2010年7月分


・本
 『妖狐×僕SS(1〜2)』/藤原ここあ(スクウェアエニックス)
 『死神様に最期のお願いを(1)』/山口ミコト(スクウェアエニックス)
 『ゆうれいなんか見えない!』/むらさきゆきや(ソフトバンククリエイティブ)
 『今日もオカリナを吹く予定はない』/原田源五郎(小学館)
 『狩人は都を駆ける』/我孫子武丸(文藝春秋)
 『MOMENT』/本多孝好(集英社)


2010-07-28.

『ダンス インザ ヴァンパイアバンド』の6巻に登場したアンジーが性的魅力に溢れすぎて股ぐらをわななかせている焼津です、こんばんは。

 なんちゅうもんを出してくれたんや……なんちゅうもんを……これに比べるとミナ姫殿下はカスや、と言うほどではない(ミナはミナで好きだ)が、正直言ってミナの全裸よりもアンジーの褐色肌の方に興奮して股間が温血(ウォーム)してきました。アンジー目当てで7巻以降も読むことを決意。出番はちゃんとあるんだろうか……と、さっき検索してネタバレを喰らってしまったが、どうってことはないぜ。

アニメ「傷物語」制作決定(【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 傷のアニメ化は驚くに値しない既定事項ながら、途中に掲載されている刊行予定を見て目を疑った。正直、最初は釣りかと思った……まだ『猫物語(白)』も残っているというのに、12月から3ヶ月に1冊ペースで5作刊行とは。作者自身が「『化物語』は趣味で書いている」と語っているけど、こんなにも書くほど興が乗っているのか。筆が早い作家だということは重々知っていたが普通に魂消ました。どうせ版元の事情とか執筆の遅れとかで延期しまくるだろうことは簡単に予想できる(なにせ「そう言えば『猫物語(白)』は十月発売と謳ってますけど絶対無理」と著者メッセージに書くくらいですし)にせよ、これはいろいろと期待せずにはいられない。特に「なでこメドゥーサ」。つか「メドゥーサ」という表記だとどうしてもホセ・メンドーサを連想してしまいますな。

・葉村哲の新作『おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その1 ごく個人的な世界の終わり』(略称「一乃さん」)、ヒロインが少しガハラっぽ過ぎる気はしましたが面白かったです。

 異能はあるけどバトルはない、ゆるゆるスポイル青春コメディといったところ。普通の作家なら無理にでも「不良生徒がヒロインに絡んでくる→異能で一蹴」みたいなシーンを入れて見せ場をつくろうとするんだろうけれど、そういうことすらしない、正真正銘「宝の持ち腐れ」な日常を終始一貫してダラダラと綴っています。主人公の鈍感さが『IS(インフィニット・ストラトス)』並みで「病気なの?」とイライラするものの、素直に「好き」と言えなくてつい凶器を突きつけ「殺す」と脅してしまう一乃さんの純漆黒(ピュアブラック)な病み乙女っぷりに胸がズキュゥゥン。もう一人のヒロインが出てきて三角関係に陥ったりする展開は修羅場スキーの当方なら喜ぶべきシチュエーションなのでしょうが、本音を申せばただひたすら一乃さんとふたりきりでイチャイチャする様子を盗み見したかった。『放課後プレイ』みたいなノリで。そしてタイトルは『この狭い部室にふたりぼっち』にしてほしかったです。あるいは『いちのさん@がんばれない』。もしくは『振袖いちの』……それは単に一乃さんの振袖姿が見たいだけではなかろうか。

・拍手レス。

 Fate/Extraが予想以上に面白くてつらいです・・・赤セイバー可愛過ぎてなんかもう死ぬ、まさに駄犬。cv丹下で大好きだっ!って言われたら死ぬしかないよね、うん。赤セイバーの見た目が青い子と一緒なのも当然ながら理由があって納得の理由だったのが嬉しい誤算。キノコやればできるじゃん。戦闘システムはメモが必須の死にまくりゲーなのでその辺が辛い人は無理な気がします。
 セイバーさんは新コスチュームとか異種とかいろんなの出すぎ。TYPE-MOONはむしろ臓硯さんに妙齢のむちむちばでー(蟲蟲ばでー?)を与えて村正の小太郎と張り合わすべき。もちろん声は爺のまま。


2010-07-24.

『来世であいましょう(2)』の牧野キノがキュートすぎて雄叫びを上げそうだけどグッと堪えている焼津です、こんばんは。

 『来世であいましょう』は来世体――生まれ変わった後の姿――を、対象の人物が意識を失ったときだけ視ることのできる少女・かぴあをヒロインに据えたL&D(ラブ・アンド・デス)なリインカーネーション・コメディ。「好きだから死んで(はぁと)」というキャッチコピーが強烈で印象に残りました。今回はラブコメ色がだいぶ強くなってきたと申しますか、「現世のあなたには興味ないんでとっとと死んで生まれ変わってください」と言わんばかりだったかぴあの態度が徐々に変容してきて、前巻ほどの毒はなくなってきましたね。それでも「自分の事が嫌いなワタシを好きになる人をワタシは好きになれそうにないので…」と典型的なことをのたまう病みっ娘が新登場するなど、依然として状況は異常だ。「好きな異性のタイプ? 俺のことを好きにならない女かな……」と嘯く奴と似ているようで似ていない、自己嫌悪が反転して逆に自我が強固になっているタイプの子。強烈な自己嫌悪って要するに熱烈な自己愛の裏返しというかメビウスの環ですからな……自惚れていなければ嫌悪する自己を持たないし持てない。新キャラ、そしてキノたんの出番が増えたせいで相対的にかぴあの存在感が薄れてきていますけれど、三つ巴に移行してますます事態が混迷してきましたから次巻が楽しみで仕方ない。それにしてもジャン=クロード・ヴァン・ダムばりの跳躍を見せ付けるキノには濡れました。

『キッドナップ・ブルース』やっぱり発売延期(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 そんな予感はしてました。高畑京一郎ですし、まぁこれくらいなら想定内、発売中止にさえならなかったらいいので気長に待ちます。ちなみに、ISBNまで取得しておきながら出版されなかった本って結構あるんですよね。『マリオガン』の2巻(9784091870629)とかマンガ版『Dies irae』(9784847036507)とか『セッジムアの絞殺魔』(9784151782596)とか『素数の呼び声』(9784150309374)とか三雲岳斗の『真夏の国』(9784163251103)とか『或るろくでなしの死』(9784048739870)とか『64(ロクヨン)』(9784163253404)とか……まだまだ挙げられますよ! 「取得済だけど刊行するアテがない」、そんなISBNの数だけ涙がある。ちなみに『棺担ぎのクロ。』3巻(9784832277694)は諦めておりません。

ショーン・パトリック・フラナリー主演のアクション『デッド・インパクト 処刑捜査』が10月8日発売

 嗚呼、「期待して観たら負け」な空気がビンビン肌に伝わってくるぜ……明らかに『処刑人』のファンを釣ろうとしていやがる。監督のロバート・カーツマンは『フロム・ダスク・ティル・ドーン』のプロットをつくった人(脚本はタランティーノ執筆)で、本職は特殊メイクらしく、この作品でも「スペシャルメイクアップ」を手掛けている模様。監督作品としては『ウィッシュマスター』『ハゲタカゾンビ』などがある。で、この『デッド・インパクト』。あらすじ読むとそこそこ面白そうだが、少しでも期待を抱こうという気にはなれない。なぜなら、この監督には『GAME』という前科があるからです。『処刑人』ファンは様子見した方が賢明でしょう。以前にも『処刑人 アナザーバレット』などという非常に紛らわしいパチモンを出されたことがあるし、慎重にならざるをえない。つってもアナバレは日本側が勝手に付けたタイトルなんですが……というか、『デッド・インパクト 処刑捜査』の原題は単なる "Deadly Impact" であり、そもそも本家本元たる『処刑人』の原題は "The Boondock Saints" だから、「処刑」や「処刑人」という言葉で釣られる状況自体がおかしなものと言えます。

 しかし爆弾魔の呼び名が「ライオン」とは……衣笠“バクダンデライオン”彰梧を連想せずにはいられません。『こんな処刑人がいたら僕はもう…!』とか『暁の処刑−罪深きアナザーバレット−』とか、意外にありか?

暁WORKSの『るいは智を呼ぶ−フルボイスエディション−』、体験版を公開

 収録範囲は無印と一緒みたいですね。ただでさえ長かった体験版が智ちんボイス追加で更に長くなるのか……真面目に声聞いてやってたら冗談抜きで10時間超えるかもしれません。

清々しいまでに中二病な作品教えれ(デジタルニューススレッド)

 最近読んだライトノベルでは『踊る星降るレネシクル』がよい中二っぷりでした。主人公の流派は「腐海流」で師匠は「腐海の女王」、物語の舞台となるミカホシ学園では「個性がそのまま力として反映される」ランキング戦が行われており、空手家とひきこもりが戦うくらいのことはザラ。最終的には星霊を降ろしてスーパーサ○ヤ人ばりのバトルに突入してしまう。文章そのものは平易で読みやすいのに、出るキャラ出るキャラひたすら濃いうえ設定もゴチャゴチャしていて、非常にアクの強い仕上がりとなっています。また終始一貫してギャグとシリアスがまぜこぜにされており、緊迫した場面でシュールなギャグが飛び出すこともしばしば、たぶん合わない人には徹底して合わないでしょう。後半の展開が少し大雑把なあたりは気になったけれど、個人的には是非とも2巻を読んでみたくなる出来でございました。「感情が昂ぶると本心が顔に表示されてしまう」ヒロインが可愛い。そして彼女の舞い踊るあなれいにゃ音頭(♪あにゃあにゃあにゃにゃん あにゃあにゃにゃん)が癖になって仕方ない。

・拍手レス。

 ストパン2が終わったら、キャラデザ・総作画監督を倉嶋丈康で「明日の君と逢うために」をアニメ化すべき。
 それからディエスのアニメ化は……まあダンタリアンの出来次第ではないかと。

 そういえば明日君のプレーがまだ途中だった……あさひ先輩のルートはいまひとつ起伏がなくて眠気に襲われる。

 一迅社の魔法少女禁止法が、「え? これいいの? ていうかダメじゃね?」と言いたくなるくらいにウォッチメンだったのですが。粗筋はおろか、台詞回しまでロールシャッハとしか思えん。後書きで作者さんもぶっちゃけてるけど、本当にいいのかこれ。
 こちらはまだ読み中なので何ともコメントしがたい。ただ、仮面がない分だけシャハ子(便宜上の名称)の荒廃ぶりが本家よりダイレクトに伝わりやすいかも。反面、本家ほど萌えない。


2010-07-20.

・ほとんど一発ネタみたいなものだからシリーズ化したらグダグダになるのではないか、と危惧していた『ケモノガリ2』が思ったより面白くて僥倖な焼津です、こんばんは。

 いろいろとツッコミどころは多い(やりすぎて最早ギャグになっている部分もある)にせよ、B級アクションものとしては前作と同じかそれ以上に楽しくてワクワクさせてくれた。相変わらず主人公が無双しまくり、敵となる“娯楽提供者(エンターテイナー)”がほぼ瞬殺であまり強そうに見えず、戦闘シーンがどうにも緊迫感を欠いているのは難だけれど、かったるさを覚えさせることなく最後まで読ませてくれるページターナーな勢いの良さは大いに評価したいです。思ったよりも面白かった、という点ではマンガの新刊『浪漫三重奏』もそう。ついタイトルを『浪漫倶楽部』と取り違えそうになるが、中身はあらゆる意味で似ても似つかない。女子中学生トリオをメインに据えた連作形式のちょいエロコメディながら、実際のところ「エロ」というよりも「破廉恥」「お下劣」といった表現の方がしっくり来ます。作中に出てくるファンタジー小説のタイトルが「カウパーシ戦役」な時点でお察しください。とにかくむやみやたらにシモネタが多い。変態がシャウトしつつ股間を露出、みたいな場面が嫌になるくらい繰り返され、終いにはなんだか懐かしくなってしまう。このノリはそう……“コロコロコミック”とかでやってた低年齢層向けおげふぃんマンガのそれです。絵は今風で可愛らしいものの、ギャグのテンポは古臭くてノスタルジーすら誘う。飛び抜けて笑えるわけでもないし、もうちょっと変態色を抑えてもよかったのでは……と思うが、「暇潰しにちょうど良さそうな軽めのマンガが欲しいな」ってな感じで小指の先っぽ程度しか期待を抱かないで買った割に充分なリターンが得られて満足しております。個人的にはライバルキャラ(?)の桐塚ひかりが好きですが、毎度毎度あまなの浮かべるアルカイックなスマイルも気にところ。

なんとなく「さん」付けで呼びたくなるゲームキャラ(ゲーム板見るよ!)

 シュピーネさんは言わずもがな、『痕』の千鶴さんも「さん」付けじゃないと違和感を覚えます。もうとっくに年下だというのに……『ショコラ』の香奈子さんも「さん」付けの方がしっくり来る。あと日記を読み返すと自分の癖なのか、「声優」を「声優さん」と書いている箇所が意外に多い。なんとなく距離を置いてしまう意識の現れかしら。

アニメ化したら絶対売れるエロゲ、ギャルゲって何?(【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 『Dies irae』……は黒歴史化する光景しか目に浮かばないな。最低限のネタを消化するだけでも4クールは必要でしょうし、そもそも映像化すると正田節が薄くなってしまう。ニトロは言わずもがな。やはりケロQが『陰と影』(無期限開発停止中)をさっさと完成させてアニメ化まで漕ぎ着けるべき。

『ジゼル・アラン(1)』ってなんとなく森薫のマンガみたいな雰囲気だな、と思いながら読んだところ、実際にそんな感じで楽しめた。ただし20世紀初頭だから、ヴィクトリア朝の『エマ』よりは後みたいですね。話にしろキャラにしろ際立った特徴はないのだけれど、読んでいてジワジワと気持ち良くなっていく。名作になりそうな予感――まては抱かないものの、差し当たって2巻を期待したくなるくらいの出来ではありました。ジゼルさんがカッコ可愛い。

・拍手レス。

 BISHOPや黒虹のBGMはRPGの戦闘用といわれても違和感内がない
 「興奮を煽る」という意味では同一かもしれませんね。ダークさと切迫感を混ぜ合わせたようなイメージ。


2010-07-16.

・あまり話題にならないけど、エロゲーにおける陵辱シーンの曲は結構カッコイイと思う焼津です、こんばんは。

 印象に残っているのは何と言っても『瀬里奈』のアレ。まるで燃えゲーみたいなBGMというか、バトルシーンに流してもまったく違和感のない仕上がりでした。ちなみに『瀬里奈』のサントラのジャケットはなぜか『それでも町は廻っている』の石黒正数が手掛けています。陵辱シーンのBGMは、曲名から察するに「儀式」かな?

・本多孝好の『MOMENT』読了。

「でも、大丈夫です」
 美子ちゃんはそれを証明するようにもう一度大きく深呼吸して、僕ににっこりと笑ってみせた。気丈な子だと思う。まだ十四歳で、いつ止まるとも知れない心臓を抱えて、僕ならばこれほど明るい笑顔を作れはしないだろう。
「君はすごいな」と僕は思わず呟いた。「僕ならきっと耐えられない」
 ふっと、美子ちゃんの周りの空気が少しだけ温度を下げた気がした。美子ちゃんの口調と眼差しが表情を変えた。
「耐えられなくて、それで、どうするんです?」
 淡々とした口調だった。
「死ぬ?」
 淡々とした眼差しだった。
「そうだね」
 耐えられなくたって、逃げ場なんてどこにもないのだ。

 病院で掃除夫として働いている青年が、訳有って「死を目前にした人々」の願いを4つだけ叶える連作短編集。『WILL』という続編も出ている。作中では「必殺仕事人伝説」などと書かれていますが、主人公はあくまで普通の青年なので「憎いアンチキショウをさくっと暗殺してやって依頼人の未練を晴らす」みたいな思い切った行動には出ません。せいぜい、とある家庭の状況を報告したり、どこにいるか分からない人を見つけてきたり、といった探偵の真似事レベル。若干ギリギリな部分はあるにせよ、派手に触法するような行為は仕出かさず、ごく淡々と瀕死者たちの願いを叶えていきます。単なるありがちなヒューマンドラマなのか、と訊かれれば否定するものの、かと言ってミステリ要素やサスペンス要素がそれほどハッキリと混ぜ込まれているわけでもなく、雰囲気を伝えるのが少し難しい。あまり露骨に内面を覗かせる主人公じゃないのでややハードボイルドっぽい読み口がある反面、常に迷いや煩悶を抱きながら進んでいるような気配を匂わせるため、青春小説めいたムードも漂っている。

 本多孝好は割と寡作の小説家であり、既にデビューから10年以上が経つというのに、刊行した著書数は10冊にも満たない。3冊目の著書であるこの『MOMENT』が刊行された時点で、デビュー作の『MISSING』は文庫化されていました。本多より1年早く『池袋ウエストゲートパーク』を出した石田衣良が数えるのも億劫になるほど大量な本を上梓しているのとは対照的だ。雑誌デビューは本多の方が早かったくらいなんですけどね。同時期に人気を博したせいか本多と石田はちょくちょく比較されることがあります。「パッと見は爽やかだけど、ひと皮剥いてみると……」な作風は確かに、似てなくもない。ただ、文体から筋立てに至るまで一貫してカラリと乾いた空気を持ち込む石田に対して、本多はもっとこう、ジメジメと湿度の高い感じがする。石田がエアコンの吹き出す風とすれば、本多は動物の呼気。生々しい温かさと匂いがある。文章そのものは明瞭で曖昧なところがなく、サラリと滑らかで柔らかいくせして、中身の部分は湿っぽいのを通り越してちょっと陰湿ですらある。エグい――というのとは違うけれど、この「透明で温かい陰湿さ」は剥き出しの内臓みたいで馴染めない人には馴染めないだろうと思います。上に一節を引用した、心臓病を患う14歳の少女の願いを聞き届ける「WISH」も、読み終えて素直に「切ない」「泣いた」「感動した」と述べられる話ではなく、嫌悪感を催す人がいても不思議じゃありません。こちらのリンク先に「僕は何も考えずに小説を書き始めます」とある通り、本多孝好はプロットを組まず、なるべく自分のカラーを消して創作しようとする(だから寡作なのかもしれない)、言わば「流されるように書く」タイプの作家らしいのだけれど、芯のところでは決して流されようとしない強情さがあるような気がします。読者を突き放しはしない、状況に応じて姿勢も変える、でも頑として立ち位置を変えない。そういった頑なさと本質的な陰湿さを、爽やかささえ覚える心地良い筆致で隠蔽しているようなイメージです。良く言っても悪く言っても、とにかく「こだわり」の強い小説家。熱心なファンが付くのも頷けます。

 「死ぬ前に抱く、最後の願い」がテーマなので必然的に登場人物はどんどん退場していきますが、それで気が滅入るというわけではなくて、むしろリレーのバトンがうまく繋がれていくのを眺めている心境に陥ります。陰湿ではあるけれど、暗鬱ではない。「切ない」の一言で片付けられることを嫌ってあえて死生観から距離を置いたような、そんな作品群です。荒削りで尖っていて春樹臭が鼻を衝いた『ALONE TOGETHER』に比べると、こじんまりとしたまとまり方で物足りないが、とりあえず続編も読みたいという気持ちにはさせてくれました。好き、とは言いかねるが、個人的に印象だったのはやはり「WISH」。逆に表題作の「MOMENT」は今一歩でした。

・拍手レス。

 ジェイムス・P・ホーガンが死去されましたね。星を継ぐものは SFとしてもミステリーとしても楽しめる名作でした。
 知った作家の訃報を聞くのは、落ち込むより先に実感がなくて少しぼうっとしちゃいます。

 タイトルで気になるといえば、もとは他分野で使われてたんでしょうが、最近「○○○は××ない」という題のラノベが出すぎな気がします。まあ、好きなんですけどね。「はがない」。それはそうと、ハンニバルとスキピオが出ると聞いてしまったら、ローマ好きとしては手を出さざるを得ない…!
 タイトルを『ささみさんはがんばらない』ではなく『ささみさん@がんばらない』にした日日日のセンスは認める。


2010-07-13.

ROOTの『PARA-SOL』体験版をプレーしたところ、この主人公が学生服を着ているシーンで「なんというコスプレ感……!」と呻いてしまった焼津です、こんばんは。というか男キャラが軒並み老け気味じゃね? 『装甲悪鬼村正』で喩えると湊斗さんや獅子吼、雷蝶閣下が学生役をやるような違和感。エロゲーというよりAVみたいだ。学ランとかブレザーを着用したオッサンが無理のある口調で小芝居かますシーンほど哀愁を誘うものはない。

 で、『PARA-SOL』。発売がズルズルと延びていることで有名な練餡原画のエロゲーです。当初の予定では2009年に出るはずでしたが、つい最近になってようやく体験版が公開されたことからいろいろお察しください。とはいえ既にマスターアップ済ですからこれ以上の延期はありません。きっと。たぶん。まだ途中なので何とも言えませんが、体験版の感触はなかなか良さげ。時間を掛けただけあって細かいところまで凝っています。イベントCGも「そんなに使っていいの? 息切れしない?」と心配になるほどふんだんに投入されている。やたらと叫ぶセリフの多い乃愛が少し神経に障るけれど、ラブコメ描写自体は悪くない。「ある日突然同居することになった少年少女のドタバタ」というコードを忠実になぞりつつ、独自用語満載な中二ワールドをフルオープンさせ、特定の人間にとっては馨しい香気を充満させています。あんまり興味なかったけど、体験版のおかげでちょいと関心が湧いてきたかも。それにしてもこいつシュライバーを彷彿とさせて仕方ないな。

SF作家ジェイムズ・P・ホーガン 逝去

 ちょうど『プロテウス・オペレーション』の全1冊新装版が発売されたばかりだというのにこの訃報……『星を継ぐもの』はミステリ方面からの評判も高かったですね。どうぞ安らかに。

ニトロプラス、『装甲悪鬼村正』公式アンソロジー作品集『装甲悪鬼村正 邪念編』の特設サイトをオープン

 奈良原はあくまで「監修」、自身は参加せず。しかしなまにくATKが参加していますから、ほとんどFDに近い雰囲気になっておりますな。夏コミで先行販売した後、8月26日に一般販売する様子。価格は3990円(税込)。ギリギリ「軽い気持ちで買える」範囲だ。ちなみにアクチ搭載なので注意されたし。中尉と言えば香奈枝さんメインのエピソードもあるよ。

light、『Dies irae』の累計5万本突破感謝キャンペーン開催を決定

 「累計」というのは、07年版、クンフト、ファーブラ、アペンドの4本すべてを合わせて――ってことか? 重複して買ったファンも少なくなさそうだから正確な購入者数は不明だけど、「1万本売れたらヒット」なエロゲー界では結構な数字と言えます。つーか、あんな「怒りの日騒動」を経た後で累計とはいえ5万本も売り上げるとは大したものだ。驚異的ですらある。

 具体的なキャンペーン内容は「カップリング人気投票で1位を取ったルサルカとロートスのショートストーリー」をドラマCD化したものが特典として付くファーブラ(通常版)を9月30日に発売、とのこと。えっ、この期に及んでまだファンに貢がせる気なのかよ……と思ったら、ユーザー登録すればログインページでダウンロード配布してくれる模様。さすがにこれ以上Dies本体のディスクが増えるのは困る(当方は上記の4バージョンに粗品パージョンを加えた計5枚のディスクを所有しています。ショップ特典目当てに買い漁った人だともっとすごい、優に10枚は超えてるかも)ので助かった。

・我孫子武丸の『狩人は都を駆ける』読了。

 別段、動物は好きじゃない(むしろ苦手)なのに、友人が獣医のせいか動物絡みの依頼ばかりこなしている私立探偵を主人公に据えた連作短編集。主人公の名前は出てこず、一人称で「私」とのみ表記されています。実は本書、あとがきにもある通り『ディプロトドンティア・マクロプス』というかれこれ十年以上前に出た(原型となる中編は「学生時代に書いた」とのことだから、そちらで考えると二十数年前)作品の「前日譚」である。『ディプロトドンティア・マクロプス』はよくあるハードボイルド、と装っておいてラストでは……なトンデモ小説だったため、「えっ、あれの関連作かよ。読む気なくすなぁ……」と尻込みしてしまい、3年前のハードカバー版『狩人は都を駆ける』は購入を見送ってしまいました。先月文庫化されてお手頃価格になったことだし、そろそろ査収しても良い頃合だろう、と手に取ったわけであります。

 収録は表題作含む5編。表題作である「狩人は都を駆ける」が一番長くて120ページ以上ありますが、それ以外は4、50ページ程度の読みやすいサイズに収まっている。誘拐され、1000万の身代金を要求されているドーベルマンを救おうとする「狩人は都を駆ける」、連続ネコ惨殺事件の解決を依頼される「野良猫嫌い」、ドッグショーに参加するイヌの警護を務める「狙われたヴィスコンティ」、姿を消したネコと「三味線用のネコを狩り回る業者がいる」という都市伝説じみた噂の関連を探る「失踪」、主人公が夜中に黒猫を撥ねてしまったことから始まる「黒い毛皮の女」――といった具合で、見事に「犬と猫」で統一されています。「動物は苦手なのに動物絡みの依頼ばっかりで痛い目を見る」が一つのパターンになっている。米澤穂信の『犬はどこだ』が「イヌ探し専門の探偵なのに、なぜかイヌ絡みの依頼が来ない」という状況だったので、それの逆といったところでしょうか。最近文庫化された『サニーサイドエッグ』も「不本意なのにペット探偵をやるハメに」という話みたいですね。

 『ディプロトドンティア・マクロプス』からトンデモ要素を抜いただけの、比較的軽めなユーモア・ミステリかな、って印象を抱いて読み始めましたが、意外としっかりハードボイルドしていて驚きました。仕事が不足しがちでいつも暇を持て余している、傍から見て「パッとしない無能な探偵」である主人公がここぞという場面で痩せ我慢してみせてタフな根性を晒しやがります。ガチガチのハードボイルドを期待するとさすがに失望するやもしれませんが、「ヌルい話はちょっとな」と敬遠している方にもオススメして翻意を促したい仕上がりでした。ていうかむしろ、ユーモア・ミステリだと思って読み出した人の方が落胆しそうな気配。語り口は全編通して軽妙であるものの、後味の苦いエピソードが混じっており、予想よりもビターな味わいですね。特に「野良猫嫌い」(ひょっとしてタイトルはエド・マクベインの『警官嫌い』パロ?)はネタが「連続ネコ惨殺事件」ですから、どう転んでも明るい結末になりようがない。またちょくちょく保健所の存在にも触れているため、動物好きな人ほど読んでいて気の重くなる場面があるかも。苦い部分もひっくるめて楽しめる人向け、ってところだろうか。

 正直、『ディプロトドンティア・マクロプス』がヒドかったせいでまったく期待していなかったけど、予想を裏切って最後まで飽きさせずに饗応(もてな)してくれました。相変わらず文章がこなれていて目に心地良い。ダラダラ読んでいるだけでも不思議と寛げる。これならば是非とも続編を希望したいところ、友人の獣医・沢田がイイ味を出している。でも『ディプロトドンティア・マクロプス』みたいな話は勘弁な。

・拍手レス。

 「ドリフターズ」読んでると同作者の「以下略」のぼくのかんがえたつおいさーう゛ぁんとのネタを思い出さずにはいられない。オスマンさんが来たらやばいね!
 果たしてパワーバランスが取れるんだろうか……インフレしまくった挙句、終いには遠未来から銀河帝国の皇帝とかエネミー・オブ・テラとかがやってくるような展開になったら嫌すぎる。

 こうしてみると、ラノベのタイトルにヒロインの名前って結構ありますね。なぜだろう。『ドリフターズ』はハンニバルとスキピオの爺コンビの包囲殲滅戦をみたい。後、皇室だせるかな・・・
 無理矢理にでもヒロインの名前を覚えさせようとしているのかも。あるいはそれらしいタイトルを考えるのが面倒臭かったとか。ハンニバルとスキピオは現時点だと何だか漫才コンビみたいですね。あと皇室絡みのネタを使ったら連載が朝霧ってしまいそう。

 ドリフターズはいうなれば、二次創作界隈の地雷原である多作品多重クロスものと同じメンタリティですからねぇ。そりゃ堪らんわ。凡百の作家では到底扱いきれない題材だけど、ヒラコーならやってくれると期待。
 クロスオーバーは虎眼流の「流れ」みたく指捌きの精妙さが欠けるとあらぬ方に飛んでいきますからな。(あらぬ方に飛んでいった例)


2010-07-08.

・MF文庫Jは以前、タイトルにヒロインのフルネームを冠した作品をドドッと濫造した時期があった。どこの何を意識してそんな真似をしでかしたのか――想像することはやめに致しますが、果たしてそれらの作品は今どうなっているのだろう……? 気になって調べてみた焼津です、こんばんは。

 MF文庫Jの公式サイトにあるライブラリーを参考に、2002年7月から2010年8月刊行予定までを調査期間と定めた。あくまで対象は「メインタイトルにヒロインの正確なフルネームを含むもの」であり、たとえば『かぐや魔王式(まおしき)!』(ヒロインの名前が輝夜真央)や『魔法鍵師(ロックスミス)カルナの冒険』(ヒロインに名字があるのかどうかよくわからない)みたいなのは対象外とする。結果は以下の通り。

 1.『桜乃きらほの魔法医カルテ』/月見草平(2006年5月刊/既刊3冊)
 2.『丸鍋ねこ改造計画(仮)』/七位連一(2008年8月刊/既刊3冊)
 3.『天川天音の否定公式』/葉村哲(2009年7月刊/既刊4冊)
 4.『荒瀬はるか、容赦なし!』/熊谷雅人(2009年7月刊/既刊3冊)
 5.『鳳凰堂みりあは働かない!』/石川ユウヤ(2009年8月刊/既刊3冊)
 6.『三流木萌花は名担当!』/田口一(2009年9月刊/既刊3冊)
 7.『桜木メルトの恋禁術』/森田季節(2009年9月刊/既刊1冊)

 1の桜乃きらほシリーズはMF文庫J初のフルネームタイトル。ナンバリングせず、『桜乃きらほの○○』でタイトルを統一している。作者にとって2番目のシリーズですが、3冊目となる『桜乃きらほの夏色救急箱』を最後に続刊なし、打ち切りでしょうか? 月見草平の作品タイトルには毎回ヒロインの名前が付くものの、正確なフルネームが当てられたのは今んところ桜乃きらほだけですね。2の丸鍋ねこも作者にとっては2番目のシリーズでしたが、2009年1月の3巻を最後に音沙汰がなくなり、その後いつまで経っても続刊どころか新シリーズすら始まらないという状況に。作者は今年の夏コミで小説同人誌に参加する予定なので、完全に執筆から足を洗ったわけでもないみたいですが……どうなっているのやら。3あたりからようやく本格的にフルネームタイトルの乱打が始まります。こちらも同じく作者にとっては2番目のシリーズ。特に完結とは謳ってないが、今月新シリーズが始まるところを見ると打ち切り臭い。4もやっぱり作者にとって2番目のシリーズに当たる。公式は完結を謳ってないが、ぐぐって各所の感想を読んでみましたところ、どうも打ち切りエンドっぽい模様。5、もはや断らなくてもいい気がするけど、作者2番目のシリーズです。以降は「ニバシリ」と略します。例によって例の如く打ち切りな雰囲気。6もニバシリ……かと思いきや、これは3番目のシリーズでした。相変わらず公式は何も語らないが、8月に『この中に1人、妹がいる!』という新作が出ることを鑑みれば十中八九打ち切りに違いない。MFはそんなに「打ち切りで終了」を認めるのが嫌なのか? それはそれとして『妹がいる!』は面白そうなので買ってみます。7もニバシリではなくて3番目の……えーと、何て言えばいいんだろう。1冊しか出てないんでシリーズとは表現できないし。うーむ、困った。森田季節は3冊目まで漕ぎ着けたシリーズが一個もない、という不遇の作家ながら最近ハードカバーを出してもらったりしているので、案外期待されているのかもしれません。それはそれとして、メルトはやっぱり打ち切りかなぁ……。

 というわけで、計7作でした。もっと多いだろうと予想していたので意外。少なくとも10個はあるだろうと思ってました。ヒロインの名前が一部だけ混ざっているタイトルは結構見かけたけど、フルネームとなるとさすがに少ない。しかし、7作すべてが打ち切りっぽい感じで、7作中5作がほんの3ヶ月間に集中して始まっていることを考えると、いろいろ勘繰りたくなる。3〜6のシリーズの最新刊(たぶん、最終巻)が刊行された時期も2010年2月から4月にかけてとこれまた集中しており、一斉に店仕舞いした印象。MF文庫Jでヒロインの正確な名前を冠した本は、今年4月を最後に1冊も刊行されていないし刊行予定もない。フルタイの時代は終わりを告げたのだった。にしても、こうして眺めてみると、MFスレではネタ扱いされて弄られまくっている天川さんこと『天川天音の否定公式』はフルネームタイトルの中で一番長く続いたんだ……と分かって驚かされる。お前らはもっと天川さんの偉大さをリスペクトすべきです。

 ちなみに他レーベルの作品もザッとチェックしてみたが、2009年以降でヒロインのフルネームを冠した新作は、電撃だと『有川夕菜の抵抗値』(1冊完結)や『鷲見ヶ原うぐいすの論証』(1冊完結?)、『小春原日和の育成日記』(9月に2巻が刊行される予定)、『藍坂素敵な症候群』(既刊2冊、続刊?)、『死想図書館のリヴル・ブランシェ』(9月に2巻が刊行される予定)、ファンタジアだと『1×10 藤宮十貴子は懐かない』(8月に4巻が刊行される予定)と『夏海紗音と不思議な世界』(既刊2冊、続刊?)、スニーカーだと『東京皇帝☆北条恋歌』(8月に6巻が刊行される予定)、スーパーダッシュだと『神乃崎綾香の魔獣』(既刊2冊、続刊?)、GA文庫だと『オルキヌス 稲朽深弦の調停生活』(既刊4冊、続刊?)、『織田信奈の野望』(既刊3冊、続刊?)、『月見月理解の探偵殺人』(8月に3巻が刊行される予定)、ガガガだと『羽月莉音の帝国』(今月に3巻が刊行される予定)、一迅社文庫だと『白鷺このはにその気はない!』(先月出たばかり)、『宝城瑠璃華は止まらない!』(未刊、今月発売予定)、レーベル自体知らない人もいそうですけれど、スマッシュ文庫の『破小路ねるのと堕天列車事件』(先々月に刊行)なんかもあります。そういやファミ通文庫の耳刈ネルリ、フルネームかと思っていたら実はあだ名みたいなもので、本名はネルリ・ドゥベツォネガでした。

Navelの新作『俺たちに翼はない AfterStory』、マスターアップ

 マジかよ、本当に延期ナシかよジャクソン。すげぇじゃん。記念としてマスターアップボイスも公開されています。全6種類、右下の「NEXT」を押してすべて確認しましょう。しかしエロゲーなのに男の声ばっかりで祝っていいのか。去年もなんかそんなソフトあったよね。

・平野耕太の新刊『ドリフターズ(1)』を読んだら面白すぎて笑った。

 織田信長や那須与一、ジャンヌ・ダルクなど、あらゆる時代、あらゆる場所から掻き集められた歴史的な有名人物たちがエルフとかゴブリンのいる異世界で群雄割拠するヒラコー版ワールドヒーローズです。ワイルドバンチまで出てくる節操のなさです。もう好き放題やらかしまくってて超素敵。ケレン味溢れるセリフ回し、相変わらず黒ベタの目立つ画に嬉ションがエクスプロードしそうだ。こりゃ確実に「おれの考えた漂流物(ドリフ)」みたいなネタがファンの間で流行りまくるだろうな。中二魂を持ったボンクラにはたまらない設定ですよ、これ。当方は天叢雲剣を持った安徳天皇が「浪の下の都(ティル・フォ・スイン)」で無双すると予想してみます。そして更には黒王を超える最凶の廃棄物、「打ち切りの女神」こと川島芳子がドリフターズの前に立ちはだかる――!


2010-07-05.

・いまいちピンと来ないタイトルのせいで避けていたが、主人公の愛らしいルックスに負けて『妖狐×僕SS(いぬぼくシークレットサービス)』を今更ながら読んだ焼津です、こんばんは。

 なんだよこりゃあ。メチャクチャ当方好みの代物じゃないか……! 「黒髪パッツン色白ツリ目ちびっこで細いのにプニプニ黒タイツ着用」な凛々蝶(りりちよ、ちなみに一人称は「僕」)の放つ破壊的な魅力もさることながら、彼女の傍に侍って護衛と身の回りの世話をする双熾との甘々しい遣り取りが凄い。口から砂糖吐きそう。絵柄からして少女マンガっぽいノリかな、とは思ったけれど、ハッキリ言って普通の少女マンガよりも甘ったるいテイストでしたよ。もはや「ゲロ甘」と呼ぶより他にない。周りから舐められないようにと「無駄に虚勢をはって悪態をついてしまう」のが癖になっている凛々蝶はしかし自分のそんな悪癖を恥じており、常時絶妙なまでの「素直になれない」ムードを発散しています。「ふん」とか「はっ」とか言いながらも挨拶はちゃんと「おはようございます」ですからね。実に良いアマノジャッキーだ。心根が優しいせいで虚勢が虚勢になっていない不思議。むしろこの程度で「悪態」と称したら全国津々浦々のM男たちが激怒するでしょう。一方、SSの双熾は凛々蝶のためなら平気で命を投げ出しかねない忠臣っぷりを見せつけますが、執着の度合いがほとんどストーカー並みであり、イケメンじゃなければ即座に通報されているレベルです。まさに「※」の世界。そんなふたりが少しずつ距離を縮めながらイチャイチャしていく激甘濃厚展開は読んでいて健康に悪いと申しますか、あまりにも甘すぎて寿命が縮まりそうです。ペットボトル症候群ならぬ藤原ここあ症候群に罹患しそう。話も2巻でちょうどキリ良くまとまっていて、今月に3巻が出ると知らなければ「いい最終回だった……」と錯覚していたかもしれません。読むなら是非とも2冊まとめて読むがいい、とてもオススメです。

 しかし、2巻に出てくる蜻蛉(かげろう)はひどいキャラだったな……どれくらいひどいかと申せば『10歳の保健体育』の静姫に匹敵するひどさ。中華料理店のターンテーブルをぎゅんぎゅんしながら「このテーブル滑りがわるいな なかなかのS! と見せかけて 下克上されたいM! 良いだろう この私が一人で輪姦(まわ)して輪姦(まわ)して輪姦(まわ)しまくってやろう!!」とか、少年マンガ(全ルビだし、たぶん)にあるまじきテンションです。「帰りたいんだが」と呟く凛々蝶に底知れなく同調してしまう暑苦しさでした。

・ガンガンJOKERの作品といえば『死神様に最期のお願いを』も面白かった。

 死の目前に控えた主人公のもとに「死神」と名乗る少女が現れて……というふうに紹介文を書き出したら「うわ、あっりがちぃ」と辟易されて途中で読むのをやめられてしまいそう、ってか当方も最初はあらすじでスルーしていました。どうせお涙頂戴のかったるいヒューマン・ストーリーだろ、けっ、とヒネた態度で本書を平台に戻したものです。『死神くん』は好きだったけど『イキガミ』は途中で飽きてしまったし、近年流行りのいわゆる「感動ドラマ」路線はいささか食傷気味でした。しかしamazonでこの画像を見て俄然読みたくなった。家族惨殺の罪で死刑を言い渡された主人公に死神少女がこんなこと言うんですからね。「ああ、普通とは違うな」と感じたわけです。作者が新人なので画力は少々心許ないにせよ、事前に抱いていた「お涙頂戴のかったるいヒューマン・ストーリー」っつー予想をあっさりと裏切るサスペンスフル且つスピーディな展開で充分に魅了してくれる。まだ1巻目で話が始まったばかりだってのに、驚くほど中身が濃かった。いっそ詰め込みすぎなくらい……と言ったら悪く聞こえるかもだけど、「立ち上がりの遅い物語にはイライラする」という人にはうってつけでしょう。形はやや不恰好だけど餡子ギッチギチで火加減もグッドなホクホクのたい焼き――って印象。来月に発売する2巻も楽しみです。

 あと、ガンガンONLINEで公開されている読切版は本編とだいぶ違うノリなので、買おうかどうか迷っている人は参考になさらない方がよろしいかと。本編が「ジェットコースターサスペンス」であるのに対してこっちは「ハートフルデスストーリー」。かったるいとまでは言わないにしても、さして特徴のないヒューマン・ストーリーなので、本編を読んだ後に眺めれば「あーあー、こういうのだったわ、最初にイメージした内容」と頷くこと確実です。

・ライトノベルは『ゆうれいなんか見えない!』『今日もオカリナを吹く予定はない』を読み終えました。

 ゆうれい〜は今年の新人のデビュー作。幽霊や妖物を視ることができる体質のせいで周りから不気味がられて育った主人公は高校生になった現在、ただただ平穏に暮らしていくため「幽霊なんか見えない」と自分に言い聞かせ、「視て視ぬフリ」を貫いていた。が、特殊な目の持ち主である彼を妖どもは放っておいてくれない。入学式が行われる初日早々、幽霊に絡まられて困惑していたところを助けてくれたのは、なんと小学3年生の少女で……といった調子で展開する学園退魔ファンタジー。敵の妖怪は結構凶悪ですが死人が転がるほど殺伐ともしておらず、バトルもそこそこ程度で、どちらかと言えばラブコメの様相が濃い。ヒロインが小3というのがなんともあざといけれど、「 俺 は ! ロ リ コ ン だ ! 」と叫べる度胸のオーナーであれば楽しめること請け合いです。バトルもの、学園ものとして読むといまひとつながら、ヒロインの依(より)が可愛いのでロリコンライトノベルとしては悪くない。書置きの最後に「よりより」と残す件でズキュンと来た。「○○より」という差出人的な意味で書いたのだろうけど、これで彼女の愛称が「よりより」になることは確定したな……「夜々」の愛称が「よるよる」になるのと同じくらい確定的に明らか。主人公の性格にイライラする(周りの目を恐れて「幽霊なんか見えない」と意地を張ることで危機的な状況を招いているあたりが特に)ものの、よりよりの魅力でどうにかカバーされています。抱き枕カバーになるほどですから編集部の期待も相当なはずだ。「胸を顫はす幼女がゐれば其れで良い、總てが滿たされる」という方ならば諸々の難点には目を瞑れるでしょう。まさに「よりよりしか見えない!」と。2巻は来月発売予定でしたが、どうも延期したみたいで刊行未定の模様。まあ、GAではよくあることです。発売日ごろ本屋に行って「あれっ、ない? 他の新刊はあるのに……まさか売り切れ?」と戸惑ったり、ネット書店で「まとめて発送」と予約したら1冊だけ延期して涙目、なんてことは。

 今日も〜は去年の新人のデビュー作。シリーズ化し、既に完結編である3冊目が刊行されています。なんで今頃になって読み出したのかと申せば、積読を整理しているときに発掘して、「どんなもんかな」とパラパラした結果なんとなく最後まで読み通してしまったという。内容はオフビート系学園異能コメディ、とでも書こうか。人知れず人間の寿命を奪うクリーチャー「死角」と、「空気を読む」ことでそれを察知し、特定の条件(ヒロインの井波の場合だと「1.8リットルの飲料を摂取する」)を満たすことによりそれを視覚で捉えることができる「見る目がある人」との闘争を、時にまったりゆるゆると弛緩したムードで、時に緊迫感溢れる筆致で描く。全体的に理屈よりもセンス任せで綴っているような雰囲気の話でした。たとえば、主人公がムッツリスケベで体育の授業中に休んでいるフリをしながら女子のブルマを鑑賞する――というシーンから始まる割にその後はあんまりムッツリスケベっぽくないっつーか、だんだん普通にオープンなスケベになりつつある。設定上「主人公がムッツリスケベである」ことに意味があるわけではなく、掴みとして「主人公が『俺はムッツリスケベだ』とアピールすることによって生まれる諧謔」を表現したかったような、そんな感じが漂います。万事が万事、その調子。夕日に向かって土下座するとか、あちらこちらに何とも形容しにくいシュールさが散在している。同じガガガで言ったら『邪神大沼』に近いんですが、近いだけで、あれとはまたちょっと違うノリなんですよね。もっとこう、ユルい。爆笑狙いではなく半笑い狙い、みたいな。「なんだこれ」が褒め言葉と化すズレた世界。センス任せの割に突き抜ける要素がなく、煮え切らないオチのつけ方も相俟って、どことなく中途半端な印象が付きまとう。しかし、センス自体は好みなので、なんか読んでいて妙に心地良かったことは確かなんですよね……結局当初の目的だった積読整理を投げ出して読み耽っちゃったわけですし。ニュアンスのズレたボケというか、井波がオカリナ部の部員たちに付けるまったく由来がない無意味なあだ名(ex. 主人公→「エビマヨ」)の如き「整然たる奇行」を許容できる人なら楽しめる物件かもしれません。とりあえず2巻と3巻は注文しました。3冊で終了という点からして打ち切り臭いので、あまり期待せずに読もうかなと。ちなみに『邪神大沼』の川岸殴魚が手掛けたコラボ短編「エビマヨ君と井波さんの一升瓶実演販売!」もあり、これがキッカケでオカリナを発掘した際についつい気になって開いてみた……という経緯がなきにしもあらず。そしてオカリナの作者である原田源五郎は『夜が来るまで待って』のコラボ短編「黒スーツの秘密」を担当しています。くそ、これ読んだせいで夜待ての方も気になってきたじゃないか……また発掘しないと。(余談ながら、夜待ての作者による『邪神大沼』のコラボ短編「在りし日の露都」にて「第一回チキチキ新人作家アンソロバトル」という企画は一巡し終了。編集部主導ではなく作家たちが自主的に話し合って始めたっつー珍しい企画ですが、いずれ第2回があるかも。こちらのリンクには「第3回チキチキ新人作家アンソロバトル!?」とありますが、これは恐らく「第3回小学館ライトノベル大賞」出身の新人作家によるアンソロバトル、の意味かと存じます)

角川ラノベ、またも盗作発覚で発売中止&回収 作家は断筆を示唆

 またもヤフートップ。少女向けはあまり詳しくありませんが、今回は盗作した側もされた側も同一レーベルだった模様。編集部からのお詫びも掲載されています。来月に刊行する予定だった最終巻も刊行中止とのこと。今年は電撃イラスト大賞のトレース問題を皮切りにこうした盗作騒動がやたらと目につきますね。「俺は頭の中に10万3000冊の文芸書を記憶している!」みたいな盗作鑑定士がいないとどうにもならない状況になってきた気がします。疑惑が立っても検証するだけでひと苦労でしょう。

・拍手レス。

 ヤマモトヨーコの完結編が出るらしいですね。いつかは蓬莱学園の革命も・・・・
 富士見の遺産すべてに清算のときが訪れるまであと何マイル。

 7/30といえば、もっと姉しよの体験版の出来が思いのほか良い出来でびっくりしますよ。
 すめらぎ琥珀原画の姉モノですし、タイトルさえ見て見ぬフリをすれば意外と楽しめるかも。

 選挙間近で色々と報道が過熱している時期に『無駄ツモなき改革』読んでると、しみじみ「いいのかなぁ、これ」と思わずにいられない。政党変わっちゃったしさぁ。
 風化が激しいあたりは時事ネタの怖いところですねー。


2010-07-01.

・疲れていたせいか『姪少女』が『蛭少女』に見えた焼津です、こんばんは。

 ヒロインが吸血鬼というのはありふれているけど、正体が蛭ってのはなかなかないよな……足裏の吸盤で壁や天井を歩く徘徊者(ワンダー)なヒロイン像は意外とありかもしれない。血液の凝固作用を妨げる能力はなんとかすればバトルものに転用可能だろうか。陣地はもちろん野外でアンブッシュを得意とする。森ガールならぬ藪ガールとして次世代の萌えを担っていただきたい。

唐辺葉介の『暗い部屋』発売

 公式通販のほか、amazonでも取り扱いされています。公式通販は発送が早かったらしく、既に読み終えた人もいる模様。やっぱり文庫本1冊程度の分量みたいですので、唐辺ファン(および瀬戸なんとかさんファン)以外には薦めづらいけれど、「読み応えのある胸糞悪い物語」を求める方には一応推しておこう。早く届かないかな。

Navel、『俺たちに翼はない AfterStory』

 発売を30日後に控えてNavel恒例のロングカウントダウン開幕。ロングっぷりではゆずソフトに負けますけどね。あそこ60日前から始めるもんなぁ……ただ、ボイスとかミニドラマなしの単純なカウントダウンに限ればNavelも「231日前」という記録を保持している。しかも都合2度、合算して7ヶ月くらいの延期をかましたので、実際は400日以上も前にカウントスタートしていたことになる。嘘みたいな本当の話。そういった経緯から昨日公開された渡来明日香の回ではくどいほど「今回延期はナシ」と繰り返し強調しておりました。信じていいんだな、王雀孫よ……。

はむはむソフトの新作『フラグへし折り男』

 タイトルが秀逸。ファッション用語で言うところの「無造作な着こなし」に通じる感覚があります。フラグを「立てる」ことではなく「折る」ことで話を進めていくのかしら。某善悪相殺が頭の片隅をよぎりますが、さすがにセガールの如く背後から忍び寄ってコキャッと首へし折ってフラグを終了(ジョンリョ)することはないはず。せいぜいがとこ、弁当箱を投げ捨てるぐらいでしょう。詳細が来るのが楽しみだ。

『グリードパケット∞ 』ドラマCDのシナリオが竹井10日(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 これは予想外のキャスティング。グリパケの内容を簡単に説明しますと、「ケータイで魔法がダウンロードできるようになった近未来」が舞台で、「幻想」と呼ばれるクリーチャーをケータイ使いたちが狩りまくるド派手系アクションです。「幻想」を倒せば莫大な賞金が得られるけど、威力の高い魔法をダウンロードすると莫大な料金が掛かるため、ケータイ使いたちは結構カツカツで戦っている。こういうあらすじだけ説明すると「なぜ竹井10日がシナリオを?」な疑問が湧きますが、ヒロインのノキアは頭を叩くと性別が変わる(人格も変わる)特殊仕様であり、2巻では主人公ともども女装してお嬢様学校に潜入する展開もあったぐらいなので、なんとなく納得できないこともない。原作者が書いたオリジナルストーリーを竹井10日がボイスドラマに仕立てる、というやり方みたいだから、話そのものは暴走しないはず。けど竹井10日だもんな……『烈火の月』『その男、凶暴につき』に変わるぐらいのことは覚悟しないといけないかもしれません。って、並べてみて初めて気付いたが「月」と「つき」を掛けていたのか、あのタイトル……グリパケも「月」がキーポイントになってくる物語ですけれど、そのへんの詳しい経緯を理解するには前作『エアリセ』まで遡らないといけない模様。エアリセは1巻で投げてしまったが、もっぺんチャレンジしてみるかな。

コーラと相性が悪い料理って何?(A6ニュース)

 ラーメンは合わない。お茶を切らしているときに試しで飲んでみたら、「ウォォ〜アンマァ〜キャハァ! カハァ! ケハァ!」と往生しました。

・今月の購入予定。

(本)

 『獣の樹』/舞城王太郎(講談社)
 『境界線上のホライゾンV(中)』/川上稔(アスキー・メディアワークス)
 『アンチ・マジカル〜魔法少女禁止法〜』/伊藤イツキ(一迅社文庫)
 『ディーふらぐ!(3)』/春野友矢(メディアファクトリー)
 『ヴィーナスの命題』/真木武志(角川書店)
 『西巷説百物語』/京極夏彦(角川書店)
 『猫物語(黒)』/西尾維新(講談社)
 『悪の教典(上・下)』/貴志祐介(文藝春秋)

 『獣の樹』は講談社ノベルスから遠ざかっていた舞城王太郎が久々に放つ書下ろし長編。と言っても奈津川サーガではなくて獅見朋成雄モノです。成雄の秘密が明らかにされるそうですが、個人的に成雄はあまり興味がなかったり……それでも楽しみな一冊ではある。舞城は今月だと他に『NECK』という新刊を文庫で出す予定。来月には短編集も予定されている。また越前魔太郎(複数作家の合同ペンネーム)の冥王星Oシリーズでは9月に刊行する「真打ち」分を担当しているとのこと。舞城フィーバーですな。『境界線上のホライゾンV(中)』は言うまでもない、例の分厚いシリーズ。上巻はやや動きの少ない展開だったが、依然として濃密なネタの数々で楽しませてくれた。下巻は8月に来る……かと思いきや9月予定だとか。少しガッカリ。今月の電撃文庫は丸山英人の『隙間女(幅広)』にも注目しています。『アンチ・マジカル〜魔法少女禁止法〜』はエロゲーのシナリオライター・伊藤ヒロが別名義で手掛ける(サイトによって伊藤ヒロだったり伊藤イツキだったり、表記が一定してないけど)ライトノベル作品。名前でピンと来ない方には、『夢幻廻廊』や『R.U.R.U.R』の人――と書けば通じるだろうか。どちらも複数ライター制を採用していますので、厳密に言えば「伊藤ヒロのソフト」ではないんですが、何となく伝わるものはあるかと。『アンチ・マジカル』自体は『ウォッチメン』の設定で魔法少女モノをやるという変り種であり、主人公が気弱な女装少年というあたりに「ああ『夢幻廻廊』の人だな」と納得。イラストはなんと『百合星人ナオコさん』のkashmir。いろいろと想像がつかないが、とりあえずロールシャッハの役に当たる非合法魔法少女(20代中盤)に期待するとしよう。『ディーふらぐ!(3)』は何がどう面白いのか説明するのは難しいが、概ねキャラの魅力とテンポの良さと脱力感で楽しめるハイテンション学園コメディ。細かい設定とかは後回しでいいんだ、絵柄とノリに適合できるか、まずはそれがすべてです。合えば何度読み返しても飽きない。自分でもなんでこんなに気に入っているのかよく分からないが、実際に面白ければ理屈はどうだっていいや。

 『ヴィーナスの命題』はハードカバーで刊行されてから約10年、埋もれかけていた幻の一作が遂に文庫化致します。もともとは横溝正史賞の最終候補作だったかな。青春ミステリで、当方も読んだことないから詳しいことは知らないのですが、なんでも「あえて事件の真相を省略した」らしく、読者がキチンと推理しないと話が完結しない模様。待望していたから嬉しいことは嬉しいが、真木武志の新作はまだー? 『西巷説百物語』は京極の野郎、タイトルからして露骨に『南こうせつ百物語』を狙ってやがるな……! てな冗談はポイして、『巷説百物語』『続巷説百物語』『後巷説百物語』『前巷説百物語』と続いてきたシリーズの5冊目に当たります。『巷説百物語』から『後巷説百物語』までの3冊は作中の時系列を意図的に錯綜させているため、基本的にどこから読み出しても構わない形式となっている。なのでたぶん、既存の作品を読んでなくても大丈夫かな、と類推します。ちなみに巷説百物語シリーズは『嗤う伊右衛門』『覗き小平次』『数えずの井戸』といったスピンオフも出していますので、機会があれば併せてどうぞ。『猫物語(黒)』は本当に出るのかなー、例によって延期するんじゃないかなー、と怪しんでいる化物語シリーズの最新作。タイトルからして『猫物語(白)』みたいなのも出すつもりなのか? 羽川翼が中心になる話、ということ以外は詳細不明。あと、化物語シリーズは八九寺真宵をメインに据えた『傾物語』も予定されている。『悪の教典(上・下)』は遅筆で知られる貴志祐介の新刊。『悪の経典』という表記もどこかで見たが、たぶん「教典」の方が正解か? 内容に関してはまったく心配していない。『死が二人を結ぶまで』と『ダークゾーン』も早くまとまんないかな。『死が二人を結ぶまで』は連載終了から9年も経つのに未だに改稿が終わらないとか、何それ。全面改稿どころか「一から書き直す」状態で再出発したらしいけど、それにしたって9年は掛かりすぎじゃないか。連載終了後に放置される小説って、案外多かったりするのかなぁ。

(ゲーム)

 『俺たちに翼はない AfterStory』(Navel)

 『Steins;Gate』が延期したのでこれ一本。船長の残念さが至高の『信天翁航海録』(双子姉妹のエロさも無上)、キャッチコピーのせいでタイトルを『禁断のシンセミア』と間違えそうになる『黄昏のシンセミア』(田舎舞台の伝奇サスペンス、ちょい地味めなムードだが体験版は面白かった、タイトル画面のBGMもイイ)、「ヒロインがまんじゅうみたいで可愛い」と評判の『ゴスデリ』(ちなみに警察用語だと「まんじゅう」は「死体」を指す)も気になっているが、ここは様子見で。今月も買いたいDVDやBDがわんさとあるんですよねぇ。『処刑山 デッドスノウ』とか『アーマード 武装地帯』とか『喰霊 -零- Blu-ray BOX』とか。

・拍手レス。

 10歳の保健体育のあのお嬢様には、幼馴染スキーとして戦慄を覚えると同時に新境地を見ずにいられない。あと、色々と責任取れよ主人公、と言わざるを得ない。
 素敵な具合にブレーキが壊れていますよね、10保。

 『10歳の保健体育』読みました。ようやくの本領発揮で嬉しい限りです。やっぱり竹井主人公はこうじゃないと。
 なんだかびっくりするぐらい懐かしかったです。いろいろ配慮が必要なノベライズより好き勝手やれるオリジナルの方が活き活きしてますね。

 俺つば延期なしとか冗談だと思っていたら、カウントダウンボイスで渡来さんがマジらしいよと言ってました
 あそこは(というか王は)つくづく自虐ネタが好きですな。


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