2011年9月分


・本
 『はじめてのクソゲー』/麻宮楓(アスキー・メディアワークス)
 『アゲイン!!(1)』/久保ミツロウ(講談社)


2011-09-30.

・説明無用だがあえて言おう、今日は『神咒神威神楽』の発売日だと! これからインストールする予定の焼津です、こんばんは。

 恒例のカウントダウンボイスもあった(随時公開で良かった、そうじゃなければ初日を聞き逃すところだった)わけですが、刑士郎の割と普通な口上から始まり、「なぜかマイクが存在する」という点を除けば順調に更新を重ね、夜行で確実におかしくなった。頭上付近に「?!」が表示されたのは当方だけではあるまい。覇吐は更におかしかったが、あれは通常運行ですから別に……さて、うちのサイトに訪れるような人たちには釈迦に説法でしょうが、一応『神咒神威神楽(かじりかむいかぐら)』というソフトについての解説。2007年12月に『Dies irae -Also sprach Zarathustra-(ディエス・イレ アルゾ・シュプラーハ・ツァラトゥストラ)』というソフトで俗に「怒りの日」と(翌月の『Garden』と合わせて「怒りの庭」とも)呼ばれる騒動を引き起こし、「やらかしてしまったシナリオライター」として一躍有名になった正田崇の新作です。原画は『Dies irae』と同じくGユウスケ。「怒りの日」騒動とは何か? を述べると長くなってしまうので省略しますが、要するに散々延期繰り返してユーザーをやきもきさせた末に発売されたソフトが著しく未完成だったわけですよ。期待していた人たちが「否、断じて否!」と金切り声を上げて絶叫せずにいられないほど、それはそれはもう惨憺たる出来具合でした。ライター兼ディレクターを務めた正田崇の動向が発売数ヶ月前から不明となっており、メーカーであるlightの社長が「正田恐るべし(涙)」「ドウシテナミダガトマラナインダロウ」と意味深な発言をしていたこともあって「こうなった原因は間違いなく正田にあるな」と睨まれた次第。後に本人も「慢心と怠慢」「自分にとって一生涯忘れられない醜態」と認めています。

 紆余曲折を経てちょうど2年後の2009年12月に『Dies irae 〜Acta est Fabula〜』(通称ファーブラ)なる「完全版」をリリースしたことにより「怒りの日」騒動はとりあえず収束したのですが、一度これだけのことをやらかしてしまったライターをふたたび大々的に起用することは難しかろう、干されるか、あるいは起用されても小規模な企画に留まるか……というファンの不安混じりな推測も何処吹く風、まるで懲りない悪びれないlightはまたしても正田崇を大々的に起用して、この『神咒神威神楽』という早口言葉みたいな、ショップの店員も「なんて読むんだこのソフト……」と困惑するような、DVD2枚組でインストールすると9GBにも昇る、誰の目から見ても明らかに大作路線のゲームを制作しちゃったのです。ファンとしてはありがたいが、「本当に恐れを知らないな、このメーカー」と畏怖を禁じ得なかった。lightの傲慢さは弱点でもあるが、同時に強力な武器でもあるんだぜ。話によると2009年の2月、まだDies完全版の一歩手前である「新装版」を制作している時期に「謎の企画書」が提出され、当初の予定では2010年12月発売を目標に取り組まれていたらしい。それがいろいろ膨らんで9ヶ月ほどズレ込み、今に至る。つまり、企画段階を含めると『神咒神威神楽』の制作期間は約2年半ってことになりますが、実際はDies完全版が出るまで本格的な作業には取り掛かれなかったであろうから、作業期間として考えるとだいたい20ヶ月もなかったことになりますね。エロゲーは3年掛かりの大作とかも珍しくない(Diesもなんだかんだで企画から5年ほど掛かっている)し、そういう意味ではあまり長くない。だが、正田崇の純粋な新作が発表されるのは相当久々となるわけで、ファンの感慨もひとしお。伝奇系に絞れば、デビュー作の『PARADISE LOST』は2003年発表、Diesは2006年発表、神咒は2010年発表なので、「パラロス→Dies」よりも「Dies→神咒」の方がもっと待たされている。「真っ二つに分断され、東側を『化外』に占拠された葦原中津国」が舞台の、言わば古代日本をモチーフにした和風伝奇モノであり、厳密に説明すれば古代日本そのものが舞台となっているわけじゃなく、いろいろあって列島が古代日本っぽくなってしまったわけですが……Diesとも設定を一部共有しており、先にDiesをやっていればニヤリとできるポイントもあります。が、新規客優先ということで「Diesをプレーしていなくても大丈夫」と制作陣は請け合っています。本当かどうかはDies未プレーの人に検証してもらいたい。生憎Diesに関する記憶を全部消去してまっさらな状態で臨む、なんてことはできませんからな。

 大欲界天狗道云々とコチャコチャした設定が多く、主要キャラだけでも20人超えてるし、「入りにくさ」を覚えても不思議じゃない部分はあります。やたら中二スピリット溢れる文章は慣れない人からすると「かっこつけすぎ」「くどい」「何言ってるのか分からない」「戦いながら喋ってるけど時間経過おかしくね?」と感じるかもしれません。『PARADISE LOST』の頃に比べれば余計な力が抜けて随分とテンポ良く読みやすくなった正田テキストですが、依然として万人受けしそうにない「俺ワールド全開」なオーラが漂っており、ファンとしてもあまり気軽に薦められないところはあります。なので「面白いの?」と訊かれたら「ムービー観て、体験版をやって、そのうえで判断してほしい」とやや回答をズラすことになる。ハマればクセになるものの、ハマるかどうかは天のみぞ知る。かなり主人公を追い込む作風で、まさに心が折れる寸前まで追い詰めるので、マゾい気質がなければちょっと辛いかもしれませんね。そのぶん、反転攻勢に出たときの盛り上がりと燃え上がりは凄まじいわけですが。ええい、御託はいい、発売されたからには後はとことんやるだけだ! さあ、平らかな安息を吹き飛ばしてくれ。

ASa Project、新作『恋愛0キロメートル』の体験版を公開

 公開のタイミングが神咒発売前で助かった。神咒が出た後だと、どう考えてもやってる暇がありませんからね……とりあえず冒頭だけちょろっとやってみましたが、今回も相変わらずノリが良くて安心。文中に「主人公」や「体験版」などとメタっぽいネタが出てくる(製品版ではあそこ「本編」に書き直すのかな?)せいでプレーヤーを選ぶかもしれませんが、もとよりアサプロはそういう奔放不羈なブランドなのだから仕方がない。生憎やり込む時間はないけれど、ちょっとやっただけで充分です、購入確定。むしろ体験版をがっつり最後までやり抜いちゃうと、いざ本編をプレーするときに既読範囲スキップすんのがダルくなって積んでしまう副作用もありますし。

『魔術士オーフェン』新装版初版に誤字が散見→重版分と無償交換(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 ライトノベルはどこもギリギリのスケジュールで編集してるのか結構誤植(特に変換ミス)が多いけど、ここまで大量に埋伏してるのはなかなかありません。十年ほど前に古本屋で買った某エロ本はもっとヒドかったですけどね……誤字脱字の乱打は言うに及ばず、罫線すらまともに引けてなくて表がガタガタだったりと実に凄かった。さておきこのオーフェン新装版の初版、「インド人を右に」や「ザンギュラのスーパーウリアッ上」と並ぶほどの名誤字はないみたいだけど、ゲーメスト魂を引き継いだ一冊として今後も長く語り継がれるでしょう。

『僕は友達が少ない』ノベルアンソロジーラインナップに平坂読、裕時悠示、渡航、志瑞祐、さがら総(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 この面子なら買いかな。特に志瑞祐は路線変更で完全にファンタジー方面へ行っちゃったけど、『やってきたよ、ドルイドさん!』みたいな現代モノもまた読みたいなー、と常々思っていたので渡りに舟である。ノベルアンソロジーの発売は11月22日予定なので、まだ少し先。来月はアニメの開始に合わせて『僕は友達が少ない+』(2つ目の連載コミカライズ作品、「肉」こと星奈がメイン?)『僕は友達が少ない 公式アンソロジーコミック』も発売されます。両方目を通しておこうかな、一応。

『めだかボックス』TVアニメ化確定!そして分割2クールとの噂 (萌えオタニュース速報)

 噂は前々から聞き及んでいましたが、遂に確定情報来たか。球磨川の声は加工して表現するのかしら。個人的には江迎怒江の登場に期待。

・祭丘ヒデユキの『レ研−コングラッチュレイパー−』を読んでいますが、相変わらずイカレていると申しますか、イカレ具合により一層拍車が掛かっています。あまりの凄さに当方の股間もすっかり沈黙してピクリとも反応しねぇ。もはや鬼畜とか陵辱とかいう領域には属しておらず、「レイプ」という名の能力バトルを繰り広げている有様です。意図的に膣をガバガバに緩めることで「まるで宇宙空間にちんこを出し入れしているような」と錯覚させる対姦法「コズミック・ガヴァ・マーン」を目の当たりにしたときはうっかり解脱しかけました。仰向けで寝ている男の逸物を口に咥えたままスピニングバードキックの要領で回転する「フェリコプター」およびその派生技「フェリケーン」がAED並みのショックを与えてくれたので難なく蘇生しましたが。ヒロインがなぜふたなりなのか等、既存のエピソードを読んでいないと分からない要素もいくつかありますが、そんなことは些細な問題ゆえ興味のある方はいきなりここから読み始めても構わないでしょう。どうしてもこれまでの経緯が気になるって方は、『膣内の肉壁』を買うべし。収録内容にレ研の総集編を含んでいます。

・拍手レス。

 あとはアンタッチャブルとか。アメリカ映画の題名も最近のラノベみたいに長文化すればいいのにw 面白かったマイナーラノベといえば「月が墜ちる夜―ルナティック・カーニバル」か。ストーリーはありふれてたけど盛り上がりが異常に面白かった覚えがある。ついでに最近見たラノベ紹介スレといえばこれ「俺が選ぶライトノベル32傑作選:GATUN」
 物凄く久々に見ましたよ、そのタイトル。確かにストーリーはさして特徴がなかったけど、相棒の桜がイイ味出していて未だに好きです。

 隠れた名作でマスラヲが出ないのが納得いかない…………!前作キャラが出張りまくるせいかっ
 林トモアキ作品は別に隠れていないでしょう、『ばいおれんす・まじかる!』以外。

 神咒神威神楽ついに発売ですね!では皆様よろしいか。今宵舞台の幕は上がり、そして歌劇は終焉を見る。共に謳おう、アクタ・エスト・ファーブラ \アクタエストファーブラ/
 いっそ笑えるくらい今日というこの日が楽しみでした。もうね、神咒コンプするまでズェッテー更新しない。自由時間はなるたけ神咒に注ぎます。


2011-09-25.

・この秋は『スリーデイズ』って映画と『4デイズ』って映画と『5デイズ』って映画が公開されるらしい。絶対に混同する人が出てくるな……と危惧する焼津です、こんばんは。挙げた中で気になるのは『4デイズ』かな。サミュエル・L・ジャクソン主演で、原題は "Unthinkable" 。そのまま「アンシンカブル」だと『アンブレイカブル』『アンストッパブル』と混同されそうだから邦題を変えたのでしょうか。もしそうなら、結局「デイズ」被りしているんだから皮肉極まりない。ちなみにこの映画は本国アメリカでは劇場公開されておらず、Vシネマ扱いだったそうな。面白そうなだけにもったいない。

ユリイカ臨時増刊号に虚淵玄×田中ロミオ対談(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 ふたりとも『腐り姫読本』の対談に参加していたし、ロミオは『Fate/Zero』の解説を書いているし、虚淵は『人類は衰退しました』に応援コメントを寄せているし、この取り合わせ自体は別段珍しくない。が、ロミオがまどか☆マギカの話題で虚淵と語り合う様子が読めるだなんて、ちょっとばかり嬉しいじゃないの。この臨時増刊号は既に予約を済ませていますから届く日を待つばかりだ。

ライトノベルの隠れた名作(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 10個ほど挙げてみます。まず榎木津無代の『ご主人さん&メイドさま』、ドタバタギャグ主体のラブコメです。既刊2冊。ある日、態度のデカいメイドが家にやってきて訳も分からぬまま同居生活を送ることに……という典型的な「押しかけヒロイン」ものであり、筋立て自体は至ってベタベタな代物。ストーリーに関しては特に見るところがないものの、文章がみっしりと詰まった濃厚かつ執拗なギャグ(パロディ含む)の数々でもてなしてくれるので、読み終わる頃にはおなか一杯になります。もう1年以上も新刊が出てないし、たぶん打ち切られたんだろうな……悲しい。次は東出祐一郎の『ケモノガリ』、死にすぎなくらい死人が出るバイオレンス・アクション。既刊3冊。殺人鬼としての天性を持つ少年が極限状況下で覚醒し、友人たちを救うため容赦なく悪党どもを始末していく。ライトノベルよりもB級アクション映画のノリに近く、主人公がスティーヴン・セガール並みに強いことと敵側の示す残虐性の高さが『ホステル』に迫る勢いであることから『沈黙のホステル』と揶揄されることもあります。B級好きは押さえておくと吉。

 三雲岳斗の『幻獣坐』、能力バトルと謎解きミステリをちゃんぽんにしたようなサスペンス。続編が出そうな内容だけど、今のところ1冊だけ。「幻獣」という、一種のスタンド能力みたいなものを有する少女がいて、主人公の少年は彼女を利用し、己が目的を果たそうとする。お膳立ては『新本格魔法少女りすか』に似ている。要するに主人公が夜神月やルルーシュといった狡猾インテリ系統に属する少年で、ヒロインを駒のように扱う。ヒロインは特殊な能力を持ちながらも価値観は割と普通で、今まで平凡な少女として生きてきたのですが、事態に翻弄されるうち価値観がどんどん変容していく。そこが読みどころであり、心揺さぶられる。つまりこの話、見た目の印象と違って「小賢しい少年」よりも「特別な力を持て余す少女」の方がメインなんですよ。続きはいずれ出る、と信じたい。深見真の『ロマンス、バイオレンス&ストロベリー・リパブリック』、中世ファンタジーチックな異世界を舞台に、暗殺・拷問などの濡れ仕事を行う特殊部隊に所属する少年がヒロイックな活躍を魅せる。既刊2冊。いかにも深見らしいミリタリ趣味に満ちたファンタジーといった調子で、読み始めは違和感を催すかもしれませんが、慣れるとまるでハリウッド映画を観ているような気分で楽しめるようになります。「今更エルフとかドワーフとかが出てくる話なんて……」という方にもオススメしたい。

 秋田禎信の『ベティ・ザ・キッド』『トライガン』『続・殺戮のジャンゴ』を彷彿とさせるSF西部劇。上下巻で完結済。正体が女であることを隠し、「キッド」の通り名で砂漠を旅して父の仇を追う主人公――という復讐譚の体裁を持ちつつ、「死んだ父の抱えていた秘密」なども絡ませてくる。が、本作の見どころはなんといってもトゥエンティ。「決闘で20人殺した」という伝説のガンマン。彼があまりにもカッコ良く、『ミルキィホームズ』の乳首野郎が出てくるたびに思い出してしまう。というか、ミルホの話題で「トゥエンティが……」と言われて「えっ、なんで唐突に『ベティ・ザ・キッド』の話?」と勘違いしそうになった。もはや当方の脳には「トゥエンティ」を「20人殺し」と解釈する機能が備わっており、修正は効きそうにありません。小幡休彌の『くりぽと』、ロリコン御用達ノベル。全4巻。魔法塾の助講師として雇われた主人公が、教え子たちに振り回されながら、その成長を傍らで見守っていく。主人公と同年代のヒロインも登場しますが、メインはほとんど小学生。ぶっちゃけ『ロウきゅーぶ!』と同じ構造です。『ロウきゅーぶ!』の子たちをクソ生意気にすると『くりぽと』になる。『くりぽと』のヒロインたちは開始時点で主人公を歓迎しておらず、露骨に嫌がらせしたり、無視したり、怯えたり……で、「男の講師なんて追い出そう!」と結託し、主人公に次々とストレスを与えていく。この時点で「幼女に優しくされたい、すんなりと受け容れてほしい」という願望を持つ紳士たちは音を上げてしまったのだろうか。2巻が始まる頃にはそうした問題もすっかり解決し、ヒロインの一人が主人公の布団に潜り込んで眠るくらいデレるというのに、ロリコンの間でもあまり普及しておらず「隠れた名作」扱いしなければならないマイナーさ。『くりぽと』と『ロウきゅーぶ!』、どうして差が出たのでしょう。

 八薙玉造の『鉄球姫エミリー』シリーズ、オヤジのように下品な感性を持っているが戦えばメチャ強いお姫様を主役に据えたバトル・ファンタジー。全5巻。ことあるごとに下ネタをかましセクハラに励む姫様というのもどうかと思いが、アクションシーンの描写は良い具合にハッタリが利いていて大変白熱します。「物凄いパワーを駆使しているのに、なぜか相手が死傷することはない」というごまかしもなく、老若男女問わず死体もバンバン転がる。血腥さが受けなかったのか、2巻以降ずるずると売上が下がっていったそうですけれど、結果として全5巻というちょうどいいボリュームに収まりました。待たせに待たせた末やっと出陣(で)てくる最終巻のエミリー様は魔王すぎて噴く。表紙はエミリーばかりながら、男キャラの存在感もそこそこあります。夏見正隆の『たたかう!ニュースキャスター』、変身ヒロインの哀愁漂う活躍を描く。既刊3冊、姉妹編として『たたかう!図書委員』あり。雪山で宇宙生命体とコンタクトし、スーパーマンならぬ「スーパーガール」の力を与えられてしまった主人公。彼女はニュースキャスターになることが夢で、今は現場レポーターとして頑張っているが、状況が切迫してくると「報道してる場合じゃない!」と持ち場を離れ、ついつい変身して事態を解決してしまう。おかげで本業は散々である。「普通、正体不明のヒーローと仕事って両立できないよね」みたいな、ごく当たり前の感想を作品レベルに昇華した庶民臭いヒーロー(ヒロイン)ノベルであり、「どんなに頑張っても見返りは得られない、むしろ損失が出る」というシビアな切なさが胸を打つ。基本的に一発ネタなので、2冊目、3冊目あたりは新鮮味も薄く、よっぽど気に入った人だけ読めばいい感じ。姉妹編の『たたかう!図書委員』は短すぎて物足りず、あまりオススメしません。

 滝川廉治の『超人間・岩村』、助っ人団みたいな活動に励む少年たちを描いた学園モノ。全1巻。「不可能」「無理」という言葉が大嫌いな岩村は、仲間たちとともにあらゆる困難へ立ち向かっていく。全体的に華がないうえ古臭く、中心となるストーリーも「演劇部の助っ人をやる」と非常に地味ですが、衒いのないまっすぐな熱血ぶりが一周回って清々しい。しばらく新作を出さなかったせいで「あーあ、消えちゃったか」と落胆しかけましたが、現在は『テルミー』という新シリーズを展開中。まだ読み止しなのでハッキリしたことは言えませんが、これもストレートに熱い話みたいだ。最後は嬉野秋彦の『彼女は戦争妖精』、「武器となり、主に力を与える妖精」である戦争妖精(ウォーライク)たちが主とともにバトルロイヤルを繰り広げる。本編9冊と番外編3冊、計12冊で完結済。とってもベタベタなノリのライトノベルであり、「どこかで見たような設定の寄せ集め」という印象は否定し切れない。が、ヒロインのクリスタベルがひたすらロリ可愛くて、もういろいろと不問にしたい。主人公も、マンガやライトノベルでよくある「うっかりヒロインの着替えを覗いてしまって『わっ!』と叫んだり『ご、ごめん!』と赤面して謝る」系のシャイボーイではなく、むしろ「なんでこんなとこで着替えてるんだよ」と舌打ちしそうな不機嫌文句垂れボーイであり、擦り寄ってくるヒロインをうざったく退けることで却ってヒロインの無垢な魅力を引き立てる。表紙イラストを見るにつけ「主人公の野郎、こんな澄ました顔で幼女のような妖精(略して幼精)と毎回チュッチュしてやがるんだなぁ」と興奮します。斬新さに欠いたせいか、ほとんど注目されないまま終わったシリーズだけど、もっと読まれていい気がします。特にロリ好きには。

『僕の魔剣が、うるさい件について』あらすじ公開(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 「意志を持った魔剣」で「美少女の姿で実体化」か……こういう設定どこかで見たな、と考えていたら『Dies irae』のマリィも概ねこれに該当することに気づいた。美少女ギロチン。『エレメンタル ジェレイド』や『彼女は戦争妖精』等、「美少女が武器になる」ないし「武器が美少女になる」設定のマンガやライトノベルは枚挙に暇がないほど存在するので、他にもいろいろ挙がるはず。しかし、何度見ても気が抜けるタイトルだな。スニーカーと言えば『墜落世界のハイダイバー』の4巻がなかなか出ないことも気に掛かる。単に作者が『デッドマン・ワンダーランド』のノベライズで忙かったせいで延びているだけならいいんだが……。

・久保ミツロウの『アゲイン!!(1)』読んだー。

 『3、3、7ビョーシ!!』『モテキ』で知られる久保ミツロウの新作。男性みたいな筆名ながら女性です。さて『アゲイン!!』はタイトル通り「もう一度、やり直す」ことをテーマにした学園モノであり、平たく書けば『リプレイ』路線。高校を卒業するはずだったのに、気がつけば入学式の頃へタイムスリップしていた――という、その設定だけ抜き出せばベタベタな時間モノと受け取られそうですけれど、一つ面白い試みが為されています。面白い試みとは何か? を説明する前にまず、主人公の紹介。今村金一郎、目つきの悪さと威圧的な金髪で周りから敬遠され、高校生活3年間を通じて彼女はおろか友達すらできなかった孤独な少年です。あらゆる行為が裏目に出てしまう要領の悪さから「俺が他人と関わろうとするとろくなことないんだよ」と諦念し、ずっと自発的な行動を起こさずに来た彼はひょんなことから時間遡行するハメになる。密かに憧れていた応援団長と、彼女がいずれ辿る「応援団廃絶」という未来を前に、「三年間みんなから無視され続けてきたこの俺を舐めんな!! どんな扱い受けよーがもう全部慣れてんだよボケ!!」と開き直って積極的に干渉して事態の打開を図る金一郎だったが……と、いかにも「やり直し甲斐のある主人公」って感じで、確かにここへ着目すれば「フツーのリプレイもの」という評価は免れ得ません。しかし、『アゲイン!!』はもう一人、リプレイに巻き込まれて「3年前の入学式」へ戻ってきた人物がいるのです。

 藤枝暁、金一郎と同じクラス(どうも舞台となる高校では年次ごとのクラスの入れ替えがない模様)に所属する女生徒。友達がたくさんいて、彼氏とも関係良好な、つまり金一郎とは正反対の境遇で過ごしている幸せ絶頂な子です。同じクラスでありながらお互い「一回も話したことない」関係(無関係?)で、たまたま卒業の日に出くわしたせいで二人一緒に時間遡行してしまったらしい。なぜ3年前に戻ったか、については今のところ説明されていないためどっちが原因でどっちが巻き込まれたのか判然としませんが、暁は「金一郎のせい」と思い込んでおり、金一郎もその決めつけを「他人と関わろうとするとろくなことない」という経験則から否定できずにいる。ゆえに暁は金一郎を恨み、金一郎は暁に対して少しばかり負い目を感じているわけです。もともと友達も恋人もいなかった金一郎と違い、暁は友達も恋人も自然とできるような恵まれた環境にあったため、「未来(主観的に見ると過去)では親友や彼氏だったが、今はまだ知り合ったばかりの間柄」って人たちについ無思慮というか馴れ馴れしい振る舞いをしてしまい、「なにこのキモい女……」とマイナスイメージを持たれ、物の見事にハブられる。自業自得っちゃ自業自得なんですが、そういったこともあって金一郎に向かう逆恨みの念はますます高まる次第。ぼっち少年が起死回生の青春を目指す一方で、リア充少女が懐かしき日々を自らの手で粉々にしていく、好一対のリプレイ事情……皮肉が利いていてワクワクします。どちらか一方だけだと単調だし、先が見えてしまうので、こういうツイストを掛ける発想はなかなか上手いと思います。暁は思い込みの激しい性格で、どうせ付き合うことになるんだからとまだ知り合ってもいない「彼氏」をいきなり呼び捨てにしてウザがられるなど、行動も慎重さに欠けるためあまり読者からは好感を持たれないタイプだろうと予想されますが、どんどん負のフラグ立ててぼっち街道を突き進んでいく姿が可哀想で当方自身は「頑張れよ、アッキー」と応援したくなる。萌えるとかじゃなく、「見てて面白い、生温い目で見守りたくなる」っつー存在ですね、今のところ。

 男子高生と女子高生のダブル主人公で、両方に対して肩入れができる、という仕組みになっている時点で当方がハマることは確定済だったと言えます。シチュがシチュだけに大して長引きそうもない……ってか、このネタで何巻も引っ張ったらダレるし、短期決戦型になりそうですね。金一郎が応援団長に恋心とも憧憬ともつかぬ感情を抱いている一方、暁は暁で「彼氏」との関係を修復したいようだが、遡行仲間である金一郎と顔を合わせる場面で「よく見たら顔は嫌いじゃないかも……(トクン)」と鼓動が高鳴っており、ラブコメに関してもひと波乱ありそうです。再来月には早くも2巻が出る予定。設定からして面白いし、いずれ『モテキ』同様に実写ドラマ化するかも。

・拍手レス。

 OSAKAはゲームアーカイブスで配信されてるのでPSPでプレイできますよ。ご存知でしたら失礼。
 ならいずれやろうかな。ゲーム版OSAKAはシナリオ量が半端じゃないらしいので、つい怯んでしまいますが……。

 >地方妖怪 ぺとぺとさんVS後追い小僧とか胸が熱くなりますね。背後を取った方が勝つんだろうか。地方妖怪というにはメジャーですが小豆洗いVS小豆はかりとかもいい勝負になるかもしれません。勝利条件がわかりませんが。
 もし流行ったら地方妖怪が軒並み御当地ゆるキャラにされてしまいそう。

 神咒神威神楽、鬼も蛇も確実に出ますねw
 鬼と蛇くらいで済めばまだ儲け物ですが……。

 「スケールが膨らんで大味な展開」といえば、最後は宝刀から最先端兵器まで取り込んだ付喪神と巨大化した鬼による怪獣大決戦になったゲームがありましたね。でも、私あのラストバトル大好きなんですが。
 九尾対メカ九尾ですか。あれはちょっと……でした。OP曲が掛かった瞬間はすごく良かったですけれど。


2011-09-20.

lightの『神咒神威神楽』、マスターアップせり。ホッと胸を撫で下ろして座り込む焼津です、こんばんは。

 これで不安の種はひとまず根絶した。あと10日したらソフトが届きます。蓋を開ければ鬼が出るか蛇が出るか。さあ、平らかな週末をよこせ。

【冬アニメ】西尾維新『偽物語』TVアニメ化決定!!!来年1月からの放送 化BD-BOXや音楽全集も12月に発売決定!(まとめいと)

 来ないはずがない、と思っていたが想像以上に早かった。来年の1月からか……あと3、4ヶ月程度じゃないの。てっきり『傷物語』の方が先に出るものかと。『偽物語』2冊を1クールで消化するのだろうけれど、「かれんビー」と「つきひフェニックス」それぞれに6話使う構成で間が持つのだろうか。少し疑問。『偽物語』はページ数に対してストーリー密度が低い方ですし、正直ダレやしないかと心配。どっちかと言うと掛け合い主体で魅せて、ストーリーに関しては『傷物語』任せって具合でしょうかね。そうした2012年以降の展開に合わせ、品薄状態に陥っていたBDソフトもBOXという形で再販される模様。15話収録で3万円弱なら、まあ普通ですか。TVアニメのBD-BOXとしては高くも安くもない感じ。今月末に『鬼物語』も出ますし、“物語”ファンは嬉しくて楽しい日々を送っていることでしょう。本気でサードシーズン来るかもな、原作。

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』の3巻、ドラマCD付き限定特装版発売決定「気が向いたらのライトノベル週報」経由)

 完全にアニメ化を狙っている挙動だな。しかし最近はライトノベルのドラマCD商法が活発になってきましたね。時代を遡れば『ブラックロッド』のラジオドラマだってCD化されているわけですし、「ライトノベルとボイスドラマ」の関係は古くから続いているわけですが、こうもポンポンと初回限定の特典に付いてくる状況には隔世の感があります。それにしても『ブラックロッド』のドラマCD、声優陣が豪華だなぁ。まとめて再販しないかしら。

『境界線上のホライゾン』第1話試写会は大絶賛! BD一巻初回特典には川上稔氏書き下ろし小説が付くよ(やらおん!)

 書き下ろし小説とな。当方はあまり訓練されていない川上儲(PS版OSAKA未購入)であるが、こりゃ買うしかあるまい。タイトルからして喜美姉&アサマチ本? まさか「私がして欲しいこと」系なのか。

『邪神大沼』次巻で完結(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 決まったストーリーもなく、バトル展開はあってもパロディめいた代物で、女性キャラは多いくせしてハーレムどころかラブコメチックな遣り取り自体がほとんどない。メインストリームに逆らいまくったライトノベルでした。卓抜したギャグセンスおよび恥も外聞もない時事ネタ乱打でどうにか凌いできましたが、さすがに最近はネタ切れ感濃厚な気配を漂わせ、「そろそろ終了も近いだろうな」と予感させていた次第。8冊もギャグ一辺倒で押し通した事実は快挙と称しても過言ではありますまい。また次回作で会えることを願っています。

・拍手レス。

 『ぬらりひょんの孫』では敵の幹部でしたよ>しょうけら そこそこ強かった割に死に方はあっさりでしたが……
 割と美形だっただけに、正体がしょうけらだと判明したときは噴いた。

 >今のショウケラは無敵だあッ! おや?っと思ったらしっかりオチがAYAKASHIで噴いたw。アヤカシたちのデザイン好きだったなぁ
 デザインで言えば悪路王と天狗が好きでした。

 九尾の狐は妖怪作品の鉄板ですよね。個人的にラスボスの妖怪として君臨できそうな奴といえば、名前の響きで文車妖妃と塵塚怪王ですかね。なんせ「妃」と「王」ですからね。
 バトル系の妖怪モノはだんだんスケールが膨らんで大味な展開になるところが面白くもあり難点でもあり。いっそ地方妖怪レベルで最強を競い合った方が新鮮かも。いやマグロとかではなく。


2011-09-15.

『ゼロ年代の想像力』読んだらやけに絶賛されているので「そんなに凄いならちょっと観てみようか」とDVDを借りてきた『木更津キャッツアイ』――本当に瞠目するような面白さだったため『ゼロ年代の想像力』そっちのけで観耽っている焼津です、こんばんは。

 評判自体は聞き及んでいましたし、実際にテレビでやってるのをチラッと見たりしましたが、「なんか話が入り組んでいるみたいで、途中から観ても状況が飲み込めないなぁ」と感じ、そのうち1話目からまとめて視聴しよう……と思ったまま数年が経過した次第。完全にタイミングを逃しており、もう一生観る機会はないかな……と考えた時期もありましたが、機会なんてなければ作りゃいいだけの話ですね。1話目は沢山の登場人物が開始数分でバッ、と一斉に出てくるせいで誰が誰だか覚え切れずに混乱しましたが、2話目に入る頃にはだいたい識別できるようになりました。とにかく『木更津キャッツアイ』は1話1話が濃い。とても1時間ドラマとは信じられないくらいにぎっしりとネタが詰まっています。話が終わってふと時計を見上げ、「まだこれだけしか時間が経ってないのか!」と驚くことが一度や二度ではなかった。良い意味で1分1分が長く感じられます。普通、面白いドラマって時間感覚を縮める(1時間があっという間に感じられる)ものですけれど、これに関してはそれが当てはまりませんね。エピソードを超えてネタとネタが繋がるあたりも心憎い。これがクドカン(宮藤官九郎)の脚本なのか。『池袋ウエストゲートパーク』は「もう原作読んでるし」ってことでスルーしていましたがドラマ版はだいぶ話が異なるようなので、こっちもいずれ機会を作って観よう。

九尾の狐を超える魅力的な妖怪は存在するのか?(デジタルニューススレッド)

 「今のショウケラは無敵だあッ!」でお馴染みの精螻蛄とか。覗きや監視に類することを行う妖怪ってイメージが定着していますが、実は正体不明です。三尸虫と関連して語られることが多いものの、本当に関係があるのかどうかはよく分からない。こそこそと覗いている様子がいかにも弱そうだし、そもそも「監視」という任務からして使い走りの様相が濃く、ためにか大抵は雑魚妖怪として扱われており、あまり「魅力的」とは映らないかもしれません。しかし、んなこと言ったらぬらりひょんだって別に強そうな妖怪でもないくせして総大将呼ばわりされているわけで、その気になれば「しょうけらが主人公とかラスボスの妖怪モノ」だってでっち上げられるはずです。「正体不明の監視妖怪」を「記憶喪失の密偵」に置き換えれば、ほら、映画とか作れそうじゃないですか。「俺は誰だ……わからない、名前すら思い出せない……しかし、奴を見張らなければ、という『使命』だけは覚えているッ!」みたいな調子で己自身も理解せぬまま異様な情熱に突き動かされてターゲットに食らいつき監視を続ける主人公、『RONIN』における浪人みたく唐突に挟まれるしょうけらの解説、そしてすべての記憶を取り戻した主人公がクライマックスで取る行動……全米が感動して、ついでに『AYAKASHI』の角屋も再評価されますよ、きっと。

劇場版『シュタインズゲート』制作決定!!(萌えオタニュース速報)

 アンソロジーを別としても5本くらいのコミカライズがあるし、こりゃ力の込め具合からして劇場版も視野に入ってるだろうなぁ、とは予想していましたが、もうこんなに早く発表が来るとは。内容はテレビ版の総集編? あるいは『比翼恋理のだーりん』を元に構成? と思っていたら、総集編でもだーりん路線でもないとのこと。まさか、完全新規のオリジナルエピソードが来るのかしら。ワクワクしながら続報を待つことにします。

ショートストーリー書くついでに締め切ってない長編持って来た鎌池和馬(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 そろそろ鎌池も他社の仕事を引き受ける段階に差し掛かってきているのではないか、という話。枷が外れたら杉井光みたいに「月刊・鎌池」状態となりそうな予感がします。そして杉井同様にエロゲー企画へ参加、と。はいむーはエロゲンガー出身だしスムーズに行けそう。ただその場合、はいむーの仕事量が増えすぎてヤバいことになるんじゃ……という心配もあったり。

・麻宮楓の『はじめてのクソゲー』読んだー。

 著者6冊目の本。麻宮楓のライトノベルは今まで買ったことがなく、今回も当然のようにスルーするつもりでしたが、タイトルの出オチっぷりに惹かれてつい手を伸ばしてしもうた。電撃文庫におけるゲーマー小説というと、師走トオルの『僕と彼女のゲーム戦争』や周防ツカサの『ギャルゲーマスター椎名』および『レトロゲームマスター渋沢』が最近ラインナップに加わりましたが、それ以前にも『ソリッドファイター』『連射王』といった作例がありました。途切れ途切れではありながらも、なにげに前世紀から続いているジャンルだったりします。『クリス・クロス』『ソードアート・オンライン』、それに『シフト』まで行くと「ゲーマー」のイメージからはかけ離れていきますが……。

 さておき、本書のストーリーを要約すると「欲しかった新作ソフトが売り切れで、代わりになんとなく掴んだソフトがバグだらけのクソゲーだった! 呆れてとっとと投げ出すつもりだった主人公は、しかしヒロインの挑発に衝き動かされ、意地でもクリアしようと徹底的にやり込むハメになる」――これだけ。本当にこれだけです。理不尽なバグの嵐に順応し、根性と友情のパワーでクソゲーをクリアしたところで本編は終わり、あとは後日談めいたエピローグが綴られるのみです。感覚的には、「製品版のつもりでやったら体験版だった」くらいの呆気なさ。主人公の掴んだクソゲーは単なる入り口に過ぎず、ヒロインに導かれて様々なクソゲーを叩き込まれる無間地獄展開へ突っ走っていくんだろうな、と期待していたのに……なにぶん題材が「クソゲー」なので、『僕と彼女のゲーム戦争』や『レトロゲームマスター渋沢』みたいに実在のゲーム名を出すわけにはいかないんですよね。そのせいで踏み込みが甘く、途中で挟まれるクソゲー講座っぽいものも具体性を欠いた抽象的説明にならざるをえない。「クソゲー」という言葉に宿る過激さを期待して読めばなんとも肩透かしな気分に陥ることでしょう。主人公がプレーする架空のRPGは、道の途中に見えない落とし穴があって嵌まると脱出不可能なためリセットするしかない、村人と会話しようとしてもセリフがズレていて会話が成立しない、フィールドに出た途端いきなりラスボスとエンカウントして負けたらゲームオーバーになる(イベント戦闘ではない)、などなど「明らかにデバッグしていねえ! テストプレーされたかどうかさえ怪しい!」と叫びたくなるバグ満載で、要するに「クソゲーのクソたる所以」を主にバグに求めて進行していくわけです。ゲームコンセプト自体は、割とまともなんですよ。「制作者たちは本気で面白くて新鮮なゲームを作ろうとしていたのに、すべての努力が明後日の方向へ行ってしまって目も当てられぬ超絶クソゲーと化した」みたいな感じじゃない。ネタとしては弱いと申しますか、もっと言えばヌルい。クソゲーマニアの人が読んでも満足しそうにありません。が、逆に見ればその微温感が読み易さを生んでいるところもあります。決して無我夢中で熱狂できるストーリーではないにせよ、ついなんとなく最後まで読んでしまう。バグを逆手に取って勝つあたりは面白かった。人によりけりでしょうが、当方にはちょうどいいヌルさでした。

 ヒロインがクソゲーにハマるキッカケとなった出来事に思いを馳せるとなかなか哀れっていいますか、「幼い女の子が涙目でコントローラーを握り締めてぷるぷる震えながらクソゲーのバグに立ち向かっている姿」を想像して胸が熱くなりました。クソゲーを訳も分からず延々とやらされる幼女って、なんだか精神的な陵辱という雰囲気を漂わせており、とってもエロス。主人公パートはちょっと単調な部分があるし、多少削って「クソゲーが恋人」と豪語するヒロインの可哀想な幼少期パートを足しておけば、当方を含めたSっ気満点な読者一同が大いに喜ぶ内容となっていたかもしれません。そのへんは次回に期待、ってことでしょうか? でもこの巻だけで話が綺麗にまとまっているから、無理に続けるのもどうかなぁ、と思わなくはない。どうせテコ入れでキャラが増えて、反比例するかの如くゲームの話題自体はどんどん密度が下がっていくでしょうし、単発でこれっきりにした方がいいのかも。結論としては、「個人的には楽しかったけど他の人へ薦めるにはちょいと躊躇う一冊」ってなところ。とりあえず脳内で『ハイパークソゲーマー雪緒』を捏造して息を荒くしておきます。「幼女とクソゲー」の取り合わせは冗談抜きで発掘し甲斐のある金脈ですよ。無邪気な笑顔が曇り、やがて変質していく様子を想像しただけでご飯がすすむ。

・拍手レス。

 ligh本当に斬新なパターンですね 家庭用ゲームの様にROM交換するのか? またしてもパッチマスターアップを成し遂げるのか? 目が離せないメーカーです
 lightはいらんところまでエンターテインメント精神を発揮してくれるから困ります。明日あたりを目処に2枚目もマスターアップしろよマジで。


2011-09-10.

・説明するまでもないと思いますが、lightのアレがアレしたので緊急更新する焼津です、こんばんは。

lightの新作『神咒神威神楽』、マスターアップ(ただし1枚目のみ)。あとPV第5弾も公開。

 きた! マスターアップきた! これで勝つ……え? 1枚目……だと? 神咒のデータは全体で7GBを超えるらしく、DVD1枚では収まらなくて、2枚組になったそうです。で、そのうち1枚目だけマスターアップしたと。2枚目はまだだと。うーむ、これは新しいパターンなので反応に困る。じきに2枚目もマスターアップするんじゃないかな、と楽観していますが、もし「ユーザーすみません。俺たちは、また間に合わなかった。急いで急いで、それでも……それでも俺たちは、こんなにもノロマだ」オチになったら憤激するしかないじゃない。無事に2枚目もマスターアップしてくれ。

 さて、今週中に新しいPVが来る、ということで昨日はワクワクしながら待機していましたが、待てども待てども一向に来ぬ。あ、あれ? おっかしいなー、と首を傾げて待ち続けたが、来ないものは来ない。仕事が控えているので徹夜するわけにも行かず空しく眠り去るしかなかったが、聞くところによると午前1時半頃、「本当に更新されるの?」「嘘吐き――本当は更新しないくせに」と疑心暗鬼なムードが最高潮に高まった時間帯でようやく公開されたそうな。

 そのPV第5弾では遂に第六天魔王波旬が降臨。超絶ヒッキーの波旬たんは相当に自己愛が強いようで、宇宙一個丸ごとを自分の体と認識している模様。宇宙細胞説を引き篭もりレベルまで零落させたような雰囲気が漂う。獣殿は器の大きさが凄かったが、今度の波旬は器の小ささが凄い。シュピーネさんにも劣る狭量さ、偏執ぶりを見せつける。「大欲界天狗道、ここに完成」ということは、ああ、つまり夜都賀波岐は……と目を伏せているうちに個別ルート紹介へ突入。まずは夜行・龍水カップルの「咒皇百鬼夜行篇」、大樹の下で結跏趺坐の瞑想に耽る龍水と、額に穿たれた第三の眼を開く夜行。ふたりで咒法を組み、「最深奥の法を読む」べく行動しているようだ。世界を統べる「座」の仕組みとかを解明しているのだろうか。ついで刑士郎・咲耶カップルの「楽土血染花篇」、刑士郎は出てこず、咲耶だけを映す。四季折々の風情を味わいながら共に居よう、と「本当に、夢のような」ことを語る咲耶。結果として咲耶が生き残ることは判明済みですから、これは刑士郎に対する濃厚な死亡フラグか。「果たせなかった約束」は見る者の心を的確に抉りますからね。次が宗次郎・紫織カップルの「威烈繚乱篇」、殺し愛全開で噴いた。お互い殺したいくらいに己と相手の武芸を愛していて、愛するがゆえ永遠に戦い続けたいと願う。「我らの愛を砕く」波旬は「邪魔だ」と切り捨てており、どうもふたりは殺し愛をしたいがために波旬を「許さない」らしい。最悪最強の波旬さんを「馬に蹴られて死ね」程度の扱いとは、なかなか威勢が良い。最後は竜胆・覇吐カップルの「神世創生篇」、おっと、つい竜胆の名前を先に書いてしまった。熱烈な抱擁を交わしブチューッと接吻しながら「私たち皆で、波旬を斃そう!」と呼びかける竜胆さんがイケメンすぎて濡れる。竜胆△。こんなもん見せ付けられたらそりゃ波旬も「貴様ら生きていてはならぬだろうが」と言いたくなるわ。って冗談はともかく、このPVを見るとやはり夜都賀波岐戦に後に「波旬こそ真の敵」と見做して対決する流れへ行くんですね。「私たち皆」が東征軍の8人を指すのか、夜都賀波岐すら含めるのか、判然としないけれど、波旬の座が完成していることを思うとたぶん夜刀たちはもう……でしょうね。2chのスレの書き込みを見て気づいたが、「卍曼荼羅」で表示される曼荼羅に仏が一つも映っていない。元から仏がいないデザインというわけでなく、念入りに一個一個仏を消していったかのように空っぽなんです。笑いながら肌が粟立った。ラスト、接吻したまま「――太・極――」するふたりの様子を見て「創生ラブラブ太極拳」みたいな単語が脳裏をよぎったのは当方だけではあるまい。両者の手が真っ赤に燃えて幸せ掴めと轟き叫ぶのだろう。ひょっとするとガチでフュージョンしちゃうかもね。覇吐の「ハ」と竜胆の「ドウ」で究極生命体ハドウさん爆誕! 両性具有(アンドロギュヌス)こそが至高の太極なんですよ、半陰陽だけに。戯れ言はともかく、気になったのは波旬って声付くのかしら? ってこと。これで中田譲ォォ治の痺れるようなボイスが流れてきたら波旬派に転んでしまうわ。

『ロウきゅーぶ!』ひなた一色のラノベ売り場!マジキチすぎるwww (萌えオタニュース速報)

 「どうして貴様ら、ひなたを唯一(ひとり)にしないのだ――」「喝采せよ、礼賛せよ。これすなわち店員(てん)の意志」「さあ、平らかな胸をよこせ」 大欲界ひなた道、ここに完成。歴代の売り場における最悪最強の炉理魂が、ついに真の姿を見せたときだった。と、神咒PV5の冒頭BGMを流したくなるレベルの渇望を感じます。あの子は原作時点で既に人気があったけど、アニメで声が付いてから爆発しましたな。

“ユリイカ”で『魔法少女まどか☆マギカ』特集

 ユリイカなら仕方ない。

・拍手レス。

 京極先生の件についてですが、あの時の担当編集者は、何かと批判も多い、あの太田克史氏でしたからね。京極先生の何かの本のインタビューとかで「お世辞にも編集者としての能力は無いというのに、どうしてあそこまで人が集まってくるのかが分からない」とコメントしてましたし。講談社にしろ角川にしろ、作品と作家は大切にしてほしいものですね。
 「京極さんには僕、今までの全生涯で二回くらいしか褒められたことがない」のJですか。人望とエネルギーはあるけど「当たって砕けろ」感が強すぎて先行きが不安になる。砕けるのは作家の方ですからね。

 思い信じて〜は矛盾都市TOKYOですかー?電撃hpにしか載っていなかったアレを知っている人がいるとはオドロキ。令嬢かわいいよ令嬢
 『創雅都市S.F』と『矛盾都市TOKYO』は一般書店で販売すべきだと思う。面白いのに入手しづらいのが難。特に『矛盾都市TOKYO』はOSAKAのあの人がチョイ役で出てきて胸が熱くなる。

 音沙汰が無くなったと思ったらいつの間にかアニメに変態していたガールズワーク…ちゃんと羽化するんでしょうかね…?
 「星空めておのことは諦めて」な結果にならないことを祈るばかり。

 境界線上のホライゾン4<上>を買ってきました。店頭で見たとき「今回は3冊分冊だから薄めだな」と思った私はたぶん感覚が麻痺してきている。3分割でも1冊で標準の電撃文庫2冊分くらいの厚みあるのに・・・。
 先々月にメディアワークス文庫から700ページ超えの本(『砂上の剣』)が出てますから少しインパクトは薄れた気がする。


2011-09-08.

・架空の映画を観る夢を見た焼津です、こんばんは。

 タイトルは『仮面カンフー! 殺りくのバンパイヤと空とぶエノラゲイ』とか、そんな感じだったと思う。マッドマックスとか北斗の拳みたいに荒廃した近未来が舞台。ライダーベルトを巻いたブルース・リーが颯爽と変身し、群がり来る吸血ゾンピをジークンドーでバッタバッタと粉砕、ゾンビごと爆撃しようと飛来してきたエノラゲイをも蹴り墜とす。回想シーンに登場するリーの母親がどう見ても木之本桜だったり、劇中何度も出てくるヒマワリの顔の部分だけなぜかモザイクが掛かっていたり、ラスボスが世紀末覇者コスプレしたドン・コルレオーネにしか見えなかったり、気になる点はいくつもあったがすべてが謎のまま終わった。映画マニアの友人が横でいちいち解説を入れていたのだけど、うざったくてつい聞き逃してしまったんです。ともあれ、久々にインパクトのある夢でした。

ワルキューレロマンツェ、またアレする(ニロカン)

 どうせ出ないだろう、と思っていたから驚きません。エロゲー業界の延期体質は心底癒しがたい宿痾ですなぁ。当方がエロゲーをプレーし始めた10年以上前の時点でも既に「また延期かよ」という声はあちこちで溢れ返っていましたし、2chの葱板(エロゲネタ&業界板)へ行けば延期等のトラブルに対してメーカー側が出した謝罪文を黙々とコピペするだけのスレなんてのさえあります。ニトロプラスは2作目の『吸血殲鬼ヴェドゴニア』で早くも延期をかまして、そのときは虚淵の熱い声明文もあって許されましたが、制作が難航したという『"Hello, world."』から延期癖を引きずっていますね。ほとんどベタ移植に近かったPC版『STEINS;GATE』すら延期しており、新作『ソニコミ』も順調に延期を重ねています。具体的な発売予定こそ明かされたことはないが、『クルイザキ』こと『ドグラQ』なんて今はどうなっているやら。エロゲーの延期作として有名なのは『SNOW』(リンク先はPSP版)、『LOVERS』『マブラヴ オルタネイティヴ』『さくらさくら』あたりでしょうか。ブランドで申せばfengの延期癖はガチ。個人的には『LOST CHILD』も印象に残っているが、たまソフトが消えた今となっては話題に上らせることもなくなった。あと『ANGEL TYPE』、発売延期を重ねた末に一旦御破算となるも、後日minoriに拾われシナリオライターを変更することでどうにか発売に漕ぎ着けました。

 一方、延期を重ねた挙句に雲散霧消してしまったソフトもあります。『おまかせ!とらぶる天使』なぞ当初は2005年発売予定だったのに、未だに発売される気配がない。枕のブランドデビュー作となるはずだった『サクラノ詩』は制作難航の果てに凍結されましたが、枕自体は存続したため後発企画ソフトがどんどん発売されていくっつーシュールな状況に。今や立派な牢名主。設定が『エレメンタル ジェレイド』と似通っていたうえタイトルも『エレメンタル レジオン』と非常にソックリだった例のアレは『レジオン・ド・ヌール』と改題したものの結局作り直す目処が立たなかったのか開発中止となりました。『Mio Cid』はもう与猶啓至のBGMだけ売ってくれ。そして『はるはろ!』も開発停止発表から既に3年が経ったか。当時の日記を読み返たら「なんであれ、少女病ルートやおま天ルートだけは避けてほしいところです」とか書いていて泣けた。当時はまだ「怒りの庭」の傷が生々しかった頃で、他にも瀬戸口廉也が引退を表明したりなど、気の沈むニュースが多かったんですよね。そうした悲しい報せの数々をDiesの用語になぞらえて「スワスチカ」と呼んでいたんでしたっけ。完全版(ファーブラ)発売とともに晴れて死語となり、使われなくなりました。

別冊少年マガジン連載『さんかれあ』TVアニメ化決定!(萌えオタニュース速報)

 アニメ化しそうな雰囲気だったからこれにも驚きません。ゾンビ好きの少年が主人公で、ヒロインは登場時点だとまだ生きているのですが、いろいろあってゾンビっ娘に……という話。タイトルは無論『サンゲリア』リスペクトです。ヒロインの肉体が徐々に傷んでいき、理性も少しずつ蝕まれていって、主人公に対し恋心ではなく食欲を覚えるようになってしまう。コメディのようでいて結構暗い。『ステーシー』以降、少女ゾンビに対するアプローチは今まで様々なものが試みられてきましたが、「臭そう」「理性があったらゾンビじゃなくない?」「結局ホラー〆か切ない系バッドエンドかのどっちかだよね」など設定的にあれこれツッコまれる余地があってなかなか定着・普及せず現在に至る。中にはフレッシュゾンビと呼ばれる「腐らないゾンビ」なんていうジャンルもあり、それはもうただの不死身キャラではないか。ちなみに来月秋田書店からも『りびんぐでっど!』というゾンビ系ラブコメの単行本が出ます。作者は『いわせてみてえもんだ』『美大道!』のさと。こっちもいずれアニメ化される、か?

暁WORKS黒の新作『イヅナ斬審剣』、発売延期(9/22→10/28)

 だから驚かねーっつってんでしょーが! ……もう笑うしかないよ、ハハッ。同一ブランドで連続リリースとか大丈夫かな、と密かに危ぶんでいましたが、全然大丈夫じゃなかった模様。あんまり注目されているふうではなかったし予約状況も悪かったのかもしれません。が、期待していた人からすれば「ふざけるな!」でしょう。げにエロゲーの延期ほどすまじきものはなし。

『ダンタリアンの書架9』通常版ならびにDVD付同梱版、発売中止のお詫び

 これは素直に驚いた。限定版だけならまだしも通常版まで発売中止って、いったい何がどうなってるんです? 作者と編集部が揉めたのでしょうか。Gユウスケが挿絵を担当していることもあって毎度そこそこ楽しみにしていたシリーズだけに残念だ。三雲岳斗は電撃で開始した新シリーズ『ストライク・ザ・ブラッド』が好調らしいから、仮にダンタリアンが打ち切りになったとしても即座に食い詰めることはないだろうけれど……理由がハッキリしないだけにモヤモヤするなぁ。とか書いてたら作者のブログに事情説明が。8巻終了で合意していたのに、スニーカー編集部が(恐らくアニメ化との絡みで)シリーズ延長を希望し、作者の了解を得ないまま刊行予定を決めてしまったみたい。似たようなことは前にも講談社でありましたね。京極夏彦の『邪魅の雫』を、まだ脱稿していないにも関わらず勝手に発売予定表に載せてしまったんです。そのときの京極夏彦の反応はこちら。ひとえに「完成原稿を受け取っていない段階で予定を組んでしまう」ことが常態化しているせいであり、起こるべくして起きた事態と言えます。意外と知られていませんが、出版業界もエロゲー業界同様に延期のひどい業界だったりする。割合で言えば少ない方ですけどね、何せ母数が段違いですから。でも毎月何かしら発売延期している。注目度が高い本でないとわざわざ延期の告知なんてしないので、単に目立たないってだけです。ライトノベルだと電撃は一度発表したらほとんど延期しない(高畑は別格)けれど、MFはしょっちゅうしてる。いつ刊行するか決めるのは出版社の領分ですから、既に原稿が上がっている場合だと、作者自身も発売延期の事実を把握していないことさえあります。また、人知れずひっそりと発売中止になる本も少なくない。「ISBNは取得済だが諸事情につき刊行されず終い」という本が、世の中にはいったい何冊存在(非在?)しているのだろう。考えただけで気が遠くなる。

・拍手レス。

 MW文庫の「ビブリア古書堂の事件手帖」を、本屋で積まれてたのを表紙に釣られて買ったら中々あたりでした
 あれ話題になってますね。まさか三上延がヒット作を生み出すとは……電撃じゃ「良い物書くけど地味で売れない作家」の代表格だったのに。

 小林幸子さんの結婚会見のあの幸子像には本当に驚きましたよね。小林幸子=奇抜な大衣装というイメージが定着していますね。しかし、幸子さん本人はあまり変な衣装で紅白を歌うことを嫌がっているらしく、普通の衣装で歌いたいと思っているそうなのですが、幸子さんの衣装を担当するスタッフが彼女の意思を完全無視して「次はどんな衣装で視聴者の度肝を抜かせようか?」と眼を血走らせながら会議しているそうで・・・。なんでも、そんな衣装の中には幸子さんが「これ、キングギドラかよ!?」と突っ込まざるを得なかったものもあるみたいです。なんというか、視聴者の印象に残ってしまうと、取り返しのつかないことになってしまうことって、本当にあるんだなと感じます・・・。
 打ち切りにさせるはずの最低ミュージカルがなぜか大当たりして続けざるを得なくなる『プロデューサーズ』ってのがありましたね。気になっているけどまだ観ていない。

 夜都賀波岐サイドの夜刀さんへの愛が限界破裂。何このハーレム。
 大獄の「ならば俺も認めんよ」のデレ臭がすごい。これのどこが「反目しているようにも見える」なのか。


2011-09-04.

lightの新作『神咒神威神楽』、ちょっとだけ延期(9/22→9/30) あとPV第4弾も公開

 なんだか妙に胸騒ぎがしてげっちゅ屋の発売日変更情報を覗きに行ったら神咒のタイトルがあり、肌が粟立った。『ワルキューレ・ロマンツェ』あたりが延期したんじゃないかと思った(あっちは公式情報まだだけど、どうも10月に飛びそうな雰囲気)ら、そっちかよ! 幸い一週間程度という短さで済んで胸を撫で下ろしましたが。これくらいなら制作の遅延というよりは発売に向けての調整って感じでしょうね。残念は残念ですが、まだ許容範囲内。正田崇のTwitterによるとシナリオは脱稿済で、Gユウスケは指定枚数を超えた原画を描いている(原画の遅れが原因ではない)そうですから、さすがに怒りの日の再現はないはず。

 で、新作ムービーも来ています。今回は夜都賀波岐中心の構成。再生するときは口に何も含んでおかない方がいいです。お茶飲みながらファイルをダブルクリックしたりすると「ぶーっ!」ってなります。あれは度肝抜かれましたね。公開前にスタッフがBGMについて何やら仄めかす風情を見せていましたが、その真意が一発で理解できました。「おい、これェ……」なBGMに乗って夜都賀波岐の八柱が次々と出てきては心情を吐露していく。情報量多すぎて初見は頭がクチュクチュバーン。最低でも五回は見んと咀嚼できませんね。いやしかし、夜都賀波岐は主人公たちにとって斃すべき敵なんですけれども、いろいろ事情があって正田ファンはこれまで彼らを応援したい誘惑に駆られがちだったんですよ。それを「でも敵なんだから」と理性でどうにか押さえ込んできた。そんな儚い抑制を跡形もなく吹き飛ばす威力が、もはや疑いなく明瞭に篭もっています。見れば見るほど、冗談抜きで目頭が熱くなる。体温が上がり、血圧も上がる。当然じゃないか、前作にハマった人間があんなん見せられて応援したくならないわけないだろ! 気持ちとしては「行きなさい、シンジ君!」と叫び出したヱヴァ破のミサトさんに近い。先に瓦版で夜刀が「俺の女神に捧ぐ愛だ」と吼えている画像を見て「ちょっと夜刀さん、大真面目な顔して何ノロケてんですか」と笑ってしまったが、いざムービーで当該箇所に差し掛かると「誰だよ夜刀さんの愛を笑った奴は! 赦さねぇ、歯ぁ食い縛れやオラァ!」と過去の自分をダイナミックにひっぱたきたくなりました。彼は「自分たちが敗残したこと」を誰よりも深いレベルで理解していてる。あらゆるものを奪われあらゆるものを喪って、自分自身が既に残留思念みたいなもので、もうすべて諦めていいはずなのに、なおも心を折らず僅かな絆をよすがにして戦っている。涙ぐましいばかりの執念が肺腑を抉ります。非常に中毒性の高いムービーであり、ほっとくと何十分でも見入ってしまうほど危険。心して鑑賞しましょう。来週にはPV第5弾も来るそうだ。今回まったく出てこなかった覇吐も次はちゃんとカッコいいトコ見せてくれるのか?

【画像あり】小林幸子さんが結婚会見 何これスタンド?(暇人\(^o^)/速報)

 なんといふ随神相……190の画像とか、完全に与猶サウンドが聞こえてきたわ。無間紅白地獄、出陣。滅尽滅相――今より幸子を教えてやる。

『境界線上のホライゾン』電撃文庫メディアジャックのホラ子が荒ぶってるwww(萌えオタニュース速報)

 今にも股間を打撃しそうな風情。思い信じて打撃すれば、エネルギー保存の法則に従い、いかなる股間も打撃力を受ける。ホントなんでこんなポーズになっているのか謎だなぁ、おい。

『少女不十分』この本を書くのに10年かかった(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 小説の売り文句で割とよく見かける「構想○年」は箔を付けるためにある程度盛っているんじゃねーか、と思うことが少なくないですが、様々な事情で発売が遅れている作品だとその長さを実感するとともに涙が溢れそうになる。『末期、少女病』だって、『ジサツのための101の方法』発売直後から企画を練り始めたと仮定したらそろそろ10年に達するわけで。続報がまったく出てこない田中ロミオのオクルトゥムにしたって発表から既に6年、それよりずっと前から構想されていた(ことによれば『加奈〜いもうと〜』以前にさえ遡る)という噂もあり、いつか出ると信じて涙流れるままにただ待つより他ない。絶賛開発停止中のケロQ『陰と影』も正式発表から約6年、絶賛発売延期中のTYPE-MOON『魔法使いの夜』は正式発表からだとまだ3年半程度ですが、ベースとなる小説は『空の境界』よりも古く、少なく見積もっても構想から13年は経過しています。小説に話を戻すと、飛浩隆の『空の園丁』あたりもそろそろ10年近いではないだろうか。秋山瑞人の『E.G.コンバット Final』に至っては構想どころか発売予定日からもう10年。西尾維新は『新本格魔法少女りすか』が3年くらいほったらかしで、『きみとぼくの壊れた世界』シリーズ最終巻『ぼくの世界』も地味に2年くらい遅延しています。忘れかけていたが『緋色の英雄』も確か告知では去年の夏に発売する予定だった、今はどうなっているかわからない。単行本未収録のなこと写本シリーズってのもありますね。執筆量は多いけど、展開しているシリーズ数も多いから意外とあちこちで停滞気味だったりする。こんな調子で行くといずれ夢枕獏化しやしないかと心配です。あの人は「この本を書くのに10年かかった」とかってレベルじゃねえし。

・拍手レス。

 まさか西尾先生が久しぶりに講談社ノベルスで新作を出すとは思ってませんでした。しかし、物語シリーズやめだかボックスの原作、そして今回の少女不十分と、一体西尾先生はいつ休んでいるんだと感じたくなります。さらに、ネット上ではめだかボックスがガイナックスで製作されるという噂もちらほらと見かけます。西尾先生はどこまですごくなるんでしょうね・・・。
 西尾維新は“戯言”シリーズの頃から既に安定軌道に乗ってましたけど、アニメ企画の成功で更に一段上のゾーンで安定してきた。『めだかボックス』がアニメ化されるかどうかは半信半疑ですが、何らかの形で新しいアニメ企画に携わっていそうではあります。でも本音言うと小説執筆に専念してほしかったり。

 神咒神威神楽PV4キター!夜都賀波岐の皆さんカッケー!もはや誰が主人公だかわからねえ!!1週間の延期も許してしまいそうだぜ、コンチクショウ!
 見た瞬間に延期のことが頭から吹っ飛んだ。最後に表示される発売予定日を眺めてようやく思い出したほど。

 神楽延期だげどPVでテンション
 公開されたタイミングは遅かったけど、眠気をも鏖殺する破壊力があった。

 今回のムービーは永遠(アイ)だの光(セツナ)だの愛だの……、だめだどっちが敵で味方か本格的に解らない。ちなみに、主語が無くても焼津さんなら解るよね!
 曲とグラフィックの相乗効果が筆舌に尽くしがたい。完全にあっちサイドへ転びましたねアレは。


2011-09-01.

・「見るがいい! これが『マギ』大人買いである!」と得意満面でレジに向かったら前の客は『HUNTER×HUNTER』既刊全冊をまとめ買いしていてシャッポを脱いだ焼津です、こんばんは。

 人がハンタ全巻購入するところを初めて見てしまった……10冊未満のまとめ買いで「大人買い」などと粋がっていた自分が恥ずかしい。しかしまさかリアル書店で30巻近くある漫画を一気に買う豪儀な客が現れようとは。通販だったら『グラップラー刃牙』『バキ』の途中まで、だいたい50冊くらいをまとめて買ったことがありますけど、店頭は持ち帰る手間も考えて躊躇しちゃいますからね。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』『ゴルゴ13』の大人買いは会計して袋に詰める店の方も大変だろうな。そもそもまず既刊全部置いてあるのかどうかですが。それはそれとして『マギ』おもろい。『すもももももも』と比べて格段に進歩している。『すもももももも』は途中で飽きて脱落したが、こちらは最後まで付いていけそうだ。

『まどか☆マギカ』朝日新聞で虚淵玄インタビュー!「希望を追っても絶望はついてくる」(萌えオタニュース速報)

 虚淵御大が新聞記事を占拠するという異常事態にも慣れてきた今日この頃でありますが、「新聞に虚淵の名前が載った!」と耳にすると「遂に銃刀法違反で摘発されたか……」という誤解の念がナチュラルに沸き上がってくるのはいったいどうしたことであろう。大藪春彦とか花輪和一とか、実際に銃刀法違反で捕まった創作家も存在するわけで、あながち冗談でもないし。

 さておき、この「過去からの予言」というシリーズは第1回目が筒井康隆で、2回目が楳図かずお、3回目が北村想、4回目がヤノベケンジ――という面子だったそうな。ラストを飾る虚淵玄が明らかに浮いている。それにしても、今年だけでいったいどれだけの取材を受けたのだろうか。随分とたくさん虚淵に関する記事を読んだ気がするのですが……本当に今年はいろんな意味で忘れられない年になりそうだ。

沢村凛の『瞳の中の大河』、8年掛けてようやく文庫化

 おっ、こいつは嬉しいニュース。沢村凛は日本ファンタジーノベル大賞出身の作家ですが、14冊ある著書のうち文庫化した本が3冊だけという事実からも知れる通り、マイナーな人です。この『瞳の中の大河』はタイトルからして気に入っているし、図書館でパラパラと拾い読みしただけでも面白かったので、いずれ本格的に腰を据えて読もう……と思いつつ今まで機会を逸してきました。てっきりもう文庫化しないものだと諦めていたけど、奇跡も魔法もあるんですね。この調子で『黄金の王 白銀の王』も文庫化してほしいです。

・今月の購買予定。

(本/小説)

 『少女不十分』/西尾維新(講談社)
 『法石姫』/大迫純一(ソフトバンク・クリエイティブ)
 『恥知らずのパープルヘイズ』/上遠野浩平(集英社)
 『地の鳥 天の魚群』/奥泉光(幻戯書房)
 『殺し屋 最後の仕事』/ローレンス・ブロック(二見書房)
 『新・餓狼伝 巻ノ二』/夢枕獏(双葉社)

(本/漫画)

 『Fate/Zero(1)』/虚淵玄、真じろう(角川書店)
 『魔法少女まどか☆マギカ アンソロジーコミック(1)』/アンソロジー(芳文社)
 『第七女子会彷徨(4)限定版』/つばさ(徳間書店)
 『レ研−コングラッチュレイパー』/祭丘ヒデユキ(茜新社)
 『もこもこBOX(1)』/☆画野朗(芳文社)
 『ドリフターズ(2)』/平野耕太(少年画報社)

 文庫化情報。宇野常寛の『ゼロ年代の想像力』が出ます。新刊『リトル・ピープルの時代』で話題になっている人のデビュー作。よく引き合いに出される本なので前々から気になっていたし、この機会に読んでみようと思います。木内昇の『茗荷谷の猫』、直木賞を獲った人の作品ですね。発刊当時話題になったらしく、この作品で注目されたことが受賞の遠因、とも囁かれている。荒山徹の『鳳凰の黙示録』。なんでもありの時代伝奇作家として知られる荒山徹の一作。この本も他の例に漏れず無駄に豪華な面子で送るとのことで期待しています。

 『少女不十分』は「原点回帰にして新境地」と謳われる長編小説。表紙がなんだかLOの漫画みたいなオーラを放っていて、妙にそそられます。詳しいストーリーはよく分からないが、そもそも西尾の小説は概ねストーリーなんて飾りに近いから気にしていない。西尾は今月“物語”シリーズの新刊『鬼物語』も出す予定だが、本当に出るのかしら。毎回発売直前までハッキリした情報が出ないんですよね、“物語”シリーズって。わざと情報制限している部分もあるんでしょうが、結構進行がギリギリで情報公開が遅くなってしまうって話もあったりなかったり。『法石姫』は去年5月に亡くなった大迫純一の遺作。本当にこれで最後、だそうです。生前彼がひたすら追求した「ヒーロー」がテーマの小説で、非常に熱い内容とのこと。大切に読ませていただきます。今月のライトノベルは、いよいよ来月にアニメ放送が開始される『境界線上のホライゾン』の新刊『W(上)』も忘れないようにしないと。『恥知らずのパープルヘイズ』は『ジョジョの奇妙な冒険』の第5部を原作としつつも完全にオリジナルなストーリーを展開するノベライズ作品。“VS JOJO”と銘打たれた企画の第1弾であり、後続として西尾維新や舞城王太郎も予定されています。恥パーは「スタンド能力が強力すぎるためキャラとして扱いづらく、退場させるしかなかった」とも「後で出すつもりだったが作者が忘れてしまった」とも噂されているパンナコッタ・フーゴが主人公。場合によっては大塚ギチの『ゴールデンハート/ゴールデンリング』が「なかったこと」になるかもしれません。『地の鳥 天の魚群』は奥泉光幻の処女作「地の鳥 天の魚群」が収録される短編集。やっとですか。「地の鳥 天の魚群」は著者略歴などでタイトルを記されながらも、書籍に収まることがなかった一作です。当方は記憶力が悪いので倉阪鬼一郎の『地底の鰐、天上の蛇』と混同していた時期もありました。あれは『百物語異聞』というタイトルで一応ながら復刊されている(確か収録作に多少の異同があった)。話を戻して『地の鳥 天の魚群』、200ページに満たない量で2310円(税込)と高価であり、恐らく熱心なファンか図書館くらいしか購入しないものと思われる。当方もまだ買おうかどうか迷っている。『殺し屋 最後の仕事』は“殺し屋ケラー”シリーズの4冊目にして完結編。邦訳では『殺し屋』『殺しのリスト』『殺しのパレード』『殺し屋 最後の仕事』と「殺し」で統一していますが、原題は "Hit Man" "Hit List" "Hit Parade" "Hit and Run" と「ヒット」で統一しています。ローレンス・ブロックと言えば、昔はちょくちょくロバート・ブロックの話題と混同しそうになったものですけど、最近ロバート・ブロックの名前を目にする機会も減ったのでそういうことはなくなった。混乱がないのはいいことだが一抹の寂しさも湧く。今月の海外翻訳小説はグレッグ・イーガンの『プランク・ダイヴ』、アダム・ファウアーの『心理学的にありえない(上・下)』、フィリップ・カーの『変わらざるもの』も個人的に要チェック。『新・餓狼伝 巻ノ二』は約5年ぶりの新刊。このシリーズに関しては「まだやってんの?」と驚く人も多いでしょう。そうです、まだやってるんです、これが。開始から26年、未だに終わる気配がない。強さを求める浮浪者流浪の格闘家・丹波文七が闘いの果てに何かを見出す……みたいな話だったのに、登場人物がどんどん増え、話の風呂敷も広がって、もはや畳みようがなくなった。最新刊では「主人公(笑)」と揶揄されていた文七が久々にバトるらしいが、既にストーリーはうろ覚えである。それでも読みたくなるのだから、ある種の魅力は宿っているんでしょう、きっと。

 『Fate/Zero』は来月から始まるアニメに合わせての刊行でしょうね。作画は『TABOO TATTOO』の真じろう。『ゾディアックゲーム』の頃に比べて見違えるほど成長しました。まだ読んでないけど、真じろうなら充分にコミカライズしてくれることでしょう。3巻の限定版は既に予約開始しており、そっちが来年の3月発売予定なんですから、2巻は間を取って12月くらいに上梓するつもりかしら? 『魔法少女まどか☆マギカ アンソロジーコミック』は表紙を見ていると公式コミカライズと勘違いしそうになる公式アンソロジー本。蒼樹うめは表紙だけで、たぶん中の原稿は描いてないと思います。執筆陣は何名か明らかにされておりますが、個人的にざらの名前がある時点で購入確定。ナンバリングされている以上、2巻以降も出すつもりなんでしょうね。そちらも良い布陣を期待しています。『第七女子会彷徨』は今オススメのマイナーコミック。限定版が出るってことは、出版社側もいろいろと期待しているのか? 限定版の特典は描き下ろしコミックなので、買い逃さない方がいいです。内容は未来の女子高生が最先端テクノロジーでてんやわんや、という日常系SFコメディであり、藤子漫画や石黒正数コミックのノリがイケる人は楽しめるはず。ただ絵柄に癖があって、合わない人は「気持ち悪い」「なんか怖い」と感じるそうな。ちなみにこの手の、『よつばと!』を代表格とするような「日常の手触り」を重視した作品の中で当方が好きなのは『のんのんびより』と『ベルとふたりで』と『がらくたストリート』。つばなは『見かけの二重星』という新刊も出すのでこれも買い逃さないようにしなければ。『レ研−コングラッチュレイパー』はアダルトコミックであり18禁。レイプ研究会、略して「レ研」の活躍を綴るシリーズの新作。これまでのレ研シリーズは『膣内の肉壁』という単行本に再録されています。レイプと言っても鬼畜や陵辱の路線を期待すると肩透かしでしょう、かなりギャグ色が強いので。この作者は『シャングラッド神紀』という一般向けコミックが面白く、今もなお続刊を待ち望んでいるのだが、どうも出そうにないし、レ研で埋め合わせすることにしました。もしあるとしたら次巻のタイトルは『レレレのレ研』あたりだろうか。『もこもこBOX』はエロゲーの原画で有名な☆画野朗の初漫画単行本。名前の「☆」は発音せず、ただ「がやろう」と読む。正直、話とかネタとかは二の次。☆画野朗の絵が大量に見れるなら当方はもうそれで満足です。『水月』初回特典のラフ画集はまこと美味しゅうございました。あれ落描きが多くてすげぇ楽しかった。『ドリフターズ』は1年以上も待たされた上での新刊ですが、ヒラコーとしてはまぁ普通のペースだ。当方は小冊子「ドリフターズ1.5」を持ってるので、そんなに待たされた気もしなかった。『ヘルシング』のときよりも更に技術に磨きが掛かり、無類の面白さを誇っているものの、とにかく進行の遅さがネックなこの漫画。まだ読んでない人は、それこそ完結するまでスルーし続けた方がいっそ幸せかもしれません。でも、あーでもねー、こーでもねー、とファン同士でくっちゃべるのがムッチャ楽しい漫画でもあるんですよね。そのへん考慮すると、やっぱ今すぐ読んだ方がいいかも。

(ゲーム)

 『神咒神威神楽』(light)
 『イヅナ斬審剣』(暁WORKS黒)
 『ワルキューレ ロマンツェ』(Ricotta)
 『恋騎士 Purely★Kiss』(EFFORDOM)

 確実に買うのは一番上だけで、あとは「検討」の段階に留まる。『神咒神威神楽』はシナリオ・正田崇、原画・Gユウスケ、音楽・与猶啓至のトリオによる新作。男坂並みにはてしなく遠かったDies坂をのぼり終えてようやく辿り着いた「次の戦場」です。ファーブラから数えても21ヶ月、「怒りの日」から数えると45ヶ月、ついでにパラロスから数えると92ヶ月も経っている。パラロスの出た頃と言えばFateの発売した頃ですよ。そのFateを出したTYPE-MOONは未だに『魔法使いの夜』を出しやがる気配ねぇし、両者に奇しき縁を感じないでもない。さておき、ナチスの残党どもが日本国内で大暴れする『Dies irae』とはうってかわって、「諸外国は背景だけ、直接的な形で物語に絡んでくることは一切ない」と豪語する『神咒神威神楽』はバリバリの和風伝奇活劇に仕上がっています。過去の時代ではなく、いろいろあって文明レベルが幕末程度に後退している遥か未来の世界が舞台。日本列島が東と西と真っ二つに分かれ、西側に属する主人公たちが「土蜘蛛」と蔑称される東側住人の領土へ進攻してこれを征服・平定しようと画策するのですが、土蜘蛛の面々はなかなか一筋縄で行かず苦戦を強いられる……と、概ねこんな話。苦戦どころか初戦でほとんど全滅するらしいんですがね。東の奴らの強さはチート級。一部『Dies irae』と繋がっている設定もあり、Diesを先にやってると「おい、これは……」と絶句する要素が目白押しですが、正田崇曰く「新規ユーザー優先で、Diesをやっていなくても問題なく楽しめるようにつくる」だそうですから、まず神楽をやってみてそれからDiesに手をつけるってのもアリかと。当方にとっては疑いなく今年最大の注目エロゲー。もし『末期、少女病』が発売されるのであれば「最大じゃないかも?」と疑う余地はありますが、年内に出そうな気配ないからなぁ、あれ。

 『イヅナ斬審剣』は同人ゲーム業界でそこそこ名が知られていた(らしい)insiderの商業ソフト2本目。いまどき珍しい『必殺仕事人』系統のバイオレンス・ストーリーで、普段は大人しい顔をしている割にいざ「お役目」となると容赦なく悪人をブッ殺す主人公が大きな見所。コスチュームのせいで処刑シーンが少々ギャグっぽく映るのは難点ですが。体験版は結構面白かったがあまり注目されていないみたいで、早くも不遇ムードを漂わせている。『ワルキューレ ロマンツェ』は、確か情報が公開され始めたのが2009年の3月くらいで、つまり2年半は経過してますね。エロゲーは通常、正式な情報公開から半年以内に発売することが多く、ユーザーを年単位で待たせるのは開発がよっぽど大手のメーカーか、そうでなければ制作の遅れ等々何らかのトラブルが生じているって場合がほとんどです。『ワルキューレ ロマンツェ』はどうも後者っぽい。前作の『プリンセスラバー!』がよく売れたうえにアニメ化まで果たしたこともあり、充分な資金を得てゆったりとしたペースで制作できる環境が整ったこともあるにせよ、当初6月発売予定だったのにいきなり3ヶ月も延期をかますなど、今年に入ってからの挙動が怪しいこともあって「制作順調」とは言い切れない雰囲気が漂っていた。馬上槍試合(ジョスト)題材のエロゲーという物珍しさから注目していたが、正直様子見したい気持ちでいっぱいです。『恋騎士 Purely★Kiss』は「甲冑ヒロイン」という『ワルキューレ ロマンツェ』との繋がりでなんとなく調べてみたらグラフィックが当方の好みド直球で、しかも体験版の感触が悪くなかったことから一気に注目作へと駆け上がった。ちなみに原画は『〜パンツを見せること、それが……〜大宇宙の誇り』や『光輪の町、ラベンダーの少女』の憂姫はぐれ。今月は『ワルキューレ ロマンツェ』と『恋騎士 Purely★Kiss』の鎧エロゲー対決が注目を集めているが、どっちか(あるいは両方)延期してノーコンテストになりそう。鎧エロゲーと言えば『さくらテイル』なんてのもありましたね。あれは鎧が浮きすぎだった。

(アニメ・映画)

 『ヘルレイザー DVD BOX』
 『ブラック・スワン』
 『メタルヘッド』
 『魔法少女まどか☆マギカ6』

 『ヘルレイザー』は一度見たら忘れられない強烈なキャラクターデザインの魔術師「ピンヘッド」が登場するホラー映画。今回のBOXでは諸事情につき日本国内でDVDが発売されなかった初期の3部作を収録する。バラ売りもされるので、1〜3において任意の巻だけ欲しい人はそちらを買いましょう。DVD BOXと同日にBD BOXも発売されます(BDはBOXのみでバラ売りなし)が、新しい映画でもなし、DVDとBDでそんなに画質や音質の違いもないだろう、と予想してDVD BOXにしました。『ブラック・スワン』はナタリー・ポートマン主演、ダーレン・アロノフスキー監督の映画。ダーレン・アロノフスキー監督と言えば『レクイエム・フォー・ドリーム』や『レスラー』の人ですね。R4Dは今月にBD化されますので、興味がある人はそちらもどうぞ。『ブラック・スワン』はバレエダンサーのヒロインが心理的に追い詰められていくサスペンスですが、映像の迫力が凄まじく、ほとんどホラーの領域に差し掛かっています。限定版以外に2種類出ますが、どちらも内容物は一緒で、ただケースがトールケースなのかBDケースなのか、というだけの違いみたい。デラックスBOXに興味のない方は、ケースで好きな方を選びましょう。『メタルヘッド』は予告編を観て以来ずっと気に入っていた一本。母親を亡くした少年が、ある日破天荒な男と出会って……というありきたりな筋立てを問答無用の勢いで押し流す、ってイメージ。こちらにもナタリー・ポートマンが出演しています。ナタポ好きの人はとりあえずチェック。『魔法少女まどか☆マギカ6』はこれが最終巻。やっとBDマラソンおしまいです。長かった……ような、短かったような。ホント、1クールアニメとしては稀に見るような濃厚体験をさせてくれた作品でした。まどかマラソンが終わってもあの花マラソンやT&Bマラソンは続きますし、ピンドラマラソンも始まるわけで、財布事情は一向に改善されませんが……買いたいアニメBDがそれだけあるってのは、むしろ恵まれている証拠なのかもしれません。

・拍手レス。

 堂島物語が文庫化されましたね。以前こちらで紹介されているのを見たときから気にはなっていたのですが基本的に文庫派なのでその時は手が出ずようやく読むことが出来ました。がっつりはまって瞬く間に2冊読み終えたものの全6巻で3、4は10月予定・・・早く続き読みたいなぁ。
 『闇の獄』の続編なのに『闇の獄』が放置されたまま先に文庫化を果たし現在孤立してしまっている『闇夜の鴉』など、あまり文庫状況に恵まれていない富樫倫太郎ですが、『堂島物語』はちゃんとシリーズ全部を文庫化するみたいでホッとしました。文庫は各巻を2分冊したうえで「○○篇」と付けていくようですね。『堂島出世物語』はサイトによっちゃ「堂島物語」で検索しても出てこないという欠陥があったし良い判断。富樫の文庫本は『女郎蜘蛛』もオススメ。押し込み強盗の話なので『堂島物語』とは打って変わってエグいけれど、1000ページ近いボリュームで読み応えあります。強盗側と改方側、両者に魅力があってどちらに肩入れすべきか迷うこと請け合い。

 イメージカラーと言えば、放送当時に「杏子vsさやか」で赤音vs伊烏みたく東京タワーで雌雄を決するSS書いてたの思い出しました。話が進む内に二人ともあまりにも女の子だとわかったので破棄したんですが…まさか元々はマミさんが赤イメージだったとは。
 杏子が赤音でさやかが伊烏、仁美が例の緑と。マミさんは差し詰め渡か。普段は温厚糸目だが「肥満(デブ)」と言われるとキレて開眼。しかし「マミさんとハート様ってどっちがデブ?」スレとかヒドすぎだろ、こんなのってないわ。


>>back