2009年4月分


・本
 『7SEED(1〜14)』/田村由美(小学館)
 『ディーふらぐ(1)』/春野友矢(メディアファクトリー)
 『秋期限定栗きんとん事件(上・下)』/米澤穂信(東京創元社)
 『疑心』/今野敏(新潮社)
 『戦闘城塞マスラヲ(1〜5)』/林トモアキ(角川書店)
 『乱反射』/貫井徳郎(朝日新聞出版)
 『ソードアート・オンライン1』/川原礫(アスキー・メディアワークス)
 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(2〜3)』/伏見つかさ(アスキー・メディアワークス)
 『されど罪人は竜と踊る6』/浅井ラボ(小学館)

・ゲーム
 『さくらさくら』体験版 さくらver(ハイクオソフト)
 『花と乙女に祝福を』体験版(ensemble)

・映画
 『ウォッチメン』


2009-04-28.

・読み止しで放置していた『俺の妹がこんなに可愛いわけがない2』を崩し、勢いに乗って最新刊『俺の妹がこんなに可愛いわけがない3』も制圧した焼津です、こんばんは。

 正直言って2巻の前半がちょっとダルかったので「やっぱ一発ネタだったんかなぁ、もうこのシリーズ切ろうかなぁ」と逡巡したりしましたけど、後半はスピード感と熱さ(or暑苦しさ)の迸る展開で持ち直してくれたから良かった。3巻は総合的に暑苦しくて、前半も後半も満遍なく面白かったです。小ネタにもメインネタにも流行の要素を鏤めているせいで経年劣化の激しそうなストーリーですが、細かいことを気にしない精神で臨めばさしたる障害もない。ヲタネタがどうこうというのもエッセンスの一つに過ぎず、どちらかと申せば「妹以上にツンデレな兄」をニヤニヤしながら楽しむ本。ただ、クライマックスにおける「妹が凹む→文句を垂れつつも兄、助けに奔走」がパターン化してきているし、そもそもが「優秀で生意気な妹は隠れヲタだった!」と、あまり長期化に向かないインパクト狙いの設定でもあるので、次あたりが正念場になりそう。漫画版も連載中らしいし、このまま勢いが衰えなければほぼ確実にアニメ化するだろうな。

 3巻で登場した編集者が語る「作家志望者はデビューをゴールと考えているが、デビューはあくまでスタートなのだ」という意見、読む側からするとホントにそうですよね。期待させるような作品でデビューしておいて、その後がパッとせずに消えていった「惜しまれる新人」のなんと多いことか。具体名を出してしまうと、たとえば『超人間・岩村』の滝川廉治とか、デビューから既に半年以上経つのに新作の報せがまったく来ねぇ。同月デビューのしなな泰之や弥生翔太は発刊予定に名を連ねているってのに……それにしてもスーパーダッシュ、こんな新刊出してやがんのな。パンツを穿けぬこと……それが大宇宙の真理。相変わらずカオスなレーベルです。

『俺たちに翼はない』のサブキャラクター「アリス」が着用するヘアアクセサリーの名前が判明

 要は頭のウサギです。しかし、「ペスト」と「エボラ」とは……ひどいセンスだ。さすが「キメドラマン」「無免ライダー」の王雀孫。姉妹版として「コレラ」や「テーベー」が存在していたら尚の事最悪だな。

・浅井ラボの『されど罪人は竜と踊る6』読んだー。

 ガガガ版2冊目の短編集。単行本未収録の4編とスニーカー版からの再録2編、10ページ足らずの短い書き下ろし+4ページの序章といったコンテンツになっております。具体的に書けば、「迷い路」「青い日射しに灼かれて」「尾を喰らう蛇」「雨にさらして」が文庫初収録で、「青嵐」は『追憶の欠片』からの再録、「優しく哀しいくちびる」は『まどろむように君と』からの再録、「夏よりも暑い戦い」が書き下ろしです。“ザ・スニーカー”に掲載されながらも結局スニーカー文庫に収められることがなかった短編群を目にすることができる、というだけで単行本派のファンにとっては朗報なわけで、員数合わせが混じっていても気にしない。つーか、「青嵐」と「優しく哀しいくちびる」選んだのはやっぱりラルゴンキン事務所繋がり? 確かにジャベイガ、黒ジヴネタは散らすよりもまとめた方が無難な気はする。良くも悪くも空気を破壊しまくるので。

 ざっと各編の紹介および感想。「迷い路」はエリダナの迷宮街、要するに地下ダンジョンを舞台にした話です。「観光」と称してガユスとギギナを雇い、迷宮街へやってきた女は誰かを探しているようで……って感じ。街があるのは○層まで、それ以下はモンスターの跋扈する魔窟、というダンジョンものの様式美を守った設定が心地良い。冷静に考えるとダンジョンものって大抵は環境やら棲息する種族やらに不自然なところが多く、「設定した側の都合と趣味嗜好が透けて見える箱庭」っつー印象が拭えませんけど、そのざーとらしさがたまらない。「まだマップが完成していない未踏の階」とか、読むだけでワクワクする。そして、お出ましになる敵は「マンマ、マンマ、マンマ、キエエエエエエエエ!」「わぁぁたしぃぃの赤ぁぁちゃんんんんん!」なノリであり、ダンジョンの暗く煤けた風情をイイ具合にブチ壊してくれました。され竜がもしRPG化したらまず間違いなくこの迷宮街がレベル上げポイントになるだろうな。「青い日射しに灼かれて」はガユスが塾講師として送る日常をメインに据え、バトル少な目の内容となっている。ガガガ版から新登場した女生徒テュラスも当然の如く出てくるけど、微妙に本筋に絡まないあたりが後付け臭く感じられ、むしろ微笑ましい。浅井ラボの学園描写(塾だけど)には諦念を前提にした明るさがあって、ただ楽観的なだけの描写よりも風情があって好きだ。いずれ本格的な学園モノでも書かないだろうか。「尾を喰らう蛇」は知り合いの弁護士からある事件の元容疑者(無罪確定済)を護衛してくれと依頼される話。「何が無罪だ、ふざけるな!」と怒りに燃える遺族は高位の攻性咒式士だった。ガユスたちは迫り来る復讐の牙を食い止めることができるのか……ラボ読者にとっては「ああやっぱり」な結末を迎える一編です。この遣る瀬無さこそが浅井ズム。「雨にさらして」は失踪人探し。され竜にしては珍しい、ちょっぴりハードボイルドな香り漂う抑制の利いたストーリーとなっています。なけなしの希望が残るあたりなど、他の作品に比べて若干甘いが、その甘さも含めて気に入った。「青嵐」と「優しく哀しいくちびる」は再読なので感想割愛。一応解説しておくと「青嵐」は2巻の後日談、「優しく哀しいくちびる」は「禁じられた数字」の続編に当たるギャグ満載譚です。

 一つ一つのエピソードは別段「メチャクチャ面白い!」ってほどではないんですが、積もり重なるとジワジワ胸に染みてくる確実な楽しさがあります。ページ数的には1/3以上が再録とはいえ、こうして再びされ竜の世界を堪能できるなんて実に素晴らしい。書き下ろしの「夏よりも暑い戦い」がオマケ程度の代物だったのはちょっと残念だけど、7巻以降への期待は弥増すばかり。未収録短編はまだ2つほどあるらしいが、収録する予定はあるんだろうか。それにしても「炎の七日間」とか、あちこち些細なパロネタが混入している件に関してはツッコめばいいのやらスルーすればいいのやら。

・拍手レス。

 聞いた話だとSAOは、サイトで公開時のテキスト量が1で300KB弱、2と3が450KB強ずつ、4が2.5MB強、外伝が6篇で800KB弱もあるらしいです。500KBで1冊と計算しても残り9冊。向こう数年は弾が尽きないとは何事なのかw
 今年中に3くらいまでは刊行されるといいなぁ、って希望。にしても4、そんなに長いのか。エロゲーが1本できそうなボリュームですね。

 「有料パッチとかなめてんのか!金輪際lightの作品は買わねぇ!」と当時怒り狂っていた身としては、まぁタダならやるかなあ……という感じ。
 しかしwebラジオや製品ページでさえあの混雑でしたからねぇ……まともにダウンロードできるかどうか怪しむ気持ちはあります。

 『6章から文章がガラッと変わる』ってコトは……、あれ、シュピーネ閣下の活躍は?
 残念ながら……ただ、先輩・螢ルートではシュピーネの扱いも変わる可能性が残っています、まだ。


2009-04-25.

・「わしは横浜のベーブ・ルースや!」と言い張る、明らかにゾンビのおっさん(横山やすしのような顔をしている)と、なんか湿気た風情のおっさんが揃って早朝の港で二人っきりの野球ごっこをする『ヨコハマ・ベーブルース』という映画を見る夢を見た焼津です、こんばんは。たぶんこれが元ネタ。

 なにぶんゾンビなので動きは緩慢だし手が折れていてうまくバットを握れないのだけど、「絶対、絶対、ホームラン打ったるからな!」と叫び続けて、最後は本当にホームラン級の大きい当たりを打ってしまう。海の彼方へ消えていくボールを眺めながら、ふと湿気た風情のおっさんは幼き日の記憶を思い出す。まだ物心つくかどうかという頃に生き別れた、あやふやで、けれど力強い父親の声を。「あんたは――」と訊ねようとして、既に動かなくなっているゾンビのおっさんを発見する。晴れ渡る青空のような笑顔を浮かべたまま、その魂はボールと一緒に海の向こうへ去っていた……ってな、要約すれば非常にベタベタでクサいストーリーでした。横浜が舞台なのになぜ関西弁だったのかが謎。

正田崇はかく語りき――『Dies Irae』のシナリオライターがWebラジオに出演

 公開されたのが昨日なんですが、ディスプレイの前に正座して待ち構えていてもなかなかアップロードされないので、仕方なく足を崩し胡坐かいて俺翼人気投票の中間発表を眺めつつ「この期に及んでラジオまで延期する気か?」と疑心暗鬼に陥っていたところ、ようやく更新が来ました。しかし当方同様に待ち望んでいた人が多かったせいか、途轍もなく重かった……ラジオを聴くだけでこんなに苦労するのも久々です。

 ともあれ、ほぼ全編書き直した香純ルート及びマリィルートを収録する『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』が7月発売予定だそうです。てか、長ぇよ、糞長ぇよタイトル。ただでさえ長いのに、もっと長くしてどうすんの。ちなみに「Wiederkunft(ヴィーダークンフト)」は「回帰」の意味(Ewige Wiederkunftで「永劫回帰」)。価格も驚きの据え置き、9240円(税込)。一昨年のアレはなかったことにして、もっぺん頭からスタートしようぜぇ――と言わんばかりですね。本来ならムカつくはずなのに、なんででしょう、ニヤニヤが止まりません。こうして公式サイトが立ち上がっただけで感動が湧いてくる始末。しかし、lightってホントに(以下、甚だしい罵倒の文言が延々と続き、大変見苦しいので割愛致します)。一応、旧製品でユーザー登録していれば追加修正パッチがもらえるんですけどね。

 で、ラジオで言っていたこと(出演箇所は21分〜43分のあたり)を要約しますと、「新しいタイトル(die Wiederkunft)は5分くらいで考えた」「意味は『戻ってきたぜ、再臨、I'll be back』」「正田崇は真性の男好きだが、Diesの男女比は意識して5:5にした」「Diesのキャラは男の方がお洒落(螢の私服に対する当てつけ?)」「(旧版とdie Wiederkunftの具体的な違いを訊かれて)6章の前半、戦闘開始のところから文章がガラッと変わる」「話の着地点は一緒だけど過程が異なる」「追加CGはまだ枚数が決まってない」「Gユウスケの作業量が『死ぬほど』にならないよう配慮したつもりだが、Gユウスケが勝手に描いてくるところも」「敵が強くなったせいで長くなった」「1ルートごとのシナリオ量は感覚的に旧版の1.5倍くらい」「ヒロインの描写は『嫌われないように』と気をつけている(バカスミバッシングを気にしてる?)」「香純ルートのシナリオは半分くらい上がっていて今は終盤、マリィルートは最終決戦を執筆中」「終わりになればなるほど『どうやったら死ぬんだこいつら?』みたいな感じに」「ノリと流れに任せて書いてるが、敵がデフレ起こして負けないようにすべく悶えている」「おかげで勝ちフラグ3つくらい立てても相討ち」っつー具合で、まあ、つまり、謝罪や釈明は微塵もありません。ところどころでコメントに困った末の苦笑が挟まっていましたが、いつか本当の事情を聞きたいものだ。あと螢ルートや玲愛ルートがいつ頃仕上がるのかも知りたいところだけど、まだ香純ルートとマリィルートも完成していない状況で気にしても仕方ないか……それにしてもGユウスケはつくづく辛抱強いな。

 苦節1年半、ようやく光明が見えてきた心持ちです。いざ続報を待たん。

『陰と影』に関しての重大なお知らせ

 おお、機を同じくして『陰と影』にも動きが……って、ぎゃー! 開・発・無・期・限・停・止! 『人工失楽園』や『末期、少女病』と同じ扱いになっちまったー。なっちまったー。なちまた、なちまたー。きょーぞん、きょーぞんしようね?

 混乱のあまり『タユタマ』ネタを混ぜてしまいましたが、ふう、さっきから厭な汗が止まりません。情報らしい情報が公開されないまま4年も月日が経過している、という時点で推して知るべしな有様ではございましたけれども、こうハッキリ告知されると凹みます。『二重影』は当方が燃えゲーに傾斜していく一因を担ったソフトで浅からぬ思い入れがありますゆえ、リメイクめいた位置づけにある『陰と影』にもかなりの期待を寄せていました。SCA-自のテキストは基本的に荒削りなんですけれど、ところどころで偏執的な芳香を漂わせるのが好きで、そういう匂いを一番うまく嵌め込めていたように思えたソフトが『二重影』であり、あの世界観で更に登場人数を増やして高濃度に物語を紡ぐとなれば夜も眠れないくらい興奮したわけですが……残念。

「エロゲー」に代わる18禁PCゲームの呼称を考えよう「独り言以外の何か」経由)

 「変態という名の紳士ゲーム」で変紳遊戯とか。そういえば『紳士たちの遊戯』って海外ミステリあったっけ。

・川原礫の『ソードアート・オンライン1』読んだー。

 略称「SAO」。副題は「アインクラッド」。ヴァーチャル・リアリティとMMORPGを掛け合わせた中世ファンタジー系のゲーム「ソードアート・オンライン」を焦点に据えて進行するライトノベルです。元はWEB上に掲載されていたオンライン小説で、名前くらいは当方も聞き及んでおりましたが、起こしたリアクションと言えばチラッと冒頭に軽く目を通した程度であり、「ディスプレイで長文を読むのは辛い」という理由で長らく避けておりました。今回こうして紙媒体に移ったこと、及び作者の商業デビュー作『アクセル・ワールド1』が思いのほか面白くて気に入ったことを受け、改めて手を伸ばしてみた次第であります。本音を申せばSOAよりもAWの続きが読みたかったし、「ちょこちょこ1巻ずつ出さないで、何冊かまとめて刊行してくんないかな」というのが偽らざる思いでした。だってタイトルに「1」が付くんじゃあ、「みんな聞いてくれ……このままだとアインクラッドは滅亡する!」「な、なんだってー!?」(つづく)みたいな調子でぶった切られるんじゃないかと不安になるじゃないっスか。実際に読んでみたらそんなことはなく、至ってキリの良いところで終わってましたけど。

 ソードアート・オンライン――それは五感すべてを再現し、ゲーム中に全精神を没入させる「フルダイブ」の妙味を完全に活かしたMMORPGだった。初回1万本は早々と売り切れ、全国のユーザーたちは嬉々としてアバターをつくり、仮想世界「アインクラッド」での冒険に勤しんでいた。楽しかった――ゲームが本性を現し、彼らに牙を剥くまでは。降臨したGM(ゲームマスター)は告げる。「この世界から自発的にログアウトすることはできない」と。退場する方法はたった二つ、即ち百の階層からなる浮遊城「アインクラッド」を完全制覇するか、あるいは「ユーザー自身の死」という結果を迎えるか。ゲーム上の死は、現実上の死に直結する。確かめたくても確かめられないその事実に戸惑いながら、プレーヤーたちの幾人かは安全な街に引きこもり、幾人かはギルドを組み、幾人かはならず者と化し、幾人かは孤高の冒険者となって、ゆっくりと「攻略」を進めていった。現実の現実が終わり、仮想の現実が始まってから2年、努力の甲斐あって全体の約3/4が攻略され、残す階層はあと26となっていたが……。

 販売1万本って少なくね? というのが率直な感想だったりしますが、それはさておきヴァーチャル・リアリティなMMORPGです。しかも「ゲームオーバーしたら本当に死ぬかもしれない」というデスゲーム。真っ先に『クリス・クロス』を連想しますが、さすがに15年も前(SAOの初稿を基点にしても8年前)の作品だと異なる箇所が多くて単純に比べられないというか、いろいろ時代の変化を痛感してしまってしんみりとする。そもそも「ヴァーチャル・リアリティ」という単語自体が懐かしい響きを有していますよ。『ソードアート・オンライン』の仮想ワールドはご多分に漏れず中世ファンタジーめいた設定となっており、「剣と魔法の世界」と形容したくなりますが、なんと「剣」オンリーで「魔法」が一切出てこないストイックな世界観となっています。「ソードアート」と冠されているのは伊達じゃない。魔法の代わりに剣技(ソードスキル)という必殺技っぽいものがあり、他にもいくつかのスキルを組み合わせて戦闘を行ったり都市での経済活動を行ったりと、ストイックな割に案外と幅広い。簡潔にして要点を押さえたつくりと言えましょう。

 ぶっちゃけ、川原礫の作風っていうのはまさにそれ、「簡潔にして要点を押さえたつくり」に尽きます。文章からして平易で読みやすく、商業デビュー作の『アクセル・ワールド1』巻末に解説を書いた川上稔なんかと比較しても圧倒的にアクが少ない。AWにしろSAOにしろ、個々のガジェットや展開はありふれていて、と書くと語弊がありそうですけど、つまりわざわざイマジネーションをフル稼働させるまでもなく記憶の引き出しから該当する相似形をすぐに用意できる雰囲気であって、それほど斬新でも独特でもありません。設定面だけに関して言えば、「つくりが丁寧」で事足りる。しかし、実際に物語となっているところを読むと、実に設定の組み合わせがうまくて感心させられる。読者の面白がる要素を、非常に効率的に、それでいて慌しくないペースでどんどん詰め込んでくれるのです。当方はトランクに荷物を詰めるのが下手で、最後はギュウギュウに押し込んで無理矢理閉じてしまうんですが、本書はその逆を体現せんばかり。一切デッドスペースを作ることなく、当て嵌めるべきところへ当て嵌めるべきものを置いてピッタリと滑らかに蓋を閉じてみせる。ストーリーテリング版便利収納術といった趣です。おかげで読んでいてダレる場面がほとんどなかった。はじめは寄り道のように見えた章も、振り返って眺めればキチンと隙間を埋めており、決して無駄になっていない。実にシャープで気持ち良い。

 主人公がSAOで過去にトラウマを負っていたり、秘匿しているスキルを窮地で発揮したり、トントン拍子でヒロインと相思相愛になったりと、「いかにも」かつ「都合のよい」状況がお膳立てされている感触はあり、そこらへんが多少鼻に付くやもしれません。俺TUEEEEEE!度は控え目とはいえ、まったくないわけじゃないし。行動力や決断力は一定以上あるため、読んでいてイライラさせられることこそないものの、その冷静さを「クールぶってていけ好かない」と感じる人も皆無じゃないでしょう。とはいえ彼も詰まるところは単なるゲーム好きの少年であり、「元の現実に戻りたい」という願いと「本当に戻れるのか」という不安に心を引き裂かれ、迷い、悩み、愛する者に縋る弱さを抱えています。「無事にクリアして、現実の世界でふたたび会おう」という誓いも、そうした弱さや恐怖心が背後に潜むからこそ切実で、平凡な言い方ながらじーんとして胸が熱くなる。

 読む前は「『アクセル・ワールド』の続きの方が読みたいなぁ」と思っていたのに、いざ完了してみると「SAOの続きも早く出してくれッ! 可及的速やかにだッ!」って雄叫びたくなる仕上がり。自分でも不思議なくらいの心変わりです。ネタバレに抵触するかもしれませんので細かいことは言えませんが、『アクセル・ワールド』とは要素的に被る箇所がいくつかあって、やっぱり同じ作者なんだな……と実感するとともに、「こういうシチュがよっぽど好きなんだな」と少し呆れる想いもあったり。何であれ、もどかしいラブコメを延々と続けることなく1巻目で主人公をちゃんとヒロインとくっつける手際の良さは賞賛したい。「仮想世界で新婚生活」というのもありそうでなかったというか、結構新鮮。全体的には王道を踏襲しているけど、細かい部分におけるツイストの利かせ方は小粋で心憎い。無論、2巻もすこぶる楽しみです。


2009-04-22.

・「総統」とは総てを統べる、つまり訓読みすれば「すべすべ」になるな……と脈絡もなく思考し始めた焼津です、こんばんは。

 ならば「マイン・フューラー」は「我らがすべすべ」と訳すべきですし、皆川博子の大長編『総統の子ら』も『すべすべの子ら』となるわけか。逆に美容・化粧品のコマーシャルでは「つるつる総統の肌触り」「総統たまご肌」といった言葉が並ぶことに――いや、もうやめよう。格別面白くもないネタを引っ張るのって案外疲れる。

Navelにて『俺たちに翼はない』のキャラクター人気投票開催中

 1位を取ったキャラにはショートストーリーとな。そんなこと書かれると、投票する指先に邪念が篭もってしまうではないですか……にしても、改めて眺めるにすげぇ数のキャラクターですね。計39人て。素で迷うわ。これだけいてもちゃんと全員覚えているんだから王雀孫の書き分け力は凄まじい。首位争いは恐らく各章のメインヒロイン勢や主人公ズが繰り広げるものと予想されますが、十位あたりはかなりの混戦になるでしょうね。とりあえず、毎日投票できるよう頑張ろう。

・貫井徳郎の『乱反射』読了。

 突然加山に呼び止められ、子供の死の責任を問われたときもショックだったが、そんなことは今や意識の片隅にも留まらないほど遥か彼方に追いやられていた。会ったこともない子供が死のうと、どうでもいい。傷ついた自分の心をどのように慰めるかだけが、寛の最大の問題だった。

 著者の最新長編。500ページを超える分量だけあってズッシリと重く、読後感も相応にドッシリと重い。人災(ヒューマンエラー)の連鎖によって喪われた子供、その死の原因を事件前にまで遡って追究していく、一言でまとめれば「非常に遣る瀬無い話」です。フィクション版『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか』といった趣であり、また事件後についても触れられるため、『最悪の事故が起きてから人は何をするのか』といった趣もある。お察しのこととは思いますが、間違っても爽快感を求めて手を伸ばす類の本ではありません。子供の死は前提として決まっている以上覆りませんし、「大勢の人間が寄ってたかって無辜の幼児を殺した」とあらかじめ冒頭で宣言した通りの内容がそのまま詳密に描かれるだけで、「鮮やかなサプライズ」「あっと驚くドンデン返し」「思いも寄らぬ真犯人」みたいな要素は期待するだけ無駄無駄無駄ァです。『慟哭』の作者ということで身構えてしまう方もおられるやもしれませんが、本書に関してはひとまず「ミステリ」という概念それ自体を忘れて取り掛かった方がよろしいでしょう。

 この手も人を殺めていたのか――加山健太、僅か二歳でこの世を去った男の子。彼の死は「不幸な事故」であり、また、そうではなかった。取りも直さず、事故の背景には「もし○○でなければ、あるいは××していれば、未然に防げたはず」という事項がいくつも存在していたのだ。一つ一つは平時ならば特段騒ぎ立てることもない行為、それこそ法律に触れるか触れないかの範囲であって、せいぜいが「軽犯罪」「モラル違反」で片付く程度の代物でしかなかったが、軽率と無思慮の積み重ねがあたかもドミノ倒しの如く「幼児の死」へと繋がっていったことは確かだった。無数の「加害者」がいて、「真犯人」がどこにもいない、本来ならば避けられたはずの殺人事件。誰を糾弾すればいいのか分からない事態に直面した被害者の父親は、ただ納得と理解を己の頭へ染み込ませるために、持ち前である新聞記者としての取材力を発揮して「責任の所在」を追っていくが……。

 牽強付会。あるいは、そうした謗りも免れられないかもしれません。一個一個は些細でも、堆積すれば重大事となる。「塵も積もれば大和轟沈」という諺は存在しませんが、だいたいのニュアンスは伝わるはずでしょう。最初に結論を述べているくらいなので、作者の狙いを読み取ることは別に困難じゃない。しかし、こんなことを言っていてはキリがないのではないか……と、茫漠たる思いに囚われて呆然としてしまう読者もきっといるに違いありません。突き詰めてしまえば「北京の蝶々が羽ばたけば紐育で嵐が起こる」という、所謂バタフライ・エフェクトに行き当たってしまう。真実を追求する立場に置かれた主人公さえも、「自分の糾弾は単なる言いがかりではないのか」という不安に駆られる場面があるくらいで、必ずしも理路整然と思考するわけじゃなく、ところどころに飛躍が見られて至ってカオスな状態を呈しています。「責任を問うべき相手がいる限り、気力が尽きることはないと思った」という述懐が実に痛々しいです。「責任」という観念が如何に忌避され、如何に唾棄され、如何に転嫁されうるかを淡々と、それでいてしつこく抉り、ほじくるように陰湿な筆致で描き抜いていく。

 真実が判明しても喪われた命が戻ってくるわけではない。それは、本書に限らずあらゆる場面で唱えられる意見です。だから、すべては無駄だと。どちらかと言えば「真実が判明しても」より「犯人に復讐しても」の方が多いかもしれませんが、ともあれ主人公は事件に加担した(と見做している)関係者たちに接触し、糾弾するだけで、決して私刑にかけるような暴力的な真似は仕出かしません。怒りを抑え切れなくて多少険悪な口を利いたりするにせよ、なるべく理性的に応じるよう努力している。相対する関係者たちとて必ずしも悪意があったわけじゃなく、中には真摯な対応を心がける人もいるのですが、ほとんどは「言いがかりだ」と逆に怒りを顕わにする。狼狽しながらも非を認めようとせず、醜く生々しい自己保身に徹する人々。関係者は視点人物として事件前からちょくちょくと顔を出しているのですけれど、彼らの繰り広げる主張が如何に身勝手であり、また怠慢の弁明が如何に言い訳がましいか、ねちねちと事細かに文章を綴っていくことで表現してくれます。もうこれがホントすごい。「人間が描けていない」と難癖を付けられることが珍しくなかった新本格系のミステリ作家において「例外」とされてきた貫井だけに、心底呻きたくなるほど執拗に開陳して已むことがない。「こいつが犯人だ」と指名して足りる存在が欠けている以上、どこまで行っても気が晴れることはありませんが、こんな曖昧模糊とした「顔のない人災」を一冊の物語に構成してみせる手腕に感服いたしました。後味が悪くて重たい話なのに一度勢いに乗り始めたら、とにかくページを繰る手が止まらない。寸断した線路から転落して谷底に消えていく運命だと、発進する前から分かっているトロッコをじぃっと見守るような、曰く言い難い「目の離せなさ」が全編に充満しています。

 牽強付会であり、また、すべては無駄である。それは否定し切れない。読者自身が「犯人」として組み込まれかねない物語形式や、様々な社会問題を取り込んで疑問を投げかけながらも明確な解答を用意しない方針の結末に不快や不満が湧き上がるかもしれません。「-44」から始まった章が「0」に近づいていき、以降も「37」までカウントアップされていく、この異様な表示方法も読んでいて息苦しい。「0」から先は痛ましさのあまり辛くなって何度も本を閉じ、時に涙が浮かんで、あの鼻の奥がツンとなるイヤな感触まで味わいました。誰を槍玉に挙げて責めればいいのかすら分からない、ひどく混沌としたシチュエーションがまったくもって憤懣遣る方ない。泣けることは泣けますが、よく言う「泣ける本」とはちょっと意味が違う気がして、「思いっきり涙を流せる話を探しています」と要望する人にはオススメしづらい。ねちねちとしているくせして妙にさっぱりと淡白な風情もあって、どう薦めればよいのか迷う一作ですね。後になってジワジワと利いてくるキッツいボディブローを見舞われたい――って人にはうってつけですが、さて、そんな人がいるものやら。

 「最悪の読後感」を目指したという『愚行録』は狙いこそ良かったものの詰めでしくじった印象が拭えず、「最近の貫井は伸び悩む時期に差し掛かってるのかなぁ」と気を揉みましたが、それも最早無用のこと、余計な心配は完璧に杞憂と化し塵芥に成り果てました。これが著者の新たな代表作であると、貫井の著作を半分も読んでいない当方が烏滸の沙汰を承知で断言しても一向に差し支えないと判断いたします。「最悪」を乗り越えた読後感が、ここにあります。

・拍手レス。

 『村正(仮)』は正式名?「装甲悪鬼村正」らしいですよ。雑誌の画像や情報、他PCゲーム情報は ttp://nyss2.sakura.ne.jp/#20080619 こちらのサイト様にのっとります。それにしてもデモンベイン以上のボリュームとはこれまた豪快な。
 内容も今のところ萌え要素皆無でせっかくの見開きなのに劔冑ばっかりで女の子がでないとはなんとも雑誌の他の内容と逆を行っててそれがまた良いというか男の子はわくわくせざるを得ませんね

 なんだかんだでニトプラには傾奇者の血が流れている、と再認識して安心しました。


2009-04-19.

・週に一回は大人買いしないと気が済まない性分ゆえに、またしても諭吉さんが失踪する仕儀となりました。着弾した『海の男/ホーンブロワー』シリーズ全11巻を前に「やっちゃいました」な表情を白々しく浮かべてみせる焼津です、こんばんは。

 詰まるところ海洋冒険小説です。「ホーンブロワー」という名前は聞いたことがあるものの、一度も本を手に取ったことがなく、内心ずっと気になっていたんですよね。差し当たって読む予定はないけれど、とりあえず棚に一列に並べて浸ってみる。作中の時系列に沿えば『海軍士官候補生』が一番最初らしいが、実際は『パナマの死闘』がシリーズの第一弾として書かれたらしく、どちらから先に手を出すべきか少し迷う。どちらにしろ、今年中に読み始められるといいな。

・一方、『お・り・が・み』は全7巻読み終えました。

 5巻までの展開は比較的緩やかだったけれど、6巻で一気にブーストが掛かって凄いことになりますね。溜め込んだ分を吐き出すかのような勢いでやたらめったら盛り上がる。林トモアキ、決してスロースターターな作家ではないにせよ、序盤よりむしろラストスパートにおいて真価を発揮するタイプと見た。マスラヲの5巻といい、お・り・が・みの6、7巻といい、ホント読んでいて目が覚めます。オチの付け方は強引というか力任せなのに、不思議と清々しい。

 前半は「たぁくん萌え小説」と断じて差し支えない内容でしたが、後半はなぜかたぁくんの存在感が希薄になっていきますね。なぜかもなにも、単に登場キャラが増えまくったせいで目立たなくなったのかもしれませんけど。あります口調の斬撃マシーン少女・沙穂(「いんちきでありますっ」と涙目で言うシーンが特に可愛い)、生意気盛りで憎まれ口絶頂だけどそれに伴う実力も有しているツンデレ気味な巫女妹・睡蓮(最終奥義には噴いた)、このへんが人気ありそうだけど、最後まで読み切って一番気に入ったのは、自分自身意外に思うのですけれど、快傑ニャ〜ントVZ(ヴィゼータ)様でした。口癖が「にゃ〜ん」なんていうあざとい代物なのに、どうしてか一向にイラッと来ず、むしろ「にゃ」が早く文中に現れないかと逆に期待してしまうほど。ミニスカ・ゾロという衣装の特異さに惹かれたのもさることながら、シリアスな雰囲気を絶妙に和らげてくれる「腰砕けっ娘」なところが愛しくてたまらない。素晴らしきVZ。それにしても、ほんのここ10日くらいであっという間にトモアキ色に染まってしまったことだなぁ(詠嘆)。来月にはミスマルカの4巻が出ることだし、大いに林イズムを浴びて過ごしたい。

・あとは湊かなえの『少女』なんかも読了。

 「人が死ぬところを見たい」と願ったふたりの少女が送る、ひと夏の出来事。『夏の庭』と見せかけて……な感じで作者の底意地悪さが入念に発揮され、なかなか面白かったのだけれど、やはり『告白』と比べたら一段落ちるかもしれない。伏線回収の手際がより鮮やかになった反面、インパクトは減った。デビュー一発目で傑作を物した新人は、その後しばらく(場合によってはずっと)新作をデビュー作と比較され続ける運命にありますが、果たして湊かなえはそいつを打破できるんでしょうかね。できると思いたい。今後に期待。

 で、個人的にはこの『少女』、「泣いた!」「感動した!」と分かりやすく叫びたがる読者に対しての面当てになっているあたりが好きです。当方自身が割とそういうタイプの読者なので、気持ち良く地団太踏ませてもらった。しかし主人公ふたりが「中学時代は剣道少女だった」という共通の過去を持っているのに、剣道シーンがほとんどないのは残念。『武士道シックスティーン』みたいな爽快感を望むのは、作風から言って元々無理っぽいか。

ケロQ、9月25日に『素晴らしき日々』という『終ノ空』のリメイク?的なソフトを発売予定

 ふざけるな、『陰と影』出せ!

 ……それはそれとしてニトロプラスの『村正(仮)』は『装甲悪鬼村正』というタイトルに決まったのか。剣豪モノと思いきや、まさかの強化装甲バトル。まさに『鬼哭鎧』って風情ですな。詳しい設定は分からないけど、『鉄球姫エミリー』の「大甲冑」みたいな感じになるのかな? それとも『覚悟のススメ』の強化外骨格? 強化装甲系のエロゲーというと『ロストチャイルド』を思い出す……って、あれ? リンク先がロストしてる? ともあれ奈良原一鉄とメカ、意外な組み合わせだけど楽しみにしたい。


2009-04-16.

・ここんところ『お・り・が・み』ばっかり読みまくっているせいで「たくあん」が「たぁくん」に見えてしまった焼津です、こんばんは。

 しかし何というたぁくん萌え小説だ『お・り・が・み』……たぁくんよりも可愛いキャラなんてせいぜい沙穂ぐらいじゃないか。ヒロインの鈴蘭は「覚醒じゃい」に胸キュンしただけで後はあんまり。挿絵が2C=がろあ〜で、容姿が白髪に黒スーツ、機密部隊に所属していた過去&人外の力を持つという設定からどうしても『モエかん』の神崎貴広を連想してしまう(そういえばあっちも「たぁくん」だな)が、それはそれとして伊織貴瀬のイジりイジられ攻守交替しまくる立場変遷の激しさが微笑ましくて仕方がない。S属性のキャラにしては結構遊ばれてますよね、彼。時折「なぜだ!? この俺が!」みたいなモロ小者じみたゼリフを吐いてしまうあたりとかたまらない。たぁくんかぁいいよたぁくん。トリガーハッピーならぬ抜刀ハッピーの白井沙穂は命令に忠実と見せて案外そうでもなかったりする(たぁくんを置き去りにして逃げるシーンあり)ところがイイですね、個人的に。

ハヤカワの文庫本がトールサイズ化するだと?

 今月の新刊から、ということは既に予約を入れてる『犬は勘定に入れません』も大きくなってしまうのか……あれ、姉妹編の『ドゥームズデイ・ブック』と一緒に並べるのを楽しみにしていたのになぁ。本の高さが不揃いになってしまうのは気持ち悪いというか、とてもガッカリする。シリーズものは本棚に並べてキチッと綺麗に収まる様子を眺めるのも喜びの一つであり、レーベル・デザインの変更は疎ましい。本当に疎ましい。が、ポケミス版と四六版と文庫版が混在するリーバス警部シリーズをせっせと揃えてしまったような人間なので、ぶちぶち文句を垂れつつも結局は買い続けちゃうだろうな。それにしても改めて見るにグチャグチャですね、リーバスシリーズ。1作目と2作目、7作目と8作目だけ文庫化していて、9作目から13作目まではポケミス(新書サイズ)、14作目と15作目がハードカバーで、3作目から6作目および16作目以降は未訳――版型のバラバラな邦訳を全部揃えても必ず間が抜けてしまう、実にファン泣かせな有様だ。これに関してはサイズとかどうでもいいから早く翻訳を進めてください、ハヤカワさん……。

・久々に映画館へ足を運んで『ウォッチメン』を観て参りました。

 原作は有名なアメコミらしいですが、アメコミには疎いせいもあって全然知らなかった。「ウォッチメンと呼ばれるアメリカン・ヒーローズが実在する世界」を舞台に、「大統領によってヒーロー活動を禁止された時代」を背景にして展開する大胆且つサスペンスフルなストーリー。結構長く、観終わるまで約3時間近く掛かった。

 冒頭で「コメディアン」というややアクの強い元ヒーローが殺害され、トレンチコートにフェドーラ帽というアナクロニズム溢れる格好をした正体不明のヒーロー「ロールシャッハ」が「これはただの殺人じゃない、『ヒーロー狩り』だ」とかつての仲間たちに訴え、独自に調査を続ける。一方、アメリカとソ連の間に横たわる疑心と敵意は頂点に近づいており、ほんの少しキッカケがあれば全面核戦争に突入しかねない、まさに一触即発の危機に陥っていた。ヒーロー狩りをやっているのはどこのどいつなのか? 核戦争は回避できるのか? 「規制された存在」であるアメリカン・ヒーローズに為す術はあるのか……? ってな具合に、「如何にもアメリカらしい能天気さ」を欠いた暗く重たいムードで進行していきます。アメコミ原作のアクション映画って沢山あるけれど、それらと似ている箇所はコスチュームの変梃さだけで、あとは根本的なノリからして違う。アメコミというジャンルそのものへの愛と憎悪を漲らせた、ある種のパロディと言えるかもしれない。個人的にこういう「アメリカン・ヒーロー・キラーズ」な話は大好物なので、結構楽しむことができました。でも濡れ場シーン多過ぎなのはちょっと……特にバットマンもどきの奴が「インポ治った!」とばかりにハッスルするシーンはイラッと来た。

 込み入ったストーリーなので正直分かりづらいところも少なくなかったが、Wikipediaなどの情報を見るに、なんとかかんとか原作を消化したって印象は受けます。映画化できただけでも大したものだ。でも気に入ったのはストーリーよりも、ロールシャッハという「謎の男」扱いされているヒーローですね。他の連中と比べても存在感が断然桁違い。あんまり彼が出張ると話が濃くなりすぎるので、仕方なく他のヒーローの出番も増やしたんじゃないか、とさえ勘繰ってしまう。悪党には容赦しないダークヒーロー系のキャラで、「生き方に妥協しない」と強気のセリフを嘯きつつも、実は戦闘力がそれほど高くないあたりにキュンとしました。罠に嵌められ追い詰められ、窮余の策として選んだ武器がスプレー+マッチの即席火炎放射器――スローモーションでスプレー缶と炎を操る姿はショボいを通り越してもう健気だよ。ヒーローにあるまじき健気さだよ。最終決戦ではラスボスにまったく歯が立たず、何度も吹き飛ばされてフェドーラ帽が外れてしまうんだけど、いちいち拾って被り直す律儀さとか……萌えるしかないわ。俳優の掠れ声も役にマッチしていて最高でした。長いせいもあってところどころダレる場面があったものの、ロールシャッハだけで充分元の取れる映画になっています。最初に見たときは「なにこれ、気持ち悪っ」と素直に思った「模様が変わるマスク」も、彼自身のヘタレ気味なカッコ良さを知った後だと妙に味わい深く感じられる。

 次は予告編でやっていた『新宿インシデント』でも観に行こうかな。映像の端々からこぼれ落ちる暴力的な煤けた雰囲気がワクワク感を誘う。

・拍手レス。

 >次は〜。>残念ながらフルメタハリウッド行きが先みたいですね。なぜ、ハリウッドは、学ばないのか
 学ばぬ道化は死ぬことになるというのに……。

 マスラヲの続編はザ・スニーカーで連載ですよー
 林トモアキ氏の作品は「ライトノベルらしいライトノベル」ですよね。細かい事気にせず楽しむが吉

 また「なんじゃこの最終回ー!?」な終わり方させて読者をやきもきさせるに500ガバス。


2009-04-13.

『奇蹟の表現』で電撃文庫からデビューし、さして注目されないままフェードアウトしていった結城充考が『プラ・バロック』という作品で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞したということで、ちょろっと読んでみた焼津です、こんばんは。

 「満場一致」「全選考委員絶賛!」とやたら景気の良い謳い文句が並んでおり、真に受けて過剰な期待を抱けばガッカリするやもしれませんが、あらかじめ眉唾の姿勢で臨めばそこそこ楽しめる一冊でした。冷凍コンテナから続々と死体が発見される……という派手な導入の割に終始淡々としており、夢中になって読み耽るほどの「熱」がないのは残念だけど、警察小説が苦手な人でも取っ付けそうな気安さはあります。なかなか全体像が見えてこないこともあって前半は幾分か低調なムードが漂いダレがちになってしまうものの、後半に入ると複数の線が繋がって一気に畳み掛けてくる。圧倒されました。そういえば『奇蹟の表現』も前半はゆったりしていてクライマックスで盛り上がるタイプだったな。

 主人公の女性刑事に関しては「強情」という印象しか残らず、もう少し掘り下げが欲しかったところではあるけれど、デビュー作と比較して悪くない出来であることは確か。すごくオススメ、というほどではないにしろ、機会があれば読んでみてもいいんじゃないですか、って水準の仕上がりでした。

“コンプティーク”にて「Symphony of 俺たちに翼はない」連載開始

 要するに俺翼の番外編です。ちゃんと王雀孫本人が書いています。ぶっちゃけ短い(コーナー自体は4ページあるけど、文章は実質2ページ)んで、この連載だけを目当てに普段読まない雑誌を買い続けるのは厳しいところもあるけれど、お布施の第一歩と捉え、手早く覚悟完了。量を無視すれば出来は良いし、個人的に好きなエピソードとも絡めて進行するので満足しました。というか、こいつらバカップルすぎてニヤニヤしちまう。誰と誰がバカップルなのかは現物を見てのお楽しみ。

 ついでにパラパラと他のページも眺めたら☆画野朗のインタビュー記事がありました。☆画野朗というと、どうしても『Garden』を思い出してしまって心の傷が痛む。くっ……鎮まれっ……!

・林トモアキの『戦闘城塞マスラヲ(1〜5)』読んだー。

 著者3つ目のシリーズであり、今年の頭に完結しました。内容的には2つ目のシリーズである『お・り・が・み』の続編らしいけど、主役が交代している事情もありますので、ここから読み始めても別に支障ありません。実際、『お・り・が・み』をスルーして読み出しましたが何ら差し支えるところはなかったです。カミと神の違いとか、設定部分でいくつか分からないところもあったものの「こまけぇこたぁいいんだよ!!」と言わんばかりの勢いで押し流してくれる。高卒ニートの青年・川村ヒデオは負け犬人生に終止符を打つため、少女型ウイルスの「ウィル子」とともに「人間と人外のペアだけ参加可能、勝負は命の取り合い以外なら何でもOK」ってな実に大雑把なルールで戦い合う2000組規模のバトルロイヤル「聖魔杯」へ挑む……という、もはやあらすじの時点で「こまけぇこた(略)」な代物ですから。宇宙刑事ならぬ地球刑事ジャバンが立ちはだかったり、ヨーロッパからやってきた吸血鬼が多数の参加者を「配下」にしてしまったりと、1巻の展開からして好き放題かましてくれる。

 正直、1巻を読んだ際の感想は「出だしとしちゃまずまず」くらいでした。2巻に入って「んー、ちょっと迷走してきたかなー」と評価が傾き、3巻で「なんとか持ち直した」と思った矢先、4巻で「ええええっ!?」と叫ばずにはいられない衝撃の結末を迎えてしまう。続きが気になってしょうがない中で読み始めた5巻、一言で申せば「なにこれ超燃えるんですけど」って塩梅。さすがにここまで来ると反則ですよね。4巻までなら「今年読んだライトノベル」の面白さランキング10位あたりを掠るかどうか……というレベルで語るべきテンションだったってのに、最終巻に入った途端、一気にトップクラスまで昇り詰めてくれやがった。1冊で劇的に評価が跳ね上がるシリーズなんて、普通ありません。1冊1冊、地道に積み重ねてジワジワと心のランキングに食い込んでいく方式が常道であり、4巻→5巻の流れで確変起こしちゃったマスラヲこそが異例と言えましょう。

 本シリーズの主人公を務める川村ヒデオは先述した通り高卒のニート、バリバリのヒキコモリで友達ゼロ人、親からも見捨てられて仕送りを断たれた自殺志願者であり、自暴自棄になって危険な香りがぷんぷん漂う「聖魔杯」に参加した――という経緯でストーリーの幕を上げます。特殊な能力など一つもなく、大層な家柄や加護も持ち合わせていない「単なる一般人」が、機転とハッタリと仲間の援護だけで凌ぎ切るんだから、最強に「出たトコ任せ」な話です。瓢箪から駒出しまくりです。ミスマルカのマヒロでさえ一応は王子なのに、ヒデオときたらパンピーかつニートで、利用すべき立場すらない。いくら「電子の精霊」をパートナーに得たからって「恐ろしく目つきが悪い」ことしか取り柄のない男が「何でもあり」のバトルロイヤルを制してのし上がっていくなど、無茶苦茶もいいところです。だが、無茶苦茶だからこそいい。フィクションですからもちろん都合の良い展開は目白押しなれど、「根拠のない自信」を武器にして戦わざるを得ない「虚飾のヒーロー」の痛々しい心情が胸を衝く。何ものにも裏打ちされず、「クズ」や「カス」と罵られても抗弁できないあまりに自由すぎる存在が、瞬間最大風速めいた意志の強さだけを担保にして想いを貫き通すなんて、夢物語だけど下手な英雄譚よりも熱いシチュエーションじゃないですか。ヒロインのウィル子とも二人っきりで過ごすイベントはほとんどなく、ラブコメっぽい遣り取りを交わすシーンなんか皆無のくせして、不思議と絆の強固さが感じられる。離別→再会のコンボには不覚ながら目が潤みました。

 コメディとシリアスがごた混ぜになっているし、「根拠が薄弱で何が悪い」と開き直っているような箇所も見受けられるし、基本的には行き当たりバッタリ。人によっては大いに辟易するところかもしれません。クライマックスも賛否両論分かれるところでしょう。しかし、「マスラヲ」という大仰かつ場違いにも思えるタイトルが決して誤りでないことを証明するだけの熱意は充分に篭もっており、その意気に押されてついつい目尻に涙が浮かんでくるほどでした。こんなに無茶苦茶でも、感動って湧いてきちゃうんだなぁ……と呆れつつも清々しい。あとがきによれば後日談というかスピンオフ? みたいな作品も予定されているみたいなので、是非とも期待したい。そして迂回した『お・り・が・み』もそろそろ読まねば。

・拍手レス。

 バカテスアニメ化ですってよ!!
 やっぱり来ましたか。次は『ロウきゅーぶ!』あたりが目を付けられるんじゃないかな、と予想してみる。


2009-04-10.

・ふらりと寄った古本屋で林トモアキの『お・り・が・み』『戦闘城塞マスラヲ』を見掛けて衝動的にまとめ買いした焼津です、こんばんは。さすがに全巻揃いというウマイ話はなく、何冊か抜けている巻があったのでそちらは新刊書店で購入しましたが。

 いつの間にかマスラヲが完結していて、「そろそろ着手するイイ機会かな」と思ったのも行動を起こした一因となっています。林トモアキ自体はデビュー作『ばいおれんす☆まじかる!』から知っていて、このシリーズの3作目までは買っていたんですが、中途半端な感じで打ち切られてしまったことに落胆して『お・り・が・み』以降は長らくスルーしていた次第です。なんとなく読んだ『ミスマルカ興国物語』が適度に砕けた面白さで再検討する機運が高まりました。

 『お・り・が・み』が全7巻、『マスラヲ』が全5巻と、後者の方が巻数が少ないため、まずは『マスラヲ』から取り掛かりました。本当は『お・り・が・み』から読み始めた方が良いらしいけど、まー林トモアキの作風からして細かいことは気にしなくても大丈夫でしょう。殺し屋並みに目つきの鋭いニートが「死のう」と考えながらフラフラ徘徊した夜道で捨ててあったパソコンを拾い、「ウイルス」と自称する人外少女に取り憑かれ、何だかんだと言い合ううちに「聖魔杯」なる大会へ参加することになる……という、非常にトントン拍子で進行する大規模バトルロイヤルもの。自殺志願で捨て鉢気味になっているとはいえ、とにかくあっという間に主人公が状況に順応していくスムーズすぎる流れは、細かいことを気にする人なら「え? え?」と置いてけ堀にされかねない。コメディと割り切らなきゃ、話に付いていくのさえ困難。ほとんどネトゲ並みの気楽さで参加&勝負してます。おかげで展開のテンポが速くなり、読んでいてかったるさを覚えるシーンが少ないって利点もありますが、大真面目にバトルロイヤル・ストーリーを期待すればズッコケること間違いなし。舌先三寸で相手を丸め込むあたりはミスマルカのマヒロとも通ずるか。ライトノベルとしてはちょうどいい吹っ切れ具合です。うむ、『マスラヲ』読み終えたら『お・り・が・み』も崩そう。

 しかし林トモアキ、デビューからそろそろ8年が経つのに改めて数えてみると著書は20冊弱で、案外そんなに沢山出しているわけじゃないんですね。もっとガンガン書いてるイメージがありました。後発の作家、たとえば電撃だとうえお久光や高橋弥七郎あたりは既に20冊超えてますし。西尾維新や成田良悟も後発ですが、あのへんを比較対象にするのはなんぼなんでも酷か……。

怪作『鼻からイカソーメンをすする女』が書籍化

 寝耳にイカソーメン。みたいな。つか『あたし彼女』の話題があまりにも一過性だったことに今更驚かされます。

4月24日のwebラジオに首領閣下こと正田崇が降臨もとい出演

 まじでか! OHPも公開予定とあるし、いよいよ本格的にDies完全版が動き始めるようです。あんまり期待しすぎちゃダメだ、と悟りつつも勝手に興奮が湧き上がってきてデジャヴる次第です。

ensembleの『花と乙女に祝福を』、体験版をプレー。

 我が死を三年隠せ――と、武田信玄が末期に言い遺したことは有名な逸話となっていますが、病弱な妹に代わってお嬢様学校に通う(もちろん女装して)主人公は影武者ならぬ影令嬢と呼ぶべきか。「つくづく自分はこの手のシチュ(女装潜入)が好きだなぁ」と呆れつつもしっかり食いついてみた次第です。メーカーのensembleはwill系列の新興ブランドであり、これが第1弾ソフトとなる。タイトルは『恋する乙女と守護の楯』に若干似てますが、内容的には『処女はお姉さまに恋してる』が近いかもしれない。主人公があまり男臭くないですし。「双子の入れ替わり」という要素に着目すればライトノベルの『SH@PPLE』がそのものズバリながら、あれはまだ読んでないので比較できず。ともあれ、主人公が「妹を退学になんてさせない!」と息巻いて乙女の園へと乗り込むわけですが、あれ? 双子だから主人公って妹と同い年なんですよね? じゃあ、お前の学業なり職業なりはどうなるんだよ……妹は入院してて動けないし。休学? 休職? それとも、もともとプーだったのか? よく分からん。

 舞台となるのは聖ルピナス学園、典型的な「お嬢様学園」のイメージで彩られた世界です。挨拶は「ごきげんよう」で、上級生には「さま」付け。当たり前のようにカリスマめいた生徒会長も出てくる。ホント、型通り。引かれたフレームから一歩もはみ出さない足捌き。なんだか物足りないけど、まったくダメダメ、ってほどでもない。可もなく不可もなく、の一言に尽きます。というかルピナス学園って名前のせいで津原泰水のルピナス探偵団を連想してしまうわ。メーカーもこんなジョーク飛ばしているくらいですからね。本作のライターは『AYAKASHI』のシナリオに参加していたうちの二人(じんべい、籐太)みたいで、テキストにも書き慣れた感があり読みやすい反面、コンセプトも相俟って刺激に欠くところがある。あくまで手堅く守り、攻める冒険はしない、と言わんばかり。

 一時間程度で終わる短い体験版ですが、初日早々正体がバレてしまったり、バレた相手のヒロインを味方に引き込んだり、生徒会長の策謀で大変な目に遭ったりと、見所はそこそこ用意されています。ただ、先述した通り主人公があまり男臭くないので「女装して潜入している」という設定をときたま忘れそうになりますし、こちらを女と思い込んで親しげに接してくるお嬢様たちへドキドキする描写も薄め(胸を揉むシーンすらあるのに、描写そのものは軽い)ですし、設定の美味しさに比べて漂う雰囲気が地味なんですよねー。うーん、これは最後までずっと同じ調子が続きそうってか、途中で大きく化けることはないかしら。細かい事情を知った妹が、自分をとんでもない立場に追い込んだ兄に対してマジギレする場面を想像すると楽しくてニヤニヤしてしまうけれど、製品版もプレーしたいかと問われれば微妙な線だ。体験版のラストでは今月発売ってアナウンスしてたけど、どうも来月に延期したみたいだし、じっくり考えてみるとしよう。

・拍手レス。

 ドラマCDと完全版情報で、テンションが発売前にまで戻ってしまっているので
 これでスワスチカだったりしたら絶望のあまりガルーダさんが生まれそうです。

 その場合だと完全版はかるら以下、つまりちんぽこ以下ってことですね。


2009-04-07.

・「わしはこんな『Dies Irae』みとうはなかった!」という感じの完全版が発売される、そんな悪夢を目視してしまった焼津です、こんばんは。なんか、いろんなことがゴッソリ「なかったこと」にされていたうえ、異様に既視感を誘うクライマックスが待ち受けていたの。夢だと判明したときの安堵感は異常なほどでした。

 既に一度「みとうはなかった!」な感情を経験していますが、あれを繰り返すのはもう無理と申しますか、いわゆる「終始ひたすら拷問を加えるよりも、一旦『すまん、こちらの手違いだった!』と平謝りして拷問を中止し、お詫びに充分な待遇を与えてから『ごめん、やっぱ手違いじゃなかったわ』と拷問を再開する方がより一層効果的」という理屈に基づき精神が耐えられそうにありません。期待しすぎるのもアレだって、頭では理解しているんですけれど……一切の希望を捨てて臨むことができぬファンの悲しさよ。そもそも、一切の希望を捨てられるのなら「完全版」などハナっから無視するに決まっています。好きって絶(略)

ハイクオソフトの『さくらさくら』、体験版さくら.verをプレー。

 終わりなき延期に挑む永遠の求道者、その名も高きハイクオソフトが「そろそろアクションを起こさないとリアルにヤバい」と危機感を募らせたのか、約10ヶ月ぶりに公開した二つ目の体験版です。「関心を繋ぎとめるために新しい体験版を出す」というパターンが某怒りの日を彷彿とさせて遠い目をしてしまいますが、さておき、このさくら.verでは第3部――つまり、さくらと付き合い始めてから1年後のイチャイチャ期よりシーン抜粋している模様。些細なことで「主人公が浮気していた」と勘違いしてしまったさくらが吐く「許さない、許さない、許さない……!」の三連呼がステキです。さすが青山ゆかり、嫉妬ボイスもお手の物。内容はエッチシーンのサンプルで、「ただエッチして終わり」という短さながら、ちょっとだけ購入意欲が回復する威力はありました。下半身ってばホント欲望に忠実。でもこのゲームは修羅場とか三角関係とか、エッチシーン以外の部分が眼目(と個人的には見做している)ので、やっぱ製品版が発売して評判が固まった以降じゃないと買う気しませんね。にしてもこのゲーム、細かいところに凝りすぎというかこだわるところを間違えているような気がしてならない。地の文を減らすために三点リード(……)を多用して間を埋めているのも正直テンポが悪いと思うし。何にせよ、すべては発売してからだ。

 あ、ちなみに体験版の次のバージョンは10日に公開予定らしいです。とりあえずチェックしとくか。

・今野敏の『疑心』読了。

 “隠蔽捜査”シリーズ第3弾。連載時は『乱雲』というタイトルでしたけど、単行本化に際し改題されました。ちなみに“隠蔽捜査”シリーズは1冊目のタイトルが『隠蔽捜査』だったからそう呼ばれているだけあって、2冊目の『果断』や3冊目の本書は「隠蔽」とあまり関係ありません。正確には主人公の名前を取って“竜崎伸也”シリーズと表記するべきなのでしょうが、「警察小説」の色合いを濃く反映するため敢えて“隠蔽捜査”の名が用いられている様子です。1冊目で吉川英治文学新人賞、2冊目で山本周五郎賞および日本推理作家協会賞を受賞しており、昨今における著者の代表シリーズと申しても過言ではありません。

 左遷人事の結果として大森署の署長に落ち着いた竜崎伸也だったが、アメリカ大統領の訪日を1ヶ月ほど前に控え、「方面警備本部長」に抜擢される運びとなった。本来ならば方面本部長が務めるべき役割なのに、なぜ一所轄の署長に過ぎない自分にそんな大任が委ねられたのか――異例の人事に困惑する竜崎。しかし、彼の本当の困惑は始まったばかりに過ぎなかった。部下である秘書官に対して燃え上がる制御不能な想いと、大統領暗殺計画。同時に二つを相手取ることとなった竜崎は、疲労と睡眠不足に悩まされながらも信条たる「原理原則」を貫こうと足掻くが……。

 竜崎、恋に惑う。ファンの誰もが驚く展開に突入するシリーズ第3弾です。既に妻子を持っている竜崎が独身の部下に心を乱される。彼女がそばにいれば途轍もない安堵を覚え、彼女が他の誰かと楽しげに談笑していれば身も焦がれるほどの嫉妬が湧いてくる。止めようと思っても止められない感情、という恋愛小説めいた要素を挟みながら、一方で着々と「大統領暗殺計画」が進行していきます。予想外の恋によってボロボロの精神状態となり、通常の任務を果たせるのかどうかさえ不安になる竜崎を読者がオロオロとして眺める、前作や前々作とはまた違った意味合いのサスペンスが満載。家庭もあるんだから想いを告げれば不倫に発展しかねず、かと言って想いを殺すのは辛すぎる。そうした懊悩が延々と続くこともあり、純粋な警察小説を求める人には少々鬱陶しいかもしれません。もちろんロマンス以外もちゃんと書き込まれてはいて、シリーズ特有の柔らかだけど緩すぎない雰囲気は健在、適度な緊張感を保っています。あくまで主人公は指揮官の立場、警備本部に詰めて指示を飛ばすのが基本であって、現場で大捕り物を繰り広げることはなく、映像向けの激しいアクションシーンは今回ありません。もともと活劇を売りにしたシリーズではありませんし、慣れてくるとこのストイックな構成が好ましく感じられてくる。不思議なものだ。

 恋愛を軸に絡めたのはマンネリ防止のためか? 賛否はあるだろうし、ストーリー自体の仕上がりも前作や前々作に比べて少々パッとしない地味なところがある。しかし勢いが落ちた、というところまでは行かず、シリーズそのものの楽しさはしっかりキープされていると思います。派手な銃撃戦に頼らず、それでいて地道な聞き込みや薀蓄だらけの科学捜査にも傾かない。絞り込まれたシャープさを発揮しながら、決して人情味を忘れない稀有な警察小説と言えましょう。今野敏が手掛けた他シリーズ作品もポツポツと読み始めていますが、やはり竜崎伸也モノは別格の面白さであり、以降も是非注目を続けていきたい。それにしても戸高のツンデレぶりには笑った。

・拍手レス。

 前巻から結構待たされましたけど、小山内さんはやっぱり最高でしたねw あと小鳩つながりは自分も思いましたw
 この調子で行くと冬期限定は5年後くらいかな……作者がよねぽだけに、壮絶なバッドエンドを持って来かねなくて恐ろしい。


2009-04-04.

・さして期待せずに読んだ『ディーふらぐ!(1)』が異様にツボった焼津です、こんばんは。

 なんだろこれ。ハッキリ言って絵もネタもキャラもそんなにすごいわけじゃないが、妙なところで調和が取れて実に心地良い読み口となっている。分類すれば「部活モノ」、ゲーム製作部とは名ばかりの好き勝手やりたい放題な連中が主人公を振り回す、特にあらすじらしいあらすじのない学園ストーリーです。一応ヒロインとかライバルとか出てきて、ちょっぴりシリアスな雰囲気もときには漂いますが、最終的にはコミカル且つナンセンスな流れに回帰していく。「何がやりたいのかよく分からない」という感想さえ誉め言葉になりかねないテンションの高さ。「マイナーな漫画誌で特定の層から熱烈な支持を受けているギャグ漫画」ってイメージにピッタリ符合する作品であります。目立つキャラと目立たないキャラとの差が激しかったり、「不良生徒」という主人公の肩書きが早くも死に設定になりつつあったり、今後が危ぶまれる部分もややあるものの、ひとまず次巻以降を楽しみにしたい。ちなみに当方の胸が高鳴った順は高尾部長(へっぽこツンデレ、乳属性)>柴崎芦花(メインのくせに脇役みたいで、某インデックスを彷彿とさせる闇属性ロリ)>烏山千歳(長身ロング黒髪ドS、むしろこいつが闇属性じゃね?)です。「烏山千歳」は何度見ても名前と苗字の配列を間違えそうになる。てか、キャラの名前って駅名のもじり? 水上桜とか大沢南とか。あとこの作者ってTYPE-MOONのエイプリルフール企画で「戦車男」の絵を描いた人なんですね。

・米澤穂信の『秋期限定栗きんとん事件(上・下)』読了。

 “小市民”シリーズ第3弾にして作者初の分冊作品。つっても上下併せて500ページ程度なので、一冊にまとめようとすれば充分まとめられる量ではあります。また付け加えて「2ヶ月連続刊行」とはいうものの、上巻の発売日が2月27日、下巻の発売日が3月13日とほんの2週間しか離れておらず、分冊するにしてもなぜ2冊同時に発売しなかったのか、よく分かりません。いわゆるアレか、大人の事情という奴なのか。ともあれ、シリーズ前作から3年近くも待たされたので分冊やそれに伴う支払金額の上昇は屁でもありません。今の創元だったら500ページくらいで1000円とか当たり前だし、1冊に圧縮されていても差額はせいぜい100円、200円の次元だったでしょうし、そんなにすごくぼったくられたって気もしない。むしろ、薄くなったおかげで読む際に指が痛まなくて助かった気がする。そう、それだ。

 現時点でシリーズ最長のエピソードということもあり、描かれるスパンも長い。謎があれば推理せずにはいられない、秘密があれば嗅ぎ回らずにはいられない、探偵には欠かせぬ天性の卑しさを持った小鳩常悟朗と、受けた屈辱と被害は決して忘れず、入念且つ粘着質に恨みを晴らす、執念深い餓狼の牙を隠し持った小山内ゆき。互いに肥大化した自意識を持て余し、周りとうまく折り合っていくため「小市民」という理想を胸に日々戦って(むしろ日々戦わないで)過ごしてきた二人の仲は、夏の事件を機に破綻した。訣別し、それぞれに違う道を歩み出すことになる……と、これが「前回までのあらすじ」。今回は、別れたまま迎える秋から始まり、なんと秋だけに留まらず冬→春→夏と季節を巡らせ、またふたたび秋に戻る。つまり丸ごと一年間を通して語られる、予想外に長大なエピソードとなっています。連作形式じゃなくなった分、話の密度は下がりましたが、手抜かりのないストーリーテリングで最後までダレることなく読ませてくれます。

 小鳩に彼女ができ、小山内にも彼氏ができ、二人の接点は見事に失われる。上巻ではまったく会話を交わさないまま終わるため、「本当に関係修復するの?」と心配になります。会話もなしで、じゃあどうやってストーリーを紡ぐのかと申せば、一応今回も軸となる事件があるわけです。連続放火事件。規模はさして大きくないものの、月イチのペースで犯行を繰り返す絵に描いたような常習犯。諸々の状況証拠から同一犯と見られ、小山内の彼氏である新聞部ホープ・瓜野が「このネタで一発当ててやる!」と躍起になります。一方で小鳩は事件から不穏な匂いを嗅ぎ取り、独自に調査を開始する。前回や前々回はどちらかと言えば小山内の方に焦点が当てられたストーリーになっていたが、今回は小鳩の方がより鮮明にクローズアップされている。小市民の皮を被った化け物とでもいうのか、ようやくここに来て主人公の「心底異常なところ」が晒された。如何にも米澤流といった厭らしい書きっぷりで、逆に惚れ惚れとしてしまう。事件自体は大したことないけど、その裏で展開する駆け引きが一種頭脳戦の様相を呈していて、ちゃんとした意味合いでも惚れ惚れとさせてくれます。シリーズ3作目であるにも関わらずまったくマンネリの気配がなく、しっかりとこちらの心を掴んで引き込んでくる。待たされた甲斐はありました。

 羊の群れに紛れた狼は、さみしい牙で誰の身を裂くか。作者の意地が悪いことは既に周知の事実と言ってよく、ファンなら承知していて当然という雰囲気すら醸されていますが、それにしてもここまでやるとは……と苦笑いを禁じえないはず。遺憾なく腕を振るい、読者の甘い期待を叩き潰す。具体的には、微笑ましい三角関係とか。嫉妬心剥き出しの修羅場とか。「小鳩くんどいて、そいつ殺せない」とか「この――簒奪者め」とか。軒並みプチッと圧潰。でも黒小山内さんはちょっと見れますので、溜飲は下がった。相変わらず暗躍してくれます。さすが復讐界のナポレオン、上巻では比較的大人しくしていますが下巻に至っては「 残 念 だ っ た な !」と嘲らんばかりに本領発揮。みんな好きだろ? ヴェンデッタ。そりゃ小鳩くんも彼女の手を取る仔猫(キティ)と化すわ。いや名前からすると小鳩(ダヴ)か。『俺たちに翼はない』のせいもあってヒロインと勘違いしそうになる。もしポッポが小鳩くんと結婚したら小鳩小鳩になるのか……「カバディカバディ」みたいな響きだな。

・拍手レス。

 型月が凄すぎるっていうか戦車男マジで見てえ。ウェイバーが魅力発揮し過ぎ。あとギルとエルさんの幼馴染設定も素敵過ぎ。ハルトモさん描いてくれないかな
 『ディーふらぐ!』の連載を武内に任せて専念すれば何とかなるか。ならんか。

 7SEEDSもいいけど、田村由美はやはりBASARAが名作すぐる
 BASARAもいずれ読みたいけど、巻数多いから買うタイミングに迷う。


2009-04-01.

・やたらと評判が高いからまとめて全巻購入したまでは良かったものの、「絵柄があんまり好みじゃないし、タイトルにもいまひとつピンと来ないなぁ」と長らく放置していた『7SEEDS』を一気呵成に読み終えた焼津です、こんばんは。ちなみに「セブンシーズ」と読みます。

 少女マンガで、ひと口にまとめるのは難しいけれど、乱暴に言ってしまえば「サバイバルもの」です。いつもと同じく家で安らかな眠りに就いたはずなのに、目を覚ませば今にも沈みそうな船の中にいた――辛くも脱出に成功し、何処とも知れぬ孤島へ漂着した主人公たちは、ワケも分からぬまま過酷なサバイバル生活を強いられるハメになる。1巻の時点では本当にワケが分からないまま終わってしまい、2巻に至ってようやく状況説明が入ります。なるべくネタバレに抵触しない範囲で解説しますと、主人公たち「選ばれた7名」は作為的に(つまり「誰か」に仕組まれる形で)サバイバル生活を余儀なくされるのですが、実は彼らだけが特別というわけじゃなく、他にも「選ばれた7名」のグループが複数存在するんです。なので巻が進めば進むほどキャラクターが増えていく形式となっています。

 章ごとに大きく話が飛翔するため、細切れに読むよりは間を置かずダーッと一気に目を通す方が全体像を把握しやすい。なかなかスケールの大きなストーリーで、発想だけならまだしも実行に移したあたりがすごいです。登場人物が多い内容にも関わらず、ある程度読み進めれば「はて? 誰を主人公と呼べばいいんだろう……?」って戸惑うほど各々の個性がしっかり描けている点にも拍手を送りたいです。たまにキャラクターを取り違えたり、「こいつ誰だっけ?」と首を傾げることもありますが、それは半ば必然的な混乱であり、そういう機会が「たまに」しか訪れないことの方に注目すべき。さすがに10巻くらいで少し中だるみを感じたが、7巻から9巻にかけての「穀雨の章」は圧巻であり、また最近の巻ではグループ間の交流が激しくなってきて盛り上がる一方。明確なゴール地点が定められていないせいもあっていつ頃完結するのか予測がつかないものの、そういう先行きの見通せない部分も含めて「続きが楽しみ」と言いたくなる良質なサスペンスです。少女マンガだからって、少々癖のあるタッチ(特に表紙のカラー絵は人を選ぶかと。中のモノクロはそんなに癖が強くないんですけども)だからって、当方みたいに勝手な偏見を抱くのはやめにしましょう。予想以上にディープで引き込まれます。

Navelのエイプリルフール企画「鷹は舞い降りた」掲示板

 『俺たちに翼はない』をプレーしていないと意味不明というか、他のページ見れないのは「ちょっとやりすぎじゃね?」という思いすら湧いてくる反面、俺翼やった人にはニヤニヤできる箇所が多い。リアルタイム更新なのでずっと張り付いてないと楽しめないのが難ながら、次はどんなネタが来るのかワクワクすることしきりであり、今も監視中。

しゃんぐりらのエイプリルフール企画『かずおの大冒険』

 「原画・衣笠彰梧」に噎せた。これは『暁の護衛』やっていても意味不明だな……どう見ても本物としか思えない黒歴史帳がひっそりとかずおの深淵を覗かせます。『かずおの大冒険』は衣笠シナリオ恒例のネタですけど、思ったより根が深かったようだ。

TYPE-MOONのエイプリルフール企画が気合入りすぎ

 「なんか今年はショボいなー、忙しいからかしら」と軽く流しそうになりましたが、moon cinemasのリンクに気づいた瞬間抱腹。「戦車男」の細かさにはホトホト感心する。ウェイバー、まったく違和感なしに可愛いな。さすがZEROのメインヒロイン。幼なじみのエルキドゥちゃんもさりげにたまらない。そして「女囚さくら」にこっそり出演しているソラウを見て「つくづく奈須はソラ子が好きだな」と思いました。

脳内彼女のエイプリルフール企画『箱デレ!』

 エンディングまでヒロインが「箱」の中から出てこない、従って容姿がまったく分からない、というバカバカしいくせして妙に趣深い一発ネタ。容姿が分からないヒロインといえば『Sense off』の「少女A」を思い出すなぁ。ってかダンボールだとみつしりと詰まつてゐそうな気がして、むしろ『匣デレ!』のような……。

Lump of Sugarのエイプリルフール企画『Lump's×Rumps』+α

 もっときょーぞんする! というわけでオマケネタの方がすごくほしいです。いや、もう全然ロリコンじゃないんですよ。命かけてもいいですよ。だって単なる人外ロリ好きですもの。疑うほうがロリコンなんですよ、疑うヤツは頭いかれてるんですよ。全然ロリコンじゃないですよ?

オーバーフローpropellerはサイト重すぎでまともに閲覧できないや。残念。

・今月の購入予定。うん、まあ、普通かな。

(本)

 『鷺と雪』/北村薫(文藝春秋)
 『貧乏神が!(2)』/助野嘉昭(集英社)
 『お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!(1)』/草野紅壱(双葉社)
 『ブラック・ジョーク(2)』/小池倫太郎、田口雅之(秋田書店)
 『惑星のさみだれ(7)』/水上悟志(少年画報社)

 『鷺と雪』はベッキーさんシリーズの完結編。ベッキーさんシリーズは昭和初期を舞台にして綴られる連作時代ミステリであり、噂によれば二・二六事件がシリーズの最終到達地点となるらしい。遂に終幕を目にすることができる、というワクワク感と、もう終わってしまうのか……という寂寥感に心を引き裂かれます。『貧乏神が!』はまだようやく2巻が出る程度であるにも関わらず、メキメキと頭角を現していっているマンガ。ハイテンションギャグと割合シリアスな人情話との混合から成り、際物臭いナリに反して堂々と「少年マンガの王道」を突っ走っています。オススメ。『お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!』はお察しの通り、タイトル買いです。『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』と同じ勢いでフラフラと引き寄せられています。作者に関しては「普段エロマンガの方面で活躍している人」という認識しかない。エロマンガの単行本は既に10冊くらい出しているらしく、結構年季の入ったベテランみたいだ。『ブラック・ジョーク』は『バトルロワイアル』のコミカライズで物議を醸した田口雅之が作画を務めるバイオレンス・コミック。「ランオーバー」なる二つ名を持つ車椅子のマフィオソが大好きなので、今回も登場しないかと期待中。ランオーバー御用達、「お前は轢き殺す」でお馴染み武装車椅子の雄姿を見たい方は1巻をご購入ください。『惑星のさみだれ』は「幻獣の三騎士」も出てきてそろそろ後半戦に突入か? 明るく爽やかな絵柄を裏切るように仮借なき展開の連続で畳み掛け、読者の心を絶えず揺さぶってくる。いま一、二を争うほど続きが楽しみな作品です。他、saxyunの『空想科学X(2)』と『ゆるめいつ(2)』が同時発売で、4コママンガといえば『看板娘はさしおさえ』の4巻も出るし、「とにかくゴチャゴチャしたマンガ」でごく一部に有名な『足洗邸の住人たち』も久方ぶりに新刊が店頭に並びます。あとコニー・ウィリスの『犬は勘定に入れません』が上下2分冊で文庫化。今野敏の『花水木』も文庫化し、これで「東京湾臨海署安積班」シリーズがすべて文庫落ちしたことになります。つか、えらく早いな……ついこないだ『半夏生』が文庫になったばかりだってのに。

(ゲーム)

 なし

 綺麗サッパリ注目作がございません。うーん、今年はまだ俺翼しか買ってないわぁ。しかしその俺翼を何度も再プレーしているので、別段エロゲーに餓えているということはない。他にいくつか積みゲーもチマチマと崩してますし。

・拍手レス。

 Navelの四月馬鹿企画が、おれつば信者にはたまらない形式にww
 やってることはごくシンプルなのに面白くてしょうがないです。


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