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2026-07-25.・『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO(アレックスゼロ)』……遂に公表されたガンダムの新作は監督・シリーズ構成「神山健治」、SF設定監修「円城塔」! まさかの神山・円城ガンダムだ! 予想できるかこんなもん!
神山健治は90年代頃から「Production I.G」で活動している演出家で、代表作は『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』。他だと『精霊の守り人』や『東のエデン』でも監督をやってるが、ここしばらくは目立つ仕事やっていなかったから完全にマークを外していた。仮に何か出るとしても攻殻関連かな、と思ってたし。円城塔はハヤカワ出身のSF作家で、文学方面でも評価されており、芥川賞も獲っている。最近だと士郎正宗の原作漫画準拠版『攻殻機動隊』のシリーズ構成と脚本を担当している。つまり、今回は『攻殻機動隊』と縁のある座組なのだ。まぁこれを以って「攻殻機動戦士ガンダム」と言い張るのはかなり無理があるけども……。
ゲームの『GUNDAM ROGUE ORBIT』と連動する企画として構想されており、ROGUE ORBITの100年前がXARX-ZEROに当たるらしい。ゲームからするとアニメは前日譚(プリクエル)、アニメからするとゲームは後日談(アフターストーリー)になるワケだ。こういう連動企画って大抵コケるイメージがあるけど、大丈夫なんかな……既にROGUE ORBITの情報公開時点で「こんなのガンダムじゃない!」と騒いでいたガノタもいたし。しかし設定だけとはいえ、まさか円城塔がガンダムに関わるとはなぁ。長谷敏司や野尻抱介あたりなら「ギリあり得る」という感覚だったが、円城塔は「知名度を考慮すればあり得なくもないが、選択肢としての可能性はかなり薄い」という印象でした。ハッキリ言って円城は思弁的(スペキュラティヴ)な作風で、わかりやすい見世物(スペクタクル)が要求されるガンダムには向かないと思ってましたし。ぶっちゃけストーリーを読んでもあまりピンと来ないが、面白いものに仕上がっているといいですね。私は根が単純だから面白ければ結果オーライであり、面白くなかったら「……うん、次に行こう」とさっさと切り替えていくタイプですゆえ。
それはそれとして、そろそろ虚淵ガンダムもお願いします、サンライズさん。
・『風の白猿神(ハヌマーン)』新装版が刊行決定。滝川羊によるファンタジア文庫の人気作。新装版のイラストレーターは『伝勇伝』のとよた瑣織(ファミ通.com)
令和の世に『風の白猿神』が甦る……あまりにも「“幻想(ユメ)”じゃねえよな…!?」案件すぎます。今月の頭から富士見ファンタジア文庫がSNSで「あの伝説の作品を復刊します」みたいな匂わせ投稿をしていたので「まさか『風の白猿神』の再始動かい?」とジョークのつもりで言っていたら真実(マジ)だったんで古のラノベ民たちがブッ魂消ている。第6回ファンタジア長編小説大賞「大賞」受賞作で、1995年の刊行だから31年ぶりの復活だ。比喩抜きで暴走族神(ゾクガミ)が「よう 神(オレ)だぜ」と電話掛けてきたような衝撃である。白猿神(ハヌガミ)……!
ファンタジア長編小説大賞は第21回で「ファンタジア大賞」と名称変更されたが、変更前の20年間で「大賞」を獲った作品は『風の白猿神』含めて僅か4冊である。他の3冊は五代ゆうの『はじまりの骨の物語』(第4回)、貴子潤一郎の『12月のベロニカ』(第14回)、川口士の『戦鬼 ―イクサオニ―』(第16回)。実は神坂一も冴木忍も秋田禎信もろくごまるにも雑賀礼史も榊一郎もあざの耕平(旧名義は字野耕平)も鏡貴也も葵せきなも、みーんな大賞は獲っていないんです。
ファンタジア、昔ながらの賞なので募集要項に「未完の作品は選考対象外となります」と記載されており、続ける余地があるかどうかはともかく「明らかに話の途中で終わっている作品」はNGでした。どちらかと言えば「完成度の高い作品」や「売れる作品」を求めるというより、「作家としての腕前を見せてもらう」事を重視した賞なんです。なので冴木忍やろくごまるにの受賞作は刊行されなかったし、「受賞したけどデビューには至らなかった」作家も初期だとゴロゴロいる。『スレイヤーズ!』という例外中の例外を除けば受賞作のほとんどは長期シリーズ化しておらず、「受賞作でデビューして2作目以降のシリーズが代表作になる」というパターンが多い(『ポートタウン・ブルース』でデビューして「ザンヤルマ」シリーズで名を馳せた麻生俊平、『ひとつ火の粉の雪の中』でデビューして「オーフェン」シリーズで有名になった秋田禎信など)。『ザ・サード』や『風の聖痕』、『ご愁傷さま二ノ宮くん』あたりも例外的な存在かな。
要するに、「最初から売れるシリーズを投稿しろ」って賞じゃないんです。なので「売れる見込み」よりも「ちゃんと完結している事」が重視される。どんなに面白くても、話が途中で終わっていたら容赦なく選考対象外。少なくともその応募作だけでエピソードがまとまってないといけません。だが、何事にも例外というモノはあるワケでして、『風の白猿神』は「明らかに続編含みの終わり方だろ」って内容であるにも関わらずあまりのハイ・クオリティと面白さから富士見側が「話終わってない」という事実に目を瞑って大賞を与えた……という伝説的な作品だったんです。当然、読者も続きを熱望した。一時は「2巻が出る」という話も流れた。しかし、「滝川羊」で検索すれば分かる通り、この31年間で出版された本は『風の白猿神』だけです。レギュレーションに反しているにも関わらず大賞を獲って、それなのに続きが出ないという、トンデモない矛盾で多くの読者の心に消えぬ傷痕を残していった。その点も考慮して「伝説」なんです。当時の滝川羊は高校の国語講師で、「『副業禁止』の規程に引っ掛かってしまって出したくても出せない状態になってしまったんじゃないか」という噂がある。真偽は不明ながら、そうとでも考えなければ納得できないほど異様な沈黙期間の長さでした。
「1」とノンブルが打たれているから今度こそは2巻が出せる……と信じたい。さすがに31年も経てば公務員を退職して自由になった可能性が高いですし。ただ、惜しまれるのは、やはり何と言ってもイラストレーターの「いのまたむつみ」が既に亡くなっている事か……「中津宗一郎」という編集者が「いのまたむつみさんがお亡くなりになったということで衝撃を受けている。何度も原稿取りにいった記憶やらが思い出されて……。滝川羊さんにも知らせないと。」と呟いており、ひょっとするといのまたさんの訃報がキッカケになって再刊企画が動く事になったのかもしれません。あくまで憶測の域を出ませんが。
とにかく……待望の2巻を出して欲しい。言いたい事はそれだけです。これで「再刊した1巻が売れなかったから2巻は出ませぇぇぇぇぇん!」みたいなオチだったら、さすがに温厚な私もぶちギレ金剛待ったナシですよ。信じていいんだよな? 富士見……。
・睦月準也の『マリアを運べ』読んだ。
「オーケー。行くか」仁が続けた。「相手がその気なんだし、おまえもハンターナイフ程度は携行しておけよ。選んでやるから」
「武器はあまり持ちたくない」
「おまえはこの国の憲法か? 一緒だよ、既におまえは“俺”という武器を所持している。身につけているかどうかの違いだ」第14回アガサ・クリスティー賞「大賞」受賞作。『同志少女よ、敵を撃て』というヒット作(本屋大賞受賞、直木賞の候補にもなっている)を送り出しているものの、まだまだ世間的な知名度は低いと思われるアガサ・クリスティー賞……去年刊行された受賞作『ボスポラス 死者たちの海峡』のタイトルを挙げてピンと来る人は正直少ないんじゃないでしょうか。本書の作者である「睦月準也(むつき・じゅんや)」は9月に『月下の盤』という500ページ近い大作を刊行する予定であり、この「アガサ・クリスティー賞=マイナー」な状況を変えて欲しいものだ。
17歳の若さでありながら裏社会の運び屋として名を馳せている「風子(ふうこ)」。偽造免許証は持っているが、当然無免。しかしドラテクに関しては右に出る者はいないと自負している。先代の運び屋「タツヒコ」が深夜のパーキングエリアのトイレで臍の緒が付いたまま泣いている赤ん坊を拾って育てた――それが風子の身の上だ。今回もいつも通り、怪しげなブツと怪しげな依頼人を搬送する仕事を引き受けたが、出発して早々に怪しげな車に付きまとわれる。何とか撒いたものの、その後も刺客とおぼしき連中が次から次へと現れる。これは「いつも」以上にヤバい案件だな――積み荷は「新種のバイオ医薬品」と聞いているが、それほど貴重な代物なのか? 訝りながらも、運び屋を辞めたら違法風俗店で客を取らされる道しか残っていない風子は万難を排し、目的地「諏訪」に向かうが……。
歯切れの良い、非常に研ぎ澄まされた無駄のない文体。250ページもないくらいの薄い本だったから正直「読み応えなさそう」という印象を抱いていたが、良い意味で予想を裏切ってくれた。「極上のスリラー映画を鑑賞したような気分」にしてくれる、「大賞」を獲ったのも頷ける秀逸な1冊です。運び屋の少女が主人公という事でカーチェイスのシーンも多く、私は読んでいて頭の中にユーロビートが流れ出してしまったが、今の世代には『頭文字D』のネタは通じないだろうか。
主人公である風子には「一度でも走った事のある道はほとんど忘れない」という走り屋としての天性が備わっており、この抜群の記憶力と走行プランによって峠を攻めて追っ手をブッ千切っていく。フェード現象やべーパーロック現象を活かして相手のフットブレーキが利かなくなるよう仕向ける描写なんかもあり、このへんは普段車を運転しない人にはわかりにくいかもしれません。私は田舎住まいで山間のところを走ったりもするので、ギアを低速に変えるシーンで「やるんだな! 今……ここで!」とテンション上がりました。
風子はヤクザからの依頼を受ける闇社会の住人ですが、彼女自身は組に所属しているワケではない。だから「どこかのヤバい筋」に狙われている時、依頼したヤクザもケツを持ってはくれない。むしろケツをまくろうとする。彼女自身には戦闘能力がないため、別途「傭兵」を雇って対処する事になります。それが全体の1/5くらいで登場する「殺し屋」こと「仁滉一郎(じん・こういちろう)」だ。風子、依頼人、仁のトリオは刺客を警戒しながら諏訪へ向かう。そこに運んでいる「ブツ」の取引相手がいるらしい。途中で警察が依頼人「志麻百合子」の全国指名手配を行った事を公表して、雰囲気はどんどん緊迫していく。志麻は研究所からブツを盗み出したらしいが、いったいどんなモノを盗ったら即日で全国指名手配されるハメになるというのか? 「ブツの中身」と「刺客からの防衛」、ふたつの興味を軸に物語が進行していきますが、先述した通り250ページのない分量なのであっという間だ。ノンストップではないけど「ノンストップ級」のスピード感がある。
依頼を仲介したヤクザすらビビり、タダモノではない雰囲気を漂わせる刺客の連中が「現実離れしたシロモノ」と仄めかすブツ――「何なんだよ、勿体ぶらずに早く書けよ!」と私の胸倉を掴んで揺すぶりたくなる人もそろそろ出てくるだろうから、ハッキリ書いてしまおう。ネタバレが嫌な人は読み飛ばしてください。ズバリ、ブツの名は「MARIA」。無論、タイトルの『マリアを運べ』はここから来ている。処女懐胎の逸話で知られる「聖母マリア」に因んで命名されたそれは、「精子を必要とせず、卵子だけで『単為生殖』する事を可能にする薬」だった。まさに「そういえばiPS細胞というので同性の間でも子供ができるらしいです」の世界だ。百合界の救世主(メサイア)……!
自然界で単為生殖を行う動物の多くはハチやアリなどの小型無脊椎動物で、通常の有性生殖と単為生殖を切り替え可能。脊椎動物だと主に魚や爬虫類が行うが、「複雑な構造を持つ脊椎動物」は遺伝的多様性を確保できなくなるため、進化の過程で単為生殖する機能を失っていったと考えられる。特に哺乳類は「ゲノムインプリンティング」という、「父親のみ」「母親のみ」って条件で発現する事が決まっている特定の遺伝子が存在するせいで片方の性だけでは不完全な生殖になってしまう。しかし、哺乳類にも「もしも」の場合に備えて単為生殖を実行する遺伝子が受け継がれているはずだ、と考えたのがMARIAの出発点だった。眠っている「単為生殖を促す遺伝子」を覚醒させ、女性のみでの出産を可能とするバイオ医薬、それこそが風子の運んでいるブツだったのである。動物実験までは終了しており、これから臨床試験を開始する……という直前で志麻が盗み出した。クローンと違って遺伝子が組み喚わるため単純な「複製」ではないが、精子がないぶん、当然遺伝的多様性は減少する。女性は性染色体のY染色体を持たずX染色体しか持たない(例外もあるらしいが、ここでは例外ケースまでは考えないものとする)から、生まれてくる子も当然女性になります。そして、その子もMARIAを使うならば……極論、この世界に男は必要なくなる。そこまで極論に走らなくても、「『産み分け』の必要なく女性が女性を増やす事ができる」と考えれば男女比が偏っている地域の突破口ともなり得る。
国どころか全世界を揺るがしかねないヤバすぎるブツで、もはやSFの領域に差し掛かってしまっているが、あくまで物語の焦点は「MARIAの輸送」であって「MARIAによって具体的に社会がどう変化するか」ではない。なのでSFめいているもののSFではなく、ジャンルとしては「スリラー」のままでいいと思います。政府から「研究成果と原薬をすべて寄越せ」と要求され、志麻は高跳びを決意したと語る。目的地が諏訪なのは協力者のユダヤ人と落ち合うためで、「太古の昔、古代ユダヤ人たちが極東にある日本まで渡り、諏訪の地で共生していた可能性がある」「旧約聖書に出てくるエピソードや古代イスラエルの信仰が、諏訪に伝わる神事や風習と酷似していた」とMMRみたいな「真実」を告げ始めるので、「世界の真実」――というか陰謀論に興味がない人は「お、おう」となるかもしれません。いわゆる「日ユ同祖論」の一つですね。興味のある方は『アマテラスの暗号』あたりを読んでみてください。「御神渡り(おみわたり)を見たユダヤ人は〈モーセの海割り〉を連想したでしょうね」 そ、そうかなぁ? 要するに「処女懐胎」と重ねるために話を「聖書モチーフ」で統一しようとしているワケなのですが、さすがに面食らった。
よんどころのない事情でMARIAは一旦「強大なバック」を持つ連中によって奪われてしまうが、それであっさり引き下がっては運び屋の名が廃る、と風子はかなり強引な奪還劇を繰り広げる。一度依頼を受けた以上、必ずブツは目的地まで運ぶ――プロ意識の強さに惚れ惚れします。無免だけど。
風子はしばらく空を見上げていた。それから見上げるのをやめた。
空には、道はなかった。地を這う運び屋だからこそ、道のない空なんて見上げて感傷に浸るのは無意味でしかない。あくまで走るべき「道」を見据え続ける。非常に秀逸なスリラーだったが、クライマックスで急に『DOKURO―毒狼―』のような新興宗教が出てきて「すごい数の信者が集まってきている」になったり、志麻が「悲しき過去」を告白し始めたりするせいで脳内に浮かぶ映像が猿渡哲也タッチになってしまった。最後まで運ぶから尊いんだ。誇りが深まるんだ。美学をもて……風子のように。
まとめ。「17歳の無免許ドライバーである少女が運び屋をやっている」という無茶な設定を押し通す事でリアリティーラインを下げて物語のムードをうまく調整している、と好意的に見る事も可能だが、やっぱり「リアリティーがない」点はネックになると思います。あまりにも漫画的過ぎると申しますか。それこそ猿渡哲也作品みたいな、「画力は高いが突飛な話運び」という印象です。パートナーに相当する仁も分量の関係で掘り下げきれなかったし、ラストで明かされる「真相」も伏線を張っていたとはいえマジで猿展開クラスの飛躍だから、かなり好みは分かれると思うが……「猿渡哲也が描いたイニD」みたいな話を読んでみたい方にはオススメです。
2026-07-16.・「私をセンターにすると誓いますか?」TVアニメ化、ティザービジュアル公開(コミックナタリー)
顔は整っているのに、いつも無表情でファンにも塩対応。「やる気が感じられない」と叩かれているアイドル「夏野瑞希」こそが、主人公「奥田幸一」の推しだった。ある日、父親の再婚相手の連れ子、これから幸一の「妹」になる子として引き合わされたのがまさに夏野瑞希本人で……という、いかにもマガジンらしい「ドキッ!推しの子と同居生活」なラブコメ漫画が原作です。講談社の漫画アプリ「マガポケ」連載作品。絵柄が好みという事もあってダラダラ読み続けていたが、途中結構長めの休載期間(確か半年くらい?)があったので、アニメ化を期待するどころか打ち切りを心配していた作品だった。それだけにこの報せはビックリです。
で、あらすじを読むと「マガジンらしくラッキースケベが連発するお色気寄りの作品なんだろうな」って印象を受けるじゃないですか。それが案外とそういうサービスシーンは少ないんですよね。主人公の存在がだんだん薄くなっていって、ヒロインである瑞希が「人気最下位」の状態からグループのセンターを目指す、どちらかと言えばスポ根に近い路線のアイドルストーリーに切り替わっていく。恐らく当初の予定としては「アイドルとして未熟な瑞希がアイドルオタクである幸一のアドバイスを取り入れて徐々に問題点を克服していく、その過程で二人も親密になり、少しずつ距離が近づいて行って……」というオーソドックスなラブコメを目指していたのではないかと想像されるが、「アイドルオタクでしかない主人公が上から目線でああだこうだと指示を下す」、いわゆる「指示厨」「マンスプ(マンスプレイニング、説教癖。相手の女性を無知と決めつけて教師のような態度で知識をひけらかしたり、正しい方向へ導いてやろう、と得意げになったりする行為全般を指す)」みたいな態度が不快という意見が多かったのか、次第に「アイドルの女の子たち」をメインに据えた話に変化していきましたね。こういう融通の利くところが連載作品の良さでもある。
ラブコメを期待するとガッカリかもしれないが、ポテンシャルを秘めた新人アイドルの子が頑張るアニメとして楽しめば宜しいんじゃないでしょうか。そんなに大ヒットする未来は見えないが、そこそこ好評で原作の売上が伸びたりはしそう。
・七井海星「傷口と包帯」TVアニメ化、2027年1月放送開始 制作はJ.C.STAFF(コミックナタリー)
『傷口と包帯』!? 連載開始当時から読んでるけど、まさかアニメ化するとは……主人公はヤクザの若頭「切谷剛(きりたに・ごう)」、顔に大きな向こう傷の跡が走ったゴチゴチの武闘派だったが、あるとき組長の娘「鷲巣理世」の教育係になるよう命じられる。なんでも「俺の手には負えん」「あのままじゃ見合いもできねぇ」と。大人しいお嬢様なんだ、一度ビシッと言ってやればすぐに更生するはず……しかし、切谷の見込みは甘かった。理世は屈強な男が悲鳴を上げたり苦悶の声を漏らしたりといった「弱り」に性的な興奮を覚えてオナニーする、言わば「ヨワラー」だったのだ!
ヒロインのオナニーに関する話題が頻繁に出てくるのに微塵もエロくないという異色のコメディ。何度かSNSでバズった事があるので実際に漫画の絵を見たら「ああ、アレか」ってなる人もいるでしょう。理世が「ヨワラー」の生態に関してレクチャーする展開が延々と続き、その中で少しずつ切谷と打ち解けて若干イイ雰囲気が流れるのだが、やがて理世に縁談が持ち上がって……という感じです。
普通ならそこで切ないロマンス……みたいな感じになるのでしょうが、この漫画の場合だと「縁談の相手もヨワラーで意気投合する」という斜め上の展開に入っていくんですよね。ただ、同じヨワラーであっても「微妙に主義が異なる」という不穏な要素も抱えている。なので強いて言えば性癖バトル漫画というか、いや本当になんなんだろうな、この作品。理世は性的興奮を覚えている時にハイライトの消えた独特の目つきをするんですが、↑の記事で「狂気を宿した目」と表現されていて笑った。作中では「目勃起」などと呼ばれています。ホンマにアニメしていいヤツなのか? お下劣ながら意外に女性読者人気もあるとかないとか。とりあえず担当声優は「家族を人質に取られたのか」って言われそう。
・あきやまえんま「のあ先輩はともだち。」TVアニメ化!ティザービジュアル公開(コミックナタリー)
別に付き合っているワケでもない、単なる後輩の青年を相手に、まるで「束縛の強いカノジョ」の如く面倒臭く付きまといながら「ともだち」と言い張って憚らない図々しさMAXな「のあ先輩」(フルネームは「早乙女望愛」)をメインに据えたオフィス・コメディ。ヒロインのノアパイに関しては「ヒドイン」「悪女」「クソ女」「やらせずぶったくり」「令和の妖怪」「女体化した子泣き爺」「特級呪物先輩」などネットでは散々な言われようである。
パッと見は可愛いんだけど、言動の一つ一つが面倒臭くて帳消しというか、こんな先輩相手に淡々と応対して怒ったりしない主人公の「大塚理人」が聖人に見えてくる。読者の決まり文句が「理人くん、そんな女とは縁を切れ」ですからね。のあ先輩は仕事がデキるし可愛いところもあるのだが、それ以上に厄介なポイントが多すぎるというか……理人が「夏休みの最後に実家に帰って3日くらい滞在する予定」といった旨を伝えたところ、「2日にしない?」「3日もいたらあたしと遊ぶ日が減っちゃうじゃん!」と要求してくる。
コワいのはコレ、ノアパイと理人くん、別に男女交際しているワケじゃないんですよ。あくまで「歳の差を無視した友達関係」であって、ノアパイが馴れ馴れしく接してきているだけなんですよね。恋人でもない後輩の男子を「ともだち」と言い張って束縛しようとする、「カノジョ面した先輩」に生理的な恐怖心を抱いてしまう読者が多いんです。理人くんが鉄の理性を有した聖人だから淡々としたラブコメとして成り立っているのであり、これが凡人主人公だったら距離感のおかしいノアパイに悶々とし続けるお色気マンガになっていたと思います。つまり、『のあ先輩はともだち。』は実のところノアパイではなく理人くんのキャラで保っている作品なんですよね。
監督の「柳伸亮」はラノベ原作アニメをよく手掛けている人。代表的なところは今月原作が完結した『りゅうおうのおしごと!』か。最近だと『弱キャラ友崎くん』をやってますね。制作スタジオは「feel.」、エロゲ原作とか漫画原作、ラノベ原作をいろいろと手掛けているところ。最近の作品だと『Summer Pockets』とか『千歳くんはラムネ瓶のなか』がある。個人的には『スパイ教室』の続きをやって欲しいが、難しいかな。アニメは原作の1巻から4巻まで、あと短編集の内容もやってるのでだいたい5冊分くらいエピソードを消化しているんですが、『スパイ教室』の原作は今月出る本編の最新刊が15巻、短編集が6巻、スピンオフ「side『鳳』」が2巻で、ざっくりアニメでやった3倍以上のストックがあるんですよね。「最後の『鳳』って何?」という方のために軽く解説しますと、5巻から登場する『灯』のライバルチームです。5巻は香港みたいな国「龍沖(ロンチョン)」が舞台で、落ちこぼれ生徒の寄せ集めチームである『灯』に対し、成績上位者を集めた精鋭チームである『鳳』が「お前らみたいな連中の引率としてクラウス先生を使い続けるのは宝の持ち腐れだ、俺たちのチームに寄越せ」と要求してくる。『鳳』は精鋭チームであるにも関わらず、監督役(ボス)が不在という苦境に陥っていたのだ。クラウス先生がいなくなった『灯』――早々に瓦解する事は目に見えているので、なんとかリリィたちは先生を奪われまいと龍沖での任務に躍起となるが……って感じです。早く2期と3期が決定してくれ!
・ippatuのサバイバルSFアクション「虎鶫」TVアニメ化、ティザービジュアル&PV公開(コミックナタリー)
最終巻で細田守も賛嘆してたし、劇場アニメ化はありえるかも……と思っていたが、まさかのTVアニメ化か。『虎鶫(トラツグミ)』はフランス先行で連載が始まった珍しい漫画で、現地では『TSUGUMI PROJECT』というタイトルで発刊された。フランスは独立系の出版社が少なく、ほとんどの漫画は大企業ないし大企業の子会社が発刊する形となっているが、『TSUGUMI PROJECT』は独立系の比較的規模が小さい出版社「Ki-oon(キューン)」が出しているとのこと。以前ジャンプ+で連載されていた『リバイアサン』もキューンが版権を握っていてフランスで先行展開している。まだ連載が続いているものだと『魔女のエデン』もキューン作品。
さておき『虎鶫』、まだTVアニメ化が発表されただけでスタジオ、監督、スタッフ、キャストなどについては不明だが、まさかの細田守監督作品もありえるのか……? ちなみに原作はあの「つくし卿」こと「つくしあきひと」も「僕はつぐみちゃんが大好きです!!」とコメントしています。それでだいたいの内容を察してください。
・吉良信吾の『沈黙と爆弾』読んだ。
第4回警察小説新人賞受賞作。「聞いた事ない賞だな?」って方も多いでしょうが、なにぶんまだ若い賞なので仕方ない。小学館が主催している賞で、文字通り募集内容を「警察小説」のみ(ある程度拡大解釈して捕物帖とかでもOK)に絞ったニッチな賞。これまでに本書含めて3つの受賞作が刊行されている。「第4回なのに?」と訝ったかもしれませんが、第3回は「受賞作なし」だったんで……第1回が『恩送り 泥濘の十手』、第2回が『県警の守護神 警務部監察課訟務係』。第4回が本書(応募時のタイトルは『それぞれの正義』)です。実は「警察小説新人賞」の前に「警察小説大賞」というよく似た名前の前身となる賞が存在したのですが、こっちの方も知らない人がほとんどだろう。第3回まで開催されたが、あまりパッとしなかったためか、賞名を「警察小説新人賞」に変えて再出発したワケです。名称を改めていなければ「第4回」は「第7回」になるはずでした。前身時代も含めた「受賞作一覧」が掲載されている出版社のページもあるので興味がある方はチェックしてみてくださいませ。賞金額は300万円とそこそこ高額(ちなみにミステリ系の新人賞としてもっとも有名な江戸川乱歩賞は500万円、賞金が高い事で知られる『このミステリーがすごい!』大賞は1200万円、マニア人気が高い鮎川哲也賞やメフィスト賞は0円で印税オンリー)だが、ぶっちゃけ世間的な注目度は低いんじゃないかな……キラータイトルがまだ1冊も出ていませんので。
愉快犯なのか、熊本県の各地で空き家に爆弾を仕掛ける「爆弾魔」が県民を騒がせていた。空き家なので人的な被害はなく、せいぜい畳が焦げてボヤ騒ぎになる程度だったが、悪質な犯行である事に変わりはない。県警の威信にかけて逮捕しなければ……と張り切っていた刑事たちが運悪く爆発に巻き込まれ、1名が意識不明の重態に陥った。「澤守竜人(さわもり・りゅうじん)」。周りから「竜さん」と呼ばれている、厳つい容姿でマル暴並みに「ヤクザと見紛う」ような男。彼は爆破に巻き込まれる前、非違事案(公務員として相応しくない不祥事)を起こしていた疑惑があった。居酒屋でヤクザとおぼしき男を相手に激しい暴力を振るったのだという。目撃者も多数存在していた。相手がヤクザなら面子が潰れるのを嫌って被害届を出す事はないだろうが、もしこの件が世間にバレたら警察幹部の首が飛ぶ。監察課の「阿玉清治(あだま・きよはる)」は事実関係の調査を命じられた。家族の不祥事によって出世コースから外れ、「自主退職勧告」を受けながらもキッパリと断って組織に残り続けている異端、それが阿玉である。厄介事の始末ばかり回されるせいで「お掃除ロボットのルンルン」と揶揄される阿玉だったが、家族を養うために屈辱を忍んで警察にしがみついていた。彼は新任の「船場新太(せんば・あらた)」巡査部長とともに調査に乗り出すが……。
というワケで、破天荒な悪徳刑事がメイン……と思わせてすぐに退場し、代わりに「周囲から煙たがられている監察官」が登場して新人と組むバディ小説に変貌する警察小説。無論、タイトルに入っている「爆弾」もメインストーリーに絡んでくるが、そっちの捜査は別の班が行うので阿玉たちは直接タッチしない。なお、もう一方である「沈黙」は、2016年の熊本地震で飼っていた犬が瓦礫に押し潰されて亡くなったショックで息子の「善徳(よしのり)」が失声症になってしまい、一言も喋れなくなってしまった事を指しています。現代の熊本が舞台という事で、やはり地震の話題は避けられない。熊本地震を思い出したくない人は読まない方がいいかもしれません。地震そのものがストーリーの中心に来るワケじゃありませんが。
澤守には妻子がいるが、息子・卓矢は結婚前に妻・茜音が産んだ子供で、澤守と血の繋がりはないという。元「組対(組織犯罪対策部)」、いわゆる「マル暴」の刑事であり、「暴力団員との癒着・情報漏洩・賄賂の受け取り」といった容疑で監察対象になった事もあったが、「証拠不十分」として放免されている。澤守の身上調査に並行し、阿玉の息子である善徳が「血まみれのナイフを持って猫の死体の脇に佇んでいた」という事案が発生。当然、猫を殺害した容疑が降りかかるが、阿玉は「善徳はそんな事をする子じゃない!」と信じる。しかし善徳は失声症のため上手く意思表示できず……と、こんな具合で「爆弾騒ぎ」「澤守の非違事案調査」「息子の動物殺し疑惑」という3つのストーリーラインが交錯する物語になっています。こう書くと「何だか混乱しそうな話だな」という印象を受けるかもしれませんが、丁寧な筆致で一つ一つの物事を整理して綴っているので割とすいすい読める。「文章力の高さ」が長所の一つと言えるでしょう。
しかし、熊本が舞台だからか、警察が取り調べに来ているのに16時の時点で平然と酒を飲みながら受け答えする居酒屋のオッサンとか出て来てビックリするな……熊本県民にとってはビールくらい水と同じ感覚なのか? 阿玉たちもビールを勧められるが勤務中なので当然断っている。祐天寺にゃむも20歳を過ぎたらガッパガッパ飲むようになるのかな……あ、ちなみに方言の類は出て来ません。熊本弁バリバリの掛け合いを期待するとガッカリかも。
澤守の事を詳しく知るため、直属の上司にあたる「垣脇一策(かきわき・いっさく)」警部補や部下の「鷲尾諒(わしお・りょう)」巡査長にも事情聴取を行う阿玉。そこから見えてくる彼の人物像とは? 一方で爆弾事件の捜査も進み、使われた爆発物が「硝酸アンモニウム」――あの『AKIRA』のワンシーンみたいな大爆発で全世界に衝撃を与えたレバノンの「ベイルート港爆発事故」と同じ物だった事が判明する。なぜ今までボヤ騒ぎが起こる程度の爆弾もどきしか仕掛けなかった奴が、踏み込んできた刑事を爆殺しかねないほど威力の高い爆発物を急にセットし始めたのか? やがて澤守が暴行を加えていたチンピラが見つかる(それとは別口で爆弾事件の犯人も捕まるが、精神状態に問題があってまともな供述が取れない)。だがチンピラは口を噤み、澤守の暴行について証言しようとはしなかった。こいつは澤守の捜査によって所属していた組を潰され、暮らし向きも悪くなっている。澤守を恨みこそすれ、庇う理由など微塵もないはずなのに……そして善徳の通う学校で「動物殺し」が発生し、またしても血まみれの刃物を持った善徳が衆目に晒される。善徳、お前は本当にやってないんだよな? 信じていいんだよな?
複雑に入り乱れるストーリーは、やがて阿玉たちを「ある真相」に導く。それは警察にとって望ましくない、忌むべき代物であった……という具合に重々しいクライマックスへ向かっていきます。組織は「正義」よりも「秩序」を重んじる。公表すれば警察の威信は地に落ちるだろう。事実を隠蔽するべく、監察としての報告を捻じ曲げるよう露骨に「圧」を掛けてくる上層部。監察の仕事は「正義の実現」ではなく「組織の維持」、それを骨身に沁みるほど理解している阿玉の下した結論とは……。
明かされた真相は正直「ええ……」となるようなモノで、ハッキリ言って爽快感とかそういうのを求める人には向かないです。胸糞悪い、というほどでもないが、間違ってもスカッとするモノではない。とはいえ、お偉いさんによって首輪を付けられた走狗、「意思を持たないお掃除ロボット」として蔑まれていた阿玉が「監察としての意地」を貫くラストは素直に熱かった。あのシーンだけでも映画化して欲しいな、と願うほどです。
まとめ。読み出した当初は「これいったい何の話なんだ? タイトルに『爆弾』と入っている割に、主人公たちは爆弾事件の捜査に直接携わるワケじゃないみたいだし……」と戸惑ったが、複数のストーリーラインが絡み合っていく過程が面白くてだんだんと熱中しました。映画にもなった呉勝浩の『爆弾』と比べたら事件の派手さ・先の読めなさ・キャラクターの強烈な個性などといった点でどうしても見劣りしてしまうが、「あっちはあっち、こっちはこっち」と切り離して読めば充分満足の行く一冊に仕上がっている。「組織」とは別に「家庭」の要素も掘り下げているため、主人公に人間味や人間臭さを求める人にはうってつけかも。でも、これが大ヒットするかって言うと、うーん……正直、地味だよね、って感じでした。ちなみにサブキャラの澤守の部下・鷲尾諒が結構好きです。いや、決してイイ奴じゃないし、ムカつくところもあるんだけど、クズってほど悪くもないし、こういう奴がデレて態度軟化させるとつい萌えちゃうよね、っていう……うん、チョロいな、私。
・拍手レス。
今更ながらシラートみました。体験重視なだけあって、田舎の劇場でしかも洋画なのに人結構入っていて驚きました。ネタバレなしで書き込むのは本当に難しい映画ですね。とりあえず序盤はエステバン君のファッションに釘付けで、終盤は怒涛のタイトル回収展開に吹きました。二時間以下でまとまってるから、地上波のロードショーも余裕のカンヌ・アカデミー映画でした(絶対にやらないだろうが)
エステバンくん、最初は女の子だと思って見ていたので帰宅後に情報調べて男の子だと知り、ビックリしました。あれはおうち環境で見ると魅力半減どころじゃないし、劇場で上映されているうちに是非とも鑑賞して欲しいですよね。かなり小規模の興行だけど国内での興行収入は1億円を突破しているそうなので割とロングランしそう。
2026-07-06.・「魔物使いの娘」TVアニメ化!石見舞菜香、小林千晃、大塚明夫が出演(コミックナタリー)
ほ〜ん、『魔物使いの娘』がアニメ化か。私あのシリーズ好きなんでめでたいですね。こりゃ。
……『魔物使いの娘』がアニメ化!? うせやろ、アレまだ2巻しか出てないんやぞ!(10日に3巻発売予定) コミカライズも、書籍版発売に合わせて「プロモーションコミック」とかいうフルカラーのウェブトゥーンみたいなのを配信しただけで、正式な漫画版は9月からスタートだっていうのに……まさかアニメ化発表の方が先に来るとは。「やっべーな、面白いシリーズなのに下手したら3巻で『第一部・完』になりかねねーぞ」と心配してた私がバカみたいじゃないですか。いえ、最近はアニメ化してもよっぽどイイ出来じゃないと原作の販促効果があまり出ないらしいので、まだ気は抜けませんが……。
簡単に言うと『キノの旅』とか『魔女の旅々』みたいなロードムービー調のライトノベルです。主人公の魔物使い少女「リーン」は理由あって旅をしているのですが、行く先々でトラブルに巻き込まれ、冒険者である相棒の「ハクラ」と一緒に切り抜けていく事になる。新人離れした筆力で、既にベテラン作品のような佇まいがあるシリーズです。リーン役は「石見舞菜香」、ウマ娘のライスシャワーや推しの子の黒川あかねでお馴染みの声優。ハクラ役は「小林千晃」、マッシュルのマッシュ・バーンデッド、地獄楽の画眉丸、フリーレンのシュタルクと有名な役をいくつも演じている。個人的にはラグナクリムゾンのラグナが印象深い。お供のスライム、「アオ」役は「大塚明夫」。もはや解説不要だろう。そう、声優陣は超豪華です。「これヒットしても2期やるのは大変じゃない? 声優のスケジュール押さえたりとか」って感じ。制作スタジオの「project No.9」は『ロウきゅーぶ!』で元請デビューした割と新興のところ。『りゅうおうのおしごと!』や『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』、『ひきこまり吸血姫の悶々』など、ライトノベル原作アニメを多く手掛けている。まぁ、正直、中には「これは……(絶句)」という担当作もあったが、現時点ではそこまで悲観しなくてもいい、はず。とりあえず原作の3巻発売を楽しみにしています。
・「魔女と猟犬」TVアニメ化、PV&ビジュアル公開 シリーズ構成にカミツキレイニー参加(コミックナタリー)
こっちは2020年開始なので6年近く経っているし、そろそろかな、と期待はしていた。『魔女と猟犬』、ガガガ文庫デビューの作家「カミツキレイニー」によるダーク寄りのファンタジーです。圧倒的な「数の暴力」で侵略してくる大国に対抗するため、「隔絶した個」である魔女たちを集めようと小国のエージェントが頑張る話。概ね年に1冊くらいのペースなんで巻数はそんなに多くないが、1冊1冊が厚めで読み応えは充分。最新刊の6巻が2024年12月発売で、1年半が経過しているから「大丈夫……だよな? 信じていいんだよな?」と若干不安だったのでアニメ化の報せにはホッとした。
PVを見た感じ、作画や演出は良さそう。ガガガのアニメは低予算なイメージが強かったが、マケインが大当たりした影響もあって多少張り込んでいるのかな? 割とストーリーがスローペース気味なので新規の人たちが食いついてくれるかどうかまだ確信が持てないが、差し当たっては期待しておこう。
・よしむらかな「ムルシエラゴ」2027年にTVアニメ化、総監督は直谷たかし(コミックナタリー)
物凄く面白いけどアニメ化されない理由もなんとなく理解できる『ムルシエラゴ』が遂にアニメ化決定だ! 踊れ! 騒げ! セールで安かったからとはいえ、紙版を買った後に電子版を購入するぐらい好きなシリーズです。700人以上を殺害し、本来ならとっくに絞首台の露となっていてもおかしくない大量殺人鬼「紅守黒湖」を「超法規的措置」によって捜査官にする、頭おかしいとしか思えない決断をした世界の日本が舞台です。狡兎を狩り尽くすまで走狗を駆らせよう、と凶悪犯対策の猟犬としてシャバに解き放たれた黒湖。レズビアンであり快楽殺人者でもある彼女は、当たり前だが善悪の理非など問わない。ただ心の赴くままに美女と美少女を抱き、獲物もそうじゃないモノも気分に任せて殺すのみ。一応監視役として「屠桜ひな子」ってバディも配属されているが、あまりにポジティブ過ぎるひな子は黒湖が重ねる悪行・兇状の数々をいいように解釈してしまう。ひな子の不興さえ買わなければ何をしてもいい、と黒湖はどんどん調子に乗っていく……。
正義が消えて荒野となった現代社会で悪党が悪党を屠って、サービスシーン的に女と女がくんずほぐれつする濡れ場が挿入される、気持ちいいぐらいに俗悪な漫画です。当然、死体はゴロゴロ転がるし血飛沫の嵐もやまない。謎解きミステリのような展開もあればソード・アクションが延々と続くバトル系のエピソードもあり、あらゆるアイデアを手加減抜きにブチ込んだ結果カオス極まりない作品に仕上がっています。さながら「漫画の形をしたソドムとゴモラ」。神の火が降り注がない末世を女どもが征く。すべてのゴミカスは道を譲れ!!!!!!
ストーリー物の漫画ではあるがエピソードとエピソードの繋がりは弱く、一部「〇〇の後日談」みたいなのもあるが、基本的にオムニバス形式でどこから読み始めても構わない作品です。黒湖の前歴や生い立ちについてはほとんど触れられないし、たぶん今後も触れる予定はないんじゃないかな。あまりに悪人すぎて普段の振る舞いに余裕があるため、一周回って善人っぽく見える、という皮肉がかなり利いています。「伊達邦彦シリーズ」みたいなハードロマンを現代に復古しようとしたらこんな具合になるかしら。とにかく面白い作品なので、1巻から順にじゃなくてもいいから是非読んでみて欲しい。3巻ラストから始まる「薔薇色の牢獄」、11巻の途中から始まる「剣聖」あたりがオススメ。「マンガUP!」というアプリを使えば、多少時間は掛かるんがチケットを消費してだいたいのエピソードを読む事ができます。あと別の漫画家が作画した『ムルシエラゴ アラーニァ』というスピンオフもあります。作者自身が「グレたマーニー」と表現していたスナイパー、「朽葉怜子」が主人公。併せてどうぞ。
・KAZUの『現代最強の魔術師・白虎夜虎(1〜2)』読んだ。
「――お前を修祓する」
副タイトルは「呪殺率が高すぎる世界で、転生者の俺は死にたくないから死ぬほど鍛えて呪いを祓う。気づけば五大貴族の令嬢達が花嫁競争《ヒロインレース》を始めました」、ってなっが! 大陸ソシャゲヒロインの乳房並みに長いですね。内容としては、最近ちょっと流行ってきている? 「現代日本」ではあるけれど「魔術や呪術、陰陽術や法術などのオカルトパワー」が存在していて「化け物や妖怪、怪異の類」が闊歩している、ちょっとパラレルっぽい世界を舞台にしたバトル系ファンタジーです。似たようなの多くて全部挙げると疲れるから代表的なのを二つ挙げると、『現代陰陽師は転生リードで無双する』とか『転生陰陽師・賀茂一樹』とか、ああいうのです。身も蓋もない言い方をすると和風伝奇調の『無職転生』。
なろうではなく「カクヨム」掲載作品。同じカクヨム作品で電撃文庫から書籍化されている『凡人転生の努力無双』との「類似性の高さ」を指摘され、公開停止になった時期もあり、タイトルや作中の用語が変更になった(「魔術師」はもともと「祓魔師」だった)経緯があります。改題前のタイトルは『転生祓魔師・白虎夜虎〜赤ちゃんの頃から努力して最強呪力を持つ最年少特級祓魔官に認定された俺、気づけば世界を支配する五大貴族の美少女令嬢達に囲まれていました〜』。異世界ファンタジーで「ギルド」とか「冒険者ランクシステム」とか「勇者/聖女/魔王」とか「魔物を倒すと魔石をドロップする」とか「ダンジョンの奥にはダンジョンコアがある」とか、複数の作品を並行して読んでると「あれ? どれがどれだっけ?」と混乱するくらい似通った設定が多く半ばシェアワールド化してるけど、この手の「パラレル日本に転生して幼少期から鍛えて無双」みたいな和風(じゃないのもあるけど)ファンタジーはまだ「一般常識的な設定」や「共通項として許される要素」が整備されておらず、「類似ィ!」と目くじら立てられやすいのかもしれませんね。さておき、作者が「少年漫画的熱い展開大好き作家」と名乗っている通り、ベースとなっているノリは熱血少年漫画のそれです。あと特撮っぽいムードもちょっと入ってるかな。副題のせいでエロエロハーレム展開が延々と続きそうなイメージを抱いてしまうが、今のところラブコメとかエロコメの要素はそこまで強くないです。かと言って薄いほどでもないが。「読み応えのある文章」というよりは「スナック菓子みたいなサクサクした文体」なのでジュース飲みながら読むのにちょうどいい印象です。
ただ、先に誤解をといておきたいのですが、「金髪の幼い少年が5人の美女を侍らせている」という表紙イラストを見て「おねショタか!? 『現代最強の魔術師』の血を取り込むために年上ヒロインたちがキャットファイトを繰り広げるおねショタ版『まぶらほ』か!?」と逸ってしまった人はその期待を宥めて欲しい。表紙イラストはあくまで「イメージ」であって、5人いるメインヒロインのうち4人は主人公と同い年。「おね」に当たるのは1人だけです。1巻は「異なる日本」から転生してきた主人公が「十二天将家」の一つ「白虎家」の嫡男「夜虎(やとら)」に生まれ変わるところから生まれる。一応「転生モノ」ではあるが転生要素はそこまで強くなく、「そういえば転生者だったっけ」と読んでいる途中で忘れそうになるレベルです。というか忘れても別に大して支障はないです。この主人公、「前世では病弱でずっと病院の中で過ごし、若くして亡くなった」という設定ですから。ほぼ「タイトルに『転生』の二文字を入れて新規読者を釣るため&幼少期から鍛錬して無双する展開に説得力を持たせるため」だけのものです。一応、早い段階で両親に「前世の記憶がある」事は打ち明けていて、「それでも我々の息子である事に変わりはない」と受け容れられている。主人公の行動原理を支える要因の一つとして前世設定がある、と言えなくもないが、『現代陰陽師は転生リードで無双する』や『転生陰陽師・賀茂一樹』、『凡人転生の努力無双』に比べるとあまり転生要素を活かしていない事は確か。
なお、主人公の「天与の才能」にプラスする形で「常軌を逸した魔力の強さ」になる理由として「魔力の篭もった母乳を飲み続けた」という設定があるんですが、2歳になってもまだ母乳を飲んでるのはさすがにビックリした。個人差はあるにせよ、2歳になると普通に歯も生え揃ってくるし、母乳どころか離乳食から卒業している時期なのでは……? そもそも2年も母乳って出続けるの? と気になって調べたら、「母乳は乳首を吸い続けるかぎり出続ける」「WHOは2歳まで、日本小児科学会では4歳までの授乳を推奨している」って検索結果が出て来て「へー」ってなった。自分が4歳の頃を思い出すと母親のおっぱいを飲むのはかなり抵抗があるけどな……まぁ、これも古い「常識」なのかもしれない、と納得しました。
すくすくと育った主人公は4歳になり、「罪(シン)」と遭遇して初陣を迎えます。この世界では魔物やモンスターの類を「罪」と呼び、その脅威を表す尺度として「罪度(ギルティチュード)」という数字を用いる。罪度1はだいたい野生動物1匹程度の脅威で、一般人でも退治できない事はないが怪我したり死亡したりする恐れもある強さ。じゃあ罪度2はその倍なのか、というと違います。罪度はマグニチュードと一緒で、1つ上がるごとに30倍となる。つまり、単純計算すると罪度2は野生動物30匹相当、罪度3は900匹相当、罪度4は27000匹相当の強さ……ってわかりづらいよ! 「震度」をもじった「罪(シン)度」の言葉遊びも相俟って余計に混乱します(言うまでもないが、震度とマグニチュードは互換性がない別の尺度)。ハッタリ重視であんまり細かい事は考えない方が良さそうな作風です。とにかく罪度2以上は一般人じゃ手に負えず、罪を駆逐する専門職たる「魔術師」でも罪度3あたりから手こずり始める。そんな罪度3の敵を、たった4歳の主人公が母親を護るために戦って討ち斃す! というベタながら熱い展開、これが終わって6歳になる頃のページ数が62ページです。爆速というほどじゃないが、展開は割と早い。
で、1巻第二章の「国家魔術官試験」から6歳編スタート。章題でだいたい察せられると思いますが、「僕、またなんかやっちゃいました?」「何者なんだ、あの子は……規格外すぎる!」「生まれるな……『現代最強の魔術師』が!(タイトル回収)」というテンプレ展開です。みんななんだかんだ言って好きでしょう、テンプレ展開。ここで年上ヒロインの「紫電静香」が登場します。6歳編の時点で中学生。JCと6歳児のおねショタ、いいよね……夜虎は彼女を「静香お姉ちゃん」と呼んで慕いますが、この主人公に前世がある事を考慮するとオッサンが向坂環を「タマ姉」と呼んでるみたいで若干気持ち悪……い、いや、前世ではずっと病室暮らしで同年代や年下の子と接する機会がなかったみたいだし、明言はされていないが10代半ばで亡くなったようなのでそこまで気持ち悪くないです、はい。紫電家は十二天将家の本家に当たる一族で、静香の家系も昔は「土御門」という姓だったけど、いろいろ事情があって今の姓になっている。母親は既に亡く、父親は出奔してその卓抜した才を私利私欲のために濫用する闇社会の傭兵と化してしまい……メチャクチャわかりやすく書くと「女体化した伏黒恵」のポジションです。禪院家に相当する「本物紫電家」はとっくに潰えているからドブカスは出て来ません。
モチーフとなっているのが「安倍晴明とその式神である十二天将」ゆえ、平安時代からの因縁がいろいろあって『呪術廻戦』とも接続できるポイントがいくつかあるんですよね。ただ、「他の十二天将家」はあまりストーリーに絡んでこないです。明確にキャラクターとして出てきたのは「貴人家」の人たちくらい。じゃあ何がメインになるのかと言うと、副題にも入っている「五大貴族」です。作中の世界では名前に色が入っている五つの家系が存在しており、紫電家もその一つ。具体的な発祥は不明だが、少なくとも平安時代の頃から日本列島を守護してきているらしい。2巻のあとがきによると3巻で「世界の仕組み」が明らかになるっぽいので、そのへんは次巻で掘り下げか? 他は中国大陸を支配下に置く「黒王家」、スウェーデンを本拠地としてヨーロッパ全土を守護する「シルバーアイス家」、アフリカ大陸の覇者「ロートオリフラム家」、アメリカに君臨する「ヴァイスドラグーン家」、この紫・黒・銀・赤・白の五色が世界の平和を維持している。
え? エリア外のロシアとかインドとか中東とかオーストラリアのあたりはどうなってんの、って? ……知らん! 既に失陥しているのかもしれませんね、GPM(ガンパレード・マーチ)とかマブラヴとかアサルトリリィみたいに。とにかく、国家魔術官試験に合格した後の6歳編で五大貴族の一つシルバーアイス家の令嬢「オーロラ・シルバーアイス」がお出ましとなる。要は幼なじみポジションです。遠回しながら結婚の約束もしている。本人は正妻気取りのようだが、気取れば気取るほど残念さが増して負けヒロイン臭もスゴくなる。ハーレムエンド以外では豊橋に行く事になりそう。氷属性のヒロインだから豊橋全土が涼しくなってしまう。誕生しちゃうな、「日本の北欧・豊橋」が。母を喪った哀しき過去から心を鎖していた少女を桎梏から解き放ち、眠る力の覚醒を促した夜虎。「こんなん惚れてしまうやん」という読者の予想通り、ローラちゃん(愛称)は夜虎にベタ惚れ状態に。でも言葉を交わすと甘えてしまうから……と彼のもとを去った後は音信不通の状態になります。なんか最近、そんな感じのヒロインがキービジュアルになっているアニメが放送開始しましたね。
ローラとの一時的な別れを経て200ページの第四章「特級魔術官・白虎夜虎」から16歳編がスタート。若きイケメン魔術官としてアイドル視されている夜虎が行く先々の女を惚れさせていく。何って……ただお姫様抱っこしただけだが? このへんの軽薄なノリでギブアップする読者も出てくるかもしれません。夜虎って「努力する天才」という設定になっているが、ぶっちゃけやってる事は「初期の上条さん」なので、全体的に雰囲気が平成なんですよ。こう、「川田まみ」の曲が聞こえてきそうというか……物凄く雑に書けば「上条さんを五条悟に置き換えた『とある魔術の禁書目録』」みたいなんですよね、16歳編。成長して立派になった夜虎くんの姿を存分にお披露目しているが、1巻の本編は270ページ弱(書き下ろし短編が10ページくらい)だからあまり話が進まないで終わる。
あれ? 紫電家やシルバーアイス家以外の「五大貴族の令嬢達」ってどうなってんの? と訝る読者のために残り3人のヒロインたちを顔見せ程度に登場させたところで1巻は幕となる。「花嫁競争《ヒロインレース》を始めました」って、始まるどころか会ってさえおらんやんけ! 表紙に映っている5人の少女のうち3人はフラグが立つどころかスタートラインにも立ててないじゃん! こんなの表紙詐欺だよ表紙詐欺! と叫びたくなる人の気持ちもわかります。私も2巻を買ったあたりでやっと崩し出したからキレなかっただけで、もし1巻しか出てない状況でコレを読んでいたら普通にキレていたと思います。期待させるだけさせておいて、「1巻丸々プロローグだった」というオチ。バーン様が読んでいたらハドラーの指を折るところだった。(バーン様はハドラーの指を折らねぇよ)
2巻は五大貴族の令嬢達が日本に集結して「誰が最強なのか」を周囲に理解らせる模擬戦形式の大会「五大覇祭」が開催されます。この巻でようやく夜虎は残りのヒロイン、「アザルエル・ロートオリフラム」と「黒王冥」と「ゼフィロス・ヴァイスドラグーン」と面識を得る。あと連絡が取れなかった幼なじみのローラちゃんとも再会する。古のルイズコピペを口走りながら夜虎に飛びつくローラ……この作者、実年齢は知らないけど精神年齢は30どころか40を超えてるんじゃないか? 全体的にネタが古い。『お前なんだか』『まとめサイトとかニコニコ動画に入り浸ってそうな作風だよな(笑)』 五大覇祭で誰が優勝するかはわかりきっているのでわざわざ書きません。リジェネ体質のせいで腹をブチ抜かれるような攻撃に「感じて」しまうアザルエル、天才ではあるけど「天才止まり」になりそうな冥、そして「哀しき過去」を負って
「聖餐杯は砕けない!」「もう一度いう わたしは最強だ!」と主張するゼフィロスたんが見所。いや、ゼフィロスたんの「哀しき過去」、割と洒落になってないレベルでヒドいというか……関係者たちは後悔しているけど、やってる事自体は『Dies irae』のリザ・ブレンナーがやっていたレーベンスボルンのアレとどっこいどっこいなので「すごいな、私。涙なんか出てる」というセリフが脳裏に甦ってくる。この世界の倫理観、なにげに『アサルトリリィ』の「G.E.H.E.N.A.」(人体実験や交配実験など、毎回ろくでもない事ばかりしてるせいでファンから「またゲヘナか!」「ヒュージよりゲヘナ滅ぼした方がよくない?」と散々言われている組織)並みだよな。『とある魔術の禁書目録』ファン向けに分かり易く書くと「木原一族が味方ヅラしていて特にお咎めなしの世界」です。黒王冥以外とのフラグが概ね立った状態で2巻は終了し、名実ともに夜虎が「現人類最強」と認められた事で罪の芯たる「七つの大罪」も蠢き出す。その一角、「憤怒」担当は平安時代から生き延びし大罪鬼「酒呑童子」。ヒロインの一人である紫電静香の母親を殺し、父親が悪堕ちするキッカケとなった因縁の怨敵です。次巻では冥とのフラグを立てつつ静香お姉ちゃん(もう大学も卒業している)を掘り下げていくのかな?
察した方もおられるでしょうが、なんとですね、2巻の時点でもまだ「花嫁競争《ヒロインレース》」は本格的に始まってないんですよ。1巻から全裸待機していた読者がそろそろ風邪をひいてしまいそうです。「少年漫画みたいな熱いバトル」がメインで、今の段階だとハーレム要素はオマケでしかない。バトルの方も、まだあんまり強敵らしい強敵が出てこないんでそこまで盛り上がらないんだよな……主人公たちの修祓(しゅうふつ)する罪って特撮の怪人レベルの代物だし。恐らく七つの大罪と思われる「玉藻前」(色欲担当?)が出てきたり、平安時代から生き存えている最古クラスの術師「蘆屋道満」が玉藻前と意味ありげな会話交わしていたり、先々の展開を窺わせる要素はあれやこれやと鏤めているが「本編」が開幕するのは3巻以降といった気配です。上で「1巻丸々プロローグだった」と書きましたが、正しくは「1巻と2巻が丸々プロローグだった」ですね。プロローグだけで3000円近い金取んのかよ! 教えはどうなってんだ教えは!
まとめ。美少女ゲームで喩えると書籍版の2巻で体験版の範囲が終わって3巻から製品版の範囲に突入する程度の進捗です。特別な事情がなければ3巻が発売されるぐらいのタイミングで読み出せばいいと思います。副題の謎ワード「呪殺率」は本文で特に言及されていないのでよくわからない。渋々変えた事情があるみたいだし、無視していいんじゃないでしょうか。せっかくだから「花嫁競争《ヒロインレース》」の予想もしておこう。たぶんハーレムエンドで5人全員を孕ませるんじゃないかと睨んでいますが、もし仮にハーレムエンドでなければ……を考えていこう。まず脱落するのはアザルエルか。こういう「お色気枠のギャル」ってヒロインレース物で勝つ事はまずないので、本命視する方は少ないでしょう。次に厳しいのが静香お姉ちゃん。次巻の掘り下げ次第ではあるいは……という線もなくはないが、10代のヒロインが揃っている中で20代のヒロインがレースを征する例は……いえ、『ぼくたちは勉強ができない』の先生(桐須真冬)がハチャメチャに人気あった事は知っていますけど、あれはマルチエンディング形式でしたし。漫画の連載が終了した『幼馴染とはラブコメにならない』の「こずねー」こと「木暮梢」(放送中にリタイアしたから知らないけど、たぶんアニメには未登場)なんて途中からあからさまにギャグ枠へ移行していたじゃないですか。メインヒロインでもないかぎり「姉さん女房」が勝つ事はほとんどないんだ。『紅 kure-nai』の「崩月夕乃」が好きな私には悔しいが仕方ないんだ。まぁ、エロゲだと幼なじみを押し退けて主人公と結婚して娘が産まれたifストーリーを同人で出している「草壁美鈴」(主人公の方が姓を変えた)というレジェンドが存在しますが。
なので冥、ローラ、ゼフィたんの三つ巴になる可能性が高いですね。冥はまだフラグが立っておらず出遅れている状態だが、古来よりツンツンしているヒロインはデレた時に発するエネルギーは凄まじいとされています[要出典]ので。ローラは幼なじみで結婚の約束も一応交わしており、順当に行けば勝ち確ヒロインだが、それだとあまりにも面白みに欠けるのでここから最低2、3回は脳を破壊される展開を挟みそうな気がする。そこまでブッ壊されるともうラストスタンディング・ウーマンになっているかどうかは怪しい。ゼフィロスはようやく「人の心」を取り戻して次巻から夜虎ベッタリになりそうな雰囲気だが、ヒロイン指数に関してはいろいろと未知数。読めぬ……太刀筋が、まったく……ヘッドホン付けてるし、場合によっては『五等分の花嫁』の三玖に匹敵する人気が出そうなポテンシャルを秘めている。そういうヒロインは往々にして秘めたまま退場したりもしますが。
ローラ「「怯えろ! 竦め!! ラブコメヒロインの性能を活かせぬまま消えてゆけ!!!」
そんな事より、道満と玉藻の会話に出てきた「あなたの妻……晴明が命をかけてあれを封印し」って箇所の方が気になるんですが。えっ、この世界だと安倍晴明は女性なんです?? そうなると話変わってくるな……ライバルじゃなくて夫婦なら、晴明と道満の関係は「鹿目まどか」と「暁美ほむら」みたいな面もあるのかもしれない。封印している「あれ」が何なのかにもよりますが。玉藻はこうして平然と歩き回っているし、酒呑童子も静香の母親を殺したぐらいなので「あれ」の可能性は低い。玉藻や酒呑以外で晴明が命をかけて封印しそうな存在って何だ? 両面宿儺、悪路王、夜刀神、温羅などの伝承系か? 崇徳院は時代が合わないし、史実系だと菅公あたり? 神話系だと八岐大蛇や素戔嗚(スサノオ)かな。とりあえず3巻待ちです。
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管理人:焼津