2013年5月分


2013-05-30.

・局所的に話題沸騰の「犬溶接マン」が登場するアメコミ『HITMAN』が邦訳されるということですかさずポチった焼津です、こんばんは。

 犬溶接マンって何だよ!? と混乱しつつ検索したのが数時間前。未だによくわかってませんが、「悪人に犬の死体を溶接して懲らしめるヴィジランテ(自警)ヒーロー」らしい。なぜ犬の死体なんだ……と問いかけても無駄でしょう。「HEY、JAPANのKIDSに大人気な『頭部を頻繁にすげ替えるMAN』はなんでHEADに赤黒い煮豆のスイートペーストを詰め込んでいるDIE?」と訊かれても納得できる答えはないのと一緒。しかも言うことが「EAT MY FACE!」ですからね、キてますよ。「アンパンチ」だって「オメェ、全身をあんこみてぇにグチャグチャに潰してやっぞ?」と解釈したらかなり剣呑だし……もうそれアンパンチというよりアンミンチだな。

『蒼き鋼のアルペジオ』TVアニメ化決定! 監督:岸誠二、制作:サンジゲン(ひまねっと)

 PV第1弾も公開中。艦船バトル漫画です。「メンタルモデル」と称される、ヒトを模した端末というか「艦の精神」が出てくるのが特徴。ホライゾンにおける武蔵さん的な存在であり、若干古めの例を持ち出すと『バトルシップガール』的な存在であります。って、検索したら『Battleship Girl -鋼鉄少女-』なんて漫画もあるのか……知らなかった。さておき、アルペジオファンは精神がちょっと残念な子(フネ)を「ダメンタルモデル」と呼んで可愛がっているらしい。個人的には1巻だけ読んで波長が合わなかったので以降スルーしていたが、ダメンタルモデルには興味があるし、「ある程度巻数が溜まったらもっぺんチャレンジしてみたい」という気持ちとてなくもなかった。まさかアニメ化するとは思ってなかったけど、ちょうどいい機会です。アニメで波長を合わせられたら、そっから再チャレンジする芽も得られる。むろみさんも似たような方法で再挑戦してハマったクチだったりする。アニメ化するとなれば地方の書店にも既刊がどっさり入ってくるでしょうし、近くで買いやすくなる。いいこと尽くめじゃないか。

 しかし、またしても岸誠二が監督を務めるのか……最近この人の仕事量がすごいことになってないですか?

Windows用ソフト『Phantom PHANTOM OF INFERNO』発売決定!

 え? またファントム? と思ったらこコレはXbox360で出したバージョンの逆移植か。発売は8月30日(金)の予定。個人的にアニメ版ファントムはあまり思い入れがないけれど、INTEGRATIONはスルーしちゃってるから買ってもいいかな……ちなみに、ファントムはD.C.ほどじゃないですけどいろんなバージョンがあるので、参考のためにまとめておきます。

01.『Phantom 〜PHANTOM OF INFERNO〜』 … 2000年2月25日に発売された最初期版。当初は紙パッケージだった(アインが銃を構えているジャケット)。その後トールケース版が発売される(背中合わせで銃を持つアインとドライのジャケット)。
02.『Phantom -PHANTOM OF INFERNO- DVD-PG』 … 2001年10月26日に限定版、2002年2月22日に通常版を発売。アインとツヴァイが重なっているジャケット。DVDプレーヤーで遊べる。追加要素もあったらしいが、操作性は最悪だったとか。
03.『Phantom 〜PHANTOM OF INFERNO〜』廉価版 … 2002年7月12日発売。アインをあおり気味のパースで描いたジャケット。フルプライスだった価格が6090円(税込)になった。これに関してはよく覚えていない。
04.『Phantom 〜PHANTOM OF INFERNO〜』PS2版 … 2003年5月22日発売。初のコンシューマ移植版で、限定版(アインとツヴァイのツーショット)と通常版(アインとドライのツーショット)がある。同年のデモベ効果もあり、知名度が一気に上昇。
05.『Phantom 〜PHANTOM OF INFERNO〜』メディ倫版… 2003年7月25日発売。アイン・ツヴァイ・ドライ揃い踏みのジャケット。ニトロがソフ倫から外れてメディ倫に移ったためリリースされたバージョン。
06.『Phantom INTEGRATION』 … 2004年11月19日発売。背中を向けたツヴァイとしゃがんでいるアインのジャケット。移植版の要素を反映させたリニューアル版。「INTEGRATION」は「完成、統合、集大成」の意。
07.『Phantom INTEGRATION』Nitro The Best!版 … 2009年4月24日発売。INTEGRATIONの廉価版で、ジャケットもほぼ一緒。要はアニメ版ファントムの放送に合わせて行った再販です。
08.『Phantom 〜PHANTOM OF INFERNO〜』Xbox360版 … 2012年10月25日発売。限定版と通常版、両方ともアイン中心に7人のキャラを描いたジャケット。アニメ版準拠でグラフィックを一新。2010年夏発売予定だったが、2年以上ズレ込んだ。
09.『Phantom 〜PHANTOM OF INFERNO〜』PC版 … 2013年8月30日発売予定。Xbox360版の逆移植版。

佐藤大輔『皇国の守護者』がついに文庫化(ぶく速)

 特徴的な言い回しが多く、読むとつい真似したくなることで有名な軍記ファンタジー『皇国の守護者』。ストーリーを雑に要約すると、「日本っぽい『皇国』がなんかロシアっぽい『帝国』の侵攻に晒されてピンチなので主人公が戦場に行って何とかする」って感じです。「帝国の侵攻を何とかする」ことに終始するのが前半(1巻から5巻あたり)で、後半(6巻以降)は「京都っぽい『皇都』で主人公暗殺を目論むクーデター計画が進んでいるから何とかしないとヤバい」といった内容。9巻(8年前に発売された最新刊)は内乱が終結するところまで、つまり比較的キリの良いところで終わっているが、そもそもこの物語は本編の60年後に主人公の妻が書いた手紙(その時点で未亡人になっている)から開幕しており、「歴史的な人物となった(しかし忘れ去られつつある)主人公の真実の生涯を綴る一大サーガ」という雰囲気を漂わせていた。なのに、これじゃ作中時間にして僅か1年程度しか経過していないところで閉幕となってしまう。サーガとしてはプロローグに当たる部分しか描かれていないのです。しかし、佐藤大輔もスッカリやる気をなくしているみたいだし、無理に続きを書くぐらいならサーガ云々は無視して「これで完結」ということにしておいた方がイイのではないか、というのがファンたちの大まかな思いである。

 伊藤悠手掛ける漫画版は全5巻で打ち切りになっているが、原作小説でいうと2巻の途中あたりまでに相当します。本当の盛り上がりはまだまだこれから、といったところでした。どちらかと言うと小説版の再開よりこっちの再開を熱望している人の方が多いかもしれない。ところで文庫版1巻には書き下ろし短篇も収録されている。原作を読んだことがない、あるいは『皇国の守護者』自体よく知らない、という方はこの機会に手に取ってみては如何でしょう。

・5月中旬のつぶやきまとめ。

・原作:川原礫、作画:笹倉綾人の『マギサ・ガーデン(2)』読んだ。

 『アクセル・ワールド』のスピンオフ漫画。と言っても本編のキャラはほとんど出てきません。せいぜいメガラッキーの人がゲスト出演したくらい。『灼眼のシャナ』のコミカライズで知られる笹倉綾人が作画を担当しているだけに女の子のキュートさは折り紙付きです。少年2人少女2人をメインとする本編に対し、『マギサ・ガーデン』は少女4人がレギオン結成を目指す話となっている。2巻の表紙にも選ばれた日露ハーフのリーリャ・ウサチョヴァがラブリィすぎて百合の花が咲き乱れる。もう完全に陥落(おち)てますよね、あれ。ちあきの言う事なら何でも聞いてくれそう。「膝小僧ペロペロさせて」と言ったら絶対に頬を染めてスッと差し出しますわ。

・佐藤ミトの『春の包帯少女(1)』読んだ。

 新人のデビュー作。冒頭は仲良しカップルがイチャイチャして周りから冷やかされたり、不意にキスしたり……と甘いムードが漂うけれど、1話ラストで急転する。「包帯」とは傷に巻かれるものであり、タイトルにそれを冠している以上、「少女」が傷つくことを暗示している。血の流れない物語ではない。しかし、包帯は傷口を覆い隠す「隠蔽」の象徴でもあります。巻いてしまえば、もう血の源泉は見えなくなる。つまり、深読みすれば「傷口=アソコ」「包帯=パンツ」という読み替えも成立する……? なんということだ、包帯少女好きはパンモロ好きと同質的存在だったのか! なんて冗談はさておき、1巻の時点では謎が多く、説明もほとんどありません。まだまだ仕込みの段階。面白くなるのは2巻以降だろう、期待しておきたいです。あ、ちなみにこの漫画、ファイヤスターター(発火能力者)が出てきます。ファイスタ好きの人はどうぞ。

・関崎俊三の『恋愛怪談サヨコさん(5)』読んだ。

 この漫画に関しては私、一貫して「サヨコさん可愛い」としか言っていない気がするけど、事実サヨコさんの可愛さは青天井なのだから仕方ありません。恥ずがりやのオカルト恋愛コメディというニッチなジャンルだけどもヒロインの可愛さについては私のお墨付きです。はあ、サヨコさんと三途の川を泳ぎたい。レテ川の水を飲んで消すべき過去を消しもう一度サヨコさんとの出逢いをやり直したい。彼女に祟られる私じゃなくて彼女を祟る自分になりたい。そして返り討ちに遭い彼女のレギオンに加わりたい。ハイドリヒ卿並みの眼光を走らせながら頭髪を獅子の鬣のように逆立て広げるサヨコさんを妄想するだけで恍惚のあまり失禁しそうになります。

・天野こずえの『あまんちゅ!(6)』読んだ。

 私、天野こずえの漫画は昔から好きなんですよね、と露骨に古参アピールしてみる。実際、雑誌掲載された「前夜祭」をリアルタイムで読んでいるから一応古参のひとりであることは間違いない。それだけに、今回の『あまんちゅ!』に「前夜祭」というエピソードがあったことは無性に懐かしく、ジーンと来ました。「?」という方はあらかじめ『夢空界』、あと『浪漫倶楽部』も読んでおきましょう。偉そうに述べている私も細部はかなりうろ覚えだったりするが……今度読み返そう。『あまんちゅ!』は女子高生たちのダイビングライフを主体にして綴る日常漫画で、あまりハッキリとしたストーリーはなく「雰囲気コミック」扱いされる面もあるけれど、一編一編に詰め込まれた情感が実に豊かで、かじりつけば果汁が溢れだして来そうなほど瑞々しい。特にぴかり視点でてこを観察するエピソード「体力測定」は百合的な邪推を際限なく促してしまう点を脇においても充分に興味深く、ついじっくり読んでしまう。雰囲気コミックじゃない、と思いつつ、コマとコマの間に流れる雰囲気をしっかりと噛み締めて味わいたい漫画でもあります。

・野部優美の『空手婆娑羅伝 銀二(1〜11)』読んだ。

 チャンピオンだし、「婆娑羅」だし、どんなに奇抜で奇天烈な漫画だろうか、と思いながら手に取った。驚くほどケレン味のない、重い正拳突きの如き真っ直ぐな作品でした。暴力的な描写やお下品なシーンも多少あるけれど、「ここまで爽やかなの!?」と吃驚。『真・餓狼伝』の作画を担当する人の漫画ということで興味を抱いて今更読んでみましたが、思わぬ拾い物でした。個人的にはピッコロこと佐東諒が好き。面白い漫画を読むと仕事で溜まった疲れが抜けますね。

・古閑裕一郎の『となりの山田さん(1)』読んだ。

 まず最初に書いておきますが『となりの山田くん』ではなく『となりの山田さん』です、“マガジンSPECIAL”に連載されている漫画。間違いのないようにリンクも張っておこう。(公式ページ) さて、『となりの山田さん』。読者から見れば「どう考えても両想いだろお前ら!」なふたりが様々なトラブルからなかなか互いの気持ちをうまく伝え合うことができずに幾度もすれ違う、そんなもどかしくて甘酸っぱい状況を描く青春ラブコメです。あとエロい。古閑裕一郎の描く尻はエロすぎてぶっちゃけ触りたい。とにかくもう、笑っちゃうくらいにすれ違います。「ああん、もう!」と焦れったい。それでいてふたりの間に漂う空気はバカップル並みにスイート。恥ずかしがりや同士なのでドキドキ感が増幅され、読んでるこっちが爆発しそうになる。「末永く爆発しろ」な漫画ではなく「絶え間なく爆殺される」漫画だ。

・高野千春の『終末のマリステラ(2)』読んだ。

 身も蓋もない言い方をすれば「戦死者の出るストライクウィッチーズ」、もっと品のない表現にすると「『ガンスリンガーガール』と『ストライクウィッチーズ』を足して割って更にいろいろなものを注ぎ込んでコトコト煮込み独自のまろやかさを出した漫画」になります。滅亡の危機に瀕した人類がうら若き少女たちを「天使」という名のキメラに改造して有翼海洋生物と戦わせる。まだ幼さの残る学徒たちはどうしようもない瀬戸際に立たされ、命懸けの最前線で足掻く。大儀の元に散る様子は痛々しく、グロテスクで、どこか妖しく、妙にあっけらかんとした空気を纏っている。殺伐としているのに、なんだか悲惨さを突き抜けちゃった空気があって僅かに明るい。僅かに明るくて、それゆえ物悲しい。「なんなのだこの世界は」と混乱しつつも読むのを中断できない。描線の一つ一つに「見たら病みつきになる」という魔法が掛かっているかのような不思議と引き込まれる絵です。むさ苦しい野郎どもにも見せ場があって熱かった。

・塚脇永久の『鉄鳴きの麒麟児(2)』読んだ。

 子持ちバツイチのネット麻雀王者が生活費と養育費を稼ぐために麻雀を打つ、という、「それってすげぇダメ男じゃね?」と真顔で聞き返されそうな設定の漫画。「どこで鳴くか」という判断、つまり「どこまで我慢するか」を「息を止めての潜水」で直球に表現したりする。麻雀漫画は当然、麻雀のルールがわかってナンボなところがありますけど、『アカギ』や『咲―Saki―』みたいにルールがわからなくてもある程度楽しめる部分、つまり「麻雀漫画」としてではなく「漫画」として読める部分が割と美味しい、ってな作品もあります。鉄鳴き〜も割とそういうところがある。2巻目に入ったことでキャラクターも蓄積され、「子持ちバツイチのネット麻雀王者」の視点だけではない多面的な構成になりつつある。ルールがわからなくても、錯綜する人間関係で楽しめます。リアル麻雀とネット麻雀の同時進行もあり、「この一戦」を盛り上げながら「次の一戦」への仕込みも行ってる。作者曰く「驚異的な発行部数の少なさ」だそうですので、見掛けたら確保しておきましょう。麻雀のルールもろくに知らずに麻雀漫画を堪能していた時期のある私だからこそ自信を持って言える、ルールなんて飾りですよ、雰囲気で盛り上がればいいんです。でもルールはやっぱり分かった方がいいです。『咲―Saki―』のガイドブック『ラブじゃん マホちゃんの必殺技完成!』がオススメ。私はコレで麻雀ルール覚えました。

・名島啓二の『ちきゅう観測隊!』読んだ。

 『波打際のむろみさん』の作者が描いた幻の初期作。あとがき漫画によく出てくる「フレミィ」のオリジナルを拝めただけでも嬉しいが、全編に漲る緩いギャグも普通に美味しくて一石二鳥でした。洗濯機で丸洗いされている最中でさえ無表情のフレミィ、なんという鉄壁の顔面。ところで、漫画家の人の「単行本作業のために昔の原稿を読み返し、恥ずかしさで悶え苦しんだ」とか「発作的に破り捨てたくなった」とか「全部描き直したくなった」とかいう発言を見るのが大好きな私はSだろうか。羞恥心に身を焦がされジタバタと転げ回る作者を想像するや甘い愉悦が頭蓋を突き抜ける。「恥ずかしい(人に見せられる物ではない)」とか「破り捨てたい(今なら没にする)」とか「描き直したい(現在の画力には自信がある)」って、要するに溢れんばかりの自負と責任感と向上心が発露されているわけじゃないですか。まったくもって頼もしいマインドではありませんか。過去は悔やんでいい。それでいて過去は過去として認め、昔の原稿をなるべく手直ししないままで収録する毛の生えたようなハートの強さも持ってほしい、というのがファンの心情であります。資料的価値というものです。どうしても描き直したいのであれば、いっそ過去の原稿を初回限定特典にしましょうや。

・海野螢の『トコの長い午後(1)』読んだ。

 時間の停止した世界で主人公の少女・トコが街を歩き回る話、と書くと『オンノジ』を少し連想させるか。内容的には血腥くない『刻刻』といったところです。トコは孤独とともに彷徨い、やがて自分と同じ「止まっていない人間たち」、名付けて「止まり残り」と出会う。この「止まり残り」たちが謎を解こうとディスカッションするのが『トコの長い午後』の眼目となりますが、まだほとんどの謎は謎のままです。時間停止以外にも不可思議な現象が起こっており、最終的には『タイム・リープ』や『ラスト・ビジョン』みたいな「答え合わせが面白い物語」になりそうな雰囲気。ちなみに『ラスト・ビジョン』はシュタインズ・ゲートのノベライズを手掛けた海羽超史郎の、知る人ぞ知る傑作ライトノベルです。イラストはヤスダスズヒト。文章が独特でちょっと読みにくい箇所もあるが、歯応えのある内容なので機会があればチャレンジしてみてほしい。

・華々つぼみの『放課後アトリエといろ(1)』読んだ。

 美術部に所属する女子高生たちの毎日を明るく楽しく描く4コマ漫画。主人公の高橋さんはいわゆる「ドジっ娘」で、しょっちゅう物を落としたりと抜けているのですが、「天然」というより「自然体」で可愛い。ドジっ娘にしてはあまり厭味のない部類に属します。特に学校でのドジを反省し、自宅で「絵でも描いて気をまぎらわそう」とクレヨン状の物を手に取って「すごい高橋さん! 新記録だー!」とチヤホヤ賞賛される妄想を紙上に具現化してみせる微笑ましさと言ったら。やっぱり寝る前って妄想が捗りますよね。食堂で座る席がなくて中庭(みたいな所)まで出て一人飯を寂しく摂る高橋さんの姿が胸を締め付ける。眺めていたいというより、構いたくなるタイプ。最近の文章系タイトルみたいなタイトルを付けるとしたら『高橋さんはほっとけない』でキマリでしょうよ。2巻からは三角関係に発展するみたいで愉しみ。三角っつっても、頂点は全部女子ですけどね。女・女・女の三角関係。漢字で書くと「姦」じゃねーか。

・OYSTERの『超可動ガール1/6(1)』読んだ。

 初めて買ったフィギュア、25cmの「嫁」は突然動き出した……という、要は『武装神姫』みたいなシチュエーションで送るコメディ漫画。OYSYERというと四コマのイメージが強くて最初は違和感あったが、後半あたりからストーリー漫画の様相が濃くなって盛り上る。「フィギュアが自意識を獲得して動き出し結婚する」という設定にキワモノめいたものを感じて「うわぁ…」と敬遠する人もいるだろうけれど、勿体無い。想像してください、ちっちゃくなった最愛のキャラに「何ですか? この…薄い本は?」とジト目で問い詰められる様子を。心がエキサイトしませんか。「アニメなんてなあーッ!! 1人で楽しめばよいのだ!!」と主張したり、オタ友とも頻繁にぶつかる主人公は真っ直ぐなオタクで好感が持てる。友とは口論もするけれど「まあいつも仲良くて…」「毎日会ってるから友達…」「…ってわけじゃないのさ」と通じ合っている。変は変だが見ていて気持ちいい。あと単純にラブコメとしても美味しいです。嫉妬してややキレ気味の表情を見せたり、すったもんだの末に和解して主人公のマフラーにもぐり込んできたりするノーナがシンプルに可愛くて口の中からシュガーがこぼれ出そうになる。「こう来るか!」という感じのヒキで、2巻の内容も気になるのでした。

・三星めがねの『恋愛暴君(1〜2)』読んだ。

 「突然ですがあなたはキスをしないと死にます」 たった冒頭2ページで一気に持っていきやがった。超ハイテンション暴走特急ラブコメ漫画です。セガールが振り落とされそうなくらいの勢いで駆け抜ける。1話目から早速フルスロット。デスノをパロった「キスノート」がただの小ネタと化す密度で畳みかけてきて、あまりの勢いに窒息しかけました。ラブコメ漫画で「さっきまで笑っていた巨乳女子高生が上ジャージ下パンツ丸出しな格好のままククリ二刀流で襲い掛かってくる展開」なんて、予想できる人はいません。いたらその人頭おかしいよ。この漫画のキャラも概ね頭おかしい。早朝のゴミ漁りが日課になってるヒロインとか存在していいのかコレ。不死身と化した緋山茜には是非とも『ケモノガリ』の赤神楼樹や「世界殺人鬼王決定戦」のセンジュを相手にククリ使い選手権の頂点を目指してほしい。センジュのククリ(クックリ)は全長26メートルもあるから「ナイフ」の括りには入らないと思いますけど……あと『神様ドォルズ』の詩緒も「玖吼理使い」ではあるな。

・橋本エイジの『紺碧のプリズナー(1)』読んだ。

 題名はこんなだが中身は時代劇です。公儀御様御用(死体で刀の切れ味を試すお役目)の軍兵衛は辻斬りの廉で流刑の島に送られた。八蔵島。そこでは労役も何もなく、罪人たちは放し飼いのように捨て置かれていた……一部の、立ち入り禁止となっている区域を除いて。山田浅右衛門的な「屍体斬り」の侍がいろいろと訳有りな雰囲気が漂う島でサバイバルする話。罪人、島民、そして怪しげな教団と、島は三つ巴の状態にあって、次巻から本格的な戦争へ雪崩れ込んでいく気配です。ひょっとして彼岸島みたいな展開に……? チャンバラ面も加熱しそうで楽しみだ。

・次は5月下旬。

・柏原麻実の『少女惑星』読んだ。

 4つの短編から成る百合漫画。作者は『宙のまにまに』を描いた人であり、今回もタイトルに「惑星」と付けているが、天文要素はそれほど濃くない。最後にちょこっと出てくるくらいです。で、百合だから当然キャラクターは女の子がほとんどだけど、「男がまったく出てこない」タイプの漫画ではない。ストレートに物語に絡んでくることもある。あくまで異性愛(ヘテロ)が多数派を占めていて、「百合は日蔭にひっそりと咲く花」という世界。でも作者は「女の子を描くのが好きでこの道に生きている部分も多い」と語るほどだから、決して「女の子同士であること」を蔑ろにしているわけではない。むしろ深めんがために異性の存在から目を逸らさない。ともすればヒかれ気味になってしまうマイナージャンルである「百合」に、真摯かつ真剣な態度で取り組んでいます。「依頼があったからチャレンジしてみた」んじゃなく、「元々やりたかった」ようで、ページの端々から滴り落ちるほどの愛とパトスが感じられる。一ページ一ページがまことに美味であります。

 では各編の感想に移るとしましょう。発表はすべて“コミック百合姫”です。

「花火が消えないうちに」

 小さい頃から仲が良くて、ずっと一緒にいられるようにと願っていた幼なじみの夏海が、中学生になったあたりを境にどんどんキレイになっていく。既に3人くらいから告白されていて、クラスの男子とも親しげに会話している……そんな状況に焦りを覚えるみどり。「花火大会を一緒に見る」という約束で、ふたりの関係を繋ぎ止めようとするけれど、はにかむような表情でクラスの竹原君と話している夏海を目撃してしまって……。

 「クラスのカッコイイ男子」が具体的な脅威として立ちはだかる、ストロングスタイルの「恋に障害」な事態を綴るエピソード。同性愛者がマイノリティであり、打ち明けることにも勇気が必要であるという視点を、ハッキリと明確に打ち出しています。開幕一発目ということもあってか、ハラハラさせられる部分はあるにせよキッツイ展開もなく、すったもんだの末に和解して関係修復どころか一歩前進のハッピーエンドを迎える。でもラストのキスシーンは人目を忍ぶようにコッソリと交わしているし、やはり「百合は日蔭に咲く花」というイメージが強く、完全無欠のHEってわけではありません。とろけるような甘さの中に消えない苦味が漂っている。それこそ打ち上げ花火のように、一瞬だけ強く激しく眩しく輝いて、後はすべて暗い虚空に儚く散っていく感情なのではないか……という不安が傍らに佇んでいます。「そんな願いごと 叶うかなんてわからない」「でも願わずにはいられない」 不安という闇夜の中で、眦に浮かぶ涙とともに僅かな光度で煌くものがある。そういうものであり、そういうことでしかない。

「白線」

 今度は女子校が舞台。容姿端麗で文武両道、「みんなの王子様」である律花は、入学直後に知り合った少女・千晴に道ならぬ想いを寄せている。可愛いけれど、おとなしくて、男性恐怖症。「見つけたと思った」「――この子にしよう」「この子で願いを叶えよう」 慎重に距離を詰め、徐々に関係を深めていくふたり。しかしある日、千晴に近寄る男の影が……と、このエピソードでも異性(男子高校生)がふたりの蜜月を掻き乱す仇敵として現れる。しかし、「百合と異性愛」の対立がこの作品の核心なのでは、実のところない。それは単に「そういう状況」でしかなく、根深く絡みついてくるのは「置いていかれるのではないか」という普遍的な恐怖。心を許したみんなはどこかに行ってしまって、自分ひとりだけはずっと進めないままで、同じ場所に留まっている。「停滞の孤独」に取り残されるのではないか、という怯えがパンパンに膨らんでいきます。この辺は「花火が消えないうちに」とも共通している。千晴を「与し易し」と見て篭絡しに掛かった律花も、不純というか打算的な面があるものの、「白線の向こう側」に留め置かれる存在ゆえの卑屈さ、身勝手さであることを考えると物悲しい気分に陥る。死に物狂いで努力し、全身から「私のことを好きになって」と金切り声の絶叫を発しても、届かせたい人たちの心を何一つ打つこともなく、無残響のまま闇へ飲まれていく。徒労と虚脱に苛まれ、「俊足の王子様」は一歩だって足を動かせない。

 どんなに守っても どんなにやさしくしても
 私はスタートラインにすら立てない

 おめでとう千晴
 おめでとう おめでとう

 いつかぼろぼろになって帰ってきたらいいよ
 私はどこにも行けずにきっとここにいるから―――…

 頑なで、醜くて、一途で、どうしても手放せない恋情。キレイな花は、キレイなものを吸って育つとは限らない。日蔭というだけではない、「泥の上に咲いて枯れる百合」が読者の美意識に訊ねかけてきます。こんな、惨めに萎んだ破片みたいな花弁をなおも愛でたがるお前は何なのか、と。糾弾ではなく単純な疑問として、そう問いかけられているかのようです。当方にはまだよく分からない。実らないどころか、気づかれもしない恋に意味があるのか。が、枯れても咲かなくても百合は百合なんです。

「火の女王様と嘆きの下女」

 「花火が消えないうちに」と同じ学校(共学)が舞台で、キャラも共通している。意地の悪そうな表情で強い印象を残した高津(名前は公子)と、彼女の取り巻きの一人・ちかを巡るエピソードだ。「花火が〜」を読み返すと、高津のうしろにちかがいることが確認できる。「そば」ではなく「うしろ」なのがポイントで、ちかは公子に対し一歩引いた態度で付き従っている。周りからは「不機嫌な女王様」と見られているけれど、ちかからすれば「お姫様」の公子。「仲良くしている子たちの関係を引き裂くのが大好き」というカップルクラッシャーな公子の内心にわだかまる「欲しても与えられない」「走っても追いつけない」という、捨て置かれる者としての恨みや焦りを知りながら、ちかは何もできずにいる。後ろ向きで本心を口に出せないひねくれ者のお姫様と、引っ込み思案で掛けたい言葉も掛けられない下女。似た者同士のふたりが、真情吐露の衝突を経て「傷の舐め合い」を越えた場所へ至ろうと足掻く。

 これもまた嫉妬や焦燥といった泥を描く話であり、百合の花がキレイごとを養分にしなくても咲けるものであることを示している。「火の女王様」みたいに周囲を焦がす有り様は結局己の身を焼くだけだし、「嘆きの下女」であり続けるという選択は無力を受け容れることでしかない。けれど、両者が真っ正面から向かい合って全力でぶつかれば、つまらない怯懦と臆病の殻が砕けて、中から新しい可能性がこぼれ落ちてニューワールドめいたものが生まれる可能性とてなきにしもあらず。やはり、定位置が「うしろ」ではだめなのだ。「となり」に並ばないと、始まるものも始まらない。

「少女惑星」

 締め括りの一編。舞台は女子校ですが、「白線」とは別のところ。「外部」云々といった言葉が出てくるところを見ると一貫校なのでしょうか? カメラ好きで常にハイテンションなお騒がせアッパー少女の木蓮ちゃんは、憧れのセンパイの寝顔を撮ろう(盗撮?)と訪れた部室で「女同士のキスシーン」という衝撃的な場面を目の当たりにしてしまう。初めて見る「ガチ」の光景に動揺を隠せない木蓮ちゃん。決して楽観視していたわけじゃなかったが、これはあまりにも……ひょっとして自分はノンケだったのか? この程度で臆して後退る程度の想いだったのか!? と悩みます。ガチと憧れの差、「ホンマモンの百合」に対する一般的な抵抗感をキチンと描こうとする姿勢にこそ、作者のガチな信念を感じます。間違いない、柏原麻実はホンマモンだ。狼狽し、現場から逃げ出しながらも、どうにか踏みとどまって「他人の気持ち」を認め祝福しようと持ち前のポジティブさを取り戻す木蓮ちゃんがステキ。逃げ出して、自分が情けなくなって、顔向けできないほど落ち込んでも、そこから顔を上げて前を見据えないと一歩だって踏み出せない。「白線」のオルタナティブとして機能するような部分もあるエピソードでした。

 総じて、男子の介入あり、泥のような粘っこい感情あり、ガチに対する意識の壁もありで、見た目ほどキレイキレイな無菌百合漫画ではありません。一応ファンタジーではあるんだけれど、「地べたから空を眺め遣る視線」を絶えず忘れずに異界へ赴いている。そういう意味では確かに、少女という惑星を観測しようと望遠鏡を覗き込むが如き内容になっていると言えます。その存在だけでなく、互いの座標や公転軌道まで愛そうとする。日蔭で泥の上に咲く花は弱く、時として容易く枯れることもある。とはいえ、そこに去来するもの、たとえば繋いだ手の温かさとかまでは嘘じゃないはずだ。ささやかな「せめてもの救い」を信じたくなる一冊でした。

 しかし、柏原麻実がまさか百合漫画界に入ってきてくれるとは……感謝の念が尽きない。良かった、本当に良かった。マジで嬉しいです。第2弾も心地待ちにしたい。

・拍手レス。

 竹岡姉妹って、妹のデビュー作でタッグ組んでなかったでしたっけ? コバルト文庫で出てたように記憶してます。
 妹のデビュー作って『ウォーターソング』? amazonではなぜか「木下さくら」で登録されていますけど、確かに調べてみるとタッグ組んでますね……調査不足でした、すみません。該当箇所に追記しておきます。


2013-05-27.

・サーバーに障害があったとかで、24日の更新が昨日になってやっと反映されました……特に何をしたわけでもないけれどグッタリした焼津です、こんばんは。

 似たような傷害(ファイルをアップロードしてもすぐに反映されない)は過去にもあったとかで、あまり続くようなら移転も検討しなきゃですけど……そもそもここ自体、前のところの障害が原因で移転してきたから、「また移転するのは面倒臭い」という気持ちが強い。しばらくは様子見でいきます。ここんところは日記ばかりの更新だし、いっそブログに移るというのも手ではあるか。まだ具体的なことは何も考えていません。

・5月上旬のつぶやき抜粋。自分で記憶している以上に多くて少し驚いた。ツイッターはHPの更新より楽だからついつい沢山投稿してしまう。

・伊藤悠の『シュトヘル(7)』読んだ。

 『皇国の守護者』で作画を担当した伊藤悠のオリジナルコミック。今回は「復讐」に焦点を絞っていく。「死者のために死者をつくるうちに――身のうちから死臭が吹くと言っていたな」「(お前も)同じにおいじゃないかあ」とお口全開で煽るシュトさんマジいい顔してる。「いい顔してる」のが『シュトヘル』の素晴らしいことだ。西夏だの金国だの蒙古だの、13世紀頃の歴史や地理や勢力図について疎い人(私含む)はあらすじだけで尻込みするだろうけど、「いい顔してる」あるいは「いい顔になっていく」キャラ目当てで読んでも充分お釣りが来ます。顔は漫画の看板だ。

・施川ユウキの『オンノジ』読んだ。

 ある日突然人がいなくなった世界でひとりの女の子が街をさまよう「非日常世界の日常4コマ」。なぜ人がいなくなったのか? この世界が何なのか? 疑問に対する答えはない。不条理なギャグと施川ユウキ特有の観察眼・分析力が冴え渡る。ハッキリ言って出だしは掴み所のない話だ。だが途中で起こるイベントを契機に、一転して「掴み所」が発生します。そこからがこの漫画の真骨頂。ネタバレになるから詳細は伏せますが、クライマックスに漂う情感がすごい。渦巻く血潮が耳を聾するほどの焦り。まさか施川ユウキの絵柄で涙腺をここまで刺激してくるとは……脱帽。やはり天才はいる。

・こざき亜衣の『あさひなぐ(7)』読んだ。

 女子薙刀道マンガ。「え? なんで今更7巻? もう8巻出てるよ?」と言われそうだけど、本の整理をしている最中に発掘したもので……実は、8巻は既に読み終えている。そう、うっかりして1冊読み飛ばしてしまったのだ。「あれ、『あさひなぐ』の新人戦ってもう終わった?」と首を傾げたりしたが、てっきり単に記憶が飛んでいるだけかと思っていた……7巻は新人戦の後半、8巻は新人戦後のエピソードを収録している。8巻の新キャラ、「魔女」は非常に良い味出しており、次巻がとても愉しみ。今度こそ飛ばさない。『あさひなぐ』の主人公は眼鏡で貧相な体格をしたチビという、今時珍しいくらいの地味っ娘です。努力家ではあるが、特に優れた才能を有するわけではない。周りにも置いていかれてる。なのに諦めず、心が折れそうになっても薙刀を振るい続ける。拙いかもしれない。でも弱くはない。眼差しが強いのです。マンガは時として百万語のセリフよりも「眼差しの強さ」が雄弁極まりない現象と成る、そういう厳粛な瞬間が訪れることもある。名言だけがテキスト化されて流布することもしばしば起こるけど、そうした名言も何がしかの眼差しに裏打ちされて篭められたものであることをたまには思い出していきたい。

・a・アルフライラの『ちょっとかわいいアイアンメイデン(2)』読んだ。

 女子校の「拷問部」が送る日常を綴った4コマ漫画。4コマでないシーンもある。映画化が決定したとかで現在話題沸騰中。テーマが「拷問」だし原作は深見真だし、エゲツなくてグロい漫画じゃないか、と危惧している方もおられるでしょう。が、違う。実際は拷問薀蓄が盛り込まれているくらいで直截的なグロシーンはありません。どちらかと言うとエロ寄りの「責め」が多い。そう、意外と知られていない節がありますけど、『ちょっとかわいいアイアンメイデン』はエロい作品だ。表紙詐欺ではなく「表紙以上」。甘く見ているとズボンを下ろすことになる。キャラも可愛くて見飽きぬ。百合嗜好のエロス脳ではあるものの比較的一般人に近かった結月が「ちょっと漏斗水責めやっといて!」と自然に言い出すほど染まっているのが笑えた。さすが次期エース、時代が時代なら火盗になれる器かもしれん。ちょっとかわいい火付盗賊改方。あるいは鬼メイ犯科帳。

 今回は「洗脳部」という拷問部の対抗組織が出てきて、ちょっとした策謀劇が展開します。まさか他にも物騒な部活があるんじゃないだろうな……「食人部」とか。拷問と言うと『RONIN』で、あれはデ・ニーロだったかな、「拷問は耐えることができない」とキッパリ言い切っていたシーンが印象に残っている。私は過去に何度か爪を剥がしたことがあるけど、あれを故意にやられたら何でも吐く自信がありますね! 足の小指くらいは平気というか知らないうちに剥がれていたこともあるけど、親指の爪は手も足も思い出したくないくらい痛かった。いや、書いてるだけで痛くなってくるトークはよそう。可愛い女の子のことを考えてペインキルしよう。2巻はジャナ研(ジャーナリズム研究会)のハイエナ、杏璃・シウバがエロ可愛かった。泣かせたい、この勝ち気顔。

・火曜の『彼氏ってどこに行ったら買えますの!?(1)』読んだ。

 この世に生れ落ちて以来、一度たりとも異性と付き合ったことがないお嬢様がひたすらカップルや彼氏持ちの友人に嫉妬し憤激する様子を可愛らしいタッチで描く4コマコメディ。さながら「ちょっとかわいい活火山」といった趣だ。そんな『彼どこ』の清涼剤は、亜梨香(主人公)の友人である滝護。亜梨香と同じく今まで彼氏が出来たことはないけど、「部活(バスケ)に専念したいから」とまったく気にしていない脳筋娘。「恋愛」というファクターに過剰反応する亜梨香と柳に風とばかりに受け流す護が心地良い対比になってる。護がいなかったら、『彼どこ』はもっとギスギスしたアトモスフィアに包まれていたかもしれない。あと何だかんだで友達思いなのが気持ちいいですね。羨ましがって怨嗟の声を叫ぶけど、初々しい友人カップルの関係を進展させる潤滑油にもなっている。妬んでいるけど友達のことは好きなんだな、と伝わる。

 『彼氏ってどこに行ったら買えますの!?』というパンチが効いたタイトルのせいでお嬢様が札束ふり回し道ゆくイケメンの頬をビンタするイメージが湧いてくるけれど、実際の内容としては割合ほのぼのした「他人の恋路を羨みながらも応援する漫画」です。しかし、亜梨香は「リア充爆発しろ!」と盛んに絶叫するけど、友達がいる貴女も十二分にリア充なのでは……? と疑問を抱く方は素直に『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』読もう。もこっちは最初苦手なキャラだったけど、だんだん好きになってきました。ところで作中に体力測定の項目で「シャトルラン」というのが出てくるけど、これを知っている(実際にやった)かどうかで世代がバレるらしい。私は無論知らない。要するに往復スプリント? 

・ブルボン小林の『マンガホニャララ ロワイヤル』読んだ。

 漫画コラム集『マンガホニャララ』の続編。著者のブルボン小林は別名義で芥川賞も獲っている。わざわざ書いていないだけで、強いて隠す気はゼロみたいだ。そっちの名義(本名)で出した本についても文中で触れているくらいです。『マンガホニャララ』は週刊誌連載のコラムだけあって、一個一個はごく短い。紹介する漫画のコマ引用もあるから、文章量は一回につき3ページほどだ。そのためちょっと物足りないところで終わる回もあるし、なんだか漫然としている回もあります。それでいいし、それがいい。気合を入れずに挑める。何せ「ホニャララ」ですからね、このタイトルでいちいち肩肘張ったり身構えて読もうという人もいないでしょう。新作旧作の区別もなく、復刊したからと『特攻の拓』を取り上げたりするこのフリーダムさ。ソフトカバーだから柔らかく折り曲げられ、寝転がって読む分にもちょうどいいです。「いいかげん野球漫画」について語る回など、真面目な漫画評では取り上げにくい切り口や視点も読み所の一つである。ジャンルがある程度発達・成熟してくると、それを茶化すような「いいかげん」作品が出てくる。労力を費やして茶化すのは強い愛情表現の一種なのかもしれぬ。

『ヒーローズ・カムバック』(アンソロジー)を読んだ。

 9人の漫画家によるアンソロジーです。900円を超える値段のせいでA5判かと思っていたがB6判だった。300ページ以上のボリュームがあり、やや厚めの一冊となっています。完結済の懐かしい作品が多いけど、『銀の匙』の番外編が混ざっていたりもする。月並みだけど、とにかく「懐かしい」。感想はこの一言に尽きます。『うしおととら』、『GS美神』……少年時代の記憶がありありと甦ってしまう。「甦るな」と念じても無駄なくらいの激しさで立ち昇る。ああ、おキヌちゃんと真由子が好きだったなぁ、と否応なく思い起こす。そうした気持ちがまだ完全になくなっていないことが嬉しくもあります。特におキヌちゃんに関してはいろいろと妄想を逞しくした。どんな妄想だったかは言わぬが花か。単純に「再会の喜び」を味わえる良い企画だと感じました、ヒーローズ・カムバック。

・空知英秋の『銀魂(49)』読んだ。

 ケツから刀を出す銀さんと胸から刀を引き抜く沖田、この絵面の差はいったい……相変わらず今回もシリアスとギャグ混ぜこぜ、文字量も安定の多さでたっぷり楽しめました。『銀魂』は本編もさることながら読者の質問に作者が答えるコーナーも面白い。特に今回はヤンキーについてや自分の作品に対するマイナス評価の処し方について熱弁しており、読み応えがあった。本編と質問コーナーで二倍の面白さと言えましょう。しかし、なんだかんだで『銀魂』も次で50巻か……第1話を読んだときはこんなに続く漫画になるとは思いませんでした。50巻は性転換ネタをやるらしく、予告の銀時(♀)カットに早くも胸が高鳴る。

・押切蓮介の『ハイスコアガール(3)』読んだ。

 ゲームに熱中する少年の青春を描く漫画。スト2を始めとして、題材に選ばれたゲームは80年前後生まれの世代にゃ直撃のラインナップであろう。私も『ヴァンパイア』の滑らかな動きには痺れた。ゲーセンで延々と他人のプレーを鑑賞していた記憶がある。『ハイスコアガール』は1巻が小学生編で、2巻から始まった中学生編は3巻で終わり。次の4巻から高校生編が始まる。懐かしいゲームトークの数々もさることながら、見所は何と言っても淡い恋の三角関係。ゲームのことばかりだった主人公が、ようやく進路と「一緒に居たい存在」について考え始める。ベタすぎるくらいにベタな青春を目一杯照れ臭く、それでいて真っ直ぐに貫いているところが清々しい。ホラージャンルで鳴らした押切蓮介の絵柄に馴染めない人もいるでしょうが、そういう人はまず『でろでろ』あたりから慣れていくとイイかもしれない。私もそのコースで押切にハマったクチです。

・松井優征の『暗殺教室(4)』読んだ。

 「地獄の暗殺野球」という帯の文句に『地獄甲子園』を連想した人もいるはず。ビッチ先生のエロ可愛さやモバイル律の携行可愛さなど、読者サービスも抜かりない巻です。でも一番の衝撃はイトナのダイナミック入室(エントリー)か、あの発想はきっと誰にもなかった。それにしても、『暗殺教室』ってもう累計360万部? 巻割部数でいうと90万部、アニメ化していない段階でコレというのは驚異的だ。こりゃ絶対に背後でアニメ化企画が動いているだろうな。でも引き延ばすつもりはないそうだからアニメ終了と同時期に原作も完結しそうな予感がする。

・吉冨昭仁の『スクール人魚(1)』読んだ。

 学校のプールで夜に呪文を唱えると「人魚」を召喚できる、人魚を殺してその肉を口にすえば恋が叶う……という噂話を軸にしたホラーコミック。スクール水着をまとった人魚なので「スクール人魚」。チャンピオンじゃないと企画が通らない(気がする)奇妙な味わいの一作。吉冨昭仁の漫画は何れもどことなく「おぞましい」雰囲気がある。おぞましさを極限まで薄めた『しまいずむ』さえ片鱗としての変態性が残留しており、おぞましさに切なさを湛えさせれば『バランスポリシー』になる。『スクール人魚』はおぞましさを剥き出しにしたままで「可愛らしさ」を添加してみせた。それがなお一層おぞましさを増幅させるのです。ストーリーもさることながら、重力を無視して校舎のあらゆるところを縦横無尽に泳ぎ回る(壁や天井すら「水面」と見做す)無数の人魚、彼女たちが織り成すアクロバティックな妖しさとスクール水着のシンプルな艶やかさの調和は怖いくらいだ。

・田口ホシノの『まがつき(3〜4)』読んだ。

 織姫に祟られたせいで魂が抜けてしまった少年を主人公にして送るドタバタラブコメディ。魂はヒロインの誰かが体内に収納し、主人公は己の魂を持つ当該ヒロインと常に接触していなければならない。トイレのときも風呂のときもずっと一緒。まさに「どこでもいっしょ」。いわゆる「うっかり手錠で繋がれちゃった☆」イベントが常時発動している状態。うっかり接触を解いてしまうと主人公は死ぬ。死んだらすぐにキスして魂を吹き込まないと蘇生できない。うーん、この清々しいまでに御都合的なラブコメ設定、駄菓子にも似て美味です。3巻から「主人公の魂を誰が持つか」という愛の争奪戦的な要素が出てきて一層面白くなる。ずっと接触してないといけない(基本は手繋ぎ)というシチュエーション、意外にドキドキします。「『手を繋ぐ』って、意識すると結構エロいんだなぁ……」とラブコメの原点を再確認する思いです。

・くろはの『帰宅部活動記録(2)』読んだ。

 帰宅部なのに帰宅しないで放課後をダラダラと過ごすギャグ漫画。帰宅部っぽさで言えば『神明解ろーどぐらす』(全力で道草に励むライトノベル)の方が上だが、そもそも「帰宅部っぽさ」を期待する読者というのもあまりいないはずだから些細なことである。非常に躍動感がない絵柄なので訓練されていない舎が読めば即座に「下手だ」と切り捨てそうだけど、むしろ作者は躍動感のなさを活かす。見ていて脱力するような、ナンセンスの極地たる「独特の間」を生み出すことに成功している。それを感じ取れるかどうかは読み手の訓練次第であり、是非鍛えるが良い。なんとこの『帰宅部活動記録』はアニメ化が決まったそうだ。聞いた瞬間「ええっ!?」と驚愕したが、考えてみればこれほどアニメ向きな作品もあるまい。良い意味で紙芝居的な作劇法を駆使しており、制作側のセンスに委ねられるところも多いだろうが効率的に面白く仕上げられるはずだ。そう信じたい。

・原作:竹岡葉月、作画:Tivの『政宗くんのリベンジ(1)』読んだ。

 昔はおデブな少年だったけど今は細マッチョなイケメン主人公が「残虐姫」と呼ばれるヒロインに対し復讐を誓う、やり返し系ラブコメ。惚れさせて手ひどくフってやる! みたいな。うんうん、みなまで言うな、という感じでニヤニヤしてしまう設定。愛がいつか終わるように、憎しみもいつか潰えるはずなのだ。果たして主人公はどこまで復讐心をキープし続けられるのだろう? 原作の竹岡葉月は“文学少女”のイラストで有名な竹岡美穂の妹。ふたりとも同じような界隈で仕事をしている割に一度もタッグを組んだことがない。しかしファンは竹岡姉妹のツープラトンが炸裂するシリーズもいずれ現れるであろうと信じて待機している。待機って生き続けることでしょ。追記:WEB拍手の指摘によりデビュー作『ウォーターソング』で既にタッグを組んでいることが判明、amazonではなぜか「木下 さくら (イラスト) 」と登録されているため誤認しました、すみません)

・谷川ニコの『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(2)』読んだ。

 責任転嫁臭溢れるタイトルの本作はモテない女子、いわゆる「喪女」な女子高生を主人公にした痛々しい青春コミック。私にとってこの漫画は精神的にキツく荒行なので読み通すのに時間が掛かる。来月には4巻が出るというのにまだ2巻だ。キツいし、痛々しいし、居たたまれないけど、だんだんとヒロインのもこっち(黒木智子)に愛着が湧いてきたので読むのをやめられない。苦いのに、病みつき。

「いいのかそんなこと言って ここですべての女子力を解放してもいいんだぞ…」
「もらすってことだよ」

 もこっちの中では女子力=膀胱括約筋なのか。

・次回は5月中旬のつぶやきをまとめる。

小川勝己、原稿書いても出版されそうにないってことか…(ぶく速)

 新作なかなか出ない理由の一つがコレなのか……「世知辛い」を通り越して単に「ヒドイ」。出版計画の関係で刊行時期を遅らされる(次の夏に○○フェアをやる予定だからそれまで置いとく、とか)ようなことはしょっちゅうらしいけど、渡した原稿を3年経ってもまだ読んでいないというのは編集というよりただの積読じゃないですか。読者は何年積もうが作者に影響を及ぼすことはまずないけれど、編集がそれやると致命的ですね。確か元講談社の「あの人」はデビュー前だった西尾維新をわざと放置してやったって自慢?してましたけど、それにしたって精々丸1年程度である。早く他社の方で話がつくといいですな。

荒木飛呂彦が怪奇小説のガイド本「怪奇三昧」カバーを執筆(コミックナタリー)

 2000年に刊行された『恐怖の黄金時代』という本の増補版に当たるらしい。ちょっと気になるな。書店で見かけたら手に取ってみよう。

『コードギアス 反逆のルルーシュ』9月にBD-BOX発売!新作ピクチャードラマ・新規オーディオコメンタリーなどを収録(萌えオタニュース速報)

 やっとBD-BOX出るのか。DVD-BOXは見送ったから買っちゃおうかな。値段も思ったほどは高くないし……すごく安い、ってほどでもないが。R2(2期目)は時期をズラして発売するのだろうか? まあ、差し当たっては1期目だけ観れればいいや。無料配信のときにまとめて一気に観たせいもあって、細かい部分はもううろ覚えなんですよね。


2013-05-24.

・ツイッターって自分の投稿した分さえログを確認するのが結構面倒だな……と気づき、過去に投稿した分をサルベージしてこっちにコピペすることにした焼津です、こんばんは。

 字数制限で削った箇所とか、一部書き直している部分もありますが、ほとんどはそのまま流用してる。おかげで更新作業が楽だ。まずは4月分の中からめぼしいものを拾って貼り付けます。

・あらた伊里の『総合タワーリシチ(1〜2)』読んだ。

 「究極の負け嫌い」である女子高生・霧上神奈を主人公に据えた、超ハイテンション!で超エキサイティン!なソフト百合コメディ。ギャグ顔含めキャラの表情が多彩で見ていて飽きない。「ここまで崩すのか?」ってぐらいフェイス破壊に勤しんでいて無敵。というか開始直後に「はあああああああ人の上に立つってほんっっっっと気持ちいい〜〜〜〜」と心の中で涎を垂らす神奈に全部持ってかれました。女の子同士のイチャイチャキマシ分もあちらこちらに盛り込まれており、読んでてニヤニヤが止まらなくなる場面がいくつもあります。至福。曲がりなりにも優等生キャラとして登場してきたはずの主人公が「ワンパン余裕でした」とばかりに物理的な手段でライバルを血の海へ沈めちゃったりする、百合的にはソフトだけど別方面でガチな漫画です。愛と暴力は似たようなもの、と言わんばかりである。とにかくもう、すげー楽しい。そしてリカ嫉妬可愛い。リカの嫉妬オーラを全身で浴びたい。

・原作:KAKERU、作画:サイトウミチの『お気の毒ですが、冒険の書は魔王のモノになりました。(1)』読んだ。

 略称「冒険魔王」。「またかよ!」と言われそうなほど今流行りの「魔王モノ」に属するファンタジーコミック。うん、「また」なんだ。私も最初は敬遠していたがKAKERU原案ということで釣られてみた。結果としてはアタリ。『冒険魔王』の特色は、「魔王と言いつつ実はいいヤツ」みたいな魔王が多い中で、殺し放題犯し放題の悪逆三昧に耽っている魔王らしい魔王、外道を往く外道がキチンと主人公を務めていること。絵柄は萌え系だけどやってることは劇画です。あるいはファンタジー版大藪春彦。あえて魔王の座を捨て、「ゼロから始めて、すべてを奪う」苦心と悦楽を求めていく主人公。国盗り物語めいたハードロマン系の漫画が読みたい人はどうぞ。

・kashmirの『てるみな(1)』読んだ。

 kashmirのセンスが縦横無尽に炸裂(エクスプロード)している一冊。今までで一番の炸裂ぶりかもしれない。線路と妄想は続くよ、どこまでも。ある日突然猫耳になってしまった少女が鉄道の旅に出る……という冒頭が穏当なものに見えてくるぐらい本編は奇想に横溢しています。ギャグ要素も混ざっているけれど、不条理要素もかなり強く、「説明してくれ」と言われてもうまく説明できない。日常の中に非日常が紛れ込んでいる、というよりも、非日常の中に編み込まれたいくつかの事象を「日常」と錯覚してしまう、そんな世界が果てしなく広がっていて終わりが見えません。描き込みの細かさに損得勘定を超えた執念が透けていて、感心するというよりも畏怖してしまう。好みさえ合えば崇めたくなる一冊。

・高田慎一郎の『少女政府 ベルガモット・ドミニオンズ(1)』読んだ。

 妖精に攫われた少女たちが妖精の国「ベルガモット」を運営する閣僚になる。参考にするのはとりあえず公民の教科書だ! という話。「萌え内閣」とか「萌え政府」って表現すればいいんだろうか。いろんな国籍の子が出てきます。変身してバトルするような展開もあるけど、基本はインフラ整備などの都市開発。舗装道路の線をどう引くか、地図を前にして侃々諤々の言い合いになります。作者は『神さまのつくりかた。』の人だけど今回は『国家のつくりかた。』といった趣か。シムシティ的な楽しさを漫画で体験できるなら嬉しい。「国家を創りあげるのは男の最高の浪漫だ」とゲーテが『ファウスト』で書いていた、と船戸与一が『群狼の舞』で書いていたが、確かに「国を創る」という言葉の響きにはワクワクする。この調子でどんどん進んで「外交」のフェーズまで行ってほしい。

・古日向いろはの『バガタウェイ(9)』読んだ。

 女子ラクロスを題材に採ったスポーツ漫画。

「…勝算はない」
「けれど」
「信じられる仲間ならいる」

 汗みずくで駆け回る少女たちの匂いや火照った体温すら伝わってきそうなアツい作品です。敵も味方も共に必死、一生懸命、良い意味でどちらが主役か判別がつかない。そのへんは『弱虫ペダル』あたりと一緒ですね。ただ『バガタウェイ』は活字が小さくて、視力が弱い私にはちょっと辛い。目が疲れることだけが難点。ともあれ、「汗みどろで走るスポーツ少女」が好きな人には是非読んでほしい。もうホント、どろっどろですよコレ。伸び上がってボールをカットする羽犬塚のチラリと覗いたお腹に滴る汗と翻るスカート、そして黒タイツの見事なコラボレーションと言ったらもうトーテムポール級だわ。

・中山敦支の『ねじまきカギュー(9)』読んだ。

 依然面白い。しかしねじカギュは読んでいない人に面白さを伝えるのが難しい漫画だと思う。まずタイトルからしてピンと来ないでしょうし……「いったいどんな漫画なの?」と聞かれて、どう答えらればいいのか。ファンの悩みどころです。あえて乱暴に書いてしまうと「『ジョジョ』と『バキ』と『男塾』をラブコメの文脈でやったような漫画」です。ハッタリなんだけど迫力で押しきってしまえば、それはもうハッタリじゃなくなる。大ゴマの使い方がなまら上手い。迫力に満ちていて回ごとに圧倒されます。連載で読んでも単行本で読んでも、どっちでも面白いタイプ。

・施川ユウキの『バーナード嬢曰く。』読んだ。

 なるべく本を読まずに読書家ぶりたい「にわか」な少女・ド嬢こと町田さわ子を主人公にした読書漫画。『描かないマンガ家』ならぬ『読まない読書家』。吉田戦車の「やらなくてもいいゲームはないか」を思い出す。人によってはイラッとする内容かもしれませんが、読んでいるとあれこれ本について語りたくなる、という点においては紛うことなき読書漫画の良作。巻数表記がないところを見ると1冊完結みたいで、ちょっと残念。続刊しないかなぁ。1冊きりで終わっているというのも、それはそれで潔いが。ともあれ、さわ子にはピエール・バイヤールの『読んでいない本について堂々と語る方法』を是非とも薦めたい。ちなみに私は『読ん本』読んでいません。

・中丸洋介の『我間乱(19〜20)』読んだ。

 チャンバラ尽くしのバトル漫画。作者が「元ニートの落ちこぼれた人間だった」とカミングアウトしてたりするが、見所は20巻の居合対決か。納刀状態からの一瞬一撃が生死を分かつ。やっぱり居合抜きは燃えますね。内容以外で気になったのは、何箇所かで残酷描写の修正があったこと。頭蓋粉砕シーンや手首切断シーンなどに軽いボカシが入っていた。『我間乱』はそんなにグロい漫画じゃないけど、講談社あたりで自主規制が強くなってきているのかな。そろそろクライマックスが近いみたいだけど、この勢いを維持したまま天守閣まで駆け抜けて欲しい。

・皿池篤志の『レイチェル・ダイヤル(1)』読んだ。

 表紙の女の子がなんとなく石川雅之を彷彿とさせるな、と思いながら買った一冊です。人類が死者を出さないようにとロボット同士を戦い合わせ、長きに渡った「代理戦争」。それがようやく終結した世界で8歳の少女が2体のアンドロイドと出会うオフビートなSFだ。ほのぼの、ってほどじゃないにせよ、雰囲気は実にゆるゆるしてる。ヒロインは登場時点だと8歳だけど、時間経過とともに8歳→15歳→17歳→19歳(?)と成長していきます。当然アンドロイドたち2名は以前と変わらずそのままの容姿である。このまま行くと、いずれ見た目で2名を追い越すことになりそう。「成長」が組み込まれた物語は読んでいてワクワクしますねぇ。

「お嬢様は―― 機械を命と呼ぶのですね」
「うん 私はアレックスもマックスも いなくなったら悲しいと思うから」
「亡くしたくないと思うなら それは命という事じゃない?」

・樫木祐人の『ハクメイとミコチ(1)』読んだ。

 コロポックル的な小人たちの送る毎日をしみじみほのぼのと描くキュートで胸温まる漫画。下ぶくれ気味な顔がとてもかわいい。話も面白いけど、キャラの表情を見てるだけでも飽きない。特にミコチの顔芸がステキ。私は顔芸達者なヒロインに弱いんですよ。今期のアニメでいうと『はたらく魔王さま!』の遊佐恵美とか。前期だとラブライブの面々。漫画ではちょっと前に読んだ『総合タワーリシチ』が良かった。崩し方にも描き手の腕が出ますね。「顔芸」と書くとあんまり良い印象がないかもしれないし、他の言い回しを考えた方がベターかもですが。しかし度を越した可愛さのせいで行きつ戻りつ何度も眺め返してしまい、なかなか読み進まないのが『ハクメイとミコチ』最大の問題点。結局通常の3倍くらい読み通すのに時間掛かった。「かわいいは正義」だけど「かわいいは罪」でもある。今後もコミックスを買い続けて可愛罪の取り締まりに励まねば。エンターブレインのビームコミックスは「描く喜び」に溢れた作品が多い気がして好きです。最近は作者の筆先から「描く喜び」が滲み出す様子を想像(妄想?)して読むのが楽しい。でも苦労に関しては一切斟酌しないのだから、我ながらまことに勝手な読者である。

・佐野菜見の『坂本ですが?(1)』読んだ。

 最上級にスタイリッシュでcoolな男子高校生の流儀(スタイル)を綴った日常ギャグ、いえ「日常がギャグ」という漫画。「キメ」のシーンがもたらすインパクトで有名だが、実際に読んでみて感じたのはキメそのものよりキメに至るまでの過程が上手い、ってことだった。助走段階におけるスピードの乗せ方が絶妙。イメージ的には弓を引き絞る感じです。読者の注意を充分に引きつけてからドンッとキメの一撃を放つ。ネタの威力や狙撃精度の高さよりも、「読者が間合いに入ってくるタイミングまで我慢する」慎重さと間合いそのものの見極め方にこそ特徴があります。方々で辟易するほど話題になっている作品ですが、「キメ」のシュールさだけチラ見して敬遠するのは勿体ない。まだの方は機会があれば手に取ってもらいたい。率直に申し上げて、ツッコミを入れながら私もだんだん坂本のことが好きになっていった。つまり陥落(おち)たってことですわ。

・次回は5月上旬の分をまとめます。

・田口ケンジの『姉ログ(1)』読んだ。

 キモ姉界に将来有望なニューフェイスが登場した。副タイトルは「靄子姉さんのモノローグ」であり、その通り15歳の男子高校生を弟に持つ「靄子姉さん」の独白(モノローグ)が延々と綴られる。作者の田口ケンジは『DCD』というサスペンス系の漫画も描いてますが、こちらについては詳しく知らない。『姉ログ』と同様の姉萌え漫画らしいので、いずれ機会を見てチェックしようと思います。さて、主人公の靄子姉さんこと「近衛靄子」。高校2年生の彼女は、10年前に当時およそ5歳だった弟が「ボク しょーらいモヤコお姉ちゃんとケッコンするー!!」と発言したことを、10年経った現在もまだ真に受けている。なのでことあるごとに「姉萌え主義のヘンタイ」「姉に欲情する弟」と心の中で罵り(喜び?)、風呂に入っては「弟が『姉の残り湯』をガロン単位で飲み干すのでは?」と深読みし過ぎた危惧を抱く。『デスノート』並みの心理戦を勝手に繰り広げる、その果てしない独り相撲っぷりが愛しい。

 弟の輝(あきら)はノンケというか普通の男子高校生で、「姉と並んで帰っているところをクラスメートに見られると恥ずかしい」と言っちゃうくらい典型的な「思春期の少年」だ。10年前に姉へプロポーズしたことすら忘れている(あるいは覚えていても気に留めていない)のではないかと思われる。毎回聞く耳持たず思考を加速させては明後日の方向へ突っ走る姉に振り回される日々を送っています。しかし、冷静に考えると、頭の中身がアレなだけで靄子姉さんは充分魅力的なんですよね。凜とした黒髪ロングストレート、「巨乳」と申しても反論が出ないであろう規模のおっきなおっぱい、屈服させたくなる気の強そうな表情。おまけに家事も堪能。弟をやたら「ヘンタイ! ヘンタイ!」と過剰に意識するのも欲求不満の表れである、と推測すれば実は性欲が強い……? 確かに「こんな姉を持ったら弟はヘンタイになってしまう」と考えてもどこもおかしくはない。なんだ、靄子姉さんは正しかったのか。

 と、読んでいるこっちも頭がおかしくなってくるぐらい、靄子姉さんがステキで素晴らしいです。弟以外に対しては似たような妄想を暴走させない、という時点で弟大好きお姉ちゃんであることは確定的に明らかである。公式は「ちょっと残念なJK」と謳っているが、これが「ちょっと」なものか。掛け値なく残念であり、心底ヘンタイという至高のキモ姉です。いや、今後は「キモ姉」という単語が「モヤ姉」に置き換わってしまうかもしれない。少なくともそれだけの存在感はある。「この尻、まロいね」と口にするくらいカジュアルな感覚で「この姉、モヤいね」と言い合う未来が、すぐそこまで来ている……そんな可能性を否定し切れない。やがて姉萌え必須科目として指定されることになっても不自然ではない。おかしくて、ありがたい、略しておかしたいモヤ姉の時代へ。

・拍手レス。

 ガクトゥーンの周辺展開のスピードがすごい事になってるけどライヤーってこんなメーカーでしたっけ?このままいくとアニメ化?なんて妄想してしまいそう。メーカー存続のためにはアニメ業界と繋がるのが望ましいんでしょうけど。どこかいい相手がいればいいなあと思う。あ、サイト開設10周年おめでとうございます。
 8月にFD(というか続編?)が出るらしいですね。ライアーにしては迅速と申しますか、「普通のエロゲーメーカーみたいだ!」と感心しました。アニメ化すれば知名度は一気に上がるでしょうけれど、まずコンシューマーに進出しないとですね。ほとんど18禁ばっかりな状況ですし……あと、お祝い、ありがとうございます。

 聖砲:120mm・エクスカリバー辺りでモンティパイソンを連想しました。とんでも設定なのは間違い無いのに今の時代だと結構受けそうな感じがしますね。伝説に語られる英雄が近代兵器に憑依。シャーマンキングのX-LOWSみたいな絵面になりそうでも有りますが。
 ぶっちゃけ『エルフを狩るモノたち』のミケが元ネタですけどね。まさか2が始まるとは……シャーキンも再開したし、世の中分からないなぁ。分からないからこそ楽しくもあります。

 京極氏の本棚で思ったのですが、作家の書斎の紹介本があるなら、ラノベ、エロゲ、アニメ、特撮のライターの書庫や本棚の紹介本があってもいいのでは?それなりに需要あるとおもうけど。個人的には虚淵、川上、丸戸各氏の本棚(含ゲーム、DVD)が見てみたい。焼津さん的にはどなたかいらっしゃいますか?
 倉田英之さんですね、あの人は趣味に1億以上使ってると豪語するくらいですし。あと、ご存知かもしれませんが一応張っておきますね。


2013-05-20.

『アハトゥンク・ガールズ&パンツァー』を眺めていると、厨二小説を書こうと図書館に行って戦車の写真集漁った数年前の日々をふと思い出してしまう焼津です、こんばんは。

 「アヴァロンから英雄妖精(アーサー王のこと)を召喚し、その霊魂を戦車に成型して戦わせる」という、概要を確認するだけでSAN値の下がる設定であった。「これがホントの『妖精の機甲』だ!」と鼻息を荒くしていた当時の自分の正気を疑う。元ネタは妖精の騎行(フェアリー・ライド)っていう伝承ですね。それ絡みで召喚呪文がイェイツの墓碑銘「Cast a Cold eye / On life, on death, / Horseman, pass by !」(生も、死も、/冷たく見ながせ、/騎馬の男よ、行け!)だったりした。他にも湖の姫(ダーム・デュ・ラック)が中に乗り込んで操縦している設定だとか、ルー(トゥアハー・デ・ダナーンの太陽神)の力を借りて放つ五条のレーザービーム「光砲:ブリューナク・キャノン」とか、よくシラフで考えられたものだ。極めつけは必殺技、魔法徹甲弾「聖砲:120mm・エクスカリバー」。なんでも威力がデカすぎて、湖の姫が余剰エネルギーを異次元へ投棄しているそうだ。ベニ松WIZのティルトウェイトかよ。超必殺技は「劣化ウラン・エクスカリバー」、あまりの高威力に「海は尽き、山は砕け、天は崩れ、街は滅び、人は泣き、涙は枯れ、やがて哀しみすらも果てて」現世が雲散霧消するらしい。もう魔王じゃないですかソレ。危険すぎて使えないわけだったが、最終的には宇宙レベルの戦いで使うつもりだったのだろう……宇宙まで行って持ち出すものが劣化ウランかよ、おい。

 そんなボンクラが運営する当サイトも今日で十周年を迎えた。様々なことがありました。脳裏を懐旧と追憶が駆け巡る。でもうちが十周年ということは、同時期開設だった犬江さんの「ジンガイマキョウ」も十周年(あちらの方が開設は数日早く、うちは後追いする形になりました)というわけであり、おめでとうございます。と、犬江さんのところを祝ったらうちに関してはもういいかな、という気がしないでもない。『テラフォーマーズ』のアドルフ班長みたく12月25日に生まれた人が「クリスマスのお祝いしたし、あんたの誕生日はもういいでしょ」と言われてしまうように。嗚呼、合併号的宿命。要約すると、真正面から祝われるのは気恥ずかしいから「ジンガイマキョウさん、十周年おめでとうございます! あ、ついでにめそなんとかさんもおめとーっス」くらいのテンションでお願いします、ってことです。ともあれ今後もこれまで同様、頑張ったり頑張らなかったりしていきます。

・犬江さんと言えば、コミカライズを担当された『真剣で私に恋しなさい!』の最終回が25日発売の“コンプエース”2013年7月号に掲載されるそうです。ログを辿ってみると、連載第1回が2010年7月号ですから実に丸3年。いやはやお疲れ様でした。単行本は7月発売予定の第6巻が最終巻となるでしょうか。アニメ版のまじこいはほとんどオリジナルストーリーだったので「本編の内容がわからなかった、もっと詳しく知りたい」という方もおられるでしょう。そんな方には是非漫画版『真剣で私に恋しなさい!』をオススメしておきたい。更に興味が湧いたら原作のゲームもやりましょう。

 ちなみに、まじこいの漫画版は他にもいくつかバージョンがありますので紹介しましょう。まず作画・多門結之の『afterparty!!』、これは本編終了後の甘々ラブラブな日々を綴るアフターストーリーで、特徴は何と申しても「エロい」ことであり、結構ギリギリまで攻めてる。ただ本編を知らないと話が分かりにくいかもしれない。たとえば、KOSについてとか。アニメでも描写されたおかげで原作未プレーの人でも知っている「川神大戦」、実はアレ共通イベントじゃなくて百代ルート専用イベントなんです。だから他のルートではまた違うイベントが発生する。黛由紀江ルートではそれが「KOS」という格闘大会で、これを知らないでアフパ1巻を読み出すと面食らうかも。また、オムニバスというか、巻ごとにヒロインが変わる形式のためストーリーは連続しておりません。1巻はまゆっちの後日談、2巻は京の後日談、3巻はクリスの……といった具合。なので、好きなヒロインの巻からいきなり読み出しても構わないと思います。次、作画・ヤスイリオスケの『亞仁女威鉄怒』。これはアニメ版まじこいから日常イベントを取っ払ってストーリーを追うことのみに専念した一冊。タイトルは「アニメイテッド」の当て字。大まかにでいいからアニメのオリジナルストーリーを把握しておきたい、という人にオススメ。あとは作画・皇ハマオの『松永燕編』、これは正確に言えばまじこいのコミカライズではなく、『真剣で私に恋しなさい!S』のコミカライズです。Sは本編の発売から2年ちょっとしてリリースされたファンディスク、というより続編です。「まじこいS」ってか「まじこい2」と書いた方が伝わりやすいかも。まぁ、Sも2も似たようなもんだ。松永燕はSから登場するヒロインで、無印においては出番がなかった。設定資料集に名前が載ってただけ。アニメ版では川神大戦のラストで「あの人」の代役として出てきましたね。当方はSまだプレーしておらず、従って松永燕編のコミカライズもまだ読んでません。ちなみに皇ハマオは7月にもSの『九鬼紋白編』を出すようですよ。あとはアンソロジーコミックも沢山ありますけど、そっちはチェックしてないため割愛。とにかく、まじこいは関連商品が多く、まだまだ終わりそうにない。そのうちまたアニメの第2期(というか新作?)をやるかもしれませんな。

デフレが叫ばれて久しいけど、本は高くなってるな翻訳物は特に感じる(ぶく速)

 この問題はまさしく焦眉であり、前にも言及したけれど、何度でも取り上げます。特に創元がヤバい。フロスト警部シリーズで1000円を切っているのは1冊目の『クリスマスのフロスト』だけ、3冊目の『夜のフロスト』は1365円(税込)もしたけどページ数だって784ページもあったから「ギリギリでアリ」と言えなくもなかった。しかし、最新作の『冬のフロスト(上・下)』は各巻が1365円(税込)なんですよ。合計2730円(税込)。買い慣れてない人は金額見ずにレジへ持ってっちゃって白眼を剥くこと請け合いですわ。しかも公式サイトによると上下合わせて992ページで、惜しくも1000ページに届かないんですよね……買うかどうかで言ったらそりゃ当方は買います。けど、学生の頃は当方だって『夜のフロスト』を買うのに結構迷いましたよ。『冬のフロスト』だったらもう検討する余地すらなかったと思う。「検討する余地すらない」というのが、海外小説を読まない人の偽らざる心情でありましょう。かと言って安くしても新規層がそれほど食いつくとは思えず、完全にジリ貧の状態です。どうにか抜け出してほしいけど、その手立てが見えなくて歯痒いばかりだ。

『デート・ア・ライブ』7話感想 きょうぞうちゃん可愛くてエロい! (萌えオタニュース速報)

 ほんにきょうぞ、いえ狂三(くるみ)はめんこいのぅ。胡散臭いまでの明るい笑顔が最高だ。ただ、狂三のアレは個人的なイメージだと黒っぽくルサルカのナハツェーラーみたいな感じだったが、アニメだと白っぽくてベルチェ(ドラクリウス)が使う「死霊の手」みたいに見える。それは些細な点か。しかしホント可愛いなぁ。レンタルが始まったらせめて狂三回からでも観ることにしよう。途中から観ると前の回が気になっちゃうし、どうせ最初から全部観ることになっちゃうだろうけど。

『進撃の巨人』BD/DVD3巻&6巻初回特典に外伝エピソードを盛り込んだBD「ビジュアルノベル」が追加!制作協力にニトロプラス! (萌えオタニュース速報)

 ここでまさかのニトロプラス。本当にまどかのヒット以来アニメ関連の仕事が増えましたね、ニトロ。虚淵が関わっているガルガンティアは言うに及ばず、いろいろな意味で話題になっているヴァルヴレイヴのメカニックデザインにも石渡マコトが参加している。ここへ更に『進撃の巨人』が加わったわけだ。ビジュアルノベルと言ってもPCにインストールして遊ぶものではなく、BDプレーヤーで直接プレーできるタイプのものみたいです。いわゆる昔で言うところのDVD-PGですね、というかまだあるかな? DVD-PGは操作性が悪いということからあまりゲーマーに好かれていなかったけど、BDゲームはもうちょっと機能面が見直されてDVD-PGより遊びやすくなっているという話である。キャラデザは『装甲悪鬼村正』や『棺姫のチャイカ』のなまにくATK、シナリオライターは砂阿久雁、鋼屋ジン、瀬古浩司の3名で合計5つの外伝エピソードを綴るとのこと。砂阿久雁はfocaの別名義、元エロゲーライター(『ロケットの夏』など)で最近は『ROBOTICS;NOTES』のノベライズやガルガンティアの脚本を手掛けている。鋼屋ジンは解説不要ですね……うん、『ドグラQ』はどうなったんでしょうね……瀬古浩司は当方も知らない名前なのでぐぐってみた。ああ、アニメ版『進撃の巨人』の脚本を書いてる人みたいです。シリーズ構成やってる小林靖子の方が名前はよく挙がるけど、現時点では瀬古の方が担当話数は多いみたいだ。過去には『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』の脚本を何話かやってますね。このままニトロの知名度が上がり、版図が広がっていくと、やがてエロゲー時代は忘れ去られ「ニトロプラスは成年向け(18禁)ゲームの制作会社として出発した」ことがトリビアの一つになってしまうんだろうか。炎を囲み、「その昔、ちよれんというものがあってじゃな……」と語る長老にキラキラ輝く瞳を向ける子供たち。なんであれ、生き延びてくれるなら嬉しいことだ。今後のことを語れる。もう思い出話しかできないメーカーもありますからね、あぼぱとか。

・拍手レス。

 電子書籍は本来なら、本が生活スペースを圧迫する勢いで増殖してる焼津さんみたいな書痴の人にこそ救いの福音となるはずなんですけどねぇ。まあ理屈に合わないからこそのフェティシズムか。京極夏彦さんとかも、電子書籍より紙媒体派だそうですね。あの人にとって本とは、並べて眺めるものであり、匂いを嗅ぎ取るものであり、指先で感じるものであり、そして読むものであるらしい。
 一時はネット小説にハマってあれこれ貪り読みましたけど、「結局、紙が一番読みやすい」という結論に落ち着きました。気に入った奴で、あまり長くないのはプリントアウトして読み返したり。紙媒体がもっとも集中しやすい&気が散りにくいですね。

 アヌビスも大作とかぶって発売日延期したという話がありましたね。もっともその大作も延長してしまい、結局発売日がかぶるという落ちが付きましたが、双子座のパラドックスもそうなったらどうするんだろう。
 「避けたつもりで直撃する……これぞ双子座のパラドックスです」と開き直るしかないのかもしれない。


2013-05-17.

・当方は新刊の帯を眺めるのが大好きで、ネット上だとしばしば確認できないこともあるから、「買いたい本はないけど、とりあえず表紙と帯を眺めに行く」ためにわざわざ書店へ赴くこともあるくらいです。しかし最近ではamazonの書影欄に帯付verと帯無verの両方が用意されるなど、ネット上における帯確認法も充実してきた。帯見たさに知らない本のリンクをクリックして回って、特にインパクトを感じたのが『ひとつ屋根の下の』だった焼津です、こんばんは。

 顎を反らして泣いている女の子を見下ろすパースの表紙もさることながら、「追い詰められた女子高生は土下座(DOGEZA)する」って……ヒロインがまさかのゲザーかよ。「ゲザー」とは土下座を生業とする「土下座er」の略称です。土下座は最強の楯にして最強の槍、下げさせた方が漏れなく悪役になるという鬼札(ジョーカー)。それを使いこなせるのであれば、たとえ異世界に放り込まれて人語の通じぬオークに襲われそうになっても切り抜けられる。あいつら知能低そうだから土下座した瞬間にきっと見失ってオロオロするじゃん? で、そこから剥き出しの股間に向かってロケットスタートの頭突きですよ。EDでKOっスよ。さておき“コミックハイ!”の単行本は『山田さんちの妖精おじさん』も帯(と表紙)が強烈だった。ああ、でも『きんぱつへきがん関西版』の帯はネタバレ(1話目のオチが書かれている)なんで、見る前に公式サイトで第1話を先に読んでおいた方が宜しいかもしれません。「第1話のオチとか、その程度気にしないぜ」という方は直接ご確認ください。

分厚い本とシリーズものは買いたくなる(ぶく速)

 わかるわ。ぶっとい本を目にすると、心の秘唇がわななくんですよ。『南無ロックンロール二十一部経』にゃ潮噴いた。シリーズ物にも弱い。ちょっと前にもガンパレ小説を揃えてしまった。「揃える」「集める」という行為自体が愉悦であり、特にリストアップする瞬間は官能の極地と評しても過言ではない。リストを作成している段階がメッチャ楽しく、リストが完成した時点で満足してしまって買わないこともあります。本を読んでいる時間よりもリストを眺めている時間が長い日もあるのではないか、という疑惑すら持ち上がる。

 この性癖は逆に言うと、「シリーズは全部で10冊だが、1冊だけ絶版していて古本しか手に入らない」とかいう状況だと収集欲が萎えてしまう面もある。揃わないんなら、集める必要なし、みたいな。昔は特にその傾向が激しかった。今は割合チャランポランで、「とりあえず何か1冊だけでも読んでみたら? それで気に入ったら全力で集めればええやん?」と気楽な方向にシフトしつつある。でも、その「1冊だけ」と思い定めて読んでみた本が面白かったりすると、シリーズ作品はおろか作者の全著書を収集したくなるのだから困りものだ。結局積読は増える一方で全然減りません。

コットンソフト『双子座のパラドクス』が6月28日に発売延期、延期理由は予約が伸びないから(あしたがみえない)

 「クオリティアップのため」というお約束の弁明すらなく、「特に今月の発売タイトルが多い為か、思ったより予約が伸びてないとの事で営業的な判断からの変更となります」と遠慮なくぶっちゃけています。エロゲーは初動がすべてで、たとえば金曜日に発売した場合、金・土・日の3日間にどれだけ売れるか、ですべてが決まる。口コミでジワジワ売れる例というのは少ない。初動がどの程度になるか、というのも、事前に入っている予約数でだいたい分かってしまいます。予約をあの手この手で増やそうと様々なキャンペーンを打つのも、確実な数字を出して営業部や金融機関を納得させるためだそうです。昔、さるエロゲーは結構な予算を組んで制作したにも関わらず思ったほど予約が伸びなかったせいで営業スタッフと制作スタッフの間にギスギスしたムードが流れたんだとか。結論を申し上げますと、みなさん欲しいエロゲーはちゃんと予約して買いましょう。と言っても、当方だって秋葉原に通えた頃は店頭でパッケージ掴んでギリギリまで迷ったりしましたけどね。あの心地良い逡巡が好きだった。

権力TUEEってアリ?(ぶく速)

 権力TUEEEEE!よりも人脈(コネ)TUEEEEE!の方が面白そう。たとえば1巻目で助けてやった奴に「一つ貸しだな」と恩を着せて後で協力してもらったり、そいつ自身にしてもらうことはなくても有能な知人を紹介してもらったり。『デュラララ!!』の「ダラーズ」も権力というよりは人脈ですよね。いや、人脈ですらないのかアレは。ジェフリー・ディーヴァーの『石の猿』(“リンカーン・ライム”シリーズ第4弾)に出てくる“ゴースト”は、犯罪組織の要人なので関係(グワンシー、中国語でコネの意味)を駆使して追及の手から逃れようとする。デニス・レヘインの『雨に祈りを』(“パトリック&アンジー”シリーズ第5弾)も探偵側と犯人側の人脈合戦みたいなところがあった。「仲間との絆」ではなく、もっと利害関係を意識した「人脈(コネ)の力」で圧倒する展開は楽しい。これもこれで「中二」と言われますけどね。

第59回江戸川乱歩賞は竹吉優輔さん「ブージャム狩り」に決定!(ぶく速)

 タイトルは『スナーク狩り』に由来するもの? 前回の受賞作が8月発売だったから今回もそうかな。江戸川乱歩賞は当方が小説を読むことにハマって間もない頃に知った賞ということもあり、今でも結構意識してしまう。まだネットもなかった時代、巻末の広告ページから必死に乱歩賞作品をピックアップしてリストを作ったり、なかなか出回らない「最終候補まで残って落選したけど、その後刊行された作品」の情報を頑張って入手したものだった。不便だったし、もどかしくはあったけど、苦痛じゃなかった。リストマニアの血はあの頃目覚めたんでしょう。ともあれ今回も買おう。たぶん積むけど。

・拍手レス。

 電子書籍がもっと普及すればスペースの問題は解決するけど紙フェチとしては実体があって欲しい。鈍器と言われる位分厚ければなおいいですよね。R.O.Dの読子の自宅ビルあれは本好きの夢ですよね。
 電子書籍は所有感がまったく満たされず、読み終わってもページを閉じるときの感慨がいまひとつ薄い。まだまだフェチれる対象じゃないですね。

 まさかのモバマス漫画レビュー。ゲーム未プレイな人の感想だとやっぱり違ってきますね。
 ゲームの仕組み自体イマイチ分かってないっス。女の子を生贄に捧げたり自分の財布を供物にするようなルールらしいんですが……。

 お前、明日から川上稔になれ  こんな無茶ぶり久々に聞きましたわww
 成田良悟でもいい。奈須きのこ……だとあまり仕事しそうな感じがしなくてダメか。

 うづ×りんが注目されるなか、存在感が希薄になっていくちゃんみお…先日の人気投票でも圏外だったし、もうすっかり不憫キャラになってしまったなあ
 ちゃんみおはなんというか、エピローグで活躍する凜と卯月をテレビ画面越しに眩しげな顔で見ながら「よーっし、私もバイト頑張らなきゃ!」と言って汗を拭きそうなポジションというか……でも彼女がいることで漫画的にはバランスが取れてると思います。

 スティーヴン・キングも三十年かけてダークタワーを完成させましたからね。もしかして事故を起こしてなかったらもうちょっと長くかかっていたのかも。
 漫画だと『HUNTER×HUNTER』が連載開始から約15年なので、ちょうどダークタワーの半分くらいですね。あと15年経っても完成しているかどうか、ちょっと自信がない。

 一番、ルートの処理に苦戦しているのは型月ですね。一番成功したという月姫のコミック版も秋葉と双子のルートは完全無視でしたからね。
 月姫もFateも共通ルートのシナリオが少ないから難しいんですよね。一本道か、共通ルートがそこそこの長さである方がメディアミックスしやすい。『恋する乙女と守護の楯』はまさにそうだから期待してたんですが……。


2013-05-11.

荒川弘先生×田中芳樹『アルスラーン戦記』が別冊マガジン8月号より連載開始! (萌えオタニュース速報)

 予想外の角度からアル戦が降ってきた。荒川弘が描く『アルスラーン戦記』、すなわちアラカワーン戦記か……未完でまだ続いている(ただし最後の新刊が出たのは4年半前)けど、ちょっと古めのシリーズなので一応解説。『アルスラーン戦記』は田中芳樹が1986年に開始した「ペルシャっぽい国が舞台のファンタジー小説」であり、当初は角川文庫から刊行されていたが、10巻目の『妖雲群行』以降続刊の出る気配がなくなり、絶版してしまった。2003年に出版社を光文社に変更して復刊、2005年には11巻目となる『魔軍襲来』をカッパノベルスより刊行して本格的に再開するも、2008年に13巻目を発売したきりまた続刊の出る気配がなくなった。田中芳樹は佐藤大輔と並んで「シリーズ作品を途中で放り出す」ことに定評がある「未完の帝王」であり、アルスラーンと同時期にスタートした『創竜伝』『タイタニア』も完結していない。『創竜伝』は10年、『タイタニア』に至っては20年以上も純粋な意味での新刊が発売されていない。Wikipediaによると『タイタニア』は全5巻構想で、田中芳樹も終わらせる意志はあるらしい(現在は第4巻を執筆中)のだが……閑話休題、『アルスラーン戦記』はまだ「ライトノベル」という用語が普及していなかった頃に大流行したシリーズの一つであり、「戦記と言えばアルスラーンとロードス島」ってなくらいで学校の図書館にも置かれていたりしました。コーナーはだいたい「文庫」か「YA(ヤングアダルト)」。あまりにも長引いているせいでさすがにダレて脱落した読者も相当な数に上るだろうと予測されますが、少なくともシリーズ前半は問答無用の面白さで少年たちの心を鷲掴みしたので、漫画化によって人気が再燃する可能性はありますね。しかしそれでも田中芳樹がアルスラーンを完結まで書き抜く保証はない。正直、完結が確定してから(最終巻が発売されてから)まとめて読むことをオススメします。田中芳樹のファンタジーは『マヴァール年代記』がオススメ。あれはちゃんと完結してますからね。

社会人になってラノベ買う金には困らなくなったけど、気づくと月20冊以上買ってて置く場所がない しかもほとんど読めてない(ぶく速)

 当方もコレに該当しますが、完全に買い物依存症です。仕事やら何やらで溜め込んだストレスを新刊購入によって発散している状態。「買おうかな、どうしようかな」と迷っているときが一番楽しく、買ってきた本をどう並べるか頭を悩ませるのもなかなか楽しく、実際に読んでみるのもすごく楽しい。あれ? いいこと尽くめじゃないですか。確かにスペースの問題が深刻で一時は寝る場所の確保すら困難だったけど、整理に整理を重ねて若干ながら解決したし、全部読むわけじゃないにしろ「どれにしようかな」と本屋で迷うような体験をふたたび自宅で味わえるのだからオトクっちゃオトクだ。本当に寝る場所がなくなったら方針の変更を検討いたします。

ToHeartのアニメって良作だよな(家宝は2次元)

 さすがに今観ると時代を感じる出来だけど、当方がエロゲーという名の底無し沼に沈んでいく契機となった一作だけに思い入れが深い。主人公・藤田浩之の「やる気がなくていつもダルそうにしているけど、やるときはキチッとやる」態度は10代の心をくすぐりまくったものだった。芹香先輩のセリフを聴き取るためにテレビのボリュームを目一杯上げたなぁ、懐かしい。PS版の購入に踏み切ったのも主に先輩目当てでした。特にこれといったストーリーもなく、大きな目標も掲げられず、様々なヒロインを相手にチマチマと小イベントをこなす内容は今でいう「日常系」とか「空気系」に当たるかもしれない。キャラも好きだったけど雰囲気も好きだった。個別ルート処理の難しさからシリーズ構成が難航するギャルゲー(エロゲー)原作のアニメとしては珍しく上手くハマった一作。

・namoの『アイドルマスター シンデレラガールズ ニュージェネレーションズ』読んだ。

 コミカライズ作品。それにしても、まさかしまむらさん(島村卯月)がここまで表紙の大部分を占めることになろうとは……輝く貌のウヅキッドに当方の繊細な箇所も疼き出す。ホンマしまむらはん可愛すぎるわ……こんな天女を捕まえておいて「普通」はないでしょ、「普通」は。「理性がとろける愛らしさ」と呼ぶべき。さて、この漫画がアイマスというコンテンツにとってどういう位置付けなのか、真面目に解説するとクソ長くなってしまうので割愛したいところだけど、一応ザックリ書いとこう。

 まず大元のアイマスこと『アイドルマスター』はバンダイと合併する前のナムコが2005年より稼動開始したアーケードゲーム『THE IDOLM@STER』に端を発する。プレーヤーがプロデューサーとなって新人アイドルたちを育成していくシミュレーションゲームであり、家庭用ゲーム機にも移植されて大ヒットを飛ばした。2007年には初のアニメ化を果たしたものの、いろいろアレな内容だったせいもあってファンは積極的に語りたがらない。詳しくは『アイドルマスター XENOGLOSSIA』でぐぐろう。2011年には待望の続編『THE IDOLM@STER 2』(アイマス2)が発売され、悲願となる2度目のアニメ化も実現。そのアニメ版のタイトルは『THE IDOLM@STER』だが、話としてはアイマス2準拠であり、ここから観始めるとキャラの性格や関係がちょっと分かりにくいかも。『アイドルマスター シンデレラガールズ』はそうしたアイマス関連の企画から派生したシリーズで、アイマスアニメ(2度目の方)が放送終了する少し前の時期にスタートした。モバゲーのコンテンツなので「モバマス」という略称が普及しているものの、改まった場では「シンデレラガールズ」と表記される傾向にあります。モバマスは携帯端末を使ってプレーするソーシャルゲームであり、「アイドルを育成する」点は他のアイマスと一緒ですが、特徴は何と言っても用意されたアイドル候補生の多さ。公式では「100人以上」と謳っている(サービス開始時点では104人だった)が、追加に次ぐ追加でそろそろ200人突破しそうな勢いだという。大元のゲームに登場するアイドルが十数人程度であることを考えると圧倒的な物量差であり、もはや「アイマスとモバマスは世界観を共有した別の物語」と申しても過言ではありません。あまりにもキャラクター数が多すぎるため、個々のイベントこそ用意されているものの全体を統括するような「一般的な意味合いでのストーリー性」は希薄である。200人近いキャラを捌き切るだなんて、そんなの「お前、明日から川上稔になれ」と言われるようなもんですよ。

 そういった理由からモバマスのコミカライズも「全体の状況を描く」というよりは「個々の状況を描く」ものになっており、内容的にもちょっとパラレルな雰囲気だ。『ニュージェネレーションズ』もいくつかあるモバマス漫画作品の一つであり、渋谷凜、本田未央、島村卯月の3名がアイドルを目指してレッスンやら何やらに励む、といった話になっている。「合格通知を出したのはこちらの手違い、本当は君たち全員不合格だった」と告げられる第1話が若干予想外だったものの、以降の展開は順当というかベタベタで、「真っ直ぐ懸命に頑張る少女たち」を何の衒いも捻りもなくストレートに描いていく。ちょっと気恥ずかしいくらいだけど、可愛くて、楽しくて、読んでいて素直に応援したくなります。クールな見た目で「愛想がない」と言われる凜と、天然気味で可愛いけれどアイドルとして突出したところがなく「普通」やら「平凡」やらといった烙印を押されている卯月が成り行きから一緒にお買い物することになって打ち解けていく日常イベントや、「自分が諦めないでいられるのは、貴女たちが先に諦めないでいてくれたおかげだ」と言葉に出さず闘志を燃やす未央など、胸の奥にズンと来る。何より単純に作画が素晴らしい。見ていて飽きず、ただただ見惚れるばかり。デフォメルしている箇所が多いけど、崩し方が絶妙だし、ちょくちょく崩すおかげで「崩さないとき」の表情が一層印象的なものになっている。どんなに眺めていても「不満」と呼べるようなものがサッパリ湧いてこない。たまに凜の口の位置が気になったくらいかな。

 そして一番強調したいところは、島村卯月の優遇されっぷり。視点が頻繁に変わるせいもあって群像劇めいたノリになっていますが、1巻の時点では卯月が一番主人公に近いポジションです。彼女のキュートさが、ただただひたすら胸に染み入る。島村好きはこぞって歓喜せよ。落ち込んでいるところを励まされ、他のふたりが落ち込みそうになったらお返しとばかりに自らおどけてみせるしまむらさん、マジ天使。「凜のことをあまり知らない」って事実に気づいて彼女の跡を尾行るイベントも美味しい。ってか卯月と凜のカップル、間に未央がいないと一気に百合めいたムードが立ち込めますね。「一緒にお買い物」と上に書いたけど、雰囲気が完全にデートですよ。平凡だけど天然で明るい卯月ちゃん、歌唱力が高くルックスも秀でているけど無愛想に見える凜ちゃん、この組み合わせはとにかく百合好きの煩悩を刺激し、よからぬ妄想を促して已まない。卯月が他の子と仲良くしているところを目の当たりにして内心嫉妬する凜とか想像しただけでご飯がススムくん。「百合回避」の名目だけでも未央の存在価値がありますね。1巻はレッスンの過程で終わってしまい、ほとんどアイドルらしい活躍を示す場面がなかったけど、何か突発的な仕事が生じるみたいなので2巻からちょっとはそれらしい活動を始める、はず。当方自身はモバマスをやったことがない(そもそも携帯端末持ってない)けれど、コンテンツとして急激に成長しつつあるモバマスには大いに期待を寄せている。ゆくゆくはアニメ化もされるだろうけど、どうしても人数がネックとなるでしょうね。まず声優が200人も集められるかどうか。兼用するしかないのか。ちなみに当方は最近緒方智絵里が気になっている。この漫画にもチラッと出てきましたね。

・拍手レス。

 アニメ見終わってアカギがまだ続いていると知ったときも驚きました。
 鷲巣戦はやっと終わったそうですがまだ続いてますね。

 (焼津さんの腹筋が)死 ぬ が よ い 。ググってみよう「六条さん激おこぷんぷん丸」
 すげえ、一瞬で殺されたあの六条さんが、少なくとも射干った冷泉あたりと互角に戦えそうに見える……!

 るい智ノベライズ版(桜ノ杜ぶんこ)を買ってみたのですが、ここの文庫はどの本も分厚くて好感が持てますね。分厚いは正義! …本が崩壊しそうで怖いレベルまで行かなければ、ですが。
 桜ノ杜は紙質がちょっと厚いのとお値段張るのが難点だけど密かに応援したいレーベルではあります。


2013-05-06.

・正田崇が『PARADISE LOST』『Dies irae』『神咒神威神楽』の3作に渡るシリーズの正式名称を「神座万象シリーズ」に定めたと知って「ようやくか」と思いつつ、やっとこれで表記の揺れがなくなると安心している焼津です、こんばんは。

 つまりパラロスは「神座万象第1弾」、Diesは「神座万象第2弾」、神咒は「神座万象第3弾」と銘打てばいいんですな。神咒はあくまで第3弾であって「神座万象最終作」とならないことを祈る……あと、戦神館が落ち着いたら神座万象FDも欲しいところ。第一天や第二天が出てくる超次元的なネタとか来ないかしら。

「高慢と偏見とゾンビ」映画化が再始動! 主演はリリー・コリンズ(ぶく速)

 一旦お流れになっていたみたいだけど、再燃したのか。『リンカーン / 秘密の書』がヒットしたおかげかな? 原作の『高慢と偏見とゾンビ』は「既に存在している文書」を元にあれこれ書き足す形で仕上げた「マッシュアップ小説」と呼ばれるものです。つまりオースティンの『高慢と偏見』をベースに、ゾンビ要素を勝手に付け加えて作った本。いわゆる「MAD動画」を小説でやったようなもんです。元の素材を大量に流用している(そのためオースティンも著者の一人として表記されている)から、パロディとも少し違う。小説は動画に比べて「素材の切り貼り」がしやすいとはいえ、ここまで大胆にやる例は珍しい。いっとき流行った語句変換ジェネレーターを人力でやるようなものだから手間は掛かっているのだが、不快感を覚える原典ファンも少なくないだろうし、上手く真似するのが難しいジャンルではある。以前はナタリー・ポートマンが主演する予定という話でしたが、さすがにそこまで戻すことはできなかったか。しかし、映画を観に行く層の何割くらいが『高慢と偏見』を読んでいるのだろう……リンカーンに比べると少しターゲット範囲が狭い気もする。

・原作:倉田英之、漫画:藤ちょこの『R.O.D REHABILITATION』読んだ。

 話題にすると「え? あれってまだ完結してなかったの?」と驚かれる『R.O.D』の最新作にしてオルタナティヴな一冊。読子ならぬ「読魅子」が主人公を務めており、両者は「紙使い(ザ・ペーパー)の愛書狂(ビブリオマニア)」という点で一致しているが、ビブリオマニアのライトサイドを示した読子に対し、読魅子はビブリオマニアのダークサイドを体現する存在として描かれています。さて、内容について語る前にまずは『R.O.D』そのものについておさらい。タイトルは「READ OR DIE」の略、直訳すると「読むか死ぬか」であるが公式では「読まずに死ねるか!!」と意訳している。アニメの脚本家およびコラムニストとしてコアな人気を誇っている倉田英之が2000年から開始したプロジェクトであり、まず小説版が刊行され、その後OVA版や漫画版、ドラマCD版、TVアニメ版など多メディア展開が行われた。シリーズの開始点が小説版であるためこれを「原作」と呼ぶこともありますが、小説版とアニメ版はストーリーがかなり異なるらしい(アニメ版は未視聴)ので別個のシリーズとして捉えた方が宜しいかもしれません。アニメ版や漫画版は一応完結しましたが、小説版は4巻以降の「グーテンベルグ・ペーパー編」がまとまらないまま中断となってしまった。正直、風呂敷の広げ過ぎだったのではないかと……番外編である7巻と10巻を除き、ずーっとグーテンベルグ・ペーパー編でしたからね。現時点での最新刊(11巻)が2006年2月に発売されたのを最後に、プロジェクトは沈黙の段階へ入る。そして7年の時を経て発売された新コミカライズが、この『R.O.D REHABILITATION』なのであります。書けなくなった倉田のリハビリ、という若干皮肉の利いたタイトル。無印との繋がりは不明で、逆に言えば『R.O.D』をまったく知らなくても楽しめる仕上がりとなっている。

 20XX年、世界最後の印刷機が停止――「大量出版時代」は終わりを告げ、人々は「本の死」を声高に叫んだ。しかし、電子書籍の時代に背を向け、愛書狂(ビブリオマニア)たちは最後の砦である独立国家「愛書都市(ビブリオポリス)」を建設し大量の書物とともに引き篭もった。ビブリオポリスの価値はすべて「本」、書籍が通貨であり書籍がID、口座の変わりに本棚が個人の資産を貯める器として敬われる。その都市に読魅子(ヨミコ)は舞い降りた。未読の本を貪るためならどんな手段を講じることも厭わない、人命よりも書物が大切な、闇のビブリオマニアにして最凶無比の紙使い。「本が死んだなど非読の糞たちの戯言…」「本を殺すのは 私だ」

 「ダメ人間ではあるけど悪人ではない」読子・リードマンのみでは描き切れない愛書狂の「負の面」を写し取る、煤けたムードの文系アクション漫画。「闇のビブリオマニア」を描く話というと横田順彌の『古書狩り』を思い出すが、REHABILITATIONは本云々よりもビブリオポリスという架空都市の探索気分を味わうのが楽しい話となっています。都市は地下六層構造で、下に行くほど稀覯本が眠っている――という、ダンジョンみたいな設定もワクワクする。残念ながら全1冊のコミックゆえ、細部は設定のみになってしまったところもありますが、「美しい配列の本棚」をつくることに心血を注ぐ「並べ屋」など脇を固めるキャラも単なる愛書家ではなくて広がりを感じます。ちなみに、並べ屋に近い職業として「ブックディレクター」なるものがあります。詳しくは『本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事』あたりを参照のこと。選書集団「BACH(バッハ)」とか、それこそ漫画みたいで興味深い。続けようとすれば無理に続けられないでもない内容だが、クライマックスで常軌を逸した壮大な展開を見せることもあり、恐らくこれ以上続ける意志はないでしょう。よっぽどのアイデアがなければ何をしても蛇足にしかならない。やはり全1冊という短さで物足りなさを覚える部分もあるが、リハビリ仕事としてはまずまずではないだろうか。あとがきによれば小説版も今年(2013年)中に再開して完結へ向かっていく模様だ。

 最後に、雨宮誠二と読魅子の遣り取りについて。

「私と結婚してください 読魅子さん」
「私はもう本と結ばれているのでダメです」

 これって倉田英之の実体験じゃねーか! 詳細が知りたい人は『倉本 倉田の蔵出し』を読もう。

・拍手レス。

 小説家になろう!で連載してる「黒の魔王」ってご存知ですかね?今度書籍化されるんですけど、ヒロインがヤンデレしかいないww
 なろうは詳しくないけど『黒の魔王』は「ヒロインの嫉妬と束縛が激しい」と漏れ聞いたような記憶が。書籍化するならチェックしてみます。

 ジョジョのディオも能力の実験をしたようなことが描いてあったなあ
 ザ・ワールドもだんだん止められる秒数が長くなった、みたいな話でしたね。


2013-05-03.

・梅津裕一の名前って最近見かけないなぁ、今どうしているのだろう……と懐かしみながらamazonで検索して驚愕。知らない作品名が山のように出てきたではないですか。どうやら知らないうちに活躍の場を電子書籍に移していたらしい。少し喜んだ焼津です、こんばんは。

 喜んだのが「少し」だけなのは、やっぱり紙媒体で読みたいからです。でも作家として健在であることを知ることができたのは嬉しかった。ちょっとデータをまとめてみよう。発表順がよく分からないから並べ方はテキトーです。

 『キオクシ』(244ページ)
 『安楽死館(前編・後編)』(78ページ/79ページ)
 『猫鳴村のダキニ(上・中・下)』(114ページ/154ページ/156ページ)
 『オグロサマ(黒の玉繭編/朱の絹織編/白のくくり糸編/黄金の木編)』(302ページ/306ページ/301ページ/308ページ)※前半は4編すべて共通で、後半が異なるマルチシナリオ形式
 『快楽のモルモット(上・中・下)』(156ページ/158ページ/153ページ)
 『子供のオモチャ(上・下)』(198ページ/201ページ)
 『不幸育成牧場(上・下)』(187ページ/149ページ)
 『洗脳教室(上・下)』(182ページ/204ページ)
 『学校のおぞましい話』(187ページ)
 『コワクナイ(上・中・下)』(154ページ/145ページ/150ページ)
 『渋谷呪殺堂』(153ページ)
 『死亡予報』(175ページ)
 『誰かの記憶』(270ページ)
 『日本終了(上・下)』(170ページ/211ページ)
 『C人民共和国倭自治区(上・下)』(198ページ/203ページ)
 『ある屍の恋(上・下)』(174ページ/203ページ)
 『殺人権を行使しますか?(上・下)』(210ページ/215ページ)
 『虐殺王国(上・下)』(213ページ/182ページ)
 『牛頭の目覚め(上・下)』(184ページ/181ページ)

 計19作品、現状これが全部のはず。他に『ホラー短編傑作選 兇』『ホラー短編傑作選 兇〈弐〉』、ふたつのアンソロジーに参加していますが、前者収録の「怪奇ミイラ女」は『学校のおぞましい話』にも入ってますね。後者の「死者のいる風景」は他の分には収録されていない? ともあれ、総計すると6000ページは超えるんじゃないですかね。今まで知らなかったことが不思議なくらい膨大な量だ。梅津裕一(うめつ・ゆういち)は2000年に『闇魔術師ネフィリス 悪意の街』でデビュー(実際はこれより前に『Kar‐MAN』の小説化を手掛けていたらしいが、単行本として発売されたのはコレが初)。翌年2001年に続編『闇魔術師ネフィリス 聖なる暗黒』が発売されるも、打ち切られたようで3冊目は発売されず。2002年には「スニーカー・ミステリ倶楽部」という割合すぐにポシャってしまったレーベル(余談ながら米澤穂信の“古典部”シリーズ2作、『氷菓』『愚者のエンドロール』はこのレーベルに所属する作品だった)から『アザゼルの鎖』を発売するが、純粋なオリジナル小説の刊行はこれが最後になった。その後は先述した『Kar‐MAN』と今敏監督アニメのノベライズ『妄想代理人』を出し、そして『ウルトラQ―dark fantasy』というアンソロジーに参加して以降、名前を見かけなくなりました。紙媒体での代表作『闇魔術師ネフィリス』は非常に容赦のないダーク・ファンタジーで、当方みたいな好事家のハートを射止めることには成功したが、悲しいくらい話題にならなかったです。「暗黒ライトノベル」みたいな話題になったときでさえ、ほとんど名前が挙がらない。話の途中で終わっているのに『アザゼルの鎖』巻末広告で「全2巻」と表記されてしまった悔しさは今でも忘れることができません。さて、当方の選択肢はふたつ。このまま指を咥えて上記リストの作品が紙媒体で発売されるまで待ち続けるか、いっそもう電子書籍に手を出してしまうか……悩ましいところだ。差し当たっては身の回りの積読消化を優先しますけども。

 ところで『ホラー短編傑作選 兇』の収録作を眺めていたら「狂気太郎」の名前を見つけてビックリした。前世紀からスプラッター色の強いWeb小説を発表し続けている方です。2001年に『想師』という小説で第1回ムー伝奇ノベル大賞(たった5回で終わったドマイナー新人賞だが、誉田哲也もここでデビューしている)の「優秀賞」を受賞し、翌年刊行され商業デビュー。さすがに狂気太郎というPNは差し支えがあったのか、「灰崎抗」名義に変更し『殺戮の地平』『想師U 悪魔の闇鍋』を発刊するも、紙媒体での活動は3冊のみに留まった。Wikipediaの記述によると、2009年頃から狂気太郎名義で電子書籍のリリースを開始した模様である。『想師』の3作目『創世二人羽織』(シリーズ完結編らしい)まであって大いにそそられる。やはり手を出してしまうべきか……ちなみに、紙媒体では『想師』が、Web小説では「地獄王」が好きです。チェックをサボっているうちに“カイスト”シリーズ(「何度でも生まれ変わり、幾つもの世界を渡り歩く超能力者達」のサーガ、狂気太郎のライフワーク)の新作が来てた、読まなきゃ。

『GANTZ』、集英社ジャンプリミックス刊行開始(集英社ジャンプリミックス)

 要はコンビニコミックです。一般書店での取扱いはないけど、コンビニやamazonで販売されている。作りは安っぽいものの実際安い廉価版。5月2日に第1巻「ねぎ星人編」と第2巻「田中星人編」を、17日に第3巻「あばれんぼう星人&おこりんぼう星人編」を、31日に第4巻「チビ星人編」を、6月14日に第5巻「新宿大虐殺編」を、28日に第6巻「かっぺ星人編」を発売する予定となっています。だいたい隔週ペースで刊行されるものだと思えば宜しいかと。『GANTZ』がもうすぐ連載終了するらしいので、そのタイミングに合わせて開始したものと思われる。詳しいことは不明だけど、廉価版は1冊1冊が厚めだから10冊〜20冊くらいで完結まで行くんじゃないかな。「『GANTZ』は気になっていたけど今まで読む機会がなかった」という当方みたいな人や、「もう一度最初から読み返したいけど手元に単行本がない」という人にはちょうどイイでしょう。連載開始から約12年か。実は単行本1巻目の発売が『朝霧の巫女』と同時期なんですよね。奇しくも完結のタイミングまで重なった。

「魂は消滅しない」「死後の世界が存在する」 医学的な証明 キタ━━━━(゚◇゚)━━━━!! (暇人\(^o^)/速報)

 『ターミナル・エクスペリメント』の開幕か。そのうち『第七女子会彷徨』の「デジタル天国」も実装されるかもしれませんね。

もし自分に特殊能力が発現したら限界を把握するためにいろいろ試すだろうなと思う(ぶく速)

 『幽霊には微笑を、生者には花束を』の主人公は結構細かく検証していた。あれは別に主人公が特殊能力に目覚める話じゃなかったけど……ポジションとしては『タイム・リープ』の若松和彦に近かったか。個人的には、「能力に目覚めたばかりの主人公が自分のパワーを検証する」という前半あたりの展開は概ね楽しく感じられる。『コードギアス』でルルーシュがギアスの検証をしているあたりも好きだった。主人公と戦う敵キャラも、「こいつだって初心者の頃はあれこれ試行錯誤して能力の限界や特性を確認したんだろうなぁ」と想像してしまう。その点で行くと、メチャクチャ強い能力ほど検証しにくい(周りに与える実害が大きい)はずなので、バトルものにありがちな「シリーズ後半になって登場してきた強キャラが割とあっさり負ける」は案外理に適っているのかもしれません。結論としては、ショボい能力を工夫して使っている奴は敵だろうと味方だろうと好感が持てるよね、ってことで。

・拍手レス。

 >忍類憐みの令  ……ああ、テンゾー犬臭いから……とか思っちゃいましたよ。
 テンゾーなら慈悲はない。


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