2010年12月分


・本
 『はぐれ勇者の鬼畜美学』/上栖綴人(ホビージャパン)
 『深山さんちのベルテイン』/逢空万太(ソフトバンククリエイティブ)
 『幻視時代』/西澤保彦(集英社)
 『ラッキーストライク!』/みそおでん(芳文社)
 『傾物語』/西尾維新(講談社)

・特集
 2010年振り返り(その1−映画・漫画)
 2010年振り返り(その2−小説)


2010-12-31.

・今年一年頑張った自分へのご褒美(笑)と称して『夜戦と永遠』『フェルディナン・ド・ソシュール』を衝動買いした焼津です、こんばんは。

 2冊合計で13230円、さすがに手が震えました。先々月くらいからずっと欲しかったけど、値段が値段でなかなか手を伸ばせなかった奴らです。前者は『切りとれ、あの祈る手を』がキッカケで、後者は『エスの系譜』がキッカケで欲しくなった。両方とも大型のハードカバーで650ページを超す大部であり、読み通すのには骨が折れそうですが、揃って好みな文章ですから別段苦でもない。正月も積読消化に耽るとしよう。

・2010年振り返りランキングの続き。

〔小説〕

 好きなエロゲーもやらず積読消化に励んだおかげもあって去年以上の冊数をこなすことができました。が、楽しみにしている本ほど後回しにしてしまう悪癖が発動し、我ながら「なんでこれを読まないの?」と不思議になる大好物本が依然として脇にどっさり詰まれています。なんつーか、「発売するのをずっと待ち望んでいた本」よりも「そんなに期待していない本」の方が手を伸ばしやすいんですよね。読み始めるときに緊張しなくて済むし、「大好きな作家の新刊なんだ、何が何でも楽しまなければ」と自分にプレッシャーを掛けながらページをめくるってこともないし。うーん、もっと気楽に読書するべきなんでしょうな。あと無駄な購入も控えるべき。「無駄」というより「過剰」と評した方が的確か。本を読むスピードよりも買うスピードが速ければ、こなし切れなくなるのは当然です。

(一般文芸)

 第1位 『八日目の蝉』
 第2位 『楽園への道』
 第3位 『コレラの時代の愛』
 第4位 『天使と悪魔(上・中・下)』
 第5位 『異形の者』
 第6位 『匿名原稿』
 第7位 『竜が最後に帰る場所』
 第8位 『キケン』
 第9位 『喜嶋先生の静かな世界』
 第10位 『本棚探偵の冒険』『本棚探偵の回想』

 今年はすんなりとまとまった。いささかすんなり過ぎるくらい。選ぶ過程に緊張が不足しているというか、悩み所が少なく、「そんなに期待していない本」ばかり手に取った弊害がモロに出た感じです。『八日目の蝉』はドラマ化して有名になったサスペンス風味たっぷりの狂える母性小説。「嬰児誘拐」という気の滅入るネタを、最後まで目が離せなくなる迫力とともに描き切った一作です。話題になっていることを知りながらもあらすじが好みに合わなくてずっと避けていましたが、なんとなく読み出してあっさりと心を掴まれてしまった。「誘拐された子」が成長して視点人物を務める構成は卑怯なほど巧い。タイトルの意味を解説する件で不覚にも涙腺が緩んだ。来月やっと文庫化しますので、気になっている方はそちらの購入を検討されては如何でしょうか。『楽園への道』は今年ノーベル文学賞を受賞したバルガス=リョサの長編。現在邦訳されている中では最新の作品です(少し前に翻訳された『チボの狂宴』の原書は2000年刊、こっちは2003年刊)。画家ゴーギャンと、その祖母フローラが生き抜いた日々、それぞれの切望を交互に綴る。ふたつのラインは物語として交わることがないけれど、「ここにはない」楽園を探し求めるふたりの姿がだんだんに重なっていく。楽園を目指して彷徨い、報われず、傷つきながら這いずり進む。勝ちか負けかで言えば、敗北かもしれない。しかし、その敗北を無意味として退けず、時として柔らかく時として激しい筆致で力強く歩みを保たせている。作中人物に語りかけるようなスタイルも宜しく、結構な分量を誇る小説ながら最後まで楽しんで読むことが出来ました。「この本どうやってオススメしよう……」と悩んだ時期もありましたが、作者がノーベル賞取ったおかげで随分とハードルが低くなった。嬉しいような、頑張り甲斐がなくなったような、複雑な気分。『コレラの時代の愛』はリョサと同じ南米のノーベル賞作家ガルシア=マルケスの長編。簡単に言えば恋愛小説です。好きな女と一緒になるため50年も待ち続けた(別に操を守ったわけではないが)男と、その男とは別の人間を旦那として選び、50年掛けて夫婦の絆を育んだ女。とにかく呆れるくらい気の長い話で、タイトルに「時代」という言葉が入るのも納得。自叙伝『生きて、語り伝える』を読めば『コレラの時代の愛』にはマルケスの両親の恋愛エピソードがいくつも使われていると分かって面白い。量が量だけにちょっと疲れましたが、何時間も夢中で読み通してしまう魅力はあった。

 『天使と悪魔』はラングドン教授シリーズ第1弾。文庫化も映画化も『ダ・ヴィンチ・コード』の方が先でしたが、あくまでシリーズの開始点はこっちです。盗み出された反物質爆弾、そしてバチカン市国を舞台に繰り広げられる教皇候補一斉誘拐事件――と、なかなか派手なあらすじをしている。スリリングかつスピーディな展開で一気に魅せます。刊行当時の評判が良くなかったせいで長らく食わず嫌いをしておりましたが、積読処分のために手を付けて「なんだ……面白いじゃないか」と見直しました。文章が平易すぎると申しますか、非常にあっさりとしていて物足りなかったけれど、バカバカしいまでに見せ場たっぷりなストーリーに惚れた。「教授」というから文化系の活躍に限られるのかと思いきや、アクション映画さながらの獅子奮迅ぶりで圧倒してくる。胡散臭いネタの数々も、ここまで開き直って詰め込めば清々しい。謎解きは『ダ・ヴィンチ・コード』の方が面白かったものの、スリラーとしては『天使と悪魔』の方が好き。食わず嫌いは良くないな、と反省しました。でもシリーズ第3弾の『ロスト・シンボル』は正直イマイチだったな。アメリカ建国という題材に関心が持てなかったうえ、スリラー面の盛り上がりも前2作に匹敵するほどではなかったです。『異形の者』は副題がネタバレな時代伝奇小説。個人的に注目している作家、柳蒼二郎のデビュー作です。赤子のときに戦場で拾われ、見た目の異形からただ「こぶ」とだけ呼ばれる少年が、丹波という師匠に仕込まれて一流の忍へと成長していく。忍者モノということを差し引いても苛酷極まりないストーリーです。主人公は丹波から「人語を喋るな」と命じられているため、全編に渡ってほとんどセリフがない状態となっている。セリフに頼らず、ただ描写だけでキャラを立てる作者の技量は確かなものだ。歯切れの良い文章で印象的な言い回しを頻出させるあたりがたまらない。「日輪は昇り続けなければならない。破竹は割れ続けなければならない」だとか、読めば読むほど癖になります。他の作品だけど「旭日が昇天しない」も妙に頭に残る。平服したまま霞むように姿がブレてその場から消える、みたいなマンガ的表現というか常軌を逸した術が罷り通るスーパー忍者ぶりは伝奇耐性がないとキツいかもしれませんが、作者の特徴がギュッと一冊に濃縮され「これぞ柳蒼二郎」と自信を持って請け合える内容であり、是非にオススメしておきたい。少なくとも、荒山徹のイカレ具合に比べればまだまだ許容できる範囲かと。最新作『友を選ばば』は荒山作品にしては珍しく朝鮮妖術師が出てこない話ながら、相変わらずの狂った超展開を披露してくれて腰が抜けました。もはや荒山徹は一つのジャンル。『匿名原稿』は私立探偵ジョン・タナーシリーズの第7弾。他がほとんど文庫化されていないせいもあって、シリーズで一番有名な作品となっています。匿名の作家が書いた「冤罪被害者が獄中で復讐を誓う」というストーリーの原稿を巡って展開する。作中作で描かれた「冤罪」にはモデルとなった実在の事件があるようで……と、迂遠ながらも少しずつ真相に迫っていくあたりにワクワクしました。どちらかと言えばハードボイルドってよりも90年代の新本格に近いノリか。いきなりシリーズの途中から読み出したわけですけれど、さして支障なく楽しめた。海外ミステリはやっぱり面白い。それだけに年々加速していく市場規模の縮小が残念でなりません。

 『竜が最後に帰る場所』は短編集。ジャンルで言えばホラーやファンタジーに属しますが、一貫して型に嵌まらない独特の幻想を敷衍してみせる。素面で読んでいても酩酊すること必定。冒頭は軽いジャブで攻めてきて、「夜行の冬」からが本番となります。特に「鸚鵡幻想曲」は極めつけの強打、どういうふうに話が転がっていくかまるで見えない。なのに終わってみると「これ以上ない」ってほどスッキリしている。化かされたような気分が味わえる一冊です。『キケン』は有川浩の痛快青春小説。有川浩は『フリーター、家を買う。』の原作者であり、どの登場人物もエゴイスティックなほど「自分」を持っている(あるいは獲得していく)ところが作風というか特徴です。なので人によっては「どいつもこいつも押しが強い、自己中心的すぎる」と感じられ、耐えかねるかもしれません。しかしそこを乗り越えれば勢いに乗って一気読みすることができる。連作形式で、2話くらい目を通してしまったら後はノンストップで駆け抜けていってしまう。タイトルの割にそれほどアブない内容でもなく、「ヤバい奴らが大暴れ」な話を想像して読み出すと「あれれー?」だが、ラーメンづくりのエピソードを延々と続けちゃうような脱線ぶりが微笑ましかった。「あらあら、うふふ」な視点で読んだらちょうどいいんじゃなかろうか。『喜嶋先生の静かな世界』は森博嗣が久々にしっかりと書いた小説らしい小説。「久々に」というより、ここまでしっかりと書いている小説は初めてなんじゃないかしら。勉強が嫌いだった、と語る主人公が学問や研究に魅了されていく過程をつぶさに描き取っています。「それだけ?」と訊かれたら「それだけ」と答えるしかない。ロマンスも多少あるけれど、あくまで添え物に過ぎません。添え物すらなくても充分だと自然に確信させられる仕上がりです。森博嗣の小説を一度でも好きだと思ったことがある人なら、読み逃すのは損。「絶対に読め」と言いたくなるクオリティ。彼の作品で「いずれ再読したい」と思ったのはS&Mシリーズ以来だ。『本棚探偵の冒険』と『本棚探偵の回想』は小説でなく、作者の趣味である古書渉猟を題材にしたエッセイ集。タイトルがシャーロック・ホームズのパロであることは言うまでもない。ブックオフが扱うような古本はスルーし、神田神保町の古書店に置かれているような品をテーマに据えてあれこれと語っています。本一つで○千円とか○万円みたいな話が平気で飛び出すから、読んでいると金銭感覚がおかしくなってきます。稀覯本、それも探偵小説の類をこよなく愛する作者なので、ミステリオタクにとっては見逃せない話題ばかり。かなり面白いネタがこれでもかと詰まっている。密度が濃いうえに単純な分量も多い(文庫版2冊で軽く900ページは超える)ので、「エッセイとか、そういうのは普段読まないから……」と敬遠している方にもねじ込むようにオススメしておきたい。本好きならば読むがいい。さすればシリーズ3冊目の『本棚探偵の帰還』(あるいは『本棚探偵の生還』)がまとまる日を今や遅しと待つばかりになるでしょう。

(ライトノベル)

 第1位 『アイゼンフリューゲル2』
 第2位 『境界線上のホライゾンV(上)』
 第3位 『アクセル・ワールド(3〜6)』
 第4位 『ソードアート・オンライン(3〜5)』
 第5位 『ケルベロス壱』
 第6位 『レイセン(1〜2)』
 第7位 “邪神大沼”シリーズ(1〜5)
 第8位 『踊る星降るレネシクル(1〜2)』
 第9位 『ミスマルカ興国物語(Y〜[)』
 第10位 『ご主人さん&メイドさま(1〜2)』

 『アイゼンフリューゲル2』はエロゲーライター(元エロゲーライター、とすべきだろうか。何せ最新作が出たのは3年前で、今後の予定もなさそう)である虚淵御大こと虚淵玄の、商業では初となるオリジナル小説完結編。非商業では『白貌の伝道師』が初オリジナル。前巻は「竜をも超える速度の飛行機を作り上げる」という比較的穏当なストーリーだったにも関わらず、2巻に入って戦争勃発。かつての撃墜王はトラウマが癒えぬまま再び戦場に引き戻される。いかにも御大らしい男臭さ満点の話で、主人公どころか敵方の軍人たちにさえ惚れそうになる。ヒロインが飾りでしかないのはライトノベルとしてどうかとも思うが、冒険小説の熱狂を異世界ファンタジーで味わわせようという心意気は買いたい。来月はブララグのノベライズ第2弾が出る予定となっており、これは新年早々おめでたい。またアニメ企画として『まどか☆マギカ』『Fate/Zero』も始まる手筈となっており、2011年は御大の年となりそうな気配です。『境界線上のホライゾンV』は……「なぜ上巻だけなのか、中巻と下巻も出たではないか」と指摘されそうですが、ごめんなさい、中巻の途中までしか読み進めておらず、上巻だけランクインとなりました。境ホラは普通に1冊で通常のライトノベル3冊分はありますから、まとまった時間がないとなかなか読み終えられない。Vはフランス編、全裸王やエレクトさわる級のネイトママンなど濃いキャラがバンバン登場し、例によって例の如く武蔵の面々は苦闘を強いられる。まだ全然読み切っていないのでストーリー面の感想はご容赦願いたいが、とりあえず彼女ができて調子こいてる忍者には「シネっ」と言いたくなった。煙の末らしく血煙に散れよ。『アクセル・ワールド』は3巻で「心意システム」なるものを採用し、根性論めいた展開が始まったときは「どうしたものか」と危ぶんだが、5巻あたりから安定してきてホッとしました。3、4巻はストレスの溜まるシーンが連続することもあって少しゲンナリしたけど、5巻と6巻は次の動きに向けた助走って塩梅で寛ぎながら読める。来年2月に出る7巻が待ち遠しい。

 『ソードアート・オンライン』は……あ、やっべ、6巻が読み止しのままだったことを今思い出しました。3巻と4巻の「フェアリィ・ダンス」編が個人的にいまひとつで、5巻からの「ファントム・バレット」が好みなこともあり、6巻読んでたらAWと順位が入れ替わっていたかもしれません。SAOはもともと軽いノリのシリーズではなかったけれど、「ファントム・バレット」に突入してからより一層ヘビーでダークな雰囲気が強まっており、緊張感漲るデスゲームを描いた小説が愛くてたまらない、っつー人間にはもってこいの内容。それにしてもファントム・「パ」レットという誤字には笑いました。『ケルベロス壱』は“龍盤七朝”シリーズ古橋サイドの1冊目。「三首四眼五臂六脚」の怪物が生まれるまでの経緯を綴った中華風アクションファンタジーで、「壱」というからには「弐」もあるはずなんですが、刊行時期はまったく未定。「壱」発売から早1年が経過するってのに。秋山サイドの『DRAGONBUSTER』も、「01」とノンブル打ってるくせして刊行から2年半経った今もなお「02」が出る気配はゼロです。ふたりが遅筆だということは過去の実体験から身に沁みて分かっていましたけど、待つのが辛いものは「待つのが辛い」と述べるより他ない。「もう02も弐も出ないんじゃないか」と思うと胸が潰れそうになります。願わくば、来年は02と弐が両方無事に発売されんことを。『レイセン』は『戦闘城塞マスラヲ』の後日談。であると同時に林トモアキ作品のキャラがちょこちょこと登場するファンサービス精神旺盛というかファンディスクめいた代物。トモアキ作品の中で川村ヒデオがもっとも好きな当方にとっては「存在自体がご褒美」と表現するしかないシリーズです。ちなみに2番目はVZ(ヴィゼータ)様な。2巻は半分くらいが番外編に占められていてヒデオの出番が少なかったことにガッカリしたけど、「世界観」こと彼岸士夜火斗(ヒガシ・ナイト)なる新キャラも登場し、腹を抱えながら読ませていただいた。女の子(と言い難い存在も多いけど)に囲まれているくせしてちっともハーレムモードにならないヒデオの有様に和む。邪眼王の明日はどっちだ。

 “邪神大沼”シリーズは毎回タイトルが変わるのでこういう表記に。列挙すると『やむなく覚醒!!邪神大沼』『うかつに復活!!邪神大沼2』『ながれで侵攻!!邪神大沼3』『ほんのり変異!!邪神大沼4』『じんわり君臨!!邪神大沼5』です。大沼という名前の少年が、本人の意志とは無関係に「邪神」への道を歩み出すことになり、嫌々ながらも駆け出し邪神としてショボい悪事に従事する。ライトノベルにしては珍しい連作ショートコント風のストーリーで、「え? これがオチなの?」と絶句するほど呆気ないラストを迎えることが恒例となっている。この腰砕け感たるやイカ娘にも匹敵する。残念ながら、各方面への侵略ぶりではあちらと比較になりませんが……ギャグセンスのキレに関してはここ2、3年の新人の中でも際立っており、正直売上はイマイチだけど熱心に買い続けているコアなファンもいたりいなかったり。来年2月には6巻が出る予定ですけど、「そろそろ打ち切りカウントダウンが始まるのでは」と恐れているファンも少なくない。せめてネタ切れまで……作者がこれ以上なく完璧にネタを切らすまでは保ってくれ……! 『踊る星降るレネシクル』は「るるル」と脚韻を踏んだタイトルが妙に印象に残る熱血無差別バトルランキングノベル。主人公の師匠が通称「腐海の女王」だったりなど、ネーミングを始めとするややイタいセンスに怯む方もおるやもしれませんが、大丈夫。当方も最初は怯みました。慣れるとイタいのも気持ちいいです。たまに主人公にイラッとするのが難点ですけれど、魅力的なヒロイン勢と個性的なサブキャラクター勢が織り成すパワフルな展開に呑まれてしまえばそれも些細な問題。新人らしい熱意に触れることができて嬉しくなる。比較的シリアスな場面であっても平然と間抜けなギャグが挟むノリは好みの分かれるところかもですが、主人公を巡る恋の鞘当なども楽しくてニヤニヤできます。今年注目のニューカマー。ニューカマーって書くとニューハーフとおかまをひっくるめた呼称みたいに聞こえますね。おかまと言えば例のアレが今年もっとも話題になった新人でしょうが、さすがに論外なので割愛。『ミスマルカ興国物語』は異世界(厳密には遠未来)ファンタジー。6巻あたりだと内容が安定しすぎてややトーンダウンした印象を受けましたが、7巻で急激に変転。劇的なラストで第2部へと向かいます。脱力するようなおちゃらけたネタが少なくなかった第1部に比べ、第2部はグッと引き締まった(それでいてまだユーモアは残っている)微シリアス路線に移る。最新刊の8巻は久々にルナス様の出番が多くて堪能しました。林トモアキの作品は基本的に全部繋がっているので先に『お・り・が・み』や『戦闘城塞マスラヲ』を読んでおけば更にエキサイティング。『ご主人さん&メイドさま』は読む前に抱いていた期待量と読んだ後の評価がもっともかけ離れていた(無論良い意味で)おバカ度MAXのメイドギャグ小説。ギャグ重視のライトノベルにしては意外なほど文章が綿密で、書きすぎて少しくどくなっている部分もありますけども、その分じっくりと時間を掛けて味わえる。ひたすらテンション高いし、見た目に反して一気読みしにくいんですよね、このシリーズ。全力でくだらないことをやっている作者の熱気に当てられ、途方もない疲弊を余儀なくされる。波長さえ合えば、その疲れも「心地良い疲労」となってイイ汗かけます。正直、3巻が出るかどうかも怪しいが、できれば5巻くらいまでは続いて欲しいものだ。6巻越したらなんぼなんでもマンネリが心配になるから、そんときゃ新シリーズの展開を希望する。ああ取らぬメイドのパンツ算用。

 ランクから漏れた中でオススメをいくつか挙げると、バイオレンス系ではシリーズ最終巻の『ヤングガン・カルナバル グッドバイ ヤングガン』、「主人公の強さがセガール級」と話題を呼んだ作品の続編で、前作よりも更に磨きが掛かっている『ケモノガリ2』、「本当のヒーローになって」の一言が胸を打つ、惜しくも今年5月に亡くなった大迫純一の代表作『ゾアハンター』、このみっつ。ファンタジー路線だと『煉獄姫』。藤原祐にしてはダークさが希薄なため、安心して雰囲気に浸れる。生まれながらにして煉獄と繋がり、猛毒の瘴気を垂れ流すヒロインが、普通に情愛を欲している少女としての面をチラチラ覗かせるあたりがたまりません。キャラ的には今年最萌クラス。ほか、ストーリーの核心部分は大して面白くないが掛け合いの軽妙さとヘンテコ脱力ギャグの数々が魅力的な『今日もオカリナを吹く予定はない(1〜3)』、「都市伝説そのもの」となってしまったヒロインたちを攻略する『101番目の百物語(1〜2)』、日常パート多すぎてシリアスパートがやっつけ気味になっているけれどその日常パートが抜きん出て楽しいから別にいいやと思えるサキュバスコメディ『オワ・ランデ!』も推すに足る出来。

・拍手レス。

 ミスマルカ8は、パリエルがかなり可愛くなってたのと、レイナーの人生の絶頂期っぷりに吹いた。
 短い割にいろいろと見せ場が多かったですね、8巻。待たされた甲斐はあった。

・ではよいお年を。


2010-12-30.

・今年も今年とてやりますよ、当方の当方による当方のための年末振り返り企画。こんばんは、進歩のないことが無事な証拠と考えてみる焼津です、こんばんは。

 さて、2010年もあとちょっとで終わりです。『2001年宇宙の旅』のみならず『2010年宇宙の旅』で描かれた年さえあっという間に過ぎ去ってしまったことを省みるだに、「己も歳を食ったものだ」と痛感せざるをえません。昔はもっと一年が濃密だったような気がするんだけどなぁ……ともあれ今年を振り返りますと、パッと思いつく話題は「盗作騒動が多かった」ってことですね。「エア箒」こと『Floating Material』、「おかま」こと『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』のふたつが特に目立っていましたが、その後も中学3年生の女子が「盗んだポエムで賞を取る」とまさに15の夜な具合で騒がれたり、文藝賞の受賞作がアイデア無断借用で受賞取り消しになったり、似たような事例がちょこちょこと続きました。書き手にとって盗作すること自体は技術的にゃごくごく簡単なのですが、読み手が「これって盗作だ!」といち早く気づいて詳しく証明するのは至難であり、今後も完全に再発を防ぐことは恐らくできないだろうと思います。著述業界の重く長い課題になりそう。

 それと、やっぱり今年も気の沈む訃報が多かったですね。ロバート・B・パーカー、北森鴻、J・D・サリンジャー、ディック・フランシス、浅倉久志、清水一行、井上ひさし、大迫純一、つかこうへい、ジェイムズ・P・ホーガン、今敏、永井するみ、野沢那智……まだ40代という若さで亡くなっている方々もあって、悲しいというよりも悔しい。哀悼や哀惜といった言葉では追いつかないものがこみ上げてきます。時はただ行きて還らず、一方向に流れるのみ。

 では各ジャンルに移ります。

〔ゲーム〕

 なし

 なんと驚きのゼロ本。こんなのは初めてです。ソフトは10本くらい買って、うち半数程度はインストールしたし、体験版も20個近くやったけれど、コンプリートしたものは一つもなかった。積読の消化に精力を傾けたため、エロゲーに割く時間がなくなってしまった感じです。あと、楽しみにしていたTYPE-MOONの『魔法使いの夜』が延期して結局今年に出なかったことの影響が意外と大きい。あれで落胆してゴソッとゲーム攻略する気力を失いましたからね。と、意欲の減退を責任転嫁しつつ、この調子ではいずれ「卒業」と呼ばれる状態になってしまうのでは……と軽くおののいています。年明け頃に届く予定の『うみねこのなく頃に散』を無印ともどもプレーして、熾火のように燻っているゲーム欲を再燃させたい。それと型月はとっととまほよを出してください。

〔映画〕

 第1位 『涼宮ハルヒの消失』(アニメ)
 第2位 『パリより愛をこめて』(洋画)
 第3位 『エスター』(洋画)
 第4位 『エクスペンダブルズ』(洋画)
 第5位 『ディセント』(洋画)
 第6位 『デッドコースター』(洋画)
 第7位 『キサラギ』(邦画)
 第8位 『チョコレート・ファイター』(洋画)
 第9位 『インセプション』(洋画)
 第10位 『アウトレイジ』(邦画)

 今年は足繁く映画館に通い、DVDやBDも割と旺盛に観たので、例年と比較して結構な本数を堪能させていただきました。だいたい5、60本くらい? おかげでそれを10本に絞るのに苦労した次第。でも1位は迷わず『涼宮ハルヒの消失』。文句なしの面白さでした。原作はライトノベルで、シリーズの4冊目、長編としては3作目に当たります。シリーズ最高傑作との呼び声も高く、このエピソードを温存したいがためにTV版は「エンドレスエイト」と称される不祥事を引き起こすまでに至りましたが、そのへんの経緯は割愛。ざっくり言ってしまえば「消失」はパラレルワールドもので、大まかな環境はこれまで過ごしてきた世界と概ね一緒だけど、主人公を取り巻く異常な関係が「異常ではない普通の関係」に置き換えられてしまい、最初は闇雲に元の世界へ帰ろうとするけれど、だんだん「こっちの世界でもいいんじゃないか」みたいな想いも芽生えたり芽生えなかったり……といった調子で進行していきます。160分と、アニメ映画にしては非常に長大な作品であり、途中でトイレに行きたくなって往生した観客も少なくなかったらしいですが、駆け足でもなく引き伸ばしでもなく、最後まで程好い尺に収まっていて退屈しませんでした。いや、退屈どころかむしろ、立ったり叫んだりとメリケン人ばりにエキサイトしそうになる我が心を自重させるので精一杯でした。劇場で眺めてあれだけ興奮したのはホントに久々です。つってもまぁ『パリより愛をこめて』でも結構興奮しましたけどね。『96時間』の監督によるジェットコースターアクション。パリで暗躍するテロリストの目論見を、ジョン・トラボルタ演じるCIA捜査官が粉砕する痛快ストーリーで、筋立てに新味はないが安心してラストまで一直線に楽しめる。とにかくトラボルタの存在感が凄かった。あれだけでほぼ勝ってる。娘を助け出したい、という父親の情念が迸る『96時間』に比べればやや落ちる出来だったにせよ、今年観たアクション映画では随一の熱さでした。『エスター』は孤児院からやってきたエスターちゃんを巡って展開する恐怖のサスペンス映画。たっぷり120分もあるせいで前半がややかったるいが、いざ後半に入れば途端に目が離せなくなる。冒頭だけチラ見して「ああ、そういう話か」と決め込むことは禁物、必ず最後まで観ましょう。

 『エクスペンダブルズ』は出演キャストの豪華さで話題を喚んだ大作アクション。「大作」と言っても単に派手なシーンが山積みなだけで、ストーリーそのものは「独裁者の島でマッスル軍団が大暴れ」程度で事足りる。脳味噌の代わりに筋肉をギチギチ詰め込んだような奴らが問答無用で悪党どもをぶっ殺す、あまりにもあまりな単純明快さにスカッとする。特にステイサムのアクションがカッコ良かった。どこが消耗品(エクスペンダブルズ)だよ、とツッコミたくなるほど生存率が高いのは続編を意識しているからか。2をつくるなら是非ヴァン・ダムとセガールも出してくれ。『ディセント』は洞窟(ケイブ)ホラー。地下の暗闇に閉じ込められた主人公たちが「何としても生還してやろう」と奮闘する。チリ鉱山事故のニュースを聞いてこの映画を連想した人もいると思う。閉鎖環境モノは比較的低予算で撮れる反面、エンドロールまで間を持たせることが難しいジャンルでもあります。が、『ディセント』は終始テンションが保たれるどころか、「続編も観たい!」と願うほどの余韻を残していくのだから並ではない。ちなみに2も観ましたけど、こっちの出来は「そこそこ」くらいです。決して蛇足ではないが、1の興奮に比べると……やはり何枚か落ちます。『デッドコースター』は『ファイナル・デスティネーション』の続編ですけれど、こっちは逆に前作よりもパワーアップして面白くなっている。このFDシリーズは「死の運命を回避した連中が、時間差で死神に命を狙われる」という部分が全作共通しており、ぶっちゃけだんだんマンネリに陥っていきますけど、「一瞬で人間が肉塊になってしまう」ショックを執拗に追求するエグさが悪趣味好きの人間にはたまりません。立て続けに観てると胃もたれしますが、たまにだったらこういうのも宜しいかと。

 『キサラギ』は分類上ではサスペンスになるかもしれませんが、「1年前に亡くなったアイドルの死」を部屋から出ないで検証するシチュエーション・サスペンスであり、怖い系が苦手な人でも安心して観れる。邦画ということもあって雰囲気が垢抜けておらず、出だしはちょっとダラけたムードが漂うものの、検証するデータが蓄積されてくる中盤以降が滅法面白い。細かい伏線をいちいち拾っていく神経質なシナリオに惚れ惚れ。コメディとして観る分にはちょっと弱いけれど、「邦画も侮れない」と再認識致しました。『チョコレート・ファイター』は「女優のアクションっていまいちだよね」というこれまで抱いていた先入観をゴッソリと覆してくれるタイ映画。さすがにトニー・ジャーほどの力強さはないが、軽やかさ、鮮やかさでは負けていません。『スパルタンX』を熱狂的にプレーしていた少年時代さえ思い起こしてしまうレベル。『インセプション』はディカプリオとかが他人の夢に侵入して攻防を繰り広げるスリラー。予告編を観てもいまいちどんなストーリーか分からないし、「夢の世界だから基本的に何でもあり」という設定も好みじゃなかったけれど、「夢の中の夢に侵入し、更にその夢の中の夢にも侵入する、下層へ進むほど時間の流れは加速していく」ってあたりが飲み込めてくるようになると俄然面白くなる。夢、夢の中の夢、更にそのまた夢、と多重構造で同時進行する物語を映像で把握させる技術に脱帽。派手な映像だけが目当てで観に行ったこともあり、予想外の収穫となりました。『アウトレイジ』は暴力過剰なヤクザ映画。現代日本でヤクザどもが血の河と屍の山を築く。到底現実味のない話でありつつ、さりとて無茶苦茶さ加減で魅せるにもハッチャケが足りず……なんとも中途半端な内容で、B級映画の観点から述べても「ビミョー」の一言に尽きる。しかしちょうどこういうぶっ殺し映画に飢えていた時期に観に行ったせいか、なかなかに楽しめたのも事実であり、密かに続編を期待していたりする。

 ほか、おバカ度MAXな「ありえない銃撃戦」の詰め合わせで送る『シューテム・アップ』、BDで観たら映像と音響の迫力が凄まじかった『ワイルド・スピード』、今敏監督の追悼番組で併せて視聴した『東京ゴッドファーザーズ』『パプリカ』、TV版を観ていなかったせいでストーリーがいまひとつ飲み込みにくかったが映像の美麗さとクライマックスの畳み掛けに圧倒された『劇場版マクロスF 虚空歌姫』、アニメ版から入ったこともあり動いて喋るヴッシュたちの姿がひたすらに懐かしかった『劇場版TRIGUN −Badlands Rumble−』も良かったです。

〔漫画〕

 第1位 『GA(3)』
 第2位 『ドリフターズ(1)』
 第3位 『シグルイ(14〜15)』
 第4位 『惑星のさみだれ(9〜10)』
 第5位 『大東京トイボックス(5〜6)』
 第6位 『っポイ!(28〜30)』
 第7位 『しなこいっ(3)』
 第8位 『乙嫁語り(2)』
 第9位 『ちはやふる(8〜11)』
 第10位 『ムダヅモ無き改革(3〜5)』

 去年は「今年読み始めたモノ」と「以前から読み続けているモノ」と「一冊で完結しているモノ」の3つに分けて書きましたが、今年はすべてひっくるめて書きました。省エネ省エネ。読んだ冊数はざっと500冊から1000冊の間くらい。いくらなんでも「ざっと」過ぎますが、数えるのも面倒なのでだいたいの量だけ把握していただければ……と。

 1位を獲った『GA』3巻は実のところ、今年じゃなくて去年の刊行。大事に取っておいた1冊を今年になって崩したわけであります。何せきゆづきさとこの新刊は年々間が空いていく一方ですから……結局今年も『棺担ぎのクロ。』の3巻は出なかった。GAはアニメ化したこともあってそこそこの知名度を得ているはずですが、クオリティの凄まじさに比すればまだまだマイナーと言わざるをえません。「芸術科」を巧みに取り込んでネタ作りしながらメインメンバーの人間関係も疎かにせず、読者の求める要素をすべて供給してくれるかのような大盤振る舞いに感激することしきり。内容についてクドクドと解説するつもりはありません、1巻の表紙を目にしてビビッと何か受信した人はすぐに買いに走るといいです。『ドリフターズ』は待ってましたのヒラコー新作。表記は1巻だけにしましたが、たまたま買ったアワーズに「1巻の続き3話分を収録した小冊子」が付いてきたこともあり、もう少し先まで読んでいます。織田信長や那須与一といった歴史上の有名人物が時代を越えて異世界に漂流(ドリフト)し、なんとなく徒党を組んで国盗りとか始めてしまう。ヒラコー版ワールドヒーローズです。ジャンヌ・ダルクやラスプーチンも出てきます。でも主人公は「捨て奸」の島津豊久。登場するキャラの中では一番マイナーです。ラスボスに当たるらしい黒王の正体はアレだろうな……と予測しつつ、今後どういったふうに話を転がしていくかがまだ読めなくてワクワクする。平野耕太を知らない人もここから入ってみては如何かしら。『シグルイ』はやっとこさ「無明逆流れ編」が完結。長かった……ひょっとして永遠に終わらないのではないかとさえ錯覚した。御前試合のシーンだけで15巻をほぼ丸々一冊使っているけれど、決して無用な引き伸ばしではなく、収まるべきものが収まるべきところへ収納された心地良さとともに幕が引かれます。読後感そのものは爽やかとは言いがたいけれど、故にこそ死狂い。「残酷無惨」の四文字に違わぬ出来映えでした。

 『惑星のさみだれ』はシリーズ全体の完結です。これに関しては「やっと終わり」とか「遂に終わり」ではなく「もう終わり」と思って切なさが込み上げてくる。最終目標がしっかりしていて、姑息な引き伸ばしもなく、終始良いペースを刻んできましたから絶対に早すぎるってことはない。でも、ファンとしては無駄がないことを褒めたくなる一方で、「もっと無駄があっても良かったのでは」と矛盾した気持ちが湧いてくる面もある。腹八分目というか、ちょっと理想的すぎる収め方なんですよね。でも、そうした不満はアワーズ全プレ小冊子のオマケマンガを読むことで淡雪のように消えていきました。水上悟志のマンガはまだ『戦国妖狐』があるし、そのうち新シリーズも始まるでしょうから、いつまでも寂しがってはいられません。『大東京トイボックス』は『東京トイボックス』(全2巻)の続編に当たるゲーム制作マンガ。長期間ギスギスと重たい雰囲気が続くため、「ゲームは楽しいんだから、楽しんでゲームをつくろう!」みたいな明るいノリ期待して読むと胃をヤラれます。途中で脱落してしまった読者もいるのではないかと心配になったりする。せめて5巻までは読んで欲しい。太陽がどうにかひとつの答えを掴む巻ですので。『っポイ!』は20年掛かってようやく完結に漕ぎ着けた少女マンガ。遂に主人公を巡る三角関係にピリオドが打たれる。事態が一気に動き出したのが感動的というか、むしろ今までの不動っぷりが異常でしたね。中学生の青春に30巻も費やすのはいくら何でも書きすぎだろうし、ファンを自認する当方でもベタ褒めするのは憚られるが、思い出深いシリーズであることに揺るぎはない(受験などで苦しかった時期に読み返し、気持ちを切り替えるのに幾度となく役立ちましたよ)ので最終話にはいろいろと込み上げてくるものがあった。「読み切った」という達成感よりも「終わってしまった」という喪失感の方が激しく、ちょっと落ち込んだりしましたが、きっと今後も飽かず読み返すだろうし寂しくはありません。ちなみに当方が好きなキャラはマコト。読み始めた頃はそんなに好感を抱いてなかったが、数年経って気がつくと一番眺め返すことが多い存在になっていた。不思議なものだ。

 『しなこいっ』は現代を舞台にした剣術バトルコミック。忍者とか出てきますので到底リアルとは言いがたいが、「魔剣」が単純な必殺技ではなく体捌きなど何らかの理屈に則って効果を発揮する仕組みになっており、術理説明の部分に心を砕いてあたりが特徴的。ケレン味を少なくした『我間乱』ってところです。格好よりも理屈を重視しているため攻防のさなかで蟹股になったりなど、ときどき美少女とは思えないポーズを取るのも見所のひとつ。年明け早々に4巻が発売される予定となっており、今からとても楽しみです。『乙嫁語り』は遊牧姉さん女房ロマンスという、『エマ』『シャーリィ』を先に読んでなければまず手に取っていなかっただろう一冊。とにかく森薫の成長ぶりが異常で、隙のない描画力に圧倒されます。「シルクロードとか、あんまり興味ないなぁ」とこぼしていた当方も夢中になってしまう域。読む、というより「観る」ことが快楽に直結しています。眺めているだけでヘブン状態を通り越してウルトラヘヴン状態だ。『ちはやふる』はすっかり有名になったかるたマンガ。そのうちアニメ化か実写化するんじゃないかしら。あるいはハチクロや君届みたいに両方。物がかるただけに試合描写自体はだんだんパターン化してきましたけども、少年少女の情熱と、それを伝えて余りあるネーム力であっさり凌いでいます。『連射王』並みの熱さが篭っている。漲れ青春。『ムダヅモ無き改革』はひたすら読者の度肝を抜き続ける異色麻雀マンガ。てか、もはや明らかに麻雀ではない。もっとおぞましい何かだ。5巻まで来るとさすがに肝も穴だらけです。毎回毎回ネタの絡ませ方が絶妙で、バカバカしい内容とは裏腹に感動を覚えてしまう。麻雀でヤルタ会談を再現とか、常人には一生掛かっても思いつけません。来年には同じ作者で『戦国ヤンキー』というマンガも出るそう。キンカン頭が「“敵”は“本能寺”に“在”りだよ……!?」と青筋立ててる姿を想像しちゃった。馬で爆走する伊達政宗はヤンキーというよりBASARAだな。

 ランク外だと、もはやオリジナルとは無関係のところで面白さを確立させており「これもそのうちアニメ化するんじゃないか」と思わせるFateスピンオフ第2期『プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!(1〜2)』、類稀な言語感覚に戦慄を余儀なくされるシリアスギャグ『アダチケイジ大全集The DRIFTERS(1)』、地球の存亡が掛かっているとはいえ基本的に「若返って友達をつくるだけ」のストーリーであるにも関わらず一向に読み飽きない『友達100人できるかな(2〜4)』、虐げられた者どものあえかな希望に噛み付き食い破り引き千切る「関所」を容赦なく描いた『狼の口(1〜2)』、傲岸且つ謙虚な天才のヒロインが当方の好きな我如古舞をいじめる格闘マンガ『鉄風(1〜3)』、あまりにも甘々しくて口から砂糖が精製されそうになる主従コメディ『妖狐×僕SS(1〜3)』、ヒロイン(?)である女装少年の魅惑的な可愛さだけですべてを賄える『プラナス・ガール(1〜3)』も良かったです。まとめ読みして面白かったのは『ながされて藍蘭島(1〜17)』『ベイビーステップ(1〜14)』『PSYREN(1〜14)』の3つ。こっそりオススメしたいエロマンガは『新婚さんごっこ』『めんくい!』『スカートのままで』『大輔くんの非実在美少女+』あたり。藤ますの2冊は絵柄が好みならマストバイ。「男でもいい!」という人には『アナルエンジェル』大プッシュだ。

・林トモアキの『ミスマルカ興国物語8』読んだー。

 衝撃のラストを迎えた前巻から半年、遂に第2部の幕が上がりました。表紙を務めるのは帝国三番姫ルナス。意図的なのかたまたまなのか、ポーズが1巻表紙のパリエルと似ているせいで、最初サムネイルを見たときは「暗黒面に目醒めたパリエルか?」と勘違いしてしまいました。大きい画像を眺めて「ああ。これルナスじゃん」とようやく判別できたわけです。ルナスは軍服のイメージが強かったせいか、鎧姿だといまいちピンと来ないんですよね。さておき、ミスマルカ第2部。なにぶん前巻が「衝撃のラスト」だったんで、今回のあらすじに関してはちょっとでも迂闊な書き方をすればたちまちネタバレになりかねない緊張感があります。辛うじて言えるのは、第2部からグッとシリアスな展開に入りますよ……と、まあそんな範囲じゃないかしら。読んでいて「ここでゼンラーマンが出てきたら何もかもブチ壊しだな」と危惧したものの、奴は最後まで鳴りを潜めていました。というか、あとがきで「第2部に奴の出番はない」的なことが言われていたり。多少のコメディ要素は残っているし、長谷部将軍が可愛すぎて噴いたりもしたのだが、根本的な部分でのハラハラしたムードは終始拭い去れない。先が気になって気になって仕方なく、一気呵成に読み切りました。7巻に比べて100ページ近くも少なくなっており、本を開く前は「この薄さ……大丈夫か?」と心配しましたけれど、不要なパートが一切なかったおかげで物足りなさを感じることもありませんでした。当然、次巻も大いに期待している。ちなみに今回で一番印象に残ったセリフは「そうだねクソメガネ。私が叩き割るまでそのレンズよく磨いときなよ」でした。林トモアキのキャラは本当にキレのイイ罵倒をするなぁ。デビュー作も確かヒロインが「吐いた唾ぁ飲めんぞ犬」とか言ってたし。

・拍手レス。

 ZEROのコミカライズは期待できそうですね。タイプムーンエースの予告漫画見るだけで安心できそう。
 再来月に『TABOO TATOO』の3巻も出ますし、これは真じろうに風が吹いてきてますな。

 FateZEROがメディアミックスされることを歓迎する気持ちがある一方、またセイバーボコボコにされるのか・・・と思うと少し憂鬱ですなぁ。staynightでも酷い目に遭ってた印象しか残らないのはどうしたものか・・・
 バトル系のヒロインは肉体的にも精神的にもボコられてナンボなところがありますからね……あんまり保護されていると受け手が冷めてしまって燃えなくなる。

 蘇る武者、と書いてあったから当初はあのキャラクターが出てくる予定だったんでしょうね。中身に関しては久しぶりのアララララギさん節で安心しました。
 よりによって蘇る武者が「拙者にときめいてもらうでござる!」「見せよう、奥義『妖刀沈毅』!」なキャラだったら今頃どうなっていたことか。


2010-12-28.

・榎本俊二の新刊『斬り介とジョニー四百九十九人斬り』が非常に爽快なブッ殺し漫画だったおかげで満悦している焼津です、こんばんは。

 ほとんどのページで生首が飛んでいます。実際に数えたわけではありませんが、それでも「こりゃ500人くらい死んでるだろうな、本気で」と納得してしまう超流血解体ショウダウン。刎ねた首を空中で分割する、『Dies irae』2章の首斬り魔みたいな真似も平気でやらかします。サイレント劇じゃありませんがセリフ数は極小、あっという間に読み終わるため、時間を視野に入れたコストパフォーマンスは板垣恵介並みとなっている。しかし、作者はこれを完成させるのに3年もの月日を費やしたそうです。なんと。ハッキリ言って狂っています。が、正気にては大業ならず。「鏖」の一文字を体現してやまぬ容赦なきスローターぶり、刮目して見るがいい。

髪型が変わるヒロインっていいよね(【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´))

 パッと頭に浮かんだのは神岸あかり、鳴風みなも、宮代花梨の3人だった。特に花梨は立ち絵の変化が豊富で強く印象に残ってますね。籠夏希奄美みかげについては変わる以前の前髪下ろしたキャラデザの方が好きです。ただ、前髪で目が隠れているデザインを見るたび堕花雨を思い出してしまって切なくなる。片山先生、『電波的な彼女』の新刊はまだですか……。

『水月 弐』、公式サイトオープン

 シナリオの「タカセシン」って高瀬伸のこと? エロゲーではなくギャルゲー畑の人だからよく知らないけど。あらすじに目を通したが「主人公が弓道部所属」ってところ以外は『水月』との相似を感じない。ヒロインたちが湖で水遊びしていたときに出会う、姉妹の名字が「天羽」、というところからして今回は天女の羽衣伝説でも題材にするのでしょうか。前作ファンが期待できる要素は今んとこ見つからないので様子見に徹したい。

・西尾維新の『傾物語』読んだー。

 “物語”シリーズの8冊目。シーズン2に入ってからだと2冊目に当たり、時系列上は『猫物語(白)』の後――じゃなくて、前です。『猫物語(白)』の冒頭に八九寺真宵が出現しましたけれど、あのシーンが『傾物語』ではラスト付近に相当している。で、あとがきによれば今回の幕切れから直接次の『花物語』に繋がっていくらしい。シーズン2は複数の出来事がほぼ同時進行する仕組みとなっており、感覚としては『街』『428』に近いものがあります。さて、『猫物語』同様『偽物語(下)』の巻末で予告されていた『傾物語』ですが、当時触れられたストーリーとはまったくの別物と化しています。鎧武者の亡霊が出没するとかどうとかいう話だったはずなのに、そんなものは影も形もありません。タイトルの「傾物」を解題する箇所も正直言って苦しいです。作中に出てくる時事ネタからしても相当ギリギリまで試行錯誤を重ねていたようであり、告知していた内容とだいぶ異なっていることを作者も素直に謝っている。そもそも告知を載せた『偽物語(下)』自体が『偽物語(上)』の巻末で打たれた予告とはズレる内容だったし、『猫物語』もいつの間にか黒と白の2巻構成になっていたし、「予告と違う」ことは“物語”シリーズにおいてさほど珍しいことではありません。確か『傷物語』も当初は書く予定なかったはず。“物語”シリーズの半分は予定外でできています。シーズン2に入ってから巻末予告があらすじはおろかキャッチコピーすら載せないえらくあっさりしたものに変わったけど、要するにそれぐらいタイトなスケジュールでつくってるんでしょうね。

 前巻が羽川翼の一人称だったので、今回もそれに倣って真宵の一人称になるのではないか……と予想していましたが、あっさりハズレ。何事もなかったかの如く阿良々木暦が語り手に復帰していました。この件に関しては作中でも言及されており、実は「真宵の一人称」も検討されたが、真宵視点で書くと阿良々木さんがロリリ木さんというかペドド木さんというか、とにかくリアル犯罪者臭くなってしまいそう――ってことで案を放棄したんだとか。いや、んなこと作中で触れるなよ。あとがきで述べろよ。相変わらず野放図にパロネタとメタネタを振り撒いています。『傾物語』の焦点となる八九寺真宵はロリ系(永遠の11歳)ということもあって鉄板人気を誇っており、今回のエピソードを心待ちにしていたファンも少なくないでしょう。が。残念なお知らせがあります。待望の「まよいキョンシー」を収録した『傾物語』、なんと八九寺真宵の出番はそんなに多くありません。否、ハッキリ言って少ないです。具体的に書けば真宵の登場シーンは全30章ある中で5章だけであり、シリーズ既読者に通じやすい言い方をしますと、「つきひフェニックス」の月火並みの扱い。いえ、ひょっとするとアレよりも……とにかく、大きな期待を寄せていた真宵スキーは消沈せぬよう気を確かに持ってください。しかも、追い討ちを掛けるようで何ですが、今回の真宵はかなり特殊な登場をしますから……阿良々木さんとの漫才めいた応酬は最後にちょっとあるくらいだったり。なかなか酷ですね。

 真宵の出番が少ない代わりに、と言ってはなんですが、ストーリーの方は面白くなっています。と言っても、『猫物語(白)』で見せた面白さとはまた違う。まったく違う。あれよりも更に賛否両論で議論が紛糾しそうな、そういう類の面白さ。「なんだかんだで“物語”シリーズは続けすぎだよなー、いい加減先が読めてしまうっつーか何つーか」とほざく不遜で不逞な読者をフルボッコにしてしまう。ボッコボコに叩きのめして餓狼伝説のギースやファイナルファイトのひょこひょこ飛びながらボウガン連射するラスボス爺みたくビルの外へ突き落とす。「いくら何でもやりすぎだろう」と言いたくなる冒険ぶりです。話運びが強引なんてレベルじゃありません。瓢箪からコンデ・コマが飛び出す。もはや超展開スレスレですよ。判定によっては「超展開そのもの」と見做されるかもしれん。この衝撃をどう表現すればいいものやら。予想と期待を両方いっぺんに裏切られたんだけど、「これはこれで」と肯定する気持ちがないこともなく。でもやっぱり自分が読みたかった『傾物語』はこれじゃない、って気持ちも否定し切れず。コレジャナイマヨイ。どうしようもなさに笑って笑って笑いながら評価に困る一作。まさに「100パーセント修羅で書かれた小説」だ。修羅といえばファルコを死に追いやった名もなき修羅の前髪パッツンな顔が未だに忘れられない。てかあいつフィギュア化されてんのかよ……仰天しました。

 シリーズ読者は心して、いやむしろ心しないでダルッダルに油断しまくりながら読んで「寝耳にガソリン、そして着火」な心地を味わって欲しい。面白かった。しかしこれを評価しない人の気持ちも、それはそれで分かる気がするのだから複雑な心境だ。(ネタバレ感想ここから→)ゾンビがうじゃうじゃ湧いてくるシーンで「『市オブザデッド』を早口に言うと『しのぶザデッド』に聞こえるな」などと益体もない思考が脳裏をよぎった。ゾンビの群れを文房具ウェポンで撃退するひたぎ無双な姿も想像した。当然背中は駿河が守っている。それにしても忍の出番が多すぎてベックラこいた。まさかここまで出ずっぱりとは。もうこれ半分くらいは『鬼物語』になっちゃってるよな、と思わんでもなく。「キスしよっか」「するわけないじゃろ!? なんで中三女子みたいな誘い方をする!?」の破壊力はマジぱないの。(←ネタバレ感想ここまで)

・拍手レス。

 season3辺りから相棒見てますが、最期の事件に衝撃を受け放心状態でした。CMから予想はつくわけですが。なのであっさり気味でもちょうどよかったですよー。
 相棒が途中から及川光博に代わっていたことすら知りませんでした。ゆっくり追っていこうと思います。

 榊一郎は『生産力』という点では突き抜けた作家だと思う。なんかもうネタのキーワード書いた紙を入れてボタン押したらポンッ、と新刊を吐き出してくれる、みたいな。まさしく工場のような作家だ。ラノベ作家を「芸術家」とか「文学者」ではなく「プロの製作者」として見た場合、この人ほど有難い存在はそういない気がする。
 ペンネームがある日突然「榊ファクトリー」に変わっても違和感のない作家ですね。来る仕事は断らない主義であんな物凄い量産状態(今年だけで4745ページ)になっているそうですが……。


2010-12-26.

・ドラマの方はまったく観てないのに『相棒-劇場版U-』を観に行った焼津です、こんばんは。

 おかげで人間関係はよく分からなかったけど、初見の割には楽しめる出来でした。警視庁で幹部たちを人質にした籠城事件が発生する、ってところに惹かれて足を運んだわけですが、籠城事件そのものは割合あっさりと終結します。疑問として浮上するのが、犯人の動機。事件を深く追及せず、さっさと片付けてしまおうとする幹部たちに不審を覚えた杉下右京があれこれと嗅ぎ回っていく。銃撃戦や爆破シーンはオマケ程度の盛り込みで、警察内の暗闘や陰謀を探るところがメインでした。予想よりもストイックで、かと言って地味にもなりすぎず、観ていて飽きが来なかった。最後がちょっと物足りない感じで終わったにせよ、「これまでの話を知らないと楽しめないのでは……」という不安は杞憂に終わりました。出演者のほとんどが男、という華のなさもむしろ評価したい。主役の右京さんが実にイイ味を出していたので、ドラマ版も是非観たい。しかしこれ、今やってるのがSeason9なんですか。量が多すぎてちょっと怯みますね。とりあえずPreSeasonとSeason1のDVDだけ買ってみることにしよう。

能力バトルで「これはすごい」と思った描写・発想(マテマチカ)

 イメージだけで全身の関節を増やす。あれはもう格闘なんて次元じゃなく、能力バトルの領域に達してるでしょう。描写で圧倒されるのはやっぱりDies。「シュライバーは必ず相手よりも速く動ける。故にもし相手が光速で動くなら、シュライバーは光速を超える」とか目が点になりましたよ。あと上遠野のブギーポップシリーズ。たまに説明が訳分からんこともあるけど、分からんなりに「すごい」と思わせるものがある。フェイルセイフなんか、普通に書いたら「ゲームの残機システムみたいなもの」で終わるのに、あえて「死を備蓄する」とか言い出す。「抜き取るのは生命ではなく死そのもの」と理屈を捏ねることで「死を操る能力」たるストレンジデイズへ繋げているあたりには感心しました。そしてJOJO系の能力バトルが好きな人には『ゾンビ屋れい子』がオススメ。最初はそんなでもないけれど、だんだん「特殊な能力を持ったゾンビを使役する」というスタンドバトルじみた展開に入っていき、しかも進行のペースがかなり早いので濃密に堪能することができます。「ゾンビ使いがゾンビになる」ところはさりげなくすごい。

もうバトル漫画に使えそうなネタがない件(やる速)

 別に同じようなネタを何度使っても構わないと思うんですよね、特にマイナーなものはどんどん忘却されていきますから。手垢が付いても時間が経てば自然に剥がれていくものです。奇を衒って無理に新しいネタとか創出してもなかなか根付かない。それはそれとして、お色気ラブコメで頻発するラッキースケベの数々はもはや超能力と捉えてもおかしくないレベルじゃないでしょうか。「朝勃ちしたチ○コが起こしに来てくれた女の子のパンツの隙間にたまたま偶然挟まる」なんてどう考えてもありえねぇよ、得体の知れないパワーが働いてなきゃ実現しえない。転んで胸に顔を突っ込んだり胸を揉みしだいたりする「ダウン・トゥ・バスト」、ミルクやクリームを相手の顔に向けて盛大にこぼす「フェイク・ブッカケ」、お風呂場付近で全裸の女性とかち合う「ネイキッド・ニア・バスルーム」など、現象に名称を付けるだけでなんとなくそれっぽく見えてくる。要は見せ方、視点の提示ではないか。と無理矢理まとめてみる。

エロゲ『水月』の続編『水月弐』がPS3にて発売決定(カオスな情報置場)

 『つよきす 3学期』に動揺しなかった当方もこれには驚愕。驚愕と言えばハルヒの新刊が5月に出るらしいですが、ともあれ水月2。ライターは聞いたこともない人で、仮に誰かの別名義だとしても『Garden』の瑠璃シナリオを執筆することに全身全霊傾けている(はずな)トノイケダイスケがまさか参加するわけはないだろうし、前作のキャラも全然出てこないみたいだから、せいぜいが『ONE2』止まりになりそうな予感。しかしなぜ今更『水月』なんだろう。発売されてからもう9年近く経ちますよ。ホワルバはTVアニメ化があったから分からなくもなかったが……もしかして水月もアニメ化企画進行中か?

狙撃手キャラで最強って誰だろうな(カゼタカ2ブログch)

 あんまり威力が大きいと狙撃ってより爆撃に近い感じになっちゃうし、無駄に距離空けるよりもファンネルみたく装置本体を遠隔操作して近付けてブッ放した方が確実な感じがするし、「狙撃で最強」ってなかなかイメージし辛い。「狙撃手」ではないけれど、過去に聞いてもっとも唖然としたアイデアは「地球の公転軌道を逆回りして約半年掛かりで狙撃」っつー奴。いくら何でも気が長すぎる。

・みそおでんの『ラッキーストライク!(1)』読んだー。

 略すとラキスト。どうしても語感から鷲宮のアレを連想してしまうが、中身に関してはまったくと言っていいほど共通点がない。せいぜい美少女たちが出てくる4コマ漫画、ってことが同じなくらい。タバコの方も関係ないです。そういえばタバコの擬人化ってあったっけ。きららコミックスの傾向に則り、本書も所謂「日常系美少女4コマ漫画」となっていますが、その一方で部活モノとしての側面も持っている。果たして「部活」とは具体的に何の部活なのか? 答えは「ボウリング部」です。ストライクはストライクでも、ピンを全部倒す方。というか、むしろ野球は空振りや見逃しをなぜストライク(打撃)って言うのだろう。ぐぐったら「審判が『なに空振り(見逃し)してんだよ、打てよ!』とバッターを叱咤している、つまり命令形」だそうな。さておき、『ラッキーストライク!』。美少女4コマでボウリング……なんというか、率直な印象を申せば「奇を衒ったキワモノ」の臭いを覚えた次第であります。いろんな方面であらかたパターンが出尽くしてしまったせいか、少しでも新鮮なネタを使おうと躍起になっているマンガが最近頓に多いなぁ、これもその一つだろう、と。読んでみて事前に抱いていた偏見はあっさり覆されましたが、それでも発売前に薦められていなければまず手を伸ばすことはなかっただろうと思います。剣は剣でも偏見はペンより厄介な代物だ。

 この手の部活4コマにありがちな、キャッキャウフフとヒロインたちの他愛もないじゃれ合いをただ漫然と垂れ流して「これもう部活関係なくね?」と疑問視させるようなマズい事態に陥ることもなく、キワモノめいた第一印象とは裏腹に真っ当きわまりない話運びで読者の興味を引っ張っていきます。開始時点ではズブの素人だった主人公が、地味な練習を重ね、少しずつ進歩していく過程をゆっくりと丁寧な調子で追う。当方は一度もボウリングをしたことがないせいで最初の1、2話は共感が持てず若干退屈でしたけれど、説明を咀嚼しているうちにだんだん雰囲気が飲み込めてきて、気づけば夢中になって貪り読んでいた。完全インドア志向である当方にほんの少しとはいえ「ボウリングやってみたいな……」と思わせるものがあったのだから、これは是非オススメしなければなるまい。デフォルメ絵も可愛く、4コマ特有の「コマの狭さ」を物ともしない賑々しさで楽しませてくれます。

 ボウリングの「感じ」を分かりやすく伝えてくれる、ってのが大きな魅力でありますが、無論ボウリングに興じるキャラクターたちも魅力がないわけじゃありません。勢い任せで調子に乗りやすい主人公は、なかなか自分が上手くならないことに焦れてもどかしくなったり落ち込んだりするものの、決定的に暗くなることはなく、根の明るさで読み手の心を寛がせてくれます。「気持ち良く目が通せる」というのは、きらら系だとやっぱり重要。個人的に好きなのはレイ先輩ですね。無表情、とまで行かないにせよ表情変化が乏しく、「冷静沈着なクール娘」の像を築いているようでいて実はプレッシャーに弱くて、緊張するとすぐにテンパって空回っちゃう。その残念さこそが乙である。ストーリー上の目標は一応「大会に参加して頑張る」という部活モノの定番を掲げているが、1巻の時点では大会に出ることはおろかまだマイボールすら手に入れていません。ちょっと進行スピードが遅めか? 中途半端なところで打ち切られやしないかとドキドキしたりしなかったり。ともあれ続刊に期待だ。ちなみに、今月ほとんど同じタイトルのマンガが出ていますので、くれぐれも混同なさいませぬようご注意を。

・拍手レス。

 DDD新刊、完全新作、月姫リメイク、月姫2(仮)、型月はいったい何年待たせるんだ…。正直まほよはどうでもいい。
 ガールズワークはいつの間にアニメ企画に化けたんだ……Fateから7年、月姫から10年が経つというのに、今現在基幹ゲームがこのふたつだけとは――なんて、こと。

 西澤保彦について、まだまだ手腕は衰えておらぬなーなどと感じていたので 感想が驚くほど同じで笑ってしまいました 次作は、調子を取り戻されたのでドロドロ系がきそうかな気が 
 本人はSF系もやりたいみたいですけれど、そろそろダーク系とパズラー系に絞ってもいい気がしてきたり。

 リアル正田がイケメンすぎてどうしてくれよう。
 そのうちB級映画できーやんと共演することになるのかも。


2010-12-21.

・なまにくATKのイラストに惹かれて『棺姫のチャイカ1』を発作的に買ってしまった焼津です、こんばんは。

 表紙イラストよりも特集ページ一番下の座射姿勢に惚れた。乱破師――簡単に言えば忍者みたいなもの――を養成する里で育った主人公が「そろそろ実戦投入される時期か」とワクテカしながら待機していたにも関わらず戦争終結。「狡兎死して走狗烹らる」とばかりに、所属していた乱破師集団は解散の憂き目に遭う。暗躍の場を失った主人公は以来働きもせずにひたすらゴロゴロする浪忍生活へ突入し、血の繋がらない妹(同じ里で育てられた乱破師)に養ってもらうヒモと化していたが、ある日大きな棺を担いだ異国の片言少女に出会って……と、「主人公がアイデンティティを喪失したニート」って点以外は割とベタベタなバトル系ファンタジーです。ファンタジーなのに銃っぽい武器が出てくるのは榊一郎が作者なんだからおかしくありません。この人は確かデビュー作でも竜殺しのライフルか何かを出していたな。

 ライトノベル界でも上位に入るレベルの量産作家だけあって文章は非常に書き殴りっぽいが、異常なほど書き慣れた筆致でもあるため、物足りないところはあるにせよ途轍もなく読みやすい。「作品の雰囲気に合ったテキストを選び、それを終始一貫させる」ことに関しては瞠目に値する技量を持っています。反面、話の展開は単純というか意外性が少なく、どうにも先が読めてしまう難点を抱えている。とはいえ、まだ始まったばかりのシリーズだし、ストーリーが盛り上がっていくのはこれからだ……と期待するべきか。あとがきで書いている通り“スクラップド・プリンセス”を思い出させる箇所があちこちに点在しているが、あれとはまた違ったゴールを目指してくれそうな予感がする。榊一郎作品は久々だったけど予想していたよりも楽しめました。ちなみにタイトルは「ひつぎひめのチャイカ」ではなく「ひつぎのチャイカ」と読みます。つい『棺担ぎのチャイカ』と間違えそうになる読者は当方だけじゃないと信じております。

虚淵玄『FATE/ZERO』アニメ化決定!(やらおん!)

 「まほよ出る気配全然ねぇし、来年はZEROでもアニメ化してお茶濁すんじゃないかなぁ」と思っていたら実現して驚いた。更にZEROのコミカライズを手掛ける人が『TABOO TATTOO』の真じろうで二重に驚いた。散々「作品がFateっぽい」と言われてきた漫画家だから違和感ないどころかこれ以上ないほどの適役ですが。しかし虚淵玄もどんどんアニメ畑の方に足場を移して行ってますね。個人的には『鬼哭街』の劇場版が観たいんですが何とかなりませんか御大。

・西澤保彦の『幻視時代』読了。

 タイトルと表紙イラストから奇想横溢する混沌のファンタスティック・ミステリかと思いきや、「死んだはずの少女が佇む写真……彼女は幽霊なのか?」という、予想外にフックが地味な作品でした。西澤保彦と言えばSF設定とミステリ要素を融合させた諸作品(『七回死んだ男』『人格転移の殺人』『瞬間移動死体』『念力密室!』など)が有名ですけれど、“タックとタカチ”シリーズみたいな普通の現代モノも割とあります。『幻視時代』がどちらに属するかは、ネタバレを避けるためにも内緒にしておこう。また、西澤作品は比較的ノリの軽い小説と、雰囲気が重くていささかダークなムードさえ漂う小説とに分かれる傾向があり、前者はたとえばひたすらビールを飲みながら推理するだけの『麦酒の家の冒険』や「超能力者問題秘密対策委員会」の活躍を描く“チョーモンイン”シリーズなんかが該当しますし、後者も意外と多いっつーか、西澤はダークな内容を盛り込むのが結構好きみたいで、“チョーモンイン”シリーズにも『夢幻巡礼』というややノワール掛かった番外編があります。「黒西澤」を受け容れられるかどうかで西澤保彦の評価はまるっきり変わる、と言っても構いません。個人的に好きなのは『黄金色の祈り』ですね。最高の嫌青春ミステリです。ファンの間では評価が低い『殺意の集う夜』も気に入っているが、あれはバカダークというかバカブラックというか、笑える方向に黒いので分類に困るところだ。

 前述した通り、『幻視時代』は一枚の「心霊写真」を軸に据えて展開する。まったくの偶然から目にすることとなった一枚の写真。それは18年前、地震が発生した際にたまたま取られたもので、主人公と、倒れてきた石灯籠に押し潰されている主人公の恩師(この怪我がもとで亡くなる)、加えて母校の制服を纏った少女の姿が撮られていた。しかしその少女は、地震が起こる4年も前に死んでいるはずで……と、プロローグで大まかな状況を説明した後、物語は過去――主人公の青春時代に遡っていく。『黄金色の祈り』同様、歳を取った主人公が己の若い頃を振り返るノスタルジー押しの小説となっておりますが、当時の社会情勢などに言及するあたりが直截的すぎて風情に欠くか。青春モノとしてはちょっと弱いけれど、極力無駄話を避けて要点を絞った内容にしているため、サクサクとダレることなく読み進められる。現役女子高生作家としてデビューした少女の、突然すぎる死。その謎が解けないまま浮き上がってきた心霊写真問題。長い年月を経て、ようやく真相に辿り着いた主人公の覚える苦味。一応フォローも入るので、終始救いがなかった『黄金色の祈り』よりマイルドな舌触りになっているけれど、それでもビターな読後感が残ることに変わりはない。今回はダークさ控え目で、提示された情報が収まるべきところにピタッと収まるパズルじみた要素が見所。バラ撒かれた伏線が丁寧に回収されていく様子を眺めてウットリすることができるタイプの人にオススメしたい。キレのある一冊です。

 量産の反動か、年々作品のクオリティが下がってきて、特に“チョーモンイン”シリーズなんかはマンネリのひどさに失望して読むのをやめてしまったほどだけど、まだまだ西澤の腕は健在だな、と再確認させてくれました。ただ佳品であるにせよ、新たな代表作に選びたくなるくらい図抜けて傑出しているわけもでなく、従って派手派手しく称揚するに足る出来映えではないが、「最近の西澤はイマイチ」と見限りかけている人、「短くキリ良くまとまっているミステリが読みたい」と欲している方には是非リンクを踏んでもらいたい。去年の新刊『身代わり』で久々に“タックとタカチ”シリーズも再始動したみたいだし、この調子でどんどん巻き返していってくれることを望む。

・拍手レス。

 琴乃の劔冑も発売されましたね〜。村○も何かの形でゲームに出てきて欲しいですね
 ああいう判型が大きくて字の小さい本は読みづらい……目が疲れていないときにチャレンジしようと思います。

 胃潰瘍でリアル吐血しました。2週間の入院生活で本屋に行けないことが、新たなストレスに…
 amazonとかのカゴを利用して擬似ショッピングに耽りましょう。何はともあれ養生してくださいまし。


2010-12-18.

・昨日更新を済ませたばかりなのでしばらくサボるつもりでしたが、見逃せない情報群が入ってきたので連続更新に踏み切った焼津です、こんばんは。

light、正田崇&Gユウスケの新作ともう一個の新作に関するティザーサイトを公開

 遂に来ました。正田の方は『神咒神威神楽』、「かじりかむいかぐら」と読む。公式略称は「KKK」……でいいんだろうか。せめて「3K」か「かじかむ」くらいにした方がいい気もする。

 さておき、「まつろわぬ化外の」という言い回しに胸が高鳴りました。「まつろう」は漢字だと「服う」や「順う」と書きまして、服従する、恭順する、支配を受け容れるという意味になる。その否定である「まつろわぬ」は当然「服従しない、恭順しない、支配を受け容れない」ってことになります。何に対して服従しないのかと申せば、概ね「時の朝廷に対して」です。「土蜘蛛」は妖怪の一種にも分類されますが、もともとは反抗的な勢力を人間扱いしないで指す言葉。他にも「蝦夷」や「熊襲」などといった名称があり、これらを総称して「まつろわぬ民」と呼び、彼らは支配を受け容れて統治された「化内の民」とは反対の「化外の民」でもありますから、繋げると「まつろわぬ化外の」という語句になります。つまり「まつろわぬ化外の国」は「服従せず(朝廷の)支配が及ばない国」って意味で、歴史要素とともにある程度民俗学要素が混じってくるものと推測される。聞いた話では化け物討伐が主眼になるとか。要するに主人公は大和側? ヤマトタケルだったら「焼津」の挿話が来るかもしれない。発売時期は来年の夏を目指す模様で、すごく楽しみだ。

 もう一個の新作は『Vermilion Bind of Blood』、これが件の吸血鬼モノみたいです。「Vermilion(ヴァーミリオン)」は赤系統の色で、日本だと朱色が近い。そういやねこねこソフトに『朱』ってありましたね。lightにも『紅』ってのがありましたが。「霧の街角」というとロンドンを連想しますが、ドラキュラとか出てくるのかな。しかも『ドラキュラ紀元』みたいな世界だったりして。原画は泉まひるで、ライターは昏式龍也……? まったく見覚えがありませんしぐぐっても引っ掛からないから新人、あるいは既存ライターの別名義でしょうか。今のところ判断材料が少ないので、しばらく様子見に徹したい。

C79 ビジュアルアーツ特設サイトに『末期、少女病』のサントラ情報

 噂だけはずっと前から囁かれていましたけど、やっと公式情報が来ました。原画はくらすけ、発売は2011年予定とのこと。依然として断片的な情報に留まっており、喜ぶにはまだ早い。まだ早いのだが、我々は8年も待ったのだ。涙を流して歓喜せずにはいられない。原画が貴森裕友から変更になったのは残念だけど、シナリオがおろちのままなら耐えられる。タイトルがそのままってのも嬉しい。とにかく続報が待ち望まれる。

・拍手レス。

 ついに正田崇の新作の告知が来ましたね。ディエスの禊ぎも済んだことだし、これが正念場なんですが不安が先に立ってしまうのが困ります。
 不安を飼い慣らして待つより他なし。


2010-12-17.

・「ひょっとしたら面白いのではないか」と万馬券を買うような気持ちで手に取った『KAGEROU』――結果はごらんの有様。まさしく微かな期待が一夜限りの蜉蝣となって飛び去っていった焼津です、こんばんは。

 感想は特になし。同じ「カゲロウ」なら『マルス・ブルー』の方をオススメ致します。「月がとっても青いから」のメロディが隔たれた男たちの思い出を結ぶクライマックスに痺れました。成虫となった蜉蝣に餌を食べて消化する機能はなく、飛び立つその日までに蓄えたなけなしの燃料だけで目的を果たすしかない。己と愛機をそんな儚い存在に擬えながら「遠まわりして帰ろう」と口ずさむ心境は如何なるものか。読み終えて時間が経つにつれ、永々と染み渡ってくる滋味があります。

・逢空万太の『深山さんちのベルテイン』読んだー。

 笑いながらサミング。

 比較的どうでもいい小ネタに噎せるほど笑ってしまいました。『這いよれ!ニャル子さん』で話題の著者が送る新シリーズです。ニャル子さんの新刊も同時刊行されています。作者曰く「女の子予備軍」の、もっと平たく書けば「男の娘」に相当する女装癖を持った少年・深山琥太郎が主役を務めている。髪型がツインテールで、主人公のことが好きなんだけどいまいち素直になれない、所謂「ツンデレ」気質の幼馴染みなんかも登場しますが、堂々たるメインヒロインの座を掴んだのは電動侍女型機械人形、詰まるところのメイドロボである「ベル」ことEMA初号機ベルテインであります。「〜であります、〜であります」と語尾を二回繰り返す話し方がベルさんの特徴なんで「真似してみようか」と一瞬魔が差しかけましたが、閲覧する方々がウザがるだろうと直観して自粛しました。実際、ベルさんのセリフもほぼ毎回繰り返しが入るせいで、ときたまウザったく感じられることがあります。でも慣れた。でも慣れたのです、そんなことには。慣れると却って病みつきになりますね、これ。変身時の「キャストアウェイであります! キャストアウェイであります!」が可愛い。髭面のトム・ハンクスが脳裏をよぎるという難点もありますけど。

 全体のページ数は280ページほどですが、章分けが細かく、総計27個のパートで構成されています。そのため読み口は『僕は友達が少ない』みたいな、4コマ漫画っぽいというか連作形式のショート・コミックをそのままノベライズしたかのような塩梅となっている。ブツ切りのエピソードを延々と読まされ続けるわけで、ストーリーに一貫した流れを求める人には辛いかもしれません。時間を取ってダーッと一気に目を通す、みたいな速攻スタイルの読書には向かない感じ。反面、何遍か読むのを中断してもスッと再開しやすい性質を有しており、あまりまとまった時間がなくて「ひと口サイズの読書」を欲している方にはむしろうってつけでしょう。若干繋がっている部分はあるにせよ、それぞれのエピソードはバラバラに味わっても差し支えないくらいに独立しており、ちょっと前の展開を忘れても平気で読み進められます。なんという気楽さ。また、作者が逢空万太だけに、上記した「笑いながらサミング」の如き小ネタは随所でふんだんに盛り込まれているものの、這いニャルに比べればパロディ要素はおとなしい印象を受けます。当方がパロだと気づいていないネタが大量に伏在している、ってオチなのやもしれませんけど、這いニャルのパロディラッシュにいささか辟易気味の身としてはこれぐらいが丁度良くて寛げた。「優しい世界」を意識して書いてるとあって変にブラックなところもなく、またベルさんも可愛いので大いに気に入りました。「女の子になりたい」と願っている主人公と、そんな彼を正真正銘の男に戻そうと企むヒロイン勢――というのが本シリーズにおける大雑把な構図であり、いつもはマスコットじみたコンサバフォームで活動しているベルさんが「キャストアウェイであります! キャストアウェイであります!」と変身するやお色気ムンムンのセクスドフォームになり、主人公の貞操をガチで狙うあたりはエロとして露骨すぎる気もするが、万太だから仕方ない。這いニャルの方もだいたいこんなノリだし。

 さて、ありますあります口調が可愛いベルさんは「レンコンが好物」と設定されており、作中でもちょくちょくレンコンに対する異様なほどの執着心をアピールします。「好きな食べ物」を強調する演出でキャラ立てを行う、という手法はこの業界においてもはや定跡と言っていい代物であり、正直「またかよ」と思わないでもない。だがベルさんメッチャ可愛いので許す。平然とレンコン尽くしのディナーを配膳するベルさんや、そんなベルさんのためにレンコン料理を用意してあげる主人公に当方のハートがわななく。あざといなさすが逢空万太アザトース。もしベルさんが変身して武装することになったら、メインアームは確実にリボルバーでしょう。輪胴(シリンダー)がレンコンに似てますので。「ファニングでありますよ、ファニングでありますよ」と連射するPEACE MAKERな姿を想像すると和む。とはいえ、このシリーズには唐突なバトル展開とか、人気アンケートの順位が怪しくなってきて急遽梃入れを始めたジャンプ漫画みたいな真似はしてほしくないので、そもそも武装する必要のない話が続くことを祈っております。量産型がわらわら出てきて「EMAシリーズ……完成していたのでありますか、完成していたのでありますか」とか、そういうの要りませんからマジで。

 ジェンダー面での目立った進展はないまま終わるため、男の娘モノとしては掘り下げが微妙な線ですけれど、新参の読者にも「お前初めてか万太は? 肩の力抜けよ」と囁きかけるかのような配慮が施されており、「ゆるふわ」を謳った日常コメディとしてはなかなかの仕上がりで、心行くまで楽しませてくれます。主人公に魅了されて「当たり前だ! あんなかわいい奴が女なわけないだろ!」と口走ってしまう男キャラはいるにせよ、間違っても掘ったり掘られたり頭狂おちんちんランドが開園したりエレクチオニカルパレードが催されたりすることはありません。ご安心を。そういうのがお望みだってんなら素直に『アナルエンジェル』でも読みましょう。

・拍手レス。

 日下部太郎がラストカットにいない事を、どうしようも無い事ながら「ぐぬぬ・・・」と唸ってから結構あのキャラ(と花子)が好きだったんだなーと思わされました。あー、だれかさみだれの地球破壊による時間改変verのIfさみだれとか書いてくれねえかなーとか作者の巻頭コメントを無碍にしてみる。
 さみだれがハリウッド映画になったら2012みたいな地球破壊シーンを絶対に入れるだろうな。問題は誰が面白黒人枠に入るかですが……意表を衝いてさみだれが選ばれたりとか。それだとバディ物になりそう。

 さみだれ読んだ。素晴らしすぎる。あの感動を表せるほど言語力が無い事が悔しいけど、同時に俺ごときでは表せないというのも嬉しかったりする。ん?もそうですが茶巾も中々酷かったw
 茶巾が許されるのは小学生まで。夕日はパッと見ヘタレっぽい割になかなか外道だと思う。

 なんとなく日下部太郎の死が浮いてるような印象を感じてましたけど、考えてみれば半月に師匠にと案外散っていった人も多いんですね、獣の騎士団。そしてとある感想サイトの感想を読んでようやく師匠とアノニムの関連に気が付き、師匠の生涯に改めて震撼せずにいられなくなった。
 「ああ、これは退場者が出るマンガなんだ」と知って目が覚めた心地になったあの日が懐かしい。

 例の都条例改正法案が成立してしまいましたが、正直、来年の七月にどれだけの漫画やアニメが規制の対象とされてしまうんだろうと心配です。好きな漫画やアニメが法律で販売禁止にされてしまったら、これほど悲しいことはありません・・・。とりあえず、反対派として頑張ってくれた議員さんにお礼のメールを送って、法案反対の署名に名前を書こうかなと思います・・・。
 業界に百害を与えて一利でも得られるかのどうか。規制する側さえ「本当に効果がある」とは信じていないような口振りで笑えない。


2010-12-12.

『惑星のさみだれ』が期待通りに素晴らしい幕引きをしてくれて満悦状態の焼津です、こんばんは。

 勿体無くて読むのを先延ばしにしていましたが、さすがに我慢できなくなって「ちょっとだけ」のつもりで手を伸ばし、気がつけばスッカリ貪り尽くしていた。魔法使いとの戦いは事実上9巻でほぼ終わっており、10巻はいよいよシリーズの核心となる「あの要素」を消化しに掛かります。この展開は予想通り、という以前に1巻の頃から告知されていた既定路線であり、避けては通れないと申しますか、むしろ避けて通ったらグダグダになって「積み上げたものが全部パアだよ!」と嘆いちゃうところでしたが、手抜かりなし。同月刊行された『戦国妖狐』の最新刊もなかなか気合の入った内容だったが、あれよりも更に桁違いの熱量が詰め込まれていて圧倒されることしきり。「物語が終わった後も人生は続く」「というか物語なんて人生の一部分に過ぎない」って見方をするあたりは実に当方好みであり、グッと来ました。最初に目にしたときは「何この題名、全然ピンと来ないんですけど」だったけど、読み終わってみればこれほどしっくりと馴染むものはない。無用な引き伸ばしもなく、理想的なエンディングを迎えたと思います。後半の少々インフレ気味なバトルも、シチュと絡めてうまく楽しませてくれましたし。あの人とあの人がアレになったのはマジで「ん?」でしたけども。ちょっと前に届いたアワーズの全プレ小冊子も、短いとはいえ作者本人の手による番外編が載っていて美味しかったです。ゲスト寄稿は内藤泰弘の見開きがカッコ良かった。いずれ時間をおいて1巻から最終巻までまとめ読みしたい。打ち明けますと、東雲半月あたりはもうだいぶうろ覚えになってきてるんですよね……途中退場してしまったキャラを懐かしみつつ、その活躍を堪能することができるのも再読の喜びと言えましょう。

エロゲーにエロは要らない←は?(やる速)

 今はそうでもないが、昔はいたる絵でもヌけました。というか、いたる絵でヌけるような嗜好だったからこそ『ONE』『Kanon』に手を伸ばしたのだとも言えます。最近のエロゲーはCGもテキストも随分と濃厚になり、サービスシーンが増え、声優の演技力(艶技力)もかなり向上したせいで若干エロが過剰気味と申しますか、「ここまで必死じゃなくていいよ」と思ったりもする。ただ歳を取って枯れてきているだけかもしれませんが……あ、でも『装甲悪鬼村正』には「もっと必死になれよ! なんで肝心なトコを飛ばすんだよ!」とビキビキして怒鳴りました。なまじなまにく絵がたまらないだけにあのスルーっぷりはヒドい。『俺たちに翼はない』だと逆にシナリオの王雀孫は案外頑張っているけれど、原画が西又なので萎えるというか勃ち切らない。結局ヒロインが一度もセックスしなかった『漆黒のシャルノス』は残念に感じる反面、ホッとするところもあったり。何にせよ、当方が行ける範囲はせいぜいエロ軽視論までで、エロ不要論にまでは走れませんね。エロさの度合いはどうあれ、「ヤることはヤっている」方が自然に思えて安心します。

・上栖綴人の『はぐれ勇者の鬼畜美学』読んだー。

 「鬼畜美学」と書いて「エステティカ」と読ませる。Aesthetics、ラテン語で「美学」を意味するんだそうな。表紙のエロさに惹かれて買おうかどうか迷っていたらいつの間にか打ち切られていた『ギブあっぷ!』の作者による新シリーズであり、デビュー作『彼女は眼鏡HOLIC』から数えて3番目のシリーズ作品に当たります。『ギブあっぷ!』も『彼女は眼鏡HOLIC』も3冊打ち切りでしたが、『はぐれ勇者の鬼畜美学』は3冊目に至った現在もまだ話が続いている(ライトノベルは「完結」とか「最終巻」とかキチンとアナウンスしないこともちょくちょくあるので、続いてるか打ち切られたかの見極めが難しい。たとえば『くりぽと』4巻で打ち切りだけど、公式サイトからは読み取れませぬ)ようであり、どうにか打ち切りの呪縛から逃れられた模様。奥付によると当方が読んだ分は2刷で、しかも発売月に増刷されたみたいですから、結構売れているのかもしれません。

 日本から召喚され、剣と魔法の異世界「アレイザード」にて「はぐれ勇者」となり、魔王を斃して日本に帰還した少年・凰沢暁月――彼はアレイザードから連れ出してきた魔王の娘・ミュウを己の妹と偽り、異世界より帰還を果たした少年少女のみで構成される国際教育機関「BABEL」へ共に通うが……といった、言わば「強くてニューゲーム」風の学園ファンタジーノベルです。「魔王を斃した後の勇者」を題材に取る試み自体はそれほど珍しくなく、やったことないけど『勇者死す。』なんてのもありますし、最近のライトノベルでも魔王を斃して異世界を救った主人公が同じような境遇の若者たちと学園生活を送る『ぷれいぶっ!』というシリーズがある。あっちは「主人公が学内最弱」って設定を活かしたコメディ作品でしたけど、こっちは主人公が最強……とまで行かなくても「真の勇者」と呼ばれるくらいで、「これでもパワー抑えてるんだぜ」的なアピールが頻出し、非常に俺TUEEEEEE!なムードが漂っています。エロゲーで言えば朝霧海斗。書き方次第では地獄のミサワっぽくなったかもしれない。基本的にノリは軽めでコメディ調ではありますが、ヒロインが「斃した魔王の娘」である以上、主人公は「仇」という立場から逃れられず、ちょっぴりシリアスなところもあったりなかったり。チラッと殺意を向けるシーンはあるにせよ、ガチに険悪な事態を招くことはなく、読んでいて胃が痛くなることはありませんので「重たいのはちょっと……」という人も安心して読めば宜しいです。それにしても魔王の娘は体つきがエロすぎる。なのに一人称は「ボク」と来たもんだ。

 主人公の師匠に当たる人物(というより神仏?)が亀仙人並みのエロジジイだったらしく、その影響あってか主人公も女の子に対するセクハラ行為は積極的で、ワイルドかつオープンなスケベ野郎と化しています。ただし『デビル17』みたいな本気でヤっちゃう展開はなく、せいぜいがお漏らしプレイ止まりで、タイトルの「鬼畜」という部分に期待を掛けるとガッカリするでしょう。当方も、もっとこう、ダーク・シュナイダー級の女好きだろうと思って読み始めたので、いささか肩透かしを食らった気分に陥りました。「近頃のライトノベル主人公にしては」積極的というレベルであって、伝奇バイオレンス全盛期の作品に比べるとおとなしい。2巻以降は激しくなるのだろうか? 主人公が活躍したシーンの後で生徒会の連中が「あの程度なら珍しくないよ」「そんなに大した奴とも思えないけど」と嘯くあたりなど、今後のインフレ展開を予感させてくれてワクワクする。とりあえず、3巻まで読んでみようかと。過去作に手を伸ばすかどうかはそれから考えるとします。

・拍手レス。

 どう読んでいいのか分からないヒドイ名前といえば、ぶっちぎりで「光宙(ぴかちゅー)」。これはもう訴えていいレベルだと思う。というか都市伝説じゃなく実在するのかね、この名前。もし本当にいるなら、親も受理した役所も正気と思えん。
 いずれ「光宙など我ら珍ネーム四天王の中ではもっとも小物……」「次はこの鉄路丸(れいるがん)が相手してくれるわ」な時代が訪れるやもしれませぬ。

 BLEACH地獄編、幾ら客層が『腐』の付く人達ばかりとはいえああいった腐りかたは求められていないと思います。
 『腐り姫』とかの方の「腐」ですねアレは。

 さみだれ小冊子が既に届いてる…………だと? あれー? あ、尻のまロさには存分に萌ヒャハァッしてきました。ありがとうございます。
 正確な時期は忘れましたが先週にはもう届いてましたね。さみだれのよりも先に応募した乙ひよりの小冊子は未だに届きませんが……。


2010-12-09.

・原作は11巻くらいで読むのやめてしまったが、最近ちょくちょくネタを見掛けるから「劇場版くらいは観とこうかな」と軽い気持ちで足を運んだ『BLEACH 地獄篇』、見事に周りの座席が女性客ばかりで居たたまれなかった焼津です、こんばんは。

 中には制服着た子もいたし……映画館であれほど強い場違い感を覚えたのはアニメ版『時をかける少女』観に行ったとき以来でした。映画本編の感想は、地獄の亡者たち総軍と死神勢が全力でぶつかり合うような内容を想像していただけに「思ったよりスケールの小さい話でガッカリ」ってところですが、特典の小冊子は割と良かった。原作既刊のストーリーを要約してくれているところが特に。尸魂界(ソウルソサエティ)に行った以降の展開って全然知らなかったので、ごく簡単な解説とはいえ大まかな筋が掴めてありがたかった。しかし、50巻近くも費やした末に進めたストーリーがあれだけなのですか、ブリーチ……ジャンプ本誌ではやっと新展開に入ったみたいですし、映画の影響でちょっと興味が再燃しましたけど、冊数を考えるともう一度着手する気力は湧いてこないな。久保帯人の絵柄や随所に漂うポエミーなムードは嫌いじゃないから、機会があればまた読んでみたいってのも嘘ではないんですが。ブリーチ終わって新シリーズが始まったら手を伸ばすかもしれません。いつになるか分かりませんし、そもそもブリーチの後に新作出すつもりがあるのかどうかも知らないけれど。

スボーツ漫画にありがちなこと(ガラパゴス速報)

 スレタイは原文ママ。ありがちなことで、ずっと引っ掛かりを覚えているのは「最初の方で『こいつ、アマチュアなのにすげえ!』とプロを圧倒していた主人公が、いざプロ編に入ると『井の中の蛙だった……やっぱりプロは違う!』と痛感する展開」です。スポーツ漫画や格闘漫画はある程度ハッタリで魅せないと読者を惹き付けられないってことは分かってますが、安易にハッタリを利かせたせいでだんだん辻褄が合わなくなっていく様子を見るとなんだかアンニュイな気持ちに陥る。パワーバランスの取り方は、この手の漫画が抱える永遠の命題だと思います。

子供の名前:男の子トップ「蓮」、女の子は「結愛」 伝統回帰の兆しも

 もちろん『Dies irae』を連想し「永劫回帰」と見間違えかけましたがどうということはない。「蓮」は割と人気があるみたいで、去年や一昨年も二位とか三位とかでしたね。女の子の名前がエロゲーヒロインみたいなんばっかり、とも言われてますけれど、それだけエロゲーが「可読性高くて親しみが持てて何より可愛いイメージが湧く名前」をヒロインに付けようと腐心しているってことなんじゃないかしら。とにかく読める名前ならまだいいですよ。最近はどう読むのか聞き返したくなる名前が多くて困る。あと男女の判別が難しい。少し前にも親戚の子で気まずい思いをしましたよ。読み方から完全に女の子だと信じ込んでいたのに、まさかの男の子だった……。

・ここ数日読んだ中で面白かった本を一冊挙げるとすれば六塚光の『墜落世界のハイダイバー2』

 相変わらず「乾いている」と言っていいくらいの淡々たる筆致で、ライトノベルに情感を求める人にはオススメしがたい(日本からやってきた主人公たちが易々と殺人に手を染め、しかも大して罪悪感を抱かなかったりする)が、「異世界の設定を飲み込んでもらうための慣らし運転」といった趣だった前巻に対し、より深く足を踏み入れた内容で面白さのゲージを跳ね上げています。特に引導力を利用してソールド(サーフボードみたいな形状をした金属の塊)をぶつけ合う戦闘シーンは、こちらが設定に慣れたせいもあってか一層イメージしやすくなっている。ソールドを操作しつつ自分自身も引導力で墜落移動する、という立体的な組み立てのバトルが厨二ソウルをくすぐってやまない。「相手が全力で墜ち続けているとき、ソールドで追いかけても致命傷を与えられない、だから相手の墜ちるポイントを予測して先回りすることが重要になる」など、位置取りをメインに置いた空中戦描写が熱いです。展開もますますダークさを増していき、続きがとても楽しみ。それにしても幼馴染みの扱いがヒデェですな、このシリーズ。吊るし上げられて失禁したまま放置されるとか、仮にもラノベヒロインたる者の受ける仕打ちじゃないよ。

・拍手レス。

 惑星のさみだれの小冊子が届きました。作者による書き下ろし漫画もよかったですが、ゲスト作家の方が描かれた、風巻・白道のカップル漫画も素晴らしかったです。最終巻発売直後に配送されたのも熱が冷めやらぬ内に、という感じで最高でした。 この漫画は、かっこいい大人のあり方を少年・少女に示すというモチーフをひしひしとかんじさせる少年漫画の王道に値する作品だと思います。
 性格の捻じ曲がっていた主人公が周りからの助けを受けてちゃんと成長していき、真の忠義者となる姿に心濡らすばかり。説教臭くない筆致で「冒険の先に人生がある」ことを謳った無上の少年漫画です。


2010-12-06.

・さして興味を抱いてなかったアニメであるところの『30歳の保健体育』ですが、ふと目にしたヒロインの安藤なつが激マブ(明白に死語)すぎて狼狽えている焼津です、こんばんは。

 30歳処女がこんなに可愛いキャラデザで許されるのかよ……法律違反だろ、どこか取り締まれよ。自分自身リアルに三十路が近いせいか、最近「嫁き遅れ」という言葉を聞くとやけに興奮する厄介な体質になってしまいました。「みそじのさあやはいきおくれ」なんてタイトルを見ているだけで涎が出ます。ともあれ『30歳の保健体育』、俄然注目度UPだ。それにしても「安藤なつ」って……『あんどーなつ』と被らない? あと『JIN―仁』にも「安道名津」が出てきたっけ。

light、冬コミの委託販売情報に『Dies iraeヴィジュアルファンブック「赤本」』

 コミケで先行販売した後、1月7日からオフィシャル通販で受注開始して、一般分の発売は1月28日になる模様。描き下ろしイラストもあるらしいのでGユウスケファンなら見逃せませんな。また来年リリース予定の最新作2作のヴィジュアルも収録するとのこと。片方はGユウスケと正田崇の新作として、もう一方は「ヴァンパイアをモチーフにした伝奇もの」だろうか? そっちはライターが誰かもまだ分かっておらず、今は特に期待していない段階だが、ヴィジュアルが見れるってんなら嬉しい。最終的に買うかどうかは別としても、エロゲーの第一印象はヴィジュアルで決まりますからね。イイ絵が拝めるよう祈っておきます。

「水」を「幼女のおしっこ」に変えると神々しい(VIPPERな俺)

 なにこのトノイケダイスケが超光速で馳せ参じて来そうな異空間。ある言葉を別の言葉に置き換える系統のスレにおいても特に気が狂っています。「幼女のおしっこも滴るいい男」には戦慄した。ちなみにスコールという乳性炭酸飲料がありますが、いわゆる「スカトロ」の語源である言葉もカタカナで表記すると同じ「スコール」になりますので、「愛のスコール」というキャッチコピーが妙に意味深に思えたり。

『紅 kure-nai(6)』読んだら迂回したはずのギロチン編に突入していて驚いた。

 原作ではちょっとだけしか面識のなかった斬彦が、漫画版ではだいぶ親しくなっているせいか、大まかな流れは原作と一緒でもところどころ言動のニュアンスが変わってますね。絶奈が前倒しで登場してきたりと、ストーリーも微妙に変更点を加えられているので、次巻が素直に楽しみ。それにしても表紙の絶奈たん、エロ怖くて素敵。表紙を剥いだ本体の斬彦絵も良い。ただこの漫画、読めば読むほど原作の再開が待ち遠しくなるところが辛い。何度も書きますが、当方は片山憲太郎の文章が好きなんですよ……いまひとつストーリーに感心できなかった『電波的な彼女』を1冊で見切らず読み続けたのも、ひとえに片山の紡ぐ文章に魅力があったからこそ。切に復活を望むばかり。

・拍手レス。

 えっ北森鴻氏亡くなっていたとはアンテナ低すぎた うわー好きだったのにショックです 封印再度(WHO INSIDE)は完璧ですよね
 はい、『うさぎ幻化行』が最後の長編で、『暁英』は絶筆です。無念。

 ノノノノがこんな中途半端なところで終わるなんて思ってもみませんでした……。YJはキングダムとか面白いの多いけどショックです。黄金期が終わる予兆にならなければいいんですが……
 作者も本意ではないそうですから、売上低迷による打ち切りでしょうか。もうアナルショップ皇帝のご尊顔を拝謁賜ることができないだなんて……。

 傾物語の発売日が十二月の二十四日に決定したそうですが、猫物語(白)よりも発売日が早くて大丈夫なんだろうかと心配です。発売日が延期にならないと良いのですけれど・・・。
 この時期は年末進行が重なるから大変でしょうね。正直、出るか出ないか五分五分の感触。

 今さらですが修羅場まとめサイトで「沃野」読みました。胃がキリキリするようなヤバいSSですた。それから泥(なずみ)経由でこのサイト見つけて
 質の高いSSがたくさんあったので可能なかぎり読み尽くすことに決めました。ありがとう!

 「沃野」はかれこれ4年以上も前に書いた奴ですが、未だに読んでくれる人がいるとは……素直に驚きました。こちらこそありがとうございます。

 過労死しそうな作者といえば、西尾維新も大概な気がする。よくもまあ週刊連載の原作と並行して他の仕事ができるもんだ。あと夢枕先生は過労死云々というか、全作品を完結させる前に天寿を全うしてしまうのではないか、と思わんでもない。
 他だとかまちーこと鎌池和馬も仕事量は相当ですね。挿絵を担当するイラストレーターまで過労死させそうな勢い。

 プリティベルは個人的に今最も注目してるタイトルの一つです。初期のカオスギャグからガチバトル展開への移行は賛否あるみたいだけど、自分は全然ありだと思う。コミックのキャラ紹介や作中の台詞回しを見るに、作者さんがかなり高位の邪鬼眼保有者かつ重篤な中二病疾患者であることは間違いないと思うので、今後が楽しみです。
 初期のカオスギャグも決して嫌いじゃないけれど、やっぱり真打が登場して以降の超絶インフレバトルが大好き。この作家は台詞回しのセンスがかなりキてますね。「平和のために殺しあう」の件とか。

 暁の護衛ドラマCD…だと…?
 え? 海斗の声誰がやるの? とぐぐってみたら木内秀信……DTBの黒(ヘイ)を演じた人らしいが、DTBは見てないからイメージ湧かず。とりあえず予約しときました。


2010-12-01.

・たまに「虹子」が「虻子」に見える焼津です、こんばんは。ジョーク抜きで最近また視力が落ちてきているんですよね。疲れているときはマンガを読むのさえ辛いほど。乱視も進んできているし、もう何年かしたら本気でレーシックを検討しなければなりませぬ。いつまでも、あると思うな親と視力。

四文字熟語に厨二っぽい読み方付けようぜwww(マテマチカ)

 「最終兵器」と書いて「ファイナルアンサー」と読ませる奈良原のセンスは好き。でも最強はやっぱり森博嗣の「封印再度(WHO INSIDE)」か。熟語とは言いがたいが完成度でアレに勝るものはない。

ヤングジャンプ連載中の『ノノノノ』が次号最終回! どんどん読むものが減っていく(今日もやられやく)

 嘘だと言ってよ倫! ここのところ選手増えすぎで展開が少し散漫になってきているな、とは思ったものの、まだまだ面白い状態が続いていたのに……嗚呼。今やってる連載漫画の中では十指、とまで行かなくとも二十指くらいには入る期待作だっただけに無念です。いっぺん挫折した『エルフェンリート』も、『ノノノノ』がきっかけとなってくれたから再着手できたんだよなぁ。こんな、明らかに話の途中としか考えられない地点で終わるだなんて。「願っても無駄だと分かっていてなお再開を希望し続ける漫画」がまた一つ増えそうな気配です。

自分大好きトゥエンティ! 『ミルキィホームズ』の新たな動画が3本公開!!(電撃オンライン)

 一瞬「トゥエンティ」が何を指しているのか分からなかったが、ああ、怪人二十面相のことか。つい20回決闘した伝説のガンマンの方を連想したせいで混乱してしまった。『トライガン』『ベル☆スタア強盗団』『続・殺戮のジャンゴ』のイメージがあるくらいで、正統派の西部劇はほとんど嗜んでいない当方ですが、『ベティ・ザ・キッド』は今挙げた中ではジャンゴが一番近いかな。黒のフランコが示す超絶ビッチぶりとは似ても似つかないが、「少女」を振り捨てて懸命に生きるベティの姿がところどころフランコやブロンディと重なったり重なったり。読み始めはそんなに「すごく面白い」とは感じなかったものの、時間が経つにつれてジワジワと染み出してくる妙な味わいがあり、いつの間にか気に入っていました。上巻でイマイチだと思った人も下巻を読み出す頃には気持ちが変わっているかもしれない、そんな本。秋田禎信の新刊は『機械の仮病』も読みましたが、こっちも正直第一印象は「なんじゃこりゃ」ですね。ある日から突然、人間の一部が機械に置き換わる怪現象、通称「機械化病」が多発するようになる。「一部」は体内に限られ、特殊な検査をするか、あるいは死んでから解剖しないとまず見つからない。置き換えられた機械は元あったパーツとほぼ同機能を備えており、生理的には何も支障を来さない。調べなければ誰も気づかず問題も起こらない、「病」と言っていいのかさえ分からない代物を巡る連作集です。ハッキリとしたオチが付かないエピソードもあり、設定のひとつひとつに理由付けを求める人からすれば説明不足の投げっぱなしに見えるかもしれない。が、何の気なしにパラパラとページをめくった当方がそのまま最後まで一気に読み終えてしまうほど強い吸引力を持った小説ではあります。事前に予想して用意しておいた「肉体が機械化することで精神も機械化していくのか、果たして人間性とは何か」みたいなヌルい視点がまったく通用しない。人間の心があまりにも荒廃しすぎていて、機械化病ごときを元凶と見做していては話が追いつきません。むしろ「精神の廃墟化」こそが先にあって、「体の機械化」はそれに付随して引き起こされたものではないかとすら思えてくる。人間性を問う、その行為自体に人間味が伴わないことを甚く痛感しました。

 それはそれとして 『ミルキィホームズ』ってえらく評判がいいですよね。ギャラクシーエンジェル並みのやりたい放題と聞いてGA好きの血が疼きました。発売したらDVD買ってみるかな。

・今月の購入予定。

(本/小説)

 『Strange Strange』/浅井ラボ(ホビージャパン)
 『KAGEROU』/齊藤智裕(ポプラ社)
 『踊る星降るレネシクル3』/裕時悠示(ソフトバンククリエイティブ)
 『お呼びだ、ジーヴス』/P・G・ウッドハウス(国書刊行会)
 『オリクスとクレイク』/マーガレット・アトウッド(早川書房)
 『チボの狂宴』/マリオ・バルガス=リョサ(作品社)
 『傾物語』/西尾維新(講談社)

(本/マンガ)

 『第七女子会彷徨(3)』/つばな(徳間書店)
 『健全ロボ ダイミダラー(2)』/なかま亜咲(エンターブレイン)
 『あまがみっ!(1)』/ピアイ才(エンターブレイン)
 『のんのんびより(2)』/あっと(メディアファクトリー)
 『魔法少女プリティ☆ベル(3)』/KAKERU(マッグガーデン)
 『ましろのおと(2)』/羅川真里茂(講談社)

 今年最後の文庫化情報。まずは山下卓の『RUN RUN RUN』、会ったばかりの3人の女が成り行きで新潟アアアア!へ行くロードムービー小説。桂望美の作品でタイトルがそっくりなのがありますから混同しないよう注意されたし。無力でちっぽけな自分を受け容れた上で進む、「ささやかな前向き加減」が心地良い一作です。それから北森鴻の『香菜里屋を知っていますか』。今年48歳の若さで亡くなった著者の香菜里屋シリーズ最終巻です。急逝したこともあり、ハッキリ「完結した」と言えるシリーズはこの香菜里屋くらいじゃないだろうか。未だに作者の死を信じがたく思っていますが、少しずつ「もう新作は出ない」ことを受け容れたうえで既刊を集めていく所存です。そしてエドマンド・クリスピンの『愛は血を流して横たわる』。タイトルが好きでずっと「文庫化しないかな」と願っていた作品、遂に奇跡の文庫落ち。感涙に咽ぶしかない。英国本格の書き手としてマニア間では名高いクリスピンですが、作品のほとんどは文庫化されておりません。この愛血にしてもハードカバー版の邦訳は95年であり、15年も掛かった末の快挙と言えます。よくやった創元、えらいぞ創元、それはそれとしてレオ・ブルースの『死の扉』復刊はいつだ創元、チャンドラーの『大いなる眠り』田口俊樹翻訳版は結局出るのか出ないのかどっちだよ創元、ハッキリしろよ創元。

 『Strange Strange』は『夜のはなし』を改題した模様。「浅井ラボの暗黒短編撰」というキャッチコピーからして連作モノのようです、というか既に届いて半分くらい読み終えました。地方都市(『TOY JOY POP』と同じとこみたい)を舞台にした悪趣味路線の連作集で、「短編」と言いつつ1エピソードあたり100ページ近い分量がある。ラボ版『世界の中心、針山さん』といった趣。まだ読み切ってないから確たることは言えませんが、浅井ファンなら安心して楽しめるはず。ラボ小説を読んだことない人は「うえっ、後味悪すぎ」と呻くかもしれません。『KAGEROU』は良くも悪くも話題になっている水嶋ヒロの処女長編。話題が冷めないうちにと、どうにか年内発売に漕ぎ着けたようだが、これを率先して買うのはなんだか毒見役の気分ですね。毒を食うならヒロまでだ。「突如現れた不気味に冷笑する黒服の男」が喪黒福造だろうが久我重明だろうが来るなら来い。『踊る星降るレネシクル3』は既刊(つまり1巻と2巻)が増刷して打ち切りの運命からは辛うじて逃れ得た“るるル”シリーズの最新刊。世の中には既刊が増刷したのに打ち切られたシリーズもありますけどね……天川さんとか……ともあれ、裕時悠示は新人勢の中でも一、二を争う勢いで期待している作家なので頑張ってほしい。るるルはシンプルな熱血と奇怪なギャグと魅力的なヒロインが入り混じってイイ具合にカオス化しているシリーズです、イチ推し。今月のGA文庫は『這いよれ!ニャル子さん6』と『深山さんちのベルテイン』を同時刊行する逢空万太にも要注目。『お呼びだ、ジーヴス』はジーヴス・シリーズの最新刊であり、通算12冊目。まさかジーヴスものがここまで訳され続けるとは想像だにしていなかった。まるで夢のようだ。『ドローンズ交遊帖』がいつまで経っても出ないことの方はまるで悪夢だが。『オリクスとクレイク』はカナダを代表する作家、アトウッドの最新作。3000円近い価格を見てのけぞる方もおられようが、『昏き目の暗殺者』なんて4000円近かったのだから驚くに値しない。オリクレの原書が出たのは2003年頃なので、邦訳が出るまで7年掛かった計算になりますね。昨年の最新作『洪水の年(The Year of the Flood )』はオリクレの続編で、あと一個加えて三部作になる予定とのこと。先は長いな。『チボの狂宴』はノーベル文学賞を獲って話題になったリョサの大長編。「チボ」は山羊のことで、これを原作にしたスペイン映画の方は『ヤギの祝宴』と訳されています。5000円超える予定だったのが4000円弱に下がっているのはノーベル賞効果? 勢いに乗じて『世界終末戦争』も復刊してくんないかな……って書いた直後に調べたら本当に復刊が決まっていました。これも買わねば。『都会と犬ども』も同時復刊されるみたいだし、今月はリョサだけで「諭吉くん吹っ飛んだー!」になりそう。『傾物語』はクリスマスを過ぎた時期に出るんじゃないかな、と予想している“物語”シリーズ最新刊。八九寺真宵のエピソードです。出るかどうか直前までハラハラした『猫物語(白)』も先月無事に出たことだし、これもきっと出てくれるだろう、と期待しています。あと今月は書籍化を果たした『まおゆう』にも注目している。

 『第七女子会彷徨(3)』は未来版それ町、と書いたらなんとなくイメージが伝わるだろうか。ドラえもんの秘密道具みたいな未来ツールを歩鳥ばりの残念女子高生が使って友人少女がフォローする、みたいなノリ。それ町がアニメ化したんだからこれもいずれアニメ化するのでは、と思ったりするけど気が早いだろうか。『健全ロボ ダイミダラー(2)』は結構待たされた気がするなかま亜咲の新刊。調べてみたら前巻から丸1年以上掛かっていた。エッチなことをして昂ぶるとそれがロボットを動かすエネルギーになる、という中学生並みの発想が素晴らしい。『火星ロボ大決戦!』も読んだおかげでより一層楽しめるようになりました。なかま亜咲がやたら鬼八頭かかしをネタにするので気がつくとなかまファンに化すのみならずかかしファンとも化していたのだが、楽しいから結果オーライ。かかしの新刊『バナナのナナ(1)』は林檎の足に興奮しましたね。『あまがみっ!(1)』は『アマガミ』を原作にした公式ギャグ漫画。元のゲームやってないしアニメも観てないし原作準拠のコミックすら読んでないからたぶんネタが分からないと思うが、ピアイ才の絵が好きなので買います。なぜかあの人の絵は見ていると妙にウットリするんですよね……不思議。『のんのんびより(2)』は田舎を舞台にしたオフビートなゆるゆるコメディ。『よつばと!』と『日常』を足して割った感じとでも申しましょうか。「どこが面白いの?」と聞かれると困るけども、肩肘張らずに堪能できて、いつの間にか病みつきになっている。『こあくまメレンゲ』でチラリと覗かせた長所を磨き上げ、もはや一つの「芸風」の域に達しつつあります。密かにオススメ。『魔法少女プリティ☆ベル(3)』は別名義でエロ漫画も手掛けている著者の最新刊。つーか刊行ペース早いな。可愛らしいタイトルとは裏腹なゴチゴチの武闘派魔法少女コミック。いかにもCGっぽいヌラヌラした質感の画には好みが分かれるだろうけど、イカれたセンスを鋭い理性で包んだ作風に惚れてしまえば何ということはない。『大江山流護身術道場』ともども必チェック。『ましろのおと(2)』は津軽三味線を題材に取ったアツい青春音楽ストーリー。そう書けば「おいおい」とツッコミを入れたくなる人も出てくるだろうが、ひとたび読めば軽率にツッコミを入れようとしたかつての自分自身にこそツッコミたくなるだろう。掛け値なしに体温の上がる話です。

(BD・DVD)

 『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(洋画)
 『ローラーガールズ・ダイアリー』(洋画)
 『とある魔術の禁書目録 SET1』(アニメ)
 『涼宮ハルヒの消失』(アニメ)
 『究極超人あ〜る』(アニメ)

 『アザナエル』(声が出ます、注意)は様子見して来月あたりに通常版を購入するかどうか検討するつもりだし、今月はエロゲー買う予定が一個もないです。エロゲー以外なら『うみねこのなく頃に散』を買う予定があるけど、こっちは届くの来年になるだろうな。『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』はジョニー・トー監督の香港映画。劇場で観たかったが近場でやってなかったため断念した一本です。話としての繋がりがあるのかどうかは分からないが「三部作の完結編」という触れ込みで、前作の『エグザイル/絆』は現在でも入手可能だが、前々作の『ザ・ミッション 非情の掟』は入手困難。レンタル屋でも探してみましたが、どっこも置いてなくて泣きました。当方はどうも香港映画に関してはツキがないらしい。『ローラーガールズ・ダイアリー』は最初に見たとき「『モーターサイクル・ダイアリーズ』のパロディかよ」と白けてしまってスルーしちゃったけど、何気なく観た予告編で心臓をグッと掴まれた。「転んだ分だけ、強くなる」のキャッチコピーはシンプルながら胸に残る。『とある魔術の禁書目録 SET1』は現在二期が放映中のアニメの一期廉価版。前編で、後編に当たるSET2は来月出ます。動く上条さんの姿は以前から是非ともお目に掛かりたいと願っていたが、かと言ってDVD集めると結構なお値段になるし……と躊躇していたところにこの廉価版、渡りに舟です。他のアニメもどんどん廉価版出して手を伸ばしやすくなってほしいですね。『涼宮ハルヒの消失』は劇場版です。既に映画館で一度観ましたが、実に面白かったのでBDも購入決定。打ち明けますと、当方は元々ハルヒってそんなに好きではありませんでした。原作を5冊くらい読んだけどいまいちピンと来ず、アニメも何話か観ましたがそんなに凄く惹かれる要素はなくて「なんでみんなあんなに大騒ぎしてるんだろう?」と訝った次第。いや、エンドレスエイト騒動は確かに大騒ぎするに足る椿事でしたが。『消失』も、大まかな筋以外は忘れてしまったとはいえ原作を読了済だったし、正直そんなに期待していなくて「近くでやるなら観てみようか」とごくごく軽い気持ちで劇場へ足を運んだんです。そしたらもう……あっさりハマりました。これまでうまく噛み合わなかった部品が、ふとした拍子でガキィッと嵌まってしまったような、そんな感じで。周りに人がいるから必死で堪えていたものの、あれが自室だったら声を上げまくっていたに違いない。アニメであれだけ興奮するのは本当に久々でした。ブルーレイボックスもどうにか費用を捻出して調達してきましたので、遅まきながらこの冬はハルヒに浸ろうかと。旬が過ぎてから徐にブームを追い始める、遅かりし焼津之助の本領発揮。『究極超人あ〜る』はクリスマス間近に発売されるのに内容は真夏のイベントという季節はずれの一品。廉価版でとてもお安くなっているので、とりあえず押さえておきたい。amazonにはBlu-ray版のページもあるが、さすがにこれだけ古いアニメ(1991年制作)だと「DVDでいいや」ってなるなぁ。

・拍手レス。

 Navelと言えば、「世界征服彼女」の体験版やりましたが、王じゃなくても割りと期待できそうな出来っぽいですね。亜子様可愛い。
 ライターの東ノ助は王のヘルプをこなしているくらいだし大丈夫なんじゃないですかね。それにしても見るたび東方仗助を連想する。

 俺つばアニメ化キタよ!とか喜んだのも、瞬きするほどの間に過ぎませんでした。だってプロデューサーが原作ブレイカーで有名な伊藤誠。この人がPを担当したあかね色に染まる坂はホント酷かった。そもそも1クールでどうにかできる内容じゃないですしね……。
 パンツプロデュースとかいう企画もあって期待は削がれる一方。あかね色に染まる坂と言えば、ライターやってるサイトウケンジの『101番目の百物語』が面白い。ヒロインたちの危険さが割とガチで、普通に死と隣り合わせだから好みは分かれそうですけども。

 「尻のまロさ」に反応してポチったのが届いたので、後で存分に愛でるで御座る
 年上ロリのまロいケツこそ至高。存分に萌ヒャハァッせよ。


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