2020年9月〜10月


2020-09-21.

・公開されたばかりであるクリストファー・ノーランの新作『TENET テネット』を観てきたけど想像以上にワケが分からなかった焼津です、こんばんは。これに比べれば『インセプション』『インターステラー』は相当に分かりやすい方だ……。

 大枠はそこまで複雑じゃないんですが、とにかく展開が早いせいで説明を咀嚼する暇がなく、混乱を抱えたまま気づけばエンドロールを眺めているって人がほとんどだと思う。まず物語はロシアのオペラハウスにテロリストが乱入する場面から始まる。CIA特殊部隊に所属する主人公はテロ発生直後、変装して現地の警察に紛れ込む。テロ鎮圧のどさくさに紛れて「ある任務」を行うつもりだったが、予定外の事態が発生して一転窮地に陥ってしまう。捕まって拷問される人公。隙をついて自決用ドラッグを飲もうとするものの、そのドラッグは最初から偽薬で……と、冒頭10分の時点で既に情報を詰め込み過ぎており速攻で「???」な顔になっちゃう。とにかく「画面に映っているものは観えているが目の前で何が起こっているのか消化するのが難儀」なんです。一応後半に入ると「あのシーンにはこういう意味があったんですよ」と解説するカットがいくつか挿入され、千々に乱れていたパズルのピースが繋がって一つの絵図を描き出すんですけれど、現れたものを目の当たりにしても「そういうことだったのか!」と一気に腑に落ちるわけではなく「なるほど……いやそれでも分からんよ!?」と余計に戸惑うハメに陥る。考えれば考えるほどワケが分からなくなってしまう一本です。時間の流れは風のようなものであり、風に抗うように時間を遡行することもできる――という話になっていますが、「時は、流れるようなものではない。時の流れなど、ない」という『制覇するフィロソフィア』の言葉を思い出してしまったせいでますます理解が遠のいてしまった。

 JOJOで喩えると「スタンド使いが次々と出てくるが、それぞれのスタンドがどんな能力か一言二言程度しか言及されず『あのスタンドはつまりこういう性質なのか……?』と必死に考えている最中にまた次のスタンド使いが登場する」感じの映画。物凄く頭の回転が速い人以外は繰り返し視聴しないと呑み込めないんじゃないでしょうか。ぶっちゃけ私は冒頭のテロシーンが何だったのか未だによく分かってないし、最終決戦のドタバタも「まったく分からんがとにかくスゴい」としか思っていない。逆再生を多用した映像の演出はクラクラするような迫力があって面白かったが、「単純にスカッとしたい」人には薦めがたい作品だ。内容を理解したいのであればBDが出るまで待った方がいいかも。劇場で何度「一時停止したい」「今のところ巻き戻してほしい」と願ったことか。

【期間限定】「影の国の舞闘会 〜ネコとバニーと聖杯戦争〜」開催!

 いきなりバニー衣裳の師匠がバナーに出てきて「何事!?」と狼狽えたが、今の季節は秋。そう、ボックスガチャのシーズンである。というわけでネロ祭、ギル祭、イシュタル祭に続きスカサ杯が開催されることになりました。残念ながら今回は超高難易度クエストが用意されていない。もともとそういう予定だったのか、それともコロナのせいでクエストの調整が間に合わなかったのか。あれから一年、手持ちの育成をコツコツと頑張ってきただけに肩透かしな気分も湧くがないものは仕方がない。今回の趣向は「影の国っぽい場所でボードゲームじみた聖杯戦争を行う」というもの。スカサハ師匠は司会進行役であり、対戦マスターは別途用意されている。アマデウス仮面を付けた謎の小太りマン……いったい何エルなんだ……?

 最初は要領が掴めず戸惑ったが、慣れてくるとこれはこれで面白い。普段のクエストはこちらから先制攻撃を仕掛けるが、この聖杯戦線は相手ターンだと後攻になるので「次戦に備えて回避スキルや無敵スキルをあらかじめ張っておく」みたいな立ち回りで状況を有利に進められる。「任意のサーヴァントで単騎戦ができる」という珍しい機会でもあり、いつもとは違った評価軸で起用するサーヴァントを選ぶことになります。基本的に単体宝具持ちの方が適しているんですが、アストルフォ(ライダー)は宝具で回避が張れるうえクイックチェインが組めるから「次戦に向けてスターを稼いでおく」って動きもでき、想像した以上に強かった。しぶとさで言えば“山の翁”も大したもので、不利属性であるにも関わらず孔明を殴り殺してしまった。サーヴァント戦に特化しているので礼装は「死の芸術」が有用ですね。耐久狙いで「鋼の鍛錬」を付けるのもアリ。こちらのサーヴァントを突出させると向こうも迎撃のサーヴァントを送り出してくるので、その隙に迂回した2騎目のサーヴァントで防備が薄くなった相手マスターを叩く、釣り戦法が比較的楽な攻略法かしら。

 それにしてもバニー師匠を見たときは「ヒエッ、まさか師匠の新クラス実装?」と怯えてしまったが、単なる霊衣でホッとした。これならガチャはスルーできるな……と安堵したのも束の間、限定☆5礼装「真紅の教槍」の絵柄が好みにドストライクで結局回すしかなかったというオチ。幸い呼符ですんなり引けたうえ槍師匠も重なって宝具レベルが上がったから万々歳な結果である。その槍師匠の強化クエストが唐突に来ていたから慌ててスカサハメインのパーティ組んで攻略しに行ったけど、モーションと宝具演出まで変わっとるやんけ! カットインイラストまで挿入しており、どんどんFGOのスパロボ化が進む。槍師匠はFGOを始めたばかりの頃に憧れていたサーヴァントの1騎だから新しいモーションで華麗に暴れ回っている姿を見るのは感慨深い。バニーも魅惑的で聖杯捧げたくなってきちゃったな……真顔でぴょんぴょん口走る師匠、「常識改変系の催眠エロ同人誌か?」って感じで個人的にツボである。ボックスで当たり引いたときの「フレーッ、フレーッ、だぴょん」が特に好き。

 いろいろと忙しくて本格的な周回はできておらず、今やっと10箱空け終わったところ。礼装もまだ1個も落ちていないから凸る目処は立たないが、できれば連休中にそのへん何とかしたいところである。メギドの共襲もあんまり触れていないし、連休はやりたいことがたくさんで体と端末が足りない。

・拍手レス。

 久しぶりに本屋に行ったら文庫で出たら買おうと思っていた今昔百鬼拾遺の文庫版が出ていたので購入。結構待つだろうと思ってたのに鵺より先に出るのか・・・。一応鵺も近日発売予定って帯に書いてましたが
 『今昔百鬼拾遺 月』は特殊な例だけど、最近いろんなとこで文庫化のペースがどんどん速くなってる気がしますね。去年出た浅倉秋成の『九度目の十八歳を迎えた君と』が11月にもう文庫化すると知って「えっ、幻冬舎じゃなくて東京創元社なのに!?」ってビックリしましたわ。


2020-09-16.

・ここんところラノベばっかで漫画の新作チェックが滞っているな〜、と気づき久々に遠出して大きめの本屋で当たるを幸いあれこれ買ってきた漫画の単行本を積み上げ読み耽っている焼津です、こんばんは。既にある積読の山? それらはいつか読む、だが今日じゃない。

 たまに近所の書店の新刊コーナーで「おっ、この漫画知らないな……興味湧いてきた」ということはあるんですけど、大抵半端な巻数で、しかもそんなに凄い売れ筋商品ってわけじゃないから既刊が棚に残っておらず帰ってネットで注文するのも億劫だから買いそびれる――といった事態に多々遭遇してきました。大きな書店ならまだしも、中小規模の書店は最新刊しか置いてないとかザラゆえ。発行される漫画の数がどんどん増えてきているのだから仕方ないんだが。

 店頭でじっくり漁ってみて痛感したけど本当になろう系原作のコミカライズが多くなりましたね……ネット書店では「うっかり原作と間違えて買いそうになる」トラップめいた存在であり、「検索結果からコミカライズ単行本を除外する機能が欲しい」と願う程度で個々の作品はあまり気に留めていなかった。なお原作が電子書籍のセールとかで安売りされて「漫画と思ったらライトノベルかよ!」と買い間違える人も割合いるらしい。

 いくつか読んだものの感想を短く綴っていきます。もったいぶってもしゃあないから「一番面白かった」と感じたものを真っ先に挙げよう。『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』、ラブコメです。これは1巻が出た頃に店頭で見かけたこともあるんだけど、ちょうど緊急事態宣言が全国に拡大した時期でバタバタしていたせいもあって熟慮する暇がなくスルーしてしまった。知らない間に2巻が出ていて、もうすぐ3巻も発売されるみたいだから「読むなら今だ!」と手を伸ばしました。タイトル通り「運命の人」が100人いる少年を主人公にした学園モノ。その設定のムチャクチャぶりには笑うしかない。クソデカラブコメというか超高速『源君物語』? 設定面で言えば『妹選抜☆総選挙』以来の衝撃である。つか、いもせんも来年で10周年か……えっ、時が経つの早過ぎない? 光速超えてない? ともあれ「君大」(公式略称は「100カノ」らしい)の魅力はそのハイテンションぶりである。無茶な設定を押し通すために主人公もヒロインたちも理性のヒューズを飛ばしてありえないほどテンションが高くなっており、「何が何でも強引に突っ切ってやる」という圧い気概が全ページから溢れ出している。「キャバクラにも無いような異文化」「ショタロリ児童館」「大福と人間の合成獣(キメラ)か!!!!」などテキストの切れ味も抜群であり、「ここまでバカバカしいと100股も許すしかないな」って寛容のアトモスフィアが生まれてしまう。メタネタもふんだんに盛り込まれており、「相手のセリフを一部だけ切り取って鸚鵡返しにする」三田紀房なんかがよくやってるテクニックを揶揄する箇所など「普通の漫画を読み飽きてきた層」を狙い撃ちする気満々です。「ハーレム展開を視界に収めると七孔噴血する」というくらい複股ラブコメに拒否反応を示しちゃう人でなければ是非ともオススメしたい一作。ちなみに私は「好本静」派だ。大量の本を机に置く時のガニ股気味なポーズが地味に好き。

 『復讐の教科書』、マガポケ(マガジンポケット)という漫画アプリで連載されている作品です。タイトル通り復讐モノ。イジメがエスカレートした結果、学校の屋上から飛び降りるハメになった主人公がイジメっ子たちに復讐していくサスペンス漫画です。最近デスゲーム物が落ち着いてきたと思ったら今度は復讐モノが流行り出したな……『十字架のろくにん』とか、『ミスミソウ』『鬼哭街』を合わせたような雰囲気の作品で結構好きだけどまだ1巻しか出ていないので人に薦めるのは躊躇するところだ。翻って『復讐の教科書』、「読んでスカッとする」ことに徹底した内容で、話のつくりは非常にチープだがその駄菓子みたいな衒いのなさが魅力的でもある。試し読みでわかる範囲だからネタバレがイヤな人は先に読んできてほしいが、「屋上から飛び降りた主人公と衝突した担任教師」の体に主人公の精神が入り込むという展開で「いくら将来教師になりたいからっていきなり教師になったら授業を進められなくなるのでは?」みたいな疑問も湧くが、そういう細かいところには目を瞑ってただひたすら「イジメっ子への復讐」に専念していく。復讐モノでは「主人公の倫理観をどう表現するのか」が重要な課題になっており、復讐という非倫理的な行為に苦しむ心理を丹念に綴っていくと爽快感が薄れ、逆に復讐を愉しむ残酷無惨な性格をあまり深く掘り下げると読者に「付いていけない」と拒まれてしまう。そのへんのバランスが肝となるわけだが、うん、この主人公は「復讐のためにイジメっ子のカノジョを先生の体で寝取る」くらいなので付いていけない読者も出てきそう。「倫理観:マガジン」って感じ。2巻で「ん?」となる要素が出てきたことにより物語の着地点もうっすら見えてきたが、最後までチープ路線を貫いてくれそうで信頼できます。

 『ヒロインは絶望しました。』、これもマガポケ連載作品であり「倫理観:マガジン」案件ですね。刊行ペースが速く、今年の3月に1巻が出たばかりなのにもう4巻まで行っている。ジャンルは「最近落ち着いてきた」デスゲーム物です。超リアルな仮想現実の世界へ強制的に送り込まれ、何度も「死の苦痛」を味わわされるヒロイン。これならいっそ現実世界で死んだ方が……と思い詰める彼女の前に救いの手が差し伸べられる。ただ、手を差し伸べた少年は正真正銘「他者を己の欲望を満たすための道具」としか見ることができない、童貞を拗らせたドクズだった! 「もし陵辱ゲーの主人公が戦闘系ヒロインのパートナーだったら」という思考実験の産物みたいな漫画です。これでヒロインが性格の悪い子だったら「クズとクズの潰し合い」でアウトレイジ感覚になり多少は心が楽になっていたかもしれませんが、普通に良い子(見た目はギャルだけど親切な性分で分け隔てなく誰でも気さくに接するタイプ)だから読んでいて心が痛む。「普通に良い子」がヒドい目に遭う様子を眺めて嗜虐ハートが満たされる人にはうってつけだが、そうでなければページをめくるのも辛いだろう。陵辱ゲーの主人公みたいな真似をしておきながら「わぁい、他人を屈服させるのたのしー」と無邪気に喜んでいる「計算された幼稚さ」が下手なヴィランよりも邪悪でゾッとする。他の漫画だったら早い段階で成敗されるイキリ残忍キャラがのうのうと生き延び、クズ度で敵を凌駕していく。ヒロインの境遇に心を痛めつつ「こいつの邪悪さに際限はないのか?」と興味を惹かれる私の性格もあまり宜しくはない。秋葉クンがどこまでクズを極めるのか見届けたい、というのが本音である。

 あと『葬送のフリーレン』、「勇者パーティが魔王を倒して云々」という大枠自体はよくある異世界ファンタジーだが、「長命種であるエルフをメインに進行していく」点で独自性を放っている。50年という人間にとっては長い時間もエルフにとっちゃあっという間、若々しかった勇者もすっかり老け込んでしまって「終わり」が見えてきた。人間の寿命は短い、そんなのは確認するまでもない当たり前のことだったが、喪って初めて彼女(フリーレン)は痛感する……という、「親しい人間たちと死に別れていく」不死者モノのエッセンスと異世界ファンタジーの要素をハイブリッドしたしんみりほのぼの系ストーリーです。この「寿命の尺度が違う」問題はエルフだの吸血鬼だのといった長命亜人や人外が登場するファンタジーでは常々感じていたことであり、「このエルフあっさり人間に惚れているけど、もし添い遂げたとして人間が寿命で死んだら長い長い『その後』をどう過ごすんだろう」とよく考えたものだ。いやお互い寿命が長いとそれはそれで飽き飽きするのかもしれないが……初音姉様とあいつみたいに。大抵のファンタジーは人間視点で紡がれており、この生命コンパスの規模を巡る問題はいささか有耶無耶にされてきたところもあるが、『葬送のフリーレン』はエルフ視点で描かれ年単位で時間が経過していくため「ノリは日常系だし主人公の見た目もほとんど変わらないんだけど、周りの人間がどんどん歳を取っていく」という光陰矢の如しな現象が発生している。シンプルなアイデアを効果的に描いており、「この手があったか」と唸る。発想自体は誰でも持っていたはずなんだが一つの作品に仕上げた点で画期的。ちっちゃかったお弟子ちゃんもフリーレンの身長を追い越してしまって、いずれこの子とも永の別れを迎える日が来るんだろうと考えて切なくなる。見送り続けるフリーレンが辿り着く最果てはどこなのか、知りたくもあり知りたくなくもあり。

ぱれっと、『9-nine-』のコンプリートパッケージを全年齢対象で発売。新章も追加。

 コンプリートパッケージが出るならそろそろ買うか……と情報を調べ始めたら思いも寄らぬ事態に発展していた。エロゲーとして発売したソフトの続編が18禁じゃなくなることはままある(例:『機神飛翔デモンベイン』)けれど、シリーズ作品のパック版をリリースする際に18禁要素抜いて全年齢対象に切り替えるなんて、珍しいにもほどがあるケースだ。バラ売りのシリーズ作品を買い支えてくれた既存のファンたちを優遇するためにあえてエロシーンの削除に踏み切った――のかもしれないが、「新章追加」で結局パック版を買うしかないファンからすると「そんなことより新章部分だけバラ売りしろよ!」ってのが本音だろう。あくまで新規獲得を主目的として声優の表名義が出せる「全年齢版への切り替え」を選んだのだと思われる。こないだ唐突に発売された『きまぐれテンプテーション』の全年齢版といい、業界全体が脱18禁の方向に進み始めているのか?

 ここで『9-nine-』の解説を……と行きたいところだけど、体験版すらプレーしていないので語りようがない。とりあえず「ぱれっと」について語っていくか。ぱれっとは2002年に設立したゲームブランドであり、元を辿っていくと「light」に行き着く。かつて存在したlightの姉妹ブランド「Rateblack」のスタッフが「もっと気兼ねなく自由に創りたい」と独立したのが始まり。lightは割と放任主義でスタッフの裁量に任せるところが多いブランドだったが、複数のラインで企画を動かす際に内容が被らないよう調整することはあったので窮屈に感じることもあったらしい。ブランド名は「絵を描くときに使うパレット=いろんな色を乗せられる」、つまり「いろいろなジャンルに挑戦したい」という気持ちで付けたとのこと。株式会社「CLEARRAVE(クリアレーヴ)」の抱えるブランドであり、「Palette darkside」や「ぱれっとクオリア」などいくつか姉妹ブランドもあるが、いずれも長続きしていない。

 ブランドデビュー作は『はちみつ荘deほっぺにチュウ』、覚えている人も少ないだろうというか私はもうまったく記憶に残っていません。2作目の『復讐の女神 -Nemesis-』がエロゲーとしては稀少なサスペンスで印象に残っている。ブランドが認知されるようになったのは5作目の『もしも明日が晴れならば』(2006年)、亡くなったヒロインが幽霊になって帰ってくる感動系ラブコメであり「もしらば」の愛称とともに親しまれた。2006年発売ソフトのTOP5に入るか入らないかくらいの話題作でしたね。ちなみに2006年というのは『マブラヴ オルタネイティヴ』や『戦国ランス』、「かにしの」こと『遥かに仰ぎ、麗しの』が出た年です。もしらばの評価が高かったぶん、同じスタッフの次々回作『さくらシュトラッセ』に対する期待が膨らみ過ぎ、反動で厳しめの意見が寄せられる結果になっていたっけ。エロシーンで主人公が『北斗の拳』に出てくるモヒカン雑魚みたいなセリフを口走るという理由でやたらモヒカンAAが貼られたりしたものだった。

 もしらばの3年後、ぱれっとの代表作となるソフトが遂に降臨します。そう、アニメ化されたおかげもあって知名度ナンバーワンの『ましろ色シンフォニー』だ。アニメ版はヒロインたちのフられる描写が強化され、「滑り台」の語源にもなりました。ぱれっとゲーの原画家はたまひよ、くすくす、和泉つばすの3人体制で、つばすはもっとも後発の原画家なんですが、ましろ色が大ヒットを飛ばしたおかげで「ぱれっとの看板」として認識される運びになった。『9-nine-』はそんなつばすがぱれっとで手掛ける3作目の企画であり、「あらかじめ1本では完結しない」ことが明言されたいわゆるところの分割ソフトです。1本あたり2800円(税別)と低価格ながら、4本買えば1万円を超えることになる。似たような試みはCampusの“ウソ”シリーズなどでも行われており、開発が長期間に及んでも節目節目で資金を回収できるメリットがあるものの「いずれシリーズ全部をまとめたコンプリートパック版が出るはずだから」という理由で買い控える人も出てくる諸刃の剣。「分割商法」であり同時に「完全版商法」、それが『9-nine-』という企画のもたらす印象だったのだが、ここに来て新たに「レーティング切り替え商法」が加わった。「エロが目当てじゃなかったとはいえ、やっぱりエロシーンも観たかったな……」と残念がりつつコンプリートパッケージを購入する予定である。

 エロゲーは今やFANZAなどのプラットフォームを利用したDL主体の低価格路線がメインストリームになってきており、「物理パッケージで販売されるフルプライス(税抜8800円〜9800円)のソフト」という意味での「古いエロゲー」は今後どんどん市場から姿を消していくのかもしれない。秋葉原のショップで棚一面を埋め尽くしていたあのクソデカパッケージの群れを懐かしむ日々もそんなに遠くないのか。でも先日みなとそふとの新作(『我が姫君に栄冠を』)も発表されたし、「もうちっとだけ続くんじゃ」かもしれない。

 それはそれとして、『ましろ色シンフォニー』の紗凪エディションを出すって話はどうなってるんだ? 10周年特設サイトまで作っているのに全然音沙汰ないから困惑しているぞ。

『メギド72』、月中ピックアップ召喚「過去の自分と繋いだ絆と」開催。「ジズ(ラッシュ)」を実装。(すぐにピックアップは終了済)

 『メギド72』は新規のユニットをガチャ実装するタイミングが月に二度あります。中旬と月末。月末は魔宴(サバト)という排出率2倍のガチャを開催するため「サバトピックアップ」、中旬の方は特に何もないので単に「月中ピックアップ」と呼ぶ。月中ピックアップは排出率据え置きのため副産物に恵まれる可能性が薄く、あまり積極的に回したくないガチャなのだがピックアップ対象がジズ(ラッシュ)なのでグラついてしまった。「リジェネレイト」と呼ばれるバージョン違いであり、ジズ(バースト)、「リジェネレイトじゃないジズ」はイベント配布キャラだからゲームを熱心にプレーしている人だったらほぼ全員が持っているはずです。ストーリー配布であるアスモデウスとの相性が良く、幾度となく世話になっている。役割が「肉の盾」に近いから「あんな不憫な生い立ちのイベントストーリーを読んでおいてよくそんな運用法ができるな」と謗られたら返す言葉もないが。ソシャゲやってるとゲームパートで役に立つキャラに対して愛着が深くなるのはよくあることで、可憐な容姿も相俟ってすっかり魅了され有償のクリスマス衣装(スキン)を「ジズにこれを着せてあげなくては……普段のお洋服は薄手で冬だと寒いだろう? あったかくしないと……」と我ながら気持ち悪い理由で迷わず購入してしまった。今回のジズ(ラッシュ)は「小さな君に、伝えたいこと」というイベントを通じて精神的に成長した姿であり、立ち絵も半泣きみたいな顔から少し明るい表情になっています。

 推しキャラのバージョン違い、回したくなるのはやまやまだが理性的に考えればここは「スルー」の一手である。『メギド72』には「指名召喚チケット(〆チケ)」という任意のユニットや装備品と交換できる有償アイテムを年に二度販売するタイミングがあり、前回が7月で次回は12月なのですが恐らくその交換対象にジズ(ラッシュ)も入るはずです。〆チケは「販売から2ヶ月前の月中ピックアップまで」、つまり7月販売なら5月の月中ピックアップ(今年だとオレイ)まで、12月販売なら10月の月中ピックアップ(去年だとアバラム)までが対象となる。「テルミナスメギド」というサバト限定のキャラは〆チケの交換対象になりませんが、ジズはテルミナスじゃないので心配する必要ナッシング。呼応召喚(いわゆる天井)に必要な石は貯まっていますけど、それは今後来るであろうテルミナスのためにとっておくのがもっとも合理的な判断と言えます。しかし、「合理的な判断」だけでゲームやってて楽しいわけあるかよ! ええい止めるな俺は断固としてジズを喚ぶぞ! 呼応召喚でも何でも来いや! と石を突っ込んでしまいました。ぶっちゃけ『メギド72』は最近一日一回ログインしたらそれで終わりってくらいプレー意欲が下がっていたからガチャ禁してストレス溜めるくらいならいっそ吐き出した方がアド、って心境になっていたのである。引きが悪すぎてマジで呼応召喚に頼るギリギリのところまで行ったけどジズ(ラッシュ)はなんとか召喚できました。特にピックアップされているわけでもないバルバトス(ラッシュ)までオマケで付いてきたから個人的には許容範囲。こないだの〆チケで交換するの、最後までシャックスにするかバルバトスにするかですっごく悩んだんですよね……シャックス選んどいてよかった。

 「ジズが好きだから」という理由で引いたため性能はあまり期待しておらず、レベルが50超えたあたりでモーション確認も兼ねてRジスリーダー編成をテストしてみたらトンデモない強さでブッ魂消た。詳しく説明すると長くなるので割愛しますが、アタックフォトン一つで「暴奏」という特殊な状態(現状だと強化解除不可)をもたらし協奏パーティが劇的に強くなる。まるで温めたナイフでバターを切るようにエネミーの群れがみるみる溶けていく。単体ボス戦だと火力が足りなくなることもあるが、Rベヒモスあたりを編成すると「スキルが発動せずアタック扱いになる」暴奏のデメリットがメリットに反転し、たちまちのうちにボスを膾に切り刻んでくれます。おかげで今まで放置していた銀冠クリアのステージや無冠ハード・ベリハがあっという間に金冠クリアへ置き換わっていきました。アスラフィルやクロケル(ラッシュ)など手持ちのメギドも輝きを増して嬉しい限りではあるが、「もはや別のゲームでは?」という感触で茫然とする。界隈も荒れ気味で、「ジズ」で検索すると「ナーフ」がサジェストされるくらい。どうしてもオリエンス事件(去年10月に新規メギドとして実装された「オリエンス」があまりにも強すぎて修正されてしまった騒動、オリエンスの異常な強さは実装されてすぐに判明したにも関わらず運営が事態を把握して対処するまで1ヶ月も掛かったため騒ぎもどんどん拡大していった)を連想してしまうが、オリエンスは「開発チーム内での情報伝達がうまく行っておらず想定と違った性能で実装されたため強くなりすぎた」から不具合修正の名目で対処するハメになった例であり、Rジズは「想定通りの性能だけど想定した性能が強すぎる」のであって不具合と見做す要因は特になく、「騒ぎになった」点で共通しているが事情は少し異なる。これからRジズを調整するとなれば「下方修正」以外の何物でもなく、下手すりゃオリエンス事件のときよりも燃えかねない。公開された最新のプロデューサーレターでは「話題に上がっている」と言及しつつも「手持ちのメギドやオーブの種類とバトルに対する思考が必要」と語り、Rジズをナーフせず現状のまま据え置く判断を示しています。これからは攻略サイトに「引き直しでフォラスかナベリウスを出してリセマラでRジズを引こう」と書かれる時代が到来してしまうのか……。

 そしてあと3ヶ月足らずでメギドも3周年を迎えますが、次の〆チケは誰を選ぶか迷っています。最有力候補だったRバルバトスが引けたこともあり、正直「課金してまで欲しい」ユニットはそんなにいなくなってしまった。強いて言えばRプルフラスか? テルミナスもありだったらリジェネじゃない方のユフィール一択なんですけども。あえてユニットではなくSSRオーブを取るという手もある。その場合はやっぱり「ボーパルバニー」かしら。オーブのために課金するのはちょっと抵抗あるが、とりあえず〆チケ買うこと自体は確定事項だし時間を掛けて検討しよう。


2020-09-06.

『黄昏を切り裂く光になる』が書籍化に際して『追放された落ちこぼれ、辺境で生き抜いてSランク対魔師に成り上がる』というタイトルに変更されたと知って目を疑った焼津です、こんばんは。

 文庫新刊予定表では『黄昏を切り裂く光になる』のままだったので「マジか」って顔になっちゃいましたね。魔族との戦争に大敗した結果、朝と昼がなくなり黄昏と夜だけが永遠に続く世界となってしまった――って設定を背景に「人類に青空を取り戻す」ため身を粉にして戦う少年が主人公を務めるファンタジーです。「あなたならこの黄昏を切り裂く光にきっとなれるわ」みたいな作中のセリフから来ている旧題だったんですが、新題は物の見事に身も蓋のないテイストとなってしまった。長文系タイトルは私の記憶力が劣化しているせいもあって覚えられないから困るんだな……タイトルがそのままあらすじになっているからわかりやすいっちゃわかりやすいんだけど、もっとこう、風情みたいなものが欲しいと申しますか。『転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?』あたりは作品の雰囲気とマッチしていて好きなんですが。『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』あたりまで行くと逆に賞賛してしまう。

ハルヒシリーズ9年ぶりの新刊『涼宮ハルヒの直観』、11月25日発売予定

 「もう続きは出ないだろう」と諦めかけていたハルヒの新刊が突如ポップアップしてきたこともさることながら、『涼宮ハルヒの驚愕』からもう9年も経っていることに愕然とした。当時はお祭り騒ぎで書店在庫量が凄いことになっていたんですよね……『分裂』から4年ぶりということで話題になったけど、今回はその倍以上待たされたことになる。「フェイクニュースか?」と目を疑った人も少なくないはずです。シリーズ開始が2003年、今年で17周年を迎えるハルヒシリーズですが、もはや活動期間より休止期間の方が長くなっている。現在の中学生にとっては「生まれる前に始まったシリーズ」であり、「アニメやライトノベルは好きだけどハルヒは観たことも読んだこともない」という層が厚くなってきているとも聞く。ちなみにうちのサイトは2003年開設なので、初期の日記を掘り返すと『憂鬱』の感想が出てきます。「微妙」と書いている通り、実はハルヒシリーズをそんなに評価していなかった。ぶっちゃけ『学校を出よう!』シリーズの方が好きでしたね。ただ『消失』だけは図抜けた面白さだと思いました。

 さておき、『直観』はハルヒシリーズの11番目(『驚愕』が前後編なので冊数で言うと12冊目)に当たります。長編ではなく作品集で、いとうのいぢの画集『ハルヒ百花』に寄稿した「あてずっぽナンバーズ」、『ザ・スニーカーLEGEND』に掲載された「七不思議オーバータイム」、そして書き下ろしの中編「鶴屋さんの挑戦」を収録するとのこと。書き下ろし長編でシリーズが再始動することを期待したファンからするとガッカリな内容かもしれないが、とにもかくにも「新刊が出る」のは大きな進歩。次は20年後とかになるかもしれないが、書き下ろし長編が出る可能性は高まったと言えます。

 あとハルヒ新刊のインパクトに紛れてしまったが裕時悠示の『踊る星降るレネシクル』も久々に新刊が出ます。なんと5年ぶり。映像化どころかコミカライズさえしていないライトノベル作品を5年ぶりに出してもらえるなんてそうそうないことですよ。「半年ブランクが空いただけで旬を逃す」とまで言われている業界ですからね。『天国に涙はいらない』並みのレアケースだ。600ページを超える大ボリュームで遂に完結となります。1巻が出たのは2010年、粗削りなセンスが唸る内容に引き込まれたものの激遅すぎる刊行ペースには泣かされました。4巻までは4ヶ月に1冊ペースで割と順調だったんですけども、同作者の別シリーズである俺修羅(『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』)がヒットした影響か5巻まで3年待たされ、次の6巻まで1年お預けを食らい、そして5年も耐え忍んでようやくこの7巻に辿り着けた次第です。ちゃんと最終巻が出るのはありがたいことだが、まさか完結まで10年も掛かるとは……さすがに初期の巻の内容はうろ覚えになってきているし、そろそろ再読すっかな。

2021年放送のTVアニメ「バトルアスリーテス 大運動会ReSTART!」ビジュアル公開(コミックナタリー)

 古さで言えばハルヒどころじゃないのが来ちゃったな……90年代にアニメやゲームが出た『バトルアスリーテス 大運動会』、遂に本格的なリメイクが始まる模様です。倉田英之がアニメ脚本家として知られるようになった初期の代表作。師匠筋に当たる脚本家がいない倉田はシリーズ構成のノウハウなどまったくなかったため、TVシリーズの構成をどうするかで相当悩んだそうな。黒田洋介と話し合いながら手探りで作っていった、好き勝手やらせてもらえて新鮮だった、と後に述懐している。当時は絵柄が苦手だったせいで食わず嫌いしてしまったが、そこはかとなく気になっていたシリーズなのでリメイクは渡りに舟である。ヒットしたら倉田のノベライズ版も復刻してくれるかしら。しかし令和にもなって「バトルアスリーテス」なんて単語を新作として目にするとは夢にも思わなかったな。

プリンセスフェスガチャ開催!!限定キャラ「ラビリスタ」登場&おまけ付き!

 待望のラビリスタ実装だ。このときをどれほど待ったことか。ラビリスタ、本名「模索路晶(もさくじ・あきら)」はタイトルに『Re:Dive』が付く前のプリコネから登場していたキャラというか、そもそも騎士くん(アニメ派の人にとっては「ユウキ」の方が通りはいいか?)がプリコネの主人公になったのはこの人に目を付けられたからである。すべての元凶、と書くと聞こえが悪いか。「すべての発端」とも言うべき人物です。『Re:Dive』でも割と初期から登場していたが、様々な事情を知る存在だけに扱いが難しく基本的に「ずっと寝てるお姉さん」だったんですよね……リゼロアニメ2期のレム並みにひたすら寝っぱなしでした。「そろそろラビリスタが実装されるのでは」という期待を高めるたびに「まだ寝てるだろ」と冷静なツッコミを受けた日々が懐かしい。

 ラビリスタさんはプリコネの世界に君臨する上位者「七冠(セブンクラウンズ)」の一人であり、ユニットとしても当然の如く強い。どれぐらい強いかと申しますと、あまりにも面倒臭くて攻略を放棄していたダンジョンEX3「緑竜の骸領」ボス、ラードラこと「ラースドラゴン」をラビリスタ入り編成であっさり突破できるようになってしまったぐらいです。これなら毎日周回できるな、というレベルの手軽さで……控え目に申し上げてもぶっ壊れだと思います。

 七冠とは何なのか、アニメじゃ全然解説されなかったからアプリやってない人はまったくわからないでしょうが、説明しようとするといろいろネタバレを含むので難しいところだ。ややボカして説明しますと、プリコネワールドにおいて創造主的な立場にある女神「ミネルヴァ」、それを生み出した7人の天才が「七冠」と呼ばれている。ユニットとして実装されているキャラはクリスティーナ、ネネカ、そして今回のラビリスタで3人。すべてフェス限(プリンセスフェスという主に月末開催の最高レアリティ排出率2倍ガチャでしか出現しない限定キャラ)です。ちなみにムイミちゃんはフェス限だけど七冠にはカウントされない。ノウェム(9)という別名、オクトー(8)という相棒が示す通り、七冠とまったく無関係なわけではないが。

 実装された3人以外の七冠について今後どうなるのか、予測交じりで語っていきたい。残り4名のうち名前が判明しているのはラジクマール・ラジニカーントと千里真那のふたり。両方とも第一部のストーリーに登場しています。ラジクマール・ラジニカーント、愛称「ラジラジ」は記憶喪失に陥っており、成り行きでムイミの仲間になったことから主人公たちの協力者ポジションへと収まった。ラビリスタの証言によると「ミネルヴァの懲役」という災厄が発生したときラジラジは「外」にいた……プリコネの世界にログインしていなかった、ということだからガワだけラジラジで「中身」は別人って可能性が高い。プリコネは基本的に女性キャラしかユニットとして実装しない方針なのでラジラジがプレイアブル化する望みは薄いが、「中身」次第ではひょっとするかも……といったところである。千里真那は「覇瞳皇帝(カイザーインサイト)」の本名、要するに第一部のラスボスです。たぶんアニメのラスボスも真那なんじゃないかな。作中で結構非道なことをやっているから嫌っているプレーヤーも多く、仮に実装なんて話になったら「どのツラ下げて……!」と反発が起こることは必至。ただラスボスを務めていたくらいのキャラだから「凄まじく強い」のは事実で、激戦が避けられそうにない第二部でその助力を乞うハメになる展開は充分考えられる。残りの2名は本名不詳。片方は「棗こころ(コッコロ)のパパ」なので「棗氏」と仮称する。棗氏は高齢のためかそもそもプリコネの世界に一度も入ったことがないみたいで、「七冠の権限は持っているが実際に行使したことはない」と見られている。コッコロが棗氏の代理として赴いており、アメス様の託宣を受けることができるなど特殊な加護を持っているが、どうもこれまでの遣り取りから察するに七冠の権能までは譲られていない模様。いずれ棗氏の権限を受け継いだ「七冠コッコロ」として覚醒するのでは……という説もあります。7人目の七冠は未だに正体が判明しておらず、数多の考察が入り乱れ「○○説」「××説」「△△説」といくつもの説が囁かれている。「仲間を石に変える『眼鏡女帝(エンプレスグラシーズ)』のカリン」みたいな珍説まで含めると枚挙に暇がない。ラビリスタの口振りからすると最後の七冠も「ミネルヴァの懲役」を喰らっているようで、『Re:Dive』に登場したキャラであることはほぼ間違いないようなのだが……結論を一言でまとめると、「わからんことだらけ」だ。


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