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リレー小説「魔法少女忌譚修」(第13話−10/12)
2026-01-20.・『呪術廻戦 第3期「死滅回游 前編」』で「禪院直哉」が「脹相」をボコボコにするシーン、通称「ドブカスラッシュ」がグローバルにバズっているせいでほぼ毎日直哉構図を見るハメになっている焼津です、こんばんは。
『死滅回游 前編』を観てる人には説明不要だろうから、『呪術廻戦』まったく知らない人や原作しか読んでない人に向けて軽く解説します。禪院直哉(ぜんいん・なおや)というキャラは『呪術廻戦』の主人公でもそのライバルでもなく、アニメ3期目に当たる『死滅回游 前編』で初登場した、要は「ポッと出のサブキャラ」です。ネームドだし、17巻の表紙にもなっているから、モブというほどでもないが「作品の顔」ってレベルの重要人物ではない。京都弁で舐め腐った言動をするのが特徴で、救いようのない下劣さからファンの間では「ドブカス」という蔑称で親しまれている。この「ドブカス」も本編に出てくるセリフに由来しています。設定上は「それなりに強い」という扱いながら、特に大きな見せ場があるわけでもなく、「噛ませ犬としてはサイコロステーキ先輩よりはマシ(優遇されている)」程度の存在です。何せ『死滅回游 前編』の1話目で強キャラっぽく登場したのに、2話目ではもう敗北して無様に這いつくばっている。助けが来なかったらそのまま死んでいた可能性すらあります。そんな奴が余裕ぶった顔で髪を掻き上げながら片手間とばかりに右腕だけで相手をボコボコにしている(一方的な展開ではあるが、全然致命打にはなっていない)のが面白くてバズったわけですが、構図があまりにも特徴的でパロディしやすいこともあってか恐らく「元ネタを知らない層」にまで広まっている。私が笑ったのはアロナが「最低保証」で先生をボコボコにする動画。この流行に一番困惑しているのは『呪術廻戦』の原作ファンでしょう。
なぜなら、このドブカスラッシュ、原作には「存在しないシーン」だからです。直哉が脹相と戦う場面自体は存在するのですが、主人公の「虎杖悠仁」と同時に相手取っている……脹相視点からすると「2対1で優位なのに押し切れずなぜか捌かれてしまう」という直哉の得体の知れない強さをアピールするシーンであり、別に脹相が一方的にボコられているわけではない。直哉の動きもどちらかと言えば合気っぽい感じで、殴るというより重心を崩すような所作だった。しかしアニメでそれじゃ地味すぎる、とMAPPAが判断したのか、アニメ版直哉は縦拳(親指を上にした拳、腰の捻りを伝えにくく威力こそ出しにくいものの手首を捻らないため手数は増やしやすい)を高速で連打する截拳道(ジークンドー)とか詠春拳っぽいアクションになっています。直哉の能力はざっくり言うと「頭の中でイメージした動きをトレースする」というものなんで、知識さえあれば何でも再現できる。つまり合気が中国拳法に変わっていても本質的に大差はない。ただ、逆に言えば「イメージした動きしかトレースできない」わけで、あの髪かきあげポーズも「余裕だからついやってしまった」わけではなく「最初からあの動きをイメージしていた」ことになる。
直哉は確かにデリカシー0だし、武器を所持しているのに「得物使うと弱く見える」というふざけた理由で徒手で闘ったりと、敵を舐め腐っていてリスペクトの念など一切持ち合わせていない俺様野郎のカスではあるが……「ついカッコつけて髪を掻き上げてしまった」のと「最初からカッコつけるつもりで髪を掻き上げる動作をイメージしていた」のとではキャラの解釈が変わってくる。結果的に視聴者が喜んでいるんだからアニオリでもいいだろう、で流されそうな雰囲気となっていますが、この「バズれば官軍」なムードにうっすら不安を抱いているファンもいる模様。死滅回游は『呪術廻戦』の中でも特に長いエピソードで、「原作に忠実」だとアニメ勢はダレて脱落してしまう可能性もある。だからMAPPAもいろいろと工夫を凝らしてくるはずなのだけど……それが良い工夫なのか悪い工夫なのか、蓋を開けてみなければわからない。今は賽の目に祈りを捧げるばかりだ。
・人妻エロティックサスペンス「淫獄団地」ショートアニメ化、コメント&記念イラスト到着(コミックナタリー)
ショートアニメとはいえ、あの『淫獄団地』が……!? 『搾精病棟』というヌキ目的みたいなタイトルでシリーズ後半は怒濤の展開を見せる同人CG集で話題を喚んだ、あの「搾精研究所」が原作のコミックです。作画担当は「丈山雄為」、『リビドーハンタータケル』や『ヤミアバキクラウミコ』など10年くらい前まで“ジャンプSQ.”で活躍していた漫画家。この人はもともとおバカなエロを描くのが大好きなんで、『淫獄団地』もノリノリで描いています。
「人妻エロティックサスペンス」という触れ込みでエロ主体の漫画を連想するかもしれませんが、正直「バカバカしさ」の方が勝ちます。『淫獄団地』の「人妻」たちは皆何らかの欲望を秘めており、「リビドークロス」と呼ばれる衣装を纏うことでその欲望を全開にして怪人化、罪なき人々を襲い始める。若くして団地の管理人になった主人公「ヨシダ」は、彼女らの欲望を鎮めるため対人妻兵器を持って立ち向かう……! ノリは完全に特撮のソレです。変態人妻たちの危険度は3段階に分けてランク付けされており、最上位に当たる危険度「S」は「未確認反社会人妻」と呼ばれ、「何をしてるか正体不明」「関わったら死ぬ」ともはや怪異か何かのような扱いである。
タイトルのせいで敬遠する人も多く、「次にくるマンガ大賞」でも票が集まったのに「ノミネート除外」、つまり門前払いの処置を喰らった不遇の作品である。次マンは「二次創作と18禁は対象外」なので、18禁じゃないけど内容が際どい『淫獄団地』は「とにかく・・次マンへのノミネートは認めん・・賞のブランドに傷がつくからな・・」と審査すら受けることができなかった。この件に関しては『淫獄団地』側に怒る権利があると思うので、「あの『次にくるマンガ大賞』が恐れた! 唯一無二の『ノミネート除外』作品!」ぐらいの宣伝はしていいだろう。
さすがに「淫」の文字はまずかったのか、タイトルは『インゴクダンチ』とカタカナに変更される模様。それでも、ぬきたしに続いて『淫獄団地』まで地上波で放送されることになろうとは……つまり、『ハイパーインフレーション』や『ローゼンガーテン・サーガ』、『This コミュニケーション』、『チンチンデビルを追え!』、『不老不死少女の苗床旅行記』、『魔法医レクスの変態カルテ』、『聖なる乙女と秘めごとを』などにもアニメ化の兆しが見えてきた、ということか。新時代に突入だな。
・「FX戦士くるみちゃん」今年アニメ化、くるみ役は鈴木愛奈 チャートに一喜一憂するPV(コミックナタリー)
『FX戦士くるみちゃん』アニメ化!? 驚きの度合いでは『淫獄団地』に比肩しますよ! というか↑で列挙するタイトルの中に含まれていたから慌てて消すハメになった。『FX戦士くるみちゃん』はもともと原作の「でむにゃん」が「新都社」というサイトで連載していた、言わばインディーズのマンガで、2021年から「炭酸だいすき」の作画でリメイクされて商業化しました。でむにゃん作画版ではデリヘル行きだった子が「出張マッサージ」になっていたりと、性的な部分に関しては若干表現が緩和されています。でもFXで生きるか死ぬかの大バクチをかまして「天国と地獄」を味わう、という箇所に関しては緩和されていないどころか強化されていると申し上げても過言ではありません。
『FX戦士くるみちゃん』の主人公「福賀くるみ」は女子大生。中学生の頃に母親が亡くなっており、父親と二人暮らしをしている。主婦だった母の「福賀梢」は「ちょっと夕飯を豪華にして、娘や夫に良い物を食べさせてあげたいから」と軽い気持ちでFX(外国為替証拠金取引)を始めてしまった。最初はいい調子でルンルン気分だったが、やがて損が出るようになり、「負け」を取り戻そうと「家のお金」に手を出し……リーマンショックで、すべてが砕け散った。2000万円が泡と消え、責任を感じた梢は飛び降り自殺。母親が精神的に追い詰められていたことを知りながら自殺を防げなかったくるみは、後ろめたさから目を背けるためにFXを憎悪する。そして20歳――FXを始められる年齢になったくるみは、亡き母に誓う。見ていて、お母さん。貴女が失った2000万円を、私が取り戻す……FXで!
ってな具合で、復讐心から弔い合戦としてFXを始めたヒロインがその魔力に取り憑かれ、ズブズブと沼に沈んでいく様子を描く金融サスペンスです。文字通り、「金」が「融」ける。生半可な知識で金融取引に手を出してはいけない、という教訓が得られる作品であり、冗談抜きで10代や20代の若者に観てもらいたい。ちなみに私はこの種の怖さを『流星たちの宴』と『リスクテイカー』で学びました。『流星たちの宴』のキャッチコピー、「見上げれば銀河、眼下には奈落」が未だに好き。
リーマンショック(2008年)の時点で中学生、20歳になったところでFX開始――というところでピンと来た人もおられるでしょうが、時代設定は2010年代で少し古めです。一万円札は当然福沢諭吉だし、成人年齢も20歳。これがどういうことかと申しますと、「現実の相場の値動き」をそのまま反映している物語なんですよね。つまり、「昔の相場」を覚えている人であればストーリーの展開がだいたい読める。たぶんアニメではやらないだろうが、少し前まで連載していたエピソードが「スイスフラン編」……知らない人は「?」でしょうが、知ってる人は思わず「ヒュッ!」と喉が鳴ってしまうかもしれません。「絵柄の可愛いウシジマくん」という評が言い得て妙です。
くるみ役を演じる声優は「鈴木愛奈」、『ラブライブ!サンシャイン!!』の「小原鞠莉」や『邪神ちゃんドロップキック』の「邪神ちゃん」をやった人です。個人的には『結城友奈は勇者である』の「ぐんちゃん」こと「郡千景」が迫真の演技で印象に残っている。監督は「小川優樹」、『見える子ちゃん』のアニメでも監督を担当してた人です。っていうか、偶然だろうけどさっきから「ちゃん」が多いな。制作は「パッショーネ」、『異修羅』とか『片田舎のおっさん、剣聖になる』、『ぬきたし THE ANIMATION』を手掛けたスタジオ。まだ発表のみで放送時期は不明ながら『生徒会にも穴はある!』のアニメも制作予定。PVを観た感じでは原作のイメージから大きく外れる内容ではなさそうだし、期待しています。
・『ボトムズ』15年ぶりの完全新作『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』発表!押井守氏が監督を務め、アニメーション制作はサンライズ、制作協力としてProduction I.Gが参加。サンライズ50周年記念作品として2026年に展開へ(電ファミニコゲーマー)
「炎の匂い しみついて むせる」や「分隊は兄弟、分隊は家族。 嘘を言うな! 猜疑に歪んだ暗い瞳がせせら嗤う」でお馴染みのボトムズの新作、しかも監督が「押井守」で動揺を隠せない。『装甲騎兵ボトムズ』は1983年から1984年にかけて放送されたTVアニメ、『宇宙戦艦ヤマト』が1974年で『機動戦士ガンダム』が1979年だから感覚的には「ヤマトの10年後、ガンダムの5年後」くらいの位置付けにあるロボットアニメです。近い時期の作品としては『超時空要塞マクロス』(1982年)や『聖戦士ダンバイン』(1983年)などがある。なお1985年に『機動戦士Ζガンダム』が放送を開始しています。
「銀河が二つに割れた星間大戦争」というSFチックなストーリーを背景にしているが、肝心の「百年戦争」は両軍が疲弊したことで休戦状態になっており、本編ではそこまで掘り下げられない。1話目のタイトルも「終戦」です。主人公の「キリコ・キュービィー」は軍人として奇妙な任務に参加し、そこでヒロインの「フィアナ」と出会う。ロボットアニメとしてはミリタリー色が強く、主人公たちの搭乗するロボットを「無敵の砦」ではなく「鉄の棺桶」として描くなど「人名の軽視」がテーマの一つになっている。タイトルのボトムズは「明日をも知れぬ最底辺の兵士たち」という意味で付けられています。監督は「高橋良輔」、ボトムズの前に『太陽の牙ダグラム』を担当し、ボトムズの後に「蛇腹剣」の象徴である「ガリアンソード」が出てくる『機甲界ガリアン』も手掛けている。「リアルな戦争描写」はダグラムでやり切ったという思いから、「ボトムズはエンターテインメントに特化させよう」と考えたそうだ。1998年の『ガサラキ』以降はあまり目立つ仕事をしていないが、最近だと『ザ・ファブル』の監督もやっています。監督曰く「絶対に外せない大きな企画は自分のところに回ってこない、『とりあえずやってみようか』みたいな企画は来る」とのこと。ボトムズは橋監督のセンスに支えられている部分が多く、何かとネタにされたりパロられたりする次回予告のテキストも監督自らが執筆している。そのセンスを買われて『今、そこにいる僕』というアニメでは次回予告だけ書いたこともあるぐらいです。
今で言う「シェアワールド」とか「メディアミックス」のような試みをした作品でもあり、『青の騎士ベルゼルガ物語』というキリコ以外の人物を主人公に起用した外伝作品もあります。「虚淵玄」は少年時代にこの『青の騎士ベルゼルガ物語』を読んで深い影響を受けた、と公言している。TVアニメとして放送された作品は『装甲騎兵ボトムズ』のみだが、OVA作品が多く、『機甲猟兵メロウリンク』や『赫奕たる異端』、『ペールゼン・ファイルズ』などがある。最後に作られたOVAは2011年の『孤影再び』。今回の『灰色の魔女』はどういう形態で公開するのか明かされていないが、劇場映画か、もしくは配信形式のOVAになるんじゃないかと思います。これまでのボトムズ作品は、メロウリンク以外ほとんど高橋良輔が監督してきた(スピンオフの『装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE』や『ボトムズファインダー』といった例外はある)ので、橋以外、それも押井守というビッグネームが乗り込んでくるとあって大きな驚きが湧き上がってきたワケです。
ボトムズはキリコを主人公にしたシリーズがメインであるが、ティザームービーにチラッとも映らなかったところを見ると今回はキリコ出て来ないのかな。キリコのストーリーは『小説 装甲騎兵ボトムズ チャイルド 神の子篇』が今のところ最新で、子連れ狼よろしく幼い子供を抱えながら彼の旅はまだ続いている。ただ、『赫奕たる異端』以降で描かれる「本編が終了してからの後日談」はあまり人気がなく、過去編に当たる『ペールゼン・ファイルズ』の方がファン受けはいい。なので、キリコが出てくるとしたら過去編かもしれない。20年以上前に雑誌の“Newtype”で橋良輔と押井守が対談したことがあるらしく、当時の記事そのものは公開されていないが当時の記事に反応した「小黒祐一郎」のコラムはまだ残っています。ボトムズのミリタリー描写にかなり感銘を受けたみたいなので、少なくともミリタリー要素は外してこない……と思う。
押井守と言えば『Avalon 灰色の貴婦人』という本も出しており、「灰色」繋がりでちょっと思い出したが関係はないだろう。『ロードス島戦記』の副題とカブっているのも単なる偶然かな。しかし、『水星の魔女』、『キルケーの魔女』と来て『灰色の魔女』……ジークアクスにも「魔女の戦争」というエピソードがあったし、サンライズ魔女多過ぎ問題。「Die Graue Hexe」と英語ではなくドイツ語のタイトルになっているのも何か意味があるんだろうか? 押井守の“ケルベロス・サーガ”は「日本が英国と同盟を組んだ結果、独逸・伊太利の枢軸国に敗北し、終戦後独逸に占領された」ifを描いているから、「ケルベロス・サーガの世界を舞台にしたコラボ作品」という線も捨て切れない。正直期待よりも不安の方がデカいけど、劇場作品なら是非とも映画館で観たいな。出来がアレだったとしてもそれはそれで楽しめる気はする。
・結城真一郎の『どうせ世界は終わるけど』読んだ。
映画化した『#真相をお話しします』の作者「結城真一郎」最新単行本。著書としては7冊目に当たります(ちなみに『#真相をお話しします』は4冊目)。ジャンルは「SF」かな? 「100年後に小惑星が衝突し、地球の全生命が滅亡するとほぼ確定した」世界を舞台に、6つのエピソードを紡ぐ連作短編集です。一編一編の繋がりは薄く、総決算に当たる最後のエピソード「どうせ世界は終わるけど」以外はどういう順番で読んでも構いません。特にこだわりがなければ順番通りに読んだ方がわかりやすいと思います。
小惑星の名は「ホープ」――「明確な終わり」を意識することで人類はあらゆる対立を捨て、一丸になって問題に取り組むことができるのではないか、という望みを託して命名された。無論、そんな都合の良い話にはならなかった。相変わらず世界は惰性で動き続け、あらゆる問題は解決の兆しを見せずにずっと引きずったまま、「どうせ世界は終わるのに」という厭世観がへばりついている。「未来のない世界」で生きる人々は、ルターのように「たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私はリンゴの木を植える」と希望を懐けるのか……。
各編何らかの仕掛けが施されていて、オチの部分で「あっ!」と膝を打つ、ミステリ的な意匠を施された小説集です。とはいえあまり大きな事件は起こりません。どんな大事件を描こうと、「人類が滅亡する」インパクトの前では霞んでしまいますので……「世界の終わり」が確定した状況で展開するミステリというのは実のところ既に存在しており、具体的なタイトルを挙げると「ベン・H・ウィンタース」の『地上最後の刑事』です。こっちは「半年後に小惑星が衝突する」設定なので『どうせ世界は終わるけど』よりも状況が差し迫っている。三部作だけどあまり売れなかったのか、第二部『カウントダウン・シティ』と完結編『世界の終わりの七日間』は文庫化されていません。もっと切羽詰まった状況で刑事たちが足掻く物語をご所望でしたら、そっちに行った方が宜しいかもしれません。
何せ100年後だ。初報に触れた人間のほとんどは衝突前に寿命で亡くなります。「心配しても仕方ない問題」と言えばそれはそうで、滅亡のカウントダウンが始まったにも関わらず漂う空気はどこか長閑。ただ、「子供や孫は滅亡に直面するかもしれない、そうとわかっていてなお子供を作るのか」といった葛藤に直面するし、「科学者の計算が間違っているかもしれない」「途中で何かが起こって『ホープ』の軌道が逸れるかもしれない」と考えている滅亡否定派も存在し、「滅亡を回避するために『アルマゲドン』みたいな計画を練ろう」と絶望に立ち向かっていく人々もいるから足並みが揃わず、どこか不穏な気配も流れている。ちょっとネタバレになりますが、大きな暴動とか国が割れるレベルの内戦とか、そういうスペクタクルはありません。描写されていないだけで世界のどこかでそういう事態が発生しているかもしれないけど、本書で綴られるのはもっと小さな日常の数々です。
「第一話 たとえ儚い希望でも」 … 「吉岡日向」は滅亡の日を待たずして命を絶った。いったい何が彼女を絶望させたのだろう? 日向の幼なじみである「私」は、彼女と過ごした青春の日々を思い出す――「自殺した幼なじみ」の謎を追う体裁になっていますが、その謎が解けたところで日向は二度と戻ってこない、という虚しさに裏打ちされた一編。冒頭一編目ということもあってあまり複雑なストーリーではなく、「仕掛け」も至ってシンプルです。というか、この本は全体的にそこまで難解な「仕掛け」を用意していないので、あまり身構えず自然な態勢で読んだ方が吉です。インパクトはないが、本書に最後まで目を通すともう一度読みたくなるエピソード。
「第二話 ヒーローとやらになれるなら」 … 俺は絶対、歴史に名を残すビッグな男になる――そう吹聴してやまず、「ビッグマウス」と揶揄われたのも昔の話。「村井」は小惑星衝突のニュースによって、名を残すべき「歴史」そのものが消え去ってしまう事態に耐えられず、心が折れてしまった。自信を喪失しながらも就職活動を行っていたところ、同じ高校に通っていた女性「諏訪部」と再会し、「村井くんは、私にとってヒーローなんだからさ」「誰がなんと言おうと、永遠にね」という言葉を掛けられる……「ヒーローになる」という志を見失いかけていた青年が、誇りを取り戻すまでのエピソードです。諏訪部とは親しくしていたが「永遠のヒーロー」と呼ばれるほどのことを成し遂げた記憶はなく、戸惑う村井。なぜ彼女はそこまで彼を持ち上げるのか? 「たとえ儚い希望でも」が暗めの話だったから「読み進めるのがイヤになってきたな」と感じる人もおられるかもしれませんが、せめてこの話までは読み進めてほしいですね。それでも「面白くない」と感じるのであれば「合わない」ということですから読むのをやめた方が良いかもしれません。
「第三話 友よ逃げるぞどこまでも」 … 離島に上陸し、勝手に住み着いて世捨て人の如く暮らしていた「私」。しかしある日、同じ島に「逃亡者」がやってくる。憎めない言動によってあっという間に距離を詰めてくる剽軽な男。「私」はその顔に見覚えがあった。間違いない、こいつはよりによって刑期満了の一日前に逃亡し、全国で指名手配されている殺人犯にして脱獄囚「永瀬北斗」だ……「世捨て人と脱獄囚のふたりぐらし」という、なかなか他にはない読み口が面白い一編。永瀬には懸賞金が掛かっているので、金目当てに通報しようかどうか「私」は迷います。「ヒーローとやらになれるなら」が「厭世観に立ち向かう人」の物語だとすれば、これは「厭世観から逃げ延びようとする人」の物語です。
「第四話 オトナと子供の真ん中で」 … 学級委員の「山路芽衣」、授業では進んで挙手し、掃除中にふざけている男子がいれば「ちょっと男子! 真面目にやりなさいよ!」と叱責する、ちょっとウザいぐらいに真面目な少女。親しみを込めて「マジメイ」と呼ばれていた彼女は、夏休み明けに変わってしまった。いつもぼうっとして、溜息をつき、顔色もどこか冴えない。言うこともどこか厭世的で、「やさぐれた」としか表現のしようがない変貌ぶりだった。「家出して東京まで行く」というマジメイの計画に、成り行きから付き合うことになった「僕」だったが……マジメイと「僕」は小学六年生で、「二人きりの家出旅行」ではあるものの艶っぽい雰囲気は漂わない。なんというか「夏頃に上映される映画」みたいなムードなんですよね。「この夏、アナタはマジメイの言葉に涙する……感動の青春ストーリー!」「映画館でマジ泣き!」的な。なぜそこまでマジメイがグレちゃったのか、という謎を主眼に置きつつ、「存命中に世界が滅ぶかもしれない世代」である「僕」の心の動きを追っている。爽やかさで言えば「ヒーローとやらになれるなら」と並ぶほど清涼感のある一編。もし実写化されたらサイダーとかラムネを飲みながら観たい。
「第五話 極秘任務を遂げるべく」 … ゆとり世代、さとり世代と来て、お前らは「みとり世代」だ――成す術もなく世界が終焉を迎える様をただ看取るしかない、無力な世代として揶揄される「俺」。度重なるパワハラに堪忍袋の緒が切れて、取引先の担当者を殴ってしまった結果、当然の如く懲戒免職。酒に溺れ、ギャンブルに熱中し、借金をこさえ、妻から見放された。そんなクズの「俺」をまだ「パパ」と慕ってくれる娘のため、「極秘任務」に従事する決断を下す……再生物語、という意味では「ヒーローとやらになれるなら」と一緒だが、こっちは前科持ちで割と本格的な落ちぶれ具合です。ただ、「酒に溺れ」た割にアルコール依存症にはなっていないみたいで、「なんかあっさり立ち直ったな」という印象を受けます。「娘のためにもう一度奮起するパパ」という感動モノとして手堅いストーリーラインを厳守しているものの、「仕掛け」の単純さといい立ち直りの早さといい、エピソード的にはちょっと軽いかしら。
「第六話 どうせ世界は終わるけど」 … 結婚相手の連れ子、つまり義理の息子「みっくん」は「気象予報士になる」という夢を持っていたが、友達から「どうせ世界は終わるのに、そんな仕事になんの意味があるんだよ」と揶揄われて、揉み合いの喧嘩になったらしい。その友達「萩原くん」とは仲直りしたものの、以来不登校になったみっくん。でも「私」は知っている。みっくんと萩原くんが仲直りの握手をするとき、こっそり意味ありげな笑みを交わしていたことを……学校に行こうとしないみっくんの真意を探る、シリーズ完結編。これまでのエピソードに登場したキャラが次々と現れるので、これだけは最後に読んだ方がいいです。というか、これから読み出すと意味のわからない箇所が多すぎます。
最終的に、人類は本当に滅んだのか、それとも滅びを回避したのか、ハッキリとは言及せずに幕を引く。あくまで「人類滅亡」は舞台装置と割り切った措置で、シミュレーション的な小説ではありません。世界情勢とかもそこまで深く触れられない。滅亡要素を目当てに読むと肩透かしかもしれません。「どうせ」と捨て鉢な風情を漂わせながら「けど」という逆接で締める、諦めの中で諦め切れない諦めの悪さをカラッと描いた小説です。試しに一個だけ読んでみたい、というのであれば私がオススメするのは「第三話 友よ逃げるぞどこまでも」ですかね。「社会」から切り離された男ふたりの関係がなんか心地良くて、ここはもっと長尺で書いて欲しかったな、と願ってしまいます。
2026-01-13.・冬アニメもポツポツ始まっているけど、わたなれの13話〜17話を観返したり、再放送の『瑠璃の宝石』や『アポカリプスホテル』を再視聴したり、Fakeを「whispers of dawn」から観直したりしていたせいでほとんどチェックが進んでいない焼津です、こんばんは。
ちなみにこの「whispers of dawn」、簡単に言うと『Fate/strange Fake』の「第0話」に相当するエピソードです。アメリカ西部に位置する架空の街「スノーフィールド」を舞台に繰り広げられる「偽りの聖杯戦争」へ参加するマスターとサーヴァント、各陣営の紹介を兼ねた1時間ほどのアニメで、原作だと1巻の内容。「原作」というか、2008年に成田良悟が個人サイトで発表したエイプリルフールネタがコレだったんですよね。当時『レンタルマギカ』を書いていた三田誠(言うまでもなく『ロード・エルメロイU世』シリーズの作者)も協力していたらしい……と言っても手伝ったのは本編のネタ出しではなく、ストーリー終了後のステータス表示とかだったらしいが。Fakeはもともと「非公式の二次創作」で、公式化するまでが長かったんですよ……続きが読めたの、2015年の5月ですから7年も待たされた勘定になる。第1話「英霊事件」のストーリーは書籍版で言うと2巻、Fakeが公式化してからのストーリーです。第0話「whispers of dawn」を飛ばすと話がわかりにくいので、「whispers of dawn」→「英霊事件」の順で観ることをオススメします。
「Fateってタイトルは見たことあるけど、実は1個も観たことないんだよな……このFake? とかいう奴、ちょっと気になってるんだけど、予備知識なくても楽しめるの?」という方には「はい! 楽しめますよ!」とニコニコ顔で答えたくなるが、まぁ正直予備知識として『Fate/Zero』と『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』くらいは最低限観ておいた方がイイかもしれませんね。「時間がない」「面倒」と言うのであれば無理には薦めませんが……小ネタまで極めようとすると『Fate/hollow ataraxia』や『Fate/Prototype』、『Fate/Grand Order』なども押さえないといけなくなる(特にFGOでは成田良悟がシナリオを書いた「神が造り、人が紡ぎ、土に還る」という本1冊分に相当するエルキドゥの幕間ストーリーが配信されている)からキリがなくなりますし。
ただ、今年のゴールデンウィークにFGOでFakeコラボイベントを開催するという噂もあり、暇があるならFGOを始めてみるのも一興……大丈夫、今からでも一生懸命やり込めば私より強くなれますよ!(ニコニコ) 真面目な話するとFGOにPVP要素はないし、ストーリーの難所も「霊脈石」というコンティニュー用アイテムや令呪を使ったりすればだいたい強引に突破できるからそこまで強くならなくても何とかなります。ただし第二部第七章のクライマックスはコンティニュー不可なので、そこまでに戦力を整える必要はある。そのへんも「巡霊の葉」というアイテムで交換できる配布サーヴァントを編成すれば概ね事足りるし、「チュートリアル以外のガチャは回さない」という縛りプレイで3日以内に全クリした人もいるので「攻略する上で課金の必要はない」ことは申し上げておきます。「推し」と出会ってしまえばその限りではありませんけども……(今は福袋やデスティニーオーダーのために有償石を買う程度の微課金勢だけど、昔は推しを宝具レベル5にするため〇万円突っ込んだ人)。
・TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』、4th season 2026年4月放送・配信開始!
2016年から放送を開始したリゼロアニメもいよいよ4期目に突入するわけですが、変則的な放送枠も影響して記憶が混乱してきている人もいるのではないでしょうか。私は加齢のせいもあってちょくちょく混乱します。なのでここで軽く振り返ってみるとしましょう。
まず、リゼロの原作はエピソードの区切りを「章」という単位で分割しています。主人公のスバルは「死に戻り」という、「死亡すると時間が巻き戻る」能力というか体質がある。これを駆使していろんなトラブルを潜り抜けていくわけですが、ある程度時間が経過すると「死に戻り」でリスポーンするポイントが更新されます。この「リスポーン地点の更新」がだいたい「新章突入のタイミング」と一致している(厳密には一致していないので、あくまで「だいたい」です)。一章は王都でヒロインの「エミリア」と出逢い、その後「腸狩りのエルザ」と遭遇して死ぬ――というデスループ。チュートリアルに当たる章なので、後の章に比べるとかなり短い。書籍版の1巻に相当し、アニメだと3話で終了する。1期目の1話は1時間スペシャルなので、ボリュームで言うと4話分です。
次の4話目でロズワール邸に移り、通称「屋敷編」の二章が始まる。「屋敷編」が終わったのは11話、つまり二章のボリュームは8話分で、一章の倍に当たります。原作のボリュームも倍くらいで、書籍版の2巻と3巻に相当。12話からいよいよ「魔女教」との戦いが始まる三章開幕、三章は絶望に次ぐ絶望であり、「こんなん無理ゲーだろ!」と叫びたくなる展開目白押しだ。一章がチュートリアル、二章がウォーミングアップで、三章からがリゼロの本番と言っていい。立ち塞がる魔女教の大罪司教「怠惰のペテルギウス」はあまりに強敵で、勝ち筋がまったく見えない。ペテルギウス・ロマネコンティは声優「松岡禎丞」の怪演もあって印象に残っている人が多いという。ちなみに原作者の「長月達平」本人が書いたプリコネとのコラボイベント第1弾「Re:ゼロから集まる異世界食卓」ではペテルギウスがボス役を担当し、「宴おばさん」こと「クリスティーナ・モーガン」と戦うシーンもあります。「見えざる手」vs「乱数聖域(ナンバーズアヴァロン)」(シナリオ配信時は☆6開花前)がアツかった。
閑話休題。三章はそれまでの章に比べてかなり長く、1期目の12話以降はずっと三章で、25話(最終話)でやっと完結する。ボリュームにして14話分、一章の3.5倍だ。原作だと4巻から9巻までの6冊がずっと三章であり、本来の比率に直すと24話くらいは必要な内容なんで、あれでもかなり原作から削っています。ともあれ2016年の4月に放送を開始した1期目は9月に最終話を放送し、三章まで消化したところで閉幕となりました。ここから2期までが長く、4年近く掛かっている。その間にOVAの『Memory Snow』と『氷結の絆』を制作していますね。リゼロは本編も先月出た最新刊が43巻とかなり多いが、番外編とかサイドストーリーとかifストーリーが山ほどあって、「その内容を知っている」ことが前提で進んでいくため、番外編やサイドストーリーをほとんど省略しているアニメ版しか見ていないとよくわからない箇所もいくつかある。たとえばラムとレムがロズワールのところに身を寄せている経緯はアニメだと軽くしか触れられていないが、原作小説だと「鬼の里」を亡ぼした魔女教の連中に復讐する過去エピソードが執筆されています。『隠れ里の鬼姉妹』というタイトルで、1期目の円盤特典として付いてきたスピンオフ作品。こちらは電子化もされておらず、現在だと少し入手困難か。数が多いからそこまでプレミア化してないし、駿河屋とかメルカリなら1000円前後で買えるかもしれません。話をOVAに戻すと、『Memory Snow』は二章と三章の間に位置するエピソード。日常要素が強く、あまり本編とは密接に関わってこないのでストーリーだけ追いたい人は飛ばしても大丈夫。『氷結の絆』はエミリアの過去編で、これも『隠れ里の鬼姉妹』同様に円盤特典でした。コミカライズ版もあります。「四大精霊」の一角である「メラクェラ」が登場するエピソードで、エミリア自体にそこまで興味がないのであれば飛ばしても構いませんが、なるべくなら目を通しておいた方がベター。
アニメの2期目は2020年7月、夏アニメとしてスタートしました。しかし制作の都合からか、1期目と違って連続2クールではなく分割2クール。後半に当たる第2クールは2021年1月、冬アニメとして放送された。3期目も分割だったし、「放送が飛び飛び」なのも記憶が混乱する要因の一つと言えます。物語は四章、いわゆる「聖域編」に突入。三章は「魔女教」が重要なファクターとなっていたが、四章は「魔女」そのものについて掘り下げていく。リゼロの世界において、昔は「七つの大罪」に対応する「七人の魔女」がいました。しかし「嫉妬の魔女」である「サテラ」が他の魔女たちの力を奪ったことで、サテラが「唯一の魔女」となります。そしてその莫大な力を振るって世界を亡ぼしかけたが、封印された。魔女教が崇拝しているのは「七人の魔女」ではなく、あくまで「唯一の魔女」サテラのみ、他の六人は「ニセモノ」と唾棄している。そんな、魔女教からも認められていない「強欲の魔女」エキドナが眠る「聖域」で繰り広げられる、やや難解なストーリーがアニメ2期目の「聖域編」です。25話費やして原作の10巻から15巻まで、6巻分のエピソードを描いている。2期丸々4章だし、OPやED、時にはCMすら削って本編のボリュームを増やしたから物凄く長く感じたかもしれませんが、原作の長さで言うと実は三章と同じくらいなんです。
エキドナの記憶を再生し、「七人の魔女」について触れたり、100年前(エミリアが眠りに就く前)のエピソードが挿入されたりと、後から見返すと非常に重要な伏線が埋設されているのだけれども、初見だと「よくわからない」って戸惑った人も多いのではないだろうか。特に「村長」こと「リューズ」は同じ見た目の個体がいくつも出てきますし。簡単に言うとあれはクローンで、聖域の外に行った個体もいます。そちらは「スピンクス」と名乗って外伝作品の『剣鬼恋歌』(ヴィルヘルムの爺さんがまだ少年だった頃の話)に登場。『剣鬼恋歌』は外伝作品の中でも特に重要なエピソードゆえコミカライズ版もあり、アニメしか観てない人は敵役の一人「バルガ・クロムウェル」の見た目にビックリするかもしれません。『剣鬼恋歌』のスピンクスは本編にも影響を及ぼす存在だから、いずれアニメでも触れられる……はず。三章や五章の「魔女教の大罪司教が出てくるからそいつをぶっ飛ばせばいい」というわかりやすい目標設定に比べて「何を成し遂げればいいのか」が見えにくく、爽快感が少ないこともあって四章の評価は割れ気味である。アニメから入った人だと回想シーンが多過ぎて話が前に進まない、と苛立ち「2期の途中で脱落した」ってケースも割と散見されます。その脱落した人が若干戻ってきたかな、という印象を抱いたのが3期目です。
アニメの3期目はまだ記憶に新しいのではないだろうか。2024年10月、秋アニメとしてスタートしました。1話目「劇場型悪意」はなんと90分もある。通常の4話分に相当する大ボリューム。一章と同じくらいの分量をまとめて放送するという、大ヒットアニメにしか許されない掟破りの変則形式です。3期目は五章に当たる「水門都市編」、やはり今後は原則として一つのシーズンで一つの章をやるんだろうな、と実感させてくれた。まるでヴェネツィアのような水の街「プリステラ」を舞台に、魔女教の大罪司教たちが次々と襲撃してくる。「憤怒」担当の「シリウス・ロマネコンティ」、「強欲」担当の「レグルス・コルニアス」、「色欲」担当の「カペラ・エメラダ・ルグニカ」、「暴食」担当の「ライ・バテンカイトス」「ロイ・アルファルド」「ルイ・アルネブ」、なんと「七つの大罪」のうち半分以上が一気に押し寄せる「ヤバいですよ!」としか言いようがない章だ。「怠惰」担当のペテルギウスが既に討伐済みであること、魔女教の本尊である「嫉妬の魔女」サテラが封印中だということを考慮すると魔女教のほぼ総力を投じたような大計画です。ひたすらバトルが続くので四章に比べれば「敵」が明確ながら、複数のストーリーが同時進行するため一回見ただけでは内容を把握し切れないかもしれません。カペラあたりは「なんかいつの間にかいなくなった」という印象を受けるのではないだろうか。なおアニメでは3期で初登場となった吟遊詩人「リリアナ・マスカレード」は原作だと短編集の1巻に出てくるキャラで、プリステラの統治機構である「十人会」に所属する商会主「キリタカ・ミューズ」との因縁も短編「ゼロから始まる英雄譚」にて綴られるが、スバルたちとリリアナ、お互いに面識がなかったことから察するにアニメでは「なかったこと」にされている模様。短編集は重要なエピソードと比較的しょうもないエピソード、両方が混在しているのでアニメしか観てない人に薦めた方がいいのかどうか迷うんですよね……スバルの女装した姿である「ナツミ・シュバルツ」とか、アニメでやってほしいネタもいくつかあることはある。
3期目はレグルスをボコるところとか、爽快感のある代物ではあったが構成が複雑で、たとえば「大罪司教とは別に暗躍していた存在」はファン以外の人だとあんまり記憶に残っていないかもしれない。今回も分割2クールで、前編に当たる「襲撃編」が10月スタートで11月エンド、後編の「反撃編」が翌年2025年2月に開始して3月に終了と、かなり変則的な枠だったから「知らないうちに反撃編始まってた」と驚いた方も少なくないはずだ。エピソード数は16話とやや少ないが、先述した通り「劇場型悪意」がかなり長くて4話分くらいはあったから+3話で19話分のボリュームとなります。原作の五章は16巻から20巻まで、5巻分なので三章や四章よりは若干短い。今年4月から始まる4期目は六章「砂の塔編」で、原作21巻から25巻に該当する。5巻分だから五章と同じくらい、ただページ数は六章>五章です。六章最終巻(25巻)は他の巻よりも100ページくらい多いので。20話分あればちょうど終わりそうだから、前半10話後半10話みたいな構成かしら。何であれ、1期から2期、2期から3期に比べればあまり間が空かなかったことは感謝したい。ありがとう、ありがとう。この調子で5期、6期と続けてファイナルシーズンまで行ってほしいです。
ちなみに、原作は今何章まで進んでいるかと申しますと、九章です。リゼロは初期の時点で「全十章編成」と公言していたから次の十章で終わり……ではなく、書いているうちに構想が膨らんだらしく、2013年に活報(活動報告)で「それと、全十章編成といったが、すまんありゃ嘘だった。十一章になっちった。」と告げています。2013年というのはまだ書籍版が刊行される前(1巻が出たのは2014年1月)です。「じゃあ、次の次の章で終わりなの?」かと申しますと、それも怪しくてですね……4期目でやる予定の六章の次、七章「〇〇編」(ネタバレなので伏せる)はもともとだとやる予定がなくて「急遽書くことになった章」らしいんです。最初は八章「××編」を七章にするつもりだったけど、「前フリになるエピソードが必要だな……」と考えて突然追加することになったんだとか。七章は26巻から33巻までの8巻分、八章は34巻から38巻までの5巻分で、ほぼ連続したストーリーだからまとめてやるとしたら13巻分――4クールぐらいは必要になる勘定です。しかもこれ、短編集や外伝の重要なエピソードを削ったうえでの巻数なんで、本編以外のネタも拾うとなるともっと掛かる。『最優紀行』や『緋色姫譚』あたりはOVAでやってほしいけど、そこまでアニメ化するほどのリソースはなさそうな感じなんだよなぁ。
まとめると、1期目(2016年)は連続2クールで全25話(初回1時間SPなので実質26話分)、2期目(2020年・2021年)は分割2クールで全25話(回によってはOPやED、CMすら削って本編の時間を増やしているため実質的には27話分くらい)、3期目(2024年・2025年)は変則的な分割2クールで全16話(初回が物凄く長いので実質19話分くらい)、「実際の通算話数」は66話だけど「実質的な通算話数」はざっくり72話あります。ちょうど6クール分ですね。リゼロのアニメは従来の放送枠に囚われない傾向にある(そのせいで本来流すべきOPがほとんど流れず、アニメ制作会社「WHITE FOX」のお偉いさんがレコード会社に頭を下げたという噂もある)から、4期目(六章)が何話くらいになるのか正確に予想するのは難しいです。ただ、原作のボリューム的には3期目(五章)より若干多い程度なので、キツキツだった2期目よりは余裕があると思う。ファンが心配しているのは5期目、七章と八章は本当に長いしキリどころが難しい……正直、原作は戦闘シーンが長引き過ぎてダレてしまうところがある。スバルが死に戻りしながら勝ち筋を探すバトルなんかは面白いんですが、スバル以外の面子が強敵と戦うシーンを何個も連続して描かれると「リゼロらしさ」を感じにくくなるっていう難点が……。
最後に、4期目でやる六章の内容についてちょっと触れます。3期目までの展開を含む出だしあたりの軽いネタバレを行うので、原作未読で「放送開始まで内容知りたくない!」という方は次の段を飛ばしてください。
プリステラの騒動が片付いてひとまず落ち着きを取り戻したスバルたち。未だに目を覚まさないレム、名前を奪われて弟にさえ存在を忘れられてしまったユリウスをどうにかしようと、東の果て、「アウグリア砂丘」に建つと言われる「賢者の塔」を目指す。賢者とは、かつて「嫉妬の魔女」サテラが世界を亡ぼそうとしたときに初代剣聖「レイド・アストレア」(ラインハルトの祖先)やルグニカ王国の守護者でもある神龍「ボルカニカ」とともに旅立ち、力を合わせてサテラを封印した――と語り継がれている人物である。およそ400年前の話であり、表舞台に出ることを嫌がって辺境に隠棲してしまったため、賢者に関する詳しい情報は残っていない。レムやユリウスをどうにかするための手掛かりはあらゆる知識を収めた「賢者の塔」にあると思われるが、塔の建つアウグリア砂丘は魔物たちの棲み処であり、しかも訪れてきた者を迷わせる結界のようなものが張り巡らされているため「招かれざる客」が到達することはできない。ラインハルトもこの砂丘を突破しようとして、どうしても塔に辿り着けず断念した、という過去がある(なおラインハルトが塔を目指したのは「ルグニカの王族が次々と不審な死を遂げていく呪い」をどうにかしようとしたから)。「最強」の名を抱くラインハルトさえも踏破に失敗する魔境、攻略の鍵として駆り出されたのは、かつて「腸狩りのエリザ」とともにロズワール邸を襲撃した魔獣使い「メィリィ・ポートルート」だった……という感じで2期以来久々にメィリィが登場します。厄介な敵が、まだまだ信用ならぬとはいえ強力な味方になる展開、ワクワクしますよね。砂丘に建つ塔が舞台なので六章は「砂の塔編」と呼ばれることが多いんですけど、塔の正式名称は「プレアデス監視塔」。またしても「地球から見える星」に因んだネーミングであり、何者かの作為を感じる。塔に辿り着くまでがひと苦労なんで、また90分くらい使って初回拡大SPでもやんのかな? 塔に辿り着いてからの展開に関しては触れないでおきますが、ファンの間では「三章に匹敵する絶望」「ことによったら三章すらも上回る絶望」と専らの評判ですからアニメ初見勢の方々は存分に身構えてほしい。私も原作読んだ時は「作者、どれだけスバルをイジメたいんだ……?」と戦慄しましたからね。私がスバルなら確実に心が折れてると思いました。
・『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 』、3期目は2026年7月より放送開始、新作スマートフォンゲーム『クロニクル・オブ・エコーズ』も配信予定
『無職転生』の新作も今年放送だ、やったぜ。なろうでも書籍版でも本編は完結しており、現在は後日談に当たる『蛇足編』を展開中のシリーズです。アニメは2021年に1期目を分割2クールで放送し、2023年と2024年に2期目を同じく分割2クールで放送、恐らく3期目も分割2クールで7月に前半、来年の1月あたりに後半を放送するんじゃないかと思います。『無職転生』を制作している「スタジオバインド」は「『無職転生』を最初から最後まで安定してアニメ化するために立ち上げた」というスゴい会社で、『無職転生』の合間に他のアニメ制作も手掛けてるんだけど、そのラインナップが『お兄ちゃんはおしまい!』『花は咲く、修羅の如く』『瑠璃の宝石』というんだから打率ヤバいです。
1期目は原作の1巻から6巻まで、2期目は原作の7巻から12巻までをアニメ化したから、3期目は13巻から18巻までやるのかな? 17巻がストーリーの大きな区切りで、18巻は若干番外編めいた内容&19巻の前フリに位置するエピソードだから17巻のところで終わりの可能性もある。2期目で登場してすぐに別れた弓使いの少女「サラ」や、1期目のラストで姿を消した赤髪の剣士「エリス」が再登場し、ある意味で「昔の女を通じて自身の過去に向き合うストーリー」となっています。3期目となるとさすがにダレてきたり細部を忘れてしまう視聴者も出てくると思いますが、ビックリするような新展開も待ち構えているので「『無職転生』か〜、作画は安定しているけどストーリーうろ覚えなせいもあって楽しめるかどうか不安なんだよな〜」という方も是非観てほしい。
『無職転生』の本編は全26巻、たぶん4期目で完結するんじゃないかと思います。さっきも書いた通り、話としての大きな区切りが17巻だから、3期目は17巻のところで終わって、18〜21巻のあたりは劇場版やOVAでやるパターンもなくはないだろう(『無職転生』のOVA、一回だけ円盤特典として「エリスのゴブリン討伐」という番外編を作っています。確かテレビでは放送されたことないハズだけど、今は各種配信で観れる)。原作の22巻から最終決戦へ雪崩れ込んでいくし、その先はもう切りどころがありません。制作に余裕があるなら3期(13〜17巻)・4期(18〜21巻)・5期(22〜26巻)みたいな構成の可能性もあるけど……何であれ、3期目でいよいよ折り返し地点を超えるので、ようやく終わりも見えてきた印象があります。ちなみに『無職転生』には本編と蛇足編以外に特典として書き下ろされたSSをまとめた『リコレクション』および『スペシャルブック』もあり、内容は重複していないのでコンプ勢は両方ともマスト・バイだ。
あと、3期目に合わせて新作アプリ『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 クロニクル・オブ・エコーズ』も配信されるそう。公式略称「クロエコ」。『無職転生』のソシャゲは1期目を放送していた頃に『無職転生 〜ゲームになっても本気だす〜』というタイトルで配信されていたんですが、人気がなくて2期目の放送が始まる前にサービス終了してしまった。調べてみるとサービス開始が「2021年3月27日」で、サービス終了が「2022年8月31日」……1年半も保たなかったんだな。私はプレーしていなかったが、評判によると「ゲームそのものが面白くないこともさることながら、青年期編に入る前にリリースを強行したせいで登場するキャラが少なく、ファン向けとしても微妙な内容」だったらしい。確かに少年期編のキャラだけで回すのはだいぶ無理があるよな、うん。原作者監修のオリジナルストーリー「パウロ外伝」(主人公の父親「パウロ・グレイラット」が貴族である実家を出奔して冒険者になるまでの過程を綴る)が読める、というのも売りの一つだったが、この「パウロ外伝」も配信途中でサ終が決まったため「続きを公式サイトでテキスト形式にして公開する」という荒業を繰り出すことに。その公式サイトも閉鎖されたので、現在は読むことができません。クロエコの方で「パウロ外伝」もサルベージされるのだろうか……ちなみに、こういうアプリゲーで「本編で触れられていないエピソードをやる」のは割とよくあるパターンで、『陰の実力者になりたくて!』のソシャゲ『マスターオブガーデン』にも「七陰列伝」という主人公の腹心たち「七陰」の活躍を描く外伝的なコンテンツがあります。結構人気があって、コミカライズ版も出ている。未だに更新が続いているし、もはや「七陰列伝」の方がメインコンテンツになりつつあります、カゲマス。
・『少女☆歌劇レヴュースタァライト』シリーズ続編となる完全新作アニメが制作中、ブシロードの公式発表会で明らかに。アニメーション制作はキネマシトラスが担当する(電ファミニコゲーマー)
スタァライトの完全新作アニメ!? “幻想(ユメ)”じゃねえよな案件すぎる。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は「舞台歌劇」(身も蓋もない書き方をすると「宝塚みたいなやつ」)をテーマにしたメディアミックス企画で、舞台・アニメ・ソシャゲの3本を柱に展開してきたプロジェクトです。コミカライズとかもあるけど、そのへんはメインコンテンツというほどではない。舞台でそれぞれの役を演じる俳優たちがアニメやソシャゲでも担当キャラの声優を演じるという、バンドリに近い形式の企画で、似たようなことは『アサルトリリィ』もやってますね。
世間的に有名なのは2018年に放送されたTVシリーズだろう。宝塚みたいな音楽学校の地下深くで少女たちが「レヴュー」という名の謎バトルを繰り広げ、ツダケン(津田健次郎)ボイスのキリンが「わかります」と嘯くシュールなアニメ。突飛な演出も相俟って序盤で脱落する視聴者も少なくなかったが、篩に掛けられてなおしがみつく熱心な固定層を掴み、2020年に総集編の劇場版『ロンド・ロンド・ロンド』(通称「ロロロ」)、2021年に完全新作でありほぼ完結編と見做されている(時系列的に3年生の途中なんだが、エピローグで卒業後の様子が描かれる)『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(通称「劇ス」)も公開された。ブシロードの代表取締役である「木谷高明」曰く、スタァライトのプロジェクトは舞台やアニメだとあんまり稼げていない(劇スの興行収入も3億円くらいだ)が、ソシャゲの「スタリラ」が稼ぎ頭で何とか保っている、と。スタリラこと『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-』は2018年にサービス開始し、6周年を迎える直前の2024年にサービス終了したゲームです。アニメでは9人しか登場しなかったネームドの「舞台少女」が+23人で計32人も出てくる。オリジナルの楽曲も多く、ぶっちゃけゲームパートの出来はお粗末というか「毎月環境が壊れる」ようなゲームバランスでしたが、個人的にそこまで嫌いではなかった。ただ、後から後からどんどんコンテンツを増設していったせいでデイリーミッションが重たくなってしまい、面倒臭くなってアンインストールしちゃったな……。
2024年に稼ぎ頭だったスタリラがサ終したことで暗礁に乗り上げたスタァライトプロジェクトでしたが、同じ2024年にコンソールゲームとして『少女☆歌劇 レヴュースタァライト 舞台奏像劇 遙かなるエルドラド』を発売し、翌年2025年にはスロット化・パチンコ化したことでしぶとく命脈を繋ぎました。「稼げている以上、『次』はあるはず……!」というファンたちの期待に応え、やっと齎された完全新作アニメの情報がコレってわけです。
制作は「キネマシトラス」、KADOKAWAやブシロードと業務提携しているスタジオで、古いところだと『ゆゆ式』やごちうさの2期目(『ご注文はうさぎですか??』)、比較的新しいところだと『メイドインアビス』や『盾の勇者の成り上がり』を手掛けている。これまでのレヴュースタァライトのアニメもキネマシトラス制作だから、要は「変更なし」ってことですね。スタッフに関しては今のところ公表されていない。これまでのアニメは『少女☆寸劇 オールスタァライト』以外ずっと「古川知宏」が監督を務めていましたが、続投するのかどうかハッキリしない。古川知宏は「ラブコブラ」と通称されるタイトル未定の新作アニメに取り組んでいるハズなんですが、そっちはもう4年くらい続報がないのでまだ企画が生きているのかもうポシャッたのかよくわかりません。
「シリーズ続編」と明言しているけど、じゃあ何をやるのか? という点についても不明です。これまでのアニメは「聖翔音楽学園」の99期生、通称「九九組」の9人をメインにしていましたが、「いい加減九九組の面子で話を引っ張るのは無理があるのでは?」と見られている。何せ劇スでもう卒業後の様子まで描いちゃったし……いえ、その後しれっと『遙かなるエルドラド』を出したりはしましたが。さすがに「夢を叶えたら(叶わなくても)次の目標に向かえ」というメッセージを打ち出した作品で延々と「かつての人気キャラ」を擦り続けるのは自己矛盾が過ぎる。一応、舞台版やソシャゲ版のオリジナルキャラもたくさんいますが、サ終したゲームのオリキャラをメインに完全新作をやる、というのはちょっと考えにくいか? そうなると「キャラ総取っ替え」の可能性も否定し切れない。何なら「人類が宇宙進出を果たした遥か未来、戦乱の中で旧文明の残照たる『舞台少女』を目指し続ける者たちがいた! スタァウォーズ、開幕です!」みたいなSFすらありえる。別に現代劇じゃないとスタァライトやれないってわけじゃないですから。「自らの手で星の光を掴もうと腕を伸ばす」のであれば、極論、何もかもがスタァライトだ。
・「バンドリ!」の新作モバイルゲーム『BanG Dream! Our Notes』が2026年にリリース決定!「MyGO!!!!!」「Ave Mujica」「無限大みゅーたいぷ」そして、新たな2バンド「millsage」「一家Dumb Rock!」が登場(電ファミニコゲーマー)
スゴい情報来たな……映画『BanG Dream! Ave Mujica prima aurora』のニュースを記事にするつもりだったけど、それどころではなくなった。なので先に『prima aurora』の話をササッと終わらせよう。要するにAve Mujicaの劇場版なんですが、MyGOと違って総集編ではなく新作です。桜を見上げる祥子のキービジュアルが公開されているところから見るに物語の時期は春? prima aurora(プリマ・アウローラ)は直訳すると「夜明け前」ですが、プリマヴェーラ(春)のイメージを重ねているのかもしれない。マイムジにとって「春」というのは「CRYCHIC」を結成した季節であり、同時にCRYCHICが解散したシーズンでもある。そのへんを掘り下げる過去編の可能性もありますが、もう本編で充分描き切っているからあくまで「可能性がある」というレベルかな。順当に考えれば本編終了後の春、つまり燈や祥子たちが2年生に進級するあたりの話なんじゃないかと思うが、まだ確定ではない。マイムジはTVシリーズの新作も予定しているが、今年は夏にゆめみたのアニメやって、秋にこの『prima aurora』を公開する予定だから、早くて来年の1月くらいになりそうですね。とにかくストーリーの詳細が気になります。
さて、本題の『BanG Dream! Our Notes』に移ろう。アワーノーツ、まさかの新作アプリです。これまでバンドリの旗艦だったガルパ(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』)とは別に、新規のソシャゲを立ち上げるというまさかの展開に全バンドリファンがどよめいた。いつまで経ってもガルパにAve Mujicaを実装しないのはなんでかと思ったら、そういうことかよ……! と。ガルパは2017年3月16日にサービス開始、あと2ヶ月ほどで9周年を迎えるアプリだけにさすがにあちこちで古いところが出ていたし、「いい加減にバンド増え過ぎだろ」問題も発生していました。サービス開始時点で5人編成のバンドが5組、計25名のバンド少女がいたのに、RASやモルフォが追加されて7バンド35名、更にMyGOが加わって8バンド40名、ここにAve Mujicaやゆめみたまでブチ込むと10バンド50名で「多すぎるだろ」ってなってしまう。だから株分けするのは合理的な判断だと思いますが、ガルパに愛着のあるファン層は動揺を隠せません。どう考えてもガルパの方の運営を縮小させるつもりだろ、と。ブシロは「今後も運営を継続」とアナウンスし、プロデューサーレターで「ガルパはMyGOより前の7バンドの物語を継続、MyGOに関しては今後バンド単独イベントを行わないがキャラ自体は引き続き登場する」ことを伝えています。既にガルパでマイムジ関連のガチャを散々やっているから、当然荒れるだろうな……ガルパには「衣装解放」のシステムがあり、獲得したキャラのライブ衣装を他のキャラにも着せることができる。祥子や睦に着せるつもりで衣装を揃えていたプレーヤーもいるので、このへんの問題は尾を引きそうだな。
で、『BanG Dream! Our Notes』、公式略称「アツドリ」はMyGO、Ave Mujica、ゆめみたの3バンドに完全新規の2バンドを追加し、サービス開始時のガルパ同様「5バンド25名」の陣容でスタートする模様です。完全新規のバンドが一気にふた組も生えてきたらそりゃ界隈もザワめきますよ。ひとつ目は「millsage」、白い衣装で統一したツインギター&フロントマンがキーボードヴォーカルのバンド。これまでのバンドリだとキーボードの子は何人かいるけどフロントマンやるのは初めてでは? 「両手いっぱいの幸せを、あなたに。」がキャッチコピーなので、ガルパに出てくるバンドだったら「しっとりしたハロハピ」みたいな印象で済むけど、マイムジの方だからひと癖もふた癖もありそうな予感しかしない。白尽くめだからという理由で「ホワイトラスカルズ」と呼ばれているのには笑った。今のところフロントマンの「汐見蛍」だけCVが公開されているが、「薬師寺李有」……ほとんど活動歴のない新人みたいですね。「和泉朋花」はピンク髪だから若干愛音と印象が被るな……ふたつ目のバンドが「一家Dumb Rock!(いっかだんらん)」、こっちもツインギター。メンバーの名字はバラバラだけど「マイ・ファミリー」と呼んでいるところから察するに疑似家族バンドか? なんかそれぞれ事情を抱えてそうだな。今のところ新規2バンドはアツドリでの登場とマイムジツーマンライブの前座(オープニングアクト)としての出演しか告知されていないが、『prima aurora』の方にも顔出しするのかしら。それより前に『元祖!バンドリちゃん』に出てくるかも。
ガルパが「平成バンドリ」、アツドリが「令和バンドリ」として両立することが理想的だけど、今後新規はアツドリに流れていくだろうし、現実的にはガルパの方がどんどん規模を縮小させていくことになりそうな予感がします。マイムジってもともとガルパと関係ないバンドアニメの企画として始まって、途中で合流することが決まって設定も変更された――という経緯があるのに、結局独立しちゃうんだな……ガルパファンからすると「踏み台にされた」は言い過ぎとしても「腰掛け扱いされた」感覚はあるだろう。バンドリはアニメ・アプリ・リアルライブでそれぞれ微妙にファン層が重ならないというプロジェクトだから、今後もこういう試行錯誤が続きそうな気配が漂う。ちなみに私は配信開始されたらちょっとだけアツドリ触ってみるつもりですが、たぶん音ゲーだろうし、すぐに投げ出してしまうかも(音ゲー超苦手)。
・「信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略」TVアニメ化決定、記念イラスト公開(コミックナタリー)
あ、これオーバーラップ文庫から出ているやつか。確か書籍版は12冊出ていて、あと1冊で完結するんだっけ? 簡単に説明すると「クラス転移モノ」です。例によって例の如く主人公の所属するクラスが丸ごと異世界に召喚され、クラスメイトたちはチート能力を授かるのに主人公だけなぜかショボい能力で冷遇される……という、もう何度見たのかも思い出せなくなるいつものパターン。主人公は信者ゼロの女神サマ「ノア」の信者になることで異世界攻略の糸口を掴む。ひと癖もふた癖もある『ありふれた職業で世界最強』や『ひとりぼっちの異世界攻略』に比べてマイルドな作風というか、「クラス転移モノ」の最大公約数を狙っているようなノリです。「この作品ならでは」というポイントはないんだけど、広く浅く需要を汲み取っていく展開で、割合サクサク読めます。
先に書いておきますが、複数のヒロインとくっつくハーレム系のファンタジーです。「ヒロインに対して一途な主人公じゃないとイヤ!」って人はやめておいた方が吉。逆に書けば、ハーレム展開に耐性のある人ならまずまず楽しめる内容だと思います。とにかく読者ウケしにくい要素を削ることに尽力したファンタジーであり、「粗削りだったり個性的だったりする作品よりも癖のない作品が好き」という人にはちょうどいいかも。私は途中で飽きて積んでしまったが、アニメやるんなら崩そうかな……放送までだいぶ先だろうし、ゆっくり待つとします。
2026-01-06.・「スピキ」欲しさにサブ端末で『トリッカル』を始めた焼津です、こんばんは。
このサブ端末(タブレット)、セールで安かったから購入して、とりあえず『ラストオリジン』をインストールして当時開催されていた虚淵玄シナリオのイベント「怒りの狼牙」をプレーしたんですけど、イベントクリア後はあんまりやる気が湧かなくてマンガアプリ用に使うぐらいの用途しかなかったんですよね。「いずれ虚淵イベント第2弾が来るかもしれないし……」とデータを残していたが、3年経っても音沙汰ナシなのでいい加減に諦めて『ラストオリジン』をアンインストールし、代わりに『トリッカル』を入れた次第であります。
『トリッカル』は韓国産のゲームです。中小規模のゲーム会社「EPID Games」が開発し、中国の「bilibili」が運営。2019年に発表された『Roll the Chess』という「オートチェス」(駒の配置を決めた後はオートバトルで進行するタイプのゲームを指すジャンル名、日本だとプリコネが以前に『プリコネ!グランドマスターズ』というアプリを出している)がベースになっているらしいが……『Roll the Chess』はベータテストを行ったところ、バグだらけ&単純に面白くないということで韓国のプレーヤーたちから酷評され、「褒められる点はチュートリアル漫画のSD絵が可愛いことだけ」と皮肉を言われたそうです。ここでへこたれずに「いいこと聞いた、じゃあイラストは全部SD絵の人に描いてもらおう」と開き直ったのがスゴいところ。急遽アートディレクターとして抜擢されたのが「diyap」というイラストレーターで、この人は『ラストオリジン』の公式漫画「ラストオリジン漫画劇場」を手掛けた方です。ごく一部でミーム化している「ラストオリジン…サービス終了…」や「ラストオリジン 流行らせてください…」を生み出した功績もある。日本で喩えると『マンガで分かる!Fate/Grand Order』の「リヨ」に新作アプリのアートディレクターを頼んだようなものです。TYPE-MOONがエイプリルフールの悪ふざけでやるようなことを社運賭けてやっちゃったわけだ。
その際にタイトルを『Roll the Chess』から『トリッカル』に変更。「トリック」+「ミュージカル」で「トリッカル」だ。ゲームを根本から作り直し、2021年にやっと正式サービスを開始するが、告知していた予定時間から大幅に遅れたうえ、早々に決済エラーが多発。なんとサービス開始から2時間後にオープンベータへの移行が決定しました。翌2022年には健康問題を抱えていたdiyapがEPIDから退社していることを明かし、サービス再開は絶望的かと思われたが……同年、クローズドベータテストを実施、このときまたタイトルが変わって『トリッカル Re:Vive(リバイブ)』になりました。言うまでもなく『プリンセスコネクト!Re:Dive』のパロディ。大幅に改修したゲーム内容が評価を得ます(ついでに開発資金捻出のため会社の代表が自宅を担保にしたことも話題になる)。そして2023年にようやくサービス再開、韓国版は現在もタイトルに「Re:Vive」が付いたままです。2024年に「大韓民国ゲーム大賞」で優秀賞を受賞。グローバル版のリリースで海外進出を目指す、と宣言します。2025年10月にやっと日本でのサービスを開始。日本版の正式タイトルは『トリッカル・もちもちほっペ大作戦』です。bilibiliが大量にクソ広告を流したせいで「胡散臭いゲーム」と警戒されるも、diyapのタッチを受け継いだSDイラストが刺さる人には刺さってジワジワと人気を伸ばしていった。11月頃から「スピキ」というネットミームが流行り始め、12月になって爆発的な勢いで増殖。公式もこの機を逃すまいと、ゲーム内にスピキを実装することを発表しました。で、それに私が釣られたってわけ。
まだ触ったばかりなので何とも言えないが、さすがに序盤の敵は弱いというか鎧袖一触でサクサク進む。もうちょっと進むと苦戦するようになっていくんだろうな。典型的なガチャゲーで、石やガチャチケを使って仲間を増やす「例のアレ」ですが、好きな☆3キャラと交換できる選択チケットも配ってくれるのでリセマラしなくてもお気に入りのキャラで遊び始めることができます。やっぱりスピキ目当てで始めたプレーヤーは元ネタの「スピッキー」と交換するパターンが多いのかしら。私はまだ迷っていて使っていません。とりあえずピックアップ回したら「エピカ」という吟遊詩人のキャラが引けたから使っているけど、この子、なかなか可愛いな……「第一印象はそんなにだったのに、使っているうちにだんだん愛着が湧いてくる」というソシャゲあるある的な罠に引っ掛かっています。罠でもいい! 罠でもいいんだ! 攻略wikiとかの情報によると、エピカは「エルダイン使徒」という他のゲームで言うところの「フェス限」に相当するキャラらしく、強いみたいなのだがまだ序盤なんであんまり実感ない。ちなみに初心者用ミッションをクリアするとエルダイン5名の中からお好みの使徒と交換できるチケットが貰えるのですが、ミッションの後半で「エルダイン5名の中からランダムで1人当たるチケット」が配られるため、すぐに使っちゃうと被る可能性があります。注意しましょう。
『トリッカル』の舞台となるのは「エーリアス」と呼ばれる世界。「世界樹」を中心とするファンタジーなワールドで、「妖精」「獣人」「エルフ」「精霊」「幽霊」「竜族」「魔女」の7種族が暮らしている(種族不明の子もいる)。キャラクターは全員SD調のイラストで描かれているが、これはデフォルメではなく「本当にこういう姿をしている」。頭身が低く、ずんぐりした体型で、ほっぺが異様にもちもちしているうえ指が4本しかない。プレーヤーの分身である主人公「教主」は「人間」なのだが、もちほっぺ連中からすると「巨人」「手足が長くて気持ち悪い」「指が5本もある」と常軌を逸した姿に見えます。エーリアスにおいて一般的とされる信仰は「世界樹信仰」であり、それを取り仕切る「世界樹教団」にはかつて「人間」が救世主としてこの世界に降臨したという記録がある。しかし、初代教主は何らかの事情でいなくなってしまった。主人公は「死んだのか?」と訊くが、もちほっぺたちは「死」の概念が理解できず不思議そうな顔をする。エーリアスは「世界樹の力」によって住民が誰も老いず死ぬことがなくなった、常若の世界だったのである。どんな深刻な負傷をしてもカートゥーンよろしくすぐに治癒してしまうため、「命は大事」や「暴力はダメ」といった観念がない。ちょっと『事象地平戦線アーディティヤ』っぽいな、あっちは不死だけで不老じゃないし傷も常識の範囲でしか治らないけど。まぁ「痛み」はあるらしいから「暴力を振るうのは平気でも暴力を振るわれるのはイヤ」みたいな気持ちは存在する模様。とにかく倫理観が我々とは異なる世界として描かれており、コメディっぽいタッチながらどこかディストピアめいた風情も漂う。
「死」という概念はないが、なぜか「死後の世界」に相当する概念はあって、もちほっぺたちはそこを「週末農場」と呼んでいます。虫であれ植物であれ、あらゆる生命は「いつの間にか」週末農場へ送られてそこで永遠に幸せな時を過ごす……あくまで「そうだったらいいなぁ」みたいな口ぶりなので、本当に週末農場という場所(次元?)があるのかは不明です。そして主人公をナビゲートする、主人公にしかその姿が見えない謎の存在「ブルミ」がことあるごとに「親分」と口走っているが、この親分というのがいわゆる「神」的なもの(世界樹の意思?)ではないかと思われるが今のところ判然としません。他にも、住民全員が不死のはずなのにわざわざ「エルダイン(不死者)」と呼ばれているもちほっぺがいる、「死の概念」がないはずなのに「幽霊」というドクロをモチーフにした種族がいる……など、謎がゴロゴロしている。問題は、制作陣が意図して仕込んだ謎なのか、ローカライズ(というか翻訳)の過程でマズって謎になってしまったのかが曖昧なところだ。日本語・英語・中国語で遊べるグロ版と違って韓国語版は2年くらいストーリーが先行しているため、グロ勢の知らない使徒が多いし、前提となる情報に関してもかなりの格差が生じている。スピキの「チョワヨーチョワヨー」が出てくるイベントもグロ版ではまだやっていません。逆に言えばまだ間に合う……ということ!
・ついでに他のソシャゲの報告もしておくと、FGOの福袋は「丑御前」狙いで「上杉謙信」、ひびちか(阿曇磯良)狙いで「カズラドロップ」を引きました(両方所持済み)。被ったとはいえどちらも宝具レベル1だったし、使いやすくなったしまぁいいかな……という感じ。そして正月新規の「ロード・ログレス」は天井間近でやっと当たりました。11連を26回か27回なんで、ギリギリ300連には行かない程度ですけど「ほぼ天井」と言っていい回数ですね。冠位戴冠戦や採集決戦の周回で稼いだ絆石がごっそりなくなりました。もう一回天井叩けるほどの残量はないので、次の新規に怯えながら過ごすことになりそう。
ロスフラは新春イベントで晴れ着トウカ(正式名称は「トウカ[晴れ姿にて候]」)実装、先月の「アサト」で石を使い尽くしていたから糸(ガチャチケ)だけであんまり期待していなかったが、単発であっさり来ました。あっさり過ぎて演出飛ばしちゃった……ロスフラはハズレと思わせて実は、みたいな昇格演出が複数あるんでうっかり飛ばしてしまうことがしばしば。本編の第一部が去年の4月に終了し、第二部をやるのかやらないのかハッキリしないまま時間が経過していっているけど、せめてラクシャイン絡みのエピソードだけはやってほしいな。
グラブルは貯めていた石で天井まで回したら「サンチラ」と「ヴェルサシア」が来て、来なかった「白騎士」を交換しました。しばらく回さないうちにガチャの演出が刷新されていてビックリ。ピックアップキャラに関してはカットイン演出まで入っています。「まるでソシャゲみたいだ」と思ってしまった。ヴェルサシアは見た目が好みだからつい勢いで手持ちの金剛晶全部使って完凸。「トリプルゼロ」と「オロロジャイア」、どっちかしか完凸できないので選べず保留にしていた結果、「第三選択肢にすべて突っ込む」という割とよくある現象が発生してしまった。ともあれ、午のサンチラが来たことで十二神将が全員揃いました(水着除く)。グラブルは「毎年お正月に、その年の干支に因んだキャラを実装する」という恒例行事がありまして、最初が「未のアニラ」(グラブルのサービス開始は2014年3月で、未年の2015年が最初のお正月)だったからこれでようやく十二支が一巡したことになります。冷静に考えると作中のグランくん(ジータちゃん)も干支が一巡したことになってしまうが、細かいことからは目を背けよう。ちなみに十二神将の干支は「守護する方角」を表しており、たとえば未のアニラは「南南西の守護神、アニラ」といったふうに名乗ります。今回実装されたサンチラが「南の守護神」です。
かの「アンチラ事件」(「申のアンチラ」のピックアップ率が極端に低く、「70万円突っ込んでも引けなかった」という人が現われ炎上騒ぎへ発展した)によって天井が実装される契機にもなった十二神将が遂に完走か。来年から「十三仏」になるという噂もあったが、「バイシュラ」(通称「サジュダコハ」、年齢を訊ねられて早口気味に「三十代後半」と言って誤魔化そうとしたことに由来する、なお正確な年齢は37歳)がもう実装されているからそのへん不透明なんだよな……とりあえず来年のお正月に備えてまた天井分の石を貯め直すとします。
しかし、最近はメインクエスト全然やってないからイベントの終わりに「大浮上」という知らない単語が出てきてサンチラちゃんと一緒にビックリしてしまった。えっ、メインクエストではもう「イスタルシア」に着いて旅の目的を終えて帰ってきたところなの!? グラブルの主人公は行方不明になっている父が手紙に書き残した場所であるイスタルシアを目指して旅立つんですが、サービス開始から10年経ってもイスタルシアに辿り着かず、「サービス終了間際までずっと到着しないんじゃないか」と揶揄されることも少なくなかった。調べてみると2025年6月にメインクエストでイスタルシア編が始まって、10月にそのイスタルシア編が完結したらしい。知らなかった……ちなみに、イスタルシア編が始まる前のメインクエスト更新は2023年12月。なんと1年半も止まっていたんですよ。FGOも第2部第7章のミクトランが2022年12月開始で、間に奏章挟んで3年後の2025年12月にやっと第2部終章をやったという待たせぶりだったが、グラブルもグラブルでなかなかだな。
プリコネは「大人になったデカいコッコロ」、通称「デッコロ」が実装された。正式名称は「コッコロ(嚮導幼君)」。プリコネは「フルダイブ型のMMORPG」が舞台となっており、そのゲーム世界を作った7名の人物は「七冠(セブンクラウンズ)」と呼ばれ特別な権限を有している。コッコロちゃんの本名は「棗こころ」で、父「棗宙(なつめ・そら)」が開発陣の一人として七冠に名前を連ねています。七冠としての名義が「嚮導老君(グレートガイダンス)」、多忙ゆえ開発しただけでゲームは基本的にプレーせず、娘のこころが代わりにログインしていた結果、「ミネルヴァの懲役」(ゲーム世界にログインした人々がログアウトできなくなってしまう事件)に巻き込まれてしまった。「嚮導幼君(リトルガイダンス)」という名称は、本来父の権限である嚮導老君の力を、ゴンさんよろしく自己の姿を成長させることで一部ながら使用可能にした……という事情に由来するものであり、当たり前ながら現実世界のこころちゃんは小学生のままです。メチャクチャ簡単に言うとアバターだけ大人になって、それに引きずられた精神が「大人になったコッコロ」をロールプレイしているだけ。実質おままごとである。ただ、容姿が大人になる前からプレーヤーの間ではコッコロを「ママ」と呼ぶ風潮が根強くあるので、「倒錯感はあまり変わらない」という意見もある。開始時点では「ガイド役の従者」というポジションだったコッコロがいかに「ママ」のイメージへ変遷していったか、声優(伊藤未来)へのインタビューを交えて真面目に考察する2020年の記事もあります。途中でインタビュアーの長文考察が始まって伊藤さんが「い、いえ(笑)」とドン引きするところは笑える。なお、嚮導幼君で描かれる「大人の姿」は数多有る可能性の一つというか単なるシミュレーションに基づいて出力されたイメージ像に過ぎず、「こころちゃんが大きくなったら必ずこうなる」とは限りません(シナリオ担当チームもこの点に関しては明言している)。みんなの心の中にある「爆乳むちむち妙齢コッコロちゃん」や「どこぞのユニちゃんみたいにさほど身長が伸びない年増コッコロちゃん」が否定されたわけではない、ということ……!
プリコネをプレーしていない人(アニメだけ観ていた人も含む)はコッコロちゃんに「実年齢にそぐわない包容力」が備わっているように見えますが、実際のところゲーム内の彼女は独占欲が強く、過保護で、主人公が自分の知らない女性と仲良くしているとすぐにヤキモチを焼く。また「主さまの世話を焼く」ことが自身のアイデンティティになっている(現実世界のこころちゃんは「仕えるべき主」を求めて彷徨い歩くというヤバい小学生だった)から、他の誰かが主人公の保護者みたいなムーブをすると途端に落ち着きをなくす。「主さまの世話を焼いていいのは自分だけ」とことあるごとにアピールするので、意外と「面倒臭いカノジョ」の側面を持っているんです。献身の域を超えて支配の域に差し掛かっており、「主さまの何もかも、わたくしが用意して管理したい……♪」と結構ホラーな発言もしている。作中では精神面も徐々に成長していきますが、「案外こころが狭い」という人間臭さがあるのもコッコロちゃんの魅力だったりします。もう5年近く前になりますが、3周年イベントとして開催され、現在はサイドストーリーに収録されている「絆、つないで。こころ、結んで。」でとある異変によってギルド「美食殿」のみんなから忘れられてしまったコッコロちゃんが、異変を解決するためにたった一人で旅立つストーリーが展開される。涙ナシでは読めないイベントシナリオなので、「最近始めたけど、サイドストーリー多過ぎてどれを読んだらいいかわからない」という方は第1部が終わったぐらいのタイミングで読んでください。あとタイトルが「〇〇と聖なる学舎の異端児(リセエンヌ)」になっているシリーズはそれ散るや俺翼の「王雀孫」がシナリオを担当していて本編から独立しているのでオススメです。時系列は「森の臆病者(ぼっち)と聖なる学舎の異端児」→「授けの財団(エンジェル)と聖なる学舎の異端児」→「鋼の聖女(マリア)と聖なる学舎の異端児」→「真冬の真夏と聖なる学舎の異端児」。ただし「真冬の真夏〜」は2年前の開催でまだサイドストーリー入りしていません。
コッコロちゃんは「従者」という存在に憧れているけど、心の中では父や兄ような「庇護者」を求めていて、「主さま」の中にそうした像を見出そうとする面がある一方、「わたくしが守護らねば」という「主さまの保護者になりたい」欲望も抱えている。庇護者を求めながら保護者になろうとする捻れがコッコロちゃんの妙味であったわけだ。デッコロはそうした「庇護者を求める心」が非常に希薄となっており、捻れが解消されて保護者ムーブ全開となっているが、今度は「あわよくば異性(恋愛対象)として見てもらいたい」という別の欲望が混入して新たな捻れが発生しています。初期コッコロちゃんはあくまで「主さまの世話を焼きたい」だけで、お世話することができるならいわゆる「本妻」や「奥様」がいても構わない、というのが基本的な姿勢(ペコリーヌとイチャイチャしていても「あらあら、うふふ」みたいな反応)でした。さすがに「愛人」や「お妾さん」までは許容できないみたいだが。そして精神的に成長するにつれ、だんだん主さまを異性として意識するようになってきており、デッコロになったことで遂に最後のタガが外れてしまった印象があります。シナリオ担当は「対等の関係」と言葉を濁していますが、もうこれエディプスコンプレックスの段階に差し掛かりつつあるのでは? 驚異的な末脚でヒロインレースの先頭に躍り出たコッコロちゃんの明日はどっちだ。
・いいですか、落ち着いて聞いてください。『のうりん』の最終巻が出ます。(10年ぶり新刊)
真実(マジ)かよ、作者神(サクガミ)くん! 『のうりん』が……! ベッキーが……! 還って来る……俺たちの『のうりん』が還って来る!! 『りゅうおうのおしごと!』の「白鳥士郎」にとって初のアニメ化作品である出世作『のうりん』、1巻の刊行が2011年で、2014年にアニメ化、しかし2016年に13巻を出した後、ふっつりと音沙汰がなくなったシリーズです。『りゅうおうのおしごと!』に専念したかったから、というのもあるだろうが、そもそもGA文庫は2つのシリーズを並行して書かせて、片方が売れたらもう片方は止める――という真似を平然とやるようなレーベルです。「俺修羅」が当たったからと『踊る星降るレネシクル』を3年も止めた件は忘れていませんよ。
「次の14巻で完結予定」というのは告知されていましたが、10年近く止まっていたし、さすがにもう出ないのでは……と少し諦めかけていたことは事実。けどタイミング良く、と言っていいのかどうかわからないが、「令和の米騒動」で農業の話題がタイムリーになったこともあり、発刊が実現した模様。発売は来年の6月。「さすがにもうストーリーどんなんだったか、よく覚えてないよ」という人も多いだろうが、大丈夫、あらすじ読んだ感じだと「既刊を覚えていても覚えていなくてもブッ魂消る」内容になりそうだから……しかし昔の『のうりん』、本体価格が600円台であまりの安さに泣いちゃいそうですね。今や文庫ライトノベルの本体価格が800円超えていても驚かなくなってしまった。昔は800円超えるのなんて境ホラくらいだったのに……。
あ、それと『りゅうおうのおしごと!』の21巻も出ます。本編は20巻で完結していますが、この巻は「感想戦」、言わば後日談に当たるエピソードとのこと。のうりん最終巻の翌月、7月発売予定。「完結記念メモリアルブック付き特装版」というのもあるので『りゅうおうのおしごと!』が大好きな人はご検討ください。5500円(税込)もするから私はちょっと迷っている……『のうりん』も『のうりん』で特装版を作るためのクラファンやるみたいだし、情報多すぎて思考がまとまらないぜ。
・岩明均「ヒストリエ」TVアニメ化 アニメーション制作はライデンフィルム(コミックナタリー)
連載開始は2003年、今年で23周年を迎える大作歴史マンガです。原作者は『寄生獣』や『七夕の国』の「岩明均」。紀元前4世紀の古代ギリシャ(エーゲ海周辺)を舞台にしており、かの「アレクサンドロス大王」の書記官として名を残した「エウメネス」を主人公に据えています。出自に関しては謎が多い人物なので、創作要素もかなり含まれている。アレクサンドロスの出身は「マケドニア」という国で、これに対しエウメネスの出身地は「カルディア」という、現在トルコの北西部に当たる国。いろいろ事情があって故郷から離れた地で暮らしていたエウメネスは久しぶりにカルディアへ帰ってきたが、なんと街の周辺がマケドニアの軍勢に包囲されていた。マケドニアの王「フィリッポス2世」(アレクサンドロスの父)と出逢い、マケドニアでの職を得たエウメネス。彼は明晰な頭脳を活かしてどんどん出世していくが、「外国人」であるがゆえに完全に溶け込むことはできない……というようなストーリーです。
古代ギリシャに関する知識がないとなかなか細部まで理解することのできないマンガですが、細部がわからなくても岩明均の圧倒的なマンガ力で読ませてしまう。「なんだかわからないが、とにかく面白い!」と夢中になる読者が後を絶ちません。いわゆる「ネットミーム」になった箇所も多く、兜を着用した髭面のオッサンが「ば〜〜〜〜〜っかじゃねえの!?」と叫ぶ、SNSで一度は見たことがあるであろうシーンも元ネタはこの『ヒストリエ』です。第8話の「スキタイ流」、1巻に収録されている。幼少期のエウメネスが「よくもだましたアアアア!!」と絶叫するコマは第20話「買い手あらわる」、3巻の冒頭です。
現時点での最新刊は12巻、ストーリー構成としてはまず「なぜ主人公エウメネスが故郷から離れた地で暮らしていたのか」という事情を綴る幼少期編(1巻〜4巻)から始まり、フィリッポス2世に気に入られて重用され後の大王「アレクサンドロス」やその腹心「ヘファイスティオン」と邂逅するマケドニア編(5巻〜7巻途中)、アテネの植民都市(ポリス)「ペリントス」と「ビザンティオン」を攻略するために従軍する遠征編(7巻途中〜8巻)、攻略に失敗して一旦マケドニアに戻った後「本国をどうにかしよう」とエウメネスたちが「アテネ」に潜入し史実に残る「カイロネイアの戦い」へ向かっていくアテネ編(9巻〜10巻途中)、アテネ・テーベ連合軍との戦争が終わった後で「王の左腕」(マケドニア軍副将)の後継者候補にエウメネスの名前が挙がり、エウメネスに権力が集中することを防ぐため彼の恋人である貴族令嬢(エウリュディケ)をフィリッポス2世の新たな妃にしようという案が持ち上がって、それが王妃(オリュンピアス)との諍いへ繋がっていくオリュンピアス編(10巻途中〜12巻)、といった具合に進んでいく。史実だからネタバレというのもアレですが、エウメネスはアレクサンドロス大王が急死した後の「後継者(ディアドコイ)戦争」に巻き込まれ、7年ぐらい戦った後に負けて死にます。1巻の冒頭、エウメネスが故郷カルディアを目指すのが紀元前343年。ペリントスとビザンティオンの遠征が紀元前340年。カイロネイアの戦いが紀元前338年。オリュンピアスとのゴタゴタが紀元前337年と336年――ストーリーが進んでいるのはここまでです。ここからアレクサンドロス大王急死(紀元前323年)までの13年、エウメネスの死(紀元前316年)までの7年、合わせて20年間を描き切れば無事完結できるわけですが……いくら幼少期編を挟んだとはいえ実時間で23年も使っているのに作中時間が7年しか経過していないんですよ。岩明均は今年でもう66歳。眼底出血や利き腕の麻痺で執筆が思うように進まず、連載は中断しています。ファンのほとんどが「円満終了は絶望的」と見做している理由はよくわかるでしょう。最近は「デジタル作画に移行することで執筆の負担を減らす」環境構築に勤しんでいるようで、再開の望みがゼロではありませんが……。
ちなみに、紀元前4世紀というのがどんな時代かと申しますと、中国では「斉・楚・秦・燕・韓・魏・趙」の七国が争い合っていた時代です。いわゆる「秦の始皇帝」が生まれる100年くらい前ですね。日本だとまだ弥生時代のあたり。インドでは「チャンドラグプタ」が生まれた頃です。チャンドラグプタが巨大帝国を築き上げたのは、他ならぬ「西からやってくるアレクサンドロス大王の軍勢」という脅威に立ち向かうためなので、セットで覚えている人も多いはず。チャンドラグプタを主人公にした『ラージャ』というマンガもありましたが、題材がマニアック過ぎたせいか3巻で打ち切りとなってしまった。話を戻して『ヒストリエ』のアニメ、1クールで丁寧にやったら幼少期編だけでほぼ終わりそうだが、2クールあれば巻きでカイロネイアの戦いあたりまではやれるかな? オリュンピアス編のあたりは「暗殺!」「暗殺返し!」「暗殺返し返し!」といったノリで非常にドロドロしているからアニメで観たいというほどでもないし、カイロネイアの戦いまでやってくれれば充分という気持ちです。
・「魔女の旅々」新作劇場版アニメーションが制作決定!特報に本渡楓のボイス(コミックナタリー)
TVシリーズじゃなくて劇場版だけど新作アニメやるのか。めでたい。『魔女の旅々』はKindleで販売を開始した、いわゆる「自費出版」の電子書籍だったんですが、あまりにも売れなかったため作者(白石定規)が2ch(当時)のVIP板に「kindleでラノベ出したんだけど質問ある?」というスレを立てて販促したところ、話題になって2年後くらいに紙書籍化が決まった。なろう系とはまた違う流れで出てきたタイプの作家です。2019年にアニメ化し、「〜な美少女は誰でしょう? そう、私です!」というキメ台詞を告げる魔女「イレイナ」とともに親しまれました。
ジャンルとしては「ロードムービー系の異世界ファンタジー」、オムニバス形式(各エピソードが独立していて、エピソード間の繋がりがあまりない)でストーリーを紡いでおり、既存の作品で言うと『キノの旅』に近い。見た目は明るいけどエピソードによっては結構ダークなオチが付いたりします。特にアニメ版の第9話「遡る嘆き」はクライマックスがショッキング過ぎるせいか、冒頭で「この作品には一部刺激的な表現が含まれます。児童および青少年の視聴には十分ご注意ください。」という注意書きまで表示される始末。一方、最終話「ありとあらゆるありふれた灰の魔女の物語」ではいろんなイレイナが登場し、声優の「本渡楓」が1人22役を演じたことで話題になった。振り幅がデカいけど、この2つのエピソード、それぞれ独立しているようでいて実は密接に関わっているんですよね……構造が複雑なのでアニメではこのへんの仕掛けがちょっと有耶無耶になっています。「遡る嘆き」において過去の事件が「二丁目殺人鬼」として演劇や本にもなっている、とエステルが説明する件がありますけど、なぜ「二丁目殺人鬼と呼ばれる犯罪者がいた」ではなく「演劇や本にもなっている」のか、アニメだとわかりにくい。気になる人は原作3巻の「遡る嘆き」と「ありとあらゆるありふれた灰の魔女の物語」を読んでみてください。そういえば最近もこういうオムニバス形式の異世界ファンタジーがありましたね、タイトルなんだったっけ……あ、思い出した、『魔物使いの娘』だ。
それはそれとして『魔女の旅々』、今年でちょうど商業化10周年を迎えるわけですが、最新刊は3月に出る25巻です。そう、あまり話題になってないけど相当な巻数になってるんですよ、このシリーズ。GAノベル最長のシリーズ『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(6月に出る30巻で完結予定)に追い抜かれたが、いずれ抜き返しそうである。『魔女の旅々 学園物語』という『学園キノ』のパク……オマージュみたいな学パロシリーズもあって、関連作含めると30冊くらいになる。アニメでやったのは3巻くらいまでなんで、ストックはメチャクチャあります。ただ、爆発的に売れてるわけじゃないので2期は難しそうな感じだったんですよね……劇場版(クオリティ的にはOVA?)やるだけでもありがたいんですけども。原作4巻は「眠ると記憶を失う少女」アムネシアが出てくるんで、彼女を中心にストーリー構成するのかしら。「ほうきさん」のことを考えるとアニメでカットされた3巻のエピソード「廃墟に蔓延る」も捻じ込んできそう?
・TVアニメ『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です2』2026年の放送が決定、ティザービジュアルも公開
やっとかよ……全然続報来ないから「ひょっとしてポシャったのでは?」とうっすら心配になっていました。1期目が2022年の春アニメだったから、4年ぐらい待たされた勘定になります。公式が開示したキャラ設定を見る感じ、キャラデザも結構変わるのかな?
公式略称「モブせか」。女性向けのジャンルである「悪役令嬢モノ」を男性向けにうまく作り直せないか……という発想に基づいて2017年から「小説家になろう」での連載を開始した「ゲームっぽい世界に転生する」ファンタジーです。2018年に書籍化を開始、なろうでの連載は2019年に完結、2024年に書籍版の方も全13巻で完結しました。現在は「もし主人公が早い段階でマリエと出会っていたら」というifを描いて書籍版読者向けに無料で公開していたオマケシナリオ、通称「マリエルート」を書籍化したスピンオフ『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です』を展開中。少し前に5巻が出たところですが、完結まではもうちょっと掛かりそうかな。
アニメの1期は原作3巻、「ファンオース公国編」までやったところで終わりだったから2期は4巻の「アルゼル共和国編」からスタートかな。若干ネタバレなので1期目を観てない人は飛ばしてほしいんですが……主人公(リオン)たちにとって「元ネタ」である乙女ゲーには、続編があった! というヒキからの2期なんで、今度は「続編主人公」が出てきます。名前は「ノエル」。彼女は果たしてリオンたちの味方なのか? それとも敵なのか……アルゼル編はそこそこ長くて7巻でやっと終わりますから、2期はずっとアルゼル編をやると思ってもらって構わないです。なお、8巻はちょっと番外編めいたエピソードで、9巻以降が最終章。8巻を劇場版にして3期目(2クール)で9巻以降をやったらキレイに終われそう。ただ最終章のあたりまで行くと話の規模が大きくなって作画とかも大変になるから現実問題難しいだろうな……アルゼル編もそこそこカロリー高い内容だし、仮にやれたとしても5、6年先の話になるかしら。
・拍手レス。
年末の長文更新に感謝を。早朝のPRONTOでの時間潰しがとても短く感じられました。短編もいいけどやはり長編ですね。
コツコツ書き溜めてたので後は投稿するだけ……と思いきや推敲に2日くらい掛かってしまったのは計算外でしたけど、読んでくれた人がいるならヨシ! と報われた気持ちがします。こちらこそ感謝を。
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管理人:焼津