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リレー小説「魔法少女忌譚修」(第13話−10/12)


2025-09-13.

「失われた創世(ヴァニッシュド・ビギニング) 未来からの方舟」からの「冠位戴冠戦:Rider」で「やることが……やることが多い!」と呻きながら周回している焼津です、こんばんは。

 グランドライダーはかねてからの予定通り「牛若丸」に戴冠してもらった。初期に来てくれたサーヴァントで、☆3ながら第一部攻略の助けになってくれた我が相棒です。第一部攻略当時、所持していた☆5は“山の翁”だけだったのでキャスター以外は翁、キャスター戦は牛若丸といった感じでやってましたね。チュートリアル☆4で引いたサーヴァントはデオン、つまり盾役だったからアタッカーとして使えるユニットがあんまりなかったのだ。研鑽戦はクエストの相性とか関係なく牛若丸で強引に回る覚悟でしたけど、普通に充分な火力が出ると申しますか、凸黒聖杯積んでバフ掛けてライネス宝具→牛若宝具の順で打てばワンターンキルできます。自前のライネスを持っていればかなり簡単。難点は、便利すぎてライネスの絆レベルがガンガンズンズングイグイ上昇していくことか……あっという間に10へ到達したので悩みながらも夢火を入れました。一緒に編成していたノアは絆10になったところで一旦お休み。というか、召喚してから一週間もしないうちに絆レベルが10になるなんて異常ですよ。

 夢火、前は「そんなに使う機会ないな」と思って交換をサボり気味にしてたんですけど、戴冠戦やらレイドやら絆茶やらが重なって絆レベルの上昇速度が半端ないからそろそろ底を突きかけています。レベル120にしたいけど、今はまだコインが足りない……というサーヴァントのために残しておかないといけないから、在庫管理に苦しむ段階へ入っている。もっと……もっと夢火を配ってくれ……!

 それはそれとして「失われた創世」、いかにも「星空めておのシナリオ」って感じでしたね……出だしはいっぱいキャラが出てきて賑やかなのに、だんだん駆け足になっていくあたりが「あっ、『SEVEN-BRIDGE』で見たヤツ!」で懐かしくなってしまった。本来なら奏章並みのスケールでやるべき話なんだろうけど、題材が聖書神話なので濁さないといけない部分が多いこと、あと単純にめておの筆が遅いことも重なってミニサイズのイベントになっちゃった印象がある。ノアがいいキャラしてるだけに残念。ちなみにノアは200連くらいでようやく引きました。☆5イベント礼装がいっぱい出たおかげでレイドは楽でしたけど……戴冠前の牛若丸が八艘跳びで方舟ロボを沈めまくってくれた。たった一日で終わっちゃったのが惜しまれる。

 スケジュール的にこの後はアサシン戴冠戦→アーチャー戴冠戦→キャスター戴冠戦か。12月20日までに終わらせないといけないことを考えると結構ギリギリだな……ひょっとして今年のイベント、これからはもうずっと戴冠戦に絡めたものだけ開催していく流れ? じゃあ終章までに来る新規サーヴァントはアサシン、アーチャー、キャスターの3騎ってことかな。ハロウィンの伏線(三つ首の竜)を未だに回収していないから10月に久々のハロウィンイベントやるのでは、なんて予測もありましたけど。時期的にアーチャーの戴冠戦を兼ねたハロウィンイベントが開催される可能性もゼロではない……?

BanG Dream!の夢限大みゅーたいぷがアニメ化、「バンドリ! ゆめ∞みた」2026年放送(コミックナタリー)

 ゆめみたもアニメ化するのか。「ゆめみた」こと「夢限大みゅーたいぷ」はバンドリプロジェクトにおける「10番目のバンド」として結成されたグループです。特徴は「メンバー全員がVtuberであること」。バンドリの既存バンドメンバーはあくまで「キャラクター」であり、声優(中の人)がそのキャラクターを演じるという形式でしたが、ゆめみたは少なくとも表向きには「中の人」という概念が存在していない。あくまでVtuberとしての体裁を守っており、「中の人? さぁ……何のことですか?」としらばっくれている。こうした事情もあってリアルライブよりも配信を重視するという、バンドリプロジェクトの中でもかなり特異な場所に位置するバンドとなっています。

 扱いも特殊。現時点での設定だとゆめみたのメンバーは「フィクションとしてのバンドリ」、つまり「アニメやゲームとしてのバンドリ」内には存在しないことになっている。その証拠にアニメ『Ave Mujica』が放送されていた期間、「同時視聴配信」の動画を流していた――つまりアニメのバンドリを「フィクション」と見做してリアクションしていたわけで、立ち位置的にはバンドリメンバーというよりもバンドリーマー(バンドリの企画を応援する視聴者やプレーヤーたち)に近い。これがアニメではどういう設定になるのか、今の段階じゃまったくわからないのでハッキリしたことは言えません。ゆめみたメンバーが「花咲川や羽丘に通う女子高生」になって過去のバンドリ世界と繋がる可能性もある一方、「過去のバンドリとはまったく関係ない世界」が舞台になる可能性もある。メタ的なことを言っちゃうと、「花咲川や羽丘に通う女子高生」という設定にしたら制服バージョンの3Dモデルを新たに作る必要が出てくるんで、視聴者が想像する以上に手間が掛かっちゃうんですよね……だからと言って「過去のバンドリとはまったく関係ない世界」にしたらガルパ(バンドリのアプリ)に出演させるのが難しくなる(過去に他社IPとコラボしたこともあるし、難しいだけで不可能ではない)。ジレンマです。

 ただ、最近のガルパは開発力が低下している疑惑があり、設定云々関係なくゆめみたメンバーを実装することができないのでは……と不安視されています。設定的には問題ないAve Mujicaのメンバーが未だに実装されていない(実装する予定だ、という発表すらない)ことを考えるとあながち的外れな不安でもない。バンドリファンでもVtuber文化に興味のない人は「ゆめみたにどう接していいのかわからない」と困惑しているし、過去のバンドリと切り離して展開する可能性の方が高いかな。そういえば「from ARGONAVIS」とかいう、かつては「バンドリプロジェクトの一部」という扱いだったのになんだかんだあった末「バンドリから完全に独立した企画」にされたのがあったっけ。

 アニメの制作は「ニチカライン」、2期以降のバンドリアニメを作っているサンジゲンの新スタジオブランドだそうです。まぁほぼサンジゲンみたいなもんだと考えていいでしょう。こういうキャラだけ出来上がっていてストーリーがなんもわからないフワフワした感じ、『そにアニ』を思い出すな……ニトロプラスのマスコットキャラクター「すーぱーそに子」を主人公にしたアニメで、日常系のようなギャグアニメのようなよくわからない雰囲気の中でバンド活動を行うすーぱーそに子たちの姿を描いている。「すーぱーそに子」が芸名なのか本名なのかもハッキリしないままストーリーが展開する、非常にシュールな作品でした。アニメでは女子大生という設定なんですが、そに子の象徴であるヘッドフォンは講義中であろうと決して外さない。寝る時も装着したままだし、コスプレする時も頑として付けたまま。意志が強固すぎる! 個人的にあのユルいノリは嫌いじゃなかったけど……今や忘れられた作品の一つになってしまった。ゆめみたアニメは第二のそにアニになるのか、それとも……結果は来年、己が目で確かめよ。

“ロバート・ラングドン”シリーズ、8年ぶりの最新作『シークレット・オブ・シークレッツ(上・下)』、11月5日発売予定

 “ロバート・ラングドン”シリーズって何? って人向けにわかりやすく書くと『ダ・ヴィンチ・コード』とかのシリーズです。主人公の大学教授の名前が「ロバート・ラングドン」。深みは一切ないけど、とにかく読みやすいエンタメって感じで個人的には好き。『ダ・ヴィンチ・コード』が一番最初に映画化されたのでシリーズ1作目と思われている節があるものの、実際は『天使と悪魔』って作品が1作目で、『ダ・ヴィンチ・コード』は2作目。その後に『ロスト・シンボル』というシリーズ3作目が発売されましたが、これはあんまり人気がなくて映画化されていない。テレビドラマにはなっていますが、主演はトム・ハンクスじゃないです。シリーズ4作目がフィレンツェを舞台にした『インフェルノ』、これは舞台の選定が良かったこともあって映画化されています。シリーズ5作目が2017年に出版された『オリジン』、スペインを舞台に「人類の起源と行く末」を巡ってドタバタする話で、「また教授が命を狙われながら美女と一緒に真実へ迫っている……」とワンパターンな展開に呆れつつ楽しめる内容となっています。

 で、この『シークレット・オブ・シークレッツ』がシリーズ6作目。今度はプラハで「人間の意識」に関する新説が発表されようとしていたところ、残忍な殺人事件が発生し、事態がロンドンやニューヨークにも広がっていく――という話になるらしい。テーマは「人間の心」。ラングドンシリーズはテーマこそ壮大なものの文章は至って平易で、気軽に読めるのが特徴だから構える必要はないです。ただ、問題は本の値段……なんと上下合わせて5500円(税込)! ダン・ブラウンの小説は売れるから比較的価格が抑え目になっていて、これまでは各巻1800円+税といった値付けだったんですが、今回一気に4割増しくらいになっています。いつもよりページ数が多い(ざっくり2割増し)から値段が上がること自体は仕方ないんですが、ダン・ブラウンの新刊が2500円+税というのはなかなかインパクトがある。紙が高くなってるし、円安だから仕方ないだろうが、もう海外の翻訳小説を買うのなんて一部のマニアくらいじゃないかしら。私もさすがに購入点数が減って、積読はあまりしなくなってきましたよ……。

・レベッカ・ヤロスの『フォース・ウィング 第四騎竜団の戦姫(上・下)』読んだ。

 アメリカで若年層を中心に大ヒットしているファンタジーシリーズ“エンピリアン(天)”5部作の1作目。本屋大賞の翻訳小説部門で1位を獲って話題になり、その流れで私も読み始めました。いわゆる「異世界モノ」に該当する内容。アメリカでは今こういう「異世界を舞台にしたロマンス要素強めのファンタジー」を「ロマンタジー」と呼ぶらしい。あまりにもダサいネーミングで閉口してしまってなかなか食指が伸びなかったが、読んでみると確かに面白い。濡れ場の描写が長ったらしくて、そこはちょっと流し読みになっちゃったけど……。

 ナヴァール王国における軍備の要、「騎手」――竜騎士(ドラゴンライダー)を育てるための学校「バスギアス軍事大学」。その苛酷さは戦場さながらであった。ほぼ毎日のように死者が発生し、さっきまで笑い合っていた友人が目を離した隙に骸となる。規則さえ守っていれば「気に入らない相手を殺す」ことすら容認される、この世の地獄みたいな場所。華奢な体つきをしているせいで幼い頃から「騎手には向いていない」とされていた少女「ヴァイオレット・ソレンゲイル」は、「お偉いさんの娘だから」という理由で安全な書記官への道を断たれ、明日をも知れぬ騎手候補生となってしまう。生き延びる、たとえどんな手を使ってでも……死と隣り合わせの日々を送るヴァイオレットは、やがて竜と絆を交わす運命の日を迎えるが……。

 先に言っておきますと、盛り上がってくるまでが長い話です。物語は徴兵日から始まるのですが、バスギアスは入学後どころか入学前から試練を行うので、結構な数の少年少女が門に辿り着くまでに死ぬ。さながらカイジの「鉄骨渡り」みたいな要領で橋を渡って学園へ向かうんだけど、強風に煽られて落ちたり、ライバルを減らすために他人を突き落とす奴がいたりで、ボルガ博士ばりにどんどん宙へ放り出されていく。橋の下はさながら『聖闘士星矢』の忘れられた設定のひとつ「聖衣の墓場」みたいだ。そうやって死ぬ思いをしてバスギアスに着いてもまだまだ安心はできない。訓練課程で普通に死人が出るし、立場的に「竜>>>人間」なので「竜が気に入らなかった」というだけであっさり消し炭にされる。人間の命があまりにも安い光景が延々と続く。ハリー・ポッターというより『魁!!男塾』とかオーフェンの「牙の塔」(入学した9割が死に、卒業できるのは1割のみ)を彷彿とさせる世界だ。

 フィジカル面でハンデを負ってるヴァイオレットちゃんは対戦相手の食事に毒を盛ったりしながら辛うじて生き延びていくわけですが、竜騎士が活躍する物語なので竜と契約する段階に進んでからが本番。そのへんからやっと面白くなっていきます。ネタバレを避けるため詳述は避けますが、ヴァイオレットちゃんはバスギアスにおいて前例のない「契約」を交わしたことで否応なく注目を浴びる存在となる。これがなろう系のファンタジーだったら「ヴァイオレット無双」が始まるところですが、それでもフィジカル面のハンデが大きくて無双展開には突入しない。なろう系のノリに慣れてる人からするとそのへんはもどかしいところでしょう。「ロマンタジー」と呼ばれるくらいだから恋愛(ロマンス)要素も読みどころの一つとなっており、ヴァイオレットちゃんは「ゼイデン・リオーソン」という危険な香りのする上級生に惹かれていく。

 ゼイデンは「ティレンドール州」の出身で、ここは少し前にナヴァール王国に対して大規模な反乱を起こしています。反乱は鎮圧され、首謀者であるゼイデンの父も処刑されていますが、「反乱を起こした者たちの子供」は烙印を押されたうえでバスギアスへの入学を強制されている。ヴァイオレットの母、「リリス・ソレンゲイル」は反乱鎮圧の立役者であるため、ゼイデンからするとヴァイオレットは「父の仇の娘」なわけだ。一方、反乱鎮圧の際に生じた戦死者のリストにはヴァイオレットの兄、「ブレナン・ソレンゲイル」の名前も載っている。ヴァイオレットからするとゼイデンは「兄の仇の息子」なわけで、お互い険悪なムードになるのは自然なことです。しかし、ゼイデンはメチャクチャいい男なので、ひとりの女として惹かれていく心を止められないヴァイオレット。ゼイデン、振る舞いが完全にツンデレヒロインのそれで笑ってしまう。やっぱりアメリカでもツンデレは人気なんですね。

 「デスゲーム小説ばりに死人が出まくるファンタジー版『魁!!男塾』」という、表紙からは想像できない内容でなかなかエキサイティングでした。日本では第二部の『鉄炎の竜たち』が翻訳されており、これも近いうちに読むつもりだけど第一部よりページ数がかなり増えている(第一部は上下合わせて800ページ、これに対して第二部はなんと1150ページ)から気合入れないと読み通せそうにないんだよな……ちなみに原書では第三部 "Onyx Storm" が刊行済。ページ数的には第二部よりも短そうな気配です。Amazonでドラマ化企画が進行中とのことで、そのうちプライムビデオで配信されるかもしれません。


2025-09-06.

・『うたわれるもの ロストフラグ』にてイベント「願い焦がれしあの唄を」開催中、これ自体は去年やった5周年記念イベントの復刻なので特に騒ぐほどのことではないんですが、復刻に当たってボイスが実装されています。そうです、このイベントにはチョイ役として「ラクシャイン」が出演していたので、いよいよあの「悪漢ラクシャイン」に声が付いた……! 興奮を隠し切れない焼津です、こんばんは。

 CVは公表されていないため不明。私の記憶に該当する人もいない。「悪漢ラクシャイン」が何なのかは前にも解説したので詳述を避けますが、簡単に書くと「ハクオロの正体ではないかと目された人(最終的に勘違いだと判明する)」です。クッチャ・ケッチャの皇「オリカカン」には妹がいて、その妹と結婚した男がラクシャイン。つまりオリカカンにとって義弟に当たる存在です。どういう経緯なのかは不明だが、ラクシャインは一族を裏切って妻子と多くの同胞を死に追いやり、オリカカンから「裏切り者」として認識されている。追われる身となったラクシャインは逃亡の最中に重傷を負い、水落ちでもしたのかそのまま行方不明に。時を同じくしてヤマユラの近くの森で瀕死のハクオロがエルルゥによって救助された……という流れです。ハクオロは記憶を失っているため「自分はそのラクシャインとかいう非道の男なのか!?」と動揺しますが、「オリカカンがディーの術に掛かって『ハクオロ=ラクシャイン』と思い込まされていた」だけでまったくの別人、失意と落胆の中でオリカカンは死亡する。その後、クッチャ・ケッチャの残党はハクオロたちの國「トゥスクル」に吸収されたため「クッチャ・ケッチャ」の名は消滅。以降、「結局ラクシャインはどうなったのか」についてはまったく触れられなかった。

 トウカが口にしていた「悪漢ラクシャイン」という言葉の響きが良かったせいで全然出番がないにも関わらず、ずーっと「悪漢ラクシャイン」として記憶され続けてきたラクシャインさん。ロスフラでの振る舞いから察するに私欲で一族を裏切って妻子と同胞を死に追いやるような人物とは思えず、「こいつもオリカカン同様ディーあたりにハメられたのでは?」という疑惑があります。ただ、ディーがオリカカンをハメたのはハクオロにぶつけるためで、その前段階としてラクシャインをハメるような迂遠な真似をするだろうか? って疑問はあるんですよね。ラクシャインがディーの不都合になるような行動をして、それで消されかけた……と考えた方が納得が行くけど、そのへんは情報が少なすぎて何とも言えないです。今やってる復刻イベントが終わったらまた新しいイベントが始まるはずですから、そちらの方でいよいよ「悪漢ラクシャイン」の真実が明らかになる……のかもしれない。

 「というか最近のロスフラってどうなってんの?」という方のために状況を説明しますと、ロスフラの世界を支配する「織代様」との決戦が終結したところです。公式自ら「メインストーリー第一部・完」と謳っている。2019年11月にサービス開始し、今年の4月にやっと決着したことを考えると、第一部だけで5年半近く掛かった勘定になります。問題は第二部が始まるのかどうか判然としないところなんですよね……「第一部・完」って宣言しただけで、今のところ具体的な第二部の予定について語られたことはない。記憶喪失の主人公「アクタ」が記憶を取り戻し、ロスフラの世界成立に「ウィツァルネミテアの黒き半身」が関わっていることまでは明らかになったが、問題のすべてが解決したわけではなく続けようとすれば続けられるストーリーにはなっている。しかし、ガチャを回させるために強いキャラを実装する→そのキャラでも突破できないようなギミックをエンドコンテンツに組み込む→そのギミックを突破できるような更に強い新キャラを追加してガチャを回すようプレーヤーを促す……というインフレの悪循環に突入したせいでどんどんプレーヤーが減っていき、売上的にはかなり厳しそうな雰囲気なんですよね、ロスフラ。もうアクアプラスの意地で続けているんじゃないか? と勘繰る状態。昔は数千とか数万のダメージ量を競うようなゲームだったのに、あっという間に億を超え、今やエンドコンテンツでは数百億のHPを削り切るような次元に上っている。最高レアリティであっても実装の古いキャラなど、愛玩用としてはともかく戦力としては使い物になりません。「ギミックが理解できなくても、とりあえず最近実装されたキャラを適当に編成しておけば大抵何とかなる、ヤケクソみたいな強さだから」という末期のソシャゲそのものの状況。スタリラがこんな感じだったな……。

 ストーリー系のイベントや配布キャラが減ってきているし、最近やった『To Heart』のコラボイベントも「リーフファイト」という古のTCG(トレーディングカードゲーム)を題材にした究極の内輪ネタで、柏木四姉妹や月島兄妹や長瀬くんが出てくるから読んでいて「これ新規のプレーヤーは付いて行けないだろう……いや、もう新規のプレーヤーは全滅して、古参のリーフファンしか残ってないのか……?」と切ない表情になってしまった。開発リソースが潤沢なら「実際に遊べる『リーフファイト』」がロスフラ内に実装されていただろうけど、当然そんなこともなくテキストで漠然とリーフファイトのバトル風景が描かれるだけで終わった。6周年は確実に迎えられるだろうが、7周年があるかどうか予断を許さない状況だ。

田口囁一の『ふたりエスケープ』、TVドラマ化!

 ショートアニメ化くらいはあるかも……と思っていたけどTVドラマ化は予想外だった。『ふたりエスケープ』は“コミック百合姫”に連載されていたマンガで、一応「百合」に該当するが恋愛要素はゼロに近く、「女同士が仲良くしている」というかなり範囲を広げた、広義の意味での百合マンガに属します。マンガ家の「後輩」と顔の良い無職の「先輩」が、「〆切から逃げ出したい! 遠くに行きたい!」などといった素朴な感情に向き合って様々な「現実逃避」を行う日常系コメディ。1個1個のエピソードは短く、だいたい十数ページで終わる。ほとんど画力とノリで保っているような、内容があるのかないのかよくわからないマンガであり、「意味が分からない」と首を傾げる人がいる一方で波長が合えば「なんか……いい!」とずぶすぶハマってしまう不思議な魅力を湛えています。作風は違うけど、沙村広明の短編マンガを読む感覚に近い。

 元は作者が趣味で描いていた同人誌で、編集者の目に止まって商業化。2020年に連載を開始し、2023年に商業連載を終了。単行本は全4巻。コアな人気こそあったものの大きく跳ねることはなくひっそりと幕を引きました。その後、『もっと!ふたりエスケープ』というタイトルで同人誌としての続編シリーズをスタート。いえ、『もっと!ふたりエスケープ』というタイトルは電子版に付けられたもので紙の同人誌だと結構バラバラ(『これまでとこれからのふたりエスケープ』『今回のふたりエスケープ』『オーシャンフェリーでふたりエスケープ』『COLOR ESCAPE』)なんですが、ややこしくなるので「続編=『もっと!ふたりエスケープ』」と解釈してもらって大丈夫です。

 ドラマは10月放送開始の予定で、それまでに商業版の新刊を出すのはスケジュール的に無理だったのか、代わりに『ふたりエスケープ 公式コミックアンソロジー』なるものが発売される模様。まだ面子すらよくわかってないので様子見かな……コミックスの重版も決まったらしくてめでたいとは思うが、「打ち切ったくせによ……」と仄暗い感情がほんのり湧き上がってくることは否定できない。田口さん、『ふたりエスケープ』が終わった後はジャンプ+に行って『ペンションライフ・ヴァンパイア』描いたり、カドコミに行って『ボドカン!』描いたりしてたけど、どっちもそんなに長く続かなかったからようやく報われそうなムードに少しだけホッとする気持ちもあります。たぶん同人で出していた『もっと!ふたりエスケープ』も来年あたりにまとめて商業単行本化するんじゃないかしら。タイトルは『もっと!ふたりエスケープ』のままなのか、何事もなかったように『ふたりエスケープ(5)』として出すのか、気になるところです。

15年の沈黙を破り、「電撃ノベコミ+」にてうえお久光の新作『闇のセンパイ』連載開始!

 うえお久光!? うえお久光が復活だって!? あまりの衝撃に三度見するくらいのニュースでした。なにぶん15年も新作を出していなかった作家なので最近の人は知らないでしょうが、2000年代の「ライトノベル」という呼称が世間に広まり始めたあたり、電撃文庫とともに熱い青春を送った世代には「懐かしい」だけでは括れない感情を喚起する名前です。未完のシリーズをふたつも抱えたまま沈黙していた作家ですからね……。

 2002年に第8回電撃ゲーム小説大賞「銀賞」を受賞した『悪魔のミカタ』でデビュー。『悪魔のミカタ』はシリーズ化し、うえお久光の代表作となります。尖った作風も相俟って同月に『クビキリサイクル』でデビューした「京都の19歳」こと西尾維新の“戯言”シリーズとセットで語られることも多かった。たまに「うえお久光は西尾維新のフォロワー」だと思い込んでいる人がいますが、ほぼ同時デビューなので少なくとも初期の時点で「西尾維新の影響を受ける」のは不可能です。正確には「うえお久光も西尾維新も上遠野浩平と荒木飛呂彦の影響を受けている」といった感じだ。

 『悪魔のミカタ』は男子高校生「堂島コウ」のもとに「悪魔」を名乗る少女が現れる、というシーンから始まる。悪魔曰く「あなたは悪魔の道具を使って人を殺した、だからその代償として魂を支払ってもらう」。「知恵の実」とも呼ばれる悪魔の道具のひとつ、「ピンホールショット」。もともとは画家の呪いを込めた絵筆だったが時代の変化によってモードチェンジし、「撮った写真を傷つけると相手が死ぬ」魔法のポラロイドカメラになった。その「魔法のカメラ」で呪殺したのだ、と糾弾されるが、身に覚えはない。つまり冤罪であった。成り行きでコウは真犯人探しを手伝うことになるが……という、超常現象の絡んだミステリって趣で始まるシリーズです。1巻はまだ謎解き要素が強いですが、2巻からだんだん異能バトル要素が強くなっていく。もう随分と時間が経っているので少しネタバレしてしまいますが、1巻の時点でコウの恋人である「冬月日菜」が死亡し、コウは彼女を蘇らせるために「悪魔のミカタ」となることを決意します。彼が手にした知恵の実は、まだ名付けられておらず「It(それ)」とだけ呼ばれているリンゴの模型。「それ」は108の魂を集めることで完成し、日菜を復活させる力を帯びると云う。かくしてコウは知恵の実使いたちとの魂を賭けた知恵比べに身を投じていく――と、ある意味で『封仙娘娘追宝録』みたいなストーリーのライトノベルなんです。

 何せ「108の魂」が必要とブチ上げたのでシリーズは長期化し、13巻まで出したところで一旦ひと区切りしてタイトルを『悪魔のミカタ666』と改めてリスタート。大きな事件を経て108どころではない魂を手に入れたコウ、もはや「冬月日菜を生き返らせる」という目的の達成は叶えられたも同然かと思われたが、話はそううまく運ばなくて……といった感じで物語は「魂集め」の段階から具体的な「日菜の蘇生」手段へと移っていきます。いよいよ完結に向かっていくのか、とファンは期待していましたが、新章に当たる『悪魔のミカタ666』は6巻を最後に刊行が止まり、16年半経った今になってもまだ続刊の予定はありません。率直に言って「未完」状態です。全盛期のうえお久光はヤバいくらい執筆量が多く、デビューしたのが2002年2月で、シリーズの区切りとなる13巻を出したのが2004年7月。2ヶ月連続刊行もちょくちょくやっていたし、12巻から13巻まで5ヶ月要しただけで「今回は時間掛かったな」と言われる始末でした。「命削ってる」と言われても納得する速さだったんです。それだけに666の続きが出なくなった後、ファンたちは「燃え尽きてしまったんだろうか……」と不安げな声で囁き合ったものです。

 『悪魔のミカタ』とは別に『シフト』というシリーズもありました。2005年に始まったこのシリーズ、「眠るとまるでゲームのようなファンタジー世界に『シフト』する」という異世界転生(転移)ブームに先駆けた内容で、「隠れた名作」として語られることが多いけれど、2008年に出た3巻を最後に続きが刊行されなくなったためやはり「未完」状態に陥っています。ほか、書籍化された作品としては『ジャストボイルド・オ'クロック』『紫色のクオリア』『ヴィークルエンド』がある。コミカライズもされている『紫色のクオリア』は特に人気が根強く、芳林堂書店限定ながら書き下ろしの有償特典と併せて復刊されています。有償特典は「紫色のクオリア ―七美は箱のなか―」という50ページ超えの書き下ろし短編を収録した小冊子で、これを目当てに買い直したファンもいます。私も迷ったが、旧版の『紫色のクオリア』はまだ手元にあるし、「50ページくらいの書き下ろし短編で2420円(送料700円も含めると3120円)か……」と怖気づいて見送ってしまった。まだ在庫はあるみたいですけど、それが売り切れたら電子版が販売されるかもしれないな、と考えています。

 で、15年ぶりの新作としてスタートした『闇のセンパイ』。ジャンルはホラーみたいです。極度の怖がりなのに、「恐怖の源を確認しないと安心できない」強迫観念のせいで怪しい場所に近づいてしまうジレンマを背負っている少年が主人公。廃棄された神社の地下にいかにも怪しげなスペースがあって、怖いんだけど「そこに留まって何事も起こらないと確認しなきゃ気が済まない」主人公は放課後に何度も入り浸る。そしてある日、遂に「先輩」と出会う。手にナイフを握った彼女は「これから『儀式』をするので手伝え」と要求してくるが……まだ始まったばかりなので何とも言えない部分があるけど西尾維新の“物語”シリーズにおける主人公「阿良々木暦」をメチャクチャ怖がりにしたらこんな具合になるかな、って雰囲気です。あるいはコメディ要素の少ない『おそろしくて言えない』。この連載が終わったら、『悪魔のミカタ666』や『シフト』の続きも書いてくれるのでは……? 一抹の期待を抱いてウォッチしていく所存です。ただ、『悪魔のミカタ』のイラストを手掛けていた「藤田香」は既に故人なんですよね……仮にシリーズが復活できたとしてもイラスト変更は避けられず、ファンも気軽に「再開してくれ」とは言いにくい状況です。それでも、それでもあの物語の続きを見たいという気持ちは消えない。今はただ待とう。


2025-08-30.

講談社タイガのHP見たら「これから出る本」に『虚構推理 忍法虚構推理』が載っていてテンション上がった焼津です、こんばんは。

 アニメ化もされた『虚構推理』シリーズの最新刊です。小説版としては7冊目に当たる。作者の「城平京」は『名探偵に薔薇を』という作品で小説家として書籍デビューしたのですが、『スパイラル〜推理の絆〜』以降はマンガ原作の仕事が多くなった。『虚構推理』は2011年に講談社ノベルスから発売され、「シリーズ化するのかな」と思いきやなかなか続刊が出ず、代わりに2015年からコミカライズが始まった(このとき一度文庫化されている)作品です。

 当初は「鋼人七瀬」のエピソード(マンガ版の1〜6巻部分)だけやって終わりにするつもりが、思った以上に人気が出た&コミカライズの出来が良くて城平京も続きが読みたくなったため、継続が決定します。で、このコミカライズをベースに2020年と2023年にアニメ版が放送されました。よくある「小説作品として発表した後にコミカライズ」ではなく「コミカライズを出した後に小説版を発売する」という逆のパターンで展開している(たまに小説版が先になることもある)のがシリーズとしての特徴。最近はコミカライズを起点にメディアミックスする作品が多くなったから、もうそこまで珍しくないけれど。『私の推しは悪役令嬢。』もコミカライズが先行で、原作小説の書籍化は少し遅れました。いえ、厳密に言うと小説の電子書籍版が最初に発売されて、コミカライズの単行本が出た後に原作小説の紙書籍版が刊行された、って流れです。原作小説は二部構成なのですが、あまり売れなかったのか紙書籍は第一部のみで、第二部に関しては電子版しか存在しません。

 ちょっと話が逸れた。『虚構推理』の小説版は「長編シリーズ」と「短編シリーズ」に分かれており、長編シリーズは『虚構推理 〇〇(副題)』、短編シリーズは『虚構推理短編集 岩永琴子の××』というタイトルで発売されるのが通例となっています。ただ、例外として一番最初に発売された『虚構推理 鋼人七瀬』のみ文庫版は『虚構推理』と副題のないタイトルで統一されている。シリーズの話題で語るときは他と区別するため便宜上『鋼人七瀬』と呼ぶこともありますが。ともあれ、『虚構推理 忍法虚構推理』は長編シリーズに該当します。

 コミカライズが始まったの、つい昨日のことのように思えるがもう10年以上経過しているのでエピソード数もかなり膨大になってきており、まだ小説版が出ていない物もいくつかある。ギャグ回に当たる「MK(メカ琴子)シリーズ」が読めるのは今のところマンガ版だけ(完結したらまとめて小説化する、という話もある)。最近のエピソードだと「廃墟に出会う」「まるで昔話のような」もまだ小説版が出ていない。一応、制作のフローとしては「マンガ原作として書いた後に小説化している」のではなく「最初から小説として書いたものをコミカライズしてもらっている(小説版の発売が後になることが多いだけ)」らしいが……。

 「忍法虚構推理」は現在マンガ版の最新エピソードとして連載されているものです。単行本はまだ出ていないが、マガポケで読むことができる。小説サイトに投稿された「真九郎忍法料理帖」という時代小説、「人魚の肉を食べた」ことで不死になった青年・真九郎を主人公とする物語で、琴子の恋人である「桜川九郎」をモデルにしたものと思われるが、誰が何のためにこんなものを書いたのかがわからない……という感じで、作中作「真九郎忍法料理帖」とそれについて語る琴子たちの二重構造になっています。まず最初に「真九郎忍法料理帖」の中身を読まされて「これはいったい何なんだ?」と戸惑ったところで作中作と明かされるわけですが、賢者の石が出てくるわ殺人事件が起こるわ忍法が飛び出すわ女郎蜘蛛のヒロインが登場するわで作中作が異様に濃い。シリーズそのものが異色作と言っていい『虚構推理』だが、その中でもひと際異色度の高い長編になりそうです。

・あといつの間にか「しゃちホワ」こと『社畜が異世界に飛ばされたと思ったらホワイト企業だった』が完結していてビックリした。「え? これで終わり?」って首を傾げる内容ですけど……。

 しゃちホワは2018年に「電撃ツイッターマガジン」というTwitter(現X)のアカウントで連載を開始したWebマンガです。ブラック企業で消耗し、身も心も疲れ果てていた「粕森美日月(かすもり・みかづき)」は、気が付くとなぜかホワイト企業に転生(転職)していた! というお仕事コメディです。単に精神をヤラれていたせいで転職したときの記憶を失っているだけで、超常現象が起きたとかではない。タイムカードを打刻したうえで残業しようとするなど、ブラック時代に染みついた社畜癖で周囲を戸惑わせる「かすみ」ちゃんが不憫可愛い。年1冊か2冊くらいのペースで順調に巻を重ねていましたが、2023年の9巻を最後にパタッと刊行が止まり、2024年は新刊がゼロ。「何かトラブルでもあったのか?」と心配していたところにいきなり完結の報せが飛び込んだもんだから寝耳に水だ。

 9巻の最後が56話だったので、当然10巻は57話から始まりますが、なんと本編はそこで終わり。取ってつけたような僅か4ページのエピローグの後、時系列的には過去に当たる番外編2本を挟んでから70ページ以上に及ぶ描き下ろしマンガが収録されています。ただ、それがファンの読みたかった内容かと申しますと……読んだことない人向けにこれまでの流れを掻い摘んで解説しますと、なかなか社畜根性が抜けないながらも新しい職場に馴染んできたかすみちゃんは「内木くん」という新卒社員の教育係としてOJTを任されることになります。これが3巻あたり。その後、かすみちゃんは昇進して順風満帆……かと思いきや、内木くんが突如退職の決意を固めてしまう。「えっ、内木くん辞めちゃうの!?」とファンを驚かせたのが9巻。ここからどうなるのか、とハラハラする中で始まるのが10巻なわけですが……。

 「内木くんが辞めるのは自分のせいじゃないか」と動揺するかすみちゃん。周囲から「誰しもいつかは会社を辞めていくもの」と諭され、最終的に「内木くん、転職先でも頑張って!」「先輩も頑張ってください!」というふうな前向きの別れが描かれます。その後、どういう話があったのかは描かれていないので一切不明ですが、かすみちゃんも転職することになった(!?)みたいで「かすみちゃん新しい会社でも元気してますかね?」という先輩たちの遣り取りが描かれ、面接にやってきた新しい人を迎えるシーンでFin。率直に言って打ち切りとしか思えない終わり方でした。「ホワイト製作所 ぐんま支店」で頑張るかすみちゃんの姿をあれだけ丹念に描いていたのに、経緯もよくわからない転職でエピローグに姿を出さないまま〆だなんて……好きなマンガだけにガッカリしました。描き下ろし部分も、「適法☆少女ミラクルホワイトポエミー」というオマケでちょこちょこやってた魔法少女パロディの最終回を50ページ近くに渡って掲載していますが、それよりも本編の補足が欲しかったな、というのが偽らざる気持ちです。まだまだ不満点はいっぱいあるけど、逐一述べても仕方ないし切り替えていくしかないか……。

・アニメ絶賛放送中の『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』、来月に原作最新刊(8巻)が発売されますが、「アニメ化されるほどの人気ライトノベルでも、300ページ弱で税込800円を超える時代なのか……」と少し慄然としてしまった。

 90年代に青春を送った私の感覚からすると「300ページ弱で税込800円オーバー」というのは文庫というより新書の価格である(少部数の学術系文庫は除外)。今は新書というと教養・雑学・自己啓発のイメージが強いですけど、2000年代あたりまでは「書き下ろしの小説」を販売するメディアでもあったんです。しかし、だんだん「帯に短し襷に長し」というか「中途半端な存在」と見做されるようになり、読者層を文庫やソフトカバー系のライト文芸に奪われて行って市場としてはほぼ消滅しました。今でもたまに京極夏彦や森博嗣の新刊が出たりしますし、大沢在昌もハードカバーやソフトカバーで出した本を一旦新書にしてから文庫化するという昔懐かしい方式を取っていますが、毎月のように新刊が出ていた往時とは比ぶべくもない。かつてブイブイ言ってた講談社ノベルスも今年出た新刊は3冊(「今月」ではなく「今年」、しかも去年なんてたった2冊だったからこれでも多い方)。「文芸の新書」というジャンルを切り拓いたカッパ・ノベルスも今年出た新刊はまだ2冊(去年は0冊)で、ここ数年は赤川次郎・梓林太郎・大沢在昌・西村京太郎の4人しかラインナップに挙がらない有様。この4人以外の本が出たのって、2017年の『アルスラーン戦記』完結編まで遡らないといけないんですよ。価格も当たり前のように1000円超えてる(少し厚くなっただけで1500円超える)し、「ちょっと時間潰しに」という感覚で買うものではなくなってしまった。全体の物価が上がったせいで、「文庫書き下ろしライトノベル」がかつての「新書書き下ろし作品」みたいな位置付けになってきています。とはいえ西尾維新が出てきたあたりで両者の境目はだいぶ希薄になってましたけどね……。

 暗くなってしまったので話題を戻そう。「わたなれ」はアニメ化に合わせて先月と今月にも新刊を出しています。SS集と短編集です。「どう違うの?」と戸惑う方向けに解説しますと、SS集はアニメイトやメロンブックスなどの店舗特典として書き下ろされた比較的短い(1編あたり3〜8ページくらい)エピソードを寄せ集めたもので、古い言い方をすると「掌編集」に該当します。書き下ろしの「甘織れな子、プールで一生を終える」だけ少し長くて30ページちょっとある。アニメ化するぐらいのヒット作でないとSS集なんて出ないのであまり知られていないが、最近は店舗特典や電子書籍特典として数ページ程度のオマケ小説を付けることが多いんですよ。エロゲのショップ特典ドラマCDみたいな感覚です。この喩えは今の世代には逆に伝わりにくいだろうが、昔18禁ゲーム市場では店ごとに異なる特典を付けることが多く、たかだか10分程度のボイスドラマを聴くために数千円するソフトを何本も買う熱心なオタクが沢山いました。余ったソフトは売却するから金銭的負担はそこまで大きくなかったんですけどね(こういった経緯から中古市場に未開封のソフトがいっぱいあった)。本編の進行状況に合わせてれな子の置かれる状況も変わるため、原作を経由せずにアニメから直接入ってくると知らないキャラが次々と出てくるし、ネタバレになる要素もあるので注意しましょう。ほとんどがれな子視点で綴られているのでれな子の一人称が好きな方(個人的に「このリーダー、傀儡じゃないか?」がツボ)はマストバイ。

 短編集は少し長め(40〜90ページくらい)のエピソードを収録しており、「本編の裏側を描く番外編」となっている。本編には登場しないサブキャラとかもいて、わたなれワールドが広がる楽しみもあります。紗月の薦めた小説にハマって、「今度その作者が文学フリマ的なイベントに来てその本の続きに当たる書き下ろし短編を売るので一緒に行きましょう」と誘うけれど、「本はそれ1冊で完結しているべきだし作者の個人情報はノイズなのでインタビュー記事の類も一切読まない」という信条を持つ紗月に誘いを断られてしまう。「じゃあ仕方ないから一人で行ってきます」と伝えたところ、昔からその作家が好きだった紗月は「ニワカのれな子にマウントを取られかねない状況」に我慢ならなくなって……という読書家の面倒臭いプライドが関わってくる「紗月さんのファンレター(前編・後編)」が面白い。これ、公式サイトに掲載されている作品なのでタイトルを検索すれば無料で読めます。

 ぶっちゃけ、本筋だけ追いたいのであればSS集も短編集も読む必要はありませんが、こまごましたエピソードを全部拾いたい方、キャラ同士の掛け合いを読みたい方は両方押さえておいた方がいいです。アニメは尺の都合でかなり削られていますから、アニメ観てれな子たちのことが気になった方は是非原作にも目を通してほしいですね。それはそれとして、わたなれ、短期間で人気が爆発したせいか今月発売の短編集はあっちこっちで品切を起こしていて買うのが大変でした。来月出る8巻は本編だし、充分な量が供給されるはず……とは思うものの、絶対確実とは言い切れないので通販で予約しとこうかどうか迷っています。10月にアニメの放送を控えている『千歳くんはラムネ瓶のなか』のSS集も品切が目立っていたし、どんどん新刊の配本数や発行部数が減ってきている印象がある。なるべく地元の書店を応援したいけど、こうも欠品が多いと難しいな……。

甲斐谷忍「LIAR GAME」2026年にTVアニメ化!制作はマッドハウス、特報映像公開(コミックナタリー)

 もう終わったけど、ちょっと前にライアーゲームのセールやってた(全巻+短編集をまとめて買っても440円という超破格)の、これに絡んだキャンペーンだったんですね。『LIAR GAME(ライアーゲーム)』は2005年から2015年まで、10年に渡って“週刊ヤングジャンプ”に連載されたマンガです。いわゆる「デスゲーム物」が流行っていた時期の作品。暴力要素は薄く、「騙し合い」を軸にした頭脳戦が展開されるので「限定じゃんけんのノリがずっと続くカイジ」って感じです。2007年にドラマ化し、人気を博して映画も公開されたので、実写版のイメージが強い人も多いかもしれない。甲斐谷忍の作風はドラマ向きで、何本もドラマ化したマンガがありますけど『ONE OUTS(ワンナウツ)』という作品だけ過去にアニメ化しており、実に17年ぶりくらいのアニメ化となります。総監督はワンナウツの監督だった「佐藤雄三」。ワンナウツのアニメは話の途中でプツッと終わっているので、続きも映像化してほしいんだけど、もう時間が空き過ぎて難しいのかな……。

 「ライアーゲーム事務局」と名乗る謎の組織が執り行う「ライアーゲーム」を描く物語で、読み進めるうちに「この事務局って結局何なんだよ」と疑問に思うかもしれませんが、ハッキリ言って舞台装置のようなものなんで気にしない方がいいです。お人よしでバカ正直な女子大生「神崎直(ナオ)」が稀代の詐欺師「秋山深一」とコンビを組んで「勝てば莫大な賞金を得て、負ければ人生破滅レベルの借金を負う」という「ライアーゲーム」に立ち向かっていく。普通なら食い物にされて終わりの善人主人公が、その善性を武器にして生き延びていく、頭脳戦やギャンブル物にしては珍しく清々しいテンションを保った作品です。設定が突飛なせいもあって序盤の掴みが弱いとか、だんだんゲームのルールが複雑化して理解しづらくなっていく(作者も混乱したのか、矛盾が生じているゲームもある)とか、オチがちょっと……とか、難点も多々ありますけど細かいことに目を瞑れば充分楽しめる。アニメは原作そのままで行くのか、現代風にアレンジするのか。気になるところだ。

前屋進「メイドさんは食べるだけ」アニメ化!日本で暮らし始めるメイド役に市ノ瀬加那(コミックナタリー)

 メイドの主人公のCVが「市ノ瀬加那」……リメイク版『月姫』の「翡翠」やんけ!と咄嗟に思ってしまった。原作のマンガは2019年に“コミックDAYS”で連載開始、2022年までに単行本を4冊出していましたが、同年「体調不良のため」という理由で一旦休載。2024年にようやく連載を再開しました。再開後は若干ペースも落ちていますが、連載自体は続いている。タイトル通りの内容で、ジャンルとしては「日常系」になるのかな。メイドの主人公を眺めてひたすら愛でる内容となっており、ストーリーらしいストーリーは特にない。『よつばと!』や『明日ちゃんのセーラー服』を彷彿とさせる路線です。

 アニメは「EMTスクエアード」と「マジックバス」の共同制作。EMTスクエアードは最近だと『ある魔女が死ぬまで』とか『ボールパークでつかまえて!』をやったスタジオですね。オリジナルだと『終末トレインどこへいく?』がある。マジックバスは70年代頃から活動している老舗だが、グロス(下請け)が多く、アニメ関係者やマニア以外にはあまり知られていない。「金のなかったガイナックスが『哭きの竜』のアニメ制作を引き受けて、1500万円くらい抜いてから下請けに丸投げした」という有名な話がありますけど、その丸投げされた下請けがマジックバスです。代表作は、強いて言えば「ワンダフル」でやっていた『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』かな。監督は「泉保良輔」、『妖怪ウォッチ♪』(『妖怪ウォッチ』のアニメ3期)などを手掛けている。シリーズ構成は「高橋ナツコ」と「藤本冴香」。高橋ナツコは20年以上の職歴があって脚本家としての年季は相当だが、毀誉褒貶の差が激しい人でもある。『ゆゆ式』『こみっくがーるず』『星屑テレパス』などのきらら系は割と評価されているものの、『覇穹 封神演義』に関しては未だに原作ファンから恨まれている。藤本冴香はEMTスクエアードの作品でちょくちょく脚本を書いている人、らしい。詳しいことはよくわからない。総じて、メチャクチャ名作になりそうな布陣というわけではないけど、無難に良い仕上がりになるのではないかな……なるといいな……って淡い期待を抱く気配です。

アニメ『リィンカーネーションの花弁』2026年放送。メインキャラを演じる千葉翔也、丸岡和佳奈、佐倉綾音のコメント到着(電撃オンライン)

 2014年連載開始だからもう結構な古株、正直このままアニメ化しないで完結する作品なんじゃないかと思っていました。原作者は「小西幹久」、『素足のメテオライト』という作品でデビューした人です。『リィンカーネーションの花弁』は連載2作目、もう10年以上やってるので既刊も22巻とかなりのボリュームになっている。輪廻転生(リィンカーネーション)がテーマで、歴史上の偉人や英雄、罪人の生まれ変わりである主人公たちが「前世の才能」を引き出して戦う異能バトル物です。設定だけ聞くとFate路線のように思えるが、ノリとしてはどちらかと言えば『サタノファニ』(実在する殺人鬼たちの記憶と精神を植え付けられた女性たちが壮絶な殺戮劇を繰り広げるマンガ)に近い。『サタノファニ』はエログロが強烈すぎて到底アニメ化不可能だ(それどころかアプリで配信できず、単行本を購入する以外のルートだとヤンマガwebでしか読めない)が、『リィンカーネーションの花弁』は比較的過激な要素が少ないのでレーティング的には大丈夫だろう。そういえば、『超人戦線』というリンカネとほぼ同時期に始まった能力バトル物のマンガがありまして、開始当初のコンセプトは「異能に目覚めた覚醒者(エスパー)」vs「練達の技で戦う超越者(エキスパート)」だったんですが、途中から「現代に甦った天才(ジーニアス)」が参戦して「重力攻撃(グラビティ・アタック)で街を壊滅させるアイザック・ニュートン」というギャグみたいな展開を繰り広げるんですよね。作者は麻雀マンガの『バード』や賭博マンガの『ギャンブルフィッシュ』で有名な「青山広美」と「山根和俊」のコンビで、個人的には結構好きだったけどあまり長く続かず7巻で終了となってしまった。

1980年代、男子も「花とゆめ」に夢中だった? こっそり読んでハマった作品とは(マグミクス)

 私がハマったのは80年代じゃなくて90年代だったな。男性に比べて女性は古本を好まない傾向にあり、少女マンガの古本は不良在庫化しやすく、頻繁にワゴンで投げ売りされていました。なので私も「安いから」という理由で花とゆめコミックスに手を出してハマったものです。未だに続いている『パタリロ!』は一個一個のストーリーがそんなに長くないし、何冊か飛ばしても問題なく楽しめる、ある意味で「少女マンガ界の『こち亀』」みたいなポジションだったから20年くらい前までは読んでたな。作者の趣味で落語やミステリなど様々な要素を盛り込むのも楽しかった。

 私が特に好きだったのは「電磁人間プラズマX」関連のエピソード。プラズマXは主人公「パタリロ」が開発した高性能なアンドロイドなんですが、知能が高いため恋人を欲しがるようになり、「じゃあぼくが女性ロボットを作ってやろう」とパタリロが言い出して……と、はじめの頃は単発ストーリーみたいなノリだった。ひと騒動あった末に新たな女性型アンドロイド「アフロ18」が完成、しかしアフロは面食いで人間の美少年しか興味を示さない。ひと悶着あった末にプラズマXは何とかアフロの心を射止め、ふたりの間には「プララ」と「αランダム」、2体の子供が出来る。プララは別の科学者が開発した「スクン1」という少女型アンドロイドが元になっていて、スクン1が破壊された後にサルベージしたデータを赤ちゃん型アンドロイドに移植してプララが生まれた……という経緯です。プラズマXとアフロがくっついてプララが生まれたのではなく、プララが生まれたからふたりは夫婦になる決意を固めた、って感じ。ランダムはプララが兄を欲しがったので、後から「兄型アンドロイド」として開発された。稼働時間的には兄型アンドロイドの方が弟に当たるという、結構ややこしい関係です。「メロンパンナの後に作られた姉のロールパンナ」みたいな話。プラズマX一家のエピソードはそこそこ多くて単行本だとバラけていますが、文庫版6巻はセレクションとして固めているから読み返しにうってつけ。ただしこのセレクションにプラズマXが初登場した「スターダスト」は含まれていません(文庫版だと2巻に収録されている)。「スターダスト」は140ページくらいある少し長めのエピソードなので仕方ない。プラズマX一家の話は「さよならアフロ」というエピソードから一気に暗くなりますが、このへんも文庫版8巻にまとめられている。プララが兄であるランダムに恋をしてしまい、恋心を諦めさせるため「ランダムはバンコランに惚れている」芝居を打つことにしたらマジでランダムがバンコランに惚れてしまった……という「恋はせつなく」を最後にプララは出てこなくなり、プラズマX一家関連のエピソードはほぼ終了となりました。兄のランダムは以降も少しは出番があったし、聞いた話によると「イカロスの羽」という100巻あたりの長編エピソードにプラズマXが登場したらしいが、プララに関しては消息不明になっているそうだ。

 パタリロ以外だと「桑田乃梨子」の作品も好きでしたね。「少女マンガ」からイメージされるような甘ったるさがなくサッパリした作風&画風で、初期の『ひみつの犬神くん』や『青春は薔薇色だ』も面白い(現在この2作は『犬神くんと森島さん』というタイトルでまとまっている)が、白眉は何と言っても『おそろしくて言えない』。霊感の強い「御堂維太郎」とクラスメイトになった不幸体質の「新名皐月」、「ユーレーなんか信じない」と言い張る新名を御堂はひたすら振り回す……というオカルトコメディ。絵柄の古さはともかくノリの良さは現代になっても色褪せない。ストーリーが進むと新名の前に「維積(いづみ)」という少女が現れてラブコメめいたムードが漂うものの、なんと彼女は御堂の妹、しかも厄介な事情を抱えていて恋路は一筋縄じゃいかない。果たして新名くんは幸せになれるのか……単行本だと全4冊、文庫版は全2巻と程好い長さにまとまっており、今更でもいいからアニメ化しないかなぁ、と願っている。確かドラマCDは出てるんですよね。御堂役が「塩沢兼人」、新名役が「緑川光」という今や再現不可能なキャスティングに泣いてしまう。

 花とゆめは推理物もいくつかあって、そのへんも好きでした。『パズルゲーム☆はいすくーる』は続編も含めると70巻くらい出たんだっけ。私は移籍したあたりで読むのやめちゃったから詳しいことは知らないです。あとは「神谷悠」の“迷宮”シリーズ、ホームズ役の「綾小路京」とワトソン役の「山田一平」によるコンビを主軸に展開するシリーズで、映像化されていないため知名度は低いが番外編含めて単行本で40巻近くとかなりのボリュームを誇る。「明らかに島田荘司の“御手洗潔”シリーズの影響を受けているな」という雰囲気でしたが、開始時点では10代だったキャラたちが30代になるまで続けたおかげで「このシリーズならでは」の領域に達している。まだ完結していないが、最新刊の『迷宮回廊(4)』が出たのはもう7年も前。そろそろ未完という事実を受け入れるべきか……。

 ほか、一大ムーブメントを巻き起こした『ぼくの地球を守って』とかリメイクアニメが作られるくらい人気のあった『フルーツバスケット』とかドラマ版の方が有名になっちゃった『花ざかりの君たちへ』とか厨二心をくすぐりまくった『天使禁猟区』や『闇の末裔』、短編も長編も面白かった喜多尚江作品などなど枚挙に暇がありませんけど、私がもっともハマった作品は「やまざき貴子」の『っポイ!』ですね。残念ながら電子化はしていない模様。中学3年生の男子、「へー」こと「天野平(あまの・たいら)」が進路や恋に悩みながら日々を過ごす青春ストーリーで、約20年の連載期間で全30巻、主人公たちが中学校を卒業するあたりで終わるという「まさかの高校編なし!?」な超濃密モラトリアムマンガです。少女マンガだし、さっさと進学して恋愛面に深く切り込んでいくかと思いきや、20年近く連載した末に主人公とヒロインがくっついて幕。改めて振り返ると展開の遅さに愕然とする。あまりにも長く連載が続いたせいで私自身の嗜好が変わって、好きなキャラが「一ノ瀬雛姫」からいつの間にか「相模真」になっていました。雛姫と真は親友同士なんですが、たまたま同じ相手(平)を好きになってしまい……という三角関係が物語の主軸に据えられており、この三角関係がなかなか進展しなくてヤキモキしたものです。

 『っポイ!』はとにかくサブエピソードが多く、「主人公の父親と母親の馴れ初め」くらいは序の口、「主人公の親友の父親と母親の馴れ初め」までやったし、何なら「主人公の祖父母の馴れ初め」までやってる。「女装した主人公を女の子と思い込んで惚れちゃった」男の子がいるんですが、そいつの兄貴のエピソードという「もはや主人公が何も関係ない!」って話まである始末。逆に言うと「本筋」という概念が溶解するぐらい丹念に作中世界が作り込まれていて、「作者が築いた妄想世界の中で遊ぶ」ような感覚でドップリと漬かり切ったものでした。正直、絵がゴチャゴチャしていて読みづらく、「10代や20代の頃は夢中になれたけど、30過ぎるとこのノリはもうキツいな」って内容なんですが、『っポイ!』のおかげで受験の苦しかった期間も乗り切ることが出来たから私の中では「面白い・面白くない」という次元で評価する作品ではなくなっている。90年代に一度ドラマ化して、完結が近づいてきた2008年に『ひと夏の経験!?』というタイトルでゲーム化している(プラットフォームはPS2)けど、アニメ化はしていない。仮に「アニメ化決定」となったらメチャクチャ驚く自信があります。『っポイ!』はサブエピソードが多すぎるくらい多いんだけど、だからと言ってサブエピソードを切り過ぎると『っポイ!』っぽさがなくなってしまうし、シリーズ構成は死ぬほど難しいだろうな。

大陸版『アークナイツ』と『BanG Dream! Ave Mujica』がコラボ。期間限定イベントの開催や、Ave Mujicaメンバー5人がオペレーターとなって登場。日本での開催は不明(ファミ通.com)

 4月頃に「『アークナイツ』とコラボする」って発表はあったけど、ここまでガッツリしたものとは思わなくて仰天した。メンバー5人全員をプレイアブル化&コーデ(スキン)実装!? ちなみに『アークナイツ』はアニメをちょっと観たくらいで「アーミヤが可愛い」「あの刹那の間に鞘走るかよ!?」程度しか知りません。一方、バンドアニメなのにデスゲームみたいなOP流してる作品ことAve Mujica。バンドリに属するガールズバンドの1つながらガルパ(バンドリのアプリ)では立ち絵しか実装されておらず、アニメが終わってから5ヶ月くらい経つのに未だにプレイアブル化していないんですよ。まさかコラボとはいえ海外のアプリで先にプレイアブル化するとは……噂によるとガルパは開発と運営に携わっていた会社「クラフトエッグ」が撤退したことに伴って運営の規模縮小を余儀なくされ、「新曲」とか「既存キャラの衣装違い」はともかく「完全新規キャラの3Dモデル」を実装するだけの技術力が既に失われているんだとか。

 9月にコラボを開催するのはあくまで大陸版の『アークナイツ』であって、日本版の『アークナイツ』に関してはまだ何の情報もない。ただ、過去の事例を参照すると半年後くらい、つまり来年に遅れて開催するかも。アクナイは基本的にコラボを復刻しない方針らしいから、気になる人は今のうちにプレーを始めてコラボに備えておいた方がいいかもしれません。5人中2人が配布(にゃむと海鈴)、2人が★5(初華と睦)で、残る1人が★6(祥子)という塩梅、アクナイのコラボガチャは仕様が変わらなければ120連で天井に達しますから充分間に合う。

 アニメで齧った程度の知識しかない私ですが、あの殺伐としたテラ(アクナイの舞台となっている大陸ないし惑星の名称)に普通の女子高生が迷い込んで大丈夫なんだろうか、と少し心配になる。グラブルの場合、コラボキャラは一時的に「お空の世界」へ迷い込んだだけでイベントの最後に元の世界へ帰還するのが通例(稀に「もともとお空の一部だった」という設定にされるケースもある)ですが、アクナイはこれまで迷い込んだコラボキャラたちが明確に「帰った」と確認できる描写がないため「コラボしたが最後テラに永住するハメになる」という疑惑があるそうな。「わかれ道の、その先」がテラだなんて最悪すぎるでしょうが。つっても、絵とかセリフから察するに迷い込むのは本編終了後じゃなくて本編の最中みたいですね(本編終了時点ではもうなくなっているアイテムが背景に描かれているし、「マスカレード」という言い回しも諸事情から途中で使うのをやめている)。

 それにしてもMyGOとMujica、マジで中国人気スゴいんだな……確かにSNS眺めてても大陸産とおぼしきファンアートが大量に流れてくるもんな。『崩壊:スターレイル』が先日Fateとコラボしたけど、「次はMujicaとコラボするかもしれない」なんて声があるくらいです(なお『崩壊学園』とMyGOはもうコラボしている)。祥子役の「高尾奏音」とか燈役の「羊宮妃那」がスタレに起用されていることを考慮するとないでもない話だ。私はやってないからスタレの内容は全然知らないが「モーディス」という名前のキャラがいるらしく、Mujicaコラボやったら「モーディスとモーティスでややこしい!」ぐらいはかましてくるだろう。

『ハリポタ』スネイプ役の土師孝也さん死去 ハリー・ポッター役の小野賢章ら声優仲間・業界が追悼「小さい頃から会うたびに元気か?って」(ORICON NEWS)

 初報に触れた時、思わず「嘘だろ……」と言葉を失ってしまった。世間的にはスネイプの吹替やトキ(アミバ)役で認知されているらしいが、個人的にはファフナーの「溝口恭介」を演じた印象が強い。溝口さんはファフナーパイロットではなく主人公たちを支援する大人で、「そのうち主人公たちを庇って死にそう」と感じるようなポジションのサブキャラだったんですが、幾度もの窮地を生き延びて完結編にまで登場する名物キャラとなった。あまりにも危機一髪で死地を潜り抜けることからファンの間では「不死身の溝口」「異能生存体」と呼ばれて親しまれている。

 最近だと『プリンセス・プリンシパル』の黒幕的な存在「ノルマンディー公」を演じていましたね……プリンセス・プリンシパルはTVシリーズ終了後、完結編に当たる劇場版シリーズ『Crown Handler』を展開しており、全6章構想で今年第4章がやっと公開されたところでした。非常に残念なことですが、キャスト変更は避けられないでしょう。プリンセス・プリンシパルは諸事情から主要キャラである「アンジェ」のキャストが交代(今村彩夏→古賀葵)になっているので、ファンは「致し方ないとはいえ、またか……」と嘆くことになります。『ギルティギア』の「スレイヤー」役は初代声優の「家弓家正」から引き継いだものだったが、こちらもまた交代か……。

 FGOだと「ジェームズ・モリアーティ(アーチャー)」役。モリアーティは歳を取ったバージョンと若い頃のバージョン(ルーラー、ファンからの愛称は「若森」)があって、若い方はまた別の声優が演じていますが……他にもアニメ版『異修羅』のナレーションなど、「土師さんならでは」の仕事がいくつもあって枚挙に暇がありません。ただただ残念です。



管理人:焼津