アニメ『マギアレコード』1期目(第1話〜第13話)解説と感想


 日記の内容を抜粋。若干の修正あり。


2020-01-08.

・アニマギことTVアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』の放送が遂に始まり毎週の楽しみが一つ増えた焼津です、こんばんは。

 第1話のタイトルは「やぁやぁ、知ってる?魔法少女のその噂」

 まず『マギアレコード』とはなんぞや? 2017年8月に配信開始されたスマホ用アプリであり、いわゆる「ソシャゲ」です。配信元(ケツモチ)はFGOと同じくアニプレックス。去年からDMM版も出ているのでDMMアカウントがあればPCからでもプレー可能。制作スタッフに劇団イヌカレーの「泥犬」がいたり蒼樹うめが多数のイラストを手掛けていたリ、一応大元であるまどマギとの人材的な繋がりはありますが、虚淵玄は今のところ一切関わっていません。あくまで「外伝」であり、ポジションとしてはかずみマギカおりこマギカなどに近い。ああいう「本編と繋げられないスピンオフ作品」をクロスオーバーさせる場としても機能しており、社外コラボ(物語シリーズやなのはシリーズ、あとなぜかココイチ)もちょくちょくやっているので世界観はどんどんユルユルになってきています。

 「何か願いを叶えて魔法少女になったはずなのに、肝心の願いが何だったか忘れてしまっている」女子中学生・環いろはがプレーヤーの分身である「ちっちゃいキュゥべえ」(鳴き声から「モキュ」という俗称もある)との出会いを経て「願い」を思い出し、それを取り戻すために奮闘する……という、「動機」に関しては割と個人的でミニマムな物語です。その過程で街が滅ぶとか滅ばないとかってスケールの陰謀劇へ巻き込まれていくだけ。舞台は見滝原市から電車で行って日帰りできる程度のところにある「神浜市」、石を投げれば魔法少女に当たりそうなほどキュゥべえと契約を交わした子が多い、魔境めいた地方都市である。主人公のいろはちゃんはもともとここに住んでいたわけではなく、話の途中で引っ越してくる。元の住所がどこなのかアプリ版では不明だったがアニメ版では「宝崎市」になっています。アニメオリジナルキャラの「黒江」も同じく宝崎の魔法少女。神浜は修羅の国なんで他の地域に比べて魔女がやたら強く、ソロ狩りは歴戦の猛者クラスでないとほぼ不可能、基本的に魔法少女たちは3〜5人くらいでチームを組んで役割分担しながら魔女をハントしている。アニメ版では「宝崎から移動してきた魔女が神浜の魔女に一瞬で屠られる」シーンによって神浜がマジヤベェ末法シティだってことを表現しています。

 攻撃がまったく通じず打つ手なしの苦境に陥ったいろはたちのところへ颯爽と現れたのが「七海やちよ」、神浜でも五指に入るほど壮烈な強さを誇るレジェンド級魔法少女です。戦歴7年という大ベテランであり、20歳目前の女子大生ゆえ「少女」と呼んでいいのかどうかについては常に議論の的である。ともあれ、いろはを助けたやちよは「ここは神浜西の縄張り(シマ)よ」と威圧する。女子中学生相手に凄む女子大生の図、興奮しますね……あの首をちょっと傾げたポーズ好き。神浜は大きく分けて「西」「東」「中央」「南」「北」と5つのエリアがあり、オフィス街である中央を挟んだ西と東は経済格差もあって伝統的に仲が悪く小競り合いが絶えない。やちよさんは西の顔役ながら、ワケあってチームを解散し現在はソロ活動に勤しんでいる。生来の面倒見の良さからいろはたちを救う一方、「ワケ」があるゆえに彼女たちの神浜入りを拒絶する。アプリ版ではそのへんの心理的葛藤を乗り越えたやちよさんが「みんなの保護者」として振る舞っているから、アニメ観て気になってアプリを即インストールした人が正月ログボのミニシナリオでにこやかにお年玉を渡してくるやちよさんの姿に戸惑ったであろうことは想像に難くない。神浜ウェストゲートキーパーとして圧を振り撒いていた頃の剣呑やちよさんを久々に、それもアニメで観ることができてとっても嬉しいです。

 「妹である『うい』の病気を治す」という己の願いをようやく思い出したいろは。彼女は「元より存在しなかったかのように」世界から消えてしまった妹の手掛かりを求め、ふたたび神浜へ向かうことになります。第1話の内容をまとめると「願いを忘れた魔法少女がそれでも戦い続けている」というものであり、自分でも知らない「願い」のために魔女との苛酷な闘争へ身を投じていく主人公・いろはの真面目さ、善良さ、責任感の強さ――つまりひっくるめて言うと「自己犠牲的な献身」を描いています。変身時の祈るようなポーズもそれを暗示している。マギレコ第一部のモチーフのひとつがオスカー・ワイルドの「幸福な王子」だから「自己犠牲的な献身」は物語を読み解くうえで重要なファクターとなっています。オリキャラの黒江は「好きな人と付き合いたい」という、言ってしまえば私利私欲を満たすために魔法少女の契約を結んでおり、しかもその「好きな人」とは既に別れているので今や魔法少女になったことを後悔している。かつての切実な「願い」は無価値のゴミと化し、代わりに「魔女と戦う宿命」という負債だけが残った。だから「割に合わない」と感じている。後先考えず欲望を叶えようとキュゥべえのぶら下げるエサに飛びついた己の浅慮を棚上げして状況を恨んでいるわけで、いろはの発揮する自己犠牲精神とは対極に位置し、明らかな対比となっています。まどマギやマギレコの世界で魔法少女になるというのは「返却不能なほど重たい借金を背負う」ようなもんだから、「借金した理由が思い出せないにも関わらず真面目に返そうと頑張っているいろは」、「借金してまで手に入れたかったものが期待ハズレだったから借金を帳消しにしたいと思っている黒江」と置き換えることもできる。「神浜に来れば魔法少女は救われる」=「借金が帳消しになる」という甘い言葉に誘われて神浜の引力に囚われていく黒江、その末路や如何に。

 恐らくアニメは第一部(全10章)の内容を一部要約して展開するものと予想されます。1話目は1章「はじまりのいろは」をアレンジしたものですね。このへんはチュートリアルも兼ねているのでシナリオがそこまで長くないけれど、2章、3章と進むにつれてキャラが増えてシナリオもどんどん長くなっていく。1クールじゃ全然収まらないから分割2クールではないかと噂されており、24話くらいあればギリギリ押し込めるかな……という雰囲気。ただ登場するキャラはかなり限られて来るでしょう。途中から見滝原のキャラも絡んでくるわけですし。と、ここでそろそろ「まどマギ本編との関係は?」に触れますが、ぶっちゃけまどマギ本編とは別の宇宙です。細かく解説するとネタバレに抵触しかねないので省きますが、一種のパラレルワールドと認識してほしい。アプリ版ではアルティメットまどかが出てきて「マギレコの宇宙に干渉しない理由」を語ったりしますが、このへんはややこしいのでアニメ版だとオミットされるかもしれません。アプリ版通りなら一番早く出るのはマミさんかな。相変わらずの強キャラポジションで登場となるだろう。醸し出すオーラが半端ないのでまだ中学生だってことをときどき忘れそうになるわ……アニメはメインストーリーを消化するだけで手一杯なはずだから、季節イベント特有の胡乱な珍シーンは映像化されないでしょうね。残念。「Credens justitiam」(いわゆる「マミさんのテーマ」)を流しながら一般家庭に不法侵入するマミサンタ、是非ともテレビで観たかったなぁ。

 結論を申し上げると「まどマギとは別物」って知ったうえで楽しんでほしい、になるかな。アプリ版ではどうしても表現し切れなかった戦闘シーンが最新シャフト技術によって迫力と臨場感が何倍にも増した状態で映像化されており、超楽しい。「これで新規が増えるぜ」と確信しました。その増えた新規もすぐさま脱落していきそうなほど苦痛要素まみれってのがアプリ版の問題なんですが……アニメがキッカケで「これからマギレコを始めよう」って気になった人がもしいるのであれば、「主人公のいろはは必ず育てろ」とアドバイスしておきます。たまーに編成制限クエストがあるんでいろは育ててないとそこから先に進めなくなる。あとガチャはすごく渋いのであまり期待しない方がベターです。天井も実装されましたが300連必要であり、そこまで石を貯め込むのはとても困難であると言わざるをえません。強さで言ったら「未凸の高レア<完凸の低レア」というレアリティ以上に凸数の方が重要なゲームですし、根気強くやっていくことが肝要です。


2020-01-12.

アニマギの第2話「それが絶交証明書」を観た焼津です、こんばんは。

 いきなり新キャラがドバッと出てきたせいもあって初見の方は戸惑うかもしれない回でした。黄色い髪(金髪?)の子が「十咎(とがめ)ももこ」、青い髪の子が「水波(みなみ)レナ」、鳴き声が「ふゆぅ」の子が「秋野(あきの)かえで」です。3人1組のチームであり、ももこがリーダー格。それぞれの名前を取って「かもれ」と呼ぶ向きもある。ももこが高校生で16歳、レナはいろはと同じ中学3年生で15歳、かえでは最年少の14歳だ。3人の通う学校(神浜市立大学附属)は小中高一貫ということもあって制服が共通している。余談ながらやちよさんも同じ学校に通っていた。現在は神浜市立大学に在籍中。

 ももこは以前やちよのチームに所属していたがアレコレあって仲違いし、現在ふたりの関係は険悪になっている。ただ面倒見の良さはやちよ譲りで、「年下のレナとかえでを放っておけないから」という理由でチームのリーダー役を引き受けていたりする。一言でまとめると「世話焼きの姐御肌タイプ」か。ゲームのユニットとしては「頑丈なゴリラ」である。さすがに盾役(タンク)ほどではないが防御力高めで、耐久しながらチャージディスクでパワーを累積させて「ここだ!」という局面にロマン火力をブッ放す。問題は今の環境だとチャージ偏重のユニットは使いにくいってことか……公式マンガでもネタにされるレベルです。それにしても、アニメで動くとももこの可愛さって十倍増しになるんだな。あざといポーズがいちいち似合っていてビクンビクンしてしまう。

 レナは一言でまとめると「素直になれないタイプ」のツンデレなんですが、強情さが度を超しているため人によって激しく好悪の分かれるキャラでもある。「決して頭を下げないサラリーマン」とか「口が裂けても『申し訳ありません』と言えない営業職」を見ているような気分に陥ると申しますか……自分に非があっても認めようとしないくらいは序の口、遊びに誘いたくても「自分から頼むのはイヤだから」相手に誘わせるよう仕向ける。それでいて巧妙な駆け引きができず「ほんとは誘いたいんでしょう!? いい加減認めなさいよ!」と支離滅裂な言動になって相手を困惑させる。レナがこうしたムチャクチャな振る舞いをするのは「自己肯定感の欠如」に起因しています。「自分自身、自分のことが好きじゃない」「こんな自分を誰も好きになってくれるはずがない」という絶望から来る渇きが彼女の心を苛んでいる。自信のない人間が取る行動は主にふたつ、常に周りの顔色を窺って卑屈に振る舞うか、常に周りの顔から目を逸らして虚勢を張り続けるか。レナは後者です。死に物狂いで虚勢を張っていないと呼吸もできない、そんな非常に脆い少女である。「別の誰かになりたい」という変身願望を叶えるため魔法少女になったので変身能力を有しています。姿だけでなく能力もコピーできる優れもの。さやかのモチーフが人魚姫であるのに対し、レナのモチーフはサンドリヨン(シンデレラ)である。ちなみにアイドルオタクであり、推しのアイドルたちを「決して手の届かない、自分とは無縁な輝き」として崇拝している。尊べば尊ぶほど隔絶を痛感するので自己嫌悪も際限なく深まっていく。なおレナの最推しアイドルも魔法少女としてアプリに実装されていますが、本編に絡まないキャラなんでもし出てくるとしても画面に一瞬チラッと映る程度だろう。

 かえでは「ふゆぅ」というわざとらしい鳴き声(口癖?)と魔法少女になった理由が「日照権」なせいで何かとネタにされがちな子である。アニメでは「家庭菜園を守る」としか言及されていないが、彼女の願いが叶った結果として高層マンションの建設計画が白紙に戻っており、その余波がどこまで及んでいるのかは誰にもわからない。卑屈というほどではないが気弱でレナとは正反対な性格をしている。基本的に素直な子ですが、素直過ぎてときたまグサッと来るようなセリフを吐くこともある(アイドルのライブに熱中するレナに対して「私は光る棒を振って何が楽しいのか分からないけど」とか、制服姿のやちよに対して「高校生がランドセル背負ってるような感じだよね」とか)せいで「ナチュラルボーン煽りスト」とか「実は腹黒キャラ」という弄られ方も多い。割と早い段階から黒幕説が囁かれていて「ふゆぅ、汚物は消毒だよぉ」みたいな悪役セリフが捏造されることも多々あった。そのせいか「ふゆぅ」でぐぐろうとすると未だに「黒幕」がサジェストされてしまう。2話のストーリーは彼女のまほスト(魔法少女ストーリー、FGOの幕間やプリコネのキャラストと一緒で当該キャラを持っていないと読めない個別シナリオ)の延長でもあるので原作勢からすると趣深いが、アニメから入った方にとっては「いきなり痴話喧嘩が始まって『絶交!』と言い出した」ような印象で、展開が慌ただしくて「どこにピントを合わせればいいのかわからない」と戸惑うかもしれません。

 2話は「ももこたちとの出会い」「妹が入院していたはずの病院」「絶交階段のウワサ」と三つに分解して観ていくといいかも。いろはが神浜で最初に出会った魔法少女はやちよですが、彼女はソロ活動している魔法少女のため、「他の子たちとチームを組んでいる魔法少女」と出会うのはかえでが最初です。かえではチームの中で一番戦力が低く、足手まといになってしまうこともあるが、臆病さゆえの慎重な振る舞いが他のふたりから評価されている。後から出てきたレナとももこが掌を重ねるシーンはゲームのシステムである「コネクト」を表現したものだろう。力を合わせることで一時的に出力を高めたり特殊なスキルを発動させたりする。いろはもこれからいろんな魔法少女たちとコネクトしていくはず。いったい何股になるのかな? 気絶したいろはが目を覚ますのは「調整屋」という神浜独自の場所。店主に当たる「八雲みたま」は今回登場しないが、「これ以上キャラを出すと新規の視聴者が混乱する」と考えての配慮だろうか。みたまは戦闘能力を持たない代わりにソウルジェムのメンテナンスができる稀少な魔法少女で、彼女の営む調整屋は派閥を超えた不戦地域になっている。メタ的なことを書くとデレマスのちひろやプリコネのカリンに相当する「ガチャとかショップを担当するキャラ」だ。ゲームではみたまにソウルジェムを調整されたいろはが「あなたの願い事は何?」と訊かれて自分の願いを忘れていることに気づくという流れだったけど、アニメではそのへんが「なかったこと」になっている。調整屋はソウルジェムを通じて魔法少女の記憶や感情に触れるため、情報屋としての側面も持っている。アニメでも恐らくみたまさんは情報屋めいた立ち回りをするんだろうな、きっと。

 次に「妹が入院していたはずの病院」、アプリではほとんど名前が出てこないため「病院」としか認識していなかったけど正式名称は「里見メディカルセンター」。苗字が「里見」の子もあと何話かすれば登場するはず。まだ記憶が部分的にしか甦っていないせいで手掛かりが掴めず足踏み状態ながら、いろははここから段階的に記憶を取り戻して「消えた妹」の真相に迫っていくこととなる。受付の上にデカデカと飾られている彫刻は「盾と槍を持った女神」で十中八九アテナだろう。聖闘士が運営しているのか?

 「絶交階段のウワサ」については、今のところ「そういう噂がまことしやかに語られている」「信じているわけではないが、『魔女と何か関係あるかも』と思っている」程度の情報しかないけれど、ただの噂でないことは新規の視聴者でさえ察するはずです。神浜は何らかのルールに則って発動する「ウワサ」が実在する――これがマギレコの世界における前提の一つとなっている。「ウワサ」の正体とは何なのか? 魔女と関係があるのか? そのへんについては今後掘り下げられていくことになるだろう。アプリでは判明済だし、さすがに放りっぱなしで終わりはないと思う。「○○のウワサ」で無限に話を生成できるから二次創作の題材にはうってつけだが、そもそもマギレコの二次創作ってメッチャ少ないんですよね……とらのあなでは「マギアレコード」の専用カテゴリが存在せず「魔法少女まどかマギカ」というジャンル名でいっしょくたにされているくらい。新規の食いつきが今一歩のようなのでアニメ効果によって数が増えるかどうかも著しく不透明だ。レナがれんぱす(五十鈴れん)に変身して喋ったりとか、エンドカードがなぎたん(和泉十七夜、「いずみ・かなぎ」と読む)とか、原作勢には嬉しいサービスなんだけど新規勢にとっては「誰?」だろうしな。原作自体が本編の足りない部分をまほストやイベストで補っていく形式なので、本編を要約したアニメだとどうしても情報不足になってしまうのが難点です。だからアニメ派のみんな、アプリ版も是非この機会にや……や……「やろう!」と気軽に言えない出来なのが辛いな。


2020-01-20.

・アニマギ3話の「友達にしてごめんね」、ももこの変身バンクがカッコ良すぎて思わず昇天してしまった。踵落としのようなポーズから始まる導入もさることながら、大剣を蹴り砕いてあの独特な形状にする演出が斬新すぎて痺れる。

 かえでのことが心配で整える余裕もなかったのかボサボサになっている髪を何も言わずスーッと近づいて梳かすみたまさん、「えっ、仲が良いのは知ってたけどここまでなの!?」って衝撃を受けましたね。尺の都合で「あらあら、ボサボサじゃないの」みたいな掛け合いをカットしただけかもしれないが、カットすることで「前触れもなく髪を梳かし始めるみたま」「それを当たり前のように受け容れるももこ」という高度な百合描写が成立しているの非常にポイント高いです。調整屋に関する説明はざっくりしたものだったが、アニメ組の人にも手つきのいやらしさだけでみたまさんの「只者ではない感じ」が充分伝わったはずだ。いやらしい手つきでソウルジェムを触られていた魔法少女が梢麻友という私の好きなキャラの一人だったのも嬉しかった。彼女は「水名女学園」の生徒で、原作通りなら次は水名区が舞台のエピソードになるはずだから端役として再登場する可能性も……? ちなみにレナが憧れていたアイドル(史乃沙優希)も水名女学園所属です。

 今回は急にういの友人である「灯花」と「ねむ」の会話が始まるので原作知らない人は戸惑ったかもしれない。「ふたりは子供と思えないほど頭がいい」ことをアピールする要素もあるためストーリー上の狙いが見えにくくなっていますが、ことあるごとに喧嘩する灯花とねむ、それを仲裁しようとするういの関係をレナ・かえで・ももこのトリオに重ねています。原作では更に「やちよとももこの不仲」が重なっていましたが、アニメだとやちよに対するももこの感情がそれほど苛烈ではなく、「険悪」というより「よそよそしい」「冷え切っている」雰囲気になってますね。原作の「やちよの言うことを頑なに信じないももこ」を短い尺のアニメで再現するのは無理だったか。下手に再現してたら「頼れる姐御」のイメージが粉々になっていただろうし、正しい判断かもしれない。

 Cパートで巴マミが登場し、放送時は「マミさん」がトレンドに上がるほど盛り上がったとのことです。本編での登場はもうちょっと先なんですが、アナザーストーリーの内容をチョロっと切り出してきた模様。原作アプリには本編とは別に「アナザーストーリー」という本編の裏側を描くシナリオがあり、見滝原の魔法少女は主にこっちへ出演している。というか、「見滝原組の出番を捻出するためにアナザーストーリーなる枠を用意している」と表現した方が適切かしら。「キュゥべえが神浜に入ろうとするとどうなるのか」が初めて具体的に描写されたので原作プレーヤーにとっても興味深いシーンであった。次回、いよいよ私の最推しキャラである「最強の魔法少女」がアニメに登場だ。緊張してきた。原作だと第3章「神浜うわさファイル」に当たるエピソードであり、アニメはだいたい2話で原作1章分のストーリーを消化していく形になるみたいです。BD/DVDの商品情報からとりあえず13話までの放送が確定しているから、このペースで進むなら第7章「楽園行き覚醒前夜」がクライマックス? 残りの第8章〜第10章は分割の2クール目でやるのかな。アニメには黒江というオリジナルキャラがいる(全然出番ないから早くも影が薄くなってるけど)し、必ずしも原作通りに進行するとは限りませんが、声優のインタビュー記事を読んだ感触からすると概ね原作の筋を踏襲した内容になるのでは……って気がします。とにかく次回からこんな美少女がテレビの大画面に映し出されるわけですから、不意打ち喰らって呼吸停止せぬよう各自心の準備を済ませておくべし。


2020-02-01.

・みたまさんがガンソのヴァンみたいなことをやっていたアニメ4話「過去じゃないです」は開幕と同時に中華料理店「万々歳」でテンション上がりましたね。万々歳と言えば無論看板娘、自称「最強魔法少女」の由比鶴乃ですよ。アニメで動くと凄まじく可愛いな、こいつ……いろはと同年代に見えますが若干年上の高校生です。確かももこの1個上だっけ? 脳天気で猪突猛進なキャラという印象だが、家庭事情がいろいろとアレで、魔法少女になった経緯とその顛末も割とアレである。アニメでもそのうち回想形式で語られるんじゃないかな、たぶん。「万々歳」は創業者たちが戦時中に現地で覚えた中華料理を提供しているという、説明だけ聞くと本格中華なテイストが漂うけど味と見た目はごく普通の下町中華である。所在地は「参京区」で、4話の舞台となっている「水名区」の東に位置する。マギレコの第一部は概ね神浜の西から東に移動していく形で進行します。そのため前半は西側の子の出番が多く、西と対立している東側の子は後半にならないと登場しない。

 やちよ師匠に電話を掛ける際、気弱になって「です」を付けちゃう鶴乃も可愛かったな。鶴乃は魔法少女になったばかりの頃、「最強」の座を勝ち取らねばならないという謎の強迫観念に襲われていたせいで手当たり次第他の魔法少女たちに決闘を申し込んでいましたが、何度手合わせしても敵わないやちよへ弟子入りすることを勝手に決めて「師匠」と呼び始めます。やちよ自身は鶴乃を弟子ではなく仲間の一人と見做していたが、いろいろあってチームを解散した後は疎遠になる。やちよがチームを解散した理由はいくつかありますが、そのうちの一つ「ある出来事」が発生したとき鶴乃は現場に居合わせていなかった(万々歳の手伝いで忙しかった)ため、チームが解散に至った経緯をハッキリと把握しておらず今でも解散の事実を呑み込めていません。ももこは現場に居合わせた一人であり、やちよとの仲が険悪になったのも「ある出来事」と無縁ではない。アニメだとやちよとももこの関係がギスギスしている描写は省かれてしまったから「諍い合う二人に戸惑う鶴乃」という要素は感じ取りにくくなっている。

 「口寄せ神社のウワサ」にまつわるエピソードは水名区の観光も兼ねており、チラッとですが水名女学園が映るのもファンには嬉しいサービスでした。「ドア様」こと阿見莉愛(紫の制服を着た金髪の子)が出演したことに歓喜するのも一瞬、「セリフなし」という現実に絶望してソウルジェムの濁りが捗る。莉愛は「最強」ならぬ「最美」を目指す魔法少女であり、学校に通う傍らモデルの仕事もこなしています。同じモデルであるやちよを一方的に敵視している(元々はやちよのファンだった)ものの、向こうは「あの突っかかってくる子、名前なんだったっけ?」くらいの感覚であまり深く認識されていない。やちよの瞳に映る世界において莉愛は数多いるモブの一人でしかないのだ、悲しいな……「アミ・リア」という微妙に印象に残りにくいネーミングのせいか名前をよく間違われるキャラでもあり、実は「ドア様」という愛称も公式ネタである。アニメでは「デスノートを無効化する」属性に「絶交階段を無効化する」属性も加わった(階段に名前を書く設定はアニメで追加された)。その荒ぶるドア様を押さえつけていたのが「胡桃まなか」、飲食店の娘という点では鶴乃と共通しているが、通う学校も店の地域もジャンル(中華と洋食)も違うせいか二人の絡みはほとんどない。

 城下町として古くから栄えている水名区には悲恋伝説が残っており、「口寄せ神社のウワサ」と何か関係があるのでは? と考えた一行はスタンプラリーに参加するもののスタート地点である水名神社に戻ってしまう。空振りだったことに落胆しつつ、スーパーで買い物をしている最中に「タイムセール……そうか、ウワサが効力を持つのは特定の時間帯なのでは?」と推察して夜中の神社に侵入します。変身しないで門を飛び越えるシーンにはビックリしたな、何となく「魔法少女は変身しないと超常的なパワーを発揮できない」イメージがありましたから。1話時点でも制服姿のいろはが常人離れした運動をしていましたけど、あそこは額面通り受け取っていいのか「シャフト流の演出」と解釈するべきなのか判断が付かなかったもんな。さておき、口寄せ神社のウワサでそれぞれ会いたい人と対面するいろは&やちよ。いろはの前に現れたのは妹のういちゃんですが、やちよの前に現れたのは元カノ……ではなく幼馴染みの「梓みふゆ」です。かつて同じ屋根の下で暮らしていて、やちよのことを「やっちゃん」と呼ぶ女性。自分のもとから去った後もやっちゃんは彼女の使っていたマグカップを処分できずにいる……やっぱり元カノでは? いいとこのお嬢様で、今回一瞬だけ映った水名女学園の卒業生でもある。この時点では生死不明だったみふゆさんですが、エンドカードに堂々と出てくるせいでアニメじゃ「ほぼ確実に生きている」ことが判明してしまっている。このエンドカード、全体的にネタバレすぎるんでもうちょっと後のエピソードまでズラせなかったんですかね?

 やちよと同様に戦歴7年を誇る大ベテランですが、魔法少女は歳を取れば取るほど「幼さゆえの全能感」や「若さゆえの無尽蔵な希望」はすり減っていき「まあ、現実って、こんなもんよね」という達観や諦観が押し寄せてくるため、戦闘経験が豊富になる反面で感情の振幅が狭まり魔力そのものは衰えていきます。みふゆは「自分が魔法少女として活動する限界に達しつつある」ことを悟り、他の要因も重なってやちよの前から姿を消してしまった。やちよさんは願いの影響で加齢による減衰が少なく、「戦闘経験が豊富で魔力も潤沢」という例外的な存在として神浜の西に君臨している。やちよさんみたいな例外中の例外を除くと、魔法少女はそれなりに強い子でも「どこかでピークに到達し、魔力が落ち始める→魔女が狩れず、グリーフシードを確保できなくなる→ソウルジェムが濁り切ってTHE END」という救いのないルートを辿ることになる。まどマギの世界において、死や魔女化を避けて魔法少女から引退する方法なんてものは存在しません(まどかが概念化した後でさえ一度契約を交わした魔法少女が普通の女の子に戻る手段はない)。「魔法少女」の呼び名には「誰も大人にならない」という暗い意味も込められている。縁日のヒヨコみたいなものです。やちよは薄々「みふゆはもうこの世にはいないのではないか」と感じており、その不安を払拭すべく行方の手掛かりを掴もうとしている。このへんから徐々にやちよさんの鉄面皮が剥がれ落ちていくことになります。「ポイント10倍デー」に反応していた時点で年長者としての権威はだいぶ砕け散っていますが。「ここにあるもの全てがポイント10倍よ!」 なお原作だと「魔女結界に気づく→なぜショッピングモールに? なんか今日は人が多いな……→ハッ、そうか、今日はポイント10倍デー!」って順序なので、「魔女結界そっちのけでポイント10倍デーの凄さを熱心にアピールするやっちゃん」というアニメ以上に珍妙なシーンだったりします。舞台版ではポイント10倍ソング(アニメでも使われているアレ)とともにダンスまで披露した。

 このペースなら口寄せ神社云々は次回で終わりだろう。第一部における山場のひとつであり、話が大きく動き始めます。それにしても黒江ちゃんは依然として出番がないな。原作エピソードを消化するので手一杯なのは伝わってくるが……もし最短で出すとしたら6話か7話あたり? アニマギ、原作やってる人間にとっては「大筋は一緒だけど細部はかなりアレンジされている」という御褒美みたいな内容で、ペース配分的に恐らく分割2クールだろうからしばし待つだけで合計20話以上も楽しめるという夢の如き状況だけど、アニメから入った人にとっては「どこが見所なのかイマイチよくわからない作品」のようで温度差を感じています。けど原作に興味を持ってアプリ版プレーし始めた人もいるみたいだし、まだ悲観すべき局面ではない。これでもっと界隈に活気が出たら嬉しいな。


2020-02-06.

・アニメ『マギアレコード』第5話「あなたが割って入る隙間なんてないんですよ?」、いろはとやちよが一つ屋根の下で寝起きして「遂にいろやちが始まる……!」と歓喜している焼津です、こんばんは。年の差百合はロマン。

 やちよさんが住んでいる屋敷は「みかづき荘」というアパートで、オーナーは彼女の祖母ですが、実際の管理はやちよさんが行っているため「やちよさんの所有する建物」と認識しても構いません。大学生であり現役モデルでありアパートの管理人であり魔法少女でもあるやちよさん、設定盛り過ぎでは? 今回は一泊したただけですが、やがていろはちゃんは神浜の学校へ通うため正式に一室借りることになります。アパートと言ってもやちよが管理を引き継いだ時点では下宿人が誰もおらず、ほぼ民家に近い状態である。訳があって家に帰れず住所不定になっている魔法少女を受け容れたりもするので「マジカル児童福祉施設」といった趣があります。杏子も成り行き次第ではみかづき荘に住むことになっていたかもしれないな……。

 今回の見所は「ソウルジェムの濁ったいろはから出てきた魔女のような何か」と「登場即ティロフィナーレのマミさん(with敬語)」でしょうが、原作組からすると「いろやちの前に立ちふさがる過去の女(みゆふ)……!」でしょうね。アプリだとキャラがSD化されているせいでみふゆさんの巨大チャクラムみたいなウェポンもそれほど目立たないけど、アニメの頭身でやられると「殺意高くて怖っ」ってなる。サブタイにもなっている「あなたが割って入る隙間なんてないんですよ?」という威嚇じみたセリフも修羅場の匂いプンプンでオラワクワクすっぞ。そんなみふゆさんの幻影へ槍を突き込むやちよさんから漂う殺し愛のスメルも香しい。喪失を受け容れるためにみふゆを探し続けるというやちよさんの悲壮さに胸打たれるが、このへんネタバレを避けて語るのが難しいな……とりあえず、やちよさんのみふゆに対する未練は深い、ということだけ把握してほしい。そして「使う人がいなくなったけど捨てられないマグカップ」が複数あることにも注目していただきたい。魔法少女になるって、そういうことよ。

 「いろはから出てきた魔女のような何か」は、関係者(何の?)の間で「ドッペル」と呼ばれているものです。ドイツ語であり、英語だと「ダブル」になる。本来ソウルジェムが濁り切った魔法少女はまどマギ8話のさやかちゃんみたくソウルジェムの外殻が砕け散ってグリーフシードへ変貌、同時に魔女を形成し、肉体の方は単なる抜け殻として取り残される――という感じになりますが、いろはのソウルジェムは砕け散っておらず、抜け殻になるはずの肉体と繋がるような形でドッペルを発生させている。ドッペルは「いろは固有の能力」ではなく「神浜特有の現象」であり、それを説明するためにCパートでかえでもドッペルを出しています。ゲーム上はMPというゲージを200まで貯めたときに使用可能となる、言うなれば超必殺技であり、そこまで貯めるのはかなり大変なぶん威力は凄まじく強力です。「ドッペル解放クエスト」というものをクリアするのが条件だから、ガチャで該当する魔法少女を引いてもすぐに使えるわけではない。運用のためにわざとドッペルを解放しない(解放するとMP200のときドッペル1回しか撃てないが、解放していなければマギアが2回撃てる)人もいます。ドッペルはいくつかの種類に分類でき、いろはやかえでのように年少の魔法少女は比較的人間っぽい部分が残る傾向にありますが、年長の魔法少女(誰とは言わないが)や精神的に成熟・老成した子は自己とドッペルの区別がほとんどなくなり、まるで一体化したような見た目となる。そしてドッペルを出した後はスッキリしてソウルジェムの濁りが消え、キレイキレイになるわけだ。魔女になることもなく、濁ったソウルジェムが浄化されるわけだから「いいことづくめじゃないか」って印象なんですが、ドッペルには不明点が多くノーリスクとも言い切れないので「乱用するべきではない」という意見もあります。ドッペルは自己の暗部、それこそイドを覗き込むようなものなので、イドに覗き返されても自我を維持できるだけの胆力がないと呑み込まれてしまいかねない。

 ドッペル無双によりウワサは瞬殺。今回倒したマチビト馬は「(幻覚とはいえ)会いたい人に会わせてくれる」=「願いを叶える」性質のウワサで、「願い(希望)の力で戦う」魔法少女の攻撃をほとんど無効化するという厄介な耐性がある。いろは、やちよ、鶴乃の攻撃がまったく通じなかったのはこのせい。ウワサは「自身と同質の力をレジストする」特徴を持つ反面、自身の対立項となる力には弱く、それが明確な弱点となる。マチビト馬の場合は「呪い」への耐性がなく(ゲームでもだいたい光属性で現れて闇属性の子に倒される)、いろはのドッペル相手には成す術がなかった。「ドッペルは願いではなく呪いの力」だとこの時点で既に暗示されている。ちなみに絶交階段の性質は「不仲」で、仲の悪い魔法少女たちが何人集まっても有効打を与えられないのに対し、対立項となる「絆」が結ばれた魔法少女たちで連携すれば割と楽に倒せる。なお性質だの耐性だのはごく初期に使われていた設定であって今後はどんどん忘れ去られていきますから、別に覚えなくてもいいです。

 そして皆さんお待ちかね、マミさんが例の曲とともに大技「ティロ・フィナーレ」をブッ放す! いろはのドッペルをズドンと吹っ飛ばしたのは笑ってしまった。何あのバカげた火力。やちよや鶴乃相手に敬語で話しかけるマミさんが非常に新鮮でしたが、ああ見えてマミさんはいろはやレナちゃんと同い年なのでやちよや鶴乃は普通に年上なんですよね……相変わらず強キャラ感が半端ないので「まだ中学生」という事実を失念しそうになる。ゲームではいろはを「人間型の魔女」だと信じて疑わないマミさんと一戦交えることになりますが、アニメでは割と大人しく引き下がりましたね。尺の関係もあるんだろうが、細かいところでアプリ版とはいろいろ変わってきているのでいずれ展開そのものが別物と化す可能性も膨らんできました。それにしても黒江ちゃんは出番なさすぎで「あのキャラは幻だったのか?」という気さえしてくる。来週から新しいウワサを追うことになるけど、そこで顔を出す……かな? みんな大好きあのキャラも登場するのでお楽しみに。

 アプリの方のタワー踏破型イベントは気合と根性でどうにか踏破しました。思った以上にキツかった……メインクエストは単騎運用もできるから余裕の1ターンキルで攻略的には特筆する要素がなかったものの、チャレンジクエストは後半に進むほど難易度が跳ね上がっていき、途中で詰まりかけたほどです。私ちょっと勘違いしていたみたいですが、マギレコのタワー踏破型イベントってボス戦がネックになるんじゃなくて、「ボス戦以外の上階」が真の障害ポイントなんですね……ボス戦は全滅しても与えたダメージが引き継がれるからアマゾネス・ドットコムのクレーム対応と一緒でひたすらゾンビアタックしていればそのうち倒せますけど、ボス戦以外は与えたダメージが引き継がれず、全滅すれば振り出しに戻るため必ず1凸で突破しないといけない。石割りコンティニューも不可であり、ほとんどネロ祭みたいな高難易度ラッシュとなっています。「全滅覚悟でひたすらMPを貯め、復活時にマギアやドッペルを一斉射出」が基本戦術となりますが、「MPを貯めるための編成」と「マギア・ドッペルをブッパするための編成」を分けて用意せねばならず面倒臭い。マギレコは「メモリア」という装備品(FGOの概念礼装みたいなもの)を複数付けられる関係もあって最適な編成を考えるのに手間と時間が掛かります。メモリアの装備数は魔力解放(宝具レベル上げのような手順で行う限界突破)の回数に応じて変わるから凸数が違うと組み直さなきゃいけなくなるし、「専用メモリア」と呼ばれる絆礼装みたいなアイテムも付け直しが必要になるのでとにかくチマチマした作業を延々と繰り返すことになる。ステージ数はアマゾネス・ドットコムの半分以下なのに、苦痛度はこちらの方が遥かに上でした。「楽しい」と感じる場面はあまりなく(強いて言えば普段あまり見る機会のないドッペル演出をたくさん見られたくらいか)、ほとんど意地でクリアしたようなもんです。

 特に難関だったのがチャレンジクエスト39。エネミーはかりんとなぎさの二人だけで一見楽に突破できそうなステージなんですが、かりんは毎ターンMP減少を撃ってくるうえ通常攻撃を確率回避、なぎさは防御無視攻撃を連発するうえHP0にしてもガッツスキルで耐えるなど、かなり厄介なクエストです。ここで匙を投げたプレーヤーも少なくないと聞く。一番困るのは「毎ターンMP減少を撃ってくる」点ですね。これのせいでなかなかMPが貯まらず、下手すると開始前よりも減っていることさえある。自力攻略を諦めネットで検索したところ、攻略法は主に2つありました。一つ目は「無限魅了嵌め」、かりんとなぎさは魅了耐性が低いので魅了コネクト持ち2人と盾役1人を編成し、盾役が落ちたところで魅了コネクトを飛ばし合って延々と足止めし削り殺す。時間は掛かるし途中で事故る(ディスク運が悪くてコネクトが途切れる)恐れもあるけど、MP0からでも攻略できるため下準備の必要がないのが利点です。難点は、魅了コネクト持ちが稀少でフレから借りられない形式のイベントだとそもそもハメ技として使えないってことか。否応なく没。二つ目は、「かりんがMP減少撃ってくる前にリタイアして少しずつMPを貯める」です。下準備に時間が掛かったものの、MPが貯まり切ってしまえば突破は一瞬でした。後は特に詰まるようなところもなく、ボス戦で貯めたMP使ってマギアやドッペルを「目標をセンターに入れてスイッチ」くらいの感覚でブッパし続けるだけ。登頂したときは達成感よりも「やっと苦行から解放される」という安堵感の方が強かった。古参プレーヤーに聞くと「これでも易しくなった方だよ」らしいから過去の踏破型イベントはどんだけ……もしまた踏破型イベントが開催されたら、次は早い段階でリタイアするつもりです。

 正直この踏破型イベントのせいでかなりモチベ下がりましたが、アニメ記念の無料10連で「智珠らんか」が当たったのですぐに持ち直しました。我ながら現金なヤツだ。らんかは☆3なのでレアリティはそこまで高くないけれど、割と最近(今年の1月17日)に実装された恒常キャラで、思ったより早く手に入れることができて嬉しかった。黒ロングに赤瞳という容姿も好み。ゲーマーキャラであり、魔法少女になるとき叶えた願いもゲーム関係という徹底ぶり。コントローラーを手に持ってUFOキャッチャーのアームみたいなもので攻撃するという何だかほのぼのする見た目だが、かつては強者の腰巾着として振る舞い弱者を虐げていた暗い過去を持つ。その状況から救い出してくれた「大庭樹里」という魔法少女を慕っており、樹里が地元で失脚しかけたときも見捨てず彼女に付いていった。ミスド(PROMISED BLOOD)の情報収集担当として神浜市に潜入し、現地の情報を二木市の本隊に送っていた子です。個別ストーリーは神浜で魔法少女に関する情報が得られず焦っていた時期にかもれ(かえで、ももこ、レナ)の3人と出会うエピソードが綴られる。好戦的で喧嘩っ早い性格をしており、ゲーセンでレナとやり合うシーンは『ゲーミングお嬢様』のような雰囲気があった。ゲーミング魔法少女。ユニットとしては火属性/ブラスト3枚/アタックタイプで、杏子ちゃんの簡易版ってなところ。今まで火のB3枚持ちは杏子(および水着杏子)しかいなかったので、杏子未所持勢にとっては干天の慈雨である。精神強化解放済なので、☆3とはいえ育て甲斐もあります。いずれ☆5覚醒が来ると信じて、デスティニーボトル系のイベントが始まったらどんどん凸っていくつもりだ。勝利ポーズのイキってる感じがすごく好きです。


2020-02-11.

・アニメ『マギアレコード』第6話「なんだってしてやるよ」視聴。

 今回のウワサは「月蝕カルマ水」、ではなく「フクロウ幸運水」。原作では「フクロウ印の給水屋」とか「ミザリーウォーター」みたいな名称だった気がする。飲んでから24時間経つと「不幸」が起こる、というものだったがアニメでは「24の幸運を使い果たしたときに不幸が起こる」に変えられています。そうしないと「まずい、タイムリミットが迫ってる!」という状況を作るために24時間経過させないといけなくなるし、尺的に厳しいと判断したのだろう。アプリ版だと「単なるおじさんが『幸せの水』と称していろはたちに謎の液体を配る」という絵面のヤバかったシーン、アニメ版では凝った演出のせいで「おじさん」感ほとんどなくなってしまいヤバさが消滅している。モブ同然の雑な扱いだった「給水おじさん」を「だがそれがいい」と愛していた原作組の多くが嘆き悲しみました。

 さておき、冒頭に出てくる魔法少女たちは「ななか組」や「常盤組」と通称されるチームです。ピンク髪のポン刀少女「常盤ななか」がリーダー格なのでそう呼ばれている。アニメでは調整屋のスケジュールに「常盤さんチーム」と書かれていました。ななかは有名な華道の家元的存在であり、冷静沈着かつ堂々たる立ち振る舞いからファンの間で「組長」なる愛称(?)まで貰っています。得物が刀だし、変身後の衣装が着物(中は洋服だけど)なので、どうしても華道というより極道っぽさが漂うんですよね……マギア(必殺技のようなもの)も「白椿」で、「椿の花の如く一閃で首を斬り落としてやる」と殺意の高いメッセージを込めている。どちらかと言えば善側の魔法少女なのに、想起されるイメージは「武闘派のインテリヤクザ」。一つの鞘に二つの刀を差しており、戦闘スタイルは四乃森蒼紫の「小太刀二刀流」を彷彿とさせる。あまり派手な活躍はしないけど物事を俯瞰で見る落ち着き払った性格がシナリオ的に使いやすいのか、イベントにはちょくちょく顔を出します。交渉能力に優れているため他チームとの折衝役を務めることも多く、市内では割と名前が売れている。神浜ではやちよ、十七夜に準ずる影の実力者。あまりにも貫禄に溢れているせいでファンもときどき忘れそうになるが、いろはちゃんやマミさんと同じ中学3年生です。

 他のメンバー(銀の短髪=志伸あきら、緑髪の子=夏目かこ、青髪チャイナ服=純美雨)もいろいろと設定がありますけど、長くなるので割愛したい。あえて書くとすれば、緑髪の「夏目かこ」ちゃんはマギレコ世界だと「鹿目まどか」の神浜における現地妻……もとい友達だってことですかね。かこちゃんはなにげに顔が広く、各魔法少女の個別ストーリーに出る機会が多い。時系列的にいろはが出演できないところ(いろはが神浜に来る前のエピソード)を彼女が埋めている感じです。ななか組は長らく4人チームでやってきたけど「もう1人くらいメンバーが欲しい」からと、魔法少女間で「腕は立つ」という噂の傭兵「深月フェリシア」を5人目候補として試験的に採用してみる。が、指示を無視して先走る協調性のなさから「いくら強くてもこれじゃチーム全体を危険に晒しかねない」と伝説の不採用通知。ななかは善意から「フェリシアは強いけど危なっかしい、組む場合は充分注意するように」という忠告を周囲に発するが、影の実力者ゆえ過剰なほど情報が出回ってしまい、アプリ版だと本編の時点でフェリシアを雇おうとする魔法少女はほとんどいなくなっています。初対面のいろは相手に雇え雇えとガツガツ来るのはこのせい。ななか組の中でかこちゃんだけは同い年であるフェリシアの行く末を案じており、チームから離れた後も彼女のことを気にかけていた結果ある重要な事実を知ってしまう……が、このへんは本編で触れられる機会もないだろう。とりあえずフェリシアが「魔女を一匹残らずぶっ潰す」という怒りで駆動している魔法少女だと認識していただければ当面はOKです。得物は巨大なハンマー、ゴチゴチの前衛職なんで映像的には見栄えがイイ。

 いろはとフェリシアが出会った「工匠区」は東側のテリトリー、参京区からだと中央区を通過しているはずなので、いろはちゃんは結構な距離をテクテクと歩いてきたことになる。「東に行くな」と言われていたけど、神浜の地理に疎いいろはちゃんはどこからが「東」に該当するのかピンと来ないのだろう。そんないろはちゃんに対してまるで東側の魔法少女みたいに警告しているフェリシアですが、彼女の出身は「南凪区」で通っている学校は「中央区」だから別に東側というわけではない。そもそも傭兵に西も東もないっちゃないんですが。で、ここ、本来なら工匠区の魔法少女たちが「どこ中だテメー」と絡んでくるべき場面なわけですが、そういう展開にはなりません。魔女は増えすぎだし変なのは湧くしでもはや縄張り争いをしているような状況ではないのだ。

 6話ではまどマギから杏子もゲスト出演。家族を喪ったフェリシアと若干重なる境遇なので、そこらへんを意識しての配役だろう。杏子のテリトリーは「風見野市」だが、マミさんの死後にわざわざ見滝原へやってくるぐらいだからもともと狩場としての旨味はそんなにないんじゃないかと思われる。アプリ版ではいろはやフェリシアと一緒に水を飲んでいるが、アニメ版だと水を飲んだかどうかも現時点ではハッキリしない。杏子が水を飲むシーン削られたのは「あそこでいろはたちと絡むと掛け合いの量が増えて尺に収まらない」みたいな理由ではなかろうか。幸運水のウワサを拡散する使い魔のようなもの(一般人はアレを「知り合いの誰か」として認識するが、後から思い出そうとしても「誰だっけ?」になる)を発見した一行は尾行してウワサの居所を突き止めようとするが、行く手を阻むようにフードを被った複数の魔法少女たちが姿を現す。彼女たちこそが秘密結社「マギウスの翼」、いろはちゃんの敵となる存在です。必ずしも悪意で行動しているわけではなく、むしろ善意の押し付けみたいな原理で動いており、実態としてはカルトに近い。ちなみに「マギウス」というのは組織の指導者めいた立場に位置する魔法少女を指す言葉であり、彼女に従う下っ端の構成員たちを「マギウスの翼」、あるいは単に「翼」と呼ぶ。秘密結社ゆえ正式名称というものがなく、文脈によって「マギウス」が組織全体を指す場合もあり、このへんちょっとややこしい。今のところは「マギウス=超すごい魔法少女」「翼=モブ扱いされる程度の魔法少女」と受け取っておけばいい。神浜においてマギウスの翼は「ここ半年くらいの間に台頭し始めたカルト勢力」であり、実力のない弱い魔法少女たちがどんどん取り込まれているって状況です。「翼」の大半は神浜の魔女に太刀打ちできず、群れ集いマギウスの手足として働くしか生存の道がない哀れな下層クラスの魔法少女たちなのだ。うん、それにしても「どんだけいるんだよ、神浜の魔法少女」って話なんですが。いくら何でも多すぎでしょ。

 さておき、マギウスの翼はウワサを管理し、ウワサに近づくものを遠ざけようと組織ぐるみで動いています。ウワサによって一般人が犠牲になろうともお構いなし。やってることは完全に悪役ながら「魔法少女の救済」をお題目として掲げ、いろはちゃんたちに問答無用で襲い掛かってくるような真似はしない。説得で済むなら説得で済ませたい、というのが彼女たち弱い魔法少女の思惑なんです。なのでもっとも攻略しやすいフェリシアを優先して口説きに掛かっている。「すべての魔女を潰す」ことが最優先課題のフェリシアは雇い主に対する忠誠心を持ち合わせておらず、マギウスの翼どもが囁いてくる甘言に乗る気満々の姿勢を見せたところでEND、次回に続きます。まさかななか組全員が出てくるとは思わなかったのでビックリしましたね。いっぺんに出てきたからアニメ組の人は混乱しただろう。ゲーム的なことを言うとななか組メンバーはレアリティの高くない魔法少女ばかり(あきらとかこが☆2、ななかと美雨が☆3、つまり☆4魔法少女が一切存在しない)ゆえ所持済のプレーヤーが多く、誰しも一人か二人は愛着のある魔法少女がいるグループなんですよ。それが僅かなシーンとはいえ活躍したわけだから嬉しくならないはずがない。ななか組の個別ストーリーは「飛蝗」と名付けた魔女を追う筋立てになっており、イベント「散花愁章」で因縁の決着がついたのだが、このへんは本編より前の出来事なんでアニメで描かれることはまずないだろう。「散花愁章」は複数のエピソードが絡み合うある意味でマギレコの総決算めいた話ながら、時系列の問題でいろはちゃんの出番がまったくない「映像化が絶望的」なシナリオである。マギレコのアニメが超絶ヒットすれば『マギアレコード/ゼロ』みたいなタイトルで制作される可能性とてなきにしも……いや、なさそうだな、うん。

 エンドカードに登場するのは双子の魔法少女「天音姉妹」。このふたりはたぶん次回に出てくるだろうから解説はやめておこう。初見だとほとんど見分けがつきませんが、口調と胸の大きさが違うのでやってるうちにだんだん判別がつくようになる。水着バージョンが出るくらいには人気のあるキャラなんですけども、よく考えるとOPにはいないんだよな……ん? もしかしてアニメでは黒江ちゃんと天音姉妹のポジションをすげ替えるのか? ファンサービス的な目線を抜きにするとあの姉妹は本編のストーリーを語るうえで必須というほどではなく、魔法少女になった経緯も込み入っていて扱いが難しいところはある。存在ごと消されることはないにせよ、天音姉妹のセリフがほとんど用意されていないパターンは想定されうる。「大筋は同じだけど細部は異なる」のがアニメの特徴だから原作プレー済でも「次回はどうなるんだろう」ってドキドキするわ。ほか、小ネタとしてはサントラに収録されたボイスドラマ「うん、水徳湯に行こう!」の舞台「水徳湯」や、第二部で時女一族の活動拠点になる「水徳寺」も短いカットながら映っています。なお「寺生まれの涼子」こと「南津涼子」が育った寺はまた別らしく、時女一族のネットワークはいったいどれだけ広大なのか気になるところだ。


2020-02-20.

アニメ『マギアレコード』第7話「一緒に帰りたい」を視聴。

 アバンは炎上するアパートの一室でフェリシアが魔女への復讐を誓うシーン。これに関してはいろいろと解説するポイントがあるのだが、個別ストーリーのネタバレになるし、でもアニメではたぶん触れられないだろうし……と、どこまで書いたものか迷うところである。前回フェリシアと一緒に戦っていた「ななか組」のメンバーには魔女のせいで人生を狂わされて魔法少女になった子が何人かおり、フェリシアと共通点があるように見えるが、いくつか違う箇所もあります。まずフェリシアは戦闘シーンで「こいつが自分の両親を殺した魔女かもしれない」と語っているように、「両親の仇である魔女」がどんな奴だったかハッキリと覚えていません。なので虱潰しに片っ端から魔女を潰していく方針を取っていて、その復讐には果てがない。「すべての魔女を消す」という普通にやっていたらどう考えても達成不可能な命題を抱えているからこそマギウスの甘言に釣られてしまったのである。ななか組のメンバーは「人生を狂わせた魔女」についてある程度特定が済んでおり、「飛蝗」という仮称まで与えている。ゆえに後は探し出して始末すれば因縁はそこで完了する。魔女を見ると「こいつかもしれねぇ」ってバーサク状態に陥ってしまうフェリシアとは異なり、「こいつではないな」と冷静に判断できるわけだ。

 組織の構成員に案内されて地下道を進むフェリシアは途中で杏子と合流。一般人が魔女やウワサの犠牲になることをあまり気にしていない杏子はマギウスの翼に対する抵抗感が少ないため、ひとまず話に乗ってみることにしたのだ。二人は組織の幹部クラスである「白羽根」、双子の「天音姉妹」と顔を合わせる。「マギウスの翼」は首領格である「マギウス」とそれ以外の「翼」によって構成されているが、「翼」の中にも序列があって、入ったばかりの新参や力の少ない下っ端は「黒羽根」として黒いローブを纏い、信頼が得られる程度に活動を続けて組織への貢献が大きいと認められた者は「白羽根」として白いローブを纏う。天音姉妹は白いローブを着るシーンがほとんどないし、だいたいやられ役として登場するから幹部感はなきに等しいが……出れば出るほどポンコツ度が増していくため逆に人気が高まり水着バージョンも出たほどです。呼吸ピッタリで「ねー」と言い合う仲良さげな双子姉妹ですが、実は二人とも「自分に双子の姉妹がいる」ことを知ったのは割と最近で、長い間生き別れていた複雑な家庭事情がある。このへんもアニメで掘り下げる余裕はたぶんないだろう。

 見た目がそっくりですが、口調と体型と髪型と声で見分けはつきます。一人称が「ウチ」の方が月咲(つかさ)ちゃん、一人称が「私」で丁寧な喋り方をする方が月夜(つくよ)ちゃん。服を着ていると分かりにくいが、胸の小さい方が月咲ちゃんで胸の大きい方が月夜ちゃん。一卵性だから遺伝子は一緒なんだけど、月夜ちゃんに比べて月咲ちゃんはあまり裕福な家庭の育ちではないから……胸の大きさが違うせいで入れ替わりネタをやろうとしても難しかったりします。ポニーにしている髪のテール部分が一本になっている方が月夜ちゃんで二本に分岐している方が月咲ちゃんです、容姿でもっとも判別しやすいのはここか? 最後に声、CVが内田真礼の方が月夜ちゃんでCVが内田彩の方が月咲ちゃんです。「うちだまあや」と「うちだあや」なので声オタ以外は却って混乱するかもしれない。家庭の事情で二人とも別々に暮らしており、姉である月夜は水名学園、妹の月咲は工匠学舎に通っている。流れとしては月夜が水名の先輩であるみふゆさんに勧誘されてマギウスの翼に入り、月咲も月夜に説得されて組織に加入した、って感じです。武器は笛、二人同時に吹き鳴らして相手の動きを強制停止させる音響攻撃「笛花共鳴(てっかきょうめい)」は地下道だと反響によって効果が増幅するため非常に強力である。ただ、こういう搦め手の技って途中で攻略法が見つかって「笛花共鳴、破れたり!」「グワーッ!」「グワーッ!」となるのがお約束なんですよね。アニメでは姉妹が劣勢に陥る過程が省かれてしまったが、アプリだと「反響を利用しているぶん騒音に弱い」というロジックで対処されてしまいます。

 そして「魔法少女解放の証」として意識的にドッペルを繰り出す姉妹。演出が派手なせいでいまいち脅威が伝わりにくいが、少なくとも原作ではやちよさんが殺意を感じ取るくらいガチで攻撃してきている。それに対して反撃するやちよさんもなかなか容赦なく、月夜ちゃんの足を潰して「うまく動けないでしょ?」と宣ったりします。戦歴が長いから「魔法少女は足をやられると痛みと焦りから魔力の操作ができなくなって無力化する」ことを実体験として知悉しているのだ。「西のヤクザ」と呼ばれる所以です。というか尺の関係で天音姉妹戦とウワサ戦はかなりダイジェスト気味になっており、「なんかよくわからないうちにドッペルをブッパして終わった」話になってしまった。今回戦った「ミザリーリュトンのウワサ」はその名の通り角杯(リュトン)の姿をしていて、自ら動くことはできない。その代わり近づく者に不幸を与える――具体的に書くとどこからともなく岩が落ちてくる、など――ことで接近を阻む。『AYAKASHI』に出ていた「ケバタケ」みたいなヤツです、ってこの喩え何人くらいに通じるんだろう。落石のせいで近づけないいろはたちはいろいろと策を練って倒す(原作だとドッペルは使っていない)んですが、あのへんをアニメにするとショボくなるので改変は致し方ない。倒した後にくす玉が現れて、割ったら「おめでとう」なんて紙が出てくるくらい緊張感のないエネミーだったし。

 「自分も水を飲んでしまったから」という理由で協力していた杏子がアニメでは水を口にしておらず、成り行きでいろはたちを助けるお人好しになっています。「あんたら(マギウスの翼)が言うことはボンヤリしている」と加入を拒否する杏子ちゃん、この時点では魔女化の真実を知らないからマギウス側に与しようという気にはなれません。相変わらず戦闘シーンはカッコ良かった。フェリシアに助言しているのは過去の自分と重なるところがあるからかな。なおマギレコは「千歳ゆまが魔法少女になっている世界線」なのでゆまもユニットとして実装されている。しかしながらおりこ組は「神浜市が何かヤバイ」って個別ストーリーがあるだけで本編にはまったく絡んでこないから、ゆまが今頃どうしているのかは完全に不明である。織莉子に常時発動の予知能力があるせいでおりこ組の扱いには苦慮してるっぽい。

 率いていた魔女と守っていたウワサを撃破されたことで任務失敗が確定してしまった天音姉妹は狼狽える。このふたり、任務を成功させたシーンがあったかどうか思い出せないレベルで「いつも失敗している」という印象がある。「くっ…みすみす捕まるなんて…」のシーンとか、どう見ても戦闘ヒロインを陵辱するタイプのエロゲーだ。対魔嬢アマネ。あ、書き忘れていたが、戦闘シーンで天音姉妹が魔女を使役しているように見えますが彼女たちにそういう力があるわけではなく、単にマギウスが捕獲してキープしていた魔女をキューブから解き放っただけです。詳しいことはそのうちアニメでも描かれるだろうが、マギウスはその特性からポケモンマスターのように魔女を捕獲・蒐集することができる。でも「すべての魔女を潰す」と息巻くフェリシアの前に魔女を放つとか、考えなしにもほどがあるぞこのポンコツシスターズ。

 お仕置き不可避な天音姉妹のところへ黒羽根を引き連れてやってきた貫禄ある魔法少女こそかのマギウス……ではなく、やちよさんの幼馴染みである「梓みふゆ」だ。生きているかどうかもわからなかったみふゆとの再会に歓喜する鶴乃だが、みふゆはもう万々歳でお帰りパーティをすることなどできない。なぜなら彼女はマギウスの右腕として魔法少女たちを顎で使う立場になっていたから。みふゆは首領格じゃないがポジション的には副首領くらいで、組織の中で采配をふるう実質上のリーダーだ。強いて言えば「マギウスの背骨」。ぶっちゃけマギウスは魔法少女として別格級の凄さなんだけど、傍若無人で他者の気持ちを慮るようなことは一切しないから崇拝されていても人望はほぼゼロであり、「組織としてのマギウスの翼」はみふゆの努力によって辛うじて保たれている状態である。彼女は活動期間が長いため魔法少女の知り合いが多く、「みふゆさんがそう言うなら……」と勧誘に応じた子たちが組織の中核を成している。マギウスは神輿であって、それを担ぐ翼たちを実際に指揮しているのはみふゆさんです。なので彼女には中間管理職めいた苦労人エピソードが多く、組織運営の困難に伴う哀愁が染みついている。親友であるやっちゃんを勧誘しなかったのは、彼女がマギウスの唱える理想に賛同しないと分かり切っていたからだろう。再会するや否やダメ元で誘ってみるが、あっさり断られています。こうして二人の再会は更なる離別へ繋がるのであった。

 「みかづき荘への下宿が決まったのが最後の幸運」という形でオチが付く。住む場所もお金もないフェリシアは先に上がり込んでおり、やちよの「フェリシアはうちの娘ですが何か?」と言わんばかりの保護者面伝説も既に始まっていた。フェリシアにGPS発信機を仕込むという実利はともかく道義的にどうなの? ていうかなんでそんなの持ち歩いてるの? と訊きたくなるような真似をしでかしていたが、与太系イベントを経由した後だと「やちよさんならそれくらいはやるだろうな」って謎の信頼感が得られる。バレンタインイベントのシナリオで「尾行も保護者の仕事の内よ」「こうして翌日よりフェリシアのバレンタイン素行調査を開始した…!」ってやってた件は忘れろと言われても忘れられない。最後、いろはちゃんのスマホに助けを求める差出人不明のメッセージが届き、次回に続く。来週からは原作の5章に当たるエピソードで、やっと主要人物がひと通り出揃います。それにしても黒江ちゃん、今週もまさかの出番ナシでした。てっきり黒羽根の一人として登場するのかとばかり予想していたが……あまりにも出てこないので戸惑いの念しか湧かない。エンドカードで描かれている緑髪の魔法少女はアリナ・グレイ。とあるキャラの先輩として登場したことから「アリナ先輩」という愛称が定着している。なぜかCoCo壱番屋とのコラボで他のキャラを差し置いて出てきたため、ファンの間で「実はカレー好き」という設定が捏造されたりしている。うん。いや、本編にはまだ顔を見せていないキャラの解説なんてどないせぇっちゅうねん。

 アプリの方ではここんところアニメに登場したキャラのピックアップを行っており、今週は天音姉妹の姉の方、天音月夜 ピックアップガチャが開催された(19日までなのでもう終わっている)。「え? なんで月夜ちゃんだけ? 月咲ちゃんは?」と訝る方もおられるだろうが、月咲ちゃんはイベント報酬としての配布キャラなのでガチャからは出てきません。そして月夜ちゃんは初期☆4魔法少女だから覚醒して☆5になれるけど、配布の月咲ちゃんは覚醒しても☆4が限度……これが西側魔法少女と東側魔法少女の格差か……という状態が長らく続いてましたが、去年の6月に無事☆5覚醒およびドッペル解放が為されてやっとお揃いになりました。私が持っているのは月咲ちゃんと天音姉妹(水着ver.)だけで月夜ちゃんは未所持、欲しいことは欲しいのだが「3周年まで石とガチャチケは温存」という方針ゆえ鋼の意志でスルー。土日にアニメ放送を記念して無料10連が2回できるから、それだけで我慢しています。日曜の10連で遂に☆4魔法少女確定枠に到達し、美樹さやかをゲットすることができた。嬉しい。これでサポから杏子ちゃんを借りれば「ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット」編成ができるぜ。

 余談。マギレコの公式漫画に『マギア☆レポート』という「マンガで分かる!マギアレコード」な作品がありまして、今回CMが流れていたんですけれど、「3巻まで好評発売中」と言い出したもんだからビックリした。えっ? 2巻までは買ってるけど、3巻いつの間に出ていたの!? 新刊予定表見落としていたか……? 慌てて調べたら4月3日発売予定だった。恐らくCM作っていた頃はアニメの放送時期に合わせて1月末か2月頭くらいに3巻を刊行するつもりだったんだろうな……その後予定が変わって4月になったけど、既に音声収録が終わっていて差し替えられなかったからそのまま流しちゃったか? あるいは差し替えるはずだったのに何かの手違いで修正前のバージョンを電波に乗せてしまったのか。公式は特にコメントを出していないから謎である。単行本にはゲームで使えるシリアルコードも付いてくるとのこと。発売に合わせてマギレポイベント第3弾が開催されることを期待しています。


2020-02-25.

アニメ『マギアレコード』第8話「絶対に返信しちゃだめよ」視聴。

 この「絶対に返信しちゃだめよ」ってタイトル、ホラー映画だったら「破ってはいけないルールなんだけど破らないと話にならないので必ず誰かが破るヤツだな」という風味が漂っていて趣深い。返信する場面でタイトルを表示するあたり狙い澄ましている。「トランザムは使うなよ」とか「エヴァにだけは乗らんといてくださいよ」とか、この手のセリフはどれもフリでしかないですね。あと、まどマギが「まどかが変身しちゃったら終わり(とほむらが考えている)」アニメだったことも意識しているのか?

 今回から原作アプリの第5章「ひとりぼっちの最果て」へ突入。まだ名前と声だけですけど「二葉さな」がようやく登場します。消去法で分かると思うからバラしますけど、OPで猫に囲まれている薄緑色の髪をした子がさなちゃんです。見ての通り猫好き。着ている制服は水名女学園、みふゆさんが通っていたところだ。変身後は大盾とティアラを装備した衣装になることもあり、「盾子」という愛称で呼ばれていた時期もありました。私は盾子と表記されると『Rumble〜バンカラ夜叉姫〜』の「江里盾子(えざと・じゅんこ)」を思い出してしまうな……サブキャラなんですが彼女のルートに入るとラストバトルで特殊なシーンが発生して……え? 盾子の話はいい? じゃあ話を戻しまして。サービス開始初期からプロモーション等で顔見せされていたにも関わらずなかなか実装されないキャラの一人として有名だったさなちゃん、同じくなかなか実装されないさやかちゃんと一緒に驚異のガチャ排出率0% はぐれ魔法少女軍団を結成していた時期もあったが漫画のオチにあるようにさやかちゃんよりひと足早く実装されて裏切者扱いを受けるハメに。さやかちゃんはさやかちゃんで実装時に特設サイト(現在消滅)まで用意されて大々的にアピールしてもらったから、その件でもう恨んではいないだろうが。ちなみにさやかちゃん実装と同時に「100連で☆4魔法少女最低1人は確定」とガチャ仕様の変更も為され、ふたたび漫画のネタになった

 今回の話は原作やってないとよくわからないところが多すぎると思うから、ネタバレで解説していきます。まず一瞬だけ映って特にセリフのなかったマミさんについて。原作だとこれより前の時点で「失踪している」扱いになっており、彼女の足取りを追って見滝原から神浜へやってきたまどかとほむらがいろはたちと出会う――って筋立てになっていました。まどかとほむらはそれぞれ別行動を取っており、手分けして捜索している最中にいろはや鶴乃、フェリシアと遭遇して情報交換したり合流したりするわけですが、このへんをそのままアニメ化すると物凄く長くなるから端折られてしまったのだと推測します。いろはが目撃した後、マギウスの核心に迫ろうとして行方不明になり、心配になったまどほむが神浜へ赴くことを決意する……みたいな感じで二人の本格的な出番は次々回になるかもしれない。「透明人間」「電波少女」とウワサが二つあるのも、「電波少女」のウワサを追っているうちに水名女学園の生徒から「クラスで浮いている子がいて、電波少女の声はその子の声に似ている」と聞かされる流れを短縮したものだろう。偶然通り掛かって尾行される天音月夜は、アプリだと「あいつ、変身解いたときに水名の制服着てたぜ」と即座に通学先を特定され、「帰宅しないよう家族のフリして学校に連絡入れて足止めしたった!」って誘拐犯みたいな手口で確保されてファミレスへ連行されています。ただ、疑問なのは月夜ちゃんってマギウス関連のときは「天音月夜」と名乗っているけど戸籍上は「明槻月夜」であり、学校もこの名前で通っている(「天音」は離婚した父親の苗字で「明槻」は母親の家の姓、「天音月咲の姉である」ことが彼女のアイデンティティだけど公の場では天音姓を使わない)から、そのへんの経緯を知らない鶴乃が家族になりすますのは無理があるのでは? ってことなんですね。単に尺の問題だけではなく辻褄合わせの困難さも省略を推進する要因となっているのかもしれない。

 噂では「泣き声が聞こえる」「『ここから出して』みたいなことを言っている」のに実際は楽しそうな笑い声が聞こえてくる謎に関しては、単純に泣いている子と笑っている子が別だからです。今回のウワサは人間を捕まえて監禁する性質を持っており、「新しい誰か」が捕まるとそれ以前の子が解放される七人ミサキみたいな仕組みになっているわけだ。原作ではやちよさんが「前に聞いたときは悲痛な声だったのに、今は楽しそうに笑っている」と断言しているため「声の変化」を意識しやすかったが、アニメだと「不確かな噂」になっているせいで混乱が生じる元になってますね。で、「捕まえた人間を監禁している場所」が「ひとりぼっちの最果て」です。具体的にどんな場所であるかは次回語られるだろうから割愛します。

 そしてやちよさんがマギウスの翼について電話で語り合っていた相手は「和泉十七夜(いずみ・かなぎ)」、神浜において「東のドン」として君臨する大物魔法少女です。堅苦しい口調で喋るのが特徴であり、「ふむ」を多用するイメージがファンの間で共有されている。西の重鎮たるやちよさんとは利害の対立する局面もあり、激しくやり合っていた時期もあるが現在は互いに不可侵の協定を守っているため平穏が保たれている。立場上馴れ合えないだけで個人的な恨みはなく、二人とも相手を高く評価しています。実際こうして連絡を取り合う仲でもある。マギウスの翼による侵蝕は西よりも東の方が深刻で、既に大半の魔法少女が組織に引き抜かれてしまった。いろはちゃんが東のテリトリーである工匠区へ足を踏み入れたにも関わらず「どこ中だテメー」と因縁つけてくる地元の魔法少女が現れなかったのは、「西と東の対立」が崩れて「マギウスの翼とそれ以外」という構図にシフトしつつあったからなのだ。「もう西とか東とか言っている場合ではないかもしれない」と薄々予感しつつ、いろはちゃんに聞かせたくない話だからか通話を切るやちよさん。「昼ドラの浮気している旦那」感があったな……ちなみに十七夜さんは一見堅物キャラのような印象を受けるが、実はメイドカフェでバイトしていて過去に「駆けだしメイド十七夜 闊達自在!」というイベントまで開催されている。メイドとしての愛称は「なぎたん」。最初は時給がいいからという理由で働き出したが、店長から薫陶を受けるうちに職務魂が目覚めていった。本人的には魔女退治と同じくらいバイトが大事である。

 第5章は「電波少女」云々が一種の前フリで、後半「もう一人の重要キャラ」が登場し、そこを起点に大きく話が動き出す構成となっている。「もう一人の重要キャラ」の見せ場をたっぷり見せるためにストーリーの細部を大きく削ったのかな。特に「マミさんの捜索」を削ぎ落とすことで見滝原組の存在感を薄めています。神浜に転校してきたいろはがクラスに馴染めないこと、レナが相変わらず「友達いない」ままなこと、フェリシアが学校に通っているふうでもなく「不良」扱いされていることなど、「孤立」や「孤独」、「疎外」といった要素を強調する方向に舵を切っていますね。オラついてるフェリシアや微妙に距離感のあるいろはとレナの掛け合いが面白かった。でも黒江ちゃんは存在感消え過ぎというか……本当に透明人間になってない? 真の意味で「ひとりぼっちの最果て」に佇んでいるのは黒江ちゃんかもしれない。ドッペルを出して以降の消息が不明だったかえでの無事も確認されたが、レナたちとは接触を絶っているみたいで今後の動向が気になるところ。まさかアニメオリジナル展開でかえでがマギウス入りする可能性も……? 「ふゆぅ、すべての家庭菜園を救済するためにすべてのマンションを破壊し尽くすよぉ」 かえでが繰り出す「陣取りのドッペル」は実のところかなり凶悪な代物で、かえで本人の意志を無視して周囲を苔で覆い尽くし己の陣地に変えてしまう。テリトリーの中では絶大な力を発揮するらしく、拡張できる陣地の限界が明確になっていないため「ひょっとして暴走するとワルプルギス級の災厄になるのでは?」という予想さえあるほど。根底にある願いは「居場所を守りたい」「外敵の侵入を阻みたい」というものだが、その切実さゆえ「居場所」や「外敵」の定義次第で際限なく強靭になっていく。冗談抜きでラスボスの資質を有している子です。

 次回で恐らくいろはたちは「ひとりぼっちの最果て」に辿り着くのだろうが、到達に必要なパスワードを放置していた天音姉妹が慌てて有機溶剤持って消しに行くシーンはこの調子だとオミットされるかな。魔法少女なのにわざわざ自宅から有機溶剤を取ってきて、しかもうっかり全部こぼしてしまったせいで結局消せなかった天音姉妹ポンコツ伝説の一ページがアニメ組の目に触れないだなんてそんなの、あんまりだよ……。


2020-03-05.

アニメ『マギアレコード』第9話「私しかいない世界」視聴。

 まるで「私だけがいない街」と対になっているようなタイトルだが、孤独・疎外・隔絶を意味する点では共通しているか。オープニングにも映っている薄緑色の髪をした少女、「二葉さな」がようやくお出ましになります。ペタン座りが可愛かったな。彼女がウワサである「アイちゃん」の結界「ひとりぼっちの最果て」に囚われたのは32日前。この時点で既にキュゥべえと契約して魔法少女になっています。鈍臭く、学業も優秀でないさなちゃんは家族(母親以外と血が繋がっていない)から疎まれており、「二葉家の恥」と罵られて育ったため自信を喪失していてとても後ろ向きな性格になっている。猫好きで、「こねこのゴロゴロ」という子供向け人形劇のファンであるが、クラスの子に「ガキっぽい」と嘲笑されイジメられた(当時友達だと思っていた子も見て見ぬフリをして助けてくれなかった)ことがトラウマになっていて「他人に心を開く」という行為に対し臆病になっています。

 アニメではダイジェスト気味に語られるだけだったが、原作アプリではさなちゃんの受けてきた虐待がもうちょっと詳しく綴られていて読めば読むほど憂鬱になります。バレンタインイベントのシナリオでも「家族にチョコを渡したらゴミ箱に捨てられた」という悲しい過去が明らかになる。最終的にさなちゃんの父親は「学費は払うし最低限の養育もするが、お前の存在は無視する。割く時間がもったいないから今後一切話しかけるな、勝手に生活してくれ、用件があったらメールで通達しろ」と堂々たるネグレクト宣言を放つ。学校にも家にも居場所がなく、誰にも相談できず惨めな想いをしていたさなちゃんはちょっと猫っぽい怪生物に唆されてつい魔法少女の契約を交わしてしまいます。「透明になりたい」――こうしてさなちゃんは一般人から認識されないインビジブルな存在に成り果てたが、ウワサや魔法少女からは普通に見える。このため「さなちゃんが見える=テメー魔法少女だな!」と簡単に露見する仕組みとなっており、さなちゃんがその場にいるだけで「あなたが魔法少女だったなんて……!」という展開もやり辛くなる。「見えていたけど特に反応しなかっただけ」みたいな記述をいちいちせねばならず、シナリオチームも扱いに苦慮している模様。裏を返せば見鬼のような役割をこなせるので便利なポジションである。

 居場所がないから魔法少女になったのに、願いを叶えたせいで日常生活すら支障を来すようになったさなちゃんは自ら志願して「ひとりぼっちの最果て」へやってくる。人工知能のウワサは最初「新たな獲物」としか認識していなかったが、自分を怖がらないさなちゃんに興味を抱き、彼女と交流するうちに意識が拡張し自我を獲得していく。人々に影響を及ぼすばかりでなく、ウワサもまた人から影響を受ける。アプリの方には魔法少女と同等の存在になった某ウワサがユニットとして実装済みです。いずれ消え去るウワサの自分に依存したままでは危ういからと、いろはを招いて自己の消去を依頼するアイちゃん。しかしそこにルー語みたいな怪しいフレーズを繰り出す謎の美少女が!

 彼女こそ3人いるマギウス(前々回双子姉妹が「御三方」と言っていたことを覚えている人はいるだろうか)の一人、「アリナ・グレイ」です。愛称は「アリナ先輩」。新進気鋭のアーティストであり、倫理や道徳にまったく縛られない感性で魔法を行使する、控え目に言って「ヤバい奴」だ。改心する気がサラサラない悪属性の魔法少女ながらなぜかココイチコラボに抜擢されるなど、人気に関してはマギレコを代表するレベルの高さを誇っている。テンション高すぎて「何言ってるんだコイツ」と混乱した視聴者もおられるでしょうが、彼女の行動目的は非常にシンプルで「芸術の探求」です。アトリエ(キューブ状の結界)を生み出す能力であらゆるものを閉じ込めて保管する。ぶっちゃけ「魔法少女の解放」なんてお題目にはまったく興味がなく、自身のアートを追求するうえで必要だから他のマギウスたちとつるんでいるだけ。魔女さえも「作品の素材」と見做しており、熱心に収集しては可愛がっている。捕まえた魔女のいくつかを融通することで組織に貢献しているが、性格がアレなので本質的な人望はなきに等しい。唯一、彼女を「先輩」と呼ぶ少女だけが慕っているが、その子はアリナがマギウスであることを(それ以前に魔法少女であることすら)知らないという……。

 彼女が繰り出すドッペルは「熱病のドッペル」。本体はチューブで、中に詰まっている絵の具を吐き出し固めることで顕現する。絵の具そのものが病原体であり、デザインもウイルスが元になっているという時期的に詳しく解説するのがマズいドッペルだ。絵の具を浴びてしまったアイちゃんはさなちゃんにトドメを刺してもらうよう頼み、嫌がっていたさなちゃんもやがてその想いに応える。さよならアイちゃん……いや、アイちゃんはいろはに重要な手掛かりを渡す役目もあるから次回もまだ少しだけ生きてると思うが。ところでアリナ戦の最中にいきなりギロチンが出てきて面食らった方も多いと思われますが、あれアイちゃんじゃなくてさなちゃんの攻撃です。原作アプリだと盾がパカッと開いて振り子ギロチンが飛び出すモーションあるんですよ……他にトゲ付き鉄球が出るモーションもある。なにげにシールドバッシュ以外の攻撃手段が豊富なんですよね。必殺技(マギア)も「フォルターゲフェングニス」(ドイツ語で「拷問の檻」)という物騒な代物であり、盾からペンチやドリルが飛び出す。「幼い頃から精神的な拷問を間断なく受け続けた」さなちゃんの闇の深さを窺わせる。彼女が持つ「無色透明のドッペル」は子供が見たら泣いちゃう級のおぞましさだ。モーションが2パターンあってランダム発動するんですけど、電鋸みたいに回転するギロチンで脳味噌切り刻んで鮮血を噴出させる『モータル・コンバット』みたいな方はどうやってもアニメ化不可能だろう。

 さすがにさなとアリナの二人を新登場させて1話の尺に収めるのは無理だったらしく、「ひとりぼっちの最果て」編はまだ次回へ続きます。このペースだと原作6章「真実を語る記憶」で1期目は終わりそうだな……やちよの過去などが明かされる章であり、説明的な描写が多いぶんそのままアニメ化しても盛り上がらないだろう。大きく改変されるか、もしかするとまったく別のエピソードに置き換えられるかもしれない。どう考えても今の調子でマギウスと決着が付くはずないから分割2期は確定したようなものだが、問題は「いつ2期が来るのか」です。春はないだろう。夏も怪しい。となると秋ぐらいか……? できれば夏に間に合わせてほしいものですけれど。


2020-03-10.

アニメ『マギアレコード』第10話「私の名前」視聴。

 アバンでいきなりアイちゃんが消滅してビックリした。原作アプリだと「環ういのことは知っている」って言い残してようやく「いろはちゃんの妹が実在する」ことを確定させるシーンだったのに。相変わらずポンコツな天音姉妹とマリオみたいな移動法でやってくるアリナに笑わされたが、「魔女を結界に閉じ込めて飼育している」というドン引きするような彼女の趣味が割合サラッと流されてしまってやや狂気の色合いが薄れてしまったか。「作品を破壊(ブレイク)していいのはアーティストだけ」というセリフはヴァンダリズムを指しているのかな? Aパート最大の衝撃は「巴マミがマギウスの翼に加入している」ところでしょう。あれは原作派も驚いた。マギウス入りしている点では一緒なんですけど、原作だと「洗脳されて正気を失っていたため」であり、その結果として「ホーリーマミ」なる「不審者を超えた不審者」的な産物まで発生していました。アニメの描写を見るかぎりではどうも正気を保ったままマギウスの理想に賛同しているみたいで「これはいろいろと前提が変わってくるぞ」と原作界隈もザワついたわけです。

 マミさんのメンタルが脆いことはまどマギ10話の「みんな死ぬしかないじゃない!」で周知の事実となっており、魔女化の真実を知らされたマミさんが「魔法少女救済」という餌に飛びついてしまう心理はわからなくもない。なんやかんやでまだ中学生なんだから誰かに縋りたい気持ちもあるだろう。ほぼキュゥべえが悪いとはいえまどかやさやかを勧誘してしまった負い目、責任もある。ちなみにマギレコの世界はほむらが何度かループした後なのでマミさんにとってほむらは「出会った時から既に魔法少女だった」という認識です。

 Bパートはみかづき荘へやってきたさなちゃんを中心に日常的なエピソードを綴る。もう残り3話だし、これが最後の日常描写となるだろう。連れだってマグカップを買いに行く件はほのぼのしている反面、「もう使う主のいなくなったマグカップがみかづき荘には残っている」ことを思うとしんみりしてしまいますね。荷物を取りに一旦自宅へ戻ったさなちゃんは「自分がいなくなっても何の支障も来していない家族」を目の当たりにする。そもそも自分が家から出ていったことにも気づいていないのでは? まだ部屋に引き籠っていると思っているのだろうか……何であれ、「ここはもう自分の居場所ではない」ことを再確認して帰るべきホーム、魂の故郷、みかづき荘への道を辿る。虐待やイジメのシーンが大量にカットされたおかげでアニメ派には何てことのない帰宅風景に映るかもしれないが、アプリやってると本当に心の底から「おかえり」感が湧いてくる。

 終盤、「その頃のマギウス」的なカットも挿入されます。ホベーミャン、ホベーミャンと鳴くツバメ型の使い魔を尻目にマギウスへ「これ以上ウワサを減らされるのはまずい」と発言するマミさん。アリナ以外のマギウス2人はセリフを一切口にせず、僅かに手元が映るのみだが察しの良い人は「この子たちって……」と気づいたであろう。それはさておいて、幹部でありながら食生活が荒れているみふゆさんを心配して通い妻しにやってくる双子姉妹かわええ……みかづき荘に住んでいた頃の記憶が一瞬だけフラッシュバックするが、やちよの隣にいる緑髪の子は「安名メル」です。占い好きの子なんですけど、うん、何も言わなくてもだいたい伝わるかな、「本編に一度も顔を出していないキャラのポジション」は。役割上ほとんど活躍するシーンがない不遇な少女ですが、イベント等で関連シナリオが不定期的に追加され、そのたびにプレーヤーたちは心を抉られる。特にバレンタインのアレは事情を知らずに読むとただのほのぼのイベントにしか見えないから、より一層凶悪。

 ういの手掛かりを求めてさなちゃんから聞き取りを行っていたところ、「それってマギウスの柊ねむのことですか?」とあっさり爆弾発言が投げ込まれる。そう、たまに回想シーンで出てくる眼鏡を掛けた文学少女・ねむちゃんは3人いるマギウスのひとりだったのだ。じゃあ最後のひとりは……たぶん次回触れられるだろうからわざわざ言及しなくてもいいか。アプリに比べてアニメは回想シーン自体が少なく、衝撃は若干浅かったかもしれないが、ともあれこれでストーリーは大きく進展しました。原作通りに進むかどうかわからないが、そろそろマギウスたちとの対面を果たす流れでしょう。残り3話で完全決着……は無理だろうから2期に続くのかな。ソードマスターヤマトばりに駆け足で無理矢理終わらせる可能性とてゼロではありませんが。「生き別れた妹を探していたような気がしていたけど別にそんなことはなかったよ!」 それよりクロエちゃんが未だに影も形もないのは何かのバグか?

 エンドカードの魔法少女は「五十鈴れん」、2話でレナちゃんが変身してなりすましていた子である。ファンの使う愛称は「れんぱす」が主流か。いろはたちと同じ学校に通う生徒でありながら本編のストーリーにはほとんど絡んでこないが、彼女および友人である綾野梨花(8話でラジオに投稿していた「あやっぺ」は同一人物と思われる)をメインに据えたイベントとして「君と綴る日記」や「聖夜に刻む1ページ〜君と、ここから〜」が開催されています。マギレコはこまごまとしたイベントの積み重ねで各キャラへの思い入れを培っていくタイプのゲームなんで、本編ストーリーだけを追いかけると正直あんまり……な部分がある。原作組とアニメ組との間で温度差が生じる主な要因はそこだろう。なのでぶっちゃけた話、アニメの解説を読むより原作の過去イベント(ほとんどがアーカイブに常設されており、「追憶の欠片」というアイテムを消費することで解放可能)を直接プレーする方が手っ取り早いです。


2020-03-16.

アニメ『マギアレコード』第11話「約束は午後三時、記憶ミュージアムにて」視聴。

 筝曲部でお筝を弾く月夜ちゃん、部員たちからは「天音」ではなく「明槻」という苗字で呼ばれています。前にも解説しましたが天音姉妹の父母は彼女たちが物心をつく前に離婚しており、母親に引き取られた月夜ちゃんは母の旧姓である「明槻」を普段名乗っている。それにしても日常生活で取って付けたような「ございます」を使っている月夜ちゃんの姿はなかなかシュールだ……部長だから「そのございます口調やめた方がいいよ」とは部員たちも言いにくいのか? そんな月夜ちゃんを水名女学園の前で出待ちする怪しい影が一つ。そう、何を隠そう我らが主人公の「環いろは」である。こないだ制服姿で歩いていたから簡単に通学先が割れてしまったのだ。まだ10代の少女たちだから仕方なくもあろうが、セキュリティ意識が低すぎるな、マギウスの翼。今回から原作第一部の第6章「真実を語る記憶」に入っていくわけですが、月夜ちゃんを問い詰めるために喫茶店(原作だとファミレス)へ連行する流れは第5章「ひとりぼっちの最果て」にあったエピソードの改変ですね。原作では鶴乃とフェリシアの二人に挟まれて仕方なく従っていたが、アニメではいろはちゃん一人に変更されたため「年下の女子中学生相手にブルっている秘密組織の幹部」というヒドい絵面になってしまい月夜ちゃんの面目潰れがマッハ。

 ねむちゃんに会わせろ、会わせなきゃお前の小指をへし折るぞと脅す(脅してないが、「妹の病気を治す」という願いを叶えた影響で治癒系の魔法が使えるから多少傷つけても治せばいいと思っている節がある)いろはちゃんに「その件に関しましては一度持ち帰って上司(みふゆさん)と相談してからお返事させていただきたく……」と明言を避ける月夜ちゃん。この遣り取りを挟んだおかげで「いきなり古巣に出戻ってきて『記憶ミュージアムに来なさい』と招待するみふゆさん」という唐突な展開が緩和された印象はある。ズカズカと上がり込んで勝手知ったる古巣とばかりに現在の住人であるいろはちゃんにお茶を振る舞う所作が完全に「元カノ」のそれで「女子中学生相手にマウント取りに行くみふゆさんマジ大人げない」とテンション上がります。どう見ても罠だ、と怪しみながら「罠でも何とかなるだろ」と楽観し一行は記憶ミュージアムを目指すことになる。それを知りつつ制止しなかったやちよさん。彼女は過去に何度か仲間を喪っており、それぞれの経緯から「自分のせいだったのではないか」という疑念を抱いているため、いろはちゃんたちと連帯を深めていくことで「同じことを繰り返すのでは?」って不安も高まっている。強くて面倒見の良いやちよさんだが、「歳を取っても衰えない強さ」が仲間の犠牲によって成立している可能性を疑っているせいで「守るべき仲間」を持つことに恐れを感じてもいる。仲間たちを守るために仲間たちを生け贄にしなくてはならないのならば、いっそ仲間などいらぬ! とジレンマの末にサウザー化してしまったのだ。

 しかし肝心の「記憶ミュージアム」がどこなのかわからない、ということで調整屋へ相談に行きます。原作だと鶴乃の父親が「あそこのことじゃないか?」と手掛かりを示すのだが、尺の関係でオミットされてしまった。アニメでは単に「廃墟」の一言で済ませているが、元になった建物は「記録ミュージアム」こと神浜記録博物館であり、古い音楽や映画が展示・上映されていたとかで「昔はよく通ったなぁ」みたいな形で言及する。万々歳の親父こと鶴乃パパ、アニメだと出番減らされまくってるからメチャクチャ影が薄いんだよな……ストーリー圧縮の関係でモブキャラたちの存在感が相当弱まってしまっているのが原作組にとっては大変残念なポイントである。さておき、みたまとももこの情報提供で記憶ミュージアムの位置に見当が付いて調整屋を後にする。いろはちゃんが去ってから思わせぶりな会話を交わす二人だが、お察しの通りももこがかえでやレナに打ち明けられないでいるのは「魔法少女の真実」です。記憶ミュージアムとやらに行けば、嫌でもその真実を知ることになるだろう。ももこは決心し、雨の中レナを呼び出して一年前にあったこと……七海やちよをリーダーとする西側最強のチームが崩壊するに至った過程を話し始める。

 いろはは記憶ミュージアムで妹の友人だった「里見灯花」と久々の再会を果たすが、向こうは覚えていないのか「初めまして」と挨拶してくる。たぶんここで有無を言わさずモキュをぶつけておけばRTA並みの速度で第一部は終わっていただろうが、原作でも灯花はモキュを不気味がって触れようとしなかったから言っても仕方ないことである。しかし灯花ちゃん、いろはたちを出迎えるためにわざわざあんなキメキメのポーズ取って座っていたのかと思うと可愛いな。原作だとこんな感じで割と行儀良く腰掛けています。賢いのに、というか下手に賢いせいで倫理観が崩壊してしまっている。「『自分にとって大切な人々』以外は何人死んでも痛痒だにしない」メンタリティと「宇宙の隅々まで知悉せんとする」貪欲な探求心を併せ持つ灯花ちゃんは控え目に申し上げてもマッドサイエンティストの類(「可愛いだけでやってることはほとんどボ卿」「神座に至る前のメルクリウス」といった評価すらある始末)であり、生半なネゴシエーションは通じない。魔法少女としての能力も隔絶しており、細かい説明は省くが魔力切れを心配することなくほとんど無制限に近い領域で魔法を行使し続けることができる。彼女にも一応「脆弱なポイント」はあって、そこを衝けば状況を打開することも不可能ではないが、普通に正面からぶつかったらまず勝てない相手である。

 もう残り2話しかないから1期目は「真実を語る記憶」を消化して終わりだろうな。第7章「楽園行き覚醒前夜」、第8章「偽りに彩られ神浜」、第9章「サラウンド・フェントホープ」、第10章「浅き夢の暁」とまだ4つも章が残っているから「続きは劇場版で!」というわけにもいかず確実に2期が来るものと思われるが、新型コロナの影響もあるだろうし現状いつになるのか不透明です。ちなみにアプリの方ではアニメの登場に合わせて里見灯花 ピックアップガチャ開催中。精神強化はなくてガッカリ。「あの魅惑のくぎゅボイスにやられた。灯花ちゃん欲しいけど、マギレコはリセマラが面倒って聞いたから手ぇ伸びないんだよな……」と躊躇している方には朗報なんですが、マギレコはチュートリアルを終えた後に無料で引ける☆4魔法少女確定ガチャがありまして、初心者は1人だけ「獲得したい最高レアリティの魔法少女」を任意で選ぶことができます。対象は恒常のみであり、水着やアルまど、クーほむなどの限定キャラを選ぶことはできません。が、灯花ちゃんは恒常なので選択可能。ついでに書くとアリナやねむちゃんもラインナップに含まれている。「リセマラが面倒」というのは確定の☆4以外にもう何人か☆4が欲しい、という場合を指して言っているのであり、ガチでやり込むつもりの方でなければそもそもリセマラする必要自体ありません。てか、未凸の☆4魔法少女が何人かいてもそんなに物凄く戦力が上がるわけではなく、有能なメモリア(装備品)を所持しているかどうかに左右される部分もあるので、完凸魔法少女を何人もサポートに出している先輩つよつよプレーヤーたちをひたすらガンガンとフォローしていくことの方が重要。FGOと違って相互フォローでなくてもマギアやドッペルは使える(相互のメリットは「サポートポイント」というフレポみたいな奴の獲得量が増えるくらいだ)からフォロワー頼りの戦法で突っ切れば高難易度クエスト以外だいたいクリアできます。あ、でも途中いろは単騎縛りのクエストがあるので最低いろはちゃんのレベルだけは上げておいてください。

 「ゆーげん」によるエンドカードはみかづき荘メンバー、かもれ組にアザレア組が加わってすごく賑やか。「アザレア組」というのはイベント「そしてアザレアの花咲く」に登場した魔法少女3名(静海このは・遊佐葉月・三栗あやめ)を指す用語です。イベントタイトルのアザレア(つつじ)は3人が「つつじの家」という児童養護施設で育ったことから来ている。本編前の出来事を描いたイベントなのでアニメに登場するのは難しいだろうな……かえでの横に寝そべっているピンク髪の眼帯っ子は「三栗あやめ」でフェリシアの友人。ことあるごとに張り合って競争する良きライバルといった関係だが、二人に挟まれる夏目かこは審判役を任されたりして苦労している。右端の金髪巨乳は「遊佐葉月」、外面が良くネゴシエーションを得意とするアザレアの渉外担当役。ななか組の組長こと常盤ななかとよく腹を探り合っている(卑猥な意味ではない)。エンドカードではわかりにくいが物凄い巨乳、なのに中三でいろはちゃんと同い年という……ただ「マミさんとも同い年」って考えると納得できる気もするから不思議だ。左端、暗くてちょっと見辛いけど銀髪の子が「静海このは」、最年長の17歳で保護者ポジションながら人見知りが激しく、コミュニケーションも苦手。戦闘力に関してはアザレア組随一で「西のボス」ことやちよさんとも渡り合えるレベルです。そしていろはちゃんの横で目を伏せている黒江ちゃん、この調子だと残り2話でも出番はなくて2期までお預けなのかな……まどかとさやかとほむらもまだ出ていない(回想はノーカン)し、なんとも持ち越しが多いアニメだ。


2020-03-25.

アニメ『マギアレコード』第12話「どうしてこんなにみじめなんですか」視聴。

 窓の外の雨を眺めながら追憶に耽るやちよさんへ「行かなくていいのか?」と問い掛ける灰色の少女。「灰色」で暗示している通り、存命ではなく故人です。名前は「雪野かなえ」。三白眼で得物は鉄パイプと、かなり物騒な見た目ながら根は穏やかで優しい。争い事は嫌いだけど売られた喧嘩は買うタイプである。モノクロで観るとメッチャ美人だなこの子。“講義”の時間だオラァ! とメアリーポピンズみたくパラソルでフワフワしている灯花ちゃんが魔法少女理論基礎Tで話している「Aさん」はかなえのことです(変身したときの衣装が映っている)。まだやちよさんがみふゆとコンビを組んでいた頃に出会った魔法少女で、不良との諍いの中で人質に取られた知人を救うためキュゥべえと契約した。彼女に関しては原作組でもMSS(魔法少女ストーリー、ガチャ等で当該魔法少女を入手したプレーヤーだけ読むことが可能な個別シナリオ、グラブルの「フェイトエピソード」に相当する)を読んでいるかどうかで印象がだいぶ変わってくると思います。私はBD特典の☆4確定チケットでちょうどかなえが当たったからたまたま読めていたが、レアリティが低い「安名メル」と比べたら目を通している人は少ないだろう。

 ソウルジェムは少女から抜き取られた魂そのものであり、砕かれると死ぬ――まどマギから入ってきた人にとっては当然というか、単なる大前提ですけどマギレコでは知らない魔法少女が多いので「衝撃の事実」となる。「ソウルジェム=魂そのもの」という自覚がないからいろはも平気で鞄に入れたりしていたわけだ。あれを電車に忘れていたら1話目でいきなり主人公が死亡して即アニメ終了になるところだった。ちなみにマギレコ、本編の選択肢はどれをタップしてもストーリーに影響を及ぼさないが、たまにあるマルチシナリオ形式のイベントで間違えた方を選ぶと魔法少女が死亡してバッドエンドを迎えることがあります。「あちし」という一人称を使う魔法少女がバッドエンドでやたらと落命するため「あち死」なるあだ名が付けられたこともあった。さておき、かなえがソウルジェムを砕かれたのは魔女の攻撃からやちよたちを庇ったため。本人曰く「後悔はしていない」そうだが、やちよさんはずっと彼女の死に責任を感じており、未だに彼女が使っていたマグカップを捨てることができずにいる。

 魔法少女理論基礎Uは「ソウルジェムが濁り切った魔法少女は魔女になる」、これも大前提の一つだが、マギウスに所属する魔法少女たち以外でこの真実を知る者は少ない。知ってしまうと心の平衡をうまく保つことができなくなり、遠からず絶望して自らも魔女と化してしまう子がほとんどだからだ。アリナのような「魔女になること」を評価する例外を除くと「魔女化の真実を知った魔法少女同士で連帯する」以外に希望を繋ぐ道筋はなく、「マギウスがなければ絶望して魔女になる子はもっと多くなっていたであろう」という側面もあり、「マギウスの翼=悪の秘密結社」とは言い切れない部分もあるんですよね。マギウスの翼は「弱い者たちが縋る互助組織」という性格も強い。みふゆさんの太腿に視線を吸い寄せられつつ、回想は次の場面に移る。賑やかなみかづき荘の中でタロットカードをめくる占い好きのボクっ子が「安名メル」。かなえの死亡後にやちよさんのチームへ加入したので、かなえとの面識は生前だとありません。メルの占いはよく当たるが、やちよさんの分析によると「未来を予測しているのではなく、占い通りの未来を引き寄せるため無意識に因果律干渉系の魔法を行使している」らしい。「予言の自己成就」そのものであって制御不能だからそもそも使わない方がいい、というのがやちよさんの意見です。でもメルは占い好きなので、多少控えはするものの完全にやめることはない。「1000年に一度のラッキーデー」と言いつつ魔女になってしまったが、メルはやちよさんのことを物凄く慕っていたから「尊敬してやまない先輩の命を救えるとは、なんてラッキーな日なんだろう」って解釈になっちゃうんですよね……あの朝、メルが占いによって「1000年に一度のラッキーデー」という結果を確定させていなければ、やっちゃんの命運はあそこで尽きていたかもしれない。

 メルは死後にどんどん関連シナリオが追加されていった子なんで、読むたび「魅力を感じつつ胸が痛む」というオーフェンのコミクロンみたいな立ち位置になっています。バレンタインイベントのシナリオは特にキツい。「恋って何なのだろう、ボクもいつか恋をするのかな」と訪れることのない未来に思いを馳せたり、「メル、あなたは私の宝物よ!」「もう、やめてよお母さん、恥ずかしい!」みたいな和気藹々とした遣り取りがあったり……メルママは今頃どうしているだろうかと思うと気持ちがとても重たくなる。戦闘スタイルは「タロットカードを触媒にして風や雷を発生させる」というなかなかカッコいい代物だが、作画の都合かアニメでは満足に表現されなかった……残念。変身後の衣装も可愛いが、お嬢様みたいな私服が超絶キュートです。こんなに愛くるしい子が本編にはもう出てこれないだなんて、そんなの絶対おかしいよ。

 二度に渡って「自分を守るために仲間が死んだ」のでやちよさんはチームを組むことに消極的になってしまった。かくして彼女をリーダーとするチームが崩壊し、メンバーは散り散りになる。魔女化の真実を知ったうえ「加齢による魔力の衰え」を実感していたみふゆは未来に明るい展望が持てなくなりソウルジェムを濁り切らせてしまう。しかし、魔女ではなくドッペルが出現し、みふゆは元に戻る。メルの魔女化から半年の間に神浜市では「あること」が起こっていて、ドッペルなる奇妙なものが発生する特殊都市となっていたのだ。

 時系列をまとめると、かなえの死が約一年前、メルの魔女化がその少し後、みふゆ濁り切りが「メル魔女化の半年後」なので本編から見ると約半年前です。およそ半年前に神浜ではドッペルが発生するようになり、魔女化する魔法少女がいなくなって、時期を合わせるように他の地域から魔女が流入して「激戦区」となっていった。ドッペルシステムは現時点だと神浜市を覆う程度の規模だが、灯花たちマギウスは全国、それどころか全世界を覆い尽くし宇宙進出さえ果たせるほどのスケール拡大を目指しています。いずれキュゥべえすら凌駕せんとして。

 かなえの美人顔、灯花ちゃんのあざとい仕草、メルメルのキュートさ、みふゆさんの太腿など見所が盛り沢山だったけれど、もっとも驚いたのはかえでのマギウス入りを匂わせるシーン。原作にない展開でビックリした。マギウスの翼は手当たり次第に布教活動を行っているわけではなく、加入する見込みがある(魔法少女の真実を知ってしまった)子を紹介する口入れ屋めいた斡旋役が存在しており、そこから取り込まれた可能性が高い。ひょっとすると、かえでの様子に違和感を覚えていないももこも……? 真っ黄ウスじゃん。かもれ全員がマギウスの翼になっていろはちゃんと敵対する展開も考えられるわけだが、そうなると黒江ちゃんの存在がますます霞んでしまうのでは、という危惧が……あの子、どういう場面に投入するつもりなのか制作側の意図が本格的にわからなくなってきた。エンドカードはぽよよん、じゃない、渡辺明夫のメル絵。渡辺明夫と言えばキャラデザを担当しているひぐらしの新作はTVアニメで7月放送予定だそうな。PVから察するにまた「鬼隠し編」からやるのか?

 アプリの方では安名メルの☆5覚醒およびドッペル解放イベント「耳を撫でて彼岸の声」の復刻が始まっています。復刻イベントながら新規ストーリーの追加もあるらしい(まだ最初の方しかやってない)。それに合わせる形でかなえ&メル ピックアップガチャも開催されますが、二人とも恒常なので始めたばかりの方は焦って回さなくてもいいです。マギレコはピックアップ☆4排出率がたった0.6%とロスフラ並みなので、石やチケを貯めて「これだ!」という限定ガチャが来たときだけ回す悪鬼スタイルが基本的にオススメ。ロスフラは天井どころか最低保証すらないけど、こっちは「天井も、確定枠も、あるんだよ」ですから貯めて一気に回す方がアドだ。


2020-04-01.

アニメ『マギアレコード』、2nd Season制作進行中

 誰がどう見ても13話で終わりそうにない展開だったから「やっぱり」の一言に尽きる。イヌカレー曰く「少しだけ間がある」らしく、今年中に放送されるかどうか諸々の事情を鑑みるとだいぶ怪しい雰囲気。来年まで待つことも視野に入れておかないと。ともあれ、SHOW BY ROCK!!防振りなど今期楽しんでいたアニメの続編制作が次々と決まって嬉しい限りです。来期はSAOや俺ガイルを除くと注目作はプリコネくらいかな……オリジナルストーリーということで期待と不安が半々。

 アニマギ1期目のラストを飾る第13話「たったひとつの道しるべ」は灯花ちゃんによる「立てよ魔法少女!」なマギウス決起集会で終わったが、かえでが黒羽根のローブを纏って完全に取り込まれているなど原作とは違った局面を迎えています。原作だと天音姉妹以外にも名有りの黒羽根や白羽根が何人かいるんですが、そっちを逐一出していたらキャラ多過ぎになってしまうので彼女たちの役割をかえでに集約したのだろう。2期目でかえでの「陣取りのドッペル」とやり合うハメになるであろうことがほぼ確定しました。「防衛するために侵略する」というコンセプトを持った凶悪度の高いドッペルだけに街の蒙る被害が今から心配です。

 仲間を守るために強くなることを望んだのに、私を守るために仲間たちが死んでいく――その事実に耐え切れず押し潰されそうになっているやちよさん(女子大生)を「私は死にませんから!」と励まし鼓舞するいろはちゃん(女子中学生)。ああ、七海さんが環にされてしまう……いろはちゃんは主人公だけあって割と人たらしの才能があり、マギレコのキャラが彼女に口説き落とされることを原作ファンの間で「環にされる」「環になっちゃう」と表現する向きがあります。「一緒に環(わ)になろう」というスキル名が「一緒に環(たまき)になろう」というプロポーズの言葉に見えて仕方がないことに由来する。年の差百合夫婦が成立しそうな甘い雰囲気を掻き消すように現れる一つの影(女子中学生)。救いを求めて平常心(こころ)を喪ったマミさんだ。瞳の様子からして尋常ではない。相当に精神が汚染されている模様。「洗脳された」というより心の脆さや責任感に「付け込まれた」のだろう。変身した状態から更に変身を重ねるので戸惑った視聴者も多いでしょうが、あれは「神浜聖女のウワサ」を纏った状態であり、「変身」というより「憑依された」と表現する方が近い。ウワサの中には魔法少女と融合できるタイプも存在するんです。憑依/融合されるとウワサの影響を受けて自我に揺らぎが生じ、人格よりも「役割」が前面に顕れるようになる。この場合の役割は「救いを(一方的に)もたらす者」ですね。相手が拒否しようと関係なく、強引に自己流の救済を押し付ける。このマミさんをゲーム上では「ホーリーマミ」と呼ぶ。ファンの愛称は「ホミさん」。クリスマスイベント開催に合わせて実装されたため「クリスマス衣装」というイメージを抱いているプレーヤーも多い(私もその一人だ)が、別にウワサの成立過程でクリスマスが関係しているわけではない。単にクリスマスのお祝いもできない貧困家庭へ「突然失礼…」と不法侵入して奇跡を起こし去っていくだけのミラクル不審者です。

 素の魔法少女としての出力にウワサのパワーが重ね掛けされた状態なので「ドッペルを出していない段階でもドッペル並みにヤバい」というのがホミさんの戦力評価になります。無数のマスケット銃や大砲を展開して移動要塞の如く飽和攻撃してきますが、あれは原作の「毎ターンMPチャージしてマギアを撃ってくる」演出の再現かな。FGOで喩えると「キャメロットの暴走モードレッド」状態である。「救う」と言いながら殺意満々の正気を失したホミさんに立ち向かっていくのがいきなり出てきたさやかちゃんです。見滝原では行方不明扱いになっているのでまどかやほむらと手分けして探していたんですが、アニメだとそのへんの話がごっそり抜けているせいもあって「新手のコブラかな?」ってくらい急に現れた印象がある。「消火器で煙幕」という懐かしの場面を再現したり、「痛みなんて完全に消しちゃえるんだ」と言わんばかりにもげた腕を即再生するさやかちゃん、「歴戦の魔法少女オーラ」が噴出してますけど戦歴何年? いや、どう考えても一、二ヶ月前に魔法少女になったばかりじゃないわコレ。いくら「腕を治す」願いを叶えた子だからって判断が早過ぎる。少なくともアンデルセン神父級の場数は踏んでるわ。そんなリジェネレーター後輩に向かって砲身がブッ壊れる勢いでティロ・フィナーレを撃ち込む容赦ないホミさんにも痺れました。「ゲート・オブ・マミロンとアンミキテッド・ブレード・ワークスの対決」なんて声が出てくるのもうべなるかな。ちなみにゲーム上だとさやかちゃんは盾役(タンク)に当たるユニットで、防御力が高く生存能力も優れている。特に晴着バージョンのさやかちゃんは眩暈がするほど硬くてミラーズ(プリコネのアリーナみたいな擬似PvP)だと絶対に相手したくないです。

 いろはのみならずやちよまで「実は使えるの」とドッペルを繰り出すなど怪獣対決じみた派手派手しいバトルが描かれるものの、ぶっちゃけTVアニメでやるには作画コストが重すぎたな……最終回にしてはかなりカツカツの雰囲気でした。最後にアリナ先輩が「早く来ないかな、ワルプルギスの夜」と呟いて1期目のアニマギは終了。マギウスたちは魔法少女解放の道筋を付けるため必要となる膨大なエネルギーを「ワルプルギスの夜を召喚すること」によって補おうとしているのです。本来なら見滝原に向かうはずのワルプル上陸コースを強引に神浜方面へ捻じ曲げて。「ワルプルを神浜に喚ぶこと」はあくまで「目的を叶えるための手段」であり、目的そのものではない。まどマギワールドにおいて大災厄の象徴とされているワルプルを喚ぶ以上、当然彼女たちにもワルプルに対抗しうる何らかの勝算があるわけですが……そのへんは2期目で! と勢い良くブン投げています。

 うん。総じて「原作プレー済の人にとっては楽しい出来だったが、『アニメが初見』という御新規さんをアプリの方に誘導するのは困難な出来」ですね。マギレコはあくまで「まどマギを題材にした二次創作」と割り切って臨まないと違和感の連続に悩まされる話ゆえ、前提となる知識を多数保有しているアプリ古参勢と「まどマギと地続きの世界を想像していた」アニメ新規勢の間に埋められないほどの溝が生じてしまっている。オリキャラの黒江も最後にチラッと申し訳程度に顔を見せただけ(PVからすると2期目の方で出番はあるみたいだが)ですし。個人的にはメッチャワクワクする3ヶ月間だったが、戸惑う新規勢の反応に絶えず温度差を感じ続けた3ヶ月でもあった。マギレコは「本編だけ追ってもあまり面白くない」タイプのゲームだから出来ればアプリをインストールして各種イベントシナリオや個別キャラストーリーに目を通してほしいところだけど、無料10連期間すら終わってしまった今のタイミングで布教するのも躊躇われる。『HiGH&LOW』みたいに複数の勢力が入り乱れる第2部を是非ともアニメ化してほしいから、なんとか一定以上の売上をキープしてもらいたいんですけども。


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