「ひぐらしのなく頃に」&「ひぐらしのなく頃に解」
   /07th Expansion


 日記の内容を抜粋。


2006-08-17.

・やっとこさ完結、ということで『ひぐらしのなく頃に解』を注文し、ついでに今まで積んでいた『ひぐらしのなく頃に』のキャラメル包装を解いてプレー開始した焼津です、こんばんは。まだ「鬼隠し編」も終わってないくらいですが、イイですね、こういうホラー風味のサスペンス・ミステリ。最近はこの手のホラー系ノベルがめっきり減ったせいもあって、懐かしいのに目新しい感触がしてワクワクします。ハンドメイド感溢れる絵柄や日常シーンに漂うほんわかしたムードとは正反対の、結構悪趣味な要素が随所に盛り込まれている雰囲気がたまりません。当方、悪趣味が大好きです。悪趣味も趣味のうち。

 ただ、プレーするまでにあちこちでひぐらし絵を目にしたせいか、オリジナルを見ると却って違和感が湧いてきてしまう罠。まあ、やってるうちに認識が洗い直されていきますから、あともうしばらくすれば慣れると思います。全体的にごくシンプルなノベルものながら、演出との兼ね合いが巧みで「ここぞ」という場面にガツンとインパクトが来ますね。これはなかなか先が楽しみ。ストーリーは長いらしいですが、テキストはダレたところがなくて読みやすいので一気呵成に進攻いたしたく。

 ちなみにダム云々というのを読んで咄嗟に連想したのが『湖底のまつり』だったり。個人的に泡坂初期長編は『11枚のとらんぷ』『乱れからくり』の方が好きですけれど、イメージの鮮烈さではあれが一番印象に残った次第。


2006-08-19.

『ひぐらしのなく頃に』、プレー中。「鬼隠し編」が終了して「綿流し編」に突入。

 あまりにも久々なので忘れていましたが……当方はホラーゲームがかーなり苦手なんでした!

 ひぃぃ、こ、怯(こ)え〜。とガクブルしながらやり終えた「鬼隠し編」。ある程度ストーリーが進行した以降は和やかな日常シーンも白々しく映って肌寒いものを覚えますな。全体にとってプロローグみたいな位置づけとあっていろいろ謎や不明点が残ったまま幕となりますが、声なしのノベルで4、5時間程度と結構な分量があるし、見所となるシーンも多かったです。後半は正直胃が痛くなりました。なにげに細かいところまで凝っていて異様な迫力が醸されるのは何ともかんとも。

 その余韻が消えなかったせいか「綿流し編」を始めてすぐはほのぼのした日常シーンに乖離感を覚えてなかなか入っていけなかったけれど、一晩おいて頭の切り替えができるようになってから再開してどうにか続行させることに成功。ひぐらしがなぜこうも騒がれ持て囃されてきたか、ようように理解が染み入ってまいりました。ちょっと舐めていたかも。


2006-08-22.

『ひぐらしのなく頃に』、プレー中。「綿流し編」が終了して「祟殺し編」に突入。

 やっぱり怖ええ。「綿流し」の意味は薄々感づくものがあったけれど、それでもあの状況で解説されるとクるなぁ。前半の面白おかしい雰囲気が半ばで崩れてきて、後半は畳み掛けるようなサスペンスとスリルとショックの波状ホラーになるって点では「鬼隠し編」と同じ構成でしたけど、展開がまるっきり変わっているおかげで新鮮にガクブルできました。感覚としてはライアーの『腐り姫』に近いものがあるかも。アレの一周あたりの尺を非常に長くした感じと言いますか。同一期間の話を繰り返している割に被っている要素が少なく、飽きたりダレたりといったことがありませぬ。メインとなるヒロインを毎回変更していくことで、選択肢は皆無ながら一種のマルチシナリオを味わっている気持ちにさせられます。

 「祟殺し編」は沙都子がメインヒロインみたいですね。見た目からして生意気そうで、「〜でございますわー!」「をーほっほっほっ!」という口調がなんとも鼻に付き、正直苦手な子ではありました。「鬼隠し編」でも「綿流し編」でも、主要キャラの割にはこれといった見せ場がなく、どちらかと言えばサブキャラに近い位置づけだっただけに、最初は「この子がメインか……」と難色を示していましたが――いざ始まってみると、なにこれ。めっさ可愛いやないの(*´Д`)ハァハァ。新規描き下ろしの立ち絵とも相俟って名状しがたいほどにこちらを魅了してきてやまない。胸がときめくことしきり。ああ生意気なのに世話焼きで小言が多くてそのくせしおらしい少女テラカワイス。ぶっちゃけ「梨花にくっついてるオマケ」としか見てなかった当方でしたが、あっさり陥落しました。ひぐらし、ホラーADVとして出色のデキであることは疑いなきことなれど、キャラ立てに関してもなにげに凶悪な腕前を持っております。登場人物たちが魅力的だからこそ惨劇の恐怖や凄愴さが増そうというもの。

 なんと言いますか、やっていて「ずっとこのまま平和な日常シーンが続いて行ってもええんやないか?」って和む気持ちと「それで惨劇の方はまだですかな?」とワクテカする気持ちの板挟みに苛まれますな。いずれ惨劇が訪れるからこそ「平和な日常シーン」に掛け替えのないものを感じられるという面もあり、これでひぐらしがホラーサスペンスじゃなくてただのド田舎青春ラブコメだったら途中で退屈してしまわないかという疑いは捨てきれない。複雑な心境。とりあえず進めてみますね。


2006-08-24.

『ひぐらしのなく頃に』、プレー中。「祟殺し編」が終了して「暇潰し編」に突入。

 祟殺し編、北条沙都子を「愛い奴め!」と愛でていたのも最初のうち、あれよあれよという間に状況が悪化していき、後半はいろんな意味で凄まじい展開に。凄まじすぎてもう無茶苦茶です。どんどん具を放り込んでったせいで溢れ返って吹きこぼれている満杯鍋状態。こんなのアリか。まあ、滅法面白かったのでアリってことでよろしいかと。

 もはや推理もクソもない有り様となってきましたが、一応なんとか解けそうな謎も転がっていることだし、めげずにチマチマと考えてやっていこうと思います。大枠を決めておいてから手を変え品を変え、様々な要素と展開を見せてくれるサービス精神には敬服しますし、なんだかんだでここまで夢中になれるノベルゲームって最近ありませんでしたから。うんうん唸りつつ骨の髄まで味わいたく。

 暇潰し編は、これまでの流れから若干離れるストーリーになっており、一種の番外編ですね。本編よりもテキストがやや硬めでコメディ要素も少なく、ちょっと退屈しましたが……麻雀対決には笑った。あそこでガラッと空気を入れ替えてうまい具合にこちらの興味を引きずり込んでくれた感じ。番外編っぽい内容だけに他のシナリオと比べてあまり長くなさそうですが、切り口もだいぶ違うみたいだし、まったりと楽しみつつ続けよう。


2006-08-26.

『ひぐらしのなく頃に』、「暇潰し編」終了。

 外伝的な内容だけあって他のシナリオに比べれば短かったです。だいたい半分程度? ともあれ、これを読んで『ひぐらしのなく頃に』の仕組みが分かってきた気がします。こまごまとした謎の数々についてはまだハッキリとした答えを出さないでいるけれど、個人的には『解』の受け容れ準備は万端といったところ。ソフト自体は通販で注文してとっくに届いていましたが、これでやっと封を解いてインストールできますわ。やっとシリーズの後半へ到達できる――というワクワク感がある一方で、いささか駆け足気味に前半部(第1話「鬼隠し編」〜第4話「暇潰し編」)を終わらせてしまった寂しさもあり、複雑な心境。

 んー、2004年に出た『ひぐらしのなく頃に』は問題編であってシリーズは完結していない、という旨の情報をキャッチしたときに「じゃあ完結するまで積んどこう」と安易に決めてしまいましたが、完結してなかろうと構わずプレーし出すだけの勇気があれば、今日までの2年間をたっぷり楽しむことができたのではないか……なんて考えるといささか悔やまれます。「暇潰し編」の〆は比較的後味も悪くないし、ここで止めても身悶えするほど苦しむことはなかったでしょうなー。

 とはいえ、最初から最後まで一気にやり通せる環境が整っているのもそれはそれで贅沢な話であり、大袈裟に悩むほどではないか。どうせなら短期間でトコトン濃密に楽しんでやろう。これからまだやってなかったミニゲームをちまちま遊ぶとして、明日は『解』の方に取り掛かる算段。今までひぐらしネタを理解できず蚊帳の外に置かれがちだった恨みを一気に晴らしに行きます。


2006-08-28.

『ひぐらしのなく頃に解』、プレー開始。現在「目明し編」。

 BGMを始めとして、出題編(第1話〜第4話)とはだいぶ雰囲気が違いますね。「目明し編」は「暇潰し編」同様、前原圭一が主人公ではなく、外伝的な内容が続いているようにも見受けられます。まだ途中ですが、最初の1時間くらいは大して目新しい展開がないことと、ペースがやけにゆったりとしていることから、少し眠くなったり。しばらく進むと眠気の覚める場面がやってきますので、ひとまずは寝ないでそこまで進めてみるのが「目明し編」の肝要かと。

 しかし、具体的な感想を書こうとするとどうしてもネタバレに抵触しちゃうところがあるし、なかなかプレー日記の綴りにくい作品ですこと。どうでもいい話なんですけれど、タイトルの『解』を見るたびに『幽霊の国・解』を思い出す。今となってはどんな内容だったか記憶があやふやですけれど。ルビの振り方が物凄かった、というくらいしか覚えてません。

 さて、本気でどうでもいい話でごまかしてみましたが、ひぐらし〜はだんだん話が進むにつれホラーゲームの様相が薄くなってきていると言いますか、どうしても謎を解く方向に歩いていくと「怖さ」がなくなってしまう寂しさがあります。そう、寂しい。謎が解けていくこと自体は面白いものの、恐怖が和らいでくることにホッとするよりもまず寂寥が募ってしまう。まだ多くの謎が解かれぬまま残っているにしても、今後解き明かされていくだろうことは間違いない――という確かな手応えを得るごとに、むしろ残念な心地さえしてきます。出題編から間を置かずに解答編へ手をつけてしまった後悔の最たる形が、このなんとも言えぬ寂しさなんでしょうか。まあ今更中断するわけにもいきませんし、あんまり気にせずガツガツやってくつもりではあります。


2006-08-30.

『ひぐらしのなく頃に解』、プレー中。「目明し編」が終了して「罪滅し編」に突入。

 目明し編は舞台裏を探るシナリオだけあって、前回書いた通り「怖さ」が薄くなっているところも目立ちますけれど、いろいろと切なくて胸に迫るものはあり。愚かさゆえに破滅の道を辿り、引き返すこともできずにただ転げ落ちていく犯人が虚しくてなかなか痛い。犯人の心情に共感できるかと言われればあんまりできないんだけど、細かいポイントでいろいろと腑に落ちるところもあって大いに楽しめました。あくまでホラーのテイストを希求する向きには問題編の方が期待に添っていますが、『解』は『解』でまた違った魅力があって侮れません。後半の畳み掛けには呑まれるものがありました。

 そして「罪滅し編」。久々に前原圭一が主人公に復帰して、いろいろと安心できる内容になっていますね。日常シーンのコメディまみれな遣り取りとか、こういうバカっぽさもあってこその「ひぐらし」って感じです。やたらと懐かしくて、余計に笑えました。ネタが若干アレだったりするのも些細な問題。


2006-09-01.

『ひぐらしのなく頃に解』、プレー中。現在「罪滅し編」。

 今までとは違ったパターンで展開しますが、惨劇ぶりは相変わらず。詳細が判明すれば判明するほどに根の深い話だってことが分かってきました。ホラー性は希薄になっても、サスペンスのボルテージは依然最高潮といった気配。随分な時間やり続けてきましたけど、まだまだ飽きません。惨劇に心を鷲掴みにされています。

 ただ、ようやく希望とおぼしき光も見えてきて、このシナリオを境に状況も好転するのでは……という期待もあり。ただまあ、この次のシナリオって「皆殺し編」なんですよね。タイトルを見る限りでは絶望的って感じが否めないんですけれど、さてはて。


2006-09-03.

『ひぐらしのなく頃に解』、プレー中。「罪滅し編」終了。

「ひゃあああああああああッ!!!一撃で叩き割ってあげるよおおおおおおおッツ!!!!! 」

 方向性の違いはあれど、ここまで「無茶苦茶だ!」と思ったシナリオは「祟殺し編」以来です。全体的に予測不可能。まさかこう来て、ああなって、終いにはどう転がるか、あらかじめ読めるものではない。その無茶苦茶さが悪いわけではなく、むしろここまで壮絶にやってくれると却って清々しい心地がしますね。理不尽な惨劇に立ち向かうのに正気では務まらない。正直ちょっとやりすぎなところもあった気がしますけど、個人的な好みにはバッチリ合致するもので満足しました。

 にしてもどんどん梨花ちゃまの立ち絵が凛々しくなっていくというか、男前になってきているというか、ぶっちゃけこの子って本当に♀なの? 実は♂でしたー、とか脅威のどんでん返しが来るんじゃないの? 当方はそれで一向に構わないどころか大歓迎したいのですが。と、くだらないことも考えていたり。

 さて、残るところあと2話。「皆殺し編」と「祭囃し編」だけです。読み尽くしてしまうのがもったいない気もしますが、構わず突き進んでいこうかと。いざとなれば他にもいろいろと手をつけられるひぐらし関連作品はありますからね。


2006-09-06.

『ひぐらしのなく頃に解』、プレー中。「皆殺し編」終了。

 このシナリオは結構長かった。位置づけとしてはひと通りすべての謎や秘密を解説するものだし、また、あるシナリオのリベンジというか、不完全燃焼で終わっていた要素を解消しに行く内容にもなっています。他のシナリオの2倍……というのは大袈裟ですが、少なくとも1.5倍は読み応えがある次第。反面、「あれはこうじゃないか、これはああじゃないか」と推理・想像する余地のあったこれまでと違い、完全に『ひぐらし』の真相を決定する代物に仕上がっていますから、プレーする人によって明確に好みが分かれるところでしょう。正直に申してしまえば、当方も個人的にガッカリする箇所はあったし、「期待していた路線とは違う」という思いはなくもない。が、問題編から間を置かずに解答編へ手をつけたおかげか、そういう幻滅感は薄く、「これもこれでヨシ」と割り切る気持ちが強いです。なんであれ作者が力を篭めてライティングしたという気迫は伝わってきますし、起伏に満ちた筋立ても単純に面白かった。伏線の収拾と事態の収束といった制約がある以上、「『解』に入った途端がくんとグレードダウンしてしまうんじゃ……」という不安は常にあって、「目明し編」「罪滅し編」ともどもハラハラしながらプレーしていましたけど――どうも杞憂っぽい。満遍なく楽しめているので、ラストの「祭囃し編」も支障なく堪能できそうです。

 で、そろそろネタバレなしで書くのがキツくなってきたので反転してチラッと。(ここから→)「皆殺し」の意味がせいぜい「部活グループ全員」程度の意味と思い込んでいて、錯乱した梨花ちゃまが鍬を担いで「OYASHIROせよ! OYASHIROせよ!」と暴れ回るオチを想像していましたが、まさかあそこまでとは……ちょっと震えが来るくらいのバッドエンドぶりにつき、当方個人史における歴代BEリストのランクが塗り替わりました。「祟殺し編」と二方向で重ねて見るにつけ、相当エゲツない絵図を引いてますね。(←ここまで)

 あと一息。ここまできたらもうキッチリと楽しみ尽くすことにだけ専心したい。


2006-09-08.

『ひぐらしのなく頃に解』、プレー中。「祭囃し編」スタート。

 いよいよラストシナリオ。歯応えのありそうな面構えにワクテカしております。んー、けどこれに関しては途中報告ナシで最後までやってから感想書こうかな。割と何に触れてもネタバレになりそうな雰囲気があるし。


2006-09-10.

『ひぐらしのなく頃に解』、「祭囃し編」終了。コンプリート。

 というわけでコンプリート。長かった……ひぐらし自体が長いストーリーだったけど、「祭囃し編」はひと際長かったです。他のシナリオの倍くらいはあるんじゃないだろうか。とはいえそれは時間を計って比べてみたらの結果であって、実際にやってみると「倍っつーことはないだろう」ってくらいの量にしか感じられない。「長かった」という感想とは反しますが、なんかあっという間に終わってしまった気もします。不思議な気分。

 さて、『ひぐらしのなく頃に』と『ひぐらしのなく頃に解』、つまり出題編の4話と解答編の4話、全8話のプレー時間は累計でだいたい50時間ほどでした。声なしのノベルゲームで50時間というのは、Fateくらいしか記憶にありません。まあ、ソフトとしてはあっちが1本でこっちは2本ですが。ともあれ、潤沢な時間がなければ到底最後まではやり通せない話です。当方も読書に割く時間をガンガン削ってやり込みました。ようやく終わったので本格的に読書を再開できる、という喜びもあったり。

 始めの「鬼隠し編」や「綿流し編」では伝奇やホラー、ミステリの様相が濃く、以降もずっとその調子で続いていくのかと思いきや、大胆な遣り口で手を変え品を変え、先の展開を読ませないうねりに満ちた構成に仕上がっている。長大さのみならず、多彩さも兼ね揃えているところが『ひぐらし』の魅力であると、これはプレーした人が自然に気づくことのはず。ただ、謎と伏線をバラ撒く出題編が奔放であるのに対し、それらを拾い集めて組み立ててねばならない解答編はどうしても制約が多くなり、最終的には一つの路線に束ねざるをえない苦境を強いられる。特にラストを飾る「祭囃し編」はこれまでの各編に散らばっていた意思を統一するシナリオでもあるので、謎が謎のままであることを許されていた他のシナリオと違って、どうしても窮屈な印象を受けてしまう。テーマ性の強い内容となっているから貫通力は高いんですが、超絶対御都合主義につき被弾面積が小さく、直撃せずに掠ったり外れたりすると威力が激減するリスクを大き目に抱えています。腹蔵なく言ってしまえば、面白かったことは面白かったけれど、多彩さで魅せてくれた『ひぐらし』の総決算としてはチト物足りない……。

 意味は違いますけれど、「俺たちの戦いはこれからだ!」みたいな、まだまだ後日談が山ほどある状況で閉幕となっている部分に惜しむ気持ちが強いのかもしれません。確かに本編はきっちり終わっているんです。「悪役」の意義やその功罪も含めて物語の輪の中に溶かし込んでいる。でも、読んでいるこちらとしては腹に余裕があって、「お代わり持ってこい!」な心境なのです。石川賢のマンガのエンディングを見せられて血が滾ったまま悶える感覚と言いますか。「面白い」とか「つまらない」とかいう以前に、「物足りない」って欲望が先立つ。実に罪作りな作品だこと。

 そんなこんなで不満はいろいろ燻ってますが、とにかくここ三週間くらいはひぐらし漬けで、ひたすらに楽しかった。最高にハイって奴です。拡大フォントの演出が高橋メソッドにしか見えなくて結構シリアスな場面なのについ笑ってしまったりとか、そういうことも膨大な「楽」の中にあってはほとんど気になれない。極めて好みの分かれる結末になりましたが、当方としちゃこれはこれで充分オッケーです。物足りなさが残るというだけで。

 ちなみに。やっぱり好きなキャラは梨花ちゃま。可愛い立ち絵と男前な立ち絵が混在している、リリカルなカオスが非常にツボ。「OYASHIROせよ! OYASHIROせよ!」な展開がなかったのは密かに残念でした。っていうかそれがどんな展開なのか、書いてて自分でもよく分かっていません。男キャラは葛西あたりも好きでしたが、なぜか一番気に入ったのは鳳1の人。彼が主人公の外伝すら読みたい心地。そして、全8話中どのシナリオがフェイバリットかと申せば……もう「全部」と書きたいところではありますものの、敢えて選ぶなら出題編では「祟殺し編」、解答編では「皆殺し編」。このセットですか。総じて『ひぐらし』は物語の特性上バッドエンド成分の高い代物になっているから、BEスキーにはうってつけの一品でした。「罪滅し編」なんかも、ラスト付近ではゾクゾクと来ました。

 こうして本編も終わったことだし、やっと安心して派生作品に手が出せるなぁ。まずは『ひぐらしデイブレイク』『罪穢』あたりに手を付けてみようかと。


>>back