2011年1月分


・本
 『イーグル生還せよ』/夏見正隆(徳間書店)
 『しなこいっ(4)』/原作:黒神遊夜、作画:神崎かるな(ジャイブ)
 『戦国奇譚 首』/伊東潤(講談社)
 『堂島物語』/富樫倫太郎(毎日新聞社)
 『黄昏少女×アムネジア(4)』/めいびい(スクウェア・エニックス)
 『純平、考え直せ』/奥田英朗(光文社)

・映画
 『アンストッパブル』
 『グリーン・ホーネット』

・アニメ
 『魔法少女まどか☆マギカ』第3話「もう何も恐くない」


2011-01-27.

『グリーン・ホーネット』が予想以上におバカなアクション物で楽しめた焼津です、こんばんは。

 感想を一言で述べると「金の掛かったB級映画」です。主人公もバカなら敵もバカ、いきなりコスプレ宣言してキメ台詞を考え出すなど、「中年の危機」というよりも「中学生並みのメンタリティ」だよ。主人公コンビも、仲間割れした後に仲直りする「雨降って地固まる」方式でパートナーシップを強めていくわけですが、喧嘩に至る経緯も喧嘩そのものも実にバカバカしくて……仲間内でここまで醜く争うヒーローはそうそういません。全編に漂う「脳天気すぎだろ」なムードは『アイアイマン』をも上回る。「昔ドラマでブルース・リーが出演していた作品」程度の前知識で観に行くと予想を裏切られること請け合い。当方も気構えができていなかったせいで「おいおいおいおい!」とツッコミ入れまくりました。終いにはツッコミ疲れでグッタリしてしまった次第。ここまでどうでもいい最終決戦は初めて観た気がする。予告編でコメディ要素を前面に出した映画だろうとは想像していたけど、よもや「作品自体がギャグ」という域に達しているとは読み切れなかった。あざといと言えばあざといし、いい加減っちゃいい加減だし、「クソ映画」と罵る声も否定しがたいところながら、強いてフォローするならこれは「キレイなクソ映画」です。頭をカラッポにしてくれる脳みそ洗濯映画、と言い換えてもいい。後に残るものなどないけれど、「何も残らない」ことが心地良いのです。『アンストッパブル』といい、今月は単純明快系の映画に恵まれていますな。

『Garden』がCUFFSから発売されて3年が過ぎました

 「主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました」というスパムを思い出したが、それはさておき3年ですよ3年。スタッフ日記の過去ログを漁ると2005年10月にトノイケダイスケが『Garden』というタイトルを初めて出しており、そこを起点にして数えると優に5年が経過したこととなります。構想含めて5年……それでもまだ完成しないとは、いったいどんな大作なんだ。同期の未完成ソフトで、「怒りの庭」ってふうに『Garden』とひとまとめに語られた時期もあった『Dies irae』は1年も前に完全版が発売されて、ライターは次の新作に取り掛かっている(明日発売されるソフトに体験版が収録される)のに対し、こっちは原画の☆画野朗だけ新作に取り掛かっていてライターのトノイケダイスケは去年1月の更新を最後にずっと消息不明……愛先生ルートの実装、絵里香シナリオの修正が終了し、残すところは瑠璃シナリオだけだってのに。もう憤る気持ちさえない。諦めという心の動きすら絶えている。ただ単に風化して記憶から抜け落ち始めています。果たして「おかえり、アイの庭」と言える日がいつか来るのだろうか。

佐藤友哉『デンデラ』映画化決定(ぷく速)

 えええええマジで!? 結構前のニュースだけど、アンテナが低くなっていたのか全然知らなかった。『デンデラ』は要約すると「『楢山節考』みたいに捨てられた50人の婆さんが『羆嵐』な目に遭う」っつー話です。小説だと設定の割にキャラクターの振る舞いがあまり年寄りっぽくないのが難点でしたが、映画だとそのへんは否応なく補完されることになるでしょうね。怖いもの見たさ的な意味も含めて楽しみ。

『STEINS;GATE』小説版2巻の厚さがなんかすごいことになってる(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 楽天ブックスでは609円(税込)とあるからてっきり前巻よりも薄くなると思ってました。むしろ厚くなってる。まさかの川上級。これ実際の価格は1000円くらいになるだろうな。こんなに厚いなら2巻と3巻に分けても良かったんじゃ……と思わなくもないが、分厚い本スキーとして英断を賞賛したい。

ラノベ作家った〜

 昨日やったら「焼津が書くラノベは『サムライである主人公と、シスターが、万能の書欲しさに偽札を造る、架空歴史物』です。」と出た。空のサムライ(零戦パイロット)がドイツでナチスに協力しているシスター(実はイギリスのスパイ)の手を借りながらベルンハルト作戦に加わってユダヤ人技術者をスカウトし、ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパの流れを汲むカバラ魔術師監修のもと「万能の書」を製作して日独を勝利に導かんとするのだろうか。なんか赤城毅あたりの本にありそうな話だ。

コミックラッシュは4月号より電子書籍に完全移行

 『しなこいっ』が連載されている雑誌ですね。当然、紙媒体の方は休刊。移行は4月からだけど、客集めのためにプレオープンと称して3月号に掲載されている全話を無料公開している模様です。てか3月号、『しなこいっ』が表紙なのか。本編を知らない人にとって、笑顔で手を差し伸べる、いわゆる「べっかん立ち」をしているヒロインが主人公の骨を本気で叩き折った凶暴娘だとはなかなか想像しえないだろう。これだけ扱いが大きいならば打ち切りは心配しなくて済みそうだけど、果たして電子書籍に完全移行した雑誌本体がちゃんと存続できるのかどうか。そこはかとなく心配してみたり。

『魔法少女まどか☆マギカ』の3話目「もう何も恐くない」を視聴。

 散々ネタバレ記事を読んだ後だったので問題のシーンにはさしてショックを受けなかったが、そこに至るまでの過程でじわじわと膨らんでいく、緩やかな満ち潮にも似た不穏極まりない空気がキツかったです。とにかく画面が暗いし、じりじりと焦れるようなテンポで進んでいくしで、ひたすら不安定なムードが続く。「観ている者を不安にさせる」ことに全力を注ぐスタッフの溶けた鉛の如き熱意がひしひしと伝わってきます。虚淵御大や新房監督が「おお、炸裂よ(エクスプロード)! 塵と灰に!」って歓喜しているときのボイルドみたいな表情を浮かべ、莞爾として微笑んでいる様子がありありと瞼の奥に像を結ぶ。俺たちは良いことをしたのだ、と瞳をキラキラ輝かせていることだろう。

 ネタバレが入るので以降は伏せます。「言ったはずだ、魔法少女は死と隣り合わせだと!」な感じの第3話。誰もがお決まりのセリフと思ってさして考え込まずに聞き流したであろうあの言葉が、まさかこんな早い時点で起爆するとは。タイトルに挟まれた「☆」との乖離が激しすぎてヒドい。今すぐ『隣り合わせの灰と魔法少女』に改題すべき。いや、ひょっとして「まどか☆マギカ」の「☆マ」は「マミ先輩は天に輝くお星様になったんだよ……」という意味なのか。茶化してみても、ラストでマジ泣きするさやかとまどかに対して覚える痛みは大して和らがない。少女の涙にこれだけ絶望感を詰め込んだアニメは久々に観た気がしました。「次回でまどかが願いを使ってマミを生き返らせようとするのでは」という意見も多いようですが、QBの性格からして「マミは既に一度自分の命を救っている……重複する願いは受け付けられないよ」と拒否りそう。安易な復活や「実は助かっていた」展開を潰すためにあんな無惨な死に様を描いたのだろうし。まどかの世界に関しては「鏡の国」説が出ており、もしかしたら魔法少女と魔女の戦いは「死んだ奴から抜けるゲーム」、つまりマミさんは今頃もう一つの世界で意識を取り戻しているのかもしれませんが……それならそれでより一層深い絶望が待ち受けていそうだ。藤崎竜の「Worlds」みたく「目覚めなければ良かった」というほどに。EDがアレ(暗闇の中をひた走るまどかの影)だっただけにどうしても悪い想像に縛られてしまいますが、大丈夫、御大の手腕を以ってすればここから心温まる清々しいエンドに持っていくことなんて樟賈寶並みに楽勝! よゆーよゆー超よゆー。と鼓舞しなければ心が折れる。3話はコーラ飲みながら視聴してましたけど、途中で気持ち悪くなって飲むのやめましたよ。俺の食欲がストレスがマッハ。飲食しながら観るには向かない番組だ。あと観ている最中よりも観終わった後しばらく経って目が冴えてくるアンチ睡眠導入剤効果があり、今夜はちょっと安眠できそうにない。以上、感想終わり。

・奥田英朗の『純平、考え直せ』読了。

 直木賞を始めとする数々の賞に名前を刻んできた著者が送る約1年半ぶりの最新作。っていうか、1年半前の前作ってなんだったっけ……ああ、そうか、『無理』か。544ページという大作だったアレに比べて今回は277ページ、約半分のボリュームとなっております。話自体も「組の親分に指名され鉄砲玉になることが決まったヤクザ見習いのチンピラ、21歳の彼が娑婆で過ごす最後の3日間」と非常に小規模であり、正直に言って「待望の新刊」なんてコピーは似合わない一冊です。表紙イラストを見ればなんとなく伝わるように、ユーモラスなんだけど皮肉めいていて、文体は乾いているのに湿っぽい。小説としては程好い温度ながら、クライム・ノヴェルめいた要素を求めて読むとヌルく、青春モノを期待すればいまいち煮え切らない。人によっては「中途半端」という感想を得るかもしれません。しかし、「数々の賞に名前を刻んできた」奥田英朗ならではの脱力感が絶妙につき、当方は最初から最後まで一貫して楽しめた。あまりにもスルスルと自然に読めてしまい、随所に施された技巧の存在も目を凝らさなければ気づかない。実に滑らかな仕上がりであります。

 主人公の純平は歌舞伎町界隈で兄貴分に引っ付いて日々を送っており、周りの人々からは「若造」としか見做されていない。軽視されることを嫌う彼は「舐めんじゃねぇ」と粋がるけど、そうやってムキになって粋がるせいでますます軽んじられるという滑稽スパイラルに陥っています。「なんか聞き覚えのある啖呵だと思ったら、兄貴分のパクリじゃないか」とせせら笑われて顔を赤くするなど、緩めのスラップスティックみたいな雰囲気に包まれていて、ヤクザものにしては殺伐としたところがあまりない。犯罪行為や組織のしがらみに関してはちょくちょく描かれているので、決して義理だ任侠だでヤクザを美化するような話ではないけれど、ヤンキー漫画の延長というイメージで手を伸ばすと肩透かしでしょう。ただ、不良少年時代を過ごした田舎に帰って、現役不良生徒やかつての後輩に対し「伝説のOB」として振る舞うシーンもあって、そこはなかなか面白いです。歌舞伎町では若造扱いされて揶揄われていても、地元じゃキチンとリスペクトされてるんだなぁ、と。そのへんのギャップがくすぐったい。ヤンキー漫画に出てくる鬼のように強い奴でも、立場が変わったら途端に下っ端となってしまうってのは笑えるようで切ない。でもやっぱり笑える。

 タイトルの「考え直せ」は成り行きで肉体関係を持った女がネットの掲示板に「彼氏が鉄砲玉だった。死なせたくない」みたいなスレを立てて次々と「考え直せ」やら「いや、殺れ」やら様々なレスが付くところから来ていますが、ぶっちゃけそこはどうでも良かった。ネットの繋がりの希薄さと現実の人間関係における辟易するほどの濃厚さを対比したかったのかもしれないが、一度や二度ならまだしも、三度四度と書き込みを列挙されるとさすがに飽きてくる。ネット特有の無秩序感もいまいち表現し切れていないように思う。やっぱり、掲示板パートよりも街をうろうろしていろんな人間に出会うパートの方が圧倒的に面白いですね。個性的な連中が多いし、いっぺん会ってそれで終わりではなく、何度か再登場するキャラもいるので進めば進むほど味わいが増す。ライトノベルでいうところの成田良悟みたいなノリです。一人一人のキャラ、一つ一つのシーンが脳裏にはっきりくっきり明瞭に浮かぶので、これは結構映画向きかもしれない。短いけれど、その分内容も絞られていて無駄が少ない(掲示板パートはもうちょっと減らしていいかな、と思った程度)から、「主人公がヤクザ」って前提にさえ抵抗がなければ是非ともオススメしておきたい。奥田英朗の新たな代表作になること間違いナシの一冊……じゃなくてすまねぇ……でも読んでくれ。

・拍手レス。

 黄昏はマジエロい。めいびいさんはエロ畑の頃からファンだけど露出が少ない制服でもエロさが増してるとかどういうことなの…
 エロすぎて直截的な性描写が不要なレベルに達していますな。黒セーラーは最強、ぬら孫の羽衣狐も脱がない方がエロい。それにしても当方は初音姉様とか、ああいう見た目が陰気な美人に死ぬほど弱い。

 『天国に涙はいらない』っててっきり完結しているものだとばかり思っていましたが、まだやってたんですね。私は『A君17歳の戦争』を待っているんですが、作者的に無理そうで……。
 デビル17の方も投げっぱなしだし、望み薄でしょうね。新装版まで出しておいて未完とは……作者的にはよくあることか。

 神咒、用語解説の「あれ」とか等級とか、Dies設定から思い当たる節が今から色々有り過ぎて胸がときめきますな
 もう明日には早くも体験版がプレーできるとは……嬉しさのあまり全裸で雪かきしてしまいそうだ。そして凍死。

 嫉妬に狂う夕子さんとかご褒美すぎる。既に垣間見える業の深さがもう堪らんというのに。最近は嫉妬とか心配とか、愛故に暴走しちゃうヒロインが多くて本当に素晴らしい。ありがとうございます!
 嫉妬娘は最近だと『ブルーフレンド』の月島美鈴が良かった。百合だけど。

 水無月すう先生は、演出力で際立った作者だなぁ、と思う。ストーリーとかではいくらか物申したいものもあるんだけど、それでも尚押し通されてしまう力がある。しかし、JUDAS未読だったなら、祭りのたびに会長とつるんでる屋台のおっちゃんとかなにがなんだか分からなかったのでは。いやまあ、JUDAS読んでてもなんであのおっちゃんがテキ屋やってんのか不明なんだけど。
 過去作のキャラがゲスト出演することはよくあることなので軽く流していました。むしろ最初の祭りで実銃を発砲してイカロスの眉間に当てたそはらの方に「おいおい」だったり。

 最近のアニメ化ラッシュを見てると、マスラヲもアニメ化していれば…とちょっと思っちゃいます。あの条件じゃ作者が話し蹴るのも納得できますが
 「魔殺商会の存在を抹殺します(キリッ)」ですもんね。ミスマルカの方がアニメ向きかしら。あれも過去作との関係をどう処理するかが問題になりそうだけど。

 19世紀後半に英国で生まれた作品が、21世紀遥か極東の島国のニッチな分野の作品にまで、影響を与えるとは思っていなかったでしょうね、ルイスキャロルとしても........。
 『Forest』『素晴らしき日々』が既に通った道ですし、何よりアリスソフトなんてブランドがある時点でもう……ドジスン教授、ロリ絡みにおいては沙翁以上の影響力を持ってますね。

 シュタゲノヴェラズ下巻、鈍器だ。京極クラスの。3月が楽しみだ。
 京極と言えばルー=ガルー2が3月に出るという噂が流れたけど、どうも立ち消えになったみたい。

 次に見る映画は「red-レッド-」だと予想。個人的にも楽しみ。 全く関係ないけど、アジア杯で赤紙出されたDF吉田が「レッド吉田」呼ばわりされてたのがツボりました。
 なぜ分かった。その次は『ザ・タウン』の予定です。どっちも識別性の低いタイトルだが、最近はこういうの流行ってるのか。検索するときに困るんですけども。


2011-01-24.

『Wandervogel』の2巻を読んでいたら「ぶるっきゃおう! ぴらむに」と俺翼ネタが出てきて思わずキンナケン・カルマチな心地に陥った焼津です、こんばんは。

 よもやガガガに王儲が潜みよるとは……これはロミオに続いて雀孫がラノベデビューを果たす前兆なのだろうか。あの人は真性の遅筆家だから高野和並みの刊行ペースになりそうですけど。つーか『七姫物語』の新刊はいつ出るんだ高野和……そろそろ3年が経過する頃ですよ。心の花が萎れそう。『天国に涙はいらない』が今年3月に出る5年半ぶりの新刊で完結することを思えば、まだまだ望みは繋がれているのかもしれませんが。

 しかし天涙、今更最終巻がお出ましになると聞いたときはネタかと疑いました。1巻が発売された頃ってもう10年前の話じゃないか、懐かしすぎるだろ。よく考えると同時受賞だった『陰陽ノ京』『ウィザーズ・ブレイン』はまだ細々と続いていますね。選考委員奨励賞を獲ったけどなかなかデビューしなかった御堂彰彦は『付喪堂骨董店』でコアな人気を獲得したし、2冊こっきりで消えたと思われていた海羽超史郎も『STEINS;GATE』のノベライズで復活したし、第7回電撃ゲーム小説大賞の面子はなかなかしぶとくてワクワクさせてくれます。

・そして『魔法少女まどか☆マギカ』は3話目にしていよいよ血だまりスケッチ開幕か……虚淵が脚本手掛けて最後まで何もないなんてありえないだろう、とは睨んでいたが、まさかこんなに早く本性を剥き出しにするとは予想していなかった。早くても5話目くらいかな、と、そんなふうにのんびり構えていましたよ。警戒を怠ってバックアタック喰らった気分です。「魔法少女になりなさい。もう何も恐くない魔法少女に」 精神的に苛酷な状況下での物語展開を得意とする虚淵にとっては、「ようやく鳥羽口に立った」という感じでしょう。彼の大好きなシチュエーションである「オルゴールの曲が鳴り終わった瞬間にクイックドロウ」が実現する日もそう遠くないのかもしれない。

緑髪のキャラに可愛い子がいない・・・(【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 おい、『DUEL SAVIOR』のヒイラギ・カエデをディスってんのか? ござる口調の女忍者ということで最初はネタキャラとしか見てなかったが、健気さと間抜けさ、ここぞって場面でのカッコ良さが混ざり合ってDSの中では一番好きなヒロインになっていました。自ルートの主人公と合体技(卑猥な意味ではない)を繰り出すクライマックスは熱かったですな。しかしこうして眺めると、ひと口に「緑髪」と言っても結構濃淡がありますね。ほとんど黄緑に近いのもありますし。あと「緑髪」は緑色そのものではなく艶やかな黒髪を指して言う場合もあり、ちょっとややこしい。

もう嫌だ日本・・・ゴキブリの擬人化漫画『ごきチャ!!』がアニメ化決定!(やらおん!)

 このビジュアルはさすがに……アニメ化するならせめて『アラクニド』の方にしてくれませんか。まだ全然原作溜まってないけど。

・めいびいの『黄昏少女×アムネジア(4)』読んだー。

 ラスト付近が打ち切り漫画の最終回みたいな雰囲気だったので「おいおい、もしかしてこれでおしまいかよ」と動揺しながら読み進めたが、「5巻へ続く」という表記を見てホッとしました。作者曰く「だいたいお話も折り返しくらいに来た?」であり、まだしばらくは終わらないようで、ファンとして安堵することしきりです。さて、ジャンルで言えば一応「ホラー漫画」に属する本シリーズながら、感想は概ね「夕子さんが可愛すぎて、読んでいて幸せになるのを超越して切なくなる」の一言に尽きます。今までと比べても、特にLOVE寄せが激しいですからね、4巻。ひたすらニヤニヤしてページをめくりました。夕子さんの醸すエロ可愛さは反則やでしかし。旧校舎の幽霊なのに平然と体操服を着てポニーテール姿で体育の試合に混じるあたりはフリーダムというかアンチェインというか。個人的には快活な体操服よりも陰気でアンニュイな制服姿の方が好きですけどね。いくら他の生徒たちには見えないからって、そんな辛抱たまらん夕子さんと授業中に教室で堂々とイチャついてみせる貞一がマジで羨ましすぎて死にたくなる。この気持ちはアレだ、『とっぱら』で美影さんの嫁オーラを全身に浴びせられまくったときと同じだ……だったら逝けるぜ! 夕子さん以外にもオパーイ押し付けて谷間を強調するキレイめの女の子とか出てくるけれど、それを素で無視して「夕子はいずこ、夕子はいずや」と叫んでしまうくらいに彼女の魅力は完成されています。もしエロゲー化されても当方は夕子ルートしか攻略しないでしょう、きっと。あ、でも他の子に嫉妬して怨霊化するドロドロの夕子さんはちょっとだけ、いや……かなり見たいな。迷うところだ。

 この巻では「アムネジア(記憶喪失)」という要素も重要になってきて、大事なところにもチラッと触れるっつーか掠るのだが、真相はまだまだお預け。しかし、最後にお互いの気持ちを確かめ合う(そこが少し最終回っぽい雰囲気だった)シーンが訪れるため、話としての停滞感はそんなに漂わない。むしろ、感覚的にはだいぶ前進した気がします。次巻は楽しみ。すごく楽しみ。楽しみすぎてヤバい。際限なく膨らむ期待に宇宙さえ弾けそうだ。なぜ唐突にDiesネタかと申しますと、正田崇が事前登録キャンペーンの小冊子でこの作品について言及していたことをふと思い出したからです。「正田の業(あい)は破壊」と言われるくらいなので、もし彼が黄アムを二次創作したら夕子さんは苛め抜かれてエラいことになるだろうな。

・拍手レス。

 毎日見てます 情報とか作品の評価を結構アテにしてたりw まどかマギカは友人が「魔法少女ひだまりスケッチ」とか馬鹿にしてたけど、俺は全部見る予定です 更新頑張ってください
 ありがとうございます。まどかはもう完全にひだまり路線から外れましたね……3話はネタバレだけ見て本編は未視聴ですけど、4話目が気になって仕方がない。

 そらのおとしものは友人から借りたら予想以上に面白くて驚きました。正直一巻だけ読んだときは切りかけたんですがね
 そらおとは以前の当方みたいに食わず嫌いしている人が少なくなさそう。読む前はアストレアが気になっていましたが、いざ読むと「ニンフかわいいよニンフ」に。

 まどか☆マギカ第三話ですが、虚淵先生やっぱりやりやがりましたよ!!うめてんてーのキャラデザでああいう展開になるとさすがにきついものがあります・・・。2chやpixivでもかなり盛り上がっているようで、虚淵先生からしてみれば「計算通り!!」といったところでしょうか。これからこの調子でバンバンキャラが死んでいく鬱展開になるのでしょうかね・・・。
 笑いが止まらないのはむしろ新房監督あたりではあるまいか。amazonランキングのブルーレイ部門で1位って。今後もどんどん犠牲者は出そうですが、会社的に「あわよくば2期も」という欲があるだろうから全滅エンドだけはなさそうな予感。モーラENDの葱太ばりに変わり果ててしまったまどかを寂しそうに見詰めながら、それでも寄り添い共に戦い続けるほむらの姿が目に浮かぶ。

 そらのおとしものは、というか水無月すうの作品は「漫画」という媒体を前提とした作品だな、とアニメを見ながら思ったり。ギャグ・シリアス両面の大ゴマを使ったジェットコースター展開の切れ味はピカ一。三巻ラストから四巻「ニンフ連れて」までの流れは完璧だと思うのですが……!
 サプライズのようでいて深く納得できる、あの流れが凄い。最新刊(11巻)はギャグ・シリアスともに凄まじい切れ味で愕然とした。加速度的に成長してますね。


2011-01-19.

・なんとなく読んだ『へ〜ん○しん!!』が思っていたよりも面白かった(最終巻の展開は腰砕けでしたが、黒光の存在感が凄まじい)ので勇を鼓して『そらのおとしもの』既刊10冊をまとめ買いした焼津です、こんばんは。

 結果としては見事な「アタリ」でした。アニメ版でパンツ編隊飛行が話題になるなど「ギャグとエロ」のイメージが強かったそらおとですが、意外とシリアス部分が引き締まっていてイイ。とにかく水無月すうは虚を衝くのが巧いですね。ページをめくって「は!?」と目を疑うこと頻繁。まさかこのタイミングで、と何度も驚かせてくれる。もちろん「ギャグとエロ」も抜かりなく、主人公がやりすぎている場面も多々あるにせよ、大いに笑いと艶を供給してくれます。トモ子が真顔で便器に呑み込まれていくコマには噎せた。天丼ネタの使い方も嵌まっているし、「エンジェロイドは水に沈むので泳げない」みたいな設定が後々伏線として活きてくるあたりもなにげに秀逸。水無月すうはかつて読んだ『私の救世主さま』が鬱マンガならぬ「居たたまれないマンガ」だったせいで1巻の途中から先に進めず挫折してしまい、以降ずっと避けていたのですけれど、『へ〜ん○しん!!』と『そらのおとしもの』のおかげでようやく迷妄が晴れた心地がします。当方、鬱展開に対してはそれなりの耐性を持っていますが、読んでいて居たたまれない気持ちになる話は苦手です。たとえば見栄を張ってあからさまな嘘をついてしまい、感心した相手に話を掘り下げられて「嘘でした」と告白することもできず更に苦しい嘘を重ねてどんどん自分を窮地に追いやっていくとか、そういうのがダメ。見てらんないです。人肉騒動で話題になった『マイナス』も、「他人に嫌われたくない」という強迫観念を抱いて媚び阿り狂奔する主人公の姿があまりにも居たたまれなくて、未だに読み返せない。

 ともあれ、そらおとが非常に良かったので『私の救世主さま(1〜6)』と『JUDAS(1〜3)』、それに『SEVEN OCEAN』を加えた計10冊を注文しておきました。今月は『そらのおとしもの(11)』『豪デレ美少女凪原そら(1)』『大好きです!!魔法天使こすもす(1)』という3冊の新刊が予定されている(『魔法天使こすもす』は原作だけで、作画担当は瀬口たかひろですが)こともあり、水無月すうフィーバー月間となることは確定したな。ところで作中にやたら瀬口たかひろの名前が出てくるのはなんでだろう……? と不思議になってぐぐったら、どうやら同郷でちょくちょく飲みに行く仲らしい。こういうささやかな内輪ネタは微笑ましくて好きです。

第144回直木三十五賞受賞作決定

 あれだけ自信満々に予想しておいて大外れだったらカッコつかないな、とドキドキしながら迎えた発表の日。概ね予想通りでホッとしました。道尾はもともとブレイクしていたからそんなに変わらない気がするけど、木内の方はこれで一気にブーストが掛かるのではなかろうか。ただ、最近は「直木賞」というブランドの威力も落ちてきているから、これで安泰とは言いがたい。受賞後第一作にこそ精魂傾けて欲しい。

『魔法少女まどか☆マギカ』虚淵玄「まだ今んとこ流血シーンなんてないのに、ひどいよね!」(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 視聴者はあんたのオモチャじゃねぇんだぞ、御大ィィィ! と叫んでみるものの彼の呟きに翻弄されるのが楽しかったりする。やるときはやる人だ、『シマウマ』並みのバイオレンスを覚悟した方がいいかもしない。まどマギはうちの地方じゃ放映されてないけどニコニコのがアカウントなしでも観れるから、そちらで1話目を観ました。まだ設定等は詳しく明かされておらず、ヒロインであるまどかが変身すらしないまま終わってしまうため、ストーリーに関しては何とも言えない感じ。自宅や学校の日常描写は少しかったるいと申しますか、ややテンポ悪い気がしました。でも「保健室に連れて行って」と言いつつ先導するほむらには笑った。さやかの消火器ぶん投げやマミの「飲み込みが悪いのね」発言あたりに僅かな虚淵臭を嗅ぎ取ったが、盛り上がるのはまだまだこれからといった雰囲気。キュウベエの胡散臭さが加速していくであろう2話目と3話目にも期待したい。それにしても、マスケット大量召喚シーンは『あやかしびと』の光念輝義を久しぶりに思い出させてくれた。他にもゲート・オブ・バビロンとかゴーランドフリートとかありますけど。確か終わクロにもあったような。Diesのエレ姐もシュマイザーを多重召喚すれば似たようなことができるに違いない。何にせよ、あれが一般市民に向けられたらエラいことになりますね。そのうち『アンチ・マジカル』みたいなウォッチメン状況に突っ込んで行くのかもしれない。悪党の指をへし折って訊問する20過ぎのまどかとか。スプレーに着火してミニ火炎放射器をつくるほむらとか。

・富樫倫太郎の『堂島物語』読了。

 米市場や米会所で有名だった大坂は堂島を舞台にした時代小説。既にシリーズ化されており、現在3冊目まで刊行されている。江戸時代を題材に採った小説は江戸周辺を描くことが多いので、終始大坂メインで進む本書は当方にとって少しばかり新鮮であった。富樫倫太郎はどちらかと言えば伝奇モノや暗黒モノ、平たく申してしまえば夢枕獏のような小説で人気を獲得していった作家でありますが、近頃は伝奇モノや暗黒モノをあまり手掛けなくなってきており、だんだん人情モノや剣豪モノ、歴史モノの方へとシフトして来ています。この“堂島”シリーズはそうした分類に沿えば「人情モノ」に該当するでしょうけれど、舞台が堂島である以上、メインとなってくるのは当然「米相場」です。米相場って、言葉は聞いたことあるけど詳しい内容はまったく知らないんだよなぁ、などというズブの素人でも安心して読めるよう工夫が施されており、「富樫なら文章も読みやすいし、『米相場』なんていう地味なネタでもそこそこ楽しませてくれるだろう」と舐めて掛かる者を易々と引っ掛けては夢中にしてしまう。何が地味なものか。面白いじゃないか、米相場。

 まず、米問屋では原則として現物を扱わない。「うちは米問屋なのになんでわざわざ炊飯用の米を買いにいくの?」という疑問を主人公の口から出させ、分かりやすく解説してくれる。蔵役人が発行する「米切手」を米仲買人が1/3の金額を収めて受け取り、それを転売して利鞘を稼ぎ、最終的に米切手を持った誰かが蔵屋敷に赴いて残りの代金を払えば「蔵出し」されて米が現物化される。あとはその米を搗米屋で精米すれば、ようやく小売や消費者の元へ届けられることになります。「米価が下がって困るのは町人やない、武家や」「蔵屋敷に五百石の米しかないからって五百石分の米切手しか発行しない蔵役人は要領が悪い、腕利きは五百石を三千石にも五千石にもする」などなど、気になる米相場の仕組み、米切手のカラクリを薀蓄交じりに噛み砕いてくれるから「へえ〜」と唸ることしきりである。薀蓄そのものも充分面白いが、それに絡んで本筋も着々と進行していくんだから二重の旨味が篭っています。「江戸時代にもこんなトレーダーの世界があったのか」と目から鱗がペレットの如く弾け飛ぶ思いでした。支倉凍砂や至道流星の作品で経済モノに興味を持った、という程度のヌルい当方でも無理なく付いていける。厳密な意味での頭脳戦は展開されないためコン・ゲームじみたスリルを求める向きにはやや弱いかもしれないものの、決して「話がどうなってるんだかチンプンカンプン」という事態には陥らない親切設計なので安心して興奮できます。これ一作で富樫倫太郎という作家の枠も随分広がったのではなかろうか。

 奉公に出た丁稚が努力を重ねて成り上がって行く、というサクセス・ストーリー的な面から見ればトントン拍子に進みすぎるところはあり、また人情モノの観点からしてもベタな印象は拭えない。全編通して「意外」と感じる展開はほとんどなく、読んでいてだいたい先が読めるあたりは単調と言えなくもない。しかし、本書においてサプライズの欠如は必ずしも悪いことではないでしょう。だって、サクセス・ストーリーぶっておいて途中で主人公が転落してドン底を這ったまま野垂れ死ぬような話なんてイヤじゃないですか。転落しても這い上がって最後は成功を手中に収め、めでたしめでたし……あらすじからして、そういうのを望んで手を伸ばしたわけじゃないですか。まだシリーズの1作目なので主人公は成功し切ってはおらず、依然としてサクセスする過程の半ばに留まっていますけど、物語はちゃんと彼の未来に希望を輝かせたまま幕を引いています。若干単調であるにせよ、読者の期待にはしっかり応えている。是非とも続きが読みたい、と思わせてくれる。っていうかもう残りの2冊も購入済なんですよね。これで1冊目がハズレだったらどうしよう、と悩んでましたが、とんだ杞憂でした。一途な恋や篤い友情、親への想いなど、「クサい」と言われそうな部分を恥ずかしがらず照れもせずキチンと描いているところも好印象です。

・拍手レス。

 今更な話ですが星海社の副社長の太田氏って、講談社BOXの太田氏なんですね。この方、講談社の新規事業には、よく参画されてますね。
 アクが強い人なので毀誉褒貶相半ばといったところですけれど、なんだかんだで成果は挙げていますね。

 個人的には、なのははTV版1期が一番いいと思います。それ以降は何か違う。
 とりあえず無印から観ていきまする。

 神咒については、もう永劫回帰は抜けたものと信じたい…っ!
 神咒は鬼神とか出てくる設定らしいけれど、スタッフロールにまた正田以外のライターがずらずら並んでたらユーザーが鬼神と化しますわ。鬼神を泣かしめますわ。

 神咒のムービー見ましたが、相変わらず釣りがウマい。こんなPV見せられて期待するなってのが無理ですよ。体験版のプレイが今から待ち遠しいです
 期待のあまり腸が焼けそうなほど熱い。Diesのときとはまた違った高揚感があります。


2011-01-16.

・実に今更だけど『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』を視聴し終わった焼津です、こんばんは。

 半端にとらハをやっていたせいか、「スピンオフのアニメ」というイメージが拭えず、ついつい観逃してきたリリカルなのは。ForceやらViVidやらといったマンガ作品も見かけて機運が高まってきたこともあり、劇場版の公開は渡りに舟でした。なんだかんだで観るのが遅れましたけれど、それはそれとして本編。ぶっちゃけ、前半はそんなに盛り上がらないな……と思いました。デバイスのギミックとかは面白かったけど、観るからに端折られている部分があるし、TVシリーズを知らない身としてはいまいちのめり込めなかった。やはり、第1期のDVDをスルーしていきなり劇場版に手を伸ばしたことは失敗だったか……と後悔しかけたものの、後半の畳み掛けでそんな後悔もあっさり吹っ飛んだ。シナリオとしては、唐突感が否めない。しかし、それを補って余りあるような熱量が詰め込まれている。主題歌が流れ出す場面のテンションは尋常じゃなかった。精査すればいろいろと瑕疵もあるのかもしれないが、あろうとなかろうと関係ない。これは全作キチンと観なければなるまい。

lightの『PARADISE LOST』新装版、マスターアップ

 マスターアップしない方がおかしいんだから特別めでたいわけでもないけれど、今月末に神咒体験版をプレーすることは「予定」から「確定」になりました(『グリザイアの果実』と一緒に予約した分は送料上乗せして別送してもらうことに)。しかし、エントランスページにリルとライルとジューダスが揃っている様子を見ると感慨深いな。これでリルがアストだったらちょうど三竦みなんだけども。ちなみに04年版パラロスがインストールされているPCに新装版を入れるとインストールデータが重複してしまうそうなので注意されたし。

・あと『神咒神威神楽』および『Vermilion』の専用ページもそれぞれ公開

 神咒は第1弾ムービーが目玉。副首領閣下のウザいアジテーションから始まったDiesとは違い、しっとりとした感じの導入です。カッコいい和テイストの与猶サウンドに合わせて主要キャラを紹介していく割とオーソドックスな構成だが、神州全図が表示されるシーンで噴きました。これは予想外。してやられた。「東征」が今回のテーマらしいけど、公式ページの「諸外国」という三文字が気に掛かる。直接的に関わるのか、あるいは背景設定として処理されるだけなのか判然としないものの、神州外にも大欲界天狗道の話を広げる余地はあるわけですね。見たいわー、四方を囲う東夷西戎南蛮北狄の超魔軍を退けて統一成ったハイパー中国とか。たぶんまだ始皇帝が生きてたりするんですよ。欧州も永劫独裁官のカエサルが蟠踞して無限ローマ状態。さておき、魅力的なキャラたちの中でひときわ目を引くのが宗次郎ですね。顔に似合わぬ兇人ぶり。言ってることが厨二を通り越してシリアルキラーみたいだよ。

 神咒は4つの章に分かれていて、それぞれに主人公役の男キャラとヒロイン役の女キャラがいますから主要面子は8人。和風路線を貫くためか8人中5人が黒髪となっていますね。キャラ紹介ページは「他者寸評」が面白い、お見逃しなく。「神世創生篇」のカップル、坂上覇吐と久雅竜胆はミスマッチでいて意外としっくり行きそうな気配。「坂上覇吐」は「坂上田村麻呂」と「荒覇吐」の合成だろうか。ド助平野郎みたいで散々な評価だが、各々愛のある罵りとも言えなくはない、かな。「威烈繚乱篇」の壬生宗次郎と玖錠紫織はふたりともキャラが立っている反面、あまり主役っぽくないと申しますかサブキャラめいた雰囲気を放っている。紫織はいいおっぱ、じゃない、いい性格してそうなので活躍が楽しみだ。「楽土血染花篇」の凶月刑士郎・咲耶兄妹はどう見てもヴィルヘルムとヘルガ。声優も一緒じゃないですか。にしてもヘルガが妹キャラになるとは……瑞麗(ルイリー)が姉キャラになるくらいの驚愕ですよ。「咒皇百鬼夜行篇」の摩多羅夜行と御門龍水、この組み合わせは犯罪臭い。アグネェス召喚しそう。夜行自身は「童女趣味などありはせんよ」と語っているが、他の連中から「変態」「変態」「ド変態!」と評される彼のことだ、きっと行く先にLOみたいな展開が待ち構えているに違いない。龍水はハッキリした物言いといい、人気出そうなムードが漂いますね。

 シナリオを担当する正田崇とディレクターのまゆきは公録ラジオにもゲスト出演。特攻服を纏った正田が現れる場面で「ΩEwigkeit」が流れ出す演出には笑った。特攻服は8万円したとか。ヴィルヘルム互換の刑士郎は今回ヒャッハア分が抑え目で、キレるときはキレるが普段はクール、という路線で行きたい模様。「ヘルガに壊されなかったヴィル」ってところか。刑士郎をヴィルヘルムにしたのはシナリオ的な意味もちゃんとあり、「世界の謎がDiesと共通している」ため説明しやすいように仕組んだらしい。またDiesでは主人公サイドのメンバーに余裕がなかったせいで緊迫感に満ちた話となってしまったから、神咒はもうちょっと砕けて和気藹々としたノリにするとのこと。確かに戦力差が絶望的でしたもんね、Dies。シナリオが分岐する6章で「味方」と呼べる存在は、まだ創造位階に達していない蓮、銃の連射と既知感補正と常時興奮体質は有しているけどあくまで生身の人間に過ぎない司狼、スーパーハッカーなサポート要員エリー、「剣道強いんだぜ」と言いつつ戦力外な香純、とごらんの有様。これで世界を滅ぼす軍勢に立ち向かうとか無理ゲーすぎる。神咒はメンバーが初期段階から戦力やや高めで、後半はともかく前半はそんなに苦労しない気がします。反対にDiesは早くも2章目で手も足も出せずボコボコにされて、その後の章もずーっとボコボコにされ続けながら辛勝を重ねていく展開だった。個人的には「だからこそ好き」でありますが。体験版にも触れられていて、「体験版は2つ出すつもりでいる」と発言しています。1つ目、パラロス新装版に付いてくる方が8人の出会いを描き、2つ目の方で「戦争開始」。体験版を2つ、か……どうしても2007年のDiesを思い出しちゃう(1つ目の体験版に1章と2章、2つ目の体験版に3章を収録していた)せいで苦い気持ちが湧いてくるが、もう既知感(ゲットー)は破壊して超越したのだと信じたい。期待がぐんぐん高まっていく。もはや留めることはできません。

 『Vermilion』は泉まひる原画の吸血鬼モノ。「ヴァーミリオン」ではなく「ヴァーミリアン」と読むんだってさ。5月27日発売予定、神咒よりも先に出すつもりみたい。ライターは新規の人たちみたいだが、音楽は与猶啓至……マジかよ、仕事しまくりじゃないか。「霧の街角」でロンドンを連想しましたが、ラジオによると舞台はアメリカとのこと。主人公が吸血鬼(作中の用語では「縛血者」)で、しかも「ルールに従わない同族の吸血鬼たちを処刑する」役目を負っている。彼が「三本指の男」と呼ばれる「吸血鬼を殺す吸血鬼」と戦うところから物語は始まるそうだ。つまり「吸血殺し VS. 吸血殺し」。神咒に期待するのが忙しくてこちらは忘却しかけていましたが、ちょろっと見た感じではなかなか悪くなさそうじゃないですか。体験版はとりあえずやってみたい。しかし「三本指の男」と言われるとどうしても『本陣殺人事件』を連想してしまうなぁ。

・伊東潤の『戦国奇譚 首』読了。

 動画も写真もない時代、敵将を斃した証は何より「首」だった――というわけで首をテーマに据えた戦国小説集です。国盗り物語ならぬ首獲り物語。酸鼻を極めるせいか戦国モノでも「首獲り」という要素は無視ないし軽視されがちで、いっそ「敵を斃しても首を獲らないと褒賞が貰えない」みたいな首実検システムを採用した『首斬りBASARA』とかいったゲームが出ないものかと思いますが、それはどう考えてもクソゲーになりそうだな。万が一流行ったらネット経由で首のトレードが成立しそうな予感。武将首や貴人首はレア。さておき、本書は首を巡って展開される6つの悲喜劇を綴っており、読み口としては「奇妙な味」と申しますか、ややブラックなフレーバーが利いている。基本的に後味の良い話はない、と考えて差し支えありません。また「首斬り講座〜実践編」みたいなハウツー描写は一切なく、怖いもの見たさでグロテスクなシーンを求める方にとっては肩透かしな内容となるでしょう。あくまで戦国時代における人間模様が主です。

 1編あたり20ページか30ページ、どんなに長くても40ページを切る程度の分量であり、サクサクッと気楽に読み通せる。「首を獲るのが当たり前」という時代が舞台になっていますから、ムードは特別陰惨でも陰鬱でもない。単に「欲をかいてエラい目に遭う」パターンの繰り返し、と言ってしまえば身も蓋もないが、やはり「首」を主眼に進行していく視点は物珍しい。飽きずに最後まで堪能できました。作中で触れられている通り首はあくまで個人の戦績であり成果なので、それを偽る行為、つまり他人から譲られる「もらい首」、誰かが落としたものをピックアップする「拾い首」、貸し借りや売り買いといった「とれーど首」もすべて厳禁となっています。首を多く獲った者がオケラの奴に分けてやる行為は美徳でも何でもない。多く見積もるにせよ少なく見積もるにせよ、武勲をごまかすなど恥ずかしい、という感覚でしょう。また味方の死体から首を斬り落として持っていく「味方首」も当然反則です。バレなければ何食わぬ顔をして褒美を受け取れますが、バレたらいろんな意味で大変なことになる。首一つで成り上がるも破滅するも思うがまま。「金がないのは首がないのと同じ」って言葉がありますが、その対偶は「首があるのは金があるのと同じ」。生首なんて想像しただけでおぞましいし、実際に先ほどうっかり画像検索してしまって後悔しましたが、立場によっては「敵の首」が夢へ架ける橋、栄光のきざはしとなるのですから人の世はおもしろい。

 文章が淡々としているうえに全体のボリュームが200ページにも満たないため、読み終わっても強いインパクトが残るわけじゃないけれど、これはこれでなかなかの拾い首でした。是非とも誰かに漫画化してほしい作品ですね。平野耕太がコミカライズしたらゲストに妖怪首おいてけが登場することはまず確実。ところで伊東潤の本には『戦国鬼譚 惨』という姉妹編っぽいタイトルのものもありますが、こちらは『戦国奇譚 首』の関連作というよりも『武田家滅亡』の後日談めいた位置付けのようです。言及することを忘れていましたが、『戦国奇譚 首』は北条方のエピソードを集めた形となっています。実在の人物も散見され、時折「表向きはこれこれこういうことになっているが……」な説明が入り、ちょっとだけ時代伝奇な雰囲気もあったりなかったり。

・拍手レス。

 グリザイアの果実、原画家は渡辺明夫氏なんですね。榊由美子が蟹憑姫っぽいな〜。中の人が一色ヒカルさん。よし、予約しよう。動機が不純ですんません。
 確かにガハラさんっぽいと思いました。フミオも渡辺明夫も両方好きな絵柄だけど、原画はどっちかに統一してほしかったです。

 C†CのPS2版をプレイしたことがこの手のノベル系ゲームに傾倒するきっかけだったので、泣いて喜びます。でも、新規キャラグラと言われても、絵が出てないキャラクターで思いつくのは購買のおばちゃんぐらいなんですが。それともとうとう支倉屋敷に滞在してた時代の太一に立ち絵が?!
 表情差分とかポーズ差分でしょうかね。もしやデス(以下略)。

 神咒神威神楽についてかなり情報出てますね、チェックしきれないゾ。ニヤニヤが止まりませんね
 あと2週間足らずで体験版をプレーできるとは無上なり、あな嬉しや、まるで夢のようじゃと東の果てで哭いておるわ。


2011-01-11.

・連休中に『アンストッパブル』を観に行った焼津です、こんばんは。

 監督のトニー・スコットは名前だけ聞き覚えがあるけど代表作とかは思い出せないな……ということで帰宅してからぐぐってみたところ『サブウェイ123 激突』の監督だと判明して納得。指令室との遣り取りなどを含め、今回も概ねああいうノリです。ブレーキを掛けることに失敗して無人のまま力行してしまい暴走する39両編成の貨物列車――こいつを止めようと男たちが命懸けで立ち上がる、ってな調子。単純明快に熱い。頭からっぽにして「うおお!」と叫びながら観れるような映画です。実際に起こった事件をモチーフとしている、というのがウリになっている。多少脚色している部分もあるようですが、「インスパイアしただけで推移は全然別」みたいな「なんちゃって実話系」ではなく、予想以上に忠実に映画化している模様です。ベテラン機関士と新米のコンビが暴走列車を止めようとする、という箇所に始まり、積まれている貨物が液状フェノールで空気に触れるとヤバい、市街地に撒き散らされたら街が壊滅する――という状況、列車を止めるためにあれこれ凝らされた工夫など、重要なポイントはだいたい押さえられている。そのままだと地味だからか、暴走する速度に下駄を履かせたり、派手な爆発が発生するシーンを加えたりなどもしている。危機一髪な場面が何度も訪れたり、会社の幹部と意見が衝突して「クビにするぞ!」と脅されたり、家族に電話を掛けて「愛してるよ」「パパ? どうしたの? 何が起こっているの?」な会話をしたり……と、お約束を踏まえつつ、これといったどんでん返しをかますこともなく見る前から分かっていたような結末を迎えるため、長く記憶に残る作品とはなりそうにありませんが、劇場の大スクリーンで観れたことは幸福だったと断言できます。「予告編で充分」とおっしゃる方の気持ちもそれはそれで分かりますが、暇があれば観ても損のない出来とだけ申しておこうかと。ちなみに、暴走列車を指して「クライスラービル大のミサイル」と形容するシーンがありますが、「ミサイル」の発音が「ミッソー」なのでグラディウスを思い出しました。

・原作:黒神遊夜、作画:神崎かるなの『しなこいっ(4)』読んだー。

 世にも珍しい短剣道マンガの4冊目。主人公の肩の骨を叩き折るほど凶暴好戦的なヒロインがそろそろ主人公を異性として意識し始め、ラブコメ展開に入っていきます。「主人公」とは申しましたけど、龍之介は相変わらず怪我が治りきっていない(そのうえ3巻の戦闘で更に負傷した)ため、この巻ではおとなしくしており、どちらかと言えばヒロインたる桜の方が主人公っぽくなってきた気もする。厳密に言えば本作って龍之介と桜のダブル主人公制だから、特段おかしなことでもないですが。むしろ、4巻目でやっと恋愛の前段階に差し掛かったことを「遅っ」とツッコむべき。『しなこいっ』の「こい」は詰まるところ「恋」なのに、これまでラブコメめいた雰囲気が全然なかったんですよね。もし4巻出すまでに打ち切りが決まっていたらどう収拾つけるつもりだったのかが気になるぜ。

 さて、前述した通り、今巻はLOVE寄せモードです。バトル尽くしだった3巻に対して地味というか、これといってガチな戦いもなく、せいぜい訓練レベルの剣術指南がある程度。剣と剣との攻防部分に惹かれている方にとっては物足りぬやもしれませんが、当方自身は「やっとフラグが立ったか」とホッとしながら読んだ。戦うときは禍々しい笑みを浮かべる桜が、龍之介の振る舞いに過剰反応して狼狽えるシーンの数々、まことにおいしゅうございます。ようやくヒロインらしくなってきましたな。正直3巻まではバトる描写ばっかりだったし、回想シーンも驚異の反応速度でバッタを捕まえる幼少時だったりなど、およそヒロインらしくない獅子奮迅の活躍っぷりでしたからね。よもやこのまま「しなこいっ」ならぬ「恋しないっ」な調子が続くのではあるまいか、と密かに危ぶんでおりましたよ。杞憂に終わって良かった良かった。可愛い可愛い。あ、可愛いと言えば、佐東鯨もちょっとだけ出番がありました。この巻がLOVE寄せモードに入っていなければ読者のハートをがっちり掴んでいたに違いない。龍之介の好敵手?である虎春もダメな方向に可愛くなっています。ダメージ蓄積して息遣いが荒くなっている龍之介の様子を電話越しに聞いて涎と鼻血を垂らすところは正直「終わってんな」と思いました。一応ラスボスに近い位置付けなのに、人として残念すぎる。残念系サディスト女子中学生――かつてない造型のラスボスに育ちつつあります。

 「番号持ち」の「番号」が何なのかやっと明かされたり、桜と鳴神の因縁について触れられたりなど、ストーリー方面もそれなりに進展していますが、依然として核心は伏せられたまま。龍之介が事情を説明しようとして機を逃したり遮られたりする描写が挟まれることからして「話の全容がなかなか掴めない」のは仕様であり、意図的にもどかしさを与える狙いがあるようです。いい加減痺れが切れそうになってきているが、何であれ一番怖いのは打ち切り。打ち切られないのであれば、もうちょっと引き伸ばしてもらってもいいかな、と思わなくもない。ちなみに、これまで吠えるぐらいしか役割のなかった和巳へ遂に見せ場が回ってきて感動しました。強いうえに料理もうまいし、これで性別が♀だったら桜も相当ヒロインの座が危うくなっていたでしょうな。

・拍手レス。

 >もう7年待てば ねーよwと言いつつオクルトゥムだったら待てるなあ、と言うのが本音
 オクルトゥムは既に5年半くらい待ってますからね。まだまだ待つ気満々。

 PS3と箱のどちらを買うか検討していた自分にはまさしくタイムリーなニュースでした>>クロチャ移植。さあ、今月はこれから醤油ご飯だ…………!
 当方は具なし炒飯派。

 同じ発売日だからと一緒に予約したら、片方が延期して両方とも届かないパターンの多いこと……送料勿体無いですけど、別々に予約するのが無難なんですかねぇ
 まほよが延期したせいで未だにバルスカDiveXが届かない……ショップの方も発送できない商品を延々と抱えておかなきゃいけないわけで大変ですね。


2011-01-08.

・心が迷う時はその笑顔が目印。こんばんは、『傾物語』は面白かったけど八九寺分が不足していたので『まよいマイマイ』のBD観て補給している焼津です、こんばんは。

 「謝るということは、胸でも揉みましたか?」「妹の胸なんか揉むか」 てめーどの口でほざいてんだよモミス木ィ。いずれ「もうお兄ちゃん、妹のおっぱい触りすぎ!」と言われることになる奴と同一人物とは思えません。それにしても真宵のOPは観れば観るほどクセになりますな。明るい曲調に反して歌詞は微かな悲しみを漂わせており、聴くだにしんみりとさせられる。アニメ版『まよいマイマイ』は画面の動きが少ないうえに3話もあるので原作読んだ後に観たらちょっとダレる部分もありますが、オーディオコメンタリーの賑やかさもプラスされるおかげで不満というほどにはならなかった。真宵かわいいなぁ。小説の方も読み返したくなってきた。『恋物語』が出たら「ひたぎクラブ」から読み直そうかな。それだけの時間が確保できるなら、ですが……。

Xbox360版『CROSS†CHANNEL』、田中ロミオ書き下ろしの新シナリオ追加

 えっ、ちょっ、ロミオ何しよん。「移植版で追加シナリオ」というのはさして珍しい現象ではないが、それにしたってPC版の発売が7年前だから「なんで今頃になって?」という疑問は抑え難い。「PSP版と比較して150%に増量」ってんだからボリュームも並大抵じゃないし。追加されるのは新ルートと、通常エンディング後のストーリー。正直かなり見たいが、これ一本のためにハードごと購入できるかと申せば……うーん。もう7年待てばPCに逆移植されるかもしれないので、ひとまず様子見と洒落込みます。田中ロミオに注目するキッカケとなったソフトだから思い入れはあるし、好きは好きだが、本音を明かすと「熱狂的に好き」というほどじゃない。「『最果てのイマ』の失われたcategory3とcategory4が甦る」というのであれば迷いマイマイしつつもハードごと買ったかもしれませんが。もし「オクルトゥムが出る」とかだったならばアレですね、迷う暇ないですね。たとえ後でPC移植されると分かっていても、一刻も早くプレーしたいがためにコンシューマー版を買いに走ったでしょう。しかしながらオクルはイマだ夏の夜に見る夢の如き話。今年は『Rewrite』も発売される予定だし、ロミオ儲の歓喜は本来やまぬはずなんですが、どうしてだろう。オクルのことを考えると胸の奥にポッカリと空いた穴がどこまでも広がっていくような気分に陥る。『末期、少女病』だって制作再開したくらいなんだから、オクルもまだまだ諦めたものではない、と思いはするものの……ともあれ、今回の新C†Cに関しては箱持ちファンの報告を待つとします。

Frontwingの新作『グリザイアの果実』、発売延期(1/28→2/25)

 「10周年記念の一大プロジェクト」と謳っておきながら延期とは締まらない話ですな。「灰色の果実」だけに予定も灰色だったのか。いつの間にやらスタッフに桑島由一の名前が加わっていますが、別にライターの誰かが逃げて代わりに入ったわけではなく、Frontwing代表・山川竜一郎のツイッターによれば「シナリオは昨年中に全て終わっております」とのこと。続けて「原画もほぼ終わっております」とあり、「ほぼ」ってこたぁ要するにCG方面が遅れているわけですね。ともあれ購入意欲は一気に散って失せた。けど、残念なことにもう予約済みだったりする。しかもパラロス新装版とセットで……おかげで赤本だけ届いてパラロス新装版(および神咒の体験版)が宙に浮く寒い月末となりそう。延期が蔓延していること自体も嫌だけど、ギリギリまで待って延期を発表する遅漏体質もどうにかしてほしいですよ、この業界。

・夏見正隆の『イーグル生還せよ』読んだー。

 かつて“僕はイーグル”という題名で刊行されていたシリーズの最新刊。文庫化に際してシリーズ名は“スクランブル”に改められました。前巻『尖閣の守護天使』と同じく文庫書き下ろしであり、話もそのまま前巻の続きとなっている。文庫版で7冊目に当たる本書だが、帯に書かれた一文を目にして衝撃を受けた。「超人気シリーズ堂々完結!」 超人気シリーズ……? “スクランブル”が……? って、そこはどうでもよろしくて。「堂々完結」の四文字ですよ、堂・々・完・結。え!? これで終わりなの!? 寝耳に水と申しますか、まさにスクランブル召集された気分です。こっ、これはもしかして打ち切りなのか、打ち切りという名のアンノウン(国籍不明機)なのかっ。とハラハラしながらページをめくった次第。

 ストーリーは前巻の続きで、メインキャラクターも風谷修から鏡黒羽に移ります。というか、風谷は今回ろくな出番がなかった。いわゆる驚き役に徹しています。目の前でいったい何が起こっているのか分からず呆然として、少し経ってから「そうか、そういうことか」と納得しておもむろに解説し始めるような、かつて主人公に近い役割を果たしていたとは信じられなくなるくらいの脇っぷり。出てくるのも前半だけで、後半は名前だけだもんな。完結巻なのにこんな体たらくでいいのだろうか。「牙」も当たり前のように出てこないし……と、シリーズを追い続けている読者にはやや不満の残る仕様となっておりますが、300ページもなかった『尖閣の守護天使』と違って今回は470ページほどに増量されており、また半島絡みのエピソードにもひと区切りつきますので、単体としての読み心地はそんなに悪くない。ウジウジしがちな風谷じゃなく、決然と行動する黒羽が事態を転がしていくため、既巻に比べて爽快感もマシマシです。終盤が駆け足気味で若干やっつけっぽく見えるのは「いつもの夏見」だから特段責めることでもない。この人の小説は最大の山場を超えた瞬間、「ふぅ……」と賢者タイムに入ってしまったかの如く一気にテンションが下がる。イくまではしつこいのにイった途端冷淡になるタイプと申しますか。なのであっさりしたエピローグを迎えること自体はいつものことだし別に不満じゃないんですけれど、やっぱりこれで完結はないだろ……と否定したくなる気持ちが強い。風谷は吹っ切れぬまま、「牙」は今頃どうしているのかも分からないまま。打ち切られたのか、それとも作者自らが打ち切ることを決めたのかは不明ながら、どちらにせよモヤモヤ感が残る終わり方でした。

 シリーズを通してストレスの溜まる展開が多いし、文章も簡素を通り越して稚拙に思える部分が大量にあるし、夏見正隆の芸風に好感を覚えないと途中で挫折してしまう可能性が濃厚な“スクランブル”。「溜めて溜めて最後にドカーンと激しく爆発する」ような、蓄積あってこその炸裂を尊ぶ人にはオススメしておきたいところだが、何度も繰り返しますように「これで完結はないだろ……」って感じの幕切れです。かれこれ10年近く掛けてようやく打ったピリオドなのに、これじゃあちょっとなぁ……番外編やスピンオフが出ることを切に希望します。空中戦の描写が身も蓋もないほど分かりやすい(イメージしやすい)ところが好きなんですよ、このシリーズ。

・拍手レス。

 『悪の教典』は内容以前に、大長編すぎて選考委員が嫌がりそうですよねw
 選考委員の渡辺淳一が『永遠の仔』を指して「はたしてこれほど長く書く必要があったのか」と評したときは噴いた。『失楽園』を上下巻にしたお前が言うのか、と。

 南井大介+大槍葦人の作品も、キャラ・結末ともに2010年の良作でした。
 タイトルの「小さな魔女」が泣かせてくれる。

 エロゲ―では体験版をやる限り2月発売のアルテミスブルーも面白そうです
 エロゲーで女性主人公ってかなりの冒険ですよね。ルートごとに違う男とHしたらビッチ扱いされそうだし、一本道になるのかな。

 大暮は個別で見れば面白い話もたくさんあるんですがそれを長編の中に全部盛り込んで絡めちゃうから色々分けがわからなく・・・。天上天下のラストは思いのほか綺麗に締めてましたが。
 『魔人』は短くキリ良くまとまってて好きです。天上天下、20巻くらいまでは読んでるからあともうちょっとだけ頑張ろうかな。


2011-01-05.

・FrontWing10周年記念ソフト『グリザイアの果実』体験版をプレー中の焼津です、こんばんは。

 ニトロプラスといいlightといい、設立当初から知っているエロゲーブランドが次々と10周年を迎える様を眺めるだに、つくづく自分も年を取ったと感じます。2000年前後はエロゲー全盛期、そこから10年を生き抜いているブランドはみな歴戦のツワモノといった趣がある。中にはMarronみたくやや特殊なところもあるけれど。さておき、『グリザイアの果実』は藤崎竜太がシナリオに参加すると聞き及んで注目していました。藤崎竜太、この人もエロゲーライター歴は長く、今年で14年になります。サブライターとして参加した『残暑お見舞い申し上げます。』から3年、久々に名前を見掛けましたが、真っ先に心配したのは「残暑事件の再来になるのでは」ということ。残暑お見舞い〜はどういった事情からかメインとサブとの間でシナリオのすり合わせが一切行われなかったらしく、文体どころかキャラクターの性格や話の設定まで食い違う異様な代物に仕上がってしまった。「メインライターの仕事が予定よりも遅くて、『このままだと納期に間に合わない』と判断した上層部が急遽藤崎をサブライターとして起用し、時間がないからろくろく資料も渡さず好きに書かせた結果がごらんの有様だよ」などという噂も囁かれているが真偽のほどは定かじゃない。折りしも「怒りの庭」騒動が持ち上がっていた頃ながら、『Dies irae』『Garden』と違ってあらかじめサブライターの存在を明記していたこと、またメインを務めていたライターが実績のある書き手ではなく新人であったこと、そもそも残暑お見舞い〜自体が他の2作ほど注目も期待もされていなかったことが重なり、「残暑事件」はエロゲーマーたちの口の端に上ることもなくスルーされました。何せ2008年と言えば「アイ惨ショック」が発生した年ですから……そっちに全部話題を持っていかれた印象が強い。しかし「残暑事件」と書くとまるで『残酷号事件』のようだな。知らぬ知らぬ、スタッフも知らぬ、ブランドも知らぬ。類別はエロゲ、名は残暑。

 結論から申せば、今回はちゃんとライター間でのすり合わせが行われているみたいです。体験版をポツポツとやってみた感じ、多少の違いはあるにせよ、残暑〜ほどの派手な破綻は見受けられなかった。在籍生がたった5人しかいない学園に主人公が転入してくる、といったストーリーで、主人公含めて全員が「ワケあり」な気配を漂わせています。タイトルの「グリザイア(grisaia)」はフランス語の「グリザイユ(grisaille)」をもじっているそうで、ニュアンスとしては「灰色の果実」になるとのこと。「後悔の樹に実った懺悔の果実」など、分かるような分からないような文言が踊っており、どうも詳細は製品発売まで隠す通すつもりのようだ。こういった情報封鎖で思い出すのはFateですね。あれも体験版では「サーヴァント=英霊」という説明が省かれていました。まだ体験版をすべて終えてはいませんが、「あなたのご趣味は?」冒頭のシモネタ連発に笑った。蒔菜、痛ましい子。原画もフミオだし、『ゆきうた』の菜乃を思い出したじゃないか。これが「菜」を継ぐ者の実力なのだな……プロローグの感触がいまいちだったせいで2ヶ月近く放置していましたが、ちゃんと読み進めていけば結構面白い。「フロントウイング10周年記念の一大プロジェクト」と謳うだけあって気合が入ってる。28日にはパラロスの新装版出るし、グリザイアもついでに買っちゃおうかしらん。買ってもどうせ一番最初に崩すのは『神咒神威神楽』体験版でしょうが。

途 中 で 買 う の を や め た マ ン ガ(カゼタカ2ブログch)

 長期化するにつれて引き伸ばしが目立ってくる→1巻あたりの満足度が減る→「ある程度巻数が溜まってからまとめ買いしよう」と思って買い控え→そのまま忘れる。記憶に残るのはだいたいこのパターン。たとえ思い出しても、自分が何巻まで読んだかは覚えてないから購入に踏み切れない。最初から完結済のマンガをセット買いするのが一番無難ですね。で、具体的に途中で買うのやめたマンガを挙げますと、まず『範馬刃牙』。ギャグマンガと割り切ればまだそれなりに楽しめるのですが、グラップラー時代やバキの初期が好きだった読者として割り切りたくないので買うのやめました。あと『多重人格探偵サイコ』『天上天下』、このへんは絵が好きで我慢していたけれど、だんだん話が分からなくなってきて投げてしまった。進行が遅い以前に進んでいるのかどうかさえ判然としない話は追う気をなくします。ただ、こういう挫折したことをハッキリと記憶しているマンガよりも、「なんとなく読むのやめた」ってマンガの方が多い。大抵は読むのをやめた時点で忘れてしまい、記憶に残りません。スレを読んでいる間、「あー、そういやあれ、気に入ってたけどなんか読むのやめちゃったんだよなぁ、なんでだろ」と懐かしみつつ不思議がるような作品が大量に脳裏をよぎりました。要するに、当方自身が飽きっぽい性格なのでしょう。

第144回芥川賞・直木賞候補全10作決まる

 直木賞の方は全部知ってるのでそれらしいことがコメントできる、安心した。犬飼六岐は時代小説家で、斬新というかちょったズレた感覚が独特の味わいを生む作品が多い。「筋のとおった話は虫が好かねえ」と嘯く『筋違い半介』など、この作家ならではの発想が面白みを誘います。候補作の『蛻(もぬけ)』は「偽物の町」で密室殺人が起こる話だとか。荻原浩は映画化した『明日の記憶』で有名になった人。いろいろ文学賞は獲ってますが、直木賞はまだでした。勤め人からホームレスに転じた男が新興宗教を打ち立てる候補作『砂の王国』は現時点で著書最大の長編小説であり、相当気合が入っているらしく、ファンの間で「これは直木賞を獲りに来たな」と囁かれていた。木内昇は候補者の中ではたぶん一番マイナー。時代小説家ながら、小説の単行本はまだ5冊しか出していない。ただ、一つ一つの評価は高く、候補作に選ばれた『漂砂のうたう』も刊行した直後から話題になっていました。貴志祐介は解説不要な気もするけど、『黒い家』の作者。出した作品の知名度はこの人が一番高いかもしれない。熱烈なファンを持ちつつも非常に寡作であり、候補作『悪の教典』も発売されるまでかなりの時間を要しました。『悪の教典』は既に他の賞を獲っているしこのミスの1位にも選ばれたし、話題性の高さで言えばダントツ。とはいえ評価は真っ二つに分かれており、また正直に述べて直木賞好みの作品とは言いがたい。選考委員から真っ先に避けられそうだ。道尾秀介は近年評判がうなぎ上りの作家。以前はミステリやサスペンスを主体としていたが、最近はそれ以外のジャンルも手掛けている模様です。なにげに直木賞候補常連、これで5期連続ノミネートとなる。候補作『月と蟹』は直木賞の主催社である文藝春秋から刊行されているから補正が加わりそう。更に常連補正で選考委員が「そろそろこの人に獲らせよう」と日和る可能性もあり。

 結論。個人的な予想は『月と蟹』が本命、『漂砂のうたう』が対抗。『砂の王国』は単穴、直木賞って大長編を嫌う傾向にありますから。『悪の教典』は文藝春秋社刊だけど内容が直木賞向きじゃないし大長編だしもう充分評価されているため選考委員に敬遠されそうなので大穴。異色作の『蛻』はダークホースですね。直木賞は格ゲーのイロモノ枠みたいに、時たまこうした異色枠を用意することがあります。『安徳天皇漂海記』がノミネートされたときはビックリした。当然のように受賞は逃しましたが。

・んだば今月の購入予定。

(本/小説)

 『一刀斎夢録(上・下)』/浅田次郎(文藝春秋)
 『煉獄姫2』/藤原祐(アスキー・メディアワークス)
 『イーグル生還せよ』/夏見正隆(徳間書店)
 『九夏前夜』/佐々木中(河出書房新社)
 『四畳半王国見聞録』/森見登美彦(新潮社)

(本/マンガ)

 『しなこいっ(4)』/黒神遊夜、神崎かるな(ジャイブ)
 『ぷあぷあ?(2)』/コンノトヒロ(講談社)
 『プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!(3)』/ひろやまひろし(角川書店)
 『放課後プレイ3』/黒咲練導(アスキー・メディアワークス)
 『朝霧の巫女(7)』/宇河弘樹(少年画報社)

 今年最初の文庫化情報。ドラマ化して話題になり、4月には映画も公開される角田光代の『八日目の蝉』が中公文庫から出ます。四六判が2007年3月刊行なので約4年掛かり、文庫落ちの目安はだいたいが3年後くらいですから、通常に比べてやや遅め。興味はあるけどなんとなく読み逃していた、という方はこの機会に是非どうぞ。個人的には去年読んだ中で随一に熱中し没入した小説。D・M・デヴァインの『五番目のコード』は、正確に書けば文庫化じゃなく再文庫化、というか復刊ですね。今は亡き現代教養文庫の「ミステリ・ボックス」というレーベルから刊行されて、マニアに評価されながらも長らく絶版、6年以上の時を費やしてようやく甦った。未訳含めて全部で13作ある長編のうち5作が創元推理文庫に収まることになります。ミステリ・ボックスから出ていたデヴァイン作品は『兄の殺人者』が去年既に復刊されており、これで残すところは『ロイストン事件』と『こわされた少年』の2冊。未訳の6冊ともども早く収容されることを望む。

 『一刀斎夢録』は『壬生義士伝』、『輪違屋糸里』と続いてきた浅田新撰組3部作の完結編。タイトルから察するに今回の中心人物は斎藤一になるのでしょうか。3部作と申しても前2作は順番通りに読まないと内容が分からない、という構成ではなかったし、たぶんバラバラに読んでも差し支えありません。既刊を読んでおられない方はここから入ってみるのも一興かと。『煉獄姫2』は正確に表記すると『煉獄姫 二幕』、去年始まった新シリーズの続編です。生まれついたときから煉獄に繋がり、絶えず瘴気を撒き散らしている、という毒々しさに反して根が無邪気な姫様が無邪気なまま雑兵どもを殺戮するやや殺伐とした概要の異世界ファンタジーです。でも1巻は「電撃文庫の黒い太陽」という異名を取る藤原祐の作品にしてはまだまだヌルい方でした。2巻で暗黒度が深まるのか否か。無邪姫にして無邪鬼なアルト(アルテミシア)だけで読む価値のあるシリーズであり、またアルトを抜きにしても落ち着いた文章が目に心地良く、とりあえず紹介ページの立ち読みを推奨しておきます。今月のライトノベルは虚淵玄のノベライズ作品『ブラック・ラグーン2』、シモネタ満載現代ファンタジーの『オワ・ランデ!2』にもそれぞれ期待。奇しくもすべて2巻目だ。『イーグル生還せよ』はかつて“僕はイーグル”と呼ばれていた(今は“スクランブル”)シリーズの最新刊。去年11月に発売された『尖閣の守護天使』の続刊です。『尖閣の守護天使』は300ページ足らずという薄さのうえ話が途中で終わっていてガッカリしましたが、今回は値段からして500ページくらいある、といいなぁ。ところでこの作家は水月郁見という名義でも本を出しているのですが、そっちの新刊も早く来てほしいですね。『九夏前夜』は『夜戦と永遠』、『切りとれ、あの祈る手を』で話題になった著者が初めて物す小説。もとより語り口に特徴がある人なので、ここに来て「小説を書く」と言われても特段違和感は生じない。『夜戦と永遠』や『切りとれ、あの祈る手を』は面白いけど値段が相当高いし、『九夏前夜』がちょうどいい「入り口」になってくれるかもしれない。『四畳半王国見聞録』はタイトルの「四畳半」だけで登美彦ファンが狂喜すること必至な最新刊。『太陽の塔』が日本ファンタジーノベル大賞を受賞して新潮社からのデビューを果たしたにも関わらず、2冊目の『四畳半神話大系』がなぜか新潮社ではなく太田出版から出たせいで「ああ、森見……島流しにされたのか……」と勝手な想像を抱いて涙ぐんだ日から早6年。アニメ化し、こうやって続編(?)も世に問われるとは、随喜の涙がやまぬ。ほか、ジーヴスシリーズの最新刊『お呼びだ、ジーヴス』(12月予定だったのが今月に延期となりました)、平山夢明の新刊『不道徳教養講座(仮)』(三島の『不道徳教育講座』のパロディ? 小説なのか随筆なのかいまひとつ分からない。というか『シエスターズ』はどうなっているんだ……)、押井守の『番狂わせ』(サブタイトルは「警視庁警備部特殊車輌二課」、詳しい情報ないし延期するかも)も出るなら買う。

 『しなこいっ(4)』は術理説明を重視した非殺傷系剣戟バトルコミック。怪我がもとで後日亡くなった人はいますが、ガチで殺された人はいまのところいないはず。バトル描写にページを食われるせいかほとんどストーリーが進展しておらず、未だに「なんでこいつら戦い合ってるの?」という根本的な疑問が解消されておりません。「番号持ち」云々もよく分からない。が、あくまでバトルがメインで話は添え物であり、実のところそんなに気にしていない。ヒロインとは名ばかりの凶暴な跳ね馬がカッコ可愛いです。絵も話もまだまだ成長の余地がありますので、絶対に打ち切られてほしくない作品。『ぷあぷあ?』は『ぷぎゅる』と『こども無双』を経て辿り着いたコンノの破調萌え4コマ。『ぷあぷあ?』→『ぷぎゅる』→『こども無双』の順で読みましたが、やはり『ぷあぷあ?』の面白さが頭一つ抜けていますね。しかし『こども無双』も単巻打ち切りではなく2巻、3巻と続いていればひょっとしたら……いや、言うまい。萌え4コマに宿らせるべき幻想(ルール)を知悉したうえで「その幻想をぶち殺す」と右手を振るうルールブレイカーぶりがたまらない。破壊して後に残るは焼け野原、だったら単に顰蹙を買って終わりでしょうが、破壊してできた空き地にちゃんと新しい価値観を植えていくのだから侮れません。『プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!(3)』は「随分長々と続くなぁ、アニメ化でもするのかい?」と声を掛けたくなるFateスピンオフ第2期の3巻。通算5冊目です。スピンオフ企画にあまり興味を示さない当方もひろやまひろしの漫画ヂカラにメロメロ中。Zeroネタも絡んでくるし、Fateに詳しくないと楽しめない部分もあるやもしれませんが、細かいことをスルーして読めばそれはそれで魔法少女モノとしての面白さを堪能できる。超電磁砲とはまた違った意味での良質スピンオフだ。『放課後プレイ3』は変則4コマの3冊目。絵が上手いわけでも、ネタが優れているわけでもないが、雑に見える部分に妙な色気が篭っている漫画です。一応「放課後にゲーム関連の雑談に耽る」というテーマがありますが、終盤はそんなこと豪快に無視してしまうのだから清々しい。1と2は主人公&ヒロインが別でしたが、3はどうなるのか。あえて情報を仕入れていないので現物を確認する日が待ち遠しい。『朝霧の巫女』は約1年ぶりの新刊。思ったより早かった。単行本は全9巻予定とのことで、これが出れば残すところあと2冊。今のペースが続けば2013年頃には完結するかな。連載開始が2000年なので、概ね13年。始まった当初はまさかこんなに長引くとは思いもしませんでしたよ。『妖の寄る家』が好きだから続いたようなもんで、そうじゃなかったら途中で脱落していたかも。

(ゲーム)

 『PARADISE LOST 新装版』(light)
 『グリザイアの果実』(FrontWing)

 書き出しでも触れたこの2本。差し当たってパラロス新装版は確定、グリカジは体験版を最後までやってから判断したい。パラロスは『Dies irae』で話題を喚んだ(いろんな意味で)シナリオライター正田崇のデビュー作に当たり、内容は魔界都市 <新宿> でバスタード並みの魔法戦を繰り広げるようなノリと申しますか、7年前に書いた旧装版の感想がありますゆえ詳しくはそちらをどうぞ。この頃は文章もかなり粗い部分があるし、エロシーンに関しては『Dies irae』以上にやっつけなので、過度の期待は禁物。結局ボイスは新録されず、演出面も刷新されないので、かなり時代を感じる代物になるはずです。発売当時から既に「演出が寂しい」「雰囲気が古い」と言われていましたし。発売前に配布されたという小冊子や雑誌のおまけとして付された番外編も収録されるってことでそちらもワクワクするが、一番の目当ては『神咒神威神楽』の体験版。早く感触を確かめたい。『グリザイアの果実』は上記した通りFrontWing10周年記念プロジェクト。「10年の集大成」と呼ぶに足る出来に仕上げたいのだろうが、FrontWingの集大成って言われてもあんまりイメージ湧かないな……お気楽なコメディやお手軽なエロをウリにしたソフトが多いし、シリアス要素を前面に押し出したグリカジはむしろ異色作めいている。果たしてこれが新たな里程標となりうるのか。買う買わないは別として注目していきたい。

・拍手レス。

 新参だけど買う本の選別に役立たせていただきました。良いお年を!
 お役に立てたならば幸いです。あけましておめでとうございます。

 >竜をも超える速度の飛行機 なんてものを見過ごしていたんだ。絶対買う。しかし南井大介さんの話題が欠片も出てこないのはなんでなんだぜ
 南井大介の文章は安定感があって好きです。が、安定感の高さゆえについ後回しにしてしまう罠。

 今年はゲームはされなかったんですね。焼津さんのゲームレビューはとても面白いので、新作が読めなかったのは少し残念です
 まとまった時間が取れない&根気が続かないのダブルパンチ。今年は最低限神咒だけでもクリアしたいなぁ。

 締め切りがあるから作品が完成する、といわれるけど、締め切りがシビアすぎて作品が変容した場合は、どう考えればいいんだろうか。新作が読めるだけ幸せと考えるべきなんでしょうかね。やっぱり。
 「締め」と「諦め」は字が似てますね。次があるさ、と思うしかない。それでオシマイってこともあるけれど。


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