2010年6月分


・本
 『ベイビーステップ(1〜12)』/勝木光(講談社)
 『ウワガキ(1)』/八十八良(エンターブレイン)
 『振袖いちま(上・下)』/須藤真澄(エンターブレイン)

・ゲーム
 『処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー』体験版(キャラメルBOX)

・映画
 『アウトレイジ』


2010-06-27.

『ちづかマップ』が気に入ったので衿沢世衣子の既刊を買い漁ってまとめ読みし終えた焼津です、こんばんは。

 『おかえりピアニカ』『向こう町ガール八景』『シンプルノットローファー』の3冊。おかピアと向町は短編集。サクサク読めたものの、正直言ってあまり印象に残らなかった。初期作だからか、この頃はまだ絵柄も固まっていない感じがする。シンプファーは連作形式、これは文句なしに面白かった。絵柄と作風が充分に確立しており、サクサク読めるのと同時に味わい深い寛ぎテイストを堪能することができる。女子高を舞台に据え、様々な少女たちが送る何ということない日常を綴ったオムニバスなんですけれど、とにかく目に心地良い。読めば読むほど夢中になる。くっきりとシンプルな描線なのに、デフォルメの利かせ方が絶妙で惚れ惚れとします。刊行当時から話題になっていたのでタイトル自体は覚えていたのに、表紙がいまひとつ気をそそらなかったのでずっとスルーしていたんですよね。もっと早く踏ん切っとけばよかった。ともあれ、再来月には『ウイちゃんがみえるもの』というフルカラー漫画の単行本も出るそうであり、超たのしみ。

るいは智を呼ぶキャラ診断

 「やいづ」でやってみた。

 1位 和久津 智……相性:98 %(俺の嫁)……第一印象「体は正直な人」
 2位 鳴滝小夜里……相性:95 %(両思い)……第一印象「包容力がある人」
 3位 倉内 蘭……相性:91 %(俺の嫁)……第一印象「カリスマ」
 4位 冬篠 宮和……相性:89 %(あなたが後継者)……第一印象「安心感がある人」
 5位 茅場 茜子……相性:82 %(両思い)……第一印象「きれいな人」

 なんで嫁がふたりもいるうえに小夜里や赤猫さんと両思いなんですかよ……てか倉内蘭って誰? ぐぐっても詳細が出てこないので気になる。でも智ちんが1位でよかったです。

・須藤真澄の『振袖いちま(上・下)』読んだー。

 90年代に描かれた大正浪漫ファンタジーの新装版です。と言っても舞台は現代。主人公である少女「ゆき」と、彼女のひいおばあちゃんが遺した喋る市松人形「いちま」の掛け合いを主体とした、笑いあり涙ありのノスタルジック・コメディとなっております。どちらかっつーと「笑い」寄りですね。当初は偕成社より刊行されておりましたが未完のまま放置され、10年近く経ってエンターブレインから出版されたニューバージョンで完結し、更に8年ほど経過した今、判型を変えて全2冊の新装版となったわけであります。あくまで新装版であって追加エピソード等はありません、なので2002年版の『振袖いちま』(全3巻)をお持ちの方は取り立てて購入する必要もなし。「タイトルは知ってるけど読んだことないなぁ」という方や、「タイトルも知らないけど気になるなぁ」という方には是非ともオススメしたい。別に入手困難でプレミアが付いていたとか、そういうタイプの作品ではありませんけれど、未だに古びない強靭な魅力を含有した内容で虚心坦懐に楽しませてくれまする。

 何となく見た目の印象から「地味〜でのんびりほのぼのとした人情ストーリー」ってイメージを抱いておりましたが、実際に読んでみると予想以上にコミカルでテンポが良くて驚いた。何よりもまず、市松人形のいちま――この子が非常にいいキャラをしているというか、いい性格をしているというか。高慢ちきでああせぇこうせぇと絶えず主人公に指示を飛ばし、自分は身動きできない人形だからと基本的に何もしない、特定の条件を満たせば人間化することも可能だけど概ねやる気が空回って足を引っ張る役立たずっぷり。下手に描けば最低となりかねないキャラなのに、須藤の筆はいちまが放つ天衣無縫で傍若無人な輝きを厭味なく掬い取って並べ立ててみせる。パタリロのタマネギ部隊みたいな菱口(こんなん→◇)が頻出するギャグ顔すれすれの描画なのに、途轍もなく可愛いんだよなぁ、いちまが。皮肉めいた当てこすりのセリフにすら愛敬が漂ってしまう。やっぱりアレですね、ひたすらワガママなんだけど、その裏返しなのか寂しがり屋で泣き虫なところもある……ってのがたまらない。拗ねた理由が「お友達」である主人公が楽しそうにしてくれないから、というあたりなどは読んでいてニヤニヤすることしきり。口喧嘩を重ねながらどんどん仲良くなっていくふたりの姿が可笑しくも眩しいです。

 人形愛コミックのスタイルは90年代前半の時点で既に完成していた、と告げるに充分な出来の一作。期待を超える面白さでもてなしてくれました。ああ、とにかくいちま可愛いよいちま。ふくふくとしたまん丸ほっぺに鼓動が高鳴る。進むにつれて増加する一方ないちまの徹底した役立たずっぷり、その邪魔さ加減、そのもどかしさすらもが愛おしくて胸を締め付けるのだから、もうほとんど病気だな。「かわいいは正義」ならぬ「かわいいは病気」。治るアテがないことを今はただただ寿ぎたい。願わくばいちまがいつまでもずっと癒えぬ病巣でありますように。


2010-06-24.

・冒頭で主人公が女体化する、という凄まじい梃入れを見せた『ほんのり変異!!邪神大沼4』がそれでも相変わらず安定したノリで、「ブレなさすぎだろ、このシリーズ」と思ってしまった焼津です、こんばんは。

 ホント良い意味でマンネリというか、料理は変わるけど味付けの方針は一貫している、みたいな。ここまで安定していると逆に異常ですね。もはや主人公が異世界で目を覚まして冒険する『よあけの炎刃!!邪神大沼』がいきなり始まっても誰も驚かないだろう。むしろ「それぐらいではヌルいな」と苦言を呈されてしまいそうだ。閉鎖空間に放り込まれてデスゲームを強要される『しぬまで交戦!!邪神大沼』とか、過去にタイムスリップして蘇我入鹿の暗殺現場に立ち会うシーンから始まる『たいかの改新!!邪神大沼』とか、アパートが炎上してホームレスになってしまった主人公の止め処ない放浪を描く『すみかは路上!!邪神大沼』とか、せめてその程度のインパクトはないとこの先生き残れない。まあ、ぶっちゃけ、ネタ切れさえ起こさなければ何でもいいんですけどね。

・他に竹井10日のオリジナル新作『10歳の保健体育』も読み始めたところですけれど、相変わらずどころか以前にも増してキレているギャグが満載で震撼せざるをえない。初登場シーンでバフォメットの扮装をしている幼馴染みキャラなんて前代未聞すぎる。読んでいて白昼夢を視ているような気分に陥りました。『東京皇帝☆北条恋歌』はアレでも相当おとなしめだったんだな、と竹井の業(カルマ)を再確認させられた次第。今回は本当に「忠介が陰毛を抜き始めた」の世界です。というか陰毛ネタ好きだなこの人。

・さて。『処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー』(通称「おとボク2」)の発売日が間近に迫っておりますが、例によって例の如く体験版がまだ終わっていない。なんとか暇を見つけて少しずつ進め、ようやく「to be continued...」が出てきて「やった! 終わった! 第1話完!」と喜んだのも束の間、すかさず第2話が始まった。ああ、そういえば前作のおとボク体験版も2話目まで入ってたっけ……振り出しに戻ったような気分で呆然としました。

 何度も書いていることですが、ホントここ数年のエロゲー体験版は長い。長すぎる、とまでは言わないけれど、「もう少しこう、なんというか、手心というか……」「長くなければ覚えませぬ」な感じで牛股師範気分に陥ります。ともあれ、おとボク2。前作から5年、フルボイスから数えても4年と、エロゲーにしては随分期間をおいた続編になりますが、「続編」と申しても「主人公が女装し、本来の性別を隠したうえでお嬢様学院に通う」というポイント以外は概ね刷新されている。舞台が同じ女学院で、設定上の細かい繋がりはあるにせよ、シナリオライターである嵩夜あやは前作の主要キャラクターたちに関しては「出ません!」とキッパリ断言。年代が違うせいで既にみんな卒業していますからね。前作をやっていなくても気楽に入れる親切設計……と言いたいところだが、実はそうとも言い切れない。なぜなら小説『乙女はお姉さまに恋してる 櫻の園のエトワール』(「乙女」は誤字じゃなくて、コンシューマ版の表記が「処女」→「乙女」となっているため)の存在があるからです。『櫻の園のエトワール』はおとボク1とおとボク2を橋渡しするクロッシングな一冊で、たとえば薫子についてはこれを読んでいないとちょっと分かりにくいところもある。なら読めばいいじゃん、文庫本一冊くらい、という話になりそうだけど、そもそも『櫻の園のエトワール』自体がおとボク1をやってないと分かりにくい内容なので……結局、完全理解するためには1から順にやっていった方がいいことになります。ただ、あくまで「完全理解するためには」であり、網羅を目指すことなくちょいちょいと美味しいところを摘み食いするぐらいなら2から始めても充分ですね。何せ当方自身が1は体験版をちょっと過ぎたあたりまでしかやっていない、『櫻の園のエトワール』はあらすじ読んだだけでドラマCD版も積んでいる、という状態なのに問題なく楽しめましたから。まあ確かにちょっと「?」な部分はありますけど支障が出るほどではない。

 おとボク2の女装少年、妃宮千早(本名・御門千早)は1の主人公・宮小路瑞穂と比べて内面が屈折しており、「外面ばかり取り繕って偽りを演じている連中」を嫌悪しながら、乙女の園に紛れ込んでお嬢様のフリをしている己もまた「偽者」であると自嘲しているなど、若干暗いムードが漂っていますが、むしろそうした翳りを帯びることで女装潜入モノとしての旨味は増した。女装したまま一年を過ごせ、という母親から課せられたミッションをこなすには、何より目立たぬよう、波風立てぬよう息を殺してジッと潜んでいるのが一番なんですが、そうやって自分を抑え込み、死んでいるように生きるのではわざわざ乙女の園にやってきた意味がない。バレないように細心の注意を払いつつ、けれど心を閉じることなく好きなように暮らす。二律背反にも思える目標を達成せんとする、その志がとても心をくすぐります。分類すれば「巻き込まれ型」「流され型」「不本意型」に属するものの、愚痴をこぼすばかりではなくて、自分なりに女装潜入の意義を見つけていこうとする前向きな姿勢はプレーヤーに心地良い感覚を与えてくれる。それでいて適度に屈折した性格のおかげで前向きになりすぎもしない、このあたりのバランスは良好だ。「ひゃっほう! 女装生活サイコォォォ!」っていう歓喜まみれの全肯定じゃただのギャグですからな。「女装している自分をなかなか好きになることはできないが、ここでこうしていることは決して無駄でも無意味でもないはずだ」っていう曲がりくねった希望の隘路にこそ、どうしようもない女装主人公スキーの興奮が宿る。

 主人公の母親の名前が「妙子」というのには噴いた(「某特務機関員さんよりも先に決まっていましたが、向こうの企画した人とはお友だちなので、「まあいいんじゃね?」ってことになっております(笑)」とのこと)が、何にせよ前作の単純な焼き直しというわけではなく、「時間を掛けた続編」としての新しい魅力を存分に味わわせてくれて、かなり嬉しかったです。俄然、製品版も欲しくなってきた。が、まずは体験版を終わらせてからですね。初回特典の設定資料集とかもさして欲しくないから、通常版がリリースされるまでのんびり待った方が無難かな。今回はシナリオのテキスト量が前作比1.5倍でかなりボリュームあるらしいし、焦って買ってもコンプし損ねそう……てか、積んでいるおとボク1もさっさか崩さないと。物欲に負けるのもほどほどにしなければなりませぬ。

・拍手レス。

 村正のアンソロ、デイスクでコミケ販売かよ...地方出にはコミケはつらい.....Fate extraといい夏に金を搾り取られる(涙
 Fateといえば『魔法使いの夜』がやっと発売日決まりましたね。値上がり、声なし、全年齢とややしょんぼりな仕様であるが買わずにゃいられぬ。

 バルトと村正がコラボするっぽいwバルトもやらねばならないのか...
 そういえばバルフォがまだ途中だった……飛ばしてバルスカやっちゃおうかな。

 公式アンソロ、ドラマCDみたいなあの世界観での史実エピソードとかだと嬉しいんですが
 益田時貞が「ゆだのくるす」を装甲して宮本武蔵と闘う『大帝の剣』な世界観でも当方は一向に構わない。


2010-06-19.

・最近『隙間女(幅広)』が気になっている焼津です、こんばんは。

 本来数ミリ幅の妖物であるはずの「隙間女」が、うっかり太ってしまったため普通の「痩せ女」になってしまった――みたいな話らしい。シュールというより単にアホらしい設定。なのにひどく惹かれる自分がいる。都市伝説を元に連作形式で綴る短編集とのことだから、フォークロア好きとして疼かないわけがない。『FOLKLORE JAM』もタイトルが決め手になって購入したような気がする。何にせよ、7月の新刊ですから出るのはもう少し先ですね。来月は『彼女はつっこまれるのが好き!』とか、ちょっとどうかと思うようなタイトルの本も刊行予定。入間人間の新刊『多摩湖さんと黄鶏くん』はあらすじだけ読めばMF文庫Jあたりかと勘違いしそうだ。まあ、「おかしく、ありがたい 略しておかしたいアナタへ」な終わクロがある時点で電撃は既に極まっちゃってるけれど。

ニトロプラスの『装甲悪鬼村正』、公式アンソロジーディスク『邪念編』制作決定

 参加スタッフは秋田禎信、東出祐一郎、鋼屋ジン、安永航一郎など。欲を言えば虚淵玄も一枚噛んでほしかった……今回は「公式アンソロジーディスク」だから、ファンディスクの方で奈良原ともども加わってくれることを期待するとしますか。

「コミックバンチ」休刊へ

 結構長くやっていた気がするけど10年も経ってなかったんですか。単行本で読んでいるのは『マイガール』『BTOOOM!』くらい、両方とも打ち切りエンドにならないでどこかに移籍してほしいなぁ。あと『全能のノア』は割かし面白かったのに打ち切られてしまって残念だった。

『エヴォリミット』はようやっと体験版が終わりました。

 出だしがのんびりしていることもあり、盛り上がってくるまでが長かったけれど、最終的には「オラとってもワクワクすんぞ」という形で落ち着いてくれる。変な忍者が出てきたシーンでテンション下がりまくったものの、最後までやってよかったよかった。しかし体験版で満足してしまって製品版までプレーしようという気持ちが湧き上がらない、いわゆる「体験版燃え尽き症候群」を発症してしまった。聞くところによればルートは3つだけで、アクアルートはおろかココロルートさえないという話ですし……うーん、FDか何かが出るまで様子見してようかしら。

・拍手レス。

 「へうげもの」の利休は割とそんな感じな気がします   >茶器掲げて「うおおおおおおおおおーっ!」と叫ぶ千利休
 茶器を投げつけるシーンが山田芳裕パースで脳内再生される。

 シュタゲ延期だと・・・夏休みにプレイするのを楽しみにしていたのに(泣)しゃあねえ、別のゲームやるか。diesと村正はもうやったので、それ以外で何かオススメあります?
 体験版しかやってませんが『巨乳ファンタジー』が意外と面白そうでした。


2010-06-16.

・やけに羽虫がうるさいなぁ、と思ったらサッカー中継のブブゼラだった焼津です、こんばんは。

 話には聞いていたけど、まさかここまでけたたましいとは……さすがに観る気が失せ、チャンネルを変えてしまいました。単独で聴く分にはまだいいけれど、ああも一斉に吹き鳴らされるとたまらない。神経に障ります。あの音が鳴り響くかぎり、今年のW杯を観戦することはなさそうだ。

Windows版『STEINS;GATE』、発売延期(7/30→8/26)

 発売日が『俺たちに翼はない AfterStory』と一緒だから併せて予約して、「アフつばの方は延期するかもな」と笑ってたのに、まさかシュタゲの方が逃走するとは。追加CGが少しあるくらいで、ほとんどベタ移植のはずなのになぜ延期するの? ちょっと理解できません。しかもアクチ導入っスか。業界の流れからしてニトロにも来そうだな、とは薄々感じていましたが……それはそれとしてアフつば、俺たちのハリューがあまりにもロックすぎて腹痛を禁じえない。

聖遺物ったー

 正田崇のTwitter(ぐぐると出てくる)で知りました。「焼津の聖遺物は『緋々色金(シャルラッハロート)で形成位階まではいけます』」だそーです。「焼津」の由来は日本神話絡み(ヤマトタケルとか草薙剣とか)らしいから妥当な結果かもしれません。にしても「シュピーネ」で診断したときの結果には笑った。

・八十八良の『ウワガキ(1)』読んだー。

 あえて言おう。絵買いであると。表紙に描かれたヒロイン(千秋)の表情が実にたまらなかった。てなわけで巨乳志向の成年コミック作家として知られる(なにせ初単行本のタイトルが『お乳屋本舗』)八十八良が初めて手掛けた一般向けコミックです。と言ってもこの作品自体は別におっぱいまみれというわけでもなく、むしろお色気要素かなり薄い。キスシーンの唾液描写がちょっとエロいかな、っつー程度だ。作者の前歴についちゃ一旦忘れた方がいいかもしれません。『ウワガキ』自体は設定の面白さと女の子の可愛さで勝負している、変則的だけど勢いのあるラブコメ――って感じです。

 詰まるところは「恋愛にifがあったら」である。ヒロインに片想いを寄せていることがバレバレで、告白する前から「ぶっちゃけ無理!」「つーかアタシ彼氏いるもん」とすげなくフラれてしまった主人公。居合わせた理科の教師は「実にうってつけの研究対象だ!」と叫び、いかなる手段を以ってしてか、ヒロインを「ふたり」に分裂させてしまう。そしてコピー側の記憶に干渉して「現在付き合っている彼氏」に関する情報をすべて消し、フリーにしたうえで主人公と付き合わせてみる。ヒロインは分裂したまま過ごし、数ヵ月後に本体とコピーを融合させてふたたび「ひとり」に戻る手筈となっているが、その際片方が抱いている「好き」という気持ちは、もう片方が抱くより強い「好き」という気持ちに上書きされて消え去ることになるのだ――と教師は説明してみせた。果たして主人公はヒロイン本体の抱く「彼氏への好意」を上書きしてしまえるほどの感情をコピー側に植えつけることができるのだろうか……。

 西澤保彦の『複製症候群』を彷彿とさせる設定のもとで繰り広げられるSFラブコメです。メチャクチャあっさり分裂させられたうえ割合すんなりと事態に馴染んでしまうあたりや、コピーがさして揉めることなく主人公家族と同居を果たすあたり、「ヒロインの双子の妹」として学校への編入が成立してしまうあたりなど、トントン拍子で進む展開には「御都合主義」という印象が拭いがたく付きまとう。明らかに「シチュエーションありき」で組まれているコメディ作品ゆえ、細かいことが気になり出すとキリがないでしょう。しかし、一旦御都合を受け入れてしまえば、なかなか美味しいシチュであると言えます。コピーであり、対外的には「双子の妹」であるはずの小秋が、うっかり「姉」である千秋として振る舞ってしまう――みたいなシーンから覗く「ややこしさ」を、「千秋のフリして千秋を困らせてやれ!」という悪戯に繋げることで消化するなど、SF要素を噛み砕いてうまく笑いに昇華しており、読んでいて楽しい。「自分のフリして自分を困らせる」というのは自縄自縛ってか自分で自分の首を絞めているようなものだけど、「分裂したらもう一方の自分なんて他人のようなものだ」と割り切るのもそれはそれで何だかアリだな、と納得できる。極端な話、「明日の自分なんて他人も同然」と嘯いて厄介な用事を先送りにしてしまう人もいますからね。でも結局「明日にいたのはおれだったァー!」で後回しのツケを払うことになるわけで。これは恋愛の可能性云々よりも、「自分」が「自分」に対してどこまで他人でいられるのか、「自分」と「自分」はどこまで平行線でいられるのか、を探る物語であるのかもしれません。

 小秋(コピー側)が主人公とちょっとずつ仲良くなっていく部分は、ヤギとかカバディを除けばありがちなラブコメながらも、主人公の家族(特に妹がイイ味出している)と絡めることで賑やかさを増加させている。一方、千秋(オリジナル)は彼氏との関係が怪しくなっていてハラハラすることしきり。次巻以降がどうなるか、読めそうで読めません。たぶん相当こじれるでしょうね。設定的にそれほど長引きそうな話でもないし、3、4巻くらいでスッキリまとまって完結してくれるのではないかと思う。ラブコメというとやたらニブチンな連中が出てきてどいつもこいつも相手の気持ちを汲むことができない、ってのが一つのパターンになっていますけど、これは主人公もヒロインたちもみんなそれぞれの気持ちをちゃんと読み取ったうえで話を進めているので、読んでいてあまりイライラしません。千秋が彼氏と濃厚なキスを交わすシーンとかでほんのりNTR(寝取られ)臭が漂ってきますから、読む人によってはちょっとキツいかもしれませんが、「普通のラブコメには飽きた」という人にはうってつけでしょう。「特徴的なのは出だしだけで、後はそこらへんの双子ラブコメと変わらないじゃん」とツッコまれないよう、今後も気合入れて話作っていってほしい。

・拍手レス。

 おかまのあれを気づくことはおそらく編集部には無理ではないでしょうか。売れ筋を多く読んでいる編集が名文であればまだしも何気ない文章を覚えており、読んだだけで気づくことは不可能に近いと思います。事実、編集部に比べて母数で圧倒しているネット上でさえ当初は懐疑的であり、多くの書評サイトは否定寄りでした。ネットという良くも悪くも暇かつやや偏執的とさえ言える人間も混じる場所だから発覚した事件ではないかと
 厄介なのは再発を防止する策がほとんどないことですね。作者それぞれの良心を信じるより他にない。

 ホライゾンの鬼引きがいつもどおりの川上さんであった。そして最後の挿絵を見て、遺伝しなかったのね、ネイト乙と思ってしまったのは自分だけではないはずだ。
 ホライゾンの新刊、「風雲目録史」に抱腹絶倒しました。茶器掲げて「うおおおおおおおおおーっ!」と叫ぶ千利休を想像してしまった次第。


2010-06-13.

・咄嗟に『嘘喰い』ネタを使おうとしたけどうろ覚えだったため「それでジョンジュベルだ」と口走ってしまった焼津です、こんばんは。

 節子、それ『嘘喰い』やない、『嵐ノ花 叢ノ歌』や!(ヒロインの名前で、「真珠血」と書く) 正解は「終了(ジョンリョ)」でした。恐ろしいのは、間違って覚えたせいでこの次も「ジョンジュベル」と言ってしまいそうな予感がすることだ。一度頭に染み付いた単語は正否を問わずしつこく奥まで浸透して、ちょっとやそっとじゃ拭えなくなりますからね。

唐辺葉介の『暗い部屋』、6月30日発売

 スクエニで出版されるはずだったけれど社の方針が変わって発売中止になった小説『暗い部屋』を電子ノベル化したものです。価格は2000円。動作確認版、要するに体験版をやってみましたが、電子ノベルとして成立しうる機能をギリギリ最低限揃えたってレベルで、お世辞にも快適に読めるとは言いがたい。一つの段落ごとに文章が下から上にポップアップしていくという変梃極まりない形式であり、ノベルゲーに慣れている人ほど却って戸惑いを覚えるでしょう。文頭を探そうとして視線がフラついてしまい、目が疲れる。綴られているのが唐辺テキストだからこそ辛うじて耐えられる仕様。こんな足回りで、文章も恐らく単行本1冊程度(多めに見積もって4、500KBか?)なのに2000円というのは正直割高感を覚えるが、唐辺のダークサイド全開な世界を拝めるのであれば躊躇せぬ。公式通販では特典として書き下ろし短編を収録した小冊子も付くらしく、一旦フラフラと引き寄せられかけましたが、送料を見て考え直しました。amazonでも取り扱いする予定とのことだし、そっちで予約が開始されるまで待つわ。

『アウトレイジ』観てきました。

 北野武監督映画を観るのはこれで3度目。1度目は『BROTHER』で2度目は『座頭市』です。どちらもレンタルビデオだったので、劇場で鑑賞するのはこれが初めてですね。タイトルの「アウトレイジ」は「極悪非道」の意味で、語源を辿ると古フランス語に行き着くらしい。キャッチコピーも「全員悪人」と非常に分かりやすくて、あらすじに目を通すまでもなく「暴力的なシーンの多いヤクザ映画」というイメージが伝わってきます。あらすじったって、平たく書けば「極悪非道なヤクザたちがシマ(縄張り)だの何だのを巡って権力争いに明け暮れる話」の一文で済む。前半は比較的穏当な流血描写に留まりますが、どんどんエスカレートしていって後半は死体がゴロゴロ。主要人物の9割は死んでいるんじゃなかろうか。当たり前のようにチャカをパンパンとハジきまくるので、何だか別の国で繰り広げられる暴力団の抗争を眺めている気分に陥りました。ジャッキー・チェンの『新宿インシデント』なんて、マシンガンどころか投石で間に合わせていたのに……暴力過剰でほとんどギャグになっている場面もあった次第。予想通り後味の悪い結末を迎えるし、爽快感も何もあったものではないが、ここまで無常観が徹底しているとある種気楽に観れてしまう部分があります。やられたらやり返す、やったらやり返される。もっとも原始的な法を貫く無法者たちの屍山血河ショウ。行き過ぎたバイオレンスはもはやファンタジーに近い。

 各々の恫喝には充分迫力も篭もっており、ぶっ殺し映画として観れば退屈しない出来だった。「ファッキンジャップぐらいわかるよ馬鹿野郎」およびラストのアレしか印象に残らなかった『BROTHER』に比べ、娯楽要素を突き詰めたおかげか、いろいろと見所は増えている。が、増えたせいで面白さが分散してしまったところもあり、結局「ファッキンジャップぐらい〜」に匹敵するインパクトを持ったシーンは現れなかった。良くも悪くも尾を引かない。個人的な結論としては「観て楽しかったけど、もう一度観たいとは思わない」っつー映画でした。サプライズ、というほどではないかもしれないけれど、どのタイミングで誰が死ぬか読み切れない初見時のハラハラ感がこの作品の肝かと。イケイケの武闘派でも上には逆らえない、みたいなしがらみや軋轢、渦巻く策謀に関してはさほど興味を覚えなかったです。にしても、歯医者のシーンは痛そうだった……生理的に「うわぁ」と拒否反応が出たのはむしろラーメン屋のシーンですが。

・拍手レス。

 おかま、結局そんなんなっちゃったかぁ。あれだけ売れまくってたのは盗作疑惑の文章だけが理由、てこともないだろうし、色々と勿体ない話だ。当人のためにも、また電撃に関わる色んな人たちのためにも、誰かが審査の段階で指摘するべきだったよなぁ。
 盗作疑惑にまで思い至らないとしても、「似てる」と感じた人はいたはずですよね。「似てるだけ」だと思ったのかしら。そもそも真面目に読み込んでくれる人がいたのでしょうか……。


2010-06-08.

『俺たちに翼はない』、キャラクターページに自己紹介ボイスを追加

 「趣味は……趣味? あれ、あたしこないだ趣味なんつったっけ。ピアノ? 活花? んー、毎回テキトー言ってるからなー」みたいな感じで全然自己紹介になってないが、それでも個々のキャラクターが伝わってくるあたりは俺翼の良いところだ。

電撃文庫編集部、『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』を絶版・回収、「電撃文庫MAGAZINE Vol.14」への短編掲載も取りやめ

 盗作疑惑で大きく騒がれ始めたのが先月25日頃、2週間近く公式の反応がなかったせいで「知らんぷりを決め込むのでは?」とも懸念されましたけれど、遂に発表が来ました。現在、新刊情報新作紹介のページからも『俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長』の表記が削除されています。発売当初から新人にしては異例の売れ行きで、増刷分も含めて45000部が発行されたそうですが……店頭分は既にほとんどなくなっているらしいし、顧客から直接回収して返金を行うのでしょうか? まだそこまでの具体的なアナウンスはされていませんが、どちらにしろこれで2巻が出る目はなくなりましたね。「大迷惑な学園バトル、スタート!」というキャッチコピーを裏切るかのように、あっさりジ・エンドとなってしまいました。電撃文庫や他の作家たちにとってはこれからがまさに「大迷惑な騒ぎ、スタート」なわけですけど。何せYahooのトップにも来ちゃいましたもんね……。

・勝木光の『ベイビーステップ(1〜12)』読んだー。

 マガジンで連載されているテニス漫画です。正直に言ってそんなに好みの絵柄ではないし、テニスという題材自体があまり興味をそそらない(昔はちょっとありましたが、『テニスの王子様』がだんだん斜め上な展開になっていくのにつれて失せていった)こともあるため、薦められなければまず手に取ることはなかっただろうと思います。てか、薦められたときもすぐには手が伸びず、「うーん……」と迷った末にようやく腰を上げた感じでした。マガジンには『我間乱』という、同じく絵柄そのものには大して惹かれない剣術バトル漫画がありまして、それを「まあ、バトル漫画は好きだし試しに読んでみてもいいか」と気乗りしないまま読み出したところ、ガッツリとハマってしまった――なんて幸いな経験を得ましたから、ひょっとすると『ベイビーステップ』もマガジン繋がりで似たような結果を生み出してくれるかもしれない、って期待したわけです。

 高校に入学したばかりの少年、丸尾栄一郎――「エーちゃん」というあだ名を持つ彼は、完璧な予習・復習によって高い成績を維持し続けているとっても真面目な優等生だった。地道な努力で勝ち取った結果ではあるが、勉強そのものは別に好きというわけではなかった。「やりたいこと」ではなく、あくまでも「やらなければならないこと」。「じゃあさ エーちゃんは 何してる時が一番楽しい?」 運動不足解消を目的として見学に来ていたテニスクラブでたまたま同じ学校の女子・鷹崎ナツと出会い、そう訊かれても、彼はハッキリとした答えを返すことができなかった。自分にとって、楽しいこととは何か? 「やりたいこと」って、いったい何なのか? 答えを模索するため、丸尾はテニスを始めてみるが……。

 1巻の時点ではさして盛り上がらず、「つい勢いに任せて既刊12冊全部まとめて買っちゃったけど、読み切れるのかなこれ……」と不安になりましたが、翌日には早くも全巻読み終えて「13巻まだー?」と箸で茶碗をチンチンするモードに突入していたっつー変わり身の早さ。ちなみに13巻は来月発売予定。少年漫画のスポーツ物というと、「挫折した元エース」だとか「底なしの才能を秘めたダイヤの原石」とか「親や兄弟が偉大なプロ選手でコンプレックスを抱いている」とかいった劇的な要素を仕込みがちですが、ベビステにはそういったドラマチックな背景が一切ありません。強いて言えば「ダイヤの原石」タイプですが、窮地へ追いやられた途端に秘めたパワーが覚醒して大逆転、みたいな都合の良さは念入りに廃されている。スポーツ漫画の主人公ってあんまり負けない印象がありますが、エーちゃんは結構よく負けます。「ああっ、惜しいっ!」と読んでるこちらが悔しがることもしばしば。とはいえ「転んでもただでは起きない」のがエーちゃんの良いところ、コツコツと真面目に分析を重ねて敗因や今後の課題を弾き出していって、「まだまだ成長してやる!」と常に貪欲な姿勢を示し続けるのです。「眼が良い」という主人公補正はあるにせよ、彼の最大の武器は、何と言ってもその几帳面さ。疑問や難問に突き当たるたび、それを理解し納得して「しっくり来る」まで頭を回転させて思考を積み上げていく。「思考型」のプレーヤーは「感覚型」の噛ませ犬にされる、というのがスポーツ漫画に付きまとう宿命ですけれど、そんな宿命なんて何のその。「どんなに絶望的でも諦めない、打開策を考え続ける」という粘り強さで石に齧りつくようにして勝利をもぎ取る(もぎ取れないこともある)エーちゃんは、昨今増える一方な「努力しない天才肌の主人公」の逆を行く境地で読者の胸を熱くさせてくれる。たかだか計算が狂っただけで「バ、バカな……俺の作戦は完璧だったはず……!」と狼狽える噛ませ犬とは土台根性が違うのです。策に溺れず「いま、自分ができること」を謙虚に探り続ける姿は実に清々しい。読んでよかった。

 ベイビーステップ(よちよち歩き)というタイトルに反し、ド素人だった主人公がほんの2年そこらでメキメキと上達していくのはやっぱり御都合主義なのではないか? という意見にも頷けなくないし、「眼の良さ」や分析力の向上がだんだん漫画的な誇張の色合いを帯びていくあたりも「リアリティ溢れる内容」とは言いがたいかもしれませんが、「主人公が徐々に強くなっていく」過程を丁寧に描くことで全体的な説得力を強化し、それに伴って「テニスって、面白そうだな」と興味を喚起させてくれる点に関しては是非とも拍手を送りたい。パッと見は地味だけど、これってなかなか理想的なスポーツ漫画じゃないかしら。ほとんどが試合シーンと練習シーンに割かれているせいでラブコメ部分は亀の如き歩みだけれど、それはもう「ラブコメなんて飾りですよ」と割り切ってしまえばいい。個人的には佐々木さんがもっと寄ってきてほしいですが……あとフロリダ編で登場したマーシャ、ふたたび出番ないかな。ともあれ、ガッツリとハマって続きが楽しみになりました。一個一個の試合が過度に長引かず、ごくごく適度なボリュームに収まるのもいいね。

・拍手レス。

 じょぶれすっ!とティファニーで便所飯をの二つで夏コミですね、わかります。スペースはどこですか?
 本当に書いたらカポーティが枕元に立ちそうなのでやめておきます。

 「ティファニーで便所飯を」不覚にもクソワロタwww便所だけになwwwwってやかましいわ!真面目に書けばひょっとしたらイケ…………ないな、うん
 ところで、このネタを書くときにあれこれ検索して「雪隠で饅頭」という慣用句があることを初めて知りました。日本の便所飯文化は相当古いようだ。

(追記)ドラゴンエイジで連載中の漫画「ジンキ」、原作者自らが原画を担当しまさかのアダルトゲーム化

 キャッチコピーはきっと「全てのロボットエロゲは道を譲れ!!!!!!」ですね。


2010-06-05.

・「便所飯」をテーマにしたライトノベル、というものを不意に幻視してしまった焼津です、こんばんは。

 ごく平凡な高校生だった主人公はある日、「トイレの華湖さん」の異名を取るヒロイン・水洗花華湖と出会う――ってな、一見して普通のボーイ・ミーツ・ガール。でもテーマはあくまで便所飯。「なんでトイレで弁当食べるんだよ……」「そこに個室があるからだ!」と噛み合わない会話を交わした末、「食わず嫌いはよくない! 一回だ! 一回でいい! 君も便所飯を試してみたまえ!」と無駄に暑苦しい説得に負けてトイレでの食事を敢行するハメとなる。「臭ぇ、こんなところで好き好んでメシ食う奴の気が知らねぇ……」としかめ面で弁当を掻き込む主人公だったが、彼は次第に独りで静かで豊かな超局所的『孤独のグルメ』に魅せられていく。「ああ……誰にも邪魔されず、自由で、なんというか……救われている……!」 気がつくとランチボックスは空になっていた。呆然とする彼の頭上、威風堂々男子トイレに侵入し扉をよじのぼってちょこんと顔を突き出した華湖さん(ビジュアルは断固として黒ロンゲのぱっつんストレートでお願いします)が正真正銘の上から目線で語りかける。「さあ! さあさあ! 君にもわかったはずだろう! 人が便器の上に座すときにだけ存在しうる、絶対的なリバティが!」「絶対的(アブソリュート)な解放(リバティ)……こ、これが……」「そう! それこそがすなわち! オン・ザ・ベンザ・ベントーだ!」「なんてこった、便座の温もりがヒシヒシと伝わってくる!」 かくして便所飯ファイターに覚醒した主人公。昼休みのチャイムが鳴り出すとともに開幕する壮絶な個室の奪い合いや、ホースで水を流し込んだりタワシを投げ込んだりしてくる心ない連中の陰湿なイジメ行為を潜り抜け、一流のラヴァトリスト(便所野郎)へと成長していく、そんな彼の前に立ちはだかる好敵手の数々――「ザ・パブリック(市内の公衆便所すべてを網羅しているマニア)」「ザ・ショップ(店のトイレを借りておきながら買い物は一切しない外道)」「インフィニット・フレンドシップ(友人宅のトイレを借りる達人)」「フライト・イーター(飛行機のトイレしか使わないこだわり派)」。それらを次々と打ち倒し(ちなみに勝利条件は、扉越しの精神口撃で相手の飯をマズくさせて「あれ? なんで俺は便所なんかで弁当食ってるの?」と正気に返らせること)、学園のみならず町内最強の座に駆け上がる。彼の破竹の進撃を食い止めるため、遂には伝説の「御不浄生徒会」が動き出す……と、単にオチが言いたかっただけかよこれ。タイトルはそうだな、『ティファニーで便所飯を』くらいでいいか。対抗ヒロインとして登場する汲鳥四季が華湖とドロドロの三角関係を繰り広げてくれたら個人的にとても嬉しいです。

『ダンタリアンの書架』アニメ化決定(主にライトノベルを読むよ^0^/)

 やぱし来たか。それにしても「口絵が全部雑誌からの流用」とは知らなかった。時期的にファーブラの追い込みで忙しかったせいだろうか。アニメ化といえば『生徒会役員共』が気になる今日この頃。下ネタは大幅カットされるのか?

R・A・サルバトーレの『ダークエルフ物語 暗黒の包囲』、6月30日発売

 最近チェックをサボりがちで捕捉するのが遅くなってしまいましたが、ともあれ今月末に出るようです。『ダークエルフ物語』はD&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)における世界観の一つ「フォーゴトン・レルム」を舞台とした冒険ファンタジーで、リンク先の説明だとこの新刊がシリーズの5冊目みたいに書かれていますが、はじめの方が絶版していることもあって実際はもっと後の巻です。原書で数えると9冊目、シリーズ第3弾“ドロウの遺産”の第3部に当たります(第1部が『ドロウの遺産』で第2部が『星なき夜』)。作中の時系列に添って並べていくと「“ダークエルフ物語”3部作(現在すべて絶版)→“アイスウィンド・サーガ”3部作(第1部に当たる巻は復刻版も含めて絶版、第2部と第3部は復刻版が発売中)→“ドロウの遺産”4部作→以後続刊」。つまり、『暗黒の包囲』に加えてあと1冊出れば“ドロウの遺産”は無事完結ですね。シリーズは以降も“Paths of Darkness”4部作、“Hunter's Blade”3部作、“Transitions”3部作と続いていき、更には番外編や姉妹編もあるそうですから、全貌が明らかになる日はまだまだ遠い。しかし着実に翻訳が進んでいると分かって嬉しくなりました。ちなみに当方は『ダークエルフ物語』3部作のみ読破しています。そんなザマでファンを名乗るのもおこがましいけれど、RPG風のファンタジーでいて読み応え充分なストーリー(主人公がダークエルフなのに純真な性格で故郷から逃げ出すハメになる、語り口に反してハードな展開が多い)はもっと多くの人に読まれてほしいと願うばかり。

・「評判いいけど値段がちょっと高いな」と思って5ヶ月ほど購入を躊躇っていた『ちづかマップ』、思い切って買ってみたら見事なアタリでホッとした。線の太い独特な画風に驚いたのも束の間、フリーダムに町を楽しむヒロイン・千束にあっさりと魅了されてしまった。絵柄は比較的シンプルなのに、表情の描き方が卓越していて素直に「かわいい」と感じられる。自分に正直すぎて身勝手な行動をすることもあるが、こまごまとした部分に愛敬が滲み出て不思議と憎めません。衿沢世衣子のマンガはあと3冊既刊が出ているようなので、是非とも集めたい。この「集めたい」という欲望さえ抑制できれば、たぶん積読はなくなるんだろうなぁ……だが集める。

・拍手レス。

 エヴォをプレイしていて脳内妹ならぬ心室系妹ココロたんのルートがなかったりしたので困まる。早くルートをエヴォリミットしろー!間に合わなくなっても知らんぞー!(AA略
 エヴォは体験版がまだ終わりませぬ。さっきやっとリーティアが出てきたトコです。

 ブックオフで立ち読みをしていたら、大分刑務所と書かれた小さな紙が貼られていたことがあります。囚人の持ち物っだったのかな?
 今は法が変わって刑務所内でも私物の雑誌や図書を所持できるみたいですね。『LO』とかでも大丈夫なのかしら。


2010-06-02.

・古本屋であるマンガを買ったら遊び紙のところに「○○さんへ いつもお世話になっています」って、どう見ても作者手ずから描いたものとしか思えぬイラストを添えた直筆のメッセージが書き込まれていてびっくらこいた焼津です、こんばんは。

 明らかに寄贈品やろ、これ……真贋不明のサイン本は何度か見かけたことがあるけれど、今回は絵柄があまりにもそっくり&比較的マイナーな作品なのでたぶん本物だろうと推察致します。店側には汚損と見做されたのか、値段が他より安かったのもまた悲しいところだ……。

・最近は『ミスマルカ興国物語』の7巻が凄まじい展開だった(ただしそろそろ『お・り・が・み』通読が必須になってきた)り、長らく積んでいたチンピラこと『沈黙ピラミッド』が案外面白かった(でも正直「またスプーキーEかよ」とは思った)り『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』がやや不満の残る内容だった(タイムバック要素があまり効果的でない)ものの映像的な迫力を充分味わえた(後半の飛び道具戦はアツかった)りで楽しく過ごしています。

130cmの『鬼うた。』、追加ダウンロードサービス分の原画作業が終了

 自サイトの過去ログを読み返していて「ああ、そういえばこんな騒動あったっけ」と思い出し、久々に訪れたところにこの報せ。6月に音声収録を行うとのことですから、配布は7月前後? 内容は「独立した短編集」で、「プレイ済みのほうがより楽しめる」そうです。一方、cuffsは相変わらずの沈黙を貫いているのでした。そろそろ2年半になろうと言うのに、パッチはまだ完成しないのか。遠くで瑠璃ファンの泣く声が聞こえる。

『ダブルブリッド』のイメージアルバム制作決定、中村恵里加の書き下ろし小説同梱「気が向いたらのライトノベル週報」経由)

 目を疑った。1巻の刊行から10年、途中5年近い停滞期を挟みながら一昨年に完結したライトノベル『ダブルブリッド』――既に『ぐらシャチ』という新作が出ていることもあり、今後はもう動きがないものと決め込んでいましたが、ここに来てイメージアルバム&書き下ろし小説とは吃驚仰天。ライトノベルのイメージアルバムというと『終わりのクロニクル』『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』なんかがありますけど、買ったことはないですね。ちなみに終わクロはドラマCDも出ていて、そちらには書き下ろし特典が付いてました。80ページくらいの冊子目当てに4500円も出すのはちょっと……と躊躇しているうちに販売停止となってしまい、少し後悔したので、今回は特典の内容を吟味しつつ前向きに検討していきたい。短編集も発売済であることを考えると、再録される機会も恐らくないでしょうからね。終わクロに関してはいずれディレクターズカット版の最終巻が上梓される(ドラマCDの特典冊子は最終巻が分厚すぎたために削られたエピソードをまとめたもの)ことを信じています。儚い望みであろうと信じるより他ない。

・今月の購入予定。

(本)

 『Honey Syrup』/藤ます(ワニマガジン)
 『境界線上のホライゾンV(上)』/川上稔(アスキー・メディアワークス)
 『ベルとふたりで(2)』/伊藤黒介(竹書房)
 『ふたりの距離の概算』/米澤穂信(角川書店)
 『ドリフターズ(1)』/平野耕太(少年画報社)
 『メイスン&ディクスン(上・下)』/トマス・ピンチョン(新潮社)

 『Honey Syrup』はエロマンガです。藤ます(「とうます」と読む)の処女単行本。犬江さん目当てで買った某誌で作品を見かけて以来気になっておりました。画力が高いうえにお口描写が濃厚で、見て楽しく使って愉しい。今月は他にみなすきぽぷりの新刊『スカートのままで』も出ますね。『境界線上のホライゾンV(上)』は値段からして800ページ近くになるだろうと睨まれている。ボリューミィかつ個性強すぎで一見客にはとっつきづらい、でもハマると病みつきになる、あたかも「ライトノベル界のラーメン二郎」であるかのような川上稔が放つ「またサイコロ本か」な新刊です。来月には中巻が、再来月にはたぶん下巻が出ます。総計して、約2400ページ……数字だけ眺めると胸焼けがしてきますな。『ベルとふたりで(2)』は今当方の中で一、二を争うほどアツい四コママンガ。犬と女子小学生の微笑ましい日常を描いたものながら、到底「萌え」とは言いがたい変な活きのよさが全編に満ち溢れている。『ふたりの距離の概算』は“古典部”シリーズ最新刊。マラソン大会がどうこう、という例によって大きな事件が起こらない「日常の謎」タイプのミステリみたい。もどかしさを加速させるタイトルといい、奉太郎たちの関係もそろそろ詰まってくるのかしら。『ドリフターズ』は昨年めでたく完結した『ヘルシング』でお馴染み、ヒラコーこと平野耕太の最新刊ですよヒャッホイ。タイトルがどうしてもアレを連想させるせいで脱力してしまうが、そんなことはどうでもいい、これが発売される月末が今から楽しみで楽しみでしょうがない。ちなみに4月に出た『ドリーズパーティー』は元アシなのか何なのか、絵柄がヒラコーに似すぎでウケました。『メイスン&ディクスン(上・下)』は“トマス・ピンチョン全小説”という12巻から成る全集の第一期配本。2冊で7560円(税込)と耳から血が噴き出しそうな値段。早くも怖気づいています。果たして最後まで揃え切ることができるだろうか……ちなみに“ガルシア=マルケス全小説”は結局2冊しか買わなかった。

(ゲーム)

 なし

 『処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー』が気になるものの、前作が途中で止まっていることもあり、心をスティールにして見送り。lightの『Soranica Ele』、あかべぇの『光輪の町、ラベンダーの少女』は評判待ちとする。今月は『かみちゅ!Blu-ray BOX』(到着済)の他、『ストライクウィッチーズBlu-ray BOX』『バーン・ノーティス シーズン2』なども検討しているので予算がキツいんですよね。ストパンは来月のDVD-BOXに切り替える公算が大。DVD-BOXと言えば、『sola』『かしまし』の廉価版BOXも出るそうな。悩ましい。

・拍手レス。

 大迫純一氏の訃報、ここで知りました。素で変な声が出たよ…………
 今更ゾアハンター読み出しましたが、これがまた面白い。あまりの面白さに切なくなる。

 エヴォリミットのスケールにポカーン。最近はエロゲもインフレが激しすぎて困る
 「エヴォだよ、それは!」というくらい進化しまくるらしいですね。

 おかま、なーんかめだかボックスの類似品ぽくね?、とか思ってましたが(ラストの「私はなんでもできるが、何もできない」ってな感じのセリフを、読み切りかなにかの時にまんまめだかちゃんが言ってた気がする)、まさかこんなことになってたとは。いつだったかネットで見た、ドラゴンボールのセルゲームのシーンを、構図からセリフから絵柄からまんま瓜二つな漫画、とかってのを思い出しました。
 この騒動がキッカケで久々にライトノベル板を巡りましたが、騒動と関係ないMF文庫Jのスレで噴きました。作品の通称が「肉便器」とか異様過ぎだ。


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