2005年9月分


・本
 『屍姫(1)』/赤木義人(スクウェア・エニックス)
 『わたしたちの田村くん2』/竹宮ゆゆこ(メディアワークス)
 『灼眼のシャナ]』/高橋弥七郎(メディアワークス)
 『フロンティア(1〜3)』/石渡洋司(秋田書店)
 『青の炎』/貴志祐介(角川書店)
 『春期限定いちごタルト事件』/米澤穂信(東京創元社)
 『殺×愛0』/風見周(富士見書房)
 『楽園の眠り』/馳星周(徳間書店)

・ゲーム
 『つよきす』(きゃんでぃそふと)
 『らくえん』(TerraLunar)
 『よつのは』体験版(ハイクオソフト)


2005-09-29.

・ツンデレのツンは「冷たい一瞥」「蔑むような視線」「峻険の睨み」と、まず目に表れるべきものであるという持論を抱く焼津です、こんばんは。それらが軟化していく過程こそ美味しい。とはいえ『復讐〜凌辱の刃〜』のあれはやりすぎだと思いましたけど。言わば「キタ━━(゚∀゚)━━!!」ではなく「ちょwwwwwwwww」な急変化。

・川上稔の『終わりのクロニクル』、12月に刊行される7巻(通算14冊目)で完結とのこと。よもや今年中に完結するとは。開始から2年半で14冊、総頁数は恐らく6000ページを軽く超えます。改めて考えるに、狂ったようなペースです。何せ他の仕事もしてたんですし。

 終わクロが終了することでようやく“AHEAD”シリーズも2作目に移行していくわけですけれど、この調子でやっていて作者が保つんでしょうか……。

・馳星周の『楽園の眠り』読了。

 いつもの馳。と一言で終わる内容だけど、もう少し詳しく書けば『生誕祭』の路線かな。刑事が主人公なのに銃やマフィアといった要素は絡まず、あくまで「児童虐待」というテーマ一本に絞ったストーリーになってます。

 虐待がいけないと理解しつつも我が子・雄介を責めずにはいられない刑事。好きだった男に妊娠中の腹を蹴られて流産し、寄る辺を失った女子高生。刑事の息子が託児所から脱走して女子高生に拾われ、名前を知らない彼女によって「紫音」と新しく名付けられるところから物語は動き出す。醜聞を恐れ警察に通報せず自分の力だけで息子を取り戻そうとする刑事と、「虐待なんかする親には返せない」と愛着を抱いて連れ回す少女の追いつ追われつなチェイシングで読んでる間は飽きさせません。他の作品に比べて汗の滲む緊迫感や研ぎ澄まされた雰囲気は薄く、過激な展開を期待すれば肩透かし。しかし、馳の文体なら多少おとなしめでも引き込まれることは確か。安易に人間を信用せず、分かりやすい救いも与えない姿勢がサスペンスを生んでいます。

 最後に絶望を用意するのは簡単ですけれど、絶望の一歩手前で踏み止まってその淵を覗かせるやり方はバランス感覚を要求される。当たり前のように難しい。努力の痕跡は散見されるものの、ラスト50ページはちょっとなぁ、と思わないでもありません。惜しい。「虐待の連鎖」っていうありふれたフレームを壊せそうで壊せなかった。もうちょっとでマンネリから脱却できそうな手応えもあったのに……いえ、「いつもの馳」が好きな当方としてはそんなに不満でもないんですが。マンネリ云々と言いながらも馳小説はしっかり全部読んでますし。なんだかんだで新刊は毎回楽しみにしてます。


2005-09-27.

『あやかしびと』あたりが影響しているのか、最近無性に菊地秀行の小説を読み耽りたくなっている焼津です、こんばんは。菊地作品って今まで2、3冊しか読んでなかったり。差し当たって『魔人学園』『魔闘学園』、それに『凍らせ屋』を買ってきたのでこのへんから目を通してみます。

 『あやかしびと』で思い出しましたけど、例のお返しCDは今年中に間に合うんでしょうか……。

・風見周の『殺×愛0』読了。

 「修羅場」と同じくらい「殺し愛」という単語が好きな当方には避けがたいタイトル。11月に1巻が出るってことだし、頃合かと思って読んでみました。ちなみに前シリーズ(ラッシュ・くらっしゅ・トレスパス!)はインパクトこそ弱かったものの、勢いのある内容と語り口の良さで楽しめた記憶があり。スチームパンクな吸血鬼という設定にも少しばかりツボを突かれた。

 さてタイトルの読み方が「きるらぶ」と、微妙に『キル・ビル』を意識している気配がないでもない本作、まさしく「殺し愛」が眼目となっています。むしろ殺し愛というシチュエーションありきで諸設定が組まれている。突如時空の裂け目からやってくる化け物、通称「天使」が建造物を破壊したり人々を殺戮したりしてその一部をどっかに持っていく回収行為を繰り返し、徐々に滅びつつある世界。天使災害と言えば『あなたの人生の物語』所収「地獄は神の不在なり」を思い出しますが、なにぶん日本が舞台なのでキリスト教的要素はガジェットの範囲に留まります。「神の計画(アポカリプス)」とか「αとΩ」とか、いかにもな雰囲気の用語が多々出てくるけれど、そういった設定に対する愛着が感じられる書きぶりではなく、あくまで狙ったシチュエーションを構築するための材料というか方便にしているニュアンスがぷんぷんと。

 要するにこれ、新伝綺とかセカイ系SFとかじゃなくて単に設定とシチュが異常なだけのラブコメなんですよ。ファウストなんかに通底する悪趣味なところもあるにせよ、表面上は妙にヒネた主人公と間違った方向に一生懸命なヒロインたちが織り成すドタバタと微笑ましい青春ストーリー。ギャグやアクションといった通常目立ちやすい箇所に関してはそんなに力が入ってなくて、代わりに滑らかな一人称文体と明快なコンセプトで巧く読ませている。読む人によって好き嫌いの差は出るにしても、アクを覚えさせる自己主張の強さはない。尖った話が好きな人より尖ってない話が好きな人の方がハマりやすい予感がします。エンジンが掛かってくるまでしばらく要しましたけど、最後まで読んだら「是非続きも買おう」って気分になりました。ピンポイントで攻められた感じだ。

 「殺し愛」の単語に心惹かれる同志にはさりげなく推薦したい異常ラブコメ。最初は主人公のスカした口調が鼻に付くかもしれませんが、とりあえずラストは必見ですよ。


2005-09-25.

『美少女妖怪調伏伝 ぬばたま』のデモムービーを見ていたら画面のめまぐるしい動きにちょっと酔いそうになった焼津です、こんばんは。それにしてもやたら耳に残る主題歌ですね、これ……一度しか視聴していないのに未だ脳裡でリフレイン中。

『琥珀の心臓』買うついでにスーパーダッシュのコーナーを覗いたところ、受賞作の表紙がどれも当方好みでした。前嶋重機、西E田、植田亮。割と豪華な面子。3冊すべて衝動買いしたくなったものの自重し、大賞受賞作の2冊だけに絞って購入。SDの新人賞、まだ第4回と歴史は浅いですが、ちゃんとアタリが出るので個人的には好印象を抱いています。

『よつのは』体験版をプレー。

 ののたんが可愛らしすぎる問題について。前情報から「関西弁キャラかよ」と甘く見ていたところ、回想シーンではんなりと出てくるやディープインパクトを刻み込んでいきました。おっとりとした関西弁&面倒見のいいしっかり屋さん&ちっこい幼馴染み。特定方向で最高のスペックを誇っています。この子はピンでもやっていけるでしょう。キャラ紹介の一番上に来るということは事実上のメインヒロインと見ていいんかな。

 そして衣織は主人公よりも年上であるため姉キャラとしての性格を持ちながら、内面の幼さゆえ年下であるにも関わらず主人公を「お兄ちゃん」と呼ぶ妹キャラ的なメンタリティまで有している。ということがゲーム中で説明されていなかったので混乱を来たしてしまった。甘え癖がある一方でお姉ちゃんぶりたくもある相克。ぶっちゃけ訳がわかりません。「姉であり妹である」というのは兄弟の真ん中に位置していればありうるわけで別に珍しくともなんともないけれど、同一の対象に向けて「姉」と「妹」の属性を並立させるなんて無茶しすぎ。普通にやれば失敗間違いなしでしょう。けれど、あるいは「年上の妹」という新境地を開拓してくれるのではなかろうか。当方のフロンティア精神が疼いてなりません。

 3年の空白を挟んで現在と過去を行き来する形式がなんとなく不安を誘いますが、地の文を排して会話だけでストーリーを成立させているためテンポは悪くないし、キャラの魅力も立っているしで、このまま絵買いしてしまってもそこそこ元が取れそうな気はします。若干引っ掛かったのはレスポンスの悪さ。一度クリックするかボイスを再生し切ってからでないとメッセージを送れないので、セリフを飛ばしたいときはカチカチとクリック数が増えてしまい面倒臭い。それが祟ってどうにものろくさした印象を受ける。あと、心情描写がないせいで主人公に感情移入しにくい点もあり。

 とはいえ予想していたよりも面白そうなので、11月の状況次第ではダイビングしてみてもいいかもしんなァい。

・不定期拍手レスー。

 いあいあ、いあいあ
 和気いあいあ。

 ヌッコロとヤルゾーとかくだらぬネタしか浮かばぬこちらに比べてこのサイトのSSのなんと面白きことかー
 お褒めあずかり恐縮ですが、ネタのくだらなさなら負ける気はしませんよ!(妙な対抗心)


2005-09-23.

・連休前より灰色な。こんばんは、休みが続くとなると却って気力が湧かずにごろごろする性癖のある焼津です。暇なときは思考や行動が自動でループする機能を備えておりますゆえ、キング・クリムゾンを喰らったかのごとく時間を浪費することができます。要するに余裕ができると優柔不断になる性格。通販サイトを利用するだけで3時間潰れたりします。

『群青の空を越えて』、体験版修正ファイルを公開

 やっとまともに動きました。これでひと安心です。とはいえ、今更月末の予定を変えるのは面倒。発売後の評判をまったりと様子見させてもらいましょう。当方には実際の積ゲーリストとは別に「やりたくなったら買う」、言わば架空の積ゲーリストがありますから、たぶんそっちに加わると思います。例えば今年出たソフトでは『天使ノ二挺拳銃』『処女はお姉さまに恋してる』『秋色恋華』『少女魔法学』『さくらむすび』あたりが架空積ゲーとなっている状況。

『蠅声の王』のLost Script、OHP公開

■guest designer■ 虚淵玄(nitro+)

 虚 さ ん あ ん た こ ん な と こ ろ で 何 や っ て ん の 。

 それはともかく、ゲームブックを本当のゲームでやるという、なんだか面倒臭そうな仕様になっています。指挟み、栞、付箋といった伝統の技は単なるセーブ&ロードで賄えるでしょうけれど、何を狙ってそんなシステム搭載するのだろう。ともあれお気にのライター(大槻涼樹)がシナリオ書いてるんでなんだかんだ言っても最終的には突っ込んでしまいそうですが。

・米澤穂信の『春期限定いちごタルト事件』読了。

 小市民シリーズ第1弾。連作形式の青春ミステリです。タイトルといいシリーズ名といい250ページ程度の厚さといい、「大きくて物々しいほど良い」と大鑑巨砲主義に偏りがちな当方の、読み出す前における第一印象からすれば、あまりパッとしない一冊でした。過去に出た3冊(『氷菓』『愚者のエンドロール』『さよなら妖精』)の実績があるからこそ買ったようなもので、もしこれが初手だったらまず回避という選択を取っていたことは間違いない。そして今は、「そうならなかったこと」に感謝したい気持ちでいっぱいなのです、はい。

 名探偵ぶって勿体つけて推理を開陳することが大好きという悪癖を封印し、でしゃばりな性格を矯正して立派な「小市民」となることを心がけている少年。彼は、小佐内というやはり小市民を目指す同志を得て日々をゆったりと地道にささやかに何事もなかれと祈りながら過ごしていた。けれど、決意の固さを試すように日常のあちこちで「解いてくれ」と言わんばかりの謎が発生する。目を逸らしたいのに逸らせない。チャックしたはずの唇が開いてしまう。誰よりも早く真相を見抜く名探偵なんて、現実じゃ居ても鬱陶しいだけで歓迎されるわけがないって分かっているのに……。

 主人公が名探偵たることに内省的なミステリというのはここ最近結構増えてきていますが、標榜する先にあるものが「普通の少年」でも「平凡な高校生」でもなく「小市民」という妙にせせこましい理想になっているあたり、素晴らしい脱力具合です。ちっちゃくて小学生と間違われることさえあるパートナー小佐内さんと「一緒に小市民になろう!」って努力する様は微笑ましくも涙ぐましい。目立たず、かといって怠惰にもならず、あくまで慎ましい少年少女になろうとしているからこそ、このふたりには好感が持てる。過去に自らの推理力で要らんことやったせいで後悔して「探偵ごっこなんかやらねーよ、夏」と事件への徴兵拒否をかます少年は大抵無駄にアンニュイな空気を発していて世話焼きの幼馴染みを邪険に扱ったりするのが通例になっていますけど、そういうところがない分だけ安心してほのぼのと読めます。読み心地としてはライトノベルよりもマンガの感覚に近いですね。それも、軽快な少女マンガ。主人公と小佐内さんの、恋愛には程遠い淡白な互恵関係がほんのりと温かくて寛げます。ラブコメとは違う「仲の良さ」が浪漫回路を刺激してやまない。

 「日常の謎」的な部分はこれまでの作品より若干スマートになっていますが、さすがに謎解き要素だけを見るとなれば辛いかな……。作者特有の、淡々と抑制の利いた筆致でありながら作中人物たちの切実な気持ちがいささか大仰なくらい伝わってくる部分は健在です。根性でも気合でもない、理性の底に根付いたひたむきな想い。熱血ばかりがエモーションではありません。声を荒くするのではなく、研ぎ澄ませることで真っ直ぐな軌道を描く言葉もあろうかと。

 語り口の良さと微笑ましいズレ具合が相乗して全体的に楽しい雰囲気が形成された粒選りのライトミステリ。大して期待していなかったのにツボにハマってしまいました。是非とも小市民シリーズの続編を求めたい。


2005-09-21.

・分厚い本を眺めているとなんであんなに心が安らぐのだろう。本棚の『ダーク』『ダーク・ムーン』に熱い視線を注ぐ焼津です、こんばんは。ダーク繋がりなのは特に意味がなく。それにしてもこの2冊、装丁がステキだなぁ。

奨励賞:「このミステリーがすごい!」に13歳水田さん「Mystery Laboratory」経由)

 応募時12歳……遂に低年齢デビューもここまで来ましたか。ネットのせいかどうか知りませんがここ数年は小中学生でも「作文」とは言い切れないテキストを書く人もいるのでひと口にどうだとも騒げません。とはいっても期待できるかと聞かれたら正直、うーん。時間があったらチェックしてみようかな。

『ロケットの夏』、発売日が迫る……のはいいんですけど、送料をケチるため『刃鳴散らす』の発売に合わせて同時発送してもらう手続きをしたから、どうあがいても来週になるまでプレーはできません。ちょこちょこと『らくえん』『つよきす』『最果てのイマ』を再プレーして無聊を慰めていますが、まだ間もあるしもう一本くらい崩してみようかなと検討中。候補はいろいろありますし。

 いや……現実から目を背けていますけど、本当のところ新作なんぞ一本も買わなくたって充分に暇を潰せるだけの積エロゲーが押入あたりに堆積して山を成しているんですよね……中にはほとんど化石になっているものでさえ。前世紀に発売したソフトを新品未開封で持っている事実はなかなか直視しがたい。あれらはXPでもちゃんと動くんだろうか。

・貴志祐介の『青の炎』読了。

 よく考えたら貴志作品でこれだけまだ読んでなかった。というわけで割と軽い気持ちで着手した次第。著者にとって5冊目の本であり、初のホラー要素がない作品です。そういや映画化もしたっけ、と帯を見て思い出したり。

 高校生が完全犯罪を実行しようとするクライム・ノベルですが、文法的には解説で触れられている通り倒叙形式のミステリになっています。倒叙ミステリは物語のスタイルとして見るとすごくシンプルで、構成の点で言えば何も難しくありません。「犯人(主人公)が犯罪計画を練る→犯罪を実行する→いろいろあってオチがつく」、あくまでこのパターン一種。短編なら実行後に捜査が始まってしばらくすると計画の粗が判明し、主人公がお縄につく。長編だと尺を引き伸ばすために主人公が更なる罪を重ねたり証拠を際どく隠滅しようとしたり捜査を撹乱するために陽動を起こしたりと余計な真似をして泥沼化するのがお約束。本格ミステリは様式美の世界と言われていますけど、倒叙ミステリは機能美の世界です。主人公が犯罪に至るまでの心理描写、警察に捕まるのかどうかといったサスペンス、オチ=主人公が打ったヘマを強調するラスト、この三点を満たすため極端にシステマティックで簡明な構造を当たり前としている。犯人が感知しない別の謎とかを混ぜてしまったりすると、それは「倒叙の要素を含んだ本格ないしサスペンス」であって、その逆にはならない。ミステリの余剰を切り詰めていった結果として行き着くのが倒叙という形式なんです。

 そういうシンプルな形式である分、倒叙で一冊を持たせようという試みは実に冒険。本格なら中核を成す謎で興味を惹くこともできますが倒叙ではそうも行きません。必然として途中でだれそうになるのは避けられから、筆力のない作家がやるのはまず無謀ってものです。貴志祐介は寡作である代わりに筆力は充分以上持っているので、そのハードルは一応越えています。主人公を頭のいい少年に設定し、机上の空論に過ぎなかった犯罪計画を徐々に現実の案として固めていく流れにはぞくぞくとさせられる。リスクを回避したくて綿密に企てた計画が綿密にしすぎたせいで愛着みたいなものを抱いてしまい逆に「拘泥」というリスクを生み出していく過程は、暇潰しのためにやり出した結果ハマってしまったゲームを「ここまでプレーしたんだから途中でやめるのはもったいない」と最後まで続けてしまって必要以上に時間を使ってしまうダメ根性のよう。よくできた倒叙ミステリとは心理的な自縄自縛に囚われる姿を描くものなのかもしれません。貴志の紡ぐ描写はほとんどフェチの領域に達している。

 で、やっぱり倒叙で眼目となるのは手を染めて以降の展開。ここはミステリ的な興味というよりも単純に物語としての興味が勝ちます。理屈で割り切れぬ後悔や焦燥に悩まされ、壊れていくでもなく欠けていくでもなく、ただ自分自身の奥にある炎でゆっくりと心が焼け焦げる。いちいち道徳論を展開することはありませんが、道徳以前の問題で蝕まれていく心理描写は圧巻。苦しまないために考えたことのせいで一層苦しいんでいく皮肉が恐ろしい。考えなしではいられない主人公だからこそ、考え得ることにおいてどこまでも苦しまなくてはならないのである。倒叙ミステリという根本的な枠組みを無視してでさえ、この作品は青春小説の白眉だと言い切れます。力いっぱいダークサイドに落ちてるし、恋愛描写もちょっとロマンスが足らないと思わなくもないんですが……下手に逃げを打たず、「青春」の二文字が支配する環境に立ち向かう姿勢は哀切を極めております。

 インパクトの面ではいささか弱い作品かもしれない。あくまで倒叙にこだわり、青春小説としても描き切った以上、綺麗にまとまるより他に選択肢がなかったという印象。それでも、貴志祐介の作品としては一、二を争うほど好きになりました。ノスタルジック「ではない」青春ミステリ。倒叙モノはなんだかんだ言ってもジャンル上はサブストリームなので侮っていたところもありましたけど、筆力で見事にカバーされていて満足。にしても「うぐぅ」とは。読んでて違う意味で懐かしくなってしまった。


2005-09-19.

・『ユメミルクスリ』は田中ロミオがシナリオではなく「企画・原案」とのことなので注目度減少中。原画が灰村キヨタカなのでチェックは外しませんが。代わりに気になってきたのが『蠅声(さばえ)の王』。新ブランドのデビュー作で、シナリオライターは大槻涼樹。アボガドパワーズがああなってしまったこともあるし、消息がどうなったのか案じていただけに嬉しい。P天の連載「北の国から」が倉田英之のコラムと並んで好きだった焼津です、こんばんは。

・ふらりと電車に乗って隣町の古本屋へ赴き、三省堂のディー判事シリーズ4冊を衝動買い。何度か聞き及んだことはありますが、実物を見るのは初めてでした。そこそこ美品だしプレミアでも付いているかと思いきや100円を切る叩き売り。さすが新刊メインとおぼしき店、古い本の扱いが雑だ。ついでに前々から探していた高野史緒の『架空の王国』も発見したので併せて購入せり。収穫自体は嬉しかったけれど何分ハードカバーが5冊、他にも買うものがあったせいで帰りは少し辛くなりました。たとえ安くても四六版は重くて嵩むのが難。

・石渡洋司の『フロンティア(1〜3)』読了。

 普段雑誌には興味を持ってないんですが、『シグルイ』への熱中が昂じて「チャンピオンRED」そのものへの関心が高まり、既刊コミックスをちょこちょことチェックし始めたところです。『シグルイ』なんていう特濃マンガを載せている雑誌ゆえに、なかなか特異な存在感に溢れたコミックが多いですね。表紙でパンモロ主体の単なる萌えアクションマンガという印象を受けた『桃魂ユーマ』も、実際読み出してみると板垣組の名に恥じぬ独走モードで大暴れしていましたし。さすがチャンピオン、漫画界におけるカオスの花園。

 で、この『フロンティア』。やけに見覚えのある絵柄だと思ったら、「少年チャンピオン」に短期連載された『刀真』と同じであることに気づきました。あの作者だったのか。内容は、日本に15年も潜伏していた「北」の工作員が祖国に背いた逃亡者の無力化──つまり同胞殺しの命令を下され、謎の格闘技「黒の技法(ブラック・アーツ)」を駆使して任務を遂行せんとする、といったもの。国際謀略を背景としたアクションであり、振動によって衝撃を浸透させ「肉を斬らずに骨を斬る」、徹しとか熊手打ちを一層派手にした技で血みどろのバトルを繰り広げます。別段凝ったストーリーでもないし設定もありがちですけど、泥臭くて力強い描写、静かに熱くブッ飛んでいるセリフ回しが心地いい。

「私にも若いころというのがあってね…………」

「そのころ… よく思った…」

「一度… 戦車(アレ)と… 戦(や)ってみたかった」

 四十男が真顔で何を言い出すんだろう。あまりにも意表を衝くセリフだったからページをめくる手が止まってしまいました。トンデモB級アクションとしては実に心憎い。全3巻と割合短くまとまっているが、ひたすらインパクトの炸裂する展開が目白押しだったので不満は感じなかった次第。掘り出し物でした。

 あと、『フロンティア』のFlashなんてのもありますので雰囲気を掴みたい人は是非ご参照を。


2005-09-17.

Littlewitchで新作の番外編を配布している模様。「津名川さん家のクリスマス」みたいなものでしょうか。そういえば『Quartett!』関連で何か番外編は出ないかなぁ、と心待ちにしておりましたけど、結局出なかったっけ。少し目が遠くなる焼津です、こんばんは。

・今月と来月で合わせて10人くらいの新人ライトノベル作家がデビューするみたいです。ファンタジアで3人、スーパーダッシュで3人、MFで3人、電撃で2人。新人スキーを自称する当方ですが、ここのところずっと積読が増えるばかりなので全員をチェックしている暇がない……と言いますか、もう今年どれだけ新人が出たかも把握しておりません。別段今年に始まったことではないにせよ、ライトノベル界の人材投入スピードは加速する一方ですね。

 それでも、去年の時点では推しかねていた田代裕彦や有川浩、鎌池和馬、片山憲太郎などといった面子がしっかり成長してきていることを考えると、やっぱり新人はなるべくチェックしたいという思う次第。せめて気になる作品だけでも読んでみるとします。差し当たっては『琥珀の心臓』とか。いえ、イラストが唯々月たすくだからではなく。決して絵買いではなく。重要なファクターであることは確かですが。

『らくえん』、暫定クリア。

 ダメ人間賛歌ばんざーい。

 まだ「ぼくのたいせつなもの」が残ってますが、来週のプレミアボックスにフルボイスverが入っていますので、そっちをやるまでは棚上げ。とりあえずやり終わったということにします。

 なんと言いますか詰まるところ、地味〜なソフトですね、これ。あんまりどころか全然と言っていいくらいキャッチャーな要素がない。「性格の違う双子妹」とか「大阪(あずまんが)系のんびり巨乳」とかキャラは結構あざとい設定をしていても舞台がなにぶんエロゲー制作会社であり、エロスや下ネタ方面はかなりぶっちゃけてるんで、ひたすら「萌え」のベクトルが掻き消されていきます。生々しいってほど生々しくはないにしても、夢・浪漫に類するものは一刀のもとにバッサリ切り捨てられています。ロケットは夢や浪漫を噴出して飛ぶものではありません。当然エロゲーも友情とか努力なんかで勝利を掴めるジャンルではなく、そのへんの姿勢はきっちりシビア。

 栄光なき道程はアンチプロジェクトXの趣があり、開き直り、破れかぶれ、ヤケクソといった次元を通り過ぎてあくまで冷静に前向きに「どうにもならない」企画を推進させていくノリはもうカッコいいと述べるより他ない。日本橋ヨヲコのマンガに溢れる青臭くて泥臭い情熱にも引けを取らぬクライマックスが待ち受けている可憐ルート、痺れました。「キャラが立っている」ということが、こんなに地味な作品においても強力な武器になりうるのだと実感。いさましいチビの雄々しさに惚れ惚れとするのは自然な経緯でしょう。

 やっぱり、各ルートで起こるイベントは違っていても、ほとんどのストーリーが一緒というのは幅の広がりを感じないし、残念ではあります。状況を鑑みるとそう大きな変化も付けられないってのも分かりますけど。その代わり、キャラ間の遣り取りは凄く活き活きしている。ムーナス社内での止め処なくだらしない会話は自然に面白い。普段健気な妹をやってる杏が主人公が外泊した途端に噴火口開放、嫉妬心マグマだだ漏れの鬼妹と化すなど、ドタバタラブコメの勘所を押さえた日常シーンも最高です。「朝帰りは許さないって言ったよね? マジ言ったよね?」と押し殺した声で確認してくるキレ目姿にときめく胸は果たして恋か心不全か。杏・杏・杏、とっても大好きだけど一旦敵に回すと生意気な方よりも怖ェ。

 のんべんだらりとしたゲル状空気の漂う中で、最初から間違った方向に進んでいてどう足掻いてもどうもがいても本質的にはどうにもならないんだけど、そのまま強引に進んでいって無理矢理「間違い」を間違いじゃないことにしてしまう無茶苦茶なテンポの良さ。「終わらない仕事はないよ、間に合わない仕事はあるけどさ」と悲哀の篭もった皮肉さえも心地良い。遣り取りの面白さでは双子姉妹、ピンでの面白さならみかみが上を行きますが、やっぱりこのゲームを象徴しているのは「ファッキン糞チビ」にして主人公の相棒(バディ)三柴可憐だなぁ。逆に狙っている気がするくらい萌え要素のないキャラデザなのに、存在感は抜群。可憐、みかみ、田中、カントクの学生時代のエピソードはもっと見たかったです。

 ちなみに。タイトルのせいか、うっかり『蒼穹のファフナー』のOPソング(シャングリラだっけ)を思い出してしまいました。空想にまみれまくり。


2005-09-15.

・『しすたぁエンジェル』を『はすたぁエンジェル』と誤記してしまった焼津です、ごめんなさい。関係ありませんが西尾維新の新刊、まるで見当たりませぬ。評判が良かったら通販で頼もうかとも思いましたが、正直あんまり芳しくない様子なのでどうしたものやら。

・同じく迷っていた『群青の空を越えて』、結局購入を断念いたしました。体験版をちゃんと遊ぶためにあれこれやってみましたものの、どうやらうちの環境ではうまく動きそうにないですので。パソをもうちょっとまともにする余裕ができてから入手する所存。

 といった経緯から月末は『刃鳴散らす』と、補欠からの引き上げで『ロケットの夏』、以上二本で確定しました。刃鳴散を先に崩そうかと。

・振り返ればいつもweb拍手レス。

 つよきすコンプおめでとう。それではここでRA(ロマーンアクション)を!
 だが断る! と、男らしくRC(ロマン・キャンセル)。

 か、会長のパンツ一丁を想像して鼻血が・・・
 そのままケツを強調してシュウゲニング・アクションへ移行するハッスル生徒会長を想像してください。

 “テンポの良さは『はすたぁエンジェル』に軍配を上げたいものの” “はすたぁエンジェルと申したか”
 あいたいあいあいあいあいのに〜あえないあいあいあいはすたぁ〜(名状しがたいソングでごまかす)。

 "『はすたぁエンジェル』に軍配を"ってデモベっぽい誤字ですな^^;
 あ〜〜〜〜〜・・・ねぇ?(名状しがたいので曖昧にごまかす)

『らくえん』、プレー中。

 光陰矢の如し
 陰茎槍の如し

 くだらない下ネタがストライクフリーダムなドタバタ日常コメディ、えろぅ楽しゅうございます。18禁ゲームはシモいギャグを好き放題かましてくれるところがたまらないなぁ。

 というか、シモいシモくない以前にテキストのセンスが洒脱で宜しゅうございます。「百年の恋がいま形を変えて憎悪に」あたりの言い回しはツボ。パロネタも多いですけど、「殺意の波動に目覚めたサイキョー流当主」という比喩は効果範囲の狭さに笑いました。超我道。

 ただこのゲーム、選択肢が多い割に話の展開ってあんまり変わんないんですよね。どのルートを進んでもちょくちょく共通パートが出てきますし、大まかな流れはだいたい一緒。おかげで攻略は難しくないにしても少し面倒だったりします。辛うじて攻略ページに頼らないで済むかな、程度。当方自身、ヌルゲーマー化がだいぶ深行しているせいもありますけど。

 にしても、そろそろプレミアボックスの第一弾が出ようというタイミングで月面基地前にハマり始めたのはタイミングがいいのか悪いのか。このまま儲となってしまいそうだ。


2005-09-13.

『らくえん』を始めたせいか、この期に及んで『月面基地前 プレミアムBOX 1 ロケットの夏編』が欲しくなってきた焼津です、こんばんは。無印の『ロケットの夏』を開封せず積んでいるせいもあって発表からこっち詳しい情報を目にすることもなく過ごしていましたが、某所で話題に昇った流れで商品説明を見るにつけ、購買意欲がむくむくと。もうしばらく迷ってみるとします。差し当たっては群青が延期したときの保険という扱いで。

『らくえん』、いくつかのエンドを確認。

 このゲーム、プレーヤーがダメ人間であればあるほど染み渡ってくるものがあると思います。少なくとも当方にはありまくりでした。

 エロゲー制作にまつわるエピソードをプロジェクトXの調子でやったらただのギャグにしかなりませんから、展開は結構気の抜けた感じです。修羅場はあったりするけど主人公を始めとしてほとんどのキャラがのらりくらりな性格ゆえ、「鬱」というほどヘヴィなシーンはない。まあ、それでも血ヘド吐いたりとかしてますが。エロゲーをつくるって行為を美化するのはどう考えても無茶だし、当然の成り行きとして締まらない雰囲気が漂ってしまいます。ですが、変に無理してバカゲーすれすれのアホみたいに熱くて勢いだけでごまかすノリにせず、「必死だな、僕ら」と充分サムさを了解した上で努力を怠らない姿はストレートなサクセスストーリーよりもズシビシ突き刺さってくるものがある。成功も栄光もありえないのに突き進んでしまう業の深さがマッドでマックス。このソフトを「隠れた名作」「埋もれた傑作」扱いしたくなる気持ちに痛いくらい得心。ディープな面白さはヲタクの聖域で囲い込んでしまいたいものです。

 演出の派手派手しさ、テンポの良さは『はすたぁエンジェル』に軍配を上げたいものの、地味〜な威力に関してはこっちも負けていない。「少女たちは現実と戦っていた」のあたりが特に好き。というかあのあたりもっと描いて欲しいところなんだけど。

・高橋弥七郎の『灼眼のシャナ]』読了。

 ここのところ8巻、9巻、0巻と、インターバル的な内容の巻や番外編ばかりで進行が乏しくなっていた灼眼のシャナ。今回も過去のイベントである「大戦(おおいくさ)」を描いた外伝であり、相変わらず本編は止まったままです。表紙を飾るシャナも板垣マンガの扉絵状態。さすがに「早く本編を進めてくれ」って気持ちがしないでもなかったですが、大戦には若干興味があるし、これはこれで楽しもうとほんのり期待して着手しました。

 甘かった。甘すぎました。一言で表せば「無覚悟完了」。A/Bなんていう売れないけど特濃な作品を書いている作者が、よりによってバトル尽くしの外伝で半端な真似をする道理なぞない。押し寄せてくる熱意にほとんど圧死しかけました。おいおいこの作者、A/Bの続きが書けない鬱憤をここぞとばかりにブチ撒けてないか。大戦に至るまでの経緯は説明で済まして直接描写することはなく、プロローグとエピローグを除いた本編は最初から最後まで徹頭徹尾終始一貫して戦争情景にのみ紙幅を費やしていやがる。店頭でのいぢ絵に惹かれてこの巻からシャナを読み出した新規読者は軽ーく置き去りにされそうな気がします。反面、ファンは大喜びすること確実。期待以上の出来と言いますか、当方の期待が全然追いついていませんでした。

 ひたすら戦いの連続とはいえ、戦闘描写だけが見所ではありません。戦いのさなかに敵味方を含めた数多いキャラの関係を絡み合わせ、「戦いながら各人の想いを表出させる」という心憎い手法を使ってくる。依然として文章には癖があり、慣れてこないとテンポに付いていくのが難しい。けれど、一度慣れればとことんのめり込んでしまう凶悪さが凄いですな。シリーズのあれこれと関連する伏線が敷き詰められていたのも楽しかったですが、やっぱり単純に話そのものが面白い。ゴチャゴチャしていてあらかたを理解するまでひどく長い時間が掛かった設定群も、はや11冊目となるとしっくり馴染んできて独自の疾走感を生み出すまでに至っています。おかげでクライマックスは盛り上がる一方。

 うっかり口が弛んで「外伝だけど本編より面白い」と失言してしまいかねないくらい熱中しました。読み始めた当初は設定群に抵抗を感じて悩まされたシャナも遂にここまで来たのかと思うと感慨深い。主役であるマティルダと相棒のヴィルヘルミナもさることながら、モレクやチェルノボーグといったあたりのキャラも素敵。こういった趣向の外伝はまたいつかやってほしいものです。あとA/Bの新刊も。それにやっぱりシャナ本編も。……えっと、つまり全部書いてほしいな、と。


2005-09-11.

『群青の空を越えて』体験版、画面がバグりまくって何だかおかしな具合にorz。文字も読めてセリフも聞けて立ち絵も辛うじて見えるから我慢して進めましたけど。やってるうちに夢中になって結局最後までプレーしちゃいましたけど。製品版では直っていてほしいなぁ。

 ……直ってなくても買っていそうな自分が怖い焼津です、こんばんは。試しにドライバを更新してみたりしましたが、不具合の種類が変わった(画面は見えるけど文字が読めない)だけなので結局元に戻しましたよ。

『つよきす』はたっぷりとした分量を有しているにも関わらず、コンプしてしまうと何か指寂しくなる喃。もっとクリックしてコメディ臭濃厚な遣り取りを目にしたくてたまらぬ気分が湧く。再プレーする、という案もありましたがここは一つ積みゲーを崩す方針で行くことに決定。コメディ畑で何か良さそうなものを見繕うと、積みリストを点検したみた結果として手に触れた一本が、

・派手な延期を経て去年の夏に発売された、今は亡きTerraLunarの『らくえん』

 製作チーム「月面基地前」の現時点における最新作であり、第1作『しすたぁエンジェル』と同じスタッフによってつくられたソフトです。発売当初はあまり反響がなかった代わりにネットの口コミでじわじわと人気を拡げていったしすエン──2003年に入ってからどうも評判芳しからぬ状況に陥ってしまったTerraLunarを複雑な思いで見守るファンにとって、その面影は福音と表現しても差し支えなかった模様。当時の記憶を探るに。

 はっきり言って情報を漁る限りそんなに売れたソフトってわけじゃありませんし、「知る人ぞ知る」な雰囲気が明確に漂っております。内容についても「双子の妹たち(ひとりは健気でひとりは生意気)を持った浪人生が受験勉強を放り出して新興エロゲーブランドの原画を務めることに」と、言わば業界ネタであってもうジャンルとして成立しないくらい少数派で実に珍しい路線。しすエンで見せた実力を知らなかったら当方も跨いで通っていたことでしょう。そういう意味で、しすエンをプレー済だったことは個人的に僥倖でした。

 シナリオライターに逃げられ、本社が通達した発売予定日はあと一ヶ月ちょっと、なのにシナリオどころかCGも音楽もプログラムも素材として成立するほど出来上がってはいない絶望のシチュエーションから本編は開始し、ひとまずそこに至るまでの過程が回想形式で綴られていきます。同一メディアにおける内情暴露系の話というのは漫画家を主人公にした漫画、小説家を主人公にした小説、映画制作チームを焦点に据えた映画など、あらゆる媒体で語られた前例がある一方で、エロゲーに関しては思いつきません。あったとしても少なくとも当方はやったことがない。試みの手法そのものはありきたりでも、「ありそでなかった」代物だけに新鮮な感触があって単純にワクワクしました。

 というか、設定云々以前にキャラの遣り取りが活きているからこそ話にのめり込めるんですよね。個性的な面子、と言ってしまえば簡単ですが、記号とかカタログとかあれこれ言われがちな典型的で類型的なキャラたちを引っ張ってきながらも、相互の関係が巧く馴染むようそれぞれの容姿やら性格やらをカスタマイズして折衷する、ごく当たり前とも言える一方でうっかり実行されず終いになることも多い配慮がキチンとこなされていたおかげでスッと滑らかに没入できた次第。ひとりひとりが魅力的でも一堂に会するとなんか不自然というか、いまいちマッチングしていなくてギクシャクしてる──みたいな悲劇は起こっていません。こいつら全員がちゃんと同じ世界にいるんだなぁ、としみじみ納得できる連中です。掛け合いが面白い。差し当たってはそれだけで充分。

 ほぼテキトーな判断で着手しましたけど、どうやらばっちりアタリだった様子です。がっつりやり込むとします。

・竹宮ゆゆこの『わたしたちの田村くん2』読了。

 待望の続編。刷り部数が少なかったのか、はたまた人気爆発で売れまくっているのか、市内の本屋でライトノベルを厚めに扱っている店舗をあちこち回ってもほとんどがソールド・アウト状態でした。死に物狂いで探してようやくラスト一冊を確保。田舎とはいえこれほど入手困難の憂き目を味わうのはディバフロ3巻以来です。

 さて、前巻がすんごく気になるシーンで幕となっただけに、続きを無事読めることにワクワクテカテカと頬を発光させてしまったことは当然として、今回はどんなことになっていたのか。大多数を迎合するための甘ったるいラブコメ展開? 当方も、うっすらとそんなことを考えてみたりもしました。ハズレです。予想以上にキッチリ修羅場っています。「三角関係は甘露にあらず」とばかりに巷のドタバタラブコメを否定までしなくても決して肯定しないノリで進行するストーリーはあたかも少女マンガのよう。一歩間違えれば鋸とナイフが血の賛歌を唱えるめくるめくスクールデイズに突入しかねませんが、さすがに主人公の田村くんはどこぞの名を体で表さない少年(例:誠)みたいに異次元的な心変わりもしないし、そのへんは大丈夫です。ポルナレフも安心。迷って悩んで悶えて煩いながらも逃げ続けることを潔しとしない姿は「平凡な答えだけど、頑張るしかない」という思いを諦念としてではなく決意として認めていく清々しさがあり。不器用な青春が微笑ましい。

 ちなみに当方は相馬か松澤かと言われると相馬なんですが、やっぱり松澤も捨てがたく。ふたり両方にもっと見せ場がほしい。というわけで続刊を切に願います。このまま行けばグダグダした恋愛モノにしかならない、って意見もありますが、修羅場への門はやっと開いたばかりですよ。グダグダと嫉妬まみれの三角関係を引っ張っていただきたい(ピカッ)。もろに続きじゃなくても、せめて各種エピソード取り揃えな短編集とか。


2005-09-09.

・一週間前に頼んだ『あやかしびと』のドラマCDがやっと届いた焼津です、こんばんは。夏コミで配られたらしい神沢新聞の号外がオマケで入っていたのは予想外の歓喜。

 で、内容。「ディ アフター トゥモロゥ イン 神沢」のタイトルに相応しく、真冬の校舎に閉じ込められた生徒会メンバー(伊緒と美羽除く)の話です。いえ、DAT観てませんから本当に相応しいのかどうか知らんのですが。ともあれ、校舎の外は吹雪。いつ明けるとも知れず、更に停電のせいで電気が止まってしまう。そういったプチ絶望的状況のなか、糧を確保するために食堂を占拠する奴(無論手には包丁)が出てきたり、ペストが発生した教室を焼き払って暖を取ったり、といった殺伐極まりない展開を経て最後には「ひかりごけ」の世界へ行き着きます。嘘。至ってギャグonlyの話です。一番笑ったのが冒頭アテンションってのはアレですが。

 もし次回があるとしたら今度はシリアスものを聴きたいところです。

・ネタに淋しいとき、いつだって拍手レス。

 トーニャルート異聞、”おひとよしは何でも拾う”な夢を見ました。ぶっちゃけ何の脈絡も無く
 記憶喪失なサーシャを
 双七が拾ってくると言う物。嫉妬に狂う雌豹や鬼女達の追及を掻い潜り、生き残れるか双七!?てなもんです
 トーちん大暴れ?な夢でしたよ・・・ええ。 byておくれびと二号

 さくらやあやかも救済されたのだから、今後サーシャが放りっぱなハズはない。当方はそう信じてます。あと氷鷹姉妹も。『零奈の新妻だいあり〜』とか『一奈の誘惑任務』とか。

 テキスト/ゲーム/「SEVEN BRIDGE」からリンク先に飛べないのが気になるのです。
 すみません、ただの上げ忘れでした……不覚。

 「Method of Entry」をなにげなく省略したら「MoE」ですた。
 実は逆なのです。海外小説で突然「MOE」という略称が出てきて「なんなんだこれは」と思って調べたら斯くの如きだったという次第。

 "切ない"と言う文字が双"七"、"刀"子の合体技であることに気付き、さらにセツナ
 「切る」という字を切ってしまっている事実がテラセツナス

 鼻散らす
 潜水兵法・脳散らす。

 「あやかしびと」やったことないけど、「嫉狂ひ」面白かったですー。
 『あやかしびと』に興味を持っていただければファンとして是幸い。

 『刃鳴散らす』ならばぜひ8月末に出た隔月スニーカーの枝編を読んで頂きたく。
 違う意味で話題になってますね、あれ。

『つよきす』、なごみルートをクリアしてコンプリート。

 エリカとよっぴーの視線が一瞬絡んだ。互いの目が告げた。
 椰子なごみは「完落ち」──

 椰子家の核弾頭、なごみんが当方へ直撃(脳髄と股間あたり)。後半のデレ期に差し掛かって以降、当方の精神破損率はアベレージで80%行っていたと思います。ななななに、この『つよきす』でもっとも真っ当にツンデレやってる子。プレーしていて平静が保てませんよ、到底。まるでこちらの弱いところがみんな筒抜けになっているかのようなピンポイントぶりに畏怖しました。脅威度はMIND ASSASSINクラス。かずいー、ちょいと当方の記憶を消してこのルートもっぺんやらせてくれー。

 と、いうわけですべてのルートを終了したところで総ざらいしてみると、どこか特定の部分だけが面白い「一点突破」な型ではなく、どこを切り取っても満遍なく面白い「完全均衡」のソフトでしたね。強気とかツンデレとかを脇に措いても、ごく普通に学園エロゲーとして力強く推せる。ブランドの視点からは属性特化的な面を強調した方が広報しやすく耳目を集めるに最適だったかもしれませんが、夢中になって楽しんだ一プレーヤーとしては単純に「ラブコメが好きならオススメ」と言いたいところ。何かと派手な波乱を仕込んで話を盛り上げようとしたあげく失敗することの多い「前半まったり、後半殺伐」系統ではなく、ラブコメの文法に則ったギャグ描写を除けば一切超展開ナシの手堅い構成で安心感は抜群です。手堅すぎて物足りないと感じてしまうのは贅沢かしら。

 気に入ったヒロインは乙女、蟹、椰子の3人。奇遇にもパッケージの表を飾る面子全員にハマりました。姫は……シナリオの展開こそ面白かったものの、作中で言われているほどの魅力を実感できず温度差が発生したことが敗因。よっぴー、祈先生は逆にシナリオが薄かったせいで伸び悩み。でも好きか嫌いかで言えば全員好きな方です。男キャラも含めて。スバルは言わずもがな、フカヒレ、イガグリ、村田といった面々も独自の彩を付加してゲームの味わいを深めている。やはり「男キャラが光っているゲームは面白い」のジンクスはあながち間違いでもない様子。

 日数は掛かった割にサクサクやってた印象があるのでそんなにボリュームを感じませんでしたが、総プレー時間を見ると悠に30時間を超えているのだから驚愕。思った以上に長かった。それでもなお「食い足りない」と物欲しい気持ちになるのだからほとんど阿片窟だ。『つよきす winter version』とか結構マジで期待したい。姉しょに2が出たことを考えると案外無駄にならない期待かも、とさりげなくフカヒレ的浅ましい打算。

『群青の空を越えて』、体験版公開

 ちょこっとだけやってみます。感触が良さげならそこで中断して製品版を待つ。精神的にふんどし一丁で。半裸マインドで。だから早くマスターアップ報告をお願いしますよう、lightさん。


2005-09-07.

・地方妖怪マグロが夢に出てきてルパン三世と壮絶なデッドヒートを繰り広げました。吉兆なのか凶兆なのか計りかねる焼津です、こんばんは。

第42回文藝賞、受賞者のひとりは中学3年生15歳

 低年齢作家はデビュー当初の話題性が高い反面、継続性に関して不安が。というか同賞の若手という点で共通している羽田圭介、全然新作を出す気配がないですね。未だに期待しているのに。

『つよきす』、よっぴールートと祈ルートをクリア。

 「こいつァもう蹂躙戦じゃないッスかッ!?」──リチャード・ザ・ライオンハートも震撼。レオが狩るのではない。レオが狩られるのだ。

 ってな具合で前半はひたすらガクブルさせられたものの、後半では主人公の意地を見せてドカッと熱い展開を繰り広げてくれたので満悦しました、よっぴールート。やっぱアレです、地雷女を踏んだくらいでピーピー泣き喚いて逃げ出そうとする敗北主義者はいらんのです。「そういうお前をワシャ喰った」とばかりに図太く行ってこそ獅子の心臓を持つ男。ただオマケシナリオのせいか、後半の展開があっさりしていて残念でした。虎は傷ついてからが本物であるのと同様に、よっぴーもまた傷ついてからが本物でしょうに……。

 そして祈ルート、こっちは更に短い気が。欲を言えば波乱万丈の展開がほしかったです。しかし現状でも悪くはない。まきいづみはなかなかの適役かと。祈先生の過去にはなんとなく『ブラック・ダリア』のリー・ブランチャートを連想したり。

 次は椰子なごみ。プレーが遅いせいで結構長引きましたが、そろそろ完了と相成りそうです。

・拍手ページに掲載していた「不帰海」をSSコーナーに格納せり。実は刀子さんより先に伊緒の話が書きたくて、でも需要も少なかろうから……とお蔵入りにしかけたものの、「いいや、番外編ってことで書いちめえ」と勢いに任せて突貫執筆したってのが大まかな経緯。刀子ルート準拠なので内容はお察しください。


2005-09-05.

・外に出た瞬間、思い切り雨に降られた焼津です、こんばんは。「これなら傘持たなくてもいいや」と甘く見た当方が悪かった。ざんざと責め抜かれながら悔悛。

「ささやかな夢の保管庫」

 「ちんこついたおよめさん」という言い回しに惚れ惚れ。「しろいからすとおひとよしのりゅう」、「Fakeえんじぇるっ!」がお気にです。

・赤木義人の『屍姫(1)』読了。

 命短し襷に長し。

 思わず「しき」と読みたくなりますが「しかばねひめ」です。強い未練によって成仏できずゾンビ化してしまった死体を狩る、これまた未練尽くめの死体少女がヒロインを務める。基本はガンアクション。中心となる組織が密教系なので真言とかもチラッと出てくるにせよ、あくまで『ステーシー』ばりの肉体欠損血みどろバトルが眼目となります。四肢をボトボトこぼしながら戦う姿が爽快無比。当方の抱くガンガンのイメージ=「意外と容赦ない」にカッチリ合致しますね。

 特に斬新でもズバ抜けて巧いわけでもありませんけれど、とりあえず読み続けてみようと思います。それはそれとして妖幻の新刊、また延期?

『つよきす』、エリカエンド到達。

 逆境の中でこそ恋は燃え上がれ、と。恐らくこのルートが本作における真骨頂だと思います。いえ、まだ攻略してないキャラもいますし確定的なことは申せませんが。

 霧夜エリカ。金髪ポニーテールでいかにもハーフめいた外見と、傲岸不遜を具現した性格でもって難攻不落のトーチカってなイメージを形成します。お嬢様キャラとして見るといささか砕けすぎで定型を外しているものの、唯我独尊マインド溢るる言動の数々はまさしく超傲慢。「パンがなければゴミを食べればいいじゃない」より数歩だけマシという程度ですよ。メガロマニアすれすれ。決めゼリフは「オレ爛漫」でお願いします。

 最近の学園モノは主人公に対するヒロインの好意が初期値からして高いというのがもはや一つのパターンで、ぶっちゃけ朝起こしに来た妹とか幼馴染みに「好きだ付き合ってくれ」と告白すればその時点で速攻終了してもおかしくない寸法。本質的に始まる以前に終わっているのです。でもそれじゃつまらない。だから終わっているにも関わらず無理矢理「バカ、まだ始まってもいねぇよ」とごまかして波乱アリアリの涙ぐましい青春劇場を展開するわけでして……それもそれでいいんですが、やっぱり恋愛モノは始めるところから始めたいじゃないですか。「よーいドン、だぜ」って頭に皿乗せられたいじゃないですか。そうやってほとんど気紛れに等しい地点からスタートし、理不尽極まりない艱難辛苦を経てカナンへと辿り着く主人公の姿には喝采の一つでも送りたくなります。そしてBADルートで待ち受ける黒と黒と黒の修羅場。ああ美しい。やっぱりバッドエンドはいいものですね。

 これまでの内容を省みるに、ライターのタカヒロはシチュエーションの組み立て方が巧いかと。文章は平易、ネタも有名どころで、センスには光るところがあってもエッジの利いた部分がない。インパクトに欠ける作風なれど、「お約束」をちゃんと咀嚼し更に再構成してシナリオに敷衍する努力は怠らず、ロスの少ない形で成果を上げている。なんというか、効率的です。おかげでダレる場面もなく熱中しました。


2005-09-03.

『刃鳴散らす』、既に制作完了(マスターアップ)とのこと。塵骸のときと同様に早いなー、と感服しつつ『群青の空を越えて』の動向を横目で探っている焼津です、こんばんは。群青〜さえ発売が確定してくれたら今月はもう安泰なのですが。

中島望の新作『宇宙捕鯨船バッカス』「モノグラフ」経由)

 また微妙な路線を。そろそろ極真臭バリバリの空手小説が読みたいです、中島さん。

倶知安の琴音さん、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を辞退「Locked Room」経由)

 授賞式の前に受賞者が逝去したり、受賞者との連絡がつかなかったりといった逸話は耳にしたことがありますが、こうした形での受賞辞退は初めて聞きます。割と注目している賞だけに残念。

『邪魅の雫』、今月22日発売はぶっちゃけありえないらしい

 (笑)を多用しつつもどうやらかなり天辺にキてる様子。これまた残念なり。

『つよきす』、蟹エンド確認。エリカルートへ移行。

 蟹とのバカップルは どこまで昇る…

 見ていて砂どころか塩さえ吐く勢いでイチャつきやがる主人公とヒロインの姿に脱帽。「このヘタレが!」「なんだとテメー!」って悪友ライクなノリでアホなボケツッコミしていた二人が「もう、おばかさん☆」「ふふ、こいつめぇー☆」と素で言い合いかねんほど甘々しいコミュニケーションを図るあたりなど、心底背筋が寒くなったり肌がムズ痒くなったりした。そりゃサタナイルでなくとも「堕落した」と言いたくなるわ。是非とも『秋桜の空に』『Clover Heart's』に並ぶバカップル存在ゲーと認定いたしたく。

 ともあれ、やっていて楽しいゲームであります。ちょっとパロディがやりすぎと申しますか、匙加減が狂って過剰になっている場面もままあれど、基本的にはキャラ同士の遣り取りに面白さを集約させているので概ね問題なし。豪華な声優陣を無駄にすることもなく、男キャラの一人一人までもがキッチリと独自の味出してますよ。凄く王道的だし、小ネタはともかく大筋で奇を衒ったところもないからシナリオは「クサい」「安っぽい」の形容が似合う方面へ分類されるにせよ、そのクサさや安っぽさを蔑ろにすることなくトコトン突き詰めたスタイルは清々しい。B級はB級でも、よく訓練されたB級と言えるでしょう。

 さて次なる標的はエリカ。キャラ単体として見ればそれほど心をくすぐられるヒロインでもありませんが、奇しくも蟹ルート後半で「バカップルになる奴らの気が知れん」といった趣旨のことをのたまっており、それがこれからどう覆されるのだろうかと思うと楽しくて仕方ない。キャラの魅力が個性のみならず関係からも浮き彫りにされていくパターンが好きな当方、胸を高鳴らせつつ邁進いたす。

・って、一旦更新し終わった後に見つけたニュース。

 原画:灰村キヨタカ、シナリオ:田中ロミオの『ユメミルクスリ』(真ん中よりやや上あたり)

 ちょっ、何この当方的に神配役なソフト。『Hotel ergriffen』の衝撃で強制虜にした灰村と、つい先日に『最果てのイマ』で信者化の奈落に突き落とした田中のコンビなんて。最高すぎて思いつくのも憚られるくらい。rufブランドということはダーク路線なのかしら。さすがに11月はスケジュールとして無理があるだろうけど、差し当たって期待は膨らませておきたい一本。


2005-09-01.

・ああ、もう夏も終わりか。と無意味に季節感を思い遣ってみる焼津です、こんばんは。結局暑いだけでしたよ、ハハ。

『つよきす』、蟹攻略中。

 蟹沢きぬ──なに、この根性が腐った菜乃みたいな生物。ごっつ面白可愛いんでないの。キレたときに白目で吼える立ち絵が最高。さながら「舐めンじゃねェ!!! 空手屋ァァッッッ!!!」と叫ぶ渋川剛気のよう。正に剛気す。

 さて、いろんな意味で前代未聞のヒロインにつき笑わせてくれます。ネタはもちろんのこと、声優さんの演技が素晴らしい。声を張り上げるようなボイスがほぼ標準になっているためボリュームの摘みを下げてしまいましたが、あの声なくしてこのキャラは立たないかと。そうやって笑って、笑って、笑っているうちにいつの間にか愛着が湧いていてびっくり。最初は「アホでおもろい子」としか思わなかったのに……まったく……不意打ちで魅了してくるとは。この緊張感……久しいぜ……。

・今月の予定。

(本)

 『円環少女1』/長谷敏司(角川書店)
 『デスノート(8)』/小畑健、大場つぐみ(集英社)
 『魔人探偵脳噛ネウロ(2)』/松井優征(集英社)
 『センゴク(7)』/宮下英樹(講談社)
 『灼眼のシャナ]』/高橋弥七郎(メディアワークス)
 『ウィザーズ・ブレインX(下)』/三枝零一(メディアワークス)
 『わたしたちの田村くん2』/竹宮ゆゆこ(メディアワークス)
 『マヂック・オペラ』/山田正紀(早川書房)
 『のだめカンタービレ(13)』/二ノ宮知子(講談社)
 『結界師(9)』/田辺イエロウ(小学館)
 『いでじゅう!(13)』/モリタイシ(小学館)
 『School Rumble(10)』/小林尽(講談社)
 『チェンジング・ナウ(3)』/UMA(講談社)
 『MOMENT』/本多孝好(集英社)
 『煉獄のエスクード2』/貴子潤一郎(富士見書房)
 『銃姫5』/高殿円(メディアファクトリー)
 『ヴァンパイア十字界(5)』/木村有里、城平京(スクウェア・エニックス)
 『銀盤カレイドスコープ5』/海原零(集英社)
 『疾走!千マイル急行(下)』/小川一水(朝日ソノラマ)
 『邪魅の雫』/京極夏彦(講談社)
 『聚楽』/宇月原晴明(新潮社)
 『剣と薔薇の夏(上・下)』/戸松淳矩(東京創元社)

 結構多い……これでもかなり削った方なんですが。円環少女はドが付くほど寡作な長谷敏司の新作、「1」とか書いてるけど2巻はいつ出すつもりなのか。デスノとネウロは前巻がぼちぼち面白かったので購入継続。センゴクは最近になって読み出し、その力強さに惚れた。シャナは過去編。先代についてようやく語られるようだから楽しみ。ウィズブレはこの前やっと3巻を読み終えました。まだ道のりは少し遠い。田村くん、今年の新シリーズでは最高峰の期待作。2巻でコケないといいけど。マヂオペは先月に文庫版『ミステリ・オペラ』を買ったので押さえておこうかと。のだめは最近読んでないせいでどんな内容か少し忘れてきた。結界師は逆に最近読み始めたところなので記憶鮮明。いでじゅうは確か今回が最終巻だっけ。

 スクラン、脱線が多くてハマり切れませんがまだ飽きてはいない。ダメっぽい変身ヒーローの叙情を描くチェンジング・ナウ、もう少し続いてほしかったのに最終巻とのこと。残念。MOMENTは文庫化するのが少し遅かったような。作者が遅筆家だから今年はもう新刊も出ないだろうと軽んじて悠々積んでいたエスクード、早くも2巻が登場とは誤算なり。しかし1巻からずっと積み続けている銃姫に比べればまだ傷は浅いか。十字界は吸血鬼と○○○がガチンコを繰り広げそうな素敵マンガです。銀カレはマンガ化とアニメ化で話題急騰中。千マイル急行は先月の短編集が面白かったから期待。邪魅、今度は延期しないことを求む。聚楽は以前に「伝奇小説の傑作」と聞き及んだので読んでみようかと思い。剣薔薇は先月の『ミステリ・オペラ』に続き重厚長大な分冊ミステリ。というか文庫化するの早すぎな気が。ハードカバーが出たのってちょうど1年前くらいですよね。

(ゲーム)

 『刃鳴散らす』(ニトロプラス)
 『群青の空を越えて』(light)

 『アヤカシ』が延期してしまったせいもあって速やかにこの2本に決定。『塵骸魔京』と同じく当て字臭いタイトルにいささか脱力を誘われる『刃鳴散らす』ですが、ライターのコラムを読む限りにおいてはキチンと楽しめそうな気配であります。剣戟ってのもエロゲーにしては物珍しい題材につき期待。『群青の空を越えて』は関東 VS.関西って構図にワクワク。ミリタリー臭は薄そうですけど、むしろそこが当方の好みに合致する予感。あと、伝奇色ムンムンの『夜刀姫斬鬼行』も気になっていたりするものの、時間の関係から様子見ってことで一つ。


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