2008年4月分


・本
 『ホルモー六景』/万城目学(角川書店)
 『時砂の王』/小川一水(早川書房)
 『とらドラ7!』/竹宮ゆゆこ(メディアワークス)
 『ユーベルブラット(7)』/塩野干支郎次(スクウェア・エニックス)
 『BAMBOO BLADE(8)』/原作:土塚理弘、作画:五十嵐あぐり(スクウェア・エニックス)
 『インシテミル』/米澤穂信(文藝春秋)
 『スプライトシュピーゲルW』/冲方丁(富士見書房)
 『ももえサイズ完全版(A・B)』『電撃ももえサイズ』/結城心一(スタジオDNA、メディアワークス)
 『孤高の人(1)』/原作:新田次郎、脚本:鍋田吉郎、漫画:坂本眞一(集英社)
 『サクリファイス』/近藤史恵(新潮社)

・ゲーム
 『A profile』(AKABEiSOFT×mixed up)
 『るいは智を呼ぶ』体験版(暁WORKS)
 『11eyes』体験版(Lass)


2008-04-29.

・今更『Clover Point』の体験版やって「よるよるかわいいよよるよる」と理性をロストしている最中の焼津です、こんばんは。まさしく「夜々は豹変す」、前半と後半で見せる態度の激甚なる差に震撼しました。個々のイベントの破壊力もまた怖ろしい。「おにいチェア」は確実に大乱歩の「人間椅子」を超えた。副流愛渦巻く「手づくりお弁当の乱」は言うに及ばず。ああ、なんたる甘ったるしさか。湯煎したチョコレートを肺の中いっぱいに詰め込まれた気分です。よるよるを味わってなお生きていられることが不思議でならない。

 しかしこの体験版、収録範囲がやたら広い。共通パート+夜々ルート半分(くらい?)なんて、いくらなんでも長すぎですよ。「間違って夜々ルートを全部収録しているのではないか?」と疑った瞬間もありました。見せ場が後半に集中しているからって、大盤振る舞いにもほどがあるというか、久我重明さんがいたら最低五回「これ以上は見せぬ」って止めに入ってること間違いなし。話が重たくなってきたところで途切れますし、販促としてどうなんだろう。あと恋路橋、ウザいのか萌えるのかハッキリしないキャラクターでモヤモヤするぜ……決して悪いモヤモヤ感じゃありませんが。

・原作:新田次郎、脚本:鍋田吉郎、漫画:坂本眞一の『孤高の人(1)』読んだー。

 臥龍ミーツ断崖絶壁。ひたむきに頂上を目指して握力と背筋力と脚力、そして知恵を振り絞る少年の深く静かな青春を描いたロッククライミング漫画。新田次郎の山岳小説をベースにしており、原作は実在の人物である登山家・加藤文太郎を主人公に据えているが、漫画版では「森文太郎」というオリジナルキャラクターが主役を務める。時代も昭和初期から現代に変更され、コミカライズというよりもほとんど翻案に近いノリ。「登山」ではなく「登攀」が主眼となっている時点で別物……と割り切るべきかも。

 寡黙で誰とも言葉を交わそうとしない転校生・森文太郎――どこか暗い雰囲気を帯びた彼は、クラスメイトの宮本に「校舎を屋上まで登ってみせろよ」と挑発され、命綱も付けずにクライミングを始めてしまう。転落の危機を紙一重で乗り越え、見事に屋上まで登り詰めた文太郎。ゴールである庇に手を掛けた瞬間、全身に走った電流が忘れられなかった。まるで最初から定められていたかのように、孤独な魂は岩壁の攻略に取り憑かれてゆく。誰の協力も得ず、ただ一人でよじ登り目標地点に辿り着くこと。若き文太郎は「ソロクライマー」としての果てなき道のりを歩み始める……。

 タイトルも絵もカッコいいから期待していたが、実に期待以上だった。迫力と繊細さに満ちた美麗極まりない描写がひとコマひとコマ丹念に織り込まれていて、とにかく引き込まれる。終始ひたすら「登る」ことばかりに専心してストーリーらしいストーリーはないも同然だけど、そんなのが問題にならないだけの魅力に溢れています。主人公のどことなく妖しさを帯びた容貌からしてステキ。目立たない割にヒロインが可愛くて「もっと出番増やせよ」と要望したくなるものの、「孤高の人」って題しているくらいだからロマンス要素とかあんまりなさそうですね。ヒカ碁のあかりやテニプリの桜乃みたいな位置付けって認識しといた方が宜しいだろうか。

 ホント、最初から最後まで登ってばかりだし、路線としても才能開花型っつーか「眠っていた才能が突然目覚める」という感じでやや御都合主義な匂いが漂うけれど、それを押し流して読者を夢中にさせる画力は充分にあります。こういうストレートに面白さを堪能させてくれる作品はありがたい。ゴチャゴチャと考える必要なしに美味しく貪らせていただきました。関係ありませんが、個人的に一番好きなロッククライミングものは『風よ。龍に届いているか』

・近藤史恵の『サクリファイス』読了。

 脚で稼ぎ、心で勝ち取る。それが「誰かのために走る」ということ。

 第10回大藪春彦賞受賞作。世にも珍しい「自転車(サイクル)ロードレース・ミステリ」であり、第61回日本推理作家協会賞の候補作にも選ばれています。昨年までロードレースとかツール・ド・フランスと聞いても「ああ、自転車で走る奴でしょ。よく知らないけど」と思う程度の認識でしかありませんでしたが、『Over Drive』それに『シャカリキ!』と、ロードレースを題材に採ったマンガを立て続けに読んだせいで俄に関心が湧き上がりました。なのでこの本はまさしくうってつけの一冊。近藤史恵と言えば鮎川哲也賞作家であり、最終選考で貫井徳郎の『慟哭』を降して栄光の座に輝いた人です。その後も精力的に新作を書き続け、ミステリ業界でもそれなりの地位と人気を保持してきましたけど、なんだかブレイクには至らないと申しますか「これだ!」と自信満々に指差すような代表作がなく、いまひとつ決め手に欠けていた存在でもあります。個人的には『ガーデン』が結構好きだったりしますが……ともあれ、そんな「実力はあるのにパッとしない作家」だった彼女が殻を破って大勢の読者から高評価を得るキッカケとなったのが本書『サクリファイス』です。直訳すれば「犠牲」の意味で、時に「捨て駒」や「生け贄」、「褒美としてオプーナを買う権利をやる」といった文脈でも使われる。ごめんなさい、最後は嘘です。

 どこからやりなおせば、この結果を避けられるのだろう――ただ黙然と後悔を噛み締めた。チーム・オッジに所属する白石誓。彼はチームの花形には程遠く、むしろエースのために献身し「サクリファイス」となることも厭わないアシスト型の選手だった。現在、オッジのエースと見做されている選手は石尾豪。33歳と、スポーツ選手としては年配ながら駆け引き上手のヒルクライマーだ。彼に次ぐエース候補と期待されているのが若手の伊庭和実。スプリンターで、我の強い性格により周りから敬遠されているが、実力は確かだった。誰かのために走ること。それが取りも直さず「自分のために走ること」であった。己の勝利に執着するよりも、チームに貢献する走りを貫くことが好きな誓。やがて彼は外国のチームが日本人選手のヘッドハンティングを試みていると知って心をざわめかせるが……。

 プロローグの時点で暗示しつつも、後半に入るまで事件らしい事件が何も起こらない。小説的には「ミステリ」よりも「ロードレース」の部分に力が込められていて、分類上だと「青春スポーツ小説」あたりに落ち着くかもしれません。淡々とした筆致で、素っ気なくも丁寧な描写が心掛けられており、ロードレースが主題の物語としてはなかなか面白く読める前半。しかしどうしても「地味だ」という印象は拭えなかった。このまま普通に終わってしまえば「清々しい本だった」と誉めて、それ以上付け加えることもなしに終わりだったでしょう。ところがどっこい、クライマックスの畳み掛けは怒涛の勢い。それこそ読者を引き離そうとばかりにラストスパートを掛け、独走状態に突入する。慌てて付いていっても差を逆転することはできず、いとも易々と逃げ切られてしまった。ホント、終盤のサプライズはスピード感満点で目まぐるしく、「やられた!」というより他ありません。細かいところにまで敷き詰められた伏線が読み返すまでもなく次々と脳裏に甦り、「ああ!」と膝を打つのに忙しい。「感動」と書いてしまうと途端に安っぽくなる気がしますのでオミットしますけど、とにかく噛めば噛むほど味わいが増す内容でした。

 スポーツにおける「勝ちたい」という想いと「勝たせたい」という想いの温度差を掬い取った良い意味で青臭い小説。ほんの250ページちょっと、サッと一気に読めるくらいの程好いボリュームに収まった本です。本屋大賞では首位と大差を付けられ二位に甘んずる結果となりましたが、題名からするとこの順位がむしろ相応しく思えてくるのだから面白い。いささか綺麗にまとまりすぎな感触がないでもないけど、幕切れに爽やかな読後感が漂うことは疑いなき事実。今月発売した雑誌“Story Seller”には外伝「プロトンの中の孤独」が掲載されているみたいなので、そっちも読む予定です。

・拍手レス。

 な、なにゆえ今更ももえサイズ!?
 今更結城心一にハマり申したゆえ。

 化物語がアニメ化。戯言シリーズよりも先なんだね。
 戯言ってキャラはともかくストーリーがTVアニメ向きじゃないような気がします。

 紅は作者がやる気を削がれたりしてなければいいのですが
 PCクラッシュも乗り越えた御仁ですから大丈夫……と思いたい。

 『紅』の作者の作品は大好きなのですが、執筆速度があまりに遅い気が…。なんか理由があるんですかね?
 斑気なのかもしれませんね。書けないときはまるで書けない、みたいな。

 「紅」三の下、終わる前に終わっちゃいましたね。ラディッツとナッパ倒して終わった感。夕乃さん可愛すぎる
 夕乃さんのキモ可愛さはガチ。彼女が主役の番外編を一冊書き下ろしてくれたらすべてを水に流せそう。


2008-04-27.

Lassの『11eyes』体験版、ようやくクリア。

 製品版がつい一昨日発売したばかりってのに空気も読まず体験版ですよ。ダウンロード配布ながら1GB近い容量を誇り、公称プレー時間は「10時間」――昨今の体験版事情においても破格と呼ぶしかないボリュームですが、実際は10時間も掛からなかった気がするなぁ。計ったわけじゃないので間隔尺度ならぬ感覚尺度になりますが、せいぜい6〜8時間程度だったように思います。それでも「長ぇー」と言わざるを得ない量ではありますが。

 さて、Lassと言えば2作目の『3days』が有名なブランドです。「繰り返される三日間、止められない殺人劇」といった塩梅で、時空の陥穽に落ちた主人公が正体不明の殺人鬼に立ち向かうサスペンス系のループゲー。ループゲーは『腐り姫』等、既に多くの類例がありましたけど、猟奇サスペンス色を前面に打ち出したソフトは珍しく、主人公の見ている前で健気かつ可憐な幼馴染みの少女がむごたらしく殺害される体験版のクライマックスに衝撃を受けたプレーヤーは少なくなかった模様。当方もその一人で、製品版も購入しましたが、「体験版でやった部分をスキップするのがダルいな……」とインストールすらせず今もまだ積んだままにしていたり。大規模体験版の弊害って奴ですね。『11eyes』と『3days』は雰囲気のみならず設定面でも繋がりがあるようですが、そんなわけで詳しいことはとんと把握しておりません。

 デビューから5年が経過したにも関わらずリリースしたソフトは4本と、中小のエロゲーブランドとしては比較的寡作な部類に属するLass。おかげでパワーが分散せず、毎回高密度な内容でファンを楽しませている。「奈々子商法」にて悪名を馳せた時期もあったものの、今となっては「奈々子商法? 何それ?」って感じで通じない層がむしろ主流でしょう。ともあれ、学園モノであろうと容赦なく奇抜な要素をブチ込むLassが、『3days』以来となる直球のダークサスペンスに全力で取り掛かると聞いてそこはかとなく注目していました。サスペンスというか、ぶっちゃけ邪気眼。生まれつき片目の視力がなく眼帯を付けている主人公が「赤い夜」という異世界に迷い込んで死線を潜り抜けるなど、終始徹底して「これなんてラノベ?」な展開がこれでもかと詰め込まれています。メッチャ長いにも関わらずエロシーンは一つも収録されていなかったし、本当にライトノベルを読む気持ちで取り掛かった方がいいかもしんない。

 「赤い夜」の謎はまだまだ朧げに明かされた程度で解決には程遠いですが、迫り来る怪異は掌からポン刀取り出す赤毛陰陽師先輩が祓ってくれるので、前半はまだしも後半は緊張感が薄かった。サスペンス重視でやると、半分を過ぎたあたりからダルくなってくるかもしれません。やたらとパターンが多くて動きも細かい立ち絵は見ていて飽きないし、あらゆるところで演出が強化されていて目にも楽しい。でも、ちょっと動きすぎというか目まぐるしくて落ち着かないところはありました。男友達の匡なんかが特に顕著。反面、「喋ることができない」という事情からボイスが付いてない橘菊理は演出の効果で存在感を発揮することに成功しています。「ちょっとした動き」で感情を伝えており、このへんはなかなか巧い。スケッチブックによる筆談は立ち絵のみならずメッセージウィンドウ上でも表示されるため少しくどい気がしないでもないが、「静かな賑やかさ」を体現していることに関しては評価したい。

 容姿も言動もチンピラ臭いファイスタ野郎の賢久がほとんど出番ナシ……というか一回チラッと立ち絵が映る程度なので残念。あと「赤い夜」で繰り広げられる超常バトルも、主人公がまったく活躍しないことも相俟ってさほど盛り上がらなかったが、これだけ見境なしに厨要素を放り込んだゲームはやはり希少。若干飛ばし気味ではあったけど最後まで飽きずに楽しくプレーできました。匡のテンションが『青と蒼のしずく』のヒロッチョを思い起こさせてほんのりと懐かしくなったり。ヒロッチョはエロゲー界でも十指に入る「存在自体が面白い友人キャラ」だと、未だに確信しております。他は『秋桜の空に』の忠介とか『こんな娘がいたら僕はもう…!!』の芳宏とか『グリーングリーン』のバッチグーとか『つよきす』のフカヒレとか『ひめしょ!』のあっちゃんとか。『CLANNAD』はエロゲーじゃなくて人生全年齢向けだから泣いて春原を斬る。

 脱線しすぎた。最後に、気に入ったキャラは草壁美鈴。クールかつ美人系の先輩キャラで、声も含めてツボに直撃した次第です。割と天然入ってたり戦闘狂の疑惑があったり微妙に小者臭かったりと造型もなかなか。愛称は「みりん」で確定か?

・結城心一の『ももえサイズ完全版(A・B)』『電撃ももえサイズ』読み終わた。

 サイズは「size」ではなく「scythe」、つまり死神の持つ大鎌を指しています。「斬ったものの存在を肩代わりする」、つまりは吸収してしまうという設定で、一番最初に当たる第0回は「風紀委員ももえ」であったのに、ももえが死神の鎌でバッサリやられたことにより「風紀委員ももえ」は完、次回から新たに「死神風紀委員 ももえサイズ」が始まります……となる。以降毎回ももえのデスサイズが何かを斬るごとにタイトルが長くなっていき、最終的には300字を超えるもはや題名とは呼びがたい代物に成り果てます。詳しい変遷はウィキペディアの記述をご参照ください。パロネタや時事ネタが豊富で、例のヒゲガンダムみたいな容姿を有した「担英先生」が登場したりと、元ネタさえ分かれば面白いけど分からないとイマイチ笑いどころが掴めない作品です。オリジナルの部分も非常に個性的で、極めて人を選ぶ。

 最初はリイド社の雑誌で連載していたものの掲載誌が休刊となり打ち切り、未収録分を残したまま単行本も絶版となりましたが、その後掲載誌を変えて再開、旧バージョンの方も未収録分と書下し分を詰め込んだ「完全版」が発売されて今は全貌を割と容易に把握できるようになっています。ただし、結城心一のマンガにおいても突出して無軌道かつ勢い任せな内容であり、完結しているからといって気を緩めてはなりません。正直なところ、当方も一旦は「付いていけねー」と天を仰ぎ、途中で投げ出してしまいました。比較的マイルドな『まとちゃん』『ちろちゃん』を経由したことで再チャレンジする意欲が湧きましたけれど、これでもかと野放図に散らかされたネタの数々は感性の投網で掬い上げるより他なくて、それなりに楽しめたにせよ、「ね、面白かったでしょう?」という問い掛けにはやや首肯しかねる。これ、合う人にはバカウケでしょうけれど、合わない人はかなりの苦痛を覚えるやもしれません。「夜の墓場で運動会」→「騎馬戦をしよう」→「前方から巨大ながしゃどくろがーっ」とか、もう、終始ひたすら好き勝手し放題。

 とりあえず、キャラクターの個性と存在感はグンバツです。整理しきれないほど多彩な面子が揃っている割に、「こいつ誰だっけ?」となることが少なかった。ももえの幼馴染みであるたまみとその両親の扱いはメッチャひどい(ラミネート加工されて「特大ビーフジャーキーの真空パック」に間違われる母親ってどうよ)が、「二面四臂多肢メイド格闘術の使い手」であるメイ、「縦巻きロールと見せかけて蛇」……だったけど縦巻きロールをデスサイズに斬られてただの短髪ブルマになったろり子、上半身は可憐な色黒少女だが下半身はグロい海棲生物で「あー、『聖闘士聖矢』のポセイドン編にこんな魔獣の解説あったけ(調べてみたらスキュラ)」な高森さん、頭部が野槌と一体化していて額に二つ目の口がある野津ちえみなど、「個性」の一言では片付け切れない特徴的な要素を内包した連中ばかり。細かい元ネタとか分からなくても彼女たちが繰り広げるドタバタ劇を眺めるだけで「それなりに楽しめ」るわけです。

 苦手意識が強かったのに、読み切ったらなんだかんだで愛着が湧いてしまった不思議なシリーズ。ある意味、結城のエッセンスを濃縮非還元でぎっしり注ぎ込んでいると言えなくもないが、ここから心一世界に突入するよりもまず『まとちゃん』『ひめなカメナ』あたりで慣らしてからエントリーすることをオススメしたい。個人的には旧バージョンよりも『電撃ももえサイズ』以降のノリが肌に合いました。初期に比べて画面が見易いし、テンポも整ってきている。「未年限定大型アイドル」の出番がほとんどなかったことは悔やまれますが……。

・拍手レス。

 ……祭りはこれからだというのに、醜悪祭は終わりなんですね
 『紅』自体がこのまま終わるんじゃないかとちょい心配。

 化物語アニメ化か。なんとなく、京極堂映画化を思い出す。特徴溢れる台詞回しをどうするのかなぁ、繋がりで
 テロップを多用……したらウザそうですね。

 戦場ヶ原の声を担当する声優さんは優秀な人なんですね。わかります
 ラギさんのツッコミをどこまでクオリティアップできるかも重要になりそう。


2008-04-25.

『化物語』アニメ化するらしい――という噂にも驚きましたが、それ以上に本日届いた『紅〜醜悪祭(下)〜』の圧倒的な薄さに愕然とした焼津です、こんばんは。

 手元に置いた下巻、その薄さたるや僅か196ページ。純粋な本編は109ページ(うち挿絵イラスト5ページ)しかなく、本の後半はアニメ第一話脚本やら用語集やらキャラクター対談の形式を借りた解説やらに55ページを割いたうえ、巻末広告が17ページもあります。残りの15ページは口絵とか扉(大扉・中扉)とか目次とか登場人物紹介とか「これまでのあらすじ」とか「お便りのあて先」とか奥付とか。うーん、少なく見積もったとしても全体の1/3は水増しですね。もちろん、本編が100ページくらいじゃ話もキッチリ終わりません。戦いの火蓋を切り、まさにこれからが見せ場……というシーンで「次回につづく」となっている。『白銀の闘う姫(下)』を軽々と凌ぐ「これ下巻じゃねぇよ、中巻だよ!」っぷり。いや、正直言って中巻と呼ばうことすら……こりゃ新刊っつーよりも「アニメ化記念のファンブック、文庫サイズにて格安ご提供(書下し有!)」でしょう。正規のファンブックも来月に出るみたいですが。収録されていた本編は一応面白かったし熱中したけれど、あまりにもあまりな売り方ゆえ今回は感想を省かせていただきます。上巻には紅顔ありて、下巻には白骨となれる儲なり。それなりの覚悟は固めていたつもりでしたが、よもやここまでとは読み切れなかったです。

 それでも片山憲太郎のファンですから耐難耐、忍難忍の精神にてゆっくり続きを待つ所存。好きって切望だよね。

Lillianの『ティンクルくるせいだーす』、発売延期(5/30→7/25)

 「くるせいだーす」の部分でアルビジョワ十字軍的なものを連想してしまって大層血腥いイメージが脳内を席巻するクルくる、情報公開のペースからして来月発売はキツそうだなー、と見てましたがやっぱり。予想していたのでさして痛手でもありませんが、期待作が延期すると反射的に不安も募るこの御時世。Lillianは新興ブランドといえどもぺんしる系列の一つで、要はぱじゃまソフトの姉妹ブランドみたいなものと捉えておけば良く、実際にメインスタッフもプリっちの人たちですからそんなに不安がる必要もないとは思いますけど……何はともあれしっかりと仕上げてほしいものです。

暁WORKSの『るいは智を呼ぶ』体験版、やっとこさ終了。

 『暁の護衛』に付いていた体験版+OHPで配布されている音声パッチでプレーしました。音声パッチを当てても主要キャラ5人が声有りになるだけで、サブキャラは依然ボイスなし。製品版では付くのかな? このゲームの体験版がなぜ『暁の護衛』に入っていたのかと申せば、もちろん「暁」繋がりだから……というわけではなくて、単にどっちもあかべぇ系列のブランドだからです。前作『僕がサダメ 君には翼を。』とは製作のラインが違うらしく、スタッフもごっそりと入れ替わっている。ジャンルは「新美少女ADV」、わざわざ書くまでもないような表記ですが、要は主人公+5人の少女が「同盟」を組んで各々に課せられた「呪い」と対峙する共闘ストーリーです。本来なら繋がりを持たないキャラクターたちが互いに協力し合う流れは『最果てのイマ』あるいは『家族計画』を連想させるともっぱらの評判。ライターの一人である日野亘は田中ロミオと何度か仕事しているので、あながち縁がなくもない。ただ、「呪い」云々で言えば『車輪の国、向日葵の少女』の方に似ているかもしれず。

 最近の流行りなのか何なのか、主人公を務める和久津智は「見た目は美少女、中身はおにんにんランド」っつー所謂女装少年キャラです。目の前できょぬーヒロインによる豪快な乳揺れを繰り広げられたりなんかしちゃったらスカートの向こう側はエレクトリカルパレード開催につき、思わず前傾姿勢で股間を押さえてモジモジ照れ照れ。しかしむしろその格好が一番エロい! ふしぎ! というパラドックスの体現者でもある。物心をつくずっと以前、遙か古代から女装少年が好きだった気のする(主に錯覚)当方にとって要チェックな存在ではありますが、正直昨今のエンタメ界における女装キャラの無闇矢鱈な濫造ぶりは憂慮すべき事態と捉えており、この『るい智』も果たして女装主人公を出す意味があるだろうか? といささか懐疑的でした。

 一応、意味はあります。そしてそれこそが物語の核心「呪い」とも密接に関わってくる。智に掛けられた呪いは「男であるとバレてはいけない」という単純明快でいて深刻極まりない代物であり、もしバレれば命の保障とてない模様。仲間であるヒロインたちも「未来のことを約束してはいけない」「肌を触れ合わせてはいけない」などの条件が存在するみたいで、中には呪いの代償なのか、素手でバイクを持ち上げるくらいの怪力を保有していたりする。説明がやけにくどくどしく、話題が脱線しがちで、冗長というか冗漫なテキストは読み手を選ぶかもしれませんし、独特のリズムを刻みつつ交わされる会話も慣れるまで苦痛を覚えたりで大変かもしれませんが、慣れてくると設定の特異さや「ぼくらはみんな呪われている」という切迫感も興味深い要素となってきます。チャイニーズ・マフィアに追いかけ回されたり裏社会で「吸血鬼」と畏怖される顔役に貸しをつくってしまったり、終始ドン詰まりなムード濃厚で先の展開が気になるあたりも良し。ただ、「語り屋」と名乗る女との遣り取りなんかで顕著に見られる持って回ったような言い方はやっぱり読んでいてゲンナリするし、気合いを入れる部分が少しズレている感触はありますね。ストーリーはいい具合に盛り上がっていくんだから、もっとすんなり進められるよう可読性を高めてほしかった。

 体験版における山場、パルクールレースが終わった後もしばらく続く構成は太っ腹というか、見方を変えると「呪い」について言及するまですこぶる時間が掛かるわけで「もう少し手短にしても良かったのでは……」と思わなくもない。短気な人は核心に触れる前に投げ出してしまうやもしれぬ。実際当方も途中で投げそうになりました。最後までやり抜けば「結構面白そうじゃない」という感想も出てきます。ただ、「この先を知りたい」「続きが気になる」という意味での「面白そう」であって、キャラの掛け合いが楽しみなタイプのゲームじゃないんですよね……つまんないってことはないにせよ、ストーリーが動かないあたりの会話文は読んでいてダレる。主人公が女装している事情はちゃんとあるけど、女装そのものを現時点でまだ活かせていない気もしますので、しばらく様子見ということにしたい。ちなみに絵柄は結構好み。

・冲方丁の『スプライトシュピーゲルW』読んだー。

 見て驚け、とばかりにひたすら分厚いシリーズ第4弾。総頁数541ページ。「富士見ファンタジア文庫における最厚本」として知られていたかの『イェマドの後継者』(504ページ)や、旧版の1巻と2巻を合本した『DクラッカーズT』(507ページ)をも上回る分量であり、どこが「ライト」ノベルだよ、とツッコミたくなる威容を誇ってます。とはいえ『終わりのクロニクル』(最初の巻でさえも386ページあるのに最終巻はなんと1019ページ)という化け物を体験した後では衝撃が薄くなりますし、海外小説の翻訳だと540ページというのも「まあ、普通」ってボリュームではあります。ランキン作品では比較的短い部類に入る『血の流れるままに』ですら文庫版は550ページある。語るべきはむしろ内容でしょう。『紅〜醜悪祭(下)〜』は全力で見逃せ。

 さて、スプライト4冊目、シュピーゲルシリーズ全体から見れば7冊目に当たる(本当はオイレンの4巻が先に発売するはずだったので8冊目になる予定でしたが、そっちが延期したため順番も入れ替わった)本書は「フロム・ディスタンス」と「テンペスト」というふたつのエピソードから成り立っています。「フロム・ディスタンス」はドラマガこと“ドラゴンマガジン”に2回に分けて掲載された番外編であり、鳳と冬真の過ごす休暇――というかデートを描いた日常ストーリーです。番外編ながら80ページとそこそこの量で、つまりこれを収録せんがためにページ数が膨らんでしまったのではないかと自然に推察される。「なら省いて短編集にでも入れたらいいじゃないか」という話ですけれど、ところがどっこい、この「フロム・ディスタンス」、副題「彼/彼女までの距離」は鳳と冬真の関係が大いに進展するエピソードなので後回しにすると以降の展開にイミフなところが出てきてしまう。それゆえ多少無理をしてでも入れておこう、と作者が働きかけたのではないかと睨んでいます。ファンタジアやスニーカーは普段そこらの配慮がないっつーか無頓着で、「雑誌に掲載した短編で話を進めてしまったせいで単行本派の読者が首を傾げるハメに……」といった事態が往々にしてあるものでした。ともあれ、番外編ということで血が飛沫いたり銃弾か飛び交ったりすることなくのんびりと、しかし着実にラブコメ要素が強化され、なんとも微笑ましいアゲハ時空が繰り広げられておりまする。通常時はニコニコと笑みを絶やさず人当たりもいいのに、心に踏み込まれれば踏み込まれるほど「甘えたい感情」の裏返しとして頑なな態度を強める鳳はデレツンとでも呼べばいいのか。あるいは単にS属性の変質したタイプ? 恋アレルギーっつーか「体が勝手にいじめてしまう! イビる気持ちを抑えられない!」みたいな。そんな「あたくし様」を冬真が「そげぶ」と言い出しかねないほど見事な勢いで攻略してフラグをブッ立てていく様に惚れ惚れとしました。やはり、「トウマ」と名付けられた主人公はフラグ生成力がひと味もふた味も違う。

 4巻の目玉、「テンペスト」は書下し長編。タイトルの意味は「嵐」で、言うまでもなくシェイクスピア作品に由来する。真っ先に「テンペストスレッド」を連想したNEEDLESSヲタは当方だけでいい。文字通り風雨の吹き荒れるさなかに襲来してきた敵どもを「フォイエル・スプライト」の3名とその他大勢が迎え撃つ。2巻の『Seven Angels Coming』や3巻『いかづちの日と自由の朝』をも凌駕する熾烈な闘諍劇を連綿とノンストップで綴っています。要撃小隊に所属する特甲児童の鳳(アゲハ)・乙(ツバメ)・雛(ヒビナ)、3人がみな本気で休む暇なしに戦い続ける。幾度となく、ボロ布のように手足を引き千切られながら……つうか、いくら「転送」というシステムのおかげでダメージ喰らっても即座に回復可能だからって、あんたら揃いも揃ってボロボロになりすぎですよ。『ダブルブリッド』の片倉優樹でもここまでズタボロにはなりません。そんな戦闘シーンの激しさもさることながら、作中に用意されているTRPG「世界統一ゲーム」を通して物語の趣旨を分かり易く示してくれるなど、長さにダレさせない配慮が行き届いた構成も冴えています。実際ちょっと遊んでみたくなりました、「世界統一ゲーム」。遊んでいると言えば、新登場するキャラの名前が浄崇(キヨタカ)とか灰叢(ハイムラ)とか、ウブカタは心底やりたい放題だなぁ。今回は本格的にオイレンとリンクし、相互のキャラが一つの場面に出てきて会話したり共闘したりと非常に嬉しく心憎い仕上がり。おかげで散々な惨状を経過した割にはスッキリと爽快な読後感が残ります。

 分厚いくせに例のクランチ文体で却って密度が濃くなっている、なんとも驚異の一冊。読むごとにスプライトの方が好きになったりオイレンの方が好きになったりと大忙しな当方の心でしたが、これでいよいよ「どっちの方が好き」と言い切れないくらいに渾然とした愛着が湧いてきました。乙(ツバメ)も最初は好感が持てないというか、逆に違和感が募るキャラクターでしたのに、気づけばいつの間にか篭絡されて「ドキドキさせてよっ、ねぇ――っ!!」と敵兵をねだり殺す声に胸が高鳴っていた次第。雛の「いじめないでー!」の叫びも追い詰められる緊迫感が肌に伝わってきてドキドキします。鳳の豊乳が放つオーラは据え置き。シリアスとコミカル、もっと言えば「バトルとラブコメ」の両輪を捌き、国際謀略サスペンスという軌条に乗せて加速させていくウブカタの手際に魅了される。素直にオイレンの4巻が楽しみです。あとがきには5・6巻で完結とあるが、これはシュピーゲル全体の終わり――ということではなく、「第一部・完」みたいな意味合いだろうか? まあ、それで再開せず第二部が男坂の彼方へ消えたまま未完になったら嫌過ぎますが……。

・拍手レス。

 化物語アニメ化決定!どうも重版の方のシールに書かれているらしいです。これであの下品な会話が聞けるw
 言葉遊びの扱いがどうなるか気になるところです。


2008-04-23.

伊藤計劃がMGS4のノベライズを手掛けると聞いて仰天している焼津です、こんばんは。確かに「コジマニア」を自称するくらい小島秀夫好きの人ですけれど、話としてあまりにも出来過ぎで、最初見たときは思わずネタかと疑いました。あっちこっち関連リンクを開いてやっと納得した次第。彼のデビュー作『虐殺器官』が予想を上回る面白さで、「早く次回作来ないかな」と手ぐすね引いて待っていただけに驚喜の報せ。ぶっちゃけMGSやったことないけど、これは期待せにゃあ。

アニメが面白くてつい買ってしまったマンガ(VIPPERな俺)

 「つい買ってしまった」というからには購入行為がネガティブな結果に終わった例を挙げるべきか。スレ中に挙がっている分では『逮捕しちゃうぞ』の原作が「買ってしまった」感大。『少女革命ウテナ』もアニメばりの特異なセンスを期待すると……そして『天空のエスカフローネ』、克・亜樹版はほとんど別作品でしたね。最大のガッカリは、アニメじゃないけど『銀狼怪奇ファイル』かなぁ。原作もミステリかと思ったらオカルトだった罠。そのへん割り切って読めば『超頭脳シルバーウルフ』とてつまらなくはないんですが。逆にアニメを入口にしてアタリを引き寄せた、というパターンは『彼氏彼女の事情』『トライガン』『フルーツバスケット』あたり。

 やたら古いのばっかりなのは、単純に最近アニメ見てないからです。

読まず嫌いだったが読んでみると面白かったマンガ(ニュー速クオリティ)

 定番だけど『ジョジョの奇妙な冒険』。小学生の頃に第3部をやっていて、初めて読んだところが「セト神のアレッシーがお風呂場のお姉さんを胎児にする回」だったため、ちょっとしたトラウマになりました。設定とかワケ分かんなかっただけにすごく怖かったです。高校生になって第1部から読み直し、波紋やスタンドといった基礎知識を仕入れてようやく咀嚼できるようになった次第。それから『シグルイ』も実を言うと最初は敬遠していました。なんかこう、「アテルイの子孫シグルイが朝廷に真っ向から挑みかかる! 立ちはだかるは田村麻呂の子孫、田村魔羅!」みたいなストーリーだと勝手に勘違いしていて……いや、冗談じゃなく山口貴由の絵だとそういうビジョンがあっさり浮かびますゆえ。なんとなく読み始めたら1話目でいきなりハマりましたが。

 割と最近の例では『イキガミ』。「国家が『未来ある若者たち』をあえて無作為抽出で殺すことにより命の尊さを教える」という設定は苦しいってか無茶苦茶だし、「魂揺さぶる究極極限ドラマ」というクサい謳う文句にも拒否反応が出たけれど、無茶苦茶であることを重々承知の上でストレートな人間ドラマを描く姿勢に胸打たれ、気づけば新刊が楽しみなシリーズになっていました。根本的な部分がトばしている分、細部の作り込みはしっかりしようと心を砕いている感じ。『シャカリキ!』『俺たちのフィールド』みたいな名作も、「たぶん面白いんだろうな」と思いつつキッカケが掴めなくて後回しにして、いざ目を通してみたら「なんでもっと早く読まなかったんだ!」と後悔するほどの面白さだったりすることがしばしば。たとえブームが冷めた後でも美味しいものこそが「名作」ですけれど、やっぱそういうのは早いうちに味わっておいた方がいいですよね。と、あまり若くなくなってきた人間が言ってみる。

めろめろキュートの『吸血奇譚ドラクリウス』、プレー中。

 現在、第3章の「能力」。第2章「現実」はあまり話に動きがないというか、進行が遅くてちょいとダレました。次の敵になるであろう人物や「黒幕」に当たる存在も少しずつ分かってきたけれど、直接対決に持ち込まれるまでもう少し掛かりそうな気配。3章はリカ・ペンブルトンの回想が入ることもあって、徐々に盛り返してきます。あれだけオバカでお騒がせなシスターのくせに、過去編だとやけにカッコイイな。普通にバイオハザードっぽい雰囲気で、地下に突入する件はドキドキしました。

 「二人目の敵」との戦闘を終え、これで4章に移るのかと思ったら、まだ3章が続くんですね……なかなかペース配分の読めないゲームだ。「無律反転」と書いて「ノーサイドリバース」、「脳内君主」と書いて「ブレインタイラント」と読ませるなど、コッテコテの異能バトルを羞じることなく堂々と貫いている点では好感が持てるし、戦闘シーンの描写および演出も凝っていて楽しめますが、盛り上がる場面に入るまでの前置きが長いのはやや難か。

 さて、「三人目の敵」と刃を交える時も徐々に近づいてまいりましたが、以降の展開についてはネタバレに抵触すると申しますか、言及することに気兼ねしてしまいますので、コンプリートするまで感想は控えさせていただきます。今月中に終わらせられるかな……。

・米澤穂信の『インシテミル』読了。

 著者9冊目の本にして第7長編となる書下し作品。パッと見では厚さに欠ける気もしますが、実は紙自体が薄いので見た目以上の分量が詰まっています。原稿用紙換算で1000枚とのこと。たぶん、現時点で米澤穂信最長の小説でしょう。内容はこれまでと同じく日常のちょっとした謎を解き明かしたり、何気ない些細なことから思わぬ真相を導き出すタイプのミステリだろう……と決め込んでいたものの、意外や意外、なんとデスゲーム小説でした。デスゲーム小説とはあらかじめルールが制定されている状況で殺し合ったり死にそうな目に遭ったりする類のサスペンス小説であり、日本だと『バトルロワイアル』、海外では『死のロングウォーク』が有名。『蠅の王』みたいなサバイバル小説と違うところは、ルールや状況が人工的に用意されていること。だから『クリムゾンの迷宮』もサバイバル要素が濃厚ながらデスゲーム小説の方に分類することが可能です。とはいえ、そもそも「デスゲーム小説」というジャンルの名称や定義はかなりマイナーで見解も統一されておらず、一般的にはほとんど普及していませんから、この説明もあまり真に受けないでください。

 時給一一二○百円――つまり、11万と2000円。しかも「実験のモニター」という名目なので、参加すれば24時間フルで支払われる。誤植でないとすれば破格のバイト料だった。怪しみつつも、結城は「車を買いたいから」といとも気軽に申し込んでしまう。一週間丸ごと拘束されること以外、何もかもが不明な「実験」。誰がどう考えたって「ヤバいだろう」と判断する謎の仕事。その詳細は「実験」の舞台となる「暗鬼館」にて明らかとなった。期間は最大七日。地下施設「暗鬼館」で七日間が経過するか、あるいは参加者12人中10人が死亡し生存者2名となった時点で終了とする。はっきり「殺せ」と強要しているわけではない。しかし、確実に殺人を奨励する意図の篭もった陰湿な「実験」。やがて本当に死体が転がり出すにつれ、参加者たちの間で猜疑心が募り、文字通りの疑心暗鬼に陥っていく。後悔したってもう遅い。果たして誰が「探偵」で誰が「犯人」なのか。極限状況のなか、結城は一つの「真相」を喝破するが……。

 少し前に見た時給850万のバイトを思い出したけど、今読み返したらコメント欄に本書の名前が挙がっていました。そんなわけで物凄いバイト料に釣られてホイホイやってきた連中が「ド畜生!」と罵りたくなるデスゲームに放り込まれるサスペンス小説です。しかし、バトロワやロンウォーと比較すればサスペンス性やバイオレンス性は希薄で、血と暴力に満ちたドロドロのストーリーを想像して読むと「ヌルいな」と思うかもしれません。あくまで極限状況下で繰り広げられる殺人劇の謎を解くことが主眼であり、基本的なマインドはサスペンスよりも本格ミステリに近い。一種のクローズドサークルものには違いなく、普通にやれば「今どきここまで徹底した閉鎖環境なんてわざとらしい」という謗りを免れないが、そこを逆手に取ってデスゲーム小説化することで「不自然」という問題点を消化しています。12人の参加者それぞれに個別の凶器が分配されるバトロワめいた趣向もロジカルに処理。緊迫感と論理性が調和しており、細かいルール説明もついじっくりと読み耽ってしまう。お見事。

 ヌルいとは申しましたが、それはグロいシーンやキツい場面がほとんどないという意味であって、先の読めない展開にハラハラするであろうことは保証致します。スリルとサプライズを兼ね揃え、それでいて軽妙洒脱。あまり細かく書くとネタバレになってしまうので漠然とした言い方になりますが、ここぞという見せ場に限ってあえて「お約束」を外すことが多くて面白かった。「よくあるパターン」を避けた結果、独自のテイストを引き出すことに成功しており、何とも滑稽である一方で変に生々しい雰囲気が漂う。クライマックス、聴衆が精神的に参っていて探偵の推理を理解する気力もないあたりは最たるもので思わず苦笑いが漏れました。

 オチの部分で好みが分かれそう(個人的にはちょっと物足りない)ですけれど、導入から終盤までに掛けて弛みのない理想的なクローズドサークル・ミステリに仕上がっている。複数の意味を掛けたタイトルからして心憎い。デスゲーム小説好きのみならず、本格ミステリ・ファンにもオススメしたい。そして何より、「デスゲームとか本格ミステリとかそんなの知るか」とばかりに無関心を翳す方であっても一度読み出せば虚心で楽しめることでしょうから、最終的には全方位に向けて推したい一冊。ノン・シリーズ作品なので「米澤穂信は読んだことない」って人もここからどうぞ。他には『さよなら妖精』『犬はどこだ』『春期限定いちごタルト事件』なども併せていかが?

・拍手レス。

 ここを見てると、たまに九月周の気持ちになることがありますよ。
 いえ、だからどーってわけでもないですが…個人的には、けっこう貴重なことなので。

 考えてもみれば、あの新宿からもう4年も経ったのか……。

 めてお復活らしいですよ。たーのしみーだー
 ここは一発ドカンとめておストライクを放ってほしい。

 毒めぐ氏についてはもう手遅れだが、ひぐらしにまで飛び火はカンベン
 そういえば、来月に実写映画の公開が始まりますね、ひぐらし。

 修羅場のまとめサイトからリンク消されてますね>タイホされた人のサイト
 そうですね。


2008-04-20.

『蒼色輪廻』のダウンロード販売、開始

 「埋もれた傑作」と呼ぶより他ないソフトなのでここぞとばかりに推しておきたい。主人公が童貞を抱えたまま投身自殺を図る冒頭から始まり、ひたすらにループを繰り返して「幸せな結末」に辿り着こうとするも、いつも決まって悲惨な死を遂げる……と大枠だけ取り出せば暗いが、主人公である堂浦のキャラクターに助けられ、スラップスティック感覚で腹を抱えて遊べる一作になっています。笑えて泣ける娯楽の喪王。寝取られどころかヒロインが殺される展開もありますので、そういうのがダメという方にはオススメしませんが、「退屈じゃなけりゃどんな展開でもバッチ来い」って方は是非。

 このシナリオを書いた蓮海もぐらは現在『煉獄のノア』という企画を通そうとしているのだとか。ファンの一人としてうまく行くことを期待したい。

『孤独のグルメ 【新装版】』、いつの間にやらもうすぐ発売に

 即座にポチりました。前々から気になっていたマンガですけれど文庫版は絵も字も小さくて読みづらく、「大判サイズを再販してくれないかなぁ」と常々思ってた次第。「特別編」も収録されて、正に願ったり叶ったりの新装版です。

俺、小学生のときに同級生の子にプロポーズしたことあるんだけど

 某所でコピペを見かけましたが、読んで思わずニヤリとなった。改変ネタで、元の方は「未だに同窓会で馬鹿にされる」がオチみたいですね。切ない。

初音ミク、ボークスより1/6スケールでPVC化決定

 これはまた結構なお手前で。ねんどろいどfigma1/8PVCと、ミクの立体は凄いですね。普段造型方面に興味がない人間でもこういうの見せられるとグラつきます。

めろめろキュートの『吸血奇譚ドラクリウス』、プレー中。リアンルートクリア。

 あれ? 何か急にテンポが激変したな……と首を傾げていたら、何てことはない、リアンルートに入っていました。予備知識として仕入れていた情報によるとドラクリはメインルートとリアンルートの2本から成り立っていて、メインの方を藤崎、リアンの方をサブライターが手掛けている可能性が高いと見られている。実際、それまで「ロゥム」と表記していた部分が「ローム」になったり、主人公のリアクションに「えーっ!?」みたいな感じのものが増えて、文体が別物に転じます。特にギャグ方面は破壊力溢れる藤崎テキストと比べると、いささかヌルかったかな。テンポもいまひとつでダレがちですし。逆にシリアス系の文章はそんなに悪くないと申しますか、箇所によっては本編より読みやすいかも。どうでもいいですが桜の中の人のが恋楯で桜庭優やってた声優と一緒ですね。これがホントのさくらさくら。

 ドラクリウスが全何章形式なのか今のところよく分かりませんが、とりあえず序章は共通で分岐なし(選択肢は一応出てくるけど総当り形式に近い)、第2章でメインルートかリアンルートのいずれかに振り分けられるみたいです。リアンルートは個別シナリオとしては割合短くて2、3時間で終わる。本質的な問題が解決されぬままリアンやその従者ゼノと結ばれる筋立てとなっており、戦闘シーンも具体的な描写を含めたものは皆無に等しいため、伝奇アクションを期待したプレーヤーには壮絶な肩透かしとなりましょう。ただ、問題を丸っきり放り投げてしまうのではなく、かなり強引にとはいえ畳む方向へ持ってった点は評価したい。もっといい加減で曖昧な終わり方だと思っていましたから。

 選択肢のほとんどが後半に固まっていて、いかにもマルチエンドが取って付けたふうに見えるのが難ながら、想像していたよりはマシな仕上がりでした。まあ、あくまで「マシ」という程度であって本音を申しますと、間延びした展開に眠気が差すこともしばしば。ゼノ・リアン・委員長といったサブキャラのエロシーンを消化するためのシナリオ、といった印象で「別にあってもなくても……」が率直な気持ち。蛇足とまでは行かず、減点要素にこそならないにせよ、褒め称えて加点すべきポイントとは見做しかねる。悪くはないが、格段に良いわけでもない。少なくとも伝奇バイオレンス的にはガッカリ。ということでメインルートにて挽回してくれることを祈ります。

・拍手レス。

 いつごろ出て来られるんでしょうかね>毒めぐ逮捕
 「逮捕」自体の拘束時間はもう切れているでしょうけれど、実際どうなっているかは……。

 好みがまったく同じで吹いたw。だからこのサイトを何年も見てるんだろうけど。
 好みの合うサイトを見つけるのって嬉しいですよね。特にマイナーなもので合うと激しく頷いてしまいます。

 なんか、ネット見て回ったら、「ざま〜みろ」という意見が大半だったりするんですが・・・世間って怖い
 世間の恐ろしさは今も昔も同じですが、ネットの介在でより実感しやすい環境ができてきました。

 さっちんヒロイン昇格キター 個人的に、月姫にはエロスが必要だと思うのですが。
 全年齢の場合だと、規制でヌルくならないか心配。

 姉様好きに悪い奴はいねぇってばっちゃが言ってた!
 一時葱板の「こんな初音姉様は嫌だ!」スレに通ってましたが、あそこは実に楽しかったです。

 >エロゲで吸血鬼ものといえば  です☆めた…
 あれ、結構面白かったのにほとんど話題にならなかったなぁ……かく言う当方も体験版だけで、製品版は積んでますが。

 ユーベルブラット。いくらなんでも、湯気が、濃いだろう……。
 ヤングガンガンはお色気路線を捨てるつもりなのかしら。


2008-04-18.

・昨日の夜8時頃に「少し眠いな……」と横になり、起きたら朝の7時だった焼津です、こんばんは。

 まさかちょっとした眠気から11時間も寝入るとは。さすが春眠、暁を覚えさせないぜ。

amazonで『Fate/Zero』の取扱が開始された模様

 言わずと知れた虚淵大哥(アニキ)入魂のノベライズ作品。これで入手が随分と容易になりますね。参考までにリンクを貼っておきますと、

 『Fate/Zero Vol.1 −第四次聖杯戦争秘話−』
 『Fate/Zero Vol.2 −王たちの狂宴−』
 『Fate/Zero Vol.3 −散りゆく者たち−』
 『Fate/Zero Vol.4 −煉獄の炎−』

 といった感じです。ISBNを取得していないせいか分類が「CD-ROM」になっておりますので「和書」で検索してもヒットしません。ご注意を。

飢え死に寸前の海原雄山にカップラーメンを差し出すどうなる「好き好き大好きっ」経由)

 デイヴィッド・イーリイの「グルメ・ハント」(『大尉のいのしし狩り』所収)を思い出しました。

今までやったエロゲの中で一番好きなキャラ「GF団」経由)

 断然、初音姉様(『アトラク=ナクア』)です。黒髪と黒制服の調和があまりにも麗しく、玲瓏たる相貌とも相俟って立ち絵が初表示されるや否や数分間は見入ってしまいました。紛うことなき一目惚れ。プレーすればするほど想いは募り、薄まるということがなく、未だ忘れじの存在であります。残酷と倦怠、無情と執念が斑に入り混じった様は人外ヒロインのベスト・オブ・ベスト。男キャラに限定すればパラロスのジューダス・ストライフが一番ですね。『Dies Irae』ベイ中尉が猛烈に追い上げてきて首位交代劇を演じかけた一幕もありましたが……その件に関してはお察しください。

・最近読んだ本の感想をあれこれと。

 竹宮ゆゆこの『とらドラ7!』はアニメ化決定とは無関係に最高潮の盛り上がり。クラス一同で執り行うクリスマス・パーティをゴールに据えて青春スメルを四方八方へ撒き散らす。前半は仕込みの段階なのでやや退屈だったが、パーティ本番を迎える後半はすごく賑やかで楽しかったです。ギャグとシリアス、ともに高い水準に達しており、ハイテンションを上手に制御していて正に脂の乗りきった印象がある。嵐となって唸り、すべてを切り裂くゆゆぽ節に全米が震えた(弛んだ二の腕やだらしない腹部がプッチンプリンの如くフルフルと揺れるイメージで)。まあ、「このラストで話を切るのかよ!」と若干抗議したくなる幕切れで、巻そのものの満足度は微妙ですが。続きが気になってしょうがない。全体のストーリーは6巻あたりで折り返しに入った感がありますし、ずるずると引き延ばし展開に入るのでなければ結末を目にする日もそう遠くないと思われます。次はそろそろスピンオフをまとめた短編集が来る頃合かな?

 塩野干支郎次の『ユーベルブラット(7)』は異世界ダークファンタジーの最新刊。詳しいストーリーについて触れたら即座にネタバレを引き起こす、なんとも感想書き泣かせの作品ゆえ未読の人は一刻も早く0巻を読まれたし。細心の注意を払ってネタバレせぬよう紹介しますと、「左目に傷のある華奢な体格のエルフ少年(美少女顔)がドすごいパワーを発揮してむさ苦しい野郎どもをバッサバッサと切り伏せては薙ぎ倒す」って具合になります。主人公が♀っぽい容姿してるあたり、同作者の『ブロッケンブラッド』と相通ずるところがありますね。ただ、ブロブラのノリとは正反対。ギャグはほとんどなく、あったとしても物語の雰囲気を壊さない程度に配慮されている。それから初期は読者サービス的なお色気シーンがチラホラあったけど、最近はめっきり減ったな。残念。構想が壮大すぎるせいで8冊費やした現在もまだ1/3にも達していない気配が濃厚であり、この調子だと全30巻くらいになるんじゃないか……と少し気が遠くなります。「構想が壮大だから新刊出てもあまり進んだ気がしない」って感覚は『ニードレス』と似ていなくもない。どちらも刊行ペースが安定している分、『ファイブスター物語』を待ち望むファンよりは恵まれていますが。当方は既に脱落致しました、FFS。12巻が出ていたことも知らなかったほど。さておき、ユーブラ7巻は巻末にある「奴隷騎士」の記述が面白かったですね。淡々と綴られているものの、行間を想像してニヤニヤしたり。ふたりとも素直じゃなさそうなツラしてるから、相当美味しいラブコメ展開があったに違いない。

 原作:土塚理弘、作画:五十嵐あぐりの『BAMBOO BLADE(8)』は、えーと、アニメまだやってるんですっけ、それとももう終わった? どちらにしろ「我が道を征く」っつーテイストが横溢するいつも通りの内容でした。今回はたまちゃんが活躍するシーンはあんまりなかったですね。どうでもいいところで無駄に身体能力の高さを発揮しているあたりには笑いを漏らしましたけども。話の展開がいつもにも増してのんびりしてきたものの、別に「引き延ばし」という印象もなくノホホンと楽しめました。バンブレに限っては、マンネリだ何だと謗られても出来るだけ長々と連載を続けてほしいものだ。読んでいてこうも寛げるマンガは貴重。それから巻末マンガに触れられています通り、剣道でも二刀流は実際あるそうな。初めて聞くと「えーっ!?」な驚きが湧き上がりますね。ぐぐってみたらこんな本こんな本が。しかしこうしたノンフィクションや、トリビアとして解説している作品はいくつかあるけれど、中心ネタに持ってくる奴はそうそうない。二刀流の剣道を扱ったフィクションで覚えがあるのは『ひめしょ!』のココシナリオぐらいかな。単に当方が剣道モノを嗜んでいないだけ、という説も有力視されています。

のまねことウッウウマウマを流行らしたのは俺(ハム速 2ろぐ)

 僅か3ヒットコンボゥ!(サイバーボッツ)により撃沈。テンポの良さに見惚れてしまいます。お美事。

めろめろキュートの『吸血奇譚ドラクリウス』、プレー開始。

 藤崎竜太のシナリオが好きなのに、なんとなく食指が動かなくてスルーしていたこのソフト。コンシューマ移植版の評価もだいたい固まってきたことだし、まずはPC版から手を付けてみようと今更ながら購入致しました。初回版が発売したのは去年の5月でしたが、当方が買った分は10月にリリースされた通常版。特典がなくなった代わりに価格がフルプライス(9240円)からミドルプライス(7140円)に引き下げられています。「吸血」で「ドラクリ」だからもちろん吸血鬼を題材に採ったゲームで、正直言って今時吸血鬼というのも手垢まみれな印象が強く、あまりそそられないのだが藤崎スキーとして避けては通れぬ道だと認識して腹を据えました。

 しかしこの通常版、箱側面に書かれている値段の表記が直ってなくてシュリンクの上にシールを貼って訂正しているあたりが何とも言えませんね。あと、ドラクリウスはデフォルトだとディスクレス起動不可なので、OHPのディスクレスパッチ請求フォームに赴いて手続きしたら、だいたい2、3時間くらいでメールが届きました。これで準備万端、心置きなくやり込むのみです。体験版ではメッセージウィンドウ内のテキストが常にセンタリングされていて「読みづらいなぁ」と顔をしかめましたが、よくよくコンフィグを眺めると左詰め表示も可能みたいで、早速そっちに変更しておきました。欲を言えばメッセージウィンドウの枠や透過率も弄りたかった……が、ないものは仕方ない。現状で我慢。

 荻島潤は華奢で少女と見紛うばかりの美貌を持っている、ただそれだけの少年――ではなかった。真祖たる吸血鬼と人間である母との間に生まれたハーフヴァンパイア。それこそが彼の正体であった。エルシェラント・ディ・アノイアンス、通称「ベルチェ」が淡々と真実を告げたとき、潤は信じることができなかった。しかし、左の瞳が赤みを帯び、見えるはずのないものが見え始め、「ムーンタイズ」と呼ばれる奇妙な能力が目覚めるにつれ、単なる冗談と笑い飛ばすわけにもいかなくなる。ベルチェは潤に「人として生きる道に引き返すことはもうできない」と説き、家督を放り出して逐電した父親の代わりに跡目を継ぐよう迫る。不老不死の肉体を具え、果つることなき命と魂を抱え、遙か悠久の時を存える吸血の徒。その列に自分が加わることが可能か否か。まだ人間として思考することが許されている僅かな猶予期間のなか、彼は煩悶の末にどんな答えを導き出し、誰とともに未来を歩もうとするのか……。

 エロゲーで吸血鬼モノと言えば『吸血殲鬼ヴェドゴニア』『月姫』の二大タイトルが有名どころですが、本作は別にどちら寄りということもなく中間地点に佇んでいる気がします。主人公自身が吸血鬼化するあたりはヴェドゴニアっぽい感じもするけど、街の中で起こる凄惨な事件を解決しようと夜歩きするところは月姫と言えなくもない。現在は序章、第一の敵と言うべき相手と戦って勝った後の小休止、って場面まで進めました。一番最初に当たる敵だから速攻で倒せる雑魚かと思いきや、案外と苦戦してバトルが長引き、決着するまで二度も舞台変更しやがる。なかなか気合入れて書いてるなぁ。それにしても敵との会話、エロゲーにありがちなヘタレで頭の回転が鈍く「なんだって?」「どういうことだ?」「わからない……」を繰り返す主人公と違い、相手の答えを先回りして口にするなど、考えを巡らせてイニシアチブの確保に努める駆け引き描写があったりして大いに楽しんだ。ぶっちゃけ、無数の銃弾をドンパチと撃ちまくる戦闘シーンよりも、敵と主人公とで舌戦を繰り広げる段階の方が明らかに面白い。言葉の応酬からして燃える、なかなかアタリのゲームですね、これ。

 基本的にシリアスな描写が多く、さほど藤崎特有のイカレたテキスト回しが見られないのは残念だが、サスペンスとして読めば悪くない雰囲気。PC版はルートがほぼ一本道なうえ後半の展開が尻すぼみで、エンディングに至ってはかなりガッカリするそうだが、CS移植版ではトゥルーエンドが付いて割と見応えのある出来になったそうだから、ひとまずクリアしてから移植版にも手を伸ばすかどうか思案するとしよう。今のところヒロインたちに向ける関心度ランキングは「ベルチェ>リアン>ゼノ>>>リカ」って感じ。いや、リカさんのアホっぷりはホント洒落になってなくて頭痛がしてきます。こいつ、なんて自信満々なバカなんだ! きっと彼女はセンゴクナナミの祖先。余談だけど、このゲーム平常は主人公の一人称視点で進行していくから、主人公自身の顔を見る機会があんまりなくて遺憾です。せっかくの美形だってのに、勿体ない。

・拍手レス。

 起こっちまったもんはしょうがねーっすよ。世の中なんだってアリですから。
 日々是バーリトゥード。呆然とばかりもしていられませんね。

 なんか、ともひさんにも迷惑掛けてるみたいですね>毒めぐ逮捕
 ともひさんと毒めぐさんは別人ですよ、念のため。

 初期報道における記事の不正確さには閉口しました。

 なんとなく、児ポ法が成立しても良いような気がしてきたw>毒めぐ逮捕
 児ポ法自体は既に成立しているのでは?


2008-04-14.

・近頃は『るいは智を呼ぶ』の体験版『11eyes』の体験版をのたくたプレーしてる焼津です、こんばんは。しかしこの2つ、体験版のくせしてメチャ長ぇー。結構トばし気味にやってるのに終わる気配がまるでありません。

 『11eyes』なんか容量が1GBくらいあって、公称10時間ですからね……果たして最後までやれるかどうか。幸いテキストは読みやすいので、今のところ楽しんで進めております。とりわけ冒頭が佐藤賢一の西洋モノを彷彿とさせて好みでした。時代もちょうど『オクシタニア』の頃かな? しかしこれ、数百年の時空を跨って展開するみたいで、またえらく壮大なストーリーですね。学園パートがあって、そこから隔絶した「赤い夜」という奇妙な世界があって、差し当たって「黒騎士」と名付けた敵連中もお出ましになるけど、別にそいつらが「赤い夜」を仕組んでいるわけでもなさそうだという……うーん、こんなに風呂敷広げて畳みきれるのだろうか。

 『るい智』はそれに比べるとややスケールが小さく、6人の少年少女が絆を得て「同盟」を組み、一致団結する共闘の物語っぽい。既にあちこちで指摘されていますが、『家族計画』『最果てのイマ』といった田中ロミオ(山田一)作品が想起されて已まない。キャラデザ等は好みの部類。中んずく花鶏(あとり)さんが端麗な容姿・サドくてエロい性格・低めの美ボイスと三種の神器揃っていてツボだけど、テキストが冗長なのとテンポが独特なのとでちょっと読みにくいです。慣れたらハマりそうですが慣れるまで大変な感じ。今はレースが落着したあたりで、ここで体験版は終了かと思ったけどまだ続くのか……物語の核心らしい痣に関する謎もまだ不明のまんまだし、もうちっと進めてみよう。ちなみに痣云々で『八犬伝』思い出しました。

 併せて優に数時間はプレーしたはずだってのに依然として終わりが見えません。これ、両方ともキッチリやり抜こうと思ったら、たぶん新作を攻略するくらいの覚悟が必要になるんじゃないか。なんて贅沢な体験版。ハハハ……はぁ、『CLANNAD』の完了がますます遠ざかりそうです。にしても春原の叫び声は聞けば聞くほど癖になる。

『恋する乙女と守護の楯』、PS2に移植決定

 発売当時から人気のあるゲームだったから移植は「来てもおかしくない」と思っていましたが、確定情報として聞かされるとやはり少し驚く。こちらによると妙子の声優はドラマCDと同じく釘宮理恵のよう。個人的には移植版よりもFDあたりを所望したいところですが、ここから更にもうひと展開あるかもしれません。しばし静観の構えを取ることに致します。

エロゲメーカーが“要らない”体験版を出し続ける理由「独り言以外の何か」経由)

 製品版をコンプする時間的な余裕も気力的な余裕もない人間にとって体験版は実にありがたい。場合によっては製品版よりも体験版の方を愛してると申しても過言ではありません。浮き浮きしながら購入した製品版で大いなる期待を粉微塵に打ち砕かれた、とかいった特殊な事例(でもなくなってきているかな、最近……)を差し引いてもなお。

 まず何より、途中で投げ出す率が低いこと。これが利点の一つ。製品版は話がダレ始めてくると「まだ先は長いし、一旦仕切り直そうか」と考えて中断し、そのまま再開せず挫折してしまうケースが結構あるけれど、体験版の場合だと「これぐらい最後までやり抜こうぜ」と自己を叱咤する気が湧いてどうにか終端まで付き合えるわけです。去年コンプしたエロゲーは僅か4本(うち1本はFD)。中断したまま再開の目処が立っていないソフトは10本もある。翻って体験版は40本くらいプレーしています。感想を書くのが面倒でわざわざ触れていないものも多いけれど、これじゃエロゲーマーというより体験版ゲーマーだ。

 なんでそんなに体験版が好きなのかと言えば、ひとえに幼少期、新作の体験版を収録した豪華なゲーム雑誌を物欲しそうに横目で眺めつつ廉価な雑誌(ファミ通とか)を買っていたことに起因するかと。今では割と低く見られている「体験版」ですが、かつて縁のなかったゲーマーにとっては存外憧れを向ける対象だったりするのですよ? サイトを立ち上げるキッカケの一つとなった『うそ×モテ〜うそんこモテモテーション〜』も体験版がなければ存在すら知ることなくスルーしていたことでしょう。逆にサイトを立ち上げたキッカケのもう一つ、『斬魔大聖デモンベイン』は体験版があったら回避していたかもしれない。序盤のノリが全然合わなくて一時はやめようとしましたし。途中からグンと面白くなって、最終的には蟻地獄級のハマり方をしましたけど。

 体験版は、OHPや雑誌記事をどれだけじっくり丹念に観察しても掴めない、そのゲーム特有の「雰囲気」とでも呼ぶべきものをほぼ一瞬で把握させてくれることが最高にありがたい。単純に動作チェックとしても使えますし、快適にプレーできるかどうかを判断する材料にもなってくれる。クリックレスポンスの悪い奴や、やたら強制ウェイトの多い奴、演出が過剰でうざったい奴に当たって、コンフィグでそうした部分をいじれなかった場合は購入を取りやめてしまうこともままある。システムの快適さを主たる理由として買うケースも、少ないながらあります。『白詰草話』や、最近だと『明日の君と逢うために』がそうですね。もちろん作品自体が好みでなきゃ財布の紐も緩みませんが、この二つに限っては実際にプレーしてみて「すんげぇ気持ちイイ!」と感じたからこそ買いに走りました。

 スタッフを信頼し、あえて体験版を無視して買う(か、もしくは時間の折り合いがつかず体験版をやらないまま発売日を迎えてしまう)こともたまにありますけど、めぼしい体験版はアップロードされ次第ASAP(可及的速やかに)プレーするのが信条。いや、信条ってほどでもないか。ちょっとした時間を埋めたり、気分転換を図ったりするには本編攻略よりも体験版崩しがちょうどいいんですよね。

 あとリンク先の文中にある「素で体験版のつまらなさが理解できていない」は一見笑えない笑い話のようでいて、結構鋭いところを突いている気がします。長期間開発に携わっていると感覚が麻痺して自分たちのつくっているものが果たして本当に面白いのかどうか客観的に判断することができなくなる、という話を漏れ聞いたことがある。体験版で初めて触れる(体験版をやる際にわざわざOHPのキャラ紹介を見て予習するとは限りませんし)プレーヤーにとっては「ゴチャゴチャとキャラ出すぎ。顔と名前が一致しねぇよ。誰が誰だかまるで分からん」とお手上げ状態に陥る混乱甚だしい導入シーンであっても、スタッフからすればキャラクターの違いは一目瞭然なので問題として意識してなかったりとか。コメディライクな遣り取りの場面だって、何十回も繰り返し読んだら笑えるかどうかなんて分からなくなるはず。他には場面切り換えのウェイト、あれも先を急ぐプレーヤーにはフラストレーションの溜まる要素の一つですし、スキップ不可な画面揺れやフラッシュ(射精表現に多いアレ)も「要らんエフェクト仕込むな」と一蹴されがちですが、スクリプトを書いてる方々は「必要な演出」と考えているかもしれません。創作物に心血を注げば注ぐほど、鑑賞者の示す反応が予測できなくなるという皮肉は往々にして起こり得ます。評論家は自分の言説がどういう反応を引き起こすか予測する能力がなければ三流だとどこかで聞いたけど、創作に同じことは言えないと思う。

 それはさておき。少なくとも体験版をやっておけば、「ムードからして自分に合わない」ってソフトはすぐに峻別できます。一種の護身であって、確認作業と捉えておけば損もない。ただでさえアンテナが低く、加齢とともにめっきり腰が重くなってきた現在。もし体験版が今後減少していくようであれば物欲や好奇心を刺激される機会も減り、購入本数が落ち込むことは必定かと。ただでさえ積読や積ゲーが多いので、「買いたい気分」というか「気持ち良くお金を支払えるコンディション」を保つのも結構大変です。冷静に省みれば、もう一生消費活動しなくても充分に時間を潰せるだけの本やゲームがストックされている罠。気に入ったブツの再読や再プレーもガンガンやりたいってのに、未読や未プレーの作品が多くてにっちもさっちもいきゃしない。

・小川一水の『時砂の王』読了。

「時の風はすべてを吹き散らし、時の砂はすべてを埋め尽くす。誰よりもそれらに身をさらしてきたのがOという男です。もしも、彼を支えられる女がいるのならば、私はそうさせるでしょう。そんな女は、十万年の間に一人もいませんでしたけれど」

 文庫書き下ろしの長編SF。タイトルは「ときすなのおう」と読みます。『天涯の砦』以来久しぶりの新作で、しかも小川一水としては初の試みになる時間SFだからと、大いに期待で胸膨らませネット書店で予約注文したら、届いたのは300ページ足らずの比較的薄い文庫本。正直、ガッカリした気分は否めなかったです。しかしいざ読み出してみればこれがなかなかどうして読み応えのある一冊だった。かなり密度が濃く、不満を覚えることなしに読み切っちゃいましたよ。時間モノということで「タイムパラドックス」や「可能性の分岐」みたいなややこしい要素も絡んできますけど、「時間枝を渡る」などといった独特の言い回しで直感的に理解させてくれる優れもの。時空を越える戦争に身を投じた男の磨耗と矜持が眩しくて、読み耽るにつけ胸に静かな焔が宿ります。

 彼の名はオーヴィル。メッセンジャー・O、而して“使いの王”――26世紀の太陽系から、人類を滅ぼさんとする最悪の害敵「ET」を撃滅するためにやってきた未来の戦士。時間軸を逆走して「過去への侵攻」を開始したETに対抗すべく、時間遡行技術を駆使して過去の地球へ、そのまた過去の地球へと、ひたすら転戦を繰り返してきた猛者。25人から成る志願兵最後の生き残りでもある彼は、既に400以上もの争乱を戦い抜いてきた。そして西暦248年、邪馬台国。ETたちとの最終決戦を完遂するため、女王・卑弥呼の補佐に就く道を選ぶOだったが……。

 遥か未来から延々とタイムバックして戦い続け、遂には古代の世界にまで辿り着いた「遡行軍」。聞いているだけでもワクワクするような題材を惜しむ素振りもなく注ぎ込んでギューッと凝縮してみせた、なんとも贅沢極まりない一冊です。まず、大枠がシンプルでいて力強い。太陽系のあちこちに進出した人類が「このままでは我々は絶滅する。なぜなら、現段階で時間遡行技術が完成しているにも関わらず、未来からの援軍がやってこないからだ」と絶望的な見解を打ち出すも、なおめげずに「違う時間枝でなら、人類を救えるかもしれない」と切実な願いを篭めて尽力する様には言い知れぬ悲壮感が漂います。このへんの周回プレーを基調とするゲームに耽溺している人種には馴染み深い感覚だろうか。歴史の歩む道が枝分かれしているとすれば、採る選択肢を変えることで今までと違うトゥルールートに到達できるかもしれない……そうした一縷の望みを、真実あるとも知れぬ淡い可能性に託し、ただボタンを連打する、みたいな。

 近未来(今の我々から見て)のみならず、第二次世界大戦下でアメリカ、ドイツ、イギリス、日本、中国、ソ連に協力体制を取らせてETとの文字通りワールドなウォーズをさせたりなど、脇の部分に位置するエピソードをチラッと眺めるだけでもフル勃起しそうな奇想が横溢しています。過去から未来ではなく、未来から過去に遡って行進する――という発想自体はそんなに珍しくないかもしれませんが、調理の仕方が巧いのか読んでいて舌の唸る瞬間が多いこと多いこと。メインの「未来のメッセンジャーが卑弥呼と交流する」って要素は初見でややゲテモノ臭い香りもしましたが、細かい箇所でも手を抜かず外堀からドンドン埋めていく丁寧な筆致も助かってあまり違和感なく読み進むことができました。単語の使い方一つ取ってもカッコ良く、一度読み出せばたちまちドップリと時砂の世界に浸れること請け合いです。

 多少のトンデモ描写を混ぜ込みつつも風味を壊せない絶妙なバランスで仕上げた時間SFの逸品。シェフ自慢の一皿といった塩梅です。小川一水入門の書としても最適で、作者のファンならずとも是非押さえてほしいところ。エピローグが若干蛇足気味に思えましたが、そんな瑕疵さえ全体のクオリティを前にすれば容易く霞みます。短くキレイにまとまっている。決して斬新ではないけれど、読者を引き込むパワーには不自由しないだけの魅力あり。

・拍手レス。

 だいたいそのサントラの書き下ろしにしたって本当に正田が書いたとも言い切れんし
 疑い出すとキリがないですね。

 神のみぞ〜の作者の人は元エロゲカウントダウン…ギャルゲってレベルじゃ(ry
 ああ、ECDの人。マンガ家になったとは聞いてましたが、描いてる作品までは知りませんでした。

 ヤバイ事になりそうです
 やけにアクセス数が増えていると思ったら……。

 月道の中の人タイーホ、ニュース見て驚いた

 毒めぐ逮捕wwwwざまあwwwwwwwww
 ロリコン脂肪wwwwwwwwwwwwww

 …毒めぐ逮捕て

 言葉が出てきません。

 なんだか今日は疲れました……。


2008-04-11.

・前回は「断念」と言いつつamazonのが安かったのでつい『CLANNAD』のフルボイス版をポチってしまった焼津です、こんばんは。嵐のような物欲に蹂躙される日々を送っております。やれやれ、これでまた一からやり直しか……溜息をつきつつも割と嬉々たる表情だったり。

CUFFSの『Garden』、シナリオ追加パッチの配布スケジュールを公開

 着々とゲットーから脱しつつある『Garden』。翻って怒りの日と来たら、具体的な予定に関してはサントラの告知をしただけという体たらくであり、「ドラマパートを書き下ろしている場合じゃないだろ正田ァァァ!」と叫ぶファンの怨嗟も尽きまじ。期待していた『さくらさくら』が今月末から再来月へ延期してしまったことだし、積み重なるショックに負けて投げ出していた『Garden』もそろそろ再開させようかな……。

新連載「神のみぞ知るセカイ」〜ギャルゲを駆使してリアル美少女を攻略せよ!!「厳選!駆け流し」経由)

 どうしよう……『ギャルゴ!!!!!』(「ギャルゲーゴッド」の略)以上にギャルゴ臭いぞこいつ。

・AKABEiSOFT×mixed upの『A profile』、コンプリート。

 未来エンドクリア。同人版は2ルートしかないので、これでコンプリートです。完全版には美桜ルートと、いくつか別パターンのエンドが加わるらしい。が、美桜に関してはもういいかな……というのが偽らざる感想。外見的には一番可愛いけどダークフォース満載な裏面があって、「普通」と言われたら激昂するサブキャラ、それが美桜ってことでいいじゃないか。何もわざわざ攻略しなくったって。結論が出た以上、完全版たる『その横顔を見つめてしまう』はスルーすることに致します。

 で、小野未来ルート。当然莉寿ルートとは異なるアプローチをするんだろうと思いながら進めていたところ、アプローチどころか「これ違うゲーム?」と疑うほど路線が切り替わってて少しポルナレフりました。企みの篭もったシナリオで、クライマックスは「そうか、そういうことだったのか……!」と呻く仕組みになっています。ただ、似たような構成の話を以前に見たことがあるため、ちょっと感想に困りました。パクリと言いたいわけじゃないのですが、こう、素直に感激することができなくて悔しい。そういうモヤモヤと縺れている部分を脇に措けば、爽快感溢れる読み応え充分なシナリオになっていたと思います。コンパクトな尺の中で迷い、決断し、走り出す過程がキチンと綴られている。多少の屈折はあれど青春モノとしての要件を満たした、心温まる物語になっています。

 察していたとはいえ、コンプリートしてみるとやはりボリュームが薄く、至ってスケールの小さいゲームです。短いなりにまとまっており、また無駄な箇所が極力省かれているおかげで最後まで退屈せずに読めたことは賞賛したいのですが、『車輪の国』を心に焼きつけられた後では「パンチ力不足」と言わざるをえない。好みの問題もありますし、シンプルで構成もシャープなこちらの方がイイ、って意見も頷けなくはありません。でも個人的には少々シンプルすぎる気がしないでもなかった。ドロドロした内容のくせに幕切れがやけにキレイというか、途中の展開が強引で経緯に納得しにくい。どうにもサプライズ任せな部分が目立つ。ひっくるめて言えば「シンプルにまとまっているが厚みに欠く」ってところでしょうか。

 スナック感覚でるーすシナリオが楽しめる、という点では『G線上の魔王』を待つまでの埋め草にもってこいであり、新規層に対する勧誘・布教用としてはうってつけの一本であります。ミドルプライスで発売された完全版も今は中古市場でお手頃価格になっているみたいですし、あかべぇ未体験な人に割と薦めやすいソフトかもしれません。イベント絵はやや微妙でしたけど、立ち絵がすごく端整で嗜好に合致し、プレー中はひたすら寛げました。正直、完全版よりも同人版のグラフィックの方がツボです。気に入ったキャラは美桜と快音と莉子。なんとヒロイン以外の立ち絵があるサブキャラ全員、という未曾有の結果になりました。恐ろしい。なんだかるーすの指定した檻に誘い込まれた心地がします。

 やらないとは宣言したものの、体験版くらいはプレーしてみようかな……その横。もし感触が良ければ、また改めて完全版の購入を検討致したい。

・拍手レス。

 Gardenの追加シナリオのスケジュールが発表されましたが。
 (有料)追加パッチのあっちの方はどうなるんでしょうなぁ。

 3年掛かったオルタといい勝負するんじゃないかと予測。でもその前にlightが潰れそ(ry


2008-04-09.

・つい昨日まで藤林杏と体育倉庫にふたりきりで閉じ込められる『CLANNAD』のイベントがアニメオリジナルと思い込んでいた焼津です、こんばんは。いや、杏シナリオにそんな展開なかったんで、てっきり。宮沢のおまじないから派生するイベントなんですね。

 というわけで開始してから既に半年以上経ってますが、未だにちまちまと『CLANNAD』を摘み食いプレーしており、まったく、一向に、終わる気配がありません。やたらと選択肢やフラグが多いのでひと苦労。楽しいことは楽しいし、充実感に満ちた苦労ではあるけれど、かれこれ累計で十数時間はプレーしているはずなのに……ホンット長ぇ。当方がやってるのは声なしの初回版なんで、これにボイスが付いたらどれだけ掛かるんだと空恐ろしくなる。社会人は声有りのFateとCLANNADがあれば一年くらい余裕で時間が潰せるんじゃないか。今頃CLANNAD熱が再燃中だというのに、ファンとして必須の基礎知識を備えることすらできておりません。畜生、大学生の頃にやっとくんだった……。

 そういや『Rewrite』の衝撃で念頭から吹っ飛びかけていましたが、『リトルバスターズ!エクスタシー』なんてのもありましたね。リトバスは通常版を積んでいて、未プレーのままエクスタまで買うのは業腹ですが、やるならやっぱり完全版をプレーしたいし悩みどころ。というか『CLANNAD』もボイス付きの逆移植版をもっぺん最初からプレーし直したい。けれど、金銭面はまだしも時間面で到底折り合いがつきそうになく断念。アニメは数話しか見ていないし、DVDで妥協するのが得策かな。

葉山透の“ルーク&レイリア”、新レーベルで復活「平和の温故知新@はてな」経由)

 これはホントにびっくり。ルクレリとは葉山透のデビュー作『金の瞳の女神』を第1弾とするシリーズで、割と短期間に連続して刊行されたものの、売上が振るわなかったのか3冊目で打ち切られた異世界ファンタジーものです。元が富士見ミステリー文庫なだけにミステリ要素もありましたけど、決して物語の邪魔にならないよう巧く「謎」を消化していました。作を重ねるごとに面白くなっていく印象があったので、「続刊は出そうにない」と聞いたときは非常に残念がったものです。シリーズながら一冊読切の様相が濃く、巻ごとに別々の話を楽しめるあたりも個人的に高ポイントでした。かれこれ5年以上も間が空いてしまったけど、好きなシリーズだっただけにこの報せは嬉しい。新装版のイラストレーターも以前と同じく睦月れいなのか? 続きというか新作は出るのか? 詳報を待つばかり。

・AKABEiSOFT×mixed upの『A profile』、プレー中。

 莉寿エンドクリア。未来狙いでやったのに……一周目は固定なのか? 日付変更時に出てくる「Goto Happy Tomorrow!」から「Happy」が抜けて「Goto Tomorrow!」になったらシリアス展開に入った徴、という演出はささやかながら巧いと膝を打った。『車輪の国〜』のシナリオを書いたるーいぼーいだけにヌルい流れはないだろう、と睨んでいたがそれでもなお目玉がスポーンッと飛び出るようなフックが顎に来ましたよ。いやはやもう脳が揺れることしきり。でもその後はスススッと軽やかな話運びで決着がついて、程好い感じに終わったのは良かったけれど、若干物足りなさは残ったかな。もっとこの世界の空気をがっつり堪能したかったです。

 一応ヒロインが義妹ということで「兄と妹の関係」がひとつの軸となっており、態度をどう貫くべきが迷っている主人公を叱咤し、発破をかける義母の存在感が下手するとヒロイン以上に際立っていました。るーすのシナリオはドラマ性重視なせいかセリフがやや説教臭くなってしまうきらいがありますけど、それが良い方向に作用して胸に響く一撃となっています。むしろ主人公はママンと結婚すべきじゃね? そして莉寿を妹としてではなく娘として世話していく父性愛ルート完成。冗談はさておき(まあ半分くらい本気ですが……)、過去と現在が錯綜する構成もあって「主人公が莉寿に向ける想い」が捉えにくく、プレーしているこちらとしては「莉寿を妹としてではなく異性として意識してしまう」ことにどうしてもピンと来なかった。一体いつ恋の罠に陥落(お)ちたんだろう? と首を傾げる次第。過去から現在にかけ、ふたりの距離が縮まっていく流れもいまひとつ納得しかねる。ただ、快音や美桜といったサブキャラの処遇は妥当でしょうし、ルートとして見ればなかなかの仕上がりだと請け合えます。もう一人のヒロインであるべき未来はカンペキに空気と化していましたけども……あまりの出番なさに驚いたというか気の毒になった。

 そしてその同情心を解消すべく再プレーし、未来ルート目指して進めている現在。一周目では見掛けなかった選択肢が出てきたところからして、やはり攻略制限が掛かっていたのかな。ルートが二つしかないせいで選択肢が極端に少なく、攻略に詰まることはなさそう。実にユーザーフレンドリー。未来ルートも莉寿ルートの同程度の分量と仮定すれば、次回の更新時にはまず確実に完了していると予測されます。うん、結構丁度いい長さ(短さ?)かも。


2008-04-07.

・割と定期的に通っている「ErogameScape−エロゲー批評空間−」『暁の護衛』のレビューでも眺めようとテキトーにリンクをクリックしたら自分のサイトに飛ばされて「 ( ゚д゚) 」になった焼津です、こんばんは。

 思わずポルナレフりそうになりましたがそれはさておき、エロゲー関係の感想はテキストの項目でまとめていますのでそちらをご参照ください。分かりづらいインデックスですみません。ちなみに、個人的にオススメしたいレビューサイトは「ALL or NOTHING」。あそこのレビューはネタの混ぜ具合が絶妙で、未プレーのゲームでもついつい読んでしまいます。

・AKABEiSOFT×mixed upの『A profile』、プレー開始。

 「あかべぇそふとつぅ」という商業ブランドが立ち上がる前、つまりAKABEiがまだ同人サークルだった頃にリリースされた18禁ゲーム。後に『その横顔を見つめてしまう〜A Profile 完全版〜』と改題されて再発売される。『その横』はCGを一新し、ボイスも追加、おまけに新規シナリオとして美桜ルートまで書き下ろされた、まさしく「完全版」と謳うに相応しいほどのリメイクっぷりでしたが、不思議と「同人版の方が良かった」という声が絶えない。そんなわけで完全版を買い直そうかどうか迷ったものの、「とりあえず手元にあるのをやってみよう」ってことで同人版からプレーしてみることにしました。当方はこれの体験版でるーすぼーいの文体が気に入って『車輪の国、向日葵の少女』を予約買いしたくらいで、注目していた期間こそ長いもののつい先日まで『車輪』を積んでいたほど怠惰な監視体制だから「るーす儲」と自称するのも憚られる。「るーす儲みたいなもの」程度に濁しておくとします。

 さて、『A profile』は学園モノです。義母や義妹と三人暮らしを送っている主人公がクラスメイトの少女に惹かれていって……という、概要だけ取り出せば何の変哲もない。バカな会話を交わす悪友がいて、気楽に接することのできる幼馴染みもいる、そのうえ義妹は甘えん坊。実に他愛ないギャルゲー的配置であり、現時点でアピールするポイントはほとんどない。けれど、徐々に忍び寄ってくる不安なムードからこの先にとんでもない展開が待ち受けているだろうことは容易に察せられる。てなわけで肝を冷やす準備しながらプレー中。

 今のところ気になっているキャラは快音か。悪友キャラで、「かいおん」ではなく「かいね」と読むらしい。名前と立ち絵を見るたび思わず脳裏に『快感フレーズ』がよぎることをバラせば歳もバレるか。ってかこいつ、野郎のくせにビジュアル面では一番可愛くね? ヒロインたちとコミュニケーションを取る場面よりもこいつとじゃれるシーンの方がずっとムラムラします。あとは莉子ママン。ガイジン並みに曲解した大和魂を息子と娘に押し付ける超銃後の母であり、言葉遣いがなってないと激怒して主人公たちに正座を強要し、洗脳的話術で以って和の精神をオルグするイベントには噴いた。

 まだ始めたばかりですが、あまり長くないらしいので次回か次々回には完了させられそうな予感。サクサクやります。

・拍手レス。

 『魔法使いの夜』、もし新作ゲームだとしたら発売は来年ですかね。 今年は嫌なフラグが立ってますし。
 早めに予定して延期を繰り返すよりじっくり制作した後に一発で売り出してくれた方が嬉しいし、年内発売は諦めておこうかと。

 雑誌のインタビューで新作PCソフトを発表するとか言っていたので多分ゲームかと〉魔法使い
 あるいは「まほよ」とは別のゲームを用意しているとか……さすがにないか。


2008-04-04.

竹宮ゆゆこの『とらドラ!』、アニメ化決定「MOON PHASE」経由)

 いずれ訪う報せであろうとは思っていましたが、予想外の早さに虚を衝かれました。外伝含めて8冊、確かに頃合と言えば頃合かもしれないけど、もう半年は後だと睨んでいたのに……さて、『とらドラ!』というシリーズについて説明しますと、ライトノベルには珍しい日常的な要素を重視した青春ラブコメです。なぜか世に溢れるライトノベルは超常のパワーやら人外ヒロインやら異能バトルやら、ファンタジーとかSFとかアクションの文脈でストーリーを紡ぐことに主眼を置いたものばかりで、恋愛パートはあくまで添え物という扱いで処理することが通例となっていますから。「L・O・V・E」を標榜した在りし日の富士ミスすら、純粋な恋愛モノやラブコメものは数えるほどしかありませんでした。

 『とらドラ!』は学園群像劇というか、登場する様々なキャラクターの恋愛模様と青春模様を面白おかしく綴っており、巻ごとに個々の友人関係やら家族関係やらをクローズアップしていく、マンガなら割とありがちな構成を持ったシリーズです。しかし活字だけで「単なる学園モノ」の結構を保つのは難しいのか、最近のライトノベルでは類例が少なくなってきており、字読み系ラブコメスキーにとって希少で貴重な栄養素と位置づけられていた次第。タイトルはふたりの主人公「大河」と「竜児」から来ており、友情とも恋情とも知れぬ両者の距離感が見所です。作者はFlyingShineでかの荒川工と同僚だった時期があり、「たくみんの弟子」とも見做される存在だけあってギャグセンス、ラブコメセンスともに良好。長引いてるせいでちょっとダレ始めている部分もあるにせよ、まだまだ脂に乗った時期に相違なく、今が旬と捉えても大丈夫でしょう。まったくもって油々しき面白さにございます。

 ヒロインの声優は例によってまたあの人なんだろうか……と想像しつつ、ちょっと楽しみにしたりしてる焼津です、こんばんは。

propellerの新作『クロノベルト』、5月23日発売予定。『あやかしびと』と『Bullet Butlers』がセットになったお買い得版も同時発売。

 確かにお買い得っちゃお買い得かもしれませんが……なんだかヤケクソじみた商法に映るのは気のせいかしら? こう、タオローの兄貴が元兄弟に放った双撃紫電掌みたいな。しかし、思ったよりずっと早くの発売ですな。ちょっとスケジュールが厳しい(BBはまだ攻略中であり、発売する前に終えられそうにない)ので、もし購入してもしばらく積むことになりそうです。

TYPE-MOON、『魔法使いの夜』のベールを剥ぐ

 おおおっ、「まほよ」の略称で知られる幻の作品が遂に……! 軽く解説しますと「まほよ」は『空の境界』以前に書かれた奈須きのこの小説であり、恐ろしく部数が少なかったためTYPE-MOON関係者くらいしか読んだことのないと云われるレア中のレア同人誌です。『空の境界』に登場した蒼崎橙子と『月姫』にチョイ役で顔を出した蒼崎青子、ふたりの姉妹が争いを繰り広げる話――などといった断片的な情報しか明かされず、数多くのファンが喉から手を射出する勢いで読みたがっていた一品である。果たして小説で刊行するのか、ゲームとしてリリースする予定なのか、媒体すら不明ですがワクテカしつつ心待ちに致しましょう。

浅井ラボの『されど罪人は竜と踊る』、ガガガ文庫で再開する模様

 一時ページ上から表記が消えてしましたけど復活? され竜は前回の更新でもちょっとネタにしましたが、2003年1月に角川スニーカー文庫でスタートした異世界ファンタジー。銃や自動車もあるけど魔法(作中の用語では「咒式」)もあってドラゴンみたいなモンスターも存在するチャンポンな世界観と、主人公コンビが織り成す抱腹絶倒にして罵詈雑言尽きることない掛け合い漫才、そしてハリウッド映画ばりのハードなアクション描写とそれを上回るハードな鬱要素で濃いファン層を築き上げたシリーズです。当方にとってもかなりのお気に入りだったんですが、なんでも作者が編集者と喧嘩したとかで、2006年の『Assault』を最後に刊行がストップしていました。しかも『Assault』は本編以前を描いた過去編で、その前に出ていた2冊も番外編の短編集であり、本編自体は2004年の『そして、楽園はあまりに永く』から4年近く止まっている。もはや再開は絶望的かと諦めかけていましたが、どうにか目処が立ったみたいで胸を撫で下ろしました。

 この5月に発売される「1」がスニーカーから出ていた分の新装版なのか、はたまた完全新作なのか、まだハッキリしたことが判明しておりませんけれど、詳しい情報を求めて虎視眈々と監視致したく存じます。ちなみに当方が好きなキャラはヘタレ眼鏡のガユスと真性サドのパンハイマ、あとは多重人格嫁き遅れ魔女っ子のジャベイラさん。

・万城目学の『ホルモー六景』読了。

 直木賞候補になったりドラマ化したりで話題となっている『鹿男あをによし』の作者による短編集。映画化が決定したデビュー作『鴨川ホルモー』の続編というか、番外編をちょこちょこと寄せ集めています。今回初登場のキャラクターもいますが、あっちこっちで前作の登場人物が顔を覗かせますし、何より「ホルモー」の説明は前作の方が詳しいので、「え? ホルモーってなんなの?」という方は先に『鴨川ホルモー』を読んでください。「はぁん……ホルモーとか、そんな細かいことはどうでもいいよ」とバンカラ気質溢れるあなたはどうぞ躊躇わず本書『ホルモー六景』を手に取られたし。細部がわかんなくても、それなりに楽しめる部分はあります。帯に「今度は恋だ!」と謳っているくらいで、各編とも恋愛模様が中心となっておりますし。

 「六景」というくらいだから収録されているエピソードは6つ。書き下ろしのプロローグを覗けば、すべて雑誌に掲載した作品です。基本的に一つ一つが独立した構成になっており、オムニバス形式と言っても差し支えありませんが、中には「あー、なるほど。こことここが繋がっているんだなー」って箇所もありますので是非とも見つけて思う存分ニヤリとしてください。『鴨川ホルモー』や『鹿男あをによし』では説明のくどさやジョークのくだらなさが目立ちましたけど、今回は短編集ということもあってか、くどさやくだらなさを感じることなくサクサクと読めました。内容的にはファン向けですけど、文章的には一見さん向けですね。

 気に入った編は「鴨川(小)ホルモー」「もっちゃん」「丸の内サミット」の3つ。「鴨川(小)ホルモー」はタイトルでだいたい窺い知れる通り、前作『鴨川ホルモー』と舞台や時間を同じくしながら、本編では描かれなかった小さな出来事の顛末を綴っている。「モテない女たち」の友情を滑稽に、けれど厭味なく書いていて、ホルモー云々といった要素を脇に措き青春小説として楽しめる一作です。「もっちゃん」はホルモー云々が絡まない、ほとんど別シリーズみたいな短編。それでもじっくり読んでいけば本編と繋がる部分もあって、「成る程!」と膝を数回打つこと間違いなし。「丸の内サミット」はもっともオチに驚愕するエピソード。このサプライズはなかなか見抜けないと思います。

 洞察力が低い人間なのでタイトルの「六景」が何を意味しているか汲み取れず、てっきり長編作品と思っていただけに「あれ、これ短編集じゃん」と気づいたときは思わず拍子抜けしてしまいましたけど、別に手抜きをして書いているわけでもないのでちゃんと一冊分の満足感を覚えることができてホクホク顔。作者自身はあまり長く続けるつもりはないらしく、次あたりで完結させたいみたいですが、何はともあれ新作の刊行を楽しみにしたい。

・拍手レス。

 マジでした。鍵×ロミオ×竜騎士。現実怖い。
 最終的にオクルさえ出るならどんな現実でもカモン。

 もう突っ込み入ってると思うけれど田中ロミオが田中ロオミになってますよー、
 うぃっす、直しときました。

 ちなみに、スプライトWはイェマド超えの富士見最厚だトカ。
 カオレギも結構厚いのあったし、冲方ならやりかねない。

 優しい嘘が、欲しかった……orzウィンウィン復活×3とか。
 はて? 何のことか。やましいことは何ひとつ。


2008-04-01.

・エイプリルフールですがガンジーイズムよろしく無ネタ主義を貫く焼津です、こんばんは。前にいっぺんだけやってダダ滑りしたので未来永劫同じ徹を踏むつもりはありません。

 さて各所の四月馬鹿企画をザッと見回すと、今年はkeyの『Rewrite』がひと際目立ってますね。マジネタかウソテクか判然としないだけに話題沸騰。みなとそふとの『愛羅武勇』はほんの少しだけ面白そうで悔しい。元町元子がかわゆすぎる。せめて彼女のルートだけでも制作してはくれないかしら。

自宅の庭でテーブルとセックスした男、隣人に録画され逮捕痛いニュース(ノ∀`)

 ギギナ(『されど罪人は竜と踊る』)が沈痛な面持ちで聞き入るであろう事件。

アキバで銃乱射事件 ハルヒのコスプレで奇声を上げ走り回り、エアガン乱射…数人が被弾痛いニュース(ノ∀`)

 これなんて『おたく☆まっしぐら』

・さあ今月の予定ダッ。

(本)

 『ヒャッコ(3)』/カトウハルアハキ(ソフトバンククリエイティブ)
 『人類は衰退しました3』/田中ロミオ(小学館)
 『スプライトシュピーゲルW』/冲方丁(角川書店)
 『紅〜醜悪祭(下)〜』/片山憲太郎(集英社)

 まずは文庫化情報から。西尾維新の『クビキリサイクル』が6年以上も掛かってやっとこさ文庫落ちします。待っていた方も多いのではないでしょうか。それと乾くるみの『クラリネット症候群』、現在絶版している『マリオネット症候群』の復刊で、「クラリネット症候群」という書き下ろしが付いてきます。乾くるみは最近評価の気運が高まってきていますのでこれを機会に注目されてみては? 他のところではジーン・ウルフの“新しい太陽の書”が新装版になって出ます。装丁を手掛けるのは小畑健。『人間失格』の下のドジョウを狙っているのかしら。1冊目の『拷問者の影』は既に持っていますが未訳の続編も発売されるということで、いっそ買い直そうかな……と検討中。

 『ヒャッコ』はアニメ化が決定した女の子尽くめの学園コメディ。男キャラがいないわけじゃないが目立たない。最近はこういうガチじゃないヌルい百合、略してヌル百合が流行りなのだろうか? 百合かどうかはともかくとして軽快で勢いのあるマンガです。『人類は衰退しました』はエロゲーライターからライトノベル作家へ華麗にジョブチェンジしたロミオの新作。でも私は信じています、彼がいつか苛酷なエロゲー界へ舞い戻り、ふたたびオクルの開発に取り掛かってくれると。万馬券気分で。『スプライトシュピーゲル』はシュピーゲル・シリーズの片割れ。残念ながらオイレンの方は5月に延びてしまいました。残念、まことに残念。『紅〜醜悪祭(下)〜』は出るのかなぁ……? 正直、信じがたい。なにせ予価すら確定しておらず、薄っぺらい本になるのか極厚な一冊になるのかまったく分からない。出るなら買います。出ないなら、逆立ちしたって買えやしません。

(ゲーム)

 『さくらさくら』(ハイクオソフト)

 『CHAOS;HEAD』も気になりますが、ひとまず評価待ちで。『さくらさくら』はのの神を生み出したハイクオソフトの新作。遂にお目見えですね。二人の主人公、二つの三角関係というコンセプトが果たして成功するのか半信半疑ながら、青山ゆかりヒロインとまきいづみヒロインが修羅場ると聞いたら僕はもう…!! いまのところ体験版待ちですが、七割がた購入決定済な気分。

・拍手レス。

 1年で毛根が死滅した佐竹かわいそです。
 海斗と死闘を繰り広げたストレスで禿げちゃったのかも。

 小梅けいと版は、ロレンスが表紙初登場的な意味合いでもスゴいかと
 シャナの悠二もコミックス版でやっと表紙に登場できましたね。


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