2009年11月分


・本
 『M・S DOLLS(1)』/菅原健二(小学館)
 『ヘヴィーオブジェクト』/鎌池和馬(アスキー・メディアワークス)
 『来世であいましょう(1)』/小路啓之(幻冬舎)
 『アスラクライン13』/三雲岳斗(アスキー・メディアワークス)
 『完全なる証明』/マーシャ・ガッセン(文藝春秋)
 『健全ロボ ダイミダラー(1)』/なかま亜咲(エンターブレイン)
 『断裁分離のクライムエッジ(1)』/緋鍵龍彦(メディアファクトリー)

・ゲーム
 『装甲悪鬼村正』(ニトロプラス)

・映画
 『イングロリアス・バスターズ』


2009-11-30.

・いい加減頃合だろう、と中断していたエロゲーをいくつか再開した焼津です、こんばんは。『コミュ』はまだ大して進捗していないが、『BALDR FORCE EXE』はとりあえず一周した。「みのり」エンド、ついでに「終演」エンドを確認。10章であっさり終わってしまったため少々物足りないが、これぐらい切り詰められた内容だと周回プレーすんのも楽ですね。しかし、まさか「電子の幽霊(ワイヤード・ゴースト)」にまったく踏み込まないままスタッフロールの流れるルートがあるとは……この淡白さが却って新鮮に思えるから不思議だ。

lightの新作『Dies irae 〜Acta est Fabula〜』、新OPムービーを公開

 遂に「アインザッツ」が主題歌の役目を終え、代わって「グレゴリオ」という新曲がお披露目されています。出だしはちょっと喧しい感じがするけれど、サビのあたりは結構良い具合で早速気に入っています。そしてムービー自体にも新規CGがちょろっと紛れています。戒と神父がすれ違う冒頭の1枚はwebラジオのページでも公開されていたが、ベイとシュライバーの戦闘シーンが紛れていたのには仰天した。クンフトやって以来焦がれに焦がれた因縁の対決、まさかの実現! ベイとシュライバーは黒円卓へ加入する前、つまり人間時代に初対面で殺し合おうとした経緯があり、恐らく加入後もずっと険悪な関係が続いたものと推測されます。特にベイは「白騎士の称号が真に相応しいのはこの俺だ!」という想いを抱き、現在の白騎士たるシュライバーを敵視している。パワーバランスから言ってまずベイに勝ち目はありませんが、負けるにしても全力を尽くし、最後の血の一滴まで搾り出すように激しく戦い抜いてから敗北してほしいものだ。あと最後に悪鬼みたいな姿になった蓮(? 変わり果てすぎて確信が持てない)がチラッと映りましたが、あれも何なのか気になるところ。ギロチンのダークサイドに堕ちたのか? それともまたニートが何か悪巧みした結果なの?

・緋鍵龍彦の『断裁分離のクライムエッジ(1)』読んだー。

 タイトルだけで「厨二」と認定されそうなマンガというか、ぶっちゃけ内容も厨二路線を気持ち良いぐらいまっすぐに突っ走ってます。今まであらゆるハサミを以ってしても切ることが叶わなかった呪いの髪――それを断ち切ったのは、殺人鬼の遺品であり、子々孫々受け継がれてきた兇器「断裁分離のクライムエッジ」であった……と、大まかな設定を掻い摘んでみるだけでも随分と香ばしい。マジックウェポン=殺人鬼たる祖先の遺品というあたりは生々しくてイイ。つーか、伝説の英雄が使った武器も「殺人鬼の遺品」とそんなに変わらない気がするっスよね。敵の怨念とかこびりついてそうだし。「魔を断つ」のではなく、あくまで「命を絶つ」禍々しさに立脚しているあたりがヒネた中高生好みで素晴らしい。

 まだストーリーが始まったばかりなので、これから行われる「ゲーム」が具体的にどんな思惑とともに推移していくのかまだまだ分からないが、差し当たって「殺害遺品(キリング・グッズ)」を持つ呪われた子孫たちはヒロイン・武者小路祝を殺そうと迫ってくる模様。主人公もまた殺害遺品を有する一人なのですが、ヒロインを殺す側ではなく守る側に回って他の連中たちと対立する。お膳立てが整っている割になかなか切羽詰った状況に陥らず、どことなく弛緩した雰囲気が続くため、伝奇サスペンスやアクションのノリを期待した人からするとガッカリかもしれません。血が流れるシーンよりも、単に髪切ってるだけのシーンの方が多い気さえしますからね。が、逆に言うとこれ、髪フェチからするとたまらねぇですよ。読んでいてものごっつムラムラします。マンガゆえのモノクロを活かし、切り離した髪を「血だまりのように、床に落ちた」と表現するあたりなど、耽美的ですらある。ヒロインの髪は呪われているせいで切っても切っても伸びてしまい、すぐ不自然な長さになっちゃうので、しょっちゅう主人公の手によりしゃきしゃきカッティングされる場面が挟まれます。誰もいない視聴覚室へ忍び込んでこっそり散髪するシーンのごく僅かな後ろめたさ、そこはかとないドキドキ感がもう……エロい。半端なキスシーンじゃここまで胸は高鳴りません。切り放題の伸び放題――髪フェチならば必ず一度は夢想したことのあるシチュエーションであり、本書はまさしく湧き出づる黒髪に彩られたうっとり桃源郷です。

 画力があって女の子が可愛くてフェチ心をくすぐる話なら、どんな厨設定だろうとあっさり許容されてしまう。そんな真理を実感させてくれる恍惚の一冊でした。とりあえず髪フェチなら読んどけよ、な? 無限カット可能なおどろ髪ヒロインの他にもさらさらロングヘアーの子とかも出てきますから。というか、さらロン毛のかしこさんが徐々に死亡フラグ立てつつあるように思えるのは当方の錯覚でしょうか? 危ない、この手の伝奇モノで一般人が魅力を発揮し始めたら危ない。黄信号です。かしこさん、2巻も生き残れるかしら……。

・拍手レス。

 人気投票、緒戦から一条が常闇斎とデッドヒートで「真っ先に消えたメインヒロイン」の称号第一候補筆頭に…
 一条さんなら……一条さんなら絶体絶命でも最終正義を顕現してくれる。

 他の戦いが早々に趨勢を決した中、一条さんと常闇斎の激闘っぷりにはもう笑うしかない。凄え、何度見ても、二桁の票差がついたとこ見たことないよ。攻略対象ヒロインの一人が、敵キャラその1、というかその5、くらいのポジションのキャラと互角。ニトロにおいてすら、なかなか無い状況でしょうな。
 常闇斎はサブキャラながら底知れぬところがあり、また○○とのロマンスを想像させるところがあって異様に美味しいからなぁ。

 村正の人気投票に於いて、仮にもヒロインがイベントCG一枚も無いオッサンと票数が拮抗している現状に泣けます。
 ある意味、今がもっとも話題にされている磁気かもしれない、一条さん。ながれ・かわる?

 ディエスの新OPだけでご飯3杯イケます。ベイやんが活躍?しそうで何より
 二章の蓮を上回る勢いでボッコボコのボッコボコのボッコボコにされる未来図しか予想できませぬ。


2009-11-28.

・ニュースで「事業仕分け」と聞くたびに『木島日記』の「仕分け屋」木島平八郎を思い出す焼津です、こんばんは。歴史の闇に消えるべき「あってはならないもの」を仕分けるから「仕分け屋」。現在は完結編を連載中とのことですが、作者が大塚英志だけにいつまとまることやら。小説版の『北神伝綺』も一向に書籍化される気配がありませんし。

light、webラジオ「Happy light Cafe」の第25回を公開。

 というわけでラジオ聞いたから更新しときます。今回は「首領閣下」ことシナリオライターの正田崇と「独り鍋奉行」こと声優のかわしまりのが出演する豪華絢爛の必聴回。聞き逃す手はございません。では以下、内容の要約。

 「このwebラジオも1周年」
 「ファーブラまではあと1ヶ月」
 「新OPも公開(実際は編集が間に合わず公開されていない)」
 「ムービー関係は新OPで一段落、12月に入ったら『ベアトリスラジオ』3本、あとカウントダウンボイスを一週間分やるつもり」
 「ドラマCD(『Die Morgendammerung』)、聞いてらっしゃらない方は聞けばいいじゃない(かわしまりの談)」
 「かわしまりのはひと気のない喫茶店で台本チェックしてふがふがと鼻息を荒くした」
 「螢はヴィルヘルムにイジメられ、神父にイジメられ、エレオノーレにイジメられ、シュライバーにイジめられ、ラインハルトにイジメられる」
 「かわしまりのが一番『うわっ……』と思ったのは神父にイジメられているとき、もともと良い印象なかったが『うぎゃー!』って感じ」
 「神父はいつ救われるんだろう……」
 「黒円卓の連中はトラウマやコンプレックスを埋めるため悪魔に魂を売った時点で死亡フラグ」
 「悪魔の契約書にサインしたんだから幸せになれるわけないだろ、地獄の底まで落ちていけ」
 「ヒロインの螢も救われるまでの過程でボロクソにされる、一回精神的に死なないと浮かんでこれないだろお前は、と」
 「(正田がもっとも葛藤したのは)蓮が螢へことあるごとに押し付ける主張(たぶん『死者の復活を願ってはならない』)を蓮自身は守れるのか?」
 「主人公だから保護されているのではないか……と考えて玲愛ルートでは『お前、一回落ちてみろよ』と、それでも同じことを言えるのかと」
 「螢ルートのテーマが『勇気』とすれば、玲愛ルートは『絶望』」
 「螢は折れても折れても立ち上がる、蓮はそもそも折れない、あいつの折れなさは精神異常者の領域」
 「螢は『戦える』というだけで、立ち位置は香純と同じ一般人寄り」
 「(かわしまりの、螢と似ているところを訊かれて)思い込みが激しいところ、『あなたたち私のこと嫌ってるでしょ』みたいな感じで人見知りする」
 「(同じくベアトリスと似ているところを訊かれて)共通項は……ない? ある意味、自分とはまったく逆」
 「ベアトリスとエレオノーレは百合というより体育会系、スポコン入ってる」
 「あのふたりは百合っぽいと言えなくもないが、友情でも主従でもなく、曰く言いがたい関係」
 「エレオノーレとリザの関係も複雑、そのへんは玲愛ルートで描く」
 「(正田は)ああいう『女同士の戦い』が好き、男同士でああいうのは気持ち悪い、男たちが感情的に争うのはバカみたいに見える」
 「(かわしまりの、好きなキャラを訊かれて)螢とベアトリスのツートップ、こればかりは譲れない」
 「(正田は)『我ながらこれは面白い』と自賛できるエピソードが書き上がると満足してしまって続きが書けなくなる」
 「クンフトで言うと主題歌の流れる流出合戦あたりがそう、延々とテストプレーし続け丸一日仕事が止まった」
 「(かわしまりの、彼氏にするならと訊かれて)戒くん」
 「あの『屑』でお馴染みの(笑)」
 「『僕は、屑だ……』というセリフは正田自身のチョイス」
 「失敗した、もっと格好いいとこ出せばよかった」
 「っていうか屑じゃねぇよ」
 「(かわしまりの、蓮の印象を訊かれて)弟キャラ、歳相応な部分があるので」
 「ファーブラ発売後にDies関連のサービスは何かしらやるはず」
 「Gユウスケが頑張ってくれたらそれに見合うショートストーリーくらいは書くつもり」
 「ベアトリスラジオはスピンオフ的な感じ、本編のイメージを破壊する恐れがあるので覚悟して聞いた方がいい」
 「玲愛ルートではイザーク無双、あいつ一人で七人ぐらい潰す、強いぞイザーク」
 「ファーブラはクンフトで活躍できなかった人たちが活躍する、さっき収録終わったルサルカのクライマックスはやばい」
 「正田本人も『まさかルサルカにあんな気分にさせられるとは思わなかった』と言及」

 かわしまりのがメルとラインハルトの絡みを妙に熱篭めて語っているあたりには噴いた。「(軍服をはだけたラインハルト、という願望が)行き着くところまで行くと、メルクリウスが脱がせていることになる」「玉座の後ろからこうね、こう……手を滑らせる感じで」 りの細かいよりの。全体で1時間20分にも達する長さながら、盛り沢山すぎてあっという間に聞き終えてしまった。繰り返しますが、今回は必聴回。Diesファンがこれを聞かないって選択は事実上存在しないと心に銘記すべし。

・拍手レス。

 怒りの日の頃は、まさかここまでガチに作り直すとは誰も予想できませんでしたからね。
 しかしパラロスからこっち、まさか5年以上待たされるとは……

 この調子なら「エロゲー史上最も失敗し挽回したソフト」になってくれそうだ。一方、cuffsは……少し前までリードしていたのに、まるで童話の「うさぎとかめ」。

 村正、決戦型人気投票が盛り上がってる横で、さりげなく作品紹介ページがネタに走ってて笑った。真改さんと村正がSDになっとるww あー、デモベと一緒にスパロボに参戦してほしいなぁ。でも味方ユニットには要らんなぁ。
 ガッツァイダーが参戦したら気まずい雰囲気になりそう。


2009-11-27.

・なんとなく2007年12月の、つまりリアルスワスチカが開いた「怒りの日」の頃の日記を読み返していたら『イングロリアス・バスターズ』のヒトラー(「ナイン! ナイン! ナイン! ナイン! ナイン!」)みたいなことを書いていて小ウケした焼津です、こんばんは。

 絶望に肩まで浸かったあの当時を思い出せば思い出すほどに、ここまで情勢が上向きになるなんてこたぁ想像だにしなかったなぁ。「ディレクター兼ライターの正田崇を呼び戻すのは難しそうなので、また別のライターを動員することになるかと」っていう冷静さを装った悲観的な口ぶりが痛々しいです。「オルタよろしく発売まで小刻みな延期を挿んで3年くらい掛かりそうな気もします」と書いたが実際は2年だったし、良い方向に予想が外れてくれた。Diesスレの情報によると、ファーブラは追加シナリオだけで2MB以上あるそうな。ザッと数えてライトノベル7冊分に相当するボリュームであり、実際のプレー時間は、蓮がフルボイスになったことも考えれば恐らく20時間を下らないでしょう。「この次は『期待』という感情を抱いて臨むことが難しくなりそうです」などというネガティブ全開な気持ちも遠くなってしまいましたね。まだまだ気は抜けませんが、今度こそ「未知の結末」に辿り着いて、既知感という名の忌まわしい牢獄(ゲットー)を破壊してほしいものです。

厨 二 す ぎ て 鳥 肌 が た っ た セ リ フ(暇人\(^o^)/速報)

 『Dies irae』からこの手のネタを抜粋すれば枚挙に暇がない。詠唱の多さもさることながら、ベイの放つチンピラ臭いセリフは実に厨二スメル濃厚。「名乗れよガキ、戦の作法も知らねえか」など序の口、「俺にここまで譲歩させて、萎えるオチつけやがったらおまえ……この街、地図から消しちまうぞ」や「面白ぇ、面白ぇ面白ぇ面白すぎるぞこの虫ケラ劣等野郎! てめえ、あのクソ気狂い馬鹿の腐れ理論を信じてんのか。笑わせるじゃねえか身の程知らずのカスがよォッ!」みたいな凶暴さを露にするセリフがてんこ盛りの一方で「それとも、くくく……カミカゼ主義ってやつなのか? 相変わらず東洋人はワケ分かんねえなぁ。気合で勝てりゃあ、てめえら戦争に負けてねえよ」と比較的冷静なツッコミもあったり。「未完成」と罵られた07年版が部分的に多少なりとも評価された一因は、確実に彼の存在にあります。シナリオが追加されたクンフトでも「痛ぇか? 痛ぇだろ――嬉し涙流せやオラァッ!」と依然チンピラ節全開。デモ等での露出がないせいか、完全版たるファーブラでは「あんまり出番がないのでは……」と囁かれているが、叶うならば今後も是非鳥肌が立つようなチンピラゼリフをばかすか吐いていってほしいものだ。

・なかま亜咲の『健全ロボ ダイミダラー(1)』読んだー。

 最低を突破してもはや最高なマンガです。『火星ロボ大決戦!』の作者による本書は一種の巨大ロボットバトル物ながら、帯のキャッチコピーが「汝の敵を打ち砕け、鉄の守護神よ!」と熱血アニメっぽいノリであるのに対し、本文のキャラ紹介では「ゆけ! へいわと ていそうを まもるため!!」「せいよくでまちをまもりきれ!」とヒドい語句が躍っている。作中に出てくる巨大ロボ、最終決戦兵器「ダイミダラー」は「Hi-ERo(ハイエロ)粒子」と呼ばれるエネルギーが必要で、主人公の真玉橋孝一はHi-ERo粒子の因子保有者(ファクター)なんだけど、女の子にエッチな行為を働いてテンション上げなければHi-ERo粒子が湧かないという、ヒロインには困った、そして読者には嬉しい体質の持ち主だったのです。なぜか巨大ロボとエロスの相性は妙に良くて、中には「あなたと合体したい!」「気持ちいい〜!」のアクエリオンみたいな露骨すぎる融合案すら実在するが、ダイミダラー(大淫ら?)は露骨というよりもシンプル、「可愛い子のおっぱい揉み揉みしつつ巨大ロボ操縦して敵をやっつける」っつー直球コンセプトで男性読者のハート(ていうか股間)を打ち抜く。本屋の新刊コーナーで見かけるまで存在さえ知らなかったが、ひと目紹介文を見るなり「なんたら素晴らしいエロ漫画熱血コミックだ!」と衝動買いしました。

 今にも崩れんとするアパートの前で巨大ロボと悪の大首領が睨み合う迫力満点な表紙(さりげなく主人公がブラジャーを握っていて、あとなぜかゲームハードのサターンが映っている)に比べ、中身は「正直言って画力がちょっと……」な出来であり、真っ当なロボバトルを期待した人には肩透かしかもしれません。そもそも味方の組織名が「美容室プリンス」で、対する悪の秘密組織が「ペンギン帝国」、各話で為す悪事が「日照権侵害、日陰地獄」だの「買い物カゴ強奪作戦」だのと恐ろしくショボいレベル。要するにヒーロー物のパロディなわけです。「健全ロボ」というタイトルでシリアス展開を望んだ人はまさかいないと思いますが、それにしても……と腰砕けなムードに覆われている。反面、随所に仕込まれた下ネタは充分なクオリティであり、まさしくダイミダラーの真骨頂。「恭子のおっぱいさえあれば粒子でも精子でもばんばん出すさ」「お前こそ最高のダイミダラー乗り そして どうしようもないすけべ野郎だ!」「オレこそ最強の戦士だ! リカンツ=シーベリーはオレが犯る!」「なんと頼もしい! この少年なら本当に犯ってくれるやもしれん」といった具合に、よくダメ出しされなかったものだと感心したくなるネームで溢れ返っている。あまりにも常軌を逸した会話が多いため、終いにゃ「性能」っつー普通の単語にすら「なにっ、性能だとっ!?」と敏感な反応を示してしまった。乳揉みは恒例行事になっているし、ほんの僅かながら乳首券も発行されているしで、ほとんど「本番がないだけのエロ漫画」に近い状態だ。

 エロスへの欲求とバトルでの興奮をイイ感じにミックスさせ、ハイテンションな勢いでまとめた、誉め言葉として述べるべき「非常にくだらない漫画」であります。お色気要素をウリにした漫画は多々あれど、ここまで上手に言い訳を駆使して「なら仕方ないな、不本意ながらヒロインがエロい仕打ちを受けて弄ばれる様を眺めるしかあるまい……!」と正当に読者の鼻息を荒くしてくれる作品はそうそうない。エロスの勘所を押さえた、実に心憎いつくり。けしからんスタイルをしており巻の終わり頃には「すっかりヤラれキャラだな」と評される楚南恭子もさることながら、敵側の女性パイロットたるリカンツ=シーベリーもなかなか魅惑的です。ダイミダラーとの第一次遭遇戦で激しすぎる機動に酔って嘔吐したことから仲間内では「つわリッツ」と呼ばれている。一人称は「朕」。「朕を仲間に入れて!」「チンを中まで挿入(いれ)てだと!?」なんていうバカバカしい掛け合いを見るにつけ、敵側も憎めなくなってくるから困ったものだ。少年本能を刺激しまくりな本書、できればリアル中高生時代に出逢いたかった。そうすればもっと魂へ響いたであろうに。「実年齢はともかく、精神はまだまだ現役」と請け合いたいものだが、むしろ「精神もそろそろ減益」ですよ。原液をそのまま味わえる歳でいたかったわ。

・拍手レス。

 村正ワールドの平家物語のクライマックスは壇ノ浦での小烏丸vs膝丸の一騎打ちとかになってそー
 倶利伽羅峠の火牛はきっと何かの劔冑の独立形態でしょうね。

 やっとルサルカが!ルサルカが大活躍してくれるぜ!この時を二年待ったよ!ルサルカはそんなに大物じゃない?知るか!
 ルサルカはあの「ババア必死だな(笑)」という懸命さがイイんであって、あれで下手に大物だったりされたら却って興醒め。

 ヴィルヘルムの散り際を嘲笑で見送るくらいでないと、あの上から目線は納得しがたいですねえ
 今回ベイの扱いはどうなるんだろう……まったく触れられていないので心配だ。

・今日はlightのOHPが更新する予定なのに、なかなか来ない……動きがあり次第、続報をアップロードすることに致します。

(追記)lightのOHP、定期更新。webラジオ「Happy light Cafe」の第25回を公開。

 アップした直後に更新が来るとか……キャラクター紹介ページで蓮と戒の声優が明らかにされましたね。は言わずもがなの先割れスプーン。は石川ゆうすけ、って、湊斗さん!? 湊斗さんの人じゃないか! 「悪魔に魂を売る善などない! 僕は屑だ! 僕は、屑なのだ!」という幻聴が聞こえてきた。そして今回のwebラジオはシナリオライターの正田崇に加え、螢およびベアトリス役の声優・かわしまりのもゲスト出演。ファンとしては「あは、ぬふ、ぬは、ぬほ!しゅごい!最高!妊娠確実っ!」な面子である。片方が出るだけでもビッグニュースなのに、ふたりいっぺんだなんて。二穴攻めにも匹敵するハードコアぶりです。ハードコアで思い出したけど、“S-Fマガジン”が創刊50周年を迎えるそうな。「ほう、なら記念に一つ」と特大号をポチってみましたが、手元に届いて納品書を眺め遣った瞬間に目ん玉ひん剥きました。2500円(税込)……だと……? もはや明らかに雑誌の価格ではない。テッド・チャンやグレッグ・イーガン、ジーン・ウルフなど、作家陣の豪華さはガチながらこりゃ気軽に買うのは難しいぜ。注文する際に値段見なかったせいでいとも気軽に買っちゃったわけですが……しかも来月出る特大号第2弾も予約済なんだ……。

 おっと、あまりの落ちてこなさについ脱線してしまった。ラジオのファイルをダウンロードするまでまだ残り数時間もあるので、今夜中に聞くのは無理っぽい感じ。『装甲悪鬼村正』の人気投票を観戦しつつ待っておりましたが、明日も早いことですしそろそろ寝るとします。明日聞けたらまたそのときに更新します。


2009-11-24.

・なんとなく『装甲善鬼村正』というタイトルが頭に浮かんだ焼津です、こんばんは。

 小金ヶ原で神子上典膳に敗北を喫して落命したはずの小野善鬼が、とうに砕け散ったはずの初代村正と結縁して装甲し、関ヶ原の戦いにて瓶割を纏いし典膳とふたたび相見える……などと妄想し悦に入った。『村正』はいくらでも歴史ネタと絡められるのが美味しいですね。草薙劔冑(クサナギノツルギ)が安徳天皇とともに深海へ沈んでいたりとか。ただ、剣豪将軍・足利義輝の「畳いっぱいに刀を突き刺して応戦」みたいなエピソードはどう変換すればよいのやら……「複数の劔冑を変形合体させて装甲」? 巨大複合劔冑(つーかもう鬼械神だな)大般若長光FINALを駆り、松永久秀の古天明平蜘蛛と一騎打ちする義輝――いかん、「おれのかんがえたちょおすげぇつるぎ」が頭蓋の中で膨らみまくってついニヤニヤしてしまうわ。

『装甲悪鬼村正』の人気投票、総勢80キャラクターによるトーナメント方式で行うことが決定

 通常版のカウントダウンが開始される一方でこんな告知が。11月27日、通常版の発売に合わせてスタートし、来年の2月26日に決勝戦の投票を締め切って3月5日に結果発表と、3ヶ月以上にも渡る非常に長大な企画ですね。登場人数が多いから人気投票なんかは難しいかな、と考えていた矢先に報せを見たので驚きました。ニトロってあんまりこういう企画やらないイメージが強かったから二重にビックリ。とりあえず楽しみにしておこう。

『Dies irae 〜Acta est Fabula〜』の体験版をちょこちょこプレー中。

 ファーブラでは主人公・藤井蓮がフルボイスになっています。至極当然のことながら、やっぱり声が付くと印象変わりますね。掛け合いのテンポが劇的に変わってくるので、若干違和感を抱くシーンもあれば、逆に以前よりもしっくりと来るシーンがあったり。なんにせよ、先割れスプーンの演技が高い水準でまとまっているため安心して聞ける。『PARADISE LOST』をリメイクするときが来たら是非ともこの調子でライル/ナハトに声を付けてほしいものだ。

 収録は3章までであり、ストーリーに関しては一切変更点がなく、コメントすることも特にない。序盤についちゃ07年の体験版、07年の製品版、今年のクンフトと、最低でも3回はやり直していますからね。特定のシーン目当てに重ねた再プレーの回数を計上したら、軽く2桁行くのではないか。つっても、この期に及んで再発見するところとてなきにしもあらず。「マリィの斬首跡」はマリー・アントワネットの首飾り事件を意識しているというのは、確か前に聞いた気もするのだけど、スッカリ忘れていたせいもあり「ああ、マリィの斬首跡=マリーの首飾りか」とふたたび納得しました。事件に登場するカリオストロ伯爵はニート(メルクリウス)が持つ顔の一つですし。他にもリザがトリファのことを「右の頬を打たれたら、左の頬を差し出すのが好きな人よ?」と冗談めかして語っているが、改めて考えると笑えない気がするな、このセリフ。平穏な日常シーンはいろいろとデジャヴりまくるせいでやや退屈したものの、一旦バトルに入ると既知感も何のその、フルボイス化の影響でグッと臨場感が増して引き込まれる。先割れスプーンは苦痛を表す悲鳴演技が巧いなぁ。おかげで「ボコボコにされてボロボロ」な蓮の切羽詰った状況が五割増しのヤバさで伝わってくる。もともと声が付くことを想定していなかったシーンのせいかセリフ数も少なくて蓮が無口に見えてしまうけれど、たとえば「名前が知りたきゃ吐かしてみろよ、白髪野郎」という字面だけでは落ち着き払ったふてぶてしさの際立つセリフが、ボイスではいかにも強がっている感じ透け透けの怯え交じりな演技で、なんともこう、蓮のいじらしい頑張りぶりにキュンと来る。声がなかったときは無意識に蓮をヒーロー視するようなフィルターが掛かっていたものの、それを見事に取り払われた気分だ。演技が迫真すぎてカッコ良さよりもカッコ悪さが目立つ反面、より蓮に感情移入して肩入れできるようになってきました。

 何度も再プレーしたせいで感覚が麻痺していましたが、こうして体験版としてやり直してみるとDiesの序盤、結構長いですね。特に今回は1章から3章までまとめて収録されている(07年版では1章〜2章の体験版、3章のみの体験版と2つに分けて配布していた)ので、余計に長大さが実感できる。素材のほとんどが07年当時のものだから如何せん古さが目につくっていうか。中んずく、立ち絵に関しては隔世の感がありますよ。今のGユウスケの絵柄からすると、香純の立ち絵はほとんど別人だな。ともあれ、今月中に終わらせてしまってファーブラが来たときにさっさか4章へ突入できるよう態勢を整えておくとしよう。ああ、4章で形成(笑)が死なない未知まみれのルートとか仕込まれていたら嬉しいんだけど……。

・拍手レス。

 村正通常版のカウントダウン、キャラについて色々知ってから聞くと、凄まじいバカバカしさにゾクゾクするぜ……
 限定版のときの「護氏萌えっ子宣言」、コンプした後に思い返すと気が遠くなるわ。

 村正、これで統様の濡れ場と「今宵の〜」の後の雷蝶との戦闘シーンがあれば…
 統様の性格だとタカさんみたいな濡れ場になりそうな予感。そして美しき雷蝶様のバトルは『シグルイ』的な全裸描写がふんだんに盛り込まれる気がする。

 今川雷蝶のバトルシーンがたっぷり入ったFDが欲しい。あと大人一条さんと村正のその後の人生、みたいなエピソードも見たい。……焼津さん、書いてくれ。
 もし一条が湊斗さんの子を孕んでいれば、成長した息子に村正譲り渡してズブシャアッとされて「善悪相殺、愛憎相殺――そう、そいつが村正の戒律だ。わかったな? いいか、てめぇは英雄じゃねぇ……悪鬼だ! 血に飢えた悪鬼なんだよ! だから……悩むんじゃねぇ。さっさとあたしの屍を越えて行きやがれ、てめぇの信じる道を……景正! 忘れるな! てめぇが振り返るたびに、あたしは全力はてめぇを否定してやるから! 決してその足を止めんじゃねぇ!」というふうに広げられた気がしないでもない。あ、ちなみに『血に飢えた悪鬼』はジョン・ディクスン・カーの遺作です。

 村正の人気投票がまた集計面倒くさそうな。「だれに投票しますか?」みたいなトークをし難くなる形式ですな。組み合わせによっては、入道様や雪車町あたりがトップを獲ることもあり得る、のか?
 人気キャラの潰し合いは生じるでしょうけれど、絶対的な人気のあるキャラが生き残る形式でもあるので、そこまで大きな番狂わせはないと思いますが……蓋を開けてみないことには。


2009-11-21.

『装甲悪鬼村正』をコンプリートしてしまったせいか、なんとも言い知れぬ脱け殻気分が横溢している焼津です、こんばんは。

 そろそろ『コミュ』『BALDR FORCE EXE』を再開すべき頃合だと理性では考えているものの、「しばらくエロゲーはいい……」って拒否反応――とまで行かないにしても、「敬遠反応」と呼びたくなる程度の回避ムードが醸されて、積読消化の方に精力を傾けている昨今。最近はマンガだと『来世であいましょう(1)』、小説だと『アスラクライン13』、小説以外だと『完全なる証明』が面白かった。あと映画は『イングロリアス・バスターズ』観に行った。

 『来世であいましょう(1)』の作者は『かげふみさん』の小路啓之……だと知らずに買って、ページを開いて「あれ、この絵柄はひょっとして」とようやく気づいた。だって表紙の雰囲気全然違うんだもんなぁ。フツーに明るい青春ラブコメだと信じ込んでましたよ。『電波的な彼女』から猟奇犯罪を抜いた感じみたいな。『来世であいましょう』のヒロインは前世や来世を「信じている」のではなく、対象の人物が寝るなり気絶するなりして意識を失ったときに「来世の姿」が視える特殊能力を持っていて、主人公である根暗学生が有する「来世の姿」こそ彼女にとって理想の男性像であったわけです。つまりヒロインは「主人公にアプローチを仕掛けて惚れさせ、抜き差しならぬほど本気になったところで手ひどくフッてやり、失恋のショックで自殺させて『来世の姿』に生まれ変わらせる」ことを目的に行動している。「好きだから死んで(はぁと)」っつー帯文は内容を端的にまとめたものであり、実際に面と向かってそう発言するわけじゃありません。相変わらずコチャコチャとした作風で、描き込みや小ネタが豊富。パッと見では巧いのかそうでないのか咄嗟に判断できない代物で、人によってだいぶ好みが分かれるところでしょう。しかしこのポップでいて陰湿な読み口、なかなか他では味わえない魅力がありますので、物は試しとチャレンジしていただきたい。主人公のナウはネガティブスケベで好感こそ抱けないが、共感は持てる。ヒロインのかぴあはまだまだこれから真価を発揮していくはず、と期待中。そして「声が森山周一朗似」という美少年・牧野キノは仕草がヒロイン以上にエロくて困った。というかアニメ化したらホントに森山周一郎呼ぶつもりなの?

 『アスラクライン13』は10巻で急展開を迎えたシリーズの本編最終巻。スレイヤーズでいうところの『デモン・スレイヤーズ!』です。番外編はもうちょっと続くみたい。アスクラはかなりスロースターターなシリーズで、本格的に面白くなり始めるのが7巻あたり、目が離せなくなるのが10巻あたりと、本当にゆっくりしたペースで進むためなかなか未読者に薦めづらい。Dクラこと『Dクラッカーズ』でさえ3冊でエンジン掛かるってのに……ともあれ、12巻から少し間が空いてしまったが、その分中身は詰め込まれていて嬉しかった。アニメ化等で人気出ると極端な引き伸ばしに入るライトノベル(ぶっちゃけシャナとか)が多いなか、これだけ濃縮してくれるとは実にありがたい。ただ、いささか詰め込みすぎというか、比較的のんびりした前半に比べて後半が駆け足で、複数の伏線を一挙に消化してしまうのが勿体無かった。逆に「もう少し引き伸ばしてくれたら……」と願う箇所もあったり。つーか、「悪魔との契約は肉体関係を結ぶことで成立」という設定なのに、契約シーンが丸々省略されてるって。お慈悲! それと、本来なら一番盛り上がるはずの「神殺し」シーンが『黒と黒と黒の祭壇』におけるグルーヴェル殿下の神殺しと同レベルな呆気なさ。うーむ。できれば10巻から13巻まではまとめて一気に読んだ方がいいですね。12巻から間を空けて読んでしまうと「え? これでおしまい?」っていう感覚が拭えない。

 『完全なる証明』は世紀の難問「ポアンカレ予想」を証明した数学者ペレルマンを主軸に据えた本。あくまで「数学者」を重視した内容で、「数学」それ自体はあまり深く突っ込むところもなく、「数学が苦手」という人(無論当方もだ)でも読みやすい。「かつてのソビエトにおける数学の位置づけ」に関する文章が大半を占めており、ユダヤ人を排斥しようとする動きが数学界にもあったなど興味を誘うところはあったが、なかなか「ポアンカレ予想に取り組むペレルマン」という本題に入っていかなくて焦れました。迂遠な構成に腹を括って読み進めていくこと187ページ、やっと本題たるポアンカレ予想が到来してテンションも上がってくる。後はするすると心地良く読むことができました。100万ドルという賞金を拒否して行方を晦ませた数学一徹なペレルマンの人物像がボンヤリと浮かんでくるような、浮かんでこないような、いくらかハッキリしないところも含めて興味深かった。たまにはこうして小説以外の本をダラダラと読んでみるのもイイ刺激になりますね。

 『イングロリアス・バスターズ』は「主演がブラピ」「監督がタランティーノ」「ネタがナチスハンター」と三拍子揃った内容なので観るしかなかった。タイトルは「名誉なき野郎ども」って意味らしい。『地獄のバスターズ』というイタリア映画をベースにしたとのことであり、BGMや演出を始めとして随所にマカロニ臭が漂っていたのもそのせいか。全体が5部構成、第1部は「ユダヤハンター」の異名を取る大佐ハンス・ランダが登場し、ショシャナというユダヤ人少女が命からがら逃げ出すまでを描く。ハイドリヒ卿の名前もチラッと出てきました。第2部は「ナチスハンター」たる連合軍の極秘部隊「バスターズ」がナチスをぶっ殺して死体から頭の皮を剥いで生存者の額にハーケンクロイツを刻み込む。ゴア描写そのものはおとなしめだが、見ていて「うわぁ痛そー」と呻くところはありました。で、ショシャナとバスターズの思惑が絡み合った末に、物語は「プレミア作戦」――ナチスの高官が集まる上映会を狙った暗殺計画に集約していく。

 映画館で映画館を襲撃する映画を観るなんて妙な気分というか、出入り口付近を気に掛けるあまりお尻がもぞもぞしてきました。ところどころにショッキングなシーンが用意されているものの、長々とした会話シーンが多くて全体的にはやや地味な作品となっている。2時間かと思ったら2時間半もあって疲れました。前半は「ここからどう話が広がっていくんだろう」とワクワクする反面、後半はストーリー展開が平明すぎてダレる。「最初の1時間を観てつまらなかったら返金する」というキャンペーンをやっているみたいだが、要するに関係者も「そこまでなら大丈夫だろう」って自信があったということか。俗悪な映画が嫌いじゃないというかむしろ大好きな当方はラストシーンに大喜びしたものの、長さの割に小粒感が否めないまとめ方である。登場人物の「内面」を極力切り捨て、徹底して「表面」のみに絞ったのは、残虐行為まみれの内容からすれば正解かもしれません。おかげで気持ち良いくらい後に何も残らない。一方的な「虐殺(ハント)」ばかりなので、もうちょい「殺し合い」要素が欲しかったところか。「悪」の象徴たるナチスを滅ぼすバスターズもまた「悪」の側に属する、というような描かれ方をされており「悪が悪を喰う」映画とも言えるが、もっと端的に述べると「ナチスならどんだけ殺しても構わんべ」っつー観客側の昏い意識をスクリーンに逆照射させようとしている映画。「ナチス=殺されてこそ華」は最早エンターテインメント界の常識ですね。

lightの『Dies irae 〜Acta est Fabula〜』、第4弾ムービーを公開

 遂に氷室玲愛(テレジア)編のムービーが来ませり。与猶啓至の新曲(と思われる)をバックにして紡がれる暗黒神聖喜劇――先輩派のファンはおしっこチビりながら随喜の涙を流すこと請け合いです。「俺は間に合いませんでした」から2年、遂に蓮は間に合ってくれるのだろうか。敵が2年前よりも遥かに強大になっているのですが……いやこれ「勝てなくて当然」って次元の気がしてきましたよ。ゾーネンキントが本領発揮しすぎ。『イザーク・オブ・インフェルノ』と改題されても不思議じゃない圧倒力を放つ。「お願いだから、格好悪くなってよ」「逃げてよ。いいじゃない。誰も文句なんか言わないし、言う人頭おかしいんだよ」と懇願する先輩のセリフ一つ一つに仮借なき絶望感が漲っていてヤベェ、テンションここまで上げられたらもう12月までなんて待てないよ。かつて期待したものが、というより、かつて期待さえしなかったものが――期待すら及ばなかったものが――訪れてしまう予感に脊髄が燃え尽きる。このムービーを目にした夜は興奮でなかなか寝付けなかったです。ああ待ち遠しい待ち遠しい、狂おしいほどに待ち遠しい。

・拍手レス。

 湊斗さんってFateのアーチャー士郎って感じがする。自分自身を許せないという意味で。
 虚淵氏がZERO書いたみたいに奈良原氏がアーチャーの正史書いてくれないかなぁ。多分できるのでは?まぁ需要ないでしょうが。

 アチャシロはただ純粋に自分の黒歴史を憎んでいるのに対し、湊斗さんは重箱の隅をつつく勢いで「この期に及んで自己愛を捨て切れぬ己が、自分として許しがたい」と捩れた否定観を全開させるから、一層偏執的で生臭い印象。

 メインヒロインが一巻目から空気化するあたりかまちーは容赦無いですな。
 あの調子じゃ2巻でヒロインがすり替わっていても気づけそうにない。

 村正、主人公だろうがヒロインだろうが、顔芸に容赦がないぜ……
 顔芸はニトロの伝統ですね。

 ジーグもどきは初見は笑っちゃうけど中身を知った時のダメージがそれはもう酷い事に・・・。畜生!誰だよあんなこと考えたのは!とりあえず雷蝶を褒め称え茶々丸を調教し獅子吼と共闘し坊主の小姓に入れたり入れられたりする六波羅編と武帝編が凄いみたい
 再登場するとしたらああいう形でしかないだろうな……奈良原的に……と覚悟していた分、驚きはなかったが、バッドエンド時の「ねぇ、よろこんでくれる……?」などを聞いて気が滅入った。雷蝶と茶々丸はバトル的な見せ場がもうちょいほしかったですね。

 鋼鉄ジーグは、アレは個人的に笑えるどころか最大級の鬱ポイントなんですが。「死ねええぇぇぇぇっ!!」とか、もうね。想像すると、
 ジーグ、「パイロットに怪しげなクスリを使っている」ということで湊斗さんに一服盛った前科がある皆斗の御本家か、あるいはメンゲレ博士がふたたび本筋に浮かび上がってくるかと思ったら全然そんなことはなかった。

 自分は雪車町一蔵が好きだなぁ。甚大な機体性能差を魔性の剣技で凌駕する、というスタンスもさることながら、「本気で生きている人間に対しては、区別なく敬意を払う」という考え方が共感できる。
 酒がうまいと感じる程度には人生投げてる割に、ついつい湊斗さんに粘着してしまう雪車町の必死さが微笑ましい。


2009-11-18.

『装甲悪鬼村正』の感想をアップロードしました。

 感想ってよりも、本編のストーリーを振り返りつつダラダラとくっちゃべってるようなノリ。小学生のときに実際やった覚えがある「あらすじだらけで誤魔化した読書感想文」みたいで、我ながら進歩がない。ネタバレ満載ですから、未プレーの方は読まない方が賢明かと存じます。「未プレーだけどネタバレくらい気にしないぜ」という豪儀な人はザーッと斜め読みでもしてください。ネタが膨大すぎて細かいところは取捨選択するしかなく、書いている間は「この調子じゃ大した分量にならないだろうな」と思っていたのに、いざ書き上がってみると結構な文字数(25000字超)になっていた。それでもまだまだ語り足りない気分でいっぱいだぜ。早くもドラマCD『妖甲秘聞』の発売が決まったみたいだし、楽しみでしょうがない。「時は南北朝時代」「”善悪相殺”の死闘」「CD2枚組」とワクワクする要素いっぱいだなオイ。

・鎌池和馬の『ヘヴィーオブジェクト』読んだー。

 『とある魔術の禁書目録』でブレイク中の著者が放つ、初のシリーズ外作品。いきなりネタバレしてすみませんが、ラスト1ページが「彼らの戦いはつづく……!」なもろに打ち切り系エンドで終わっているため「1冊完結なのかしらん」と思ったところ、あとがきには「新シリーズの一冊目」と書いてあった。ということは続刊モノ? 主要陣が交代する可能性もありますが、とりあえずこの設定で話を広げる心算はある模様。さておき、本書は「オブジェクト」と呼ばれる「人型ではない巨大ロボット」が戦場を席巻してしまった近未来を舞台に、軍人ですらない従軍学生の主人公が激しい戦いの渦に巻き込まれていく過程を綴ったSFアクションです。オブジェクトは、特別な素質を極限まで磨き上げた「エリート」と称される人間のみが操縦可能。そんなわけで、オブジェクトのパイロットたるエリート・ミリンダがヒロイン役として登場します。表紙を飾っている金髪ボブの子。作中では「エリートの少女」や「お姫様」としか書かれていないため、「え? ミリンダ? ……誰?」って感じですが。

 設定からして「一介の学生に過ぎないはずだった主人公は、実は超絶ウルトラすげぇ才能を持ったエリートだった!」っちゅうスーパー御都合主義突っ込んでオブジェクト無双するんだろ、と決め付けかけましたが、さにあらず。主人公は最後までオブジェクトに乗りません。いえ、物理的な意味合いで「乗る」場面はありますけれど、搭乗は一切しない。最後の最後まで生身で戦い抜きます。もちろん素手じゃなくてそれなりの武装はするが、全長100メートルを超える機体とて珍しくないオブジェクト、その強さともなれば戦車の比ではありません。至近距離でミサイルを撃ち込めば打倒できるなんていう可愛いレベルじゃなく、核爆弾の直撃を喰らってもまだ活動できる恐ろしい化け物です。セガールでも匙を投げそうなミッションに度胸と知識だけで挑む、無理筋と評しても差し支えないコンセプトながら、「オブジェクト殺し」を達成するまで複数の手順を経て段階的に勝利へ辿り着いていく形式を取っているため、「無茶苦茶だが、それなりに納得できる」って範囲に収まるよう仕上がっています。出だしこそ説明的な掛け合いが多くて若干ダルいものの、早々に窮地へ陥って「敵のオブジェクトをなんとかしなくてはならない!」と切羽詰った状況で足掻いてくれるから、以降は退屈することなくスピーディに読めた。主要キャラ数を最小限に絞っているおかげか話の密度も高いし、ぶっちゃけ最近の禁書目録より盛り上がる。

 ただ、「エリートの少女」たるミリンダさんが早くもインデックス病を患っておりまして……前半はまだヒロインっぽかったのに、後半へ差し掛かる頃にはもう存在を忘れそうになっている。「幻想殺しで歩く教会を破壊」的なお色気イベントもあるにはあるが、エロさという点においては巨乳上官のフローレイティアが群を抜いてますし。あの人ってどこの18禁コミックから抜け出してきたの? キャラとしての魅力も、ライバルエリート(通称「オホホ」)に食われてしまう。出番は後半、名前どころか顔すら分からない、「Gカップのナイスバディ」も自己申告であり虚偽かもしれない――にも関わらず、「オホホ」の放射するオーラは異様に濃かったです。翻ってミリンダさんと来たら。そもそも視点がほとんど主人公に固定されていて、「オブジェクトに搭乗するエリートたち」の心情ってほとんど描かれないんですよね。だからどうしても存在感が薄くなる。オホホは例外として、ミリンダさん以外のエリートも空気じみています。そのへんは作者も自覚してるっつーか意図的みたいで、爽快感を重視するために「可能な限り敵軍側の心境を描写しない」という方針を打ち立てたらしい。今回は主人公によるありがたいお説教もなし、敵と見做せば問答無用でぶっ殺す。最初は躊躇う描写もあるけれど、相手が「少女をいたぶって喜ぶクソ野郎ども」と知るや死ねやオラー!とばかりに発砲します。ハリウッド映画さながらです。直前にやっていたゲームが「善悪相殺」をテーマとした『装甲悪鬼村正』だけにムズムズしたが、「上条さんより一方通行とかの方がイイ」という人なら楽しめる内容なのは確かかと。もし上条さんがこの世界にいて、オブジェクトに立ち向かっていたら……って想像すると正直胃もたれがするぜ。

 貧弱な存在が強大極まりない敵に立ち向かうのはやっぱりロマン。パワー比が桁違いすぎるあまりドタバタコメディになりかけているが、全体を覆うテンションの高さでうまく凌いでいます。ヒロインが無色透明に近いことと、終わり方が打ち切り臭かったことを除けば、文句なく勢いの良さに満足できる一冊です。深いテーマ性は求めぬが吉。「彼らの戦いはつづく……!」エンドが嫌いでなけばオススメしておきたい。そういった結末に不快感を催すのであれば、ひとまず2巻が出るまで放置しておけばよろしいでしょう。個人的には著者のエンターテインメント気質を再確認できたことが大きな収穫でした。近頃の禁書は追うのがちょっとかったるくなっていたけど、もう少し付き合ってみるとしよう。

・拍手レス。

 最近のエロゲーは本当に長大化してるなぁ…………確かに相応の満足感をもたらしてくれますが、偶には全力でライトな物もやりたい
 逆にヌキゲーはどんどん低価格低ボリューム化が進んで、二極分離状態になりつつありますね。そのうち「各ヒロインのルートごとにバラ売り」なんてことが常態化するのかもしれず。前例はないでもないし。

 村正=かおるん(ハロワ)=一輪(ハナチラ)という驚愕の事実
 一輪の声は覚えてないなぁ。赤音や伊烏さえもうろ覚えですけぇ。

 コンプおつかれさまです。結局景秋の初体験相手は謎のままに。本家の「明堯と本家の縁を断ち切るとか」、統様の「父ではなく〜として接する」セリフからもしかしてとか邪推してしまいましたが。
 謎も何も、あれは素直に受け取って宜しいのではないかと……。

 ご存じかもしれませんが、某掲示板によると体験版の最後のムービーでの未使用音声と思われる
 >戦乙女の再臨に立ち会うか
 >魔女の慟哭に、その耳を傾けるか
 なんていうメルクリウスのボイスが入っているようで

 「ルサルカルートやベアトリスルートが追加される説」と「螢ルートの内容と玲愛ルートの内容を比較しているだけ説」の2つがありますね。スケジュール的に考えれば後者しかないと思いますが、さて。

 正義と殺人と浪漫を求めた ニトロとしての最高j峰なのかな すごく面白かったけど
 余韻が半端ではなく、未だ興奮冷めやらぬため過去作との比較が困難ですが、ニトロにとってある種のメルクマールとなったことは確か。来年予定の『ドグラQ』は、恐らくデモベよりも村正を引き合いに出して語られることが多くなるはず。

 ファーブラって全員攻略できるんですかね?
 クンフトの時点で香純とマリィはあったし、この2人に関しちゃ確実。螢や玲愛のシナリオについてはラジオでちょいちょい触れてますから、最低でも4人は攻略できるでしょう。後はルサルカのバッドエンドが復活する(07年版のCGは再公開済)とか、せいぜいベアトリスの派生エンドがあるかどうか……という程度。


2009-11-15.

濁点を抜くと強そうなものでも弱く感じる(VIPPERな俺)

 なるほど、なら『塵骸魔京』は『真改魔京』に……ばっ、てめ、真改さんが弱そうとかどういう料簡だよ!? ほか、エロゲータイトルだと『ジサツのための101の方法』が『刺殺のための101の方法』に、『暁の護衛』が『暁の孤影』に、『いきなりはっぴぃベル』が『いきなりはっひぃヘル』に。ケースバイケースですな。そういやはっぴぃベルで思い出したけど、テリオスって今どうなってるんだろ。サイト繋がんないし、良くない噂も漏れ聞くし……。

lightの新作『Dies irae 〜Acta est Fabula〜』、Web体験版を公開

 ほか、初回特典の「白本」についてや、webラジオ「Happy light Cafe」を更新、更に毎月恒例の壁紙も来ています。おいおい、一度にどっと来すぎだろ……白本は200ページを越えるらしく、特典のビジュアルブックとしては異例の厚さになりそうだ。正田崇がじきじきに書き下ろした用語集が一番楽しみ。webラジオの内容は、「白本厚いから初回版やアペンドはクンフトより重くなる、重量1.5倍」「Gユウスケは原画作業に忙しくて音声収録行けなかった」「原画作業、螢ルートはだいたい終わった、今は玲愛ルートに移行」「用語集、スタッフさえ『今初めて見たよ?』という設定がある」「詠唱のポーズはGユウスケが決めている、パースつけて立体的に見せることを意識してる、けれど正田からダメ出しされてバッサリ没になることも……」「ファーブラは最強決定戦という触れ込みだけど、どうせまた卑怯臭い能力がいっぱい」「クンフトでは香純ラジオやったが、今回はベアトリスラジオ」「(かわしまりののコメント)二役演じたが、切り替えが難しい。ふたりの性格逆だから」「(かわしまりの、螢とベアトリスの印象を訊かれて)螢はクールで強そうだな、と思ったが『こうなったか……』と。ベアトリスはひたすら可愛かった……絵が。見た目とギャップのあるイイ性格してる」「(かわしまりの、Dies iraeのストーリーを訊かれて)関わった時間が長いから思い入れがある。『敵つえー、どうなっていくんだろう』ってずっと思っていたけど、今回最後まで台本を読み、納得のいくクライマックスになってるんではないかと」。次回のラジオにゲスト出演するみたいですね、かわしまりの。体験版はまだプロローグしかやってませんが、収録はどうも3章までのよう。主人公の蓮がフルボイスになり、ニートによる各ルート紹介と新OP曲の一部が入っている模様。

ニトロプラスの『装甲悪鬼村正』、我コンプリートせり。

 終わった……やっと終わった……表示されるコングラッチュレーションCGを前に、ほとんど茫然自失の呈で虚脱いたしました。一応解説しておきますと、ニトロのエロゲーはすべてのCG枠を埋めたら「おめでとう!」と祝福する、言わばコンプリートの証たるイラストが画面に映し出される伝統となっております。いつから始まったのか覚えてないが、少なくともデモベの頃にはあったはず。ともあれ『村正』、実に2週間以上の時を掛けてやり尽くしました。決してサボることもせず、断じて怠けることもせずに他の予定一切を押し退けて毎日毎日数時間飽きもせずプレーし続けたのに、それでようやく足りるってほどの時間が必要だったのです。シナリオ総量はデモベを超え、さすがにハロワまでは行かないにしても、スマガ級のところまでは達しているらしい。てか、スマガってこれと同じくらい長いのか……いつかやろうとは思っていたけど、踏破すべき道のりの長さを計算すると意気が挫けそうになる。じっくりやったせいか、体験版の範囲も含めると優に60時間は超えていますよ。最近のエロゲーは重厚長大化が進みすぎだと心底痛感いたします。

 長くてうんざりしたのかと申せばさにあらず、最後のひと雫まで楽しみ尽くさせていただき、ひたすら無上の時間を過ごしたわけですが……ぶっちゃけると、終盤は戦闘シーンを端折ることが多くなってくるし、端折られない場合でも派手にやりまくって大味な感じになってしまうことが多々あるしで、「バトルものとして面白い部分」がだんだん減っていっちゃってるんですよね。そういう意味では少し残念だった。しかし物語としては尻上がりに白熱していくので、総合的に見れば大して不満もない。発売前に過剰なほど期待を寄せていたこともあり、「これがもしもしょんぼりな出来具合だったら……」と危惧を抱きましたが、杞憂もいいところでした。奈良原一鉄はよくやった、よく書き抜いた。むしろ仕事しすぎだろ。『刃鳴散らす』の10倍近くあるんじゃないか、テキスト量が。斯様な規模の企画にゴーサインを出し、かつ実現させたニトロプラスは正真正銘狂しておられる。「制作期間3年、ニトロプラス10周年記念作品、これまでの集大成」という謳い文句はまったく誇張じゃなかった。いずれネタバレ満載の詳細な感想を書こう。

・拍手レス

 一通り終わってから考えると、時間旅行の際に出てきた未来一条がどのような道筋を辿ったのかいろいろと妄想できて面白い感じですね
 もし「魔王編」以降の未来であるならば、あんなに悩ましい体つきをしていながらまだ男を知らないなんてこともありうるのか……などと愚想したり。

 >異常な性癖に目覚めそうだ! ……彼、十分異常じゃね?
 ぐぅの音も出ん。

 更にこのあと「黎明編」となり、「エジプト編」「ギリシャ編」「ローマ編」、「未来編」に「宇宙編」に「復活編」に「太陽編」にと、巨匠のライフワークに等しい壮大な死と再生と運命の物語がっ!!
 むしろ「地上編」「天上編」「妖夢編」「煉獄編」「黎明編」に番外編の「拾異伝」を加えて計50冊くらいの文庫本に。

 >>早く湊斗さんと合体するんだ! 性的な意味でッ! つまり、村正「性交して、御堂!」と、かかさまの精神汚染から元に戻すために装甲ならぬ性交をねだる村正に迫る性交悪鬼影明なわけですね。
 しかし二世村正乱入、「冑の性技、とくと見るがいい!」「かかさま……負けない!」と足コキ対決へ。グラビティしごきとリニアこすり、そして光の天座失墜小彗星・淫楽版により湊斗さんの魔剣が飛翔して曲輪来々包囲狂。


2009-11-12.

・結城心一の『宇宙スレイヴ後藤田リサコ』がアレなのはタイトル見た時点で理解していたけども、「私急いでヘルマン×ゲルト本の原稿の続き描かなきゃいけないの」だの「ヴェゴドニア!!」だのとニトロプラスネタがまぶされていて吃驚した焼津です、こんばんは。

 「チャンプは総受けよねー」とか、やりたい放題にも限度があろうぞ……いくら『BLASSREITER』が「BL」という文字列を含んでいるからって。しかし、少年誌(一応)でニトロがパロの対象にされる時代が来ようとは夢にも考えなかった。それもよりによって『ヴェドゴニア』。あれは戦闘シーン全編を虚淵が書いていたら『鬼哭街』に比肩しうる(あるいは凌駕する)傑作になっていたと思うんだ。

古橋秀之の『ソリッドファイター[完全版]』がamazonで買えるようになったらしい

 カテゴリが「おもちゃ」なので、「和書」で検索しても引っ掛かりません、注意。

ニトロプラスの『装甲悪鬼村正』、たぶんコンプ間近。

(註:以下の記述は攻略を進めながらほぼリアルタイムで書いたものであり、後から見返すと「ここは事実に反するな」っていう表記も多少混ざっていますが、訂正するのがめんどうくさ……いえ、訂正することでネタバレに近い事態を引き起こしかねないと案じ、あえて修正を最小限に抑えています。あらかじめご了承ください)

 「復讐編」と「英雄編」が終演し、いよいよ『装甲悪鬼村正』の掉尾を飾る「魔王編」へ。タイトルを見ただけでゾクッとするな。ラストシナリオだけあって分量も並大抵ではなく、少なく見積もっても「復讐編」と「英雄編」を足した分はあります。読んでも読んでも終わらず、それでいてスゲェ面白いんだから往生しました。青江の陰義がもたらした「村正の記憶」を意識の底から掘り起こす湊斗さん、彼はそこで「善悪相殺」の誕生を目撃する。南北朝時代に遡り、じじさま(始祖村正)、かかさま(二世村正)、そして村正本人が登場するわけですが、村正の立ち絵を目にした瞬間、速攻で心を奪われてしまった。なんという秀逸なキャラデザ……当方の隠し嗜好である「褐色グラマラス銀髪」をこれ以上なく極めていやがる。まさか村正の生身がかくも放埓なボディとは思いもしなかった。村正よ、劔冑なんか打っている場合ではない! 早く湊斗さんと合体するんだ! 性的な意味でッ! と喚き散らすに足るほどの魅惑溢れる肢体を備えておりました。

 ともあれ始祖村正と二世村正、二領の親娘劔冑がほぼ同時に鍛造されたものであることや、「波」と「卵」がどういう目的から生まれたのかなど、詳しい経緯が判明してきてパズルのピースもどんどん埋まりますね。「善悪相殺」の呪いは別に嫌がらせというわけでなく、仕手に不殺を貫かせる――とまで行かずとも、軽率な殺戮を戒め闘争に耽溺せぬよう自重を促すことが「表」のコンセプトであったらしい。「過剰な暴力を振るわぬよう諌めるためのペナルティ」としての善悪相殺ですね。残念ながらそちらは果たされず、予備として控えられていた「裏」のコンセプトを体現するもの――すなわち「妖甲」と成り果ててしましたが……素直に「相手殺したら自分も死ぬ」という呪いにした方が良かったんじゃないかしら。それはそれで特攻兵器にされそうですけども。

 村正の過去を知った湊斗さんは「もっと彼女のことに通暁し、『一人と一領』ではなく『一騎』にならねばならない」と痛感、探索行動で汚れた村正の甲鉄(はだ)を布巾で拭って労ろうとします。ですが……なにせホラ、村正はろくろく男に触れられたこともない生娘(生劔冑?)ですから。急に触られて悲鳴を上げつつ暴れるわけです。「およめいけなくなるっ」「あーん、かかさまー!」と、反応がウブすぎて正直勃った。湊斗さんの「落ち着けというに! 異常な性癖に目覚めそうだ!」ってセリフに至極同調してしまった。「復讐編」でさよ若返ってしまったことにどことなく落胆した当方のこと、もし村正が人間形態に戻ってしまったら喜ぶどころかガッカリしてしまいそうだ。いや、でもあのダークエルフめいた褐色グラマラス銀髪は看過するに忍びない……悩みどころだな。

 序盤が終了し、話にひと区切りがつくとネタバレ満載の真ムービーが流れます。「ここから本当の『村正』が始まるんだな……」と感得して背筋がヅヅッと震え申した。奈良鉄の真価も遂に発揮されん。そういえば途中、「才(サイ)なく心(シン)なく刀刃を弄んだ愚物! 相応の惨めさで果てるがいい!」というセリフが出てきしたが、これ『刃鳴散らす』でも同じようなセリフ(「才なく心なく刀刃を弄んだ愚物。相応しい惨めさで死ね」)がありましたね。繰り返し使うとは、よっぽど気に入っているのか? にしても、まさか「香奈枝≠雑魚」で「村正=雑魚」だったとは。想像を超える事態に愕然とした。これからは雑魚正と表記すべきか。しませんけども。

 六波羅の大将領、足利護氏が個別ルートに分岐した直後暗殺されるのはこれまで通りであり、下手人が銀星号というのもだいたい察せられていた。「復讐編」と「英雄編」で話を断った湊斗さんが今回引き受けることで、ようやく足利護氏の活躍するシーンが到来する。彼との対話で金神にもチラッと触れられ、第二編で撒かれた伏線が徐々に回収されつつある実感を抱く。物語は激動を招き、まさに風雲急を告げるといったところか。しかし、よもや「飢餓虚空」がブラックホールのことだとは……そこまで考えが至ってなかった。もっと『飢餓海峡』みたいに比喩の意味合いが強いかと思っていましたわ。よくよく冷静になって案ずれば他に解釈のしようがなかろうに、己の盆暗ぶりはまったく度し難い。ほとほと呆れ返った。

 場面が切り替わり、待ちに待って待ちかねた茶々丸の「おはよ、お兄さん」がやっとお目見え。雑誌等で公開されて人気が高かったこのCG、眺めるまでにこれほどの道のりが必要とは、想像だにしなかった。せいぜい第五編くらいで出てくると信じ込んでたもんなー。第三編でも出番はあったけれど、茶々丸が茶々丸として湊斗さんに会うのはこれが初めて……だっけ? 「復讐編」でもラスト付近にて遭遇してますが、名乗ったかどうかまでは記憶にない。ともあれ、「随一」と謳っても過言ではないほどの事前人気を誇った茶々丸、遅れ馳せながら本気駆動を開始。中の人の熱演も相俟って個性バリ立ちです。というか、『村正』のヒロイン勢はかなり声優に恵まれているよね。無茶振りとしか思えないセリフ群も迫真の演技で凌いでいるし。一条にしろ香奈枝にしろ、ヨゴレすれすれどころかまんまヨゴレのシーンもきっちりこなされている。茶々丸の中の人は蟹を演った人で、光の中の人は「様」付けがデフォの方ですから、ふたりに関しても心配には及ぶまい。村正は……ごめんなさい、ぶっちゃけ誰だか分からないです。聞いたことあるような、ないような。ダメ絶対音感を持たぬ身はなかなかに不便だ。声優といえば今回は北都南がジャンジャンバリバリ大放出、ハロワにスマガにカルネにヴェドにと、夢ネタで好き勝手やらかしてくれる。ぺー姉さん八面六臂の大活躍です。

 銀星号としてではなく「生身の光」として接したことから湊斗さんの心にも迷いと揺れが生じ、驚くべきことに「光を殺さない」という選択を取ってしまう。このへんが「魔王編」の「魔王編」たる所以か。光を救うため茶々丸に従い、六波羅の士官として普陀楽に登城する湊斗さん。ここで待望の茶々丸エッチシーン推参です。六波羅の軍服に組み伏せられている茶々丸のエロいCGは結構早い段階で公開され、「あれは六波羅の誰か(獅子吼とか)なのか? それとも六波羅のフリをしている湊斗さんなのか?」と論議を呼びましたが、正解は後者。茶々丸に従っているとはいえ六波羅に屈したわけではなく、そのことを知らしめるために湊斗さんは茶々丸を押し倒して「体に教え込んでやる」と、こう来る寸法。道具扱いされてときめいている茶々丸のエロさは尋常じゃなくM可愛い。そしてオナテクもご存知でない処女丸に「濡らせ」「濡れていないとお前を使いにくい。使いやすいようになればそれでいい」ってなことを傲然と言い放つ湊斗さんは真性の鬼畜でした。もうアウトでしょ、これは……人として。タイトルを『好色鬼畜景明』と改めるべき。キャッチコピーは「善悪相姦」「――これは変態の物語でしかない」な。茶々丸初体験のシーンは『村正』で一、二を争う期待感を持たせるものの、相変わらずここぞという場面で暗転するプロスパー性の高さが許しがたい。おのれ、早漏悪鬼(ニトロプラス)めぇ……っ! ちなみにプロスパーに関しては「プロスパーの刑」でぐぐるとだいたい意味が分かりますので解説省く。

 緑龍会(グリューネドラヘ・ゲゼルシャフト)という、「復讐編」や「英雄編」にも出てきたが詳細不明なままスルーされてしまった謎の集団も本格始動する一方、視点が建朝寺に移って署長や舞殿宮、それから「魔王編」でずっと出番のなかった香奈枝と一条が舞台に上がってきます。ホント、久々に見る気がしたわ、このふたり。『村正』はプレー時間が長いわ、そのくせにシナリオが濃密だわで、作中の時間経過や全体の動きを把握し切れないところがある。いずれ再プレーして細かいところまで検証しなきゃだね。さておき、これまでのシナリオでは「殺し愛」メインで、一条ルートに入ると香奈枝が、香奈枝ルートに入ると一条が排除されてしまう方式だっただけに、ふたりが共闘(正確に言えば共存?)する展開は心底物珍しい。総じてシュールな組み合わせだ。状況によって別のシナリオでは敵対し、血を流して殺し合った者同士が並んで立つこともあるっつー無常感、たまらんですね。バトルもののマルチシナリオはこういうところが美味しい。六波羅に潜入している湊斗さんも公方の面々と言葉を交わすわけですが、「復讐編」で虫ケラのように殺された獅子吼が意外な面を覗かせてなにげに好感度をアップさせる。シナリオの転がし方が巧いな。「復讐編」と「英雄編」の内容を前提に総合・統括したルートとはいえ、「魔王編」における脂の乗り具合は格段でグイグイと興味を牽引されます。「辰気があれば何でもできる!」と言わんばかりの銀星号など、ところどころ万能で都合良すぎな設定も多いのだが、「面白いからいいじゃない」と素直に言えてしまう。このへんの感覚はデモベに近いところがあるかな。

 他のルートと比べてとにかく尺の長さが際立つ「魔王編」、クライマックスの要は六波羅とGHQが火蓋を切って繰り広げる全面戦争です。遠慮容赦一切なし、両陣営が秘蔵の兵器をバカスカ投入しまくって互いに絶滅させんとする。第四編で仄めかされていた「真に隠しておきたい切り札」の正体がやっと明らかになった。ヘタレたオカマという印象しかなかった小弓公方、今川雷蝶も実は生粋の戦争屋だと判明して卑怯なくらい話が盛り上がります。そうした戦争の合間に第一編のフォローも仕込まれており、なんとも心憎い構成だ。思わぬ組み合わせも見れたります。『バジリスク』を彷彿とさせる永倉さよ柳生常闇斎だとか……肝心のバトルシーンがまったく描かれないけど。

 いよいよ大詰めを迎えるかな、というところで選択肢が出現。これまでは大抵間違った方を選ぶと即バッドエンドに直行していましたが、終わりも近いからか特別にルートが分岐する仕組みとなっています。ただ、ぶっちゃけ片方はオマケですね。何せ「湊斗景明の、最後の戦いに向かって」→スタッフロール→「いやーめっちゃ苦戦しましたね」と、途中経過が丸々省かれていて噴飯モノであります。他方のルートがきっちり仕上がっているから「ちょっと残念」程度で済むけど、もしこれがひとつきりの〆だったりしたら今頃スワスチカ呼ばわりされていたに違いないぞ……まあ、このすっ飛ばしは狙ってやった感じが大ですが、ネタ的に。正規ルートでは『Dies irae』のラスボスであるラインハルト・ハイドリヒの名前がちょろっと出てきて無駄に興奮。水晶の夜(クリスタル・ナハト)といい、『村正』の世界においてナチスドイツはなにげにキーポイントだったりするな。

 ロングパスじみた伏線も遂に消化し、もはやいつ終わってもおかしくない……という雰囲気なのに、この期に及んでまだゲームブックじみた選択肢の嵐が押し寄せるあたり、つくづく奈良原は期待を裏切らない。「見る」「話す」「訊く」「移動する」ってなコマンドを延々とクリックし続ける昔懐かしい総当り形式のADVで「あああ! 早く結末見せろよ!」と焦れるプレーヤーを弄びます。面倒臭いっちゃ面倒臭いが、操作性の悪さで定評がある「戒厳聖都」を辛抱強くプレーし抜いてクリアした身からすれば屁でもないぜ。行動回数に制限があり、規定された範囲内でフラグを立てないとゲームオーバーになります。難易度はそれほど高くなく、フラグを立てた節目節目ににセーブ取っていればまず詰まることはない。が、ついつい遊んでネタ行動を取ってしまった。爺に刺されてみたりとか。ここのイベントで一番印象的だったのは瑞陽姐さん、本編では呆気なく退場してしまったことが悔やまれてなりませぬ。

 そろそろネタバレか否かの判断が難しくなってきたから、以降は反転にて仕る。第二編で存在が仄めかされていた金神様、数十時間ものプレー時間を経てようやく地上にお出ましするわけですけれど、あまりにも神すぎて笑ってしまう。空間歪曲だの時間歪曲だの、これが何のゲームか分からなくなるほどのインフレぶりです。四次元的に吹っ飛ばされて唐突に時間旅行が始まるって、なんの冗談よ。更に第二編で退場した長坂右京がまさかの復活と、サプライズ劇が続きます。金神に呑み込まれた銀星号は全身が黄金色に輝く「金星号」となり、あたかも百式のように……変化したりはしませんが、逆転・江ノ島大蹴撃(リバース・エノシマインパクト)で村正を衛星軌道に打ち上げて青い惑星を背景に宇宙大決戦を繰り広げるなど、無茶苦茶な戦いぶりを見せつける。ネタでも何でもなく、マジで宇宙なんだから恐ろしい。普通ならエイプリルフールの嘘予告ネタだぞ、これ。さすがにここまで来たら選択肢とか出す余地ないだろ……と油断してたらハイ、来ました。よりによって七面倒臭いパズルが。数字を当て嵌めてあらゆる直線、あらゆる対角線にある数字の和を等しくしろ、とさ。おいおい、こんなもん、ご褒美に超絶エロ画像がなきゃやってらんねぇぞ。ただでさえ深夜で眠いってのにぃ。夜更けにポチポチと電卓叩きながらエロゲーしている我が身を振り返らないようにするのに必死でした。算数レベルで対応できる代物だからどうにかなったものの、結局解くのに15分も掛かった。やった、終わった! と喜んだのも束の間、ああ奈良鉄の執念はどこまで苛むのか、ふたたび選択肢地獄が立ちはだかってぐんにょり。眠いし頭もボンヤリするしでろくに思考することができず、「もうテキトーでいいや」と無作為に選んでいったら、なんと一発で全問正解しました。これが無我の境地か。シンクロニシティだな。それにしても光のしぶといことしぶといこと、「どんだけ抗うんだよ……」とさしもの当方も音を上げかけた。粘りに粘った末、「善悪相殺」ならではの答えを叩き出し、決着。理屈は分かるけれど、あのCGが表示された瞬間は思わず目が点になりました。村正の呪いは「愛する者をも殺してしまう」善悪相殺ではなく、「愛する者を自ら手に掛けることで『その人の死を無駄にしてはいけない』と強制的に考えさせ、その後の行動を縛る」不退転の覚悟にあるのではないかとふと思った。呪いというより軛ですね。いやー、何はともあれ、終わった終わった。常軌を逸した長さではあったものの、これで終幕となると寂しいな。一応エピローグもあるけど……んん? いまいち本編との絡みが分からない、含みを残すもので首を傾げた。そしてエピローグが「End」となった後もまだ続く。「悪鬼編」……だと……? なんてこった、まだシナリオが隠されていたのか! オマケ程度の短さかもしれんが、いい加減眠気も限界に達しつつあったので、攻略の継続は断念。「まだ終わらない」という事実が嬉しくもあり、途方に暮れるようでもあり、実に複雑な気分だわぁ。

 恐らく次回更新の際にはコンプリート報告できるだろうと思います。

・拍手レス。

 体験版の三章までが神懸かっていたDies irae(07年版)もあるよ!あるよ!
 あれほど「たいけんばんにだまされたっ」と思ったのは初めてだ。

 BLADE ARTSがカウントされていたりBGMでもハナチラと関連があるんですよね。
 村正に釣られてハナチラのプレーヤー人口も増えるかしら。

 怒りの日も、あの最高にワクワクする体験版がなければあそこまで話題にはならなかったでしょうねえ…
 当方は既にパラロスで正田儲になっていたから、どのみち回避不能でしたけどね……。

 この作品にストップがかからなかったという辺りから、10周年、これからもヤるぜ俺達はっ!! というニトロの心意気が漲ってますな
 来年の『ドグラQ』にも全力投球を期待したい。

 腸剥き出しとか、本当にシグルイ節が似合うな村正。それはおよそ一切のブランドに、見たことも聞いたこともない奇怪なエロゲーであった、とか、これは尋常の攻略ルートではない……読めぬ……展開が全く、とか。そんな感じ
 想像を絶した厭さ加減で「つ…か あの劔冑は異常!」と叫ぶより他なし。

 一条は容姿からちょっと武装錬金のあの人を連想したけど、まさか自分がぶちまけるとは思わなかった。
 なんか最後は顔を縦にカチ割られていましたね。

 あの名高い名刀が アレとは盛大に笑いましたホント これまで実際に使われなかったのは良かったでしょう 使っていたら村正クラスの封印級です
 湊斗さんが初めて村正を触ったときと同じで、みんな実はアレに触れた途端「仕手に致命的な致命傷を与えるのは確定的に明らか」と悟って使わなかったのではないか。


2009-11-09.

『でろでろ』完結記念プレゼント企画に応募して当選、つい先ほど『蓮介漫画日記』が送られてきた焼津です、こんばんは。

 『蓮介漫画日記』は『でろでろ』各巻の巻末に収録されているエッセイ漫画――所謂「あとがき」に相当するものを寄せ集めて1冊にした本であり、言うまでもなく非売品です。カバーは付いておらず、ごく簡素な見た目だが、無料で配布する冊子としては充分な品質を誇っている。個人的にこういう「抽選で○名様にプレゼント!」は当たった試しがないので、届くことを期待するどころか応募したことすら忘却しかけていました。今回、よっぽど応募者が少なかった当方の運が良かったんでしょうね。まあ、ジョーク抜きで語りますと「抽選で250人」だから全プレとまで行かずとも当選確率は結構高かったのではないかと。

 1巻あたり10ページ前後とはいえ、16冊全部となると160ページになってしまうわけで、厚さを抑えるためかいくつか削られているエピソードがありますね。収録されているのは2巻、3巻、4巻、5巻、6巻、8巻、10巻、11巻、12巻、13巻。それと、再録オンリーだと思い込んでいましたが、なんと描き下ろしが30ページもあります。おお、大盤振る舞いだなぁ。非売品ではありますけど、今月20日発売予定の『ゆうやみ特攻隊』5巻でも同じプレゼント企画をやるようですし、全体で1000冊刷ったうち500冊は押切自身が抱えているとのこと。イベントや通販で捌くつもりかもしれず、頑張れば入手できるだろう状態にあります。蓮介ファンは是非とも描き下ろし目当てにゲットすべし。

ゲームの体験版やデモって本当に効果があるの?(暇人\(^o^)/速報)

 最近だと『とっぱら』『るいは智を呼ぶ』『漆黒のシャルノス』、少し古いが『こんな娘がいたら僕はもう…!!』『明日の君と逢うために』も体験版がなかったら製品版買ってなかったろうな。ゲームは単なるノベルものであってさえ実際にプレーしたときの感覚というか、詰まるところ「雰囲気」が面白さを左右するところありますから、体験版の有無は割と死活問題。予算と時間が限られている身には大助かりだ。

 でもはっきり言いますと、まったく買うつもりがないゲームは体験版をプレーすることすら億劫なわけで、多少「買うつもり」があるソフトでなきゃ元より手を伸ばさない。背中をプッシュする程度の役割であって、一発逆転を引き起こす劇的なキッカケとなりにくいのは確か。「まったく買う気はなかったけど、なんとなく体験版やって購入した」というケースはここ7年間でせいぜい数件くらいでしょう。客観的に見ても「体験版の寄与するところが大きかった」と信じられるソフトは、エロゲーだと『君が望む永遠』(第一章を丸ごと体験版にするという大胆な試みで話題を喚んだ。普通にプレーしても4〜5時間を要する、当時としては破格と表現するしかないボリュームを誇り、「ひと通り終わるまで数時間、ことによったら10時間以上掛かる」という顕著に長大化した昨今のエロゲー体験版の魁的存在と見做せるかも)、『それは舞い散る桜のように』(前半の共通シナリオをほぼ丸ごと収録し、プレー時間も4時間程度と『君望』に匹敵するボリュームとなった。ただし製品版において後半の失速がひどかったため、シナリオライターの片割れである王雀孫本人が「たいけんばんにだまされたっ!」と自虐ネタをかます事態に陥った)、『処女はお姉さまに恋してる』(ヒロインと思ったら女装した主人公だった、という強烈なインパクトも作用してか、WEB上で体験版が公開された途端に注目が高まった。発売当時の品薄ぶりは『それ散る』以上、私事ながら新品の初回版は秋葉原中を奔走しても見つからず結局買い逃し、大いに歯噛みしたものでした)あたりだろうか。以降もAXLの『恋する乙女と守護の楯』やしゃんぐりらの『暁の護衛』など、「体験版を公開→OHPへのアクセス増大→発売後に売切続出」ってコンボを決めるソフトはちょくちょく出ていますね。

 あくまで自分に合うか合わないか確かめて「購入するソフトを選別する」ことが第一義であり、「購買意欲を増進させる」という効果はやや薄いかも。近頃はボリュームが膨らみすぎて、「体験版だけで満足してしまう」なんつー本末転倒な事態も珍しくなくなった。でもやっぱり、体験版やデモで中身が確認できないと製品版を購入する際のバクチ性が高まってしまうので、「デモと体験版で氾濫しているソフト市場」そのものは有益かもしんない。全然買うつもりのないソフトを買わせる、ってところまでは行かないにしても、「もう一歩だけ、後押しする何かが欲しい」というときに何度も役立ってきてくれました。断言しても構いませんが、WEBでDLできる体験版がなかったら当方はもうとっくにエロゲーから足を洗っていたに違いありませんよ。たぶん遅くとも「怒りの庭」あたりで。

ライアーソフトの新作『白光のヴァルーシア』、マスターアップ

 戯画の『BALDRSKY Dive2 "RECORDARE"』もマスターアップし、TOPCATの『アトリの空と真鍮の月』も「マスターアップ筑前煮」(直前の意?)ということで、今月は早々に決した感じ。そろそろ予約でも入れるべぇかな……全部積む予定なんだけど。

ニトロプラスの『装甲悪鬼村正』、プレー中。「英雄編」終了。

 さあ、一条がヒロインを務める「英雄編」やるべえか、と起動したら「善悪相殺」が流れるところで香奈枝の複眼が出てきてビビった。なんだ? 攻略後はこういうのが表示される仕組みになっているのか? 驚かされただけで一個も嬉しくないよ……ともあれ、気を取り直して「英雄編」開始。スタート直後、早くも一条が「湊斗景明の罪」を知ってしまう。ていうか、一条を見るのって随分久しぶりな気がするなぁ。「復讐編」では開幕以前に死亡しているので、全然出番がなかったんですよね。エロゲーの場合「自分のルート以外に出番がないヒロイン」ってのは別に珍しくないけれど、「出てこなくなる」のと「死ぬ」のとでは、やっぱり絶対的な隔たりがあると感じます。おかげで一条が平然と姿を現す事態に戸惑うっつーか、こりゃもう健在っつーより墓から蘇ってきた死者を見る気分に近いものがあるぜ。

 ハナチラを彷彿とさせる「蕎麦屋の娘」が出てきたり、学生時代の湊斗さんが修学旅行で鎌倉に来たとき「八幡宮では実朝暗殺ごっこ」をしたと思い出話を語ったりと、重たいシチュエーションの割には穏やかというか和やかな切り出しです。しかしもちろん、そんな雰囲気は長く続かない。悪鬼たる湊斗さんと「正義を執行する装置」たる一条は対立し、激突の時を迎える。湊斗さんを詰問し、彼の罪を糾弾して「許さない」と主張しながら、その時点で湊斗さんが劔冑を持っていなかったことから即執行とならず、「明日村正と一緒に来い」と決闘じみた処刑予告を発して去っていく。途中で振り返って湊斗さんを指差し、「殺してやるッッッ!!」と宣言するわけだが、なんだか一連の流れがプロレスみたいだな……と思ってしまった。わざわざ待ち合わせしなくたって、「今すぐ村正呼べやオラ」と脅せば済む話じゃないか。一条ってば演出過剰の傾向があるんじゃね。そして正宗から露骨に駄劔冑臭がプンプンと漂ってきましたが、これ錯覚だといいなぁ……でもいちいちセリフが雑魚っぽいんだよなぁ。

 すったもんだの末にとりあえず和解し、デモムービーにあった「湊斗さんはもう、殺さなくていい。それはあたしがやります」を以って〆。局面は次の段階、「普陀楽城潜入」に移ります。普陀楽城は六波羅の本拠地であり、「復讐編」ではえらいことになって詳細が触れられぬまま幕となりましたが、この「英雄編」で内部を探る展開に入っていく。湊斗さんと一条は内部の手引きを借り、偽名を使って夫婦として潜入するのですけれども、そこに関する遣り取りで噴いた。

「俺と夫婦を装うのは嫌か」
「そ、それは……そんなことは……」
「俺は嫌だ」

 湊斗さんのフリーダムさ、つくづく悪鬼の域を跳び越しているぜ。ここまで空気読めない発言ができるのはニトロ主人公だと九門克綺くらいじゃないだろうか。それはそれとして、普陀楽城に潜入して以降のシナリオで見所と呼ぶべきものは、やはり童心坊です。六波羅の最高幹部、四公方が一、古河公方の遊佐童心。何より禿頭が目立つ偉丈夫であり、剽げた顔つきと惚けた物言いからともすれば柔和さすら醸し出すが、根性の腐り具合は『村正』随一です。欲望に素直すぎる坊主だぜ。「童心フィーバー」と言い切って差し支えないほど胸糞の悪い振る舞いを好き放題やらかしてくれ、さしもの一条もブチキレ寸前にて例の怖フェイス出現。憎悪が高まりすぎというか、もはや明らかにヒロインとして許される相貌ではありません。楳図かずおの手で描いた方がまだしもマシでしょう。ニトロも顔芸に関しては容赦ねぇな。でもニトロよ……いい加減エロを寸止めするのはよせ。「はっはー、たっぷり犯してやる!」「いやぁぁぁーーーー!!」→(暗転)→次のシーンじゃユーザーの方がブチキレ寸前だろうが。

 「やりたいことは全部やる」、野放図極まりない童心の劔冑は同田貫。亀型の劔冑というか、ぶっちゃけあれです、ガメラ。火を噴きながらシュルシュルとねずみ花火の如く回転飛行する。ムービーを見た瞬間、呵呵大笑してしまいました。バカバカしい。バカバカしいが、強いことは強い。対抗する正宗は仕手が初心者と言うこともあって苦戦します。とはいえ、策が何もないではなく、窮地に陥ったところで隠し技炸裂。その内容が……何というか……ひどい。えぐい。あんまりだ。グロいにも程がある。どっちかというとこれ、悪サイドが使う秘技の類だろ、絵的に鑑みても。ザベル・ザロック思い出したわ。湊斗さんのバトルはゲテ路線に赴かず、正調の剣術応酬を繰り広げてくれるから安心しましたけど。奈良鉄お約束の解説図が実に愛おしい。

 同田貫戦が一段落したところで物語もひと区切り。雷蝶の「オエェェェ!」なカットとともに新しい展開へ入る。いや冗談じゃなくあそこは吐き気を催しましたよ……ホント『村正』はひどいこと尽くめのソフトだ。一条も心の脆さを晒したり、志の危うさをチラつかせたりと、プレーヤーから顰蹙を買いそうな部分が積み重なっていきますが、個人的にはこの泥臭さと生臭さと血腥さは悪くないように思える。すべてが混じって人間臭くていいじゃない、と。一条に好感を抱くかどうかは別として。うーん、正直、一条は人気出そうなヒロインじゃないよなぁ……登場頻度が高まるにつれ自動的に株価を下げていく機能が付いているのでないかと錯覚させられる。釣られて湊斗さんもどんどん暴落していくし、「究極のさげまん女」と謗られても否定できない部分はあります。シャキーンって感じな装甲ノ構は可愛くて好きなんですけどね。彼女が割を食ってるのはひとえにシナリオの都合もあるし、生い立ちに考えを寄せれば一概にその頑是無い正義ばかりを責めることもできず、なんとも扱いに困る。

 いろいろと予想を裏切りつつ、事態は遂にクライマックスへ向かっていく。ネタバレを控えて解説するのもいい加減無理、バーティカル・リミットに達した感があるので以降は反転して綴らせてもらおう。銀星号戦が開幕、騎体の特徴が「速度と攻撃力は抜群、ただし防御力と回復力は低め」と判明し、いたく腑に落ちた。要するに「当たらなければどうってことはない!」という設計思想なんですね。相手の攻撃を貰うと想定していないため、騎航とアタック時の衝撃を凌げるだけの装甲、つまり最低限自壊しない程度の耐久力さえ発揮すれば事足りる。「復讐編」で核攻撃に負けたのは飢餓虚空とやらが不完全だったことと、こういった要素が絡み合っていたからなんだなぁ。おかげで「英雄編」における決着の筋道もつきました。凄愴でいて切ない幕引き。光も中途で斃れる割には満足そうだ。これもまた愛か。そして村正と正宗、「善悪相殺」と「絶対正義」の最終決戦が待ち受ける。湊斗さんの説教を聞き届けて一条がコロッと改心する、なんていう生温い展開は誰も望んでいないだろうけれど、それにしても聞き分けの悪さにイライラさせられます。義清の伏線も回収されてないし、こりゃ結末は見えたかな……とすっかり諦めモードになってしまった。しばらく予想通りの展開が続くも、やがてあっさり予想を裏切り、想像以上に過酷な未来を目指して歩き出す。村正と正宗、まさかの再戦。「俺たちの戦いは続く……いつまでも!」な打ち切りエンドかと疑ったが(ラストが若干ボカされているので半ばそんな気配もあるが)、「英雄編」としての決着はしっかり付いていて満足致しました。にしてもつくづく正宗の機巧は狂気ってるな

 途中までのストーリーがやや低調かつヒロインの一条にあまり肩入れできないせいで「このルート、そんなに面白くないかも……」と失望したかけたが、終盤で一気にグンと伸びて体温も跳ね上がるほど面白くなった。実際、プレーしていて物理的な熱さを総身に覚えるほどでしたよ。秋の夜更けだってのになぁ。戦闘が整然とした論理に則って帰趨を示す「復讐編」に対し、こっちのバトルはひたすらドロドロ。心魂とか根性とか、そういうレベルで腸を剥き出しにして殺し合う。断っておくが、比喩や誇張ではない。本当に腸を剥き出しで戦うんだから恐ろしいです。死狂いまくりだ。度を越してグチャグチャな争いに、違う意味で『デモンベイン』を超えたと思いました。荒唐無稽というエリアすら突破して、もはや形容する言葉が見つかりませぬ。嗚呼、METTAGIRI! 雄々、BUTTAGIRI! クライマックスの激しさ凄さのみに絞って評価すれば、「復讐編」をも上回るでしょう。「善悪相殺」というテーマの比重もこちらの方が大きい。しかし個人的には「復讐編」の静謐な末路も捨てがたい。あとやっぱり一条に関しては「なにこの女こわい」という念を捨てきれない。決して香奈枝が怖くないってことじゃないんですが、怖いなりに惚れる部分があるんだよな、香奈枝は。己の心ごと愛する男を葬り去ればいいという発想に痺れた。何にせよ、エロゲーでやるシナリオじゃありませんね。「復讐編」にしろ「英雄編」にしろ。『俺たちに翼はない』を皮切りに、今年は頭のおかしいエロゲーが豊作だぜ。

 2つのルートを終えたことだし、攻略制限も解かれているかなーと調べてみたら、第二編でいくつか新しい選択肢が追加されていることを確認。これでようやく空欄になっていた「3つ目の好感度」が明らかにされ……え? 何? まさか、「3つ目の好感度」を埋める最後のヒロインって村正なの? てっきり「あの人」とばかり思っていたが……ううむ、どんなシナリオになるんだかますます先が読めなくなってきたな。とまれかくまれ泣いても笑っても次が最後、骨の髄まで堪能させていただこう。

・拍手レス。

 スキップに関しては未読スキップをオンにすれば比較できないぐらい早くなります。つまりは遅くても我慢しろってことですがwフラグ管理がめんどくさいのかな〜
 既読の箇所をキチンと判別しないうえ速度もまちまちで、スキップの性能はあんまり良くないっスね。ニトロって演出凝る割に毎度システムがいまいち……攻略が地味に手間取る。

 統様にもエロシーンがあると確信していた時期が私にもありました…チクショー(AA略
 え? ないの? ……マジでぇー?

 ベッドヤクザと言うよりは影明君はベッドビーストだと思われる
 明らかに出るゲームを間違えてやがるぜ、あの性欲旺盛ぶりは。

 るい智FD、チャットで智ちん声あり発言がスタッフよりありました。ヒャッハー!
 キャスティングはどうなるんだろ。女装少年はイメージ合わせるのが難しいよなぁ。

 龍盤七朝きた―! これはDRAGONBUSTERも望みを捨てなくていい!……のだろうか?
 ドラバスがどんな話だったか記憶もおぼろげになりつつあります。

 明らかに異形で更に滅茶苦茶面倒くさそうなのに、話を聞いてる限りニトロ汁が溢れ返ってるっぽいんだよなぁ、村正。体験版でビビり入ったけど、買おうかしらん
 奈良原一鉄だからニトロの方針無視してひたすら我道を突っ走るのかと思いきや、驚くほど両者の意見が滑らかに摺り合わされています。伊達でも酔狂でもなくニトロ10年の集大成ですよ、これ。


2009-11-06.

12月16日にメディアワークス文庫から刊行される古橋秀之の新作は『龍盤七朝 ケルベロス 壱』(平和の温故知新@はてな)

 弐はいったいいつになるんだろう……と今から危惧されてならないが、ともあれケルベロスやっと来ましたね。他のラインナップは渡瀬の陰陽ノ京とか壁井のカスチャ続編とかで、ぶっちゃけ既存の電撃文庫と大した違いを感じない。単に電撃文庫の刊行点数が増えすぎたので分割するためMW文庫を創刊したとか、そんな理由だったりするのだろうか。「オール書き下ろし」と謳っていたことだし、既刊の再録もなさそうだからご祝儀代わりに創刊ラインナップはひと通り買ってみようかな。

lightの新作『Dies irae 〜Acta est Fabula〜』、Flashムービーを更新

 やんべぇ、ルサルカの新規CGば来ちまったですだよ。単なる使い回しで評判が悪かった創造(ブリアー)のイベント絵をすっかり描き直したみたいですね。今回こそ玲愛のムービーかと思ったら、クンフトの第4弾ムービー同様アインザッツの調べに乗せて様々なキャラが登場する内容になっています。ニートことメルクリウスが出張っているところを見るに玲愛ルートのイベント群だろうか? リザとエレオノーレの掛け合いを始めとして実に見所が多い。見るほどに期待が膨らむ良ムービーであった。時期的にはそろそろ正田のシナリオも上がっている頃合か……開発も正念場を迎えつつあることでしょう。「怒りの日、ふたたび」を回避するために全力で励んでいただきたい。

ニトロプラスの『装甲悪鬼村正』、プレー中。ようやっと一周しました。

 バッドエンドを迎えてしまったのでもう一回第二編からやり直し、好感度の調整を試みました。「要は攻略したいヒロインを殺さないよう、そのヒロインに関連するフラグを立てなきゃいいんだろう」と読んで避け続けたところ、分岐するにはしましたが、狙っていたヒロインとは別のルートに入ってしまいました。どうやら「好感度をまったく稼がない」というのも悪手であるらしく、更にもういっぺんやり直してようやくお目当てのルートにフローすることができました。一条寄りの選択をしつつ一条を殺さないで済めば「英雄編」に、香奈枝寄りの選択をしつつ香奈枝を殺さないで済めば「復讐編」に突入する仕様となっているみたいですね。あと一つ茶々丸のルートが存在するはずなのですが、そもそも茶々丸の好感度を指し示すとおぼしき箇所はずっと空欄のままでまったく上げようがないし、「英雄編」や「復讐編」をクリアした後に開放する――っていうような攻略制限が掛かっているかもしれないので、無理にルートを探すのはやめにした。というか、攻略している最中に負荷が掛かりすぎたらしく、いっぺん強制終了しちゃったんですよね。どうも『装甲悪鬼村正』のプログラムは相当重いみたいで、たまにPCからヒィヒィと悲鳴じみた唸りが聞こえてくる。スキップの上位に当たる機能「超速スキップ」も、スペックが低いせいか何なのか、思ったほどスピード出なくて時間が掛かります。合間に漫画を一冊読み終えてしまうほどでした。当方のPCも村正の悪鬼ぶりに恐怖しているのかしら……コンプする前にぶっ壊れないか非常に心配だ。

 で、当初の予定通り「復讐編」からプレー。誰が誰に対し「復讐」するのか? はネタバレに抵触してしまうから伏せておきますが、「来るべきものが来るべくして来た」という気配に満ち溢れていて開始直後からゾクゾクさせられる。まず目に付くのは選択肢の多さか。戦闘シーンに入ると、都合10回くらい選択肢が出来て「攻撃するor防御する」「上段に構えるor下段に構える」など取るべき行動のチョイスを逐一迫られる。一発でお陀仏になる即死選択肢の他、「致命的でないダメージ」を食らう選択肢もいくつか仕掛けられており、それらを選び続けて一定量ダメージが蓄積するとゲームオーバーになってしまう仕組み。ゲームというよりゲームブック感覚ですな。今時こういうノリは珍しい。そういえば『二重影』も戦闘シーンの選択肢が多くて何度か死んだっけなぁ……あれと違って村正は制限時間が設けられていないので、じっくり考えて選べばクリアすることは難しくありません。当方は初戦、2回死んだだけで済んだ。ちなみに死亡パターンは全部で8種類。いちいち調べてしまうのがバッドエンドスキーのサガ。

 ヒロインの大鳥香奈枝がGHQの所属である分、「復讐編」前半は進駐軍の基地を主な舞台として進行していく。進駐軍にまつわる説明の中でチラッと「石馬」の名前が出てきたが、まさか『刃鳴散らす』と世界観を共有しているのか……?(『刃鳴散らす』には石馬戒厳という、三島由紀夫をベースにしたキャラクターが存在する) 確かに盟友の倉田畢竟(言うまでもなく森田必勝がベース)は劔冑と見紛うような大甲冑を装着していたから、村正の世界に混ざっても違和感はない。でも大半のプレーヤーはハナチラネタを理解できないであろうから、さすがに本編へ絡めることはしない、と思う。たぶん。さておき、GHQが本気を出し始めるあたりから一挙にスリリングな展開へと転がっていきます。またしても山ほどの選択肢が立ち塞がり、ちょっと攻略に詰まったりしましたが、なんとかヒントを活かしてクリア。コツは「擂粉木を使わない」ことですね。ここでのバッドエンドは3種類、行ってはならない場所に移動してしまうパターンが2つと、時間切れが1つです。実時間的なタイムリミットはございませんが一つ行動するたび作中時間が少しずつ経過する仕様になっていて、無駄な手順を踏みすぎるとあえなくゲームオーバー。最短でクリアするのとギリギリでクリアするのとで何か違いがあるかな、とわざわざ確かめてみましたが特別何もなかった。

 後半は基地を離れ、さよの義兄がいる永倉家および香奈枝の実家である大鳥家へ。「うんこ」発言でお馴染み香奈枝の妹・花枝がやっとこさ登場。位置づけとしてはあくまでサブキャラであり、物語のキーとなるほど重要な人物ではありませんが、姉も姉なら妹も妹、なかなか個性的です。単なる仮定に過ぎませんが、もしこのソフトが『装甲悪鬼村正』でなければ、あるいはメインヒロインの役を担っていたかもしれない。そう夢想させる部分があります。それはそれとして後半も選択肢が大量、難易度も徐々に上がってくる。もはや死ぬのが前提。「死んで覚えろ」の領域に差し掛かりつつあります。死亡パターンが変わり映えがしなくなってくるのでBEスキー的には不満なれど、戦闘シーンに程好い緊張感を付与するスパイスとしてはそこそこ有効。香奈枝の見せ場も増えてきて事態はヒートアップ。楽翁陣を鏖殺するシーンのカッコ良さは異常でした。家の問題がひと通り決着したところで遂に湊斗さんのエロシーンが……ああ、そういやこれ18禁のエロゲーだったっけ。数時間に渡って濡れ場がなく、ひたすらバトルばっかりだったせいもあり、半ば失念しかけておりました。肝心のHはベッドヤクザな湊斗さんに噴いたと申しますか、ぶっちゃけ和姦か陵辱か判断に困り、迷った末に辛うじてセフセフと腕を振ることができた次第。見方によってはアウアウやもしれませぬ。

 エッチが終わって思い残す事柄がなくなったならば、粛々とラストバトルへ赴くのが燃えゲーのお約束であり様式美。遂に「あれ」と「これ」の対決が始まります。一騎打ちです。繰り出される絶死と必殺、いったい「あれ」と「これ」のどちらが打ち勝つか。固有名詞をお見せできないのが残念ですが、そのへんはお察しください。さすがにラストバトルだけあって「復讐編」随一の白熱ぶりを見せますね。奈良原節も全開噴射、矢継ぎ早に言霊の篭もった数々が打ち出され、曳光弾の如く輝線を刻みながら虚空へ消えていく。選択肢もなかなか厭らしい。ニトロゲーに慣れていないユーザーならばトラップに引っ掛かって瞬殺されるのではあるまいか。年単位でニトロゲーに付き合っていた当方は「いかにも罠臭ぇ!」と嗅覚が働いて回避成功しましたが、最後の最後に出てくる奴には泣かされた。6個の選択肢が2回出てくる、つまり36通りのアンサーが存在するわけですが、正解はそのうちたったひとつだけ。あれを一発で正解できる人はよっぽど勘がいい人なんでしょう。当方はほとんど総当りでクリアしましたよ、「もうボカーン(敗北を知らせる爆発音)は厭だ……」と涙目になりつつ。エピローグがあっさりしていてちょっと呆気ない感じですけど、内容的には過不足なくまとまっており、「どうせ雑魚(一部で通用する香奈枝の異称)のルートなんて」という侮りを打ち消すに充分なクオリティを誇っていた。というか香奈枝様、全然雑魚じゃないよ。「英雄編」では始まった途端にいきなり死んでるけど、戦闘の強さそのもので言うなら反則級であります。終始糸目という華やかさに欠ける特徴からネタキャラ扱いされてきましたが、自分のルートではちゃんと「乙女座(バルゴ)のシャカが両眼を……!」なシーンも用意されている。「へっ、いくらなまにくATKの絵が良くたって糸目でヌけるか」とせせら笑っていた人は、是非あれでヌくがいい。

 イイ感じに楽しめましたので、引き続き「英雄編」にも期待したい。それにしてもこのソフト、声優の誤読が多いなぁ。時代掛かった言い回しが豊富なせいか、「従三位(じゅさんみ)」を「じゅさんい」など単語レベルの誤読は枚挙に暇がない。あと、「白銀(ぎん)」みたいなルビ振って読むような用語の場合、「ぎん」とルビを発音するときと「はくぎん」と字面をそのまま読み上げるときと両方あって、この僅かな揺らぎがなんつーか……もぞもぞさせられる。「竹林」が「たけばやし」だったり「ちくりん」だったりなんてのもあったし、なるべく読みを統一してほしかった。そして、一番ズッコケたのは「ST-○九」を「えすてぃーいちまるきゅー」と言うシーン。台本が横書きで、「ST一○九」と見間違えたんかしら。いや本当に「えすてぃーいちまるきゅー」だったりするのか、あれ。

・今月の購入予定。村正にかまけて記すことをすっかり忘れておりました。

(本)

 『惑星のさみだれ(8)』/水上悟志(少年画報社)
 『魔法少女チキチキ(1)』/小池定路(ジャイブ )
 『全死大戦(1〜2)』/元長柾木(角川書店)
 『神剣アオイ』/八薙玉造(集英社)
 『天地明察』/冲方丁(角川書店)
 『テスタメントシュピーゲル1』/冲方丁(角川書店)

 『惑星のさみだれ』、進むにつれてメキメキと注目度が上がっていくマンガです。タイトルからどういう内容なのか想像しにくいやもしれませんが、平たく書けば「地球を滅ぼそうとする悪の魔法使いに立ち向かう姫君&騎士団、しかし彼らの内側に獅子身中の虫が……」といったシチュエーションで展開する、爽やかなのに殺伐とした伝奇活劇。どんなに心の通じた仲間であろうと、死ぬときはあっさり死ぬ。故に読んでいて油断ができない、良くも悪くも緊張感に満ちた話なのに、ちょっとした日常描写やコメディライクな掛け合いが巧くてついつい気を緩めてしまうんだよなぁ。ハマれば見返りが大きい反面、このノリを受け付けないって人も少なからずいそうな感じがします。今月は同作者の『戦国妖狐』3巻も刊行される予定。『魔法少女チキチキ』は最近だと『大正野球娘。』の挿絵をやっている著者のコミック。内容はよく知りませんが、あぼぱ(アボカドパワーズ)時代からずっとあの絵柄が大好きだったんだ、買わずにゃいられない。『全死大戦』は「元長柾木版『幻魔大戦』」らしい。上・下巻ではなく1・2巻なのだから当然3巻以降も続けるつもりなんでしょう。ただ、元長柾木は遅筆のイメージがあるし、『月姫』の同人誌「今宵の月は、sense of wonderに満ち満ちて」が数年立った今も未完だったりするので、十数巻レベルに発展して、しかもちゃんと完結する……なんてことを願うのはやや無謀かと。せいぜい4巻くらいで短く綺麗にまとまることを祈っています。

 『神剣アオイ』は『鉄球姫エミリー』の作者が送り出す新シリーズ。今回は現代モノながら、バトルのスケールは前作を超えるとか超えないとか。率直に申して八薙はギャグセンスに少し難があるものの、戦闘シーンの迫力は本物であり、ハッタリ利いたバトルが好きな御仁であれば恐らく満足の行く仕上がりになるものと信じています。『天地明察』は冲方丁初の時代小説。「暦法」を主題に据えているらしい。渋いな。『テスタメントシュピーゲル』は本来なら12月刊行予定だが、年末のせいでちょっと前倒しになっている。ま、スニーカー文庫が発売月に入る数日前から早売りされるのは、実のところ割とよくあることです。シュピーゲル連作の最終章に当たり、『ストライクウィッチーズ』や『スカイガールズ』で有名になった島田フミカネが久々に挿絵を務めるらしい(もともと雑誌掲載された初期のシュピーゲル作品は島田フミカネがイラストを描いていた)。だいぶ間が空いてしまったけど、シュピーゲルは今のライトノベルで1、2を争う期待作だから「今更……」とかいう気持ちは全然ない。期待の度合いからすればむしろ早かったな、とさえ思える。スニーカー文庫と言えばハルヒ以来の大賞作品『シュガーダーク』も今月末に刊行されるらしいので、ひとまず押さえておこうか。それにしても、ハルヒはどうなったんだか……。

(ゲーム)

 『白光のヴァルーシア』(Liar-soft)
 『アトリの空と真鍮の月』(TOPCAT)
 『BALDR SKY Dive2 "Recordare"』(戯画)

 先月同様、延期がなければスマートにこの3本で決定。『白光のヴァルーシア』は桜井光シナリオのスチームパンク連作第4弾。原画の大石竜子と組むのは『赫炎のインガノック』以来か。まさしく当方は『赫炎のインガノック』を攻略している最中(もちろん村正のため凍結中)で、これが終わらないかぎり手をつけられませんが、腐るもんじゃなし他のソフトとまとめて買ってしまおうかと。『アトリの空と真鍮の月』は『果てしなく青い、この空の下で…。』の続編に当たるともっぱらの噂である田舎学園ホラー。しかし我が身は先月購入した果て青の完全版をまだ開封すらしておらず、当たり前のようにアトリは積む仕儀となる。けど、ついでだから他のソフトと合わせて買ってしまおうかと。『BALDR SKY Dive2 "Recordare"』は分割発売された『BALDR SKY』の後編。分割商法なんていう詰りの的になりかねない売り方をしておいて評判上々なんだから、面白さは相当なものだろうと期待している。ただ、Dive1どころかバルフォすらコンプしてないんですよね、当方……Dive2も結局積むでしょう。そう考えると購入は後回しにした方が賢明かもしれませんが、通販を使用する手間を鑑みれば他のソフトと一緒に買った方が得策かな、と。ん……? ふと冷静になって気づいたんだが、ひょっとして今月は積むつもりのソフトばっかりで、早急にプレーする予定のソフトが一個もない? おお、なんてこった。さりながらコミュやインガノックや果て青やバルフォ、何より村正が終わってないのだから、致し方なし。どれか一本でも、来年に取り掛かれるといいな。

 他、PULLTOPのXmasゲーム『しろくまベルスターズ♪』、CGが妙にツボを突き刺すSFチックなエロゲー『そらふね』も気になっていますが、申し上げた通り今月のプレー予定は過密気味であり、キツさが尋常じゃありませんのでパスさせていただく。人間、いくら望んでも無限には遊べないものです。

・拍手レス。

 「あ、それから一条は善悪相殺で死にました。」に噴いた。どんなエロゲーだよ! 絶対買う!
 ホント、軽ーく死んじゃうんですよね……おそろしや。

 二周目以降はED見て愛着も湧いたヒロインを文字通り自ら斬って捨てねばならぬ鬼仕様ですかHAHAHA!…狂ってんなー……
 まだ検証していませんが、3ルートあるうち2つのルートはヒロインを殺さなくても分岐できるかも。少なくとも1つは確実に殺しますが。あとED見て愛着の湧く保証は致しかねます。

 『Steins;Gate』買われるのならXbox版がオススメです。
 ソース:セガ勤務の大先輩が言ってました。

 「Xbox版」ということは他ハードでも発売予定なのかしらん。

 お仕事は何なんですか?将来の職業を選ぶのに本を読む時間がある仕事にしたい。
 お仕事は秘密。そして余暇とは「ある」というより「こじあける」ものかと。睡眠時間をアレするのがごくオーソドックス。


2009-11-03.

・なんとなく絵柄に惹かれて買った『M・S DOLLS(1)』が予想以上に面白く、しみじみと幸運を噛み締めている焼津です。

 学校サボって自室にひきこもり、200時間立て続けに萌えアニメを鑑賞した結果、脳の奥に秘められた「妄想細胞」が活発化し、「理想の萌えキャラ」を体現する架空の少女・八乙女が生み出されてしまった――と、少々ブッ飛んだ幕開けながら大まかな筋はボーイ・ミーツ・ガールの王道を踏襲しています。主人公が繰り広げる妄想によって爆誕したM・S(モーソー)ドールの八乙女は主人公をマスターとしつつも決して絶対服従ではなく、確固とした人格を持って行動する。M・Sドールは常人の目では視認不可能だが、同じ妄想使い(M・Sマスター)には見える。そしてM・Sマスターはみな「自分のM・Sドールこそ至高」と信じており、遭遇したならば必然的に口喧嘩が始まってしまう。この口喧嘩を「M・S・FIGHT(モーソーファイト)」と呼び、互いに痛いところを突かれれば妄想力は減退、最悪の場合「ドール消滅」という悲劇を迎える。また、ドールはマスターの妄想力を糧としているため、もしマスターが「リアル最高! やっぱ妄想いらね」と現実に適応してしまえば消え去る運命となっている。だいたいの設定はこんな感じ。要するに脳内彼女や脳内彼氏が脳外に出てきたわけです。そういや中村九郎のライトノベルに『曲矢さんのエア彼氏』ってのがあったっけ。さておき『M・S DOLLS』、基本はドタバタコメディながら、設定が設定だけになんとも痛々しい空気が漲っております。主人公の君塚は「キモ塚」というあだ名で呼ばれている始末だし。『神のみぞ知るセカイ』『ラブやん』を足して割ったらこうなるかしら。

 まだ1巻だというのに「M・Sトーナメント」なんていう梃入れイベントが早くも開催されていて、割と展開が早い印象を受けます。ナギ(三千院の方)やルイズ、かがみなどといった他作品のヒロインをパロっていたり、オタ芸に耽るB級アイドルマニアが出てきたりと、ダメ度の高い要素が山盛りだけど明るく勢いのある絵柄でうまく押し流しています。人にもよりますが、我慢の限界に達するほど痛々しくはない。戦い方が「口喧嘩のみ」と絞られているせいでバトル描写に爽快感の欠如が否めないにせよ、かる〜くサッと読んで暇潰しする分にはちょうどいい。是非2巻も買おう。

ニトロプラスの『装甲悪鬼村正』、プレー中。

 まず第四編「震天騎」をクリア。江ノ島で六波羅が何やら怪しげな研究をしているらしい、そこに「銀色」が絡んでいるという噂も……という情報を掴んで、湊斗さんたち一行は早速江ノ島に向かう。なぜか一条は水着姿で。はは、ビーチでリゾート気分ってか。そういえばデモベにもこんなイベントあったな。あれはインスマスだったからその後の展開はお察しですが。それにしても水着のイベントCG、映っているのが一条だけで、画面左側が不自然にポッカリと空いているのが薄ら寒い。以前に雑誌で見たときは確かここに香奈枝の姿があったはず。本当に死んじまったんだな、香奈枝……割り切れぬ感情が切々と込み上げてくる次第。それはさておき、江ノ島周辺で聞き込みをして事情を探り、夜になったところで立ち入り禁止となっている島へ侵入することに。やがて彼らは「研究」の正体を目撃する――と、ここまでは予想の範囲内。なかなか派手で見所たっぷりの話であるが、敵は「卵」持ちじゃないし、この編はヒロインの水着を見せてサービスする箸休め的な意味合いが強いんだろうなぁ、って決めて掛かりそうになったところで急展開。どんどん事態が予想を超えていって、そりゃあもうえらいことになる。

 第三編も結構盛り沢山な内容ではあったが、それすら上回る勢いでネタが凝縮されていやがった。4時間弱というボリュームもさることながら、密度の高さが尋常じゃなかったです。すげぇ。本気ですげかったわ。いったいいくつ山場を盛り込めば奈良原一鉄は気が済むんだ。おなか一杯どころか破裂しましたよ、こう、精神的な胃袋が。中でも金翅鳥王剣(インメルマン・ターン)には開いた口が塞がらなかった。話をほっぽり出して滔々と薀蓄を垂れるお得意のスタイルも含めて痺れることしきり。雪車町が瓶割を装甲するフラグさえ立てた気してきました。そうやって散々やらかした末に「ジークハイル」という謎の呟きが入ったりしてもう訳分かんねぇというか、要素を消化する以前にまず飲み込めていない有様。箸休めなんてとんでもない、バチバチのガチ編でした。湊斗さんもボロボロになりながらよく頑張った。しかし「ゲェァァァァアアアアアアアアアアア!!」って主人公の挙げる叫び声じゃないだろう……悪鬼にもほどがあるぜ湊斗さん。あ、それから一条は善悪相殺で死にました。あんなすごい見せ場あったからひょっとして生存するんでは、と微かな希望を抱きかけたものの、心底容赦ねぇ。フラグ立ったら流れを無視して問答無用で殺しちゃう硬直的なシステムはなんだか古ゲーめいてる。「なんてこった、まだ共通ルートのはずなのに、メインヒロインがふたりも亡くなっちまった」と嘆くばかり。当方の選択が拙かったせいでしょうが、ヒロインの扱いがSLGにおける一般ユニット並みでビックリするぜ。

 第五編「宿星騎」はいきなり青江貞次との戦闘から始まる。青江は一種の幻術使い、相手の術をもろに喰らってしまった湊斗さんの意識は過去へ遡行し、記憶の奥に仕舞われた「安らぎ」を再生することになる。要するに回想編ですね。銀星号の中の人が狂う以前、本編からおよそ2年前に立ち戻って湊斗さんが村正を装甲し悪鬼となるに至った過程を綴ります。「この世界では既にオランダが滅びている」「アメリカは未だ独立を封じられている」など作品世界の背景が分かってくる点でも興味深かった。特にメンゲレ博士は重要になりそうな予感がする。

 湊斗さんが村正を纏うまでの経緯を眼目とするエピソードなので、前半は戦闘シーンも地上戦に限定され、プロローグで描かれた数打同士の決闘みたいな「動」よりも「静」を主体とするバトルが淡々と上演されます。激しいエフェクトをガンガン使った劔冑戦も面白いけれど、のんびりと図説形式で進むこういうノリも悪くない。回想が終了して=幻術が破られて、青江が「バ、バカなァァァ!」とお約束のセリフを発して敗北し、銀星号に関する手掛かりをポロッと漏らしたところで五編は幕。次なる六編へ……向かうのかと思いきや、バッドエンドでした。殺すべき「善」が尽きた――という理由で。なるほど、恐らく第五編が始まる時点で香奈枝か一条のうちひとり(あるいは両方?)が生き残ってないと攻略に詰まってしまうんですね。あれ? ってことはこのゲーム、たとえどんなプレーをしようとも五編終了時点で最低ひとりはメインヒロインが死ぬことになってるの? 全員が生存する目はなし? だから「第五編までは共通シナリオ」と説明されていたわけか?

 ひょっとすると、「あるヒロインを斬ることで別のヒロインのルートに分岐する」システムすらあるのかもしれない。イヤすぎる。

 と、かつての日記に記していたが、奇しくもこの予言が当たる形になりそうだ。本気で厭なゲームだな、『装甲悪鬼村正』……暗黒大河ドラマ(スラッシュダーク)という謳い文句さえ生温く思えてくる。ともあれここでめげず、最初の方からやり直してフラグを調整し、なんとしても六編目を目指したく存じます。余談。四編のマッドサイエンティストな所長といい、五編の笑い時間長すぎな姐御といい、サブキャラがイイ味出しまくってるよなぁ。特に所長は四編にしか出てこないのが惜しいと思えるインパクト。確かに他の編ではマッドサイエンティストの出番なんてないだろうけど、あれで終わりなんて勿体なさすぎる。是非デモベのウェスト博士とコラボ企画でも果たしてほしいものだ。

・拍手レス。

 そのまま進められましたか。わたしゃチキン入って選択肢戻りましたよ。
 ヒロイン死んでるとバッドエンドになりやすくなるみたいなので、素直に戻った方が吉です。

 http://kt0hya.web.fc2.com/ どうも、暁です。復活? しました。
 うす、リンク張り直しときます。

 本当に何て異形のエロゲーが、村正。10年の集大成が本当にそれでいいのかニトロ。
 真実真性に異形のエロゲーながら、やってみると冗談抜きで「マジこれニトロの集大成だな」と頷ける部分がわんさか。演出を始めとして全編途轍もない気合が漲っておりますし。


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