2013年1月分


2013-01-30.

『Garden』開発凍結の影響もあって無性に『水月』が懐かしくなり、久々にF&CのOHPへ立ち寄ってみたら『こなかな2』とか言っていて脱力した焼津です、こんばんは。

 『水月弐』に引き続いてここはまたもう……『こなかな』とは2003年に発売されたエロゲー『こなたよりかなたまで』の略称です。2003年と言っても12月発売だったので、まだ9年ちょっとですね。しかしあと10ヶ月ほどで10周年を迎えるわけか。信じられない気分だ。こなかなは「主人公が癌患者でヒロインが吸血鬼」と、いささか特異な設定。あくまでヒトとして残り少ない生を全うするか、それとも存えるために人間をやめて彼女の眷属となるか、岐路に立たされ逡巡する。そんなシチュエーションを日常描写重視で綴ったライト伝奇ストーリーです。タイトルの「こなた(此方)」は人間である主人公、「かなた(彼方)」は吸血鬼であるヒロインを指し、「人間から吸血鬼への移行」を暗示する――という見方とともに、そのまま「現世(こなた)から彼岸(かなた)へ」、つまり死出の旅を表していると受け取ることができます。どちらにしろ、「こなた」には留まれない。如何なる道を選ぼうと、「かなた」へ赴かなくてはならないのです。設定から『月姫』と比較する向きもありましたが、あれに比べると伝奇色(特にバトル要素)は薄め。そこは少し物足りなかったところか。でもミドルサイズのシナリオゲーとしては良作の部類に属する一本でした。

 『こなかな2』は去年発売されたPSP向けギャルゲー『屋根裏の彼女』に新キャラとエッチシーンを追加してPC向けに移植する、言うなれば18禁完全版。『To Heart2』における「XRATED」、『リトルバスターズ!』における「エクスタシー」に相当すると受け取れば宜しいかと。『屋根裏の彼女』も「『こなかな』の続編」という触れ込みで売られていましたが、当然のようにと申しますか、オリジナル版とはシナリオライターも原画家も別です。ちなみに『こなかな』のライターは健速(たけはや)、原画はしゃあ。健速は最近あまりエロゲーの仕事やってなくて、半ばライトノベル作家となってきています。それにしても、PC移植に際してタイトルを『こなかな2』へ変更するとは、なりふり構わないにもほどがある。F&Cもすっかりこういうポジションが板についてしまったなぁ……老舗ではあるんですけれど、伊藤乃絵美(「攻略不可能な妹キャラ」の代名詞)人気の凄まじかった時代がまるで夢のようだ。

「咲-Saki-阿知賀編スペシャルエピソード」 BD&DVD価格変更について

 「たった1話収録のBDが7140円(税込)というのは高い」と不評だった阿知賀編の7巻と8巻がこのたびプライスダウン、なんと1000円安でのご提供となりました。各1話収録で6090円(税込)。依然として高価だが、販売店の値引きも考慮するとギリギリ手が出せる領域にまで下りてきたか。13話は面白かったので、とりあえず7巻だけでも購入するつもりです。8巻は14話の出来次第で検討する。1話のみとはいえ、OPもEDも削って30分の尺いっぱいに内容を詰め込んでいますから、量的には1.4話くらいあります。実際、視聴したときには途中で「まだあるのか」と思わず時計を確認するほど長く感じられました。この売り方はどうかと疑問が湧く部分もなくはないけど、なんだかんだで当方が麻雀にハマるキッカケとなったアニメですからな。繰り返し観返すことは確実なのでBDは押さえておきたい。

『琴浦さん』のアニメは3話目まで観ました。安定して面白い。

 雰囲気に反してやや暗いというか重めの要素を持った話だけど、アホで前向きな真鍋くんの存在にかなり救われる。琴浦さんと真鍋くん、ふたりの関係が痒いくらいにもどかしく、ラブコメとして視聴しても充分楽しい。また、先生が教室に入ってきて口を開く前に琴浦さんのハッとする表情を見せることで「他人の心を読める」という設定を活かしつつテンポの良い展開にしているあたりも小気味良かった。心が読める琴浦さんとクラスメイトたちの温度差、そして動揺する中で「心を読まれている」ことに気づき更に動揺を深める森谷……スピーディかつ緊迫感溢れる演出に引き込まれました。しかし、琴浦さんの「他人の心を読める」って設定を観ていると、どうしてもアレを思い出しちゃいますね。ほら、アレですよ、アレ。

「私ね、人の心を読めるの」

 恨みがましい性分である当方のこと、開発凍結になったくらいでネタにすることをやめるつもりはありませぬ。さあ皆さんも『Garden』のデモムービー観ましょう。

10年前のエロゲ一覧wwwwwwwwwwwwww「好き好き大好きっ」経由)

 この手のスレも毎年恒例になってきましたな。2002年頃から秋葉原にちょくちょく通うようになったせいもあり、挙がっているタイトルの大半を覚えている。学生でお金がなく、中古ショップで安くなったソフトを適宜拾っていた(特にワゴンは掘り出し物が多くて重宝した)から、2003年当時に購入してリアルタイムでプレーしたものはそんなに多くないけど……せいぜい「体験版はプレーした」程度のゲームがほとんど。1月は『SNOW』と『モエかん』を買ったっけ。2月は『CANNON BALL』、3月は特に何も買わず、4月に『ショコラ』と『斬魔大聖デモンベイン』。発売日に購入してハズレを引くのが怖かったから、評判を調べて翌月くらいに買ったソフトも多いです。『CROSS†CHANNEL』も9月発売だけど、買ったのは10月。体験版で気になっていたものの、『Ricotte』があったから後回しにしていたんだった。2003年の9月26日は俗に言う「激戦区」で、野々原幹もそのことをネタにしたCGを描いていたくらいです。ヘルメット被ったリコッテが激戦区に突入しようと決意する、でも戦場に入ることすらできない……みたいなイメージイラスト。この日だけで20本くらいの新作が発売されており、AUGUSTの『月は東に日は西に』、Leafの『天使のいない12月』、キャラメルBOXの『めぐり、ひとひら。』など話題作が犇めき合っていました。結果として一番伸びたのがAUGUSTか……今月の激戦区に発売された新作も凄い売れ行きらしいですね。

 この頃に関するトリビア的情報を一つ。秋葉原のエロゲーショップ各店で、『さよならを教えて』がまだ普通に新品で売られていました。メッセやソフマップ等、複数の店舗でひっそりと棚差になっているのを見かけた記憶があります。ただ中古は高騰化し始めていて、新品よりも高額になっていた気がする……そのへんについては記憶がちょっと曖昧。エロゲーと言えば今は『モテすぎて修羅場なオレ』に興味をそそられている。開始時点で主人公が四股をかけている――という設定で、浮気している事実がバレないようにあっちこっち駆けずり回ってごまかす話になる模様。武器を持った女の子たちに追い回されるOHPの「ダークサイド」に笑った(あくまで冗談で、本編にああいう展開はないらしいが)。そして4コマ漫画で「(浮気したら)陰茎を切り飛ばしますかね」とニッコリおっしゃるお嬢様がステキです。果たして上質な修羅場ラブコメとして仕上がるか、それとも新たな最低系ダメ主人公の誕生となるか。

・拍手レス。

 開発凍結よりも、怒りの庭事件から5年経っていたということに言葉を無くした・・・
 時期的には『Fate/Zero』(同人版)が完結したり、『キャノン先生トばしすぎ』が話題になっていた頃。1年後にはアイ参が「ごらんの有様だよ」と……。

 星界の戦旗が復活とか…書き下ろしのためにゲームとか買いあさったなぁ。
 最近「あのシリーズが復活!」みたいなニュース多いなぁ。地味なところでは妹尾ゆふ子の『翼の帰る処』が判型を変えて再起動していたり。

 業界を震撼させた怒りの庭騒動もついに終幕ですか。最後はくっきりと明暗が分かれてしまいましたね。
 パッチ配布スケジュールを早期に発表するなど、最初の数ヶ月は『Garden』の方がリードしていたんですけどね……ウサギとカメの話を地で行った感覚です。

 最近アイの庭がカラオケ配信されたばかりなので、もしや何か好転するのではと思っていたら…ひどく残念な結果ですね
 「アイの庭」聴いてると泣けてきてしょうがない。amazon見たら「アイの庭」のCDが半値以下の投げ売り価格で更に泣けた。

 数多くの絶望と嘆きを生んだ怒りの庭騒動。その片割れであるDiesがまさかの完結→(厳密にそう言えるかは分かりませんが)続編→CSという大復活を遂げた一方でこの惨事。いや、確かに薄々思ってた。思ってたけどさぁ……………!
 トノイケと☆のコンビは『水月』の後で『ARIA』という企画をポシャらせていたし、『Garden』もその二の舞になるのでは……という不安は実のところ発売前からありました。ただ考えたくなかっただけなんや……。


2013-01-26.

・みなさんにある悲しいお報せを伝えるためだけに緊急更新を行うことにした焼津です、こんばんは。

Garden開発凍結、並びに無償代替タイトルの開発に関するお知らせ(CUFFS)

 遂にこの日が来た、来てしまった……前回の告知が2010年1月22日。実に3年ぶりとなるトノイケ自らのコメントが発表されましたが、やはり3年間ずっと音沙汰ナシだっただけに状況が進展しているはずもなかった。発売から数えると5年、ようやく『Garden』は正式に開発凍結タイトルとなりました。「おかえり、アイの庭」とはならなかった……大方の予想通り、「さよなら、アイの庭」となってしまった。半ば惰性気味に「諦めない」と言い張り続け、ことあるごとにネタにしてきた当方、内心では既に諦めかけておりましたけれど、それでも大本営直々の試合終了宣言は胸にズンと来るものがある。横隔膜のあたりにドブドブと濁った水が注ぎ込まれていくような寒く冷たい感覚に指先の力が抜けていきます。経緯を知らない方のためにザックリ説明いたしますと、『Garden』は5年前、2008年1月に発売されたエロゲーです。シナリオ・トノイケダイスケ、原画・☆画野朗――つまり『水月』『さくらむすび』コンビの本格的な新作とあって大いに注目されたソフトでしたが、いざリリースされてみると、シナリオが未完成だった。攻略できるはずだったキャラ(姫宮瑠璃と竜胆愛)が攻略できない、攻略可能なキャラも明らかにトノイケが書いたとは思えない雰囲気の違ったテキストになっている……まさしく、『Garden』の1ヶ月前に発売されて「怒りの日」と呼ばれる騒動を引き起こした『Dies irae-Also sprach Zarathustra-』の再現でした。歴史再現にしてはあまりにも早すぎる事態に、2本立て続けに直撃を食らったユーザー(当方もその一人)は大いに惑乱します。Dies irae(怒りの日)とGarden(庭)の組み合わせから一連の騒ぎを「怒りの庭」とまとめる向きもありました。竜胆愛のシナリオはその後ちゃんと制作されてパッチ形式で無料配布され、瑠璃と並ぶメイン級ヒロイン・絵里香のシナリオもトノイケがリライトしたものに差し替えられましたが、肝心要、『Garden』を象徴する瑠璃のシナリオだけがいつまで経っても仕上がらなかった。一旦は仕上がったのですが「深刻な問題点があると発覚した」せいでふたたび五里夢中となり、あれよあれよと3年の年月が経過して、今に至ります。これで瑠璃シナリオは完全無欠のお蔵入りとなり、『Garden』は未完成のまま閉園することと相成りました。埋め合わせとして「新規タイトル」を制作し『Garden』のユーザーに無償で提供するとのこと(規模は『ワンコとリリー』程度らしい、ボイスは付かないそう)ですが、さすがに喜ぶ気にゃなれませんな。そっちにしたって本当に完成するのかよ……という疑念が付きまとうし。つか原画は誰でしょう。☆画野朗? それとも『ワンコとリリー』の桜沢いづみ? 望んでいた形とは異なりますが、なんであれ、これによって『Garden』を巡る長い長い不安と猜疑、諦観と切望のスパイラルはフィニッシュです。指に刺さっていた棘が抜けたような、ホッとする気分がちょっとだけとはいえ、ないでもない。でも荒涼たる喪失感が凄まじく、湧き上がる僅かな安堵さえもたちまちのうちに吹き飛ばされる。指に刺さっていた棘が抜けた、ってより、棘の刺さっていた指を切り落とされた、と表現した方が実感に近いかもしれない。確か『Garden』作中、墓参りで死者に向かって「俺の前から消えてくれ」と頼み込むシーンがあったな。ふとそれを思い出しました。

・拍手レス。

 ついにGardenの開発が凍結しましたね。残念ですが、新作がみられると前向きに捉えたいです。
 こうなるだろうこと予想していたはずなのに、脱力感がひどい。新作に関しては情報が出るまで何とも言いがたいところです。


2013-01-24.

・久々にエロゲーの情報を漁っていたらALcotハニカムが次に出す新作のタイトルが『Dang!Dang!団地妻』と知り驚愕することしきりの焼津です、こんばんは。

 あそこって学園モノ主体のブランドじゃなかったっけ? と目を疑いながらクリックして更に驚愕。そこには「団地妻」のイメージとはかけ離れたロリロリなヒロインたちが……幼い頃「団地妻になるのが将来の夢」と語っていた初恋の少女が団地オーナーとなった主人公のところにやってくる、というストーリーだそうですが、いったいどんな層をターゲットにしているのやら。読めぬ……狙いが、まったく……6090円(税込)のミドルプライスソフトだからちょっと毛色の変わった路線を試しているのかもしれませんけれど、相変わらずエロゲー界にはカオス精神が蔓延っているようだ。さておき、去年はまるきりエロゲーの新作チェックをサボっていたので、タイトルすら見覚えのないソフトがわんさかあって気圧されました。「あそこのブランド、新作出していたのか」「このシオリオ書いてる人って、『○○○』のライターか」と、すっかり浦島太郎な気分。葱板(エロゲネタ・業界板の略称)ベストエロゲー2012の結果も発表されましたけど、上位のタイトルですらパッと見ではどこのブランドのソフトか判別できない始末です。しかし、まさかトップ20内にライアーソフトのエロゲーが3本も食い込むとは魂消た。去年は決定打に欠けるラインナップで投票数が少なく盛り上がりも薄かったそうだが、今年はどうなるんだろうか。いい加減『末期、少女病』は発売されるのだろうか。開発時のコード名が『マンハッタン計画』で、記録によれば2002年7月に『末期、少女病』を正式タイトルとして発表した模様。今月で実に10年半。まさかこれほどの長きに渡って諦める事もできず縛られ続けるとは予想だにしておりませんでした。もういくつ寝るとリリースされるのかしら。眠りに落ちて地面に深く埋まって化石みたいに綺麗な宝石になりたい。

『機巧少女は傷つかない』アニメ化決定(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 1巻発売当時からやたらと広報展開に力を入れていたシリーズなので、「アニメ化狙ってるのかな」とは感じていました。が、丸3年経っても音沙汰ナシだったため「なんだかんだで企画が流れてしまったパターンか」と警戒を解いたところにこの報せ。嬉しいというより戸惑う気持ちが強い。ロボット同士を戦わせるようなバトル系学園ファンタジーで、特徴はヒロインであるアンドロイド「夜々(やや)」のウザ可愛さ。開始時点から主人公への愛情数値はMAXに達しており、無理矢理ズボンのファスナーを下ろして「女狐のニオイが付いてないかどうか」確認を試みるなど、いともたやすくえげつない行為を実施しようとする。ヒロインというよりヒロ淫、本当にヒド淫です。薄い本(同人誌)の立つ瀬がないレベルで際立った言動を晒すセクハラロイドです。1巻を読んだときの感想に書いた「粘着嫉妬人形」というフレーズが実にしっくりと馴染む。夜々を気に入るか気に入らないかで評価がスッパリと分かれるはず。ところで、「夜々」という表記を目にするとどうしても「小鳥遊夜々」を連想するクロポ(『Clover Point』)好きの方々もおられることでしょう。ワシもじゃ、ワシもじゃみんな! 当方にとってクロポの小鳥遊夜々、『めいくるッ!』の浅生恵理栖、『腐り姫』の簸川樹理はエロゲーにおける三大「忘れがたい妹キャラ」です。

森岡浩之『星界の戦旗X 宿命の調べ』3月下旬刊行予定!IVから実に8年ぶりの新刊(萌えオタニュース速報)

 マジかよ……もうほとんど内容忘れかかっているわ。知らない方のために解説しますと、“星界”シリーズは文庫書き下ろしで展開されているスペースオペラ調のSFで、1996年に第一部『星界の紋章』(全3冊)を3ヶ月連続刊行することによりスタートしました。『マルドゥック・スクランブル』とかと同じような売り方ですね。これが人気を博して1999年にアニメ化されます。川澄綾子の「ラフィールと呼ぶがよい!」は鮮烈だったなぁ。当方はアニメを観たのがキッカケで原作本読み始めました。『星界の戦旗』は“星界”シリーズの第二部に当たるわけですが、1巻の発売が1996年、2巻が1998年、3巻が2001年、4巻が2004年……と超スローペース刊行であり、しかも話がキリの良いところまで進まないままブツッと切れて、以降ずっと進展なく放置されてきたんですよ。その後も『星界の断章』という短編集は2冊出ていますが、本編については「もう続刊を諦めた」という人も少なくなかったはずです。果たしてこれが“星界”シリーズ本格再起動の角笛を吹き鳴らすことになるのでしょうか? 今はただ待つより他に手立てがない。ちなみに3月の早川書房はデニス・ルヘイン(角川だとレヘイン)の新作も発売する予定だそうです。こっちも楽しみ。

『ラブライブ!』は3話目まで観ましたが、依然として面白い。ひょっとすると今期アニメの中で一番好きかもしれません。初ライブのあたりはいろんな意味で衝撃的でした。今期は『ヤマノススメ』も良いけど、あれは如何せん短い作品(5分枠)だから話題にしにくい。せめてアザゼルさんのような15分枠にしてほしかった。ただ、短い分、ブルーレイの購入は1枚こっきりで済みそうなところがリーズナブル。『ラブライブ!』はBDが全7巻で費用も嵩むから買い揃えようかどうかまだ迷っているけれど、『ヤマノススメ』は2期への期待も込めて購入する所存でござます。アニメソフトは高いうえに一度買い出すとキリがなくなるから決断が難しい。『笑ゥせぇるすまん』のDVD-BOXも再来月に発売する予定だとかで、内心結構グラついている。喪黒福造、幼い頃に目にして以来ずーっと心の片隅に居座り続けている存在なんですよね。でもこれ買っちゃうと当方のお財布事情から『ヤマノススメ』以外の冬アニメはマラソン断念せざるをえない。悩ましいところです。

・拍手レス。

 0能力者ミナトは最新巻で「こうくるか!」と思わせる方法で難敵を倒しているので、結構貫けているイメージです。比較対象として「天才級」の霊能力者がいるため、相手の格を落とさずに(神秘性を剥いではいますが)知恵、知識、機転で対応できている印象があります
 突然「封印されていたミナトの力が……」みたいな展開になったらイヤだなぁ、と思っていたのでホッとしました。確か3巻の途中まで読んだ記憶があるんですけど、3巻をどこへやったのか、4巻をどこに置いたのか思い出せず、現在5巻だけ手元にある状況。いっそこれから読んでしまうべきかしら。

 最近、往年の名作麻雀漫画「3/4 よんぶんのさん」のコンビニ本を古本屋でみつけ、読みました。名作と呼ばれるだけの価値はあると思いますので、まだお読みでなければ是非
 去年コンビニで見かけて購入しましたが、まだ冒頭しか読んでないです。コンビニ本のタイトルが『麻雀超戦術3/4』だったから、最初は漫画じゃなくて指南書だと勘違いして危うくスルーしそうになりました。最近の麻雀漫画は『鉄鳴きの麒麟児』が割と面白い。それにしても『マジャン』の続刊がなかなか出なくて悲しい……。


2013-01-20.

・アイドル物にあんま興味ないんでほぼノーチェックだった『ラブライブ!』、観てみたら結構面白くて「スルーしなくてよかった」と胸を撫で下ろした焼津です、こんばんは。

 全国各地の学校に「スクールアイドル」と呼ばれる「歌って踊ってライブを開く」生徒たちが存在する架空の世界が舞台。主人公は母校廃校の危機を救うため、新入生集めの役割を担おうとスクールアイドルの結成を決意する……って感じのアニメです。ノリとしてはライトなスポ根青春ストーリーといったところ。一応努力は重ねるのだけど展開が早く、3話目で早くも初ライブとなります。『けいおん!』の学園祭ライブが第6話だったことを考えると、かなりの高速テンポだ。駆け足気味である反面、ストレスなく付いていくことができます。この『ラブライブ!』はもともと“電撃G's magazine”の読者参加企画で、言うなれば『シスター・プリンセス』の子孫。シスプリは「12人の妹」という非常にアニメ化し辛い題材だったせいでTVシリーズがアレな具合になってしまったけれど、こっちは「廃校を免れるために9人の少女がスクールアイドルとなって立ち上がる」という、とてもアニメ向きのストーリーなこともあり、1クールという枠内にキチンと収められそうな雰囲気が漂います。まず3人でグループを結成し、そこから少しずつメンバーを増やしていく……ってな「仲間集めクエスト」も単純にワクワクさせられる。敵対的だったり非協力的だったりする人々を取り込んでより一層高く飛躍する――この定型はアイドル云々といった部分を超えて視聴する者の心を掴むロマンがあります。一部声優さんの演技がちょっと……なところもありますが、些細な問題だ。とにかく女の子が可愛い。衣装のスカート丈の短さに思わず自分の足を見てモジモジしてしまう海未、その視界に「大丈夫だよ!」と言いつつガバッと割って入る穂乃果。あのシーンが良かった。全体的にお色気要素が少ない分、まったりと寛げますね。

新作アニメ『攻殻機動隊 ARISE』2013年始動!総監督:黄瀬和哉、構成・脚本:冲方丁(萌えオタニュース速報)

 攻殻の新作が来ること自体は意外じゃないけれど、まさかの「構成・脚本:冲方丁」に吃驚。ファフナーとは別に抱えている新作アニメ企画ってこれのことだったのか? シュピーゲルも割と攻殻っぽいところがあるからキャステングとしてはそんなにミスマッチでもないが、ちょっと想像していなかった組み合わせだな、これは。まだ「冲方ガンダム」の方が予想の範囲内だった。TVシリーズなのか劇場作品なのかいまいちよく分からないが、観ることは既に確定しています。しかし現状仕事を抱えすぎなうぶちんがちゃんと脚本を上げられるのかどうか、若干心配なところではある。

ラノベの帯ってどのくらい興味ある?(ぶく速)

 「金字塔」だの「驚天動地」だの「未曾有」だの「空前絶後」だの、威勢の良い言葉を次々と連呼する講談社ノベルスの新本格群に鍛えられたおかげで帯文の過剰称賛や誇張表現を一切信じなくなってしまった当方でありますが、それでも本の帯って好きなんですよね。新刊が発売されるとき、真っ先に気になるのが書影(要するに表紙カバー)で、次に関心を寄せるところが帯。発売からちょっと時間が経って帯が外されてしまったり、「夏の○○フェア」みたいな汎用帯に付け替えられてしまったりするとガッカリします。あと「大反響! 増刷に次ぐ増刷で○万部突破!」とか「祝! ××賞受賞!」とか、御礼系の帯も艶がないと申しますかイマイチ風情に欠けますね。でもああいう帯を巻いた本が平台いっぱいに積まれている光景はそんなに嫌いじゃないです。本屋独特の景色、みたいな感じで。でもやっぱり個人的に欲しいのは、シンプルに言葉で魅せる帯だなぁ。前にも書きましたが、『剣と紅』の「生涯、飾らぬ」のように、端的に作品イメージを伝えるコピーが載っているとグッと来ます。ただ、ライトノベルは漫画同様シリーズ物というか続刊モノが多いから、買う前にマジマジと帯を眺めることは少ないかもしれない。軽いネタバレを含んでいることもあるし。あと「頼むよ、まだ打ち切られないでよ」と願っているシリーズの帯に「遂に完結!」やら「そして物語は終幕へ――」やらと書かれていたときの絶望的な切なさと言ったら……結論を述べますと、最近は通販を利用することも多く、「購入する前の判断材料」というよりは「届いてからのお楽しみ」となりつつあります。なんだかんだで帯文の過剰称賛や誇張表現は読んでいるとテンション上がりますからね。

<直木賞>朝井リョウさん、安部龍太郎さんに

 伊東潤か安部龍太郎の二択、もしくは同時受賞だろう、と予想していましたが朝井リョウが来たか。映画化した『桐島、部活やめるってよ』でデビューしてから約3年、まだ6冊目の著書だし、もう何冊か様子見されるのではないかと思ってました。反対に安部龍太郎は「やっとか」という感想。20年以上のキャリアがある歴史小説家ながら、これまでノミネートばかりでほとんど賞を獲ってなかったんですよね。『天馬、翔ける』が中山義秀文学賞を受賞したくらいか。あれは源義経をあえて格好良く描かなかった作品なので、読者間での評判が今一歩でしたけど……個人的には「浪の下にも都の候ぞ」と言われた安徳天皇が「嘘つけ! そんなとこに都があるもんか! ええい、放せ、放さんか!」と暴れるも力づくで入水させられる、という、まんま無理心中な場面(壇ノ浦)が印象に残っています。実際、平家物語はあそこを美化しすぎだよなぁ。ちなみに、作者は別だけど入水後の安徳天皇を追った『安徳天皇漂海記』という伝奇小説も面白いので、興味がある方はどうぞ。

【紛らわしい】実写映画『空の境界』2013年2月16日にロードショー!(ひまねっと)

 一瞬「荒耶は誰が演じるんだろう」と想像してしまった。表記は一緒だけど読みが違うので、TYPE-MOONのアレとはまったく無関係です。作品タイトルそのものには著作権が発生しないので、「単語自体が登録商標(スパイダーマン等の表記で見かける小さい「TM」はトレードマーク、つまり商標の略)」というケースでもないかぎり法的には問題ないはず。タイトルが被ることはちょくちょくありますし、オマージュの意味を込めて先行作品のタイトルをわざと使うケースも時々あります。ただ、混同される事態を防ぐため、普通は題名を決める際にネットで検索かけたりして「意図せぬ被り」を回避しようとするものですが……そういえば、『時間封鎖』というSF小説が刊行された直後に同一タイトルのエロゲーが発売されたこともあったな。SF小説の方は「地球と地球外で流れる時間の速度が食い違う」というような設定で、エロゲーの方は「時間を止める能力を持った主人公がヒロインたちを好き勝手に犯す」という設定でした。あれはタイミングからして事故のようなもんだろうけど、なかなか奇跡的な現象ではあった。

「戦闘能力は低くても、機転や頭脳や口八丁とかで切り抜ける主人公」っていう設定を最後まで貫ける作品ってないよね(ぶく速)

 『0能者ミナト』は「特殊な能力を一切持たない主人公が怪異を斃す」というコンセプトなので、たぶん最後までこの路線を貫くはず。ただ最近の巻は積んでるから今どんな展開になっているか知りませぬ。口八丁手八丁で急場を凌ぐタイプのキャラは痛快で面白みがあるけど、「そいつに負ける相手が格の低い存在に見えてしまう」という難点が生じることもあるんですよね。『Dies irae』遊佐司狼も「こいつが絡むと自動的に敵のランクが落ちる」と嫌われていた時期がありました。やっぱり、なんだかんだ言っても最終的には真正面からの力と力のぶつかり合いが見たい、ってのが人情なんでしょう。『覚悟のススメ』の葉隠覚悟も結構機転を利かせて戦うタイプだったけど、最後に至った境地は「見損なうな! 策などない!」。無策も極まると格好良く映るのだから不思議なものだ。それはそれとして「戦闘力は低いが解決力は高い」タイプのキャラって、だいたいが軍師か詐欺師のイメージだなぁ。奇策師のとがめも荒事はサッパリだったっけ。策師の子荻ちゃんは一応そこそこ武器が使える設定だったような気がする。あと「粘り強い交渉」で戦闘抜きに事態を畳んでしまうネゴシエイター型の主人公も考えられますが、『勇午』みたいに途中経過で拷問されまくることになりそうな予感。

・拍手レス。

 円盤マラソン完走者はどこから予算を捻出するのだろうか。やっぱ食費かな…………まさに修羅道
 それは、空きっ腹を抱えながら続ける厳しいマラソンですよ……。

 ガクトゥーンやってみたいけど初心者にはライアーソフトは敷居が高い気がするんですよ、なぜか。玄人好みっていうイメージが抜けない。
 ライアー初心者に薦めるとしたらやはり『腐り姫』や『CANNONBALL』あたりでしょうか。できれば『ちょ〜イタ!』(超能力でイタズラ、の略)から入ってほしいけど……DL販売しないのかな、アレ。

 スチームパンクシリーズが一般小説として販売されるというニュースを聞いて、「表と裏の境目が分からなくなってきたなぁ」と感じます。特にここ最近はエロゲー出身のライターが表業界へやってきたり、声優さんの裏名義での名前がネットなんかですぐ分かるようになりましたしね。近い将来正田崇氏がライトノベルを書いたり、榊原ゆいさんや青葉りんごさんがドラえもんや平成仮面ライダーシリーズといった一般アニメや特撮ものに出演する日が来るのだろうかと感じます。
 虚淵玄も4年くらい前から「エロゲー業界そのものがアングラではなくなってしまった」と語ってますね。正田崇はインタビューによるとライトノベルを書くつもりはないらしいけど、先のことは分からない。奈良原一鉄が時代小説を書き始めて剣術ブームが来るのかもしれない。そして全国の書店で術理解説の人がPOPに。

 攻殻の新作が出ると聞いて情報を見たら、脚本冲方丁で色んなものを噴出。え、大丈夫なのうぶちん。トンデもない仕事量だと思うんですが。
 確実に言えることは一つ。テスタメントシュピーゲルの予定が一巡後の世界まで吹っ飛んだだろうってことだけ。


2013-01-15.

・冬アニメが次々と始まってきたのであれこれチェックしている最中ですが、その中で予想外に面白かったのが『琴浦さん』だった焼津です、こんばんは。

 雰囲気からして竹書房恒例の5分枠アニメかなー、と勝手に想像してましたけど、普通に30分枠でした。というか版元が竹書房じゃなかった。マイクロマガジン社という、クリムゾンの漫画や5月病マリオの絵本を発売している出版社だった。内容は、他人の心の声が聞こえてしまう体質の女子高生・琴浦さんと、彼女に興味を抱いて仲良くなろうとする男子高校生・真鍋くん、ふたりの関係を主軸とする青春ストーリーですが……第1話のAパートが結構暗い。読心体質のせいで友人たちや父母に逃げられる重々しい「これまでのあらすじ」を10分くらいに渡って淡々と綴ります。「え? ギャグアニメじゃなかったの? まさかのシリアス系?」と面食らう中で始まるBパート、主人公の琴浦さんが真鍋くんに心を開いていく過程が清々しく、「これは是非とも2話目も観なければな」と確信しました。原作もまとめて買っちゃおうかどうか悩んだが、どういうわけか悩んでいるうちに倉阪鬼一郎のバカミス(『四神金赤館銀青館不可能殺人』とか)が読みたくなって『琴浦さん』そっちのけで倉阪作品を買い込んでしまった。倉阪鬼一郎、昔はホラー作家としてマイナーな人気があったのに、今や「バカミスの名手」という扱いになっちゃいましたね。バカミスというのは「バカバカしいくらいに壮大なミステリ」や「バカバカしいくらいに手の込んでいるミステリ」、「バカバカしいネタに大真面目に取り組んでいるミステリ」を意味する言葉で、どちらかと申せば貶すよりも「よくぞここまでやった」と誉めている気配が強い用語なんですが、「バカ」の響きで不快に感じる人も多いため使いどころが難しい。霞流一や鳥飼否宇など、バカミス呼ばわりを肯定的に受け止めている作家もいますが……倉阪は肯定的どころか「バカミスの最終進化型」などと宣伝文句にまでされている始末。ここ数年は9月になると決まって講談社ノベルスから新刊が発行されるため、「年に一度のバカミス」だとか「講ノベの裏名物」などと囁かれています。

 『琴浦さん』以外だと『THE UNLIMITED 兵部京介』『ビビッドレッド・オペレーション』も良かった。『THE UNLIMITED 兵部京介』は『絶対可憐チルドレン』のスピンオフで、「パンドラ」という超能力者組織のボス・兵部京介が主人公を務めます。絶チルはヒロインたちが小学生の頃から始まって、途中で中学生になりますが、このエピソードは小学生編と中学生編の間くらいに位置するのかしら? 本編知らないと細かい設定が分かりにくいものの、知らないなら知らないでノリだけでも楽しめる仕様になっている。昔懐かしい90年代頃のアニメにちょっぴり海外ドラマ的なテイストをまぶした作風で、「最近のアニメにはいまひとつ馴染めない」という方でも美味しくご賞味できるかと。『ビビッドレッド・オペレーション』はオリジナルアニメ、『ストライク・ウィッチーズ』の高村和宏が監督を務めている。高村和宏は股間のショットにこだわる嗜好から「股間督」ないし「股監督」とも呼ばれています。監督が同じせいもあって雰囲気は『ストライク・ウィッチーズ』にとても近似している。無限にエネルギーを供給できる「示現エンジン」と、それを破壊しようとする謎の存在「アローン」を巡るSFチックなストーリーで、「女子中学生が超科学の技術で変身して正体不明の敵と戦う」展開はさながらミリタリー要素を薄めた『ストライク・ウィッチーズ』のよう。「アローンがまんまネウロイ(『ストライク・ウィッチーズ』に登場した人類の敵、非生物的かつ無機質な外見で、正体不明)じゃねーか!」とツッコミが入ることは制作陣も重々承知のことでありましょう。ハッキリ言ってベタな内容の1話目であるし、見せ場重視の強引な話運びも今後が心配になるところだが、勢いは感じる。オリジナルアニメとしての掴みは充分OKだ。かなり気合の入った出来で、是非とも全話観たいと素直に思いました。「示現エンジン」は無限のエネルギーが引っ張り出せるって設定だけど、実はどこかからエネルギーを収奪しているだけで、それを止めるためにアローンが破壊しようとしている……と、『海のトリトン』よろしく善悪逆転のシナリオに突入しそうな気がしないでもないが。あるいは示現エンジンが実は核廃棄物よりもヤバい示現廃棄物を出しているとか、もしくは人身御供的な存在があるとか。そっち方向へ行くと『ウィザーズ・ブレイン』みたいになりそうだ。ギャグアニメは『キューティクル探偵因幡』がオススメ、絵柄といい掲載誌といいパッと見では女性向け作品のような印象を受けますが、豊富なネタを矢継ぎ早に叩き込む無呼吸連打っぷりが心地良く、ノリさえ合えば男女の別なく楽しめるはず。徹頭徹尾、良くも悪くもガンガン系のハイテンションギャグで埋め尽くされています。隙あらばネタを仕掛けてくるので、いちいちツッコミを入れている暇のないところが難点と言えば難点。

・一方、最近読んだ漫画の中で気に入ったのが『三種のジンギ!』

 掲載誌がきらら(正確に表記すると“まんがタイムきららMAX”、「きらら」と付く芳文社の漫画誌は現在5種類あります)なので「女子高生が主人公、舞台は学園」の萌え4コマ漫画だろう……ということはあらすじを読まなくてもだいたい察せられると思います。いわゆる「日常モノ」に分類されるタイプですが、このジャンルにしては珍しく主人公にハッキリとした目的意識が備わっており、「目標を達成するために少しずつ頑張る」という古式ゆかしい努力ストーリーになっている。基本的に雰囲気がユルいので、あんまり「努力」といったムードはありませんが……主人公の兄(オタク)がこよなく愛する「アニメっぽい制服、ブルマ、旧スクール水着」、三種のジンギ全部が揃った柳橋高は、このたび三つすべてを廃止すると決定。絶望のあまり兄は寝込み、やがて書置きを残して失踪。お兄ちゃんのことが大好きだった主人公は彼をふたたび呼び戻すため、廃止された三種のジンギを復活させようと柳橋高生徒会長の座を狙う。つまり萌え4コマ版『野望の王国』です。「この世は荒野だ! 唯一野望を実行に移す者のみがこの荒野を制することが出来るのだ!」 『Kanon』みたいな制服もブルマも旧スクもみな消え失せた荒野を制するべく、主人公は友人たちとともに小さな努力の積み重ねに励んでいきます。

 廃止を撤廃するためには権限が必要、学校における権力の座と言えば生徒会、じゃあまずは生徒会に入るための地盤固めをしよう――といった流れで雑用を請け負ったり周りの手助けをしたり誰かの悩みに対する相談に応じたり、ちょっとした便利屋みたいな活動に従事するわけですが、別に便利屋稼業がメインというわけでもなく、やってることは普通の「日常モノ」なんですよね。1巻の時点だとまだ「方々に顔を売っている段階」で、生徒会に潜り込めたわけではないし、ジンギ奪還の野望が達成される兆しも全然ない。主人公たちは入学して間もない1年生だから、順調に行っても生徒会長に選出されるのは来年度か再来年度。先は長いのです。一応生徒会のメンバーも話に絡んできたりはしますが、事態が明確に進捗することなく1巻は終了と相成ります。萌え4コマ版『野望の王国』、と書いたのは誇張表現であって、実際はそこまで野望重視路線ではない。しかし、「主人公にハッキリとした目的意識がある」という事実が意外に活きてくる内容ではあります。生徒会三役(会長、副会長、会計)は仕事を手伝わせるために書記等を一年下の学年から任意で採用することができる、ってシステムになっており、通常は採用された書記等のメンバーがそのままスライドする形で次期生徒会三役に据えられる。仕事を手伝ってきてくれた下級生なら、引き継ぎ作業をするのも楽ですからね。1巻で登場するのは現行の生徒会三役ではなく、次期生徒会三役の候補と目されている2年生の生徒会メンバー3名です。きららの4コマなので当然みんな女子だ。柳橋高は共学なので男子もチラホラ登場しますけれど、主要陣はだいたい女子です。気のいい(でも少し変態じみた性格をしている)先輩方で、単なる日常モノだったら素直に仲良くなればいいだけの話ですが、「生徒会長を目指す」という野望がある主人公たちには2つの選択肢があるわけですよ。ひとつは、先輩たちがスライド方式で三役に選ばれるところを親指咥えて傍観し、彼女たちから誘いを掛けてもらって書記等の下部メンバーにしてもらい、そこから更にスライドする形で三役に収まる……という、堅実で穏当なプラン。これなら先輩たちと仲良くしておけばいずれ実現する見込みが強いわけですが、問題は時間が掛かるってことですね。次期生徒会長を諦めて次々期の生徒会長を狙うんだから、三種のジンギを取り戻す改革案の実行に乗り出せるのは3年生になってからだ。ゆえにもうひとつの選択肢、「先輩たちと次期生徒会三役の座を巡って争う」という手も出てくる。慣例を無視して三役の奪取を目論むのだから、茨の道だ。しかし確実に時間を短縮することができます。漫画としても2、3巻あたりで完結する目処がつくうえ、盛り上がりも用意することが可能。いったいどちらに舵を切るのやら、と勝手に考えてワクワクしたりします。

 正直たまに「三種のジンギ」という要素を忘れそうになるくらいストーリー面での動きは少ないけど、可愛らしい絵柄と個性的なキャラクターで読者の興味を引きつける仕上がりになっており、「萌え4コマはちょっと……」ってなアレルギー体質の人でなければ是非とも推しておきたい1冊である。これが打ち切られたら泣く。アニメ化とかはしなくてもいい(いや、でもぶっちゃけちょっと観たいかも)、ほそぼそとでいいから、どうか末永く何巻にも渡って続いてほしいものだ。ところで聖川楓美という主人公の友達の子はブルマ愛好家で、こっそりと制服の下に廃止されたブルマを着込んでいたりするのですが……誰に見せるというわけでもなく秘密裡にブルマを履くのって、なんかエロいな。

“スチームパンク”シリーズ小説『灰燼のカルシェール』、2月4日に一般販売

 いかん、忘れかけていた。“スチームパンク”シリーズはライアーソフトから発売されている一連の18禁PCゲーム、いわゆる「エロゲー」を指すのですが、エロゲーに留まらず多方面に展開したいとの思惑から一般向け小説を出すことになった模様です。『灰燼のカルシェール』は既存作品の続編やスピンオフというわけではなく完全新作のようで、もちろん全編書き下ろし。そしてなぜかニトロプラスとコラボしてZIZZの楽曲まで付いてきます。ちなみにニトロ側の公式ページはこちら。なんというか、エロゲーブランドの一般化に向けた動きが目立つようになってきましたな。最近アニメと漫画ばかりで全然エロゲーやってないけど、時間つくってガクトゥーンあたりを開始させたいものです。

『咲-Saki- 阿知賀編』当初全15話だった話数が全16話に変更!(萌えオタニュース速報)

 1話分増えたのか、これは素直に嬉しいです。先鋒戦だけで4話も費やしたのに、次鋒から大将までの4戦を3話(尺ギリギリ使って通常アニメ4話分)で描くなんて、ちょっと無理がありますからね。4話使って通常の5〜6倍くらいエピソードを詰め込むとなると、阿知賀編は実質1.5クールアニメってことになるのか。しかし喜んでばかりもいられません。阿知賀編のBDって1話から12話までの範囲は1巻ごとに2話ずつ収録の計6巻だったんですが、13話以降を収録する7巻から各巻1話のみ収録っつー方式に切り換わるみたいなのです。つまり全10巻。定価ベースで計算すると71,400円(税込)になっちゃう。1.5クールでこれは正直ちょっとキツい。せめて7巻以降も2話ずつ収録の全8巻にしてもらえないだろうか。だいたい特典として付いてきた収納BOXに4巻分も空きがありませんよ……うーん、これはアレか。思ったより売上が厳しかったので販売方針を変更するしかなかったとか、そういった話なのかしら。来たる全国編のためにも一咲ファンとしてここは貢いでおきたいところだが、さすがに財政面がちょっと厳しい。直前まで検討を重ねることに致します。


2013-01-07.

・なにげなく立ち寄ったコンビニで『天牌スペシャル 長野決戦』を見つけ、慌てて上下巻まとめて購入した焼津です、こんばんは。

 「長野決戦」の総集編が出てるだなんてまったく知らなかった……長野決戦、当方は単に「長野編」と呼んだりしますが、これは単行本19巻の途中から開始して25巻あたりで終わるエピソードです。25巻の1話目が「東京へ」というタイトルで、その通りに長野から東京へ話が戻るから、闘牌自体は24巻ぐらいでほぼ決着してますけどね。つまり全体で単行本5冊半程度の分量。これを上下巻、2冊に分けて収録したものが『天牌スペシャル 長野決戦』に当たる。各巻約600ページでそれぞれ580円(税込)、「廉価版」と呼ばれるコンビニコミックの中でも際立って安い部類に属します。『天牌』は知ってるけど長野編はまだ読んでないな、という方、あるいは以前読んだけどもう一回読み返したいな、という方は是非とも近くのコンビニで探してみましょう。

 ただ、『天牌』そのものを読んだことがないって人には薦めたものかどうか迷うところ。上巻の表紙を飾る影村遼と下巻の表紙を飾る北岡静一、この2人がメインになってくることは未読の方でも察せられるでしょうが、四人打ちの麻雀だから打ち手はあと2人います。ひとりは奥寺一政という、「横浜編」に出てきたヤクザ・河野の兄貴分。そしてもうひとりが……これまで単行本を読んできた人にとっては「ええっ!?」と驚くようなキャラクターなんですが、総集編から読み出すと「誰こいつ?」という感じでサプライズが発生しにくい。『天牌』はいくつか総集編が発売されていますけど、あいつ絡みのエピソードはちょいちょい零れちゃってるんですよね。巻数の多い漫画だから手軽な総集編の方が手を伸ばしやすいけれども、かなり大雑把な切り方をしているので、やはり全体像を掴むためには1巻から順に読んでいく方がオススメです。「全体像とかサプライズとかはいいや、とりあえず麻雀打つシーンさえ読めれば」というのであれば迷わず薦められますけども。長野編は『天牌』の中でも長さと内容の釣り合いが取れた好エピソードの一つだと個人的に認識しています。長野編以降のエピソードはちょっと長すぎたり、逆に短すぎて物足りなかったりする。

 ちなみに『天牌』の総集編をストーリー順に並べると『学生選手権(上・下)』→『横浜代理戦争』→『四川決戦』→『元禄杯』→『赤坂決戦(上・下)』→『長野決戦(上・下)』っつー具合になります。長野決戦の次が『赤坂王様死闘牌(上・下)』で、来月頃に刊行される予定。総集編と言えばJOJOの『ファントムブラッド』、無事に重版分を購入することができました。相変わらず凄まじい人気らしく、ネット書店じゃ3日でほぼ売り切れた模様。コンビニ各店にはまだ残っているかもしれませんので、買い逃した方は近場の店舗を回ってみると良いかもしれません。

グッスマのHPがえらいことになっている(萌えオタニュース速報)

 結果を予想し、充分に心構えを済ませてからクリックしましたが、それでも度肝を抜かれるこの威容。まさに圧倒的圧倒感。

小野不由美『十二国記』12年ぶりのオリジナル短編集、2013年7月1日発売決定!!(ひまねっと)

 既に発表済の短編2本と書き下ろしの2本、合計4編を収録する予定とのこと。遂に止まっていた時間が動き出すのか。新刊が出るだけでもありがたいが、ファンとしては新規長編も大いに期待したいところであろう。年内は無理でも、来年か再来年あたりになればひょっとして……。

・拍手レス。

 いやはやまさホラー映画顔負けの悪夢でしたね。いや、本当に映画のシナリオそのものじゃないですか。自分もそんなものを見たらとおもうとぞっとしましたよ。
 なるべくならイイ夢見たいけど、それはそれで目覚めたときにガッカリするというジレンマ。オクルトゥムを買った後に夢だと判明したら、それこそゾッとします。

 メフィスト賞作家といえば、最近汀こるものさんにドはまりしました。どの作品も、ミステリとは言い難い上癖が強いので、すすめる人を選びすぎるきらいがありますが(苦笑)
 汀こるものってデビュー時かなり叩かれていた記憶がありますけど、なんだかんだで著書をもう10冊も出してるんですね。そろそろ何か読んでみようかしら。


2013-01-03.

・遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。大晦日は当然『猫物語(黒)』を観て過ごした焼津です、こんばんは。

 BS11にて視聴。しかし『猫物語(黒)』の前に『探偵オペラ ミルキィホームズ Alternative TWO』をやるとは知らなかった……知っていたらもっと早くテレビ点けていたのに。気づいたのが直前だったからラストしか観れませんでした。さておき『猫物語(黒)』、アニメとしては『化物語』『偽物語』に続く3番目の“物語”シリーズ作品ですが、原作では4番目、通算6冊目に当たります。アニメは『傷物語』の制作が遅れているせいで順番変わっちゃった。ストーリーとしては『傷物語』の後日談(アフター)、『化物語』の前日譚(プリクエル)です。『化物語』に含まれる5つのエピソードのひとつ、「つばさキャット」でチラッと仄めかされていた「ゴールデンウィークの出来事」を綴る。サブタイトルは「つばさファミリー」。

 率直な感想を申し上げますと、気になったのはやはりCMの多さ。「ここで切るのかい!?」というタイミングで次々とCMに入るから、ブツ切り感が凄くてちょっと集中できなかった。しかもいきなりダヨーさんの静かな威嚇フェイスがお出ましになるからビクッとしてしまう。CM連打のせいもありますけど、章と章との繋ぎ方がややぎこちない印象を受けましたね。それにしても忍の犬食いは凄まじいインパクトだった。あれを足元に置きながら平然と会話を続けるアララトさんとメメの姿は鬼畜臭がすごかった。ブラック羽川が出るまではゆったりとしたテンポで進みますけど、ブラック羽川が出てきてからは猛スピードで結末に向かっていくため、ダルさは感じなかったです。で、アニメ版「つばさキャット」の内容を覚えている人は「あれ? 回想シーンが何か違わない?」と首を傾げたでしょうが、恐らくあの頃は『猫物語(黒)』の構想もなかったはずなので、イメージ映像だったのだと割り切った方が宜しいかと。かくして阿良々木暦の、傍から見れば初恋にしか見えない、暦自身にとっては「初恋ではない何か」は終わってしまったわけですが、ぶっちゃけ『傷物語』飛ばしてるとそのへんが伝わりにくい気がしますなぁ。暦が羽川さんに対して恋愛感情以上の、ほとんど信仰心に近い熱情抱いて忠誠じみたものを誓っているのは春休みのアレがあってのことだし……結局彼女と付き合わなかったことに関しては『猫物語(白)』を読めば(観れば)もっとよく分かるはずなので、そこが腑に落ちないって人はそのまま腑に落とさないでセカンドシーズンが始まるまで待っていればいいと思います。猫白は猫黒の直接的な続きではなく『偽物語』が終わった後のエピソードになりますが、ファンの間でも特に「“物語”シリーズを見る目が変わった」と評判の高い一品なので存分に期待しておけば宜しいでしょう。うん、実際にセカンドシーズンのCMを目にしたときはかなりワクワクと胸躍った。6つある物語を2クールでやる予定だそうで、つまり1個あたりの割り当ては4話程度、猫黒と同程度の配分になるわけか。楽しみだ。なんとも満足感のある大晦日を迎えることができました。

・新年を迎え、現在は『Odds』という漫画を読んでいます。

 アニメ化が発表された『弱虫ペダル』同様「自転車モノ」のコミックですが、こっちはロードレースではなく競輪を題材に扱っています。ロードレースの学生選手として注目されていた主人公が、事故で植物状態に陥った父親の医療費と自身の生活費を稼ぐため、「金になる」競輪の世界へ身を投じる。「ローディーから競輪選手への転向」という要素が読み所の一つであり、「ロードレースに興味はあるけど、競輪はあんまり……」って渋る人でも見る見る間に引き込まれていくこと請け合いです。本音を申せば当方もなかなか読み出す踏ん切りがつかなくて後回しにしていましたけど、読み出したら一発でハマった。「植物状態に陥った父親」というシリアス要素が重いせいもあって躊躇していたこともある。だが、「金のために走る。夢のために走る」とガムシャラに燃える主人公の懸命な努力が熱く、素直に胸を打たれました。競輪のルールをまったく知らなかった当方でも問題なく楽しめているので、「競輪かぁ……」と迷う方もその迷いを捨ててとりあえず1巻だけでも読んでほしい。何より、寒川が可愛すぎる。「競輪なめてんじゃねェぞ、コラ!!」と凄んだり、ことあるごとに主人公へ突っかかってくるんだけど、素人である彼に対していちいち懇切丁寧に解説してやったり面倒なことにも付き合ってあげたりと、その胸が締め付けられるような世話焼きっぷりは男でありながら凡百のヒロインを凌駕し、遥か後方へと置き去っていくぐらいのアタック力を見せ付ける。もう『Fate/Zero』のウェイバー並みに可愛い。髪形もちょっと似てるし。マジで寒川目当てに読み出してもお釣りが来るほど。

 ところで、『Odds』は小学館の“ヤングサンデー”に掲載されていた漫画です。ご存知の方もおられるでしょうが、ヤンサンは4年ほど前に休刊しました。そのため『Odds』は主人公が競輪学校を出たあたりで一旦終了となってしまいます。いわゆる「第一部・完」って奴です。作者は番外編を何本か描いて『Odds+1』という短編集をまとめた後、出版社を双葉に移し“漫画アクション”で第二部『Odds GP!』を開始する。「GP」は恐らく「グランプリ(Grand Prix)」の略、グランが「大きい」、プリが「賞」を意味するフランス語で、つまり「大賞」のこと。KEIRINグランプリは優勝賞金1億円に達するギネス級のレースです。毎年年末開催なので、少し前にも行われていたみたいですね。言うなれば「プロ編」であり、本格的に面白くなってくるのもここかららしい。期待しています。ちなみに当方は単行本ではなくコンビニコミックで読みましたが、全5巻あるコンビニコミックは本編10冊に加えて番外編の『Odds+1』、計11冊分すべてを収録した内容となっています。コンビニコミックで揃えた場合はそのまま『Odds GP!』に行ってOKですよ。

ばらスィーの『苺ましまろ』、最新刊の7巻が2月27日に発売

 新年早々におめでたいニュースが飛び込んでまいりました。6巻が2009年2月発売だから実に4年ぶりです。ちなみに1巻は2003年1月刊行、今月で単行本十周年を迎えます。懐かしいな……「かわいいは、正義!」を目にしたときのインパクトが今でもありありと思い出せる。ばらスィーはハガキ職人として活躍していた時期があって、当方は寡聞にしてその頃のことをよく知らないんですけれど、「ばらスィーのハガキが大好き」と語る某ファンの熱意に当てられてつい買っちゃったんですよね。正直1巻はあまり面白くないと思いました。まだ絵柄がこなれていないし、波長もいまひとつ合わなかったもので。が、2巻でアナが登場した瞬間に確変。一気に「好きな漫画」へと変貌しました。『ロッテのおもちゃ!』と『よつばと!』の最新刊も同時発売する予定なので、ロリコ……いえ、幼女を愛してやまない人には嬉しい2月となりそうですな。しかし、『よつばと!』はもう12巻か……始まったのは『苺ましまろ』の方が先なのに、危うくダブルスコア付きそうなところだった。

『銀の匙 Silver Spoon』TVアニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 映像化の話は絶対に来てるだろうけど、発表まで漕ぎ付けるのは早くても今年の終わり頃かな……と予想していただけに驚いた。もうアニメ化すんの。今月6巻が発売されるし、ギリギリ1クールくらいは賄えるでしょうか。『銀の匙』は「ハガレン」こと『鋼の錬金術師』で有名な荒川弘の新作、北海道の農業高校を舞台にした青春コミックです。連載開始からまだ2年も経っていませんが、累計発行部数がもう500万部くらい行ってるそうな。エッセイ漫画『百姓貴族』と併せて読むと面白さ倍増ですので是非。関係ないけど、『暗殺教室』の2巻買ったら帯に「累計160万部突破」と記されていて圧倒された。こっちもじきにアニメ化しそうですね。

『蒼穹のファフナー EXODUS』はTVシリーズ! 「皆城総士 生誕祭」レポまとめ(萌えオタニュース速報)

 OVAかも、と思ったがTVシリーズで行くのか。前が2クールだったから今回も2クールかな? アクエリオン、エウレカセブンに続く形となりましたね。なんだかんだでロボットアニメの命脈は絶たれていないようだ。しかし冷静に考えるとアクエリやエウレカよりも古いんだよな、ファフナー。来年で10周年を迎えます。来月には冲方が執筆した小説版をハヤカワで増補・復刊する予定だそうですので、未読の方はこちらも押さえておきましょう。物凄い短時間で書き上げたらしく、ちょっと文章の荒いところもあるけれど、第1期の途中で一旦挫折してしまった当方が読んでもなお「面白い」と感じる手応えがありました。できれば本編を6話か7話くらいまで観てから読んで欲しい内容だが、ここからスタートする手もアリだろう。それにしても、EXODUSがTVシリーズなら、冲方はまた別件で「新作の劇場アニメーション」を抱えていることになるのか。オリジナル作品? ヴェロシティ? 意表をついて『サンクチュアリ』だったりして。ピルイエのドイツ農民戦争篇だったら嬉しくて小便漏らすファンが続出する可能性大。

メフィスト受賞作の中の上3つって言われたら何に挙げたい?(ぶく速)

 ここ数年の分はあまり読んでないけど、読んだ中で3つ選ぶとしたら『記憶の果て』『火蛾』『煙か土か食い物』。『記憶の果て』は“安藤サーガ”の1冊目であり、過去編に当たる『時の鳥籠』や続編『頭蓋骨の中の楽園』など関連作も多い。作者の浦賀和宏はデビュー時19歳。西尾維新が20歳過ぎてからのデビューだったことを考えると、若い。“安藤サーガ”は『記憶の果て』しか文庫化されず、ストーリーもシーズン2まで突入したところで休止状態に陥っている。浦賀はそれ以外の新作もずっと出ていないが、『彼女は存在しない』が今なぜか妙に売れ行き良好らしいので、遠くないうちに復活してくれるんじゃないかな。『火蛾』は作者の古泉迦十がこれ一作こっきりで消えてしまったせいもあって埋もれている印象がある。イスラム教をテーマにした珍しいミステリなので未読という方は機会があったら手に取ってほしいところです。受賞後第一作として『崑崙奴』なる小説を書くという話もあったけど、あれはどうなったんだろうな。『煙か土か食い物』は“奈津川サーガ”の1冊目。奈津川兄弟は一郎から四郎まで4人いて、語り手が四郎→三郎と遡ったため「あとは二郎と一郎で4部作にするつもりなんじゃないかな」と予想されていましたが、残念ながら3冊目が刊行されないまま現在に至っている。“安藤サーガ”といい、“奈津川サーガ”といい、“鏡家サーガ”といい、メフィスト賞受賞作のサーガはどれも途中で未完になってるんだよなぁ。ちなみに『世界は密室でできている。』は“奈津川サーガ”のスピンオフです。あと『てーきゅう!』っていうギャグ漫画読んでたら「煙か土か食い物」のセリフが出てきて虚を衝かれた。あの漫画は「海兵隊員」に「シールズ」というルビを振っていた点が最大のツッコミ所。

 もっと枠があれば他にも『Kの流儀』『DOOMSDAY』『少女は踊る暗い腹の中踊る』『死都日本』などを挙げたかったところだ。ああ、そうそう、メフィスト賞と言えば来月に第45回受賞作『図書館の魔女』がやっとこさ発売されます。受賞が2010年だったから、2年以上も掛かったことになる。二分冊の単行本で、上巻と下巻合わせると5000円近くになる。なかなかハードな価格設定です。分厚い本好きとしてはワクワクせざるを得ない。分厚い本は最近だとフランゼンの『フリーダム』が持ち応え充分でウットリしました。ホント、程好い重さにウットリ。アルフレッド・エドワード・ウットリ・メイスン。これだから紙の書籍はやめられない。

『俺たちに翼はない』、PS3に移植決定

 『俺たちに翼はないR』をベースにするのかな。これでまた新キャラとか追加シナリオとか来てもさすがに追いかける元気はない……そういえば王雀孫が参加しているNavelの新作『月に寄りそう乙女の作法』ってとっくに発売してたんですね。エロゲ方面のアンテナは低いのを通り越してもう折れかかっている状態だから全然気づかなかった。ピンではなく複数ライター制なのであまり食指が動かないけど、評判イイみたいだし通常版買ってみようかしら。迷う。とりあえず体験版やろう。

・拍手レス。

 レッドドラゴン面白いですよね 3巻はイラストが追加された本も面白いですが、PC版の方も仕掛けが凝ってて面白いですよ
 余裕があればPC版の方も堪能したいところです。が、まずは購入した2巻と3巻を崩さないと。焦れるけど楽しみ。

 こんな、普通にミステリーで短編が書けそうな話を夢で見てしまう焼津さんの脳ミソの構造が知りたいです。食い入るように読みいってしまいましたよ。
 本当はもうちょっと支離滅裂な内容でしたが、夢であることを願ったことは確か。目が覚めてもすぐには非現実だったと信じることができず、数分掛かってやっと安堵しました。

 ファフナーEXODUSはテレビ媒体による放送と確定したようですね。第1話から冲方脚本となれば成功は間違いなしでしょうし、期待に胸が膨らみます。
 脚本書く時間あるんだろうか、うぶちん。相変わらずメチャクチャなスケジュールで仕事してそうな気がしますけど。


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