2015年5月〜6月


2015-06-28.

・HLCニコ生放送第二十八回、今まではタイムシフト視聴ばっかりだったけど、「よーし、たまにはリアルタイムで視聴するか!」とワクワクしながら待っていた焼津です、こんばんは。

 放送の日付を誤記憶していて、あっさり御破算だよ! くそぅ、HLCニコ生って土曜の未明に終わるからなんとなく「土曜の番組」だと思い込んでいた……金曜の夜から待機しないといけないのに。ゲストの瑞沢渓を楽しみにしていたものの、まったく間違いに気づかずスヤスヤと熟睡しておりました。痛恨のミスだが、仕方ない。大人しくタイムシフトで視聴しました。

 さて、瑞沢渓はDiesにおいて櫻井螢とベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼンの二役を演じた声優である。ベアトリスは07年版の時点だと出演はおろか設定すらろくになかった(魔名が「ヴァルキュリア」で雷属性の攻撃、くらいのことしか判明してなかった。確か名前も「キルヒアイゼン」しか明かされていなかった気がする)けれど、ドラマCD『Die Morgendammerung』に出演したことを皮切りに本編へグイグイと食い込んできました。クールに見えて割とウジウジしたところのあるポンコツ娘な螢と、明るく正義感があるように見えて実は結構えげつない理想主義者のベアトリス、性格が正反対なふたりを演じているが、瑞沢渓にとって親近感が湧くのは螢の方らしい。正田曰く「自分の中の女々しい部分を引き出してぶつけた」キャラだけに、女性声優間でも人気が高いという。最初はクールぶっていた螢がだんだんと崩れていって感情剥き出しになるのですけれど、香純ルート終盤の惑乱した演技とかホントすごかったですね。異常者集団の中でギリギリまで追い詰められている少女の金切声、って感じで。螢ルートの、PVでも使われた「逢いたいんだもの」のところも好きです。彼女の行動原理が集約された言葉になっている。そしてそんな螢をこれでもかと虐め抜いたトリファ神父、キャラそのもの(および中の人)は瑞沢渓も好きだけど、螢にシンクロしたうえで見ると大嫌いだそうな。当然そうなるわな。

 ほか、興味深い話題は、「アニメ関連で仕事がドッと増える」ことに戦々恐々としている正田崇とかか。正田はこれまで膨大なシナリオを毎日毎日せっせと書くような仕事や、その前段階としてじっくり設定やプロットをこね回す、どちらかと言えば長期的なスパンの作業がメインだった。しかし、アニメ関連の場合は五月雨式に様々な作業が延々と降ってくるので、どうしても長期的な視点に立った展望を持ちにくいんですよね。これは他のクリエーターも似たようなことを言っていたな。誰だったか忘れたけど、本業の場合は総合的な作業量が膨大でもキッチリとスケジュールを作成してゴールに到達するまで段階的な状況把握をすることができるから気持ち的には楽、でもアニメ絡みの仕事は一個一個の手間が大したものじゃなくても次から次へと伏兵が湧いてきて終わりが見えず、どこがゴールなのかもハッキリしないから心理的に疲弊する……みたいな話だった。実際、この2ヶ月はかなり働いていると思いますよ、正田崇。ニコ生に出演する前も30時間くらい働いていたらしいし。倒れない程度に頑張ってほしい。アニメについてはまだまだ実感が湧かないところだけど、ドラマCD等の動きが活発になったのは喜ばしいことだ。

 それにしても、クラウドファンディングの方は遂に6000万円を突破。目標金額の200%ですよ。3000万でも行くかどうか怪しんでいたのに、期限まで2週間近くを残して倍額達成とは。恐ろしい。さすがに300%(9000万)は期間的に無理だろうけど、ここまで来れば充分大したものだ。6000万つったら、エロゲーの売上に換算すると1万本以上(小売や流通の取り分は除く)ですよ。不況下の今、エロゲー1万本ってそれなりのヒット作に相当しますよ。下手な新作出す以上の金が集まったんだから、いやはや心底ビックリである。

アクアプラスが『ジャスミン』の開発中止を発表。『ダンジョントラベラーズ2-2』は2016年に延期(電撃オンライン)

 『ジャスミン(仮)』、全然詳細が明かされないから「本当に作ってんのか?」と疑っていたけど、遂に開発中止が正式発表されたか。シナリオを担当する予定だった涼元悠一は小説家からシナリオライターに転身した、最近の流行りとは逆のタイプで、元はKeyで仕事をしていた。「しばらく名前を聞かないな」と思っていたらいつの間にかアクアプラスに移っていて、『ジャスミン(仮)』が久々の作品として世に出る……はずでした。『ジャスミン(仮)』は具体的にどんな設定・ストーリーなのか一切不明なまま開発中止となってしまったが、キービジュアルから察するにきっと夏の物語だったんでしょう。「終わらない夏、あります」 そりゃ始まらなければ終わりもしないよな……。

彼女持ちの主人公(男)が別のヒロインに寝取られるエロゲってないよな(2次元に捉われない)

 『PARADISE LOST』ライルエニスと肉体関係があったけど、「彼女」というほどじゃなかったし修羅場まで発展しなかったな。確かに「浮気」とか「不倫」を題材にしたソフトって大抵は彼氏持ちないし既婚者の女主人公が他の男に寝取られるパターンばかりで、彼女持ちの男主人公が彼女を捨てて他の女に乗り換えるパターンって少ない気がしますね。君望は特殊なケースだし、スクデイも主人公が主人公だからな……まぁ、一本道ならまだしもマルチシナリオ形式で「主人公は彼女持ち」って設定にしちゃうと共通ルートで関係を清算しないかぎり「各ヒロインのルートごとに彼女を捨てるシーン」が必要になっちゃうので、鬱陶しいっちゃ鬱陶しいか。付き合っていた彼女にフラれて新しい恋を探す、みたいなストーリーの方がまだ話は作りやすいだろうし。私は修羅場好きだから「全ルート修羅場確定」みたいな恋愛モノはバッチコイですが、本当にやるとしたら「彼女」役のキャラが相当魅力的でないと盛り上がらないでしょう。それこそフるときにマジで心が痛むくらいでないと。

『Fate/mahjong night 聖牌戦争』6月30日(火)からツイ4にて毎日連載開始!Fate×麻雀!(萌えオタニュース速報)

 「聖牌戦争」って文字列、どっかで見たような……と既視感を覚えたが、何てことはない、3年くらい前に書いた『天牌』の感想で自分が使ったネタだった。とりあえず小次郎の「燕返し!」「イカサマじゃねーか!」的なネタが来ると予想。それはそれとして、ゲーム化したら面白そうですね、聖牌戦争。『兎―野性の闘牌―』みたいなアーケードゲームが出たらちょっとやってみたい。十二の試練(ゴッドハンド)は満貫以上の直撃を十二回当てないと突破できない、とかだったら台パンするプレーヤーが続出しそうだが……「イリヤが脱ぐわけでもないのに、なんでそこまで必死になってバーサーカーを倒さないといけないんだよ!」って。しかし、ふと思ったが、ひょっとして今の世代には「脱衣麻雀」自体が既に死語だったりする……? 昔のゲーセンではどこでも見かけたものだが、最近は同人やブラウザゲーを除くと新作自体ほとんどないような。これも時代の流れか。

・拍手レス。

 ゼロの使い魔、代筆者は気になる所ですが、自分的には非公開又は作家の名義を変えて解らないようにするのがいいと思います。あとAngelBeatsを購入しましたが、未だに発売したのが信じられませんw
 ちゃんと明かした方が得策だと思います。隠しても「誰それが代筆者だ」みたいな噂は絶対に立ちますし。AngelBeatsはまだ体験版もやってなかった……スッカリ忘れてました。


2015-06-26.

約束された神ゲー「サクラノ詩」が発売延期へ 新発売日は『9月25日(金)』 延期理由は大幅なクオリティアップのため(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 あまりにも予想通りの展開で逆にホッとした。来月に発売されるとか、全然信じてなくて予約も入れてなかったですからね。しかしこの「クオリティアップ」という言い訳は何度見ても白々しいな。素直に「作業が間に合いませんでした」と言えばいいのに。現状、もっとも期待している新作エロゲーは8月の『ランス03』で、たぶん9月はこれをやり込むことになると思います。余力があれば『果つることなき未来ヨリ』や『うたわれるもの -偽りの仮面-』も遊びたいところだけど、『サクラノ詩』までは手が回らないだろうな……結局予約しないまま発売を迎えることになりそう。また延期して来年くらいに飛んでも驚かないけれど。

ノゲラ作者「最終的に主人公が負ける展開が見たい」という人にキレるwww(まとレーベル@ラノベ新刊情報まとめサイト)

 私も10代の頃、「追い詰められてもなんだかんだで逆転して主人公の勝利で終わるんでしょ」みたいな斜に構えた見方しちゃって、素直に楽しめなくなった時期がありましたね。その「なんだかんだ」の部分こそが面白いんじゃないか! と気づいてすぐに持ち直しましたが。敗残死系がお好みならアメリカン・ニューシネマを浴びるほど観ればいいと思う。あるいはゲームのバッドエンドパターンを虱潰しで確認していくとか。冒険小説も、主人公が苦労の末にハメられて惨めに死んでいく展開があったりする。歳を取るとだんだん「フィクションの中でくらい悲劇を回避したっていいじゃないか」という気持ちが強くなっていってアンハッピーエンドを受け付けなくなってくるので、敗北エンドに関しては楽しめるうちに楽しんでおいたらいいでしょう。

【速報】 「ゼロの使い魔」続巻の刊行が決定!!! 信じられないほど嬉しい!!!(まとレーベル@ラノベ新刊情報まとめサイト)

 「グインサーガみたいに誰かが書き継ぐ可能性はゼロじゃない」と思いつつ、何のアナウンスもないまま月日が流れていくので未完のシリーズとして処理されるのかな……と諦めかけていた頃にこのニュース。「やっとか」という人もいれば「今更かよ」って人もいるでしょう。開始が2004年、最新刊が2011年の20巻で、2013年に作者が逝去。あと2巻くらいで完結する予定で、プロットも既に完成していたそうです。まだ続刊が決まったと公表されただけで、誰が書き継ぐのか、刊行時期はいつ頃になるのか、などは不明。「『ゼロ魔の使い魔』が続刊刊行が決定になったがいったい誰が執筆するのか?」、ファンは大いに気になるところだろう。候補として真っ先に思いつくのはヤマグチノボルと親交の深かった桑島由一ですが、リンク先で挙がってる中では築地俊彦、赤松中学、むらさきゆきや等もありそうな気がする。次回あたり「コメント」が更新されて執筆担当者の挨拶が来ると予想。ライトノベルで作者が変わってシリーズ続行となるケースは稀にあります(田中芳樹のアレとかソレとか)が、作者が亡くなって未完となってしまったシリーズでバトンが受け継がれた例はほとんどない。『トリニティ・ブラッド』も『風の聖痕』も、結局続きが書かれることはなかった。これが良い前例になればいい、と思います。

【速報】 「僕は友達が少ない」11巻が2015年8月25日に発売決定! 一年ぶりの新刊キタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ !!! 【発売日】(まとレーベル@ラノベ新刊情報まとめサイト)

 結構長かった気がするけど、10巻が去年の6月だったからせいぜい1年くらいか。イラストの雰囲気からすると最終巻? 読たんは既に新シリーズ(『妹さえいればいい。』)を開始しているし、そろそろ旧シリーズもまとめておきたいところだろう。『僕は友達が少ない』、略称「はがない」は2009年8月にスタートしたから、もし11巻で完結とすれば丸6年継続したシリーズということになる。番外編のCONNECT含めて12冊、平均して年2冊のペース。ライトノベルとしてはやや遅めの部類に属するかな。それまで尖った路線や実験的な内容を試みていた平坂読が「やっと読者の望むものが分かってきた」と方針を変えて打ち出したのがはがないであり、狙いは見事に当たったのだけど、ヒットし過ぎでいろいろ多忙になって苦労したみたいです。公称、シリーズ累計で622万部。巻数が倍くらいある『ゼロの使い魔』でも450万部程度なので、驚異的な数字です。間違いなく売上面ではMF文庫J最強。ゼロ魔も完結の道筋が見えてきたし、はがないもキチンと完結して有終の美を飾ってほしいところだ。

・拍手レス。

 六畳間は健速作品なんで追いかけてますが、最初に読んだ既視感は、フジリューのサクラテツに似てることでしたね。あれも主人公の土地を狙って宇宙人やら地底人がせめてくるやつだったような。
 「サクラテツ」でぐぐろうとすると六畳間が候補に挙がるくらいだから結構連想する人多いのかも。六畳間、アニメ2期やってたら「お兄様とおやかたさまはどっちがより凄いのか」みたいな話題で盛り上がっただろうか。

 ゲスインは南天がやってたから記憶に新しい所ですね…万仙陣やってると優しい世界出来ないこともないんじゃないかなと思います、ファンはスワスチカいつ開くの?と心待ちにすると思いますが。
 南天、実物はまだ知らないけどやたら名前ばかり聞くので気になる。だが万仙陣どころか八命陣もまだ途中……超低速ながら進めております。

 表紙を同じ構図で描き直し…いったい何肉マンなんだ
 構図は変わったけど『果てしなく青い、この空の下で...。』の完全版も旧バージョンのパケ絵を意識して描き直していたな。

 のぞえもんはドラネタな上に、一般でエロ限界まで描いてるのも問題なんじゃないですかね。 あの内容で全年齢を主張するのは無理があり過ぎる
 成年マーク付きとマークなしの違いはほぼ「局部描写の細かさ≒消しの大きさ」だけですからね。それでタカをくくって有害指定喰らうこともしばしば……。


2015-06-21.

・溜まっていた『六畳間の侵略者!?』を今頃崩し始めた焼津です、こんばんは。

 あんまり話題にならなかったけど、ちょうど1年くらい前、つまり去年の夏アニメとして放送された作品だからまだ記憶に残っている人もいるでしょう。エロゲーのシナリオライターとして有名な健速(たけはや)が手掛けるライトノベルであり、初のシリーズ作品でもある。アニメ化されたのは去年だが、開始は2009年で既に6年が経過している。外伝含めて20冊以上と、既刊も結構な量だ。なにげにHJ文庫最長シリーズである。HJ文庫は電撃やMFに比べると知名度がいまひとつなマイナーレーベルながら、意外と長期化したシリーズが多い。アニメ化した『いちばんうしろの大魔王(全13巻)』『百花繚乱(全17巻)』『はぐれ勇者の鬼畜美学(既刊11冊)』の他にも、『グロリアスドーン(短編集含めて全14巻)』『くじびき勇者さま(全11巻)』『超鋼女セーラ(外伝含めて全14巻)』『魔王学校に俺だけ勇者!?(全10巻)』『俺がヒロインを助けすぎて世界がリトル黙示録!?(既刊14冊)』といった面々が巻を重ねてきた。ほとんどが完結しちゃって現状稼働しているのは六畳間とリトル黙示録だけ(はぐれ勇者はもう2年以上新刊が出ておらず休止状態)だが、中堅に位置するシリーズが徐々に育ってきているので、来年か再来年くらいには10巻到達作品が新たに出てくるかも。

 さておき、話を戻す。『六畳間の侵略者!?』は主人公である高校生・里見孝太郎が「ころな荘」の一○六号室に引っ越して新生活をスタートさせるところから物語は始まる。格安の家賃に惹かれて六畳間の一○六号室を借りた孝太郎だったが、なんとその部屋は夜な夜なポルターガイストが発生する訳あり物件だった! かくして孝太郎は「一○六号室の本当の住人」と言い張る少女幽霊・早苗と遭遇する。ここまでならまだ「普通のよくあるライトノベル」なんですが、あにはからんや、一○六号室の占有権を主張する少女は早苗だけではなかった。地上侵略のためにやってきた地底人、銀河の果てから訪れた宇宙人、そして気合の入った衣装でコスプレに励む自称魔法少女を加え、六畳間はより一層狭苦しくなっていく。4つくらいのラノベを無理矢理一本化したような設定であり、公式は「圧縮系ラブコメ」と謳っている。読んでいて真っ先に連想したのは『ステレオタイプ・パワープレイ』(文庫化の際に『この家に勇者様もしくは救世主さまはいらっしゃいませんか?!』と改題)だった。1、2巻はややゴチャゴチャしているが、3巻あたりからエピソードの焦点がハッキリするようになって読みやすくなります。3巻が早苗巻、4巻がティア(宇宙人)巻、5巻がゆりか(自称魔法少女)巻、6巻がキリハ(地底人)巻といった具合。

 で、ただでさえ「圧縮系」なのに、アニメはこれを更に凝縮してしまった。1巻の内容を2話目までで終わらせ、2巻を3話目だけにブチ込み、3巻を5話目までで終わらせ……だいたい各巻2話ペースで進行し、結局12話で原作7巻の途中まで消化した。おかげでかなり駆け足ながらスピード感のある展開で退屈せずに観ることができたけど、端折った箇所が多いぶん、原作の魅力が伝わりにくくなった憾みはあります。中でも「青騎士」というシリーズの重要パーツが、アニメだと単なる劇中劇としての一要素に留まっちゃったもんな。アニメの12話目はクリスマスのエピソードを主体にしつつ、さあこれから「白銀の姫と青き騎士」の第二章が開演するぞ! ってところで終わります。原作読んでなかった頃は「ふーん」なエンドでしたが、読んだ後だと「そこで終わりかよぉぉぉぉぉぉぉっ!」と絶叫せずにはいられない。原作はここから激動の展開を迎えるわけであり、2期を望むファンが後を絶たなかったのもむべなるかな。アニメは商業的にヒットしなかったみたいで「2期は絶望的」と語られており、本当に無念でならない。ゆりかのあのへろへろした声とか、すげぇ好きだったんだがな……正直、アニメを最後まで観続けた理由は「ゆりかの声が気に入ったから」だと申し上げても過言ではありません。原作読んでもあの声以外でゆりかのセリフを再生することなど不可能。途中までとはいえ一度アニメ化されただけでも僥倖っちゃ僥倖だが、願わくばラブコメとしての本領を発揮するところまで進めてほしかった。

 「アニメだけ観てそこそこ気に入っている、原作は巻数多いし重複する箇所を読むのも面倒」という方は、せめて7巻、7.5巻、8巻、8.5巻の4冊だけでも目を通してほしい。できたら重複覚悟で1巻から挑んでほしいんですけどね……アニメの超圧縮展開を観た後だと、原作6巻あたりまでは先知ってることもあって結構ダルいんだよなー。でもやっぱり青騎士絡みは原作の流れをちゃんと押さえといた方がいいし。うーん、迷う。構成上、どうしてもスロースターターにならざるをえないってのが惜しいところだ。いつ打ち切りに遭うか分からない中でこういう試みを実行に移した健速のマインドは大いに評価したい。あとがきによると、「3巻で終了するパターン」と「6巻で終了するパターン」を準備していたみたいです。アニメは図らずして「6巻で終了するパターン」を踏襲してしまったか。

・HLCニコ生放送第二十七回のゲストはルサルカ役の「いのくちゆか」でした。

 表名義に馴染みがないから何度見ても「誰?」って言いそうになる。ルサルカ・シュヴェーゲリン、割と序盤から出てくる敵キャラであり、敵キャラながら可愛い見せ場が多くてユーザー人気も高い。07年版の描き下ろし特典テレカでは11枚中5枚とほぼ半数近くに描かれていました。ヒロインでも何でもないのに……というか07年版のテレカ、ルサルカ以外だと螢や玲愛ばかりで攻略不可能キャラ揃いなのが泣ける。ルサルカは黒円卓だとメルクリウスに次ぐ高齢メンバーで、名前も偽名。本名は「アンナ・マリーア・シュヴェーゲリン」、ドイツで一番最後に魔女裁判を受けたという実在の農婦がモデルになっている。本編では裁判を受けた後に本当に魔女化して生き延びたが、玲愛エンド後の世界では普通に亡くなって転生し、ふたたび「アンナ」として生を享けたことになっています。そのため魔女化した方を「ルサルカ」、魔女化せず転生した方を「アンナ」と呼び分けるのが通例となっている。ただ、本編でも「アンナ」と呼ばれるシーンはあるため、ファンの間でそこまで厳密に使い分けされているわけでもありませんが。本編だと魔名(二つ名)から「マレウス」と呼ばれることの方が多かったかな。

 正田崇は昔から一貫して「なんでこんなに人気があるのかわからん」「ロリか、ロリがいいのか」と言い続けていたが、確かにルサルカが黎明時の妙齢スタイルで登場していたらこんなに人気は出なかっただろうな。余談だがライトノベル『灼眼のシャナ』も企画段階ではヒロインが20代くらいの見た目になる予定だったとかで、もしそのままゴーサインが出ていたらアニメ化するほど人気が高まることはなかったでしょう。ルサルカにしろシャナにしろ、「ロリがいい」というよりも「見た目が幼い」こでにギャップが生まれ、魅力も倍増しとなっている。ルサルカは淫乱で拷問好きというかなりヒドい奴なんですが、見た目が大人っぽかったら「まんま過ぎる」わけで、「残虐非道なのにロリ」というインパクトあってこそキャラが立とうというもの。

 玲愛ルート以外では大概悲惨な末路を迎えているルサルカながら、カップル人気投票ではローストともども1位を獲得し、2010年発売の「感謝キャンペーンパッケージ」ではデカデカと前面に描かれるまでに至った。もともと人気が高かったとはいえ、メインヒロインでもないキャラがこれだけの扱いを受けるのは異例である。「Dies irae人気No.1キャラ」と冗談めかして言っているが、案外嘘でもない。「かわいこぶってる年増」イメージが既定路線のルサルカは「ベイとは対照的なキャラ」としてメイキングされたとのことで、今では「ロートスとルサルカ」のカップリングが鉄板になっていますが、確かに2007年頃はベイとルサルカでワンセットみたいな扱いでしたね。人気を出すつもりで作ったが、予想以上に人気が高まってしまって戸惑った模様。通常のヒロインならNGワードに指定されてしまうようなゲスいセリフも平気で盛り込めるから、書きやすいことは書きやすかったみたいだか……いのくちさんもゲス演技は楽しかったみたいでWin-Win。正田が好きなルサルカのシーンは、玲愛ルートで黄金錬成の真実に気づいて「し、しってたし! ないてねーし……!」と諦め気味に強がった後でブチ切れるところ。いのくちさんは可愛い系の演技も上手いけど、感情が爆発して大声で叫んじゃうようなシーンは更に上手いんですよね。神咒の奴奈比売は鬼気迫るものがあった。まさに断末魔、って感じで。

 興味深い発言をピックアップ。「(ルサルカは)たぶんね、螢には勝てる」 香純ルートで緋々色金ブッ刺していたけど、そういえば直接ぶつかるシーンはなかったな、このふたり。ルサルカは事象展開型で攻撃力がそんなに高くない反面、守りが硬くて螢には攻め切れないのかもしれない。聖遺物だけでなく食人影の「ナハツェーラー」も操るし、平団員レベルではなにげに強敵属性である。というか、螢って本来はベイよりも弱い(螢ルートでも三騎士の干渉がなければ恐らく螢の敗北だった)から、実は最弱ポジ……? 正田は「下から4番目くらい」と言っているが、ゾーネンキント(というか魔城)にあっさり抑え込まれていたし、リザは明らかな非戦闘員だから比べるのもアレだし。さすがにシュピーネには勝てる……いや、シュピさんは自壊衝動さえ発現しなければ相当に用心深いキャラだし、むざむざ負ける戦いに挑むだろうか? てことは、やはり螢が限りなく最弱に近い位置づけってことになっちゃいます。「け、螢にはカイン化という切り札があるし!」と震え声で言い返すしかない。カイン化した螢って、どのくらい強いのかよくわからんところもあるが。「(Diesは)みんな名前が3つくらい(あって)だいこんらん」 Diesは体験版の頃から「誰が誰に呼びかけて誰の話をしているのかわからなくなる」とよく言われていました。主人公も「蓮(ないし藤井君)」と呼ばれたり「代替」と呼ばれたり「ツァラトゥストラ」と呼ばれたりで、設定飲み込んでないとワケがわからなくなること請け合いです。「まずOHPの情報を全部読んで来い」が合言葉でしたからね。正田の気合が入りすぎていたきらいはある。「(アニメでは)可愛いシーンもちょこちょこ入れたいなと」 昔は学園コメディ的な日常シーンを書くのがあまり好きじゃなかったという正田も最近は心境が変化してきたようだ。蓮は司狼とガチ喧嘩して入院までしたせいでクラスメイトからは敬遠されており、序盤の学園内じゃ割と気まずいムードの中で日々を過ごしている。そのせいもあって学園が戦場になる章でも「大切な場所を踏みにじられている」感じがあまり出なかった。学園モノとしてはそこが痛恨だったと思います。腫れ物扱いされる方が自然ではあるが、退院してきた蓮を心配して接してくるモブたちがいればより悲壮感も増すかと。いのくちさんはやたらアイキャッチにこだわっていたが、やるなら次回予告の方がいいかも。でもクロスアンジュの次回予告みたいなノリはシリアス台無しすぎるので勘弁な。

 次回のゲストに関しては調整中とのことで、誰が来るとはまだ告知できない様子。もし調整がつかなくてゲストを呼べなかったら高濱亮が体を張って何とか時間を埋めてくれるのかな。あと「一回でいいからハートフルなのを書きたい」「優しい世界!」と正田が発言しているが、ぶっちゃけ正田シナリオに対して虚淵御大やうぶちんほどの危機感は抱かないっスね。書こうとすれば書ける気はする。でも適性があるかどうかは……いっそヒロイン全員を外面如菩薩内心如ゲスにしてドロドロの修羅場を描いた方がいいんじゃないかしら。全員だとワンパターンだからひとりだけ内面も天使ってことにするとか。いや、むしろ天使みたいな子がすくすくゲスとして成長していくようなシナリオがいいか。「なんということでしょう、向日葵のように輝く笑顔を浮かべていたあの子がまるでラフレシアのように!」という劇的ビフォーアフター。

「ゆるゆり」新装版、なもりが旧版と同じ構図で表紙描き下ろし!特典も(コミックナタリー)

 リンク先にも書いてありますが、百合姫コミックスのサイズ変更に伴って『ゆるゆり』の既刊が新装版としてもう一度発行し直されることになりました。表紙の構図はそのままで、絵柄だけ現在のものに変更する模様。何巻まで描き直すのかは知らない。今見ると初期の絵柄は違和感があるな……特に目の描き方が。さすがに中身までは描き直さないだろうし(前にそんな企画やってたが)、改めて買うつもりはない。今後の新刊もB6サイズが基本になるが、特装版などはA5サイズで出し続けるつもりらしい。特典にもよるけど、私はA5サイズで読み続けたい派だから原則特装版を購入していく予定。

【ラノベ】「俺ガイル」11巻の発売日延期の理由は発行部数が関係している模様 どれだけ刷ったんだ・・・(まとレーベル@ラノベ新刊情報まとめサイト)

 俺ガイルの作者・渡航はかつて『あやかしがたり』の最終巻で、発行部数ってそんなに少なくすることができるのか、と驚いた過去を持つ。『あやかしがたり』は新人賞の大賞作品だったぶん、露骨な打ち切りにしてしまっては小学館の面子が立たないからと、本来なら発売されるはずもないくらいの低部数で刷られるハメになったという。いったい何千部だったのか……そんなふうにして地を這い土を舐めた渡航が、まさかこうして売上的な意味でガガガのTOPに君臨しようとは。アニメ2期目が始まってからシリーズの売れ行きが加速し、累計部数も既に400万部を突破している(コミカライズ等も含むか含まずかは不明だ)そうで、最新刊の刷り部数は十万部単位だと思われます。一応、『あやかしがたり』の頃から知ってる(1巻だけ読んだ)けれど、まさか渡航がこんなに出世するとは夢にも思わなかった。卑屈さ全開の自虐日記でコアな人気を誇ったことが遠い昔のようだ。

【悲報】藤崎ひかり『のぞえもん』出版社が回収を始めているらしい?(徒然なる一日)

 表紙のインパクトにヤラれて即買いしてしまったが、やっぱりマズかったのか、アレ……ドラ関係は著作権絡みでかなりうるさいって噂ですからね。そういえば今を遡ること14年、『ぱちもそ』というエロゲーがヒッソリと世に出ました。童貞のまま歳を重ねた主人公「門司もじ太」が犬型ロボット「パチ公」を開発し、過去の自分の元へ送って脱童貞の悲願を果たそうとする、わっかりやすいドラパロです。当初予定していたタイトルも『エロえもん』と相当な直球でしたけれど、「さすがにヤバイ」と思ったのか途中で変更になりました。私も告知されていた題名が『エロえもん』だったから注目したクチで、もし最初から『ぱちもそ』だったらスルーしていたでしょうね……「過去にロボットを送り込んでも、可能性が分岐するだけで直接未来が変わるわけではない」など、SF的な要素をキチンと織り込んだ秀作であり、短いながらもよくまとまっていた。某レビュアー(誰だか忘れてしまった)の「ロボットをロボットとして、つまり『奇跡が起こって○○には心が宿ったんだからもはや単なるロボットじゃない、人間と一緒で価値のある存在なんだ!』みたいな人間偏重/ロボット蔑視めいた理屈を捏ねずにうまく扱っており、コメディチックながら人とロボットの理想的な距離感を描いている」という趣旨の評が的確である。

・拍手レス。

 パラロスは確かFateと同月発売だったんですよね。ある意味スゲェ。しかし、個人的にパラロスで一番印象に残ったのは、本編より効果的にイベント絵使ってたバレンタインASだったりw
 パラロスの方が2週間早かったんですよね。Fateの方が先に発売されていたら、そっちの話題で持ち切りになってパラロスは余計に目立たなくなっていたかも。ASと言えば「私立ソドム学園」が面白かったなぁ。

 玲愛先輩はバレンタインムービーやツイッターでのバレンタイン企画のせいで、「熊本」とか「爆発チョコ」とかのイメージが先行してしまいますね。万仙陣では南
 すいません、続きです。南天が「二代目熊本」とファンから呼ばれていますね。果たして来年のバレンタインムービーはどのようなカオスな出来になるのか…。

 次の新作あたりで本格的に熊本が舞台になって「Bカップよ、これが熊本だ」な感じになると予想。熊本と言えば榊ガンパレがいよいよ完結に近づいてきたらしい。私が読み出したのは割と最近だけど、「遂に……」という気持ちが湧いてくる。

 ラブライブは今や人気コンテンツとなりましたが、当初は「アイカツのパクリだ!」とか「キャストに元モデルや歌手や元てれび戦士とか入れてるんじゃねえ!」とか散々な言われようで、さらに当時は音楽推しアニメの座を「けいおん!」と「Angel beats!」の二強が争っていた時期ですから、出足最悪な状態からここまで人気作品になったものだと感じます。しかし、劇場版の後の続編であるラブライブ・サンシャインはどういう話になるのか気になりますね。アイマスやアイカツやプリパラと並ぶ優良コンテンツになってくれればよいのですが…。
 サンシャインは、極論「ラブライブをまったく知らない人でも面白がれる」出来にならないと難しい気がします。既存のラブライバーをアテにした作りでは、結果として既存・新規の両方にそっぽ向かれそう。


2015-06-16.

『Dies irae』のポータルサイト開設

 やっと来たか。Diesは情報ページが複数存在するのでリンク張るときにどれを選べばいいのか迷ってたんですけど、これでひとまず悩みは解決されそう。キャラ紹介ページにちゃんとジークリンデとかも載ってますね。「霧咲 鏡花」は一瞬「誰だっけ?」と首を傾げたが、あー、そういえばいたな、そんなキャラ。あくまでざっくりした情報をまとめる程度に留まっていて、あまり網羅的でないのが残念だけど……せめてダウンロードできるムービーの情報くらいはまとめてほしかった。Diesって体験版は少ない(確か3つ、07年版2つとファーブラ1つ)けど、ムービーは山ほど(ざっと20個くらい)作成されていて、新規にとっては把握するのも面倒臭いレベルです。「このへんはプレー前に観てもOK、このへんはプレー後で」みたいにアナウンスしてもいいんじゃないかな、せめてブログあたりで。ブログと言えば『PARADISE LOST』の紹介記事が来てますね。初期作なので正田崇は触れられることを嫌がっていますが、私としてはコレがキッカケで「正田崇」という三文字を胸に刻む結果となったのだからやはり感慨深い。「元々ゲーム本数が少ない状態で品切れが相次いだため高額化していまいした(原文ママ)」とあるが、予想通り出荷本数は少なかったんやな……当時から「演出が弱い」と指摘されていたくらいで今やると厳しい部分もあるが、それでも初期衝動とも言うべき情熱が迸っていて、未だに「特別な一本」という印象は揺るがない。菊地秀行チックなノリが好きな人にはDiesよりもパラロスの方がオススメしやすいかも。

・HLCニコ生放送、第二十六回のゲストは氷室玲愛役の生天目仁美、第二十七回のゲストはルサルカ役のいのくちゆかと女性声優が続く。そろそろ男性声優もまた来てほしいところだ。

 第二十六回、ゲストの生天目仁美は放送から少し遅れての出演で咄嗟に「すみません、先輩。俺はまた間に合いませんでした」が脳裏をよぎった。忘れたつもりでも07年版の悪夢はなかなか立ち去らないものだな……さておき氷室玲愛、Dies主人公・藤井蓮が通う学園の先輩であり、ファンの間では通常「玲愛」「テレジア」「先輩」などと呼ばれている。いくつか特殊な呼び方もあるが、そのほとんどは「○○先輩」といった形式のものです。バストサイズから「Bカップ先輩」とか、執拗に熊本へ言及することから「熊本先輩」とか。ローテンションなクール系美少女キャラながら結婚願望は強く、好意の示し方にえも言われぬ可愛らしさがある。特有のテンポから繰り出されるセリフの数々に骨抜きにされたファンは多く、体験版のメールだけで陥落(おと)されたという奴さえいます。飄々とした物言いとは裏腹に生まれた時点から「役目」が決まっている重い設定の持ち主で、イメージ的には「悲劇のヒロイン」なのだが、記念ムービーやツイッターアカウントでユーザーを「ゾウリムシ」呼ばわりするなどやりたい放題の罵倒芸をこれでもかと披露した結果、気が付けばすっかりネタキャラ枠に……本当は臆病だけど意志の強い、一途な子なんですよ! と改めて声を大にして言っておきたい。あと収録時期によって声優の演技の違いがかなり大きいけれど、そこは一つ聴く側の愛情でカバーしてください。

 放送開始から30分くらいで生天目仁美が登場。玲愛は物語の核心近くに位置するキャラであり、学園パートはともかく伝奇色が強まる後半はセリフの意味がなかなか理解できなくて苦労したとのこと。アニメの音声収録は一堂に会し声優同士で実際に遣り取りしながら録音するのが普通(スケジュールの都合で来れなかった人だけ別録り)ですが、ゲームの場合はワード数(セリフの量)が膨大なことから別々に収録することが通例となっています。規模にもよりますけど、声優は1日か2日くらい予定を空けておいて、休憩を挟みつつ数時間に渡って演技を行う。そのため「掛け合い」の要素が希薄になり、シナリオ上どういう流れで自分がこのセリフを口にするのか、が分かりにくくなります。ぶっちゃけ、セリフがどういう意味なのか理解せずにテクニックで凌ぐ声優も少なくない。解釈を間違えた演技があったら現場のスタッフに指摘されて修正するわけですが、Diesの開発はかなり慌ただしかったので正田崇はほとんどの収録に立ち会っていないそうです。確か、ファーブラのときのルサルカの収録には立ち会ったんだっけ? 感極まってウルッと来た、ルサルカなのに……みたいなことを言っていた気がする。

 玲愛は戦闘要員じゃないからバトル展開がメインのシーンではほとんど活躍せず、出番が飛び飛びになってしまうため台本読んでも「いったいここからここまでに何があったの?」と首を傾げるハメになる。その点、戦うヒロインである櫻井螢は登場場面が一貫していて筋も追いやすく、担当声優も夢中になってシナリオを読み耽ったという。生天目さんにとって一番楽しかったのは冒頭の学園シーンだそうで。確かにあのへんの玲愛はかなり活き活きとしてますね、ベースのテンションは低めでボソボソ喋りですが。ちなみに私の好きな玲愛先輩のシーンはデモムービーで使われた「逃げてよ。いいじゃない。誰も文句なんか言わないし、言う人頭おかしいんだよ」らへん。シリアスなんだけど、「言う人頭おかしいんだよ」あたりに玲愛らしさが滲み出している。正田が好きなのは香純ルートの「逃げないんでしょ?」。

 ほか、興味深いのは正田の「嫌いなタイプはヒロインにしない」発言。外注とか、企画段階に絡めないライターだと本人の趣味を脇において要請されたヒロイン像を書かないといけないわけだけど、企画レベルで参加できる正田は「ユーザー受けを狙って嫌いなタイプでも黙々と書く」ような真似もしないのか。まぁ、あの人は書きながら考えるタイプで、「なんか違うな」と感じたらプロットすら変更するんだから意に染まぬヒロインのシナリオは書けないでしょうけど、一度着手すれば書いてるうちにだんだん好きになる可能性はある。あとの注目ポイントは生天目の「(アニメは)私のルートに」という要求に対し「ホント迷ってる」と答えるところか。まだ本格的な制作が始まってないから未決定の部分もいろいろ多いんだろうけど、「アニメは誰それのルートをベースにやる」みたいな腹案も固まってないみたいですね。「マリィか玲愛か」とこぼしているくらいだから、香純ルートや螢ルートはなさそうだが……ベアトリス、涙拭けよ。どのルートでもまんべんなく美味しい見せ場があるトリファと違って、「こっちのルートでは大活躍なのに、あっちのルートでは悲惨」みたいなキャラが結構いるからDiesは難しいな。マリィルートだとルサルカ涙目だし、玲愛ルートだとアニメ組は螢をヒロインとして認識できないだろうし。ルサルカはまだしも、螢の扱いは悩みどころに違いない。もういっそ「第五のルート」を創出するしかないのでは?

 ニコ生とは関係ないが、次回の「Happy light Cafe」にゲストとしてフロントウイングの代表・山川竜一郎が出演するとのこと。正直「誰?」って反応が多いのでは……フロントウイングを知っていても、代表の名前まで記憶に残っている人は少ないと思う。私も「やたらとグリカジをアニメ化したがっていた人」程度しか覚えていません。どうも服部代表と仲が良いらしい。二人とも札幌出身で、高校も同じだそうな(ただし在籍期間は被っていない)。lightもフロントウイングも業界デビューは2000年なので、ブランドとしては同期に当たる。フロントウイングは最近アニメやってるグリザイアシリーズ、それにジブリールシリーズで有名なところだが、ブランドデビュー作の『カナリア』はヤマグチノボルと桑島由一、両名のデビュー作でもあるんですよね。パーソナリティのAyumi.が挙げた『魔女のお茶会』は割と初期のソフトで、これをキッカケに藤崎竜太がフロントウイング周辺で仕事するようになった。一応その時点で藤崎にはシナリオライターとして5年のキャリアがあったけど、書き手として認知されるようになったのは『魔女のお茶会』以降、特にヤマグチノボルと組んだ『ゆきうた』あたりからですね。『ゆきうた』は当初「Survive」という姉妹ブランドから出ていたが、そういえばSurviveってもうなくなったのか? 『魔女のお茶会』はかなり癖のある絵柄で好悪が分かれましたが、原画の「御機械屋」は藤岡建機の別名義。何気にダブル「藤」ゲーだったんだな……次回のHLCはDiesを振り返る予定らしいし、久々に聞こう。

・拍手レス。

 ヒンドゥーネタを取り入れたフィクションといえば『3×3EYES』が真っ先に思いつきました。 何気にもうすぐ1巻が発売の続編は連載の1話から追っていますが、正直主人公の八雲が最強かつ不死でヒロインに一途という状況なので、いまいち緊張感(搦め手でこられても死なない)と盛り上がり(他の女性人とフラグが立たない)に欠け、個人的にはファンブックと割り切れる人にしかお勧めできない出来なのが残念です。
 3×3EYES懐かしい……小学生の頃に立ち読みでパラパラと目を通した程度だからほとんど覚えてないけど、「聖」とか「魔」とか「妖」とか「獣」みたいな漢字がズラズラ並ぶあの頃の伝奇の雰囲気はやっぱ好きだなぁ。ちょっとずつでも読み返してみようかしら。


2015-06-14.

『ラブライブ!』の劇場版を観てきた焼津です、こんばんは。

 ハマったキッカケは「なんとなく観たアニメの1話目が面白かったから」だし、ハマったと言いつつCD類はほとんど買わないようなヌルい層なので、前夜眠れなくなるくらい楽しみってほどでもなく、「ああ、そういえば今日が初日だったか」という感覚で映画館に足を運びました。土曜の午後、初日ということもあってかそこそこ観客は入っていたが、混み合う域にまでは行かずけいおんの劇場版やまどか新編に比べるとやや少ない印象。全体的に客層が若い(パッと見で10代から20代)ので30過ぎとしてはチョイ肩身が狭い思いをしたり。男女比は、ほぼ半々。予想以上に女性客が多かったですね。隣の席も女性でした。漏れ聞く会話からすると女子高生のグループ? 特定のキャラが出てくると明らかにテンションが変わる。誰推しなのかハッキリわかって微笑ましかった。

 さて、劇場版ラブライブはアニメ2期の続きです。まったく知らない人向けにザックリ説明すると、アニメ版『ラブライブ!』は主人公の女子高生が「このままだと所属校が廃校になる」と聞かされ、廃校を阻止するために部活動感覚のご当地アイドル――スクールアイドルをやろう、と決意するところからスタートする青春モノ。最初は3人だったグループが徐々に膨れ上がって9人組になるのですが、そこに至るまでの過程で大方尺を使い尽くしてしまい、全国のスクールアイドルが覇を競う祭典「ラブライブ」へ到達するところまで描くことはできず、参加を断念する形で1期目は終了。2期目は、もう一度ラブライブが開催されるので今度こそ出場しよう! と奮起する話になっている。そして何だかんだの末に念願だったラブライブも幕引きとなり、3年生メンバーが卒業しちゃうからいよいよ解散か……としんみりしたところから劇場版のストーリーが始まるわけです。人気が出過ぎたせいで終わりを引き延ばされる、という『ラブライブ!』を取り巻く現実の状況と、「μ's(主人公たちのグループ)を存続させてほしい」と周囲から要請される作中の状況がピッタリ重なっていて面白いというか何というか。映画では日本を飛び出し、なんとニューヨークでライブをブチかましてしまうのですが、これは単なる前哨戦。帰国してからの展開が本番であり、見所の連続となっています。

 μ'sを予定通り解散させるか、それともあえて存続させるか。主人公の穂乃果はこの問題について考え込み、悩み続ける。学校を卒業するメンバーがいるのだから、「スクールアイドル」としてはキレイさっぱり解散させて有終の美を迎える方が良い。しかし、これだけ人気が出てしまったのなら、「終わらせるのがもったいない」という気持ちが湧いてくることも自然だ。幕引きの一撃を見舞うべきか、それとも刹那の時を永遠にするべきか。私の脳内でマキナと蓮が鬩ぎ合うビジョンが見えました。一度終焉を逃して宙に浮いた彼女たちの英雄譚(ヴォルスング・サガ)、その行く末とは……途中、意識が混濁してシンフォギアやピンポンのイメージも流れ込んできましたが、思ったよりもずっとキレイにまとまった劇場版でした。正直、もっとこう、ドロドロのグダグダになるかと危惧していましたよ。ストーリー面はTVシリーズでほぼやり切っているから多少の蛇足感はあるものの、ファンサービスというか一つのイベントとしては充分楽しめる出来だった。個人的にはやたら艶っぽいあんじゅちゃんとハシャぐ西木野ママが見れて満足。一番笑ったシーンは背中からの振り向きでウルヴァリンと化すほのパパである。

ヒロインが全員インド人のエロゲーがあったらお前ら買う?(2次元に捉われない)

 割と冗談抜きでインド神話モチーフの伝奇ゲーがあったらやってみたい。ギリシャ神話や北欧神話、記紀神話あたりはまだちょこちょこ見かけるけど、本格的にヒンドゥーネタを取り入れたフィクションって年々少なくなってきてますからね。『シャングラッド神紀』とか、かなり面白かったのに続編ナシでとても残念。『月神祭』みたいなノリで連作形式のエピソードを紡ぐエロゲーがあったら理想的なんだが、どう考えても売れそうにないし無理か。それに、褐色肌は好きだけど、ヒロイン全員が褐色だと物足りなくなりそうな予感はある。やはり褐色ヒロインは色白っ娘たちの中に混じってこそ目立つ。

『うたわれるもの 偽りの仮面』TVアニメ化決定!2015年10月放送開始 監督:元永慶太郎、制作:WHITE FOX(萌えオタニュース速報)

 再放送の『うたわれるもの』を観ながら「続編(偽りの仮面)もアニメやんないかな〜、やるとしても来年以降になっちゃうかな〜」と思っていたが、まさかの年内放送につき吃驚。単にゲームの新作が出るから販促の意を兼ねて再放送してるのかとばかり受け取っていたが、アニメ新作の布石でもあったのか。『うたわれるもの』、エロゲーとして発売されたのが2002年で、アニメ化(およびPS2への移植)が2006年と、アニメやCS移植を基準に見ても10年近く経っている作品です。こんなに長く続くと、発売前に予想していた人はほとんどいなかっただろう……ぶっちゃけ全然期待されてなかったですからね。当時のLeafは『誰彼』で評判ボロボロ、うたわれの情報が出たときも「何これ、エルクゥネタの焼き直し?」みたいな調子で好意的な反応はあまり見られなかった。いざ発売されてみたら魅力的なキャラクターたちとシンプルながらゲーム要素にマッチしたストーリー、そして初心者にも攻略可能な程好いSRPGパートが好評をもって受け入れられ、Leafが息を吹き返すキッカケとなりました。当然、続編も期待されましたが、「うたわれ2は制作中」と発表されてからいったい何年が経過したか……もう出ないんじゃないか、と諦めかけていた頃に『偽りの仮面』の情報が来たわけです。

 『うたわれるもの』は古代日本風の世界が舞台。獣の耳や尻尾を持つ亜人たちと、それを率いる白い仮面の男「ハクオロ」が支配者の圧政に対して反抗するうち、いつしか国レベルの戦いへ加担することになっていく。一種の成り上がり系国盗り物語です。数多くのヒロインが登場するハーレム物でもあるが、ハクオロさんは性に淡白なのでエロエロなムードは皆無に等しい。エロゲー界隈では濡れ場の呆気なさを表現する際、「主人公の精力がハクオロ並」などと言うこともあったくらいだ。実際はそこまで早漏キャラでもなかった気がするが……なにぶん10年以上前のことで、よく覚えていない。確かに誰かおざなりなエロシーンがあったな、って記憶は残ってるけど。前半に比べて後半の展開はやや飛躍気味になり、賛否の分かれるところとなったものの、総じて「面白かった」という一言にまとまります。シナリオを担当したのは菅宗光(スガ・ムネミツ)、旧名義「む〜む〜」。シルキーズで『恋姫』や『BE-YOND』を手掛けたライターです。『BE-YOND』は『うたわれるもの』と世界観を共有しているのではないか、と噂される(公式には認められていない)ソフトであり、先にプレーしておけばうたわれ後半の展開もすんなり受け入れられる……かもしれない。で、『偽りの仮面』のシナリオにも菅宗光は関わっているようです。これぐらい間が空いてしまうとスタッフ総入れ替えといった事態も珍しくないが、甘露樹も継投するし、ほぼ前作通りのスタッフと言えよう。

 ただ、アニメ版のスタッフはやっぱり変わっちゃいましたね。制作は「WHITE FOX」で、これはうたわれ(無印)のアニメを制作した「OLM TEAM IWASA」が独立してできた会社だから一緒と見做しても差し支えないけれど、監督は小林智樹から元永慶太郎に、シリーズ構成は上江洲誠から鴻野貴光に変わっている。元永慶太郎は最近だと『ヨルムンガンド』『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』の監督をやっているが、経歴を辿るとエロゲーアニメの仕事が結構多いですね。OVA版の『Phantom -PHANTOM THE ANIMATION-』とか。あれ評判悪かったから観てないんですが。Leaf関連だと『To Heart 〜Remember my Memories〜』がありますね……え? 何ですかコレ。え? マジでこんなアニメあったの!? 全然知らなかった……私、東鳩のアニメで観たことあるのって1999年の奴だけですわ。2がアニメ化されたのは知ってたけど、その前にこんなんやってたとは。放送時期は2004年秋クールか。う〜ん、この時期は結構深夜アニメとか観てた気がするんだがなー、日記読み返しても『月詠』の話題とかあるし。ちょうどローゼンメイデンの1期目をやってた頃ですよね。うーん、思い出そうとしてもまったく記憶に掠らない。違う世界線に紛れ込んだ気分だ。ともあれ、話を戻そう。シリーズ構成の鴻野貴光は見覚えがないから検索してみたが、ウィキペディアの作品リストに『AYAKASHI』(シリーズ構成・脚本)を見つけて「うっ」となったり。シリーズ構成はやってないけど『つよきす Cool×Sweet』の脚本も何話か担当しているのか……一気に不安になってきた。だ、大丈夫、今回も菅宗光が監修するみたいだし、そんなにヒドイことにはならない、はず。

・拍手レス。

 初野晴で自分が知っているのは講談社ノベルスから発売された「1/2の騎士」ですね。あれはどことなくジョジョ第四部のオマージュっぽい部分がある話で好きでした。
 主人公が弓道部の奴でしたっけ……と調べたらアーチェリー部だった。途中まで読んだ記憶はありますが、もう覚えてないので最初から読み直さないと。

 Diesアニメ化の内容が徐々に決まっているようですね、今企画段階となると早くても来年、もしくは再来年ですかね、再来年だとDies irae 17年版となりますね…不吉だ。
 TVシリーズだと企画段階から2、3年掛かるのが普通だと言われてますね。制作スタジオの手が空くタイミングも関係してきますし、早くて再来年、順当に行って3年後ではないでしょうか。

 Anotherといい、氷菓といい、ここ近年はミステリー小説がアニメ化されることが多いですよね。森博嗣の「すべてがFになる」もノイタミナ枠でアニメ化されることが決定しましたし。個人的には東川篤哉の「烏賊川市シリーズ」をアニメ化してほしいなと感じます。
 メルカトル鮎シリーズのスピンオフとしてモルワイデ鱈のオリジナルアニメやってほしい。


2015-06-07.

林トモアキのブログ「魔殺商会広報部電子版別冊」に『現役プロ美少女ライトノベル作家が教える! ライトノベルを読むのは楽しいけど、書いてみるともっと楽しいかもよ! ?』の続き「新訳・京子さんとモリナガさん 『その名刺は誰のため?』」が来ているので疾く征け! と急き立ててみる焼津です、こんばんは。

 たまにこういう記事が来ると嬉しいですね。「名刺を作ってもあんまり使う機会がない」という話ですが、いっそサイン会とかでファンに配ってしまえばいいのかも。

・HLCニコ生放送第二十五回、エレオノーレ役の矢口アサミをゲストに迎えつつアニメ企画の進行状況が語られました。

 前回は体調を崩してお休みだった服部代表も出演。現状、DiesアニメはOVAかTVシリーズかも決まっていない模様です。クオリティを取るならOVAだけど、その場合脚本はどうすればいいのか……という悩みがあるみたいで、どちらかと言えばTVシリーズをやりたがっている感じ? コミカライズの企画も来ているとのことだが、いったい誰が描くんだろう。2007年のときみたいに七番真人がもう一度描くってことはないだろうな。掲載誌だった“コミックガム”も休刊しちゃったし。『Dies irae [ディエス・イレ]〜彼の日こそ怒りの日なり〜』、一応単行本化の話もあったんですよ、怒りの日の余波で有耶無耶になっちゃったけど。

 新作ドラマCDのタイトル名とかは来週告知される予定らしい。内容はマキナ(ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン)のエピソードで本決まりのよう。やっぱり毒壺最強決定戦のあたりをやるみたいですね。一応解説。マキナは黒円卓第七位で、「7」という数字は13の真ん中に位置することから「天秤」として左右の釣合を取る役割を与えられている。メルクリウスの構想からしても重要なポジションなので、一番最後まで空位だった席です。マキナの元になった人間はベルリン陥落の前年、つまり1944年に死亡しており、加入はそれ以降ということになる。類人猿作戦(1942年)の時点で他のメンバーはほとんど揃っていた(もちろん聖餐杯やゾーネンキントはまだ誕生していないが)わけだから、2年くらい遅れていますね。他の連中はもうすっかり魔術(エイヴィヒカイト)に慣れた頃で、「天秤」候補者として闘争を強いられるマキナの苦悶を高みの見物とばかりに眺め下ろす。この儀式、作中では「蠱毒」と形容されていますが、大まかな経緯しか触れられておらず詳細に関してはファンそれぞれが想像するしかなかった。それが明らかになるので、もうワクワクが止まらない。Diesはその気になればいくらでも新たなエピソードを掘り出せるところが美味しいんですよね。個人的には「槍」絡みの話とか見たい。あれ下手するとキリスト処刑の段階からニートが関与していた疑惑あるし……支援者限定小説の続きでちょっとは言及されるかな。

 そういえば天秤の話書いてて思い出したけど、黒円卓(聖槍十三騎士団)の席順(第○位)は黄道十二宮+水星なので、十二宮のイメージに各団員を当てはめていくと覚えやすい。つってる私も、そんなにしっかり記憶しているわけじゃありませんが……たとえば第一位のラインハルトは「白羊宮」で羊っぽいイメージはゼロかもしれませんが、牡羊座の由来となっている神話は「金羊毛(ゴールデン・フリース)」のアレだから黄金繋がりってことになる。「双児宮(トリファ)」「処女宮(ゾーネンキント)」あたりはイメージぴったりだし、「獅子宮(レオン)」「人馬宮(ツェンタウア)」あたりは魔名と一致させて覚えられる。中にはこじ付けになっちゃうのもあるけど、シュピーネの「磨羯宮」(山羊座)はギリシャ神話の神「パン」に由来するものとされ、パンは「パニック」の語源でもあるから「本当は有能」という設定にも関わらず本編で異様な醜態を晒したのは占星術的に正しかったんだよ! と無理矢理な解釈もできる。実際、Diesの世界にも星視がいて残存組8名の全滅を予言したりしていましたね……あれ? でもその予言って螢ルートだと外れることになるのでは? ま、星視の言うことはどうでもいいか。

 あと最後の方で正田が「『城』にいるラインハルトたちは風呂とかどうしていたのか。60年間洗ってないロン毛」みたいなことを言っているが、あっちは魂だし別にいいとして、むしろ聖餐杯の方がちゃんと風呂に入っていたのかどうか。あれ「対物理・対魔術・対時間・対偶然」だから理屈としては汚れたりしないはずですよね。テレジアと一緒にお風呂に入ることに執心していたが、逆に考えれば「テレジアなき風呂など無用!」ということに……いや、嫌われないようにちゃんと一人でも入浴していたんだろうか。黒円卓の連中は原則飲み食いも排泄も睡眠もそれどころか酸素さえ要らないから、その気になればいくらでも生活感を削ぎ落とせるのだけど、あんまり生活感がないと自壊衝動高まりそうだからある程度は「生活」を様式として維持していたのかもしれません。しかし、ラインハルトたちが60年間「城」でどんな日々を送っていたのかはホント謎だな。とりあえず最低一回は「城」の各地を巡視していると思うけど。大名行列のように三騎士と髑髏を引き連れてぞろぞろと行進する獣殿。「首領閣下の総回診です」 イザークのアナウンスとともに流れ出すBGM。てのはジョークとしても、暇潰しに全髑髏をリストアップして点検・把握するぐらいのことはしてそう。

初野晴『ハルチカ』シリーズが2016年アニメ化決定!監督:橋本昌和、構成:吉田玲子、キャラ原案:なまにくATK、キャラデザ:西田亜沙子、制作:P.A.WORKS(萌えオタニュース速報)

 一瞬「ハルチカ? そんなタイトルのミステリあったっけ?」と首を傾げたが、『退出ゲーム』とかの“ハルチカ”シリーズのことか。春太(ハルタ)と千夏(チカ)で「ハルチカ」。ぶっちゃけ私は全巻積んでるのでどんな内容か知らないんですが、作者の初野晴についてなら多少は解説できます。

 初野晴(ハツノ・セイ)は2002年に横溝正史ミステリ大賞「大賞」受賞作『水の時計』によってデビューを果たした作家です。つまり今年で13周年を迎えた。横溝正史ミステリ大賞、旧名「横溝正史賞」は作家名を冠したミステリ系小説新人賞として江戸川乱歩賞に次ぐ古株であり、ミステリ読者からはそこそこ認知されているが一般的にはごくマイナーである。それなりに活躍している出身作家もいますが、どの受賞作よりも受賞を逃した(最終候補止まりだったところを拾い上げられた)『リング』が一番有名という時点でお察し。「社会的なテーマや文学的要素を備えた作品が強い」とされる江戸川乱歩賞や、「謎解き要素を重視した本格ミステリが強い」とされる鮎川哲也賞に比べ、横溝賞は特にこれといった傾向がない。『水の時計』も「臓器移植」をテーマに据えた異色作で、モチーフとなっているのは「幸福の王子」。脳死と診断された少女の臓器を、ツバメ役の少年が各地に運ぶ。「透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ」と謳われているが、あまりミステリっぽさはない。受賞後第一作の『漆黒の王子』も異色作で、なんと「ヤクザが謎の奇病に罹って次々と死んでいくバイオ・ホラー」。「眠ったら死ぬぞ」とヤクザたちを脅す人物が「ガネーシャ」と名乗るので、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の「ガネーシャ・ファミリア」が出てくるたびこの作品を思い出します。タイトルの由来はエドワード黒太子、非常に優秀だったが病気のため王位を継がずに死んだ王太子です。

 初野は割と寡作家で、13周年を迎えた割に著書はまだ10冊しかない。新刊情報が出てもしょっちゅう延期する。“ハルチカ”シリーズは2008年の『退出ゲーム』からスタートして現在4冊目まで刊行されている青春ミステリながら、5冊目となる予定の『惑星カロン』は度重なる延期によって発売日未定となっている。カドカワとしてはアニメ化に合わせて是非とも出版したいところだろうが、どうなることやら。私はハードカバー版しか持っていないから、アニメ放送に合わせて文庫の新装版が出たら改めて買ってもいいかな、と検討中。しかしキャラ原案がなまにくATKとはビックリですね。チャイカあたりの流れか? ホント、ニトロプラスも随分とアニメ業界に食い込んできたものだ。キャラクターデザインが西田亜沙子、制作はP.A.WORKSとなかなか豪華な陣容。『氷菓』といい、「ライトノベルと一般小説の中間に位置するミステリ」が今後一つの波になるかもしれませんね。『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』もアニメ化するし。次は『ホーンテッド・キャンパス』らへんか? ホンキャ、実写映画化が決まっているからアニメじゃなくてドラマかもしれないけど。

 ちなみに。初野晴は『水の時計』でデビューする前に『しびとのうた』という作品で横溝賞に応募して最終候補まで残っている。何年か前にこの『しびとのうた』をリメイクする、みたいな話があったけど、あれはどうなったんだろうか。最終候補に残ったとき、選考委員だった綾辻行人は「新人離れした大ジャンプに挑んで、見事にK点を越えたは良いが、着地で転倒、全身打撲の負傷」と評価したそうな。読んでみたい。

・葵せきなの『ゲーマーズ!』読んだ。

 『生徒会の一存』で知られる葵せきなの新シリーズです。舞台となる「音吹高校」は碧陽学園の近隣に位置する設定だが、話としての繋がりは特にありません。タイトルから容易に連想される通り「ゲーム好きの少年少女」をメインにした青春ストーリーであり、『僕と彼女のゲーム戦争』『ハイスコアガール』、あるいは『レトロゲームマスター渋沢』など既存の作品を彷彿とさせる点では新味がない。話題になっていたから手に取る気になったものの、周りで騒がれていなければ確実にスルーしていたでしょう。タイトルがあまりにもシンプルすぎて興味を引きませんからね。しかし、読み始めてすぐ「これは先行作品とは違うな」と感じ、100ページも行かないうちにあっさりハマってしまった。『ゲーマーズ!』はゲーマー小説にあらず。そう、言うなれば「ヌルゲーマー小説」なのだ。

 ゲームをただ遊ぶだけじゃなく「真剣に遊んでいる」と言い放つ意識高いガチ勢と、「ゲームなんて好きに楽しめばいいじゃん」なエンジョイ勢の対立――というほどでもないか、要はポジションの違いを描く話です。どっちがいいとか悪いとかじゃなく、様々なスタンスがあってええやろ、と嘯くようなテイスト。通常、ゲームを題材にしたフィクションは「プレースキルの向上=上手くなること」を目指すものがほとんどであり、主人公は最初からガチ勢か、あるいはエンジョイ勢からガチ勢に移行するパターンとなる。なぜならこうしないと、なかなかストーリーが成立しないからです。主人公がだんだん上手くなっていく、つまり成長する過程が読みどころになるわけで、「いつまで経っても下手の横好き」だと一話完結式で凌ぐしかなく、長期展開は難しい。「下手でもいいじゃん、楽しければ」みたいなノリだと、ストーリー物ではなく「ゲームを紹介するコラム」、もしくは四コマ漫画のようなノリになりがちなんですよね。

 お察しの通り、雨野景太はエンジョイ勢。ガチ勢であるヒロイン・天道花憐との間には、溝が広がっている。『僕と彼女のゲーム戦争』の主人公はゲーム初心者だし、『ハイスコアガール』の主人公は熱心なゲーマーだけどヒロインの方がもっと熱心なので、「ヒロインよりもゲームが下手な主人公」という設定自体は別に珍しくない。しかし『僕と彼女のゲーム戦争』にしろ『ハイスコアガール』にしろ、「上手くなりたい」という上昇意欲は抱いており、志向する道に関しては概ねヒロインと一緒だ。「楽しむこと」を忘れているわけではないにしろ、「上手くなること」を単純にゲーマーの価値観として信奉している。景太はゲーム好きだけどキャラ紹介で「腕前はイマイチ」と書かれているように、上昇意欲があまりない。ゲーム性が乏しいソシャゲも平然と楽しんでしまう。序盤、景太の教室にやってきた花憐がスマホを覗き込んで「ああ、ソーシャルゲーム。意外ね、雨野君、こういう、くだらないものもやるんだ」となにげなく言うシーンがあり、この時点で読者にちゃんと違和感を抱かせる工夫まで凝らすとはさすがベテランだな、と感心しました。花憐は「上手くなきゃ駄目とかじゃ全然ないからね」とフォローしつつも「ただやるからには、互いに切磋琢磨して、技術を向上させていこうっていうのが、ゲーム部としての指針かな」と語る。向上心こそが、彼女のゲームに対する情熱を規定しているのだ。

 『連射王』『TOKYOHEAD』などに象徴されるように、大半のゲーム好きは「上手くなること」を一つの価値観として重視している。本人はエンジョイ勢であっても、ガチ勢がフレーム単位で研鑽と練磨を重ねるエピソードに目を輝かせてしまう。プロゲーマーの梅原大吾をモチーフにした『ウメハラ To live is to game』とか、もはや一つの英雄譚だろう。コロコロやボンボンでやっていたゲーマー漫画では『ソードアートオンライン』並みに命懸けでゲームに挑み、遥かな高みを目指す主人公もいた。こうした「上達」をテーマにすると、演出上どうしても主人公はストイックにならざるをえない。上手くなろうとすれば単純に練習時間を増やすしかなく、当然他のことをする時間は削られる。集中力を研ぎ澄ますため、精神に負荷が掛かるような特訓を強いられる場面もあるだろう。何かを、いや、あらゆるものを犠牲にして「ゲームが上手くなる」。そこにどんな意味があるのか? 根源的な問いに対して『連射王』あたりの作品はちゃんと答えを出していますが、大抵は有耶無耶になってしまいがちだ。『ゲーマーズ!』のガチ勢にはそれぞれゲームをやり込む理由がある(ホンマかよ、って感じの突飛なものだが)けれど、景太は「ただゲームが好きなだけ」であってゲームというジャンルに縋りつく切実な理由はない。攻略とは無関係な行動を取って面白がったりするし、効率重視の最適化プレーや上達目的の縛りプレーなど先輩たちがこなす求道僧めいた振る舞いにも戸惑いを覚える。「上手くなること」が絶対の価値観ではなく、ワンランク上を狙うモチベーションも有していない、お気楽なエピキュリアン。ゲームって、何が何でも上手くならないとダメなのか? 下手の横好きはいけないのか? ソーシャルゲームを「くだらないもの」と言下に切り捨てていいのか? たとえそうだとしても、くだらないゲームをみんなで和気藹々と遊ぶのは「真剣に遊んでいる」ことにならないのか? ゲームとは「努力するべきもの」なのか? 克己と成長こそがゲーマーの歩むべき正道なのか? そもそも「正しい遊び方」と「正しくない遊び方」があるのか? あるのなら、その区別にいったいどんな意味があるのか? ゲームを巡る問答はさながら終わりのない旅路である。

 主人公とヒロインがいきなり袂を分かち、それでいてどちらが悪役というわけでもない。構成上、ヒロインの花憐が若干損な役回りを引き受けていますが、彼女の気持ちとて充分にわかる。「真剣に遊んで」ないと成果は勝ち取れず、ゲーム部なんていう「ただ遊んでいるだけ」にしか見えない部活は学校側からの理解を得にくい。活動実績を作るには、どうしてもガチ勢のマインドを保持せねばならないのだ。これに関してはゲームに留まらない範囲のテーマだと思います。部活という期間限定の活動に対して、どこまで意識を高く持てばいいのか? 最近だと『響け!ユーフォニアム』もこういった事柄に触れていましたな。

 「結果を出せ」と強いるスポ根めいた価値観とは別の地平を目指す。その、「スポ根めいた価値観」を決して否定しないままで。シンプルな題名と軟派な見た目に似合わず、精妙なバランス感覚を要求されるかなり難しいことに挑んでいます。後半に差し掛かるとラブコメ的な状況も加速して事態が混迷化するので、「2巻はどうなってしまうんだ?」とやたら気になる。花憐が「こんなくだらないゲームなんかに負けたりしない(キリッ」→「射幸心には……勝てなかったよ……(ガチャガチャッ」ってソシャゲ廃人と化したりしたら噴くぜ。冗談はともかく、滑り出しが好調なだけに2巻以降の展開で腰砕けにならないか心配だ。大丈夫かな。不安だが、だからと言って「結果を出せ」と強いるのは、読者が作品テーマに対して真っ向から逆らうことになってしまう。せいぜい、気楽に肩の力を抜いて、存分にエンジョイさせてもらうとしよう。

・拍手レス。

 シュピーネとベイは07版の良心(キャラが変わりないという意味で)と言われてましたね。そういやキャラ崩壊上等のかじりのソフマップドラマCDでもぶれてなかったなあw
 ベイは確か一番最初の人気投票で男キャラ部門のトップだったんですよね。もっとも燃えるバトルが「ベイにボコられるトコ(2章)」という、信じられない有様だったもんな、07年版は……。


2015-06-03.

・シュピーネ役のはらさわ晃綺が出演したHLCニコ生放送第二十四回は基本的に正田崇がダラダラとくっちゃべるだけの内容で最高に楽しかった焼津です、こんばんは。

 正田崇とGユウスケとはらさわ晃綺がシュピーネを主な話題にして語り合うという、2007年当時からは考えられない状況にニヤニヤしてしまった。それにしても喋りながらお茶飲みまくってたな、正田崇。あんだけ飲んだらおなかタポタポにならないだろうか。「某せんべい屋のせいで糸使いは普通強キャラ認定されるはずなのに」と菊地秀行ネタをポロリしている場面は特に笑った。「マン・サーチャー」こと『魔界都市ブルース』の「秋せつら」、魔界と化した西新宿でせんべい屋と人捜し屋を兼用する彼は「太さ千分の一ミクロン」という途轍もなく細い特殊鋼のワイヤーを操って相手を拘束したり、切り刻んだり、マリオネットにしたりとやりたい放題するキャラで、「人形使い」の二つ名も持っている。ただ、同じ菊地作品でも『魔人学園』の糸使いはあまり強くなかった気がするな……『NEEDLESS』のカフカも踏み台的にやられた糸使いキャラだった。「この糸を斬れるのは神だけだ!」と豪語し、「なら俺は神より強え!」とブチ破られる。「聖餐杯猊下といえども脱出できぬ逸品」というシュピーネの謎の自信にも引けを取らないヤラレっぷりだった。ちなみにカフカは番外編で再登場しています。

 話が逸れた。シュピーネ以外のところでは、正田崇がDiesの終盤がどういう内容だったか、大まかなところは覚えているが細部は忘れてきているという話とか。まぁ、かなり強行軍なシナリオ執筆だったからな……「嫁が転ぶと書いて転嫁」とか、今読み返すと「?」かもしれない。次回はそのエレオノーレ役の矢口アサミがゲスト出演するとのこと。そういえばエレオノーレの炎は本人が意識して出しているわけじゃなく行動に付随して噴き出してくるもので、格ゲー的に言うと弱パンチや弱キックでも勝手に炎エフェクトが加わるようなもの、だったんだっけ。私もそのへんはうろ覚えになってきている。また正田の聞いた情報によると、声優間でもDiesアニメ化の話で盛り上がっているそうだ。鳥海浩輔とか安元洋貴とか。この二人は神咒のアニメ化まで期待しているかもな。

 あと、ニコ生とは別にCF支援者限定の小説も公開されましたね。類人猿作戦(オペレーション・エンスラポイド)、つまりラインハルトの暗殺計画を主題にしたストーリーですが、前編なのでイイところで終わってしまう。正田の口ぶりからするとまだ勘を取り戻していないようで、懐かしいけど少しノリが違うかな……という部分は確かにある。が、そんなことを言ったらDies本編だって初期のテキストとクンフト・ファーブラあたりのテキストでだいぶノリが変わってるし、長年付き合っているファンにとっては些細なことです。後編も楽しみだ。

・衣笠彰梧の『ようこそ実力至上主義の教室へ』読んだ。

 エロゲーのシナリオライターとして知られる衣笠彰梧の新作ライトノベルです。これが作家デビュー作というわけじゃなく、以前にも『小悪魔ティーリと救世主!?』(全6巻)を手掛けている。さて、作品解説へ移る前に作者である衣笠彰梧について語っておこう。どうでもいいが、私は衣笠の名前を長らく「彰悟」だと勘違いしていたクソタワケである。木偏に吾と書いて「梧」です、お間違えなきよう。

 まずざっとプロフィール的なことから。彼がエロゲーのシナリオライターとしてデビューしたのは2006年、あかべぇそふとつぅの『こんな娘がいたら僕はもう…!!』によってです。なんというか、ふざけたタイトルですよね。十人中十人が「あくまでエロシーンがウリのソフト」、いわゆるヌキゲーだと判断するでしょう。実際はそこまでエロの比率が高くない内容だ。というか主人公の一人称も「僕」じゃなくて「俺」である。たぶんタイトル先行の企画で、衣笠が好きに書いちゃったんじゃないかな。どこで聞いたかうろ覚えだが、衣笠はるーすぼーいの書くようなストーリー性の高いシナリオが好きで、本人もそういう路線で執筆したかったらしいが、るーすぼーいに「お前はストーリー物向いてない、ラブコメを書け」と言われて『こん僕』のライターを振られたそうだ。ちなみにこん僕の体験版には『それは舞い散る桜のように』のパロディネタがあったけど、問題視されたのか製品版では削除されている。実は王雀孫ファンなのか?

 ともあれ衣笠の名前が有名になったのは2008年の『暁の護衛』から。トモセシュンサク原画によるかなり見映えのいいCGと、こん僕以上に磨きが掛かった軽快なコメディ描写で人気を博し、FDと続編も発売されて結果的に三部作となった。FDが各ヒロインのミニシナリオおよび主人公の過去編、続編がアフターストーリー。今アニメやってるグリザイアと似たような構成ですね。『暁の護衛』は紛れもなく衣笠の代表シリーズであり、彼を語る上では外せない。そう、「三部作なのにキッチリ完結しなかった」という点も含めて……2013年から始まる『レミニセンス』シリーズは『暁の護衛』と設定を共有する作品で、実質的に「『暁の護衛』の続編みたいなもの」らしい(私はプレーしていない)が、こっちもこっちでキッチリ完結していないという。「話を広げるのは好きでも、畳むことは苦手」ってのが衣笠の特徴みたいです。

 そろそろ作品解説に移ろう。『ようこそ実力至上主義の教室へ』は学園物のライトノベルで、魔物とか異能とかは出てこないが「外部との連絡を遮断されている全寮制学園」が舞台であり、考え方次第では「異世界じみている」とも言えます。「大都会のど真ん中」に位置するくせして60万平米を超える広大な敷地。学園の他にコンビニやカフェなど様々な施設が用意され、文字通りの「学生街」が形成されている。学生は現金の代わりに学園内通貨として「ポイント」が付与されることになっており、それぞれポイントを消費することで食事を摂ったり雑貨を購ったりサービスを受けたりします。「巨大な学園」という点では『蓬莱学園』の系譜に連なるわけだが、さすがに「生徒数10万人」のアレほど破天荒ではない。1巻目では他クラスの生徒もちょっとしか絡んでこないし、設定の割にはミニマムな話に収まっている。

 主人公は「事なかれ主義」を標榜する少年。面倒事や過度な競争は嫌いで、平凡でもいいから穏やかな学園生活を満喫しようと願っていたが、彼の配属されたD組は落ちこぼれの生徒を掻き集めたクラス。ひと癖もふた癖もあるクラスメートが揃っており、当然のように厄介事に巻き込まれていく。クラスでランク分けされ、ランクに応じて扱いが決まるという格差社会ぶりがタイトルの『実力至上主義の教室』へ繋がっていきます。クラス替えはなく、3年間に渡ってずっと同じ構成のクラスが続く仕様になっており、たとえば「D組の誰それは優秀な成績を収めたのでC組に移籍、代わりにC組最下位の生徒がD組へ都落ち」みたいな事態は生じません。個人レベルでどんなに努力を重ねても、上のクラスにあがることは不可能。ただし、AとかCとかいったクラスごとのランキングは何かの機会に更新されるみたいで、「以前はD組だったクラスが、上位を下してC組にクラスチェンジ」といった事態が起こる可能性はゼロじゃない。現時点だとD組からランクアップした前例はないそうだけど、バカテスの試召戦争みたいなイベントで下剋上を果たす展開は来るかもしれませんね。主人公たちは上を目指そうと思ったら「他の奴らは知らない」なんて切り捨ててはダメで、クラス一丸となって課題に取り組まないといけない。しかし、ヒロインは学業優秀なれど周りとコミュニケーションを取るのが苦手なボッチ、という雪ノ下雪乃タイプの女子・堀北鈴音。事なかれ主義の主人公は彼女の緩衝役として立ち回ることになります。

 バカテスや俺ガイル、それに『暗殺教室』あたりのイメージを絡めて語っていけば「だいたいこんな感じ」と説明できるかもしれませんが、読んでいてもっとも連想した先行作品は『Fランクの暴君』ですね。生徒たちの能力や容姿をランク分けしてステータス化し、「下位は上位に逆らってはならない」という掟を徹底させた弱肉強食学園。やりすぎてデスノートやコードギアスの次元に達してしまっているが、個人的には大好きだった……売上が厳しくて3巻目は出ないらしい。『Fランクの暴君』から「やりすぎ」感を減らして比較的穏当な設定に着地させたら『ようこそ実力至上主義の教室へ』になるのかもしれない。まだ開幕したばかりだからということもあるだろうが、これといって派手な展開はなく、ストーリーだけに着目するとやや退屈かもしれません。けど、クラスの人間関係がきめ細かに描き込まれていて、そこが一つの読みどころとなっている。イケメン男子がクラスの人望を集めているけど、「イケメンだから」という理由で彼から距離を置く生徒もいる。イケメンが勉強会に誘ってもそいつらは乗ってこないので、別のアプローチが必要に……など、書いてる内容はいちいち地味だけど、こういう地味なところを娯楽として成立させていて面白い。男子キャラにちゃんと生々しい性欲があるあたりも良い。大らかな下ネタの数々含め、なんというか、ヤンキー漫画が多かった頃のマガジンみたいなテイストが根底にあります。

 地味だけど、地味な部分が面白い。感想を端的にまとめるとこうなります。キャラに関しては主人公が何か特殊な過去を抱えているようだったりと、まだハッキリ判明していない箇所も多くて「魅力的か否か」を語れる段階にまでは至っていない。でも高円寺くんみたいな普通だったら悪役として扱われて「ギャフン」と呻くような目に遭わされた挙句改心したり退場したりするハメになるキャラが、特にどうなるということもなく場に馴染んでいるところは興味深い。キャラクター配置に関しては、過去最高のハマり具合となるかもしれません。こんぼくの「ライオンと爆弾」でプレーヤーを唖然とさせた衣笠が、まさかこういう地に足ついた路線で読ませるようになるとは……いえ誤解なきように申しあげておきますと、こんぼく自体は充分面白いゲームなんですよ? ただ、ところどころツッコミどころが用意されていると申しますか……単なる学生に過ぎない主人公がサーカス団から逃げ出したライオンを捕獲することになったり、学園に仕掛けられた爆弾を解除することになったり、そんなイベントがストーリーの盛り上がりとは関係なく唐突に挿入される。本筋とはまったく無関係。「なんだったんだ、あれは」ってなりますよそりゃ。ホント、こんぼく自体は大好きです。安玖深音演じる幼なじみの三瀬綾菜は今思い返しても最高のヒロイン。てか安玖深の名前って最近見かけなくなったが名義変わったのか?

 公式サイトにアニメPVが用意されているなど、MF側も猛プッシュする気は満々のようで、先月下旬発売ながら既に増刷もされたと聞く。まさか2巻や3巻で打ち切りということはないだろう。でも世の中にはアニメPVまで作られたのに4冊で完結したライトノベルもあるしな……仮に4冊以上続くとしても、衣笠だからちゃんとまとめられるかどうか心配。今度こそ「完結させられないライター」の汚名返上となるか。

・拍手レス。

 一迅社文庫はたしかweb更新編集がやってたような……それはともかく、時折これは!っていう発想力に満ちた他社にはないラノベ出すので生き残っては欲しいんですが、なにぶん続刊が出ないので買い支えるのもなんだかなぁという気持ちになってくるのがネック。どーも編集長は新人育てるの面倒くさがってるっぽいですし……本業(?)のコミック部門がなんだかんだパワフルなので適当なんでしょうか。
 単純に売れてないんでしょうね……一迅社文庫の知名度というか認知度はかなり低いみたいですし。むしろコレでよく6年も保っているな、と感心します。仮に庶民サンプルのアニメがヒットしたとしても、次に撃ち出す弾があるかどうか。

 最近のエロゲー界の話だと、フライングシャインの社長が社員達の給料を払わずに失踪したという事件が記憶に新しいですね。エロゲー界の衰退の原因としては少子化もありますし、消費税の増税、青少年健全育成法の改正、違法ダウンロードをする輩の増加、ハーレム系ライトノベルの飽和なども考えられます。とはいえ、エロゲーだからこそできる表現やストーリー展開というのもありますから、業界の方々には頑張ってほしいところです…。
 フライング社長……そういえばあそこは竹宮ゆゆこの古巣で、荒川工が先輩に当たるんでしたっけ。エロ関係はどっこも厳しいそうだけど、まだ完全に灯が消えたわけじゃなし、今後とも見守っていきたい。でもいい加減そろそろ「置き場がない!」って感じで個人的に買い控えのムードが……トールケースサイズのパッケージだと本棚にも収納できてありがたいが。

 シュピーネさんがこんなに愛されキャラになるなぞ、当時は思いもせんかった……
 キャラ紹介見て「こいつ絶対ヤラレ役だぞ」と思ったのが懐かしい。退場が早かったぶん、07年版でも変にキャラ崩壊しなかったことが強みかも。

 金庸作品って読んだことありますか?古橋さんとか虚淵玄さんとかかなり影響を受けてますよね。
 だいぶ前ですけど『射雕英雄伝』とか読みましたね。虚淵玄は金庸も読んでるけど影響を受けたのは古龍の方が大きかったそうな。武侠小説、いっとき流行りそうなムードもあったけど、結局マイナージャンルのまま終息しちゃったなぁ。


2015-05-28.

HLCニコ生放送にシュピーネ役の声優さんが出演すると聞いてテンションがイェツラーした焼津です、こんばんは。

 ロート・シュピーネ……黒円卓きっての最雑魚であり、戦闘要員としてはあまりにも低スペックであったため発売前から「形成(笑)」と嘲られていた(『Dies irae』にはクリスチャン・カバラをベースにした「エイヴィヒカイト」という魔術体系があり、エイヴィヒカイトは「活動・形成・創造・流出」の四位階――平たく言うと4つのレベルから成っている。聖槍十三騎士団のメンバーで、戦闘技術を持っているのに形成止まりなのはシュピーネだけ)。想像を絶する清々しいまでのヤラレ役っぷりから発売後は逆に敬意を集め、一部のファンの間で「シュピーネさん」と呼ばれるようになりました。本編では正直いいとこナシの彼ですが、前日譚に当たる「Hinterbuhne 〜 Krebs/Steinbock」や『Verfaulen segen』では割と理性的だったりカッコイイ活躍シーンが用意されていたりする。戦闘技術を有しているとはいえ、本分はあくまで情報収集や分析、各方面への根回し、物資調達といった諜報・実務の面だ。俗物ながら決して頭は悪くない。でも『神咒神威神楽』では彼そっくりのキャラが更なるクソ雑魚ぶりを演じており、まぁ基本的にネタキャラですね。他のメンバーは黒円卓に入った経緯がある程度判明しているのですが、シュピーネだけ曖昧(確かトリファが推したことになっている。トリファは双首領のお気に入りだから「あいつの推薦ならいいか」とあっさり採用)だし、ホント「雑用係」という印象が強い。他と比べてセリフもかなり少ないけど絶妙に気持ち悪い演技が光っているので、声優さんの出演は純粋に楽しみだ。

【悲報】 一迅社文庫5月にはいってから一度も公式HPが更新されず・・・(まとレーベル@ラノベ新刊情報まとめサイト)

 二大長期シリーズ、『千の魔剣と盾の乙女』『10歳の保健体育』が終わってしまって、もはや目玉はアニメ化が決まっている『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件』とまじこいのノベライズくらいしか残っていない一迅社文庫。ここはとにかく1冊か2冊で終わる(終わるというか、続かない)作品が多くて、気になってもなかなか購入まで踏み切れない。個人的に好きな『祓魔科教官の補習授業』も、3巻目は出そうにないし……あれは2巻が出ただけでもめっけものではあったが。今どんどん創刊するレーベルが増えて、ただでさえひどかった過当競争がますます激化していますからね……ソフトカバーのレーベルも乱立状態で、正直覚え切れません。既存のシリーズを追いかけるので精一杯。もう新シリーズは、お気に入りの作家かよほど興味深いネタでもないかぎり買わなくなってきています。一迅社文庫とは限らないが、そろそろ消えるレーベルが出てきてもおかしくない雰囲気だ。噂が絶えないのは、コバルト文庫。あそこ、去年や一昨年くらいに看板級の長期シリーズが次々と完結していって、めぼしい作品があまり残っていないんですよ。未だに完結していない『破妖の剣』炎ミラの昭和編が生命線で、あとはせいぜい『鬼舞』『君に届け』のノベライズぐらいという状況。刊行ペースはそれほど速くないが一応レーベルを代表するシリーズの一つだった“吸血鬼はお年ごろ”、あれもこないだ新創刊した集英社オレンジ文庫に移籍するみたいで……会社としても軸足をオレンジの方へ徐々に移していきたいみたいだ。刊行点数も目に見えて減少しており、去年一年間で67点、今年は50点前後になりそうな勢いです。少しずつオレンジに一本化されていって、いつの間にかヒッソリとなくなってしまう……ってことになるかもしれません。

エロゲ業界が衰退してるってマジですか(2次元に捉われない)

 ここ十数年で市場規模が半分程度にまで縮小した、って話もありますからね。2000年代の前半頃は特にアンテナを張り巡らさなくてもエロゲー関連の情報やネタがどんどんと自然に飛び込んでくる状況でしたが、2010年代が始まったあたりからだんだんそういうことも少なくなって、意識して巡回しないと現況が掴めなくなってきました。昔に比べて現場の作業量が半端なく多い(シナリオが無茶苦茶長くてラノベ10冊分は軽く超えてしまう。それにフルボイスを当てるのだからスケジュール調整はより逼迫する。グラフィックも、解像度が上がったせいで塗る面積が何倍も拡大した)くせして売上が減っていくんですから、そりゃやってられんわ、中の人も。

 エロゲーにおいて、セールス的な意味での「全盛期」は二つあります。ひとつは80年代。この頃は勃興期であり、参入しているメーカーも少なく、ほぼ寡占市場だったと言われる。今より遥かに少ない作業量で望外なリターンを得ることができた、まさに「濡れ手に粟」の時代。市場全体の規模はそんなに大きくなかったものの、一社あたりの利益が凄まじかった。が、その「凄まじい利益」さえもファミコンソフト市場のボロ儲け具合に比べれば鼻糞みたいなものだったそうですが。もうひとつの全盛期が2000年代前半、具体的に述べると2003年や2004年の頃ですね。2000年前後から新規参入がどっと増え、一社あたりの利益は80年代ほどボロくなかったにせよ、市場全体の売上金額が歴代最高に達した時期です。そこからズルズルと下がっていったのは、業界がどうこうというより単純に若者人口が減少していったからかもしれない。若者のエロゲー離れ。

 今では信じられないが、かつては「エロゲー論壇」なるものまで存在した。いや、当時そういう呼び方をされていたわけじゃないけど。さっきぐぐって見つけたこのテキストが当時の熱気を的確に掬い取っています。プレーしていない(特に気になっているわけでもない)ソフトのレビューを、「その人が書いたから」という理由だけで読む。笑ったり感銘を受けたりして、元のソフトに対し興味を持つ。そして活発に意見交換をする。そんなことが当たり前のように行われていました。こういう熱いというか暑苦しいノリが下火になって、「興味を持つ」キッカケが減ってきたのが現在の状況ですね。「論壇」って呼ぶと変なイメージが湧くかもしれませんが、中には今で言うKOTY(クソゲーオブザイヤー)みたいなムードのクソゲー系エロゲーレビューサイトもあった(しかも結構多くてサイト間交流まで盛んだった)わけで、未体験の方々が想像する以上に混濁した世界で実に楽しかったですよ。ぶっちゃけ私、長文考察とかあまり真面目に読んでなくてクソゲーレビューやネタレビューばかり読み耽ってましたわ。

 昔ほど熱狂することはできないにしても、今のエロゲーも今のエロゲーで楽しいから、業界がどんなに衰退しようがもうしばらくは付き合うつもりでいます。そう、せめてオクルが来るその日まで……あわよくば『末期、少女病』と『ドグラQ』と『陰と影』と『太陽の子』も来てほしい。差し当たっての期待作は『サクラノ詩』と『ランス03』か。

・拍手レス。

 ニンジャスレイヤーはある意味格闘ものかも…「イヤーッ!」「グワーッ!」で簡略化されているシーンも多々ありますが。
 カラテを空手扱いしていいものかどうか……アニメ版は格ゲーを過ぎ越してベルトスクロールアクションになってますね。

 格闘モノの小説といえば、今野 敏の作品がお勧めですよ。 このお方もバキの作者様と同様にバリバリの武闘派のため、格闘シーンにはかなり力を入れられています。 ただ書かれているジャンルが、警察小説、SF、バイオレンス、アクション、伝奇、オカルトさらにガンダムと多岐にわたり、適当に本を選んでも格闘ものには当たらないのでご注意を。 まあ、タイトルに『拳』がついているのもを選べば、間違いはないと思いますが。
 今野敏の格闘小説は好きです。サイズ的にもっともイイと思ったのが『虎の道 龍の門(上・中・下)』ですね。程好い長さで物足りなさを覚えることもなく、それでいて最後までワクワク感に満ちた興奮が続く。実在の人物を主人公に描く武道モノ、『惣角流浪』とか『山嵐』とか『義珍の拳』とか『武士猿』とか、あのへんは面白いけどちょっと読み足りない。『武打星』もちょっと拍子抜けだったけど嫌いじゃないです。『孤拳伝』はまだ積んでるので、まとまった時間が取れれば一気通読したいところ。


2015-05-23.

アリスソフト最新作「ランス03 リーザス陥落」の公式サイトきたああああああああああああああああああああ!!!!(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 来た! 待ってましたの『ランス03』! 「ランスって聞いたことはあるけど、やったことはないなー」という方のために解説。ランスシリーズは1989年発売の『Rance−光を求めて−』より開始した18禁アダルトゲーム、要するにエロゲーです。今年で26周年を迎える。世界を救う英雄にもなれる資質を持ちながら、ただただ女とヤることが最重要関心事、目当ての女とヤるためだったら手段は選ばない鬼畜戦士「ランス」を主人公にしており、彼が行く先々で様々なクエストをこなしたり、厄介事に巻き込まれたり、あるいは騒動を引き起こしたりする。ゲームとしては全作それぞれ独立していますが、番外編の『鬼畜王ランス』を除いてストーリーは一貫しています。たとえば、1作目の『光を求めて』では失踪した貴族の少女「ヒカリ」を捜すクエストを請け負って「リーザス王国」にやってきたランスが、依頼はこなしたけど女絡みでリーザスに留まれなくなって逃げ出すまでの一部始終を描いており、逃げ延びたランスは2作目の『反逆の少女たち』で「自由都市カスタム」へ辿り着き、路銀を稼ぐために新たなクエストを請ける。そして3作目が『リーザス陥落』ですから、またリーザス王国に戻るのかな? 私は03を楽しみにしていたので3作目のストーリーについてはあえて仕入れていません。

 前述した通り、ランスシリーズは四半世紀に及ぶ超長期シリーズなので、ファンの中でも「1作目からリアルタイムで追ってきた」という年季の入った人は希少であり、大抵は途中参加組です。タイミングとしては番外編の『鬼畜王ランス』(96年)や「RanceZ」に当たる『戦国ランス』(06年)あたりが参戦ラッシュではなかろうか。『戦国ランス』から入ってきた人でもそろそろ10年というスケールの大きさに気が遠くなるが、ともあれこれだけスパンの長いゲームだと「最初の方はプレーしていない」という人も多くなる。現在は『鬼畜王ランス』までのデータが「アリスソフト アーカイブズ」としていくつかのサイトで無料ダウンロード可能だし、公式でも1作目と2作目のダイジェスト版を配布しています。単に遊ぶだけ、ストーリーを確認するだけならごく簡単です。しかし、「かつてのユーザーたちが味わった興奮を追体験」しようとなると、あまりにも時代が隔たっていて厳しい……そこで始まったのが、現代ユーザー向けのリメイク化企画です。ランスのタイトルは表記が『Rance』だったり『ランス』だったり、ローマ数字を使ったり使わなかったりとまちまちですが、リメイク作か否かを区別するために最近は元のゲームを「Rance○(ローマ数字)」、リメイク版を「ランス0○(アラビア数字)」と表記するようになってきている。つまり、今回公式サイトが出来た『ランス03 リーザス陥落』は『RanceV−リーザス陥落−』のリメイクなわけです。

 リメイク化企画が始まったのは2009年。この時点ではさほど大々的なプロジェクトではなく、『アリス2010』というバラエティソフトの一コンテンツとして『ランス02 反逆の少女たち』が収録されただけ。なぜ1作目ではなく2作目が? という事情はよく知らないが、たぶんシリーズ屈指の人気を誇るヒロイン「魔想志津香」の登場が2作目だからじゃないかな。さっきも言ったように大々的なプロジェクトではなかったので、ビジュアルやBGM、ゲームシステムこそ刷新されているもののシナリオというかテキストはほぼ当時そのまま。全面的にテキストを書き直した『ランス02改』のデータも収録されていますが、オマケ扱いなので手動でファイルを弄る必要があります。『ランス02改改』なるデータも公式で配布されたそうだが、それに関してはよく知らない。絵柄こそ現代風になったものの、濡れ場描写は非常に淡白であり、ゲーム部分もちょっとかったるい。ここからランスシリーズに取り掛かるのはあまりオススメしません。リメイク化企画が本格的に始動するのは一昨年、2013年から。待望の1作目リメイク『ランス01 光をもとめて』が発売されます。大まかなストーリーは変更されていませんが、ビュジュアルのみならずシナリオからゲームシステムまであらゆる要素が徹底的に作り直されて「純粋に新作として面白い」出来になっていました。Hシーンは濃厚というほどじゃないし、一直線にプレイすれば数時間で終わるし、やり込み要素もそんなに多くないのでマニア層にとっては物足りなかっただろうが、「ランスシリーズにちょっと興味を持っているだけ」のヌルゲーマーにはうってつけの一本でした。とにかくユーザーが無駄なストレスを感じることがないよう、サクサクとテンポ良く進められるゲーム環境が整えられています。やっていて気持ち良い、小気味よい、ってのが率直な感想でした。場面の切り換わりとか、BGMが鳴り出すタイミングとか、そういう細かい部分にも心が砕かれていてワクワクする。ヌルゲーマーにとってちょうどいい難易度でしたし、「街を動き回っている」感覚も程好く得られ、舞台やキャラに対する愛着が一気に増幅しました。01の後にやった02は正直言って期待ハズレなところがあった(いちいち行動に無駄な手間が掛かってイライラさせられた)けど、01で愛着を稼いだぶん、なんとか凌ぎ切ることができた。03は01と同様フルリメイク、なんと今回はランス以外のキャラにボイスが付きます。実はランスシリーズ、四半世紀に渡って頑なにボイスレスでやってきたんですよね……アニメ版とかはあったけど。『リーザス陥落』は3作目にして一気に話のスケールが広がり、「これ、完結させられるのか……?」なムードが漂い出したシリーズの転換点だそうである。

 完結といえば、来年2016年に発売される予定の『Rance]』でランスシリーズの物語はやっと完結する模様。と言っても、リメイク化企画の継続などもあって、ランスシリーズの展開が完全に終わる――というわけじゃないらしい。03のデザイナーズノートによると02は調整して出し直す予定で、可能なら次は『RanceW−教団の遺産−』をリメイクしたいとのこと。4.1と4.2はあまり乗り気じゃないみたいですね。ランスシリーズはこのへんで大作志向になりすぎて開発に行き詰まって、本編の展開が7年近くも停滞しちゃいました。結局『RanceX』は欠番となり、4.1や4.2のお気楽路線に連なる低価格ソフト『Rance5D−ひとりぼっちの女の子−』でどうにか再開。「5D」のDは、5作目のプランがそれまでに3回も没っていたことに由来する。5Aと5Bと5Cは殻を破れぬまま死んでいった小鳥たちなのだ。あるいは、戦闘がサイコロで自動的に進むからダイスのDと受け取ることも可。こういう経緯があるため、一部のファンは「是非4.1と4.2のリメイクも。そして悲願の『RanceX』を……!」と祈っているらしい。そういえば『鬼畜王ランス』をリメイクするって噂もあったな。まだまだランスシリーズは終わらないだろうし、終われないだろう。普通に「おかげさまで30周年!」とか「遂に半世紀!」とかやってそうな気がする。01のキャッチコピーが「父親が遊んだかもしれないエロゲー」だったが、そのうち「祖父が愛したエロゲー」になりそう。「彼らにおいて平成とは即ち、ランスとともに歩んだ掛け替えのない年月だった……」とNHKあたりが特番を組む未来図を妄想せずにはいられない。シャーロキアンやトレッキーみたいな文脈で「ランシスト」が語られる日も遠くないでしょう、たぶん。ランスシリーズについてもっと詳しく知りたい方は公式サイトの「ランスワールドノート」を要チェック。スタッフページも面白くて時間泥棒です。Uを買ったのにTのフロッピーディスクが入っていて、入社後確認したら「ああ、あの頃は会社内で梱包してたからそういうこともあるわね〜」と言われた織音の思い出に爆笑しました。オススメは魚介

何でラノベってバトル物多いのに格闘技物はないの?(まとレーベル@ラノベ新刊情報まとめサイト)

 『成金』……さておき、刃牙や餓狼伝(板垣版の方)にハマっていた時期、「格闘モノの小説ってないかな」とアレコレ漁ったりしましたが、ライトノベルに限らず格闘小説自体がエンターテインメントとしてはマイナーな存在であることを確認させられることになりました。そりゃ、格闘漫画と格闘小説があったらみんな漫画の方に流れるわな、と。小説の方が細かい術理説明や薀蓄などを長く書き連ねることができるのですが、そもそも格闘技の知識がないとどういう攻撃を仕掛けて相手がどう防いだのか、言葉だけではイメージし辛い。異能バトルに比べてハッタリも利かせにくい。一応、「ライトノベル」の範疇に入りそうな作品でも格闘技をメインに据えた作品はあります。『学園武芸帳』とか。あれ、かなり面白かったのに2冊で打ち切られちゃったんですよね……2巻目はテコ入れなのか、ラブコメ要素を強める真似までしていたのに(個人的にはラブコメ部分も好みだった)。次シリーズの『ガン・オーバー』も2冊打ち切りで、「やっぱ格闘ラノベって需要がないのかなぁ」と悲しくなったり。一般小説だけど、割とライトノベル寄りな『Kの流儀』も気に入ってました。ストーリーは添え物程度で、強敵たちとの殺伐たる死闘がひたすら続く、潔い構成に惚れる。続編の『牙の領域』はマンネリ感が強くて、3冊目が出なかったことにも頷けるが、それでもちょっと読みたかったな。ちなみに『牙の領域』と表紙の雰囲気が似ている『地獄変』『十四歳、ルシフェル』の続編で、“フルコンタクト・ゲーム”シリーズとの繋がりはない。

 ヒロインが格闘するタイプのラノベとしては『上を向こうよ』がある。そこそこ面白かったけど、売れなかったのか、もともとシリーズ化する意図がなかったのか続編はナシ。読んでいませんが、割合最近の作品にも『不完全ナックル』ってのがありますね。打ち切りみたいだけど……作例はないでもないが、とにかく長く続かない。『リアルバウトハイスクール』も、格闘ラノベというよりは「格ゲーっぽいラノベ」ですし。スパイス感覚ならまだしも、活字で純粋な格闘描写に徹するのは至難の業でしょう。「それでも、そういうのが読んでみたい」という方には「ケダモノたちよ」オススメ。

『Dies irae』、CF支援者限定特典小説のイラストが公開

 カール・クラフト時代のメルクリウスとラインハルトのツーショット。「時系列は発売中のドラマCD『Die Morgendammerung』後からラインハルトが便宜上死亡したとされる時期の物語になる予定です」とのこと。プラハで暗殺されたのは1942年5月、黎明(Die Morgendammerung)が1939年12月のエピソードだから約2年半後か。凛々しい短髪だったラインハルトがたった2年ちょっとでフッサフサに……これも副首領閣下の方術なのか。恐ろしくなる、本当に。いえ本編でもこの時期のシーンがあって既にフッサフサだったから、伸びてないと矛盾しちゃうんですけどね。海外小説の "Prague Fatale" がちょうどこの時期(ナチス政権下)のプラハを舞台にしているそうなので、是非とも読みたいんだけど翻訳されるという話はまだ聞かない。シリーズの8冊目ながら、邦訳がまだ5冊目までしか出てないんです。原書は来年11冊目を刊行予定とのことだが、果たして追いつく日が来るのかしら。

 ほか、「新作ドラマCDはマキナメインの話に?」なんてトピックも。「内容は、マキナが黒円卓に入った時の話になる予定となっていますが、あくまでも予定ですので内容が180度変わる可能性もあります」とのこと。毒壺トーナメントの詳細が来るのか? だとしたら割とマジに『ケンガンアシュラ』みたいなノリでコミカライズしてほしいと思う。とはいえ正田って構想はあっても書き出したら変わっちゃうこともあるタイプだからな……本当に全然違う話になる可能性とて低くない。マルセイユとルーデルのドッペルハンス物語とかな。ルーデル閣下は大戦期に死んでないから城にはいないはずだけど、そこは何とかなるはず。ヴァルター・ゲルリッツとヨアヒム・ブラウナーとマルコ・シュミットのプロローグ3人組が再登場する話だったりしたらとりあえず私は歓喜するだろう。が、まずない。

・拍手レス。

 ルパン三世の各話タイトルみたいに「神」「世」「界」「へ」と一文字ずつ出して最後に全文バーンとかやられたら大切な場面で爆笑しかねない
 …途中送信すみません……。ちょうど今やっている血界戦線がそんな感じですね。あれはダサいのかかっこいいのか未だに判断が下せずにいるんですけども…。

 あの演出、わかりやすいんだけどかっこいいとは……せめてアニメ独自のフォント使ったらいいのに。


2015-05-19.

PSP版『Dies irae』のオープニングには200万円ほど掛かったらしい(それなんてえrg`・ω・´))

 正田崇が軍服メルクリウスの振り付けをしたけど「複雑すぎて無理」と簡略化された例のアレですね。フルアニメじゃなくて要所要所に配置している構成だったが、それでも200万掛かったのか。しかし今や当たり前すぎて誰も気にしていないエロゲー(ギャルゲー)のOPムービー、いったいいつ頃から形式として定着したんでしょうね。やはり「好きとか嫌いとか最初に言い出したのは誰なのかしら♪」あたり? そもそも、「OPムービー」自体がTVアニメのOPを意識したものですから、何が最初ってこともないでしょうけども。エロゲームービーでビックリしたのは『吸血殲鬼ヴェドゴニア』の「WHITE NIGHT」でしたね。まさかの男性ボーカルで、しかも歌手が小野正利という……ムービーそのものは今観るとチャチい(首を振って銃弾を躱すシーンは当時でも笑ってしまった)が、このシナリオを書いていた虚淵が後年ライダーを手掛けることになるんだからわからないもんだなぁ。

 リンク先のリンク先、「PS Vita版『Dies irae』が発売予定。CFサポート特典小説にラインハルトとメルクリウスが登場」には特典小説のニュースも来てますね。ラインハルトとメルクリウスをメインにした過去編で、前後編のショートーストーリーを5月末に公開した後、クラウドファンディングの支援者に送る小冊子へ書き下ろしの続編を加えて収録する予定とのこと。「場合によっては、三部作で収まらないかも」というコメントに「おっ、Diesの新作ゲームをロープライスで販売したりするのか?」なんて期待が湧き上がってきたり。文庫本1冊相当で2、3000円前後とか。ショートーストーリーでは「トバルカインの初代、二代目」にも触れるらしい。初代の櫻井武蔵は発端ということもあって割と記憶に残っていたけど、二代目の櫻井鈴は影が薄くて最近まで名前を忘れていた。アニメでは出番がなさそう(この二人まで拾っていたら何クール必要になるかわからん)だけに期待。他に関連記事、「アニメ『Dies irae』では藤井蓮や櫻井螢の私服を変更? iOS版の開発もスタート」も興味深い。「2007年版みたいなことは起こりえない」「物書きにとって一番苦しいのは分量が膨大(2〜3MB)なことで、アニメは2クールでも300KB程度なため、内容を絞るのは苦労するが、書ききれなくて遅れることはない」と正田がコメントしている。300KBというと、ちょっと厚めのライトノベルぐらいですね。制服や私服のデザインを変更したいってのは、長年のファンからすると「えぇ〜?」よりも「そりゃあな」である。月乃澤学園の穴開き制服(冬服)は作中でもツッコまれるぐらいだったもんな……櫻井螢の私服に関しては可能なら2009年の時点で直したかったような気配あったし。なにげに重要なのは「必殺技名など、外国語の文法として正しくなかったものについては変わる可能性がある」の部分か。要するにこれ、ドイツ語使いまくるってことですよね。ルビによる二重表記のできないアニメ版で「ブリアー、ヴァナヘイム・ゴルデネ・シュヴァーン・ローエングリーン!」とか言われたら新規はポカーンでしょう。でも画面にデカデカと字を載せる演出はやめてほしい。ルパン三世の各話タイトルみたいに「神」「世」「界」「へ」と一文字ずつ出して最後に全文バーンとかやられたら大切な場面で爆笑しかねない。仕方ない、新規には存分にポカーンとしてもらおう。

 公式の方でもアニメ企画始動に合わせて「『Dies irae』原作ゲームについてご紹介!!」というブログ記事の投稿を開始している。てか、lightにブログなんてあったのか……まずそこから驚いた。昔、スタッフ日記みたいなものが置かれていた(Diesのタイトルが公開される前から「学園伝奇バトルオペラ」というジャンル名を告知したり、Hide18が描いたヴィルヘルムの没CGを掲載したり、正田崇の投稿が途中でパタッとなくなったりした)のは覚えていたが。遡ってみると去年の11月からブログを始めた模様。「第1回:『Dies irae』の魅力と歴史」とか言ってるが、さすがに公式は「怒りの日事件」については触れていないな。「関連作品は以下の通り」と一通り列挙しつつ「2012年発売の『Dies irae 〜Amantes amentes〜』をプレイしておけば、すべてを補完できるので何も問題ありません」「ヒロインのエッチな姿が見たい!!というエロい人は、2009年発売の『Dies irae 〜Acta est Fabula〜』をプレイしてね(笑)」と白々しい。「おう、一個一個違いを解説していけや」と突っつきたくなる。

 私の方で軽く解説していきますと、一番上の「Dies irae -Also sprach Zarathustra-(PC/2007)」は2007年に発売されたことから「2007年版」とか「07年版」と呼ばれる最初期のバージョンで、どう考えても未完成な出来だったことから「未完成版」や「不完全版」という呼び名もある。これがキッカケで「怒りの日事件」と称される騒動が起こったわけだが、それについては解説しない。思い出したくない。各自ぐぐってほしい。二番目の「Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-(PC/2007)」は「Wiederkunft(ヴィーダークンフト)」を縮めて「クンフト」と呼ばれることが多い。「(PC/2007)」は誤表記で、実際の発売は2009年7月。大方2007年版のタイトルをコピペして修正し忘れたんでしょうよ。位置づけとしては2007年版のリメイク、ってことになります。「Wiederkunft」は「再会」とか「再臨」といった意味。本来4つのルートを実装するはずだったのに2つしか実装できなかった、しかも両方とも後半がひどかった――というのが2007年版で、クンフトも同じ2ルートしか収録されていない点では「未完成版」なんですが、後半が大幅に修正されてファンが歓喜する仕上がりになっていました。「なんでリメイク版は4ルート全部できてから発売しなかったの?」と訊かれそうですが、恐らく単に資金作りのためでしょう。三番目の「Dies irae 〜Acta est Fabula〜 -Scharlachrot Grun-(PC/2009)」と四番目の「Dies irae 〜Acta est Fabula〜(PC/2009)」はほぼ一緒のもので、「Scharlachrot Grun」はクンフトのアペンドディスクであり単体起動不可能、後者のSGが付かない「Acta est Fabula」(以下ファーブラ)は単体起動可能な4ルート全実装版。つまり「クンフト+SG=ファーブラ」です。ようやく当初の予定通り4つのルートすべてが搭載されたことから「完成版」や「完全版」とも呼ばれた。五番目の「Dies irae 〜Amantes amentes〜(PSP/2012)」と六番目の「Dies irae 〜Amantes amentes〜(PC/2012)」はファーブラから18禁要素を削除して、ドラマCDなどの内容をストーリーに追加した移植版。そういう意味ではこっちこそ「完全版」なのだが、レーティングを落とすに当たってHシーン以外の場面でもいくらか表現がマイルドになった(らしい。買ったけどまだやっていません)ため、ファンにとっては「ファーブラこそが完全版」な気持ちがなくもない。

 以上、大きく分けて6つのバージョンがある(他にも初回版と通常版の違いがあったり、2010年にファーブラの「感謝キャンペーンパッケージ」が出ていたり、あるいは非売品として配布されたバージョンもあったりする)けれど、2007年版を買ったユーザーにはクンフトやファーブラのデータが無料配布された経緯もあり、別にファン全員がすべてのバージョンを揃えているわけではありません。私も通常版やPSP版、感謝キャンペーンパッケージは買っていない。しかし、中にはショップ特典欲しさにあらゆるverを複数買いした超熱心なファンもおりましてね……クンフトやファーブラはアクティベーションというネット経由での認証が必要だった(現在は解除パッチが出ている)から中古屋でも買い取りを渋られる仕様だったのに。そういう超熱心な方々のおかげで今回のクラウドファンディングも速攻達成が可能になった。私にとっても、十数年に渡るエロゲープレー歴の中でもっとも夢中になったソフトであるし、エロゲー以外でも今後これほどハマれるフィクションに出会えるかどうか疑問であり、当然思い入れは深い。アニメへの不安は尽きせぬが、新作小説等が味わえるんならまぁいっか、どんどんやってくれ!な気持ちに軸足を変えました。

・拍手レス。

 僕もDies iraeアニメ化プロジェクトのクラウドファンディングが、こんなにも早く3000万円以上集まったことに驚いてます。これを最初ネットで知った時には、「僕は今万仙陣で甘い夢を見てるわけじゃないよね〜?」と何度も自分の目を疑いました。エヴァンゲリオンのプロジェクトがものの見事に大失敗に終わりましたから、多分これも失敗に終わるんじゃないかなと思っていたのですが、まさかこんなにも早く集まってしまうなんて…。これでアニメ化はほぼ確定したようなものですから、あとはアニメ化の際の主な提供会社と制作スタジオがどこになるかですね。エロゲのアニメ化というとまず角川が実権を握っていましたが、角川は既にブランドカンパニー制が廃止されて、企業として完全消滅してしまいましたから、角川に代わる新しい提供会社を探さなくてはならないし、制作スタジオも体力のあるところでないと難しいでしょうね…。とりあえずは、ちょっとは期待していいのかなと感じます。
 不安はまだまだ多いですけど、あの蕩ける諏訪部ボイスにもう一度デジャ・ヴれるのかと思うと正直ウットリしますね。何年経っても、あの人の声を聴いて真っ先に思い浮かぶのは獣殿なんだ……その次が耀鋼先生。その次くらいにダンディ。ちなみに成田隼人と源忠勝は「同じ人がやってるんだろうな」くらいの感覚で、随分後になってから諏訪部が担当したと知りました。

 明確に主人公とヒロインが恋人同士になるから比較的落第騎士は硬派と思っていた自分はいっぺん頭を診てもらった方がいいですね。確かにお色気路線の特装版とか出してたわ。そして買ってたわ。とはいえバトル要素も楽しみなので、殺陣というか戦闘シーンはちゃんと作って欲しいですね。剣術極めているはずなのに変な大振りとかジャンプ切りとか繰りだされる迫力も緊張感もない戦闘シーンでアニメ化された日には、抗議のメールも辞さない所存。
 落第騎士はタイトルやあらすじや「またテロリストか!」でウンザリされそうだけど、「お色気」を明確な武器にしてアピールしていけばアニメでグッとファン層が厚くなりそうな気がしています。戦闘は、正直あまり期待できないけど、ステラの魅力を推して2期目に漕ぎ着けられればクオリティアップも夢ではないはず。

 まあ、仕方が無いっすよ。いろいろと言いたい事は山のようにあるけど楽しみは楽しみですからね・・・正田氏がメイン張ってくれるかどうか、正直言って不安ですけど。>Dies irae
 それはそうと、シュピーゲル来ましたね・・・近所の本屋でもフェアやってるんで、この際、表紙絵違いもいろいろと買い足す所存。

 もう実振込で3000万は突破しちゃったわけだし、あとはただ見守るしかないですね。この件で懐かしくなって久々にパラロスを起動したり。初期作ということで正田崇は恥ずかしがっているけど、やっぱり今やっても面白い。粗いというかこなれていない部分も含めてエネルギッシュな魅力があります。

 いや、なんつ〜か、今回のシドニアは・・・一応、原作読んでるから心の準備は出来てるつもりだったんだが、改めてアニメで見ると・・・もう、どんな反応すればいいのか分からねぇよ。どういう修羅場だよ、どういう濡れ場だよ、どういうハーレムだよ・・・こんなとき、どんな顔すればいいのか、俺には創造も出来ねぇ・・・>シドニア6話
 改めてアニメで見ると想像を絶する世界でしたよ・・・世の中にはすごいことを思いつく人間が居るもんだ、と、改めて思い知らされた気分ですな。

 シドニア、第九惑星戦役は録画が溜まっていてまだあまり崩せていません。とりあえず、つむぎは動いて声が付くと魅力が桁違いに上がることを確認。もともとぶっちぎりに可愛いヒロインだったのに。


2015-05-10.

GA文庫の作品が2本一気にアニメ化決定、しかし特に驚きはない焼津です、こんばんは。

 『落第騎士の英雄譚』(既にアニメ化決定済)と『最弱無敗の神装機竜』『ハンドレッド』は巻数的にそろそろアニメ化の報せが来るだろうな、と去年あたりから思ってました。別に予想自慢とかじゃなくて、GA文庫でこれら以外に巻数が伸びてる作品ってあんまないんですよね。未アニメ化作品だと『うちの居候が世界を掌握している!』という番外編含めて10冊超えの長期シリーズ(と言ってもまだ3年くらい)が残っているけど、他に弾となりそうなのは再始動が決まった『踊る星降るレネシクル』程度。『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』が好調で現在躍進中のレーベルながら、中堅があまり育っていない印象はある。

 『ハンドレッド』は2012年11月開始のシリーズで、最新刊は7巻。8月に限定特装版ありの8巻を発売予定。イラストを手掛けている大熊猫介はニトロプラスのグラフィッカーであり、これ以前にも『新妹魔王の契約者』を担当している。つっても新妹がスタートしたのは2012年10月(実際に発売したのは9月末頃)だから、ほぼ同時期開始だ。人間が触れることによって武器へ変化する不思議な石「百武装(ハンドレッド)」を手に、少年少女たちが宇宙から降ってきた無機質なバケモノどもと戦う、『ワールトトリガー』にお色気要素を盛り込んだようなバトル系ライトノベル。形状が変化するエロいボディスーツのせいで、見た目的にはワートリよりもISを連想させるが……ちなみに、タイトルにもなっている「ハンドレッド」は厳密な100個ではなく「たくさん」を意味するもので、実際には100以上の武装が存在する設定になっている。

 『落第騎士の英雄譚』は「魂を魔剣に変えて戦う」という設定で、才能がなく落ちこぼれて留年の決まった少年が主人公となる。このへんを見れば分かる通り、かなり露骨なお色気押しである。知らない人に見せればエロゲのイベントCGと勘違いするかもしれない。ぶっちゃけヒロインの容姿がドストライクでめっちゃムラムラするので、それだけを理由に買い続けているシリーズです。制服のデザインも絶妙に劣情をそそるんですよね。イラストの「をん」はこれ以前にも何冊かライトノベルで描いているが、個人的には『恋する鬼門のプロトコル』の凄まじい乳袋っぷりが印象的である。

 『最弱無敗の神装機竜』は落第騎士と同時期に始まった(落第騎士が2013年7月で最弱無敗が2013年8月)せいもあって未だに頭の中でごっちゃになっていて混同することもある。亡国の王子が古代兵器を纏って戦うバトル系ファンタジーですが、なぜか女学園に入学することになってしまうという、清々しいくらい売れ線狙いの展開です。イラストは『俺、ツインテールになります。』『城下町のダンデライオン』の春日歩。「波」が来ていますね。

Dies iraeアニメ化プロジェクトのクラウドファンディング、速攻で3000万円以上の支援予定が集まってSUCCESS(成立)目前に

 「どうせ振込だろうし、実際に入金できるようになるまで時間が掛かるからしばらく様子見しよう」とのんびり構えていたら、シュライバーの如く疾風(シュトルムヴィント)と化して傍らを駆け抜けていった。9日(土)の午前0時開始で、なんと日付が変わる前に達成したみたい。スワスチカが一夜で全部開いたような事態にただただボーゼンとしました。なにぶん土曜日開始だから大半がまだ振込を確認できていない(規約の関係で1万円以上はクレカが使えない)ものの、それでも3000円や6000円といった小口の支援が既に何十万円も集まっています。限定2名の100万円枠は瞬殺だったらしく、10分そこらで埋まったとか。涅槃寂静・終曲(アインファウスト・フィナーレ)が掛かってるのかというぐらいサイトが重くて繋がりにくかったと囁かれる状況で目標を成し遂げる、『Dies irae』という作品のポテンシャル(およびファン層の厚さ)に心底畏怖しました。100万円の枠はもっと用意した方が良かったのでは、とさえ思える。

 振込待ち含め1000人を超える人々が、嬉々としてか渋々かは知らないがDiesに対し、決して安くないお金をなおも捧げようとしているとは……「怒りの日事件」があるだけに素直に感動とは言えないが、ホント、2007年のドン底からよく持ち直せたものだ。私は支援金額を1万円にしようか3万円にしようか迷っておりますが、今週中に決めて振り込むつもりでいます。獣の鬣の一本くらいにはなっておこう。この成功が発火点になってオクルトゥム開発再開プロジェクトのクラウドファンディングが始まったりしたら、それこそ前言通り本気出す所存。少し前までただの妄言だったが、イケる気がしてきたぞ(妄言)。

・拍手レス。

 「あっ」と言う間に3000万行っちゃいましたね。高額支援にクレカが使えないため、振込確認作業も含めて完了までだいぶ時間かかりそうですが、いやはや……
 「チェックしなきゃ」と思いつつ忘れていて、やっと思い出した頃にアクセスしたらもう突破していたという……2ヶ月でも集まるかどうか微妙だと思っていたのに、まさか1日で埋まるとは。

 成金、相変わらずの面白さで歓喜。ご紹介くださりありがとうございました。
 「ケダモノたちよ」、面白いですよね。まさか続きを読めるとは思わなかった。作者となろうに感謝。


2015-05-09.

アニメ『冴えない彼女の育てかた』、続編制作が決定したと聞いて歓喜に喘ぐ焼津です、こんばんは。

 1期目は0話がオリジナル回で、1話から12話にかけて原作4巻までの内容を消化しました。原作の現時点における最新刊は7巻、6月に8巻が出る予定なので、そちらも勘案すると2期目をやるだけのストックはあるはずだ。現状、「続編」がTVアニメなのかOVAなのかはたまた劇場版なのかは不明ですが、ともあれ冴えカノが本格的に面白くなるのは5巻以降ですから単純に「ひゃっほう」な心境です。実にめでたい。あと冴えカノはコミカライズが3種類ありますが、個人的にオススメなのは詩羽先輩がヒロインの『恋するメトロノーム』。シナリオは丸戸史明本人による新規書き下ろしだし、何より「原作とは違う絵柄で原作の魅力を引き出してやる」という気迫に満ちた作画が素晴らしい。来月に最新刊(4巻)が発売される予定

「修羅の門 第弐門」次号で完結!約4年半の連載に幕(コミックナタリー)

 姜子牙(ジャン・ズ・ヤ)戦も終わったし、そろそろフィナーレだろうな……という気はしていました。あっという間だった気がするけど、4年半も連載していたのか。コミックスだって先月出たのが16巻だし、冷静に考えれば「それなりの時間が経っている」ことは嫌でも分かるはずなんですが、なんというか全然実感が湧かない。『修羅の門』は第壱門(実際こんな呼び方はしないが、便宜上こう表記しておく)が10年くらい連載して、十数年後に(間に外伝『修羅の刻』を挟みつつだけど)第弐門が始まった、という経緯の漫画だから時間感覚が普通とはちょっと違うんですよね。さすがに『HUNTER X HUNTER』ほどではないが、どことなく時空が歪んでいる雰囲気はある。全体的に淡々としていて単調な展開が目立ったセカンドシーズンではあったが、読んでいて引き込まれるような面白さはちゃんとあったし、個人的には満足。次回作の予告も来るみたいだが、まさか『修羅の門 第参門』とかじゃあるまいな。

 あと呂家の一員として呂500が出場する展開を妄想した読者は私だけじゃないはずだ。

『精霊使いの剣舞』シリーズ担当イラストレーター交代のお知らせ

 14巻、ずっと延期したまんまで刊行される様子が全然ないなぁ……と思っていたら、こんな事情だったとは。MF文庫Jってイラストレーターの変更が結構多いですね。アニメ化した作品だと『魔弾の王と戦姫』の他にも『あそびにいくヨ!』が途中で変わってるし。新イラストレーターの「仁村有志」は『盟約のリヴァイアサン』などでラノベイラストを手掛けていますが、どちらかと言えばエロゲーの原画家として有名。『月陽炎』や『Clover Heart's』のタイトルで懐かしくなる方も多いはずだ。ネタ的な意味ではプーチンを萌えヒロインにしてしまった『幼なじみは大統領』が広く知られている。この人、昔の絵柄は「独自の魅力があるものの、やや不安定」って感じだったけど、最近は随分と安定してきて見違えましたね。不安定だった頃もアレはアレで好きなんですが……ちなみに仁村有志は「よるよる」こと小鳥遊夜々(『Clover Point』というエロゲーのヒロイン)ファンとしても名を馳せている。同人誌どころか抱き枕カバーまで作っています。『機巧少女は傷つかない』の方の「夜々」も好きらしく、同人誌まで出しているらしい。もう夜々マニアってことでいいんじゃないだろうか。

 しかし、13巻が去年の4月刊行だから、ブランクは1年ちょっとか。思ったより短いな。この調子で刊行が2年近く止まっている『つきツキ!』と4年経っても最終巻(恐らくその予定だった)が出ない『かのこん』もどうにかしてほしいものです。

・拍手レス。

 『成金』続編マジですか、マジでした。
 欣喜雀躍しつつ「紙媒体で読みたかったな」という思いもないではなく。でもやっぱ嬉しいですわ。

 diesアニメ化は不安しかないので正田卿には新作に取り組んで欲しい所ですね、万仙陣もかなり面白かったし。
 じゃあ間を取って正田脚本のオリジナルアニメで……冗談ですが、もしやるとしたらどんな企画になるだろうなぁ。


2015-05-02.

なろうに『成金』の続編が来てると聞いて驚愕のあまり蹌踉めいた焼津です、こんばんは。

 『成金』、それは今から4年前にメガミ文庫より送り出された格闘ライトノベル。平たく書けば夢枕獏みたいなノリの小説です。「メガミ文庫? そんなレーベルあったっけ?」と不思議がる人もおいででしょうが、さもありなん、今はもう存在しない過去のレーベルです。版元は学研。電子書籍版がちょっと続いたらしいけれど、紙書籍に関しては『成金』が最後のラインナップとなった。まったく話題にならなかったものの、個人的に好きな作品だったので続編到来は朗報だ。しかし、作者の「三三珂」が名義を変えて活動していたとは知らなかった。二重の驚愕。新名義は「小川淳次郎」、見覚えなかったが『百億の魔女』の作者じゃないか。振るわなかったのか紙書籍は2巻までしか出なかったけど、3巻が電子書籍専用版としてリリースされて完結した。つづく『稲妻姫の怪獣王』も2冊で終了みたいで、消息を知ることができた嬉しさはあるけどちょっと複雑な気分に。さておき『成金』の続編『ケダモノたちよ』、まだ最初の章しか読んでないが、今回も面白そうで早速ワクワクしております。連休の楽しみが一個増えた。

フロントウイング最新作「果つることなき未来ヨリ」 主人公とメインヒロインのキャラクター情報が公開!!!!(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 特攻隊のパイロットだった主人公が気づくと見知らぬ世界にいた……というファンタジーらしい。率直に言って概要を眺めただけではあまり惹かれるものがないけど、シナリオに藤崎竜太が加わっているならチェックせねばなるまい。しかし、特攻隊の零戦乗りが主人公ってのもエロゲーとしては珍しいな。こういう設定だと学園モノには移行しづらい(エロゲーにおいて学園モノは安定して売れる鉄板ジャンルなので、たとえ舞台が異世界であっても極力学園要素を入れておくことが通例となっている)だろうし。そういえば、『ゼロの使い魔』にも零戦が出てたな。今は亡き原作者、ヤマグチノボルのデビュー作『カナリア』はフロントウイングから発売されたので、奇妙な符号についしんみりしてしまう。そろそろ『カナリア』発売から15年が経つのか……信じられないな。

「Dies irae アニメ化プロジェクト」、サポーターページを公開

 リターンの内容が発表されました。支援金額は3,000円・6,000円・10,000円・50,000円・100,000円・200,000円・300,000円・500,000円・1,000,000円の9種類。詳しい内容はリンク先を参考にしてください。20万円以上は枠が限定されていて、100万円は2名のみとなっている。特典の内容を検討すると、貢ぐにしても1万か、行って精々5万くらいかな……地方民だから試写会や打ち上げには招待されても参加するの難しいし。50万円の特典「正田崇と同じ特攻服のレプリカ」って、思わず笑っちゃったけど要らないよ! ぶっちゃけこれがオクルトゥムの制作再開プロジェクトとかだったら無理してでも上限金額までぶっこむ覚悟はあるし、2007年当時に「Dies完全版を作るプロジェクト」が設けられていたら血の涙を流して喜捨しただろうけど。あまり賛成していない、消極的反対の立場にいる「Diesアニメ化」という目的のためだとそこまで意気が上がらない。募集期間も2ヶ月だし、本当に集まるのかな……肩の力を抜いて経過を見守るとします。

・香納諒一の『刹那の街角』読了。

 副題は「捜査一課中本班の事件ファイル」。刑事たちが様々な事件の捜査に当たる様子を描いた連作短編集であり、副題からして如何にもシリーズ化されていそうな雰囲気が漂いますけど、実は「捜査一課中本班の事件ファイル」と題された本はこれ一冊のみである。1994年から1997年にかけていくつかの雑誌に掲載され、1999年に単行本としてまとまり、2004年に初文庫化。このときは角川文庫から発行されたが、しばらく経って絶版。7年後の2011年に徳間文庫から再版されたものの、現在はまた絶版している模様です。私は先月に地元の書店で新品を購入しましたが、少なくともネット書店ではどこも在庫がないみたい。ハードボイルド作家としてデビューし、数年前から主戦場を警察小説に移した香納諒一。彼にとって初めて手掛けた警察小説――という点では貴重な一品だが、ハッキリ言って代表作に選ばれるほどの存在感はない。私も角川文庫版が出た頃からチェックはしていたけれど、「香納諒一=ハードボイルド」のイメージが強かっただけに警察小説というのはミスマッチな感がしてスルーしてしまった。今回も、実のところ「これが読みたい」と思って手を伸ばしたわけではない。今年の2月に発売された新作『刑事群像』がこれの関連作ということで、興味をそそられて予習代わりに読んでみたわけだ。

 『刑事群像』は警視庁捜査一課の刑事「大河内茂雄」を主人公にしたシリーズの3作目である。1作目は2006年の『贄の夜会』、執筆に6年の月日を費やした原稿用紙1700枚(文庫本で800ページくらい)の大作であり、著者の代表作として度々名前が上がるほど。2作目は2014年の『無縁旅人』。中本班シリーズも大河内シリーズも捜査一課の小説であることは共通しているが、Wikipediaあたりを見れば分かる通りひと口に「捜査一課」と言っても多数のチームに分かれており、常に連帯しているわけではない。「各班ごとに強力なライバル意識を燃やしあう。同じ班の同僚とは鉄の結びつきが生まれるが、他班の介入は許さない」と作中でも書かれている。『贄の夜会』にも中本班のキャラクターが登場するそうだが、あくまで脇役止まりとのこと。「ほんの少しリンクしているだけ」の状態に留まっていましたが、『刑事群像』で遂に中本班が大河内たちと合同体制を取ることになります。なので『刹那の街角』はあらかじめ読んどいた方がいいだろうな、と判断しました。

 本書は7つの短編から成る。作品によって視点人物が変わる群像劇スタイルだが、すべて別の人物というわけではなく、いくつか視点人物が共通する編もあります。「中本班」というくらいなのでボスは中本係長(警部補)、あと5、6年で停年ということだから、年齢は55歳前後か(警察官は60歳で退職)。中本を補佐する庄野部長刑事は本編だとあまり目立たないが、『刑事群像』では中心的な役割を果たすらしい。他に、41歳のベテラン刑事・山村、34歳の轟、そして最年少の28歳・堀江浩之が中本班の主なメンバーとなる。堀江の大学時代の友人が容疑者として取調べを受ける「エールを贈れ」、単純な轢き逃げが思わぬ事件に発展する「知らすべからず」、独身貴族を謳っていた男から「行方知れずになった女房を探してほしい」と頼まれる「刹那の街角」、元刑事が殺害された強盗事件の真相を追う「捜査圏外」、資産家の殺人事件で中本がアリバイ崩しに挑む「女事件記者」、前科持ちの男が信用金庫の前で長時間佇むという不審な行動に轟が目を付ける「十字路」、大掛かりな詐欺で掠め取った2億円の行方を末期癌に蝕まれる犯人から聞き出そうとする「証拠」、一個一個の事件はごく地味で、派手派手しいところはまったくありません。謎解き要素もあるにせよ、人情要素が主体であり、また中本班の面々も事細かにキャラクター設定が明かされるわけではなく、ちょっとした会話の端々から各人の性格が滲み出してくる形式となっています。

 正直に書いてしまうと、冒頭の「エールを贈れ」は退屈だった。事件は地味だし、刑事の個性も際立っておらず、淡々と進んで淡々と終わる。2編目の「知らすべからず」は「単純な轢き逃げだ、犯人はじきに捕まるだろう」という状況にも関わらず、死者が札束の詰まった鞄を持っていて「こいつ、身代金を運んでいる最中に撥ねられたんだ!」と判明して大慌てする展開は緊迫感があって面白かった。表題作である「刹那の街角」は一種の人探しモノですが、不審な点が多く、状況が見えてくるまで時間が掛かる。そのもどかしさが読みどころになっていて、ようやくこのあたりで自分がこの本に「ハマった」という実感を得ましたね。一番好きなのは「十字路」です。捜査が進行する傍らで、捜査の主体である刑事たちの人格や人間性が見えてくるという見事な構成。何より程好い人情味が絶妙である。

 『贄の夜会』といい、日本推理作家協会賞を受賞した『幻の女』といい、大長編志向の強い作家という気がしていたが、こういうこぢんまりとした短編集でも結構読ませるんだな……と発見できて、期待以上の収穫でした。解説で「かつての香納諒一は、明らかに不器用な作家だった」と書かれているが、インタビューで本人も「僕は仕事に対してこだわり過ぎるところがありまして、20代で作家デビューしてから10年間は連載の依頼はすべて断り、長編はすべて書き下ろし作品で仕上げていました。しかし、推敲が多すぎて30代半ばで行き詰まってしまったんです」と語っている。「当時は推敲を始めると、登場人物もストーリーも変えて頭から直すので、結局別の作品を2,3本書いているのと同じことになってしまったんです。最後は2000枚、3000枚書いた原稿を、気に入らなくて頭から延々と書き直した末に捨ててしまい、あ、これは仕事のやり方を変えねば駄目だなと気づきました。そして、それ以降10年は、長編はすべて連載で書くようにしました。書き下ろしと連載と、両方やってみようかと思い始めたのは、つい最近のことです。不器用なんですよ」 さあ、次は数年に渡って詰み続けている『贄の夜会』にいよいよチャレンジだ。楽しみ。

・拍手レス。

 自分もディエスアニメ化は喜びより不安の方が大きいですね。資金調達も目標金額集まったからってクォリティが絶対上がるわけではないですし、作品の質を高める最大の要因はスタッフが作品をよく理解していてやる気があることだと思いますし。そりゃ資金はあればあるにこしたことはないんでしょうけど。同門的な作品であるフェイトは高クオリティで放送されてますが、そのフェイトだってTVアニメ、劇場版を経て原作スタッフとがっつり組んでくれる制作会社に熱意あるスタッフまで行く着いた茨の道……うーん、やはり暗雲しか見えない。あと蓮のギロチンで戦うのとかアニメにするの難しそう、なんだろう鞭のようにしならせるのか? それとも固定?
 どう考えても「原作に忠実」路線は無理そうというか悲惨なことになりそうだから、アニメなりの独自解釈(蓮のギロチンはいっそ血滴子状にするとか)で突っ走るしか活路はないと思うけど、どのみち「分の悪い賭け」を強いられることは確定していますね。

 Dies Iraeアニメ化はなあ…ぶっちゃけHELLSINGみたいにOVA複数巻にでもしないと駄作一直線だと思うんですよねえ。ぶっちゃけ、アニメよりも螢アフターのほうが見たいのは自分だけじゃないはず。
 「3000万」という金額は結構大きいし、現状「出資することでファンが得られるメリット」が不明確なので、あれこれ心配するまでもなく普通にポシャりそうな気もします。

 僕もDies iraeのアニメ化に関しては「う〜ん…」な感じですね。ナチスドイツの件だけでなく、シュライバーの設定自体がそれ自体、放送コードに絶対引っかかる代物ですし、Dies irae…というより、神座万象シリーズの壮大な世界観を、1クールまたは2クール、もしくは分割クールでの制作が常識となってしまっている現在のアニメ業界で、上手く再現すること自体不可能だと思うんですよ。それらの問題をクリアできなければ、いくら資金が集まったところで成功できるかは難しいところでしょう。仮に成功すれば相州戦神館シリーズもアニメ化の企画が立ち上がるでしょうけれど…。複雑な思いが頭をぐるぐる回ります…。
 こういうアクション要素が多いエロゲー原作のアニメって、大抵悲惨なことになっているので「応援はしたいんだけど、でもなぁ……」と便秘めいたアトモスフィアに包まれてしまいます。Diesがその突破口になって釣られて『あやかしびと』がアニメ化&続編制作決定とか、『陰と影』開発再開とか、オクルトゥムの帰還とかに繋がってほしい……という妄想じみた期待はあるのですが。

 Diesアニメ化に関しては1%の期待と99%の不安しかないですが、もしクラウドファンディングのリターンが(有りえないとは思いますが)螢ルートアフターとかだったら投資せざるをえないです
 お布施感覚でちょっと貢ごうかな、という気はありますが、もうちょっと詳細が詰まるまで態度保留。

 新しいものが作れない三流が古くからある権威に媚びるのは、どこの世界でも同じですよ。つまり、アニメ業界そのものが過去の遺物になりつつある、ってことです。老害と金持ちの馬鹿息子の巣窟になりつつある・・・どこぞの作家協会みたく、ね。嘆かわしくはありますが、これも時代の流れでしょう。才気ある若者の居場所が、また一つ消えて行くのは悲しいことですね・・・
 アニメ業界はもう終わりだ、みたいな話は80年代頃から連綿と続いているので「閉店セール、遂に30年目へ突入!」といった感さえある。

 ToHert懐かしい システムとしてmoゲームでした
 間違って送ってしまいました ToHert懐かしい システムとしても試行錯誤する正しくゲームでした あの当時は、試行錯誤なんて思ってもいなかったがですけど  今は取っ付き易さが時流ですが、シナリオゲーでもユーザー選択的な物が欲しいなと贅沢を思い

 ユーザーが没入するための仕組みとしてゲーム要素を使う、ってのが理想ですね。『君と彼女と彼女の恋。』とか、システムやギミックに工夫を凝らしたソフトもあるにはあるんですが……。


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