2011年10月分


2011-10-20.

・ついカッとなって“小林秀雄全作品”(計32冊)を注文してしまった焼津です、こんばんは。

 なんという衝動的大人買い……満足してスヤスヤと眠りに落ちたその翌日、いろんな意味で目が覚めてハッとなったが時既に遅し、「発送しました」メールが舞い込んでおりました。確認した瞬間、髪の毛が獣殿の如く逆立ちましたよ。これより当方は積読解消の鬼と化しますゆえ、当分の間(最低でも来月になるまで)ここの更新はサボることに致します。もう修羅にでもならないと片付かないですよ、山が。

『gdgd妖精s(ぐたぐだフェアリーズ)』視聴。

 CGアニメというあまり興味のない分野に属していたため当初はスルーしていましたが、あちらこちらでポツポツと良い評判を耳にし、「試しに観てみるか」と視聴を開始したところ……これがなかなかのアタリでした。画面の動きが乏しく、ほぼトークだけで回している。言わば「ガールズトークアニメ」であり、タイトル通り内容はぐだぐだなのですが、一つ一つの話題を短く区切ることでうまく間を持たせています。ぐだぐだだけど、観ていてダレない。トークそのものも、良い意味でくだらない。2話なんて腹が痛くなるほど笑った。それは砂糖菓子のように甘やかで、麻薬のように断ちがたい薄桃色の嬌気。「メンタルとタイムのルーム」など、割と直球なパロネタが出てくるあたりも個人的にツボだった。感覚的にはアニメというよりバラエティ番組のノリですね、「アフレ湖」とか。あそこアドリブなのか、声優さんが若干素に戻っています。剥げてはいけないものが堂々と剥げており、キャラ崩壊などという言葉では生温い。最近はハイクオリティなアニメ作品が多く、「いい時代になった」と思うものの、こういうロークオリティでいて力を抜かずしっかりと視聴者を楽しませるようなモノを目にすると、「時代」って曖昧な表現で物事を説明しようとする行為が少し恥ずかしくなる。「時代」で括れない突き抜けた楽しさがここにあります。興味のある方はどうぞ気楽に覗いてみてください。

ガンガンONLINE連載の漫画『男子高校生の日常』、TVアニメ化決定

 単行本が出る前からネットで話題になっていた(「急ごう、風が止む前に」でぐぐれば当時の反響が引っ掛かるかも)あの漫画が、遂にアニメ化か……意外でも何でもなく「やっぱり」という感想。ホントにあれ、話題性は高かったですから。ハッキリ言ってクオリティは低いんですけれど、「別にこれクオリティ高くても意味なくね?」って雰囲気の作品ゆえ僅かな瑕疵にもなりません。むしろ「安心できる下手さ」に満ちていて寛げます。そういう意味では『gdgd妖精s』と同類かも。声優が声優だけに『銀魂』っぽさを強く感じますが。

『ギルティクラウン』DVD/BD1巻毎に2話収録だと判明! 全11〜12巻か?(やらおん!)

 ギルクラは2クールらしいので1巻あたり3話収録の全8巻かなぁ、と思っていましたのに……10巻超えの可能性が高くなりました。値引率の良いamazonあたりで予約しても、全巻揃えるとなったら6万円前後か。“小林秀雄全作品”と同じかそれ以上だ。いくら発売が来年とはいえ、易々と決められぬ金額であります。しばらく評判の転がりようを静観するとしよう。


2011-10-15.

青山景の死去にショックを受けている焼津です、こんばんは。

 刊行されたコミックスのほとんど(『ピコーン!』以外)を読んでおり、「もう今後彼の新作を拝むことはできない」と言われても俄かに信じられない。歳も近かっただけに呆然としてしまいます。正直ちょっと苦手な部分もあったものの、つい読んでしまう不思議な引力があったなぁ。全然言葉がまとまりませんが、どうか安らかに。

「角川、リクルート子会社を80億円で買収」へのラ板各レーベルスレの反応(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 メディアファクトリーが角川の子会社になる……だと? 寝耳に水のニュースで驚きました。少年向けのライトノベルではスニーカー文庫、ファンタジア文庫、電撃文庫、ファミ通文庫がすべて角川系列で、ほぼ独占状態にあったわけですが、最近になってメディアファクトリー擁するMF文庫Jが著しく躍進し、シェアを広げていたため「巨大な帝国に立ち向かう小国」といった風情を醸していました。が、MF文庫Jまで角川傘下に入ったというなら、もうラノベ界の天下は角川が制したも同然ですね。一ツ橋グループのスーパーダッシュ文庫(集英社)とガガガ文庫(小学館)は販路の広さを活かして地方の中小書店に至るまで売り場を確保しているものの、ライトノベルの売上は専門店や大手書店へ極端に偏る傾向があるらしいから、ハッキリ言って全然対抗できてないですね。GA文庫、HJ文庫、一迅社文庫あたりもどうにか辛うじてサバイブしていますが、依然マイナーレーベルの域を脱していない。宝島社の「このライトノベルがすごい!文庫」(生え抜きの新人のみで構成されている狂気のレーベル、しかし何度見てもヒドいネーミングだ)は……言うまでもないか。講談社もこの年末から新しく少年向けライトノベルレーベル(講談社ラノベ文庫)を立ち上げるけど、果たして角川帝国の牙城にどれだけ食い込めることか……まず看板シリーズを出さないことには厳しい状況を抜けられないでしょう。MFも『ゼロの使い魔』が当たったところから伸びてきましたし。ファミ通も『バカとテストと召喚獣』で仕掛けたのが功を奏して青息吐息の状況を打破しました。おかげで「バカテス文庫」と揶揄されてますけどね。看板シリーズで売上と知名度を確保しつつ、生え抜き新人の育成に心血を注ぐ、というのがレーベル成長の定石。やっぱり外から招いた作家ばっかり書いていたんでは、レーベルのイメージって育ちませんから。電撃も最初は深沢美潮や中村うさぎ、水野良といったベテラン勢に頼っていたものの、上遠野浩平が出てきたあたりでようやく「電撃」のイメージをしっかりと形成できるようになった。上遠野はメキメキと頭角を表しましたけど、中には芽が出るまでが長い作家も当然いて、水を遣り続ける忍耐力は必要であり編集の度量と器量が試される。『境界線上のホライゾン』が初のアニメ化作品となる川上稔も、1997年にデビューして以来ずっと目を掛けてもらっていたわけで、まさしく「15年目の奇跡」と言えましょう。『パンツァーポリス1935』を読んだときは正直ここまで大成するなど予想できませんでした。てか『エアリアルシティ』で「あー、この人、一生マイナー作家だわ」と決め付けちゃいましたよ。『エアリアルシティ』以降読んでなくて、新シリーズ始動という触れ込みに釣られて『終わりのクロニクル』を読んだらぶったまげましたね。「川上稔がギャグやお色気に手を染めて、設定はゴチャゴチャしているけど率直に面白いだと!?」って。それでもアニメ化とは無縁だと思い込んでましたが……世の中何が起こるかわからない。4話と5話はすごいらしいので期待。

[電撃]応募総数史上最多 5,862作品の頂点 「第18回 電撃大賞」 受賞作品決定!(気が向いたらのライトノベル週報)

 ほぼ20代ばかり。若ぇ。と思ったがライトノベルの新人賞ならこんなものか。田村登正が大賞を取った回こそ異例。今は何やってるんだろう、田村登正……メディアワークス文庫あたりで復活してくれないものか。さておき、タイトルで目を惹くのはやはり『ミニッツ 〜一分間で世界を滅ぼす方法について〜』。なんか『勇者30』の「30秒で世界を救え!」ってキャッチコピーを彷彿とさせる。あとは「9分で地球制圧」の『バトルフィールド・アース』とか。あれは予告編に釣られたことを後悔した一本でした。ともあれ、受賞作はひと通り買ってみるつもりです。アタリが出たらイイな。

『ギルティクラウン』第1話「発生」視聴

 観る前から設定で『コードギアス』っぽいと思っていたが、観たら本当にギアスっぽかった。外国の支配下に置かれているパラレルな日本、だけならそこまで似てるという印象は受けなかったでしょうが、区画ごと殺戮する浄化作戦が始まり、ロボットいっぱい出てきて、訳有りな過去を抱えている主人公は初対面の少女から授けられた異能力で苛酷な状況に立ち向かう――という展開に既視感が疾走しまくった。しかもギアスに比べて話の筋がスッキリと絞り込めておらず、ところどころ引っ掛かりを覚える。映像的には「これが深夜アニメかよ」というくらい派手派手しく気張っており、大いに驚嘆させられたものの、ストーリー面ではもう一つのめり込めないかな。会ったばかりの少女が荒々しくひっ捕らえられるところをむざむざ見送り、「見捨ててしまった」と罪悪感と無力感に苛まれる主人公は何か「見捨て」絡みで昔トラウマを負うような出来事があったのかもしれないが、視聴サイドとしては「普通呆然とするよね、仕方ないよね」と慰めたくなる気持ちでいっぱい。あまりに弱々しく、奮起しろと発破を掛ける気になれなかった。特に後半は「え? なんで主人公責められてるの? 流れおかしくね?」と作中のキャラたちに対し温度差を感じた次第。今後はこの温度差をどこまで埋めていけるかが鍵になっていくでしょうね。にしてもヒロインである楪いのりの「わたしを使って」というセリフは何度聞いても卑猥ですな。このネタを利用する薄い本が陸続と現れるであろうこと、想像に難くない。「お願い、わたしを使って(くぱぁ)」みたいな。楪(ユズリハ)って名字も一瞬「裸」に見えてドキッとする。裸いのり。ちなみにユズリハを指す字は「杠」というのもありますが、「杠葉」と書いたら高確率で紅葉と間違えられる罠。

 と、まずはそんなインプレッション。あんまり褒めてないし、実際にギアスの1話を観たときほど「おおっ、続き知りたい。必ずや2話目以降も観なければ」って気持ちは湧いてこないが、それでもこの1話目だけで見限るのはもったいない気がするし、2話目以降も何とかして観るつもりです。DVDをレンタルで借りるかBDを購入するか、どっちにするか今のところ決めかねていますが、どちらかを選ぶつもりでいる。うん、なんだかんだで面白くなりそうだ。当方が熱心に深夜アニメを観ていた時代というのはだいたい2004年頃なので、近頃の深夜アニメはどれもこれもマジでハイクオリティだなぁ、と感激しております。ヒロインは捉えどころのないいのりよりも感情表現がストレートそうなツグミの方が気になる。ギルクラとは関係ないけど、Zeroとホライゾンの2話もそれぞれ視聴。地方ながらネットで観れるだなんて、ホントにイイ時代です。両方とも文句なしのクオリティ。ただホライゾンはやっぱり分かりづらいなぁ。矢継ぎ早にネタを消化していかないといけなくて、依然「間」が取れないでいるところがネック。正純の可愛さ、それと細かい演出にかなり救われている。次はいよいよダっちゃん、鹿角、二代の登場か。Zeroはウェイバーへたれ可愛い、ロリツグ娘と戯れる、キャスターコンビ画面が暗すぎ、アサシン咲いて散る、の4本立て。アサシンの調子コキぶりが最高ですね。

・拍手レス。

 古橋はむしろタツモリ家の続きを書くべきだと思うんです。電撃hpで連載してた時はwktkしながら続きを待ったもんですよ・・・。
 そういえばタツモリも完結してないんですっけ。『ソリッドファイター』みたいに完全版が出る日が訪れることを祈ります。

 神咒、コンプ後(?)に音声伏せられてたところ開放されるっぽいですねー
 伏せてるところメチャクチャ多いし、開放されるといいなー、と願っていただけにありがたい。解読法が分かっているとしてもいちいち復号するのが面倒で……。

 川上作品はまずあの分厚さで威圧し、独特の文章と世界観で人を選ぶんだよなぁ。アニメであの世界観が周知されれば、終わクロや都市シリーズもアニメ化できるかもしれないから、その辺含めて期待したい。個人的には、伯林のアニメを是非にも見たいところです。
 終わクロは一度ドラマCD化してるし、アニメ化の可能性も少なからずありますね。もしアニメ化されたらBD最終巻の特典には「いつものこと」復刻版をお願いしたい。伯林のアニメ、ハイリガーさんの声優が渋い演技してるところを想像すると濡れます。BD特典は絵本「独逸創世記(ウンライフ・ゲルマニア)」で決まり。もちろん2冊。


2011-10-10.

・親戚の子と会って仮面ライダーの話になったが、『フォーゼ』の名前が咄嗟に出てこず、「えーと、なんだったっけ、今やってる宇宙に行く奴……」と思案の末に出てきたタイトルが、

「……『仮面ライダーイカロス』?」

 明らかに宇宙へ辿り着く前に墜ちるよ、そいつ。『そらのおとしもの』だよ。あらゆる局面でド忘れが多くなった焼津です、こんばんは。歳を取ると本気で記憶力が落ちますね。十数年前は無闇矢鱈にいろんなものを覚えていたというのに。「ソロモン72柱、言えるかな?」とか。いやあれは覚え切れなかったけど。今や好きな作品の解説をするときでさえ急に主要キャラの名前が出てこなくなる(喉を押さえて「このへんまで来てるんだけどなぁ」って感じになる)んだから重症だ。検索すれば出てきますけども、ひどいときは何を検索しようとしていたかすら忘れ、検索ボックスを前に呆然としたり。その割に妙なことはいつまでも覚えていたりするのだから記憶ってホント不思議。

『Bug Bug 2011年 11月号』のコラム「美しょゲークリエイター列伝」に正田崇のインタビュー掲載、3ページ

 『PARADISE LOST』や『Dies irae』といった超人気作を手掛けたlightのシナリオライター・正田崇氏が登場!! デビューまでの道のりから、最新作『神咒神威神楽』の魅力や独特のシナリオへのアプローチなどについてたっぷり語ってもらったぞ!!

 なんぼなんでも「超人気作」は吹かしすぎじゃね……? ネタバレ回避のために2chのスレから遠ざかっていたせいでこういう情報をキャッチするのが遅れました。注文は済ませていますがまだ手元に届いておりません。「デビューまでの道のり」は気になるな、この人『鬼哭街』が初エロゲーで、2004年1月にパラロスでデビューしてますから、ほんの2年足らずで業界に足を踏み入れているんですよね。

『Fate/Zero』10月〜12月、4月〜6月の分割2クール!そして2シーズンに分けBD-BOX発売(萌えオタニュース速報)

 10月から来年の3月まで立て続けに2クールやるのかと思いきや、分割とな。漏れ聞く話によるとアニメのZeroは相当クオリティが高いらしいので、立て続けに放映しようとしたら制作陣が英霊の座に導かれてしまうから……とか、そんな理由でしょうか。原作で既にストーリーを知っている身からすれば別に生殺しという感じでもないし、終了までの期間が長引くとしても「クオリティを維持してくれる」&「BOXでまとめて売ってくれる」というのはありがたい。BOXもイイお値段するでしょうが、通常のマラソン(毎月発売されるBDをせっせと買う)よりはマシでしょう。BD-BOXと言えば『咲-Saki-』『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』も出るそうな。『咲-Saki-』は値段が手頃なら検討しようかな、と考えていましたが、予想以上にお高い。麻雀牌の付かない通常版(出るかどうかも不明だけど)がもう少し安ければ改めて検討したい。『まなびストレート!』は『ジサツのための101の方法』や『末期、少女病』(未発売)のシナリオライターである山田おろちが表名義(金月龍之介)で全話脚本を担当したオリジナルアニメってことで、実はDVDの1巻だけ記念に買っている。制作は『Fate/Zero』と同じufotable。金月ufotableのアニメは他に『ニニンがシノブ伝』や『フタコイ オルタナティブ』があります。DVDはずっと積んだままになっているので、まずはこれを見てBOX買うかどうかを検討しますわ。

 話を戻して『Fate/Zero』、真じろうのコミックス第2巻が大変面白くて満足しております。1巻は細部を端折り気味だったこともあり、いまひとつ物足りなさを覚えましたが、2巻に入ってそういう物足りない気分は跡形もなく消し飛んだ。戦闘に入るまでの流れがとてもテンポ良くまとまっているし、肝心の戦闘シーンも迫力に満ちていて熱い。やはりコミカライズは真じろうを起用して大正解でしたね。

『はたらく魔王さま!』コミカライズ連載決定(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 今月3巻目が出たばかりの作品でコミカライズ決定なら、早すぎず遅すぎずでまずまず順当な方ですか。開始当初から人気があるシリーズなので、アニメ化を睨んだ企画かもしれませんね。内容は一言で述べると「所帯じみた現代ファンタジー」。魔王と勇者が出てくるけど、ふたりとも普通にバイトとかしてて、労働の喜びや辛さを綴ったりしつつバトる。有川浩が『まおゆう』路線で書いたらこんなふうになるかな、って感じです。「もう『魔王と勇者』モノにはうんざり」という方でなければオススメしたい。しかし最近の流れのせいか、だんだん「魔王」って言葉のニュアンスも柔らかくなってきちゃいましたね。そんなこと言ったら「ファン」も本来の意味は「狂信者」で、「マニア」も「狂人」ですから、「キツい言葉の意味をニュアンスごと弱め、便利に使いやすくしてから普及させる」なんて別段今になって始まったことでもないですけれど。広まれば広まるほど内在する毒は希釈されるのかもしれません。

『魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story』

 まさか年内にシナリオ本まで出るとは……『scenario experiments lain』を思い出しました。そういや、あれも岸田隆宏がキャラデザだったか。「0稿」とありますが、これは虚淵本人曰く「会議未提出の草稿」。最初に書かれたシナリオではマミのマスケット銃が無数に出てくるとか、杏子の槍が多節棍みたいにバラけるとか、戦闘パートの詳細はまったく詰められていなかったそうで、相当味気ない内容になっていると思います。恐らく読み物としては適さない。ただ、アニメでは尺や演出の関係で一部のセリフやシーンを削ったそうで、特に10話は真面目にやったら倍くらいの時間が掛かる量だったそうですから、そのへんはファンにとって興味深い内容となるかも。どちらにしろ「本編以前の出来事を描いた外伝」の類ではありませんので、勘違いして購入しないように気をつけましょう。基本的に『EVANGELION ORIGINAL』などと同じ単なる脚本集です、たぶん。

『E.G.コンバット』EGFは順調に進行中(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 マジかよ。どういう形に落ち着くかはまだ不明確ながら、EGF(『E.G.コンバット Final』、つまり最終巻でシリーズ4冊目に当たる)が十数年ぶりに発売されるかもしれないのかよ。えらいこっちゃ。現時点で大騒ぎしても糠喜びに終わる可能性を否定し切れず、どうしても慎重な反応を示さざるを得ないが……仮に「作者・秋山瑞人」で実現すれば古参の大いなる渇望が癒されるに違いない。もう『E.G.コンバット』の存在自体を知らない人もおられそうなので解説しますが、『E.G.コンバット』(以下EGC)とは遅筆でつとに知られるライトノベル作家・秋山瑞人のデビュー作です。もともと彼は電撃ゲーム小説大賞(今の電撃大賞)に「中華料理店でネズミとゴキブリが戦いを繰り広げる話」を応募したのですが、原稿が締切から一日遅れで届いてしまったため選考対象とならなかった。規則に従って翌年の選考に回されるはずでしたけど、内容を読んだ編集者が「非常に面白い」と感銘を受けてEGCの企画を持っていき、デビューが決まったのです。EGCの原作はイラストも担当している☆よしみる。1巻から3巻までは順調に刊行されたものの、最終巻に当たる4巻目が当初の予定から10年以上経った今も発売されず、ファンは「秋山と原作者の間で何かトラブルがあって続きが出せなくなったのでは……」と囁き続けてきました。その後、秋山自身が「当初は全2巻か全3巻で完結させる予定だったが全4巻構想に引き伸ばし、結果として本来のネタをあらかた使い尽くしてしまった」といった旨のことを語ったため、どうも続きを書けなくなった原因は☆よしみるではなく秋山にあるらしいと発覚。原作者に当たる☆よしみるもEGCがずっと未完のまま放置されていることを心苦しく思っていたのか、最近になって「EGCを終わらせる=EGFを出す」という方向へ動き始めました。秋山瑞人の尻を叩いて完結編を書かせているのか、別の作家に依頼して新バージョンを書いてもらっているのか、今のところ不明ですが、ファンが望む可能性はもちろん前者。高畑ファンが『キッドナップ・ブルース』を、古橋ファンが東方編や『ケルベロス弐』を、片山ファンが『電波的な彼女』の新作や『紅』の新作を、トノイケファンが『Garden』の瑠璃シナリオを、ロミオファンが『霊長流離オクルトゥム』や『昆虫デスウィッシュ』を、おろちファンが『末期、少女病』を、きのこファンが『DDD3』や『月姫2』や『魔法使いの夜』を、鋼屋ファンが『ドグラQ』を、『二重影』ファンが『陰と影』を、もぐらファンが『煉獄のノア』を、荒川ファンが『はるはろ』を、飛ファンが『空の園丁』を、野尻ファンが『シエナの花園』や『天穹の羅針盤』や『素数の呼び声』やロケガ新作を……キリがないからこのへんで切り上げますが、とにかくこれらのファンが望むのと同じように秋山ファンも待望してきたのです。他にも『ミナミノミナミノ』とか『DRAGONBUSTER』とか『おれはミサイル』(短編集)とか、投げっぱなしにしている本多いけど、EGFは別格。何せデビュー作ですからね。古参は前世紀からずっと待たされてますもんね。『DRAGONBUSTER』なんてまだ3年程度だから雑魚もいいところですよ。とはいえ秋山がEGFのついでにDB2も書いてくれるんなら、それはとっても嬉しいなって。

・拍手レス。

 俺達に唯一無二の新作をくれ。私もコンプリートするまでブログを更新しないと思います。
 コンプリートするまで放置していたらいつまで掛かるか分からないので禁を破り更新する我が身の情けなさよ。

 ついに、神咒が発売となりましたね。焼津さんはどこで購入されたのか分かりませんが、ソフマップ特典ドラマCDの秀真学園はキャラ崩壊がヤバいです。インストールしながら聴いていたのですが、某シュピ虫さんが登場した時はリアルに茶吹きましたw
 秀真学園はちょっと聞きたかったなぁ、ソフマップで買えばよかった。

 小説家でも漫画家でも3作品がアニメ化した人は珍しい気がする。(傷物語、偽物語を別作品とするなら5作品)
 この勢いだと戯言シリーズまでアニメ化するのではないかと思ってしまう。

 神咒現在プレイ中ですがこれはニヤリ程度じゃないだろ!!って感じです まさか前作CGも出てくるとは刑士郎とかまんまヴィルヘルムだし 前作知らなくても勢いで理解できそうですが Dies知ってると評価が丸々変わりますねこれ
 普通にDiesのCGがバンバン出てきてビックリしました。ちょっとどころじゃない絡ませようですね、これ。

 9/30、10/1日と仕事だったので、今日ようやく神咒神威神楽入手した次第。プレイは今週末まで無理なんでしょうなぁ…()
 この連休中に終わらせよう、と考えてましたが、積読を崩したい欲求に駆られてあまりプレーできなかった……。

 血染花プレイ完了・・・刑士郎がカッコよすぎるだろwww 人間として魂かけるところなんて最高すぎる まさか泣くとは思わなかった
 徐々に本性が晒されてくる刑士郎にワクテカしています。血染花楽しみ。

 神咒神威神楽、Diesを未プレイの人が楽しむことができるのか凄い疑問でしたね。完全に続編の内容じゃね?
 ここまで盛り込むのかよ……新規の人付いてこれるのか? と心配になるレベルだが、Diesやってる身からすると面白すぎて問題視する気になれないジレンマ。

 終盤の刑士郎が格好良過ぎる……チンピラ兄ちゃんどこ行った
 刑士郎評判イイっスね。まだ「ヴィルヘルム時代>刑士郎」ですが、ここから逆転劇を見せてくれるのかしら。

 ここでも「断捨離」を見かけるとは。どこかで盛り上がってるのかな?
 未だに通販サイトや新聞広告で頻繁に見かけますね。まずはコマーシャルを断捨離しろと言いた(ry

 ホライゾン原作未読組ですが、自分の中の『人を選ぶが面白いセンサー』がビンビン反応しております。例えるなら、そう…まるで、時期外れの転校生が自分の隣の席に座った時のような気分(そんな体験したことないですが)
 ホライゾンのアニメ、未読組の方々の反応が意外と宜しくて嬉しい驚きです。川上稔の小説は合う人にはすげぇ合うんですけれど、やはり皆あの厚さに怯んでしまうみたいなので、アニメがちょうどいい入り口になってくれたら喜ばしい。


2011-10-05.

・「もうね、神咒コンプするまでズェッテー更新しない」とほざきながらまだ一周もしていない焼津です、こんばんは。まっこと不甲斐ない。口先だけの体たらくです。

 神咒に限らず最近は何か一つのことに集中することが難しくなりました。シュタゲなんかはアニメが終わったというのに原作がまだ途中で止まってます。「あれをやろう」と思いつつ、ふと別のものに気を取られて注意散漫になったり。「散漫」って言葉を見るたび『ファイティングバイパーズ』のサンマンが脳裏に甦るなぁ、懐かしい……とすぐに思考が逸れてしまったり。『ファイティングバイパーズ』公式サイトの文章やWikipediaの記述をゆっくり読んでいる場合じゃないだろ、と己を叱咤しながらもつい読み耽ってしまう。とにかく「やりたいこと」が細切れになって床一面に散らばっていて、どれをどの順序で拾えばいいのかわからず、混乱して関係ないものを拾い出す状態に陥っています。これはあれか、もう断捨離精神とやらを導入して「たった今集中すべきこと」以外は切り捨てないといけないのか。ダンシャリアンの書架を築くべきなのか。必要なもの以外はすべて切り捨てる、というと『リアライズ』の宮路沙耶を思い出すなぁ、移植版やってみたいな……と際限なく思考がズレ続ける無間スライド地獄。「無間地獄」って言葉を見ると無性に神咒をやりたい気分が盛り上がってくるなぁ、と、ここに来てやっと神咒を立ち上げるわけです。常世かわいいよ常世。随神相はおぞましくて身の毛がよだつけど。シュピ虫の声も聞いていてゾクゾクする。次回更新する頃にはせめて一周してるといいな。

TVアニメ『境界線上のホライゾン』第1話「境界線前の整列者達」視聴

 公式サイトで生放送されることは知っていましたが、危うく忘れるところだった。直前に某所で「もうすぐ始まる」とアナウンスされて慌ててアクセスした次第。原作ファンからは好評だけど初めて見た人は理解しにくい内容で「初見殺し」の名をほしいままにしているとの噂でしたが、確かにこれ情報をかなり詰め込みまくってるんで原作知らないと厳しいですね。セリフがやや早口なうえみんな「説明口調部の本部かよ」とツッコミたくなるほど説明口調だし、間もほとんどない。このシーン消化! はい、次のシーン! って感じでゆっくり咀嚼する暇がありません。予想通りの仕上がりと言える。が、原作ファンにとっては凄ぇ嬉しい内容でした。喜美姉とアサマチの胸が揺れる揺れる。しかしデカ乳以上に目を惹いたのはハナミ、なかなか可愛いとは聞いていましたが本当にそこはかとなく可愛い。「拍手ー」がキュートすぎるやろ。アクションは「一瞬の攻防を繰り広げながら会話するせいで時間が極端に引き伸ばされる」という川上作品の特徴を忠実に再現したせいでいささか珍妙な事態に陥っている(動作はスローモーションなのにセリフは普通に喋ってる)ものの、動きは期待以上に滑らかだった。正直、川上稔のライトノベルをこれほどのクオリティでアニメ化してくれるだなんて、まるで夢のようですよ。ところどころで「やっぱりアニメ向きの話じゃないよなぁ」と痛感しつつも単純にワクワクしてしまう。新規客をちゃんと取り込めるかどうか心配だけど、とりあえず原作好きの一人として素直に続きを楽しみにしたい。ああ早くダっちゃんと鹿角出てこないかな。

『アクセル・ワールド』『ソードアート・オンライン』アニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 遂に来るべきときが来たか。2009年に商業デビューを果たして以来ずっと隔月ペースを守り続け、驚異の速度で看板作家へ昇り詰めた川原礫(アマチュア時代のHNは九里史生)、彼の作品が少なくともどちらか一つアニメ化するであろうことは去年の段階で既に確実視されていました。むしろ去年中に発表が来なかったことが「遅い」と感じられるくらい。「これだけ遅いのは、AWとSAOのアニメ化を同時に発表するためでは?」と囁かれていましたけど、どうやらその読みが的中した模様。

 『アクセル・ワールド』は携帯端末「ニューロリンカー」をうなじのコネクタに直接繋げて五感拡張させる技術が普及したサイバーパンクな近未来を舞台に、「思考を加速させることによって時間感覚を一千倍に引き伸ばす」というアプリケーション「ブレイン・バースト」で対戦格闘ゲームに勤しむ話。対戦格闘ゲームとはいえ仲間を集めてグループを組み、異なるグループ同士で抗争を繰り広げ領土を切り取るなど、MMO的な要素も入っています。話を早く進めるため1巻終了から2巻開始にかけての繋ぎエピソードを大幅に省略したり、途中から「根性でゲームシステムそのものを上書き(オーバーライド )することができるよ!」という心意(インカーネイト)システムを足し込んだり、良くも悪くも意欲的な姿勢で臨んでいるため賛否両論なところはありますが、ツッコミどころも含めて大量にネタが盛り込まれていますからハマればなかなか抜け出せない面白さがある。ちなみに年上ヒロイン・黒雪姫のネット上におけるあだ名が「もっ先」ないし「もっ先輩」となっているのは公式サイトの紹介で「もっと先へ」と記述されるべきセリフを「もっ先へ」と誤記されてしまったため。先輩がメインヒロインのライトノベルって意外と珍しいので、年上スキーは是非とも押さえていただきたい。

 『ソードアート・オンライン』はデビュー前のアマチュア時代に書いていたシリーズであり、こちらはヘッドギア状のゲーム機を装着してフルダイブ形式でプレーするMMORPGの世界を舞台としております。ただ、そのゲーム機が実は「死ぬか、ゲームをクリアするまで脱げない」っつー凶悪仕様だと判明し、「は? 聞いてねーよ!」な一万人のプレーヤーたちは恐怖のドン底へ叩き込まれてしまう。こちらは主人公のキリトが「孤高のソロプレーヤー」であり、群れない代わりに最強クラスの闘技を誇るなど、もろに「俺TUEEEEE!」な獅子奮迅の活躍を魅せるためやはり賛否が分かれています。主人公の成長していく過程を読みたいならAW、初期段階で強さが完成している主人公の無双っぷりを楽しみたいならSAO、ってところでしょうか。両方とも「VR(バーチャル・リアリティ=仮想現実)が主題」って点では共通していますが、ファンの評価はSAOの方がやや高めかもしれない。AWはいろんな要素をプラスし過ぎてちょっとバランスが悪くなってるんですよね。ドッシリとした安定感がなく、常によろよろしながら進んでいるイメージです。

 AWは今月に9巻が発売で、再来月には10巻が発売予定、SAOは文庫版が8巻までながらWEB版の本編は完結済と、ストックも充分。アニメがどうなるかはまだまだ予断を許しませんが、とりあえず原作の知名度は向上するはず。川原礫の仕事量もますます増えるでしょうね。なにげに執筆速度のすごい作家ですから、3つ目のシリーズを開始して「月刊・川原礫」状態に突入する恐れとてなきにしもあらず。ついでに両方ともゲーム化もするそうですが、AWは『マインドシーカー』ならぬ『バーストシーカー』として「このゲームをプレーすれば、君の思考もみるみる加速!」って売り出され、SAOは「これはゲームであっても遊びではない」と謳ってゲームオーバーになったらソフトが自爆して本体を破壊するテロゲーになる……わけないか。

【禁書】劇場版『とある魔術の禁書目録』が制作決定!ついに説教が銀幕デビュー!(まとめいと)

 15巻の内容を劇場版でやってほしいなー、という希望をうっすらと抱いていましたが、さすがに叶わないでしょうね。上条さん出てこないし。アニメの2期は原作で言うと確かSSの1巻あたりまで進んでるんですよね。上条さんがアビニョンに旅立つ前らへん。3期やる前に劇場版を上映するなら順番的には14巻のアビニョンにおける「左方のテッラ」戦でしょうが、あそこ映画でやるほどのエピソードかと考えればちょい疑問。14巻と15巻をザッピングすれば盛り上がるかもしれませんが、ストーリーが分かり辛くなる上に終わるまで何時間掛かるか知れないものになってしまいそう。劇場オリジナルの新規エピソードってのが一番妥当な線でしょうかね。鎌池のことだ、アイデアはいくらでも出してくれるはず。「劇場版のエピソード、早速書き下ろしてきました!(ドンッ)」「ええっ、『叩き台になるプロットだけください』って頼んだのに、なにこの原稿の山!?」くらいの珍事は起こしかねない。

妹が“365人”登場するとんでもない「エロゲ」が出るぞーwwwwww(【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 『聖闘士星矢』かよ、とツッコミを入れるか入れないかで世代が分かる。一世を風靡した漫画(およびアニメ)だが、改めて考えるとあれもすごい設定だった。ここまでインフレが進むともはや「妹であること」に価値が認められなくなってきますね。妹ゲーと言えば『いますぐお兄ちゃんに妹だっていいたい!』も注目されてましたっけ。あれは18禁じゃないみたいですが。

Fate/Zeroの「雁夜おじさん」が2ちゃんねるで大人気!! マミさんや桐乃を抑えてアニメキャラスレ勢い1位に(【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 これは意外。雁夜って他のキャラに比べて地味なのに……原作だと「可哀想」というイメージが強かったが、内面描写を排されたアニメでは「悲壮」になっているのかしらん。開始直後の時点で早くもヒドい目に遭ってる人ですが、虚淵の構想ではもっとかなりヒドいことになる予定だったとか。で、奈須きのこから「さすがにそれはちょっと……」とダメ出しされたそうな。当初は彼の前にどれだけヒドい事態が待ち受けていたのか、知りたいような知りたくないような。

・今月の購買予定。

(本/小説)

 『夜を希う』/マイクル・コリータ(東京創元社)
 『ルー=ガルー2』/京極夏彦(講談社)
 『吸血鬼の精神分析』/笠井潔(光文社)
 『007 白紙委任状』/ジェフリー・ディーヴァー(文藝春秋)
 『シャンタラム(上・中・下)』/グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ(新潮社)

(本/漫画)

 『いかさま博覧亭(1)』/小竹田貴弘(アスキー・メディアワークス)
 『るべどの奇石(2)』/室井まさね(集英社)
 『外天楼』/石黒正数(講談社)
 『のんのんびより(3)』/あっと(メディアファクトリー)
 『GA(4)』/きゆづきさとこ(芳文社)

 文庫化情報。スティーヴン・キングの『不眠症』。『IT』と同じくデリー(架空の街)で起こる事件を描いた長編ホラーです。『IT』ほど長くはないけれど、上巻下巻ともに余裕で1000円超えてますからそれなりに分厚いでしょう。バルガス=リョサの『密林の語り部』。ノーベル賞を取った作家の小説です。邦訳がハードカバーで刊行されたのは94年でしたから、実に17年も掛かった勘定になる。バルガス=リョサは邦訳率が高いくせして文庫化ってほとんどされてないんですよね。というか、これ以前の文庫作品は『緑の家』しかなかった(しかも長らく絶版していて、去年やっと復刻された)。勢いを落とさず他の作品もどんどん文庫化していってほしい。沢村凛の『瞳の中の大河』。知る人ぞ知る、といった塩梅で、あまり有名ではないものの一部で根強い支持を受けているファンタジー作家の代表作。諦めかけていたところに文庫化の報が舞い込んで喜びました。これをキッカケに再評価されるといいな。そしたら他の作品も文庫化されるでしょうし。

 『夜を希う』は著者の第2作。前作『さよならを告げた夜』の邦訳版が刊行されてから既に5年が経ち、「1作こっきりで消えてしまったか……」と落胆しかけていたところにこれが出るという報せを受け、素直に驚いた。マイクル・コリータはデビューしたときが21歳というかなりの若手で、計算すると今は三十路前。西尾維新よりも若い。今回はノンシリーズ作品で、ハードボイルドというよりサスペンスみたいな雰囲気。『さよならを告げた夜』を開始点とする“リンカーン・ペリー”(元刑事の私立探偵)シリーズは現在4作目まで出ていて、ノンシリーズ作品も『夜を希う』以外に3作ある模様。これらも順次翻訳されていったらといいな。『ルー=ガルー2』は副題が「インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔」。ナンバリングされているので分かると思いますが、『ルー=ガルー 忌避すべき狼』の続編です。ハードカバー・新書・文庫・電子書籍の4バージョンを同時に発売するという試みで注目を集めている。当方は新書版を買うつもり。『吸血鬼の精神分析』は“矢吹駆”シリーズの新刊。雑誌連載はだいぶ前に終わっていましたが、笠井潔は連載終了から単行本化までが長い作家として有名なので……15年経っても単行本化されていない作品まであります。“矢吹駆”シリーズは10部作構想で編まれており、『吸血鬼の精神分析』は第6弾に当たりますが、第7弾の『煉獄の時』と第8弾の『夜と霧の誘拐』は既に連載終了済で、近々第9弾も開始される予定だそうです。ちなみに、「シリーズ第0弾」という位置付けに当たる『熾天使の夏』や、「日本篇」という名の番外編に属する『青銅の悲劇 瀕死の王』は「10部作」の枠に含まれておりません。本編(というかフランス篇)は「1975年の冬から1979年の冬」までの4年間を描き、日本篇は「1989年以降」、つまり平成の世を描く。『白銀の悲劇』と『黄金の悲劇』を加えて3部作にするつもりらしい。すべての単行本が出揃うのはいつになることか。『007 白紙委任状』は『ボーン・コレクター』などで有名なジェフリー・ディーヴァーによる“007”シリーズの新作。“007”シリーズの原作者、イアン・フレミングの遺族から許可を取って書いた……のではなく、むしろ依頼を受けて書いたとのこと。007は小説も映画もともに未着手ゆえ漠然としたイメージしか抱いていないが、ディーヴァーなら読むしかあるまい。『シャンタラム』はジョニー・デップ主演で企画が進行していたらしいが製作中止のニュースがあって今はどうなっているか分からない映画の原作小説。作者の実体験をもとに書かれたそうだが、「波乱万丈」なんて言葉で片付けられる代物ではない。あらすじを読んだだけで笑ってしまう一品であります。

 『いかさま博覧亭』、タイトル見てハッとなったら買うがいい。そう、かつて『怪異いかさま博覧亭』というタイトルで連載され、ストーリーの途中で打ち切られてしまったマンガの続編です。やり直しというわけではなく、話をそのまま続けるらしい。幽霊や妖怪が続々と出てくる一種の怪異譚だが、全体的に明るい調子で、シリアス展開はほとんどない。GS美神のギャグ回がずっと続く感じをイメージしてもらえると分かりやすいかも。今更GS美神が喩えとして成立するかどうかちょっと疑問ではありますが……「ガソリンスタンドびしん?」とか言われたら泣きますよ。さておき、これまでの内容も新装版として再販されるそうなので、未読の方はそちらをどうぞ。『るべどの奇石』は不思議な石を取り扱う石屋“るべど”を巡って綴られるオムニバス形式のホラー連作集。系統としては『笑ゥせぇるすまん』に近い。特殊な効能を持った石が出てきて、“るべど”の店主は注意事項を述べながら売るのだけど、言われたことを守らなかったせいで客がヒドい目に遭う――これが基本パターンとなります。客本人はおろか、巻き添えで無関係の一般市民が被害を受けても意に介さず、淡々と己の利益だけを見据える店主の酷薄さに嫌悪感が生じなければ楽しめること請け合い。たまに店主も痛い目を見るので面白い。八房龍之助のノリが好きな方ならたぶんイケるでしょう。『外天楼』は小説誌“メフィスト”に連載されていたマンガ。「捻れて歪んで不思議なミステリ」とのこと。「探偵綺譚」なんて短編もあるし、石黒正数がミステリ好きなのは知られていたことだが、本格的なミステリ・コミックはこれが初か? 『のんのんびより』はいわゆる“日常系”に属するほのぼのギャグマンガですが、『けいおん!』とも『よつばと』とも『苺ましまろ』とも『ばらかもん』とも似ているようでどこか違う。間に特徴があり、いくつかのコマを抜き出すだけでは面白さが伝わらない。説明を聞くより読んだ方が早いタイプ。今はマイナーだけど、そのうちアニメ化してしまいそうなポテンシャルを感じます。が、『ディーふらぐ!』と並んで「あまりメジャーにならずこのままのんびりとやっていってほしい」と願う、そんな作品です。『GA(4)』はきゆづきさとこ久々の新刊。2年も待たされましたよ。しかし、きゆづきさとこのマンガを読むためなら、その程度の待ち期間などむしろ短いくらいだ。海藍ファンの待たされっぷりなんてこの比じゃないですもんね。それはともかく、『GA』というかきゆづきマンガは繰り返し読むに足る出来を誇っているので、未読の方は既刊ごとまとめて購入することをオススメする。新刊出るまでが長くて辛い、というのであれば、比較的ムードが似ている気がしないでもない『四季おりおりっ!』あたりで飢えと渇きを癒しましょう。

(ゲーム)

 『イヅナ斬審剣』(暁WORKS黒)
 『ワルキューレ・ロマンツェ』(Ricotta)
 『恋愛0キロメートル』(ASa Project)

 3本中2本は先月からの延期だよ! なので上2つに関する説明は省略します。ワルロマなんて今月出るかどうかすら怪しいもんな。『恋愛0キロメートル』はASa Projectの第4作。隣り合った家同士でお互いの子供をひとりトレードする、という狂気の家族ごっこ計画によって女ばかりの家に寝泊りするハメとなった主人公のドタバタ劇を描くラブコメです。零距離という点では「女装して女子寮に寝泊りするハメとなった主人公のドタバタ劇を描くラブコメ」である前作『アッチむいて恋』と一緒か。「幼馴染みがある日突然姉や妹になってしまう」っつー人間関係の変化、距離感の「狂い」を見所とするみたい。正直、設定については前作ほど魅力を感じないが、ありえないレベルの乳強調エロ制服など、主にビジュアル面で期待を煽る部分がありますから迷わず突っ込むつもりだ。あとゲームではないけど『スクライド』のBD-BOXも欲しい。けどイイお値段するからな……カァネはどおするんだよォ!ってわけで見送りの可能性大。


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