2012年5月分


2012-05-29.

『咲―saki―』の阿知賀編と並行して『咲―saki―』本編のアニメを視聴している今日この頃、さすがに麻雀のルール知らずに観るのは厳しいなぁ、と自覚&観念して入門書を読み始めた焼津です、こんばんは。

 入門書っつっても、「単なるガイドブック」ということで発売当時はスルーしていた『ラブじゃん マホちゃんの必殺技完成!』のことなんですけどね。ツモとロン、ポンとチーの違いも分からず、そもそも和了る条件自体を理解していなかったズブの素人だけにとても勉強になります。しかしそんなことも知らない状態で『哭きの竜』『アカギ』を読んでいた当方はつくづく恐れ知らず……というよりも、ただのバカですな。まだ役は覚え切れないし点数計算も夢のまた夢ですが、最低限のルールはなんとか詰め込んだので、早速CPU相手にチマチマと打っています。「確か『こんぼく麻雀』ってのがあったよなぁ」と思い出して体験版をダウンロードしてきたんです。当時は全然ルール知らなくて「テキトーに牌を捨てまくってアガれるようになるまで待つ」というゴリ押しでクリアした記憶があります。

 昔は脱衣麻雀という、プレーヤーが和了るたびに対戦相手の子が服を脱いでいくエッチなゲームが流行った経緯がありまして、エロゲーでも麻雀ソフトは結構リリースされていたりする。ただ、「紙芝居」と揶揄されるノベル形式でさえもバクを発生させるような18禁ゲーム業界です。麻雀のプログラムをまともに組める人材は潤沢と言い難い。エロゲーにおいて「麻雀ソフト=バグ満載ゲー」はほぼ常識と化していて、「どこそこの新作は麻雀ゲー」という報せが入ってきただけでキナ臭い火薬の匂いが辺りに立ち込めます。度を越したバグのせいで「宇宙麻雀」という新しいルールを作り出すまでに発展した『いただきじゃんがりあん』、「役が存在しない、決してアガれない」ともはや麻雀の体裁すら保てずにスタッフが逃亡した『おまたせ!雀バラや♪』、特にこの2つは伝説級の存在となっている。去年発売された『まままーじゃん』も「ネオ亜空カン(下家の捨て牌が亜空間に消える)」など、延期を重ねた挙句のリリースとは思えない仕上がりだったと聞きます。まともにプレーすることが可能な水準に達したソフトであっても、「難しすぎてなかなか攻略が進まない」あるいは「簡単に勝てるのですぐ終わってしまう」など、ちょうどいいバランスを取ることが困難。地雷を踏みたくないユーザーからは鬼門扱いされ、クソゲーをこよなく愛好するユーザーからは熱い眼差しを向けられるジャンル、それが麻雀エロゲーなのです。『こんぼく麻雀』はゲーム部分の出来が比較的良いと評判で、実際体験版だけでもそこそこ遊べます。4人打ちモードが賑やかで楽しい。もっと早く麻雀のルールを理解していれば……と悔やむことしきりです。

 ついでにこの際だから『咲―saki―』の紹介というか解説もしておこう。『咲―saki―』は2006年に“ヤングガンガン”で連載開始した麻雀コミックです。主要登場人物のほとんどが美少女という、身も蓋もない言い方をすれば「萌え麻雀漫画」。主要陣に美少女雀士を持ってくる作品は過去にも『兎―野生の闘牌―』などがありました(というか『兎』ってまだ完結してないのか!)けれど、萌え重視という意味では一頭地を抜いている。タイトルの「咲」は主人公の名前(宮永咲)から来ています。作中の世界では麻雀人気が凄まじく、もう野球やサッカーに匹敵するほどみんな夢中になっているんじゃないかって勢いで、なんと全国高校生麻雀大会(インターハイ)まで開かれています。主人公・宮永咲は自身が所属する清澄高校麻雀部のメンバーとともにインハイ団体戦への出場、そして全国優勝を目指す――ってな具合で、フォーマットとしては麻雀漫画ってよりもスポコン漫画に則ってますね。「3年生である部長は今年がインハイ出場へのラストチャンス」とか、そのへんのノリがモロです。必殺技のように決まった役で和了ったりするのはスポコン通り越して能力バトルですが……ぶっちゃけ超能力者みたいな奴がゴロゴロ出てくるんですよ、この漫画。「ツキ」とか「流れ」とか、麻雀に付きまとう説明困難な要素をフィクションに取り込もうとするとオカルトがかったりスピリチュアルみたいになっちゃうのは仕方ないところとも言えます。ケレンと割り切って楽しみましょう。

 清澄高校麻雀部はまず県予選(ちなみに長野県です)に出場し、そこで決勝戦を征して全国への切符を手に入れるべく奮戦します。『咲―saki―』本編は現在9巻まで発売されている状況(来月に10巻発売予定)で、ストーリーの流れを要約しますと、咲が清澄高校麻雀部に入部して麻雀部のメンバーと一緒に強化合宿を行う(原作1巻、アニメだと第1話から第5話までに相当)、県予選が開催され清澄は順調に勝ち進み決勝戦へ進出(原作2巻の途中まで、アニメだと第6話から第8話に相当)、そして清澄・龍門渕・風越・鶴賀の4校で決勝戦を行う(原作2巻の途中から7巻の途中まで、アニメだと第9話から第19話に相当)。決勝戦後の4校合同合宿というイベントを経て、8巻からやっと全国大会が始まります。ただ、この『咲―saki―』という漫画は休載が多かったこともあり進行が遅く、アニメを放映している最中においてさえ原作で県予選が終わっていなかった。結果としてアニメの第20話以降はオリジナルエピソードとなっており、原作では描かれていない県予選代表選抜の個人戦を中心に進んでいくみたいです(当方はまだそのへんまで視聴していない)。予選の決勝戦だけで単行本5冊分を費やしたのだから、全国大会ともなると何冊掛かることやら……今やってる阿知賀編で時間を稼いで全国大会編のストックを溜めるつもりなんでしょうけども、真面目に考えてあと2、3年は掛かるかもしれませんね、アニメ2期のスタートは。

 ああ、ついでだし阿知賀編についても説明しておきます。阿知賀編の正式タイトルは『咲―Saki― 阿知賀編 episode of side-A』と非常に長ったらしく、要するに番外編なのですが、『咲―saki―』本編を知らない人からするとどういう位置付けのスピンオフ作品なのか分かりづらい。インターハイはシード含む52校が打ち合う麻雀大会で、咲のいる清澄高校は抽選でBブロックに回されました。なので『咲―saki―』本編は今後Bブロックをメインにストーリー展開していくことになります。反対側のAブロックはせいぜい間章くらいでしか触れることができない。本編で本格的にAブロックの戦いを描くと清澄が丹波文七化しちゃいますから。だったらAブロックの話を独立させてしまえば……ということで、阿知賀編の「episode of side-A」は「Aブロックのエピソード」ってな意味合いです。阿知賀女子には清澄高校麻雀部の部員・原村和と縁のある部員が何人かいて、彼女と「もう一度遊ぶために」全国大会へとやってきました。しかし反対側のブロックに回されてしまったから、もし清澄と当たるとしたらその機会は決勝戦においてのみ。果たして阿知賀の面々は決勝への進出なるや否や……という部分が見所。

 とにかくこの阿知賀編は番外編だけあって展開が早い早い。漫画版の1巻だけで「原村和との出逢い・親交・別れ、休部状態だった阿知賀女子麻雀部の再結成、県予選出場と突破、そして全国大会へ……」と怒涛の強行軍を見せ付けます。アニメではもう全国大会の初戦が終わって、今は二回戦の最中ですよ。たまに「今やってるの県予選だっけ、全国大会だっけ?」と混乱する。清澄にとっての風越や龍門渕に相当するライバル校・晩成高校が県予選の初戦で瞬殺されたせいもあって、「激戦の末に予選を突破!」というイメージが全然ありません。それにしても、晩成が速攻で退場しやがったときは唖然としました。「ニワカは相手にならんよ!」「お見せしよう、王者の打ち筋を!」とカッコいいセリフをバンバン口にしておきながらあっという間に出番を終えてしまった晩成高校の小走やえはあまりの噛ませっぷりに今もネタキャラとして各所で弄られ続けています。あのピアイ才までもが「咲―saki―晩成編」なんてネタ描いてて噴いた。そんなこんなで阿知賀編はダイジェストの形式に近く、麻雀方面の駆け引きも概ね割愛されています。その点は物足りないかも。ちなみに、阿知賀のいるAブロックには宮永咲の姉・宮永照の所属する白糸台高校の名前も入っています。全国大会の進行はA・B各ブロックとも「一回戦:4校×6組で打ち、各組1校ずつ選抜」→「二回戦:一回戦で選抜された6校とシード2校が4校×2組で打ち、各組2校ずつ選抜」→「準決勝:二回戦で選抜された4校が打ち、2校選抜」で、決勝戦は準決勝で選抜されたAブロックの2校とBブロックの2校が争うことになる。「二回戦と準決勝は上位2校が勝ち抜け」ルールのため、もし阿知賀が決勝へ進むのであれば必然的に白糸台とは2連続で打つことになります。『咲―saki―』本編は宮永姉妹の因縁というか桎梏というか蟠りを正々堂々真っ向からの麻雀対決で清算するところが軸になっておりますから、白糸台が準決勝で敗退する流れはまずありえない。一方で阿知賀が決勝へ進むもう一校になれるかどうかは、微妙な線だ。全国大会の厳しさ、壁の厚さを示すためにあえて敗北を喫せられるやもしれません。そういう予断の許さないところが面白さに繋がっているわけです。

 最後に『咲日和』にも触れておきましょう。これは県予選の決勝戦で戦った清澄・龍門渕・風越・鶴賀4校の麻雀部をメインに、「麻雀を打っていないヒロインたちの日常」を綴った4コマ漫画です。よくあるスピンオフ企画、と言えば分かりやすいか。一回パラっと読んだだけなので正確には覚えてませんが、麻雀要素は皆無だったはず。あくまでコメディタッチの日常を描くことに終始している。「それって単なる萌え4コマじゃないかっ」と言われたら「そうですっ☆」と返すしかありません。「麻雀のない『咲―saki―』」も、それはそれで需要があるのでしょうな。これは麻雀ルール知らなくても問題なく読めますが、本編押さえておかないとキャラクターの関係が掴みにくい。いきなりここから読み出すことはあまりオススメいたしません。ああ、それと忘れていた、当方が今読んでいる『ラブじゃん マホちゃんの必殺技完成!』は一応著者名が本編と同じ「小林立」となっていますが、中身は麻雀のルールと登場キャラクターの解説を並べた、本当に「ただの単なるガイドブック本」ですから漫画目当ての人は買う必要ナシです。おまけとして小説パートが入っているものの、別に読まなくても差し支えない内容。当方みたいに「麻雀のルール知らないままで『咲―saki―』の面白さを理解したつもりでいた」という不届き者か、「単なるガイドブックだろうと『咲―saki―』関連の物は何でも読みたい」という熱心なファンだけ目を通せばいいかと。

おまえら誰の推薦文なら買うんだよ (ぶく速)

 割と推薦文に釣られる方です。冲方推薦で何冊か買った記憶がありますね。推薦文そのものは他愛ないものが多いんですけど、「ああ、この人も推薦文書けるくらい出世したのか」と胸が熱くなってつい手に取ってしまう。推薦文の仕事ってある程度キャリアを積んだ人か、あるいは「その時期において旬」と見做された人でないとなかなか回ってきませんから、「業界的に期待されているかどうか」を判断する指標としては実に有効。ちなみにあれ、大抵の場合はお金貰って褒め称えているので「○○激賞!」とか書いてあってもあまり真に受けない方が吉です。あくまで宣伝の一種と割り切るべし。

『まんがタイムきららフォワード』の新連載漫画が萌え系かと思ったらホラーものだったw(やらおん)

 原作は海法紀光か。翻訳やノベライズが中心で、あまりオリジナルは手掛けていない人。当方が読んだことあるのは『塵骸魔京』の小説版くらい。「この世で、もっともかたい抱擁」には痺れた。原作知らないと話わかりにくいけど、変身ヒーロー物が好きなら是非読んでもらいたい。『ファンタスティカ・オブ・ナイン』が前編で『ライダーズ・オブ・ダークネス』が後編です。しかし「海法紀光(ニトロプラス)」って表記を見るに、いつの間にかニトロの社員になっていたのか。ニトロもだんだん全容が掴めないブランドになってきましたな。

『キャッ党忍伝てやんでえ』がDVD-BOX化、8月8日発売予定

 なんとまぁ懐かしい。当方が小学生の頃にやっていた作品ですね。アニメ本編はそんなに観なかったけど、ファミコン版のゲームにハマった記憶があります。当時のファミコンゲームは子供にとってちょっと難しいソフトが多く、なかなか全クリ(全面クリア)することができなかったけど、てやんでえは比較的易しい内容だったので簡単にクリアすることができました。結構人気があった割にずっとDVD化されなくて、一部では「マスターテープを紛失した」とかいうような噂も囁かれましたが、こうして無事に発売されるところを見るとデマだったのだろうか。スタッフ欄にも書いていますがこのアニメ、ネット界隈では毀誉褒貶の差が激しい「あかほりさとる」も関わっています。意外と知られていないのか、事実を聞かされて「え? あかほりが制作陣にいたの!?」と驚く人が後を絶たない。なんだかんだで彼も一つの時代を築いたクリエイターではあった。

・拍手レス。

 桜井女史はスチパン世界観を共有した電子書籍を出すために色々やってるらしいすよ。同世界での日本の幕末を舞台にした同人小説を出したりと、ライアーは色々好き勝手やらせてくれるメーカーだな。まあスチパンシリーズはライアーの中では相当の固定客を見込めるタイトルのはずなので、そのうちまた出してくれるだろう、と思ってます。
 スチームパンクシリーズはライアーソフトの風物詩みたいになってきているから、出ないとやっぱり寂しい。

 エロゲとラノベでは収入が全然違うようですし、よっぽど「18禁でしか書けないシナリオ」に拘りがあるライター以外は、エロゲからラノベへの流出は避けられないのかもしれないですね
 エロゲーシナリオは安いうえに不払い問題が発生することもありますからね。ラノベで稼ぎつつエロゲーでスケールの大きいシナリオを書く、みたいなスタイルが理想的ではありますが、実現は難しそう。

 >キティべえ   高校の時の担任が、「子供のころからキティちゃんが怖くて仕方なかった。あの目が感情を感じさせないじゃない?」と語っていたのを思い出しました
 鬼帝恐怖症ですか。道化恐怖症なんてのもありますし、調べてみたら意外に症例が多かったりして。


2012-05-23.

ライアーソフトの新作タイトルが『平グモちゃん』と聞き及び、「もしかして松永弾正久秀が主人公?」とクリックしてみたら本当に久秀主人公ゲーでべっくらこいた焼津です、こんばんは。

 戦国時代を代表する梟雄として、どちらかと申せば悪役に回されることが多い久秀。『黎明に叛くもの』など彼を主人公に据えた小説はいくつかありますが、エロゲーでフィーチャーされたことはなかったはず。村正の作中新聞でちょいネタにはされていましたが。平蜘蛛=サイクラノーシュのアレ。相変わらずライアーは好き勝手なソフト作ってんなぁ、と感心するやら呆れるやら。それにしても桜井光の新作はなかなか出ませんね。

 あと久秀と言えばOSAKAの中村・久秀が好き。TOKYOでチョイ役として出てきたときは本当に嬉しかった。

エロゲライター十傑衆(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 懐かしい。この十傑衆って確か「エロゲーシナリオライターについて語るスレ」で何年か前に作られたネタですよね。元ネタはもちろんジャイアントロボ。今見ると、とにかく面子が古い。10人の中ではっきり現役と呼べるエロゲーライターは丸戸史明だけだ。麻枝准は『CLANNAD』以降非18禁がメインになった(ここ10年間で18禁は『智代アフター』と『リトルバスターズ!エクスタシー』だけ)し、虚淵玄は小説やアニメの脚本で忙しいし、王雀孫は相変わらず現役かどうか判断に迷う遅筆ぶりだし、水無神知宏はガガガでライトノベルを書き下ろしたっきり目立った活動がない(最近だと『人類は衰退しました』に応援コメントを寄せているが)し、鋼屋ジンはギルクラの外伝ノベルを手掛けているけど肝心の『ドグラQ』がいつまで経っても出ないし、星空めておは新作の『ガールズワーク』がいつの間にかアニメ企画にすげ替わっていたし、田中ロミオはライトノベルで印税様を稼ぐことに没頭しているし、奈須きのこはやっとまほよが出たけどあれ非18禁だし、超先生こと竹林明秀(青紫)はこのネタが作られた時点で既に故人だった(追悼枠というか、ネタのオチだった)し……ユーザーから持て囃されるレベルのライターが第一線で活躍し続けるのは難しい。ここ10年でバリバリやってて名前も売れてるライターは、リストにないところだとタカヒロあたりが筆頭になるでしょうか。るーすぼーいはしばらく新作ないから微妙。あまりメジャーじゃないけど、コツコツと仕事していて個性もあってそれなりにファンが付いている、ってとこでは桜井光や希、それに東出祐一郎か。お朱門ちゃんこと朱門優は毀誉褒貶が激しく、おとボクで有名な嵩夜あやはキャラメルBOXを退社して「会社に権利が残るから今後おとボクシリーズに関しては基本ノータッチ(ただし小説版はもう少し続ける)」と言い切っちゃいました。他にも引退したり、退社してフリーになったライターは何人もいます。諸行無常を感じずにはいられない。

 近頃はエロゲーのシナリオ事情にすっかり疎くなって、新作のライター名を調べても知らない人が多く、なかなか「おっ」と興味をそそられるソフトがありません。奈良原一鉄は退職説が囁かれるほど音沙汰なし、トノイケダイスケは未だに瑠璃シナリオを完成させない……と、つい暗くなってしまいますが、明るい面に目を向けますと、件の「怒りの日」で一度信用を損なった正田崇が見事復帰してくれたことがやっぱり大きいですね。「もうメインはやらない、サブに回る」と宣言していた藤崎竜太もグリザイアで健在ぶりを見せ付けてくれたことが嬉しかった。エロゲーをやり込むだけの時間はなかなか取れないけど、時折思い出したようにあれこれ起動し、ちまちまプレーしながら楽しんでいます。

『Phantom』Xbox 360版の発売日決定(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 もう立ち消えになっていたものかとばかり。しかし随分と掛かりましたね。2009年のムックに記事が載っていたから、少なくとも3年以上掛かっている計算になります。アニメの放送終了から結構経つし、完全に機を逃した感じがしないでもない。Xbox360持ってないからどのみち傍観するだけですが、『Phantom』は思い入れのあるソフト(これやってなかったら多分デモベもプレーしていなかった)なのでワゴンの常連さんにならないことを祈る。

【リアルX-MEN】 とある少女の発火現象、家を燃やす超能力発動!(オレ的ゲーム速報@刃)

 ザ・ショップが動き出すな……そういえば『ファイアスターター』の冒頭でチャーリーの両親が怪しげな薬を飲まされる実験って「MKウルトラ計画」がモデルだそうですね。CIAが行っていた人体実験で、資料のほとんどが隠滅されたため詳細不明ながら、オカルトや陰謀論の方面ではかなり有名。ザ・ショップはCIAの下部組織だし、繋がると言えば繋がる。

『まどか☆マギカ』がサンリオ「マイメロディ」とコラボ!まどかマイメロディ・ほむらクロミかわええ!(萌えオタニュース速報)

 最初目にしたときはコラボ画像じゃなくてコラ画像だと思ってしまった。マイメロはアニメをちょっと観たことがありますけど、そのせいでまどメロが腹黒そうに映って仕方ない。この調子でシャルロッテのぬいぐるみもサンリオで出せばいいんじゃないかと思う。シャルロッテのデザインがマイメロっぽいってのはずっと言われてましたからね。そして最終的にはキティべえが満を持しての登場、と。

ドラゴンと言われて思い浮かぶものは?(萌えオタニュース速報)

 ドラゴンボールやドラゴンクエストは鉄板。あとはドラゴンランスとか。マイナーなところでは「ダークネス・ドラゴン 今こそ天を」。『超人学園ゴウカイザー』という対戦格闘ゲームに使われている曲の歌詞です。ゴウカイザーはアーケード版やROMカセット版だと対戦シーンで普通にBGMを流すだけでしたが、ネオジオCD版では各キャラのテーマソングがステージごとに流れる……というちょっと変わった仕様になっていました。ゲーム自体はあんまり面白くなかった(見た目が派手な割に爽快感がなかった)けど、「ステージごとにボーカル曲が用意されている」というのは珍しいから強く印象に残っています。「触っちゃダメだぞ危険なスーパーラブマシーン」とか「夜が明ければ朝は必ずやってくるのに何故」とか「グダグダ文句は言いたくないぜクールな顔でケツを振ればいい」とか「十五代総番立花一輝」とか、なんべんも聴いたせいで歌詞の一部は「覚えている」というより「忘れられない」ですね。他だと豪血寺一族もボーカル曲はあったっけ。あれもあれでなかなか強烈な格ゲーでした。今は派生ネタであるレッツゴー陰陽師の方が有名になっちゃいましたが……ちなみに当方は『豪血寺一族2』の漫画版で「種馬」という言葉を覚えた。調べたらアレって氏賀Y太が別名義で描いていたものらしくてメチャ驚愕。

・拍手レス。

 Dies pc版 発売日決まりましたね。あと丸戸氏の小説家デビューも決まったみたい。White Album2が文字どうり集大成になってしまうのか、まだゲームシナリオも書いてくれるのかどうか。せめてFDだけは出して欲しい。最初の送信ミスは削除してください。お願いします。
 これで丸戸がラノベ界に流出してしまったらエロゲー界はいよいよ寂しくなる。ただ、丸戸は正直「黙読されることを想定した」小説よりも「発音されることを想定した」シナリオの方が向いているように思うので本格的なライトノベル作家にはならない気がします。でもいつの間にかアニメ脚本家になってたりして。

 され竜新巻、面白いけどどーやって風呂敷畳むんだろコレ
 され竜は新刊の厚さだけで満足してしまって積みっぱなしだなぁ。厚い本は買うの好きだけど、なかなか読み進まない。

 魔法使いの夜はクリアされました? 音沙汰ないので気になりました。俺は面白かったけどひょっとして合いませんでした?
 低速でチマチマとやっています。なんか評判イマイチという噂ですが当方は面白いと思いますよコレ。


2012-05-19.

『Dies irae 〜Amantes amentes〜』のPC移植版は8月31日発売予定

 思ったより早かったな、10月くらいまで待つことを覚悟していましたが。バッケージは宣言通り肌色率が増えてますね。これくらいならPSPでも出せそうな気がするけど、意外に倫理規定が厳しかったりするのか? ともあれ今年の夏はまたしても熱くなりそうだ。

「涼宮ハルヒ」朝比奈みくる役の後藤邑子、休養へ…復帰時期は未定

 最近だと『真剣で私に恋しなさい!!』まゆっちを演じていますね。みくるみたいなおっとりキャラをこなす一方で、ダーッとまくしたてるようなマシンガントークも得意とする芸達者な声優さんです。個人的には未だに『ひめしょ!』ポチ役が印象深い。ちなみにポチの正式名称は「朝霞七式」。元はカーシーと呼ばれるK-9(犬を意味する「canine」のもじりで主に軍用犬を指す)部隊の所属で、名前というよりは型番ですが。さておき、復帰の時期がハッキリしないところを見ると原因が何であれ長引きそうですね……ゆっくり休んで是非とも健康を取り戻してほしいものです。

『終わりのクロニクル』1巻発売前の川上稔スレ(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 懐かしいなぁ、終わクロが出る前の頃だと当方は『パンツァーポリス1935』『エアリアルシティ』しか川上作品を読んでなくて、本格的に“都市シリーズ”へ挑み掛かるだけの気構えがまだ出来ていなかった。“都市シリーズ”は取っ付きにくいことで有名でしたからね。しかしこのメルマガで新シリーズが始動すると知って、「複雑そうなストーリーだけど、試しにチャレンジしてみようかな」と心が疼いたわけです。やはり、ずーっと一つのシリーズを続けている作家の新刊を途中から読むのは心理的に抵抗があって難しいですが、新シリーズや単発作品が出ると「この機会に読んでみようか」って気が湧いてくる。で、いざ読んでみるとスピンオフだったり事実上の続編だったりするわけですが……意外とそういうのでも平気で楽しめますけどね。多少分からなくても、分かるところだけ面白がればいいんですし。ただ、『終わりのクロニクル』は先に『エアリアルシティ』を読んでいたおかげで川上ワールドに馴染み易さを感じた面があるかもしれません。「その作家を知る入り口となる本」はある程度重要なんでしょうな。

新訳禁書みたいに巻数リセットしたラノベって他にどんなのがある?(ぶく速)

 賭博黙示録→賭博破戒録→賭博堕天録と変化していったカイジみたく適宜タイトルを変更していったライトノベルもあります。たとえば『でたまか』。アウトニア王国奮戦記(全3巻)→アウトニア王国再興録(全5巻)→アウトニア王国人類戦記録(全5巻)、番外編としてアウトニア王国拾遺録(全3巻)もありますが、すべてタイトルに『でたまか』の四文字が入っている。鷹見作品のいくつかは世界観が共通していて、他のシリーズともリンクしているそうですが、中でも『でたまか』の100年前を描く『銀星みつあみ航海記』は関連が強いみたいで「後継」とまで称されていた。こっちは4冊で終了しちゃいましたけどね……しかし巻数リセットって本当に意味があるのかしら。一つのシリーズで無印、続○○、新○○、○○外伝、○○のスピンオフというふうに乱立していると全体を把握するのに苦労するからあまり良い気がしない。特にクリスタニアはややこしかったですね、途中で投げ出しちゃいました。

『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』アニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 おにあいアニメ化か。原作者である鈴木大輔はデビュー作の『ご愁傷さま二ノ宮くん』もアニメ化しているから、あまり驚きはない。特におにあいは1巻発売当初から売上が好調だったので「そのうちアニメ化するであろう」と目されていました。雑談と日常イベントが延々と続く内容で、ノリが合わないとキツい(というか鈴木大輔は昔から一貫してノリ任せで突っ切る作風だ)けど、肩に力を入れないでダラダラと観るぶんにはちょうどいいアニメとなるかも。そういえば、原作1巻を読んで感想書こうとしましたが、うまくまとまらず結局没にしたんだっけ。当時書いた文章をちょっとだけサルベージ↓

 解説不要、いやいっそ解説不能と申し上げても過言ではないほどタイトルがすべてを表している。始まった時点で妹の秋子は既に攻略済であり、今更フラグも糞もなく、従って身も蓋もない。花も実も触れなば落ちん風情。最初から「レッツ背徳♪」状態です。おいおい、どうしろってんですか、もう進めようがないじゃないですか。要するにこれ、ギャルゲーで妹ルートをクリアしてスタッフロールが流れた後にちょっとしたオマケとして描かれる「後日談」を引き伸ばして本編に据えたような代物なんです。妹と一緒に暮らすまでの過程は端折られ、主人公たちが抱える事情の説明も割愛されている。言うなれば、「智代アフター」「ひでおアフター」的な意味合いでの「秋子アフター」。少なくとも1巻の時点では大した波乱が起きず、ただただ「有能だけど頭が可哀想な変態妹」を愛でるより他にすることがない。終始冗長な応酬が続く、いかにも鈴木大輔らしい読み捨て感の強い内容。ラブコメとしての新鮮味はまったくないけれど、シモネタ交じりの軽めな掛け合いが好きな人だったら値段分は楽しめるかもしれない。押しの強い秋子がチラッと覗かせる穏やかな表情は良い、ヤラれた。ところで、サブヒロインの中になんかガハラさんっぽい言動の人が紛れているような……錯覚か? アニメ化したら声優は斎藤千和になるのか?

エロゲの半分はフルプライスではない「独り言以外の何か」経由)

 当方の実感では2000年代半ば頃、ちょうどDVD-ROMが普及してきたあたりから低価格帯(ロープライス)のエロゲーが増えてきた、という塩梅ですね。エロゲーの中でも特にエロを重視したタイプのソフト、いわゆる「抜きゲー」がどんどん低価格帯に移行していった感じです。様々なエロゲー体験を経ることによりユーザーの性嗜好が細分化して、「俺の属性はこれとこれでこう」という自覚が進んだせいか、多岐に渡る属性を網羅的に取り込んだバラエティ豊かな「豪華系」抜きゲーよりも、一点突破的に属性を絞り込んだ「特化系」抜きゲーが売りやすくなってきました。こうした流れは、振り返るとやはりアリスソフトの『妻みぐい』が与えた影響が大きかったかな。しかし、シナリオ重視タイプでロープライスというのは、廉価版を除けばほとんど見掛けませんね。最近はFDですらフルプライスって例が増えていますし、抜きゲーとシナリオゲーで価格面の二極化が進んでいる気がします。個人的には『鬼哭街』とか『沙耶の唄』とか、ボリュームが少なくて短時間で終わるけど、良質な映画を鑑賞したような満足感が得られるロープライス(またはミドルプライス)のシナリオゲーがもっと増えれば幅が広がるんじゃないか、って思いますがあまり需要がないんだろうか、そういうの。最近のシナリオ重視タイプはとにかく長くて最後までなかなかプレーし切らない……大学生の頃は「コスパがいい」ってことでエロゲーにハマっていたけど、社会人になると金銭コストよりも時間コストの消費が惜しくなってきます。興味がゲームからアニメに移ってきているのもそのせいかと。

ホワルバ2などが人気のシナリオライター丸戸史明氏が富士見ファンタジア文庫にて新作を発表!(平和の温故知新@はてな)

 遂に、というか、やっと丸戸にも小説仕事が来ましたか。WA2の特典でも書き下ろし小説を付けていたので、純粋な意味からすると既に小説はいくつか手掛けているわけですが。丸戸史明をご存じない方のためにザッと解説いたしますと、彼は2002年に発売された『Ripple 〜ブルーシールへようこそっ〜』というエロゲーでシナリオライターとしてデビューしました。かれこれ10年前ですな。この『Ripple』はゲームパートのつまらなさで低評価を浴びましたが、「シナリオはいい」「キャラが可愛く書けている」と一部で好評に。翌年の『ショコラ 〜maid cafe "curio"〜』は「単なる流行りに乗っかったメイドカフェ物」という印象を抱かれたからか発売前はほとんど注目されていなかったものの、発売後しばらくして初回版がプチプレミア化するほどの人気を得ます。丸戸ファンはこの『ショコラ』か、『ショコラ』の続編に当たる『パルフェ』をキッカケにしてハマった人が多いんじゃないでしょうか。他に、アニメ化した『この青空に約束を―』、去年完結編が発売されて話題を喚んだ『WHITE ALBUM2』も代表作として数えられている。一方、HERMITから発売されている『FOLKLORE JAM』『ままらぶ』『世界でいちばんNG(だめ)な恋』も密かに評価が高い。ショコラ、パルフェ、この青空といった戯画から発売されたソフトはある程度売れ線を狙って作られていますが、HERMITの3作はあえて売れ線から離脱した内容であり、とても万人ウケするとは言い難い反面「こういうエロゲーもあるのか」という鮮やかな驚きをユーザーに与えてくれます。『ままらぶ』なんてシットコム(シチュエーション・コメディの略、アメリカのドラマだと『奥さまは魔女』や『フレンズ』が有名)を意識した希少なエロゲーですからね、ジョークみたいな話ですが「笑い声機能」まで付いています。

 彼が描くシナリオは「まるで昭和のドラマを見ているような」と頻繁に形容されるくらい時代を逆行していて、そういう意味では「新しさ」と無縁なライターであります。けれど、一見して地味なキャラクターたちを軽妙な掛け合いやちょっとしたセリフによる心理描写で以って個性的に引き立て、プレーヤーが興味を向けてきたところで一気に掘り下げに掛かる……という、その呼吸が「絶妙」の一言に尽き、昭和めいたムードに包まれながら「古臭さ」とは異なる「懐かしさ」を含んだ次元へ読み手を誘っていく。彼の巧さは非常にハッキリしており、センスよりも技術が目立つ作風ゆえ好き嫌いは分かれるところです。巧さが鼻に付く、という人もおられます。鼻に付かなければ、病みつきになること請け合い。未プレーの方に薦めるなら『パルフェ』あたりが無難でしょうか。Hシーンもしっかく描くライターですので、移植版よりも18禁の完全版(『パルフェ 〜chocolat second brew Re-order〜』というタイトル、『Re-order』が付いているかどうかで判別します)をオススメしたい。気に入ったらショコラのRe-orderもどうぞ。あるいは、「主人公が社会人」という設定に惹かれる方ならば『世界でいちばんNG(だめ)な恋』を推す。

・拍手レス。

 ディエス・イレはいろんな意味で騒がれすぎてて、勢いに乗れなかったからそのまま見送ってたなぁ。ということでコンシューマ版を機に買おうかと。
 ちょうどいい機会じゃないでしょうか。シナリオ書いた正田崇もこれ以上Diesを展開させるつもりがないみたいですし、決定版になるかと。


2012-05-16.

作家の吉村達也さん死去 朝比奈耕作シリーズなど

 報せを聞いて呆然としてしまった。好きな作家かと訊かれたら正直「微妙」と答えるところですが、高校生ぐらいにこの人の著作を読み漁っていた時期があり、その後も名前を見かけるたび懐かしさに浸ったものです。杠葉啓(ゆずりは・けい)という名義でデビューしたものの、紅葉(もみじ)と間違われることが頻繁だったため2作目以降から現在の名義に変えた吉村達也、ジャンルで言えばミステリを書く人、つまり推理作家です。朝比奈耕作シリーズを始めとして多数のシリーズ作品が存在しており、著書はざっと200冊くらい。当方はそのうち100冊も読んでいませんが、少なくとも50冊か60冊は読んだはず。一人の被害者に対し5通りの殺害方法が実行される『シンデレラの五重殺』、作家の死体を標本箱に飾っている狂気の編集者と推理ゲームを繰り広げる『私の標本箱』、事件自体はそれぞれで解決するけど2冊両方読むと違う真相が見えてくる『金閣寺の惨劇』『銀閣寺の惨劇』、和製ツインピークスを目指して一つの事件を描くのに6冊も掛けた『時の森殺人事件』など、奇抜な試みが多いおかげでなかなか読み飽きなかった。

 ただ、ワン・アイデア作品が多く、様々な薀蓄を垂れ流して枚数稼ぎする傾向が目立ったせいか、「仰々しいキャッチコピーの割に中身が薄い」「軒並み虚仮威し」とミステリファンからはあまり評価されていなかった記憶があります。「新本格好きなら喜んで食いつきそう」って設定が多かったのに、ほとんど論じられることもなく、不思議なほど注目されていなかった。「通俗的な量産推理作家」と見做されていたんでしょうか。確かに、アイデアの奇抜さに比べて読後深く印象に残る作品は少なかったですが、「軽い読み物」を書かせたら一級品でした。キャラ立ても上手で、特に「嫌な奴」を書かせると巧い。描き出される性格の悪さに妙な生々しさがあって、読んでいて本気で腹が立つけれど、そのぶん話にも勢いがついて退屈させられなかった。良い意味で暇潰しに持ってこいな作品ばかりなので、未読の方は試しに何冊か読んでみてください。個人的には『修善寺温泉殺人事件』等の温泉シリーズが好きだった。

 公式サイトの遺書にも挙がっている“魔界百物語”は前代未聞の「100部作ミステリ」を目指したライフワーク的な企画で、一旦頓挫した後に12年掛けて再スタートしたのですが、こうした形で幕を下ろすことになるとは非常に残念です。吉村作品はもう何年も読んでいませんけど、この“魔界百物語”に関しては密かに気に掛けていたんですよ……まだ読んでいない著作が何冊か積んであったと思いますので、それを崩しながら悼もうと思います。どうか安らかに。

『ブギーポップシリーズ』「笑わない」が出版されたときの衝撃を教えてくれないか?(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 当時はまだネットに繋いでなかった(というかパソコン自体持ってなかった)ので、店頭で見かけて「この手の小説にしては変なタイトルだな」と思った程度でした。正直、1冊目の時点ではあまり感銘を受けなかった。2作目の『VSイマジネーター』で「ひょっとしてこのシリーズ、かなり面白くなるんじゃないか?」と感じ始め、3作目の『「パンドラ」』でようやく衝撃がやってきた。『「パンドラ」』は設定もキャラも地味で、展開も割と単調なのに激しく心揺さぶられ、非常に興奮した覚えがあります。あれで「上遠野は今後ずっと追いかけよう」と決心しました。実際、あれから13年経った今でも読み続けている。さすがに雑誌掲載分までは追い切れないが……この人単行本未収録作品多すぎだろ。

第58回江戸川乱歩賞、受賞作は高野史緒の『カラマーゾフの兄妹』

 え? 高野史緒って『ムジカ・マキーナ』とか『架空の王国』の高野史緒? 多作家ではないけれど結構年季の入った作家ですよね。江戸川乱歩賞は建前上プロの応募を禁止していない(近年でも翔田寛が獲ってる、そもそも作家のプロ・アマ判定基準は相当曖昧である)ものの、実質的には新人賞であるからしてプロ作家の応募はあまり歓迎されていない。デビュー済の作家が腕試しのつもりで応募してみた、という例は過去にもありますが、その作家の話によると「事実を知った担当編集者が苦い顔をした」そうですし。ただ、長引く出版不況のせいで作家も出版社も苦しい戦いを強いられており、あまり四の五の言ってられない状況になってきています。特に推理小説(ミステリ)は冷え込みが激しくて、一時期ヒットを飛ばした流行作家でも今は生活保護を受けている……という例もあるとか。高野史緒は既刊のほとんどが文庫化しないで現在に至っている、どちらかと申せばマイナーな位置付けの作家ですので、古本屋でもあまり著作を見かけないけどこの再デビューをキッカケにブレイクしてくれたら旧作も文庫化や復刊で入手しやすくなるかなぁ……と期待していたり。とりあえず受賞作は買ってみるつもりです。

・拍手レス。

 ネットスラングを作中で出していてたSFといえばスワロウテイルかなあ。万葉集を引用した直後に俗っぽいサブカルを入れてくる当たり対比が絶妙だと感心しましたが
 岩井俊二の方かと思いかけましたけど人工少女販売処の方かな? ハヤカワだと星界シリーズの「ワローシュ」が印象的。

 不老不死の薬は実在する伝説だ。(※メールアドレス省略)
 先月出た森の新作『ブラッド・スクーパ』がちょうど不老不死の妙薬にまつわる話だった。

 Diesコンシューマ版、PSPを持っていない自分としては、早くPC版の発売日も決まって欲しいところです。
 PSPは持ってるけど、目が疲れやすくて1時間ちょっとで限界に達するから当方もPC版待ちになりそう。


2012-05-12.

・「コエンザイム」と聞くと「呼延灼」を連想する焼津です、こんばんは。

 あるいは正宗七機巧が一、「飛蛾鉄砲・弧炎錫」。思い返してみるに、つくづく正宗の仕様はキ○ガイだった。Fateにバーサーカーとして出しても異論は出ないであろう。あとこのゲームの記事を読んだときも正宗さんの声が耳元に甦ってきた。きっとクライマックスでは最終正義が顕現するのでしょうね。

ちょっと居丈高な口調のヒロインが出てくる本(ぶく速)

 真っ先に『ダンタリアンの書架』のダリアンが脳裏をよぎった。アニメ化した際は「真紅の声で喋る翠星石」って話題になったとかならなかったとか。アニメで思い出したが原作者と出版社のトラブル(「8巻で完結、続きは書かない」という条件で合意していたにも関わらず、出版社が勝手に「OVA付き限定版」と銘打って9巻の予約を開始してしまった、という騒動。結局9巻は発売中止で予約も取り消しになりました)で宙に浮いていたOVAはコミック版の最新刊に付くみたいです。しかし最近はこの手の「OVA付き限定版」が多いですな。書籍扱いになってしまうから探しにくいのが難。なるべくOVAはDVDやBDとして売ってほしいものだ。さておき、話題を戻して「ちょっと居丈高な口調のヒロインが出てくる本」。個人的に好きな奴が定金伸治の『ブラックランド・ファンタジア』です。主人公の姉・ネムは生まれたときから全身を矯正されて育った(正確に表現すれば「育たなかった」)ため、人形みたいな体格で手足を動かすこともできず、常に弟である主人公によって抱えられています。一人称は「オレ」、笑い方は「クク……」。不機嫌になると噛む癖があったり、寂しくなって激しく泣きじゃくる場面があったり、ところどころ幼児性が残っているおかげで非常にキャラ立ちが強い。一冊きりで続刊が出なかったことは残念ですが、未だに気に入っている本。

さんざん言われてるだろうけどあのネットのノリを過剰に作品に反映させる風潮はほんと止めてほしいわ あれって結局盛大な内輪受けだよなあ(ぶく速)

 どの巻だったか忘れましたが、『とらドラ!』で異様にネットスラングを多用していた巻がありましたね。不評だったのか、次の巻では反対にネット系のネタが大幅削減されていた。「ネットのノリ」は流行り廃りのサイクルが非常に早く、時としてあっという間に風化してしまうのが難点。「内輪受け」というよりも「内輪向けの時事ネタ」みたいになってしまいがち。SFでも2ch的なネットスラングを扱う作品がありましたけど、設定は未来なのに使っているネタがすごく古かったりして、とても奇妙な感覚に陥る。これが、これこそが懐かしき未来(レトロフューチャー)だとでも言うのか……明らかに違うと思う。

PSP版では条理をねじ曲げる勢いでキャラを幸せに――『Dies irae』シナリオライターの正田祟さんにインタビュー(電撃オンライン)

 やはり、移植の話は以前からあったらしいけど、正田崇が断っていたのか。「(本編追加分のボリュームは)全部まとめると700KB」とありますが、通常の文庫本がだいたい300KB前後なので概ね小説2冊分の追加といったところですね。Diesはファーブラが確か4MB超えてたはずなので、割合からすると20パーセント足らずの追加であり、なんだか少ないような気もしますが、そもそも4MB超というシナリオ量が異常なので単なる錯覚です。合計すると5MB近いですよ。大変なボリュームだ。本編プレー済のファンからすれば「700KBか、それくらいなら買ってもいいかな」って感覚ですが。ともあれこのインタビュー記事はファン必読ゆえお見逃しなく。

・小林泰三の新刊『惨劇アルバム』は実にやすみんらしい胸糞の悪い、それでいて妙な清冽感のあるホラーでした。出だしはまったくホラーな感じがしないけど、「まったくホラーな感じがしない」ことが逆に怖い雰囲気を盛り上げる。連作形式で「ある家族」にまつわるエピソードを寄せ集めていますが、開始一発目から「え? なんだこれは……?」という展開で、読み出したら止まらなくなること請け合いです。最初の一編だけ読んで後回しにするつもりだったのに、他の予定を押しのけてラスト一ページまで読み耽ってしまいました。理路整然としているようでいて明らかに頭のおかしい奇妙なセリフの連打、泰三慣れしていないと酔いそうになりますが、「やっぱりホラーだったらこれぐらいやってほしいな」と変に気分がスカッとするところもあり。最近ホラー小説読んでないなぁ、刺激が足りないなぁ、というアナタに是非ともオススメ。


2012-05-06.

・ふらりと立ち寄った書店に置かれているところを見かけ、何となく買ってみた漫画『あしたの今日子さん(1)』がツボに入った焼津です、こんばんは。

 発売当時にチェックした記憶もあるのですが、その頃は「また『魔王と勇者』モノか……最近こういうの多いな」と食傷気味だったため、深く検討することもなく安易にパスしてしまいました。時間経過とともに食傷ムードがだんだん解けてきたこともあり、「やっぱあれだ、食わず嫌いはいかんよね」と変節して購入に踏み切ったわけです。当方は神州一の変節漢よ。まず登場するキャラクターは魔王、ゴテゴテと装飾的な鎧を装備し、禍々しいツノ付きヘルメットを被ったいかにも「らしい」格好ながら、中身は威勢が良いだけのヘタレ野郎……近頃の「魔王と勇者モノ」でよく見る、なんちゃって魔王系です。魔王と呼ばれながら大して悪事に手を染めず、やってもせいぜい悪戯レベルの迷惑行為で、読者が嫌悪感を持つようなガチの犯罪行為や残虐行為には及ばない。「魔王なのにヘタレ」というギャップを狙ったなんちゃって魔王系はコメディ作品に数多く分布しており、「なんでこいつが魔王なんだよ」とツッコミを入れたくなる造型なんですが、正直量産されすぎでもうツッコむのも疲れてきましたね……。

 そんな魔王よりも良い味を出しているのが勇者ご一行。「別に勇者とか全然興味ない」と言いながらエクスカリバーを引き抜いて三代目勇者を襲名した女子高生・市川今日子は敵だろうと味方だろうと遠慮容赦なく激しいツッコミを入れていき、怪力無双の巨乳戦士・我孫子由は複数の男性(だいたい年上)とアレな関係を持っているビッチ、魔法使いなのに「電器製品のニオイを嗅ぐと落ちつきますの」と語るほどサイエンス・テクノロジーが大好きな小学生・旭奈々、巨大な盾を持って空手と「あること」を特技とする僧侶・佐倉真……なかなかに濃い面子が千葉県柏市というローカルな舞台でユルい日常劇を繰り広げます。1冊かけてようやくレギュラー陣が揃うため、現時点では特にこれといったストーリーがない(恐らく今後もないだろうと思われる)ものの、掛け合いのテンポが絶妙でジワジワと気持ち良くなっていきます。最後あたりは「ページがもうこれだけしか残っていない……!」と、猛烈に読み終わることを惜しんだくらいでした。早く2巻が読みたくてたまらない。一番気に入ったのは今日子と由のコンビかな。仲良さそうでいて打ち解けない二人の距離感が美味しい。奈々と真の二人もキャラは良いけれど、他キャラとの掛け合いや絡みではまだ馴染み切っていない気がします。とにかく続きが楽しみ。

・連休中、まだ日本で公開されていない海外映画の予告編をYouTubeで漁りましたが、なかなかこれが楽しい。トレイラーだと言葉分からなくてもだいたい内容が把握できます。しかし、『ジャックと豆の木』が "JACK THE GIANT KILLER" (巨人殺しのジャック)というタイトルで大作アクションになっていたのには噴いた。原作では豆の木を降っている最中に斧で木を切り倒されて墜落死した巨人が、映画では木を降り切って地上で暴れつつジャックと直接対決するらしい。日本では夏公開予定とのこと。そういえば『道化の町』に収録された「魔法の国の盗人」という短編が『ジャックと豆の木』の後日談だったな。金の卵を産む鶏が盗難される話。

【米軍すげぇ】 30分間にわたって空中浮遊し、敵をロックオンできる 「マジック弾」を開発(オレ的ゲーム速報@刃)

 園田健一の『ブレット・ザ・ウィザード』が科学の力で実現してしまうのか。『ブレット・ザ・ウィザード』と言えば、そろそろ新刊が出そうな時期ですね。6月の予定になかったから7月あたりか? 心待ちにしております。

ルブランのルパンが読まれている国って今じゃフランスと日本くらいなんだってね(ぶく速)

 探偵と言えばホームズ、怪盗と言えばルパン(リュパン)って図式は半ば定型化していますが、ホームズの知名度やリバイバル具合が突き抜けているせいか並べることに少し無理が出てきた気がしないでもない。ホームズに比べてルパンのエピソードってあまり知られていないし、読まれなくなりつつある。当方も『強盗紳士』『831』『ルパン対ホームズ』くらいしか目を通りしておりません。作品数が多くてコンプしようという気力がなかなか湧かない。ホームズが10冊前後であるのに対し、ルパンは確か全部で20冊くらい行っていたはず。しかし『強盗紳士』って、何度見てもしっくりこない……翻訳者は堀口大學という高名なフランス文学者で、この人を主人公に据えた『悲劇週間』なんて小説も書かれているほどですが、正直今となっては読み辛い訳です。入り口としては向いていないので、まずは他の訳で読むことをオススメする。創元の『怪盗紳士リュパン』はだいぶ読みやすかった。やっぱりルパンのイメージは「強盗」よりも「怪盗」ですね(ちなみに原語では「cambrioleur(カンブリオルール)」、ニュアンスとしては「押し込み強盗」や「空き巣狙い」など家宅に侵入するタイプの泥棒を指すらしい)。森田崇の『アバンチュリエ』は題名のせいでほとんど気づかれていませんがルパンシリーズの忠実なコミカライズであり、読み始めるならここからが一番楽。是非とも原作すべてを漫画化してほしいが、やるとしたら十数年は掛かるだろうな……冊数も40巻とか50巻とか、すごいことになりそうだ。

 あとリンク先の最後あたりに出ている「ルールタビーユ」は『黄色い部屋の謎』に出てくる少年探偵、少年っつっても登場時18歳だから微妙なトシですが。本名はジョゼフ・ジョゼファン、「ジョジョ」と略してJOJOネタに繋げるのはミスヲタのお約束。ルールタビーユは英語表記すると「roll your ball」で、要するに丸々とした顔立ちを揶揄するあだ名。ジョゼフ・ルールタビーユを翻訳すると「丸顔ジョゼフ」とか「まんまるジョゼフ」みたいな感じになります。『黄色い部屋の謎』以外はあまり有名ではないけれど、ルールタビーユの出てくる小説はシリーズ化していて第2作の『黒衣婦人の香り』では出生の秘密が明らかになったりする。が、物凄くかったるいストーリーなのであまりオススメはできない。『黄色い部屋の謎』で明かされなかった設定を詳しく知りたい人だけ読めばいいかと。その後はルールタビーユがロシアへ行ったりしたらしいが、内容もどんどん本格から離れていったとあってさすがに読む気がしなかった。

・拍手レス。

 ミスマルカの最新刊、最低でもマスラヲ読んでないと評価変わりそうですね〜。思えばこのシリーズも長く続いているもんです
 そのうち「林ワールドを徹底解析!」みたいなコンプリードガイドブックが出るかもしれませんね。

 ふたり、幸村がふたり、村正にみえて夜中に爆笑。 冷静になってみるといろいろと間違っている自分に気づく。
 「三世村正」という本編中の呼び名で「ムラマサ・ザ・サード」な主題歌を幻聴しました。


2012-05-01.

・時代小説の情報を漁っていたら「主人公の名前が壬生宗十郎」というシリーズを見つけた焼津です、こんばんは。

 まさかこれが壬生宗次郎の元ネタ……なわけないか。『流され者』というタイトル自体は古本屋で見かけたことがありますけど、主人公の名前まではチェックしていなかった。ぐぐってみると奈良原一鉄の雑記が引っ掛かりますね。壬生宗十郎については「自分にとって、美学系悪役の最高峰と言えるキャラクターです」と語っている。「虚淵の旦那の言葉を借りて言えば」って文章を見るに、虚淵も劇画版の方を読んでいるわけか。ちょっと興味が湧いてきました。小説版だけでも読んでみようかしら。

light、5月末を目処にアクティベーションを完全廃止

 アクティベーションとは、平たく言えば「ネット認証」のことです。違法コピーや中古品購入を防止するためネット経由でライセンス認証を行う、というものであり、「アクチ」と略称されることが多い。手続きは難しくないものの、ハッキリ言って面倒臭いので正規に購入したユーザーからも嫌われています。従来のコピープロテクト(CDやDVDのデータを複製できないようにする技術)が功を奏さなかったために取り入れられたシステムで、ソフ倫ことコンピュータソフトウェア倫理機構が数年前から推進していましたけれど、先述の通りユーザー受けが良くないせいで採用に難色を示すメーカーも少なくなかった。lightの代表取締役・服部道知はソフ倫の理事を務めていますから、本心としてはあまり乗り気でなくとも音頭取りとしてやらなければならなかったのでしょう。廃止になったところで既にインストール済・プレー済の正規ユーザーにはあまり関係がない(アプリケーションの起動がちょっと早くなるくらい?)んですが、今後あの面倒臭い手続きをしなくて済むんなら少しホッとする。

 あとwebラジオのHappy light CafeでCS版Diesに関する情報等も述べられています。PSP版とPC版は画面の解像度を除けばソフト自体は同内容、パッケージと特典のドラマCDだけ変わる。PC版のパッケージは肌色が増える(露出度が高くなる?)。2006年当時の正田崇はまだ二十代だった(今は三十代?)。Diesの商品展開はいろいろやって「もういいよ」って気分なので今回のCS化が集大成となる。OPのアニメ案は正田が言い出した。などなど。ゲストはマリィ役の榊原ゆいです。

『月刊 田中ロミオ』第2号で重大なお知らせ!まさか・・・オクルトゥムがくるか!?(萌えオタニュース速報)

 ロミオファンは風が吹いただけで全身を強張らせて「はっ、よもやオクルトゥムの報せが……!?」と過敏な反応を示してしまう、そんな悲しい習性があります。初報からそろそろ7年近く、進展らしい進展は一つもないのに。なのでロミオ関連で何かしら動きがある際にオクルの名前が出てくることはファンの間においてもはや挨拶に等しく、言い方は悪いけれど半ば期待が形骸化しつつある。今更ポシャッた企画が甦るとは信じ切れていない。それでも、それでもオクルトゥムを諦めない、と……誓った以上は待ち続け、福音の風が晴々と吹き渡る瞬間に備え、ただただ身構えておくしかない。『百年、風を待つ』。言うなればそういう心境です。

『境界線上のホライゾン』ハッサンのカレーが発売するぞwww(萌えオタニュース速報)

 「ハッサンのカレーを商品化しようぜ」みたいなジョークは以前飛ばしたことがあったけど、まさかの実現に驚愕。キャラグッズみたいな扱いだから値段は高いけど、2期目を17時台に放送してお子様たちのハートをゲットすれば2、300円程度の廉価バージョンも各地のスーパーに並ぶこと間違いナシでしょう。いや、東宮が「余とセックスしよう!」と言い出すアニメを17時台に流すのとか無理ですが。『装甲悪鬼村正』を『湊斗景明』というタイトルでNHK大河ドラマにするくらい無理。

・唐突ながら、オススメ本。ここんところ読んだ漫画だと「私たちは書類で戦争してるんです!」な『大砲とスタンプ』が面白かった。戦争漫画ながら、主人公は兵站(ロジスティクス)所属の眼鏡っ子。銃撃戦や砲撃戦も描かれていますが、あくまで眼目は輜重・補給という珍しい代物です。「えっ、そんな地味な」と眉を顰められそうな題材なのに、いざ読んでみるとビックリ、テンポの良いスムーズな話運びでトントン拍子に進行し、こちらを楽しませてくれる。「速水螺旋人って、どっかで見たことある名前だな」という理由だけで買ってみたら、予想以上の傑作を引き当てることができて感激。無論、同作者の『靴ずれ戦線』も購入済。こっちは魔女が主人公になるみたい。

 それと『NOT LIVES』も。「時間の止まった世界でアバターになりきってバトル」というシチュエーションが『アクセル・ワールド』を彷彿とさせるが、面白いのはアバターが生身の人間という設定。バトルに負けるとアバターは消滅し、代わりにアバターを操作していたプレーヤーが次のアバターとなり、これから新しく生まれるプレーヤーへ己が身の運命を委ねるわけです。1巻はこの設定が明かされたところで終わってしまうため、続きが気になってしょうがない。

・今月の予定。

(本/小説)

 『ミスマルカ興国物語10』/林トモアキ(角川書店)
 『エス』/鈴木光司(角川書店)
 『ふたり、幸村』/山田正紀(徳間書店)
 『ダウン・バイ・ロー』/深町秋生(講談社)
 『されど罪人は竜と踊る11』/浅井ラボ(小学館)

(本/漫画)

 『タケヲちゃん物怪録(1)』/とよ田みのる(小学館)
 『朝霧の巫女(8)』/宇河弘樹(少年画報社)
 『EIGHTH(8)』/河内和泉(スクウェア・エニックス)
 『ゲノム(金・銀)』/古賀亮一(コアマガジン)
 『しかくいシカク(1)』/ざら(芳文社)

 文庫化情報。今月の目玉は何と言っても秋に実写映画の公開が控えている『天地明察』、文庫版は上下2分冊です。冲方丁が初めて手掛けた時代小説であり、一般的な知名度を高めた最大の要因でもある。原作を担当した漫画『サンクチュアリ−THE幕狼異新−』も一種の時代物でしたが、打ち切りなのか何なのか、半端なところで終わってしまった。伝奇色が強くてなかなか面白かっただけに残念。それから『明治開化 安吾捕物帖』の続編『続 明治開化 安吾捕物帖』も文庫化します。アニメ『UN-GO』の原作というか原案。安吾捕物帖は全20話から成る連作短編群ですが、量が多いせいかなかなか完全収録されず、角川文庫で出された『明治開化 安吾捕物帖』には8話分しか収録されていなかったんですよね。なので続の方には残り12話分が収録されることになるかと。ボリュームも600ページくらいで、約400ページあった前巻の1.5倍となっており、計算も合う。ちなみに安吾捕物帖、読むだけなら青空文庫でも読めます。「明治開化 安吾捕物」というタイトルで登録されている(雑誌掲載時は「帖」が付いていなかったらしい)ので、坂口安吾の作家別作品リストを見るよりも「作品一覧:メ」から探した方が手っ取り早い。次、文庫化というより新装版ですが、栗本薫の『絃の聖域』が全1冊で発売されます。ファンから御大ならぬ「温帯」と呼ばれるなど、アレな扱いも目立った作者ではありますが、個人的に『絃の聖域』は名作だと確信しています。同性愛要素も入っているけれど、BL耐性のない人が読んでも引き込まれるような静謐さで満ちている。単行本は全1冊だったのに文庫版では分冊されて、角川文庫から新装版が出されたときも上下巻のままでしたが、三度目の正直と申しますかやっと1冊に収まります。栗本薫に偏見を抱いている人も、物は試しと手を伸ばしてみては如何。他、海外ではボルヘスの『ブロディーの報告書』、チャイナ・ミエヴィルの『ペルディード・ストリート・ステーション』などが文庫化する予定です。

 『ミスマルカ興国物語10』は前巻から約1年ぶり(正確には10ヶ月ぶり)となる、ファン待望の新刊。待った甲斐がある出来になることを望む、という意味での待望であります。林トモアキなら、きっとやってくれる。7月には『レイセン』の最新刊も発売される予定で、プチトモアキ祭り開催状態。『エス』はこのタイトルだとピンと来ないかもしれませんが、SADAKOと表記したら……? そう、近々公開となる映画『貞子3D』の原作に当たる小説(『貞子3D――復活』は原作じゃなくて映画のノベライズ版)です。貞子が出てくる作品としては『リング』『らせん』『ループ』『バースデイ』に続く5冊目。ちなみに貞子は出てこないけど『神々のプロムナード』は『リング』の関連作という扱い。鈴木光司は結局貞子ネタからは逃れられないのか……これが本当の呪いだな、と茶化しつつも楽しみだったりする。ついでにトリビア、『リング』はもともと横溝正史賞(現在の横溝正史ミステリ大賞)に応募された作品で、つまりジャンルとしてはホラーよりミステリを意識した作品だった。『リング』の話運びって実はかなり推理小説的なんですよね。小さな手掛かりを元に推理と調査を行って少しずつ真相に肉薄していく。選考委員のうち森村誠一は『リング』を高く評価しましたが、佐野洋が「恐怖小説としてはともかく、推理小説としてはちょっと……」と難色を示し、最終候補止まりに。個人的には獲らなくて正解だったと思う、どう考えても「横溝正史」ってイメージじゃありませんし。『ふたり、幸村』は「幸村はふたりいた!」という解釈で綴る時代小説。山田正紀というとSF作家のイメージが強い方もおられるでしょうが、近年はミステリとか時代小説とか、手広くやっています。もともと『闇の太守』とか、時代モノっぽい作品も書いてるからあまり違和感はない。読み口は『早春賦』みたいになるだろうか? 『ダウン・バイ・ロー』はどうも書き下ろしになるらしい犯罪小説。深町秋生は『果てしなき渇き』でデビューしたときの評判がイマイチでしたが、一昨年の『ダブル』あたりから好評を博し、去年の文庫書き下ろし作品『アウトバーン』でブレイクを果たしました。かなりB級色の強い作風ゆえ好みが分かれるところでしょうが、軽快なノリでバイオレンスを乱打するような話が好きって人にはオススメしたい。『されど罪人は竜と踊る11』は浅井ラボの約1年ぶりとなる新刊。前巻が相当難航したみたいだから、力尽きてしばらく続刊は出ないかも……と覚悟していただけに待たされた感はない。むしろ早い復帰だったと言える。しかしスニーカー時代から数えると、され竜もそろそろ10年近いシリーズになりますな……2003年当時の己の感想を読むと「人によっては傑作だが、人によっては嘔吐剤にもなりかねない」とか書いてあって笑う。このときはまさか自分がされ竜シリーズにどっぷりハマることになるとは想像だにしていなかった。

 『タケヲちゃん物怪録(1)』は『ラブロマ』や『友達100人できるかな』のとよ田みのるが放つ新作。タイトルからすると妖怪モノか何かか? とよ田みのるは短編集『CATCH&THROW』も同時発売する。とよ田漫画を未読の方にはまず『FLIP-FLAP』を薦めたい。ピンボールを題材にしたコミックで、うまく1冊にまとめ切っています。『朝霧の巫女(8)』はまだ終わっていない事実に驚く伝奇コミック。連載開始は2000年ですから、十二支がぐるっと一回りしちゃってますよ。全9巻構想という話ですので次巻完結のはずですが……果たしてまとめ切れるのかどうか。「もう1冊延長して全10巻にします」と言われても当方は驚かない、たぶん。『EIGHTH(8)』は表紙の女の子目当てで買ってみたら意外と中身が面白くてハマったサイエンス・アクション。どれほどハマったかと申しますと、作者の既刊をすべて揃えたくらい。遺伝子工学を題材にしつつ、「奇跡の力」を絡めたりもします。女性キャラクターたちが魅力的で、ラブコメ面でも抜かりない。これだけ面白いのだからもっとあちこちで話題になっていいはずですが、不思議とマイナーな雰囲気を保っている。8冊くらいだったらギリギリまとめ買いできる範囲だと思いますので、この機会に是非一括購入されてみてはどうだろう、皆さん……と薦めた直後に調べたら、延期してました、すみません。『EIGHTH』の8巻は来月発売です。代わりに『死神様に最期のお願いを』を打ち切られちゃった山口ミコトの新作『最底辺の男』でも買うか。『ゲノム(金・銀)』は先月発売予定だったけど今月に延期となった、旧『ゲノム』の復刻版。4冊分を一気に復刻する作業が想像以上にキツかったようだ。古賀マンガはコマ割が小さくて文字量も多いから尚更。今度こそ出るはずなので全力で待機しましょう。『しかくいシカク(1)』は『ふおんコネクト』『ウチはおおきい』『わがままDIY』でお馴染みのざらが送る新作。ざらという漫画家の特徴は、とにかくネタをギッチギチに詰め込むこと。ほとんど過積載に等しい密度の濃さで、繰り返し読まないとネタを咀嚼できない、というより最初は読み方が分からなくて内容が頭に入ってこない。チャネルを開かなければ楽しむに能わず。その代わり一度ざら時空に回路を繋げてしまったら二度と閉じることはできません。欠食児童さながら新刊を貪り読んだ後、成仏叶わぬ亡者のようにひたすら次の新刊を待ち望むことになります。覚悟ができた人から買っていってください。

・拍手レス。

 かわしまさんは、濡れ場も含めた演技力は、声優界でもトップクラスだと思います。台本もしっかりと読み込んでくる方らしいので、継続して起用するメーカーが多いのも分かる気がします。あと、ラジオやフリートークでのキャラは声質とのギャップがあって、そこも魅力的ですねw
 論旨が明確でトークを聞かせるタイプでもありますね。ソフトの宣伝でも「よかったら買ってくださいね(はぁと)」ではなく「買えばいいじゃない!」なノリで笑う。

 ミスマルカ10呼んだんですが、次の言葉が浮かばないですわ
 トモアキ相変わらずエクストリームなのか……連休中に読もう。

 電撃特集でのベイに対する正田卿のコメントが酷すぎる……端役Aて……でもなんだかんだで愛を感じなくもないのは何故でしょう
 専用曲まで付けましたからね、思い入れがまったくないわけはないはず。ただ、ベイってキャラとしてはさほど重要じゃなく、「こいつを基準にして考えると便利」っつー物差しとか指標みたいな位置に置かれている感はある。強さがベイと同程度、とか、スピードはベイよりも若干遅い、とか、ベイよりも狂っている、とか。黒円卓をイメージするうえで便利な標識(メルクマール)キャラ。


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