2004年9月分


・本
 『綺譚集』/津原泰水(集英社)
 『幽霊には微笑を、生者には花束を』/飛田甲(エンターブレイン)
 『夜のピクニック』/恩田陸(新潮社)
 『デスノート(3)』/小畑健、大場つぐみ(集英社)
 『神様家族5』/桑島由一(メディアファクトリー)
 『呪禁官』/牧野修(祥伝社)
 『とある魔術の禁書目録3』/鎌池和馬(メディアワークス)
 『審判の日』/山本弘(角川書店)
 『グラスホッパー』/伊坂幸太郎(角川書店)
 『隣り合わせの灰と青春』/ベニー松山(集英社)

・ゲーム
 『ゆきうた』(雪那シナリオ)(Frontwing)
 『ゆきうた』(摩尋シナリオ)(Frontwing)
 『ゆきうた』(由紀シナリオ)(Frontwing)


2004-09-29.

『苺ましまろ』のアナを見るたび、名前から『そして、楽園はあまりに永く』のアナピアを思い出して部屋の片隅にうずくまりたくなる焼津です、こんばんは。アナたんの萌え度はかなりのレベルですが、何しろアナピアたんのインパクトは「かなり」どころじゃないゆえに。

・ヴェドゴニアスレで「聖者の絶叫 (エリ=エリ=レマ=サバタクニ)って魔女っ子の呪文みたいなところがいい。」という書き込みを発見。言われてみれば確かに。ロリ声で言われたらあんまり違和感を覚えないかも。ところで「サバタクニ」と「サバクタニ」ってどっちが正しいんですっけ。たまに混同します。鯖好きの当方としては「鯖多國」と当てられる前者もイイですが「裁く峪」と読める後者も捨てがたい。

『Answer Dead』

 『ときどきパクッちゃお!』の体験版がやっと終わった(割と長かったです)のでOHP見に行ったら販売元のサイトでこれを発見。絵柄、魔窟と化した学園、ソロモン王の二魂、魔銃……少なくともデコレーション部分に関してはツボ。ただストーリーとライターのテキストセンスに関しては予断を許さないところですか。とりあえずチェック、と。

 それはそれとして『ときパク』、なかなか軽妙なコメディでよござんした。キャッツアイを引っくり返したような設定自体にはさほど新味がありませんけど、絵の持ち味や声優の演技力を殺さない堅実なテキストは好感触。部分的にどうこうというより、全体的な雰囲気がプレーしていて楽しい。ただネックはエロいシーンへの導入が強引なところですか……そもそもエロの必然性が低いストーリーだし、そっち方面には期待しないでおくべきかもしれず。何はともあれミユきゅん(*´Д`)ハァハァ

・ベニー松山の『隣り合わせの灰と青春』読了。

 「ウィザードリィ」と名の付くゲームを一つとしてやっていなくても、ライトノベルを読み続けていれば「ベニー松山」の名前は何度か耳にします。割と最近に復刊された『風よ。龍に届いているか』も結構話題になりましたし。ただ著者の作品はそれほど多くはないようで、ウィザードリィ関連や『バスタード』といったノベライズを除くと、オリジナルは『司星者セイン』くらいしか見当たらない。同シリーズも2巻で止まったままです。寡作なんでしょうか。

 で、この『隣り合わせの灰と青春』は著者の小説デビュー作に当たる模様。古本屋をぶらぶらしていたときに集英社スーパーファンタジー文庫版を発見し、即購入しました。基本的にノベライズ作品への関心はあまりないんですが、ベニー松山については一度くらい体験しておきたかったので確保しておいた次第。

 ストーリーは冒険者たちが集う街と、モンスターがうようよ徘徊しているダンジョンを主要の舞台として進行していきます。「壁と同化する」というネタはよく聞いていてのでダンジョン探索がメインになることは予想していましたけど、読んでみて「『されど罪人は竜と踊る』はWIZの影響を明確かつ濃厚に反映している」という意見に納得。と言いますか、現代におけるファンタジーの多くにWIZの息遣いが感じ取れますね。読めば読むほど「なるほど」と膝を打ちたくなる。今更こんなことに感銘を覚える人間は当方くらいかもしれません。

 話自体は終盤がどうにも急展開で御都合めいて見えてしまうものの、そこに至るまでは抑制の利いた筆致で綴られる弛みのない文章が目に楽しい。魔術や剣戟の飛び交う戦闘シーンも絵にするとビジュアル的な効果のせいで却って見落とされてしまうロジックが丹念に織り込まれていて飽きさせない。テンポも良く、読み手の興味を惹く力は充分。「今読んでもまったく遜色がない」とまでは書けませんが、それでも十数年前の作品にしてはかなり劣化が少ないものと見受けられます。これは是非とも風龍の方も読んでおかないと。


2004-09-27.

『神樹の館』購入。ついでに安かったので『そらうた』もゲット。そして両方ともやる暇がなかったというナイスなオチ。どこがナイスだー、コンコンチキー。土日くらいはのんびりさせてください。

法月綸太郎の『生首に聞いてみろ』、発売迫る

 『ノーカット版 密閉教室』『法月綸太郎の功績』から数えても2年、本格的な長編新作としては『二の悲劇』以来なので実に10年ぶり。綾辻の暗黒館も随分と待たされましたが、これもこれで長いこと「まだか、まだか」と言い続けていた1冊。今年は麻耶雄嵩の新刊が2冊も(1冊は短編集でしたが)出ましたし、京極夏彦・森博嗣といったメフィスト賞作家が登場する以前に新本格へハマった人たち(当方含む)にとってはなかなか嬉しい年なのではないかと。

・あと個人的に気に入っている作品『水の時計』の作者、初野晴が新作を出す予定だとか。『漆黒の王子』。サイトでは「発売日未定」となっていますが、某所にすれば10月末か11月初めくらいには発売されるとのこと。こっちも2年半ぶりなので結構待たされましたね。とりあえずデビュー作1冊こっきりの「消えた作家」にならなくてホッとしています。内容にも期待。

・ところで「不味い」と思いつつ食べたくなるものがあります。当方は幼い頃ビーフシチューに入っているひよこ豆が嫌いで「不味い」と思いながらも残すと叱られるので我慢して食べていました。今でも食べていて改めて「美味しくない」と実感するわけですが、当方の内部には「ビーフシチューにはひよこ豆」という認識が成立しており、不味いからといって入ってないとなんだか物足らなくなります。心のどこかではひよこ豆の不味さを期待してビーフシチューを頼んでる節があって、こういうのはある種の呪縛みたいなものだなぁ、と思ったり。同様にパセリも好きじゃないのに添えられていたらついつい口にする。ないならないで別にいいんですが、皿とかに絵だけ描いて「どうせ食べないんでしょ」という態度で来られると「出せよ! いいから出せよ!」とテーブルをガタガタ揺らしたくなったり。

 チキンラーメンやカップヌードルも今の嗜好からすればとても素直に「美味い」とは言えないんですが、それでもときどき食べたくなる。子供の頃に美味しいと思った原体験があるからではなく、やはり子供のときにも「微妙に不味い」と感じていたわけで。なのに食べてみれば「美味しくない」テイストが無性に楽しいんです。「食べたくなる不味さ」っていうのはいったいなんなんでしょう。

 ストレスや不快感というものも極端に少ないと却って生活のハリがなくなるって見方もありますけど、こういう心の働きを感じるたびにふと「俺には惨劇が必要なんだ」の一文が頭をよぎります。梶井基次郎の「桜の樹の下には」です。ハーレムだ何だという展開よりも「寝取られ」だとか「修羅場」だとか「殺し愛」に惹かれる気持ちがあるのは当方にそうした惨劇の希求、「不味さ」への愛着と似た何かが根差しているんだろうなぁ。


2004-09-25.

・夕食がいまだ胃にもたれている焼津です、こんばんは。おのれトムヤムクン。

 関係ないですけど『魁!!クロマティ高校』は沿革と校歌を読むだけで笑えますね。というか最近になってクロマティ読み出した当方は相当遅れてますか?

・漆原友紀の『フィラメント』少女病『Fake/ever since』を購入。前者は『蟲師』で人気のあるマンガ家の初期短編集。元は別名義で出していたそうです。来月に『蟲師』の新刊も出るそうですからイイ繋ぎになるかと。後者は同人ソフト。「Fate同人はこれだけでもやっとけ」と強く勧められて買いました。

・で、『ネコソギラジカル』は未だに発売日が決まらないんですか……講談社、「下旬には出す」と言っているそうですが。なんだか、りすかの時よりもひどくなっているような。

「ジンガイマキョウ」移転

 リンク張り直しました。オパーイバンザイ。

 それにしてもジオシティーのシステムが変更ですか。ちょっと面倒臭そうですけど、うちはこのままでいきます。一応旧アドレスも使えるみたいなのでしばらくはURLも変更しないでおこうかと。

・伊坂幸太郎の『グラスホッパー』読了。

 著者の最新長編。『重力ピエロ』でブレイクして以来、いろいろと注目を集めているみたいです。彼の作品には「警備をもっとしっかりしろ」という意味合いのメッセージを残していく泥棒とか、人質たちを相手に講演めいた話を一席ぶつ銀行強盗とか、本屋を襲撃する男とか、なんかトボけた感じの悪党が登場することが多く、「犯罪者=陰湿」というイメージを否定するような飄々とした陽気さでストーリーを進めていくのが一つの特徴となっています。かといって明るいだけではなく、人間の「悪意」がキチンと絡んできて緊張感や盛り上がりができる仕様になっており、それが却って掴み所のない印象を生んでいる。何とも言いがたいバランスの上に成立するオフビートな世界。読む人によって「どこが面白いのか分からない」「稚拙なだけに見える」という感想が出てくることも頷けてしまう。

 本作は押し屋、自殺屋、殺し屋、拷問屋など裏の「業界」で暗躍している連中を「鈴木」「鯨」「蝉」の三視点から描いていく形式となっています。「鈴木」はこれといって特徴のない男、「鯨」は大柄な男、「蝉」はよく喋る男と、実にイメージが一致させやすい。また役割に関しては「押し屋」が交差点や駅のホームで人の背中を押して車や電車に轢かせ事故死に見せかける者、「自殺屋」が催眠術級の邪眼で対象となる人間を鬱状態に追い込んで自殺を強要させる者で、「殺し屋」と「拷問屋」はそのまんま。殺したり拷問したりする者です。泥棒や銀行強盗よりも殺伐としていますが、伊坂作品だけあって相変わらず陽気というかトボけている。「『女子供は殺さない』なんて、そんなの差別だ」と憤慨する殺し屋など、非道なくせにイイ味出してしまっています。

 裏の「業界」にスポットライトが当たると言っても、通常のクライム・ノヴェルにおける裏社会モノとは雰囲気を異にします。むしろライトノベルのノリに近い。向かい合うだけで相手を「死にたい気分」に追いやる──これはもはや能力者バトルの領域でしょう。読んでいて西尾維新や成田良悟を彷彿としました。生々しさをウリにしているのではなく、ファンタジーと割り切った話ですね。悪党幻想。ファンタジーだからこそ、煩わしい「リアリティ」を囚われず物語のリリカルな本質へ切り込んでいくことができる。間の抜けたところが、変に切ない。

 終盤の展開が「張っていた伏線を拾う」というよりやや強引に畳んでいるように見え、小技が利いているにも関わらずどこか腑に落ちないものを感じます。オチもスッキリしませんし、「傑作」と持ち上げるのは躊躇われる。でも、好きか嫌いかで言えば好き。伊坂作品としては二、三番目くらいに挙げたいくらい。殺し屋の「蝉」が魅力的なんですよ……いっそ彼を主人公に固定してほしかった。「伊坂の新しい切り口」といった趣の一冊なので、伊坂未体験の人はこれよりも先に過去作をいくつか読んでから着手した方が面白いかと。いきなりグラホから、というのもそれはそれで一興ですが。


2004-09-23.

・甥っ子がしきりにアコムのCMソングを口ずさんでいましたが、どうしても「はじめてのアコム」が「はじめての悪夢」としか聞こえなかった焼津です、こんばんは。意図的だとすれば2歳半のくせして消費者金融の本質を直観しているのか。なんて末恐ろしくない子。

「魔法少女忌譚修」に投稿した分はまずまず好感触に迎え入れられたようで、「腹を召せ」と言われることもなくホッとひと息延命気分。戦犯扱いは免れました。4人目の書き手さんも決まって企画的にも好調みたいですし、単純に読み手としても今後の展開を期待したいところ。

『Clover Heart's』のアペンド・ディスクが出るみたいです。発売時期等の詳細は分かりませんが、現時点で既にクロハ発売から10ヶ月……この手のFDにしては待たされた方でしょうか? FDはあんまり買わないからよく分かりません。

 クロハ、話のラストはともかくバカップルゲーとしては満悦すべき一本でした。なのでこっちの方も期待しておこう。なるべく他の注目タイトルとぶつからないで欲しいですけれど。

『処女はお姉さまに恋してる』WEBページ本公開

 こ、こいつが♂かよ……!

 今体験版をやっている『ときどきパクッちゃお!』に引き続きまたもや騙されました。(*´Д`)ハァハァ→_l ̄l○のコンボ、再度炸裂。易々とハメられすぎです。まったくもって救えぬ。仏も匙を投げ出す度し難さ。あの多くの魂が萌え散った(そして一部転生した)ブリジットの変から何一つ学んでいなかったのか。もはや「我輩はカモである」と謳っているも同然です。チキショウ、あの胸は詰め物なのか。シリコンなのか。ホルモン注射なのか。

 それはそれとして、「女装」と「お姉様」が大好きな当方としては回避不可能。_l ̄l○→(*´Д`)ハァハァの逆コンボを決めちゃいました。突っ込むより他に道がありません。思えば遠い属性まで来たものだ。女装美少年……いいじゃない、ガツンガツン突き進みましょう。背後は振り返らずに。いえ、別に真人間に戻りたくないってわけじゃないです。でも地図がないんですよ、今更引き返すための地図が。

 ちなみに「本人は自分が情けないと思っている」というところも当方の理想。嫌々やっているうのに「女の子のフリ」が板についてくる葛藤──思春期に差し掛かってのジェンダー・パニックは題材として考えるだに美味しい。女装は一種のファンタジーなんですから、「不本意なくらい似合う」なんて幻想の極みで最高じゃないですか。発売は来年。首を長くして待ちます。


2004-09-21.

・値引き札を目にすると購買意欲が増す焼津です、こんばんは。値引きされていると品質に強い不安感を抱くとかで値引き札を嫌う人は当方の周りにもいますが、当方自身はむしろ「よっしゃ」と意気込んで買い物籠にポイポイ放るタイプ。普段買わないものでも勢いに任せて買ってしまいます。褐色皮のモラードバナナも値引きされて100円弱なので買ってみましたが割と美味しい。うちの母が極度の値引きスキーで「ああはなりたくないな」と思っていましたが見事にその血を受け継いだ模様。

・秋葉原のメロンブックスで『CARNIVAL』をゲット。メロブだけに商業ソフトの『Carnival』じゃなく同人ソフトの方です。「笑わない人の生活」の竹田氏がシナリオを手掛けているってことで、これ目当てにメロブ寄ったんですが……なんか一般向けの二つ目の棚の最下段の端にあってメッチャ見つけ辛かったです。死角に潜むとは味な真似を。

 ところでサークル名はついさっきまで「GENOCIDEKIDS」と読み間違えていました……orz。正しくは「GENOCIDEKISS」。

魔法少女忌譚修

 こちらの企画に参加しました。第03話の「撃発」を投稿しています。「お前、ネットでの付き合いが狭いな」と面と向かって言われ自らもそれを認めるところなだけに、こうしてリレー小説の書き手を担っている状況は自分自身でびっくり。想像もしてないようなことってあっさり起きてしまうんですねぇ。

 「魔法少女」をテーマにしたこの企画、現在4人目の執筆者を募集中とのことです。うちのサイトを閲覧されていて「参加してみてもいいかも」という方はこちらを参考に高昂さんへご連絡をー。と宣伝もしておきます。当方、「魔法少女」というネタが好きなだけにいろんな方の切り口が見てみたいんです、実際。設定とかもある程度はフレキシブルにできるようですんで、興味を持った方は是非に。

 あ、高昂さんのサイト「ふぁいあぼーる」にもリンクしました。随分前にリンク報告をいただいてたのに、ずっと忘れていてすみません。

・山本弘の『審判の日』読了。

 短編集。5編のうち4編が書き下ろし。残り1編も今年のS-Fマガジンに掲載された分ですし、ほとんど新作と言っていいかと。内容はSF主体で、トンデモ要素やホラー性も入っています。当方たち(あえて閲覧者のみなさんも巻き込む)みたいにフィクションへ耽溺した経験がある者ならば一度くらいは抱いたことがあると思われる不安を取り扱った話が多い。不安といっても「自分が突然事故に巻き込まれるかもしれない」とかいったある程度現実性のある類のものではなく、それこそ「この世界は誰かが見ている夢で、もうすぐその『誰か』が目を覚ましてしまうんじゃないか」とかいうような、バカらしいけれど否定しにくい、所謂「杞憂」に属する不安です。

 SF要素のない「屋上にいるもの」でさえ、当方たち(あえて閲ry)が「屋上」に対して募らせる杞憂が話の一部を支えています。貯水タンクの中には……とか、そんな感じの都市伝説を耳にして「バカバカしい」と思いつつも変に生々しい不安を覚えたりすること、ありませんか? この本はそうした杞憂テイストにまみれており、「鼻で笑いたいが効果的な反証が思い浮かばない」トンデモ感覚に身を委ねることとなります。理論も理性も妄想には勝てない面がある。

 『神は沈黙せず』は原稿用紙にして1300枚と非常に分量が膨大でしたが、本書は文庫にしても300ページくらいだと思いますし、比べれば短い。その分目が通しやすく、また一編一編の完結性が高いおかげもあってのんびり読める。短編集は手が出しやすい代わりに統一性を感じにくいせいか、「知らない作家の場合は選ぶ気が起きない」といった状況がときたま生まれます。表題作や収録作の一つが面白そうでも、「あとは関係ない話ばかり」と思えばなんだか無駄が多いようでそそられないと言いますか。この作品集もそれぞれが独立したストーリーとなっていて関連性はありませんけど、しつこく述べた通り「杞憂」というポイントで共通しています。『神は沈黙せず』も言わば「杞憂が杞憂に終わらなかった」という壮絶な話であり、興味を感じつつもあの分厚さに腰が引けてスルーしていた方はこちらから入っていくのも一つの手かと。

 個人的に一番気に入ったのは「屋上にいるもの」。リアリティがあるってわけじゃないんですが、やっぱり「変に生々しい」んですよね。次点は「闇が落ちる前に、もう一度」。短いながらこちらの関心を惹く流れが巧い。逆にもっとも感銘を受けなかった編は「夜の顔」。ネタの発想自体はともかく、イメージとしてのインパクトがいまひとつ弱くてハマれず。導入は良かった。


2004-09-19.

・ちょっと今日は省エネで。別の作業に没頭していますのでどうかご容赦を。

・息抜きに『School Rumble』新刊を読み読み。沢近よろし。

DANCOの新作『純』

 どこをどう間違っても普通の学園モノにはなりえませんよ、これ。学園に語り継がれる伝説「幸福の黄色いパンツ」だの、地蔵の首が人間の生首とすげ替えられていた!!だの、「世界樹」が学園の裏山のてっぺんにある巨木だの。ジャンルは「推理アドベンチャーゲーム」らしいです。一応注目しておこうかと。


2004-09-17.

・カップヌードルCMの「ノーボーダー」が「ノーバーガー」に聞こえる焼津です、こんばんは。「マク○ナ○ドよりこっち食えよ」と誘っているのかと。

XUSEの新作『バルバロイ』、ページ公開

 タイトルからして夷狄討伐のSLGかと思っていましたが、どうも現代を舞台にした凌辱モノみたいですね。それはそうと『最果てのイマ』の発売がいつの間にか2005年に延びてるんですが。やっぱり今年は出ないのか……。

『ゆきうた』、プレー中。

 由紀シナリオクリア。すげぇ当方好みなストーリーでびっくり。雪那シナリオ、摩尋シナリオの内容から察するにてっきりアレな筋立てだと……いえ、確かにこれも「アレ」という謗りは免れない代物かもしれませんが、予想外にツボにハマってしまいました。「奇跡のモミの木」という今まで絡め方が弱かった設定もメインで活かされているし、タイトルの『ゆきうた』が初めて効力を発揮するラストになっている。雪那、摩尋、菜乃あたりが主要ヒロインと思ってましたが、実は由紀が裏のメインヒロインだったのか。

 目の不自由な少女との恋愛という、もはや古となりつつある『ONE』の川名みさき先輩を思い起こさせるシナリオ。ラブストーリーでは結構定番(『星の金貨』とか)みたいですが、エロゲーでは割と少ないですね。パッと思い浮かぶのは『腐り姫』の芳野さんと『水月』の那波。『うたわれるもの』のユズハはサブ扱いで、『Ricotte』のトゥーシーさんはシナリオがありませんでした。で、『ゆきうた』の今井由紀。白い杖をついて危なっかしく歩いてるんですが、最初は主人公が「手を貸そう」と提案しても「触ってんじゃねぇよカスが」と言わんばかりに突っぱねる関係から始まります。取り付く島もない。しかし、経過に合わせてそのツンケンした態度が次第に軟化してデレデレになっていくのが美味しい。容姿自体が幼いうえ口調が「〜もん」なので年下と思いきや、意外に同い年。「年下っぽい同い年の子」にツンケンされるという時点で当方の(*´Д`)ハァハァは既にノンストップ。いざデレデレの恋人関係に突入するとブレーキが壊れるくらい萌えます。ぶっちゃけエロ可愛い。序盤とのギャップがある分、一層激しく。

 ストーリーの肝となってくるのが「目の手術」で、この成否が主人公の選択に委ねられるという構造になっています。かなりどんよりとした展開。率直な感想の一つとして「片目だけにしておけよ」と思わないでもなかったですが、匙加減が難しい自己犠牲系のシナリオとしては愛惜と憐憫のバランスが程好く、当方の琴線をブッチギリ。このゲームでは初めて話にのめり込めました。あとは女教師とイカレシスターのみ。


2004-09-15.

・分厚い本を見るとオートマチックに興奮する焼津です、こんばんは。分厚いことはイイことだ。京極作品とか、手で持ちながら読んでいると親指がもげそうになるけど、それでも素晴らしい。広辞苑はもちろん、図鑑とか辞典とか全集とか、中身は読まないにしてもそっと分厚さを確認するだけで満足してしまいます。変態ですね。でも巨乳とどっちが好きか訊かれたら「巨乳」と答えてしまうかもしれません。心の弱い変態です。

 ところで「きょにゅう」と打てば真っ先に「虚乳」と出すうちの辞書はペドコンドリアにでも寄生されましたか?

『ゆきうた』、プレー中。

 摩尋シナリオをクリア。「血が黒い。肝臓を撃たれたか」てなふうな文章が本気で出てくる学園エロゲーは初めてです。それと吉岡さんは登場時のインパクト強すぎ。というかごめん、吉岡さん好き、摩尋よりも。終盤の二回しか出番のないキャラなのに、摩尋シナリオでは一番目立ってます。時折鼻を啜り上げるあたり、いかにも粘膜をヤラレてる感じでステキ。

 ストーリーがなんとも言えないというかむしろツッコミ待ちにも思えるこの『ゆきうた』、客観的に見ればいろいろアンバランスな作品なのでしょうが、好きか嫌いかで言えば好きです。現在は由紀を攻略中。こっちは至って王道的なストーリーを歩んでいますが、これまでの流れから察するにラストの展開がアレなんだろうなぁ……むしろ楽しみになってきました。

ソフトハウスキャラが新作を発表! 今度は無人島脱出SLG!!

 お、これは楽しみ。『南国ドミニオン』という微妙に締まりのないタイトルもいかにもソフキャラっぽいですね。メイドが特にイイ感じ。『無人島物語』はやったことないですが、この手の「孤島からの脱出」系統の話は好み。水、食料、居住、排泄、娯楽といった生活の問題から、島内の探索や脱出方法、諍いの仲裁など、極小の集団社会に活かせるネタがたっぷり。面白いゲームシステムが組み上がることを期待します。

 ところで6月末に発売された『巣作りドラゴン』は息の長い売れ行きを見せ、遂に2万本を越したとか。ソフキャラも人気ブランドへの仲間入りを果たしましたか。

・鎌池和馬の『とある魔術の禁書目録3』読了。

 1巻でチョイ役として登場し、2巻ではまったく出番のなかったビリビリたんこと御坂美琴にようやくスポットライトが当たります。大出世。そして今度は1巻のヒロインだったインデックスがチョイ役と化す始末。排莢しないと次弾が装填できない薬室みたいなシステムですね。んで、位置付けとしてはこれ、番外編になるのかな? まあ、そんなことを書けば2巻も2巻で番外編的内容でしたけども。というかこのシリーズ、「本編」と呼ぶべきものは存在しているんでしょうか?

 詳しい感想は省きますが、個人的には割と良かったように思います。前半は日常的な遣り取りとか、本筋に関係ない描写がひどく間延びしていてダレましたけど、後半に入ってからはキチンと盛り上がって楽しませてくれた。ビリビリたんとの絡み(エロい意味じゃなく)はイイのに、他のキャラがうまく活用されていない点など、構成の甘さがいろいろ目に付きますが。んー、良くも悪くも密度の薄い内容です。「密度の薄さ」が却って特殊なシチュエーションを際立たせるというフェイク感覚が面白い分、決して悪くはないけれど、空転も多いから手放しでは誉められません。ビリビリたんの心理や、敵方の能力についてもあれこれ疑問が残りますし。

 細かいことを気にしないで大雑把に読める人ならOK、緻密さを求めてじっくり読み込む人には向かない。当方は地味に気に入ってきました。絶賛や布教をする気は起きないけど、今後も買い続けようと思うくらいには好きです。


2004-09-13.

・「初恋=レモンの味&香りなら、失恋=レモン果汁の目潰しだな」。夕食時、潰そうとしたレモンの逆襲に身悶えした焼津です、こんばんは。爽やかな痛みは速やかに洗い流しました。

またもや洗脳度の高い電波ソングが

 (゚∀゚)ラヴィ!!

 地味に、深く、静かに潜行します。タイトルのインパクトすらも凌駕するアレっぷり。繰り返し聞いていると脳の判断機構がおかしくなり、あたかもすげぇ面白そうなゲームを目の前にしている気分になってきます。さすがSEGA。

 ところでニンテンドーDSってなんですか? 調べるまでまったく知りませんでしたが。

・牧野修の『呪禁官』読了。

 カバラもありなら真言密教もありという、和洋東西のオカルトを遠慮なく一つの鍋にぶち込んで調理した伝奇バイオレンス。科学を押しのけてオカルトが発展し出した世界というのは設定として珍しくないが、その「オカルト」を特定の何かに定めないで「何でもあり」にしているところが旨味のひとつ。この手のオカルトパンクといえば古橋秀之の“ケイオス・ヘキサ”3部作を真っ先に連想する当方。そして何せ牧野は「オカルト演歌」なんてネタで短編を書く作家、となればこの作品も“ケイオス・ヘキサ”に負けず劣らずの奇抜さを発揮する……と思いきや、そうでもない。実の話を申せばこれ、「本当に牧野なのか?」と疑いたくなるほど真っ当なストーリーをしています。少年が不屈の意志でもってハードな運命に立ち向かって成長していくなんて、いまどきライトノベルでも稀少な直線的コンセプトだ。いろいろガジェットは多いですが、装飾を剥ぎ取れば後に残るのはジュヴナイルばりの正統派精神。

 舞台となるのは、突如としてオカルトが実効力を帯び始めた世界。オカルトはテクノロジーとしての完成度で言えば科学に劣るものの、この先いくらでも伸ばせそうなポテンシャルを覗かせることで、人々の関心と興味を虜にしていった。結果、科学の役割は「発展」から「維持」へと堕落し、次第に科学者たちの肩身が狭くなり出す。そうした時代の潮流によってアンチ・オカルトの過激派科学者集団が生まれ、「オカルトに理性の鉄槌を!」と叫ばんばかりに暴れる一方、呪力を悪用して世間を混乱に陥れる輩も目立った。「呪的な違法行為を禁じ、取り締まる部局」として呪禁局が設立され、言わばオカルト警察官の位置付けで採用された呪禁官たちがイリーガルの摘発に奮闘を開始。帯刀も帯銃も許されず、ただ素手のみで戦う彼らはまさしくプロフェッショナル。殉職した呪禁官を父に持つ葉車創作は、自らも呪禁官を目指し、養成校での授業と訓練に励んでいた……。

 タイトルの「呪禁」は「呪的な違法行為を禁じる」の意味であって、いわゆる「呪禁道」のことではない。ごく普通に正義感を抱いている少年が、先輩からのイジメに屈辱を噛み締め、仲間との絆を確かめ合いながら一歩ずつ着実に未来へ進んでいく姿は、くどいですが──「本当に牧野なのか?」と驚きを隠せない真っ当さです。なんか、“ケイオス・ヘキサ”を注文したらハリー・ポッターが来たような、先入観と実態のズレをまざまざと感じてしまいました。

 そんなふうに予想とは違った内容でしたが、出来自体は素晴らしい。文句なく一級のエンターテインメントとして仕上がっている伝奇バイオレンスです。まあ、オカルト要素の使い方がとても素直なのは物足りない気分を覚えますけど……“ケイオス・ヘキサ”に炸裂する狂的な古橋節に比べ、こちらは「牧野節」と断言できるほど濃いものがない。読み口をマイルドにした弊害でしょうか。しかし「オカルトに追いやられた科学者の恨み」が副エピソードとして絡んでくるなど、ツボを押さえたつくりて楽しませてくれる。散々「牧野っぽくない」と強調しましたけど、文章そのものはこれまで通りの彼です。

 闇は悪徳と親しい。
 太陽が行方をくらますと同時に、毒々しい看板と猥雑なネオンサインが街を発情させた。声高に話し笑う酔漢たちが、定まらぬ脚で次の目的地へ向かう。懐に相応しい欲望の捌け口を求めてふらつく男たちを、その欲望の形に相応しい女たちが誘う。路上に出て不機嫌な顔で煙草を吸うバーテン。街からの脱出(エクソダス)を試みる小心な学生たち。

 冒頭からこの調子。オカルト云々を脇に置いても読者の興味を惹きつけるには充分なパワーを有しています。これぞ牧野の醍醐味。

 SF方面での評判も高く、既に続編も刊行されています。この調子でうまいことシリーズ化して盛り上げていってほしい。ちなみに本作、文庫版は『呪禁捜査官 訓練生ギア』と改題されています。


2004-09-11.

『暗黒館の殺人』、本当に分厚い。パッと見では塗仏並み。ハードカバー級の価格にも頷けます。さて。なるべく早めに読もうかと思います。少なくとも今年中には……。

『ままらぶ』、キャスト発表

 オヤ……? メインヒロインのサンプルが舌ッ足らずで甘ェな。

 まきいづみかな?

 やったァァァァァ!! 勝ったぞォッ!!(寂海王流ガッツポーズ)

 そのうえシナリオが丸戸史明だもんな。実際にプレーしたら当方はドウなってしまうんだろうかってもんです。想像するだけで怯(こ)え〜。絵柄も割と好みな方であり無問題。

『天使ノ二挺拳銃』、発売延期(10月29日→今冬)

 ニトロプラス、もはや延期についてはアデプト・クラス。

「日本のエロゲー界ではこれを <発売日を延べる> という。優れたメーカーは、新作ソフトを一点から別の一点へと瞬時に移動させる力を持つ。これは道術でいう縮地法という神通力と同じだ」

 今年中に発売されるかどうかも怪しくなってまいりました。延期天使(CRAZY POSTPONEMENT ANGEL)でも憑いてるのかしらん。

『ゆきうた』、プレー中。

 なんか完全に時期を逸していますが、つい気分が乗って始めてしまいました。既に雪那をクリア済。

 冬の季節を舞台にした学園恋愛モノで、義妹がいて悪友じみたクラスメートがいて久々に再会した幼馴染みがいて年上の魅力を発する新任女教師がいて、といった具合にまずまず王道で磐石なラインナップで固められている。言わば「学園恋愛モノ」と表記することで咄嗟に思い浮かぶイメージをそのまんまリアライズさせたような内容。奇抜さはない分、安定した面白みを発揮します。あー、こういうダラダラと平和な日常を送っていく青春ゲー、個人的には大好きです。マジで。一般的な学園恋愛エロゲーを嫌い人はこの手の「ダラダラと平和な日常」が延々何時間も続いていくゲームに拷問級の苦痛を感じるそうですが、当方はやればやるほど心が安らぎ寛いでいきます。正直話のオチとかは結構どうでもいい。当方自身の過去と重なりそうで重ならぬ、「ありもしないノスタルジー」を堪能させてくれればそれで満足。

 んで、真っ先に目を付けたヒロインが雪那。扱いからして彼女がメインヒロインっぽい。10年前の夏の間だけ一緒に遊んだことがあるという、やや縁が薄めの幼馴染み。腰の下まで伸びたストレートの長髪とおとなしそうな顔つきがいかにも「おっとりと穏和なお嬢様」といったムードを形成しています。実際彼女は終始丁寧語を使うお嬢様キャラで、「世間知らず」の技能を当然のものとして修得しており、全編で遺憾なく発揮してみせる。主人公への好感度も初期段階でほぼマックス。おかげで最初のうちからイチャイチャできる仕様となっています。

 しかし、そうした完全なお嬢キャラ……と見せて案に相違し、短気かつ強情なところがあって「お淑やかなお嬢様」と「わがままなお嬢様」の二面性を高く保持している寸法。これが意外と美味しい。最初は主人公の気を引こうという意図もあってわがままを控え健気路線に徹していますが、だんだん主人公との仲が進展してくると遠慮がなくなっていく。ただでさえニブチンなうえふたりの仲を深めることにいまいち乗り気でない主人公は、ひたすら消極的な態度を覗かせる。雪那はすかさず攻めに入ります。健気さを捨てぬまま強気の鎧をまとってガンガン突撃してくるのです。たかだかコーヒーを一杯淹れるの淹れないので「座ってなさい! 私に恥をかかせるのですか!」と叱りつけるにまで至る。こういう態度の変転はツンデレの逆、デレツンに通ずるものがあるかと。今まで「デレツン」なんてツンデレを逆さにしただけの言葉遊びみたいな用語に過ぎず、「萌え」を絡めていくのなんて無理だと思っていましたが、雪那のリアクションを見て「ああ、デレツンもまたアリなのだな」と痛感させられました。別に雪那は「デレツン」の完成型でもなんでもなく、僅かにその片鱗を窺わせめのみでしたが、それでも当方に「デレツンの実在」を信じさせるには充分でした。

 付き合うごとにわがままが増えていく可愛さ──「わがまま」は一種の「甘え」ですが、その「甘え」が防御ではなく鋭く攻めの形をつくる点において胸が高鳴ります。「させてください」から「むしろ、させろ」への変貌。「ツンデレ」の「ツン」はつまり硬い殻であり、他者の干渉を跳ねのける壁でありながら、同時に他者の干渉を受け流し突き進むための鎧でもある。確かに「ツン」は属性にすれば「防御」です。しかし、「攻撃は最大の防御」──攻めの姿勢を取ることが、最大の「ツン」へと繋がることもまた否定はできません。「デレツン」は単純に「ツンデレ」の逆なのではなく、「ツンデレ」から更に「デレツン」へ発展していくことで「萌え」のスパイラルを生み出すことも可能な仕掛けとなっているのです。

 まー、そんなこんなで雪那のキャラは非常にグゥッドでしたが、ストーリーは正直「なんだかなー」でしたね。とにかくスッキリしない感じが後に残りました。幼少期の主人公が雪那のつくった明らかに失敗作なお弁当を全部食べて「美味かった。次はもっと美味くつくれ」と囁いたなど、部分部分で光る箇所はあったんですけどね……。

 菜乃のイカレ妹ぶりは見ていて楽しい(叫び声がちび○子みたいだ)し、あともうひとり気になるヒロインがいるのでもうちょっとプレーは続けてみるつもり。でもフルコンプせず何人か残して終了させてしまうかもしれません。ストーリーに魅力を感じない以上、自分の気持ちが惹かれるキャラしかクリアする気が起きませんゆえ。


2004-09-09.

・天災続きですね。うっかり仕舞い忘れていた洗濯物を風に攫われかけた焼津です、こんばんは。危ういところで回収成功。

水上勉、死去

 社会派ミステリを語る上で松本清張とこの人は外せない。本格系統が好きな当方でも、彼の偉業には敬服しています。

 どうかご冥福を。

・桑島由一の『神様家族5』読了。

 あまりにも笑いすぎて一気に読めず、何度も休憩を挟んでようやく読み終えることができました。作者のセンスはまこと神懸かっており、笑いの要諦を押さえる勘が異様に冴え渡っている。近頃のライトノベルにおけるギャグの中でも一、二を争うくらいツボにハマっています。ひと口に「面白いギャグ」と言ってもゲラゲラ爆笑してしまうものとクスクス小さく笑いを漏らすものとニヤニヤ頬を緩ませるものと表情に変化はないものの心中では楽しめているものと、分類していけば多岐に分かれますが、そんな中で我を忘れて笑い転げるほどのギャグはそうそう出会えない。『激突カンフーファイター』は一種の徒花で、作者はあっさり消えてしまいましたしね……未だ人気が続いている『撲殺天使ドクロちゃん』にしても、当方には「クスクス」レベルで満足には至らない。心置きなくゲラゲラいけるのはこの桑島由一を含め5人程度しか思いつきません。それだけに彼の新作は貴重視します。特に神様家族のシリーズは最高。ギャグのみならず三角関係で美味しいプチ修羅場が用意されているんだからたまらない。「たまらなさ」で言ったらマジうちの貯金とタメ張れます。

 ところで笑いのツボは人それぞれで、「あれは面白い」「あれは面白くない」と言い合ってうちに意見が決裂して喧嘩にまで発展するケースも珍しくありません。これはエロの感覚に個人差があるのと一緒で、「黒ニーソにグッとこないなんてあんた頭おかしいよ」「脱いでナンボだろ、何が『着衣プレイ』だ。全裸の価値も分からん奴は引っ込んでろ」と己の欲望を剥き出しにして排他的に語っているとそれこそ刺すか刺されるの雰囲気に移行してしまいます。聞いた話によれば801でも「○○×△△」というカップリングを「△△×○○」と逆にするだけでも壮絶な論戦に油を注いで火を点けるとか点けないとかで、とにかく人の「こだわり」に関する問題はひどく扱いづらい。「笑い」についての絶対評価は不可能なので、客観的に「面白いか否か」を検証していってもすぐにどん詰まり。なべて「笑い」の議論は不毛となりやすい。

 まー細かい話を抜きにして言えば当方がいくら「面白い」と強弁したところで桑島テイストも人によっては合わないでしょう。当たり前っちゃ当たり前なんですが、思い出しただけでも笑ってしまいそうな数々のギャグに心を遣りながら考えると「のべつまくなくプッシュしたいのに、誰でも合うとは言えない以上限定して推さなければならない」という事態に若干の苦しさを感じます。絶妙なテンポといい、「逆立ちしても絶対思いつかねぇ」と確信するネタといい、狂おしくオススメしたい代物なんです。できれば盲信的に布教活動を行う儲になりたい。が、分類すれば「奇行、勢い任せ、前後のギャップを楽しむ」という傾向にあるため、奇行嫌いの方には薦めにくい。

「おはよ! おはよう! おはよう人間のみんな!」
 菊本高校の教室に着くなり、テンコはクラスメイトの全員に握手と共に挨拶をし、それから無駄に電気をカチカチとやって「ディスコ! いまの電気、ディスコっぽくない!? ほら、ディスコって電気チカチカするじゃん! 行ったことないけど!」などと言ってから席に着いた。その時のクラスメイトのキョトン顔っぷりと言ったら筆舌に尽くし難しである。

 なにせこんなノリ。あ、書き忘れましたが『神様家族』は神様の息子である主人公・神山佐間太郎とその一家が人間に紛れて生活する話です。「テンコ」は佐間太郎の幼馴染みで、天使。「天使だからテンコ」という安直ぶり。ことあるごとに佐間太郎をポコスカ叩きつつ生意気な口をきく、正に典型的な幼馴染みキャラで全然天使っぽくはないのだが、「主人公に気がある女の子」としては実にいじらしく普通に萌えることも可能です。「あたしに彼氏ができてもいいの?」と涙目で訊いて肯定されてしまった際のリアクションは極上。

「なにそれもう信じらんないあんた最低っていうか別に好きとかじゃなくてそういうんじゃなくてもうなにそれバカじゃないのいいわよいいわよあたし付き合うわよ小学生の彼氏つくるわよあんたなんかと付き合ってあげないわよそもそもさまたろーなんかと付き合う気なんてこれっぽっちもないですけどバカバカホントバカいいもんべつにいいってばキィーいきましょうキュウタくん!!」

 というかもうギャグとかじゃなくテンコで推します。「好きなのに素直になれない」&「やきもち焼き」、そんなテンコを目撃したい方は『神様家族』を買い揃えちゃってください。割と売れているみたいで結構増刷されていますからMF文庫Jを取り扱っている書店ならまず入手できるでしょう。ほっそりした線、淡白な色使いが魅力的なヤスダスズヒトのイラストも「テンコかわいいよテンコ」のパトスを加熱させます。ただどうもスケジュールが死ぬほど厳しいらしく、この5巻は手抜き気味。まことしやかに降板の噂も漂っており、6巻が危ぶますが、さてはて。

 何はともあれ、腹を抱えて笑えるラブコメ、イチ押し。これ読んでると来月発売の『グリーングリーン2』(桑島由一がシナリオに参加)をやりたくなってくる……。


2004-09-07.

・日曜日、なんだかんだで見知らぬ道を5時間歩き通す破目に陥った焼津です、こんばんは。坂とか階段とか勾配が掛かってくると息が切れました。容赦なく鈍ってます、体。

・ちょうどそんな折に恩田陸の『夜のピクニック』読了。

 北高で修学旅行の代わりに用意されている毎年恒例の行事「歩行祭」。全校生徒が昼夜を問わず80キロの道のりを、休憩を挟みながらも延々と歩き続ける(ラスト20キロは「自由歩行」で走っても可)、たったそれだけのイベント。しかし行軍にも似た大量の歩みは苦しくも生徒たちの連帯感を高め、彼らはむしろ途中で脱落して「救護バス行き」になることを恐れる。足は次第に重くなり、おしゃべりも減り、黙然とする少年少女の内は口にする気が起きず留められた言葉たちで満ちていく。頭が朦朧としても、自動化されたように前の背中を追尾して移動し続ける。疲労の壁を越え、彼らはひたむきにゴールを目指す……。

 「ひたすら歩く」という体験をした直後だけに物凄く共感してしまいました。最初の1時間くらいはそんなに辛くなくて、2時間目あたりから疲れ出し、3時間も経つと足が痛くなり始め……といった流れに頷くことしきり。「知らないところをたくさん歩くと周りに注意を振らないといけないから目が疲れてくる」とかいったこまごました説明にもいちいち「まさしく」と膝を打ちました。「歩く」、それだけのことを面白がることができるのだと感動しちゃいました。

 「去年は全学年の誰もが知らない謎の男子が混ざっていた」など、座敷童子みたいなギミックも仕込まれていますが、そのへんはだいたいオマケ。歩いてばかりでは退屈だろうからと、小イベントの数々が配されています。あるふたりの生徒が「○○ってさー、××だよな」「えー、マジかよ」と会話した後、場面が切り替わって当の○○が別の生徒と喋り合い、「××だなんて言われるけど、心外だよ」と話題が繋がったりする。多くの固有名詞が出てきて話が連鎖する構成はなかなか面白い。群像劇としての仕上がりもしっかりしています。

 修学旅行の夜の名状しがたい解放感、普段は昼間しか合わない連中が夜になっても同じ建物の中にいるという、寮生活未経験者にとっては珍しがる余地充分なお祭り感覚を擬似的に味わえる一作。「結末が……」と評されることの多い恩田作品としては珍しくキレイにまとまっている。というか終盤の盛り上がりは大したもんです。「歩行祭」という地味な設定でよくもここまで青春しまくってくれたものだ。ノスタルジーを掻き立てられる良作。オススメ。

・あと『デスノート』の3巻も読了。

 こんなマンガがジャンプに連載されているっていうのはなんだか冗談みたいな話で、もう内容はひたすら黒い(暗くはない)んですが、一度読み出したら抜け出せなくなるほど中毒性の高いサスペンス・ストーリーです。「名前を書くだけで殺したい奴を殺せるノート」という、普通に使ったら短編程度の尺で終わってしまうアイテムをこれだけ引っ張っておいてなお飽きさせない抜群の構成力に驚かされる。心理戦は濃厚だし、読者の予想を裏切る展開も山盛り。ただ一回一回が濃すぎて途中から入っていくのはジョジョばりに難しい。「一見さんお断り」な感じだから連載マンガとしては微妙なところ。ともあれ、これだけ本格的なサスペンスを小畑健の圧倒的な画力でもって味わえる現実に感謝したい。なんか最近本誌の方はアレな展開をしているとの噂ですが、単行本派の当方はおとなしく4巻を待ちます。


2004-09-05.

・不意に「フーダニット」という言葉が懐かしくなった焼津です、こんばんは。「Who dunit ?」、つまり「誰がやったのか」を主眼とする作品を指すミステリ用語で、日本語にすると「犯人当て」とかになります。容疑者たちをズラッと出して「この中に犯人がいます。さて誰でしょう」と明に暗に伝えて、読者に「○○かなぁ。だってこいつ××のとき△△だったし」などと考えさせ、答え合わせとなる解決編で「あってた」「違ってた」と一喜一憂させる。当方は登場人物を覚えてその行動を把握するのが苦手だったので、「めんどくさい」と敬遠していた形式でした。

 他にもトリックをメインに据えた「ハウダニット」、動機に着目する「ホワイダニット」などありますが、別に「フーダニット」+「ハウダニット」と複合しても構わず、むしろ長編にはそうした作品が多い。ただ、トリック要素を抜いて単純に論理展開だけで犯人を指名できる純粋フーダニットはルールが簡明になる分、「自分で推理する」ことを楽しむ人にはうってつけなわけです。変型のフーダニットとして「被害者当て」「探偵当て」なんかもあります。ちなみに行くトコまで行ってしまったフーダニット・ミステリ『どちらかが彼女を殺した』は「推理すれば分かるから」と解決編が用意されていない有り様。「読者は本当に推理しているのか」という疑念からあえて解決編を省いたらしいんですが、ようやります。別の意味でイッちゃったフーダニット・ミステリの中には「読者が犯人」とかもありますが、そこまで来ると余談すぎるのでオミット。

 ここしばらく本格を味わっていなかったので、無性に唐突に「犯人当て」特化ミステリを読みたくなってきちゃったわけです。とりあえず「読んだけどあんまり中身を覚えていないフーダニットもの」を引っ張り出してきてテキトーに読み飛ばしながら解決編の手前まで行き、「犯人当て」に挑みました。

 敗れましたorz

 うっすら記憶に残っていたのに誤推理かます醜態ぶり。うん、いつも通りの当方です。フーダニット熱も一気に冷めました。

・講談社のメルマガ「ミステリーの館」を読んだら『暗黒館の殺人』は上下各656ページ、つまり合わせて1312ページと……むあー、『監獄島』よりも厚い。本当に読み切れるだろうか。

キャラメルBOXの新作『処女はお姉さまに恋してる』

 まだタイトルとイラスト1枚を公開した程度ですが、いろいろ想像を刺激されるものがあります。「処女」を「おとめ」と読むのは順当として、「姉」の上に「ボク」のルビがあるのはどうしたことか。察するに「お姉さま」=主人公なんでしょうが、これは主人公がボクっ子を意味するのか、それとも主人公が明確に♂であることを示しているのか。いや、考えただけで楽しくなりますね。

 今までより頭身が上がっているのも新鮮。まだ情報不足ゆえ「突撃」は確定していませんが、がっつり食いついて注目してますよ? 続報を待ちます。

・飛田甲の『幽霊には微笑を、生者には花束を』読了。

 えんため大賞という、ライトノベル系新人賞では割と注目度の低いところからデビューした著者の3冊目。いや、最近は『吉永さん家のガーゴイル』を掘り出したりして見直されているみたいですけどね、えんため賞。それでこの作者、新刊ごとの間隔が広いことと、ひとつひとつがノンシリーズなせいもあってか、認知度は高くない様子です。前2冊もそれほど感興を催す出来ではなかったですし、今回のこれはスルーしようかと思っていたんですが、発売後しばらくして地味ぃに「良作」との評判が漏れ聞こえてきたこともあり、確かめたくなって購入したのが半年前。ええ、積んでいました。当方としてはそんなに長くもない期間です。

 さて、内容についてはと言うと、幽霊譚です。そりゃこのタイトルで「え、幽霊なんか出ませんよ?」だったら足腰立たなくなるまで袋叩きは必至。裏山の廃屋に「幽霊が出るんだぜ」という噂が立ち、興味もないのに無理矢理連れて来られた主人公がぶちぶち文句を言いながらも本当に幽霊を目撃してしまう──という、とてもベタな導入です。読んでいて「それしかないだろ」って頷くくらい。もちろんその幽霊は可愛い女の子でおどろおどろしいところは一切なく、「私のこと、見えるんですか?」と嬉しそうに寄ってきて、反応を見せない主人公に「なんで無視するんですか」と微塵の恐ろしさも滲ませない口調で抗議するわけです。「怖くない幽霊」とカテゴライズされる、非日常的ながら親しみの湧く存在。容姿は誂えたように同年代のしかも見目良い女の子。ベタというかもはや「萌え」のコードですね。それでまあ幽霊と一緒に日常を過ごすコメディ的な空気へ雪崩れ込んでいく寸法になってるんですけれど、肝心の中身は「萌え」かと言えばさにあらず。ジャンルにすれば「泣かせ系」「感動系」になるのかな? テキトーな分類ですが。

 まず面白いところは主人公の造型。こういうタイプの話ではだいたい「冴えない外見のヘタレ(なのにモテる)」みたいな型に落ち着くのがパターンなのに、「鋭角的な容姿の理屈屋」という、どちらかと言えばサブの位置付けにされやすいキャラが主役を張っています。「幽霊なんていませんよ。大抵は単なる見間違えで、人間の認識というものはですね……」とかまくしたてる、実際そばにいれば酒がまずくなりかねない感じの奴です。そいつが女の子の幽霊を見かけますが、他の連中には見えない状況なので最初「これは俺の幻覚だ」と決め付けなかなか現実を認めようとしない。やがて認めざるをえなくなって彼女を受け容れるが、しかし受け容れた後も検証を怠らず、彼女がどういう存在かを常に確かめておく。たとえば肉体(更にいえば感覚器)を持たない彼女がどうやって周囲の情報を獲得しているのか、だとか、彼女の容姿は見る人によって服装や体型や顔つきが食い違ったりしないか、だとか、「幽霊」という設定を考えるうえで気になるポイントをあれこれチェックする。こういう細かさ、「押さえてほしいところを押さえてくれた」感じで好きです。

 次にストーリー。ヒロインが幽霊なのはもう言うまでもないですが、彼女は記憶を失っており、自分の名前すら覚えていません。ただ、「私、殺されたんです」とショッキングな発言をします。姉さん、事件です。とはいえ主人公たちには直接関わりがある事件でもないからそう一気にサスペンスフルな展開へ流れていくわけでもなく。とりあえず「彼女は誰なのか」「なぜ殺されたのか」という二つの謎を解明しようと図書館行ったりして捜査活動を始めますが、なかなか事態は見えてこない。穏やかで明るいヒロインのおかげでまったりした雰囲気が漂う一方、謎が謎のまま堆積しているもどかしさが退屈性を拭い、読者を最後まで引っ張っていってくれる。派手さはないにしろ、興趣をそそる丁寧な筋立てとなっています。ミステリ者ゆえ『幽霊刑事』を思い出しましたが、あれとはまた違った面白さ。

 最後は読後感。エンドがハッピー気味かアンハッピー気味かは書くとネタバレになるので書きませんが、「どっちの傾向か知っておきたい」という方は作者があとがきで勧めているとおり、あとがき一歩手前の本編最終ページ(282ページ)を読んで確認してください。そこより更に前のページまで遡るとさすがに興醒めしそうですから最後の1ページのみに限定。全体的には地味でしたけど、読み終わった直後の感想を一言で書けば「ああ、これは良作だな」。評判に違わぬ出来につき満足。

 この手の「怖くない幽霊少女」との交流を描いたまったり話が好きなら迷うことなくオススメ。「萌え」頼みではない構成力を楽しみたい人にもオススメ。タイルトが中途半端に気取ったみたいでちょっと硬い印象がありますけど、実際は結構柔らかい。大ブレイクは望めないにしろ、「地味な良作」としてもっと知られてほしいですね。


2004-09-03.

『螢』買いました。しかし『名探偵 木更津悠也』をまだ読んでいないので積む気満々。至って度し難い焼津です、こんばんは。

・ふらりと寄ったゲーム屋でスーパーファミコン版の『重装機兵ヴァルケン』を発見。箱・取説なしの剥き出しロムカセットが600円弱。説明書、目は通すけれどあんまり読み込む習慣もないし、やり込みながら覚えればいいや、と購入。しかし肝心のスーファミ本体は実家にあります。帰郷するまで積んでおくか。

・津原泰水の『綺譚集』読了。

 その名の通り綺譚を集めた一冊。平均して一編あたり15ページ程度と、ごく短い話を15編収録しています。著者の短編集は既に『蘆屋家の崩壊』があり、あれもあれで素晴らしい出来映えでしたが、こちらもこちらで勝るとも劣らない良い具合です。

 幻想の果実から滴る淋しい甘さの怪奇……といったテイストゆえ、どれも話を要約してしまえばさしたる感銘も受けないのですが、逆に言えばそうした要素を芯にしていながら途方もなく美味しいものに調理してしまえる作者の腕は凄い。要約することで失われてしまう、一般的には「無駄」と断じられることの多い要素であえて楽しませてくれる。淀みなく文章を織り込むその感性は瑞々しい若枝のようにしなやかで、硬くもないのに決して折れることのない強さを感じさせます。鉱物系の美しさではなく、生物系の美しさが横溢している。

 冒頭を飾る「天使解体」は題名負けしない内容でもって日常に侵入する非日常の感覚を描き出し、早くも読み手を酩酊させんとします。この時点で頭のてっぺんに付いているアンテナがビンビンになって虜にされる人も少なくないでしょう。前述した通り話が短いのであっさり終わってしまい、「もっと描き込んでほしかったなぁ」とやや残念になりますが、鮮烈な印象を植え付けるための物語速度を考えるとあの切れ方で良かったかもしれません。投げっ放しというムードもなかなかの味わい。他にも「美を啜う」という設定が面白い「赤假面傳」など、オススメの作品が目白押し。当方が短編として一番気に入ったのは「古傷と太陽」で、話が一番良くまとまっていると思ったのは「脛骨」ですが、一番「お、ふざけてるな」と確信したのは「聖戦の記録」。年金生活者のヒロスエリョウコて。また、タイトルだけで激しく興味をそそる編もいくつか。先に挙げた「天使解体」、それに「夜のジャミラ」と「黄昏抜歯」あたりは頂点でしょう。末尾の「隣のマキノさん」はデウス・エクス・マキノこと牧野修を暗示している気がしてならず、調べてみたらやはりその通りのようでした。

 なにげなく奥付に検印があったり(初版限定らしい)して驚かされますが、ともあれ津原泰水未体験の方にも推したい本。値段が張るのはネックですが、機会があれば是非ご一読を。


2004-09-01.

・夏の終わりを惜しむように花火に興じた焼津です、こんばんは。ロケット花火と爆竹に狂躁したのも今は昔、もはや線香花火のテンションがせいぜい。

・っていうか、ま、待ってくださいよ! いつの間に『螢』なんか出ているんですか! 先月幻冬舎のサイトで「今月の新刊」を調べたときには載っていなかったのに……ファンとして不覚すぎますよ。2年くらいの間、ずっと待っていたんですから。何はともあれ、早速今日買いに行かないと。

8月30日付にアル・アジフ絵(ジンガイマキョウ)

「ブラボー! おお……ブラボー!」(空中浮遊拍手)

 チャイナ服に一種の愛憎を抱いている当方にとってはまことに眼福。あのスリットを見るたびに「ちくしょう! ちくしょう!」と正体不明の悔しい気持ちが湧いてくるのはなぜか。答えは歴史が吐き出した砂の下に埋もれています。

・ヤマグチノボルの『グリーングリーン 鐘ノ音ファンタスティック』を読んだら解説が虚淵玄でした。知らなかったので少しばかり驚きましたよ。グリグリと虚淵……明らかに妙な組み合わせです。突然『夕陽のガンマン』を語り出したりと、中身も狙って場違いな代物となっています。んー、解説の割にグリグリの肝である「ムサい男子校で繰り広げられる青春と恋愛」という部分を迂回しているのが残念。

 グリグリは10月に2、来年に3が出る予定になっていて、ヤマグチノボルはシナリオに参加していないみたいです。桑島由一の方は加わっているようですが。グリグリにはそれほど強い思い入れがなく、「地味に好き」くらいなので、新作の2と3は正直どうしようか決め手に欠きますね。伝家の宝刀、「評判待ち」を使わせていただく所存。

・9月の予定をザッと確認。

 本。講談社ノベルスの新刊は『暗黒館の殺人(上・下)』『ネコソギラジカル(上)』の3冊を買うつもりで、これだけで4000円くらい。出版界が大注目しているであろう『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(上・下)』はどうしようかな……ハリポタは普通に好きなんですが。法月綸太郎の『生首に聞いてみろ』、古処誠二の『七月七日』、沙藤一樹の『新宿ミルク工場』とハードカバー方面の予定もそれなりにあるので考えておきます。電撃文庫は迷っているのを含めて10冊ありますが、半分程度に減らそうかな。富士見は『さよならトロイメライ』と『ROOM NO.1301』の新刊、それにファンタジア長編賞からの新人の3冊と計5冊で決定済。ライトノベルだと他は1年以上待たされた『BLOODLINK 天使の幻影』と、いま注目している『よくわかる現代魔法』の新刊あたりも視野に入れています。一般の文庫はあんまり注目作がない。飛浩隆初のパブリック短編集『象られた力』は確実に押さえますが、シェイマス・スミスの新作『名無しのヒル』は気分次第で。マンガは『デスノート』と『スクールランブル』の新刊、あとは漆原友紀の作品集『フィラメント』を。フルバとサイコあたりは最近惰性っぽくなってきたので一旦切ります。

 ゲームは延期して行ったり延期して来たりで面子の入れ替えは多少ありましたが、予定本数はそんなに変わらない。『幽明境を異にする』『てこいれぷりんせす』『ABANDONER』『神樹の館』の4本。本命の『神樹の館』は延期しない限りまず確実に購入しますけれどあとの3本は流動的に判断します。発売後泳がせて巷の評判を参考にしながら決めていく方針。


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