「亜種特異点V 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負」感想(※ネタバレ有)(2017年10月18日の記事)


 長文になりそうなことと、ネタバレに配慮するのが難しそうなことから、「英霊剣豪七番勝負」の感想は別記事で書くことにしました。ネタバレ全開なので未プレーの方はご注意ください。

 さて、待ちに待った「英霊剣豪七番勝負」、内容は要約すると「『魔界転生』『侍魂(サムライスピリッツ)』」です。死合前の「いざ尋常に、勝負!」って演出に黒子が欲しくなるくらいサムスピってました。そして予想以上に時代伝奇ムードが強く、朝松健や荒山徹の小説を読んでいるような気分に陥った。

 公式サイトの紹介では「亜種特異点」と表記されているものの、実際は亜種特異点じゃなく「亜種並行世界」です。先にバラしてしまうと今回魔神柱は出てきません。「CCCのコラボイベントでゼパルを出しちゃったけど、『終局特異点から逃げ出した魔神柱は四柱』だから足りなくなるのでは?」と危惧されていましたが、これで帳尻が合いました。残るラウムは「異端なるセイレム」で登場か? 昏睡状態に陥った主人公が夢を通じて並行世界に赴く、という展開はイベント「監獄塔に復讐鬼は哭く」と酷似しており、巌窟王もちょこちょこ出てきて言及されるわけだが、運営はアレが期間限定のイベントだったことをもう忘れているんじゃないかと疑いたくなる。コラボイベントじゃないんだし、グラブルみたいに一定期間過ぎたイベントはサイドストーリーとして常設すればいいんじゃないかと思いますが……。

 死に瀕した「男の宮本武蔵」が、末期に至るまで出逢うことの叶わなかった運命との邂逅を待ち侘びる、「コジローを待ちながら」な断章が繰り返し挿入されます。バトルの直前に入るコピペ並みに定型化されたバンク文章といい、今回は全体的に桜井光っぽさを感じる。さておき、並行世界に紛れ込んでしまった主人公は、同じく並行世界を渡るストレンジャーである「女の宮本武蔵」と再会し、彼女をパートナーとして今回の舞台である「下総国」(現在の千葉県あたり)を旅することになる。「現地の民」枠に当たる少女、「ぬい」ちゃんが可愛くてホッコリした。それにしても武蔵ちゃん、言葉遣いが結構丁寧でたまにですます調で喋っているところがキュートでたまんねぇな……うちがセイバー過剰カルデアでなければ我慢できずにピックアップを回しているところだった、危ない危ない。

 エネミーはワイバーンの代わりに黒い悪霊と黒い武者と黒い魔猪が頻繁に出てきます。新宿の悪属性ボーナス、アガルタの女性ボーナスに続き、今回の絆ポイントボーナスは「三騎士(剣・弓・槍)」縛り。編成にセイバーかアーチャーかランサーを組み込めば、該当サーヴァントの獲得する絆ポイントが倍になります。そんなわけでモードレッドとガウェインの2騎が雑魚戦で大活躍しました。今回は雑魚のHPが少なめで、wave1やwave2はクラレントとガラティーンでさっさと突破できるから楽だった。プロトセイバーはコストの関係で外すことが多かったけど、オロチ戦では役に立ちました。

 一番最初に登場する新規サーヴァントは「宝蔵院胤舜(ほうぞういん・いんしゅん)」。十文字槍の遣い手として有名であり、「そのうちランサーとして実装されるであろう」と目されていました。レアリティは☆3。クー・フーリンやジャガーマンといった優秀なサーヴァントが揃っている☆3ランサー界に今更割って入るのは難しいのでは……と考えていたのも束の間、サポートで実際に使ってみて考えを改めた。こいつ、強い……! 宝具が直接攻撃ではなく自バフ盛り盛り系なせいで侮っていましたけど、☆3にしてはNP効率が良好なおかげもあって宝具を連発しやすく、際限なく強くなっていく。本格的に強くなるのは宝具が回り出してからなので立ち上がりが若干遅いものの、回り出したらもう手が付けられない。キャラクターとしても快活かつ清廉な坊さんで、普通に気に入りました。きっと人気出るでしょ、この人。ニコ生の紹介で見たときは「ちょっと欲しい」って反応だったが、キャラが良かったおかげで「結構欲しい」になり、性能がトドメになって「すごく欲しい!」となった。うちのカルデアはランサーの層が薄いのでもうちょっと強化したい気持ちがある。でも胤舜はたぶん恒常だろうし、そのうちフレポガチャでも出てくるだろう……と「待ち」の姿勢を取りました。

 妖術師の儀式によって召喚されながらもその魔の手から逃れた胤舜はしかし、主人公や武蔵ちゃん、ぬいちゃんや田助を救うために囮となって敵陣に単騎で残ってしまう。そんな彼にキャスター・リンボが「一切鏖殺」の宿業を埋め込み、快活で清廉だった胤舜は虐殺の徒、英霊剣豪の1騎たる「ランサー・プルガトリオ」に変生してしまう。英霊剣豪は「人を斬り殺す」ことに特化した殄戮の刃であり、単なる英霊よりも更に「儀式遂行のための装置」としての性格が強い。身も蓋もない書き方をすると「オルレアンのバーサーク・○○の亜種」だ。もはや胤舜の面影もなく、嬉々として民を殺す外道と化したランサー・プルガトリオ。首を刎ねられても平然と蘇る不死の骸兵を討つため、武蔵ちゃんは「千子村正」を名乗る赤毛の青年から一振りの妖刀を譲り受けます。この村正(見た目は士郎)、英霊剣豪で出てくるのではないかと前々から噂されていましたが、予兆らしい予兆もなくいきなりポンと登場するのでビックリしましたよ。シナリオのみの参戦でバトルキャラとしては出てこないから「ピックアップ2で期間限定☆5セイバー『千子村正』!」ってなる可能性は薄いけれど、実装されたらみんな目の色変えるでしょうね。

 そんなこんなで英霊剣豪七番勝負の一番目、「一切穿通」のランサー・プルガトリオ戦が始まります。七番勝負では編成制限として固定サポートである武蔵ちゃんを必ずスターティングメンバーに入れないといけません。プルガトリオ戦は武蔵ちゃんが有利属性なのでそこまで難易度は高くありませんが、舐めて掛かると全滅しかねない。うちも武蔵ちゃんがあっさり落ちちゃったことと絆ポイント稼ぎのために控えに弁慶やロビンを入れていたことが重なって戦線ガタガタになってしまったけど、殿の赤王(ネロ)がどうにかしてくれたおかげで辛くも突破。プルガトリオを倒し、城下町に移動したところでプチ衝撃の展開が。玉藻の前そっくりの芸妓「おたま」と清姫そっくりのお姫様「清姫(そのまんま!)」が登場し、特に後者に度肝を抜かれます。立ち絵も新規ですごく……KAWAII!

 

 

 

 

 南蛮渡来の「燃える黒い水」を駆使して炎を操るファイア・スターターであり、見た目に関しては「主人公の見る夢」が影響を与えているんだかいないんだか、で別に「グラフィックの使い回しをしたいがため」ではない、はず。小太郎が出てくるのもこのへんでしたっけ? 鬼ヶ島に続いて大活躍します。小太郎も育てたいサーヴァントではあったが、再臨素材の、確か凶骨? が足りなくて放置していました。ログボの凶骨も溜まってきたし、そろそろ育成再開すっかな。話の前後は忘れたが、夜の城下町で「アーチャー・インフェルノ」と遭遇、昼の城下町で「柳生宗矩」と顔を合わせます。インフェルノちゃん、外見からして「トゥモエじゃろ?」という印象だったが、実際に真名は「巴御前」だった。木曾義仲こと「源義仲」の愛妾であり、FGOでは7章のウルク魔獣戦線で召喚され、相手方の将軍「ギルタブリル」と相討ちになった。茨木童子の幕間では巴御前の残滓が「ギルタブリルの心を踏み躙ってしまった」と嘆く姿が描かれており、「いったいふたりの間に何があったのか?」という疑問が未だに蟠っている。ちなみに私が巴御前で連想するのは『君の名残を』ですね。現代の女子高生がタイムスリップして「巴御前」として生きていく話。

 宗矩は武蔵の体験クエストに登場した「柳生の者」と同一人物です。柳生新陰流の開祖・柳生宗厳(石舟斎)の子であり、一般的には「柳生十兵衛の父親」として知られている。『シグルイ』で若き日の虎眼に「十文字」の構えを取った人、って書けば一部の人には通じるだろうか。物凄い勢いで出世して大名にまで伸し上がったので「権謀術数に長けた策略家」のイメージで語られることも多い。先述した虎眼先生も宗矩に嵌められて「はかった喃 はかってくれた喃」と恨んでいます。ネタバレ御免なので書いちゃうけど、この人が英霊剣豪七騎が一、「セイバー・エンピレオ」の正体です。CMにも出てきたし、たぶんこの人がラスボスだろうな、とは思っていた。

 段蔵ちゃんが出てくるのもこのへんだったかな? 一気にダッとやってしまったせいでシナリオの順番に関してはやや記憶が曖昧になっています。「飛び加藤」の二つ名で有名な忍び、加藤段蔵――その正体はホムンクルスに似た技法で製作された精巧な絡繰人形だった……! と、なかなかにぶっ飛んだ設定です。『悪忍』の後にこの英霊剣豪読んだらあまりのギャップに顎が抜けるだろうな。イラストの筆致が少しアリスソフトっぽいと申しますか、段蔵ちゃんの登場するシーンを見ている間、ずっとランスシリーズをプレーしているような錯覚に襲われました。容姿そのものがグッと来るうえ小太郎との絡みもあって、短時間でプレーヤーの心を掴みに来るキャラですね。ぶっちゃけ私も数分と経たず「ほちい!」って心境になった。味方に回避や無敵を付与できる小太郎に似たサポート寄りのスキル構成で、全体攻撃のバスター宝具。運用法は違うにしろ、全体バスター宝具アサシンとしてクレオパトラを持っているならそこまで積極的に狙うサーヴァントではないな……というのが性能面を鑑みたうえでの判断だが、「小太郎と並べて編成する」誘惑はなかなか抗いがたい。スト限サーヴァントなので特定のピックアップを回さないかぎり、召喚されることはまずないし。ピックアップ2に段蔵ちゃんが来たら果たして理性を保てるかどうか、些か心配である。

 ともあれ、英霊剣豪七番勝負の二番目、「一切焼却」のアーチャー・インフェルノ戦。編成制限で入れないといけない武蔵ちゃんが相性不利なので、自前の槍戦力が育ってない人は苦労するでしょう。私のカルデアもランサーの層は厚くないので不安だったが、武蔵ちゃん速攻でやられながらもクー・フーリン2騎がなんとか粘ってくれて、控えの弁慶がタゲを取ったりしつつ、最終的にエルキドゥ単騎の形に落ち着いて何とかなった。エルキドゥは強化のおかげで「気配感知」に回避が付いたし、HP回復スキル「完全なる形」にはオマケで弱体解除効果があるから火傷も治せるし、かなり余裕を持ってクリアすることができました。世間的には性能面で酷評されているエルちゃんですけど、やっぱりうちのカルデアでは頼りになるエース槍ですよ。ただインフェルノ戦のステージは炎のエフェクトが途轍もなく重く、「トゥモエがどんな攻撃を仕掛けてきて誰がどんなふうに被弾したのかまったくわからん」と戸惑いました。インフェルノちゃんは☆4アーチャーとしてピックアップ対象になっている(単独PUの日もある)ので「欲しい人は引くなら今のうち!」ですが、うちはランサー陣に比べてアーチャー陣は層が厚いからスルーだな……恒常だったらそのうち出るかもしれないし。というか私の推しは牛若丸だからそのへんのアレが複雑な心象。牛若丸と言えば、義経さんが英霊剣豪として出てこないことには安堵しました。もし出ていたら性能とか度外視してピックアップに石全部突っ込んでしまったと思う。閑話休題。カタログスペックを見た感じ、バトルユニットとしての巴御前は「背水のない弓アンメア」ってところか? キャラ的には若干清姫と重なるところがあるな。与太話系イベントにおける清姫との絡みが観たいです。

 この次がパライソ編、シナリオとしてはそろそろ折り返し地点に達するところですが、斃した英霊剣豪はまだたったの2騎。この調子だと残りの5騎を斃すのにどれくらい時間が掛かるんだ……? とプレーした当時は気が遠くなったものです。小太郎が復調してきて戦線に復帰、清姫に殺害予告が届いて警護のためにお城へ向かう、ってあたりか。事前に画像が公開されていたアサシン・パライソちゃん、通称「ホットリミット」が登場しますが、役割的に「可愛い」というより「可哀想」で後半は見ていて痛々しかった。バトルユニットとしてはスキル封印や宝具封印で相手の動きを縛る「対サーヴァント戦Artsパ」での起用を前提としている、やや特殊な設計? 味方としては使いどころが限られそうだけど、敵として出てくると厄介なタイプです。英霊剣豪七番勝負の三番目、「一切詛呪」のアサシン・パライソ戦は通常攻撃でこちらの攻撃力が下がるデバフを掛けてくるので、弱体解除のできるジャンヌやメディア・リリィがいないと長期戦は辛くなる。うちにはどっちもいないので短期決戦を狙っていったが、宝具封印やスタン付与が厭らしく、苦戦した。チャージ増加で急に飛んでくることもある宝具を警戒しつつ、何とかメルトを落とされないよう例によって弁慶でタゲを取りながら孔明とキャスネロで支え(武蔵ちゃんは例によってすぐに落ちた)、最終的に単騎となった孔明の通常攻撃で削り切った。新宿のアヴェンジャー戦ほどではないがしんどい一戦でした。

 次が黒縄地獄と衆合地獄、平たく言えば「源頼光」と「酒呑童子」ですね。本来は不倶戴天の敵同士である2騎がコンビを組んで戦うとは、なんて不条理かつ皮肉な展開なんだ! と思ったが、よく考えればそれ「カルデアの日常風景」だ。頼光が一万の軍をたった一人で殺し尽くしたり、酒呑が宝具で相模国を溶かし尽くしたりと、やりたい放題やらかしてくれる。もう英霊剣豪というより黒円卓の団員だな、こいつら。全編通してぬいと田助にもっとも危険が迫った章であり、「やめてくれ……やめてくれ……」と祈りながら読み進めました。これで『二重影』のイルスイBADエンドみたいにふたりの「食べ残し」が転がるイベントCGとか来てたらトラウマもんでしたよ。ライダーでありながら召喚された直後に乗騎(京極?)を斬り殺すなど狂った振る舞いを見せる頼光(ゆるせ……乗騎差分グラフィックやモーションを実装する余裕のないDWを……)だが、「母親でありたい」という念いだけは殺し切れず、幼子であるぬいに対して優しく振る舞ってしまう件など、頼光の末路に気づかぬフリをするぬいの気丈さも相俟って涙腺が緩みました。バトルに関しては「おのれ……!」ってくらい七転八倒しましたが。一番やり直した回数が多く、「いっそ令呪コンティニューするか?」とギリギリまで悩んだところです。せっかく配ってもらった金林檎を食べ切ってしまったのも、英霊剣豪七番勝負の四・五番目である「一切粛清」ライダー・黒縄地獄と「一切熔融」バーサーカー・衆合地獄のせい。試行錯誤を重ね、最終的に「ノッブと武蔵ちゃんの宝具で可能なかぎり削ってから、控えのジャックと“山の翁”でトドメを刺す」形に行き着いた。翁は魅了耐性があるし、ジャックは回避を剥がせるし、ある程度削っておけばこの2騎で順々にブレイブチェインを叩き込むだけでゴリ押しできる。魅了やNP減少・スター減少がなければクレオパトラだけでも充分に押し切れたんだろうが……。

 馴染み深い2騎を斃したところでストーリーは最終歌に突入、いよいよ大詰めです。妖術師「天草四郎時貞」の大呪法によって土気城を呑む形で顕現した厭離穢土城。「厭離穢土 欣求浄土」は元を辿ると仏教用語だが、戦国時代に徳川家康が旗印として使っていた言葉でもある。その言葉を、徳川に対し深い恨みを抱いている「アヴェンジャーとしての天草四郎」が使うのだから皮肉もここに極まれりだ。武蔵と同じく並行世界を渡り歩くストレンジャーと化した天草は、「ルチフェロなりしサタン」と出逢って悪魔(魔神?)崇拝に堕ちる。この「サタン」が一連の騒動の黒幕らしいが、正体については結局明かされず、あからさまに伏せられたままでした。セイレムか、あるいは第二部で登場するのか?

 厭離穢土城に潜入し、生け贄として捧げられようとしている清姫を救出するミッションに従事する一行。その最中に段蔵が迷う素振りを見せ始め、「あなたは妖術師側のスパイだろう」と指摘される展開に。悩んだ末に段蔵は妖術師ではなく主人公たちの側に就くことを決めるが、それもまたキャスター・リンボにとっては織り込み済であった。段蔵は壊れて放置されていたところをリンボに拾われて修復してもらった、という恩があるものの、リンボ曰く壊れていたのは外装だけで、メモリに関しては特に故障していなかった。自分の目的のために記憶部分をグチャグチャに掻き回して「壊れかけの人形」にしてやったのだとカミングアウトしてくる。段蔵ちゃんが好きになっていた私は「んんんんー、許るさーん!!」と叫びたくなった。自爆によって半壊した段蔵ちゃんに我慢し切れず「母上!」と呼びかけてしまう小太郎を見て胸が詰まる想いも味わった。小太郎好きは泣いてしまうやろ、このシナリオ……。

 「一切嘲弄」のキャスター・リンボ(自称「安倍晴明」)はバトルグラフィックが用意されておらず、7章エレシュキガルやばらきー幕間の巴御前と一緒で巨大ゴーストの使い回しだから「あっ、これしばらく実装されないパターンや」と察しました。もはや絆ボーナスは念頭になく、「全力で殺りにゆく!」と決めて開始直後にオダチェン、武蔵と騎ん時を入れ替え、欠片積んだメイドオルタと一緒にひたすらクリティカルと宝具ブチ込んでいるうちに終了したから、どんな性質の敵だったかあまり覚えていない。

 天守閣を目指して進む一行の前に立ちはだかる影。遂に登場したるは英霊剣豪最後の1騎、「一切両断」のセイバー・エンピレオ。すなわち柳生宗矩です。九分九厘むねのりんだと確信していましたが、「あるいはまったく予想外の誰かである可能性も……?」とほんのり期待していました。ツイッター眺めていたら「エミヤと同じ要領で召喚されたセイバーおぬい」というネタがあってちょっと笑ったり。スキル発動時の正座モーションのせいでクライマックスのムードが損なわれているものの、ゲージが3本あって全部で90万近くのHPを有しているからエミネーとしては割合強い部類に属する。私は凸相撲エミヤに凸金鯉孔明でNPとスターを供給しつつ速攻かけてゲージ2本削り、最後の1本をオリオン単騎で吹っ飛ばしました。最後は通常攻撃の威力を100パーセント減らす(エミヤの「投影魔術」みたいにカードバフをかければ多少はダメージが入る)スキルのせいで宝具当てないと倒し切れないわけですが、オリオンはNP効率良くないから苦労しました。これがNP効率ぶっ壊れていて宝具連発しやすい弓王だったら楽だったでしょうね。てか、エウリュアレを控えにいれておけばよかった……剣豪として戦い剣豪として敗れ剣豪のまま散っていく宗矩の姿は儚くも潔く、やらかしたことは外道であるにも関わらず妙な晴れ晴れしさを感じてしまった。

 天草四郎戦、クラスがアヴェンジャーなのでBBちゃん大活躍でした。4、5発はお注射をブチ込んだかな? アポとは違う人生(魔生?)を歩みながらツインアーム・ビッグクランチという同じ宝具に辿り着くことを「宿業」と感じるか「手抜き」と受け取るかで盛り上がりは変わってきます。BBちゃんは1発目のビッグクランチには耐えたものの、2発目は耐え切れず脱落。「アヴェンジャー? そんなのバーサーカーで殴ればいいんだよ!」と殿に置いていた月霊髄液ばらきーは「礼装の無敵効果は強化解除の対象外」という性質に基づいて2発目のビッグクランチを「無敵」で防ぎ、あとはバスターで殴り殺しました。戦力が揃ってくるとあまり使わなくなっていく礼装の一つ、ケイネス礼装こと「月霊髄液」、実は優秀な対天草礼装だったりします。復讐鬼と化した天草の姿は時代伝奇の文脈からすると違和感ないどころかむしろ自然だが、恨みや悩みを乗り越えて「自分たちを弾圧・虐殺した人々さえ救いたい」という境地に達したアポクリファの天草を見た後だとなんか切なくなってしまうな。今回魔神柱が出てこなかったけれど、にも関わらず天草が聖杯を持っていた(言及されていなかったけどそのはず)のは「ルチフェロなりしサタン」に下賜されたのだろうか? 「サタン」と名乗っていたのは戯れのようだが、いったい何者なのか。「ルチフェロなりしサタン、真名『オルガマリー・アニムスフィア』!」という展開は……ないですかそうですか。

 天草の固有結界を打ち破る村正の「都牟刈」、専用CGも相俟ってあそこはメチャクチャかっこよかった。BGMも「Emiya」の和風アレンジだし、SNに思い入れのある旧来のファンを殺しに掛かっているとしか思えない。ここで既に最高潮の盛り上がりだというのに、畳み掛けるような勢いで武蔵VS小次郎の最終戦に縺れ込んでいくのだから体温の下がる隙もない。セイバー小次郎のモーションが震えるくらい清冽で痺れたけど、スキルも宝具もアサシンのままだったから、あれは折を見てアサシン小次郎のモーション改修として実装するつもりなのだろうか? あるいは霊衣開放? ともあれ、小次郎の燕返しを「無敵」で防ぎ、武蔵の宝具で決着させる最高の締め括りを堪能いたしました。

 そして零の境地に辿り着き、帰るべき世界も既に亡いと知った武蔵は、ここが己の極点であると納得して倒れます。ストレンジャー武蔵の旅はようやく閉幕したのだ。この、奥義を得て「もうこれ以上に目指すべき場所がない」ことを悟って死へ向かっていく剣豪というビジョン、『刃鳴散らす』の剣狂者「武田赤音」を彷彿とします。「英霊剣豪七番勝負」が気に入った方は是非『刃鳴散らす』もやってみてくださいね! と営業しつつ取り留めのない感想は了とします。城下町の復興に力を注ぐ清姫たちの様子を綴った後日談も含め、満足のいく清々しい終わり方を迎える。待った甲斐のあるエピソードでした。


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