2013年12月分


2013-12-28.

・この冬は赤身肉ちゃんの穴という穴に白濁した牛脂を注入して「んほおおおお! お肉が柔らかくなっちゃうのおおお!」とアヘ顔インジェクションさせる薄い本が何冊出るだろうな……と考える焼津です、こんばんは。

 年末だというのに欠片も反省していない。迷妄を抱えたまま新年を迎えそうな気配です。

『アイリス・ゼロ』の6巻、来年2月22日発売予定

 ッッッ!! マジで!? 5巻が出たのは去年の2月でしたから、ちょうど2年ぶりになりますね。いやはや、魂消た。作者の病気が原因とかで長期休載に陥っていましたけど、こうして新刊が発売されるってことは無事快癒したんでしょうか。作者のブログを覗いてみると、「まだ体調が完治とは言いがたい感じ」との記述が……『アイリス・ゼロ』は少年少女の瞳にアイリスと呼ばれる「視覚に関する超能力」が宿るようになった世界で、ただひとり何の異能も持ち合わせていない少年、欠落者(アイリス・ゼロ)の水島透が持ち前の洞察力で様々なトラブルを解決していく、といった形式の漫画。軽いミステリ要素を伴った現代ファンタジーってなところ。主人公とヒロインは関係は『氷菓』の「奉太郎とえる」を想起してもらえればわかりやすい。欠落者として迫害を受けてきた過去があるだけになるべく目立ちたくない透は「低視聴率主義」を掲げて息を殺すように日々過ごしていましたが、校内で有名な美少女にグイグイ引っ張られて否応なく周りに干渉せざるを得なくなっていき、そこでいろんな絆が生まれていくわけです。自ら「オイロケzero」と言い放つくらい徹底した脱エロス路線でありながら、「ヒロインより主人公に萌える」特質のおかげか高い人気を誇っている。かつては『ディーふらぐ!』と並ぶ「“月刊コミックアライブ ”におけるアニメ化有力候補作」でしたが、休載の影響もあって水をあけられてしまった。とはいえ原作の続きが読めるだけでもう既に満足ですから、もしこのままノーアニメでフィニッシュしたとしても当方は惜しまない。かと言って、諦めきったわけでもない。天運はまだ尽きておらぬ、そう信じています。

『健全ロボ ダイミダラー』2014年4月放送開始予定!ハイスクールDxDスタッフたちによってTVアニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 まさかのダイミダラーアニメ化にさしもの当方も驚愕。「ミダラ」というくらいだからお色気要素たっぷりで、パイロットは「Hi-ERo粒子(ハイエロりゅうし)」と呼ばれる、己のリビドーを充足させることで発生するエネルギーによって最終決戦兵器「ダイミダラー」を動かす。平たく言うと、「女の子のおっぱいを揉む」→「ムラムラと力が湧き上がってくる」→「ロボがおっ勃つ」、こういう寸法です。エロいことをしないとロボは起動しない、ゆえに世界を救うためハレンチな行為に及ぶべし。さあ、「せいよくでまちをまもりきれ!」 要は『超昂天使エスカレイヤー』の巨大ロボ版だ。やがてパイロットがおっぱいに揉み慣れてしまってイマイチ興奮しなくなり、「もっとエロいことをしなくては!」とヒロインに対するセクハラがますますエスカレートしていく。つくづくヘンタイ極まりない設定である。原作はあっさりとした絵柄なのでヤッてることの割にあまり粘着質なイヤらしさが漂わないのだが、アニメだとそうもいかないだろうな……「単純なエロさ」より「頭のおかしさ」を楽しむタイプの作品だからアニメは正直難しいでしょう。「恭子のおっぱいさえあれば粒子でも精子でもばんばん出すさ」みたいな直球すぎる下ネタはさすがに電波に乗せられないだろうしな……。

 作者はくら寿司信者として有名ななかま亜咲。「水戸黄門の印籠」をパンツに置き換えた『ぱんつぁープリンセス』の作者・鬼八頭かかしとも仲が良く、作中にちょいちょいかかしネタが出てきます。ダイミダラー以外にも『火星ロボ大決戦!』というエロくてロボな漫画があり、設定上はダイミダラーとも繋がっているので興味がある方は併せて読もう。しかしまさかなかま亜咲がアニメ化作家になるとは……こりゃくら寿司に彼の著作がデーンと置かれる日も近いな。

・では前回の続きで、今年観たTVアニメと映画について振り返る。

TVアニメ

第一位 『のんのんびより』
第二位 『戦姫絶唱シンフォギアG』
第三位 『きんいろモザイク』
第四位 『ラブライブ!』
第五位 『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』
第六位 『キルラキル』
第七位 『蒼き鋼のアルペジオ−アルス・ノヴァ−』
第八位 『ゆゆ式』
第九位 『進撃の巨人』
第十位 『翠星のガルガンティア』

  1話だけ観た奴や途中で観るのやめた分も含めれば50本超えるが、最初から最後まで観た(観るつもり)となると今年は40本程度。なんというか、全体的に水準が高く、どれも寛ぎながら楽しんで観ることができたけど、熱烈にハマるような作品は少なかったな……という印象。去年や一昨年はいくつもBDマラソンして財政状況がキツかったけど、今年はそんなでもなかった。「面白いけど、円盤買いたくなるほどではないか」と見送るパターンがほとんどだった。一言にまとめると、「美味しいけど押し並べて小粒な年」でした。

 1位を射止めたのは漫画原作の『のんのんびより』、いわゆる「日常モノ」です。この結果は選んだ当方自身がビックリした。原作は好きだったけど、原作愛が邪魔して虚心に楽しむことができないのでは……なんて危惧もあったが、杞憂でした。ちょっと前に最終回を迎えたばかり、つまり記憶鮮明だから上位に食い込んだのではないか……という疑惑もあるが、ニコニコチャンネルで金払ってまで繰り返し視聴していることを考えると、仮に放送が今年の頭であったとしてもきっと上位に来ていただろう、と判断した。日本のどこかにある、どこにでもありそうな、しかしどこにもない(『のんのんびより』は具体的な舞台が定められていない、つまり「聖地」が存在しないアニメである)田舎を舞台に、のどかでのんきで時にユーモラス、時にノスタルジックな日々を淡々とのんのんと映し出す。「普遍的なイメージとしての田舎像」を前面に押し出しているため、無国籍ならぬ無地方的な胡散臭さが漂う部分もあるけれど、優しい音楽に包まれていると「ラピュタは本当にあったんだ!」な気分に陥るから不思議。概ね愉快でたまにホロリと来る、理想的な仕上がり。原作愛に阻まれるどころか、原作がますます好きになるステキなアニメでした。とはいえ、ほたるんの胸はいくら何でも盛り過ぎでしょうが。もはや明らかに小五のおっぱいではない。

 2位に選んだのは『戦姫絶唱シンフォギアG』、『戦姫絶唱シンフォギア』の2期目です。これも我ながら意外なチョイス。確かに単純明快な熱血路線が心地良く、毎回キチンと山場や強烈なヒキを用意するサービス精神の旺盛さに好感を抱いたけど、あまりにもツッコミどころが多すぎるシナリオ(6話でウェル博士がネフィリムの心臓を取り戻す流れがすごく雑、など)のせいで減点が響いて通常なら5、6位くらいに落ち着きそうなのに……うーん、やはり今年はちょっと層が薄かったか? 作画が不安定だった1期に比べて驚くくらい映像のクオリティが上がっていること、ほぼ毎回がクライマックスのようなハイテンションだったこと、「何故そこで愛ッ!?」などこまごまとしたセリフの数々が印象的だったこと、「良かった探し」をすればいろいろと見つかる作品でもあるので、「加点法で観る人」には断然イチ押しのアニメです。3期目も決まったし、観るなら今。新シーズンに備えましょう。3位は『きんいろモザイク』、またしても日常モノ。原作が“まんがタイムきららMAX”で連載されている、俗に言う「きらら系」のアニメです。たまに勘違いしている人もいるが、『のんのんびより』はきらら系ではない。あれの掲載誌は“月刊コミックアライブ”です。どっちも製作はメディアファクトリーだから「例のロゴ」が出てくる、という繋がり。間やテンポが独特でアニメで再現するのは難しいだろうな、と予想していた『のんのんびより』に反し、こっちは原作読んだ時点から「アニメ化しやすそうな作品だ」と感じていました。起承転結がハッキリしている、それでいてネタを目立たせることよりもキャラの可愛さを引き立てることの方を重視している、地味だけど高度な技術の見本市。きんモザは「萌え4コマの完成型」と称しても過言ではない。しのキチのアリスと鬼畜こけしの忍、ふたりの掛け合いの効果は抜群だ! 曲も素晴らしい。「癒される」という言葉は安易であまり多用したくないが、まさしくこのアニメは心の傷口が塞がれ、痛みが消えていく安楽の園であった。臨死体験じみた幸福(ニアデス・ハピネス)を味わえる、黄金のエウタナシア。日々の生活で溜まった疲労がポンと抜けていくこと請け合いである。きんいろヒロポン。ディス・イズ・ザ・ペインキラー!

 4位は『ラブライブ!』。9人の少女がスクールアイドル、つまり学校公認のアイドル活動に勤しもうとする青春アニメ。元を辿れば“電撃G's magazine”という雑誌の読者参加企画――昔流行った『シスター・プリンセス』とか、ああいうのの流れを汲むプロジェクトです。読参企画とは多少キャラの性格が違っているし、過去に制作されたPVアニメとも絵柄が異なっているが、息の長い企画だ(来年で発足から4年となる)から仕方ない。アニメは「μ'sのメンバーたちが『自分たちがアイドルグループを結成するまでの過程』を綴った再現ドラマに出演している(だから多少脚色されて事実とは食い違う部分が出ている)」体裁だとでも受け取っておいた方がいい。1話目の最後で制服を着たまま急にミュージカルみたいに歌い出すのも再現ドラマゆえの演出なのだ。ジョークはさておき、このアニメの魅力は「メンバー集め」の流れをキチンと描いていることですね。もし最初から9人全員揃った状態でスタートする話だったら、途中でギブアップしていたかもしれない。ちゃんと「アイドルやろうよ!」ってところから始まるのはなにげにポイント高いですよ。しかしながらメンバー集めの過程を丁寧に描いたため、全員揃うのは8話が終わってから……という1クールアニメにしてはキツい進行。結局、プロジェクトの本題である「ラブライブ」に出場するところまで辿り着けなかった。そこらへんは2期に期待か。それにしても『ラブライブ!』は可愛い子揃いで誰がお気に入りか挙げようとするたびに迷う。不人気扱いされているのんたんこと希でさえ、性的な観点からすればたまらない体つきをしているしな……抱きつきたくなるエロさで言えばトップクラスや。5位、『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』はダークホース。タイトルといいストーリーといいキャラデザといい、アナクロニズム溢れる昭和臭ではじめはほっとんど期待していなかった。しばらくは「ロボのギミックが格好イイから」という理由で観続けていた。転機は第8話の「ケレス大戦」か。TVアニメらしからぬ気合の入った宇宙戦争描写、状況が刻々と変化する濃密な展開に引き込まれていった。キャラに対して愛着が湧き始めたのもこのへんからだ。「ザンネンファイブ」などのネーミングから来る古臭さとコメディっぽい雰囲気のせいで侮られている(実際、当方も侮っていた)アニメながら、シリアスモードに入ったときの緊迫感は相当なもの。白熱する画面に、手に汗握ってしてハラハラしまう。戦闘もどんどん激化していって息を呑んだ。あれは総集編でもいいから是非劇場の大スクリーンで眺めたいものである。

 6位の『キルラキル』は放送中だから様子見も兼ねてこの順位。後半は畳み掛けるような展開に突入するらしいし、最終回まで行けばもっと上位に昇っていたかもしれない。90年代どころか80年代さえ彷彿とさせる荒々しいタッチの作画は、セル画を体験していない現代のアニメっ子からすると異質で汚いモノに見えるかもしれないが、昭和生まれの人間としては懐かしさや温かみを覚える画風である。手の入れ方も本気なら手の抜き方も本気で、「手の込んだ手抜き」を地で行く調子となっている。露出度が高くて痴女にしか見えないコスチュームにはどうしても馴染めないが、騒々しさと賑々しさの二枚重ね、このままラストまで疾駆してほしい。7位の『蒼き鋼のアルペジオ−アルス・ノヴァ−』はフル3DCGアニメ。潜水艦で3DCG、というと『青の6号』を思い出してしまう……高校生のときに観ましたが、正直「CGがショボい」とガッカリしました。3DCGアニメに対して否定的になった理由の一端はアレにあると思います。だから第1話を直接目視したときは「大丈夫かな、これ?」と不安になったが、進むにつれて違和感は減少し、遂にはゼロと化した。また原作のストーリーがキリの良いところまで進んでいない(監督の談によればアニメ化が決まったのは「まだ原作連載ではハルナとキリシマの合体戦艦との戦いが終わったところ」)ことも不安材料だった。原作そのままでやるとなったら1クールじゃどう考えても収拾がつかなくなることから、途中でアニメオリジナル展開に突入する。具体的に言うと、白鯨が出てこない。天羽琴乃は存在そのものがカットされている、初期の構成案では琴乃が謎の事故死を迎えるところからスタートするシナリオもあったらしいが、没になったとのこと。こうなると通常は原作ファンの支持を得ることが難しくなるわけだが、尺に見合った話運びで『蒼き鋼のアルペジオ』の本質を抉り出すことに成功し、「原作は原作、アニメはアニメとして楽しめる」絶妙な仕上がりになった。ファンにとっては嬉しい誤算である。時期的に『艦これ』ブームで軍艦熱が高まっていたことも追い風となり、ヒットに結びついた。原作から離れすぎたせいで続編企画を通すのがキツそう、というのが唯一の難点。シリーズ構成の人は既に続編の構想を固めているらしいが、果たして実現するのかどうか。それにしてもイオナの声が可愛すぎて当方のパッシブソナーにビッコンビッコン来る。1話目の「きゅーそくせんこー」から心臓を鷲掴みされた。監督インタビューによると、当初イオナの演技はもっと無機質な路線を想定していたが、声優の渕上舞が予想以上に攻めの消力を駆使してきたので「ま、まあ、かわいから、いい……のかな?」「こ、これで行っちゃおっか」と戸惑いながらもOKを出したとのこと。アニメ版イオナのキャラ作りに関しては渕上さんの貢献度が高いみたいだ。

 8位の『ゆゆ式』はきらら系の日常モノ、時系列で並べるとゆゆ式→きんモザ→のんのんの順で放送された。なのできんモザを「ゆゆ式難民の収容キャンプ」だとか、のんのんびよりを「きんモザ難民の避難場所」だとかいったふうに形容する向きもある。日常モノは観ている間ほのぼのとして浮世の憂さを忘れられる分、最終回を迎えた後は胸にポッカリと大きな穴が開く。その甚だしき空虚さに耐えかね、者どもみな喉を掻き毟り髪を振り乱し涙は枯れて荒涼たる悲嘆とともに慟哭することとなる。なので日常モノのアニメが終わると次の日常モノに救いを求めて渡り歩く、といった現象が起こるわけですが、それは心の穴を酒で埋めようとするのにも似た行為で、「次の日常モノ」が終わる頃には酔いも冷め、胸の空虚は一つから二つに増えている。これぞ虚無感の倍返し。結局、ゆゆ式の穴はゆゆ式でしか埋められないし、きんモザの穴はきんモザでしか埋まらない。至って当たり前のことです。さて、脱線がヒドくなったからゆゆ式に話を戻すが、これアニメが始まる前に原作の1巻だけ読んでいたんですよ。でも何が面白いのか全然わからなくて2巻以降は読んでなかった。アニメも、お母さん先生目当てに観た1話目で「やっぱり面白さがわからん!」と天を仰いだ。しかし2話目、3話目と続くうちに、いつしか「お母さん先生目当てではなく観ている自分」に気づいた。そう、蒙が啓かれたのである。アニメで『ゆゆ式』の魅力を悟り、原作を全巻一括購入して読み耽った結果、完全に『ゆゆ式』ドップリとなってしまった。「ネタが感覚的すぎる(理屈で解釈できない)」のが『ゆゆ式』の欠点だけど、感覚さえ合わせられればこちらのものである。当方は桃源郷へ辿り着くことができたのだ。是が非でも2期を求めたいが、原作読者ならご存知の通り、『ゆゆ式』のアニメは結構ネタを贅沢に使っているんでストックがあまりないんですよね……たとえば、今日のテーマは○○、みたいなところで原作のネタをいくつかバッサリとカットしている。「食材の美味しいところだけ切り取って後は全部捨てている」ようなもの。特定のテーマをもとに作られたネタ(キャラ同士の雑談、駄弁りとして描かれることが多い)だから切り落とされた部分は他のところへ転用が利きません。おかげで原作は5冊もあるのに、2期をやれるかどうか分量的に怪しいところだ。

 9位、『進撃の巨人』。原作の時点でも既に化け物じみた勢いを持っていた作品だが、アニメ化によって更に化けた。「1000万部突破!」とか言っていた漫画が、アニメの放送とともにグングン伸びて「2000万部突破!」とか謳い出すわけですからね。目を疑いましたよ。最新刊(12巻)の初版が220万部でしょ、最盛期のドラゴンボール並み。そんなのもう上にワンピースしかいない状態じゃない。原作を読んでいるにも関わらず、アニメの第1話には圧倒され、例のシーンではちょっと泣きかけてしまった。立体機動なんていう、アニメ映えはするけどアニメーターが過労死しそうなくらい作画が面倒臭い要素をキッチリと織り込んで大迫力をもたらしてくれた。瞬間的な爆発力で言ったら1位にも推せるレベル。しかし、だんだんと話の進行が遅くなって事態が動かなくなっていくこと、原作が未完だから仕方ないとはいえ典型的な「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドになってしまうことから順位はこれくらいに。でもホント、最大瞬間風速はスゴかったアニメです。ラスト10位は『翠星のガルガンティア』、遥か遠い未来の世界を舞台にしたSFでありボーイ・ミーツ・ガール。戦うことしか知らなかった少年が、海に覆われた(陸地がない)翠の星で「生活」の重みに向き合う。今時珍しいくらい派手さのない堅実なつくりのアニメでした。ただ、1クールだと後半はどうしてもバタバタしてしまうよなぁ……せめて2クールは欲しい内容。幸い続編が来ることは決まったので当方の飢えも満たされよう。マシンキャリバー(平たく言うとAIを搭載した戦闘ロボット)のチェインバーが非常にイイ味を出していた。そして主人公のレドがヒロイン以上にお姫様な役どころで笑った。ほか、選に漏れたところでは、比企谷八幡というアニメの主人公らしからぬ全力で後ろ向きな少年がたまらなく魅力で「こんな奴が好きなのは当方だけだろう」と思っていたら『このライトノベルがすごい!2014』のキャラ人気投票で男性部門の1位を射止めてしまって「病んでるわ、現代」と痛感した『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』、コミカルでノリの良い「所帯じみた生活感のあるアニメ」として仕上がった『はたらく魔王さま!』、「エロゲー原作のアニメっていつもアレだから……」と諦めかけていたら意外にも馬上槍試合(ジョスト)の描写に頑張っていて健闘ぶりを見せ付けた『ワルキューレロマンツェ』、少佐の中二病全開な活躍を海外ドラマばりのテンポで魅せる『THE UNLIMITED 兵部京介』も掘り出し物だった。放送前には「MJP、ガルガンと並ぶ2013年春クール期待のロボットアニメ」だった『革命機ヴァルヴレイヴ』は……うん、まあ、違う意味で面白かったです、はい。そして今年もっとも胸を抉られたシーンは「プリズムラーイブ!」一択。

 それと今年は当方の嗜好するショートアニメに恵まれた年だった。15分枠や10分枠、短いのだと5分枠や3分枠なので、時間がないときでもサクッと観れて満足感が得られる。「登山」を可愛らしい女の子たちの遣り取りを通じて描く『ヤマノススメ』(来年夏クールから2期が放送される)、「まさかコレがアニメ化するとは……」と驚愕した『あいまいみー』、お下劣の限界に挑戦する『よんでますよ、アザゼルさん。Z』、ドラマパートとアドリブパートの接合が滑らかでメタな学園モノとしても楽しい『てさぐれ!部活もの』(さぁカメラが下からグイッとパンしてタイトルロゴがドーン!)、まったく期待していなかったにも関わらず「これぞショートアニメ」と称賛したくなる自由さ・無軌道ぶりを示してくれた『ミス・モノクローム』などなど。是非『ヤマノススメ』以外の作品にも2期(アザゼルさんは3期)が来てほしい。ショートアニメはもっと増えてほしいジャンルですね。

映画

第一位 『魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』(アニメ)
第二位 『パシフィック・リム(2D・字幕版)』(洋画)
第三位 『銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』(アニメ)
第四位 『エンド・オブ・ホワイトハウス』(洋画)
第五位 『劇場版 とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-』(アニメ)
第六位 『脳男』(邦画)
第七位 『マン・オブ・スティール』(洋画)
第八位 『藁の楯』(邦画)
第九位 『ゼロ・グラビティ』(洋画)
第十位 『空の境界 未来福音』(アニメ)

 劇場で観た映画の本数は34本、洋画とアニメが15本ずつ、邦画が4本といった塩梅。結果としてランクインしたのは洋画4本・アニメ4本・邦画2本だから、実は邦画の打率が高い……? 邦画ってそもそも観に行きたくなる作品が少ないので、これ以上増やすのは難しそうですけどね。

 1位は磐石、『魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』。3作目の劇場版にして初の完全新規ストーリーです。2011年4月にTVシリーズが放送終了して以来、ファンたちが希求してやまなかった続編であり、未知に満ち満ちていた。「完結編」ではなく「新編」で、ここから更なる物語が始まる宣告とも受け取れたが、とにかく公開前は情報が封鎖されていて何がどうなるのかサッパリわからなかった。期待が膨らむ反面、「せっかく綺麗に話を畳んだのに続けるだなんて、蛇足にならないか?」という不安も確かにあった。しかしそんな不安、今や粉微塵に砕けてしまって、もう思い出すことができない。確かにあったはずの「不安」の震えるような手触りを、我が脳は手放してしまったのだ。破壊と再生を経て、辿り着いた救済さえも灰燼に帰して堂々巡りする不死鳥の円舞曲。赦されざる者による叛逆の宴が、世界を鳥籠に変える。「わかったわ、これは愛ね」「何故そこで愛ッ!?」 いい加減ネタバレで語ってもいい気がするけれど、まあ何と言うか、心臓にカテーテルを突っ込まれて泥水流し込まれるような気持ちに陥る一本でした。映像と演出の密度が凄まじい映画でもあり、一度観ただけでは咀嚼し切れずポカーンとなるのが特徴。当方も二度三度と再視聴を繰り返して理解を深めていって、結局四回も劇場に足を運んでしまった。同じ映画を映画館で四回も観るのは初めての経験である。熱心なファンになると十回とか二十回とか、二桁が当たり前だそうですが……ピンポイントで内容を語ると、やっぱりグッと来たのはほむらVSマミのタイマン銃撃戦。銃使い同士ということで二人の対決は前々からよくファンの間で妄想されていたが、まさか劇場の大スクリーンで時間停止&ガン=カタの嵐を披露してみせるとは。凍りつく世界の中で撒き散らされた数千発の銃弾が、時間停止解除とともに解き放たれて石像や鐘楼を穿ち貫く描写は圧巻でした。あのふたり、その気になれば銃だけで見滝原市を地図から消してしまえるのではないだろうか……。

 2位は『パシフィック・リム』、実写部門としては1位。2億ドルの予算を費やして製作された「巨大ロボットと巨大怪獣のガチンコプロレス」映画。つったって、どうせハリウッド映画だから日本人のツボを外したヘンテコな仕上がりになるんだろう? と侮りながら赴いて、足腰立たなくなるほどの衝撃を受けた。少年時代、かつて在りし日々に夢見た理想と幻想が、スクリーンの向こう側に顕現している! 重々しく唸る鋼の響きは官能的ですらあった。そう、「重々しさ」、これこそがパシリムの核となっている。男の子ならソフビ人形や超合金、プラモを巨大ロボや怪獣に見立てて遊んだ経験はあるだろう。でも必ず、手に持つ玩具の軽さ、つまり「重厚さの欠如」に失望したはずだ。張り子の虎、枯山水、画餅。こんなの、結局ただのオモチャじゃねぇか! そしてまた、最近のゲームやアニメに登場するロボットのCGを眺めて「なんか軽いな」「プラモみたい」と感想を抱く人も多かろう。CGで製作されたロボットは完成すればグリグリと自由に動かすことができる反面で、どうしても重厚感に欠ける憾みがあります。ペラペラしていて、「データ上のオモチャ」という感覚が拭えない。パシリムに出陣するイェーガー(作中用語、要するにヒト型の搭乗式巨大ロボット)は、ペラさの壁を見事に突き破ってくれた。一挙手一投足、ちょっと歩いたり拳を振り上げたりする動作のひとつひとつが、ウットリするほど「重い」んです。自重に軋みながら敵を討伐せんと疾駆する鋼鉄の塊。シナリオはいろんな要素を詰め込みすぎて不恰好になってしまっているが、そんなもの、己の裡に眠るオトコノコが気にすると誰が言うんだ? 観たら叫びたくなるでしょうが、エルボーロケット!(吹替版ではロケットパンチ!) チェーンソード! 雷雲疾風拳(サンダークラウド・フォーメーション)! 頭をおかしくしてくれる素晴らしい一本。ちなみに2D・字幕版は最初に観たバージョンで、後に3D・吹替版も劇場で鑑賞しました。個人的には字幕版の方が好きですね。

 3位は『銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』、“週刊少年ジャンプ”で連載中の漫画『銀魂』の劇場映画第2弾。「完結篇」を謳っていますが、作風が作風だけにどうせ完結篇詐欺、来年か再来年くらいには何食わぬ顔でしれっと第3弾を上映しているだろう……と一切信じず、取り合わないでいたのが6月頃の当方。7月に入って公開が始まり、続々と好評の声が届いてきたので気になってこそこそと劇場に潜入してしまった。腐女子人気が高いと聞きますが、本当に女性客が多かった。謎の力で未来に飛ばされてしまった銀さん、なぜか江戸の街は荒廃を極め、マッドマックスみたいというか北斗の拳みたいなモヒカン頭どもがヒャッハーする世紀末クレイジータイムと化していた! しかもこの世界では銀さんが既に死んだことになっているらしい! いったい何が起こったのか? 自分の正体をひた隠しにしながら、事情を探るべく成長して格好良くなった新八やオトナっぽくなった神楽とともに行動する銀時。やがて、この事象の根源は銀時の過去――すなわち「白夜叉」と呼ばれていた時代にあると判明するが……てな調子で過去と未来が交錯する、ファン垂涎のオリジナル長編です。当方は『銀魂』に関しては原作だけで、アニメ版は今まで全然観たことがなかったんですけれど、それでもあっさりと吸い込まれてスクリューパイルドライバーをブチ決められるほどの魅力がありました。後半のシリアス展開で白熱するのは無論のこと、随所に盛り込まれた下ネタやヤバいネタが織り成すギャグムードは最高で、館内は終始和やかな笑い声に包まれていました。映画館であれだけ気兼ねなく笑えたのは久々だった。クライマックスのオールキャスト演出はさすがに強引だと感じたが、理屈を吹き飛ばすザ・松田的な気合も同時に感じられました。これは言わば「時系列上で最後に来る予定のエピソード」であって、その気になればいくらでも新たな劇場版は作れるわけだが、「これで本当の完結になっても構わない」というスタッフの気概がビンビンに漲っている。流れるスタッフロールとともに余韻を噛み締めながら「こりゃ今年の暫定1位だな」と確信した次第。ただし8月にはパシフィック・リムが、10月にはまどか新編が控えていたのでしたとさ。

 4位の『エンド・オブ・ホワイトハウス』は「テロリストたちがホワイトハウスを襲撃して陥落させる」というシチュエーションが『ホワイトハウス・ダウン』と丸被りしたアクション映画。当方もたまにどっちがどっちだったか混乱することがあります。こっちはアントワーン・フークア監督、ジェラルド・バトラー主演の方。「監督や俳優の名前なんて知らないよ!」という人には「大統領が白人の方」だと言おう。ホワダは黒人大統領(ジェイミー・フォックス)だった。エンホワはとにかく殺戮シーンや銃撃戦の描写が迫力満点で、「死にすぎだろ!」と叫んで絶句してしまうくらい死体がゴロゴロと転がる。あれはリアリティを追求するというより、「アメリカ人が抱くテロへの恐怖」を具現化する意味での残酷無惨な光景であろう。たった一人の希望となった主人公がホワイトハウスという閉鎖的な限定空間で獅子奮迅の大活躍、という部分は『ダイ・ハード』まんまのノリだが、ダイハにどことなく漂っていたお気楽さ、「なんとかなるさ感」がこちらにはない。むしろそのへんはホワダに引き継がれている。ホワダが80年代から90年代にかけてのアクション映画のノリで、エンホワが2000年代以降のノリ、と評した人もいた。濃く深く立ち込める「どうにもならなさ」の霧を突破することで希望の輝きを一条だけ示してみせる、そういう作風。5位、『劇場版 とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-』。いつの間にか電撃文庫最大の累計発行部数(公式によれば1425万部)を誇るヒット作となった『とある魔術の禁書目録』初の劇場版です。ストーリーは完全新規のオリジナル。「エンデュミオン」という名の宇宙エレベーターを巡る騒動が焦点となりますが、え? 宇宙エレベーターなんてメチャクチャ目立つ代物、これまで一度も描かれて来なかったよね? 後付サクサク愛宕姉? と外野から湧き上がる声を無理矢理捻じ伏せるような「昔からありました! ほら! ほらほら!」という捏造証拠の並べ立てに笑った。アクションがド派手で、「劇場で観てよかった!」と素直に思える。あれは小さいモニターで観たら魅力半減どころかせいぜい戸愚呂20パーセント。「本編に影響しない程度のエピソード」って制約が課されている中で、精一杯お祭り騒ぎなムードを醸してくれました。これも一つの理想形ですね。

 6位は『脳男』、13年前の江戸川乱歩賞受賞作を原作にしたサスペンス映画。正直、「なんで今更これが?」と訝った。文庫版すら出たのは10年前ですよ。映画って、とっくに立ち消えになったと思われていた企画がある日突然復活したりするから不思議ですよね。高い身体能力と明晰な頭脳を持ちながら、ただ一つ「感情」を持ち合わせていなかった男、鈴木一郎。「無垢な殺人鬼」として育て上げられた彼が、連続爆弾魔に立ち向かう。主人公が感情のないシリアルキラー、それも凶悪犯だけを殺す「犯罪者狩り」というちょっと極端な設定のスリラーです。原作も発表当時は変なタイトルで話題になったが、内容についてはあまり評価されなかった。「脳男のキャラクターが強烈」止まりで、ストーリーは単調。爆弾魔の掘り下げも浅く、印象が薄い。一気に読めるが特に感想が残らないタイプで、10年前の当方もまともな感想文を綴っていません。だが同時に「映像化向きの作品だな」とは思った。実際、脳男役の生田斗真による「生きたマネキン」みたいな演技は凄かったですよ。鬼気迫る。こういうヴィランめいた主人公が活躍する映画はどんどん撮ってほしいので是非とも続編を要求したいところだが、興収が12億か13億くらいで「確実に続編が作られる」レベルのヒットではないみたいなんですよね……どうなることか。7位の『マン・オブ・スティール』はこの題名だとわかりにくいが『スーパーマン』のリメイク作品です。公式ではリブート(再起動)と表現している。21世紀にもなってピチピチした青いボディスーツと赤いマントで戦う主人公の姿はちょっとマヌケだし、出生の秘密から始まって母星からの追っ手を撃退するところで終わる脚本も、映画一本で片付けるには駆け足すぎる。スーパーマンが活躍できる状況を整えるために(つまり2作目以降のことを考えて)無茶は承知で話を作りました、という製作側の都合が透けて見えてしまう。正直ストーリーに関しては誉められません。だが、バトルシーンは凄かった。パシリムのような巨大ロボや巨大怪獣が大暴れするスペクタクルもいいけれど、こういう人間サイズでドラゴンボールじみたハイスピードインフレバトルを繰り広げるってのも、オトコノコの夢ではあるんですよ。超人バトルはやっぱりステキだ。お話に関してはガッカリしたけどバトルだけで元が取れました。

 8位、『藁の楯』。これも原作は結構古い。9年ほど前だ。富豪の孫娘が変質者に殺された。老い先短い富豪は、変質者の首に10億円の賞金をかけた。日本中が沸き立つ。こんなクズを殺すだけで10億円貰えるなら、法を犯す価値はある。しかし日本は法治国家であり、このような多額の賞金による殺人依頼など看過してはならぬ。かくして警視庁のSPたちは「死刑ほぼ確定のクズ野郎」を命懸けで守ることに……「クズの弾避けになって死ぬ覚悟はあるか」。魅惑的なシチュエーションながら、設定の強引さが鼻に付き、国内外から酷評を浴びたスリラーである。確かに極端すぎてリアリティなど欠片もない。西部警察の世界を真顔で「受け容れよ」と言われるようなものである。しかし、全編に漂う煤けた雰囲気、登場人物たちの殺伐とした関係、そして藤原竜也演じる変質者の気持ち悪さ。これらは捨てがたいものがある。特に藤原竜也はスゴイ、観客の生理的嫌悪感を極限まで高めてくれる。個人的に藤原竜也はあまり好きではなかった(それこそ生理的に受け付けなかった)のだが、ここまでされたら一周して逆に好きになってしまった。「酷評されてるから」という理由でスルーするのは勿体無い、フジタツの殴りたくなる苛立たしさだけでも一見の価値アリ。9位がこないだ観てきた『ゼロ・グラビティ』、宇宙服着た状態で宇宙空間に放り出されて漂流する、スペースドリフトなホラーSFです。宇宙恐怖症(コスモフォビア)の人が観たらチビること間違いなしのド迫力。無重力の表現もさることながら、「何もない無の空間」である宇宙にスッと馴染んでいける自然なカメラワークも絶妙である。大宇宙にとって、人間ひとりなど所詮塵の如し。生存を許されない状況で必死にもがく様子は、まるでこれから殻を破って生まれてこようとする雛のよう。宇宙に見捨てられ、宇宙に産み落とされる、そんな感覚が味わえます。10位の『空の境界 未来福音』はぶっちゃけ入場者特典「終末録音」目当てで観に行った。原作者である奈須きのこ書き下ろしの冊子です。文庫サイズで、結構ボリュームがある。予想以上の厚みに「これだけ貰って帰ってもいいかな」という心境に陥ったが、せっかく県外まで遠征してきたのだからとしっかり観ていった。『未来福音』は大きく分けて3部構成。武内崇のコミック3本を原作にオムニバス形式で綴る第1部「extra chorus」、奈須きのこの小説パートであり元々は『空の境界』本編に組み込まれる予定だったが削除されて『月姫』の「幻視同盟」に流用された第2部「未来福音」、そして『空の境界』そのものの後日談に当たる第3部「未来福音・序」。上映時間はたっぷり120分。コミックパートまでアニメ化されているとは知らず、嬉しい誤算でした。シリーズの番外編みたいな位置付けだから、これだけ観ても話はよく分からないだろう。先に『空の境界』全7部を視聴しておくことを推奨。ちなみに原作は星海社文庫版の入手が容易であるが、これには武内崇のコミックが収録されていないので注意。武内コミックがどうしても読みたい、という方は同人版を探すか、あるいは『空の境界 the Garden of sinners 全画集+未来福音 extra chorus』を買おう。ランク外の映画では『スター・トレック イントゥ・ダークネス』も良かった。映像の迫力に息を呑んだ。でも当方はトレッキーじゃないから話にピンと来ず、衝撃とか感激とかはあまりなかった。せめて前作だけでも観とけばよかった……。

・ではよいお年を。


2013-12-25.

・クリスマスだろうがイヴだろうが平常心でケンタウロスのヒロインがケンタウロスのDQNに寝取られる同人誌をチェックする当方に隙はなかった、な焼津です、こんばんは。

 他だと少年たちがふたなりJKにケツを掘られる本も印象的だった。人間の欲望が底なしでしかも入り組んでいることを再確認した。それから蔵書整理して50冊くらい漫画本を売っ払ったら結構イイ金になったので『redEyes』既刊全巻をまとめ買いしたりもしました。高校生の頃に読んでましたけど、まだ終わってなかったんですね、これ……18巻の帯に「いよいよ最終局面へ」とあるからそろそろ完結も近そうですが。ケレン味のある戦闘描写、嘘臭いばかりに強い主人公たち、ダサいフォント演出と直球すぎるネーミングセンスになんかホッとしてしまう。「ああ、こういう漫画がまだ生きているんだなぁ」と感慨深い。なんだかバカにしているように聞こえるかもしれませんが、B級テイストさえ受け容れてしまえば滅法面白いですよ。「最近男臭い漫画読んでないわ」という方には断然オススメ。それにしても15巻の表紙、構図が完全にラストシューティングだ……。

押切蓮介「ハイスコアガール」アニメ化決定!5巻は本日発売(コミックナタリー)

 『プピポー!』に続く押切蓮介原作アニメ、到来。プピポーは5分枠アニメだけど、こっちはストーリー物であることを考えるとたぶん30分枠でしょうね。小学生時代(1991年あたり)から始まり、バカでゲーム好きの少年・矢口ハルオが「才色兼備なお嬢様」だけど無口でゲーム好きの少女・大野晶と出逢う。中学生時代(1993年あたり)で日高小春という新たなヒロインが登場、彼女自身はゲームにあまり興味がなかったけれど、ゲームに夢中で一生懸命なハルオの姿に惹かれていく。で、現在は高校生時代(1995年あたり)に入ってハルオ・晶・小春の三角関係が本格化しているところです。「ゲームこそが青春だった」という世代に送るノスタルジーコミックであるとともに、色気も何もなかったクソガキが徐々に思春期を体感していくラブコメ漫画でもあるわけです。当方も同年代(ハルオよりは若干歳下だけど)なので随所に盛り込まれたゲームネタには敏感に反応してしまう。

 作者の押切蓮介は「ホラーっぽい絵柄とホラーっぽいネタ」を特徴としつつギャグとかアクションとかサスペンスとかいろいろやってる多作家で、とにかく毎年沢山単行本を出すことでつとに知られています。今年だけで7冊も純粋な新刊を出しているし、復刊や関連書を含めれば10冊を軽く超える。この人、雑誌デビューを果たしたのは1997年なんですが、単行本を出すまでが長く、2004年になってやっと1冊目を出している。それが最近新装版として復刊された『でろでろ』です。来年で単行本デビュー10周年を迎える押切蓮介、「オススメは何か?」と聞かれると選択肢がいっぱいあって迷うが、ギャグ・コメディ好きにはさっき挙げた『でろでろ』、『ハイスコアガール』のゲームネタが好きなら『ピコピコ少年』、バイオレンスを嗜好するなら『ゆうやみ特攻隊』『焔の眼』、あえてこの季節に心の底まで冷え込むようなサスペンスを所望する方には『ミスミソウ』を推しておきたい。ただ、「『ハイスコアガール』とかいうのが話題になっているらしいけど、絵柄のせいでどうしても読む気がしない」って方もおられるでしょう。当方も押切さんはだいぶ前から存在を知っていたが、やはり絵のせいで手を伸ばす気になれず、長らく食わず嫌いをしておりました。転機となったのは5年ほど前に口コミで広まっていた『ミスミソウ』の評判、物は試しと読んでみて速攻で没入しました。一瞥すると荒い絵柄にしか見えない押切の画風だが、その「荒さ」を活かし、心胆寒からしめるほどのテンポを生み出している。『ミスミソウ』で怖いのは、凄惨なシーンやキャラクターどもの邪悪な性根ばかりではない。一度始まったらブレーキなどちっとも利かないあのテンポの良さがおぞましい。遠慮容赦なく心臓に針を突き立ててくる。以来5年間、ひたすら押切漫画を貪り、「ああ、今月は押切の単行本がない月か」とおよそ他の漫画家においてはありえない理由でガッカリすることが習い性となってしまった。そういう意味で言うと、読んでない人はむしろ幸いであると言えるかもしれません。後戻りできなくなりますからね、あの魅力。

『RAIL WARS!-日本國有鉄道公安隊-』アニメ化決定! ソースが時刻表www(ひまねっと)

 原作は創芸社クリア文庫っていうマイナーレベルから刊行されているライトノベルです。「もし國鉄が分割民営化されていなかったら」というifに基づく、「もう一つの日本」が舞台。「國有なら安定しているだろうから」と軽い気持ちで就職を希望した高校生が、「國鉄民営化を唱える過激派グループと命を賭けて戦う」日本國有鉄道公安隊へ研修配属される。当方も原作は読んでませんが、ちょっと前に発売されたコミカライズ版の1巻は読みました。痴漢が逃走を図ろうとした場合にどう対処すればいいか、という問いにスッと手を挙げて「射殺します」と言い放つ桜井あおい(10歳からグァム島での射撃訓練を受けている)など、個々のキャラが立っているおかげもあって鉄道ネタにあまり興味がない人でも問題なく楽しめる仕様になっています。コミカライズの内容から言っても結構気合が入ったノリで、「これは多メディア展開を目指しているのではないか」って気配を嗅ぎ取ったけど、まさかアニメ化までしてしまうとは……しかも第一報が時刻表の広告欄とは。『Phantom』の広告がミリタリー雑誌に載っていた、みたいな話を思い出す。

 ちなみに創芸社クリア文庫は去年1月に設立されたばかりの新興レーベルで、『RAIL WARS!』は創刊ラインナップの一つでもある……と言っても、実のところ創刊時に上梓された作品はたった二つだけでした。とにかく刊行点数が少なくて、2年近く経った今でもレーベル全体でまだ20冊ちょっとしか発行されていません。去年は頑張って毎月最低1冊は何かしら刊行していましたけれど、今年に入ってからは「何も出していない月」が半分を占める有様となっている。公式サイトの「毎月15日発売」が侘しい。『RAIL WARS!』は現在7巻が最新刊だから、創芸社クリア文庫におけるラインナップの約1/3がこのシリーズという勘定になります。冗談抜きでありのままに言うと、「『RAIL WARS!』だけで保っているレーベル」だ。主力作品が一個あるだけでもまだマシと言えなくもないが……。

・さて、そろそろ「2013年を振り返る」とか、そういう時期になって参りました。

 今年も訃報が多くて凹んだ一年でした。安岡章太郎、飯野賢治、北原亞以子、今邑彩、殊能将之、ヤマグチノボル、匣咲いすか、佐野洋、加賀美雅之、リチャード・マシスン、佐渡川準、エルモア・レナード、山崎豊子、トム・クランシー、やなせたかし、連城三紀彦、つのはず壱郎(奴隷ジャッキー)、コリン・ウィルソン……まだ若い人もおり、「死ぬような歳じゃないだろ」と嘆くことしきりでした。

 ……湿っぽい話はそこまでにして、今年の読んだ小説や漫画、観たアニメや映画の中で印象に残ったものを語っていくとしよう。

小説

 ぶっちゃけ、あまり読んでいない。毎年のことながら、積読の消化がいまひとつ捗らなかった。平賀源内を主人公に据えた夢枕獏の時代伝奇小説『大江戸恐龍伝』は面白くてサクサクと読めたけど、まだ完結してないし語りにくい。全5巻で、来年1月末に最終巻が発売される予定となっています。獏は同月に“陰陽師”シリーズの新刊『蒼猴ノ巻』も出す。余談だが、“陰陽師”シリーズで「〜ノ巻」と付くのはすべて短編集であり、『蒼猴ノ巻』は11冊目の短編集に当たる。長編は『生成り姫』『瀧夜叉姫(上・下)』で、「〜姫」が付くけどサンプルが少ないせいもあって単なる偶然なのか意図的な法則なのか判然としない。『瘤取り晴明』『首』『鉄輪』は絵本。ほか、森林保護官と羆の死闘を描く『光る牙』、最初は「読みにくい」と思っていたのに気づけばどっぷりと引き込まれている出色のサスペンス集『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』などが良かった。

 ライトノベルだと『魔弾の王と戦姫』『マージナル・オペレーション』『魔法科高校の劣等生』『東京レイヴンズ』あたりをまとめ読みして夢中になった。『魔弾の王と戦姫』はだんだん戦記色よりもファンタジー色が濃くなってきたけど、一定の面白さはキープしている。刊行速度がやや遅めながら、EGFとかウィザーズ・ブレインとかを粛々と待っている身すらすればさしたることはない。アニメ化も決まったが、果たしてどこまで「戦記」を再現できるのか。『マージナル・オペレーション』は30歳のニートが少年兵たちを引き連れて最終的に人民解放軍と戦う、「あっ、これアニメ化とか絶対無理だわ」なミリタリー物。何せ「中国がアメリカ本土を占領、若者たちは祖国を救うために銃を取る!」という映画が、中国からのクレームでお蔵入りになりかけたくらいですからね……仕方なく設定を変更して「北朝鮮にアメリカを占領された」ことにしたんですが、どう考えてもそれは無理だろ、という珍妙なストーリーになってしまった。作品名は『レッド・ドーン』、明らかに「レッド=中国」であり、本来ならポスターに五星紅旗が翻る予定だったのでしょう。話を戻すとマジオペ、ヒロインの気持ちを察することができない主人公のニブチン描写が執拗でイライラするところはあるが、淡々とした語り口、主人公の仲間だろうと容赦なくヒドい目に遭う苛烈さでページを繰る手が止まらなかった。漫画版もあるので気になる方はどうぞ。

 『魔法科高校の劣等生』は来年4月からアニメが始まる、「ライトノベルの最終兵器」とも形容されるシリーズ。現状、アニメ化が決まっていない作品の中で魔法科〜並みに売れてる奴はありません。それどころか既にアニメが放送されている作品でも、売上面で魔法科〜を凌駕しているライトノベルはそんなに多くない。既刊12冊で「累計315万部」って、だいたい『とらドラ!』と一緒くらいですよ。アニメが始まったらいったいどこまで伸びることやら。魔法の素質に恵まれた優等生の妹と、さる事情から魔法の行使が制限されている劣等生の兄。同学年(兄が早生まれで妹が遅生まれのため)でありながら成績の違いから別々のクラスに引き裂かれてしまった二人の運命や如何に。いわゆる「俺TUEEEE系」に分類される現代ファンタジーであり、劣等生扱いされているものの魔法に関する造詣は誰よりも深く、超高校生級の知識を持ち、本気を出せば大抵の敵は瞬殺してしまえる。だが、「本気」を出せばいろいろと暗い事情も暴かれてしまうから劣等生の座に甘んじている……中高生時代の当方なら完全に心臓を射抜かれているシチュであります。さすがに今の歳だと「いくら何でも主人公が強すぎ&達観しすぎだろ」と辟易する。おかげで読んでいて全然ハラハラしないのが惜しかった。設定の作り込みは細かいし、キャラの出し惜しみをせずずっと賑やかな雰囲気を維持し続けているし、作者の熱意は伝わってくるが……とか、文句を呟きながらもなんだかんだで深雪目当てで最後まで読んじゃうだろうな、と予感している。

 『東京レイヴンズ』は陰陽寮ならぬ「陰陽塾」で切磋琢磨する少年少女たちを描く現代和風伝奇ストーリー。「乙種呪術」の発音しにくさは異常である。1巻は「まあ、普通」程度だったけど、2巻から面白くなってきて、3巻で早くも一つのピークに達する。4巻はラブコメ好きにはたまらない。5巻がまだ読んでる途中。戦時中に軍部からの要請で陰陽術を体系化した人がいて、その人が作った「帝国式陰陽術」(帝式)を元にして「汎式陰陽術」、つまり現在用いられている一般的な陰陽術の形式が組み上げられた――など、背景に当たる部分の説明がおもろい。これを読んでるうちに夢枕獏の“陰陽師”シリーズが久々に読みたくなってしまった。“陰陽師”シリーズは夢枕作品にしてはバイオレンス色が薄く、比較的上品なムードの小説だから、物足りなくてあまり読んでなかったんですよね。『鳳凰ノ巻』には「泰山府君祭」なんて題名の作品まであるし、レイヴンズの後だと面白さが増してイケる。

 割とメジャーな作品を挙げた後で、ちょっとマイナーな作品も推しておこう。『Fランクの暴君』『リア王!』、どちらも「主人公が頂点に昇り詰めようとするライトノベル」でありながら、雰囲気がまったく異なっていて面白い。『Fランクの暴君』は成績によってすべての生徒が格付けされ、下位が上位に虐げられる「弱肉強食学園」を舞台に、策略にハマって最底ランクへ叩き落された主人公が天辺まで這い上がろうとする軌跡を描く。学園には複数の「派閥」が存在しており、これらを順次制圧していくことで学園すべてを支配しようと主人公は目論む。要は国盗り物語であり、訪れる苦難の連続が男の浪漫を刺激してやまない。なぜそこまでして頂点を目指すのか? という理由は1巻の時点でも触れられており、この動機もストーリーの鍵になってくるが、「主人公に感情移入できない」「行動原理が理解できない」「理解できても納得することが不可能」と拒否感を抱く読者も現れるものと予想される。だから広範囲に薦めることはできない。なるべくそっと推し続けていく所存。打ち切りが怖いので、「誰にも薦めず自分だけで楽しむ」という選択肢が採れないのが残念なところだ。『リア王!』はタイトルの「!」で伝わる通り、『Fランクの暴君』に比べて明るいノリ。リア充を超越した存在、すなわち「リア王」になるため優秀な部下を探す! 候補が美少女ばかりなのはたまたまだ! という、清々しいまでにハーレム一直線な学園青春ノベルです。やってることは少年漫画の王道「仲間探し」。つまりワンピで言うとゾロやサンジ、ナミ、ウソップといった初期の面子を集めているあたりの楽しさを想起してもらえればいい。ただしワンピはメンバーが揃ったら仲良く航海に出るわけですが、こっちは大冒険とかせずにメンバー集結だけで終わりそう……それどころか、メンバーを集め切る前に打ち切られそう。3巻がなかなか発売されず、作者が今度新シリーズを開始する予定とあっては、続きが出る望みは極小。主人公は傲慢でバカだけどイイ奴だし、ヒロインたちも可愛い子が揃っているので、すげー楽しみにしてたんだけどな……超ガッカリ。

漫画

第一位 『空手小公子 小日向海流(1〜50)』
第二位 『寄生獣【完全版】(1〜8)』
第三位 『ソウルイーターノット!(1〜2)』
第四位 『GANTZ(1〜16)』
第五位 『ご注文はうさぎですか?(1〜2)』
第六位 『ハクメイとミコチ(1)』
第七位 『紅殻のパンドラ(1〜2)』
第八位 『蒼き鋼のアルペジオ(1〜8)』
第九位 『東京喰種(1〜9)』
第十位 『食戟のソーマ(1〜5)』

 漫画は結構読んだし、ランキング形式に。ただ、すべてを対象にすると絞り切れないので「今年から読み始めたシリーズ」に限定した。

 1位はまさかの空手小公子。むしろ「今まで読んでなかったのかよ」と驚かされそう。連載が始まったのは当方が高校生くらいの頃かな……当初はタイトルの「空手小公子」を「エリートヤンキー」みたいな意味、つまり格闘技を題材にしたコメディ漫画だろうと早合点し、食わず嫌いしていました。しばらく経って誤解はとけたものの、随分な巻数が積み上がってしまって「そのうち読もう、そのうち読もう」とやっているうちに完結してしまった。シリーズの仕切り直しとして始まった『空手小公子物語』を先に読み出し、これはこれで面白かったが、進めば進むほど前作の内容が知りたくなってくるため、勇を鼓して全50冊一括購入に至った次第。過たず夢中になって読み耽ってしまった。さすがに50巻もあるとドップリと作品世界に浸れます。詳細な全巻感想は既に書いたから繰り返さないが、これから読まれる方のために申し上げますと、ストーリーが本格的に面白くなってくるのは8巻あたりからです。それ以前はプロローグと申しますか、あまり先の展開が決まっていない状態で描かれていた雰囲気がある。放置というか放棄された伏線もありますからね……空手道部とか。主将の伊東淳志(巻によっては「伊藤淳志」表記)とはいったい何だったのか。思わせぶりなくせして何もなかった……。『寄生獣』は実を言うと小学生の頃に一度途中まで読んでいたのだが、読み返してみたら細部はほとんど覚えていなかったし、ほぼ初読と同じような興奮が味わえたのでランク入りにした。小学生の頃はなぜか8巻の表紙が恐ろしくてたまらなかった。20年ほど前の作品であるにも関わらず、ビックリするくらい古びたところがなくて、グイグイと引き込まれます。グロテスクな描写、ショッキングなシーンも多いけれど、そこに頼っている印象はない。単にミギーと会話する場面であっても、ページをめくる手に熱が篭もってしまう。「おろかな人間どもよ」の大合唱から逃れるように先鋭化していく物語の果て。実写化する話も出ていますが、原作のあちこちから噴き出す焦燥感をほんの一割でも再現してほしいな、と。

 3位は『ソウルイーターノット!』、『ソウルイーター』のスピンオフ漫画。でも当方はノット!しか読んでおりません。本編も買うことは買ったけど、まだ積んだままである。聞くところによれば本編以前の出来事を綴っているらしい。過去編に当たるのかな? 主人公が少女、武器に変化する特性を持っている。そんな主人公を取り合う二人の使い手も、両方少女。つまり百合コミックとして読めなくもない。愛情とも友情とも言い切りにくい、微妙な関係。コミカルだけどサスペンスフルな要素も盛り込まれており、「日常モノ」と「ストーリー漫画」、ふたつの美味しいところが同時に堪能できる。非常にバランスの良い仕上がりです。開始した時点では全4巻程度で終わらせるつもりだったらしいが、アニメ化が決定したためしばらく続行することになったそうな。ノット好きとしては嬉しい報せである。4位は『GANTZ』、これは通常のヤングジャンプコミックスではなく「SHUEISHA JUMP REMIX」、いわゆるコンビニコミックの方で集めました。ヤンジャンの単行本だと全37巻ですが、コンビニコミックの形態は分厚いから16冊で完結する。コンビニコミック版は『GANTZ/OSAKA』の描き下ろし(約50ページ)も収録されているので、その面でもオトク。死んだはずの少年たちが、体ピッタリの変なスーツとゴテゴテした変な銃で、ワケも分からぬまま「○○星人」と名付けられた化け物たちと戦うことを強いられる……という、カオスな状況下での殺戮ゲームを延々と描き続ける、最高に悪趣味な殲滅スリラー。整然とした説明もなく、適切なガイド役も用意されていない、「不親切極まりない設計」が妙に生々しい。デスゲームものは数あれど、「ルールさえもハッキリしない状況」をこれほど悪夢的に紡ぎ出す作品はなかなかない。どんなに頼もしい仲間や、殺しても死にそうにないタフな奴でも、死ぬときはあっさりと死ぬ。サツバツ! 謎が謎を呼んで謎だらけになっていき、「作者はこれもう真相を説明する気がないんじゃないか? というか真相とか何も考えてないのでは……?」って疑いが高まっていく中、後半でいろいろとGANTZにまつわる謎を解き明かす展開――すなわち「最終章」へ突入する。そこで明白に失速。混沌として意味不明で、「誰か説明してくれよぉ!」と叫びたくなる無明の地獄絵図こそがGANTZの眼目であり、「実は〜」と種を明かされると拍子抜けしてしまう。しかも吸血鬼軍団みたく謎のまま放ったらかしになっている要素もあるし……そういえば、玄野に「アキラ」という弟がいたこともついさっきまで忘れていた。本当にどうでもいいような真相で、虚脱感や徒労感が込み上げてくるが、まあそれも含めてGANTZ。均して見ればこの順位に落ち着く。リアルタイムで追っていたわけじゃない分、失望のダメージは軽かった。

 5位の『ご注文はうさぎですか?』は来年4月にアニメが開始するきらら系の4コマ漫画。喫茶店を舞台に可愛い女の子たちがキャッキャウフフとじゃれ合う。基本的に可愛いだけなんだけど、それだけで満たされる。萌え4コマを読まない・好まない・馴染めない人からすると「無内容な漫画」に思えるかもしれないが、きらら系で無内容な奴というのはもっとすごい。「絵は可愛いのに、なんでこんなに砂を噛んでいる気分に陥るのだろう?」と不思議になる。その点『ご注文はうさぎですか?』はネタそのものは他愛もないが、緩急の付け方が巧い。スゥッとこちらの吸う息に合わせて踏み込んできて、息を吐こうとしたところで先手を取って臓腑を打ち抜く。防御など間に合わない。ただもう悲鳴のように「カワイイ!」と漏らすしかない。ネタそのものは凝らなくても、調理次第で読者をブッ転がせる、という実例です。6位の『ハクメイとミコチ』はコロポックルのような小さい少女たちが送る、ひっそりとスモールで、なのに壮大なBGMが似合うユニークな生活を綿密に描くファンタジー漫画。これも可愛いですよ。絶句して息を忘れそうになるくらいのキュートさ。もう既にして兵器である。こんな漫画が手元にあったら、何度も読み返すしかないじゃない! 時間泥棒! 「さっきの可愛さをもう一度味わいたい」と何度も何度も行きつ戻りつしてしまうため、なかなか読み進まないこと請け合い。体長9センチのハクメイとミコチが懸命に森の中を動き回る様子を想像するだけで速やかにガンギマる。大きな冒険もいいけど、たまには小さな冒険の旅も乙なものだ。難点は描き込みが細かすぎて、当方みたいな視力の弱い人間からすればちっと見辛さを感じるところか。もっと大きなサイズで読みたい、というファンも多かろう。このまま放っておけば自然とブレイクしてリサイズ版が発売されそうな予感もあり、悲観はしていない。

 7位、『紅殻のパンドラ』。原案が士郎正宗で漫画が六道神士という、なんかあんましピンと来ない組み合わせに半信半疑の念を抱かざるをえなかったが、結果としてはこのコンビ、大当たりである。脳味噌以外のすべてを機械化した「全身義体」の少女が、ハイテク感溢れる島に上陸してあれやこれやとサイバーな大騒動に巻き込まれていく。士郎正宗作品はとにかく膨大な量の設定を飲み込むのが大変で、「設定とか後でいいから」とうっちゃって本編を読み出してもあまり筋を追うことができない。『攻殻機動隊』『攻殻機動隊2』の流れで混乱を来したのは当方だけではないだろう。その点、『紅殻のパンドラ』は攻殻ほど複雑じゃないし、設定を脇に置いて読んでもノリで楽しめるくらい関門が緩くなっています。キャラ目当てで一読してから、もっぺん読み直してみればちょうどいい。8位の『蒼き鋼のアルペジオ』はアニメ化と艦これブームで一気に人気が加速した艦艇擬人化コミック。厳密に述べれば擬人化ではなく、人間と対話するためのインターフェース、作中用語で言うところの「メンタルモデル」が作成され、それが艦の顔代わりとなる。女の子と艦艇を混ぜこぜにする艦これと違い、こっちはメンタルモデルが艦艇を指揮する役割だから見た目上の一体感は薄れるものの、「ガチの艦艇戦」が拝めるのがアルペジオの特色である。と言っても超兵器がバンバン飛び交って空間が歪みまくるようなハイパー海洋バトルだから、渋い海戦好きが見たら高血圧で倒れるかもしれない。「そこが変形するのかよ!」というサプライズを受け容れられる人にだけオススメします。アニメは途中から違うストーリーになって、完全に原作から分岐する形となってしまったが、どちらも面白いから可能ならば両方とも手を伸ばしてみましょう。タカオ食うならば皿まで。「タカオ、食べてしまったんですか!?」と怒鳴られても動じぬマインドで紺碧の彼方へ赴こう。

 9位の『東京喰種』、タイトルは「とうきょうしょくしゅ」ではなく「トーキョーグール」と読む。人間の肉を食べることでしか生存することができない謎の異形、喰種(グール)を巡る伝奇アクション。内容的に『寄生獣』と被る部分がありますけど、それも最初のうち。だんだんバイオレンス色が強くなっていき、やがて別路線を歩み出す。1巻の時点では『寄生獣』云々以前に「よくある話」といった印象が抜け切らず、「期待ハズレだったかな」とガッカリしかけたが、いまひとつ低調だった美食家(グルメ)編を経て6巻から始まるアオギリ編で一挙に確変。別の作品かと目を疑う勢いで面白くなっていきます。ただ、バトル漫画の色彩が強くなりすぎて「人間と同じ姿で、大差のない心を持っているのに、人肉しか口にできず正体も明かすことができない喰種たちの苦しみ」といった要素は後景に退いてしまった感がある。娯楽作品としてはどんどん盛り上がっているが、テーマがボヤけつつあるのではないか? といった懸念はなくもない。良くも悪くも、まだまだこれから次第のシリーズです。10位、『食戟のソーマ』は“週刊少年ジャンプ”で連載中の料理漫画。美味しい料理を口にした美少女たちが官能に打ち震え、なぜかイメージの中で露出度の高い格好をしてエロいポーズを取る――という安っぽい演出に苦笑するものの、ナヨナヨしたところのない自信たっぷりな主人公が「上等だ!」とばかりに逆境の数々へ立ち向かっていく姿は清々しい。程好いサービスシーンとストレートな邁進ぶりで、「これぞ少年漫画!」と頷きたくなる。週刊ペースでありながら画力が高いことも嬉しいです。toshが一般コミックに転向すると聞いたときは複雑な気持ちになったが、これだけ面白ければまさに「上等だ!」。彼の美麗な絵を定期的に単行本で拝むことができる、ってのも喜ばしい。「おあがりよ」と本を差し出すtoshを幻視し、当方は官能に打ち震えるのだった。

 それとランキングからは外れたけどオススメ、という作品がちょうど10個あった。せっかくだから列挙します。11位〜20位みたいなものと受け取ってほしい。『しかくいシカク(1)』(『ふおんコネクト』のざらによるカメラ主体の女子高生4コマ。1巻の時点だと「ネタは面白いが、まだキャラに対しての愛着が深まらない」という感じ。ふおんも2巻以降から加速度的に面白くなっていった、2巻からが本番だろう。というか既に発売されている。期間中に2巻を崩していればランク入りはほぼ確実だったと思われます)、『くまみこ(1)』(田舎で熊相手に巫女をやっている女子中学生の日常をオフビートに描く漫画。絵と雰囲気にグッと来る味わいがあるけど言語化しにくい。肩の力を抜き、ごろ寝して読むのにちょうどいい一作だ)、『くーねるまるた(1〜3)』(ポルトガルからやってきた食いしん坊のマルタさんが、貧乏なりに頑張って美味しい生活を堪能する話。グルメ物とはちょっとズレるが、そのズレ具合こそがたまらない。マルタさんのちょっとだらしない体に抱きつきたい)、『放課後さいころ倶楽部(1)』(女子高生たちが非電源ゲームに熱中する漫画。明確なストーリーはなく、「実在する非電源ゲーム」を実演形式で紹介していく。「楽しく遊んでいる子たちのそばで様子を眺めているのが楽しい」という、幼少期の体験がボンヤリと甦ってくる)、『BUPPAなビッチーズ(1)』(ゲーメスト読者の誰もが真似した「あの目」で有名な雑君保プ久々のコミック。残念ながら売上不振で打ち切りを喰らい、2巻の発売は絶望的となってしまった……濃密でパワフルなコメディ世界がステキなだけに、無念でならない)、『午後のグレイ(1)』(表紙といいタイトルといい、「売る気がないのか?」と疑問視する掴み所のなさだが、中身は紛うことなき傑作ナンセンスギャグである。絶妙の呼吸、そして吹き抜ける風にも似た疾走感。完全に埋もれてしまった知る人ぞ知る逸品だ)、『お気の毒ですが、冒険の書は魔王のモノになりました。(1〜2)』(「もう魔王主人公の話はいいよ、飽きたよ……」とウンザリされそうだが、気の抜けるタイトルに似合わず本当に鬼畜な振る舞いを示す主人公で「まさに魔王」といった風格。絵柄こそ「萌え」寄りだが、やってることはまるきり劇画である。ファンタジー版大藪春彦なワールドを享受せよ)、『ワカコ酒(1)』(どうしても卑猥なジョークを飛ばしたくなるタイトルだが、内容は一切お色気要素ナシでおひとりさま堪能ライフをポツポツと綴っている。女性版『孤独のグルメ』といった趣で、これはドラマ化するかもしれんね)、『千と万(1)』(思春期を迎えた娘と無神経な父親の「噛み合わなさ」をいとおしむ、ほのぼのすれ違いふたり暮らし漫画。思春期VS思秋期、ファイッ!)、『総合タワーリシチ(1〜3)』(これはどんな漫画なのか? リンク先の情報だけではいまひとつイメージが掴めないでしょう。ワシもじゃ、ワシもじゃみんな! これに関しては冒頭3ページを読むのが一番早いと思う。今すぐ公式サイトへどうぞ)。

・長くなってきたからアニメと映画は次回に。

・拍手レス。

 焼津さんは、ゼロ・グラビティはご覧になりましたか?あれも間違いなく映画館で観るべき映画ですので、まだであれば出来るだけ大きな映画館での鑑賞をお勧めします。
 3Dで観てきましたよー。もともと宇宙空間に対する恐怖心を抱いている人間にとっては膀胱がジクジクと痛む映画でした。デブリの無慈悲な驟雨がこわい。

 講談社BOXにとって物語シリーズはいまや金の成る木ですからね。西尾維新自身筆がノリにノッているというのもあるのでしょうけれど、物語シリーズ以外に主戦力となる作品がない以上、BOX側としては物語シリーズを簡単に終わらせたくないという事情もあるのでしょうね。
 星海社FICTIONSも出来て、明らかに用済みの気配……最近は箱付かない本もあるし、実質ほぼ終了してますね、講談社BOX。

 『虚無戦記シンフォギア』wwwwそれもアリですがGの次は號が妥当かとwww
 號は小学生の頃に観てたな……懐かしい。3作目、ノイズさんはますます雑魚るのか、あるいは奇跡の逆襲を遂げるのか。

 夢枕先生は「物語を盛り上げる」能力に関しては無類のものを持ってるけど、「求められたものを求められた通りに制作する」スキルに関しては、ある意味素人のネット小説書きより低いんじゃないか、と思わされるところがありますからね。電王戦の観戦レビュー、ちゃんと書きあがったのだろうか。いや、自分はそんな先生が大好きなのですが。
 今更もう遣り方を変えられる歳でもないでしょうし、「そういうもの」と受け容れて追い続けるっきゃないですね。


2013-12-18.

『戦姫絶唱シンフォギア』3期決定!(萌えオタニュース速報)

 まさかの年内発表に当方大歓喜。このシンフォギアというアニメ、かなり勢い任せな部分が目に付き、「ツッコミどころが多過ぎ!」と言いたくなる代物だったけど、それでも毎週楽しみに観てしまった。「細かいことはいいんだよ!」の精神が溢れまくっているものの、毎週毎週欠かさず山場を盛り込んで必ず幕切れが「次回も気になる衝撃的なヒキ」になるよう心配りする細かさには感心させられた。ツッコミどころは多いが、引き寄せられるネタも多く、スタッフの熱意が全編に漲っている。「こういうアニメもあっていい、いや、あるべきだ!」と自然にそう思ってしまうノリでした。当然、3期目も超絶MAXで楽しみだ。クリスちゃんと調ちゃんにまた会えることを願っている。

西尾維新「終物語(中)」2014年1月31日に発売決定! (萌えオタニュース速報)

 もともとは全1巻の予定だった『終物語』、書き進めるほどにスケールが上がっていくみたいで、上下巻どころか上中下巻の3冊構成になってしまった。菊地秀行の『エイリアン魔神国』みたいだな……『エイリアン魔神国』は“トレジャー・ハンター八頭大”シリーズの9作目で、当初は上下2冊で収まるつもりが急遽中巻が追加されることになった。が、下巻になってもまだ話が終わらなかったため新たに完結編が執筆された。完結編も1冊では収まらず、「完結編1」「完結編2」「完結編3」と書き継がれ、都合6冊でやっとケリをつけることができたという泥縄の象徴みたいな作品。西尾の“物語”シリーズも『続終物語』が最初から予定されているので、似たような状態になりそうな気配である。シリーズ物で構想が膨らむというのはよくあることだ。“E.G.コンバット”も全2巻か全3巻くらいで完結するつもりだったのに、全4巻へ引き延ばされた結果ストックしたネタを使い切ってしまって最終巻が書けなくなってしまったという……いやこれ構想が膨らまなかった事例じゃないですか。適切な例としては、夢枕獏のシリーズ作品ですね。あの人の書いた小説はだいたい構想が膨らみまくって収拾がつかなくなる。『餓狼伝』なんて1冊で終わる単発作品だったつもりが、あれよあれよという間に本編13冊・外伝1冊・『新・餓狼伝』2冊・関連作『東天の獅子』4冊と、小説だけで20冊に及ぶ大河小説になってしまった。漫画版は谷口ジロー版と板垣恵介版、そして最近始まった野部優美の『真・餓狼伝』と3つもバージョンがある。『真・餓狼伝』は夢枕獏が書き下ろした脚本を元にして描く完全新作で、『東天の獅子』天の巻(『東天の獅子』は天・地・人の三部作、ただし現在書かれているのは天のみ)から十数年後が舞台になっている。言うなれば、『真・餓狼伝』の前章に当たる作品が『東天の獅子』ってわけだ。どちらも無類の面白さゆえ、併せてオススメしたい。

水沢夢/春日歩『俺、ツインテールになります。』アニメ化企画進行中 (萌えオタニュース速報)

 これ、畑健二郎が審査員特別賞をあげて、「読み終わった瞬間の感想は『もうこのまま出版するといいよ。もしくは来週からアニメ化とかするといいよ』という感じ」と述べた作品です。(参考URL) 「この作者は天才か、もしくは頭がどうかしている人だなぁ、と思いました」ともコメントしている。変な題名だけど、編集部に強いられて無理矢理こんなのに……というわけではない。応募時のタイトルが『それは、ついんてーるの異世界』なので、元々おかしかった。「属性」が力となる異世界からやってきた連中が、「ツインテール属性」のパワーを収奪しようと日本に降り立つ。ツインテール属性を奪われた少女たちは、命に別状こそないが、生涯二度とツインテールを結べなくなる……三度の飯よりツインテールが大好きな主人公は激憤し、「ツインテールを守るために俺がツインテールになる!」と決意。本来ツインテール属性を持つ女性しか装着することができないはずの強化武装「テイルギア」を纏い、属性力を食い物にする悪の組織「アルティメギル」と戦う! そう、女体化して! てなわけでTS物でもあるわけですよ。とってもバカバカしいけど作者は真剣、至って全力で書いてる。あらすじの時点で「もう付いていけない」と篩い落とされる人が続出するこのシリーズ、果たしてアニメ化を機に大いなる飛躍を遂げるのであろうか? そして今後これ以外のタマを出すとなるとガガガはそろそろ『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』という秘めおきし魔剣を抜き放つことになってしまうが、あれは地上波で放送可能な代物なのだろうか……?

・拍手レス。

 ソウルイーターノットは本編と比べるとのほほんとしてますが、ちらちら見える不穏なフラグにこの作者の狂気の描き方が好きなファン的にはドキドキしながら読んでしまいます。でも、B壱(打ち切られた前作)の続きも……欲しいです
 B壱は10年以上前の作品だし、そのまま再開するのは無理そうですね。関連作を立ち上げて仕切り直すか、あるいはフルリメイクしてやり直すか、どちらかならありそう。

 シンフォギア3期決定らしいですねー。……あの終わり方からどうやって続けるのか気になりますな
 このまま突き進むと『虚無戦記シンフォギア』になりかねない。

 戦神館PV3来ましたね…、やっぱり敵側の紹介でしたがどいつもこいつも厄介そうで楽しみすぎますなー
 戦神館のPV、観たいのはやまやまだけど体験版ともども封印中。神咒は「PVによる情報の出し過ぎ」で本編の面白さを損なった感があるから、今回はなるべく未知を溜め込もうかと。

 >当方は1話目のラスト1ページで陥落(おち)たクチだ。 試しに読んでみたらよく分かりましたw本も買ってみようかな……
 あそこからどんどん面白くなっていくので、試し読みで「おっ」となった人には是非購入を薦めたい。


2013-12-13.

【朗報】ソウルイーターノット!TVアニメ化決定!!(ひまねっと)

 おっしゃ、BD買おう。『ソウルイーター』本編を読んでいないにも関わらず、表紙の可愛らしさ(見よこのラブリィな三人娘)に釣られて読んでハマった当方には朗報であります。実は古本屋でたまたまノットの1巻と2巻を見かけて買ったんですが、あまりにも面白かったため両方新品で買い直しました。それくらい好き。本編も一応揃えたけど、まだ1巻の途中までしか読んでいない。そんな当方でも楽しめるくらいだから『ソウルイーター』知らない人も気軽に挑んでみてイイと思います。主人公(黒髪の子)の素質が「武器・鎌槍(ハルバード)」で、職人(武器の使い手)としての素質を持つお姫様(金髪の子)と天然巨乳(茶髪の子)が「見た目は平凡な少女」である主人公を巡って緩い三角関係に突入する。花の14歳、恋に恋する女の子――「複数の美少年から『パートナーになってよ』と甘い囁きで言い寄られる」とか、そういう都合の良い妄想を逞くしてアヒャっていた主人公は「これ二人とも美少年じゃなくて美少女だよ!」と気づくが時既に遅し。不本意ながら、両手に花の「殺伐だけどウキウキ学園ライフ」は待ったなしで開幕していた。微百合の日常コメディを基調にしつつ、たまにシリアスも入る感じ。キャラの可愛さは無論のこと、「ががんとす」を始めとする調子外れでコミカルな描写の数々は癖になります。今月出る新刊が3巻だからストックもあまり溜まってないし、たぶん1クールでサクッと終わるでしょう。公式サイトで1話目が試し読みできるので、気になる方はどうぞ。正直、1話目は説明的な箇所が多くてちょっとかったるいけど、途中で投げ出さず最後まで目を通すことをオススメします。当方は1話目のラスト1ページで陥落(おち)たクチだ。

キルミーベイベーBlu-ray BOXの売り上げがやばいwwwwwww(ひまねっと)

 放送当時はインパクトの炸裂するOPとシュールなEDが話題になったものの、BDとDVDの売上が低迷して笑いものにされたキルミーベイベー。それでもめげず、販売側が道化役すら厭わずに努力し続けた結果、BD-BOXの販売数がBDとDVDの4倍以上にまで跳ね上がった。「売れないアニメ」「大失敗したアニメ」の象徴としてネタにされ、変な人気が盛り上がった模様である。個人的にキルミーの原作は「好きというわけじゃないんだけど、嫌いというわけでもなく、つい読んでしまう漫画」という位置付けで、何と申しましょうか……わざわざ予約注文したりとか、これ目当てに本屋行ったりとかしないし、そもそも新刊の発売日すらろくにチェックしてないですけど、なぜか平台を通るたびに「あっ、キルミーの新刊出てる」とたまたま見かけちゃって「うーん、ついでだから買っておくか」と深い考えもなく購入する――そんな偶発的な導きが繰り返され、気づけば最新刊まで欠かさず揃えてしまった始末である。この売上だと本当に2期が来る可能性を否定し切れないが、全巻通読している割に思い入れが浅いので「マジかよ」くらいの感想しか出てこない。てか、きらら系のアニメってひだまりやけいおん以外だとなかなか2期が来ないんだよな……キルミーが突破口になって、ゆゆ式やきんいろモザイクが後に続けばいいと思う。

メガストア2月号にF&Cの名作『水月』が収録!(家宝は二次元)

 トノイケダイスケ&☆画野朗コンビが結成された(厳密に言うと『Canvas』でも一緒に仕事してるが、アレは複数ゲンガー・複数ライター制だったから……)『水月』が遂に雑誌の付録か。もう随分と経っているから妥当な話だけど、つい遠い目をしてしまう。懐かしい……今でこそ名作扱いされている『水月』ですが、発売当時は生産しすぎで市場に在庫がちょっと余ってたんですよね。「那波の後ろ姿」という、風情はあるけどエロゲユーザーに訴求しにくいパッケージ絵が原因だったのでは……などと言われたりもした。一部の店舗では投げ売り価格になり、当方も「安いから、あと☆画野朗の絵が好きだから」という理由で購入。シナリオに関しては全然、ってほどではないが、あまり期待していなかった。そしたら素晴らしい出来だったので思わぬ収穫にガッツポーズ。18禁版にはボイスが付いておらず、移植版のみ声付き仕様となったので、今回収録される『水月』は恐らく元のボイスなしバージョンでしょう。確かテキスト表示が縦書きか横書きか選べるシステムだったっけ。主人公の名前はデフォルトが「透矢」だけど、任意の名前に変更できたはず。昔のゲームは声がなかったおかげで割と簡単にキャラ名を変更することが可能でした。水月スレで文章を引用する際、「透矢」とすべきところを自分の名前のまま写しちゃって思いっきり弄られた人もいたな……マジで懐かしい。メイドの雪さんこと琴乃宮雪が絶大な人気を誇っていましたが、当方は那波や花梨も好きだった。特に花梨のビジュアルはツボで、あの外ハネした髪形を見るたび胸が苦しくなったものだ。モバマスの姫川友紀を見ていても宮代花梨を思い出す、それくらい染み付いている。尿(ゆばり)のにおい しみついて むせる。

『緋弾のアリア』新プロジェクト始動!(萌えオタニュース速報)

 まさか、遂に2期が……? 『緋弾のアリア』は今月出る新刊含めて本編16巻+短編集1冊(コミカライズは9巻)、スピンオフ漫画『緋弾のアリアAA』7巻、同一世界観で描いた『やがて魔剱のアリスベル』3巻+短編集1冊といった塩梅で、いくらでもアニメに回せるだけのエピソードがあることはある。ただ、作者が「BDとDVDの売上が厳しい」みたいなことを漏らしていたせいもあって、2期目は難しいと見られていました。MFのアニメはISが大当たりして、はがないもそこそこ当たったけど、それ以外は割かし厳しいみたいなんですよね、売上。だからなかなか2期目に繋いでいけない。できればじっくりと継続して原作の完結まで付き合ってくれるようなアニメプロジェクトが増えていってほしいものだけど、現状の仕組みからすると難しそうだ。

・拍手レス。

 ウィザブレの新刊が出るなんて、またまたご冗談を
 「釣りじゃねぇよな?」と5回くらい確認しましたがマジな模様。

 最近の3DCGアニメは凄いですよね、てさぐれとかアルペジオ凄いかわいいし、RWBYみたく凄くかっこいいアクションしてるのもある、これからが楽しみな分野ですね
 アルペジオは1話目だとさすがに抵抗感があったけど、2話目以降は緩和されていってもう普通に馴染めています。『楽園追放』も3DCGがメインになると聞いて最初は落胆しましたが、アルペジオのおかげで萎えた期待が甦ってきた。


2013-12-06.

・ニコニコチャンネルで有料配信されている3DCGアニメ『てさぐれ!部活もの』、気になってはいたものの、1話目すら有料だったのでなかなか踏み出すキッカケを得られなかったが、「第1話初見コメンタリー」が無料で公開されたので観てみたら速攻で面白さが伝わってきて即課金した焼津です、こんばんは。というかなぜネットでは「課金」が「される」ものではなく「する」ものとして扱われているんだろう……まあ確かに「納金」よりも「課金」の方が語呂と響きが良くて、いかにも「金を払っている」って感じがしますけど。かーかきんきんかーきんきん。

 さておき、『てさぐれ!部活もの』は石舘光太郎が監督を務める例によって例の如くなノリのアニメですけど、石舘さんのことをよく知らない人向けに(実を言うと当方もそんなに詳しくはないのだが)説明すると、「世に溢れる学園モノの漫画やアニメに対し、ややメタ気味な視点で揶揄を交えながら弄っていく」という趣旨のシリーズです。1話目の冒頭から「部員ものだから4人はいないと、っぽくない」「日常系にするんだったら、仲良しグループっぽい女の子を勧誘する」「ハーレム系にするんだったら、ごく平均的で鈍感な男の子を無理矢理連れてくる」「でも、一回男子を入れちゃうともう女子の日常系には戻れなくなっちゃう」「だったら一旦女子にしましょうよ、男子パターンは本当に手詰まりになってからでよくないですか?」とメタな遣り取りが飛び交う。極めつけはオープニング曲だろう。歌い出しが「さぁ、カメラが下からグイッとパンしてタイトルロゴがどーん!」とかつてない代物になっている。オープニング映像の構成を歌詞で解説する、っていうメタさに目が眩むのはもちろんのこと、一連の発音が異様な疾走感に満ちていて妙なほど頭に残ってしまう。一日中ずっと「さぁ、カメラが〜」と脳内無限ループ再生されたこともあった。「どーん!」が特に可愛い。これはカネを払った甲斐があったわ。4人の中では高橋葵が好きです、画面の喧しさが最高。

 せっかくだから監督の石舘光太郎についても解説しておこう。お笑い芸人から放送作家に転向した人で、主にバラエティ番組で活動していましたが、2011年の『gdgd妖精s(ぐだぐだフェアリーズ)』からアニメ方面へ関わるようになります。この際の役職名は監督ではなく脚本・演出。監督を務めたのは『ネットミラクルショッピング』等で知られる菅原そうた。ネットでよく見かける「5億年ボタン」の元ネタもこの人の漫画です。『gdgd妖精s』は「萌え」を意識した妖精たちとは裏腹な、濃い風貌をしたキャラが続々と登場してカオスなネタを繰り広げる菅原そうたの持ち味を活かしたアニメですけど、もともとは「お笑い志向のDVD企画」だったそうで、それをアニメ番組として成立させることに尽力したのが石舘光太郎なのだ。大人の事情でgdgdの2期はスタッフから外されてしまったが、その後も2012年の『バックステージ・アイドル・ストーリー』『僕の妹は「大阪おかん」』で脚本・演出を手掛け、2013年の『直球表題ロボットアニメ』で遂に役職名が「監督」となりました。『てさぐれ!部活もの』は都合5作目のアニメってことになる。これまでを振り返ると、放送前はまったくと言っていいほど注目されていなかったのに、グダグダした遣り取りをテンポ良く見せる(聴かせる)ことに腐心し、会話劇の面白さと映像表現の新奇さを両立させて口コミで話題を広げさせることに成功した『gdgd妖精s』。そこそこ可愛い見た目のアイドルが舞台裏でえげつない下ネタをブチ撒ける様を描き、「最低アニメ」の名をほしいままにしたB・i・S(バックステージ・アイドル・ストーリー)。阿澄佳奈の「でんがなまんがな〜」が可愛かった『僕の妹は「大阪おかん」』。1話目の「やっちゃった感」が過去最高だった割に、最終回では感動を抑え切れず、「このアニメが終わってしまうだなんて……」と切歯扼腕した『直球表題ロボットアニメ』。どれも趣深い作品ばかりである。

 個人的な好みで並べると直球表題>gdgd1期>B・i・S>大阪おかん。部活ものはまだ終わってないからハッキリしないが、現在gdgd1期と熾烈な2位争いを繰り広げているあたり。直球表題は1話目がホント、「観るのが辛い」「間が持たない」と苦痛に感じるレベルでしたが、進むにつれて加速度的に各々のキャラが立っていくのが楽しいアニメでした。感情を有しておらず、従って「笑い」を理解できないロボット娘3人が、機械同士の戦争(人間は既に滅んで、残されたメカたちが延々と戦い続けている状況)をやめさせるためのツールとして古の技術たる「笑い」を習得しようとする……なんていう、壮大なんだか滑稽なんだか分からないネタを最後までやり抜いてくれた。番外編の「居酒屋かいぜる」も面白かったです。B・i・Sは下ネタがキツすぎるのと、「後半はゲストを迎えてのトーク」という構成に馴染めないのとで苦痛を覚えたが、なんだかんだでラストまで観てしまった。あの遠慮容赦ない下ネタの嵐は他じゃなかなかお目に掛かれないので、実はちょっと恋しかったりする。大阪おかんは……うーん、正直あまり印象に残ってない。阿澄佳奈の演技が可愛かったな、くらいしか思い出せない。部活ものはこれらに比べると、1話目で苦痛を覚える要素がなく、最初から勢い・テンポ・ノリ・キャラの可愛さ、すべてが整った状態で始まるのでスッと入っていけます。馴染みやすさで言ったら一番ではないだろうか。当方みたいに迷っている人がいたら簡潔に「観れ」と推しておこう。

『ヤマノススメ』2期は15分枠×2クールでの放送予定!キービジュアルも公開 (萌えオタニュース速報)

 期待通りの15分枠、しかも2クール! 素晴らしいではないですか。総計して30分枠アニメの1クール相当ということになります。5分枠だと実質3分ちょいしかないので、さすがに短すぎると感じていました。形式がショートアニメとはいえ、登山絡みの薀蓄、キャラ同士の掛け合い、主人公の感情をキッチリ描くにはもう少し尺が欲しいところだな……って、何度惜しがったことか。原作のストック(現時点で最新刊が5巻)を考えるとこれ以上は伸ばせないでしょうし、望み得るかぎり最良の結果となった。あとはただ放送の日を待つばかり。

小説版「ライトニングリターンズ FFXIII」が発売中止 ─ 著者が病気のため(ぶく速)

 突然の発売中止に落胆していたけど、まさかそんな事情があったとは……ベニー松山はウィザードリィの小説版を手掛けたことで有名で、『風よ。龍に届いているか』を小説作品のオールタイムベストに掲げる人も少なくない。ウィザードリィをまったくやったことがない当方もアレには引き込まれた。馳星周や古川日出男とも親交があり、いずれ彼らに続いて一般文芸デビューを果たすのでは……と期待していたのだが。延期じゃなくてまるっきり中止になってしまうってことは、よほど体調が思わしくないのだろうか。心配です。

ポール・ウォーカーさん死去の『ワイルド・スピード』新作、製作休止へ(シネマトゥデイ)

 ブライアン・オコナー(役名)は1作目から登場する『ワイルド・スピード』シリーズにとって主人公に近い存在だから、製作が中止になるのは仕方ないな。今年観た6作目でチラッと予告編めいたカットが映っていたので期待していたけど、残念だ。7作目はふたたび東京が舞台になる予定で、新たな敵として『トランスポーター』のジェイソン・ステイサムが出演することになっていたんですよね……どういう形になるかわからないけど、企画のお蔵入りだけは避けてほしいところ。

『電撃文庫2月新刊一覧』ウィザーズ・ブレイン新刊きたあああああアアア(ひまねっと)

 うおおおおおおおおっ、やっと2011年が終わるうううう!!!

 ではここでウィズブレ刊行の歴史を振り返ってみよう。まず2001年2月、シリーズ第1弾にして作者・三枝零一のデビュー作『ウィザーズ・ブレイン』が刊行される。第7回電撃ゲーム小説大賞「銀賞」受賞作であり、佐藤ケイや渡瀬草一郎、それに甲田学人、御堂彰彦、海羽超史郎らとは同期に当たる。全員が未だに現役なんだからすごいよな……ライトノベル作家は通常3、4ヶ月程度、遅くとも半年以内には続編なり新作なりを出すものだが、三枝の新刊はなかなか出ず、「このまま一作こっきりで消えてしまうのか?」という危惧が高まっていく中、2002年1月にようやく『ウィザーズ・ブレイン2』が発売。設定はそのまま引き継いでいるものの、前作とは異なる舞台で、主要陣も一新されている。同年10月に刊行された『ウィザーズ・ブレイン3』もやはり舞台とキャラが違っており、ウィズブレのメディアミックスが捗らない(アニメ化どころかコミカライズさえされていない)要因の一つとして「エピソードごとに内容が大きく変わる」ことが挙げられる。2003年12月の『ウィザーズ・ブレイン4(上)』と2004年1月の『ウィザーズ・ブレイン4(下)』で遂に異なるエピソード間のキャラがクロッシングし始める。ちなみにこのときが唯一の連続刊行。2005年5月の『ウィザーズ・ブレイン5(上)』と2005年9月の『ウィザーズ・ブレイン5(下)』はキリ良く年内に収まったが、6作目「再会の大地」は『ウィザーズ・ブレイン6(上)』が2006年12月、『ウィザーズ・ブレイン6(中)』が2007年4月、『ウィザーズ・ブレイン6(下)』が2007年10月といった具合に「上巻が出てから下巻が出るまで1年近く掛かる」状況が常態化し、ファンもどんどん気長になっていく。2008年10月の『ウィザーズ・ブレイン7(上)』、2009年2月の『ウィザーズ・ブレイン7(中)』、2009年6月の『ウィザーズ・ブレイン7(下)』を経て、現時点での最新作「落日の都」が始まります。2010年5月の『ウィザーズ・ブレイン8(上)』、2011年2月の『ウィザーズ・ブレイン8(中)』、そして……2014年2月に『ウィザーズ・ブレイン8(下)』が刊行されるのだと、やっと発表されたわけです。本来は2011年中に刊行する予定だったそうですが、私事でいろいろゴタゴタがあったらしく、ここまで延びてしまった。さすがに3年も待たされるのは将軍(ネット上における三枝零一の愛称、経緯は後述)ファンであっても未知の領域でした。しかしこれで長かった、長すぎた2011年が終わる。

 まとめると、2001年に1冊、2002年に2冊、2003年に1冊、2004年に1冊、2005年に2冊、2006年に1冊、2007年に2冊、2008年に1冊、2009年に2冊、2010年に1冊、2011年に1冊、2012年と2013年が0冊、2014年がとりあえず1冊。3冊以上出した年は今のところ一度もない。各巻の間隔は11ヶ月、9ヶ月、14ヶ月、1ヶ月、16ヶ月、4ヶ月、15ヶ月、4ヶ月、3ヶ月、12ヶ月、4ヶ月、4ヶ月、11ヶ月、9ヶ月、36ヶ月で平均約10ヶ月。8(下)の遅れを例外的なケースと見做して除外しても平均8ヶ月以上掛かって刊行するペース――こうなります。「年に2冊出ればラッキーな作家、1冊だけでもファンは喜ぶ」、だいたいそんな感じ。

 最後に、作者の愛称「将軍」について。これは当方が知らないうちに定着していたため、リアルタイムでその瞬間を目撃したわけではないのですが……と前置きしつつ。『ウィザーズ・ブレイン』には、主人公じゃないけど重要人物として「黒沢祐一」って名前のキャラが出てきて、彼の恋人が「七瀬雪」なる少女だった――とある。勘のいい人ならピンと来るでしょうが、『Kanon』の主人公である「相沢祐一」と幼なじみのヒロイン「水瀬名雪」を(ついでに言うと『ONE〜輝く季節へ〜』の「七瀬留美」も)連想させるネーミングなんですよ。当然、作者に対して「鍵っ子(Keyの信者)ではないのか?」という疑惑が持ち上がる。ウィズブレ自体は魔法使いたちが激しいバトルを繰り広げるアクション要素の強いファンタジーで、Keyが指向する「日常と超常」のファンタジーとはまた違った路線なんですが、言われてみるとコメディパートの遣り取りがどことなく『ONE』や『Kanon』っぽい、つまり久弥直樹や麻枝准のテキストを意識して書いているような気配が……ってな調子で、「これは明らかに鍵の影響を受けている!」「いや、単なる偶然の一致だ!」と2chライトノベル板のスレを中心に小規模ながら論争が勃発。頑なにKey作品との関連を否定するファンも現れたわけですが、2巻のあとがきで作者がそれとなく「自分は鍵っ子である」ことをカミングアウトした(BGMとして「anemoscope」、つまり『Kanon』の初回限定特典であるオリジナルアレンジアルバムを挙げた)せいで立つ瀬がなくなってしまった。まるで奮戦する佐幕派を置き去りにして大阪城から抜け出し、開陽丸に乗って江戸へ帰ってしまった「ラストショーグン」徳川慶喜のような振る舞いだ……ということから「将軍」なる愛称が定着したのだとか。真偽は不明です。ま、そんなことはどうでもいいから、未読の方はこの際に『ウィザーズ・ブレイン』既刊15冊へ挑んでみては如何? 魔法を「情報の書き換えによって現象や存在を制御する技術」と位置付け、サイバーパンクと異能バトルを混ぜたキメラでカオスな戦闘シーンをひたすら乱打するストーリーに白熱すること請け合いです。

・拍手レス。

 スティーヴンハンターの新作 冒頭22ページぐらいまで読んでみる事をおすすめします ちょっと笑えます  あと今回の誤訳というか誤りは、訳者紹介で公手成幸の「脱出」シリーズが「脱走」シリーズに変わってました大爆笑しましたよ
 『第三の銃弾』ですか、JFKの暗殺が題材なんですっけ。しかしこのタイトルだと、どうしてもカーの『第三の銃弾』を連想してしまう。JFKとJDC。

 今月の楽しみは、天冥の標の最新刊だ。最近の漫画だと、DQNネームを付けられた、少年少女のコメディ「てんしちゃんとあくまくん」がお奨め。水上悟志先生のお弟子さんで、テンポ良くたのしめました。
 てんあくは勢いがあってイイですね。天使ちゃんを性的な眼差しで見てしまう先輩に噴いた。

 ギャルゲーの男友達といえば、ときめもの早乙女好雄が最初に。その次は、クラナドの春原が浮かんだ。
 早乙女好雄は攻略外のヒロインと勝手にくっついてしまう例のシステムが今の時代だと厳しいでしょうな。あれで当時のプレーヤーに嫌われなかったのは好雄の人徳ゆえだろうか。


2013-12-01.

『REDリターンズ』観たら伏射姿勢のババアがエロくて、それだけで元を取れた気分になった焼津です、こんばんは。

 ヴィクトリア可愛いよヴィクトリア。名前で思い出したけど、ヴィクトリカちゃんが主役を務める『GOSICK』の新作が今月出るそうで。タイトルは『GOSICK RED』。1931年、禁酒法時代のニューヨークが舞台で、私立探偵になったヴィクトリカと新聞記者になった一弥がともに事件を追う。本編が1920年代のヨーロッパ、ソヴュール(フランス付近に位置する、という設定の架空の王国)を舞台にしていたので、その数年後ですね。二人とも20歳を越えて、既に「少年少女」ではなくなっている。シリーズ10周年を記念した一作こっきりの番外編なのか、それともここから新章が開幕するのか、詳しいことは不明ながら喜ばしい報せだ。

 『GOSICK』はそれまで鳴かず飛ばずだった(手掛ける作品のほとんどが単発、ノベライズ以外のオリジナルでどうにかシリーズ化へ漕ぎ着けてもたった2冊で終わってしまう有様だった)桜庭一樹が大きく飛躍するキッカケになったターニングポイントであり、『GOSICK』の成功があったからこそその後の作家人生があると表現しても過言ではない。作者がライトノベルから一般文芸に転向した影響もあって4年ほど休止したけれど、2011年のアニメ化とも絡んでシリーズ再開の運びとなり、同年無事に完結しました。余談ながら『GOSICK』のアニメBDは全12巻で各巻9240円(税込)、定価で揃えると11万円を超える高額商品であり、「好きでもなかなか買えない」ということで「『GOSICK』のBDを全巻収集できるほど金銭的な余裕を持ったファンはもはや一種の貴族だ」と見做す向きもありましたが、現在はバラ売り12巻よりもグッと安価なBlu-ray BOXが販売されております。階級の差は比較的、埋められた。

 そういえば『GOSICK』のアニメは2011年の冬クール(1〜3月)から春クール(4〜6月)にかけて、つまり『魔法少女まどか☆マギカ』とちょうど重なる時期に放送されていたんですよね。ヴィクトリカ役の声優はまどか役と同じ悠木碧。ちなみに2006年のドラマCD版ではほむら役の斎藤千和が演じていた。そんな共通点があるまどかマギカの劇場新作が上映されている中で再開とは、つくづく奇妙な縁を感じますね。

【速報】NHKの新キャラ「冬ちゃん」が完全にお前ら好み(暇人\(^o^)/速報)

 なんとなくあかねこさんを思い出した。

ギャルゲー・エロゲーにおける男友達ってなんのために存在してるの?(家宝は2次元)

 「北川は要らねーだろう、いる意味がわからん」とか、十数年前からよく言われていたな……これも定番の話題か。昔は「特定ルートに入ったら主人公とヒロインを取り合って三角関係に」みたいな展開もある友人ポジションのキャラがいたけど、最近はもう全然そういうの見ないな。『つよきす』のスバルとか、マジ恋のキャップとかゲンさんとか、強いて言えばあのへんが該当するかもしれないけど、三角関係ってほど拗れなかったしなぁ……というか『つよきす』すらもう8年前のゲームなんだよな。愕然とする。『MoonLight〜おもいでのはじまり〜』という、14年近く前に発売されたエロゲーの幼なじみルートがちょうど「男友達とヒロインを取り合う」っていうようなシナリオだった。ただ、当時からそういう展開はあまり好まれてなくて不評だったように記憶しています。当方自身やっていて、仲の良い友人と恋愛絡みでギスギスした関係になる、というストーリーにストレスを覚えてプレー意欲が減退する感は否めなかった。エロゲーのシナリオは長丁場だから、男友達キャラはどちらかと言うと切磋琢磨を促すライバル的な存在より、辛いときに味方となってくれるストレス緩衝役として配置した方が効果的だろう、というような議論を遠い昔に交わした覚えがある。『Kanon』の北川はさして目立ったところのないキャラだったけど、妙に味方オーラの溢れている奴でもあって、二次創作界隈ではやけに人気があった。二次創作だと当て馬系のキャラもある意味では人気ポジションになりますけどね。『To Heart』の矢島とか、普通にプレーしただけなら数年後には忘れ去ってしまいそうな野郎だけど、横恋慕ポジションで相当弄られまくったせいもあって印象に残っている。横恋慕っつーとそれ散るの麦兵衛もだったな、懐かしい。あいつはイイ奴だった……。

 男友達ポジションのキャラが恋愛から外される傾向が強くなったのって、2004年にリリースされた『そらのいろ、みずのいろ』が受け容れられなかったことも影響していると思うんですよね。これは「親友とヒロインを取り合う」のではなく「親友とヒロインを分け合う」ゲームで、純愛モノっぽい雰囲気とは裏腹にスワッピングや4Pなどの大胆極まりない乱交行為に挑むというチャレンジ精神に満ちた内容だった。満ちすぎて事前に「スワッピングあり」と告知せず、発売後ちょっとした騒ぎに。「シナリオ自体がダラダラしていてかったるい」という評価もあったけどセールスは好調で、OVA化までされた。ゲーム本編よりもむしろそっちで人気を博したコンテンツだけど、OVAの方では親友の存在がなかったことにされています。以降はNTR(寝取られ)ゲーとか、特化されたジャンルの中でしか恋愛沙汰に関われない風潮が高まっていった印象。その様相を風刺して「俺は自分が主人公だと思い込んでいたけど実は『男友達キャラ』に過ぎず、親友こそがすべてのヒロインを奪っていく真の『エロゲー主人公』だった!」と語り手が悟る、変わった仕掛けのエロゲーもあるそうな。

 あとちなみに当方はゲスな性格をしているので、友人の妹とヤっちゃうようなシチュはすごく燃えます。『水月』の鈴蘭は見た目のヤバさもさることながら、「親友の妹」という事実が背徳感を加速させた。大和庄一も確かヒロインの一人(新城和泉)に想いを寄せているタイプの男友達キャラだったけど、妹喰っちゃった負い目があるせいか叩いているユーザーはほとんど見かけなかったな。「あいつの恋路は応援したくなる」との声が比較的多かった。肝心のヒロインが不人気だったからかもしれないが……。

『ヤマノススメ』2期放送決定! (萌えオタニュース速報)

 2期か、嬉しいな。でも今度は尺を伸ばしてほしいですね。5分枠で毎回正味3分程度というのはやっぱり短すぎる。30分枠は至難にしても、せめて15分枠で……何なら劇場版でも構わない。女の子たちがただ山に登るだけのアニメを映画館で眺めるなんて、この上ない贅沢でしょう。

・拍手レス。

 戦神館の体験版2をプレイし終わりましたが…ヤバいっす、期待値は過去最高かもしれません。とりあえず、セージさんマジド外道とだけ。いや、メルや波旬が可愛く見えるレベルでしたよ、マジで。
 戦神館の体験版、我慢できずに第1弾の冒頭だけチョロっとやってしまったけど、やっぱり製品版でガッツリ一気呵成に楽しみたいのでここは我慢……我慢……ああ、2月が長い……!


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