2014年9月〜10月分


2014-10-29.

『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』の第4話(「#03 初戦」、放送1話目を公式が「#00」と表記しているため1話ズレる形になる)が思ったよりもスゴくて度肝を抜かれた焼津です、こんばんは。

 いや〜、30分アニメの密度じゃないですよね、あれ。観ていて「あれ? 今回も1時間スペシャルだったっけ?」と錯覚するほど濃厚でした。セイバーやバーサーカーが目まぐるしく動き回る戦闘サーカス。バーサーカーがカポエラみたいな動きをする場面は変な笑いが漏れました。10年前に感じた「バーサーカー強ぇ……どうやってこんなのに勝つんだよ」と途方に暮れるような気分が久々に甦ったり。イリヤと凜の戦闘が追加されていたのも嬉しいですね。アイリの針金バードっぽい魔術(イリヤは頭髪で構成しているみたいだが)で凜を苦しめる描写はZeroアニメを経た後だと感慨深い。セイバー吶喊→アーチャー偽カラド射出というクライマックスの波状攻撃にも心奪われた。普通なら一個で充分なキメシーンを2つも盛り込みやがるとは……もはや明らかに深夜アニメのクオリティではない。最近の深夜アニメは全体的にすごくレベルが上がっている印象だけど、猶も別格の域に佇んでいる。「劇場版並みの〜」と形容される作品が珍しくなくなってきていて、ホント異常だ。これくらいの作画でDiesや村正やバルスカをアニメ化してくれたら……と妄想しないでもないが、正直妄想に留めておいた方がいいだろう。でも叶うなら一つだけ、デモベの再アニメ化を……最低でも2クールでお願いしたい。

美少女「海外留学から帰国したら姉と母が母乳を噴き出して快楽に溺れてたので絶縁した」 ワロスwww BISHOP新作『牝教師4』公式HPで情報公開(ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 さすがに噴いた。BISHOP(ビショップ)は1998年に立ち上がったエロゲーブランドであり、今年で17年目を迎える。エロに特化したいわゆる「ヌキゲー」、それも陵辱系を得意するブランドながらたまに和姦ゲーも出しています。グラフィックの色遣いが濃く、ちょっとケバケバしいあたりが特徴。俗に「BISHOP塗り」と呼ばれており、色数が少なく淡い彩りを画面に乗せることが難しかった昔のエロゲーを彷彿とさせることから「古い」と断じられることも少なくない。人によっては拒否反応も出るだろうが、一方で「この濃さが病み付きになる」というユーザーも存在します。実はエロゲーCGの第一印象って原画よりも塗りの方が強烈で、同じ原画家でも塗りが違うと別人に見えてしまうことも珍しくありません。しかし、最近はそんなBISHOPも塗りにしろ内容にしろだいぶ大人しくなってきて、良く言えば安定した、悪く言えば特筆するところのないブランドとして落ち着いてきました。そろそろ風穴を開ける大きな一発が欲しい、とファンが望んでいたところに来たのがこの『牝教師4 〜穢された教壇〜』です。タイトルで分かるように“牝教師”シリーズの4作目。1作目が出たのは2006年、シリーズとしては8周年を迎えています。3が2013年発売だから、4自体は別に久々というわけではない。2が2007年発売だったので、前作に当たる『牝教師3 〜淫悦の学舎〜』こそが「久々の“牝教師”シリーズ」であった。ならなぜファンは今回色めき立ったのか? それは7年ぶりに「高峰」姓のヒロインが登場するからです。

 ここらで作品紹介に移ろう。“牝教師”シリーズはエロを主体とするヌキゲーなので、ストーリーそのものは別段複雑ではない。大まかに言ってしまえば「主人公(学生)が女性教師たちに目を付けてあの手この手で陵辱し篭絡する」といったものです。1作目では義兄の婚約者がヒロインとして登場し、義兄に恨みを抱く主人公が復讐目的で嬲って寝取る……という一応の行動目標は用意されているが、基本的にはプレーヤーの欲望赴くまま女性教師たちを毒牙にかけて堕としていくシンプルなエロゲーだ。ナンバリングタイトルですけど、それぞれの作品ごとに主人公は異なります。シリーズは同一の世界が舞台になっていて、一部のキャラクターも共通しているけれどパラレルワールドみたいな関係であり、ダイレクトに話が繋がっているわけではない。1作目の主人公は「三沢拓也」、2作目は「小橋慎吾」、3作目は「佐山達哉」とキャラもそれぞれ違う。特に3は繋がりが非常に薄い(主人公が記憶喪失に陥っているのは1と2に出ていた某キャラの仕業だと仄めかすなど、一部関係を匂わせる描写はある)。1作目で人気のあったヒロイン「高峰沙耶」は2にも続投し、更に母親の「高峰美月」まで登場したため初期の“牝教師”には高峰サーガとしての側面もあったわけだが、3には高峰の影すらなかった。「高科」というキャラは出てくるが無関係っぽい。1と2の関係をもう少し詳しく説明すると、1の舞台となるのは「私立沢城学園」で2は「私立玲峰学園」――まず学園からして違います。沙耶は沢城学園時代に「学生品質管理委員会」なる組織に所属し主人公と対立していましたが、もしこのとき主人公が沙耶を手篭めにせず無視していたら……というifから派生するのが2作目。委員会解散に伴い沢城から逐われた沙耶は母が学園長を務める玲峰へ移った、という設定なわけです。母親ともども餌食になっていることを考えると4は1の派生である2の更なる派生と捉えていいでしょう。舞台は「誠秀学園」となっています。

 1や2はもう古いゲームになってしまったし、BISHOPも高峰離れしちゃったのかな……というタイミングでまさかの再来だ。いい加減さやさやは使い回せないと判断したのか、今度は妹を投入した。今年の6月と7月に「インモラルエディション」と銘打った1と2の新装版を発売したのは、これに先駆ける目論見があったようだ。ちなみに旧バージョンとインモラルエディションの違いはシステム強化と、陰毛&アナル描写の追加。しかし高峰沙耶は元々パイパンなので何も変わらないという……ブログによると妹は生えているらしい。続投が難しくなった人気キャラの兄弟姉妹を引っ張り出してお茶を濁す遣り方は古今ありふれているが、やはり「いざ帰国してみれば姉はおろか母まで母乳を噴き出して快楽に溺れている様を目の当たりにして絶縁する」という紹介文は笑う。「ヌキゲーならではだな」と妙な感動さえ覚えた。さやさやは態度がデカい割に脆いというか、比喩だけど腹パン一発で沈むような虚仮威しの弱メンタリティゆえとてもイジメたくなる良ヒロインです。ミドルプライス価格であるインモラルエディションも出たことだし、未プレーの方は『牝教師4』に備えて『牝教師』と『牝教師2』を買ってみては如何でしょう。ダウンロード版なら更にお安いです。ヌキゲーと言えば長年中古価格が高値安定していたFrillの『痴漢専用車両』の1と2がHDリマスター版として来月と再来月に廉価販売されます。税抜で3800円と4800円、非常にお手頃な価格なので気になっていた方はこの際にどうぞ。こっちは主人公がプロの痴漢(なんだそれは……)「志岐匠」で固定されていて、2が1の一年後という正式な続編になっています。今のタイミングでHD化とは、よもや来年あたりに3を出すフラグ……?

・映画は『ヘラクレス』『イコライザー』を観て、もうすぐ公開される『エクスペンダブルズ3』も観る予定。「焼津って分かりやすい奴だな……」と思われるでしょうが、最近はもう好みから外れる映画を我慢して観ることができない(途中で睡魔に抗えなくなる)んですよ。なので筋肉・アクション寄りになるのは仕方ない。

 『ヘラクレス』はギリシャ神話の英雄ヘラクレス(英語読みだとハーキュリーズ)を題材にした筋肉礼讃映画。主演はプロレスラーとしても有名なドウェイン・ジョンソンで、ウットリするほど筋肉ムキムキです。ギリシャ神話やヘラクレスに興味がない人も筋肉目当てに足を運んで欲しい。ライオンの咆吼とか、あれは映画館の音響ならではの迫力でしょう。ヘラクレス自体に興味がある人向けにもう少し内容を詳しく説明しますと、かの有名な「十二の試練」をメインに描く……わけではなくて、そのへんは冒頭でダイジェスト形式にてサラッと触れられる程度。本編開始時点ではほとんどの試練を終えたことになっています。ダイジェストとはいえ多頭蛇(ハイドラ)とのバトルなど、なかなか見応えのある映像を魅せてくれますが、ぶっちゃけこの映画はファンタジー路線じゃありません。「ヘラクレスは単独で試練をこなしていたのではなく、優秀なチームを組んで各ミッションを制覇していた」という設定にするなど、「ヘラクレスの伝説は虚飾にまみれたものだった!」とやや観客をガッカリさせる方向で開幕します。キャッチコピーも「偽りの伝説か、真の英雄か」であり、ヘラクレスの実像とは……って感じです。だが、安心してほしい。『ヘラクレス』はハリー・ポッターとかロード・オブ・ザ・リングとか、ああいう意味でのファンタジー映画ではないけれど、見方次第ではあれらをも凌駕するマッスル・ファンタジー映画なんです。筋肉に不可能はない、マッスル・イズ・ジャスティス、ヘラクレスは神の加護などなくとも無限に強くなる――と謳う、肉体への信仰にして蛮性の讃歌。観ていて「スゴイ!」「ワクワクする!」と単純に血が熱くなるはずです。頭に脳筋回路がない人は観るのも辛いでしょうが、「チョーツエェ!」「ゼッテェーツエェ!」「ダレニモマケネェ!」という少年時代特有の知能指数最低な言葉たちの残響が胸から消えていないのならば心臓は燃え滾るに違いない。「アイ・アム・ハーキュリーズ!」と絶叫するドウェイン・ジョンソンを観て、あなたは思うだろう。こいつは絶対に敵に回したくないな、と。もし間近で睨みつけられたら武器を投げ捨てて大小便漏らしながら土下座して赦しを乞うでしょう。ちなみによく似たタイトルの『ザ・ヘラクレス』なる別映画も公開中なので混同することなきようご注意を。

 『イコライザー』はデンゼル・ワシントン主演のアクション映画。タイトルは直訳すると「均す者」ってところだろうか。以前はCIAのエージェントとして汚れ仕事(ウェットワークス)をこなしていたロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)は、亡き妻との約束に従って荒事から足を洗い、平穏な生活を送っていた。しかし、ダイナーで知り合った街娼を助けるために単身ロシアンマフィアの巣窟に乗り込み、交渉が不首尾に終わったため居合わせたギャング全員を残らず殺害することになってしまった。面子を潰されたロシアンマフィアが黙っているはずもなく、かくして彼は血で血を洗う抗争の渦中へと身を投じていくことになる。予告編だと必殺仕事人みたいというか、自らの意志で「社会のゴミ」を清掃する始末屋のように描かれているが、彼も決して好き好んでクズどもを血祭りに上げているわけじゃありません。最初は金を積んで揉め事を解決しようとするなど、なるべく穏便な形での収め方を望んでいる。他に手段がない、と判断したときのみ殺す。躊躇わず、一片の慈悲もなく、いっそ残酷とすら思えないほどの手際の良さで。どちらかと言うと「死に損ないの兇器」ですよ、これは。予告編ではやたら「19秒」を強調していましたが、あれもなんかピント外れですね。「19秒で始末すること」にポリシーがあるんだと勘違いする人も出てくるでしょうが、あのシーンの本来の意味は「全盛期との差を浮き彫りにすること」。こいつらを片付けるのに16秒もあれば充分だろう、と思って事に及んだのに計ってみたら19秒も掛かった……つまり3秒分だけ肉体と技術が衰えていた、と観客に示す狙いのあるシーンなわけだ。ハッキリ言って予告編の内容は忘れた方がいいです。シンプルすぎる筋立てと、実際に観ないと伝わらない独特な雰囲気のせいで予告編がつくりにくい映画になっているんですよね。超単純に言うと「デンゼル・ワシントンの出てくる『RED』」、あるいはハリウッド版『老人と海』。私個人の感想は、次の一言に尽きる。「ボブ・ザ・ネイラーだこれ!」

・拍手レス。

 つか、00って、作ってた連中はガンダム書きたかったわけじゃないのではないだろうか・・・あらゆる意味で、ガンダムでやって欲しくなかった
 どことなく同人っぽいというか、「ガンダムの二次創作」みたいになってましたね。割り切っている感じで個人的には嫌いじゃないです、あのノリ。

 1話:義手で掘られて「ひぎぃぃぃぃっ」、2話:プリンくらた同僚が目の前で血祭り、3話:プリンが不味くて涙が出ちゃう、だってクズ姫なんだもん、4話:キラ様と高速プレイ事後朝チュン あらゆる意味でステキ過ぎる>クロスアンジュのラスト
 アンジュ様の生き汚さにメロメロです。このまま立派な『装甲悪姫闇咒』に仕上がって欲しい。あるいは『ノーマ701号 さそり』みたいな路線でも可。

 別に分割商法に関してはどうこう言うつもりはないんですけど、発売する間隔はなるべく短くしてほしいですねぇ。、『時計仕掛けのレイライン』とかも「面白かった」という記憶はありますけど、細部は忘れてしまってますし、やり直すのも億劫ですし
 最初から分割とわかってる場合は完結するまで待った方がいいかな、とか思っちゃいますね。分割形式で間を空ければプレーヤーの意見も取り込める、というメリットもあるにせよ、「ハナから完結していて打ち切りの心配がない」のがエロゲーの魅力でもありますし。


2014-10-22.

『異能バトルは日常系のなかで』、アニメの開始に合わせて急ピッチで積読消化に掛かり、やっと8巻まで読み切った焼津です、こんばんは。

 『キルラキル』で有名になったスタジオ「TRIGGER」が制作を手掛けるということで話題になりましたが、私はアニメ化の発表が来る前から読むことは読んでいました……と通アピールをしたいところだけど、実は2巻の途中までしか読み進めていなかったんですよね。アニメが始まる頃にはどうにか3巻まで崩しましたが、今月・来月で8巻と9巻を連続刊行するスケジュールになっているし、ペース上げねばなるまい、と一念発起したわけです。読んでいて疲れるシリーズでもないので、集中して取り組めば拍子抜けするくらいサクサクと片付けることができました。

 作品紹介の前にザッと作者紹介をしておこう。望公太(のぞみ・こうた)は2011年に「鈍感な主人公」を徹底させた『僕はやっぱり気づかない』でデビューしたライトノベル作家。89年生まれなので当時22歳くらい、現在でも25歳くらいの若手だ。ペンネームは太公望の逆読み。「第5回ノベルジャパン大賞」と「第3回GA文庫大賞優秀賞」、ふたつの新人賞を持つ男である。今回アニメ化された『異能バトルは日常系のなかで』の第1巻は通算7冊目の著書に当たる。シリーズとしては3つ目で、アニメ化されていることからも分かる通り望公太の主力シリーズであるわけだが、彼はこれ以外にも『黒き英雄の一撃無双(ワンターンキル!)』というシリーズを進行させています。黒き英雄〜は毎回副タイトルがエロゲーかジュヴナイルポルノみたいだということで定評がある。1巻から順に「受難の女騎士」「恥辱の魔女」「堕ちゆく義妹」「調教天使」。実を言うと私が先に読んだのは『黒き英雄の一撃無双』の方です。去年「作家買いできるくらい魅力のあるラノベ作家はいないか?」とある人に尋ねて教えてもらった作家の一人が望公太だったんです。ちなみに他に教えてもらったのが宇野朴人とすえばしけん。宇野朴人は『天鏡のアルデラミン』でグイグイ人気を伸ばしている注目株。すえばしけんは今のところブレイクする兆しが見えないけれど、丁寧かつ堅実な仕事ぶりで好感が持てる。『ラエティティア覇竜戦記』『祓魔科教官の補習授業』『スクランブル・ウィザード』と遡っていきましたが、『スクランブル・ウィザード』は刊行当時に読まなかったことを後悔しちゃいましたよ。今更読んだ私が言うのもなんですが、もっと話題になっても良かったシリーズです。成り行きから魔法学校の臨時教師になった主人公が、教え子たちとの交流を通じ、失いかけていた希望を再生させる……そうした読み所の裏に「小学生ヒロインの仄かな恋心」を忍ばせる配慮がディモールト素晴らしい。12歳の女の子が「誰かのものにならないといけないなら、先生のものにして!」と叫ぶ。うーん、最高じゃないか。1巻の時点では「先生なんか死んじゃえ!」と怒鳴っていた子が「先生のものにして!」ですよ。下手なエロゲーより興奮します。

 話が逸れた。『異能バトルは日常系のなかで』に戻そう。このシリーズは、ひょんなことから凄まじい異能を手に入れた少年少女が、特にその異能を活用することもなく、バトルらしいバトルを一切せずに日々を過ごすっちゅう「宝の持ち腐れ」を肯定的に描く一風変わったストーリーになっています。『ウィッチクラフトワークス』で火々里さんが言っていた「悩むならそういうことで悩むべきなのよ」というセリフを地で行くようなノリ。最初のうちはそれなりに異能を駆使するシーンもありますけど、次第に「異能をまったく使わない巻」も出てきますからね……大まかな構成をまとめると、1巻がキャラ紹介および生徒会長の工藤美玲襲来、2巻が工藤美玲再来と鳩子を中心にしたエピソード、3巻が千冬ちゃんメイン回、4巻が彩弓部長メイン回で、5巻が主役交代の番外編、6巻が安藤のリアル中二時代を描く過去編、7巻が水着回および夏祭り回、8巻が文化祭エピソード(実質千冬回)って感じになります。アニメは6巻あたりまでやって「俺たちの異能バトルはこれからだ!(第一期・完)」かな。ただ、1話目でいきなり工藤美玲が出てくる(そして2話目でもう再来する)など、構成を大胆に弄っているので読み切れない部分もありますね。アニメの3話に当たるエピソードも実は原作だと1巻目の前半(第3章)ですし。今のところアニメと原作を比較すると原作の方が好みなんですが、アニメもアニメで面白く、展開によっては評価が逆転するかもしれません。たとえば、原作はジャンプ漫画などの他作品パロディが多い(しかもタイトルやキャラ名をボカさずにハッキリと書く)のですが、アニメだとそうした直球パロディは概ね削られています。正直、パロ部分についてはイマイチ(せっかく出ていた勢いが減衰する要因になっている)だと思うので、その点についてはアニメ版の方が肌に合いますね。主人公たちが「日常系」な毎日を満喫している裏で異能バトルマニアが異能バトルを繰り広げていたり、「読者」に相当するキャラクターが登場したりと、かなりメタフィクションっぽい様相を示す(あくまで「ぽい」だけであり、純然たるメタフィクションではない)シリーズなので好悪は分かれるでしょう。最近は長期シリーズ特有の牛歩戦術も始まって1冊あたりの密度が下がってきているし、所構わず暑苦しい顔をして「絶対に読め!」と迫りたくなるほどのオススメではない。が、最近やたら飽きっぽくなった私が一気呵成に読み切ってしまうだけの「何か」は有しているシリーズである。アニメ等で知って読もうかどうか迷っている方は、どうか1冊ずつ買うなんてみみっちいことはせず全巻一括購入して読み耽っちゃってください。割と他愛もない話だけど、どっぷり浸れる魅力はちゃんと篭もっています。

 今期の気になるアニメはひと通りザッと観たけれど、最終話まで付き合えそうなのは十数本くらいかな。余裕があればもうちょっと増やしたいけど、どうにも時間が足りない。積読や積BD、積ゲーだって崩したいし。BD購入は、今のところFateだけが確定。他は迷っていてまだ決まっていない。とりあえずGレコと甘ブリは外した。Gレコはキングゲイナーみたいなノリで、キンゲが苦手な私にはちょっと……って感じです。甘ブリはさすがに京アニだけあって絵のクオリティは際立っているし、原作も好きなんだけど、「最高画質で繰り返し観たくなる」ようなアニメ版ならではの魅力が今のところ伝わってこない。現状だと「録画で充分」という気分。候補として残しているのは魔弾、異能バトル、グリカジあたり。魔弾は「予算もさほどではないだろうに、大軍同士がぶつかり合う戦記モノなんてやれんのか?」と不安だったが、蓋を開けてみれば思ったより良かった。端折っている箇所も多いにせよ、訳が分からなくなってしまうような悲惨劇には陥らず、どうにかこうにかうまく要約を済ませている。さすがサトタツこと佐藤竜雄、抜かりない。アニメ版のキャラデザもかなり好みです。リムのエロエロしさにムラムラする。BDには特典として40Pの書き下ろし小説も付くらしいし、前向きに検討する所存。異能バトルも書き下ろし小説は付くらしいが、外伝や番外編にも興味が湧く魔弾と違ってこっちは本編だけ追えればそれでいいかな、と思うんですよね。どっちか一つに絞らないといけない状況だったら迷わず外しますが、両方買おうとすればギリギリ賄えなくはない程度なので悩む。グリカジは、蒔菜のキチ台詞がどれだけ放送されるかが見物。天音のオナニーシーンを削らなかったことを考えるとギリギリまで攻めるつもりか? エロゲーアニメにしてはつくりが良いし、「藤崎竜太の関わったソフトがようやくTVアニメ化」ってことを考えると無条件で応援したくもなる。藤崎竜太は97年にライターデビューを果たしているから、今年でキャリア17年ですよ、17年。一度は「メインから退いてサブに徹する」と宣言し、エロゲーマニアからも忘れ去られる存在になってしまうのではないかと危惧していましたが、ここに来てようやく注目を向けられるようになってきた。ちなみにグリザイアのシナリオでは天音と蒔菜を担当しています。ああ、どこかの会社がトチ狂って『ひめしょ!』をアニメ化しねぇかなぁ……いや実はもう水面下で企画が進行しているのでは……と妄想豊かに切望する今日この頃。

ダッシュエックス文庫、『紅〜歪空の姫〜』と『始まらない終末戦争と終わってる私らの青春活劇』の情報公開

 カタケンの新作に関する情報とジャクソンの新作に関する情報が並べて表示されるとか、もう目が潰れて蒸発しそうな光景である。悲惨な経緯から中断して久しい『紅』をしれっと「SD文庫不朽の名作」と謳う集英社の厚顔さに腹が立たないでもないが、そんなことは「いよいよ新刊が出る」という事実を前にすればひどく些細な事柄である。このまま勢いに乗って『電波的な彼女』を再開してくれるのなら、いくらでも媚びへつらい涎を垂らして擦り寄る覚悟はあります。それはそれとして、王雀孫の『おわらいぶ』はいわゆる「厨二病」モノか……時期が時期だけに『異能バトルは日常系のなかで』を連想してしまうな。主人公たちが超常的な力を本気で有している可能性もあるが、作者が王であることを考えるとあくまで「青春」に重きを置いたものとなるでしょう。そしてホワルバるかもしれない。

2年越しに最後の話が動き出す、ユニゾンシフト『時計仕掛けのレイライン −朝霧に散る花−』が1月30日発売予定、お得なフルパックも!!(それなんてえrg`・ω・´))

 やっと出るのか。解説しますと、『時計仕掛けのレイライン』はユニゾンシフト(に存在するブランドの一つ、ユニゾンシフト:ブロッサム)から発売されている連作シリーズのエロゲーです。2012年7月に1本目の『黄昏時の境界線』を、2013年1月に2本目の『残影の夜が明ける時』を出しましたが、完結編となる3本目の情報がなかなか公表されませんでした。「ひょっとしてこのまま立ち消えになるのでは……」とファンたちが怯えていたところにこの報せ。連作モノで2年というのは少々待たせすぎの気もしますが、とりあえず発売が決まってホッとした人も多いでしょう。私はどうせ全作をまとめたパックが出るだろうからとハナより静観を決め込んでおりました。なので「よっしゃ」くらいの気持ちです。

 具体的な時期は覚えていないが、数年前から「エロゲーが重厚長大化し過ぎで制作費も制作期間も嵩む、連作形式にして複数本出さないと会社が回らない」ってことで俗に言う「分割商法」が広まってきたんですよね。マブラヴは騙し討ちに近かったし、意識的に連作形式を打ち出した大作エロゲーっていうとバルスカあたりかな……バルゼロの方は騙し討ちだったみたいだけど。何であれ買う本数が増えるのでユーザーからは嫌われる傾向にあります。レイラインは3部作だからまだ少ない方、『Tiny Dungeon』なんて4部作ですよ。『真剣で私に恋しなさい!A』に至っては5部作だけど、これはオンライン版で順次バラ売りして後日全作まとめたパッケージ版を発売するって試みだから微妙に違うかな。fortissimoは……Diesと同じリメイク地獄パターンだから連作ではないな。あれ1本目だけ買ったんですけど、その後ゴチャゴチャしてよくわからなくなったので追うのやめました。

 が、これも一つの機会だからと調べてみました。整理すると「無印→EXA(イクサ)→EXS(エグゼス)→FA(フルアクセス)」の4種類あって、無印は未完成のうえボイスなし、イクサはシナリオとボイス追加、エグゼスはルートとエッチシーン追加、フルアクセスはエグゼスの全年齢版ってふうになる模様。Diesで喩えると無印が07年版、イクサがクンフト、エグゼスがファーブラ、FAがAAという具合。そして今度VITAでも新作が出るらしい。連作形式やリメイク地獄の難点は旧来からのファンに「買う本数が増える」負担を押し付けることと、新規のユーザーに対して「どれ買えばいいのかわからない」という混乱を招くことですね。なのでレイラインがわかりやすくキチンとフルパック版を出してくれるのは嬉しい。BOXマニアの私は当然買うつもりです。

・拍手レス。

 「あの晴れわたる空より高く」はノリが合えば良作です。私は合ったみたいで一気にやりましたが、合わなかった人は結構酷評してるようです。
 もう振込は済んだので合うことを祈るしかないですね。

 今季のアニメは「SHIROBAKO」が結構良いです。1話5分過ぎの表情が社会人ぽくていいですよ。ネットでも配信されてます。
 もっと「制作進行地獄変」みたいなアニメかと思っていましたが意外に爽やかでしたね。3話目のタイトルコールに笑った。社会人と言えば『なれる!SE』もアニメ化しないかな。

 今期アニメでは「クロスアンジュ」の姫がクズでゲスでマイブームですな
 ギャグっぽい次回予告で緊張感が失せてしまう点はマイナスだけど、アンジュ様のクソ女ぶりに関してはホント素晴らしい。戦う相手が竜じゃなくてオークだったら更に良かったと思う。

 電撃姫と言えば、オッサンの私にはライトでギャルゲー雑誌に近いエロゲ雑誌だったのに。付録品も凄かったイメージ。エロゲ雑誌自体がネット情報の早さに駆逐されたのか、それともエロゲ業界自体が風前の灯なのか。
 エロゲ雑誌は読み終わった後の処分が困るんですよね……捨てそびれた各誌のバックナンバーがまだ押入れの隅にこんもりと。それで買わなくなったってのもあります。

 かってに改蔵やさよなら絶望先生の作者である久米田康治氏がかってに改蔵に真相版の特別インタビュー記事で語っていましたが、今はエロ画像やエロ漫画がネットで無料で閲覧できる時代になったため、本屋でエロ雑誌を買う若者が減っているとのことです。それだけリスクを負いたくない人が増えたということなんでしょうね。それがいいのか悪いのか、僕にはわかりません。
 置き場の問題もありますからね。電子書籍ならまだしも、紙媒体のエロ漫画は判型大きいし紙質も厚いしでとにかく嵩張ってしょうがないです。ヌケるネタは一個だけ、でもその一個が好みにベストフィット……みたいな単行本は処分していいものかどうか毎度すごく悩む。


2014-10-19.

・最近Chuablesoftの『あの晴れわたる空より高く』という新作がやたら評判イイので気になって調べたらシナリオライターが範乃秋晴と知って驚愕した焼津です、こんばんは。

 範乃秋晴って『マリシャスクレーム』の人か……いつの間にエロゲー業界へ渡りをつけていたんだろう? エロゲーライターがライトノベル方面に流れていくことはよくある事態なのですが、ラノベ方面からエロゲーの方にやってくるのはちょっと珍しいですね。強いて言えば涼元悠一あたりが過去の例? チュアブルはシュガスパあたりまで体験版をちょこちょこプレーしていましたけど、あんまり肌に合わなかったので以降はほとんどチェックしていなかったです。もうぎん太が原画をやっていない(去年退職したらしい)ってことは聞いていましたが……知らないうちに業界の情勢も変わってきてるんだな。エロゲーの新作情報でシナリオライターをチェックしても知らない名前ばっかりのため全然参考にならず、近頃はチェックする目もだいぶおざなりになっていました。もうちょっとちゃんとチェックせねば。反省しつつポチることにしよう。『あの晴れわたる空より高く』は主人公がヒロインたちと協力してロケットを製作し、宇宙に打ち上げようとする話……らしい。先日『王立宇宙軍』のブルーレイを観たところだしちょうどいいタイミングだ。このソフトが話題になれば『ロケットの夏』も再評価の機運が高まるかな。

エロゲ雑誌『DENGEKI HIME(電撃姫)』が本年度中に休刊!?(2次元に捉われない)

 これも時代の流れか……Wikipediaとかにも書いてありますが、電撃姫はもともと“電撃王”というPCゲーム雑誌の増刊号で、2001年――今から13年前に独立して月刊化したエロゲ雑誌です。途中で名称が“電撃姫”から“DENGEKI HIME”に変わりましたが、漢字表記で馴染んだ人が多く、公式以外ではアルファベット表記ってほとんど使われてなかったですね。私はP天派だったから電撃姫ってあまり買ったことなかったんですけど、P天の前に電撃王をちょこちょこ買っていた時期があるのでなんとなく親しみは感じていた。電撃王を買っていたのはアレです、半年に一度のエロゲーカタログ目当て。あれはいろんな意味でお世話になった。ともあれ、エロゲ雑誌ってパソパラが休刊しちゃったせいでもう5誌くらいしか残ってなかったんですけど、姫までいなくなるとたった4誌になっちゃいますな。テック、PUSH、バグバグ、メガストア。ネットの普及で役割を終えつつあった印象も強いけど、一時は書店にコーナーが出来るくらい揃っていたエロゲ雑誌がこうも次々と消えていくのはやっぱり切ない。エロゲ雑誌どころか、エロ本業界全体が斜陽を迎えつつありますからね……通学路や原っぱに落ちている雨に濡れたエロ雑誌のページをドキドキしながら木の枝でめくった少年たちの懐かしき日々は過去の遺物と化してしまうのだろうか。墨塗りの向こう側を覗き見ようと両手で空へ掲げお天道様の光に照らした、あの日々は今いずこ……。

・最近観た映画は『LIFE!/ライフ』が面白かった。

 内向的で妄想癖のある冴えない男、ウォルター・ミティは“LIFE”という雑誌のネガフィルムを管理する部署で働いていたが、“LIFE”が紙媒体を廃止してオンラインへ移行することになりお払い箱の憂き目に。そして最後の仕事となる重要なフィルムのネガが見つからず、「ひょっとして紛失してしまったのか?」と青くなるウォルターだったが……原作はジェイムズ・サーバーの『虹をつかむ男』で、60年以上も前に一度映画化されているからリメイクということになる。邦題だとバラつきがあるけど、原題はどれも "The Secret Life of Walter Mitty" である。ろくに旅行へ出かけたこともなく、人に語って聞かせるような体験談を何一つ持ち合わせていなかったウォルターが一念発起してイチかバチかの冒険に打って出る――映画の展開としてはベタベタながらも爽快で楽しかった。ウォルターは立身出世するわけじゃないし、辞めた後にどうするか不透明なまま終わる。完全無欠のハッピーエンドというわけではありません。しかし、この映画は「後退局面で生きる」ことを力強く描いている。予告編や宣伝文句を目にした際は「感動の押し付け」という印象が拭えなくてなかなか観る気になれなかったものの、なんというか「泣ける!」ではなく「ホロリと来る」とか「ジワッと来る」感じで良い塩梅です。ただ、主演のベン・スティラーが「冴えない男」どころかチャーミングすぎるオッサンで、最初から「みにくくないアヒルの子」になってしまっているという根本的な問題を抱えています。自信だけが足りない状態であり、「冴えない男が吹っ切れてイケメンになる話」というより「戸愚呂弟が30パーセントだけ力を出す気になる話」なんですよね、傍目から見ると。そこを飲み込める人にはオススメの一本です。

・拍手レス。

 それがビリー、合間の4年間スメラギさんに指一本たりとも触れられなかったらしいという……
 マジかよビリー、不能も同然じゃねぇか……。

 紅新刊、、、電波的な彼女は・・・?
 『電波的な彼女』の続きも書きたいって言ってましたね……6年前に。

 OO劇場版は完結編として完璧すぎて単体で見ると確かに微妙というか意味がわからないシーンが多いんですよね、ずっと苦悩していた刹那が己を肯定してマリナとお互いを認められるように成ることとか長編ならではの醍醐味だと思います。4クール+劇場版というう流れがあったからこそ最後のイオリアの言葉に感動出来るような説得力が生まれたのかなと思いました。
 『たまこラブストーリー』くらいだったら『たまこまーけっと』飛ばして先に観てもOKという気がしますけど、4クールもあるとさすがに……キャラ多くて初見だと誰が誰だかチンプンカンプンですからね。

 ファーストコンタクト物のSF映画みたいなんですよねOO劇場版、幼年期の終りみたいなと言うか2期ラストの英語メッセージとかまんまですし、でもそれでおいて希望を感じさせるいい作品でした。…これガンダムの映画違いますね…当時の宣伝絶対間違ってた…
 当時は『蒼穹のダブルオー』とか『ガンダムF(フロンティア)』とか茶化されていましたね。私もELSの名称覚えられなくて「あのフェストゥムみたいなの」と言ってました。


2014-10-08.

・ふと思い立って『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』のTV版全50話を一気観した焼津です、こんばんは。

 読みはダブルオーだが「OO」ではなく「00」と表記する。007を「ダブルオーセブン」と呼ぶようなもんですね。私の世代だと「ゼロゼロセブン」の方がしっくり来ますが、さておきガンダム00。実は遡ること4年前、2010年に公開された劇場版『A wakening of the Trailblazer』は映画館で鑑賞しておりました。スペクタクルシーンは劇場版に相応しく壮大で堪能しましたが、ストーリーは完全にTV版の続きというか完結編だったのでイマイチ飲み込めず、途中ちょっと寝ちゃったりもしました。劇場版は「このオチってどーよ」な感じで終わるため、あまりTV版に興味が湧かず、長らく放置してまいりましたが、新作『Gのレコンギスタ』放送が近づくにつれ不意に気になってきたわけです。劇場版は観た、つまり「オチは知っている」わけですが、逆に言えばオチしか知らない。そこに至るまでの過程がすっぽり抜け落ちているのであり、推理小説を解決編から読み出すような気分で臨みました。

 まず、ダブルオーをまったく知らない人向けに付帯的な情報から書いていこう。『機動戦士ガンダム00』は2007年から2009年にかけて放送されたTVシリーズで、いわゆる「アナザーガンダム」のひとつ。ガンダムは「宇宙世紀」という架空の年号を元に通史として描かれるU.C.シリーズとは別に、各々独自の年号を用いたパラレルな世界で「ガンダム」や「モビールスーツ」が活躍する作品群が存在します。これらを総称してアナザーガンダムと呼び、更に2002年のSEED以降を「新世紀ガンダム」と称する向きもあるようだが、『機動新世紀ガンダムX』と混同する恐れがあるからか呼称として普及している気配はあまりない。「宇宙世紀? アナザー?」とチンプンカンプンな人を対象にもっとざっくりした言い方をすれば、ガンダム00にはシャアとかアムロが出てこないんです。一応、伝統芸ってかお約束として「仮面の男」は出てくるのですが……00のTVシリーズは全50話、前半25話と後半25話に分かれており、「1期と2期」「ファーストシーズンとセカンドシーズン」といった具合に区別します。なんでそんな呼び分けをするかと申しますと、実際に放送時期が離れているからです。1期目は2007年の秋から2008年の冬にかけて、2期目は2008年の秋から2009年の冬にかけてと、なんとも変則的な放送のされ方でした。更にそれぞれの25話が前半13話と後半12話に分かれていて、後半に入るとOPテーマやEDテーマが変わります。いろんな曲と映像が楽しめて豪華と言えば豪華ですが、せっかく馴染んできたところで変わってしまうのが少し残念でもあった。

 00のストーリーを丹念に説明していくと長くなってしまうから大雑把にまとめますと、西暦2051年生まれの「イオリア・シュヘンベルグ」という爺さんがすべての発端。全編通して観た結果、イノベイターよりこの爺さんの方がよっぽど超人的だな、と感じました。開始時点が2307年なので、もし生きているとしたら256歳。普通に妖怪である。妖怪爺さんが「数百年後の未来において地球人類は途轍もなく悲惨な目に遭うかもしれない」と予見し、これを回避するために200年掛かりの超遠大なプロジェクト、通称「イオリア計画」を立ち上げます。ガンダムを実現するための基礎理論を完成させたのもこの爺さんであり、好むと好まざるとに関わらず作中人物のほとんどは爺さんの計画へ巻き込まれていくことになる。イオリア計画は複数の段階に分かれており、ファーストシーズンで1つ目の段階が終了する。それから4年経ったセカンドシーズンでは計画が第2段階に入っていて、間もなく第3段階に進もうとしている。結論を述べてしまえば爺さんの見通しは正しくて、最終的には人類全体へ利益をもたらすのだけれど、イオリア計画を利用して私利私欲を満たそうとする勢力が複数存在したせいで話がややこしくなってしまう……というのが大まかな構図です。いろんな勢力が入り乱れる1期目は観ていてワクワク感があるものの、風呂敷を畳みに掛かる2期目はちょっとダレ気味だったかな。「また性懲りもなく○○かよ!」と連邦側にウンザリする場面もあった。噛ませ犬として出てきたコーラサワーがだんだん憎めない奴になっていくあたりや、どんどんネタキャラ化していくグラハムさん、女装姿が美しすぎるティエリアには胸が高鳴ったり股間が疼いたりしたが……容姿が好みだったおっぱいチャイナこと王留美(ワン・リューミン)がセカンドシーズンで残念すぎるキャラになってしまったのは痛かった。嗚呼、なんであんなことに……シェンロンガンダムに搭乗して「この機体にはお兄様の魂が宿ってますわ」とか言い出す展開を妄想していたのに。留美と紅龍の関係ってなんとなく劣等生の達也と深雪、村正の湊斗さんと光を彷彿とさせるな。それとグラ公の声優は中村悠一だけど、この前観た『新劇場版 頭文字D』の高橋啓介役を演っていたせいか「身持ちが固いな、ハチロク!」と叫びながら峠で公道バトルを繰り広げるミスター・イエローの姿を幻視してしまいました。しかしイニDの新劇場版、かつてのお約束であった「走行シーンでのユーロビート」がまったく使われてなくて残念だった……この悲しみはルイスやクリスの胸を凝視して癒すしかない。

 00はおっぱいキャラが多くて、その点は嬉しかったです。なかなか名前覚えられなかったので「おっぱいちゃん(ルイス)」とか「ふわふわおっぱい(クリス)」、「ピンクおっぱい(フェルト)」、「そばかすおっぱい(ネーナ)」と概ねおっぱいと結び付けて識別していた。アニューの頃はさすがに覚えてきたので「ア乳」と呼ぶ余裕も出てきた。スメラギさんは最初に思いついた「アル中おばさん」という呼び名が一番しっくり来て困ったぜ。正直スメラギさんそのものに性的な魅力はあまり感じないが、「きっとセカンドシーズンが始まるまではビリーとだらしないセックスに耽っていたんだろうな」って想像すると興奮する。ソーマ・ピーリスはセルゲイ・スミルノフとのLOな関係を妄想する作業が捗った。養子縁組の申し出をプロポーズと誤解しそうになった私はマジでエロマンガ脳。「アンドレイ、紹介しよう。新しい母さんだ」「あんたって人はー!」 だんだんとりとめのない感想を書く流れになってきているが、TV版でもっとも意外だったのはアレですね。○○○が死んじゃうところ。「えっ、えーっ!?」となりました。この作品は結構ザ・松田っぽく「死んだと思ったら生きていた」展開が多いので生還するものとばかり信じていましたが、まさかあのままいなくなるとは。○○○○を引っ張り出して2期に繋げたものの、正直無理のある感じで△△△には好感を抱けなかったです。

 そして最終決戦、ダブルオーガンダムが大破し、もはや為す術なしか……というところで出撃するエクシアに目頭が熱くなった。長丁場のロボアニメでは主人公機の乗り換えがほぼ必須イベント(オモチャの売上向上のためにも)ですが、こういうふうにもう乗らなくなっていた旧型機をここぞというピンチで引っ張り出すのは熱いですね。ただ、戦う相手のモビールスーツがまんま過ぎるデザインの0ガンダムで、しかも中の人が中の人だから燃えるというより半笑いなムードに包まれてしまった。リスペクトするのはいいけど、ここまで来ると悪趣味な気がしないでもない。まぁ、なんだかんだ文句言いながらも全50話を一気に観通してしまったのは確かであり、面白いか否かで言ったら圧倒的に「面白い」ですよ! 全話一人脚本だけあってノリの違いにも悩まされなかったし、至福の体験でした。抱きしめたいな、黒田洋介! 劇場版も近く観返すつもりです。

 ところで、今回はレンタル屋でDVDを全巻借りて視聴したのですが、「ブルーレイだとどんくらい画質が上がるんだろう?」と気になり、近くの中古ショップに置いてあった分を購入して観比べてみました。00の円盤は基本的に1枚4話収録(2話や3話の巻もある)ながら、片面2層なので容量的にはさほどキツキツではない。むしろゆったり。『AIR』の廉価版BDなんて1枚に14話も詰め込んでますからね。まずDVDの画質、そのままだとさすがに粗いが、ブルーレイレコーダーのアプコン(アップコンバート)を通すと粗さは若干残るものの支障なく観れるクオリティになります。少なくとも、ビデオというと未だにVHSの画質が脳裏から甦ってくる私のような世代にとっては「充分綺麗」と言い切れる。でもやっぱり、場面によっては色のくすみが気になるかな。具体的に言うとスメラギやマリナの肌の色がちょっと……で、途中からBDに差し替えてみましたが、差は歴然でしたね。線がくっきりと出る以上に、まず色の鮮やかさが目に飛び込んでくる。エクシアの青やデュナメスの緑、そしてアリー・アル・サーシェスを象徴する赤がハッキリと画面に映えています。コレを観た後だと、DVDの色味はかなり褪せているように感じられる。音響も深みを増し、戦闘シーンの迫力も段違いとなります。が、何より一番大きかったのはそう、光の表現力。00はビームの撃ち合いだけでなくGN粒子の放出もあって、とにかくやたら光るシーンが多いのですが、BDにおける「光線の綺麗さ」は色彩の鮮やかさよりも更に際立っています。これに関しては雲泥の差と評するしかない。DVDだといっぱい光が出てくるシーンは眩しいというより単に「白くボヤけた感じ」「明るさで色が潰れる感じ」になってしまうのですが、BDは「色」と「光」の違いが非常に明瞭です。ただボヤけるんじゃなくて、光が溢れて輝き出す「眩しい」感覚を味わえます。夕暮れのシーンなんて、本当に西日を浴びている気分に陥りかけましたからね。GN粒子もキラキラとこぼれるように煌いていて、「ああ、BDで観るまで自分は真実GN粒子なるものを知らなかったのだ」と痛感させられた。ただ、BDもBDで諸刃の剣な部分があると申しますか、細部までくっきりと表示されるせいで作画密度が浅いところは余計に粗が目立つ形となってしまいます。モブが落書き同然だったり、遠くにいる人物がのっぺらぼうだったりしてもDVDならさして気にならない(線や色が滲んでしまうため)が、BDだと細かい箇所が観えすぎてしまって逆にガッカリする。アクションシーンも、すごーく気合を入れて描いているところは滑らかに動いて快楽中枢を刺激されるものの、そうでないシーンは落差もあって少しぎこちなく映ります。劇場版クラスなら絶対にBDで観た方がいいですけど、普通のTVシリーズだったら回によってはむしろDVDの方がイイかも……と思いました。何でも高画質ならいいってわけじゃないですね。にしても、フルHDで間が保つような絵を要求される昨今のアニメ界って……改めて考えると気が狂ってますわ。これで4Kとか8Kの放送が標準になる時代が来たらどうなるんだろう。大判で付けPANしようとかしたら、もう曼荼羅作りと変わらないんじゃないか。皆殺しの未来しか見えない。

TVアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』2週連続1時間SP放送決定!最新キービジュアル公開!(萌えオタニュース速報)

 初回1時間スペシャルはZeroでもやっていたけど、今回は2週連続1時間なのか。すごいな。1話目(表記上だと0話目)は原作のプロローグを踏襲した凜視点で、「凜かわいい」と「戦闘シーンすごい」の二つに感想が集約される。私はPC版しかやってないので声に違和感を覚える箇所もあったが、さほど深刻なものではない。とにかく、これは是非ともBDを買って再視聴せねばな……というクオリティでした。番組改変期なので秋アニメのチェックに本腰を入れ始めましたが、ニコニコチャンネルのラインナップを観ると「もうBDレコーダーの録画機能とかほとんど使わなくていいな」って気になります。観たい番組はニコニコの公式チャンネル(とバンダイチャンネル)でだいたい観れてしまう。差し当たって『甘城ブリリアントパーク』だけ録り逃さなければいいかな。久弥直樹脚本の『天体(そら)のメソッド』はとりあえず観てみたけど、1話目の時点だと「ノエルかわいい」くらいの感想しかない。話のタイプとしてはあの花に近い感じ?

片山憲太郎『紅』新作が2014年冬発売決定!タイトルは『紅〜歪空の姫〜』(わなびニュース)

 ああ、夢でも錯覚でも脳量子波の干渉でもないんですね……「今冬発売予定」というフレーズでチラッと怒りの日の悪夢が脳裏をよぎったが、ファーブラどころか神咒も八命陣も発売されたんだ、その悪夢はとっくに払拭されたものだと思いたい。Gardenは結局未完成のままだったけど。しかし、あの醜悪祭騒動からもう6年の年月が過ぎ去ったのか。普通なら記憶が朧げになり始める頃だけど、私の頭の中では「怒りの庭」と連結しているせいで忘れたくても忘れられないです。アイ惨ショックもあの年だったか。世間的には秋葉原の通り魔事件で揺れた年ですね、2008年。改めて考えるまでもなく、6年という年月は長い。たとえば、浅井ラボの『されど罪人は竜と踊る』はこの年に角川スニーカー文庫から小学館ガガガ文庫に移籍しました。それで、移籍前のストックがあるとはいえ、ほぼ一から原稿を書き直していく遣り方でこの6年間で番外編含めて15冊も積み重ねた。遂にイラストレーターも変更になって宮城は降板しちゃいましたよ。され竜はもともと2003年からスタートしたシリーズなので、開始点から考えると11年。宮城としても「長く付き合ったシリーズ」って実感はあるだろう。対する『紅』は2005年スタート(関連作も含めるなら2004年スタート)でされ竜より後発だが、原作が休止していた期間に漫画描いていたりしてたから山本ヤマトにとってもやはり「付き合いが長いシリーズ」という思いはあるはず。もう一つの「付き合いが長いシリーズ」であった『9S(ナインエス)』は途中で交代しちゃいましたね……ちなみに私は目が悪いので、たまに山本ヤマトと深遊と宮城の区別が付かなくなってゴッチャになる。「『アルティメット・ファクター』のイラストは宮城だったっけ深遊だったっけ? って、調べてみたら山本ヤマトじゃん!」みたいなこと、よくあります。超肉と七草とはらたけの区別も未だに曖昧。

『ヨルムンガンド』1期と2期を収録したCOMPLETE Blu‐ray BOX発売決定!(萌えオタニュース速報)

 洋画観まくったせいか「ヨルムンをBD画質で観返したいなぁ」とちょうど思っていたところです。渡りに舟とはこのことよ。ヨルムンは原作が完結してからアニメ化された少し珍しいパターンの企画であり、1期と2期を合わせてキチンと話が完結するようになっています。原作が完結していない状態でアニメ化される通常パターンだと、話の途中で終わってしまったり、アニメオリジナルの締め方になったりで、スッキリとエンドマークが付かないことも多い。その点、ヨルムンは綺麗に話を畳んでくれて満足度が高かった。強いて言えば、最終話でちょっと時間飛んじゃうのが残念だったけど……しかし、税込31320円と来たか。amazon等の値引きも考慮すると実売価格は23000円前後。うーん、微妙なライン。国内版としては割安な方だけど、クソ安いことで知られる北米版(アメリカで販売されているバージョン)に比べればやっぱり高い。円安とはいえamazon.comなら1期と2期合わせて8000円程度で買える(送料や手数料は考慮していません)。強制字幕が気にならない人はそちらを検討してみても宜しいんじゃないでしょうか。私はコンプリートボックスマニアだから割高でも国内版を購入することに致します。ディスク枚数が4枚と少ないのも嬉しい。収録話数が少ない奴だとディスク入れ換えが面倒なんですよね。

あかべぇそふとつぅ10周年記念作『ぼくの一人戦争』公式サイトオープン!発売日は2015年2月27日に決定!!(2次元に捉われない)

 『太陽の子』を生贄に捧げて『ぼくの一人戦争』を召喚! というわけでもないだろうが、素で「何年待たされるんだろ」と思っていただけにこの早さは意外。まあG線のときみたいに延期しまくりとなるかもしれませんのであまり真に受けないでおきますが、とにかく製品ページ見て購入は確定した。塗りの違いもあるけど、「これが有葉なのか?」と目を疑った。よく考えるとあの人は結構絵柄変わりやすいタイプの原画家だったな……こんぼく麻雀でも若干違和感あったくらいだし。でも強いて言うなら沙代の表情にまなの面影がちょっと残っているかな。価格が6800円(税抜)とミドルプライス相当、そんなに長くないゲームのようですね。『姉小路直子と銀色の死神』といい、エロゲ界もそろそろボリュームバブルの煉獄から抜け出しつつあるのか……? fengの本気とやらは1998円(税込)と破格のロープライスですし。ただ、「今秋発売予定」って……もう間に合わねーだろ、このタイミングじゃ。fengの言うことを真に受けるほどエロゲ歴は浅くないから、「何年待たされるんだろ」と思いながらのんびり待つことにします。

『ヘヴィーオブジェクト』TVアニメ化が決定! PVも公開!(わなびニュース)

 1冊目が出たのは5年前だから、結構掛かりましたね。巨大メカがいっぱい出てくる話だけにアニメ化企画は難航したのだろう、たぶん。細かい設定の説明を抜きにして申し上げますと、絶対に勝てそうもない超強い兵器を機転と工夫で倒す、ジャイアント・キリング系のSFストーリーです。もっと端的に言うと「巨大ロボットに搭乗しないで巨大ロボットを倒す話」。当時の感想を引っ張ると「無理筋と評しても差し支えないコンセプトながら、『オブジェクト殺し』を達成するまで複数の手順を経て段階的に勝利へ辿り着いていく形式を取っているため、『無茶苦茶だが、それなりに納得できる』って範囲に収まるよう仕上がっています」、そして「主要キャラ数を最小限に絞っているおかげか話の密度も高いし、ぶっちゃけ最近の禁書目録より盛り上がる」と身も蓋もないことまで書いています。原作の1巻は連作形式になっていて、サクサクと進むテンポが実に心地良い。主人公と友人、つまり野郎たちの活躍シーンも盛り沢山。反面、ヒロインが完全に「ミリなんとかさん」状態になっていますが……確か本文では名前すら出ていなかったはず。犬江さんが手掛けたコミカライズも存在するので、興味がある方はこちらから読み出すルートもオススメ。

・拍手レス。

 るろ剣… 御庭番衆、十本刀は犠牲になったのだ、二時間という尺、その犠牲にな。まさか人気の安慈や宇水が無視されて、張の方が出番が多いって誰も考えなかったでしょうね。剣心の十字傷の話もウヤムヤだったし、タイトルからして京都の追憶編や人誅編はないんだろうなぁ。
 映画界は「完結編と言ったな、あれは嘘だ」みたいな終わる終わる詐欺を平然と繰り返す業界なので、来年くらいにはしれっと続編の報せが来るかもです。ひょっとするとオリジナル脚本だったりして……。

 戦神館続編キタァァァ!!!
 「まだ無印終わらせていないのに天之刻買っちゃったなぁ」と思った矢先に万仙陣の報せが来て愕然とした。相変わらず震えるBGMだ。トップに出てくる子が誰なのか全然検討も付かなくてアレだが……。

 『仮面ライダー鎧武』終了……濃密な1年でありました。これで虚淵氏もレジェンドの一部となったのだなぁ。そして気付けば、あと1ヶ月で叛逆からも1年……
 本当に完走できるのかしら……と不安でしたが、滞りなく終わりましたね。そういえば鎧武が始まったのは叛逆公開初日の翌朝くらいでしたっけ。叛逆の衝撃は「懐かしい」というほどではないくせして鎧武1話は妙に懐かしく感じられる不思議。

 アベンジャーズはソーやキャップに愛着がないとイマイチに感じるかもしれませんね。でも、二つとも面白いシリーズですよ。特にキャップは最新作のウィンター・ソルジャーの出来が秀逸でした。
 ウィンター・ソルジャーは海賊との「来いよ、盾なんか仕舞って掛かって来い!」なアクションシーンが妙に印象的だった。それにしてもキャメリカさんの盾は超頑丈ですね。ガンダムのシールド並みに硬い。

 焼津様、相州戦神館学園八命陣の続編がどうやら決まったようです。タイトルは「相州戦神館学園万仙陣」だそうです。八命陣のモチーフが「南総里見八犬伝」だったのに対し、今回のモチーフは「封神演義」みたいですね。前作のキャラの一部も登場するとのことなので、来年が楽しみです。ただ、さすがに延期は勘弁してほしい…。怒りの庭騒動を知ってる身としては、八命陣が発売延期となった時はかなり不安だったので…。
 へえ、『封神演義』モチーフなんですか。正直藤崎竜の漫画くらいしか予備知識がありませんが、楽しみ。lightに限らずエロゲ界の延期体質はホントどうにかしてほしいですね。通販派はマスターアップ告知が来るまでろくに予約もできない。

 今更CS版の相州戦真館八命陣をやってたら、タイムリーで続編の告知が来た。しかもお祭りファンディスク的な感じらしい。遅れに遅れたが、タイミングとしてはむしろ絶妙になった感じだなぁ。
 お祭りファンディスクみたいな感じなんですか……神座万象の方でもそういうの来るかな。

 ワールドトリガーのアニメ、始まりましたねー。1話は良くも悪くも東映朝アニメでしたが
 CMは観たけど本編はまだです。今季のアニメはあまり観れてないですね。とりあえずufo版Fateが期待以上の出来で満足しましたが。


2014-09-27.

・やはり読書そっちのけで映画を観まくっていますが、なかなか「これは!」というシリーズに行き当たらず停滞感を覚え始めている焼津です、こんばんは。

 たとえば『マチェーテ』『マチェーテ・キルズ』、不法移民問題を盛り込みつつ細かいことは何も考えない非常に大雑把なシナリオが魅力的だった『マチェーテ』に対し、『マチェーテ・キルズ』はふざけ方が明後日の方向に行ってしまった感じで乗れなかった。3作目となる予定の『マチェーテ・キルズ・アゲイン』もあまり観たい気がしない。というか『マチェーテ・キルズ』の興行成績は前作に比べて芳しくなかった……いえ、ハッキリ言ってしまうと大コケした(『マチェーテ』に対して1/3くらいになった)ので、3作目が制作されるかどうかすら危ぶまれています。ロバート・ロドリゲス作品は、日本でまだ公開されていない『シン・シティ: ア・デイム・トゥ・キル・フォー』(『シンシティ』の続編)も全米で大きくコケたらしい。『シンシティ』のオープニング興収2900万ドルに対し、ア・デイム〜は週末3日間で僅か630万ドル……「いくら何でもここまで落ち込むなんて」と映画関係者も驚いたという。

 反対に大ヒットしたことで話題になっている邦画の『るろうに剣心』も、個人的にはやや残念な仕上がりだった。コスプレ感満載の衣装には馴染めないながらも第2作『京都大火編』でなかなかイイ盛り上げ方をしてくれたおかげで期待が抱けたけれど、第3作『伝説の最期編』はちょっと不満が残る一本となった。最近の邦画にしては頑張っている殺陣や、佐藤健および藤原竜也の鬼気迫る演技には圧倒されたが、それらの要素が「剣心の肩に日本の未来が懸かっている!」という大仰なストーリーに説得力を持たせるところまでは達しなかった。作中のキャラに「あなたの肩に日本の未来が懸かっている!」みたいなセリフをわざわざ言わせている時点で、制作側も「剣心こそがこの国を救う英雄」だと信じ切れていない様子を窺わせ、如何にも「苦し紛れ」な感覚が強い。それにしょうがないとはいえ、十本刀関連のエピソードが省略されまくっています。零式ではなくただの牙突であっさり死ぬ魚沼宇水、左之助から金的攻撃を喰らって倒される悠久山安慈……原作知らない人が観れば「十本は多すぎ、『五本刀』で充分なんじゃね?」と思うであろう超高速!三下後退ぶりである。冗談抜きでソードマスターヤマトを連想した。志々雄真実とのラストバトルも、原作の流れを踏まえて順々に戦うところはともかく、復活した剣心を加えて4人が一斉に襲い掛かる展開は絵面があまりにも……単独の怪人を囲んでフルボッコにしようとする戦隊ヒーローみたい。由美ごと貫く志々雄に剣心が「そこまでして……」と漏らすが、4人いっぺんに襲撃するシーンの方がよっぽど「そこまでして……」である。原作で大した見せ場もないまま出航前に沈んでしまった大型甲鉄艦「煉獄」がちゃんと活躍しただけでも個人的には観た価値がありますけど、他人に薦めたい映画かと申せば返答に迷うところである。

 ほか、『タイタンの戦い』『タイタンの逆襲』『インモータル』とギリシャ神話モチーフの映画を立て続けに鑑賞してみたりしましたが、スペクタクルシーンの迫力はともかく物語としてはあまり面白く感じられなくて退屈しました。食わず嫌いしていた『トワイライト・サーガ』にも手を伸ばしてみたものの、ヒロインの行動にイライラして楽しめなかった。1作目が単なる導入で、2作目にならないと基礎的な設定すら明かされない悠長な構成にも辟易。3作目で限界を感じたため最終章となる4作目および5作目の視聴は断念しました。

 そんな中、大アタリだったのが『猿の惑星:創世記』『猿の惑星:新世紀』。『猿の惑星』は山ほど映画版が作られたことで知られており、68年のチャールトン・ヘストン主演版『猿の惑星』を皮切りにして『続・猿の惑星』『新・猿の惑星』『猿の惑星・征服』と制作され続け、73年の『最後の猿の惑星』で一旦5部作として完結しましたが、2001年にはティム・バートン監督の『PLANET OF THE APES/猿の惑星』が公開された。なので『猿の惑星:創世記』は通算7本目、『猿の惑星:新世紀』は通算8本目の映画に当たります。タイトルがバカバカしいこと、オチがあまりにも有名で既にバラされてしまっていることからヘストン版の『猿の惑星』は未だに観ておりませんが、ティム・バートンの『PLANET OF THE APES/猿の惑星』は過去に観たことがあります。リメイク(作り直し)というよりもリブート(やり直し)に近いポジションの一本。ファンからは駄作扱いされ、『猿の惑星 ブルーレイBOX』でも収録ラインナップから外されるなど不遇極まりない作品だが、確かに感激するような出来ではなかった。面白いかつまらないかの二択で言えば「つまらない」に該当する。ヘストン版では「衝撃の結末」だったであろうラストシーンが「ズッコケの結末」にすげ替えられているのも低評価の一因となっている。シリーズに思い入れがないのでクソミソに貶すほど悪い映画とは思いませんでしたが、「他の『猿の惑星』も観てみよう」という気には到底ならなかった。

 『猿の惑星』は「高い知性を有した猿が人間を支配する」、つまり猿と人間の関係が逆転した世界を描くストーリーとなっており、ほとんどの作品では「猿が優れた知能を備えている」ことを前提条件として進むわけだが、一部の作品においては「なぜ猿の知能がそこまで進化したのか?」という原因についても触れている。『猿の惑星:創世記』もそうした「一部の作品」であり、設定的にはパラレルながらも『猿の惑星』の前日譚(プリクエル)として機能します。続編を作ることが難しくなったら苦し紛れに前日譚を紡ぐというのがハリウッドの常道だし、予告編を観てもあまり面白くなさそうだったので当初はスルーしていましたが、ここ最近の映画熱に衝き動かされて「試しに一本」と『猿の惑星:創世記』を観てみました。すると、出だしはちょっと退屈でしたけど、主人公(主猿公?)のシーザーが檻の中に入れられるシーン以降は滅法面白くなっていって、後半は夢中で画面に張り付いてしまった。CGをふんだんに利用した「猿の仕草」や「猿っぽい動き」が映像的にすごく面白い。これ、「予告編はつまらないが本編は面白い」という珍しいタイプの映画ですよ。もちろん『猿の惑星:新世紀』も慌てて映画館に走って観てきたわけですが、「今年公開された洋画の中では一番かもしれない」という素晴らしい出来で満足しました。不信と恐怖から猿と人間のあいだで緊張感が高まっていく、あの不穏さがイイ。実にハラハラしました。コバが味方殺しの末に恐怖政治を敷くなど「分かりやすい悪役」として描かれてしまった点はネックながら、大作路線の映画でこれだけ「分かり合うことの難しさ」に向き合っている点は評価したい。猿だろうと人間だろうと、詰まるところ「他者が怖い」のです。興行収入も好調らしいし、恐らくこのまま3作目も制作されるでしょうが、さすがに話としては次で終わった方がいいかな……また5部作とかだったら絶対ダレる。創世記の原題が "Rise of the Planet of the Apes" 、新世紀が "Dawn of the Planet of the Apes" だから、次は "Dusk of the Planet of the Apes" か?

みなとそふとの姉妹ブランド「みなとカーニバル」の新作『姉小路直子と銀色の死神』、シナリオに王雀孫が参加

 ここでまさかの伏兵。伏兵というより伏王ですよ。タカヒロと王雀孫のタッグなど夢にも思わなかった、というほどではない(二人とも「15美少女漂流記」という企画に関わっていた時期があるし、対談したこともある)が少なくとも具体的な予想はしていなかった。全12話構成(途中分岐ありのマルチエンディング形式)で価格は「ミドルプライス」、「メインヒロインは直子とキルスティの2人」と比較的小規模なつくりみたいだが、その方が最後までプレーできそうでちょうどいい。今もエロゲーはちょこちょこやってるけど、中断してばかりでなかなか本腰を入れてやり込む体勢が整いません。メインヒロインのキルスティがセルベリアっぽくて好みだ。『戦場のヴァルキュリア』はやったことがない(ソフトは持っている)けど、セルベリア・ブレスというキャラは外見的にも性格的にも弩ストライクなんですよね……ついつい薄い本まで買ってしまったほど。ともあれ発売は来年以降になるみたいであり、ゆっくり待つしかない。ほか、エロゲーは情報公開が始まったALcotハニカムの『キミのとなりで恋してる!』や探偵少女が出てきて主人公と一緒に事件捜査するちょっと懐かしいテイストの『箱庭ロジック』も気になっています。

ここにだって、奇跡はある! Lass『迷える2人とセカイのすべて』マスターアップきたああああぁぁぁ!!!(それなんてえrg`・ω・´))

 再々延期というダウン寸前の状況から9月22日に体験版公開、9月25日にマスターアップと起死回生のワンツーパンチを決めたLass。これであとはソフトの出来がどうか、って純粋な心配だけですね。私はギャンブルのつもりで体験版をプレーせず、プレーした人の評価も確認せずに予約するつもりです。なんでも体験版の内容を要約した「早分かりPDF」なるものまで配布されているらしいが、当然これも未確認。てか、体験版をやる暇もないユーザーにまで配慮せねばならんとは、エロゲ界もいよいよキツくなってきたか……。

・拍手レス。

 ニトロプラスとDMMによる刀剣をコレクションするブラウザゲー「刀剣乱舞」発表!なんでこの題材で装甲悪鬼村正を使わないか分からない。
 コラボくらいならあるかもしれませんね。なぜか殺戮幼稚園が出てきたりして。

 アメコミ映画つながりで『アベンジャーズ』も派手でおススメです。現時点で関連作品が9本!
 アベンジャーズは観たことありますけど、日本の感覚からすると出演ヒーローが微妙。アイアンマンとスーパーマンが並んで空を飛び、スパイダーマンが振り子の要領でウルヴァリンを人間弾頭として射出し、ジョーカーとマグニートーが互いの肚を探り合いながら手を組み、バットスーツを脱いだクリスチャン・ベールがガン=カタを披露する映画が観たい。


2014-09-15.

・今度は『X-MEN』シリーズを一気観した焼津です、こんばんは。

 言わずと知れたMARVELコミックス原作の実写映画シリーズです。2000年に開始して以来、スピンオフも含めてこれまで7作が公開されています。列挙しますと、

01.『X-MEN』(2000年)
02.『X-MEN2』(2003年)
03.『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006年)
04.『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)
05.『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年)
06.『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年)
07.『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014年)

 このようになります。タイトルは邦題であり、原題と微妙に異なる部分もあります。たとえば『ファイナル ディシジョン』は原題だと『he Last Stand』だったりする。上記したうち『フューチャー&パスト』は劇場公開からそんなに経っていないこともあってまだBDやDVDは出ておらず、従って今回は観ておりません。11月5日に出るから約2ヶ月のお預けですね。もっと早くまとめて視聴していれば映画館で観れたのに……と悔やまれてならない。

 まず、私は『X-MEN』の原作コミックを一度も読んだことがなく、『X-MEN』に関する知識はカプコン製の格ゲーだけしかない。なので原作との比較は無理です、ご了承ください。第1弾の『X-MEN』、ウルヴァリンが主人公に近い扱いで描かれていて驚いた。私の中ではサイクロプスが主人公って感覚だったので。『X-MEN』シリーズはいろんなキャラが出てきて群像劇めいた雰囲気を醸すところもあるため、一概に誰が主人公とは言い切れないが、『ファースト・ジェネレーション』以外は基本的にウルヴァリンが主役と捉えても差し支えない。ローグというミュータントの少女がウルヴァリンと出会ったところから物語は転がり始めます。『X-MEN』では「ミュータント」と呼ばれる不思議な能力を持った突然変異種の新人類たちと特殊な能力を持たない旧人類たちとの軋轢が背景にあり、映画評論家が口を揃えて言うように人種問題や民族問題を置き換えたストーリーになっているわけです。あくまで旧人類(パスト)との融和に心を砕くプロフェッサーX(チャールズ・エグゼビア)と、新人類(フューチャー)中心の世界を作り上げようと画策しているマグニートー(エリック・レーンシャー)の対立――という形で分かりやすく融和主義と排他主義の姿を描いている。事前のイメージだと「ミュータントたちがこめかみに血管を浮かべて「うおおおおおおっ!」と雄叫びを上げながら超絶パワーをぶっ放してドンパチ繰り広げる脳筋アクションストーリー」って感じだったけど、なんというか意外と地味なつくりなんですよね、1作目。アクションは要所要所に配置されているのだけど、あまり激しくなくて抑制が効いている。おかげで観ていて疲れることもなく、するすると自然に最後まで付き合うことができた。こちらの興味や関心を引く度合いに関しては、無印の『X-MEN』がシリーズ最大だと思います。

 しかし、派手なアクションやスペクタクルが欠けていたせいか1作目の評価は芳しくなかったそうで、2作目以降から派手なシーンがてんこ盛りとなっています。『X-MEN2』なんてホワイトハウスでミュータントが大統領に襲い掛かるシーンから始まる。鳴り響くDies irae(ヴェルディ版)とともに乱打されるアクロバティックなアクション。「お前らこういうのが好きなんだろ! オラッ、見せてやるよ!」という監督の叫びが聞こえてきそう。アクションが強化されたおかげで見栄えは良くなったが、ストーリーに関しては足踏みの印象が拭えない。新たに出てきたストライカーという悪役も、マグニートーに比べると小物臭が強い。このストライカーは他のエピソードにも絡んでくる重要キャラだが、喩えるならブギーポップにとってのスプーキーEみたいな存在である。記憶喪失のウルヴァリンがストライカーと出会うことで記憶の一部を取り戻す(ふたりは面識がある)けど、肝心な部分がわからないままなのでもどかしい。重要キャラひとりを犠牲にしてみんなが助かるラストも、悲しくてスッキリしない。

 『ファイナル ディシジョン』は映像的な迫力に関して言えば白眉。とにかく単純に「すげえ」と溜息をつきたくなる画が豊富に用意されています。個人的に好きなのはマグニートーが車をクシャポイするシーン。前作で死んだはずのキャラが実は生きていた、という御都合展開を見せつつもまた新たに重要キャラが死んでしまって何だかな。マグニートーのやられ方も呆気なかったし、映像的な演出を除くとこれまでの3作の中でもっとも「う〜ん」な出来である。だんだん脳筋ワールドに近づきつつある印象を受けた。あと期待していたジャガーノートがコレジャナイ感満載で……もっとハルクみたいなイメージだった。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』はウルヴァリンが忘れてしまった過去を描くスピンオフ作品。無印と2、ファイナル ディシジョンは時系列通りにストーリーが進行していったが、このへんから時間が行ったり来たりし始めます。ウルヴァリンは驚異的な再生能力のおかげで歳を取ることがない、不老不死のミュータントである……ってことは既に触れられていたが、なんとこの作品で19世紀半ばの生まれと判明する。南北戦争を皮切りに、世界各地の戦場で兵士として働いたウルヴァリン兄弟。そう、彼にはビクターという同じ能力を持った兄がいたのです! 演出のノリが変わって『ブレイド』系のスタイリッシュB級アクションになっているところは好悪の分かれるところだろうが、個人的には気に入った。格ゲーで好きだった棒術使いのガンビットが登場するのも嬉しい。具体的な時期は不明だが、ベトナム戦争からしばらく経っているみたいだから1980年代? 確か本編の15年前って設定のはず。ストライカーも出てくるが、「小物に見えたあいつが実はすごかった」などということはまったくなく、むしろより小物らしさが目立つ結果となった。

 『ファースト・ジェネレーション』はチャールズとエリックの出会い、そして訣別を描く過去編。ウルヴァリンが南北戦争に出征していた頃よりも後ではあるが、キューバ危機のあった1962年がメインとなるエピソードなので、時系列的には『ファースト・ジェネレーション』→『ウルヴァリン』→『X-MEN』(以下省略)といった順になる。『ファイナル ディシジョン』や『ウルヴァリン』にあった描写を考えると辻褄が合わない部分も出てくるが、厳密に言うとこれらは『X-MEN』を原作として着想し、各々自由に解釈を行い制作した――というスタンスになっているため、矛盾が生じているのではなく「そもそも世界線が違う」と受け取れる。まあ細かいことは気にしなくていいと思います。映画としては前半が退屈で寝そうになったが、後半はやや持ち直した。あまり熱くなれなかったのは、私があくまで「歳を重ねたチャールズとエリック」を好んでいるからだろうな。ふたりの過去を描く試みとしては興味深いが、ヤングプロフェッサーXやヤングマグニートーにはイマイチ魅力を感じることができなかった。『ウルヴァリン:SAMURAI』は珍作と名高い一本であり、予告編を観た時点で「ダメだこりゃ」と諦め顔になったし、途中でちょっと眠ってしまったけど、覚悟していたほど最低の出来ではなくて少しだけなら楽しめました。起きたら何か劔冑みたいなシルバーサムライがヒートブレード振り回していて「なんだこれ、銀星号!?」とエキサイトしましたよ。「ローガン=サン」「サヨナラ!」の遣り取りにも笑った。タイトルは『ウルヴァリン:サムライスレイヤー』に変えるべきだと思ったが、最後の最後でそんなことさえどうでもよくなるサプライズが……えっ? なんでこの人生きてんの!? 「細かいことは気にするな!」とサムズアップするアメリカ人の幻影が浮かぶ一本でした。しかしホント、向こうの日本観は『007は二度死ぬ』の頃から進歩してないな……書き忘れたが、エピソードとしては『ファイナル ディシジョン』の後に当たる。死んだ仲間の幻覚に悩まされるシーンが頻繁に挿入されるため、ここから観た人はさぞかし置いてけ堀だったろう。時間経過の順番としては『ファースト・ジェネレーション』→『ウルヴァリン』→『X-MEN』→『X-MEN2』→『ファイナル ディシジョン』→『SAMURAI』となる。ここから更に『フューチャー&パスト』へ繋がるらしいが……ああ、早く観たい。

Lass『迷える2人とセカイのすべて』が3度目の発売延期、9/26→10/31。みんな知ってたよね?(2次元に捉われない)

 全然体験版が来る気配なかったし、十中八九延期だろうな〜とは思っていた。これで3度目か。そろそろファンの信頼が目立って低下する頃ですね。『迷える2人とセカイのすべて』はLass通算7本目のソフト。5本目が『11eyes』のFDだったから、プロジェクトとしては6つ目に当たる。Lassは2003年にデビューしたエロゲーブランドであり、去年10周年を迎えたわけだが、平均して年に0.6本程度のリリースと、結構寡作な部類に入ります。最初の3本(『青と蒼のしずく』『3days』『FESTA!!』、毎回「千神奈々子」というキャラが登場したことから「奈々子3部作」とも。1作目と2作目では攻略できず、3作目でやっとシナリオが用意された経緯から「奈々子商法」という呼び名が一般的だが)は2003年、2004年、2005年と年1本ペースで順調に発売されたが、4作目の『11eyes』からペースダウン、2008年、2011年、2013年といった具合に2、3年で1本の状態になります。これは単純に『11eyes』が大作だったこと、加えて2009年にはアニメ化まで果たしたことから新プロジェクトの進行が遅れたものと思われる。アニメ自体の出来はアレだったにせよ知名度を稼ぐ役割は充分に果たし、『11eyes』こそがLassを代表する看板タイトルとなりました。次回作への期待が高まる中で発売された『少女神域∽少女天獄』はしかしファンが落胆するような仕上がりだったためか、売却に次ぐ売却で中古ショップの買取価格が100円まで下落。3ヶ月もしないうちに中古価格が3桁台へ突入するなど、凄まじい在庫飽和で話題になった。しばらく経って相場は1000円台まで回復したが、現在でも探せば数百円で売っている店はあります。

 Lassは「クオリティの高さ」よりも「センスの鋭さ」をセールスポイントとするブランドで、他所とは違う独自の遣り方で耳目を集めてきました。処女作『青と蒼のしずく』も、店舗用宣伝ムービーを100以上も用意するという奇抜な広報を繰り広げ、発売前後に秋葉原のあちこちでタイトルを耳にすることとなった。今となっては語られることも少ない『青と蒼のしずく』、海面上昇によって水没しかけている近未来の世界を舞台にするという意欲的な姿勢でエロゲーマーの注目を集めたが、あまり設定を活かし切れなかったのかシナリオの評価は今ひとつでした。「鳥の王」絡みとかでちょいちょい光るセンスは発揮されていたのですが。個人的には悪友ポジションのヒロッチョこと広原淳司が印象的。一部のヒロインには陵辱シーンを含むバッドエンドも用意されていたけど、これは今やったら大騒ぎだろうな。当時も拒否反応を示すユーザーはチラホラいましたが、まだマイナーだったこともあってか大した騒ぎには発展しなかった。「たまきん事件」と呼ばれる一連の騒動を引き起こした『下級生2』が翌年の発売だから、2003年と2004年はちょうど「非処女発覚や唐突な陵辱が忌避される時代」の境目だったかもしれない。前にも書いたけど、この頃が「もっともエロゲーが売れていた時代」なんですよね……。

 Lassゲーをやったことがない人には体験版だけで10時間掛かる大ボリュームの『11eyes』をオススメしたいところだが、そういう大作に尻込みしてしまう人は『3days』くらいのサイズがちょうどいいかも。「ヒロインが惨殺される」という最悪の結果を回避するために「同じ3日間」を繰り返すサスペンスゲームです。キャッチコピーの「3日で叶う恋もある/3日では何も変えられない」は今見ても秀逸。Lassのブランドイメージを一気に底上げした野心作であり、後半の展開は好みが分かれるかもだが、残酷描写が苦手でないのなら是非チャレンジしてほしい。『11eyes』ともどもDL版なら税込で4000円切る程度の価格です。あくまでパッケージ版が欲しい方は去年発売のリニューアルパッケージをどうぞ。『迷える2人とセカイのすべて』は、個人的にちょっと期待している(シナリオを担当する「下北沢ダイスケ」が大物ライターの別名義という噂もある)けど……体験版すら出ていない状況では他人に薦める気がしないな。ファンというほどではないにしろ、設立当時から知っているブランドだけに不評だった前作からどうにか立て直して欲しい気持ちはあります。

主人公を嫌悪しているヒロインがいるエロゲ教えて(2次元に捉われない)

 真っ先に思い出したのは佐久間晴姫。主人公を目の敵にして「絶対殺す」と何遍も言い募る。が、誤解が解けると一転してデレデレに。いわゆる「ツンデレ」という用語を普及させる要因になったキャラの一人です。陵辱系だと最後まで嫌悪するパターンのヒロインも何人かいるけど、さすがに非陵辱系では見かけませんね。「嫌悪している相手と和姦」なんてシチュエーション、そうそうないですし。リンク先のスレでDiesが挙がっているけど、これは櫻井螢を指しているのかな。主人公とは主義や価値観が異なる部分があって、それで衝突したままなし崩しに濡れ場へ突入しちゃう、ってのがあった。イき顔を見せたくないあまり主人公を睨みつけながら罵倒して絶頂に達するという、一部の特殊な趣味の人に受けそうなシーンでした。

 最初から主人公に対する好意を剥き出しにしたヒロインが多くて、「自分に対し敵意や嫌悪感を抱いているヒロインをいかに攻略するか」という部分に心を砕く非陵辱系のエロゲーって意外と少ないんですよね。綾波レイ型の無表情ヒロイン、「好意も敵意もなく、ひたすら無関心」な子の関心を引くソフトも何年か前はよく見かけましたが、最近はどうなのかな。結局、「萌え」を重視しようとすると「主人公とヒロインの関係性」よりも「ヒロイン個人のキャラクター性」が大事になってしまって、「二人がだんだん仲良くなっていく」という関係変化の過程を描くことより「いかにヒロインのキャラが立っているか」をアピールすることに腐心するようになってしまう。関係の変化をつぶさに捉えていけば自ずとヒロインのキャラクター像も細かく変わっていく。キャラ重視の観点からすれば「キャラがブレた」と見做されかねない。キャラを重視しようとすると「なぜかいつの間にか二人が相思相愛になっていて」「付き合う期間もないまま告白した直後にいきなりセックス」って性急なシナリオになってしまいがち。しかし、関係重視型は関係重視型で、二周目に入ったときの徒労感が半端ないんですよね……せっかく積み上げた人間関係がパーになってしまうので。「ああ、この頃はまだみんなと仲良くなっていないんだ」とガッカリする。周回を重ねることを考慮すると、関係変化の負担が少ないキャラ重視型の方がエロゲーに向いていることは確かです。でも、「自分を嫌っている女たちを必死でオトす」ようなエロゲーもたまにはプレーしたくなります。征服欲を満たしたいのではなく「距離感の獲得」を楽しみたいのだ。


2014-09-07.

・読書そっちのけで映画三昧、今度は『パイレーツ・オブ・カリビアン』4作をまとめて鑑賞した焼津です、こんばんは。

 食わず嫌いしていたけど、いやはや、これがスゴく面白かった。ジョニー・デップ演じるジャック・スパロウ船長のメイクちょっと気持ち悪かったことと、デイヴィ・ジョーンズなるタコみたいな姿をしたキャラクターと真面目に戦う展開がバカバカしく感じられて、これまでなかなか観る気がしなかったんですよね。己が不明を羞じるしかない。『パイレーツ・オブ・カリビアン』は2003年に始まった映画シリーズであり、現在『呪われた海賊たち』(2003年)・『デッドマンズ・チェスト』(2006年)・『ワールド・エンド』(2007年)・『生命の泉』(2011年)の4作品が存在します。いわゆるディズニー映画で、「カリブの海賊」というディズニーランドのアトラクションをモチーフにしているが、そのことは別に知らなくても楽しめる。

 『パイレーツ・オブ・カリビアン』は、映像的な格好良さに加えて、ところどころに奇抜なアイデアやニヤッとするようなユーモアをまぶしているところが魅力です。本編全体は結構長い(短い作品でも140分、長い奴だと160分ある)けれど、個々のシーンは割と短くてポンポンとテンポ良く進んでいきます。娯楽の大盤振る舞いであり、奇想の釣瓶打ち。幼い頃、テレビにかじりついて観たジャッキー・チェンの映画を彷彿とさせる。別にカンフーが出てくるわけじゃないが、観客を飽きさせまいとするサービス精神の旺盛さには通ずるものがあるかと。18世紀のカリブ海を舞台にしたファンタジーなので、当時の衣装や艦船をじっくりと眺められるあたりもイイ。私は船マニアじゃないけど、風を孕んで進む帆船にはやっぱり独特のロマンを感じますね。一見すれば即座に分かりますが、メチャクチャ金の掛かった映画です。1作目は1.4億ドルだった製作費が2作目では2億ドルを突破し、3作目で遂に3億ドルという未曾有の次元に達した。これは現時点の映画界における最高額である。日本だと製作費に100億円以上掛けた作品なんて、ハリウッドも関わった『ファイナルファンタジー』くらいしかないですね……アレはスクウェアの経営が傾くほど大コケしましたが、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の方は4作合わせて全世界で37億ドルの大ヒットとなっています。当然ながら続編企画は絶えず、5作目の制作も進行しているらしい。当初の予定では2015年、つまり来年公開予定だったのが2016年に延び、少し前のニュースによれば更に2017年へ延期になったそうだ。

 まとめて観たせいもあってしばらくあのテーマミュージックが頭から離れないくらいハマってしまったが、「問答無用で面白い!」と言えるのは正直1作目だけで、『デッドマンズ・チェスト』以降は大作を志向しすぎて映画的にはちょっとかったくなっている印象を受けました。『呪われた海賊たち』は船長(キャプテン)だと言い張りながら船を持たない変人のジャック・スパロウが非常にチャーミングで、「海賊のくせに船がなくてどうするの?」と呆れながらも「これからどうなるんだろう……」とワクワクしつつ画面に張り付くことができた。しかし、『デッドマンズ・チェスト』と『ワールド・エンド』は無闇に遠回りしている感触が強く、ハラハラするよりもイライラする場面が多かったです。島の民族に捕まって殺されそうになる展開とか、一個のシーンとして切り離せば悪くないけど「こんなの入れてる場合かよ」と冷めて集中力が途切れそうになりました。ウィルがあっちに付いたりこっちに付いたり、とただでさえ目まぐるしく状況が変わるシナリオだというのに余計な寄り道が目立って眠たくなる。熱心に何度も繰り返し視聴するファンや、BGM代わりにBGVとして映画を流す層にはちょうどいいかもしれませんが、「基本的に1回しか観ない、気に入ったらあとでもう1度観る程度」の私にはストレスの溜まる内容でした。『デッドマンズ・チェスト』および『ワールド・エンド』は前後編のようなストーリーになっているから通して観た方が宜しいものの、併せると約5時間、1クールアニメをぶっ続けで観るくらいの集中力が必要になります。注意されたし。

 4作目に当たる『生命(いのち)の泉』はファンからの評判が今一歩だったし、やはり無駄に大作を志向している印象が強かったので期待していなかったけれど、思ったより面白かった。ティム・パワーズの『生命の泉』というファンタジー小説を元にしている――とのことだけど、調べてみると『生命の泉』はもともと91年に『幻影の航海』というタイトルで翻訳されていて、原書が出たのは1987年。かなり前の作品だ。死期が近いと占われた海賊、黒髭(エドワード・ティーチ)が運命に逆らうべく「生命の泉」の水を欲している……というストーリー。飲めば不老不死になるのか? と思いきや、そこまで強力なものではないらしい。他人の寿命を奪って自分の物にする程度。要するに、消えかかった命の蝋燭に他人の蝋燭を継ぎ足すみたいなアレですよ。ルールが複雑というか面倒臭くて、ただ単に泉の水を飲めばいいというわけではない。まず「聖杯」が必要で、しかも一対(2個)揃えないとダメ。これに泉の水を注ぎ、片方に「人魚の涙」を入れる。そして二人の人間がいっぺんに聖杯を呷ると、涙入りを飲んだ方が涙ナシの生命を受け取ることができます。この、変にややこしい設定が爽快感を削いでいますが、「ラストの仕掛けに関わってくるんだろうな」ってことは明白なので受け容れるしかない。「まず聖杯を探し出さなくてはいけない」など、宝箱探しに右往左往した『デッドマンズ・チェスト』の如きお使いクエストで気分が萎えかけたものの、「人魚なんているわけ……いたぁぁぁぁ!」な展開を盛り込んでストーリーに変化を付けている点は良かった。1作目ほどではないが、1作目に近いワクワク感がある。クライマックスにおける「まさかの時のスペイン宗教裁判」も笑った。個人的には大予算を組んで数年に一度の大作を作るよりも、比較的小規模なジャック・スパロウ冒険譚を毎年作って欲しいな、と思いました。

エロゲの親友キャラがホモという設定(2次元に捉われない)

 全然最近じゃないけど『ひめしょ!』のアキヒトがオープンに同性愛嗜好を認めている親友キャラだったな。というか、エロゲに限らず日本のフィクションって「ホモ」みたいにネタとして描かれるキャラは多くても、ネタを抜きにした「ゲイ」としてキチンと表現されるキャラは、BLみたいな専門ジャンルを除くと少なくなりますね。いや、BLもBLでゲイとはまた違う世界が構築されているのでしょうが。印象に残っているのは、『ヤングガン・カルナバル』の毒島将成。なぜテレビ番組は「オカマ」や「ホモ」のように性同一性障害者や同性愛者を笑いの種にしないと気が済まないのか? と違和感を表明していました。エロゲーは何でもありの業界だから、根気強く探せばこのへんのセックスやジェンダーに踏み込んだソフトも見つかるかもしれません。

黒人「エロゲーヒロインに黒人がおらんやんけ!」(2次元に捉われない)

 リズィ姐さんがちゃんと出ていて安心した。褐色肌や日焼け肌のヒロインはそこそこ見かけるけど、ガチでアフリカ系っていうヒロインは心当たりがないですね。『HimeのちHoney』にマイケルという黒人のサブキャラがいて、予約特典のディスクに性別逆転のおまけシナリオが収録されていたけど、ご覧の通り肌の色はだいぶ白くなっています。最近のアニメで言うと夢塔ハナくらいの濃さがオタにとって「可愛い」の限界かと。それはそれとして『ツォツィ』のDVDが久々に再販されます、『シティ・オブ・ゴッド』あたりと併せて観られては如何でしょう。そのふたつが終わったら「死にたくなければ生まれてくるな」の『ジョニー・マッド・ドッグ』だ。元少年兵たちが少年兵の役を演じ、画面中に殺伐たる雰囲気を漂わせた映画です。

・拍手レス。

 自分はランボーは未見なのですが、スタローンの年齢を感じさせないバイタリティは凄まじいものがありますね。さすが、ロッキーの脚本を自らの主演を条件に売り込んだだけあります。エクスペンダブルズ3も楽しみです。
 歳を取るにつれ魅力が減じるどころか、更なる深まりを見せるのがスタローンのすごいところですね。私もエクスペンダブルズ3は楽しみにしています。

 最近Web小説が書籍化されてきて過去のSS漁りからここに辿り着いたのを思い出します…玉石混交すぎて手を出し辛くなんとも悩ましいところです。
 私も「書籍化されたネット小説」はチェックが疎かになっている分野ですね。『恋をしたら死ぬとか、つらたんです!』とか、タイトルで「うう」となったもののパラパラ読んでみたら文章が好みのタイプみたいでちょっと迷ったり。

 女装物はどのルートを選んでも主人公ルートで、主人公を攻略するヒロインを選ぶゲームだと聞いた
 女装物以外でも「主人公がヒロインに攻略されるゲーム」と評されるソフトはありますね、パルフェとか。


2014-09-01.

「ラブライブ! HISTORY OF LoveLive!」9月10日発売!電撃G’sマガジンに掲載された記事とともに歩んだ歴史を鑑賞できる、『ラブライブ!』一色本(萌えオタニュース速報)

 こないだニコニコ動画で行われた一挙放送の影響で「読参企画としてのラブライブ」に興味が湧いていた私にとって渡りに舟な一冊。グッズ類とか全然買っていない層の視聴者で、「ラブライバー」と名乗れるほどの熱心さもなくリアルタイムで観ていたときは2期の後半でもちょっとしんみりする程度だったが、最前の一挙放送ではボロ泣きしてしまいました。なぜか少し前に観た『猟犬たちの夜』(および続編の『そして復讐という名の牙』)というフランスのテレビドラマを思い出して、涙が止まらなくなったのです。スクールアイドルとパリ警視庁の刑事たち。接点はまったくないはずなのに、妙なくらい記憶を刺激された。

 『猟犬たちの夜』はかつて「向かうところ敵なしの最強タッグ」と言われていたヤクビル(ヤック)とコンスタンティンが、ある事件をキッカケに関係が破綻してコンビ解消、それぞれBRB(強盗鎮圧班)と殺人班という別々の部署に配属される。で、パリ警視庁の長官の車が爆破される事件でふたたび組むことになるんだけど、過去の確執を清算することができず揃って協力もクソもない独断専行を繰り返して捜査はズタズタに……という、人間関係を重視して描くタイプの刑事ドラマです。脚本を書いたオリヴィエ・マルシャルは元警察官だけあって、監察の疎ましさが非常にうまく出ている。結構重いというか暗い内容で、同僚から殉職者も出る。観た当時は「面白いけど、気の滅入るストーリーだな……」と思い、もう二度と視聴することはないだろうとDVDをレンタル屋へ返却したのだが、時間がちょっと経ってイイ具合に私の内部で消化できてきたところにラブライブの一挙放送が重なり、ドワッと心の中に強烈な何かが溢れ返った。『猟犬たちの夜』はある意味で「男たちの友情」を描いたドラマと言えるのだけど、一方で「友情」だけじゃどうにもならない過酷な状況も描いている。若干ネタバレになりますが、『猟犬たちの夜』で無茶な捜査を強行したためヤックは刑務所行きになります。続編『そして復讐という名の牙』は彼が出所する場面から始まりますが、当然刑事に復職できるはずもなく無職の身です。そこからいろいろあってマフィアの犯罪計画の片棒を担ぐハメになり、コンスタンティンとまたしても対立することになる。前作は「刑事と刑事」の対立でしたが、今度は「刑事と犯罪者」の対立です。ふたりの友情は完全に失われたわけじゃないけれど、友情だけでは突破しようもない。刻々と悪くなっていく状況の中、それでもコンスタンティンはヤックを諦めまいとする。彼らの心の動きが、μ'sのメンバーを眺めているうち不思議と理解できるような気分になってきて、時間差で涙腺が崩壊したのでした。「出勤すればあいつがいる、今日も一緒に悪党を追い回すんだ」と毎朝嬉しそうに起きていた刑事の心情って、実はスクールアイドルの面々とそんなに変わらないのかもしれない。

 こういう、「ある作品を観ているときに違う作品を思い出して化学反応めいた勢いで感情を揺さぶられる」のはよくあることですが、それでもこんなに激しいのは久々だった。『ラブライブ!』も『猟犬たちの夜』も、それぞれ単独では「泣ける!」ってほどじゃないのに、ふたつ合わさると反則級の威力が生み出される。マリアージュというか、なんだか漬物みたいな感じだ。記憶の壺の中でゴタ混ぜになって発酵が進んでいく。昔の作品が頭の中で異様に美化される現象も、発酵効果の為せる業なんだろうな。たまに完璧に腐敗して、改めて読んだり観たりした際「えっ? こんな作品だったっけ……なんか全然記憶と違うんだけど……あれぇ?」と首を傾げることになりますが。

・『ロード・オブ・ザ・リング』の一気観がキッカケになって洋画熱が再燃し、溜まりに溜まっていたBDやDVDを消化中。最近は『ランボー』シリーズをまとめて視聴しました。

 『ランボー』は言うまでもなくシルヴェスター・スタローンの代表シリーズで、「上半身裸で赤い鉢巻を巻いたスタローンが雄叫びを上げながら機関銃バリバリ撃ちまくって敵兵を殺戮する映画」というイメージが強いけれど、それは2作目以降に形成されたモノであって、1作目はアクション要素こそ多いもののアメリカン・ニューシネマの流れを汲むアンニュイな雰囲気漂う一本に仕上がっています。原作はデイヴィッド・マレルの小説で、邦訳じゃ『一人だけの軍隊』になっていますが原題は "First Blood" 、ニュアンスとしては「先制攻撃」って感じ。有名な話だからバラしますが、原作は最後にランボーが射殺されて終わります。しかし、結末としてはあまりに悲惨であること、続編含みの企画であったことから映画ではランボーが投降するエンディングに変えられた。一応、射殺エンドも撮影されていて何かの映像特典に収められているらしい。時期的にアメリカン・ニューシネマが終焉を迎えた頃の映画(ニューシマネ・ブームはベトナム戦争の終結あたりで幕を引いたのだから、ベトナム帰還兵が主人公を務める『ランボー』がそれに間に合うわけもない)ゆえ、ニューシネ的な「主人公が敗北死するエンド」は実現しませんでした。先述した通り、映画としてのつくりはニューシネの影響下にある作品なので、映画史的に見ればコレが一つの転換点と言えるかもしれません。2作目の『怒りの脱出』以降は、「一般的なイメージとしてのランボー」を体現する大作娯楽アクションに変貌していきます。『怒りの脱出』、前半はありきたりでやや退屈だったけど、ランボーが軍に見捨てられ敵地に取り残される後半から俄然面白くなります。「ランボー 怒りの休日出勤」みたいに何かと弄られやすい副タイトルですが、少なくとも『怒りの脱出』時点では本当にランボーの怒りが伝わってくる。「会社に見捨てられた社畜」ってな具合で、筋肉ムキムキのランボーがスーツを脱ぎ捨てて「うおおおおおおっ!」と絶叫しながら重要書類をバリバリとシュレッダーに掛ける光景が目に浮かびます。ちなみにデイヴィッド・マレルは『怒りの脱出』『怒りのアフガン』の小説版も書いています。死んだはずのランボーが生き返ってしまったのはアレだが、ノベライズ作品にしては評価されている部類なので暇があれば読みたいところ。

 でも映画は3作目『怒りのアフガン』まで行くとさすがにマンネリですね。今度はソ連のアフガン侵攻を止めるための支援としてアフガニスタンに向かうのですが、大まかな構成が『怒りの脱出』の焼き直しという印象は拭えず、後半に差し掛かるや否や抗しがたい眠気に苛まれた。というか寝てしまった。後の歴史を知っているだけに、アメリカ目線でかなり割り引いて見ても、ランボーの行動に正義や大義と言ったものを感じることができない。日本語版副タイトルである「怒りの〜」もすっかり形骸化しています。『怒りの脱出』にあった、血が沸騰して筋肉まで弾け飛ぶほどの感情的ダイナミズムが、『怒りのアフガン』には存在しない。「アフガン人を決して敵に回してはいけない」とか「この映画をすべてのアフガン戦士たちに捧げる」とかも、今観ると強烈なブラックジョークである。なので第4作『最後の戦場』はまったく期待しないで観たけれど、コレが予想外に面白かった。映画の出来としては1作目の『ランボー』が最高だし、娯楽的には『怒りの脱出』が到達点だけど、私の好みで言ったら『最後の戦場』が一番かも。お気楽な平和主義者どもの脳髄を吹き飛ばす勢いでこれでもか、これでもかと残虐な殺戮シーンを見せ付ける。これまでのシリーズ作品は死人の量こそ多かったが、グロい描写は比較的少なかった。しかし『最後の戦場』は首がもげたりハラワタがはみ出たりといった切り株系(頭部切断や四肢切断、胴体切断)のゴア表現が目白押しで人によってはホラー映画である。私は血飛沫の飛ぶアクション映画が大好きなので、大変満足しました。小学生の作文風に書くと「いろんな人の手や足がたくさん千切れてギョッとするのでとてもよかったです」。ランボーの活躍シーンが相対的に減っているところは残念だけど、惑乱と狂気渦巻く戦場の混沌は素晴らしい。里心のついたランボーが田舎に帰るラストもさりげにグッと来る。5作目は「ランボー 怒りの帰郷」みたいな調子でアリゾナ州からメキシコに向かう話になる予定らしいが、まだ実現していません。「企画がポシャった」というニュースも流れた(これとか。つーかスタローン、『極北のハンター』の映画化権持っていたのか……と驚いて検索したらホントだ、帯にちゃんと「シルヴェスター・スタローン映画化」って書いてありますね)けど、少し前のニュースによると「シルベスター・スタローン(68)が『ランボー5』出演に向けて準備を進めているようだ。」とのこと。

 まとめ。『怒りのアフガン』は正直ナシだと思ったが、それ以外は充分以上に楽しめたし面白かった。特に『最後の戦場』は「なぜ公開当時に映画館で観なかったのか」としきりに後悔する一本でした。

・拍手レス。

 女装物で主人公が一番可愛く思えてくる現象は何なんでしょうね…
 内面描写があって読み手とシンクロしやすい、というのも魅力の一つでしょうね。女装物ではないけど俺翼の渡らないさんこと渡来明日香も、彼女の内面をチラッと描いた番外編(「ある日の明日香」)をやる前と後とでは印象かなり変わってきますし。


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