2004年10月分


・本
 『描きかけのラブレター』/ヤマグチノボル(富士見書房)
 『よくわかる現代魔法 ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ』/桜坂洋(集英社)
 『Kishin−姫神−2』/定金伸治(集英社)
 『吸血鬼のおしごと(6・7)』/鈴木鈴(メディアワークス)
 『フェイク』/五十嵐貴久(幻冬舎)
 『echo』/枯野瑛(エンターブレイン)
 『ホーンテッド!』/平坂読(メディアファクトリー)
 『電波的な彼女』/片山憲太郎(集英社)
 『螢』/麻耶雄嵩(幻冬舎)
 『ユリイカ 9月臨時増刊号』(青土社)

・ゲーム
 『DUEL SAVIOR』(戯画)


2004-10-31.

・最近スパゲッティをフォークでうまく巻けるようになってきた焼津です、こんばんは。子供の頃はもうホント全然ダメで。「いっそ箸を!」と所望するくらい。

『DUEL SAVIOR』、未亜シナリオをクリア。コンプリート。

 お、イイ顔するぜ、こいつ。

 そんな感想の残る妹シナリオでした。

 シナリオは全体をまとめてみると、「まあまあ」くらいの満足度。破滅の危機に苛まれている世界へ召喚された主人公たちが仲間とともに救世主となるべく戦う……というベタなストーリーを下敷きにして展開するストーリーは部分部分で面白い箇所があって楽しめたものの、構成はスマートとは言い辛く、設定が泥縄式でどんどん継ぎ足されているように見えることと、サプライズとかの仕掛けがあんまりなかった(話の構造が分かり易すぎる)こともあって、大雑把な割に起伏を欠いて地味でした。異なるシナリオ間で設定などに齟齬を来たしているところもあり、どうにも大味な印象が拭えない。ギャグとシリアスの境界が薄く、半ば渾然一体になっているあたりは個人的に好みだけど。

 キャラクターの魅力やアクションパートの面白さは手堅く、こっちに関しては特に文句なし。だがキャラやアクションが良かった分、シナリオの流れが似通っているルートが多く、先の展開が読めてしまう(読まざるをえない)のは残念。こういうストーリーに一つの大きな流れがあるゲームは個別攻略に向かないですし、仕方ないと思う面もありますが。デモベやFateもルート数自体は少なかった。

 何周もしていると同内容のアクションパートを繰り返しプレーするのが面倒になってくる点、コンプリートしてもオマケ要素(アクションだけ出来るモードが現れるとか、隠しユニットの使用が可能になるとか)が追加されない点はかなり不満だったものの、そこを除けばだいたい納得のいく仕上がりでした。キャラはカエデとナナシとミュリエルの3人が並べた順にお気に。

レジスタ『I/O(アイオー)』に田中ロミオの名前が(「MOON PHASE」経由)

 PS2ソフト。ジャンルは「SFミステリーアドベンチャー」とありますが、詳しいストーリーについては不明。とりあえずチェックしときます。


2004-10-29.

・鞄を開けたら惨死体が。こんばんは、焼津です。平べったくなってしまったシュークリームの亡骸をさきほど経口供養してまいりました。出掛けにコンビニへ寄ってお弁当と一緒に買ったまでは良かったものの、ついうっかり食べ忘れて鞄の底に置き去り、潰してしまった次第。なんて言いますかね、シュー生地とカスタードクリームがほとんど分離している有り様でした。

「魔法少女忌譚修」、第5話の予告編公開

 おお、遂に予告編まで。どんどん企画としての体裁が整えられていきますね。「11月8日予定」とのことですからあと10日ほど。楽しみにして待ちます。

『ユリイカ 9月臨時増刊号』を読了。

 西尾維新特集の号です。チマチマ読み崩していましたけど、1ヶ月経ってやっと全文に目を通し終えました。冒頭の書き下ろし短編「させられ現象」は「カバーと本の中身が違う」という、濫読家ならば一度や二度は経験したことがあるだろう珍妙な現象を変奏した一作。当方はある本の上下巻を買ったら下巻の中身が上巻だったことがあります。つまり上巻が2冊も。要らねー。どうしようもなく発展性に欠けるアクシデント。というわけで「違っていた中身が既に持っている本だとしたら」という可能性については触れられなかったのが残念です。

 批評の方に関してはこれだけまとまった量があると喰い手が充分でよろし、といったところ。批評というのはセンスのある人がやると「批評自体が面白い」+「対象への理解が深まる」と一粒で二度おいしい結果になりますね。でも方針の問題なのか、相変わらずギャルゲーやエロゲーの方面はあんまり突っ込んでいない。言及されることはされてますが。ライトノベルについてもサッと触れただけで仕舞いになっている。

 値段を考えるとそれほどコストパフォーマンスは高くありませんが、結構長く持続的に楽しめましたので格別低くもない。そう何度も読み返すことにはならないかもしれませんが、とりあえず保存しておこうかと。それにしても『ネコソギラジカル』がもうすぐ出るものという前提で書かれている文章の数々を読むにつけ切ない。ネコソギ、年内発売は無理なのか……。


2004-10-27.

・いかん、『月詠』見逃した。……まいっか。諦めの流法(モード)。番組スケジュールをすぐ忘れてしまうので連続放映モノを見逃すことが多い焼津です、こんばんは。良い意味に解釈すればテレビに縛られていないライフ。

・昨日(26日)本屋に寄ったら『復活の地3』の置いてあった場所が空きスペースになっていました。既に確保済みなので慌てませんでしたが、「売り切れたのかな?」となんとなく気になってハヤカワ文庫JAのコーナーを探すと、『第六大陸』の2冊だけで『復活の地』は全巻消失。新潟の影響なんでしょうか? 『震災列島』は変わりなく積まれていました。

12月の発刊予定に桜坂洋の新刊が

 『よくわかる現代魔法』の作者、そしてイラストにあの安倍吉俊……! 突っ込みにいくこと間違いなしの組み合わせです。12月の予定が少しずつ膨らんでいく。

ストレイトジャケット「ピアノ・ソナタを聴きながら」経由)

 押入や密室の閉塞性が好きな当方にはたまらない。拘束服着た人物が登場すると自動的にテンションが上がります。『バキ』『処刑人』『スズメバチ』……いや、『スズメバチ』は拘束服までは出てこなかったですっけ?

 ちなみに拘束服キャラの中では『オズヌ』(しろー大野)のユダが好きです。

飛鳥彼方さん、10月26日付に「魔法少女忌譚修」の外伝公開(推定天使−D.G.S−)

 単独で読んでも面白いですが、「魔法少女忌譚修」(リレー小説)の第一話から第四話までに目を通しておくとより一層楽しめます。外伝だからまったりした内容か、などと侮ってはいけませぬ。そこは「忌譚修」、しっかりと読み応えのあるエピソードで攻めてきます。

 本編も本編で今後の展開が楽しみですけれど、こうした外伝話もなかなか趣があって宜しいかと。「忌譚修」に対する「囚遺修」みたいな。それにしてもゴダールの映画とジョゼ・ジョバンニの小説って別物だったんですか……単に元ネタが共通しているというだけで。初めて知りました。


2004-10-25.

・休日はむしろダラダラしているせいで読書速度が落ちてしまう焼津です、こんばんは。

ニトロプラス新作『天使ノ二挺拳銃』発売日決定(2005年1月28日)

 年跨ぎ。12月24日発売という情報は誤報だったみたい。結局今年は完全新作が出ず終いか……。

・書くの忘れてましたが『DUEL SAVIOR』はリリィまでクリア。あと未亜ひとり。

 リリィは紛うことなき良ツンデレっ子でした。一番の長ゼリフが滑舌悪くて残念でしたけど、押さえておくべきポイントはしっかり押さえられている。「このカスが」と蔑んでいた当初に対し、「無茶しないでよ……」と甲斐甲斐しく献身する終盤。烈海王でなくとも「裏返った!」と快哉を叫びたくなります。だって、最終決戦の場面で惚気るんだもの。照れながら。ツンデレ+バカップル=ラブコメ将軍秋の陣。

 ツンデレってのは「最初は冷たく接していた子が依存してくる」という展開に一種の下克上的な快感を覚える側面がありますけど、そればかりではなく、最終的にくっついてラブラブになったら「いろいろあったけどさ、今振り返ればみんなイイ思い出だよな」系の感慨が湧いてくるところにも魅力を感じる。ド凄くチープな言い方をすれば「ふたりの歴史」という奴ですか。歴史を紐解けば「あの拒むような素振りさえ運命の予感を漂わせていた」みたいな。波乱はあったしお互いを認め合えるまでは長い道のりだったし、なんでこうなっちゃったのか分からないし成り行きでは縁が途絶えていた可能性だって高いけど、歴史にIFはないんだ……みたいな。いや、めっちゃIFはありますけどね、別ルートとか。多人数を攻略できるギャルゲーやエロゲーは「絶対的な運命」を信じることが難しいものの、ツンデレは話の流れから言って「途中でダメになってもおかしくない」という雰囲気があるだけに、添い遂げるエンドへ辿り着くとなんだか「絶対的な運命」が輝かしい幻影となって通り過ぎていくのを感じてしまいます。

・麻耶雄嵩の『螢』読了。

 やっぱり麻耶が好き。

 5月に短編集『名探偵 木更津悠也』を出しているので今年2冊目にあたります。デビューから13年、1冊も本を出さなかった年が累計で6年もある著者にしては驚異。『メルカトルと美袋のための殺人』『鴉』が刊行された1997年以来のミラクルです。思わず「あの頃が麻耶雄嵩の輝きの絶頂期だったなぁ」と遠い目になる。本格ミステリの作家は1年、2年の沈黙が当たり前って人たちが多いから、麻耶の寡作ぶりもそんなには目立っていませんが、何にしてもファンにとっては長い長い待ちぼうけでした。『名探偵 木更津悠也』は短編集ですし、2002年に文庫書き下ろしで出た『まほろ市の殺人 秋』は競作企画の1冊で分量は中編ほどしかなく、あくまで本格的な長編作品としては2000年の『木製の王子』が最後。4年越しとなる、原稿用紙換算700枚弱の力作──「待ちに待った」という感覚は強い。そう書きつつも1ヶ月以上積んでましたが。

 本作はノン・シリーズ。メルカトル鮎も木更津悠也も如月兄弟も出てきません。シリーズの一ファンである当方としてはちょっとしょんぼり。廃墟や幽霊屋敷といった怪奇スポットを探索するサークル「アキリーズ」のメンバーが、京都の山奥に建つ館──かつて6人もの人間が一夜にして殺され、1人の女性がいまだ行方不明となっており、犯人と目される男が裁判を待たずして狂死した忌まわしい事件の現場「ファイアフライ館」にて4日間の宿泊ツアーを敢行する。降り止まぬ雨。無念のうちに死んだ人々の亡霊が10年経った今も彷徨っているかのように暗鬱とした空気。やがて事件が起こり、メンバーは警察へ通報しようとするが、電話は何者かの手によって破壊されていた。車で山を降りようと試みるも、麓に通じる橋は雨によって増水した川の中に水没。彼らは死体とともに山奥に閉じ込められた。結果的に予定通り続く滞在。ただ時間ばかりが流れ、雨はやまない。果たして、この雨が上がる日なんてやってくるのか……。

 と、そんな感じのクローズド・サークル・ミステリ。「嵐の山荘」とも呼ばれるタイプで、本格ミステリにとっては一つの定型です。「閉ざされた環境」というものにひどく惹かれる当方としてはたとえバカの一つ覚え的であってもこの形式はなくなってほしくない。本作はそれほどサスペンス要素が高くないせいもあっていまいち緊迫感が薄いですが、「螢」と名付けられた館の中で淡々と日々を過ごしていく展開にはそそられるものがあります。

 キッチンで食事の支度をしているときの会話に、

 照れくさそうにメガネ越しに笑ったあと、「……怖くはないんですか?」と真顔で訊ね返してくる。
「怖いよ。いつ襲われるか、気が気じゃないしね。でも一番怖いのは、このまま雨が止まないんじゃないかと思うことかな」
「それ、解ります。朝にあんなことがあったばかりなのに、まだ半日しか経っていないのに、何だか馴染んできて、落ち着いてきて、居心地がよくなってきて、もしかして雨がこのまま降り続いてこの生活が日常になってしまうんじゃないかななんて突拍子もないことをふと考えてしまったとき、怖くなりますね」
「この生活が日常って?」
「十年後もこうやってジャガイモを剥き続けているんですよ」

 なんてのもあって、即座にその「十年後」のビジョンが浮かんできたり。ゴテゴテした装飾は少ないものの、「館での暮らし」について幻想を持っている読者の腋をくすぐる小技がそこかしこに散見される。

 さて、当方は麻耶雄嵩の熱烈なファンであり、「一番好きな本格ミステリ作家は?」と訊かれたら迷わずその名前を挙げます。しかし、『翼ある闇』『夏と冬の奏鳴曲』を読んで衝撃を受けたのはもう10年くらい前。『鴉』にしたってもう7年もの時が過ぎています。さすがに嗜好も変わってきている。先の質問から「本格」を削ぎ落とし、「一番好きなミステリ作家は?」との設問を課せられたらちょっと迷います。ひと口に「ミステリ」といってもその範囲は広く、サスペンスやハードボイルドやクライム・ノベル、冒険小説まで入ってくるわけで、そうした分野の「好きな作家」と比べるのは難しい。更に「一番好きな作家は?」とまでくるともはや答える自信がありません。躊躇なく「麻耶雄嵩」と答えた時期もありましたが、今もなおその答えを通すというのはちょっと依怙地で正直じゃないと思います。

 物凄くぶっちゃけた話、この『螢』も最初の方は退屈と眠気を感じました。本格ミステリの基準からすれば「お約束」を守っていて何の問題もないにせよ、エンターテインメントの視点に立てば読者を引き込み引っ張り続けるだけのパワーが観測されない。セリフ回しもときたま上滑りしていることがありましたし、事件が起きても登場人物たちがあまり動揺していませんし、論理展開といいますか推理の方式も浮世離れした箇所があって、空々しさを感じてしまいました。本格から離れていた時間が長かったこともあり、本格を読むうえでの「暗黙の了解」が抜け、チクチクと喉を刺す小骨めいた違和感に苛まれる破目になったわけです。どちらかと言えば本格ミステリを好意的に見ているはずの当方も「うーん」となったことを考えると、そろそろ麻耶ひいては本格ともお別れするべきなのか……と寂しくなりました。

 が、しかし、終盤。当方が本格ミステリを読むうえで一番忘れてはいけないことを忘れていたことに気づかされ、打ちのめされました。それは、「本格は最後のページを読み終えるまでが本格です」というルール。元より文章の巧拙ではなくプロット・トリック・ロジックの三要素を重視するジャンルであるだけに、読んでいる最中の評価は「評価」と呼ぶ資格がなく、「途中で読むのをやめてしまったが……」といった類の感想は意味を持たない。そんな基本さえ念頭になかった当方は解決編でまんまと驚きの声を挙げてしまいました。それも立て続けに。もはや生けるサンドバッグ。唸る麻耶節がデンプシーロールを炸裂させ、面白いくらいに急所という急所を打ち抜きました。カウントを数えるまでもないTKOです。

 リーダビリティに関しては保証できません。恐らく読んでいてかったるさに悩まされる人も少なくないと思います。けれども、ラスト50ページに篭められた麻耶節の威力は、読む機会が減った今も見失えないでいる本格ミステリの輝きを確実に体感させてくれました。リングに沈む心地よさ。やはり当方は麻耶雄嵩が好きだ。大好きだ。


2004-10-23.

・「由乃屋」という表記になぜかドキドキしてしまった焼津です、こんばんは。ちなみに当方は『パラソルをさして』までリアルタイムでマリみてを読んでいましたが、以降は積んでいます。現在『子羊たちの休暇』が途中で止まっている状態。資料とするためにも崩すべきか。

──デモンベイン再臨。

 『機神飛翔デモンベイン』、対象は一般とのこと。あー……ま、いーか。シナリオは『鬼哭街』と同じくらいらしく、だいたい厚めのライトノベル一冊分ってところでしょうか。それなりに満足のいく布陣。

burstonの新作『ENGAGE−エンゲージ−』

 業速球。

「SEGA Fantasy W」(RSF)

 FF4のパロディ。歴代コンシューマ・ゲーム機が続々と出てくるフラッシュです。セガとあるくらいですからメガドラやサターンはもちろんのこと、ファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイにゲームギアやDUOや3DO、果てにはスーパー32Xとかプレイディアとかまで登場。ソフトでは『ブシドーブレード』があったり。ひと通りのハードに関して知っていれば小ネタにも笑えてイイ感じです。「天の声」とか。

・デモンベイン/ウィンフィールドSS「ガールズ・ドント・クライ」第二話アップ。

 思ったより早く書き上がりました。季節単位でサボる当方にしては珍しい、と自虐めいたことはともかく、ここまでが前フリで、次からが本編です。ちなみにこのタイトル、『ボーイズ・ドント・クライ』が元ネタですが、タイトルを借りただけで肝心の中身を観たことがありません。ネタに使わせてもらったことだし、せっかくだからそのうち視聴したいと思います。

・そして、「魔法少女忌譚修」、第四話キタ━━(゚∀゚)━━!!

 執筆者は「ピアノ・ソナタを聴きながら」のsfさん。三話目担当の当方が放った、到底キレイとは言いがたい送球を難なく受け取り、それこそ話を加速度的に盛り上げてくれました。遂にあの七城玖式が本格的に動き出す。でも灰色は灰色のまま。カラーイメージ通りです。伝奇の醍醐味をスマートに描いてみせる手つきの鮮やかさに脱帽しました。第四話を読んだ後に三話目を読み返すと思わず穴に入って膝を抱えたくなります。

 さて、この第四話で第一部「起の章」は終了し、次の第五話から第二部「承の章」に突入していく塩梅です。順番的に当方の出る幕はなさそうなので、のんびり見守るとします。「のんびり」ってのも参加者にあるまじき態度ですが、しかし待っている間に戦々恐々とするのも損。面白いものは面白がらなきゃ。

 それにしてもあれですね、リレー小説に参加したのは初めてですが、自分の書き継いだり書き足したりした話や設定がバトンのごとく送られて繋がっていくのを見るのはむずがゆいと言いますか、ぶっちゃけメチャ楽しいです。なるほど、これは自分ひとりで書く分には味わえない感覚だ。根本を支えるアイデアが先にある点ではSSとも似ていますけど、進行に合わせてそのアイデアがどんどん固まっていく過程は実に興味深くて興奮。さながら雪だるまをつくるみたいに。

 既に六人目まで席が埋まっていますけど、七人目、八人目の書き手さんも随時募集です。と責任者でもないのに勧誘してみる。楽をしたいというより他の人の切り口を見ることが純粋に面白いので、参加に興味のある方は様子見しながらでも御一考を。


2004-10-21.

・いいぞ、ベイベー! 上陸しない奴は台風だ! 上陸する奴はよく訓練された台風だ! ホーント、風雨が地獄だぜ! フゥーハッハァーッ!

 ……げんなり気分を強引にテンション高くしてみた焼津です、こんばんは。無理するのってつらいですね。

『機神飛翔デモンベイン』&『クルイザキ(仮)』スクープ!「MOON PHASE」経由)

 続報。3Dアクションですか。当方のマシンで動くかどうか。それと内心「デモベばかりじゃなく鋼屋の完全新作も見たいなぁ」と思っていただけに『クルイザキ(仮)』は朗報。両方とも楽しみだ。というか天銃と塵骸はまだか。天銃の方は12月24日という話が出てますけど。

Keyが新作発表『planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜』

 「降り止まない雨──」というロスチャを待っていた当方にとっては不安な一節を見ながら、今度は何年待たされるのか……と思ったら「マスターアップしました!」とのこと。なんだ、延期とかしないのか。「企画・シナリオ」が涼元悠一、「原画・メカニックデザイン」が駒都えーじと、Keyの新作であることを差し引いても魅力的なスタッフ。しかし唯一のネックが「ダウンロード販売のみ」という販売形態です。当方みたいな積むほど物欲まみれの人間には形が残らないDL販売はそそられない。パッケージで出してほしいなぁ。

 値段が1050円、容量200MBというところからしてたぶん声なしで数時間程度の分量かと。声付きで10時間超ならネ申ですが、まあ、まずありえない。スタッフがスタッフだけに、評判良さげな兆しが見えたら買ってみようと思います。

・片山憲太郎の『電波的な彼女』読了。

 第3回スーパーダッシュ小説新人賞 <佳作> 受賞作。明らかに『猟奇的な彼女』のタイトルパロで、発表時は(仮)が付いてましたからそのうち改題するものと思っていましたけど、結局このままで通ってしまったようです。「晴れた日はよく届くから」な彼女さんではなく、「前世の絆」云々を訴えて付きまとうストーカー系の娘がヒロインになっている。

 目つきの悪さと輝く金髪から不良扱いされているやる気ゼロの怠惰な高校生・柔沢ジュウ。彼は下駄箱に入っていた手紙の呼び出しに応じ、体育館裏へ足を運んだ。野郎に喧嘩でも売られたのかと思っていたが、そこに待っていたのは見知らぬ少女。小柄で、前髪の鬱陶しい、地味な感じの子だった。彼女は跪いてスニーカーに接吻し、「わたしはジュウ様の下僕です」と宣言する。そう、これが“電波的な彼女”との出会いだった……。

 まずは表紙絵を見てください。主人公っぽい少年を中央に、ふたりの少女が描かれています。どちらがメインヒロインか? これが普通のライトノベルなら右の茶髪で確定ですが、何せ『電波的な彼女』、正解は左の前髪隠しっ子です。老練の執事も「ノー、サー! ありえません!」と叫ぶ見事な定石外し。アキ学ヒメが攻略キャラになるくらい発生確率の低い設定と言えましょう。CDの「ジャケ買い」、エロゲーの「パケ買い」に並んで未だ絶えることはないライトノベルの「絵買い」──そうした嗜好を持つ人にとって、このギャルゲーの主人公もかくやといったところのナチュラル面頬下ろしなフェイスは訴求力が弱いと思われます。当方も『巣作りドラゴン』によって「ギュンギュスカー商会(*´Д`)ハァハァ」という属性を植えつけられる前であればテンションを下げていたかもしれない。一応、「前髪を上げると意外に……」みたいなお約束はありますが、挿絵にして僅か1枚。基本的に前髪は下ろしっ放しです。ピーカブースタイル並みの鉄壁防御。

 さて、タイトルや導入からしてギャグとかドタバタラブコメな展開を予想してしまうこの作品、実はそうした要素が案外薄い。確かに電波彼女(「堕花雨」、と名前もまた凄い)は前世がどうのと心臓が弱い人のペースメーカーを狂わせる勢いでアレな発言をしますし、「下僕」の宣言通り異常なまでの服従を体現しますが、主人公が「面倒くさい」をライフスタイルの基本とするようなぐんにゃり性格のため反応が割合淡白で、彼女の電波言動も破壊力を発揮する前に脇へ逸れてしまう。ヒロイン自体も電波的とはいえ主人公に対しては従順だからあまり振り回したりとかしない。ドタバタカットでラブコメレス。ぶっちゃけ、「濃さ」がありません。滝本竜彦の作品でいえば「ECCO」の粘着質な情熱は感じられず、むしろ『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』の「日常みたいな非日常」といったテイストが匂ってくる。主人公のキャラクターを含め、『週刊少年マガジン』あたりに連載されていても違和感のない話といえます。

 あらすじでも触れられているのでバラしてしまいますけれど、ストーリーの肝となるのは「連続殺人事件」。ですから強いて分ければジャンルは「サスペンス」になりますね。普通の高校生が殺人事件に巻き込まれてしまう、という展開そのものはありふれていますし別段良くも悪くもないものの、それが「電波的な彼女」と絡めるうえで好ましい取り合わせとなっているかと申せば……正直、否定。ただでさえ淡々としたノリで電波彼女の絡みがいまひとつなのに、殺人事件なんて要素を混ぜたせいで余計に力点がブレてしまっています。構成も直線的で刺激に欠ける。最後でちゃんとまとまっているにせよ、「電波的」というえらく興趣をそそるタイトルに反比例してごくごく保守的な仕上がりになっていますから肩透かしと言いますか、少し物足りない気分を味わいました。

 文章はサラサラして読みやすいです。言わば「あっさり塩味」系統。目立つ個性がない代わりに「人を選ぶ」とかいった表現をしなくても済む明快さがある。限りなく地味に近い堅実。熱烈にハマり込むことはないにしても、気づかぬうちに引き込まれてスルスルと読めてしまうあたり、好感が持てます。これは案外一般受けするかも。

 ひと言でまとめれば、「設定は悪くないし文章も良い、けれどストーリーは残念」。この地盤ならサスペンスよりもむしろラブコメを目指すべきだったと思います。ヒロインの妹とか、活躍しそうでしなかったキャラが存在することを考えると、続編が出る可能性は恐らくかなり高いと予想。次巻以降は路線変更してサスペンスに頼らない話にしてほしいけど……清涼院流水のJDCシリーズ級に凶悪猟奇犯罪が多発しているっていう世界設定だから、たぶんまた殺人事件とか絡めたりするんだろうなぁ。


2004-10-19.

・レイモンド・チャンドラーの小説は『大いなる眠り』しか読んだことのない焼津です、こんばんは。あの「うふう」連打にものっそ萎えて他の作品を読む気なくした次第。

『機神飛翔デモンベイン』?(パソパラネット)

 『機神咆吼デモンベイン』の逆移植なのか、続編なのか、ファンディスクなのか……もちろん一番嬉しい可能性は「続編」ですが、FDだとしてもそれはそれで。逆移植完全版だと、うーん。

 もし来春あたりに出るなら『斬魔大聖デモンベイン』から数えて2年になりますので続編だとしてもおかしくないけれど、『機神咆吼』の存在を考えると結構タイトな気も。原画のにしーは『塵骸魔京』の作業もしているはずですし。なんであれ続報待ち。

・平坂読の『ホーンテッド!』読了。

 新人のデビュー作。出たのは先月です。けどなんかもう先月と先々月だけで10人くらいの新人ライトノベル作家が矢継ぎ早に送り出されたため、新人スキーの当方も全員をチェックしきれていないというのが現状。この『ホーンテッド!』にしても知り合いに薦められなければスルーしていました。なんでも、「西尾維新が好きなお前から絶対イケる」とのことで。

 学校の屋上。顔を真っ赤にして「悠紀のことが好き」と告白した幼馴染みの白咲深春──活発で行動派ですぐ手が出て16年間に渡って悠紀を振り回し続けてきたショートカットの少女は、その数分後に大型トラックに跳ね飛ばされて即死した。血と臓物と脳漿をぶち撒け、「ひょっとしたら助かるんじゃないだろうか」といった儚い希望さえ一切拒む完璧に無惨な姿となって。脳みその配線がショートした久遠悠紀は辛うじて原型を留めている遺骸に取りすがり、涙と鼻水に濡れた顔を歪めに歪めて「僕もお前が好きだ深春!」と絶叫。すぐ背後で「ホントに!? 嬉しい!」と聞き慣れた声が返答。呆然として振り向くと、そこには「ゴースト」に成り果てた深春がいた……。

 といった具合に、ゴーストでポップな青春ストーリー。隠し味として悪趣味のエッセンスが一滴。当方、この手の「愉快な幽霊譚」が大好きです。先月も『幽霊には微笑を、生者には花束を』に大喜びしましたが、あれとはまたひと味違った面白さで楽しませてくれる。幽霊みたいな存在となった深春に加え、劣等感の塊で「生まれてきてすみません」と謝る癖がある後輩の紀史元ひかりなど、なかなかに濃い陣営。肉体のない深春と肉体のあるひかりが主人公を巡って三角関係を繰り広げますが、生々しくならないギリギリのラインに踏みとどまってラブコメ的展開を連打する仕組みとなっています。幽霊と修羅場……絵師が片瀬優なせいもあって某シリーズを思い出し遠い目になってしまうのは仕様ですか。

 文章は口語調です。もとから多かった形式ではありますが、最近は口語性を過剰に高めた作品が多く、本作もその例に漏れません。やたらノリツッコミやヲ系のネタが多かったり、視覚的な効果を狙った文章があったりするので、辟易する人はトコトン辟易するでしょう。先に挙げた西尾維新や佐藤友哉、滝本竜彦、今年デビューしたところでは壱乗寺かるたや鎌池和馬あたりを彷彿とします(あと浅井ラボ……は現代モノじゃないことを考慮外に置くとしても、もはや別の次元に逝ってる気がするのでやっぱ取り止め)。主人公のあだ名が「墓穴掘り人形」だの、幼馴染みの子を脳内で「愛と平和の使者(パトリオットミサイル)」と呼んでいるだの、ネーミングも微妙。新人らしい気負いがあってやや硬く感じられますが、前述した5人の中では西尾維新の雰囲気に近いか。

 「硬い」とは書きましたがノリ自体は良くて軽快に読めますし、「萌え」とかそっち方面の事柄もソツなくこなしています。頻繁に「死にます!」と言いながら生き長らえていることを始め撞着の激しい後輩・紀史元ひかりは明確に地雷女の匂いを散布しつつ、時折普通に可愛らしいところを見せる反則技でもって主人公もろとも読者を魅了。思わず個別攻略がしたくなります。幽霊になったとはいえヒロインから除外されたわけではない深春も、なんか進むにつれてだんだん見せ場がなくなっていく気はしますが、「ボーイッシュで怒りっぽい幼馴染み」という定型から外れない手堅さで空気化することを防いでいます。ふたりとも主人公の戯言遣い級詭弁を「知るか」「わけわかんね」とあっさり一蹴してしまえるメンタリティを持っていることもあって読んでいて気持ちイイ。

 ストーリーがどうこうというより、一つ一つのシチュエーションを重視した造りになっています。本筋をさして大切なものと意識していないのは、後半の章題に「便宜的本編」と打っていることからも明らか。謎が謎のままになっている箇所についても、特に解決とか与えないで平気でうっちゃる。ですから、ノリが合わないと辛い。個人的には好みの方向が重なったので頭のてっぺんから尻尾の先まで余すところなく楽しめました。新人賞の第1回(第0回とか打ってますが、実質1回目でしょう)って路線がハッキリしないせいもあってコケることがままありますけど、これはある意味思いっきり路線を外しつつ、同時に外していない。期待以上で満足。


2004-10-17.

・どこで目にしたのか忘れましたが、「夜のコンキスタドール」という言い回しは大変エロいと思う焼津です、こんばんは。大抵のものが「夜の」を付けるとエロくなる運命とはいえ。

・デモンベイン/ウィンフィールドSS「ガールズ・ドント・クライ」第一話アップ。

 「レクイエム・フォー・ドリーム」の続編。ウィンフィールド、青春の巻。なんとなく書いていました。なので、なんとなく公開。「第1話」と銘打ちつつ以降の目処はまったく立っておりませぬ。正に「アーカム無計画」って感じ。いつも通り「頑張ったり頑張らなかったり」の方針でフニャチン連載をいたしたく畏み申す。

 R4Dはロマンス要素皆無で、尻尾な人々から「君には愛が足りない」と言われそうな内容ゆえ、そこをフォローする意味で書き出しました。ネタ自体はR4Dを公開する前から練っていましたし、去年の時点で全体の1/3くらいまで書き上がっていたのですが、以降は筆が止まって停滞。今年6月のPCクラッシュでデータが吹っ飛び、バックアップを怠っていたのでキレイに消えちゃいました。そのままなし崩しでお蔵入りにするつもりだったものの、つい懐かしむあまり「いっそのこと一から書き直そう」とチマチマ低速で打ち始めた次第。第二話は忘れた頃に出てくるものと思ってください。

 それにしても「ジンガイマキョウ」の『異界錬金』や「てけーり」の『デ・ヴェルミス・ミステリイス』といったかなり気合の入った本格的な長編SSを読むにつけ、「当方がデモベSS書く必要、なくね?」と思ってしまいます。典型的ダメ人間思考。読むは書くより易し。ああどうして自分以外の人が書いたSSはこれほどステキに見えるのか。

( ´Д`)/ 先生、単純に技量とかやる気の差だと思います。

・枯野瑛の『echo』読了。

 『Wind』『魔法遣いに大切なこと。』など、ノベライズを中心に活躍している作者のオリジナル・ライトノベル第2弾。ちなみに第1弾は『てくてくとぼく』。いえ、単に「原作付きではない、まったくのオリジナル」という意味で共通しているだけであって、話そのものの繋がりは全然ないんですが。てくてく〜は文明喪失型の遠未来ファンタジー、『echo』は現代を舞台にしたサスペンスフルでミステリアスなホラーと、ジャンルからして違います。

 枯野瑛という作家は熱狂的な人気こそ獲得していないものの、「いい仕事をする」ということで地味に定評があります。ノベライズ作品というのは原作ファンから「本当に理解して書いているのか」などと厳しい目で見られることが多く、好意的な評価を貰うのはなかなか難しい。原作者本人が執筆したとかでなければ食指をそそられないファンもいます。ところが枯野瑛がノベライズを手掛けた某二作は「原作より面白い」との声も上がっており、彼自身に注目が行くという珍しい現象が起こったりもしました。彼の場合は「原作の方がアレだから」という説とてなきにしもあらずですけど。

 ともあれこの『echo』、主人公がレンタルビデオ屋のバイトをやっている設定に沿うかのようにホラー映画を意識した構成となっています。平穏な日常が淡々と綴られていく一方、合間合間で凶事が進行していく。やがて魔の手が身近なところに忍び寄り──といった感じ。「導入」と「本編」の区別が特になく、緩やかにストーリーを展開していくため、あんまり派手な趣向は見られません。「速度の遅さ」がそのまま仕掛けへと結びついていく関係もあるにせよ、ぶっちゃけ地味です。味わいのある文章なので当方個人は退屈しませんでしたが、「味わいのある文章」と言っても「巧緻な文章」とは必ずしも請け合えない。クセのある文章ですが分かりやすい「クセ」ではないせいもあり、特に理由も感じないまま「なんとなく惹かれる」「なんとなく読む気をなくす」……みたく微妙な分かれ方をします。雰囲気を醸す才能はありますが、醸しすぎてときどきちょっとわざとらしくなってる。

 見るからに「萌え」を意識したストーリーではないから「灯雪たんハァハァ」な内容を期待するとショボーンといったハメに陥るのは当たり前。雰囲気重視のサスペンスやホラーをお好みの方であれば美味しく召し上がれるかもしれない。イラストとの相性もグッド。『腐り姫』『沙耶の唄』にも通ずるテイストがあります。個人的にはアタリでした。


2004-10-15.

・ダウンロードしたまま手をつけていないエロゲー体験版が20本の焼津です、こんばんは。積魔の影響がこんなところにも。ついでに書くと体験版落としたのにプレーせぬまま製品版を買ったこともあります。最近だとひぐらしとか。体験版が増えて純粋に感覚的な「ゲームの雰囲気」を掴み易くなってきたのはありがたいものの、多すぎて全部まともにやってる暇がない……。

・五十嵐貴久の『フェイク』読了。

 著者にとっては5冊目。毎回趣向を変えてくる五十嵐、今度の新作は「コン・ゲーム(詐欺)」。ある男の策略にハメられた男女たちが結集し、「負けるはずのない勝負」を仕掛けるが……な話。騙し騙され虚々実々、丁々発止の化かし合いを繰り広げ、読者を最初から最後までハラハラさせ通しにする。「所長=唯一の所員」という実に小規模な興信所を経営する主人公が異常なほど紅茶好きで、それが本筋に何か関係があるのかと言えば特になく、しかし早い段階で彼のキャラクターを確立させることに寄与している。派手な装飾こそないもののリーダビリティは高く、ついつい引き込まれて先が気になってしまうリズムの良い文章。趣向は違えど、この巧さばかりは変わらない。

 ストーリーは「Doubt」「Sting」「Fake」の三部構成。「Doubt」は導入ですけど全体の1/3なので結構長い。テーマとなるのは「カンニング」、かの『東京都大学の人びと』を彷彿とさせる軽快さで学科の成績ダメダメな浪人生にセンター試験を突破させんとする。導入とはいえこの時点から既に気合が入っていて面白い。イージーミッションとしか言いようのない作戦が当の受験生の頼りなさから不安なムードが漂い、充分にドキハラ感覚を堪能させてくれる。後半の「Sting」「Fake」は前者が「仕込み」の章で、後者は「本番」。物語がコン・ゲームらしくなってくるのはこの二つの章に入ってから。大枠で言えば突飛な展開はなく、「お約束」を地で行ってます。王道から変に足を踏み外していない分だけ、スリルとサスペンスの配分は絶妙なものに仕上がっている。ただ、贅沢を言えば「お約束」を踏み越えたところにある何かが見たかった。いくら巧くやっていると言っても、やはり「お約束」の域を出ないようでは惜しい。五十嵐貴久は割と注目している作家なので、そろそろ「これが氏の代表作」と謳うに足る傑作を物してほしいところ。

 結論を一言にまとめれば、読みやすくて面白いが斬新さはない。コン・ゲームといえどもややこしい部分はなくサクッと飲み込めるので、その点ではオススメしやすいです。それにしてもギャンブルは端から見ているだけで手に汗握ると言いますか、他人事でも熱くなってしまいますね。『ラウンダーズ』とか好きです。

矢野徹、死去。

 「とおる」ではなく「てつ」だったのですか。今更ながら初めて知りました。昔買い漁ったハヤカワ文庫の銀背には翻訳者の名前としてよく乗っていました……ほとんど読まず、いまだに積んでいますけど。最近はSFへの苦手意識も減ってきたので帰郷したら引っ張り出すとしよう。『カムイの剣』はいろいろなバージョンが出ていたのに全1冊の分しか押さえてませんでしたし、今後は著作を見かけ次第確保するとします。

 ご冥福をお祈りします。


2004-10-13.

・アナゴさんが27歳というのはマジなのか。驚きを隠せない焼津です、こんばんは。

『DUEL SAVIOR』、ナナシシナリオクリア。

 なぜだ。あれだけオマヌケで脳みそ腐っているとしか思えなかったバラバラっ子のナナシがこんなにも凛々しいなんて……! しかも凛々しいくせしてパンツは見えまくり。パンツ見えてるのに凛々しい。『サザエさん』で二刀流のワカメが「推して参る」とドスの利いた声で言い放つくらいのインパクトがあります。これはもはやナナシではない。「仮面ライダー74」として覚醒したものと見受けられます。

 ともあれやっと2人目を攻略し終わりました。あと4人……倍残ってますね。今月中にクリアできるかどうか。ゲーム部分の戦闘シーンは乱戦になってくると豪快な技が決まりやすくて爽快ですが、育てたデータを引き継ぐためにいちいち最初からやり直さないといけないところはかったるい。わざと負けないと見れないイベントもありますし。

 次はベリオ。個人的にはリコ・リスと合わせていまいち魅力を感じないキャラ。しかしこのふたりを先に攻略しないと他のふたりのシナリオがやれないみたいなので。食わず嫌いをやめてプレーしてみるとします。

『ロストチャイルド』発売延期(10月29日→12月)

 あー、イヤな予想が当たった結果に。月末は『ままらぶ』一本に絞るかなぁ。

・鈴木鈴の『吸血鬼のおしごと(6・7)』読了。

 ...〓■●

 4巻に入った途端、一気に加速していって7巻目で完結を迎えたこのシリーズ。もはや1巻の頃に漂っていた「ほのぼのコメディ」のムードはカケラもありません。「再生力があるから」という理由でバンバンとハードなアクションを繰り広げる吸血鬼たち、「俺を返せッ!」と元の人間に戻りたくて銃器を手に立ち向かってくる吸血被害者たち。最初の頃の「半端にまったり半端に殺伐」ぶりに比べればずっと明瞭かつスピーディで「読ませる」出来にはなってますが、なんというかこう、読者の望んでいた方向とは全然違うところへ突き進んじゃった感じがします。1・2巻の文体からして秋山瑞人の影が窺えるのは確かですが、だからといって後半の展開にまで影響されなくても……。

 文章がくどい(必要以上に描写が長く内容的にも重複が多い)という難点こそ抱えているにせよ、キャラクターの言動が魅力的で、読んでいて楽しくなってくるのが『吸血鬼のおしごと』のセールスポイント……だったはずです。それがいつの間にこれほど黒くなっていたのか。いえ、つまらなくはないんです、「そういうものだ」と割り切れば。「昼は棺、夜はバイト」というライフスタイルで人間社会に溶け込んでいる吸血鬼がひょんなことから幽霊少女やシスター少女に振り回されるドタバタコメディだった話が、気がついたら『ヘルシング』『ヴェドゴニア』ばりの血みどろ闘争劇にすり替わっていたというだけなんですから。「だけ」と言い切るのも無理がある気はしますけど。

 個人的に気に入っていたキャラの何人かが立て続けにアレな目に遭っていって冒頭の如く「...〓■●」となってしまったものの、投げ出さずに最後まで読めたことを考えると一定以上の面白さがあったことは否定できない。しかしなんだろう。「鬱」とは違う寂寥感が漂う終幕に、一抹のやるせなさを覚える。「設定の甘さ」とか「文章のくどさ」とか、問題も多かったシリーズだけどやはり好きか嫌いかで言えば「好き」だったんだろうなぁ。それ故に割り切れぬものが。できれば番外編を集めた短編集でも出して僅かなりとも回復させてほしいところ。


2004-10-11.

・「十月十日」は「十十=草冠」、「日月=明」で「萌の日」と見る向きもありますが、やはりここは「出産」と見たい焼津です、こんばんは。「見晴らし」を「孕みし」と即座にアナグラムする当方はHR属性。

・テレビ朝日の『英雄−HERO−』を視聴。これで2度目。既にストーリーは頭に入っているから個々のシーンを見ることに専念できました。ワイヤーアクションも使いすぎればギャグになりますが、ともあれ見ていて楽しいことに違いはなく。そしてこの映画が「矢萌え」であることを再認識。

・定金伸治の『Kishin−姫神−2』読了。

 以前1巻の感想で「これはとてもいいツンデレですね」と腑抜けたことを書きましたが、あえて繰り返します。これは実に素晴らしいツンデレだ。当方も巫女王の足元にひれ伏すひとりとなりたい所存。「13歳の幼な妻」と書くとすごくエロそうな匂いが漂ってくる台与(トヤ)、彼女は巫女王として大倭に君臨するため先代巫女王・日巫女(卑弥呼)の皇子・忍穂を夫にして利用するんですが、のらりくらりしている忍穂に子供扱いされると不機嫌になり、しかしすぐに「童扱いされてムキになることこそ童と認めている証拠だ」と素直に反省してみせる。闇雲やたらに「ツン」を使うのではなく時には自重しようとする部分が美味しい。そして忍穂から離れてみることでよりいっそう忍穂のことを意識してしまうあたりなど、もはや「デレ」の極み。恋愛は全然進んでいないのにこれほど魅せるとは。

 なんだかヒロインのことばっかり語っていて「話はどうでもいい」と言っているみたいですが、いえ、そんなことはない。記紀神話を下敷きにした古代ファンタジーという、正直ウケにくい感じのするチョイス(固有名詞で難しい漢字がズラズラ出てくるあたりなど特に)を至って真摯に全うせんとしている。派手さのない文章ではあるものの、目を通すだにテンポが良く、非常に練り込まれていることが分かります。何より無駄がない。常に程好い緊張を保っており、読んでいて「弛み」を感じることがありません。更に、キャラクターひとりひとりのセリフ回しもキレがあって鮮やか。センスの宿った筆運びです。電撃で挙げれば渡瀬草一郎に通じる堅実さが、確かな手触りとしてあります。3巻以降に期待するのはもちろん、いずれ『ジハード』の方も手を伸ばさねばなるまい、と思うくらいの面白さでした。

・一応連休中なのに普段と大して変わりないなぁ……。


2004-10-09.

・地震が起こったかと思えば今度はまた台風。せっかくの連休なのに……しかも「今年最強」と来たか。夏からこっち、天災関連の報せが多いですね。おとなしく家で積んでいるものを崩しときます。

・あ、そういえば今日が『ときどきパクッちゃお!』『MinDeaD BlooD 〜麻由と麻奈の輸血箱〜』の発売日だったのか。電撃の新刊を押さえるのに注意が逸れてすっかり忘れていました。まあ、『DUEL SAVIOR』もまだ終わってないことだし「評価待ち」のピーカブースタイルを取るとしましょう。

・桜坂洋の『よくわかる現代魔法 ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ』読了。

 巻数を打ってないので分かりにくいですが3巻目です。「コード」という概念によって魔法をコンピュータのプログラミングと同一視する、なかなか魅惑的な設定で構築されたシリーズの最新作。けれど最初の一文が「一ノ瀬弓子クリスティーナはパンツをはいてない」というのはもはや「狙い澄ました暴投」といった香りさえ発散させる。思わず「駒都えーじズムに魂を売ったのか」と疑いたくなりますが、さすがに本編は真っ当です。プロローグで「パンツというものは意外に奥が深い」とか書いてますが本当にまともな内容です。まったくの事実として。

 表紙を飾っているし、パンツをはいてないしで、今回は弓子が主人公です。このシリーズ、今までのところ一作ずつヒロインが変わってますね。1巻は森下こよみ、2巻が姉原美鎖といった具合。んで、この3巻、主人公はさっきも書いた通り弓子なんですが、彼女と同じかそれ以上にこよみが目立っています。1巻で主人公を務めたときからなんとなく影が薄く、2巻ではほとんどサブキャラ扱いで、「ホントにヒロインか?」と怪しげに見られた彼女ですが、ここぞとばかりに大活躍。密かにこよみスキーであった当方としては嬉しい限り。もちろん「ぱんつはいてない」の弓子も獅子奮迅。いや、ぶっちゃけ「ぱんつはいてない」に深い意味なかったんですけどね。別にはいててもイイやん。あえてはかせないそのマインドには敬服しますが。

 前巻の『ガーベージコレクター』もなかなか疾走感に満ちていて面白かったですが、今回もグッド・スピードを感じる物語です。しかも今回は過去編なので今まで出てきたキャラの昔の姿も拝めたりして2倍3倍に美味しい。「現代魔法」の設定とも相俟って加速的な盛り上がりを見せる。まだ魔法に触れたばかりの弓子が決意とともに運命へ立ち向かっていくシーンなど、読んでいて熱くなる。本気で「パンツをはいてない」とか脇に置いて面白い一冊です。差し当たってシリーズ最高傑作かと。『よくわかる現代魔法』は巻を重ねるごとに面白さが確実に進歩していくあたり、目に楽しい。この3巻を以ってデフォ買い対象に認定します。また一つライトノベルで期待するに足るシリーズが育ってくれた。レーベルのせいもあっていまいち認知度が低く、3冊出ているにも関わらず「シリーズの存在自体知らなかった」って人もいるかもしれませんけど、とにかくオススメしておきたい。


2004-10-07.

・結構でかい揺れにキ○タマ縮み上がった焼津です、こんばんは。23区は震度4か……一度震度6の地震を経験したこともあるので強い振動はちょっとしたトラウマになっています。思わず身体が竦む。

・ジオの移行。

 ぶっちゃけ面倒臭いっス……一応新URLはhttp://www.geocities.jp/kara_no_game/になりましたが、今までのhttp://www.geocities.co.jp/Playtown-Domino/5174/でも閲覧可能。ただ、カウンタが統合されていないらしく、旧URLのは初期値に戻っているうえ新ページとは連動していません。とりあえず助け合い広場を参考にしてJavaで旧URLにアクセスしたら新URLの方へ飛ぶよう応急処置を施しましたが、ブックマークやリンクは新URLの方に張り直してもらえると嬉しいです。でもまー、サイトを見ること自体には支障ありませんし、アクセス解析は外部に頼っていますから、面倒臭かったら放置してOKです実際。

 えーと、ついでに。新URLの「kara_no_game」はゴードン・スティーヴンズの『カーラのゲーム』のことです。当サイトの名前になっている「Method of Entry」はその文中に出てきた用語が元ネタ。略すと「MOE」になるので非常に印象深かった。小説自体もかなり面白く、是が非でもオススメの一作。「ルールを変えろ、ゲームを変えろ、何もかも変えてしまうんだ」の一文がいまだ胸に熱い。

『DUEL SAVIOR』はナナシシナリオの後半。あんまり進んでません。まったりと楽しんでいます。

10月05日付にネコミミモード葉月絵(ソラノト)

 読んだのがかなり以前なのでハッキリしませんが、『月詠』、だいぶ原作と雰囲気が違うような。とはいえ「ネコミミモード」の魔力に早々と無力化した当方。よしなひじきさんの絵まで加わるともはや為す術なし。「ネコミミなんて飾りですよ!」「飾りの何が悪い!」 そんな心境。


2004-10-05.

・雨で靴が浸水。靴下から水がしたたる焼津です、こんばんは。濡れた靴下って一種の最臭兵器ですね。

10月3日付に加奈絵(ジンガイマキョウ)

 おかえり!!に対しては複雑な心境ですが、それはそれ、これはこれ。懐かしさのせいもあっていろいろと迫ってくるものがあったり。

『DUEL SAVIOR』、カエデシナリオをクリア。

 え、まさか、これがオチなのカー!?

 そんな、誰もが予想しえなかった一言で幕を引く。ちょっと呆気に取られました。ありがちと言えばありがちなネタですが、日常のひとコマではなく、よりによって最後で使ってくるとは。もはやホラーですらありますよ、ニンニン。

 数えてませんが、全部で13話くらいの構成? 一周しただけでは物語の全体像は見えてこず、ほんの一面が晒されただけで有耶無耶な感じのまま終わってしまいます。何周もプレーしないと正確な評価はできそうにない。シナリオに関しては物足りないものを感じていますけど、とりあえず詳しい感想は保留。

 カエデシナリオのみについては、なんか最後が大雑把な展開でしたけれど、カエデが可愛いので当方的にはOKです。バカでスケベで「世界の女はみんな俺のもの」な主人公がカエデに惚れ込み入れあげ「ハーレムなんて(゚听)イラネ」といった感じになるのもくすぐったくて心地良い。いえ、「(゚听)イラネ」とは言ってませんが、言ってもおかしくなさそうな雰囲気はあります。述べることが「穿った意見」というより「屁理屈」に近いせいで感情移入しにくい主人公ではありますが、高い積極性を有していて少なくともヘタレでない点については好感が持てる。

 話が戦争なだけで味方キャラばかりではなく敵キャラもクローズアップされるのは当然のことで、カエデシナリオに出張ってくる悪役──ムドウはどうだったかと言えば、まあ、「お約束」気味で典型的なゲス野郎でした。でかいガタイをしている割にトコトン卑怯でセコい。見た目の豪快さを裏切る陰湿な性格。なかなかステキ。あんまし狂気を感じなかったせいもあってそれほど魅力は覚えませんでしたが、悪役としての機能はイイ具合でしょう。

 次はリリィ狙いでいこう……と思いましたがバッドエンド。フラグが立ちません。調べてみるとどうやら攻略順が固定されている模様。リリィはもうちょい後に回さないといけないみたい。仕方ないのでナナシ狙いに切り替えました。ナナシ、死臭はしても腐臭はしないフレッシュゾンビです。手足や首が外れるのは「お約束」。パンツ見せすぎ(超ワカメ級)なのでアホっぽく見えますが、実際アホです。「ですの〜」と語尾を伸ばす口調が更にアホっぽさを上乗せします。死んでも治らないアホとは正に最強だな。そういえば死体をしばらく土に埋めておくと死臭が抜けるという話を聞いたことがありますが、ナナシも長年墓に入っていたおかげで臭いが希薄化していたりするのかしらん。

 戦闘は画面中の敵を吹っ飛ばす豪壮な技もあってなかなかに爽快ですが、毎回あんまり内容が変わらず単調なのでだんだん飽きてはきますね。特に2周目で同じシーンの戦闘やらされたりすると。敵を自らの操作でブチ倒すことによりテンションを上げる役には立っていますが、どうにも大味な印象。コンボ下手の当方はひたすらダメージの大きい技を単発で使うことに専念してしまうのに、それでも何とかなっちゃいます。「攻略法」を意識しなくてもクリアできるのは楽と言えば楽だけど、味気ないと言えば味気ない。それとやはり、レベルが上がっても目立った変化が見えないところはイタいかと。

 最低限、休日を潰すだけの面白さはありましたが、それ以上に何かあるかについての判断は今後の展開を待ちたく。

・今夜は『月詠』『サムライガン』か……予約セットしとこう。


2004-10-03.

・当サイトも晴れて12万ヒット達成。ありがたや、ありがたや。

『ひぐらしのなく頃に』買うたでー。再入荷さまさまやー。プレーする時間ないけどなー。たぶん解決編が出るまで余裕で積んどけると思うわー。

・で、現在は『DUEL SAVIOR』をプレー中。設定等は「ま、細かいこと気にすんなって」と言わんばかりですが、まったりプレーする分には悪くない。ファンタジーな異世界かつ魔法学園かつ寮モノという当方好みの陣容。何せ「魔法学園+寮」の属性はハリポタを読む以前から根付いていたくらいだ。

 しかし序盤はこれといって本格的な戦闘がなく、チト物足りなく感じました。せっかく調達したゲームパッド(1000円)が手持ち無沙汰。悪の軍団にあたる「破滅」との正面切った戦闘はまだまだ先のようです。待ち遠しいのぅ。というかこの手のゲーム要素ありなゲーム(すごく変なことを書いている自覚はありますが)は合間合間に挟まるノベルパートが邪魔っ気に思えることが多くて難しいですな。うたわれや巣ドラでも「いいからゲームさせろ」とばかりに間の文章を読み飛ばした記憶があります。ストーリーへの興味とゲーム部分への興味がうまく両立しないというか。御託がまどろっこしく感じられる。

 ちなみに当方、本編プレー前の印象ではナナシやリリィに魅力を感じるものとばっかり予想していましたが……いざやってみると一番惚れたのは意外にもカエデ。ほぼノーマークのキャラでした。思ったより身長が高いことを知ったことが興味の始まりであり、そのまま注目していった結果、いつの間には「もっとも気になるヒロイン」になっていたという。あまりにも時代錯誤な「ござる」口調も不思議と心地良い。あぼたもえくぼか。カエデかわいいよカエデ。

 それと最後に主人公について。「女はみんな俺のもの」と元から思い込んでいて、異世界に召喚されてからも「救世主になって世界を俺のハーレムに変えてやる!」と意気込むオバカなエロ男です。いまどき珍しい造型。それに従って話の方も広く多数のヒロインと関係するハーレム系の構造となっており、なんだか時代に逆らった仕様となっています。まあ、某シリーズのランス君ほど無節操でもないですけれど、おかげでエッチなシーンへの導入が少し強引。良くも悪くも主人公に「漢」を感じません。型破りな言動もいまいち板についておらず、ただのDQNに見えてしまう流れもイタい。DSを燃えゲーとして楽しもうと思った場合、この主人公が最大のネックになりそうです。要注意。

ライアーソフトの最新作『SEVEN-BRIDGE』発表

 『ANGEL BULLET』の時と同様、タイトルとジャンルと雰囲気を明かした程度ですが。ライアースレによれば歴史の違う20世紀初頭を舞台にした話とのこと。鉄道ストーリーといえば『バッカーノ!1931』。あれは面白かった。ともあれ、星空めておと中村哲也の『腐り姫』コンビとなれば目は離せない。既に購入は決定したも同然。めてお作品の常として来年の2月あたりに発売するんでしょうか。今年の『Forest』も面白かった(誰にでも薦められる内容ではなかったにせよ)し、楽しみです。


2004-10-01.

・某所でこのニュースを知って度肝を抜かれた焼津です、こんばんは。

「『雪風』に足りないもの、それは萌えだ!」

 足りないくらいでちょうどいいという意見はスルー?

原りょうの新作『愚か者死すべし』、11月下旬刊行予定「Locked Room」経由)

 「りょう」は「寮」からウ冠を取った字です。これ→「ォ」。『さらば長き眠り』から数えて約10年ぶりの新作長編。今年は新本格だけじゃなくてハードボイルドでも「○年ぶり」の作品が現れているみたいですね。矢作俊彦の『ロング・グッドバイ』も「19年ぶりのハードボイルド書き下ろし!」と謳われていますし。二村永爾シリーズに比べれば沢崎シリーズはまだ恵まれている方なのか。

 タイトルが何かを思い出させる……『愚者は死す』+『野獣死すべし』? 沢崎シリーズに関しては1作目の『そして夜は甦る』しか読んでいないので買っても積むことは間違いないでしょうが……何せ早川。文庫化するまで5、6年かかるのは目に見えています。いっそ積む覚悟で買ってしまうべきか。こういう迷いが生じる時点で既に当方は積読の軛から解き放たれる可能性を潰してるんだろうなぁ。

・ヤマグチノボルの『描きかけのラブレター』読了。

 特殊要素一切なし。直球ド真ん中で勝負した青春恋愛ストーリー。冴えない少年と頑なな少女の互いに不器用な関係を一人称で淡々と綴っています。「今の流行り? 知りませんが何か?」と言わんばかりに時代を遡った地味な内容。少女マンガやドラマならまだしも、「非日常」を絡めてナンボ、「萌え」を仕込んでナンボといった様相を見せるライトノベルでは「変哲がなさすぎる」と形容しても構わないかと。

 グリグリのノベライズでも朽木双葉をやけに優遇していたことから察していましたが、作者は「ツンケンした女の子」が好きみたいです。『ゼロの使い魔』というシリーズでもヒロインはやたらとツンツンしています。だからこの『描きかけのラブレター』でヒロインを務める神木円もまた、相当に素直じゃない。一見余裕と社交性に溢れているようでいて、その実、人の話は聞かず、思い込みは激しく、怒り出したら手が付けられない。不機嫌な表情がそのまま「取り扱い注意」のラベルとなっているタイプ。付き合う主人公の方もこれまた素直じゃなくて、忍耐力が少ないというか変なところで真っ直ぐ。「本当の気持ち」を明かすのは気恥ずかしくて、つい本心を隠してしまう癖がある割に「納得できないこと」についてはまったく譲ろうとしない。いろんなことを考えすぎて言いたいことが言えず結果的に損をするタイプですね。こんなふたりなんだから、当然すんなりとうまくいくわけがない。最初から最後まで、ひたすら「もどかしい」の連続。

 だが、その「もどかしさ」こそ美味しい。特殊要素を排したおかげで恋愛の事項にのみ専念できるところもグッド。300ページも「もどかしい」の状態が続く構成でありながらダレることなく読み切ることができた。少年向けのライトノベルはどうにも恋愛方面への防備が薄く、要素の一つとして「恋愛」を取り入れているにしろ、それをメインにして頑張るケースは極端に少なかった。ライトノベルが抱えている弱点と言っても差し支えないでしょう。富士見が「L・O・V・E」云々といったことを唱えたときは「血迷ったのか」としか思えなかったですが、これや『ROOM NO.1301』を読むにつけ、ありそうであんまりなかった「ごく平凡な恋愛ライトノベル」というジャンルを開拓するのは「あり」じゃないか……なんて思い直しをさせられたり。それが「ミステリー」かどうかは別として。いい加減、このレーベル名と実態の乖離はどうにかならないものか。

 ささやかなものを、どれだけ大事なものとして描けるか。「普通」だからこそ難しいポイントを、奇手に頼らずあくまで「普通」の方法で地道に攻略してみせた良作。切ないわけでもないのにいとおしい。ヤマグチノボルの作風が、富士ミスの標榜する「L・O・V・E」へ真正面からぶつかっていくことで通常以上に強味を発揮した形となるのかもしれない。言わば地形効果。富士ミスやヤマグチにはこのままの勢いで「L・O・V・E」を目指してくれることを期待します。

・10月の予定ばおさらいすべぇ。

 本。『ネコソギラジカル』は中巻どころか上巻すら不明なままで暗澹たる心持ちですが、それ以外に目を向けると、小川一水の『復活の地3』、高橋弥七郎の『灼眼のシャナ8』、高畑京一郎の『Hyper Hybrid Organization 00-02』、石黒耀の『震災列島』、永瀬隼介の『天涯の蒼』、浅田次郎の『蒼穹の昴(1〜4)』、石持浅海の『水の迷宮』と『BG、あるいは死せるカイニス』、貴子潤一郎の『眠り姫』、岸田るり子の『密室の鎮魂歌』、神津慶次朗の『鬼に捧げる夜想曲』、漆原友紀の『蟲師(4)』、滝本竜彦の『僕のエア』、初野晴の『漆黒の王子』あたり。数えてみると17冊……少し多いかな。いくつか様子見するかも。

 隔月刊行企画の『復活の地3』は遂に完結。1・2巻ともに面白かったし、充分に期待できそう。『灼眼のシャナ8』はそろそろ新展開を迎えそうな兆しが。『Hyper Hybrid Organization 00-02』、作者名で高橋弥七郎と混同されることも多くなってきましたが、何にせよ「1年に1冊出れば御の字」と言われる高畑にしては珍しく年内2冊目。中身が連載分をまとめたものとはいえ。またヤクザばっかりなんだろうか。ワクワク。10月の電撃文庫は新人の2冊──五十嵐雄策の『乃木坂春香の秘密』と上月司の『カレとカノジョと召喚魔法』──も気になっています。挿絵は確か乃木坂〜が「猫バス停」の人で、カレカノが「BUN+BUN」の人。両者とも個人的に好みの絵柄です。気を緩めたら絵買いしてしまいそう。とはいえ中身も良いに越したことはなく、ひとまずは評判待ち。石黒耀、デビューから2年も隔てた久々の長編をようやく上梓か。前回は「火山噴火」でしたが今回は「地震」の模様。クライシス小説としての読み応えを期待。

 永瀬隼介は個人的に気に入っている作家のひとり。『天涯の蒼』についてはタイトルしか知りませんが、迷わず行きます。『蒼穹の昴』、やっとのことで文庫化。ハードカバー版はなんとなく読み逃していたので、これを機会に押さえてしまおう。石持浅海の新作2冊は、『月の扉』が未読なので買っても積みそうな気配。貴子潤一郎は一時「ポシャった」と不穏な噂も流れたライトノベル作家ですが、ようやく第2長編の刊行まで漕ぎ付いたみたい。タイトルが前作『12月のベロニカ』の内容を彷彿とさせますが、まさか同一世界観? それともドラマガに掲載されたっていう異聞の方? 岸田るり子と神津慶次朗は鮎川哲也賞受賞者……って、あれ? そういえば去年の鮎川賞作品って何だったっけ……ああ、そうだ、『千年の黙』でした。悪くなかったけど印象は薄かったです。『蟲師』は当方の好きなマンガのレーベル「アフタヌーン」の中でも特に際立って好きなシリーズ。「読むのが楽しみ」というより「読むのがもったいない」と思うくらい。滝本竜彦の『僕のエア』はどっかに連載されていた作品でしたか? あまり詳しいことは知りません。作家買い。初野晴の『漆黒の王子』は以前も触れた期待作。待たされた分に見合う面白さがあって欲しいなぁ。

 ゲーム。以下の9本に注目しています。いえ、もちろんすべて買うわけではなく。

 『DUEL SAVIOR』(戯画)
 『ANGEL BULLET』(ライアーソフト)
 『MinDeaD BlooD 〜麻由と麻奈の輸血箱〜』(ブラックサイク)
 『ときどきパクッちゃお!』(XANADU)
 『Relict 〜トキの忘れ物〜』(AniSeed)
 『ロストチャイルド』(たまソフト)
 『ままらぶ』(Hermit)
 『グリーングリーン2』(Groover)
 『こんねこ』(ま〜まれぇど)

 『DUEL SAVIOR』は横スクACT。反射神経のショボい当方でもなんとか付いていけそうな難易度。ほぼ確定であり、月の頭はこれで行こうかと。『ANGEL BULLET』は「土下座冒険活劇」と謳うヘンテコな西部劇。体験版も悪くない感じでしたが、『DUEL SAVIOR』と発売日が被っていることもありますし、ひとまず動向を窺おうかと。15日付近が暇なので評判良いならその辺りに。『MinDeaD BlooD 〜麻由と麻奈の輸血箱〜』はファンディスク。で、本編の『MinDeaD BlooD』。インストールもとっくに済ませてますけれど、現状としてはHDDの肥やし  orz  「やり応えがある」という評判に却って尻込みしてます。FDだから後回しにしようかな。『ときどきパクッちゃお!』はまずタイトルで目を惹かれ、体験版をやってみたところイイ具合だったのでリスト入り。10月2週目はこれで行こうか。『Relict 〜トキの忘れ物〜』は原画が水月悠なので……ほぼそれだけ、と言いますか……。SLGとしてもそんなに難しくなさそうですし。

 『ロストチャイルド』はかれこれ1年以上待ち姿勢を取っていた1本。ようやく発売日が「未定」から具体的な日付へ変わったところなので、ここで延期とかされたらガックリきますね。仮面ラ○ダーとかみたいな、強化装甲・変身外骨格系のアクションは個人的嗜好をすこぶる満たしているだけに、月末はなんとしてもこれでシメたいところ。『ままらぶ』は「丸戸史明のシナリオ」+「メインヒロインのCVがまきいづみ」。これは逃げられない組み合わせ。まず確実に買うものと見られます。『グリーングリーン2』はメッセとの喧嘩で良くも悪くも話題になってますね……前作も割と好きでしたし、ロスチャかままらぶのどちらかが延期したときの第一保険。で、『こんねこ』は第二保険。最初の予定から4ヶ月も延期したせいで半ば忘れかけてましたが、まだ執着が完全になくなったわけでもなく。


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