2004年3月分


・本
 『終わりのクロニクル2(上・下)』/川上稔(メディアワークス)
 『カオスレギオン02』/冲方丁(富士見書房)
 『ストーム・ブリング・ワールド1』/冲方丁(メディアファクトリー)
 『Dクラッカーズ7-1』/あざの耕平(富士見書房)
 『Dクラッカーズ7-2』/あざの耕平(富士見書房)
 『School Rumble(4)』/小林尽(講談社)
 『蟲忍』/古橋秀之(徳間書店)

・ゲーム
 『Quartett!』体験版(Littlewitch)

・アニメ
 『宇宙のステルヴィア』──(1)
 『宇宙のステルヴィア』──(2)
 『宇宙のステルヴィア』──(3)
 『ほしのこえ』
 『灰羽連盟』

・映画
 『シックス・ストリング・サムライ』
 『ショーシャンクの空に』
 『英雄』
 『インファナル・アフェア』
 『スズメバチ』


2004-03-30.

・回転椅子の好きな焼津です、こんばんは。童心をいつまでも持ち続けたいものです。

「それは、宇宙を侵す愛」第1話公開。

 66666HITをゲットしたK.Sさんのリクエスト、「『沙耶の唄』ネタのデモベ」です。設定を一部『沙耶の唄』に頼っていますが、どちらかと言えばデモンベインSS。クロスオーバーと表現するのも微妙。

 とりあえず1話目だけですが、のっけからDVです。いえ、『ダーク・バイオレッツ』ではなく。一応全体の大枠は考えていますが、ノリ次第でテキトーに変わる可能性が濃厚です。書いている本人にも先が読めないスリリングな連載として頑張る予定。だいたい5話くらいで終わらせるつもりですが、さてはて。

・しばらくは↑に掛かるので日記(既にそうなってませんが)の更新頻度が今よりもっと落ちるかもしれません。生ぬるい目で見守ってください。


2004-03-28.

・『マリア様はみてろ』──「You just watch, 『MARIA』!」

 目が疲れて「る」と「ろ」、「ぬ」と「め」の区別がつかない焼津です、こんばんは。当方は椅子の上で死ぬかもしれない。

・古橋秀之の『蟲忍』読了。

 『IX(ノウェム)』から1年以上。ようやく刊行された古橋の新作です。イラストレーターを務める前嶋重機が原作を担当したうえ本編の半分くらいに挿絵を挟んでますから、完全に「古橋の新作」ってわけじゃないんですが。スタンスとしてはノベライズに近い。

 近未来だか遠未来だか、とにかく荒廃した世界が舞台。「サイバー忍法帖」と謳っている通り、忍者アクションとSF設定を混ぜ合わせた内容になっています。造語センスや文章運びは淀みがなく、すらすらと読み進めることができる。ふんだんに盛り込まれた前嶋イラストも、コントラストの強さが雰囲気に適合しています。設定、文章、絵──物語を構成する要素は基本的に悪くない。イイ線行っていると思います。

 が、それにしても食い足らない。ただでさえ200ページと薄いのに、イラストの比重が高いから、分量的にはほとんど中編です、これ。一つ一つのネタに関して踏み込みが甘く、どうにも歯痒さを覚えて仕方ない。古橋ファンが読んだら却って空腹感を催すのではなかろうか。せめて倍はないと満足いかないかと。

 あくまで基本線としては良かったですし、派手な失望を味わうこともなかった。依然としてデモベノベライズへの期待は減衰しないまま保たれています。というか、角川サイトの5月新刊予定表にデモベが載ってないことの方が内容よりもずっと不安なんですが……。

『スズメバチ』視聴。

 「12000発喰らえ」がキャッチコピー。もしすべての銃弾が1円玉だとしても100本の缶ジュースが買えます。すげぇ。あ、でも両替を忘(ry

 アルバニアン・マフィアのボスを護送中の装甲車に同じマフィアの救出部隊が襲ってきて、たまらず手近な倉庫に逃げ込んだらそこにはたまたま武装強盗が居合わせていた! といったストーリー。警察の特殊部隊、マフィアの救出部隊、巻き込まれた形になる武装強盗集団と、主に3つの陣営に分かれている。他にはやけに落ち着き払った警備員とか、逆に恐慌状態の警備員とか。倉庫に入るまで、つまりシチュエーションのお膳立てを行う序盤はタラタラと緩くて退屈したけれど、いざ倉庫に駆け込んでからが面白くなる。夜間、ライトがなければ周囲を見渡すこともできない状況で展開する篭城戦。攻めるのではなく、守る。守りながら殺す。殺されながら守る。緊迫した空気は時間の経過とともにどんどん濃密になっていきます。

 キャッチコピーからして銃撃戦が作品の目玉と受け取られてもおかしくなく、確かにガンアクションの要素があってこそ、ここまでサスペンスフルな雰囲気が醸せているわけですが、あくまで眼目は閉鎖された空間でのサバイバル。刻一刻と絶望的に下降していく状況のなか、それでも諦めず結束する姿を見せられては、「燃えるな」と言われたって無理な話。こうした密室系のサスペンスは舞台が固定化されている以上、何度も何度も同じ部屋や同じ通路が出てくるので、こう……頭の中に漠然とした見取り図的イメージが湧いてきます。本当に漠然としていてもいいんです。この種のイメージさえ掴むことができれば、追い込まれる際の迫力が桁違いに跳ね上がる。

 とにかく後半の盛り上がりは嬉しくなるくらい凄かった。コンテナを利用して戦うところが特に好きです。限られた状況下だから使えるものはひたすら有効に使おうってノリ、最高。誰も強くない、誰もヒーローではない、一瞬気を抜けば隣で転がってる死体と同じ運命を辿る、ヒリヒリと熱いアクション映画でした。ただ個性の強いキャラと弱いキャラの差があって、全員をうまく活かし切れなかった部分はあるかな。一番印象に残ったのはナセール。彼の見せ場が最大の名シーンだったかと。

GA Graphicにてがんぽんの壁紙公開中

 第三弾。これで終了。


2004-03-26.

『座頭市』『リベリオン』を交互に見た結果、脳が「ガン=カタ市」を容易に想像できる具合に変質した焼津です、こんばんは。「お前、ただのクラリックじゃねぇだろ」「あんたも硝煙の匂いがするなぁ」

第1回『Fate/stay night』キャラクター人気投票、4月2日より開始

 そろそろ──と待ち構えていましたが、ようやくこのシーズンが訪れましたか。『月姫』(&『空の境界』)の分を含め、人気投票はこれで5回目となります。「『Fate/stay night』キャラクター」と断っているように、『月姫』や『空の境界』のキャラへの投票は無効の模様。まだ一週間先ですけど誰に投票しようか考えておきます。

 今回は奈須きのこのコメントが付くだろうか。一応楽しみにしておく。

『インファナル・アフェア』視聴。

 香港映画。原題は「無間道」。「無間地獄」の「無間」です。ただパッと見ただけじゃ地味ですけど、オープニングでバンッと表示されると「ああ!」って感じになります。故に敢えて伏字。

 ストーリーの方もまったく知らずに見た方が面白いので、やっぱり書きません。予告や紹介ではバンバン肝の部分を言っていますけど、これを聞かずに見ることができる人は幸せかと。当方は借りる直前に店内で流されていたデモ映像によって「○○、実は××」と聞いてしまった罠。ディモールト悲しい。

 何も書かないのでは感想になりませんので、とりあえず迂遠な感想を。香港映画らしい、実に男臭い内容で、女性は出てきても核心部分には一切絡んでこない。多少ロマンスの香りを付け足す程度の役割。マフィアと警察が銃撃戦を繰り広げる、ありがちと言えばありがちなアクションものですが、ストーリー展開は徹頭徹尾非常にスリリング。全編に渡って暗く煤けた雰囲気が漂っているうえ、派手な演出は使用されておらず、映像的にはかなり地味。それでもなお引き込まれる。

 男臭いのに不思議と友情物語の要素はなく、甘さはゼロ。ひたすら乾いていて苦い。独特の低級感や特有のロマンのみならず、それ以外の部分でも光るところがあるので、これなら広く一般にウケたというのも納得がいきます。好きなくせして最近はあんまり香港映画を見ていない当方ですが、久しぶりに大アタリを引いて良い気分。見逃さなくてよかった。香港では続編が「3」まで公開されているとのことで、「2」以降も期待したい。


2004-03-24.

『呪怨』も「じゅおん…」と書くと青春ラブコメっぽく見えませんか? 見えませんか。こんばんは、焼津です。

・すぺじゃに系の新作『そらのいろ、みずのいろ』

 『Partner』でデビューして以来、イイ絵を描くのになかなか良い作品に恵まれなかったTonyと、『逸脱』『誕生日』『CANDY TOYS』など、「ひと味違う面白さ」を提供していた嘘屋 佐々木酒人のコンビ。ありそうでなかった組み合わせです。個人的にすごく楽しみ。男友達の名前が「海野十三」って時点で微妙にキてますね。咄嗟に「じゅうざ」と読んでしまう。

 男ふたり女ふたりの4人組の間で交錯する恋模様、といった流れになるみたいで、修羅場スキーの当方としてはすこぶる期待。でも顔で言えばヒロインの菜摘芽よりも主人公の弌が好みなのですが、どうしたらいいんでしょう?

『HERO−英雄−』視聴。

 矢襖。何度見てもうっとりします。あのシーンだけ十数回は繰り返し見てしまいました。

 劇場公開当時は周りの感想が「いまいち」「それほどでも」といった曖昧ラインを上下するものばかりで、見ようかどうか迷っているうちに公開が終了してしまったんですが、いざレンタルで借りてきてみたら予想していたよりも面白く、「これなら劇場へ見に行っときゃよかった!」と悔恨の念に苛まれることしきり。でも肝心の矢襖シーンはリローデット見に行ったときに予告編とはいえ大スクリーンで味わったから、まあ、ヨシとします。

 例の始皇帝がまだ秦の王に過ぎず、七つの国が覇を競っていた時代。「無名」という名の男が、王の命を狙う刺客たち3名を見事討ち仕留めたとして拝謁を許された。王を前にして滔々と経緯を語り出す無名。いずれ劣らぬ達人たちを破った彼の策とは……。

 ストーリーの型からして「元より大作志向ではない」といった印象を受けます。現在進行形でもなく回想形式でもなく、報告に近い形で紡がれる物語は恣意性に富み、流れる映像はただの再現VTRに過ぎない。王がある一点から無名の「嘘」を暴くや、今まで語られてきたストーリーはほとんどご破算となる。その後は「真実」を巡って右往左往。直線的と言いがたい構成は若干アクがあり、途中でうんざりする人もたぶんいたかと。『毒入りチョコレート事件』あたりが好きな人ならワクワクする可能性がありますが。

 中国の武侠アクションと言えば『グリーン・デスティニー』を思い浮かべる当方ですが、あれに関してはアクション部分に感銘を受けたものの、人間ドラマ部分にハマることができず、宙ぶらりんな視聴感になった記憶があります。この『HERO』も武侠アクション特有のロマンが織り込まれているんですが、どちらかと言えばこっちの方が割とすんなり受け入れられました。

 しかし、何といっても行きつく先は映像の美しさ。ワイヤーアクションが少しばかりしつこいとはいえ、スローモーションが嫌味にならない構図と、目にも綾な色彩感覚が溜息クラスに到達しています。やはりこれは大画面で見たかった。そう思うと抑えていた後悔が疼いてきて仕方ない。

 そして矢襖。「『英雄』ってタイトルがピンと来ない」「王のキャラが中途半端」とかいろいろ言われているけど、アレさえあれば当方にとって他はどうでもいい。狙撃属性を抱えているせいか、「遠くから撃つ」といったシチュエーションの全般がツボです。「ワンショット、ワンキル」のノリも好むところではあるけれど、ここまで極端に多いと却って清々しく、気持ちイイ。ただ、設定の関係からあれは別に絶体絶命という状況でもなかったと受け取れるところが個人的に残念。それ故に燃えるという面も否定しないけど。


2004-03-22.

・「この積みが消えてなくなるその日まで──」

 PC版とPS2版の違いが気になる今日この頃。それはともかく積んでいる本やら何やらの消化は遅々として進まず。ファウストの2号が読み終わったくらい。乙一と滝本竜彦のが面白かったかな。西尾のりすかは前半がダルかった。佐藤は、月並みな意見ですが……小説より人生・相談の方が良かったかと。

なまはげロボットの費用を凍結「Edgeworth Box」経由)

「神聖ななまはげをロボット化してジャンケンとは何事か」

 なまはげって神聖だったんですか……どうやら今日までの認識は間違っていたようです。改めなくてはなりません。鬼装してロリ・ショタを襲う「なまはげプレイ」は充分背徳感を煽れるということで再認識をし(ry

Symphonyのデビュー作『お嬢様組曲』

 「ドキドキまふまふお嬢様恋愛AVG」とのことです。というより「まふまふ」って。

 ツンデレの香気を棚引くばかりに発散する有栖摩香津美もさることながら、当方のハートを心房心室の区別なくドベッと破裂させたのは望月司。ダメだ。やはりロング黒髪ヒロインには抵抗の術がない。幸い全身像が載せられているため、頭の天辺から足の爪先までとくとくと眺めること数分。完全に悦に入りました。ニーソとミニスカの狭間に存在する魔領域は万人の理性を狂わすデンジャラス・ゾーン。

「僕はあの王国に行きたい」

 誰か当方をあの肌色のリミテッド・ワールドへ連れていってください。帰途など知らずともよい。ただ往路だけを希いまする。憂き世疲れの半マジ台詞。ところで全身像を見ていてふと思い出したことですが、当方はアレなシーンにおいて素足よりもソックス着用が、ソックス単一よりもソックス+靴着用が望ましいと考えるタイプです。半脱ぎの美学において、肝心の部分以外は装甲を厚くする方針が好ましく、必要以上に脱がすべきではない。考えてもみてください。薄着の半脱ぎよりも厚着の半脱ぎが燃えるに 決 ま っ て い る で は あ り ま せ ん か 。たとえば紐並みに細いビキニを毟り取るよりも、被服面積の大きいスク水を剥がす方が「不可能に挑戦した!」って感じでイイ汗出そうな気、しません? だから靴なんてわざわざ脱がす必要はないんですよ、はい。

 え? 靴履いたままじゃ家に上がれない? 土足で床汚すのがイヤなら青姦をすればいいじゃない。とにかく当方は訴えたいわけです。日本家屋の習慣に魂を引きずられ、「靴? んなもの履かなくて当たり前」という認識を疑わず、素足とソックスにうつつを抜かし、靴という絶好の小物を省みないシチュエーションの数々に。「靴を履かんかァ〜〜〜!」と。

『ショーシャンクの空に』視聴。

 春日井春日の「傍観者はいい言葉だ。多分最高にいい言葉だ。いい言葉は決してなくならない」というセリフの元ネタがこれらしく、それで気になったのがキッカケ。原作はスティーヴン・キングとのことですし、それならストーリーも面白かろう……と、特に不安もなく見始めました。

 不倫していた妻とその愛人を殺害した容疑で起訴され、弁明虚しく終身刑を食らったアンディ。ショーシャンク刑務所へ放り込まれた彼は、銀行員としての知性を利用して徐々に塀の中での立場を固めていく。時間はどんどん過ぎていき、刑務所暮らしにも慣れきった頃、新入りの囚人に驚くような話を聞かされて……。

 感動系を彷彿とさせる綺麗げなタイトルとは裏腹に刑務所モノ。気まぐれで囚人をボコる獄卒のごとき看守や、新入りのケツを狙う連中もごろごろ出てきます。このへんは刑務所モノのお約束ですか? 一方で「調達屋」のレッドをはじめ、スレてはいるけれど非道ではない囚人たちも出てきて友情物語の様相を見せる場面が多々ある。開始から終了まで十数年と、時間経過は激しいが、見事なストーリーテリングで危うげなく話を展開していくため違和感はまるでなく、年月の重みがすんなりと容易に実感される。メイクで顔の老け具合を調節するあたりなど、演出も細かい。

 凝ってはいるけれど、基本的にまっすぐなラインの引かれた映画です。サプライズに頼らない構成をしていながらワン・シーンごとに興味深い要素を見せ、視聴者を飽きさせない。2時間強をまったく退屈せずに付き合えました。ごく自然な流れで敷いてきた伏線を一気にドバッと起き上がらせるラストシーンの手際は「素晴らしい」との賞賛がよく似合う。刑務所モノといえば『囚人同盟』が大好きなんですけど、あれを読んだときの興奮が甦ってきましたね。

 タイトルで「人生ってばステキ」とか謳う感動モノに見せかけ、いざ始まってみると「刑務所モノかよ!」と驚かせ、いろいろムゴい展開をするけれど、でもやっぱり最後は「人生ってばステキ」と大らかに謳ってみせる。うん、イイ映画だと思います。傑作。おかしな趣味をしている当方としては制服をピシッと着こなして鬼臭(オーガ・スメル)をぷんぷんと放つ看守どもにハァハァはました。容赦のなさがステキ。


2004-03-21.

・「玉川ハイドゥークス」こと『Quartett!』弦楽版デモムービーが公開中。体験版の下です。弦楽器の響きが静かに期待を膨張させる。現時点では4月発売予定ソフトの期待一番星。

・小林尽の『School Rumble(4)』読了。

 このマンガのタイトルって「scramble」と掛けているだけであんまり深い意味はないと思っていたんですよ。この巻を読むまでは。

 ラブコメにおいて「勘違いが事態を掻き回す」という流れはお約束であり、封建にして宝剣、何があっても譲れない方式となって根付いているわけですが、このスクランもそういった理から外れていない。むしろ踏み込んだ足をもう一度上げて更に突っ込むくらいの勢いで「勘違い」のパワーを炸裂させている。「ありえないだろ!」なんて悲鳴は黙殺。お約束にお約束を重ね、それを恥じぬ作風でもってラブコメの王道を歩み行く。

 告白する相手を間違える? 「当たり前だ」。言葉を別の意味に取られる? 「序の口だろう」。言い逃れできないタイミングで最悪の相手と出会う? 「ウォームアップに過ぎん」。今となってはもはやギャグの手法として流通している技の数々を、敢えてラブコメともギャグとも判断つかない境界線上に捌いてみせる。可笑しく、気恥ずかしく、ほんの気持ち程度に甘酸っぱい。好意の矢印が入り乱れ、もはや誰と誰がくっつくんだか、カップリング予想は困難です。それが先の読めない面白さへと繋がっているわけですが。

 巻が進むごとにラブコメ度は上がり、テンションも好調。スクールでランブルでスクランブル。しかし、まだまだ本番前です。前哨戦とすら言いがたい。このまま恋愛指数が駆け上っていって鞘当てとか修羅場とかいざ本物のバトルが始まってしまったらどうなるんだ。基本的にほんわかしている現在からは想像しにくい。楽しみのような、今のままをずっと味わいたいような。

・あざの耕平の『Dクラッカーズ7-2』読了。

 少女は少年の望みに応えた。
 太陽の残照を浴びて、闇に光を灯すもの。
 少女は月になった。

 楽しくて楽しくて、読み終わるのがもったいないくらい楽しかった「最終巻、その2」。これにて遂にDクラも完結せり、ですか。清々しくあり、名残惜しくもあり。1巻が出たのは2000年の末で、この『7-2』が今年の1月ですから、実に3年以上。ブートレガーズ1冊こっきりで消えてしまうかと危ぶまれていた著者がこうも目一杯楽しませてくれるとは予想だにしませんでした。シリーズ全10冊。積み上げてみれば思ったより多いような、少ないような。『Dクラッカーズ・ショート2』に収録されていた龍皇杯バージョン、つまり現シリーズの雛型になった短編を見てみると、随分な違いが見て取れて感慨深い。

 1冊1冊、階段を昇るように面白くなっていったこのシリーズ、逆に言えば1巻のパンチは弱かった。まだミステリーともアクションともつかない中途半端な内容で、しかも本に厚みがなく、話も短かったですから、読者を魅了する要素は少ないと言わざるを得なかった。簡潔でテンポの良い筋運びは前作(ブートレガーズ)譲りということもあり、当方はそれなりに楽しんだのですけど、あくまで「それなり」であって特筆するほどの面白さは感じませんでした。2巻でやや成長が見られて評価は上がりましたが、依然として突き抜けた面白さはなく。3巻あたりからようやく「良作」の域に侵入してきましたね。その後は1巻1巻、倦まず弛まず進歩を続けて「面白さ」を積み上げて行き、5巻で「名作」と認めるに至りました。5巻は表紙の幼梓が(*´Д`)ハァハァと前屈みクラスですが、それを度外視しても同じ。

 でも正直に言えばここらで頭打ちだと思っていました。あとは現状維持がせいぜいで、「5巻のときに終わってればなぁ」と言われない程度の頑張りが関の山、と見積もっていたわけです。

 ええ、舐めていましたね。

 更に6巻、短編集2巻、そして二分冊の7巻と続刊し、分量に伴って中身のクオリティまで引き上げられていくとは完全に予想外。恐らく、5巻を読んで「ここで終わってればいいのに」と思った人でも以降の巻を蛇足とは感じなかったはず。最後の最後まで階段コースから外れることなく面白くなり続けてくれたんですから、こちらとしても入れ込みを深めて行くのは必然。完結を心待ちにする気持ちも、惜しむ気持ちも、等量に膨れ上がりました。

 最終巻ですし、ストーリーに直接触れるのはよしておきます。ただ、富士見ミステリー文庫が「テーマはLOVE!」とトチ狂った奇抜な方針を立てたなか、一番「LOVE」の4字から遠いように見えて、実は驚くくらいに「LOVE」をリアライズさせています。基本は「ジャンキーが悪魔を召喚してバトる」──いや確かに「愛」から隔たったノリですけど、6巻→7巻の流れはロマンスでアドゥレセンスでビルドゥングス。「孤高のヒーロー」が決してカッコイイとは言いがたい不器用な恋模様を繰り広げる展開は、なんというか、むしろ却って燃えます。ヒーローの恋なんてカッコ悪いくらいがちょうどいいんだ。

 とは言うものの、おのれ、物部景め。いざラストってところでカッコイイこと口走りやがって。「囚われ姫君」の風情を匂わせていた中性顔貌少年のくせして、気恥ずかしいラブコメ演じた後にキメ台詞だと。短編集で描かれていた少年時代から随分と出世したものだな、おい。240ページのアレは個人的にDクラ最萌え&最燃えですよ。顔を両手で覆って転げ回りたくなりました。

 こうして無事完結したわけですし、まだ『Dクラッカーズ』が未チェックという方には強くオススメします。上にも書きましたが、1巻や2巻に比べて3巻や4巻、それ以降の面白さは段違い。ですから「様子見で1巻だけ読む」といった戦法よりも、ある程度まとまった巻を(できれば5巻まで。少なくとも3巻くらいは)揃えて読む遣り方を推したい。

 ふぅ……完結のおかげで心置きなくオススメできるのは嬉しいけれど、やっぱり優良シリーズが閉幕してしまったかと思うと寂しい。短編集の3巻、出ないかなぁ。お姉言葉のキメリエスさんが活躍する話、読みたい。新シリーズも新シリーズで楽しみなんですが。

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 第2弾。アンケートがありますけど、さして煩瑣なものではないゆえ気軽にどうぞ。


2004-03-19.

・腰が痛む焼津です、こんばんは。風邪をひいたかもしれません。

講談社ノベルス版『空の境界』、5月6日発売予定

 「特別限定版」というのもあるんですが……7800円って。いったい何を特典につける気なんだ。

 まさか、PC移植verとか。らっきょの全話がノベル・ゲームに、みたいな。さすがにそれはないとしても、書き下ろしエピソードを詰め込んだファンディスクくらいならありえる(願望)。

・あざの耕平の『Dクラッカーズ7-1』読了。

 挫けないこと。
 それが、海野千絵の最大の武器なのである。

 ジャンキーがドラッグをキメてラリって悪魔を召喚して戦う──概要だけ書けば相当にヤバそうなこのシリーズ。しかし内容はと言えば絶望的な状況から再起していく過程を連綿と綴る、正統派少年マンガにも似た熱い展開の連続です。アクション的にも恋愛的にも燃えるシーンの目白押しにつき、続きが楽しみだったんですが、これで遂に最終巻。厳密に書けば「最終巻、その1」。7巻は分冊形式になっており、この『7-1』が上巻、『7-2』が下巻に当たります。『7-3』は存在しないのであしからず。

 さて、引用に出てくる「海野千絵」はDクラ主要キャラのひとり。探偵を目指しており、探偵部なぞを結成しては日夜捜査活動に勤しむアクティヴな少女です。興奮すると小鼻が膨らむのが癖。けれどメインヒロインというわけではなく、位置的にはサブに近い。探偵としてはそれなりに有能なものの、主人公でありメインヒロインでもある姫木梓を振り回しては厄介事に巻き込むため、お騒がせキャラというか「災厄」の象徴みたいな面がある。Dクラは前述した通りジャンキーが悪魔を召喚しちゃうようなオカルティックかつスーパーナチュラルな話なんで、論理を重んじる探偵役は場違いであり、ハッキリ言って邪魔に映ることが多い。そういったことから海野千絵は「Dクラがミステリー文庫に連ねるための体裁として出したキャラ」と見られてきた。レーベルが「富士見ミステリー文庫」とはいえ、中身に関しては到底「ミステリー」と言いにくいDクラ。千絵スケは主要キャラでありながらあんまり人気のない子になってしまいました。

 しかし、「1冊ごとに着実に確実に面白くなっていく」という手応えのあるシリーズだけに、不遇のサブヒロイン・海野千絵も徐々に見せ場が増え、魅力もアップしていきます。こと『7-1』に至り、その魅力は見事に炸裂。わけあって仲間たちの結束が緩みつつあるなか、懸命に捜査活動を続け、事態に突破口を開く。彼女が孤軍奮闘する光景は詳細に描かれていないけれど、彼女の得た収穫によって絶望ムードが払拭されていく過程は鮮烈であり、もはや他のキャラたちを押し退けて強い存在感を放ち出す。

「私の言った約束、ちゃんと聞いてた、梓さん? 私は、約束を果たすためにも、諦めるわけにはいかないの」
 千絵は決然と言い放った。冷静さを保とうとし、それに失敗した。
「私は──私たちはねっ。私たちは、勉強会して、お花見して、旅行に行って、温泉に入るの。みんなでそうするのっ。去年のいまごろ、この場所に集って、支え合って、一緒に戦った仲間全員でそうするのっ。そして、去年と同じように、一人残らず大笑いしながら新しい年を迎えるのよっ。誰がなんと言おうと、どんな邪魔をされようと、絶対にそうするの!」

 不遇のサブヒロインから、不屈のサブヒロインへ。千絵スケが貫き通した一念とともに物語はクライマックスを迎えて行き、盛り上がりは最高潮に達する。下巻に当たる『7-2』も既に読み始めていますが、こちらでも千絵スケの活躍ぶりは大したもの。格闘戦にしろ悪魔戦にしろ、「力」の鬩ぎ合いといった様相が濃い今までのバトルに対し、「信念」のぶつかり合いといったテイストを醸す舌戦がヒートアップし、熱はますます高まる。1巻から密かに千絵スケが気に入っていた身としては「ありがたい」の一言に尽きますね。よくぞここまでブリリアントになってくれた。

 と、書いたのは千絵スケのことばかりですが、敵でありながら異様に可愛くて「むしろこちらに……」と肩入れしてしまいそうになる「女王」、それと姫木梓に並ぶ「もう一人の主人公」物部景もたまらない。特に景、見方次第では梓以上にヒロインっぽいのだから大変。もはや梓と性別入れ替えても違和感ないんじゃないか? ともあれ、「女王」と景のツーショットが飾られた『7-1』中表紙は格別の美しさです。あれを見ただけで数ヶ月のブランクなどものともせず一気に物語世界へ引き込まれてしまいました。


2004-03-18.

・今週金曜発売の『処女宮』が桃の産毛とか深爪程度に気になっている焼津です、こんばんは。百合には興味ないんですが、なんとなく絵が好み。こういう主流からやや外れた好みの絵柄って貴重な気がしますし。

ZyX新作タイトル『未来ドーター ムスえもん』速報

 ホント、このネタは廃れないなぁ。(『ファウスト』第2号の乙一作品を読みつつ)

・アニメもそろそろお腹いっぱいなので洋画を借りてきました。『シックス・ストリング・サムライ』

 タイトルがステキなので前々から気になっていた作品。「シックス・ストリング」と「サムライ」の調和もさることながら、略すと「SSS」になるあたりなど胸キュンです。なんか、ソ連がアメリカを滅ぼし、ロスト・ヴェガスでエルヴィスが帝王として君臨、しかし彼が死亡するや街は新たなる帝王を求めた……とかいった物語背景で、『北斗の拳』みたいな世紀末野郎が横行するストーリーなんですが、シナリオは割とどうでもいい。正直、敵役「デス」の処遇とか、二日酔いで考えたとしか思えない。スーツとギターとメガネをまとった主人公が奇声を挙げながら刀を振り回して獅子奮迅の活躍を見せる、その光景がただカッコイイ。見ているだけで頭が悪くなりそうなくらいカッコイイ。

 「アー!」と叫ぶ大五郎みたいなガキに「アー!」と叫び返したり、両手をフリーにするためいちいち刀を地面に突き刺したりと、主人公の所作が細かいところまで面白かったです。脇役についても、カリバリズム家族の子供たちが「ごはんまだー?」と両手に持ったフォークの柄をリズミカルにテーブルへ叩きつけるシーンや、「故郷へ帰って幸せな家庭を築け」と主人公にあしらわれた男が後日再登場し、ギターを指して「これが俺の家族だ!」と叫び砂漠を突っ走ってくるシーンなどが印象的。あと、走って追いつくほどのスピードしか出ない車でカーチェイスを繰り広げるのにはさすがに笑いました。

 もうストーリーは気にしないで、流れる音楽と暴れ回る主人公にうつつを抜かすべき映画。個人的には主人公のバディがすべて。低予算のせいでところどころヘボいのが、逆に主人公の存在を際立たせていて良い。銃を一切使用せず、飛び道具が弓矢だけってのも密かに燃え。カッコ悪いけれどカッコイイ。そんな一本です。当方と同じくタイトルに惹かれるモノを感じた人はどうぞ。微妙なかったるさを愛してください。


2004-03-16.

・ここのところアニメばっかりなせいか、夢にまでアニメが出てきました。

 その名も『裁判官ジョー』

 「裁判官」と書いて「ライトニング」と読ませます。タイトル通り裁判官のジョーが主人公で、直角の定規を突っ込んだみたいな髪型をしている。巨大マングースと極大ハブが殺し合っているところへ「双方それまでッ!」と強引に割って入り、掌底ぶち込んで距離を取らせてから勝手に裁判を開始した挙句、

「お前ら揃って有罪! は? 根拠? 俺が知るかッ!

「情状酌量の余地、ゼロ! 笑えるくらいになしッ! ギャハハハハハハハハハハ判ッ決、死刑ィィィ!」

 と叫んで100万ボルトの両拳で雷殺。その後は裁判もクソもなく「オレの拳が法! オレの拳が量刑! オレの拳がジャスティス!」と出てくるキャラすべてを殴り倒して感電死させる。両親を亡くした幼い兄妹でも構わず殴り殺す。しかも殴っている間中「裁け裁け裁け裁け裁け……」とブツブツ呟き続けている有り様。

 「私、このアニメに憧れて司法の道を目指したの」と従姉のちさぽん(実在せず)が微笑み、「特にねー、『エノクパニッシャー』(劇場版らしい)は100回以上見たよー。何回見ても感動しちゃうね。しすぎちゃうね。神懸るにもほどがある。ホント、目が潰れそうだし。ほら、あのシーン、空を真っ白に埋め尽くす天使の軍勢を相手に『羽公ども、また貴様らは正義の味を忘れたか』ってフンドシ一つでニヒルに挑発する艦隊戦、あれなんてもう最高……!」など、熱く語り出したところで幕。あらゆる道理がナッシングのジョーよりも、狂信的な熱の篭った目をキラキラ輝かせて興奮気味に語るちさぽんの方が怖かったです。

・当方はネタに困ると夢話でも書いてお茶を濁すことが多いと自分自身でも薄々と分かってきましたが、お願いですから気づかなかったことにしてください。

・で、それはともかくまたアニメ。今度は『灰羽連盟』。好きなんですよ、安倍吉俊。“神の系譜”シリーズ『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』も安倍に惹かれて手をつけました。ハマったキッカケは『serial experiments lain』ですが、語り出すと長くなるので割愛。

 空から落ちる夢を体感し、目覚めてみれば見知らぬ世界に放り出された少女が主人公。自分の名前も何も覚えていない彼女は「灰羽」の一員として暮らすことになる。ハイロウもあって翼もあるけれど天使じゃなく、もちろん人でもない「灰羽」。四方を壁に囲まれた閉鎖的な世界を舞台に、彼女たちがまったり過ごす日常を淡々と描いたシリーズで、あまり動きのないスローペースな展開の連続は緩い眠気を喚起します。で、そのまどろみ感がゆったりと和やかなムードを生み出し、良い塩梅に楽しめた。

 「灰羽」を始めとした各種設定など、世界の創り込みが丁寧で、ほのぼのした雰囲気漂うファンタジーとしては良作。派手な要素はほとんどなく、主流エンターテインメントの視点から見ればやや退屈に映る可能性はある。けど、ラッカたち「灰羽」のひとりひとりがさりげなく個性を立てていて、そこに引き込まれたら最後、気持ちが箱庭的空間へ一気に引きずり込まれて行く。

 静かな幸福の衣に包まれているのも2巻まで。3巻からは「灰羽」と彼女たちが日々を送っている「世界」の秘密へにじり寄るように迫り出す。伏線はバラ撒かれ、薄々と察せられることも多いけれど、核心へのメス入れは最後の最後、5巻に収録された第13話「レキの世界・祈り・終章」まで持ち越される。率直な話、最終話を見ると見ないとでは全然違ってきます。察していたはずなのに、根底から覆されたような気分を味わう。鳥肌が立ちました。なんとも物凄いインパクトのアニメ。諸設定が残酷なくらい活きてくる。具体的な解説はほとんど省かれているので、今までの話をよく聞いている必要がありますけど、この素っ気なさ、極力説明をしない態度が単なる勿体つけとしてではなく最大の演出として機能しているところにため息が漏れた。

 「きれい」と「こわい」が両立してしまう作品。第1話でラッカの背中に翼が生えるシーン、あそこのグロテスクな美しさが全編を象徴しているように思える。さすがにDVD化から一年近く経っていますし、激しく今更って気がしますけど、当サイトの存在を懸けてオススメしておきたい。染み入りました。個人的にレキとヒカリが好き。そしてミドリも。


2004-03-14.

・「オレの人生に数学が何の役に立つんだよ!」という逆ギレ台詞は聞き飽きたので、代わりに「オレの人生に反復横飛びが何の役に立つんだよ!」という台詞を提唱してみるテスト。

 ところで体育館を出る際、つまんだ上履きをすのこに落とすのは誰もがやったことだと信じて疑いませんが、垂直に落としたつもりが若干傾いていたせいかうっかり裏返ってしまい仕方なく爪先で引っくり返して履くときの何とも言えぬ面倒臭い感覚が、「反復横飛び」の言葉を打つとともにフラッシュバックしました。そういえば最近は靴の裏を見る機会がぐっと減ったなぁ。

『まじぷり』の気になる一節

 上から2番目、姫川未亜のキャラ紹介。

 頭から犬のものと思しき耳が垂れている
 本人は気に入っているし、真もそのことを咎めたりはしていない

 ただ「垂れている」とだけ表記し、「付けている」のか「生えている」のかすら未確認の模様。そこは流していいところなのか。主人公はもっといろいろなものを気にするべきだと思います。

 しかし、それよりも当方が気になるのは明日葉有里(一番上)の方。細リボンが、なんというか……頭部を多脚戦車のように見せているんですが。今にも首だけ外れて機動を開始しそう。最初はズルズルと引きずっていたツインテールが、やがて高速モードに移行するや地面と平行になびき出したり。「突進スピードを上乗せして放つアホ毛ブレード……! 鋼鉄の防災扉を易々切り裂くとは、なんて威力だ!」 シニョン部分はバルカン砲でも潜ませているということで一つ。

ま〜まれぇどのデビュー作『こんねこ』

 従妹と年下幼馴染み、ダブル偽妹ゲーの模様。自称「ドタバタ萌えエッチADV」。というかTOP絵はどう見てもランドs(ry。そもそもヒロインふたりの造型がダカーp(ry。いや、こいつはまたソーダフロートに蜂蜜をぶっかけるが如き蛮行だなぁ、おい。当方がベタな恋愛ゲー好きだからってここまでベタベタにやられて喜ぶとでも? まさか。

 喜ぶどころか 狂 喜 に決まっているじゃないか。

 8割方購入確定です。グラフィックがすごく好みで、どうにも回避しがたい。予定は6月とのことでまだ先の話ですし、2割くらいは不確定。修羅場スキーとしては「自分以外の主人公に近寄る女性に対しては徹底的に攻撃的になる」南野七海と「ヤキモチ焼きピコハン少女」悠木菜子に期待いたしたく。

・ステルヴィアでアニメづいてきたので、勢いに乗って『ほしのこえ』を視聴。一昨年からずっと興味があったのに、幾度も機会を逸したせいでなかなか見れないでいましたが、ようやく踏ん切りがつきました。

 第一印象としては「思ったより短いなぁ」と。短編映画だったんですね。てっきり、もっと長い枠の作品かと勘違いしていました。その先入観さえ取っ払えば尺も丁度良く、過不足ない内容の一本。細部をひたすら除去して「地上と宇宙、『光年』単位の超遠距離恋愛」というシチュエーションを際立たせ、携帯メールでの遣り取りに特化したところは巧い。「15歳の少女が学校の制服を着たまま人型巨大ロボに乗って出撃」って展開はシュールというか無茶ですけど、狙い澄まされた「極端さ」が、美麗なグラフィックで編まれた日常的光景の「身近さ」と混ざり合って独特の感触を生み出している気がします。

 後半の、ノスタルジーに訴える畳み掛けは特に良かった。列挙された日常要素の中でも「黒板消しの匂い」、「夕立のアスファルトの匂い」の二つは右脳のノスタル野を直撃。しかし「セカイって携帯の電波が届く範囲」の元ネタはこれだったのか。判明して少し安心。

 映像特典の「彼女と彼女の猫」もグッド。よくある猫視点モノですが、猫だけディフォルメされているのが個人的にツボ。ミミたんハァハァ。ともあれ満足いきました。新作『雲のむこう、約束の場所』はなんとしてでも是非に見たい。もし見逃したりするハメになったら憤死確実。

GA Graphicにてがんぽんの壁紙公開中

 第一弾。『桜色BUMP』の挿絵を描いていた人ですね。カバーイラストに惹かれて購入しただけにしっかり記憶に残ってます。で、久しぶりにHP行ってみたら桜子(『桜色BUMP』ヒロイン)の絵が大量に。そういえば全然関係ないですけど、『桜子は帰ってきたか』ってミステリありましたね、サントリーの賞取ったヤツ。もうあらすじもほとんど覚えていないのに、「桜子」と見ると未だにあれを連想してしまう。


2004-03-13.

・新刊購入。『ΑΩ』『ペニス』の2冊。両方とも文庫です。加えて作者名がふたり揃って「やすみ」。微妙に奇遇だ。

 しかし最初に行った書店で後者を発見できなかったとき、「『ペニス』ありませんか?」と訊けなかった罠。恥ずかしい云々以前に直球すぎて口に出しにくい。個人的には「『大好きな先生にHなおねだりしちゃうおませなボクの/私のぷにぷに』ありませんか?」よりもガチなテイスト大。

デモンベイン公式サイドストーリー「悠久なる孤独は我を蝕む」

 まだ始まったばかりとあって短い。ルビがちょっと読みにくいかな。二重三重の意味で「おっ」なネタです。

ケロQの姉妹ブランド「枕」、OHPオープン

 ヒロイン全員が黒ストと話題のゲーム、『サクラノ詩』でデビュー予定。しかし残念ながら諸君、げっちゅの紹介ページを見るに、黒ストは微塵の容赦もなく脱がされている。目を疑うばかりに白い足が晒されている。「黒スト? 元よりそんなものは飾りでしかなかった」と匂わせるかのように脱ぎ捨てられているのだ。ドラ○もんのパクリみたいな生命体も気になるが、この際そんなものはどうでもいい。どうやら裏切られる覚悟を用意しておかないとダメらしい。血涙の準備を。

 当方はこれでも見て失われた英気を養っておきます。

TerraLunarの『らくえん』延期

 「2004/03/19 → 2004/06/25」。またえらく派手に家飛やがりましたね。「2004年春発売予定」って、6月のどこが春なんだか……はぁ、1ヶ月どころかワン・シーズンもズレ込むとは、さすがに読み切れなかった。3月と6月なんてキング・クリムゾンとデス・クリムゾンくらい違いますよ。

 逃げられそうな予感はヒシヒシとありましたけど、それでも3月で唯一期待していたソフトだっただけに凹む。きっと『らくえん』は落胆の「らく」と延期の「えん」を合わせたタイトルなんですよ。落延。訓読みすると「おちのびる」。縁起がいいような悪いような。

『宇宙のステルヴィア』、全話視聴完了。

 ステルヴィアというのはラテン語のstella(星)とvia(道)を合わせて「星の道」という意味の造語だそうな。

 「宇宙学園モノ」と「地球防衛モノ」をごった煮したような内容で、良くも悪くもヒネリがなくストレートでした。でも、個人的に巨大な陰謀とか絡んでこない地味系ストーリーはツボ。前半のミッションと後半のミッションが規模違うくらいでほとんど一緒とか、恋愛部分に関しては少し煮え切らないモノがあるとか、それなりに不満はあったけど、最終話はスッキリした気分で見ることができたし、面白かったことは面白かった。

 百分した点数で言うと70点台の作品。100点を狙ったが惜しくも届かず70点台とかそういう感じではなくて、最初から70点前後を狙って放ち、過つことなく射止めたって印象です。レトロ感漂う世界設定と、手堅いキャラ立てが効を奏している。絶賛したくなるわけじゃないけど、なんか気に入ってしまいました。強烈なインパクトはないにしても見てる間は単純に楽しく、見終わった後も好感触が残る。うん、こういうアニメ、好きかも。

・それでXEBECのサイトを見ていたらこんな情報が。『蒼穹のファフナー』。「シナリオコーディネーター:冲方丁」……いくつ仕事を手掛ければ気が済むのですか、彼は。


2004-03-12.

・炭酸飲料が逆流して鼻腔を波紋疾走。

「燃え尽きるほどCO2!」

 微小地獄を見た焼津です、こんばんは。

ニトロプラスのでじたろうがプロデュースするキャラメルBOX『シャマナシャマナ』、5月28日発売予定。

 「でじたろうは、絶対わたさない」──『灼眼のシャマナ』

 ……書いてみたかっただけです。

 異世界ファンタジーもの。嫌いではないけれど、当方にとっては食指がそそられにくいジャンルです。やってみればそれなりに楽しめることが多いのですが、その「やってみる」気がなかなか湧いてこないので。クオリティの高低よりもまず「興味を惹く要素があるか否か」を重要視してしまう性分。異世界ファンタジーは基本的に「なんでもあり」だから、却って興味の取っ掛かりが見つかりにくい。

 シナリオは『BLUE』の人。黒黒黒が好きなので朱門優だったならほぼ間違いなく「確定」でしたけど、あいにくと『BLUE』は未プレーにつき躊躇。でじたろうプロデュースというポイントは確実に興味を惹いてますが、しばらくは判断保留で。

誤爆立て

 ライトノベル板の冲方丁スレ。このパターンは初めて見ます。

乙一に関する小ネタ(天使の階段)

 シンプル。素で笑ってしまった。


2004-03-10.

・医大生となって死体解剖に参加する夢を見ました。こんばんは、焼津です。しかもBGMはキューピー3分クッキングのヤツ。延々とアレが鳴り響く中でメスと血と脂と臓器の饗宴が繰り広げられる、なかなかに壮絶な悪夢でした。わーい。

・現状→しーぽん漬け。

 ヒロポンの親戚みたいで響きがヤバイですね。

 今週は空き時間をなるたけステルヴィアに注ぎ込む方針。ライトニング・ジョーストって馬上槍試合みたいで燃える。交差する一瞬にすべてを懸けるあたりがたまらない。「このままッ!! 先端を! こいつの! 機の中に……つっこんで! 殴りぬけるッ!」とか、それなりにえぐい展開を期待していたり。いや、あの人はマジでそれぐらいやりそう。

 しーぽんもイイが、個人的には晶も注目を外せない。ツンデレの予感。あと、お嬢ことやよいもさりげに胸があって格別。

形容しがたい萌えを喚起するFate絵「DAIさん帝国」経由)

 擬人化ネタ。完全に意表を衝かれ、かつ萌える秀作。もうどっちが♂♀でもイイ。こいつらがボロボロになりながらアーチャーととも戦う光景を想像するだに心のどこかが渇く。こちらの新作を見て更に飢えてきた。

セイバーさん絵(BUN+BUN)

 関係ないですけど、「慎二って実はイイ奴」というのはやっぱ無理があるような。マジで死にかけている人間を指差して「標本の虫みてぇだ!」とゲラ笑いしたり、縛られて抵抗できない人間を殴るなんてクソ野郎としか受け取れない振る舞いだし。かと言ってヒール的にはクソ野郎度が中途半端。うだつのあがらない奴です。でも、あいつの思考方式はなんとなく理解できて嫌いになれない。まあ、好きにもなれないけど。


2004-03-08.

古橋秀之版『デモンベイン』に期待しないと言ったら嘘になる。こんばんは、焼津です。というか『ブライトライツ・ホーリーランド』、見つかりません。確かに買ったはずなのに。どうやらロストの疑いが濃厚と判断すべき局面に立たされている模様。超せつない。

・前々から常々思っていたことではありますが、コンビニの米は硬すぎではなかろうか。おにぎりとか、食えないってほどではないにしろ、割とツライ。恐らく実家が平均以上に柔らかい飯を炊いていたことも影響しているんでしょうが、外食で米を口に入れるたび硬さが結構気になって。

・最近のライトノベルはカバー絵がおにゃのこばっかりで、実情として野郎が表紙を飾った巻は売上が落ちるとか落ちないとか、そんな噂がありますが……「おっ」と思わせておいていざ読み出したら「 ♂ か よ ! 」みたいなのはいかがなものか。それじゃ「ウホッ!いい男…」と思わせといて「 ♀ か よ ! 」という遣り方もOKになってしまうのではないか。もういっそロリータ服着ているお人形さんみたいなチビが「♂」で、黒のロングコートにザンバラ髪で銃担いでる長身が「♀」とか、そんな路線を突き進むってのもアリなのではないか。

 『ヴェドゴニア』で喩えるとモーラとフリッツの性別を入れ替えるように。ゴスロリ系半ズボンのモー夫と腹筋が六つに割れたフリッ子。これならヴェドのウェディングドレス問題(どこから、どうやって調達したのか)も無事解決しそうで万々歳。せっかくヒロイン化したからにはフリッ子エンドも……

 ……いえ、やっぱニトロのマッシヴ姉ちゃんはリズィ姐だけで充分。(モーラエンドのモーラをフリッツに置き換えて頭バースト) あー、でも『鬼哭街』ならいいかも。ショタ瑞麗(*´Д`)ハァハァ

・なぜか今ごろ『宇宙のステルヴィア』を見始めていたり。なるほど、これが話題のしーぽんか。っていうかガンパレのキャラじゃなかったんですね、しーぽん。認識を是正是正。しかしおかしいな、なんでそんな勘違いをしていたのだろう……。

 「公開処刑すべき」との声が高かった音キチは、なんか掴み所のないキャラにつき、当方自身好悪がハッキリせず。出番がある割にあんまり目立っていないというか、パッと見て「あ、音キチだ」と分からない。すごく地味で見分けづらい。

 話は宇宙学園モノということで『無限のリヴァイアス』を連想。ステルヴィアの方は漂流しないっぽいですが。でも人型巨大ロボが出てくるあたりは共通していて半笑い。アレで活躍しないってのは絶対にないですね。にしてもみんな、それほどまでに巨大ロボが好きなのか。

 おおまかな流れに関してはごくごく王道的な青春学園モノみたいで、いくらかスポ根の要素が混じっているかな。ナデシコの佐藤竜雄監督ってことでそれほど期待も不安もなく見始めたけど、そこそこ良さげ。フツーに面白い。まだキャラたちのポジションが明瞭になっていないせいもあって大した盛り上がりは見られない。まったり続きを視聴するとします。


2004-03-07.

「うんざりと言うか、ざんうりだよ」

「脳スープ出そう……イイ感じにおダシの取れたブレイン汁が……」

・意味不明街道紆余曲折の新言語が飛び出すステキな環境。こんばんは、焼津です。

・冲方丁の『ストーム・ブリング・ワールド1』読了。

 “カルドセプト創伝”の1冊目。原作の『カルドセプト』は「トレーディングカード+ボードゲーム」というコンセプトのゲームソフトらしいのですが、詳しいことは知りません。聞いた話によれば原作の方はストーリー性が薄いとのことで、“カルドセプト創伝”に関しては原作の設定を借りて結構好き勝手にやっているのだとか。

 とりあえずこの巻だけを読んだ印象では「カードバトル+魔法学園ファンタジー+ボーイ・ミーツ・ガール」といった印象。「地」「水」「火」「風」の四大元素とそれいずれにも属していない「無」、以上五つの属性を帯びたカード(作中の用語では「カルド」)を操って戦術的かつ戦略的にバトる一方、無表情のとぼけた少年が強気な少女にビシバシとケツを蹴っ飛ばされるドツキ漫才で青春スメルを漂わせまくる。冲方作品の中では大して目立っていないシリーズだけに、さほど期待していなかったけれど……うん、ごくごく順当に面白い。

 いろいろ設定は付いてるけれど、ストーリーの基本は「涙を封じた少女と微笑みを忘れた少年の出会い・交流」であって、かなり王道的なライトノベル。「本格ファンタジー」の謳い文句は話半分程度に聞いておいて、良くも悪くも「ありがち」なライトノベルとして認識する方が違和感もないかと。派手なところはないもののすごく読みやすいし、ボーイ・ミーツ・ガールが好きな人には美味しくいただけるでしょう。残念なのは分量か。これが上巻で、波乱の雰囲気を抱えたまま下巻であるところの「2」へ向かっていくのは分かっていますが、「波乱の雰囲気」が発生するまでもう少し「魔法学園ファンタジー」の要素を楽しみたかったなぁ、と。ちょっと食い足りないです。

 なんだかんだ言いつつ冲方にハマりつつある昨今。奇を衒ったところはないけど、きっちり仕事をこなしている印象があって好感度大です。


2004-03-06.

『成恵の世界』のことを『非Aの世界』と誤聴しました。耳の弱い焼津です、こんばんは。なんにせよ6巻が確保できたのでヨシとする所存。

吉川英治文学新人賞、伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』と垣根涼介の『ワイルド・ソウル』が受賞「Mystery Laboratory」経由)

 『ワイルド・ソウル』は大藪春彦賞も獲ってますから、これで二冠達成ですか。作者の垣根涼介は一作ごとに着実な進歩が見られる作家ですし、これからの活躍も期待したいところ。伊坂幸太郎は……まだ『オーデュボンの祈り』しか読んでおらず。評判良いので他作品もチェックせねば。

・冲方丁の『カオス レギオン02』読了。

 分かりにくいですが、この巻、「02」とノンブルが打たれているにも関わらず、カオレギの4冊目に当たります。カオレギシリーズは刊行順に書くと「無印→0→01→02」であり、はっきり言ってややこしい。しかもそれだけに終わらず、「一番最初に出た無印版、実は内容的に言うと最終巻に当たる」というのだからもっとややこしい。「0」「01」「02」は無印版から見ると過去の話に当たり、むしろこっちを先に読んでいた方が楽しめたのではないか……という疑惑があります。しかも今年に「03」「04」と続刊する予定らしいので、どの順番で読むのがいいかオススメしづらく、実に推薦者泣かせのシリーズ。

 とりあえず一番最初に「0」を読み、「さっさとオチが知りたい」というなら無印版へ、「もう少しこの世界を楽しみたい」というなら「01」「02」……の方へ行って無印版は後回し、というのが当方なりのオススメ順かと。特に「02」の話は「01」を踏襲しているので、ノンブルに沿うが吉。

 今回は、国を失った2万人の民が新天地を目指して遥かな旅路に歩き出す物語──要約すればこの程度に収まります。いろいろ陰謀が絡んで来たり、騒動が起こったりしますけど、詰まるところ「行進」の二文字にストーリーが集約されていく。進軍でもなく進撃でもなく、ただ自分たちの命を救うために歩き続け、結束を固め、通りかかる先々でいじめてくる領主や騎士、襲いかかってくる夜盗などを凌ぐ。そもそも筋立てからして地味だし、展開もだんだんパターン化する。意外性や血沸き肉躍る展開に溢れた内容を期待するとスカされます。

「難民を攻めるなどという物好きがいるものか。さっさと、帰れ。ほれ、帰らぬか」
 しっしっと手を振って追い払おうとする領主に、エノルはにっこりと笑いかけた。
「分かりました、帰ります。俺たちがまだ見ぬ新しい故郷に、これから帰ります」

 しかし、それでもなお熱く、面白い。レギュラーキャラのみならず今回新たに登場するキャラもしっかり立っていて、言動のひとつひとつが活きてきます。国を失い、他国や中央政府の対応に失望し、それでも大地を辿り続け、希望を忘れずに進む姿がシンプルに、こう、キます。新天地を「まだ見ぬ故郷」と表現するあたりが特に。

 また「行進」の幕間に「陰謀」の章も進行。こっちもこっちで独特の盛り上がりを見せます。冲方作品は重過ぎない程度のテーマ性を含んでいて、それがエンターテインメントと混ざり合っているところが美味しい。

 「バカでかいスコップを持った、たったひとりの『軍団(レギオン)』」という主人公の造型が珍妙ながらなかなか魅力的なので、シリーズごと推したい。前述した通り、「0」──「招魔六陣篇」から読み出すことをオススメ。カプコンのゲーム企画からスピンアウトしたファンタジーですが、元企画をさっぱり知らなくても楽しめます。現に当方がそう。ひたむきな性格の従士ノヴィアも控え目に可愛く、順当に萌える。あと、微かな「せつなさ」も隠し味だったり。


2004-03-04.

・「るすばん」と聞いて「はじるす」や「永留守」を想起する焼津、ここにあり。久々の更新であっても容赦なくダメっぽさを演出。

『マルドック・スクランブル』の続編『マルドゥック・ヴェロシティ』3部作、今秋刊行予定(FANTASY Bookmark)

 「外伝が1冊出るんかなー」とか思っていたのにまたもや3冊連続刊行ですか。『カオス レギオン』も「03」が5月、「04」が7月に出るという話ですし、それうえ電撃の方の企画もあるらしいんですけど……本気で冲方の体が持つのか心配になってきたり。とにかくスクランブル3部作は秋までに崩さないと。祭りに乗り遅れる。

 それにしても同じページで秋山瑞人や小川一水、飛浩隆の新刊が告知されているなんて、喜びのあまり気が遠のきそう。でも「おれはミサイル」と見るたび「俺は戦車だ」が記憶の底から甦ってきて悲しくなる。

『モエカす』の発売予定日が4月30日に決定

 尻切れトンボで終わった「でちゅ」こと霧島シナリオの完全版やオマケシナリオよりもSS募集で大賞を取った「二五六三ノ空」に期待している現状。でもこの作品、『終ノ空』『モエかん』のコラボレーションなんですけど、「シュウノソラ? 知らねー」というプレーヤーが結構いそうな気も。ちなみに読みは「ツイノソラ」。

・川上稔の『終わりのクロニクル2(上・下)』読了。

 横、熱田が驚きの顔を見せるが、無視するように鹿島は即答。
「ええ」
「お、おい、鹿島、本気か? テメエ、女房の乳揉んでる方が幸せだぜ?」
「ああ、だが決めたんだ。フツノも作るし、奈津さんの乳も揉む、と」

 卓越しまくった会話センスに慄くことしきり。頭がおかしすぎます。アホらしさもここまでステキだと畏怖の念を封じ切れない。主人公の佐山・御言からして堅牢な理性とは裏腹にエロゲー主人公並みの無節操シモネタ有言実行大王的風格を発揮するアレっぷりですが、他のキャラも他のキャラでイイ具合に狂っていやがる。マトモな人間なんていやしない。どいつもこいつも揃いも揃って見事なまでにサイコー。「サイコー」とは「サイコ」と「最高」の二重句です、あしからず。

 1st-Gの交渉時とは違って相手がこちら(Low-G)に対して遺恨を持っていない、それ故に却って交渉の余地を見出すのが難しい──という時点で既に面白かったのですが、下巻に入って本格的に交渉が進行すると熱い展開が目白押しになるんだからたまらない。「名が力を持つ」という概念空間で「総員、己が姓(かばね)を起こせ!!」と叫ぶシーンは実に美味。同時にギャグの狂気もますます磨きが掛かっていく。もはや伝説と化しつつある、例の「必殺技」の件を読んだ途端、当方の腹筋は破壊されました。跡形もなく。

 上の引用で挙げた鹿島とか、脇キャラの存在感も絶妙につき絶賛したい気分。1st-Gの面々よりも2nd-Gの連中が肩入れし易い空気をまとっている分、話もうまく盛り上がる。個人的に月読部長が熱かった。挿絵も付くんだから尚更燃える。挿絵と言えば、Sf最大の見せ場に付かなかったのがとても残念だったけれど。

 一方でエロに関しても驀進状態。アダルト・ゲームに移植するつもりなのか。

 上巻での「溜め」も良かったが、やはり下巻での「解放」がすこぶる快感でした。いやあ、気ン持ちイイ〜。散々キャラを迷わせた挙句、滅多矢鱈に戦わせて戦わせて戦わせて、最後の最後で爽やかに締めてくれる作者の手腕に拍手。ラストの見開きは思わず「ズルイ!」と口走ってしまうほど効果的で打ちのめされた。成田作品といい、電撃は挿絵の内容や入れるタイミングが凶悪に素晴らしい。

 といったところで当然4月の「3(上)」にも断固として期待。神経が啜り泣くほど期待。いざ発売されたら下巻が出るまで待てるかどうか、己が忍耐との勝負になることは必至です。


2004-03-01.

『Quartett!』体験版プレー。

 んー、思ったよりサクッと早く終わりました。30分ほど。ヒロインたちとの顔合わせが済んだらそのままデモへと流れ込んで行きます。

 それにしても、「普通にプレーしてるのをデモ映像として流しても全然違和感がない」と評判のFFDシステムは今回も健在で、実際に見ているだけでも楽しくなってくる。デジタル・ノベルよりはデジタル・コミックに近い形式だけあって、ビジュアル面での訴求力がズバ抜けています。「同じキャラでも絵によって顔が変わる」、ある意味とても大雑把な大槍絵はプレーする人の好みを激しく選定するでしょうが、そこさえクリアすれば素直に感心できる代物かと。素材の点数もわんさかと豪華ですし。

 話のジャンルはエ○ァ風擬似SFだった『白詰草話』に対し、学園ラブコメディー(予定)。出会い頭にうっかり衝突して押し倒し、あまつさえ胸を揉んでしまうという仁義なきベタっぷりを遺憾なく発揮しています。全体的にちょっとしっとりしたテイストで、ドタバタ色は4割程度ですが、しかしこれでなかなかコメディー部分も面白い。「衝突→押し倒し→乳揉み」のコンボを決めてしまった言い訳として図解で「俺は悪くない」の根拠を説明するなど、いい意味で絵的な表現に頼ったネタが多くて愉快です。淑花さんの誤爆やシャルロットの突っかかりも演出の妙と相俟って二倍三倍に美味しくなる。あえてボイスの力を借りず、グラフィックで軽やかなテンポを刻んでみせる心意気には是非とも賞賛を。

 ストーリーも、「様々な衝突を経ながら和解し、やがて共に手を取り合って幾多もの難事を乗り越えて行く」って感じのこれまたベタな色彩が濃い筋立てで、青春モノを愛好する人々の舌を喜ばせる見込みは大。笑って溜めて突っ走る光景が目に浮かぶよう。

 小さいけれど強気な少女のシャルロットに萌え。これはツンデレ展開を期待していいのか? あとついでにストリングスやFFDにも萌え。『白詰草話』の体験版に触れたときと同等か、それ以上に鮮烈な印象。期待します。仮借なく期待します。


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