2012年8月分


2012-08-26.

・読んだのがかなり前だからすっかり忘れていましたが、確か『速攻生徒会』にも麻雀回があったよな……と思い出して単行本を腐海の奥の奥から引っ張り出してきた焼津です、こんばんは。

 『速攻生徒会』とは小川雅史のデビュー作で、今は亡き“コミックゲーメスト”に連載されていました。↑で張ったリンクは新装版ですが、それでも10年以上前。新声社版となるともう17年前ですよ。天獅子悦也が龍虎2のコミカライズやってた頃。酒井綾という漫画家キャラが「ここから先に通りたくば私を倒してみろ」と麻雀対決を挑んでくるエピソードがあり、1巻の後半あたりに収録されています。当時は麻雀のルール知らなかったから雰囲気だけ味わって細部は読み飛ばしていたんですよね。綾は豪運の持ち主らしく、開局早々にスッタン(四暗刻単騎)の地獄待ちで和了ったり、最後は四槓子・四暗刻をキメたりと、涼しい顔してやりたい放題。短いエピソードなので闘牌要素はほとんどないのですが、最初は綾に対し3人の打ち手が協力して撃破しようとする段取りだったのに、「ハコったら点棒支払う代わりに脱衣」というルールが追加された途端「牌のすり替えで仲間の女子にわざとアタリ牌を掴ませる」など、エロに目の眩んだ男子ふたりが揃って裏切る展開に笑った。小川雅史の本格的な麻雀漫画ってのもちょっと読みたくなってきたな。同人誌でスーチーパイの『むこうぶち』パロとか描いているし、やっぱり麻雀好きなのかしら。

『天牌セレクション 四川決戦編』発売

 おっ、四川編のコンビニ本が出たのか。これは是非とも査収しておかないと。『天牌』は1999年に“週刊漫画ゴラク”で連載を開始した麻雀漫画で、外伝等を含めると現時点で90冊近くに上る。間違いなく日本最長の麻雀コミックです。連載期間の長さで言ったら『アカギ』の方が上ですけどね。沖本瞬という青年を主人公に据えて紡ぐ長大なストーリーはひと口で説明することが難しく、詳しいところは以前書いた感想を参照していただきたい。四川決戦編は単行本で言うと8巻から10巻あたりの割合初期に位置する、かなりファン人気が高いエピソードです。たぶん人気投票をやったら『赤坂決戦』とトップを争うことになるんじゃないでしょうか。客層のメインが華僑という雀荘「四川」を舞台にして繰り広げられる決戦で、「そこに北はあるんだよ」など印象的な台詞が目白押し。いきなりここから読み出すと経緯がよく分からなくて混乱するかもしれませんが、「『天牌』って気になっていたんだけど、巻数がすごいから怯んでたんだよな」という方には恐らくうってつけの一冊となるはず。話としては『横浜代理戦争編』の次に当たるんで、先にこっちを読んでおいた方が宜しいかもしれない。横浜編は『学生選手権編』の続きだから更に詳しく知りたいならばもっと遡る必要が出てきますが、そうなったらもう頭から順に単行本を読んでいった方がイイです。学生選手権編はだいたい2巻から5巻まで、横浜編は6巻から8巻までに相当する。四川編の後は元禄杯編や赤坂決戦編、長野編へと続いていきますが、『天牌』は複数のエピソードが同時進行する回もあるので厳密に「○○編」と分けることは困難であり、そのためか長期連載漫画であるにも関わらずコンビニ本が思ったほど沢山刊行されていません。あくまでコンビニ本はシリーズを読み出すキッカケにするか、あるいは「おつまみ」と割り切って細かいことを気にせず読むものにするか、もしくは「以前読んだエピソードだけど、細部がうろ覚えだな」ってときに読み返すものにするか、究極的にはコレクターアイテムだと認識しておいた方がグッド。

有栖川有栖『江神二郎の洞察』の発売は10月以降(ぶく速)

 これは待望していたファンも多いんじゃないでしょうか。江神二郎シリーズ(学生アリスシリーズ)はあちこちで発表された短編がずーっと単行本にまとまらないまま放置されてきたため、「いつになったらまとめるんだよ!」とやきもきしていた人は少なくないはず。『○○○○(人名)の××(二字程度の単語)』というタイトルで『シャーロック・ホームズの冒険』ではなく『涼宮ハルヒの憂鬱』が連想されるあたりには時代の変化を感じた。リンク先にも例が載っていますが、本格ミステリの短編集は『○○○○の××』とされているパターンが割とあります。探偵の名前が出ていたらひと目でシリーズ作品と分かる、って便利な点もありますけれど、なんとなく慣習というかお約束みたいになっている部分とてなきにしもあらず。『金田一少年の事件簿』だって『シャーロック・ホームズの事件簿』に端を発する『○○事件簿』タイトルの系譜に連なっているわけですし、ホームズはつくづく後世に与えた影響が大きいと申しますか、もはや呪縛の次元に近い。一種の共同幻想。彼に匹敵する「名探偵」のイメージを備えたキャラクターなど、恐らく今後ずっと現れることはないでしょう。

名作ライトノベル 『ロードス島戦記』 リメイク決定(ひまねっと)

 そういえばロードスって機会が得られなくて全然読んでないな。クリスタニアは途中まで読んだけれど、もう何も覚えていない。小説版のロードス島シリーズは『ロードス島戦記』(本編)、『ロードス島伝説』(過去編)、『新ロードス島戦記』(続編)、それにいくつかの番外編で構成されていて、全部合わせると20冊ちょっとになります。いっとき古本屋に山ほど並べられていたせいもあって「物凄く長大なファンタジー小説」というイメージを抱いていましたが、調べてみると案外そんなに多くない。アナザー抜きの『フルメタル・パニック!』と同程度の冊数です。このたびリメイクされる『灰色の魔女』は元が1988年刊行だから、実に24年ぶりか。当時中学生だった人も既に40歳近い勘定。干支がふた回りもすると、「世代の違い」では片付けられない空気が漂う。ちなみに話の舞台となるロードス島(Lodoss)は架空の島で、エーゲ海に浮かぶ実在の島ロードス(Rhodes)とは無関係です。

 アニメや映画、漫画に比べるとあまり印象のない「小説のリライト(リメイク)作品」ですが、探せば結構あります。「改稿魔」と呼ばれる高村薫は文庫化の際に原稿を弄りまくるせいでハードカバー刊行時とは別の作品になっている、なんてこともしばしば。『わが手に拳銃を』はタイトルも変わって『李歐』となり、あまりにもガラッと変わったせいで「リメイク」ではなく「堂々、文庫書き下ろし!」と謳われる始末。ハードカバー版と文庫版、ふたつのバージョンを楽しめるわけですから考え方次第ではオトクと言えなくもありませんが、高村薫の改稿はサービス精神旺盛だからではなく単に完璧主義者だからやってるような気配で、それを証拠に雑誌掲載されたまま単行本になっていない作品(“警視庁捜査第一課第三強行犯捜査第七係”シリーズ)まであるのだから実にファン泣かせだ。冲方丁の『マルドゥック・スクランブル』完全版が刊行されている。ライトノベルでは上遠野浩平が『虚無を心に蛇と唱えよ』を大幅に書き換えて『機械仕掛けの蛇奇使い』としたり、夏見正隆が『たたかう!ニュースキャスター』を加筆しまくってオリジナルのほぼ倍に相当する枚数まで増量させたり、小野不由美が『悪霊がいっぱい!?』等の“悪霊”シリーズを10年ぶりくらいにリメイクして『ゴーストハント』にしたり、いろいろと思い当たる。一方、3冊で打ち切り終了となった『カラミティナイト』『カラミティナイト―オルタナティブ―』としてリメイクされた(ストーリーはそのままで、男だったキャラが女になっていたりする)ものの、結局また打ち切られた(しかも旧バージョンの1巻に相当する部分しかリメイクできていない状態で)、なんていう悲しいケースも……同レーベルの『ゾアハンター』は打ち切られずに完走できました。浅井ラボの『されど罪人は竜と踊る』も出版社移行に際して原稿を一から書き直すという大変労力の掛かるリメイク作業を行いましたが、ぶっちゃけあれに関してはリメイク前の方が好きですね。ガガガ版はどうにも説明口調が多すぎる。

 雑誌連載を経た後、まず最初にハードカバーで刊行してから文庫落ち……みたいな手順を踏まず、いきなり文庫書き下ろしで出版されるパターンがほとんどのライトノベルではリライト(リメイク)をする機会自体が一般小説よりも少なく、また大幅なリライト(リメイク)を行うケースは「打ち切り等の理由で未完となっていたシリーズを再開するため」だったりして、「過去の人気作を現代風にアレンジする」試みの多い映画やアニメ、漫画やゲームとは趣を異にする雰囲気です。もしこれでロードスリメイクが成功したら、一気にリメイクブームが来るかしら。『風の白猿神』リメイクでシリーズ再開とか、『蓬莱学園の初恋!』リメイクでシリーズ再開とか、『ソウル・アンダーテイカー』リメイクでシリーズ再開とか……うーむ、どうしてもシリーズ再開の望みというか欲がチラついてしまうな。シリーズ再開のチャンスとか抜きで純粋にリメイクを読みたい作品って特にはない。そもそもリメイクってオリジナルに愛着のある人ほど不満を覚える出来になりがちなところがありますし。07年版『Dies irae』の後半部分に欠片の愛着も抱いていなかった当方はファーブラ(09年版)を大歓迎しましたけどね。おっと、AA(2012年版)のPC版ももうすぐ発売だったな。忘れないようにしないと。あと最後に、ロードスの関連作である『魔法戦士リウイ』には『呪縛の島の魔法戦士』というド直球なコラボ巻があります。意外と見落としがちなのでこれからロードスに挑む方は忘れずにチェックしておきましょう。

・拍手レス。

 伊藤誠が兎の前に連載していた『舞弥』(格闘もの)という作品も兎と同じ世界観です。ジャッカルの師匠夫婦はその時のメインキャラ(主人公の兄とライバル)で、ケイト突然現れたラスボスでした。自分はたまたまこの作品を知っていたので兎を読んでにやりと出来たけど、知らない人にとって師匠夫婦て何者にみえるんだろう?
 そうだったんですか。『兎』はサブキャラ含めて濃い人が多いからジャッカルの師匠も特に気にしたことはなかった。

 実は高田裕三も『トリツキくん』という麻雀漫画(後半は麻雀してないけど)を1冊描いていたりします。そのつながりで竹書房から碧奇魂ブルーシードが出たと思われます。
 幽霊に取り憑かれて麻雀打つ話でしたっけ。読んだことはないけど、どこかで紹介されているのを見た気がします。

 舞城の小説は前に読んだことがあるのですが、あの人の文体は読むのが疲れるんですよね…。なんというか、休憩時間なしに物凄く長いヒップホップを聞いているような感じなんですよね。果たして面白いものに仕上がるのかどうか、少し不安です。
 一章目のタイトルがいきなり『九十九十九』だし、今回もやりたい放題みたいで、舞城知らないJOJOファンに薦めるのは躊躇われる出来になりそうだ。

 人衰のアニメ、なんであんな時間軸ハチャメチャでやってるのだろう。原作未読だけどなんか意味があるんですかね。作中の情報で推測できるから、簡単な論理パズルめいて少し面白いけど。
 「原作を忠実にアニメ化すると盛り上がりに差し掛かるまでが長い」「端折らないといけない箇所も多いけど、時系列を錯綜させればあまり目立たない」「視聴者が『いい最終回だった』と感動する構成にしたかった」、こんなところでしょうか。逆にSOAは時系列通りにやろうとしたせいで2話から7話までずっと番外編が続く異例の構成になってますね。


2012-08-20.

舞城王太郎のJOJO小説『JORGE JOESTAR』、9月19日発売予定

 10月頃かな、と睨んでいましたが、思ったより早い。主人公はジョージ・ジョースター、第1部の主人公であるジョナサン・ジョースターの息子であり、第2部の主役を務めるジョゼフ・ジョースターにとっては父親に当たる。つまり、今回書かれる物語は言うなれば「第1.5部」になるわけですか。ジョナサンの息子(ジョゼフの父親)は原作だとほんのちょっとしか出番がなく、「父親に似て勇敢な男だった」ってこと以外細かい設定は不明瞭でした。そのぶん創作しがいのある題材だろうとは推測されます。先にJOJOの第1部と第2部に目を通しておいた方がより一層面白くなるでしょうが、舞城という作家の特性(計算高く勢い任せでサービス過剰)を考えると、ジョジョをまったく知らずに読み出してもそれはそれで楽しいことになるのではないかと。amazonの記載によると768ページ、かなり分厚い一冊になる模様。お値段は張るけど、見るだけでワクワクする威容ですね。

本は読むより買うほうが楽しいんだよな(ぶく速)

 これは否定できない。まとめて十数冊大人買いするときは気持ちいいけど、実際に崩すのはちょっと億劫だったりします。そして買い過ぎる自分に嫌気が差してくる。しかし、億劫がって放っていた本を一念発起して読み出すとやっぱり面白いので、「別に買い控える必要はないな」と開き直ってしまう。読書そのものに飽きてしまえば購入もやめてしまえるんですが、なんだかんだ言って本読むのは楽しいんですよね。最近も途中まで進めて積みっぱにしていた『兎―野性の闘牌―』を、新刊も出ることだしと改めて1巻から読み返していたところですが、ちょうどやめていたあたりから面白くなってきて立て続けに読破してしまった次第。

 何度か解説しましたが、『兎―野性の闘牌―』は竹書房から刊行されている麻雀漫画で、アーケードゲームも出たほどの人気作。『アカギ』に続いてアニメ化されてもおかしくないレベルの逸材ですが、機会を逸したのか、結局アニメになることはなさそうな雰囲気です。いじめられっ子の主人公・武田俊が、現役高校生を中心に構成される異例の代打ち集団「ZOO」に新メンバーとして加わり、様々な裏社会の住人たちと麻雀勝負を繰り広げることになる……といったもの。感覚としてはバトル漫画に近いノリで読める。直接的な暴力を振るうシーンもあります。『兎』の特徴は、主要キャラに女子高生や女子中学生が含まれていて、麻雀漫画というどちらかと申せば地味な印象が強いジャンルにしては華の多い作風になっていること。セリフ回しも個性的で、「背骨だけ残して死ねばいい」等、ほんの一言や二言の短いセリフを大ゴマでバシッと決めてみせます。話は大きく分けると4部構成になっており、「ZOO」の紹介も兼ねた開幕編が3巻くらいまで、「勝てば賭け金が10倍になる」と甘い誘惑を放ちながら「負ければ死」と危険な代償を忍ばせ、過去ひとりも達成者がいない「山城麻雀」にZOOのメンバーが挑む山城麻雀編が7巻の途中まで、主人公の出自が明らかになりラスボスも遂に登場してくるD・D編が9巻あたりまで、そして現在本誌でも不定期連載中の裏社会血闘編が最終章となる模様。

 『兎』は1996年に連載を開始し、今年でもう16年になる。『むこうぶち』『天牌』よりも長期に渡って展開している古株なんです。なのに、つい先日発売された新刊は14巻……途轍もない寡作ぶりを見せつけている。はじめはそんなに遅くもなかったんですけれど、D・D編に入ったところから徐々に滞り出し、8巻から10巻にかけてはなんと4年以上もの時を要しています。そこが停滞のピークであって、以降は少しずつペースを取り戻してきていますけどね。当方がまさしく現役高校生の頃に読んだ思い出の一品で、語るにつけ懐かしさを禁じえない。クラスメートに麻雀好きの奴がいて、『兎』を「今のオススメはこれだ」って熱くプッシュしてくれたことから着手したものでした。薦められる前から存在は認識しておりましたが、絵柄といい、女子高生が表紙を飾っている単行本といい、当時の麻雀漫画の感覚からするとどうしてもイロモノ臭が拭えなかったので敬遠しておりました。「どうせお色気を前面に出して、負けたら脱衣とか、そういう路線なんでしょ」と勝手に勘違いしていた罠。いざ読み出してみると程好くハッタリの利いた内容で好みに的中。『兎』があったからこそ『咲―Saki―』も食わず嫌いせずに済んだわけで、考えてみると当方にとってはなにげに重要な位置付けの作品だ。ただ、山城麻雀が始まる前に一旦読むのをやめちゃったから、正直「そこそこ好み」止まりの漫画となっていた。『兎』が本格的に盛り上がって来るのは第2部「山城麻雀編」に入ってからです。これから読む方には最低でも4巻まで揃えた後スタートすることをオススメする。ヒロインの山口愛が一番可愛い時期も山城麻雀らへん。

 しかし、逆に言うと山城麻雀編以降はどんどん陰惨さが増していくので、「命を賭けて麻雀勝負とか、そういう血腥い話はちょっと……」という方には薦めかねる。山城麻雀はもともと山城連合(広域指定暴力団。ZOOのバックには山城組が付いている)会長の「組抜けしたい構成員に僅かな希望を与えてジワジワと嬲り殺しにする」という悪趣味な習慣から始まったグロテスクなお遊戯であります。いくかの関門があり、それぞれのステージごとに設定された勝利条件(例:山城側の打ち手ふたりを同時にトバす、etc)を満たさないと次に進むことができない。一度でも敗北すればその時点でゲーム終了、人生もデッドエンドになります。切腹して臓物こぼしながら麻雀を打つ『凍牌』ほど極端ではないにしろ、なかなか過激なお膳立てである。第3部の「D・D編」に入ると過激さは更にエスカレートし、「何ひとつ武器を持たず 己の肉体のみを駆使し 一個少隊(ママ)を殲滅――」と、上半身裸で葉巻銜えてコロンビアのポーズをしながら敵兵の腕をもぎ取っているオッサンまで登場する始末。お前は範馬勇次郎か。一方で「運」という概念を5種類に分けて把握するなど、オカルトを通り越し、もはや異能バトルに等しい次元へ踏み込んでいく。凡夫を「変動性相対運」と呼び、相手の運量に比例して運を吸い取り力を増す「相対強運」のSクラスに当たる存在を「持続型相対強運」と呼ぶ世界。「絶対強運」の持ち主が揃っているD・D軍団は誰もが伏せられている牌山の内容を「第六感で知覚するのが当然」という域に達していますが、モニター越しの闘牌を眺めて「…麻雀(これ) 見えない方が面白いんじゃないか?」と素で言ってしまうシーンに笑いました。『兎』というタイトルの由来は、主人公のコードネームが「兎」(ZOOではメンバーたちの身元バレを防ぐため、お互いをコードネームで呼び合っている。「ZOO」だけに動物の名前を冠したものが多い。組織のトップである風間巌は「園長」)だからで、じゃあなぜ兎と呼ばれているのかと言ったら、彼には「危機察知能力」があるからです。そのときの状況や精神状態に左右されますが、能力が発動すれば背後から迫る危険さえも感知して身をかわすことができるし、麻雀で「この牌は危険だ! 放銃してしまう!」と確信して止めることもできる。ZOOには端牌を好んで使う「タンチョウ」などもいます。斯様にハナから打ち筋の個性が半ば超能力じみている漫画ではあったんですが……D・D編から先は何もかもスケールアップしすぎるため、細かいことが気になる人はだんだん付いていけなくなるかもしれません。「楽園」という孤島を舞台にした闘い(10巻以降)は一つの見せ場なので、どうにかそこまで辿り着いてほしいものです。

 あとスピンオフ漫画も出ています。それもふたつ。本編で「負け犬」と自負している屈折した天才・シャモアを主役にして描く『シャモア〜孤高の闘牌〜』と、美人だけど進むにつれて影が薄くなるヒロイン・山口愛の小学生時代を綴る『ユキヒョウ〜白銀の闘牌〜』。なぜシャモアが真っ先に番外編の主人公に選ばれたのか、謎だ……あいつ妙に人気があるらしい。『兎』はバリバリにキャラの立った連中ばかり出てくるから、今後どんどんスピンオフが発売されることになるやもしれませぬ。『ワシズ』みたいな調子で『ライゾウ〜四季の闘牌〜』とかな。『シンジョウ〜壱千の闘牌〜』や『センドウ〜猩々の闘牌〜』なんてのも。ネタは無限にある。ただ、個人的に好きなキャラはチャップマンですが、だからと言って『チャップマン〜馬券の闘牌〜』を所望するかと申せば、うーん……伊藤誠本人が描かないなら、どれもそこまで積極的に読みたいわけではない、というのが正直なところ。

・福本伸行の『熱いぜ辺ちゃん』を読んだ。

 『カイジ』『アカギ』で有名な福本伸行の初期作を一冊にまとめたコンビニ本。ジャンルは麻雀漫画です。まだブレイクする前の作品(1987年頃)とあって連載中は単行本化すらされませんでしたが、『天』や『アカギ』によって人気が出てきたことからようやくコミックスに収録された、という経緯があります。そのためか、表紙には「アカギの原点」などという惹句も踊っている。ちなみに福本は『熱いぜ天馬』というよく似たタイトルの麻雀漫画も出しています。こちらは『鉄と天馬』にも収録されており、少し前にアンコール刊行されたみたいなので古本屋を回るよりコンビニに行った方が入手しやすいかも。現在だとamazonのマーケットプレイスに定価より高い値段で出品されている『麻雀バクチ列車!』『バクチ麻雀地獄寺!』も、ちょっと前からアンコール刊行されたものが出回っている。コンビニ本はネットをチェックするより、やっぱりこまめにコンビニを覗く方が吉です。

 さておき、『熱いぜ辺ちゃん』。タイトルは「あついぜぺんちゃん」と読みます。主人公・渡辺裕一のあだ名が「辺ちゃん」ないし「辺助」で、これは麻雀用語の辺張(ペンチャン)待ちと掛けている。作中でも何度かペンチャン待ちからアガっています。ただ、この辺ちゃんは福本漫画の主人公としてはかなり弱い部類に入り、勝つシーンよりも負けるシーンの方が多い。麻雀のやりすぎで職を失い、雀荘でボロ負けして「金がない」と白状するや袋叩きにされ、倒れたところをホームレスの人々に助けられるが代償として服を剥ぎ取られ、それでもめげずに彼らと打って負けては支払いのためにビンを拾う作業に出る……と、凄まじい転落ぶりをコミカルなタッチで描いたりします。初期作だから、絵柄が今とはかなり違う。昔の少年漫画みたいな雰囲気を漂わせており、驚くべきことに女の子もちょっと可愛い。全体的にユーモラスな作風で、コメディあり人情あり、笑わせたりしんみりさせたりと幅広い内容になっています。エピソード間の繋がりはいくつかあるものの一話完結方式が基本でストーリー性は薄く、時にちょっとビックリするくらい話が飛ぶ。16話目の「再見」は麻雀で稼いだお金を使って辺ちゃんが中国に渡るエピソードですが、山の中で道に迷い、泣きながら座り込む場面で「再見――」とぶっつり切れます。どうもここで一度打ち切りになったようで、再開する次の17話から一気にガラッと絵柄が変わる。刺さりそうなアゴ、背景に浮かぶ「ざわ… ざわ…」の描き文字……つまり誰もがイメージしうる「福本漫画」だ。作中の時間はなんと7年も経過しています。16話が1987年で、17話が1994年。単行本の発売が1995年だったから、実際のブランクも同じ程度だろうと推測される。16話まではページの端になるべく余白を作るような描き方をしているから本の側面、専門用語で言うところの「腹」を見ると白いんですけれど、17話以降はページ端の余白がほとんどないのでとっても黒い。まさに腹黒。ホント、ひと目で違いが分かるから見ていて笑えます。『アカギ』や『カイジ』に慣れている読者は後半の方が違和感なくて馴染みやすいでしょう。闘牌描写も、人情やコメディといった他の要素が強い前半に比べればずっと濃い。当方も、こういうノリを期待して買った節があります。

 でも、結果としては前半の方が面白かったな、というのが偽らざる感想。大金や利権、血液を賭けてざわざわするような展開こそないにせよ、「熱いぜ」というタイトルを裏切らない、非常に心地良い熱気に包まれています。「麻雀と人生は両立しない――」「麻雀は百害あって一利なし――」「あの空虚な時間の浪費と人格の崩壊――」「よく麻雀でムダヅモなどといっとるが……」「なんの事はないっ! あんなものは全部ムダヅモなんだっ!」と、福本節の原型を匂わせる素敵な言い回しも沢山盛り込まれている。周りの目を気にしてばかりいたヤクザが、喫茶店の中で腹を刺され、「苦しくなって手を上げた」けど誰も気づいてくれなかった……という第5話「勇気」もグサッと来ます。「人がどう見るか……?」 ガキの頃からずっとそんな思いに囚われていたのに、「…人は俺を見てなんかいなかったよ」。心を支配してきた重石がただの「自意識過剰」であったと悟らされる切なさに胸を衝かれました。一話一話のエピソードに様々な思いとネタを目一杯詰め込もうとするサービス精神に感服。タイトルのせいで避けていたことを後悔しました。1冊で500ページと分厚く、オトク感も充分です。良い買い物ができてホクホクだ。

・拍手レス。

 「不釣合いな力を得た小物」ってのは昔からあるパターンだけど、波旬はその究極系ですからねえ。無量大数の力と極小の器量。ニートすら霞む史上稀に見る性質の悪さだ。
 身の丈に合わない力のせいで己すらも滅ぼすことになった、という点では可哀相なんだが、あまり同情する気になれないところが波旬の人徳というか天狗徳。

 スチパンファンディスクはユーザーフレンドリーな値段だが、焼津さんシャルノスしかやってないのでは? それだとコストパフォーマンスは微妙な気も。まあメアリがエロ可愛いからそれでいいか。
 インガノックは途中まで、ヴァルーシアは体験版の範囲までしかやってないですね。いきなり番外編からプレーしてみるのもアリかしら。

 ラインハルト様の魔王度は、初見の主人公たちがおしっこチビっちゃうレベルですからね。あれだけのラスボスっぷりで、実際にラスボスな人も珍しい。ケルベロスの覇王な人はどうなるだろうか。
 ケルベロスの覇王って、確かラガンとかいう名前でしたっけ……古橋はちゃんと考えているのだろうか。ライトノベルと言えば『鉄球姫エミリー』『戦場のエミリー』でラスボスみたいな威圧感を放っていたのが印象的でした。


2012-08-15.

・休日は本屋で買い物するのがこれまでの習慣でしたが、積読の消化が一向に捗らないため、あえて足を遠ざけて代わりにゲーセンに行ったらアーケードの麻雀ゲームに熱中して節約するはずの本代を全部筐体に吸われた焼津です、こんばんは。

 専用カードが設定されているゲームでも「カード? そんなもんわざわざ要らないよ」とゲストプレーするスタイルを貫いてきた当方ながら、麻雀ゲームは事あるごとにクレジットを要求してくるのでチマチマとコインをインサートするのも面倒になり、人生初のゲーセン用ICカードを作ってしまった。暇潰しのつもりだったのに、これからはゲーセンへ行くために時間を割く生活となりそう。麻雀漫画は依然として読み続けています。実際の麻雀はヘボでも、凄い打ち手が出てくる麻雀漫画を読むと自分まで強くなった気がしてくる不思議。古本屋の廉売コーナーで見つけた『灼熱の麻雀』は「作画が『天牌』の嶺岸だから」という理由だけで購入しましたが、期待以上の面白さだった。80年代に刊行された『勝負師の条件』と、約20年後に発売された続編『代打ちたちの晩夏』をミックスしたものです。400ページで16話収録。真ん中に『代打ちたちの晩夏』全11話を入れ、その前後に『勝負師の条件』から抜粋した5話分(「桂木という男」、「桂木VS剣城」前夜、「桂木VS剣城」決着、「麻雀の真実」、「灼熱の風」)を配置するという構成はややヘンテコだが、桂木と剣城の因縁をややダイジェスト気味とはいえ知ることができるので、いきなり『代打ちたちの晩夏』から読むよりはマシ。『勝負師の条件』って古本屋でも全然見かけないし、仕方なく『代打ちたちの晩夏』を先に読み出そうかな……と思案していた当方にとっては渡りに舟だった。20億の物件を賭けて代打ち勝負、という部分は設定だけで、勝ったらどうなるとか負けたらどんな目に遭うとか、ドラマ的な要素は一切排されています。徹底して闘牌描写に専念しており、打ち切りめいた終わり方にも関わらずスッキリとした読後感が残ります。思わぬ拾い物で満足しました。

 ただ、読み終わった後で某所の解説に目を通していたら、「開戦」というエピソードで「八索が5枚ある」との指摘が。慌てて読み返したら、本当だ。「WM」が都合5つも出てきています。まずドラ表示牌に1枚、次いで桂木の配牌に1枚、何巡目かの広瀬の手牌に1枚、そして六・九索の待ちでリーチ掛けた桂木がツモ切りした牌で計4枚とこれで純カラになり、桂木が捨てた後で「よしッ 今ゲンブツになったカン八索ができた」と意気込む太陽の待ちは既に死んでいるわけですが、待ちを変えて一萬を加槓するとめくられた槓ドラが八索……あるはずのない5枚目。麻雀漫画において「同じ牌が5枚ある」という珍現象はちょくちょく起こるそうで、ミスとしては最早「お約束」の領域に達しているらしい。見せ場のある闘牌シーンを作ろうとすると、どうしてもこういったミスは発生しがちになるんですね。ミスを避けようとするなら「実際の牌譜を漫画に起こす」のが一番確実ですが、それだと見せ場作りが難しい。こういうミスはチェックする方も大変なので、完全になくすことはできないでしょう。ただ、同じ嶺岸の『麻雀群狼記 ゴロ』には「手牌に7枚白がある状況で8枚目の白を引いてきてリーチ(ちなみに白はドラ)」という、「いつの間に轟盲牌使ったんだよ!?」な作画ミス(3巻の82ページ)があって絶句しました。単に牌の図柄を描き込むの忘れただけだろうけれど、さすがにこれは気づかない方がおかしいレベル。せめて単行本では修正しておこうよ。そこを除けば『ゴロ』自体は割と面白い麻雀漫画です。原作が来賀、つまり『天牌』コンビなので非常に安定した内容。一方で「敵対する組同士が麻雀戦争なんて劇画の世界だが」と身も蓋もない発言があったりして笑いました。よりによって『天牌』コンビの漫画がそれを言っちゃうのか、と。

 他だと『むこうぶち』もゆっくりチマチマと読み進めています。バブル景気真っ盛りの80年代を舞台にしたオムニバス形式の麻雀コミック。ホリエモンのパチモンみたいなキャラも出てくるけどあくまで80年代。ストーリー性の強い『天牌』『アカギ』と違って基本的に読切形式のショートエピソードが多いから、感覚としては『天牌外伝』に近い。しかし黒沢の内面を掘り下げる機会が多々ある『天牌外伝』とは異なり、『むこうぶち』は主人公である傀の内面について一切触れません。出自も謎ならば麻雀歴も謎。ひたすら麻雀を打つシーンばかりで、物を食べたり街で買い物したりなどといった普段の生活を窺わせるような描写は全然ありません。何のために裏麻雀を打ち続けるのか? 金のため? それともスリルを求める刹那主義? 自分が破滅してしまうのではないかという恐れは抱かないのか? すべてが謎に包まれています。進むにつれて寡黙さが増していき、反応も機械的になっていくせいで「妖怪」呼ばわりされることもある傀。でも読んでいて真っ先に感じる不思議は、「なんで傀に負けた人々は唯々諾々と大金を支払うのだろう?」ということです。彼は「むこうぶち」と呼ばれる一匹狼だからバックにヤクザが付いているわけでもない。だったら一人か二人は開き直って踏み倒そうとしたりバックレようとしたり、あるいは暴力的な手段に訴えて反故しようとする奴がいてもおかしくないんじゃないかしら。逆ギレしてポケットからナイフを出すような輩には如何に処するのであろう。イメージ的には無言で覇王翔吼拳をぶっ放して返り討ちですが。絵が天獅子悦也だけに。復活した江崎も風貌からしてなんか有情破顔拳とか撃ちそう。というか復活江崎、魅力ありすぎて噴いた。「荒野」(江崎が初登場したエピソード、傀に敗北して3000万の借金を負う)のみしか読んでなかった頃は「なんでこんなキャラでスピンオフ漫画(『EZAKI』)まで作ったんだろうか?」と首を傾げたものですが、11巻を読んで納得。それまでは「邪眼」のボクサーが個人的なベストキャラクターでしたが、復活江崎を目にして一瞬で入れ替わりました。こりゃスピンオフを描かない方が勿体無いレベルの存在感ですわ。

妹に『翼ある闇』の新装版を押し付けたら、「これ1冊目なんだよね??」と困惑してた(ぶく速)

 いきなり「最後の事件」ですから誰しも面食らいますね、あれは。当方が一番最初に見かけた麻耶作品は『痾』(「あ」と読む。「治りにくい病気」って意味)で、この異常にシンプルな題名の長編小説が気になって仕方なく、ひとまず買ってはみたけど「まずはデビュー作から入ろう」と『翼ある闇』を改めて調達してきたものでした。そしたら一発でハマった次第。発表順を無視して『痾』から読み出さなくて本当に良かったです。『痾』は麻耶雄嵩3冊目の著書で、内容的には『夏と冬の奏鳴曲(ソナタ)』の続編と申しますか、一種の関連作であるだけに入門書向きとは言いがたい。麻耶は寡作ながら実に個性的なミステリを書く作家であり、読む人によって激しく好悪が分かれるため評価も賛否両論といったところですが、一度ハマってしまうとなかなか抜け出せなくなるくらい強烈な魅力を備えています。当方も未だに麻耶中毒が治っておりません。そういう意味ではあまり気楽に薦められない作家ではある。

探偵ものって推理するやつの天才ぶりとかはいいとして、助手とかまわりのキャラの捜査能力みたいなのがすごいよな(ぶく速)

 巨漢で美食家で蘭の栽培が趣味という探偵ネロ・ウルフは体格のせいもあって靴底をすり減らして歩き回るような捜査行為をとことん嫌っており、もっぱら助手のアーチー・グッドウィンが現場調査や関係者への聞き込みを担当しています。アーチーは自分の捜査が事件解決にかなりの貢献をしていると自負し、いわゆる普通のワトソン役と違ってウルフに対する敬意が控え目になっている。ほとんど対等の関係であると思っているらしく、割と調子こいた発言するところが面白い。「大抵のワトソン役ってちょっと不当なくらいに扱いが軽いなぁ」と疑問を感じていた当時の当方にはうってつけの野郎でした。逆に捜査能力のある探偵というと、意外に金田一耕助が該当します。「ちょっと事件の背後関係を探ってきます」と言い残して現場を一旦離脱、「金田一はどこへ何をしに行ってるんだ?」と困惑しているところにふらっと帰還、「遠出していろいろと調べてきました」つって事件解決の鍵になるような情報を明かしたりする。それはそれで反則のような気もしましたけどね……やっぱり本格系の探偵は捜査よりも推理を重視してほしい。

魔王ものってなんで流行ったんだろうという問題について理由がまるでわからない(ぶく速)

 魔王モノはここ数年でどっと増えました。HJ文庫の魔王モノ御三家『いちばんうしろの大魔王』『はぐれ勇者の鬼畜美学』(主人公は勇者だがヒロインが魔王の娘)、『魔王学校に俺だけ勇者!?』はどれもセールスが好調で、3つのうち2つは既にアニメ化されている状況。ネット発の『まおゆう魔王勇者』も今度アニメ化します。電撃文庫では『はたらく魔王さま!』『魔王なあの娘と村人A』というシリーズが展開され、ガガガ文庫の『魔王が家賃を払ってくれない』『魔王っぽいの!』も順調に巻を重ねている。アニメ放映中の『カンピオーネ!』も主人公が「神殺しの魔王」。完結済ですがMFにも『かぐや魔王式!』があった。富士見の『ハイスクールD×D』も、下級悪魔の主人公が成り上がろうとする話なので、広い意味に取れば魔王モノの範疇に入るかもしれない。厳密に言うと目指しているのは魔王じゃなくてハーレム王ですけども。ライトノベルではなく漫画ですが、『沙漠の魔王』もつい先日復刻されました。『ジョーカー・ゲーム』を始めとする一連のシリーズも「魔王」と呼ばれるキャラが鍵を握っている(コミカライズ版のタイトルは『Dの魔王』)。「魔王」で検索すると、いちいちピックアップするのが面倒なくらい沢山ヒットします。魔王ブームと言うべきか魔王バブルと言うべきか。この流れで『逆襲の魔王』とか、『大魔王アリス』とか、埋もれてしまった昔の佳作も再評価されるといいなぁ……無理か。

 amazonで大雑把に調べてみると、「魔王」でヒットする本は2008年あたりから一気に増えています。ちょうどコミック版『魔王』が盛り上がっていた頃。『DEATH NOTE』の夜神月や『コードギアス』のルルーシュといったヒール系のダーク主人公像が広く定着してきて、エロゲーではずっと延期続きだった『G線上の魔王』がようやく発売された頃。『勇者のくせになまいきだ。』が人気を博していた頃。当方が「怒りの庭」という最大級の魔王に責め苛まれて抜け殻になりかけていた頃……懐かしいけれど帰りたくはないあの日々。しかし、なんだかんだ申しましても、ここ数年でもっとも「魔王っぽさ」を漂わせて畏怖させられたキャラは『Dies irae』ラインハルトであることに変わりはない。ほんのちょっと登場しただけで「こんなん勝てるわけねぇ!」と絶望することを強いられる威圧感。彼の忠実な部下であるエレオノーレすらも普通に魔王並みの風格が備わっており、ちょっと出てきただけでお小水漏らしそうになるのに、更にその上を行くわけですからね。喩えるなら、エレオノーレは「通常技が必殺技並み」というレベル、ラインハルトは「通常技が超必殺技に相当」というレベル。コンシューマ版が発売されたおかげでやっと声優の名前を堂々と「諏訪部」って言えるようになりましたが、アニメで諏訪部ボイスを聞くたびに「あ、ラインハルトの声だ。ってことは諏訪部か」とワンクッション置いて思い出すくらいラインハルトの印象が強い。神咒で波旬に一蹴されたとはいえ、あのインパクトはそうそう和らがないです。波旬も一応「第六天魔王」ではあるが、あいつって魔王キャラというより「スケールのでっかい小者」っつーイメージ。「俺の宇宙(カラダ)は俺だけのものだろうがよ。どうして貴様ら、俺を唯一(ひとり)にしないのだ――」とか、言ってることのスケールは大きいけどビックリするほど狭量ですよ。あいつはあいつで面白いし、キャラとしては好きなんですが。

・拍手レス。

 大学生が主人公のラノベと聞いて真っ先にゴールデンタイムが思い浮かびました。かなりハイレベルなリア充ストーリーなので合わない人は合わないと思いますが、どうでしょう。
 ああ、あれがありましたか。ちょっと前に発掘したばかりですが失念しておりました。久々に再開させないと。

 「かいごろしっくす!」、盛大に笑わせてもらいましたwというか、どこかのメーカーに企画書持って行きません
 (途中送信になってしまいました。すいません)どこかのメーカーに企画書持って行きませんか?絶対に採用されますって

 エロゲーを舐めてはいけませぬ。これに輪をかけて頭のおかしい企画がいずれどこかで実現するだろうと思います。『妹選抜総選挙』は想像の埒外だった。


2012-08-12.

・『かいごろしっくす!』という架空のエロゲーをプレーする夢を見た焼津です、こんばんは。本来は支離滅裂で意味不明な内容でしたが、若干脚色を加えたうえで解説してみます。

 平たく申せば6人いるヒロインが全員君望のマナマナ系ってコンセプトの学園モノ。キャッチコピーは「拉致監禁は淑女の嗜み、調教飼育は乙女の務め♪ 飼い殺しは蜜の味、さあ骨の髄までLet's所有☆」だったかな。うろ覚えだけどだいたいそんな感じ。攻略する(攻略される?)とオートマティックに永遠のお留守番を強制される縛鎖システム搭載。捕獲されると中心の舞台は宅内および邸内となり、もはや学園モノである意味がなくなります。ヒロインみんな主人公のことが大好きで執着しているけれど、ハーレムというよりサドンデスの蟻地獄だ。ちょっとでもフラグを立てると付け狙われ、いずれ否応なく攫われることになります。中には「男をペットにするために刻命館レベルの屋敷を造らせた」という筋金入りのドSお嬢様キャラも。家畜躾け人(かとるいっぱー)な彼女に捕まると即『夢幻廻廊』の世界へワープ・イン。靴下美味しくて頭壊れます。

 ちょっと面白かったのは、「複数のフラグを並立させると、ヒロイン同士が争い合って攫われない」という、つまり毒を以て毒を制す武力介入システムが採用されているところ。フラグを立ててもすぐに誘拐されるわけではなく、しばらくストーキングされる期間があるので、デッドリミットまでに別のフラグを立てておけば「いざその時」に違うヒロインがインタラプトしてきて難を逃れることができる。「退け。今宵、汝(うぬ)が卑しき望みは果たされぬ」「こ、この闇夜に光る風紀委員の道満晴明(ドーマンセーマン)……チィィ、“魔人”加藤ですかっ!」。たとえ捕まっても、外部からの手引きで脱出してしまえばいい。解錠術を得意とするヒロインはストーカーに回すと怖いが味方にすると心強い。「蝶番(ヒンジ)を壊した方が手っ取り早いよ!」な武闘派も同様。延々とフラグを立て続ければ6人全員の手を掻い潜って卒業することも可能となります。しかしその場合は隠れヒロインである妹に「ほら、昔この柱でせいくらべしたよね、お兄ちゃん。ふふ、懐かしいなぁ……マジで懐かしいなぁ……じゃあここに縛ってあげる」と自宅監禁されるエンドに到達します。以前飼っていた犬のお皿に満面の笑顔でごはんを盛り付ける妹の一枚絵とともに鍵ゲーみたく感動的なBGMが流れ出す。兄の辿り着く場所。詰まるところ、どう足掻いても「飼い殺し」という運命の首輪を外すことはできない。故におとなしく飼い主を選ぶしかありません。さあ、あなただけのトップブリーダーを見つけましょう! って誰がやるんだこんなマゾゲー。「飼われる側が肉奴隷なら、飼う側は肉主人」という件は間抜けで笑ってしまったが、当方ならきっと体験版で投げ出すこと請け合いです。あ、でもヒロインが初音姉様とか曜子ちゃんみたいなタイプだったら迷うな……淫らな肉の人形にされたい気もしてくる。

・小学館から刊行された衿沢世衣子の新刊『ちづかマップ(1)』は結局講談社版の『ちづかマップ』とは別作品みたいです。

 講談社版の『ちづかマップ』は元々“メフィスト”というミステリ系の小説誌(季刊)に2007年から2009年にかけて掲載された連作『尋ネ人探偵』を改題して一冊にまとめたものです。刊行は2010年。単行本化に際して大幅な加筆修正が行われたとのことですが、雑誌掲載時のバージョンを知らないので、どの程度直したかは不明です。古地図大好きな16歳の女子高生・鹿子木千束(かのこぎ・ちづか)がマップを片手に街を散策する、割と平凡な内容を心地良い雰囲気で描いた日常コミックであり、刊行当初から話題になって続刊が望まれていました。小学館版は月刊漫画誌“flowers”の増刊“凜花”(季刊)に連載されている。講談社版との話の繋がりはなく、主人公のデザインも若干変わってます。判型も四六判(B6判よりちょっと大きい)からA5判に変化。でもノリはだいたい一緒です。常に読切形式で全体的なストーリーはないに等しいし、講談社版から読んでも小学館版から読んでもOK。それどころか次に出る2巻からいきなり読み出しても構わない。価格がちょっと安いので、どちらかと言えば小学館版をオススメします(講談社版は税込945円、小学館版は税込780円)が、気に入ったら是非講談社版も読んでみましょう。個人的には『シンプルノットローファー』も推しておきたいです。

現代日本で最後に世代的な共通の体験が出来るのが高校時代だからラノベを売りたいなら読者の共通体験である高校生にしないといけない(ぶく速)

 『神様のパズル』は主人公がゼミ生で、「へえ、大学のゼミってこんなふうなのか」と興味深く読めた記憶があります。自分もゼミに入ろうかどうか迷ったけど、なんだかんだで入らないまま卒業しちゃったから結構気になっていたんですよね。だから他のゼミ物も読んでみたいな、と長らく願っておりましたが、主人公が大学生の小説って意外と少なくてまだ望み通りのものに出会っておりません。特にライトノベルは少ない。『ミネルヴァと智慧の樹』は珍しく主人公が大学生で惹かれたけど、読みさしのままどっかにやっちゃった……発掘しとかないと。

ライアーソフトのスチームパンクシリーズ第6弾『黄雷のガクトゥーン』原画は千枚葉、発売は今冬予定(あしたがみえない)

 おお、やっとスチームパンクシリーズの新作が来るのか。前作『紫影のソナーニル』が2010年11月だったから2年ぶりになります。今度の舞台はフランスの模様。それはそれとしてスチパンのファンディスクも出るのか。タイトルは『Steampunk Full-voice Fandisk』、実にそのまんまである。あまりにもそのまんま過ぎて最初これが題名だとは気づかなかった。セレナリアからソナーニルまで、計16編のシナリオを収録(ファンクラブ会員限定のDLシナリオ「鋼の都」を足すと計17編)と、なかなかのボリューム。でもお高いんでしょう……? って不安げな面持ちで価格を確認したら3500円。安い。今時この価格設定はそうそうありません。『暁の護衛〜プリンシパルたちの休日〜』『装甲悪鬼村正 邪念編』も充分安いと思いました(両方税込3990円)が、まさかそれを凌駕するとは。これがフルプライスだったりしたらちょっと悩んで後回しにしたかもしれませんけれど、こんなに安けりゃ買わざるをえない。店舗によって特典(ショートノベルペーパー)が付くそうだ。ペーパーはA4二つ折りが一枚、つまりA5サイズ4ページ分に相当。さすがにコンプする気力はありませんが、せっかくだからソフマップあたりで購入しようかしら。

・拍手レス。

 WA2のPS3移殖とamazonのシナリオコンテスト1位の発表とamazonレビューを使った記事。偶然?それとも?ゲームは間違いなく名作なのであまり深く考えないようにします。丸戸さんが全面的に係るみたいなんで、素直に期待して待ってます。
 WAがPS3で出ているからWA2もいずれ移植されるだろうな、とは思ってました。introduction chapterがまだ終わらない当方は当然様子見です。

 9月発売で言えば、lightのZero infinityとBoost5のシンクライアントも気になりますね。特にシンクライアントはライターがシュタゲスタッフの1人ということなので、期待値が高くなっています。
 『シンクライアント』の方は今初めて知りました。BOOST5は『シークレットゲーム』とかを出してるFLATの姉妹ブランドなんですね。チェックしてみます。

 そういえば、メガハウスから地摺朱雀が製品化するらしいですね
 ALTERから鹿角が出るって話もありましたね。フィギュア好きのカワカミストは財布が干からびそうですな。

 餓狼・竜虎は格ゲーにストーリー性を持ち込んだ第一人者ですからねぇ。後への影響度はストUに比肩する。天獅子版コミックは原作の補完として評価が高い、と聞いてますけど読んだことないです。しかし、ウォルフガング・シュライバーの名前を見るたびにヴォルフガング・クラウザーが思い浮かんで仕方ない。テーマ曲がディエス・イレだったりするし、もしかして元ネタの一つか? 見た目は似ても似つかないムキムキマッチョマンだけど。
 餓狼伝説は「女が嫌い」というプロフィールからホモ疑惑を向けられたマタドール(ローレンス・ブラッド)が妙に印象に残ってます。


2012-08-08.

『古色迷宮輪舞曲』『迷宮街輪舞曲』と混同していた焼津です、こんばんは。

 「なんで今頃話題になっているんだろう?」と首を傾げておりましたが検索して疑問氷解せり。攻略要素の高い、「紙芝居ではないアドベンチャーゲーム」として評判を集めている模様です。口コミが広がって売れ行きも良好らしく、開発者ブログによると「メーカーのほうでも全く在庫が無い状況」で追加生産を行ったとのこと。買っても積みそうな気がするけど、ちょっと興味が湧いてきたし、どうしようかしら。そういえば『ルートダブル』がPC移植するって話もあったな。アレも割と気になっているソフトです。うーん、まぁ、とにかく今月末のDiesAaを最優先に考えるとしようか。

『カウボーイビバップ』BD-BOXキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!アマゾン限定版には特製布ポスターや川元利浩新規描き下ろしイラストBOX付属!(萌えオタニュース速報)

 4万円もするamazon限定版を最初に見かけたせいで「買うの諦めようか……」と落胆しかけたが、単なる初回限定版と通常版もあるのか。特典はあまり欲しがらない方なので、シンプルな通常版が用意されているってのはありがたいな。是非とも検討させていただこう。『カウボーイビバップ』は90年代後半のSFアニメで、海外人気も高い作品。「俺はただ醒めない夢を見ているだけさ」など、ハードボイルドっぽいキザというか少々クサいセリフ回しもあるが、ギャグありシリアスありと全体が起伏に富んだ内容となっている。高校生のときに友人から薦められたことをキッカケに観て、はじめはあまりピンと来なかったが、進むにつれてだんだんとハマっていきました。とにかく軽快でノリが良いんですよね。エドがクルーに加わってからの展開は特に素晴らしい。ビシャスを演じる若本規夫の存在感も見事。当方にとっては『serial experiments lain』と並ぶ青春の象徴です。しかし今となっては本編よりもOP曲である「Tank!」の方が有名かもしれません。なんかやたらとテレビで使われている印象があります、アレ。あと、BD-BOXの収録はTVシリーズだけで劇場版の『天国の扉』は入らない様子。『天国の扉』は本編の隙間に捻じ込まれたエピソードで、TVアニメの劇場版によくある後日談等ではなく、一種の番外編となっている。感覚的には『映画 けいおん!』に近いか。『けいおん!!』本編は主人公たちの卒業がクライマックスでしたけれど、劇場版は少し話を遡って卒業旅行のエピソードを捻じ込んでいます。TVシリーズ+劇場版なら嬉しかったんですが、まぁいいや。とにかく念願のBD化を寿ぐとしよう。

劇場版『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』2013年夏公開予定!めんまの視点で紡がれる、あの夏の物語(萌えオタニュース速報)

 これは来ると思ってました。むしろ来なけりゃおかしいくらい。宿海仁太(じんたん)の視点から本間芽衣子(めんま)の視点に切り替えるだけなら大筋は変わらないでしょうけれど、本編を観て「劇場向きの話だな」と感じたこともあり、90分くらいの尺ならうまく再構成できそうな気がします。しかし、改めて振り返ると、2011年開始アニメは劇場化率がやたらと高いですね。この調子でホライゾンやギルクラやZeroやピングドラムも劇場化してほしいと個人的な欲望を抱いてみる。しかしZeroとか何をやればいいのか分かりませんな。『神様ドォルズ』は原作が佳境に入ったそうですから、いっそ完結に合わせて劇場版やってくれたら嬉しい。逆に映画版を望まないのは『gdgd妖精s』『よんでますよ、アザゼルさん。』あたりか。2期は来てほしいけど、あれらのノリを映画館で味わうのはちょっと……この劇場化ブームの流れ、いつまで続くか読み切れませんが、良い具合に継続させて勢いを殺さずに駆け抜けてくれればいいな。

古屋兎丸「ライチ☆光クラブ」 TVアニメ化 10月放送開始(ひまねっと)

 えっ? ああ、『ライチ☆光クラブ』そのものをアニメ化するんじゃなくて、『ライチ DE 光クラブ』というアニメを作るわけですか。『ライチ☆光クラブ』は古屋作品の中でもひと際猟奇色と耽美色の強い漫画だから報せを聞いたときは目が点になってしまった。さすがにアレをあのままテレビで流すことは難しいだろうから、幾分かマイルドな調子に変更されるのだろうか。それはそれでアニメに興味を抱いた御新規さんが原作を読んで仰天するルートへ向かうことになるわけですが。ホント、思いも寄らぬ作品がアニメ化しやがるな。気が抜けなくて面白いです。

一柳凪再デビューならず(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 ガガガ生え抜きの作家だった人の名前を、まさか創元の新人賞で目にしようとは……賞は取れなかったみたいですが、頑張って再デビューに漕ぎ着けてほしいものです。というか、受賞者の近田鳶迩って、もしかして「幻遊庭園」の管理人だった方? 確か歌野晶午の大ファンで、歌野が『葉桜の季節に君を想うということ』によってブレイクする前から猛プッシュしていたんですよね。当方は歌野の著作を何冊か読んだ結果「そんなに熱心に追わなくてもいい作家かな」と判断して見切りを付けかけていましたが、この人の熱意に押されて「もうちょっと読み続けてみよう」と考え直したものでした。受賞作は10月発売の“ミステリーズ!”に掲載されるのかな? チェックしておかないと。

・あっちこっちで評判をよく耳にするもんだから、ついつい気になって『おおかみこどもの雨と雪』を観に行って参りました。

 『時をかける少女』『サマーウォーズ』で頭角を表した細田守監督のアニメ映画。その2作を知らない相手でも「『ぼくらのウォーゲーム!』を撮った人」と説明したらあっさり通じることがなぜか多い。時かけやサマウォに引き続き貞本義行がキャラクターデザインを務めています。夏休みの最中だからか、周りは親子連ればかり、単身赴いた当方は途轍もないアウェー感をヒシヒシと味わうことになりました。本気で同年代の観客がまったくいなかったんですよ……映画館じゃなくて公民館に足を運んでしまった気分でした。

 さておき、『おおかみこどもの雨と雪』は狼男に恋をしてしまった女性が半人半狼の仔、即ち「おおかみこども」を二人宿して産み、父親がいなくなってしまったことからヒトにもオオカミにも化(な)れる仔らを女手一つで育てることになる……という異類婚姻譚および変身譚のファンタジー映画でありつつ、常に笑顔を絶やさないで苦境を耐え凌ぐヒロインの靭さを前面に押し出したシングルマザー物でもあります。「雨と雪」は子供たちの名前、雪が姉で雨が弟です。それぞれ雪や雨の日に生まれたことから命名されている。また後半になると雪の日や雨の日に大きなイベントが起こります。

 ストーリーはまずヒロインの花さんと狼男が出会うところから始まり、子供たちの誕生、父親の喪失という流れから、都会でおおかみこどもを育てることに限界を覚えた花さんが「ご近所さん」のいない辺鄙な田舎村へと引っ越す。地元に暮らす人々と打ち解けることで安定した生活を送る一家だったが……と、本編の大半は引っ越した先で展開されます。形式としては「成長した雪が母親(花さん)から聞いた話と自分の体験をもとに構成した」という体裁になっている。しかし、件の獣か……ベッドシーンはハッキリと館内の空気が凍りつきました。真夏なのに涼しかったです。「ねえお母さん、なんで花さん裸になってるの?」と訊きたそうに隣の席へ視線を飛ばす少年少女らと、無言で「いいから黙って映画に集中しなさい」と強要する親御さんたち。「全ツッパで遺伝詞交換(セッション)する花さんマジぱねぇ」と感心している当方は明らかに場違いだった。避妊(ベタオリ)なんて猿でもできるじゃないか。ヒト形態でマッパ抱き合い描写すると生々しくなってしまうからオオカミ形態で神秘的に初夜を表現したのだろうけど、「俺、実は狼男なんだ」と秘密を明かした場面から間を置かずに「では戦るか」となるからさすがにギョッとしましたね。尺の関係か、全体的にイベントが詰め込み気味の印象を受けました。父親の死もちょっと唐突で、周りの目がなければ「おいぃぃぃ、オトォォン!」と叫んでいたかもしれない。序章に当たる部分はもっとじっくり観たかった。

 花さんが一人親になって以降のストーリーは、要約すると「雪が可愛かった」という小学生並みの感想に落ち着きます。雪の頑是無い暴れっぷりが話に躍動感を与えている。雨は内向的な少年として描かれていて、前半はあまり目立たない。学校を愛する姉と違い、場に馴染めず不登校気味になっていく雨。同じ「おおかみこども」でありながら、姉弟それぞれが別々の道を選んで歩き出す……という筋は順当ですが、途中から姉と弟で完全に道が分かれて交流も途絶えてしまうため、クライマックスに差し掛かったところでやや焦点がボヤけてしまう。「母と子の絆」は強調されるけれど、「姉弟の絆」は後半ほとんど描かれない。二人とも自分の歩み出した道をまっすぐ見詰めるばかりで、相手が選んだ道やその行く末に関してはまったく無関心だな……と少し寂しくなったり。お互いを認めるような、和解するような、そういう遣り取りを保留にしたままエンドロールに入っちゃうから個人的には物足りなかった。「姉弟なんてそんなもの」と断言されたら、それはもう仕方ないな、と諦めるしかありませんが。結局、最初から最後まで花さんが物語の中心に佇んだっきりになっている。雪は語り手を務めることで話を締め括るんだけど、それでも依然「主人公」に当たるような存在とはなりません。花さんがY字路の分岐点にいて、彼女からは左右に分かれた道の先にいる二人が両方見えるのに、雨と雪の間には壁があってそれぞれの姿が見えない。きっとこのまま一切絡まることも縺れることもなく、各自が己の生を全うする。そんな予感が漂う。雨パートと雪パートで感情がぶつ切りになってしまい、あと一歩というところでのめり込めなかった。残念です。それでも最後まで退屈しないで観れたことは確か。シーンとシーンを繋ぐテンポが絶妙でダレなかった。まるで『ウルフガイ』からバイオレンス要素を極限まで抜き去ったような作品、と言える。観ようかどうか迷っている人は観た方がいいです。興味がない人には強いて薦めない。小説版も入手済なので読んでみようと思います。

・拍手レス。

 脈絡まったくないですが、「ダンガンロンパ」ってゲームおすすめです。
 大山のぶ代の声がしたときは驚きました。続編が出たのも知ってますがまだ前作が終わってない……。


2012-08-02.

『変態王子と笑わない猫』アニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 やっと発表が来ましたか。ライトノベルにおける新人作家のシリーズとしてはアニメ化最有力候補であった『変態王子と笑わない猫。』、内容は「あらゆる願いを叶えると噂の『笑わない猫』像にふたりの少年少女が祈りを捧げた結果、表面を取り繕ってばかりいた仮面優等生の少年は本音ダダ漏れの変態王子に、感情がすぐ顔に出てしまうタイプの小動物系少女は無表情の鉄仮面ガールに……」というシチュエーションをもとに展開されるラブコメです。無闇矢鱈に人の願いを叶える「笑わない猫」、こいつが次々とトラブルを巻き起こしていく。特筆すべきは何と言ってもヒロインの可愛さ。カントクのイラスト効果も相俟って本筋そっちのけでペロペロしたがる読者が後を絶たないほどの膨大な魅力がギッシリと詰まっている。若干シリアス要素もあるにせよ基調はコメディなので、ツボが合わないと少々キツいかもしれません。合えば天国です。「カントク本人が描いているのかと思った」と勘違いする人が後を絶たないくらい原作の絵柄に忠実なコミカライズ版も大人気。

シャフト 新作アニメーション企画『PRISM NANA PROJECT』始動!(萌えオタニュース速報)

 そしてこちらでもカントクによるキャラデザとおぼしきアニメ新企画が。タイトルは『魔法少女プリズム☆ナナ』とか、そんな感じになるのかしらん。シャフトでオリジナルというと、どうしても『魔法少女まどか☆マギカ』を連想してしまうが、パッと見た印象では関係なさそうですね。これで脚本がまた虚淵玄だったら絶句するけど、それはないでしょう、たぶん。まだ特にこれといって情報もないから、暇潰しに脚本家予想でもしてみましょう。虚淵みたいに外部から招聘するものと仮定して、たとえば古橋秀之。確かな腕を持ち、コアな人気を誇るライトノベル作家。同業者からも熱烈に支持されているがブレイクには至らず、「この人もうちょっと売れるといいね」と言われ続けている。もし実現すればファンは驚きつつ「『ケルベロス』の続きはどうした!?」と叫ぶことでしょう。もうそろそろ3年近いですよ、アレ。秋山瑞人が来てもファンの反応はだいたい一緒だろうな。もう龍盤七朝をアニメにして二人に原作書かせまくろうぜ。書かないと思うけど。もうちょっと脈がありそうなところでは深見真か。この人は以前魔法少女モノの企画を立てたことがあるみたいなんですよ、どうもポシャったらしいですが。バイオレンス好きでガンアクションが頻繁に絡む作風であるにも関わらず、なぜか妙に百合ファンの受けがイイという謎めいたポジションを獲得している。最近は「拷問部」を巡る漫画原作『ちょっとかわいいアイアンメイデン』や「暗殺部」を巡る新シリーズ『僕の学校の暗殺部』を手掛けています。じゃあプリナナは「誘拐部」所属の主人公(♀)が「脅迫部」所属のライバル(♀)とともに切磋琢磨しながら淡い恋心を育んでいくストーリーで。最終的には拷問部や暗殺部と合流してカトル・カール結成。

【C82】シャフトが夏コミで「化物語 設定資料集 -人物篇-」を発売!(萌えオタニュース速報)

 一瞬目の錯覚で『人柱篇』に見えてギョッとした。首吊っている暦を尻目に淡々と麻雀打つガハラさんの姿が割と簡単に想像できてしまう。ともあれ『化物語』のプロダクションノートが出るとは吉報だ。是非通販等で一般発売してほしいものです。問題は価格か。最近何かと物入りで、おゼゼにまるで羽が生えたかの如くビュンビュンと際限なく財布からテイクオフしていく。『泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部』で中国の三国志ドラマが面白おかしく書かれていたから『三国志 Three Kingdoms』のBD買っちゃったり。調べてみるとこれは2010年に放送されたバージョンで、泣き虫弱虫〜の冒頭で触れられている三国志ドラマはどうも1994年に放送された旧バージョンみたい。amazon取扱商品で言うと『三國志 DVD-BOX』が該当するようだ。つまり勘違いして別のバージョンを買ってしまったわけだが、これはこれで評判イイみたいだし、まぁ面白かったらいいや、ってことで。

週間少年チャンピオン連載『シュガーレス』TVドラマ化!10月日テレで放送(萌えオタニュース速報)

 ここんところ『シュガーレス』は続くのか続かないのか微妙な雰囲気になってきて不安だったが、ドラマ化の報せを聞いてホッとしました。しばらくは打ち切りの心配をしなくて済む。内容はひたすら喧嘩してばっかりで、ストーリーらしいストーリーはほとんどない。「ヤンキー物ってだいたいそうじゃないか、ってことは普通の不良漫画?」と思われそうですが、『シュガーレス』は「喧嘩していない時期」のエピソードがほとんどないくらいに争いばっかりで、かなり徹底しています。喧嘩描写そのものはちょっと単調なところがありますけれど、セリフ回しが秀逸で飽きさせない。啖呵の魅力で保っている部分が大きいかと。

『魔法少女まどか☆マギカ』公式クレジットカード誕生!QB「僕と契約してカード会員になってよ」(萌えオタニュース速報)

 限度額一杯まで使い込むと魔女化して債務(のろい)を撒き散らすわけか。「ホントだ。その気になれば借金(いたみ)なんて……完全に無視(け)しちゃえるんだ!」。契約を急き立てるキュゥべえが活き活きとしすぎで笑う。自由払い型カード(リボルビング払いに特化したカード)みたいなので、計画的に利用しないとマジで円環の理に導かれかねません。くれぐれも契約は熟考の末にどうぞ。

有栖川有栖はラノベ 『臨床犯罪学者・火村英生の推理』ビーンズ文庫で11月に刊行(ぶく速)

 タイトルからすると国名シリーズあたりの短編を引っ張ってきた選集かな。有栖川は昔からキャラ人気が高い作家だったので特に驚きはない。どちらかと言うとトリックよりもロジックを重視するタイプの地味な本格派ですけど、ときたま軽い読み物も書くので通俗作家的なところもある。個人的なオススメは『幽霊刑事』。有栖川のシリーズ作品は“学生アリス”シリーズと“作家アリス”シリーズのふたつがメインです。両シリーズとも「有栖川有栖」という作者と同名の語り手が登場する。「有栖川有栖」が作家としてデビューする前の学生時代を描いたシリーズが“学生アリス”、作家として活躍する傍ら様々な事件に関わるシリーズが“作家アリス”。火村英生は“作家アリス”シリーズに出てくる探偵役です。なので火村シリーズとか火村英生シリーズと呼ぶ場合もあります、というか、そちらの方が多いかも。“学生アリス”の探偵役は江神二郎。先に始まったのは“学生アリス”シリーズの方で、有栖川の代表作として挙げられる作品も概ねこちらに固まっていますが、数で言うと“作家アリス”シリーズの方が圧倒的に多い。長編4作(と短編が結構あるけど未だに単行本化されていない)の“学生アリス”に対し、“作家アリス”は長編8作と中短編集が12冊。量的には“作家アリス”が代表シリーズであると申しても差し支えない。

 探偵役の火村英生は「臨床犯罪学者」を名乗り、研究よりも臨床(フィールドワーク)を重視して実際の現場に出入りする、見方次第ではちょっと胡散臭い犯罪学者です。「人を殺したいと思ったことがあるから犯罪学に興味を抱いた」と、探偵行為に強烈な動機を持っているところが特徴。ファンは「人を殺したいと思った」経緯を詳しく知りたいのだが、どうも作者はこの点に関して掘り下げるつもりはない模様である。仮に映像化するんだとしたら、そのへんに焦点を当てた火村英生ビギニングをやってほしいものです。

・今月の予定。

(本/小説)

 『カラマーゾフの妹』/高野史緒(講談社)
 『ブラックアウト』/コニー・ウィリス(早川書房)
 『境界線上のホライゾンX(上)』/川上稔(アスキー・メディアワークス)
 『虚像の道化師』/東野圭吾(文藝春秋)
 『屍者の帝国』/伊藤計劃、円城塔(河出書房新社)
 『ソロモンの偽証 第一部 事件』/宮部みゆき(新潮社)
 『光圀伝』/冲方丁(角川書店)

(本/漫画)

 『ちづかマップ』/衿沢世衣子(小学館)
 『ユキヒョウ―白銀の闘牌―(1)』/あしか望、伊藤誠(竹書房)
 『アラクニド(6)』/村田真哉、いふじシンセン(スクウェア・エニックス)
 『キャタピラー(1)』/村田真哉、匣咲いすか(スクウェア・エニックス)
 『GA―芸術科アートデザインクラス―(5)』/きゆづきさとこ(芳文社)

 文庫化情報。直木賞を受賞して話題沸騰中な辻村深月の『ツナグ』が月末に文庫化されます。吉川英治文学新人賞受賞作。それにしても、まさかメフィスト賞から直木賞作家が生まれようとは……いや、「第0回受賞者」とも言われる京極夏彦(『姑獲鳥の夏』の原稿を講談社に持ち込みしてデビュー、これをキッカケにメフィスト賞が創設された)が随分前に直木賞獲ってるからさほど意外でもないか。辻村もこれが3度目のノミネートでしたし、時間の問題とは目されていた。でも古処誠二の方が先に獲るんじゃないかと思ってましたね、個人的に。その古処は先月に『線』が文庫化されています。あと、バルガス=リョサの『継母礼讃』も文庫化。ノーベル賞効果がまだ持続しているみたいで善哉善哉。最近は岩波文庫もラテン文学の文庫化作業に熱心みたいで嬉しい時代だ。

 『カラマーゾフの妹』は第58回江戸川乱歩賞受賞作。高野史緒、まさかの再デビューだ。『カラマーゾフの兄弟』を下敷きにした文芸ミステリとのことで、マーゾ(嫌な略し方)を読んでいない身で挑むのは無謀かもしれないが、高野さんの再出発が実ることを期待して購入する。過去作もどんどん文庫化されるといいな、って思う。『ブラックアウト』は“オックスフォード大学史学部”シリーズの最新作。時間旅行が可能になった世界で、史学部の生徒たちが「実際にその時代へ行って勉強しようじゃないか」という、まことにストレートな内容。長編としては『ドゥームズデイ・ブック』『犬は勘定に入れません』に続く第3弾ですが、来年4月に刊行予定の第4弾『オール・クリア』と併せて2部作を構成する模様。“オックスフォード大学史学部”シリーズは「見張り」という短編もあるので、本格的にトライしたい方は短編集『わが愛しき娘たちよ』も要チェックや。『境界線上のホライゾンX(上)』は遂にやってまいりましたこの季節。鈍器のアヘッドアヘッドゴーアヘッドです。アニメ第2期も好調みたいですが、川上稔の仕事量は加速度的に増えているようでファンとしてはすこぶる心配。例によってBD初回特典には書き下ろしノベルが付くみたいだし、ドラマCDの脚本まで担当しているみたいだし。いったい何倍加圧してるんだ。ライトノベルと言えば、今月は竹井10日強化月間みたいで新刊が3冊も出ます。10月には『東京皇帝☆北条恋歌』の10巻も出るらしい。この人の仕事量も凄まじいものがある。『虚像の道化師』はドラマ化して有名になった“ガリレオ”シリーズの最新作。通算7冊目。「え? もうそんなになるのか?」とビックリしたが、『探偵ガリレオ』『予知夢』『容疑者Xの献身』『聖女の救済』『ガリレオの苦悩』『真夏の方程式』と、数えてみれば確かに7冊目でした。東野圭吾もブレイクを通り越してすっかり定着したと申しますか、もはや作品が映像化して当然の存在になっちゃいましたね。「この人、巧い割になかなかヒットしないね」「もっと評価されるべきだよなぁ」と言い合っていた十数年前が懐かしい。『屍者の帝国』は途中で伊藤計劃が逝去し未完となっていたストーリーを円城塔が書き継いで完成させた長編。「続きを読むことは叶わないんだな……」と諦めていた作品だけに嬉しいサプライズです。しかし何年経っても「伊藤計劃の作品、もっと読みたかったなぁ」という気持ちは消えてなくならない。未練です。『ソロモンの偽証』は来月刊行の第二部と再来月刊行の第三部で完結する大長編。14歳の少年が校舎の屋上から墜落して死亡した事件は表向き「自殺」として処理されたが……という話。かなり長期間に渡って連載された(公式サイトでは「構想15年、連載9年、作家生活25年の集大成。」と謳っている)作品のようで、読み通す側も気力が要りそうです。『光圀伝』は厳密に言うと今月じゃなくて来月かな? でも角川は公式発売日よりも早めに売り出すパターンが多いから、都市部では今月中に書店へ並べられるのではないかと予想される。言わずと知れた「水戸黄門」徳川光圀を主役に据えた時代小説。2000円近い価格だが、600ページに及ぶ厚さとのこと。ページ数だけなら『ばいばい、アース』の各巻をも上回る。存在感は抜群だったけどセールス的には大コケした『ばいばい、アース』のリベンジ、遂に成るか。

 『ちづかマップ』は以前講談社から出ていた同名コミックの新装版? それとも同シリーズの新作か? 詳細不明。古地図好きの女子高生「ちづか」がマップ片手に現地を歩いて回る、それだけと言えばただそれだけの、ごくごくシンプルな散策コミック。この作品、売りを説明することが難しいんですけど、実際に目を通してみるとすごく読みやすくて心地良いんです。当方も薦められたときは「なんかピンと来ないな」とあまり食指が動かなかったのですが、通販で送料無料にするためついでに注文したところ、「お目当ての商品よりも面白かった」というオチがつきました。面白かったのに1冊であっさり終わってしまって物足りなかったけれど、しばらく前に掲載誌を変えて復活したという話があって思わず小躍り。こうして新刊も出るわけですが、タイトルが『ちづかマップ』のままなんで新装版なのか新作なのか判じかねる。どっちにしろ売れないと続き出ないだろうから、被り覚悟で吶喊するつもり。『ユキヒョウ―白銀の闘牌―』は麻雀漫画『兎―野性の闘牌―』のスピンオフコミック。ユキヒョウはヒロイン・山口愛のコードネームです。『兎』は現役高校生を中心にして組織されている代打ち集団「ZOO」がヤクザや他の代打ちを相手に戦っていく話。女子高生や女子中学生が麻雀を打つ、各人それぞれに得意技がある、という点では『咲―Saki―』の先駆けに当たる存在かもしれない。作者の筆の遅さでも先駆け的存在。連載開始から16年経つ状況で最新刊は14巻、連載している本誌でもまだ完結していません。今やってるのが最終決戦らしいから、そろそろラストじゃないかと思われますが……『ユキヒョウ』は山口愛がZOOに入る前のエピソードらしく、ロリっとした愛が表紙を飾っています。『兎』はこの他に『シャモア』というスピンオフコミックもありますが、なんだかギャグっぽい話で『兎』とはだいぶイメージが違っていたな。麻雀漫画は志名坂高次の『牌王伝説 ライオン(3)』と『凍牌 人柱篇(3)』もマストバイ。『凍牌』は最新刊から読み出すと絶対にビックリしますよ。何せ主人公が……『アラクニド』は虫の名前を冠した殺し屋たちが超絶技巧のバトルを繰り広げるバイオレンスアクション。たとえば「蜘蛛」が極細のワイヤーで立体機動する殺し屋、とかそんな感じ。次々と出てくるキャラはみんな超人ばっかりなんだけど、組織からすればあくまで使い捨ての消耗品、固有名詞不要の虫けらなんだなぁ、と考えたりしてなんだか切なくなる。『キャタピラー』は『アラクニド』のスピンオフで、キャタピラー、つまり「芋虫」が主人公。キャタピラーと聞くと履帯や無限軌道を連想しますが、本来は芋虫や毛虫を指す言葉だそうで。江戸川乱歩の「芋虫」を原作にした映画『キャタピラー』の存在もあり、つい『甲賀忍法帖』の地虫十兵衛みたいな姿を思い描いてしまいますが、果たして真相は如何に。『GA―芸術科アートデザインクラス―(5)』はBD-BOX発売も決まったアニメの原作。『棺担ぎのクロ。』も再開したし、きゆづきファンたる我々は真夏もそこのけの春を謳歌しております。春、圧倒的春……! 春が来て、ずっと春だったらいいのに。略して「ずっ春」。花粉症の当方にとって「ずっ春」とはこれ即ち地獄の季節ですけどね。

・拍手レス。

 私もドラクエ3の小説が本にハマるきっかけでした。旅の描写や仲間とのやりとりと悲恋、呪文の詠唱といったゲームにない要素が新鮮だったのを今でも覚えてます。でも、確かに今読むときっと敵方の四天王やら八魔将(?)みたいなのが次々出てくる展開とかは白けてしまうかも…
 子供の頃は話の繋がりと脈絡とかをあまり気にしないで、ただひたすら刺激というか「場面ごとの面白さ」を求めていた気がします。場面ごとではない、均整の取れた「全体に渡る面白さ」を欲するようになるあたりで嗜好が変わってくるのかも。


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