2010年5月分


・本
 『鎧光赫赫』/久慈光久(エンターブレイン)
 『プラナス・ガール(1〜2)』/松本トモキ(スクウェア・エニックス)
 『じょしらく(1)』/原作:久米田康治、漫画:ヤス(講談社)
 『ぷあぷあ?(1)』/コンノトヒロ(講談社)
 『恋忍(1)』/高本ヨネコ(講談社)

・ゲーム
 『ゴスデリ』体験版(Lose)

・映画
 『グリーン・ゾーン』と『パリより愛をこめて』


2010-05-29.

・知らない間に『処刑人』のDVDが再販されていて、しかも続編となる『処刑人U』が既に日本で公開されていると知って今更驚いている焼津です、こんばんは。

 『処刑人』の原題は“Boondock Saints”(路地裏の聖人達)で、1999年のアメリカ映画。Uは2009年ですから、実に10年ぶりとなります。拘置所で天啓を受けた双子の兄弟が悪党を抹殺する「処刑人」となり、FBIの捜査官は現場に残された痕跡を元に彼らの犯行を推理する。言ってしまえば「イケメンが銃をバンバンぶっ放す痛快B級アクション」なんですけれど、見終わった途端に忘れてしまうタイプの作品では決してなく、10年近く経った今でも強く脳裏に焼きついている一本です。なのでこのDVDはオススメしておきたい。比較的廉価ですし。もちろんUもオススメしたい、がオススメする以前に自分で見ることもできない始末。こちらもDVDになるまで待つしかないか……。

【盗作】 電撃文庫 「俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長」 がファミ通文庫 「バカとテストと召喚獣」を間違いなくパクってる!?(【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 やたらと長いタイトルですが、「おかま」という略称が普及しています。「新人のデビュー作なのに相次いで売り切れしている」と話題になり、気になって近隣の書店を回ってみたところ本当に一冊も置いておらず、ネット書店で注文して「やっと届いたか」と思った矢先にこの騒動。作風とかキャラならまだしも、「文章コピペして細部を直す」というのは洒落にならない気が……2巻の刊行も予定しているとのことだけど、果たしてこの状況で無事に出せるのかしら。

本格SF作家がセカイ系を批判!「セカイ系なんて知性の衰弱だ。全部資源ゴミに出していいぞ。」(2のまとめR)

 批判はともかく、いい加減『天穹の羅針盤』『素数の呼び声』出してくださいよ……。

作家・大迫純一、死去

 『神曲奏界ポリフォニカ』のブラック・シリーズ(ポリ黒)を担当し、『ラブプラス』の寧々シナリオを手掛けた方です。突然の訃報に時間が経った今も実感が湧いてきません……。

・拍手レス。

 玲愛先輩涙目ってレベルじゃねーですよもう。
 ウェディングドレスに血涙がこぼれるレベル。

 ルサルカがついに星を掴んだ……!
 バージンロードで「わたし、足が遅いのよ」と笑って言う顔が目に浮かぶ。

 むしろこのまま花嫁、じゃなかった花婿奪っていっちまえババア!と思ってしまったのは私だけでは
 想像――新婚生活へ 翔けよ勝ち組化する水底の魔女。

 Fabulaはサントラも付属のドラマCDも素晴らしい出来なので、さっさと開封したほうがよろしいかと思います。どうしても勿体無いとおっしゃるなら、諦めてもう1枚買いましょう。
 最近はドラマCDも積みがちで、あと5、6枚は聞かないとサントラに辿り着けません。

 麻耶雄嵩の5年?ぶりの新刊「貴族探偵」が発売してたのでご報告。なにやら隻眼の少女も夏終わりにはでるとのうわさ・・・。
 無論購入済。シンプル極まりない装丁が心憎いばかりです。『隻眼の少女』は夏の終わりか……期待しすぎずに待とうと思います。

 ゾアハンター、神曲奏界ポリフォニカ黒・レオンシリーズの大迫純一氏がお亡くなりになったようです。ラブプラスの寧々のシナリオを担当してたりと他方でも頑張ってたのに残念です。去年から少しずつ海外や国内の作家さんの訃報多い気がします
 今年だけでもロバート・B・パーカー、北森鴻、サリンジャー、ディック・フランシス、清水一行、井上ひさしが亡くなってますね。信じたくない気持ちがあるせいか、たまに「彼らはまだ生きている」と錯覚しそうになりますが……。

 サントラのドラマCD聴いてないと、ババトリスの衝撃が大きそうですね・・・w
 ババトリスはスレで評判を目にしていたのでむしろ腑に落ちました。

 ニトロゲー初心者に『沙耶の唄』ってどんなキラーパスですか。まあ確かにニトロゲーの中で最も純愛を描いた作品かもしれないですけど、そこに至るまでの軌道は『村正』以上の変化球、というか魔球でしょう、あれ。
 『沙耶の唄』のシナリオは虚淵が悪鬼スマイルを浮かべて書いたような代物なので、是非とも「あっき、だました!」な感じを味わってほしかった……などと供述しており以下略。

 ディエス・イレのデュラララMADが良い出来だったんで紹介に参りました→http://www.nicovideo.jp/watch/sm10357725
 ってしまった!ニコニコのアドレス持ってないんでしたっけorzあちゃーなんかすいません……でも本当に良い出来なんですよ?
 蛇足かと思いますが、ついでに装甲悪鬼村正版も→http://www.nicovideo.jp/watch/sm10274464

 アカウント制に移る前、うっかり休日を潰してしまったことが何度かありましたから。デュラララはアニメの評判もイイのでいずれ観ようかと思います。

 ミスマルカこの展開にはびっくり…。すんごい鬼引き。続き…っ、続きを…っ
 既に手元に届いているので近く読み始める方針。


2010-05-24.

light、『Dies irae』のカップル人気投票記念SSを公開、ムービーもあり

 この期に及んで真ヒロイン登場。一種の幕間劇です。先に本編をコンプしてからじゃないと状況が呑み込めないでしょうし、完全にファン向けのSSですね。サントラ付属のドラマCD「Zwei Wirklichkeit」も先に聴いておくとよりよく理解できる、かも。当方はまだ封を切っておりません、勿体無くて。いやぁ、それにしても何これ。ベタベタに甘々なSSで喉から砂糖吐きそう。コメディとして読んでも面白いんで困る。「な、なによその目は。信じてないの? ほんとなんだよ? わたしとベアトリス、ベルリンの赤い雨って言われてるんだからっ!」 まさかのブロッケンJr.ネタ。一番笑ったのは「まさか、おまえじゃ勃たねえとか言うつもりじゃないでしょうねええっ!」ですが。オチで二度笑い。そしてミハエルさんのイメージが「俺を縛るならあと二十人は逞しい尻をもってこい」と言いそうなキャラになっているのはあれか、全部シュライバーのせいか。あいつがカウントダウンのときに余計なことを言ったから輪廻の先までヤな因果が付きまとう……SSは3部構成となっており、1部が過去編、2部が現代編、そして3部がなんとムービーでご提供。人気投票の記念SSにしてはえらく気合の入った代物であります。ジョーク抜きで真ヒロインが降臨するのだから侮れない。「思えば遠くに来たものだ」と口ずさみたくなる、しみじみとした一幕であり、正直ここまでやってくれるとは期待してなかった。Navelのフラ天といい、今年は公式SSの当たり年だな。

・原作:久米田康治、漫画:ヤスの『じょしらく(1)』とコンノトヒロの『ぷあぷあ?(1)』と高本ヨネコの『恋忍(1)』読んだー。

 どれも“別冊少年マガジン”の新刊。『じょしらく』は「女子の落語」を略したもので、「『おちけん』みたいなマンガかな」と思いきや、さにあらず。「女子」はともかく「落語」はあまり関係のない内容となっています。一応、各話のタイトルが古典落語のもじりだったり、時折思い出したように落語ネタを混ぜたり、特別編には久米田書き下ろしの新作落語CDが付いてきたりするんですが、本編で特定の噺を俎上に上げることはなく、落語知識ゼロであってもスラスラと読める仕上がり。「落語好きじゃないと楽しめない」ってのよりはいいかもしれませんが、果たしてこのマンガを読んで落語に興味を持つ人がどれくらいいるのだろうか。ヤスといえば『わたしたちの田村くん』『とらドラ!』『おと×まほ』といったライトノベルのイラストで有名ですが、既刊には『五日性滅亡シンドローム』みたいなマンガ作品もあります。具体的な感想を述べることは差し控えますが、3年前に読んだ『五日性〜』が「正直ちょっと……」という出来だったこともあり、買おうかどうか随分迷ったのですけれど、原作の久米田を信じて地雷原かもしれないゾーンに「ままよ」と突入してみました。結果から申しますとこれがまた見事な命拾い。「落語あんまし関係ないじゃん」とツッコみたいのはやまやまながら、予想よりもテンポが良くて面白かったです。駄洒落と風刺ネタ満載、「いつもの久米田」と言ってしまえばそれまでのノリですが、マンガの原作ってのもやっぱり大事な要素なんだと痛感いたしました。『五日性〜』のときはたまに描き殴りかと見紛うほどラフかったヤスの作画も向上&安定しており、「だって、ヤスって……ねえ?」という「五日性買い控えシンドローム」を発症している方々にもとりあえず薦められる程度のレベルに達しています。久米田とヤス、なかなか想像の及ばない組み合わせでしたが、ビックリするくらいマッチしていて、今月の大きな収穫となってくれた。こういう「意外なコンビ」、他でもやってほしいですね。たとえば、そう……施川ユウキと余湖裕輝の「ダブルユウキ」とか。ううむ、全然イメージ湧かない。

 『ぷあぷあ?』は不条理4コマギャグ『ぷぎゅる』で賛否両論を喚んだ作者の新刊。作者名は「コンノ・トヒロ」と区切る。最初は「コンノト・ヒロ」だと思ってました。さて、当方は『ぷぎゅる』を読んだことはありません。話に聞いたことがあるだけです。コンノの絵柄も、さして好みというほどではない。なのになぜ購入したのか? 理由は単純、「『じょしらく』と『恋忍』のついでに買っとこう」と気まぐれが働いたからです。発売が先月か、あるいは来月だったら買うことはなかったかもしれない。さておき、タイトルの「ぷあぷあ」は英語で書けば「Poor Poor」で、要するにドが付くほど貧乏な三姉妹の暮らしを主に長女視点で綴ったギャグ4コマです。『貧乏姉妹物語』とは全然違ったノリだ。もっとコミカルというかナンセンスな感じ。ギャグ4コマとしてはOYSTER(エロマンガ家ではない方)のような「勢いでごまかせ」系統に属するかな。「極端な金持ち」と並んでギャグの題材にされやすい「極端な貧乏」、古い例を挙げれば『つるピカハゲ丸』なんかがありますけれど、『ぷあぷあ?』=萌え化したハゲ丸というわけではありません。笑うしかない貧乏っぷりを逞しく、それでいて健気にやり過ごしていく姉妹の様子を可愛さとシュールさの入り混じった奇妙なタッチで描いており、よくある「貧乏モノ」とは一線を画した独特の境地に辿り着いている。ともすれば陰惨になりがちな「貧困」というネタを持ち前のタフネスで軽やかに捌いていく、その全編一貫して揺るぎない不思議なテンポこそが本作の強みです。「犬ポリバケツ」というワケの分からんクリーチャーが登場したり、ヒロインの後頭部に生えたキノコがマクガフィン的な扱いを受けたりと、不思議を通り越して不条理の領域に差し掛かっている部分もありますが……左右の余白(いわゆる「柱」)に書き込まれた解説がネタと一体化しているなど、細かい仕掛けにまで工夫を凝らして読者を楽しませようとする心意気には拍手を送りたい。あとお色気ネタもたまに出てきますが、エロを期待するよりも「可愛さ」に期待を寄せた方が幸せになれるかと思います。妹ふたりの愛らしさはちょっとヤバいレベルですね。お世辞にも「画力が高い」とは言いがたい絵柄ながら、女の子の表情を活き活きと描くことにかけては卓越しており、下手に巧い作品よりもずっと魅力的。特にもみあげの毛でほっかむりを表現した87Pの「こんな感じ」は絶品。正直ほとんど期待してなかったけれど、これは意外なアタリでした。是非とも『ぷぎゅる』や『こども無双』といった過去の著作も揃えたい。

 『恋忍』は「こいしのぶ」と読む。『恋空』『忍空』を足して割ったようなタイトルですが、あらすじを要約すると「『DT(童貞)を己の魅力で骨抜きにせよ、ただし肉体関係は結ばずに』というくノ一の試験をクリアするため童貞中学生の家にやってきたロリ忍者、彼女は『妹キャラでイけばチョロいだろ』と安易な方針でチェリーな中坊を篭絡せんとするが、なんと彼は『幼女NG』という現代の萌え系エロコメにあるまじき性嗜好を持った健全変態紳士だった……!」って感じ。見た目はそこそこ可愛いのに性格が最悪なヒロインと、「ベストGニスト」なる勇名(汚名?)を轟かせる主人公、ほか女装趣味のおっさんやおちんちんランド常時開園の激カワ女装っコなど、見渡すかぎり濃いキャラしかいない。比較的まともに見えた主人公の母親も、女装っコの股間のふくらみをクンクンした挙句うっとりした表情で涎を垂らして「私 本当は前から息子が欲しかったの」と口走ったり、回想で息子の溜め込んだエロ本を火炎放射器で焼却して「汚物は 消毒よ」と言い切ったりで、もはや「子が子なら親も親だよ!」と嘆くしかない。最初から最後までシモネタ全開、「この恥べりこ豚!」「『恵方ヌキ』…僕はこの技をこう呼んでいる!!」など、常人の脳内にはチラリともよぎらないワードがひっきりなしに飛び交います。また、パロネタ、ネットスラングの類も豊富であり、「なん…だと…」程度は序の口。シグルイネタ、孤独のグルメネタ、上記した北斗の拳ネタとやりたい放題やっている。某国の大統領が「キャンッ キャンッ イエスウィーキャンッ」と犬真似するネタは結構ヤバい気がするのだが、気のせいだろうか。当方は笑い転げて本を取り落とし、床にビターンと叩きつけて表紙がぐんにょり曲がってしまいアンニュイな表情を浮かべるほど堪能いたしましたが、相当好悪の分かれる一作だと思います。「メチャうまい」と唸る作風ではなく「さりげなく巧い」と感心するタイプの作風ですし。基本的に一話完結の読切ギャグですが、終盤入ると「主人公にはくノ一の『魅了(チャーム)』が一切通じない」という設定が公式化して、「本当かどうか試してやろうじゃない」と他のくノ一たちが出陣することになります。『忍空』の十二支に対抗してか、十二宮だそうです。星矢ネタ来る? 個人的には『Dies irae』の方を連想してしまいますが。「鳴けよ。貴様の童貞はぬるすぎるのだ」(←人馬宮) 新キャラ続出となると2巻以降はストーリーマンガっぽくなっていくのかしらん。なんであれ続きに超期待だ。

・拍手レス。

 ダメかなぁ「閉鎖のシステム」。個人的には大好きなんだけど。あの秋田先生独特の台詞回しは、当時暇があれば繰り返し読んでましたよ。まあ「ミステリーか?」と聞かれれば「絶対違う」と言わざるを得ないけど。
 ふと検索して気付きましたが、秋田作品は今や閉シスどころかオーフェンシリーズすら新品じゃ手に入らなくなってるんですね。否応なく時代を感じてしまう。

 霊長流離オクルトゥムの特集が載ったテックジャイアンの冊子を未だ捨てられない僕ら。夢を諦めない。
 もう5年。いや、まだ5年。企画から完成まで10年掛かったエロゲーもありますし、諦める謂れはない。

 公式SSのせいで、ルサルカがメインヒロインにしか見えなくなりました。どうしましょう。
 諦めてそのまま水底まで引きずり込まれましょう。


2010-05-20.

・袁藤沖人の『ジャグリ(1)』を読んだらマンガよりもイラスト集に近い内容であり、つまり絵買いして大勝利だった焼津です、こんばんは。

 同人で有名な人らしいですが、商業だと『コスチューム!』の表紙イラストを描いていますね。大槍葦人系の絵柄っつーか、名前をぐぐってみたところやっぱり『白詰草話』に参加したメンバーの一人だったと判明。初期のFFDは大量のCGが必要だったため、大槍葦人の絵柄に似せられる影武者を何人も必要したとか何とか、そういう噂です。砂漠の国で大道芸(ジャグリ)に現を抜かす王子が、「湖の姫を泣かせれば王座をくれてやる」と父親に言われ、「命令通りに泣かせるのは癪だし、あえて俺は姫を笑わせることにする」と決意して当人にも宣言する。一方、姫に執心する王子の姿を目の当たりにして、人外ロリ「アーリ・マンユ」(略してマユ)はヤキモチを焼くが……といった話です。大ゴマを連発しまくって、やたら描き込みの細かい絵で魅せる作風のため、1冊使い切っても驚くほどストーリーが進みません。そもそも王子がなぜ魔神のインしたランプを持っているのか、それすら分からない次第。あくまで主目的は絵、と割り切るが吉です。話が本格的に動き出すのは2巻以降でしょう。それまではただアラビアンな雰囲気を味わうことに徹していればいい。

・最近読んだマンガで面白かったのは他だと『電撃テンジカーズ(2)』『第七女子会彷徨(2)』『それでも町は廻っている(7)』『Lord of Trash』など。

 テンジカーズは言わずと知れたギャグの名手・古賀亮一の新刊。前巻から2年も経ってますが、アルティメットにネタが凝縮された古賀の作風を鑑みるにこれぐらいの期間は「待つこと已む無し」です。刊行速度はスローペースでもギャグのノリはハイペース、ひとコマひとコマに捻りの利いたネタが惜しみなく盛り込まれています。特に表情のない沙悟浄は行動が読みづらく、常に意表を衝いたセンスで笑わせてくれる。嘴がアレなカッパ国のお姫様もこいつの横に並んでいると美人に見えてくるから不思議。ホント、このテンションは誰にも真似できませんね。脱帽しつつ抱腹させてもらいました。『第七女子会彷徨』はSFガジェットを駆使した未来系日常ゆるコメディ。SFといっても小難しいところはなく、奇想天外なシチュエーションの面白さで魅せるタイプなので、「なんかよく分からんねーなこのマンガ」と思うあなたも手を伸ばしてみては如何だろうか。人によって絵柄に拒否反応が出るみたいだけど、表紙を見て大丈夫だったらとりあえずイケるでしょう。1巻に比べるとネタの濃度が薄まってやや新鮮さが減じた感はあるものの、金やんの愛い度が増しているから結果オーライです。それ町はアニメ化が決まって注目度も上がってきているみたいだが、相変わらず説明しにくい作品だ。日常のなんてことない出来事を大真面目かつ愉快に描いたコメディなんだけども、「説明すると非常にどうでもよさそうに聞こえる箇所」が読みどころだったりするので解説泣かせ。歩鳥が「読書は好きなのにゲームに対する反応は冷淡」とツッコまれるところは個人的に目から鱗でしたが、これをどう伝えていいものか悩む。当方はゲーム好きから読書好きに移行したクチなので、あのエピソードにはいろいろと思うところがあるのですよ。けどまとまらないので放棄。あと紺先輩が久々に男と間違われるシーンもあり、「ああ、そういえば『見た目は美少年』って設定だったっけ」と懐かしくなった。紺先輩、登場するたびに可愛さが増していくものだからすっかり忘れておりましたよ。

 『Lord of Trash』はA-10の18禁コミック。8年前に同題コミックが出ましたが、読んだのは今年出た完全版の方。掲載誌が廃刊になり、版元も倒産してしまったため、長らく未完のまま放置されていましたが、なんとかかんとか完結に漕ぎ着けたみたいです。5年もブランクがあったせいか前半と後半で驚くほど絵柄が異なります。地下迷宮での代理戦争を描いた長編「Lord of Trash」のほか、いくつかの読切短編も入っており、おかげで350ページというマンガとしては破格の厚さに仕上がってます。旧単行本部分が190ページちょっとなので、新規分は160ページ弱ですね。竜殺しだの人身売買だの、いろんなネタを扱いながら大して伏線も拾わないまま終わってしまった旧バージョンのリベンジとばかりに新バージョンはわっと風呂敷を畳みに掛かる。それでいてエロスな展開も増加。旧バージョンはやる気がないのか、というぐらい18禁要素がやっつけでしたけど、新バージョンは「代理戦争とかどうでもいい」とばかりにガッツリ男の娘受けドMプレイを敢行する。とても癖のある絵柄で、本番がほとんどないなど少々マニアックなところもあるゆえに、実用性があるかどうかは微妙な線ながら、王子のキュートな笑顔とイキ顔で充分に元が取れたからヨシとする。ストーリーものとしては正直いろいろ物足りないところがあるんだけど、A-10テイストをたっぷり摂取することができて個人的に幸福でした。ちなみに旧バージョンが掲載されていた“カラフル萬福星”は篠房六郎の「エロくないけど面白いギャグ短編」を載せていた雑誌でもあり、出版社倒産で絶版となっていた『家政婦が黙殺』は最近になってようやく新装版(ただし判型小さくなっている)が出ました。こちらも『Lord of Trash』と同じく8年ぶりです。掲載誌は違ったけど、カラフル繋がりで古賀の『ゲノム』もそろそろ復刊してほしいよね。「8年後の法則」に従えば来年あたりが本命か?(『ゲノム』の最終巻は2003年刊)

Navelの『俺たちに翼はない AfterStory』、フルプライスでアクティベーション実施

 アクティベーションというのはネット経由でライセンス認証を行う形式のコピープロテクトです。通称「アクチ」。「日本時間でゲーム発売日のAM11:00から認証可能となります」とのことでフライングゲット(発売日の前にソフトを入手すること)が無駄になり、また中古ショップも買取を渋るので「フラゲ対策、中古対策」の両方を兼ねている。最近はもうネット環境or携帯電話or近場にネット喫茶がないとエロゲーがプレーできない時代になってきたのか……まあそれはアクチ以前に修正パッチが常態化した頃から言われていたことですが。しかしFDなのにフルプラでアクチとは思い切ったことをするものだ。正直、アフつばでなければ(もっと期待度の低いソフトだったら)購入を取りやめにしていたところですよ。それにしてもギャラリーに追加された新規CG、小鳩と吉川さんがアポカリプスか何に見えて仕方ない。

「かいぶつが、あらわれた。」 トマス・ピンチョン全小説、6月から刊行開始

 パンフレットが見難いよ、という人はこちらのページが参考になると思います。名前だけは聞いたことはあるけど読んだことがない作家の一人であり、「全集出ねぇかなぁ」とずっとボヤいていましたが、まさかの実現。刊行順は『メイスン&ディクスン(上・下)』→『逆光(上・下)』→『スロー・ラーナー』→『V.(上・下)』→『競売ナンバー49の叫び』→『重力の虹(上・下)』→『ヴァインランド』→『インアヒアレント・ヴァイス』で、2012年3月に終了となる予定らしい。予価は2730円〜5040円、12冊すべてを買うとなると4、5万円掛かることに……なんだ、致命傷で済む金額じゃないですか。「ピンチョンの全小説を味わうためなら一度死んでみるのも悪くない」という方は約2年掛かりの耐久レースに参加しては如何かしら。

[ライトノベル]「シュタインズゲート」が伝説の作家「海羽超史郎」の手で小説化(平和の温故知新@はてな)

 久しぶりに名前を見ました。デビュー作『天剣王器』は読者への配慮がまったくと言っていいほど欠けており、「なんてひどい文章なのだろう」と大いに嘆いたものです。今なら以後一切手を伸ばさなくなったでしょうが、当時は暇な時間を持て余していた大学生だったため2作目の『ラスト・ビジョン』もなんとなくヤスダスズヒトのイラストに惹かれて買っちゃいました。ラスビも相変わらず文章に癖があって読みにくかったけれど、内容に関しては素直に「面白い」と思える代物だったので大いに見直したものです。3作目で真価を見極めよう、と身構えていたのに、いくら待っても新刊情報に名前が載ることはなく、「消えてしまったか……」と溜息をついた日から何年が経っただろうか。ここに来てまさかの復活。信じがたい気持ちでいっぱいです。

 『ラスト・ビジョン』はパズルのピースをバラバラのまま陳列したような作品であり、一度読んだだけでは情報を整理しきれず全体の構造が見えてきません。当方も他の人の解説を読んでやっと話を理解できた(ような気になった)ものでした。非常にアクが強いけど、ハマる人はハマる。そんな一冊です。ああ、まさかその海羽超史郎がシュタゲーのノベライズを手掛けるとは……感激というほどじゃないにせよ、懐かしさで胸が温くなるな。発売は富士見書房か。海羽超史郎とは関係ないけど、フルメタル・パニック!の新刊『ずっと、スタンド・バイ・ミー(上)』が7月に出るそうな。あのシリーズもそろそろ完結か。やはり懐かしさで胸が温くなり申す。

・ガガガ文庫新刊の折込チラシに田中ロミオの記事で「『AURA』以来の新作がついに刊行か!?」と報じられていたそうな。2年ほど前のガガガ編集ログに『AURA』ではない作品のラフイラストが「オマケ」として公開されたけど、それがようやく形になったのだろうか。ファンはこの謎の新作がオクルではないかと睨んでいますが、さてはて……。

 ちなみにオクルとは『霊長流離オクルトゥム(仮)』の略で、うちの過去ログを漁ってみると2005年7月20日頃に情報が出回った「発売時期どころかブランドさえ未定」のエロゲーです。Will系列で原画が松竜というくらいしかハッキリしなかった。内容は現代を舞台に魔術云々が絡んでくる伝奇モノ。ヒロインの「黒羊歯」という苗字から察するに堀部秀郎と組んでいた同人ゲームの企画『Leviathan』絡みではないかと思われている(『Leviathan』に関してはこんな話もある)。更に元を辿っていくと、田中ロミオが山田一名義だった時代に「D.O.創立10周年記念作品用にずっと書きたかった『魔術大戦もの』の企画書を提出したら没になって、ついでに出した『星空☆ぷらねっと』の方が通った」というエピソードもあり、「魔術大戦のアイデアは入社当時から温めていた」という噂が本当ならばオクルはロミオにとって前世紀からの悲願でありましょう。ぐぐれば「魔術関連の資料に100万使った」というレスまでヒットする。故に、「オクル」という三文字は具体的な作品内容を超えて、ロミオとファンの双方が夢見る遥かな理想郷を換言しているも同然なのですよ。あんまり期待しすぎるとオチが明かされる段になってガックリ来るかもしれませんが、それでもロミオ儲はオクルをあきらめない。絶対に!

・拍手レス。

 富士見ミステリーといえば「閉鎖のシステム」レーベル初期にファンタジアの看板だった秋田禎信をひっぱてきたけど、できたのはひたすら鳩時計に終始した怪作が忘れません。
 面子は結構豪華だったのに、仕上がる作品は「どうしてこうなった」のオンパレード。それが富士ミス。

 今更ですが、村正をプレイしました。エロゲである必要性は皆無だが、18禁でしかできない典型のような作品でしたね。しかし、自分はこれが初ニトロなんですが、他の作品ができるか、若干不安だったりします。
 ニトロのゲームはファントムやヴェドゴニアの頃からエロゲーである必要は皆無というか、ヴェドの広告見たときは心底魂消た。ニトロゲーは『沙耶の唄』あたりがオススメですよ、廉価版ありますし。

 さみだれ新刊出ましたね。相変わらず心に熱い作品だ。水上さんの作品は大人も子供も格好良くていいですね。
 次で最終巻……変に引き伸ばされるよりはずっといいけれど、それでも一抹の寂しさが忍び寄ってきます。


2010-05-17.

・擬人化モノに食傷気味だったため、最初に見かけたときはスルーしたものの、その後評判に釣られて買った『ミル(1)』が面白くて「やっぱ食わず嫌いはいかんね」と反省した焼津です、こんばんは。

 「佐賀の実家で飼っていた猫が単独で東京まで追いかけてきた、それも女の子の姿になって」というメチャクチャな幕開けの割に全体としては落ち着いた内容で、擬人化モノにありがちなドタバタ的ラブコメ要素は希薄になっている。ミルは86歳(猫年齢ではなく、実際に生まれてから86年が経過している)の猫又で、精神的にはお婆ちゃんだけど、16歳で人間に化ける方法を覚えたから人間時の肉体は16歳女子のまま……ってな設定であり、ツッコミどころはあるにせよ「見た目は少女、頭脳は老婆」っつー美味しいギャップの創出に成功しています。ラッキースケベは発生しないしそもそも絵柄が萌え系ではないので、「飼い猫がおにゃのこになってハァハァ」というシチュが好きな人にとってはガッカリかもしれませんが、「ラブコメとかそういうの抜きで、ただひたすらヒト化した猫とまったり&ほのぼの過ごしたい」という向きにはうってつけ。随所に配された佐賀弁が目に心地良いですわ。

富士見ミステリー文庫ファン度調査(完結編)「平和の温故知新@はてな」経由)

 えーと、だいたい90冊くらい。読んだかどうか記憶がハッキリしないタイトルも結構あったので、具体的な数字は自分でも分からず。開始当初から「どこがミステリーやねん」な作品も多く、途中で「LOVEこそミステリー」と言い出して恋愛方面に寄せたりなど、ひたすら迷走感の強かった富士見ミステリー文庫ですが、なんだかんだで8年以上も続いたんだから大したものだ。シリーズで言ったらやはり『Dクラッカーズ』がオススメですけれど、あくまで「ミステリー」にこだわるなら『平井骸惚此中ニ有リ』か。講談調の読みやすい文章と、シンプルながらも本格好きのツボを押さえた内容で小気味良く楽しませてくれる。単巻モノは桜庭一樹の出世作『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』、樹川さとみの『ブラインド・エスケープ』、日昌晶の『今宵、すべての悪党たちに』が印象に残っている。「L・O・V・E」を掲げた作品ではヤマグチノボルの『描きかけのラブレター』、壱乗寺かるたの『さよならトロイメライ』、桜庭一樹の『GOSICK』あたりが好きでした。

視力が0.1以下の人にしか分からないこと(VIPPERな俺)

 裸眼だと文庫本を読むことすら困難。文字が判読できる距離まで顔を近づけると、ページの半分しか視界に収まらない。横はなんとかなりますが、縦方向がネック。人間の視野って上下が狭いんですよね。二段組の新書とか、あるいは横書きの本なら辛うじて読めますが、縦書き一段組はとても辛い。

・週末に『グリーン・ゾーン』『パリより愛をこめて』観てきました。

 本当は『TRIGUN』とか『いばらの王』とかいったアニメ映画を観たかったけれど、なにぶん地方なので上映館がありません。仕方なく洋画で手を打ちました。洋画は洋画で好きだから、本当は「仕方なく」ってほど消極的でもないんですが。やっているだけありがたい。『グリーン・ゾーン』は同題の原作本が発売した当時から気になっていたものの、「映画化するんだったらそっち観ればいいか、500ページ近くもある本読むのダルいし」と活字中毒者にあるまじき怠慢を発して公開日を待っていた次第。なんぼ探しても大量破壊兵器が見つからないなんておかしくね? という疑問を抱いた米陸軍所属のロイ・ミラー(マット・デイモン)が陰謀を暴き立てるべく駆け回るスリラーであり、タイトルの「グリーン・ゾーン」はバグダッド市内10平方メートルに渡る米軍管理エリア「インターナショナル・ゾーン」の俗称で、意味合いとしては「安全地帯」。いわゆる「レッド・ゾーン」の対義語に当たるのかしら。「赤は危険、緑は安全」と。ミスオタ的にゃ『緑は危険』ですが。さておき、同じイラクものということでアカデミー賞受賞作の『ハート・ロッカー』と比べられることもちょくちょくある本作ですが、良くも悪くも緊張感が強すぎてストレス溜まる内容だった『ハート・ロッカー』に対し、程好く楽しめるエンターテインメント作品になっていて、こちらの方が一般ウケしやすいのではないかと思った。最初、ハンディカムで撮影した揺れ揺れ映像が気持ち悪くて酔いかけたが、それはすぐに慣れた。実際のイラク情勢を下敷きにしている以上、どうしても先の展開が読めてしまう難はあるし、話が話だけに爽快感の欠いたシナリオとなっているが、最後まで退屈させないぐらいの勢いはあったから「観て損した」という気にはならなかったです。面白かったか、と訊かれると少し返答に迷うところですが適度な派手さが心地良かったことは確か。ぐぐってみたところ、原作の方は大量破壊兵器云々ではなく米国のイラク占領統治が如何に杜撰であるかを綴った内容らしく、映画とはだいぶ違うみたいなのでやっぱり折を見て読もうと思っています。『戦場の掟』(イラクでの民間警備会社、詰まるところ傭兵を題材に採ったノンフィクション)もそろそろ読み切りなきゃ。米兵モノといえば、イラクではなくアフガニスタンだけど『ホース・ソルジャー』も映画化するらしいので楽しみにしている。少数精鋭の特殊部隊が馬に乗って険しい山地を行軍するという、実に映像向きの内容でした。ただ、原作は誤植(主に誤変換)の多さに閉口しました……精読しなくても目に引っ掛かるくらいです。

 『パリより愛をこめて』は『96時間』のピエール・モレル監督作品。凸凹コンビがテロに立ち向かう、というお膳立てが激しく『アルティメット』(モレルの監督デビュー作、2もあるがそちらは別監督)を連想させますが、一言でまとめれば「ジョン・トラボルタ無双」なアクション映画です。スキンヘッドの怪人トラボルタが鬼神の如き苛烈さで獅子奮迅・縦横無尽・傍若無人に暴れ回り、群がる有象無象を容赦なく薙ぎ倒す。一見して意味不明な奇行の数々が実はすべて計算尽くだと分かったりするのがおもろい。ストーリー自体はあってなきに等しく、ただ「不死身で無敵のめちゃんこ強いトラボル太がテロリストどもを問答無用でやっつけるお! あ、ついでに主人公の見せ場もちょろっと用意したお」で済んでしまう。劇中通してトラボルタ(役名はチャーリー・ワックスだったっけ、「ワックス」ということで『ベスト・キッド』ネタも出てくる)は一度たりとも負傷しなかったのだからマジ無敵で最強。というか、任務の最中にコカインをキメたり娼婦を抱いたりと活躍が無軌道すぎる。『犬、走る』を思い出すくらいのムチャクチャ加減。トラボルタといえば『ソードフィッシュ』も相当派手だったように記憶しているけど、全編あれに匹敵するぐらいの迫力で満ち溢れておりました。こまけぇこと抜きにして痛快無比なアクションを堪能したい方にはイチ押し。ただ、『96時間』の興奮には劣るかな。度肝を抜くインパクト、という点ではパリ愛が上を行くにせよ、土台「テログループを殲滅する」ってのと「愛娘を犯罪組織から救い出す」ってのとでは観る側のモチベーションが違ってきますからね。とはいえ今年観た洋画(10本くらい)の中では一番と謳っていいほどの面白さではあった。今のところモレル映画にハズレなしだ。


2010-05-13.

・さっきYahooのトップを見たら「『ラブプラス』美少女キャラ汚された」 漫画雑誌ストーリーにネット騒然なんてニュースが載っていてお茶噴きそうになった焼津です、こんばんは。

 まさかここまで大きな扱いになるとは……ラブプラスの寧々さんが公式でビッチというまとめもありますので参考までに。こういうのって本編にエロスがない分だけエロゲーよりもギャルゲーの方が荒れやすいのかしら。

・松本トモキの『プラナス・ガール(1〜2)』読んだー。

 一部の場所で去年から話題沸騰している女装っ子ラブコメ。桜舞い散る中で出会った「うつくしいひと」の正体は、れっきとした男子――そう、彼は女子の制服を着て過ごす「女装少年」であった……と、そんなあらすじ。ヒロイン(?)の藍川絆が女装している理由は現時点でハッキリしておらず、ただ女子の格好をすることが好きなだけなのか、女子になりたいと願っているのか、また恋愛対象が男なのか女なのかそれとも両刀遣いなのか、そして彼(彼女?)の家族は女装癖をどう思っているのか……すべての疑問が放置されたままで、何一つ判然としません。ハッキリしているのはせいぜい、肉体上の性別が男であることを認めることに躊躇いはない(トイレも男子トイレを使用している)ことと、主人公に対して好意を抱いていることくらい。その好意が友情か、はたまたそれ以上の感情なのかは、当然の如く不明であります。「自分の意思で女装を行っている」という点も含めて大空ひばり(『ストップ!!ひばりくん!』)の流れを汲むキャラクターながら、男であることを学校でも隠していない点や、女装を周りに嫌がられたり反対されたり気持ち悪がられたりしていない点からすれば渡良瀬準(『はぴねす!』)の立ち位置に近いか。あくまでお気楽テイストなラブコメゆえ、ジェンダーがどうのだとか「他者の排斥を乗り越えて自己肯定していく険しい道のり」だとかいったテーマに切り込むことは期待しない方が吉。いずれそうした方面に移行する可能性とて、なきにしもあらずですが……。

 さて、ぶっちゃけてしまいますが、当方は女装少年ネタが好きです。大好きです。大好物です。その思い入れに関して書き綴ると異様に長くなってまとまらなくなりますので割愛させていただきますが、本屋の新刊コーナーを漁って「この美少女、実は男!?」みたいな惹句を見掛けるといろんなハードルを下げて「とりあえず買ってみるか」となる。無論、まったく躊躇しないわけでもなくて軽く吟味は致しますが、絵柄やキャラデザがそこそこ好みならば「まぁいいでしょう」と財布の紐を緩めてしまう。だからって「絵やキャラデザがそこそこ好みの女装少年なら何でもいい」かと申せばさにあらず、むしろ好きだからこそ女装少年に関しては五月蠅いし厳しい。当方なりに組み上げた基準(感覚的なものであって、文章化するのは難しい)に添わないものは容赦なく切り捨てる。口に合わなきゃ即卓袱台返しっつー海原雄山ばりのタチの悪さ。根っからの不寛容、徹底した偏食家であり、「拘り」を超えてもはや「拘泥」と言うべき執着を示す次第であります。なので『プラナス・ガール』も、当方の意に添わぬようであれば即座に叩っ切ってくれる所存でしたが、結論から述べるとこれ以上ないほど我が眼鏡に適いました。

 まず、何と言ってもキャラデザが素晴らしい。程好い丸顔、ショートカットで片側を留めた髪がもたらす愛いムードもさることながら、「ギリギリ男キャラとしても通じる外見」となっているのがグッドです。別に骨格がどうだとか、そこまでケチをつけるつもりはない(そもそもケチつけられるほど人体について素養がない)ものの、「女キャラとして描いたものを単に『男の娘です』と言い張っているだけじゃないか?」と疑いたくなる安易な女装っ子で氾濫している今、「女子……いや、男子か?」と迷う余地が僅かなりとも用意されている藍川絆のような存在はまっこと貴重。ギリギリなればこそ、倒錯感も増す。「絆の見せるふとした表情やアクシデンタルな接触にドキッとする→『待て、こいつは男だ。男にドキッとしてどうする』と自らに言い聞かせつつも動悸は収まらない」という何度も繰り返されるバカの一つ覚えみたいなシーンも、おかげで「ただのワンパターン」に堕すことなく「守らねばならぬ美しい伝統」へと昇華される。王道たり様式美たる女装っ子ラブコメがここにあります。

 画力、ギャグのセンス、筋立てやイベントの面白さ、こういった部分は正直特筆するものがないし、女装っ子を歯牙にも掛けぬ人が読めば「取るに足らんマンガ」の一言で終了でしょう。しかし、藍川絆は可愛い。ひたすら可愛い。反則的なまでに可愛い。作者の筆も、彼(彼女?)の魅力を引き立てる場面においては持てる精力すべてを惜しみなく注ぎます。絆との出逢いが影響してか、言い寄ってくる女子に興味を持てないでいる主人公と、からかうように誘惑を仕掛けてくる絆。2巻では主人公と因縁のある百合少女が出てきて事態を引っ掻き回しますが、彼女を以ってしても絆の可愛さは一向に覆らない。磐石、あまりにも磐石なる小悪魔。その安定感は千曳岩にも似て揺るぎない。ところで、『プラナス・ガール』は読切として描かれ増刊号に載った作品が好評を博して月刊連載化したものであり、1巻収録の第3話からが連載分となっている(そう思って読めば3話目が初回のような描き方になっていると気付く)んですが、『女装少年アンソロジー』に掲載された番外編「プラナス・ガール1.5」はなぜか収録されておりません。これはあれか? アンソロジーを買わせるためにあえて収録を見送っているのか? 汚いなさすがスクエニきたない。あのアンソロジーはTivの表紙イラストがたまらなかったため一応保管しておいてましたけど、処分しなくて正解でした。てっきりあれもコミックスに入ると信じ込んでましたからね。「1.5」がキッカケで『プラナス・ガール』という作品を知ることができましたので、個人的には思い出深い一編ですが、なにぶん番外編ですしあれだけを目当てにアンソロ一冊買うのは正味な話オススメしかねる。「藍川絆への愛が止まらない、胸が苦しくて息が止まりそう」というほどじゃなければ、単行本に収録されるまで待ちましょう。ちなみに作者曰く「時間軸的には入学式から1週間後なので、1話の時より前の出来事に当たる」ゆえ、厳密に言えば1.5ではなく第0話らしい。

 にしても、まだ2巻がようやく出た頃だってのにもうドラマCDが発売されて、エロ同人誌も既にあるというのだから驚きだな。まさに藍が止まらな……いえ何でもないです。ないですったらないんですっ! ……恥かきついでにバラしますが、「絆」という名前の方をネタにしようとして「絆箱」しか思いつかなかった己の発想貧困ぶりには参った。しかし何年経っても忘れられない、あれの酷さ。持ち帰るのに苦労したものでした。

・拍手レス。

 ピルグリムは続編超希望中・・・。ちなみにヒロインの名前は私の記憶が確かならばアデール・ナハシードっス。
 小説で農民戦争篇も出るって話だったのに……アデールは直しときました。

 「ハッタリ半分、術理半分」というなら、マガジンで連載中の「我間乱」なんかもいい感じですぞ。ハッタリの効いた剣劇描写をそれっぽい術理解説で補強してます。完全に理詰めじゃなくて、よくよく考えると「ん?」と首をかしげざるを得ない絶妙ないかがわしさがいい感じ。
 『我間乱』も大好きです。胡散臭いなりに納得できる軽やかなノリがたまらない。虚蹴跳(跳躍の落下直前に後ろ足で前足を蹴ることにより空中で加速する変型縮地――Wikipediaより引用)はさすがに絶句しましたが。


2010-05-10.

・新刊情報を見落としていたらしく、店頭に並べられているのを見かけるまで発売されたこと自体を知らなかった『しなこいっ(3)』、バトルシーンが豊富に盛り込まれていて大いにテンション上がってきた感のある焼津です、こんばんは。

 「ハッタリ半分、術理半分」といったテイストでなかなか面白い。3巻の表紙を飾る佐東鯨とヒロインの遠山桜、ふたりの戦いが特に見応えあった。相手の攻撃を蟹股で前屈して避けるなど、美少女キャラらしからぬポーズが平然と飛び出すのも良い。沼田場の人も噛ませ犬かと思いきや結構イイ感じに活躍しているし、読み終えてしまうのが勿体無くなってくる楽しさでありました。ドラマCDは原作にないエピソードも収録されているそうなので、機会があれば買ってみようかと思う……と型通りの文句でお茶を濁そうとしたが、チラッと見た「豪華キャスト陣」が本当に豪華だったのですかさずポチッてしまった。

頭に「サイバー」がつくと近未来的でカッコいい(【2ch】ニュー速クオリティ)

 サイバースレイヤーのことですね、よく分かります。

『"Dies irae -Acta est Fabula" Original Soundtrack Neuen Welt Symphonie』、初回出荷のみならず二次出荷分も完売

 長々しいタイトルですが、要するにDies完全版のサントラです。出荷数がどれだけか分からないため「すごい!」と感心していいかどうか迷う報せだが、メーカーの思惑を超える売上であることは確かなようだ。それにしても、正田崇のシナリオ、Gユウスケの原画(およびlightグラフィッカーの塗り)、与猶啓至のサウンド、そしてハマリ役たる声優たちのボイス……つくづく、Diesはスタッフに恵まれたソフトだと実感する。どれか一つでも欠けていれば、今あるDiesのイメージは決して結実しなかったでしょう。

・久慈光久の『鎧光赫赫』読んだー。

 「ガイコウカッカク」と読む。『狼の口(ヴォルフスムント)』で単行本デビューを果たした作者の短編集。中世ヨーロッパを舞台とする『狼の口』に対し、こちらは戦国時代の日本を舞台とした読切エピソードが多い。B6判なのに756円(税込)となかなかイイ値段をしているが、ページ数を見ればさもありなん、軽く300ページを超えております。これだけ厚い本は「有望な新人」でないと出してもらえませんよ。本書はアクション描写が比較的少なかった『狼の口』と比べてバトルシーン豊富な内容となっており、あえてこちらを先に読んでおいた方が久慈光久にハマるキッカケとなりやすいかも。ただ、キッチリとしたエンディングを迎える話が少なく、基本的にどれも「話の途中で終わってしまっている」作品であるため、残尿感じみたモヤモヤが湧き上がってくる可能性は否定し切れない。ホント、「俺たち(私たち)の戦いはこれからも続いていく……!」パターンばっかなんですよね。そういえば最近積読の山から崩し取った『ピルグリム・イェーガー』も見事な「第一部・完」で残尿感オーバードライブ。でもアデールかわいいよアデール。それ以上にフランシスコ・ザビエルが可愛いのが問題だけど……。

 脱線してきたので『鎧光赫赫』に話を戻します。表題作は表紙にも描かれている女武者が仇の首を斬る話ですが、対戦中に弾みで兜が脱げて「こ、こいつ……女だ!」と周りが驚くベタベタのネタをやってのけます。というか、表紙がネタバレすぎて解説に困る。本編は仇の首を落とす直前、「お覚悟!!」と叫ぶところで幕となっており、つまり表紙こそが「鎧光赫赫」のラストシーンとも言える一枚なのです。よって最初から結末を明かしているも同然。幸い、「鎧光赫赫」はストーリーよりもアクション描写の巧みさで魅せる話ですから、ネタバレかまされてもさして痛手ではありませんが。他は戦闘描写と話の展開、それぞれの見所が半々といった調子です。「勝利無き戦いに赴く者たちのその矜持をその誉れを知るがいい豚共!」と実に刺激的な言葉が踊る帯の通り、本書は虐げられたり奪われたり苦杯を飲みながら生き存えている「敗者たちの情念」を基底としていて、不快とまでは行かないにしても爽快とは言いがたい微妙な読み口となっている。前述したように話の途中で終わっているような雰囲気の作品もあり、どうしても物足りなさが残ります。特に天狗の娘を主人公に据えた「雷電突攻」は思わず歯噛みしたくなるほど続きが読みたい。そして下衆どもの金玉を蹴り潰すイベントを恒例化してドM垂涎の不能伝奇コミックにするのもアリかと。タイトルは『つぶたま!』で。ひらがな表記なのは『潰玉』と混同されないためにです。

 また、『英國戀物語エマ 第二幕』の宣伝として描かれたWEB漫画「舞子の部屋」全10回約50ページも収録されています。なにぶん宣伝用の漫画ですから、『エマ』を知らないとあまり面白くないかも。と言いつつ『エマ』と関係ないネタも頻繁に挟まれるので、『エマ』を知っていてもあまり(以下略)。「舞子の部屋」は今でも公式サイトで見れますから、興味のある方はそちらで読んでみても構わないかと存じまする。第5回のヴィヴィーが愛くるしい。ぶっちゃけ森薫(原作者)の絵の方が好きなんですけどね。久慈光久は笑顔とか微笑みよりも憤怒や怨嗟の混じったキツい表情を描かせた方が美味しい。

 本自体が分厚いしタイトルも厳ついし、手に取ることを躊躇う気持ちが自然と湧き出てくるのもむべなるかな、ではありますが、表紙イラストを眺めてビビッと来るものがあるならば是非購入されたし。絵柄にせよ作風にせよ、いまいち古臭いところのある漫画ですけれども、「今風でない」という理由だけで敬遠するのは勿体無い。就中、恨みがましい目つきの女にゾクゾクする嗜好を持った人。この一冊を逃す手はありませぬ。

・拍手レス。

 ここで紹介されてた素晴らしき日々やってみたら面白かったです
 紹介した本人はまだ一章も終わっていない有様……不甲斐ない。

 境界線上のホライゾンが来月に発売と知り、調べてみると6月に上、7月に中巻が出るそうです。しかも上巻で914円と1巻下を越える値段。ああ、いったい3巻全体で何ページになることやら。今から楽しみというか恐ろしいというか。
 終わクロのときと同じパターンなら8月に下巻が来そうですね。今年の夏は境ホラの夏になりそう。新しい、季節感……!


2010-05-06.

・あかべぇにとって出世作である『車輪の国、向日葵の少女』の続編と謳っている割にシナリオライターがるーすぼーいではなく「渋谷ハヤト」という謎の新人に変わっていて、しかも公式のあらすじを見るかぎりでは「刑罰としての義務」云々といった車輪の国〜特有の要素も出てこないので、「こりゃあ駄作臭がプンプンするじゃないか」と大いに失望させられた『光輪の町、ラベンダーの少女』、まったく期待せずに体験版をプレーしたら案外と面白くて驚いた焼津です、こんばんは。

 見方が180°変わる、というほど劇的な面白さではなかったものの、非常に書き慣れた気配の漂うテキストのおかげでサクサクと読めた。渋谷ハヤト名義はこれが初めてでしょうが、たぶんシナリオ業に関してはそれなりの経験を積んでるんじゃないだろうか。際立って巧いわけじゃないけど、「エロゲのテンポはこう」としっかり理解した上で書いている気がします。作風は別段るーすと似ているでもなく、前述した通り特有の設定も絡んでこないため、「車輪の続編だ」と言われても正直ピンと来ない内容ではありますが、「今回もちゃんとヒューマンドラマをやろう」という意気込みは感じられました。主人公があまりカッコ良くない(カンニング騒ぎで友人たちを巻き込む件が特に)のと、出てくるヒロインにいまいち魅力を覚えない(そもそもラブコメっぽいところが少なく、「これなんてエロゲ?」というより「これなんでエロゲ?」って思っちゃう)のと、教師が主人公やヒロインたちを退学させようと画策するあたりが強引に思える(答案を書き換えて点数下げるとか無茶苦茶じゃないか)のとでやや盛り上がりきらない部分もあったが、思っていたより全然悪くない。前作と比較すれば少々吸引力が足りないにせよ、危惧していたほどの駄作にはならずに済むかも。個人的にコメディやギャグの波長が合わなくて若干辛いところもあるけれど、とりあえずしばらく注目してみるとしよう。

テクスト。第1弾ソフト『セカンドノベル 〜彼女の夏、15分の記憶〜』、コンシューマで発売

 PSPか……持ってないのでパス。シナリオは深沢豊の模様です。タイトルは『2nd LOVE』を彷彿とさせるが、雰囲気からすれば『True Color.』の打ち直し? 作中作のスタッフも異様に豪華(田中ロミオや唐辺葉介や元長柾木、イラストはのいぢやおーじやkashmirなど)で「PSPごと買おうか」とグラついてくるけれど、そこまでやって積んじゃったらさすがに目も当てられないので自制しときます。

バカテスの秀吉オンリーシングル『ワシとSONGと演劇魂』

 アニメ化して更に秀吉人気が過熱しているとは聞いていたが、まさかこんな商品まで出るとは……旭日昇天の勢いですな。まさしく秀吉の名に相応しい「日輪の子」となりつつある模様。

LOSEの『ゴスデリ』、体験版をプレー。

 新興ブランドのデビュー作。元はPBPというサークルが同人ソフトとして制作していたものの、どういう経緯があったのやら、急遽18禁化して商業ソフトとして売り出すことになったみたいです。商業化が決まった時点でプロットと素材が出来上がっていたせいかエッチシーンを本編に組み込めなかったらしく、「本編で特定の場面を通過するごとに鑑賞モードへエッチシーンを追加」といった形式を取る模様。個人的にどうかと思う仕様だけど、『ゴスデリ PLUS+MOSAIC』みたいなアペンドディスクを出さないだけでもマシと見るべきかしら。「CG総枚数300枚」を謳った伝奇アクションであり、物凄くボリュームがありそうに聞こえるが、「立ち絵を使用せずイベントCGとカットインCGのみで賄う」っつーminoriの『ef』を彷彿とさせる方式ゆえ短時間であっという間に使い切ってしまいそうだ。「OP、1章〜5章、EP」と構成される本編のうち、体験版はOPと1章の途中まで(それとおまけのエッチシーンをひとつだけ)プレーできる。体験版でだいたい1時間程度だったから、全編合わせてせいぜい10時間ちょっとの分量に収まるのではないだろうか。同人時代も含めて3年を費やした大作ながら、案外サックリ終わってしまうんじゃないかという予感がします。時間のない社会人にとってはむしろ好都合かもしれぬ。

 学級崩壊に悩みながら教師を続けている青年が主人公。彼はある夜、帰り道で見知らぬ少女と出会ったことから異能バトルの世界へ巻き込まれていく。物凄い早さでバトル展開に順応していくあたり不自然と言えば不自然だが、そのへんあまりグダグダと引っ張られてもイラつくんで「話運びがスムーズ」と言い換えておこう。ロリ吸血鬼とチンピラ異能使いがちょうど激突するところで体験版が終わっているためバトルものとして面白いかどうかは判断しがたいが、演出の凝り具合には感心というか感動しました。絵の動かし方にどことなくチープさが漂うのはむしろプラスだ。良い意味で紙芝居っぽい。主人公の名前が「不可咲貴路(ふかざき・たかみち)」、チンピラの名前が「橙々院絶火(とうとういん・ぜっか)」、チンピラと接触するエージェントの通り名が「六番目の狂犬」……と、十代前半の感性がもたらす香ばしいネーミングに多少辟易するものの、テキスト自体は割合平易で読みやすい。これといって斬新なストーリーではなく、また特徴のある文体でもないので、「シナリオに魅力を感じるか?」と訊かれれば正直首肯しかねるにせよ、絵目当てでプレーする分には差し支えないレベルに収まっていると申せましょう。ヒロインもロリ可愛いしな。

 購入確定、と決意するまでには至られなかったが、危惧していたほどメタメタな出来でもなくてホッとした。Flash使いまくりで見辛いOHPからしてなんとなく不安だったけど、そんなに悪くもなさそうだ。大して長くない(というか短い)ので、気になっている人は考えるよりもまず先に体験版をプレーすれば宜しいでしょう。それにしても、ヒロインの幼さ……規制されそうなくらいヤバいわ。要所要所で頭身をごまかしているみたいだが、それでも溢れ出るロリオーラは隠しようもない。「つぎはまた、わたしがたかみちをうれしくしたいぞ」「じゃあね……僕のおちんちんを、ローのここに挿れてみる? そうしたら、二人とも同時に嬉しくなれるから」「それはめいあんだ。たかみち、さっそくいれるぞ」という遣り取りはあまりの犯罪臭さに噴いた。事後に「いまのは、なんというのだ?」「セックスっていうんだよ」と教えてくる件も酷い。ヒロインと複数回セックスした後でようやく初潮が来る『Ricotte〜アルペンブルの歌姫〜』並みに酷い。こんなご時勢だからこそ眩しくて仕方なかったよ。

・拍手レス。

 黒と黒と黒の祭壇の感想を探してたどり着きました。読書の好みが近いため、開拓の指針とされていただいています。……既にご存知だとは思いますが、「放課後プレイ2」は、あの黒髪ロングの彼女さんたちカップルではない新しいキャラが主軸になると思われますのでご注意を。
 黒黒黒とはまた懐かしい。放課後プレイ2は1巻のコンビが1回でも出てくれば儲け物と思っています。


2010-05-01.

はりはり鍋からマタ・ハリハリマオを連想した焼津です、こんばんは。オチ? そんなものあると思ったら大間違いですよ。

Axisの『カスタードクリームたい焼き』、製品にシリアルキーコードを同梱し忘れたのでweb上で公開

 清々しいほどの本末顛倒。29日に早売りで入手した人が「キーが見当たらない。そもそも内容物に「コピープロテクトマニュアル」なるものが入ってない」と報告したことから発覚。原画を手掛けた人すら「自分もやろうと思ったらマニュアルが無く、プレイできずにびっくりしました…!」とコメントする事態に。マスターアップ記念漫画では『CrossDays』をネタにしていたが、今度はネタにされる側に回ってしまったか。「新手のフラゲ対策」とも揶揄されていますが、これでまたエロゲー界に新たな伝説が刻まれてしまったな。

『電撃テンジカーズ』107代目・悟空Tシャツ オマケ冊子『メイドのフミエさん(復刻版)』付き

 清々しいほどの抱き合わせ商法。名目は「オマケ冊子」ですが、どう考えてもファンが欲しがるのは猿Tよりもフミエさんの方でしょう。フミエさんのオマケにTシャツが付いてくる、と表現した方がまだ近い。まさにファンの信仰度を試す踏み絵と言えます。当方は涼しい顔でパスさせていただく。

塩野干支郎次「ブロッケンブラッド」ドラマCD化決定!(MOON PHASE 雑記)

 ノイシュヴァンシュタイン桜子の役は釘宮理恵か……この人って妙子もやってますよね。どうやら女装キャラと縁があるらしい。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない :電撃文庫の人気ライトノベル アニメ化決定

 ああやっぱり、という感じ。メディアミックス展開の進行からして「こりゃ絶対にアニメ化される流れだな」って気配が漂っていましたし。Gユウスケがイラストを担当した『ダンタリアンの書架』もそろそろアニメ化来そうですね。なにせ2誌で本編とスピンオフ、ふたつのコミカライズがスタートするくらいですから。相当力が注がれている。ダンタリアンは一話完結の読切方式、ヒロインが某翠の子(ゾーネンキントではなくドールの方)みたいなへっぽこツンデレで可愛いから知らない人は是非とも読んでみるがいい。翠の子をローキックしたいほど愛しているどこぞの首領閣下もきっと気に入っているはずだ。

・今月の購入予定。

(本)

 『ブロッケンブラッドX』/塩野干支郎次(少年画報社)
 『死ねばいいのに』/京極夏彦(講談社)
 『水色シネマ』/乙ひより(一迅社)
 『オレンジイエロー』/乙ひより(一迅社)
 『がんばれ、ジーヴス』/P・G・ウッドハウス(国書刊行会)
 『あなたにあえてよかった テースト・オブ・苦虫8』/町田康(中央公論新社)
 『貴族探偵』/麻耶雄嵩(集英社)
 『放課後プレイ(2)』/黒咲練導(アスキー・メディアワークス)
 『初陣』/今野敏(新潮社)

 『ブロッケンブラッドX』、マンネリだ、ワンパターンだと言われ続けて遂に5冊目。ドイツ系美少年が美少女に扮装して戦ったり戦わなかったり嬲られそうになったりする心底しょーもないコメディです。天を摩する画力と剃刀じみたギャグセンスにより辛うじて皮一枚で続いているような雰囲気が漂いますが、何度でも言おう。股間を熱くさせるものはたとえそれが女装であろうと圧倒的に無謬(ただしい)のだと。元来、我々はハートではなく股間で物事を受け取るものであります。「可愛くったって男だろ」「つーかマンガの絵で性別がどうこうってこと自体ナンセンスじゃね」と己が頭に問い掛けるような真似は即刻やめるべきだ、迷ったらチ○コに訊け。『死ねばいいのに』はタイトルが直球すぎる京極夏彦の新刊。内容に関しては一切知りませんが、これはもう題名だけで勝ちでしょう。名言の途中に「死ねばいいのに」を入れると小物になるなんてスレもあったっけ。『水色シネマ』と『オレンジイエロー』はコミック。待ちに待った乙ひよりの新刊、それも2冊同時刊行とは……嬉しさもあまり漏らしそう。女の子同士の恋愛、いわゆる「百合」を題材にしてますが、「百合モノは苦手」という人間も難なく魅了するほど巧みな作風をしている。1冊が900円なので併せて購入すると1800円、マンガにしては値が張りますけれど買う気満々でレジに突っ込む所存。『がんばれ、ジーヴス』はシリーズ11冊目。毎回毎回ひたすら同じパターンの繰り返しで、傍から見れば「書く方も読む方もよく飽きないな」と呆れる思いでいっぱいやもしれませんが、ウッドハウスの小説はマンネリ一辺倒であるにも関わらず読めば読むほどハマってしまうんですよね。ジーヴスの1冊目を読んだときは「ふーん、まあまあじゃん?」と余裕を気取っていた当方も、先月は「おっ、新刊情報来てるな。なになに、国書刊行会5月の予定は……ジ、ジ、ジ、ジィィィィィヴスゥゥゥ!? ジーヴスきたぁぁぁぁ! やっときたわぁぁぁ! ホアアアーッ!」と狂乱した次第。これはさすがに誇張しすぎですが、それでも嬉しかったことに間違いはない。さあ、たわけ紳士バートラム・ウースターの尻拭いをさせたら右に出る者はいない執事(butlerではなくvaletなので厳密に書けば近侍だが)ジーヴスの勇姿に君も惚れろ。

 『あなたにあえてよかった テースト・オブ・苦虫8』は町田康のエッセイ・シリーズ8冊目。4冊目まではただ単にナンバリングだけでしたが、5冊目以降は『おそれずにたちむかえ』『おっさんは世界の奴隷か』『自分を憐れむ歌』と副題が付けられています。シリーズと言っても身の回りにおける出来事をあることないこと好き勝手綴って綴って綴りまくる内容であり、はっきり言ってしまえば同作者の他のエッセイ集と大して変わらない。なので、これが苦虫完結編だと言われてもまったく全然感慨深くも寂しくもない。嘘です、ちょっぴり切なかったりする。振り返ってみれば、このシリーズがきっかけで町田康の小説以外の作品も読むようになったんだよなぁ。最初に見かけたときは「誰が買うんだこんな本」でしたが。長年書痴をやってると、こういう「誰が買うんだこんな本」ってフリに数年越しで「俺でしたァーッ!」とオチつけることはザラだ。『貴族探偵』は麻耶雄嵩久々の、いえ本当に久々で実に5年ぶりくらいとなる新刊です。書き下ろし長編じゃなくて雑誌掲載されたものを寄せ集めた連作短編集ですが、それでも出るだけ僥倖。素直に寿ぎたい。で、『隻眼の少女』はいつ? 『放課後プレイ(2)』は悶え狂いながら続きを希求していた4コママンガ。ネタも画力も率直に言ってさほどではないが、ヒロインの魅力は突き抜けていて他の追随を許さない。理屈じゃなくただ惹かれる――思えばマンガに心を吸い寄せられた幼少期はそういったものでした。ある意味で懐かしい思いを味わわせてくれます。『初陣』は“隠蔽捜査”シリーズの短編集。ナンバリングは「3・5」になるらしい。バカテスみたいだな。“隠蔽捜査”シリーズは「良い意味で地味」という姿勢を貫いている警察小説であり、派手な銃撃戦や仰々しい捕物劇はなく、ただ原理原則に基づいて淡々と捜査陣を指揮するキャリア・竜崎へ少しずつ共感を抱いていくウマい仕組みになっています。安積班はドラマ化したし、これもいずれ映像化するんじゃないかな……ってぐぐったら既に2時間ドラマやってた。そういえばそんなニュースも見た気がする。

(ゲーム)

 『エヴォリミット』(propeller)

 今月はこの一本、なんですが……実はまだ体験版が終わっていません。今のところ良い感触ですし、購入はほぼ確定でしょうけれど、この分だと発売日になってもまだ体験版をプレーしていそうだ。「人類がすべて超人化した未来」が舞台となる、アメコミやアメコミ原作のハリウッド映画みたいな調子のアクションものであり、東出祐一郎と中央東口のダブル東コンビがいつも通りかましてくれるに違いない。とりあえず体験版を進めなきゃ。


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