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リレー小説「魔法少女忌譚修」(第13話−10/12)


2026-06-30.

「ごきげんよう、一局いかが?」TVアニメ化!監督はかおり、制作はFelix Film(コミックナタリー)

 今度のきらら系アニメは麻雀コメディ、来てますね……麻雀アニメの波が! これは『アカギ』を再開して『兎』とかもアニメ化するしかなし子ちゃんじゃ。原作者の「卯花つかさ」は過去に『アニマエール!』がアニメ化しています。チア部のヤツです。

 Y<ハイブイ! あれが2018年放送だからもう8年近く前か……え? そんなに経ってる?

 卯花さんはアニメに合わせての短期連載とはいえ『ぽんのみち』のコミカライズもやってるので『ぽんのみち』コラボはあるかもしれない。ちなみに『ぽんのみち』は『流局西入編』という本編の10年後を描いたスピンオフコミックもあったりするが、読んでる人は少ないかもしれない。私はヤンマガWebでこれ読んで『ぽんのみち』を知ったクチなんですが、面白いかどうかと言われると、うん……そもそも単行本1冊でまともな麻雀漫画を展開するのは難しいでしょ。

「鍋に弾丸を受けながら」TVアニメ化決定!制作はJ.C.STAFF、2027年放送予定(コミックナタリー)

 鍋弾アニメ化か……どちらかと言えばエッセイコミックのようなノリで、「登場人物たちが全員フィルターによって美少女化している」というところに特徴のある作品です。「治安のヤバさと飯の旨さは比例する」という独自理論をもとにグルメを求めて危険地帯へ赴く、なんだっけ、昔やってたあの番組……思い出した、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』みたいなノリの漫画だ。

 原作者の「ジュンターロ」こと「青木潤太朗」は昔スーパーダッシュ文庫で『ガリレオの魔法陣』ってラノベとか出していた人です。漫画原作をいくつも手掛けており、個人的に『SMOKE&WATER 〜マルキ・ド・サドの孫娘〜』が好きだったけど短期で終了してしまった。鍋弾は2021年からWeb連載を開始し、直後から話題になって単行本もよく売れていたみたいだが、作画を担当する「森山慎」の体調不良が原因で2024年から連載休止状態となっています。2025年7月に「再開に向けて着々と進めてはおります」と本人がコメントしているので信じて待っている状況なんですが、そろそろ1年が経過するな……アニメ化も影響して企画を止めるワケにはいかなかったのか、現在は別の人(隆原ヒロタ)が作画を行っているスピンオフ作品『鍋に弾丸を受けながら Transit』が連載中。一応、本編が再開するまでの「つなぎ」という立ち位置だが、場合によってはこっちの方が本編になっちゃうかもな……。

「ガチャを回して仲間を増やす」TVアニメ化、来年1月放送 キャストに阪口大助ら(コミックナタリー)

 ん? これって結構古い作品だよな? 検索してみたら「小説家になろう」での連載開始が2016年、GCノベルスでの書籍化開始が同年の終わり頃、最終巻(9巻)発売が2020年で、「10年以上前に開始して6年くらい前に終わったシリーズ」だった。2020年って言ったら『怪獣8号』が始まった年ですやん。『ウマ娘 シンデレラグレイ』が連載開始したのもこの年ですし、「既に連載終了しているヒット作もある」ぐらいの年月なんですよ、6年っていうのは。

 まぁ『ガチャを回して仲間を増やす 最強の美少女軍団を作り上げろ』、2018年に開始したコミカライズの方はまだ続いているから現役作品っちゃ現役作品なのですが……あと知らなかったが、書籍版が完結した後もなろうでの連載は続いてるみたいなんですよね。積んでるからよく知らないけど、書籍版はオリジナルのエンディングを用意して終わらせたらしい。たぶんマンガ版準拠でのアニメ化になるんじゃないかな、と思います。

・香納諒一の『灰は灰 新宿探偵 鬼束啓一郎』読んだ。

「家庭の幸福は諸悪の本(もと)、か」
「なんだ、そりゃ?」
「太宰さ。俺は、読書家なんだよ」

 さる事情から刑事を辞して私立探偵になった「鬼束啓一郎」を主人公に据えたハードボイルド小説。本人が「もうじき還暦」と言っているので50代後半だろう。警察をやめた「さる事情」に関しては本書の中で触れられている。あと「コロナの時期に〜」と振り返っているから、具体的な年代はわからないがコロナ禍が明けた後を想定していると思われる。短編集であり、「娼婦が死んだ」「ころり転がる」「灰は灰」の3編を収録しています。「娼婦が死んだ」だけ雑誌“ジャーロ”に掲載された作品、あとの二つは書き下ろしです。

 過去作とは出版社が違うせいでわかりにくいが鬼束はシリーズキャラであり、初登場作品は2010年刊行の『熱愛』、その後2018年に刊行された『絵里奈の消滅』(文庫化の際に『名もなき少女に墓碑銘を』と改題)に再登場、そして『灰は灰』は今年(2026年)刊行と、メチャクチャ間が空いてるので新刊情報で「鬼束啓一郎」という名前を見ても『熱愛』や『絵里奈の消滅』(『名もなき少女に墓碑銘を』)の探偵だとは思い出せなかった。話の途中で『絵里奈の消滅』とおぼしき事件に言及する箇所があってようやく「この鬼束ってもしかして……」と思い出した次第。香納作品、基本的に独立しているものが多いんですが、たまーにコッソリ繋がっている箇所があったりするんですよね。これも「新宿探偵」だから『新宿花園裏交番』のシリーズと何か関係あるのかな……と勘繰っています(持ってるけど積んでる)。

 ではそろそろ各編の紹介に移ろう。

 「第一話 娼婦が死んだ」 … 月村実和子。30代半ばで性風俗店に勤務していたが、家庭の事情で店を辞め、常連だった客の何人かと「個人的な関係」を続けて糊口をしのぐ――そんな生活を送っていた女性が亡くなった。非常階段からの転落死。警察は自殺と断定して捜査を早々に打ち切ったが、「客」の一人であるヤクザ「熊沢虎雄」は「彼女が自殺するとは思えない」と探偵の鬼束に調査を依頼する。ヤクザからの依頼という事で気乗りしない鬼束だったが、調べていくうち「確かにこれは自殺と思えない」という感触を得て調査にのめり込んでいく。実和子の妹とその交際相手も死体で発見され、交際相手の方には明らかな拷問の痕が残っていた。「これ以上はもういい」 調査の発端である熊沢が依頼を取り下げようと大金の入った封筒を渡してくる。いったい、「貧しい娼婦」としか思われていなかった実和子の死の背後に何が潜んでいるのか? 乗り気のしない依頼だったのにどんどん話が大きくなって依頼人よりも真相究明に躍起になってしまう、「天性の探偵」たる鬼束の矜持が光る一編。香納諒一の文章はこれといって際立った特徴がなく、ただ平易なテキストが淡々と続くだけなのだが、物凄く練られているし研ぎ澄まされている。とにかくリズムが良くて読んでいて心地良い。「こういうのが理想なハードボイルドなんだよな」と通ぶって言いたくなる。ヤクザすら身を引くレベルなので調査を進めるうちにヤバい連中が出て来て盛り上がって来ます。「公金をチューチューする」ために立ち上げられ、リベラル系の政党や政治団体とも繋がりのある偽装NPO法人《プロテクト・ウーマン》……その闇は、深い……! いや、100ページくらいの話なんでドッタンバッタン大騒ぎってほどじゃなくサクッと終わりますけどね。結びの方の「そこには、月村実和子のような存在が入り込む余地はどこにもなかった」という一文が切ない。

 「第二話 ころり転がる」 … 今度の依頼人は親子連れだった。「細井和子」とその娘「修子(のぶこ)」。鬼束がゴールデン街の飲み屋で出会った男「細井遼太郎」の妻子で、なんでも鬼束と会った数日後に遼太郎が失踪したらしい。鬼束と会ったのが3月10日で、姿を消したのは同月16日。「定年の挨拶を兼ねた工場巡りをする」と言って出ていった後、帰って来なかったのだと言う。会社に確認したところ遼太郎は15日付で退職しており、「定年の挨拶」は口実に過ぎないと推測された。警察に捜索願を出しても真面目に捜してくれるとは思えないので、私立探偵である鬼束を訪ねたのだろう。既に一週間ちょっと経過している事から警察に行方不明者届を出すようアドバイスした後、早速調査に乗り出す鬼束。遼太郎は飲み屋で「定年後に声優を目指す」と話していたが、その目標は妻子に打ち明けていなかったらしい……遅咲きの声優を目指していた60前後オッサンが失踪する、というハードボイルド系ではちょっと変わった話。でもこういう「ちょっと変わった話」に人情要素が滲み出してくるのが好きなんですよね、私。ハードボイルドの定番「失踪人捜し」からどんどん予想外の方向へ話が転がっていき、思いも寄らぬ結末を招く。最後の方は説明的でちょっとバタバタした感じになっちゃったが、終わり方にしんみり。

 「第三話 灰は灰」 … 季節は晩秋。刑事時代の先輩に当たる「篠原賢一」が轢き逃げに遭って死亡し、約2週間後に妻の「篤子」が鬼束のもとへ依頼に訪れた。「主人を轢いた犯人を捜して欲しい」などというものではない。事件の捜査は警察がキチンと行っている。彼女が心配していたのは、定年で退職する前に賢一が手掛けていたストーカー事案の被害者「芦田三津子」の安全だった。刑事でなくなった後も三津子の身を案じ相談に乗っていた賢一の遺志を継いで欲しい、と頼み込む篤子。鬼束の脳裏に16年前の記憶が去来する――芦田三津子、当時20歳かそこらだった彼女は、交際相手の男性をゴロツキふたりに嬲り殺しにされた過去を持っていた……という具合に「現在」と「16年前」が交錯するエピソード。とりあえず芦田三津子に接触しようとする鬼束だったが、彼女は6日前から職場を無断欠勤して行方不明になっていた。これもストーカー絡みなのか? しかし奇妙な事に、三津子は姿を消す前にストーキングの被害届を取り下げていた事実が判明する。先輩の不審な死、被害届を取り下げたストーカーの被害者、そして調査する過程で明らかになる「16年前のゴロツキたち」が野放しになっているという現実。果たして「真相」は何処にある? 複雑な展開で読み応えがあった。最後に鬼束が「警察をやめざるを得なくなった理由」も語られて幕。積んでいる『熱愛』と『絵里奈の消滅』を読みたくなった。

 まとめ。還暦間際な元刑事の私立探偵が焼き尽くされて灰になった後でも熾火のような熱を懐き続ける、「もうトシのせいで少年向けのライトノベルや漫画で描かれる『輝かしい未来』が眩しすぎて読み進められない」というアナタにもオススメの1冊。老いゆく読書人をハードボイルド小説や時代小説は優しくそっと抱き締めてくれる。本にはこういう効用もある。

・拍手レス。

 見たことある拍手。たぶんそれ自分ですね。小林泰三の話題が出るたびに独裁者の掟は良いぞって所々で触れ回ってるので。

 リアル「私と卿は前にもこの話をしていたな」案件。


2026-06-22.

・映画の『シラート』を観てきた焼津です、こんばんは。

 カルトムービー寄りの作品で小規模公開だったし、どうせ地元じゃやらないだろう……と諦めていたが、拡大上映によって近場で観れる事になり、慌ててスケジュールを都合して映画館へ足を運んだ次第であります。タイトルの綴りは「SIRAT」、インドネシアの格闘技「シラット(SILAT)」を連想するが、スペルも違うし関係は全然ない。言葉の意味は映画の冒頭で解説されており、曰く「天国と地獄の間には『シラート』と呼ばれる橋が架かっている。シラートは髪の毛よりも細く、剣よりも鋭い」との事。東洋で言うところの蜘蛛の糸(カンダタ・ストリング)か?

 監督はスペイン出身の「オリベル・ラシェ」で、映画の舞台はアフリカ北西部。具体的に書くとモロッコのサハラ砂漠です。撮影も実際にサハラの砂漠で行われたという。日本人にはあまり馴染みのない「奇景」の数々が見所の一つでもあります。開幕直後、砂漠のど真ん中でレイヴパーティー……要するに大音響でサウンドを鳴らしてズンチャカズンチャカ一日中踊り狂う催しが行われる。参加者は「いかにも」な風貌の連中ばかりだが、その中にポツンと場違いな人間が混ざっていた。まだ10歳かそこらだと思われる男の子を連れた、恰幅の良い中年男性。見ての通りの親子連れで、父親の方は「ルイス」、少年の方は「エステバン」と名乗る。ルイスは娘――エステバンの姉――の「マール」を捜してこのレイヴ会場までやってきたのだと語る。方々に娘の写真入り捜索書を配って聞き込みするが、反応は薄く梨の礫といったところ。「こことは別のところでもレイヴが開催される予定だから、もしかするとそっちに顔を出すのかもしれない」 根拠らしい根拠もない推測に縋って、次なる会場のモーリタニアへ向かうレイヴァーたちに付いていく二人だったが……。

 一応ストーリーらしきものは用意されているが、あくまで添え物といった印象であり、「エステバンの姉」の名前とかはいちいち覚えなくてもいい。ゆったりしたテンポで進行していくため、前半で眠たくなる人も少なくないだろう。実際、私が行った映画館でも開幕0秒、まだ会社ロゴが表示されているような段階で鼾をかいてるオッサンもいた。いや、早過ぎだろ! 何しに来たんだオッサン! とにかくこの『シラート』は「物語」ではなく「体験」を売る映画であり、「劇場で鑑賞しないと意味がない」というぐらい大スクリーンと大音響のもたらす「迫力」に依存している。ハッキリ言ってコレは家のちっこいモニター、ショボい音響で視聴したら魅力は半減なんてもんじゃないでしょう。『ターミネーター2』とか『タイタニック』とかなら「ちっこいモニター、ショボい音響」で視聴してもまだそれなりに楽しめるが、『シラート』に関しては「面白さがほぼ0になる」と考えて貰っていい。

 ロードムービー調の変化に乏しい景色が延々と続いて、だいたい半分を過ぎたあたりかな? 鼾かいてたオッサンが「えっ、そんな展開になるの?」と思わず目を覚ますくらい意外な方向へいきなり話が転がっていく。ネタバレ抜きで感想を述べるとなるとどう書けばいいのか迷うが、とにかく自分の心臓がドキドキと高鳴る音が聞こえそうなぐらい緊張しましたね。心臓が弱い方は見に行かない方がいいです。ちょっとやり過ぎてギャグみたいになってる部分もあるので「世紀のカルトムービー」みたいなノリを期待して観に来た人は肩透かしな内容かもしれないが、「映画館ならでは」の体験がしたい方にはオススメします。路線としては「ダニー・ボイルの映画をゆったりとさせた感じ」かな。

 「トランス状態」を疑似体験させる事を狙ったような、究極の「なんだこれ」映画。冒頭のレイヴシーンは「リアリティを出すために本当にレイヴパーティーを3日間に渡って開催した」と語るだけあって生々しさ満点。レイヴと宗教儀式を重ねるため、映画の取材として何度も修道院に通ったともインタビューで打ち明けており、そういう意味では「神秘」を巡る映画とも言えるのかもしれません。ごめん、それっぽい事をテキトーに言っただけです。この映画を表すのに相応しい言葉は他にあるんですが、完全にネタバレなんで書けないんだよな……でも某映画を観た事がある人は真っ先にあのタイトルが脳裏をよぎると思います(情報量0の感想)。

「ニセモノの錬金術師」TVアニメ化、制作はパッショーネ ティザービジュアル&PV公開(コミックナタリー)

 『ニセモノの錬金術師』!? うそ、私の大好きな漫画じゃないですか、やったー! コミックスの刊行開始は2024年からなので、結構最近です。杉浦次郎がPixivで公開しているオリジナル漫画(旧タイトルは「異世界でがんばる話」)が大元で、これを商業向けに描き直したモノがアニメの原作です。そういう意味では『アルマちゃんは家族になりたい』に近いかな……あっちと違ってこっちは商業版を別の漫画家(うめ丸)が作画していますが。

 奴隷の少女を買った「錬金術師」は異世界からの転生者で、実はチートスキルがあって……と書くと「まぁた異世界転生かよ」とゲンナリして続き読む気失せる人もいるだろうが、まぁ要するにチートスキルで産み出したモノを「錬金術の産物」と偽って売り捌く青年が主人公のファンタジーです。タイトルの「ニセモノ」はそこから来ています。単行本の表紙を見て貰えばわかるように画力が卓抜しており、コレだけでも既に読みたくなるわけだが、四肢を切断された「散々使用済み」の奴隷エルフも出て来て、「両眼を抉られ」「舌を抜かれ」「鼓膜も再生しない」という三猿状態なので“癖”を刺激されまくる人も出てくるかと思います。このエルフは……まぁ、強いて言えばペットとかマスコットの枠?

 チートスキルの存在がバレると大変な事になるので極力知られないように振る舞うのですが、異様に品質の高い彼の「成果物」に違和感を覚え、嗅ぎつける連中も出て来て……と若干サスペンス要素もあり。あと「異世界転生を管理する神様的な存在」も登場しますが、扱いがかなり独特でインパクトあります。サブキャラの存在感もある漫画なので、アニメも超楽しみだ。制作は「パッショーネ」、ぬきたしや『魔都精兵のスレイブ』2期、『異修羅』や『片田舎のおっさん、剣聖になる』を手掛けたスタジオ。これから放送される予定の作品としては『FX戦士くるみちゃん』と『生徒会にも穴はある!』がある。仕事抱えすぎじゃない? 大丈夫なの、本当に。

サンライズとシャフトが初タッグ!新作アニメ発表に向けたカウントダウン始動(コミックナタリー)

 いろんな意味でアニメファンから「個性が強い」と見做されているスタジオ「シャフト」が「サンライズ」とタッグを組む! スゴいニュースが飛び込んできた。シャフトはあれでかなり老舗のスタジオで、虫プロ出身の人が1975年に会社組織として立ち上げた。去年は50周年展も開催している。当初は「仕上」担当の会社だったが、80年代頃からグロス請けをするようになり、「アニメの下請け会社」として50年の大半を過ごしてきた。実は『機動戦士ガンダム』のクレジットにもシャフトの社名が載っています。

 やがて元請けもするようになり、『ぱにぽにだっしゅ!』や『ひだまりスケッチ』、『さよなら絶望先生』、『ef』などで名前を売っていくが、大きな転機になったのは2009年放送の『化物語』。記録的なヒットを飛ばし、一躍有名スタジオとなるが、制作体制は崩壊気味でDVDの発売延期も多かった。また、作品の演出が独特すぎたため、2010年放送の『それでも町は廻っている』では原作ファンから顰蹙を買っている。しかし2011年放送のオリジナルアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』が特大場外ホームランになった事で会社の運命は大きく変わった。2015年には有限会社から株式会社になり、2022年には静岡の方に新しいスタジオを建てている。2025年に放送された『忍者と殺し屋のふたりぐらし』はこの静岡スタジオ「AOI」のスタッフがメインメンバーだし、『ヴァージン・パンク』でもAOIがクレジットされている。

 サンライズと言えばやっぱり「メカ」のイメージが強いけど、シャフトにメカ系のアニメなんて……いや、一応あったか、『アサルトリリィ Bouquet』が! つまり、概念的には『機動戦士アサルトリリィ・ガンダム』が実現するってわけだな! それ、ほぼ『境界線上のホライゾン』では?

「地元最高!」MAPPA制作でアニメ化決定!Netflixで世界独占配信(コミックナタリー)

 『地元最高!』をMAPPAがアニメ化!? 主題歌はaiko!? う…うそやろ こ…こんなことが(以下略) 『地元最高!』、絵柄はユルいけど内容はヤバいというか、「これ単にチンピラを美少女に置き換えただけでは?」って漫画なんですよね。何もオブラートに包めていない。「絶対にアニメ化しない作品」でも上位に来る内容なのに、これすらアニメ化の弾にしてしまえるのか、ネトフリくん……「世界独占配信」って謳ってるが、こんなの独占するまでもなく配信したがるのは君だけだよ。

アニメ「BEAT&MOTION」MAPPA制作で来年Netflix独占配信 梅田修一朗、胡麻鶴彩が出演(コミックナタリー)

 なんだこれ、知らんな……と思ってぐぐったら、ジャンプ+で途中まで読んだ作品だった。ああ、そうそう、作画はちょっと粗いけど光るモノがあるな、と思って読んでいたけどジャンプ+自体起動する頻度が下がったため途中から何となく読まなくなり、気が付いたら完結していた。全6巻。って、「既に完結しているさしてメジャーではない作品」もアニメ化の対象にしてしまえるのか……恐ろしいな、ネットフリックス。

 つまり、ネトフリがその気になれば「ジャンプラの特にアニメ化しないまま終わってしまった漫画」、例えば『アビスレイジ』『放課後ひみつクラブ』『アンテン様の腹の中』『その淑女は偶像となる』『マジメサキュバス柊さん』『限界煩悩活劇オサム』『バンオウ-盤王-』『対世界用魔法少女つばめ』『冒険に行く服がない!』『滅国の宦官』『ハンサムマストダイ』もアニメ化は可能だろう……ということ! なのか? まぁ、世間的なアニメ化期待ジャンプラ連載終了作は『ファイアパンチ』『ハイパーインフレーション』が二巨頭だろうが。ジャンプ以外だと『血と灰の女王』のファンがロビー活動を開始していそう。

「ひぐらしのなく頃に」新作TVアニメ制作決定!キャスト続投、制作はスタジオディーン(コミックナタリー)

 『ひぐらしのなく頃に』の新作TVアニメ!? 「業」と「卒」であれだけ「卒業」をアピールした後に!? う…うそやろ(以下略) うみねこが放置されている中でこれだけひぐらしが擦り倒される事になるとは、このリハクの目をもってしても読めなかった。ぶっちゃけ商業的に「売れる」見込みがあるのはアニメ化してない範囲の広いうみねこよりも、散々擦ってもまだ擦る部分があるひぐらしの方、って事なんでしょうね。まぁ、基本的に「いつメン」のストーリーなんでしょうが、個人的には過去編もやって欲しいですね。アンソロジーに収録されていた「リトルデーモン」という戦時中のエピソードとか、あのへんをやって欲しい。まだ幼女時代の梨花ママが出てきたような気がするが、よく憶えていない。漠然と面白かった記憶だけ残ってる。トシのせいかそんなんばっかりだ。

・岬鷺宮の『神懸かれ、キラーチューン。』読んだ。

『そろそろ……受け入れるしかないよ』
「受け入れる? 何を?」
『自分の傲慢さを』

 今月の電撃文庫の新刊。新シリーズで、来月には2巻の発売も予定されている。いわゆる「2ヶ月連続刊行」というやつだ。作者は2013年に第19回電撃小説大賞〈電撃文庫MAGAZINE賞〉受賞作『失恋探偵ももせ』でデビューした「岬鷺宮(みさき・さぎのみや)」、作家暦13年を超えるベテランです。複数の人格を持つ少女との奇妙な三角関係を描いた『三角の距離は限りないゼロ』シリーズや時間SF『あした、裸足でこい。』シリーズは読んだ事もある方が多いんじゃないでしょうか。ちなみにこれを書いている現時点で両シリーズとも全巻Kindle Unlimitedの読み放題対象になっているので「読んだ事ない」「途中まで読んでた」という方は是非チェックしてみてください。

 さておき、ザッと40冊くらいの著書を出している岬鷺宮が自ら「最高傑作」と豪語しているのが本書です。「新刊出す時の、いつもによっていつもの如くな宣伝文句じゃないの? 『最新刊が常に最高傑作〜』みたいな」と半信半疑で受け取る方もおられるでしょうが、一応『失恋探偵ももせ』の頃から追いかけてる(さすがに全著作読んだわけではないが……『空の青さを知る人よ』のスピンオフ小説とかはスルーしてしまった。ちなみにこの作家、電撃文庫やメディアワークス文庫以外でも『午後4時。透明、ときどき声優』などを出しています)私が保証します。紛れもなく「岬鷺宮史上最高傑作」の看板に偽りない一冊だった、と。無駄を削ぎ落とした文体ゆえ改行が多く、パッと見では「スカスカ」と感じるかもしれない。しかし心地良く目を通せるよう文章のリズムを調整しまくっており、「小説の文章はただ無闇に書き込めばいいというものではない」という初歩的な事実を教えてくれる。読者が欲しているのは「テキスト」そのものではなく、それによって表現される「何か」、物語とか空気感ですからね。ただまぁ、ネットリと事細かに偏執的なレベルで「音楽」を描写して欲しかった人からすると物足りないかもな……とは思います。私は音楽の素養がないのでそのへんの評価は甘めになっているかも。

 発売前広報にもかなり力を入れていて、『神懸かれ、キラーチューン。』の担当編集がこれを宣伝するためだけに作ったXアカウントまで用意されているくらいですが、出版社の広報展開ってだいたいいつも「仰々しい過大評価」に堕し気味だからあんまり信用できないんですよね……(←過去何度も騙されてきた人)。もともと岬鷺宮が注目の作家だったからというのもあるが、私がこの本を買った最大の決め手は「表紙の女の子がちょっとペンギンみたいで可愛かったから」です。エンドフィールドのもちもちペンギン(女性管理人)に通じるもちほっぺ感があるよね。可能ならコラボして欲しい。

 あらすじで固有名詞をズラズラと並べてもいまいちストーリーが伝わらず「???」になってしまうと思うので、そのへんは省いて概略だけフワッと書いていきます。「ある有名な新進気鋭のアーティスト」がメインに据えられたバンドで、専属ギタリストを募集するオーディションが開催された。物語はこの「オーディション」を中心に進行していきます。先に書いておくと1巻の時点でオーディションは終わらず、2巻も「オーディションの続き」を綴る形になります。オーディションには今をときめく、斯界に名を轟かす、誰もが「あっ、あの人は……!」と言いたくなる有名ミュージシャンが何人も参加している。ボカロPから身を起こした後、名義を本名に変えて活動し紅白出場経験もあって現在のポップ・ミュージック界を牽引する存在という、女体化した米〇玄師みたいなキャラも出て来ます(これ、ガールズバンドの小説なので)。錚々たる面子ながら、採用されるのは勿論たった一人。導入としてはよくある「人が死なないデスゲーム」形式です。

 主人公(ペンギンみたいな子)は福岡から遥々上京してきた女子高生。福岡……女子高生……『小森江ヒナは止まらない!』……? いや、関係ない作品の話はやめましょう。ペンギンちゃんは「ある有名な新進気鋭のアーティスト」とも因縁のある少女で、もう一度彼女の隣に立つために「全部ゴッ倒す!!」覚悟をキメて戦っていく事になります。ガールズバンド物ではありますが、文脈としてはバトル物に近い小説ですね。けいおんでもないしバンドリでもない、ぼざろでもガルクラでもない。「デスゲーム形式」という点では共通しているセレプロ(SELECTION PROJECT)でもアイドラトリィでもない。少年漫画っぽいテイストの『ロックは淑女の嗜みでして』よりも『テンカイチ 日本最強武芸者決定戦』の方が近い、そんな作品です。主人公は他のライバルたちとも仲良くなり、「私のギターがこの人たちみんなの命脈を絶つ事になるだなんて……残酷すぎる……!」と涙します。ご、傲慢……! 秦〇美鈴の親戚か? 主人公、もう名前書いちゃいますけど「水巻長閑」は「下手だけど才能がある」というタイプで、未熟……というよりは覚醒するキッカケを掴めず踊り場で足掻いている印象です。怠けているわけじゃないけどなかなか上手くならない。足りないのは技倆というより殺意かな? 「私の曲を聴け! そして死ね!」という、ミュージシャンが心のどこかで聴衆に対し抱いているライク・ア・辻斬りのソウルが不足している。

 だから『神懸かれ、キラーチューン。』はウブな長閑ちゃんが「殺意」を充填していく物語であり、好きになった「おもしれー女」たちを次々とその手のギターで「介錯しもす!」と葬り去っていく鎮魂の巡礼譚でもある。錚々たる面子を「さようなら、黄泉路にお気をつけて」と奈落へ突き墜としていく、葬送のシックス・ストリング・JKサムライ。タイトルの「キラーチューン」は一般的に「聴いた瞬間、一発で好きになるような魅力的な曲」を指す言葉だが、デスゲーム形式のストーリーを鑑みると「相手にトドメを刺す曲」という意味も籠もっているのだろう。つまり、究極神曲(フェイタリティ)! 『モータルコンバット/ネクストラウンド』、日本での興収は悲惨な数字になっているけど、(一部界隈で)絶賛公開中です。IMAXで観れるところはまだあるのかな……あるなら行った方がいいですよ、IMAXでモォタル・コンバッ!!を浴びた事は一生の自慢になる筈です。

 なんの話だ。そうだ、『神懸かれ、キラーチューン。』の話だった。長閑ちゃんの前に次々と立ちはだかるライバル、「おもしれー女」たちも先述した女体化米〇玄師を始めとして魅力的なキャラクター揃いで、こんな素敵な子たちが続々と出番を失って、弁当貰って去っていく事を考えると愉悦のあまり昂ってしまいますね。みんな「魅力的なキャラクターが退場していく残酷な展開」が好きなんですよ、だから『死のロングウォーク』も今頃になって映画化される(我が国だと今月26日公開予定)ワケです。仮にアニメ化されたら一番人気が出そうなのは「山田のえる」かな? ヨレヨレの服を着ていて「子供番組のマスコットキャラ」みたいな声をしている、ファンも多いがアンチも多いゴーイングマイウェイな銀髪おねえさん。胸盛られまくってえっちな二次創作イラストいっぱい描かれそう。あ、一応書いておくと本編にえっちな要素はあんまりないです。のえるが半裸でウロウロしている、という描写はあるけど挿絵は入ってない。そんな……男性向けでは無理矢理にでもパンチラとかのお色気イラストを九鬼流絶招 肆式名山 内の壱 “焔螺子”ばりの勢いで捻じ込んできたKADOKAWA系列のライトノベルが半裸のシーンをみすみす座視するだなんて……! あくまでエロでは売らないつもりなのか。まーでも主人公の長閑ちゃんは特に脱いだりしなくても素でエロいんですけどね。これは私が勝手に言っているわけじゃなく作中でも言及されている事なので、公式見解と思ってもらってもいい。

 うん、まぁ、だから要するに。

 福岡くんだりからギター一本を背負ってやってきた女子高生がいちばんエロくて、いちばん傲慢。エロスの雫とは傲慢のサガから自然と湧き出し、尽きる事無く淫らに滴り落ちるモノである。

 これはそういう小説。

 2巻も楽しみだよね、って事で感想おしまいです。「オメーの感想真に受けて読んでみたけどつまんなかったよ、金返せ!」って方がもしおられるのであれば、その憤りは私じゃなくて公式アカウントの方にぶつけてください。その方が今後の参考になるでしょうから……(公式垢を盾にしていくスタイル)。

・拍手レス。

 『ある日、爆弾が?』は一時期プレミアついてましたね。ブックオフのせどりで有名でした。古橋作品は意外とKindle化してないのか...秋山瑞人作品はほぼ全てKindle化してるのに... グリザイアシリーズの新作...色々華のあるキャストを出してますが、運営が集金狙うハーフアニバの目玉はタナトスお姉ちゃんなのはほば確定なんですよね。ゆかり教育で育ったおじさんたちには抗えない。 「社内ワンオペ」するなら『なれるSE』と思ったけど、環境代わりすぎていて今更平成のSE残酷物語は無理があるんすよね。生成AIに投げれば新卒すぐの小僧にもソースコードが書けちまう時代

 秋山瑞人作品と言えば、以前は電子版が売られていた『E.G.コンバット』、現在は販売されていないみたいなんですよね……原作者の☆よしみるさんがリブートする事になったから、その絡みもあって一旦権利引き上げみたいな状態になってるのかな?
 タナトス(および一姫)はクロノスリベリオンでも結構優遇されていたっけ。ゆかり教育からは逃げられない。
 『なれる!SE』はリアリティラインを高めにしたせいで時代性が強くなってしまいましたね。仮に生成AIをネタにした作品を書いても、また数年後には環境が変わってそうだから難しいジャンルだ。


2026-06-11.

・最近、たまたまAmazonで古橋秀之作品を検索していて『ある日、爆弾がおちてきて』が電子化されていない事を知り、今更ながら愕然としている焼津です、こんばんは。

 ウ…ウソやろ こ…こんなことが こ…こんなことが許されていいのか。「ある爆」は2005年に電撃文庫から刊行された短編集で、“電撃hp”に掲載された6つの短編に1つの書き下ろしを加えたものがベースになっています。2013年に「松坂桃李」と「黒木華」の主演で『世にも奇妙な物語』の1つとして表題作「ある日、爆弾がおちてきて」がドラマ化されており、「シリーズ物じゃないオムニバス形式の短編集は売れない」と言われるライトノベル界にしては珍しく2017年にメディアワークス文庫へ移籍して新装版が出た。「新装版」と謳っているが、書き下ろし短編が1個追加されて全7編→全8編となっており、「完全版」と表記した方が正しい。フルハシストゆえ当然両方とも買って未だに所持しているが、だからこそわざわざ検索する事もなく今の今まで電子化されていないとは知らなかった……そんなの……おのれKAD〇KAWA! 八房龍之助の「ジャック&ジュネ」シリーズや冲方丁の「カオス レギオン」シリーズを電子化していない件といい、怠慢にもほどがあるだろうが!

 ちなみに電撃文庫版のイラスト描いた「緋賀ゆかり」は現在『マジカル★エクスプローラー』のコミカライズを担当中。秋にはアニメも放送されますね。また、「古橋秀之の作品集」としては『百万光年のちょっと先』が電子化されている。イラストは「矢吹健太朗」。版権をなんとかして「ある爆」も集英社で矢吹イラスト付けて復刊&電子化してくんないかな……「昔はメディアワークス文庫版の電子書籍が売ってた」という情報もあるので、フノレハシがもう版権引き上げてWiTHあたりで出す存念なのかもしれないが。

『グリザイア』シリーズ15周年記念の新作スマホ向けゲーム『グリザイア 集結の百果』キャスト6名が一挙解禁。2026年夏に配信予定(電ファミニコゲーマー)

 というわけで「自称・風見雄二の娘たち」のキャストが公開されました。なかなかに豪華なメンバーだわね。「榊由真」役は「長谷川育美」、個人的にはリメイク版月姫の「アルクェイド」役で認知しているが、一般的に有名なのは『ぼっち・ざ・ろっく』の「喜多郁代」役だろうか。ハチャメチャに歌唱力が高く、『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』で「ポップ☆ステップ」役を演じた時は「上手すぎてポップの『歌が微妙』という設定と齟齬を来している!」と話題になったものでした。まぁこれはアニメスタッフ側が「無理に『下手な歌い方』をしなくていい、自然にやって」と指示したからですが。長谷川さんとしてはもっとポップの素人臭さを強調するつもりで演技プランを見積もっていたらしい。

 「周防優羽姫」役は「羊宮妃那」、最近だとFGOで「終末のアーチャー」を演じて話題になった。「ひつじみや」ではなく「ようみや」と読む。MyGOの「高松燈」役やウマ娘の「デアリングタクト」役が有名かしら。声が細く、「幸薄そうなキャラが似合う」とよく言われる。本人は声量不足になりがちな事を悩んでいたらしいが……「松嶋いちる」役は「古賀葵」、今期放送のアニメだと『カナン様はあくまでチョロい』の「高潔カナン」役を担当している。有名なのはやっぱりかぐ告の「四宮かぐや」役か。どうしても「意地っ張り」「チョロそう」というイメージが湧く。「入巣星莉菜」役は「長縄まりあ」、『小林さんちのメイドラゴン』の「カンナカムイ」役でお馴染み。グラブルだと「ワムデュス」役。わかりやすくロリキャラですね。「小嶺幸穂」役は「白砂沙帆」、正直見覚えのない名前なので検索したけど『アポカリプスホテル』の「ヤチヨ」役の人だった。「汚れなし! 水滴なし! カビなし! アメニティよし! シャンプーハットなし!」 「風見一二三」役は「遠野ひかる」、この人はやっぱりマケインの「八奈見杏菜」役で認識している人が多いだろうか。個人的には未だにましゅまいれっしゅの「ほわん」役やスタリラの「夢大路栞」役というイメージが強いのだが(古参アピール)。

 さておき、「またスマホゲームか……今回も短命に終わりそう」と思いつつ一応やるつもりではいます。「どうせすぐにサ終してアーカイブ版をパッケージゲームで出すつもりなんでしょ」とは言いたくなるが。IPはサ終を重ねるたびに信頼を失っていくものだから仕方ない。

「え、社内システム全てワンオペしている私を解雇ですか?」TVアニメ化決定(コミックナタリー)

 コミカライズ版の方が有名ですが、大元の原作は「PASH!ブックス」というマイナーレーベルから刊行されている小説版です。艦これの「金剛」のコスプレをした主人公が「社内システム全てワンオペしている私を解雇ですか?」ってポカーンとしているコミカライズ冒頭の画像が有名というか半ばミーム化していますが、原作だとどんなコスプレをしていたかは特に描写されておらず、漫画版オリジナル(独自解釈)の描写になっています。果たしてアニメでは公式の許可を取れるのだろうか。

 大枠としてはなろうやカクヨムの異世界ファンタジーにおいて定型化している「追放系」「ざまぁ系」を現代日本に置き換えたお仕事モノで、細かい事を気にしなければスカッと出来る内容です。細かい事を気にするタチの人が読むと、引っ掛かる箇所が多すぎて楽しめないかもしれない。SEというかプログラマをかなりファンタジー寄りで描写しているので、「凄腕エンジニア」というより「スーパーハカー」に近い。同じITエンジニア小説だと『なれる!SE』も読者層に配慮してファンタジー要素濃い目になっていたが、それでも「社内ワンオペ」に比べればかなりリアリティ高めの内容だった。そのぶん、「舞台となっている時代が古いな」「使われている機材や技術がもはや化石」と伝わってしまう悲しみを負っていますが……そのへん「社内ワンオペ」は抽象度高めなので、専門的な内容がチンプンカンプンな層からすると「なんかよくわからんが無双しててスゴい」と快感を覚えるのかもできない。

 個人的にはざまぁ部分というか、主人公の価値を理解できず追い出してしまった古巣の社長だか誰だったかが逆恨みしてしつこくイヤガラセしてくる展開が不快で、「最終的に撃退してギャフンと言わせる」と分かり切っていてもあまり楽しめなかった。ギャフンと言わせる必要なんてないんですよ、主人公を放逐した古巣なんてただ勝手に幕間か何かで滅びればいい。あくまで「主人公が適した職場を得てそこで輝く」のが大事なんですから。ファンタジーで言うと『ブラック魔道具師ギルドを追放された私、王宮魔術師として拾われる』とか、ああいうのが好みです。「社内ワンオペ」は2巻以降の内容知らないし、ニコニコあたりで配信されるなら視聴してみてもいいかな。

・斎堂琴湖の『桜葬(さくらそう)』読んだ。

「あれを見て、敬虔なクリスチャンにとっては冒涜じゃないかって思った。東郷は、神を崇めてたのかな、それとも呪っていたのかな」
「わかりませんが」願うのも、呪うのも「どちらも祈りですね」

 一昨年の2024年に『燃える氷華』という作品でデビューした「斎堂琴湖(さいどう・ことこ)」の受賞後第一作。ネットで話題になっているのがキッカケで手に取った1冊です。その時点で『燃える氷華』の文庫版が既に発売されていたのでまずはそっちを先に買ったのですが、シリーズ作品じゃないみたいだし、やっぱり『桜葬』の方が気になる……という事で『燃える氷華』をほっぽって先にこっちを読み出してしまった。

 物語は「プロローグ」「第一部」「第二部」「第三部」「エピローグ」とごく簡潔な五幕構成になっている。プロローグは2023年3月、政府が「マスク着用を個人の判断に委ねる」と決めた頃。一人の、杖を突いた男が駅のホームでバカデカいスーツケースを開けて、中に入っていたモノを線路に放り投げ始める。それはバラバラに切断された死体だった。異様な雰囲気に誰も制止できぬまま、男は着ていたジャケットに灯油を撒き、火を点けたうえで死体に向けて投げ捨てる。トドメとばかりに鞄から掴み出した札束(後に500万円だったと判明する)をバラ撒いた後、悠々とその場を立ち去った。そして、別のホームで静かに十字を切った後、電車の前へ身を投げた……。

 その後の捜査によって男の名前は「東郷海斗」だと明らかになるが、「犯行」の動機は不明だった。いったい、何があって東郷はこんな理解に苦しむ「凶行」に走ったのか? 「第一部」はすべての始まりである3年前、「2020年3月」、「『浦和』とつく駅のどこかを爆破する」という犯行予告によって街に大混乱が生じた「浦和界隈駅爆破予告事件」へ遡っていく――と、こんな具合で「誰がやったのか(フーダニット)」や「どうやったのか(ハウダニット)」よりも「なぜやったのか(ホワイダニット)」を重視したストーリーが進行していきます。「第二部」以降は2023年に戻ってプロローグの続きを書いていく形になる。

 本編の主人公は刑事「氷室湊」。人付き合いを極力避け、「冷たい」とも受け取れる態度の数々から「氷の氷室」の異名を取る男です。彼もまたいろいろと悲しき過去(10代の頃に母親が失踪しており、未だに見つかっていない)を負っています。自殺を禁忌とするクリスチャンでありながら、東郷は自ら命を絶った。発見された遺体の頭部は原型を留めており、どこか満足げな笑みを浮かべていた。線路に投げ込んだバラバラ死体を解体したとおぼしき部屋には大きく血で描かれた十字架が残されており、その表情が湛えるモノは背信とも殉教ともどちらとも言い切れない。

 ――どがん祈ってん、そん先になんも見えんかったって。

 東郷は何かに絶望し、殺人や死体遺棄といった犯罪を行ったと推測されるが、家族や周囲の人間は「残虐な事件を起こせる人間じゃない」と口を揃え、「凶悪な犯罪者」というイメージを否定する。『桜葬』は不可解な事件を捜査するミステリであると同時に、東郷海斗という男の素顔に迫っていく肖像画(ポートレート)のような小説でもある。最初の100ページくらいはなかなか全体像が見えてこないが、半分くらい(全体のページ数は320ページ程度)進んだところで大まかな構図はうっすらと見えてきます。それでもまだまだ細かいピースは埋まらない。「一見無関係な事柄であるかのように鏤められていた出来事の数々が『実は関係があった』と判明して次々繋がっていく」、イベント連環型のサスペンス小説なので、そういうのが好きな人は読んでいて気持ちいいでしょう。逆に、そういうのに人工臭さを感じてしまう方は「都合良すぎじゃない?」と鼻付くかもしれません。

 言うなれば「東郷海斗の物語」に幕が下りた後、彼の人生を検証番組か何かのように振り返る「後追いの足跡辿り」であり、興味深くはあるがハッキリ言ってしまうと緊張感みたいなものはあまりなく、第二部の後半あたりになるとさすがにダレて来る。このへんでページをめくるペースが鈍る人も出てくるかもしれない。が、埋設されていた「ある伏線」が発動する事によってストーリーは一転して緊迫感溢れるものへ変じ、怒濤の「第三部」へ雪崩れ込んでいく。この『桜葬』は簡潔に述べれば「弱き者たちが己の弱さと不遇を嘆き、蟻地獄の底で喘いでいる」という話なので、必然的に物語は「弱さの清算」および「弱き者が弱さを放置していた結果として行き着く当然の末路」に向かう。そういう意味では業(カルマ)を巡る物語と言えるかもしれない。

 話のあちこちで象徴的なモチーフとして「桜」が出てくる事からこのタイトルが来ているものと思われる。死体解体現場の近くで大きく枝を広げ、淡い色の花を満開に咲かせていた一本桜。刑事・氷室の脳裏にこびり付いて離れない記憶の桜。そして3年前の事件を巡る写真に写り込んだ桜の木。東郷は一本桜の真下にある駐車場を借りていたが、車は所持していなかったらしく、一度も車を停めているところを見た事がない――と管理人も証言している。バラバラ死体の身許、バラ撒かれた500万円の出元、イタズラとして片づけられた爆破事件、顧みられなかった火災。事件の捜査がどれだけ進んでも、結局記憶は桜の季節に戻ってくる。何度でも。

「春で、桜が綺麗でした」

「それを見ていたら、なにも考えられなくなりました」

 紆余曲折の末に事件は終結するが、刑事たちは己の無力さに憤る。理不尽を前に、ただ事態の収拾を表面的に行っただけで根本的な事は何も解決できなかった。なぜこうなる前に何もできなかったのか? もっとできる事があったのではないか。彼らの後悔をよそに、事件の終わりとともに桜は散っていく。パズル的な面白さと「この事件は未然に防げたのではないか」という刑事たちの苦い後悔が噛み合って複雑な読後感をもたらします。

 氷室が東郷の存在を知った時点で彼は既に故人だったわけですが、もし生きている時に会う事が出来れば……と夢想し、東郷が訥々と懺悔するように打ち明ける苦悩へ耳を傾ける自分の姿を想像する。「そうすれば彼の犯行や死を食い止める事が可能だったかもしれない」 そんなifに縋る気持ちを捨て切れない、「氷の氷室」の異名とは正反対なウェット極まりない思考に心が和みましたね。サプライズが売り、というよりも「開始直後に死亡する」『機動警察パトレイバー the Movie』の「帆場暎一」や『シン・ゴジラ』の「牧悟郎」みたいな存在の過去を掘り下げていくストーリーそのものが売り。さあ、君たちも東郷さんの人生に思いを馳せて脳を焼かれよう!

・拍手レス。

 小林泰三の作品だと独裁者の掟が一番好きです。ブラックホールのギミックあり叙述トリックありの傑作です

 「ブラックホールにはブラックホールをぶつけんだよ!」な短篇ですね。最後の一行が切な……ん? この話、前にもした事あるな……(2020年12月4日の日記を見ながら)。



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