「『Dies irae 〜Amantes amentes〜』のOTHER STORY(追加シナリオ)について」(2026年4月23日の記事)


 連日Xで凄まじい量のDies関連ポストが流れてくるのでお茶を片手に新規Diesプレーヤーの実況動画を聞きながら眺めていたが、「意外とOTHER STORY(追加シナリオ)をやるタイミングに迷っている人が多いかな?」と思ってこの記事を書くことにしました。なるべく手短にまとめるつもりです、押忍。

 さて、全年齢版(Amantes amentes)には過去発売されたドラマCDの内容を中心に外伝的なストーリーをまとめた「OTHER STORY」というコンテンツがあります。収録シナリオは5つあり、起動直後はすべてロックされている(非表示になっている)が、進行状況に合わせて順次解放されていく。

 まず最初に原則論を述べておくと、公式が「このタイミングなら解放しても構わないだろう」と判断したタイミングでレリーズしていくので、「OTHER STORY――〇〇解放」みたいなアナウンスが流れたらすぐに読みに行っても大丈夫です。それが公式見解というものである。ただ、「それでもやっぱりベストなタイミングを参考までに知っておきたくて……あと読む前に概要程度は確認したくて」という方のために野暮を承知で大まかな内容と「推奨するプレーのタイミング」について触れていきます。解説のため若干ネタバレする箇所もありますので、「内容を知りたくない」という方は「推奨するプレーのタイミング」という項目だけチェックしてください。


「Wehrwolf(ヴェーアヴォルフ)」

 チャプター1「L'enfant de la punition」(罰当たりな娘)をクリアした時に解放される。ベースとなっているのは2007年の1月、Dies本編発売どころか体験版が公開される前に発売されたドラマCD第1弾です。古参ファンにとっては超懐かしい。タイトルはドイツ語で「戦狼」。ナチスドイツにおいて実在した部隊「Werwolf(ヴェアヴォルフ、人狼)」を意識したもので、「人狼」の「人」に当たる「Wer(ヴェア)」の部分を「ドイツ国防軍(Wehrmacht、ヴェーアマハト)」の「Wehr(ヴェーア)」に置き換えた「Wehrwolf(ヴェーアヴォルフ)」という表記に沿っている。

 ただし、冒頭部分に関しては公式サイトで配布された「ボーナストラック〜1945〜」です。「長すぎたせいでドラマCDに収録できなかった」みたいな事情だったっけ? プロローグの補完みたいなエピソード(プロローグが5月1日即ちベルリン陥落の日で、これは前日である4月30日の出来事)であり、「メルクリウスのナレーション」「ザミエル卿(エレオノーレ)の演説」「ハイドリヒ卿とメルクリウスの会話」、以上3本立て。ベルリンで開いたスワスチカがどこだったかわかるのは興味深いが、あまり本編とは関係ないかな。正直、ハイドリヒ卿やメルクリウスのキャラと設定もまだ固まり切っていない印象があり、セリフ回しに若干違和感がありますね。自決した総統閣下に向かって「くだらん死に様ですな」「しょせんあなたは、超人の器ではなかったということだ」とせせら笑うように吐き捨てるの、絶妙にエアプ獣殿感がある。こう、「ボーイ おとなをからかっちゃいけないよ!」のテリーマンとか、愛城華恋に向かって「まぁ、元気だけでキラキラを売りにしてる愛城さんにはわからないでしょうね」と憫笑する舞台版の天堂真矢みたいな……Diesはとにかく後付けの設定が多いので、「まだシナリオライターの中で全体像がハッキリしていなかったのでは?」という疑惑が濃厚に匂い立つ。キャラが固まった後のハイドリヒ卿ならもっと「物腰の柔らかいメスガキ」みたいなネットリした言葉責めをしそうな気がする。いや、しないか。でもツインテールで煽ってくる「黄金のメスガキ」ラインハル子ちゃんはちょっと見たい。雑ぁ魚、雑ぁ魚、匹夫のYOU♪ 歓喜、哀絶、そして昂揚すかすか♪ 楽器の鳴かせ方も心得えていないよわよわ奏者♪(諏〇部ボイス) 罵倒公(アオル・ヘルツォーク)、分からすべからざる光(メフィストロリス)などと、カールおじさんから呪われ(祝福され)た――曰く、悪魔のような幼女らしいよ。

 Wehrwolfの主眼は「病院を抜け出した後の司狼が蓮と合流するまでどうしていたのか」です。要するに別視点シナリオであり、端的に書けば「side:司狼」。ほら、『Fate/stay night』にもあったじゃないですか、Interlude(幕間)ってヤツ。あれみたいな感じです。最初にちょっと蓮や香純の出番もある(販促も兼ねたドラマCDだったから、主要キャスト全員が顔見せ程度に出演する必要があった)けれど、メインはあくまで司狼。内容的にあまり大活躍とは行かないが、「司狼……お前、蓮の与り知らぬところでこんなことしてたのかよ!」みたいなシーンがチラホラ。元がドラマCDなので地の文が少なく、会話文主体で構成されており、長めで説明的なセリフが多いのが特徴です。本編とのノリの違いは「媒体の差から来るもの」と受け容れてもらえれば幸いである。内容的には発売時期が「本編発売前」だけにあまり核心へ迫るモノではなく、本編クリア後にやると「今更この話?」となるかもしれません。黒円卓の現地組に賞金が掛かってるっていうの、「そういえばそんな設定だったっけ」って感じで忘れかけていたな……そもそも賞金目当てにあんなイカレ連中と戦う存在なんてゼロだし。何らかの巨大感情が礎にないと、目の当たりにしただけで小便漏らして終わりだろ。本編連動型のシナリオゆえ、できるだけ早いうちにやっといた方がいいですけど、本編を中断してわざわざOTHER STORYに向かうのが億劫なのであれば後回しでも可。長いゲームだからぶっ続けでエンディングまで行く人は少ないだろうし、「じゃあやるか」とDies iraeを起動して「あ、司狼視点の話を読みたいな」と感じたタイミングでプレーすればいいです。

 推奨するプレーのタイミング:司狼の動向が気になる人は解放直後に。そうじゃない人は本編優先でスルーしても構いませんが、あまり後回しにすると今更感が漂ってしまうエピソードです。


「Die Morgendammerung(ディエ・モルゲンデンメルング)」

 チャプター6「King of Hollow」(窪地の王)をクリアした時に解放される。ベースとなっているのは2008年8月に発売されたドラマCD第2弾。ただし、冒頭部分は2008年5月に発売されたサントラ『ein jagen Nachtmusik』のドラマパート「Anfang」(アンファング、ドイツ語で「始まり」の意味)です。『ein jagen Nachtmusik』にしろ『Die Morgendammerung』にしろ、「怒りの日」騒動で大荒れした後リメイク版の進捗がほとんど明らかになっていない頃にリリースされたCDなので、当時のファンにとっては生命線レベルの貴重な供給でした。タイトルの意味はドイツ語で「黎明」。Morgenが「朝」でDammerungが「薄明(トワイライト)」です。ドイツ語として考えると「Die」は「ディエ」ではなく「ディー」と読むのが正しいんですけど、公式がそう表記しているんだから仕方ない。Dies irae、ドイツ語が頻出するゲームの割に監修が付いたのはだいぶ遅くになってからなので、ドイツ語の考証が怪しい部分は多々あります。初期バージョンだと本編プロローグで「天(ヒンメル)」が「ヒンネム」という謎の単語になっていたりとか。Amantes amentesでは該当箇所が修正されているため、「ヒンネムはもういないじゃない」である。アウラ、髪色が若干ルサルカを彷彿とさせるんだよな……こっちの断頭台(ギロチン)は別に居るんだけども。

 さておき、タイトルが「黎明」というだけあってストーリーの設定年代は外伝作品の中でも特に古く、1939年のドイツが舞台となっている。ハイドリヒ卿とカール・クラフト(メルクリウス)の出逢いはヒトラー暗殺計画の一つ「ビアホール爆破事件」(映画『ヒトラー暗殺、13分の誤算』で描かれていたヤツ。日付が「1939年11月20日」となっているものの、史実だと8日。「Anfang」ではちゃんと「8日」と言っていたので、恐らくActa est Fabulaで音声を再収録する際に何らかのミスで「20日」になってしまったものと思われる。無論、「あえてDiesの世界では20日にしてるんだよ!」という可能性もある)の後。アニメだと「1939.11.29」と日付表示されていましたね。それから1ヶ月近く経った12月24日に黒円卓の初期メンバーが一堂に会します。「聖槍十三騎士団結成前夜」のイメージから「黎明」というタイトルが来ているわけだ。ハイドリヒ卿の髪が短かったり、エレオノーレがまだ顔に火傷を負っていなかったり、ルサルカが本名使っていて肉体をロリ化させる前だったり、シュライバーが女装していたり、トリファが「誰だお前!?」になっていたりと、ビジュアル面で異なる部分がたくさんあります。そもそも名前が「ヴァレリアン・トリファ」になっているんで……「なんで『ヴァレリア』じゃないの?」という点を説明すると長くなる。そもそも「ヴァレリア」は女性名で、男性の名前としては「ヴァレリアン」の方が自然でして(以下略)。このため解放直後に読むとあまりの違いに戸惑うでしょう。最低でもルートを一つ終わらせてからプレーした方がいいです。何なら全部クリアした後でもいい。「なるべく時系列に沿ってやりたいので、本編より先に前日譚を読みたい」派の人もいれば「前日譚とかは本編を終わらせた後にじっくり読みたい」派の人もおられるでしょう。そこは好みで選んでください。

 推奨するプレーのタイミング:「前日譚は先に読みたい」派の人はとりあえずDies本編のルートを1つでもクリアした後。「前日譚は後で読みたい」派の人はDies本編の全ルートをひと通り終わらせた後。解放直後にやるのはオススメしない。


「Verfaulen segen(フェア・ファオレン・ゼーゲン)」

 ヒロインの一人「櫻井螢」のルートをクリアした時に解放される。ベースとなっているのは2010年4月に発売されたドラマCD第3弾。Diesの完成版(Acta est Fabula)が発売された後であり、性質的に前日譚というよりはスピンオフ作品に近い。タイトルはドイツ語で「腐り落ちていく祝福」という意味。Dies本編ではあまり語られなかった、「螢の兄『櫻井戒』とベアトリスが共に果てることになった11年前の事件」について掘り下げる。

 2枚組という大ボリュームのドラマCDだったこともあり、外伝にしては長い。戒は名前や後ろ姿こそ出ていたものの、顔と声が明らかになったのはこれが初です。CVは「寺島拓篤」。「おいおい……ただでさえ谷山紀章と諏訪部順一と鳥海浩輔がいるのに、また『うたの☆プリンスさまっ♪』のメンバーが増えるのかよ」と慄く人もいるでしょうが、うたプリの一番最初のゲーム(PSP版)が出たのは2010年6月24日なので、そう、逆なんですよ。Diesファンにとって「おいおい、メルクリウスとハイドリヒ卿とヴィルヘルムと戒兄さんが歌ってるじゃねーか!」と驚いたのが「うたプリ」なんです。閑話休題、「ジークリンデ・エーベルヴァイン」「アルフレート・デア・フォーゲルヴァイデ」「フォルカー・バルリング」「ジェーン・ドゥ」「霧咲鏡花」と次々に新しいキャラが登場するため、正直「誰だこいつら」って反応になる人も少なくないでしょう。「前日譚というよりはスピンオフ作品に近い」と書いたのはそういうことです。ジャンプ漫画原作のアニメが夏ぐらいに上映する、オリジナルキャラ満載の劇場版みたいなノリ。いえ、本当に「11年前のあの日、ふたりの身にいったい何が起こったのか――」「突如黒円卓を襲う危機!」「防御力が、低下している……?」と山ちゃんナレーションの予告編が脳裏をよぎる内容なんです。頭を切り替えてプレーした方がいいので、本編の合間ではなくひと区切りついた後で時間を取ってじっくりやった方が宜しいかと。ちなみに戒兄さん、よりによってキャラ紹介ページで抜粋された台詞が「僕は、屑だ……」だったせいで「屑兄さん」という最悪なあだ名をファンから付けられた過去がある。古参ファンが櫻井戒のことをうっかり「屑兄さん」と呼んでしまってもあまり他意はないので聞き流してあげてください。

 推奨するプレーのタイミング:ベアトリスと戒の死に至る経緯が気になるなら解放直後でも可。「それより本編の続きが気になる」というのなら後回しでも構わない。


「Omnia vincit Amor(オムニア・ウィンキト・アモル)」

 ヒロインの一人「マリィ」(本名「マルグリット・ブルイユ」)のルートをクリアした時に解放される。いわゆるマリィENDアフター。これはAmantes amentes用に書き下ろされたシナリオなのでベースとなったドラマCD作品は存在しません。シナリオライターの「正田崇」が「マリィEND後の展開はだいたいこんな感じ」と断片的に語っていた内容を具体的に描いたものとなっている。タイトルはラテン語で「愛は総てに勝つ」とか「愛は万物を征する」という意味です。古代ローマの詩人「ウェルギリウス」の『牧歌』に出てくる言い回しで、Amor(アモル)は愛の神、ギリシャ神話における「クピド(キューピッド)」に相当する。詳しい事を知りたい方は研究社WEBマガジンのコラムを読んでください。

 「アフター」というくらいなので後日談です。マリィENDの内容に触れないと解説不能なのでマリィルートをクリアしていない人は飛ばしてください。マリィENDを見た後ならDiesの世界を支配する「神座」の仕組みがだいたい理解できているでしょうから、ゲームをコンプリートしていなくても内容は把握できると思います。マリィルートは正田が「皆殺しルート」と呼ぶだけあって死人がとにかく多く、主要キャラで生き残るのは数えるほどしかいない。そんな有様でアフターストーリーなんて紡げるわけもなく、「死んだ主要キャラがみんな生まれ変わった」という力業で後日談を綴っています。そうはならんやろ……なっとるやろがい! な展開なので、Diesというか《神座万象》のノリに慣れていない人はポカーンと口を開け広げるかもしれない。Dies iraeは「神様が順々に交代していく」《神座万象》というシリーズの、だいたい5番目くらいのエピソードに位置づけられているわけですが、この《神座万象》なる構想は正田がDies iraeを制作中に「あっ、こういう設定にすれば他の作品と繋げられるんじゃね?」と思い付いて組み上げた枠組みなので、端的に換言すれば「後付け設定」です。《神座万象》は「Omnia vincit Amor」の後いろいろとあって(ネタバレを避けるため詳述は控えます)、物語は次なるステージ『神咒神威神楽』へと移っていく。Amantes amentesが発売されたのは2012年、『神咒神威神楽』はその前年2011年の発売なんで、古参ファンにとって「Omnia vincit Amor」は「待望のマリィENDアフター」であるとともに「『神咒神威神楽』の前日譚」でもある。だから極論すると、Dies irae全クリ後どころか『神咒神威神楽』全クリ後でもいいくらいのエピソードです。しかし、そこまで要求されると「しんどい」と感じる新規勢の方がほとんどでしょうから、無難に「マリィENDの後で世界がどう変わったか知りたい人は解放直後に、そうでなければ全ルートクリア後に」としておきます。

 推奨するプレーのタイミング:マリィルートの後、世界がどうなったのか詳しく知りたい方は解放直後。「それほど気にならない、後回しでいい」という方は全ルートクリア後にプレーすることをオススメ。覚悟ガン決まりで「正田崇作品は全部やるつもりですが?」という修羅系新規は『神咒神威神楽』をクリアした後でもいいです。


「Nihil difficile amanti(ニヒル・ディッフィケレ・アマンティー)」

 ヒロインの一人「氷室玲愛」のトゥルーENDと、玲愛ルート派生の「三つ巴ルート」をクリアした後に解放。というか、もうこれほぼ全クリ後に出てくるシナリオですよね? 理論上は香純ルートか螢ルートをオーラスに持ってくることも可能なはずだけど、大概の人はグランドフィナーレに当たる玲愛ルートを最後にやるだろうし、推奨プレー順も何もなくないですか? タイトルはラテン語で「愛する者にとっては何事も困難ならず」。愛してますかー! 愛があればなんでもできる! お気づきになられたと思いますが、Dies irae、ドイツ語の他にラテン語も多く使われている。某アニメの各話タイトルが発表されるたび「Diesプレーしてた頃はラテン語の格言や名言を調べまくったなぁ……」と思い出が脳裏をよぎって目を細めたものでした。それはともかく2010年、公式サイトで行われた「カップル人気投票」記念SS累計5万本突破感謝パッケージでドラマCD化している)をベースにしたエピソードです。記念SSとして公開された時にタイトルは付いておらず、Amantes amentesでゲーム化された際に初めて「Nihil difficile amanti」という題名が付いたので、古参ファンほど「ニヒル・ディッフィケレ・アマンティーいいよね〜」と言われると「?」になる傾向がある。

 一応、玲愛ENDのアフターストーリーという体裁を取っている(なのでマリィENDと玲愛END両方のネタバレ込みで解説します、未クリアの方はご注意ください)が、誰がどう見たって「実質的なルサルカEND」なんだよな、これが。玲愛は負けたわけじゃないにしろ、脇役になっている。サブキャラなのにあまりにも人気が出過ぎて感謝パッケージのイラストでウェディングドレスを着用する羽目になったという、ヒロインレース最終覇者「アンナちゃん」の勇姿に震えろ。足が遅いから時間は掛かってしまったが、鈍亀でもすばしっこい兎を追い抜くのが可能な事は昔話が証明している。玲愛ルートはマリィルート後に攻略可能となるからちょっと混乱するかもしれませんが、「マリィEND後」の世界と「玲愛END後」の世界は結構違います。輪廻転生の理に沿って本編で死亡したキャラたちが未来に生まれ変わるマリィEND後と異なり、玲愛END後はそもそもエイヴィヒカイト(メルクリウスが構築した魔術体系)自体が「なかったこと」になるためハイドリヒ卿は史実通り1942年にプラハで暗殺されて果てる。ベルリンのスワスチカも開かない。黒円卓のメンバーは常命の者として然るべき運命を辿っていく。本編では200歳を超える魔女だったルサルカも「ただの冤罪」によって処刑され、輪廻転生の理に従って単なる「酒場で働く健気なアンナ」として第二次世界大戦前に生まれ変わる。つまり、玲愛END後は「やり直し」の要素が混ざっているんです。このため《神座万象》シリーズとしてはマリィEND後が正史だけど、「Dies irae単体においては玲愛END後こそが正史」というややこしい状態に陥っている。まぁ諸事情から「Dies世界の正史」に未来はないんだけども……《神座万象》シリーズには神様の交代を促す黒幕がいるので、同一の神で停滞し続ける世界はあり得ない。必ずいつか限界が訪れる。「じゃあ黒幕をどうにかしないと根本的な解決にならないよね」ということで《神座万象》シリーズの黒幕と対峙するストーリーになる予定だったのが、サ終どころかサ開にすら辿り着けなかったソシャゲ『Dies irae PANTHEON』です。

 推奨するプレーのタイミング:タイミングも何も、解放された時点でもうほぼ全クリ状態では? え? 香純ルートがまだ残ってる? そんな人いるんだ……先に香純ルートをクリアしてからまた来てください。螢ルートや他のOTHER STORYが残ってる場合は、ルサルカが好きか否かに依りますね。ルサルカ好きの人はこれを「締め」としてラストにやることをオススメ。そこまでルサルカ好きじゃない、というのであれば解放直後にプレーした方がいいかも。


 まとめると、「Wehrwolf」は「病院抜け出した後の司狼ってどうなってんだろうな〜」と気になったタイミングでのプレーを推奨。「Die Morgendammerung」は前日譚だから「黒円卓/Zero」なストーリーを読みたい時に。「Verfaulen segen」(11年前、ベアトリスと戒に何が起こったのか)と「Omnia vincit Amor」(マリィEDアフター)と「Nihil difficile amanti」(玲愛EDアフター)は解放直後にやってもOKだが、じっくり楽しみたいのであれば本編全部クリアした後がオススメ。順番は、ルサルカが好きなら「Nihil difficile amanti」をラストに。そうじゃなければ「Omnia vincit Amor」をラストに持ってくる方が宜しいかと。「Verfaulen segen」を最後にプレーすると後味が悪くなるかもしれませんから……。


 OTHER STORYとは異なるコンテンツとして「神なる座に列し伝わる救世主(サオシュヤント・デザーティール)」というSwitch版の一番下に表示される追加シナリオがありますが、あれは当時配信予定だったソシャゲ『Dies irae PANTHEON』の序章に当たるモノです。ソシャゲのパンテオンはこういう設定でお送りしますよ〜、という宣伝を兼ねた書き下ろしシナリオなので、メーカーが潰れてパンテオンの企画がポシャった今となっては読むだに悲しくなる一品だ。これだけのためにプロモーションムービーまで用意する気合の入れようだったからな……パンテオンは「Dies irae版FG〇」「スーパー神座大戦」とも言うべき内容で、Dies以外の《神座万象》シリーズのキャラもバンバン登場するためDiesしかやってないと「何者&何者?」となること請け合い。ぶっちゃけ『神咒神威神楽』のネタバレ要素も少し混じっている。現状、Switch版にしか収録されておらず、プレーするためにはSwitch版(DL販売のみ)を買わないといけません。「PSP版やPC版をやった後でわざわざSwitch版を買い直すほどのモノか? ポシャったソシャゲの序章なのに?」と訊かれると何も言えなくなる。それでも、それでもファンはいつか何かの形でパンテオンが復活すると信じていますから……。

 なお、Amantes amentesは過去に出したドラマCDをほぼ網羅していますが、Amantes amentesの発売よりも後、2015年8月にリリースされた4枚目のドラマCD『Todestag Verloren(トーデスターク・フェアリーレン)』(喪われた命日)は収録されていません。同年の5月から7月まで、2ヶ月に渡って行われたアニメのクラファンが好調だったため、景気づけとして新規に制作された一品です。内容は「毒壷最強決定戦」、黒円卓最後の席「第七位」を巡って繰り広げられた争いの詳細が綴られる。作中の時期は1944年8月、時系列的にはスピンオフ作品『Interview with Kaziklu Bey』(イカベイ)でヴィルヘルムとクラウディアが出逢った後くらいの出来事。ネタバレ防止のためキャスト欄の役名を伏字にする対応を取っていますが、

 ■■■■・■■■■■■(CV:安元洋貴)
 ■■■■・■■■■■■(CV:鳥海浩輔)

 さすがに主役ふたりが揃って伏字になっているドラマCDは前代未聞だろ。これに関しては伏字になっている役名が何なのか分かる段階で聴けばOKです。ほか、小説作品として『Wolfsrudel』(ヴォルフスルーデル、狼の群れ)と『Song to the Witch』がOTHER STORYに相当する外伝となっているが、これらは執筆者が外部のライター(森瀬繚と藤井三打)なので好みが分かれるところかしら。正田崇の文章のクセとかセリフ回しがツボな人だと読んでて違和感を覚えるかもしれない。そこを承知の上でページをめくるなら、充分に面白いスピンオフ作品に仕上がっています。

 あとは、アニメ放送に向けてのクラウドファンディングで支援したファンに向けて返礼品として送付された小冊子、「Alea jacta est」(アーレア・ヤクタ・エスト)、「賽は投げられた」……真偽はともかくカエサルがルビコン川を渡る前に述べたとされる言葉を題した一冊があったか。全64ページで、「Operation Anthropoid」(類人猿作戦、ハイドリヒ暗殺計画のコードネーム)、「Walkure」(ワルキューレ、ベアトリスの回想)、「Abyssus abyssum invocat」(地獄は地獄を呼ぶ、ヴィルヘルムと櫻井鈴の邂逅)と3つの短編を収録しています。発行が2015年で、届いたのは12月頃だったかな? 2016年にイカベイ発売、2017年にアニメ放送(0話から11話まで。12話から17話は翌年に放送)、2018年にSwitch版発売、2019年に会社が倒産――という流れだったから、別の何かに収録する暇もなくて埋もれてしまった。クラファンに参加した一部の熱心なファンしか読んでおらず、これを持っているかどうかが古参の分かれ目と言えなくもない。クラファンに胡散臭さを覚えてあえて参加しなかった人もいるから、一概には言い切れないが。

 最後に。今はもうとっくに無くなっているが、昔のlightゲーには「ANOTHER STORY」という、ユーザーが自分でシナリオ書いてスクリプト打って、本編中のCGやサウンドを指定することによってツクール感覚でオリジナルの外伝を作成できる機能がありました。作ったASはネットで配布してもOK。Diesのライターである正田崇も前作の『PARADISE LOST』では「私立ソドム学園」という現パロ系のASを制作しており、Diesでも新たなネタが披露されるのではないかと期待されていたのですが……未完成による炎上騒ぎでそれどころではなくなってしまった(lightの公式チャンネルがアップロードしているバレンタインデーやホワイトデーのネタムービーに当時のASっぽいノリは感じる)。古くからのlightファンは「OTHER STORY」という表記を見るとAS(アナザーストーリー)のことを思い出してつい懐かしくなってしまうんです。以上、懐古語りでした。


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