「プリンセスうぃっちぃず」
   /ぱじゃまソフト


 日記の内容を抜粋。


2005-05-31.

『プリンセスうぃっちぃず』、プレー開始。

 英雄願望にまみれたオバカでハイテンションな主人公、その前に現れたのは、やはりオバカでハイテンションなヒロイン志望の魔女。というわけでオバカ二乗、ダブルハイテンションのウィッチクラフト学園ファンタジーです。

 「脇役とやる時はロー一発でいいよ」とばかりに『ホーリーランド』級の暴力を体現する幼馴染みや、任を解かれてなおも「委員長」と呼ばれ続ける本名不詳の少女、やや扱いが雑なルームメイト(♂)と、学園コメディ的には王道の匂い溢れる初期配置からスタートした割に、肝心のヒロインが冷静なツッコミキャラではなく主人公と同じ天然熱血ボケキャラだったせいでなんかあっさり王道を突き破っちゃった気がします。凸凹コンビならぬ凸凸コンビ。良くも悪くもとにかくテンションが高い。勢い任せと言っていいくらい。楽しいことは楽しいけれど、このノリに長時間付き合っているとなかなか疲れます。

 OPやEDがあったり次回予告があったり各話タイトルがあったり、構成はテレビアニメを意識したつくり。終始テンションが下がらないため、ひとつひとつのエピソードが一気にガッと読めてしまいます。うーん、前作『パティシエなにゃんこ』はシーンによってドタバタしてるトコもあったけれど、どちらかと言えば「まったり」が基調であっただけに、今回のシャブをキメたみたいな徹夜明けじみたギリギリの雰囲気はなんなんだろう。まるで、『秋桜の空に』『Like Life』を混ぜて固めたような魔配合ぶり。良くも悪くもいろんな意味でワクワクします。

 まだ序盤なのでストーリーは詳しく分かってないんですが、それはさておき、主人公のかますギャグにかなりの率で下ネタが混入されているあたりは個人的にすごく好み。ティッシュとエロ本を会話ツールにする野郎の関係には笑ったし、「ヒーローになれば身近な女の子たちも俺の股間に興味を示すというもの」ってな身も蓋もない直球の妄想ぶりにはむしろ感激しました。ステキすぎ。なんて絶妙に頭が悪いんだろう。戦っている最中、仲間の全裸過程を含む変身シーンに下半身を剛直化させ、ヒロインに「おち○ぽおっきくしてる場合じゃないよ!」とツッコまれるあたりなど、とんだ益荒男ぶりだ。

 ヒロインは、メインのクルルがキンキン声で耳痛い……とゲンナリしたものの二話目で慣れました。できればこいつだけ音量下げたいけど。THE 委員長は隙だらけなところが可愛らしい。ただ隙だらけゆえにどことなくサブキャラの風格を漂わせてしまうのは皮肉か。終盤で「ここは私に任せて、みんなは先へ行って!」とか言いそうなタイプ。幼馴染みの林檎は、えっと、ツンデレ要員? というか、当て馬臭さがぷんぷん。彼女はウィッチになったりせず、ステゴロで「魔女狩りのボクサー」とかになった方がオイシイ気もしましたが地味なコスチュームがなんとなく似合っているしまあいいや。ってなこと書きつつ、今のところ当方は林檎が一番お気にだったり。妬き方が半端じゃないあたり特に。そういえば、名前からして雀宮一恋の姉? 移植版のパテにゃんはやってないので詳しいコト知りませぬ。

 さて、気力を充填させて今後もガリガリやってこうと思います。


2005-06-02.

『プリンセスうぃっちぃず』、プレー中。回収騒ぎは気にしない方向で。

 プリっち、エロいエロいと言いつつ本当はそんなにエロくないよ……

 という風評を真に受けていた当方は必敗。なにこの日常的に根付いているエロス。下ネタも随分多いと思ったけど、濡れ場も負けず劣らずで毎話毎話に用意されている。それらの趣向が「コメディとエロの混合」を見事に果たしており、油断していたのでたまらず前傾姿勢を余儀なくされた。「『パテにゃん』スタッフに萌エロ技はない──そんなふうに思っていた時期が、俺にもありました」。2年というブランクの中で密かにシャドー・スキルを身に付けていたようです。

 前々月にクリアした『パルフェ』も「これはコンシューマー移植を視野に入れてないのか」と疑うようなところがありましたが、プリっちに関してはそれどころじゃない。さすがにエロ特化のヌキゲーと比べれば刺激も劣るにせよ、コミカルな雰囲気を崩さぬまま「エロゲー」以外の何ものでもないノリで縦横無尽にあばれはっちゃく。「馬鹿ペニス」「則男が夢精」など、PS2とかではありえない応酬の連続です。もし移植となったらいろんな部分をつくり変えて、ほとんど別モノになっちゃうんじゃないかしら。

 話の繋ぎ方とか導入とか、展開がいささか強引で無理っぽさを感じる場面も多々あります。おいおい、その流れでこうくるのかよ、みたいな。しかし基底を成すノリが「エロゲーっぽいエロゲー」、つまりエロそのものを至上として余計な目的を求めない一種のナンセンスな代物であって、やってるうちに勢いに呑まれてしまう。特に北都南がCVを務める春日かれん、中の人が中の人なだけに一旦スイッチが入るとそれはもう大変なことに。「かれん殿、ご乱心!」「校内でござる! ここは校内でござるぞ、かれん殿!」 ──素晴らしい淫夢だー。

 戦闘システムも、作業になるほどつまらなくはなく、攻略に詰まるほど難易度が高くもないのでちょっとしたパズル感覚でプレーできて良好。全体的にスピードがあるから楽しくプレーしてます。物凄い傑作、とまで行かないにしても期待に見合うくらいは達してくれそう。


2005-06-05.

『プリンセスうぃっちぃず』、プレー中。

 洒落っ気抜きで当方はこんなゲームを待ち望んでいたのかもしれない。

 個々のキャラクターの魅力もさることながら、ヒロイン間の掛け合いが豊富で、「魔女っ娘委員会」に所属している人間関係そのものにも大きな魅力を感じます。記号的というか、キャラクターを構成する材料は非常に類型的なれど、複数のキャラが絡み合うことで生まれてくる「関係」の固さはガチガチで鉄板。特にこのプリっちは個別攻略の性質を持ちながら、ある程度ハーレム属性も有しているため、「関係」の強さはいろんな場面で活きてきます。ヒロインたちが嫉妬心から鞘当てを繰り返すところは「ヤキモチ」の範囲であるにせよ、修羅場スキーにはたまらない。ジャブとは言っても連打されれば結構効いてくるもんです。

 そしてもう一つは「エロとコメディの融合」。学園コメディはエロゲーの中じゃ割と大きなジャンルになっていますが、なぜか「エロゲー」であることを活用したソフトが少なく、コンシューマーにも容易に移植されうるギャルゲー的な様式で制作されているものが目立つ。言わば「エロイッカイズツ」、シナリオの最後に申し訳程度の濡れ場を付け加えるタイプ。面白かったら別にそれでもいいとは思うんですが、やっぱり18禁という地形を有効利用した作品もあっていいのでは? と疑問に感じておりました。最近は萌えとエロをミックスした所謂「萌エロ」も浸透し、軽快な学園コメディで且つエロいソフトも増えてきた。しかしエロはエロ、コメディはコメディとシーンごとに区分化されている古い様式も根強く、「融合」とまで言いにくかった。

 プリっちに関しても完璧に「融合」が果たされているとは断言しがたい。エロシーンへ突入する段階で普段のコメディパートとの温度差や違和感を覚えることもあります。しかし、これだけ日常とエロとが結びつき、平然と下ネタが飛び出す環境は学園エロコメを求める当方にはパラダイソに他ならず。エロゲーらしいエロゲー、明るく楽しくチョーH。ストーリーに関しては依然何とも言えませんが、既にプリっちという世界に充分な満足度を得た当方は時間をこじ空けてガンガンとプレーいたしたく。

 それにつけてもかれんのエロさよ。委員長のムッツリスケベぶりも美味ですが、寡黙銀髪っ子の放つ北都イズムに溢れた艶技には全面降伏。学園祭では意外なキャラも出てきて驚くやら嬉しいやら。


2005-06-07.

『プリンセスうぃっちぃず』、舞台は魔女界へ。

 ドタバタエロラブコメの鳴りが潜み、ストーリーは徐々にしんみりした方向へ。さすがにパテにゃんスタッフならこういった流れにおける雰囲気づくりはお手の物なのか、一転したムードにも関わらずスムースに展開していく。エロ騒がしい前半部も充分に楽しんだ当方だけど、テンポが落ち着いてきたおかげで気力を搾り取られるような疲労感もなくなって、まったりプレーすることができました。

 さて魔女界。発売前のムービーから既に魔女界へ舞台が移っていくことは分かっていましたけど、なんというか、シリアスな雰囲気が支配的。このまま進んでいくとエロい展開は本気でなさそう。うーん、それどころかコメディすらなくなっていくかも。

 それなりに楽しんではいますが、さてはて。


2005-06-09.

『プリンセスうぃっちぃず』、正義編終了。

 すべての魔女っ娘は道を譲れ!!!!!!

 とでも叫びそうなクライマックスの果てにようやく一周達成。いや、話には聞いていたけど、こうまでアレとは。前半のコメディを覆す悪趣味な展開の連打、個人的には非常に好みでヒートしましたけど、さすがに賛否分かれるだろうな、と。アレっぽい展開で画面が暗転し、グチャッとかベチャッな効果音でごまかして詳細CGを出さないところを「ヌルい」と感じる人もいるでしょうが、当方の場合は現状のスタイルの方がいろいろと想像や妄想を刺激されて楽しめました。

 まだ謎もいろいろ残っているからはっきりした感想は述べられませんが、やはり「憎しみに克つものは──」という系統のストーリーになるのかしらん。「正義編」を第一部とすれば今後は第二部、第三部に当たる新章が待ち受けているわけで、期待と不安の混濁でドキドキします。発売前は『パティシエなにゃんこ』の後継であるかのような宣伝をしていたけれど、今はむしろ『パンドラの夢』『PIZZICATO POLKA』の流れに位置する作品であると意識されてきた。

 スタッフはかなり自覚的にこの「超展開」と謗られかねない真似をしでかしているのだろう。正義編のエピローグからもそうしたニュアンスが受け取れる。狙いが成功へ導かれているかどうかは、差し当たって保留。プレーを続行します。


2005-06-11.

『プリンセスうぃっちぃず』、真実編終了。

 一周目では仄めかし程度に留まっていた真実がようやく開陳──というか、仄めかしから読み取れる内容そのまんまの「真実」で特に目新しいところがなかったというのが正直なところ。うーん、学園編は軽快なエロコメディのおかげでハイテンションに盛り上がれたけれど、やはり魔女界に入ってからの展開がトーンダウン気味。徐々に世界の秘密を明かしていってスケールアップするタイプの物語なのに、舞台や登場キャラが狭くて限定されているおかげであまり広がりを感じられない。むしろ、学園編の序盤の方が新鮮な出来事の目白押しで楽しかったような。

 しかし悪趣味で血腥いシーンに突入してからは俄然盛り上がりますし、これはこれで美味しい気もします。「学園編の方が面白い」というのは確かですが、魔女界でのストーリーも悪くはなく。そういう意味では少なくとも当方にとっての地雷ソフトではない。ただ、ごちゃごちゃした設定とあまりに主観的な持論の展開によって煙に巻かれているような印象を受けることもあり、褒めにくいんですよね……去年の『DUEL SAVIOR』を思い出します。

 あくまで個人的に言えばこういう「英雄たるの代価」ってな感じのテーマは好みだから、微妙と思いつつもプレーは続行する予定。


2005-06-15.

『プリンセスうぃっちぃず』、英雄編終了。

 むしろこっちが「真実編」ではないのか。とツッコミを入れたくなったものの、ストーリー面はきっちり挽回を図って盛り上がってくれた。佳境に差し掛かってなお下ネタを忘れないその心意気に敬礼。クライマックスの展開はちょっとクサいというか、引っ掛かりを覚えてノり切れなかったところもあるにせよ、最低限度やってくれるべきことはやってくれたのでヨシ。カードバトルも雰囲気を過熱させる役割を果たしている。

 ネタバレはなるべく避けたいので詳しいことは書けませんが、やはり主人公が苔の一念で「英雄になるんだ」という誓いを果たしたことを思うと、エンディングの瞬間には胸に迫るものがあり。オバカでいろいろ足らないところもあるけれど、貫き徹した信念がすべてを報いる──そんな御伽話には確かな手応えを持った救いが感じられて爽快。途中(特に真実編)で結構あれこれと微妙な部分もありましたが、ここまで来るとプレーして良かったっていう思いが素直に湧いてきます。

 それにつけてもメイヴィスさんが硬かった……硬すぎた。負けはしなかったけど、勝つのに1時間くらい掛かりました。ラスボス戦よりも遙かに苦しく、悪夢のようでしたよ。ヒロインを一人クリアしただけなのでまだプレーするところは残っておりますけど、やった感触ではどうも一本道の様子だし、二周目に入るモチベーションが出にくい。それでもとりあえず、続けてみます。


2005-06-17.

『プリンセスうぃっちぃず』、コンプリート。

 Σ(;゚Д゚)メイヴィスさんが3ターンで斃れた!

 攻略法が分かるとこんなに容易く勝てるものなのか。

 ほとんど一本道なので割とあっさり完クリ。スキップが遅いので、選択肢が出るごとにセーブしておいて万事遺漏はなく。先に結論を申しますと、最後までプレーすれば「面白かった、やって良かった」と思える出来でした。あ、これ前にも書いたか。

 もちろん不満もあります。途中からシリアスを基調とした展開に移行し、笑いの要素をそこそこ残しつつも濡れ場がバッサリなくなってしまう点。時に中だるみが激しくなる点。ハーレムかと思わせて完全個別攻略の仕組みになっている点。そのくせストーリーが大部分で共通してしまっている点。一部のキャラをフォローし切れずおまけシナリオでどうにか補っている点。とにかく、シナリオの構成が不恰好です。全体を大まかに三つの部に分けて進行するのは、シナリオを重視する目的ではいいんですけれど、キャラクターを重視する目的で言えば微妙。例えば林檎は第二部以降、ヒロインというより脇役に近い位置付けになってしまうし、彼女の個別エンドは大団円とは言いがたく本筋から浮いているように見えます。キャラの魅力は充分に引き出されていますが、その魅力がシナリオの犠牲になってしまっている面は否定し切れない。

 と、ぶち撒けてはみましたが、不満をだらだら述べてみたのも実際はプリっちのことを概ね気に入っているからですね。ハイ・テンションな遣り取りと情け容赦ない下ネタの嵐には抱腹絶倒。その狭間において発揮されるヒロインたちのエロ可愛さ。前半部におけるコメディとエロスでがっつり作品世界に惹き込まれ、勢いに乗ることができたからこそ後半も凌げたわけです。目パチを始めとして「動き」の演出を多数取り込んだ立ち絵、絶妙なタイミングで挟まれ思わず気持ち良くなる効果音、吹き出しとしてのバラエティに富んだメッセージ・ウィンドウ、声優さんたちの些細な演技の積み重ね、惜しみなく披露される小ネタと、あらゆる部分にプレーヤーを楽しませようとする気配りが感じられます。実に芸コマ。一回しか使われなかった「放課後休みはうきうきウィッチズ♪」という某お昼番組のパクリソングもツボに入った。あと、「気にしないで。私は平気」は是非とも次世代に伝えたい一言。

 そして扱いは不遇だったけれど、やっぱり「素直になれない幼馴染み」の雀宮林檎がイイ。「馬鹿ペニス」という前代未聞の罵声も恍惚と受け入れられる当方には至高のキャラでした。さすが禁断の果実を名に戴くだけのことはある。ゲスト出演する妹も美味しい。次点でかれん。中の人が中の人(北都南)だけに、そのエロ可愛さは激しく無敵。かれんシナリオの展開もブッ飛んでおり、気を抜いてプレーしていた当方は『三億を護れ!』のナッキーを目撃したかのように魂がもげてダッチワイフ・フェイスと化しました。使い魔のベルナルドも憎まれ口に似合わぬ可愛らしい声や、かれんの横でふわふわ漂っているキュートな姿に心打たれてメロメロです。

 カードバトルも結構面白かった。最初は簡単に勝てるので「余裕、余裕」と甘く見ていましたが、すべてのルールが判明する頃合には程好い難易度が生まれてきて俄然熱中。チェーンを繋げていく感覚が、格ゲーのコンボ、パズルゲーの連鎖にも似ていて心地良い。しかし1時間近く掛かって倒した敵が、次は3分で勝てるのは、さすがに諸行無常の観。

 期待していた方向(学園エロコメ現代ファンタジー)とは違った路線に走ってしまったことはつくづく惜しく、そのことに関して延々言い募りたい気持ちはありますが省略。素材が良いだけに調理法の善し悪しを問うこともなく一定の面白さはある。だから、満足と言えば満足。不平を垂れている当方も、三部すべてをクリアして世界を救い、「完」の一文字を目にしたときに晴れ晴れとした達成感を覚えたことは確かなのですから。ビバラ魔女っ娘委員会。おもしろおかしい青春ここにあり。


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