2005年10月分


・本
 『愛しき者はすべて去りゆく』/デニス・レヘイン(角川書店)
 『たたかう!ニュースキャスター』/夏見正隆(朝日ソノラマ)
 『神狩り2』/山田正紀(徳間書店)
 『孤狼と月』/高里椎奈(講談社)
 『ある日、爆弾がおちてきて』/古橋秀之(メディアワークス)
 『世界の中心、針山さん』/成田良悟(メディアワークス)
 『ブルースカイ』/桜庭一樹(早川書房)

・ゲーム
 『刃鳴散らす』(ニトロプラス)
 『チュートリアルサマー』体験版(すたじおみりすペレット)
 
『あやかしばん』(propeller)
 『でふこん☆わん』体験版(あんでる)
 『Nursery Rhyme』体験版(Lump of Sugar)
 『School Festa』体験版(ロール)
 『ひめしょ!』体験版(XANADU)


2005-10-31.

・28日を境にアクセス数がガクンと下がったのはみんながホロウをやってるせいだってことにしてもいいですか? 責任転嫁精神の旺盛な焼津です、こんばんは。

『Fate/hollow ataraxia』、第2幕へ移行。

 ループものとはいえ長編枠でつくるとなれば展開にも段階が必要となるもので、ライアーソフトの『腐り姫』ではそのステップを「殻」に見立てていたのが印象的でした。というか書いてて思い出しましたが、『腐り姫』も一周が「四日間」でしたね。

 「エピソードがバラバラでほとんど繋がりがない」というノベル形式としては破綻した構成をより上位の視点で理由づけるために用意された謎。第1幕の終了に際してもなおそれはまだ見えてきません。いったい何が何なのか。もどかしくてたまらないのに敢えて本筋を避けて進む当方は尿を我慢している幼児みたいなスリルを味わっております。やはり物事はもったいぶった方がワクワクする。

 さて、本筋とは関係ないエピソードばかり楽しんでいますが、ちょっと集中力の持続が難しいところもあります。いくらファンディスクに最適な方式を取り入れたとはいえ、さすがに相互関連の薄いイベントが発生する様を漫然と見続けるのは疲れる。マップ移動形式なので「その場所でイベントが発生するよう選んだ」って自覚があるから前後の落差は気にならないにしても、常に選び続け選択の自覚を保って進行させなくちゃならないことを考えると、脈絡がハッキリした一本道のストーリーがどれだけ親切なものか痛感させられました。

 でもホロウはまだ見てないイベントや本筋を進めるために必要なイベントを「NEW」「!」といった表示で知らせてくれるうえ、特定のフラグが立った場合はそのことを告げてヒントも与えてくれるので、かなりユーザーフレンドリーなシステム設計になっていますね。だから真実痺れを切らしたときはサクサクと本題に切り込んでいくことができる。ぶっちゃけこれ、外部の攻略情報が要らないんじゃないかしら。何度も無駄足を踏まされ終いには虱潰しプレーを余儀なくされた昔気質のADVなんかと比べると信じられないくらいの気楽さ加減。「詰まる」という事態をまったく想定できないので、いささかプレーヤーを甘やかしすぎているのではないかと思ってしまう。世の中随分と便利になりました。もはやこの業界までもがヌルゲーマーの天下なのでしょうか。

 ファンディスクだけに本編では書けなかったコメディ、ありえなかったシチュがてんこ盛りで微笑ましい一方、シリアスに関しても「本編では成立しなかった」という実に美味しい状況が組まれていて口角がニヤリング。うん、これはいろんな意味で「ファン」にとっての「ディスク」になっていますよ。やり口は『歌月十夜』と一緒でその拡大版に過ぎませんが、拡大である以上、『歌月十夜』よりもハードルが高くなってファンの期待に応える難易度もアップしている。今はまだ途中なので確言はできませんけど、用意したハードルをぽーんと飛んでくれそうな頼もしさがあって現時点でもなかなか楽しい。

 にしても、今更ながら声なしって事実がときたま寂しくなります。きのこ節が迸ってるシーンとかは別に気にならないものの、ほのぼのとしたりしんみりとしたりのんびりとしてる日常の場面でボイス恋しくなる。これは「声が付いて当たり前」という昨今の風潮を刷り込まれたせいなのか。エロゲー脳の恐怖なのか。そのうちファントム・ボイスが勝手に再生されてしまうのか。密かに業の深さを測る秋の宵。

・web拍手レスは忘れずに。

 ユメミルクスリはアッパー系でつか?それともダウン系?(マテ
 ユメミルくらいですからきっとアシッドとか幻覚剤のたぐ(ry

 食虫花、藤枝あやかに喰われてぇ
 ではまず四股をかけるところから。

 葱SS保管庫かー。思えば俺も焼津さんもあそこ出身すね。犬江
 言わば同期の桜ですね。なんとも懐かしい。


2005-10-29.

・『終わりのクロニクル7』は税込1250円だそうな。最初見たときはネタと信じて疑わなかった焼津です、こんばんは。というかマジで? ちくま学芸文庫とか講談社文芸文庫とか海外系の文庫とかだったらよくありますけど、ライトノベルの文庫で1000円オーバーなんて破格としか。電撃文庫は紙が厚いから1000ページ超す製本は無理じゃないかと考える一方、700ページ以下だったら普通に分冊した方が販売価格も安価になると思いますので、800〜900はあるんじゃないかと予想される面もあり。版型が変わるだけとか特典が付くとかカラーページ大増量とか、分かりやすいオチがあるかもしれないものの、川上稔は「やりかねない」作家だからなぁ。

・新作の『Fate/hollow ataraxia』『AYAKASHI−アヤカシ−』、あとあまりにも評判がいいので溜まらず頼んでしまった『群青の空を越えて』が到着。『アヤカシ』は特典の設定資料集(『あやかしびと』のパッケージと同サイズで横長、62P)が付いてきましたが、きっちり製本されているうえカバーまで掛かった豪華仕様。冊子類の特典としては予想以上の出来映えに満足。しかし先にやっているのはホロウだったりする。

『Fate/hollow ataraxia』、プレー開始。

 パソコン本体のドライブでは何度やってもディスクチェックで弾かれてしまうため、仕方なく予備の外付型ドライブを引っ張り出してきてようやく起動に成功しました。プロテクトに跳ねられるのはこれが初めてですが、誤爆の切なさが痛いほど実感できた次第。

 公式では「ファンディスク」を謳っていますが、一年半以上の月日を費やして開発したとなるともはやFDの標準的なスケール(だいたい半年程度でリリース)を軽く突破しており、ファンを始めとした周りからの位置付けはFDというよりむしろ続編に近い模様です。当方はせいぜい番外編くらいにしか捉えてなくてさほど熱狂していませんでしたが、どうやら巷での人気は凄まじいらしく、初動の勢いも前作を凌駕するとか。発注が20万本って噂もありましたね。

 内容は「繰り返される四日間」をテーマにしたループものであり、言わば『月姫』における「黄昏草月」。状況がよく呑み込めないままひたすら四日間をリピートしているうちに少しずつ物語を覆うベールが剥がれていく仕組みになっています。ゆるゆると時間が流れるばかりでなかなか本筋に切り込んでいかないもどかしさが最高。常々ループ形式はノベルゲームとの相性が良いと思っておりますけど、改めてその念を強めた次第。できるだけこのもどかしさを引き伸ばして楽しみたいので、ひたすらフラグを避けて回り道をしています。「黄昏草月」は攻略法を間違えた(セーブ&ロードを多用してしまいフラグが立たなかった)せいで結果的に全シナリオを見た当方、今回は意図的に全シナリオを制覇するつもりでやってみる所存です。

 断章として語られる準主役級コンビが結構ツボ。前作に抱いた不満の一つが無事解消されているので単純に喜ばしかった。


2005-10-27.

・月の最後の金曜日を明日に控えている、その事実を危うく失念しかけた焼津です、こんばんは。「最終週金曜=エロゲーラッシュ」はヲの付く人にはもはや常識ですね。体験版を遊び呆けるあまり製品版を蔑ろにしている当方ですが、明日は届いてくる新作をちゃんと崩す所存であります。ホロウとアヤカシ。どちらも結構時間かかりそうですが、ホロウの方が短そうだからアヤカシは後回しにしようかな。

『ひめしょ!』、体験版をプレー。

「さあ着いたぞ! ここが我々の愛の巣! 八坂学園第4の学生寮! その名もテキサスチェイン荘!」

 ネタの中途半端さに噴きました。

 「ショタ系主人公はわわ奮闘ADV」や「受身系主人公弄り回されADV」と謳われている本作、そのいかにもエロゲーらしげなちょっといい加減なジャンル名に違わず、女の子顔の気弱ショタ主人公が強気だったりクールだったりするお姫様たちとドタバタした学園生活を繰り広げる素敵なラブコメに仕上がってます。どれくらい素敵かと言えば、体験版の範囲にも関わらず「マ○コ」と伏字の入ったセリフでヒロインズが罵り合うシーンが収録されているくらい。いいですね、こういうコンシューマには絶対移植できないノリって。シモいギャグの飛び交うラブコメが大好きな当方としては実に美味しかった。

 1999年に恐怖の大王ならぬ隕石群が降ってきて地表をボコボコにされ、すっかり丸くなくなってしまった地球。日本はヤガミ、トワノ、センゴク、シキシマ、サキサカと五国に分かれ、隕石の日から70年経った今もなお統一には至らなかった。ヤガミの第一王子が死亡し、妾腹の子であるコハルが唯一王族の血脈を保った人員として新たな王子の座に祭り上げられようとしている─━その寸前での学園生活。政略上の理由から接近してくる他国の姫君に対し、強く出ることのできない彼は毎日が苦労の連続だった……。

 設定は未来ですが、基本的にはよくある学園モノなんでSF色は薄め。体験版の前半分くらいを費し、主人公のコハルと友人のアキヒトによる問答形式で舞台設定や人間関係の説明が行われます。遣り取りが軽妙なので退屈は感じませんけど、一気に情報を押し込もうとする構成なので読んでてちょっと疲れました。さて、主人公のショタぶりを生かすため、あるいは殺すためにか、「女装して女学園に通う」というシチュエーションが適用されているものの、ぶち撒けてしまえば今んところ死に設定になっています。アキヒトをはじめとして主要キャラの全員が主人公は男であることを知っているため、強いて性別を隠そうとする描写がほとんどありません。『処女はお姉さまに恋してる』でそっち方面の趣味に目覚めた方が期待すると「なんか違う」って不満を感じるかもしれず。

 単なる学園モノのラブコメエロゲーとして見ればかなり面白い。打てば響くようなノリの良さは『ゆきうた』『ときどきパクっちゃお』と変わらず、高い安定感を示しています。シナリオを手掛けた藤崎竜太は結構昔(HPによれば97年)からライターをやっているらしいですが、ピンでのシナリオライティングはかなり久々になる模様。おかげで体験版全編に渡り竜太節がギュンギュン唸ってます。いささか唸りすぎなくらい。

 登場するヒロインは6人。中んずく幼馴染みのナナミとナコトが凄い勢いでキャラ立ちしております。ナナミは暴力系幼馴染みの一種で、「素直になれず好きな子をついいじめてしまう」タイプの凶暴版。腹に据えかねれば街中だろうと戦車砲をブッ放す──それが彼女のインフィニット・ジャスティス。とにかくその行動は「初めて会った人間にはとりあえず喧嘩を売る」「何事もまず嫌うところから始める」と終始徹底している。獅子の髪型に相応しいバイオレンス・ムードで主人公を萎縮させることしきり。でも一旦反転するといじらしくて可愛い罠。逆の意味で凶悪でもあります。

 そして、後ろに「写本」と付けたくなるナコトは落ち着いた年上の少女。一見するとお淑やかで清楚なテンプレお嬢様ですが──その性、腹黒にして淫乱。幼少期は主人公のチ○コを弄り回すことが大好きだったというアレっぷり。直情的ですぐに手を出すナナミに対し、優しく接しているようでいて隙あらば精神的に拘束しようと見えない鎖をチャラつかせている。黒いです。アキヒトから「雌豚」呼ばわりされても全然違和感がない。青山ゆかりのボイスも絶妙にハマっている。こんな姫様たちがショタ臭ぷんぷんの主人公を取り合って干戈を交えるのですよ? 修羅場スキーにはたまりません。

 つまり、あれです。ライターの野郎が楽しく好き勝手に書いてるなぁ、ってのがヒシヒシと伝わってくる内容です。主人公がショタで濡れ場もなし崩し気味の受け身シチュですし、趣味が合わない人にはトコトン合わないでしょう。絵柄はぐるぐる目とエヴァンゲリオン体型が特徴的で、ちょっと個性が強いかな。一応チェックしていたソフトですが、体験版をやってみて予想以上に面白かったのは嬉しい誤算。予定リストの本命枠に食い込んできました。


2005-10-25.

『ユメミルクスリ』、体験版がキタ━━(゚∀゚)━━!! っていうか、発売延期(11/25→12/16)かい。喜べばいいのかガッカリすればいいのかいまいち決めかねる焼津です、こんばんは。

・「大誘拐」ならぬ「犬誘拐」、そこから始まった犯罪計画がとんだ方向へ……という貫井徳郎の新作『悪党たちは千里を走る』読了。ケチな詐欺師たちが徐々に馴染み合っていく展開は心地良く、ユーモア系のサスペンスとしては佳編でしたけれど、終盤がちょっとやっつけ臭いあたり惜しかった。シリーズ化は難しいにしても同系統の軽クライム・ノベルやコン・ゲーム小説には今後も挑戦してほしい。

Lump of Sugarの『Nursery Rhyme』ROOLの『School Festa』の体験版をプレー。

 ブランドは別々ですが両方とも秋史恭が関わっている模様。あちこちで仕事している割に「複数ライターの中の一人として参加」ってことが多く、ピンでやってるソフトがあまりないせいか、いまひとつ腕のほどが分からない人です。『べるとりる☆べる』は地味に面白くて続刊を密かに願っていた記憶がありますけれど。

 でもこの二つのソフトに注目した理由は別に秋史恭というわけじゃなく、ナーサリィは『黒と黒と黒の祭壇』のシナリオライターである朱門優が入社したブランドのデビュー作ってことでチェックしてました。朱門自体はシナリオに関わっていないからさほど熱心に目をつけていたわけではありませんが、絵もいいし萌えゲーとして見れば手堅そうな印象があったのでひとまず体験版に着手した次第。

 両親が渡米し、日本に残された主人公が伝手を辿って女だらけの家へ下宿……ともうそのままテンプレートに載せても差し支えない展開から始まっていきます。現代日本なのになぜか獣耳やとんがり耳が当たり前に存在し、魔法も「使える奴は使える」という認識で横行している不思議ワールド。なんか『SHUFFLE!』みたいですね。いえ、『SHUFFLE!』やったことないんで、あくまでテキトーな先入観ですが。

 メインを張るヒロインが一通り登場するところまでは進み、新しく入学した学園での生活を描くところまでは進みませんから、シナリオを知るうえではちょっと分量が足りないなー、というライン。でも雰囲気は掴めます。ほのぼのまったりと楽しい、いかにもな萌えゲー。主人公の性格がかなり温厚で、他のキャラだったら怒って喧嘩になるような場面でも大抵自分から折れる。ヘタレと言えばヘタレですが、穏和なヘタレなのでDQNなヘタレよりはマシ。ヒロインは飛び級で先輩になっているちみっ子寡黙少女クルルが印象的だったかな。けど名前がプリっちのあいつと被るせいでギャップには苦しみました……。んー、とにかく堅実な手筋で大きく外してこない安定感が見受けられます。テキストもセンスオブワンダーではないが読みやすく馴染みやすい。ただ、世界の設定が妙にファンタジー方面であることを考えると後半でおかしな展開を迎える可能性は否定できず。

 一方、フェスタは学園祭がテーマの青春モノということでジャンル的な期待から注目。やはり学園祭はノスタルジーの花形でしょう。「活動実績がないから廃部」という一方的で横暴極まりない生徒会の通告に抗うため、超地味な文科系部活・手芸部は学園祭に勝負を懸ける……とこう書くとなんだか「熱血」とかの文字が似合うスポ根ムード漂いますが、何せ手芸部。学園祭の出し物に選ぶのも「コスプレ喫茶」ですから、スポ根どころかえらくまったりしたムードが終始絶えません。ほのぼのとして雰囲気良さげ。萌え重視のナーサリィに対し、こっちはまったり感重視ってところでしょうか。

 銀髪寡黙姉と金髪活発妹、朝起こしに来る幼馴染み、緑髪メガネっ子、黒髪生徒会長とヒロインの布陣もなかなか。そういえばメガネで思い出しましたが桜庭一樹が桜坂洋との往復書簡で「眼鏡なんざ、顔についたゴミなんや! ゴミ箱に帰れ!」と物凄いセリフを書いてましたが関係ありませんので話を戻すとして、「まったり感」が命なゲームであるだけに、ヒロインの魅力というのもキャラ単体に頼ったものではなく、むしろ「主人公とヒロインたちとの関係」というキャラ間の糸に沿った部分で発揮されている面が濃厚。ガツンと来るような萌えじゃなくて、徐々に浸透してくるタイプですね。たまにサムいギャグがあったりしたものの、持ち味である「まったり感」を殺さないノリが美味しかった。属性で言えばそれほどそそられるものがなかった子にも、いつの間にか惹きつけられていた始末。

 シナリオそのものには御都合めいたところがあり、体験版以降の展開がやや危ぶまれるところではあります。鷲の威圧感を放つ生徒会長がなぜかウサ耳体操ブルマのコスプレをしているあたりなど、そこに至るまでの過程に相当なし崩しな展開があったんじゃないかと邪推してしまう。他方でそんなマイナス予想を覆して欲しいほのかな期待もあってアンビバレンツ。

 二つとも面白かったが、購入確定まで繰り上げる段階には達せず。差し当たって来月の保険的な位置付けにあるソフトとしてメモっておく予定。しかしこうやって体験版をプレーして気になったソフトの旨い箇所を難なく摘み食いできたりすることを考えると、つくづくいい時代になったもんだと実感いたします。昔は「体験版」というものに憧れの念を抱いてましたっけ。


2005-10-23.

・エロゲの体験版を遊び耽るあまり更新し忘れそうになった焼津です、こんばんは。ダメな方面には寝食を忘れて没入できるヲタ癖はいつまで経っても治りそうにありません。

エロゲ板&エロゲネギ板SS投稿スレ保存サイトが更新

 『あやかしびと』のSSが多数あり。未読の方はレッツゴーです。

あんでるの新作『でふこん☆わん』、体験版をプレー。

 一応これが2本目となりますが、あまり注目されていないマイナーブランドのためデビュー作と間違われそうになるというか、実際当方がガチで「新規ブランドのデビュー作」と勘違いしておりました。ともあれタイトルの「でふこん」、なんか聞き覚えがあると思ったら「Defense Condition」、つまり米軍の防衛態勢ランクのことみたいで。1と言ったら核戦争間近の状態でしょうか。

 そんな具合でいかにもミリタリーな題名ではあるものの、中身はごくありふれたノリの学園コメディです。少なくとも体験版の範囲では。金髪ツインテのヒロインがなぜか「自分は〜あります!」と軍人口調で、主人公のことを「大佐」と呼んだり、ちょくちょく輸送ヘリが出てきたりするくらい。

 男子校生活に絶望して「恋人がほしい!」と切望する主人公がひょんなことから少女の命を救い、恩返しとして女子校の中へ……と大枠の展開は珍しくないが、具体的な流れが「プレハブ造りの教室をヘリで吊り下げ女子校の敷地に空輸し、無理矢理共学制を導入させたうえでひとクラスまるごと編入させる」とあまりにもあまりな強引さで、既にお約束の範疇を軽ーく突破しています。主人公ひとりが女学園の中に、ではなく、男子校のクラスメート全員が揃って、ですよ。『グリーングリーン』の逆パターンみたいなもんです。あっちに比べて濃い男子キャラが少ないというか、主人公とその友人の二名くらいで、あとはやや薄めなのが残念ですけれども。

 てっきり「絵で客の目を惹いて肝心の中身は……」というパターンかと思い、内容に関してはさして期待していませんでした。暇潰しというよりむしろ、ネタのつもりで着手した次第。ぶっちゃけ当初はこうして感想書く気もなかった。しかし、いざやってみると意外に面白い。「アホっぽい学園コメディ」以上の何かが潜んでいるわけではないにしろ、学園コメディに求められるある種の「ヌルさ」が絶妙でついつい最後までスキップせずにプレーしていました。ツッコミどころは多いし、コメディにしても御都合すぎる箇所がいくつか散見されましたが、それなりの勢いで押し流してくれるから気にならない。スケベだけどちょっとだけ見境のある主人公で、誰彼構わずではなく惚れたヒロインだけに突進するところもいいアクセントになっている。演出が弱かったり主要ヒロイン以外のボイスが棒読みがちだったりでテンポが刻み切れてないのは惜しいところではありますが、これなら絵に釣られて買っても損じゃないかもしれず。ただ、その絵にしても腕の細さと足の太さにギャップがあってアンバランスだったりしますから……。

 場面切り替えの演出がうざったいことを除けば概ね許容できる仕上がり。後半でいきなり超展開に入って話を台無しにすることもないなら、ヌルくてアホな学園コメディとしては良作になる可能性があります。発売は来月、ひとまず評価が定まるまで経過観察の方針で。


2005-10-21.

『あやかしばん』、当家に弾着。

 早速虎鬼の壁紙を使ったりしつつ、期待に胸と脳と名状しがたいどこかを膨らませていたおまけシナリオ二本立てをぶっ続けでプレーしましたことでしてよ?

 新聞部部長・藤枝あやかのおまけシナリオはやけに本編とノリが違うんでひょっとして荒川ライティングか、と察したところ思った通りクレジットには「荒川工」の三文字が。ノリが異なるせいでちょっと二次創作めいた雰囲気も漂っていましたけど、あやかさんの魅力がズバズバ発揮されていてととても楽しかった。日常会話と下ネタの垣根がないハイパーナチュラルな精神には畏敬の念さえ湧く。「穴が足りない」発言に危うくチャーハン噴きかけるとこでした。

 もう一つはさくらシナリオ。というか厳密には○○シナリオ。さくらしか出てこないわけじゃなくて、メイン級のヒロインは薫以外ちゃんと登場する。……一応メインなのにあやかシナリオを含め影も差さない薫はホント不遇のキャラですね、とそんなことを思いながらもいざ挑んだ内容は。

 バルバルバル!

「バルバローイ!」

 感に堪えぬあまり意味不明な叫びが口を衝いて漏れるほど素敵ングダムな代物でありました。野郎、タブー中のタブーをぶち破りやがった。本部以蔵が駆けつけてひとしきり解説しそうなくらい本編の感動を吹き飛ばしています。会長の役どころが美味し過ぎる。

 すべてのコンテンツを堪能するのにだいたい2時間程度ってところですか。応募してから届くまでに時間は掛かったものの、お返しディスクとしては充分なもてなし。大いに楽しみました。おまけムービーでチラッと告知されているpropllerの第3弾も今から待ち遠しい。

『ユメミルクスリ』デモムービー公開

 なかなかいい出来。いつの間にか「田中ロミオは企画だけでシナリオやってないっぽい」というマイナス要素も気にならなくなって普通に期待作となってきている。元よりはいむー絵に抗う術はないし、来月の確定一本目となりそう。

・web拍手レス。

 「痛い毛なボタン」って、剛毛?
 アホ毛=剛毛とするならば是。

 針山さんが読みたくなったジャマイカ。
 焼津さんのレビューはなんか好きだな、俺。

 よせやい、照れるジャマイカ。
 針山さんは成田読者でも成田未読者でも薦められる間口の広さがありますね。

 『あやかしびと』検索にて辿り着きました。『嫉狂ひ』楽
 楽しまれたならばこれに勝る幸いなし、であります。マジで。

 何回叩いても「ありがとうございます」なのがイタカノらしくて好きです。この拍手。
 それがいたいけクオリティ。間違ってメッセージ固定しちゃってたとかいうオチではありません。ありませんってば。

 男前豆腐店の豆腐食べましたがおいしかったですよ。少々お値段はりますが。
 あちこちで取り上げられているみたいですし、インパクトだけに終わってるわけじゃないようですね。

 「刃鳴散らす」を最近まで「じんめいちらす」と読んでいたのはナ・イ・ショ
 うろ覚えで『牙刃鳴らす(きばならす)』だと思っていました、最初。

 あやかしばん届いたー( ゜д゜)<刀子さんエロス
 そして同時にオソロス。

 焼津さんのブックレビューよく参考にさせてもらってます。
 拙文なうえ扱う本も偏っていますが、オススメできることに関しては間違いなしなので参考にしちゃってくださいな。


2005-10-19.

・「予定の10時間前に床に就けば寝坊することもあるまい」→「甘かった!」

 この歳にもなってリアルに遅刻しかけた焼津です、こんばんは。その気になれば12時間連続で睡眠可能な身体であることを忘れていました。それなら休日に寝溜めすればいいって話なんですが、なぜか休みの日に限って6時間程度で目が覚めてしまう不思議。平日と休日の狭間には思いも寄らぬ謎が潜んでいるものですね。

あやかしばん発送開始

 TOPの「発送しますた」な男前フェイスはあやかさんでFA? それにしても隣の裸エプロンとおぼしきさくら、顔が妙にロリっちく見えるのは気のせいでしょうか。凝視すればするほど幼く可愛く。ああ、中央東口の業が遂にその深みを見せ始めたのか。

あやかしばん修正ファイル配布開始

 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

 『あやかしばんの発送が開始したと思ったらいつのまにか修正ファイルがアップされていた』

 正に超スピードの次元ではないですね。

・桜庭一樹の『ブルースカイ』読了。

 真っ青な表紙、真っ青な帯。あらすじを読んでもどんな内容なのかいまいち分からなくて、実際読み出してもなかなかピンと来ない。「第一印象」というものが形成されることを嫌っているかのような何とも掴み所のない面構えをした本です。掴み所がないという点では『推定少女』って前例があるし、桜庭の最近作を読んでいる人にとってはそれほど抵抗はないかもしれません。ただ、割とよく目にするので気になった、あるいは全然知らないという方にはイメージの伝達が難しい。「セカイ系」という言葉を用いれば通じるのやもしれないけど、あいにくと当方はその単語をろくに解しておらず。さて、なんと言えばよいものやら。

 詳しい内容に触れすぎると興趣を損なう可能性の高い作品なのでまずは概要から。連作形式の長編です。三つのエピソードが連なり、一つの物語を描き出します。一つ目のエピソードを読んだだけでは腑に落ちなかった要素も、二つ目、三つ目と経るにつれて明瞭になってくる。全体像はそれほど精緻な雰囲気ではなく、どちらかと言えば他愛もないストーリー。あっと驚き、謎が紐解かれる過程にスリリングなものがあって、ラストでは快哉を叫ぶ……みたいなノリを期待するとつんのめります。後で畳むことを考えて大風呂敷ではなく中程度の風呂敷を選んだような構造とでも表現するべきか。技巧面に関しては肩肘張らず素直に読むが吉です。

 テーマは、桜庭一樹の扱いものとしてはすっかり通例になっている「少女」。すべてのエピソードにおいて少女が物語の力点となり、一つの力へと作用していきます。それは単純に「少女」という要素に焦点を当てるというだけに留まらず、故意に「少女」という要素を無視することでも強調されています。が、テーマは同じとはいえ基本的に最初二つのエピソードは話の枕であり、主眼となるのは終盤の最終局面。分量からすると他の章よりも短いのですが、ここの輪郭をしっかり浮き立たせることで装丁のごとくのっぺりとした全体像がようやく見えてくる。謎解きというより、解題です。読者は据わりどころを把握しかねていた腰をやっとこさ降ろし、それまでの旅路を振り返って眺めるような視点に立つ。ラストシーンを迎えるとき、不思議と違和感は覚えないでしょう。

 砕け散る弾丸の清々しさ。茫漠として捉えきれない海や空の青、その向こう側を一瞬だけ覗き見て、覗き見るだけで終わる。いろんなものが混ざり合っているくせして一向に濁らない独特の透明感があります。


2005-10-17.

男前豆腐店のネタと見紛うインパクトに痙攣的な衝撃を受けている焼津です、こんばんは。豆腐屋業界はもうドリフト系走り屋の次元さえ突破して最速の彼方へと行ってしまったんでしょうか。

『アヤカシ』、マスターアップ

 どう見てもマスターアップです。本当にありがとうございました。

 間に合わなかったら「どう見ても延期です」というネタするつもりだったことは一瞬で忘却するとして、デッドラインのギリギリでなんとか決めてくれましたね。進捗状況から言って多分大丈夫だろうとは思っていましたが、いざ土壇場で嫌なサプライズが発生しがちなこの業界ゆえにハラハラさせられることしきり。

 ところでスタッフがマスターアップ報告で作品について「賛否は分かれるだろうが」ってサラリと書いているのはいいもんなんだろうか。「絶対の自信をもっておくります」の文章と少しぶつかっている気が。

・成田良悟の『世界の中心、針山さん』読了。

 主役でもなんでもなく、位置的にただの脇役と言っていい「針山さん」が物語の中心となっている摩訶珍妙な連作集。雑誌掲載した3編に書き下ろし1編、計4編を収録しています。古橋の新作と比べると半分に近い数字でやや少なく思えますが、ページ数ではむしろ上回っている不思議。実を申せばどの話も100ページくらいと結構なボリュームがある。いざ読んでみればそんなに長くは感じないんですけれども。

 フィクションの場合、現実に反したり反さなかったりする特殊な概念が設定されていることはままありますが、「異なる特殊概念同士がぶつかり合う」ということはほとんどありません。いえ、『終わりのクロニクル』はこの際置いといて。ジョジョも第2部から第3部へ移る中で根幹をなす設定が「波紋」から「スタンド」へとシフトしましたが、「スタンドとは本体から漏れ出した幽波紋」と一応の説明がされていて概念自体は統合されています。決して反目し合っているわけではない。けれど、読み返していてふと思うのです。もしジョジョの世界にドラゴンボールやハンターハンターといった別作品のキャラが出てきて「気」とか「念」を主張した場合、それらを退けてあくまで「波紋」のみで片付けるのは可能なのだろうか、と。

 複数の作品が交錯する「クロスオーバー」という形式は二次創作においてジャンルを築くにまで至ってますが、こうした概念衝突には細心の注意が払われるはず。別々の設定に拠って立つストーリーをいかに違和感なく馴染ませるか。素人目に見ても難しそうです。上記した例で言えば「波紋」「気」「念」、似ているようで同一ではない力をジョジョでもドラボでもH×Hでもない客観的な視点から捉えなくてはならず、特定の世界観に肩入れしない冷静さが必要です。

 で、唐突ですけれど結論を言ってしまえばこの本における「冷静さ」がつまり針山さんという脇役じみた主役に収束されています。彼が都市伝説が現実のものとして横行する世界、魔法少女が「魔法の国」からヤクザの家へやってくる世界、幼馴染みがいきなり前世の記憶を甦らせ勇者として覚醒する世界……普通に考えればくっつきようがない世界群をがしっと結び付ける接着剤になっている。あくまで脇役じみているのでデウス・エクス・マキナっぽい行為はしません。むしろ「何もしていない」と誇張気味に表現しても差し支えないくらい。下手な言い方になりますが、「何もしていない」ということをしているわけです。あらゆる世界を区別も差別もせず等分に尊重している彼の態度が、接合した途端に破綻しかねない物語群を生き急がせもせず死に急がせもせずまったりと保たせており、だからこそ茫洋とした脇役でありながら中心人物たりえている。

 衝突し、合流し、一つにまとまっていくパラダイム。針山さんがいてもいなくてもクロスオーバーめいた群像劇として面白いことに変わりはありませんが、彼の存在が焦点になることでこの本はカオスに陥ることなく理性を留めているんだと思います。誤字をはじめとして相変わらず成田良悟な粗い箇所もあったにせよ、まこと楽しい連作でした。続刊が出るのを今からワクワクと期待中。


2005-10-15.

・別に部屋が広いわけではありませんけど、生来の物臭が反映されてゴミ箱乱立状態。いちいちゴミを捨てに立ち上がるのが面倒なので座ったまま簡易ゴミ箱をつくっては設置、つくっては設置と繰り返すうちに四個もできていました。そろそろ統合するとともに何かをもう一度深く考え直した方が良いと思う焼津です、こんばんは。なんだか「部屋におけるゴミ箱の数と位置」で精神分析ができる気さえしてきましたよ。

『βはもう捨てなよ』「Mystery Laboratory」経由)

 吹いた。

・古橋秀之の『ある日、爆弾がおちてきて』読了。

 ライトノベルにしては珍しい、シリーズものでも連作形式でもない短編集。一応全編に共通するテーマはあとがきでも語られている(というかネタバラシしてる)んですけど、各エピソードの繋がりはこれといって特にありません。あくまで一編一編が独立したストーリー。全7編。どれもコンパクトに仕上がっているのでサクッと読めます。

 血飛沫と肉塊と人外とサイバーパンクとオカルティズムの阿鼻叫喚が一部に烙印級インパクトを与えた“ケイオス・ヘキサ”の作者にしては、とてもリリカルで切なくて温かくてほっとするようでほろ苦くて聖なるかな聖なるかな聖なるかな。ギャップは大きいです。いえ、“ケイオス・ヘキサ”にだってリリカルなシーンはありましたよ。でもそれは殺人鬼が幼女の瀕死体から心臓を引きずり出した瞬間に断末魔の一言を聞いて信仰心に目覚めるタイプのリリカルさであり、生前の行動を緩慢かつ機械的に繰り返す死体少女と観覧車に乗るようなソレとは一線を画してます。ネガとかグロを経由しない、真っ当なキレイさとでも言いますか。表題作を含めさりげない場面で破滅願望を窺わせるセンテンスはありましたけど、「キレイな感じ」っていう印象の靄が掛かっているおかげでほとんど気になりません。技巧を尽くし、気づかれる形ではなく気づかれない形で作品のバランスを保つその姿勢、「器用」という言葉がよく似合います。

 良い意味でも悪い意味でも突出しない話ばかりで、一つとしてハズレはなく安定感抜群。同一テーマの割に内容もかぶらないよう配慮されていてバエラティ面でも頑張っている。「“ケイオス・ヘキサ”の作者」云々を抜きにして純粋に楽しい青春モノです。ほろりと来る。ただ、新人のデビュー1冊目なら「今後に期待」と締め括れますが、デビューから既に10年近く、やや寡作気味でこれが12冊目となる古橋の新作としては微妙に心配。器用なのはいいんですけど、どうしても「器用貧乏」ってフレーズが脳裡にチラチラとよぎったり。

 個人的には書き下ろしの「むかし、爆弾がおちてきて」がお気にです。時間を固形化するビジョンが最高。古橋の器用さが一番表れているように思えたのが「おおきくなあれ」。ほのぼのと味わいのある「トトカミじゃ」、シチュ的にはもっとも美味しい「三時間目のまどか」も捨てがたいし、ゾンビ少女スキーとしては「恋する死者の夜」も無視できないんですが。あと表題作の軽快さも好きと言えば好き。「出席番号0番」だけはもうちょっと長めの尺で読みたかったです。

 レアなジャンルでしかも高水準。“ケイオス・ヘキサ”とはベクトルが違うものの、これはこれでキチンと面白いから「昔の古橋は良かった」といった愚痴をこぼすのもためらわれます。なんだかんだで今後の活動を見守り続けたい。


2005-10-13.

『Fate/hollow ataraxia』、マスターアップ

 よし、まずはひとつ目の安心をゲット。この調子で『アヤカシ』もマスターアップして安心コンボをブチ決めてくれれば今月はもう磐石です。……とはいえ「予告編 第二弾」が未だにComing Soon状態なのを考えると嫌な予感は已まず。保険となるソフトの選定もそろそろ開始すべきか否か。

・高里椎奈の『孤狼と月』読了。

 「フェンネル偽王伝」シリーズの第1弾。最近、講談社ノベルスはライトノベル風のイラストが表紙を飾っていることが多く、旧来のファンからは敬遠されがちな模様ですが、むしろ高里椎奈は作風からして今までイラストが付かなかったことの方が不思議でした。デビュー作『銀の檻を溶かして』も文庫化に際してやっとイラストが付いた次第。そもそも講談社にはX文庫という少女向けライトノベル系レーベルがあるのに、なんで高里椎奈はノベルスで書いているのだろうか。

 話の内容はファンタジー。13歳という若さにして獣兵師団の指揮を執っている少女・フェンベルクが、ふとしたことから王国の秘密を知ってしまい、投獄を経て「海流し」に遭う。信じていたものに裏切られたショックで無気力状態に陥った彼女が、失意の底から自分自身の力で立ち上がろうとするまでを綴っています。一段組で230ページ、薄いライトノベル一冊分。はっきり言ってボリューム面での不満はありますけど、物語の開幕としては申し分ない仕上がりでした。「落魄の王女」という魅惑的な設定を、当の王女本人の視点で紡ぐことによって一層面白くしている。斬新でも奇抜でもないけれど、短いページ数で主人公の存在を印象づけるために書くべきことの焦点が絞られていて無駄が少ない。薬屋シリーズはどんどん冗長になっていく感があるせいで読むのをやめてしまった当方ですが、これで高里椎奈という作家がそう悪くはないことを再確認した気持ちになりました。

 異世界ファンタジーの割に言語感覚が現代小説のようだったり、ネーミングが全体的にチグハグだったり、えげつない展開のようでいてどこかヌルい空気が漂っていたりと、あくまで本格的なノリを期待していれば肩透かしかもしれない。基本的に地味でもある。ただ、シリーズものには一冊目を読み終わったとき、「面白い」と感じるよりも先に「続きが気になる」って咄嗟に二冊目を求めてしまうようなタイプがあるわけでして。こうなってしまえぱ諸々の問題点は些細なもの。「続きが気になる」という一種の焦燥感は、実のところ作品の完成度や面白さとはあまり関係がないんでしょう。

 先月に読んだ『殺×愛』と同様、まだ掴みの段階に過ぎないので「偽王伝シリーズは傑作」とは請け合えないにしても、今度本屋に寄ったら2巻目と3巻目も買ってこようと心を動かされました。

・拍手レスに候。

 Pia殺し間へようこそ ← キンカン萌え?
 化粧っ子という新たなジャンルを築きつつ主人公を銃殺。

 狂乱家族日記はやっぱり(・∀・) イイ!(謎
 これはまた随分と狂乱なコメントですね。

 「Pia殺し間へようこそ!!」ってなんか良いなぁ。
 ファミレスは女郎の如くあれ……。

 いたいけなボタンを弄ぶ鬼畜ルートはどこですか?
 真心の篭もったお弁当を投げ捨てるつもりでクリックすればあるいは。

 レビューを参考にざくざく未知の領域に吶喊しております(特に本)。世界が広がる喜び!
 まるでバトンを託したかのような満足感。おお、快なり。


2005-10-11.

『駿河城御前試合』の新装版がどこにも売ってなくてしょんぼりしている焼津です、こんばんは。他の新刊はちゃんとあるのに。んー、『シグルイ』を楽しむうえで駿河城〜は読んでおいた方がいいのか、それとも敢えて読まずにおいた方がいいのか、未だに判断しかねているのですけど、やっぱりシグルイスキーとしては仮令積むとしてもひとまず買っておきたい心境。

すたじおみりす、『チュートリアルサマー』体験版を公開

 ドルゴス並みにゆっさゆっさしながら嬉々としてDLした当方は北側寒囲スキーであります。やったのは『れすとあ』と『雪桜』だけで、『すめらぎの巫女たち』と『夏のひとしずく』と『杜氏の郷』は積み、『プラスチックハネムーン』と『海道』は買ってません。そんなわけで、今月の注目作として視野には入ってますけど、どうせ積むことが目に見えているのでしばらくはコントロールド・デリバリーな方針でいきます。即ち「いつか買うぜリスト」にソフト名と詳細情報を記して格納。こうするだけでいかにも自分が購入して積んでいるようなリアル気分をまざまざと味わえますから実にオトクです。しかしこの「買ったつもりになって満足する」というファントム・ショピング・アーツは所有ソフト全体を厳密に把握できないほど麻痺した重度の積ゲーメストでもない限り機能することがないのですから、駆使ってる時点でもう人間としてはかなりダメダメなんですよね……。

 なんであれ、体験版くらいはやっておいても損ではなかろうと着手。夏休み、大学生の主人公が地方の家へ家庭教師に行く。そこにはツンケンした長女、若干親しみやすい次女、不思議系の三女と、まるで絵に描いたような三姉妹が……という、学園モノではないにしても至ってベタなストーリー。うっかりノックを忘れて着替えの最中に出くわすくらいベタベタです。北側シナリオはまったりした空気が特徴と言えば特徴ですが、ぶっちゃけ何らケレン味がないので他のゲームとはあんまり区別がつかない。こう、「いかにも」って要素を抽出した最大公約数的な話なんですよ。やってて既にどこかで見た気がしてくるし、決して斬新ではありません。ただその「いかにも」というノリの青春エロゲーとしてはすごく安定感が高く、水準よりやや高めのアベレージを誇っているからこそ安牌として確保したくなるわけでして。「北側のソフト一本に絞る!」みたいな買い方はしないにしても、他の奴に合わせて「ついで買い」してしまうことがままあります。

 今回もキャラの布陣は王道だし特定の属性や嗜好を狙い撃ちする部分はなく、手堅い。会話主体の遣り取りはのんびりしたテンポの割にサクサクと軽快でなかなかダレない。話の引っ張り方についてもプレーしているこちらの興味を心得た手つきで程好く焦らして程好く先の展開を気にさせる。よっぽどこの手のお約束風ほのぼの日常ゲーが苦手な人でないかぎり馴染めるのではないかと。的へ一直線、中段突きのような堅実さです。あと言及するのを忘れていましたが絵はかのWitchで原画やっていた瀬之本久史。少々クセのある絵柄ではあるものの、塗りが明るくなったおかげでWitchゲーよりもマイルドな見た目になっています。

 まだ2本しかプレーしてないんでファンと名乗るのも違う気がしますが、毎回良くも悪くも平均を外さない仕上がりって印象ですから、贔屓にしているムラっ気ありありなライター(誰と特定するつもりはありませんが)よりもある意味信頼できるというのは確かです。今回もそのうち折を見て入手するつもり。


2005-10-09.

・なんかもうニトロプラスが無茶苦茶なんですが。発売から既に一週間とはいえ、OHPのTOPで新作の隠しキャラを暴露とは悪路王すぎる。おまけにライター雑記。ああいう企画で発売後に更新というのも珍しいけれど、内容がもうブチギレてますよ。さすがザスニで無茶やっただけのことはあるなー。

・ヤバいと言えば『ユメミルクスリ』も。田中ロミオの書いた替え歌の歌詞がスタッフページで見れますけど、「特定メーカーおよび個人のことじゃありませなんだ」と断りつつ特定メーカーおよび個人を想起させる内容。「ユメミルシャチョウにさよならしようか」って。替え歌としては巧い部類に入る分、ただのネタとして流せないです。本当に初回特典に収録してほしいくらいだ。

・山田正紀の『神狩り2』読了。

 “神”だけがいない。いつだってそうなのだ。いつだって“神”だけがいない──

 店頭でカバー絵に惹かれ、これを読むために『神狩り』はじめ山正初期作を予習したという経緯があるだけに満を持して挑む感のある一冊。原稿用紙にして1100枚という分量は、前作の3倍には及ぶかと。

 神は人間に悪意を持っている──島津圭介は、「神狩り」の決意に燃えた。あれから30年。島津の闘争は実を結ぶことがなく、依然として神は人類の叡智を超越した場所で世界に君臨していた。アダムとイブがそれを口にしたがために楽園を逐われる身となった禁断の果実、「リッパー」。島津の娘である理亜(ユリア)は数奇な運命、あるいは何らかの恣意によってそれを唇に浸し、神のそばへと近づいていく……。

 あれ? 島津圭「助」じゃなかったっけ……と細かいところで引っ掛かりを覚えましたが、何はともあれ30年越しの続編。『弥勒戦争』や『神々の埋葬』といった同じ「神」テーマの初期作とは世界観が共通していないから、話としてのリンクがあるのは『神狩り』だけですけど、内容を読み込むうえでは『弥勒戦争』『神々の埋葬』も役に立ってくる面があり。この2作は『神狩り』と違って神側に近い視点で書かれていますから、「遍在しながらも認識の外側に隠れている神」、つまり神の不在性が強い本作と併読すると多少補完される形になります。あくまで「多少」ですが。

 言語論、ひいては脳科学や認知科学に関する情報がびっしりと紙面を埋めていて、門外漢の当方には理解が及ばずクラクラさせられる箇所が多々ありました。こういうのをハードSFというんでしょうか。前作『神狩り』ではテーマの壮大さに引き換え異常なくらいストイックにまとまっており、その切り詰められた感覚にこそ妄執に似た情念が篭もっていて圧倒されました。翻って2、逆に執拗なほど知識や薀蓄が羅列されています。地の文までもが誰かの一人称かと疑うくらい饒舌で、構成も「破綻している」と言って差し支えないほど崩れて冗長になっていて、もはや『神狩り』のスタイルをまるっきり裏返した仕上がりです。素直に前作の張り詰めたノリを期待すれば面食らうこと請け合い。30年かけて達した、過去とは趣を異にする「山田正紀の妄執」がここにあります。

 単純に小説やエンターテインメントとして評価しようとすれば見方は厳しくなるかもしれない。文章は荒く、ちょっとセンスの古い言い回しが目立つ。章ごとの骨子はしっかりしているので一旦その辺を耐えられたら引き込まれるのですが、全体の組み上がりは「雑」という境地を超えてまったく無茶苦茶。山田正紀特有の絡みつくような粘っこい陰湿さ、どこまで行っても暗く淡々としているトーンが異様な盛り上がりを示すものの、そうした特徴を無視してしまえばとても正気の沙汰とは信じがたい物語として目に映る。「神を狩る」という常軌を逸したテーマだからこそ、これほどまでに整合性の遥か彼方を目指して脱輪し狂騒しているのかもしれない。バロックすぎて眩暈がします。

 脳と心、言語と文字、感覚と環境、人と神。あらゆる傍証を駆使して絶対者の眼前に迫るSF捜査小説。「『聖書』によるアリバイ崩し」という発想は良くも悪くもアクロバティックです。30年前に自分で飛ばしたロングパスを必死になって拾おうとする作者の姿は作中における島津の老醜とも被り「年寄りの冷や水」とやや皮肉げな言葉も連想されますが、あの性急でぶった切りな結末から察するにもういっぺん30年くらい送球する気が満々なのではないかと空恐ろしくなる。構成だの伏線だの知識だのキャラだの文章だのセンス・オブ・ワンダーだのといった次元以前に存在する情念に打たれた気持ちがしました。

 余談。時期的に『最果てのイマ』をやった後だから一種の気構えが出来てより楽しめたのかもしれませぬ。


2005-10-07.

・昔の日記(非公開ver)を読んでいたら、ある本の感想で物凄い誤字が。

 妻と夫をなくし、傷心の中で〜

 ちょっ、妻と夫を揃って亡くして傷心なんて、そいつはふたなりの重婚者か。正しくは「息子と夫」。自分の日記を読み返してはツッコミどころを発見し失笑する嫌な癖のある焼津です、こんばんは。高校の頃に書いた奴なんかお茶飲みながら読むことは到底できません。

『FESTA!!』延期(10/21→12/16)

 元より注目作が少なかった今月ですが、保険的な位置付けでチェックしていたこれが飛んでいよいよタイトに。確定駒の『アヤカシ』にしてもまだ発売されるかどうか不安なところですし。「そのうち買おう」と思いつつズルズル先延ばしにしていたソフトを考慮してみるか。いっそ「保険の保険」として密かに動向を追っていた『忍ココロ』を検討に繰り上げるか。楽しく悩んでみようと思います。

・夏見正隆の『たたかう!ニュースキャスター』読了。

 作者は『僕はイーグル』を書いた人。僕イーは内容に関しちゃかなり胸糞悪い代物なのにストーリーテリングにかけては絶品で、一度読み出したら止まらない、そのくせ刊行は4冊目で止まっている何とも悩ましい航空ロマン小説でありその続きも気になるところですが、気になっていても出ないものはしょうがないから少しでも飢えを満たすためにと拙い嗅覚を頼ってどこか似通った匂いを発している『群青の空を越えて』を発見しいざやろうとした先月、いろいろあって結局買わず終いで、溜まりに溜まった鬱憤を晴らす目的でついカッとなって購入したのが本書に当たります。買った直後はともかく今は全然反省していません。むしろよくやったと誉めてやりたい、錯乱した当時の自分を。

 タイトルを見て咄嗟に連想するのはもちろん『闘将!!拉麺男』。いえそれはどうでもよく、中身はニュースキャスターに憧れる女性レポーターが現場で中継の最中にクラーク・ケントよろしくこっそり「スーパーガール」に変身して(しないこともあるが)活躍というか暗躍というか縁の下の力持ちみたいに「目立つわけにはいかないけど必死で人命を救助する」、絵に描いたような正義の味方をやっちゃうって話で、正直何かズレてる感じが否定できない設定であります。だって報道する側がマイク投げ出して助けに行ってしまうんですよ。仕事になってないじゃありませんか。もちろん隠れてやっている以上は上司公認なわけがなく、主人公は戒告処分や謹慎処分を受けるとなる。何の得にもならないどころか損に直結しているボランティア。誰かに強要されたりチームを組んで正義の味方を演じているのではなく、単に一人で「スーパーガール」としての力を持った責任感に衝き動かされているだけなんだから、苦楽をともにする同志や功績を評価してくれる存在もない。唯一真実を知る友人に悩みを打ち明けて愚痴を垂れ流すことでどうにか精神の平衡を保っている状態です。雰囲気はコメディ調とはいえ、なかなか悲惨な境遇と言える。

 はっきり言ってこの作品、文章にしろキャラの造型にしろいささか極端なくらいのディフォルメが掛かっています。単調な擬音表現は頻出するし笑い声が「わははははは」で悲鳴が「きゃあああああ」で唸りが「うううううう」だしおまけにテロリストの名称が「世紀末みなごろし教団」とか「日本全滅しねしね党」とかだったりと、実に安っぽくてギャグっぽい。けれどギャグ一辺倒かと言えば否、事件現場に来て「私事を優先したい」と葛藤に陥った末「でも見捨てられない」と決意してカメラの前からフケてしまい、終わった後で叱られて仕事も干されてしょんぼりしてヤケ酒かっくらって泣き言を喚くありきたりの弱さを通じて伝わってくる感覚は切ないと同時に清々しいくらいの熱さに満ちています。

「ごめんね美帆。あたしやっぱり、正義の味方の、お人好しだから」

 僕イーよりも胸糞の悪くない話で、ストーリーテリングの良さはそのままだから、サスペンス性は薄いにしても気楽に読めます。それでいて目頭が熱くなる。ヒロインに対して思いっきり入れ込んでしまいました。期待以上に(というより冗談みたいな設定で期待してなかった割に)面白かったです。まさかこの拉麺男みたいなタイトルの小説にハマるとは……とにかく続編も確保しないと。


2005-10-05.

『刃鳴散らす』のセーブ集をつくって気に入った場面を繰り返し再プレーしている焼津です、こんばんは。恬淡としたノリのテキストながらBGMの入るタイミングが「ここぞ」という時を弁えていて絶妙。ちなみに例のミニゲームもクリアしましたけど、特に感想なし。

ホラーサスペンス大賞は、第6回をもちまして終了させていただくことになりました。

 日本推理サスペンス大賞、新潮ミステリー倶楽部賞の流れにあった新人賞でしたが、今回も短命に終わりましたか。長続きしない割に毎度ぽつぽつと良質な作家を輩出している(日本推理サスペンス大賞では乃南アサ、宮部みゆき、高村薫、帚木蓬生、天童荒太。新潮ミステリー倶楽部賞では戸梶圭太、雫井脩介、伊坂幸太郎。ホラーサスペンス大賞では五十嵐貴久)だけに惜しい気はします。

・デニス・レヘインの『愛しき者はすべて去りゆく』読了。

「やつらが地獄で犠牲者の屍に永遠に苦しめられますように」ブルサードが眉を上げ下げした。「アーメンを言ってくれるか、兄弟?」
「アーメン、兄弟」

 “パット&アンジー”シリーズ第4弾。クリントンが大統領時代の夏に別荘へ持っていって読んだとかいう曰くつきの本書、テーマは「幼児誘拐」。この前に読んだ『楽園の眠り』と若干かぶる重い内容で、さすがに気が滅入ってきました。

 生きているのでもない。死んでいるのでもない。ただ消えて、二度と帰ってこない──年間で300人に及ぶ消息不明の子供たち。1997年、その列にひとり、アマンダ・マックリーディが連なった。4歳になる彼女は日曜の夜にベッドに寝かされ、鍵も掛けずに出かけた母親が翌朝起こしにくるまでの間に姿を消した。警察も、マスコミも、地域住民も、揃ってアマンダの行方を掴もうと必死になったが、何一つとして痕跡は見当たらなかった。目撃者なし。遺留品なし。失踪から三日が経過し、何かしらの事故や犯罪に巻き込まれた可能性が強まっていくなか、鐘楼にオフィスを構える私立探偵のパトリックとアンジーは幼女の伯父夫妻から捜査を依頼される。血眼で捜し回る数百人もの人々の輪に今更自分たちが加わったところでできることなんて何もない。金と時間の無駄だからと、依頼を取り下げるよう説得するふたり。だが、娘の安否を気にする素振りも見せない母親・ヘリーンと違って神経質なまでに心配する伯母・ベアトリスの懇願に負けて捜査を始めることになった。少しずつ見つかってくる手掛かり。しかしアマンダは、果たして生きているのか、それとも……。

 失踪人捜し。ネタでは『スコッチに涙を託して』『穢れしものに祝福を』と、これまでの作品と共通しています。けれど当の本人が4歳児とあっては、「失踪」の性質は否応なく変わる。自分の意思で家を出て移動し、そのままどこかに隠れ潜んでいる可能性は著しく乏しい。三日も経てば生存率も低くなってくる。「金と時間の無駄」という理由よりも、無惨な死体となった幼女を発見し、そのおぞましい経緯を詳しく知るのが嫌だからこそ依頼を断りたかったパット&アンジーですが、やはり放っておけなくて愉快ならざる仕事に手をつけるわけです。

 アマンダの生死がなかなかはっきりせず、「死んでいる」と諦めかけていたところに「生きているかも」と縋りつきたくなる情報が寄せられては、「いやでもやっぱり……」と悲観を強いる現実が足音を立ててくる。生死不明の状況がもどかしいという意味ではサスペンスに満ちたストーリー。けれど、話の焦点が「アマンダの生死」に絞られているせいで筋にぶれがなく、シンプルながら謎が謎を呼び混乱が混乱を生んだ前作『穢れしものに祝福を』に比較すると真っ直ぐすぎる。率直に言って、ミステリ的な仕掛けが弱まっている印象を受けました。手口がバレバレってほどではないにしても、だいぶ読みやすくなってしまっているような。反面、そのおかげで話の輪郭線がくっきり明瞭になっておりテーマに集中しやすい環境が整っているとも言えるので、物語として充分に楽しめたことは確かです。

 主人公たちが傍観者に徹しきることはできず、思想や信念の根幹を揺さぶられながらハード極まりないアクションをこなしていく展開は泥臭く、「ハードボイルド」という言葉に喚起されるスマートなイメージは皆無。代わりに銃を向け合うシリアスなシーンで「ジョン・ウーは大嫌いだ」「情感に裏打ちされていないサム・ペキンパーの焼き直しじゃないか」と嘯くなど、変にとぼけたところがあります。当方がシリーズに慣れたせいもあるのか、重苦しい内容であるにも関わらず居心地の良さを感じてしまいました。

 進めば進むほど苦い味わいが濃くなっていくこのシリーズ、それでも続きが気になってやまない。次の『雨に祈りを』が読み終わったら早川の方から出ている「ルヘイン」名義の単発作品も手につけてみようと思います。


2005-10-03.

『センゴク』を読んでいる最中に「Pia殺し間へようこそ!!」というエロゲーを夢想してしまった焼津です、こんばんは。特にオチはありません。

『魔人学園』『魔闘学園』、両方読み終えました。設定では『魔人学園』の方が面白そうでしたけど、実際読んでみると『魔闘学園』が好みに合致した次第。高校生たちが揃ってガチでやり合う気ムンムンの前半が個人的寵愛作『Kの流儀』みたいなノリだったので。

 思えば格闘小説を読んで初めて「面白い」と思ったのが『Kの流儀』でしたから、「体育のバスケ試合中に単対多でクラスメイトたちを半殺し」ってビジョンが当方の趣味における一つの原点であり、ああいう殺伐とした学園バイオレンスに内心飢えていたのかもしれません。逢川総二シリーズの新作、出ないかな……。

・拍手レスります。

 蝿声の王は何を狙っているといったらゲームブックなのだと思いますよ。
 ただボリューム的・内容的に本当のゲームブックにするには向かない要素が多いのでデジタル化した面が
 あるのではないかと。熱狂的なゲームブックファンは数多いですし、大半が現役のオタクですしね。年代的に。

 「ゲームブック」を本当のゲームでやるのが本末転倒だと思ってしまいましたけど、むしろそこはニヤリとすべきトコでしたか。(←GBはファミコン探偵団の一冊しかやってない人)

 アナゴさんカッコ良いよアナゴさん。デモベSSも期待してますー
 デモベSS……ハッ!?(書きかけのテキストファイルを発見して愕然)

 『架空積みゲー』っていう表現、なんかいいな(*´ヮ`)
 心を無理矢理豊かにするテクニックです(´ー`)

 いたいけすぎて、思わずクリックw
 

 殺し愛・・、やっぱAmbivalenZだなぁ。『殺×愛0』読んでみよ
 当方は『月姫』→『不夜城』→『Phantom』のコンボで覚醒したクチ。

 群嬢の空を越えて
 GONZOの空を越えて

 痛い系なボタン
 へ、へーき。

 菊地作品で人妻属性の会得ですか!?
 菊地=人妻……OK、刻みました。


2005-10-01.

・前々回の更新で「今年中に間に合うんでしょうか……」と心の奥底から湧き上がる女々しいボヤキズムに身を任せてふっつりボヤいてしまった『あやかしびと』のお返しCD「あやかし盤」、今月の中旬に発送とのことで、当方のタイピングによってこぼれたボヤきはタイムリーというより「あとちょっとで発表だというのに待てなかったのかッ」と罵倒されかねない勢いで早漏精神を晒してしまう結果になってしまい不覚に候。とりあえず座して反省しながら菊地作品を読み耽っております。この人の作品も結構改行が多いんですね。夢枕獏だけの特徴じゃなかったのか。

 propellerの次回作は荒川工がメインになるみたいなので弩が付くほど期待。

『ネコソギラジカル(下)』、11/08発売予定

 下巻だけ1年遅れてようやく作中時間と一致。なんだか待っていた時間がとても長く感じられます。ともあれ購入予定に追加っと。

・我が赴くは刃街魔境。

 というわけでニトロプラスの新作『刃鳴散らす』プレー開始。

 そして終了。

 分量はざっと『沙耶の唄』の倍程度。『鬼哭街』に声が付いたらこれくらいの長さになるかな、ってくらいです。コストパフォーマンス面で見ればまあまあ。物語の焦点が「反・復讐譚」、つまり「復讐心に衝き動かされて追ってくる剣鬼を、己が剣技で迎え撃つ」というポイントに絞られていて、多少遊びの要素があるにしてもぶれを生じさせることなくテーマを完遂しています。彼も鬼なら我も鬼。甘さをぶっこ抜けた剣戟モノとして楽しむには充分な出来に仕上がっていて堪能しました。剣術薀蓄もやたら濃厚に垂れ流されていてスキモノにはたまらない。

 とはいえ、「極度の銃規制の反動で刀剣による暴力が横行している廃都」なる魅力的な設定を孕んだ世界がほんのチラッとだけ、主人公たちに関する一端しか明かされなかったのはやはり物足りないと言うか勿体ない。もっとスケールが拡大して波乱万丈な展開へ雪崩れ込んでほしかった、っていう欲望が燻ります。あと正規ルート以外、本筋の枝に当たる派生ルートはどれもいい加減というか、至極やる気の感じられない代物で、むしろなかった方がシンプルで良かったのではないかと思いました。一バッドエンドスキーとして不満。まあ、それから、ネタバレになるので書けませんが、やった人なら分かる言わずもがなのアレ。さすがに顎( ゚Д゚)カクーンでした。ギャグ的にも斜め上で正否の判断をいたしかねます。本編の、シリアスとの境界が不鮮明なギャグの挿入は悪くなかったんですが、それにしてもアレは……「原作レイプ」という言い回しを温床に「自作レイプ」なる造語まで思い浮かぶ始末。

 シチュエーションの組み方にはゾクゾクする瞬間もあって最高でした。時間が引き延ばされるような感覚でもって綴られる殺し合い描写は絶品なり。あらゆるものを踏み越えて浪漫もへったくれもない境地に辿り着いたからこそ覗くことのできる何か。それを見極めれば本作は『鬼哭街』を超えたと評しても過言ではない。あくまで、一点突破的に。剣閃の嵐と屍山血河を静かに漕ぎ渡る筆致はほぼ期待通り。コメントしにくい部分もあるにせよ、刀まみれのエロゲーとしては『二重影』以来の傑作です。18禁フィールドでチャンバラ劇の面白さを追求するってのもどうかとは思いますけどね。18禁の割には血飛沫くらいで、グロシーンが軒並みカットされていたのも不思議と言えば不思議。

 ちなみに当方の好きなキャラは三島由紀夫もどきのあのお方。本筋に絡むキャラじゃないんですけど、本筋に絡むキャラってなんかいろんな意味で身も蓋もない連中ばっかでこちらの好意が付け入る隙もありませんから。あとは蕎麦屋の娘とかが気に入りました。

・今月の予定。

(本)

 『ポケロり1』/竹井10日(角川書店)
 『クロサギ(7)』/黒丸、夏原武(小学館)
 『駿河城御前試合[新装版]』/南條範夫(徳間書店)
 『ブルースカイ』/桜庭一樹(早川書房)
 『世界の中心、針山さん』/成田良悟(メディアワークス)
 『空ノ鐘の響く惑星で8』/渡瀬草一郎(メディアワークス)
 『ある日、爆弾がおちてきて』/古橋秀之(メディアワークス)
 『七月の祝祭』/石持浅海(光文社)
 『いばらの王(6)』/岩原裕二(エンターブレイン)
 『ピルグリム・イェーガー(5)』/伊藤真美、冲方丁(少年画報社)
 『ホーリーランド(11)』/森恒二(白泉社)
 『魔王』/伊坂幸太郎(講談社)

 他にも注目している作品はありますが、買いたいのはこれくらい。ポケロりは『秋桜の空に』の竹井10日によるオリジナル小説、ここ最近は新作を出してないせいもあって「CDドラマ作家」と揶揄されてる竹井ですけど彼のギャグセンスはモノホンなので不絶の期待。クロサギは「詐欺師を騙す詐欺師」という設定に惚れたマンガ、設定に惚れているので1巻しか読んでないのに買い続けてます。駿河城はこのサイトを閲覧されている方々には恐らく言わずとも知れる『シグルイ』の原作小説。装丁が山口絵になったりするんだろうか。ブルースカイは桜庭の書き下ろし。ちなみに『少女には向かない職業』はまだ買ってません。針山さんは短編集らしい。ある日、爆弾〜も。空鐘はもう12月に9巻の予定が入っていてプチラッシュ状態。おかげでまだ発売されていない8巻の後に来る内容が9巻のあらすじでバラされる間抜けな事態に。

 『七月の祝祭』はシンプルかつストイック、それでいてヒネリの利いた本格を得意とする石持浅海の新作。地味に期待しとります。いばらの王はそろそろ完結だろうか。まとめて一気に読める日を心待ちにしている。ピルイエといえば原作者の冲方丁、今年小説の新作はファフナーしか出していませんけど、予定の方はどうなってるんでしょうか。『ばいばい、アース』の文庫化とか。ホリランは結局ドラマを見ないままでしたが気にしません。『魔王』、伊坂幸太郎の新作だから一応押さえておこうかな、と。熱烈にハマっているわけじゃないんですが、なんかこう、ヌルーくツボに入ってるんですよね。

(ゲーム)

 『Fate/hollow ataraxia』(TYPE-MOON)
 『アヤカシ−AYAKASHI−』(CROSSNET)

 延期がなければこの2本で確定。ホロウはファンディスクだし、アヤカシは以前検討していたものが延期でここに来ただけだし、これといって語ることなし。どちらかないし両方が逃げた暁には『FESTA!!』『チュートリアルサマー』を検討する算段です。この2つは直感的に「なんか良さそう」と思っただけで、何の自信にも裏打ちされていませんから体験版でもやって判断を下したいところ。


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