2020年9月〜10月


2020-10-28.

CLAMP「東京BABYLON」が2021年にTVアニメ化!アニメ制作はGoHandsが担当(コミックナタリー)

 『東京BABYLON』!? よもや「災いなるかなバビロン 神の怒りに沈む都市(まち)」が現代に甦ろうとは……90年代におけるこの作品の人気は凄まじいものがあり、手塚漫画すらろくに置いてなかった図書館にもなぜか『東京BABYLON』は全巻揃っているほどでした。東京を舞台に陰陽師たちが様々な怪奇事件を解決していく連作モノであり、ところどころコミカルな描写も入るものの押しなべて暗い内容で、特にエンディングは切ないを通り越して痛みさえ覚える。つっても読んだの中学生の頃だから内容はほとんど覚えてねぇな……単行本もとっくに処分してしまった。続編として読めなくもない(厳密にはパラレルワールドである)第一次スーパーCLAMP大戦『X』がどうも完結しそうにない雰囲気だったので「読み返すこともないだろう」と……『xxxHOLiC』や『ツバサ』あたりから付いていくのがしんどくなったこともあり、もうCLAMP作品は本棚に一冊も残っていない。

 PV観ると絵柄が現在のCLAMPに近いものとなっており、90年代当時に熱狂していた層にとってはちょっと残念な感触もあるようだ。特に桜塚星史郎は体格からしてほとんど別人と化しており、「返して! 星史郎さんの肩幅を返して!」と悲痛な声を上げている人までいる。「この細さだと声優は櫻井孝宏かな」と冷静に分析している人もいて笑った。人気だったためOVAどころか実写版まで制作されたことのある作品だが、エンディングがエンディングだけに本編を丸々映像化するような動きはこれまでなく、連載開始から30年も経った今になってまさかのTVアニメ化という報せが流れてTLは揺れに揺れました。タイトルは『東京BABYLON 2021』となり、作中の時期も平成から令和に変更される。ストーリーは原作準拠なのかアニメオリジナルになるのか、現時点だと不明だ。やっぱりエンディングがどうなるかなんだよな……原作通りにやって「はい、おしまい」じゃあまりにも救われない。「ひょっとして『X』を再開するための前フリなのでは……?」と勘繰る向きもあります。『X』は90年代に劇場版、2000年代にTVシリーズが制作されているが、原作は2002年に刊行された18巻を最後に展開が止まっている(未収録分をまとめた18.5巻もあるらしい)。私が読み始めた時点で10巻を超えていて「息の長い漫画だ」と感心したが、もう連載していた期間(約10年)よりも休止している期間の方が長くなっているんですよね。「原作の結末を見届けるまで死ねない」というファンも多いだろう。無論のこと私はそこまで執着心を抱いていないが、完結するならもう一度最初から買い直してもいいとは思っている。『X』と言えば尺の都合からハイスピードで登場人物が死にまくる劇場版、ある種の味わいがあるけど個人的にはあまり好きじゃない。劇場版準拠のノベライズも出ているらしいが、こちらに関してはまったく記憶に残っていません。

 ちなみに馳星周の小説に『トーキョー・バビロン』、新堂冬樹の小説に『東京バビロン』という作品があるが、もちろん『東京BABYLON』とは何の関係もない。最近始まった(そしてもうすぐ完結する)『トーキョーバベル』という漫画もあるな……。

・川田両悟の『七人の魔剣姫とゼロの騎士団』を読んだ。

 今月始まった新シリーズ。帯に思いっ切り「七つの魔剣」と書かれているせいで『七つの魔剣が支配する』の後追いみたいな印象を受けるが、内容についてはどちらかと言うと『武装少女マキャヴェリズム』に近い。「魔剣」を持つ七人の姫に「魔拳」で立ち向かい、彼女たちを従えようとする少年の話。そもそも『七つの魔剣が支配する』の「魔剣」は武器を指すものじゃなく「魔剣・雲耀」とか「魔剣の話をしよう。魔剣とは理論的に構築され、論理的に行使されなければならない」とか、ああいう「技としての魔剣」を指すものであり「この世界に存在する七本の魔剣を集めよう」というストーリーじゃありません。

 凄まじく発達した文明を築き上げた後、謎の滅亡を遂げた古代人。彼らが遺したオーパーツの一つが「魔剣」である。七つの魔剣はすべて「キールモール魔術学園」で管理されており、生徒たちは様々な形で魔剣を代々受け継いできた。ある者は平和的に譲られ、ある者は力で奪い取り、ある者は学園の思惑に沿って授かった。型破りの転入生――そもそも超難関であるキールモールに転入の前例などない――「ナハト」は「七つの魔剣すべてを手に入れる」と周囲に豪語する。魔剣を持つ生徒は伝統的に「魔剣士」の称号で呼ばれてきたが、今代だけは違う。七本それぞれが各国の姫君たちに行き渡ったことから魔剣を所持する者、それ即ち「魔剣姫(まけんひめ)」であった……高貴なる身分のヒロインたちに真っ向から「すべての姫は魔剣を譲れ!!!!!!」と宣言してしまったナハトの運命や如何に?

 七人のお姫様とバトルもしくは交渉し、七本の魔剣を手に入れろ! という、わかりやすい目標を掲げてスタートする学園ファンタジーです。作中の世界では「赤毛=先天的に魔力ゼロ」という設定になっており、赤毛の主人公は周りから散々バカにされながらも売られた喧嘩を買って順調にのし上がっていく。いろいろと既視感が漂う内容になっているのは難点っちゃ難点だが、とりあえず「何をしたいのかわからない」と戸惑うことはないので安心して気楽に読める。1巻目に必要な情報を詰め込んでおきたかったのか、とにかくいろんなキャラが物凄い説明口調でセリフをまくしたてるのが面白くて笑っちゃった。高咲侑じゃないが私も割と笑いのレベルが赤ちゃんだからな。

 さておき、「七つの魔剣を集める」のはあくまで「目的を叶えるための手段」であって目的そのものではありません。魔剣収集は計画の一段階目に過ぎず、集め終わってからが本番である。ゆえに主人公は七人の魔剣姫を強引に襲って魔剣だけ奪えばいいというわけではなく、入手した後も協力し合えるような関係を構築しないといけない。なので今後はハーレム展開に入っていくのではないかと予想されるが、まだ1巻目だからかサービスシーンみたいなのはほとんどないですね。「えっ……MFの新作なのに半裸ヒロインの挿絵が一枚もない!?」ってビックリしました。「なりふり構わず無理矢理にでもお色気ショットを捻じ込むレーベル」というイメージがあっただけに意外だ。いや探せばお色気要素のないMF作品も結構あるのは知ってるけど、「見るからにツンデレ」という顔をしたツインテールの少女が表紙を飾っているにも関わらず全裸や下着姿のイラストがないなんて信じがたくてな。おかげで不自然な寄り道もなくスムーズに物語が進行していきます。

 サービスシーンが少ない割に「話が長かったから、つい、(おっぱいを)揉んじまった」と言い出す、昨今珍しいオープンスケベな主人公だからムッツリ系に飽きてきた人にとってちょうどいい一冊となるのではないだろうか。まだ始まったばかりだし打ち切られないとも断言できないのでオススメしようかどうかは迷うところだが……魔剣を集め切る前にフェードアウトしたらさすがに赤ちゃんでも笑えないぞ。他レーベルだけど、「五虎将を集める」という明確な目標を掲げながら3人目が見つかったところで幕切れとなった『リア王!』の件は未だに忘れがたい。気に入っていたシリーズが打ち切りになっちゃうのはどれであっても悲しいことだが、「○個ある××を集める」系のストーリーで集め切らないで終わるのは途上ムード際立ちいっそう物悲しさが増す。お願いだから全部集め切ってくれ。

・カミツキレイニーの『魔女と猟犬』を読んだ。

 ――『暗殺者は慟哭より生まれる』

 ガガガの新シリーズ。本屋の新刊コーナーで見かけて表紙買いした一冊です。帯文を読むと「使命は、7人の魔女を集めること。」……って、また「7つの○○を集める」話かよ! 流行ってるんでしょうか、このドラゴンボールみたいな設定。

 魔法を使う魔術師(ウィザード)たちを独占することで大陸に版図を広げる王国「アメリア」。その脅威に晒された小国「キャンパスフェロー」は、起死回生の一手として「厄災の魔女」たちをヘッドハンティングすることに決めた。資質ある者が厳しい訓練課程を経て到達する「努力家」の魔術師と異なり、生来の資質のみで魔法を自在に駆使する「天才児」の魔女は秩序を乱す悪しき存在として忌避されている。曰く、魔女は痛みを感じない。傲慢で欲深く人からあらゆるものを奪うことに躊躇いがない。その存在は暴力を飛び越えて災害に等しい、と。何もしなければアメリアに蹂躙されるだけだからと、キャンパスフェローは話し合いが通じるかどうかも不明確な魔女たちに縋る道を選ぶ。隣国「レーヴェ」で王を含む50名以上の人間を惨殺した「赤紫色の舌の魔女(マゼンタ)」が捕まり処刑を待つ身だという情報をキャッチしたキャンパスフェローの領主は、処刑前に魔女の身柄を買い取るべく交渉するが……。

 1巻の英題は「Witch and Hound -Mirror,mirror-」、鏡よ鏡よ鏡さん、というわけで「白雪姫」がモチーフになっています。名前を上げられている7人の魔女はすべてお伽噺がモチーフとのことで、鏡の魔女(白雪姫)、お菓子の魔女(ヘンゼルとグレーテル)、海の魔女(人魚姫)、西の魔女(オズの魔法使い)、雪の魔女(雪の女王)、茨の魔女(眠れる森の美女)、月の魔女(かぐや姫?)といった顔ぶれになっている。どれも噂話に等しく、キャンパスフェローの人間で実際にその姿を確認した者は一人もいない。いるかどうかもハッキリしないモノに頼るだなんて、キャンパスフェローの領主もなかなかイカれてやがるな。魔女たちを掻き集めるためには大陸中あっちこっち飛び回る必要があるので、フットワークの軽い人材として猟犬――「黒犬」の二つ名を持った暗殺者がスカウト役に抜擢されます。この状況が『魔女と猟犬』というタイトルを表しているのですが、あとがきによるとタイトル先行の企画だったらしく、まず最初に『魔女と猟犬』ってタイトルが決まってその後に詳しい内容を詰めていったそうだ。作者はできれば『魔女と恐竜』というタイトルにしたかったが編集者が難色を示した(そりゃ『魔女と恐竜』じゃまず売れないだろうしな……)ので実現しなかったとのこと。でもティラノサウルスを出すことは諦めていないみたいで、最終巻になったらアメリアの秘密兵器として古代竜「恐怖帝(T-REX)」復活、魔女たちは総力戦を仕掛ける! って展開に突入するかもしれません。

 ストーリーの目的は「魔女集め」と非常にシンプルだが、まっすぐ進むと見せかけて事態は二転三転していく。レーヴェにて魔女は既に捕獲済とのことだが、一国の王様を家臣ごとブチ殺せるような奴がなぜ易々と捕まってしまったのか? という疑問が最初に立ち上ります。ただ単に多勢に無勢で力尽きたのか。それともレーヴェには魔女を下せるほど強い騎士が存在するのか。あるいは……捕まっている女は、魔女じゃない? だとすれば本物はどこに? 爽快感のある単純明快なバイオレンス・アクションを期待していた人からすると、「やや迂遠な展開」という印象を受けるかもしれません。だが、こうしたサスペンス調のストーリーを丁寧に紡いでいくおかげで最後まで読めば「まとまりが良い」と納得できる仕上がりになっています。シリーズとしては始まったばかりなので早く続きが読みたいところだが、続き、出るのかな? 読んだ人の間では評判が良いものの、「メッチャ売れそう」という気配は今のところ感じない。主人公は二つ名を持っているくらいなので当然強いけど、無双の域には達していないのでところどころ苦戦する。そういう意味では爽快感がやや少ないし、赤色が目立つ毒々しい表紙の割に本編はそれほど凄惨ではない。転がる死体の数は多いんですけど文章が淡々としているおかげもあってかあまりショッキングなシーンはなく、「悪趣味なダークファンタジー」を希求して読んだら肩透かしを食うでしょう。逆に「気になっているけど表紙とかおどろおどろしい雰囲気で手を出すべきか迷っている」という方は私が2巻以降を読むためにも物は試しと購入してみてはいかがだろうか。はようワシに魔女と魔女の絡みを見せておくれ。『アサルトリリィ』よろしくイノチ感じたいんだ。


2020-10-25.

・秋アニメをひと通りザーッとチェックしてみたけど、一番面白かったのは『呪術廻戦』だった焼津です、こんばんは。

 正直アニメ版にはそこまで期待しておらず、視聴を後回しにしていました。1話目は知らないうちに放送されていて、2話目は録画に失敗して、3話目は録画予約する前に眠くなって寝てしまい……と、何かに阻まれるかのように「一度も録画できない」という事態に陥っていたせいもある。4話放送直前にようやく気が向き配信サイトを利用して観始めたら「何コレ良アニメ化じゃん」と衝撃を受けた。声が付いたのが大きかったのか、原作を読んだときにはいまひとつ湧かなかった作品のイメージがスーッと頭に入ってくる。このアニメを目にしてやっと『呪術廻戦』の真なる魅力がわかったような気さえしてきました。実際アニメ観た後だと原作の面白さも変わってきたんだから不思議なものだ。伝説じみた超絶大ヒットを飛ばしている鬼滅のせいで影が薄くなっているけど、こっちもアニメ化を機に大化けしそうな予感がしますね。時代に伝奇の風が吹き始めている気配を察してワクワクしてしまう。この流れに乗じて『呪禁官』あたりもブレイクせぇへんかしら。

 ちなみに世間では「鬼滅っぽい作品を」という雑なオーダーが飛び交っているらしいが、よもやよもやの『あやかしがたり』復活とかもありえ……いや、まさかな。大正時代を舞台にした伝奇モノというと『月陽炎』も連想されるが、アレ来年で20周年を迎えることに気づいて失神しそうになりました。えっ、もうそんなに昔の作品になってるの!? ジョーク抜きで私の時間感覚が錆びついて動きを止めておる。まるで針の止まった懐中時計のようだ。

エルフの恋愛ADV『同級生』のフルリメイク版が、2021年2月26日に発売決定。PC用ソフトで発売元はFANZA GAMES(ファミ通.com)

 エロゲーの歴史を語るうえで避けて通ることのできないあの『同級生』が遂にフルリメイクされる……『月姫』のリメイクよりも先に! いろいろと衝撃的なニュースだが、古参エロゲーマーがもっと衝撃を受けたのは「エルフの恋愛ADV『同級生』」という書き出しに対して「へー、ヒロインがエルフの恋愛ゲームか。それにしては耳が短くない?」と反応する人たちが存在したことであろう。そう、「エルフ」という言葉が完全に「ファンタジー世界の種族名」としてだけ認識されており、「かつてそういうブランドがあった」ことがまったく語り継がれていなかった(熱心に語っていてもまるっきり聞き流されていた)と明らかになってしまったのである。elfが解散したどころか忘却されつつさえある世界……我々は今そこに立っている。このリメイクも恐らくメインターゲットは温故知新に励む若者たちじゃなく、90年代に青春を過ごしたオッサンどもでしょう。

 『ときめきメモリアル』という一世を風靡したギャルゲーが『同級生』の影響を受けていることはときメモの開発者がインタビューで認めていたくらいなので確定的に明らかなのだが、実のところ『同級生』はときメモみたいな「疑似恋愛の提供」を目的として始まった企画ではありません。もはや消滅してしまったジャンルなのでこう書いてもなかなかピンと来ないかもしれませんが、『同級生』は本来「ナンパゲー」の一つとして出発した企画である。ナンパゲーというのは主に街を舞台に道ゆく女性たちへ声をかけ、あの手この手で口説き落としてホテルに連れ込もうとするタイプのエロゲーを指す。『同級生』の主人公はバイトで稼いだ資金を懐にして下心とともにナンパへ繰り出していく。企画段階では「50人くらいのいろんな女の子」が出てくる予定だったが原画家である「竹井正樹」の絵が素晴らしかったため、「人数を絞って個々のキャラを掘り下げる」方向に転換しました。結果として恋愛色が強まり、「エッチそのものより疑似恋愛的な要素の方がユーザーに受けている」感触を掴んだelfは続編『同級生2』でエロゲー界におけるトップブランドとしての地位を確立する。比喩じゃなく全盛期は文字通り「ビルが建つ」ほど勢いがあったんですよ、elfは……とりわけ家庭用ゲーム機への移植が絶好調で、「スクウェアの次に初任給が高いゲームメーカー」とまで言われた時代がありました。

 付帯的な情報が抜け落ちているので補足気味にチマチマ書いていこう。「elf」は1980年代後半に発足したブランドであり、会社組織として立ち上がったのは1989年だが、ブランドデビュー作は1988年の『ドキドキ シャッターチャンス!!』である。当時のエロゲーは記録媒体がFD(フロッピーディスク)だったこともあって容量が少なく、現在と比べ小規模なソフトが主流でelfも年に4、5本のペースで新作をリリースしていた。『同級生』はブランドデビュー4周年を迎えた1992年12月に発売。PC98用で、画面はなんと16色です。当初は『卒業』という題名で発売するつもりだったが、同じ竹井正樹が原画を担当したヒット作『卒業 〜Graduation〜』の関係者から「やめろ」と脅されたせいで急遽『同級生』へ変更することになった。卒業要素を消すために作中の時期を冬から夏に差し替えるハメとなり、一部変更が間に合わず「夏休みの最中なのに冬服を着ているキャラがいる」という珍現象も発生した。パッケージに映る集合写真は言うまでもなく卒業写真を意識したもの。よく「タイトルが『同級生』なのに同級生キャラが少ない」とツッコまれるが、狙って付けたタイトルじゃないので仕方ない面もあります。

 1999年にWindows版として一度リメイクされており、このとき大幅にシナリオが刷新されました。今回FANZAから発売される『同級生リメイク』もWin版のシナリオがベースになっている模様です。豪華版には特典として最新OSで動作する初代『同級生』(DOS版のシナリオがベース、ただし現在の倫理規定に沿わない部分は修正されている)が付いてきますので、新旧比べてみるのも一興かと。ちなみに豪華版は昔懐かしのプラスチックパッケージです。私はWin95以降がメインだからプラパケ見てもあまり懐かしい気分にならないというか、むしろネオジオのカセットを連想してしまうな。秋葉原の中古ショップでちょくちょく見かけたことはあるものの、購入したことは一度もない。ぶっちゃけ『To Heart』の移植版をキッカケにエロゲーやり始めた世代なんで『同級生』シリーズに対する思い入れもそんなに深くないんですよね……「重要な古典」と認識してはいるが、ノスタルジーを感じる層とは少し隔たりがある。

 elfは2017年に解散し権利をDMMに譲渡したのでFANZA(DMMの18禁部門)からの発売となります。その時点で察したかもしれませんが、オンライン認証(ソフト電池)必須なので注意。これが売れ行き好調なら『同級生2』(オリジナルは1995年発売)や『下級生』(オリジナルは1996年発売)あたりもリメイクされるのかなぁ。『下級生2』は2004年発売だからHD化のみで済ませそう。売れまくれば幻の『同級生3』、そして『上級生』が制作される可能性も……? うん、夢想するだけならタダだ。あー、“涼崎探偵事務所ファイル”シリーズもリメイクされて『人工失楽園』発売されたりしないかなぁ。というか、そもそも年数経ったリメイクで再ブレイクしたエロゲーってあんま記憶にないですね。『加奈…おかえり!!』とか『家族計画 Re:紡ぐ糸』とかは「あったな、そんなの」ってレベルですし、『痕』なんて2回もビジュアルが刷新されているけどあまり新規を取り込めている雰囲気はなかった。強いて言えば『ランス01』や『ランス03』あたりが成功例か? 『ランス01』のキャッチコピー、「父親が遊んだかもしれないエロゲー」だったっけ。今の18歳にとって『ランス』や『同級生』はおろか『月姫』や『君が望む永遠』すら「生まれる前に出たゲーム」なのだと再確認してショックのあまり絶命しそうになる。来年は『マブラヴ オルタネイティヴ』のTVアニメも放送されるし、各地に散ったエロゲーマーたちが参集して相乗効果で盛り上がることを期待したいのだが……マブラヴと言えばTDA(ザ・デイアフター)の最終作も制作が進んでいる模様。ただタイトルはTDA04から変わるらしい。新規ユーザーを取り込むための施策らしいが、01〜03の内容を併せて収録した完全版として出すのか、「これまでのあらすじ」みたいなダイジェスト形式でまとめるのか、記事を読むかぎりではハッキリしないな。続報を待ちたいところ。


2020-10-20.

『神様になった日』、原作・脚本「麻枝准」だけあって完全にノリが「古いエロゲー」なんだけど、むしろ最近のアニメよりもよほどしっくり来ちゃうな……となってしまう焼津です、こんばんは。

 やっぱり2000年代前半の『Sense Off』とか『秋桜の空に』とかああいうのが未だに好きなんだ、と再確認した。「あと30日後に世界が滅ぶ」と宣言する自称「神」の少女と出会った主人公がその奇天烈な言動に振り回される、序盤はコメディだけどだんだんシリアスになっていきそうな雰囲気の漂うアニメです。のっけから麻枝准特有のギャグセンスを容赦なく詰め込んでくるので付いていける人と付いていけない人が明確に分かれるだろう。もう一般層を無理して狙うのはやめにしたのか? 今後の展開次第で話題が高まる可能性とてなきにしもあらずだが、この調子がずっと続くようなら濃い麻枝ファンしか残らないかもしれない。私は別に「濃い麻枝ファン」じゃないがノリは肌に合うし最後まで見届けたいものだな。

「新感染」の4年後を描く注目作 邦題は「新感染半島 ファイナル・ステージ」に決定(映画.com)

 前作の邦題が『新感染 ファイナル・エクスプレス』だから大きく変えられないという事情もあるのだろうが、それにしても度を超したダサさで絶句してしまった。英題が "Peninsula" (半島という意味)なんだし、せめて『新感染 ペニンシュラ地獄変』くらいに留めてほしかったな。『新感染』はFGOのイベントがなかなか始まらなかったとき(剣トルフォの実装が予告されていたから去年のクリスマスイベントだ)に暇潰しで鑑賞したら思ったより面白くてハマりました。レンタル屋で同じ監督の『ソウル・ステーション/パンデミック』も借りたけど、そっちはイマイチな出来でガッカリしたっけ。公開が年内に間に合わなかったことは残念だが、来年の楽しみが一つ増えたと考えることにしよう。

スタリラこと『少女☆歌劇 レヴュースタァライト ―Re LIVE―』、2周年記念サイト開設

 まさかこのゲームが無事に2周年を迎えようとはな……一時やたらCMで流れていたからタイトルだけは辛うじて覚えているって方もおられるやもしれぬ。データが吹っ飛んだせいで4ヶ月くらい離脱していた期間があったけど、ここ半年ほどは毎日真面目にコツコツとプレーしていました。現在開催されているイベント「再演 あやかし見廻り浪漫譚」は凜明館メンバー初期の衣裳である「あやかし見廻り隊」の詳細を掘り下げる内容となっており、離脱期間があるとはいえリリース直後から遊んでいたプレーヤーとしては非常に感慨深く、普通にストーリーを楽しんでいる。掃き溜め部隊へ左遷されて不満タラタラだった主人公に少しずつ仲間意識が芽生えていく流れ、ベタだけど好き。というか新規のイベントシナリオが読めるだけでもありがたい……今年はコロナの影響もあってか新規イベントが少なくって少なくって。イベントとイベントの合間に復刻イベントを挟むぐらいはまだマシな方、「復刻イベントが終わったら別の復刻イベントが始まる」みたいなこともザラだったと申しますか、ぶっちゃけこの2ヶ月はずっと復刻イベばっかりやっていました。改めて振り返ってみると、なんと5連続で復刻イベントを開催しています。すごいのだと今年5月にやったイベントを9月にもう復刻している。当時コロナの影響で音声収録ができずボイスレスのまま開催するしかなかったものを、何とか音声収録できるようになったからボイス付きで復刻した――という経緯ですんでちょっと特殊なケースではありますが。

 さて、スタリラの特徴と言えば「異様なペースで追加される★4(最高レアリティ)舞台少女」である。ここ2ヶ月近く復刻イベントしかやっていなかったくせに新規の★4舞台少女は12人も実装されています。うち1人はイベント配布でもう1人はチャレンジレヴューの円卓騎士(平たく言うとグラブルの十天衆みたいなの)だが、残りの10人はすべてガチャ産だ。1周年のときから数えると80人くらい最高レアリティが増えてる勘定になるし、つくづく異常なゲームです。最近は配布キャラのないイベントが多かったり(今年は復刻以外だとアライズ・オール・ユア・サンズとバンドリコラボのみ)、「既存衣裳の使い回しなので見た目は変わらないけど性能が段違い」な舞台少女を何人も追加したりなど、「ひょっとして危ないんじゃないか、このアプリ」と感じる局面が何度かあって2周年前にサービス終了告知が出るんじゃないかとハラハラしたが、どうやらまだサービスは続けられる模様だ。メインストーリー新章『アルカナ・アルカディア』の配信も告知されました。スタリラのメインストーリーは「劇フェス」という演劇系学校の甲子園みたいなイベントに出場するため舞台少女たちが切磋琢磨するってものだが、実はこの2年間劇フェス開催前に発生した「Re LIVE騒動」を延々と描き続けてきたせいもあって肝心の劇フェスに関しては1ミリも進展していない。新章でようやく劇フェス本番に辿り着けるのか? ついでに予告されていた青嵐総合芸術院の実装も果たされるのか?

 周年なので明日の午後4時から毎日10連無料ガチャも開催されます。ログボで石とガチャチケもいっぱい配るみたいで、全部合わせると最大で400連ぐらい引ける。興味がある人は期間中にログインしてガチャだけ回してるのも一興かもしれません。ログボには「★4舞台少女選択チケット」なる無料サプチケも含まれていますし。スタリラにはプレー開始から一定期間のみ回せる無限引き直しガチャと課題達成時に貰える★4選択チケットがあるのでいちいちリセマラしなくても最低3人は好きな★4舞台少女をゲットできる。限定の子も結構いるから当然ある程度の制限はありますが……特にコラボ衣裳は復刻が決まらないかぎり入手不可です。誰を選ぶべきか迷って攻略wikiの「最強リセマラランキング」とかに頼りたくなるかもしれませんが、「常に環境が壊れ続けている」と評されるゲームなのであのへんあまり参考にならないかと。そもそも対戦ガチ勢以外はそこまで強さを追い求める必要はない。プリコネの☆6開花ほどではないが☆4覚醒の舞台少女も充分強いですし、コツコツやっていればいずれ戦力は揃います。推せる子を選ぶのが一番。

・拍手レス。

 シグルリと神様になった日でも「オーディン」が被ってしまったぞォ…
 北欧神話のフリー素材化が進む。


2020-10-12.

【期間限定】「超古代新選組列伝 ぐだぐだ邪馬台国2020」開催!

 「新規ぐだイベは今月下旬あたり開催が現実的なところかと」としたり顔で書いていたら「生放送配信終了後すぐ」のパターンだった件について。所用を済ませて帰宅しFGOを起動したら「ぐだぐた邪馬台国!」と宣告された私の気持ちがどんなだったかわかります? ぶっちゃけ、ぐだぐだイベントで邪馬台国ネタという発想自体はあった(その証拠として2018年6月7日の日記に「ぐだぐだ魏志倭人伝」という与太をチラッと書いている)が、「超古代新選組列伝」は斜め上すぎて予想しかねたわ。何だよ「闇の新選組」って、むしろ闇属性じゃない新選組ってある? バカの塊みたいなタイトルなのに新選組勢のみならず岡田以蔵にも見せ場があり、そのうえ「サーヴァントとしての織田信勝」の掘り下げまで並行して進める離れ業まで繰り出している。これが「ぐだぐだ本能寺」とかやっていた経験値シナリオのイベントなのかよ……と遠い目をしてしまう。あ、Fate/ぐだぐだオーダーも久々に更新されていますのでみんな読もう。

 「ぐだぐだ邪馬台国2020ピックアップ召喚」では☆5ルーラー「卑弥呼」と☆4セイバー「斎藤一」が実装された。告知CMで声聴いて「あっ」となったけど、卑弥呼のCVはなんと「田村ゆかり」だ。現在放送中の『ひぐらしのなく頃に 業』で「古手梨花」の役を演じていますが、もっとも有名な役は“魔法少女リリカルなのは”シリーズの「高町なのは」だろう。もともとは『とらいあんぐるハート3』というエロゲーの登場人物で、当時は「北都南」が担当していたけどいろいろあって田村ゆかりにバトンが渡された。同様の現象は『D.C.』の「芳乃さくら」でも起こっている。個人的には『ギャラクシーエンジェル』の「蘭花・フランボワーズ」役が印象に残っています。比較的最近の役としてはハグプリ(『HUGっと!プリキュア』)のルールーが有名か? 田村ゆかりの熱心なファンは俗に「王国民」と呼ばれており、卑弥呼役としてFGOに参戦したことで「邪馬台国はゆかり王国だった……?」「田村ゆかりは福岡出身、つまり『邪馬台国九州説』が裏打ちされた形になるな」みたいな呟きが飛び交う愉快な事態に発展しました。「卑弥呼=田村ゆかり、つまり弥生時代の頃から17歳だった」という珍説まで湧き出してくるのはいったいどこのメルクリウスかと。

 性能的にはバスター支援系の殴ルーラーであり、状況に応じてサポーターにもアタッカーにもなれるタイプ。早速借りてみたが第一スキル「巫女のカリスマ」が強力だ。自身含む味方サーヴァント(最大3騎)に毎ターンスター獲得状態を付与する副効果があって、1騎あたりスター8個、つまり1ターンで24個ものスターを供給する。3ターンに渡って「味方全員が未凸欠片を付けている状態」を生み出し、スキルマすればCT5でリキャスト可能。卑弥呼を編成すればグッとクリティカルを決めやすくなるわけです。あまり周回向きではないが、「ダラダラと素殴りしてクエストをこなす」状況下では便利。土方さんとの相性も良く、積極的に借りていきたいところです。なおシナリオ中で卑弥呼の後継者の名前は「壱与」(イヨ)となっているが、「台与」(トヨもしくはトヤ)と見做す向きもある。漫画の『邪馬台幻想記』が壱与派でライトノベルの『Kishin―姫神―』が台与派だった。『Kishin―姫神―』は東遷説に基づく記紀神話ベースの古代ファンタジーになっており、卑弥呼=日巫女=天照大神で、天忍穂耳命(天照の息子)の妻である「万幡豊秋津師比売命」を卑弥呼の後継者と設定しているので「台与=豊」……だったはず(うろ覚え)。とにかく『Kishin―姫神―』は傑作なので万民にオススメしたいが、新装版どころか電子書籍すら出ていないんだよな……悲しい。

 一方の斎藤一はアーツ単体剣。「卑弥呼は無理でも一ちゃんだけなら」と期待してガチャったが現実は無情だった……卑弥呼に比べて引いてる人が多いので借りやすいことは借りやすい。癖のない性能だけど欲を言えばNPチャージスキルが欲しかったかしら。宝具AAでNPをグーンと回収するから条件次第で連発も出来そう。特攻も付くし、レイドで活躍するかもしれない。斎藤一は新選組の三番隊隊長であり、割と長く生き残ったこともあっていろんなフィクション作品に登場する人物です。私の世代だと『るろうに剣心』の「悪・即・斬」なイメージが強い。『ちるらん』では拷問好きのサディストとして描かれている。坂本龍馬暗殺の実行犯候補として挙げられることもありますね。中には「坂本龍馬と斎藤一は同一人物だった!」なんていうかなり無茶な設定のゲームも……FGOにおける斎藤一は「飄々とした言動のお兄ちゃんだが殺るときは殺る」感じのキャラで、セイバーよりもアサシンに近い印象です。EXアタックの「よけんなよ〜? ――外さんがなッ!」が好き。CVは「石川界人」、代表作は何になるんだろう。よくライトノベル原作アニメの主人公やってる声優なんですが、出演作品かなり多くて逆に絞りにくい。映画化したことも考慮すると青ブタの咲太くんあたり? インパクトの強かった役で言うと『ダンベル何キロ持てる?』の街雄さんかな。ユニットとしての実装は恐らくないだろうが、新選組関連で「山南敬助」と「芹沢鴨」もストーリーに登場します。山南さんは『ちるらん』でも眼鏡キャラだったのでちょっと笑ってしまった。芹沢さんは「謎の黒幕」といった体裁で登場するのに正体を隠す気/Zeroでもっと笑ってしまった。新選組では近藤勇と並ぶ重要人物だったが土方たちの手で暗殺されたこともあり、大抵の新選組モノでは暴虐を振るう悪役として描かれます。実際酒乱で無茶苦茶なことやってますから仕方ない面もあるが……浅田次郎の小説『輪違屋糸里』が芹沢鴨暗殺を題材にしており、「闇の新選組」な側面が見れるので興味がある方はこちらもどうぞ。

 イベント期間中フレポガチャが「期間限定ぐだぐだ邪馬台国2020フレンドポイント召喚」という特別仕様になり、経験値礼装、そしてシークレットサーヴァントである「織田信勝」が排出されるようになります。2017年の「ぐだぐだ明治維新」で初登場したカッツ、3年経ってようやくの実装だ! 待望のユニット化にTLは歓喜で沸き立ちました。でもぶっちゃけ「信勝実装」とか「カッツ実装」というトレンドを目にしたとき、例によってファンたちの幻覚だと思ったんですよね……「とりあえずイベ礼装のためにフレポ回すか」ってやってたら銅弓からのカッツ降臨で目を剥いた次第。味方を強化した後に退場する即死宝具を持っており、「☆1弓は自爆しなきゃならんってルールでもあるのか!?」と仰天する人が続出しました。再臨ごとに見た目も大きく変わり、☆1とは思えないほど気合の入ったモーションになっています。差し当たって宝具5のカッツと宝具4〜1のカッツを1騎ずつ、計15体分引くまでフレポガチャを回し続けたので初日はほとんどイベントを進める余裕がなかった。ようやくカッツとノッブ、姉弟並べて編成できるようになったわけで素直に感激。ちなみにCVは「山下大輝」、『弱虫ペダル』の「小野田坂道」や『僕のヒーローアカデミア』の「緑谷出久」で有名な人です。相変わらずぐだぐだイベントの声優陣って豪華すぎない?

・拍手レス。

 今期はアサルトリリィや本家ストパンに加えて、シグルドリーヴァもありますね。「女の子部隊vs謎の敵」。
 シグルリは「柱状の謎の敵が現れ……」で既視感を覚えると思ったらアレだ、『バーサスアース』だ。前日譚に当たる小説版を読んでいないと英霊機云々の設定が呑み込み辛く、今後がちょっと心配。

 「真の仲間(じゃない)」というフレーズの元と思われるのは、2015年発売のゲーム「テイルズ オブ ゼスティリア」ですねー。ゲームは炎上したけどアニメ版はいろいろ改変されて浄化されてました。
 発刊時は「パロディみたいなタイトルだ」と苦笑したけど、最近は元ネタ知らないファンも増えているみたいで「時の流れは早い」としみじみ実感したり。


2020-10-08.

・秋アニメの新番組『アサルトリリィ BOUQUET(ブーケ)』を観た焼津です、こんばんは。

 制服着た女の子たちがでっかい武器を手にしてネウロイ的な「謎の敵」と戦う、例によって例の如くなガールズ・アクションです。設定面で惹かれるものはあまりないが、執拗に太腿をアピールする構図が多くて満足しました。太腿とニーソが織り成す絶対領域に次ぐ絶対領域、そしてたまさかの黒タイツ。基本的にこのアニメは女の子の顔と足だけ観ていればいいのです。バトルも太腿を際立たせるための補助的な要素に過ぎない。会ったその日に主人公が巨乳の美少女を墜とすあまりに迅速な展開も百合コメディとしては正解と言えよう。

 『アサルトリリィ』はメディアミックスプロジェクトであり、アニメの『BOUQUET』もアサリリ世界を構築するパーツの一つと位置付けられている。アサリリはアクションフィギュアとドールを融合させた「アクションドール」がプロジェクトの根幹ゆえ、ストーリー以上に「見栄え」と「躍動感」が重要視されるワケダ。単にメインスタッフが「足ぶっとい娘大好き!」なだけかもしれないが、スカートの短さと足の太さは躍動感を生み出すためにあえてそうしている可能性が高い。冗談抜きに「足で芝居をしているアニメ」なんです、これ。制作はシャフトだがいわゆるシャフト臭は今回薄く、スタッフロールを眺めて「ああ、そういえばシャフトアニメだったっけ」と思い出すレベル。女の子が武器を持って戦うアニメには食傷気味の方も多いことだろうが、太腿目当てにせめて1話だけでも鑑賞してみては如何でしょうか。キャラ多過ぎで名前覚えらんないという昨季の『Lapis Re:LiGHTs』と同じ現象(症状?)に苦しんでいる私でも割と楽しめています。いっぱいキャラが顔見せしてきた時点でお察しの通りソシャゲ『Last Bullet』の事前登録も受付中だ。

 1話目の舞台となっているリリィガーデン(少女戦闘員養成機関)は「私立百合ヶ丘女学院」だが、近隣に「相模女子高等女学館」、「鎌倉府立桜ノ杜高等学院」、「シエルリント女学薗」、「聖メルクリウスインターナショナルスクール」があり、百合ヶ丘含む以上5校を「鎌倉府5大ガーデン」と呼ぶ。百合ヶ丘と聖メルクリウスが2強。他にも「エレンスゲ女学園」、「神庭女子藝術高校」、「御台場女学校」、「私立ルドビコ女学院」、「アルケミラ女学館」、「甲斐聖山女子高等学校」、「イルマ女子高等学校」、「城ヶ島工科女子」、「私学アンブロシア女学苑高等學校」、「私立鹿野苑高等女学園」、「鞍馬山環境科学女子高等学校」、「福岡天神女子」などといった具合にプロジェクト全体では「加減しろバカ!」ってくらいのガーデンが存在している。当然ながら海外勢もおり、全校出そうとしたら100人軽く超えるんじゃない? ガルパンに対抗するつもりなの?

 百合ヶ丘女学院は9人1組のチームを作る「ノインヴェルト戦術」なるものを採用しており、主人公である「一柳梨璃」を中心にしたレギオン「一柳隊」(正式名称は「ラーズグリーズ」)を結成するまでに何話か尺を割くものと思われます。要するにラブライブと同じ流れですわ。主人公にとって憧れの先輩である「白井夢結」はかつて存在した伝説的なレギオン「アールヴヘイム」の元メンバー(初陣が主人公との出会いである甲州撤退戦)だった過去があるので、そのへんも掘り下げたら1クールほぼ埋まっちゃうんじゃないかな。アニメだと本筋はほとんど動かずキャラ紹介と人間関係の説明だけで終わりそう。ちなみにアールヴヘイムは既に解散してメンバーもバラバラになっているが、ネームバリューの高さから現在は別のレギオンがその名を受け継いでいる。夢結に喧嘩を売っていたピンク髪「遠藤亜羅椰」が新アールヴヘイムに所属するみたいだし、そのタイミングで過去編に突入するパターン?

 余談。巨乳のジョアンちゃん(どうしてもプレステ・ジョアンを思い出すな、この名前……)が口にしていた「シュッツエンゲル制度」は説明しなくてもだいたいわかるだろうがスール制度みたいなもんです。シュッツエンゲル(Schutzengel)はドイツ語で「守護天使」の意味。下級生と上級生の間でのみ成立するシステムなので主人公がジョアンちゃんのシュッツエンゲルになることはできません。同学年でもルームメイトなら「パートナー」というシュッツエンゲルに相当する関係になれるらしいが……。

【期間限定】「ぐだぐだピックアップ召喚(日替り)」!

 ボックスイベが終わるや否や急に始まったぐだぐだピックアップハンティングクエストに突如現れたノブシリーズ……これらが意味するものはいったい何か? 十中八九新規のぐだぐだイベント開催でしょう。「今年は『麒麟がくる』に合わせて明智光秀イベント」と予想する向きと「本能寺はもういいでしょ、そろそろ新撰組イベントやってほしい」と希望する向きがあり、プレーヤーの裏をかくことが大好きな運営のことだからそのどちらでもない未知数のイベントが来るんじゃないかしらん。気になる開始時期については最短だと「Fate/Grand Order カルデア放送局 ライト版」配信終了直後の9日午後8時とか9時の可能性もあるが、ライト版であることを考慮すると何かの復刻イベントかもしれず、新規ぐだイベは今月下旬あたり開催が現実的なところかと。

 さておきかなり久しぶりとなる沖田さんピックアップです。ピックアップされてもされなくてもトレンド入りすることに定評のある沖田さん、今回も「エアピックアップか?」と疑う人がいて笑った。2度目のモーション改修に伴って顔面宝具のカットインまで追加され、念願の強化クエストも実施。初の☆5剣として使いまくったサーヴァントだけに感無量です。土方さんは特にモーション改修とかボイス追加とかなかったけど強化クエストでスキルにガッツが付いて「イエーイ」な気分。これで陳宮と組み合わせての運用がよりしやすくなったな。今までは礼装や他サーヴァントのスキルでガッツ付与しないとHP1にできなかったけど、強化後は自前スキルのみでHP1にできるから礼装選択と編成サーヴァントの幅が広がった。久々に土方さん使ったけど、やっぱり星を吸ってクリティカルが出せるのは強いしロマン砲も気持ちいいな……本当に新規ぐだイベが始まったら特効も付くだろうし、獅子奮迅の活躍をしてもらおう。

・相変わらずなろう系のライトノベルを中心にあれこれ崩しているが、最近読んだぶんの中では『反逆のソウルイーター』が面白かった。

 初めて見たとき「弱者は不要といわれて剣聖(父)に追放されました」という砕けた副題のせいで少し気が抜けてしまったけど、夕薙のイラストも決め手になって購入。大枠としては「レベル」という概念や魔法が存在していて、モンスターや冒険者ギルドがある「いつものなろう系」なファンタジーです。ジャンルはいわゆる「追放モノ」。「小説家になろう」では一時期主人公が「無能」だの「お荷物」だのと罵られてパーティーから追い出される話が大流行しました。今でもその流れが続いているのか、それとも下火になってきているのか、詳しいことはよく知りません。正確に言うと追放モノには該当しないが『ありふれた職業で世界最強』(2013年より連載開始)も「落ちこぼれと見下されていた主人公が仲間たちに見捨てられた後、独力で這い上がっていく」点で追放モノと共通する部分があり、いくらか後続に影響を与えているのかもしれない。

 追放ブームの火付け役と見做されているのが『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』(2017年より連載開始)、RPGでたまに見かける「初期パラメータが高いおかげもあって冒険の前半ではいろいろと役立ち便利だったけど、後半になってくるとステータスが伸び悩み使う機会がなくなって倉庫番になってしまうユニット」のような主人公が勇者パーティーから追い出されてしまうところから始まる。冒険の途中で脱落したキャラの「その後」を描くといった趣旨のストーリーであり、実は主人公がこまごまとした雑用をこなしつつ潤滑油のような役割を果たしていたため抜けた後でいろいろと不都合が生じパーティーの人間関係がギスギスしていく――その一方抜けた主人公は悠々自適の生活を送りながら地位と名声を得ていく、という「追放モノ」におけるお約束めいたフォーマット、言うなれば「盛衰比較」を確立させた作品です。追放したサイドの「クソッ、こんなときにあいつがいてくれたら……」と後悔する描写を繰り返すことで主人公が無能ではなかったことを説明する。仲間に見捨てられたり裏切られたりした主人公が仕返しをする「復讐モノ」は以前からありましたが、『真の仲間じゃないと〜』の人気が伸びたあたりから徐々に「追放モノ」というジャンルが意識されるようになっていった。わかりやすく書くと、タイトルのどこかに「追放」の二文字が入った作品を頻繁に見かけるようになったんです。『真の仲間じゃないと〜』が書籍化される以前はタイトルに「追放」が入っているライトノベルは数えるほどしかなかった(“封仙娘娘追宝録”シリーズを除外したら『楽園追放』のノベライズ関連と『死線世界の追放者』くらい、強いて言えば『少年舞妓・千代菊がゆく! 濡れ衣で祗園追放!?』も挙げられるか)が、2018年以降一気に増えます。先月だけでも3冊くらい新作が刊行されているし、今月は未刊行のものも含めると5冊くらいある。なろうでは鼻持ちならない嫌な連中が因果応報とばかりに叩き潰されて破滅・没落していく様を眺めてスカッとする、少々意地の悪い楽しみ方を売りにした「ざまぁ系」と呼ばれるジャンルがあり、追放モノの多くはこの「ざまぁ系」に属しています。まるで座敷童が去った後の家とか、金の卵を産むガチョウを殺してしまった農夫の後悔を観察するような暗い愉悦が漂う。俺にとって……生のハンプティダンプティを観ているようなモンだよ……。

 前フリが長くなってしまったが、『反逆のソウルイーター』もそうした「追放モノ」に連なる一作である。連載開始は2018年12月で、書籍化を果たしたのは2019年。現在3巻まで刊行されており、「第一部・完」となっている。4巻以降が出るのかどうかは現時点じゃ不明。なんとなく気が向いて「なろう系における追放モノの系譜」を調べていたらタイトルが目に止まって「ん? この作品知らないな……イラスト夕薙か、とりあえず読んでみよう」と軽い気持ちでまとめ買いしたのです。導入は典型的なざまぁ系追放モノ。出来損ないだの何だのと罵られて生まれ育った故郷から追い出された主人公が流れ着いた先の冒険者ギルドでも爪弾きにされ、挙句モンスターの囮にされて死にかけたところで眠れる力が覚醒、「今まで俺をバカにしてきた連中すべてに目に物見せてやる!」と息巻く。覚醒するまでは本当にヨワヨワであまり周囲の役には立っていなかった、というパターン。散々ヒドい目に遭った主人公が下劣な仇どもに復讐するという、これ自体はなろうだと「よくある話」なんですが、『反逆のソウルイーター』という作品の主題は必ずしも復讐じゃない――主人公が復讐目的で動いているだけであって、物語の針路はまた別の方角に向いている――という捻じれが生じており、その捻じれのせいで絶えず寄り道ばかりしているように見える奇妙な状態に陥っています。復讐モノとして読むと一貫性に欠けるストーリーだと思ってしまう(正直「復讐どころじゃないだろ」って事態が次々と発生するため話の腰が折れまくる)んだけど、あくまで主人公は登場人物の一人であり、彼の復讐行為も物語を構成するパーツの一つに過ぎない……って俯瞰した視点で見下ろせば腑に落ちるところもある。

 復讐モノはどうしても復讐者の心情に寄り添いすぎて視野狭窄になってしまいがちという難点があり、かと言って寄り添うことをやめて復讐者の行動に疑問を差し挟み始めるとカメラがブレて芯のないストーリーに堕してしまう。塩梅が難しいジャンルなのだが、『反逆のソウルイーター』は「必ずしも復讐が主題ではない」と態度で示すことにより主人公と読者の間に一点の距離を保たせ、「物語の全体像」に思惟を巡らせるよう促しています。そして本シリーズの魅力であり同時に欠点でもある特徴、それは「主人公が物凄く小物臭い」ということです。周りから嘲弄され自信喪失して卑屈になっていた主人公が身に余る力を手に入れた反動で調子こいた振る舞いをするようになる(手に入れた力自体がひどく邪悪な雰囲気を放っているので、それに影響されて性格も歪んでしまった)わけだが、ある程度力の扱いに慣れてきて冒険者としての実績を積み、富と名声を得て国の有力者と誼を通じた後もなおネチネチと嫌味なセリフを並べ立てて陰険な嫌がらせを行うという小物ムーブが続くの、不快を通り越して面白いと感じてしまった。Diesで喩えるとシュピーネさんがなぜか創造位階になって無双しちゃってるようなありえないチグハグぶり。「油断ぐらいしてやらないとハンデにならないだろ」と強者の驕りを匂わせつつ「よけたら背後の怪我人に当たる攻撃」を繰り出して回避封じするなど、イキってる割にやってることがセコくて楽しい。実際メチャクチャ強くなってるし覚醒した後も努力を怠らないのに言動からザコっぽさが消えない主人公、その「善にも悪にも振れる中途半端さ」がツボに入った。極まった善人や突き詰めた悪人もキャラとしては好きだけど、やっぱ五里霧中を進むような「善でも悪でも中庸でもない、でも愛敬はあるメンタル迷子な野郎」の肩を持ちたくなるもんですよ。

 買ったときは「既刊3冊か、長すぎず短すぎずでまとめ読みするにはちょうどいい分量だな」と余裕の構えだったのに、いざ読み出すと「おのれおのれおのれ、なぜ3冊しか出ていないのだ!? この倍、いやせめて10倍の量は寄越せ!」とワガママを言いたくなるくらい気に入ってしまった。バトル描写は割とシンプルながら爽快感あって悪くない。キメ台詞的な「喰らい尽くせ、ソウルイータアアアアッ!!」 という叫びも厨二心をくすぐる。中学生のときに読んでいたら間違いなく真似していたわ。暴食と貪婪の果てにいったい何が待ち受けているのか。4巻以降の第二部からは化け物揃いの「鬼ヶ島編」が開幕するみたいで超ワクワクしますね。「○○衆」みたいな連中が一堂に会して主人公の処遇をどうするか剣呑な会議を行うシーン、いろんな漫画やラノベで読んできたけど何度読んでも読み飽きないわ。

・同じ追放モノだとファンタジアの『好きで鈍器は持ちません!』も気に入った。

 「無能」と罵られて追い出される点では『反逆のソウルイーター』と共通しているが、こちらは筆致がコミカルで明るく楽しく読める。良い意味でファンタジアっぽい作品。「鈍器は邪神の司る武器」と信じられているせいでハンマーを使う大工や鍛冶師が見下されている世界を舞台に、学園から追い出された「鈍器レベル1憶超え」という規格外の少女が冒険者になって大暴れ! な話です。一見するとドジで脳天気なおバカ系主人公だが「性格の悪い女の改心なんて、当てにしてはいけません」と辛辣な一面もあって面白い。とにかく文章のテンポが良くてページを繰る手が止まらなかった。「ページをめくるたび、手は震え、心は痺れ、頭は馬鹿になりました」という作中の文章通り。1巻で話を区切るためか後半はやや駆け足だったが、なろう系の書籍化でありがちな「半端なところで以下続刊」が嫌いな人にはちょうどいいだろう。いつの時代も「スレッジハンマー担いだ女の子」はロマン。主人公の造型で既に勝っている。これは続けば『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』以来の大型ヒットになるかもしれません。冒険はまだ始まったばかりだ、こっからズ鈍とかましてくれ。

・拍手レス。

 アストロキングは同作者さんのハイスクールハックアンドスラッシュから知った口ですが主人公が細かい事気にしないのはどの作品も共通してて人間模様とかサラッと流したい時に読みやすくて良いですね。基本主人公が強キャラで苦戦らしい苦戦がないのもあってストレスが無いのもポイントでしょうか。ヒロインに処女性を求める人には向かないかも知れませんが
 アストロキングが気に入ったのでハクスラの方も買いました(まだ読んではいない)。話の段取りを無視するわけじゃないけど一度「必要ない」と判断した箇所はとことん削るスタイルが潔いというか迷わないタチなんだな、この作者……と感心しました。あと確かに処女厨の人が読んだら破り捨てそうなくらい膜にはこだわってなかったな。かと言って寝取りとか寝取られといったムードにもならないし、「ヤリチン喧嘩せず」を地で行く内容だった。

 ノクターンの、「魔法戦士セイクリッド・ナイツ〜エロゲの触手怪人に転生した俺は、変身ヒロインたちを守り抜く〜」が普通に面白くて困る今日この頃。まさか、エロゲ魔法少女ネタx正田節という恐ろしい代物を読むことが出来るとは。
 お、これはまた面白そうなのが……情報感謝です。じっくり読みたいから紙書籍版が欲しいところだけど、まだ連載開始からそんなに経っていないから出るとしても結構先になるかな。

 以前に紹介された、転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?がコミカライズでびっくりしました。
 ヒキを意識したのか1話目の時点で結構進んでますね。なお原作の2巻は延びに延びて刊行日未定の模様。


2020-09-30.

・積読の消化とゲームに夢中でホームページの更新をすっかり忘れていた焼津です、こんばんは。

 『アンゴルモア』の新刊読んでたら『ゴースト オブ ツシマ』やりたくなって衝動買いしてしまったけど、ちょうど『催眠奪女』という期待のエロゲーが発売された時期と重なってしまったためまだプレーはしていない。『催眠奪女』はタイトル見れば分かる通り便利な催眠パワーで彼氏のいる先輩ヒロインを寝取っちゃうという、お手軽陵辱ゲーの王道を征く一本です。催眠モノは時代を超えて愛されるジャンルと申しますか、常に一定の需要があって底堅いらしいんですよね。元BLACKRAINBOWのNATORI烏賊が代表を務めている筆柿そふとなんて完全に催眠モノ専用ブランドと化しつつあるし。

 『催眠奪女』をリリースしたブランドは「シルキーズSAKURA」、エルフから独立して新生した「シルキーズプラス」の姉妹ブランドです。義理の姉弟の体が入れ替わってしまう『いれかわ』(2014年11月発売)がデビュー作であり、そろそろ6周年を迎える中堅ブランドなのですが、「ミドルプライスの抜きゲー」という話題になりにくいゾーンを主戦場としていたこともあって埋没はしないがとりたてて目立つこともない密やかなポジションを獲得している。私が『催眠奪女』以外で購入したことがあるのはDL販売オンリーだった『痴漢狂』をまとめた『痴漢狂set』だけだな……コンプリートパッケージとか、ああいうのに弱い性格なんです。

 さておき『催眠奪女』はシルキーズSAKURAの新シリーズで、副タイトルが「〜全てが僕の自由になる世界へようこそ〜 朝霧架純編」となっているところから察するに今後はヒロインを変えて連作化していくつもりなんじゃないでしょうか。校内の美人について言及する箇所で「文芸部顧問の栗原先生」「幼馴染みの三門さん」「現役アイドルの天王寺さん」と名前を列挙していたから恐らく四部作。2800円(税別)と結構なロープライスなので価格的にはそこまで負担じゃない(好みじゃないヒロインはパスすればいいし)が、パッケージが例のデッカいエロゲ箱なんでスペース面で考えると少し厳しいところがあるかも。てっきりトールケースサイズだと思って注文したから届いたときはビックリしたわ。空間に余裕のない方はDL版を購入するか、コンプリートパッケージが販売されるまで待った方が吉かもしれない。

 内容は今のところオーソドックスな催眠モノといった感触で、あまり変態的なプレイはせず常識改変を主体にして先輩ヒロインの「朝霧架純」を徐々に堕としていく。彼氏持ちでフェラチオまで経験済みだから清純派というわけじゃないが、肉体の繋がり以上に心の繋がりを重視していた先輩がゆっくりと快楽に溺れてセックスをねだるようになっていく過程は鉄板のエロさが漂っている。とはいえ主人公がクズに徹し切れない小心者ゆえ「ヌルい」とイライラする部分はありますね。主人公のキャラがどうこうってところより、主人公の立ち絵がほぼずっと画面に表示され続ける仕様の方がしんどいが……ヒロインの下着立ち絵で湧き上がった興奮が主人公の全裸立ち絵でスッと冷めてしまったり。設定で非表示にできるようにしてほしかった。日常シーンは概ねゼロに近く関係を持った後はひたすらセックスが続く構成になっているので、シナリオ面で苦痛を感じることがない点はせめてもの救い。まだ終わってないから断言はできないが、「鬼畜すぎない、ややヌルめの催眠陵辱モノ」を欲している人にはちょうどいいのではなかろうか。

 しかし「○○編」「××編」といった具合にヒロインを分割してバラ売りする手法が主流になってきているの、「市場原理に沿っている」だけなのかもしれないが、ひょっとして「ヒロイン全員分のルートを制作し切るまで待っていると資金が持たないから各ルートが仕上がり次第順次発売していく」というハイパー自転車操業モードに突入しているのではないかとうっすら心配になります。もうかなりチェックが疎かになってきているせいで新作エロゲーは知らないソフトばかりになっていますが、今後も買いたいヤツは見つけ次第積みを恐れず軽率にポチっていく方針。最近だと『響野さん家はエロゲ屋さん』が少し気になっている。「CUFFS」の姉妹ブランド「Sonora」の新作で、11月発売予定。50年続く地方の雑貨屋が店主の引退に伴っていきなりエロゲー専門店に変貌してしまうという、下手な異世界転生モノ以上にファンタジーなストーリーだ。なおキャラ紹介を読むにSonoraの過去作とも繋がりがある模様。ヒロインのセリフサンプルが「今月発売予定のうちで大きく展開している新作エロゲーが……え、延期ですって!?」とか笑ってしまう。ゲラゲラ。ああ、周りからかなり期待されていたにも関わらず延期した末に未完成で発売したエロゲーがあったよなぁ……もう10年以上も前の話だ……出したのどこだったっけなぁ? ゲラゲラゲラ。もちろん目は笑っていません。エロゲー制作を題材にしたソフトは『らくえん』『えろげー!』『放課後☆エロゲー部!』など過去にいくつかあったが、エロゲーショップをメインに据えたソフトは心当たりがなく、ぶっちゃけ物珍しさを感じています。差し当たって様子見だが、評判良ければ買ってみようかしら。あ、ちなみにソフト電池によるネット認証が必要みたいなので購入を検討されている方はご注意ください。私あれ面倒臭くて好きじゃないんですよね。むしろあれが好きなエロゲーマーなんて存在するのか?

・竜庭ケンジの『アストロキング』読んだ。

 副タイトルは「召喚勇者のメイドハーレム建国記」。なろうの18禁部門「ノクターンノベルズ」に連載されていた小説を書籍化したものです。見た目はそれほど分厚くないが、二段組でぎっしり文字が詰まっているから読み応えは充分。ノクターン作品は官能シーンが売りなのでこの『アストロキング』も濡れ場はふんだんに盛り込まれていると申しますか、むしろ主人公がセックスしていない場面の方が少ないくらいひたすらヤりまくっている。表紙に映っているヒロインは3人だけながら、主人公が突っ込んだ穴の数は片手どころか両手で数えてもまだまだ足りない。ざっくり3、40人くらいはヤってるか? ここまで起伏なくダラダラとサービスシーンが垂れ流されるエロ小説も珍しい。

 主人公以外の連中もそこら中でハッスルしており、「性交が日常風景」という酒池肉林の極みである。セックスは原則オールタイム無制限(特定の「ご主人さま」に専属しているケースを除き、「尻を出せ」と要求されたメイドは仕事中であっても拒むことができない)、決まった時間に食堂へ行かないとごはん抜きになってしまうことを考えたら「セックスよりも食事の方に不自由する」と表現するのが適切なレベル。召喚された異世界について普通に説明するシーンでも「女の子を犯しながら片手間で説明していた」ことがわかったりするなど、活字媒体であることを利用して「特に描写はしていないが常時セックスしている」という状況を作っています。これが漫画だったらいちいち絵に起こさないといけないから膨大な手間が掛かるが、活字だと「読者に想像させる」余地が多いぶん効率的に進められるワケダ。

 本書の特徴は「主人公がとにかく淡泊」なことですね。クラス召喚モノであり、異世界から喚び出された勇者である主人公たちを懐柔するために王国側は性的奉仕要員として巨乳メイドたちを用意しているのですが、童貞だった主人公が戸惑いながらも興奮の初体験を済ませる濃厚筆下ろし描写……なんてものはなく、後から振り返る形式で「ちなみに俺も普通にヤリました」とあっさり触れて数行でオシマイ。ストーリーの途中で「召喚されたクラスメイトの女子たちは全員王子にレイプされたうえ兵士たちの肉便器になっていた」と判明する陵辱展開もありますけど、真実を知っても主人公は特に激したりせず「そんなことだろうと思っていた」って淡々と流してしまう。これが普通のなろう小説だったら「な、なんとクラスメイトの女子たちは精神操作系の首輪を付けられて性奴隷になっていた!」という衝撃展開に十数ページ費やすところだろうが、『アストロキング』の主人公は元クラスメイトの女子を味見しつつ兵士たちとにこやかに会話を交わし、ほんの数行で元の日常に戻っていく。性に貪欲なくせしてやたら恬淡としている、このアンバランスさを是とするかどうかで本書の評価は大きく変わってくるだろう。「メリハリがない」と受け取るか「静かな狂気が漲っている」と見做すか。ラブ&ピースな凡人は時としてエンジョイ&エキサイティングな鬼畜よりも恐ろしいのだ。

 異世界から召喚された勇者ということで一応「ダンジョン攻略」という目的は用意されているが、ダンジョンパートは完全にオマケであり強敵との激闘はまるっとオミットされて「いやあ強敵でしたね」くらいのノリで終了。清々しいほどハーレム描写に特化している。書籍でまとめて読むと正直マンネリに感じる部分もあるが、逆に言えばマンネリを恐れず倫理観ガバガバの脳天気孕ませライフを終始淡々と綴っているわけで、これはこれで需要があるのではないかと思う。ちょこちょこと誤植があり、中にはページが豪快にズレた「誤植を超えた誤植」な箇所まであって「キチンと校正していないのでは?」という疑念すら湧くが、この作品を愉しめる人は細かいことを気にしないタイプだろうからあまり問題ではないのかもしれない。クラス召喚モノ特有のギスギスした人間ドラマは最小限に抑え、「メイドハーレム建国記」なる男子中学生の妄想みたいな内容を遮二無二追求している。作者曰く「メイドパンパンファンタジー」。脳味噌の代わりに男根と精液をたっぷり込め込んでポリコレに中指を突き勃てる欲望バンザイ煩悩サイコーな一冊。エンディングからすると続編はなさそう。


2020-09-21.

・公開されたばかりであるクリストファー・ノーランの新作『TENET テネット』を観てきたけど想像以上にワケが分からなかった焼津です、こんばんは。これに比べれば『インセプション』『インターステラー』は相当に分かりやすい方だ……。

 大枠はそこまで複雑じゃないんですが、とにかく展開が早いせいで説明を咀嚼する暇がなく、混乱を抱えたまま気づけばエンドロールを眺めているって人がほとんどだと思う。まず物語はロシアのオペラハウスにテロリストが乱入する場面から始まる。CIA特殊部隊に所属する主人公はテロ発生直後、変装して現地の警察に紛れ込む。テロ鎮圧のどさくさに紛れて「ある任務」を行うつもりだったが、予定外の事態が発生して一転窮地に陥ってしまう。捕まって拷問される人公。隙をついて自決用ドラッグを飲もうとするものの、そのドラッグは最初から偽薬で……と、冒頭10分の時点で既に情報を詰め込み過ぎており速攻で「???」な顔になっちゃう。とにかく「画面に映っているものは観えているが目の前で何が起こっているのか消化するのが難儀」なんです。一応後半に入ると「あのシーンにはこういう意味があったんですよ」と解説するカットがいくつか挿入され、千々に乱れていたパズルのピースが繋がって一つの絵図を描き出すんですけれど、現れたものを目の当たりにしても「そういうことだったのか!」と一気に腑に落ちるわけではなく「なるほど……いやそれでも分からんよ!?」と余計に戸惑うハメに陥る。考えれば考えるほどワケが分からなくなってしまう一本です。時間の流れは風のようなものであり、風に抗うように時間を遡行することもできる――という話になっていますが、「時は、流れるようなものではない。時の流れなど、ない」という『制覇するフィロソフィア』の言葉を思い出してしまったせいでますます理解が遠のいてしまった。

 JOJOで喩えると「スタンド使いが次々と出てくるが、それぞれのスタンドがどんな能力か一言二言程度しか言及されず『あのスタンドはつまりこういう性質なのか……?』と必死に考えている最中にまた次のスタンド使いが登場する」感じの映画。物凄く頭の回転が速い人以外は繰り返し視聴しないと呑み込めないんじゃないでしょうか。ぶっちゃけ私は冒頭のテロシーンが何だったのか未だによく分かってないし、最終決戦のドタバタも「まったく分からんがとにかくスゴい」としか思っていない。逆再生を多用した映像の演出はクラクラするような迫力があって面白かったが、「単純にスカッとしたい」人には薦めがたい作品だ。内容を理解したいのであればBDが出るまで待った方がいいかも。劇場で何度「一時停止したい」「今のところ巻き戻してほしい」と願ったことか。

【期間限定】「影の国の舞闘会 〜ネコとバニーと聖杯戦争〜」開催!

 いきなりバニー衣裳の師匠がバナーに出てきて「何事!?」と狼狽えたが、今の季節は秋。そう、ボックスガチャのシーズンである。というわけでネロ祭、ギル祭、イシュタル祭に続きスカサ杯が開催されることになりました。残念ながら今回は超高難易度クエストが用意されていない。もともとそういう予定だったのか、それともコロナのせいでクエストの調整が間に合わなかったのか。あれから一年、手持ちの育成をコツコツと頑張ってきただけに肩透かしな気分も湧くがないものは仕方がない。今回の趣向は「影の国っぽい場所でボードゲームじみた聖杯戦争を行う」というもの。スカサハ師匠は司会進行役であり、対戦マスターは別途用意されている。アマデウス仮面を付けた謎の小太りマン……いったい何エルなんだ……?

 最初は要領が掴めず戸惑ったが、慣れてくるとこれはこれで面白い。普段のクエストはこちらから先制攻撃を仕掛けるが、この聖杯戦線は相手ターンだと後攻になるので「次戦に備えて回避スキルや無敵スキルをあらかじめ張っておく」みたいな立ち回りで状況を有利に進められる。「任意のサーヴァントで単騎戦ができる」という珍しい機会でもあり、いつもとは違った評価軸で起用するサーヴァントを選ぶことになります。基本的に単体宝具持ちの方が適しているんですが、アストルフォ(ライダー)は宝具で回避が張れるうえクイックチェインが組めるから「次戦に向けてスターを稼いでおく」って動きもでき、想像した以上に強かった。しぶとさで言えば“山の翁”も大したもので、不利属性であるにも関わらず孔明を殴り殺してしまった。サーヴァント戦に特化しているので礼装は「死の芸術」が有用ですね。耐久狙いで「鋼の鍛錬」を付けるのもアリ。こちらのサーヴァントを突出させると向こうも迎撃のサーヴァントを送り出してくるので、その隙に迂回した2騎目のサーヴァントで防備が薄くなった相手マスターを叩く、釣り戦法が比較的楽な攻略法かしら。

 それにしてもバニー師匠を見たときは「ヒエッ、まさか師匠の新クラス実装?」と怯えてしまったが、単なる霊衣でホッとした。これならガチャはスルーできるな……と安堵したのも束の間、限定☆5礼装「真紅の教槍」の絵柄が好みにドストライクで結局回すしかなかったというオチ。幸い呼符ですんなり引けたうえ槍師匠も重なって宝具レベルが上がったから万々歳な結果である。その槍師匠の強化クエストが唐突に来ていたから慌ててスカサハメインのパーティ組んで攻略しに行ったけど、モーションと宝具演出まで変わっとるやんけ! カットインイラストまで挿入しており、どんどんFGOのスパロボ化が進む。槍師匠はFGOを始めたばかりの頃に憧れていたサーヴァントの1騎だから新しいモーションで華麗に暴れ回っている姿を見るのは感慨深い。バニーも魅惑的で聖杯捧げたくなってきちゃったな……真顔でぴょんぴょん口走る師匠、「常識改変系の催眠エロ同人誌か?」って感じで個人的にツボである。ボックスで当たり引いたときの「フレーッ、フレーッ、だぴょん」が特に好き。

 いろいろと忙しくて本格的な周回はできておらず、今やっと10箱空け終わったところ。礼装もまだ1個も落ちていないから凸る目処は立たないが、できれば連休中にそのへん何とかしたいところである。メギドの共襲もあんまり触れていないし、連休はやりたいことがたくさんで体と端末が足りない。

・拍手レス。

 久しぶりに本屋に行ったら文庫で出たら買おうと思っていた今昔百鬼拾遺の文庫版が出ていたので購入。結構待つだろうと思ってたのに鵺より先に出るのか・・・。一応鵺も近日発売予定って帯に書いてましたが
 『今昔百鬼拾遺 月』は特殊な例だけど、最近いろんなとこで文庫化のペースがどんどん速くなってる気がしますね。去年出た浅倉秋成の『九度目の十八歳を迎えた君と』が11月にもう文庫化すると知って「えっ、幻冬舎じゃなくて東京創元社なのに!?」ってビックリしましたわ。


2020-09-16.

・ここんところラノベばっかで漫画の新作チェックが滞っているな〜、と気づき久々に遠出して大きめの本屋で当たるを幸いあれこれ買ってきた漫画の単行本を積み上げ読み耽っている焼津です、こんばんは。既にある積読の山? それらはいつか読む、だが今日じゃない。

 たまに近所の書店の新刊コーナーで「おっ、この漫画知らないな……興味湧いてきた」ということはあるんですけど、大抵半端な巻数で、しかもそんなに凄い売れ筋商品ってわけじゃないから既刊が棚に残っておらず帰ってネットで注文するのも億劫だから買いそびれる――といった事態に多々遭遇してきました。大きな書店ならまだしも、中小規模の書店は最新刊しか置いてないとかザラゆえ。発行される漫画の数がどんどん増えてきているのだから仕方ないんだが。

 店頭でじっくり漁ってみて痛感したけど本当になろう系原作のコミカライズが多くなりましたね……ネット書店では「うっかり原作と間違えて買いそうになる」トラップめいた存在であり、「検索結果からコミカライズ単行本を除外する機能が欲しい」と願う程度で個々の作品はあまり気に留めていなかった。なお原作が電子書籍のセールとかで安売りされて「漫画と思ったらライトノベルかよ!」と買い間違える人も割合いるらしい。

 いくつか読んだものの感想を短く綴っていきます。もったいぶってもしゃあないから「一番面白かった」と感じたものを真っ先に挙げよう。『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』、ラブコメです。これは1巻が出た頃に店頭で見かけたこともあるんだけど、ちょうど緊急事態宣言が全国に拡大した時期でバタバタしていたせいもあって熟慮する暇がなくスルーしてしまった。知らない間に2巻が出ていて、もうすぐ3巻も発売されるみたいだから「読むなら今だ!」と手を伸ばしました。タイトル通り「運命の人」が100人いる少年を主人公にした学園モノ。その設定のムチャクチャぶりには笑うしかない。クソデカラブコメというか超高速『源君物語』? 設定面で言えば『妹選抜☆総選挙』以来の衝撃である。つか、いもせんも来年で10周年か……えっ、時が経つの早過ぎない? 光速超えてない? ともあれ「君大」(公式略称は「100カノ」らしい)の魅力はそのハイテンションぶりである。無茶な設定を押し通すために主人公もヒロインたちも理性のヒューズを飛ばしてありえないほどテンションが高くなっており、「何が何でも強引に突っ切ってやる」という圧い気概が全ページから溢れ出している。「キャバクラにも無いような異文化」「ショタロリ児童館」「大福と人間の合成獣(キメラ)か!!!!」などテキストの切れ味も抜群であり、「ここまでバカバカしいと100股も許すしかないな」って寛容のアトモスフィアが生まれてしまう。メタネタもふんだんに盛り込まれており、「相手のセリフを一部だけ切り取って鸚鵡返しにする」三田紀房なんかがよくやってるテクニックを揶揄する箇所など「普通の漫画を読み飽きてきた層」を狙い撃ちする気満々です。「ハーレム展開を視界に収めると七孔噴血する」というくらい複股ラブコメに拒否反応を示しちゃう人でなければ是非ともオススメしたい一作。ちなみに私は「好本静」派だ。大量の本を机に置く時のガニ股気味なポーズが地味に好き。

 『復讐の教科書』、マガポケ(マガジンポケット)という漫画アプリで連載されている作品です。タイトル通り復讐モノ。イジメがエスカレートした結果、学校の屋上から飛び降りるハメになった主人公がイジメっ子たちに復讐していくサスペンス漫画です。最近デスゲーム物が落ち着いてきたと思ったら今度は復讐モノが流行り出したな……『十字架のろくにん』とか、『ミスミソウ』『鬼哭街』を合わせたような雰囲気の作品で結構好きだけどまだ1巻しか出ていないので人に薦めるのは躊躇するところだ。翻って『復讐の教科書』、「読んでスカッとする」ことに徹底した内容で、話のつくりは非常にチープだがその駄菓子みたいな衒いのなさが魅力的でもある。試し読みでわかる範囲だからネタバレがイヤな人は先に読んできてほしいが、「屋上から飛び降りた主人公と衝突した担任教師」の体に主人公の精神が入り込むという展開で「いくら将来教師になりたいからっていきなり教師になったら授業を進められなくなるのでは?」みたいな疑問も湧くが、そういう細かいところには目を瞑ってただひたすら「イジメっ子への復讐」に専念していく。復讐モノでは「主人公の倫理観をどう表現するのか」が重要な課題になっており、復讐という非倫理的な行為に苦しむ心理を丹念に綴っていくと爽快感が薄れ、逆に復讐を愉しむ残酷無惨な性格をあまり深く掘り下げると読者に「付いていけない」と拒まれてしまう。そのへんのバランスが肝となるわけだが、うん、この主人公は「復讐のためにイジメっ子のカノジョを先生の体で寝取る」くらいなので付いていけない読者も出てきそう。「倫理観:マガジン」って感じ。2巻で「ん?」となる要素が出てきたことにより物語の着地点もうっすら見えてきたが、最後までチープ路線を貫いてくれそうで信頼できます。

 『ヒロインは絶望しました。』、これもマガポケ連載作品であり「倫理観:マガジン」案件ですね。刊行ペースが速く、今年の3月に1巻が出たばかりなのにもう4巻まで行っている。ジャンルは「最近落ち着いてきた」デスゲーム物です。超リアルな仮想現実の世界へ強制的に送り込まれ、何度も「死の苦痛」を味わわされるヒロイン。これならいっそ現実世界で死んだ方が……と思い詰める彼女の前に救いの手が差し伸べられる。ただ、手を差し伸べた少年は正真正銘「他者を己の欲望を満たすための道具」としか見ることができない、童貞を拗らせたドクズだった! 「もし陵辱ゲーの主人公が戦闘系ヒロインのパートナーだったら」という思考実験の産物みたいな漫画です。これでヒロインが性格の悪い子だったら「クズとクズの潰し合い」でアウトレイジ感覚になり多少は心が楽になっていたかもしれませんが、普通に良い子(見た目はギャルだけど親切な性分で分け隔てなく誰でも気さくに接するタイプ)だから読んでいて心が痛む。「普通に良い子」がヒドい目に遭う様子を眺めて嗜虐ハートが満たされる人にはうってつけだが、そうでなければページをめくるのも辛いだろう。陵辱ゲーの主人公みたいな真似をしておきながら「わぁい、他人を屈服させるのたのしー」と無邪気に喜んでいる「計算された幼稚さ」が下手なヴィランよりも邪悪でゾッとする。他の漫画だったら早い段階で成敗されるイキリ残忍キャラがのうのうと生き延び、クズ度で敵を凌駕していく。ヒロインの境遇に心を痛めつつ「こいつの邪悪さに際限はないのか?」と興味を惹かれる私の性格もあまり宜しくはない。秋葉クンがどこまでクズを極めるのか見届けたい、というのが本音である。

 あと『葬送のフリーレン』、「勇者パーティが魔王を倒して云々」という大枠自体はよくある異世界ファンタジーだが、「長命種であるエルフをメインに進行していく」点で独自性を放っている。50年という人間にとっては長い時間もエルフにとっちゃあっという間、若々しかった勇者もすっかり老け込んでしまって「終わり」が見えてきた。人間の寿命は短い、そんなのは確認するまでもない当たり前のことだったが、喪って初めて彼女(フリーレン)は痛感する……という、「親しい人間たちと死に別れていく」不死者モノのエッセンスと異世界ファンタジーの要素をハイブリッドしたしんみりほのぼの系ストーリーです。この「寿命の尺度が違う」問題はエルフだの吸血鬼だのといった長命亜人や人外が登場するファンタジーでは常々感じていたことであり、「このエルフあっさり人間に惚れているけど、もし添い遂げたとして人間が寿命で死んだら長い長い『その後』をどう過ごすんだろう」とよく考えたものだ。いやお互い寿命が長いとそれはそれで飽き飽きするのかもしれないが……初音姉様とあいつみたいに。大抵のファンタジーは人間視点で紡がれており、この生命コンパスの規模を巡る問題はいささか有耶無耶にされてきたところもあるが、『葬送のフリーレン』はエルフ視点で描かれ年単位で時間が経過していくため「ノリは日常系だし主人公の見た目もほとんど変わらないんだけど、周りの人間がどんどん歳を取っていく」という光陰矢の如しな現象が発生している。シンプルなアイデアを効果的に描いており、「この手があったか」と唸る。発想自体は誰でも持っていたはずなんだが一つの作品に仕上げた点で画期的。ちっちゃかったお弟子ちゃんもフリーレンの身長を追い越してしまって、いずれこの子とも永の別れを迎える日が来るんだろうと考えて切なくなる。見送り続けるフリーレンが辿り着く最果てはどこなのか、知りたくもあり知りたくなくもあり。

ぱれっと、『9-nine-』のコンプリートパッケージを全年齢対象で発売。新章も追加。

 コンプリートパッケージが出るならそろそろ買うか……と情報を調べ始めたら思いも寄らぬ事態に発展していた。エロゲーとして発売したソフトの続編が18禁じゃなくなることはままある(例:『機神飛翔デモンベイン』)けれど、シリーズ作品のパック版をリリースする際に18禁要素抜いて全年齢対象に切り替えるなんて、珍しいにもほどがあるケースだ。バラ売りのシリーズ作品を買い支えてくれた既存のファンたちを優遇するためにあえてエロシーンの削除に踏み切った――のかもしれないが、「新章追加」で結局パック版を買うしかないファンからすると「そんなことより新章部分だけバラ売りしろよ!」ってのが本音だろう。あくまで新規獲得を主目的として声優の表名義が出せる「全年齢版への切り替え」を選んだのだと思われる。こないだ唐突に発売された『きまぐれテンプテーション』の全年齢版といい、業界全体が脱18禁の方向に進み始めているのか?

 ここで『9-nine-』の解説を……と行きたいところだけど、体験版すらプレーしていないので語りようがない。とりあえず「ぱれっと」について語っていくか。ぱれっとは2002年に設立したゲームブランドであり、元を辿っていくと「light」に行き着く。かつて存在したlightの姉妹ブランド「Rateblack」のスタッフが「もっと気兼ねなく自由に創りたい」と独立したのが始まり。lightは割と放任主義でスタッフの裁量に任せるところが多いブランドだったが、複数のラインで企画を動かす際に内容が被らないよう調整することはあったので窮屈に感じることもあったらしい。ブランド名は「絵を描くときに使うパレット=いろんな色を乗せられる」、つまり「いろいろなジャンルに挑戦したい」という気持ちで付けたとのこと。株式会社「CLEARRAVE(クリアレーヴ)」の抱えるブランドであり、「Palette darkside」や「ぱれっとクオリア」などいくつか姉妹ブランドもあるが、いずれも長続きしていない。

 ブランドデビュー作は『はちみつ荘deほっぺにチュウ』、覚えている人も少ないだろうというか私はもうまったく記憶に残っていません。2作目の『復讐の女神 -Nemesis-』がエロゲーとしては稀少なサスペンスで印象に残っている。ブランドが認知されるようになったのは5作目の『もしも明日が晴れならば』(2006年)、亡くなったヒロインが幽霊になって帰ってくる感動系ラブコメであり「もしらば」の愛称とともに親しまれた。2006年発売ソフトのTOP5に入るか入らないかくらいの話題作でしたね。ちなみに2006年というのは『マブラヴ オルタネイティヴ』や『戦国ランス』、「かにしの」こと『遥かに仰ぎ、麗しの』が出た年です。もしらばの評価が高かったぶん、同じスタッフの次々回作『さくらシュトラッセ』に対する期待が膨らみ過ぎ、反動で厳しめの意見が寄せられる結果になっていたっけ。エロシーンで主人公が『北斗の拳』に出てくるモヒカン雑魚みたいなセリフを口走るという理由でやたらモヒカンAAが貼られたりしたものだった。

 もしらばの3年後、ぱれっとの代表作となるソフトが遂に降臨します。そう、アニメ化されたおかげもあって知名度ナンバーワンの『ましろ色シンフォニー』だ。アニメ版はヒロインたちのフられる描写が強化され、「滑り台」の語源にもなりました。ぱれっとゲーの原画家はたまひよ、くすくす、和泉つばすの3人体制で、つばすはもっとも後発の原画家なんですが、ましろ色が大ヒットを飛ばしたおかげで「ぱれっとの看板」として認識される運びになった。『9-nine-』はそんなつばすがぱれっとで手掛ける3作目の企画であり、「あらかじめ1本では完結しない」ことが明言されたいわゆるところの分割ソフトです。1本あたり2800円(税別)と低価格ながら、4本買えば1万円を超えることになる。似たような試みはCampusの“ウソ”シリーズなどでも行われており、開発が長期間に及んでも節目節目で資金を回収できるメリットがあるものの「いずれシリーズ全部をまとめたコンプリートパック版が出るはずだから」という理由で買い控える人も出てくる諸刃の剣。「分割商法」であり同時に「完全版商法」、それが『9-nine-』という企画のもたらす印象だったのだが、ここに来て新たに「レーティング切り替え商法」が加わった。「エロが目当てじゃなかったとはいえ、やっぱりエロシーンも観たかったな……」と残念がりつつコンプリートパッケージを購入する予定である。

 エロゲーは今やFANZAなどのプラットフォームを利用したDL主体の低価格路線がメインストリームになってきており、「物理パッケージで販売されるフルプライス(税抜8800円〜9800円)のソフト」という意味での「古いエロゲー」は今後どんどん市場から姿を消していくのかもしれない。秋葉原のショップで棚一面を埋め尽くしていたあのクソデカパッケージの群れを懐かしむ日々もそんなに遠くないのか。でも先日みなとそふとの新作(『我が姫君に栄冠を』)も発表されたし、「もうちっとだけ続くんじゃ」かもしれない。

 それはそれとして、『ましろ色シンフォニー』の紗凪エディションを出すって話はどうなってるんだ? 10周年特設サイトまで作っているのに全然音沙汰ないから困惑しているぞ。

『メギド72』、月中ピックアップ召喚「過去の自分と繋いだ絆と」開催。「ジズ(ラッシュ)」を実装。(すぐにピックアップは終了済)

 『メギド72』は新規のユニットをガチャ実装するタイミングが月に二度あります。中旬と月末。月末は魔宴(サバト)という排出率2倍のガチャを開催するため「サバトピックアップ」、中旬の方は特に何もないので単に「月中ピックアップ」と呼ぶ。月中ピックアップは排出率据え置きのため副産物に恵まれる可能性が薄く、あまり積極的に回したくないガチャなのだがピックアップ対象がジズ(ラッシュ)なのでグラついてしまった。「リジェネレイト」と呼ばれるバージョン違いであり、ジズ(バースト)、「リジェネレイトじゃないジズ」はイベント配布キャラだからゲームを熱心にプレーしている人だったらほぼ全員が持っているはずです。ストーリー配布であるアスモデウスとの相性が良く、幾度となく世話になっている。役割が「肉の盾」に近いから「あんな不憫な生い立ちのイベントストーリーを読んでおいてよくそんな運用法ができるな」と謗られたら返す言葉もないが。ソシャゲやってるとゲームパートで役に立つキャラに対して愛着が深くなるのはよくあることで、可憐な容姿も相俟ってすっかり魅了され有償のクリスマス衣装(スキン)を「ジズにこれを着せてあげなくては……普段のお洋服は薄手で冬だと寒いだろう? あったかくしないと……」と我ながら気持ち悪い理由で迷わず購入してしまった。今回のジズ(ラッシュ)は「小さな君に、伝えたいこと」というイベントを通じて精神的に成長した姿であり、立ち絵も半泣きみたいな顔から少し明るい表情になっています。

 推しキャラのバージョン違い、回したくなるのはやまやまだが理性的に考えればここは「スルー」の一手である。『メギド72』には「指名召喚チケット(〆チケ)」という任意のユニットや装備品と交換できる有償アイテムを年に二度販売するタイミングがあり、前回が7月で次回は12月なのですが恐らくその交換対象にジズ(ラッシュ)も入るはずです。〆チケは「販売から2ヶ月前の月中ピックアップまで」、つまり7月販売なら5月の月中ピックアップ(今年だとオレイ)まで、12月販売なら10月の月中ピックアップ(去年だとアバラム)までが対象となる。「テルミナスメギド」というサバト限定のキャラは〆チケの交換対象になりませんが、ジズはテルミナスじゃないので心配する必要ナッシング。呼応召喚(いわゆる天井)に必要な石は貯まっていますけど、それは今後来るであろうテルミナスのためにとっておくのがもっとも合理的な判断と言えます。しかし、「合理的な判断」だけでゲームやってて楽しいわけあるかよ! ええい止めるな俺は断固としてジズを喚ぶぞ! 呼応召喚でも何でも来いや! と石を突っ込んでしまいました。ぶっちゃけ『メギド72』は最近一日一回ログインしたらそれで終わりってくらいプレー意欲が下がっていたからガチャ禁してストレス溜めるくらいならいっそ吐き出した方がアド、って心境になっていたのである。引きが悪すぎてマジで呼応召喚に頼るギリギリのところまで行ったけどジズ(ラッシュ)はなんとか召喚できました。特にピックアップされているわけでもないバルバトス(ラッシュ)までオマケで付いてきたから個人的には許容範囲。こないだの〆チケで交換するの、最後までシャックスにするかバルバトスにするかですっごく悩んだんですよね……シャックス選んどいてよかった。

 「ジズが好きだから」という理由で引いたため性能はあまり期待しておらず、レベルが50超えたあたりでモーション確認も兼ねてRジスリーダー編成をテストしてみたらトンデモない強さでブッ魂消た。詳しく説明すると長くなるので割愛しますが、アタックフォトン一つで「暴奏」という特殊な状態(現状だと強化解除不可)をもたらし協奏パーティが劇的に強くなる。まるで温めたナイフでバターを切るようにエネミーの群れがみるみる溶けていく。単体ボス戦だと火力が足りなくなることもあるが、Rベヒモスあたりを編成すると「スキルが発動せずアタック扱いになる」暴奏のデメリットがメリットに反転し、たちまちのうちにボスを膾に切り刻んでくれます。おかげで今まで放置していた銀冠クリアのステージや無冠ハード・ベリハがあっという間に金冠クリアへ置き換わっていきました。アスラフィルやクロケル(ラッシュ)など手持ちのメギドも輝きを増して嬉しい限りではあるが、「もはや別のゲームでは?」という感触で茫然とする。界隈も荒れ気味で、「ジズ」で検索すると「ナーフ」がサジェストされるくらい。どうしてもオリエンス事件(去年10月に新規メギドとして実装された「オリエンス」があまりにも強すぎて修正されてしまった騒動、オリエンスの異常な強さは実装されてすぐに判明したにも関わらず運営が事態を把握して対処するまで1ヶ月も掛かったため騒ぎもどんどん拡大していった)を連想してしまうが、オリエンスは「開発チーム内での情報伝達がうまく行っておらず想定と違った性能で実装されたため強くなりすぎた」から不具合修正の名目で対処するハメになった例であり、Rジズは「想定通りの性能だけど想定した性能が強すぎる」のであって不具合と見做す要因は特になく、「騒ぎになった」点で共通しているが事情は少し異なる。これからRジズを調整するとなれば「下方修正」以外の何物でもなく、下手すりゃオリエンス事件のときよりも燃えかねない。公開された最新のプロデューサーレターでは「話題に上がっている」と言及しつつも「手持ちのメギドやオーブの種類とバトルに対する思考が必要」と語り、Rジズをナーフせず現状のまま据え置く判断を示しています。これからは攻略サイトに「引き直しでフォラスかナベリウスを出してリセマラでRジズを引こう」と書かれる時代が到来してしまうのか……。

 そしてあと3ヶ月足らずでメギドも3周年を迎えますが、次の〆チケは誰を選ぶか迷っています。最有力候補だったRバルバトスが引けたこともあり、正直「課金してまで欲しい」ユニットはそんなにいなくなってしまった。強いて言えばRプルフラスか? テルミナスもありだったらリジェネじゃない方のユフィール一択なんですけども。あえてユニットではなくSSRオーブを取るという手もある。その場合はやっぱり「ボーパルバニー」かしら。オーブのために課金するのはちょっと抵抗あるが、とりあえず〆チケ買うこと自体は確定事項だし時間を掛けて検討しよう。


2020-09-06.

『黄昏を切り裂く光になる』が書籍化に際して『追放された落ちこぼれ、辺境で生き抜いてSランク対魔師に成り上がる』というタイトルに変更されたと知って目を疑った焼津です、こんばんは。

 文庫新刊予定表では『黄昏を切り裂く光になる』のままだったので「マジか」って顔になっちゃいましたね。魔族との戦争に大敗した結果、朝と昼がなくなり黄昏と夜だけが永遠に続く世界となってしまった――って設定を背景に「人類に青空を取り戻す」ため身を粉にして戦う少年が主人公を務めるファンタジーです。「あなたならこの黄昏を切り裂く光にきっとなれるわ」みたいな作中のセリフから来ている旧題だったんですが、新題は物の見事に身も蓋のないテイストとなってしまった。長文系タイトルは私の記憶力が劣化しているせいもあって覚えられないから困るんだな……タイトルがそのままあらすじになっているからわかりやすいっちゃわかりやすいんだけど、もっとこう、風情みたいなものが欲しいと申しますか。『転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?』あたりは作品の雰囲気とマッチしていて好きなんですが。『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』あたりまで行くと逆に賞賛してしまう。

ハルヒシリーズ9年ぶりの新刊『涼宮ハルヒの直観』、11月25日発売予定

 「もう続きは出ないだろう」と諦めかけていたハルヒの新刊が突如ポップアップしてきたこともさることながら、『涼宮ハルヒの驚愕』からもう9年も経っていることに愕然とした。当時はお祭り騒ぎで書店在庫量が凄いことになっていたんですよね……『分裂』から4年ぶりということで話題になったけど、今回はその倍以上待たされたことになる。「フェイクニュースか?」と目を疑った人も少なくないはずです。シリーズ開始が2003年、今年で17周年を迎えるハルヒシリーズですが、もはや活動期間より休止期間の方が長くなっている。現在の中学生にとっては「生まれる前に始まったシリーズ」であり、「アニメやライトノベルは好きだけどハルヒは観たことも読んだこともない」という層が厚くなってきているとも聞く。ちなみにうちのサイトは2003年開設なので、初期の日記を掘り返すと『憂鬱』の感想が出てきます。「微妙」と書いている通り、実はハルヒシリーズをそんなに評価していなかった。ぶっちゃけ『学校を出よう!』シリーズの方が好きでしたね。ただ『消失』だけは図抜けた面白さだと思いました。

 さておき、『直観』はハルヒシリーズの11番目(『驚愕』が前後編なので冊数で言うと12冊目)に当たります。長編ではなく作品集で、いとうのいぢの画集『ハルヒ百花』に寄稿した「あてずっぽナンバーズ」、『ザ・スニーカーLEGEND』に掲載された「七不思議オーバータイム」、そして書き下ろしの中編「鶴屋さんの挑戦」を収録するとのこと。書き下ろし長編でシリーズが再始動することを期待したファンからするとガッカリな内容かもしれないが、とにもかくにも「新刊が出る」のは大きな進歩。次は20年後とかになるかもしれないが、書き下ろし長編が出る可能性は高まったと言えます。

 あとハルヒ新刊のインパクトに紛れてしまったが裕時悠示の『踊る星降るレネシクル』も久々に新刊が出ます。なんと5年ぶり。映像化どころかコミカライズさえしていないライトノベル作品を5年ぶりに出してもらえるなんてそうそうないことですよ。「半年ブランクが空いただけで旬を逃す」とまで言われている業界ですからね。『天国に涙はいらない』並みのレアケースだ。600ページを超える大ボリュームで遂に完結となります。1巻が出たのは2010年、粗削りなセンスが唸る内容に引き込まれたものの激遅すぎる刊行ペースには泣かされました。4巻までは4ヶ月に1冊ペースで割と順調だったんですけども、同作者の別シリーズである俺修羅(『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』)がヒットした影響か5巻まで3年待たされ、次の6巻まで1年お預けを食らい、そして5年も耐え忍んでようやくこの7巻に辿り着けた次第です。ちゃんと最終巻が出るのはありがたいことだが、まさか完結まで10年も掛かるとは……さすがに初期の巻の内容はうろ覚えになってきているし、そろそろ再読すっかな。

2021年放送のTVアニメ「バトルアスリーテス 大運動会ReSTART!」ビジュアル公開(コミックナタリー)

 古さで言えばハルヒどころじゃないのが来ちゃったな……90年代にアニメやゲームが出た『バトルアスリーテス 大運動会』、遂に本格的なリメイクが始まる模様です。倉田英之がアニメ脚本家として知られるようになった初期の代表作。師匠筋に当たる脚本家がいない倉田はシリーズ構成のノウハウなどまったくなかったため、TVシリーズの構成をどうするかで相当悩んだそうな。黒田洋介と話し合いながら手探りで作っていった、好き勝手やらせてもらえて新鮮だった、と後に述懐している。当時は絵柄が苦手だったせいで食わず嫌いしてしまったが、そこはかとなく気になっていたシリーズなのでリメイクは渡りに舟である。ヒットしたら倉田のノベライズ版も復刻してくれるかしら。しかし令和にもなって「バトルアスリーテス」なんて単語を新作として目にするとは夢にも思わなかったな。

プリンセスフェスガチャ開催!!限定キャラ「ラビリスタ」登場&おまけ付き!

 待望のラビリスタ実装だ。このときをどれほど待ったことか。ラビリスタ、本名「模索路晶(もさくじ・あきら)」はタイトルに『Re:Dive』が付く前のプリコネから登場していたキャラというか、そもそも騎士くん(アニメ派の人にとっては「ユウキ」の方が通りはいいか?)がプリコネの主人公になったのはこの人に目を付けられたからである。すべての元凶、と書くと聞こえが悪いか。「すべての発端」とも言うべき人物です。『Re:Dive』でも割と初期から登場していたが、様々な事情を知る存在だけに扱いが難しく基本的に「ずっと寝てるお姉さん」だったんですよね……リゼロアニメ2期のレム並みにひたすら寝っぱなしでした。「そろそろラビリスタが実装されるのでは」という期待を高めるたびに「まだ寝てるだろ」と冷静なツッコミを受けた日々が懐かしい。

 ラビリスタさんはプリコネの世界に君臨する上位者「七冠(セブンクラウンズ)」の一人であり、ユニットとしても当然の如く強い。どれぐらい強いかと申しますと、あまりにも面倒臭くて攻略を放棄していたダンジョンEX3「緑竜の骸領」ボス、ラードラこと「ラースドラゴン」をラビリスタ入り編成であっさり突破できるようになってしまったぐらいです。これなら毎日周回できるな、というレベルの手軽さで……控え目に申し上げてもぶっ壊れだと思います。

 七冠とは何なのか、アニメじゃ全然解説されなかったからアプリやってない人はまったくわからないでしょうが、説明しようとするといろいろネタバレを含むので難しいところだ。ややボカして説明しますと、プリコネワールドにおいて創造主的な立場にある女神「ミネルヴァ」、それを生み出した7人の天才が「七冠」と呼ばれている。ユニットとして実装されているキャラはクリスティーナ、ネネカ、そして今回のラビリスタで3人。すべてフェス限(プリンセスフェスという主に月末開催の最高レアリティ排出率2倍ガチャでしか出現しない限定キャラ)です。ちなみにムイミちゃんはフェス限だけど七冠にはカウントされない。ノウェム(9)という別名、オクトー(8)という相棒が示す通り、七冠とまったく無関係なわけではないが。

 実装された3人以外の七冠について今後どうなるのか、予測交じりで語っていきたい。残り4名のうち名前が判明しているのはラジクマール・ラジニカーントと千里真那のふたり。両方とも第一部のストーリーに登場しています。ラジクマール・ラジニカーント、愛称「ラジラジ」は記憶喪失に陥っており、成り行きでムイミの仲間になったことから主人公たちの協力者ポジションへと収まった。ラビリスタの証言によると「ミネルヴァの懲役」という災厄が発生したときラジラジは「外」にいた……プリコネの世界にログインしていなかった、ということだからガワだけラジラジで「中身」は別人って可能性が高い。プリコネは基本的に女性キャラしかユニットとして実装しない方針なのでラジラジがプレイアブル化する望みは薄いが、「中身」次第ではひょっとするかも……といったところである。千里真那は「覇瞳皇帝(カイザーインサイト)」の本名、要するに第一部のラスボスです。たぶんアニメのラスボスも真那なんじゃないかな。作中で結構非道なことをやっているから嫌っているプレーヤーも多く、仮に実装なんて話になったら「どのツラ下げて……!」と反発が起こることは必至。ただラスボスを務めていたくらいのキャラだから「凄まじく強い」のは事実で、激戦が避けられそうにない第二部でその助力を乞うハメになる展開は充分考えられる。残りの2名は本名不詳。片方は「棗こころ(コッコロ)のパパ」なので「棗氏」と仮称する。棗氏は高齢のためかそもそもプリコネの世界に一度も入ったことがないみたいで、「七冠の権限は持っているが実際に行使したことはない」と見られている。コッコロが棗氏の代理として赴いており、アメス様の託宣を受けることができるなど特殊な加護を持っているが、どうもこれまでの遣り取りから察するに七冠の権能までは譲られていない模様。いずれ棗氏の権限を受け継いだ「七冠コッコロ」として覚醒するのでは……という説もあります。7人目の七冠は未だに正体が判明しておらず、数多の考察が入り乱れ「○○説」「××説」「△△説」といくつもの説が囁かれている。「仲間を石に変える『眼鏡女帝(エンプレスグラシーズ)』のカリン」みたいな珍説まで含めると枚挙に暇がない。ラビリスタの口振りからすると最後の七冠も「ミネルヴァの懲役」を喰らっているようで、『Re:Dive』に登場したキャラであることはほぼ間違いないようなのだが……結論を一言でまとめると、「わからんことだらけ」だ。


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