2008年8月分


・本
 『PSYCHE』/唐辺葉介(スクウェア・エニックス)
 『花園のエミリー』『戦場のエミリー』/八薙玉造(集英社)
 『純真ミラクル100%(1)』/秋★枝(芳文社)
 町田康の小説あれこれ
 私立探偵・飛鳥井史郎シリーズ(『三匹の猿』『道―ジェルソミーナ』『魔』)/笠井潔(講談社、集英社、文藝春秋)
 『戦国妖狐(1)』/水上悟志(マッグガーデン)
 『Fate/Zero material』(TYPE-MOON)
 『エア』/ジェフ・ライマン(早川書房)
 『生徒会役員共(1)』/氏家ト全(講談社)
 『完全恋愛』/牧薩次(マガジンハウス)
 『ぬらりひょんの孫(1)』/椎橋寛(集英社)
 『のぼうの城』/和田竜(小学館)

・ゲーム
 『水平線まで何マイル?』体験版(ABHAR)


2008-08-30.

・椎橋寛の『ぬらりひょんの孫(1)』を読んで雪女に惚れ転がっている焼津です、こんばんは。

 「全ての妖怪は オレの後ろで百鬼夜行の群れとなれ」という決めゼリフも格好良さもさることながら、雪女のミリキが青天井であり、読めば読むほど心が蕩けていく。やはり幼女は実にいい実にいい実にいい。というか、メインヒロインであるはずのカナちゃんが存在感うっすいです。まだ「リクオが妖怪の血を引いていることを知らない」という状況なので仕方ないところもありますけど……正体バレしたあたりからが本番かな? その折にはリクオを巡って雪女と甘臭い修羅場を繰り広げて欲しいものです。いやしかしホントこの雪女底抜けに可愛いわ。思わず冒頭から読み直して雪女の絵が出てくるところだけピックアップしていったほど。

 それとガゴゼが出てきたことが少し嬉しかったり。同じ妖怪をモチーフにした『ガゴゼ』というマンガが好きなので……ぬら孫の方は単なる噛ませ犬で、あっさり殺られてサクッと退場しちゃいましたが。

ABHAR、『水平線まで何マイル?』の発売を記念してミニゲーム「もぐら・あたっく!!」を公開

 『水平線まで何マイル?』に登場する後輩ヒロイン・津屋崎湖景が制作したフライト・シミュレーター……という設定のFlashゲーム。鳥人間コンテスト感覚でもぐらことモーターグライダーを飛ばす、割合単純な内容です。ある程度までは順調に飛距離が伸びるものの、やがて速度や高度を稼ぐためのバッテリーがネックになってくる。6000越えたあたりで壁にぶち当たって伸び悩むこと必至。コツを掴むのに四苦八苦。本編を買わなかったんで手慰みに……と小一時間頑張ってみましたが、当方の腕ではこれが限界です。噂によればまだこの上のランクがあるらしいけど、目指すのはもう無理。

・和田竜の『のぼうの城』読了。

 オノ・ナツメの表紙イラストが目印。珍譚奇譚が山ほど転がっている戦国時代にあってもとりわけ印象的なエピソードの一つ、「忍城(おしじょう)の攻防戦」を題材にとった長編です。忍城は『へうげもの』の最新刊でもチラッと出てきましたね。歴史小説としては異例の発行部数20万部というスマッシュヒットを飛ばし、今もベストセラー街道を驀進している本書、このまま勢いが続けば映画化は確実でしょう。「存在がチートすぎる」と話題になった甲斐姫も登場するからヒロイン枠はバッチリ。

 主人公は成田長親というWikipediaにも載っていないくらいマイナーな武将で、彼を扱った作品はぐぐってみても『水の城』くらいしか見つかりません。辺り一面を湖に囲われて「浮城」の異名も持っている忍城、その城主である成田氏長の従兄弟にあたり、氏長が北条氏の小田原城に詰めることになったので忍城の城代を務めることになります。天を衝く長身、ぬぼっとした風貌から領民に「のぼう様」――つまりでくのぼうと、陰口を叩かれるどころか面と向かって言われるほど抜けた人物として描かれており、そんな奴が総大将の座に収まったらどうなるか……普通なら悲惨な想像しか湧きませんけれど、意外とこれがうまく進んだりするものだから歴史は不思議なものだ。石田三成が遣わした軍使を相手に徹底抗戦を叫ぶシーンがやはり、一番盛り上がる。終始一貫して平易な文章で紡がれているものの、綿密な取材が活きたのか、軽すぎず重すぎず丁度いい雰囲気で進行していきます。

 武威も智謀も軍略もないのに人望だけは有り余っている、良い意味で「出たとこ任せ」の痛快篭城戦。話が動き出すまでがやや長いことと、動き出したら電光石火でクライマックスに向かうハイスピードな展開が少し物足りなかったし、付け加えれば領民たちが異常なほど長親に肩入れする心情も説明不足に感じた(たとえば『泣き虫弱虫諸葛孔明』で描かれる劉備に比べると魔性っぷりが圧倒的に足らず、かと言って「モテカワ愛され城主」と見做すにもチト弱い)が、筋立てが非常に率直で「なるほど売れるわけだ」と頷ける爽やかな好編でした。忍城自体は「紅蓮の狼」(『青嵐の馬』所収)で既に知っていましたけれど、あちらは甲斐姫を主役に据えて語っていることもあり、こちらはこちらでまた違った味わいを堪能することができた。ただ、甲斐姫の活躍は回想および後日談に限られていて、勿体ないというかちょっと惜しい。

・拍手レス。

 ウザクはどこへ向かっているんだ…
 狂る義は狂る義から生まれ、狂る義は狂る義になった。そしてどこへも行かない。

 ウザクの半生 父親は日本国首相だぜ>父親殺しちゃったよ ブリタニアの兵士になったぞ>クロヴィス暗殺犯として死刑 ユフィの騎士兼恋人になりました>虐殺皇女ユフィ死亡 KoRの一員としてナナリーの補佐だ>ナナリー巻き込んで殺しちゃったよ 暗黒面に堕ちても仕方ないかもと思ってしまった
 よく廃人化しないものだなぁ。


2008-08-28.

・最近アクセス解析で目にした検索ワード、「"回避" "賢者タイム" オナニー」がひときわ印象に残っている焼津です、こんばんは。

 そんなに賢者タイムが嫌ならエアオナニーすればいいじゃない!

・氏家ト全の『生徒会役員共(1)』読んだー。

 作者名は「うじいえ・とぜん」と読む。卜全(ぼくぜん)かと思ってましたが、そっちは戦国武将みたいですね。『妹は思春期』など、シモネタやエロネタを得意とするギャグ漫画家で、個人的な分類では竹内元紀と同じカテゴリに入れている。今回もやっぱりシモネタとエロネタのオンパレで、「ま○こ」だの「膣」だのといった言葉が乱舞し、生理ネタも頻繁に繰り出されます。掲載誌が少年向けとは思えない艶笑ぶり。しかしほとんどは言葉の遣り取りに終始し、露骨に下着が見えるようなサービスシーンはありません。またシモいワードやエロい話題を平気でかますヒロインに対し、主人公の示す反応は「動揺」よりも「困惑」の要素が強く、毎度毎度呆れつつ淡々と注意するあたりが持ち味となっており、ボケとツッコミのメリハリはちゃんと付いている。そういう意味ではストイックかな。直接的なエロ描写は控えながらも、背の低い少女が主人公と向き合って紙パックのジュース飲んでいるところを後ろから眺めると口淫に耽っているように見える――などといった視覚トリックを駆使するのは面白かった。

 実はこの人の漫画ってパラパラ立ち読みしたことがある程度であまり真面目に読み込んだことはなかったんですけれど、シモやエロに頼らないネタも案外多いんだな、と新発見。普段は無表情キャラを通している生徒会長が修学旅行やプール開きのときに外面では素っ気ない態度を取りつつ内心めっちゃワクワクしてカレンダーに花丸描いたりテルテル坊主吊るしたりと、言動不一致な部分があってベタベタながらも可愛い。シモ・エロの要素を抜いても「ユルめの学園コメディ」として充分イケる内容です。もちろん自分はシモネタとエロネタの熱烈な愛好者ゆえ抜く必要はない。軽く見積もっても最強だな。

 『妹は思春期』の頃に比べて絵柄も変わり、だいぶ当方好みになってきました。なにげなく買ったにしては上等すぎる出来であり、望外の喜びなり。ただ、版型がネックですね。絵や字がチマチマしていて、視力が弱い人間には少々読みづらい。amazonのレビューにもあるけど、これでB6判サイズくらいだったら文句ナシでした。

・牧薩次の『完全恋愛』読了。

 分かる人には分かりますが、要するにアナグラムです。「まきさつじ→つじまさき」。というわけで辻真先の最新刊。アニメの脚本家としても有名な人であり、ミステリの分野ではまずジュヴナイル作家としてソノラマ文庫から出発、やがて一般方面にも進出し『アリスの国の殺人』で日本推理作家協会賞を受賞しました。今年で76歳を迎える高齢にも関わらず、ホームページでは冲方丁のシュピーゲルシリーズや野村美月の“文学少女”シリーズが話題に昇る。若々しいにもほどがあるよ。

 発覚しない罪が完全犯罪ならば、誰にも知られず貫き通した恋は「完全恋愛」と呼べるのか……東京大空襲の焼夷弾に両親と妹を焼かれ、親類を頼って福島県の温泉郷に疎開してきた本庄究。この時まだ12歳そこらの少年だった彼は、後の人生を丸きり決定づける初恋の人と巡り会った。小仏朋音。画家の父を持ち、究と同じく東京から逃れてきた少女。日を重ねるにつれ想いは募るが、やがて彼女は父の抱えた負債を返済するため資産家のもとへ嫁いで行ってしまう。それでもなお諦めず一途に想い続けた究は、しかし報われるどころか大きな悲劇を目の当たりとすることに……。

 プロローグとエピローグも含めて全七章となっていますけれど、大まかに分ければ三部構成の長編ミステリです。戦中・戦後の時期に疎開先で発生した事件及び本庄少年の初恋を描く第一部、三億円事件が起こった頃を背景に「地上最大の密室」が実現する第二部、バブル景気真っ盛りの時代から平成の現代へ繋ぐ第三部といった塩梅。それぞれの部で謎が持ち上がって解かれたり、あるいは充分に解かれないまま次の部へ持ち越されたりします。未消化の謎に関しては最終章でちゃんと総決算を行って解決する運びとなっていますから、オチなしで終わる心配はしなくても大丈夫です。

 辻真先の小説は中高生時代に少し熱中して2、30冊は読み耽ったものの、もう何年もご無沙汰だったのである種の新鮮さと懐かしさがブレンドされたような読み口になっていました。ユーモア・ミステリと呼ぶほど軽くはないにせよ、読みやすいタッチで書かれていてサクサクと小気味良く堪能できる。「究極の恋愛小説+本格ミステリ1000枚」と豪語している帯に「え? 1000枚もあったの?」と思わず訊き返しちゃうくらいあっさり読めました。が、はっきり言ってしまえばトリックは無茶な箇所が目立つし、伸び伸び活き活きと書かれていた戦中や戦後の時代に対して現代のパートはやや締まりに欠いてダラけたムードが漂い、良くも悪くも書き慣れた作家特有の「流す」気配が感じられる。とはいえ「完全恋愛」というテーマのおかげでラストに言い知れぬ余韻が残り、「久しぶりに読んだ甲斐はあったな」と頷いた次第。「無茶な箇所が目立」ったにせよ、個々の発想……特に「福島発沖縄着の超遠隔殺人」は面白くてついつい本格好きの血が騒いだ。辻真先を知らない方、名前は見覚えあるけど小説を読んだことはないとおっしゃる方にも比較的オススメしやすい一冊。余談ですが、当方は「ポテトとスーパー」のシリーズよりも瓜生慎のシリーズが好き。中でも『ローカル線に紅い血が散る』がお気に入りです。

・拍手レス。

 「自らの信念を貫く」という、唯一の美点まで捨てちゃったよ・・・orz>ウザクの人
 つくづく歯車の噛み合わない男です。


2008-08-25.

・古代ローマ帝国の時代にタイムスリップし、コロッセウムに投げ込まれた日本人柔道家! 待ち受けるグラディアートルとの壮絶な死闘! 血みどろの戦いの果て、彼は無事現代に帰り着くことができるのか――!?

 誰が考えたんだ、こんなバカ話……買わずにはいられなくなるじゃないか! というわけで、店頭で見かけるまで何一つ知らなかった『ヴィルトゥス』というマンガを発作的に購入した焼津です、こんばんは。絵柄は木葉功一にちょっと似ているかな。刑に服していた主人公だけじゃなく、仲間(?)の囚人たち全員がタイムスリップするので、「あれはローマ帝国の紋章……」やら「ただの『一本背負い』だ……」やらと解説役を担当するサブキャラもいる。感覚としては普通の格闘マンガとあまり変わらなかったです。設定がトんでいる割にストーリー展開はごくごくセオリーに従った流れであり、迫力や衝撃に欠けるのが難点ながら、しばらくは買い続けてみようと思いました。しかし一番印象に残ったコマが「アナル、行きます!!」ってどうよ。

Chienの『くるくるファナティック』、デモムービーがなまら中毒性高い

 最近のヤンデレは「おほほ、過激でしてよ、おほほほほ」な暴走ぶりで正直付いていけないと申しますか、なんだかよぅ分からん鵺めいたジャンルになってきて興味を失いつつありますけども、それはそれとしてこのデモムービーは奇妙にハマる一品。遅効性でジワジワ来る感じ。

・ジェフ・ライマンの『エア』読了。

 全人類の脳味噌をフォーマットし、意識と意識を強制接続する地球規模ネット・システム「エア」に晒されて狂奔する人々の姿を描いた近未来SF。設定では2020年になっています。読んで真っ先に連想したのは『最果てのイマ』におけるイマジナリー・ネットであり、たぶん「エア」というアイデアそのものは大して珍しくないのでしょうが、本書の面白いところは舞台をニューヨークやロンドンといった都市圏にせず、「中国とチベットとカザフスタンに国境を接する国」のそのまた山奥に存在する田舎村、としたこと。ネットどころかテレビすらろくに普及していないアジアの辺境で「強制接続」の脅威に直面するわけですから、そいつぁ大変だよおっかさん。普通なら無視されるか脇のエピソードとしてちょっと触れられるに留まるであろう地方をメインに据えて骨太な物語を紡ごうと選んだ時点で、『エア』の勝利は決まったも同然ですよ。

 カルジスタン国幸福省イェシボズケント郡キズルダー村――住民の大半が農業に従事する、近代化とは無縁なこの地。チュン・メイは潤いと彩りに乏しい女性たちのため、町からお洒落なドレスや化粧品を調達してきて稼ぎを得る「ファッション・エキスパート」を営んでいた。ある日、「エア」の試験が実施され、備えるどころか「エア」がなんなのかさえ充分に理解できなかったキズルダー村の面々は、突然やってきた「接続」に激しい困惑を覚える。顕著だったのがメイの隣家に住むタン老夫人と、その孫嫁ケン・ツーイ。タン老夫人は狼狽により足をもつれさせ、煮え滾る鍋からこぼれた熱湯を浴びてショック死。ツーイは錯乱して井戸に身を投げた。ふたりの隣人を喪ったメイも、無事では済まされなかった。死の直前、タン老夫人の意識へとアクセスした影響か、メイの心と嫗の精神が混ざり合ってしまったのだ。自我を引き裂かれ、情緒不安定に陥りながらも「このままエアを座視していれば、村は滅びる」と危機感を抱いた彼女は解決策を模索するが……。

 平たく言ってしまえば死人の霊に取り憑かれたようなものであり、もげかけたプラモのパーツみたいにアイデンティティをぶらんぶらんさせつつ「エア」対策に走り回るヒロイン(既婚者で子持ち)のカオスでエネルギッシュな姿に瞠目させられることしきり。バカでうすのろな夫が村の金満家に騙されて返せそうもない借金を負い、金満家の妻でありヒロインにとって古くからの友人でもある女性に「借りた金はそのままそっくり返すから、この話なかったことにして」と嘆願したけど聞き入れられず押し問答になってしまい、口論がヒートアップ、「農民の嫁風情が!」「売春婦!」と罵り合って物別れに終わる――このあたりでもまだ60ページ目です。気性の荒さが半端ない。「ファッション・エキスパート」に代わる新たな事業を立ち上げようと尽力しながら夫以外の男に欲情して全力で不義密通したりなど、魂を燃やして駆ける生き様は「ビッチ」「尻軽」を通り越して鬼気迫る「怪物」の域に達している。とにかくすぐヒスってキレるし、嫌味や皮肉もネチネチと際限なく垂れます。内心に愛と憎悪が絶えず渦巻いているイメージ。主人公に清廉潔白・品行方正な振る舞いを求める読者には受け容れがたいタイプでしょう。けれど、ドロドロのグチャグチャで混沌を極めたパワフルな人間模様が不思議といとおしくもあって、気が付けば超昼メロ級の世界に惹き込まれていました。

 全世界の人類精神を統合するネット云々という題材の割に舞台がほぼヒロインたちの田舎村に限定されていて、スケールが小さいというか範囲の狭い話になっているものの、その分だけ非常に密度が高く濃い小説に仕上がっています。原稿用紙1000枚を軽々と超えるボリュームは伊達じゃない。何よりクライマックスの展開が圧巻。そして待ち受けるラストには誰しもきっと「ええーっ!?」と叫び出すこと請け合い。十数年前に喰らった『人間以上』の衝撃が形を変えてふたたび襲い掛かってきた気分でした……良くも悪くも。さあ、チュン・メイは否応なく激変していく現実と向き合い、敵であり味方であり守るべきものである村人たちと争闘・共闘し、亡霊化したタンばばさまの「昔は良かった症候群」に打ち勝てるのか? とくとご照覧あれ。

 それにしても、「エロイ族の女」という言い回しが卑猥に見えて仕方なかったです。


2008-08-22.

・町田康の第一エッセイ集『へらへらぼっちゃん』の解説を読んで「大槻ケンヂは町田康より年下であり、後輩に当たる」と知ってべっくらこいた焼津です、こんばんは。

 小説家・エッセイストとして活動している時期は大槻ケンヂの方が長いので、てっきり逆だと思っていました。町田康が62年生まれ、大槻ケンヂは66年生まれで4歳差。ただし、作家デビューは町田が96年で大槻が92年と、「4年の差」が逆転している。amazonで検索しても大槻ケンヂの方がいっぱい引っ掛かる。そのせいで錯誤してしまったんでしょう。こういう思い込みの罠はよくあって、他では未だに森見登美彦(79年生まれ03年デビュー)が万城目学(76年生まれ06年デビュー)よりも年長であると勘違いしそうになります。榊一郎と古橋秀之のふたりも榊>古橋ってことを頭が受け付けぬ。エロゲーでもシナリオライターの虚淵玄と奈須きのこがたった1年差(72年と73年)って知ったときは驚いたものでした。もっと離れているものと信じ込んでましたよ。

「ジンガイマキョウ」の同人誌『とある衣装と女教皇様』がラノ漫で絶賛されている件

 ただでさえ書店委託分を買えるかどうかで犬江さんファンの誰もがギラギラしている最中にこの燃料投下……発売開始したらまず間違いなく戦争BOPPATSU。そして「姫神秋沙に対する殺意」はたぶん「旧パソパラの金塊(お宝マークとか言ったっけ?)に惹起される殺意の波動」みたいなものかと予想。

グノスの王位継承権争いに巻き込まれた彼女がとっさに発動した魔法、それは「将棋魔法」だった!

 タイトルで「チェ棋」を思い出した。「将棋=軍略」は歴史小説のお約束ですからバトルに転用してもそんなにおかしくはないはずなのに、何この付きまとう違和感。ああ、そうか、小五の女子がヒロインを務める魔法少女モノで将棋をやること自体がおかしいか。

やる夫が臨床試験ボランティアに参加するそうです「GF団」経由)

 治験は如何にもサスペンスな感覚に溢れているせいか、小説のネタにされることも多いですね。横山秀夫の「不眠」(『真相』所収)とか。中には『治験』というそのままズバリなものまで。キングの『ファイアスターター』でヒロインに生まれつき発火能力が備わっていた経緯も「両親が怪しげな治験を受けたから」でした。

しゃんぐりら、『暁の護衛〜プリンシパルたちの休日〜』の制作を告知

 OHP上での正式告知きました。視線が麗華のケツに吸い込まれた挙句「プリンシパル」が尻の擬態語に見えてきますけど、何はともあれ楽しみに待つとしよう。

ハンバーガーを脅し取った暴力団員、「山口組組長に代金820円を請求する」と言われ慌てて支払い応じる…暴対法に基く請求(痛いニュース(ノ∀`))

 「アンハッピーセット」に噴いた。というより、タイトルを見た時点で笑いの衝動を堪えるのに必死。禁咒たるドナルドマジックを使うまでもなかったか。

・TYPE-MOONの『Fate/Zero material』読んだー。

 位置付けとしては同人誌に当たり、ISBNが取得されていない(そのためamazonでも「和書」ではなく「PCソフト」のジャンルにある)ので取り扱う流通も限られており、店頭で購入できる人は都市圏のみという何とも地方民泣かせなマテリアルシリーズ第3弾。Fate/Zeroのmaterialゆえ、当然『Fate/Zero』を読んでいないとワケワカメです。ネタバレも雨霰とありますから先に原作に目を通しておきましょう。

 収録されている内容は表紙に用いられたイラストそれぞれのパーツ、次いでサーヴァントやマスターの紹介、ざっくばらんな用語集に、武器等の設定画、そして奈須きのこ×虚淵玄×武内崇の3名で贈るはっちゃけ鼎談といった感じ。4巻の表紙でセイバーの後ろに隠れてしまったバーサーカーの狂姿をとっくり見ることができて余は満足ぢゃ。無論のこと原作口絵で隠蔽されていたステータス表もちゃんと読むことができます。また没ネタや初期設定についても知ることもできる。全体的に抜かりのない構成。

 最後に収められている対談は実にフリーダムというか、あまりにもネタが飛び交いすぎ。武内崇は比較的落ち着いてますし、虚淵も若干気を遣ったムードがありますけれど、奈須きのこはもう……公式人気投票の解説とか、完全にああいうノリで終始ハイテンション。Fateの原作者でなければ「君、少し黙れ」と言われかねない勢い。何より暑苦しいほどソラウをプッシュする愛の深さに噴いた。「今俺の横で寝てる」とかマジキチ。抑圧された薄倖お嬢様がそんなにツボなのか。ハッキリ言って当方はmaterial読むまで名前すら忘れていました。無視されても無視されても赤毛令嬢の話題を振ってやまないので、読んでるこちらまで洗脳されそうに。

 情報の大枠は概ね原作等で開示済みであり、「このmaterialを読まなきゃF/Zは語れねえ!」っていう大きな秘密が新たに明かされることはなかったものの、『Fate/Zero』を楽しんだ人間からすれば実に賑やかで心地良い一冊だったと断言しえます。単純に読み物として面白かった。それにつけても若大河、でら可愛ぇわ。

・拍手レス。

 ハアハアお兄さん今はいてるパンツ何色?
 パンツじゃなくてズボンだそうですよ

 ガサラキは「ノルアドレナリン値上昇」ばかり耳に残ってますね
 ガサラキじゃないけど「アドレナリン」を「脳内物質」と書いてたライトノベルがあったっけ……。


2008-08-19.

・ロボアニメは苦手というかあまり興味のない人間なくせして『ガサラキ』は未だに気に入っている焼津です、こんばんは。

 出だしはやや退屈ながら、7話目あたりから盛り上がり始めた――という記憶があります。メカメカしい造型のロボットなのに「脊髄を模した人工筋肉使って反射速度を高めている」などイメージを膨らませる設定があったりして面白かった。最後まで見てもよく分からない箇所がいくつもあったし、クライマックスの展開はちょっとアレだと思いましたけど、地味に忘れがたい作品。あと前髪パッツン妹も可愛かった。

ABHARの『水平線まで何マイル?』、マスターアップ

 がしかし金がない。今月に入って書籍購入部門での使い込みが発覚し、エロゲー購入費用がまったくのパァになりました。そりゃ三日で3万円分や一日で2万円分も買い込むような浪費生活してたら余裕なくなるわ。おとなしく体座りして水平線の彼方に沈む夕陽を眺めることに致します。

『ロリっ娘といっしょ』、Lip on Hipで予約注文するとまきいづみがリクエストに応えて名前を呼んでくれる特典ボイスをプレゼント(9月8日まで)

 もう届いたという報告も続々と入っており、オリジナル特典ボイスを耳にして萌え転がっている時空民も多いとのこと。そういえば以前、まきいづみの出演したゲームで主人公の名前が本名とほぼ一緒だったことがあって、呼ばれるたびにめっちゃムズムズしたなぁ……あの声質は兵器。

・水上悟志の『戦国妖狐(1)』読んだー。

 『惑星のさみだれ』の作者による新シリーズ。この人は割とあっちこっちで仕事しているみたいで、過去にも『エンジェルお悩み相談所』『サイコスタッフ』といった本を出していますが、どちらも一冊完結の単発モノであり、複数の巻に跨るシリーズを同時連載するのはこれが初めてっぽい。『惑星のさみだれ』は壮大なスケールの話ですからすぐには終わらないでしょうし、しばらくは並行して進めるのでしょう。内容的にはこっちが先に完結しそうかな。

 足利義輝在位の室町時代(1546〜1565の間)を舞台にした戦国モノながら、言ってみれば「なんちゃって戦国マンガ」であり、表紙見返しで作者が告げているように歴史云々といった要素はほとんど絡まない。日本史を取っていない人や日本史が苦手だった人も寛いで読める安心設計です。歴史スキーの方は、まあ、些事に拘らず肩の力を抜いて悠然と構えてください。というか、妖怪(作中の用語では「闇」と書いて「かたわら」)のみならず改造人間やビーム兵器が飛び出すマンガに時代考証を求めるのも無茶だよ! 清々しいほどやりたい放題で、ああ、良い意味で徹底して少年マンガのノリを突っ走っています。『惑星のさみだれ』よりも屈折したところが少ない分、水上悟志を知らない人にも気楽に薦められる出来。読んでいて快哉を叫びたくなるテンポの清澄さも健在で、ホント視線がすっげぇ滑らかに動くわ。

 ポロポロと死人が出るため若干血腥い箇所もあるけれど、それが苦にならない人だったら存分に勢いの良さと話の熱さ、筆先の鋭さを堪能することができるでしょう。一応ヒロインがロリ妖狐で、「義弟」に血と妖力を分け与えるたびに僅かな官能を覚えているようで頬に朱を浮かべるが、そういったサービスカットにニヤつく暇もないくらい、全編通してスピード感たっぷり。ネーミングセンスがいまひとつなのか、相変わらずパッとしないタイトルにせよ大いに楽しませてくれました。しかし一日も早く読みたくてamazonで予約注文したけど、いざ届いたらカバーに鋲を打ちつけたような痕(もっと言えばケンシロウの胸にある北斗七星みたいな痕)があって、表紙を貫通して本体にまで凹みが刻まれていたからもうマジでkonozamaな気分。折れや破れがあって全体的に汚いし……まぁ、読む分には支障ないからいいです。

・拍手レス。

 別冊文藝春秋とは以外。ジャーロだと思ってた。早速買ってきます。今買わないと読めるのは何年後だろう。
 ぜひ

 新聞広告で知ってビックリしました。「魔」三部作も別册文藝春秋ですからその繋がりでしょうか。

 昨日「暁の護衛」FD&続編の話をした者ですが情報元は「かめのこおらの休憩所」というサイト様のレポで写真での確認はhttp://katejina.sblo.jp/のサイト様にてです
 どうも続編が出るってことは本決まりみたいですね。

 写真のレポのほうを見るとFDが年内で続編が来年っぽいですね。続編のチャイナ服の女性が気になります。コミケは終わったのでもっと詳細なレポ書いてる方がいるかもしれませんがこれだけでということで。
 「巨乳チャイナ娘きた! これで勝つる!」が当方の脳程式。

 コミケ通販組の私はかんたか&ぷよ氏両名の書く化物語本を押さえつつ、以前紹介されたジンガイマキョウのエロいねーちんの光臨(書店委託)を待つ所存。エロいねーちんをみると皆死亡フラグが立つだぜ!天使だけに!wと意味不明を言わせるほどあの絵はエロイは次元を突き抜けてましたw長文失礼しました
 あのねーちんは超(スーパー)エロイ族。モーロック族など粉と砕いてくれる。

 まあ、なんつ〜か、騎士団の日本勢、馬鹿過ぎる・・・敵のボスの言葉鵜呑みにして自分とこのボス裏切るってのはどうよ。
 そもそも正体不明の仮面男に誑かされていた時点で……しかし記憶喪C.C.の安否が気に掛かる。

 >三叉 設定はそんなんでも性格をお調子者(ビバップの三爺みたいなボケ系)とかにすればきっと使えますよ!似非関西弁喋らせたりとか!
 ビバップ懐い。

 ギアス19話、シャーリーが最期にルルーシュを許したように、ルルーシュもロロを許したんだなあと思うと、もう、ね……
 まさかあんなキレイなロロで逝くとは……。


2008-08-17.

・盆休みを利用して“氷と炎の歌”の積読5冊(ハードカバー2段組の大部なので総計するとテキスト量は文庫本12、3冊分に相当)を消化しようと思い立ちましたが、気づけばなぜかまったく関係のない『ゴッドスター』や笠井潔の私立探偵・飛鳥井史郎シリーズ(『三匹の猿』『道―ジェルソミーナ』『魔』)を読み耽っていた焼津です、こんばんは。

 「宿題しなきゃ……」「試験勉強しなきゃ……」「レポートまとめなきゃ……」と思いつつ、つい他のことに熱中してしまう例のアレがこの歳になって発動。まさか、趣味の読書においてまでエターナル・トゥモロー・バックロール(「明日からにしよう」と言い続けて物事を永遠に後回しする究極秘奥義。効果=すべてが手遅れになる)を使うことになろうとは。ちなみに『ゴッドスター』は古川日出夫の最新刊で、と言っても出たのは何ヶ月も前なんですが、異様なスピード感を備えた語り口で東京湾限定の「世界」をぶっ貫く小説。「明治天皇」を自称するホームレスや「イトウ・ヒロブミ」と名付けられた犬が唐突に登場することからも察せられる通り、ストーリーなんてものはなきに等しく、確かに存在するのは「異様なスピード感」だけ。ただそれだけが物語を串刺しに支配し、揺さぶっている。面白いとは言いかねるし、「なの」「ね?」といった語尾の連打がやや鼻に付いたものの、この叩きつけるような速さが実現できたなら充分に一つの収穫と言える。清々しいほど中途半端な話だった。

 飛鳥井史郎シリーズは、著者の代表作を多く含む矢吹駆シリーズに比べれば知名度は低いけれど、密かに愛好するファンもいるというハードボイルド連作。ロス帰りの主人公が私立探偵として様々な人捜しの依頼を請け負い、遭遇する幾多もの事件を通じて現代の日本が抱える社会的病巣を観察する。第1長篇『三匹の猿』が女子高生コンクリート詰め殺人事件をモチーフにして書いているくらいで、雰囲気は暗くて重い。淡々と乾いた筆致で紡ぎ、グロテスクな描写を控えているおかげで必要以上に陰鬱とならないことが救いか。

 「ハードボイルド」の言葉から容易に連想される「酒飲みで依頼人の女性ともイイ仲になったりする皮肉屋のタフガイ」というありがちな造型に逆らい、喫煙はするけど禁酒宣言を墨守、事件関係者とロマンスに陥らず、気の利いた警句をいちいち口にしたりもしない。ストイックというか、かなり地味な作風です。『三匹の猿』は「見ざる、聞かざる、言わざる」になぞらえた死体損壊事件の捜査と並行して三つの家庭それぞれに蟠る親子二代の複雑な愛憎劇を解きほぐしていく構成となっており、分量的にちょっと書き切れていない印象も受けるが、入り組み絡み合った人間関係が奇妙な綾を成していて、退屈せずに最後まで読める意欲作となっています。緩やかな前半に対し、後半の畳み掛けは圧巻。

 2冊目の『道―ジェルソミーナ』は短編集。表題作含む4編を収録しており、どれも70ページ程度でサクッと読める。最初に手を伸ばすなら、三猿よりこちらの方からが入って行きやすいかも。ただ、短いボリュームの中に本格ミステリめいた謎解きと社会派志向の時事トピックを盛り込んでハードボイルド風の味付けで仕上げる、という試みは慌しくて、狙いがまとまらないまま終わっている気もする。事件の絵解きに際して長台詞が必要となり、説明臭さが漂うのもマイナスか。成功作とは言いがたいが、それでも独特のテイストを発している(特に後半2つ、「銀の海馬」と「道―ジェルソミーナ」が迎えるラストシーンは鮮烈)ため飽きさせません。個人的に気に入ったのは、ストーリーの濃度が高い「晩年」。

 『魔』は現時点でのシリーズ最新刊ですが、95年刊行の三猿、96年刊行の道に対し、03年刊行――つまり7年ぶり。結構な間が空いている。いえ別に「魔」と「間」をかけてるわけじゃありませんが、収録されている「追跡の魔」と「痩身の魔」はそれぞれ97年と98年の発表で、文庫版『道』の解説でも「今年(九九年)中に文藝春秋から単行本化される予定」とありました。なぜ4年も延びてしまったのか。あとがきによれば、当初は三部作にするつもりだったけれど3つ目のエピソード(「壺中の魔」)が難航し、挙句にボリュームが膨らんでしまったので収録を断念、結果として現状に落ち着いたとのこと。1編目である「追跡の魔」はストーカー犯罪を題材に採った話ですが、冒頭で飛鳥井が以前解決した事件(「硝子の指輪」、『道―ジェルソミーナ』所収)の真相について触れている。なので既刊を先に読むことをオススメ。2編目の「痩身の魔」は摂食障害を扱っている。『魔』と、タイトルはシンプルで迫力があるけれど、内容は……うーん。『道』以上に苦しさが増している。凝った謎解きをしようとしたせいでストーカー云々、摂食障害云々といった題材への取り組みが甘くなってしまっているし、またそうした社会問題を事件に取り込もうとしたせいで話が間延びし、不要なほど長くなっている。社会派要素と本格派要素を両立させんとして、それぞれが互いに足を引っ張るという皮肉な状態に陥ってます。ハードボイルドとしても、三猿や道に比べれば薄いっつーか味気ない。3冊の中ではこれに一番期待を寄せていたので残念。

 飛鳥井シリーズの最新作である『壺中の魔』は既に連載終了しており、もうそろそろ刊行されても良い頃合なのですが……笠井潔は完結した連載小説をなかなか書籍化しない(『無底の王』に至ってはもう10年以上も放置されている)作家であり、看板の矢吹駆シリーズは七番目の長篇(『熾天使の夏』をゼロ番目と数えた場合)である『煉獄の時』がスタートしたというのに、つい先日やっと五番目の作品が単行本になった――ってなスローペースぶり。天啓三部作の掉尾を飾る『天啓の虚』ともども、出版の時を待つばかりです。

「黒の○○」 ←ゾッとするほど厨臭いタイトル考えろ(ぬる速)

 未公開(というより公開不可能な)文書ファイルを大量収納しているフォルダにて「黒の」で検索したら、ヒット。

 黒の投槍(ジャベリン)

 あばばばばばば。更に見れば「朱の短槍(スピア)」や「銀の騎槍(ランス)」まで書いている。具体的な説明は、

 “三叉”…虚空を行き来する大蛆(ビッグワーム)。三つの頭が一つの胴体に繋がっている。三頭それぞれの名前はポルトス、アラミス、アトス。各頭が槍を呑み込んでおり、亜空間そのものである体内から吐き出して○○(ヒロイン)に届ける。

 なんという三銃士……フランス人が見たら怒り狂いそうな設定だ。

『大正野球娘。』TVアニメ化決定(気が向いたらのライトノベル週報)

 小池定路のイラスト目当てで買ったら異様に続刊の間が空いたアレか……YGCも護樹騎士団も無視してエッジ初のアニメ化とはこれ正に予想外。そしてリンク先の下方にある『玻璃の空』も気になるところ。

CUFFS、『Garden』の姫宮瑠璃シナリオの配布時期を「10月予定」とアナウンス

 至って鈍い歩みながら着実にスワスチカを閉じる方向へ進んでいるみたいです。一方、その頃lightはドラマCDの新作を出していた。これは「歩み」と呼べるのかどうか……。

・しかしlightに正田崇が残っていることが明言されたり、『暁の護衛』のFDと続編(?)が出ると発表されたり、コミケでいろいろな情報が公開された模様。どちらものんびり続報を待つとしようか。

・拍手レス。

 恋楯のラジオ配信が始まるみたいですぜ
 アキぷらが終わって聴く番組がなくなってしまった今、これを楽しみにするしか。

 自分が悪だと気づいていない奴が最もドス黒い悪だってウェザーが言ってた。つまりウザ(ry
 かと言って彼に「枢木の姓は悪役を任ずる!」とか告げられるのもそれはそれで……

 いや、噛ませとはいえテンさんは輝いてましたよ。それに引き替え、ウザクときたら・・・
 キューエルの妹ちゃんも輝いて欲しかったとです。

 夏コミにて暁の護衛のFD&続編の情報が出たとか・・・FDは分かるけど続編!?そんな抱き合わせ情報初めて聞きました。つかほんとに出るんだろうか。薫のその後が見たいです安西先生(ぇ
 結局「エクスタシー」と「リベリオン」の両路線で行くのかな。しかし展開がまんまマブラヴ(無印・サプリ・オルタ)ですね。


2008-08-13.

・今頃になって「ファミコン全ソフトカタログ」に魂を吸い込まれつつ見入っている焼津です、こんばんは。

 な、懐かしすぎて頭ん中から変な汁が湧いてくるぅ。#5に出てくる『Law of the West 西部の掟』なんて知る人も少ないマイナーゲーでしょうが、小学生時代の当方はあれにえらくハマったものでした。ゲームのルールをなかなか理解できず、ひたすら相手を撃ち殺してましたけど。それはそれとして、FCで一番やり込んだのは『コナミワイワイワールド』ですねぇ、何せあれが初めて買ってもらったカセットですから。今見ると微笑ましくなるようなグラフィックとはいえ、全体的におどろおどろしい色調で、小学一年生だった当時はあれが結構怖くてドキドキしながらプレーしたものでした。ラストステージはグロかったし、「ワイワイ」と賑やかそうなタイトルの割に案外とシビアな内容だったなぁ。それでも面白かったので飽きずに何度も再プレーし、最強状態のパスワードは中学校を卒業するくらいまで暗記していたほど。

 と言っても自力でクリアしたわけじゃなく、下っ手糞なヌルゲーマーだったため、己のパゥワーではフウマステージがどうしても突破できなかったザマ。友達がほぼ最強(仲間を全員救出し、飛び道具やマントは揃ってたが、残弾数が少なかった)のところまで進めて、そのパスワードを紙に書いてくれたのですよ。だけど自分が何時間も掛けて育てたデータをさしたる労力も払わず入手されるのが癪だったのか、渡した直後に「やっぱり自分でやれよ」と言い出しましたので、当方は話を合わせるため「じゃこれナシってことで」と答えてパスワードの書かれた紙を目の前で破り捨ててみせ、友達が帰った後でバラバラになった紙片をゴミ箱から拾い上げ、セロテープで繋ぎ合わせて再現した後に残弾数をフル化して違うパスワードに仕立て上げたわけです。これぞ紛うことなきチート行為。

 にしてもホント、こうして改めて眺めて見るに、どのソフトもグラフィックはショボいことこの上ない。色遣いもケバケバしく、見ていて目が悪くなりそう。しかしそれでも下手なポリゴンゲーより圧倒的に面白そうなんだから不思議なものだ。我らファミコン世代の人間はきっとドット絵の引力に魂を縛られているんでしょう。

なんか凄い事になっている、超スローカメラで撮影した雷動画。「厳選!駆け流し」経由)

 つい繰り返し眺め入ってしまった。このままロゴムービーに使えそうな鮮烈さです。

・町田康の『東京飄然』を飄然と読み終えましたが、串カツの話題だけで何十ページも引っ張るあたりに爆笑。飄然とか、あんま関係ねぇです。仕事先の大阪で入った串カツ屋にて8本貰えるはずの串カツを7本しか貰えず、抗議も出来ないまま帰京して抑鬱状態に陥る件に作者特有の偏執心と拘泥心を垣間見た。こね始めた屁理屈が次第に玄妙な形質を倶していくのだから恐れ入る。全体的に「飄然」というよりも単にダラけた感じで、いささか肩透かしの印象もありましたが、心地良く脱力して楽しめたからヨシとします。

・拍手レス。

 例えば偽善者らしく諦めて死のうとしてもギアスのおかげで死ねない…なかなか素敵な哀れさだと思いますよ。外道には落ちきれないだけになおのこと。
 巻き添え食らう周囲の方が哀れな気も。


2008-08-11.

・最新作『宿屋めぐり』に手を出す前に既刊を片付けとこうか、ってな具合で町田康の小説を集中的に読み耽った焼津です、こんばんは。

 好きな作家の割に既読は『屈辱ポンチ』『パンク侍、斬られて候』『告白』『浄土』くらいだったりする。『屈辱ポンチ』は併録されている「けものがれ、俺らの猿と」のタイトルにヤラれて読んでみたが、「やたら文章に勢いがあるな」というくらいで、正直この時点ではまだピンと来なかった。しばらく間を空けて読んだ『パンク侍、斬られて候』で夢中になった次第。どこかのエッセイで触れられていたが町田康はいっとき時代劇にハマっていたらしく、一日中テレビで眺めていたことすらあったそうだが、そのせいか時代小説の勘所を掴むのがやけに旨い。主人公が大して深い考えもなく娘連れの老爺を斬り殺すという「なにそれ」な冒頭、普通ならここでお縄になってお終い。しかしなんと主人公は屁理屈の嵐で切り抜けてしまう。研ぎ澄まされた屁理屈というあんこを怒濤のギャグという皮で包み込み、それを饅頭に仕立て上げるどころか、潰して肥溜めに投げ捨てるが如きしっちゃかめっちゃかな展開で畳み掛け、読み手をへべれけにさせる。すっかり酩酊して「実にいい実にいい実にいい」状態となりました。かの珍作『四十七人目の男』も町田康の手に掛かれば『スナイパー侍、斬られて候』な感じでケッ作に仕立て上げてくれたのかなぁ……それもそれで噴飯モノだが。『告白』の衝撃は話し始めるとキリがありませんので割愛するとして、『浄土』は町田康の特色を分かり易く切り出した短編集。比較的まとまっていて読みやすく、日本神話をざっくばらんすぎる文体で翻案した「一言主の神」には短いながらも魅了される。

 で、読み残している小説作品はひと通り消化しようと勇み立ったわけですが、峻険なる山嶺の如き未読書籍タワーが行く手に立ちはだかるかと思えばさにあらず、調べてみると町田康の小説本って案外少ないんですね。エッセイや詩集が多く、上記以外の小説集というと『くっすん大黒』『夫婦茶碗』『きれぎれ』『実録・外道の条件』『権現の踊り子』くらいしかなかった。どれも200ページそこらの分量ゆえ、集中的に読み耽っちゃうとあっという間に尽き果てる。

 最初に手を伸ばした『権現の踊り子』は古くもなく新しくもなく、といった位置付けで標準的な町田節を披露。もちろん標準的でも充分際立っているのが町田康、「虚無すげえ」という言い回しは他の作品じゃまず使いどころがないでしょう。せいぜいゼロ魔くらいか。そしてやはり時代モノの「逆水戸」が面白い。誰もがむやみに人を殴りたくなるような貞享三年四月。腐ったような里山に新緑のぼけが芽吹いていやがった。なる書き出しからして無闇に疾走感全開。一方で黄門様に絡んできた悪党が覚さん(格さんに非ず)に投げ飛ばされて地面に叩きつけられるや、こんなところで腰を打って俺はまるであほうのようだ、と思った。下は砂地なのに落ちたところにたまたま石があったからこんなに痛いのだ、とも思った。と妙に冷静な叙述を挟んで雰囲気を引き締めるなど、単なる俗悪なパロディに終わらない味わいを発揮します。

 次に読んだ『くっすん大黒』は初期作だけあってまだ作風が徹底していないと申しますか、確かに面影や片鱗はあるのですけれど後の作品と読み比べるにつけその上達ぶりを再認識してしまうほど。何せ表題作の「くっすん大黒」は処女小説、「一生懸命」や「四苦八苦」、「苦心惨憺」の四文字がそこかしこに透けていて「ああ、頑張って書いたんだなぁ」としみじみしてしまう。小説の文体は大抵の場合においてマンガの絵柄ほど明確に差を意識されることはありませんが、町田康の作風と文体はかなり特徴的なので一目瞭然、パツイチで違いが分かります。内容は「置き物の大黒様が癇に障るので捨てようとする」、ほぼそれだけの筋立てで、結末も果たしてキチンとオチているのかどうか疑わしいものの、処女作ならではの香気で凌いでくれる。併録されてる「河原のアパラ」は発表時期も大して変わらないのにえらくこなれていてビックリした。にしてもこの2作、一気に読み通したせいか、頭の中で混ぜこぜになってどのエピソードがどっちに含まれていたのか判別つかなくなってしまった。無論、それでも特に困ることはない。

 『きれぎれ』は言わずと知れた芥川賞受賞作。ちなみに「権現の踊り子」が川端康成文学賞受賞作で、「くっすん大黒」は野間文芸新人賞およびドゥマゴ文学賞、『告白』が谷崎潤一郎賞を受賞しているのですが、「川端康成文学賞」や「野間文芸新人賞」は他にどんな受賞作があるのかまったく知らない。谷崎潤一郎賞はほんのり聞き覚えがあれども思い当たるのは2、3作程度だった。焼津は文学方面にめっきり弱い男です。で、「きれぎれ」。白昼夢めいた印象が極めて濃厚な一編であり、名は体を表すのか本当に切れ切れとした内容でストーリーはよく分からない。ストーリーがよく分からないのは町田小説じゃ別に珍しくもないことながら、先の見通しが立たず暗澹としてひたすら不安を誤魔化そうと可能なかぎり現実から遠ざかろうとする臑かじり無職主人公の斥力が全編に漲っていて殊更に読者を弾き飛ばす。これに栄冠をくれてやった芥川賞も畢竟、よく分からない賞だ。併録「人生の聖」は異様なまでの負け犬臭をこれでもかと発散する一編で、いくつかのパートに分かれており、話が連続していないので「すわオムニバスか」と決め付けて掛かったら前のパートに出てきたサブキャラが再登場したりして、繋がっているのか繋がっていないのかいまひとつ判然としないが、それもさしたる問題ではない。よりによって男根の刺青を彫り、頭蓋骨の上半分を除去し、ハカイダーさながらに透明な強化硬質プラスチックのドームを嵌めた男のエピソードが強烈すぎて、話の繋がりとかどうでもよくなる。インパクトのみならず的確且つユーモラスな語り口も健在、でも我慢。自分の心と体を曲げるしか生きていく道はない。それに技が加わって心技体。屈辱の大関。とか、俺は若い頃、人生というものは、複数の原因と結果が美しい幾何学紋様を描いて交錯、重なったポイントが発光して輝くものだと思っていた。しかしこの体たらくだ。とかいった調子で敗残の生を笑うしかないほど活写し、鮮やかな滑落を演出する。スキージャンプと一緒で、飛んで頂点に達したら後は落ちるだけ。着地に失敗すれば悲惨の一語に尽きる。

 『夫婦茶碗』は割と初期の作品ながらも「くっすん大黒」あたりに比べ書き慣れない感じが減ったと申しますか、文章の各部からぎこちなさが抜けてだいぶ風通しのいい仕上がりになっています。収録されている2編「夫婦茶碗」と「人間の屑」はどちらもまともに働こうとしない主人公の話。表題作は「妻と和やかに暮らしたい」というささやかな願いを叶えようとして、楽観に基づく見当違いな努力を重ねて貧窮に喘ぐ、笑えないのに笑ってしまう滑稽譚。主人公の知性は決して低くないのに、使い方を間違えているせいでなかなか世間や社会と噛み合わず、延々と空転し続ける。「小熊のゾルバ」など、卓越した言語センスが唸って町田節の円熟ぶりを見せ付ける。もちろん、話は支離滅裂に進んで有耶無耶に幕を閉じます。タイトルの「夫婦茶碗」も取って付けた雰囲気が濃厚。なのにひどく印象深い。併録されている「人間の屑」は題名が題名だけに町田小説史上一、二を争うクソ野郎が主役を務めます。基本的なノリはいつもと同じにせよ、葬式の手伝いに来た親戚の娘を犯して家にいられなくなったり、ヤバい筋に由来する薬物を呑気に使い込んで893臭い方々から追われる身になったりと、「救えなさ」のレベルが段違いにアップ。それでも面白おかしく、楽しげなムードで読めてしまうのは凄いよな。自堕落な生き様を「立ち上がらず、腹這いのまま酒を取ろうとする」という横着さに集約して縮図化するのも秀逸。あと作中に出てくるゲームの名前が『ツインビー』だったり『ダブルドラゴン』だったりするあたりに設定年代の古さを感じます。

 『実録・外道の条件』は作者が実際に遭遇した(と思われる)「外道」たちをモデルにして綴る連作集。小説というよりは、長めのエッセイといった感覚かもしれない。「外道」と申しても人道に悖る悪辣漢、ってレベルじゃなく、せいぜいが「迷惑な奴ら」「話の通じない連中」「辟易するような輩」といった次元であり、程好い脚色を加えて面白おかしく書いてくれます。今回は特殊なコンセプトも影響してか町田康にしてはハチャメチャな箇所が少なく、抑制の利いた筆致で分析的に淡々とストーリーを進めていく。文体そのものはいつも通りですから、特別テンポが悪いということはありません、サクサクと読めます。エピソードそのものは割としょうもないけれど、「外道」たちの放つ嫌なオーラというか匂いは明瞭に写し取られていて実に鮮やかに気が滅入る。2編目に位置する「ロックの泥水」で触れられた漫画本『そんなアホナース』は恐らく『おたんこナース』のことであろうし、細部を拾っていけばそれぞれに合致する件も見つかるかもしれませんけれど、真偽はこの際どうでもよくてむしろタイトルに冠された「実録」という言葉の漂わせる胡散臭さを積極的に胡散臭がる方が楽しい。中んずく「紐育外道の小島」、ここまで後ろ向きで殺気立ってギスギスしたニューヨーク旅行談は見かけることすら難しく、堪えても堪えても噴き出してしまった。そしてFAXの遣り取りだけでほぼ成立する「地獄のボランティア」は、20ページ足らずのコンパクトな分量に収まっている分、却って生々しく迫ってくる。語り手のマーチダ・コウ自体がエキセントリックな要素を孕んだキャラクターであり必ずしも無辜・無謬の存在ではないけれど、そのへんに関して読者からツッコミを入れられることも勘案して書かれている節が見受けられ、なかなか飽きさせない陣容。怒りと腹立ちを「笑い」に変換してくれる、良い意味で胸糞の悪い作品でした。

 さて、これで一通り『宿屋めぐり』以前の小説作品を読み終わったわけで、心置きなく『宿屋めぐり』に取り掛かれるはずなんですけども……困ったことに、エッセイとか詩集まで読みたくなってきましたよ? 立て続けにチャレンジしたせいか、すっかり躯が町田中毒状態になってしまった模様。もう全著作を漁り切る気概で望むしかないのかな。

・拍手レス。

 唐辺葉介=瀬戸口説を、今更ながらここで知りました。即本屋に走りました。本当に、本当にありがとうございます。今からじっくり噛みしめつつ読みます。
 存分にご堪能くださいませ〜。

 自爆→友達への責任転嫁は、狂る義のお家芸ですからw
 心の棚がいささか広すぎる。

 川原泉さんは文庫で色々いい本が出てますよ。『甲子園の空に笑え!』とか、『笑う大天使』とか、どれもお手頃なわりに読み応えは充分あると思われます。
 視力が弱いせいか、文庫マンガは非常に読みづらいです……あんな小さな絵と字で他の方々は不便を覚えないのかしら。

 どうも皆さんスザクのことになると熱くなるようで…。
 できれば違う意味で熱くさせて欲しいものです。

 さくらさくら延期ですか。まあ、ちゃんと発売さえしてくれればいいんですけどね。月面基地とかもうね……
 僕たちはエロゲ界最遠の恋に落ちる――。

 星空までは何マイル?とは関係なさそうですね…
 へえ、遊演体にそんなネットゲームがあったのですか。

 期待を裏切らず噛ませだったテンさん、無双してくれたカレン・・・でもウザクはやっぱりウザクでしたorz
 テンちゃんは然るべき末期といった塩梅だけど、ヴァルキュリア隊のレオパルドンぶりが泣ける。


2008-08-08.

・積読の消化&蔵書の整理&新刊の収集にかまけて放置していた『るいは智を呼ぶ』を久々に起動した焼津です、こんばんは。

 やっぱ、ええわぁ、この智ちん権現ワールド。テキストの癖が強いせいで慣れるまで時間が掛かったけど一度馴染んでしまえば多少のブランクはなんのその、たちまち引き込まれてしまう。智を含めた同盟全員、「6人の輪」それ自体がひどく魅力的で、ああどいつもこいつも可愛いな畜生。と罵らなければ頬に張り付いたニヤニヤ笑いを剥がせない。二周目すらまだ終わりそうにない有り様ながら、今後も本の山と格闘することに疲れた際の気分転換ソフトとして有効活用していきたい所存。

ハイクオソフトの『さくらさくら』、またしても延期(8/29→10/24)

 己(おれ)のさくらはどこまで延びる……『よつのは』のときも散々延期を重ねたので「ああ、やっぱり」な感じもしますけどね。にしても10月で桜とは、季節外れも夥しい。どうせならもう半年延期して春に合わせればいいのでは……って、こんなことを前にも他のソフトで言った気がするな。何だったっけ。

 ……あっ、『はるはろ!』だ!

アニメ化決定した『化物語』のサイトがオープン

 ひたぎさん、まさしく文房具ソルジャーの面目躍如。戦うシーンがないせいで「幾多もの文房具を武器として使いこなす」という設定、たまに忘れそうになりますが。それにしても履いているのかいないのか、激烈に気になる喃。原作は9月と10月にシリーズ最新作『偽物語』の上下巻を刊行予定とのことで、ありゃりゃぎさんの帰還を今や遅しと待つばかり。ちなみに当方の脳内だと暦の外見イメージはユッキー(『未来日記』)になっています。

【暑い夏を】 漫画ナツ100 【熱い夏へ】「厳選!駆け流し」経由)

 10巻以内で完結済のオススメマンガを100個選ぼう、という企画。面白そうだと思って自分もリストアップを開始しましたが、50個ぐらい挙げたあたりで飽きました。如何にも中途半端な数なので参加はよしときますけど、暇な人はこちらを眺めて暇潰しでもどうぞ。

・秋★枝の『純真ミラクル100%(1)』読んだー。

 言わばアイドルもの。本名の「木村」をもじって「モクソン」という芸名で歌手デビューを果たしたヒロインと、天真爛漫なモクソンの笑顔が苦手で、逆に困った顔や羞恥心を浮かべた表情にゾクゾクと来る隠れSでいて苦労性の女所長。本来なら相容れぬはずのふたりが、運命の悪戯かしっかりと噛み合って皮肉なほど仕事を捗らせてしまう……といったストーリーです。基本はコメディながら淡いロマンスもあり。とあるブログが発売前から熱心に推薦していたので試しに購入してみました。タイトルだけを判断材料にしていればまず絶対に買うことがなかったであろうマンガですが、一読するやサックリ夢中になって「スルーしなくて良かった!」と天の配剤に感謝した次第。すんごく面白い、って話じゃないけど、読んでいるうちにジワジワと浸透してくる魅力がある。

 もともとは読切作品として描かれた経緯があって、第一話がほとんど出オチ臭い仕上がりになっている(こちらの試し読みでご確認あれ)ものの、二話以降はギャグ色を薄くすることでうまく繋いでいます。ヒロインが天然かつ純真というキャラクターなせいもあってか物語に大きなうねりこそないけれど、微速前身していく様子がほほえましい。そして純真の極みに位置するモクソンが安定を突き崩されて追い詰められた表情をするたびに「Sha La La Ecstasy〜」と歌いだしかねないほど恍惚としたフェイスに変貌する女所長マジ鬼畜。ヒロインを成長させるためではなく、ただひたすら個人的な愉悦のために逆境や試練を与えてイジメる展開――完全にギャグマンガのパターンですね。もちろんギャグマンガのお約束として所長の目論みは外れる一方で、ドンドンとモクソンの好感度を高めてしまう。周囲は所長のことを「ツンデレ」と評し囃し立てますが、節子、それツンデレやない、単なる「嫁き遅れサド」や! ポジション的には意地悪な小姑とかそんなの。

 トントン拍子で売れっ子になっていく展開や、ライバルキャラに相当するサブヒロインとあっさり仲良くなってしまうなど、アイドルものとして読めば「手ぬるい」という印象が拭えないかもしれない。むしろ「アイドル」という要素に興味を示さない人ほど楽しめる、などと言ったら暴論か。ともあれ全身から元気と明るさを振り撒き、勢い余って衣装から贅肉も飛び出すピュアポチャなヒロインを存分に愛でられたし。この娘、ホント実にイイ笑顔しはりますよ……所長じゃなくても弄りたくなること請け合い。でも個人的に好きなコマはモクソン関係じゃなく、工藤が所長の眼鏡をそっと外してあげるところ。直前のコマで小刻みに震えながら眠っている千鶴子はん(所長)のか弱い姿にはモクソンの切迫顔よりもよっぽどゾクゾクしますぜ。故に最愛のキャラを選ぶならば所長……と言いたいところだが、ここは是非ともライバルキャラのオクソンに票を投じたい。生意気だけど前向きでキュートな後輩っぷりにメロメロ。斯くの如くして無節操な振る舞い已むことなき焼津なのでした。

・拍手レス。

 つうか狂る義よ、シャーリィ死んだ時お前何しとってん、な感じ。自省とかないのね。
 それどころかルルーシュのせいとか、すげえよ。人間じゃない。

 「人間じゃない」というセリフはR2における「お前が言うな大賞」の候補。

 テンの人の微妙な小物ぶりがたまりませんな
 テンちゃんはゲスながら率直な性格ゆえに、下手するとスザクよりも好感が持てるという……。

 バビロンまで何マイルといえば、川原泉のマンガを思い出す世代。
 川原泉は機会を得なくて一度も読んだことがないです。


2008-08-06.

ことわざをやりすぎな感じにしてくだちい(豚速(`・∞・´))

 スザクに核。

殺害した友人の頭を球代わりに、ボーリングをして遊んだ男に終身刑―オーストラリア(ニュー速クオリティ)

 「ボールは友達」を嫌な意味で解釈するジョークは以前からありましたが……まさか現実でとは。

剣の形をしたエクスカリバーというギターが存在する「厳選!駆け流し」経由)

 エクスカリバーというよりアーラグラディウスみたいな感じですね。剣といえば『カオスヘッド』にも剣をマイクスタンドに使って歌っている間振り回すヒロインがいたっけ。

ABHARの『水平線まで何マイル?』、体験版をプレー。

「おまえのために、『空気を読む力』を養うトレーニングメニューを組んでやろうか?」

 今月末に発売予定のエロゲーです。タイトルは「バビロンまで何マイル?」というマザーグースをもじったものでしょう。ちなみに水平線までの距離は、高度によって変わりますが平地だとだいたい4〜5kmくらいだそうな。新興ブランドのデビュー作だけあって海のものとも山のものとも知れない雰囲気ながら、グラフィックが非常に綺麗というか特徴的で、ほとんど一目惚れ状態に陥りました。大槍葦人とか、ああいう感じの塗りですね。絵柄自体はあまり似ていませんが。4:3の画面比率が主流のエロゲーにしては珍しく横長ワイド画面で、そのへんはageのゲームを思い出したり。

 内容は、ちょっと未来の日本を舞台にした学園物語。活動実績が皆無に等しく、代わりにバカ騒ぎばかり起こしている「宇宙科学会」――その体たらくに業を煮やした委員会が「活動状況を改善しなければ解散を言い渡す」と最後通牒を突きつけてきた。廃絶の危機に瀕した宇宙科学会は逆転の願いを秘め、「ライトモーターグライダー・コンテスト」への参加を決心する。会長直々に放った乾坤一擲の策だったが、学園には既に「航空部」が存在しており、コンテストに定められた出場枠は一つだけ。かくして大会へのチケットを懸け、宇宙科学会は航空部と対決することに……というのが体験版の範囲。どっちが大空を翔ぶ権利を掴むのか――といったシチュエーションで、まあ話の流れを考えれば宇宙科学会なわけです(何せ負けたら即廃部)けれど、航空部の方に所属するヒロインもいるわけでシナリオによっては結果が変わるのかしら。「宇宙」と言いつつ「水平線」なのがよく分かりませんが、ともあれそういった塩梅で少しスポ根めいたニュアンスを漂わせる「輝け青春」系の物語です。

 ハッキリ言って出だしはちょっとかったるかったですね。本題である「コンテストの参加」に主人公が乗り気となるまで結構掛かり、そこに至るまでダラダラとした調子が続くので眠くなりました。この主人公、若本御大が演じる教官に「怠惰」とズバリ言い当てられているようにあんまり情熱燃やしたり熱血迸らせたりしないキャラなんですよ。醒めているというか何というか。エロゲーでは珍しくないタイプだけど、話が話だけにもっと前向きになってくれないかな……と不満を覚えた次第。周りにせっつかれて「出場しよう」と意志を固めるあたりから、ようやく面白くなってきます。ヒロインは体育会系の幼馴染み、小動物系の後輩、傍若無人な先輩、泣きボクロがエロい生徒会長、ライバル役の金髪クォーター娘と、奇を衒わず堅実な陣立て。それぞれに役割が振られ、「キャラクターありき」ではなく「物語ありき」で書かれているのもシナリオを理解しやすくしている。飛ぶことそれ自体よりも、そこへ向かうまでの準備過程にワクワクさせられます。

 言い回しや掛け合いなど、テキストレベルで見ればハッと目の冴えるような部分は特になかったけれども、プレーしているうちにゆっくりジワジワと楽しくなってきますので悪くない感じ。煎じ詰めると「地味ゲー」であり、大っぴらに喧伝して回りたくなる類の魅力は薄いにせよ、「とりあえず買ってみるか」と思わせるだけの吸引力はあります。好みのキャラは湖景かな。健気な後輩で鉄板級の可愛らしさを示す。キャラデザ的にもサラサラしたセミロングや、そこはかとなく艶っぽい耳の露出法、加えて黒ストとたまらない造型。夏の話だけに生足が多いヒロインたちの中にあって一人履きものをしているビジュアルがいろんな意味でアツい。いえ別に足の蒸れ具合とかを想像したいわけではないのですが。そして男キャラで濃いい存在感を発揮する「教官」は中の人が中の人だけに『トップをねらえ!』を狙っているという噂もありますが、トプねらはよく知らないや。鈍感な主人公を叱咤するでもなく真顔で「空気を読む力」云々と言い出す性格が美味しいです。

・八薙玉造の『花園のエミリー』『戦場のエミリー』読んだー。

 それぞれ「鉄球姫エミリー第三幕」と「鉄球姫エミリー第四幕」、つまりシリーズの3冊目及び4冊目です。先々月の6月から先月の7月に掛け2ヶ月連続で刊行された本であり、内容的にもダイレクトな繋がりがあって上下巻、あるいは前後編のような関係にある。にしても「花園」と「戦場」……両者の字句から滲み出す雰囲気にドすごい開きがあり、半ばギャグみたいですが、話の方は至ってシリアス。いえ、姫様が下品なジョークを吐いたり「スキンシップ」では片付けられないようなセクハラを仕掛けたりもする(というか、可愛い女の子を見て涎を垂らす王女ってどうよ)ものの、それはそれ、長くに渡って小競り合いを仕掛けてきた隣国が遂に本腰を入れて侵攻してくるなど、笑って済ませられない暗雲が漂い始めるのですよ。もちろん「戦場」である以上、ドバドバと血が流れて死人も転がります。誰がいつ死ぬか分からない緊張感にビクビクと脅えながら読み進めるのがこちらに課せられた義務、という次第。

 『花園のエミリー』で繰り出される衝撃もさることながら、やはり見所が多いのは後編に当たる『戦場のエミリー』。どうも「鉄球姫」というやや滑り気味なネーミングのせいで良く言えばコミカル、悪く言えばバカっぽい風情を醸し出されてしまう部分がなきにしもあらずなこのシリーズですけれど、いざ蓋を開けて読んでみればアクションシーンの描写が格好良くて読み耽っちゃうんですよね。系統としては「あるわけねーだろこんな機動」っつーデタラメ色満載の人外バトルにせよ、細部までしっかり書き込まれているおかげで単なる邪気眼に終わらない迫力を生み出している。小説ならではのねちっこさで「強い騎士」が同じく「強い騎士」を殺してのける場面を延々と執念深く書いてくれるんだから、舌なめずりせずにはいられない。斃す方だけじゃなくて斃される方までちゃんと「強そうな感じ」が伝わってきますよ。そこが好き。絶望的に強大な敵勢力を目の当たりにして諦めず、生き延びる覚悟を決めながら単身立ち向かう劇的な場面も、クサいと言えばクサいが「互いの強さ」を肌で感じることができるから血潮は滾る。

 何よりもヒロインである王女「鉄球姫エミリー」が見せつける存在感、戦場へ舞い降りた際に全身から発揮する雄々しさが素晴らしい。放射するオーラはヒロインというよりも完全にラスボスのそれですよ。アニメ化されたら絶対に声優は性別無視して若本規夫。「んん待ちわびたかぁぁっ! 恋(くぉい)しぃかったくゎぁぁぁっっ!」と獅子吼する御姿がリアルシャドーで見える・聞こえる始末でした。というかエミリー様ってば顔マジすげぇよ。本気でヒロインの顔じゃねぇよ。16ページ後のイラストと同一人物とか心底ありえねぇっすよ。ここまでガチフェイス描く瀬之本パネェ。

 1作目ではどう評価したものか大いに迷った作品なのに、気がつけばいつの間にやら「続きが楽しみなシリーズ」の一つとして当方の心に食い込んでいるんだからまこと奇怪千万。物語のスケールも良い調子で膨らんできた。護衛騎士グレンも着実に成長を重ねているようで喜ばしいばかり。名のある人物でも死ぬときはあっさり死ぬ、この不安定で油断と予断を許さぬ無情な世界を力強く歩んでいってほしい。ただこのシリーズは若干売上が芳しくない模様につき、途中でバッサリと打ち切り御免、違う意味で「あゝ無情」な目に遭いやしないか……それだけが心配。早くも第五幕の発売が待ち遠しいです。

・拍手レス。

 ディエスのドラマC情報出ましたね…なんという完全版商法。いや買いますが。
 サントラの方はスルーしたけど、こっちは面白そうだから買ってみようかな。

 ルルは、何でも背負い込んでしまうタイプだと思います。狂る義は、何でも他人のせいにしてると思います。
 つうか狂る義、てめえ日本を救うとか抜かしたくせに核を使うとかなんやねん、な感じ。

 土下座する相手の頭を踏みつけ、軋みを上げるほど足に力入れるあたりは正にウザクオリティ。このまま進めばいずれ「枢木ニューク」に改名しかねないですね。

 PSYCHE、こちらの感想読んで書店へダッシュいたしましたw しかし、なんと美しくもおぞましい物語か……
 蝶が増殖する扉絵の演出にも鳥肌が立ちました。「瀬戸口かどうかとかはいい。新作を出すんだ」が只今の心境。


2008-08-03.

・最近OYSTER(本当はOにウムラウトが付く)という4コマ漫画家に対して緩やかなカーブを描き傾倒している焼津です、こんばんは。

 湧き出ずるシュールなネタを可愛い絵柄で汲み取ってハイテンションに押し流す、鋭いセンスと勢いに溢れた作風が特徴。まず『光の大社員』から読み始め、小気味いいネタの数々に容易くKOされた。集中線と顔アップを用いた叫び系ツッコミが多く、パッと見マンネリ臭くもあるのだが、そこを特異なセンスで上手にカバーしています。男キャラがメインで、いわゆる「萌え」に頼らない作品なのに最後まで不満を感じさせず、しかしあくまでナンセンスに凌ぎ切ってみせる手腕――まことお美事。後味もスッキリしており、実に惚れ惚れとしました。

 もう一つの代表作『男爵校長』は打って変わってうら若き少女たちが大量に投入されるモロ「萌え」路線の4コマながら、アン○ニオ猪木そっくりの顔をした怪しげな販売員「ブッピン」があまり脈絡なく登場するなど、フリーダムという名の野放図。割と好き勝手に描いています。そのくせ女の子たちが普通に可愛い。いや、訂正。期待を超えてえれぇ可愛いでやんの。絵柄だけじゃなくキャラメーキングも含めて、くっきりとヒロインたちを立てている。こういうあざとい奴もちゃんと描けるんだナァ、と感心した次第であります。ネタそのものは『光の大社員』より弱くなっているが、キャラクターの良さとテンポの快さはそれを補うに余りある。個人的に好きなのは動物と着ぐるみを愛するハーフ(たぶん)少女・入江ドナですが、言笑自若にして野生派な芽野アリカと委員長的なポジションでフォロー役を務める小夜子さんのコンビ、決然として寡黙な弓術少女の菜ヶ原弦音と転校生でミリオタ・ガンオタの咲森小蘭における「弓と銃」の奇妙な対立関係など、メインの5人すべてがそれぞれのポジションへ玄妙に収まっている感覚にひどく心が安らぐ。『男爵校長』自体は2巻で完結ですが、今は続編の『男爵校長DS』をやっているみたいで、しかも今月にその1巻が刊行されるってんだからなんとも間がいいこと。

・唐辺葉介の『PSYCHE』読了。

「しかしこの家は気持ち悪いな。きみの内臓のなかにいるみたいだ」

 「プシュケ」と読む。ギリシャ神話に登場する娘の名前であり、またギリシャ語で「魂」や「蝶」を意味する。英語読みすると「サイケ」。「サイケデリック(psychedelic)」という言葉はギリシャ語で「霊が見える」の意だそうな。たぶん「サイコ(psycho)」や「サイコロジー(psychology)」の語源も彼女なんでしょう。タイトルから堂々とサイコものであることを主張するとはなかなか肝の太い新人だな、と感心したいところですが、本書の作者である唐辺葉介は「新人」じゃない……という説もあります。

 何せ経歴がまったく不明。新人賞の選考でいいところまで行ったとか、そういう経緯でデビューを果たしたタイプではありません。カバーや本体を眺め回しても著者紹介の一つすらなく、不自然なほど氏素性に関する言及を避けている。いわゆる「覆面作家」「謎の新人」状態であり、「何かの伝手で出版されたんだろう」などと揣摩臆測するしかない。……勿体ぶっていると長くなってしまうので率直に書きますが、実は発売して早々に某所で「瀬戸口廉也が『唐辺葉介』という変名を用い、小説家として再出発した」っていう噂が囁かれたんですよ。一部で駆け巡っているその噂をキャッチするまで、このような新刊が存在すること自体知らなかった。聞いた時点では「ちょっと疑わしいな」と思ったものの、表紙イラストを手掛けているのが冬目景と知るや高校生の頃から冬目ファンである当方は迷わず買いに走りました。「ハズレでもいい!」と。いや別にハズレではなかったんですけどね。

 現在「唐辺=瀬戸なんとかさん」を確実に裏付ける証拠は出ていませんが、多くの儲によって「作風が似通っている」「語り口がそれらしい」と傍証を固められており、また瀬戸口シナリオのエロゲーに出演して彼のファンであることを公言していた某声優が日記で「しってる人がかいてる本」として紹介するなど、状況証拠は出揃いつつあります。でも正直言って瀬戸口廉也というエロゲーライターはコアなファンが付いている代わりいまひとつ知名度が低い人なので、ほとんどの方は気にする必要がないというか実際気にしていないと思います。amazonの「この商品を買った人は〜」ってリストに表示されているノベライズ版『CARNIVAL』と読み比べてみるのも一興ですけれど、あれはモロに後日談なので『CARNIVAL』本編未プレーの方はご注意ください。

 さて、内容。飛行機事故によって家族を失い、独り暮らしをしている少年が主人公。学校の教師やクラスの友人に心配されつつもそれなりに安らかで平穏な日常を過ごしている彼は絵画に興味があって、自力で油絵を仕上げようとスケッチブックやキャンバスを前に画想と格闘してみるが、なかなかうまくいかない。そんなある日、いとこのお兄さんが珍しい蝶の羽を持ってきて……といった調子でゆるゆると進んでいく。「蝶」をモチーフにした幻想色の強いストーリーで、230ページちょっとと分量が短いこともあり、物語はそんなに大きく動かない。しかし、主人公は自分しかいないはずの家を徘徊する故人――死んだ両親や姉の姿を視ていたりと、「蝶」が出てくる前から既に歯車が狂い出している。魂や精神といったテーマを最初から露骨なほど無造作に提示し、微塵も隠そうとしないあたり大胆と言えば大胆。サスペンスとして読むには少しゆったりしすぎている気がしないでもないが、流れるように滑らかな筆致と仄暗い雰囲気、そして僅かな腐敗臭を漂わせる懇ろな描写で読者を「内臓のなか」へと引きずり込む。強烈なインパクトとか、そういうスパイスの効いた要素は乏しいけど、濃やかな手つきで紡ぎ出される情景にいつしか呑まれ――気が付けば最後まで読まされている。これ自身の面白さよりも、「次はもっと凄いものを読ませてくれるのではないか」という期待に背筋がゾクゾクと慄く。

 傑作、とまではいかないかもしれない。作者の正体が瀬戸なんとかさんであるとも、言い切れない。しかし、わざわざ夜中に家を飛び出して閉店間際の本屋に汗みずくで駆け込み、「どこだ、どこに置いてある!」と目を血走らせながら店内をウロウロし、十分かけてやっと見つけて歓喜に打ち震えながら購入するだけの価値はあったと個人的に判断しています。唐辺葉介が本当は誰だとか、そういうことはひとまず措いといてひたむきに狂おしく次回作を切望したい。ところで……表紙を飾っている女の子は誰なんだろう? 出番の多さから考えると藍子という線が有力かもしれませんが、「制服が可愛い」という理由でお嬢様学校に通っているっつー少女にしては、暗いというか陰気な感じで違和感が匂い立つ。そもそも制服がお嬢様学校っぽくない。だとすると死んだ姉? 一応、本文中にも学校の制服を着ている描写があります。けど姉は作品の象徴に選ばれるほどのキャラクターじゃなかった気がするし……「女装した主人公」という珍説まで流布していますが、誰であれ決定打に欠ける。一番ありそうなのは、特定の登場人物を描いたものじゃなくて単に冬目景が作品のイメージとして描いただけというものですが……。


2008-08-01.

・ひたぶるに暑いので『羆嵐』を読んで肝を冷やしてみた焼津です、こんばんは。

 実話を元にしたドキュメンタリィ・タッチの熊害小説。筆致自体は割合淡々としているのですけれど、人々が放つ「怯えの匂い」を掬い取る手つきが巧妙につき、読んでいるこちらまでビクビクしてしまった。「死者を弔いたい」と思いつつ、「生きている人間を喰われるよりは……」と考え、あえて死体をそのまま残して囮とする区長の判断に否応なく状況のシビアさを汲み取らされる。救援部隊がまるで役に立たないあたりの描写が生々しく、右往左往する様を見るにつけ「烏合の衆」という慣用句を実感せずにはいられない。ハッキリ言ってクマがいるシーンよりもクマのいないシーンの方が怖かった。胸を巣食う恐怖の香りと手触りにひたすら背筋が凍る。230ページ程度の薄い本ながらも密度は濃厚でした。

コンビニで深夜のバイトをしていた時の話。(コピペ馬鹿 〜創造力の欠如〜)

 冷静すぎるというのもある種の錯乱状態か。

・今月の購買計画を晒す。

(本)

 『戦国妖狐(1)』/水上悟志(マッグガーデン)
 『とらドラ8!』/竹宮ゆゆこ(アスキー・メディアワークス)
 『サタニスター(4〜5)』/三家本礼(ぶんか社)
 『シグルイ(11)』/山口貴由(秋田書店)
 『運命の日(上・下)』/デニス・ルヘイン(早川書房)

 文庫化情報ー。日本推理作家協会賞を受賞した恩田陸の『ユージニア』が文庫化されます。まだ読んでないのに……ハードカバー版積んだままなのに……でもあれはあれで装丁が凝っていて書痴の心をくすぐるから別にいいや。それからカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』。かったるい回想形式の青春文学に見せかけて肌の下をじかに刺激する仕掛け有り。タイトルでいまひとつ惹かれない、という方にこそオススメ。そして東野圭吾の『容疑者Xの献身』も文庫落ち。もはや解説する必要もなさそうですけれど、各種ミステリ・ランキングの一位を輝き、念願の直木賞を見事獲得して、この秋にも映画版が上映される探偵ガリレオ・シリーズ3冊目。同シリーズ4冊目となる『聖女の救済』が9月あたりに刊行される予定らしいので、それに合わせたんでしょう。シリーズものですが前作を読んでいなくても大丈夫、しっかり楽しめます。てか当方は未だに1冊目と2冊目を読んでいません。

 先月は「主ァ気が触れたかッ!」というほど買い込んだこともあり、今月はやや抑え目の方向で邁進いたしたく。『戦国妖狐』はタイトルしか知らないけど、とりあえず作者買い。この人が描くマンガは絵柄・キャラデザ等の良さもさることながら、話運びの呼吸が絶妙で実に気持ち良く読める。しかし水上悟志って結構あっちこっちで仕事してるんですね。『とらドラ8!』はアニメ化も決定して人気絶頂なシリーズの最新刊。アニメは秋予定とのことで、放送開始時期に合わせて9巻を出すつもりなのでは……と予想。本編は大詰めに近づきつつあるけど、この調子じゃ随分と引き伸ばされるだろうな。『サタニスター』、なんで2冊同時刊行なんだろう? と首を傾げていたら「これで完結」とのこと。えっ、もう? 三家本らしい(=少女マンガらしからぬ)異能バトルぶっ殺しマンガ、喩えて書けば「JOJO第3部やってた頃の荒木飛呂彦が原作を担当して『サイバー桃太郎』時代の山口貴由が作画を担当したような作品」だけにすげぇ残念です。というか、そんな話を今までよく連載していたな……。『運命の日』はルヘインの最新作 "The Given Day" の翻訳と見た。つか早ぇ。早すぎる。原書は9月発売予定じゃなかったか? あれか、「全米を尻目に日本先行発売!」という奴なのか。ミステリというより歴史小説に近いそうだけど、既にサム・ライミが映画化するということで話が決まってるんだとか。ルヘイン(でも角川の訳に慣れているから個人的には「レヘイン」の方がしっくり来る)大好きっコの一人としてこれは期待せねばなるまい。その前にまず未読のミスリバとシャタアイを崩さねばなるまい。

 今月は他に乱歩賞受賞作の『猛き咆哮』と『遺言』、佐々木譲の道警シリーズ最新作『警官の紋章』、森見登美彦の新刊『美女と竹林』、既に各地で話題になっている池上永一の雄渾にして壮大な琉球小説『テンペスト(上・下)』、去年に発売が告知されてからずるずると延期していた恩田陸の『きのうの世界』など、やっぱり注目作がそれなりにあるけども、全部買ってたら秘蔵の諭吉っつぁんが高跳びしちまうよ。ここはぐっと堪えて我慢の子を貫かねばなら……ん? なに、bk1のギフト券だと。3000円以上で300円引きだなんて、そんな餌に当方が釣られクマー。

(ゲーム)

 『水平線まで何マイル?』(ABHAR)

 現時点ではこれ一本。メーカーはまったくの新興ブランドながらCG、タイトル、キャラデザ、ストーリーのすべてに惹かれた。今体験版をプレーしているところなので、終わり次第買うか否かの決心を下したい。ちなみにブランド名の「ABHAR」は「アーヴァル」と読むらしいが、「あぶはら」とか「あぶはー」って誤読してしまったのは当方だけじゃないはず。てか知らなきゃ読めないよこんなの。ぐぐってみるとイランの都市にABHAR(アブハル)というのがあるそうだけど関連は不明。

 ああ、それからハイクオソフトの『さくらさくら』が先々月から延期して今月に来たんだっけ。体験版の感触は割と良かったけれど、待っているうちにプレーする意欲が冷めてしまったんで様子見の予定。

・拍手レス。

 カレンのコンボは7連
 あと2発足せば「九連」でちょうどいいのに。


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