2020年7月〜8月


2020-08-31.

TVアニメ『まちカドまぞく』、第2期制作決定!

 時は来た……シャミ子がテレビに帰ってくる! 『キングスマン』の新作がまた公開延期になったりと暗いニュースが多い中、久々に明るい報せが飛び込んできて心浮き立ちます。1期目のときは「ようやく話が動き始めたところで終わってしまったけど、マイナー作品だし2期目は望み薄だろうな〜」と諦めムードで最終回を迎えてしまったが、アニメ界もまだまだ捨てたものではない。『まちカドまぞく』といえば原作にもアニメにも存在しない幻のセリフ「シャミ子が悪いんだよ」がミームとして広まりネット流行語に選ばれる怪事件も発生したっけ。

 原作もアニメもまったく知らない人向けに説明しますと「シャミ子」とは『まちカドまぞく』の主人公のことです。本名は「吉田優子」、まぞく(魔法少女アニメの悪役みたいなポジション)としての通称が「シャドウミストレス優子」であり、これを略したのが「シャミ子」。作中でも家族以外からは主にこのあだ名で呼ばれています。まぞくながら善良で悪事を働ける性格ではなく、口では「魔法少女を倒す」と嘯きつつもあっさりやり込められ「これで勝ったと思うなよ!」と叫んで逃げ去るのが常、そんなヘボ可愛い女の子です。蠱惑的な見た目をしているのに自分の魅力を理解しておらず非常に隙のある振る舞いをするため、「いかにも言われそうなセリフ」としてシャミ悪こと「シャミ子が悪いんだよ」が幻聴ネタとして定着してしまった。ニュアンスとしては純粋な非難というより「イケナイ子だね……」とかソッチ系の含み。捏造なのだがどこか自然な気配もあり、ミームの路線としてはガルパンの「やだもー」に近い。ネガティブに受け取られていれば「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」並みの風評被害になっていたところだが、このネタは「シャミ子は別に悪くない」という共通認識に基づく諧謔から発せられているため原作者も戸惑いつつ黙認する運びとなった。こういう経緯なんで、2期目から観始める方はネットで「シャミ子が悪いんだよ」というワードが唐突に流れてきても意に介さずノイズとして除去すればOKです。個人的に小原好美の「ききかんりーっ!」が好きなので、新たな録音で聴けるのはとっても嬉しいなって。

【追記・更新】【期間限定】「サーヴァント・サマーキャンプ! 〜カルデア・スリラーナイト〜」開催!

 徐福ちゃんが想像以上にぐっ様ガチ勢だったせいでホラーなイベントの割にほのぼのしんみりとした読後感で幕を引きました。ツイッターのトレンドに「バーソロミュー」が昇ってきたせいで黒幕の髪型がバレるという椿事も発生したが、総じて賑やか、それでいてヒヤッとする要素も混じった程良いシナリオにまとまっていたと思います。舞台となる山の「真の姿」が判明するシーン、咄嗟にブチャラティのセリフを連想した人も多いだろう。「新本格世代〜」って感じの仕掛けで楽しかったです。亡霊役とはいえふじのんも出てきたし、まさかあらやんが……と少し期待したが、さすがにそれはなかった。ゴーストふじのんは再登場の機会もあってよかったね、よかったね。

 水着鯖を7体も追加するんだから徐福ちゃんに割くリソースはほとんどないだろうし、どうせいつもの巨大ゴーストでしょ……と肩を竦めていたら申し訳程度のユニークエネミー要素があって笑っちゃいましたね。徐福ちゃんの面倒臭いんだけど一途で憎めないキャラ、なかなか良くて気に入ったが「構成素材がほとんどミッチーと一緒」ってことを考えると真顔になってしまう。カルデアに召喚されることはないだろうが、もし徐福ちゃんが来ちゃったら円卓勢、織田勢に加えて虞美人勢という拗れサークルが爆誕してしまうな。面白パイセン属性だった虞美人さんがいつの間にかマリー王妃のようなポジションに……とにかく本イベントは幕間で下げまくったパイセンの株を反騰させる虞美人贔屓に満ちた話になっていて満足した。アサシンの虞美人は「本当に☆4か?」って疑うほどATK低くて出撃させるたび与ダメージの少なさに戸惑うのが常だったが、ランサーの虞美人はイベント特効も重なってメチャ強だったからシナリオ上でもバトル上でも「頼れる先輩」ムードが出ていてグッド。宝具に男性特攻が付く理由はマテリアルで説明されているが、逸話とか関係ない「えっ、そんなんでいいの?」って代物でビックリしました。そもそも虞美人って逸話と呼べるほどのエピソードがほとんどない人物だから、どうしても創作で埋めないといけないって事情はある。でも「自爆からの復活を得意とする」キャラ付けは普遍的な虞美人のイメージから離れすぎていて「ぐっちゃんパイセン」ってラベルを張らないと認識が破綻しそうになる。

 パイセン以外のメンバーだと水着イリヤが悲鳴役として活躍しているのも嬉しかった。HF3章を観た後だと温度差の激しさに震えるが、プリヤもなんだかんだで息の長い漫画だし、夏のバカンスにはしゃいでいるイリヤの姿を眺めると心が熱くなる。ビデオデッキや昭和を知らないムーブには心が冷たくなったが……プリヤも割と古い漫画(今年で連載開始13周年)だろ、というツッコミは封印すべきか。表情差分も豊富で見ていて飽きなかったです。ガチャで引くことは叶わなかったが、深追いして石をギリギリまで減らした背水の陣効果によりPU2は単発で水着巴御前と水着アビー、そして水着楊貴妃礼装を何枚も引くという強運に恵まれた。PU1で引いたぶんと合わせて5枚揃ったので、少し迷った末に凸りました。配布イベ礼装の「ハイド・ハンター」も卵目当てで洋館周回しているときにドロップして凸ったし、あとは「チェーンソー・オブ・ザ・デッド」だけですね。ミッション報酬で5枚目がゲットできるのではないか、と期待していたがそんなことはなかった。

 卵で思い出したが、水着アビーちゃん、スキル素材として卵を45個も要求してくるのには目を疑いました。この後で更にトゲトゲ(煌星のカケラ)も45個喰うんでしょ? パンケーキ作るのにそんな素材が必要なの? 嘘偽りなく悪い子だわ……。

・赤月カケヤの『異世界はジョーカーに微笑んだ。』読んだ。

 ガガガ文庫で『俺が生きる意味』とかを書いていた「赤月カケヤ」の新作です。新刊情報で久々に名前を見かけて懐かしくなり、つい買ってしまった。タイトルでわかると思いますが流行りの異世界転生モノです。なろうっぽく見えるけど文庫書き下ろし、つまり書籍オリジナル作品だ。

 趣味で『アクメツ』みたいな活動をしていた主人公「ジョーカー」は権力者たちの恨みを買い過ぎた結果ミサイルを射ち込まれ死亡。その直後、悪魔に召喚され異世界へ転生する。悪魔の望みは「戯れに人間を嬲る神々どもの抹殺」。異世界人ゆえの特殊スキルを獲得したジョーカーは「神々に選ばれた者と選ばれなかった者」が存在するせいで強烈な選民思想が蔓延っている世界を舞台に「自分が死ぬとは夢にも思っていない特権階級」を血祭りに上げていく――って話です。アラサーやアラフォーの人が読んだらジョーカーの声はほぼ確実に福山潤で再生されるだろう。

 詰まるところ「悪 VS. 悪」な異世界闇狩人モノです。「主人公だけ異世界転生するのではなく、ヒロインと一緒に転生する」ところが主な特徴として挙げられるか。SATに所属する警察官「坂西結奈」はジョーカーに捕まり人質というか肉の盾になってしまったが、上層部が「ジョーカー諸共死んでもらおう」と判断したせいで巻き添えを喰らって異世界まで付き合うハメになってしまった。扱いとしては「ジョーカーの奴隷」であり、手錠が変化したマジックアイテムである首輪の強制力によってジョーカーの命令には逆らえなくなっている。役割としては驚き役に近い。ジョーカーが非常識な言動をするたび「ええーっ」と叫ぶポジション。なし崩しでジョーカーとも打ち解けていく(丸め込まれていく)チョロインぶりのおかげで「SATの精鋭」感はまるでない。後半になると元SATという設定はほとんど忘れそうになります。ジョーカーと結奈が繰り広げる掛け合いは「意地悪な先輩とおバカな後輩」並みのコミカルさで、緊迫感とか微塵も漂わないんですよね。「頭脳戦メインのダーク路線」を期待して読むと気が抜けるかも。

 かと言ってコメディ路線か? っていうとそうでもない。ジョーカー自体「性欲皆無なのでは」と疑うくらい女色に関心を持たないキャラだからラブコメ的な盛り上がりが全然ないし、そもそも異世界に跋扈している「醜悪な特権階級」の残虐行為がジョーク抜きの凄惨さでまったく笑えない。「子供がうるさく騒いだ」というだけで無礼討ちに遭うわけだが、「肌にはいくつもの切り傷や打撲の痕、陵辱の激しさを物語るように乾いた精液がこびりつき、乳房が切断されている死体もあった」とこんな描写が延々と続く。なろうというより80年代のバイオレンス小説みたいなノリだ。ジョーカーの下す制裁もひたすら容赦がない。「必ず相手の心を折ってから殺す」のが彼の流儀であり、目の前で娘が輪姦される様を見せつけるなど、ライトノベルの主人公として一線を超えてしまっているような部分が多々あります。この娘も庶民のメイドを平然と火炙りにするような冷酷極まりない子だからあまり同情の余地はないが、陵辱の末に処刑され父親の死体と一緒に広場に晒された――という件で胸が悪くなる読者もいるだろう。ところどころに配されているコミカル要素がシリアスムードを緩和するどころかむしろブラックジョーク的な雰囲気を増幅させており、「悪趣味な処刑モノ」が好きな人以外には薦めにくい内容となっている。吹き荒れる殺戮の嵐を愉しめるかどうかで評価が変わります。

 クズどもは全員殺して並べて吊るして晒せ! ハングエムハイ! 裁くのは神じゃなくて俺だ! そういうバッドテイストなB級バイオレンス好きにはうってつけの一冊でした。まだチュートリアルの段階に過ぎず、神々を殺すどころか会ってもいない(ジョーカーと契約を交わした悪魔も元は女神だったらしいが、1巻の時点だと現役の神はチラッとも出てこない)ので本格的な盛り上がりは2巻以降になるでしょう。問題は続刊できるのかどうか……頼むから「神々との戦いは続く――俺たちは処刑はこれからだ!(第一部・完)」だけはやらんでくださいよ。

・拍手レス。

 「Fate/stay night [Heaven's Feel]」V.spring song』 すごかった 宝石剣やルールブレーカー 士郎なんで生きてる など解説を視聴者の知識に丸投げしてテンポよく楽しませる この満足感は原作ゲームをクリアしたときに近い感があります  TYPE-MOONに熱狂していた時を思い出しました  あと映画館はやっぱりいいですね
 原作以上に桜の存在感が増していて「ようやくHeaven's Feelに辿り着けた」って心境になりました。映画館、気楽に行ける場所ではなくなった(マスクしながらの鑑賞は寛げなくて辛い)けど、やはり劇場で観る迫力は格別だな……と再確認。来月はヴァイオレット・エヴァーガーデン、TENETあたりを観に行きたい。キングスマンは全米で延期になったし日本も延期かしら。


2020-08-22.

【期間限定】「サーヴァント・サマーキャンプ! 〜カルデア・スリラーナイト〜」開催!

 まさかの「殺生院リリィ」爆誕に絶句を余儀なくされ、追い打ちで「成長した大人姿のアンデルセン」が投下された結果ツイッターのトレンドが荒ぶることになりました。汚部屋に住むダメな大人アンデルセンを甲斐甲斐しく世話する幼女キアラ、ラスボス系のくせに押しかけロリ女房ムーブでプレーヤーを絆そうとするなんてあざといが過ぎる。というか水着キアラ引けたからアンデルセン大先生を同じパーティに編成してみたらモーション変更されて超絶カッコ良くなっとるやんけ! もともとファンが結構いるサーヴァントだけど、これでより一層人気を集めることになってしまう。☆2だし、長くFGOをやってるプレーヤーなら誰でも持ってるようなキャラなんだからイベントの目玉として大々的にアピールしても良さそうなものを、サプライズみたいにこっそり告知する程度に留めるとは。こっそりと言えばシグルドの強化クエストに関する追記も入ってますね。イベント合わせ(正確に書くとイベントPU合わせ)で強化が入るパターンも増えてきて、ますます「推しキャラがイベントに登場するか否か」が重要事項となってまいりました。

 「ホラー映画のような世界」に紛れ込んでしまったカルデア一行が「概ね平和な昼」と「恐怖に満ちた夜」を過ごす形式のイベントとなっており、毎夜「パイセンすぐ死ぬ」とばかりにぐっちゃんが散華しまくる。あまりにもあっけらかんとしているからギャグに見えてしまうが、「最低1人は死なないと事態(話)が進まない」って考えるとセイレム並みにヤバい特異点である。第一夜は「不死身の殺人鬼」に襲われ、第二夜は「ジャパネスク・ホラー系の怪物」に襲われ、第三夜は「『シャイニング』じゃん!」なホテルでのパニックに襲われ、第四夜は「絶対に東出の趣味だろ」なゾンビ群に襲われる。過去のイベントの継ぎ接ぎみたいな部分もあるが、バレンタイン以外で初めてふじのんにシナリオ上の出番が回ってきたり、まさかのスパP登場があったりなど盛り沢山。舞台となる場所が「蓬莱」であり、始皇帝がレイシフトしなかったこと、「人魚の肉を食べて不老不死になった」という逸話のある八百比丘尼が出てくることなどを考慮すると「徐福伝説」が今回の主題なんじゃないかと推測される。徐福は斉国の「琅邪」という港町(現在だと山東省のあたり)から来たと言い伝えられており、その琅邪を舞台に徐福の弟子たちが怪事件に立ち向かう『琅邪の鬼』というメフィスト賞作品もあります。しかし、キアラを八百比丘尼の擬似サーヴァントにすることで「人魚の肉」と「人魚姫」を繋げるとは力技すぎるな……ちなみに「新選組の隊士たちが人魚の肉を口にした結果、数奇な運命に見舞われる」という時代伝奇小説『人魚ノ肉』は割とオススメ。

 PU2のメンバーも確定しましたが、水着アビーに関してはまだどういうユニットなのかがハッキリしていない状態です。クラスはフォーリナーのままか? 宝具は全体攻撃だけど、バスターなのかアーツなのか。少なくともクイックってことはなさそう。「黒星の本気」とばかりに気合の入った立ち絵(浮き出た肋骨のラインときたら!)でぶっちゃけ私もかなり欲しくなっているが、イリヤ欲しさに深追いしたせいでPU2はギリギリ10連(オマケも含めると11連)回せるかどうかって状況なんだよな。奇跡が起こることを祈ろう。

『マギアレコード』、16時間メンテを経て配信3周年記念限定ピックアップ開始。☆4闇属性魔法少女の「小さなキュゥべえ」を実装!

 記念日に備えて16時間もメンテを行うなんて、荒業すぎてほとんど暴挙だな……と若干ヒいたが、それはそれとして3周年記念ガチャの目玉となる魔法少女は「小さなキュゥべえ」、通称「モキュ」です。魔法……少女……? あまりの事態に呆然としてしまった。マギレコのアニメにも出ていたので「見かけたことはある」という方もおられるでしょうが、ゲーム上のポジションは「プレーヤーの分身」だ。つまりFGOにおけるぐだーず、グラブルにおけるグランとジータに相当する。なにぶんキュゥべえなので雌雄の区別はない。名前はプレーヤーネームがそのまま適用されるので、たとえば劇団イヌカレーの泥犬が使っているアカウントではガチャ画面にそのまま「泥犬」と表示される。「ピ……ピックアップされていたのは……おれだったァー!」とヌケサク顔になるプレーヤーが後を絶たなかった。

 事前に予想されていた3周年記念魔法少女は「悪魔ほむら」(叛逆の終盤で変貌した暁美ほむら)であり、「21日に限定ピックアップを開始します、正体は秘密ですが☆4の闇属性です」と仄めかすような告知が来たときは即トレンドに上がるほどだった。冷静に考えれば悪魔ほむらなんていう特殊なユニットがそうホイホイと実装できるわけないし、3周年記念イベントは「全神祭」という花火大会に出かけるストーリーだから悪魔ほむらとは全然関係ないんだが、1周年記念のときにアルティメットまどかが不意打ち実装されて以来ずっと理屈を度外視して「次の節目には悪魔ほむらが来る!」って期待していた人が多かったのである。悪魔ほむらに備えて1000連以上の石とチケットを貯めていた人とかいたけど、現在の心境はどんなものであろうか。

 さておき、ユニット名は「小さなキュゥべえ」だがキュゥべえが本当に戦うわけではなく、みかづき荘の面々がまるで召喚獣の如く画面外から飛び込んできてエネミーを攻撃する形式になっています。おかげでモキュ役の加藤英美里だけでなく、みかづき荘メンバー5名のボイスまで収録されているという異色のユニットに仕上がりました。これまで縦か横の方向にしか攻撃できなかったブラストが斜め方向に飛ばせるなど、マギレコの常識を覆すような仕様が盛り沢山。「ヴァリアブル」という全属性に対して有利が取れるスキル――FGOで喩えると「1ターンだけバーサーカーになれるスキル」――まで所持している。ミラーズではブラスト対策として陣形を斜めにした編成が多く、モキュにとって格好の狩場となることが既に約束されています。でも斜めブラストって他のクエストだと若干使い辛いから総合的に見れば「壊れ」というほどの性能じゃないか。非常にユニークな性能をしていることは間違いなく、声優6人も動員した点まで考慮すると「節目に相応しい豪華なユニット」と充分言えます。ただ、コレのために水着マミさんをはじめとする数々の限定ピックアップを見送ってしまったのか……と遣る瀬無い気持ちに陥る人の心理もわかる。私は魔法少女を召喚獣みたいに呼び出して戦わせるモキュが見たかったわけじゃないんだ。正直少しモチベが低下。本編の方で樹里サマが活躍してるっぽいからそっちはちょっと楽しみなんだが。

・拍手レス。

 今昔百鬼拾遺は複数のレーベルを跨ぐ連作という発想こそ面白かったものの、流通量に難のある講談社タイガを入れてしまったのが何とも・・・あれを買えないで歯抜けになって合本求めた人とか結構居そう
 タイガは星海社FICTIONS並みに存在感が薄いからしょっちゅうチェック漏れしてしまう……「えっ、こんな新刊出てたの!?」と後になってから気づくことがしばしば。

 (ネタバレについて対応必要であれば削除お願いします)HF、一番最後の二人が一歩を踏み出すシーンについては、原作よりも好きかもですね。しかし、この頃はまだアンリマユのキャラクターって出てなかったんだよなあ、とか思うと、ホロウの映像化を望みたくなってしまうなあ。
 手は繋がず、それぞれ個別に、けれど並んで歩み出す……映像の説得力で観客を殴り続けた映画に相応しい終幕でした。感想漁るとホロウの映像化を希求する人が多いし是非実現してほしいところだが、そっちに奈須の労力が割かれると月姫リメイクやまほよ続編がますます遠ざかるというジレンマ。


2020-08-15.

『劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」V.spring song』、メッチャ良かった……と満悦を通り越して放心している焼津です、こんばんは。

 1章や2章も只事ではない出来だったが、3章はそれらすら上回って雲を突き破る塔の如くFateアニメ界に屹立するマスターピースへと成り果てています。イリヤの可愛さと桜の愛蔵篭もりまくった表情は劇場版ならではであり、是非とも大スクリーンで眺めてほしい。Heaven's Feel編のクライマックスだけに観客の感情を揺さぶるポイントは無数にあり、「これが自宅だったら大泣きしちゃったな……」とハンカチでこっそり目尻を拭いながら唇に力を込めたものでした。原作プレー済でも「ウッ」と心臓に突き刺さるシーンが地雷のようにいくつも埋設されている。「あ、シロウ」と呟くセイバーの少し呆けた顔つきとか反則もいいところだろ! 全国のセイバー好きが致命傷を負いよったわ。大音量で流れる「EMIYA」をバックに「――ついて来れるか」って振り返るアーチャーはあまりにも妄想通り過ぎて「stya nightファンの幻覚をスクリーンに投射しているのか?」と疑うより他なかった。凛の「ダメだこれ」も原作以上にダメだこれ感満載で「本当に遠坂はヒトデナシの才能がないな〜」と場違いに心が温かくなってしまう。始まりの御三家絡みのシーンはダイジェストだがここまで映像化されるのは初だけに興味深い。RPGのパーティみたいにてくてく歩く3人の姿に和んだ。正装イリヤが満を持して出陣する場面についてはもはや語るまでもない。イリヤファンが15年以上経っても「イリヤルート寄越せよきのこォ!」と叫び続けている理由がおわかりいただけるであろう。

 エピローグ部分は最低限の説明に留めているため、Fateしか追っていない人だと何が何だかわからなくなるかもしれません。せめてらっきょは履修しておくべき。アクションシーンに関しては当然ライダーVS黒セイバー戦が最大の見せ場。途轍もない敏捷性(アジリティ)で跳ね回るライダーさんの勇姿に絶頂しました。ステータス的に勝ってるのAGIだけですもんね。ランクダウンしているとはいえ対魔力持ちなので魔眼も効きにくいし。HF3章効果でライダーさんのファンが爆増することは確定事項であり、もしこの後FGOの夏イベントで「水着メドゥーサ実装!」なんてことになっていたら鮮血神殿が顕現するレベルの惨事に発展していたであろう。全国のライダーさんファンが命拾いした。

 原作発売から16年半も経ってようやく全ルートがアニメ化されたのだと思うと感慨深い。個人的にHFはそこまで評価しておらず「好き」とは言いにくい章だったが、アニメの出来で一気に覆されてしまった。「『Fate/Zero』はHFを前提にしたストーリーなのでHFが先にアニメ化されないかぎり映像化はされないだろう」なんてことが10年以上前に言われていたが、まさかZeroからFateに入ってきた人が「Zeroという補助線があるおかげでHFのストーリーが呑み込みやすい」とコメントするような状況になっているとはな……ともあれ、これでホロウ絡みの展開もやっとできるようになるわけです。構成が特殊なのでアニメ化は難しいだろうが、それでも動くバゼットさんは観たいし「スカート履き忘れたの?」とカレンにツッコみたい。Fateのネタはまだまだいっぱいある、いつまでも放心していられない。

【予告】期間限定イベント「サーヴァント・サマーキャンプ! 〜カルデア・スリラーナイト〜」開催予定!

 夏だ! 水着だ! サマーキャンプだ! 「湖のある山の中」って、完全にシチュエーションが『13日の金曜日』やんけ。というわけで今年のFGO夏イベントはホラーテイストでの開催となります。「ハロウィンイベントがなくなったからホラー被りを気にしなくてもいいんだぜヒャッホイ」とばかりにノリノリである。マップに「昼」と「夜」、ふたつの時間帯が用意されているあたりはサバフェスと一緒か。今回は配布の虞美人(ランサー)をはじめとして新規魔術礼装「カルデア・パスファインダー」、マシュの新しい水着霊衣、男鯖の霊衣3種とイベント報酬盛り沢山で久々にFGOをプレーする気力が甦ってきます。コロナのせいで仕方なかったとはいえ、4月のオリュンポス配信以降に開催された新規イベントは5月のレクイエムコラボ(「『Fate/Requiem』盤上遊戯黙示録」)だけ、あとはずーっと復刻ばかりだったからモチベが維持できなくて苦労しました。APが何度溢れたことか。怒濤の如く押し寄せる新規水着鯖のガチャに「やってやるぜ!」と滾っている方も多いことでしょう。私はキャストリアにかなり石を喰われてしまったので水着ガチャはあまり回せないけど、水着パイセンが配布だからたとえ誰一人引けなくても周回する気は満々です。キャストリアのおかげで水着武蔵の使い勝手が大幅に良くなって周回しやすくなったというのもある。

 新規水着サーヴァントの面子は既に明らかになっているのがブリュンヒルデ(☆4)とイリヤ(☆4)とキアラ(☆5)、CMで予想されているのが巴御前と紫式部とアビゲイル。すべてクラスは不明です。見た目や人気を考慮するとアビーが☆5っぽい? これまでの水着鯖はロリ枠が手薄だったから全国のロリコンプレーヤーが猛り狂っている模様。奴ら「引き当てること」が前提じゃなくて「お互い宝具5にすること」を前提に語り合っている、恐ろしい。変に捻らず素直に予想するならブリュンヒルデは剣を持ってるからセイバー、イリヤはホースを持っているからアーチャー、キアラは特殊クラスの何か、巴はビームサーベルみたいなの持ってるからセイバー、紫式部はジェットスキーみたいなものに乗ってるからライダー、アビーはフォーリナーのまま……かな。全体的にアーツ宝具多めになりそうな印象だけど、巴さんはほぼ確実にバスター宝具のままだろうという謎の信頼がある。

 ミッション報酬で「真理の卵」、交換アイテムで「煌星のカケラ」が入手できるのも美味しいです。これで無事にキャストリアをスキルマすることができそう。

『超世界転生エグゾドライブ』、9月から「電撃の新文芸」で書籍化開始

 漫画家の水上悟志も熱烈に愛好しているあシリーズがようやく物理書籍になります。掲載はなろうではなくカクヨム。Web上の連載は2年以上前に完結していますが、あくまで「激闘! 異世界全日本大会編」が完結しただけであり、書籍版にわざわざ「01」なんてナンバリングを振っていることすら察するに新章も展開するつもりなのだろう。新章もカクヨムに掲載されるのか、それとも書籍版を買わないと読めないのかはカクヨムの規定に疎いのでよくわからん。なろう連載作品だと「続きは書籍で」商法(試し読み感覚で冒頭など作品の一部だけを載せる、Web連載を放置し書籍版でストーリーを先行させる等)が禁止されているけど、あちらにしても「キリの良いところで完結扱いにして『完結後の続編』として書籍オリジナルのエピソードを書く」のはOKだからなぁ。「はめフラ」こと『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』もなろう掲載分はアニメ1期目あたりの範囲で終わっており、「完結後の続編」として書かれている書籍オリジナルエピソードの方が長くなっています。

 さておき『超世界転生エグゾドライブ』、内容を一言で要約すると「コロコロに原作漫画が載っているようなホビーアニメのノリで異世界転生を繰り返す話」であり、「地球全域で異世界転生が競技化している」というかなりトチ狂った設定になっています。異世界に転生した選手たちはモニタリングされており、膨大な時間を掛けて積み上げられた「新たな生」がダイジェスト化されて観客たちの元に届けられる。物凄く精密なウォーシミュレーションゲームで競い合っている感覚なんですが、やってることは『フェッセンデンの宇宙』並みであり、作者も意図的に倫理観をガタガタにしている。まず異世界転生の方法からして悪趣味で、「競技用のトラックにわざと轢かれて死ぬ」というブラックジョークじみた光景が何度も繰り広げられます。RTAのためにわざと世界を滅ぼすような悪行もテクニックの一つとして開陳され、「ゲーム感覚と揶揄されることが多い異世界転生モノを徹底的にゲーム化した」メタ系の作品として非常にインパクトがある。チートスキルとチートスキルのぶつかり合いは異能バトルっぽくもあり、「ガワは異世界転生モノ&ホビーアニメだけどノリは一昔前の少年漫画やライトノベルだな」って懐かしくなります。

 メチャクチャなインフレぶりが快感になってくる面もあり、一読すれば「わぁいインフレあかりインフレ大好き」と耽溺しちゃうこと間違いナシ。ただ副作用としてエグゾドライブを読んだ直後は他の異世界転生モノに対しメタな視線を向けてしまい素直に楽しめなくなる可能性があります。コミカライズの1巻も同月発売予定なのでネット注文する際は小説版か漫画版かよく確認してから購入すべし。なろうやカクヨムの作品は書籍化する前からコミカライズ企画が動いたりするので通販だとたまに混同しそうになるんですよね……ちなみに書籍版のイラストを手掛ける「輝竜司」は『蜘蛛ですが、なにか?』のイラストレーターでもある。アニメは年内に放送予定だったのがコロナの影響で来年1月へ延期してしまったが、あらかじめ「連続2クール」だと告知されていることが救いか。エグゾドライブもアニメ化するぐらい人気出るかな……。

アニメ『プリンセスコネクト!Re:Dive』、第2期制作決定!

 まだ出てないギルドも沢山あるし、アニメ自体が結構ヒットしたみたいだから当然2期は来ると予想していました。トゥインクルウィッシュ、カルミナ、自警団(カォン)、ルーセント学院、ヴァイスフリューゲル、なかよし部、ドラゴンズネストの面々も遂に来る? つーかサレンディア救護院やトワイライトキャラバンもフルメンバーでの登場じゃなかったし、ジータやアリサ、ルナなどコラボに近い立ち位置のキャラもいるし、ストーリー上重要なポジションに佇む奴としてムイミやオクトー、ラジラジなんかもいるわけで、これ2期目どころか3期目までやってもキャラ紹介すら終わらないのでは……? 第2部のメンバーも加えたらもっと増えるんで、金崎貴臣最長の監督作品となる可能性も浮上してきたな。

 2.5周年アリバーサリーガチャの目玉は水着ジュン、重たい鎧をキャストオフし軽装の鎧で夏を満喫しています。というかビーチベースボールイベントのときもコレで出てくれば良かったのでは? 恥ずかしがり屋なので人前には出てこられないって設定なんだろうか。これまで限定ばかりだったサマーキャラ初の恒常であり、ピックアップが終わった後も他のガチャから出てくる可能性はあります。なので「どうしても欲しい」という方以外は無理に追う必要ない。生放送でラビリスタの実装も予告されましたからね。恐らく今月末のプリフェスで追加となるはずです。ラビリスタは絶対に獲得したいユニットだからジュンサマは無料10連だけに留める方針。3人目となる七冠の加入はアツい。本編シナリオ読むのサボってますけど、いい加減そろそろ目を通そうかしら。

・じゃきの『最凶の支援職【話術士】である俺は世界最強クランを従える1』読んだ。

 「小説家になろう」掲載作品ですが、なろうでの連載は完結済。二部構成で、第一部がそのまま1巻として刊行されていることを考えると「売れなかったら全2巻で完結」だろうが、売上が伸びれば「完結後の続編」という名目で3巻以降が出るパターンじゃないかな……と予想しています。主人公自身の戦闘能力がそこまで高くなく、強い味方を集めて精強なクランを作り上げ、それをまとめるリーダーとなることで「最強」の二文字を得ようとする――ってタイプの話であり、1巻ではまだ「仲間集め」の途中である。恐らく2巻で「仲間集め」が完了するのではないだろうか。

 タイトルの「話術士」でネゴシエーターみたいなイメージを持って読み始めたが、いわゆる「舌先三寸だけでのし上がる」ようなハッタリ系の主人公ではありません。あらゆる人間が職能(ジョブ)を授かる世界が舞台となっており、話術士というのは言葉に力を載せることで仲間にバフを掛けたり敵にデバフを撒いたりする、ゲームで言うところの「バッファー」です。「あらゆるアタッカーを強化・支援することができるバッファーこそ真に最強のユニット」と見做す向きもあるので「バッファー主人公が最強の座に駆け上がる」のはそんなに違和感がないが、作中世界において話術士は自分自身にバフを掛けることができないのでパーティのお荷物となる傾向が強く、「話術士を編成するとそいつを守るための人員も入れないといけない」→「だったら最初から話術士を外して編成した方が良くない?」という理屈から「最弱のジョブ」と見下されています。主人公はジョブやスキルに頼らず素の自分を鍛えることで「最低限自分の身は守れる」だけの力は付けていますが、それでも本職の戦士や斥候と真っ向からぶつかれば簡単に押し切られてしまう。策を弄し搦め手を使うことでいくつかの危機を凌いでみせるものの、地力が不足している現実は否定できない。なので個人で最強となる道は早々に諦め、最強組織を作りそのトップに君臨するルートを選ぶわけですが、当然それも茨の道なわけだ。

 不本意だったりなし崩しだったりであれよあれよという間に「世界最強」へ昇り詰めていく路線ではなく、確固たるビジョンを持ち己の意志で一歩ずつ着実に「世界最強」を目指していく物語になっています。優先順位は常に「最強」がトップ。そのため主人公は手段を選ばない悪人タイプのキャラと化しており、「舐められたらおしまいだ」と時に非道な決断を下すこともある。読み口としてはファンタジーというよりクライムノベルに近く、実際に暴力団もストーリーに絡んできます。既存の作家で言うと深見真が若干近いかな。あまりヒットはしなかったが『ロマンス、バイオレンス&ストロベリー・リパブリック』という剣と魔法の異世界ファンタジーも書いてるんですよ、あの人。

 表紙にはエロい恰好をしたヒロインが2名映っていますが、右の金髪ツインテールのエルフは1巻時点だとサブキャラに過ぎず、本格的な出番は2巻以降となる模様。左の褐色肌な銀髪っ子はそこそこ出番がある。ただし主人公は「パーティ内恋愛なんてトラブルの元でしかない」と考えており、サービスシーンこそいくつか挿入されているもののラブコメ的な進展は微動レベルに留まります。一応主人公は「母や祖母に似て美形」という設定になっており作中でもそこそこモテる描写は為されているが、ハーレム展開はたぶんないんじゃないかな……って気がします。憧れている祖父が祖母に一途だったことを考えると、主人公も恐らく異性に対しては一途であろうとするのではないだろうか。エロ・グロ・バイオレンスのうち「エロ」はあまり期待しない方が良さそうです。とりあえず「クソ野郎な主人公が他のクソ野郎どもをブッ飛ばす」感じのパルプフィクション的娯楽ファンタジーを愉しみたい人にオススメ。本当はもうちょっと巻数が溜まってから薦めたいところなんだが、刊行が確定している2巻はともかく3巻以降に関してはどうなるか不透明なんでな……発売直後に重版が掛かった『俺は星間国家の悪徳領主!』と違い、こちらは「しばらく安泰」とまで言い切れない。コミカライズやってるくらいなので出版社としても早期終了はさせたくないのだろうが、とにもかくにも売れなきゃ話にならない。いくらキリの良いところで終わるからって2冊完結じゃ満足できねぇ、私が3巻を読むためにも「なんか読む本ないかな〜」と暇している方は買ってください、お願いします。

・拍手レス。

 「京極夏彦の新刊」当方は、新刊報(しかも講談社ノベルス 絶対妖怪物)に喜び勇んで調べて潰れました 買った後だと思うと絶望したと思います 現在は、予約せずにいたので買えていません 帯に鵺の文字が書かれていると知って身もだえております 京極作で入荷が少ないとは思いませんでした
 通販で予約したんですけど封を切って表紙見た瞬間「やっちまったぜ!」って顔になりましたね。書き下ろしにしてはやけに分厚いな〜、なんて呑気なことを考えている場合ではなかった。『鵺の碑』は「近日刊行予定」とあるけど、待たされ過ぎて「ええー? ほんとにござるかぁ?」以外のリアクが取れないです。


2020-08-11.

・てっきり書き下ろしか何かだと思って購入した京極夏彦の新刊『今昔百鬼拾遺 月』が去年出た文庫3冊(『今昔百鬼拾遺 鬼』『今昔百鬼拾遺 河童』『今昔百鬼拾遺 天狗』)の合本だと知り落ち込んでいる焼津です、こんばんは。もっと確認してから買えばよかった……。

 合本好きで「京極の妖怪モノはなるべく講談社ノベルスで揃えたい」という人間だからあらかじめ知っていてもたぶん購入しただろうけど、それはそれとして「新作読めるぞ」って期待が裏切られたことに変わりはありません。確認を怠った私のミスだが「紛らわしい売り方しやがって!」くらいの愚痴は言いたいところ。

【期間限定】「Fate/Grand Order 〜5th Anniversary〜」開催!

 5周年記念お祝いサーヴァント、アルトリア・キャスターかよ! ただでさえ5周年記念アニメPVに度肝を抜かれたというのに追い打ちを喰らってしまった。てっきり生放送で「☆5ライダー『ネモ』をピックアップします!」という発表が来るものと思って「ネモ・アンテ・モルテム・ベアトゥス! ネモ・アンテ・モルテム・ベアトゥス!」と素振りしていたのに……キャストリアはキャストリアで可愛いし欲しかったから回してゲットしましたが、貯めていた石のほとんどを費やす結果になったので水着の方はあまり回せなくなってしまった。仕方ないか。キュートさ(コマンドカードを選択したときの「負っけないぞぉ!」が好き)もさることながら、性能も凄まじいから後悔はしていない。全体にNP最大30撒いて単体にNP最大20注入しアーツUPも掛けられるキャスターって無法が過ぎるでしょ。他のアプリだったら「サービス終了間近?」と疑うレベルの盛り具合だ。素材要求が厳しくてまだスキルマには至っていないが、スキルマすれば水着武蔵が黒聖杯積んで大暴れできるようになるわけで「アーツ新時代の幕開け」といった趣がある。あと宝具効果の対粛正防御(無敵貫通すら無効化する防御)はOCごとに回数が増えるのでアーツパで宝具回転させまくれば途切れ目ほとんどなくなるのでは? というか、無敵貫通が防げるということは今から第一部をプレーする人は獅子王戦やゲーくん戦がグッと楽になるのか……「ひょっとして第二部の六章、キャストリアくらいの性能がないと攻略できない発狂クラスの最高難易度?」という予想もあって震えています。

 「対粛正防御を貫通する陳宮」みたいなネタも出てきて笑ってしまうが、それを別としても強化解除や即死攻撃は通ってしまうみたいなので「絶対的な防御」とまでは言えないです。しかし、アルトリア(セイバー)の第二宝具として想像されていた「全て遠き理想郷(アヴァロン)」が実装されたような気分で少し嬉しくなる。アルトリア(セイバー)と言えば強化クエストで「自分のカードを全部バスターにする」というイリーガルなスキルを獲得していて絶句するしかなかった。sn兄貴は背水ガッツを獲得しているし、ヘラクレスはガッツスキルが他のガッツと併存可能になってるし、エミヤは宝具をバスターからアーツに変更できるようになっているし、全体的に「ここまでしていいの!?」って強化ばかりですね、最終日。個人的に大きいのはエミヤの強化か。彼の宝具はヒット数が多いのでアーツ化するとNP回収率が大きく跳ね上がる。効果は1ターンのみなので「ぶっ壊れ」というほどではないが、連発しやすくなったことは確か。検証動画ではバフ掛けまくって宝具だけでNP300回収しているエミヤまでいる。キャストリアと組ませることができるのも嬉しい。

 生放送では近日開催予定の水着イベントにも言及されました。今回のテーマは「サマーキャンプ」。聞いた全員が「絶対にホラーの奴だな」と確信しました。新霊衣にシグルド、新水着サーヴァントにブリュンヒルデがいるので「祝祭がはじまる……」と『ミッドサマー』の開幕を予感する人も後を絶たない。『ミッドサマー』は北欧において一般的なお祭りである「夏至祭」を題材にした映画で、スウェーデンの僻村「ホルガ村」を舞台に歌や踊りを交えてストーリーが進行していく。北欧なのでルーン文字も出てきます。マジで北欧ならエイリークにも見せ場を用意してほしいものだ。竹帚日記によると「今回の夏イベもシナリオボリュームは最大級」らしいからサバフェスと同じかそれ以上の物量で攻めてくることは確定しています。読み応えたっぷりなのを期待し、ワクワクが止まらない。ブリュンヒルデ以外の水着鯖は☆4でイリヤ、☆5でキアラが公表済み。どう考えてもキアラが黒幕というかCCC勢メッチャ優遇されてるな……玉藻の冷遇ぶりに泣いている人もいるが。

 5周年記念福袋召喚は水着BBかカーマが当たればいいな〜、と思いながら「2018.7〜2019.7」を購入して紫式部が当たりました。キャラとしては好きだけどあんまり借りたことがないのでユニットとしての印象が薄い。せっかくの全体A宝具キャスターだからキャストリアとの組み合わせを模索するか。☆4以上のサーヴァント確定枠は剣ディル。ディルはランサーのイメージが強いからうっかり槍種火をあげかけた。「いやいやセイバーだって」と自分をツッコミつつ、改めて剣ディルの顔を眺めたら「やっぱりランサーじゃん?」と思ってしまって認識がバグる。

・ナカノムラアヤスケの『勇者伝説の裏側で俺は英雄伝説を作ります(1〜2)』読んだ。

 副題は「王道殺しの英雄譚」。なろう連載作品です。コミカライズも発売中。剣と魔法の異世界ファンタジーだけど、転生要素はナシ。スラングを交えた軽い文体で綴られているんで、読み口としては転生モノとそんなに変わらないが。サムネでは分かりにくかったせいでしばらくスルーしていたが、よくよく確認するとイラストレーターが「をん」じゃないか! ってことで即買い。アニメ化した『落第騎士の英雄譚』で有名だけど、個人的には『恋する鬼門のプロトコル』の印象が強い。この人は衣服の胸部をくっきりと強調するいわゆる「乳袋」で有名なイラストレーターだが、『勇者伝説の裏側で〜』は露出度の高いイラストばかりなので乳袋がほとんどありません。具体的な濡れ場描写がないだけでヤってることはほぼポルノ系ファンタジーだ。

 復活する魔王を倒すために平凡な村人が「勇者」に選ばれ、神官たちとともに王都へ向かうことになった……これだけ書くと「ありふれた導入」でしかないが、本作の主人公は「勇者に選ばれた村人」ではない。勇者の知人である「村人その二」です。大業を果たすため知り合いがいない王都へ赴く勇者のメンタルケアのために付き人を一人同行させようという話になり、勇者が「じゃあ、あいつを」と指名した青年が本作の主人公を務めます。狭い村だからお互い顔見知りではあるが、別に親友というわけではない。じゃあなぜ選んだのかと申しますと、自分が勇者だと判明した途端態度を変えて特別視し始めた他の連中と違い、あくまで「ただの顔見知り」として接する主人公のマイペースぶりに感じ入るものがあったからです。主人公は別に友人でもない男の付き添いをすることに最初乗り気じゃなかったが、「費用ゼロで王都に行ける」と知って考えを改めます。彼は一つの野望を抱いて上京し、王都に着くや否や勇者たちと別行動を取る。懐で銭を温め、訪れた先は娼館の立ち並ぶ区画。そう、彼は勇者が人類の希望を背負って魔王討伐の冒険に出ようとしているのを尻目に、己の欲望を股間に集めて脱童貞の冒険へ繰り出そうとしていたのだ……!

 性欲が世界を救う! のかもしれない。予算範囲内の娼婦を見繕うつもりだったが、たまたますれ違った高級娼婦に一目惚れし、彼女を買う資金を調達するため主人公は「傭兵」として稼ぎ出す。この世界は魔王の影響で「厄獣」と呼ばれるモンスターが出没するようになっており、それらを狩るのも傭兵の仕事ということになっています。つまり他のなろう作品で「冒険者」として扱われている職業に近い。傭兵としてのランクを上げるつもりはサラサラなく、堅実に稼げる下級厄獣狩りに没頭する主人公は「鼠殺し」の蔑称を頂戴することになるが、見下す視線もどこ吹く風とばかりに地道な作業を繰り返す。すべてはあの美しい乳を揉むために! なかなか欲望に素直な主人公で好感が持てます。知人が魔法使いの王女とパーティを組んだり、聖剣を手に入れたり、パレードで歓声を浴びたり、着々と「勇者伝説」の序章を彩っていく中で伝説の端っこにも残らないドブ浚いじみた厄獣狩りに没頭する主人公。しかし彼もまた「グラム」という曰くありげな「喋る槍」を手にしていたのであった。

 伝説級の武器を手にした下級傭兵が「英雄」として成り上がっていく様子を描く点においては「よくあるなろう小説」であり、格別オリジナリティがあるとは言えない。本来勇者とパーティを組むはずだったヒロインたちと先に出会ってフラグを潰してしまう「寝取り」みたいな展開も、天邪鬼な悪趣味設定が横行する「マイナーなろう小説」と比べればヌルい方だ。捻っているようで基本的に真っ直ぐ、というのが本書の魅力だと思っている。好意を向けてくるヒロインに有耶無耶な態度を取らず、迷った末にキチンと答えを出す(抱く)。オリジナリティはないにせよ、ハーレム物としては申し分のない出来です。スケベ心剥き出しだけど、傷ついているヒロインを見殺しにはできないと格上相手に無茶をする主人公は一昔前の熱血漢みたいでもあり、「少し古めの少年漫画」のノリが好きな人にはうってつけ。勇者など主人公以外の視点もちょこちょこ挿入されるが、この調子だと魔王を倒した後に勇者と主人公が「互いに相容れない存在」として対立しそうな雰囲気が漂っており若干不穏だ。でもそういうシリアス展開はやりそうにない気配もあってよくわからん。

 言うほど「王道殺し」ではなくオーソドックスな内容ゆえ奇抜な作品を期待するとガッカリかもしれませんが、「ヒロインたちを養うためにも下級傭兵の身分で満足していちゃイカンな……せめてもうちょっとランク上げないと」ってかつては童貞を捨てたいだけだった村人の青年に責任感が芽生え始めていく過程も簡素ながらちゃんと描かれており、「使命よりも所帯が大事」というバランス感覚の取れたハーレム系ファンタジーになりそうで今後に期待が持てる。3巻は9月末発売予定。ただし「動悸」と書くべきところが「動機」になっていたり、「○○の」が「○○のの」になっていたり、誤植が多いのは気になった。モンスター文庫も誤字脱字がヒドいし、「双葉社のライトノベル事業は最低限の人員のみで行っている」って噂は本当なんだろうか。

・拍手レス。

 続編の特典で胸大きくなってたから貧乳の呪縛から解き放たれたのかと思いきやソシャゲでまた小さくなったエルルゥは泣いて良い
 原作よりも更に慎ましくなっている気がするけど単に水着で締め付けるような形になっているだけなんだろうか……。

 川上氏がとりあげてちょっと話題になってたみたいですが、水瀬葉月氏の今月の新刊が良い意味で表紙詐欺ですw
 『ダークエルフの森となれ』ですね。えっちな表紙に釣られて購入済みです。気になるので更新終わったら読み始めます。


2020-08-06.

・はめフラが面白かったから悪役令嬢モノの情報をアレコレ漁っているけど、さすが人気ジャンルだけあっていろんなのがあるな……と沼の広さに茫洋たる心地を覚える焼津です、こんばんは。

 すべてが転生モノとは限らないが、やはり転生モノが目立つ。「悪役」というメタっぽい表現を使っている関係上、どうしてもそうなりますね。「前世女→悪役令嬢」のパターンが圧倒的に多く、たまに「前世男→悪役令嬢」タイプを見かける程度。たとえば『悪役令嬢、庶民に堕ちる』、20代のサラリーマンが「ワガママな問題児」として有名だったお嬢様に生まれ変わる。ただし異世界転生ではなく同世界転生で現代日本が舞台です。まだ1巻が出たばかり。「悪役令嬢モノ」はジャンルとして確立してからの歴史が浅くまだ5、6年くらい(「悪役令嬢」という用語が定着し始めたのは2013年頃だが、どの時点でジャンルとして認識されるようになったかについては議論の余地あり)なので10巻以上に及ぶシリーズ作品は珍しく、私がチェックした範囲では『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』(最新刊が10巻)しか見当たらなかった。そもそも「悪役令嬢ネタで10巻以上のシリーズを書く」こと自体が難しいという面もあるか。「悪役令嬢」の用語を普及させた草分け的な存在である『悪役令嬢後宮物語』だって全8巻で完結していますし、はめフラの次くらいに古い『公爵令嬢の嗜み』も全8巻で完結済、このシリーズは「ゲーム開始前ではなくエンディング(婚約破棄される場面)で前世の記憶を取り戻す」という設定なので気になっています。まとめ買いしちゃおうかな。最終巻はまだ出ていないが『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』も全8巻で完結予定なので「8巻」が悪役令嬢モノにとっての一つの山なのかもしれません。

 悪役令嬢モノは早い段階で主人公が記憶を取り戻して運命に抗おうともがく様を描くのが基本型ですが、そのパターンがマンネリ化してきたこともあり「かなり遅い段階で始まる」タイプもいくつか出てきた。王都から追放された後に辺境の田舎でスローライフを送ったり、身分を剥奪され庶民として質素な生活を楽しんだりする「悪役」とは名ばかりのほのぼの系が人気を博している一方、悪役らしい殺伐系も点在している。『処刑エンドからだけど何とか楽しんでやるー!』なんかは前世の記憶が甦った頃には処刑が確定していて牢獄にブチ込まれたまま一歩も外に出れないというかなり詰んだ状態からスタートする。『断罪された悪役令嬢は続編の悪役令嬢に生まれ変わる』に至っては主人公が悪役令嬢に転生して殺された挙句また別の悪役令嬢に生まれ変わるという「なにその無間地獄」な一品。死んだ回数で言えば『108回殺された悪役令嬢』の方が上ですが、こっちは転生モノじゃなくてループ系ですね。

 横暴な振る舞いの酬いとして破滅的な末路を迎えるはずだった御令嬢が文字通り「心を入れ替えた」結果、周りから愛されるように……というのが悪役令嬢転生の黄金パターンであり、マンネリ化してきているとはいえまだまだ類似作品は後を絶たない。それらのあらすじを読んでいくと「婚約を破棄された」か、もしくは「このままだと婚約を破棄される」というシチュエーションが頻繁に出てくる。身分の高い令嬢なので幼い頃から「婚約」という足枷を嵌められており、それをどうにかしないと話が進まない……って構図。この手のジャンル、ひょっとして悪役令嬢モノというより婚約破棄モノとしての側面が強いのでは? 「鎖に繋がれた人生」からの脱却/「ままならない自由」の獲得、みたいな。はめフラみたいに「破滅的なエンドを迎えたくない」という消極的な理由で動くヒロインが多いけど、前世の頃から好きだったサブキャラ(庶民)と添い遂げるために攻略対象を無視する『悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!』みたいなタイプもある。前世の推しキャラが悪役令嬢の兄だったせいで「お兄様のためなら破滅フラグもナンボのもんじゃ!」と奮起する『悪役令嬢、ブラコンにジョブチェンジします』も路線としては同じか。『悪役令嬢は二度目の人生を従者に捧げたい』『豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい』を彷彿とするな。あとは「追放される前に自分から出ていきます」的な、違う意味で積極性を発揮するヒロインもいてなかなか愉快な界隈です。

 個人的に面白そうだと思ったのは『悪役令嬢(ところてん式)』『原作開始前に没落した悪役令嬢は偉大な魔導師を志す』のふたつ。『悪役令嬢(ところてん式)』は主人公が乙女ゲー世界の悪役令嬢にインした結果、悪役令嬢の体から押し出された魂が「乙女ゲーの主人公」へ入ってしまう「異世界転生×悪役令嬢×人格入れ替わり」ネタ。イラストも好みだからちょっと読んでみたい。『原作開始前に没落〜』は乙女ゲー世界に転生した主人公がチート能力を駆使したせいで運命がいろいろと変わり、本来悪役令嬢になるはずだった子の家が魔法学園入学前に没落、その子が改心したせいでむしろ主人公の方が悪役になってしまう……という立場逆転ネタ。転生して有頂天になり調子こいて考えナシな行動を取って大変になる奴、どこかで見たような……あ、『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』のマリエだ。

「サーヴァント強化クエスト 第12弾〜5th Anniversary〜特別編」開催!

 「Fate/Grand Order カルデア放送局 5周年SP 〜under the same sky〜」まであと5日、暇な期間を繋ぐ催しとして強化クエストが始まりました。第11弾は4周年のときだったからちょうど1年ぶり。強化クエスト自体は散発的にちょこちょこやってるけど、これだけの規模で開催されるとやっぱりワクワクしますね。初日はファントムとブリュンヒルデ、どちらもあまり使い道のなかったスキルが強化されています。初期実装されたサーヴァントのスキルは使いどころの限られているものが多く、刺さる場面が少なくて一度もタップしないままクエストが終わる、なんてことも珍しくない。ブリュンヒルデの「原初のルーン」とか、使って役に立った記憶がまったく残っていません。今回の強化によってNPチャージ(最大30)が付いて、使用頻度が様変わりするであろうスキルとなった。NPチャージスキルを持ったランサーは全体槍ばっかりだし、ブリュンヒルデは初のチャージスキル持ち単体槍に……と書きかけて思い出したが、ガレスちゃんにもNPチャージはあったか。ステータスの高い☆5単体槍としては現状唯一の「最大NP30チャージ」スキル持ちサーヴァントです。☆5単体槍はブリュンヒルデを含めてもたった4騎しか存在しない枠(スカサハ、ブリュンヒルデ、水着玉藻、エルキドゥ)だからより稀少性が高まったとも言える。マーリン孔明で挟めばオダチェンの必要なく黒聖杯ブッパできるようになるから評価も大きく変わってくるだろう。スキルのおかげでクリ殴りも強いしな、この子。私がFGO始めた頃はサポートに出している人がほとんどおらず、たまに借りても「ユニットとしては使いにくいな」って感想だったが、あれから3年以上経って宝具威力が上がりモーションが変わり本編で活躍しスキル強化も2回入ってまったく別のユニットみたいに変貌した。おかげで水着玉藻の性能が相対的に少し物足りなくなっちゃったか。

 強化クエスト2日目は☆3バーサーカーと☆5バーサーカーでダブル狂。☆3の方は呂布かダレイオスかな。☆5は金時? 個人的には土方さんかジュナオが来てほしいけど、土方さんはともかくただでさえぶっ壊れているジュナオに強化が入ることは恐らくないだろう。3日目は☆3アーチャーと☆4アサシン、弓の方は子ギルかダビデと見た。殺はエミヤかもっちーあたり? ぐっちゃんの強化も欲しいけど、パイセンは強化クエストじゃなくて幕間で強化してほしいです。4日目は☆4ランサーと☆5アーチャー。槍は書文、弓はアルジュナかなぁ。5日目は☆4キャスターと☆5セイバー。術はキルケーかシバのどちらかと予想。剣は……いよいよ沖田さん超絶強化で大・大・大勝利か? 最終日は☆3ランサーと☆4バーサーカーと☆4アーチャーと☆5セイバー、4騎いっぺんに来ます。この組み合わせとメモリアルクエスト最終日の解放条件が「特異点Fクリア」であることを考えるとまず間違いなくstay night組の強化でしょうね。クー・フーリンは現状でも☆3槍最優レベルだけどまだ上を目指しちゃうの? ヘラクレスは絆礼装着用時はぶっ壊れだけど、絆礼装抜きだとスキルがやや物足りないから強化は妥当かしら。エミヤはプレー開始初期から使っているサーヴァントなので本当に強化が来たら嬉しいな。アルトリアは既に☆5全体剣で最強に近い性能だから「さすがに優遇しすぎでは?」という気がしないでもなく、だんだん「sn組がいっぺんに来るというのは引っ掛けなんでは……」と疑心暗鬼になってしまった。まぁアレですね。予想とか関係なく手持ちのサーヴァントに強化が来てくれたら嬉しいです。というか手持ちに来ないと10日まで暇すぎる。

・伊崎喬助の『董白伝(1〜2)』読んだ。

 「とうはくでん」と読む。副題は「魔王令嬢から始める三国志」。現代日本で商社をクビになった成人男性が怪しげな占い師と接触してタイムスリップし、『三国志』序盤において暴虐を振るった魔王として有名な「董卓」の孫娘「董白」に生まれ変わってしまった――という歴史改変系の転生モノです。ストーリーは概ね史実に沿って展開するが、馬超が女だったり、呂布がチャラ男だったり、孫堅が乳首丸出しファッションでホスト仕草する変人になっていたりと、ところどころおかしい箇所があって本当に史実の世界なのかどうかは曖昧です。熱心な三国志マニアは戸惑うかもしれないが、『泣き虫弱虫諸葛孔明』くらいしか三国志知識のない私は「これはこれで」と大いに楽しめました。

 董白――董卓の孫娘であり、幼くして領地を与えられたなどの逸話は残っているが、生年も没年もハッキリせず「恐らく董卓の死後に他の一族ともども処刑されたのであろう」と推測されるに留まっている謎多き存在。そんな少女に、城川ささね(30歳・無職・♂)は転生してしまった。ナビゲーターを務める占い師の女は転生後の中華で「貂蝉」を名乗り、「天下統一を成し遂げる英傑に転生する魂を探していた」のだと明かす。彼女にできるのは転生の手引きまでで、誰の肉体に宿らせるかまでは選べず実際にやってみないとわからなかった……つまり、ガチャ同然の一発運勝負だったらしい。名のある英傑に転生したなら己の肉体を使って篭絡し天下統一をお願いする予定だったが、董白ならその必要もない――と貂蝉は妖しげな笑みを浮かべる。まだ洛陽に都のある時期だが、いずれ長安に遷都する。その後に起きるものは董卓の暗殺だ。何もしなければ董白の運命は死に向かって一直線。三国志マニアとしての知識を振り絞り、「後に大成する人物」と仲良くしてコネを築こうと必死になる董白ちゃん(中身おっさん)だったが、転生によって史実は既に歪み始めていた……。

 現代人がタイムスリップ転生して「未来の知識」を武器に大暴れ、というのはなろう以前からよくある題材ですが、本シリーズの主人公が転生した先は肉体的に言うと「10歳前後の単なる少女」であり、転生に伴ってチートスキルの類を与えられたりもしていません。武力面で活躍することはまず不可能。知識と立場だけしか頼るものがないんですが、その立場が「暴君として嫌われている董卓の孫」という厄介な代物ゆえ到底盤石とは言い難く、むしろ常に薄氷の上を進むが如きである。董卓から「……お前は、本当に白なのか?」と猜疑の眼差しを向けられるなど、始まって早々にピンチを迎えちゃうくらいヤバい瞬間の連続です。ドキドキハラハラしてばっかりで、チーレム無双みたいな安心感は欠片もありません。何せ史実で董卓を暗殺したのは「天下無双」の二つ名で知られる呂布。彼と敵対することはそれ自体が死亡フラグであり、できれば穏便に付き合いたいところなんだけど、呂布からすれば董白など「ただの小娘」でしかなく交渉の余地はなきに等しい。盾として頼れるのはやがて五虎大将となる「馬超」くらいです。なぜか女になっている馬超は奇妙な成り行きから董白の護衛を務める運びとなる。性転換してるのはラノベ的に「戦える女性キャラ」がいないと映えないからというのもあるだろうが、「少女が大好きで愛する董白ちゃんを守護るために身命すら賭す」という馬超を史実通り男にしちゃうとヤバみが天元突破しちゃうんですよね。女体化してなお董白ちゃんへの想いがストーカーじみていて怖い。

 転生以外で目立った妖術はでてきませんが、「勁」という概念が実在するややオカルト寄りの中華観になっており、伝奇色は割と強め。全体的に殺意高めのキャラが多いから戦闘シーンの描写にはスリルが漂っています。「いーじゃん」とか「お疲れさまでェーす」とか舐めた口調で喋るチャラ男の呂布がメチャクチャ強いの、なかなかに絶望感が高い。並み居る英傑たちに小さな口から吐き出される毒舌で立ち向かっていく董白ちゃんの健気な邪悪さが胸を打ちます。三国志という大半のラノベ読者から敬遠されそうな題材を扱っているぶん、「三国志の知識がほとんどない人でも楽しめるように」とインパクトのあるキャラ立てを重視するなど随所に工夫が凝らされている。たまたま本屋で見かけ、馬超ちゃんのビジュアルに惹かれて衝動買いしたけど大アタリでした。正直3巻以降が出るかどうか雲行き怪しいところもあるが、興味のある方は「拙者大人を挑発する口の悪い幼女大好き侍、義によって助太刀いたす」と既刊をレジに持って行っていただければ幸いです。

・拍手レス。

 うたわれとドカポンがコラボするそうですが、3クリック皇wとかネタにしてた頃思い出すと隔世の感がありますな…
 ロスフラの夏イベントで水着姿のエルルゥを見て「エ、エルルゥがこんな際どい格好を……」と動揺した後「いやエロゲヒロインだったわ」って素に返りましたわ。ドカポンやったことないけどうたわれコラボのは買おうかな。


2020-07-31.

・立ち読みして何となくビビッと来るものがあったから『陰の実力者になりたくて!』を衝動買いした焼津です、こんばんは。

 テレビCMでコミカライズの存在は知っていて、チャチャッと評価を漁ってみたところ「主人公の頭がおかしい」と断じる声が多くいまいち手が伸びなかった奴です。実際に読んだみたら本当に頭おかしかったと申しますか、控え目に言っても「倫理観をどこかに捨ててきた狂人」でドン引きしました。クソ生意気な王女とはいえそれなりに会話したこともある子が誘拐されたという報せを聞いて「よっしゃ、ざまぁ!!」と内心で快哉を叫ぶとか正気じゃない。でも困ったことに掛け合いのテンポとかイラストの絵柄は好きで、「主人公にはまったく好感が持てないがハマってしまう」という稀有な体験を味わった次第です。

 話を要約すると「中二病患者が剣と魔法の異世界に転生して『この世界の闇に巣食う巨悪と戦う!』というごっこ遊びに耽っていたら本当に世界の闇に巣食う巨悪と戦うハメになってしまった」ってな感じの脱臼系ファンタジーである。出版社はコレを「勘違いシリアスコメディ」として売り出しているが、ごっこ遊びの感覚で「そのへんにいるちょうどいい連中」を殺戮する主人公の混沌メンタルをコメディとして扱うのは無理があるのでは? 「えっ、この世界って犯罪者の人権とかないん? なら近場の盗賊団を試し斬りも兼ねて皆殺しにしたろ!」と誰に強制されるでもなく嬉々として出撃する主人公、現代じゃなく鎌倉時代あたりから転生してきたの? MMORPGにおけるレイド戦くらいの軽いノリで悪党を血祭りに上げるストーリー展開に付いていけないものを感じてギブアップする人も少なくないでしょう。主人公は「強敵との戦い」を求めているのではなく「『人知れず強敵と戦っている』という愉快なシチュエーション」を求めているのであり、殺人への忌避感も自分が死ぬかもしれないという恐怖感も一切抱かず、ただひたすら「陰の実力者/普段は影の薄いモブ」という歪みの激しい美意識へ己と他人を従わせることに腐心する。中二っぽい掛け合いができたことに喜び「いい演技だ!」と相手を褒め称えながら嬲り殺しにする主人公はサイコパスっつーかホントに何かのビョーキとしか思えない。幼い頃に抱いた憧れを胸に、と言えば聞こえはいいが要するに「在りし日の妄念」だけを動機に駆動している精神的なゾンビですよコイツ。自由に動いているようでいて囚われている。妄念がいつまで経っても色褪せず、眩しい輝きに眼を灼かれ続けていることを思えば哀れだが、冷静に考えるまでもなくコイツに付き合わされる周囲の方がずっと大変だ。

 主人公は「陰に潜み陰を狩る」組織のトップですが、バカなので組織を運営する手腕はまったくないです。「シャドウガーデン」という架空の集団を妄想し、「社会を蝕む陰謀」とかテキトーにでっち上げて悦に入っていたらたまたまそれと合致する陰謀があったせいで真に受けた配下たちがマジでそういう組織を作っちゃって、しかも主人公が把握できないぐらいの規模に拡大させちゃったという。このへんは操縦不能な忖度系コメディとして普通に笑える。明るく楽しいラノベ版『ファイト・クラブ』といった趣。配下たちはみな主人公に心酔しており、ウブなネンネだった子もいつしか殺人行為を厭わないようになっていた……というあたりは『カリスマ』『煉獄の使徒』みたいな「暴走する新興宗教」小説の趣があって怖いが。主人公の戦闘能力が優れていることは「勘違い」じゃなく「確かなこと」だから無駄にカリスマ性が高く、シャアとルルーシュと西東天を混ぜて脳味噌ぶっこ抜いたような感じになっており、もう「ひたすら最悪」としか言いようがない。『呼び出された殺戮者』の遠野一二三とはまた違ったタイプの災厄だ。

 陰謀や巨悪が実在するせいで結果的に主人公が世界を救う形になっていたり、組織のトップとは思えないほどバカなくせして「核攻撃に耐える」ことを目標に体と技を鍛え抜いているせいで武力面では真実ハッタリ抜きの最強クラスだったり、どうしようもないくらい性根が捻じ曲がっているクズなのにほんの僅かに良心が残っていたりと、非常にとっ散らかった内容で「ブラックコメディに徹し切れていない中途半端な無双モノ」となってしまっているが、結論としては「嫌いになれない」の一言に尽きる。私ってそもそも端整な仕上がりの一品よりもパッション丸出しの粗削りな塊の方が好きだったな……ってことを久々に思い出しました。でもぶっちゃけ「イラストが好みだった」ことも大きく、コレがイラストなしだったり好みの絵柄じゃなかったりしたら主人公のイカレ具合に付き合い切れなくてリタイアしていたと思います。

FGO、第2部後期オープニングムービーをゲーム内で公開!

 予告も何もなく突然配信されたからビビりました。本来はオリュンポスクリア後に流れる設定らしいが、8月12日まで期間限定ですべてのマスターの端末において再生されるとのこと。コロナの影響でキャンペーンが延期されたから忘れかけていましたが、7月30日はFGOの配信日。昨日がちょうど5周年だったんですね。私は配信直後からやっていたような最古参勢ではないので「あれから5年か……」と浸ることはできないが、配信開始早々に長期メンテへ突入して先行きを危ぶまれたあのFGOが5年も保つなんてな……って遠い目をしたくなる。

 さておき、新曲「躍動」とともに流れるムービーは情報量いっぱいで「こんなもん平日の深夜に公開するなよ! 睡眠時間削れるだろうが!」と叫ぶ人が後を絶たなかった。「躍動」の歌詞からして既に意味深である。「誰も傷つかない世界なんて綺麗事かもしれない、それでもまだ賭けてみたい(駆けてみたい?)」 いくつもの異聞帯を切除してきた後で「誰も傷つかない世界」に辿り着くのは無理筋だと感じるが、すべてを「なかったこと」にしてリセットするのが第二部のエンディングという説が浮上してきました。人理焼却もなく人理凍結もなく、切除されるべき異聞帯が元々なかった「平和な世界」。直前の「手放すのは敗北でしょうか」という歌詞がいっそう不安を誘います。いったい誰が何を手放そうとしているんだ?

 「旅の思い出」的なカットにしんみりしつつ、マシュの肩を叩いて廊下を歩み去っていくゴルドルフの姿がいきなり不穏で動揺した。映像演出的にマシュから離れていくホームズ、ロリンチ、ゴルドルフは「故人」を暗示してるよな……えっ、新所長死んじゃうの? 2部7章にまつわるカットとして確定しているのはビショビショに濡れているデイビッドのみだが、彼の奥に映る大きな影がいかにもORT臭くてヤバみしか感じない。ORTは青本とキャラマテでほんの一部しか情報が明かされていない不明点だらけのキャラであり、わかっている範囲でも「次元の違う強さ」なのでそもそもバトルが成立しないのでは?

 7章に比べて6章絡みと思われるネタはてんこ盛り状態です。蝶の羽根を持ついかにも妖霊っぽい容姿の子は湖の妖精ヴィヴィアン説、妖精王オベロン説、妖精女王ティターニア説などが囁かれています。その後に出てくる三人組の真ん中、オルタっぽいバイザーをした子はモルガン? 残りの2名に関してはよくわからん、そもそも円卓関係ではない可能性すらあるし。他の人の予想を参考にすると「女体化した円卓勢」「モルガンの別人格が分離したもの」あたりがありそうかな。それにしても赤髪の子がブローディアに見えて仕方ない。またマーリンっぽい杖を持った金髪っ子の正体を巡って「プロトマーリンだよ」派と「マーリンに弟子入りしたif世界のキャスターアルトリアだよ」派が争っているけど、どちらにしても「アルトリア顔でCV.川澄綾子」は確定だろう。後半のカットでぐだを抱えている鎧騎士は見た目からして円卓系っぽいが、アルトリア世界の円卓なのかプーサー世界の円卓なのか判断が付かないな。「サー・ケイじゃないか?」という声が有力視されている感じ。

 依然として燃え続けている特異点Fが第二部の焦点となることはかねてより仄めかされていたことだけど、タイミング的にどこへエピソードを捻じ込むつもりなのかは謎だ。「地獄界曼荼羅」みたいに独立した話になる? それとも地獄界曼荼羅こそが特異点Fなのか? 気になるカットが多過ぎて取り留めのない文章になってしまうが、もっとも目を引き寄せられたのは新礼装を纏っているぐだ子ですね。髪を下ろし、やや大人っぽい表情になったぐだ子がカッコ良くも痛ましい。時間経過については曖昧な部分も多いFGOだが、2015年にマスターとして着任したぐだも2020年には二十歳前後になっているはずで、もはや少年少女ではなく立派な成人なんだよな……新礼装も戦闘員というより司令官っぽいデザインで、このときにはもうゴルドルフたちが亡くなってノウム・カルデアの人員もほとんどが欠けてしまっており、ぐだが「最後の所長」として着任せざるをえなくなっているのでは……と考えて胃が痛くなる。「出会った頃のオルガマリーもこんな重圧に耐えていたのだろうか」と思いを馳せたりしそう。ラストのシバにヒビが入るカットは「観測不可能な未来の到来」を指しているのか、それとも「シバは近未来観測レンズじゃなくて卵だったんだよ!」という意味なのか。言えることはただ一つ。シナリオ更新を一刻も早くお願いしたい、ということだ。

・理不尽な孫の手の『オーク英雄物語 忖度列伝』読んだ。

 今度アニメ化される『無職転生』の作者によって書かれた新シリーズです。あまりにも特徴的なペンネームゆえ「この○○って人、どっかで名前を見たような……(検索)ああ、『××』書いた人か」って検索エンジンに頼らないとなかなか思い出せないポンコツ頭の私でも一瞬で同定できました。「小説家になろう」連載作品ですが、『無職転生』と違ってまだ完結しておりません。連載は4章のビースト編が終わったところみたいですね。1章につき1巻のペースで刊行していくようだから、少なくともあと3巻分のストックがある計算になる。1巻のエピローグに「これから登場する予定のヒロインたち」が並べられており、追加や隠し球がなければ7章構成の物語となるはず。総決算的な最終章が用意されると仮定したら全8巻かな?

 あらゆる戦場においてあらゆる不利を跳ね除け、遂にはドラゴンの首すら落とした万夫不当のオーク英雄(ヒーロー)「バッシュ」。彼は並ぶ者なき武勇を誇る存在であったが、数千年に渡って繰り広げられた大戦争にたった一人で打ち勝てるはずもなく、オーク族の与する七種族連合は劣勢に追い込まれ、やがて和睦を受け容れた。その条件の一つが「他種族との合意なき性行為を禁じる」(ただし死刑囚や重犯罪者、奴隷など他種族において「人権なき者」と見做された存在は除外される)。メスが存在しないため他種族の女を孕ませないと繁殖できないオークからすると、容易には呑み込みがたい誓いである。しかし、呑むしかなかった。ある日、種族を代表する勇士となったバッシュは「妻」を求め旅立つ。性欲の塊たるオークにとって女とは寄ってたかって犯すもの。即ち共有財産であり、乱交せず独り占めして自分の子供だけ産ませることができる「妻」を持つことは一握りの有力者にしか許されない特権であった。英雄の中の英雄、バッシュならば当然妻を娶ることも許されるだろう。オークがレイプ以外で妻を娶った例など過去5000年に渡って存在しないが、彼ならばきっと成し遂げるに違いない。オークキングは信じてバッシュを送り出した。だが、キングは知らなかった。バッシュは一度も女とまぐわったことのない童貞であり、旅に出たのはこっそり筆下ろしがしたかったからだということを。そしてバッシュも知らなかった。オークが他種族の女と合意を得てセックスするのがどれだけインポッシブルなミッションかということを……!

 かくして英雄の、童貞を捨てる長い旅がはじまった。ある意味、和製『指輪物語』です。副タイトルの「忖度列伝」はコメディ系の作品でよくある「ははぁん、彼奴の真意はきっとこうだな?」と相手が勝手に深読みして忖度し話が転がっていく典型的な勘違いの連鎖を指しています。まさかバッシュみたいな最強オークが童貞とは誰も思わないので勘違いのループが止まらない。誰よりも長く前線に留まって戦い抜いたせいで童貞卒業する機会を逸してしまったという、パッと見はギャグなんだけど「オーク随一の献身」を示す面もあって切なくなる。常識も経験もないので出会い頭に「俺の子供を産まないか?」と秒速プロポーズしてしまったりもするが、曲がったところのない真っ直ぐな気質のオークだということが行間から伝わってくるので読み心地は悪くない。バッシュは28歳、オークは30歳まで童貞のままだと魔法を習得してオークメイジになってしまう(額に紋章が浮かぶので一目でソレとわかる)から状況は切羽詰まっています。2年以内に嫁を見つけねば、英雄としての名声は地に落ち、バッシュに憧れるオークたちすべてを落胆させる仕儀となる。もちろん、相手が見つかったらそこで話が終わってしまうから当然の成り行きとして嫁探しは難航します。「嫁をたずねて三千里」とばかりに旅を続けるバッシュ、果たして彼は無事に貞操という名の指輪を捨て去ることができるのか? それとも「お前の杖は折れたぞ!」と言われてしまうのか?

 ガッツみたいな大剣を背負ったバッシュはめちゃんこ強くてバトルはほぼワンパン終了、戦闘シーンの比重は今のところそんなに高くないです。未完結だから今後の展開に関してはわからない部分も多いが、作中でも『指輪物語』を意識した文章が出てくるくらいだし、それこそ嫁候補全員に指輪を送って「これが本当の『結婚指輪物語』だ!」ってハーレムエンドになる可能性もゼロではない……か? 作中世界における種族は12、このうちオークに女はおらず、フェアリーは体格的に無理、リザードマンは生理的に無理と明言されているのでバッシュが迎える嫁候補は9つの種族に限られる。ヒューマン、エルフ、ドワーフ、ビースト、デーモン、オーガ、ハーピー、サキュバス、ドラゴニュート。1章がヒューマン、2章がエルフ、3章がドワーフ、4章がビーストで確定しており、サキュバスとドラゴニュートも内定している。不明なのはデーモンとオーガとハーピーか。ヒロインとおぼしき「ある双子の妹」の種族について言及されていないから絞り込めないんですよね。逆に言えばヒロインは最大でも9人まで、多少引き延ばしても10巻前後で終わる規模のシリーズです。売れ行き良好みたいで打ち切りの心配もなさそうですし、オークにしては紳士な主人公が活躍する本作、興味のある方は手を伸ばしてみてはいかがだろう。

 あとがきでノクターンの「童貞オークの冒険譚」に影響を受けたと書いているが、こちらの作品は書籍化されていないみたいで読みたいならネットで読むしかない模様。紙書籍で堪能したい派の私にとっては残念な話だ。オーク主人公のライトノベルっていまいち当たりにくいからあまり商業向きではないのかもしれませんね。比較的長く続いた『そのオーク、前世(もと)ヤクザにて』でも4巻、『姫騎士はオークにつかまりました。』は3巻。『オークの騎士』に至っては2巻で打ち切られています。『豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい』は9巻まで出ているが、あれは単に太っているせいで「リアルオーク」と言われているだけで主人公人間だしな……しかも途中から痩せるし、最近は筋トレにハマって「リアルオーガ」呼ばわりされている。『史上最強オークさんの楽しい種付けハーレムづくり』の主人公は「女騎士とオークの息子で母親似」だから全然オーク感がない。なお、あまりにもあまりなタイトルなのでコミカライズではちょっと改題されています。『オーク英雄物語』、是非ともオーク主人公ライトノベルのマスターピースになってほしいものだ。


2020-07-28.

プリコネの新イベントに水着ハツネが降臨すると知って「行くしかあるまい」と覚悟を決めた焼津です、こんばんは。運営め、「2.5周年控えているし、水着ハツネでも来ないかぎりスルー」と考えていた私をピンポイントで狙撃しやがった。プリコネを始めた直接の原因は美食殿トリオだけど、ハツネのファンアートにも惹かれていたので抗いがたい魅力を感じる。

 イベント内容からすると水着ミサトが配布かしら。プリコネの水着イベントは毎年2つあり、それぞれ3人の水着ユニットを実装するのが恒例になっているからあと一人ガチャで誰か来るはずです。予告に3人目の姿が見えないところから察するに、水着サレンのような「過去に水着のイラストだけお披露目されていたキャラ」が投入されるのかも。水着ユカリ、水着アキノ、水着ミサキ、水着カスミあたりが候補?

 イベントの「ミサトサマーエール! 夢追う真夏のナイン」はミサトが不良ばかりのビーチベースボール部の顧問になってしまう、というもの。衣装は水着だけどチア服も兼ねてるっぽいですね。薄い本が熱くなりそうなネタだ。しかし、ベースボールか……ひょっとしてコレ、ミニゲームにホームランダービーを入れるつもりなのでは? 次の☆6がアヤネというのも何か怪しいな。「ぷうきちのホームランダービー」、ただし難易度はぐっと下がりそう。

『魔法科高校の劣等生』、新シリーズとして『続・魔法科高校の劣等生』と『新・魔法科高校の劣等生』を展開予定

 続は魔法科高校を卒業した後の達也たちの話で、新は達也たちが卒業した後の魔法科高校の話……つまり『けいおん!college』『けいおん!highschool』みたいなもんか。喩えておいてなんだけど、collegeとhighschoolすらもう8年も前の単行本か……眩暈がしますね。『魔法科高校の劣等生』はタイトルがタイトルだけに「達也が卒業するまでの3年間を描いたら完結」だと作者が随分前からインタビューで語っていました。遅れたとはいえアニメの2期をやるくらいだから当然続編企画はあるものと睨んでいましたが、ここまで直球のタイトルになるとは思わなかった。いっそ開き直って『さすがです、お兄様!』ってタイトルのシリーズが来るかもと大穴予想していたけど、「さすおに」って呼び方を佐島勤は嫌がっているみたいだから現実問題としてありえなかったか。再来月の32巻で無印は完結するわけですが、打ち明けると私は19巻を読み終わったところで止まっています。師族会議編がダルかったせいで未だに再開の機運が盛り上がらない。アニメの2期が始まったらその勢いで既刊の積読を消化したくなるのではないか、と己のミーハー精神に期待しています。

・ハム男の『ヘルモード1』読んだ。

 副題は「やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する」。30代の独身サラリーマンがゲームチックなシステムに支配された異世界へ転生するという「またか……」なファンタジー小説であり、当然のように「小説家になろう」連載作品です。書き出しが「男の名は山田健一。35歳のサラリーマンだ。独身である」と、あまりにも安直でいきなり読む気をなくしたが、「もう買っちゃたんだし」と諦めて読み進めた。賭けてもいいが先に試し読みしていたら絶対に買わなかったな、この本。

 まずタイトルの「ヘルモード」とは何かから解説しよう。主人公は単なるネットゲームの勧誘だと思って神が仕掛けた異世界転生の設定を済ませるのですが、その中に難易度チョイスが用意されていました。「イージー/ノーマル/ハード/エクストラ/ヘル」の5段階で、イージーに行くほど成長速度は速くなり、特典満載かつ短時間でスキルを獲得してレベルをさっさか上げられる。が、すぐ頭打ちになるため育成の幅が狭い。ヘルに行くほど成長速度は遅くなる。ノーマルを基準にするとエクストラは10倍、ヘルは100倍のスキルポイントが必要になります。反面、育成の上限が撤廃されており、やり方次第では際限なく強くなる。主人公は地道にコツコツと努力を重ねて「無双」の境地を目指すわけですが、「どうせなろうだし『地道にコツコツ』の部分を全部すっ飛ばすんでしょ」なんて思ったら大間違い。もちろん多少飛ばしている部分はありますが、「まるでゲーム実況やプレー記録でも眺めているような気分だな」って思うほど延々と主人公の育成過程が綴られていく。ちょっとネタバレになってしまうが、1巻の時点でどこまで進むのか明かしちゃうと、0歳児から始まって8歳になったところで終わります。ちなみにレベルは7。このペースで行ったら「無双」するまで軽く10巻は掛かるだろうな……気の短い人には到底薦められないが、「じっくりと腰を据えて読みたい」って人にはむしろうってつけかもしれません。

 開始時点での主人公の階級は「農奴の子」であり、近所に住んでいる同じく農奴の子「クレナ」と仲良くなりますが、なにぶん8歳までしか進まないのでラブコメ的な掛け合いやラッキースケベ等のお色気要素は皆無となっております。普通に仲の良い友達って感じ。クレナ以外にも領主の娘がヒロインめいた立ち位置で登場しますけど、全体360ページのうち300ページが過ぎたあたりでようやく出番となるため「女の子とイチャイチャ」を期待する人にとっては雨水で渇きを凌ごうとしているような気分に陥るでしょう。ホント、主人公(こいつ)やり込み以外に興味がないんだな、って清々しくなる。特徴としては「転生先の家族関係や近所付き合いを濃密に描いている」点、特に父親とその友人(クレナの父親)は主人公が異世界に馴染む上で欠かせない存在として何度も出てきます。農奴なので自由を制限されている部分も多く、家族を食わせるために年端もいかない主人公が労働する運びになるものの、暮らし向き自体は割と安定しているので少なくとも生活面に関してはそれほどヘルモードじゃありません。主人公の成長をじっくり書いてるせいで「亀の歩みにも似た強化過程」に見えてしまうが、話をダイジェスト化すると相当なチートですよ。年齢ひと桁なのに大人と力比べして勝ってるもんな。

 「なろう小説は最初から主人公が強すぎる、もっと徐々に強くなっていく過程を見せてほしい」という方にオススメな新シリーズです。終始平易な文章で物語を紡いでおり、凝った言い回しは一切使わないのでそれこそ「小学生でも大丈夫」ってくらい読みやすい。いや、フリガナが少ないからマジな小学生だとさすがにキツいか? 私も小学生の頃からこの手の小説を読んでいたけど、かなりフリガナに頼っていたもんな……児童文学とライトノベルの折衷みたいなポジションなので、まったくなろう小説を読んだことのない人の方が却ってハマりやすいかもしれない、という気はする。主人公が手探りでスキルを検証していくノリは、既存の作品で言うと『異世界迷宮でハーレムを』に近いものがあるかな。

・拍手レス。

 DDDは…、DDDはいつに……??
 優先順位を考えると月姫リメイクやまほよ続編の後ですかね……。


2020-07-24.

『Fate/EXTRA』発売10周年記念企画、『Fate/EXTRA Record』開発始動!

 遂にEXTRAのリメイクが動き出した! 『Fate/EXTRA』はPSPから発売されたソフトであり、「FateのIPを使ってダンジョン探索型RPGを作りたい」という持ち込み企画から始まった。当初TYPE-MOONは制作協力程度の関与に留まる予定で、設定だけ作ってシナリオは外部のライターに任せるつもりだったらしいが、上がってきたシナリオに奈須きのこが納得できず「もういいでちゅ、全部書き直すでちゅ!」とガッツリ関与するハメになった経緯はあまりにも有名だ。なおネットゲームとして企画された初期の『Fate/Apocrypha』もEXTRAと同じ頃に始動したんだとか。どっちもいろいろと難航したので最悪両方とも陽の目を見ないままお蔵入りする危険性すらあったが、何だかんだで形になり揃ってアニメ化まで漕ぎ着けたのだから大したものである。

 「月の聖杯」を巡るトーナメントに出場し、七つのダンジョンと七つの死闘を乗り越えて「EXTRA」へ辿り着く道筋を描くのが『Fate/EXTRA』です。『Fate/EXTRA Last Encore』のタイトルでアニメ化されましたが、アレは「ゲーム本編の主人公が最終決戦に敗れたらどうなるのか(ラスボスの宝具が世界にどんな影響をもたらすのか)」を綴った特殊なifストーリーであり、言うなれば「バッドエンドのその先で」な話。原作やってないと分かりにくすぎる内容ゆえ、御新規がほとんど食いつかない悲しい結果に終わってしまった。FGOとのコラボで有名になった『Fate/EXTRA CCC』(2013年発売)は紹介の際に「続編」と書かれることが多いが、厳密には「『Fate/EXTRA』の後半で予想外な事態が起こって分岐した」裏ルートの物語であり、実は『Last Encore』と同じくifストーリー。シナリオ的な繋がりで言うと『Fate/EXTELLA』(2016年発売)こそがEXTRAの正統な続編に当たります。

 EXTELLAはPS4やSwitch、あとSteamでも遊べるしiOSやAndroidのアプリ配信も始まったから新規の人でも手を出しやすいが、EXTRAはなにぶんソフトが古く今からプレーするのはいろいろと難しいって問題がありました。私も随分前に買ったPSPを引っ張り出してプレーしたらバッテリーがお釈迦になっていてOPムービーが流れ始めたところでいきなり電源が落ちて涙目になりましたわ。RPGなのでレベルを上げないと先に進めないんですけど、これがなかなか地味かつ単調かつ苦痛な作業の連続で……一周するのに20時間以上は掛かりましたね。話を知るだけならTYPE-MOON BOOKSから出ているシナリオ集を読んだ方がずっと効率的です。トーナメントが進むにつれ主人公の徘徊する校舎からだんだん人が減ってどんどん寂しくなっていくという「直接ゲームをやっていないと触れにくい、物悲しさに満ちたひととき」もあったりするので可能ならば原作をプレーしてほしいんだけど、リメイクでもされないかぎり難しいだろうな……と諦めかけていただけにこの報せは素直に嬉しい。「じゃんけん」と揶揄されたバトルシステムも見直しになるみたいだし、以前よりサクサク進められるようになるんだろうか。竹箒日記には「グラフィック・システム面をスーパーアップしたもの。あくまで原作準拠のものです」とあり、ストーリー面はほぼそのままみたいだ。というか本当はLast Encoreと一緒に発表したかったらしいが、FGOで予想以上に忙しくなってしまった影響もあって今年まで延びてしまったとのこと。FGOのおかげでリメイクする資金には困らないがFGOのせいでなかなか時間が取れないの、皮肉だな。ともあれRecordが売れたらCCCリメイクも夢ではない……? CCCが10周年を迎える2023年にリメイク&アニメ化とか夢想してみる。リップやメルトのデザインはさすがにFGO準拠だろうが。

 それにしても『月姫』のリメイクはどうなってんだよきのこォ!

・赤城大空の『僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場』読んだ。

 アニメ化もされた『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』の作者「赤城大空(あかぎ・ひろたか)」による新シリーズです。舞台は異世界でステータスだのスキルだのとゲームっぽい設定をベースにしたケンマホ(剣と魔法のファンタジー)ですが、転生・転移要素はありません。「才能ゼロ」と見下されていた現地の少年が世界に9人しかいないとされるS級ランク冒険者な女師匠たちに育成されて眠れる資質を開花させていく、要はハーレム版『史上最強の弟子ケンイチ』です。ケンイチ系のラノベというと、読んだことはないけど『神々に育てられしもの、最強となる』ってシリーズもあったな。1巻のあらすじに「神々に育てられた少年の世界を変える旅が始まる!」とあるから育成過程が短いみたいだけど。

 冒険者、非冒険者の区別なくすべての人間に“職業”(クラス)と呼ばれる特別な才能がギフトされる世界。ステータス補正がゼロなことから「0点クロス」の蔑称で嘲りを受けている冒険者志望の少年「クロス・アラカルト」が授かったクラスは、あろうことか「無職」だった! 数千万人に一人しか発現しない最弱ジョブを獲得してしまったことにより冒険者学校を退学するハメになったクロス。そんな彼が勇気を振り絞って災厄に立ち向かっていく姿を見た3人のS級女冒険者たちは「是非とも彼を自分の弟子にしたい」と熱望した。雲上人に等しい女性たちからの提案に一も二もなく飛びつくクロスくん。が、彼は知らなかった。女師匠たちは「自分より強い男がいないなら、一から育ててしまえばいいじゃない」という逆光源氏計画を立て、ゆくゆくは抜け駆けしてクロスくんの貞操を奪う気満々だったことを……! 同年代の女の子とフラグを立てても師匠たちを乗り越えねば交際一つもできない苦境に追い込まれたクロスくんの明日はどっちだ!

 なろう系に寄せたライトノベルではあるが、全4章で起承転結がハッキリしていて1巻の中でキチンと物語が収まるよう計算されているあたりはいかにも商業作家らしい。書き慣れているぶん、文章もしっかりしていて読みやすいです。なろう小説はアマチュア作家が多く、文章が稚拙だったり起承転結が曖昧でひたすら平板な展開の続く日記や紀行文みたいな作品もありますけど、良く言えば作風が伸び伸びとしていて大いに寛げるんですよね。あまり集中しなくてもダラダラと読み進められる環境音楽的な心地良さと申しますか。靴下を脱いでソファに凭れてダラ〜ッとするよう感じで、つまり「極まった弛緩」こそが魅力なのである。「起承転結がハッキリしている」小説はクライマックスに見せ場が要求されるため、悪く言えば少し窮屈に感じるところがあります。本書も師匠たちとの甘々育成生活が綴られる2章あたりはリラックスして読めるのですが、助走段階に入る3章以降は当然ながらそうしたリラックスムードなど霧散してしまう。せっかくほどいたネクタイをキッチリ締め直しちゃう感じ。言い換えれば「弛緩からの緊張」を売りにしている作品なんです。なろう系が幅を利かせる中で「なろう系に寄せた商業作品」がいまひとつ存在感を発揮できないでいる理由がちょっとわかった気がしました。作劇が真面目すぎて息抜きに向かないんだ。

 私は古いタイプの読者ゆえ「弛緩と緊張の合わせ技、なろう系と非なろう系のイイとこ取りじゃん!」と単純に喜んでしまったが、恐らくなろう系をこよなく愛好する層にとってはこの「弛緩からの緊張」が邪魔なんだろうな。「ずっと弛緩したままでいさせてくれ」ってことなのかもしれない。話がズレてきているので僕修羅に話題を戻すと、「疲れているときに読むとちょうどいい」ってタイプのライトノベルではなく「そこそこ気力が充実しているときに読むと楽しい」というタイプです。女師匠たちが主人公を厳しく鍛えるのではなく、「修行なんて楽しく&気持ち良くないとモチベが続かないだろう」とばかりにダダ甘路線で「微塵もない」と切り捨てられた才能を伸ばしていく様子と、学んだ内容を実戦で主人公が発揮する見事な活躍ぶりに心が躍る。あと表面上は仲良くしている師匠三者全員が「いざとなれば他の二人をブチのめしてクロスくんを攫おう」と腹の中で考えているところに興奮しますね。

 大森藤ノが推薦文を書いているくらいなので想定ターゲットは無論『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のファン層。この口振りだと大森藤ノの手でスピンオフが書かれる可能性もあるか? まだ始まったばかりだし現在はとにかく打ち切りにならないことを祈る段階だが、このまま好調に売れ続ければガガガの新たな看板として成り上がる未来も夢ではない、たぶん。「超強い年上の女性たちに甘やかされてドギマギするウブな少年が見たい」という方は今すぐ読むべし。ちなみに言及し忘れていたが、メインキャラの中には「勇者の末裔」なんてのもいます。勇者というのは数百年前に「魔神」を討った英雄であり、魔神は完全に滅んでおらずいつか復活すると目されている。なのでシリーズの最終目標は恐らく「魔神の完全討滅」か、あるいは「魔神を完全討滅しうる子を作る」という『双星の陰陽師』パターンだろう。師匠たちは実年齢20くらいながらみんな長命種でクロスくんの寿命が尽きてもまだまだ健在っぽいし、クロスくん自体は他の子と結婚してその子供や孫を師匠が狙うという地獄めいたエンディングも充分ありうるんだよな……怖い。ところで主人公をイジめる「ジゼル」って子、見た目がすごくモーさんっぽいから完全に脳内で「CV.沢城みゆき」になっています。期間限定お試し読み増量版で1章丸ごと読めるから気になる方はレッツチャレンジ。

・拍手レス。

 https://youtu.be/More0brVJqE 「素晴らしき日々〜不連続存在 10th Anniversary特別仕様版」発売決定とのこと。……サクラノ刻はいつになるんでしょうね。。
 ノーマル、フルボイスHDと2回も買わされてるので10周年記念版はさすがにスルーかな……と思ったが鼎談の面子見て「生きとったんかい山田おろち!」と驚愕しグラついている。別名義ではヒリプリの脚本とか書いてるけど、おろち名義使うの何年ぶりだろ。サクラノ刻は早く目処をつけて陰と影に取り掛かってほしいですね。


2020-07-18.

・給付金はとうに底を突いて遠い日の幻も同然となったってのにラノベ・漫画のまとめ買いがアンストッパブルな焼津です、こんばんは。まとめ買いする癖がついてしまったというか、まとめ買いすることで脳内にドパドパ快楽物質が流れる体質になってしまった。クソ、やっぱり10万バラ撒きは政府の仕掛けた罠だったんだ!

 流れとしては「積読を消化しなきゃ、とりあえずこのへん(数年前の地層)の『お試しに1巻か2巻だけ買ってみた』という作品群から片付けていこう」→「面白いじゃん、これ! 今何巻まで出てるの?(検索)もう10巻超えてるのか……あっ、指が勝手に残りの既刊を!」って感じです。おかげで読んでも読んでも積読が減るどころかむしろ大幅に増えてない? 賽の河原よりひでぇよ。でも久々に読書が捗っているおかげで毎日ハッピーです。

 漫画は『忍者と極道』が期待通りの発狂(イカレ)具合で愉楽(たのしい)っスね……「忍者と極道が超常的な戦闘力で殺し合う」という徹底してバトルに淫したコミックであり、「チャンピオンに連載されている作品」と言われたら即信じてしまいそうなノリです。なお作者の「近藤信輔」は『烈!!!伊達先パイ』『ジュウドウズ』を描いていたジャンプ出身の漫画家でチャンピオンでの仕事歴はありません、念のため。ポンポンと勢い良く首が飛ぶ躊躇いのない殺戮描写連打もさることながら、特徴は何と言っても唯一無二(ユニーク)すぎる言語感覚とネタの選択眼か。主人公の一人である輝村極道(きむら・きわみ)が殺戮されたヤクザたちの死体を踏み越えて敵(忍者)に向かっていくシーンで「うおお 極道様が屍の赤絨毯(レッドカーペット)を征くッ」と叫ぶモブヤクザとか、「その赤絨毯を構成しているのはお前の組長だろうが!」ってクラクラします。怪物(チート)な能力を持つ忍者を前にして怖気づきそうになる子分どもを鼓舞(バフ)するため必死の形相で「みんな!! “麻薬”(ヤク)キメろォォ!!」と命令するシーンも地味にスゴい。これが「おめえら!!」とか「総員!!」だったら普通というか紋切り型(クリシェ)でさして印象に残らなかっただろうけど、「みんな!!」ですからね。言葉一つで子分想いな感じというか「親近(アットホーム)ヤクザ」というイメージが醸し出され、雰囲気が勇壮から悲壮に転じて一気に面白くなってしまう。このへんはギャグ漫画で鳴らした作家特有のバランス感覚だな。進めば進むほどしっちゃかめっちゃかになって「収拾つくのかコレ!?」と白目剥きたくなってくるが、たぶん打ち切り喰らわないかぎりは何とかしてくれるだろう。流行なんてほとんど気にせず「俺はコレが面白いと思う!」ってネタを真っ向から叩きつけてくる作者、超意気軒昂(ノリノリ)ですし。次の3巻からネットで話題になった帝都高(テトコー)編へ突入するので、読み出すなら今のうちだ。というか打ち切られたら私が悲しむから、どうか助けると思って既刊購入お願(ナ)シャス! 売上的には割と生存(いき)るか死滅(くたば)るかの瀬戸際らしい。

 ちなみに一番好きな言い回しは名医(ゴッドハンド)の腕前を讃える「神の“無刀”が患者(クランケ)を裂くッッ!!!」です。ホントこの漫画以外ではお目に掛かれそうにない表現が目白押しでマジ感無量(たまんねぇ)。

【予告】期間限定イベント「復刻:徳川廻天迷宮 大奥」開催予定!

 時期的にそろそろ大奥復刻だろうとは思っていたが、これで6月7月と2ヶ月続けて新規イベント開催ナシという事実が確定してしまったな……辛うじて幕間の物語キャンペーンがあったものの、ほとんど限定☆5鯖だったせいで読めるシナリオが少なかった(私はテルだけ)というオチ。さすがにモチベが湧かずAPを漏らしまくる日々が続いています。大奥と言えばあまりにも頻繁なロードで炎上騒ぎに発展しかけた曰く付きのイベントですが、今回はちゃんと改善されているのかな。あんなに遊びにくいゲームは『戒厳聖都』以来だったから改善されていなきゃ到底やる気が出てきません。

 メインインタールードにCCCコラボ追加されたのはちょっと嬉しかった。3度目だからシナリオ読むのちょっとかったるいんだけど、マップ付きのイベントがメインインタールードに入れられるってんならカボチャ城の冒険とかもMI化される望みがあるわけですし。問題はアレが「メイン」と言えるかどうかなんだが……とにかくハロエリとサンタオルタはまだ諦めないぞ。それにしてもCCCから大奥とは――よもや水着イベントで「配布水着キアラ」が実現してしまう流れか?

 で、あと2週間もすれば5周年記念キャンペーンが始まるところまで迫ってきています。大奥の復刻は8月まで食い込みそうだが、「メインクエスト消費AP1/4キャンペーン」が31日の12時59分までと告知されていることを考えると5周年記念キャンペーン自体の延期はなさそうだ。大奥やりながら5周年記念もやるってことなんだろう。福袋は「限定☆5鯖の指名召喚」とかなら迷わず課金しますが、闇鍋形式だったら見送るかもしれません。ソシャゲ全般に対する熱意が薄れてきたこともあって課金に対する心理的抵抗が強くなってきている。メギドも指名召喚チケットは買ったけどスキン類は全然購入しなくなってしまった。単純にここ最近本買い過ぎてお金が……というのもあるが。なろう連載作品とかをネットでそのまま読めば安上がりなんだろうが、ディスプレイ越しに長文を読むのは疲れるしイマイチ気持ち良くないので気乗りしない。ゲーム類は平気なのに、何なんだろうこの性癖。物理書籍でないと読む快楽を得られないこの身が恨めしい。

『うたわれるもの ロストフラグ』、アップデートでミニゲーム「花札」を追加

 前々から告知があったとはいえストーリー本編とはまったく関係がない花札機能の追加に全プレーヤーが戸惑った。花札ゲームやるのなんてホロウの「トラぶる花札道中記」以来ですよ……15年ぶりくらい? 内容は普通の花札で特記するようなことはない。勝負相手は選べるが、花札専用キャラである「マツリ」以外ボイスが実装されていないからあまり「対戦している」というムードはない。「木札」という花札専用通貨を賭けて勝負し、勝てば更なる木札を獲得、負ければ場代として出した木札を失う。負けても木札以外のデメリットはないので気楽に遊べばいい。感覚としてはドラクエやグラブルのカジノみたいなもんですね。木札は「御魂」というアイテム、プリコネで言うところのメモピ(メモリーピース)や秘石(女神の秘石)に相当する品と交換することができます。御魂はレア度の低いキャラほど大量に必要とするため「低レアのキャラでも育てれば強い、ただし育てるためには廃課金レベルでガチャを回さなきゃダメ」という問題がロスフラにはありましたが、花札をやり込むことで御魂が手に入るようになったから低レアも育てやすくなった……とまではまだ言えないな。正直、現状だと「焼け石に水」って印象である。効果がハッキリと実感できるのは何ヶ月か経ってからだろう。

 とにかく「やることがない」が共通の挨拶みたいなアプリだったゆえ、ミニゲーム程度の追加でも結構嬉しいです。花札自体は面白いわけですし。苦手な人のためにスキップやオートも実装されていますが、勝てるかどうかは運次第です。「原作再現のため弱く設定されているノスリがカモ」という噂を聞きつけて早速やってみましたが、無駄にこいこい連発するので確かにカモだった。でも普通に負けることもあるので油断は禁物です。

・有山リョウの『ロメリア戦記』読んだ。

 副題は「魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した」。浅井ラボのイマイチやる気が感じられない推薦文(「令嬢ロメリアがんばる。超がんばる。急いで続刊を書かないと、有山さんは怒られる。」)を見て買おうかどうか棚の前で迷ったが、思い切って購入してみた。「魔王」というくらいなので異世界を舞台にした剣と魔法のファンタジーです。分類としては「追放モノ」に当たるかな? 追放モノは「追放された恨みを晴らすために元パーティーメンバーたちへ復讐を仕掛ける」パターンと「追放されたこと自体はあまり気にせず好き勝手に生きる」パターンに大別でき、『ロメリア戦記』は後者に当たる。「好き勝手に生きた結果、元のパーティーメンバーよりも活躍する」のがこの手のお約束であり、ロメリアさんもさぞ痛快な暴れっぷりを見せてくれるのかと思いきや、案外と地味な内容で驚いた。1巻は辺境の砦を乗っ取って軍備増強に励むところで終わっており、なろう小説の尺度で言えば「ほとんど話が動かないまま終わっている」状態です。「急いで続刊を書かないと、有山さんは怒られる」という浅井ラボのコメントが腑に落ちました。面白いことは確かだけど、2巻以降が出るまで評価は保留にするしかない。

 「掴み」を意識してか、ヒロインのロメリア(伯爵令嬢)が婚約者である王子から「君との婚約を破棄する」と一方的に告げられるシーンから物語は始まります。タイミングはパーティー一行が魔王を討った直後。強いけど思慮の足りない王子は「支援特化で直接的な戦闘力を持たない」ロメリアの存在を「目立つ活躍をしていないのに小言が多い女」と疎ましく思っており、既に心は彼女から離れていて旅の途中で出会った女性たち(王子はハーレムパを築いている)の方へ傾いていた。王子への気持ちが冷めていたロメリアは婚約破棄をあっさりと受け容れ、静かに故郷へ戻る。魔王は倒した。だが、残党と化した魔王軍との真の戦いはここから始まる――覚悟を胸に、ロメリアはまず足元を固めようと辺境の街で雌伏の時を過ごす。

 「追放されたメンバーが実は超有能だった」というのは追放モノにおいて「お約束」を通り越した「前提」であり、『ロメリア戦記』も例に漏れず「超有能なのにパーティから外された伯爵令嬢」が主人公を務める。が、さっきも書いた通りロメリアは直接的な戦闘力を持たないので敵兵をバッタバッタと一人で薙ぎ倒したりすることはできず、時に判断ミスで死にかけたりもします。魔王を倒しに行く旅の途中でも何度か瀕死の重傷を負っているが、パーティーメンバーにぶっ壊れヒーラーがいたおかげで事なきを得ている。しかし、ぶっ壊れヒーラーがいなくなった今は怪我をしてもなかなか治らなくて難儀するハメになります。「なろう的な爽快感」を意識しつつ「なろう的な御都合主義」をなるべく排そうと努力した結果まずまずのバランスに落ち着いている。スナック菓子をつまむ感覚でなろう小説を読む人からすれば「派手さがない」となり、本格的な戦記ファンタジーが読みたい人にとっては「テンプレに走っている部分が多い」となってしまうため、悪く言えばどっちつかず。まだ1巻だから仕方ない面もあるが、「この作品ならでは」という強烈な個性が輝く箇所はないんですよね。着々と地歩を固めるロメリアさんをのんびり後方理解者ヅラで眺めていくマインドで臨まないと焦れるかも。

 現状だと「突き抜けるものはない」が偽りのない感想になっていますが、ロメリアさんが心の中でひっそりと掲げる目標、茨の道の最果てに辿り着くまでにどれほどの困難を伴うか想像しただけで眩暈がする。巻を重ね、「眩暈」を乗り越えた先に本書の真の魅力が待ち構えているのだろう。そのためにはとにかく続きを書いて書いて書きまくってくれないと困る。それにしても、直前に読んだ本が『貧乏令嬢の勘違い聖女伝』だったからあまりの落差で違う眩暈がしましたね。アレは強烈な個性があるんだけど言い換えれば「現状だと強烈な個性しかない」と申しますか……。


2020-07-12.

・「おっ、エロそうじゃん」とパケ買いしたまま積んでいる『きまぐれテンプテーション』の全年齢版が出ると聞いて宇宙猫の顔をしている焼津です、こんばんは。

 シナリオが良いという評判は目にしていたけど、基本的に抜きゲーだろうと思っていたのでビックリした。なんだ? アニメ化でもするのか? 初体験がキスに置き換わっていたりなど細部の違いはあるみたいだが、大筋での変更はないっぽいですね。でもこのゲームの18禁版と全年齢版が並んでいて、わざわざ全年齢版の方を手に取る人はいるのだろうか……? 熱心なファンが買い直しもするのだろうけど、それだけを見込んで全年齢版を出すとは思えない。やはり何かしらの展開を控えているのかしら。

・観たい夏アニメが少なかったので「たまには特撮を」と視聴開始した『ウルトラマンZ』が面白い。

 硬すぎず柔らかすぎず程良くコミカルなテイストで進行していく様子が楽しい。「逃げ回る一般市民」の視点で怪獣を見上げるカットがあったり、空手で怪獣をシバき倒したり、アクロバティックな動きで光線を避けたりなど「特撮の技術はここまで来ているのか」と感心することしきり。セブンガーが滅法可愛いですね。私が幼児だったら確実にソフビを買っていた。ぶっちゃけ40近い今でもソフビを買いたくなるほどのあの困り目の魔力に悩まされている。とにかく「オモチャを買え!」という圧が強い作品だが、「最後に観たウルトラマンって何だったっけなぁ〜」って記憶がうろ覚えになっている人でも夢中になれるポテンシャルを秘めています。

 新アニメはあまり期待していなかった『魔王学院の不適合者』が意外と良い出来で続きを楽しみにしている状態。作画がどうこうってよりテンポが魅力的ですね。原作だとまず魔王が崩御する経緯を綴ってから転生し学院に入学するという流れなんですが、アニメは前フリに当たる部分をバッサリ切って「主人公がいかに桁外れの強さを持った存在であるか」アピールすることに絞った構成となっており、「細かいことは気にするな、スカッと爽快な気分にしてやるからよ!」と怖じることなく視聴者に宣言してくる。そのため原作に比べて設定面が少し分かり辛いが、「なんとなく暇潰しで」臨むぶんには最適な仕上がりです。この調子で進んだら原作売れまくるだろうな……新たな看板になるか?

 ところで「魔王が転生して現代魔法の弱体ぶりに驚く」タイプのライトノベルは他にも発売されており、魔王学院とほぼ同時期に連載開始した作品として『史上最強の大魔王、村人Aに転生する』があります。アレは話がどうこうというより女子の制服がおっぱい出し過ぎでスゴい。『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』も制服に関しては大概だったがそれ以上だ。魔王じゃないけど『王女殿下はお怒りのようです』も「うわっ…現代の魔法、弱すぎ…?」系ゆえ路線としては近いか。このへんがまとめてアニメ化されたら「現代魔法は遅れてる!」ブーム到来? 元ネタの『異世界魔法は遅れてる!』は刊行ペースがすっかり落ちてしまったな。このままフェードアウトするかもと心配だが、なろう系は原作が止まっていてもコミカライズの方が動いていたりするので生き死にの判定が難しく、率直に言ってよくわからん。『最果てのパラディン』も3年近く新刊が出ていなくて諦めムードだったが、コミカライズの調子がイイみたいだと知って希望を捨て切れずにいる。

・森下りんごの『転生前は男だったので逆ハーレムはお断りしております』読んだ。

 「第1回アース・スターノベル大賞入選」と銘打たれているので「新人賞に応募した作品かな?」と早合点しそうになりますが、元はなろう連載小説です。アース・スターノベル大賞は「小説家になろう」と共同で行っており、なろうに投稿する際「ESN大賞」という作品キーワードを入れるだけで「応募した」という扱いになるそうだ。今はもうそういう時代なんだな……原稿用紙を大きな封筒に入れて郵便局へ持っていくような投稿風景は過去のものと化してしまったのか。昔ながらの新人賞も電子媒体やネット送付がOKになったりしているらしいし。

 さておき、この……うーん、例によってタイトルが長いな。テキトーに「逆ハーお断り」と略すか? で、この逆ハーお断り、タイトル読めばだいたいわかる通り異世界転生&TSなファンタジー小説です。海難事故に遭って死亡した青年「中村祐」が、異世界で美少女な男爵令嬢「ソフィー・リニエール」に生まれ変わる。父親は男爵なので貴族としちゃそこまで身分が高くないのだが、商家から成りあがったクチなので経済的には裕福な部類。恵まれた環境で両親の愛を受けてスクスクと育ったソフィーちゃんは前世で培った知識と経験を活かし、ただでさえ順調だったリニエール商会を益々栄えさせていく。そんな彼女の周りには自然といろんな人が集まって……という、「本人は普通に振る舞っているつもりなのにあれよあれよという間にチヤホヤされちゃう」無自覚人たらし系のストーリーだ。転生前が男だったためか乙女回路が機能せず、様々な異性から好意を向けられてもドキがムネムネしない超鈍感ヒロインになっています。それどころか途中で巨乳好きだと判明し、同じ年ごろの令嬢に対して「おっぱいでっっっか」と好色な視線を向け豊穣の虜になってしまう。一応「百合要素はある」ということになるのかな……。

 大枠だけ眺めると「そんなに特色のないお気楽な転生モノ」に見えますが、読んでみると少し独特です。まず主人公がかなり前世のことを引きずっている。主人公は前世で「オレのことはいい、せめて親友の天馬だけでも無事に返してやってくれ」と神に祈ってから亡くなっており、異世界に転生したのは神の采配だと直感しています。なろう小説によくある「なんか気安いムードを放つ神との会話」はなく、主人公が亡くなった後で天馬くんがどうなったかは現状不明のままなんですが、「きっと無事だったのだろう」と信じて親友への報告といった体裁で日々「拝啓 天馬」と手紙風の日記を書き綴っている。

 ソフィー・リニエールは紛れもなく自分だ。今の自分なのだ。
 けれど、まったく違う女の子にも感じられる時がある。
(中略)
 きっと、それは前世の記憶のせい。欠けたモノが、いつもソフィー・リニエールに影を落とす。
 中村祐という欠けた人間の忘れられない記憶と、捨てられない想いがどうしても影を落とすのだ。

 中村祐は幼い頃母に捨てられ施設で育ったことから「両親の愛」という今世で得られているものに対しても完全に充足し切っておらず、前世で憧れた「子供相手に父親がよくやるあの両脇を持ってグルグル振り回すヤツ」をしてほしいとねだるシーンがあって「精神年齢はとっくに大人のはずなのに、愛に飢えていた子供時代の願望がまだ残っていたんだな……」と涙を誘う。なろう系ではフレーバー程度に留まることが多い「前世の人生」を物語に織り込んでおり、かつて水に関わる仕事に携わっていたからと「下水道の完備」を今世の夢として掲げる。公共福祉を目標達成のための通過点ではなく到達点と定める眼差しがちっともお嬢様らしくない。「為すべきことを為し遂げたら神に操を立てて修道女になる」とも宣言していて、まさかこのまま進めば主人公処女貫徹エンドか? 処女なのに貫徹とはこれいかに。

 タイトルがコメディっぽいのでもっと緩い感じのテイストを想像していたが、思っていたよりも真面目なノリで少し戸惑いました。読み口は軽いものの丁寧な筆致です。女学院に通っていた主人公の運命はラストで急変し、いよいよ本題の「逆ハーレムはお断りしております」なシチュエーションへ突入していくみたいだが……なにぶん今年書籍化が始まったばかりの新シリーズゆえ2巻の発売時期は不明と申しますかぶっちゃけ2巻が出るかどうかも確定していません。巻数表記がないところを見ると売上が芳しくなかったら2巻は幻になるのかもしれない。新展開を迎えるところで1巻が終わっており、このまま放置されたら生殺しもいいところである。「紙書籍で読みたい派」である私のためにも売れてほしい。何が何でも2巻をお願いしますよ。

・拍手レス。

 プリコネ王雀孫脚本回ですと...俺つばの王雀孫回のカオスが思い出しちゃいますね。放送禁止用語を喚き散らすアレ。そもそもメインライターの日日日とキャラクター観が違いすぎて、メインストーリーに絡めないのがなかよし部ですし
 俺翼アニメ、放送時はスルーしちゃったけど雀孫回だけDVD借りて観たな……懐かしい。メインから距離を置いてるのがなかよし部の魅力でもあるんで難しいところだろうが、やっぱりTVで動くユニちゃんズは観たい。


2020-07-03.

『うたわれるもの ロストフラグ』、ドリィ・グラァ確定の「天命 縁結び」開催

 イベントは変わり映えしない、いつもの紅白奉納試合だけど、ドリグラをガチャ実装ではなく配布にする英断に全私が歓喜しました。やるじゃねぇか、ロスフラ。これでオボロとユズハとクオン(術師見習い)とドリグラを並べる夢の編成も可能になります。結糸全部を突っ込んだアトゥイのピックアップはすり抜けトウカ(被り)というしょっぱい結果に終わったけど、それも許せる気分になりました。ドリィとグラァはオボロに仕える双子部下であり、可愛い見た目をしていますが両方とも♂です。時空がユルユルのロスフラ世界には「病魔に侵されていない戦闘要員のユズハ」なんてキャラもいるぐらいだから「逞しく育った雄っぱいを見せつけてくるドリグラ」もいるのかもしれません。別ゲーだけど『メギド72』でやっとビジュアルがお披露目されたサタンの雄っぱいはスゴかったな……あんなの8魔星じゃなくてえち魔星ですよ。

 更新に伴って本編の最新話(4章前半)も追加されていますが、実のところまだ読んでいない。他のソシャゲも一斉に月末更新が来ちゃって時間配分が難しいのです。ホント、こんなに固まらないでもっと散らしてほしいものだわ。

プリンセスフェスガチャ開催!!限定キャラ「ユイ(プリンセス)」登場&おまけ付き!

 どうせ水着イベント(「七夕剣客旅情譚 天に流れる夏の恋」)に合わせて水着の限定キャラが来るんでしょ? ふっ、私は2.5周年に備えて石を温存するぜ――と呑気に構えていたら不意打ちのプリユイが来て目を疑いましたね。えっ、つい先月にプッコロ実装したばかりじゃん! 2ヶ月続けてフェス限追加ってどうなってんのよ、スタリラじゃあるまいし。いやスタリラは毎月どころかほぼ毎週限定キャラが追加される次元の違う地獄なんですが。プリユイはてっきり2.5周年の目玉として控えているのかと思っていたが……ここで来ちゃったか。動揺しちゃったものの「予定が前倒しになっただけ」と考えて冷静になり、「やってやるぜ!」と天井覚悟でブッ込んだら割とあっさり引けました。やったぜ。これで余裕を持って2.5周年に備えられる。めでたしめでたし。

 とはいえ来るのがもうちょっと先と考えていただけに残念ながらマナが枯渇しており、育成には手が回らない。☆6開花キャラがどんどん増えていくこともあって育成素材とマナの不足は深刻化する一方です。新たに☆6追加されたシズルはアニメでそこそこ出番があったことも重なって二倍嬉しい。アニメは期待以上の出来で大満足でした。ただ、ノリがほとんどこのすばアニメだったこともあり「プリコネってこのすばアニメみたいなノリの話なのか〜」と素直に信じた人がアプリをDLしてガッカリするんじゃないかと少し心配だったりする。なんというかアプリの方はアニメに比べてのんびりした感じなんですよね。さておきプリコネアニメ、反響の大きさを考慮すると2期目があっても不思議じゃないが、特に告知も何もなかったから作るとしても当分先になるかしら。王雀孫脚本のなかよし部回があるといいな。

 プリフェス終了後には水着ルカ姐が来るらしい。ツイッタートレンド入り記念で1500個、日頃の感謝で3000個、TVアニメ終了記念で5000個と短期間に9500個もの石(ガチャに換算すると約63連分)も配られたからつい気が大きくなって回してしまいそうになるが、ここは我慢のしどころだ。でも記念に単発1回だけ回しておくかな。

・馬路まんじの『底辺領主の勘違い英雄譚1』読んだ。

 副題は「平民に優しくしてたら、いつの間にか国と戦争になっていた件」。イラストといいタイトルといい、見た目は完全に「よくあるなろう小説の書籍化」なのだが、帯に乙一の推薦文が付されているだけあって「こんなもんがよくあってたまるか!」とシャウトしたくなるほどの突き抜けた怪作でした。どう表現すればいいのだろう。とにかく文章のスピード感がヤバいうえに倫理観の崩壊ぶりもヤバい。生き急いでいる印象しかない。ごく簡単に形容すると「町田康が酔った勢いで猛然と書いたなろう小説」って感じです。いや町田康は現在禁酒中らしく『しらふで生きる 大酒飲みの決断』なんて本も出してますけど、それはそれ。

 王国の掃き溜めであり、犯罪者など訳有りの人間たちが流れ着く「この世の果て」とも言うべき劣悪な環境を数代に渡って放置し続けてきた辺境の地「ベイバロン」。酒に溺れた両親が揃って死亡したことにより家督を継いでこの人心荒廃した悪徳シティを治めるしかなくなったリゼ・ベイバロンは生き残るため、一つの決断を下した。「――よーし、領民たちに媚びへつらうかぁ!!!」 保身のためなら平民の足を舐めることさえ辞さない貴族臭皆無の底辺覚悟で屋敷から飛び出したリゼ、彼の考えなしな行動を周囲の人間たちが無限に深読みした結果、最凶最悪の反逆者が爆誕することになる……! という、基本は「勘違いの連鎖でトントン拍子に成り上がっていく」コメディ系のファンタジーです。あ、念のため書いておきますが転生要素はありません。「勘違いの連鎖で〜」というのはなろう小説だとそんなに珍しくないパターンと申しますかむしろ「一つのジャンルを築いている」と申しても過言ではないんだけれど、この作品の特徴は「異常なテンポの良さ」であり、同時に「正義という言葉がゲシュタルト崩壊を起こしそうな末世が延々と描かれる」地獄めいた特色も兼ね揃えている。

 1巻は全体が270ページくらいで、本編32話と番外編2話、合計34話から成り立っており一つ一つのエピソードが非常に短い。ほとんどは数ページで終わるからほとんどショートショート感覚、最長のエピソードでもたった16ページです。無駄な描写を削ぎ落とし、ひたすらテンションと勢いに任せて話をゴリ押ししてくるからやめどきが見つからず、サクサクと最後まで読み進めてしまう。ブレーキの壊れ具合が尋常じゃないです。倫理観の捻じれ具合も相当なもので、たとえば各話には「農民に媚びよう!」みたいなタイトル(感覚的には見出し)が付いているのですが、目次をザーッと眺めていくと「シリカちゃんを殺そう!」とかマズい雰囲気の奴がいくつか混じっていることに気づくだろう。殺人に対する忌避感? 微塵もないですね、そんなもの。

 作品世界には魔法が存在しており、原則として貴族階級だけ魔法が使える(血筋に依存するから一部の私生児など例外もある)ので「平民は貴族の魔法を恐れて逆らえない」んだが、主人公であるリゼは回復魔法しか使えず暴力的な手段で領民を従えるのは難しいからと徹底してゴマを擂る道に進む。回復魔法と言ってもただ傷を癒す程度のものじゃなく、失った腕が生えてくるとか牛肉からクローン牛を創り出すとか釣り竿から瞬時に樹林が生まれる(「増殖」効果もある)とか「回復」の域を超えた凄まじいチートというか禁忌の領域を気安く蹂躙する代物ゆえドンドン作中の倫理がガタガタになっていく。「疲労がポンと抜ける魔法」が穏当なネタに見えてくるレベルでエスカレートし、やがて主人公の浅はかな行動によって街が滅びそうな事態にも発展するんだけども、颯爽と駆けつけた主人公が華麗に事態を収束させることで民衆からの英雄視は進み、原因だの元凶だの責任の所在だのは有耶無耶になっちゃう。ただのマッチポンプなのに狂信的な支持を得てしまう主人公、悪意がないだけにより一層邪悪な存在と化している。無思慮な行動の数々によって着々と王家に弓を引いていくけれど、彼の抱く気持ちはあくまで王家への忠誠であり「褒められたい!!!」の一心なのだった。黒陽か?

 最初に店頭で見かけてパラパラ読んだとき、テンポの良い文章には感銘を受けたものの「こういう成り上がり系のストーリーを1巻だけ読んでもなぁ」と前向きな気持ちになれず一旦本棚に戻してしまった。もうちょっと巻数が溜まってから再度検討しよう……そう結論を出して書店から去ったのだが、「領民たちに媚びへつらうかぁ!!!」と元気良く宣言する主人公がどうしても忘れられず、結局翌日同じ店へ赴いて購入するハメに。続刊モノとは思えないほどのテンポで驀進していくから途中「ひょっとして一冊完結モノか?」と錯覚しそうになりました。この面白さ、つい布教したくなるが人に薦めたら「ひょっとして倫理の観念が破綻しておられる?」「大丈夫? 『ここは今から倫理です。』読む?」と心配されそうで躊躇する。コミカライズ企画も進行中らしく、メディアミックスの波に乗ってアニメ化される可能性がゼロじゃないことを考えると戦慄します。一応ヒロインポジションのキャラも登場するけど主人公の強烈さを前にすると何もかも霞んでしまうので、そこまで著しいヒットはしない気がする。だが、何があるかわからん御時世だからな。しばらく経ったらオーバーラップの看板タイトルになっているかもしれない。否、きっとなれるだろう。イカレているとはいえ高橋邦子よりは正気度が高いからイケるイケる。とりあえず目指せ長期シリーズ化。たとえ30巻以上続く大長編となって苦心の末にクソデカ超帝国を築き上げても最後はたった一行で破滅しそうだけどな、この主人公。


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