2010年3月分


・本
 『ランポール弁護に立つ』/ジョン・モーティマー(河出書房新社)

・ゲーム
 『かしましコミュニケーション』体験版(AXL)
 『DEARDROPS』体験版(OVERDRIVE)
 『アッチむいて恋』体験版(ASa Project)


2010-03-30.

・気がついたら発売していた『素晴らしき日々〜不連続存在〜』、評判も上々みたいなので早速購入してプレーし始めた焼津です、こんばんは。

 『素晴らしき日々』はケロQが6年ぶりに(FD抜きで計算すると7年ぶりに)放つ新作ソフトです。最初は去年中に発売する予定でしたが、大方の読み通り延び延びになり、こうして今年の3月まで漂流してきました。「もっと延びるんじゃないか」「永遠に発売しないんじゃないか」「いつか出ると信じて、いつまでも待ち続ける日々……取りも直さず、それこそがケロQ儲にとっての『素晴らしき日々』ではないだろうか」などと言われたり言われなかったりしていたもんですから、延び延びとはいえ発売しただけで充分奇跡めいている。実際、『素晴らしき日々』よりも前に発表された『陰と影』なんて開発無期限停止という事態に陥っています。この『素晴らしき日々』についても、まったくの新作というわけではなく、ケロQのデビュー作である『終ノ空』と関連した内容で、「いつかこういうのを作るつもり」みたいなことは今まで何度も言われてきました。『終ノ空』『名称未設定』『非連続存在』で3部作を成す、とか何とか。で、具体的に『素晴らしき日々』は『終ノ空』とどう関係しているのか? という点は少々説明しづらい。一番身も蓋もない書き方をすれば「リメイク」ですが、ケロQ代表のSCA-自(以下すかぢ)曰く「リメイクではない」そうで、確かにメインキャラがほとんど一新されているし、章構成も激変しているため単純にリメイクとは言い切れない仕上がり。かと言って「続編」というのも、違う気がする。『終ノ空』と『素晴らしき日々』で共通する部分、共有する部分はいくつかあるのですけれど、ストーリー自体が繋がっている印象はないです。感覚として一番近いのは、「リベンジ」でしょうか。『終ノ空』では書き切れなかったことを、『終ノ空』とは異なる視点で突き詰めてやり直す……別に『終ノ空』が失敗作だったと決め付けるわけじゃありませんが、なにぶんデビュー作だったこともあって若書き、荒削りなところが多く、すかぢにとって不本意ではないにせよ「ここはもっとこうしたかった」「あそこはキチンとケリをつけたかった」と悔いが残る要素も少なくなかったのではないかと。『終ノ空』やってないユーザーからすればどうでもよさそうなことながら、なにげにケロQのソフトをすべて制覇している(プチケロQとか枕のソフトは逆に全部スルーしている)人間にとってはそこらへんを見極めるのは大事なことです。というか、『終ノ空』やってないユーザーに『素晴らしき日々』はどう映るのだろう。興味津々である。

 さて、『素晴らしき日々』は6つのエピソードから成ります。“Down the Rabbit-Hole”、“It's my own Invention”、“Looking-glass Insects”、“Jabberwocky”のTとU、“Which Dreamed It”。それぞれで主人公が違う(“Jabberwocky”のTとUだけは共通)仕組みとなっており、水上由岐が主役を張る“Down the Rabbit-Hole”は体験版で丸々プレーすることが可能……と思っていた時期が、当方にもありました。まさか、体験版の範囲が“Down the Rabbit-Hole”の序章に過ぎなかったとは……普通に2周目が始まって魂消ましたわ。プレー報告によると今回はシナリオが相当に長い(一説によれば3MB、恐らくニトロの村正と同等)らしく、コンプするのに骨が折れそうです。まあ、焦らず地道にチマチマやってくつもり。

 しかし、それにしても……“Down the Rabbit-Hole”で以下のテキストが出たとき、一瞬呆然として、驚きが去ったところで笑い、笑い疲れたところで泣いた。

「本当は、邪気眼とか厨二病とか末期少女病とか言いたいところではあるけど……そりゃ怒られそうだ」

 『末期、少女病』は2003年からずっと発売無期延期中で、「いつか出ると信じて、いつまでも待ち続ける」人々が多い、言わば開発停止ソフトの代表格です。そりゃ怒られるわ。『陰と影』を凍結しているブランドが使うネタじゃねぇよ。

・他には恒川光太郎の新刊『南の子供が夜いくところ』を読んだり。南洋に位置する架空の島を舞台に、日常と幻想が交錯する暮らしを綴った連作集です。基本的に1つ1つのエピソードは独立していますが、共通して登場するキャラクターは何人かいるし、些細なところで話がリンクしていることもしばしばあります。読めば読むほど味わい深い。気軽に楽しめて、後に尾を引く感慨もある。つくづく成長の著しい作家だと思います。

・拍手レス。

 『Verfaulen segen』、ついに我等がシュピーネさんの活躍が07版から2年以上の時を経て、ようやく拝めると思うと胸が熱くなりますな
 指先ひとつで「兵隊君達」をノックダウンさせるシュピーネさんの雄姿が目に浮かぶようだ。

 ディエスのサントラのタイトルは『Neuen Welt Symphonie』で、『Zwei Wirklichkeit』haドラマパートのタイトルですよ。
 ですね、書くとき焦ってごっちゃにしてしまいました。

 シュピーネさん大活躍か!、はどうでもいいとして、雨の中抱き合っている二人の絵は、美しくも悲しいですね。結末が分かっているだけに余計に。
 本編を知らない人でも悲愴な結末しか想像できない絵面だ……。


2010-03-26.

・石黒正数の新刊『響子と父さん』『ネムルバカ』の姉妹編だったと知って驚愕の焼津です、こんばんは。

 『ネムルバカ』の番外編が併録されている時点で気付くべきだった……単に同じ出版社だからだろうと思っていた。そういや、ページをめくる前から変な既知感はあったんだよな。「設定のここの部分がやけにデジャヴる」って。具体的にどうリンクしているかは伏せておきますが、『ネムルバカ』が好きな人はとりあえず読んでおいた方がいいです。内容はいつもの石黒正数で、なんてことない日常を綴っているくせして妙に面白おかしい。ただ、地味さで言えば石黒作品随一かもしれないな、これ。石黒作品と言えば、来月はそれ町の新刊が出ますよ。とっても楽しみ。

light、『Dies irae 〜Acta est Fabula〜』のサントラ『Neuen Welt Symphonie』とドラマCD『Verfaulen segen』の情報を公開

 どっちも4月23日、同時発売と来たか。ドラマCDの方はジャケット絵で戒の瞑目した横顔が見えてますね。キャラ紹介ページでは正面顔も。なんかヅラっぽく見えるのは気のせい? サントラは司狼の浮き具合がすごい。螢も、目立ってないとはいえ相変わらず恥ずかしい格好だ。サントラといえば、新曲のみではなく既存の曲もまとめて収録するみたいで、なんと3枚組になってます。3枚目は丸々ドラマパート。40分を超えるとかで、本当に「サントラのおまけでドラマCDが1枚丸々付いてくる」形に。ドラマCDの方は2枚組。両方とも予価が3990円(税込)と若干割高ながら、合計して5枚にも昇るし、1枚あたり1600円と考えればそんなにボッタクリでもない……か? どちらにしろ、儲としては買うより他なし。それにしても、『Verfaulen segen』。あのシュピーネさんが「いいでしょう。ではそこの兵隊君達、ついてきなさい。蜘蛛の巣に案内してさしあげます」なんてカッコいいセリフをほざいていて冗談抜きに体が火照った。脳内再生チョーよゆうです。

Leafの新作『WHITE ALBUM2 -introduction chapter-』、プレー開始。

 かれこれ12年も前に出たソフトの続編です。PS3移植版の『WHITE ALBUM −綴られる冬の想い出−』も5月に発売される予定だ。ホワルバは寅年と何か縁でもあるらしい。「introduction chapter」、つまり「序章」であるにも関わらず発売延期かましてくれて購入意欲を萎えさせやがったものの、既に入金済だったためキャンセルもできずおとなしく到着を待つ仕儀と相成りました。前作のシナリオを手掛けたのは原田宇陀児でしたが、今回は丸戸史明がライティングを行っています。しかも初回限定版は書き下ろしノベル付き。丸戸のファンを確実に落とそうとしているかのような遣り口だ。当然、当方は書き下ろしノベル目当てに初回限定版を買いました。冊子系の特典には弱いんですよね……パッケージは普通のデカい紙箱ながら、開けるとコンパクトなトールケースが入っている。驚いたことに、トールケースの方までシュリンクが掛かってました。「紙箱の中にトールケース」という仕様はちょくちょくある(『Dies irae』もそうでした)けれど、大抵シュリンクは紙箱だけです。二重に掛けるというのは少し珍しい気がする。「通常版を使い回しているのかな?」と勘繰ったりもしたが、バーコードがないところを見るとそれもなさそうだ。ともあれ、さっさと開封してインストールを済ませました。

 インストールしている間、暇だったので初回特典の「雪が解け、そして雪が降るまで」を読んで気を紛らわせようとしたが、「一周プレーした後に読むことをオススメ」みたいなことが注意書きにあったのでやめて別の本を手に取った。インスト終了後、ショートカットをクリックして起動しようとするがエラー。どうもDirectXのバージョンが古かったらしい。更新して再度起動すると、今度はシリアルキーコード入力画面がポップアップ。箱の中にペラい紙があって、そこにシリアルキーコードが記入されていますから、紛失しないようにしときましょう。桁数が多くてウンザリしましたが、入力ミスもなかったようで無事一発でクリアしました。タイトル画面を出すまでの道のりが微妙に長い。それはそれとして今回はワイド画面なんですね。昨年末に買い換えておいて良かった。とりあえず冒頭をちょろっと申し訳程度にやってから終了。ほんの数分のプロローグで既に丸戸節全開だったこと、どうやら主人公も含めてフルボイスらしいこと、ディスクレスでも起動すること、以上三点を確認してヨシとしました。売り方は気に食わないが、エロゲーとしては悪くなさそうな雰囲気。本格的な攻略は来月あたりにスタートするとします。

・ジョン・モーティマーの『ランポール弁護に立つ』読了。

 感情が昂ぶると詩を口ずさむ老法廷弁護士(バリスター)ホレス・ランポールを主人公に据えた英国法廷ミステリ。と言ってもミステリ要素はあんまりありません。『逆転裁判』みたいなノリを期待すると肩透かしでしょう。路線としてはウッドハウスの『比類なきジーヴス』とか、ああいうコメディ小説に近いものがあります。ことあるごとに過去の手柄を吹聴し、どれほど相手に煙たがられようと委細構わずマイペースを貫く男、ランポール。彼が手掛けた弁護の数々を連作形式で綴っているわけですが、到底「華々しい勝利の数々」と呼べるものではなく、むしろ敗北だったり、勝ってもどこかほろ苦い余韻が残る結末だったりする。そんな輝かしくない戦歴を眺めて面白いのか? と疑う向きもあるでしょうけれど、絶妙な匙加減のもとで繰り出されるユーモアによって暗いムードを一切漂わせることなく味を引き締めており、「こういうのが本当にいたら辟易するんだろうけど、なんか憎めないよな、ランポール」と思わせてくれます。決して「痛快な活躍」の一言にはまとめられない皮肉と諧謔の群れが、ランポールという鼻摘み者の弁護士をこれ以上ないほど魅力的に引き立てている。一編目ではあまり好感が持てなかったのに、二編目、三編目と読み進めるうちにだんだん肩入れしていってしまいます。狡猾なのに愚直、用意周到なのに無思慮というひねくれた性格が次第に愛らしく見えてくるのだから不思議だ。

 本書はシリーズ1冊目に当たり、原書が刊行されたのは1978年。今から30年以上も前ですが、なんとこのランポール・シリーズ、未だに現役で続いているらしいんですよ。最新刊は2007年に出ているんだとか。邦訳は短編がちょくちょく雑誌に載ってますが、書籍としてまとめられたのは『ランポール弁護に立つ』が初めて。350ページ弱の分量に6つの短編を収録しています。巻頭を飾る「ランポールと跡継ぎたち」は犯罪一家として有名なティムソン家の「跡継ぎ」に当たる少年の弁護を担当する話。主人公自身の紹介を挟むこともあって、やや長めの70ページ弱です。当然、強盗事件で起訴された少年の公判がメインとなってくるわけですが、「たぶん、ストーンズの話をしたと思います」「それはどこの石(ストーンズ)ですかな?」「裁判長、それはザ・ローリング・ストーンズのことであります」といった具合で非常に間の抜けた遣り取りが多いため、恐ろしく緊張感に欠ける。まるでコメディドラマを見ているような気分に陥ると申しますか、そもそもランポール・シリーズはドラマで好評を博して、脚本家のジョン・モーティマーがノベライズした――という経緯を持っています。なので読んでいて映像が脳裏に浮かぶのは自然なことかもしれない。だいたい、作中が1960年代だからって、例のバッハじみた大仰な鬘を付けて裁判やってるって何なの。いつの時代の人なのよ。って不審に思いつつ読み抜き、訳者あとがきを見て驚いたが、なんとイギリスの裁判では現代でも鬘を付けてやってたのか! ジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー』にあった裁判シーンが冗談じゃなかったとは……まさにカルチャーショック。ぐぐったら2008年に民事での鬘着用は廃止になったみたいですが、刑事裁判では依然として裁判官も検察官も弁護士もみんな鬘を被っているらしい。あいつら過去に生きてんな。

 だいぶ脱線したので話を戻しますと、「ランポールと跡継ぎたち」は裁判が終わった後に「果たして家業を継ぐことが良いことなのだろうか?」と疑念に囚われたランポールが「それが間違いの元だ。これが諸悪の根源なんだ」「親父の跡を継ぐなんてのはよした方がいい。全廃だ」と年若い息子に語りかけるところで終わっています。そして実際にランポールの息子ニックはどんどん父親と疎遠になっていき、3編目の「ランポールと下院議員」を最後に登場しなくなる。ユーモアの背後に哀愁を潜ませ、周りの顰蹙も何のその、なおもランポールは裁判所での戦いを続けていきます。「絶対に、有罪など、認めてはならん!」「この大原則は、一辺三十センチもの大きな文字で、どこの事務所のどの部屋にだって大書されているはずだ!」 緊張感に乏しいストーリーとはいえ、なかなかに熱い志です。志ゆえに、時にして苦杯を飲むこともあるのですが、それでなお頑固に我を貫く姿は滑稽ながらも力強い。絶対に高潔を気取らないところがいいですね。法廷弁護士(バリスター)の道は清濁併せ呑み、泥にまみれ、のた打ち回りながら進むこと。道を外れるくらいなら、農園主になってやるとまで嘯きます。ろくに土いじりもしたことないくせに。

 扱われる事件は強盗、麻薬取引、強姦、離婚、爆破、殺人と様々で、法廷上のファイトも見所ながら、法廷を離れた事務所での人間関係も面白い。一編一編バラバラに読んでいては分からない人間関係の変化も、こうして一冊まとめて読むとしっかり把握できるのが嬉しいです。今後もどんどんランポール・シリーズを翻訳していってほしいものだ。本書の刊行が2年近く前で、一向に続刊の報せが届いてこないのですが、不安になるのはやめよう、とにかく信じてやろうじゃん。ネットの画面の向こうには沢山のファンがいる。決して一人じゃない。信じよう。そしてともに願おう。相当な年月や忍耐は要るだろうけど、絶対に諦めるなよ。丁々発止と遣り合うアメリカ式のリーガル・サスペンスも素敵ながら、こういうまったりとしたイギリス式の法廷喜劇も時には乙なり。


2010-03-23.

・平台で見かけて購入した『狼の口(1)』(最初『狼の0』かと思った)、宿屋の娘が実にエロくてムラムラしている焼津です、こんばんは。本筋は結構ハードなのであんまりムラムラしてもいられないんですが。

 14世紀のアルプスを舞台としたマンガで、「狼の口(ヴォルフスムント)」と呼ばれる関所がストーリーの中心になっています。関所の代官ヴォルフラムは見た目こそ温厚ながら、嘘や偽造証に騙されることは一切ない。通行する資格のない者を容易く看破し、容赦なく処刑する。如何にして彼の目を盗み、関所破りを敢行するか……がポイントになってきます。そういや『無限の住人』にも関所破りのエピソードがあったっけ。表紙がカッコ良かった(そして裏表紙のお姉さんがエロかった)のでつい買っちゃったけど、期待通りに面白くて満足しました。それにしてもヴォルフラム、1話目では髪が黒ベタだったのに2話目では塗りがなくなっているのはなんでだろう。イメチェン?

ASa Project『アッチむいて恋』、体験版をプレー。

 ぶっちゃけマイナーブランドであるASa Projectにとって3本目となるソフト。うちに訪れるような層であっても「ASa Project? なにそれ、知らない」とおっしゃる方は少なくないはず。2007年5月に『めいくるッ!』を出してデビューし、そろそろ3年が経過するところです。『めいくるッ!』と言及してなおピンと来ないかもしれませんが、「…このままだと…お兄ちゃんの童貞は私で捨てる事になる確率が高い…」と書けばハッとなるのではなかろうか。そう、非攻略ヒロインであるにも関わらず人気投票でブッちぎりの1位を獲得した最強実妹、浅生恵理栖が登場した一作なのですよ。端的に属性を述べれば、腹黒クーデレ。歴代エロゲ妹キャラの中でも上位に食い込む存在感を発揮したものでした。あくまで当方内部において、ですが。体験版をやった時点で「なぜこの娘を攻略対象に選ばなかった……! なぜ……! Tell me why, why, 答えは何処……!」と平井顔で歯噛みせざるをえなかった。サブキャラに過ぎない恵理栖が異常なほどの人気を博す事態は開発側も想定していなかったらしく、本編にルートを設けなかったことは手痛い機会損失となりましたが、転んでもタダで起きないのがアサプロの心意気。続く第2作『HimeのちHoney』では聖堂恵理栖というどう見ても同一人物にしか思えないキャラを出演させました。すごく安直……けれどその分シンプルかつストレートで力強い戦略だ。こっちの方ではちゃんと攻略できます。奈々子商法とは違うのだよ、奈々子商法とは。ただ『HimeのちHoney』の場合、マイケルという黒人クラスメイトを褐色金髪ロリツインテに変換した予約特典ディスクのおまけシナリオで「マイケルかわいすぎるよマイケル」「なぜこれを本編に出さなかった!」とユーザーの血涙を溢れさせたり、恐らく藤間陣の妹であろうサブキャラ・藤間理緒(通称マリオ)がメインを喰う勢いで魅力発揮しちゃったりしたわけで、毎回微妙にどこかがズレているところがアサプロの特徴とも言えます。

 さて、3作目ともなればそろそろ社運が掛かってくる頃合です。前作から1年半、個人的にちょっぴり待望していた新作こそが『アッチむいて恋』――相変わらず脱力するようなタイトルセンスながら、今回はなんと女装潜入モノ。ネタまでどストライクと来ましたよ。CGの塗りも随分と向上して、一瞬「別のブランド?」と目を疑うくらいです。そろそろ体験版が来る時期やろ、と睨み、ここ2週間ずーっと公式サイトを欠かさずチェックしていましたが、20日土曜日になってようやくアップロードされました。ここまでジリジリと待ったのは久しぶりだ。すかさずダウンロードし、速攻でプレーし終えた次第です。いえ、「速攻」というのは気持ち的にであって、体験版のボリュームはそこそこあります。あんまり大きな事件は起きないけれど、だいたいの感触を掴める程度の内容は詰まっております。

 田舎での生活に憧れて、都会の学園から引っ越してきた鳴海浩介――しかし転入先である学園側のミスで、彼の入るはずだった男子寮は空き部屋をつくることができなかった。学園の場所が田舎だけに、都合の良い賃貸物件なんてそう簡単には用意できない。追い詰められた理事長は窮余の一策として、「浩介に女装させて空き部屋のある女子寮に住まわせる」という手を選んだ。完全無欠の暴挙である。事情をよく知らないまま、流されるように女装して偽りの寮生活を始める浩介だったが、さすがに学園でまで女装を続けるのはツラい。干支名真恵(女としての偽名)は理系コースに進んだということにして、自身は文系コースに籍を置き、学園限定ながらも「ごくありふれた男子学生」としての生活を確保する。女子寮の面々は全員が文系コース、それぞれ校舎が違うから「本当は干支名真恵なんて存在しない」ことを知る機会はそうそうない。だが、図らずも浩介は寮の住人たちと同じクラスの所属となってしまったため、彼女たちの前でボロを出さないよう気を配らないといけないハメに陥る。しかも、やはり同じく寮の住人である下級生・八乙女優由に一目惚れされてしまって、状況はどんどん愉快な方向へこじれていく……。

 なんか最近多いなぁ、と感じる女装ネタのエロゲーです。強いて言えば、主人公が「男としての自分」「女としての自分」を使い分ける場面がふんだんに用意されているあたりが特徴か。正確に表現すると女装モノというより二重生活モノなんですよね、これ。女装に関する苦労、たとえば「スカートがスースーする」という戸惑いや「女のフリをしなきゃ」と演技に四苦八苦する過程など、通常の女装モノにおいて醍醐味とされる部分はほとんど割愛されており、驚くほどあっさり順応している。どんなに凝っても女装モノとしては二番煎じにしかならない、と割り切っているんでしょうか。持てる労力のほとんどを「二重生活」に注いでいる気がします。女としての自分、つまり真恵には気安く接してくれるのに、男としての自分、つまり浩介には喧嘩腰で噛み付いてくる……みたいなギャップがなかなか面白い。浩介に対しては心を許さないキャラも、真恵の前ではすっかり無防備な態度を晒しちゃう、ってな寸法でイイ具合に倒錯してます。ヒロインが有する表の顔と裏の顔、両方を隈なく覗けるわけで、プレーしているユーザーの窃視趣味を存分に満たしてくれる。これは擬似的な多視点形式とも言え、「主人公自身の視点で素のヒロインを捉える」試みとしては実に画期的ですよ。設定そのものにかなりの無理があることは重々承知の上で楽しめばいい。主人公の二重生活がバレないことを不思議がるのは、「魔法少女って変身しても見た目で誰かは明らかなのに、友達や家族に正体バレしないのってなんで?」と訊くようなもの。ただ単に「そういうもの」なんです。てか、変身モノでは結構ありがちな状況ですね。変身前のうだつが上がらない主人公には見向きもしないヒロインが、変身後のヒーローとなった主人公にはメロメロ。当然その正体には気付いてない、と。そういう意味ではこのアチ恋、エロゲー版『デトロイト・メタル・シティ』と言えなくもありません。ただ、真恵――女装した主人公は空気同然の存在感であり、透明なカメラアイに近いので、クラウザーさんほどの鮮烈なメタモルフォーゼは期待すべからず。学園生活を送る際は女装しないため、周りから熱い視線を浴びることもないし。

 あれなんですよね、主人公のグラが少ないんで、「女装をしている」という実感がやや希薄。着替えするシーンで「男→女」や「女→男」とスイッチする演出は欲しかった。あと、アイキャッチの挿入が頻繁でちょっとうざったい。現状気になるポイントはこの2つですか。あとは概ね良かったです。攻略可能なヒロインは5名いて、正直に書いてしまえば際立って個性的・魅力的な子はいないけれど、まずまずキャラが立っていて掛け合いも軽快。悪くない感じです。見た目や声で言ったら杏樹(CV.木村あやか)が一番好みなんですが、どう考えても攻略はできんでしょうね……男ですし。まあ仮に攻略可能だったら『アッチむいてゲイ』とか言われて多くのユーザーにそっぽ向かれそうではあります。でも人気投票では真恵と並んでトップを競いそうな予感がする。だってソフマップの特典のクリア下敷き、真恵&杏樹で股間がもっこりダブルじゃないっスか。と書いてから気付いたけど、そういや体験版を公開する前に人気投票やってましたな。調べたら杏樹が1位でした。なんてこった、時代がアチゲイを求めているのか……。

 とまれかくまれ、体験版やってみて期待ハズレじゃなかったことにひとまずホッとしました。無茶苦茶面白い、というほどでもないのだけれど、これだけやってくれれば充分かな、と。アサプロもいい加減本気を出してきたようだ。出さなきゃヤバいでしょう。「絶対予約に来てよお兄ちゃん! じゃないとブランドが潰れるー!」とか、ネタに見せかけて結構マジなんじゃないか。むしろこのアチ恋までブランドが保っていることが驚異的だったりする。『めいくるッ!』の体験版やったとき、「いろいろと荒削りなところが目立つけれど、このまま成長していけばいずれ一廉のブランドになれるやもしれん……成長し切る前に潰れそうな気もするが」と思ったものでした。懐かしい。ここが正念場であり、言い方は悪いですが、もしコケればアサプロ最後のソフトになりかねないので、積む可能性なんか考慮しないで買っちゃおうぜ――と物欲の魔物が囁きかける。なんだかんだで気になるところなんですよ、ASa Project。購入するかどうかについてはもう少し検討を重ねて答えを出していきたい。余談。かぐやが手を頬に当てて微笑している立ち絵、制服の影とボタンの位置が絶妙なせいで、左手が穴開きロングナイフを逆手で構えているように見える……あと理事長のセリフ回しは芸術的に腹立たしい、一つ言葉を聞くたびにイライラが募って○したくなる。それはもうグッチョングッチョンのグチャグチャに。体験版を終える頃には嫌悪を通り越して仄かな愛情が芽生えてきた。愛憎は容易く反転するという模範的な例。

・拍手レス。

 第五のスワスチカ(cross days)の解放・・・さらにエロゲユーザーが死を想うことで、黒円卓の大隊長が三人が出てこれるわけですが、いったい何が始まるのやら・・・・・・
 「エア箒」という名の聖遺物まで出現しましたね。

 そういえば、何時の間にやら村正の人気投票終了してますねー。賞とった作品はどれも力作ですし、良いイベントでしたな
 さすがに長すぎてちょっとダレましたが……投稿作品が力作揃いだったおかげもあって付いていけました。

 獅子の門新刊読んだけど、相変わらず風呂敷を畳む気配は微塵もないなぁ。また新キャラ増えたし。というか、キャラが増えすぎて「五人の若き獅子たちの群像劇」から離れてきてる気もする。面白いけどね。
 あとがき見たら「次巻で『獅子の門』完結の予定」と触れているものの、あんまり信じる気になれませぬ。

 クロスデイズが、スクールデイズとはまた別の方向性で伝説作っちゃいそうな勢いらしいですよ。……なんかもう、あのメーカーはどこを目指しているんだ。
 0verflowが狂しておられるのは仕様です。


2010-03-18.

・長月みそか久々の新作『少女素数(1)』が素晴らしいロリコン漫画で満悦している焼津です、こんばんは。

 あんずとすみれ、二卵性の双子が過ごすキャッキャウフフまみれの日常を巧みな筆致で描いた純然たる少女崇拝コミックです。ふたりは中学校に上がったばかりの12歳で、振る舞いが実年齢よりも幼く、色恋沙汰にもあまり興味がない。妖精のような「可愛さ」を振り撒く妹たちを眺めて、「もうちょっと歳相応になってくれたら……」と思いつつ、心のどこかで「今」が続くことを願っている主人公はプラトニックとはいえ真性のロリコン兄貴。時よ止まれ、少女は美しい。直接的なお色気要素は乏しいし、具体的なストーリーも用意されていないので「ここが良い」とハッキリした長所を指し示すのが難しい作品だが、待っていた甲斐のある出来ではありました。路線としては『苺ましまろ』に近いところがある(キャッチコピーが「『かわいい屋さん』営業中。」)ものの、異性の存在がほぼゼロだった『苺ましまろ』に対し、兄や小学校時代の同級生などといった男キャラが出てきて友人の女の子と三角関係に陥ったりする『少女素数』は「幻想と現実のはざま」を描き出そうとしているような雰囲気だ。夢はいつか醒める。少女もいつかは大人になる。絶えず失われゆくものに延々と恋をし続ける「ロリコン」という矛盾への讃歌であり、喪失を担保とすることで何が見えてくるかを問い掛ける挽歌でもあり。タイトルは「双子素数」も意識しているのかしら。「素数は孤独」という従来のイメージを覆し、輝く日々に暮らす「孤独ではない素数たち」を想い描かせてくれます。ただ、三角関係とか出てくる割にさしてドロドロしないので、現時点じゃなんか中途半端というかどっちつかずな印象が付き纏いますね。2巻以降でどう転がるか、楽しみにしよう。

早川書房、アガサ・クリスティー賞制定

 新人賞ということで、これから作品を募集するみたい。ハヤカワといえば、ポケミスの表紙を描いていた洋画家・勝呂忠が死去したそうです。最近のハヤカワは訃報が多いな……。

OVERDRIVE『DEARDROPS』、体験版をプレー。

 元バイオリニストの主人公がギタリストに転向し、曲者揃いのメンバー集めてバンドをやる青春エロゲーです。OVERDRIVEというと、やはり同じくバンド物の『キラ☆キラ』を思い出しますが、瀬戸なんとかさんは引退したので当然シナリオライターも違う人がやっている。那倉怜司――ErogameScapeで調べても関与したソフトが『DEARDROPS』しか引っかからないところからして新人? OVERDRIVEのスタッフ日記によれば「あ、そうそう今まで非公開になってたDEARDORPSの脚本ですが、別に意図的に非公開にしてた訳ではなく、単純にPNが決まらないというなんともなさけない理由で非公開にしてましたが、無事に決まったそうです。」とのことで、可能性としては「PNすら決めてなかったまったくの新人」か「前歴を明かしたくない既存のライターの変名」かの2つに絞られます。読んだ感じからして、少なくとも瀬戸なんとかさんじゃないことだけは確かです。彼にしちゃテキストがあっさりし過ぎている。原画は『キラ☆キラ カーテンコール』にも参加した藤丸。なので『キラ☆キラ』→『キラ☆キラ カーテンコール』→『DEARDROPS』の順でやってると馴染みやすいかもしれませんが、『キラ☆キラ』から直に来ると違和感があるかも。あくまで同一ブランド、同一ジャンルというだけであって、『キラ☆キラ』は無関係――と割り切った方がすんなり楽しめそうです。

 先述した通り、テキストはかなりあっさりしている。派手さ、華やかさに欠ける反面、変に崩れたところがなくて読みやすいし分かりやすい。退屈を覚えるようなダラダラしたところはなく、むしろサクサクと足早に話を進めます。まず感じるのは「エロゲーにしてはテンポが速い」ってことですね。日常描写がほとんど削られていて、本筋に関係した遣り取りと思考ばかりを取り上げているので、良く言えば「無駄がなくストレスも溜まりにくい」、悪く言えば「ちょっと余裕がない」。主人公が「バンドをやろう」と思い立ち、メンバーを集める……という部分に狙いを絞って進めているため、それ以外の要素は自然と端折り気味になっており、たとえば主人公は幼馴染み一家の暮らすライブハウスに住み込みで働いているのに、「一緒に生活している」と実感させるイベントが僅かな量しかありません。朝起こされるのも序盤だけですし、エロゲーにありがちな団欒シーンも概ね省略されている。なのでどうしても物足りない箇所が生じてくるのですけれど、「ありがちなイベント」をオミットしているおかげで素早く話が進んでいくメリットもあり、なんつーか一長一短ですね。一緒に住んでいる幼馴染みの「かなで」が不思議なくらいボンヤリと影薄い反面、なかなか主人公になびかない「律穂」はくっきりと程好い存在感を醸している。これがもっといろいろ書き込んでいるタイプのシナリオだったらたぶん途中で間延びしてしまい、いつまで経っても色好い返事をしない律穂のつれなさに焦れてとてもイライラしていたことでしょう。テンポの速さが律穂に利をもたらしていることは確定的に明らか。その分、かなでが割を食っていますけどね。

 声なし、余分な日常描写もなしという非常にストイックな体験版のくせしてプレー時間は2、3時間ほどあり、ストーリーは予想以上に動いた。主人公の過去に関しては仄めかす程度に留めており、製品版でいろいろとほじくり返す予定なのだろうが、体験版としてはこれだけ見せれば充分だろう。瀬戸口廉也が去った後だから最初はスルーするつもりで、けれど絵柄が好みだったから「体験版だけやってみようか」と思い直して……と、あまり期待せずにプレーしたおかげもあってか、肩肘張らず素直に楽しめました。他者への怒りではなく己自身への怒りを基調にして成長する主人公にも好感が持てるし、存外悪くないんじゃないだろうか。「悔しい、こんなところじゃ終われない、だからやるんだ。誰にも負けるつもりはない」って感じ。見た目に似合わず熱い奴だ。ただ、「キャラクターの魅力」や「ストーリーの面白さ」よりも「小気味良いテンポでの進行」を頼りとしている話なので、体験版以降もうまく盛り上げていってくれるかどうか少し心配だ。「共通ルートは楽しいが個別ルートで崩れ始める」というパターンに陥ったりしないかしら……。

・拍手レス。

 天守閣を粉砕しながら、「今川雷蝶 見参!!」とかいってBASARAに参陣する雷蝶閣下が見えた。そして今川義元と麿同盟を組むとか。
 しかし、「お間抜けな麿キャラ」ってのは、やっぱりBASARAとかの今川義元から来てるのかね、雷蝶閣下。本来の今川義元は、東海一の弓取りとも言われた文武に長けた名君だったらしいのに。信長にうっかりやられたせいで……。

 歴史上で印象的な敗北をしたキャラは死んでもネタにされ続けますから……「ブルータス、またお前か!」の世界。

 propellerの体験版の容量は毎度の事ながら胸がときめきますな…
 最近はもうギガ超え体験版が珍しくなくなってきましたな。

 シャーロックホームズは推理なんて飾りだぜ!!といわんばかりの後付け早送り超推理が逆にすがすがしかったです。(以下ネタバレなので反転お願いできますか?)検死の時に首に紐跡ついてなかったらバレルやろ、と胸中でつっこんだり。でもアクション映画として充分おもしろかった
 推理モノにしてはアクションシーン多すぎ。だがそれがいい。


2010-03-14.

『魔王』コンビが放つ新作『Waltz(1)』を事前情報一切抜きで読んだら、蝉がヒロインになっていて仰天した焼津です、こんばんは。

 もちろん正確に書けばヒロインじゃなく主人公なのですが、あまりにも可愛すぎてヒロインにしか見えません。血まみれの顔で睨み上げながら「今回だけだ!」と強弁する姿に胸がキュンと来た。今回は『魔王』の4年前を舞台とする「伊坂幸太郎オリジナル原作」って売り込みですが、後半で『Story Seller』所収の「首折り男の周辺」が絡んできます。あの短編、一応読み切り形式にはなっていましたが、若干謎が残る状態で終わっていましたから『Waltz』でそのへんスッキリさせてくれるのではないかと期待している。

light、『PARADISE LOST』のダウンロード販売を決定

 ソースはwebラジオ。2004年1月、Fateが発売する直前に出たソフトであり、今回フルボイスになるみたいです。パッケージ版で大々的に売り出すつもりはない、と前々から語っていたのでダウンロード販売オンリーなのは予定通りと言えますが、やっぱりファンとしてはパッケージ版で欲しかったですね。そして発売前に配布された小冊子とテックジャイアン掲載の番外編も収録してくれたら言うことなかったなぁ。

Fizzの『さくらテイル』、朋乃ルート追加シナリオは4月9日に公開

 そういえば『さくらテイル』のアレはどうなったんだろう、とふと思い出してぐぐったら少し前に告知が出されていたみたいです。朋乃というのは攻略可能なヒロインの一人で、一応ルートは元の製品版にも実装されていたらしいけれど、終盤付近でキングクリムゾンが発動し、「なんでこうなった?」と訊きたくなるワケの分からない展開に突入して有耶無耶なまま終わってしまったそうです。発売が去年の10月末でしたから、約4ヶ月間に渡って追加ルートを制作した勘定になりますか。そしてここはそろそろ26ヶ月……段階的に成果を発表しているのでちょっと違う気もしますけれど、それでもまだ作り直し作業が終わらないことに驚くばかり。『Garden』の情報が出始めたのって確か2006年頃でしたよね。なかなか動きがなくて、最初から難航が予想されたタイトルではありました。2007年のスタッフ日記を漁って

Gardenのページ…

情報が無いんじゃなくて出すタイミング計ってるだけだよ!
半年ぶりに召還されて最初に書くのが言い訳という
無様なトノイケです。

 という記述に直面し乾いた笑いが漏れるのは仕様でしょうか。トノイケもまさかこの後ずっと言い訳街道をひた走り続けることになろうとは思ってなかっただろうな。

・DVDで『キサラギ』という邦画を観ました。

 「比較的最近の邦画で面白い奴ってない?」と訊ねて「これ」と推された一本です。ピンク色のパッケージにちょっぴりヒきましたが、観てみたらこれがまた面白ぇでやんの。如月ミキという売れないグラビアアイドルが不審な死を遂げてから一年。僅か5名のファンが寄り集まり、ひっそりと彼女の一周忌を行う……はずだった。最初は和やかに彼女のグラビアを鑑賞していた彼らだったが、やがて参加者の一人が決然とした表情で言い放つ。「彼女の死は自殺なんかじゃない。誰かに殺されたんだ」と。かくして密室を舞台にした推理合戦が幕を上げる。てな具合で、5人それぞれが少しずつ情報を出してまとめていくうちに真相らしきものが見えてくる、地味っつーかストイックな路線の限定状況サスペンスです。イベントの回想や推論の再現VTRといったものがちょくちょく挟まれるけれど、本編のほとんどは一周忌会場で進行しますから「これ相当制作費安かっただろうな」と邪推してしまう。密室で意見を戦わせる『十二人の怒れる男たち』みたいなフェチいシチュエーションが大好物って人間にはたまらないでしょう。実際当方もたまらなかった。好きなんですよねぇ、こういう『そして扉は閉ざされた』系の話。あっちと違って切羽詰まった状況での推理劇ではありませんが、2時間近くをたっぷり最後まで楽しませてくれるだけの面白さは詰まっており、まことに満足いたしました。

 「おバカなコメディ映画だろう」と先入観を抱いていたのに、サプライズに次ぐサプライズで、最後あたりはちょっと感動してしまいましたよ。伏線の張り方が丁寧すぎるため展開はある程度読めてしまうのですが、読めてなおジーンとしちゃう。「D級」とまで言われる木っ端アイドルを、死後1年も慕い続けていられるファンの気持ち――思いを馳せて目頭が熱くなりました。全編に漂うチープさがイイ感じに心を弛緩させてくれます。いくらなんでもみんな反応が軽すぎね? という場面もいくつかありましたが、シリアスすぎてもバランスが崩れてしまうだろうし、そこらへんは仕方ないのかもしれない。ともあれ、邦画も悪くないと思いましたので、今後もちょくちょくチェックを入れることにします。ちなみにノベライズ版ドラマCD版もあって、これらでは結末が変わっているとのこと。気になるのでそのうち手を伸ばすかもしれません。

・それとガイ・リッチー監督の新作映画『シャーロック・ホームズ』を劇場で観てきました。

 ホームズ物としてはそこそこの面白さ。全編通してやたらとアクションシーンが豊富だったこともあり、退屈はしなかったです。ホームズは原作でも「バリツ」という謎の格闘技の使い手で『シャーロック・ホームズの決闘』『バトル・ホームズ』といったパスティーシュ(贋作)まであります(ちなみに大槻ケンジもバリツの研究をしており、「僕はバリツと出会ったブルース・リーがやがてジークンドーのコンセプトにたどりついたのではなかろうかとの妄想を抱いていて、これもいつか小説にする予定」と語っている)から彼自身が超つおいのは別に不思議じゃなかったけれど、釣られてジュード・ロウ演ずるワトソンまで冷静沈着な武闘派ドクターと化していたのには噴いた。仕込みステッキから抜刀して悪漢どもをズバズバズンバラリと斬り伏せるシーンなんざカッコ良過ぎて笑いを堪えるのに必死。これはもうワトソンじゃないよ、座頭ソンだよ。「M」の人は今回チラッと出てくる程度で、本格的な出番は次以降となるみたいです。随分と好評らしいし、このままシリーズ化するつもりなのかも。このホームズとワトソンで『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』やってくんないかな。無理か。

・拍手レス。

 冲方丁ブームが来ていて嬉しい限り。マルドゥックがアニメ化とか今でも夢じゃねえかと思っています
 マルドゥックのアニメ化は一回流れましたからね。

 「そういえば昔ルーン文字入りのシルバーアクセ買ったなぁ」と思い掘り出してみたら・・・「EOLH=保護」神父かよ
 神父は保護する側というより「保護されているッッッ!」側。全ルート満遍なく見せ場があるなんて美味しすぎだろ。


2010-03-10.

・「野獣死すべし」と「リア充死すべし」は響きが似ているな、と思った焼津です、こんばんは。なぜ唐突にこんな書き出しかと申しますと、さっき読んだ『鉄風』のヒロインが「私は充実している人間を――許さない!!」と鼻血垂らしながら三白眼で怨嗟する非充実っ子だったからです。

 『鉄風』は“good!アフタヌーン”に連載されている女子総合格闘技マンガで、つい先日に1巻と2巻が同時発売されました。1・2巻の同時発売って最近多いですね、『サヤビト』とか『スプライト』とか。ともあれ、『鉄風』。ヒロインの夏央(なつお)は身長182cmの女子高生で、開始時点ではバレー部員でしたが、生まれつきの才能からあっさり上達して周りを追い越してしまったため、「退屈」すら通り越して「寂しさ」さえ覚えています。そんな彼女は「格闘技部」の設立を目指す眉毛太女と出会い、自分が「努力」できる場所を、そして充実に満たされた人間を狩れる世界を求めて動き出すが……といったストーリーです。つまり、1巻の表紙を飾るデカ女と2巻の眉毛太女がライバル関係となるわけですが、他にもいろいろとキャラが出てくることもあって眉毛太女ことゆず子の出番は案外と少ない。作中でも「最近影薄いからね…」と軽い自虐ネタが出てくる。けど、キャラとして魅力的なのは圧倒的に夏央の方なので、今のところ問題ありません。パッと見では華のない、地味な絵柄に映りますけども、厭味を言うときの表情や凄んだ顔の描写は卓越しておりゾクッと来ます。寸止めしてきた相手に向かって「当てないのォ?」と嘲る夏央が心底厭らしい。普通のマンガなら絶対に悪役です、この娘。数少ない友達にも「ナッちゃんって性格悪いよね」と笑顔で指摘されてショックを受けたりします。夏央以外も「ヨク……表ヲ出歩ケマスネ」「日本ハ恥ノ文化ト聞イテイタが ドウヤラ違ッタヨウダ……」と極悪発言。アクション描写は躍動感が豊富で抜かりない仕上がりとなっていますし、スポ根とか熱血とかいった路線が好きな方には是非オススメしたい。ナチュラルに根性ひん曲がったヒロインに惚れろ。個人的にゃ夏央よりも、噛ませ臭全開の我如古舞が好きですけどね。「畜生!! 畜生!!」と地を這いながら血を吐くようにひしりあげる姿――股ぐらがいきり立つ。まったくもって興奮せざるをえません。

速筆ライトノベル作家(Matsuの日記)

 榊一郎の生産力が図抜けてますね……04年〜09年の6年間で70冊、ページ数に換算して21,854とは。さすが「工場みたいな作家」と言われるだけのことはある。一方で日日日の成長も目覚しい。十文字青はここんところほぼ毎月名前を見ている気がしていましたが、やはり10冊超えを達成していたのですか。あと表を見て意外だったのは、成田良悟の名前が総ページ数の方で一度しか上がっていないこと。速筆家のイメージが強かったけれど、改めて調べると年間刊行数は6冊が最高記録でした。それでも速いことは速い。こういうのを見るにつけ、遅筆ライトノベル作家の存在を思い出して切なくなりますね。『七姫物語』の6巻はいつになったら出るんでしょう、そろそろ頃合ではないかという気がしますけども。あ、そういや『ウィザーズ・ブレイン』の新刊は5月に来るみたいです。

AXLの『かしましコミュニケーション』、体験版をプレー。

 のんびり体験版をやっているうちに製品版が発売されてしまって、完全に乗り遅れましたが、細かいことは気にしない。OHPで繰り広げられた嘘予告集も相変わらずの面白さで堪能させてもらいました(レールガンからイデオンに繋げたり、ヒロインの顔を最凶死刑囚にしたりとやりたい放題で抱腹絶倒)。さて、かしコミはAXLが制作した7本目のエロゲーとなります。このブランドは一貫して「瀬之本久史」が原画を担当していますが、シナリオライターは交替制であり、「北側寒囲」と「長谷川藍」のふたりが交互に書いています。今回は奇数回なので北側担当。この前の北側担当ソフト(つまりAXLにとって5本目の奴)は異世界ファンタジーだったけれど、王道路線に復帰した方が得策と見たのか、今回は割とフツーの学園モノとなっています。テーマは「異文化交流」。外国人と異文化交流したい、と願う主人公は喜び勇んで「異文化交流研究会」に所属したものの、いつしかそこは「幽霊と異文化交流したい」「宇宙人と異文化交流したい」「古代文明と(以下略)」などとのたまう変人の巣窟と化していった。他の学生たちから「オカルト系サークル」との勘違いを受けて敬遠されており、主人公が求める意味での異文化交流は夢のまた夢という状況に陥る。しかし、休日に異国の少女と出会い、彼女が転入生として同じクラスにやってきたことから彼の物語は大きく動き出す……と、こんなストーリーで、異世界ファンタジーや女装潜入アクションを手掛けてきたAXLにしては非常に地味なコンセプトと言わざるをえない。これがAXLのソフトじゃなかったら、そもそも注目することすらなかったかもしれません。

 体験版の範囲は「休日に異国の少女と出会い、彼女が転入生として同じクラスにやってきた」ところまで。時間にして1時間ちょっとかな。長大化が進む昨今のエロゲー体験版と比べればやや短めながら、だいたいの雰囲気を掴むのには持って来いだ。これ以上長くなるとダレるかもしれないので、ちょうどいい区切りでありましょう。ヒロインは4人、幼馴染みの純と、研究会の創設者にして前会長(現会長は主人公)の円、下級生の無表情巫女・榛名、そして「異国の少女」エスト。面白みに欠ける反面、とても手堅い鉄板の布陣であります。ストーリーの特徴はなきに等しいにせよ、これらのキャラが集まってワイワイやってるだけで単純に楽しい気持ちになってくる。お風呂に身を浸す気分、とでも言えばいいのか。身も蓋もないけれど、ほぼ「ヒロインたちの可愛さ」だけで保っている話って印象です。そしてエロゲーとしては、それで充分極まりない。声も全員合っていてピタッとイメージに重なりますし、「AXLの安定感マジ半端ない」と実感いたしました。

 既に発売済なので各所の感想をザッと拾ってみたところ、やはりネックになっているのはシナリオか。「キャラゲーとしては悪くないが……」みたいな論調が目立つ。過剰な期待さえ抱かなければそこそこ楽しめる出来、という評価に落ち着いています。思ったより良い感触だったので暇があれば製品版もプレーしてみたいが、たぶん買っても積む可能性が高いので、「いずれ購入するつもりリスト」にタイトルだけ記載しておいて満足するとしよう。積読や積ゲーが増えるのは結局物欲に負けてしまうからであり、「買ったつもりになって満足する」というスキルは案外重要です。ただし、一定以上のストレスが溜まると憂さ晴らしのためリストに記載された商品をまとめてガーッと衝動的に買い込んでしまうこともあるので注意。当方もそれで何万円飛ばせてしまったことか……。

・拍手レス。

 錆白兵はグリリバボイスでときめいちゃう…
 「製品版は特典として錆白兵戦を完全収録! ブルーレイで拙者にときめいてもらうでござる!」という妄想CMがグリリバ声で脳裏をよぎりました。

 錆白兵、アニメだと二話でチラッと出ますね。無条件でイケメン判定したくなるこの声は…………グリリバ?
 アニメ見てないから知りませんでしたが本当に出ていたんですか……だとすると予想を裏切って4話目にまともな出番があるのかもしれませんね。


2010-03-06.

・待ち焦がれていた『Dies irae』の粗品が遂に家へ届いた焼津です、こんばんは。

 これは「事前登録キャンペーン」という、クンフト発売前に07年版購入者のみを対象として行った企画のプレゼントです。まだクンフトが出る前だったこともあってlightに対する不信感が強く、最初は応募を躊躇っていましたが、〆切直前になってようやく駆け込み、ギリギリで間に合いました。確か去年の5月か6月頃に受付していたはずなので、軽く10ヶ月近く経ってますね。「完全版(ファーブラ)を出した後に制作・発送する」という話でしたから半年程度待たされるのは仕方ないにしても、まさか今年の3月までズレ込むとは予想してなかった……と言いたいところだが、「lightなら充分ありうる」と思ってました。

 内容は2点、盤面のイラストがオリジナルな完全版ディスクと、「Dies irae Fan Book」と称された小冊子。アペンドどころかファーブラの初回版(メーカー希望小売価格、税込で12390円)まで購入している当方にはいささか無用の長物である完全版ディスクはともかく、ファンブックの方は正田のコメントが載っているということでそこはかとなく期待を寄せていました。このファンブック、概要を説明いたしますと、表紙を除いた中身が12ページあり、正田含む12名のスタッフがコメントやイラストを寄せています。Gユウスケは表紙イラスト描いたから免除、とのことでコメントなし。見た目はパンフレットと申しますか、ちょっとペラい同人誌といったところ。表紙はカラーながら中身はモノクロなので、イラストやCGが若干見辛いところもあり。シュピーネ率の高さに笑えますが、最大の見所はなんと言っても正田のコメント。どうでもいい雑談みたいな砕けた冒頭に和む。首領閣下は『黄昏乙女×アムネジア』の3巻を熱望しているらしい。サントラのボーナストラックで玲愛ルートアフターのシナリオを書いたから、ファンブックの方ではマリィルートアフターを……と重大なネタをあくまで「妄想」としてサラッと明かしている。ネタバレなので伏せますが、マリィルートは50年くらいして黒円卓を始めとする転生組が不老不死化した蓮と合流、そこからどれほど時が流れるかは不明ながら、やがて女神の治世を脅かす事態――「天狗道」なる理を有した流出者が現れ、Diesキャラ全員と壮絶なバトルを繰り広げた末に相討ち、「こんな展開認めん」と永劫回帰を流出させたメルクリウスにより白紙に戻る、玲愛ルートではその可能性を取り除いたため天狗道は流出しないという設定になっているそうな。つまり、日本神話をベースにした次回作は「もしDiesキャラが敗北して天狗道が流出したら?」ってな一種のifストーリーに位置付けられる模様。パラロスとDiesはダイレクトに繋がっていますが、Diesと次回作は部分的に繋がりを持っている状態で、「次回作の世界に至らない可能性」もキッチリ残るみたいです。そういう意味では救いがある、と言えなくもないが……おかげでますます「永遠のツォアル」がプギャーな感じになってしまった。可能性すら残せなかったサタナイル、哀れ。次回作は「古事記、日本書紀、御伽草子、万葉集、源氏物語を通読すると面白いかもしれません」だそうだ。コッテコテの和風伝奇をかましてくれるものと期待しています。

【弓弦イズル】MFJ文庫が勝手に著作の中文版を契約しラノベ作家激怒

 出版界はもともと契約に関してルーズな傾向が強く、やたらとトラブルが絶えないとは聞きますが……清水文化の気象精霊記や浅井ラボのされ竜といった過去の事例から考えるに『IS』は今月出る4巻で一旦停止して、その後問題の転び方次第ではどこか別のレーベルで再開に向けて動くことになるのかも。ハーレムものながら読みやすくてそこそこ好きなシリーズだけに、今後が心配されてやまない。

冲方丁が『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞を受賞

 久々のハードカバー復帰作で見事に返り咲きました。ちなみに同時受賞した池井戸潤は乱歩賞を獲ってデビューした作家であり、そのときは福井晴敏と同時受賞でした。『果つる底なき』『Twelve Y. O.』、今見ても対照的な二作です。池井戸も福井も乱歩賞受賞作は「パッとしない」と低評価、「どうせどっちもすぐに消える」とこき下ろされましたが、紆余曲折を経てそれぞれの地位が確立されている現在の状況を思うと実に感慨深い。冲方丁も受賞後第一作の『ばいばい、アース』で商業的に失敗し、危うく「消えた作家」になりかけましたが、約10年ぶりのハードカバーでこうしてリベンジすることができたわけで、なんとも喜ばしい。

越前魔太郎の“冥王星O”シリーズ、来月から講談社とアスキー・メディアワークスで併走開始

 「謎の覆面作家」という扱いですが、「冥王星O」ってタイトルの時点でファンにはバレバレですよ……舞城王太郎がメフィスト賞を獲ってデビューする前に「海王星D」や「大爆笑カレー」、「ルンババ12」ってなふざけた名前の探偵がずらずら出てくる作品を次々と応募して編集部を困らせていた話は有名です。ルンババ12は『世界は密室でできている。』に登場していますね。大爆笑カレーも『ディスコ探偵水曜日』に出たらしいが、そっちはまだ読んでない。「舞城と思わせて別人」「舞城は原案だけで、執筆には複数の作家が関わっている」など、様々な説が入り乱れていますが、個人的には舞城と決め込んで買わせていただく。4月から8月までの4ヶ月間で既に7作もの予定が立っている(うち1つは雑誌掲載なので短編?)らしく、これは追う方も大変ですな。タイトルはスー・グラフトンの“キンジー・ミルホーン”シリーズを彷彿とさせるが、果たしてアルファベット26文字をコンプリートするつもりなのかしら。インタビューは「Q 「講談社ノベルス」と「電撃文庫」、ふたつのレーベルの印象を教えてください。」「A ふん……。「講談社ノベルス」はなんか高いな。値段が。どうにかしろ。あと「電撃文庫」はなんでもアニメとマンガにすりゃあいいってもんじゃねぇ。いい加減にしろ。」が率直すぎて噴いた。

『ロスト・シンボル』も出たことだし、そろそろラングドン教授シリーズを崩さなきゃ、とダン・ブラウンの『天使と悪魔(上・中・下)』一気読み。

 ロバート・ラングドン教授を主人公とするシリーズの第1弾です。ヴァチカン市国が舞台で、コンクラーベが行われるなか終始目まぐるしく変転する物語を紡いでいく。文章が非常にあっさりしているうえ、開幕早々科学研究所にイルミナティの焼印を押された死体が転がるチープな場面を挿入することもあって、読み始めた当初はハッキリ言ってあまり面白くないと思いました。が、100ページも進めばノリに慣れてくる。なので、あとの800ページくらいはガーッと遅滞なくページをめくることができました。息つぐ暇もなく展開されるジェットコースター式タイムリミット・サスペンスと、映像化されることが前提であるような激しいアクションの数々。ハリウッドの大作映画をそのままノベライズしたかのような雰囲気で、あちこちに「ラドラムの亜流」と謗られても仕方ない面が覗くけれども、美術薀蓄を交えつながら陰謀史観的なストーリーをテンポ良く刻んで加工する手際は堂に入っており、「期待していなかった割には結構面白かった」というのが率直な感想です。冒険小説好きの間でクソみそに貶されていたから長らく積んでいたものの、これならもっと早く手を付けておいても良かったかな、と軽く後悔する次第。全体にそこはかとなく漂うチープさ、トンデモ臭をグッと飲み干すことができれば充分に楽しめる出来であり、やはり食わず嫌いは良くないと痛感しました。それにしても、美術史の教授にしちゃ活躍がハードすぎるだろ、ラングドン……終いにゃこいつが長閑に講義をしているシーンの方に違和感を覚えるようになったわ。

・拍手レス。

 『素晴らしき日々 〜不連続存在〜』 の主人公が女性なっていて驚愕 水上行人はかなり好きだったので残念なのですが 水上由岐かなり好みなので倒錯した楽しみがありそうです 願わくば出てください 『陰と影』の時にも狂喜したんだよなー
 由岐はかわしまりのの演技がハマっていて良い。当方は一旦見送ってから評判待ち、シナリオの評価が良さげなら夏あたりに購入するかも。

 初めましてDies iraeのレビューや沃野に感激して、日記何かを見るようになりました。紹介されていた機巧少女を読んでみたのですが
 すみません、途中で送ってしまいましたorz、機巧少女についてなんですが、妹が鬼刻街のルイリーのように自作自演しているとしか思えません、実はマグヌスの方が人形とか、まあ結局キモウトばっちこいと言いたいだけなのですが…

 はい初めまして。妹は回想シーンですらろくに出番がないから今んところ何とも言えませんが、「兄の抱く妹像」とはかけ離れている予感がしますね。妹と夜々の直接対決は是非とも見たいけれど、果たして実現するでしょうか。

 戦国BASARAの世界に村正があっても、正直使い道がなさそうだな。戦場に出したら、返す刀で味方も大虐殺だし。あの世界なら、生身で劔冑と渡り合う人間なんぞゴロゴロいそうですけど。
 あるいは今川雷蝶閣下が華麗に参戦とか。あの人もBASARA世界なら違和感がない。

 お久しぶりです。「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」を葱のSS投稿スレに投下されてた頃に、それを横目で拝見しながら投稿していた松波という者です。一度ご挨拶させていただいたことがあります。ERO-GAMERSというラジオで『Dies irae』を取り上げることになりまして、焼津さんの『Dies irae』への愛を拝見し、もし宜しければ是非ご参加いただけないかと思い、ご連絡させていただきました(詳細はこちら:http://d.hatena.ne.jp/catfist/20100228/p1)。直前のご案内で大変恐縮ですが、ご検討いただけましたら、幸いです。何卒宜しくお願いいたします。
 あー、もう過ぎちゃってますね。すみません、最近は更新直前にしか拍手コメントを確認しないもので……。

 刀語のアニメが面白いそうですね。まだ見てないけど。とりあえず、オマケ扱いでいいから、錆白兵について描写してくれないかしら。
 錆白兵は予告編だけで大活躍しそう。


2010-03-01.

・更新をサボった途端に読む本の量が増加した焼津です、こんばんは。2月に読んだ本(マンガ除く)の冊数はざっと数えて1月の2.5倍。正月休みがあって更に3日も多いという、2月に対する1月の二重アドバンテージをあっさり覆す結果――心底おののくばかり。1月はDiesの感想書くためにファーブラ再プレーして本を読む暇が取れず、2月はWA2が延期してエロゲーやる気失せ読書に専念したって事情もありますが、よもやここまで差が出るとは思わなんだ。今後もどんどん秘技「更新サボり」を駆使して積読を消化していきたいです、まる。

・今月の購入予定。

(本)

 『死者の名を読み上げよ』/イアン・ランキン(早川書房)
 『猿の詩集(上・下)』/丸山健二(文藝春秋)
 『少女素数(1)』/長月みそか(芳文社)
 『獅子の門 人狼編』/夢枕獏(光文社)
 『虚偽街頭漂流記(仮)』/寵物先生(文藝春秋)
 『北神伝綺』/大塚英志(角川書店)

 『死者の名を読み上げよ』はリーバス刑事シリーズの最新刊。長編作品としては16番目に当たります。前作から4年以上も放置されていたんで「翻訳中止なのか……」と諦めかけていた。そこにこの吉報。ファンとしては狂喜せざるをえない。イアン・ランキンはスコットランド生まれの作家であり、一匹狼の刑事にして人生の敗残者、ジョン・リーバスを主人公としたシリーズで当方の心を掴みました。昨今の海外ミステリ市場はお寒くなる一方であり、他にもいろいろと続刊が出るかどうか危ぶまれるシリーズが山ほどありますけど、明日を信じて強く生きてゆきたい。『猿の詩集』はマルケンこと丸山健二の新作。タイトルがタイトルだけにガチで詩集かな、と勘繰りましたが、紹介文からしてどうも小説みたいです。「老いた白猿の肉体に呑み込まれた兵士の魂が、戦後日本の変貌を目撃し、詩人の魂が「猿の詩集」を編む」ファンタジーなんだそうな。ちなみにこの作品は氏の代表作『争いの樹の下で』とも繋がりがある(こちらにも「白毛の老猿」が登場する)らしく、予習のために『争いの樹の下で』を読み始めましたが、刊行されるまでに読み終えられるかどうか微妙なところ。『少女素数(1)』は長月みそか久々の新刊。当初は絵柄が好みにフィットしないで避けていましたが、なんとなく読んでみて「単なる食わず嫌いだった!」と悟り、一転してジャストフィットしたにも関わらず、ずーっと新刊が来なくて待ち惚けを喰らっていた次第です。タイトルだけは聞き及んでいましたので、新刊情報に『少女素数』の四文字が載っているのを確認したとき、思わず漏らしそうなくらいの嬉しさが込み上げてまいりました。内容は一切知りませんが、構うことはない。存分に買おう。

 『獅子の門 人狼編』は未完の長編が多すぎる夢枕獏の、これまたやっぱり終わる気配が全然ない格闘ロマンの最新刊。前巻『雲竜編』から既に4年が経過していますが、もっと長く中断していた時期のあるシリーズゆえに、出るだけ僥倖です。本音を申せば2年に1冊くらいのペースで安定してほしいんですけどね。この『獅子の門』、主人公に相当するキャラクターが5人もいるせいで誰が誰に勝つんだかさっぱり先が読めない。『餓狼伝』とはまた違った味わいで楽しませてくれる。つーか、『餓狼伝』の方はどうなってるんでしょう。『新・餓狼伝』が始まったは良いものの、こっちもこっちで3年以上新刊が発売されておりませんよ。夢枕獏だから仕方ない、と言ってしまえばそれまでですが。『虚偽街頭漂流記(仮)』は台湾のミステリで、第1回島田荘司推理小説賞を受賞しました。寵物先生は「ミスター・ペッツ」と読む。「虚偽街頭」は英語に直せば「バーチャル・ストリート」であり、要はネット上を主な舞台にしたミステリであるらしい。島田荘司曰く「似た作家は日本にはいない」。アジアのミステリを集めた「アジア本格リーグ」が気になりつつ手を伸ばしかねていたこともあり、「まずは島荘イチ押しのこれを読んでみて、それからどうするか考えよう」と決めたわけです。島荘の推薦に釣られて読んで苦い思いをした経験は結構あるのだけれど、それでもついつい信用してしまう。つくづく当方は学ばぬ道化である。『北神伝綺』は同題漫画の小説版です、たぶん。民俗学を題材にしており、『木島日記』『八雲百怪』へと続く三部作の第1弾でもあります。Wikipediaによると漫画版のノベライズで“メフィスト”に連載されたものと“ザ・スニーカー”に連載されたオリジナルストーリー、2種類の小説版があるということですが、その両方をまとめるのでしょうか? 大塚英志の仕事は気分次第で進んだり進まなかったりするためなかなか見通しが立ちません。ぶっちゃけ延期するだろうなぁ、と思っています。小説版『木島日記』最終章『もどき開口』ともども気長に待つとしよう。他、講談社ノベルスから『零崎人識の人間関係』が4冊同時刊行される予定とのことですが、まだ半信半疑の段階。どれも1000円程度の予価ながら、いざ発売されればきっと驚くほどの薄さなんだろうな……それでも買わずにいられないのがファン。どれだけ高くてあざとくて阿漕でも、新刊が出るうちはまだまだ幸福なのです。

(ゲーム)

 『WHITE ALBUM2 -introduction chapter-』(Leaf)
 『世界でいちばんNGな恋(廉価版)』(HERMIT)

 『WHITE ALBUM2 -introduction chapter-』は先月からの延期です。「introduction」の分際で1ヶ月も延期かましやがったから正直ちょっとテンションが落ちてるんですけれど、既に入金済なので粛々と受け取るより他なし。『世界でいちばんNGな恋』は2年ほど前(2007年11月)に発売されたソフトで、「NG」と書いて「ダメ」と読む。主人公が学生ではなく社会人で、どう見ても中○生としか思えないメインヒロインと恋に落ちたり落ちなかったりすることから題名が来ている模様。「廉価版」と謳うだけのことはあり、お値段なんと2940円(税込)。高値安定していた中古品の相場と比べても実に半額程度であり、買い逃していた人間には朗報であります。「学園モノのエロゲーは飽きた」という御仁も是非どうぞ。

・拍手レス。

 アクセルワールドがジャンプ漫画みたいにパワーインフレ起こしませんように…
 心意システムに一抹の不安が萌したものの、4巻の仕上がりからするとバランスは程好く保たれるかも。

 「暗い部屋」windowsアプリみたいですね。配布方法が気になる
 電子ノベルのような形式になるのかしら。これだけひっそりしているところを見ると同人扱い?

 “装甲大河ドラマ”という全く新しいジャンル…ニトロなら開拓してくれそうな気がしますね
 ただ戦国時代が舞台だとBASARAと被りそう。あれの本多忠勝は劔冑と見紛うばかり。


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