2009年7月分


・本
 『デンデラ』/佐藤友哉(新潮社)
 『でろでろ(1〜15)』/押切蓮介(講談社)
 『かわいいあなた』/乙ひより(一迅社)
 『境界線上のホライゾンU(下)』/川上稔(アスキー・メディアワークス)
 『クローバー』/乙ひより(一迅社)

・ゲーム
 『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』(light)


2009-07-30.

『装甲悪鬼村正』の発売予定日が決まったということで早速スケジュールを組み始めている焼津です、こんばんは。

 10月30日。公式発表はまだですが、げっちゅ屋にも来てますし、間違いないでしょう。というか「限定生産版」の表記が気になりますね。内容がどうであるにしろ、あんまり箱が大きくないといいなぁ……特典次第で検討しますが、箱が大きいと置き場に困るので、基本的に通常版狙いで行くとするかな。ともあれ『刃鳴散らす』から4年、『サバト鍋』の「戒厳聖都」から数えても3年半以上、ようやくお目見えする奈良原一鉄シナリオの超大作であり、気を引き締めて掛からなければ歓びと衝撃のあまり失禁してしまいそうだ。あと3ヶ月、睚を決して待つより他なし。

メンズナックル語も年寄りが言うと重みが違う件(ワラノート)

 同じ言葉であっても発言する人によって威力が異なる、という現象の好例。言霊云々というより、「聞く前に聞いている(読む前に読んでいる)」と表現した方が近いのかな。言葉よりも印象が先行するわけで。

名ゼリフの後に「変身!」を付けると何でも仮面ライダー(VIPPERな俺)

 生まれ変わることはできないよ、だけど変わってはいけるから。
 Let's stay together, 変身!

・乙ひよりの『クローバー』読んだー。

 著者2冊目のコミック。橘家の四姉妹それぞれの百合事情を綴った連作集です。一花、風香、美鳥、卯月、「花鳥風月」取り揃った四姉妹を「四葉のクローバー」に見立てたものと思われる。表紙には同年代の女子高生4人が並んでいて、これが「橘家の四姉妹」ではあるものの、実際はもっと年齢差があります。四女・卯月のエピソード「彼女の隣」を皮切りに三女「bitter girl」→次女「春よ恋」→長女「夢心」という順で年功序列の逆向きに進行していきますが、より詳しく書けば「四女の高校時代→三女の高校時代→次女の(以下略)」ってな具合であり、時間の方も遡る形式となっています。また巻末収録の描き下ろし短編「Happy Days」は後日談となっており、「その後の彼女たちはどうしているか」が少しだけ分かる。まったくもって抜かりない構成と言えよう。

 各エピソードの内容自体は割と他愛もないというか、うまく行ったり行かなかったりする女の子同士の淡い恋模様をゆったりあっさりとした筆致で描いており、地味に面白い。イチャイチャ成分は若干少なめだし、バラエティに富んでいた『かわいいあなた』と比べればやや変化に乏しいところはあるので、個人的にはちょっと肩透かしな気分が否めないにせよ、読めば読むほどジンワリと利いてくる滋味があって不思議と飽きさせない。読んでいてニヤニヤと笑み崩れてしまう、っつー点での威力を争えば『かわいいあなた』に軍配が上がるんですけれど、繰り返し読みたくなるっつー点での魅力はこちらの方が勝っています。速攻で結ばれるのではなく、恋に落ちた後もなおそれなりの時間を掛けてゆるゆると関係を変化させていく過程が丁寧に紡がれていて良い。読み返すたびに味わいが増します。あと、細かいところを探るのもなかなか楽しい。

 たとえば、各姉妹の年齢差を推定したりだとか。ハッキリとした資料が明かされていないのでよく分からないが、四女が16歳のときに三女が大学生ってことは、このふたり恐らく3、4歳程度は離れていますよね。次女の相手役を務める子は「いっこ下の女子高生」、クリスマスシーズンなのに受験の話題がチラリとも出ていない、この2点から察するに「bitter girl」は次女が17歳ぐらいの頃と考えられる(と偉そうなこと書いたから気づいたが、「Happy Days」で「高二の冬」と明記してあった)。この頃13、14歳の卯月は多感な時期だったのか、三女の袖を握って背中に隠れ気味、「彼女の隣」で得た印象とはまた異なる雰囲気を発していて「おっ」という心持ちになること請け合い。三女と次女の年齢差は推測が難しい。やっぱり3歳差程度か? 感覚的にはだいたい合ってる気がするが、決め手は欠く。長女が女子高生の頃、四女は7歳前後(幼稚園児か小学生低学年?)に相当する容姿なので、両者の年齢差は9歳か10歳ほど、つまり三女から長女までのスパンは5〜7年の間に収まるはずであり、だいたいの予測値を入れていくと「彼女の隣(長女:25歳、次女:23歳、三女:20歳、四女:16歳)」、「bitter girl(長女:22歳、次女:20歳、三女:17歳、四女:13歳)」、次女「春よ恋(長女:20歳、次女:18歳、三女:15歳、四女:11歳)」→長女「夢心(長女:16歳、次女:14歳、三女:11歳、四女:7歳)」――概ねこんな感じかな。合ってるかどうか甚だ心許ないですが、こういうことに頭を巡らせるのが面白いんですよねー。

 最初一回読み通したときは「物足りないなー」という感想でしたが、2周目に入っても飽きさせないスルメじみた歯応えと味を覚えて次第に次第に夢中になっていった次第。次の新刊が『クローバー2』であったとしても一向に構わないというか、もし本当にそうなったら歓喜のあまり嬉ションしてしまいそうだ。まだ百合そのものに対する苦手意識は拭い取れないけど、乙ひよりのマンガは今後も忘れずにチェックしていかねば。この爽やかな読み口がたまらない。


2009-07-27.

・『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』ですっかり読書が停滞してしまい、この10日間で届いた注目の新作が手付かずのまま20冊近く山積みになっている焼津です、こんばんは。

 ちょうど夏の商戦が本格化するあたりなのか、各社が各社、非常に力の篭もった書籍を矢継ぎ早に刊行する時期に差し掛かっており、どこから読み出せばいいのやら……と贅沢な悩みを噛み締めている最中。しかし現実問題、あれこれと目移りしてしまってなかなか狙いを一つに絞れない。一方、クンフトは再プレーしたいし、澄み朝も先に進めたいし、るい智やシャルノスやG線魔やティンくるは未コンプのままでそろそろ再開したいし、なんだか俺翼の再プレーまでしたくなってきたし。体がいくつあっても足りやしない。本当、この歳になると夏休みのある世代が羨ましくなるぜ。と言いつつ、大学生の頃の記録を読み返すと意外にそれほど「夏休みを利用してエロゲーをやり込む」なんて真似はしてないんですよね。長期休暇のあるシーズンよりも、むしろ小さな暇を見つけてはコツコツと根気強くプレーした月の方がクリアするソフト数は多かった。読書に関しても同様。何事も小さな積み重ねが大事なんだなぁ……至極どうでもいい話ですけれど。

lightのwebラジオ「Happy light Cafe」第17回

 あとで日記読み返して確認するときのことを考え、ラジオで言っていたことを要約。「(マスターアップに向けての作業は)きつかった、演出に時間が掛かった、大丈夫だと思っていたがドンブリ勘定だった、全然大丈夫じゃなかった」「演出作業は1話につき1日程度を見込んでいたが、1話につき3日は掛かった」「予定ではマリィルートの演出を終えて香純ルートに取り掛かっているはずなのに、正田がまだマリィルートのタグ開いてる」「なんでシュライバーの演出やってんの? 香純ルートにシュライバーいないよね? って」「シュライバー可愛いから……」「マスターアップしたら倒れた」「飯食ってない」「少し痩せた?」「こだわったのは、強キャラ6人(トリファ、エレオノーレ、シュライバー、マキナ、ラインハルト、メルクリウス)の死に様」「死ぬときは格好良く、被らないように、個性が出るようにと」「正田は収録に行けなかった、行きたかった」「正田がごねてBGMが急遽追加になった、許可取りに言ったら代表は嫌な顔してた、一回断られたがディレクターの尽力で話を通した」「愛称はクンフト、Gユウスケが主に言ってる」「正田は皆殺しルートと呼んでる、死亡フラグ全開ルートとか」「マリィルートの最終章は書けない書けないと言いつつ過去最高速で書いた」「最後の4連戦は200KBくらいあるが、4日で書いた」「Gユウスケもその場面のCGを過去最高速で描いた」「前回のラジオ収録した頃はその前あたりの章(※恐らく11章)を書いてた、辻褄合わせに苦労した」「まず鬱陶しい奴をシメなきゃいけないのに、なかなかシメられてくれなかった、そこ乗り越えたら早かった」「キャラはエレオノーレを見てほしい、一番好き、大好き」「エレオノーレと螢には最高の愛が注がれている」「正田の愛はちょっとおかしいので、優遇というよりもいたぶりまくってる」「(螢の声優である)かわしまりの曰く『好きな子だからイジじめている』」「螢ルートのいたぶられ方はあんなもんじゃない」「詠唱でオペラのセリフを元ネタに使っているが、オペラは全然観ない」「題材がナチスドイツということで、例の総統閣下がオペラ好きだったことからドイツオペラで行こうかと」「キャラ名も幾人かオペラから引っ張ってきた(ルサルカ、ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲン)」「あるキャラがドイツ軍歌を歌うシーンがあるが、正田が細かいことを考えずディレクターと声優に丸投げした」「螢ルートにもドイツ語の歌が入っている、玲愛ルートにも入れようかな」「玲愛ルートのシナリオは10月中頃で〆る予定」「クンフトは既存のCGに合わせないといけないので好き勝手やれなかった、今度は好き勝手やる」「完全版専用ページのCGは今描いてもらってる」「(Acta est Fabulaというタイトルの意味を訊かれて)ぐぐれ」「完全版パッケの絵は両陣営が左右に分かれている構図、でもメルクリウスはいない、あいつがいると場違いなんで」「クンフトやった人がパケ絵見て、(主人公サイドが)勝てるかもしれない、と思ってくれたら嬉しい」

 4日で200KBはすごい。あそこ、良い意味で我武者羅な勢いが出ていたよなぁ……正田崇はノリ重視というか、あんまり綿密にプロットを組んだりするタイプのライターじゃないんですかね。クンフトの筋運びも少々窮屈なところがあったというか、無理してCGに合わせているような場面がいくつかあった。たとえば、マリィルートで三騎士が一斉に詠唱するシーンとか。旧版では「じゃあ準備が整ったので、儀式を執り行います」みたいな流れだったのに、今回は「あ、やべ、儀式の用意を済ませてないのに戦闘始まっちゃった」と言わんばかりの慌しさで件の詠唱が挿入されるから唐突な印象が否めなかった。ともあれ正田の口ぶりからすると、開発が順調に進めば早くて11月にはアペンドと完全版が出そうですね。多少の余裕を持たせて、実際の発売は12月くらいになるかもしれません。「『Dies irae』は終わらない。俺たちが終わらせない。何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも、創って創って創って創って――」大金を。「せしめるまで――共に行こうじゃないか、無限に続く……制作現場へ」ってな感じで来年以降もガンガン関連作を出していってほしいものだ。

 クンフトは製品版も届いたことだし、パッチ版をアンインストールして入れ直した。特に内容が変わったりするわけではないが、少し気分が良くなったのは何故だろう。ついでにユーザー登録も済ませたが、まだアンケートフォームくらいしかコンテンツがないな。とりあえず感想や改善希望点を打ち込んで送信しておきました。反映される保証はないが、不思議と手応えを感じる。ああ……この一ヶ月、驚くほどDies儲(および正田儲)を取り巻く環境が好転して、なんだか夢のごたる。あのクリスマスシーズンに幕を開けた恐怖劇(グラン・ギニョル)もようやく終わりの時を迎えるみたいだ。あと、そろそろパラロスのリメイクも検討してくれないかな。テックジャイアンに載った全3話のアナザーストーリーやイベント等で配布されたと聞く小冊子(スタッフコメントや書下ろし小説、作中年表などレアな情報が詰まっていたらしい)も一緒に収録してもらえるとありがたい。無論、主人公のライル/ナハトやノウを始めとしてアズラーンやクレメンス、デザードといった無限蛇の幹部たちもフルボイスでお願いな。個人的にはクレメンスをぼっこぼっこのぼっこぼっこのぼっこぼっこにボコるシーンを省略しないでちゃんと書いてほしいぜ。敵の本拠地でいきなりおっぱじめるエロシーンはさすがに削除してもらって結構だが……。

・拍手レス。

 ルサルカに何もなかったねぇ。強いて言えば渇望がチラッと描写されてた程度。あやかたんの事情が事情だから仕方ないとは思うもののもう少しスポットライト当てて欲しかった。ルサルートとか夢みたいなことは言わんから
 ルサルカルートは難しいにしても、「アンナの一代記」みたいな感じで200年分の人生を凝縮したエピソードがほしい……。


2009-07-24.

・OYSTERの『毎週火曜はチューズデイ!』が期待通りに愉快な内容で満悦している焼津です、こんばんは。

 「チューズデイ」に「火曜(Tuesday)」「チューチュー鳴くネズミたち(複数形)」「チーズ」と3つの意味を掛け合わせています。『男爵校長』同様、勢いとセンスで乗り切っている4コママンガですが、今回はシュールなネタが少なく平明で分かりやすい駄洒落やシチュエーション・ギャグで勝負しており、OYSTER作品の中では比較的間口の広いつくりと言えるかも。ネズミのマンガなので、好悪は分かれるでしょうし、ピンと来ないって方もおられるでしょうが、もし興味がおありならネット配信版をご覧になってみてください。こちらは試し読みというわけではなく、web用の描き下ろし作品となっています。単行本の方にはページの関係で収録できなかったそうな。そしてOYSTER、来月は『男爵校長DS』2巻と『光の大社員』2巻が同時発売予定であり、ファンはエレクトすることしきりです。

「Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-」の感想をアップロード。

 読み返して思わず呆れる量ながら、恐ろしいことにまだまだ語り足りないと思ってるんですよね……あんまり短期間でやり込むと濃厚な厨二オーラ浴びすぎて頭おかしくなってしまうので、次のアペンドディスクはもっとのんびり進めることにしよう。いえ、実行する自信がまったくない決意ですが……正田テキスト読んでいると脳が沸騰してきて理性が蕩けちゃうんですよね。

 あ、そういえば製品版は今日が発売日だったか。無論、とっくの昔に着弾済ですよ。初回特典のビジュアルファンブック「黒本」も読みました。カバーも付いているし、予想以上にしっかりしたつくりです。ただ、本当に「ビジュアル」がメインで、インタビューや座談会、裏話といった読み物的なページはなく、あっという間に見終えてしまう。イベントCGのすべてが収録されているわけでもないので、ちょっと物足りないかな。Gユウスケの線画が見れたりして、それなりに興味深くはありましたが……CGを紙媒体で見たい、という欲求をお持ちの方以外は必死こいて入手する必要ナシかと。ちなみにGユウスケ、昔の線画と最近の線画を見比べるとだいぶ良くなってきている気がします。ああそうそう、クンフトの追加CGですが、数えたらだいたい30枚くらいありました。と言っても「出来ているのに前回未使用だった」っていうCGや、「別の用途に使った奴だけど本編に取り込んだ」というCGもあって、純粋な描き下ろしは十数枚程度かなぁ。『タペストリー』発売から5ヶ月――実作業に確保できた期間は3、4ヶ月がせいぜいでしょうし、妥当な枚数かもしれません。

 lightのwebラジオには正田崇が出演して語っているそう。まだこれから聞くところですが、完全版の専用ページは7月31日公開予定、完全版のタイトルは『Dies irae〜Acta est Fabula〜』と、ワクワクするような情報が告知されていて期待に胸が弾けそうだ。「Acta est Fabula」はドイツ語……じゃないな、ラテン語? ぐぐってみるとアウグストゥスが末期に発したセリフで「芝居は終わり」という意味だとか。いろいろ勘繰らせる題名だな。というか、アペンドは? あと、香純ラジオで「蓮もフルボイス化する」ことを暗に言ってますね。

propellerの『きっと、澄みわたる朝色よりも、』、プレー開始。

 久々のお朱門ちゃん作品であり、チッセ・ペペモルの転生体と見紛うばかりに薄倖嫁属性を備えたヒロインの坐すソフト。そういえば、『黒と黒と黒の祭壇』も『Dies irae』同様『ファウスト』ネタを扱っていたっけ。体験版が割と好感触だった反面、「正直ひよ以外に攻略したい子がいない」という悩みが生じた(登場キャラは男女の別なく概ね気に入ったんですが、誰かに寄り道しようって気がまったく起こらなかった)ので、いまひとつ気乗りしないまま購入しましたが――発売早々、あちこちで騒ぎになっていて吃驚しました。すわスワスチカか、と情報を漁ってみて、朱門優がくどいくらいに「これはひよゲーです」と念押ししていた真意を悟りました。まさか、フルプライスで一本道とは。豪華初回版は希望小売価格が税込1万円を超えるのに、ヒロインは与神ひよだけで、他は一切攻略できない……それを確認した瞬間、射精していたんだよ、わたしは! と、もはや懐かしすぎて忘れられているかもしれないバキネタをかましつつ当方のテンションゲージは上がる一方だった。ひよしか攻略できないなんて、ひよだけ攻略すればいいなんて、なんて素晴らしいことでしょう。ひよがメインだろうとは思っていたけれど、まさか他にヒロインが存在しないほど極端な構成になるとまでは読み切れなかった。我が祈り天に通ず。期待以上に『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』の余韻が大きかっただけに澄み朝はもう少し寝かせておいて来月あたり開封しようかと画策していましたが、話が変わって気も変わりました。迅雷の速さでインストールを済ませ、遅滞なく起動させた次第。

 体験版の範囲をスキップしていきなり未読部分から始めましたが、えーっと、これ書いちゃっていいのかな……要するにループものになっています。朱門優でループものというと、どうしてもアレを思い出してしまって顔がニヤける。だとすると、若が昔見た何かと何かをひどく彷彿とさせるのも錯覚じゃなかったのかしら。まだそんなに進めてないので具体的な感想は書けませんが、お朱門ちゃんの博打が吉と出るか凶と出るか、己が目で確かめんとします。

・拍手レス。

 司狼のバックボーンについてはアペンドの玲愛ルートあたりで解明されそうな気もしますね。
 なんかもう書いてる正田自身が持て余している気もしますが……蓮の過去もちゃんと組み込まれるのかなぁ。

 >帯文。 むしろ「貴方が嫌だと抵抗しても、第二話完結!!」とか、どこのJOJO第三部だよ、とか思った自分
 “傷有り”がテンゾーの犬臭さに辟易していればその時点で第二話は終了していたかもしれず。

 怒りの日スゲェー!初めからこの出来なら、後2人のルートが無くてもここまで言われなかっただろうに・・・。しかし、マリィルートがTrueっぽいけど、次のルートは大丈夫だろうか?尻すぼみが心配。
 本気出す前に退場した奴もいるので、クライマックスの盛り上がりには心配してないです。


2009-07-21.

lightの『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』、追加修正パッチをプレー。マリィルートをクリアし、コンプリート。

 1章〜5章、6章の前半は香純ルートと共通。6章のラストは獣殿に挑みかかり、ギロチンを砕かれて敗北を喫したところ、例の「卿も怒りの日の奏者なら、楽器の鳴かせ方は心得ることだ、ツァラトゥストラ」で締め括り。7章は若干の断章を挟みつつ、2007年版と概ね同じ筋。ただテキストが全面的に改訂され、ぐっと読み応えのある代物になっています。諏訪原市の名前が「スワスチカ in シャンバラ」の略、という真相はお蔵入りになったみたい。断章はニート(メルクリウス)の回想および独白も収録されており、ニートの言動がやけに可愛くて笑った。世の中のありとあらゆるものを舐めくさっているニートも、初めてマリィと対面したときは緊張したんだな。8章は香純ルートで散々ほのめかされていた「城」の具体的な描写が挿入され、弥が上にもワクワク感が募る。魔王の城ってベタだけど、それでも外せない王道だよなぁ。早くも三騎士が登場し、白騎士ことシュライバーを「人間並みの知能を持った昆虫に等しい」と形容するなど、露骨に「旧版とは違う。違うのだ」ってアピールしてくれる。シリアスとコメディの配分も絶妙で、これこそ自分がプレーしたいと願い続けていた『Dies irae』なのだと痛感する。正田がシナリオを書くだけで、マリィルートはこんなにも面白くなってしまうのか。嬉しいと言えば嬉しいんだが、2007年版を追憶してどこか物悲しい感情も湧き上がってくる。喜悦と寂寥が同居するとは、まこと不思議な感覚ですね。

 9章は本格的な戦争に入ります。どちらかと言えば影の薄いキャラクターであったリザ・ブレンナーに見せ場が用意され、なにげにその不遇っぷりに心を縛られていた当方はおしっこ漏らしかねない勢いで歓喜・哀絶・昂揚。「カインのおまけ」扱いだった彼女が一気に主役となって舞台に躍り出ましたよヒャッホウ。そういえば、バビロンが持ってる聖遺物の正体が明かされるのってこれが初めてじゃないですっけ? 単に当方が前に説明されたことを忘れているだけ、という可能性もありますが、こんなおぞましい真相をそう易々と忘れるものでしょうか。そして予定通り、三騎士の一人が推参。2007年版でも「なかなか強そうだ」という雰囲気に溢れていましたが、あれよりも更に桁違いの武威を翳して蓮たちを圧倒します。不完全体(実力の半分ほどしか発揮できない)でこれなら、こいつを斃すにはいったいどれだけ強くなればいいんだ!? プレーしているこちらまで頭を抱えてしまいそうになった。10章は幾分か手を加えられているものの、9章に比べれば変更箇所は少ない。ここに限ったことじゃないが、一つの場面でも音声の状態がまちまち(2007年に収録したものと2009年に収録したものが入り混じっている)で、聞いていて少し落ち着かないものがある。

 11章は冒頭早々に驚きの事実判明。まだ仮設段階ですが、もしそれが本当なら当方の抱いていた「Diesの世界観」が根底から覆ることになるぞ。はわわ、えらいこっちゃ。以降の展開も未知の連続であり、歓喜のうちに貪らせてもらった。しかし気のせいか、BGMに新曲が混じっているような……あれ? クンフトに曲の追加はない、って話だったんじゃなかったかな。それはさておき、11章の盛り上がりは一際凄まじった。パラロスの3章、真・三竦み戦をも超えたと断言しえます。2007年版のマリィルートじゃ割合あっさりと退場してしまった香純ルートのラスボスが、あれやこれやと策を巡らし足掻き抜いてみせる。もはやこの章の主役は彼と言い張っても差し支えないと申しますか、後半は完全に蓮が脇役となっていて笑った。三騎士が放つ狂おしいまでの鬼気も素晴らしい。実に実に素晴らしい。以前ならラスボス戦だけで使われていたようなBGMが手加減なく鳴らされて燃焼の絶頂を窮めんとします。騎士ならぬ戦争奴隷(エインフェリア)たちの武威と暴虐、それに立ち向かい、起死回生を狙ってひたすら抗う「薄汚い屑の意地」が胸奥を乱打した。「あれ? これまだ11章だよな、12章じゃないよな」と何度も確認してしまう熱量につき、むしろ逆に心配してしまった。ここまでテンションを上げてしまって収拾がつくのか、と。だってこいつらを斃さないといけないんですよ? 斃したうえで更に強大で熾烈なラスボスが待ち受けているんですよ? 無茶苦茶だよね。

 魔王が降臨し、絶望的な状況下で最終決戦に臨む12章。けど、またしてもこの期に及んでラブコメ描写が来るとは……空気を読みつつあえて無視するそのシナリオセンスには脱帽です。嫉妬するマリィかわいいよ嫉妬するマリィ。そして螢が攻略できない事実に再度歯噛みする。螢ルート自体は完成しているらしいから心配しなくていい、っちゃそうなんですが。また一方、2007年版で空疎な傲慢さを振り撒いてプレーする者を萎えさせたラスボス、ハイドリヒ卿は「謙虚にして傲慢」という曰く言い難いキャラクターに変じています。自分の在り様にまつわる弱さをあっさりと認め、しかしまったく歯牙にもかけない。原画家のGユウスケが「ラインハルト様」と呼ばうのも頷ける禍々しい存在感です。なるほど、「メフィストフェレス」という字名が付いたり、メルクリウスが「悪魔」と指摘したわけだ。これほどまでに清々しく純粋で一途に世界の侵略と征服を行わんとする魔王キャラは久々に見た気がするよ。破壊公(ハガル・ヘルツォーク)とか自称しちゃっているけど、恐ろしいことにそれでもまだ控え目な名乗りだわ。

 13章は12章のダイレクトな続きで、つまり前後編の後編に当たります。いや、むしろ12章が前口上で、13章は本編と見做すべきか? ともあれ、本当に最終決戦が綴られるこの章、あまりにも敵の強さを高く設定しすぎたせいで斃し方が少々ムリクリな手法になってしまった感は否めないが、勝利へ至る過程が綿密に詳細に描き込まれていることもあり、2007年版よりも遥かに興奮する出来に仕上がっています。まさに旧秩序を破壊して超越したって寸法。一つ一つの遣り取りについてあれこれ感想を述べたくなるものの、さすがにそれはプレーしてのお楽しみということで、あえてここには書くまい。たたでさえ尺が長いってのに山場も多くて終わる頃にはぐったりしてしまった。吸精月光でもブリアーしているんじゃねぇの、などと、無駄に作中用語を使いたくてたまらなくなる引力を発しています。ここ数日「活動」や「形成」、「創造」や「流出」と言った単語をどこかで見つけるたびピクンピクンと反応してしまった。

 いずれもっと整理整頓した感想を書くかもしれませんが、まずはこれにて〆とします。語りたいネタが多すぎてまとめ切れません。正田信者(エインフェリア)にとっては麻薬に等しい出来映えであり、設定の細かさと入り組み具合には笑うしか他ない。かつて頓挫した理由があまりにも明確ですね。旧バージョンの発売から数えて19ヶ月、企画段階も含めればゆうに4年を超える歳月を延々と待ち続けた甲斐のある再臨(ヴィーダークンフト)です、つか邪気眼系厨二病患者にはたまらんだろコレ。シナプスから変な汁がドバドバ噴き出しますよ。余韻も半端じゃなく、しばらくは脳みそに正田節がこびりついて離れないまま過ごすことになりそう。点検が充分じゃなったせいか誤字・誤読の類が多かったことには閉口したし、恋愛過程が端折り気味というか蓮とマリィがいつの間にか相思相愛になっていてHシーンも唐突に始まるからなんかテンションに付いていけなかったが、比較的些細な問題だ。アペンド版のリリースも熱狂的に待ち望む所存。にしても必殺技というか「創造」の個別名称がたくさん出てきちゃって覚えるのが大変だな。馴染みの薄い響きが多いせいか記憶するのが難しく、誰がどの術名だったか咄嗟に思い出せませぬ。遠からず周回プレーすることになりそうだ。初読は未知を味わうため存分に猛り狂って進めたが、二読目以降は冷静にカチカチとクリックしてネタを咀嚼していきたいものです。未知もイイけど繰り返しもそれなりにイイよね。

 あ、そうそう、マリィルートを終えて回想モード確認しに行ったら達成率が100パーセントになってましたので、やはりルサルカBADエンドは収録されていない様子。アペンドにも入らなかったらこのまま「なかったこと」にされちゃいそう。ロリババアの足コキがゲットーの彼方に消えてしまうなんて……怖イッヒ。

・拍手レス、クンフトに夢中で忘れていました、すみません。

 移転お疲れさまでした、これからもよろしくお願いいたします。しかし唐辺さん……マジですか……。
 ショックな報せだけど、どこかの出版社が拾ってくれると信じたい。

 読み終わる時には肩が痛くなってること必至のホライゾン。今回は京極夏彦から続けて読んだので肩が重いこと重いこと。あの厚さになるとどんな体勢で読めばいいのか何時も悩みます。
 文庫だから机に置くのも難しいし、横になって読むとなると肘まで痛くなってくるし。一つの試練すなぁ。

 感想は人それぞれですが、「点蔵死ね、氏ねじゃなくて死ね。もしくは消し炭になれ」は誰もが同意して頂けるものではないかと・・・点蔵砕ければいいのに
 確か告白シーンって中継されてたんですっけ。なら点蔵の親父もあれ見て「汚いなさすが息子きたない」「おれの怒りが有頂天になった」とコメントしてそうな予感。

 ホライゾン、本を見た瞬間に「プッ」と吹き出さずにいられない威容を誇ってますね。立ち読みしてたら背表紙が割れて、傷アリになっちゃって買取になりそうだ。
 あれを立ち読みする気概を持ってる人とかいるのかしら……。

 ついにゲットーが破壊されましたね……長かった。本当に長かった。
 しかも次(アペンド)まで待つのが心底辛いですよ。

 マジ随喜。lightの言を信じるなら今年中には出るみたいなので、当方の感覚的には余裕で待てまする。

 さあ早くマリィルートをプレイする作業に入るんだ。マジ別物ですから。
 マジ別物。香純ルートに比べると使い回されているシナリオも少なくて満足致しました。

 司狼に関して思うところをはっきり言えば、Diesに出すこと自体が間違いな設定のキャラですね
 ああまで理詰めで、騎士団連中の強さを説明してるのに司狼が絡んだ展開に関しては勢いで強引にねじ込んだものばかり
 常人のまま戦うという設定を明らかに使いこなせていませんね。だれだよこれにGOサイン出した奴w

 状況がピリピリしてきたときにくだらない言動でガス抜きする、という役割でいえば結構イイ感じのキャラですけどね。要領良すぎというか、御都合めいた活躍が目立つのはマイナスであり、後方支援に徹底させても良かったのではないかという気もします。

 嗚呼、この未知の展開!ついに我々は既知感から解放されたのだッ!! …え?香純ルート?なにそれおいしいの?
 香純ルートは書き直し部分が思ったより少なくて残念でしたね。必要最低限しか弄られていないというか。最終章付近はしっかり作られているけれど、マリィ→香純の順で攻略すると見劣りしてしまう欠点は相変わらず。

 マリィ編5章から変わっていて期待が膨らむ。前はあっさり拉致されたのに・・・
 マリィ編はやりすぎ感が濃厚で最高。ちゃんと尻上がりに盛り上がってくれました。


2009-07-20.

lightの『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』、追加修正パッチをプレー。香純ルートクリア。

 9章や10章のリメイクぶりがさして目覚しいものではなかったため、いささか諦念を抱きながら突入した11章は予想に反して面白そうな雰囲気に包まれていた。予告ムービーで示唆されていた要素が明かされ始め、続く12章と併せて、2007年版では投げっぱなしにされていたネタ――レーベンスボルンにまつわる話を開陳する。ストーリー上は結構重要なポイントであったにも関わらず、正田がプロットを煮詰め切れなかったのか前回はほとんど触れられてなかったんですよね、レーベンスボルン。これで説明不足に陥っていた部分も無事に補填されました。「余計に話広がってるじゃん!」とツッコミたい気持ちも湧くけれど、いやぁ、未知ってホントにイイもんですねぇ。盛り上がってきたところで迎える13章、この期に及んで「じゃあ私のお婿さんは、藤井君を予約するから」「まあ、あなたは、非処女っていう大爆弾を抱えたまま次の相手を探しなさい」みたいなネタが仕込まれていて噴いた。それからヴィルヘルム、三下系のセリフを吐きながら男っぷりを上げるという奇怪な真似をしています。「分かるかよ、魂売るって意味がよォ」と、言ってることは後ろ向きなくせしてやけにカッコイイよベイ中尉。戦闘シーンも見違えるほどに熱くなり、夢中になって読み耽り、眺め回し、聞き惚れました。アクション映画みたいにガンガン撃ちまくっていた旧バージョンに比べるとややおとなしめというか、バトルそのものは地味になってるんですけど、「燃えるツボ」をしっかりと押さえていてたまらない。交し合う叫び、魂の怒号を耳にするや、早々と鼓動が駆け足になります。ただ、密かに気に入っていた「俺を殺せるのは俺だけだ!」が削除されたのは残念。まあ、新シナリオは「俺を殺せるのはハイドリヒ卿だけだ!」という解釈なので、致し方ない。

 戦闘シーンの面白さもさることながら、最終章たるここで発揮されるヒロインの魅力も心憎いばかりに増量。よりによって、螢と玲愛、非攻略のふたりが。なんすかこれ、拷問すか。今回攻略できない彼女たちの可愛さをジャンジャン盛って底上げするとか、ふざけてる? 香純は辛うじて「バカスミ」の汚名を返上する活躍を示しているけれど、相対的に螢・玲愛の魅力が上がってしまってるんで、不人気ヒロインの座は揺るがないだろう。マリィの方は途中からもう空気同然になっちゃうし……なんか、「望んだものに限って得られない」というベイの業をユーザーが地で行く形になってますな。ああ、香純ルートの最終章ってばすげぇ面白いんだけど、やればやるほど螢と玲愛を攻略したくてしたくて気が狂いそうになる。正直、2007年版のときはそこまで魅力を感じなかったし、クンフトでも「シルバーアクセで傷が!」の展開がデジャヴったときは「アペンドとか、もうどうでもいいかな」という思いが一瞬よぎったけど、あくまで一瞬であり、速攻で気が変わった。アペンド分の2ルートを攻略するまでは死に切れません。それが当方の渇望だ。

 そして待ち受けるラスボスとの一騎打ち、ここに関しては2007年版もそんなに悪くはなかったが、クンフトでは設定の補強がより密に行われているせいもあってバトルに奥行きや厚みが加わっており、非常にゾクゾクする。7章から10章に掛けての失望が嘘みたいに熱狂しました。これを書いたライターと9章ルサルカ戦を書いたライターは本当に同一人物なのか? 思わず疑いたくなるほどに歓喜の念を覚えた。「本当に戦うべき敵は誰なのか」という問いにも答えが出て、破滅的な結末であるにも関わらず不思議と陰惨な空気が漂わない。うむ、完全に香純ルートを見くびっておりましたわ。以前は完璧に放置されていた、このルートにおける獣殿とメルクリウスも、最後にチラッと触れられるなどちゃんとした待遇になっている。おかげでエンディングが全然ハッピーに見えなくなってしまったが……いいんかこれ? 蓮が求め回帰した「陽だまり」はほんの一時的なものにすぎない、と言い切っちまってるぞ。

 「形成」や「創造」の発音が「けいせい/そうぞう」だったり「イェツラー/ブリアー」だったりで一定していない、個人的には「イェツラー/ブリアー」で統一して欲しかったというか、形成するたびに「イェツラー」と言うのが変身ヒーローみたいで好きだったので、もっとガンガン「イェツラー!」と叫んで欲しかった。クンフトは無言で形成を済ませてしまう場面が多い……それから、ベイが謳う創造の祝詞もかなり短縮されていたのは残念、あの長々と詠唱する場面カッコ良かったのになぁ……など、いくらか不満が噴き出るものの、総合的には「水準を超える面白さだった」と請け合える。大まかなプロットは一緒だけど、細部が練り直され、隙間を埋める設定も公開され、ファンなら必死こいて整理したがるネタがドバッと押し寄せてきます。謎の多かったカイン周りも随分とハッキリした(たとえば彼は3代目で、1代目や2代目の肉体と融合しているからああも巨体なのだとか)し、蓮が頭脳プレーをしないで単調に突撃してしまいがちなのはKampfform(武装形態、蓮やベイは人器融合型で、発動すると理性が溶ける)も影響していると明言されたし、友人だったはずのリザとエレオノーレが険悪な関係になった経緯、一部のキャラが希求する「死者の蘇生」がどういう理屈で成立するかも判明したし、神父が玲愛へ傾ける己の愛情に葛藤している背景も掴めてきた。獣殿の“創造”やレーベンスボルン関連の設定に至っては、もはや心底別物と化しています。2章でベイが螢に話していたことの意味や、4章でシュピーネが茶番を呑んだことなど、今まで腑に落ちなかったところがようやくスッキリしました。2007年版をある程度咀嚼していたからこそ細かな相違点や全体の枠組に理解が及んだわけであり、2007年版をプレーしたことはまったくの無駄じゃなく、それなりに有意義なことではあったのだ――と冷静に考えると複雑な心境だ。それにしても、19ヶ月前に我が心の砕ける音を奏でてくれやがった香純ルートが、まさかこれほどの勢いでヴィーダークンフトするとは……本音を申すとルサルカ戦のあたりはもっと徹底的に書き直してほしかったが、細かい贅沢を言っても始まらない。さっさと気持ちを切れ替え、マリィルートの攻略に出撃。だいぶ進みましたが、クリアしてからまとめて感想を載せることにします。

 あと、これはまだよく確認したことではありませんが、恐らく今回のクンフトにバッドエンドは含まれていないのではないか、という気がします。香純ルートは一本道だったし、あれこれ選択肢をチョイスしてみてもルサルカに捕獲されるルートには入らないみたいだし。ひょっとして、「ルサルカによる性的拷問シーンを見れるのは2007年版だけ!」ということになるのか? それともアペンドに含まれるのか? はたまたクンフトにもあるけど当方がルートを探し出せていないだけか? 気にしつつもマリィルート踏破に邁進させていただきまする。


2009-07-19.

・俺たちはパッチがあれば使ってしまう。ただ情熱に任せて祭りをやって、怒りの日のことは忘れてしまう――というわけで『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』の追加パッチが昨日公開され、気分は火祭(ファリア)な焼津です、こんばんは。

 さて、ひとまずプレーしてみましたが……クンフトのファーストインプレッションを述べる前に、まずこれまでの経緯を振り返ってみます。リメイク版『Dies irae』のメインシナリオを手掛ける正田崇(マサダ・タカシ)は2004年1月にlightから発売された『PARADISE LOST』によりエロゲーライターとしてデビューしました。個性的な、どちらかと言えば悪文に近い癖の強さを有した作風で、パラロス情報公開当初はシナリオの出来を危ぶむ声が少なくなかったと記憶しています。

 鼻をつく機械燃料と血の匂いも。ヘドロのごとく沈殿し、腐臭を放つ死の薫りも。すべからく、この街の住人ならば幼児だって頓着しない些事のはずだ。たとえ解体された人体が足下に散らばっていたとして。それを貪る野犬や鴉が人面を有していたとして。何一つ、驚嘆に値することなど皆無と言える。そんなことは欠伸を催す日常にすぎない。この街は歪んでおり。この街は狂っており。この街は―故に孤立し、隔離されているのだから。

 冒頭のあたりに出てくるテキストですが、これを読んだときは内容に期待するよりも「大丈夫か……?」と心配する気持ちが色濃く湧いてきました。しかし、進むにつれて悪文めいた粗は減っていくし、癖の強さが肌に馴染んでくることもあって、気づけば作中で詠唱された呪文を自然と口ずさんでいる「傘でアバンストラッシュ現象」が発生してしまうほど夢中になっている始末。イイ歳した野郎が年甲斐もなくごっこ遊びをしたくなるような邪気眼的魅力に溢れていたわけですよ。当然、次回作に期待を寄せます。が、その後の正田崇は『Dear My Friend』のサブライターや『Imitation Lover』の企画原案など、伝奇バトル系とは異なる仕事ばかり担当して、燃え成分を欲するファンたちをやきもきさせました。焦らしに焦らした末、2006年5月にようやく『Dies irae』の情報公開が始まる。パラロス発売から既に2年以上が経過しており、まさに待望と言っていい報せでしたが、実を申せば企画の存在自体は以前から囁かれていました。

lightスレのログを漁ると2004年の大晦日に「Project+G」の仮称で書き込みがある。
この頃はhide18が原画やる予定だった。企画自体はパラロスの発売後すぐに上がった、と何処かで読んだ気がする。
2005年4月20日に「学園伝奇バトルオペラ(題名未定)」の書き込み、確か一度ベイの没CGも公開された。
2006年5月末に『Dies Irae』というタイトルが判明して原画もGユウスケに変わっていた。

 Diesスレの書き込みから引用しますとこんな感じ。つまり、「Project+G」を起点にすると4年半以上も待った末にクンフトへ辿り着けたことになるんですよね……仮にアペンドと完全版が今年の年末に来るって考えるならば、なんと初情報から丸5年になりますよ。マブラヴや俺翼と比べても引けを取らない待たせっぷりです。当初は「2006年冬」だった発売予定が最終的に2007年12月となったかの延期地獄も、全体からすると大したことではない。むしろ、やっとの思いで発売されて意気揚々購入した『Dies irae』(2007年版)が「予定されていた4ルートのうち2ルートしか収録されておらず、ホームページや雑誌、パッケージに掲載されたCGが作中で使われていない」「6章あたりからシナリオの劣化が始まり、テキストからして明らかに正田崇の作風ではなくなる、スタッフロールを眺めれば案の定、シナリオライターのところに正田以外の名前が6人も載っていた」という嫌すぎるサプライズで失望と落胆の二重奏を掻き鳴らしてくれやがったことの方が遥かに問題でした。ただ単につまらなくて怒るというよりも、年単位でひたすら熱望した「理想の『Dies irae』」をプレーすることが叶わなくなった事実に絶望した。今でこそ正田が再臨して希望が戻ってきましたが、当時は「正田がlightに帰ってくることはもう二度とない」とすっかり悲観していましたからね……発売から一週間もしないで公表された「エクステンションパッケージ」の構想にもさほど期待が湧かず、この1年半は諦めようとしても諦め切れない悔しさを噛み締めながら過ごしてきたものです。

 2008年はサントラやドラマCD第2弾が出たくらいで『Dies Irae』そのものの動きはまったくないまま終了しましたが、明けて2009年の1月、遂にlightがその後の開発状況をアナウンス致しました。螢ルートと玲愛ルートの追加のみならず、既存の香純ルートとマリィルートも修正されるなど、具体的な内容が分かり始めたのもこの頃から。以後、light配信のwebラジオで「全シナリオを正田崇が執筆」と請け負い、4月と5月には正田本人までもがラジオに出演して制作状況を語るなど、『Dies Irae』を取り巻く事態は大きく変転します。新たに発表された香純ルートとマリィルートの加筆修正版、『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』はあくまでユーザーの熱心な要望に応えた「新装版」であり、以前のバージョンに不備があったがゆえにリメイクするものではない、と言い張るお為ごかしな誤魔化しにはつくづく呆れたけれど、ファンとは現金なものであり、一度騙されたことも忘れ、失いかけていた期待を呼び覚まし、「もう一回だけ『Dies Irae』を信じてみよう」という気持ちになってしまいました。悪い女に引っ掛かったら際限なく何度でも騙されて徹底的に搾り取られるタイプです、間違いなく。ホームページもこまめに更新し、いくつも用意したムービーで充分にファンを興奮させたうえ、一度の延期もなくマスターアップに漕ぎ着けるなど、前回がまるで嘘のような手際の良さを示して現在に至ります。2007年の旧バージョンを購入したユーザーには発売6日前、今月18日(つまり昨日ですね)に無料で追加修正パッチを配布するというサポートに踏み切り、当然の如く2007年版を抱えている当方はもちろんのこと眼を血走らせてDLに駆け回りました。

 追加修正パッチは2GBという非常に巨大な代物、いわゆる「ギガパッチ」となりましたが、ミラーサイトのおかげでダウンロード自体にはそれほど苦労しなかった。インストールもさしたる支障なく終了。懸念していたプロダクトIDおよびネット認証、告知されていた時刻の少し前から待機モードに入り、発行作業が始まるのを今か今かと手ぐすね引いて待ち続け、予定の18時から6、7分ほど遅れて遂にスタート。物凄く重くてアクセスに難儀しましたが、10分も掛からずに発行が済んでただちに起動しました。予想していたよりもずっと滑らかな移行。正直、プレー可能になるのは深夜頃じゃないかと疑ってましたわ。

 書き直すのは6章序盤以降ということだから、それまでのシナリオは一緒なんかなー、と確認する意味も込め、改めてプロローグから再プレーを開始。1章、2章は予想通り変化ナシでしたが、なんと3章で早くも追加シナリオに遭遇。怒りの日を経験した方々には「お風呂エッチ」と囁けば伝わるだろうか。例の、CGだけ公開されていて本編には該当する場面がなかった、そういうシーンの一つです。導入が唐突かつ端折り気味なので取って付けた感じが否めなかったが、元々正田シナリオにエロスは期待していないので軽く流した。ただ、未使用CGがキチンと消化された、という事実にはとりあえず安堵を覚えた次第。それにしても3章、相変わらずここの展開は脂が乗っていますね。クライマックスのあたりはこれまで累計で既に10回くらいやり返しているんですけれど、何度見ても飽きないというか、眺めるたびにハッと眼が冴えるわ。1〜3章は既知感尽くしでついうつらうつらしてしまい、「もうそろそろ寝ようかな……」と思っていたのに、あそこで一挙に眠気が吹き飛びました。今度こそ、香純ルートでもマリィルートでもいいから、追加されたシナリオであそこの盛り上がりを凌駕してみせて欲しい――と強く祈りを捧げました。

 2007年版のときは香純ルート→マリィルートの順で攻略したので、今回も同じように進めようと画策。4章と5章は特に変化のないまま閉幕となりましたが、webラジオで「大幅に書き直す」と公言していた6章、前半こそ変わり映えしないというか記憶とほぼ一緒だったものの、後半で一気に既知感(ゲットー)を突き破り、未知の領域へ踏み出してくれた。おお、「ちょうどこのあたりからつまらなくなってきたんだよなー」という憂鬱な思い出がみるみる霧散していきますよブラボー。司狼の切り札が液体窒素という点はそのままでガッカリだったが、戦闘の推移、特に蓮と螢の遣り合いは内容が丸っきりすげ替えられていて興奮した。「言ってることが無茶苦茶だな!?」とツッコミたくなる要素は多々あるにせよ、テキストに漲る中二的パワーが格段に上昇しています。緋々色金の初形成シーンはまことイイ具合にハッタリが利いていました。「怪我の巧妙」など、ちょくちょく誤字が見つかるのはマイナスながら、神父のイカレっぷりや獣殿が振り撒くオーラの凄絶さにまつわる描写が段違いの迫力になっていて滾ること滾ること。三騎士が現界していない時点でこれなら、やべぇ、期待しちゃっていいんじゃないスかコレ。と希望で胸が膨らむ。

 カインが参戦する7章は戦闘を始めとする描写が若干異なるくらいで流れはほぼ一緒、ぶっちゃけここで失速している感は否めないが、2007年版よりはマシだった。8章はコメディライクな掛け合いが多く、殺伐とした状況の割に和む。「ていうか男女で友情なんかあるかバカぁーっ!」は『Dear My Friend』ネタか? あれ「男と女の間に友情はありえない。 情熱、敵意、崇拝、恋愛はある。しかし友情はない」というオスカー・ワイルドの言葉を掲げていたし。次いで9章、旧バージョンでもっとも落胆した学校戦のあたり。シチュエーションが微妙に変化していて、今回は挽回してくれるのではないか――とワクワクするが、結局書き直されているのは序盤と終盤だけで、バトルが繰り広げられる中盤はほぼ同一だった。「シルバーアクセで傷が!」という激萎え展開もそのまんま。失意に打ちひしがれながらも、悪巧みする神父の狂気がより一層高まっていることに癒されつつ10章へ。いくつかの変更点は発見できたが、大同小異。気のせいか密度が下がっているような……と首を傾げているうちに終了。今は11章の途中ですが、やっぱり毎回「ボトムレス・ピットで作戦会議をして出撃→スワスチカのある場所で戦闘」ってパターン化した流れだと飽きが来るなぁ。この単調なところが香純ルート一番の問題ではないかと思う。

 シナリオの書き直しで面白くなっている箇所はありますし、新規CGや未使用CGも何枚か確認できましたが、もともとあまりストーリーが面白くなかったこともあって、香純ルートの出来自体はそんなに物凄く向上してるってわけじゃないです。ちっとはマシになったかな、程度。うーん、前情報からしてもリメイク箇所で最大に力を入れているのはマリィルートらしいし、こりゃ香純ルートは諦めモードで済ませてマリィルートにすべて望みを託すしかないかなぁ。はっきり言ってしまうと現時点における新・香純ルートの感触は「地雷じゃないけど、なんかフツー」の一言でまとめられます。さて、今日の残りと明日の一日でどれだけやれるかな……連休を潰す覚悟なら、とっくに出来ている。あとはそれに見合う面白さを願うばかりです。


2009-07-16.

『っポイ!』の新刊を読み終えた焼津です、こんばんは。

 前巻で中学校を卒業したから高校編に移るのかと思ったが、別にそんなことはなかったぜ。卒業から入学まで、「中学生でも高校生でもない宙ぶらりんの一ヶ月間」を描いています。まだ別れ別れというほどではなく、一緒につるんでいる時間も多いので読んでいて寂寥感を覚えるシーンは大してなかったな。いつも通りの『っポイ!』だ。しかし、主人公を巡る三角関係が徐々に不穏な軋みを上げ始めてくる。「いつもまっすぐで気持ちがキッパリわりきれててまわりには優しくて間違った事が嫌いな凛とした真」という自己理想を振り捨ててまで勝ち目のない恋に踏み出すサガミの姿がいとおしすぎ。18年の蓄積があってこそ、この変容も活きてくるというものだ。

 しかし、ページ端の柱によれば「『っポイ!』もやっと27巻でお話も最終章に入ってまいりました」とのことであり、ひょっとすると高校入学前後で終わってしまうのか!? さすがにそろそろ終わり頃だろうとは薄々感じていましたが、あとほんの数冊で完結してしまうかと思うと……言い尽くせないものが込み上げてきます。いよいよラストを迎えることを喜びたいような、惜しみたいような、相反する気持ちに心悩まされるぜ。

唐辺葉介の次回作『暗い部屋』発売中止

 『犬憑きさん』の下巻をまだ読んでないせいもあってそんな告知があったこと自体知らなかったが、発売中止て。リンク先に詳しい理由は何も書かれていませんが、作者のブログによると「社内の倫理規定に抵触したそうです」とのこと。修正案も跳ねられたとなれば、スクエニからの発売は絶望視せざるを得ない。何とか他所で無事に出版されないかなぁ、と祈るばかりです。

・川上稔の『境界線上のホライゾンU(下)』読んだー。

 貴女が嫌だと抵抗しても、自分が必ず貴女を奪って行くで御座る!

 この帯文を読んだ瞬間、「調子こいてんじゃねぇぞ忍者ァァァッ!!」と咆哮してしまった同士はどのくらい存在するのだろう。何はともあれ、シリーズ4冊目です。早くも1000ページ超えてます。電撃文庫最厚記録をまたしても更新したそうな。糊は所定の位置へ収まり切らず天にブッ掛け状態、ペリペリと音を立てるページを苦労しいしい開いて読み進め、読み終わる頃ともなれば背面がヤバい具合に割れてまさしく“傷有り”な見た目となっている。もはや全体的に笑うしかない威容を誇り、その持ちにくさは眉を顰めるよりほか術なし。分厚いなさすが川上ぶあつい。俺はこれで指いたくなったなあもりにもぶあつ過ぎるでしょ? しかし分厚い本スキーとしてはこの眺めているだけでウットリしてしまう外観にエクスタシーを感覚するわけで、非難しようにもついつい「こやつめー、ハハハ」なニュアンスで頬が緩んでしまう。川上稔だもの、仕方ない。分量に見合って「書記」が「初期」とか「気が思い」とか誤字もやたら目立ったが、これも仕方ない……と言いたいが、見つけると萎えるので校正はもっと徹底してくれ。

 さて、下巻ということで当たり前ながら上巻の続きであり、武蔵と英国による相対戦の途中から始まります。平たく書けば対戦格闘ゲームみたいなノリのタイマン勝負が連荘で描かれる。容姿も能力も素晴らしく変態入っている英国陣に悩まされ苦しめられる武蔵勢。どうにかこうにか事態を切り抜けたところで、いよいよ物語は英国編の目玉、「アルマダの海戦」へと移っていきます。1100ページオーバーの大ボリュームでありながら、とにかく最初から最後までバトル尽くし。もちろん、ところどころで息抜きめいた小休止は挟まりますし、「死因は巨乳」みたいなイカレたギャグも依然健在につき、期待に期待を重ねて待ち続けたファンは「どこで中断すればいいんだ!?」と迷いながら止まるに止まれず果てしなき紙の群れに突撃していくハメとなるでしょう。つか、ネタバレに抵触しそうな事項が多くて、気ぃ遣ってると抽象的な感想ばかりになってしまうな。今回は短めに述べようと思います。

 「セックス」ネタが結構長く引っ張られているところや、期待通り点蔵が漢を魅せてくれたところ、そして予想以上にァが女を魅せてくれたところに心ときめきました。ァさんってばマジ無敵嫁。ガル茂もよく彼女を打ち倒して旦那様になれたものだなぁ。他、要所要所で武蔵の面々も見せ場が用意されていて、存分に胸を高鳴らせてくれた。相変わらずシロジロが商人キャラと思えないほどの大活躍ぶりを示していたり、エロ姉が徐々に最強ポジションに近づきつつあったり、浅間・痴○○のえげつなき容赦なさに磨きが掛かっていたり、ダ娘がうっかり侍の域を超えた何かに化しつつあったり、ハッサンは飽くまでカレーしか眼中になかったり……いちいち指摘していくとキリがないほどだ。名もなき兵卒たちも熱い志で立ち向かい、「誰も彼もが本当に必死で生きてる」ってムードを濃厚に伝えてくれます。ただ、強いて言うなら、今回(U下)は前回(T下)に比べてシチュエーション的に悲壮感や絶望感を欠くせいで戦闘にそれほどハラハラしないこと、また武蔵と英国と西班牙、3つの陣営すべてを素敵に活写しているせいで「どれに肩入れすればいいのか分からない」という混乱をもたらしてしまったこと、が難と呼べるかな。武蔵がボコられる様子に焦れながらも、相手の活躍に拍手や声援を送りたい気持ちもあって、まっことジレンマを味わった。特に西班牙関連は泣かせるポイントが山ほどあるんですよ……結局、勝敗が決してもどことなくスッキリしないものが残ってしまいました。スッキリしないままで、しかし前に進んでいくしかないわけですが。

 ページ数は完全にT<Uながら、単純な盛り上がりで言えばT>Uであり、「ボリュームは凄いけど登場するキャラの人数も半端じゃないから、どうしても個々の扱いに差が出てしまって不満が漂うなぁ、ストーリー自体も今回は若干余裕がある構成だし、うーん……」ってなモヤモヤした感想に落ち着きます(むしろ落ち着かない感じ?)。思い返してみると、終わクロの2巻もだいたいこんな感触を得たものでした。しかも境ホラは群像劇の様相が濃く、視点の切り替えも頻繁なので、より一層モヤモヤする。上下併せて2000ページも読ませていただいたが、満足するには程遠く、一刻も早いVの刊行を待ち望む心境なり。あ、それとちょいネタバレになりますが、今回は新キャラとして前田・利家がチラッと出てきます。「加賀百万獄」がカッコ良すぎて噴きました。

・拍手レス。

 新山ってだれなんだろうまったくわからないなあー。あと尊徳のキャラ紹介に色々泣いた。
 尊は順調に噛ませ犬フラグを立てていってますね。


2009-07-15.

・というわけで、こちらに移転しました。

 デザイン等の変更を行わなかったので、ごくスムーズに終了。今後も頑張ったり頑張らなかったりしていこうと思います。

lightの『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』、マスターアップ。香純ラジオも配信。

 「すみませんユーザー。俺たちは、また間に合いませんでした」というオチが来る確率は7割程度と見積もっていましたが、既視感を元にした予測は実現せずに済みました。ああ、遂に、遂にゲットーが破壊される日が訪れるのか……。

 香純ラジオは4分ちょっとの、まぁ要するにオマケみたいなものです。目新しい情報はないし、ぶっちゃけ香純は不人気ヒロインですけれど、声優を担当している方は結構演技力が高いので聞いておいても損なしかと。

しゃんぐりらの『暁の護衛〜罪深き終末論〜』、公式ページをオープン

 スタッフ日記によればシナリオライターである衣笠彰梧が手ずからページを作ったそうな。というか、しばらく見ないうちにここ数ヶ月のスタッフ日記が完全に衣笠の日記帳となっていて噴いた。まさか、こんなふうになっていたとは。イベントCGのページは工事中ですし、現時点じゃキャラ紹介くらいが見所ですね。発売予定は来年、最短でも半年は掛かるので、続報等をのんびり待つとしましょう。

「プールで泳いだ娘が妊娠した!」「プールに浮遊する精子が原因」…母親、プール所有するホテルを提訴へ(痛いニュース(ノ∀`))

 なんという盲亀の浮木……もしこれが成立するならあらゆるバカミステリの無茶トリックを「確率を考えると不可能」「蓋然性が低い」「論理的にありえない」などと謗ることもできなくなるな。

世界で最も強靱な膣の持ち主。膣で14kgのガラスの玉を持ち上げ世界記録更新(のとーりあす)

 なんというナッツクラッカー……そもそも、そんな世界記録が存在することにまず驚きましたが。

第141回直木賞受賞作が決定

 順当すぎて特にコメントすることのない結果に落ち着きました。強いて言いますと、この受賞作は3部作の完結編なので、前2作を読んでから取り掛かるとよりベターです。

・拍手レス。

 焼津さん!怒りの日がマスターアップですよマスターアップ!
 卿とは前にもこのような歓喜を分かち合ったことがあるな。


2009-07-14.

・ニタニタと厭らしい笑みを浮かべながら乙ひよりの『かわいいあなた』を読んでいるキメェ焼津です、こんばんは。

 両想いだったり片想いだったり、ハッピーと切なさが綯い交ぜになった女の子同士の恋愛オムニバスです。はっきり言って百合系は趣味じゃないんですけれど、個人の嗜好など軽く吹き飛ばしてしまう高威力の「かわいさ」を前にして顔面神経の弛緩を止められませぬ。最初は空いた時間を潰すために持ち歩いていましたが、あまりにも頬の筋肉がぷるぷると小刻みに震えて仕方ないので「これは人のいるところで読む本じゃない!」と判断。早急に閉じ、誰もいない自室へ速やかに帰還して残されたページを悠々と読み耽りました。とても人には見せられない表情で満悦した次第です。スッキリとして嫌味がなく、それでいて引き込まれるような勢いとテンポの良さを感じる。これはASAPで『クローバー』の方も入手しなければ。それにしても作者名、読みは「おつ・ひより」で宜しいんですね。『スプライトシュピーゲル』が念頭にあったせいか、「つばめ・ひより」だと思い込んでいたぜ。

・そして『でろでろ』はもう読み切ってしまいました……最新刊、まさかの○○化とは、大胆な展開だな。しかも一発ネタかと思いきや結構引っ張るし。『でろでろ』の既刊を読み尽くしたことでポッカリと空いてしまった心の隙間を埋めるために『ゆうやみ特攻隊』『プピポー!』『ぼくと姉とオバケたち』、その他短編集を買い漁りましたが、物凄い勢いで貪ったため、またしてもストックが切れそうな気配となっております。完全に押切蓮介中毒ですわ。まさか彼がこれほどまでに中毒性の高いマンガ家だったとは……来月には『でろでろ』の16巻が出るから、そこまで何とかして飢えと渇きを凌がねば。

 それはそれとして『おばけのおやつ』に収録されている短編「Beautiful」が良かった。最初は「なにこの漫☆画太郎みたいな荒々しいタッチ」と辟易したものの、バカバカしいほど力任せな展開とそれを御し切る豪腕に魅了され、40ページ少々の短い話であるにも関わらずクライマックスへ至るや涙で視界が滲んだ。突如の災害で飼い主たちとはぐれ、嵐の中でただ一匹鳴き叫ぶ臆病な犬っころが絶体絶命の窮地に陥る、追い詰められサスペンスの極地とも言うべき一作です。とにかく迫力がすごい。暴風雨→迫り来る濁流→突如の噴火→飛び散る火山弾と危機のレベルが派手にエスカレートしていき、果てには○○まで……そりゃ「絶望の中の絶望に絶望が混ぜ合わさった絶望」が襲い掛かってもくるわ。「朝ものすごくテンションの高い時に考えた」とインタビューで語るだけあって凄まじい。そして、どうしようもない事態に為す術もなく翻弄されるだけだった犬っころが、追い詰められ、追い込まれ、どん詰まりの地点で「決意」を固めて走り出すシーンが非常に熱かった。

 己の武器は数本の牙だけ…!
 人間は逃げ惑い
 自衛隊は退散した
 世界には一人も味方がいない
 勝てるのか
 勝てるというのか

 特別犬が好きというわけではない当方すら目を潤まさずにはいられなかった。内容が強引極まりないことは重々承知のうえで「押切蓮介作品において1、2を争う感動佳編」と言い切りたい。

propellerの新作『きっと、澄みわたる朝色よりも、』、マスターアップ

 順調そうな雰囲気だったのであまり心配してなかったが、とにかくこれでひと安心。あとはlightの出方だけが憂慮の対象か……理想は「今週末に『Dies irae』のパッチをDLしてクンフトをプレー、終わり次第『澄み朝』に移行」というパターンですが、そこまで美味しいことが現実にありうるのだろうか。ちょっと信じ切れない気持ちです。

・拍手レス。

 獣殿の言葉は我々の心境とシンクロしすぎで笑えませんよ本当。
 あと5日ほどで「最終にして最大、最高の戦」を目の当たりにできる……全然実感湧きませんが。

 ホライゾン、外道な分厚さで記録更新してますね  レッツ鈍器!
 もう感覚がパラライズしてきたのか、実物を目撃しても驚かなくなってしまいました。

 ホライゾンは具沢山でお腹一杯になるけど、すぐ次が食べたくなりますな。
 仮に完結済で全巻セットを購入していたら、読み切るまで止まれないでしょうね。

・どうも現在、新アドレス(http://www.geocities.jp/kara_no_game/)ではアクセスできない状況みたいです。旧アドレスなら閲覧できます。当サイト以外にも同じような障害の出ているところが多々あるみたいで、geocities.jpのサーバ自体がどうかしている模様。復旧を待つより他ありませんが、ジオシティーズ……いい加減、移転のことも検討しないといけないかなぁ。

(追記) 復旧したみたいです。が、明日あたりサイトの移転を行いたいと思います。


2009-07-10.

・大きな、というほどではないにしろ、動きがあったことは確かなので一応緊急更新しとく焼津です、こんばんは。

lightの『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』、新ムービー公開

 このタイミングで延期報告がなかったことからして、まだ何とか瀬戸際で粘っている模様。マスターアップ報告は来週を予定しているとのことですが、まだまだ油断は禁物。気を引き締め、歯を食い縛って待つとしましょう。

 さて、今回の更新では新ムービーの他にwebラジオ「Happy light Cafe」も来ています。制作状況に関しては「遅れているわけじゃなく、予定通りに進行している」「工場の確認が取れたらすぐにマスターアップ告知する」とコメント、2007年版のユーザーが申し込めた(受付は既に〆切済)「Dies粗品」に関しては「年内に完全版のディスクを送付する」「レーベル面の印刷が商品版とは異なる」「遊ぶときはIDとパスワードが必要になる」「プレミアというか、手元に残せる記念品として」「ディスクの他に何かもう一つ検討している」と語っている。某スレで囁かれていた「粗品は手ぬぐい」説に比べればまだマシながら、喜ぶほどのものかと言うと……うーん、微妙。記念品っつったってねぇ。熱心な儲は2007年版、クンフト、アペンド、完全版、粗品版と合計5つのディスクを抱えることになるんでしょうが、果たしてそれが嬉しい事態なのかどうか判断し難いわ。その他、「スケジュール上、このwebラジオを公開する頃には音声収録が終わっているはず」くらいか、めぼしい情報は。ラジオの次回更新が24日、つまりパッケージ版クンフトの発売日であり、パッチの配布はとっくに行われているはずなので、もし延期だ何だが発生したら……激烈な謝罪大会を開催するハメになるでしょう。ここまで安心させて萎えるオチつけやが(ry

 新ムービーは、アインザッツをBGMにしてキャラ紹介めいたノリで流れます。ベイ→猊下→シュライバー→ザミエル→マキナ→獣殿→ニート(メルクリウス)の順。あんまりBGMが合っていないのが難か。各々のセリフはほんの数行程度だけど、2007年の旧版を凌ぐ邪気眼力が発揮されていて胸癒されます。「私はこの時だけを求めて、無限の牢獄(ゲットー)に耐えてきたのだ」という獣殿の言葉がファンたちの心境とリンクすること請け合い。「その筋書きは、ありきたりだが。役者が良い。至高と信ずる。ゆえに面白くなると思うよ」というニートの不遜な宣言すらも愛しい。女キャラが一人しか出てこない、しかもその紅一点がバラライカ級のフライフェイスで「反吐が出る」とか宣うっつーエロゲーのムービーにあるまじき代物なれど、もはや期待を抑え込むのが無理なほどワクワクさせてくれる。もう一度だけ、『Dies irae』に望みを託してみるか……。


2009-07-09.

・最近『でろでろ』というマンガにハマっている焼津です、こんばんは。

 『ミスミソウ』終わっちゃったし、他の押切蓮介作品にも手を伸ばしてみるかな……と至って軽い気持ちで読み始め、ひたすら軽い気持ちで楽しんでいましたが、気づけばいつしか「『でろでろ』、『でろでろ』の話を読ませろぉぉぉ!」と依存症に近い状態となっていた次第。毎日一定量読んでいないと精神が安定しなくなってしまった。現時点で15巻まで刊行済という結構な冊数があったおかげでどうにか保っていましたが、そろそろもう残り少なくなってきてヤバい感じ。

 守護霊がいないせいでことあるごとに付きまとってくる幽霊や妖怪の類に幼い頃から悩まされてきた不良中学生・耳雄と彼の妹・留渦、飼い犬のサイトーさん、その他大勢のキャラクターによって紡ぎ出される単発ホラーギャグ集であり、基本的なノリさえ飲み込めばどの巻から読み出しても構わない仕様となっています。試しにいきなり9巻を読んでみたりしましたが、「知らないキャラがいるな」程度のことで別段問題なく楽しめました。ホラーでありながらギャグ、「電子機器のコードがやたら絡まるのは妖怪の所為」「カップ焼きそばのお湯を捨てるときに流しが『ボコン!』となるのも妖怪の所為」など、日常のあるあるネタを題材に現代妖怪をでっち上げるイイ加減さも素敵ながら、作者自身がホラー好きとあって意外と本格的な妖怪ネタ、伝奇ネタをさりげなく盛り込むこともあるのだから侮れない。「メイドキッサ」は要約すれば「メイド喫茶かと思ったら冥土喫茶だった」というくだらない一発ネタ――に見えますが、解説でも言及されている通り「冥土の食べ物を口にすれば冥土の住人となる」っつー神話のお約束を下敷きにしており、なかなか心憎い。このルールはギリシャ神話でも「生き」とされていて、女神ペルセポネーが冥府の花嫁となった所以でもあります。寄ってくる悪霊や妖魔のものどもを鉄拳やドロップキック、ジャイアントスイングといった直接的な手段で迎え撃つ(特定の撃退法が存在するケースもありますが)パワフルなノリも影響して読み心地は非常に良く、またおバカな不良でありながら激烈なシスコンで可愛い妹を守り抜くことに命を懸けている耳雄の姿にも好感が持てる。「I LOVE SISTER」というロゴの入ったTシャツを着ておきながら「俺はシスコンじゃない!」と叫ぶその神経はいったいなんなんだ、って気もしますが。

 毎回ギャグ系のオチで固定されているわけじゃなく、中にはしんみりとするような落とし方をしている回もあり、ホント読めば読むほど面白くなる。これだけ続いておいてマンネリとは無縁なのがスゲェな。発想の奇抜さ、イイ加減なようでいてネタとして考え抜かれているあたりがたまりません。個人的に好きなキャラクターは、相原岬の姉・水面。彼氏にフラれたり上司からガミガミ説教食らったりと、ありふれた辛い目に遭いながら酒飲んで酔いどれてそれなりに前向きな生き方をしている彼女に不思議と胸キュン。ってか、この人の表情変化って豊富で可愛すぎね?

 それにしても、つくづく『ミスミソウ』→『でろでろ』の順で読めて良かった。「『ミスミソウ』の作者がこんなマンガを……!?」という驚きもあって一層エキサイティングできた気がします。逆に読んでいたら、たぶん「……で、いつギャグが来るの?」と構えてしまったかもしれない。さながら『エンジェル伝説』の後に『CLAYMORE』を読み出してしまったときの如く。更にマイナーな喩えを持ち出せば、『PONとキマイラ』の後に『パンゲア』を読み出してしまったときの如く。

『天地人』の原作者、火坂雅志の新作『墨染の鎧』が8月上旬に発売

 誰が主人公なのか具体名が書かれていないけど、「信長の横死と秀吉の活躍を予言」や「禅僧にしてただ一人城持ち大名になった男」から察するに安国寺恵瓊のことか? とりあえずチェックしておくことにします。

・なんだか明日あたり『Dies irae』に大きな動きがありそうな気がするな……もし目立った情報来たら緊急更新しようかしら。

・拍手レス。

 >読むのが面倒で目を通しておりません ぐだぐだ言っているだけですげえつまんなかったからそれでいいと思う。この人小説の文章はきれいなんですか?
 正直この人の日記はあんまり……小説の方は密度の割に濃さがない文章で、淡々とした読み口ながら少しずつ引き込まれていく感じです。


2009-07-06.

・早朝ふと、天井付近に何やらチラチラと輝くものがあるな……と気づいて目を凝らしてみれば、張っている途中で切れてしまったのか、単なる一本の儚い筋と化してエアコンの風にふわふわ揺れながら窓越しの曙光を浴びて煌いている蜘蛛の糸でした。思わず「なんというカンダタストリング……」と呟いてしまった焼津です、こんばんは。

 そういえば先月刊行された『NEEDLESS ZERO TWO』で久々にカフカの出番がありましたね。ってか、「ゼロツー」という表記がまことにややこしいな。『ストリートファイターZERO2』とか『ONE2』とも通じる「腑に落ちない感覚」を味わっちまうぜ。リアルタイムで付いていく分には問題ないけど、後から入ってくる人が混乱しないかなぁ、という心配も湧いてきます。一応、ZERO→1〜8巻→ZERO2→9巻が推奨ルート。

『OM』タイトル変更、『キャッチャー・イン・ザ・トイレット!! 』に

 ひどいな、とてもキャッチャーとは言えないタイトルだ。しかし楽しみではある。

・佐藤友哉の『デンデラ』読了。

 去年“新潮”に一挙掲載された長編小説。原稿用紙換算で620枚、ページ数は330ページほどです。タイトルは柳田國男の『遠野物語』に出てくるデンデラ野(蓮台野)が元ネタで、言わば一種の姨捨山なんですが、ぐぐってみるとコミュニティ的な側面もあったとかいう話だ。「村」から捨てられて「お山」に行った老婆たちが、「お山」の反対側に「デンデラ」という集落をつくって生活していたが、ある日「赤背」という羆に襲われて……といったストーリーで、まるで『楢山節考』『羆嵐』を掛け合わせたような代物になっている。著者の新境地と謳っても間違いないだろうが、文体そのものはですます調をベースに語句の執拗な反復を伴った「いつものユヤタン節」であり、ファンなら安心して読める……と言うべきか、「さすがに文体は変えようよ」とツッコむべきか。

 総勢50人の老婆が登場し、いちいち名前が出てきても覚え切れないし、またビジュアルを想像しても華やかさに欠けるのを通り越してシュールでさえあるのだが、「ろくな文明もろくな武器も持たない高齢者たちが自然の王者たり天然の覇者たる羆に立ち向かう」ことを通して「逃げるのか? 留まるのか? 諦めるのか? 抗うのか? そう、戦わなければ、明日はない」っちゅう非常にストレートなテーマを描き出してくれることもあり、最後までブレずにまっすぐとした姿勢が貫かれている。文体の影響もあって「勢いはあるが重さはない」というやや残念な雰囲気を醸しているものの、一度読み始めたらそのままグッと引き込まれてしまうような魅力に満ちていることは確かであり、最近の佐藤友哉作品に不満を覚えていた当方も虚心坦懐に楽しむことができた。

 死にたくないから生きている、日々の暮らしは切迫していて死ぬより辛いと思うこともあるが、どのみち生きることは戦いであり、何かの目標を見据えてただひたすらに走り抜け、死ぬまで生きるしかない。あまりにもストレートな内容で感想に困ってしまうところもあるにせよ、力感の漲る一冊で少なくとも退屈させられることはなかった。謎解き要素が若干余分というか煩わしく感じられましたが、このへんは個人の好みだろうか。

・拍手レス。

 クンフトは「く、悔しい…でも感じ(ry」を地で行く感じですなー。買うけど。
 「面白さ」というのもある意味、罪。買いますけど。

 >読むのが面倒で目を通しておりません 読まずに小説は読むのですね
 我ながら不思議。

 露助のマンハントクルーズはデマですよー
 なんと。追記しておかなきゃ。


2009-07-03.

・佐藤亜紀の短編集『激しく、速やかな死』を読み終えた焼津です、こんばんは。

 著者はweb上の日記でエロゲー規制問題について何かしら言及したらしいが、読むのが面倒で目を通しておりません。表題作含む7編を収録している本書、サド侯爵やタレーランなど実在の人物を主人公に虚実取り混ぜたストーリーを紡いでいるけれど、細かい説明はオミットされているので順次ぐぐってかないと話の内容をよく理解できない。理解できないながらも流れるような筆致で最後まで読ませてくれるから、まあ別に支障はなかった。面白かったのは表題作と、「フリードリヒ・Sのドナウへの旅」か。とある場所で繰り広げられる会話劇を淡々と描く「激しく、速やかな死」は徐々に状況が見えてきて緊張感も増していく。それでいて根底には諦めにも似た弛緩が漂っており、一筋縄ではいかない鮮やかな読み口を提供してくれる。「フリードリヒ・Sのドナウへの旅」はナポレオンの暗殺を謀った青年が訊問される様をスピーディな文体で綴っています。一昨年の長編『ミノタウロス』と比べれば地味な感じはするものの、サッと読める短さで活字欲を満たしてくれる一冊でした。

・今月の購入予定。

(本)

 『境界線上のホライゾンU(下)』/川上稔(アスキー・メディアワークス)
 『アンブロークン・アロー』/神林長平(早川書房)
 『っポイ!(27)』/やまざき貴子(白泉社)
 『毎週火曜はチューズデイ!』/OYSTER(芳文社)
 『OM』/伊瀬勝良(双葉社)
 『アイゼンフリューゲル』/虚淵玄(小学館)
 『闇狩り師《新装版》』/夢枕獏(徳間書店)
 『武士道エイティーン』/誉田哲也(文藝春秋)
 『コーパスへの道』/デニス・ルヘイン(早川書房)
 『螻蛄』/黒川博行(新潮社)
 『太陽を曳く馬(上・下)』/高村薫(新潮社)
 『サイコブレイカー』/セバスチャン・フィツェック(柏書房)

 今月はいつもにも増して注目作が多いぜ……思い切って予定枠を大増量してみました。『境界線上のホライゾンU(下)』はシリーズ4冊目にして1000ページ超えをほぼ確約されている本。遠い未来の日本で中世史と戦国史をやり直す、意欲的だけど明らかにイカレている形容しがたい物語です。上巻で溜めに溜めたネタを一気に解放してくれるのだろうか? そうしたら「毎回最終話めいたノリ」が定着してしまいそうだ。『アンブロークン・アロー』は20年掛かりで展開している“戦闘妖精・雪風”、待望の第3弾。文庫版から入った当方ですらもう内容を忘れかけているぐらい待たされたわけですけど、リアルタイムで追っている読者からすれば「待望」どころか「悲願」かもしれない。値段からすると『グッドラック』よりは短いのかな。『っポイ!』はさすがに雪風と比べたら負けるけれど、それでも連載開始から18年が経過している少女マンガです。前巻でやっと中学を卒業したから、いよいよ高校編に突入か? 頻繁に過去エピソードを挿入したせいもあるが、これまでの作中経過時間は1年足らず、果たして主人公たちが高校を卒業するまで作者の寿命が持つかどうか心配になるな。『毎週火曜はチューズデイ!』は「Oにウムラウト」のÖYSTERです。カタカナのオイスター、鬼畜系を得意とするエロマンガ家とは別人です。それにしても、見ていて腰が砕けそうなタイトルですね。表紙を見るにネズミのマンガらしく、チューズデイの「チュー」を鳴き声と掛けているのかと思うと一層脱力する。一冊完結みたいですので、ÖYSTERを知らないあなたも気軽に手を伸ばしてみては如何だろう。

 『OM』、「元はネット小説」「主人公の名前は黒沢」「タイトルは何かの略」、これらをヒントに何なのか推理してください。ハイ……「アレ」しか思い浮かびませんよね? これで予想が外れていたら笑いますが、ヒロイン(?)の名前も一致しているのでまず間違いないはずです。マンガ版をチラッと読んだ程度で原作には目を通していないから、この機会に買ってみるとしよう。そしてどうかマンガ版の単行本化も前向きに検討していただきたい。『アイゼンフリューゲル』、今月に入ってもまだ「タイトル未定」のままだったらどうしよう、と思いましたがいつの間にか決定していた模様。虚淵玄と中央東口、『沙耶の唄』以来となるコンビ再結成です。「大空の覇権が人の手になく、まだドラゴンのものだった頃」の話らしいが、そういえば同レーベルのされ竜も制空権は竜が握っているんだったっけな。今月のガガガ文庫は東出祐一郎の初オリジナル小説『ケモノガリ』も刊行予定で、なにげに熱い。『闇狩り師《新装版》』は先月久々に新作(つっても「媼」の再録があったりでやや水増し臭い)が出た九十九乱蔵シリーズの新装版。「媼」以外は確か12個ぐらい短編があるはずなので、それを全部収録するのかしら。来月には長編『蒼獣鬼』の、再来月には龍王院弘も登場する『崑崙の王』の新装版が刊行予定であり、既刊の九十九乱蔵シリーズはひと通り揃うことになる。でも完結する気はちっともしないよなー。

 『武士道エイティーン』は『武士道シックスティーン』、『武士道セブンティーン』と続いてきた剣道少女シリーズの3作目。そろそろ卒業の時期に差し掛かるし、これで完結してもおかしくない雰囲気なわけだが、キャッチコピーの「武士道シリーズ、いよいよ完結か?!」を見るに番外編なり何なりを出す気満々と見た。タイトルはもちろん『武士道スクールデイズ』で決まりですよね? 『コーパスへの道』はルヘイン初の短編集。原題は“Coronado”だったっけ? 個人的には短編よりもパット&アンジー(ケンジー&ジェローナ)シリーズの新作を読みたいけど、好きな作家ではあるので一応押さえておく。ちなみにこれ、ハヤカワ・ミステリ文庫の新企画「現代短篇の名手たち」全10巻のうちの1冊で、イアン・ランキンの『貧者の晩餐会』と同時発売。『貧者の晩餐会』はポケミス版で読了済だけど、好きな作家だから買い直すとします。あと8巻は残りの顔触れも見て決めるとする。『螻蛄』は「けら」と読みます。精螻蛄で「しょうけら」と読む。『疫病神』、『国境』、『暗礁』に続く“疫病神”シリーズ第4弾です。500ページを突破する力作であり、こいつで捲土重来、ふたたび直木賞を目指すのでは……と見る向きもありやなしや。昔の作品は特に好きでもなかったが、最近徐々に好みに合うようになってきた作家なので注目しています。

 『太陽を曳く馬』は“新潮”に長期連載されていた小説。『晴子情歌』、『新リア王』と続いてきた3部作の完結であり、高村薫小説の代表キャラクターたる刑事・合田雄一郎が登場することで話題になっていた作品でもあります。恥ずかしながら高村薫の小説はほとんど読んでないので、買ったところで積むことは必定ながら、それでも買わずにはいられない。『サイコブレイカー』は『治療島』や『ラジオキラー』で有名になったフィツェックの新作。邦訳では1年ぶりになります。前作『前世療法』の訳者あとがきでは『ハート・ブレイカー』となっていましたが、タイトル変わったみたいですね。「被害者を殺しはしないが、精神的に破壊してしまう力を持ったサイコパス」というあらすじ自体は変わらないだろうから、存分にワクワクさせてもらうとしよう。他のところでは森見登美彦の新刊『宵山万華鏡』、アサウラの『ベン・トー4』、上橋菜穂子の『神の守り人(上・下)』、深見真の『ヴァーティゴ』あたりを買うつもり。マンガは今井神の『白砂村(4)』と『NEEDLESS(9)』、三家本礼の『美女アマンダ』と『巨乳ドラゴン』、熊倉隆敏の『もっけ(9)』、kashmirの『○本の住人(3)』くらいかな。とにかく今月は欲しい品がたんまりあって嬉しい悲鳴を漏らさんばかり。

(ゲーム)

 『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』(light)
 『きっと、澄みわたる朝色よりも、』(propeller)

 Dies、なんだかんだで結局ワクテカしている自分が悲しい……「die Wiederkunft」は19ヶ月ぶりにリリースされる『Dies irae』の新装版(light曰く)であり、シナリオの大半(70パーセントぐらい?)が書き直されている異例のソフト。エロゲーで全面的なシナリオの修正と言えば『真章 幻夢館』『魂響〜円環の絆〜』といった前例もあり、中には『つよきす 2学期』なんていう「修正っつーかトレス?」な代物すら存在しますが、あれらとはまた経緯が異なりますね。さておき、die Wiederkunft(略称クンフト)、期待しすぎない程度に期待するとします。延期しないでちゃんとした出来になれば儲け物。延期した末に不出来だったりしたらユーザーがもう獣になりますよ? 猛獣と書いて「もうけもの」ですよ?

 『きっと、澄みわたる朝色よりも、』はお朱門ちゃんシナリオの新作。原画の「やすゆき」はこれまでに関わっていたソフトが、その、比較的アレげなものが多く、「準Tony級」と囁かれている方です。違う意味での伝説を築かないよう、ここは『澄み朝』に踏ん張って欲しい。朱門優のシナリオは丁寧と言えば丁寧だが、人を選ぶ個性の強さもあり、蓋を開けてみないことには何とも言えない。お朱門ちゃん自身が「ひよゲー」と豪語しているので、ひよが気に入った人ならとりあえず楽しめるんじゃないかなー、と予測していたり。今月は上記2本の他に『紅殻町博物誌』も気になっている。体験版をやってみましたが、非常に読み応えのあるテキストで引き込まれます。冒頭で稲垣足穂が出てきたりしちゃうのも心憎い。が、さすがに月3本は難しいので、ひとまず見送りさせてもらう。Diesと澄み朝、両方がいっぺんに延期かましたらさすがに考え直しますが……。

・拍手レス。

 オレつばPVB、高内&林田の新規イラストに身悶えした件について
 相変わらず女生徒A、身長の割には胸がある方だよな……。

 ホット・ファズ大分前に見ましたが、あれは素晴らしいB級映画でした。あんなぶっ飛んだ映画がもっと増えればいいのに・・・
 あんなんばっかりになったらそれはそれで困りますが、B級の血統は絶やしてほしくないですね。

(追記)

lightの『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』、追加修正パッチ配布の予定を公表。新規ムービー、新規CGも公開。

 配布開始日は、へー、7月18日18:00……7月18日だと!? あと2週間ほどじゃないですか! てっきりパッチの配布はパッケージ版発売の後か、良くてせいぜい同時くらいかと思い込んでいたのに。喜ぶよりも先にまず、「間に合うのか?」という純粋な疑問が湧いてくるぜ。配布の手順はちょっと面倒臭い感じで、まずログインして「プロダクトID」とやらを発行してもらい、DLしたパッチを実行してそのIDを入力、然る後インターネット認証を行って起動、という具合になるみたいです。言わば「金銭授受の発生しないDL販売」ってな感覚か。新ムービーは香純ルートの抜粋で、前回のマリィルート編よりも長め。やっぱり話の流れは2007年版と一緒のようで、あれの香純ルートをあまり評価していない身からすると「うーん……」な気分。ただ、最後に謎めいた独白があったところを見るに初めて明かされる要素もあるのかしら? やべ、ワクワク感が止まらないんですけど。あと、螢の新規CGが一瞬別人に見えた罠。絵柄変わっちゃったけど、可愛い女の子描くのはうまくなったなぁ、Gユウスケ。


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