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リレー小説「魔法少女忌譚修」(第13話−10/12)


2021-05-07.

・キム・ニューマンの新刊『《ドラキュラ紀元一九五九》ドラキュラのチャチャチャ』、2月刊行なのに5月にもなってようやく存在を知り慌てて買った焼津です、こんばんは。某としたことが……!(この手の買い忘れはしょっちゅう)

 現在は「ナイトランド叢書」というレーベルから刊行されていますが、かつては創元推理文庫から出ていたシリーズです。『ドラキュラ紀元』『ドラキュラ戦記』『ドラキュラ崩御』と、3冊リリースされたところで展開が止まってしまった。日本側の事情どうこうではなく、原書の刊行自体が滞っていたからである。原書だと1冊目が1992年、2冊目が1995年、3冊目が1998年に刊行されていますが、4冊目が出たのは2013年。15年もブランクが空いたんですからそりゃ翻訳の展開も止まるわ。記憶が定かではないけれど確かその頃にはもう創元推理文庫版が品切重版未定になっていて部数の少ない崩御が古本市場でプチプレミア化していたはずです。

 “ドラキュラ紀元”シリーズは「ヴァン・ヘルシングが敗北したことでドラキュラに全土を支配されてしまった」架空のイギリスを舞台にしたファンタジーです。ナイチンゲールなど実在の人物も登場する一方でモリアーティやジキル博士、モロー博士などフィクション上のキャラクターも次々と出てくる。1作目の『ドラキュラ紀元』は「切り裂きジャック」の正体を追うストーリーになっているが、「ホームズを投入したらすぐに事件が解決してしまうので」という理由でホームズは出てこない。原題は "Anno Dracula" 、西暦を意味するラテン語「Anno Domini」をもじったもので、どちらも略せばADになるって寸法。ゆえに『ドラキュラ紀元』はほぼ直訳ながら、『ドラキュラ戦記』や『ドラキュラ崩御』はシリーズ作品であることをわかりやすくするために付けられた邦題であり原題には即していない。『ドラキュラ戦記』の原題は "The Bloody Red Baron" 、『ドラキュラ崩御』の原題は "Dracula Cha Cha Cha " もしくは "Judgment of Tears" です。長らく入手困難になっていましたが、「原書が再開したんだし翻訳もリスタートしたい!」という訳者たちの熱意によって日本版も2018年から「完全版」として再起動することになりました。創元推理文庫版を全部積んでいる私も「完全版」と聞いて居ても立っても居られず嬉々として購入しちゃった。

 1冊目の『ドラキュラ紀元』を『ドラキュラ紀元一八八八』、2冊目の『ドラキュラ戦記』を『《ドラキュラ紀元一九一八》 鮮血の撃墜王』と改題して出版、年号が付いたことでよりわかりやすくなったのはいいが、問題は3冊目がなかなか出なかったということです。『鮮血の撃墜王』が2018年10月で、『ドラキュラのチャチャチャ』が2021年2月。2年4ヶ月も間が空いてしまったワケダ。私も定期的にネット書店で「ドラキュラ紀元」を検索して新刊が来てないかどうかチェックしていましたが、最近は諦め気味モードに入ってしまいあまり検索しなくなっていた。「ゴールデンウィークで時間もあるし」と久しぶりに検索したらあっさりヒットして「!?」ってなりましたわ。言うまでもなく3冊目『ドラキュラ崩御』を改訂・改題したものです。最初は『深紅の処刑人』というタイトルにする予定だったらしいが、刊行間近のタイミングで『ドラキュラのチャチャチャ』に変更された模様。原題の一つである "Dracula Cha Cha Cha " は実在する曲のタイトルで、1959年に発表されたそうだから作中の時期ともリンクしている。

 時間は掛かってしまったがこれで既刊の3冊が新訳中短編のオマケ付きてリメイクされ、ようやく本邦初訳たる新作がお披露目される準備も整いました。4冊目に当たる "Johnny Alucard" はこれまで以上に分量が多いため上下2分冊になるとのこと。邦題は『われはドラキュラ――ジョニー・アルカード』、今年の初夏に発売予定。いくつかの時代を跨ぐ構成のため年号は付いていない。5月も「初夏」の範疇だから早ければ今月中に出るかもしれないが、現時点で出版社からの告知はなく、来月以降になる可能性が高い。7月か8月くらいと思いつつ、定期的に検索してチェックしていこう。今度は買い逃さないようなしないと……ちなみに原書ではジョニー・アルカードの後に短編集 "Anno Dracula 1899 and Other Stories" と第5長編の "One Thousand Monsters" 、そして第6長編の "Anno Dracula 1999: Daikaiju" が刊行されている。一瞬「Daikaijuって何だ?」と首を傾げたが、ダイカイジュー……大怪獣やん。なんでも「トーキョーのダイカイジュウ・プラザ」なる場所(怪獣を模した超高層ビル)が舞台となるらしい。1999年の大晦日に世界中から貴賓を招いて豪華なミレニアム・パーティーを開催していたが、突如オウムみたいなカルト集団が襲い掛かってきて……という話。見た目はスクールガールだが齢1000年を超える吸血鬼のエージェント「ネズミ」が活躍する。ネズミは「sword-wielding(剣を振るう)」エージェントで、『BLOOD』の「小夜」がモチーフの一つであるとのこと。他にも日本の漫画やアニメ、特撮をモチーフにしたキャラが大量に出てくるらしくて楽しみだが、訳者と出版社は元ネタのチェック作業に忙殺される可能性が高いなコレ。1冊あたり4000円くらいする高価なシリーズではありますが、手間を考えると「当然でしょ、むしろ安くない?」って納得してしまう内容です。

 もひとつ余談ですが“ドラキュラ紀元”シリーズには "Anno Dracula 1895: Seven Days in Mayhem" なるコミック版も存在するそうな。本編のコミカライズではなくオリジナル・エピソードだとかで、第5長編の "One Thousand Monsters" と同時期に発表されたみたい。 "One Thousand Monsters" が1899年のエピソードだから、時系列的には『ドラキュラ紀元一八八八』→ "Seven Days in Mayhem" → "One Thousand Monsters" →『《ドラキュラ紀元一九一八》 鮮血の撃墜王』って順番です。短編も含めると更に複雑になるから大変だな……。

『魔法少女特殊戦あすか』の最終巻が出たので積んでいた既刊ごとまとめて読みました。9巻からだったので、2年ちょっと積んでいたことになる。中学生の頃から積みっぱなしになっているような本もある私にしては短い部類だ。

 内容はタマラ救出戦のあたりから最終章ニューヨーク大決戦までですね。そういえばアニメはどこまでやったんだろう? 私は1話だけ観て「う〜ん」となっちゃったからよく知らないんだよな……調べてみると沖縄編までか。コミックスだと6巻らへんです。沖縄編の後はウクライナ編(6巻〜8巻)→ロシア編(9巻〜11巻)→ニューヨーク編(11巻〜14巻)で完結といった運び。言葉を濁さずに書いちゃうとウクライナ編がちょっとダレ気味で、そのせいもあって読むのが億劫になり積みモードに入ってしまったが、ロシア編以降は怒濤の展開でページを繰る手が止まらず、結果的には「まとめ読みできて大正解」でした。ニューヨーク編で一気に伏線を回収する構成となっているから「アニメで途中までのストーリーは知っている」という方も6巻以降の原作をまとめ読みしてほしいところ。敵キャラはネクロマンサーの「ヴァルヴァラ」が印象に残りましたね。顔といいおちゃらけた雰囲気といい、『ムルシエラゴ』の黒湖がオーバーラップして仕方がないが……味方キャラはやっぱり「ウォーナース☆くるみ」のインパクトに勝るものはないな。「マジカル自白剤」や「マジカルスパンキング」で一世を風靡した子ですが、アニメ化された範囲を超えてからがむしろ本番です。主人公のメイド服姿を見た感想が「拉致ってイタズラしたい」、思考が犯罪者寄りすぎる。家族がクズ揃いで「父や兄は性欲交じりのイヤらしい視線を向けてきた」と回想するくるみだけど、あなたもあすか相手だとかなりリビドー全開ですよね……テロリストたちも散々ヒドいことをしているけど、終わってみれば一番怖いキャラはくるみだったって結論に落ち着く。人類の敵に回ったとき一番ヤバいのが彼女だもんな。長らく謎だったあすかのマジカルネーム「ラプチャー」の意味も最終話で明かされ、満足の行く大団円を迎える。1巻の発売から5年半、イロモノ扱いされていた作品がこうも綺麗に終わるとは、実に感慨深い。1巻の帯文が虚淵玄で話題になったっけ。「 魔法少女にこんな残酷な運命を背負わせるなんてひどいよ! あんまりだよ!」と書いて一斉にツッコまれたという。

・レオナールDの『レイドール聖剣戦記』読んだ。

 「小説家になろう」連載作品で、いわゆる「剣と魔法のファンタジー」です。持つ者に一騎当千の力を与える「聖剣」とかつて人類を滅ぼしかけた「魔女」を手にした主人公が大陸の勢力図を塗り替えていく。まだ始まったばかりなのでどういう展開になるかハッキリしない部分もあるが、大筋としては「国盗り物語」形式になるものと予想されます。

 勉強は苦手だけど武術の才能は優れているザイン王国の第二王子「レイドール」。彼は玉座を望まず、兄である第一王子「グラナード」を支えながら国を守る英雄になるつもりだった。成人を迎える13歳の誕生日、初代国王以外に誰も抜くことができなかった聖剣「ダーインスレイヴ」を引き抜いてしまうまでは。聖剣――それは地上に12本だけ存在すると言い伝えられている神与の武装。一振りで大軍を滅ぼす凄まじさから、聖剣保持者(エスクカリバーホルダー)はさながら神の使いの如き権威を得る。「自分は選ばれなかったのに、なぜ弟が……」と嫉妬したグラナードはレイドールを聖剣から引き離し、辺境の開拓地へと追放してしまう。「神の使い」に等しい存在をそばに置いておけばいずれ王位継承を巡ってお家騒動が起こりかねない懸念もあったからだが、明らかに私怨交じりとわかる強引で性急な判断であった。敬愛していた兄からの心無い仕打ちに嘆き、憎悪を募らせるレイドール。しかし皮肉なことに辺境での暮らしは肌に合っていて、危険な魔物たちと戦い民を守る日々に充実感を抱く。追放から5年後、彼のもとに「王都へ帰還せよ」との命令が届けられた。東の「アルスライン帝国」がザイン王国を侵略してきたので、王宮に保管されているダーインスレイヴを携えて前線へ向かえ……と。実の弟をまるで消耗品のように使い潰そうとする兄に赫怒の念を抱いたレイドールは決意する。他人の都合に振り回されるのはもう沢山だ、これからは俺の道を阻むモノすべてブッ潰して進みたいところへ突き進んでやる! 大地の渇きが人々の血で癒される、死に満ちた戦乱の嵐が吹き荒れようとしていた……。

 なろう小説の類型に当てはまると「追放&復讐モノ」ですね。冷遇された王子が怒りに燃えて恨みを晴らそうとする。「他のファンタジーだったら序盤で噛ませ犬にされるような小物っぽい野郎が主人公」なわけです。ややダークな雰囲気もあるが、敵兵をジワジワと嬲り殺しにしたりとか、捕虜の女騎士を笑いながら慰み者したりとか、そういう過激なシーンはご用意されていません。少なくとも現時点では復讐モノを期待して読むと「ヌルい」って落胆する可能性が高いでしょう。率直に書いてしまうと、この1巻だけでは「あまり特色のない戦記ファンタジー」というのが偽らざる感想です。「わかりやすい筋立てで、キャラもそんなに多くない娯楽小説」だからスルスルと読めてしまい、気が付けばページが尽きている。良くも悪くも「息抜きに最適」という域を出ない作品で、だからこそ「難しいこと抜きでちょっと時間を潰したい」方にはうってつけの一冊となっております。

 しかし、やっぱり「○本の聖剣(or魔剣)」みたいな設定はいくつになってもワクワクするなぁ。『風魔の小次郎』の聖剣戦争編を思い出して軽く血が滾ったりしました。主人公が所持するダーインスレイヴは斬撃とともに黒い瘴気をバラ撒いて毒や石化などのバッドステータスを付与する「状態異常」に特化した聖剣で、性能的にはほぼ魔剣です。呼称を「聖剣」で統一したいからか魔剣呼ばわりはしませんが、それでも敵から「呪われた聖剣」として蛇蝎の如く忌み嫌われる。元ネタのダーインスレイヴも呪われているとしか言いようがない代物だから妥当な扱いではあるものの、「呪われた聖剣」の矛盾語感につい笑ってしまうな。というか「聖剣保持者(エスクカリバーホルダー)」って用語からしてすごくダサいムードが漂っているんですけど、一周してこのダサさが癖になってくる。お高く止まらず娯楽一辺倒で邁進するぜ! っていう作者のストレートな意志が伝わってきて心地良い。こだわらないのがこだわり、でもちょっとだけこだわってるところもあるよ、みたいな。

 ラブコメ要素が少し弱いのが難点か。一応主人公を慕う下ネタ連発エロメイドの魔女とかは出てくるんだけど、ストーリーを進めること優先でサービスシーン的なものはほぼカットされているからお色気面が不足気味。おかげで話がサクサク進むから決して悪いことばっかりじゃないにせよ、表紙の黒髪ツインテなデカパイメイドに釣られて購入した人はショボンとしてしまうかもしれません。ヒロインっぽいキャラ自体は何人かいるので2巻以降にハーレム展開へ突入する可能性とてなきにしもあらず。ただ一迅社ノベルスなんていうドマイナーレーベルからの刊行なんで続きが出るかどうかは怪しいところである。「じゃあなんで買ったんだ」と言われそうですが、地味だろうとマイナーだろうと面白そうな新作は積極的に買っていかないと「自分好みの本」が市場に流通する可能性はどんどん減っていっちゃいますもんね。

 ああ、そうだ、書き忘れていた。主人公は聖剣を手にすることで一騎当千の力を得ますが、最強無双系かと申しますとそうでもない。なぜならダーインスレイヴは状態異常を押し付けるタイプの剣なので単なる人間に対しては無敵だけど、同じ聖剣保持者の場合は聖剣の力で抵抗(レジスト)されるため、状態異常がほぼ通らない。「ボスには状態異常が刺さらないからボス戦では使えない」というソシャゲでよくあるジャマー系ユニットみたいな状況となってしまっている。範囲攻撃が得意なので大軍を殲滅するのには向いてる反面、他の聖剣保持者と一騎打ちに縺れ込んだら普通に苦戦しちゃいます。なのでどっちかっつーと「最弱からの成り上がり」パターンに近いかな……敵に聖剣保持者がいる場合は工夫して戦わないとあっさり負けてしまう危険もあり、そういうところでちょっとハラハラさせられる。とにかく続きを読まないことには評価が固まらないシリーズなので早く続刊出しておくれ。

・拍手レス。

 ロスフラの1.5周年記念イベはとんでもない爆弾でしたね。まさか若トゥスクルぶち込んでくるとは…しかし過去編が少し明かされたもののさらに増えた謎(ゲンジマル寝返りの理由やカリーティ達の豹変等)はロスフラのメインストーリーで収拾するんですかね。というかメインストーリーもかなりいいところで終わってるのでとにかく早く続きが読みたいところです。
 イベントタイトルで白ウィツ黒ウィツ絡みの話やるんかな、とは思いましたがここまで深くうたわれ前日譚を綴るとは予想外でした。ゲンジマルに関しては余計に謎が深まった感じもするので何らかの形で追加掘り下げをしてほしいところですね。メインストーリーと言えば、トゥスクルをロスフラ世界に残留させなかったのってマスターキーが更に増えてややこしくなるのを防ぐためもあるのかな、と思ったり。


2021-05-02.

竹本健治の小説『闇に用いる力学』が連載開始から26年かけて遂に完結と聞き目を見開いている焼津です、こんばんは。

 最初の『闇に用いる力学 赤気篇』が刊行されたのなんて私が中学生の頃だぞ……内容はSFというかオカルトというかホラーというか、いろんな要素ブチ込み過ぎでジャンル分けが困難になっているタイプです。第一部に当たる『赤気篇』は光文社の雑誌“EQ”に1995年から1997年にかけて連載された。時期的にちょうどEVAがブームを巻き起こしていた頃。同時にオウム真理教の事件で世間が騒然としていた頃でもある。第二部に当たる『黄禍篇』が連載開始したのは2008年になってからで、実に10年ものブランクが空いてしまった。“EQ”は既に休刊しており、代わりとして同じ光文社の雑誌“ジャーロ”に掲載されている。三部作を締め括る『青嵐篇』の連載開始は2012年、この年は『黄禍篇』が最終回を迎えた年でもあるためブランクは空いていません。そのせいで『黄禍篇』の単行本化が後回しにされた(先に『青嵐篇』を終了させてから『赤気篇』の加筆修正と併せてやろう、って話になった)という面もある。『青嵐篇』は2017年に連載終了、ここから単行本化作業に入るわけだが、あまりにも長期間に執筆が及んだせいで準備をするだけでも大変な状態となってしまい、三部作すべてのゲラが届いたのは2019年になってからだったという。加筆修正を含むゲラ作業に丸一年かけて単行本化の目処が立ったのが2020年の終わり頃。そして今年(2021年)7月28日に発売が決まった――という流れ。

 間に10年くらいの空白があったとはいえ26年もの年月を費やした大著ゆえ、完結を記念しファン向けの愛蔵版として函入り特装版を限定刊行するとのこと。三部作すべてと特典の小冊子をご用意してお値段なんと33000円(税込)! ブルーレイBOXみたいな価格である。そこまで高価なのはお財布的にちょっと……と怯んでしまう方向けに普及版も発売する予定だそうだ。3冊全部で11000円くらいというから、一冊あたり3300円(税抜)程度かな? 冷静に考えるとこれも結構イイお値段してるわけだが、33000円(税込)ってカマされた後だと安く感じられちゃうわ。エロゲを1本定価で買うのと同じくらいですもんね。なので私は普及版の方を購入する予定です。いや〜、それにしてもまさかEVAが完結した年に『闇に用いる力学』三部作の単行本が本屋に並ぶことになるとは……令和3年、なかなかスゴい年じゃないか。

虚淵玄のツイートで『ワルプルギスの廻天』脚本脱稿の時期が判明。

 「鎧武を終えた直後、東離劍遊紀にとりかかる直前」……つまり2014年頃。なんと叛逆の翌年です。そんなに早くから続編の脚本ができていたとは……てっきり虚淵が忙しいのとプロット作りに難航しているのとで完成まで数年掛かったんだとばかり。前回の更新で「もしかすると、『叛逆の続き』に関する構想はだいぶ前からあって」と書いていましたが、そこまで遡るとは思ってなかったです。なんでこんなに時間がかかってしまったのか……単にシャフトが忙しかったせいか? 『ワルプルギスの廻天』以降の企画も準備されているのかどうか気になるところ(そっち待ちで廻天が遅れた可能性もあるからな)だが、とりあえずは廻天の上映される日を楽しみに待ちたい。

『メギド72』、新要素「オーブキャスト」を追加

 『メギド72』においてサポート系装備品である「オーブ」(FGOの概念礼装、ウマ娘のサポートカードに類するものと捉えればOK)が自由に作れるようになった――というのがこないだのアップデートで追加された新要素「オーブキャスト」です。必要アイテムとして「フォトンの欠片」を集めなければなりませんが、このフォトンの欠片、グラブル風に言うとオーブを砕いた際に入手可能である。ガチャ産SSRオーブなら1個につき1000個、ガチャ産SRオーブなら100個、ガチャ産Rオーブなら20個の欠片が手に入り、7500個集めると未所持のEXオーブやSSRオーブであろうと作成することができるのです。FGOで喩えると☆4礼装を75枚砕けば任意の☆5礼装が――それこそカレスコでも黒聖杯でも看板娘でも――ゲットできる、そういうかなり大きめの仕様変更が入ったことになります。しかもアプデ記念として今まで遊んでいた既存のプレーヤーには欠片が7500個(+720個)プレゼントされた。メギドのガチャ産SSRオーブは非常に排出率が低く、たった1.5%(昔は1.0%だった)、排出率が倍になる「晶★魔精召喚」でも3.0%しかない。あまり話題になることはないが、実はかなり稀少なアイテムなんです。なので〆チケ(指名召喚チケット、サプチケのようなもの)をSSRオーブに使う人も珍しくなかった。

 私もこないだの〆チケで「ボーパルバニー」という有用性が非常に高いSSRオーブを交換しようかどうか迷ったほどです。最終的に気乗りしなくてパスしてしまったが、課金してもおかしくない程度には悩みました。それがいきなり「オーブキャスト実装! 記念にフォトンの欠片8220個あげるよ! え? ボーパルバニーが欲しい? いいよいいよ、持ってって持ってって!」とメンテが明けてアプデが終わった数秒後にはもう手元に来ているんですからね。現実感のなさに呆然としました。幸いガチャ産SRオーブは「そのうち処分しよう」と思いつつ未整理になっていた奴が数十個もあるので欠片には事欠かない。もう1個どころかもう2個は作れそうな勢いです。多少足りなくても「嵐炎龍フラカン」という大幻獣のくせに即死が刺さる爬虫類野郎をワンパン周回してSSRを集めればいい。ガチャ産オーブと比べてクエスト報酬オーブは変換レートがマズくなるけど、少しくらいなら時間と根気があれば解決できる。これでSSRオーブを絡めた攻略へのハードルが一気に下がるな。ただ、ここまで思い切った梃入れをするとなると「大丈夫なのか‥…?」って運営に対する心配が募ってしまうな。本編は9章の「懲罰局壊滅」がようやく始まったところで、10章以降の構想も既にあるらしいからすぐに終わるわけじゃないだろうが‥…。

『うたわれるもの ロストフラグ』、1.5周年記念イベント「白き同盟、黒き楔」開催中

 『うたわれるもの』本編より遡ること数十年前――ウィツァルネミテアの白き半身と黒き半身、それぞれを王に戴いた二つの陣営が血みどろの大戦を繰り広げていた時代から4人の客人(マレビト)がロスフラ世界に迷い込む、という、実質『うたわれるもの/Zero』なエピソードです。イベントの中心人物はなんと「トゥスクル」。エルルゥとアルルゥの祖母(父方)であり、彼女たちの故郷である「ヤマユラ」の村長でした。うたわれ本編でヌワンギが引き連れてきた兵士に斬られ致命傷を負い(力ずくでエルルゥを奪おうとするヌワンギたちにアルルゥが石を投げ、逆上した兵士が攻撃してきたところを庇ったという流れ)、ハクオロに孫ふたりを託して死亡。その後クッチャケッチャの件もあってヤマユラは壊滅してしまうが、彼女の名はやがてハクオロたちが起ち上げた國の名前として後世に残ることとなります。ハクオロにとって大恩ある存在であり、老婆ながらユーザー人気も非常に高いキャラだったので「いずれロスフラにも若トゥスクルが出てくるだろう」とは前々から囁かれていました。しかしここまでガッツリ描かれることになるとは……って驚きの念が深いです。

 『うたわれるもの』の時点で判明していたトゥスクルの情報は少なく断片的だったけど、繋ぎ合わせればボンヤリと彼女の人生がどういったものであったかは浮かんでくる。まずトゥスクルには「エルルゥ」という名前の姉がいた。エルルゥは昔話に出てくる人名であり、それに由来する花の名前でもあるので、エルルゥ本人が語る通りうたわれ世界では「割かしありふれた名前」ということになっています。しかしトゥスクルが姉を偲んで孫に付けた名前であることは語るまでもない。名前というと記憶喪失の主人公に付けられた「ハクオロ」という名も元はトゥスクルの息子、エルルゥとアルルゥの父親のものです。ただ、息子をハクオロと名付けたのは白き半身にあやかってのことで、主人公の正体が白き半身であることに気づいていたトゥスクルからすると「借りていた名前を返した」感覚だったと推測される。職業は薬師であり、エルルゥの師匠ポジションでもある。エルルゥ同様戦闘能力はないものと考えられていたが、なぜか鉄扇を持っているという謎もあった。またアルルゥについては「若い頃の自分に似ている」とコメントしています。トゥスクルとアルルゥがともに「妹」であることを示すための設定で、どちらかと言えば「ふたりともエルルゥという心優しき姉がいた点で共通している」ことを強調する狙いがあったものと思われる。若い頃は宗教國家オンカミヤムカイに住んでいたという設定もあり、記憶を失う前のハクオロとも面識があったため正体にいち早く気づくことができた。オボロたちの祖父母もかつての同志で、高齢であるにも関わらず足繁くユズハを往診していたのもそれと無関係ではないっぽい。オンカミヤムカイからヤマユラに落ち延びた経緯、伴侶との出会い、息子と結婚した嫁については不明。

 イベントでは既に明かされている情報を拾っている部分もありますけど、新たに判明した要素も多く、初代うたわれ好き勢は考察と分析で大忙しになっています。まずヤングトゥスクルのデザイン、以前はエルルゥに寄せた感じだったけど今回は「アルルゥに似ている」という設定を重視したのか口調も含めてかなりアルルゥ寄りです。中の人もアルルゥと同じ「沢城みゆき」。ユニット化するため「戦闘能力があった」ということになっているが、メインウェポンはなんと香炉。モーニングスターの要領で香炉をヒュンヒュンぶん回して毒ガス散布(味方にはあらかじめ解毒薬を配っておく)しながら殴りつけるという「完全に敵の幹部じゃねぇか!」って戦闘スタイルでブッ魂消た。接近戦では強い糜爛性のある毒を盛って相手をグズグズに溶かしてしまう。これ若かったらヌワンギの手勢とか瞬殺していたな……? 人呼んで「白の懐刀、腐姫トゥスクル」。なお本人は腐姫呼ばわりを嫌がっている模様。

 

 

 大戦は「白き同盟」陣営の優勢で推移していたが、白側の幹部たちが土壇場で裏切ったことにより「黒き楔」の勝利が確定してしまう。親友たちの造反に衝撃を受けたトゥスクルは謎の霧に包まれた後、ロスフラ世界へ転移し「裏切った幹部」であるカリーティとクリューに襲い掛かるが、オンカミヤリュー族のふたりは違う時間軸から迷い込んできたため「裏切者」云々と罵られても何のことだかまったくわからない。トゥスクルも記憶が混濁しており、周囲に状況をうまく説明することができません。ロスフラの主人公「アクタ」はトゥスクルの過去を夢形式で追体験していく――というシナリオです。「そういうことがあった」と軽く触れられるだけでほとんど詳細が明らかにされてこなかった白ウィツと黒ウィツの古き大戦について掘り下げるストーリーとなっており、旧来のファン大興奮間違いなしな一品です。深夜にログインしたから「冒頭を少し読むだけ」で自制するつもりだったのに「先が気になってしょうがない!」と最後までプレーしてしまった。もう我慢できないからネタバレ全開で書いていきますが、「裏切った幹部」の一人ってゲンジマルかよ! おめえ元々黒側じゃなくて白側から寝返ったんかい!? 「最初からスパイとして白側に潜入した」という説もあるが、どちらにしろ衝撃の度合いに関しては大差ないな。どうも若い頃のゲンジマルは血気盛んで力に飢えていた節があり、甥に当たるディコトマも容赦なく殺しに掛かっています。「水落ちは生存フラグ」という可能性も捨て切れない(「ディコトマ、実は○○説」もいくつか提唱されている)が、どうもトゥスクル以外の3人は正史の世界だと早い段階で亡くなってるっぽいんだよな……「トゥスクルみたいに歳を取ることができなかった」と暗示する遣り取りもあるし。かつてロスフラ世界のヒエンがあんなことになっていたのにビックリしたものだけど、ゲンジマルの振る舞いを考えるとむしろ「血は争えない」ってことになるのか? 力を求めてあらゆるものを犠牲にしてきた後悔から晩年のゲンジマルは我が身を顧みぬ忠臣と化した、って解釈すると人物像がだいぶ変わってくるな。

 ゲンジマルもさることながらトゥスクルの過去も想像以上にドラマチックで驚いた。村の総意で姉が生け贄にされたことに激昂し、まだ幼い身で村から飛び出す→獣用の罠に引っ掛かって行き倒れているところを白ウィツ(ハクオロ)に拾われ「トゥスクル」の名を与えられる→白ウィツを父と慕い、「懐刀」と称されるぐらいの戦果を積み上げる→味方の叛乱によって敗北が決定した後も諦め切れずディコトマとともに敵地へ潜入、黒ウィツの分身(黒ウィツは精神だけで肉体を持たない存在のため活動には依代が必要)の膝元まで迫る→しかしそこで知った分身の正体は……と、「えっ、これだけで劇場版アニメが一本作れるんじゃない?」って濃密さです。鉄扇が白ウィツから託されたものだったとか、恐らく菅宗光(む〜む〜)が初代『うたわれるもの』の頃から設定していたネタをサルベージしているんだろうな。私は覚えていなかったがゲンジマルが自らのことを「既に限りない罪を犯してきた大罪人」と称したシーンもあったらしく、急に設定変更して彼が裏切者となったわけじゃないみたいだし。トゥスクルのキャラデザは変更してるっぽいけど……Fateのモードレッドも途中で設定変更されたし、みゆきちCVのキャラは制作側都合による変更と縁があるな。他にも「アマナ」(オボロやユズハの祖母)が直接登場こそないものの重要人物として何度か名前が挙がってくる。こないだ実装された「ユズハ〔護剣の舞〕」の衣裳はアマナの服を再現したものだという話もあるし、いずれストーリーに絡んでくるかも。あと今回のイベントには登場しなかったけど、黒ウィツと契約を交わした人物の一人として「カルラの父」がいる(カルラの常人離れした膂力は契約の名残りです)ので、今後も過去エピソードを掘り下げていく方針ならそっちも言及されるのでは、と期待を抱いてしまう。ゲンジマルは過去にカルラの父と死闘を繰り広げて勝利したって設定もあります。結果としてカルラたちの國「ラルマニオヌ」も滅亡したわけだが、そこまでネタを拾っていくとクーヤの父(黒ウィツと契約しアヴ・カムゥを手に入れ、力が弱いせいで奴隷以下の扱いを受けていたシャクコポル族を救済するため立ち上がり、ラルマニオヌを打ち倒してシャクコポル族の國「クンネカムン」を興した)を無視するわけにもいかなくなって話が広がり過ぎてしまう懸念も湧く。とにかくうたわれは「設定だけは存在する」ネタが多すぎるんだよな……カルラパパの力がカルラに引き継がれたのにゲンジマルの力が孫に引き継がれなかったの、カルラパパが「一族の武運長久」的なものを願って契約したのに対しゲンジマルは「己一人のみの強さ」を追い求めたからではないか、ゆえに願いの純粋さで一騎打ちはゲンジマルに軍配が上がったけど、一代限りの彼と違いカルラパパの力はカルラに受け継がれた……とか、いろいろ想像してしまう。ぶっちゃけ『うたわれるもの』のストーリーは「収拾がつかなくなって最後は尻すぼみになってしまっている」と不満だったんだけど、その拾い切れなかったネタが20年近く経ってポツポツと回収される様子に興奮しているんだからわからないものだ。

 ラスト、夢から目覚めたトゥスクルは孫のアルルゥから「エルルゥが森で行き倒れの男を拾ってきた」と告げられ、『うたわれるもの』本編の序章へ繋がる形で幕を引きます。完璧なエンディングだ。ここまで完璧だと2周年記念イベントのハードルが上がってしまうのでは、と心配になる。ユニットとしてのトゥスクルはまだ実装されていませんがイベントのバトルシーンでプレイアブルになっていることが確認されており、5日から新規の期間限定キャラをピックアップするという告知も出されているので、実装は秒読み段階といったところです。私も念のため結糸(ガチャチケ)は使わず温存している。単独ピックアップは18日からとだいぶ遅く、そこまで我慢できるかどうか忍耐力が試されます。

・拍手レス。

 >廻天 虚淵氏曰く『脚本は鎧武を終えた直後、東離劍遊紀にとりかかる直前に脱稿してた』そうなので、本当に満を持して送り出すのだなぁと 虚淵氏のまどマギがまた見られるのは嬉しい反面、Kalafinaがもうないことが悔やまれます……
 Kalafina復活という奇跡を期待したいところだけど現状からすると厳しいか……。

 プレミアムバンダイで唐突にまどかのジュエルシードとグリーフシード売り出したから何かと思ったらこれかー
 また関連グッズが怒濤のように発売されることになりそう。


2021-04-25.

・『叛逆の物語』正統続編『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』が制作決定と聞いて「“待”ってたぜェ!! この“瞬間(とき)”をよォ!!」とブッタク顔になった焼津です、こんばんは。

 何せ10周年の節目ですからね。ここで発表が来なければ二度と続編の芽はないだろうとまで覚悟していました。叛逆から8年、遂に物語の続きを拝むことができる。しかもタイトルは「ワルプルギスの廻天」、例の設定だけは存在しているが劇中で描かれることのなかった「正位置ワルプルギス」がお披露目されるのではないかと震えております。まどかマギカにおける最大級の敵「ワルプルギスの夜」はタロットのハングドマンみたいに逆さの状態で空を飛んでいるけど、公式の魔女図鑑に「普段逆さ位置にある人形が上部へ来た時、暴風の如き速度で飛行し瞬く間に地表の文明をひっくり返してしまう」という記述がある。この状態を俗に「正位置ワルプルギス」と呼ぶ。TVシリーズでは本気を出す前に浄化されてしまったため、長らく「そういう設定がある」というだけのフレーバーテキストとして受け取られていた(ちなみにコミカライズ版では正位置になったシーンがあるらしい……記憶に残っていません)が、アプリ『マギアレコード』の第1部OPムービーにチラッと正位置ワルプルギスらしき姿(およびお下げを解いたほむら)が映ったことで「マギレコに本気モードのワルプルが登場するのでは?」とファンの間で盛り上がったことがありました。結論を言っちゃうと別にそんなことはなく、どうも単なるイメージカットだったみたいです。そもそもマギレコ本編にお下げ解いたほむらは出てこないですからね……イベントには出てきたものの、内容はTVシリーズの振り返りだったし。そんなわけで有耶無耶にされて「結局設定だけなのか……」と諦めそうになっていた「正位置ワルプルギス」が新たな劇場版の要になるっぽいんですよ! これが昂奮せずにおられようか。

 話をマギレコのOPムービーに戻すと、正位置ワルプルギスの前に立っているほむら、背中を向けているので表情はまったくわからないがどうも戦っている雰囲気じゃないんですよね。両手を広げ(いわゆる「支配者のポーズ」に近い格好)、まるで歓待しているかのような風情すら漂っている。「このほむらはクールほむらじゃなくて悪魔ほむらなのでは?」といった説が囁かれたこともあり、「叛逆の続き」めいた内容をマギレコ内でチラ見せする気かもしれない、って予想もありました。もしかすると、「叛逆の続き」に関する構想はだいぶ前からあって、マギレコのシナリオにその一部を反映させるつもりだったけど劇場版の企画が動き出したことでお蔵入りになった……? 邪推の可能性が高いし、ぶっちゃけそのへんの真偽はどうでもいいです。一番重要なのは「脚本・虚淵玄」ってところだ。ファンの望み通りに続投してくれるとは、本当にありがたい。叛逆が完成した時点で続編についてはノープランであり、インタビューの口振りから「続きは他の人に任せて自分はそろそろ下りたい」ってムードを露骨に出していましたからね、虚淵御大。叛逆がああいうエンディングを迎えたのは新房昭之の要望があったからだと答えているし。最悪、まどマギ新作は虚淵抜きになるパターンも考慮していました。杞憂に終わって良かった。ファントムといいヴェドゴニアといい鬼哭街といい沙耶の唄といいジャンゴといい、虚淵のオリジナル企画は話を綺麗に畳んでしまうせいで続編が作りにくく、虚淵本人も「続編モノとかファンディスクとかには興味ない」とバッサリで単発ばっかりになってしまうことが昔からのファンにとっては不満でした。まどかみたいな「人気がありすぎてやめたくてもやめられず、『無理にでも続編を』と要求されるビッグタイトル」に虚淵がガッツリ関わっちゃってるの、マジ愉悦の極みですわ。苦しみと懊悩の中から溢れ出すものを是非とも劇場の大スクリーンで堪能したい。これが完結編というわけじゃなくまだ「次」があることを匂わせているので、楽しみが尽きません。

 それと下倉バイオによる新プロジェクト「魔法少女まどか☆マギカ scene0」も始動する模様。ほむらの時間停止や時間遡行を知覚できる魔法少女「愛生まばゆ」を巡る物語らしいが、「存在を消された」など不穏な文句が鏤められています。このタイミングで送り出される以上、『ワルプルギスの廻天』と繋がる部分もあるんじゃないかと予想されるが如何に。しかし、企画段階のまどマギと同じ頃に『スマガ』をやっていた下倉バイオがまどマギの外伝みたいなシナリオを書くというの、いろいろと時間の流れが感じられてしまうな。詳しくは書かれていないが恐らくマギレコの期間限定イベントとして実装されることになるだろうから、気になる人は今のうちにマギレコをインストールしておいた方がいいです。毎日無料10連キャンペーン開催中。マギレコには終了した過去のイベントシナリオを閲覧できる「追憶の欠片」というアイテムがあるので、そういう意味では焦らなくてもいいのだが、単純にアプリの容量がデカくてインストールにすごく時間が掛かるというのと、プロローグが割と長い(30分くらい掛かる)というのがあるんで……正直、マギレコのモチベはダダ下がり(アニメの2期情報が全然出ない……)で「アンインストール」という言葉が脳裏をよぎるほどだったが、これで少しばかり持ち直した。もうちょっとだけ続けよう、せめて4周年記念の日を迎えるまで。

『アイドルマスター シャイニーカラーズ』公式4コマ漫画『シャニマスえぶりでい!』、単行本1巻発売中!

 シャニマス自体はアンインストールしてしまったが、この4コマだけは読み続けています。ゲームとしてはともかくキャラたちに関しては魅力を感じている、というのが一つ。もう一つは作者の「ギミー」が昔よく通っていたCGサイトの管理人だからです。名義が変わっていたので最初気づかなかったけれど、見覚えのある絵柄に既視感を覚えて調べたら旧HNが出てきて「あっ!」と驚くハメになった。確かサイトが途中でブログ形式になって、そのブログも数年前に更新停止状態となってしまいチェックが途切れたんだったかな。今の世代は「CGサイト」と言われてもピンと来ないだろうけど、90年代から00年代にかけて「絵師」と呼ばれる人たちはPixivみたいなページを個人で作って公開していたんですよ。ブログとPixivの普及によって一気に廃れましたね。サムネイルが充実しておらず、リンクを張った□や■がズラッと並んでいるようなサイトもあった……片っ端から新しいウィンドウで開けてPCに負荷を掛けまくってたまに落ちることもあったっけ。「オリジナル」と「版権」でコーナーを分けているサイトも多かった。18禁コーナーへの入り口が隠されているところもあったり。Pixivのように仕様が統一されていないので鑑賞するのに手間が掛かったりもしたけど、そういうところも含めて楽しかった。まるで観光地を回るような気分で連休を潰したこともしばしば……懐古はこのへんにして、『シャニマスえぶりでい!』、2巻も読みたいのでみんな買いましょう。

・ぶんころりの『佐々木とピーちゃん(1〜2)』読んだ。

 『田中〜年齢イコール彼女いない歴の魔法使い〜』『西野〜学内カースト最下位にして異能世界最強の少年〜』など、売れ線を狙っているようでいてどこかズレた味わいのある作品を送り出してきた「ぶんころり」による新シリーズ。四十路手前の中年男性「佐々木」が、ペットショップで人語を解する文鳥「ピーちゃん(正確にはピエルカルロ)」と出会ったことから非日常極まりない日々を過ごすハメとなる。ピーちゃんは異世界の賢者で、ワケあって元の世界を追放され現代日本で文鳥の姿となってしまったが、異世界に渡る能力自体は残っている。佐々木はピーちゃんと契約し、魔法は存在するが科学の発達していない異世界で現代テクノロジーの産物を売り捌き大儲けしようと画策する。こう書くと「異世界転生モノの変種か」と片付けられそうだが、実のところ異世界云々は『佐々木とピーちゃん』を構成する要素の一つでしかなく、「異能力者」や「魔法少女」、果てには「デスゲームの参加者」まで物語に絡んでくる「ごた混ぜ形式」としか言いようがない混沌としたオフビート系ライトノベルに仕上がっています。

 佐々木はピーちゃんと契約したおかげで魔法を使えるようになったが、日本でうっかり魔法を使ったところ「あなた、異能力者なのね?」と誤解され政府系の組織にスカウトされてしまう。魔法は「複数のモノを覚えることができる、ただし呪文が必要、訓練すれば無詠唱も使える」といった性質であるのに対し、異能力は「一人につき単一のモノしか使えない、呪文は不要、訓練次第で能力がレベルアップすることもある」って感じになっている。ここまでなら『とある魔術の禁書目録』等と大差はないけれど、「魔法は使えるけど無詠唱が基本、妖精界の使者と契約することで力を得る」という佐々木とは似ているようで少し違う「魔法少女」なる未知のファクターが乱入することでジャンル分けというか「この話をどう認識すれば良いか」の判断が著しく困難なモノと化す。勢いでどんどん要素を追加していってるだけじゃないのか? ちゃんとまとめ切れるのか? と不安になる一方、先が読めない楽しさもあります。エンタメの風呂敷って広げている間はメッチャエキサイティングだったりするからな……畳めるかどうかはまた別の話、と割り切って堪能するが吉か。

 異世界の方で「隣国との戦争」という危機が持ち上がった結果キナ臭い雰囲気に包まれ「ほのぼの商取引スローライフ」なムードが霧散してしまい、異世界編のストーリーがちょっと退屈になるなど局所的に残念なところはありましたが、異能バトル編で敵の幹部とあっさり和解するなど「複数の要素が混じり合っているから一つの要素に拘泥する必要がない」というこの作品ならではの強みを感じる部分もありました。既存の作品で言うと『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』に通じるモノがあるかな。あれもかなりごた混ぜ感の強いストーリーだった。ただ、あっちは「相手を即死させてしまうので一つ一つの要素に集中することが難しく、どうしても使い捨てにせざるをえない」事情があるのに対し、こちらは主人公が無用な争いをなるべく避けようとするため「要素の使い捨て」といった現象が起こらず、いつまでもズルズルと引きずる傾向にあります。風呂敷を畳み始めるタイミングで大量リストラが発生する可能性もありますが、さて。

 1巻も2巻も300ページくらいで厚さはそんなに大したことないが、上下2段組でみっしりと文字が詰まっているから読み応えはあります。正直ライト層が敬遠しそうなレベルの密度だ。そのぶん活字中毒者は満足すること請け合い。様々なキャラが登場するため「誰が気に入ったか」という話題でも盛り上がれるタイプのシリーズである。個人的には「二人静」と「お隣さん」が好き。二人静は異能バトル編に登場する敵幹部ロリババアです。常に着物を纏っており実年齢は三桁らしいが見た目は童女、本人曰く「締りは抜群」でキツキツとのこと。エナジードレイン能力者なので吸い殺される恐れもあり、「手を出したらBADEND」感が半端ない。お隣さんは佐々木の隣室に住んでいる少女で、母親からネグレクトを受けていて食事もまともに摂っておらず、見かねた佐々木が食料を与えることで辛うじて生存できている幸薄げな少女。割と早い段階で登場するが、本筋に絡んでくるまで結構掛かる。佐々木に依存しておりヤバめな妄想を抱えているが、佐々木本人はまったく気づいていない。というか佐々木、同年代のヒロインがいないせいもあってか恋愛面ではかなり枯れたムーブを見せつける。ラブコメ目当てで読む人にはちょっとツラい内容かな。ラブコメ系ライトノベルは今スニーカー文庫あたりが大量に出しているから、飢餓状態に陥っている読者も少ないだろうけど。スニーカーの新刊、来月(5月)は全部ラブコメ(『元スパイ、家政夫に転職する』はカクヨムWeb小説コンテスト大賞の「ラブコメ部門」を受賞している)なんだから笑っちゃいますよね。もう「角川ラブコメ文庫」を起ち上げたらいいんじゃない?



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