2014年1月分


2014-01-31.

・「怪獣」よりも恐ろしい「体重」が襲い掛かってくる『パシフィック・デブ』を妄想してみるがあまり広がらなかった焼津です、こんばんは。とりあえずメタボ・アルファは違和感がなかった。

 それはそれとして近年太ましいシルエットの巨大ロボットが減ってきましたね。新番組観てもだいたいシュッとして細っこい機体ばっかり。ずんぐりしているのは概ね雑魚敵という扱いです。CGだと重量感が出しにくいから、ってのもあるのかな? あんまりゴテゴテしすぎてもSTGのステージボスみたいになっちゃうからアレだけど、移動要塞じみたヘヴィ感がもっと欲しいとろだ。

TYPE-MOON、『Fate/stay night+hollow ataraxia セット』発売

 ゲームそのものに追加要素はないとわかっていながら「十周年」の響きに抗えず、つい買ってしまった……それにしても1994年と2004年は天と地ほどの差があるような感覚だったけど、2004年と2014年はそれほど大きく変わらない気がするのだから不思議なものだ。Fateが尖兵となってエロゲーの新時代を切り拓く光景を想像していたけど、逆に重厚長大路線、大艦巨砲主義へ傾きすぎて業界が袋小路に入ってしまった印象。「停滞と衰退」の10年だ。別にFateの責任というわけではなく、影響力って点で省みるとむしろ『AIR』や『君が望む永遠』の存在が大きかった気がします。しかし、Fateが10年ってことはパラロスこと『PARADISE LOST』も今月で十周年を迎えるということだよな。発売前はそんなに期待してなかったけど、いざプレーしたら面白くてハマってしまった。当時の年間ランキングではFateを1位、パラロスに3位にしてたっけ(ちなみに2位はライアーソフトの『Forest』。4位が『ショコラ』で5位が『蒼色輪廻』だった)。そのパラロスのシナリオを書いていた正田崇は来月に新作『相州戦神館學園 八命陣』を出す。一方、奈須きのこは……そろそろDDDの3巻出そうや、な?

8番目のカフェテリアガール2巻発売延期の件(ソラゴト通信局)

 去年6月に発売され、SDの新作としては比較的話題になった『8番目のカフェテリアガール』。待てども待てども2巻が発売されず、遂には予定表から消えてしまったが、3月25日にようやく出るとのこと。「実際2巻の原稿自体は1巻発売頃(昨年6月)にはほぼできていた」というから、編集部が完成原稿をじっくりエイジングしていたんでしょうかね……冗談はさておき、イラストレーターの「029」が忙しかったんじゃないかな。029は他にも『はたらく魔王さま!』『異能バトルは日常系のなかで』といったシリーズのイラストも担当しており、特に去年の6月頃は『はたらく魔王さま!』のアニメが終わるタイミングと重なっていろいろ立て込んでいたのだと思われます。そうじゃなければ、編集サイドの都合でしょう。「原稿やイラストが完成していても出版計画やら何やらで後回しにされる」現象はちょくちょく起こるそうです。ひどいと約三年もスルーされることがあるそうな。編集者も忙しい人が多いので、渡された原稿をすぐに読むとはかぎらない。さすがに三年掛かっても読んですらいないパターンは極端な例(であることを祈りたい気持ち)だが、「書(描)いていない」ことだけが発売延期の理由じゃないこともあるので、作者や絵師ばかり責めてはならない――と自戒する。しかし、だとすればSDは今までいったいいくつの完成原稿を死蔵してきたのだろう……いや、考えるのはやめよう。底のない闇を覗き込んではいけない。深淵が覗き返してくる。

ガイ・リッチー、アーサー王を題材にした全6作の大作映画の監督か(シネマトゥデイ)

 記事の末尾に「か」が付いていることから察せられる通り、まだ本決まりではない模様。「映画の監督候補に挙がっている」段階です。「ワーナーは本作を全6作の大叙事詩作品に製作する予定」だそうだけど、6部作の大長編映画って……予算が保つのかしら? 3部作の構想で第2部までしか出せなかった『シェンムー』が脳裏をよぎる。いっそ予算全部使ってガイ・リッチーに『アーサー王宮廷のヤンキー』撮ってもらおうぜ。というかガイ・リッチーで思い出したけど、“ロック、ストック”のドラマ版(フォー・ストールン・フーヴズとスパゲッティ・ソースとワン・ビッグ・ブロック)はいったいいつになったら再販されるの? ずっと待ってるのに……。


2014-01-26.

『妖狐×僕SS』が来月発売の“月刊ガンガンJOKER”3月号で完結する、と聞いて「遂にか……」と遠い目をしてしまう焼津です、こんばんは。並行して『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』なんて4コマも連載しているもんな、そろそろクライマックスが近いというサインは出ていました。

 連載開始がJOKERの2009年5月号(創刊号)だから約5年。2冊同時刊行するため単行本の発売は翌年2010年にずれ込みましたので、単行本派にとっては約4年。長かったようであっという間だったな、とまだ終わっていないにも関わらず懐古に耽りたくなります。アニメが放送されたのは2012年の冬クール(1月〜3月)なんで2年前だ。オリジナルエピソードを挟みつつ原作2巻のラストで終了という、原作ファンが予想した通りの構成に収まりました。現時点での最新刊は10巻、ということは次の11巻で〆? 発売は3月か4月くらいかな。このぶんだとアニメの2期目はなさそうですね。アニメ化された範囲は1/4程度だし、「妖怪の先祖返り」云々といった設定もどういう意味があったのかよくわからないまま終わるから、原作読まないアニメ派の人からすると「続きもアニメでやれよ!」という気分になるかもしれません。ただ、いぬぼくは特殊なストーリー構造を採用しているので、原作派からすると2期目がないというのはガッカリするような、ホッとするような……ちょっと複雑な気持ち。1期目は商業的にも成功して、原作の売上を大きく伸ばすことに貢献したと聞くけど、2期目はそういう効果があまり期待できないだけに順当な判断かなぁ、と思いつつもう一度「動いて喋る凛々蝶」が観たかったって欲望も確かにある。日高里菜のボイスもバッチリ合っていて、放送前は「半端な演技だったら認めんよ」と頑なな態度を取っていた身でも軟化し全面降伏せざるを得なかった。藤原ここあはいぬぼくの前にやっていた『Dear』が全12巻(新装版だと全6巻)だったから、最近の巻を積んでいる当方でも「そろそろかな」と覚悟していました。完結したら溜めている巻を一気に解放しよう。

 ちなみに“ガンガンJOKER”創刊時のラインナップを確認しますと計14個の作品が掲載されていて、うち6個は他誌(JOKERは“ガンガンパワード”と“ガンガンウイング”を統合する形で生まれた)からの移籍組で、『ダメっ妹喫茶 でぃあ』『ヤンデレ彼女』「ガンガンONLINE」との同時連載、残る6個がJOKER発の連載陣だった。アニメ化した『黄昏乙女×アムネジア』(ただし第1話に当たる「乙女心と夕の空」は読切作品として“ガンガンパワード”に掲載されていた)や当方のお気に入りだった『プラナス・ガール』(これも“ガンガンパワード”に読切が2度掲載されていたから、位置付けとしては移籍組に近い)も去年終わってしまって、唯一残った純粋JOKER作品がいぬぼくだった(厳密に書くといぬぼくにも「お嬢様と妖怪執事」ってプロトタイプがあり、そういう意味では純粋JOKER作品じゃないが……アレはあくまでいぬぼくの原型であって話に繋がりがあるわけではないからノーカンでええでしょう)けど、それも遂に幕が下りてしまう。強いて言えば『まなびや』がまだ完結してないけれど、あれは休載作品ですから……作者の健康上の理由が絡んでいるし、再開の見込みは極小。移籍組や同時連載を含めても、創刊号から残っている連載作はもう『ヤンデレ彼女』と『戦國ストレイズ』だけです。戦ストは現代の女子高生が戦国時代の尾張にタイムスリップして若き日の信長(19歳)と出会う、「乱世の青春」を描いたコミック。今やってるあたりが桶狭間の戦いだという。タイムスリップしてきたのが1552年で、もし史実通りに進んでいるのだとすれば桶狭間の戦いは1560年だから主人公も20代半ば……これ以上歳を取ると「現代に戻る」という目的を掲げ続けるのが難しくなるし、そろそろ終わりが見えてきているか? それともいっそ戦国時代に骨を埋める覚悟で「是非もなし」となる1582年まで付き合うのか? 気になるところ。

 しかしリストを眺めるにつけ、ホントJOKERもだいぶ連載陣が変わってきたな、と実感。創刊した年から続いているのは戦スト、ヤンデレ以外だと『EIGHTH』『アラクニド』くらいだ。皆なるべく長く続いてほしいものだが……。

・時雨沢恵一の『男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。1』読んだ。

 タイトルがあまりにもクソ長いことで良くも悪くも話題になった新シリーズ。1巻の場合は更に「―Time to Play―(上)」という副タイトルが加わります。ハウツー本みたいな内容と申しますか、主人公が「僕はこうして電撃文庫からデビューして売れっ子ライトノベル作家になった」という経緯を「年下のクラスメイトで声優の女の子」に事細かく語る内容で、興味深くはあったが面白いかどうかで言えば微妙だった。何せ1巻ではまだ「首を絞められている」理由が判明しない。ギャグ描写とか誇張ではなく、ヒロインは本気で殺す勢いで主人公の首を絞めているけど、主人公に抵抗する気配はありません。彼はこれまでの流れを走馬灯の如く脳裏に思い浮かべるが、決定的なシーンまでは進まず、首を絞められたまま2巻へ突入することになる。というかこのタイトル、次で完結ってわけじゃなくてまだまだ続ける気みたいな匂いがプンプンしますよね……いったいいつまで首を絞められ続けるんだ? 伸び切っちまうだろ。「キリンの首がもっと長くなる」と火々里さんも言うよ。一応、ハウツー本めいた要素以外にも何か仕掛けのある気配は感じているが、今のところは様子見に徹するしかない。

 さて、ふと思ったのだが、いつ頃からこういう「ライトノベルをネタにしたライトノベル」がジャンルとして定着するようになったのだろう? 今回はこの件に関して振り返ってみることにする。

 2000年開始の『R.O.D』には「菫川ねねね」という13歳の若さでデビューした売れっ子の作家が出てくるが、この時点では「ライトノベル作家」ではなく「小説家」という設定に収まっていた。今なら「13歳でデビューした天才ライトノベル作家」という設定も受け容れられるだろうが、当時は「小説家」とする方が通りが良かったのでしょう(ねねねの書く分野をあまり限定したくない、という面もあったでしょうが)。そもそも2000年は2chに「ライトノベル板」が出来たばかりの年であり、ライトノベルという言葉自体まだそれほど普及していなかった。これ以前にも「ジュニア向け小説を書いている作家」が出てくる本は多々あったが、ライトノベルって呼称が定着し、用語として一般的に使われるようになるのは2000年代の半ばから。書名に出てきたのは2004年の『ライトノベル完全読本』が初である。『このライトノベルがすごい!』が始まったのも2004年末。つまり、対象にすべきは2005年から先でいいだろう。2007年に川上稔が通販限定本『遭えば編するヤツら』を出している。成田悪悟、有沢汚水、藤原祐朋、おかゆまさこ、高橋876号と実在の作家名をもじったキャラクターが登場する一種のパロディ小説だが、「ライトノベル」という文言はまだ使われていなかった……ような気がするけど記憶が曖昧だ。今度書庫を漁って確認しよう。

 それ以外でパッと思い浮かぶのは2008年の『ライトノベルの楽しい書き方』『ばけらの!』『ラノベ部』ですね。『ライトノベルの楽しい書き方』は「ライトノベル」というワードを初めてタイトルに用いたラノベ。ヒロインが新人ラノベ作家で、スランプで書けなくなっているから主人公が擬似恋人として恋愛の経験を積ませることに……という、どっちかと言えばラブコメみたいな内容だった模様だ。読んだことないけど結構長く続いたシリーズで、全10巻を約4年に渡って刊行した。実写映画化もしている。『ばけらの!』は主人公の名前が「杉井ヒカル」、つまり作者本人をモデルにしています。『遭えば編するヤツら』同様実在の作家を元にしたキャラクターが多く、「ラノベ作家の正体は化け物だった!」という意味で『ばけらの!』。話題にはなったけど2巻で刊行が止まり、3巻はずっと出ていない。『ラノベ部』は高校に入学したばかりの主人公が軽小説部、通称「ラノベ部」へ入部することに……というコメディ。ラノベを読んだり語ったりする高校生たち、という「作者」よりも「読者」に近い視点のシリーズで、未だに異彩を放っている。『電撃的な彼女』『終わらないクロニクル』など、実在の作品をパロディ的に取り扱っています。3冊で終了となったが打ち切りというわけではなく、書く気があれば続きを出してもらえる程度の売上はあったらしい。主人公が昔ネットで公開していた小説のヒロインが生身を伴って現れる『セキララ!!』なんてのもあったが、これはラノベネタというより『AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜』みたいな「黒歴史系」か? 「架空のヒロインが現実に」というのは漫画やアニメでも見られるパターンではある。『この彼女はフィクションです。』とか。

 2009年には主人公がラノベ作家でヒロインが編集者の『えでぃっと!』『三流木萌花は名担当!』、純文学作家になりたかったのにラノベでデビューしてしまった青年が主人公の『ラ・のべつまくなし』があった。また『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の3巻はヒロインが作家デビューするエピソードだったが、ラノベではなくケータイ小説。アニメ版ではそれがアニメ化されるエピソード(第8話「俺の妹がこんなにアニメ化なわけがない」)も追加され、アニメ企画が原作とはかけ離れたものに変容していく、いわゆる「原作レイプ」を皮肉った。「このエピソード自体が原作レイプだ」という声もあったが……ちなみに脚本を手掛けたのは先述した『R.O.D』の作者・倉田英之。2010年の『ライトノベルの神さま』は「ライトノベルな恋をさせてやる」という神様が現れて“お約束”なイベントを提供してくれるというもの、あらすじから察するに業界ネタは希薄そうだ。2011年の『彼女がフラグをおられたら』は「フラグを目視できる主人公」という設定がメタ・ライトノベルっぽくもあるが、「フラグ」自体はプログラミング用語だし、作者の出自を考えるとラノベネタじゃなくゲームネタか。趣旨は違うが『フラグへし折り男』なんてソフトもあった(元々は別ソフトの作中作)。『デート・ア・ライブ』『俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している』も同様にゲームネタ(ギャルゲーネタ)だろう。この他、主人公やヒロインなど登場人物がオタクでラノベに関する話題を持ち出す、みたいな作品は上記した俺妹をはじめいろいろとあったが、それらはストーリーに関わるほどではなくラノベネタというよりオタクネタなので除外しました。

 最近だと『桃音しおんのラノベ日記』『エロマンガ先生』『城ヶ崎奈央と電撃文庫作家になるための10のメソッド』などもラノベネタ、もっと言うとラノベ作家ネタです。漫画家漫画みたくラノベ作家ラノベが当たり前のように出てくる時代になってきたんだなぁ、と思うとなんだか感慨深い。特に『男子高校生で売れっ子〜』と『城ヶ崎奈央と電撃文庫〜』はハッキリ「電撃文庫」というキーワードを出している点でジャンプにおける『バクマン。』と同じ位置付け、つまり「ただのパロディではない作品」という感触を抱かせる。これまでは自レーベルでさえ「雷撃文庫」みたいな濁し方をしていましたからね。そういう点で行くと『俺の教室にハルヒはいない』も衝撃だった。まさか、スピンオフでもないのに別作家の作品名を一部とはいえタイトルに取り込んでしまうとは……『バクマン。』ではなく『ブラックジャックによろしく』を彷彿とさせる。ただ、冒頭だけ読んだところ、主人公はハルヒの原作を読まずアニメだけ観たみたいなので、厳密にはラノベネタと言えないかも。個人的にはもっと「実在の作家や作品を焦点にした話」が増えてほしいけど、いろいろ難しいか。『ブラック・ジャック創作秘話』『「ガンダム」を創った男たち。』のライトノベル版は是非読みたいところだ。そういえぱ『ドラゴンクエストへの道』なんてのもあったな……。

・拍手レス。

 SD文庫の記事を読んで懐かしさに死にそうになりました。焼津さんには野崎まど先生の[映]アムリタをおすすめしたいのですが、もう読んでらしたりするのでしょうか?
 野崎まどは何冊か買ってますけどみんな積んでますね……年々読むスピードが低下してきているので消化が捗らないです。

 スーパーダッシュについて読みました。このレーベル割と買ってるなあとしみじみ……ちなみに影≒光の最終巻なんですが、帯にはばっちり完結と書いてあるのにあとがきはどう見てもまた続けるような体で書いてます。あとがきと帯を交互に見返してしまいました。その様はあたかも劇中の亡霊のごとく……イラストは好きだったので残念でした。
 そうだったんですか……つくづくSDは作家の姿勢と編集の方針が噛み合わないレーベルですね。

 迷い猫オーバーランは原作の方もイラストレーターさんを途中の巻から取っ替え引っ替えしたせいで、読者が困惑する羽目になってしまいましたよね…。昔からライトノベルのメディアミックス展開をやり続けた角川書店や、西尾維新という当たりくじを引いた講談社と違って、集英社はワンピースや銀魂などの漫画のメディアミックスに力を入れる一方で、ライトノベルのメディアミックス展開はそんなに力を入れていないような気がするんですよね。集英社にはもうちょっと危機感というものを持ってほしいです。
 漫画のヒットとライトノベルのヒットは規模が段違いですから、どうしても漫画偏重になってラノベ方面は疎かになってしまうのかな。集英社だけあってイラストレーターはイイ人引っ張って来れてるんですけど、それを活かし切れずにいる印象。

 「君はスーパーダッシュ文庫を知っているか?」楽しく読ませてもらいました。その影響を受けて近場でスーパーダッシュ文庫が唯一置いてある結構大型の書店へレッツらゴーしてきたのですが、六花の勇者シリーズを残して、前までは存在していたスーパーダッシュ文庫のコーナーのみ消失という悲劇を体験してきました(泣)なぜだ、他のレーベルは少ないとはいえコーナーが存在しているのに……。
 ラノベは数が出すぎてスペースの奪い合いになってますから、仕方ないと言えば仕方ない。うちの近隣書店の棚差はカンピ、パパ聞き、ベン・トーあたりが数冊のみで、全巻揃ってるのは六花だけ。それ以外の新刊は売れたのか返品されたのかほとんど棚へ行かずに消えます。


2014-01-21.

『D9―聖櫃の悪魔操者―』のヒロインが「胸のある小鳩」に見えて仕方ない焼津です、こんばんは。

 起き抜けに「電撃の缶詰」を読んで、「あれ? はがないのスピンオフが始まったのか?」と寝惚けたことを口走った当方を誰が責められるだろう。おっぱいが視界に入ってようやく「おかしい!」と気づいた。結論としてはおっぱい超重要ってことである。

スーパーダッシュ文庫の記事は思ったより反響があったのでちょこちょこ追記しといた。でもこれ以上長くなるのもアレだから、追記はここまでとしておく。後は他の人にSDの記事を書いてもらいたい。

『アカメが斬る!』TVアニメ化決定!タカヒロ氏原作によるダークアクションファンタジー(萌えオタニュース速報)

 そろそろかな、と思っていた。『アラクニド』の方が先になるかもという気はしたが、こっちが先だったか。一種のレジスタンス物で、他国への侵略と中枢の腐敗が凄まじい「帝国」を相手に必殺仕事人みたいな集団が暗躍する。敵だろうが味方だろうが殺すときは容赦なく殺すタイプの漫画なので、「タカヒロ=明るい作風」ってイメージを抱いている人は面食らうかもしれません。だがよくよく考えるまでもなく「子孫終了のおしらせ」なバッドエンドを書いてきたライターですから、これもまたタカヒロの一面なのだと納得していきましょう。アクションと緊張感が売りなので、個人的には原作通りじゃなくてもいいから「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドだけはやめてほしいと思う。どういう形であれ、アニメ版はアニメ版としてキッチリ決着つけてほしい。これ以上「来るかどうかも曖昧な2期を待ち続けるアニメのリスト」に新たな作品名を加えたくないです。

・さて今年の冬アニメもニコニコやバンチャあたりでいろいろ配信されていますけど、相変わらず本数が多くてチェックするのが大変です。観れた範囲でサッと感想を述べていきます。

 まず『ノブナガン』、織田信長の生まれ変わり(?)の少女がなんか遺伝子に眠る超パワーを目覚めさせて銃とかブッ放す話らしい。信長以外にも切り裂きジャックの遺伝子持ってる奴が出てきたりする。関係ないが「いでんし」の変換第一候補が「遺伝詞」だった……うちのIMEはカワカミストだったのか。『断裁分離のクライムエッジ』の「殺害遺品(キリンググッズ)」を魂とか遺伝子とかに置き換えたような設定で、原作は久正人の漫画。あの人の絵はコントラストが強すぎて苦手なんですよね、だから原作は読まずに直接アニメを視聴。声優が新人なのか、演技が……最初からクライマックスで緊迫感溢れる展開のはずなのに、あと一歩のところで締まらない。1話目最後の銃声はカッコ良かった。

 次に観たのが『そにアニ -SUPER SONICO THE ANIMATION- 』、製作発表時あらゆるニトロファンが驚いた「すーぱーそに子」のアニメです。すーぱーそに子ってもともとはCDのジャケットイラストに描かれた「ピンク髪で巨乳のヘッドホン娘」で、妙に反響があったから後付で設定を決められたキャラですよね。言わば「成り行きで誕生したマスコットキャラ」。ニトロは他に正式なイメージキャラクターがいたはずなのだが……さておき、エロゲーメーカーのマスコットキャラはアリスソフトのアリスちゃんを始めとして「濡れ場ナシ」が伝統になっているところも多く、その流れに乗ってそに子もギリギリまでしか脱がないが、あまりにもエロい体つきをしているせいで「なぜヤらないんだ!?」と主に下半身方面から疑問の声も噴出しています。そんなそに子が主演する『そにアニ』、具体的なバックストーリーを持たないマスコットキャラが主人公を演じるだけに、大方の予想通りこれといった筋立てがない緩めのアニメと化しています。日常アニメのテイストに近いけど、そに子は祖母の仕事を手伝う傍らモデルのバイトや友人たちとのバンドも掛け持ちしており、方々で「すーぱーそに子です」と当然のように挨拶するなど日常感覚とは少々ズレている。もっと大きく派手にズレていればギャグか何かとして捉えることもできただろうけど、町内の人やバイト先のお客さんと気安く馴染んでいてアットホームな雰囲気を出しているから据わりの悪さがヒシヒシと漂ってくる。そに子可愛い、と思う当方でも1話目はちょっと苦痛なくらいだった。でも2話目で慣れたし、しばらくは付き合うつもりです……やっぱりそに子可愛いもんな。

 『スペース☆ダンディ』は自覚的に「古臭さ」を打ち出したスペオペコメディ。噎せ返るほどの昭和スメル、平成生まれにとっては異次元であろう。正直ここまで来るとアラサーの当方でもあまり懐かしさを覚えないアナクロニズムである。これが懐かしくなるのは『ダーティペア』を観ていた、当方より上の世代ではなかろうか……作中で「前説とかないんですか、これ?」と言っちゃうようなメタっぷりからして明確にパロディ路線を意識しており、『オースティン・パワーズ』めいたノリを感じる。どちらかというと苦笑いしながら観るムードだったが、光線銃をクルクル回しながらホルスターに突っ込もうとしてすっぽ抜け、後方に投げ落とす描写は素で噴いた。本人はドヤ顔を崩さず、相方もツッコまないでスルーしていたのが余計にツボった。主人公の声が諏訪部なんで脳の片隅にチラチラと獣殿の顔が浮かんだが、巨乳(リザ)に鼻の下伸ばす黒円卓首領とかイヤだな……あっ、でもその様子を眺めて嫉妬するエレ姐はちょっと見たいです。黒円卓☆ダンディ。

 『バディ・コンプレックス』は平凡な爽やか少年が未来からやってきた巨大ロボに命を狙われ、同じく未来からやってきた美少女の操る巨大ロボに助けられる。「ああ、要するにターミネーターみたいな話か。『バディ』ということは、主人公とヒロインが二人一緒になって戦うの? 複座式のロボ?」とつらつら思いつつ見ていたが、1話の後半、敵の自爆攻撃を逃れるために「特異点を利用して未来に逃げる」という予想外の展開に。タイムワープ中にヒロインは「ディオが待っているわ」とか何とか意味深なことを告げて消える。「DIOッ!?」と驚きながら主人公は未来の世界に辿り着くが、そこは戦場だった。巨大ロボに乗って戦う人間たち。ヒロインが言っていた「ディオ」という少年も出てくる。そしてロボの機械音声が宣言する。「ナイスカップリング」と……バディって、ヒロインとじゃなくてこのDIOってのとかよ! しかもナイスカップリングって、主人公×DIO(あるいはその逆)かよ! いささかポカーン気味な終わり方だった。説明らしい説明がなく、呆然とする1話目でしたね。てっきり主人公が未来世界で偉人になるから過去へ暗殺者が送り込まれるパティーンかと早合点したけど、主人公本人が未来へ行くんだったら現地で直接何か恨みを買ったってことも考えられるな。戦闘シーンは気合が入っていたし、ロボ物としては期待できるかもしれません。

 『お姉ちゃんが来た 』はショートアニメ。平凡なタイトルなので「姉の口が三角形」と言った方が伝わりやすいかも。原作読んでからアニメ観始めたが、特に問題なし。上質に仕上がっています。むしろアニメの方が好きかも……いや原作も原作でイイんですけどね。親たちの再婚によって出来た義姉の異様なブラコンぶりが主軸となるためネタがややワンパターンになりがちですが、短いおかげもあってクドくならない。ほぼ理想通りのアニメとなった。でも一番嬉しかったのは、本編終了後に出てくる「資本主義の犬」ことしばいぬ子さんとの再会だったというオチ。

 『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。 』はヒドいと聞いていたが、実際に観たら想像以上にヒドかった。両親の再婚によって義理の姉弟が誕生する『お姉ちゃんが来た 』に対し、こっちは義理の兄妹が組み上げられるパティーン。つまり『妹が来た』で、「最近」と前置きするほど長い付き合いではないのだからちょっと釣り臭いタイトルではある。「幽霊」と名乗る、自分以外には視えない謎の少女に憑依され、TSTという変な貞操帯まで付けられてしまった妹。彼女は幽霊少女に体を乗っ取られるかもしれない不安に怯えつつ、貞操帯による日常生活の不便(外さないと小便すら出来ない)に苦しめられる。「やっぱ生身の体ええわぁ」と嘯きいきなりオナニーをおっ始めるなど、「規制? ナニソレ食えんの?」と涼しい顔でやりたい放題のアニメ。次回予告や各話タイトルも遊びまくりであり、こういう徹底したバカバカしさは嫌いじゃない。

 『ノブナガ・ザ・フール』は『ノブナガン』と混同してしまって、配信後しばらく経ってからやっと別物だと気づいた。ややこしすぎるよ、タイトル。マクロスやアクエリオンで有名な河森正治が「原作・シリーズ構成・メインメカデザイン」としてスタッフに加わっているだけに、若干アクエリっぽさを感じるところもあります。「これは世界が東と西、2つの星に分かたれていた時空の物語」という壮大なイントロから既に混乱を来すが、要するに東洋と西洋を「東の星と西の星」という双星に置き換えた設定なわけです。で、タイトルで察せられるように主人公は織田信長、ヒロインは森蘭丸……と見せかけてジャンヌ・ダルク。「いったいどういうことだよ!?」と叫びたくなる。信長が本能寺で果てたのは1582年、ジャンヌがルーアンで火刑に処されたのは1431年だから150年くらいの隔たりがあり、決して同時代の人物ではない。ふたりは冒頭、予知夢という形でそれぞれの末路を目にするが、「是非に及ばず!」と怒号した信長は森蘭丸が「金髪碧眼の少女」に見え、神に何故と問うジャンヌは虚空に信長の姿を幻視する。そして本来出会うはずのなかったふたりは星を越えて遭遇する。他にもダ・ヴィンチやマゼラン、明智光秀や豊臣秀吉が出てくるし、「アーサー王」とやらも背後で何か大きな計画を練っている様子。しかも合戦に用いる「イクサヨロイ」はどう見ても巨大ロボットで、これは『天魔の羅刹兵』なのかよ、と。1話目からネタの盛り込み過ぎでパンクしそうになっている。信長は「救星王」として東西の双星を救う存在になることをジャンヌから期待されているようだが、モデルは第六天魔王と呼ばれた人物だ。果たして世界をすんなりと救ってくれるだろうか。どっちかっていうと巣食いそう。ツイッターにも書いたけど、イメージとしては「糾世王」の方だ。ちなみにタイトルの「ザ・フール」は「うつけ」と称された若き時分の信長を指す一方で、タロットの「愚者」をも意味している模様。名前のせいでネガティヴに受け取られる「愚者」ですが、正位置なら「自由、型にはまらない、無邪気、純粋、天真爛漫、可能性、発想力、天才」を意味する結構イイ一枚だそうです。しかし公式のイントロダクション、ラストが「愛よ、世界を破壊せよ!」で締め括られており、ジャンヌが火に焼かれながら「愛よ!」と絶叫して悪魔化しそうな印象が……その場合、青髭の旦那は喜ぶのか嘆くのかどっちだろう?

 『咲-Saki-全国編』は本命にして鉄板。無印の『咲-Saki-』が放送されたのは2009年であり、ファンは5年近くこの日を待ち侘びていたのだ! まあ当方は2012年の阿知賀編からアニメを観始めたクチなので、大して待ったわけじゃない。全国編はキャラが多いから紹介だけでも時間が掛かる。1話どころか2話目まで大会開始前のエピソードに費やされた。3話目も前半は合宿の回想から始まる模様。「全国編じゃなくて合宿編だろ」と言われてしまうように、ストーリー展開は至って鈍足である。この調子だと決勝どころか準決勝が終わるかどうかも怪しいな……原作が進んでないんだから仕方ないけど。絵柄が阿知賀編準拠になっているんで無印しか観ていない人は戸惑う(特に色遣い)だろうけど、来るべき4作目のためにも応援していきたい。タイトルは『咲-Saki-決勝編』とかになるんかな?

 『のうりん』はライトノベル原作、パロネタが多いことで有名。「パロディ頼りでウザい」という意見もあるが、原作書いてる白鳥士郎は2シリーズ立て続けに打ち切られて「もう後がない、背水の陣だ!」という勢いでコレに臨んだわけですよ。おキレイな遣り方にこだわって討ち死にするくらいなら、泥に塗れてでも星を掴む方がいい。ヒロインのアイドル時代から話に入るという「農業って何だっけ?」な冒頭も虚を衝く感じで面白かったし、噂に聞いていたベッキーが予想を上回るベッキーで圧倒された。というか中の人までベッキー(斎藤千和)かよ。転校生(ほむら)を演っていた人が転校生を紹介するマジキチ教師役とは、すさまじいインガオホー。1話目はまだ導入だから何とも言えなかったが、2話目はマジメに農業の要素も取り込んでるなぁ……と感心した矢先にパンツ談義&岩明均ネタ祭り。原作読んだら「ぼ……」「防御たのむ……」まであった。1話からずっとアグリカルチャーを期待して観ている人々は「雪の峠を越えてきたのに……!」という気分にならないか心配だ。

 『未確認で進行形』は4コマ漫画を原作にしたラブコメアニメ。16歳の誕生日を迎えた朝、突然「許婚」だという男の子が現れて……という、割合ベッタベタな導入で幕を上げる。雰囲気からきらら系の印象を持つが、実際は一迅社の「まんが4コマぱれっと」である。作者の荒井チェリーはきらら系でよく描いている人だから、そう思うのも当然だが……きらら系同様に「萌え4コマ」を主体とする雑誌ながらぱれっとの知名度はやや低く、アニメ化を果たした作品も『未確認で進行形』が初である。比較的有名な掲載作はFateのスピンオフ『氷室の天地』あたりだろうか。創刊自体が2006年(そのときは違う誌名だった)、そんなに長くやってる雑誌じゃないしあまり認知されていなくても無理はありません。ストロマの『スターマイン』が4コマ好きの間で話題になっており、「そろそろアニメ化、来るんではないか?」と予想していた(ドラマCD付きの限定版も出た)が、まさかの『ろこどる』アニメ化とは……脱線気味なので話をそろそろ元に戻します。『未確認で進行形』の原作は他愛もない日常の掛け合い及び微速前進するもどかしい関係をコミカルに描くもので、個々のエピソードを見るかぎり「一進一退」な趣でストーリー性は希薄に感じられるが、主人公たちの過去に秘密が潜んでいたりするので、通して観るとゆっくり話が進行していることに気づくって構成です。「未確認」の意味もいずれ明らかになるでしょう。が、ひとまずそんなことはうっちゃってロリ小姑と変態姉貴のウキウキウォッチングに勤しむのが正しい姿勢。ちなみに荒井チェリーと言えば10年を超える長寿連載作『三者三葉』が有名だ。何せ萌え4コマとしては『ひだまりスケッチ』よりも古株、ひだまりが「きらら界の番長」なら三者三葉は「影の総番」である。

 『となりの関くん』は分類上だとショートアニメになるけど、5分枠でも15分枠でもなく10分枠(実質7分)という変り種。慣れない長さなのでちょっと戸惑った。ヒロインである「横井さん」の隣の席に座っている「関くん」が、毎度毎度机の上で内職して、それを見た横井さんがヒヤヒヤする――ひたすらこのパターンを繰り返すシチュエーション・コメディ。内職のバリエーションは豊かで、毎度毎度変わる。原作の方はさすがに内職だけじゃ持たなくて違うエピソードも織り込んでいるけど、アニメの方はどうなるのかな。内職一色? 横井さんの声を演っているのが花澤香菜で、「またはなざーさんかよ!」と言いたくなった。今期開始のアニメだけでも10本くらい出てるんじゃないか、この方。声質は合ってるけど、聞いていて若干「演技過剰」という印象を受けた。リアクションが激しすぎてギャグ自体のインパクトが薄れてしまうというか……ツッコミがちょっとしたボケ潰しになってる。モノローグだったはずのセリフに口パクが付いていて「声に出していたのか!」という変な驚きもあった。漫画だとごまかせていた時間滞留現象(作中における時間の流れは「一瞬」でありながら相当量のセリフを発してみせる、漫画やライトノベルでよく見られる現象。これが極まると銃を撃った後に会話して、会話が終わってから着弾するという凄まじい事態が生じる)もアニメだとさすがに処理が難しい。ショートアニメ向きの原作だと思っていたけど、意外に調理が楽ではない食材だった。横井さんのツッコミによる時間滞留現象の違和感を今後どれだけ解消していけるかが鍵になるだろう。2話目の将棋は割と良くなっていた。

 『生徒会役員共* 』は2期目だが、1期目は観ていません。調べてみると2010年の夏アニメだったみたいですね、1期目は。3年以上も間が空いてしまったけど、その間もちょくちょくOVAが製作されており、展開は連綿と続いていた。とはいえこのシモネタまみれのアニメが再びテレビに復帰するなんて想像だにしていませんでした。『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが』同様ヒドいネタのオンパレードだけど、こっちはシモネタを口にする掛け合い漫才が主体なので、おっぱいポロリみたいな主張の激しいお色気イベントはなく、エロを期待する人にとってはガッカリだろう。あくまで「エロ」ではなく「シモ」です。1話目はなぜか異様に予算が掛かっていて「これ本当に『生徒会役員共』?」と目を疑うくらい豪華な絵づくりでした。柔道シーンは動きがちょっとビバップっぽかった。CGを駆使して空間の奥行きを出す演出も、「こんなに凝ったことする必要ないのに……」と呆れながら気圧された。近頃のアニメはどんどんクオリティがバブリーになっていくな。当方個人は画面に動きのすくないセリフ応酬シーンの方が素直に寛げました。

 『鬼灯の冷徹』は地獄を舞台にしたコメディ。割合淡白なノリで訥々と地獄薀蓄を交えながら獄卒たちの日常と騒動を描く。「下ネタが少なくテンションやや低めのアザゼルさん」といったところです。主人公の鬼灯(ほおずき)は「閻魔大王の第一補佐官」という役職で、本人曰く「官房長官」のようなものとのこと。閻魔大王の右腕でありながら、閻魔に対し敬意のひと欠片もない鬼灯の傍若無人かつ冷徹な仕事ぶりが緩やかな笑いを誘う。一応原作も読んでいたけど、結構内容を忘れていたので意外にも虚心に楽しめました。延々と地獄の風景が続く華のないストーリーゆえ、「アニメ化して保つのかなぁ?」と不安だったが、まったくもって心配無用だった。淡々としたノリで非常に寛げます。パロネタが相当にギリギリで銀魂めいた部分もあるけど、余分な力を抜いてリラックスしながら視聴できそうだ。それにしても鬼灯の声優がコレの人だからBGMに「祭祀一切夜叉羅刹食血肉者」とかを流したくなる。閻魔様が夜摩閻羅天さんになりそう。

 『ニセコイ』は少年ジャンプ連載のラブコメが原作。幼い頃に出会って結婚を誓い合った少女、しかし顔も名前も声も何も思い出せない……手掛かりは、結婚を約束したときに貰った錠付きのペンダントだけ。そんな思い出を持っている少年の頭上、空から金髪碧眼の美少女が降ってきた! という、「ひょっとしてこのヒロインが結婚を誓った少女なわけ?」って導入。他にも「候補者」は何人かいて、進めば進むほど増えていく。原作の最新刊は10巻、遂に2桁の大台に突入したが、依然として「思い出の少女」が誰なのかは不明のまま。あることをキッカケにだんだん思い出してきているが、下手すると最後まで謎のまま終わりそうです。とはいえどっちかというと現在の恋愛模様を主眼にしたラブコメなので、最近の展開に「もう思い出とかいいじゃん」な気持ちへ傾きつつある。タイトルの「ニセコイ」は、極道の一人息子である主人公とギャングの娘であるヒロインが両組織の抗争を避けるための手打ちとして「私たち付き合っています」と嘘をつく(両組織のトップは「恋人のフリをしてるだけ」と把握しているが、それ以外は知らない)ところから来ています。ラブコメ界では古い伝統を誇る「偽装カップル」モノです。『グリーン・カード』『あなたは私のムコになる』など、「ニセモノとして始まったカップルがいつしかホンモノに……」というシチュエーションはベタベタだけど美味しい。しかし、「偽恋物語」なんて表記されると『偽物語』『恋物語』を連想してしまうな。これも制作はシャフトだし。小野寺さんの声が撫子に聞こえて仕方ない。そういうキャラじゃないと分かってるのに「小咲だよ!」という幻聴が耳に響く。原作読んでるとシャフト演出に物凄く違和感が湧くけど、そこを除けばまずまずのアニメ化であった。にしてもカップルを演じる期間が3年って、つくづく長いよな……ラブコメじゃなくても惰性でそのままくっついちゃいそうだ。

 『Wake Up, Girls!』はアイドルアニメ。仙台を舞台に、「再起」というテーマを掲げて7人のアイドルが立ち上がる……みたいなノリ? ストーリーが『七人のアイドル』という劇場版の続きになっているみたいで、いきなり話の途中からスタートするため戸惑う。「あ、この子可愛いな」ってヒロインは何名かいたけど、名前を覚える前に終わってしまった。公式のイントロダクションを参考してまとめると、弱小芸能プロダクションのマネージャーが主人公で、「所属タレントがいなくなちゃったよ、どうしよう」と途方に暮れていたとき国民的人気アイドルユニットのセンターまで上り詰めながらも脱退した「元アイドル」の少女と出会う……んで、すったもんだの末に残り6人を集めて新たなユニットを立ち上げライブも行ったけど、社長が金を持ち逃げしてしまったせいで会社そのものが存続の危機に晒される。1話目はここからの幕開けとなります。「アイドル続けたいなぁ」「でも社長が行方くらましちゃってるし」みたいな愚痴とボヤキの末、最後に救い主となるプロデューサーが現れる。しかしそれはどう見てもヤの付く個人事業主だった! 『ラブライブ!』放送してた頃に「これ、もし最初から9人揃ってるアニメだったら途中で観るのやめただろう」と思ったことあったな……だいたいそんな感じです。2話目の「ワクワクガールズ」はちょっと笑った。これがホントの『わくわく7』。『わくわく7』と言えばティセが可愛かった。堕花雨といい、「前髪で目隠し」系ヒロインに弱い自分が憎い。

 『ウィッチクラフトワークス』はチャンネル配信がないのでタイムシフト予約を利用。この機能、実は使うの初めて。存在は知っていたが、いちいち予約入れないといけないのが面倒だったから無視していた。それはさておいて『ウィッチクラフトワークス』は平凡な男子高校生が自分よりもタッパのある美少女に守られ、お姫様な役割になってしまう現代ファンタジー。ヒロインの正体はもちろん魔女だ。作者が言うにはプロット段階だと主人公は少女で、一種の百合物になる予定だったとか。名前が「仄(ほのか)」となっているのもその名残りだそうである。原作は漫画だが非常に設定が細かく、本編では説明し切れないからとカバー下にびっしり小さな字で補足説明を記している。良く言えば親切、悪く言えば内輪ノリが抜け切らない作風である。作中世界における「魔女」は長命で、数百歳を超える連中も何名か存在しており、彼女たちは派閥を作って若き魔女たちを従えながら対立している。その中でクローズアップされるのは、「工房の魔女」と「塔の魔女」の対立。工房側は都市に拠点を作って、一般人たちに危害が及ばないよう注意を払いつつ、社会に溶け込む形で研究活動をしている。一言でまとめるなら「秩序」属性だ。対するに塔側は拠点を持たず、一般人に被害が及ぼうと及ぶまいとお構いなし、好き勝手気儘野放図に魔法を行使しまくる「混沌」属性です。塔はタロットカードのタワーから来ているのかな、と思ったが作者曰く「象牙の塔」のイメージらしい。カオスフルとはいえ派閥なのだからまったくの放任主義というわけでもなく、塔には塔の目的があって手下の魔女たち(1話目で仄らを襲った倉石たんぽぽ等)を動かしている。混沌を旨とする塔は「白いアレ」有する仄を欲し、秩序を固守する工房は仄を奪われまいとして両者に衝突が発生するわけです。と、大まかな構図を説明してみましたが、あまり頭に入ってこなかったでしょう。別にそれでいい。これはキレイでカッコイイ火々里さんにキャーキャー言うアニメです。ストーリーはうっちゃって構いません(でもやっぱり話をちゃんと把握したい、という方は公式サイトに掲載されている勢力図もご参考に)。1話目の感想としては、ケモミミこと倉石たんぽぽが思ったより可愛かったなぁ、と。やたらとキャラが多い(アニメ版の公式サイトでも「総勢30名以上の魔法少女」と謳っている……いや、「少女」じゃない人たちも結構いますよ?)話だから、たんぽぽはすぐに存在感が薄くなっちゃうんですよね。テンポ良く進んだし、このペースなら3話目が楽しみだな。霞ちゃんは1話目でもチラッと姿が見えたし、2話でもチラチラ映るのだろうか?

 『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』は星空めておがアニメ界に初参戦となる記念すべき作品。『ガールズワーク』? いえ、知らない子ですね。ともあれ一見して即座に脳中を過ぎった感想は「黒星紅白の絵柄再現度パネェ!」である。巷で言われているように「初期のライアーソフトみたいな作風」で、視聴者を立たせるスタートラインにしてはやや取っ付きにくい印象を受ける。世界征服を目論む秘密結社VSそれを阻止せんとする謎の集団、といったごくありふれた図式が描かれるものの、「征服」が具体的に何を指しているか現時点では不明確だ。幼女がすべてを握る鍵らしいが、彼女自身征服に乗り出すことを躊躇っている素振りをチラッと覗かせたことからすると、もしかして『最果てのイマ』みたいな展開に……? それにしてもヒロインの声が独特で癖になるな。

 『ディーふらぐ!』は原作ファンが「これいつかきっとアニメ化するだろうな〜、でも原作の持ち味を活かせるのかな〜、たぶん無理だろうな〜」と不安がっていた一本。ハイテンションかつナンセンスなギャグの連打で細かいことすべてを押し流してしまうノリは、一歩間違えると極寒のコキュートスに変貌すること請け合いである。結果としては、思ったより良かった。やはり漫画とアニメでは演出のタイミングも異なるからイメージにそぐわない部分も出てくるけど、あくまで「翻案」の感覚で観れば丁寧な仕上がりで「少なくともこの分なら黒歴史は避けられそうだな」と安堵しました。アニメが初見の方からすれば「1話目からいきなり密度が濃い!」と圧倒されるかもしれませんが、説明的にならざるをえない開始直後だからこそこの畳み掛けなのであって、次回以降は……たぶんもっと濃くなると思います。2話目はおっぱいこと高尾さんが登場する回ですね。原作では随一のキャラ人気を誇り、ディーふらぐ関連の薄い本はだいたい高尾さんが嬲られる内容で固定されています。一冊だけ船堀オンリーのを見かけたことがあるけど、表紙を見渡せばほぼ「高尾づくし」の様相。

 『ノラガミ』『ハマトラ』『とある飛空士への恋歌』はそのうち観ようと思いつつもまだ観ていない。あとは『桜Trick』『魔法戦争』が配信待ち。『中二病でも恋がしたい!戀』『ウィザード・バリスターズ〜弁魔士セシル』あたりは放送が終わった後でレンタルか何か利用してまとめて観ようと画策している。円盤マラソンは『咲-Saki-全国編』が確定していて、後はどうしようか迷っています。ズバズバーこと『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』は初のめておアニメだし、御祝儀代わりに1巻目は買うつもりでいるが、2巻目以降に関してはノープラン。『のうりん』は原作者書き下ろし短編が毎巻付くというし、白鳥士郎を応援したい気持ちもあるので前向きに検討。『ウィッチクラフトワークス』や『ディーふらぐ!』は惹かれるものがあるけどもう一押し足りず、様子見。

 たくさん感想書いたけど、結局一番面白いと感じているのはぶっちゃけ2クール目に入った『凪のあすから』です。1クール目のラストから5年が経過し、微妙に人間関係が変わっている中へ「5年前」のまま時間が止まっていた少年・光が帰還。ただでさえややこしくなっていた恋愛模様がますます混迷の度合いを深めていく。いいねいいねぇ、当方が求めていたのはこういうドラマですよ。潮留美海という、登場時点では小学3年生だったため恋愛レースの圏外に置かれていた美少女が堂々参戦。一方、光に想いを告げていたちさきは元より色っぽいところのある少女だったが、時の流れとともに艶を増して極限のエロスを備えるに至った。「団地妻」と評されるのもむべなるかな。しかし、かつては光に想いを寄せていたちさきも、5年の間にいろいろあって心変わりしているのではないか……という当然の疑惑が持ち上がる。そして光にとっての本命であるまなかは依然行方不明のまま……『きみを守るためにぼくは夢をみる』のシチュをもっとドロドロにしたような気配ですっげぇワクワクします。麻の如く乱れた人々の想いを解きほぐしてドラマティックなタペストリを紡ぎ上げていく、岡田麿里の真骨頂。現状、もっとも哀れなのは光の友人・伊佐木要だが……奴はなんだかんだでさゆとくっつくのかな。しかし、ちさきの全身から滲み出るような、指先から滴り落ちるような、神々しいまでの艶やかさはヤバいですね。友人のできちゃった結婚報告を聞いて動揺する姿から恐らくまだオボコのままなんだろうと推測されるけど、何度眺め返しても人妻にしか見えない。「わたしのヅマ力は53万です」と宣言せんばかり。なんなんだろうな、このエロさ。「頼み込んだらヤらせてくれそう」臭が半端ないというか。まなかを想いながらも、ちさきの肢体が放つ甘やかな色香に抗し切れず肉欲の海へ溺れていく光……みたいな薄い本展開を想像するだけで元気になれます。本編でそんなことになったら鳴海孝之ばりに視聴者から嫌悪されるでしょうね。その状態で美海にまで手を出したら殺意を呼ぶことに……さすがにそこまではしない、はず。

・拍手レス。

 焼津さん、相州戦神館學園 八命陣のPV4弾見ましたか?放送前のまどか☆マギカのCMみたいな詐欺といっても過言ではないPV映像ですよ。
 まだ観てませんが、べんぼうの人がクロエ・ルメールっぽく「シンノゥ・アキカァゲですよぉ」と言ってる様子を想像してます。

 そういえば、「告白」で知られる湊かなえの作品である「白ゆき姫殺人事件」が3月末に劇場映画化されるそうです。「告白」の映画は、原作の読むたびに嫌な気分になっていく構成をさらに倍増ししたのに対し、今回の白ゆき姫殺人事件の映画はどのように料理されるのかが気になります。特に(多少ネタばれになりますが)原作ではルポライターという設定である赤星雄治が、映画ではTVディレクターという設定に変更されているので、原作以上にマスメディアに属する一部の人間のいい加減さを原作以上に描いてくれると良いのですが…。
 湊かなえ作品は『少女』より先を読んでない……『贖罪』が読んでる途中でどっかに行ってしまって、それきりになっています。


2014-01-19.

・ふと思い立って「君はスーパーダッシュ文庫を知っているか?」という記事を書いてみた焼津です、こんばんは。

 本当に単なる思い付きで、最初はこのまま普段の日記と一緒に載せるつもりだったけど、あまりに長くなってしまったため別立てとしました。無闇矢鱈にボリュームがあるので暇なときに目を通してくださいませ。今年で創刊から14年と、年季はそこそこあるくせして一向にマイナー臭が抜けないスーパーダッシュ文庫。当方も読んでいる本はごく一部なので、ほんの表面を撫でた程度しか語れていません。もっとSDについて饒舌に語ってくれる人が増えてくれたら嬉しいです。しかしSD、明日にサイトの大幅なリニューアルを行うとかで、これに伴って記事中に張り巡らせたURLが軒並みデッドリンクになっちゃったら笑うしかないな……あれやこれやと書き連ねたけど、結論としては「みんな、スーパーダッシュの新刊買おうぜ!」の一言に尽きる。

そろそろ卑怯系主人公が流行ってもいい(ひまねっと)

 つまり『オレのリベンジがヒロインを全員倒す!』の出番というわけか。タイトルも表紙もヒドくて「買い辛い!」と嘆く方もおられるでしょうが、中身はヒドくないので安心してほしい。星宮エイジ(『ビッグオーダー』)の全盛期並みに物凄いパワーを持っていた主人公が、世界の破滅を防ぐ激闘に打ち勝ってボロボロの状態で帰ってきたら、労って迎えてくれるものだとばかり信じていたヒロインたちから下克上され、すべての異能をすっかり根こそぎ奪われてしまった……というプロローグから始まるライトノベル。「普通の人間」に戻ってしまった元最強の能力者が、現役バリバリの異能者であるヒロインどもに復讐の裁きを下すべく「卑怯上等」の精神で戦い抜く。最強から最弱への転落、そしてそこからの這い上がり。ハードロマンめいた復讐譚をライトノベル的なお色気ストーリーで上演します。具体的にどの程度卑怯かというと、一般人の幼なじみを盾にして「これならお前らも力を使えないだろう! 巻き込んじまうからなぁ、ふはははは!」と高笑いしながら突っ込んで(最後には幼なじみを突き飛ばして)距離を詰める、みたいな戦法を平気でかます域に達している。完全に小悪党である。リベンジという名のエロスが少々直球すぎる(主人公はヒロインの体のどこから現れる痣や紋章みたいな「マーク」に一定時間触れることで力を取り返す、なのでまずマークを探すために『エルフを狩るモノたち』の如く服を脱がせる必要がある。その後は……言うまでもなかろう?)けど、当方、こういうちょっと汚い野望(とほんの少しの純情)に衝き動かされる主人公は好きです。ヤナギンにもそろそろブレイクしてほしいし、打ち切りだけは勘弁な。

『東京喰種トーキョーグール』アニメ化決定!(ひまねっと)

 区切るとしたらアオギリ編のあたりまでか? 十中八九、「俺たちの戦いはこれからだ」エンドだろうな……『東京喰種(トーキョーグール)』は「人肉しか食べられない(普通の食べ物は吐いてしまう)」グールと呼ばれる存在と、「グールに人権などない! 駆逐してやる、一匹残らず!」とばかりに狩り回る喰種対策局の捜査官たち(グールの存在は一般市民に対しては伏せられている)との対立が軸になるダーク・サスペンス。グールたちも一枚板ではないため、内部での暗闘もあります。成り行きからグールになってしまった主人公は、両者が協和することのできる未来を目指そうとするが……「相容れぬ者同士の凄惨な争い」を迫力ある筆致で描く、と言っても初期の画力はいまひとつだった。アオギリ編に入ったあたりから急激に伸びましたね。順番的にはこの後で『テラフォーマーズ』がアニメ化されるのかな。早ければ来月の8巻で「アニメ化決定!」とか報じられるかも。アレもアレで「俺たちの戦いはこれからだ」エンド必至ですが。

村田真哉「アラクニド」番外編「キャタピラー」の連載復活(コミックナタリー)

 『キャタピラー』再開か。リンク先に載っているカットと比較的似ている構図が2巻の表紙なんだけど、うむ、絵柄は違えど雰囲気はそれとなく通じるものがあるのではなかろうか。作画を担当する速水時貞は新人みたいです。匣咲いすかの絵がもう拝めないのはやっぱり悲しいけれど、その悲しみを抱えながら続きを楽しみに待ちます。


2014-01-16.

・不意に『すごいよ!!マサルさん』がもう20年近く前の漫画であることに気づいて気絶しかけた焼津です、こんばんは。

 1995年の末頃に連載開始ということは……えっ、マサルさんが始まった頃に生まれた子供はもう2ヶ月くらいで高校卒業しちゃうの!? 気が遠くならざるをえません。作風が作風だけに、マサルさんはいつまで経っても古びた印象がしないんですよね……連載が10年に及んだ『ピューと吹く!ジャガー』と比べればやっていた期間はごく僅かだけど、それでも未だに「うすた京介=マサルさん」のイメージが強い。また一つ「歳を取ったな……」と実感しました。

筆柿そふとの新作『催眠術Re』、公式ページ開設

 「Re」ってなんだろう? と首を傾げながらクリックして驚いた。主人公の名前が青木直人……つまりこれ、『催眠術』をそのまんまリメイクしてるのか!

 『催眠術』はその名の通り催眠術を使ってヒロインたちを陵辱するド直球のエロゲーであり、2001年12月にBLACKRAINBOW(通称「黒虹」)というブランドからリリースされた。黒虹のデビュー作にも当たる、もう12年も前のエロゲーだ。無印のキャラ紹介ページReのキャラ紹介ページを見比べると時代の流れを感じずにはいられない。催眠術を使って女の子にエロいことをする(あるいはさせる)という妄想ネタは太古の昔からあり、エロゲーにおいてもこのゲームが始祖というわけではない。無印の紹介文でも「最近なかった本格催眠術師物!」と謳っており、ジャンルの創設というよりはジャンルの復古といった趣が強い。しかし、タイトルがタイトルだけに「催眠術エロゲー」で真っ先に思い浮かぶのはこれでしょう。キャラ紹介の一番下にいるキノコ頭の眼鏡野郎「村越進太」は当初ライバルキャラとして出てきたものの、インパクトの強さゆえかコアな人気を呼び、BLACKRAINBOWを代表する看板的存在としていろんなソフトに顔を出すことになります。翌年2002年7月にリリースされた『From M』で早くも「村越医師」としてカムバック。パッケージには白衣を着て両手を広げる村越の背中姿が映っている。ボイスも付いた。声優は去年に58歳の若さで亡くなった亀山助清。『From M』は病院を舞台にした陵辱寝取られゲーで、タイトルのMは村越とMedic(医療従事者)を掛けているのかな? キャラ紹介を見れば一目瞭然だが、村越のデザインが大きく変更されています。言われないと同一人物とは分からない。「※『村越』は登場致しますが『催眠術』とは別の世界のお話です。」という注意書きもあり、ここから彼は「スターシステム」の恩恵を受けるキャラとなっていく。

 2003年6月の『催眠学園』では遂に主役へ抜擢されますが、外見はもうほとんど別人です。「眼鏡を掛けている」「ひょろりと痩せている」の2つが村越の外見イメージとして継承され、反対に「気持ち悪い醜男」要素は軽減されていった。2004年3月のファンディスク『黒虹本』にも出演したらしいが、これに関する詳しい情報はなし。2005年3月の『ガジェット』では出番がなかったものの、同年8月『ガジェット ファンディスク』に収録されたアナザーシナリオ「妹の恋人は…ヤツ」で降臨。その後しばらく活躍の機会はなかったが、2007年9月の『催眠術2』で久々にサブキャラとして登場。主人公に催眠術を伝授する師匠格です。ご覧の通り『催眠学園』をベースにしたキャラデザで、ちょっと「カッコイイ」と思ってしまった。パラレルながら「若くして医科大学の教授」と『From M』の設定にも目配せしている。声優は中田純に変更。検索すると2006年の『催眠学園DVD with 催眠術』で既に中田へ変わっていたらしいが、2003年発売の『催眠術DVDPG』(無印の『催眠術』は声なしだったので、このときにボイスが新規収録された)では亀山助清のままだったらしいし、厳密にどのタイミングで変わったのかハッキリしません。『催眠術2』のファンディスク『裏・催眠術2』がリリースされたのは2008年4月、「村越先生の催眠学院」という完全オリジナルパートで再びメイン級に返り咲いた。2010年1月の『擬態催眠』でまたしても主役に抜擢、「触手宇宙人に寄生された学生」という役柄でこんなお姿に……2011年か2012年頃、BLACKRAINBOWで長くシナリオライターやディレクション業務を行っていたNATORI烏賊が退社。ネクストン系列に移って「筆柿そふと」という新ブランドを立ち上げました。ブランド2作目となる『催眠術3』で待望のシリーズ再開となりましたが、村越は顔を出さず、NATORI烏賊も「ああー……出ないです」「もう大抵のコトはやらせた感じだから……」「もういいかなぁ、って」とコメントしている。「催眠シリーズが継続でも村越はお役御免なのか……」と残念がっていたところに、この『催眠術Re』が来たわけです。

 発売予定は4月末、4年ぶりの復活ということになる。千歳あめ→皇裕介→吉野恵子と代わっていった原画家がまたしても交代、今度は「大崎シンヤ」が原画を担当します。って、ええ!? 大崎シンヤ!? 燃えゲー方面では有名な絵師だけど、抜きゲーも手掛けているとは知らなかった……塗りが違うから最初見たときは気づかなかったよ。ニトロで深見真がシナリオを書く新作『NECROMANCER(仮)』でも原画をやる予定だし、完全に抜きゲーへシフトしたわけじゃないみたいだが……さておき、無印の『催眠術』は元が古いせいもあってシリーズの原点でありながら「今やるのはちょっとキツい」という評価が多かった。正直、2001年の時点でも「この絵はちょっと」な感じがあった。もうとっくに『君が望む永遠』とか出てた頃ですからね。こうしてフルリメイクすれば、新規ファン層もゲットできるでしょう。

 ただ、気になることが一点。当時の基準でさえ「薄い」「短い」と言われたボリューム(一周が約5時間、コンプするのに10時間程度だったらしい)をそのまま再現するつもりなのだろうか? そうなると価格帯はロープライスやミドルプライスに抑えなきゃ厳しい評価となりかねない。個人的にはロープライスでの販売か、あるいはシナリオ全面刷新による追加展開があるなら手を伸ばしてもいいかなぁ、といった気持ち。蓋を開けてみないと分からないけど、「温故知新したい」という現代のエロゲーマーにはズズイっと薦めていきたい。

 また『催眠術』はアダルトアニメの分野でも何本か出ています。アダルトアニメはあまり詳しくないジャンルなのでよく分かりませんが、ざっと検索してみたところ『催眠学園』『催眠術 2nd version』『擬態催眠』『催眠術ZERO』の4つがヒットした。村越の声優は橋田一朗、中田純、網代修、各邑辛多狼といった配役。毎回変わってるってことなのかな? 『催眠術ZERO』はタイトルで新作か何かなのかと期待したが、あらすじを読むかぎりでは「村越先生の催眠学院」のアニメ化みたいです。

・セレビィ量産型の『精霊課金録マジカロイド(1)』読んだ。

 『とんぬらさん』の作者として知られるセレビィ量産型の新連載。『とんぬらさん』は結構人気があったけど、「ネタ的に長期展開が難しい」という理由も相俟って9巻で完結となってしまった。「とんぬらさんには自身を含めて7匹の兄弟がいる」って設定だったのに、ラスト2匹は登場しないまま終幕……もともとナンセンスなノリをウリとする日常ギャグだけに、本音を申せば残りが謎でも別にいいっちゃ別にいいんですが。正直とんぬらさんの兄弟云々にはそこまで興味がなかった。さておき、新作となる『精霊課金録マジカロイド』は端的に言うと「魔法少女モノ」です。幼い頃に観たアニメがキッカケで魔法少女に憧れ、親に買ってもらったオモチャのステッキを未だに持っている少女、春日井香花(かすがい・このか)は魔法を使える不思議なアプリ「マジカルアプリ」を駆使して魔物と戦う。変身して魔物をやっつけ、「最高にカッコイイ!!」と悦に入る香花。しかし、このアプリは課金制……金が払えなければ肉体労働による返済を強要する仁義なき取り立て屋でもあった! そういう話。携帯電話で魔法をダウンロードして戦う『グリードパケット∞』を彷彿とする設定ですね。魔法を使うためには膨大なパケット料金が掛かり、「幻想」と呼ばれる魔物を倒せば莫大な賞金が得られて補填できるけど、賞金の高い幻想を倒すには強力な魔法が必要だから結局「携帯使い」はカツカツの生活を送っている……と、今見てもなかなか面白いシチュエーションだった。同人だけど、サークル珍譜堂の『魔法少女あずさ☆マギカ』も魔法を使うたびに料金が発生するので気が付けば借金まみれに……というストーリー。ちなみに『魔法少女あずさ☆マギカ』というタイトルの同人誌は木星在住らぐほも出しているから混同注意。最近だと、魔法ではないが金と引き換えに周辺の電子機器を自由に操作できる『神アプリ』、課金制ではないが他のプレーヤーから奪ったポイントを換金したりアイテムに交換したりすることができるソーシャルゲームでの死闘を描く『ダーウィンズゲーム』などが近接しているだろうか。上位ランカーになるためマジカルポーション(マジポ)を飲みまくって走るあたりはモバマスを連想させます。が、当方は依然としてモバマス未プレーにつきシステムをよく理解していないので比較は控える。

 主人公にしてヒロインの香花は魔法少女に憧れて精霊と契約したので、その時点で既に願いが叶っています。何か目的があって魔法少女になったというより、「魔法少女になる」こと自体が目的であって、魔物退治に勤しむのもそれが彼女の抱く魔法少女像であるからだ。あと依頼を受けて退治すれば魔法使ったりマジポ買ったりするうえで必要となる通貨「マジカ」(Mに縦線を2本引く)が貰える、って理由もある。マジカは金で得ることも可能。現在のレートは10円につき100マジカ。つまりペリカと一緒です。契約そのものは無料で済ませられる(ただし魔法の実在を信じ精霊と心を通わせることができる者しか契約できない)ものの、魔法の呪文を覚えるためには課金(この場合はネットスラングとしての「課金」、サービス利用者がサービス提供者に対して金銭を支払うこと)しなければならない。「初心者用の呪文」で「5万マジカ=5000円」、覚えた魔法を使うのに金は掛からないが、術者のMP(マジカルパワー)を消費するため自ずと回数は制限される。MPの自然回復は時間が掛かります。時間を短縮するために必要な回復アイテムが上記したマジポであり、これ1本が10000マジカ=1000円。レベルを上げるには魔法をガンガン使うしかないので、短期間でハイクラスに辿り着こうとすれば課金は不可避の事態となる。かくして香花は課金地獄へと転がり落ちていくわけです。変身衣裳「マジカルフォーム」が100万マジカ、これで香花の支払い能力はパンクし、お水スレスレの肉体労働で埋め合わせることになってしまう。おさわりOKのクラブで働いたり、水着写真集を発売して撮影会に出たり(背景がマジマップで笑った)、パンチラカフェで涙を浮かべながらスカートをめくられたり……これ薄い本になったら絶対に援交ネタ出てくるよね、と言いたくなる有様である。

 香花と契約した精霊「メララちゃん」は見た目こそロリロリなデフォルメキャラで、口調も舌っ足らずで可愛い(「です」が「れふ」になる)けど、ハイライトの失せた瞳で「課金するれふ」と言い出すなど搾取精神に満ちている。作中のキャラにハッキリと「悪魔」呼ばわりされています。中毒性のあるマジポをガンガン飲ませて術者を病みつき状態にしてしまうあたりなど、本当に悪魔っぽい遣り口であるが、メララの言によれば「外貨を獲得して祖国(マジカディア)を発展させるため」であり「故郷の村に仕送りして村の暮らしをよくするため」だそうである。「勉強よりマジカを稼ぐ方が大切」と言い切ったり、金の亡者であることに間違いはないけれど、キュゥべえよりはまだ人情味を感じさせるキャラだ……今のところは。今後次第では「鬼! 悪魔! ちひろ! メララ!」になるかもしれない。つーか、「即座に疲れが取れる」「強烈な中毒性がある(およそハピ粉の1000倍)」飲み物を売りつけてる時点で異様にヤバいスメルが……ヒ○ポンじゃねぇかよ。ストーリーはまだ開幕したばかりで何とも言えないが、術者同士のバトルが割とエゲツなく、『とんぬらさん』に比べてシリアスおよびダーク路線である。そのくせ耐の魔法がマヌケなビジュアルだったり、ギャグっぽい要素も混入されている。さて、どう転がるのだろうか。

 ちなみにメララ、下半身がジャック・オー・ランタンというメリッサ・セラティ(『WAGA魔々かぷりちお』)みたいなデザイン。エロゲー好きとしては即座にこちらを思い出すべきだったが、最初に連想したのはアマゾンの十面鬼だった。これだから昭和生まれは……脱線ですけど、秦こころって東方のキャラも見た目がちょっと十面鬼っぽいですね。

・拍手レス。

 ううむ…そうですか。
 また途中送信…。改行ってできないんですね。創作活動のことですが、残念です。表現したいものとおっしゃってますが、ヤンデレを書いていた焼き栗さんは女の子の嫉妬が好きだったのですか?。それとはまた別ですが、アニメレビューもやっているようですね。私もアニメはぽちぽち見ているので、たまにレビューを見させてもらいます。あと、今やっているガンダムビルドファイターズというアニメは、一見子供向けですが脚本がしっかりしていて私は面白いと感じました。おすすめです。AGEとはまったくの別物ですので、ガンダムが好き、もしくは興味があるなら是非見るのをお勧めします。
 ガンダムネタ知らないなら微妙かもしれませんが…。

 焼き栗……? 女の子の嫉妬は今でも好きですね、最近はハーレム物に伴って修羅場モノも豊富だから読むものに事欠きません。ガンビルは何話かちょこちょこと観ています。ファーストと福井版ターンAしか知らないんで他のガンダムネタはあまりピンと来ないのですが、いきなり野球を始めるような自由さは面白いし楽しい。


2014-01-11.

サムネ見て「おっ、緑髪のスレンダー美女か?」と思ってクリックしたら巻島先輩で、大いに魂消た焼津です、こんばんは。

 西木野真姫が好きなラブライバーに「マキちゃんの薄い本だよー」と言って差し入れすれば新しい趣味に目覚める可能性とてゼロではない……? 「あくまで俺はノンケだ!」と言い張る人には犬江さんの『マッキー極太。』を薦めるっしょ。マキナが「深く、深く、柄まで通れと」って言いながら股間のティーガーに火を噴かせるような話、ではないので安心して購入するべし。

女子高生の将棋バトル描く新連載、監修は高橋道雄九段(コミックナタリー)

 絵柄&女の子ばかりな扉ページからすると月下やハチワン路線じゃなくて「将棋版『咲―Saki―』」みたいなポジションを狙っているように見えるが、「借金返済のためプロ棋士を目指す強気な鋭利香」という設定が生々しいような珍妙なような。これは人気出たら借金取りたちに輪姦される薄い本や、お金を稼ぐために真剣師やろうとしてボロ負けして体で払う薄い本がコミケと同人ショップに犇くことになるだろうな、きっと。リンク先の記事を読むと、『スカイワールド』のコミカイズも始まるみたいですね。瀬尾版SAOというか瀬尾版ログホラという印象であまり興味を感じていなかったけど、最新刊がイイ乳で俄然気になっている。そして東ヴンズやデート・ア・ライブはまた新しいコミカライズを始めるのか……いったい何個目だ。

・マウンテンプクイチの『あまゆる。(1)』読んだ。

 きらら系の萌え4コマ漫画。いわゆる「日常モノ」の一種であります。「甘緩」みたいなイメージを喚起するタイトルですが、主要キャラクターとなる仲良し4人組の女の子がアヤ・マオ・ユウ・ハルなので、一文字ずつ取って「アマユル」って感じじゃないかと。百合漫画としては『ゆるゆり』よりも更に百合度が低め、スキンシップ止まりで邪推気味に見ても恋愛感情とかはなさそうだ。でもイチャイチャ感は強く、「仲良し好き」にはたまらない。読んでまず思ったことは、「ビックリするほど特徴がない」ってことですね。去年は『ゆゆ式』『きんいろモザイク』『のんのんびより』、3つの日常モノがアニメ化されたわけですが、そのうちどれに似ているか? と訊かれたら、正直返答に困ってしまう。どれにも似ているようで、ハッキリ「これだ!」とは言い切れない。グダグダしたじゃれ合いが延々と続くところは『ゆゆ式』っぽくもあり、仲良しグループの関係がちょっと『きんいろモザイク』っぽくもあり、舞台が微妙に田舎で田植えイベントがあったりするところは『のんのんびより』っぽくもある。しかし、それはあくまで表層的なレベルの近似であって、本質としてはあまり似通っていない印象を受ける。上記3作品のファンにそれぞれ本書を薦めたら、「薦められた理由はわかるんだけど、うーん、なんか違う……」と複雑な表情をすることでしょう。じゃあ『あまゆる。』の本質って何? ってことを考えると一向に答えが出てこない。「女の子が可愛い」程度の脳味噌が腐ったようなアンサーを搾り出すので精一杯だ。実際に公式サイトで冒頭を読んできてほしい。「本当に特徴がない!」と驚くこと請け合いです。

 だが、待ってほしい。当方はあくまで「特徴のなさ」をアピールしたいのであって、別にこの『あまゆる。』をつまらない漫画として貶したいわけではありません。確かに面白い気がしてくるまで数十ページ掛かったけど、「特徴がない=癖がない」ので一度順応し始めればあとは早い。あっという間に馴染み、「これは拾い物だった」と自らの幸運を信じて疑わなくなった。とある自然豊かな地方都市(公式サイトの記述によれば福岡県周辺)に建つ女子高の寮で暮らしている4人の少女たちの、平々凡々な日常をひたすら淡々と綴る。内容はこれに尽きる。ストーリーと呼べるものは特になく、「この作品ならでは」といった要素も希薄です。強いて言えば舞台が微妙に田舎ということくらい? 電車ではなくディーゼル車が走っていて、少し歩けば田園風景が広がり、コンビニも24時間営業ではない(6時から22時まで)。そしてそんなコンビニを「結構遅くまで開いてるのね」と感心する女子高生がいる。ド田舎とまで行かないけど、確実に「郊外」な雰囲気が漂っています。素朴、圧倒的なまでのプレーン味。甘々で緩々。捻りなどない、ストロングスタイルの朴訥さが本書の魅力であると言えましょう。

 すんごい丸顔の絵柄といい、「表紙で買う人」と「表紙で避ける人」がキレイに真っ二つにわかれるであろう一冊ですが、あえてここは「表紙で避ける人」にこそオススメしていきたい。ほら、甘くて冷たいアイスを食べていると、だんだん舌の先が痺れて味を感じなくなっちゃうことがあるじゃないですか。ああいうときに普通の水を飲むと、妙に温かくてまろやかな感触が湧いてきません? 言うなれば『あまゆる。』はほとんどフレーバーの付いていない、「普通の水」に近い無色透明なジュースなんです。だから何でもないときに口にすると「ただの水じゃねーか!」って気持ちしか噴出してこない。でも、味付けの濃いエンターテインメントを堪能した後や、あるいは「これから個性溢れる世界に突入する」ってタイミングの前に読むと程好いヌルさと仄かな甘みで舌を洗ってくれるわけです。エンタメとしてはやや刺激に欠けるけれど、リセッターとして用いればすこぶる有能な漫画。それが『あまゆる。』、目には映らぬ薄き香気のベールに覆われし萌え4コマ。かそけき息吹(プネウマ)に満たされた杯を、まさしく水のようにガブガブと呷って癖のない喉越しに酔い痴れてほしい。あ、普通に微百合系が好きだ、という方には普通にオススメです。こっちの水は甘いぞ。

・拍手レス。

 落ちてきた〜は本文読んでるとたまに忘れそうになりますが、コミカライズになって魔女たちが痴女すぎて笑いました。
 もしアニメ化したら普通に立ってるだけで謎の光が射し込みそうなコスチューム。

 舞阪洸かー……火魅子伝の続きマダー?
 天上天下もエアギアも終わってバイオーグだけになった今なら大暮維人を呼び戻せる……か?

 沢越止の家系図は僕も見ましたが、あれには戦慄を覚えましたね。最早ギリシャ神話のレベルですよ、あれは。
 「これ家系図やない、路線図や!」の意見に頷いた。循環しすぎだろ。回送電車かよ。

 焼津さんの紹介文に屈して、落ちナガの1〜4巻を即購入しました。この作者は鬼門と思ってましたが結構面白いですね。1巻冒頭で湯に浸かった刀はちゃんと手入れされたんだろうか、普通錆びるだろ、とかツッコミどころは山ほどありますが、細けえことは以下略! 紹介いただき感謝です。
 あのシーンはやっぱヒロインの乳よりも刀に掛かる湯の方が気になりましたね……舞阪はアタリハズレがあるタイプなので毎回安心して買える作家じゃないですけど、落ちナガに関しては今のところアタリ。このままハズレに転じないことを祈るばかり。


2014-01-04.

・今更ですけど、あけましておめでとうございます。杏に勤労意欲が芽生え始めたらしいと聞いて電流走る焼津です、こんばんは。

 2014年……今年は何か一味違う気がするぜ。そう嘯きながらチェックしたエロゲーが『110 〜産婦人科 死刑囚 病院ジャック〜』なのだから我ながらあまり信用ならない。この毒蝮鬼助は灰田重義(『学園ソドム』で陵辱の限りを尽くす死刑囚)の後継としてエロゲー史に名を刻むことができるのだろうか……タチの悪さで言ったら死刑になった後も悪霊になって犯行を重ねた勝沼紳一(『悪夢』および『絶望』)が最凶ですが。というかその気になればエロゲーでも「最凶死刑囚」的なドリームチームが組めそうですね。メンバーとしては伊頭三兄弟(遺作、臭作、鬼作)が鉄板か。できれば『鎖』の岸田洋一も入れたい。マジでこの手のキャラを総動員させた変態紳士録、発売されないかしら。比較的近いのは『鬼畜ゲーム大全』か? あれも10年くらい前の本だけど……。

 ちなみに、サムネイルを見るかぎり『鬼畜ゲーム大全』で扱われたキャラは、伊頭三兄弟や灰田重義、勝沼紳一以外だと、

長岡芳樹(『同級生2』/盗撮魔)
比良坂竜二(『夜勤病棟』/スカトロ好きの医師)
火野あつし(『おまえのなつやすみ』/見た目が不動明そっくり、中身はすごいバカ)
ランス(『ランス』/言わずと知れた鬼畜王、本名は「ランス・クリア」だが本人すらそれを知らない)
山本悪司(『大悪司』/極道)
高辺智弘(『SEXFRIEND』/ヒロインの誘いに乗って体だけの関係を結ぶ少年、攻略法次第で陵辱ルートに進むタイプ)
EDEN(『螺旋回廊』/匿名のメンバーが強姦目的で手を組むためのアングラサイトであり、正確には「EDENの利用者たち」)
戸黒肉助(『新体操(仮)』/体育教師)
東幸二(『MinDeaD BlooD』/数学教師、吸血されてから豹変し、ヒロインを捕まえては拷問・調教)
坂口晃(『淫内感染』/病院を影から支配している内科医)
虎牙猛(『うちの妹のばあい(はあと)』/かつてはエロゲー界における「寝取り男」の代名詞だった野郎。ただし『純愛版』ではNTRシナリオが削除された)
田中恵次(『股人タクシー』/タクシー運転手)
大首領(『超光戦隊ジャスティスブレイド』/秘密結社「アースシェイド」のボス)
村越(『催眠術』/当初はライバルキャラとして登場、その後は主人公に昇格したりサブキャラとして催眠術を伝授したりする立場に。フルネーム「村越進太」)
二ノ宮幸助(『警備員』/万引き犯を捕まえて陵辱する警備員)
新堂巧(『最終痴漢電車2』/天才的な痴漢。ちなみに『最終痴漢電車』シリーズは主人公が毎回変わる。1は天野哲雄で3は鷹取迅
佐志摩龍一(『けらくの王』/幼少期の事故の後遺症で股間以外に感覚がない少年)
緒方圭(『Pure Mail』/父親の虐待によるPTSDで情緒不安定な少年。『School Days』の主人公・伊藤誠の異母兄、Overflow作品の血縁関係は非常に複雑に入り組んでいる)
沢越止(『Snowラディッシュバケーション!!』/緒方圭や伊藤誠の父、「全ての元凶」。Overflowキャラの多くが彼の血縁であり、実の娘であろうと構わず孕ませる真性の種馬)
遠野孝蔵(『LOST M』/主人公・遠野周平の父。主人公に毛嫌いされている)
大見陸(『優遇接待』/スクール水着フェチ、全国に指名手配されている連続婦女暴行犯・毒島音露を助けたことから彼の狩場を引き継ぐことに。毒島音露は他のソフトにも出演)
霜月春彦(『Natural』/女子校に赴任した臨時教師、以前付き合っていた女性の妹と肉体関係を持つ。プレー次第で純愛にも鬼畜にも)
名島慎一(『ドーターメーカー』/会社員、亡くなった恋人の娘を引き取って育てようとするが……ちなみにこのソフトの企画原案は山田一、すなわち田中ロミオである)
宮内篠(『ドーターメーカー』/名島慎一に引き取られた少女)
堂浦聡(『蒼色輪廻』/投身自殺を試みようとしたときに「インフィニティー」と名乗る謎の少女と出会い、異世界に旅立ったり旅立たなかったりする最底辺男)
相澤修(『ハードラヴ』/従妹の雪乃を偏愛している人間不信の男。雪乃が自分を本当に愛しているかどうか試すために虐待などの非道な振る舞いを行う)
森本レオナ(『DISCIPLINE』/学園の支配者で、お嬢様というより女王様。傲慢さと冷酷さにかけてはトップクラス)
蕨伝吉(『乳辱遊戯』/乳首に対して異常な執着心を持つ性犯罪者)
長瀬渡(『好き好き大好き!』/ラバーフェチ、ヒロインを拉致監禁してラバースーツを着せる)
神楽貴史(『兄嫁』/兄の嫁を寝取る)
シルバー(『強奸客船』/豪華客船を乗っ取ったテロリスト)
アクロバットおやじ(『絶倫アクロバットおやじ』/複数の必殺技を持つ謎の中年男性、鬼畜キャラというよりネタキャラ)

 といった感じ。大半はぐぐって表示された情報をそのまま載せただけで、ほとんど知らなかった。ソフト名を知っていても主人公の名前まで知る機会はなかなかない。こうした悪の綺羅星たちも、語り継ぐ存在がいなければどんどん忘れ去られていくんだろうな……それにしても、改めて目にした沢越止の家系図は相変わらず複雑怪奇で頭がクチュクチュバーン。

【超速報】ソードアート・オンライン2期きたああああああああああああああ(ひまねっと)

 年末にやっていたSAOの特番、総集編パートが割と多くてガッカリしたけど、そこそこ新規映像もあって楽しんでおりました。「これで最後にバーン! と2期の告知が来たら最高なんだがな……」と思いながらぼんやり観ているところにコレですよ。一気にテンション上がりましたね。第1部「アインクラッド」編、第2部「フェアリィ・ダンス」編に続く第3部「ファントム・バレット」編の到来だ! PB編で中心となるゲーム「ガンゲイル・オンライン」(以下GGO)は銃を使って戦うMMORPG、平たく言うと「大規模なFPS」で、ファンタジー要素が強かったSAOやALOに比べると雰囲気もかなり違う。ストーリーもALOでは排されていたデスゲーム的な側面が復活する内容となっており、サスペンス色が強い。読者によって好みが分かれるところですが、個人的には熱中したエピソードである。当方は第1部でSAOシリーズにハマったものの、第2部「フェアリィ・ダンス」は正直それほど面白いと思えなかった。話が先に進んだというより、単に終わりを引き延ばされた印象が強かったせいもある。GGOは更なる展開を予感させる内容で、話が進んでいく手応えを感じ興奮しました。ヒットの度合いから言って絶対にやるだろうとは思っていたけど、2014年と確約されてホッとした。

 しかし、GGO編はそんなに長くないからいいとして、問題は第4部「アリシゼーション」編ですね。SAO最長のエピソードで、実はまだ書籍版じゃ完結を迎えていません。やるとなったら1クールじゃまとめ切れないだろうし、2クールあっても足りるかどうか……となると、2期目はGGOだけになるんだろうか。長さで言うとフェアリィ・ダンス編より少し長い程度だから、1クールあれば収まるはず。でも1期目が2クールだったのに2期目が1クールに減る、というのはちょっと考えにくいかな。ヒット作である以上、なるべく長く放送枠は取りたいところだろうし。となると残りの1クールを番外編で埋める形もありえるか……『アーリー・アンド・レイト』『プログレッシブ』あたりは構成を工夫すればどうにか組み込めるかしらん。個人的に絶剣のエピソード(『マザーズ・ロザリオ』)は劇場版として一気に観たいところです。

2014年 東京創元社 SFラインナップのご案内 あの本の名前がないのだが……(ぶく速)

 眉村卓の『引き潮のとき』もどうなってるんだよ……『SFが読みたい! 2012年版』創元の刊行予定に書いてあったじゃないか。創元の予定がアテにならないのは今に始まったことじゃないけど、もうちょっと詳しく各種の進捗状況を教えてほしいものだ。去年予定していた翻訳ミステリについても何冊か出てない本があるし。ヘニング・マンケルの『イタリア製の靴』とか。今年の予定によるとマンケルは『北京から来た男』という作品が翻訳されるみたいですけれど、『イタリア製の靴』については何も触れていない。『北京から来た男』の原題は "Kinesen" で「中国人」の意味、英語圏では "The Man from Beijing " の題名で翻訳されており、どうもこれを下敷きにして "The Chinese Man" というタイトルのドラマが撮られた模様です。これが日本のAXNミステリーでも放送されているみたいであり、「映像化した作品を優先しよう」ってな話になって『イタリア製の靴』が後回しにされたのかな? 詳しいことはわかりません。ただ、『イタリア製の靴』もアンソニー・ホプキンス主演で映画化するって話があるらしい。だったらいずれは翻訳されるでしょう、きっと。

・舞阪洸の『落ちてきた龍王(ナーガ)と滅びゆく魔女の国(1〜4)』読んだ。

 キャリアが長い(今年で小説デビューから22年になる)うえ、刊行ペースも早い(去年1年間で出した新刊が7冊だ)けれどブレイクしないまま中堅作家に落ち着いた舞阪洸の異世界ファンタジー。初期に手掛けた『プリンセス・ミネルバ』『火魅子伝』はメディアミックスの一環としてアニメ化もされましたが、その後はアニメと無縁なまま。決して泣かず飛ばずというわけではなく、『鋼鉄の白兎騎士団』は続編含めて18冊に及ぶ長期シリーズとなったし、『サムライガード』も無印と真を足せば10冊続いた勘定になる……サムガの方はストーリーの途中で止まって、ここ2年以上も新刊出てないような有様だけど。キャリアに裏打ちされた読みやすい文章、そして優れた生産力。キッカケさえあれば一気にブレイクしそうでありながら、なかなかその機会に恵まれないでいた作家です。が、去年スタートしたこの『落ちてきた龍王〜』が突破口となって風穴を開けてくれるのではないだろうか。イケイケドンドンでアニメ化プロジェクトを矢継ぎ早に立ち上げているMF文庫Jにおいて「次に来る」と目されている作品の一つがコレであります。

 ストーリーは、要約すると異世界召喚モノです。文明の未発達な世界に召喚された主人公が、持てる知識を駆使して活躍する。「いまアツい」と言えば聞こえはいいけど、ぶっちゃけありふれまくって「聞いただけでウンザリする」レベルに達したジャンルでもある。ただ、本シリーズの特徴は召喚される主人公が「どこにでもいる普通の高校生」ではなく歴史上の有名人物であること、そして召喚された際の衝撃で記憶喪失に陥っていること、です。なので思い出せる知識も断片的であり、異世界召喚モノ特有の「文明レベルの違いからくる上から目線」も抑制されている。個人的にこの記憶喪失設定は巧いというか便利だな、と感心しました。記憶がなければ「自分の文化」と比べていちいちカルチャーショックを受けたりせず、「あれ? なんか違うような……ま、いいか」と受け流して先に進めるから話運びもサクサクしていてスピーディ。異世界召喚モノに食傷気味だった当方も夢中になって既刊4冊を一気に読み切ってしまった。

 さて、主人公は記憶喪失だから自分の名前や元の身分もハッキリと思い出すことはできません。しかし、唯一ボンヤリと頭の隅に残っていたのが、名前の一部である「なが」という響き。差し当たって異世界では「龍王(ナーガ)」と名乗ることになります。と、ここまで書いた時点で恐らく「あ……っ」と察しのついた人がほとんどでしょう。そうなんです、よりによってあの人、日本史で一、二を争う有名人である某魔王さんを「剣と魔法のファンタジー」なお約束ワールドへ呼び出してしまったわけです。とにかく漫画やラノベのネタにしやすいことで有名な人物ですから、「それって『○○○○○○』と被ってね?」とツッコミたくなる方もおられるはずだ。作者もあとがきではその件について触れている。ただ、「あの人」は例のところで暗殺されたエピソードが有名で、他の作品だとその後に召喚されるパターンが多いのに対し、本シリーズはそれよりもずっと前、まだ「うつけ者」と呼ばれていたヤングな時代の悪郎(わろ)が異世界にやってくる形式となっています。つまり、彼はこの異世界での戦乱を経て「天下布武」が指し示す理想に辿り着く……のかもしれない、という逆転の発想。そこが妙味と化している。

 主人公の話はこのくらいにして、次は肝心の異世界について。「滅びゆく魔女の国」というんだから、当然魔女が出てきます。魔女だから魔法も使う。ただし、魔法は習得すれば誰でも使えるという性質のものではなく、生まれつきの因子が関わってくるうえ、基本的に魔女は各人一種類の魔法(火の魔法、風の魔法、水の魔法など)しか駆使することができない。どちらかと言うと超能力、もっと端的に言えばJOJOのスタンドみたいな異能力です。強力ではあるけど、万能ではない。そのため迫害を受けた魔女たちは絶対数が少ないこともあって徐々に追い詰められていき、主人公が召喚される頃には滅亡の危機に瀕していたわけです。今やってる漫画で言うと『ディアボロのスープ』を彷彿としますね。「魔女の国」とは言うものの、現在は内部分裂状態にあって、いくつかの氏族がバラバラになって生活しながら人類の軍勢に抵抗しているだけ。既に「国」の様相を失っています。主人公は訳も分からずに訪れた異世界で一宿一飯の恩義を受けたからと、魔女たちが安心して暮らせる国をつくるべく尽力する。便宜上「召喚」と書きましたが、実は魔女たちが滅びを回避するために呼んだのではなく、むしろ主人公の出現は彼女たちにとって未知の状況であり、序盤じゃ「人類側のスパイかもしれない、殺そう」という声も湧き起こるわけです。主人公がなぜ、そして何者によって異世界に飛ばされたかについては、いずれ明かされるかもしれないが現時点では不明だ。率直に言って今のところそのへんの要素に興味はない。関心はあくまで「国盗り」と「国興し」である。国家を創りあげるのは男の最高の浪漫だ。

 滅亡の危機に瀕した少数の軍勢を導いて建国を目指すのだから、ノリとしては自然と戦記モノになる。物語はまず魔女たちの生活圏である森に人類軍が攻めてくる、というピンチを主人公の采配で切り抜けるところから幕上げしますが、1巻はほとんど状況説明とキャラ紹介にページを費やされ、戦端が開くところまで進まない。ストーリーの本番は2巻からであり、1巻だけ読んでも物足りなくなること請け合い。2巻で最初の侵攻を撃退して、3巻もひとまずキリの良い場面まで進みますが、4巻は「強敵が現れた!」ってなシーンで終わってしまう。盛り上がりが最高潮に達したところでお預けを喰らった格好になりますので、現在の当方はひたすら5巻が読みたくて仕方ない。戦記モノとしては若干都合の良い展開が目立つ(ある戦では中隊を全滅させる威力だった弓が、「なるべく人類側の犠牲者を出したくない」という戦で用いられたら「怪我人は出たけど死者はゼロ」で済むなど)ものの、早すぎず遅すぎず、じっくりと戦果を積み上げていく腰の据わった構成が心地良い。魔女は女ばかりだけど、人類側の登用する兵士は男ばかりで、敵側の視点に移るとオス度が上がるのもグッドです。イイ歳したオッサンどもが幼い魔女たちの繰り出す魔法であっさりと仕留められるのはこう、背徳的なゾクゾク感がある。主人公以外の男キャラもストーリーを動かす役に立っているので、オッサン萌えの余地もアリです。

 あと戦記モノにしてはキャラが少ない方だけど、それでも体裁を整えるために十数人の名有り魔女が出てくるから最初は誰が誰だか見分けがつかないかもしれません。みんな揃いも揃って露出度の高い半裸キャラばかり(服や鎧を纏うと魔法の効果が薄れるため、極力肌を出すようにしているって設定)ですし、慣れないうちは「名前と容姿を一致させること」に苦労するはずだ。だいたい3巻くらいで慣れてくるので、それまでは髪の色で区別しましょう。アニメ化するとなったらキャラ数の多さがネックになりそうですね……それにストーリーも壮大だから1クールではとても収まりそうにない。もしやるとしたらかなり駆け足になりそうだ。うーん、そうなると無理にアニメ化しないでライトノベルだけでじっくりやっていった方がファンにとって喜ばしいのかもしれない。ただ、開始してすぐにコミカライズ企画を立ち上げたことも考えると、出版社はアニメ企画に持っていく気満々みたいである。なんにしろ当面は打ち切りの心配がないみたいだから安心して追える。5巻は今月発売予定です。「シリーズが長期化するとグダグダになりやすい」と囁かれている舞阪洸だが、今度こそ……と祈っています。


>>back