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リレー小説「魔法少女忌譚修」(第13話−10/12)


2024-10-15.

・来月2巻が出るということで「そろそろ読み時か」と『フルメタル・パニック!Family』に手を付けたら「やっぱりフルパニおもしれ〜」となった焼津です、こんばんは。公式略称は「フルメタ」だし、ほとんどのファンが「フルメタ」と呼んでいることは知っていますが、私の脳内では20年以上前から「フルパニ」で定着してしまっているため変更不可能なんです。

 『フルメタル・パニック!Family』は、1998年から2010年にかけて展開したライトノベル『フルメタル・パニック!』の続編です。本編のラストから20年後、結婚して二人の子供を授かった宗介とかなめの非日常な日常が綴られる。本編とFamilyの間に『フルメタル・パニック!アナザー』という関連シリーズもあるんですが、あれは本文書いてるの別の人だし、主要陣も刷新されているからノリが結構違うんですよね。「ファンが読みたかった正統続編」という意味ではFamilyこそが待望のシリーズと言えます。一話完結方式で、相変わらず方々から身柄を狙われているかなめを護るために各地を転々とする相良家の慌ただしい日々を淡々と紡いでおり、裏で何か巨大な陰謀が進行する……みたいな大きいストーリーはありません。その気になればいつでも終わりにできるし、その気になればいつまでも続けられる。今のところそういうユルいノリです。

 1巻目に当たる本書は3話+ショートストーリー1個の構成で、1話あたり7、80ページという「短編にしては長いが中編にしては短い」ボリュームだ。個人的にはこれぐらいが程好い量だな、と感じました。1話目は相良家(偽名使ってるけど)の引っ越し先の隣家に住む少年「田中一郎」視点で描写されるエピソード。長女の「夏美(ナミ)」と仲良くなる一郎くんだったが、突然の襲撃によって一家はまた引っ越すことに……という、ラブコメが始まりそうな雰囲気の中で何も始まらないまま終わってしまう。シリーズが長く続けばまた一郎くんにも再登場の機会があるかもしれないが……長女の名前が「夏美」と書いて「ナツミ」ではなく「ナミ」と読ませるの、『燃えるワン・マン・フォース』が好きなファンはいろいろと感じるものがあるだろう。2話目は宗介がファミレスの仕事をしようとするも研修期間中にクビになって落ち込む、旧短編集だったらもっとギャグまみれになっていただろうな、というシーンから始まるエピソード。さすがに宗介たちも大人になっているので旧短編集みたいなドタバタ感は薄く、ふもっふ好きな人にとっては寂しいと感じるかもしれない。もっとも感慨深かったのは林水会長の変化か。良くも悪くも「ラノベやアニメに出てくるようなキャラ」といった印象が強い個性バリバリの会長閣下が、いろんな苦労を経た末に「世慣れた愛想の良いおじさん」に変貌しているのを目撃した瞬間、「ああ、ふもっふみたいなノリはもう完全に終わったんだな」と痛感しました。林水は旧短編集が主戦場のキャラであり、宗介たちを取り巻く「騒がしい日常」の象徴みたいな存在である一方、本編へ登場して宗介に「日常の終わり」を告げる役目を負った存在でもありました。卒業を見送るようなきちんとしたお別れをする余裕もなく離れ離れになってしまったふたりが20年の時を越えて再会するんですから込み上げてくるものは当然ございますよ。挿絵の林水がまたイイ表情してるんだ、これが。3話目は口絵にもなっているかなめ、蓮、瑞樹、恭子が久しぶりに集まって女子会するシーンから始まります。会話の内容に時の流れを感じて遠い目すること請け合い。あれだけ仲の良かったかなめと恭子がお互い子育ての忙しさやら何やらでほとんど会えておらず、むしろ独身で身軽な瑞樹の方と仲良くなっているのも「時の流れ……!」って言葉を失っちゃう。あと陣代高校の制服が出てきて「まだイケると思ったから」と割合ノリノリで着替えるかなめの姿を見て『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(アラフォーの奥さんが学生時代に着ていたチアリーディングの衣装で旦那に迫る映画)が脳裏をよぎった。

 クルツやマオといったミスリルの同僚に関しては名前だけで実際に登場はしないけど、2巻のあらすじからすると次で出番があるみたいですね。うーん、フルパニ熱がン年ぶりに再燃してきて本編や短編集を読み返したくなってきたな……まだ実家に既刊が残ってるから、時間さえあればまとめて読み返せるんだけども。それより途中で止まっているアナザーを再開すべきかしら。迷っているうちにFamilyの2巻が出ちゃいそうだ。甘ブリとかコップクラフトに関しては依然として進展がなく、もうだいぶ諦めの念が強くなってきているけど、Familyの続きが出るんならとりあえずいいか(妥協)。

・秋アニメが始まる時期ですが、楽しみにしている作品はやっぱり『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀4』。長期展開の影響でうろ覚えになってきている箇所も多く、放送開始前は少し不安になったけど観てみるとやっぱり面白い。1期目の頃は飄々としていた主人公「殤不患」も2期3期を通じいろいろと背負い込んでしまったせいでムードが暗くなっているが、そこを補うように「捲殘雲」(1期目の頃は功名に逸る血気盛んな若者というキャラだった)の成長を見せて中和してくれる。まだストーリーは本格的に動き出す前だけど、キャラの遣り取りを眺めているだけでワクワクします。2016年に放送を開始した東離劍遊紀の物語もそろそろ大詰めであり、今放送している4期と来年上映予定の劇場版『最終章』でいよいよ完結。どんな結末を迎えるかまだわからないが、とりあえず不患さんが不幸になるエンドだけはやめてほしい……というのが偽らざる気持ち。

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-』(スタリラ)、9月30日を以ってサービス終了

 長らくチェックしていなかったせいもあり、知らないうちにサ終していてビックリしました。ストーリー面は「アルカナ・アルカディア」編がピークで、「シークフェルト中等部」が追加されて以降はあまり盛り上がらなくなっていたから、そう長くは続かないだろうな……という気はしていましたが。6年も続いたならソシャゲとしては大往生か。私自身は4周年を迎えたあたりまではプレーしていたものの、5周年の前にやめてしまった。タブレットの容量がキツくなっていていくつかゲームを消さないといけない事情があり、またスタリラは割と日課がキツい(次々といろんな要素が足されていったため真面目にデイリーミッションをこなそうとすると時間が掛かり過ぎる)ゲームのため音を上げてしまったんです。

 振り返ると、キャラとシナリオ、曲は良かったけどゲーム部分は本当にひどかったな……矢継ぎ早に新ギミックが搭載されるためインフレが激しく、「毎月のように環境が壊れる」ソシャゲになっていました。加えて「アンコール」と称して過去に実装した衣装の上位版を用意し、カードのイラストこそ新たに描き直しているものの3Dモデルやモーションはそのまま使い回す(さすがにクライマックスACTという奥義に当たる部分は新モーションだけど)手抜きぶりも常態化しており、ガチャの追加ペースも凄まじかったな。「最高レアを上回る新最高レア」が実装されるという「もう後がなさそうなソシャゲ」特有の振る舞いも見られて、あのへんから終了のカウントダウンが始まったような気がする。

 アニメでは聖翔の舞台少女に絞ってストーリーを展開していましたけど、アプリでは他校の舞台少女たちがたくさん出てきて交流するのも大きな魅力でした。「夢大路栞」役の「遠野ひかる」(最近はマケインの「八奈見杏菜」役として注目を集めている)とか、「巴珠緒」役の「楠木ともり」(GGOの2期で久しぶりに「レン」役を担当している)とか、スタリラのキャラを通して名前を覚えた声優も多いからもうプレーしていなかったとはいえサ終しちゃったのはやっぱり寂しいです。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』はメディアミックス作品で、その中でも特にスタリラが稼ぎ頭だったという話だから、恐らくスタリラがなければ劇場版も『舞台奏像劇 遙かなるエルドラド』もなかっただろうな……と考えるとしみじみしてしまう。正直今はCSゲーやるほどの元気がないから遥かなるエルドラドには手を出していないが、また無心にスタァライトを浴びれる日が来るといいな。

・六内円栄の『Thisコミュニケーション(1〜12)』を読んだ。

 月刊誌“ジャンプスクエア”で2020年から2024年にかけて、つまり4年間に渡って連載されたマンガです。今年の5月に最終巻である12巻が刊行されました。このマンガ、恥ずかしながら私は拍手コメントでオススメされるまで存在自体知らなくて、「せっかくオススメされたんだから……」と無料公開されている範囲だけ読むつもりが止まらなくなり、気づけば最終巻まで読み切っていました。タイミング的にちょうど「秋マン」(集英社が毎年秋にやっているフェア)開催中で電子版が半額だったのもある。定価でも買いたい面白さなのに「今なら半額!」と言われて止まれるはずがないでしょう。

 さて、全12巻というそれなりのボリュームを短期間で読み通したくらいなのだから当然私はこの『Thisコミュニケーション』を「面白いマンガ」と認識しているわけですが、じゃあどうやればこの面白さが未読の人に伝わるのか……という話になると頭を抱えてしまう。『Thisコミュニケーション』の妙味はネタバレ抜きで語ることが難しく、かと言って「ネタバレとか気にしないよ」という人に対してもスッと理解できるように説明するのが難しい。ジャンプ+で最初の方を無料で読める(11月24日までなら15話まで、単行本で言うと4巻まで無料だ)から、最低でも1話目を読んでくれたら話が早くなる。ここから先は「1話目だけ、あるいはそれ以上読んだよ」という方、もしくは「ネタバレは気にしないから先にアンタの感想を聞かせてくれ、1話目を読むかどうかはそれから考える」という方向けに書いていきます。「まだ1話目読んでないけど、ネタバレ抜きでこの作品の魅力を教えて!」という方は、無茶振りなので他の誰かに頼んでください。

 1話目の冒頭に「長野県松本市」と書いている通り、物語の舞台は明確に日本となっています。ただし『Thisコミュニケーション』の世界では20世紀後半に「イペリット」と称される謎の怪物が発生し、自分たちにとって住み良い環境を作るため地上の生物を殲滅するべく毒ガスを散布し始めたことで人類は壊滅状態に陥っている。21世紀になって標高の低い地域はほぼ全滅、高地や極地などまだ毒ガスの届いていない一部の地域では辛うじて生き延びた人々がコミュニティを形成していた。主人公「デルウハ」(本名はもっと長いが作中では基本的にこの呼び名で通している)は、食料が切れて死ぬ寸前にそんなコミュニティの一つに辿り着く。そこは80年前の大戦の折りに建造された研究所であり、終戦に伴い軍人は撤退、あとは研究者と一般人、そして「女狩人(ハントレス)」しか残されていなかった。ハントレス――幼い子供たちを薬漬けにし、体のあちこちをいじくり回して作った強化兵。戦車や地雷を持ち出さなければ太刀打ちできないイペリットを肉弾戦で身軽に討伐しうる極めて強力な存在であったが、彼女たちを鍛える「教官」に相当する大人が不足していたせいか精神的に幼く、まとまりが悪くてチームプレイもままならない惨状にあった。加えて攻撃力の高さに反し耐久面は紙であり、ちょっとした被弾であっさり死んでしまう。それでも何とかやってこれたのは、「死んでも肉体が再生する(ただし死ぬ前の記憶は一部失われる)」というハントレス特有のリジェネレイト体質があるおかげ。死んでも蘇ってまた戦う、ヴァルハラ戦士(エインヘリアル)の如き少女たち。かつてUNA(世界連合軍)に所属していた元軍人のデルウハは、彼女たちを最大限に「有効活用」しようと知恵を振り絞る。導き出されたのは、「都合の悪い事態が発生したらハントレスたちを殺害して記憶を消し、都合の悪い事態そのものを『なかったこと』にする」という悪魔じみた発想。「味方殺しのデルウハ」が、遂にその本領を発揮する時が来た……。

 主人公ではなくヒロインたちに「死に戻り」させる、最低で最悪なサバイバル・ストーリーです。「特殊な力を持った少女たちが人類を滅ぼそうとする謎の怪物に立ち向かう」という、『ストライクウィッチーズ』や『アサルトリリィ』みたいなよくある「少女強化兵」路線をベースに歳食った主人公が教導役を務めるタイプのマンガかな、と思わせておいていきなり主人公が少女をSATSUGAIするシーンを放り込む、控え目に申し上げてもクレイジーな作品です。ギャルゲーでセーブ&ロードを繰り返すような感覚で幼き少女たちを血祭りに上げ、巧みに好感度を操作する。これで主人公が「人間殺すのが大好きな異常者」とかだったらサイコサスペンスの一種と捉えることができるというか枠にハメて読むことができるのですが、デルウハ殿はただ殺人行為に慣れているだけで別に人殺しが好きというわけではなく、「殺した方が合理的だから」という理由で手を血に染める。3巻の帯に「倫理0:合理主義100 それは悪魔の構成比率」とあるように、彼はすべての倫理観を置き去りにして驀進していく。反省もなく改心もしない、一般的なマンガであれば悪役にしかならないような男が「人類最後の砦」を支える守護者になっているという、皮肉過ぎるシチュエーションは悪趣味すぎてもはやギャグです。デルウハの凶行がいちいちホラー映画みたいな演出で描写されているのも悪趣味オブ悪趣味であり、この尖り過ぎた作風に夢中になる人と「今の僕には理解できない」ってなる人、反応はキッパリ二つに分かれるでしょう。「デルウハの非倫理的な所業を許容できるかどうか」が一つの関門となっており、更にその関門を乗り越えても「『殺害による記憶の操作』を前提としたトリック」があちこちに仕込まれているため、少しでも集中力が欠けると「『嘘喰い』や『ジャンケットバンク』の頭脳戦に付いていけなくなる感じ」を味わうハメになる。私も注意散漫な状態で「『犯人たちの事件簿』みたいで面白〜」と笑いながら読み進めていき、だんだん話がわからなくなってきたので引き返して読み直したりしました。デルウハとハントレスの疑心暗鬼な頭脳戦が繰り広げられる一方、怪物たるイペリットもどんどん新型が出てきて攻略が難しくなるので常に二正面作戦を展開しているような忙しさがあるんですよね。内容が濃くて中だるみもなく、「全12巻」というボリューム以上の満足度。1冊1冊に中身がギッチリ詰まっています。福本伸行が描いたら7話目(ピッチングマシーンの回)だけで1冊は使いそうだ。

 ストーリーだけ要約して書けばシリアスなバトル系ダーク・サスペンスといった趣だが、「真顔でギャグを言っているようなシーン」が頻出するため全体的な基調はダークというよりブラックジョークです。ストーリー後半で発生する某人物の死因など、「これで悲しめってのは無理があるだろ」という代物です。ひっきりなしに窮地へ追い込まれるデルウハ殿だが、「自分で蒔いた種」としか言いようがない場面もあり、「俺はちゃんと計算してるんだよ」「計算機買い直せよ」という昔読んだ小説の遣り取りがふと頭をよぎったり。あまりにも最低すぎて読者から「最低殿」というあだ名まで付けられたデルウハ殿、それでも憎めないのは行動原理が終始一貫しているからでしょう。マンガのキャラは悪か善かといった属性よりも「ブレない」というファクターによってある種の強度がもたらされる。「もっと他にやり方はなかったのか?」という疑問は読者として当然持つべきであるし、「デルウハに比するほど優秀で、デルウハよりもまともな倫理観を持ち合わせた元軍人が主人公だったら」という夢想を羽搏かせるのも健全である。けど終わりかけの世界であそこに辿り着いたのはデルウハだった、その数奇を噛み締めることで私は納得しました。さあ君もタイヤの代わりに倫理を溝に落として駆け抜けたデルウハ殿の軌跡を見届けよう! なお作者「六内円栄」のXでは最終巻の内容を踏まえたDLCマンガが公開中。完結の余韻に浸りながら読むのも一興です。

・リー・チャイルドの『反撃(上・下)』読んだ。

 “ジャック・リーチャー”シリーズの2作目。原題 "Die Trying" 、「死ぬ気でやり遂げる」というような意味です。『キリング・フロアー』のときは「除隊から半年後」だったリーチャーが「除隊から14ヶ月」になっているので前作から約8ヶ月経過しています。一人称視点だった文章が今回は三人称視点になっていて少し戸惑いました。リーチャーシリーズは作品によって一人称だったり三人称だったりと融通を利かせているらしい。今回に関してはシーン切り替えが多いから三人称の方が自然ではあるな。舞台はアメリカ中西部イリノイ州シカゴ、ただし事情があってすぐに移動……というか拉致されてしまいます。前作の「いきなり逮捕」に続き「いきなり拉致監禁」の憂き目に遭うリーチャー、半端ない巻き込まれ体質だ。

 発端はほんの親切心だった。足の不自由な女性が杖を落としてしまったから、拾ってあげて荷物もちょっと持ってあげただけ。なのに謎の集団に銃を突きつけられて女性と一緒に攫われてしまったジャック・リーチャー。その気になれば不埒者をブチのめすこともできたし、隙をついて逃げ出すことも容易だったが、足の不自由な女性――ホリー・ジョンスンの身を案じて大人しく傍観者に徹した。しかしある日、いい加減リーチャーの存在が邪魔になってきた犯罪者どもはショットガンをブッ放して彼を殺害しようとする。ホリーが説得したおかげもあって事なきを得るが、「奴らは私を殺そうとした……こうなったら黒幕も含めて全員血祭りにあげないと気が済まない」とリーチャーは怒りに燃えた。攫われて行き着いた先はアメリカ北西部モンタナ州の山中、リーチャーとホリーの身柄を拘束する謎集団の正体とはいったい何なのか……?

 いわゆる「舐めてたオッサンがメチャクチャ強かった」という『イコライザー』的な展開のアクション小説ですが、リーチャーの「反撃」が本格的に始まるのは下巻以降で、上巻は攫われたホリーの行方を追うFBIの地道な捜査パートが長々と描写されるため少しかったるいところはあります。意外と動きが少ないんですよね。蘊蓄的な文章の数々が興味深い一方、「話が進まないな……」と焦れる面もある。あと、防犯カメラに映っていた「ホリーの杖を拾ってあげるリーチャー」の姿が「ホリーから杖を奪って身動きできなくする暴漢」と勘違いされて犯人一味と誤認される流れには笑ってしまったが、「今回の件は世間に公表せず秘密裡に処理する、犯人一味は全員即座に射殺しろ」という命令が下されたせいで笑いが引っ込んでしまった。巻き添えで拉致されたうえに、本来身柄を救出してくれるはずのFBIが「問答無用で射殺」の方針を立てているだなんて……不運に不運が重なり過ぎだろ、ジャック・リーチャー。

 FBIの捜査官がリーチャーの経歴を確認するシーンで「なぜ除隊したんだ?」と疑問を抱くところもシリーズを追っていくうえで読みどころの一つとなっています。『キリング・フロアー』では「ソ連崩壊に伴って人員削減が進められた」と語り「時代にそぐわない軍人がお払い箱になった」かのような印象を与えたリーチャーですが、捜査官は「無能な者ならともかくこれだけ優秀だった将校が単なる人員削減で軍から去るのは妙だ」と指摘する。容疑者と見做しているので「何かろくでもないことをして英雄から悪漢に堕したんだろう」とあまり深く考え込まずに決めつけられるが、読者はリーチャーの人となりを知っているから「もっと複雑な理由があるはず」と反論したくなる。リーチャーの元上司「ガーバー将軍」も登場して「彼は悪漢になるような男ではない」ことを力強く明言するが、結局除隊した理由については触れなかった。シリーズ8作目『前夜』が軍人時代のリーチャーを主人公にした話なので、たぶんそちらの方で詳しく掘り下げられるはずですが……。

 今回はリーチャーが凄腕のスナイパーであることを証明するシーンが随所にあり、なるほど確かにスティーヴン・ハンターの“ボブ・リー・スワガー”シリーズを彷彿とさせる内容となっています。敵集団の発言から隠された真意を読み解くミステリっぽい謎解きパートもありますが、『キリング・フロアー』に比べるとだいぶ控え目でやっぱりアクション要素の方が強い。相変わらず敵と見做した連中を容赦なくブッ殺しまくっている。ただ、黒幕というか敵集団のボスの正体が結構ショボい感じで、上下合わせて700ページもあるボリュームに相応しい内容かと問われると少し返答に窮する。『キリング・フロアー』は新装版が出たのにこの『反撃』に関しては新装版や復刊がなかったの、ちょっと納得してしまうところはある。リーチャーのキャラが魅力的だから何とかなってるような一作だ。吊り橋効果もあってかヒロインのホリーともイイ雰囲気になるが、風来坊のリーチャーが一箇所に留まるはずもなく、あっさり別れた後でウィスコンシン州に向かう。じゃあ次の舞台はウィスコンシンなのか……と言うとさにあらず、数日過ごしてからまた旅立ちます。次作に繋がるような「ヒキ」は作らない。たぶんシリーズ完結編もこういう「いつもの調子」で終わるんじゃないかなぁ、と想像しています。

・拍手レス。

  久しぶりに見に来たら復活されている・・・よかった・・・ 最近(最近?)完結したので「Thisコミュニケーション」をオススメしておきますね。ジャンルはサスペンスコメディかなぁ・・・

 最初はよくある「特殊な力を持った少女たちが人類を滅ぼそうとする謎の怪物に立ち向かうアレ」かと思いましたが、だんだん『犯人たちの事件簿』みたいになっていくので笑っちゃいました。ジャンプ+で15話(単行本4巻)まで無料だからとりあえずそこまで目を通そうか、と読み出して気が付いたら最終巻まで辿り着いていたという。


2024-10-01.

・長年積んでいた麻雀漫画『麻雀バトルロワイヤル 萬(ワン)』(全8巻)を崩したら「ホクトのケン」ことケン先輩の口癖が「ん、〇〇」なせいで脳裏に砂狼シロコがチラついて仕方なかった焼津です、こんばんは。ん、先生はもっと他家の都合を考えるべき。

 『麻雀バトルロワイヤル 萬(ワン)』はコンビニコミックとして発売された時のタイトルで、元は『フリー雀荘最強伝説 萬 ONE』という題名で連載されていた作品であり、作者名も連載当時は「本そういち」名義でした。最近の著作物は「須本壮一」名義で統一されており、コンビニコミック版をベースにした電子版『フリー雀荘最強伝説 萬(ワン)』(全5巻)も刊行されている。「ん? コンビニコミック版がベースなのに全8巻が全5巻になってない?」と不審に思った方がおられるやもですが、コンビニコミック版は本編に当たる『フリー雀荘最強伝説 萬 ONE』のみならず、ライバルキャラ「赤い彗星の西」をメインに据えたスピンオフ『麻雀新世紀 赤の伝説』、本編の続き『新フリー雀荘最強伝説 ワン』もまとめて収録しているため巻数が多くなっています。「近代麻雀誌上でアカギと覇を競った」という触れ込みですが、連載期間は1997年から2003年にかけての6年ほどであり、アカギでいうとだいたい仲井編から鷲巣麻雀の5回戦あたり……アカギが致死量の血液を抜かれたところまで。20年以上前の作品ですからあちこち古さを感じるところはある(若い読者はパソコンモニタの厚さにビックリするだろう)ものの、スピード感のある展開と丁寧な解説で良質な麻雀漫画に仕上がっています。

 主人公「萬一(よろず・はじめ)」は「麻雀の神様に愛されている」と形容されるほど凄まじい運を持っている割に技術面が拙いことと粗忽なことが重なってイマイチ強くなれないでいる青年。1話目で天和が成立したにも関わらず、なんと気づかずにそのまま打ってしまう。そんな萬にケン先輩が基本的なテクニックをレクチャーしていく、という形式でストーリーが進行していきます。レッスン要素強めのオムニバス形式だから序盤はやや退屈ながら、会員制麻雀ルーム「スターズ」に入るあたりからバトルロワイヤル要素が強くなって盛り上がってきます。萬は主人公だから要所要所で勝ってはいるんですが、未熟さゆえに無惨な敗北を喫してボロ泣きするシーンもちょくちょくある。主人公が超人化しやすい麻雀漫画にしては珍しく、主人公が情けないままで強くなっていく。そのせいかあまり萬が目立たず、ケン先輩の方が主人公に見える回も多いですね。

 次々と立ちはだかる敵の中には卑怯な手を使うヘイト役のキャラもいますけど、根っからの悪人というわけではないため不快感もそこまで高まらない。本編のラスボスに当たる打ち手も結構苛酷な生い立ちで、主人公よりラスボスの方に同情してしまう読者もいるんじゃないかしら。「わからないよ…そんなコト」の見開きが切ない。ただ、スピンオフと続編をまとめた6〜8巻らへんはぶっちゃけあまり面白くなかったです。6巻から7巻前半(『麻雀新世紀 赤の伝説』)はスピンオフということを考慮すれば気楽に読めるノリだしギリギリでアリか……と譲歩できるものの、7巻後半から8巻(『新フリー雀荘最強伝説 ワン』)は続編として読むにはいささかガッカリな内容だった。萬に好きな女の子ができて、その子のために頑張る――という具合に青春恋愛要素を絡めようとしているんですけど、麻雀パートとうまく接合できなくてチグハグっつーか「麻雀漫画としても青春漫画としても中途半端」な状態に陥っています。「麻雀の難問を解かないとSEXできないラブホテル」なんていうしょーもないエピソードを立て続けに2話もお出しされたときはどうしようかと。ギャル雀に来ているのに時間潰しで始めたネット麻雀にハマってしまう西のエピソードが辛うじて楽しめたかな。

 最近の麻雀漫画で面白かったのは『オーラス−裏道の柳−』、『麻雀小僧』の押川雲太朗と『天牌』の嶺岸信明がタッグを組んだ新作。派手さとか独自性はあまりないけど淡々とした感じが読みやすくて好きだった。8巻で終わっちゃったのが残念。麻雀漫画以外で面白かったのは『平成敗残兵☆すみれちゃん』とか『スライム聖女』

 『平成敗残兵☆すみれちゃん』は御多分に漏れず「すしカルマ」という比較的最近に出てきたキャラが話題になっているのが気になって読み出した。売れない地下アイドルを辞めた後、定職にも就かずバイトで稼いだ金をパチンコに注ぎ込んで溶かしている、絵に描いたようなノーフューチャー女のすみれちゃん(31歳)。イトコである「雄星」は、「推し=最高にカッコ良かったすみれちゃん」を取り戻すため同人写真集の作成・販売を持ちかけるが……という、やってることは『【推しの子】』『2.5次元の誘惑』『その着せ替え人形は恋をする』と被るところがあるんだけど肝心のすみれちゃんがクズ過ぎるせいで全然違う味わいになっています。はじめの頃はせっかく得た報酬をパチンコに突っ込んで無にしてしまった、程度のまだ可愛げがあるクズぶりながら、300万円もの金を横領した挙句返せなくなって借金を背負ってしまうあたり(単行本だと2巻)は展開の早さも相俟って笑ってしまった。「もはやAVに出演しまくって返すしか……」と追い詰められたところで意外な展開に入って更に盛り上がるわけですけれど、SNSで話題炸裂した「すしカルマ先生」が登場するのは3巻から。「すしカルマ」という変な名前はサークル名兼ペンネーム、つまりエロ同人作家であり、30過ぎて絵柄が古くなってきた&性欲も枯れてきてラブコメというかガキの恋愛に興味が持てなくなってきた(かと言って社会人経験がないから不倫などを含む大人の恋愛もよくわからない)&元アイドルなので容姿は優れている方だけど最近白髪が目立ち始めた……と侘しさ満載のキャラです。あまりにも話題になったせいでタイトルに冠しているすみれちゃんを差し置いてバナーにまで顔を出すレベルとなった。明日の見えない敗残兵と化していたすみれちゃんやすしカルマ先生が「夢をもう一度」とばかりに再起していくサクセスストーリーになる……のかどうか現状では読み切れないが、続きが楽しみな作品の一つではあります。なおプロトタイプに相当する読切「平成敗残兵☆すみれちゃん(31)」もWebで公開されていますが、内容は連載版の1話目とほぼ一緒なので間違い探し級の相違点が気になる人以外はわざわざ目を通さなくてもOK。

 『スライム聖女』は異世界ファンタジー、いわゆる「悪役令嬢モノ」に該当するが現代人が転生するパターンではなく、森に遺棄された聖女(とは名ばかりの非道を働きまくった少女)の死体にスライムが入り込んで乗っ取る――という、設定だけ見ればややエグい話である。幸いスライムが善良な性格をしているおかげで爽やかな読み口となっているけど、「生前の聖女」が「これは殺されても仕方ないな……」とドン引きするぐらいヒドいのでそれなりにエグみは残る。性格はともかく「聖女」と呼ばれるくらい稀少な存在なのに護衛も付けず単独行動する場面が目立つなど、「設定の合理性」よりも「ストーリーの都合」を優先するつくりに馴染めないところはあるにせよ、極悪令嬢「ジェリィ」を乗っ取ったスライムが見せる顔芸の数々がとにかく可愛くてほぼ「スライムの顔芸見たさに読んでいる」漫画となっています。いえ、単行本で言うと2巻あたりの範囲から他の聖女も出てきて賑やかになってくるんで顔芸以外の読みどころもちゃんとありますよ。基本的に善良ではあるが別段聖者になりたいわけではないスライムが「周りが聖女としての振る舞いを期待しているからとりあえず聖女のフリしとこ」程度のノリで雑にロールし、周囲が様々な忖度を張り巡らせた結果として「稀代の聖女」として祭り上げられていく……という勘違いモノの鉄板展開を堪能しつつ、ひたすら食い意地の張っているスライムを愛でる、そういう「いンだよ細けェことは」なコメディです。

アニメ「ぐらんぶる」6年の時を経て2期制作を発表!内田雄馬らキャストは続投(コミックナタリー)

 へー、『ぐらんぶる』のアニメ2期やるんだ。……『ぐらんぶる』のアニメ2期!? 1期やったのって2018年の夏ですからまだ平成ですよ。つい先日完結した『呪術廻戦』の連載開始も2018年というくらいなのだから、普通はアニメの2期が来るなんて考えられないほど間が空いています。主人公「北原伊織」が大学生活をスタートさせるところから始まるダイビング漫画ですが、ことあるごとに全裸のシーンが挟まり、ヒロインですら全裸の男たちを見てもノーリアクションになるという異常なギャグ空間が展開される。原作者はバカテスの井上堅二。なにぶん10年も続く長期連載漫画なので登場キャラクター数も多く、ギャグの合間に進行する恋愛模様も読みどころの一つとなっています。ただし時間経過がかなり遅く、作中ではまだ伊織たちも一年生のままなんですけどね……連載開始時点は大学入学の時期、つまり春で、最近やっと秋の学祭が始まったところ。もう相当記憶がおぼろげになっているが、確か1期目でやったのって原作5巻くらい、沖縄編のあたりまでだったような気がする。今月出る最新刊が23巻なので全体から見ると1/4にも満たない。伊織の妹「栞」どころか存在感の強いサブキャラ「毒島桜子」も登場する前でした。2期は栞の手紙が届くところから始まるらしいが、だとしたら青女(青海女子大)の学園祭にまつわるエピソードは飛ばすのか? それともエピソードを前後させて栞編の後に青女学祭編をやるのかしら。

 6巻以降の『ぐらんぶる』の展開はざっくり「青女学祭編→栞編→夏休み編→沖縄再上陸編→伊織争奪戦編→伊豆秋祭編」といった塩梅で、仮に2クールあったとしても夏休み編までが限界だと思われる。夏休みのあたりはとにかくエピソードが多く、6冊分くらいありますからね。それに『ぐらんぶる』は「〇〇編」みたいな分類が難しい単発的な日常エピソードもふんだんに盛り込まれており、全部やろうとしたら4クールは掛かりそう。2期制作発表に合わせて期間限定でマガポケコミックDAYSなどで過去エピソード無料配信を行っていますから、原作を読んだことない人や久々に読み返したい人はこの機会にどうぞ。私も久々に読み返しているけど、「イトコだけど伊織と千紗に血の繋がりはない(伊織の父が養子のため)」って設定すっかり忘れていたな……それと真面目にダイビング漫画してることに驚かされる。周知の通り『ぐらんぶる』はどんどんダイビング要素が希薄になっていく(シャークスクランブルを描いた20巻から先はほぼダイビング要素がない)作品なので「ダイビングに懸ける青春」を期待する方にはオススメしがたいが、とにかく時間があるなら無料のうちに読めるだけ読んじゃってください。ちなみに私が好きなキャラは千紗の姉の「奈々華」さんです。1巻の頃はまるでヒロインみたいな雰囲気だったのに、今やすっかりシスコン仮面に……。

『アサルトリリィ Last Bullet』、延期していたエイプリルフール企画「リリィにバブ・ソングを」開催

 ラスバレの延期中だったエイプリルフール企画が7月に開催されて終了間際の8月にプレーしたことを10月になってから話す、という今更過ぎる話である。夢の中で幼稚園児化したリリィに囲まれた楓・J・ヌーベルが眠りに就いて(つまり夢の中の夢の中で)「幼児退行したリリィたちが駄々をこねる」幻覚を視た――という複雑な入れ子構造によって齎される曲であり、展開される映像には軽くAC部みを感じる。歌詞もかなりギャグ寄りなんだけど、リリィたちが「10代の若さで国防の重責を担わされ、常に明日をも知れぬ身」であることを踏まえると「そりゃ駄々もこねたくなるわな……」って気持ちになってしまうのが味わい深い。アプリの方では「リリィでアイドルグループを結成して必死に歌とダンスを練習し衣装も作ったのにヒュージの襲撃でメンバーが死亡したためファーストライブを開く前に解散した」みたいなエピソード(使われなかった衣装を新たなアイドルリリィが受け継ぐ、という流れ)やってるぐらい死と隣り合わせの青春である。「寝るまでトントンしてー!」と真顔で歌う夢結さまを想像すると笑ってしまうが、「夢でも会いにきて」と泣きながら眠る絵を眺めると笑えなくなってしまう。アサルトリリィまったく知らない勢向けに解説しますと、「白井夢結」という子はシュッツエンゲル――マリみてで言うとスール――の上級生「川添美鈴」が戦死した現実をずっと受け止め切れずにいて、「夢の中で」のみ再会できることが心の支えになっており、アニメの次回予告でも「続きはまた、夢の中で」がお馴染みのフレーズと化している。

 ローンチ時点ではプレイアブルキャラが19人しかいなかったラスバレも新キャラがどこどこ追加されたおかげで、現在は既に60人を超えています。特に主人公「一柳梨璃」の所属先であるガーデン「百合ヶ丘女学院高等学校」は全体の半分以上を占めており、総勢35名と、もはや一クラス分の人数に達している。川添美鈴みたいな故人も含まれているので生存しているキャラに絞ると少し減るけど……レギオン(チームのようなもの)も確認できるだけで十数個あり、さすがに覚え切れなくなってきました。私に分かるのは何度見てもローエングリンのレギオン制服(百合ヶ丘には一定の戦果を収めたレギオンに与えられる「聖白百合勲章」があり、これを受章したレギオンはオリジナルの制服を作る権利も与えられる)がえっち過ぎるということだけだ……。

・リー・チャイルドの『キリング・フロアー(上・下)』を読んだ。

 98年度アンソニー賞の新人賞とバリー賞の新人賞をダブル受賞した長編ミステリで、原題はそのまま "Killing Floor" 。元軍人の「ジャック・リーチャー」を主人公にしたシリーズの1作目です。原書が発売されたのは1997年だからもう27年も前の作品である。翻訳版の刊行が2000年、そこから数えても24年経っています。本書がリー・チャイルドの処女作であり、彼は1954年生まれだからデビュー時点で既に40歳を超えていましたが、今はもう70歳だ。ジャック・リーチャーのシリーズは現在も続いており、今月には29作目の "In Too Deep" が発売される予定となっている。激しいアクションと興味を惹く謎解きが重なった作風は『極大射程』『ザ・シューター』の原作)のスティーヴン・ハンターが引き合いに出されるほどで、私がこの本を買ったのも当時ハンター作品にドハマりしていたからですね。日本ではあまり人気が出なかったのか3作目の『警鐘』以降はあまり翻訳されなくなったけど、9作目の『アウトロー』がトム・クルーズ主演で映画化されてからはまたポツポツと刊行されるようになりました。ただ順番はグチャグチャで、こないだ出た『副大統領暗殺』なんて原書は2002年刊行の6作目。4作目と5作目に至ってはまだ翻訳すらされていない。邦訳の止まっていた期間が長いせいもあってなかなか英語版に追いつかず、原書の刊行順で読もうとすると歯抜けの多さに頭を抱えるシリーズとなっています。各話完結方式なうえ作中の時系列はバラバラみたいだから無理して刊行順に読まなくてもいいみたいだけど……。

 父親が将校で、物心つく前から各国の米軍基地を転々とする生活だったため「故郷」と呼べるものを持たないジャック・リーチャー。彼自身も将校として長らく憲兵隊に務めていたが、今現在は堂々たる無職の身である。定職に就く気などさらさらなく、バックパッカーのようにふらりふらりと様々な土地を渡り歩く風来坊なリーチャーはほんの気まぐれでアメリカ南部ジョージア州の田舎町「マーグレイヴ」に立ち寄ったところ、身に覚えのない殺人容疑で逮捕されてしまう。その気になれば抵抗して無礼な警官どもを叩きのめすこともできたが、ひとまずは大人しく従って手錠を受け入れるリーチャー。すぐに晴れるかと思われた嫌疑は、いかにも無能そうな署長が「現場の近くで見かけたのはこいつに間違いない!」と言い切ったことで深まってしまい……。

 リーチャーが逮捕された後も殺人事件は発生し続け、とある現場が非常に凄惨な有様で「殺戮の床(キリング・フロアー)」と形容されたところからタイトルが来ている。アマゾンプライムで配信されているドラマ『ジャック・リーチャー 〜正義のアウトロー〜』のシーズン1がこの『キリング・フロアー』を元にしています。冤罪だし、無実が証明されたらとっととこの町を出よう……というリーチャーの思惑は身元不明だった被害者の正体が明らかになった途端、吹っ飛んでしまう。何が何でも事件の裏に隠された陰謀を暴かねばならなくなったリーチャーは、非合法的な手段も躊躇わず行使するようになっていく。フレーバー程度だと軽く捉えていた要素が後々になって重要な伏線になってくるなどミステリ的な意匠も多くちりばめられているが、悪党どもを容赦なくブッ殺していくタイプの話なんで、読み口としてはミステリというより冒険小説に近い。少しネタバレになるがマーグレイヴ(架空の町)で進行する陰謀劇の焦点は「紙幣偽造」であり、先に『ハイパーインフレーション』を読んでいると「あっ、これ『ハイパーインフレーション』でやってたところだ!」と理解が早くなります。それとは関係ないけど住吉九の新連載『サンキューピッチ』が面白い。てっきり『デッド・オア・ストライク』とか『球神転生』みたいなイロモノ路線かと思って読み出したが、想像よりも真面目に野球漫画やってて驚いた。真面目にやっていてもなお隠し切れぬ「癖」や「狂」が滲んでくるところが味わい深い。

 話が逸れた。そんなわけで『ハイパーインフレーション』読者にもオススメしたい『キリング・フロアー』であるが、問題はこの作品、翻訳権を買ったのが相当昔だからか日本語の電子版が出ていないんですよね……一応新装版もあるんですけど、それすら12年前なので新品で入手するのは困難。古本屋か図書館に頼るしかない状況です。ただでさえ歯抜け翻訳なのにごく最近の本を除いてほとんど電子化されておらず、なかなか新規を引き込みにくい布教者泣かせのシリーズです。楽天家であり自信家であり過去のトラウマとかも抱えていない、スパッと鋭利な精神を有するジャック・リーチャーの粘り強くて冷静なところがカッコ良く単純に主人公目当てで読んでも楽しめるうえにストーリーそのものもうねりがあって面白く、もっとたくさんの人に読まれていい作品だろうと信じています。主人公以外の登場人物も個々のキャラ立てがうまいんで理解しやすく、スルスルと読める。名前が不明だから登場人物表に載っていないサブキャラだけど、床屋の老人もイイ味出してるんだよなぁ。リーチャーと懇ろになった女性との性描写がやたら多いのは少しウンザリしたが、逆に言えばマイナス点はそれくらいか。

 最後にトリビアめいた余談をいくつか。アメリカの田舎町を舞台にした小説なので作者もアメリカ人だろう、と思い込んでしまいそうになるが実はリー・チャイルド、イングランド生まれの英国人である。英国を舞台にすると「窮屈で、心理描写の多い作品」になりそうだから、あえて開放的なイメージのあるアメリカをセレクトした模様。確かにイギリスじゃ「住所不定の放浪探偵」という設定は怪しすぎて成立しそうにないな。『キリング・フロアー』を出した翌年にアメリカへ移って、以降はずっとアメリカ住み。あと、冒頭でも触れた通りジャック・リーチャーのシリーズは30年近くに渡って展開されていますが、さすがに作者のリー・チャイルドも高齢になってきたためシリーズの権利を弟のアンドリューに譲ったそうです。24作目の "Blue Moon" まではリー・チャイルド単独名義ながら、25作目の "The Sentinel" 以降はアンドリュー・チャイルドとの共著形式。この弟、現在は「アンドリュー・チャイルド」と名乗っていますがもともとは「アンドリュー・グラント」という本名(ちなみにリー・チャイルドの本名は「ジェームズ・D・グラント」)で作家活動していたらしい。日本では翻訳されていないのでどんな作品かよくわからないが、諜報員や刑事を主人公にしたスリラーっぽい。しばらく共著形式で続けた後、いずれリー・チャイルドは完全に執筆を引退してアンドリュー単独名義に切り替わる予定とのことだ。弟と言っても14歳くらい離れているのでアンドリューはまだ50代なんですよね。

 こういうシリーズ物の引き継ぎは過去にも例がある(『ボーン・アイデンティティー』とかの原作に当たる“ジェイソン・ボーン”シリーズもロバート・ラドラムの死後にエリック・ヴァン・ラストベーダーが引き継いだし、『レッド・オクトーバーを追え!』の“ジャック・ライアン”シリーズもトム・クランシーとの共著時代を経た後にマーク・グリーニーが引き継いだ、ディック・フランシスの競馬シリーズも息子が新作を書いている、『ミレニアム』に至ってはスティーグ・ラーソンの急死後にダヴィド・ラーゲルクランツが書き継いで一旦終わらせてから更にカーリン・スミルノフがシリーズを再開させた)が、一番「すごいな……」と感じたのは原作・田中芳樹の『KLAN』。全12巻(番外編も入れると全13巻)というそこそこ長期のシリーズながら芳樹が書いたのは最初の1冊だけ。2〜4巻は霜越かほる、5〜6巻は浅野智哉、7〜9巻と番外編は白川晶、10〜12巻は岡崎裕信と、ほとんどリレー小説のような有様です。この話題を掘り下げていくとクトゥルー神話大系とか、パスティーシュが大量に存在するシャーロック・ホームズとか、グインサーガとかも出てくるけど、結局最強なのは「宇宙英雄ペリー・ローダン」シリーズか……今でも月に2冊新刊が発売されており、日本版だけでも700冊をとっくに超えています。原書は1600冊分を超えるボリュームなので全然翻訳が追いつかない。ローダンはドイツ発の小説なんですが、実はドイツにはローダンよりも長い(ローダンと同じように複数作家制でローダンよりも7年早く始まっているためどうしても追いつくことができない)「ジェリー・コットン」というFBI捜査官を主人公に据えたシリーズがあるというのだから驚きです。翻訳版が出ていないせいか、日本での知名度はとても低い。日本ではほとんどの人が知っている『サザエさん』も海外だと触れる機会がほとんどない、みたいな現象か。調べてみると1960年代に『FBIハリケーン大作戦』などのタイトルで映画が上映されていたり、2010年にドイツで制作された映画 "JERRY COTTON" が『ミッション:エクストリーム』というタイトルでDVD化されているみたいだけど、いやー、ホントに知らないな……「原書は既に3500巻を超えている」とか言われると200巻超えの『ゴルゴ13』すら短いような気がしてきて感覚がおかしくなる。脱線がひどいので話をジャック・リーチャーに戻すと、『キリング・フロアー』の次に書かれた2作目が『反撃』(原題 "Die Trying" )。これも積んでいるので次回更新までに読もうと考えています。


2024-08-16.

・久しぶりにサイトを覗いたら「3ヶ月以上更新がないため」という理由で広告が表示されていたので、相変わらず気力は払底しているけど形だけでも更新しておくかぁ、と何食わぬ顔で戻ってきた焼津です、こんばんは。

 最近読んだ作品で面白かったのは『無敗のふたり』です。サムネイル見て「なんか『オールラウンダー廻』っぽい雰囲気の格闘漫画が始まったな」と思ったら作者が「遠藤浩輝」で、同じ人なんだからそらそうだわ、と納得しました。MMA(総合格闘技)で大成したいと願いつつパッとしない戦績の主人公が、難アリだけど凄腕のトレーナーと組んで破竹の快進撃を繰り広げる、みたいな概要としては「よくある格闘モノ」です。しかし格闘描写が理詰めで非常に分かりやすく、『オールラウンダー廻』より更に磨きが掛かっている。まだ連載を開始したばかりで単行本もようやく1巻が出る頃、もうちょい巻数が溜まってから読みたいって方もおられるでしょうが、中身が濃い&細かいので現状でも充分に堪能できます。メインは男性陣だけど、例によって女性キャラも魅力的。MMAを扱った格闘漫画と言えば『レッドブルー』も面白いですよね。主人公の青葉くん、根暗という領域を超えて性根が歪んでいるせいで読んでいると戦っている相手の方が主人公に見えてくるという不思議な作品である。

【期間限定】「BBプレゼンツ☆セレブサマー・エクスペリエンス! 〜逆襲のドバイ〜」開幕!

 マギレコ終わっちゃったし、ロスフラはエンドコンテンツに手を出さなければ日課もほとんどない緩ゲーだし、メギド72はたまに更新される本編を追いかける程度だし、ラスバレはどんどん追加される新キャラを覚え切れなくなってきているから気が向いたら起動するくらいの頻度だしで、唯一真面目に毎日遊んでいるゲームになりつつあるFGOで恒例の夏イベントが開催されました。「2030年のドバイ」を舞台にしたなかなか規模の大きそうなイベントで、「明らかにシエル先輩」なキャラが出てくる、まだ名前は明かされていないけどザビこと「岸波白野」(『Fate/EXTRA』シリーズの主人公、FGOの「藤丸立香」と一緒で本来はプレーヤーが任意の名前・性別を設定する)が顔を覗かせるなど、それだけでも話題性は充分なんですが「イベントストーリーが奏章Vへ続く」「奏章Vは期間限定で、前編・中編・後編と3回に分けて配信する」と無茶苦茶なことを言い出したから型月界隈は騒然となった。

 FGOやってない人は「奏章って何?」と首を傾げるところでしょうけれど、簡単に言うと「FGOの第二部に属する、番外編みたいなムードを放っているけど一応本編に属するストーリー」です。FGOの第二部は既に第一章から第七章まで配信されており、そのままエピローグに当たる終章へと向かう……かと思いきや、その前に一旦「奏章」を挟む形式になりました。故に奏章Tは第八章、奏章Uは第九章、奏章Vは第十章に該当すると言えなくもない。というか第二部は第5.5章「地獄界曼荼羅 平安京 轟雷一閃」や第6.5章「死想顕現界域 トラオム 或る幻想の生と死」、章としては認められていないけどトラオムの前段に当たるため実質「第6.25章」な「非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ」もあり、これらを含めると本当はとっくに十章を超えていたりする。「エピローグに当たる終章」は2025年に開幕予定となっており、「終章を十周年(FGOは2015年配信開始)に合わせるための時間稼ぎでは?」と勘繰られたりもしています。FGOには第一部と第二部の間に配信された「Epic of Remnant」、通称「1.5部」があり、奏章はそれに近いのですけれど「あくまで番外編であってプレーしなくても第二部に進める」1.5部と違って奏章はクリアしないと終章に辿り着けないため扱いは明確に異なります。

 「エクストラクラス」がテーマになっており、「奏章T 虚数羅針内界 ペーパームーン」ではアルターエゴ、「奏章U 不可逆廃棄孔 イド」ではアヴェンジャーのクラスが掘り下げられました。次の奏章Vで南欧を舞台にルーラーを取り扱って完結する……はずでしたが、今回の発表により急遽追加分が生じたため「※今まで公表していた『奏章V』は『奏章W』となります」など混乱するようなアナウンスまで出る始末。シナリオで「4つ……いや、3つ」と言い直す箇所があったから「奏章って実はWまであるんじゃない?」と予想する人も多く、追加自体はそこまで驚くことではないのだが、大半は「順当にルーラー編を終わらせてから満を持して奏章W追加」のパターンだろうと読んでいただけに「ルーラー編は後回し! 奏章Vは水着イベントの続編として配信します! 期間限定です!」はさすがに斜め上すぎて……この水着イベント自体は数ヶ月後にメイン・インタールードへ追加され、クリアすると奏章Vも開放される仕組みになるそうですが、今後のスケジュール次第では「奏章Vをプレーできないまま奏章Uから奏章Wに向かうプレーヤー」も出てくるんだろうな、と。あまりにもライブ感を重視した方針に唖然としてしまう。衝撃で半ば思考が吹っ飛んでしまったが、あらかじめ予想されていた奏章Wは「フォーリナー編」であり、奏章Vが恐らく「ムーンキャンサー編」でスライドした奏章Wが「ルーラー編」だということは、ひょっとして奏章はWどころじゃなくXまであるんじゃ……?

 8月28日から配信予定の「奏章V 新霊長後継戦 アーキタイプ・インセプション」は「奈須きのこ」執筆で、先述した通り前編・中編・後編と3回に分けて配信するくらいなので相当なボリュームになっていると考えられます。配信期限は「10月31日(木) 12:59まで」、2ヶ月以上あるからほとんどのプレーヤーにとっては余裕だろうけども、自由時間が限られている人にとってはキツいかもしれない。後日メイン・インタールードに追加される予定とはいえ、「数ヶ月後」だから途中まで進めた状態で期限を迎えてしまうと再開は来年までお預けになってしまいます。しかも奏章Vは「メインクエストを進めると新規サーヴァントが加入」、つまり配布サーヴァントが存在するみたいなので「来年まで待てない!」というのであれば何としても突破しなくてはならない。アペンドスキルの件で揉めている(これについて解説すると非常に長くなるので割愛)さなかにこうもアクロバティックな発表を行わなければならない運営の心中は如何ほどであろうか。それはともかく水着イベントのCMとは別に奏章Vの告知映像も公開されています。「舞台は引き続き未来のドバイ」ながら、「水着勢に加えてアルクェイド(アーキタイプ:アース)も出演」と爆弾じみた情報が投下されている。七周年で実装されながらシナリオには一切絡まなかったアルクェイド(アーキタイプ:アース)がまさかのお出ましとは……もはや奏章というより「スーパー型月大戦」である。面子的にCCCコラボイベント「深海電脳楽土SE.RA.PH」の再来とも言えるし、CCCの外伝に当たる漫画『Foxtail』のコラボイベントじみた側面もある。『Foxtail』は「サクラファイブ」としてCCCに登場するはずだったけど容量と予算と納期の都合で没キャラとなってしまった3人(キングプロテア、ヴァイオレット、カズラドロップ)をサルベージした企画であり、「EXTRAのifストーリーであるCCCのそのまたifストーリー」というややこしいポジションに落ち着いています。「きのこ、CCCにサクラファイブを全員出せなかったことがよっぽど心残りだったんだろうな……」としみじみしてしまう私は水着イベントも奏章Vも「いいぞ、どんどんやれ」って反応ですが、「あくまでFGOが好きなのであって、別にスーパー型月大戦が見たいわけではない」という人からすれば盛り上がっている他のファンたちと温度差を感じてしまうのも仕方がないでしょう。「型月独自の設定に依拠する部分が多い水着イベントを二部構成で、しかも本編に食い込んでまで展開する」の、控え目に申し上げてもかなりの賭けだ。果たしてどんな目が出るか。

 ちなみにガチャは周年の水着エレちゃんで苦しんだ反面、シエル先輩は割とあっさり来てくれた。試運転のために冬木を回っていたら剣相手に有利を取れたので「やっぱりシエル先輩だから弓なのか」と感心したり。彼女の代行者としてのコードネームが「弓」で、シエル(CIEL)もフランス語で弓を意味する言葉――というのはきのこの勘違いで、実際は「空」を意味する言葉。L'Arc-en-Cielというバンド名が「空の弓=虹」から来ているという知識が半端に残っていたせいで取り違えてしまい、気づいた頃にはもう修正不能だった……というのは有名な話です。でも「ラルク」だとアルク(アルクェイドの略)と若干被るから、勘違いしてなかったとしても「ラルク先輩」はたぶん成立していなかったただろうな。ちなみに私、月姫リメイクはシエルルートの途中で止まっているから宝具の第七聖典見てビックリしたり。そろそろ再開しなきゃ。PU2を回す余裕はまだあるものの、「BBドバイ」を狙うかどうかに関しては現在考えを保留中。リボンの色が赤じゃない時点で正体はBBじゃなさそうだし、もう少し様子見したい。奏章Wの角っ子も気になっているから石はなるべく温存したいんだよなぁ。

・拍手レス。

 なんだかんだ10年近く読ませていただいています。焼津さんに共感することも多いので、今後も急がずで構いませんので、触れているアニメ、漫画、小説、ゲームを記していただけると嬉しいです。

 過疎ってても読んでくれる人がいるかぎりは……と踏ん張りたいところですけど、なかなか気力が維持できず厳しいところです。

 嫉妬修羅場ヤンデレヒロインスレだったかな?もう大分昔の為定かではありませんが沃野から辿ってこのHPに辿り着いて時々見ていた身としては残念ではあります。お疲れさまでした。

 「沃野」とはまた懐かしい。書いてたの2006年頃だったかな……私もさすがに当時の記憶は曖昧になってきていますね。

 良かった。焼津さん生きてたわ。

 はい、一応生きてます。

 生存報告ありがとうございます。ご健在であれば何よりかと思いますmm

 はい、ギリギリ生きてます。

 A great website.

 なぜ英語なのかわからないけどThank you.

 焼津さんのホームページに出会ったのは高校生の頃。多くの影響を受け、私も立派な中年になりました。生きてると色々ありますよね・・・。どうか無理をされず。ご健勝を祈っております。

 お心遣い痛み入ります。私もホームページを立ち上げたときはまだ大学生でしたけど、あっという間に歳を食ってしまいました……なんとかかんとか生きていこうと思います。

 無理せずゆっくり休みながら、気が向いたら復帰してくださいませ〜

 とりあえず「最低3ヶ月に一度」を目標に休み休みやっていこうかと。

 Dies iraeの記事を検索サイトから去年の夏に発見し、時折ブログを興味深く拝読していたものです。 ひさびさに訪れたところ、実質的な閉鎖と聞き驚きました。28歳の自分にとってこのブログはDies iraeの発売当時の雰囲気やさまざまな美少女ゲームが生きた年代を感じさせる、貴重な記録の場所であり、とても居心地の良いすてきなサイトでした。現時点でサイトを消す予定は無いとのことなので、過去の記事をゆっくりと拝読させていただきます。 いままでお疲れ様でした。再びお会いできる時を楽しみにしておりますが体調やリアルのほうを第一で。ご快復をお祈り申し上げます。

 お心遣いありがとうございます。「さまざまな美少女ゲームが生きた年代を感じさせる」ホームページは以前「エロゲーレビューサイト」という形でたくさんあったのですが、もうほとんどが閉鎖されてウェブアーカイブで漁るしかなくなっていますね……ここもレビューサイトの芸風にかなり影響を受けており、あの雰囲気を僅かでも伝える役割が担えているのだとしたら嬉しいです。



管理人:焼津

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