底に落ちる」←って感じの作品(ひまねっと)

 投獄と言えば『ハード・タイム』、ヴィク(V.Iウォーショースキー)シリーズの第9長編。ライトノベルだと『ダブル・ブリッド』の絶え間ないどん底感は凄かったですね。いったい何重底なんだよ、という。時代小説だと『風の轍』が圧巻だった。ヒロインはイイトコのおひいさまだったんだけど、不正がバレて一族は死罪、命からがら逃げ出したヒロインも山賊に捕まって輪姦されてから遊所に売り飛ばされる。諦めの境地に達して春を鬻いでいたヒロインを昔の奉公人が助けに来て、二人は夫婦になりますが、これでもまだまだ前半部。その後も這い上がってはどん底に突き落とされ、這い上がってはどん底に……を繰り返す。文庫本にして800ページもあるから一気に読むと疲れるというか手が痺れますが、「どん底からの生還」が好きな人にはプッシュしたい。時代モノは結構どん底系が多く、富樫倫太郎の『蟻地獄』『闇の獄』もなかなか暗黒感が深い。ちなみに『蟻地獄』には後日談として“すみだ川物語”3部作が、『闇の獄』には続編として『闇夜の鴉』が存在します。

未完の名作「星くず英雄伝」が復刊。続巻も刊行予定!(わなびニュース)

 作者と編集の折り合いが悪かったとかで長らく休止していたシリーズです。いわゆる「ハーレム系」の源流に当たる作品の一つ、らしい。読んだことはない。未完ということでずっと避けていたのだが、再開するのなら読んでみようかな。

・拍手レス。

 アイリス・ゼロの6巻の発売日がいつだったかな、と思ったら発売予定日が『2014年3月22日』に・・・ ずるずる延びていかないことを祈ろう・・・
 出版物は地味に延期するので定期的なチェックが欠かせないですね。翌月もリストに載っていて「延期したのか」と思ったら2ヶ月連続刊行だった、みたいなこともありますけど。(例:『そらのおとしもの』は今月が19巻発売で来月が20巻発売)。

 ワールドトリガーが取り上げられているだと?!自分の応援している作品が褒められていると嬉しいですねぇ
 ワールドトリガーはもうちょっと話のイメージが掴めるタイトルだったらいいのにな、と思いつつ現状これといった不満のない仕上がり。

 銀河英雄伝説のOVAは当時の有名声優をこれでもかと詰め込んだ大作ですからね。今再アニメ化したところであの時のような豪華なキャスト陣を集められるかどうか予算の関係上微妙なところですし、ヘタにストーリーを端折ってしまってはまずいですからね。正直、未完のままアニメ化されてしまったタイタニアと同じ末路をたどってしまうのではないかと心配でなりません。
 古参のファンを完全に満足させるのはたぶん無理だろうから、ある程度割り切って「新規ファン層の開拓」を目指す企画になるのではないかと勝手に想像していますが、果たして今の若い子らが銀英伝に食いつくのかどうか……。


2014-02-16.

lightの新作『相州戦神館學園 八命陣』、Disc3がマスターアップ

 完全確定。これで後は事故でもないかぎり延期はないです、安心して月末の予定を空けておくがいい。

直木賞作家の山本兼一さん死去

 ショックで全身がスッと冷たくなった。最近は積んでばかりであまり読んでいなかったけど、『いっしん虎徹』は面白くて夢中になって読み耽ったものでした。骨太で読み応えのある長編を次々と手掛ける一方、軽やかな短編小説も得意としていて、「普段時代小説はあまり読まない」という人にもオススメしやすい作風でした。初めての方は『千両花嫁』あたりが入りやすいのではないかと思います。それにしても57歳だなんて、若い。若すぎる……残念でならない。

『銀河英雄伝説』再アニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 真っ先に「再放送で充分なんじゃ……」と思った。「銀河声優伝説」とも言われるぐらい大量の声優を起用し、かつ鬼籍に入ってしまった方も少なくないアニメ版『銀河英雄伝説』。外伝含めて全165話という膨大な話数を、もういっぺんやるのは恐らく物理的に不可能だろう。TVアニメに換算すると約14クール、忠実にやり直すとなれば3年半も掛かる途方もないプロジェクトになってしまう。尺を縮めて2クールぐらいにまとめるのが関の山だろうけど、銀英伝のファンは筋金入りの人が多いから生半可な出来ではダメ出しの嵐になりかねない。正直、4クールでも不満の声が続出するでしょうね。贅沢な話だが、元が本当に贅沢なアニメだったんだから仕方ない。いっそ銀英伝とアルスラーンとタイタニアと創竜伝と灼熱の竜騎兵を全部混ぜて『スーパー田中芳樹大戦』にした方が誰も期待や不安を寄せなくて平和になるんじゃないだろうか。芳樹の歴史にまた一ページ。

「バキ」新章のタイトルは「刃牙道」、再開まであと5週(コミックナタリー)

 バキドウ……なんだか「バセドウ」みたいな響きだな。果たして烈ボクシングは再開されるのか?

【速報】『テラフォーマーズ』TVアニメ化&OVA化キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!(ひまねっと)

 「やっぱり」って感じですね、売れ行きや出版社の押しっぷりからして絶対にアニメ化は来るだろうな、っていう気配がビンビンに漂っていました。火星のムキムキマッチョなゴギブリどもを倒すために地球人たちが仮面ライダーの怪人みたくキメラ化して「人類を無礼(なめ)るな!」する話。「俺たちの戦いは(以下略)」エンドでしかないことは目に見えているけど、差し当たってバトルシーンに期待。この波に乗って『アラクニド』もアニメ化しようで、なあ……こっちもゴキブリ出てきますよ、可愛い女の子の姿で。来月10巻が発売予定だから、もしするんだったらそろそろ発表があるはずだと思うんですけど。

サイトウケンジ/奈央晃徳『トリニティセブン 7人の魔書使い』アニメ化企画進行中(萌えオタニュース速報)

 あれアニメ化するのか。確かに推してる感じではあったけど……タイトルの「セブン」は四天王的な意味で「各分野を極めたトップ7の美少女たち」を指している。各分野というのはつまり「七つの大罪」(傲慢・憤怒・怠惰・嫉妬・強欲・暴食・色欲)のことで、それぞれの大罪について更に4つのサブカテゴリが存在します。たとえば「憤怒」のサブカテゴリは「崩壊・開拓・創造・分解」。サブカテゴリに存在するものを「テーマ」と呼び、それが専攻する魔道科目となるわけです。感覚としては学部学科のようなもんで、たとえば「トリニティセブンの一人、傲慢(スペルビア)の正義(ユースティティア)、ミラ」と言われた場合は「傲慢学部主席のミラさん、専攻は正義」くらいに受け取れば宜しいかと。魔道モノとはいえRPGチックでオカルト色は薄く、『山田くんと7人の魔女』をバトル寄りにするとこうなるかな、程度のノリ。主人公がドレスブレイクを使うので『ハイスクールD×D』っぽくないこともない。原作のサイトウケンジはエロゲー出身のライターですが、今はライトノベル作家として認知されているかも。エロゲーと言えば、『スズノネセブン!』ってソフトがあったっけ……あっちはトップ7ではなくてワースト7を指していましたが。代官山すみれは今見ても可愛いのう、目がちょっと大きいけど。

・葦原大介の『ワールドトリガー(1〜4)』読んだ。

 “週刊少年ジャンプ”で連載中のSFアクション漫画。人気があるらしい、話題になっているらしい……とは聞き及んでいたが、いまいち「売り」となるポイントがわからず様子見していました。今月の最新刊で4巻目に達し、「巻数溜まってきたし、そろそろ読み頃かな……5巻以上になると読み出すのが億劫になってくるし」と判断。思い切って手を伸ばすことに致しました。作者は『賢い犬リリエンタール』の葦原大介です。リリエンタールは評価こそ高かったものの、ほのぼの路線なのかシリアス路線なのかハッキリしない作風が祟ってかあまり人気が伸びず、単行本にして全4巻で終わってしまいました。ワートリは売れ行き良好らしく、12月に出たばかりの3巻でも増刷が掛かっているくらいだから、しばらく打ち切りの心配はなさそう。むしろこのまま行けばアニメ化すら視野に入る勢い。『PSYREN』みたいに、そこそこ長期化しつつ結局アニメ化しないまま完結しそうな雰囲気も漂っていますが。

 異世界に通じるゲートが開き、そこから巨大な化け物どもが現れて人々を襲うようになった近未来の日本――謎の侵略者たちは「近界民(ネイバー)」と命名され、人類の敵に認定された。通常兵器の効き目が薄いネイバーを打倒する手段はただ一つ、ネイバー自身から齎された技術によって生み出された特殊な武器「トリガー」を駆使すること。トリガーの扱いに長けたエキスパートたちを集める界境防衛機関「ボーダー」の存在によって人類の平和はどうにか保たれていた。いつ、どこに出現するのかまったく不明だった異次元のゲートを、トリガーの解析に基づいたテクノロジーで特定の地域に誘導することが可能になったため、文明はふたたび安寧の道を歩み始めた……かに見えたが、やがて「発生するはずのないポイント」にゲートが発生する事案が頻出するようになる。差し迫った危機に対処するための鍵は、自らを「ネイバー」と称する白髪の少年――空閑遊真(くが・ゆうま)にあった!

 異次元に繋げるゲートが開いて云々という、正直もう聞き飽きた印象の強い設定をうまく使って王道的な少年漫画の面白さと、細かい設定の作り込みを楽しむSF的なワクワク感を融合してみせた作品です。タイトルは「ワールド」と壮大だが、今のところ日本の一地域しか舞台になっておらず、核心に迫るのはまだまだ先のことでしょうね。一応、あらすじにも書いた「ネイバーの少年」空閑遊真が主人公ってことになるんでしょうが、視点はむしろ彼と出会って相棒めいたポジションに収まる眼鏡の少年――三雲修(みくも・おさむ)にあり、読み方次第では「修が主人公」と見做せるかもしれません。あるいはユーマとオサムのダブル主人公制。1話目で明かされるからバラしちゃうけど、実はオサム、ボーダーの訓練生でちょっとだけトリガーを使うこともできる。しかし、弱い。現時点で作中ぶっちぎり最下位の弱さです。機転やハッタリで立ち回るタイプでもないので、「正義感は強いけど、実力がそれに追いつかない」という非常に残念な具合に陥っている。歳を取った今の当方なら素直に応援したくなる奴なのだが、中高生時代に読んでいたらあまりの弱さにイライラしていただろうな……巻末予告によると5巻で「覚醒――!?」するらしいし、いい加減そろそろ見せ場らしい見せ場が来るか?

 『ワールドトリガー』の魅力は端的に言えば「部隊モノ」としての面白さにあります。ボーダーという防衛組織がメインとなり、ネイバーに関しては今のところ「謎の敵、だが知性と文明はあるらしい、こちらの世界を荒らしている化け物はあちらで作られた兵器」という程度のことしか分かっておらず、詳しい説明は後回しの状態。オサムは始まった時点で既にボーダー所属の身ですが、ユーマやヒロイン(?)のチカちゃんが入隊するのは3巻以降(しかもその時点では仮入隊)と、展開が結構のんびりしている。4巻でようやく「部隊モノ」としての形が整うので、4冊まとめて読んだのは我ながら正解だったな……と自分で自分を誉めたい気分です。何でもそうですが、部隊モノはチームを構成するメンバー一人一人のキャラを丁寧に立てていかないと盛り上がらない。ストーリーが本格的に動き出す前段階で主要メンバーをきっちり見せてくれたのは構成として上手いと思うし、単純にワクワクするので嬉しかった。みな命懸けで戦う(緊急脱出用のシステムも構築されているが、任務に危険が伴うことに変わりはない)のだから、それぞれ相応に覚悟がある。ボーダー内も決して一枚岩ではなく、ある派閥がユーマを擁することになれば「パワーバランスが崩れる」ことを別の派閥が危惧する=ユーマの入隊を阻止しようとする――など、政治的な駆け引きや暗闘の要素も混ざっていて、本来のターゲットである少年層のみならずもっと上の世代まで訴求する確かな読み応えが備わっています。

 ユーマとオサムの価値観の違いを軸にする1巻からして読者を引き込む工夫が凝らされているし、4巻以降は訓練で施設を破壊してしまうチカちゃんの無双ぶりにいろいろな妄想が捗ります。ワートリは俺TUEEE!漫画ではなくチカTUEEEE!漫画になりそう。難点は、強いて言えば恋愛要素が今んとこゼロってことか。チカちゃんをはじめヒロインに相当する子は何人か登場しますけど、戦いと訓練に明け暮れてばかりで艶っぽいイベントがまったくない。4巻通してラブコメの香りが流れてきたのは、木虎さんが烏丸(オサムの師匠格)に憧れているっつー箇所くらい。コレについても冷静に読み返すとラブというよりライクな気配が濃厚で、めっちゃラブコメ臭が希薄です。「何かしらの恋愛要素がないと興味を維持できない」という方にはオススメしがたい。しかし、ラブコメという少年漫画の重大な武器を捨ててなお放射する魅力が胸を貫く一作であり、「最近なんかイイ漫画ねーなー」とボヤいている方にはここぞとばかりにプッシュしておきたい。正直ちっと舐めてましたね、まさかここまで面白いとは……それにしても、作者に「二十歳を過ぎても黒のロングコート+二刀流というスタイルに微塵の照れも見せない、なかなかのつわもの」とさりげなくdisられている太刀川さんに笑った。登場人物の誰を主人公に据えてもストーリーが成立するほど強靭な下拵えを行った物語であり、疾走感溢れるバトルシーンではアドレナリンが沸騰し、脳内で灼熱のBGMが流れ出すこと間違いなし。オッサンが読んだら精神的に若返るくらいの興奮度です。

・拍手レス。

 .『あそびにいくヨ!』といえば作者の別レーベルの作品(ソノラマ文庫のシュレイオー)の主人公たちが顔をチラ見せしてたけどあれってどれだけの人が元ネタを知ってたんだろうかと思ったものです。なんか調べたら「シュレイオー」無料公開してるみたいですね。
 シュレイオーは当方も読んでなかったので知らなかった。漫画とかアニメとかでもそうですけど、他作品のキャラがチラッと一瞬だけ登場するのを発見するのは楽しいですね。


2014-02-11.

・ふと思い立って「MF文庫Jの長期シリーズをまとめてみた」焼津です、こんばんは。

 前回書いたスーパーダッシュ文庫の記事は「長い」という反響が多かったので、今回は頑張って手短にまとめてみました。「MFってゼロ魔やはがないの印象が強いんだよなー、他に何があるんだろう?」という方はMFに興味を持つ取っ掛かりとして目を通してみては如何でしょう。リストだけでは味気ないと思って解説も付けたけど、書き上がってみると「リストだけでも良かったかな」って気がしないでもない。

lightの新作『相州戦神館學園 八命陣』、Disc1・Disc2の両方がマスターアップ

 これで今月末日発売はほぼ確定ですな。まだあんまり実感が湧かないけど……体験版は冒頭をちょろっとやっただけで、なんとか我慢することができました。なるべく多くの未知を味わいたい、という当方の願いも叶えられそうだ。うっかりネタバレ見ちゃったりもしたけど、ともあれ3月頭の予定をうまく空けておかないとな。昔ほどの集中力がなくなったから、コンプするのにどれだけ掛かるかわからない。神咒は3ヶ月くらい掛かってしまったし、今度はなんとか2ヶ月程度に抑えられるといいな。プレーが長期間に及ぶと、前半の記憶が薄らいでしまって没入度が減るんですよね。そのくせ長くやってるぶん愛着が育ってしまって、終わらせるのが辛くなる。やっぱり短期間でスパッとコンプする方がベターです。

SAO作者・川原礫先生の『絶対ナル孤独』が夏頃から刊行決定!(ひまねっと)

 絶ナル、やっと書籍化か……絶対するだろうとは思っていたが、いつになるか分からなかったので、刊行時期がハッキリしてホッとしました。AWが受賞したときにはもうあったはずだし、結構前からやってるシリーズなんですよね、確か。SAOはプログレッシブもやってるから向こう数年は終わりそうにないし、AWも全然畳みに掛かる気配がない。これ以上作業を増やすとパンクしかねない恐れもあってハラハラするが、「遂に絶ナルが紙媒体で読める」という喜びの前にはそんな不安も霞む。どんなストーリーかも全然知らないし、極力あらすじを読まないようにして挑もうっと。

『聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク>』アニメ化決定! (萌えオタニュース速報)

 GAでもっともアニメ化されそうな作品がワルブレだったので驚きはないです。ダン出こと『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』がワルブレの次くらいに有力視されていたが、こっちも時間の問題でしょうね。前世を二つ持つ少年が、それぞれの前世で出会ったヒロインに挟まれて三角関係になりながら無双する。「なんてこった! 俺TUEEEE!系はまだまだ終わらん、むしろまだ始まったばかりなんや……!」と痛感するでしょう。作者のあわむら赤光はGAの生え抜きで、ワルブレ以前にも『無限のリンケージ』『あるいは現在進行形の黒歴史』、二つのシリーズがある。黒歴史の方はまだ終わってないと思うが、どうなんだろう、ワルブレと並行して続けるつもりなのか、そろそろ完結させるのか。GAのシリーズ作品はアニメ化されていない奴だと『異能バトルは日常系のなかで』が好きです。一番好きなのは“戦塵外史”(全6冊)だけど、あれが今更アニメ化されたら腰を抜かすな……大迫の『ゾアハンター』は実写の方が向いてるか? ハリウッドが目を付けて映画化すればいいのに。

【画像あり】最近流行りの男子「仏男子」が完全にお前らwwwwwwww(暇人\(^o^)/速報)

 仏……? 射干ってるようにしか見えない……これ背景は絶対「蓮台に誰も乗っていない虚ろな曼荼羅」だろう。本当に流行ってるなら近々第六天が流れ出すな。

・拍手レス。

 エロゲー紹介が電撃王から電撃姫に移ってちょっと買いにくくなって、その電撃姫を他の本で挟んだり裏返しにしたりしてドキドキしながらレジに並んだものですが、今はパソコンで簡単にそういった雑誌に載ってた情報やサンプルCGを見られるようになっちゃいましたからねえ……。体験版なんかもバンバン落とせますし。雑誌の限られたスペースに載ったHなシーンに胸をときめかせていた時代が懐かしいです。……それでも家族共用のパソコン使ってた頃は色々気を遣ってたんだよなあ……。
 普段はエロゲーの記事を載せない雑誌にたまたま一枚だけエロゲーのイベントCGが載っていたりすると、それはもう穴が空きそうなくらい繰り返し凝視したもんですわ。雑誌世代だと実際にプレーしたソフトよりも記事に載ってたソフトの方を鮮明に覚えていたりしますね。

 お仕事はしてるんですよね。劇場版らっきょの特典小説やら過去作リメイクの書き下ろし部分やらスピンオフ作品の設定監修やら。多方面に手を出しすぎてる所為で一つ一つの企画が殆ど進んでないように見えるのがなあ……。DDDはまほよが最初に発表された時からゲームになるまでの期間位時が経てばアニメかゲームになって帰ってくるんじゃないでしょうか(震え声)
 あっちこっちに手を出しすぎて一つ一つが遅くなるのは田中ロミオあたりも一緒ですな……オクルはロミオがあと何回転生を繰り返せば完成するのでしょう。56億7千万年後に弥勒が降臨して「オクルマダー?」とせっつく、そんな光景がありありと目に浮かぶ。

 型月は10年間、ほぼフェイト関連のみで保ってきましたからね。曲芸商法云々というより、ここまで来ると作品の持つ地力の凄まじさに感じ入らずにはいられん。
 真似しようとしてもそういうソフトはなかなか生み出せませんからね。でもFateだけじゃなくて『月姫』関連を動かしてもええんやで……15周年(2015年12月)くらいにはリメイク出るかな。


2014-02-06.

お宝マークで有名な雑誌『パソコンパラダイス』が休刊という報せで遠い目をしてしまう焼津です、こんばんは。

 何度か買ったことあるけど、あのお宝マークが鬱陶しくて定期購入はしなかったな……創刊は1991年か。『プリンセスメーカー』の頃ですね、まだ『同級生』も出てなかった。よくそんな頃にアダルトゲーム専門誌を発刊しようと思い立ったものだ。聞くところによると、エロゲー市場全体のピークは2003年あたりだけど、80年代は競争相手が少なかったおかげで各社濡れ手に粟のボロ儲けで、「一番美味しい時代」だったそうである。具体的にどんなソフトがあったのか、詳しいことを知りたい方は『エロゲー文化研究概論』あたりを読んでください。20年以上も生き延びたんだから、よく保った方ではある。そう考えても、やっぱり一つの時代が終わってしまったような寂しさは拭えない。エロゲー雑誌どころか、今や「エロ本」という概念自体がどんどん廃れつつあるそうです。変化を受け容れるしかないのだろうか……。

ハイクオソフトの新作『ひとなつの』、マスターアップ

 マスターアップしたことにではなくまだ発売していなかったことに驚いた。アレの情報が初めて出たのって何年前だっけ……記憶が劣化して思い出せない。検索してみると、どうも2010年くらいにティザーサイトを作っていたらしい。「いつものハイクオじゃん」と言われたらそれまでだが、ここもなんだかんだで息の長いブランドだよな。いわゆる「同人上がり」みたいだけど、デビュー作をリリースしたのが2004年9月だから今年で10周年だ。10年間で発売したソフトは7本(本当に出るかどうか半信半疑だが『ひとなつの』も含めた)、うち3本はFD等の派生ソフトだから、純粋な新作はたった4つ。『ひとなつの』を含めなければ『すくみずポリス』『よつのは』『さくらさくら』の3つしかない。『すくみずポリス』はそんなに難航しないで普通に発売されたけど、『よつのは』から「延期が年中行事」のブランドへと変貌していった。すくみずからよつのはまで1年以上(16ヶ月)掛かってます。で、よつのはに登場した猫宮ののというロリっ娘(3年ぶりに再会したのに3年前よりも幼く見えるイリュージョン)がブレイクして、のの関連のソフトを2本も出した。OVA化された移植版も発売されたので、3年くらいはのの人気だけで食ってましたね。2009年からは主力ソフトが『さくらさくら』に切り換わりますが、本編発売からFD発売まで4年近く掛かるという凄まじい低速開発ぶりを見せ付けた。なぜ潰れないのかよくわからないブランドの一つである。

富士見書房『龍皇杯』10年ぶりに復活! 新鋭作家6人が競演する読者参加企画(わなびニュース)

 龍皇杯……懐かしい響きですね。リンク先にも説明がありますけど、かつて“月刊ドラゴンマガジン”誌上で行われていた短編小説コンテストです。98年に第1回が開催され、2004年(結果発表は2005年)の第7回で休止となっていた。あざの耕平の『Dクラッカーズ』も元々はこの企画に参加するための読切短編として書かれたものです。読切版もDクラの短編集に収録されていますが、「よくここからあそこまで伸びたなぁ」と感心する出来。歴代龍皇や参加作についてはウィキペディアを参照してもらうとして、「復活」というのは単にドラマガでの掲載が再開されただけだと思っていたけど、まさか参加作すべてをWEB上で公開して投票を募る(ドラマガにも「龍皇杯ブック」なる別冊付録があり、そちらのアンケートハガキからも投票できる)形式に変貌とは……時代の変化を感じます。中堅の層が厚いおかげで電撃、MFに次ぐ業界三番手くらいのポジジョンをキープし続けている富士見ですが、新人や新シリーズの伸びがいまひとつという悩みも抱えている。復活した龍皇杯が良い刺激になることを期待します。

『ライトノベル☆めった斬り!』読んだ。

 先月に古本屋で見かけ、「SDの記事(君はスーパーダッシュ文庫を知っているか?)を書くのに参考になるかな」と思って買ってみたが、SDについてはほとんど触れられていないため参考にはならなかった。半分くらいは70〜80年代の「ライトノベル前史」と「ライトノベルのあけぼの」に筆を割いており、90年代と2000年代はそれぞれ1/4ずつといった配分。70年代は生まれる前だから「へー」という感じではあったけど、全体的に話と喩えが古くて微妙な心地に陥る。刊行が2004年12月、今から9年ほど前、まだハルヒのアニメも始まってなかった頃だから古臭さを感じるのも当然であるが……ちなみにブックガイドのコーナーで言及されていたSD作品は『R.O.D』と『銀盤カレイドスコープ』のみだった。個人的には『カナリア・ファイル』を押さえていた点について評価したい。伝奇モノでありながら主人公が陰陽師ではなく呪禁師という変り種。コバルトでの再刊が中途半端に終わってしまったシリーズだけど、叶うことならもっと読み継がれてほしい作品である。

 それと紹介されていた中で興味を持ったのが氷室冴子の『少女小説家は死なない!』。売れない少女小説家たちがライバルを蹴落とそうと原稿を奪い合ったりする話らしい。30年も前にこんな本が存在していたとは……驚きました。ライトノベルが辿ってきた大まかな歴史を振り返るのにちょうど良かったけど、読み物としては一緒に買った『ライトノベル完全読本』の方が面白かった。冲方丁と古橋秀之の対談や秋山瑞人と夢枕獏の対談(こちらは『ライトノベル完全読本2』)が収録されていたのも嬉しい。夢枕獏があとがきで熱い自画自賛を繰り返すのは筒井康隆の影響だったなんて初耳。

 あとこの本とは関係ないけれど、ライトノベル新刊情報サイトとして有名な「ラノベの杜」にはDB検索という非常に有意義かつ便利なコーナーがありまして、ここを眺めているだけでライトノベル刊行の歴史が見えてきて興味深いです。ソノラマ文庫やコバルト文庫が創刊した頃からの情報が揃っており、「コバルト創刊の1976年以降で少年向けが少女向けよりも多くなったのは1995年からなのか」とか、「2005年から少年・少女合わせて年間1000冊超えたのか」とか、「2012年には遂に少年向けだけで1000冊突破したのか」とか、「コバルト文庫は4000冊以上も出しているのか」とか、「『刊行点数が少ない』って断言しちゃったけどSDの総冊数はラノベレーベルとしては歴代7位くらいなのか」とか、いろいろな発見があって瞬く間に時が過ぎ去る。ライトノベル全体でざっと26000冊か。電撃は来年くらいに累計3000冊超えそうですね。少女向けには詳しくないから、中んずくコバルトやティーンズハートのデータが揃っているのがありがたい。刊行点数的な意味でのコバルト文庫のピークは2005年(177冊)なのか……友桐夏がデビューした頃ですね。ただし、この年は『花より男子』のテレビドラマ化に合わせて竹内志麻子(岩井志麻子)が手掛けたノベライズ版全15冊が再版されているから、それを差し引くと前年の2004年(168冊)がピークってことになります(この年も『闇に歌えば』みたいに他レーベルで出した作品の再刊があるけど……ちなみに闇歌は去年にも復刻されている)。そして今の電撃文庫は全盛期のコバルト文庫すら凌駕する年間200冊前後の領域に達している……ラノベバブル崩壊とか、そういった大きなクライシスが起こらないと仮定すれば7、8年後ぐらいに電撃がコバルトの総冊数を追い抜いている可能性もあります。SDはあと5、6年くらい生き延びられたら累計1000冊超えられるかも。ただ現在のペースだと後発のGAやHJに先を越されかねない感じ。頑張れSD。

 ついでだから自分用のメモ。インタビューを受けた編集長や副編集長が言うには、「コバルトで最も売れた小説(恐らくシリーズ累計で、という意味だと思う)」が赤川次郎の“吸血鬼”シリーズ(1981年に開始し、既刊31冊。まだ完結していない)だという。ぐぐってみると2009年の時点で累計900万部に達していたようです。マリみて全巻が約600万部だから、実に1.5倍。初刷が一番多かったのは『なんて素敵にジャパネスク』、1990年12月に同時発売された7巻と8巻の合計が100万部だったそうだ。出版した冊数の多さは桑原水菜がトップ、106冊。二番手の前田珠子も104冊出しており、来月に出る新刊も含めれば105冊でほぼ拮抗しています。というか『破妖の剣』ってまだ終わってなかったのか……『炎の蜃気楼』は本編が全40巻で一応完結したけど、断章や番外編やファンブックやエッセイが8冊あり、加えて過去編に当たる“邂逅編”が全15巻、“幕末編”が全2冊、更に“昭和編”が新しく始まった(まだ1冊)ので総計66冊。シェアワールドでもないのにこの長さ、少年向けだとなかなか匹敵するものがない。「クソ長い小説」の象徴だった『宇宙皇子』でも全52巻である。“無責任”シリーズの無印と真を別個に数えてさえ60冊行かない。フォーチュン・クエストにデュアン・サークとかを足したらようやく60冊超えるかな、ってくらい。そんな『炎の蜃気楼』でも豹頭の無敵王者“グイン・サーガ”にはダブルスコアで負けているのだから、我々は故・栗本薫の凄まじさをもっと思い知るべきだ。

・拍手レス。

 きのこさんはまほよとCCC出してるから、割と満足。あとレッドドラゴンもあるし。
 喉の嗄れたファンが血を吐きながら「EGFマダー?」と啼き続ける秋山に比べればまだ可愛いものですね。

 ホント、いつになったらDDD3巻出るんでしょうね…型月に危機感がない(コミカライズや再販が売れるから新しいものを作る必要が無い)のが一番の理由な気がしますが
 「そんなことより(他社の)ゲームしようぜ!」なきのこ先生を温かく見守りましょう。火浦功よりは可愛い方だと己に言い聞かせながら。


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