2011年2月分


・本
 『ぱら☆いぞ』/道満晴明(ワニマガジン社)
 『青春ラリアット!!』/蝉川タカマル(アスキー・メディアワークス)
 『アンチリテラルの数秘術師』/兎月山羊(アスキー・メディアワークス)
 『アイドライジング!』/広沢サカキ(アスキー・メディアワークス)
 『はたらく魔王さま!』/和ヶ原聡司(アスキー・メディアワークス)
 『シロクロネクロ』/多宇部貞人(アスキー・メディアワークス)

・ゲーム
 『神咒神威神楽』体験版

・映画
 『ザ・タウン』

・アニメ
 『魔法少女まどか☆マギカ』第4話「奇跡も、魔法も、あるんだよ」
 『魔法少女まどか☆マギカ』第5話「後悔なんて、あるわけない」
 『魔法少女まどか☆マギカ』第6話「こんなの絶対おかしいよ」
 『魔法少女まどか☆マギカ』第7話「本当の気持ちと向き合えますか?」


2011-02-24.

・六塚光の『ブラッド・スパート』が割と気に入った焼津です、こんばんは。

 発行レーベルたる「幻狼ファンタジアノベルス」は新書よりひと回り大きいサイズであり、六塚光が文庫以外の本を出したのはこれが初めてとなります。従軍経験があって特殊部隊「ブラッド・スパート」にも所属していた過去のある主人公・トロイは現在しがない保険調査員として働いている。彼は「首のない死体」という状況から保険金詐欺の疑いが持たれている殺人事件の調査を進めるうち、かつて「ブラッド・スパート」と敵対していた特殊部隊「ヘビースモーカーズ」の関係者とおぼしき連中に出くわして……と、話そのものはありきたりながら、「アルシナと呼ばれる麻薬を吸うことで幻覚を生じさせ、それによって戦う」という設定が面白かった。口から吐き出した煙草のケムリが見る見るうちに実体化する様子をイメージしてもらえば分かりやすい。ケムリなので白一色ですけれど機能は本物に等しく、馬として乗りこなしたり粘着テープとして相手を拘束したりと非常に便利。しかし効果があるのはトリップしている間だけで、アルシナ吸うのをやめると幻覚は形を失い、文字通り煙滅してしまう。またアルシナは依存性があり、吸いすぎると「アル中」と化す危険も孕んでいる。バトルは幻覚によって生まれた「想像上の武器」を装備して直接攻撃するパターンと、犬や狼など「想像上の獣」をけしかけたり「想像上の砲台」を発射したり巨神(要はスタンドみたいなもの)を操ったりして遠隔攻撃を行うパターン、このふたつを使い分けながら繰り広げます。遠隔攻撃は「有視界内のみ操作可能」という条件があるため、「幻覚操者は必ずこちらを窺えるところに潜んでいる、奇襲されても探し出して操者本人を叩けば言い」ということになり、B級バイオレンスとしてはなかなか美味しいシチュエーションを提供してくれる。六塚の淡々と乾いた筆致も雰囲気にマッチしており、これまでの作品の中でもっとも違和感なく堪能できました。明るいようでいて意外とエグい作風ゆえ、絵に釣られて読み出すと「イメージした内容と違う!」ってことがたびたびあったんですよね。次巻への含みを残したまま終わるためラスト付近が尻すぼみとなっていて物足りなかったけど、是非とも続きが読みたいと思いました。

「銃乱射事件など防ぐため」 学生の校内での銃携帯を認可へ…米・テキサス(痛いニュース(ノ∀`))

 さすが頭蓋骨の土地(ラ・ティエラ・デ・カラベラス)、下手なB級映画の設定をも凌駕する武断っぷりだ。明らかに抑止力としてではなく「射殺して制圧」を念頭にしているあたりが常在戦場な思考を窺わせますね。学食に伝説のガンマンが入ってきて周りがザワつく「大学西部劇」みたいな新ジャンルが現れる日も近い。しかし伝説のガンマンとはいえ一人飯をするのは寂しかろうな。

生身で戦車を倒す方法(ばるかんろぐ)

 「生身」だからてっきり『フロンティア』の「大砲殺し」みたいなことを言ってるのかと。そういえば『聖剣の刀鍛冶』の三浦勇雄も確か生身で戦車を倒すライトノベル書いてたな。あとは『覇王街』に戦車を素手で殴って装甲凹ませたとおぼしき名無しの格闘家がいたっけ。

ライトノベル作家の愛称(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 こうして見ると自分は案外愛称をあまり使っていないことに気づきました。「かまちー」と「よねぽ」ぐらいかな。ほとんどは敬称略のフルネームか、名字で呼び捨てにしている。「876」や「ゆゆぽ」は一時期使っていたけど、最近は関連スレに行っていないせいで使うどころか見かけることもない。それはさておき、全体的にひらがなやカタカナが多いですね。単純に「変換の手間が省ける」からでしょうけれど。あと、「ん」で終わる愛称が結構目立つ。撥音で〆ると語感が良くなるのだろうか。特に意識したことはなかったけど、好きな作家の一人である片山憲太郎も個人的に「カタケン」と呼んでますし。

ラノベ作家 2ちゃんねる 歴代スレ数 ランキング(【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 1位は当然あの人のスレ。初代スレはリアルタイムで読んでいたけど、年々スレの進行が速くなって追いきれなくなったからドロップアウトしました。6位の高橋弥七郎も同様。というか作家スレッドは最近もう巡回しなくなってしまいました。まとめサイトを眺めて済ませるか、あるいは気になったときだけ覗きに行く程度。さておき、今年に入ってから話題性が急上昇している虚淵玄のスレッド数が意外に少ないのは、「ゲームやアニメに関しては別の板に専用スレがあること」「小説作品で一番有名なFate/Zeroも他所に専用スレがあること」「ノベライズが多くてオリジナルはアイゼンフリューゲル2冊と『白貌の伝道師』、あとは連載中の『金の瞳と鉄の剣』くらいしかないこと」あたりが関係しているのではないかと思われる。まどかの影響で若干加速気味ではありますが、アニメ板の本スレほど常軌を逸した盛り上がりではありません。スレを伸ばすにはやっぱりオリジナルでそれなりの冊数がないと難しい。例外は秋山瑞人くらいか。「1年に1冊」のペースすら怪しい状況で100スレも伸びているのは異常。それだけ新刊を待望しているファンがいるのかと思うと切なくなる……当方もファンの一人ですが、もはや「新刊亡者」と表現した方が相応しい心境ではある。E.G.コンバットFinalはまだか、猫の地球儀続編はまだか、イリヤ番外編はまだか、ミナミノミナミノ2はまだか、DRAGONBUSTER02はまだか、『おれはミサイル』(短編集)はまだかぁぁぁっ。あ、思い出しましたけど、集英社のアンソロジー『戦争×文学』の第5集「イマジネーションの戦争」に秋山瑞人の作品が収録されるそうです。「ひょっとして書き下ろしではないのか」と期待する向きもありますが、コンセプトである「百年以上の流れの中から作品を精選」という言葉を見るに再録と考えてほぼ間違いないでしょうね。

『魔法少女まどか☆マギカ』第7話「本当の気持ちと向き合えますか?」視聴。(ネタバレに対する配慮なし、観てない人は注意)

 まどかが井戸魔人化して「他の誰にも視えない巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子、暁美ほむらと会話しながら永劫孤独に戦い続ける」というエンディング以外の収め方が思いつかなくなってきた昨今、ようやく第7話を観ることができました。「これが本当に槍で腹をブチ抜かれたときの痛みだよっ」とばかりにドヤ顔でソウルジェムを操作するキュゥべえが恐ろしすぎる。こやつ、人の倫理観など欠片も持ち合わせていない。位置付けとしては人体実験を繰り返すマッドサイエンティスト、虚淵作品で言うなら左道鉗子ではあるまいか。まどかが泣いているOPに入るまでの流れが薄暗すぎて気が滅入ります。鋼屋の「全ての虚淵はドス汚れている」を再度実感する。さやかを救いたいと願うまどかに「手立てはない」と告げるほむら、前回あれだけ献身してさやか及びまどかが精神崩壊する危機を救ったのに当のまどかから「冷たい」と言われて内心涙目になっている気がします。「拒絶してでも、拒絶されてでも、救いたい」と願っているかのような姿が切ない。一方、学校を休んださやかは杏子とともに教会へ。態度を軟化させ「食うかい?」と林檎を投げ与えて懐柔しようとする杏子はしかし、「盗泉の水は渇しても飲まず」という精神を地で行くさやかに拒絶されます。さやかはパッと見ガサツのようでいて潔癖症のケがありますよね。ある意味もっとも女子中学生らしいと申しますか。自分が魔法少女になった経緯と顛末を語る杏子、バリバリに死亡フラグを建立しているようにしか見えません。「魔法少女の力は自分だけのために使う!」と宣言していますが、これ、次回でさやかを庇ってヤバいことになりそうな予感しかしない。「自分のためだけに使うって決めたのに……あたしって、ほんとバカ」という具合に。「お前、あたしの妹にちょっと似てんだよ……」とか言い出したらもう死ぬな、確実に終わる。「ばかやろう! あたしたちは魔法少女なんだぞ! 他に同類なんていないんだぞ!(だから仲良くしようよぉ〜)」と露骨にデレオーラを漂わせる杏子が可愛い。可愛すぎて心配しか湧いてこない。

 次のシーンは朝の登校風景。さやかのもとに駆け寄るまどかが久しぶりに笑顔を浮かべていて少しだけ癒される。最初に観たときはちょっと退屈に感じた第1話の前半部も、今観返したら癒されすぎて逆に心の痛みを感じてしまいそうだ。そして事態は上條くんを巡る三角関係へと発展するが、仁美は本当にキョゥすけが好きなのか、それともじれったいさやかの背中を押すために演技しているのか、イマイチ読み切れぬ。意味深な間からすると後者臭いが、「明日の放課後に告白する」とタイムリミットを切っているあたりは前者っぽい。「あのとき、仁美を助けなければ……!」という想いが横切った己に対し自己嫌悪を募らせるさやか、ここは本当に痛々しい。ラスト、「アハハハ、本当だ……その気になれば痛みなんて、完全に消しちゃえるんだ!」と壊れた嗤いを漏らす親友に向かって「やめて……もう……やめて……!」と懇願するまどかは視聴者の気持ちを代弁しています。くるくると螺旋を描きながら落ちていく物語。まさしく『ジェットコースターにもほどがある』。いい加減、詐欺レベルで明るいタイトルをどうにかしてほしいです。『魔法少女まどか☆メンチサイド』くらいに変更した方がまだ実情に沿う。それにしてもQBは善悪を超越してウザキャラどころか負のカリスマになりつつありますな。「歓喜しなよ。それは間違いなく実現したじゃないか」「だからね君たち、勘違いをしちゃいけないよ。これは祝福なんだ。君たちが望む願いを叶えるように創造された、本来ありえない奇跡って思わなきゃ」「君たちは、魔法少女という概念に救いを求めている」とイザークのセリフを改変してもあまり違和感がない。魔法少女はソウルジェムを砕かれないかぎり再生可能だし、QBというアドミンに命運を握られているし、考え方次第ではグラズヘイムに囚われたエインフェリアと大して変わらないな……。

 余談。各所で話題になっているまどか☆マギカですが、ツイッターのログを見るに瀬之本久史も相当ハマっている模様。QBネタ大量です。こりゃ間違いなく新作の嘘予告ネタに来ますな。他だと桜沢いづみが途轍もなく熱狂しており、滴り落ちるほどの愛が篭ったコメントの数々を読むと釣られてこちらのテンションまで上がってくる。てかイラスト本なのに文字数半端ネェ、どんだけ好きなんだ。

・漫画:銃爺、シナリオ原案:後藤みどりの『装甲悪鬼村正 魔界編(1)』読んだー。

 『装甲悪鬼村正 鏖』に続く『装甲悪鬼村正』コミカライズ第2弾。『鏖』とは制作スタッフも出版社も異なるので、同じ『装甲悪鬼村正』を題材に採った漫画ながら「まったく違う読み口」と断言しても差し支えありません。『鏖』はタイトル通り殺戮に伴う残酷さやグロテスクさを強調しつつほんのりエロスをまぶしていましたが、『魔界編』はエログロ薄めで戦闘描写がメインとなっています。また本編開始前のエピソードである『鏖』に対し、今回は後日談。本編をプレーした人にとって分かりやすい言い方をすれば「装甲悪鬼村正 始」以降の湊斗景明を綴っている。そのため本編をやっていないと「なにこの回想?」と首を傾げるシーンがいくつかあり、また彼がなぜ「善悪相殺の武を布く」ことを目標として掲げているのか、理解し辛い。用語集で設定を詳しく解説しているとはいえ、本編未プレーの人は付いていきにくいでしょう。あくまでファン向けの内容です。

 さて、後日談だということは既に書きましたが、具体的にどんなストーリーとなっているのかと申しますと、「時空を超えてやってきた剣客たちとの死闘!」――現時点ではこの一言に尽きます。つまりタイトルの「魔界編」は『魔界転生』とかそれ系のことだったみたいです。現代風に述べればワールドヒーローズでありリーグ・オブ・レジェンドでありFate /stay nightでありドリフターズ。歴史上の人物たちと刀を交える展開にはワクワクするが、湊斗さんが次々と有名人をズバズバ斬り伏せていくあたりは正直読んでいて複雑な気分だ。蘇ったわけじゃなくて何らかの方法で飛ばされてきたみたいだけど、歴史とか狂ったりしないのだろうかこれ……不安になったけど、双輪懸を始めとするバトルシーンの描きっぷりは見事でなかなか迫力あります。スクリーントーンを使わず、白と黒のコントラストを基調としている絵柄は好みの分かれるところでしょうが、実質ロボものに近いくせして「空中における剣戟がメイン」という素人目にも描画が難しく思える『装甲悪鬼村正』をうまく料理している点は褒めて然るべきでしょう。想像以上に躍動感があって楽しめた。しかし、原作では豊富だった剣術薀蓄が『魔界編』においてはほとんど存在していないところは不満。沖田総司の「無明剣」が如何なる術理で三段突き(一瞬で三度突くかのような攻撃)を可能としているのか不明なままだなんて残念すぎる。多少デタラメでもいいから『我間乱』みたいなハッタリを利かせてほしかったです。

 1巻目なので当然「つづく」で終わりますが、正宗コンビも登場し、2巻は混迷を増した展開になりそうな気配。まだ連載が終わってませんので何巻まで出ることになるのか分かりません。果たして湊斗さんが武帝を結成するところまで物語は紡がれるのだろうか。史実の剣客は誰が登場するのだろうか。そして香奈枝に出番はあるのだろうか。先が気になります。

・拍手レス。

 タルタロスってオンラインRPGがまどマギとタイアップを始めて、新規登録者に「ファッションアバターキュゥべえ」プレゼント始めていますが、激しくいらない感が凄いです。いや別の意味で欲しいけれど。コラボ企画その2「あなたも魔法少女になれる」とかもう悪い冗談としかwww世界が違うからとはいえそれでいいのかww
 タルタロス側は背中を刺されたような気分でしょうな、某うっかり宝石魔術師の如く。

 まどか☆マギカ六話ですが、やっぱり鬼哭街のガイノイドを連想しましたか。あれを見た時は「ガイノイドの設定をアレンジして使ってきたな」と感じました。鬼哭街のようにソウルジェムが破壊されても大丈夫なように、五つに分解して云々みたいなことにならなければよいのですけど・・・。
 「わたしは素質があるって、キュゥべえ言ってたよね……」「まさか……さやかたちの魂を、すべて自分のソウルジェムに取り込んだのかい!?」「そうだよ! みんなここにいる! だから怖くないの! もう何があったって挫けないよ!」てな具合で四人分の肉体を形成したうえで力を合わせて放つ「ティロ・フィナーレ・クインテット!」……ねぇな、虚淵の性格的に。

 暁の護衛、3作目はプレイされましたか?(自分は2作目までで諦めました・・・)
 薫を連れ戻すところのあたりで止まってます。正直、盛り上がりに欠けてプレーが続かないです、あのへん。

 プリティ☆ベルのアニメ化は見てみたいな。まどか☆マギカとは別ベクトルで魔法少女の新たな地平を開いてくれそう。レベリオンや鬼哭街も凄い見たいけど、これらは本気で崇拝の域に達してバイブルとしてるような信者がいるから、生半かな熱量では手をつけられなそうだ。
 プリティ☆ベルはもうちょっとエピソードを溜めなきゃどの道無理ですが、プリズマ☆イリヤはそろそろ来そうですね。アニメ界に大魔法少女時代が訪れる日も近いか。

 さやかは『空回り』をテーマにしたキャラなのか、というくらい色々と噛み合ってないよなぁ、と嘆かずにいられない。そして同じく空回るまどか。1クールの折り返しを迎えてもなお変身しない魔法少女の主人公って。
 さやかは「しょうがないよ」の一言が口にできない歯痒い子。感情的な性格をしているくせして潔癖さから本能に忠実になれず苦しんでいる。そしてまどかは「勇気のない者が勇気を振り絞るときに感動は生まれる」というウソップ的な立ち位置になる、のかなぁ。


2011-02-19.

『魔法少女まどか☆マギカ』の主人公である鹿目まどかが「絶対に許さない……絶対、絶対、絶対に許さないんだからァァァァァッ!」と涙交じりに絶叫しながら鉄パイプを振り回してマスコット役のキュゥべえを滅多打ちにしている夢を見た焼津です、こんばんは。

 普通なら目覚めたところで「ハハッ、あるわけないだろ、魔法少女が鉄パイプとか」って片付けるような夢ですけれど、相手が相手だけに「ありうる……(ゴクリ)」と喉を鳴らしてしまった。同人で既にこんなのもあったし、秋田アニメイトのイラストPOPを見れば分かるように、ある種の邪悪系ネタキャラとして認知されつつありますからね、キュゥべえ。デザインはむしろ可愛らしい部類なのに、言葉では表現し切れない禍々しさが伝わってくる。作品としてのまどか☆マギカが忘却された後もQBだけちゃっかりと生き残りそうな予感。しかしネタキャラと言えばオプーナさんは最近見かけなくなったな。少し寂しい。

『ヤングガン・カルナバル』(全12巻)が4月から文庫化開始

 前回の更新でも触れた「銃撃戦と格闘戦たっぷり」のB級バイオレンス小説です。毎月1冊ずつ刊行とのことだから、来年の3月で終了する計算になりますね。深見真はガガガから出している「異世界ファンタジーで特殊部隊が獅子奮迅の大活躍」な『ロマンス、バイオレンス&ストロベリー・リパブリック』も面白いのでオススメ。

新規ブランド「Mephisto」に朱門優の名前が

 捕捉が遅れましたけど、放浪のライターお朱門ちゃんはまた新たな居住地を見つけた模様。情報サイトによると原画は『ヒメとトノ』の蛇足せんたろうらしい。それを知ってグラリと来た。『ヒメとトノ』、結構好きなんですよね。ネタと話は……ですけど、キャラと絵だけで元が取れた気分になるほどでした。しかしブランド名のMephistoは朱門ファンならニヤリと口の端を釣り上げてしまうようなネーミングですな。今回も青山ゆかりが起用されるのか。そしてまた峻険なるエロイッカイ岳がユーザーの前に立ちはだかるのか。ライターはもう一人ほしまるが加わるみたいだから、えちーなシーンはちゃんと用意される気もしますけどね。

Ricottaの『ワルキューレ ロマンツェ[少女騎士物語]』』、発売日決定(6月24日)

 やっと決まったのか。製品OHPがオープンしたのは2009年3月21日とのことであり、発表から軽く2年掛かった勘定となります。「馬上槍試合(ジョスト)をテーマにしたエロゲー」という珍しさから注目していたけど、時間が経ちすぎてちょっと関心も薄れてきた。でも体験版はとりあえずやってみようと考えている。来月か再来月あたりには来るかな。

『魔法少女まどか☆マギカ』第6話「こんなの絶対おかしいよ」視聴

 世間が第7話に……いや、2度ネタだしもはや言うまい。第6話は前話である第5話の直接的な続きです。「それには及ばないわ」と颯爽登場した銀河美少女・暁美ほむらが主義主張の違いから争い合うふたりの魔法少女、美樹さやかと佐倉杏子の私闘に割り込みこれを止めんとする。色めきたつふたりに対し、言葉よりも先に実力行使で参るほむほむマジ手練れ。「邪魔するな!」と食って掛かるさやかの背後に回って無言で延髄チョップをかますシーンの後、残った杏子と睨み合っていることを表現するアップ顔の連続切り換えがありますが、あれ? 杏子すっごく可愛くない? 5話でも充分可愛かったけど、彼女はこの6話に入って更に魅力を増した感があります。忍者っぽい挙動で撤退する杏子、そして感謝するまどかに対し「いったいあなたはどこまで愚かなの」と詰るほむら。無表情キャラだから半ギレで言っているのか、突き放すためにあえてキツめに言ってるけど内心では「まどっちハアハア」なのか読み取り辛い。読み取り辛いゆえに、そこに妄想の余地があるわけですが。「愚か者が相手なら、わたしは手段を選ばない」発言でガハラさんの如くまどかを拉致監禁して淫蕩三昧の薄い本展開かますほむらを幻視した人間は当方だけではあるまい。さて、OPを挟んで場面はさやかの自室に移る。穢れ切ったグリーフシードを背中でパクリと捕食するキュゥべえに「!?」と目を見開くのも束の間、またしても「鹿目まどかは魔法少女の素質がある」と強弁し、友人であるさやかにも自分と契約するよう言ってくれと働きかける姿に喩えようもないウザさを感じさせられた。「お友達を紹介してくれたら貴方にも得が」と口説いてくるマルチの勧誘みたい。QB、ホントに必死だな。なりふり構わないというか。こいつ、さやかと契約したくせにさやかのことは全然褒めてないよな……釣った魚に餌をやらないにもほどがある。美樹さやか、悪い男に騙されやすい体質と見た。ほむらも「美樹さやかには務まらない」と、杏子にこの地域の魔法少女になる話を持ちかけます。絶望した! 誰にも期待されていないさやかに絶望した! と茶化してみるが、魂を費やしてまで契約したさやかが心底報われなくて泣ける。「まどか☆マギカは魔法少女モノの文脈よりも東映ヤクザ映画やフィルム・ノワールの文脈に近い形でシナリオが書かれている」という話があったけど、こういう取引を持ちかけるあたりがいかにもそんな雰囲気ですね。「ワルプルギスの夜……ふたり掛かりなら斃せるかもな」とあからさまに頭数から外されているさやかにまたしても泣く。杏子とほむらへの不信感からマミ原理主義者と化していくさやかですが、その根底にあるのが勘違い、事実の誤認識から来る相互不理解というあたりもヤクザ映画っぽい。ママの「時には間違っちゃいなよ、YOU」という言葉に唆され、「友人に誤解されて疎まれるのだとしても、友人のために行動する」ことを選んだまどか。しかしその行動は完全に裏目に出ることとになります。

 (以下ネタバレ→)さやかのソウルジェムを投げ捨てるシーンで『総長賭博』の鶴田浩二が兄弟杯を墓前で叩き割る場面が脳裏をよぎった。よかれと思ってしたことが事態を悪化させる。ソウルジェムを放り投げてからしばらく経ったところで突然さやかが電池の切れたオモチャみたいに静止して頽れる。そして王大人と化した杏子が死亡確認。QB曰く魔法少女の肉体は抜け殻で、魂を移し替えたソウルジェムこそが本体なのだという。つまりまどかが単なる変身デバイスと思って投げ捨てたもの、それはデバイスはデバイスでもサヤカデバイスだったわけだ。「お前が本体だと思っていた人体はゾンビのようなもん、言ってみれば脳プカ(水槽に脳みそがプカプカと浮いている、ひと昔前のSF映画やSFアニメによくあった描写)状態で指令を与えて動かすラジコンなんだよ」と告げられたも同然の杏子は激昂しますが、人間の価値観など知らぬQBは「わけがわからないよ」と困惑。多くの視聴者は困惑どころか「なんてこった、まさか『これはゾンビですか? はい、魔法少女です』だったとは……」と驚愕しました。心臓を破かれても全身の血をありったけ抜かれても回復することが可能な強化内骨格。オーフェンに「拳の骨が砕けるほどの力を篭めて殴っても、『魔術で治せばいい』と思っているのだろう……気が狂っているのはどっちだ」みたいなセリフがあったことを思い出しました。ここまで来ると義体とか特甲とかガイノイドに等しい。中にはそうやって肉体改造して機械化し、壊れるたびに乗り換えている魔法少女もおるのかもしらんね。攻殻魔法少女。相棒はタチコマべえ、略してタコべえ。というかキュゥべえに同類っているのかな? 単眼緑色のザクべえとか名前通りのスケべえとか。(←ここまでネタバレ) 相変わらず次のエピソードが気になって仕方ありません。またしてもネタバレを喰らいました(もはや避けるつもりもない)が……フォークを逆向きに咥えたまま急角度の坂を転がり落ちているようにしか見えない。これ、破滅以外の未来がありえるのだろうか。

 まどか☆マギカのネタにはこんなのがあって「結界に約2億年間塩漬けで封印されていた魔法少女がいま甦る」という『魔法少女まどか☆マギカ10.5 外伝ピクル』を妄想してしまった。ピクル子さんに向かい「おや、君かい。まだいたんだ」としれっと言ってのけるQBがありありと目に浮かぶ。

・多宇部貞人の『シロクロネクロ』読んだー。

 第17回電撃小説大賞「大賞」受賞作。帯の「死んでもいいから“えっち”したい!!!」を見たときは「それなんて『オワ・ランデ!』?」と思ったが、サキュバスものである『オワ・ランデ!』に対し、こちらはゾンビもの。主人公が死に、リビングデッドとして蘇るところから物語は始まります。タイトルの「ネクロ」は「死」や「死体」を意味する。確か元はギリシャ語です。ネクロポリスって言葉もありますし。ライトノベル読者にとって馴染みが深い「ネクロ」と言ったらやはり「屍霊術師(ネクロマンサー)」と魔道書「ネクロノミコン」か。『シロクロネクロ』の世界において屍霊術は白魔術と黒魔術の如くシロネクロとクロネクロの二派に分かれており、死者の人格を尊重して「一人、二人」と数えるシロネクロに対し、クロネクロは完全にゾンビを道具と見做して「一体、二体」と数える。語感のいいタイトルから察せられる通り、屍霊術を題材にしたライトノベルながらダークさは控え目。言わば「明るいゾンビ」路線であり、『ねくろま。』みたくコメディ要素をふんだんに盛り込んでいます。細かく比較すれば『ねくろま。』よりはシリアスですが、「リビングデッドとして蘇らせた相手を人間として生き返らせる」ことが目的になっているあたりは近似してますね。屍霊術を扱う以上、どうしてもそういう話になってしまう、という面はありますが。

 さて、主人公がゾンビということはこれで了解していただけたと思われます。しかし、それと「死んでもいいから“えっち”したい!!!」がどう結びつくのか? 答えは簡単、主人公は性欲によって魂を体に結び付けているので、これが満たされてしまうと文字通り昇天してしまう。「賢者タイム」が「成仏タイム」になってしまった、と受け取っていただければ概ね宜しいかと。だから最悪の場合、ヒロインに触れただけでも即死亡。状況は少し違うが、『オワ・ランデ!』と同じ一撃死ルールが適用されています。主人公は性欲を高めれば高めるほどポテンシャルが増し、傷ついた肉体も瞬時に回復させることができる代わり、溜まった性欲を安易に発散させることは許されない。「ハァハァ……うっ」でたちまち灰となる。以上の理由によってライトノベルらしい寸止めシチュエーションが形成されるわけです。そういえば、去年の銀賞受賞作『ご主人さん&メイドさま』も「欲情して触れたら自動迎撃されて死ぬ」という寸止めシチュだったな……いま、ライトノベル界に静かな寸止め設定ブームが訪れているのだろうか。

 軽妙というより軽薄な語り口で、ところどころに小ネタやパロディネタを仕込んでおり、ある日突然ゾンビになってしまった割には深刻さがない。ゾンビとは言い条、体温が下がっているわけでも腐臭が漂うわけでも死後硬直で手足が曲がらないわけでもなく、見た目は完璧に生者そのもの、ただリジェネレート能力が優れていて「性欲を満たしたら成仏」という制約があるだけ。ゾンビはゾンビでもフレッシュゾンビに属するタイプなので、『さんかれあ』のような「徐々に傷んでいく肉体を如何せん」って部分を期待すると肩透かしです。正直、ゾンビものとしてはそんなにオススメできない。とはいえ、さすが大賞を射止めただけのことはあり、クライマックスのテンションは図抜けています。今回の三賞受賞作はどれも最後にバトル展開が用意されていて、派手なアクションが炸裂するのですけれど、盛り上がりという視点からすれば『シロクロネクロ』が圧倒的でした。段階を経て加速していくラスト100ページに息を呑むことしきり。あざとかろうと何だろうと、とにかく見事な疾走感を叩き出してくれた。素直に感謝したい。

 そんなわけで、個人的に気に入った順に並べると『シロクロネクロ』、『青春ラリアット!!』、『アイドライジング!』、『はたらく魔王さま!』、『アンチリテラルの数秘術師』になります。『シロクロネクロ』は前半がやや低調ながら最後の直線で一気に伸びる。『青春ラリアット!!』はコメディのセンスが抜群だったけど、ストーリーは乱高下で安定感に欠いた。『アイドライジング!』は安定感が素晴らしく、なだらかな曲線を描いて盛り上がっていくが、ラストスパートが非常に地味だった。『はたらく魔王さま!』は文章力やキャラの立て方が抜きん出ていて素質の高さを窺わせたけど、最後がゴチャゴチャしすぎ、なんともスッキリしない読後感が残った。『アンチリテラルの数秘術師』は投げ出したくなるほど退屈な前半を突破すればそれなりに楽しめるが、結局失点を取り返すほどの獅子奮迅ぶりは見せず、今後化けるかもしれないが現時点ではこの評価。うーん、ハッキリ申しますと、5冊も出した割にはちょっと充実感の乏しいラインナップです。『シロクロネクロ』が1位というのもあくまで今回の中でであって、歴代の大賞受賞作と比べたら少しばかり見劣りがしないでもない。豊作の年であれば銀賞レベルなんですよね。今年が不作、とまでは言わないが、「さて、何人生き残るやら……」といったところです。

・拍手レス。

 人類は衰退しましたがアニメ化するらしいですね。 個人的には魔竜院光牙の方を映像で見たかったです。
 人衰よりもおた☆まの方を……しかしあれもネタが古び始めているかな。

 電撃小説大賞は、一冊での完成度が高いのが金賞、シリーズ化して売れそうなのが銀賞という都市伝説の典型くさいパターンですね今年は…………
 現在一番の稼ぎ頭である鎌池は選外だったわけですし、電撃賞の格付って割と当てにならない。


2011-02-16.

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』、いささかタイトルが羊頭狗肉めいているものの、ライト感覚で読めるラブコメとしては程好い出来具合でとりあえずニヤけてみる焼津です、こんばんは。

 同じ作者の『踊る星降るレネシクル』に比べるとネタも雰囲気も淡白で若干物足りないが、そもそもるるルは作者のやりたいことをあれもこれもと詰め込みすぎて過積載ドライビングに陥りかなり濃い読み口になってしまっているのだから、むしろ裕時悠示の本を読み出すにはこちらからの方が良いのかもしれない。幼なじみの「チワワ」こと千和が見事なまでの残念ぶりで胸が締め付けられる。性格とか元剣道部って設定とかからDiesの香純を連想するが、料理できないので香純よりも更に残念。一方、某渡らないさんの如く主人公と仮面恋人を演じ合っている真涼はあれだろうか、実は根っからの依存気質で昔何かやらかしたとかそういうのだろうか。主人公は定型通り鈍感ですが、ここぞという場面でプライドを捨てる根性はあるみたい。少なくとも、名が体を表さない「ダンダラに土下座して謝れ」な人よりは遥かにマシです。タイトルの「修羅場」でドロドロの恋愛模様を期待して読むとさすがにガッカリするでしょうが、ラブコメとしてはそれなりに軽妙で楽しめます。とりあえず次巻が楽しみ。初速から結構売れてるみたいなので遠からず2巻も出すつもりだろうけれど、頼むからるるルの方も打ち切りにしないで続き出してくれよ……しかしこれ、略称は「俺修羅」で決定なのか。

個人的にアニメ化してほしい作品あげてけ(カゼタカ2ブログch)

 『ヤングガン・カルナバル』、銃撃戦と格闘戦たっぷり、キャラクターに個性があって話も分かりやすい。完結済だから着地点も安心して設定できる。完結していないライトノベルだと『煉獄姫』、動くアルトが観たい。漫画は『TABOO TATTOO』、是非あの尻のエロさをアニメーションで再現してほしい。『魔法少女プリティ☆ベル』も怖いモノ観たさで希望。1話目で切る人が大量に出てきそうだけど。実写だとやはり『リベリオン』、ゲームだったら『鬼哭街』、両方まとめて劇場アニメとして制作され、映画館の大スクリーンで鑑賞できるようになったら歓喜のあまり泣くかも。でも本音を申せば原作付きアニメよりもオリジナルアニメの方を増やしてほしいですね。来季は差し当たって『C』に注目しています。

一気に読みたいor大人買いしても後悔しない漫画(VIPPERな俺)

 最近だと『ながされて藍蘭島』『そらのおとしもの』が良かった、まとめ読みしたおかげでどっぷり作品の世界に浸ることができましたし。他に強いてオススメするとすれば『バチバチ』、非常にチャンピオンらしい血が沸騰するような少年マンガです。ちなみに直近の大人買いはドラマ化がキッカケで興味を抱いた『デカワンコ』、注文したばかりなのでまだ届いていません。さて、セット購入したことが吉と出るか凶と出るか。

『まどか☆マギカ』1期が終わってからの今後の展開考えようぜ(やらおん!)

 まだやっと半分が終了したってところなのに、みんな気が早いですね……本音を書くと、虚淵には小説やゲームシナリオの仕事に戻ってほしいから2期ナシでさっくり終わることを期待しています。放映終了後に書き下ろしの番外編小説を出してくれることが理想。ほむら視点のエピソードだったら最高だ。それにしてもまどか☆マギカ、短期間のうちに破竹の勢いで各所から注目を集める話題作となっていて「 \ マジか / 」と目を疑うばかり。ほんの一時であろうともコミカライズ本がamazonランキングの漫画部門で1位と2位のワンツーを決めるなど、誰が事前に予想できただろう。ちなみに漫画版の内容は原作脚本準拠、アニメ版ではボカされていた部分のいくつか(巴マミが契約したときの願いなど)がハッキリ書かれている以外は特に目新しいところもなく、「コミカライズとしては可もなく不可もなく、普通」って感じの仕上がりです。戦闘描写はかなり地味(マミが無尽蔵に取り出すマス・マスケットはアニメ独自の演出であり、虚淵の脚本では設定されていなかったため脚本準拠で描かれた漫画版は装弾数∞のマジカル・マスケットを使用している)だから、アクションに期待するとガッカリするかもしれません。噂によるとこの漫画版、明るくポップな表紙のせいで本当に魔法少女モノが好きな女児たちも関心を寄せ始めているとかいないとか。あんな暗くて終始不安を煽るアニメが女児たちの間で人気になって「さやかごっこ」(友達のソウルジェムを全力で放り投げる、誰かが取ってくるまで友達は死んだフリ)が流行ったりしたら世も末だな……さすがにそれはないでしょうけども。あと、某所で見かけた「それゆけ!マミパンマン」ネタには噴いた。「私一人じゃないんだ!愛と勇気だけが友達じゃないんだ!」っておいおい。

・広沢サカキの『アイドライジング!』と和ヶ原聡司の『はたらく魔王さま!』読んだー。

 前回の更新に引き続き第17回電撃小説大賞受賞作。『アイドライジング!』が金賞で『はたらく魔王さま!』が銀賞です。しかしこの記事によると『アイドライジング!』は売上が芳しくないようで、またこの記事によれば『はたらく魔王さま!』の評判は宜しい模様。先に結果を述べておきますと、個人的に気に入ったのは『アイドライジング!』ですが、他人への薦めやすさとか今後の伸び代とかを考えると『はたらく魔王さま!』を推した方が無難かなぁ、と。受賞作の1冊だけで判定するなら、『アイドライジング!』の方がスッキリまとまっている。『はたらく魔王さま!』は終盤が少々ゴチャゴチャしてまとまりに欠いていた。でも、『アイドライジング!』は2巻以降を盛り上げるのが難しい気がするんですよね。概ねネタを使い切っちゃってるので、よほど梃入れに成功しないかぎり失速の一途を辿りそう。反対に『はたらく魔王さま!』は余裕で話を膨らませることのできる素地を持っています。

 個別感想に移ります。まず『アイドライジング!』。

 テーマは「戦うアイドル」、平たく言えばキャットファイトものです。「バトルドレス」と呼ばれる強化スーツを身に纏い、ほとんど異能アクションに近い次元で大立ち回りする。必殺技の名前を口に出して決めたりもするので、女子プロレスに対戦格闘ゲーム要素を混ぜたような感じをイメージしてもらえばだいたい合ってる。あくまでアイドルとしての興行であり、血反吐を撒き散らしたり骨が軋んで折れたりといった『シンシア・ザ・ミッション』みたいなガチのバイレオンスはなく、格闘よりもスポーツ、スポーツよりもショーの色合いが濃い。ライトノベルでキャットファイトというと『上を向こうよ』を思い出しますが、あれももう10年以上前の作品か……時が経つのは早い。さておき、『アイドライジング!』。アイドル部分はおまけで、バトル部分がメインの構成となっています。この1巻だけで4つの試合が描かれている。先述したようにバイオレンス色が希薄だからリョナ好きが読んでもいまいち興奮できないだろうけれど、「スポーツじみた爽やかな殴り合い」に徹したおかげで暴力描写が苦手な人でも最後まで読めそうな緩さがある。攻防の駆け引きはちゃんと考慮して書かれており、絶対に気合や根性だけで勝つわけじゃないし、間違っても説教かましながら顔面パンチしたりしないから、某作品のような泥臭い熱血テンションに辟易する人も安心して手を伸ばすといい。バトルとバトルの繋ぎに当たる日常パートも過不足なく盛り込まれていて、無駄がない均整の取れた仕上がりとなっています。安定感、という意味では今回の受賞作で一番かもしれない。

 ただ反面、突き抜けて目立つ長所もなく、読み切ってなお強く印象に残るってこともありません。読んでいる間はそこそこ楽しかったけど、読み終わってから「次巻が待ちきれない」とか、そういう気分にはならなかった。新人にしちゃこぢんまりとした出来です。悪くないけど物足りない。主人公はどうしてもアイドルになりたくてなったわけでなく、ほんの思いつきでアイドルになって、トントン拍子で勝ち上がり、いくつかのイベントを経て「最初は思いつきだったけど、今は満足している、だからこのアイドル業を精一杯やり抜こう!」と決意――したところで閉幕。ホント、悪くはないんだけど、すごく盛り上がるということはなかったし、今後すごく盛り上がりそうな予感もしない。安定感があって危なげない出来ではあるにせよ、ストーリーに決め手となるような特徴を持っておらず、ドラマ性が弱い。設定に凝るのもいいけど、もうちょっと読者の心を揺さぶる展開があってもよかったのではなかろうか。ハイパー技術が駆使されているとはいえ、詰まるところキャットファイトでしかないアイドライジングになぜ日本中の人々は熱狂し、「戦うアイドル」に対して夢と希望と憧れを抱くようになったのか? そのあたりにもっと説得力が欲しかった。そんな感じで、結論としては「惜しい作品」の一言に尽きる。ちなみに本書、男キャラは脇役ばかりで、雰囲気はほとんど百合系。主人公のモモとプロデューサーのサイは完全な百合ップルと化しており、「初めてはサイちゃんがいい」と本音をぶち撒けるなど、とにかく空気が百合ん百合んすぎる。微笑ましいと言えば微笑ましいが、正直電撃の読者層には合ってないような……ついでに書いておくと、当方は主人公のモモよりライバル(?)のオリンが好きです。『純真ミラクル100%』で言うところのオクソンのボジション。せっかく獲ったオーディションを横から主人公に掻っ攫われるなど、不憫な展開の数々に胸がキュンと来る。性格の悪さも不憫さで帳消しになっています。オリン不憫かわいいよオリン。

 で、次は評判いいらしいからと期待して読んだ『はたらく魔王さま!』。

 かつて異世界でぶいぶい言わせていた魔王が勇者の猛攻から逃れるためゲートを使って現代日本に転移。魔力の大半を失い、たった一人の配下とともにボロアパートに住んでバイト生活を送る追われ者の魔王様が立てた当面の目標、それは「正社員になってみせること」であった……という、落ちぶれて袖に涙のかかるコミカル・ファンタジー。以前富士見ファンタジア文庫から出ていた『逆襲の魔王』をコメディ調にしたらこんな感じになるだろうか。同じ電撃文庫だと『ぷれいぶっ!』がやや近い。最近、「魔王と勇者」の構図をベースにしてあれこれ弄る作品が頓に多く、しかもそれが結構受けているようだ。『まおゆう』は言うに及ばず、例の盗作問題で回収絶版騒動を起こした『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』も売上自体は悪くないどころか新人ではトップクラスだった。マイナーレーベルのHJ文庫も『いちばんうしろの大魔王』『はぐれ勇者の鬼畜美学』『魔王学校に俺だけ勇者!?』と3つもこれ系のシリーズを揃えていて、しかもどれも売れ行きがなかなか良いみたいである。いったい「魔王と勇者」の何が人々を惹きつけるのだろうか。考察すると長くなりそうなので『はたらく魔王さま!』に話を戻す。

 タイトル通り労働に励んでいる魔王のところへ勇者がやってきて、「お前を斃す!」と息巻きながらもいまいち機会を掴めずグダグダになってしまう、ってな予想通りの展開に入ります。バイトで頑張っている所帯じみた勤労魔王と、魔王よりはマシだけど一人暮らしでやっぱり苦労している勤労勇者。ああ、つまりこれは本来のターゲットである中高生たちに労働の尊さを伝える小説なのだな、と思ったがそんな感想はどうでもいい。「はたらく」だけでストーリーを引っ張るのは難しいから謎の刺客とか恋の三角関係も絡んでくる。文章が丁寧で、ライトノベルにしては妙に細かいと申しますか、病院に担ぎ込まれた無保険の魔王がバカ高い診療費に泣いて「国民健康保険が必要だ」と確信するなど、ユーモラスを通り越して哀愁すら漂わせる件があったりします。また魔王の住んでいるアパートは笹塚駅から5分とのことで、「魔王の怒号とともに、光と闇が笹塚を乱舞した」など「ギャグなのか?」と判断に迷う文章も出てくる。渋谷区北部の地理についても頻繁に触れられているが、「笹塚から新宿までは京王線で一駅。男の足で歩けばたったの二十分だ」は少し無理がないだろうか。笹塚〜新宿間は意外に遠い。確かに京王線では一駅だけど、京王新線だと幡ヶ谷・初台の二駅を挟むし、距離にして約4kmあるので男の足でも40分くらいは掛かる。まあそれはそれとして、イイ感じにせせこましさが醸されており、そのせせこましさを活かしてキャラそれぞれの魅力をうまく引き出しているので、「魔王と勇者」モノの中でもひと際馴染みやすい一冊だと思います。文章の端々に生活感があるのがグッドです。しかし、クライマックスで派手な魔法が飛び交うバトル展開に突入してしまったのはマイナス。作風的にああいうスケールの大きい戦闘は求めてなかったので……『アンチリテラルの数秘術師』とは逆に、前半は面白かったのに後半が大味でダレてしまった次第。「生活感のある文章」は決して小さくない武器だし、上手に運べれば人気シリーズと化す望みもあります。ただ、気づいたらメディアワークス文庫あたりに移籍していそうな気もするんですよね、この作者。ファンタジー抜きの作品で大成しそうっつーか。もしかすると有川浩路線に乗っちゃってハードカバー本を出したりするのかも。それはそれで楽しみですが。

・拍手レス。

 主人公のジャマをするキャラクタってウザくなる事が多いのだけど、まどかさんは本当に救世主に見えるからマジ頑張ってほしい
 普通、アニメの主人公は大いに活躍してほしいと願うものですけれど、まどかは強烈なジレンマを抱えているので気軽に応援できない。

 クロアニメ化するのが夢のK2です クロアニメ化だったら自分の人生無意味に終わったけど、これでホラもZガンをHガンと呼ぶ我がクラスのにわかオタとか萌豚の餌食になると思うと断腸の思いががが サンライズさんに賭けるしかないんだろうけど・・・完結出来るのかな、アニメもアニメに追いかけられる原作も とりあえず続報に期待
 既に3クール分くらいはありますし、作者のペースが異様に落ちないかぎり追いつかれることはまずなさそう。

 ホラガアニメ化とか麻呂を釣るきでおじゃるか?とか思ったらマジなのか・・・。現段階で表に出てる情報を見る限りでは顔があぶらぎr…もとい、wktkがとまりませんなぁ。サンライズ攻めとか特に。
 失望を得る結末にならないことを祈るばかり。


2011-02-13.

・倉田嘘の『それでもやっぱり恋をする。』を読んだら「やべえ、出てくる女の子が可愛すぎる……」と肉親にも見せられぬ猥りがましい表情を浮かべた焼津です、こんばんは。

 昔は「苦手である」と公言していた百合モノですが、最近は全然平気どころかむしろ好物になってきました。人間の適応力は恐ろしい。変節漢と言わば言え。いやまあ、当方の嗜好変化はどうでもいい。前作『リンケージ』も初単行本にしては相当なクオリティを誇ってましたが、今回はそれ以上。限界突破級の可憐さと愛くるしさで読者の理性をズタズタにする。特に「BBS」のえっこ(長谷川悦子)はたまらんよね。えっこかわいいよえっこ。良くも悪くも容易に先が読めてしまうストーリーばかりであるが、女の子同士の控え目なキャッキャウフフを楽しむうえでは申し分ない仕上がりです。いってせいぜいキス程度(しかもほとんどの場合そこまでいかないプラトニックさ)なので、濃厚な百合描写が苦手という方も「可愛い女の子」目的で読み出して大丈夫。とにかく恥じらいを帯びた表情がたまらない。デフォメル絵もキュートさを損なわないままコミカルな雰囲気を出していてグッド。ああ、それにつけてもえっこの可愛さよ。当方はつくづく黒髪ロングストレートに弱い。

アニメ版『境界線上のホライゾン』、公式サイトオープン

 どうやらマジネタだったようだ。まだシルエットが出るくらいで具体的な絵は分からないが、準備段階にしては凝ったつくりで期待がムクリと湧き上がる。ひょっとすると……もしかしたら……結構観れる出来のアニメに仕上がるのでは、というスケベ心を隠し切れません。こういう記事読んだ後では尚更。

邪気眼レフ買ったwwwwww(VIPPERな俺)

 『スピードグラファー』『脱出迷路』を思い出した。『脱出迷路』は輝くトラペゾヘドロンのカメラを使って異形と戦ったりカダスに行ったりするクトゥルー神話ベースのサスペンス。全3冊で完結しており、デスゲームものが好きな人にはオススメ。上甲宣之なので文章に関してはお察しですが。

『魔法少女まどか☆マギカ』第5話「後悔なんて、あるわけない」視聴

 世間が第6話の衝撃に関する話題で持ち切りの中、今更5話目の感想だなんて、わけがわからないよ……と鼻白む閲覧者の顔が目に浮かびますが、これも地方民の宿命と割り切るより他ない。相変わらず不穏なサブタイトル。「マミさん……あたしの願い、叶ったよ」「後悔なんて、あるわけない」「あたし今、最高に幸せだよ!」とアンリミテッド死亡フラグワークス状態の青こと美樹さやか、満ち足りた表情に「こやつめ、さっくり死んでしまうのではあるまいか」とハラハラしながら見守った人も少なくないと思われます。『魔法少女まどか☆マギカ』は公式サイトの見た目からは到底窺えないほど緊迫感に溢れており、まったくもって油断禁止のアニメであります。結論から申せばさやかは死にません、まだ。細かく観ると腕がイッちゃってる(肘が逆方向に曲がってる)シーンもチラッと紛れているものの、「癒し」の願いによって治癒特性を得たさやかは多少のダメージなら治してしまえるそうだ。痛みそのものは残るみたいで、フラフラしながら立ち上がっていましたが。これは無限に痛みを加えられる拷問フラグが立ったな……剥がされまくった生爪が足元で小山を成しているとか、そんなの……さておき、そんな友人の負傷姿を目の当たりにしてなおまどっちは魔法少女と化す決断ができず、今回も当たり前のように変身しないまま終わる。さすがに痺れを切らして「いい加減変身しろよ!」とイラつく視聴者もいるみたいだ。正直、まどかは主人公というよりただのお荷物になりつつあります。変身しちゃマズいってことは重々承知なのですけれど、気弱げに泣いたり「足手まといにしかならないって分かってるけど……」などと卑屈な発言を繰り返すその様子はただただ辛気臭い。観ていて胃にこたえる。ノーマネーでフィニッシュすることが明らかな遣り取りを傍観しているような心境に陥ります。なんで魔法少女アニメでここまで気まずく不安な想いを味わわなければならんのだ。つくづく疑問である。

 今回は6話への繋ぎといったところで、話そのものの動きは前回よりもスロー。しかし、初の魔法少女対決となるさやかVS杏子のアクションは見応えあり。さやかの得物は剣、杏子は槍プラス多節棍です。多節棍て。虚淵よ、このアニメを武侠片か何かと勘違いしていないか? 「人呼んで百足槍手」とかそういうノリでしょう、杏子は。例の「終わりだよ」のポーズは最高にカッコ良かった。「チャラチャラ踊ってんじゃねぇよ、ウスノロ!」とか、到底魔法少女の発言ではない。ひたすら虚淵の趣味が出まくっててニヤける。紛れもなくキャルや黒のフランコに連なる系統のキャラ。個人的にはリズィ姐さんみたいなのも出して欲しいが、少女じゃないし無理か。争い合うふたりに悲しみ動揺するまどかは白い悪魔に「契約しちゃいなよ、YOU」と甘言を囁かれ口説き落とされそうになるものの、寸前で「それには及ばないわ」とレスキューほむらがインタラプト。最高潮に盛り上がったところでEDが流れ、次回へつづく。なかなかいいヒキでした。話自体は地味な感じだったのに、丁度良いところで切っているため次の6話目が観たくて仕方なくなる。もう諦めてネタバレを喰らいましたが、「キュゥべえェ……」の一言に尽きる。そしてほむらは他人の尻拭いばっかりしているな……この子に私生活ってあるんだろうか。

・蝉川タカマルの『青春ラリアット!!』と兎月山羊の『アンチリテラルの数秘術師』読んだー。

 両方とも第17回電撃小説大賞の受賞作です。『青春ラリアット!!』は金賞で『アンチリテラルの数秘術師』の方は銀賞。第17回は大賞1つ、金賞と銀賞それぞれ2つずつ、三賞だけで計5つもの受賞作を出しており、これは過去最高の本数です。三賞に限定すれば、今まで4つが上限値でした。電撃小説大賞は主要三賞の他に選考委員奨励賞(第5回のときは選考委員特別賞と称していた)、メディアワークス文庫賞、電撃文庫MAGAZINE賞などがあり、これらも含めると今回はなんと9つ(うち2つは短編)も受賞作を出している。さすが「最終候補にさえ残ればほぼ確実に何かの賞を取れる」と言われるだけあって大盤振る舞いだ。長編7作中主要三賞に属する5冊は既に刊行済で、残る2冊は今月下旬にメディアワークス文庫から出版される手筈となっています。これだけ出るとチェックする方も大変ですね。当方も可能なかぎりチャレンジして感想を上げていくつもりですが、途中で挫折して他の本を優先させるやもしれません、あしからずご了承ください。

 ではまず『青春ラリアット!!』の感想。

 「ヒロインが嘔吐カノンをかましていた」、この衝撃に尽きる。『僕は友達が少ない』など、ヒロインがゲロを吐くライトノベル自体はそんなに珍しくないけれど、対人兵器として使っている例は極少数であり、あそこで読むのをやめた人がいたとしてもおかしくない。誤解のないように申しておきますが、本書は『トラウマイスタ』みたいな異能バトルじゃなくて、ちょっと頭がおかしいだけの少年少女が右往左往する青春コメディです。魔法や超能力といった要素は一切絡んでこない。電撃文庫的には『とらドラ!』の路線。ヒロインが主人公の友人に想いを寄せていて、主人公が橋渡ししてやろうと力を貸すあたりや、主人公にはヒロインとは別の想い人がいるあたり、普段は傲岸不遜な性格をしているヒロインが友人の前に出ると途端に挙動不審者と化してしまうあたりもやや似てる。まあ、そのへんは箇条書きマジックです。実際に読めば雰囲気とか空気感が全然違う。表面的には似ていても、中身が「もはや明らかに昔日の清玄ではない」ってくらい違う。よりスラップスティック要素が増して喜劇的になっています。

「窓に小石を当ててみましょうか?」
「長瀬ぇ? それは地球規模で見れば小石だけど、一般的には拳大の石って言うんだぞ?」

 と、主人公のツッコミも全編通して冴え渡っており、活字ならではの面白みを活かしてクスクスと笑わせてくれる。やっていることはキッキンズホースと申しますか、他人の恋路を体張って応援する感じで、バカバカしいんだけど熱い。シモネタ控え目の『銀魂』って塩梅。いきなり大食いバトルが始まるあたりは戸惑ったし、最終的にプロレスごっこじみた殴り合いで解決するのもどうかと思ったが、掛け合いのテンポはいいし、なんだかんだでキレイにまとめてくれたからヨシとします。荒削りながらも妙に手堅い仕上がりであり、「新人らしいフレッシュさ」がなかったことは不満っちゃ不満か。独自の色を持っているとはいえ、次なる時代を切り開こうとする苛烈な意欲までは漂ってこなかった。しかし、ライトノベルに求めるのはあくまで娯楽であり、新鮮さなど不要――という方には充分薦められる出来。続けようとすれば余裕で2巻も出せる内容ながら、せっかくキレイにまとめてくれたことだし、今度はまた別の作品でシリーズを開始して欲しいかな、と思わんでもない。インタビューによるとゾンビものが書きたいらしい。ただ、宮ロリ本ロリの再出演を期待する気持ちもあります。要するに新作でも続編でもどっちにしろ楽しみってことで。

 次に『アンチリテラルの数秘術師』の感想。

 タイトルでだいたい分かると思いますが中二バトルものです。「東京内戦」とやらで荒廃した日本を舞台に、不死身の数秘術師(アルケニスト)たるヒロインが災厄の数(アルヘトス)と呼ばれる呪われた怪物に立ち向かう。数秘術師は「この世に存在するあらゆるモノの根源は数」として、世界を構成する様々な数値を書き換えたり、あるいは数式を使って組み立てたりして超常現象を起こす。電撃文庫的には『ウィザーズ・ブレイン』の路線。数学薀蓄を散りばめて適度にハッタリを利かせた数秘術バトルは中二心を猛烈にくすぐります。戦闘シーンの描写も勢いがあって白熱する。表紙から中二バトルを期待して手に取った、という人にとってはなかなかの収穫となるかもしれません。が、ハッキリ言ってバトル以外の部分は退屈です。謎の作り方、ひいては気の引き方が下手なのか、読んでいて一向にハラハラしない。説明ばかり連なって想像力が刺激されず、「この続き知りたい」って念も湧かない。ゴテゴテした設定の割にひたすら地味。おかげで前半はさっぱり盛り上がらなくて往生しました。また、ラブコメ要素を入れようと苦心している箇所もありますが、うまく混ざっておらずそこだけ浮いた印象を与えてしまっています。読み出したのはこっちが先でしたけど、途中で耐えられなくなって投げ出し、気分転換のためにと開いた『青春ラリアット!!』の方を先に読み終えることになりました。攫われた妹を助け出すために戦う、と主人公が明確な目的を持っているにも関わらず、基本的にバトルはヒロインがメインだから、描写的には白熱するがシチュエーション的にはいまひとつ燃えない。主人公も「女の陰でバトルの解説」を良しとはせず、「俺も戦う!」と意欲を滾らせますが、如何せん直接的な戦闘力がない。せいぜい作戦の立案や索敵など、サポート任務で役立つ程度。でも主人公なのでいっちょまえに見得を切る。結果、『灼眼のシャナ』の悠二みたいなポジションに付き、大事なところはヒロインに任せるが、ここぞという隙を衝いて上条さんよろしく拳で説教をかます、けれど相手は人外なので大してダメージが通らない、やっぱりトドメはヒロインに一任……というチグハグな事態に陥っています。凡人のまま活躍させることにこだわったのだろうが、爽快感に欠けるラストバトルとなってしまいました。敵も凄そうに見えて動機とかショボかったし。あと、一人称パートのところでも三人称みたいな書き方をしている文章、これにも引っ掛かりを覚える。

 僕は唾液の筋が垂れた唇で、しきりにブツブツと独り言に興じ続けた。

 この後にも「僕は無意識に何度もそう呟いた」とあり、錯乱している「僕」を冷静に観察している「僕」がいる、という状況がまるで喉に刺さった小骨のよう。他にも、第三者の戦闘を傍観している場面で「温かい返り血を浴びながら」と書いたりしています。鮮血だから温かいだろうと判断したんでしょうが、返り血を浴びているのは主人公じゃないんだし、わざわざ「温かい」と断らなくてもいいのに……なんだか、最初に三人称で書き上げて、後になって一人称に書き直したような違和感が付きまとう。当方が細かいことを気にしすぎなんでしょうけれど、とりあえず「小説は文章が命」と考える方にはオススメできない。えー、さっきから叩いてばかりいますが、この作品がつまらなかったのかと申せば否。案外そうでもなかったです。確かに前半は退屈でいっぺん投げ出したものの、後半に入ってからはストーリーの狙いが絞られていくこともあり、程好い緊迫感とともに一気に読める。歳を取っても相変わらず自分は中二系異能バトルが好きなんだな、と実感しました。現時点で瑕疵は多いにせよ、今後次第では化けるかもしれない。レーベルは違うし作風も異なるが、『丘ルトロジック』と同じく成長期待を煽る、良い意味での未成熟さがあります。中二病全開のバトルを愛してやまず、文章とか細かいことを気にしない、それでいてバクチ好きの貴方に超オススメ。

・拍手レス。

 川上作品アニメ化はびっくりですよね。氏ならアニメ用に動画都市とか書き下ろしそうとおもってましたが、まさかホライゾンがアニメになるとは…。川原礫作品のアニメ化は戦略として電撃が控えてるんでしょうかねー?売り上げ的にエース級なはずですが
 川原礫作品に関してはアニメ化自体はもう決定していて、発表のタイミングを窺っている段階でしょうね、たぶん。SAOとAWが同季放映とかあるかも。

 ホライゾンの主人公は放映できるのだろうか・・・
 できるといいな。そしたらいつの日か、ミスマルカのゼンラーマンもきっと……。

 プリティ・ベルはその点をついて兄貴が変身してますな>戦うのは子供
 あれも大概表紙詐欺でしたね。

 神メモアニメ化は期待 ホライゾンアニメ化はどーやっても無理
 サンライズ「ファンが無理だと諦念しても、自分が必ずファンの心を奪って行くで御座る!」

 ホライゾンのアニメ化ですが
 ツィッターのほうで、10日にアニメ制作に関して話されていて、資料もすごい量になってるみたいです。
 焼津さんは、ツィッターをされてるかどうかは存じ上げていませんので、一応まとめサイトに掲載されたのをhttp://d.hatena.ne.jp/nunnnunn/20110210/1297342650
 日記を書かれた後にご覧になってるかも知れませんが・・・。楽しみですね!

 予想以上に制作側も本気みたいで、とりあえず続報が楽しみ。


2011-02-08.

・つい最近まで『放浪息子』を『放蕩息子』と勘違いしていた焼津です、こんばんは。

 思い込みは恐ろしいな……未だに「あれ? 『放蕩息子』だっけ、『放浪息子』だっけ」と混乱しそうになる。響きが半端に似ているせいでなかなか修正し切れません。これが『琺瑯息子』だったら混同することもなかったでしょうが、もはや何のアニメだか分からない。でも『砲塔息子』や『宝刀息子』は少し観たい。一番観たいのは『放浪ムスカ』でウッドボール。ラピュタ後に生き延びたムスカが各地で『座頭市』するんだろうな。得物的には『盲目ガンマン』か。ムスカ・ザ・ブラインドマン。ガン=カタめいたアクションで多数の敵を撃ち抜いてからグラサンをクイッと上げ「最高のショーだとは思わんかね?」。夢が膨らむ。

「けいおん!」 原作漫画 再始動 キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!(【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 このネタで各所お祭り騒ぎ。まだ「再始動」としか判明しておらず、内容(大学生編なのか、高校生編の取りこぼしエピソードなのか)や形式(定期連載なのか、不定期連載なのか、はたまた短期集中連載なのか)についてはあれこれ憶測されるばかりでハッキリしないものの、これは三期も視野に入れた動きと見ていいのかしら。ちなみに当方は原作だけ読んでアニメ版は一個も観たことないです。評判イイのでいずれ観ようとは考えている。

『ロウきゅーぶ!』&『神様のメモ帳』 アニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 『ロウきゅーぶ!』はそろそろ来るだろうと思っていたので意外性はない。『神様のメモ帳』は少し意表を衝かれた気がしたが、思い返してみるとこの作品、ドラマCDを2枚も出しているので流れとしては別段不自然でもない。杉井作品は『火目の巫女』の2巻までと初ハードカバー本の『終わる世界のアルバム』しか読んでないが、一応既刊はすべて揃えています。数があまりにも多くて崩す気力も湧かない。今月発売の分も含めるとざっと30冊くらいあるな……文章は読みやすいから、実際に着手し始めたら案外サッと全冊読み通せてしまうのかもしれない。

鈍器のようなラノベ『境界線上のホライゾン』サンライズでアニメ化キタ━━(゚∀゚)━━ !!! (萌えオタニュース速報)

 ウッソだろう……おかしいですよ、川上さん! って取り乱すほど掛け値なしに驚愕のニュースでした。よく冗談で「もし境ホラがアニメ化したら……」みたいな仮定の話題に耽ることはあるけど、まさか実現するとは。「このネタ釣りですよ」と言われたらあっさり信じてしまうレベル。『境界線上のホライゾン』はライトノベルなのに毎回京極夏彦並みのボリュームで発行することで有名なシリーズ。内容はとてもひと口では説明し切れない。破格の面白さを誇る反面、とにかく設定を飲み込むのに苦労します。名前のあるキャラが何十人いるのかさえも把握できなくなってきた。真面目にやったら1エピソードごとに1クール掛かるだろうし、どうしても成功するビジョンが浮かびません。禁書目録も原作読まないとよく分からない設定が多いけれど、川上作品は明らかにあれの比ではないし。アニメの放映に合わせて分厚い解説書を発売しなきゃいけないでしょう。この企画に手を伸ばしたサンライズは勇気があるっつーか、ぶっちゃけ狂しておられるな。

・現在読んでいる本は押井守の『番狂わせ』、パトレイバーの小説です。『TOKYO WAR』、つまり劇場版パトレイバー2から10年後の特車二課にスポットを当てています。「二足歩行の巨大人型ロボットなんて時代遅れ」と言い切ってうらぶれた雰囲気を醸し出しており、漫画版やTVアニメ版のパトレイバーが好きな層は辟易するかもしれない。『TOKYO WAR』は押井守が初めて書いた小説作品であり、富士見ファンタジア文庫から最初のバージョンが刊行されたのは1994年、実に17年前です。リアルタイムで読んだ人にとっては「待望の続編」なのか、「今更の続編」なのか。『ハンチョウ〜神南署安積班〜』というタイトルでドラマ化された今野敏の安積班シリーズともリンクしている。先に今野敏が『夕暴雨』でクロスオーバーネタをかました(なんでも作中に後藤喜一を出したらしい)のに対して押井守が応えた形となる。二人ともいい歳してそれなりの地位を築いているのに、やってることが文芸部所属の中学生みたいで微笑ましくなる。今月に『武道のリアル』という対談集も出すそうで、ホント仲が宜しいですな。馴れ初めについては確か『触発』の文庫解説で書かれていましたが、いかにも押井らしい(今野らしい)と笑った記憶があります。

・拍手レス。

 道満晴明とG=ヒコロウはカルトな人気ありますよね。個人的にはそこに東静馬を加えたい
 ヒコロウは未だに打とうとするたび「ヒコロウ」か「ヒロコウ」かで迷う。東静馬は初耳。『まじぱら』というのが単行本化したら買ってみます。


2011-02-06.

『ザ・タウン』観に行って「おい……これ『強盗こそ、われらが宿命』じゃないか!」と遅まきながら気づいた焼津です、こんばんは。

 確かに『強盗こそ〜』が映画化したって話は聞いてたけど、まさか『ザ・タウン』なんてタイトルになっていたとは露知らず。原題も "Prince of Thieves" だし、もっと「強盗」押しの題名だろうとばかり思い込んでいた……己がリサーチ不足を責めるしかない。さておき、『サ・タウン』。強盗三昧の日々を送っていた主人公が一人の女性と出会い、彼女に惚れて「やり直そう」と更正を誓う話です、大まかに要約すれば。しかし彼は四人組の強盗集団に属しており、「犯罪者には未来がないから一般人に戻るわ」と宣言したってそうそう簡単には足抜けできません。強盗なんてヤだ、もう辞めたい、と願いながらずるずると「仕事」に巻き込まれていく主人公の行く末に待ち受ける運命は再生か、はたまた破滅か。ストーリーは至ってシンプルであり、唸るようなヒネリは加えられていないものの、終始キレのある映像で観る者を引き寄せて飽きさせない。特に銃撃戦の迫力は満点、映画館の大スクリーンで観るにはお誂え向きの一本でした。女に惚れる過程があっさりしすぎで「お前は『IS』のヒロインか」とツッコミを入れたくなるほど即落ちな点、「四人組の強盗」という設定だけど四人の絆があまり感じられない点、「何か良さげなセリフ吐いてるけど、結局強盗やってるんだもんなぁ」と冷めてしまう点がマイナスではあるが、映像だけでも充分に観る価値あり。刺青の件はハラハラしました。あくまでシナリオにこだわるならば原作を読みましょう。その方がきっといい。

 ちなみに原作者のチャック・ホーガンは先月『流刑の街』という新刊を出したらしいが、これも知りませんでした。注目していたはずなのに……当方のアンテナは壊れてるんじゃないだろうか。

鋼屋ジン書き下ろし公式外伝小説『装甲悪鬼村正 妖甲秘聞 鋼』

 『ドグラQ』はどうなってるんだっちゅーねん。B6で277ページって普通に商業出版できるボリュームじゃないですか。「妖甲秘聞」だからドラマCDと同じく南北朝時代の初代エピソードだろうけど、内容的には被ってない……はず。そういやドラマCDをまだ聞いてなかった。ともあれ、本日イベントで先行販売されたそうです。そして10日が一般発売日となる模様。取り扱い店舗一覧はこちら。これまでのパターンからすると、いずれamazonでも取り扱い開始するでしょうから、送料を節約したい方はそちらを待つのも手です。当方は堪え性がないのでもう予約しちゃいましたが。

とらのあなのサイトにもう『魔法少女まどかマギカ』のカテゴリが用意されている

 いくら何でも早すぎじゃね。放映開始から1ヶ月、最新がまだ5話目だというのにこの厚遇。芳文社の企画といい、なぜ1クールのオリジナルアニメにここまで力を注ぐのでしょうか。確かに面白いし続きが楽しみだけど、各所で過剰に期待が膨らんでいる気がしないでもない。それでも虚淵なら……虚淵ならきっと何とかしてくれる……! 「してくれる」というより「しやがる」とか「しでかす」の方がニュアンスは近い。6話目のタイトルも「こんなの絶対おかしいよ」でヤバげな空気漂ってるし。6話を放送するタイミングでコミック版の1巻が発売されるから、売上伸ばすために強烈なのを仕掛けてくるかもしれない。いや、逆か。「6話はすごいから、この時期にコミック出しちゃおう」と狙ったのやもしれぬ。まどか☆マギカはあらゆる展開に疑惑が付きまとう。視聴者をここまで疑心暗鬼に陥らせるアニメも珍しい。それにしても「こんなの絶対おかしいよ」って、ほむらに性的な意味で襲われているまどっちの図が脳裏に浮かぶセリフですね。

『涼宮ハルヒの憂鬱』驚愕初回限定版がamazonランキングでずっと1位(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 松岡圭祐の『万能鑑定士Qの事件簿』で、角川書店勤務の記者が「ハルヒの新刊はいつ出るんですか?」と聞かれて返答に窮する、みたいなネタがあって笑った記憶がある。やっぱりみんな待望しているんですな。amazonランキングと言えばまどか☆マギカのコミック版も好調みたいであり、現時点で1巻、2巻ともに10位以内に食い込んでいる。なのは関連のコミックが同じく10位以内に3冊ランクインしていて、上位10冊の半分が魔法少女系という異様な状態。なんだかんだで今後も魔法少女人気が続きそうだ。人気と言えば、東川篤哉の『謎解きはディナーのあとで』も留まるところを知らない。こんな特設ページまで用意されて、しかも影山の声を櫻井孝宏が演じているのだから噴いた。先月に累計57万部突破したってんだから凄まじい。まだ全然メディアミックス展開していない時点でこの数字とは……漫画化やドラマ化を果たしたらもっと積むでしょうな。快進撃すぎて恐ろしい。

・道満晴明の『ぱら☆いぞ(1)』読んだー。

 下ネタ全開の学園4コマ漫画です。作者名は「どうまん・せいめい」ではなく「どうまん・せいまん」と読む。平安時代の陰陽師である芦屋道満と安倍晴明に由来すると言われる魔除けの印で、見た目は五芒星(ペンタグラム)、晴明桔梗とも呼ばれる。「ドーマン」と「セーマン」は別々の印ともされるみたいであるが、詳述は割愛。これをPNに選んだ理由は知りませんが、たぶん響きがエロかったからとかそんなふうではないかと邪推している。30代、40代の人は『帝都物語』の登場人物、加藤保憲を連想されるのではなかろうか。閑話休題、『ぱら☆いぞ』は先も述べた通り下ネタフルオープンで、「『た行』ってなんかいやらしくない?」「『ちつ』って入ってるからでしょ」と帯に引用されている会話からして振るっている。全編通してこの調子なので、「下品な笑いは嫌い」と言う方には到底読めた代物ではありません。また、「単行本がそこそこ売れたら きららに移籍します!!」「そんなにコアマガが好きなら コアマガの子になっちゃいなさい!!」など、実在の誌名や出版社(もちろん他社)が頻出するため、いくらジョークにしても笑って済ませられるかどうかギリギリのところがある。いつどこから抗議が来てもおかしくない作風です。露悪的なパロディも仕込まれていて、「頭の中○ンコでいっぱいなの」と嘯くアン○ンマンもどきのキャラなどはアンパ○マンを愛する純粋な子供が見たら必ずや噴パンすることであろう。そもそも道満晴明を読むような子が「純粋な子供」というカテゴリに属せるか否か根本的な疑惑を孕んでいますが。

 1話目は2007年10月号の“COMIC快楽天”に掲載されたとあり、刊行まで実に3年もの時を要したことになります。「まだ出ないのか」「いい加減発売しろ」と焦れるファンも多かったそうです。この道満晴明という漫画家は業界全体から見ればひどくマイナーな存在ですが、知名度と反比例するようにコアなファンが付いており、おかげで既刊の大半が絶版状態のままプチプレミア化しています。シャープでコントラストの利いた絵柄が目に心地良く、またその絵柄とピッタリ合った鋭利極まりないセンスが掛け替えのない特徴となって読者を魅了し骨抜きにします。最近の漫画家で喩えればちょぼらうにょぽみが放つ異形のオーラに近いかもしれない。「存在それ自体が毒であり麻薬」みたいな。しかし不思議とカオス感の少ないギャグで、むしろ意外なほど透徹した理性を滲ませており、そこがあざといと感覚して鼻に付く方もおられるやもしれぬ。詰まるところ、「下ネタOK」という前提をパスしてでさえ好悪が分かれる作風であります。

 同じく一冊にまとまるまで相当時間が掛かった去年の新刊『ヴォイニッチホテル(1)』も素晴らしかったが、あれはしばらく読み進めないと構成の妙味が呑み込めないつくりとなっているらへん、つまり「掴みの弱さ」が僅かなりとも難点でした。ファンはハナっからどっぷり浸って堪能するだろうけれど、一見読者は冒頭のみでさっさと踵を返しかねない雰囲気があった。そこに来ると『ぱら☆いぞ』は終始一貫して均質的なノリが続くので、道満適性があれば冒頭の時点であっさり引き込まれること請け合い。まだ刊行して間がないから比較的入手も容易であるし、道満未読者はまずこれをお買い求めするがいい。「ねェママ どうして雌豚は体に正の字を書くの?」「それはね 正しい事をしているんだって自分に言い聞かせてるのよ」「そうしないと 心がくじけちゃうの」「ふーん ドMってかなしいね」など、遣り取りそのものは無茶苦茶ながら、「ドMってかなしいね」の一言が妙に染み入ったりする。正直、道満晴明はそこまで好きな漫画家ではなかった(絵柄は好きな部類であるもののセンスが先走りすぎて付いて行けないところがあった)けど、去年の『ヴォイニッチホテル』と今年の『ぱら☆いぞ』で大きく印象が変わりました。巻末で2巻の予告も打っていますが、出るのはまた3年後くらいかな……。

・拍手レス。

 まどかは2話だけ観て放り投げて、コメントするのはあれですが、今までの『魔法少女』等の二次元作品が目を瞑ってきた、子供に戦わせるってことの残酷さを追求した作品っぱいですな。冷静に考えれば大体の二次元物のやってることって最貧国の反政府組織が、子供にアサルトライフル持たせて戦場におっ放り出すのと大差ないですよね。
 お供のマスコットを「使い魔」などと呼ぶけど、どう考えても使われてるのは魔法少女の方。なのはみたく将来の就職口を確保できる子は別として基本的に潰しが利かず、その重労働ぶりに比してあまりにもノーフューチャー。

 神咒の体験版をやって、焼津さんをはじめとする07版diesの体験版をプレイしたユーザーの気持ちがよく分かりました。今回はまゆきさんがDだから、6柱の再来はないでしょう、多分…
 あの絶望と痛苦は忘れられない。しかし、07年Diesという前例がある状態で代役脚本を進んで務めるライターもさすがにいないでしょうな。仮に実現したとしても阿蘭墨史とかで埋まりそう。

 「まどかは私達全員の花嫁だ独り占めはいけませんねぇ」とかほむほむが言うのか、俺得
 首だけで生き残って黄色に踏み潰されそうなほむほむですね。


2011-02-04.

・芥川賞受賞作の『苦役列車』が割かしツボに入ったので西村賢太作品を買い漁っている焼津です、こんばんは。あの逆恨み節は癖になる。

 「いまどき珍しい私小説一本槍の作家」という触れ込みで以前から話題になっていたのは知っていましたが、いかにも暗そうな作風に躊躇してなかなか手を伸ばす機会がありませんでした。しかし今回の芥川賞受賞がキッカケとなって注目し、さるところで見かけた「作者の分身である北町貫多の徹底したダメ男ぶりを楽しむ」なる視点を得て蒙が啓けた。そうか、「私小説」というジャンルに馴染みがないせいで敬遠していたが、一種のキャラクター小説であると割り切れば面白いのだ、と。被害妄想に満ち、物事を冷静に観察しながらも行動を制御することのできない、開き直った糸切れ凧ぶりが終始一貫していて素直に感心させられる。暗いと言えば暗いが、ひたすらに乾いている文体も相俟って重い感じはしません。暗さを超越した諦念の明るさがある。自分(+藤澤清造)のことしか興味がないのに自分を突き放した視点から見ている、矛盾というかズレのある内容が不思議と心に刺さる。どんなに愛しくても抱き締められず、どんなに疎ましくても逃げられない、自分という存在。近付くことも離れることも元より叶わない、あまりにもあまりな隔たりのなさについて考えさせられた。愚かしさや浅ましさを含めて赤裸々にねちっこく綴っているせいもあって女性読者ウケは悪かろうが、一部の男性読者からは強い支持を受けそうな作風である。まだ全作読んでないのでハッキリとした評価は出せないが、しばらくは追ってみようかと思うだけのものはありました。

lightの『PARADISE LOST』新装版(初回版)、発売から1週間で早くも完売

 正田の渇望が流出したのか、TOPページがパラロスじゃなくなった……さておき、ロットアップだそうです。これを読むに、初回版はもう増産しないみたい。通常版の予定も未定。仮に通常版が出るとしても、神咒の体験版とパラロスのサントラは付いてこない。神咒の体験版は今月末にweb版がアップロードされるらしいからそれを待てばいい話ですが、サントラの方が欲しい人はさっさと押さえておくべき。サントラ自体が後刻単独発売される可能性もゼロじゃありませんけど、ゼロじゃないだけであって確実性は乏しいですからね。与猶啓至サウンドに魂を蕩かされた方は御一考されたし。あとオフィシャル通販専売の赤本も売り切れた模様。こうも完売続きだとlightもホクホクだろうな。

『魔法少女まどか☆マギカ』第4話「奇跡も、魔法も、あるんだよ」視聴

 「夢も希望もないけどな!」系のツッコミが各所で入れられているサブタイトル。言ってることは普通なのに、どうして漂う雰囲気がこうも不穏なのか。あらゆる層へ衝撃をもたらした3話目に比べると動きが少なく、やや地味なエピソードとなっていますが、相変わらず暗い、重い。鬱々としたBGMや思わせぶりなカットインが際限なく陰惨なムードを増幅させ、視聴者の昏い期待を膨らませていく。話としては順当に盛り上がってきているんですけれど、マミさんのことを想って泣くまどかの涙や嗚咽が生々しくて辛い。「いま思い出しただけで息ができなくなっちゃうの」と語るまどかに危険なくらい同調してしまい、本気で胸の痛みを覚える始末。主人公に感情移入して観る人ほどキツくなるでしょう、このアニメは。

「あなたを非難できる者なんて、誰もいない……いたら、わたしが許さない」

 救いとなる要素はやっぱりほむら。特にこのセリフ、ほむほむの愛がひしひしと伝わってくるよ。彼女は彼女なりにまどかたちを守ろうとしているんだろうな。ただ、どうしても力が足りなかった……って、こう書いたらほむらがまるでシュピーネさんのようではないか。性格は違うけれど、幹部たちが帰還することを忌避しているシュピーネさんとまどかが魔法少女化する事態を恐れているほむら、ふたりの立ち位置は案外似ているのかもしれない。さて、まどかは前回の出来事に怖気づいて魔法少女となる意欲が失せ、今回も変身どころか契約すら結ばないままエンディングを迎える。さすがにアレを観た後ではまどかを臆病者と謗ることはできない。むしろ賢明な判断だと言える。いくら他の人たちを助けたいからって、命までは懸けられない。勇気のない自分を責め、自罰的な心境へと陥っていく彼女の精神状態は非常に危うげ。魔法少女なんて怖くてなれない、でも友達の窮地にみすみす背を向けることはできない、矛盾を孕んだ中途半端な態度、引き裂かれていく心はほむらが言うところの「優しさ」なのか。この、優しさと呼ばれる蛹の殻を破って魔法少女へと羽化したとき、まどかはどうなってしまっているのだろうか。高まるのは期待よりも不安であります。最後に出てきた赤の言動も不吉ならば、次回予告におけるさやかのセリフも不吉……どこに吉兆を見出せというのだ。QBの禍々しいドアップ顔は凶兆としか受け取れない。

 しかしキュゥべえがだんだん死の商人に見えてきました。あいつ、魔女どもを斃し尽くす気はサラサラなくて、むしろ魔女と魔法少女の戦いが終結すると困る立場にあるんじゃないだろうか。そう考えたらまどかたちが魔法少女というより少女兵みたいに思えてくる。契約という名の徴兵。仲間と協力するどころか身内争いに発展しそうだから『ストライクウィッチーズ』冲方の“シュピーゲル”よりも状況は悲惨だ。『Fate/Zero』の久宇舞弥も出自は少女兵だったし、虚淵は意外とマジで「魔法少女兵」を書こうとしているのかもしれない。少年兵や少女兵は消耗品として使い捨てられ、省みられることがなく、戦争が終わった後も「平和な日常」へと回帰していくことが難しい。有体に言えば「幸福な未来を思い描くことが難しい存在」です。たとえまどかたちが当面の戦いを切り抜けて生き延びたとしても、その先に「平和な日常」が明るく待ち受けているだろうか。果たして戦いに終わりなどあるのだろうか。死ぬとか死なないとかではなく、「どうあっても、普通の幸せには戻れない」ことの方が彼女たちにとっては残酷であろう。すべてを覆してハッピーエンドへ至る可能性もまだゼロではありませんが、初手から「トロ臭くて人の役に立てない」という劣等感を抱いているまどかが自己肯定に成功するかどうか、疑問視せざるをえない。「もう何があっても挫けない」という、普通なら「前向き」と受け取るべきOPソングの一節が不安を誘う。「何があっても挫けない」根拠はいったい何なのか、と。どうか、まどかには失っても喪ってもうしない尽くせないものを見つけてほしい。

・拍手レス。

 >神咒 これは燃える。列島切れてるインパクトが有り過ぎ。フォッサマグナで切れてんのかと思ったらそうでもないし。とても気になる
 あれはいったい誰が何をやらかした結果なのか……すげえ興味をそそられます。

 放課後のプレアデスはなんというかダイジェスト感が強かったですよね。これが好評を受ければ日曜の午後五時にテレビアニメ化されるかもしれませんね。設定や物語は魅力的なだけに、このまま終わらせるのはもったいないです。
 後半の、友達と言い合いになる→落ち込む→仲直り、という流れを十分そこらでやるのはちょっとキツい。とにかく「惜しい」「勿体無い」がよく似合うアニメ。

 両面宿儺はわかりやすく説明を付け加えた通称で、日本書紀にあるように『宿儺』が正式名称と考えるべきでしょう。
 まったく知りませんでしたけど、ぐぐったらウルトラマンティガに「二面鬼 宿那鬼」というのが出たらしい。

 故に、魔脚本大八柱の再来を許してはならない――
 まつろわぬ化外の脚本(あきらかに管理されていない、当たり障りしかない脚本)は要らぬ。

 『ディーふらぐ!』への心境が凄いよく分かるww ハルトモ絵の中毒性は半端ないですよね。これできちんと女の子を可愛く描けるんだからずるい。ちなみに、自分は今でもいつぞやの型月エイプリルフール企画にあった『戦車男』が実現してくれないかと本気で願ってます。Zeroも漫画化にアニメ化にと持ちあがってるわけだし、今こそスピンオフの時期……!
 「戦車男」のエルキドゥちゃんは神懸かった可愛さであり申した。18禁じゃない薄い本でいいから出してもらえないものか。

 刑士郎のBGMがRozen Vampのアレンジで歓喜しました。Einherjar Rubedoもアレンジしてほしいです。
 龍明は穢土に渡るんだろうか。なんとなく渡らないような気がするけど、それだと出番がなくなりそうですし。


2011-02-01.

・表紙に釣られて『戦争大臣1』を買った。イラスト描いているの誰かな、と調べたら広江礼威じゃねーの。道理で雪緒を連想するわけだと納得した焼津です、こんばんは。そういや広江礼威って確かニトロのカレンダーか何かで石馬戒厳のイラストも描いていたな。あっちも本名は雪緒なのでややこしい。

 で、『戦争大臣』。やたらと改行が多く、良くも悪くもサクサク進む。登場人物たちの設定年齢が若い割に会話文が年寄り臭くてまったく若々しさを感じさせないのがアレだが、エログロダークファンタジーとしてはいろいろ妄想を刺激される内容で程好い仕上がりです。ただ直截的な描写は避けているので、血みどろ内臓ぐちゃぐちゃバーンな話を期待して読むと肩透かしでしょう。文章は簡潔すぎて読み応えが乏しく、少々物足りないけど、「国ごと『存在しないこと』にされた民」が蹶起して全世界に牙を向く終末的ストーリーはどこか懐かしささえ感じさせる。遠藤徹は『姉飼』以来食指が動かなくてずっとスルーしてきたこともあり、格別期待しているわけではないものの、3月に刊行される予定の2巻もきっと表紙に釣られて買ってしまうでしょうね。

上遠野浩平が「恥知らずのパープルヘイズ」という原作付き小説を書いているらしい、ジョジョのノベライズ?

 パープルヘイズと言ったら第5部に出てきたフーゴか。途中でジョルノたちと別れてそれ以降まったく出てこなかったキャラですね。ジョジョ好きが集まって第5部の話をすると必ずと言っていいほど「フーゴのその後」が議題に上る。10年ほど前に刊行された大塚ギチの小説版も「フーゴのその後」を扱っているらしいが、評判悪かったせいもあって読んでいません。というかノベライズ作品は手掛けた作家が好きな人か、そうでなければよっぽど評判が良くなきゃ読みません。上遠野浩平は好きな作家なので、出たら買うつもり。ジョジョ好きで知られる作家なだけに、この報せは意外というよりも「やっとかよ」な感じ。次は西尾維新あたりだろうか。個人的には古橋秀之のジョジョも読んでみたいが、あの人はまず『ケルベロス』をどうにかすべきなので強いて望まない。

・Navel、『俺たちに翼はない -Anniversary Edition-』『俺たちに翼はない Prelude&AfterStory』を2月25日に発売予定

 アニメ化に合わせての新装版みたいです。パッケージの描き直しだけで、ゲーム内容そのものに変更はない模様。シャッフルでも同じようなことやってたな、確か。『俺たちに翼はない -Anniversary Edition-』の方が本編で、『俺たちに翼はない Prelude&AfterStory』は本編発売前に出たファンディスクと本編発売後に出たファンディスク、ふたつのFDをまとめたものとなる。ちなみに当方は本編とPreludeのみコンプ、アフつばは羽田鷹志アフターと千歳鷲介アフターをクリアして成田良悟、じゃない、成田隼人アフターの途中で止まっています。他にも途中で止まっているエロゲーやインストールすら済ませていない積みゲーもあるので、折を見て崩していかないと……つーかもうそろそろ新作買うのをやめるべきかしら。

『実録!スティーヴン・セガール警察24時! DVD-SET』

 冗談だろうと笑いかけたけど、本当に出るのか。元は「Steven Seagal Lawman」というドキュメンタリー番組らしく、本国では既にシーズン2に突入しているそうな。副業で本物の警官をやってるだなんて全然知りませんでした。海外のDVDと言えば、前々から観たかったヴィジランテ(自警)映画 "Harry Brown" が『狼たちの処刑台』というタイトルで発売されるみたいです。ヴィジランテ映画とは、平たく言えば「ポリ公は役立たずだから任しておけねぇ、悪党どもは俺がブチのめす!」って感じのストーリーで、自警を通り越して私刑になっているケースもままあります。リベンジ(復讐)やアベンジ(仕置)やパニッシュメント(制裁)との区別が難しいところですが、代表的な作品は『狼よさらば』、最近だと『グラン・トリノ』がこのジャンルに該当する。暴力的独善であり、立ち位置としてはむしろ悪に近いが、「目には目を」特有の引力が働いて目が離せなくなる。にしても、タイトルが『狼の処刑宣告』と似ていて紛らわしい。DVD化することは素直にありがたいけど、こういう原題と邦題がまったく異なるパターンって存在に気づきにくくて困る。

『やむなく覚醒!! 邪神大沼』6巻表紙、いいのかこれwww(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 予想外のパロディに噴いた。この調子で行くと次の7巻もパロネタが来そうですね。次があるかどうかも分かりませんが。

アニメ 『放課後のプレアデス』 がYouTubeで配信開始!! かわいくてかわいすぎてキャワワワワワワワワワ(【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 主人公がピンク髪のせいで『魔法少女すばる☆マギカ』や『放課後のサドンデス』みたいな言葉も脳裏をよぎったが、御大のアレと違って殺伐とした要素はないので安心して観れます。ああ、まどかで荒んだ心が癒される……とはいえ詰め込みすぎでしょう、これは。設定とか飲み込む暇もなくあっという間にストーリーが終わってしまう。黒ロンゲのいつきがとても可愛かっただけに勿体無い。そもそも自動車の販売プロモーションなら『REDLINE』のようなレース展開も仕込めばいいのに。あらぬ方へ吹っ飛んでいったカケラをいち早く掴むため一斉に疾駆、激しくデッドヒートしながら魔法で敵を妨害したり味方をサポートしたり。超過駆動した杖が壊れ、衣装もバラバラズタズタのボロキレになりながらカケラをゲット、喜びのあまり半裸姿のまま抱き合うスバルたち……敵も「みなと」だけに全裸レールガンパンチを繰り出してくるだろうが、そこは愛と勇気とフラグで乗り切る。なんにせよ、もっとキャラを活かす方向で膨らませてほしいです。

lightの『PARADISE LOST』新装版を無事購入せり。

 発売から3ヶ月間はオンライン認証が必要な仕様のせいで発注を絞った小売もあると囁かれているパラロス新装版ですが、何ら問題なく発売日に届きました。ボイスの録り直しはなくてもパッケージの描き直しくらいはあるんじゃないか、と予想していたにも関わらず、表面のイラストを始めとして旧装版とだいたい一緒の紙パッケージでしたよ。原画の峰岡ユウキはもう業界から去ってしまったのかな……としんみりしながら行ったオンライン認証も躓くことなく成功。今回の目当てはパラロス本体よりもおまけの『神咒神威神楽』体験版であり、パラロスもパラロスでちょびっと追加要素があるからいずれプレーする気ではありましたが、できることならパラロスのインストールすらパスしてさっさと神咒体験版を遊びたいところでした。が、パラロスをインストールして認証を済ませてからでないと起動しない面倒臭い仕掛けが施されており、「しゃーねーな」と先にパラロスを入れた次第です。一応動作チェックのためパラロスも起ち上げて少しだけプレーしてみました。おお……なんというか、正田の文章が硬い。Diesの序盤と比べてさえ格段に硬いわこれ。いかにも書き慣れていない雰囲気が伝わってきてなんとも初々しい。本人も恥ずかしがるわけだ。しかし、拙いながらも自分の中の確固たるイメージを読み手に送ろうとする必死さが窺え、ついつい引き込まれて1分だけのつもりが5分くらいは読み耽ってしまった。「いやいや、当面の目的は神咒体験版だろうが」と己を叱咤して何とか中断しましたが、ほっといたら1章は易々とクリアしていたかもしれない。長年Diesの完成を渇望し続けた原点、それは確かにここである、と痛感させられました。

 で、『神咒神威神楽』の体験版。「せっとあっぷ」「りいどみぃを読む」「だいれくとえっくす」という表記に笑いつつ導入(インストール)しました。起動すると表題(タイトル)画面抜きでいきなり開幕となります。予告編(デモムービー)を見て予想した通り、出だしは咲耶の語り――というか手紙の朗読。どうも東征から随分と時が経っているらしく、「すでに歴史上の人物と化してしまった」なんて言い回しも出てくるし、自らを指して「老女」と言い切っている。つまり、東征の結果がどうあれ、最低限咲耶は生き残るわけですね。他の人物に関して概ね過去形で語っているのは彼らが東征のさなかに命を落としたからなのか、あるいは東征は生き抜いたけど現時点でもう故人になっているからなのか、それとも単に交流が絶えてしまって消息を知らないだけなのか。気になる。咲耶の語りが終わると本編に突入しますが、「これから更に長大な文(ふみ)になります」とあるように本編は「手紙の続きとして咲耶が書き記した逸史」、詰まるところ「咲耶の証言」として紐解かれるわけで、咲耶どんだけ長い手紙を書いてんだよ。実際は彼女の証言をもとに宛先の作家が話を膨らませているのかもしれませんが。どうでもいいけど「逸史」を「いつし」と読んでいるのが引っ掛かりました。前作以上に漢字が多いから声優さんも大変ですね。

 死後や神の概念がなく、誰もがみな他者という他者をただの環境と見做し、己一方向への肥大化した愛を抱えて我意赴くままに振る舞う。「自分の持つ美意識と価値判断が世界のすべて」という井蛙の極地たる天狗道――住人全員の精神構造が『HUNTER×HUNTER』のヒソカになってしまった世界、と形容すれば想像しやすいだろうか。人間誰しも唯我論に囚われる時期があり、だいたいは思春期で抜け出すものですけれど、天狗道の連中はたった一人の例外を別として誰もが抜け出せないでいる。すなわち「ぜんいん☆チューニ!!」であり「いやっほう、俺様最高ー!」。どいつもこいつも自分に酔った酔っ払いであり、醒めることはないんだから黒歴史という名の宿酔いなど知らず、ひたぶるカッコつけまくって「自分が信じる己」というキャラを陶酔気味に演じている。また何というか、正田の性分を余すところなく露呈するうえで都合のいい世界観ですな。

 冒頭で激闘の描写を行った後に「世界の成り立ち」について解説しますが、前作を知っていると建国神話や第一次東征の件は切なくなる……渇望の残骸を目の当たりにする心地と申しますか。敵となる八柱の異形「夜都賀波岐(やつかはぎ)」も名前だけ明かされており、曰く「悪路(あくろ)」「母禮(もれい)」「奴奈比売(ぬまひめ)」「宿儺(すくな)」「紅葉(もみじ)」「常世(とこよ)」「大獄(おおたけ)」「夜刀(やと)」。並べられるだけでゾクゾクする。「やつかはぎ」は「八握脛」、拳八個分の長さを持った脛という意味。足の長い奴ってことで、土蜘蛛の異称ともされます。八握だから八柱なんでしょうな、長き脛を構成する八つの拳。悪路はたぶん悪路王ですね。坂上田村麻呂が討伐したとされる鬼で、蝦夷の王である阿弖流為と同一視されることも多い。母禮は阿弖流為と一緒に戦った将で、阿弖流為とともに処刑されている。奴奈比売は知らないのでぐぐったけど、日本神話に登場する神で、大国主と結婚し建御名方を生んだ伝承があるとのこと。翡翠と関係が深い姫らしい。宿儺は一瞬「宿禰」と間違えそうになったが、両面宿儺という妖怪がいるそうな。紅葉は戸隠山の鬼女だろうか。内田康夫の『戸隠伝説殺人事件』に書かれていた気がするけどもはや記憶にない。常世は普通「あの世」を指す言葉だけど、常世虫か何かなのだろうか。オモイカネも「常世思金神」とか呼ばれるらしいが、それだと「思兼」って表記になりそうだし。大獄は大獄丸か? 玉藻前や酒呑童子と並んで「中世の三代妖怪」と呼ばれる鬼だそうだが、大嶽丸、大竹丸、大丈丸、大岳丸、大武丸、大猛丸、終いには大高丸や大滝丸など、表記のブレが半端ない。夜刀は夜刀神であり、ツノのある蛇。八柱の中ではたぶん一番有名。『夜刀姫斬鬼行』なんてのもあります。

 体験版は「神州の益荒男を募る撃剣の神楽」という名目で行われる、実質的には武家の代理戦争じみた様相を見せる「御前試合」が主眼となっています。まず御前試合が始まる前日の出来事を綴り、いざ当日を迎え、そして試合が終わると選択肢が出てきて八人四組それぞれの後日談を読むことができるようになる。こう書くと短そうに思えますが、じっくりやれば実際の遊戯(プレー)時間は六、七時間程度で、結構長い。さすがわざわざ製品版に付属させただけのことはある。脇役(モブ)の音声が一部欠けている(収録が間に合わなかったのか?)などの不備はあるにせよ、とりあえず正田崇の脚本(シナリオ)とGユウスケの絵を目当てでやるには文句ない分量(ボリューム)です。御前試合に至るまでの過程や各主要人物の紹介は割と軽くまとめており、二時間も掛からない。反対に御前試合は長い。正確に計ったわけじゃないが、感覚的には三時間くらいあったように思う。でもそれが長いようで長くないと申しますか、濃密である一方、あっという間だったようにも感じられるのです。事態が一気呵成に進むせいもあり、ひとたび試合が始まったらなかなか中断する機会(タイミング)が見つかりません。だってこの御前試合、予想以上に狂っている。「やっべぇ、参加者がキ○ガイばっかりだ……」と本気で呻きました。キ○ガイの啖呵にキ○ガイが叫び返す地獄絵図。観戦している冷泉も、単なる「厭らしい性格をした当て馬イケメン」かと思いきや、なかなか曲者のキ○ガイ。一応、この神楽で出会った連中が以降の東征でつるむ仲間となるんですから、さすがに馴れ合いはないにしてももうちょっと程度を弁えた試合展開になるだろうと決め込んでおりましたのに、いやいや、全然弁えておりませんでした。手加減が薄い。あの見た目幼専(LO)な龍水すら負傷をおして立ち上がり絶叫するド根性ぶり。比較的大人しそうな紫織もハナっから狂態を晒す始末。天狗道の説明は理屈だと分かるんですが、脚本として読むと実感し辛く、「もしかして正田は選択を誤ったのではないか」という疑念さえ湧いた時間帯があったものの、このマジキチっぷりでそんな疑念はあっさり吹き飛んだ。奴ら、心底自分の都合だけ考えて戦っていやがる。脚本を書く正田崇の嗤い顔が行間から覗くような毒々しさと禍々しさで彩られています。伝奇ならぬ伝鬼、まさしく「当方が読みたかったのはこれだ」と確信する一品。体験版だから軽くゆったりと緩やかに楽しめるかと思いきや、むしろ興奮しすぎてぐったりしました。戦力過剰(パワーインフレ)が凄まじいので少し付いていき辛い部分はある(そのうち「剣閃が光の速さを超えることによって斬撃は過去に向かって放たれた」とか「時そのものを刃が四次元上で切り刻んでいたのである」とか訳分からんこと言い出しかねない雰囲気がある)けれど、これはこれで面白い。最後に明かされる竜胆の真名には噴いた。体験版で登場した中では夜行と宗次郎の存在感が際立ってますね。龍水や紫織も良かったし、竜胆の熱弁もグッと来た。爾子も前評判通り可愛かったです。ウザ可愛い。でもやっぱ一番萌えるのは夜行か。声の演技も含めて素晴らしい。「素晴らしいな。麗しいな。退屈せぬぞ、いと愉快なり」の発音が期待を上回っている。あの場面で鳴っていた楽曲もすこぶる良かった。醸し出される風情(ムード)が完全に最終怨敵(ラスボス)のそれでしたよ。与猶啓至の腕にも更なる磨きが掛かっていることを実感しました。

 と、大いに楽しんだわけですが、不満はないでもない。愛してやまなかった日常を粉々に砕かれる怒りと悲しみが痛いほど伝わってきてあっさり主人公に肩入れしたくなった前作と比べ、今回は「陰気で西側を穢される」とか「東征しないと列強に舐められる」とか漠然とした脅威をもとに攻めの姿勢で敵地に向かう内容なので、正直に言ってしまえば前作の序盤ほどは没入できなかった。確かに面白いし、「イカレてやがる」とゾクゾクするんだけども、全員自己中で連帯感がないし、具体的に差し迫った状況でもないしで、戦う動機(モチベーション)がいまひとつ薄いんですよね。むしろ蜘蛛側に肩入れしてしまいそうな自分がいる。穢土に渡ってからが本番だと思いますのでそこまで深刻な不満ではありませんが、現時点だと「前作と同じくらい夢中になれるだろう」とまでは言い切れない。ただ、「早く続きをやりたい」という気持ちは偽りなくあります。山盛りに盛り込まれた各種の歴史ネタや民俗ネタを考えるだけで股間が膨らむ。いずれ公開されるという第二弾体験版、ひいては製品版が待ち遠しい。叶うことなら今年中に出してもらいたいものだ。無論、「終幕(エンドロール)に聞いたこともない脚本家(ライター)の名前がずらずらと並んでいる」というオチは抜きにしてな。絶望の再来を許してはならない。

・今月の購入予定。

(本/小説)

 『寅申の刻』/ロバート・ファン・ヒューリック(早川書房)
 『ダーク・ゾーン』/貴志祐介(祥伝社)
 『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる1』/裕時悠示(ソフトバンククリエイティブ)
 『淡雪記』/馳星周(集英社)
 『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』/ジュノ・ディアス(新潮社)

(本/マンガ)

 『やみのさんしまい(2)』/永瀬ようすけ(講談社)
 『装甲悪鬼村正 魔界編(1)』/銃爺(マッグガーデン)
 『ブルーフレンド(2)』/えばんふみ(集英社)
 『ノノノノ(13)』/岡本倫(集英社)
 『ベルとふたりで(3)』/伊藤黒介(竹書房)
 『ディーふらぐ!(4)』/春野友矢(メディアファクトリー)
 『TABOO TATOO(3)』/真じろう(メディアファクトリー)
 『でらぐい(2)』/望月和臣(一迅社)
 『電撃テンジカーズ(3)』/古賀亮一(アスキー・メディアワークス)
 『妖狐×僕SS(4)』/藤原ここあ(スクウェア・エニックス)

 文庫化情報。今月の目玉は何と言っても酒見賢一の『泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部』、これに尽きます。第壱部も大概好き勝手にやらかしていたが、この第弐部に至っては「誰か止める奴がいなかったのか」と心底不思議になるほど野放図の頂点を極めます。三国志と「残酷な天使のテーゼ」を混ぜ合わせて解説する本がかつてあっただろうか。あるわけがない。文庫本1冊で1000円近くするので「高い」と感じられるかもしれないが、かなり分厚いし「笑える三国志が読みたい」って希求する人にとってはむしろ安いくらいだ。海外ミステリはバークリーの『第二の銃声』が要チェック。あと、三雲岳斗が『煉獄の鬼王』という文庫本を出しますけど、これはどうも『カーマロカ』の改題みたいなので既刊をお持ちの方は注意しましょう。

 『寅申の刻』は割高感が強すぎてもはやマニア以外の誰も買っていない疑惑が濃厚に漂ってくるポケミスの最新刊。“ディー判事”シリーズの中編集で、虎と猿にまつわる2エピソードを収録している。原題はモンキー・アンド・タイガーとか、そんなのだった気が。邦訳としては16冊目に当たり、これでシリーズすべてがポケミスで揃ったことになります。まさか“ディー判事”シリーズが一つのレーベルでまとまる日が来ようとは……元ミスヲタとして感慨深い。『ダーク・ゾーン』は前作『悪の教典』で話題を喚びまくった貴志祐介の新刊。「そんな、遅筆の貴志が半年足らずで新刊を出すなんて……!」とファンもビックリしています。実のところ最近はそんなに遅筆でもなかったりするんですよね。『青の炎』から『硝子のハンマー』まで4年半、『硝子のハンマー』から『新世界より』まで4年近く掛かったせいで「寡作」とか「遅筆」とかのイメージが染み付きましたが、『新世界より』以降はかつてのペースを取り戻しつつある。この調子で『死が二人を結ぶまで』にも早くケリをつけてくれ。『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる1』は去年デビューしたライトノベル系新人の中で、当方がもっとも気に入った裕時悠示の新刊。『踊る星降るレネシクル』同様タイトルのセンスがちょっとアレだけど、内容的には期待している。試読体験版も用意されているので、興味のある方はどうぞ。当方は購入確定(というか予約済)だから読まない。修羅場は醜い、だからこそ美しい。今月のライトノベルは電撃小説賞受賞作がどわーっと一気に5冊も出ますね。全部購入するつもりですが、何冊読めることか。ガガガ文庫も先月に引き続き注目作が多い。田中ロミオの『人類は衰退しました6』、東出祐一郎の『ケモノガリ3』、川岸殴魚の『むやみに分裂!!邪神大沼6』、最低限この3つは押さえなければ。『淡雪記』、ノワールの旗手として名を売り、今はマンネリの大家として揶揄されている馳の新刊ですが、どうも既定の暗黒路線から離れるみたいです。「馳星周版『フランダースの犬』」とも謳われており、あらすじでは特に触れられていませんが、愛犬家として知られる著者のこと、きっと「犬」がストーリー上重要なポイントになるはず。見せてくれ新境地、あるいは原点たる業を。『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』は『オスカー・ワオの短く壮絶な人生』と表記しているサイトもあったし、タイトルはちょっと変わるかも知れません。でも「オスカー・ワオ」さえ覚えていればOKです。「全米批評家協会賞・ピューリッツァー賞受賞。オタク青年オスカーの悲恋の陰には、一族が背負った呪いがあった。英米で100万部のベストセラー、日本上陸」とのこと。クレスト・ブックスは少々お高い反面、整った出来の作品が多いため、あらすじや概要に惹かれるものがあればそうそうハズレを引くことはない。2500円ぐらいするらしいが勇気を出して買ってみるとしよう。

 『やみのさんしまい』は押切蓮介と沙村広明を悪魔合体させてから一昼夜寝かせて熟成させたような風味のホラーギャグ漫画。とろみがあります。変人の姉たちに翻弄されながら日々頑張っている小学生ヒロインが健気で可愛い。時折覗かせる年相応の幼さにロリコンどもは必ずやグッと来るであろう。『装甲悪鬼村正 魔界編』はコミカライズ第2弾。1冊で終わった『鏖』に対し、今度は複数の巻に跨って展開するみたいですね。村正はもう一個「英雄編」のコミカライズがあるそうで、なんでもこちらは一条視点の話になっているとか。『ブルーフレンド』はふたりの少女が友情と愛情の狭間で揺れる、いわゆるところの百合モノ。「話題になっているから」という理由でさして期待せずに読み始めたが、依存体質な美鈴の危ういウザ可愛さがたまらなくて、いつしか夢中になっていた。共学なので男子生徒はちょくちょく出てくるが基本的に脇役であり、「少女マンガはどうしても男キャラの造型が嘘臭くて馴染めない」という人でも違和感少なく楽しめると思う。『ノノノノ』はこれで最終巻、どう見ても打ち切りです。帯には「堂々完結」とか白々しい文句が記されるのだろうか。無念なり、あな口惜しや、鏝で臓腑を焼かれるようじゃと平台の前で泣いておるわ。泣いておるわ……泣いて……泣い……泣……「倫儲」「泣かないで」 泣いてなど、いない……! うっうっうっ。本気で無念ですけど新作に望みを託します。『ベルとふたりで』は萌えないけど楽しい女児4コマ漫画。ノリの良さとネタの良さでは五指に入る。どうか末永く続いてほしい作品です。『ディーふらぐ!』はひたすら説明が無意味なナンセンス青春学園ギャグコメディ。「ハルトモ絵は御褒美」という人種にとっては喩えようもない御馳走であり、購入したら這いつくばって犬食い姿勢で堪能する所存ながら、なぜかあまり人に薦める気がしない。「メジャーになるのが悔しい」という気持ちが他の作品に比べてひと際強いのです。もしこれがアニメ化したら表面上は「へえ〜、アニメ化するの。ビックリだね。ま、そうなるんじゃないかな、とは思ってたけどさ」と平気なフリをして、ひっそりと「おのれ、よくも俺の『ディーふらぐ!』を奪おてくれたな……!」と煮え滾るに違いない。『TABOO TATOO』は『Fate/Zero』のコミカライズを担当することも決まって現在昇り龍な勢いにある真じろうの異能バトルコミック。肉弾戦というか接近した状態での攻防が多く、アクションがなかなか映えている。そしてヒロインの臀部がエロい。話があんまり動かなくてストーリー面はちょい退屈だけど、そんなこたぁ尻のラインで帳消し。いいからこのケツを見ろ。『でらぐい』はネタを目一杯詰め込んだ4コマ漫画。絵柄やドタバタのテンポが90年代チックで少々古臭いものの、慣れると逆にそこが何より欠かせない特徴となる。もう最先端の流行とかいちいち追わなくていいじゃない、のんびりいこうぜ、という気分になったら読みましょう。オススメ。『電撃テンジカーズ』は西遊記をベースにしたショートギャグ漫画だが、そろそろ読者のほとんどが天竺の存在を忘却し始めているのではないか。古賀が広げるネタの豊富さと多彩さは異様、一度読んだだけでは味わい切れない。繰り出されるセリフの数々には言霊さえ感じられる。無論人によって合う合わないはあるが、「古賀適性があるかどうか」を判断することは人生を送るうえで決して小さくないプラスになる。未読の方は怯まず3冊全巻購入するといい。『妖狐×僕SS』はほんのり伝奇フレーバーが足されたゲロ甘ラブコメ。常軌を逸した甘ったるさで読者の味覚中枢を破壊することに定評のあるシリーズですが、そろそろ本格的なシリアス展開が来るかしら? それにしても凛々蝶の可愛さは相変わらず見ているだけで解脱できそうなレベルですな。この表紙を見れば分かるように、彼女って細っこいようでいて太腿のあたりはムチムチしてるんですよね。というかこの表紙、目を凝らせば尻が丸見えに思えてくるんですが気のせいでしょうか。あるいは遂に当方も究極心眼に目覚めたか……ごくり。

 ほか、今月は「血だまりの虚淵」で話題を喚んだ『魔法少女まどか☆マギカ』のコミカライズも買おうかな、どうしようかな、と検討中。あと漫画じゃないけど灰村キヨタカの画集も出るらしいですね。普段画集の類は買わないけれど、こればかりは確保せざるをえまい。

(ゲーム)

 『グリザイアの果実』(FrontWing)

 お気づきだろうか。先月分のコピペである。というわけで2月にずれ込んだグリザイアを、もう予約して入金済なので渋々査収。延期した時点で購入意欲は大いに下がってます。フライングプレー規制システムを導入するあたりからフロントウィングの熱意は窺えるけど、それだけの熱意があるならなぜ納期を守れなかったのか。それと、起動パスワードの公開日時は書いてるけど年を指定していないので「我々がその気になればパスワードの公開は10年後、20年後ということも可能だろう……ということ……!」なオチが付かないことを祈るばかり。他に注目作としては『猫撫ディストーション』があるけど、これも一度延期しているので様子見に徹する。

・拍手レス。

 まどかマギカ三話を見た状況がまったく一緒でした。フラグの連続に予想しながらもまじでコーラ吐きそうに、その後眠れなくなったのも。あの絵柄とのギャップはマジきました。沙耶の唄はニヤニヤしながらプレイ出来たのに、虚淵ェ
 もし「劇場版まどか☆マギカ」が実現したら途轍もないことになりそう。女児向けアニメと思い込んで幼い娘を連れてくる父親、「よし、ポップコーンとコーラも買っておこう」、そして館内は阿鼻叫喚の地獄絵図に。

 ご存じだと思いますが シャーロックホームズシーリーズが公式続編発表だそうです結局外典扱いになりそうですが、正典との整合性に血眼になってそうで楽しみです 昔から女化し猫になり犬になり 最近幼女化したのにはちょっとビビりましたが、世界で一番有名と言われるキャラクター シャーロックホームズ 偉大ですね
 というか、コナン・ドイルの息子がカーと組んで書いた『シャーロック・ホームズの功績』は公式続編じゃなかったのか……そっちの方にビックリ。

 メガストア収録の黒と黒と黒の祭壇を終えたんですが、確かにBADでしたorz こうなったら、他の積みゲーを置いといて、めぐり、ひとひら。を届き次第やるしかないか……
 目を疑いますよね、「これがグランドフィナーレ……だと……?」って。サーガとして続いているからまだいいようなものの、あれ一作でライター辞められていたら抜けないトゲになっていたはず。

 京極といえば、京極堂シリーズのコミカライズって読んでます? あの作品の異世界に迷い込んだような閉塞感と違和感が凄いレベルで演出されてるし、なにより京極堂と関口君が凄い『らしい』。個人的に映像化不可能と思ってた狂骨の夢もやってるし、滅茶苦茶注目してます。
 志水アキがコミカライズした『魍魎の匣』は本屋で見かけたことありますが、読んだことはないです。京極夏彦作品は文章の個性が強い分、作画担当に掛かるプレッシャーは大きそうですね。


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