2026年1月〜2月


2026-02-20.

ガガガ文庫の刊行予定に4月分が出ていたのでチェック、「『1/nのワトソン』の2巻出るのか、買わなきゃ。女師匠の7巻が出るのも嬉しい、コミカライズも順調だしそろそろアニメ化報告来たりして。で、『勃紀』ってなんだよ、ふざけたタイトルだな!」と笑った直後に『されど罪人は竜と踊る0.6』が目に入って笑いが引っ込んだ焼津です、こんばんは。

 マジか、され竜の新刊出るんだ……され竜こと『されど罪人は竜と踊る』は2003年に「角川スニーカー文庫」で刊行開始したライトノベルのシリーズです。「第7回スニーカー大賞」の「奨励賞」受賞作。ちなみにこの次の第8回スニーカー大賞「大賞」受賞作品こそが何を隠そう『涼宮ハルヒの憂鬱』です。され竜の4ヶ月後くらいにハルヒが出てるから、応募した回は異なれど「ハルヒとほぼ同期のシリーズ」と言ってもさほど間違いではないだろう。作者の執筆ペースが早く、コミカライズ(『応天の門』の「灰原薬」が描いていた)も決まったりしてシリーズの進展は順調だった。しかし作者がスニーカーの編集部と揉めたことでシリーズは中断、小学館のガガガ文庫に移籍して2008年から再スタートします。途中、イラストレーターの変更を挟んだり、アニメ化(2018年)したりしながら26冊目に当たる24巻(冊数とナンバリングがズレているのは前日譚に当たる0.5巻と公式アンソロジーのオルケストラがあるため)を出して「第二部・完」な雰囲気で終わりました。ちなみに第一部の最終巻は12巻、13巻は第一部と第二部の繋ぎ――言わば「1.5部」で、14巻から第二部スタートです。

 24巻発売が2023年2月だからもう丸3年、あとがきやSNSの投稿から察するに持病の問題があって執筆が難しいらしく、これが実質的な最終巻になるかも……と悲観しかけていたところにこのニュースが舞い込んでビックリしたってわけです。タイトルが「0.6」ということは1巻よりも前、つまり前日譚(プリクエル)って意味でしょう。確かアニメの円盤特典で本編前の出来事を綴った外伝書いてたから、あれをまとめるのかな? と思って調べたが、アニメの特典は「0.91」「0.92」「0.93」だったからたぶん違う。ということは、ま、まさかファンがずっと待望していた「0.5」の続きという意味での「0.6」なのか……!?

 『されど罪人は竜と踊る0.5』、スニーカー文庫時代のタイトルは『されど罪人は竜と踊る Assault』で、平たく書けば「ガユスとギギナの過去編」です。スニーカー版も450ページ程度とそこそこ厚かったが、ガガガ版は660ページとメチャ厚くなっている。され竜の主人公コンビ、ギギナとガユスはそれぞれの名字を採って「アシュレイ・ブフ&ソレル咒式士事務所」を立ち上げたのですが、独立前は「ジオルグ・ダラハイド咒式士事務所」というところに所属していました。そのジオルグ事務所時代を綴ったのが0.5です。当時ガユスは「クエロ」という同僚の女性と付き合っていて、所長であり師匠でもあるジオルグを表面上は煙たがりつつ尊敬していたものの、クエロの裏切りによってジオルグが死亡し、事務所は崩壊。ガユスの青春は苦味とともに終焉します。「クエロの裏切り」に関しては本編で仄めかしており、いよいよその詳細が明らかになるのか……と思いきや、彼女が裏切る前のところで話に幕が引かれており、従って「ジオルグ事務所崩壊」に至るまでの経緯は詳述されず、「クエロにも何か事情がある」ことだけを匂わせて終わっている。そのためファンの間でも「早く続きを読みたい」と熱望する声が挙がる不完全燃焼気味なエピソードでした。Assault から数えると20年(!)、0.5から数えても14年近く、待たされ過ぎてさすがに細部が曖昧だ。また読み直すしかないか……。

『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』オープニング(金土日3日間)の興行収入が4億円と聞いて「まずまずの数字だけど、初週のランキングで1位獲れなかったのか……」と少し残念がっている。1位との差は200万円程度なので、僅差っちゃ僅差ですけど。

 『銀魂』も完結してから日が経っているので一応解説しておきましょう。『銀魂(ぎんたま)』とは2003年から2019年にかけて、16年近くジャンプで連載された少年マンガです(奇しくも↑で触れた『されど罪人は竜と踊る』と同じ年のスタート)。当初は“週刊少年ジャンプ”で連載されていたのですが、作者である「空知英秋」がなかなか話を畳めないため“週刊少年ジャンプ”から追い出され(『銀魂』が終わった後すぐに別のマンガ家の新連載を始める手筈でスケジュール組んでいたから誌面に空きがなくなった)、季刊の“少年ジャンプGIGA”に移籍。それでも終われなくて「銀魂公式アプリ」でネット連載を続けてやっと完結に至りました。単行本は全77巻、『BLEACH』(全74巻)や『NARUTO』(全72巻)よりも長い。比較的短いギャグエピソードと複数の巻に跨るシリアスエピソードを使い分け、ネタ切れを起こさないようにしながら何とか最後まで走り切った作品です。

 『銀魂』は「天人(あまんと)」と呼ばれる異星人によって支配された架空の江戸時代が舞台になっており、天人たちの支配を振り払うべく武士たちの起こした「攘夷戦争」、その生き残りが主人公「坂田銀時」という設定です。攘夷が失敗に終わった後、江戸は天人のもたらした技術によって異様なほどテクノロジーが進歩しており、時代劇のようでいて現代劇のようでもあり、たまにSFチックなところもある。何せ77巻も続いた(終わらせられなかった)マンガだけに当時の人気は高く、TVアニメは2006年開始の第1期『銀魂』から2017年開始の第4期『銀魂.』まで実に360話以上も放送された。しかし、先述した通り原作のストーリーを予定した期間内に畳めず、遅延の煽りを喰らってアニメの制作スケジュールも崩壊。最終章「銀ノ魂篇」の途中で放送が終了する事態となり、アニメ本編で「銀魂終わる終わる詐欺裁判」が開廷する始末だった。描き切れなかった不足エピソードに関しては劇場版で補填されることになりますが、そのへんは後述。

 人気作品だけに映画版も複数作られています。2017年と2018年に上映された実写版の『銀魂』および『銀魂2』は私観てないからスルーするとして、アニメ版の劇場作品に関して振り返っていきます。劇場アニメの『銀魂』は4つあって、一番最初の作品が2010年の『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』。原作エピソードの一つ「紅桜篇」(紅桜と呼ばれる妖刀を巡る長編ストーリー)を劇場向けに作り直した、簡単に言うと新規カット有りの総集編です。手を入れている部分が多いため、「総集編」ではなく「新訳」と銘打っているわけだ。原作で言うと11〜12巻あたり、アニメの58〜61話を再構成しています。半ば総集編に近い1本のため公開規模は100館未満と小さかったが、全国のファンが劇場に詰め寄せたため拡大公開し、最終的な興行収入は10.7億円。最近は興収がインフレしているせいで「えっ、『全国のファンが劇場に詰め寄せた』のに10億円ちょっと?」と驚くかもしれませんが、「完全な新作ではない」ことを考慮すると充分な数字でした。

 2013年に公開された、唯一の劇場完全オリジナル作品が『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』。これとは別に『銀魂 THE FINAL』(後述)があり、ファンじゃない人は混同しがちですけど銀魂の「完結篇」と「THE FINAL」はまっっったく別の作品です。注意しましょう。原作にないエピソードを描いたオリジナル作品ではあるが、空知英秋がこの映画のために305ページものネームを描き下ろしたことを考えると一応「空知作品」としてカウントしても構わないと思う。タイムマシンによって5年後の世界に飛ばされた銀時、なんと江戸の町は『北斗の拳』もかくやというほど荒廃しており、しかも「坂田銀時は既に故人」と告げられ己の墓を目撃するハメに。いったい何があって町はこんなメチャクチャになったのか? そして自分(銀時)が死んだ経緯とは? 5年経ってすっかり大人びた「新八」や「神楽」とともに真相を探るが……という、「有り得たかもしれない世界」を描くパラレル・ストーリーです。原作と繋がらない「if」を描いた作品ながらファン人気は高く、観客動員数も100万人を突破。最終的な興行収入は17億円にまで達した。私も観に行きましたが、とにかくギャグが面白くて館内の観客が過去イチ笑ってましたね。長編エピソードはどうしてもシリアスになってしまいがちですが、劇場アニメとしてはギャグとシリアスの配分がちょうど良かった。「原作は読んだけどアニメは観てない」という人も、この完結篇だけは視聴してほしいです。

 2021年に公開されたのが「真の完結篇」とも言われる『銀魂 THE FINAL』。制作体制が崩壊したためTVシリーズでは放送できなかった最終章「銀ノ魂篇」のクライマックスを映像化しています。「TVシリーズでは放送できなかった」部分が多過ぎて映画の尺(104分)には収まらなかったこもとあり、『THE FINAL』に至るまでの過程をアニメ化した『銀魂 THE SEMI-FINAL』も配信されました。『THE SEMI-FINAL』は全2話で合計48分、『THE FINAL』と合わせると152分もある。それでもなお尺が足りなくてカットした箇所もあるという……「これまでのあらすじ」を8分近くかけてドラゴンボールパロディとともに流すなど好き勝手やってるが、さすがに物語も大詰めなのでギャグ要素は少なめ。ひたすら派手なアクションシーンが最後まで続く。「本当に本当の完結編」ということでファンからの期待も高く、公開3日間で4.4億円を叩き出し、当時「12週連続TOP」で動員ランキングを独走していた『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』のV13を阻んでランキング1位となった。鬼滅人気にあやかって「鬼魂(きんたま)の刃」というふざけた特典を配っていたこともあり、原作者直々に週末動員1位に対するお礼とお詫びのコメントを寄せて一層話題となりました。興行収入も完結篇以上に伸びたが、最終19億円と惜しくも20億の大台には届かず。意外かもしれませんが、実写版の『銀魂』は38.4億円に達しており、興収だけ見るとアニメ版>実写版なんですよ。実写版は2も37億稼いでいるので、両方合わせると75億円……アニメ版の映画4本全部を合わせた額よりも多い。不思議。

 そして今年公開となった5年ぶりの劇場版が『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』。またしても終わる終わる詐欺で話を続けるつもりなのか……というと答えはNO。割と初期のエピソード(原作だと25〜26巻あたり)である「吉原炎上篇」を再構成した、要は『新訳紅桜篇』に近いタイプの映画なんです。と言っても放送時期が近かった「紅桜篇」と違い、今回は時間が経ち過ぎているので作画については「全面的に描き直し」となっている。絵的には『THE FINAL』もかなりリッチだったが、アレ以上に気合が入っている。オープニングは4億円で、4.4億だった前作より1割近く下がっているから、20億の大台を狙うのは無理だろうけど10億はとりあえず越えられる……はず。内容的に新規を呼び込みにくく、初動型になりそうだから15億までは行かないかな。仮に行ったとしても「アニメ映画全部合わせたよりも実写版の方が稼いでいる」状況は変わりませんが。

 気になるのは今後もこういう「過去エピソードをリメイクして劇場化」みたいなのを恒例化するのか、ってことですよね。今はアニメ業界全体が人手不足なんで、公式が乗り気だとしても次は5年後とかになりそうですけど……やってほしいかどうかで言えば、やってほしい。あれも、これも。『銀魂』の長編エピソード一覧は公式が掲載しているので参考にどうぞ。私は吉原よりも更に初期の「柳生篇」が好きです。より正確に書くと柳生篇で出てくる「柳生九兵衛」が再登場したときのミニスカ着物verが好き。フィギュア買おうかどうか真剣に悩んだほどです。あと、公式がどう言うか知らないけど私の中では銀さんと九ちゃんがくっついて夫婦になってますから(銀九過激派)。

『スナックバス江』が全巻100円セール、更にAmazonの週末限定50%ポイント還元セールが重なって実質50円!

 いや、これは即買い一択でしょう。アニメは残念なことになってしまったが、原作は紛れもなく傑作ですので。

除霊エロコメディ「うしろの正面カムイさん」TVアニメ化、今夏放送開始(コミックナタリー)

 ええっ、これも!? 確かに単行本は今月の新刊で12巻に達するし、分量的にも人気的にもアニメ化の視野に入っておかしくない作品ではありますが……公式で公開されている第1話を読んだだけで私の驚いた理由は察してもらえると思います。数多の悪霊や怪異を祓ってきた凄腕の霊能力者「カムイ」、彼は生きた人間には一切興味を抱かず、悪霊や怪異にしか欲情できない超特異嗜好の持ち主だった……! というお色気ホラーコメディです。性交によって「生」のエネルギーを叩き込むことであらゆる悪霊は「逝くうぅ〜」と絶叫して成仏する。このノリが延々と続きます。探せばあるのかもしれませんが、「カムイさんが脱がない回ってあったっけ?」と咄嗟に思い出せないレベルでクロスアウッ!しまくる。「男の悪霊とかどうすんだよ」と疑問に思うかもしれませんが、カムイさんは生者でなければ「男もいけるしな(ヌッ)」な人です。ただ、読者に配慮してか、悪霊や怪異はカムイさんに捕捉されるとだいたい美女化・美少女化します。アレがカムイさんの能力なのか漫画上の都合なのか、どこかで説明されたような気もするが覚えていない。

 「こんな展開ひたすら続けていたら飽きるのでは?」と危惧するやもしれませんが、「原作」と「作画」に分かれているだけあってエピソードごとに様々な工夫を凝らしており、飽きさせない。一部長めのエピソードもありますが基本は短いエピソードの詰め合わせで、「ちょっと1話だけ」のつもりが気付くとどんどん読んじゃってる。時間を吸われたくない人は興味本位で読まない方がいいかもしれません。あと、制作スタジオとかスタッフに関しては今のところ告知されていない。それどころかOHPもなく、現状Xの公式アカウントのみ。もうあと5ヶ月もすれば放送が始まるというのに、まだホームページもないのか……既に「ホームページ」なるものがそこまで必要とされない時代になってきたのか? 私もすっかりオッサンなので時代の変化についていけないぜ。

「天は赤い河のほとり」TVアニメ化、今夏放送 篠原千絵の描き下ろしイラスト公開(コミックナタリー)

 問題作のアニメ化が次々と決まる一方、こちらといい『百鬼夜行抄』のショートアニメ化といい「年季の入った作品のアニメ化」も進んでいます。というか『百鬼夜行抄』、もう30巻超えてるのか……私が知ってるのは10巻が出たあたりまでで、「朝日ソノラマ」時代。2007年に朝日ソノラマがなくなって親会社の「朝日新聞社」に移って以降は全然チェックしていなかった。Kindle Unlimitedで約半分の16巻までは読めるし、また一から読み直そうかな。

 話を戻して『天は赤い河のほとり』。1995年から2002年にかけて連載された少女マンガです。全28巻で、「メチャクチャ長い」というほどではないが「歴史」をテーマにした少女マンガとしては充分長い部類に属する。中学卒業を間近に控えた少女がひょんなことから古代オリエントの「ヒッタイト帝国」にタイムスリップしてしまう、今で言う「異世界転移」に近いノリの作品です。「ヒッタイト」と言われても「あの鉄器で成り上がった国の……」と教科書レベルの知識しか出て来ないゾーンを題材にしており、未だに終わらない『王家の紋章』との類似性もよく指摘されたものでした(取り上げている時代や地域が比較的接近しているため)。西暦で表すと紀元前14世紀あたりが舞台で、『ヒストリエ』の1000年程度前ですね。ギリシャ方面ではミケーネ文明が栄えていた頃、ひょっとしたらトロイア戦争もこの時代の前後で発生していたかも……くらいの感覚。中国だと『封神演義』の時代が紀元前11世紀ぐらいなのでそれよりも古い。ヒッタイト帝国は現在の地理だとトルコのあたりに位置し、周辺国としてエジプトが存在する。FGOプレイヤーには「オジマンディアス」の名でお馴染み「ラムセス2世」の祖父に当たる「ラムセス(1世)」も重要キャラとして登場。ちなみにクライマックスで描かれる「ヒッタイトとエジプトの一大決戦」を史実に残る「カデシュの戦い」と混同している人もいますが、あれは描写するうえでカデシュの戦いを参考にしている(カデシュ以前の戦争の記録が残ってないため)だけでカデシュの戦いそのものではありません。何せカデシュの戦いは何十年も時代が離れており、もうラムセス2世の治世になっていてラムセス(1世)はとっくに亡くなっていますから……検索した感じ、そもそもラムセス(1世)とラムセス2世がごっちゃになってる読者が予想外に多い印象です。名前が一緒だから仕方ない面もありますが。

 制作スタジオは「タツノコプロ」、老舗ですね。60年以上の歴史があり、古くは『マッハGoGoGo』や『ハクション大魔王』、『科学忍者隊ガッチャマン』、平成以降だと『プリパラ』などのプリティーシリーズ、最近だと「戦国ボーリング」こと『Turkey!』に関わっています。個人的には「新房昭之」監督の『The Soul Taker 〜魂狩〜』で印象に残っている。制作体制が崩壊し、「放送の5分前にTV局にマスターテープが届く」という伝説的な「やらかし」も発生した。そんなボロボロの状況でグロス請け(下請け)のスタジオ「シャフト」が辛抱強く付き合ってくれた(ギャグではない)こともあり、新房監督はシャフトのことを深く信頼している。いわゆる「シャフト演出」のいくつかもこの時に使った「乏しいリソースで効果的な演出を施す」苦肉の策が元になっているとか。「5分前事件」のせいで新房監督は業界から干されて一般向けに復帰するまで3年くらい掛かったが、『The Soul Taker 〜魂狩〜』自体はぼちぼちヒットし、サブキャラの「中原小麦」をメインに据えたスピンオフ『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』というOVAが作られ、続編として『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルてZ』や『ナースウィッチ小麦ちゃんR』(主人公が中原小麦から「吉田小麦」に変更となっているし、ほとんど別物だけど)も制作されたため「本編より長いスピンオフ作品」になった。監督は「小林浩輔」、演出としてあちこちのアニメに参加しているが、監督作品は少な……えっ? 『百錬の覇王と聖約の戦乙女』? あの「スマホの力を過信したな」でお馴染みの? な、なんか急に不安になってきたな……。

『超かぐや姫!』いよいよ劇場公開が“1週間限定”でスタート。初日の金曜日から全国規模でほぼ“満席”という異例の事態に(電ファミニコゲーマー)

 いよいよ今日から劇場公開ですが、チケットの争奪戦は想像を絶する域に突入しており、SNSでは阿鼻叫喚が渦巻いている。開始数分で満席になった劇場もあれば、サーバーが不安定になって決済が完了するまで1時間掛かった劇場もあり、もはや「『超かぐや姫!』って今話題になってるアニメだっけ? 近くの映画館でやってんなら寄ってみようかな」くらいの感覚で出かける人が観れるような代物ではなくなっています。さすがに火曜以降は人の波が緩むと思うので、狙うならそこですね。

 この混雑ぶり、わたなれのネクストシャインを思い出しますが、規模に関してはあの時以上でしょう。「単なる先行上映だし、一部の熱心なファンしか来ないだろう」とタカを括って1日1回とか2回の上映にした結果シアターがパンクした、というのがわたなれの惨事だったんですが、『超かぐや姫!』は事前に人気が伝わっていたこともあり1日10回という準コナン級のシフトを組んで対応に当たった劇場も多かった。ハコも100人や200人程度しか収容できないシアターではなく、500人を収容できるようないわゆる「大ハコ」を回した。2月に予定していたまどマギの新作が延期したこともあり、6日に公開した『ほどなく、お別れです』や13日公開の『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』を除けばこれといって大作や注目作のない月になってしまったので、スケジュールの都合が付きやすかったんでしょう。が、それでもなお足りなかった……全国で19館というのは、いくら何でも少なかったと思います。

 今回の配給は「ツインエンジン」という、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」の立ち上げに携わったプロデューサー「山本幸治」が代表取締役を務める会社で、言うまでもなく「東宝」や「東映」に比べるとかなり小規模。過去に配給した作品は『雨を告げる漂流団地』『クラユカバ』『クラメルカガリ』『好きでも嫌いなあまのじゃく』『劇場版モノノ怪』など、ハッキリ言ってマイナー路線です。比較的ヒットしている『劇場版モノノ怪』3部作(最後の3作目は5月公開予定)も全国230館前後の公開規模で1億円を上回る程度の興収に落ち着いている。今回の『超かぐや姫!』はネトフリで配信中だし、映画館で観たがるファンもいるだろうけど「殺到」というほどではないだろう……と過小評価したのではないだろうか。ネトフリは以前『バブル』という自サイトで配信中のオリジナルアニメを全国300館以上のスケールで宣伝費ガンガン使ってアピールしたうえで公開したけど、蓋を開けてみればオープニング(金土日3日間)で6600万円弱、最終的な興収も2億円に届かなかった。当時の映画系ニュースサイトでも「劇場公開前の先行配信という今回の手法、注目すべき試みではあると思うのだが、限定的な劇場公開ではなく日本全国で拡大公開をする上で一体どこに勝算があったのか? 頭の中に浮かぶのは「?」ばかりだ」と辛辣な意見が書かれている。

 ネトフリはオリジナル映画を賞レースに参加させる(ほとんどの国において「配信専用の映画」は映画賞の対象にならない)ためアリバイ作りのような感覚でごく小規模に劇場で限定公開することを習わしとしてきたのだが、なぜか『バブル』の時は妙に力を入れて全国拡大公開に踏み切り、そして盛大にコケた。このときの経験がトラウマになって、「『超かぐや姫!』を全国拡大公開する」という選択肢は採れなかったのだろう。ネトフリとは関係ないけど『バブル』よりも前に公開された、今では「名作」という扱いを受けている『アイの歌声を聴かせて』も興行面ではだいぶ苦しんで、動員ランキングだと初登場12位。金額にして2000〜3000万円くらいだったと思われる。その後口コミで伸びていきますが、スタートダッシュに失敗したこともあって2億円を上回るのがやっとでした。斯様にオリジナルアニメは「当てる」のが難しく、慎重になってしまう気持ちもわからなくはない。でもやっぱり、『超かぐや姫!』に関しては『バブル』のリベンジとばかりに全国300館以上で拡大公開すべきでしたね。全国19館は過小評価というものだ。が、それでも恐らく来週発表される動員ランキングではTOP10へ食い込むでしょう。座席数の限界があるからさすがに1位は無理でしょうけど、同日公開作品に強力な対抗馬がいないから10位以内はほぼ確実と見ていい。ガラガラ過ぎて恨まれた果てスカとは逆に、「この作品はもっと力入れて配給するべきだったろ!」と全国の劇場から恨まれることになりそうだ。

『ワン・バトル・アフター・アナザー』観た。

 U-NEXTポイントが期限切れになる前に、と駆け込みで鑑賞した映画。原題はそのまま "One Battle After Another" 。「一戦終わったらまた一戦」というような意味で、戦いが絶え間なく続くことを匂わせている。主演はレオナルド・ディカプリオ、1億ドル以上の製作費を投じた大作(このうちディカプリオの出演料が2000万ドル)で、ちょっと書き切れないくらい数多の映画賞を受賞しており、アメリカでは「2025年に公開された映画としてはベスト級」という扱いを受けています。米アカデミー賞では12部門13ノミネート中、同年公開の『罪人たち』(16部門ノミネート)には負けるが凄まじい評価だ。しかし日本での興行はパッとせず、ほとんどの映画館で1ヶ月くらいしか上映されなかった。「162分」という3時間近い上映時間が敬遠されたというのもあるだろうが、ぶっちゃけ「翻訳を通してしまうと魅力が下がる」タイプの作品だな……と思いました。

 映画のベースになっているのはトマス・ピンチョンの小説『ヴァインランド』。監督(ポール・トーマス・アンダーソン)は以前に『LAヴァイス』をもとに『インヒアレント・ヴァイス』という映画を撮ってるし、ピンチョン好きなんでしょうね。小説では80年代が舞台になっている(原書の発刊は1990年)けど、映画は舞台を現代に置き換えられており、スマホとかも出てくる。ピンチョンは比較的難解な文学路線の作家なんですが、この『ヴァインランド』はかなりエンターテインメント色が強く、映画向きと言えば映画向きです。しかし原作はメチャクチャ長いから、そのまま映像化したら162分でも全然尺が足らなくなる。『ワン・バトル・アフター・アナザー』は脚色……というより、もうほとんど「翻案」に近い。エンターテインメント色が強いとはいえピンチョン作品なので慣れない人が読み通そうとすると結構ガッツが要る『ヴァインランド』を、うまい具合に娯楽映画へ仕立て上げている。翻案してなお残る「ピンチョンみ」が映画の隠し味として効いており、そのへんが字数制限のある字幕を通して鑑賞すると相当減衰してしまう。英語聴き取り能力がザコな私でも「えっ、このセリフをそう訳すの? 意味合いとしてはそうなんだろうけど……」とモニョるシーンがいくつもあり、「英語の言い回しが面白さに繋がっている」映画なので日本国内でのウケがイマイチなのも納得でした。

 あらすじ。レオナルド・ディカプリオ演じる主人公……いや、わかりやすくするため主人公のことは「ディカプリオ」と呼びます。ディカプリオは若い頃、活動家として「世界を変える」理念に熱く燃え、爆破テロなど過激な手段に訴えることも辞さない革命闘士だった。同じ活動家で、スリリングな状況に性的な興奮を覚える黒人女性「ペルフィディア・ビバリーヒルズ」と懇ろな仲になり、やがてペルフィディアは女児を出産する。「娘」が産まれたことでディカプリオの意識は変わり、「もう革命なんて夢を見るのはやめて子育てに専念しよう」とペルフィディアを説得するが、「母親」という役割を押し付けられることを嫌った彼女はムキになって活動に没頭する。苛立ちから銀行強盗の最中に警備員を射殺してしまったペルフィディアはあえなく逮捕された。このまま長期に渡る懲役刑(ナガムシ)を喰らうことを恐れ、司法取引に応じて仲間を売ってしまう。母親が「裏切り者」であることを告げられぬまま、男手一つで娘を育て上げたディカプリオ。しかし、謎の勢力の魔の手が娘に伸びてきて、もう一度戦いの渦中へ身を投じることになる……。

 「昔は凄腕のテロリストだったけど酒とドラッグに溺れたせいで落ちぶれたディカプリオが、娘を救い出すために奮起する」という、大筋だけ取り出せばよくあるスリラー映画です。『96時間』あたりを連想する人もいるだろう。しかし、「謎の人身売買組織に娘を攫われた」という程度のわかりやすいストーリーではなく、また思ったよりディカプリオの活躍シーンが少ないため、「ディカプリオがリーアム・ニーソンやトム・クルーズばりに大暴れする」無双映画を期待すると肩透かしでしょう。むしろ情けないシーンの方が多い。娘のため久しぶりに地下組織へ連絡するのだが、時間が経ち過ぎているせいもあって肝心の符丁を思い出せない。「オレだよ、オレ! わかってんだろ! いいから教えてくれよ!」「本人確認のためにもちゃんと符丁を言ってくれないと……」と、地下組織の電話番相手に押し問答するシーンが延々と続く。こういう面白シーンの積み重ねで独特の味わいを生み出している映画なので、あらすじだけ読んでも「つまらなさそう」と感じてしまう。ディカプリオの娘が「ニンジャスクール」で「カラテ」を習っているという設定で、カラテマスターの師匠を「センセイ!」と呼ぶのは日本人にとっては面白ポイントかもしれない。うっかり靴を履いたまま畳の上に上がってしまったディカプリオを「畳踏むな!」と叱るセンセイが可愛い。ニンジャ道場に掲げられた「尊厳 Respect」という絶妙に誤訳ってる額とか、謎のハングル、変なお辞儀、テコンドーっぽい動きで「カラテの組手」をするシーンなど、わざとやってるのか雑なだけなのか判断に苦しむシーンの数々は『ニンジャスレイヤー』好きには刺さるかもしれない。

 本作の魅力の一つは悪役を演じる「ショーン・ペン」が放つ存在感。悪役のことも以下「ペン」と呼びます。設定上は軍人らしいが字幕だと「警部」になってるし捜査活動もしているようなので、所属とか指揮系統がどうなってるのかいまいちよくわからない。「まあ、細かいことはいいよ」の精神で流しましょう。ペンはペルフィディア・ビバリーヒルズが放つ危険な匂いに惹かれ、アブないシチュエーションに興奮するペルフィディアも抵抗し切れず、ペンと関係を持ってしまう。ペンは白人至上主義の秘密クラブ「クリスマスの冒険者(Christmas Adventurers)」に入会しようとする際、「そういえば昔黒人女とヤッたことがあったな……あいつ、子供を出産していたけど、まさか……?」と思い出し、「黒人女性との間に混血児(ミックス)がいる(かもしれない)」という醜聞を消すためにディカプリオの「娘」を狙う。「娘」から「シャツがピチピチで気持ち悪い」と言われて「俺はゲイじゃない!」と怒るペンが見所です。たぶん、ネイティブの人にとってペンは「日本人から見た禪院直哉」くらい面白い存在なんだろう。

 だだっ広い田舎の道路をひた走る、「カーチェイス」と呼ぶにはあまりにも長閑な(けれど緊迫感に満ちた)追いかけっこなど、あえて既存のアクション映画の「お約束」を外したような内容がいかにも「洋画マニア向け」といった感じです。映像的にも凝ったカットが多く、見応えはスゴいんだけど……やっぱり、日本人にはウケないよな、コレ。というのが率直な感想。監督が『マグノリア』や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のPTA(ポール・トーマス・アンダーソン)なんで、どっちか観てる人は「見応えはスゴいんだけど……」の質感が伝わると思う。凱旋上映するらしいし、アカデミー賞を獲りまくったら日本でも再評価されるかしら。日本公開時の興行収入、オープニング(初日含む3日間)が1.3億円で、累計でも4億円くらいだったそうだから、あの『果てしなきスカーレット』(6.5億円)よりも低い。たとえ凱旋上映で同額稼いでも累計10億に届かないんですよね……製作費1億ドル超えの大作にしてはやや寂しい数字だ。面白いことは確かなので、アマプラとかネトフリの見放題に来たら視聴してみることをオススメします。サブスクのいいところは長尺映画を何回かに分けて観れるところ。トイレの心配をせずにお菓子つまんでジュースやお茶を飲みながら堪能できる。

・拍手レス。

 楽しいし始まったばかりにしては異様にコンテンツがあるのでお勧めですよエンドフィールド。これを機に楽しいし始まったばかりにしては異様にコンテンツがあるのでお勧めですよエンドフィールド。Ave Mujicaコラボも来るので本家も是非

 さすがに手が回らないのでDLしていませんが、みんなが楽しそうにプレーしている様子をSNSで眺めて「友達がゲームやってるのを後ろで眺めてる感覚」でエンジョイしてます。あと本家アクナイのMujicaコラボでバンドリアニメ観始める人が増えて新鮮な初見感想いっぱい読めるの嬉しい。


2026-02-10.

・ゲーム本体はやってないけど『アークナイツ:エンドフィールド』とか『ゼンレスゾーンゼロ』とかの動画がSNSで延々と流れてくるので「ロッシちゃん可愛いなぁ……」「タンタンちゃん可愛いなぁ……」「千夏ちゃん可愛いなぁ……」と時間を奪われ続けている焼津です、こんばんは。いえ、全然ロリコンじゃありませんよ?

 とにかくやってないゲームでもムービーの出来が良くて見惚れてしまうんですよね。ロッシちゃんがクンクンと鼻を動かして匂いを嗅ぐシーンとか、千夏ちゃんが待機モーションで踊る動画をずーっと見てしまう。正気に戻って積みアニメ、積み映画、積みゲー、積読の消化に取り組むのですが、脳内では延々と千夏ちゃんが踊り続けている。もはや電子ドラッグだ。

 積みゲーで思い出したけど、『パラノマサイト』が新作出すということで前作『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』がニンテンドーストアでセール中です。1980円が75%OFFで495円、なんとワンコインだ。新作『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』が19日発売ということから、発売前日の18日までセールをやっています。要は低価格のホラー系ADVで、「死人を蘇らせる秘術」を巡って9人の男女の物語が交錯する。基本は文章を読み進めていくオーソドックスなADVだが、360°ぐるっと周囲を見渡して気になるものを発見する「探索パート」が要所要所に盛り込まれており、「能動的にプレーしている」感覚が恐怖を増幅させます。タイトルは「超常現象」を意味する「パラノーマル」と「パノラマ」を掛けているわけだ。私もセールに釣られて買ってまだちょろっとしかプレーしていませんが、なかなか面白い。『世にも奇妙な物語』めいたノリが好きな人なら刺さると思いますので、値段を理由に軽率に購入しちゃってOK。さあ君もレッツ・パラノマ!

『超かぐや姫!』、2月20日(金)より1週間限定で劇場公開決定!

 ファン待望の劇場公開が決定です、やったー。ただし全国19館という、想像以上に小さい規模……当然、うちの地元は入っていません。これは何としても拡大上映してもらわねば……うちの地元の映画館、ネトフリ映画の『バブル』はやったんですけど、あまりにも客が入らなかったせいか『雨を告げる漂流団地』や『好きでも嫌いなあまのじゃく』はやらなかったんですよね。やっぱり、かなり力を入れて広報していた『バブル』がコケたのが痛かった。『バブル』の反省点を踏まえて新しい手法で送り出したのが『超かぐや姫!』なんですが、まだまだネトフリ映画に対する劇場側の信頼感が薄いのだろう。公開される19館に足を運べる人たちは是非ともシアターを満員にする勢いで詰め寄せてほしい。そうすれば私の地元でも観れるようになるはず。

 『超かぐや姫!』というアニメ映画、正直「粗」と感じる部分はいくつかあるのですが、それを押し切るだけのパワーがある作品なのであと数年も経てば「『超かぐや姫!』がキッカケでアニメ業界を目指したくなりました」という若者たちが出現する。誇張抜きでそれぐらい影響力の強いタイトルです。ネトフリ入ってなくてまだ観てない、という方は映画館へGOだ。アレを映画館で浴びれる人は羨ましい……。

 公開館の中に「立川シネマシティ」が入ってるのはちょっと笑っちゃいましたね。『超かぐや姫!』の主なロケ地は立川市で、「サンサンロード」というところが「聖地」の一つになっている。シネマシティはこのサンサンロードに面しており、劇中でもチラッと映っています(かぐやが彩葉たちを尾行して木に隠れるシーン)。「1週間限定」と謳っていますが、「ご好評につき期間延長!」となる可能性はゼロじゃありません。もしかしたら「聖地」化して今年中ずっと上映、なんてこともありえなくはない。

 映画の後日談に当たるMVも公開されており、続編やスピンオフも熱望されている『超かぐや姫!』ですが、物凄く手の込んだ作品だけにそう簡単に続編の類が生えてくることはないと思います。個人的にはかぐや姫(竹取物語)以外の物語を題材にして、相互で緩く繋がっている「お伽噺ユニバース」にしてほしいかな。浦島太郎をベースにした『超乙姫!』もしくは『超竜宮城!』とか、『超鉢かづき姫!』、『超一寸法師!』、『超赤ずきん!』、『超シンデレラ!』……そこまでやるとただの『月光条例』だな。

「チー付与」TVアニメ化!制作はP.A.WORKS ティザービジュアル&PV公開(コミックナタリー)

 最近とんでもない作品のアニメ化ニュースがやたら舞い込むな……『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 〜俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?〜』、タイトル長すぎるので「チート付与」ないし「チー付与」と略されることが多い本作、もともとは「六志麻あさ」が「小説家になろう」に連載していたなろう小説です。2022年に書籍化し、書籍版は2巻まで刊行されたが、売れ行きが芳しくなかったのか2巻発売から3年以上経った今も3巻は発売されていません。

 小説の書籍版が発売する前年、2021年から連載スタートしたのが「業務用餅」による漫画版で、絵柄(主人公の髪がボサボサ、かんたん作画の犬)から察するにアニメはこの漫画版の方がベースになると思われます。というのも本作、小説版と漫画版の違いが大きい……ってより、ほとんど「別物」といっていいほど乖離しています。小説版は「なろう系によく出てくる中世ヨーロッパ風の世界」、いわゆる「ナーロッパ」めいた場所を舞台にしたオーソドックスな異世界ファンタジーであるのに対し、漫画版は自動車や機関銃など「ナーロッパ」で押し切るには無理のあるアイテムがドコドコ出てくる。また、登場キャラクターに関しても「名前は一緒だけど性格がまったく違う」現象が頻繁に発生します。普通なら原作ファンが大激怒する所業ですが、チー付与、小説版はそんなにファンがいないため炎上しませんでした。むしろ「いいぞ、もっとやれ!」と喝采を浴び、どんどん独自路線を突き進んで確固たるファン層を築き上げていく。最新刊は19巻、とても「2冊で打ち切られた小説のコミカライズ作品」とは思えない巻数だ。

 チー付与の魔改造っぷりを詳しく解説するとネタバレになるので、「新鮮な気持ちで楽しみたい」未読の方はこの段を飛ばしてほしいのですが……漫画版の第5話で『王獣の牙』(主人公を追放したギルド)副ギルドマスターの女性が登場し、僅か2ページほどで殺し屋の少女「ミラベル」に屠られ退場する、というシーンがあります。あまりにも呆気ないので読者のほとんどは存在を忘れてしまったのですが、漫画版7巻から始まる「半グレ編」でこの女性を慕う人物が暗躍し、王国を相手に壮大な復讐劇を開始する。そのスケールの大きさとアクションの絶妙なバランス感覚に読者の多くが舌を巻いたのですが、原作だとそもそも「『王獣の牙』副ギルドマスター」は殺されていません。主人公「レイン」を追放した後、『王獣の牙』は急速に瓦解していき、3人いる副ギルドマスター(グレンダ、コーネリアス、ゲイル)は見切りをつけて他のギルドに移籍しようとするもみんな疫病神扱いされてどこも受け入れてくれない……と路頭に迷うところで終わっている。要するに「ざまぁ」された後で猿空間ならぬ「あさ空間」に送られて消息不明となっています。それぐらいどうでもいいキャラなんです。当然、「半グレ編」なんてストーリーも原作には存在しない。あまりにも改変・捏造・オリジナル要素が多く、漫画版しか追ってない読者は「原作にはない要素」が出てくる瞬間よりも「原作にもある要素」が漫画版に出てきたときの方が驚くぐらいだ。

 初期は純粋に絵柄が雑なせいもあって読みにくさを感じるが、だんだん技術が向上していき、絵的にもストーリー的にも円熟していく。『呪術廻戦』が『HUNTER×HUNTER』の影響を受けていることは周知の事実ですが、こと「ハンター要素」に関しては漫画版チー付与の方が濃厚と言っていいでしょう。最近の巻は「キメラアント編と王位継承編を同時並行でやってる」と評されるくらい濃密な内容で、本気でアニメ化するつもりなら最低でも4クールは欲しい代物なのだ。とにかく業務用餅のセンスの凄まじさ、原型を留めないほど弄くられても「漫画で面白い部分は、だいたい原作にない箇所ですw」と笑って許す六志麻あさの寛大さが光る。あまりにも鷹揚たる態度ゆえ、チー付与ファンからは「原作者陛下」と崇められています。過去には原作者が怒ったせいで連載打ち切りになった作品もありますからね……忘れもしない、漫画版『皇国の守護者』……。

 制作は「P.A.WORKS」、アニメファンからは「お仕事アニメ」が得意なところとして認識されている。一番有名なのはアニメ制作そのものを題材にした『SHIROBAKO』かな? あれももう10年以上前なんですが……最近だと日常系アニメの『日々は過ぎれど飯うまし』が好評を博している。監督やシリーズ構成に関してはまだ公開されていない。漫画版をそのまんまアニメ化するとさすがに間延びするだろうし、うまくアニメに変換できる人がやってくれるといいですね。

・山口未桜の『禁忌の子』読んだ。

 第34回鮎川哲也賞受賞作。個人的に鮎川賞は信頼している賞なので、「きっとこれも面白い」と思っていましたが、おどろおどろしいタイトルに食指が動かず放置していました。しかし受賞後第一作に当たる続編も刊行されたし、いい加減崩さないとな……って一念発起して読み出した次第です。そしたら冒頭数ページで引き込まれ、あっという間に読み切ってしまった。この本に関してはあらすじ等、なるべく予備知識を入れないで読む方が面白いのでこれから読むつもりの方は私の感想を読まずにさっさとチャレンジした方がいいです。まだ決めかねる、という方はもう少しお付き合いいただきたい。

 「兵庫市民病院」の救急科に所属する医師「武田航」。2023年、まだコロナ禍が明け切らぬ頃、午後8時15分に救急からの着電があった。沖の海面に浮かんでいた30代くらいの男を引き受けてほしいとのこと、断る理由もなかったので承諾する。間もなく心肺停止した患者が運び込まれてきた。状況的に死亡から相当な時間が経過していると見られ、蘇生は無理そうだと思ったが、念のため看護師たちに指示を飛ばし処置を行う。予想通り、患者を蘇生させることはできなかった。ある意味、救急科の日常風景である。「予想外」で「非日常」だったのは、運び込まれた男が自分(航)と瓜二つの顔をしていたことだった……。

 航は一人っ子で、「生き別れの双子の兄(もしくは弟)」がいるなんて話は聞いたことがない。念のため役所に行って戸籍謄本を取り寄せたが、やはり兄弟に関する記述などなかった。亡くなった男は頭部に打撲の痕があったが、かなりの量の酒を飲んでおり、誰かに殴られた後で海に捨てられたのか、酔っ払って足を滑らせどこかに頭をぶつけながら海に落ちたのか、判然としない状況である。できれば男の正体を突き止め、「自分や身重の妻に恐ろしい危険が迫っていないかどうか」を確認したい。航が頼ったのは中学から付き合いのある医師「城崎響介(きのさき・きょうすけ)」だった……。

 城崎響介は感情が希薄で、あらゆるものに対して執着を持たない。いっそ非人間的なほどズバッと論理の刃を冷徹に振りかざす探偵役として設定されています。いかにもドラマ向けの「旬のイケメンが演じる探偵役」といった印象ですが、感情の機微に疎い「非人間性」のせいでヘマをするシーンもあるので、必ずしも設定倒れになっていない。「主人公と瓜二つの死体」という謎、「イケメンかつ冷徹な探偵」というキャラ立ちで最初の100ページぐらいはグイグイと勢いよく読ませてくれます。

 この「瓜二つの死体」が「第一の事件」だと解釈すれば、100ページ過ぎたあたりで「第二の事件」が発生します。簡単に言うと「密室状況で自殺としか思えない死体が発見される」というものです。鮎川賞作品なら密室状況のミステリなんて別に珍しくないわけですが、正直この作品はかなりメロドラマ要素が強いので、「密室」という要素がかなり浮いちゃっている。この密室事件のあたりから一気にトーンダウンし、ストーリーが盛り下がってしまう。そこを耐えながら200ページあたりまで進むといよいよ「出生の秘密」が明かされ始め、盛り上がってきます。ただ、この面白さってぶっちゃけ鮎川哲也的な面白さというより横溝正史的な面白さなんですよね……なんで作者は「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」の方に送らなかったんだろう? 横溝賞なら賞金300万円が出るけど、鮎川賞は印税しか貰えず特別な賞金が出ないのに……だから賞金目当ての「あざとい」投稿がなく、信頼できる作品が多いという面もあるが。

 圧巻なのはラスト50ページ、畳み掛けるような勢いで謎を回収して一気に結末まで持って行く。ここで100〜200ページあたりのダレ具合はチャラになりました。明かされる真相に「なるほど!」となるか「えぇ〜!? そんなんアリ〜!?」となるかで評価が真っ二つになるでしょう。というか、ネタバレなしでこのへんについて掘り下げることはできないので詳細については口を噤むしかない。気になる方は実際に読んでみてください。「私はドラマ化に際して『旬のイケメン俳優』を安易に宛がわれるような小説は書きたくないんじゃ! 『うう、これは山口未桜ならではや……』と呻かれるような作品を書きたいんじゃ!」という気迫が伝わってくる。

 既に城崎響介が探偵役を務める続編『白魔の檻』も刊行中であり、読むのが楽しみ。できれば1年に1冊くらいのペースで安定して出してくれるとありがたいですね……。


2026-02-02.

「ヤニねこ」TVアニメ化 にゃんにゃんファクトリーが描くクズ獣人の日常(コミックナタリー)

 アニメ化……と思わせてアニキ化! なんて巫山戯た真似をしていましたが、アレはフェイントで本当にアニメ化すんのかい。絶えず煙草(ヤニ)を喫んでいるニコチン依存症気味なネコ(獣人)を主人公に据えた日常ナンセンス・コメディで、下ネタというかお下劣なネタが多く、しょっちゅう画面にモザイクが入る。「絵柄の可愛いどおくまん」「令和に適応した徳弘正也」といった評もあります。作者の「にゃんにゃんファクトリー」は合同ペンネームで、4人の漫画家が手分けして描いている。おかげで「汚いCLAMP」と呼ばれ、CLAMPに風評被害が及んでいる始末。

 主役に抜擢されたのは「夏吉ゆうこ」、少し前に『笑顔のたえない職場です。』で主演した声優です。最近だと『超かぐや姫!』の「かぐや」役で話題になっています。過去の作品だと『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』「マシマヒメコ」役、『アサルトリリィ BOUQUET』「白井夢結」役、『シャインポスト』「聖舞理王」あたりで印象に残っている人が多いのではなかろうか。ちなみにウマ娘では「シュヴァルグラン」、グラブルでは「サブリナ」、ブルアカでは「杏山カズサ」を演じているのでソシャゲやってる人なら心当たりがあるかも。

 制作は「バイブリーアニメーションスタジオ」、きんモザやグリザイアのアニメでお馴染み「天衝」が設立した会社です。代表作は『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』、あと『ウィッチウォッチ』もココでしたね。『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』とか『プリマドール』とか『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』とか、「なんか変なアニメ作るところ」でもあり、『ヤニねこ』は明らかに「なんか変なアニメ」の系譜に連なる作品である。監督は「木村拓」、「マッドハウス」出身で現在は「スタジオ・レモン」というアニメ会社に所属している模様。仮にアニメ化するとしても簡単作画の紙芝居ショートアニメと思っていたんで、やけに手の込んだ作画のティザームービーにビビる。コンプライアンスに中指を突き立てるような作品ゆえBPOに苦情が殺到しそうな気もするが、果たして最終回まで放送できるのだろうか?

「凶乱令嬢ニア・リストン」TVアニメ化 武人が転生した病弱な令嬢役に井上ほの花(コミックナタリー)

 このニュース、喜んでいるファンは多くても驚いているファンは少ないと思います。「ようやくか」って感じ。『凶乱令嬢ニア・リストン』、なろう掲載時は「狂乱令嬢ニア・リストン」でしたが、「狂乱」だと正気を失っているようなイメージを与えるためか商業版では「凶乱」となっています。「ニア・リストン」という病弱な令嬢が亡くなった直後、強さを求めて戦い続けた最凶の武人「???」の魂がその体に入り込み、息を吹き返した。前世の記憶があやふやで、自分の名前も思い出せない???はニア・リストンとして第二の人生を歩み出す。一度目の人生と同じか、それ以上に血塗られた暴力の道を。魂は、己の銘を忘れても、血が滲む想いで修めた業の数々を憶えていた……という「ぅゎょぅι゛ょっょぃ」系転生ファンタジーです。

 今、こういう「ムチャクチャ強かった武人とか騎士とかが貴族令嬢やお姫様、村娘や孤児などのロリ系ヒロインに生まれ変わるTS系転生譚」が一部ですっごく流行ってるんですよ。『幼女戦記』の系統とも言えなくはないが、アレは癖が強すぎるので直接的なジャンルの火付け役はこの『凶乱令嬢ニア・リストン』だと思います。『英雄王、武を極めるため転生す』の影響もちょっとある気がするけど、アレはロリの期間がすぐ終わっちゃうからな……『無双ゲーに転生したと思ったら、どうやらここはハードな鬱ゲーだったらしい』『修羅幼女の英雄譚』『前世は冷酷皇帝、今世は幼女』『皇女転生』『令嬢アリスの英雄譚』など、商業作品だけ数えても結構ある。

 主人公のニア・リストンが最凶&無双で、匹敵するような強キャラが全然出て来ないからストーリー展開は割と淡々としているというか、ハッキリ言って単調です。「幼女が無双する」ギャップにグッと来ない人からすると「何が面白いのかわからない」という評価に落ち着くでしょう。逆に言えば、「幼女無双」というシチュエーションにトキメキを感じる人なら楽しくてたまらないハズだ。コミカライズ版の出来がイイというか、ぶっちゃけ原作小説よりもマンガ版の方が人気あるのでは? コミカライズはあんまり読まない私でもアレだけは夢中になって読んでしまう。原作者「南野海風」は「やたら濃いメイドキャラを登場させる」癖があり、この作品でも主人に対する愛がやや変態チックなメイドが二人も出てくる。コミカライズだと「幼女無双」と「変態メイド」がマリアージュ効果を発揮して「そりゃアニメ化するわ」って面白さになっています。ただ、ノリが「エロシーンを抜いた平成のエロゲー」みたいな感じゆえ、そのへんに付いて行けるかどうかで評価が変わってくるシリーズです。

 「かつて神殺しをも成し遂げた大英雄」と仰々しい設定ながら、少なくともアニメでやるだろう範囲では「神」に相当するような存在と戦う展開はありません。私も最近の巻はあまりチェックしていないので今どういう展開になっているかよく知りませんが、あらすじを読んだかぎりではせいぜい隣国で戦争を起こす程度のようである。魔物とかも出てくる世界観だけど、ぶっちゃけ魔物の存在感は薄いかな……やっぱ人間ボコってナンボだよね、とばかりに裏社会の連中をぼてくり回す。「なんなんだ……なんなんだよ、あの幼女ッ!」って恐慌を来す強面どもにゾクゾクせよ。

 ニア・リストン役の声優は「井上ほの花」、最近だとFGOの「フローラ」を演じていますね。「17歳教の教祖」として有名な声優「井上喜久子」の娘で、10年ほど前にプロデビュー。デビューしたときはまだ10代だったので、現在も20代という若手です。『赤毛のアン』のリメイク『アン・シャーリー』で「アン・シャーリー」役、『薫る花は凛と咲く』でヒロイン「和栗薫子」役を担当するなど、ここ最近は母親の名前抜きで売れ始めている。ちなみにアイマスでは「浅利七海」役、ウマ娘では「アストンマーチャン」を演じています。制作は「KONAMI animation」、あのゲーム会社「コナミ」が擁するスタジオで、ほんの2年前に設立されたばかりなのでアニメ好きでも知らない人の方が多いだろう。ゲームのPV制作やグロス請けがほとんどで、元請けは今年放送予定の『幻想水滸伝』くらい……だったが、『凶乱令嬢ニア・リストン』も元請けで作るみたいです。コナミがケツモチだから資金力はあると思うが、スタジオとしては新興なので蓋を開けてみないとどんな出来になるか読めないな。とりあえず期待しときます。

『ボーイ・キルズ・ワールド 爆拳壊界流転掌列伝』観た。

 80年代や90年代のビデオゲームに出てくる「荒廃した街でひたすら敵が湧いてくるベルトスクロール・アクション」みたいな世界を再現した映画です。『死霊のはらわた』でお馴染み「サム・ライミ」が製作、監督は「ゲーマー」と自負する「モーリッツ・モール」。エンドロールには『AKIRA』のポスター(俯瞰で金田がバイクに向かっていくアレ)を意識したカットも出てくる。ハッキリ言って変な映画だ。面白いかどうかで言えばそんなに面白くはない。日本では去年公開されたけど、ほとんど話題にならなかった。「もうすぐU-NEXTのポイントの有効期限が切れそう」という消極的な事情から気になっていたコレをレンタルして視聴したわけですが、「観て損した」という気分でもなく、「面白くはないけど、妙に印象に残る」って感触を得ました。

 舞台となるのは文明崩壊後の世界。『北斗の拳』とか『マッドマックス』とか、ああいう感じを連想してもらえればだいたい合っているけど、私兵とはいえ軍隊が機能していたり、テレビ放送が続いていたりと崩壊度はそこまで高くない。主人公「ボーイ」は人里離れた山奥で謎の男「シャーマン」に殺人兵器として育てられた少年。街は独裁者「ヒルダ・ヴァンデルコイ」によって支配され、彼女に歯向かう者は裁判ナシで公開処刑されるメチャクチャな状態に陥っていた(ヒルダによると25年前は無法者たちが跋扈する、それこそ北斗みたいな状態だったらしいからこれでもマシになった方らしい)。民を省みぬ圧制者と化したヒルダを討つべく、山から降りたボーイ。しかし一般常識も何もない彼は具体的にどう行動すればいいのか、何の計画も抱いておらず、とりあえず行き当たりばったりで横暴な振る舞いをするヒルダの私兵どもをブチのめすが……。

 役割としては「テロリスト」や「アサシン」の部類なんだけど、プランも何もないからノリで暴れているだけっていう、頭空っぽの「ボーイ」を面白いと思えるかどうかで楽しみ方が変わってくる作品。ボーイには「ミナ」という妹がいて、幼い頃に彼女と夢中でビデオゲームをした思い出もあるのですが、ミナはヒルダの手で無惨に殺されてしまった。妹を救えなかった悔恨からか、はたまたシャーマンの薬物すら用いた厳しすぎる修行のストレスからか、彼はイマジナリーシスターとも言うべき「ミナの幻影」を視るようになってしまう。この「ミナの幻影」がボーイの良心とか理性の象徴として機能します。ボーイは幸運に恵まれたこともあって快進撃を繰り広げるが、そんな彼の前にフルフェイスのヘルメットを被った刺客「JUNE27」(6月27日)が立ちはだかる。ヘルメットを剥いだ下から現れた顔は、死んだはずの妹「ミナ」の面影をくっきりと残していた……!

 ストーリー目当てでこの映画を観る人はそんなにいないと思うからバラしてしまうと「JUNE27=ミナ」です。ちなみに演じている女優は「ジェシカ・ローテ」、『ハッピー・デス・デイ』の主演だったあの人。死んだはずの妹が生きていて、しかも敵の手先になっている! というベタベタなシチュエーション、まさに80年代や90年代のビデオゲームみたいなノリだ。ある程度設定を明かした方が興味を引けるだろうし、思いっきりネタバレしてしまうけど、主人公「ボーイ」は独裁者「ヒルダ」の息子です。幼い頃にシャーマンに攫われ、クスリ漬けにされて「ヒルダは母親ではない、本当の母親と妹はヒルダに殺された」という嘘を吹き込まれ、洗脳されてしまったのだ。後半でその真実が明らかとなり、母親と「感動の対面」を果たすが「彼女がクソみたいな独裁者である」こと自体は変わらない。シャーマンがボーイを攫ったのも、「ボーイが母親の命令でシャーマンの家族を撃ち殺したから(その後パニック状態になって銃を乱射し、その混乱に乗じてシャーマンが逃亡した)」で、ぶっちゃけ割と因果応報なのである。

 最終的には師匠であるシャーマンがラスボスとして出てきます。かつてシャーマンは家族の仇であるボーイを怒りに任せて縊り殺そうとしたが、「母親の操り人形」でしかない無力な少年をどうしても殺すことができなかった。そこで復讐の道具にするべく殺人兵器として鍛え上げた。誰よりも強く、誰よりもタフな男に。今はもう「無力な少年」ではない、だから……殺せる! 師匠(シャーマン)視点でストーリーを再構築することによってようやく完成する映画なので、漫然と眺めていると何が何だかよくわからなくなります。師匠にとってボーイは「憎き仇」なんだけど、長年修行に付き合った「愛弟子」でもあるから、当然情が湧いている。この愛憎半ばする最終決戦が本作最大の見どころであり、逆に言えばそこへ至るまでの過程に関しては「半分くらい寝ていてもいいかな」と思わなくもない。繰り返しますが「面白いかどうかで言えばそんなに面白くはない」映画なんですよ。でもやたら印象に残る。

 病んだ独裁者の母(ヒルダ)は主人公にとってそこまで重要ではなく、良い思い出の残っている妹(ミナ)の方が大事なんですよね。ボーイがシャーマンの道具として育てられたように、ミナもヒルダの道具として育ち、「JUNE27」というコードネームのソルジャーとして治安維持の鎮圧部隊で汚れ仕事に従事している。「大人に搾取される子供」という映し鏡の存在。そんなミナを守るために、ボーイは師匠(シャーマン)へ拳を向ける。「文明崩壊後の世界」の描写があまりにもコミック的でリアリズムの欠片もなくディストピアSFとしてはかなりお粗末な出来だし、アクションの幅を作るためとはいえ主人公が銃を使うシーンも多いから「男なら拳ひとつで勝負せんかい!!」と不満を述べたくなるところもあるけど、何と言うか「嫌いになれない映画」だ。

 良く言えば「芯の部分はしっかりしている」、悪く言えば「芯の部分以外はユルユルにもほどがある」、そんな一本です。もしサブスクの見放題に来たら物は試しと観てほしい。盛り上がってくるまでが長いから前半はながら見でもOKです。好きなのはやっぱりフルフェイスマスクを着用しているときの「JUNE27」だな……バイザー部分が電光掲示板みたいになっていて、そこにセリフが表示される演出も面白かった。あとバキバキに割れた腹筋。


2026-01-28.

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』公開延期のお知らせ

 「2月公開予定」なのに1月下旬になっても具体的な公開日が明らかにならない時点で察していたファンがほとんどだと思います。ワル天が延期するのはこれで3度目。当初は「2024年冬」だったのが「2025年冬」になり、そこから「2026年2月」にジャンプ、で、今回というわけです。本来ならもう本編が出来上がってTVCMとかバンバン流さないといけない時期なのに、この様子じゃまだフィルムが完成すらしてないっぽいですね。

 まず、脚本自体はとっくに上がっています。「虚淵玄」が「『仮面ライダー鎧武』を終えた後、『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』に取り掛かる直前に脱稿した」とコメントしているので、2015年か2016年くらいには提出していたはず。制作発表が行われたのは2021年、TV放送10周年の記念も兼ねていました。脚本脱稿から10年、制作発表から5年近く、それでもまだ完成しないってどれだけの大作なんだ? 間にマギレコ(『マギア・レコード』)のアニメがあるから、そっちの方にリソース割いていた可能性もありますけど……このズルズルと延期する感じ、2007年版の『Dies irae』とかを思い出して古傷が疼く。

 場合によっては公開が来年まで延びる可能性もありますが、とにかく次はもう延期しないでほしいです。

『ブルーアーカイブ』、PC版のサービス開始

 やっとブルアカのPC版が来ました。一応Steamではグローバル版の『Blue Archive』が配信されていたんですが、日本語に対応しておらず、日本語版とも互換性がないため引き継ぎ(元々使っていた端末からの引っ越し)ができなかったんです。今回始まったPC版でようやくスマホやタブレットの小さい画面からPC用の大きなディスプレイに移行することができるようになりました。PCのスペックにもよるが、ほとんどの人にとって「描画がモバイルの時よりも滑らかになった!」と感動すること間違いナシです。ここまで画像を拡大することを想定していなかったのか、一部ジャギー(ギザギザ)が生じていたりしますけど……生徒によって立ち絵の解像度が結構変わるのも気になります。

 まだ本格的なサービス開始ではないため、「青輝石」(ガチャを回す時とかに使うアイテム)などの販売、いわゆる「課金」はPC版で行うことはできません。いずれ対応予定ということですので、「課金してガチでやり込みたい」という方はモバイルとPC版の両方でプレーし続けた方が良さそうです。同時ログインはできませんが、片方ずつならログイン可能です。私はそこまでガチ勢じゃない(というか数ヶ月ログインすらしていなかったカムバック勢だ)からPC版だけでいいかな……容量キツキツだしタブレットに入れている方は消そうと考えている。具体的な時期は不明だけど、いずれアツドリ(『BanG Dream! Our Notes』)のサービスも始まりますし。

 今でこそこういう「モバイル版とPC版の両方でサービスを提供しているソシャゲ」は珍しくありませんが、ひと昔前は「モバイル版だけ」「PC版だけ」というソシャゲがほとんどでした。なぜなのか? 原因は複合的なのでひと口で「これ」と指摘することはできませんが、大きな要因として挙げられるのは「課金に関する縛り」です。iPhoneやiPadなどのApple製品でソシャゲをプレーする場合、ほとんどのケースでアプリを「App Store」からダウンロードします(ブラウザゲー等、一部例外はあります)。Android端末の場合は「Google Play」。AmazonのFire HDとかだと「Amazonアプリストア」というのがありますが、品揃えが物凄く悪くてほとんどのソシャゲが遊べないからここでは無視します。で、ダウンロードしたソシャゲに課金しようとする場合、App StoreやGoogle Playを経由してクレカなり電子マネーなりオンライン決済なりで支払っていました。この際、AppleやGoogleに消費税として約1割、ショバ代として約3割、概ね4割程度は持って行かれる仕組みになっています。例えば10000円課金した場合、約4000円はプラットフォームに差っ引かれ、ゲーム会社には6000円程度しか渡らない。Youtubeのスパチャ(投げ銭)も似たような問題があり、App StoreからDLしたYoutubeのアプリ経由だとAppleに上前をハネられます。ブラウザ経由だと10000円相当のスパチャが、iOSアプリ版経由だとAppleの取り分が上乗せされて、なんと視聴者の支払う金額は「15800円」に跳ね上がる。だからよく配信者が「スパチャするならブラウザからやって!」と頼むわけです。

 そこで抜け道として「ゲーム会社がプレーヤーを外部サイトに誘導し、そこで課金させる」というグレーな手法が編み出されました。これならプラットフォームの取り分が必要なくなり、消費税に当たる約1割分だけをゲーム会社が負担すればいい。今まで10000円で売っていた課金アイテムを「外部サイトなら9000円にディスカウント!」とかやっても充分に元が取れるわけです。「Epic Games」という会社が『フォートナイト』というゲームでこれに近いことをやって、Appleが激怒し、App Storeから『フォートナイト』を削除(新規DLができなくなっただけで、既にインストールしている場合はそのまま遊べた)。「横暴だ!」とEpic Gamesが裁判を起こす事態に発展しました。裁判してまで争いたくない他社はこのグレーな手法を採択できず、「モバイル版とPC版で課金石の種類を別にする」という苦肉の策を採ったり、「そもそもPC版を出さない」といった選択をすることになります。具体的なタイトルを挙げると、前者に該当するのが『プリンセスコネクト!Re:Dive』。モバイル版とPC版で連携させた場合、ゲームの進行状況は両方とも一緒になりますが、引き継がれるのは無償石のみで、課金して購入した有償石に関しては反映されない。たとえばスマホで課金して有償石を購入した場合、その有償石はスマホでしか使えないし、PCで買った有償石もPCでしか使えない。連携させるとAppleがアプリを消す恐れがあったからです。FGOこと『Fate/Grand Order』はそもそもPC版を出そうという素振りを見せたこともない。サービス開始当初は雑誌付録として添付した特典コードを打ち込むための「シリアルコード入力」という欄がオプションに設けられていたのですが、Appleを恐れてかいつの間にか消えてしまった。

 2021年、アメリカの裁判所はEpic GamesにAppleへ適正な手数料を支払うことを命じつつ、Apple側へ外部決済システムを認めるよう命令。Appleがこれを受け入れたことで、グレーだった「外部サイトでの決済」がようやく合法となります。恐らく「一定の手数料を払えば外部決済を導入しても構わない」というルールになったのだろう。この影響でここ数年、様々な外部決済手段が発達しました。大きなところだとサイゲの「Cygames WebStore」やバンナムの「アソビストア」ですね。FGOも「アニプレックスオンライン」経由で聖晶石がアプリ内ストアよりも5%安く買えるようになっています。外部決済システムが普及したことでアプリストアのセールスランキング、いわゆる「セルラン」の価値も下がってしまった(外部サイトでの売上はストアに反映されないため)。今後、ビッグタイトルはどんどんPC版との連携が当たり前になっていくでしょうね。ガッツリやり込む時は自宅のPC版で、出先の隙間時間に軽く遊ぶ時はスマホ版で、みたいな。未だにブラウザでのプレーが基本で、iOS版のアプリが配信されていない『艦これ』という異色の古豪も存在しますが……パズドラが2012年、モンストやチェンクロが2013年、グラブルが2014年、FGOが2015年サービス開始で、艦これは2013年サービス開始ですから時期的にはモンスト・チェンクロと同期です。2009年開始で未だに続いている『怪盗ロワイヤル』もよく特異点扱いされるが、あれはソシャゲの開発費や運営費が高騰する前のタイトルなのでギリギリ維持できているのかな。2009年はスマホこそ登場していたものの、まだガラケー主体ゆえ複雑なシステムが実装できず「ポチポチゲー」と揶揄されてた頃ですね。2011年に『アイドルマスター シンデレラガールズ』がサービス開始したとき、「アイマスがポチポチゲーになった!」と騒がれたものです。『マンガで分かる!Fate/Grand Order』にも「ポチポチするだけで先に進むようにしてください」と当時の名残りみたいなものを感じさせるセリフがある。

 特に悪意なく使っていた人もいるけど、どちらかと言えば蔑称に近く、12年前に書かれた「“ポチポチゲー”に終止符」という記事の題名からゲーム界における地位が窺い知れます。しかし、今では「古色蒼然としたブラウザゲー」扱いになっているグラブルが2013年の頃は「新境地」と呼ばれていたの、なかなか感慨深いですね。

『アンジェントルメン』観た。

 うちの母が名前を覚えられないせいで「マドンナの元旦那」と呼ぶ「ガイ・リッチー」の新作。ガイ・リッチーとは誰か? 過去に「ジェイソン・ステイサム」と「ブラッド・ピット」が共演した『スナッチ』、「ロバート・ダウニー・Jr」と「ジュード・ロウ」のコンビによる『シャーロック・ホームズ』、「マシュー・マコノヒー」主演の『ジェントルメン』など数多くの傑作・良作を手掛けた映画監督です。珍作好きには「全6部構想の超大作だったのにヒドいコケっぷりで1作しか出せなかった」『キング・アーサー』が印象に残っているだろう。「スラムのガキから王になれ!」 円卓の騎士、カンフー・ジョージ! 消えたサブタイトル、「聖剣無双」の謎! KOEIに怒られたのか!?

 さておき『アンジェントルメン』は日本だと2025年4月に公開された映画です。アメリカだと2024年4月公開なんで、丸1年遅れ。あのガイ・リッチーの新作でも丸1年遅れるのかよ!? と昨今の洋画の冷遇ぶりに愕然とする。公開規模も小さかったですし……上映館数は全国で100館くらい、この規模だとやってない地域も多くて存在すら知らなかった人もいると思います。邦題は明らかにそこそこヒットした『ジェントルメン』を意識したモノであるが、別に『ジェントルメン』の関連作というわけではない。第二次世界大戦の頃のイギリスが舞台で、一応「史実をベースにした映画」ということになっている。原題は "The Ministry of Ungentlemanly Warfare" 、直訳すると「非紳士的な戦争省」。戦時中に実在した秘密部隊「特殊作戦執行部(SOE)」のいくつかある俗称の一つです。正規の軍人として認められていない、ほとんどならず者に近い奴らが命懸けの極秘任務に従事する、ちょっと『荒野の七人』みたいなノリのアクション映画だ。

 時は1942年――イギリスはナチスドイツとの戦争において、Uボート(潜水艦)による通商破壊で大いに苦しめられていた。「もうアメリカの参戦まで待てない、早くドイツに降伏した方が良いのではないか」 国内に諦めムードが広がる中、首相のチャーチルは密かに人員を集め、極秘作戦の遂行を命令する。構成員のほとんどがスネにキズ持つ連中であり、「紳士(ジェントルメン)」には程遠く、ほとんど愚連隊に等しい。上官の命令に従わない札付きのワルたる少佐「ガス・マーチ=フィリップス」をリーダーに戴いた彼らは、「ナチス死すべし」という憎悪の念で結束する。イギリスにUボートを撃滅するような戦力はない。だが、Uボートとて資源がなければ活動できない。「Uボートが消費する資源を運ぶ船」を狙い撃ちし、兵站(ロジスティクス)を破壊することが作戦の要諦である。作戦名は「オペレーション・ポストマスター」。漁師になりすまし、漁船に乗って目的地「フェルナンド・ポー」へ向かう一行。現地協力者も獲得し、「これなら作戦もうまく行くだろう」と意気込むが、想定外の事態が発生して……。

 既存のガイ・リッチー作品で言うと、背景となる時代が比較的近いこともあって、冷戦期のドイツを舞台にした『コードネーム U.N.C.L.E.』と若干雰囲気が似通っているかな。出てくるナチスドイツの兵士を次から次へと血祭りに上げていくこともあり、タランティーノ映画の『イングロリアス・バスターズ』を連想する人もいるかもしれない。さすがにアレと比べたら味付けはやや薄めですが、こっちもこっちでなかなか曲者揃い。特にインパクトがあるのは「デンマークの怪力男」こと「アンダース・ラッセン」ですね。凄まじい威力の矢で数百メートル先のナチス兵を射貫いてしまう。ラッセン含めモデルとなった実在の人物がたくさんいる映画だけに、リアリティライン高めに設定しているのかと思ったら、ラッセンの魔弾じみた弓矢であっさりとこちらの想定していたリアリティをブッ壊されて笑ってしまった。一人目を貫通して二人目を縫い止める威力の矢って何なんだよ! 破壊工作班の中に「鎮西八郎」源為朝が混ざっている感じです。アニメで言うと『REVENGER』くらいのリアリティラインなんですよね、この映画。

 アクション映画特有の「敵の弾が主人公に当たらない」現象が多発するなど、「史実ベースの渋い戦争映画」を期待した人にとってはガッカリする内容かもしれないが、エンターテインメント極振りを期待していた層からするとこれぐらいがちょうどいいだろう。途中まで割と順調に進んでいた作戦が「前提の反故」によって脆くも崩れ去り、途方に暮れる一行。極秘任務の存在を嗅ぎつけたお偉いさんが「こんな作戦、即刻中止しろ! やめないと全員裁判行きだぞ!」と脅す中、「上官の命令に従わない」ことで定評のあるガスはイチかバチかで起死回生の大バクチに打って出ます。登場人物の一人として「イアン・フレミング」という海軍情報将校が出てきますが、この人、言わずと知れた“007”シリーズの原作者です。“007”はガスをモデルにして書いた、という説もあるらしく、主人公は言わば「ジェームズ・ボンド」のプロトタイプである。ちなみにガイ・リッチーの父親も海軍将校だったらしく、そのへんの影響もあってこういう題材を選んだのかもしれません。

 タイトルが似ているからと『ジェントルメン』みたいな凝ったストーリー展開を期待すると肩透かしであろうが、「ナチスぶっ殺し映画」としては期待通りの内容だった。やっぱり私、ガイ・リッチーの映画は好きだなぁ。やたら肌に合う。次は地元の映画館で公開されるぐらいの規模だといいな……『ジェントルメン』は映画館で観たけど、こっちは近所の映画館で上映されていなかったんですよ。とにかく最近はファミリー向け大作映画以外の洋画の扱いが悪すぎる!

・それとネトフリで『超かぐや姫!』も観た。

 Netflixの潤沢な予算で作られたオリジナルアニメ映画。あくまで予想ですが、制作費は10〜20億円くらい掛かっていると思う。今のところ配信オンリーで、劇場公開されておりません(プレミア公開のイベントはあったみたいだけど)。概算で10億円以上掛けてるのに映画館で上映しないの!? とビックリしますが、ネトフリは過去にアニメ映画で配信と劇場公開を連動させようとして散々な目に遭っていますので……『進撃の巨人』の「荒木哲郎」監督のもと、脚本の「虚淵玄」、キャラデザ原案の「小畑健」、音楽の「澤野弘之」と、錚々たるクリエイター陣を集め、葬送たる興行収入(2億円にも届かないレベル)を叩き出した『バブル』(2022)が有名です。『バブル』の後も『雨を告げる漂流団地』(2022)、『好きでも嫌いなあまのじゃく』(2024)で配信と劇場上映を連動させましたが、いずれも興行的にはパッとしない結果に終わった。公開規模が小さすぎたせいもあり、この二つに関しては測定不能なんです。恐らく両方とも1000万円行かなかったんじゃないかと思われる。一個でもヒットしている作品があれば、この『超かぐや姫!』も映画館で観ることができただろうな……そのことが惜しまれて已まない面白さでした。

 女子高生「酒寄彩葉(さかより・いろは)」は幼い頃に父を亡くし、母との折り合いが悪いため親元を離れて一人暮らしをしている。母への反発心から仕送りは受け取らず、学費も生活費もバイトで稼いでいた。自腹で学費を払っている以上、学業も疎かにしない。バイト、勉強、バイト、勉強、バイト、勉強……ひたすらストレスが溜まる日々。彩葉にとっての気晴らしはVR空間「ツクヨミ」でのゲームと、AIライバー「月見ヤチヨ(るなみ・やちよ)」の推し活くらいだった。そんな彼女はある日、七色にゲーミング発光する電柱を見掛ける。怪しいし放置して立ち去ろうとするが、運命の強制力によってか、電柱の中から出てきた赤ちゃんを保護するハメに。赤ちゃんはみるみるうちに成長し、やがて彩葉と同い年くらいの少女になる。「まるでかぐや姫だな」ってことで少女に「かぐや」という名前を付け、なし崩しで二人暮らしすることになるが、ツクヨミでヤチヨのライブを鑑賞したかぐやはいたく感激し、「あたしもライバーになる!」と宣言して……。

 舞台設定は2030年の日本、ちょっぴり未来のSFコメディです。「結局ゲーミング電柱は何だったんだよ!」等、細かいツッコミどころは多いがそのへんは勢いで押し切ってくれる。とにかくノリがイイんですよね。キャラに個性があって、掛け合いのテンポが良くて、目まぐるしく変わる表情が非常に活き活きしている。快楽中枢を刺激する、まるで「観る麻薬」みたいなアニメだ。本当、ビックリするぐらいにグリグリと絵が動いて気持ちイイんですよ。去年やってた(今でもまだ上映してるとこ多いけど)チェンソーマンのレゼ篇に匹敵する気持ち良さ。これが劇場公開ナシだなんて勿体ない! と叫びたくなります。あと実在のボカロ曲をいろいろ使用していてそのへんも聴きどころらしいが、私はボカロに詳しくないので漠然と「イイ曲だな」としか思いませんでした。

 再生時間は142分で結構長い。何なら「高畑勲」監督の『かぐや姫の物語』(137分)より長い。前述した『バブル』がだいたい100分くらいの映画なんで1.4倍、まぁ確かにこの長さのオリジナルアニメを劇場公開するのはちょい厳しいものがあるかな……という気はします。ヒットするかどうか読みづらいオリジナルアニメ映画の場合、90〜100分ぐらいがちょうどいいサイズと見做されますからね。もし劇場公開前提ならもっと時間を縮められていたかもしれず、結果的にはコレで良かったのかもしれない。「月から来たかぐや姫は、いずれ月に帰らなくてはならない」という「かぐや姫」(「竹取物語」)のルールに則って展開する後半、かなりツイストの利いたストーリーになっているので好みが分かれるところでしょう。私もちょっとスケールの大きさにヒいてしまった部分がある。しかし、時間を費やして丁寧に描いてくれたおかげもあって受け容れることができました。それでもやっぱりラストは少し駆け足気味だったかな? あれ以上やるとさすがにクドいと感じる人も出てくるだろうし、難しいところか。

 とにかく、「芸術ぶるよりも先にまずアニメは気持ち良くなくちゃいけない」というコンセプトのもとに作られた超・娯楽映画であり、未視聴の方は四の五の言わずにさっさと堪能し(キメ)てほしい。これだけのためにネトフリに加入してもお釣りが出ます。「でも一度加入したら退会とか面倒臭そうだし……サブスクって退会し忘れると永続的に金を引き落とされるから……」って不安な方はコンビニでネトフリのプリペイドカードを買うといいです。金額分使い切ったら自動でアカウントが止まります。

 最後に、キャラに関して。ヒロインである「かぐや」の魅力もさることながら、個人的に一番気に入ったのは「駒沢乃依」ですね。「男のアバターで女装する」のが趣味というサブキャラ、ほとんどの人は初見で女の子と思ったかもしれませんが、私は骨格と所作を目にした瞬間「あっ、こいつ男だ」とすぐに気付きました。フリルで誤魔化してるけど肩幅が広くて意外とガッシリしてる。案の定、喋り出したら「松岡禎丞」の声が聞こえてきてガッツポーズ。あくまで「女装や可愛いポーズが好き」なだけで「女の子のフリをしている」わけではなく、声も低め。弓使い(サブウェポンで巨大チャクラムみたいなのも使う)で、いつも気だるげにしているけど決めるところはしっきり決めるスナイパーぶりがカッコいい。SNSをチェックしたところ、百合目的で視聴し始めて乃依に脳を焼かれるオタクが続出してるのは笑ってしまった。

・拍手レス。

 焼津さんは直哉好きだろうなぁ。と思ってたらやっぱりハマってましたね。『どうせ世界は終わるけど』は伊坂幸太郎の『終末のフール』や健速の『そして明日の世界より』あたりを想定して読むとちょっと読後感違いましたね。終末モノは結局は作者のクセや思想信条が表に出過ぎてしまう

 普段は舐め腐った論外なドブカスのくせに「オマエは!! 甚爾君やない!!」と心の柔らかいところが急に剥き出しになるシーンがあるの好きです。『終末のフール』! 懐かしい、読んだのだいぶ前なんで忘れてました。終末モノは要点を絞らないとどうしても漠然とした思考実験みたいな雰囲気になっちゃうから難しいですね。


2026-01-20.

『呪術廻戦 第3期「死滅回游 前編」』で「禪院直哉」が「脹相」をボコボコにするシーン、通称「ドブカスラッシュ」がグローバルにバズっているせいでほぼ毎日直哉構図を見るハメになっている焼津です、こんばんは。

 『死滅回游 前編』を観てる人には説明不要だろうから、『呪術廻戦』まったく知らない人や原作しか読んでない人に向けて軽く解説します。禪院直哉(ぜんいん・なおや)というキャラは『呪術廻戦』の主人公でもそのライバルでもなく、アニメ3期目に当たる『死滅回游 前編』で初登場した、要は「ポッと出のサブキャラ」です。ネームドだし、17巻の表紙にもなっているから、モブというほどでもないが「作品の顔」ってレベルの重要人物ではない。京都弁で舐め腐った言動をするのが特徴で、救いようのない下劣さからファンの間では「ドブカス」という蔑称で親しまれている。この「ドブカス」も本編に出てくるセリフに由来しています。設定上は「それなりに強い」という扱いながら、特に大きな見せ場があるわけでもなく、「噛ませ犬としてはサイコロステーキ先輩よりはマシ(優遇されている)」程度の存在です。何せ『死滅回游 前編』の1話目で強キャラっぽく登場したのに、2話目ではもう敗北して無様に這いつくばっている。助けが来なかったらそのまま死んでいた可能性すらあります。そんな奴が余裕ぶった顔で髪を掻き上げながら片手間とばかりに右腕だけで相手をボコボコにしている(一方的な展開ではあるが、全然致命打にはなっていない)のが面白くてバズったわけですが、構図があまりにも特徴的でパロディしやすいこともあってか恐らく「元ネタを知らない層」にまで広まっている。私が笑ったのはアロナが「最低保証」で先生をボコボコにする動画。この流行に一番困惑しているのは『呪術廻戦』の原作ファンでしょう。

 なぜなら、このドブカスラッシュ、原作には「存在しないシーン」だからです。直哉が脹相と戦う場面自体は存在するのですが、主人公の「虎杖悠仁」と同時に相手取っている……脹相視点からすると「2対1で優位なのに押し切れずなぜか捌かれてしまう」という直哉の得体の知れない強さをアピールするシーンであり、別に脹相が一方的にボコられているわけではない。直哉の動きもどちらかと言えば合気っぽい感じで、殴るというより重心を崩すような所作だった。しかしアニメでそれじゃ地味すぎる、とMAPPAが判断したのか、アニメ版直哉は縦拳(親指を上にした拳、腰の捻りを伝えにくく威力こそ出しにくいものの手首を捻らないため手数は増やしやすい)を高速で連打する截拳道(ジークンドー)とか詠春拳っぽいアクションになっています。直哉の能力はざっくり言うと「頭の中でイメージした動きをトレースする」というものなんで、知識さえあれば何でも再現できる。つまり合気が中国拳法に変わっていても本質的に大差はない。ただ、逆に言えば「イメージした動きしかトレースできない」わけで、あの髪かきあげポーズも「余裕だからついやってしまった」わけではなく「最初からあの動きをイメージしていた」ことになる。

 直哉は確かにデリカシー0だし、武器を所持しているのに「得物使うと弱く見える」というふざけた理由で徒手で闘ったりと、敵を舐め腐っていてリスペクトの念など一切持ち合わせていない俺様野郎のカスではあるが……「ついカッコつけて髪を掻き上げてしまった」のと「最初からカッコつけるつもりで髪を掻き上げる動作をイメージしていた」のとではキャラの解釈が変わってくる。結果的に視聴者が喜んでいるんだからアニオリでもいいだろう、で流されそうな雰囲気となっていますが、この「バズれば官軍」なムードにうっすら不安を抱いているファンもいる模様。死滅回游は『呪術廻戦』の中でも特に長いエピソードで、「原作に忠実」だとアニメ勢はダレて脱落してしまう可能性もある。だからMAPPAもいろいろと工夫を凝らしてくるはずなのだけど……それが良い工夫なのか悪い工夫なのか、蓋を開けてみなければわからない。今は賽の目に祈りを捧げるばかりだ。

人妻エロティックサスペンス「淫獄団地」ショートアニメ化、コメント&記念イラスト到着(コミックナタリー)

 ショートアニメとはいえ、あの『淫獄団地』が……!? 『搾精病棟』というヌキ目的みたいなタイトルでシリーズ後半は怒濤の展開を見せる同人CG集で話題を喚んだ、あの「搾精研究所」が原作のコミックです。作画担当は「丈山雄為」、『リビドーハンタータケル』や『ヤミアバキクラウミコ』など10年くらい前まで“ジャンプSQ.”で活躍していた漫画家。この人はもともとおバカなエロを描くのが大好きなんで、『淫獄団地』もノリノリで描いています。

 「人妻エロティックサスペンス」という触れ込みでエロ主体の漫画を連想するかもしれませんが、正直「バカバカしさ」の方が勝ちます。『淫獄団地』の「人妻」たちは皆何らかの欲望を秘めており、「リビドークロス」と呼ばれる衣装を纏うことでその欲望を全開にして怪人化、罪なき人々を襲い始める。若くして団地の管理人になった主人公「ヨシダ」は、彼女らの欲望を鎮めるため対人妻兵器を持って立ち向かう……! ノリは完全に特撮のソレです。変態人妻たちの危険度は3段階に分けてランク付けされており、最上位に当たる危険度「S」は「未確認反社会人妻」と呼ばれ、「何をしてるか正体不明」「関わったら死ぬ」ともはや怪異か何かのような扱いである。

 タイトルのせいで敬遠する人も多く、「次にくるマンガ大賞」でも票が集まったのに「ノミネート除外」、つまり門前払いの処置を喰らった不遇の作品である。次マンは「二次創作と18禁は対象外」なので、18禁じゃないけど内容が際どい『淫獄団地』は「とにかく・・次マンへのノミネートは認めん・・賞のブランドに傷がつくからな・・」と審査すら受けることができなかった。この件に関しては『淫獄団地』側に怒る権利があると思うので、「あの『次にくるマンガ大賞』が恐れた! 唯一無二の『ノミネート除外』作品!」ぐらいの宣伝はしていいだろう。

 さすがに「淫」の文字はまずかったのか、タイトルは『インゴクダンチ』とカタカナに変更される模様。それでも、ぬきたしに続いて『淫獄団地』まで地上波で放送されることになろうとは……つまり、『ハイパーインフレーション』や『ローゼンガーテン・サーガ』、『This コミュニケーション』、『チンチンデビルを追え!』、『不老不死少女の苗床旅行記』、『魔法医レクスの変態カルテ』、『聖なる乙女と秘めごとを』などにもアニメ化の兆しが見えてきた、ということか。新時代に突入だな。

「FX戦士くるみちゃん」今年アニメ化、くるみ役は鈴木愛奈 チャートに一喜一憂するPV(コミックナタリー)

 『FX戦士くるみちゃん』アニメ化!? 驚きの度合いでは『淫獄団地』に比肩しますよ! というか↑で列挙するタイトルの中に含まれていたから慌てて消すハメになった。『FX戦士くるみちゃん』はもともと原作の「でむにゃん」が「新都社」というサイトで連載していた、言わばインディーズのマンガで、2021年から「炭酸だいすき」の作画でリメイクされて商業化しました。でむにゃん作画版ではデリヘル行きだった子が「出張マッサージ」になっていたりと、性的な部分に関しては若干表現が緩和されています。でもFXで生きるか死ぬかの大バクチをかまして「天国と地獄」を味わう、という箇所に関しては緩和されていないどころか強化されていると申し上げても過言ではありません。

 『FX戦士くるみちゃん』の主人公「福賀くるみ」は女子大生。中学生の頃に母親が亡くなっており、父親と二人暮らしをしている。主婦だった母の「福賀梢」は「ちょっと夕飯を豪華にして、娘や夫に良い物を食べさせてあげたいから」と軽い気持ちでFX(外国為替証拠金取引)を始めてしまった。最初はいい調子でルンルン気分だったが、やがて損が出るようになり、「負け」を取り戻そうと「家のお金」に手を出し……リーマンショックで、すべてが砕け散った。2000万円が泡と消え、責任を感じた梢は飛び降り自殺。母親が精神的に追い詰められていたことを知りながら自殺を防げなかったくるみは、後ろめたさから目を背けるためにFXを憎悪する。そして20歳――FXを始められる年齢になったくるみは、亡き母に誓う。見ていて、お母さん。貴女が失った2000万円を、私が取り戻す……FXで!

 ってな具合で、復讐心から弔い合戦としてFXを始めたヒロインがその魔力に取り憑かれ、ズブズブと沼に沈んでいく様子を描く金融サスペンスです。文字通り、「金」が「融」ける。生半可な知識で金融取引に手を出してはいけない、という教訓が得られる作品であり、冗談抜きで10代や20代の若者に観てもらいたい。ちなみに私はこの種の怖さを『流星たちの宴』『リスクテイカー』で学びました。『流星たちの宴』のキャッチコピー、「見上げれば銀河、眼下には奈落」が未だに好き。

 リーマンショック(2008年)の時点で中学生、20歳になったところでFX開始――というところでピンと来た人もおられるでしょうが、時代設定は2010年代で少し古めです。一万円札は当然福沢諭吉だし、成人年齢も20歳。これがどういうことかと申しますと、「現実の相場の値動き」をそのまま反映している物語なんですよね。つまり、「昔の相場」を覚えている人であればストーリーの展開がだいたい読める。たぶんアニメではやらないだろうが、少し前まで連載していたエピソードが「スイスフラン編」……知らない人は「?」でしょうが、知ってる人は思わず「ヒュッ!」と喉が鳴ってしまうかもしれません。「絵柄の可愛いウシジマくん」という評が言い得て妙です。

 くるみ役を演じる声優は「鈴木愛奈」、『ラブライブ!サンシャイン!!』の「小原鞠莉」や『邪神ちゃんドロップキック』の「邪神ちゃん」をやった人です。個人的には『結城友奈は勇者である』の「ぐんちゃん」こと「郡千景」が迫真の演技で印象に残っている。監督は「小川優樹」、『見える子ちゃん』のアニメでも監督を担当してた人です。っていうか、偶然だろうけどさっきから「ちゃん」が多いな。制作は「パッショーネ」、『異修羅』とか『片田舎のおっさん、剣聖になる』、『ぬきたし THE ANIMATION』を手掛けたスタジオ。まだ発表のみで放送時期は不明ながら『生徒会にも穴はある!』のアニメも制作予定。PVを観た感じでは原作のイメージから大きく外れる内容ではなさそうだし、期待しています。

『ボトムズ』15年ぶりの完全新作『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』発表!押井守氏が監督を務め、アニメーション制作はサンライズ、制作協力としてProduction I.Gが参加。サンライズ50周年記念作品として2026年に展開へ(電ファミニコゲーマー)

 「炎の匂い しみついて むせる」や「分隊は兄弟、分隊は家族。 嘘を言うな! 猜疑に歪んだ暗い瞳がせせら嗤う」でお馴染みのボトムズの新作、しかも監督が「押井守」で動揺を隠せない。『装甲騎兵ボトムズ』は1983年から1984年にかけて放送されたTVアニメ、『宇宙戦艦ヤマト』が1974年で『機動戦士ガンダム』が1979年だから感覚的には「ヤマトの10年後、ガンダムの5年後」くらいの位置付けにあるロボットアニメです。近い時期の作品としては『超時空要塞マクロス』(1982年)や『聖戦士ダンバイン』(1983年)などがある。なお1985年に『機動戦士Ζガンダム』が放送を開始しています。

 「銀河が二つに割れた星間大戦争」というSFチックなストーリーを背景にしているが、肝心の「百年戦争」は両軍が疲弊したことで休戦状態になっており、本編ではそこまで掘り下げられない。1話目のタイトルも「終戦」です。主人公の「キリコ・キュービィー」は軍人として奇妙な任務に参加し、そこでヒロインの「フィアナ」と出会う。ロボットアニメとしてはミリタリー色が強く、主人公たちの搭乗するロボットを「無敵の砦」ではなく「鉄の棺桶」として描くなど「人名の軽視」がテーマの一つになっている。タイトルのボトムズは「明日をも知れぬ最底辺の兵士たち」という意味で付けられています。監督は「高橋良輔」、ボトムズの前に『太陽の牙ダグラム』を担当し、ボトムズの後に「蛇腹剣」の象徴である「ガリアンソード」が出てくる『機甲界ガリアン』も手掛けている。「リアルな戦争描写」はダグラムでやり切ったという思いから、「ボトムズはエンターテインメントに特化させよう」と考えたそうだ。1998年の『ガサラキ』以降はあまり目立つ仕事をしていないが、最近だと『ザ・ファブル』の監督もやっています。監督曰く「絶対に外せない大きな企画は自分のところに回ってこない、『とりあえずやってみようか』みたいな企画は来る」とのこと。ボトムズは橋監督のセンスに支えられている部分が多く、何かとネタにされたりパロられたりする次回予告のテキストも監督自らが執筆している。そのセンスを買われて『今、そこにいる僕』というアニメでは次回予告だけ書いたこともあるぐらいです。

 今で言う「シェアワールド」とか「メディアミックス」のような試みをした作品でもあり、『青の騎士ベルゼルガ物語』というキリコ以外の人物を主人公に起用した外伝作品もあります。「虚淵玄」は少年時代にこの『青の騎士ベルゼルガ物語』を読んで深い影響を受けた、と公言している。TVアニメとして放送された作品は『装甲騎兵ボトムズ』のみだが、OVA作品が多く、『機甲猟兵メロウリンク』や『赫奕たる異端』、『ペールゼン・ファイルズ』などがある。最後に作られたOVAは2011年の『孤影再び』。今回の『灰色の魔女』はどういう形態で公開するのか明かされていないが、劇場映画か、もしくは配信形式のOVAになるんじゃないかと思います。これまでのボトムズ作品は、メロウリンク以外ほとんど高橋良輔が監督してきた(スピンオフの『装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE』や『ボトムズファインダー』といった例外はある)ので、橋以外、それも押井守というビッグネームが乗り込んでくるとあって大きな驚きが湧き上がってきたワケです。

 ボトムズはキリコを主人公にしたシリーズがメインであるが、ティザームービーにチラッとも映らなかったところを見ると今回はキリコ出て来ないのかな。キリコのストーリーは『小説 装甲騎兵ボトムズ チャイルド 神の子篇』が今のところ最新で、子連れ狼よろしく幼い子供を抱えながら彼の旅はまだ続いている。ただ、『赫奕たる異端』以降で描かれる「本編が終了してからの後日談」はあまり人気がなく、過去編に当たる『ペールゼン・ファイルズ』の方がファン受けはいい。なので、キリコが出てくるとしたら過去編かもしれない。20年以上前に雑誌の“Newtype”で橋良輔と押井守が対談したことがあるらしく、当時の記事そのものは公開されていないが当時の記事に反応した「小黒祐一郎」のコラムはまだ残っています。ボトムズのミリタリー描写にかなり感銘を受けたみたいなので、少なくともミリタリー要素は外してこない……と思う。

 押井守と言えば『Avalon 灰色の貴婦人』という本も出しており、「灰色」繋がりでちょっと思い出したが関係はないだろう。『ロードス島戦記』の副題とカブっているのも単なる偶然かな。しかし、『水星の魔女』、『キルケーの魔女』と来て『灰色の魔女』……ジークアクスにも「魔女の戦争」というエピソードがあったし、サンライズ魔女多過ぎ問題。「Die Graue Hexe」と英語ではなくドイツ語のタイトルになっているのも何か意味があるんだろうか? 押井守の“ケルベロス・サーガ”は「日本が英国と同盟を組んだ結果、独逸・伊太利の枢軸国に敗北し、終戦後独逸に占領された」ifを描いているから、「ケルベロス・サーガの世界を舞台にしたコラボ作品」という線も捨て切れない。正直期待よりも不安の方がデカいけど、劇場作品なら是非とも映画館で観たいな。出来がアレだったとしてもそれはそれで楽しめる気はする。

・結城真一郎の『どうせ世界は終わるけど』読んだ。

 映画化した『#真相をお話しします』の作者「結城真一郎」最新単行本。著書としては7冊目に当たります(ちなみに『#真相をお話しします』は4冊目)。ジャンルは「SF」かな? 「100年後に小惑星が衝突し、地球の全生命が滅亡するとほぼ確定した」世界を舞台に、6つのエピソードを紡ぐ連作短編集です。一編一編の繋がりは薄く、総決算に当たる最後のエピソード「どうせ世界は終わるけど」以外はどういう順番で読んでも構いません。特にこだわりがなければ順番通りに読んだ方がわかりやすいと思います。

 小惑星の名は「ホープ」――「明確な終わり」を意識することで人類はあらゆる対立を捨て、一丸になって問題に取り組むことができるのではないか、という望みを託して命名された。無論、そんな都合の良い話にはならなかった。相変わらず世界は惰性で動き続け、あらゆる問題は解決の兆しを見せずにずっと引きずったまま、「どうせ世界は終わるのに」という厭世観がへばりついている。「未来のない世界」で生きる人々は、ルターのように「たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私はリンゴの木を植える」と希望を懐けるのか……。

 各編何らかの仕掛けが施されていて、オチの部分で「あっ!」と膝を打つ、ミステリ的な意匠を施された小説集です。とはいえあまり大きな事件は起こりません。どんな大事件を描こうと、「人類が滅亡する」インパクトの前では霞んでしまいますので……「世界の終わり」が確定した状況で展開するミステリというのは実のところ既に存在しており、具体的なタイトルを挙げると「ベン・H・ウィンタース」の『地上最後の刑事』です。こっちは「半年後に小惑星が衝突する」設定なので『どうせ世界は終わるけど』よりも状況が差し迫っている。三部作だけどあまり売れなかったのか、第二部『カウントダウン・シティ』と完結編『世界の終わりの七日間』は文庫化されていません。もっと切羽詰まった状況で刑事たちが足掻く物語をご所望でしたら、そっちに行った方が宜しいかもしれません。

 何せ100年後だ。初報に触れた人間のほとんどは衝突前に寿命で亡くなります。「心配しても仕方ない問題」と言えばそれはそうで、滅亡のカウントダウンが始まったにも関わらず漂う空気はどこか長閑。ただ、「子供や孫は滅亡に直面するかもしれない、そうとわかっていてなお子供を作るのか」といった葛藤に直面するし、「科学者の計算が間違っているかもしれない」「途中で何かが起こって『ホープ』の軌道が逸れるかもしれない」と考えている滅亡否定派も存在し、「滅亡を回避するために『アルマゲドン』みたいな計画を練ろう」と絶望に立ち向かっていく人々もいるから足並みが揃わず、どこか不穏な気配も流れている。ちょっとネタバレになりますが、大きな暴動とか国が割れるレベルの内戦とか、そういうスペクタクルはありません。描写されていないだけで世界のどこかでそういう事態が発生しているかもしれないけど、本書で綴られるのはもっと小さな日常の数々です。

 「第一話 たとえ儚い希望でも」 … 「吉岡日向」は滅亡の日を待たずして命を絶った。いったい何が彼女を絶望させたのだろう? 日向の幼なじみである「私」は、彼女と過ごした青春の日々を思い出す――「自殺した幼なじみ」の謎を追う体裁になっていますが、その謎が解けたところで日向は二度と戻ってこない、という虚しさに裏打ちされた一編。冒頭一編目ということもあってあまり複雑なストーリーではなく、「仕掛け」も至ってシンプルです。というか、この本は全体的にそこまで難解な「仕掛け」を用意していないので、あまり身構えず自然な態勢で読んだ方が吉です。インパクトはないが、本書に最後まで目を通すともう一度読みたくなるエピソード。

 「第二話 ヒーローとやらになれるなら」 … 俺は絶対、歴史に名を残すビッグな男になる――そう吹聴してやまず、「ビッグマウス」と揶揄われたのも昔の話。「村井」は小惑星衝突のニュースによって、名を残すべき「歴史」そのものが消え去ってしまう事態に耐えられず、心が折れてしまった。自信を喪失しながらも就職活動を行っていたところ、同じ高校に通っていた女性「諏訪部」と再会し、「村井くんは、私にとってヒーローなんだからさ」「誰がなんと言おうと、永遠にね」という言葉を掛けられる……「ヒーローになる」という志を見失いかけていた青年が、誇りを取り戻すまでのエピソードです。諏訪部とは親しくしていたが「永遠のヒーロー」と呼ばれるほどのことを成し遂げた記憶はなく、戸惑う村井。なぜ彼女はそこまで彼を持ち上げるのか? 「たとえ儚い希望でも」が暗めの話だったから「読み進めるのがイヤになってきたな」と感じる人もおられるかもしれませんが、せめてこの話までは読み進めてほしいですね。それでも「面白くない」と感じるのであれば「合わない」ということですから読むのをやめた方が良いかもしれません。

 「第三話 友よ逃げるぞどこまでも」 … 離島に上陸し、勝手に住み着いて世捨て人の如く暮らしていた「私」。しかしある日、同じ島に「逃亡者」がやってくる。憎めない言動によってあっという間に距離を詰めてくる剽軽な男。「私」はその顔に見覚えがあった。間違いない、こいつはよりによって刑期満了の一日前に逃亡し、全国で指名手配されている殺人犯にして脱獄囚「永瀬北斗」だ……「世捨て人と脱獄囚のふたりぐらし」という、なかなか他にはない読み口が面白い一編。永瀬には懸賞金が掛かっているので、金目当てに通報しようかどうか「私」は迷います。「ヒーローとやらになれるなら」が「厭世観に立ち向かう人」の物語だとすれば、これは「厭世観から逃げ延びようとする人」の物語です。

 「第四話 オトナと子供の真ん中で」 … 学級委員の「山路芽衣」、授業では進んで挙手し、掃除中にふざけている男子がいれば「ちょっと男子! 真面目にやりなさいよ!」と叱責する、ちょっとウザいぐらいに真面目な少女。親しみを込めて「マジメイ」と呼ばれていた彼女は、夏休み明けに変わってしまった。いつもぼうっとして、溜息をつき、顔色もどこか冴えない。言うこともどこか厭世的で、「やさぐれた」としか表現のしようがない変貌ぶりだった。「家出して東京まで行く」というマジメイの計画に、成り行きから付き合うことになった「僕」だったが……マジメイと「僕」は小学六年生で、「二人きりの家出旅行」ではあるものの艶っぽい雰囲気は漂わない。なんというか「夏頃に上映される映画」みたいなムードなんですよね。「この夏、アナタはマジメイの言葉に涙する……感動の青春ストーリー!」「映画館でマジ泣き!」的な。なぜそこまでマジメイがグレちゃったのか、という謎を主眼に置きつつ、「存命中に世界が滅ぶかもしれない世代」である「僕」の心の動きを追っている。爽やかさで言えば「ヒーローとやらになれるなら」と並ぶほど清涼感のある一編。もし実写化されたらサイダーとかラムネを飲みながら観たい。

 「第五話 極秘任務を遂げるべく」 … ゆとり世代、さとり世代と来て、お前らは「みとり世代」だ――成す術もなく世界が終焉を迎える様をただ看取るしかない、無力な世代として揶揄される「俺」。度重なるパワハラに堪忍袋の緒が切れて、取引先の担当者を殴ってしまった結果、当然の如く懲戒免職。酒に溺れ、ギャンブルに熱中し、借金をこさえ、妻から見放された。そんなクズの「俺」をまだ「パパ」と慕ってくれる娘のため、「極秘任務」に従事する決断を下す……再生物語、という意味では「ヒーローとやらになれるなら」と一緒だが、こっちは前科持ちで割と本格的な落ちぶれ具合です。ただ、「酒に溺れ」た割にアルコール依存症にはなっていないみたいで、「なんかあっさり立ち直ったな」という印象を受けます。「娘のためにもう一度奮起するパパ」という感動モノとして手堅いストーリーラインを厳守しているものの、「仕掛け」の単純さといい立ち直りの早さといい、エピソード的にはちょっと軽いかしら。

 「第六話 どうせ世界は終わるけど」 … 結婚相手の連れ子、つまり義理の息子「みっくん」は「気象予報士になる」という夢を持っていたが、友達から「どうせ世界は終わるのに、そんな仕事になんの意味があるんだよ」と揶揄われて、揉み合いの喧嘩になったらしい。その友達「萩原くん」とは仲直りしたものの、以来不登校になったみっくん。でも「私」は知っている。みっくんと萩原くんが仲直りの握手をするとき、こっそり意味ありげな笑みを交わしていたことを……学校に行こうとしないみっくんの真意を探る、シリーズ完結編。これまでのエピソードに登場したキャラが次々と現れるので、これだけは最後に読んだ方がいいです。というか、これから読み出すと意味のわからない箇所が多すぎます。

 最終的に、人類は本当に滅んだのか、それとも滅びを回避したのか、ハッキリとは言及せずに幕を引く。あくまで「人類滅亡」は舞台装置と割り切った措置で、シミュレーション的な小説ではありません。世界情勢とかもそこまで深く触れられない。滅亡要素を目当てに読むと肩透かしかもしれません。「どうせ」と捨て鉢な風情を漂わせながら「けど」という逆接で締める、諦めの中で諦め切れない諦めの悪さをカラッと描いた小説です。試しに一個だけ読んでみたい、というのであれば私がオススメするのは「第三話 友よ逃げるぞどこまでも」ですかね。「社会」から切り離された男ふたりの関係がなんか心地良くて、ここはもっと長尺で書いて欲しかったな、と願ってしまいます。


2026-01-13.

・冬アニメもポツポツ始まっているけど、わたなれの13話〜17話を観返したり、再放送の『瑠璃の宝石』や『アポカリプスホテル』を再視聴したり、Fakeを「whispers of dawn」から観直したりしていたせいでほとんどチェックが進んでいない焼津です、こんばんは。

 ちなみにこの「whispers of dawn」、簡単に言うと『Fate/strange Fake』の「第0話」に相当するエピソードです。アメリカ西部に位置する架空の街「スノーフィールド」を舞台に繰り広げられる「偽りの聖杯戦争」へ参加するマスターとサーヴァント、各陣営の紹介を兼ねた1時間ほどのアニメで、原作だと1巻の内容。「原作」というか、2008年に成田良悟が個人サイトで発表したエイプリルフールネタがコレだったんですよね。当時『レンタルマギカ』を書いていた三田誠(言うまでもなく『ロード・エルメロイU世』シリーズの作者)も協力していたらしい……と言っても手伝ったのは本編のネタ出しではなく、ストーリー終了後のステータス表示とかだったらしいが。Fakeはもともと「非公式の二次創作」で、公式化するまでが長かったんですよ……続きが読めたの、2015年の5月ですから7年も待たされた勘定になる。第1話「英霊事件」のストーリーは書籍版で言うと2巻、Fakeが公式化してからのストーリーです。第0話「whispers of dawn」を飛ばすと話がわかりにくいので、「whispers of dawn」→「英霊事件」の順で観ることをオススメします。

 「Fateってタイトルは見たことあるけど、実は1個も観たことないんだよな……このFake? とかいう奴、ちょっと気になってるんだけど、予備知識なくても楽しめるの?」という方には「はい! 楽しめますよ!」とニコニコ顔で答えたくなるが、まぁ正直予備知識として『Fate/Zero』と『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』くらいは最低限観ておいた方がイイかもしれませんね。「時間がない」「面倒」と言うのであれば無理には薦めませんが……小ネタまで極めようとすると『Fate/hollow ataraxia』や『Fate/Prototype』、『Fate/Grand Order』なども押さえないといけなくなる(特にFGOでは成田良悟がシナリオを書いた「神が造り、人が紡ぎ、土に還る」という本1冊分に相当するエルキドゥの幕間ストーリーが配信されている)からキリがなくなりますし。

 ただ、今年のゴールデンウィークにFGOでFakeコラボイベントを開催するという噂もあり、暇があるならFGOを始めてみるのも一興……大丈夫、今からでも一生懸命やり込めば私より強くなれますよ!(ニコニコ) 真面目な話するとFGOにPVP要素はないし、ストーリーの難所も「霊脈石」というコンティニュー用アイテムや令呪を使ったりすればだいたい強引に突破できるからそこまで強くならなくても何とかなります。ただし第二部第七章のクライマックスはコンティニュー不可なので、そこまでに戦力を整える必要はある。そのへんも「巡霊の葉」というアイテムで交換できる配布サーヴァントを編成すれば概ね事足りるし、「チュートリアル以外のガチャは回さない」という縛りプレイで3日以内に全クリした人もいるので「攻略する上で課金の必要はない」ことは申し上げておきます。「推し」と出会ってしまえばその限りではありませんけども……(今は福袋やデスティニーオーダーのために有償石を買う程度の微課金勢だけど、昔は推しを宝具レベル5にするため〇万円突っ込んだ人)。

TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』、4th season 2026年4月放送・配信開始!

 2016年から放送を開始したリゼロアニメもいよいよ4期目に突入するわけですが、変則的な放送枠も影響して記憶が混乱してきている人もいるのではないでしょうか。私は加齢のせいもあってちょくちょく混乱します。なのでここで軽く振り返ってみるとしましょう。

 まず、リゼロの原作はエピソードの区切りを「章」という単位で分割しています。主人公のスバルは「死に戻り」という、「死亡すると時間が巻き戻る」能力というか体質がある。これを駆使していろんなトラブルを潜り抜けていくわけですが、ある程度時間が経過すると「死に戻り」でリスポーンするポイントが更新されます。この「リスポーン地点の更新」がだいたい「新章突入のタイミング」と一致している(厳密には一致していないので、あくまで「だいたい」です)。一章は王都でヒロインの「エミリア」と出逢い、その後「腸狩りのエルザ」と遭遇して死ぬ――というデスループ。チュートリアルに当たる章なので、後の章に比べるとかなり短い。書籍版の1巻に相当し、アニメだと3話で終了する。1期目の1話は1時間スペシャルなので、ボリュームで言うと4話分です。

 次の4話目でロズワール邸に移り、通称「屋敷編」の二章が始まる。「屋敷編」が終わったのは11話、つまり二章のボリュームは8話分で、一章の倍に当たります。原作のボリュームも倍くらいで、書籍版の2巻と3巻に相当。12話からいよいよ「魔女教」との戦いが始まる三章開幕、三章は絶望に次ぐ絶望であり、「こんなん無理ゲーだろ!」と叫びたくなる展開目白押しだ。一章がチュートリアル、二章がウォーミングアップで、三章からがリゼロの本番と言っていい。立ち塞がる魔女教の大罪司教「怠惰のペテルギウス」はあまりに強敵で、勝ち筋がまったく見えない。ペテルギウス・ロマネコンティは声優「松岡禎丞」の怪演もあって印象に残っている人が多いという。ちなみに原作者の「長月達平」本人が書いたプリコネとのコラボイベント第1弾「Re:ゼロから集まる異世界食卓」ではペテルギウスがボス役を担当し、「宴おばさん」こと「クリスティーナ・モーガン」と戦うシーンもあります。「見えざる手」vs「乱数聖域(ナンバーズアヴァロン)」(シナリオ配信時は☆6開花前)がアツかった。

 閑話休題。三章はそれまでの章に比べてかなり長く、1期目の12話以降はずっと三章で、25話(最終話)でやっと完結する。ボリュームにして14話分、一章の3.5倍だ。原作だと4巻から9巻までの6冊がずっと三章であり、本来の比率に直すと24話くらいは必要な内容なんで、あれでもかなり原作から削っています。ともあれ2016年の4月に放送を開始した1期目は9月に最終話を放送し、三章まで消化したところで閉幕となりました。ここから2期までが長く、4年近く掛かっている。その間にOVAの『Memory Snow』と『氷結の絆』を制作していますね。リゼロは本編も先月出た最新刊が43巻とかなり多いが、番外編とかサイドストーリーとかifストーリーが山ほどあって、「その内容を知っている」ことが前提で進んでいくため、番外編やサイドストーリーをほとんど省略しているアニメ版しか見ていないとよくわからない箇所もいくつかある。たとえばラムとレムがロズワールのところに身を寄せている経緯はアニメだと軽くしか触れられていないが、原作小説だと「鬼の里」を亡ぼした魔女教の連中に復讐する過去エピソードが執筆されています。『隠れ里の鬼姉妹』というタイトルで、1期目の円盤特典として付いてきたスピンオフ作品。こちらは電子化もされておらず、現在だと少し入手困難か。数が多いからそこまでプレミア化してないし、駿河屋とかメルカリなら1000円前後で買えるかもしれません。話をOVAに戻すと、『Memory Snow』は二章と三章の間に位置するエピソード。日常要素が強く、あまり本編とは密接に関わってこないのでストーリーだけ追いたい人は飛ばしても大丈夫。『氷結の絆』はエミリアの過去編で、これも『隠れ里の鬼姉妹』同様に円盤特典でした。コミカライズ版もあります。「四大精霊」の一角である「メラクェラ」が登場するエピソードで、エミリア自体にそこまで興味がないのであれば飛ばしても構いませんが、なるべくなら目を通しておいた方がベター。

 アニメの2期目は2020年7月、夏アニメとしてスタートしました。しかし制作の都合からか、1期目と違って連続2クールではなく分割2クール。後半に当たる第2クールは2021年1月、冬アニメとして放送された。3期目も分割だったし、「放送が飛び飛び」なのも記憶が混乱する要因の一つと言えます。物語は四章、いわゆる「聖域編」に突入。三章は「魔女教」が重要なファクターとなっていたが、四章は「魔女」そのものについて掘り下げていく。リゼロの世界において、昔は「七つの大罪」に対応する「七人の魔女」がいました。しかし「嫉妬の魔女」である「サテラ」が他の魔女たちの力を奪ったことで、サテラが「唯一の魔女」となります。そしてその莫大な力を振るって世界を亡ぼしかけたが、封印された。魔女教が崇拝しているのは「七人の魔女」ではなく、あくまで「唯一の魔女」サテラのみ、他の六人は「ニセモノ」と唾棄している。そんな、魔女教からも認められていない「強欲の魔女」エキドナが眠る「聖域」で繰り広げられる、やや難解なストーリーがアニメ2期目の「聖域編」です。25話費やして原作の10巻から15巻まで、6巻分のエピソードを描いている。2期丸々4章だし、OPやED、時にはCMすら削って本編のボリュームを増やしたから物凄く長く感じたかもしれませんが、原作の長さで言うと実は三章と同じくらいなんです。

 エキドナの記憶を再生し、「七人の魔女」について触れたり、100年前(エミリアが眠りに就く前)のエピソードが挿入されたりと、後から見返すと非常に重要な伏線が埋設されているのだけれども、初見だと「よくわからない」って戸惑った人も多いのではないだろうか。特に「村長」こと「リューズ」は同じ見た目の個体がいくつも出てきますし。簡単に言うとあれはクローンで、聖域の外に行った個体もいます。そちらは「スピンクス」と名乗って外伝作品の『剣鬼恋歌』(ヴィルヘルムの爺さんがまだ少年だった頃の話)に登場。『剣鬼恋歌』は外伝作品の中でも特に重要なエピソードゆえコミカライズ版もあり、アニメしか観てない人は敵役の一人「バルガ・クロムウェル」の見た目にビックリするかもしれません。『剣鬼恋歌』のスピンクスは本編にも影響を及ぼす存在だから、いずれアニメでも触れられる……はず。三章や五章の「魔女教の大罪司教が出てくるからそいつをぶっ飛ばせばいい」というわかりやすい目標設定に比べて「何を成し遂げればいいのか」が見えにくく、爽快感が少ないこともあって四章の評価は割れ気味である。アニメから入った人だと回想シーンが多過ぎて話が前に進まない、と苛立ち「2期の途中で脱落した」ってケースも割と散見されます。その脱落した人が若干戻ってきたかな、という印象を抱いたのが3期目です。

 アニメの3期目はまだ記憶に新しいのではないだろうか。2024年10月、秋アニメとしてスタートしました。1話目「劇場型悪意」はなんと90分もある。通常の4話分に相当する大ボリューム。一章と同じくらいの分量をまとめて放送するという、大ヒットアニメにしか許されない掟破りの変則形式です。3期目は五章に当たる「水門都市編」、やはり今後は原則として一つのシーズンで一つの章をやるんだろうな、と実感させてくれた。まるでヴェネツィアのような水の街「プリステラ」を舞台に、魔女教の大罪司教たちが次々と襲撃してくる。「憤怒」担当の「シリウス・ロマネコンティ」、「強欲」担当の「レグルス・コルニアス」、「色欲」担当の「カペラ・エメラダ・ルグニカ」、「暴食」担当の「ライ・バテンカイトス」「ロイ・アルファルド」「ルイ・アルネブ」、なんと「七つの大罪」のうち半分以上が一気に押し寄せる「ヤバいですよ!」としか言いようがない章だ。「怠惰」担当のペテルギウスが既に討伐済みであること、魔女教の本尊である「嫉妬の魔女」サテラが封印中だということを考慮すると魔女教のほぼ総力を投じたような大計画です。ひたすらバトルが続くので四章に比べれば「敵」が明確ながら、複数のストーリーが同時進行するため一回見ただけでは内容を把握し切れないかもしれません。カペラあたりは「なんかいつの間にかいなくなった」という印象を受けるのではないだろうか。なおアニメでは3期で初登場となった吟遊詩人「リリアナ・マスカレード」は原作だと短編集の1巻に出てくるキャラで、プリステラの統治機構である「十人会」に所属する商会主「キリタカ・ミューズ」との因縁も短編「ゼロから始まる英雄譚」にて綴られるが、スバルたちとリリアナ、お互いに面識がなかったことから察するにアニメでは「なかったこと」にされている模様。短編集は重要なエピソードと比較的しょうもないエピソード、両方が混在しているのでアニメしか観てない人に薦めた方がいいのかどうか迷うんですよね……スバルの女装した姿である「ナツミ・シュバルツ」とか、アニメでやってほしいネタもいくつかあることはある。

 3期目はレグルスをボコるところとか、爽快感のある代物ではあったが構成が複雑で、たとえば「大罪司教とは別に暗躍していた存在」はファン以外の人だとあんまり記憶に残っていないかもしれない。今回も分割2クールで、前編に当たる「襲撃編」が10月スタートで11月エンド、後編の「反撃編」が翌年2025年2月に開始して3月に終了と、かなり変則的な枠だったから「知らないうちに反撃編始まってた」と驚いた方も少なくないはずだ。エピソード数は16話とやや少ないが、先述した通り「劇場型悪意」がかなり長くて4話分くらいはあったから+3話で19話分のボリュームとなります。原作の五章は16巻から20巻まで、5巻分なので三章や四章よりは若干短い。今年4月から始まる4期目は六章「砂の塔編」で、原作21巻から25巻に該当する。5巻分だから五章と同じくらい、ただページ数は六章>五章です。六章最終巻(25巻)は他の巻よりも100ページくらい多いので。20話分あればちょうど終わりそうだから、前半10話後半10話みたいな構成かしら。何であれ、1期から2期、2期から3期に比べればあまり間が空かなかったことは感謝したい。ありがとう、ありがとう。この調子で5期、6期と続けてファイナルシーズンまで行ってほしいです。

 ちなみに、原作は今何章まで進んでいるかと申しますと、九章です。リゼロは初期の時点で「全十章編成」と公言していたから次の十章で終わり……ではなく、書いているうちに構想が膨らんだらしく、2013年に活報(活動報告)で「それと、全十章編成といったが、すまんありゃ嘘だった。十一章になっちった。」と告げています。2013年というのはまだ書籍版が刊行される前(1巻が出たのは2014年1月)です。「じゃあ、次の次の章で終わりなの?」かと申しますと、それも怪しくてですね……4期目でやる予定の六章の次、七章「〇〇編」(ネタバレなので伏せる)はもともとだとやる予定がなくて「急遽書くことになった章」らしいんです。最初は八章「××編」を七章にするつもりだったけど、「前フリになるエピソードが必要だな……」と考えて突然追加することになったんだとか。七章は26巻から33巻までの8巻分、八章は34巻から38巻までの5巻分で、ほぼ連続したストーリーだからまとめてやるとしたら13巻分――4クールぐらいは必要になる勘定です。しかもこれ、短編集や外伝の重要なエピソードを削ったうえでの巻数なんで、本編以外のネタも拾うとなるともっと掛かる。『最優紀行』『緋色姫譚』あたりはOVAでやってほしいけど、そこまでアニメ化するほどのリソースはなさそうな感じなんだよなぁ。

 まとめると、1期目(2016年)は連続2クールで全25話(初回1時間SPなので実質26話分)、2期目(2020年・2021年)は分割2クールで全25話(回によってはOPやED、CMすら削って本編の時間を増やしているため実質的には27話分くらい)、3期目(2024年・2025年)は変則的な分割2クールで全16話(初回が物凄く長いので実質19話分くらい)、「実際の通算話数」は66話だけど「実質的な通算話数」はざっくり72話あります。ちょうど6クール分ですね。リゼロのアニメは従来の放送枠に囚われない傾向にある(そのせいで本来流すべきOPがほとんど流れず、アニメ制作会社「WHITE FOX」のお偉いさんがレコード会社に頭を下げたという噂もある)から、4期目(六章)が何話くらいになるのか正確に予想するのは難しいです。ただ、原作のボリューム的には3期目(五章)より若干多い程度なので、キツキツだった2期目よりは余裕があると思う。ファンが心配しているのは5期目、七章と八章は本当に長いしキリどころが難しい……正直、原作は戦闘シーンが長引き過ぎてダレてしまうところがある。スバルが死に戻りしながら勝ち筋を探すバトルなんかは面白いんですが、スバル以外の面子が強敵と戦うシーンを何個も連続して描かれると「リゼロらしさ」を感じにくくなるっていう難点が……。

 最後に、4期目でやる六章の内容についてちょっと触れます。3期目までの展開を含む出だしあたりの軽いネタバレを行うので、原作未読で「放送開始まで内容知りたくない!」という方は次の段を飛ばしてください。

 プリステラの騒動が片付いてひとまず落ち着きを取り戻したスバルたち。未だに目を覚まさないレム、名前を奪われて弟にさえ存在を忘れられてしまったユリウスをどうにかしようと、東の果て、「アウグリア砂丘」に建つと言われる「賢者の塔」を目指す。賢者とは、かつて「嫉妬の魔女」サテラが世界を亡ぼそうとしたときに初代剣聖「レイド・アストレア」(ラインハルトの祖先)やルグニカ王国の守護者でもある神龍「ボルカニカ」とともに旅立ち、力を合わせてサテラを封印した――と語り継がれている人物である。およそ400年前の話であり、表舞台に出ることを嫌がって辺境に隠棲してしまったため、賢者に関する詳しい情報は残っていない。レムやユリウスをどうにかするための手掛かりはあらゆる知識を収めた「賢者の塔」にあると思われるが、塔の建つアウグリア砂丘は魔物たちの棲み処であり、しかも訪れてきた者を迷わせる結界のようなものが張り巡らされているため「招かれざる客」が到達することはできない。ラインハルトもこの砂丘を突破しようとして、どうしても塔に辿り着けず断念した、という過去がある(なおラインハルトが塔を目指したのは「ルグニカの王族が次々と不審な死を遂げていく呪い」をどうにかしようとしたから)。「最強」の名を抱くラインハルトさえも踏破に失敗する魔境、攻略の鍵として駆り出されたのは、かつて「腸狩りのエリザ」とともにロズワール邸を襲撃した魔獣使い「メィリィ・ポートルート」だった……という感じで2期以来久々にメィリィが登場します。厄介な敵が、まだまだ信用ならぬとはいえ強力な味方になる展開、ワクワクしますよね。砂丘に建つ塔が舞台なので六章は「砂の塔編」と呼ばれることが多いんですけど、塔の正式名称は「プレアデス監視塔」。またしても「地球から見える星」に因んだネーミングであり、何者かの作為を感じる。塔に辿り着くまでがひと苦労なんで、また90分くらい使って初回拡大SPでもやんのかな? 塔に辿り着いてからの展開に関しては触れないでおきますが、ファンの間では「三章に匹敵する絶望」「ことによったら三章すらも上回る絶望」と専らの評判ですからアニメ初見勢の方々は存分に身構えてほしい。私も原作読んだ時は「作者、どれだけスバルをイジメたいんだ……?」と戦慄しましたからね。私がスバルなら確実に心が折れてると思いました。

『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 』、3期目は2026年7月より放送開始、新作スマートフォンゲーム『クロニクル・オブ・エコーズ』も配信予定

 『無職転生』の新作も今年放送だ、やったぜ。なろうでも書籍版でも本編は完結しており、現在は後日談に当たる『蛇足編』を展開中のシリーズです。アニメは2021年に1期目を分割2クールで放送し、2023年と2024年に2期目を同じく分割2クールで放送、恐らく3期目も分割2クールで7月に前半、来年の1月あたりに後半を放送するんじゃないかと思います。『無職転生』を制作している「スタジオバインド」は「『無職転生』を最初から最後まで安定してアニメ化するために立ち上げた」というスゴい会社で、『無職転生』の合間に他のアニメ制作も手掛けてるんだけど、そのラインナップが『お兄ちゃんはおしまい!』『花は咲く、修羅の如く』『瑠璃の宝石』というんだから打率ヤバいです。

 1期目は原作の1巻から6巻まで、2期目は原作の7巻から12巻までをアニメ化したから、3期目は13巻から18巻までやるのかな? 17巻がストーリーの大きな区切りで、18巻は若干番外編めいた内容&19巻の前フリに位置するエピソードだから17巻のところで終わりの可能性もある。2期目で登場してすぐに別れた弓使いの少女「サラ」や、1期目のラストで姿を消した赤髪の剣士「エリス」が再登場し、ある意味で「昔の女を通じて自身の過去に向き合うストーリー」となっています。3期目となるとさすがにダレてきたり細部を忘れてしまう視聴者も出てくると思いますが、ビックリするような新展開も待ち構えているので「『無職転生』か〜、作画は安定しているけどストーリーうろ覚えなせいもあって楽しめるかどうか不安なんだよな〜」という方も是非観てほしい。

 『無職転生』の本編は全26巻、たぶん4期目で完結するんじゃないかと思います。さっきも書いた通り、話としての大きな区切りが17巻だから、3期目は17巻のところで終わって、18〜21巻のあたりは劇場版やOVAでやるパターンもなくはないだろう(『無職転生』のOVA、一回だけ円盤特典として「エリスのゴブリン討伐」という番外編を作っています。確かテレビでは放送されたことないハズだけど、今は各種配信で観れる)。原作の22巻から最終決戦へ雪崩れ込んでいくし、その先はもう切りどころがありません。制作に余裕があるなら3期(13〜17巻)・4期(18〜21巻)・5期(22〜26巻)みたいな構成の可能性もあるけど……何であれ、3期目でいよいよ折り返し地点を超えるので、ようやく終わりも見えてきた印象があります。ちなみに『無職転生』には本編と蛇足編以外に特典として書き下ろされたSSをまとめた『リコレクション』および『スペシャルブック』もあり、内容は重複していないのでコンプ勢は両方ともマスト・バイだ。

 あと、3期目に合わせて新作アプリ『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 クロニクル・オブ・エコーズ』も配信されるそう。公式略称「クロエコ」。『無職転生』のソシャゲは1期目を放送していた頃に『無職転生 〜ゲームになっても本気だす〜』というタイトルで配信されていたんですが、人気がなくて2期目の放送が始まる前にサービス終了してしまった。調べてみるとサービス開始が「2021年3月27日」で、サービス終了が「2022年8月31日」……1年半も保たなかったんだな。私はプレーしていなかったが、評判によると「ゲームそのものが面白くないこともさることながら、青年期編に入る前にリリースを強行したせいで登場するキャラが少なく、ファン向けとしても微妙な内容」だったらしい。確かに少年期編のキャラだけで回すのはだいぶ無理があるよな、うん。原作者監修のオリジナルストーリー「パウロ外伝」(主人公の父親「パウロ・グレイラット」が貴族である実家を出奔して冒険者になるまでの過程を綴る)が読める、というのも売りの一つだったが、この「パウロ外伝」も配信途中でサ終が決まったため「続きを公式サイトでテキスト形式にして公開する」という荒業を繰り出すことに。その公式サイトも閉鎖されたので、現在は読むことができません。クロエコの方で「パウロ外伝」もサルベージされるのだろうか……ちなみに、こういうアプリゲーで「本編で触れられていないエピソードをやる」のは割とよくあるパターンで、『陰の実力者になりたくて!』のソシャゲ『マスターオブガーデン』にも「七陰列伝」という主人公の腹心たち「七陰」の活躍を描く外伝的なコンテンツがあります。結構人気があって、コミカライズ版も出ている。未だに更新が続いているし、もはや「七陰列伝」の方がメインコンテンツになりつつあります、カゲマス。

『少女☆歌劇レヴュースタァライト』シリーズ続編となる完全新作アニメが制作中、ブシロードの公式発表会で明らかに。アニメーション制作はキネマシトラスが担当する(電ファミニコゲーマー)

 スタァライトの完全新作アニメ!? “幻想(ユメ)”じゃねえよな案件すぎる。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は「舞台歌劇」(身も蓋もない書き方をすると「宝塚みたいなやつ」)をテーマにしたメディアミックス企画で、舞台・アニメ・ソシャゲの3本を柱に展開してきたプロジェクトです。コミカライズとかもあるけど、そのへんはメインコンテンツというほどではない。舞台でそれぞれの役を演じる俳優たちがアニメやソシャゲでも担当キャラの声優を演じるという、バンドリに近い形式の企画で、似たようなことは『アサルトリリィ』もやってますね。

 世間的に有名なのは2018年に放送されたTVシリーズだろう。宝塚みたいな音楽学校の地下深くで少女たちが「レヴュー」という名の謎バトルを繰り広げ、ツダケン(津田健次郎)ボイスのキリンが「わかります」と嘯くシュールなアニメ。突飛な演出も相俟って序盤で脱落する視聴者も少なくなかったが、篩に掛けられてなおしがみつく熱心な固定層を掴み、2020年に総集編の劇場版『ロンド・ロンド・ロンド』(通称「ロロロ」)、2021年に完全新作でありほぼ完結編と見做されている(時系列的に3年生の途中なんだが、エピローグで卒業後の様子が描かれる)『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(通称「劇ス」)も公開された。ブシロードの代表取締役である「木谷高明」曰く、スタァライトのプロジェクトは舞台やアニメだとあんまり稼げていない(劇スの興行収入も3億円くらいだ)が、ソシャゲの「スタリラ」が稼ぎ頭で何とか保っている、と。スタリラこと『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-』は2018年にサービス開始し、6周年を迎える直前の2024年にサービス終了したゲームです。アニメでは9人しか登場しなかったネームドの「舞台少女」が+23人で計32人も出てくる。オリジナルの楽曲も多く、ぶっちゃけゲームパートの出来はお粗末というか「毎月環境が壊れる」ようなゲームバランスでしたが、個人的にそこまで嫌いではなかった。ただ、後から後からどんどんコンテンツを増設していったせいでデイリーミッションが重たくなってしまい、面倒臭くなってアンインストールしちゃったな……。

 2024年に稼ぎ頭だったスタリラがサ終したことで暗礁に乗り上げたスタァライトプロジェクトでしたが、同じ2024年にコンソールゲームとして『少女☆歌劇 レヴュースタァライト 舞台奏像劇 遙かなるエルドラド』を発売し、翌年2025年にはスロット化・パチンコ化したことでしぶとく命脈を繋ぎました。「稼げている以上、『次』はあるはず……!」というファンたちの期待に応え、やっと齎された完全新作アニメの情報がコレってわけです。

 制作は「キネマシトラス」、KADOKAWAやブシロードと業務提携しているスタジオで、古いところだと『ゆゆ式』やごちうさの2期目(『ご注文はうさぎですか??』)、比較的新しいところだと『メイドインアビス』や『盾の勇者の成り上がり』を手掛けている。これまでのレヴュースタァライトのアニメもキネマシトラス制作だから、要は「変更なし」ってことですね。スタッフに関しては今のところ公表されていない。これまでのアニメは『少女☆寸劇 オールスタァライト』以外ずっと「古川知宏」が監督を務めていましたが、続投するのかどうかハッキリしない。古川知宏は「ラブコブラ」と通称されるタイトル未定の新作アニメに取り組んでいるハズなんですが、そっちはもう4年くらい続報がないのでまだ企画が生きているのかもうポシャッたのかよくわかりません。

 「シリーズ続編」と明言しているけど、じゃあ何をやるのか? という点についても不明です。これまでのアニメは「聖翔音楽学園」の99期生、通称「九九組」の9人をメインにしていましたが、「いい加減九九組の面子で話を引っ張るのは無理があるのでは?」と見られている。何せ劇スでもう卒業後の様子まで描いちゃったし……いえ、その後しれっと『遙かなるエルドラド』を出したりはしましたが。さすがに「夢を叶えたら(叶わなくても)次の目標に向かえ」というメッセージを打ち出した作品で延々と「かつての人気キャラ」を擦り続けるのは自己矛盾が過ぎる。一応、舞台版やソシャゲ版のオリジナルキャラもたくさんいますが、サ終したゲームのオリキャラをメインに完全新作をやる、というのはちょっと考えにくいか? そうなると「キャラ総取っ替え」の可能性も否定し切れない。何なら「人類が宇宙進出を果たした遥か未来、戦乱の中で旧文明の残照たる『舞台少女』を目指し続ける者たちがいた! スタァウォーズ、開幕です!」みたいなSFすらありえる。別に現代劇じゃないとスタァライトやれないってわけじゃないですから。「自らの手で星の光を掴もうと腕を伸ばす」のであれば、極論、何もかもがスタァライトだ。

「バンドリ!」の新作モバイルゲーム『BanG Dream! Our Notes』が2026年にリリース決定!「MyGO!!!!!」「Ave Mujica」「無限大みゅーたいぷ」そして、新たな2バンド「millsage」「一家Dumb Rock!」が登場(電ファミニコゲーマー)

 スゴい情報来たな……映画『BanG Dream! Ave Mujica prima aurora』のニュースを記事にするつもりだったけど、それどころではなくなった。なので先に『prima aurora』の話をササッと終わらせよう。要するにAve Mujicaの劇場版なんですが、MyGOと違って総集編ではなく新作です。桜を見上げる祥子のキービジュアルが公開されているところから見るに物語の時期は春? prima aurora(プリマ・アウローラ)は直訳すると「夜明け前」ですが、プリマヴェーラ(春)のイメージを重ねているのかもしれない。マイムジにとって「春」というのは「CRYCHIC」を結成した季節であり、同時にCRYCHICが解散したシーズンでもある。そのへんを掘り下げる過去編の可能性もありますが、もう本編で充分描き切っているからあくまで「可能性がある」というレベルかな。順当に考えれば本編終了後の春、つまり燈や祥子たちが2年生に進級するあたりの話なんじゃないかと思うが、まだ確定ではない。マイムジはTVシリーズの新作も予定しているが、今年は夏にゆめみたのアニメやって、秋にこの『prima aurora』を公開する予定だから、早くて来年の1月くらいになりそうですね。とにかくストーリーの詳細が気になります。

 さて、本題の『BanG Dream! Our Notes』に移ろう。アワーノーツ、まさかの新作アプリです。これまでバンドリの旗艦だったガルパ(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』)とは別に、新規のソシャゲを立ち上げるというまさかの展開に全バンドリファンがどよめいた。いつまで経ってもガルパにAve Mujicaを実装しないのはなんでかと思ったら、そういうことかよ……! と。ガルパは2017年3月16日にサービス開始、あと2ヶ月ほどで9周年を迎えるアプリだけにさすがにあちこちで古いところが出ていたし、「いい加減にバンド増え過ぎだろ」問題も発生していました。サービス開始時点で5人編成のバンドが5組、計25名のバンド少女がいたのに、RASやモルフォが追加されて7バンド35名、更にMyGOが加わって8バンド40名、ここにAve Mujicaやゆめみたまでブチ込むと10バンド50名で「多すぎるだろ」ってなってしまう。だから株分けするのは合理的な判断だと思いますが、ガルパに愛着のあるファン層は動揺を隠せません。どう考えてもガルパの方の運営を縮小させるつもりだろ、と。ブシロは「今後も運営を継続」とアナウンスし、プロデューサーレターで「ガルパはMyGOより前の7バンドの物語を継続、MyGOに関しては今後バンド単独イベントを行わないがキャラ自体は引き続き登場する」ことを伝えています。既にガルパでマイムジ関連のガチャを散々やっているから、当然荒れるだろうな……ガルパには「衣装解放」のシステムがあり、獲得したキャラのライブ衣装を他のキャラにも着せることができる。祥子や睦に着せるつもりで衣装を揃えていたプレーヤーもいるので、このへんの問題は尾を引きそうだな。

 で、『BanG Dream! Our Notes』、公式略称「アツドリ」はMyGO、Ave Mujica、ゆめみたの3バンドに完全新規の2バンドを追加し、サービス開始時のガルパ同様「5バンド25名」の陣容でスタートする模様です。完全新規のバンドが一気にふた組も生えてきたらそりゃ界隈もザワめきますよ。ひとつ目は「millsage」、白い衣装で統一したツインギター&フロントマンがキーボードヴォーカルのバンド。これまでのバンドリだとキーボードの子は何人かいるけどフロントマンやるのは初めてでは? 「両手いっぱいの幸せを、あなたに。」がキャッチコピーなので、ガルパに出てくるバンドだったら「しっとりしたハロハピ」みたいな印象で済むけど、マイムジの方だからひと癖もふた癖もありそうな予感しかしない。白尽くめだからという理由で「ホワイトラスカルズ」と呼ばれているのには笑った。今のところフロントマンの「汐見蛍」だけCVが公開されているが、「薬師寺李有」……ほとんど活動歴のない新人みたいですね。「和泉朋花」はピンク髪だから若干愛音と印象が被るな……ふたつ目のバンドが「一家Dumb Rock!(いっかだんらん)」、こっちもツインギター。メンバーの名字はバラバラだけど「マイ・ファミリー」と呼んでいるところから察するに疑似家族バンドか? なんかそれぞれ事情を抱えてそうだな。今のところ新規2バンドはアツドリでの登場とマイムジツーマンライブの前座(オープニングアクト)としての出演しか告知されていないが、『prima aurora』の方にも顔出しするのかしら。それより前に『元祖!バンドリちゃん』に出てくるかも。

 ガルパが「平成バンドリ」、アツドリが「令和バンドリ」として両立することが理想的だけど、今後新規はアツドリに流れていくだろうし、現実的にはガルパの方がどんどん規模を縮小させていくことになりそうな予感がします。マイムジってもともとガルパと関係ないバンドアニメの企画として始まって、途中で合流することが決まって設定も変更された――という経緯があるのに、結局独立しちゃうんだな……ガルパファンからすると「踏み台にされた」は言い過ぎとしても「腰掛け扱いされた」感覚はあるだろう。バンドリはアニメ・アプリ・リアルライブでそれぞれ微妙にファン層が重ならないというプロジェクトだから、今後もこういう試行錯誤が続きそうな気配が漂う。ちなみに私は配信開始されたらちょっとだけアツドリ触ってみるつもりですが、たぶん音ゲーだろうし、すぐに投げ出してしまうかも(音ゲー超苦手)。

「信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略」TVアニメ化決定、記念イラスト公開(コミックナタリー)

 あ、これオーバーラップ文庫から出ているやつか。確か書籍版は12冊出ていて、あと1冊で完結するんだっけ? 簡単に説明すると「クラス転移モノ」です。例によって例の如く主人公の所属するクラスが丸ごと異世界に召喚され、クラスメイトたちはチート能力を授かるのに主人公だけなぜかショボい能力で冷遇される……という、もう何度見たのかも思い出せなくなるいつものパターン。主人公は信者ゼロの女神サマ「ノア」の信者になることで異世界攻略の糸口を掴む。ひと癖もふた癖もある『ありふれた職業で世界最強』や『ひとりぼっちの異世界攻略』に比べてマイルドな作風というか、「クラス転移モノ」の最大公約数を狙っているようなノリです。「この作品ならでは」というポイントはないんだけど、広く浅く需要を汲み取っていく展開で、割合サクサク読めます。

 先に書いておきますが、複数のヒロインとくっつくハーレム系のファンタジーです。「ヒロインに対して一途な主人公じゃないとイヤ!」って人はやめておいた方が吉。逆に書けば、ハーレム展開に耐性のある人ならまずまず楽しめる内容だと思います。とにかく読者ウケしにくい要素を削ることに尽力したファンタジーであり、「粗削りだったり個性的だったりする作品よりも癖のない作品が好き」という人にはちょうどいいかも。私は途中で飽きて積んでしまったが、アニメやるんなら崩そうかな……放送までだいぶ先だろうし、ゆっくり待つとします。


2026-01-06.

・「スピキ」欲しさにサブ端末で『トリッカル』を始めた焼津です、こんばんは。

 このサブ端末(タブレット)、セールで安かったから購入して、とりあえず『ラストオリジン』をインストールして当時開催されていた虚淵玄シナリオのイベント「怒りの狼牙」をプレーしたんですけど、イベントクリア後はあんまりやる気が湧かなくてマンガアプリ用に使うぐらいの用途しかなかったんですよね。「いずれ虚淵イベント第2弾が来るかもしれないし……」とデータを残していたが、3年経っても音沙汰ナシなのでいい加減に諦めて『ラストオリジン』をアンインストールし、代わりに『トリッカル』を入れた次第であります。

 『トリッカル』は韓国産のゲームです。中小規模のゲーム会社「EPID Games」が開発し、中国の「bilibili」が運営。2019年に発表された『Roll the Chess』という「オートチェス」(駒の配置を決めた後はオートバトルで進行するタイプのゲームを指すジャンル名、日本だとプリコネが以前に『プリコネ!グランドマスターズ』というアプリを出している)がベースになっているらしいが……『Roll the Chess』はベータテストを行ったところ、バグだらけ&単純に面白くないということで韓国のプレーヤーたちから酷評され、「褒められる点はチュートリアル漫画のSD絵が可愛いことだけ」と皮肉を言われたそうです。ここでへこたれずに「いいこと聞いた、じゃあイラストは全部SD絵の人に描いてもらおう」と開き直ったのがスゴいところ。急遽アートディレクターとして抜擢されたのが「diyap」というイラストレーターで、この人は『ラストオリジン』の公式漫画「ラストオリジン漫画劇場」を手掛けた方です。ごく一部でミーム化している「ラストオリジン…サービス終了…」や「ラストオリジン 流行らせてください…」を生み出した功績もある。日本で喩えると『マンガで分かる!Fate/Grand Order』の「リヨ」に新作アプリのアートディレクターを頼んだようなものです。TYPE-MOONがエイプリルフールの悪ふざけでやるようなことを社運賭けてやっちゃったわけだ。

 その際にタイトルを『Roll the Chess』から『トリッカル』に変更。「トリック」+「ミュージカル」で「トリッカル」だ。ゲームを根本から作り直し、2021年にやっと正式サービスを開始するが、告知していた予定時間から大幅に遅れたうえ、早々に決済エラーが多発。なんとサービス開始から2時間後にオープンベータへの移行が決定しました。翌2022年には健康問題を抱えていたdiyapがEPIDから退社していることを明かし、サービス再開は絶望的かと思われたが……同年、クローズドベータテストを実施、このときまたタイトルが変わって『トリッカル Re:Vive(リバイブ)』になりました。言うまでもなく『プリンセスコネクト!Re:Dive』のパロディ。大幅に改修したゲーム内容が評価を得ます(ついでに開発資金捻出のため会社の代表が自宅を担保にしたことも話題になる)。そして2023年にようやくサービス再開、韓国版は現在もタイトルに「Re:Vive」が付いたままです。2024年に「大韓民国ゲーム大賞」で優秀賞を受賞。グローバル版のリリースで海外進出を目指す、と宣言します。2025年10月にやっと日本でのサービスを開始。日本版の正式タイトルは『トリッカル・もちもちほっペ大作戦』です。bilibiliが大量にクソ広告を流したせいで「胡散臭いゲーム」と警戒されるも、diyapのタッチを受け継いだSDイラストが刺さる人には刺さってジワジワと人気を伸ばしていった。11月頃から「スピキ」というネットミームが流行り始め、12月になって爆発的な勢いで増殖。公式もこの機を逃すまいと、ゲーム内にスピキを実装することを発表しました。で、それに私が釣られたってわけ。

 まだ触ったばかりなので何とも言えないが、さすがに序盤の敵は弱いというか鎧袖一触でサクサク進む。もうちょっと進むと苦戦するようになっていくんだろうな。典型的なガチャゲーで、石やガチャチケを使って仲間を増やす「例のアレ」ですが、好きな☆3キャラと交換できる選択チケットも配ってくれるのでリセマラしなくてもお気に入りのキャラで遊び始めることができます。やっぱりスピキ目当てで始めたプレーヤーは元ネタの「スピッキー」と交換するパターンが多いのかしら。私はまだ迷っていて使っていません。とりあえずピックアップ回したら「エピカ」という吟遊詩人のキャラが引けたから使っているけど、この子、なかなか可愛いな……「第一印象はそんなにだったのに、使っているうちにだんだん愛着が湧いてくる」というソシャゲあるある的な罠に引っ掛かっています。罠でもいい! 罠でもいいんだ! 攻略wikiとかの情報によると、エピカは「エルダイン使徒」という他のゲームで言うところの「フェス限」に相当するキャラらしく、強いみたいなのだがまだ序盤なんであんまり実感ない。ちなみに初心者用ミッションをクリアするとエルダイン5名の中からお好みの使徒と交換できるチケットが貰えるのですが、ミッションの後半で「エルダイン5名の中からランダムで1人当たるチケット」が配られるため、すぐに使っちゃうと被る可能性があります。注意しましょう。

 『トリッカル』の舞台となるのは「エーリアス」と呼ばれる世界。「世界樹」を中心とするファンタジーなワールドで、「妖精」「獣人」「エルフ」「精霊」「幽霊」「竜族」「魔女」の7種族が暮らしている(種族不明の子もいる)。キャラクターは全員SD調のイラストで描かれているが、これはデフォルメではなく「本当にこういう姿をしている」。頭身が低く、ずんぐりした体型で、ほっぺが異様にもちもちしているうえ指が4本しかない。プレーヤーの分身である主人公「教主」は「人間」なのだが、もちほっぺ連中からすると「巨人」「手足が長くて気持ち悪い」「指が5本もある」と常軌を逸した姿に見えます。エーリアスにおいて一般的とされる信仰は「世界樹信仰」であり、それを取り仕切る「世界樹教団」にはかつて「人間」が救世主としてこの世界に降臨したという記録がある。しかし、初代教主は何らかの事情でいなくなってしまった。主人公は「死んだのか?」と訊くが、もちほっぺたちは「死」の概念が理解できず不思議そうな顔をする。エーリアスは「世界樹の力」によって住民が誰も老いず死ぬことがなくなった、常若の世界だったのである。どんな深刻な負傷をしてもカートゥーンよろしくすぐに治癒してしまうため、「命は大事」や「暴力はダメ」といった観念がない。ちょっと『事象地平戦線アーディティヤ』っぽいな、あっちは不死だけで不老じゃないし傷も常識の範囲でしか治らないけど。まぁ「痛み」はあるらしいから「暴力を振るうのは平気でも暴力を振るわれるのはイヤ」みたいな気持ちは存在する模様。とにかく倫理観が我々とは異なる世界として描かれており、コメディっぽいタッチながらどこかディストピアめいた風情も漂う。

 「死」という概念はないが、なぜか「死後の世界」に相当する概念はあって、もちほっぺたちはそこを「週末農場」と呼んでいます。虫であれ植物であれ、あらゆる生命は「いつの間にか」週末農場へ送られてそこで永遠に幸せな時を過ごす……あくまで「そうだったらいいなぁ」みたいな口ぶりなので、本当に週末農場という場所(次元?)があるのかは不明です。そして主人公をナビゲートする、主人公にしかその姿が見えない謎の存在「ブルミ」がことあるごとに「親分」と口走っているが、この親分というのがいわゆる「神」的なもの(世界樹の意思?)ではないかと思われるが今のところ判然としません。他にも、住民全員が不死のはずなのにわざわざ「エルダイン(不死者)」と呼ばれているもちほっぺがいる、「死の概念」がないはずなのに「幽霊」というドクロをモチーフにした種族がいる……など、謎がゴロゴロしている。問題は、制作陣が意図して仕込んだ謎なのか、ローカライズ(というか翻訳)の過程でマズって謎になってしまったのかが曖昧なところだ。日本語・英語・中国語で遊べるグロ版と違って韓国語版は2年くらいストーリーが先行しているため、グロ勢の知らない使徒が多いし、前提となる情報に関してもかなりの格差が生じている。スピキの「チョワヨーチョワヨー」が出てくるイベントもグロ版ではまだやっていません。逆に言えばまだ間に合う……ということ!

・ついでに他のソシャゲの報告もしておくと、FGOの福袋は「丑御前」狙いで「上杉謙信」、ひびちか(阿曇磯良)狙いで「カズラドロップ」を引きました(両方所持済み)。被ったとはいえどちらも宝具レベル1だったし、使いやすくなったしまぁいいかな……という感じ。そして正月新規の「ロード・ログレス」は天井間近でやっと当たりました。11連を26回か27回なんで、ギリギリ300連には行かない程度ですけど「ほぼ天井」と言っていい回数ですね。冠位戴冠戦や採集決戦の周回で稼いだ絆石がごっそりなくなりました。もう一回天井叩けるほどの残量はないので、次の新規に怯えながら過ごすことになりそう。

 ロスフラは新春イベントで晴れ着トウカ(正式名称は「トウカ[晴れ姿にて候]」)実装、先月の「アサト」で石を使い尽くしていたから糸(ガチャチケ)だけであんまり期待していなかったが、単発であっさり来ました。あっさり過ぎて演出飛ばしちゃった……ロスフラはハズレと思わせて実は、みたいな昇格演出が複数あるんでうっかり飛ばしてしまうことがしばしば。本編の第一部が去年の4月に終了し、第二部をやるのかやらないのかハッキリしないまま時間が経過していっているけど、せめてラクシャイン絡みのエピソードだけはやってほしいな。

 グラブルは貯めていた石で天井まで回したら「サンチラ」と「ヴェルサシア」が来て、来なかった「白騎士」を交換しました。しばらく回さないうちにガチャの演出が刷新されていてビックリ。ピックアップキャラに関してはカットイン演出まで入っています。「まるでソシャゲみたいだ」と思ってしまった。ヴェルサシアは見た目が好みだからつい勢いで手持ちの金剛晶全部使って完凸。「トリプルゼロ」と「オロロジャイア」、どっちかしか完凸できないので選べず保留にしていた結果、「第三選択肢にすべて突っ込む」という割とよくある現象が発生してしまった。ともあれ、午のサンチラが来たことで十二神将が全員揃いました(水着除く)。グラブルは「毎年お正月に、その年の干支に因んだキャラを実装する」という恒例行事がありまして、最初が「未のアニラ」(グラブルのサービス開始は2014年3月で、未年の2015年が最初のお正月)だったからこれでようやく十二支が一巡したことになります。冷静に考えると作中のグランくん(ジータちゃん)も干支が一巡したことになってしまうが、細かいことからは目を背けよう。ちなみに十二神将の干支は「守護する方角」を表しており、たとえば未のアニラは「南南西の守護神、アニラ」といったふうに名乗ります。今回実装されたサンチラが「南の守護神」です。

 かの「アンチラ事件」(「申のアンチラ」のピックアップ率が極端に低く、「70万円突っ込んでも引けなかった」という人が現われ炎上騒ぎへ発展した)によって天井が実装される契機にもなった十二神将が遂に完走か。来年から「十三仏」になるという噂もあったが、「バイシュラ」(通称「サジュダコハ」、年齢を訊ねられて早口気味に「三十代後半」と言って誤魔化そうとしたことに由来する、なお正確な年齢は37歳)がもう実装されているからそのへん不透明なんだよな……とりあえず来年のお正月に備えてまた天井分の石を貯め直すとします。

 しかし、最近はメインクエスト全然やってないからイベントの終わりに「大浮上」という知らない単語が出てきてサンチラちゃんと一緒にビックリしてしまった。えっ、メインクエストではもう「イスタルシア」に着いて旅の目的を終えて帰ってきたところなの!? グラブルの主人公は行方不明になっている父が手紙に書き残した場所であるイスタルシアを目指して旅立つんですが、サービス開始から10年経ってもイスタルシアに辿り着かず、「サービス終了間際までずっと到着しないんじゃないか」と揶揄されることも少なくなかった。調べてみると2025年6月にメインクエストでイスタルシア編が始まって、10月にそのイスタルシア編が完結したらしい。知らなかった……ちなみに、イスタルシア編が始まる前のメインクエスト更新は2023年12月。なんと1年半も止まっていたんですよ。FGOも第2部第7章のミクトランが2022年12月開始で、間に奏章挟んで3年後の2025年12月にやっと第2部終章をやったという待たせぶりだったが、グラブルもグラブルでなかなかだな。

 プリコネは「大人になったデカいコッコロ」、通称「デッコロ」が実装された。正式名称は「コッコロ(嚮導幼君)」。プリコネは「フルダイブ型のMMORPG」が舞台となっており、そのゲーム世界を作った7名の人物は「七冠(セブンクラウンズ)」と呼ばれ特別な権限を有している。コッコロちゃんの本名は「棗こころ」で、父「棗宙(なつめ・そら)」が開発陣の一人として七冠に名前を連ねています。七冠としての名義が「嚮導老君(グレートガイダンス)」、多忙ゆえ開発しただけでゲームは基本的にプレーせず、娘のこころが代わりにログインしていた結果、「ミネルヴァの懲役」(ゲーム世界にログインした人々がログアウトできなくなってしまう事件)に巻き込まれてしまった。「嚮導幼君(リトルガイダンス)」という名称は、本来父の権限である嚮導老君の力を、ゴンさんよろしく自己の姿を成長させることで一部ながら使用可能にした……という事情に由来するものであり、当たり前ながら現実世界のこころちゃんは小学生のままです。メチャクチャ簡単に言うとアバターだけ大人になって、それに引きずられた精神が「大人になったコッコロ」をロールプレイしているだけ。実質おままごとである。ただ、容姿が大人になる前からプレーヤーの間ではコッコロを「ママ」と呼ぶ風潮が根強くあるので、「倒錯感はあまり変わらない」という意見もある。開始時点では「ガイド役の従者」というポジションだったコッコロがいかに「ママ」のイメージへ変遷していったか、声優(伊藤未来)へのインタビューを交えて真面目に考察する2020年の記事もあります。途中でインタビュアーの長文考察が始まって伊藤さんが「い、いえ(笑)」とドン引きするところは笑える。なお、嚮導幼君で描かれる「大人の姿」は数多有る可能性の一つというか単なるシミュレーションに基づいて出力されたイメージ像に過ぎず、「こころちゃんが大きくなったら必ずこうなる」とは限りません(シナリオ担当チームもこの点に関しては明言している)。みんなの心の中にある「爆乳むちむち妙齢コッコロちゃん」や「どこぞのユニちゃんみたいにさほど身長が伸びない年増コッコロちゃん」が否定されたわけではない、ということ……!

 プリコネをプレーしていない人(アニメだけ観ていた人も含む)はコッコロちゃんに「実年齢にそぐわない包容力」が備わっているように見えますが、実際のところゲーム内の彼女は独占欲が強く、過保護で、主人公が自分の知らない女性と仲良くしているとすぐにヤキモチを焼く。また「主さまの世話を焼く」ことが自身のアイデンティティになっている(現実世界のこころちゃんは「仕えるべき主」を求めて彷徨い歩くというヤバい小学生だった)から、他の誰かが主人公の保護者みたいなムーブをすると途端に落ち着きをなくす。「主さまの世話を焼いていいのは自分だけ」とことあるごとにアピールするので、意外と「面倒臭いカノジョ」の側面を持っているんです。献身の域を超えて支配の域に差し掛かっており、「主さまの何もかも、わたくしが用意して管理したい……♪」と結構ホラーな発言もしている。作中では精神面も徐々に成長していきますが、「案外こころが狭い」という人間臭さがあるのもコッコロちゃんの魅力だったりします。もう5年近く前になりますが、3周年イベントとして開催され、現在はサイドストーリーに収録されている「絆、つないで。こころ、結んで。」でとある異変によってギルド「美食殿」のみんなから忘れられてしまったコッコロちゃんが、異変を解決するためにたった一人で旅立つストーリーが展開される。涙ナシでは読めないイベントシナリオなので、「最近始めたけど、サイドストーリー多過ぎてどれを読んだらいいかわからない」という方は第1部が終わったぐらいのタイミングで読んでください。あとタイトルが「〇〇と聖なる学舎の異端児(リセエンヌ)」になっているシリーズはそれ散るや俺翼の「王雀孫」がシナリオを担当していて本編から独立しているのでオススメです。時系列は「森の臆病者(ぼっち)と聖なる学舎の異端児」→「授けの財団(エンジェル)と聖なる学舎の異端児」→「鋼の聖女(マリア)と聖なる学舎の異端児」→「真冬の真夏と聖なる学舎の異端児」。ただし「真冬の真夏〜」は2年前の開催でまだサイドストーリー入りしていません。

 コッコロちゃんは「従者」という存在に憧れているけど、心の中では父や兄ような「庇護者」を求めていて、「主さま」の中にそうした像を見出そうとする面がある一方、「わたくしが守護らねば」という「主さまの保護者になりたい」欲望も抱えている。庇護者を求めながら保護者になろうとする捻れがコッコロちゃんの妙味であったわけだ。デッコロはそうした「庇護者を求める心」が非常に希薄となっており、捻れが解消されて保護者ムーブ全開となっているが、今度は「あわよくば異性(恋愛対象)として見てもらいたい」という別の欲望が混入して新たな捻れが発生しています。初期コッコロちゃんはあくまで「主さまの世話を焼きたい」だけで、お世話することができるならいわゆる「本妻」や「奥様」がいても構わない、というのが基本的な姿勢(ペコリーヌとイチャイチャしていても「あらあら、うふふ」みたいな反応)でした。さすがに「愛人」や「お妾さん」までは許容できないみたいだが。そして精神的に成長するにつれ、だんだん主さまを異性として意識するようになってきており、デッコロになったことで遂に最後のタガが外れてしまった印象があります。シナリオ担当は「対等の関係」と言葉を濁していますが、もうこれエディプスコンプレックスの段階に差し掛かりつつあるのでは? 驚異的な末脚でヒロインレースの先頭に躍り出たコッコロちゃんの明日はどっちだ。

いいですか、落ち着いて聞いてください。『のうりん』の最終巻が出ます。(10年ぶり新刊)

 真実(マジ)かよ、作者神(サクガミ)くん! 『のうりん』が……! ベッキーが……! 還って来る……俺たちの『のうりん』が還って来る!! 『りゅうおうのおしごと!』の「白鳥士郎」にとって初のアニメ化作品である出世作『のうりん』、1巻の刊行が2011年で、2014年にアニメ化、しかし2016年に13巻を出した後、ふっつりと音沙汰がなくなったシリーズです。『りゅうおうのおしごと!』に専念したかったから、というのもあるだろうが、そもそもGA文庫は2つのシリーズを並行して書かせて、片方が売れたらもう片方は止める――という真似を平然とやるようなレーベルです。「俺修羅」が当たったからと『踊る星降るレネシクル』を3年も止めた件は忘れていませんよ。

 「次の14巻で完結予定」というのは告知されていましたが、10年近く止まっていたし、さすがにもう出ないのでは……と少し諦めかけていたことは事実。けどタイミング良く、と言っていいのかどうかわからないが、「令和の米騒動」で農業の話題がタイムリーになったこともあり、発刊が実現した模様。発売は来年の6月。「さすがにもうストーリーどんなんだったか、よく覚えてないよ」という人も多いだろうが、大丈夫、あらすじ読んだ感じだと「既刊を覚えていても覚えていなくてもブッ魂消る」内容になりそうだから……しかし昔の『のうりん』、本体価格が600円台であまりの安さに泣いちゃいそうですね。今や文庫ライトノベルの本体価格が800円超えていても驚かなくなってしまった。昔は800円超えるのなんて境ホラくらいだったのに……。

 あ、それと『りゅうおうのおしごと!』の21巻も出ます。本編は20巻で完結していますが、この巻は「感想戦」、言わば後日談に当たるエピソードとのこと。のうりん最終巻の翌月、7月発売予定。「完結記念メモリアルブック付き特装版」というのもあるので『りゅうおうのおしごと!』が大好きな人はご検討ください。5500円(税込)もするから私はちょっと迷っている……『のうりん』も『のうりん』で特装版を作るためのクラファンやるみたいだし、情報多すぎて思考がまとまらないぜ。

岩明均「ヒストリエ」TVアニメ化 アニメーション制作はライデンフィルム(コミックナタリー)

 連載開始は2003年、今年で23周年を迎える大作歴史マンガです。原作者は『寄生獣』や『七夕の国』の「岩明均」。紀元前4世紀の古代ギリシャ(エーゲ海周辺)を舞台にしており、かの「アレクサンドロス大王」の書記官として名を残した「エウメネス」を主人公に据えています。出自に関しては謎が多い人物なので、創作要素もかなり含まれている。アレクサンドロスの出身は「マケドニア」という国で、これに対しエウメネスの出身地は「カルディア」という、現在トルコの北西部に当たる国。いろいろ事情があって故郷から離れた地で暮らしていたエウメネスは久しぶりにカルディアへ帰ってきたが、なんと街の周辺がマケドニアの軍勢に包囲されていた。マケドニアの王「フィリッポス2世」(アレクサンドロスの父)と出逢い、マケドニアでの職を得たエウメネス。彼は明晰な頭脳を活かしてどんどん出世していくが、「外国人」であるがゆえに完全に溶け込むことはできない……というようなストーリーです。

 古代ギリシャに関する知識がないとなかなか細部まで理解することのできないマンガですが、細部がわからなくても岩明均の圧倒的なマンガ力で読ませてしまう。「なんだかわからないが、とにかく面白い!」と夢中になる読者が後を絶ちません。いわゆる「ネットミーム」になった箇所も多く、兜を着用した髭面のオッサンが「ば〜〜〜〜〜っかじゃねえの!?」と叫ぶ、SNSで一度は見たことがあるであろうシーンも元ネタはこの『ヒストリエ』です。第8話の「スキタイ流」、1巻に収録されている。幼少期のエウメネスが「よくもだましたアアアア!!」と絶叫するコマは第20話「買い手あらわる」、3巻の冒頭です。

 現時点での最新刊は12巻、ストーリー構成としてはまず「なぜ主人公エウメネスが故郷から離れた地で暮らしていたのか」という事情を綴る幼少期編(1巻〜4巻)から始まり、フィリッポス2世に気に入られて重用され後の大王「アレクサンドロス」やその腹心「ヘファイスティオン」と邂逅するマケドニア編(5巻〜7巻途中)、アテネの植民都市(ポリス)「ペリントス」と「ビザンティオン」を攻略するために従軍する遠征編(7巻途中〜8巻)、攻略に失敗して一旦マケドニアに戻った後「本国をどうにかしよう」とエウメネスたちが「アテネ」に潜入し史実に残る「カイロネイアの戦い」へ向かっていくアテネ編(9巻〜10巻途中)、アテネ・テーベ連合軍との戦争が終わった後で「王の左腕」(マケドニア軍副将)の後継者候補にエウメネスの名前が挙がり、エウメネスに権力が集中することを防ぐため彼の恋人である貴族令嬢(エウリュディケ)をフィリッポス2世の新たな妃にしようという案が持ち上がって、それが王妃(オリュンピアス)との諍いへ繋がっていくオリュンピアス編(10巻途中〜12巻)、といった具合に進んでいく。史実だからネタバレというのもアレですが、エウメネスはアレクサンドロス大王が急死した後の「後継者(ディアドコイ)戦争」に巻き込まれ、7年ぐらい戦った後に負けて死にます。1巻の冒頭、エウメネスが故郷カルディアを目指すのが紀元前343年。ペリントスとビザンティオンの遠征が紀元前340年。カイロネイアの戦いが紀元前338年。オリュンピアスとのゴタゴタが紀元前337年と336年――ストーリーが進んでいるのはここまでです。ここからアレクサンドロス大王急死(紀元前323年)までの13年、エウメネスの死(紀元前316年)までの7年、合わせて20年間を描き切れば無事完結できるわけですが……いくら幼少期編を挟んだとはいえ実時間で23年も使っているのに作中時間が7年しか経過していないんですよ。岩明均は今年でもう66歳。眼底出血や利き腕の麻痺で執筆が思うように進まず、連載は中断しています。ファンのほとんどが「円満終了は絶望的」と見做している理由はよくわかるでしょう。最近は「デジタル作画に移行することで執筆の負担を減らす」環境構築に勤しんでいるようで、再開の望みがゼロではありませんが……。

 ちなみに、紀元前4世紀というのがどんな時代かと申しますと、中国では「斉・楚・秦・燕・韓・魏・趙」の七国が争い合っていた時代です。いわゆる「秦の始皇帝」が生まれる100年くらい前ですね。日本だとまだ弥生時代のあたり。インドでは「チャンドラグプタ」が生まれた頃です。チャンドラグプタが巨大帝国を築き上げたのは、他ならぬ「西からやってくるアレクサンドロス大王の軍勢」という脅威に立ち向かうためなので、セットで覚えている人も多いはず。チャンドラグプタを主人公にした『ラージャ』というマンガもありましたが、題材がマニアック過ぎたせいか3巻で打ち切りとなってしまった。話を戻して『ヒストリエ』のアニメ、1クールで丁寧にやったら幼少期編だけでほぼ終わりそうだが、2クールあれば巻きでカイロネイアの戦いあたりまではやれるかな? オリュンピアス編のあたりは「暗殺!」「暗殺返し!」「暗殺返し返し!」といったノリで非常にドロドロしているからアニメで観たいというほどでもないし、カイロネイアの戦いまでやってくれれば充分という気持ちです。

「魔女の旅々」新作劇場版アニメーションが制作決定!特報に本渡楓のボイス(コミックナタリー)

 TVシリーズじゃなくて劇場版だけど新作アニメやるのか。めでたい。『魔女の旅々』はKindleで販売を開始した、いわゆる「自費出版」の電子書籍だったんですが、あまりにも売れなかったため作者(白石定規)が2ch(当時)のVIP板に「kindleでラノベ出したんだけど質問ある?」というスレを立てて販促したところ、話題になって2年後くらいに紙書籍化が決まった。なろう系とはまた違う流れで出てきたタイプの作家です。2019年にアニメ化し、「〜な美少女は誰でしょう? そう、私です!」というキメ台詞を告げる魔女「イレイナ」とともに親しまれました。

 ジャンルとしては「ロードムービー系の異世界ファンタジー」、オムニバス形式(各エピソードが独立していて、エピソード間の繋がりがあまりない)でストーリーを紡いでおり、既存の作品で言うと『キノの旅』に近い。見た目は明るいけどエピソードによっては結構ダークなオチが付いたりします。特にアニメ版の第9話「遡る嘆き」はクライマックスがショッキング過ぎるせいか、冒頭で「この作品には一部刺激的な表現が含まれます。児童および青少年の視聴には十分ご注意ください。」という注意書きまで表示される始末。一方、最終話「ありとあらゆるありふれた灰の魔女の物語」ではいろんなイレイナが登場し、声優の「本渡楓」が1人22役を演じたことで話題になった。振り幅がデカいけど、この2つのエピソード、それぞれ独立しているようでいて実は密接に関わっているんですよね……構造が複雑なのでアニメではこのへんの仕掛けがちょっと有耶無耶になっています。「遡る嘆き」において過去の事件が「二丁目殺人鬼」として演劇や本にもなっている、とエステルが説明する件がありますけど、なぜ「二丁目殺人鬼と呼ばれる犯罪者がいた」ではなく「演劇や本にもなっている」のか、アニメだとわかりにくい。気になる人は原作3巻の「遡る嘆き」と「ありとあらゆるありふれた灰の魔女の物語」を読んでみてください。そういえば最近もこういうオムニバス形式の異世界ファンタジーがありましたね、タイトルなんだったっけ……あ、思い出した、『魔物使いの娘』だ。

 それはそれとして『魔女の旅々』、今年でちょうど商業化10周年を迎えるわけですが、最新刊は3月に出る25巻です。そう、あまり話題になってないけど相当な巻数になってるんですよ、このシリーズ。GAノベル最長のシリーズ『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(6月に出る30巻で完結予定)に追い抜かれたが、いずれ抜き返しそうである。『魔女の旅々 学園物語』という『学園キノ』のパク……オマージュみたいな学パロシリーズもあって、関連作含めると30冊くらいになる。アニメでやったのは3巻くらいまでなんで、ストックはメチャクチャあります。ただ、爆発的に売れてるわけじゃないので2期は難しそうな感じだったんですよね……劇場版(クオリティ的にはOVA?)やるだけでもありがたいんですけども。原作4巻は「眠ると記憶を失う少女」アムネシアが出てくるんで、彼女を中心にストーリー構成するのかしら。「ほうきさん」のことを考えるとアニメでカットされた3巻のエピソード「廃墟に蔓延る」も捻じ込んできそう?

TVアニメ『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です2』2026年の放送が決定、ティザービジュアルも公開

 やっとかよ……全然続報来ないから「ひょっとしてポシャったのでは?」とうっすら心配になっていました。1期目が2022年の春アニメだったから、4年ぐらい待たされた勘定になります。公式が開示したキャラ設定を見る感じ、キャラデザも結構変わるのかな?

 公式略称「モブせか」。女性向けのジャンルである「悪役令嬢モノ」を男性向けにうまく作り直せないか……という発想に基づいて2017年から「小説家になろう」での連載を開始した「ゲームっぽい世界に転生する」ファンタジーです。2018年に書籍化を開始、なろうでの連載は2019年に完結、2024年に書籍版の方も全13巻で完結しました。現在は「もし主人公が早い段階でマリエと出会っていたら」というifを描いて書籍版読者向けに無料で公開していたオマケシナリオ、通称「マリエルート」を書籍化したスピンオフ『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です』を展開中。少し前に5巻が出たところですが、完結まではもうちょっと掛かりそうかな。

 アニメの1期は原作3巻、「ファンオース公国編」までやったところで終わりだったから2期は4巻の「アルゼル共和国編」からスタートかな。若干ネタバレなので1期目を観てない人は飛ばしてほしいんですが……主人公(リオン)たちにとって「元ネタ」である乙女ゲーには、続編があった! というヒキからの2期なんで、今度は「続編主人公」が出てきます。名前は「ノエル」。彼女は果たしてリオンたちの味方なのか? それとも敵なのか……アルゼル編はそこそこ長くて7巻でやっと終わりますから、2期はずっとアルゼル編をやると思ってもらって構わないです。なお、8巻はちょっと番外編めいたエピソードで、9巻以降が最終章。8巻を劇場版にして3期目(2クール)で9巻以降をやったらキレイに終われそう。ただ最終章のあたりまで行くと話の規模が大きくなって作画とかも大変になるから現実問題難しいだろうな……アルゼル編もそこそこカロリー高い内容だし、仮にやれたとしても5、6年先の話になるかしら。

・拍手レス。

 年末の長文更新に感謝を。早朝のPRONTOでの時間潰しがとても短く感じられました。短編もいいけどやはり長編ですね。

 コツコツ書き溜めてたので後は投稿するだけ……と思いきや推敲に2日くらい掛かってしまったのは計算外でしたけど、読んでくれた人がいるならヨシ! と報われた気持ちがします。こちらこそ感謝を。


>>back