2004年2月分


・本
 『武揚伝(四)』/佐々木譲(中央公論新社)
 『ゆらゆらと揺れる海の彼方』/近藤信義(メディアワークス)
 『疾走』/重松清(角川書店)
 『銀盤カレイドスコープ vol.3』/海原零(集英社)
 『みなごろしの学園』/豪屋大介(富士見書房)
 『GUNSLINGER GIRL(1・2)』/相田裕(メディアワークス)
 『苺ましまろ(1・2)』/ばらスィー(メディアワークス)
 『School Rumble(3)』/小林尽(講談社)
 『学校を出よう!2』/谷川流(メディアワークス)
 『終わりのクロニクル1(下)』/川上稔(メディアワークス)
 『バッカーノ!1931(鈍行編・特急編)』/成田良悟(メディアワークス)

・ゲーム
 『Fate/stay night』(TYPE-MOON)
 『ショコラ』(戯画)
 『Forest』(ライアーソフト)


2004-02-29.

・ここしばらく更新が不定期になるかも、な焼津です。既になりかけてますが。

Littlewitchの新作『Quartett!』体験版公開

 おお、遂に。

 しかし時間がなくて未プレー。次回までにはなんとか。

・成田良悟の『バッカーノ!1931 鈍行編』『バッカーノ!1931 特急編』読了。

 この2冊に関しては両方揃えてから立て続けに読破するべし。メチャおもろい。以上。

 というか、「鈍行編」しか手元にない状態で読み出したらきっと後悔する。「特急編」を先に読み出しても分からないところが多くてたぶん後悔する。本屋が開いてない時間帯や、開いていても近所に本屋がない地理や、本屋があっても肝心の在庫が置いてない状況で片方のみを読み終わるのは地獄。『真夜中のデッド・リミット』の上巻だけを読まされる刑、完結する見込みのない『E.G.コンバット』を読まされる刑に匹敵する。一度手につけたらやめられないし、止まらないし。

 賞を取った『バッカーノ!』の続編ですが、一部のキャラクターが顔見せする程度で、前作との繋がりは希薄。メインの陣容はほとんど新キャラで固められています。ストーリーとの連携は皆無と言っていい。強いて挙げるなら、「不死者」という特殊な設定を飲み込むうえでは前作を押さえていた方が良いけれど、「鈍行編」の冒頭でちゃんと概要は説明されますし、この『1931』から読み出してもさして問題ない。バッカーノ未着手の方でも安心してここから入ることが可能。

 前作が秋口ぎぐるの作風みたくタランティーノ調というか、多視点で連携しながら事態を描いていく「掻き回し」系のサスペンスで、恐ろしいほどの偶然が連鎖していくためそれを笑って受け容れられる性格の人でないと楽しむことは難しかった。今回もある種の御都合主義に似た展開が多く、濃密なイベントの数々にはゲップが出そうになる。こんがらがった知恵の輪を解きほぐしていくような面白みはありますが、よく整理して読まないと誰が何をしてどうなったか、情報がゴチャゴチャになってワケが分からなくなります。「白服」「黒服」など衣装で区別できる部分もあり、分かり易く書かれているものの、集中力は必要。

 黒服を着たテロリスト・グループ、白服を着た殺人狂集団、ややボロい身なりのギャングども、それぞれがそれぞれの思惑で鉄道強盗を目論み、爆走する列車の中で銃火を交えて対立してしまう構図からして美味しい本作、そこへ更に謎の女やら怪物やらバカップルやらが出没して一層ストーリーが掻き乱れていく。タランティーノというより、ガイ・リッチー的。「鈍行編」だけでもある程度話にケリが着いていて、読み終わった途端に満足感を覚えます。けれども、いくつかの謎が残る塩梅となっているため、すぐに「特急編」を読まなくては──という飢餓感に苛まれる寸法。

 「特急編」は「鈍行編」の後日談というわけではなく、時系列で言えばほぼ同時進行。必然的に何点か被るシーンも出てきます。一つの事件を同じ時間軸上、別々の視点で描くエンターテインメントはそれほど珍しくありません。たとえばノベルゲームのAパートとBパートみたいなヤツ。Aパートをクリアして最初からやり直すとBパートが出現し、それまで語られなかった秘密が暴露されるとかって形式です。ライトノベルなんかでもよく「番外編」などと銘打って脇役の視点から本編の出来事を再構築する試みは多々見受けられます。この手法は単純な話題づくりのために用いられることが頻繁にあって、プロット的な必然性が薄いケースも多い。それだけに当方も最初はあまり期待していなかった。順当に余った謎を回収してくれればイイなー、と思いつつ。

 ヤラレました。一読し、痛いくらい「この作品は分冊する必要があったのだ」と理解させられた次第。伊達にラ板の投票で大賞を取ったわけじゃないんですね……前作は面白いと思いつつそれほど感銘を受けなかった当方ですが、この2冊はさすがにヒットしました。強打。作者の意欲がサプライズへと結実している好例です。登場人物のほとんどが大なり小なり悪事に手を染めている点、文章のノリがいささか勢い任せに見える点など、読み手を選ぶ要素はそれなりにあります。合わない人には合わないでしょう、当然ですが。

 しかし、クソ野郎とはいえ強烈な個性でこちらを魅了するラッドと、彼の狂気にいそいそと付き合うルーア。ギャングのボスなのに気弱で泣き虫なジャクジーと、彼を補佐する眼帯眼鏡のニース。突き抜けるほど脳天気で強制的に場を明るくするバカップル、アイザック&ミリア。その他ネタバレを避けるために挙げられない面々を含め、キャラの立っている連中がなんと多いことか。タランティーノやガイ・リッチーのクライム・ムーヴィーめいた雰囲気が濃厚な一方で、少年マンガやライトノベルの王道を貫く熱も篭もっており、読後の感想はひたすら「痛快無比」。死体はゴロゴロ転がる。けれども爽やかな読み応え。「犯罪者がハッピーエンドになるなんて許せない」という感性の人以外には是非ともオススメしたい作品。あー、もっと早く読んでおけば良かった。

 で、誤字が多いのは御愛敬、っと。


2004-02-27.

古橋秀之の新作『蟲忍』カバー絵

 発売はだいたい一ヶ月後。それまでに『ブライトライツ・ホーリーランド』を崩しておくとします。見つかるといいんですが。

lightの新作『Dear My Friend』、情報公開。

 シナリオの欄に『PARADISE LOST』の正田崇が。もうひとりのライター・NYAONと、原画のくすくすは『Sultan』のコンビですか。当方は未プレーですけど評判は良い模様。パラロスはアクションの要素が濃かったものの、日常シーンにおける遣り取りもテンポが良くて楽しかった記憶があり、DMFにハードな展開がないとしてもそれなりに期待できそう。銃火砲声さんざめくムチャな展開も、あったらあったで当方は一向に構わん。

 とか思っていたのに、某所の情報によれば正田の担当は「黒崎小麦」で、バトルはないとのこと。突撃自爆系で謎うさみみで妙にエロい銀髪少女か……それはそれでヨシ。

・川上稔の『終わりのクロニクル1(下)』読了。

 上下併せて800ページ・オーバーの大長編、これにて遂に「第1話完結」。──「第1部完結」ならともかく「第1話完結」なんて言い回し、初めて見ました。つくづく「1(上)」「1(下)」というナンバリングの異常さを感じてしまう。「上1」とか「上2」とか平気で付ける文庫版『指輪物語』と同じくらいにおかしい。

 十の異世界を相手に「Low-G」と呼ばれる世界が「概念戦争」で勝利し、その戦後処理が60年経った今も続いている──というストーリーの本作、分量もさることながら設定もいちいち濃く、イケる人とダメな人の間でかなり大きな差が出そうな気配がぷんぷんと漂っています。文体も独特ですし。体言止めが多く、漢字もあまり開かない。「ありがとうございます」が「有り難う御座います」になるくらい。上巻を読んだときに衝撃で打ちのめされた当方としては下巻がおとなしく感じられてしまいましたけど、細かいところにまで気を使ったセンスは相変らず脱帽モノ。基本的に書き殴り臭いテイストなのに、心憎いばかりの小技が利いている。

 ヒロインとそっくりな弟が登場し、「まロい」なる天地鳴動級のオリジナル・ワードが飛び出す展開など、幾多もの奇作を経た当方ですら戦慄を禁じえない。よりによって男湯でこれほどのドキドキワクワク空間を形成するとは。川上っ……! 俺を新たな属性に目覚めさせる気かっ……!

「容姿は同じなんだろ? ──じゃあ、運(♀)より切(♂)の方がいいかもしんなァい」

 いかん、もう既に目覚めかけている。

 冷静沈着で鉄壁理性を誇る少年と、主人公の造型がやや特殊ながら、「己の信念が貫けるか」なんて迷いながら一歩ずつ進んでいく展開はごく王道的。キャッチャーなイラストとは逆に万人受けしがたい設定群を有しているけれど、一度ハマればひたすら夢中になるのは間違いなしといったところ。コメディ的な遣り取りもだいぶ肌に慣れてきたおかげで楽しめた。

 余談ですが、ヒロインの新庄も萌えましたよ? ゲームウォッチしか知らんというアレなところも含めて。「え? テレビでゲーム出来るの?」って、おいおい。当然、カラーページのクロスゲームレビューもどきやオマケの4コマにも笑いました。「全竜交渉とかはいい。ゲーマー新庄を出すんだ」。オルガン型コントローラーで立ち塞がるジークフリート──「ええ!? 曲を弾きながらゲームをプレーしている!?」──をぶちのめせ。


2004-02-26.

・今更ですけど告白。当方、「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」を「イリヤスール・フォン・アルツベイン」と記憶していた時期があります。長いカタカナ名前は覚える以前に読むことからして苦手。

イージーオーの新作『幼なじみな彼女』

 URLを見てブランドをStudio e.go!と間違えそうになったのはここだけの話。当方は同じ過ちをいつまで繰り返せば気が済むのか。恐らく灰になるまで。

 タイトルが『いたいけな彼女』と似ている(「いたいけ」は「幼気」)ということがキッカケで注目したのですが、紹介を目にする限り内容は良さげ。幼馴染みで、バカップル。そのうえヒロインは、真冬の早朝に軒先で白い息を吐きながら「…別に待ってるわけじゃないから」とそっぽを向くタイプのキャラ。ライトノベルにおいては渡瀬草一郎(必ず幼馴染みの男女を出す)を愛好するナジミスキーであり、エロゲーにおいては『Clover Heart's』に萌え溶けるバカップルスキーである当方、微ツンデレなヒロインがターゲットとあっては見逃す手はない。というわけで本注目。がっつり捕捉します。

・谷川流の『学校を出よう!2』読了。

 シリーズ第2弾。設定は一部受け継いでいますが、主人公が交代ということもあって前作との繋がりはやや薄い。単発モノとして読んでも特に違和感なく読んでいけるかと思います。

 で、内容の方は一言で書くと「時間移動サスペンス」。主人公が血に濡れたナイフを持って雨の中を立ち竦んでいるシーンから始まります。ワケが分からないまま部屋に帰った彼は、そこに「もう一人の自分」がいるのを見て驚愕。相手も同様に驚きます。で、驚きから覚めた後に事情を窺うと、相手は「3日前からやって来た」と言い張る。彼の腕時計は「6月7日」の日付を指しており、ふと自分の腕時計を見れば「6月13日」を指している。テレビや新聞、時報を参考にした結果、今現在の日付は「6月10日」と判明。3日前から時間を跳躍した「もう一人の自分」と、3日後からバックしてきた自分。ありえない邂逅だったが、事態をもっとややこしくしたのは、主人公にここ6日間──6月7日から6月13日まで──の記憶がないということ。せっかく未来からやって来たにも関わらず、何の情報も持っていないのだ。とりあえず過去から訪れた「もう一人の自分」をB(Before)、未来から遡った自分をA(After)と称することで差別化を図り、こういう事態を受け入れてくれそうな変人──超常現象研究部所属のクラスメイトを頼るが……。

 なかなか複雑な設定。電撃で時間移動モノと言えば『タイム・リープ』ラスト・ビジョンの2作(後者は少しネタバレ臭いので伏せます)が想起されるけれど、この手のジャンルは設定を飲み込むのに手間が掛かるくせして概要を聞いただけではあんまり興趣をそそらないあたりに難があります。時間移動モノが好きという方も多いですが、タイム・パラドックスだの並行世界だの量子力学だの、頭がこんがらがる要素が頻出するため敬遠する向きもあり、作者の方がうまく整理して書かないとあっさり読者に逃げられしまう。

 正直に言うと、今回の文章はいくらか面白みに欠けていて、かったるさを覚える場面が多々あります。導入部からして吸引力は弱く、最初数ページを読んだだけで挫折する人がいたとしても当方は不審に思いません。中盤で繰り広げられる解説にしても、「時間移動モノ」のお約束を確認する作業に近くて、詳しい人なら却って退屈しかねない。

 とにかく、読者を最後まで引っ張ろうとする「力」が弱いです。一部のキャラは存在感がある割に大して本筋に絡んでこなかったし、主人公が解決すべき事態および事件にしてもつくり込みが浅く、進行も強引で、興味はなかなか湧かない。サスペンスとしての盛り上がりが希薄。前作の中だるみ具合と比べればだいぶ良くなっているものの、まだまだ練り込む余地があったのではないかと悔まれてならない。

 しかし、大枠のプロットは結構良くて、「時間移動モノ」の一ファン的に楽しむことができました。あらすじを読むと非常にややこしそうだけど、実際に手をつけてみると案外そうでもなくて、割合スラスラと読めましたし。幾分設定に恣意的な印象は受けるとはいえ、伏線張りも丁寧。いまいちキャラとプロットが噛み合っていないせいで不満もいろいろ感じたが、面白いか否かで言えば「面白い」の方へ票を投じます。今まで読んだ谷川作品(学校1とハルヒ3冊)の中では一番良かった。結末のシチュエーション、個人的には好みの部類。

 「時間移動モノ」を愛好する方にはオススメしておきたい一冊。是非とも冒頭にめげず頑張っていただきたい。


2004-02-25.

・高校時代、従妹とクラスの女友達と部活の先輩と近所の知人、4人すべてが「ボクっ娘」だった焼津です、こんばんは。「一人称が素で『ボク』なんて子、リアルじゃ見たことねーよ。ありえねーありえねー」と強弁する同僚にこのことを話した途端、「お前、どういう因果律してんだよ」と呆れられました。そんなにエンカウント率が低いのか、ボクっ娘。

『PARADISE LOST』、テックジャイアンで過去編連載

 前編・中編・後編と3回に分けて掲載する模様。パラロスは好きですし興味も感じますが、TJを買ってまでプレーしたいかと言うと……微妙。元より雑誌を買って読む習慣がないので、過去編だけのために手を伸ばすのもなんだか。

 にしてもパラロス、『Fate/stay night』『ショコラ』(声が出ます。要注意)『Forest』と、その後にプレーしたソフトへ立て続けにハマっていたせいで触れる機会がなくなってました。ASも新作を書こうかどうか迷い中。

・小林尽の『School Rumble』、3巻を読了

 ここのところマンガづいています。発掘作業の成果。

 さてスクラン、前巻までは単に「ヌルいコメディ」としての性格が強かったマンガだけど、この巻あたりからラブコメムードが強くなってきました。播磨の「誤爆」など、ベタベタながら見所のある展開が目白押し。当方、元は八雲萌えでしたが、これを読んで徐々に沢近萌えへシフト中。それにしても、本来メインヒロインであるはずの天満がどんどん影薄くなっていく……なんかもうサブヒロインの方が印象的。エロゲーとかでもよくある現象だけど、このままじゃ天満が脇役化してしまいそう。

 うーん、せっかく話がラブコメ路線に突っ込んでもすぐにオチがついて「ヌルいコメディ」に修正されてしまうあたりはもどかしい。だが、そのもどかしさが乙でもある。ある意味、最近では珍しいくらいに正統派のラブコメなんだけど、「ヌルいコメディ」の要素で巧い具合に気恥ずかしさを消している──ようにも見える。不思議とクサさが意識されない。1巻からは予想できない方向に向かって良作へと変貌しているなぁ。

・そして気づけば当サイトも6万ヒット。ありがたいことです。


2004-02-24.

『Forest』にハマり、「なんかこういう童話や御伽噺をモチーフにした作品なかったっけかなぁ」とつらつら考えた挙句、思い出したのが積木鏡介の『魔物どもの聖餐』。メフィスト賞作家の中でも「ド」が付くほどマイナーな著者の第2長編です。リンク先の紹介文を読んだだけでも相当濃いぃ印象を受けますが、中身はもっと凄い怪作。御伽噺をパロった作中作を挟みつつ、館モノのミステリとして話が進んで行きますが、割とアクの強い文体なので読む人によってはかなりの拒否反応が生ずるかもしれず。ある種のインパクトがあることは確かです。

 もうひとつは辻真先の『アリスの国の殺人』。こっちは日本推理作家協会賞を取ったくらいなのでメジャーです。アリスのパロディと現実の事件が並列で進行します。作者が『ふしぎの国のアリス』を翻訳したことがあるくらいなので、造詣は充分。言葉遊びもふんだんに盛り込まれています。シリーズ続編として『ピーター・パンの殺人』『白雪姫の殺人』もあるようですが、未読につき詳細は不明。

 新本格では鯨統一郎の『九つの殺人メルヘン』とか、柄刀一の『アリア系銀河鉄道』とか、加納朋子の『螺旋階段のアリス』とか『虹の家のアリス』とか……と挙げてみましたが、4冊とも未読。タイトルを見る限りではそれっぽく感じられるというだけ。あ、そういえば加納朋子は『コッペリア』という本も出しています。

・あと『黒いアリス』『アリスったら もお!』『アリス・イン・ナイトメア』までいくとさすがに話が逸れすぎですか? そうですか。

・ばらスィーの『苺ましまろ』、1巻と2巻を読了

 ガンスリを発掘する最中に見つけた2冊。これも少し忘れかけていた。来月に3巻が出るとのことですし、そろそろ崩してしまうべきか、と思って着手。

 女子小学生3人(2巻からは4人)と女子高生1人のしょーもない日常をまったり描いたマンガ。作者曰く「子供が描けりゃ何でもいいんだ」。つまり、「おにゃのこが見れりゃ何でもいいんだ」という読者ならば然るべき邂逅となることは間違いなし。ネタがどうこう言うより、可愛い少女絵と、薄めのコメディ混ざったノリが楽しかった。やる気のない伸恵とアホっぽい美羽が奇行に走って他の2人(2巻からは3人)が巻き込まれるとか、だいたいそんなパターン。漂う雰囲気はひたすらヌルくてユルい。脱力系とでも言えばいいのか。なんとなくツボにハマって結構笑ってしまった。

 好みの娘はアナ。「英語の喋られないイギリス人」という設定に萌え。名字はあの監督が念頭にあるからそれほど変とは思わなかったけど、「アナ」の後に続けて言うとなんか……微妙ですな。個人的にアナ子と呼ぶことにします。他の娘に目を向けると、伸恵のかったるさや美羽の軽率さもイイ。アズラーンもビックリな茉莉も部分白髪も悪くない。が、千佳は地味。ツッコミ役、巻き込まれ役、被害者役だから話を進めるうえには便利そうだけど、キャラとしては目立ってないし。

 購入動機は「勢い」──要するに衝動買いだったが、期待通りに面白かったので無事元は取れた感じ。予想した方向とはちょい違った面白さではあったけれど。3巻も買おう。

浦賀和宏『彼女は存在しない』表紙「Mystery Laboratory」経由)

 神がかった誤表示。腹が捩れました。そりゃ森博嗣も絶賛するわ。『彼女は存在しない』を知らない人もどうぞクリックを。奇跡的なギャップが待ち受けています。


2004-02-22.

・第一部のディオ様を見ていると不思議に心が安らぐ焼津です、こんばんは。「貧弱! 貧弱ゥ!」

『チェリッシュピザはいかがですか』のNGボイス集

 トチった後の反応が各人各様で面白い。草柳順子と国生桜の可愛らしさは凶悪。桜川未央は思いっきり素に返ってるし。こういうのもたまに聞くと笑えて乙。

・相田裕の『GUNSLINGER GIRL』、1巻と2巻を読了。

 連載開始時にパラッと読んで設定が気に入り、コミックス化を待って買い溜めていたのですが、半ば存在を忘れたまま積読し、今頃になってふと思い出して読みたくなった次第。発掘するのもひと苦労でした。

 「少女に与えられたのは、大きな銃と小さな幸せ」のキャッチコピーが内容を象徴していて良さげ。社会福祉公社と名乗り、引き取った少女たちを機械化したうえ薬物で洗脳し、秘密工作員に仕立て上げる──大筋を見ればかなり外道だけど、中身は案外まったりしている。「GUN」がタイトルに付くくらいですから当然アクションものですけど、銃撃・格闘は話を盛り上げるスパイスに近く、あくまで焦点は女の子。ハードな境遇の彼女たちが恬淡と生活しながら人を殺していく、その乾いた空気が妙に心地良い。

 当方の好みはトリエラ。容姿・性格ともにツボです。でもエピソードで言えば「パスタの国の王子様」が一番印象的だったり。全体的に「殺伐」よりも「ほのぼの」の感覚が強い話。相田裕繋がりで『BITTERSWEET FOOLS』もやりたくなってきた。メディアによって収録するシナリオが微変化するとのことで、なんとなく買い損ねていた罠。完全版でも出ないかしら。


2004-02-21.

・PS2版デモンベインが延期してションボリ。めげている焼津です、こんばんは。

『Forest』、コンプリート。

 テキストのパターンがたくさんあるので回収し切ったという自信はありませんが……とりあえずCGと回想は埋め終わり。今回はこれといったオマケシナリオもないみたいです。まー、本編で好き勝手やった分、オマケではっちゃける必要もないわけだし。とはいえ物足らないことは確か。仕方なく警告トラックをもう一度聞き直して飢えを満たす。本編やった後だと尚更笑えて乙。

 ひと通りプレーし終わった後にデモムービー(ないしパッケージ)を見ると、輪になって踊る5人の姿がとても微笑ましい。最初はこれを目にして「努力! 友情! 勝利!」を幾分ライアーっぽく仕立てた程度の、少年マンガテイスト香る熱い共闘譚だとばかり思い込んでいたのに、実態はまるで別物でした。おのれライアーめ。ブランド名は伊達じゃない様子。

 異色の面白さはオナカイパーイに楽しんだことだし、次回作はもっとストレートな内容の一本を味わいたいところです。けれど、きっとその期待の斜め上を行くのがライアーソフトなんだろうなぁ、と思いつつ。来年の2月を心待ちにします。

・豪屋大介の『みなごろしの学園』読了。

 毀誉褒貶の激しい『A君(17)の戦争』で「正体=佐藤大輔」説が持ち上げられた著者の新シリーズ。最初は「デビル171」がシリーズ名だと思っていたんですが、どうやら「デビル17」の1巻、ということらしいです。表記上ややこしい。にしても、「17」がそんなに好きなのか、豪屋。

 海外でのオリエンテーリングの最中、テロリストに襲撃された高伸学園のクラス。教師も生徒も多くが銃撃に遭って命を落とし、生存者はほんのひと握りだった。そのうちのひとり、黒江徹。パッとしない平凡な少年だった彼は、事件の最中に銃を持ち、テロリストを射殺していた。「人を殺した」という罪悪感に苛まれることはなく、むしろ殺人の恍惚すら思い出して、密かに自分を恐れる徹。しかし、事件を契機に、彼は精神・肉体の両面でどんどんと変貌を進めていく。「ぼくはいったい何者なんだ」。分からないまま、体の奥から突き上げる衝動に従い、犯し殺し貪り悦び愉しむ殺戮の高校生へと化していく……。

 「テロリストが建物占拠→人質をレイプ」、確かにお約束と言えばお約束ですが、よりによってそれをファンタジアでやるとは。しかも未遂ではなく既遂。というか真っ最中。まるで二次元ドリームの本でも読んでいるような気分になりました。読んだことないけど。

 とにかく平気で濡れ場をバカスカ盛り込んでおり、しかもそのシーンが本筋とも関わりがあるあたり、ライトノベルの範疇をいささか超えている気がします。タイトルもイイ具合にキレていますが、内容はもっとキレていました。ライトノベルでありながらライトノベルへのメタ的な批判を行う露悪趣味と、くっちゃべるように連打する思考垂れ流しの文体は相変らず。今回は思春期における少年の鬱屈した情念も絡んでいて、ケイオティックなムードがなかなかハマっています。450ページと、そこそこ厚い分量でありながら苦もなく読めた。でも苦手な人にはキツイかも、この文体。

 女囲って犯りまくり、銃撃って殺しまくり、といったノリは大藪春彦のハード・ロマン小説を彷彿とさせ、滅多矢鱈に懐かしい。とはいえ、欲望に負けず理想の自己像を保守しようと足掻くあたりなど、青春小説的闘争も満載されていて、「野望」型のストーリーというよりは「信念」型のストーリー。絶大な暴力と絶倫の精力に酔い痴れながらアイデンティティに悩む──そういうタイプ。まあ、ほとんど味付け程度に近いけど。

 レーベルに違和感がある以外は実に古臭く王道的な要素で組み立てられたエンターテインメント。「性と暴力」を除けば残るものは大してなく、これを潔さとして受け取るかどうかで面白さが変わってくるかと。インフレが激しい内容なだけに続編はちょっと不安ですが、一応期待しておきます。けど、これがファンタジアから出せるんならなぜ『アフリカン・ゲーム・カートリッジス』はnext賞で通ってしまったんだろう……。


2004-02-20.

『Forest』、プレー中。

 一周しました。「おまけ」のCGモードがほぼ埋まっていることからしてこのゲーム、一本道と見ても間違いない。とはいえ未回収のものもあり、再プレーは必要なんですが。まだ試していない選択肢の組み合わせもありそうですし、コンプまでにはもう少し時間が掛かりそう。

 前半でメチャクチャなことをやり過ぎたせいか、後半は次第に次第に真っ当な進行でストーリーをまとめに掛かりますが……やはり最後までファンタジーというか、メルヘンというか。「物語」を間に挟んだ男女が、あるべき結末を巡ってセッションを繰り返す「はじまりの物語」にて「『物語』を『語る』」という事柄について強調し、またストーリーの枠外で執拗に繰り返される「思い出した?」「おぼえている?」などの問い掛けにより、本編のストーリーが不確かな回想形式で進行していることを仄めかすなど、とにかく「物語」のフィクション性を強く意識した部分が目立ち、次第に観念的な様相まで覗いてくる。幸い、危惧したほど投げた結末ではなく、最後まで「物語」を語り抜いてくれたおかげで個人的には満足のいく閉幕を迎えました。

 しかし、いちいち解説を加えるのは野暮だ、とばかりに最低限の言及しかせず、結局説明量の不足は最後の最後までそのままでした。面倒臭い考察を経ずとも点在する物事を感覚的に繋いでいくことで何となく全体像は見えてきますし、あまり理詰めで考えていく必要もない……と言えばないのですが。「考えるな、感じろ」。書き手のみならず、読み手にも「物語」という概念への愛を試されているような感触があります。やはり『Forest』の攻略対象は「物語」それ自体かと。

 出典を英文学に求め、洪水の如き勢いでネタを連打するのが『Forest』の基本的なノリですが、英文学への造詣が浅い当方にも「なんとなく」程度には察せられる部分が多く、あまり苦にはならなかった。巧みなテキスト遣いと絢爛なイメージに幻惑され、細かいことなど気にも留まらず。ケルトの薫り漂うBGMも最高。特に「バックパイパー」と「On the bridge」は描かれる場面との相乗効果で耳にするたび胸が躍った。「ロンドンナイト」「Ennui」あたりも好きです。

 人によって激しく好悪が分かれそうなあたりはいかにも「実験作」ってムード。だが、「ザ・ゲーム」や「傘びらき丸航海記」に見られる試みはむしろゲームとして非常にオーソドックスというか、先祖還りを起こしたような気配があります。結構シンプルなんですけど、ユーザーフレンドリーになり過ぎない構成が適度な緊張感を持っていてワクワクさせられる。元の期待がさして高くなかった分、余計に楽しめました。「こんなの、本当に売れるのかな?」と要らない心配をしてしまいますが……良くも悪くもチャレンジャーの姿勢を崩さないライアーソフト、刺激たっぷりで面白いですね。

・海原零の『銀盤カレイドスコープ vol.3』読了。

 フィギュア・スケートのプリンセス、桜野タズサ。強烈な自負心、沸点の低さ、見境ない勢い任せの言動と、幾多もの性格難を抱えながら天性の美貌と実力だけで人気を勝ち得た彼女が、突然ペアへ転向した。キッカケは友人・シンディの怪我。シンディとペアを組んでいたオスカーが「彼女の復帰を待つ」と言い張り、新しいパートナーの迎え入れを拒否したので、つい「じゃあ今期だけ組みましょう──私と」と口走ってしまったのだ。話は割合すんまりと決まった。しかし、ペアは初体験だけあって、タズサの失敗は連続する。異性への怯えとは別に胸の奥で燻る想いに悩まされ、練習に集中できない彼女へ「そんなに俺が信頼できないのか!」と怒鳴るオスカー。ふたりの息はなかなか合わない。不安を残したまま、全日本選手権へ出場して……。

 フィギュア・スケート自体は華やかだけど、ライトノベルの題材として選ぶには適していないんじゃないか──そんな先入観を打ち砕いた前2冊から半年以上。満を持して刊行された続編です。鈴平ひろの萌え絵をしてなお「萌えにくい」という抵抗を生じさせる自画自賛で自業自得のヒロインは今回も健在。相変らず直情的に生きている。しかし今回は生身のパートナーが登場し、恋愛要素も密かに強まっていたり。まさしく「氷上の恋」といった趣です。

 イラストに頼らない迫力のスケート描写もさることながら、外圧に負けず己の意志を貫き通そうと奮起する主人公の姿が熱い。まったく萌え所がないわけではないにしても、嫌いな選手の演技を見ているときは「失敗しろ失敗しろ」と呟く癖があるとか、とにかく「萌えにくい」造型をしているけれど、強気のようでいて実は結構弱気が混在しているあたりとか、読んでいて感情移入してしまう箇所は多い。「萌えにくい」、しかし「よく燃える」。こういうヒロインもありかな、ってキャラです。

 「燃え」の要素と氷上の「涼しさ」が同時に伝わってくる良作。シリーズそのものの魅力も増しつつあります。このまま本編を続刊させていって、サブキャラが活躍する番外編なんかも出るようになったらいいなぁ。リアとかヨーコとか。タズサの過去編でもいいや。


2004-02-19.

ニトロプラスのOHP、繋がったー。1000万ヒット記念の壁紙も上がっています。

『Forest』、プレー中。

 分岐はしなくともフラグの立て方によって細部の展開が異なってくる仕組みになっているうえ、一度プレーし終えた話でも再プレーすると初回とは違ってくる部分があったりして、何げに攻略は手間が掛かる。しかしこうした煩雑さが「ゲームをプレーしている」という感覚を強めてくれる面もあるので、当方としてはOK。「傘びらき丸航海記」は異常に選択肢が多く、フツーに詰まる人も出てくると思いますが、あそこは分岐というよりエピソードの取捨選択といった色合いが濃いので、繰り返しプレーすることにより話の全体像が見えてくる寸法になっている。このゲームにとって「やり直し」は当り前の事項というか、基本的な前提と見るべき。

 それにしてもまったく……人に薦めにくいソフトです。「ハマれば天国、踏めば地獄」。英文学をネタの出典元としていることから「大人の童話」、もっと直截的に「エロい童話」を期待した人がいたならば、あまりにも壊滅的な状況のエロにしょんぼりするでしょう。手抜きではないが、アピールポイントになるほどの濃さはない。あくまでエロで言えば『黒の図書館』あたりに望みを掛ける方が無難で堅実。

 シナリオもシナリオで、「寝食を忘れる」か「睡魔に襲われる」か、プレーヤーの嗜好によってかなり傾注度が変わる。メタ・フィクションっぽく「物語」そのものをテーマとして取り上げる点や、自由闊達で読み応えのあるテキストについてはそれほど人を選ばないだろうけれど、一定以上に話を噛み砕かず、あくまで「空気を読め」と強いてくる姿勢が門戸を狭め、深度を掘り下げている。空気を読めた人はひたすら底の底を目指して楽しめる一方、読めない人は入口すら通れない有り様。

 割と感覚重視で考えることよりも感じることを喜ぶ当方としては今回ぴったりと肌に合って楽しめましたが、少しでも時期が悪ければ「ダメ、合わない」と投げていた可能性を否定し切れず。ライアーの新作じゃなかったら我慢できたかどうかも怪しい。合うか合わないかは、実際プレーするまで分からないですね。「ザ・ゲーム」なんかはルールが分かり易く、かつスリリングな展開を見せるため、割と広くの層にウケそうな内容なんですけど……それ以外はなかなか難しい。強いて書けば「面白ければなんだっていい」と鷹揚に構えてみせるのが自分のプレースタイル、という方にはチャレンジをオススメしたい一品。


2004-02-18.

・こんばんは。『Forest』の元ネタをあれこれ読みたくてしょうがない焼津です。というか、自分でもびっくりするくらい読んだことないのばかり。知ってはいるけれど……「題名を/覚えただけで/読んだ気に」のパターン。とりあえずナルニアとウォーターシップ・ダウンに興味が湧いてます。

『Forest』、プレー中。

 「物語」そのものが主役という考え方は大して珍しくもないし、主人公やヒロインを押し退けてストーリーやテーマ自体が異常に目立ってしまう場合もままあることです。特にシナリオ重視と呼ばれるタイプのものではヒロインの悲喜劇、生死さえも「物語」を肥え太らせるための餌となっている状況が多々見受けらる。ギャルゲーやエロゲーに「キャラの魅力」、もっと言えば単に「萌え」を求める向きからすれば、「物語」はヒロインたちの邪魔をしないよう脇に退くか、おとなしくヒロインたちの後を付いて行くか、その程度のものとして認識されることがほとんどであり、あくまでシナリオは「萌え」に奉仕する存在として捉えられていたわけですが──何も、「萌え」の対象をヒロインたちのみに限定する必要はないわけで。あたかもシナリオそれ自体が一ヒロインであるかのように「萌え」や「燃え」を向ける対象と見なしてもオールグリーン。

 で、『Forest』。もはやキャラクターの域まで達した「物語」は、相当に挑戦的で挑発的です。喩えは悪いかもしれないがツンデレ娘や寝取られ娘と比べても遜色のない難物ゆえ、当方は現在進行形で愉悦に身を浸しながらも行く先を危ぶんでおり、要するに五里霧中の桃源郷で遊ぶよう。霧が晴れたら呆気なく袖にされるのが定めか、はたまた赤い布でお互いの手首を縛って心中か。うっすらと「祝福の横溢する婚礼」も可能性として光を発していますが、無事そこまで辿り着けるものか疑問の余地はたっぷり。

 抽象的な心境説明はさておき、話もだいぶ進んだせいでそれぞれのキャラに対する愛着も増大傾向にあります。最初はどいつもこいつもクセが強いわそのくせハッキリしないわで「やっていけるのかな」とネガティヴ・ムードに陥ったけど、今やそれなりに全員の輝きと瑕が見えてきたので大丈夫っぽい。しっちゃかめっちゃかのファンタジー、「リアリティのかけらもない腐れメルヘン」のようでいて根底を支えているのはやっぱり人間のドラマや情念。「ザ・ゲーム」における黛薫の姿は見ていて胸が熱くなった。うざったがりの皮肉屋の嘲笑者でやたら癇に障る喋り方をする彼女は見た目の可愛らしさと裏腹になかなかカチンと来る造型でして、慣れないうちは普通に憎らしかったんだけど……個々が個々の足場で立っていると分かるにつれ、不意に彼女へ感情移入する自分に気づいたり。刈谷も然り、九月も然り。パーティーが凸凹コンビよろしく誰かの窪んだ欠点を誰かの突出した才能で埋めるのではなく、各々の知性に拠って無理難題に立ち向かう姿勢が新鮮。ここまで来て未だに「共闘」って雰囲気はしないけど、これもこれで「仲良し連中」「結束グループ」「補完集団」とは一風違った味わいがあって物珍しい。

 この先は広げた風呂敷を畳んでゴールインか、畳め切れずに人情紙吹雪の刃傷沙汰か。当方、「終わり良ければすべてヨシ」というタイプの人間では必ずしもありませんが、とりあえず終わりが悪ければ斜めに叩くタイプではあります。オチとかまとめは大事です。画竜点睛や竜頭蛇尾には「惜しい惜しい」と言いつつ評価の値を引いてしまいます。だから最後まで楽しませてくれ。「この『物語』はやればできる子なんですよ」だなんて、情けないことを言わせないでくれ、Forest。むしろ当方から評価という概念を奪い取る勢いで頑張れ。超頑張れ。


2004-02-17.

・古橋秀之の新作『蟲忍』は徳間デュアル文庫から3月発売予定とのこと。素敵なタイトル。期待しちゃいます。

・実は毎日KEYのOHPに巡礼する行を惰性で続けていたんですが、今日はやけに繋がりにくい……と思っていたら『CLANNAD』の発売日が決定したのか。4月28日、全年齢対象。最初の情報公開から2年半。長いようで案外短かった気も。しかしもう自分がKEYファンだったかどうかも胡乱になるくらいの年月であることは確か。突っ込む確率は半々ってとこです。

「おにいちゃ〜ん、おにいちゃ〜ん、おにいちゃ〜ん」な電波ソング

「うぉるるるるるああああっ!」
 屠竜刀ネレトーを振り下ろしギギナが挙げる鬼神の咆吼っ!

 あまりにも低温かつスローな電波を浴びたせいで脳内の防衛機構がまったく逆のノリを再生してしまうほどアレな曲でした。一回聴いただけでもヤバいのに、連続再生で聞いたらドウなってしまうというのだ。洒落じゃなく洗脳されそう。というか脳漿が耳からこぼれそう。

『Forest』、プレー中。

 ALICE IN BLACK(゚∀゚)サイコー!

「アリスはなぜ黒いの?」
「手垢にまみれたから」

 なんか、主要キャラ5人が共闘して異常事態に挑みかかる「リドル」より、本筋に関係なさそうなのんびりした日常イベントの方が楽しいかも。「リドル」がハチャメチャな分、至ってありふれた日常が癒しの効果を宿すというか。灰流にも少しずつ馴染めてきて、肩の力もだいぶ抜けてきましたし。

 しかしリドルはいよいよ「ザ・ゲーム」に差し掛かり、本筋の方も本筋の方で盛り上がってまいりました。この「ザ・ゲーム」、テイストがなんとなく冨樫調? 『レベルE』や『HUNTER×HUNTER』の。リドルとしての形式も前回までに比べてだいぶ整ってきたし、独自のルールも面白そう。ここらで一気にブーストかけてきそうな手応えがあります。振るは賽、抛つは命、得るはたった一つの望み。

 にしても、テキスト・センスはつくづく素晴らしい。三行までしか表示できないウィンドウ枠でよくもこれだけのものをまぁ。くだくだしいところがなく、端的に決まっていてついボイスも飛ばせず最後まで聞いてしまう。響きもイイが字面もキレイ。浮かぶイメージも明瞭。表示している文章とはまったく別のボイスを流し、視覚と聴覚の両方にそれぞれの情報を押し付けてくる演出は、たまに効果を成すものの、普段はちょっとキツイなー、って思いますが……それでも序盤で差した嫌気は完全に霧散した次第。今はとにかく先が気になってしょうがない。ただ、イギリス文学全般に疎い当方としては元ネタがほとんど分からず、もどかしい限り。

 クセは強いがハマれば天国、「物語」を愛する者にはうってつけの御馳走といった気配がぷんぷんします。満腹になるまでしっかり美味しくいただく所存。このまま順調にヒートアップしていってラストでコケさえしなけりゃ、少なくとも当方にとっては傑作となること間違いなし。期待と不安の比率で言えば七:三くらいか。いまいち雰囲気が把握できず不安だらけだった発売前および購入時に比べたらかなり上がってきました。よし、このまま突っ走っていってくれ。


2004-02-16.

・重松清の『疾走』読了。

 徹夜してしまった。

 干拓地を「沖」と呼び、蔑む「浜」の人々。「浜」のある一家に生まれた少年・シュウジ──彼は小学6年生のとき、友人の徹夫を連れられて「沖」の教会へ行った。教会と言ってもそこは昔からあるわけではなく、つい最近引っ越してきた男が「神父」と名乗って勝手に開いたもので、半ばもぐりに近い。やがてその教会を接点として、エリという少女に出会うシュウジたち。彼女はポニーテールがよく似合い、何ものにも媚びず、何ものにも動じない「孤高の人」だった。所属する陸上部で才能を認められ、男子であるシュウジにも追いつけないくらいに速く走る。俊足の少女。「走り」への情熱にかけては誰にも負けないつもりでいるシュウジは、ただその背中を後ろから見ていた。いつか辿り着けるように、と。だが、「沖」に開発の波が押し寄せ、余波は悲劇となってエリを襲う……。

 脳裏に焼きついた少女の背中。揺れるポニーテール。瞼に甦る幻を追い求め、淡い想いとともに駆け抜けて行くシュウジの半生を綴った一冊。もともと『奈緒子』『D-ASH』など、「走ること」を主眼においた話を好む傾向があるだけに、タイトルがそのまんまの意味だと知って嬉しくなった。同時に、人生を走り抜けていく意味も込められているわけだけど。

 それにしても──「疾走」。本書に似合う言葉として、これ以上のものはない。中学校で一度も首席の座を奪われなかった兄に対し、いまいちパッとしないせいで両親からの期待を浴びずに育ったシュウジは、幸福とも言い難いが不幸ではなかった。長ずるにつれ兄をうざったく思う気持ちは募っていくが、完全な憎悪を抱くわけでもない。中途半端で生温く、格別抜け出そうという意志も湧いてこない状況。それも加速する悲劇の前に屈し、翻って彼の行く手をハード極まりない運命の数々が阻んでくる。彼は心が傷付かないよう殻をつくり、「ひとり」でいることに慣れるための思考法と対処法を会得する。たまに走る意志さえ萎んで縮まる時期もあった。だが、何度も何度も考えを突き詰めていった結果、残るものはやはり己の足で疾駆すること。緩めた歩調が次第に足早になっていく過程すら、流暢な文章でぐいぐい読ませる。主人公が立ち止まろうと後ろを向こうと、物語は巧みな文章を駆使してノン・ストップに驀進し、ページを繰る手もまるで止まる気配がなくてひたすらに引き込まれた。この一冊と出会えたことに感謝しながら一文一文を味わっていく当方に、「栞を挟んで寝る」という選択肢は絶無。たぶん、真夜中にこの本を開いた時点でフラグは潰えていたのだと思う。

 猛スピードで過ぎ去っていく季節。活字ばかりが並ぶ小説に、それこそ「景色が飛び込んでくる」ほどの疾走感を与える文章はなんと素晴らしいものか。出てくる事件を単一ないし一連のものとして扱うのではなく、あくまで主人公の人生と併走して描いていくため、雰囲気はミステリというより青春小説の匂いが濃厚だが、ところどころにサプライズの要素が施されているから読者がミステリ好きであっても侮れない。丹念に伏線を埋め込んでいるおかげで突然サプライズを突きつけても、一瞬驚いた後に「ああ、そういえば」と納得できるあたりは本当に丁寧だ。

 主人公の想い、ふるさとの情景、エリや神父の言葉、そのひと欠片に至るまでがいとおしい。繰り返される聖書の引用に合わせ、「生まれてきた」ということ、「生きていく」ということに悩み、怖じ惑う人々の姿もまた。時には芳醇なパノラマ的風景を現出させたかと思えば、時には異様な迫力が滲み出てくる文章を紡いだり、また時にはごく率直にロマンを燃え上がらせる作者の筆致に惚れ惚れとしました。中盤から過激な展開が目立ち始め、極端な路線へ進み出してしまうあたりは前半と乖離している印象を受けもするけれど、最後の最後まで「走ること」に執着するシュウジの一念には胸が熱くなる。

 疾走と叫び。他に適するものなど思いつかないくらいハマっている装丁を読了後にぼんやりと眺め、なおも余韻が抜け切らなかった。500ページにも及ぶストーリーのゴール地点──文章の終端へ到達した瞬間に包まれた全身の震えは、ランナーズ・ハイともリーダーズ・ハイともつかぬ静かな快感につき、何か適当なことを叫んで走り出したくなるほどでした。が、徹夜したせいで眠くなったので、外へ飛び出したりせずにおとなしく寝たというのが実際のところ。徹夜読書の心地良い疲労感と、自分好みの本を見つけてしまった喜びに浸りつつ枕に頭を埋める幸福……日曜日がほとんど潰れてしまったことも(゚ε゚)キニシナイ。

 「どんなに走っても届かない、遠い少女の背中を、それでも一心に求めて追い続ける」──ああ、やっぱりこういうの、弱いです。クサいけどツボ。

『Forest』、プレー開始。

 突如として「森」に変貌していく新宿。通行人も建物もオブジェも何もかもが木々へ変わり果てていくなかで、なおも人間でいることを許された5人の男女たち。しかし、彼らには周りと違う形で「変貌」を強いられた。それぞれに与えられた役割──「ギフト」。超能力とも魔法とも形容できる人の域を超えた業であり、同時に本人を縛り付ける呪いでもあった。各々は受け取ったギフトを駆使し、「森」が出題する謎掛け──「リドル」に挑まなければならない。敗北は死を意味する。常識から隔絶された空間で「森」との戦いを強制される一行。彼らに明日はあるのか。

 一昨年の2月に発売された『腐り姫』、去年の2月に発売された『CANNON BALL』、共々に壮絶なバグでプレーヤーたちの心胆を寒からしめたライアー。そして今年も2月がやってきた。よりによって13日の金曜日。修正FD→修正CDとレベルアップしてきた実績より、「今度は修正DVDか?」などというネタも飛び交う中でいざ発売された本作は……拍子抜けするほどあっさりインストールが成功し、現在進めている範囲でもこれといったバグはなく。特に何の問題もありません。遂に3年目で負のジンクスは破壊しましたか。当方、洒落にならないバグを楽しむような趣味はないのでホッと胸を撫で下ろすことしきり。

 肝心の内容について。特に説明らしい説明がなく、わけがわからないまま進行していく序盤はさすがに苦痛でした。「森」とか「ギフト」とか「リドル」とか、そのへんは購入前にOHPで確認した情報から大枠を得ていましたけど、最初はもっと分かり易い地点をスタートにして始まるのだとばかり思い込んでいた。単に怪異や異常というより、ほとんど電波の世界に到達している空間。第一の「リドル」はマッド・ティーパーティーで、御存知『不思議の国のアリス』(および『鏡の国のアリス』)を下敷きに「見立て」がふんだんに盛り込まれいる。時間がループし、いつまで経っても終わることがなく、いつまで経っても意味が見出されることのない狂ったお茶会。打破するには、「ギフト」の力が必要だったが……と、この筋立ては良いとしても実際の回答法がチンプンカンプン。よく理解ができぬまま第一の「リドル」は終了しました。

 こんなノリが延々と続いていくようなら当方はやむなくギブアップするところでしたが、その後は少しずつ分かり易い方向へ進んでいく。時系列は錯綜していて、バラバラのエピソードが羅列されるのだけど、出だしほど強烈に意味不明なエピソードは出てこないから割合安心して読めます。パーティーを組むことになる「5人の男女」は関係があるようなないような、少し微妙な構成。唯一の男性である城之崎灰流が主人公っぽくもあるけど、奇天烈な名前同様、キャラクターもあまり普通っぽくないというか……んー、現時点ではあんまり掴めていません。

 恒例の「ディスク入れ間違い警告トラック」を聞いていたせいもあって伽子たん(*´Д`)ハァハァな当方ですが、今のところさしたる出番がなくてションボリ。病弱で、家庭教師の灰流を慕っている少女なんですけど、話にどう絡んでくるのか見えてこない。話そのものも全体像が見えてこないんだけれど。

 現在は「新宿漂流」のリドルをやっている最中。こっちはマッド・ティーパーティーよりもシチュエーションが面白い。大都会の中で漂流させられるってところが。ただ、意図してのものなのか、とにかく説明が少ない。「空気読んでほしいよね」とばかりにプレーヤーへ阿吽の呼吸を要求する。テキストはなかなか端麗でヒネリが利いており、読んでいて単純に面白いけど、シナリオは結構クセが強い。メタ・フィクションの様相も濃く、『腐り姫』あたりと比べても、プレーする人によって拒否反応が出るか出ないか、違いはハッキリしそうな予感。「ひと味違う」という毎度おなじみライアーソフトへの印象は正にそのまんまでした。センス・イン・ワンダーランド、脈絡を暗殺するストーリー・テリング、言葉と物語の万華鏡といった趣からして、『Fate/stay night』の奈須きのこあたりはまたぞろ大絶賛しそう……とか思っていたら本当に絶賛していたし。

 「イギリス縛り」というルールもあるようで、アリスを始めとしてナルニアとか、いろいろとイギリスの童話・伝承・物語をちりばめている様子。当方は元ネタの題名を聞いて「ああ」と納得する程度ですが、そっち方面に詳しい人は楽しいかもしれず。関係ないけれど、都知事がなにげにイイ感じのキャラをしてました。今後も出番があると嬉しい。


2004-02-15.

・「当方の前でバレンタインネタはやめてもらおうか、おお?」といった状況。こんばんは、焼津です。山で遭難しているわけでもなし、チョコがなくたって死にはしません。愛がなくて死に体ではありますが。

とはいえセイバーと凛は未だに当方をどうにかしやがる(ジンガイマキョウ)

 いっそこのまま士郎は抜きにして凛×セイバーというカップリングで。ついでにアーチャーも交えて三角関係に。その頃士郎は柳洞寺で一成と戯れている、と。

『ショコラ』、プレー中。翠とすずクリア。

 これでコンプリート。6日かかりましたか。そこそこの分量だったと思います。

 翠シナリオはやはり「犯すぞ」「もう犯された」みたく変に軽妙なノリが一番の見所で、筋そのものは修羅場スキー・三角関係スキー的にいまひとつヌルい。結局のところ、翠と香奈子が直接対決せず、主人公が介入して無理矢理事態の解決を図ってしまうあたりが物足りない。翠は親友も恋人も失いたくないと、二兎追っているせいで戦線離脱しちゃいますし。それでこそ「強そうなのに弱い」、地が「ツン」ではなく「デレ」である翠のキャラだけど、ことがここまで至ればいっそ腹を括って欲しかった。「大介が欲しいならば汝、最愛を証明せよ」といったノリで。

 とまあ、そんな不満は残ったが、翠本人は印象的なキャラで、結構気に入っています。バッドエンド時、状況は最悪で気まずいのに関わらず、すげぇ満ち足りた表情を浮かべるところとか、彼女の弱さが滲み出てくるシーンにこそ旨味あり。あの弱さを祝福するバッドエンドも、翠というキャラへのイメージを形成するうえで欠かせないかと。

 一方、最後まで取っておいたすず。『ショコラ』の前作『カラフルキッス』で義妹づいていた戯画ですが、この子もまた侮りがたい戦力だった。ちんまりした感じで可愛くて、普段はあまり押しが強くなく、ワガママ言いたくてもなかなか言えない。一緒に寝たいのに、既に眠っている主人公を起こしたくなくて、何度も部屋を出たり入ったりするシーン。扉の開閉音と鈴の音だけで表現しているんですが、巧い。

 さて、「普段はあまり押しが強くなく」と前述しましたが、実際その通り、すずが控え目な義妹として収まっているのは「普段」だけ。ストレスを溜め込みすぎると爆発するように、すずもまた甘えを我慢しすぎると爆発して一気にワガママになってしまう。もはや将軍レベルのワガママぶり。甘えん坊将軍。風邪をひいて寝込んでる彼女のもとに粥をつくった主人公がやってきても、熱いから「ふうふう」してくれなきゃやだ、とばかりに口を尖らせる。雛のように「あ〜」と大人しく口を開けているのも最初のうち、主人公の粥供給が遅れれば「あ゛〜」とブーイング交じりに。

 ゲームが開始してから知り合う日の浅い兄妹だというのに、急速にシスコン&ブラコンに変貌していくあたりは微笑ましかったです。恥ずかしがり屋だけどヤキモチ焼きで、他のヒロインへの対抗意識もあり、甘える機会があれば恥ずかしくとも遠慮なく甘えてくる。抜け目ないのか、ただ一途なのか。「そんなに恥ずかしいなら無理して甘えなくてもいいだろ」という場面でさえ甘える。恐ろしい。

 それでシナリオは、主人公がすずを妹としてではなく女として意識するようになってしまった……というふうに苦悩していく、何の衒いもないストレートな代物。エロゲーマーなら既に類似のシナリオを何本か読んでいるはずです。だからといって、「またか」と飽きさせるわけではない。独特の論理展開を行って「お約束」を取っ払うところは新鮮だった。目から鱗。我慢すると爆発するボルケーノな妹でありながら、悪魔の囁きとしか表現できない甘言で主人公の固定観念を破壊するクラッシャーな妹でもあり、つまりは当方またもや萌えすぎて撃沈。萌然自失。背徳と爽快の隙間を通り抜けられるこの身軽さ、羨望してやまない。

 というわけで『ショコラ』、これにてコンプリート。6人+αのヒロインのうち4人が当方のハートを「ズキュゥゥゥゥゥン」と撃ち抜いてしまう凄いソフトでした。それぞれタイプの違うキャラでありながら、それぞれ独自の手法で蠱惑してくる。なんと言いますか、萌えの坩堝? 萌えの力ばかりでなくエロの力も確実な梃として働いており、「萌え×エロ=破壊力!」という単純な公式が実現しています。ツボに入らなかった残り2人や+αにしても、サブキャラとしてはそれなりに気に入ってますので、結果として嫌いなヒロインはいませんでした。敢えて好みの順を書けば、香奈子>美里>すず>翠>チロル>真子>さやか。

 システムに関してはちょっと重たく感じることが何度かあったけど、パッチを当てたら特にバグは起こらず、至ってフツーにプレーできたので無問題。マップ選択形式が攻略の補助ではなく攻略の足枷となっている点がマイナスですが、攻略サイトに頼ればなんとかなるので、さして気になるほどでもない。最初に共通ルートで同時攻略しておけば後はだいぶ楽になります。ただ、すべてのイベントを網羅せず最低限の攻略しか言及していないサイトもあるみたいなので、どこに頼るかは結構重要だったり。

 音質はともかく声優さんの演技は良かったし、ねこにゃん原画のCGも良かった。何より、「丸戸史明 with 企画屋」のテキスト・シナリオが「萌え」を主目的として見た場合とても高レベルにまとまっており、存分に楽しめました。満足満足。移植の影響もあったのか、現在はPC版(初回版しか出ていない)が品薄気味らしく、地方によっては入手困難みたいなのでオススメするのに抵抗はありますし、CS版には新規描き下ろしCGや攻略に便利な機能もあるみたいですが……エロあってこその『ショコラ』と思いますので、それでもやはりPC版をオススメ。『BALDR FORCE EXE』の例から言ってそのうち通常版が出る可能性も濃厚ですし、いずれそうなったら改めてプッシュしようかと。


2004-02-14.

・この日付においても『ショコラ』にハマっている最中というあたり、己の業の深さを感じずにはいられない焼津です、こんばんは。

ライアーソフトの新作『Forest』購入。

 良くも悪くも「ひと味違う」ソフトばかりを出しているライアー、最新作の「森」は『腐り姫』『CANNON BALL』に続くシリアス系統のゲーム。蟲(バグ)さえなければ割と信頼に足るメーカーなので、いまいち雰囲気が掴み切れない不安をおして手を伸ばしました。現在は『ショコラ』がまだ終わってないので、しばし積むことになりそうですが。

『ショコラ』、プレー中。真子クリア。翠途中。

 おっとりウェーヴ金髪で巨乳の真子さん。人形じみた表情が乙ではあるが、シナリオは……うーん、及第点割ってるかも。主人公が突然DQNになって周りに迷惑をかける展開もさることながら、真子さんが主人公を好きになる経緯に違和感があって盛り上がれず。伏線は張っていますが、それは単にゲーム開始時点で真子さんが主人公に好意を寄せている証拠であって、好意を寄せるキッカケとなった過去が弱い。真子さんのキャラクター自体、曖昧なまま閉幕してしまいましたし、「萌え」に関しても中途半端。

 一方、ツンデレスレでの評判も高い翠。いわゆる「幼馴染みにして悪友」といったタイプのヒロインでして、造型はありふれていますけど、恋愛過程がなかなか独特で面白い。『それは舞い散る桜のように』で八重樫つばさに希少性の高さを感じたときと同様、この翠も「ありそうでない」貴重なヒロインに思います。いえ、ふたりが似ているとか、そういう話ではなくて。

 最初は暴力的で嘲笑的といった印象しか湧きませんが、声優さんの一風変わったイントネーションが耳に馴染んできた頃になると、自然に愛着が湧いてくる罠。それもトラバサミ級。フロアチーフという責任ある役目を務めているだけに能力が高くて面倒見も良い「頼りになるキャラ」なのに、知れば知るほど脆さが目についてきて仕方がない。「悪友だけど親友」という関係を残したままズルズルと溺れていく展開のまさに甘美なこと。

 香奈子が主人公を未だに想っていて、主人公も主人公で未練が残っていることを知っておきながら深みにはまってしまう翠。三角関係の泥沼であり、もう2年以上前になる『君が望む永遠』を思い出してやまず。ただ、以前にも書きましたが、主人公と香奈子は微妙な雰囲気ながらも既成事実は「何もなかった」ので、一概に浮気とも言えないあたりが複雑です。翠のしたことは寝取りというより抜け駆け。それでも香奈子との友情を大切にしたいからと、主人公との関係をごまかそうとする。なんとも青臭いスメルの漂う仕立て。鬱度は低いが、いまいち出口の見えない薄暗さが面白い。

 「童貞」と散々罵ってきた女性相手に筆おろしをしてしまうあたりは素直に美味しいと思います。

「あんだけネタにしていた大介の童貞…あたしがもらっちゃうなんてさ…」
「そ、そんなに…変か?」
「あたしにとっては…地球が滅亡するよりも、あり得ないことだった…」

 いや、これもこれで楽しい関係です、はい。

「ドンドコドーン」でググるとトップに来るうちのサイト

 というか犬江さんのところも。ドンドコドーン兄弟?


2004-02-13.

・2日続いて同じネタなのは何ですが、久々に強烈な夢を見ました。こちらの方にて詳細を報告しておきます。ヌルヌルした感じが非常にリアルで、起きた後も忘れられないくらいに鮮烈でした……。

・ついでに『Fate/stay night』のネタバレ感想もアップ。膨大な分量を誇っているだけに、ネタバレなしで語るのは難しいと判断しました。

ステキな凛TOP絵(氷上王国)

 やはり凛はキャラ的に「赤」が似合いますね。無論、黒ニーソも。

ステキな凛TOP絵(Crazy Clover Club)

 うん、「赤」だ。背後のイリヤもグッド。

「なぜ吉野家に牛丼ない」と暴れる 容疑の男を逮捕

 松江の事件も記憶に新しいなか、ふたたび牛丼にまつわる事件が。かくも牛丼の不在は人心を狂わせるのか。ちなみに当方は牛丼をやめた結果、オムライスにハマりました。卵がふわふわと柔らかいうえ、ケチャップソースとデミグラスソースが選べて(゚д゚)ウマー。

『ショコラ』、プレー中。美里とさやかクリア。

「おっきな背中♪」

 爆死級の萌え。おかしい、当方はつい昨日香奈子さんに敗北したばかりだというのに、もう新たなヒロインにやられている……! 「日に二度も負けるバカがいるか」。というか日は跨っていた。しかし、よりによって「萌え」で二度も殺されるとは。外見に似合わず、いえ、外見に相応しい凶悪さです、『ショコラ』。苦さと甘さの両面を取り揃えて容赦なく攻勢を掛ける。久々にチョコが食いたくなってきた。よりによってこの時期に。

 えっと、実はツインテールとか天然系とかの属性にも弱いです、当方。美里は声優さんの熱演もあり、容易く魅了されてしまいました。「雨に唄えば」の如く雨降る中で踊って喜びをさらけ出たかと思えば、深夜のお茶会で傲慢なまでの純真さを発揮し、射るように鋭く告白してくる美里。天然だから……と油断していたせいで直撃喰らいました。もはや当方の顔面はニヤケ過ぎで壊滅的状況にあり、眠りに就くまで復旧できそうにありません。まったく、ホントに『ショコラ』はヤバイ。掛け値なしに危険。これはちょっと萌えすぎる。更にエロの効果まで上乗せされるもんだから収拾がつかない。このまま続けていたら身体が保つかどうか少し不安だ。いくら人が「萌え」で死ぬことはないといっても、限度がある。当初の目的は「適度な萌えでFate熱をクールダウンさせる」ことだったのに、今や過度の萌えによってショコラ熱に感染している悪寒。

 でも、さやかの方は割とフツー。いや、フツー以下? デモでこのCGを見たときは「クールで理知的なパティシエ」と思ったんですが、実際はあがり症で引っ込み思案。義妹のすずあたりと被って目立ちません。イベントも少なかった気がしますし、冷遇されている? パティシエという職種は好きなのでそれなりに楽しかったんですが、シナリオの印象は希薄って感が拭えない。というよりそもそも『ショコラ』、キャラ立てや会話センスは卓越していますが、シナリオそのものはごくオーソドックス。特に意外性も高くなく、「この流れならこう来るな」という読みがそのまま当たる。最初はほのぼのして、イベントを通じて親密になり、お互いを意識し合うようになったところでひと騒動、それを解決させたらめでたしめでたし……と大枠も型に填まっています。当方の気に入っている香奈子にしろ美里にしろ、ヒロインの造型が秀逸だからこそ盛り上がってのめり込んで萌え尽きたわけで、好みに合わないと話の方もそれほど楽しめないかと。このゲームの評価はプレーヤーがキャラを気に入るかどうか、に掛かってますね。当方は今のところすべてのキャラに好感を持っていますし、この調子なら最後まで楽しめそう。


2004-02-12.

・唐突ですが、当方のよく見る嫌な夢は「延滞」。部屋を片付けているうちにふと、ずっと前に借りたビデオが発掘され、「やべぇ……延長料金、いったいいくらになってるんだ!?」とガクガクブルブルしたところで目が覚めます。一度も延長料金を支払いへ行く場面に辿り着いたことはなく、むしろそこが心臓に悪い。レンタルビデオで延長を掛けたことはありませんし、原因となる記憶に思い当たりはありませんが、どうやら潜在的に延滞行為への忌避感があるみたいでして。ちなみに借りてるビデオはアニメだったりB級映画だったりすることが多い。アニメはオリジナルもあれば既存もあり、B級映画の方は大抵オリジナルで、モンスタートラックでゾンビを轢き殺しまくるやけに爆発シーンの多い作品とか。

大量のセイバー絵(日々の暇に)「DAIさん帝国」経由)

 やはり当方の好みで申せば2月9日付の絵がンガググ

『ショコラ』、プレー中。

「獣に…なった?」

 香奈子トゥルーエンド到達。轟沈。ラストに漂うあまりにも幸福な空気を浴びた途端、手も足も出ずに陥落し、天国に沈んでしまいました。所詮、ロング黒髪属性には抗えぬ身。立ち向かう術などなく、ただ一方的に萌えて萌えて萌え倒された。「的にもならんな」と呆れられるほど、萌えポイントが全弾必中。この萌えがボディブローだったとすれば、当方の臓器はあっさり破裂しています。いやまったく凄かった。

 表情があまり動かなくて、声も普段から沈みがちで、いかにも血圧が低そうで物憂げなムードを醸している彼女が鈍感な主人公に翻弄されるあたりが特にポイントです。主人公がついポロッとこぼした言葉に動揺したり赤面したり、普段が掴み所のない性格だけに、そういうありふれた反応もメリハリが利いていて素晴らしい。そして、それになかなか気づかない主人公も、もどかしくて乙。まさに「デレ」という弱味を晒し、こちらが「今だ、今攻めたらイケる!」と、まるで周期的に短い時間しか当たり判定の発生しないシューティングゲームのボスキャラを撃ち込んでいるみたいな気分になっても、主人公のニブチンはさっくりスルーした挙句、当たり判定が消えた頃になってバンバンと勘違いの弾を射出。何やってんだか。しかしそうした失敗が後々の修羅場へと連鎖していき、キャラたちが青臭いドラマを演じてはこちらのロマン受容体を刺激するわけで。たまらない。

 エチシーンもエチシーンでこちらの心を狂わせる香奈子節が健在していましたし。主人公と香奈子さんが学園生時代イイ雰囲気だったのにいろいろあって3年半後の「今」に至るまで何もなかった、という設定が背後にあるんですが、実際香奈子さんを攻略するプレーヤーもいろいろ条件揃えないとトゥルーエンドへ繋がるルートに入れないので、こっちもこっちで嘘偽りなく焦らされるんです。この結果、主人公とのシンクロ現象が発生し、「やっと辿り着いた」と同じく感無量に。長年の空白を埋めるべく激しく求め合い獣化するふたりに(*´Д`)。それにしても赤い糸だの裸で身を寄せ合って一つの毛布にくるまるだの、時代を逆行したロマンがノスタルジーやセンチメンタリズムを喚起しまくり。開始早々から香奈子さんに魅了されてしまったが、惚れたのは間違いじゃなかった。至極満足。

 けれど、攻略すべきヒロインはまだ5人もいるという事実。既に当方の萌腹は駆逐されているというのに……まだ戦えるのか、まだ戦ってもいいのかッ! 感謝。ならば続けて攻略するのみです。次のターゲットは真名井美里──元気の良いポジティヴ天然家出娘。世間知らずの箱入り令嬢でもある。なかなかピンポイントな設定だ。震えて期待します。


2004-02-11.

モーラTOP絵(Half Pixels Carving)

 華奢で少年じみた中性の雰囲気がモーラの魅力かと。骨張った感じが最高。

セイバーTOP絵(風道。)「DAIさん帝国」経由)

 未プレーにつき想像とのこと。

イリヤ絵「DAIさん帝国」経由)

 表情変化もあり。スカートの短さも良き哉。

ケロQの新ブランド「枕」、第1作『サクラノ詩(仮)』は今春登場予定(電撃オンライン)

「この業界ではオーソドックスな“学園もの”ですね。ケロQの従来作品にあったバトルとかって要素は、現状では入る予定はありませんので(笑)」

 ケロQで学園ものときたら……電波?

 それはそれとして『モエかん』のFD『モエカす』も今春を予定しているとの話。

 あ、「今春」で連鎖的に思い出しましたが、『最果てのイマ』、未だに「今冬 発売予定」とありますが……旧暦? それともまさか12月? XUSEのトップでは「2004年発売予定」となってますから実際は未定に近いかと。

『ショコラ』、プレー中。

 2周目にてチロルエンド。これで香奈子さんのトゥルーエンドへ行けるみたいです。というわけで以降は念願の香奈子トゥルーエンドを目指し邁進する所存。当方いざ征き征きてロフト窓際の指定席に駆け上り、ぐうたらな香奈子さんを引き摺り降ろさん。

 ライターの丸戸が本作の後に手掛けた『FOLKLORE JAM』もツンデレキャラを配備──それも年上と年下、長身と小柄の完全対比で──したことで当方含むツンデレスキーを喜ばせましたが、本作も本作で大村翠秋島香奈子と二大ツンデレキャラが登場します。そして、やはり……巧い。彼はツンデレのツボというのを恐ろしく心得ています。ツンデレの「ツン」は尖った態度や性格、要は「強さ」を象徴するものであり、「デレ」は甘えや甘やかしといった「依存」を象徴するものであって、この二種を取り揃えるということはキャラの言動における硬軟のバランスを取るということ。本作のシナリオはこのバランス感覚が絶妙で、つい惹き込まれてしまう。最初は気づかなかった事柄も、後で思い返してみれば布石になっていたりして。うん、ツンデレスレで話題になっているのは伊達じゃないわけだ。

 しかし、香奈子さんの1回目エチーを見て、既に切なさと萌えで瀕死になってしまった当方がトゥルーエンドまでの道のりを無事辿れるかどうか。萌えるのはいいが、萌えすぎるのは怖い。体力と気力よ、どうか続いてくれ。


2004-02-10.

ドンドコドーンに蝕まれつつある焼津です、こんばんは。繰り返し聞いていると本当にドンドコドーンで聞こえてきますね……というかもう、何回聞いているでしょう、当方。気づけば「replay」を押してばかりいます。

第四回本格ミステリ大賞候補作一覧「Mystery Laboratory」経由)

 『赫い月照』……確か200ページくらい読んで挫折しました。神戸の酒鬼薔薇聖斗事件を材に取ったらしいのですが、なかなか話が進まなかったので。一応シリーズものらしいですから、いずれ第一弾の『未明の悪夢』を読むことで谺に再挑戦しようかと。

「眠りの園」に『沙耶の唄』アイコン

 「Icon」→「Nitroplus」。ネタバレありなので未プレーの方は注意。

戯画『ショコラ』、プレー開始。

 コンシューマーへも移植したらしい喫茶店経営エロゲー。当てると黒ストの現出するパッチがあることでも密かに有名。昨日の日記で丸戸史明の名前を書いて思い出し、長らくの積みを解除して着手しました。去年のソフトでは『パティシエなにゃんこ』と同様に喫茶店を題材として好評を得たこのゲーム、よく一緒に話題にされることも多いのですが、発売日も割と近かったと思います。たぶん一ヶ月ちょっとくらい。巷での評判が良かったことに興味を感じ、併せて購入した記憶があります。

 父親が再婚することになり、メイド喫茶「キュリオ」の代理店長を務めることになった結城大介。つい昨日まで一店員として働いていた身のため、最初は戸惑ったものの、周囲の力を借りつつ「キュリオ」の経営を軌道から外れないよう奮闘する。再婚によって新しくできた義妹のすず、ひょんなことから拾って雇うことになった良家筋と思わしき家出少女・美里、それに中学生時代からの幼馴染みにして悪友・翠や、パティシエのさやか、ウェイトレスの真子、果てにはつい先日まで半同棲状態だった香奈子までも含めて、彼の日常は慌しく過ぎていく……。

 マップ移動形式のADV。仕事をこなしつつ、店内のあちこちに顔を出してヒロインたちとの親密度を高めていく。ごく普通の無難なゲームデザインですが、難点はイベントの起こりにくさ。「親密度を高めていく」と言っても大抵はチップキャラのチョコマカした動きが出る程度で、イベントはたまにしか起こらない。同時攻略も可能みたいなので、要領良くプレーすれば割合頻繁にイベントと遭遇できますが……場合によっては3日も4日も何も起こらない日が続いたりして、結構寂しい気がします。

 が、そうしたゲームデザインの難点を脇におけば、まったりした雰囲気が実に心地良い一作です。何よりキャラがイイ。悪友でツンデレ要素を持ってそうな翠、天然で元気の良い美里、おっとり巨乳の真子、控え目に甘えん坊なすず、親密か否か判じ難い不思議な距離感のある香奈子と、当方の好みにズビズバはまるヒロインズが醸し出すまったりムードは極上。テキストもしつこすぎず、それでいて要点を押さえた代物だから心憎い。程好く力の抜けた感じが「萌え」を増幅している。パテにゃんとはまた違ったノリだけど、やってて楽しい気分になってくる点で言えば同じ。

 初回は香奈子さん狙い。ロング黒髪、巨乳、ダウナー系性格──もはや回避不能なまでに属性ヒット。何としても添い遂げん、と意気込んで攻略したは良いがバッドエンド。どうも固定みたいで、「ある条件」を満たしてからでないとトゥルーエンドまでのルートは開けないみたいです。なんというか、生殺し? でも、エッチシーンはあまり期待していなかった割に凄かったです。股間直撃。いえ、CGやテキスト、プレイそのものが濃いというより、状況や関係の設定が巧いというか。3年半に渡って「何もなかった」男女が一線を越えるという、その状況のつくり方、持っていき方が巧い。リアリティがあるというのではなく、ロマンを刺激するという意味で。そのうえなんか、いちいちツボを突く言い回しが多くて本気に往生しました。和姦モノでこれだけ深度のある興奮を味わったのは久々かも。

 まだ一周しただけですが、手応えとしては充分「良作」と確信するに足るものを得ました。イベントの一つ一つにいちいち転げまわりたくなる衝動を覚え、それを押さえつけるのに苦労するほど。どうも攻略が面倒臭そうなのはアレですが……んー、これは攻略サイトに頼った方がいいのかな。ともあれ、こいつをプレーすることで、未だやり場に困っているFate熱をクールダウンさせていこうかと。


2004-02-09.

「企画屋」の正体(視影堂本舗)

 『FOLKLORE JAM』が「シナリオ/丸戸史明 with 企画屋」となっていたので気に掛かってましたが、なるほど、互助会ですか。疑問が一つ氷解。

セイバーTOP絵(月道)

 久々の更新にセイバー絵キタ━━(゚∀゚)━━!!

『Fate/stay night』、コンプリート。

 聖杯戦争、完全終結。「また春に会いましょう」──オールクリアの証も確認。遂に運命の夜を凌ぎ切りました。長かった。本当の本気で長かったです。公称プレー時間は60時間、「ふつうにやってたらそこまで掛からないよ」というのが世間の弁だそうですが、なにぶんプレー速度の遅い当方、累計時間はあながち遠くもない数字になりました。EXTRAで確認したら50時間超えてましたし……声の付いていないノベルゲーでこれってのはさすがに破格ですね。いやまったく。

 長大な分量に対して舞台はあくまで冬木市に固定されており、物語のスケールアップはあっても「外」へ出ることはないという徹底した構成も閉鎖環境スキーとしてはプチ胸キュン。「冬木市の聖杯戦争」という部分にこだわって手を広げ過ぎなかったのは実際正解だったと思います。これで全世界を巻き込んだ話に持っていっていたら、それこそ収拾が付かなくなっていたはず。

 ただ、前作の『月姫』が好きだった一ファンとしては、少し残念に思うところもあり。総量自体は増えていますが、ルート数が減ってしまったせいでバラエティを損なった感は否めない。3ルートはそれぞれまったく違う展開を見せてこちらを翻弄してくれたけど、それでもまだ物足りなさを覚えてしまう。プレーヤーとしての欲深さは尽きることがない。『月姫』もコンプした直後は「まだ読みたい」と興奮冷めやらぬ気持ちになりましたが、不思議と物足りなさは覚えず、あれ一本でも充分に完結していると考えられた。だからこそ、『歌月十夜』が出たときは望外の喜びを感じたわけでして。Fateの場合は補完して欲しい部分が多々あり、満足度は相対的に低い。グラフィック、演出、シナリオ量と、あらゆる面で前作を凌駕していますが、インパクトの点では劣るかな、と。『月姫』を超えて欲しい気持ちはありましたが、超えてくれたという実感はなく。ファンダメンタリストじみた発言になりますが、やはり当方にとって『月姫』という名で根差した壁は高く厚かった。

 まー、何はともあれ、感想の行き着くところは「ごちそうさま」の一言。買って良かったと思いますし、今後はたびたびネタとして引き合いに出すことは間違いなし。


2004-02-08.

・「セイバーか凛か」と訊かれても選び取れそうにない焼津です、こんばんは。何度考えてもやはり甲乙つけがたい。

イリヤスフィールTOP絵(Crazy Clover Club)

 アインツベルンの魔術は世界一ィィィィィィィィィ!

 セイバーでも凛でもなく、あっさりとイリヤに転びましたが何か?

小説版デモンベイン、3巻(最終巻)の発売は4月

 解説は「あの人」という話でしたね。

 それとついでに、PS2版DXパックのパッケージ絵。ふたりが咥えているのは薬莢だと思いますが、なんだかカロリーメイトを齧っているようにも見えたり。

・そろそろ終わりも近い『Fate/stay night』、プレー中。

 3周目もいよいよ終盤を迎え、これでオールクリアも目前となってきました。タイガースタンプ(バッドエンド確認数)もだいぶ埋まってますし。

 で、3周目。ぶっちゃければ途中までの展開がひどくかったるかったんですが、後半に差し掛かるにつれて加速度的に盛り上がっていき、一時当方を支配しかけていた睡魔も遠ざかる次第。目先を変えた、というより反則スレスレな展開の連続で、良くも悪くも1周目・2周目とは雰囲気やテーマが違う。そういった仕組みの正否についてはやり終わってから考えるとします。

今日のリファー

 関係ないページが引っ掛かることはままありますが、さすがにこれは笑いました。


2004-02-07.

・キーボード、故障の原因は分かりませんでしたが、叩いたら直りました。未だにこんな技が通用するなんて……。

・Fateのおかげですっかり滞っている読書ですが、ちまちまと合間合間に読み溜めて2冊読了。『武揚伝(四)』『ゆらゆらと揺れる海の彼方』。歴史小説とファンタジー。

 佐々木譲の『武揚伝(四)』はこれで完結。いよいよ箱館戦争へ。最後まで徹底して簡素な文体で描き抜き、堅実で重厚、緻密で繊細な物語を編み上げたことは素晴らしい。何分「歴史」が題材となっているゆえ、話の方向や決着が見えてしまうあたりは素でネタバレを喰らっているようなものと言いますか、歴史小説というジャンルの宿命ですが、それでもなお幕末から維新にかけて己の信念とともに駆けた武揚たちの姿が鮮烈で清々しい。勝さんが悪役に回っているところも面白いですし。総計すると文庫にして約1700ページの大作だけあって読み応えは十分でした。

 近藤信義の『ゆらゆらと揺れる海の彼方』は先月刊行で、これがデビュー作にあたるわけですが、話の方は完結しておらず、ひと段落ついてところで幕となります。続編は4月予定とのこと。元はスペオペを目論んでいたのにいつの間にかファンタジーとなってしまったと「あとがき」で語っていますが、その名残が「冥海」という設定。広漠で何もない異次元空間だが、ここを経由すると現実世界を行くよりも遥かに移動時間をショートカットできる……というわけで各国がこぞって進出。ひたすら広くて障害物もないので、規模の大きい戦争をやるにはうってつけの舞台となっている。「海獣」というモンスターが兵器として活躍したり、戦記ファンタジー的な面白みはあるけれど、結局、記憶喪失少女の正体が何なのか不明なまま終わります。個々のキャラは立っているし、もう少し巻数が揃えばオススメするに足るシリーズとなるでしょう。

・黙々と『Fate/stay night』プレー中。

 現在3周目。1周目から2周目に移る際はそれほど大幅に話を変える必要はなかったけれど、1周するのに軽く10時間以上は掛かるこのゲーム、さすがに3周目あたりになってくるとプレーヤー側のダレ具合が心配になってきます。だからこそ、書き手の方もここいらでドンとでっかく梃入れしてくると睨んでいましたが……サーヴァントたちがあっさりヤラレすぎで無常観濃厚。そして何より、ブレーキが壊れたみたいに黒くなっていくヒロイン。ごめんなさい、状況が悲惨すぎて笑ってしまいます。やりすぎると却って緊迫感が薄れる罠。

 で、3周目とはあまり関係ないんですが、ヒロインに対する当方の好みについて。絵的にはセイバー>イリヤ>凛>桜なんですが、キャラクターとしてはセイバー≧凛>イリヤ>桜といったところ。セイバーと凛の魅力が拮抗しています。

 戦闘力が高くてカッコイイくせに普段は食いしん坊で、こくこく頷きながら食事を味わっているセイバーは「一家に一台」と言いたくなる可愛らしさ。「無表情も表情の一つ」と主張したくなる。プレー中はあまり気に掛からないのですが、「小柄」というポイントを思い出すたび脳内でヤバイ感じの物質が分泌されてくる。戦いに関しては冷徹な面が発揮され、それもそれで美味しい。

 一方、凛はツインテールで強気で普段は猫被って優等生ぶっている自信家少女と、遥か古代に沈んだ既視感が甦ってくる造型。しかし筋は通っており、一言に集約すれば「男前」です。さりげに怒りっぽく、イタズラな性格をしているところも心憎い。底意地悪く主人公をからかってくるくせに、攻められると案外脆くてあっさり照れるなど、手応えのある反応が乙。一見して強固に見える彼女が意外なまでの少女的脆弱性を抱えているあたり、反則的な可愛さですよ。とにかく、凛という娘は些細な言動の威力がヤバイ。レッドカードが何枚あっても足らない萌え強度。

 イリヤはロリで普通に(*´Д`)ハァハァできますが、「無垢で残酷」といった点に抵抗を覚えて萌え切れず。んー、残酷少女は割と好きなんですが、加害者視点から見るならともかく、被害者視点から見てしまうと単純にガクブルしてしまって感情移入できない。「ローレライ」を聞く度に背筋を戦慄が駆け抜けていく始末。バーサーカーとのエピソードについてはホロリと来ましたが。桜は他のヒロインと比較すると最下位になってしまうけど、嫌いというわけじゃないです。絵的にも可愛いし、彼女と過ごす日常は和む。しかし地味。あくまで「日常のひとかけら」という印象を覚えるのみ。運命を感じませぬ。

 美綴やキャスターといった脇キャラもそこはかとなく気になっていますが、何せ出番が少ないので語れることも少ない。美綴、もっと見せ場のあるキャラと思っていたんですが……この調子だと序盤しか出てこないキャラってことに。


2004-02-06.

・キーボードが中途半端に壊れました。おかげでろくに文章が打てません。原因がよく分からないんですが、一回しかタイプしてないのになぜか二文字も同時に出たりして何が何だか。

・まだまだ『Fate/stay night』プレー中。

 現在3周目。またひと味違った展開を見せてくれそうで楽しみですが……いや、1行書くのに1分かかるような状況なのでまともな感想は書けません。なんとか直して次回以降ゆっくりと書きます。


2004-02-05.

・セイバーが馬上槍試合でランサーと対決する夢を見ました。ロック・ミー。

 しかもなぜかライダーが師匠という設定になっていた始末。「天晴れじゃ、セイバー! もはやおまえに教えるべきことは何もない!」と宣言してバササーッと去っていく。

 バーサーカーが登場していたら馬も馬で黒王号とか黒主とか、とにかく黒くてデカいヤツだったろうな。試合にならん気もするけど。

セイバー絵(Crazy Clover Club)

 絵的にも性格的にも隙のないヒロインですね、セイバーって。「聖杯とかはいい。飯を食わせるんだ」と言わんばかりのお茶目なところも含め。

・今日も今日とて『Fate/stay night』プレー中。

 嵌められた。

 というわけで2周目クリア。Goodエンド。発売前に「アーチャー萌え」と嘯いていた当方にとって、満ち足りたものを感じる面がある一方、どうにも消化しがたい澱も残る屈折したストーリー展開でした。こちらの予想をスイスイと裏切るあたりは素直に楽しめましたが。

 あー、個人的に「燃え」の点で言えば1周目よりも2周目のルートの方が良かったかも。序盤の対キャスター戦からしてワクワクし、その後の意外なカードの組合せにも「おおっ」と感激させられた。1周目──つまり、セイバーがバリバリに活躍するルートは爽快感に溢れ、純粋にカコイイんですけど、2周目は敢えてカッコ良さを捨てて泥臭い戦闘に身を堕とすので、そこらへんが却って燃えると言いますか……ええ、カッコ悪さも視点を変えれば燃料のひとつ。

 で、主人公であるところの衛宮士郎に関してはいろいろツッコミどころがあるんですが……いちいち書いているとキリがないので割愛。しかし、伝奇活劇の主人公としてあの病的なまでの危機感薄弱はさすがにどうかと。「最後に生き残ったペアが勝ち」という聖杯戦争では超人的戦闘単位のサーヴァントよりも人間のマスターを狙って殺す方が容易く、それ故にマスターはサーヴァントを護衛として常時そばに置いておく必要がある……と諭されながら、「女の子と一緒の部屋で寝れるか!」と真っ赤になる士郎。ここまで空気の読めない主人公は今時珍しい。

 「男の子・女の子」の意識を柱にしているあたりはひと昔前の少年マンガを彷彿とさせ、それはそれで悪くないんですが、もうちょっとバランス感覚を保有していても良かった気がしてならず。とにかく危なっかしい。このFateというゲーム、プレーヤーに課せられた一番の制約は主人公本人という罠。彼の特異な性格が物語の難易度を底上げしてしまっている。当方は彼をちょうどいい「重し」として受け入れて楽しみましたが、「足枷」としてウザったく感じる向きも当然あろうかと予測され。

 王道っちゃ王道なものの、なんともクセのあるシナリオです。ちょっと大味な観もあるけれど、勢いの良さ、込められた熱量が細かい不満を弾き飛ばしてくれるので、プレーしている間はうまい具合に多幸感に包まれる。当方、元気のイイ話は好きです。故に無問題。


2004-02-04.

・そろそろ中断しようか……と思った矢先に突然ストーリーが盛り上がってしまい、なかなかやめられない罠。新手の地獄ですか?

・まったりと『Fate/stay night』プレー中。

 仮にも「戦争」の二文字を掲げて刃を交え合う内容だけに、自然展開も殺伐とした雰囲気の漂う方向へ突き進んでいく。「間違ったら即死」という、地雷みたいな身も蓋もない選択肢は実に多い。いや、大抵のものは「これ選んだら死ぬだろ」と分かるんですけど、それでも敢えて選ばずにはいられないあたりが当方の業の深さ。バッドエンドスキーなる人種は「話の続きは気になる、確かに気になる、でも……ああ! この、いかにもマヌケな死に様を晒すこと間違いなしの致死的選択肢をクリックしたい! というか指が勝手に動く!」ってな、どうしようもない衝動を遺伝子レベルで抱えており、この調子では普通のエンディングより先にバッドエンドを制覇してしまいそうな勢い。いくら足掻いても誤・即・死の誘惑には勝てません。げに恐ろしきは横溢するフェイタリティ・テイストよ。

 そんな特殊趣味はともかくとしてもこのFate、気を抜けばあっさり何もかもオジャンになってしまう無常性の高さ、並大抵ではありません。DOSゲーの不条理が時を超えて甦ったとしか思えないほど。とはいえ、バッドエンドを介してこそ見えてくるFateの世界というものもあり、「とりあえずプレーしたからにはバッドエンドも確認しないとなぁ」なんていうBEスキー以外にも是非バッドエンドの確認をオススメしたいところ。当方が好きなのは令呪を破棄し、聖杯戦争を降りたことで迎えるバッドエンド。今のところ、あれ以上に恐ろしいヤツはお目に掛かっていません。


2004-02-03.

・Fateばっかりやっているせいで他の同日発売ソフトに関してはアンテナが下がりまくり。そんな中、ふと小耳に挟んで気になっているのが1本あります。

「安西先生……『はぁ・はぁ・テレパス』が……したいです」

 密かに「ヒロイン視点」の属性を帯びている当方、「テレパシーによってヒロインのモノローグを補完」という設定が醸し出す魅力にはどうにも抗し難い。おまけに開始早々主人公とヒロインが付き合い出し、恋人としての甘々ライフを送り続けるとあってはバカップルスキーの血も騒いで止まぬ。あまりの好ましさに惑乱しそう。

 そのうち能力がバレて「主人公! きさま! 見ているな!」と逆襲するヒロインを想像するだに燃え。「読ませるか!」とばかりに垂れ流すジャミング電波テキスト、人目に触れることなく精神の水底で繰り広げられる観念的なサイレント・リーディング戦、どんなに離れた地点にいようと完遂される狙撃テレパス、歌舞伎町で調達したドラッグによる感情遮断、物語は次第に泥沼サイキック・アクションへ……!

 いや、実際にそんな展開をされても困りますが。刹那の燃えだけですべてを凌げるほど欲望を捨てた当方ではありませんから。たまには普通に(*´Д`)ハァハァしたいです、マイスター。

 とはいえ今はFateを優先させたいので、もう少しだけ様子見しておこうかと。特に否定的な材料が目につかないようならこのまま突っ込もう。

・依然として『Fate/stay night』プレー中。

 ヤバイ……2周目が楽しい。思わず笑ってしまうくらい。

 別段1周目が手抜きということもなく水準を超えてしっかり盛り上がっていたのに、いざ2周目に入ると、まるで前回のプレーそのものがフェイントとなっているような……そんな錯覚が襲ってくる。実に心憎い構成。ヤラレました。ふう、ムービーを飛ばさなくて良かった。

 Fateの主人公はあまりカッコ良くなく、傍から見ていて「おいおい、大丈夫?」と心配になるほど危なっかしい。ヒロインたちを守る場面よりもヒロインたちに守られる場面が多くて、ふとツナたんを思い出してしまうくらいでした。

 しかしその分、補完するような形でヒロインたちがカコイイ。何かと口うるさく、それでいて男前な性格をしているセイバー&凛に惹き付けられて止まず。「あんたは大人しく後ろでガクブルしてろ」と言われんばかりの扱いに抗う主人公もヨシ。当方、弱い奴が頑張る傾向のストーリーが好きなので、「主人公<<ヒロインズ」といった配置には垂涎。もどかしさが美味しい。

桐野夏生の『OUT』がMWA賞にノミネート「Mystery Laboratory」経由)

 日本の作品がノミネートされたなんて話を聞くのは初耳。いえ、当方が海外賞に疎いだけで、前例はあるのかもしれませんが。


2004-02-02.

・「遠坂」がたまに「逢坂」に見える焼津です、こんばんは。『百舌の叫ぶ夜』とか初期の作品は割と好きだったけど、最近はいまひとつ(以下略)

・そんなこんなで『Fate/stay night』、プレー中。

 休日を丸っきり潰し、やっとのことで1周。人によっては10時間程度で済んだという話ですが、以前にも申した通り、当方はプレー速度が遅めなので累計してたっぷり15時間は掛かりました。ボイスレスでここまで掛かったノベルゲームはさすがに記憶にない。

 ネタバレなしで感想を書きますと、ボリューム充分でたっぷり物語を満喫できた一方、どうにも設定に次ぐ設定の上塗りで腑に落ちなかった面もあり、諸手を挙げて絶賛する気持ちにまでは至らず。片手を突き上げるくらいに留まります。まだ1周しただけですから全ての謎は開示されていないわけで、今後の展開によっては現在下げているもう片方の手が元気良く跳ね上がる可能性とて、なきにしもあらずですが。

 演出は凝っているし、そもそも素材となるテキスト、CG、エフェクト、BGMからして申し分ないクオリティを誇っている。かような点についてはノベルゲーム広しといえども、そうそうお目に掛かれぬほどの贅沢さ……と表現しても差し支えないです。ただ、敢えて不満を書けば「大雑把」。途轍もない力を有した人外どもがドカバキ殴ったり斬ったり刺したり魔術ぶっ放したりと、ハナからインフレが起こっているムード濃厚で、戦いの趨勢が勢い任せに感じられる。強い力には、より強い力を。不思議な能力には、もっと不思議な能力を。力押しすぎて、「燃え」の感覚が麻痺してしまった局面もあった。

 アクセル全開でパワーがあるのは結構なんですが、問題は当方がそのノリに付いていけるかどうか……ちょっと不安を覚えつつも2周目に突入します。

2ch ライトノベル大賞 2003年度下半期、投票結果発表

 下半期は積みが多かったせいか、ほとんど未読作品。10位以内では2位と9位のしか読んでません。あとの8冊も一応買ってはいるんですが……。ともあれ、接戦だった模様。レーベルで言えば相変らず電撃が圧倒的だ。レーベル別集計によれば得票率が50%を超えている。

 更にイチオシ大賞。作品はほぼ一緒ですが、微妙に順位が変動しています。

 他にも完結希望シリーズ賞ベストキャラクター賞。今回はなかなか充実した賞となり、傍目から見ていても楽しかったです、はい。

・今月の予定。

[本]
 『零崎双式の人間試験』/西尾維新(講談社)
 『彩紋家事件(下)』/清涼院流水(講談社)
 『ジェシカが駆け抜けた七年間について』/歌野晶午(原書房)
 『ペニス』/津原泰水(双葉社)
 『人形はひとりぼっち』/中島望(富士見書房)
 『ギャングスターウォーカーズ』/吉川良太郎(光文社)
 『サマー/タイム/トラベラー1』/新城カズマ(早川書房)
 『残虐記』/桐野夏生(新潮社)
 『ハイウイング・ストロール』/小川一水(ソノラマ文庫)

 特にコメントすることのない面子。中島望に関しては『ルシフェル地獄変』はどうなったんだ、という気分ですが。あ、そういえば1月末に新刊が出ていたみたいですね。題名は『ハイブリッド・アーマー』か。今度チェックしておこう。

[ゲーム]
 『Forest』(Liar-soft)

 注目しているのはこれ一本のみ。『リアライズ』は3月へ逃げてしまったし。ライアーというブランドは気を抜いて接すると痛い目を見るので、不安は最後の最後まで拭えそうにないですが。


2004-02-01.

CS版『PIZZICATO POLKA』、追加シナリオは田中ロミオ

 実妹ということを差し引いても扱いが軽かった琴梨、彼女のシナリオが追加されるとかされないとか……。

 ヽ(`Д´)ノオンドゥルルラギッタンディスカー!!

 琴梨が最萌だった当方としては、あまりの悲しさに聞き取りにくい悲鳴を漏らしてしまいそう。

セイバーTOP絵(みやもり)

 「仁義なきサーヴァント」といった風な表情がステキ。

『Fate/stay night』、プレー中。

 バトルロイヤルな展開を心待ちにしていたので、聖杯戦争には参加。まあ、参加しないとセイバーのルートには行けない気もしますし。ともあれ、いろんな設定が明かされていき、どんどん戦闘の回数も増えてきましたので個人的に愉悦の極み。途中でRPGやジョジョみたいなステータス表が追加される仕組みも面白い。

 主人公の士郎に対する感情移入の割合は七割程度。どちらかと言えば直情的で、理性・理屈を蔑ろにはしていないものの、「やるべきか否か」よりも「やりたいか否か」を行動原理として優先するタイプのキャラ。軽率・愚かしい・意味不明といった言動を含んでいる一方で自省機能も備えており、一人称の視点人物としては可もなく不可もなく。

 今のところ気になっているのは「絶対命令権」という設定。それなりに魅力があるこの設定を、うまく小道具として活かすことができるかどうか。まずはそこに注目する予定です。


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