2010年1月分


・本
 『アダチケイジ大全集 The DRIFTERS(1)』/アダチケイジ(講談社)
 『ケルベロス壱』/古橋秀之(アスキー・メディアワークス)
 『アイゼンフリューゲル2』/虚淵玄(小学館)
 『ベンハムの独楽』/小島達矢(新潮社)
 『マコトの王者 青(1)』『マコトの王者 赤(1)』/福井あしび(小学館)

・ゲーム
 『Dies irae 〜Acta est Fabula〜』(light)

・ドラマCD
 『「俺たちに翼はない」ドラマCDセカンドシーズン第三巻「夢テレビ・群青色メトロポリス」』
 『「俺たちに翼はない」ドラマCDセカンドシーズン第四巻「夢ゲーム・薔薇色クロスオーバー」』

・映画
 『ディセント』


2010-01-31.

・一昨日の1月29日は都合5本ものファンディスク類が発売されるというFDラッシュデーでした(『ねこねこファンディスク3』が延期しなければ6本でした)が、早くも明暗が分かれたらしいということで慎重に評判を拾い漁っている焼津です、こんばんは。

 予約していた『星空のメモリア Eternal Heart』は概ね好評のようでホッとしましたけど、なんでも『星空のメモリア』本編の販売元が潰れた(制作元は生きている)せいで権利関係がゴタゴタしているらしく、「FDは入手が容易なのに本編が品薄」という異例の事態に陥っていると知って驚きました。確かに、ザッと通販サイトを覗いてみても在庫を置いているところがほとんどない。amazonでは高騰して万超え、それ以外の中古ショップでも6000円を超える価格設定。まだ発売から1年も経っていないのに、こんなプチプレミア化していたとは……発売から2ヶ月ほどで販売元が消失したり、キャラ紹介ページに記載されていなかったキャラが人気投票で一位を獲ったり、とあるヒロインの声優が交替になったりと、星メモもなにげに波乱尽くめのソフトですな。まぁそうした波乱がキッカケで星メモに興味を抱き、体験版プレー→製品版購入→FD予約の3連コンボを決めたわけですが。ゴタゴタが片付けば本編の再販や、あるいは本編&FDの同梱パックが出るかもしれませんので、未プレーの方はもうしばらく静観してみては如何か。

“電撃大王GENESIS”創刊

 本気で「丸ごと一冊『境界線上のホライゾン』特集な雑誌」と信じた当方の純情を返して! ともあれ、新しいコミック誌が出たのか。あずまきよひこは表紙イラストだけで、連載枠はないみたい。有馬啓太郎が混ざっているあたりには「へえ」と軽い驚きを催した。絶叫(一応解説しておくと漫画家のペンネームです)の原作付き新作漫画『焔の燈介』も2号目から連載される予定らしい。で、『境界線上のホライゾン』のVはまた今年の後半くらいになるんでしょうか?

Navel、『俺たちに翼はない』人気投票記念SS『フラグの折れたエンジェル』後編を公開

 というわけで、フラ折れも遂に完結。人気投票開始が2009年4月半ば、終了が同年5月末、結果発表が同年7月末でしたから、結局半年くらいは待たされた計算になりますね。「王雀孫にしては早い方」と言い切ってしまうファンが少なくないあたり、なんとも訓練されすぎだと思う。リンクの張り方が不親切なせいで分かりにくいですが、『フラグの折れたエンジェル』は前編「学園イーグル」中編「華ざかりカップル」後編「フラグの折れたエンジェル」の3部構成となっています。いきなり後編から開始しないで、ちゃんと順番通りに読むことをオススメします。公開期間が設定されているのか、無期限なのか、今のところ不明であるものの、本編プレー済の人は早めに読んでおいた方がいいかも。「いずれASか何かに声付きで収録されるはずだから、それまであえて読まずに待つ」というのも一つの手ですが。

 中編では日和子とのイチャつきに流れましたが、後編でふたたび明日香&鷲介の組み合わせに復帰。「惚れるなよ?」「ねえよ」を始めとする掛け合いが両者の立ち位置を明確にしていって、楽しくも興味深い。明日香と鷲介は仮面を被って生活している点で似たもの同士だが、やはり差異は生じるものだな、と。タカシ関連の話題は、当方自身がタカシ好きということもあって非常に切なくなります。素っ気ない「なんで気付かなかったんだろ」の一言が痛い。さりげない「誰も温めないから、卵は孵らなかったんだ」の一文が痛すぎる。最後までダラダラコメディ路線で行くのかと疑っていた時期もあったけれど、これ以上ないほどキチンと〆てくれた。記念SSとしては充分すぎる出来でしょう。半年も待たされた件に関しても積極的に許していく方針で。

・福井あしびの『マコトの王者 青(1)』『マコトの王者 赤(1)』読んだー。

 青コーナーと赤コーナー、それぞれ別々の主人公を据えて送る対視点形式のボクシング漫画。1話目はほとんど同じ原稿が使い回されている(ちょこちょこと細部が違う)ものの、2話目以降は各々独立したストーリーを紡ぎ、要所要所でリンクする構成となっています。それだけなら「一風変わったボクシング漫画」に過ぎませんが、本シリーズの仕掛けは「対視点形式」に留まりません。知らずに読んだ当方は「えっ」となりましたが、つまりこの2冊、「おれがあいつであいつがおれで」な入れ替わりシチュエーションを取り扱っているのですよ。金持ちの元チャンピオンは貧乏な新チャンピオンに、勝ったはずの新キャンピオンは敗北した元チャンピオンにと人格がスイッチしちゃう。なので主人公たちの名前を肉体準拠で書けばいいのか精神準拠で書けばいいのか混乱しますが、ともあれ短編ならともかく連載で、しかも別々のシリーズとして並行させるなんていう大掛かりな取り組み方をしてみせた意欲には脱帽するしかない。ただビックリさせるだけの設定じゃなく、「いずれ来る再戦のために」とふたり揃って不慣れな環境を切り抜けていく――変則的な逆境を乗り越えていく過程に面白みを感じられる設定となっていて、なかなかに美味しい。

 当方は「青→赤」の順で読みまして、結果的にこれが正解だったと思っていますが、「赤→青」の順に読んでもまったく差し支えありません。『オイレンシュピーゲル』『スプライトシュピーゲル』の関係みたいなものでして、どちらから読み出してもOK(ちなみに『テスタメントシュピーゲル』は両シリーズの完結編なので、いきなり読み出すのはやめた方がいいです)。あくまで個人的な好みで述べれば、『赤』よりも『青』の方が面白かった。家族にボクシングを反対されていたとはいえ、経済的に恵まれた状況で闘ってきた元王者が狭苦しいアパートに寝起きしてライバルの借金を返すために遮二無二努力を重ねる、という少し倒錯した状況がなんとも心地良い読み応えをもたらす。それに対し、『赤』の方は天真爛漫なガラの悪さで周りを呆れさせるチンピラが、振りかかる圧力も何のその、ぶっとい神経で笑い飛ばす豪快さがコメディチックで、いまひとつ単純な意味での「燃え」を欠く。ただし、満身創痍の体を抱え、「全盛期の肉体に熟練の技術がトッピングされた無双野郎」にどうやって勝てばいいのか……という明白な「壁」が立ちはだかっている点では『青』よりも続きのストーリーが気になる。殴った相手を車田的パースで吹っ飛ばす許婚のインパクトも強烈であり、「ひょっとして彼女が一番強いのでは……?」ってな疑問すら湧いてきます。

 『青』を読んでいると『赤』のことが気になり、『赤』に目を通していると『青』の方に心が泳ぐ。そんな具合にもどかしくてムズムズさせられることが頻繁にあるけれど、「続きが楽しみ」ってことに関しては両方一致しています。2巻以降も同時発売されるのか、交互に刊行されるのか。希望を申せば前者の方がいいですね。ちなみに、こうして感想を書いていると、どっちが『青』でどっちが『赤』だったか、咄嗟に判別できなくなることがしばしばある。実際、確認したら『青』と『赤』の紹介を逆に書いていて、さっき慌てて直したところですよ。中身が氷のように冷静な方が『青』、炎の如く情熱的で血の気たっぷりな方が『赤』、と捉えておくと覚えやすいか? ただ、『青』もクールな人間のようでいて結構情熱家であり、いずれ見分けがつかなくなる局面が訪れるやもしれませぬ。

・拍手レス。

 ファーブラの感想読ませていただきました。なんという超大作。Diesへの強い愛情を感じました。あと、そこかしこに07版への怨念が感じられましたw まあ、自分も某動画サイトで07版の動画を見ましたが、3騎士と獣殿のあまりの小者っぷりにボーゼンでした(特にザミエル卿)。
 後宮の女官並みにジメジメした内面を持つ陰湿な男ゆえ、Diesそのものを許したとしても07年版への恨みは決して忘れじ。07ザミエルの小者っぷりも今となってはいいネタですが、当時は冗談抜きで絶句しました。


2010-01-28.

・20代前半で初めて読んだときはさして感銘を受けなかったが、20代後半になった今、ふと再読して「こったら素ン晴らしいものに感銘を受けなった奴が過去の自分だったとは信じがたい」と目を剥いた焼津です、こんばんは。あ、書き忘れましたが、『エマ』の話です。

 当時はメイドものにやや食傷気味だったことと、主人公が勢いでエレノアに結婚を申し込んだ挙句「やっぱり婚約はなかったことにするお」と言い出す件に萎えたことから読む気が失せたのですが、そこを乗り越えれば桃源郷。本編自体がサクッと7巻で終わって、8巻以降は番外編および後日談に徹する構成もいい。ひたすら安心して読める。ああヴィヴィーかわいいよヴィヴィー。でも一番好きなのは幼少期のグレイスです。おかしいな、当方は全然ロリコンじゃないはずなんですが……ロリ以外だと若き日のケリー先生がお硬い見た目に反しトロトロのデレデレであり、非常に素敵でした。

・小島達矢の『ベンハムの独楽』読了。

 新人の短編集です。第5回新潮エンターテインメント大賞受賞作とのことですが、正直に言ってこの賞のことはよく知りません。受賞作を読むのもこれが初めて。だから「おっ、今年も新潮エンターテインメント大賞の作品が出たのか、買わなきゃ」というふうに購入したわけではなく、なんとなくタイトルに惹かれて、「新潮エンターテインメント大賞? 聞いたことがあるようなないようなハッキリしない賞だけど、無名じゃなくて箔が付けられた新人なら試しに読んでみようか」と手を伸ばしたのであります。短編集という点も、気軽に読み進められていいかな、と。

 本書は9つの短編から成る連作集であり、『ベンハムの独楽』はその「9つの連環(ナイン・ストーリーズ)」を総称したタイトルであって、「ベンハムの独楽」という表題作が収録されているわけではありません。また、連作と言ってもシリーズ物ではなく、一編ごとに主人公が代わる形式となっています。ある編に登場したキャラが別の編では脇役として出てきたり、あるいは名前だけ上げられたり、ある編が別の編では作中作という扱いになっていたりと、全体の繋がりはやや緩め。淡々とした文体も影響して、ガツンと来るような衝撃には欠いている。少なくとも、息を荒くしてオススメしたくなる類の本じゃないです。ただ、一番長い作品でも50ページ程度とコンパクトにまとまっており、「気軽に読み進められていいかな」という事前の期待は叶えられました。悪くない感じだ。

 ジャンルは一言で表現しにくいが、強いて言えば「奇妙な味」か。「存在を認識できない双子の妹」にまつわる綺譚「アニュージュアル・ジェミニ」(An Unusual Gemini、直訳すると「異常な双子」)を嚆矢として、「5分先の未来が視える」と嘯く男や、具体的な要求もなしに人質を殺し続ける立て篭もり犯、「文字を読むことで空腹が満たせる」と主張する男など、多種多様な「掴み」を用意しています。9個の短編すべてが面白くてハズレは一切なし――とは行かず、残念ながら「期待させた割にガッカリ」な話も混じっていたが、個人的には冒頭の「アニュージュアル・ジェミニ」だけで元が取れた気分だ。「視えない双子」というシチュエーションがかなり好みだし、分量的にも長すぎずサッと終わる。まばたきすることによって精神が二つの肉体を行ったり来たりする(←オチには触れていませんが、仕掛けに関わる部分なので一応伏せておきます)って設定も想像を膨らませてくれます。

 巻末の「クレイジー・タクシー」はラストのオチが分かりにくく、「ん? どういう意味だ?」と一瞬固まったが、冷静に考えれば狙いは読めた。意外と凝ったつくりをしている割に効果が地味で刺激に乏しいのが難だけれど、作者はまだ22歳ということだし、今後の成長へ存分に期待を掛けたいです。

・拍手レス。

 装甲悪鬼村正、あまりの評判に体験版やってみました。なんだこれ。こんなに続きをプレイしたいのにしたくない作品は初めてだぜ…………!これが「装甲戦鬼村正」とかだったら、これほどのインパクトはなかったけど、この悶絶もなかったんだろうなぁ。
 続きが見たい。続きが見たい。続きが見たい。続きが見たい――その結果に生まれる拒否感。矛盾している原因と結果。それは砂糖菓子のように甘やかで、麻薬のように断ちがたい薄桃色の狂気。

 北森鴻の死去、非常に残念です。孔雀狂想曲や冬狐堂の短編が大好きで、文中の食事が非常においしそうにかかれる作家さんでした。
 未だに信じられません……食事と言えば、『メイン・ディッシュ』って連作集もありましたね。


2010-01-25.

・古代ローマの設計技師が現代日本にたびたびタイムスリップしては銭湯や温泉に衝撃を受け、その発想と技術をローマに持ち帰るというコミカル風呂漫画『テルマエ・ロマエ(1)』が面白かった焼津です、こんばんは。

 「設定がバカバカしくて正直あんまり惹かれないけど、なんか話題になってるし、とりあえず読んでみるか」と至極舐め切った態度で臨んだが、2話目あたりから早くも夢中になって、後は貪るように読み耽った。「新しい風呂を設計してくれ」と頼まれて思案する主人公→風呂に入った途端、引きずり込まれるようにタイムスリップ→現代日本における浴場の数々に打ちのめされる→ローマでそれを再現して大好評、と毎回のパターンは決まっており、ひたすら同じ展開を繰り返すだけなのだが、細かいアレンジの利かせ方が絶妙でマンネリとかそんなことはまったく気にならない。それこそ風呂にでも入ったかのように寛いで楽しむことができましたよ。お風呂が嫌いでないなら、試しに目を通しておいた方が良い一冊ではないかと思います。

cuffs、『Garden』の絵里香シナリオ修正パッチを公開

 既知感(ゲットー)の完全破壊は未だ達成されていないが、僅かなりとも前進した模様。旧来の絵里香シナリオは海水浴のあたりから一気にひどくなって、スタッフロールが流れる頃には虚ろな視線を宙に彷徨わせていた記憶があります。「怒りの日」の傷がまだ癒えていなかった時期なんで余計にキツかったなぁ。説明によると新ルートを丸ごと追加した感じになる(しおり選択画面で「絵里香」をクリックすると直接シナリオに飛ぶ)っぽい。まだやってないが、聞く話によれば桜子の存在がまるっと削られているとか。新規部分の音声もないそうです。瑠璃シナリオはまだまだ掛かりそうだけど、とりあえずこれだけでもやっとくべぇかな。

しゃんぐりら、『暁の護衛』3本同梱パックの制作は断念

 『暁の護衛』はシナリオライターの衣笠彰梧によりますと三部構成で、第一部『暁の護衛』(2008年3月発売)、第二部『暁の護衛〜プリンシパルたちの休日〜』(2008年12月発売)と来て今年4月発売予定の第三部『暁の護衛〜罪深き終末論〜』で完結する手筈となっています。1作目と2作目の間は僅か9ヶ月でしたが、2作目と3作目のブランクは実に16ヶ月。時間を掛けた分だけ結構な大作になるのではないかと見込まれており、どうやら巷での注目度も高いらしく、ここで新規のユーザーを取り込むためにもpropeller燃焼系3本パックみたいな思い切った価格設定でのセット発売が期待されましたが……実現は難しい模様。「(『罪深き終末論』の)発売後また改めて検討することもあるかも」とのことですが、実現するとしてもいつになるか分からない感じですね。

 体験版をちょろっとやってみたところ、第一部と第二部をダイジェスト形式――というか「これまでのあらすじ」みたいな感じで再演するシーンがありましたので、いきなり『罪深き終末論』から入ってもそれなりに把握して楽しむことはできそうですけれど……やっぱり、前作・前々作をキチッとプレーしておいた方がより良いでしょう。長らく入手困難だった『プリンシパルたちの休日』も昨年末に通常版として再販されましたし、手を伸ばすタイミングとしては今が絶好の時かもしれません。ちなみにプリ休の初回版と通常版の違いは「紙パッケージかトールケースか」だけなので、「箱の大きさが揃わないとイヤだ」というコレクターソウルが疼く方以外は初回版かどうかにこだわる必要はナッシングです。

 しかし、『罪深き終末論』ってあのルートからの派生なんですね。微妙にネタバレを孕むのでハッキリとは書けませんが、まさかあらすじで屋台が出てくるとはまったく予想していなくて噴いた。

『俺たちに翼はない』のドラマCDセカンドシーズン第四巻『夢ゲーム・薔薇色クロスオーバー』聴いたー。

 俺翼ドラマCDシリーズ第2期の第4弾にして最終巻。公式ページで人気投票記念SS「フラグの折れたエンジェル」が掲載され始めたことから俺翼熱が再燃し、「勿体無くて聴き難い」と積んでいた『夢テレビ・群青色メトロポリス』ともどもこうして崩し終えることができました。最後だしザッと説明しておきますと、『俺たちに翼はない』はおよそ6年掛かりで制作されたエロゲーであり、本編の発売は2009年1月、つまり1年前です。これに先駆ける形で始まったドラマCD第1期全5巻は2008年8月から2008年12月まで、5ヶ月間に渡って展開されました。ちなみに第2期全4巻は2009年8月から2009年11月までの4ヶ月間に発売。ドラマCDの脚本を務めるのは本編を手掛けたシナリオライターでもある王雀孫(第2期ではシナリオ補佐として東ノ助もクレジットされていますが)ゆえに、先行FD『俺たちに翼はない〜Prelude〜』と並んでファンなら押さえておきたい関連商品です。他に雑誌“コンプティーク”で連載された番外編「Symphony of 俺たちに翼はない(全4回)」、裏設定満載のロングインタビューと後日談が収録されている『俺たちに翼はない パーフェクトビジュアルブック』も熱烈なファンであれば押さえておくべきファクターですが、こちらは今年発売予定の『俺たちに翼はない AfterStory』で使い回されるかもしれない(没シナリオとして公開された案が後日ドラマCDのネタとしてサルベージされたこともある)ので、もう少し待ってから情勢を見極めた方が宜しいかと。

 オープニングでは主人公が「セントおれつば学園」というギャルゲー?をプレーする。やけに爽やかな口調の和馬が出てくる時点で既に半笑いというか、「妙にパチモノ臭い森里君」と主人公自ら言ってしまう。相変わらずシスコンでロリコンな主人公にホッとしつつ、和馬が好きな「元気系の幼馴染み」って誰だ……? と一瞬考えてしまったが、ああ、そうか、あいぽんか。あの子はルートがなくて攻略できないこともあり、元気系というよりも「しおらしい」「いじらしい」ってな具合の「らしい系」イメージが強いんですよね。マドンナ明日香、委員長日和子、電波鳴と、1章・2章・3章それぞれのヒロインを歪めたパチモンが出てくるたびに「小鳩の方が可愛いわ!」と毒づく主人公の姿がふと王雀孫と重なりかけた。小鳩はストーリー上だと真ヒロイン的な位置づけにあるがユーザー人気は乏しく、キャラクター人気投票女性部門でも9位。王自身から「窓際のポッポちゃん」呼ばわりされる始末です。章ヒロインを務める他の3人は1位から3位まで、きっちりトップを占めているというのに……「お詫びとして、今後は率先してエコヒーキしていきたいと思います」というコメントが失地回復に繋がるかどうか、判断はアフターストーリーまで預けるとしたい。

 「ぱね田くんの朝」は吉川さん→森里君→吉川さんの順に電話を介して会話する。ぱね田くん、森里君が好き好き大好き超愛してるな割にはヒドいこと言うよね。「あのクソうぜぇロン毛」とか。愛情表現の一種なんではあろうが。「美化委員ウォーズ」は美化委員に所属する明日香と日和子のエピソード。『Prelude』の時点、つまり明日香が2年生で日和子が1年生のときもふたり揃って美化委員だったが、3年でもそのままだったのか。そういえば1章のエンディングで「同じ委員会の後輩」みたいなことを言っていた記憶がある。明日香と日和子の掛け合いは楽しいなぁ。そしていきなり乱入してきた○○に唖然とした。そういやこいつ、美空学園の生徒……だったか? まったく覚えがないけれど、忘れているだけかもしれない。つくづく、俺翼の世界は狭い。とりあえず、寝言でまで「うちのタカシ返せ」と要求する明日香にホッコリした。「アリスの場合」は小鳩・吉川さん・アリスの会話を主人公が盗み聞きするエピソード。パラレルってる第三巻の「鳴&亜衣の場合」とある意味繋がっています。「日本人は料理という料理にとりあえず醤油をかけるの」 く、くやしい……でも……言い返せない!(ビチャビチャッ) この手の日本講座ネタは見当違いな解釈で笑わせるのが通例ですけれど、あえて「く、くや(ry」なネタを仕込みまくってやがる。にしても小鳩と吉川さんの「可愛いけどイラッと来る」、このゆとりクオリティはどう表現すればいいのか迷いますね。イラ可愛い? かわイラ? 甍? 「森里君と佐久間君」は想像だにしなかった組み合わせ。物凄くどうでもいいことで口喧嘩しているところにぱね田が加わります。が、むしろ聴きどころはぱね田と鳴の馴染みっぷりか。鳴がヒロインを務める3章は濃い連中が多いせいもあって鳴自身の存在感は若干薄らいじゃいるものの、顔見知りが沢山いるからクロスオーバー向けというか、意外に使い勝手良さそうな子に思える。「デートではない何か with 小鳩」でも鳴は登場します。それどころか日和子と明日香も出現。ヒロイン全員集結するシーンってなにげにレアだ。

 はい、第2期はこれでひと通り聴き終えたことになります。「崩さなきゃ、崩さなきゃ」とずっと念じておりましたが、実際に崩してしまうとやはり寂しい。アフターストーリーもありますから、まだまだ「俺翼は終わらない。王達が終わらせない。何度でも何度でも何度でも何度でも、続けて続けて続けて続けて――」美咲ルートを。「掴むまで――共に行こうじゃないか、無限に続く……搾取へ」次で攻略できなければ次の次で、それでも駄目ならまたその次で、百万回も繰り返せば、いずれは非攻略など覆せるはず。絶対に。な感じではありますが。うん、差し当たって「フラグの折れたエンジェル」の続きに期待するとしよう。

で、その人気投票記念SS「フラグの折れたエンジェル 中編・華ざかりカップル」が公開されました

 待ちに待った日和子さんが登場するわけですが、存在だけ仄めかされて出番どころか名前すら上がらない少女Aが気になってしょうがない。ともあれ学園で日和子さんとイチャイチャするという夢の展開が味わえ、短いなりにも満足した。特にこれといってストーリーのないエピソードだけど、タイトルからして後編はちょっと切ない感じになりそう? 日和子さんのせいで危うく忘れていましたが、今回のSSは人気投票で一位を獲った明日香の方が本来クローズアップされる予定なんですよね。週一ペースなので、後編は今週の金曜日あたりと思われます。待とう。

・拍手レス。

 感想文読ませていただいています。公式の今日の更新でショート・ストーリーが公開されています。是非差分で感想の追加を!
 あれが本編に入っていれば先輩の存在感はバリバリ上がったように思います。そしてメルが依然として憎々しい。

 ファーブラ感想を開いて思わず固まった。こ、これは……もしSSだったら、読むのに相当気合が必要になる文量ですぞ……
 クンフトの感想を書き上げた時点で「次はこれより多くなるだろうな」とは予感しており、それが実現する形となりました。

 ファーブラ感想文笑ったり激しく同意したりしながら大変楽しく読ませていただきました。日記で長すぎて絶望と書いてましたが、ファーブラでシュライバー始め掘り下げられたキャラが大分いたので個別キャラ感想もあると思っていたので全然余裕でした(笑)
 余力があればキャラ別感想も書きたかったのですが、さすがに力尽きた……。

 >「求道」も用語集に掲載された位置からして「ぐどう」らしいのにみんな「きゅうどう」と読んでいる
 逆じゃないですか?みんな「ぐどう」と読んでたと思いますが

 慌てて調べました。「Sakrament」の「覇道と求道、カールはそう言っていたな」という獣殿のセリフ、クンフトでは「きゅうどう」ですが、ファーブラでは「ぐどう」に直ってますね。訂正しておきます。

 不満点を上げれば数限りないですが、それでも傑作(であり問題作)でしたね、ディエスは。
 「熱心に不満点を上げるのはハマっている証拠」みたいなことを書いていたのは『レベルE』だったか。いろんな意味で忘れられないエロゲーになりました。

 ファーブラ感想が労作すぎて吹きました。まさか共通パートから全語りとは。「King of Hollow」は虚ろの王って事で、獣殿(幻影版)登場、って意味だと思ってます
 なるほど。ちなみに「幻影版」が「幻影城」に見えてときめきかけました。

 そういえばDiesのドラマCD、ニコ動で紙芝居にしてあげてた人がいますよ。やっぱり絵があると楽しさも増します
 ドラマCDの内容を既に脳内でアニメ化している当方に死角はなかった。あと映画館の大スクリーンでバトルオペラが上映される妄想を逞しくしたりしています。

ミステリ作家の北森鴻、死去

 「嘘やろ……」という声が漏れたきり、絶句してしまった。『狂乱廿四孝』でデビューする前、『本格推理1』に載った「仮面の遺書」から知っている人だけに、受けたショックを言葉では言い表せない。この人の筆名があったからこそ「鴻」という漢字を覚えたようなものです。日本推理作家協会賞を受賞した『花の下にて春死なむ』を始めとする“香菜里屋”シリーズや、『凶笑面』等の民俗学を題材に選んだ“蓮丈那智フィールドファイル”、その他諸々の作品群が放つ面白さは今も色鮮やかだというのに……ただただ早すぎる死を悼むばかりです。どうかご冥福を。


2010-01-22.

『Dies irae 〜Acta est Fabula〜』の感想文をアップロードした焼津です、こんばんは。

 はい、やっとこさ書き上がりましたよ。過去最大級のぐだぐだテキストです。割と飛ばし気味とはいえもっぺん頭からやり直した(ついでに2007年版もチョコチョコやった)こともあり、えらく時間が掛かってしまいました。好き放題書き殴ったせいで膨らみすぎたと申しますか、正直チェックだけで3日も要するとは思わなかった……当方のファーブラ感想を楽しみにしていたとおっしゃる方がもしいるならば、ファイルを開いてふざけた文字数に直面し絶望すればいいと思う。読めよ。貴様の慟哭はぬるすぎるのだ。

そしてちょうどいいタイミングでlightが更新しすぎ

 一斉にドワッと来ましたよ。まずショートストーリー、これは玲愛ルートの補完めいた内容で、当然のようにネタバレされており、またDiesを先にクリアしてないと言っている意味が分かりませんので注意。ラインハルトはまだしも、ニート(メルクリウス)なんかマリィの前に跪いて足蹴にされていればいいのに。「息臭いよクズ虫。お願いだから、顔近づけないで?」って。次がサントラ情報。ボーナストラックとして収録されるエピソードは玲愛ルートの後日談に決まったようです。タイトルは「Zwei Wirklichkeit」、訳すと「二つの現実」。屋上メンバーに絞った内容かと思ったが、説明文からして黒円卓サイドもチラッと触れる予定なのか? 発売は今春、楽しみだ。お後はwebラジオ壁紙。ラジオはまだ聴いてませんが、今回Dies情報はそんなに多くなさそうな気配。とりあえずルサルカと螢の後方で消えかかっている香純に噴いた。なんという灰色の太陽……壁紙はショートストーリー関連なのでネタバレっちゃネタバレだが、特に気にしないで保存すればいいでしょう。それにしてもなにさりげなくマリィの腰に手を回してやがんだニート、やっぱりお前はもう五、六十発殴られろ。

ロバート・B・パーカー、死去

 スペンサーシリーズで有名なハードボイルド作家です。読んだことはありませんが、大御所と表現しても差し支えない存在ゆえ名前はしょっちゅう見聞きしており、訃報を目にして率直に驚きました。また、知った名前の作家が亡くなっていく……世の無常に呆然とする次第。

・DVDで『ディセント』という映画を観た。

 洞窟探検(ケイビング)を題材に採ったサスペンス映画。6人の女性たちが冒険を楽しむために山奥の洞窟へ入り、最初は和気藹々と楽しんでいたが、途中で通路が崩落して戻れなくなってしまった。「仕方ない、このまま先に進んで違う出口を探そう」と一旦まとまるものの、状況が苦しくなるにつれ、徐々に不和の種が芽生えていく。出口の見つからない、深い深い洞窟の底で、彼女たちは何を見るのか……と、概ねそんなノリ。ストーリーの大半が狭苦しい洞窟内で繰り広げられる、限定的なシチュエーション下のパニック・ホラーであり、ちょっとネタバレになるのだが洞窟に棲む地底人とかが出てくる。あらすじにも書いてあることだから、当方自身は面食らうこともなかったけど、知らないとギョッとするかも。「明らかにC級サスペンス・ホラーの設定じゃないか、これ。本当に面白いんかな?」と半信半疑で観始めたが、「とりあえず冒頭30分だけ観よう」という考えは放棄せざるを得なかった。いや、このまま1時間くらいは……いやいや、もう少し……ええい、こんなの、途中でやめられるか! と、気づけば夢中で画面に齧りついていた。「面白い、マジで面白い」と熱心に薦める人がいたから手を伸ばしてみたけれど、釣られて良かった。観て正解の映画でした。

 メンバー全員女性だから、かったるいロマンスをダラダラと垂れ流して退屈させるなんてことはなし。スリルとショックで点数を稼いでいる部分も少なくないけど、「本当に怖いのは地底人なんかじゃない、死に物狂いで生きようとする「ただの人間」こそが極大のクリーチャーなんや〜」と言わんばかりの鬼気迫る展開で圧倒してくれます。地底人という要素に惹かないで、「最近こう、息詰まる映画とか観てないなぁ」という人は是非ご鑑賞あれ。誰かと一緒にギャーギャー騒ぎながら楽しむにはうってつけです。3月には続編のDVDも出るということで、そちらも期待しています。

・洋画といえば『CUBE』の廉価版が少し前に発売されました。「低予算だけど面白い単館映画」の代表格。当方が洋画にハマるきっかけとなった品でもあり、なかなかに思い入れが深いので買っておきました。かつて併録されていた「ELEVATED」(話の舞台をエレベーター内に限定した短編サスペンス)は契約の関係で収録されていませんが、正直「ELEVATED」の方はあまり好きじゃなかった(面白いとかつまらないとかではなく、生理的に苦手な作品だった)から個人的には嬉しいというか願ったり叶ったりだ。『CUBE』は続編とか続編のフリしたパチモンとかいろいろありますが、ハッキリ言ってこれだけ観れば充分です。

・拍手レス。

 まだ一月だというのに、出てくる期間が『今年中』、しかも『早ければ』……どんだけ積んでるんですか。
 夢枕獏先生は、「寿命が尽きるまでに連載を完結させられるかあやしい」なんて言われてますけど、焼津さんは寿命が尽きるまでに積み本を消化し切れるのだろうか……

 本を読むペースよりも明らかに本を買うペースの方が早い……あとは分かりますね?

 金欠病なのにDies irae完全版購入してしまいましたアホタルかわいいよアホタル、あと玲愛ルートが超展開過ぎて奇声を発しながらクリック連打してしまいました@暁
 アホタルの可愛さに宇宙さえ弾けそうだ。そして玲愛ルートの超展開ぶりは良い意味でヒドいですね。


2010-01-19.

『俺たちに翼はない』のドラマCDセカンドシーズン第三巻『夢テレビ・群青色メトロポリス』聴いたー。

 俺翼ドラマCDシリーズ第2期の第3弾。長らく積んデレしていましたが、ようやく聴けた次第。奈落で幼児が夢テレビを見るところから始まり、YFBの面々を始めとする3章メンバーの会話を鳳鳴が同時通訳する小ネタで早速クスリとさせてくれる。面白いが、二人分の音声が同時に流れるため、少々聞き取り辛いのが難点。こんな調子でユル〜く進行していくのかなー、と油断して構えていたらいきなりコーダインとナルタローが「おいちょっとそこの黒豚」「なあ、お前ラッパーなんだろ、『炙りカルビ』って10回マシンガンラップで言ってみろよ」と鮮やかに黒化(ニグレド)していてジンジャーエール噴きかけた。やべぇ、高内よりも胃に来るぞこのふたりの演技。直後に入る成田工務店のCMも不自然に爽やかで笑ってしまう。ハキハキした声で「黒豚の救済」とか言っちゃう隼人くん胡散臭カッコイイ。

 オープニングとエンディングを除いた本編は大きく分けて5部構成。1つの連続した話題を追うことが基本形となっていた第1期ドラマCDに対し、第2期ドラマCDはオムニバス形式で寄せ集め掻き集めの短編集といった趣です。と、久々に書く感想なので改めて言及してみた。第1部「ハードボイルドとフレイムバーズ」は6分半ほど、内容はだいたいお察しの通り、三馬鹿との掛け合いです。パラレルワールドの関係になっている第1巻と第2巻(俺翼の後日談はどれもが4つのエンディングから派生する個別の延長線であり、いわゆる「御都合処理」を施すことが一切できない仕組み)から引き続けて自主制作フィルムの話題で盛り上がる。最後まで余さず楽しく聞けるが、始まって早々に女子の出番がないパートが6分半も続くとか、これマジでエロゲー原作のドラマCDか? と真面目に疑問を抱いたりした。第2部「ハードボイルドとパルクレープ」は鳴のあだ名を決めよう、という話です。ドラさんが何を言い出すか愛のセブンセンシズで事前に察知した鳴が「公序良俗に反する呼称はご遠慮願います」と華麗にブロック。公序良俗に反するって、ああ、あれしかないか。ドラさん外道。第3部「放課後の小娘たち」はコーダインとナルタローの弛緩し切った掛け合い。このダラダラ感はホンモノだ……「不便じゃね?」「えー、別に感じない」「いわゆる不感症だ」「いわゆらないよね」のテンポとか絶妙にも程があるだろ。第4部「鳴&亜衣の場合」は第3部の続きで、小鳩が混ざります。やっぱり映画ネタ。なんやかんやしすぎなコーダイン案に和んだ。あと鳴の作業着嗜好も既に変態領域入ってて馴染んだ。もう有川浩あたりにノベライズしてもらえよ。第5部「隼は舞い降りた」は3章メンバーが概ね揃って賑やかに騒ぐが、出てこないキャラが結構いるのは出演料的なアレ絡みだろうか。3章は登場人数多いから、全員出すとなるとそれだけで1期分費やしかねませんし。エンディングはちょっとしんみりする感じで締め括っています。

 ネタの弾けぶりに関しては少し大人しめというか、やや物足りなかったが、掛け合いの楽しさについては鉄壁。おまけのコメントは今回一斉録りじゃなく個別録りみたいで、1巻や2巻の賑々しさが好きだった人はややガッカリかもしれず。総合的な感想を申しますと、出番こそ乏しいものの、幼児が目立つ一枚でした。声優さんの演技もかなり良く、たまに「あれ? マジモンの幼児?」と錯覚しそうになります。ちなみにマジムンだと「魔物」の意味になりますが、別段関係はない。さておき、これで第2期ドラマCDも残すところあと1枚。いつまでも積んでないで、できれば今月中にでも聴いてしまいたいです。

・拍手レス。

 『午前零時のサンドリヨン』はもうお読みになりましたか? まだならばすぐにでも読むことをお勧めします。日常の謎を今後リードしていくのは米澤穂信とこの作者だ、と言い切れるほどの完成度の高さですので。
 鮎川賞は毎年買うたびに積んでいます。今やっと『ヴェサリウスの柩』に取り掛かったところ。サンドリヨンは早ければ今年中に読めるかも。


2010-01-16.

Navel、『俺たちに翼はない』キャラクター人気投票記念SS「『フラグの折れたエンジェル』前編・学園イーグル」を公開

 音沙汰ないまま年越しちゃったんで、「このまま永遠に出らへんと違うんか」と静かな諦念を抱いたりしましたが、珍しく王雀孫が仕事したみたいでようやく到来。しかし前編のみという罠。焦らせやがってふんまにもう。この前編、原稿用紙換算だと7兆枚くらい? それはさすがに概算すぎるけれど、だいたい20枚くらいはありそうな感じ。いざ読み出してみれば単なるSSだというのに音声が脳内で自動再生されて、「ああ、俺にとって俺翼は細胞レベルにまで浸透しているんだな」と確信せずにはいられなかった。人気投票で男性部門と女性部門、それぞれ1位を獲得した鷲介と明日香を題材にしたSSということで、一応本編でもこのふたりは顔を合わせて会話まで交わしているのだが、それでもやはり珍しい取り合わせに思える。ゲーム本編プレーした人には嬉しいというか、ギンギラギンにさりげなくネタバレまみれであり、俺翼知らない人が読むのはちょっと厳しいかも。あくまで人気投票の記念SSですから、ファンサービスの様相が色濃い。前編では鷲介と明日香がひたすら漫才じみた掛け合いをするばかりで、ストーリーとか特にそういったものはないっス。次は中編「華ざかりカップル」、タイトルからして日和子さん登場? てか、前後編じゃなくて前中後編なのコレ? まあ細かいことはいい、面白かったことは確かなので、もっぺん読み返して来よう。

・虚淵玄の『アイゼンフリューゲル2』読んだー。

 虚淵御大が商業で発表する初のオリジナル小説、2冊目にして完結編です。疑い深い当方は読む前に「ひょっとしてまだ続けるつもりなんじゃないの?」と勘繰っていましたが、いざ読み終わって「それはないな」と確信いたしました。もしこれで続編が出たら、蛇足すぎてたぶんギャグにしかならない。風呂敷がキレイにキチンと畳み尽くされています。「人の手が造りし鋼鉄の翼で、音速突破飛行する竜を追い抜く」ことを目標に据えたファンタジー版プロジェクトXという雰囲気だった1巻に対し、2巻の大半を占める第5章のタイトルは「戦乱の翼」――つまり、隣国との戦争がふたたび勃発。素晴らしき空を自由に飛ぶために掴んだ翼で、またしても「敵と味方」「兵士と民間人」といった区別をもとに殺し、心を血に染めなければならない。逃げ出せば祖国の滅亡が待ち構えている、ほとんど選択の余地がない状況で、主人公カールは何を考え何を求めるのか。

 あくまでこの物語は「飛ぶ」ことが眼目であり、空中戦云々といった要素はオマケに過ぎないが、さすが当方が無意識で「御大」と付けてしまう虚淵。このまま戦記路線に鞍替えしても何一つ不都合がない、と錯覚するほど気合入った密度の濃い描写で楽しませてくれる。潜水飛空艦って、それいったいどこのファイナルファンタジーだよ! とベタベタなツッコミを入れてしまった。いやあ愉快愉快。あざといぐらいに「燃えるツボ」を押しつつも、何もかも丸く収まってハッピー、という能天気な枠に詰め込まない煤けた筆致がステキです。深夜、そろそろ寝ようと思っても本を閉じることができず、ただただ最後まで貪るように読み耽った次第。個人的には193ページが強く印象に残って、何度もそこの内容を反芻しては遠い目しちゃいました。それだけに、164ページの空行ミス(場面転換してるのに空行がなく、文章が繋がっているかのように見えるミス)は痛い。せっかく没入していたのに一瞬混乱を来たして、すぐにミスだと分かったが、少し冷めた。そこが唯一残念。

 ハッピーエンドとも言い切れないが、決してバッドエンドではない。清々しさ、そしてどんなに暗かろうと向かわずにはいられない明日への希望に満ちています。とはいえ、「こんな結末は嫌だ」と全否定する意見も頷けなくはありません。当方自身、諸手を挙げてこの結末を肯定することは難しい。ただ、こうなることが自然――というよりも、「ああ、こうなっても仕方ないな」とすんなり受け入れられる部分があって、最終的には消極的ながらも支持する形となった。前巻が虚淵にしては抑え目のストーリーで、殺伐さとか血腥さとかほとんどなかったからいささかギャップを感じる部分もあるにせよ、10年近く儲をやっている身ゆえに「やはり虎は虎、虚淵は虚淵」ってな当然の成り行きとして受け取ることができました。問題は厚さ。1巻と2巻合わせて460ページ程度……600ページオーバーのされ竜がラインナップされているガガガにしては薄めというか、「いっそ一冊にまとめても良かったのでは?」という念を隠し切れませぬ。文章の濃厚さを鑑みれば、これはこれで妥当なのかもしれませんが。


2010-01-13.

・ピザは出来立てよりも、一旦冷ましてから再加熱したパサつき気味の奴が美味しいと思う焼津です、こんばんは。なので「ピザは全部食べない、必ず少し残す」が当方ルール。

 あとピザとはまったく関係ないが、ザーサイは温かいご飯よりも少し冷めたご飯の方が合うと信じています。

・古橋秀之の『ケルベロス壱』読んだー。

 秋山瑞人と共同で取り組んでいる中華ファンタジー風シェアワールド企画“龍盤七朝”の2冊目。1冊目は秋山の『DRAGONBUSTER01』ですが、現在のところ3冊目の目処はまったく立っていません。「01(ないし壱)が出たからといって02(ないし弐)が出るとは限らない」……そんなマイナスの想念を振り払えないのは、ひとえにこのふたりが遅筆家だからです。デビューから12年経つのに著書が13冊しかない秋山、デビューから15年経つのに著書が20冊程度しかない古橋。「年一冊以上」というペースこそ辛うじて守られているものの、ライトノベル作家としては揃ってスローペースな部類に属する。なので両者のファンはハラハラして“龍盤七朝”の行方を見守りつつ「EGFまだー?」「ケイオスヘキサ東方編まだー?」とウダウダ言っているわけです。さておき、この『ケルベロス壱』は“龍盤七朝”シリーズの一冊であるとともに、2009年12月に創刊された「メディアワークス文庫」の第一陣に並んだ本でもあります。「ライトノベルを読んで育った大人」を対象にした文庫ということですが、創刊に因んでの広報で「古橋秀之が電撃文庫で出した本(10冊)の累計発行部数は40万部=平均4万部」と暴露され、「4万部か……決して少なくないけど多くもない、微妙な数字だ……」とリアクションに困ったことも記憶に新しい。挿絵が廃止され、カラーイラスト1枚のみとなっている(絵師はもちろん藤城陽)ことを除けば読み心地等、電撃文庫とそんなに変わらないです。

 戦場を駆ける三首四眼五臂六脚の化け物――ケルベロス。そいつがまだこの世に生まれ落ちていなかった頃、螺ー(ラガン)なる覇王が大陸に名を轟かせていた。常人ならば目が合うだけで死に、如何なる手段を以ってしても危害を加えることができない、もはや人の慮外にある「形を成した天災」の如き者。飛ヒョウ(金票で一字)と呼ばれる暗器の名手、廉把(レンパ)は「百歩必中」の奥義を繰り出して螺ーを仕留めんとするが、果たせず、四人の仲間すべてを喪うこととなった。町から町へと流離い、達者な口先と器用な手先でその場凌ぎの生を送り続ける廉把。既に、天下を獲る野望は完膚なく潰えた……はずだった。彼がひとりの小汚い野生児と出逢ったことをきっかけに、運命の歯車はふたたび音を立てて回り出す……。

 武侠片チックな冒険ファンタジー、というと同じ作者の『\(ノウェム)』をどうしても思い出すし、実際に一部のネタは被っている(被っているだけで、繋がりはない)が、ぶっちゃけ『\』は打ち切り作品なので関連付けて考えると悲しくなるからやめよう。絢爛さよりも流麗さを重視した筆致でとても読みやすい反面、盛り上がってくるまでが長い。というか、これ一冊全体が長大なプロローグとなっています。何せ、最後の一行が「誕生の機が熟すまでには、今しばらく、星の巡りを待たねばならぬ」ですから。壱が終わった時点だと、ケルベロスはまだ生まれてすらいない。『DRAGONBUSTER』も大概進行は遅かったが、こっちも似たり寄ったりです。気長に付き合うより他に術なし。

 誠実さに欠ける廉把と、懐かないこと夥しい野生児。ふたりは衝突し合いながらもだんだんと心を通わせ合っていく、っていう流れが見え見えで意外性に欠けるけれど、その分手堅く楽しめる仕様ではある。口のよく回る軽薄漢といった趣ながら、「大した“天下の技”もあったもんだな……!」と自嘲を重ねて少しずつ諦めを振り捨て、一心不乱に生きようとする廉把にいつしか好感を抱いているのだから不思議なものだ。様々な勢力が様々な思惑で入り乱れ、誤解や行き違いにより壮絶な勢いで事態がこじれていく金庸の武侠小説に比べればドタバタの度合いが希薄であり、かなりおとなしいというか地味に映るが、身動ぎ一つで周りの連中が絶命する螺ーの「どうやって斃すんだこいつ……」な禍々しい兇烈さがひたすら文面に滲んでいることを思えば至極些細な問題。ピッコロ大魔王と戦っていた時期の地球にフリーザがやってくるぐらい絶望的です。1巻の時点で強さのインフレが生じているあたりアレだが、まだまだ冒険は始まったばかりであり、古橋節が唸りを上げて本格的に疾走するのも弐以降となるはずです。弐が出るならば。本当に、弐が発売されるのならば……! 祈るより他に術なし。

・拍手レス。

 我々エインフェリアは見事ゲットーを越えたはずなのに、また12月という既知感に囚われている罠。
 「正田がいない12月」からは抜け出せたので、次こそは完全未知の12月となることを期待したい。

 某ラストバトルの絵、あれシュピたん一人嘆き顔のよーな。……愛されてるなあ
 シュピーネがあそこで獣殿と水星を出し抜く展開を妄想しようとしたが、どうしても無理でした。

 なんだかんだいってリメイクで一番おいしいとこもってたのはルサルカのような気がする。
 バトル的には雑魚ですけれど、玲愛ルートにおける見せ場の多さは結構なもの。Diesがもっと違う話ならば、リァノーン的なキャラになれたかもしれません。


2010-01-10.

・かつてGユウスケのイラストを目にするたび遣り切れぬ切なさが込み上げてきた『ダンタリアンの書架』――今年ばかりはそうした物悲しさとは無縁で素直に楽しませてもらった焼津です、こんばんは。というわけで最新刊(4巻)を読み終えました。

 胸元に埋め込まれた南京錠を解錠すると、90万と666冊の「幻書」を所蔵する書架へと繋がる少女ダリアンをヒロインにした連作ファンタジーです。「90万と666冊」で禁書目録を連想するかもしれませんが、ヒロインの性格は強いて言えばインデックスよりも薔薇乙女の翠星石に似ている。語尾が「です」、傲岸な態度で主人公をぞんざいに扱っているものの、人見知りが激しく甘えん坊、また嫉妬深くて主人公が他の女と仲良くしているとすぐに機嫌が悪くなる。「あざとい! あざとすぎる! でも抗えん!」な黒髪ロリツンデレです。ストーリーは読切が中心なので何処から手をつけても構わない反面、全体的な物語が遅々として進まない(そもそも主人公たちに明確なゴール地点が設定されていない)ので、「幻書を巡って繰り広げられる激しい争奪戦」みたいな要素をガッツリと堪能したい方は少しイライラするやもしれません。感覚としてはこれ、能力バトルとかじゃなくて『笑ゥせぇるすまん』の系統ですよ。幻書騒動に巻き込まれた人を主人公コンビが救うこともあるが、「我々にできることはない……」と傍観して終わることもしばしば。爽快感を求める人には合わないでしょう。バッドエンドやブラックなオチでもイケるというタイプの人なら、読み心地も軽くてちょうどいいはず。とにかくダリアンが可愛いやよね。去年末にファーブラが出たおかげでようやく複雑な気分を抱かずにGユウスケの絵を見れるようになったし、以降の巻は心置きなく楽しませてもらうとしようか。

lightのwebラジオ「Happy light Cafe」更新

 正田崇の次回作……だと……? まだファーブラの余韻も抜け切らぬこんな時期に、過度な期待を抱かせるのはやめてくれよ。さすがにDies級の大作路線ではなく短めで、来年の12月に合わせたいみたいだが……よりによって12月かよ。嫌な思い出と嬉しい思い出が混在していてリアクションに困るな。

 以下ラジオの聞き所をいくつか。「『Dies irae』がやっと終わってlightは次のステップに進めるようになった」「泉まひる原画の新作『ソラニカ』のタイトルは『空に還れ』から来ている、なので正式名は『ソラニカ・エレ』、世界を巡る壮大なストーリーとなる」「新作のハードボイルドでSFっぽい奴、新しい原画家を採用している、シナリオも野心的で売れ線は狙ってない、発表は春頃」「DiesのドラマCD、1月いっぱいには正田崇担当の部分を終わらせる予定」「ドラマCDは脚本が書きやすい、3月頃には発売できるのではないか」「ファーブラやったこと前提の内容、戒とベアトリスが死んだところで具体的に何があったのかを描く、(黒幕の)神父に憤れ」「ドラマCDでDiesは終わりにして、次に向かう」「『俺は早く次に行きたい』とずっと思っていた、Diesを片付けないと先に行けなかった」「2009年2月になんか謎の企画書があった」「まだ完全なOKは出ていないが、2010年内には出したい、12月頃に出せれば」「これでまた4年とか掛かったら『おまえは何をしているんだ』とユーザーから責められる、次はフットワークを軽くしたい、同じことを繰り返すわけにはいかない、反省の意味も込めてサクサクと行きますという意思表明を」「(『Paradise Lost』リメイクの話題が出て)ちょっとやめようよ〜、それはさ〜」「主人公の声入れるっつったじゃん」「『Paradise Lost』が嫌いなわけじゃないけど、昔過ぎて恥ずかしい、今見ると『なんだこの文章』ってきっとなる」「見返すと一からやり直したくなるが、そんな暇はない、『俺はいつまで昔の作品ばっかやってんだ』となる」「『Paradise Lost』はシステムが貧弱、CG少ないし演出も一枚絵をポンと出すだけで派手さが足りない」「音声を入れ直して、プログラムの仕組は改善するが、中身(シナリオとCG?)は弄らない方針」「パッケージ化して派手に売り出すつもりはない、ダウンロード版のみかボックスに入れる予定」「正田崇がなにげに一番ファーブラで極限状態へ追い込まれたのは用語集、収録用の台本とスケジュールが被って結局用語集の方を優先させた、台本は締め切りを破ってしまった」「Diesで第二次世界大戦に詳しくなり、愛国心が芽生えたので『日本すげぇぞ!』みたいなのやりたい」「パラロスやDiesでキリスト教大好きと思われているかもしれないが、一番好きなのは日本神話、ただ複雑で難しいから避けていた」「(正田、2010年の抱負を訊かれて)今年中に一本出したい、これを聞いている人には『ハッ、くだらねぇ』という感じだろうけれど」。「Diesを片付けないと先に行けない」というのは当然であり、もしDiesをほっぽって新作に取り掛かっていたら「否――断じて否! 認めぬ。許さぬ。正田崇こそはすべからく永劫の徒刑囚であるべきだ」となっていたでしょう。しかし、キリスト教よりも日本神話が好きとは意外だった。日本神話はややこしいところが多くて往生するけれど、「黄泉戸喫(よもつへぐい)」とかいった語句を見るとワクワクする。

 lightとは関係ないが、『少女ファイト』の新刊を今頃崩していたら、主人公の通う学校の校章が「蓮と髑髏」って描いてあった。「泥中之蓮、一蓮托生、メメント・モリ」を意味するらしいが、どうしても『Dies irae』を連想せずにはいられない。泥と蓮はルサルカと主人公の関係だし、一蓮托生は玲愛ルート真エンドの続きを夢想させる言葉だし、メメント・モリに至っては言わずもがな。

・拍手レス。

 Diesようやくコンプ完了〜。結局形成(笑)さんは最後までブッチギリで見せ場のないキャラでしたね。某ラストバトルでも絵ではいるけどスルーだし。あと多くの人から頭悪い子扱いされてる某ヒロインも印象的でした
 ゲルリッツ曹長さえ再登場したのにシュピたんときたら……某Kは先輩ルートの扱いが酷かったですね。


2010-01-07.

・なぜか「よろー」が「良う候(ヨーソロー)」の略に思えてきた焼津です、こんばんは。だから何ということはない。

・アダチケイジの『アダチケイジ大全集 The DRIFTERS(1)』読んだー。

 凄まじく軽やかな怪作でした。新人の処女単行本であるにも関わらず350ページと結構なボリュームを誇っているが、論点はそこではない。シリアスな雰囲気(ムード)を裏切り続けるナンセンスな絵柄、特異さを極限まで突き詰めた結果として危うい均衡の上に成り立っている言語感覚、それらを埋める絶妙なテンポ、どれもが完璧(とびっきり)に超越的(トランセンデント)です。一読すればこうした無茶ルビに感染してしまうこと必然(うけあい)だ。

 田舎村の小学校における生徒会長選挙を巡って展開する、終始一貫してテンション激熱なポリティカル・ギャグですけれど、「級長」と書いて「フィクサー」、「英雄」と書いて「ディベロッパー」など、普通の感覚じゃまず出てこないルビを乱打したうえで「権力に纏(まつ)らう」だの「いまや無用の長物となりさらばえた」だの奇妙に古めかしいセリフで場の空気を引き締め、ここぞというタイミングで間抜けなポージングが大写しになって腰砕けるんだからもう説明が追いつきません。こうして内容を述べているとすこぶる意味不明(イミフ)なものの、実際に読み出せばぐんぐん惹き込まれる。といいますか、今ちょうど感想を書くために再読したんですが、何度繰り返し目を通しても一向に薄らぐことのない強烈な個性(インパクト)に圧倒されます。「違和(パンツくい込み)感」、「J&K(需要と供給)」、「自陣(いきつけ)の茶店(フィールド)」――脳の処理が間に合わないスピードで繰り出され疾走する言葉の数々に泥酔することしきり。あまりにもバカバカしく乱雑なノリゆえ本筋を見失いそうになるものの、冷静に読めば「都会からやってきたイケメン転入生によって、磐石であったはずの『級長』という座をあっさりと打ち砕かれて大いなる失墜を味わった少年が、友情を糧に再起するも度重なる裏切りによって迷走を強いられ、やがて人としての心を喪失し、我欲に取り憑かれた権力ゲバになってしまう」というダーク成長ストーリーの王道を踏みしめていることが分かります。「そして民はいつだって最高の権力者に導かれ…扇動(アジ)られる事を望んでいる」「見よ……変革(チェンジ)るぞ」の件はギャグを脇に措いてさえ面白い。1巻目なので途中で終わってますが、もはや既に虜の身。これは是非とも2巻を読まなくてはならなくなった。

 「大全集」ということで、初期作とおぼしき短編も5つ収録されています。『The DRIFTERS』が約270ページで、残りが80ページほどだから、分量的には「少し多めのオマケ」です。どれも作者らしい奇怪なセンスが迸るエピソードばかりですが、本書の目玉たる『The DRIFTERS』に比べるとやはり弱い。できれば『The DRIFTERS』が終わったところで本を閉じて余韻を堪能し、然る後に時間をおいてから残りを読む方がベター。作中に「“中二病”を患う」という表現が出てくるくらいなので、スラングまみれの洒脱さを良しとする感性に付いていけなければ相当キッツいが、「目から鱗」体験を何よりも欲している人は冒険覚悟で手を伸ばしてみてはいかが。魅了される人は一瞬で魅了されます。ホント、なんの気なく読んだのに、恐ろしいくらいハマってしまいました。

・拍手レス。

 自分はDiesは今回が初体験でしたが、驚愕の展開の連続で、厨2&燃えゲー好きにはタマランかったです。ただ、事前にドラマCDを聴いておいてよかった、というか、聴かないと意味が分からんのでは、という部分がちょくちょくありましたね。ともあれ、ネタばれ全開の長文レビューを期待しています。
 ドラマCD自体がDies本編やってないと分かりにくいので、聴くタイミングを計るのが難しいですね。長文感想、書いても書いても終わらないのでアップロードは当分先となりますが、たぶん今月中には間に合うかと。

 ソフマップ特典収録の騎士団員のドラマCD、本編後に聞くと抱腹絶倒です。でのシステムボイスかと思っていたらドラマCDでうれしい誤算でした。
 本編とはあまり関係なさそうだ、と思って切ったけれど、評判を聞くとやはり気になる……特にルサルカは本編があんな具合だったから余計に。

 >深沢豊 × 荒川工 × 大槻涼樹 × α 面子が凄すぎて吹きましたwww
 1月1日だったからまだ良かったものの、あれが4月1日だったら完全にネタ扱いされていたでしょうな。

 崩しても消えないのなら、積み上げるのもまたひとつの道よ!
 とはいえ十数年も積み続けている未読本の山とか見ると少しセンチメンタルになってしまう。

 オクルトゥム。今年中は…無理か(ボソ
 絶対にあきらめない。絶対にだ。

(追記) そろそろ寝ようと思っていたところ、『俺たちに翼はない AfterStory』の紹介ページがオープンしていると知って眠気が吹っ飛んだ。『世界征服彼女』の発売予定日がどこにも書かれていないのに、俺翼アフターストーリーの方だけ「2010年発売予定」と書いてあるのは、まさかこっちを先に出すつもりでいるのか? 王雀孫の仕事を必要最小限に絞ればできなくもないかもしれないが、そうすると今度は仕上がりが不安になってくる。どうあれ買うことに変わりはないので、粛々と待たせていただこう。


2010-01-04.

・今年の抱負? もちろん「積読と積みゲーを少しでも消化する」ですよ。ここ何年もずっと同じことを言っているせいか既知感が打破できない焼津です、おけましておめでとうございます。

 去年は俺翼が出て、村正が出て、Diesにもケリがついた記念すべき年でした。今年は差し当たって「まほよ」こと『魔法使いの夜』、シリーズ第3弾にして完結編の『暁の護衛〜罪深き終末論〜』、東出祐一郎&中央東口コンビ久々の完全新作『エヴォリミット』、久々度で言えばエヴォをも軽く上回る鋼屋ジン&Niθコンビの新作『ドグラQ』あたりに期待か。そして麻耶雄嵩が『隻眼の少女(仮)』を、飛浩隆が『空の園丁』を刊行してくれることを願う。海外小説は文藝春秋がジェフリー・ディーヴァーの長編を2冊と、ジェイムズ・エルロイ久方ぶりとなる超大作の翻訳を準備しているとかでワクワクが止まんないです。

 現在読んでいる本は喜国雅彦の『本棚探偵の回想』。その前作に当たる『本棚探偵の冒険』が今年の初読みです。ハードカバー版が出た当時に話題となったのは知っていますが、エッセイの類にあまり興味がなかったので長らくスルーしていました。最近は腰を据えて取り掛かるフィクションよりも軽くてサッと読める雑記系が肌に合うこともあり、知らない間に文庫化していた『〜冒険』と『〜回想』を思い切ってセットで買ってみたら、これが大当たり。ミステリ関係の古書に数千、数万円を費やして鬼の蒐集家道をひた走る様が痛快な筆致で綴られています。戦前の海外本格ミステリや和製探偵小説に耽溺していた中高生時代を思い出し、懐かしさとともに胸が熱くなった。古本屋に入り浸り、「掘り出し物はないか」とワゴンを漁って時にお宝を見つけて狂喜しながらレジに向かったあの日々が勃然と甦ります。「古本を定価以上で購入しない」が己に課した鉄の掟であったため、作者の行動と重なる部分はそんなに多くないが、角川文庫の横溝正史作品を買い集めてコンプリートさせるあたりは中学生時代の自分そのままでした。蒐集癖が嵩じると「読みたい本」と「買いたい本」が乖離していくあたりはマニアの真骨頂であり、業の深さに笑むとともに我が身を振り返って反省した。なるべく今年は「買いたいがために買う本」を抑えて、「できるだけ早く読みたい本」に絞っていこう。本来なら「所蔵している未読の書籍をすべて消化するまで何も買わない」という選択が望ましいのだが、それだと向こう10年は何も買えなくてストレスで死んでしまいそうだ。書痴は読むのみにて生きるにあらず。「買った、物にした」という恍惚感がなくては枯れてしまう脆き植物なのだ。と無駄なカッコつけで〆。

謎の新ブランド、「テクスト。」

 = 深沢豊 × 荒川工 × 大槻涼樹 × α ――なんだこの面子は。いったい何が始まるんです? 「『はるはろ!』はどうなった」「『人工失楽園』はどうなった」「『True Color,』はどうなった」という斉唱が上がりそうな気もするが、とりあえず最初に深沢豊がシナリオを担当したゲームが出るとのこと。まだ不明な点が多いが、慌てずじっくりと注視させていただくとしよう。

・今年最初の購入予定。

(本)

 『或るろくでなしの死』/平山夢明(角川書店)
 『数えずの井戸』/京極夏彦(中央公論新社)

 当方らしからぬ驚愕の少なさ。年末で弾を撃ち尽くしたのか、「ちょっと注目」という本はあれど「すごく注目」という本はあんまりないですね。『或るろくでなしの死』は延期に次ぐ延期で発売がズルズルと先送りになっている短編集。今月出るかどうかさえ疑問。角川で平山夢明というと以前、『土壇場譚』なる怪談モノが発売予定に上がって消えたことがあるし、延期どころかまた発売中止になるのでは……と危惧されてやまない。『数えずの井戸』は『嗤う伊右衛門』『覗き小平次』に続く怪談モチーフ長編の3冊目。タイトルからして今回は番町皿屋敷でしょうか。予価が2000円(税抜)と少し高めだが、このシリーズは好きなので迷わず買います。と、あっさり終わってしまった。今月は楽だな。こりゃ「積読の消化に励め」というお告げかしら。

(ゲーム)

 『星空のメモリア Eternal Heart』(Favorite)

 今月はやたらとFDの類が多くて、確か6本くらい出るんだっけ?(『星空のメモリア Eternal Heart』『鬼まり。』『聖なるかな外伝 精霊天翔』『輝光翼戦記 天空のユミナFD』『ねこねこファンディスク3』『花と乙女に祝福を ロイヤルブーケ』) 新年早々から守りの姿勢に入っている感じで幸先よいスタートとは言いかねるが、不況なんだから仕方ない。『星空のメモリア』は本編未クリアだが、今のところ気に入っているので購入はほぼ確定。『鬼まり。』と『花と乙女に祝福を ロイヤルブーケ』は評判聞いてから考えようかなぁ、という程度。新作よりも積みゲーの消化を重視していきたい。

・拍手レス。

 マスラヲ一位には普通にびっくりです。漫画版も出るし、続編のレイセンも出るし、今年も楽しめそうですね
 出来がどうこうではなく、単純に夢中になれたのがマスラヲでした。事前に期待していないものほど面白さが跳ね上がるっていう心理効果でしょうか。

 龍盤七朝 ケルベロスが、ブラックロッドの頃の古橋センスが溢れ返ってる感じで素敵だった。器用さとアクの濃さを両立した作者だなぁ。あとは刊行ペースの問題だけか。
 勿体無くてまだ1/3も読み終わらない……細切れに読んでも楽しめるんだから、今回なかなか期待できそうだ。発刊速度と、続きがちゃんと出るのかどうか以外は。

 …代行殿、株上がり過ぎじゃね?
 トリファはまんべんなく見せ場がありますね。BGMの「ローエングリン」が好きなこともあってまこと嬉しいかぎり。


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