2009年6月分


・本
 『厭な小説』/京極夏彦(祥伝社)
 『IS(インフィニット・ストラトス)』/弓弦イズル(メディアフィクトリー)
 『弥勒世(上・下)』/馳星周(小学館)
 『ロウきゅーぶ!2』/蒼山サグ(アスキー・メディアワークス)
 『有川夕菜の抵抗値』/時田唯(アスキー・メディアワークス)
 『境界線上のホライゾンU(上)』/川上稔(アスキー・メディアワークス)
 『あらいめんとゆーゆー』/松本ドリル研究所(コアマガジン)
 『偽物語(下)』/西尾維新(講談社)
 『アクセル・ワールド2』/川原礫(アスキー・メディアワークス)
 『俺たちに翼はない パーフェクトビジュアルブック』/Navel(アスキー・メディアワークス)
 『ちはやふる(5)』/末次由紀(講談社)

・ゲーム
 『きっと、澄みわたる朝色よりも、』体験版(propeller)
 『星空のメモリア』体験版(Favorite)

・映画
 『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン』


2009-06-30.

・悩み、呻き、転げ回った末、『俺たちに翼はない パーフェクトビジュアルブック』をレジに運んだ焼津です、こんばんは。

 『ペルディード・ストリート・ステーション』を迷わず買った当方ながら、価格が4000円弱とあってさすがに躊躇しました。目当ては無論のこと王雀孫書き下ろし番外編ショートストーリーであり、ほぼそれだけのためにニア樋口を支払ったと申しても過言ではない。つか、上述したペルディード〜と『ダークエルフ物語 星なき夜』とこれ、高額本3冊で諭吉っつぁんがほぼ1枚消し飛んだ計算になるわけですが……ゴージャス宝田の新刊も2冊同時に発売されて、月末のお財布事情がかなり苦しい。ロスクリデビュー作のかれこれ3年ぶりとなる続編、『蠅声の王 シナリオU』を調達する資金がよく捻出できたものだよ、我ながら。

 それはともかく、俺翼PVB。箱入りの大型本でずっしりと重く、手に持って読むには向かないつくりをしています。机や床に置いてページをめくり、のんびりと眺めるのが姿勢としてベター。全体が300ページほどあり、最初の200ページくらいはキャラクター紹介、ストーリー紹介、舞台紹介、攻略方法など本編の内容を振り返る資料的なコンテンツが収録されています。俺翼に関する細かな情報を確かめるにはちょうどいい代物ながら、ぶっちゃけ目新しさはないよね。キャラ紹介で和馬が明日香に関して「マジで羽田とつき合ってんの? あー、でもさ、羽田のことどこまで、わかってんのかな」と語っているところや、3章のストーリー紹介で鳴が「妊娠5分前」とコメントしているところには笑いましたけど。和馬と明日香って、微妙に鷹志を巡って三角関係を描いてるんだよなー。明日香からすれば和馬は「ことあるごとに鷹志を弄っていた少年」であり、「あんな子と遊ぶのはやめなさい」と姉貴っぽく注意したい気持ちがあるけど、鷹志が「森里君大好き」オーラ発しまくっているので黙っている感じ。和馬も、明日香のことはプリンセスとして特別視しているが、それで鷹志に対して嫉妬するということもなく、むしろ逆に鷹志を心配している節があるっつーか……こういう説明しづらい緊張関係が密かに敷かれているあたり、実に面白い。

 読み物として面白いのはロングインタビューかな。王雀孫、西又葵、アッチョリケという主要スタッフ3人があれこれと俺翼にまつわる話を開陳します。「日和子には弟がいる」など、本編では触れられる機会のなかった裏設定がぽろりぽろりと出てくるので結構な収穫がありますね。原画集では誰がどこのイベント画を担当したかがハッキリ分かってさりげに腑に落ちた。そして全王儲が待望した書き下ろしSS、「ぱね田くんの初詣」と「ぱね田くんのバレンタイン」は……合計して8ページです。と書くとページ数のあまりの少なさにガッカリされるやもしれませんが、ご安心を、ページ数こそ少ないものの活字が小さいから1ページ1ページにみっちりとテキストが詰め込まれています。めちゃめちゃアバウトに計算すると、原稿用紙換算で80〜90枚分くらいに相当するかな? ちょっとした短編並です。

 収録内容の大半がCG(そりゃパーフェクト「ビジュアル」ブックだもんねぇ)で、読み物的な面白さを求める人からすると「3990円(税込)は高い!」って結論になるでしょうが、裏設定暴露満載のロングインタビューおよび密度の高いSSを目にすることができますゆえ、覚悟完了した儲ならば「別に仔細なし」「胸すわって支払うなり」で因果応報されます。高い買い物でしたが、後悔はありません。そもそも「Symphony of 俺たちに翼はない」読むためだけに“コンプティーク”買ってる身で今更後悔などしようはずが……あー、でも冷静に考えると「コンプ3冊+今回のPVB」でほとんどエロゲー1本分の金を使ったことになるな……すみません、ちょっとだけ後悔してもいいですか?

ロシアで海賊を “合法的に死傷させる” ツアーが問題に(痛いニュース(ノ∀`))

 現実はブララグよりもおそロシア。サスペンス小説に「マンハント(人狩り)」と呼ばれるジャンルがありますが、まさにそれと同じノリだなぁ。ヨットクラブ(一応ネタバレなので反転伏せ)がちょうどこんな話だった気がします。

(追記) この情報はデマだった模様です。

・末次由紀の『ちはやふる(5)』読んだー。

 真空を飛ぶ 針のような
 音のしないかるた

 「ライバルにすらなれない強さがある。」という帯文からしてワクワクする競技かるたマンガ。かるたという地味な題材でもう5冊も巻を重ねているというのに、まるで勢いが衰えないのだから驚異です。今回は史上最年少のクイーン、「若宮詩暢」が登場し、圧倒的な力量の差で主人公・千早を苦しめます。詩暢は現時点で限りなく「最強」に近い存在であり、それこそ「ライバル」と呼ぶのも躊躇われるほど懸け離れた腕を持っています。彼女に勝つ姿なんて、まったく想像ができない。それぐらいの開きがあります。ここは当然、王道として千早が訓練に次ぐ訓練でパワーアップし、徐々に詩暢と伯仲していく――的な展開へ流れていくんでしょうが、そこに至るまでに必要なステップを思い遣ると少し気が遠くなるな。この巻は先生の気になる一言とともに幕となり、「続きはどうなるんだろう」とやきもきさせてくれます。で、それはそれとしてクイーンこと詩暢、ただ「強い」というだけじゃなく千早に並ぶ「負けず嫌い」を発揮するのが微笑ましい(絵的には凄い顔していて怖いけど)。相変わらず少女マンガのくせして恋愛要素希薄で、せっかく漂い始めたイイ雰囲気も拍手一つでぶち壊しになるけど、改めず今後もガンガンと熱い青春街道一直線で攻めていってくれ。

 最近話題になってきていることは確かですが、「少女マンガ」および「かるた」というジャンル表記がネックになっているのか、まだまだ扱いが「マイナー作品」のそれという感触は拭えません。確かに、「かるたに青春のすべてを懸けるマンガ」と聞いてピンと来る人はあまりいないかもしれない。されど、1巻冒頭の「お願い だれも 息をしないで」に篭められた緊張感を目の当たりにすれば本当に息が止まること請け合いです。たかがかるた、と笑う人々は何も知らないのだ(桐野夏生『IN』のキャッチコピー改変)。「身体一つで男女一緒に戦えるのは文化だからです」など、いちいち脂の乗った言葉が多くて震えますね。

・拍手レス。

 策士なでこやら妹とのプレイやら忍との関係やらの爆弾をガハラさんが知った時の反応を考えるとポプラ木さんの安心ぶりがヒヤヒヤする
 狂ほしく 血のごとき ガハラのぼれり 秘めおきし文具 いずこぞや


2009-06-27.

・CATVで観た『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン』がめっさ面白くて興奮した焼津です、こんばんは。

 前々から「最高のバカ銃撃戦映画」と聞いていたんで、放映されたのは渡りに舟でした。ロンドン警察で検挙率1位を誇る超優秀な警官(オフィサー)である主人公ニコラス・エンジェルが「ぶっちゃけお前うぜぇ」っちゅうトンデモなく唖然とするしかない理由でド田舎へ左遷、赴任先でも頑として己の遣り方をまったく変えず堅物オフィサーとして働き、周りに辟易させる。ド田舎だから、ロンドンの激務に比べればヌルいものか……と気を抜く暇もなく、矢継ぎ早に不審な事件が巻き起こる。ニコラスはあまりにも立て続けで発生する惨劇に「これは殺人事件だ、どこかに犯人がいる」という疑惑を高めていくが、他の連中はボンクラばかりでまともな捜査をする素振りもなかった。まさしく孤立無援、しかしそんな彼にも協力を申し出る相棒が……と、まあ、こんなストーリー。言っちゃナンですがとってもありきたりです。

 非常にテンポよく話が紡がれることもあってコメディ的にはそこそこ愉快だが、派手なアクションシーンが山場に至るまで存在しないので、真ん中あたりがちょっとダレる。あと死体描写が結構グロい。強いて言えばそこが難点。しかし、クライマックスに入ってからの展開は――冒頭の主人公みたく、ただただ唖然とするしかなかった。まさかの時のイギリス騎馬警察! もう爆笑の連続で、ひぃひぃ呻きながらガンファイトを眺めておりましたよ。これは凄い。掛け値なしに凄い。シナリオは強引の域を超えてひたすら無茶苦茶、ツッコんでる暇もない。とにかく有無を言わせぬ勢いでラストまで押し流します。前半で使ったセリフを後半でもう一度使う、伏線回収めいた遣り取りも少々無理矢理に映るけど、頭カッ飛ばした状態で観れば大丈夫、なんてこたぁありません。随所に仕込まれたブラックジョークともども楽しませてくれました。若干サイコ・ホラー掛かっていてエグいシーンも用意されていますから万人にオススメとは行きませんが、うちのサイトを覗いているような方々なら明らかにOKでしょう。前半がユルい分、後半のエクスプロードぶりが際立っています。機会があれば是非ご視聴を。

lightの『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』、各種キャンペーン期間延長。新ムービー公開。webラジオで進捗状況も。

 「延長」の「延」にかなりドキッとしましたが、大丈夫、まだ延期ではない、まだ。「来週頭ぐらいから収録が始められる段階まで来ました」とのことで、一応シナリオ作業はひと区切りついた……のか? 新ムービーは例の主題歌(アインザッツ)をBGMにしたもので、これが新規OPになるのかしらん。追加CGとおぼしき絵も何点か確認できました。一方で旧版に使われていたCGも数多く散見され、「ああ、やっぱり展開自体は前のと一緒なんだ……」と複雑な気分に陥ったり。三騎士たち、今度は「強そうなザコ」から昇格できるといいんだけどなぁ。本当に。

 ラジオによると「黒本は160ページくらい、コンセプトは『CGギャラリー』」「白本は現段階で140ページ程度だがもっと追加する予定、コンセプトとしては『コンテンツとして面白いもの』、『Dies irae』のいろんなテキストや設定など」、てっきりペラペラの小冊子でごまかすんじゃないかと勘繰っていたが、予想以上に力を入れている模様。進行状況については「ギリギリ大丈夫」「いま最後のひと押し」「ラジオ公開の時期にはちょうど音声収録の真っ最中になってるはず」「発売日は動かない」「トラブルがあったらすぐ告知する」「正田のシナリオ、13章の盛り上がりがすごくいい」「Gユウスケが『泣ける!』と言ってた、ちょっと泣いてた」「Gユウスケは制作陣も関知していないようなCGを勝手に描いて増やすことがある」「とんでもないことになっている」――違う意味で「とんでもないことになっている」んじゃないかと思ったりするけども、差し当たって延期の危機はしばらく生じないみたいだ。たぶん、来月の10日あたりが延期告知来るか否かの正念場になりそう。

暁WORKSの『コミュ−黒い竜とやさしい王国−』、発売予定日は10月22日に

 秋か……それまでになんとかるい智を終わらせよう。現在3周目の終盤。

ALcotの新作『幼なじみは大統領』、公式ページオープン

 『総理大臣のえる!』思い出した。っていうか、あだ名が「プーちん」とかイイのかこれ……そういえば昔、スターリンやエイツィンをもじったヒロインが出てくるエロゲーがあったっけな。ワープ番長のインパクトが強すぎてあまり印象に残ってないけど。ともあれ、「宇宙人のせいで幼なじみが大統領になってしまった」というあらすじのバカバカしさゆえ注目せざるを得ない。

結末を知らない少年マンガランキング(痛いニュース(ノ∀`))

 まだ終わってないけど、『多重人格探偵サイコ』がそうなるかも。迷走化する話を追うのに疲れて新刊買うのやめてしまいましたから。『範馬刃牙』は一応まだ追えているけど、最後まで付き合えるかどうか密かに心配だったり。

注目していた130cmの『鬼うた。』がなんか超展開らしい、という噂

 だから言ったんだよ、厄介なことになるって!(GOEMONの佐助風に) 実姉のド変態っぷりに霞みかけていましたが、やはり『好き好き大好き!』や『ネコっかわいがり!』を経てきた13cmの牙は鋭すぎますね。姉妹ブランドでも容赦ナシか。

・川原礫の『アクセル・ワールド2』読んだー。

 副題「紅の暴風姫」。売れ行きが好調らしくて、このまま電撃文庫の新たな看板作品になるんじゃないか、と目されているシリーズの第2弾です。思考を加速させるアプリケーション「ブレイン・バースト」を使用して仮想世界での戦闘行為に没頭し、ポイントを溜めてレベルアップしていくのが基本ストーリーとなっており、タイマン(一対一)要素を前面に押し出した1巻はそれこそ対戦格闘ゲームのノリに近かったが、今回は集団戦、軍団(レギオン)の垣根を越えてチーム編成し共通の「敵」を討伐するMMORPGめいた展開になっています。自然と著者が擁するもう一つのシリーズ、『ソードアート・オンライン』を連想しますが、あっちと違ってAWはRPG的なクエストをさほど重視しておらずあくまで単純明快なバトルがメインになっているので、印象が被りそうで被らない。棲み分けがキチンと為されている感じです。

 ハルユキの先輩にして「ブレイン・バースト」の師匠に当たる黒雪姫が無事退院し、彼女をマスターに据えて結成した軍団「ネガ・ネビュラス」も、構成員は少数ながらそこそこ順調に戦績を重ねていた。比較的、平穏な日々――それは一人の来訪者によってあっさりと打ち砕かれた。「おかえりなさい、お兄ちゃん!」 帰宅したハルユキを出迎える、見知らぬ「妹」。彼女がハルユキたちを次なるステージへと導いて……。

 作者によると「プロット前倒し」を行ったとかで、開始時点で既にハルユキのレベルが4に達している。「前半は順調に勝ち進むハルユキ、しかし後半、伸び悩む時期に差し掛かって……」みたいな見え見えのテンプレ展開で2巻を埋めてしまうような事態を避けるためとはいえ、ハルユキがスランプに陥るまでの経過をあらすじ形式で丸々短縮するたぁ思い切った方法に出たものだ。おかげでもうしばらくは先かと思っていた集団戦、早くもお目見えです。350ページ弱と割合読み応えのある分量なれど、今回は「新展開に向けての助走」といった塩梅で、前巻よりもおとなしいテンションで終始ゆるゆると物語が紡がれています。話もある程度進むし、最後にそれなりのケリもつくけれど、「待ちに待った続編!」ってな具合に気負って読むとややガックリ来るかもしれませぬ。とりあえず、チユリが空気すぎて哀れだった。

 さて、今回は新キャラとなる「ハルユキの妹」が重要な役割を果たしますっつーか、これだけ派手な登場しといて重要な役割ナシだったら詐欺でしょう。先輩こと黒雪姫の嫉妬する様子を眺めることができてニヤニヤ致しました。期待したほど黒雪姫とイチャつくシーンがなくて少々物足りない気分を味わいましたが、ふたりの想いを確認し合う場面はちゃんと用意されているので、微速ながらも前進している感触が掴めます。全体的に見てあまり劇的に盛り上がる要素はないんだけど、地味に読み手の心をくすぐる要素は事欠かず、面白さ自体は「1巻>2巻」でありながらシリーズ的にはさほど失速していません。普通に次巻が楽しみ。ただ、無制限中立フィールドの痛覚表現がキツいってか予想以上にエグくてちょっとヒいたな……胴体をぶった斬られても即死できずにのたうち回るとか、あれじゃ痛みで精神崩壊するバースト・リンカーも出てこないか。

 正直、単独ではそんなに評価されるエピソードじゃないかもなー、とか思いはしますけど――早ければ年内に3巻が刊行されるみたいなので、不満を述べる作業よりも期待を寄せる作業に取り掛かりたい所存。2009年初冬というからには、12月か1月当たりになるかしら。8月に『ソードアート・オンライン』の2巻も控えていますし、慌てずのんびりと構えることにしよう。余談。軽量アバターと超重量アバターの組み合わせで「九郎とベンケイ」思い出したのは当方だけかしら。未だに愛着が薄れないマンガだぜ、BREAK-AGE。

・拍手レス。

 傾物(カブキモノ)って発想がいい。傾奇者ばっかだし。
 あばば木さん、「ひたぎクラブ」の時点ではそんなに傾いてなかったのにな……いつしか変態魔境の代表選手に。

 歯磨きはエロイという事を教えてくれた維新先生は偉大です。あと貝木さんただの詐欺師なのになんであんな強キャラ臭がするんだろう・・・不思議すぎる。ガハラさんはもう無個性になってしまってヒロインじゃないよね、みたいな。
 貝木さんはヒューマノイドゲリラ豪雨。害意なく破滅的に騙すから恐ろしい。

 鬼うた阿鼻叫喚の前日ストーカー女に追い掛け回されて恐怖のあまり飛び起きるという夢にその日計ったように壊れるDVDドライブという悪寒の走る出来事が起きなければ人生初のヤンデレ鬱ゲーに手を出すところでした。130cm怖いわ。
 しかし、さくらのほうは出来的に八分咲きのようで古い予約券を握り締めた待ち人達の淀んだ目に生気が戻るのには吹いたw

 13cmの魂は未だ消えず、眠らず。さくらさくらはあれだけ延期した割に評判は宜しいですね。『よつのは』と同じパターンだわ。


2009-06-24.

・絵柄が好みで前々から気になっていた松本ドリル研究所の『あらいめんとゆーゆー』を今頃買った焼津です、こんばんは。

 ホントは“チャンピオンREDいちご”に連載している「このはな」が読みたかったけど、単行本の発売はまだ当分先みたいなので、成年コミックであるこっちを妥協的にセレクト。始めのあたりと終わりのあたりでだいぶ絵柄が異なるが、やる気あんのかないのかイマイチよく分からん勢い任せの暴走ぶりは終始一貫している。不慮の死を遂げてしまい、未練を残して幽霊となった少女が主人公。生前好きだった男の子と実は両想いであったことが死んでから発覚し、「こんなのあんまりだ」と泣いていたところにトイレの花子さん「櫻子さん」と出会って……な幕開け。言わば「トイレの花子さん」が種族名で、「櫻子さん」は個体名に当たるらしい。迫力溢れる性交シーンが何よりも大きな見所であり、また「ヒロインが幽霊」「もう一人のヒロインは化け物」という設定を活かして異常なシチュをところどころに盛り込んでいるのも楽しい。

 チ○コ取り込んでふたなり化くらいは小手調べ、美少女顔のショタキャラを女体化させつつ分離したチ○コの感覚だけは残しておいて「感覚が繋がっている自分のチ○コを自分で口撫する/感覚が繋がっている自分のチ○コで犯される」というセルフセックスめいた体験を叩き込んだり、「幽体のチ○コと肉体のチ○コでダブルに犯す」なんていう「よく思いつくなぁ」と感心するようなネタを仕込んだり、まっこと千変万化。犯す・殺す・喰う、人外の悪徳をひと通りこなしながらもユーモラスで憎めない雰囲気を放つ櫻子さんマジ最強。さりげなくエグい要素満載で付いていけない人は付いていけないだろうけれど、こういう妄想の塊みたいな話は嫌いじゃないです。むしろ大好きです。

 つっても、進めば進むほどにイイ加減さが増していくストーリーは、いくらバカ・エロ・グロ三拍子揃った鉄壁のナンセンスコメディだからって能天気に誉めるのも難しいですね。畳むことを考えないで好き放題やってきちゃったツケを順当に払わされる終盤に苦笑い。なんかもう最後の方になると、ヒロインってば「生前好きだった男の子」を放置して「櫻子さん好き!」とか言い出しちゃうんですよ。お前はいつからレズっ娘(チ○コあるけど)になったのかと。うーむ、作者の趣味なのか、結局「♂×♀」という普通の掛け合わせがほとんどなかったな。催眠術でも使っているかのようなグルグル目と壮絶極まりないアヘ顔の連打も好みが分かれるところでしょう。個人的にはどっちも好みだから問題なかった。あとは話さえ整っていれば言うことナシなんですが……それは「このはな」や今後の連載作に期待するとしよう。

ぱじゃまソフトの新作『プリズム☆ま〜じカル!』、公式サイトオープン

 またこのパターンか……『おと×まほ』といい、『魔法少女の大切なこと。』といい、最近「魔女っコの男の子」ネタがやけに多いっスなぁ。ただ、「母親譲りの魔法少女」という設定である他2作に対し、プリカルは「親父譲りの魔法少女」――正直すごく萎えるシチュエーションです。親子二代で女装癖とは……しかも親父は別にショタキャラとかじゃなくて脛毛ボーボーのオッサンらしいし、うーん、かなりキツい。主人公が変身を嫌がっているのは救いなんだけど……とりあえず、様子見。

・西尾維新の『偽物語(下)』読んだー。

 7月からアニメが開始する『化物語』の後日談パート2。阿良々木暦を主人公に据えたシリーズとしては5冊目に当たり、シリーズ最終話「つきひフェニックス」を収録している。下巻ということにはなっていますが、このシリーズは基本的に一話完結の連作形式ですから、上巻との繋がりはやや弱め。もちろん同じシリーズである以上、繋がりはあるっちゃあるし、話をよりよく理解するためには順番通りに読んだ方が宜しいんですが、いわゆる普通の上下巻モノほど密接な関係じゃありません。だから厳密に書けば後日談パート2というより、「後日談の後日談」みたいなテイストを放っていますね。いえ決して蛇足という意味ではなく、一旦仕切り直したような気配があるわけですよ。

 主役に抜擢されるのは阿良々木ファイヤーシスターズの参謀役、「ちっちゃい方の妹」こと阿良々木月火。荒事担当ではないくせしてキレたら即座に刃物を持ち出すというピーキーな妹であり、「病み」の段階をすっ飛ばしていきなり刃傷沙汰に走りかねない風情は下手なヤンデレよりも恐ろしい。この子、なにげに人格破綻者じゃね? 人格破綻と言えば、「おっきい方の妹」こと阿良々木火燐のキャラクターが凄まじい勢いで破れ綻びていきましたよ。さながら『化物語』における神原駿河の如く。前半は明らかに火燐フィーバー、物語のバランスやペースなど微塵も考慮しない火燐乱舞で火燐無双の大暴れ状態につき、「あれっ、今回は月火のエピソードだったよな……?」と首をマジ傾げ。よほど作者が気に入ってしまったらしく、「可愛らしくない妹の可愛らしさ」をこれでもか、これでもかと執拗に描いてきます。ぶっちゃけ、月火の出番が圧迫されるくらい。月火メインの後半を読んでいる最中でさえ、驚くことに肝心要たる月火の印象は希薄至極であり、本を閉じる頃には「火燐すごすぎゆー」な感想ばかりが頭を占めていました。もともと上巻「かれんビー」の時点でも充分おバカで変な妹だと思っていたけれど、この下巻に至ってはそれどころじゃ済まされないというか、完全無欠の、いやむしろ完全全欠のおバカっ娘と化しています。軽くキャラ崩壊しています。バカベルリンの壁が崩壊して知能レベルの東西統一が果たされちゃっています。「あたし考案の……えーっと、ノーベル賞じゃなくて、えーと、えーと、そう、芥川賞ものの発想……」とか、残念すぎる発言がいちいち肺腑を抉ります。「わかった! じゃあ処女やる! 兄ちゃんにあたしの処女やるから!」宣言まで行くと残念通り越して不憫だよ。例のAAで「変妹だー!!!!」って絶叫したくなるよ。もうここまで来ると淑女ですね、そう、変妹という名の淑女ですよ。可憐でいて憐憫を誘う、まさに「かれんびん」。その威力はモロトフカクテル級だ。

 火燐ばっかりにコメントを割いて全然内容に触れていませんが、実際に今回はキャラごとのページ配分にかなり偏りの出ている内容で、まだ公平な感じのあった前巻に対し扱いの差が「雲泥」の域まで達している。八九寺真宵は昇天フラグを依然として消化してないこともあって比較的厚遇されていますけど、『化物語』のヒロインたる戦場ヶ原ひたぎ、通称「ガハラさん」の近況が伝聞的な描写のみで直接的な出番が一切ないという異例の事態に陥っていたり、羽川翼の出番が電話越しの会話だけだったり、かのアンファン・テリブルを体現する千石撫子なんて――直接的な出番がないどころか、伝聞さえも随分と扱いが小さかったりする。神原駿河は相変わらずなんだが、同路線めいた匂いが漂う火燐のせいで見事にキャラを食われてしまっている。「かれんビー」の後日談、という視点で取り掛かればさほど文句の噴出しない仕様ながら、「『化物語』の後日談、ふたたび」という意識で臨んでしまうといささかガッカリムードを味わうことになりかねない。アニメに関するメタ発言も「またかよ」って感じでちょっとしつこかったし、ファンの間で賛否両論が巻き起こりそうな雰囲気もある。ただ、「アニメ版の阿良々木さんがやけにイケメンであること」にちゃんとツッコミを入れているところは個人的に賛意を示したい。あれ、ファンだったら絶対に言及したくなるポイントだからなぁ……。

 ストーリーの題材は「フェニックス」。本当はちょっと違うんですが、詳しいことは割愛。大半がコメディパートであるもののシリアスパートもきっちり仕込まれており、「かれんビー」よりもだいぶ腰砕け感が抜けて、ちょうどいい結末を迎えました。惜しむらくは月火の印象の弱さ、何度も書きますけど火燐ちゃんの生命力がグレートかつダイナミックすぎて月火ちゃんの存在が霞みがちになっています。ヒロインなのに影が薄いとはこれ如何に。正直、月火自身の言動よりも主人公である阿良々木暦の「妹たちに対する傍若無人な振る舞い」の方が目立っていました。「もうお兄ちゃん、妹のおっぱい触り過ぎ!」は素直にアラーラ・ギッコヨミへの殺意を滾るほど喚起してくれましたし。「僕は男子たるもの、女子に対しては努めて誠実であるべきだと思うんだけどなあ」とか、どの口でほざいてるんだよ、お兄ちゃん。しかしまあ、月火がワリを食ってくれたおかげで、前回影薄かった忍野忍の活躍する余地ができて、そこは非常に宜しかったです。ロリババアかわいいよロリババア。年甲斐もなくハシャぐ姿や、胸がぺたんこ化して精神的にも凹んでいることや、「伝説の吸血鬼」に「後期高齢者」という言葉を繋げるセンスがたまらないと思うんだ、うん。ぱないの!

 それにしても、読めば読むほどに忍野メメがどれだけ重要なメンターであったか、つくづくと改めて痛感させられました。失って初めて気づく大切さ、と陳腐な言い方では片付けきれない寂しさや心細さが湧いてきて胸を衝きます。「解説屋であり、あらゆるトラブルに仲介し調停する便利な導き手」は作者としても使い勝手の良い駒であっただろうに、あっさりと退場させて以後二度と頼れないように仕向けたおかげで「主人公=ドラえもんが帰っていった後ののび太」という、「自分自身で成長するしかない子供」の要素を強化してくれた。デウス・エクス・マキナ的役割、快刀乱麻を断つが如き万能ぶりを発揮する拝み屋に頼らなくなったからこそ、好感度落としまくりな選択肢を取り続けるAKIRA木であっても応援したくなる。ことあるごとに忍野メメの思い出がページ上に甦り、それ自体は何をしてくれるということもないけれど、彼との出会いと交流があったからこそ阿良々木暦くんは「怪異」というトラウマに屈せず、阿良々木暦自身の根幹を成すパーソナリティ――ひたむきな「お人よし」属性と「家族想い」属性――を一心に貫けるんだな……と納得できるのです。このシリーズは「変化を厭わない」って意識が背景にあり、外見の変化はもちろんのこと、キャラ崩壊に準ずる性格の変化までも肯定的に受け取っていく部分があって、あの凶暴無比な文房具ソルジャーであったガハラさんも相当目を疑う子になっているみたいだけど、なんだかんだで暦の「ヘタレているようで案外まっすぐ」ってところは一貫していて安心させられる。実に清々しく読み終えました。

 とはいえ、これで最終話かぁ……覚悟していたけど寂しいなぁ。もう話として広がらなくなってきているから無理に続けてもグダグダになってしまうのは目に見えているし、ここでスパッと終わらせるのがちょうどいいんだろうけど、結局ゴールデンウィーク絡みのことが詳細不明のままでモヤモヤするよなぁ。と若干無念の気持ちを抱えながら、「『佰物語』たらゆうドラマCDを余熱冷ましに使うかな……」と寂しさを噛み殺し、諦めを噛み締めつつあとがき読んでいたところ、驚愕のニュースが。

 あとすいません、この本、最終話って謳ってますけど、ごめんなさい、なんだかあと二話ほど書くことに今決めました。

 おいおい、なんだよそれ……嬉しすぎんだろ。ファンを喜ばせるのも大概にしろよ、西尾維新。というわけで、第閑話「まよいキョンシー」を収録した『傾物語』と第禁話「つばさファミリー」を収録した『猫物語』が2010年刊行予定とのことです。まだまだアヒャッハー木さんの青春は終わらない模様だぜ。ワクワクするー。胸が高鳴るー。期待がたかまるー。

・拍手レス。

 境ホラは立って読めない…。個人的には金髪巨乳が四字熟語になってることに感心した。あと点蔵もげろ。
 正直、携行性は低い。いずれ京極みたく分冊版でも出るのか……それはそれとして点蔵、幸せすぎて死亡フラグな感じ。

 たかが数分のデモですら1俺たちの邪気眼を疼かせる正田は卑怯
 さすが元祖「怒りの日の奏者」、楽器(ユーザー)の鳴かせ方は心得ていやがる。

 二度とlightの門はくぐるまいと決めていたのに、くやしいっ……でも開いちゃう!
 我らが心は火に飛び込む蛾のようにlightへ引き寄せられていく……


2009-06-21.

・「十兵衛の右眼を潰した美剣士」や「尻一つで十三万石だとぉっ!!」といったキャッチコピーに釣られて『柳生非情剣 SAMON』を購入した焼津です、こんばんは。

 原作は隆慶一郎の短編「柳支の剣」(『柳生非情剣』所収)です。かの有名な柳生十兵衛三厳の弟・柳生左門友矩を主人公に、徳川将軍家三代・家光と結ばれた禁断の恋、そしてその末路を描く。十兵衛が悪サイド、つまり敵役として描かれているが、元より「猛々しい魔人」というイメージが濃い存在なので違和感ナシ。男色の話とはいえ、やたら「尻」「尻」と出てくるので笑ってしまう。露骨な性描写は控えられていますので、「男同士が裸で絡み合う様など見たくない」という方でも安心して読める内容です。田畑由秋と余湖裕輝、『アクメツ』コンビが紡ぎ出す隆ワールドは思った以上にスリリングで引き締まっており、時代劇を食わず嫌いしている層にも是非オススメしたい。何より、1冊できっちりと完結しているのが嬉しい。「だがそれは別の話だ」なんて文章もあるし、今後もこの調子で隆慶小説をコミカライズしていってくれるのかな。

lightの『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』、新ムービーと新規CGを公開

 新規CGはラインハルト様、それに負傷した蓮を支えるマリィのイベント絵。やっぱGユウスケの絵柄がだいぶ変化しているけど、これはこれでヨシ。余裕で許容範囲内です。前向きに肯定可能です。ムービーは恐らく修正版マリィルートの一部を切り取ったものと推測される。「大丈夫だよ、わたしがついてる」に「大丈夫、操緒がついてるよ」を思い出して無駄にホロリと来た。「私の業(あい)とは、すなわち破壊だ。総て壊す。天国も地獄も神も悪魔も、森羅万象、三千大千世界の悉くを」など、短いながらも邪気眼バリバリな正田節を嗅ぎ取れるテキスト群が詰め込まれており、弥が上にも期待のゲージが跳ね上がる。あとはただひたすらにシナリオの進捗状況が気に掛かるばかり。

・川上稔の『境界線上のホライゾンU(上)』読んだー。

 前巻(T下)から8ヶ月、待ちに待ったシリーズ3冊目です。表紙イラストを飾るのは「宗茂の嫁」こと立花・ァ。価格が1000円近くで総頁数が900超、準京極級のサイコロ本と化しているが、来月刊行される下巻はこれよりも更に高い。なんと税込1250円。早くも1000頁を超過するだろうことが予想されている。量もさることながら、独自用語を乱打する文章や非常に濃い個性を持ったキャラクターたちにも圧倒され、危うく冒頭の登場人物紹介および用語集を読んだだけで満腹しそうになった。3冊目でもう既に50人を突破しちゃってるし……最終的には“氷と炎の歌”並みになるんじゃないかしら。

 処刑直前だったヒロインを辛くも救い出し、皆を乗せた航空都市艦“武蔵”は次なる目的地「浮遊島・英国」へと向かう……といった内容で、まだ上巻ですから「溜め」と「仕込み」の段階に留まっており、ボリュームの点で文句を述べるつもりはさらさらないけど「延々900ページも読み耽った割にはスッキリしない終わり方だなぁ」というのが偽らざる感想になります。異音や“傷有り”の正体は不明なままだし、英国でも発生している「二境紋」や「公主隠し」を調べるために「花園(アヴァロン)」へ赴く手続きもまだ済んでないし。つまり、下巻超読みてぇ! 今すぐ読みてぇ! チクショウ、早く出せよコノヤロウ――! な気分。群像劇要素が強いこともあり、物語自体はそんなに進んでないんですよね。ああ、これだけ食わせてなおも餓えを感じさせるのだからホライゾン、恐ろしい子。ホライゾンと言えば、作中のヒロインであるホライゾンさんもかなり恐ろしい子になっていました。この子ってば川上作品に登場した歴代自動人形の中でも最凶じゃない? やたら股間を打撃する描写が目立っていたぜ。

 相変わらずネタが大量というか豊富でいちいち書き切れないくらいだ。キャラクターごとに分けてチマチマと散発的に語っていくとします。全員は無理だから、テキトーにピックアップしていくか。まず総長兼生徒会長の葵・トーリ、今回服を着ているシーンがほとんどなかったよね? 「全裸」が通り名状態になっていたよね? もっとも主人公に近い存在でありながら完全にネタキャラと化してしまった感があります。下巻ではさすがに挽回するだろうと思う。トーリの姉、葵・喜美、依然としてエロい。今回は憂愁ムードを漂わせる場面がなかったため、よりエロさばかりが際立った印象。辛うじて言えば胸がどんどんおっきくなっていくせいでサイズの合わないブラジャーが次から次へと出てくる、って漏らしたところで憂いを帯びたくらいか。持てる者の悩み。、「早く余とセックスしよう!」 これに尽きるな。来ると予想できても笑ってしまう。まさに予定調和。浅間・智、浅間・痴○○ってばホント迂闊でムッツリでテンパリ気質でさりげにちゃっかりさん。ねぇなんでこの巫女R元服ゲーに出てこないの? と泣きたくなる素晴らしさ。シロジロ・ベルトーニ、やっだもうシロ君外道すぎて素敵! 大胆不敵! まさかトリプルアクセル土下座からああ繋げるとは……商談のエグさに惚れ惚れとしました。点蔵・クロスユナイト、前巻では結構活躍していたらしいのに、肝心の活躍シーンがちっとも描かれなかったうえ周囲から「犬の臭いがする」ことで定評のある悲劇的忍者、今回も不遇キャラ続行と思いきや……いきなり彼女ゲットできそうなフラグ成立……だと……? 嫌いじゃない、むしろ好きな部類のキャラだけに応援したい気持ちもあるが、「クソ、いきなり祝福してやれるかよ! しばらくは辛酸舐めてろよ!」と叫びたくなる煩悶もあり、ジレンマ。なんにしろ一気に存在感が増してきたな。トゥーサン・ネシンバラ、作家志望の書記という、めっちゃ地味で特徴がない、それゆえ却って主人公っぽくもあった彼。今回はテンゾー同様、突然の大抜擢で驚愕することしきり。見開きの口絵にデカデカと描かれていたから「えっ、何があんの?」とマジでビビリました。こいつもこいつで可愛いつがいをゲットできそうなフラグ立っちゃって微妙に腹立つな。

 ネイト・ミトツダイラ、ようやっとカラーページに進出した人狼騎士。「一匹狼」と言ったりするけど、狼は種族的に犬よりも群れの上下関係が厳しいらしく、例の大興奮必至な餌付けシーンにもある意味納得だ。お茶目な銀鎖も目立ってるね。本多・二代、うっかり侍継続中。戦闘における心強い味方ながら、コメディ方面でも優秀につき引っ張りだこ。睡眠中に「結べ、蜻蛉切!」と寝言を叫んで暴れることも発覚し、この子の旦那は体が頑丈じゃないと閨で殺されるんじゃね? と心配になった。本多・正純、滑りキャラとして固定されました。あとホライゾンのタオル役。ホラ子さんは全裸の股間を打撃した後に正純の服で手を拭う習性がおありのようです。シリアスな場面での解説・牽引役であり、コメディライクな場面ではツッコミ・滑り・いじられと3つのパターンをこなせる名俳優。詰まるところ苦労人すなぁ。あと、性別を男と見做せばいいのか女と見做せばいいのか、たまに混乱する。マルガ・ナルゼマルゴット・ナイト、ようやくふたりの区別が付くようになってきました。黒髪貧乳で同性愛ジャンル同人誌スキーがナルゼ、金髪巨乳で棒金射出の笑い顔がナイト。百合っぽいカップルだな、とは思っていたが、ガチレズであることがいよいよ判明。キスはもちろんのこと、仲直りのために×××まで……将来的には魔術(テクノヘクセン)で子づくりする予定なのかもしれない。三征西班牙の面々、T上下では宗茂とァ、あとは名もなき一般兵士しか出てこなかったが、総長をはじめとする主要陣が遂に参上。カタパルト幅跳びに噴きました。歴史再現的にはこれから斜陽に差し掛かる国なので、U下のアルマダ海戦が最大の見せ場となり、後はあんまり出番がなくなるんだろうか。個人的には江良・房栄が気になるところ。英国の面々、女王の盾符(トランプ)とか言い出すから13枚×4組+JOKERで53名の新キャラ追加かと思ったが、さすがにそんなことはなかったぜ。つっても十数名は存在するわけで、覚えるの大変。本格的な出番を下巻に控えている風情のキャラも多く、まだまだ各人の個性は立ち切っていないが、「もういいよ! これ以上立てなくて充分だよ!」とバリ立ちしている奴も一部存在。中んずくクリストファー・ハットンはすごい。喋りだけでほぼキャラを確立した。黒人アスリート詩人のベン・ジョンソンは反則。トマス・シェイクスピアも重要キャラめいた雰囲気ながら、アップの絵がなかなか出てこないんで顔がよく分からなかった。終わり近くになってお披露目され、ようやく「ああ、見開きにでっかく映っている子か!」と得心した次第。小ネタでは『ペンドラゴンボール』が直球すぎてツボに刺さりました。

 結論を述べますと――めたくそ面白ぇことは確かだけど、急いで読む必要はなく、下巻が発売されるまでゆっくりと読み進めるか、あるいは下巻を買うまで積んでおいて一気呵成に読むか、どちらかのスタイルを選ぶ方がベターかもしれません。当方も終わクロのときは実際そうして各話の上下巻が揃うまで待ったものでした。が、境ホラはボリュームが半端ねぇという理由から別々に読む形に切り替えたんですよね。上下巻をまとめて読むとなると、連続的な拘束時間があまりにも長くなってしまうので、確実に寝不足化してしまう。今回はバトル少なめ、代わりに日常シーンやコメディめいた遣り取りが多め、という構成になっていますし、焦らず慌てずスローペースで読むのも乙なものですよ? それにつけても下巻の待ち遠しいことよ。

・拍手レス。

 11ネタきたこれwもしかして焼津さんって現役ですか?
 いえ、そもそもネトゲやったことないです。ブロント語はセンスの凄まじさに感銘を受けて、つい。


2009-06-18.

・早売りの雑誌であかべぇ系列の新作が山ほど紹介されたらしく、いちいち把握するだけでもひと苦労な焼津です、こんばんは。

 エロゲ板のあかべぇそふとつぅスレによると、今回明らかになったのは『紫電 〜円環の絆〜』『暁の護衛 〜罪深き終末論〜』『恋ではなく −It's not love, but so where near−』『フェイクアズール・アーコロジー』『Happy Wardrobe』『W.L.O.世界恋愛機構L.L.S. −LOVELOVESHOW−』『蒼天已に死す(仮)』『(タイトル不明、シナリオは健速)』の8つ。ファンクラブ会報に書かれていたという『ブラッド』や暁WORKSの『コミュ』なんかも含めると予定だけであっさり10作いきますね。『紫電』は唯々月たすく原画、副題からするに『魂響』の続編ないし関連作だろうか。『罪深き終末論』は去年からチラチラと情報公開されていた『暁の護衛』続編ですね。シリアス主体っぽい。『恋ではなく』はトモセシュンサク原画、ライターが早狩武志。迂闊な発言で有名になった人ですが、シナリオの腕は悪くないので注目。『フェイクアズール・アーコロジー』はよく分からないが、メカニック担当の人がいるところを見るにロボもの? 『Happy Wardrobe』は「原画:笹広、シナリオ:なかひろ」の組み合わせから察するにファンクラブ会報に書かれていた『チョコレートクロス(仮)』か。『W.L.O.世界恋愛機構L.L.S.』は『W.L.O.世界恋愛機構』のFD。『蒼天已に死す(仮)』は複数原画のSLGで、主人公である張角が黄巾党を率いて魏・呉・蜀に立ち向かう仮想戦記だとか。タイトル不明の健速シナリオは有葉原画ということで結構勝負球かも。ライトノベル作家に鞍替えしたんじゃないかと勘繰られていた健速の復帰作となるんだろうか。

・蒼山サグの『ロウきゅーぶ!2』読んだー。

 汚いなさすがミホ姉きたない!

 きた! ブロント語きた! これで勝つる! というわけで受賞作から4ヶ月ぶりに刊行されたシリーズ第2弾です。『ロウきゅーぶ!』はスポーツ特待で入学したにも関わらず肝心のバスケ部が休部状態ですっかり暇になってしまった主人公が空いた時間を使って女子小学生たちのバスケ部を監督する、というロリスポコメディ。前回の感想で「退学云々」と書いてしまいましたが、この2巻を読むにまだ在籍しているみたいであり、どうも1巻のアレはミホ姉の単なる冗談っつーか軽口だったらしい。後で直しておかないとな。

 慧心学園初等部の女子バスケ部は廃部の危機を乗り越え、無事に存続が決まった――期間限定の監督業を終え、もはや彼女たちとは無縁の立場になったはずだったが、時ならぬアンコールに応え、ふたたび幼女の園初等部へ舞い戻ってた来た長谷川昴。だが、それはミホ姉の巧妙な罠だった。昴は策略に嵌められ、女バスの合宿に付き合うハメとなる。しかも合宿が始まって早々に、女バスの真帆と男バスの竹中が仲違いしていることを知らされた。なんとかこの機会にふたりの仲を復旧しようと計画を練る昴だったが……。

 今回はスポーツ部分が若干薄くなって、代わりにコメディ成分とロリ系サービスが増量されている感じですね。僅かに存在するスポーツ部分もほとんどが地味な練習シーンであり、試合描写は量的に少ないうえ質的にもかなりあっさりとしている。「バスケットボールのライトノベル」を期待する層には肩透かしの出来かもしれません。しかし、「ドキッ!女子小学生だらけのバスケ部合宿(見開きで着替えシーンもあるよ)」を期待する層ならば……ごく順当に満悦することでしょう。汚いなさすが電撃きたない。これで確実にロリスキー読者を取り込み、ロリきゅーぶロウきゅーぶのシリーズ化を磐石なものとしやがった。しばらくは安泰、と言っていいはずだ。

 今回は結構パロネタが目立ち、軽快に読めることができた点では評価したいけど、そのうち梃入れしてスポーツものとしてもちゃんと盛り上げていってほしいな……というのが正直な感想。くどい気がした文体もだいぶ読みやすくなってきたし、まだまだ伸びる余地のあるシリーズだと思います。ちなみに当方は智花とひなたが好きですが、うん、ロリコンじゃないですよ。全然ロリコンじゃないですよ。と必死にアピールするたび余計疑惑を深めている気もしますが、めげずに今後も断固として否定していく方針で。

・電撃の新刊は『有川夕菜の抵抗値』も読み終わった。

 新人のデビュー作です。デンキウナギみたいに放電する特異体質を持ったヒロイン、という設定で、レーベルがレーベルだけに「ビリビリ」こと御坂美琴を連想するが……あくまで「能力」であった美琴に対し、こっちは「体質」で、つまりうまく制御することができず「ろくに恋もできない」って悩みを抱えているところがポイントになっています。要はちょっとクサい感じの青春ドラマ。青臭い部分よりも説明臭い部分が目立つのは若干マイナスか。良く言えばマジメだが、悪く言えば堅苦しい。軽い読み物を期待して手に取った人には合わないかも。

 設定の割に地味なストーリーだからあんまり印象に残らないし、変人生徒会長がヒロインの腹をマジ蹴りする描写には正直ヒいたが、そこらへんに目を瞑れば悪くない出来。全体的にエゴイスティックで押しの強いキャラが多いんで、有川浩とかああいうノリが苦手なら馴染めないかもしれない。かと言って有川浩好きに薦められるのか、と訊かれれば微妙なんだよな……後半に差し掛かったら「とにかく話をまとめよう」って汲々としている雰囲気が伝わってきてしまう。ダラダラと尾を引くことなくキッチリと幕を引いた点は良いが、もうちょっと伸び伸びと個性を発揮してほしかったな、というのが偽らざる感想ですね。

・拍手レス。

 本当ここ数年海外ミステリの値段の高騰はひどい・・・。出版社の事情も理解できますし、僕らみたいなヘビーファンはいいんですけどちょっと書店で興味を持った人が値段を見てそっと棚に戻しそうで怖い。
 布教しようとしてもまず値段がネックになってしまう……中高生とか、若い層にこそあの面白さを味わってもらいたいものですけれど。

 何か短編集で良いかんじのってないでしょうか。ジャンルは問わず、恋愛ものでもなんでもいいので。
 今年読んだ分では米澤穂信の『儚い羊たちの祝宴』と原ォの『天使たちの探偵』かなぁ。恋愛モノはあまり読まないのでよく分からないです。

 シロジロが中田譲治ボイスで脳内変換されます.
 <入れ忘れです>ハァハァ

 商人キャラのくせして他の変態どもにヒケを取らない濃さですねぇ、シロジロ。


2009-06-15.

・都心部やネット書店では品切続出らしいが地方の本屋には普通に在庫が置いてあった『IS(インフィニット・ストラトス)』を華麗に査収して読み終えた焼津です、こんばんは。

 作者は弓弦イズル、これが初ライトノベルとなりますが、「はちまん」名義でアリスソフトのシナリオライターを務めていた過去がある。『しまいま。』や『よくばりサボテン』の人、と書いたら通じるだろうか。はちまん……弓弦……八幡太郎? ともあれ、『IS』のあらすじは「戦車や戦闘機をも軽く圧倒する性能を持つ、ただし女性のみ装備可能」という兵器IS(インフィニット・ストラトス)が、なぜか男性である主人公に反応してしまった……という経緯で主人公以外全員女生徒っつーIS学園に放り込まれる、これなんてハーレムラノベ?な代物です。深く考えるな、ただ状況を受け容れろ、なノリです。

 表紙とカラーイラストを見ただけで「メカ+美少女、バトルありラブコメありの学園モノ」って即座に理解できる。とにかく狙いが分かりやすい。主人公以外の主要キャラクターがみんな女の子だから、当然の如くハーレム展開に突き進んでいき、1巻が終了した時点で少なくとも3人のヒロインからの好感度がほぼMAX状態になっている。ハーレムものに嫌悪感を覚えない読者であればウハウハのお膳立てであろう。

 文章はこなれていて読みやすいし、シリーズを開幕するうえで必要なネタはひと通り詰め込まれていて、尺的には実に過不足のない仕上がりと言えます。ただ、難点を挙げるとすれば、やはり主人公が朴念仁過ぎること……だろうか。眼前で3人の少女が自分を巡って小競り合いを繰り広げているのに「なんでこの子たちはこんなに仲が悪いんだろうかなぁ?」と首を傾げんばかりにしているのだから、その鈍感さはほとんどビョーキです。主人公がニブチンなのはハーレム系の常とはいえ、さすがにイライラさせられる。また加えて、主人公の強さにあんまり説得力がないことも影響してくる。成り行きでISに触って偶然動かせるようになったというのに操作法も何も分からないまま教官を倒してしまったり、2度目の操縦でトップクラスの生徒と張り合ったり、いくら何でも初期段階から強すぎる。ズブの素人がトップクラスまで上達する過程を懇切丁寧に描いていたら枚数が足りなくなるんでしょうけれど、根拠のない「俺TUEEEEEEEE!」展開にちょっと納得のいかないものを感じました。けれど主人公自身の性格が前向きで、意志力と決断力があり、ウジウジと悩まないで行動するところは良い。御都合主義が目立つものの、「トントン拍子で進むこと」を許容できれば充分に楽しめる出来ではあるんです。たぶん2巻が出たら買うと思います。

 ちなみに、イラストのタッチがたまに『鉄のラインバレル』っぽく見えるのは単なる気のせいだろうか。すごく似てるってわけじゃないんだけど、ほんのりとビミョーに連想する箇所があるんですよね。

山形石雄の『戦う司書』シリーズがアニメ化決定

 マジっすか。SD作品のアニメ化基準はホントよく分からんね。

・馳星周の『弥勒世(上・下)』読了。

 1969年〜1970年、返還前の沖縄を舞台に、どろどろと暗くて粘着質な執念・怨念・妄念を迸らせる現代史ノワール。コザ暴動を終着点に据え、うちなーんちゅ(沖縄人)たちの怒りが徐々に高まっていく過程を綴っている。上下合わせて1200ページ近くと、かなりのボリュームを誇っているためなかなか手を出せずにいたが、グズグズしているうちに同じくらいの大ボリュームを有する新作『煉獄の使徒(上・下)』が刊行されてしまったので、いつまでも積んでいるわけにはいかないなぁ、と崩しに掛かった。上巻を読み通すのに3日くらい要したけど、だんだん勢いが出てくることもあって下巻はほぼ1日で読み切った。

 米国永住権(グリーンカード)――それが英字新聞でアメリカの提灯記事ばかりを書いていた伊波尚友の前にぶら下げられた、魅惑的な餌だった。アメリカに渡り、自由と平和を謳歌する。抗いがたい夢。その夢を叶えるため、尚友はCIAの手先となった。様々な反米勢力に潜り込み、得意の英語力と記者時代の取材力を活かしてあらゆる秘密を嗅ぎ回り、幾多もの情報を収集した。優秀なスパイとして覚えがめでたくなってきた頃、幼少より孤児院で一緒に育った腐れ縁の兄貴分、比嘉政信がひどく奇妙な活動に手を染めていることを嗅ぎ付ける。三線とエレキと酒と女を好み、陽気かつ尊大に振る舞う政信と、顔にいかつい傷跡を持つアシバー(やくざ)との交友関係。そこには何が秘められているのか? 日本への返還を前にして米国と米兵への恨みを燻らせる琉球は、憎悪と怨嗟と憤怒を越えて、神々に祝福された豊穣の世界「弥勒世(みるくゆー)」へと辿り着けるのか……。

 バブル景気のあたりを描いた『生誕祭(上・下)』『やつらを高く吊せ』よりも更に前、たぶん馳小説の中でもっとも古い時代を切り取った長編となっています。歴史的な事実を踏まえて書いている(知花弾薬庫でのVXガス漏出事故や、ラストのコザ暴動など)部分が多く、馳小説にしては珍しいB級感の希薄な作品だ。筆致も抑制が利いており、露骨な安っぽさが覗く描写は控え目になっている。読み口としては船戸与一の小説に似ているかも。ただ、文章のそこここで噴き上がるドス黒い情熱は「いかにも馳」といった風情であり、下巻から乱暴な展開が目立ってくるのも「いつもの馳」といったムードである。さすがに『ブルー・ローズ(上・下)』ほどメチャクチャではないけれど、上巻読んで「いつもの馳とは違う……! 新境地……!」と期待した読者は盛大に腰砕けることでしょう。差別の連鎖、被害者と加害者が斑模様に入り混じっている様子を取り扱うなど、確かに新境地っぽい要素もあるにはありますが。

 米軍の物資を略奪して闇市場で売り捌く命知らずの「戦果あぎゃー」を父に持つ主人公、沖縄本島ではなく奄美大島の出身ということで幼い頃から差別を受けており、彼が口にする「うちなーんちゅ」という言葉には必ず他者を呼ぶ響きがある。つまり、彼自身は自分をうちなーんちゅとは思っていない。もちろん、やまとーんちゅ(日本人)ともアメリカー(アメリカ人)とも思っていない。離島出身の青年がシンパシーを寄せてきても「だから?」と冷たく突っぱねる。どこにも帰属しない、そのためすべてを憎む、孤独と虚無の塊みたいな男が沖縄に住む人々の欲望と醜汚に光を当て、容赦なく抉り取っていく。誰よりも欲望と醜汚が強いからこそ、主人公の目は暗順応し切っていて闇を見通すわけです。行間から饐えた汗の臭いが漂ってくるような生々しさがたまらない。特に上巻の終盤付近、米兵を罠に嵌めるシーンの緊迫感は鬼気迫るものがあります。

 さて。言うまでもないことながら本作品、長い。読んでも読んでも終わらない。なかなか話が先に進まないことと、元が連載小説だった経緯もあってか同じような展開、同じような説明、同じような言い回しが頻出して少しゲンナリする。当方は信者を自負するくらいの馳スキーであり、ストーリーなど二の次、馳星周の文章をただひたすら延々と読み続けることに悦楽を覚える体質なので、そうした瑕疵にはゲンナリしつつもあまり気にならなかったが、馳小説に馴染みがない人が目を通せば間延びしているように映るんじゃないかしら。贅肉を贅肉として見切る目さえあれば、その奥に潜む暗い輝きを見出せるはずですけども。うーん……もともとマンネリ化、クオリティの劣化に関して批判の多い作家ゆえ、今回も信者ですら擁護しかねる箇所が幾分か含まれていたものの、「最近の馳作品」という縛りで見れば想像以上の面白さが封入されていて望外の喜びを味わうことができました。自分以外の人間すべてを憎悪し、「世界に罅を入れる」ことに執心する主人公。実は自分で思うほど冷酷でも無情でもなく、ナイーブな神経と脆い精神を揺さぶられ、それでもあくまで「薄汚いスパイ野郎」として八面六臂の活躍および暗躍を見せる姿――アンチヒーロー的な倒錯した快感が湧き上がって来ます。ただ、女性キャラの存在感がちょっと弱かったかな。そこが残念。

 アメリカの手先として反戦活動家たちを売りながら、着々と反米工作を進める二重仕掛けのストーリーが乙な一作。フィクションを交えているとはいえ史実が題材である以上、大まかな筋立てが読めてしまう難点を抱えてはいるが、漲るパワーでどうにか丸め込むことに成功している。結論としては「いつもの馳」なんだけど、多少作風をアレンジしてみても根っこの部分でまったくブレがないこの強情さ――ファンとしてはむしろ嬉しいものだ。

・拍手レス。

 邪魅の雫、境界線上のホライゾンU(上)、偽物語り(下)。文庫の値段じゃ無い・・・。最後のはちょっと違う気もしますが。財布が軽いなぁ。
 500ページ未満で1300円超という次元に達した創元推理文庫がそろそろヤバそうな件について。

 おかしい…俺は巨乳派だったはずなのに、ミトツダイラにやられちまった…。あのカラー絵と二十一章は卑怯すぎるっ!
 未凸平さんはウルフ可愛い。しかしそれよりも当方はテンゾーに対して名状しがたき感情を覚え始めていまして……。


2009-06-12.

lightの『Dies irae Also sprach Zarathustra -die Wiederkunft-』、初回特典「黒本」の情報公開

 フルカラーの160ページか……無駄に金かけてやがんな。webラジオも一応聴いておきましたが、めぼしい情報はなし。相変わらず正田崇のシナリオが目処立っていないみたいで、まだまだ延期の懸念は拭えず。ただ、新規CGがやっと公開されて一歩前進した気分。マリィが制服着てやがる……転入イベント勃発?

Favoriteの『星空のメモリア』、体験版をプレー。

 評判が良いらしいことは割と以前から聞き及んでいたが、いまひとつ食指が動かなくて長々とチェックを怠っていたソフト。一応、商業ルートで発売されるエロゲーはひと通り欠かさず調べているのですが、これに関してはあんまり印象に残ってなかったんだよな……ぶっちゃけタイトルが当たり障りなさすぎ。もっとこう、がつんと記憶に叩き込まれるような題名が欲しかったとですよ。『星空のペドフィリア』とか。情緒や風情が清々しく皆無で、しかも規制されそうだな。

 Favoriteは、先月突然ホームページを閉鎖したCROSS-NETと関連しているブランドで、確かFavoriteが開発、CROSS-NETが販売を担当しているんだったかな? とにかく、結構前から存在しているところです。塗りの良さに定評がある。あとロリキャラの魅力に関しても密かに定評がある。『星空のメモリア』は今年3月に発売された、比較的新しい、まあ「準新作」程度に当たるソフトだ。ライターのなかひろは銀時計で『こいとれ』のシナリオ書いた人。『こいとれ』は明らかに『おたく☆まっしぐら』騒動の煽りを食らっちゃったよなぁ……作品以前に商品としてヒドいザマを晒した『おたま』への対応がもうちょっとマシだったら、『こいとれ』もワゴン化することはなかったんじゃないかと思いますが、んなこたー今はどうでもいい。過去を振り返っている暇はない。星メモの説明に戻ろう。

 子供の頃、初めて友達になってくれた年上の女の子と出会った展望台。長い時を経て、いざ再会の約束を果たすため、主人公はその場所に向かった。しかし、約束した少女はそこにいなかった。代わりに佇んでいたのは、大きな鎌を抱えた自称「死神」の少女。数年前、一緒に遊んだ女の子と瓜二つの――当時の容貌からまったく成長していない、ありえないほど瓜二つの――奇妙な子。彼女は「メア」と名乗り、悪夢を刈ると宣言する。果たしてメアは、思い出のあの子と何か関係があるのか? 分からないまま、足繁く夜の展望台に通う主人公だったが……。

 プロローグ体験版ということで、プロローグだけプレー可能。『星空のメモリア』って分類上は学園モノに当たりますけど、プロローグだとまだ引っ越しが済んだばかりで学園に通うシーンはなく、「学園モノなのに学園生活が描かれない」という変な体験版になっています。ボリューム自体は案外とありますし、ヒロイン勢の顔見せを行う場も用意されていますから、そんなに不満は感じませんけどね。シナリオはそこそこ軽快、SD絵を合間に挟む演出も心憎く、楽しく遊べる内容に仕上がっている。ただ、なんというか、ネタがくどい。一つ一つのイベントを引っ張りすぎる。たとえば、引っ越しの荷物を整理しようとしているところにおバカな妹がやってきて引っ掻き回す……というイベント。最初に来訪してきたときは、「ははは、こやつめー」と笑えます。二度目にやってきたときも、ちょっと天丼かな、と思いつつもまだ笑える。しかし三度目、四度目と重なってくれば笑う気も失せてくる。おバカな子はそんなに嫌いじゃないんですけども、ループ現象が生じているのではないかと深刻に疑うレベルで「またか!」「またか!」「ブルータス、またお前か!」と押しかけてこられたらウンザリする。ホント、あちこちで同じような遣り取りが何度も繰り返されるんで、コミカルな場面であるにも関わらずプレーしててだんだん疲れてきます。基本的なノリは悪くないのになー。ネタのくどさでだいぶ損してる気がしますね。メアの口癖、「死神は○○しないの」もちょっと使いすぎ。

 ここぞ、という絶妙のタイミングでプロローグが終了しており、イイ感じに続きが気になる幕切れを迎えました。ネタのくどさがネックとはいえ、総合的に見ればかなり楽しんでプレーできたし、機会があれば買っちゃおうかな……と心がぐらつく。なかなかクセのある性格をしたキャラクターが揃っているみたいで、彼・彼女らの学園生活も覗いてみたい。ちなみに、気に入ったヒロインはメアだけど、えっ、なに、それだけで当方をロリコン認定するわけ? 「あの鎌の先端でデリケートな箇所をチクチクと刺されてみたいわぁ、これからは『アマガミ』じゃなくて『アマザシ』の時代だな」と素直に感想を述べただけでペドファイル扱いするわけ? やめてくださいよ、当方は全然ロリコンじゃないけど、そういうピュアな気持ちを責められたら雪冤のしようがないじゃないですか。

・拍手レス。

 個人的には9曲目の「Blue Butterfly」と12曲目の「if」13曲目の「Reincarnation」の繋げ方が好きです。
 全体的に不満感のないCDでホッとしました。

 鬼武先生が攻略できますように。
 鬼武先生は邪気眼全開だったであろう10代の頃の痛々しい御姿を拝見したい。


2009-06-09.

・マンガ版もアニメ版も見たことないのに『喰霊-零-イメージソング集 百合ームコロッケ』を買っちゃった焼津です、こんばんは。

 7曲目の「霊喰い」をyoutubeで聴いて異様なほどツボに入ってしまい、この1曲欲しさに衝動買いした次第。音楽が鳴っていると気が散る性格なので普段CDを買うことはあまりないんですが……これだけはCDが届いた日からひたすらリピートしまくって没入しております。自分でもなぜこんなにハマっているのかよく分かりません。にしても『百合ームコロッケ』って、ネーミングセンスが傾奇すぎだろ。普通は思い留まるだろ。ブレーキ壊れてんのかよ。それはそれとして、『喰霊』はいずれ機会を見つけて堪能いたしたく候。

propellerの『きっと、澄みわたる朝色よりも、』、体験版をプレー。

 propeller第5弾のソフト。本当は『はるはろ!』が間に入って第6弾になるはずだったのにね……ともあれ、本作はお朱門ちゃんこと朱門優がメインシナリオを手掛けている。シーズウェア→キャラメルBOX→Lump of Sugar→propellerと、様々なブランドを渡り歩いてきた流浪のライター・朱門優、はっきり言って知名度はそれほど高くありませんが、知っている人たちの間では毀誉褒貶の激しい人物であります。「陵辱調教と見せかけて天軍殺戮」だの「天体観測と見せかけて北欧神話」だの、解説自体が意味不明になりかねない、凄まじいまでのサプライズをかましてきた前歴を持っているのですから。良くも悪くも飛ばすときは飛ばします。

 さて、この『きっと、澄みわたる朝色よりも、』。深い森を分け入った山奥に建つ日本有数の美術学園を舞台に、かつて「四君子」の呼び名で絆をつくった四人の男女が再会し、最初はなんだか隔意があるけれど、いろいろなことを経てふたたび仲良くなったり、恋愛関係でゴタゴタしたりと、青春真っ只中のストーリーを繰り広げる。もちろん、書き手がお朱門ちゃんである以上は「恋と友情の狭間で揺れ動く若き心」みたいなひと口で言い表せる内容には落ち着きません。これでもかと伝奇っぽい雰囲気をチラつかせ(なぜかこの学園付近では木が紅葉せずに枯れ落ちてしまう、とか)て、各所に仕込んだ謎という謎(生徒会室がどこに存在するかも分からない生徒会、など)を煽り立てる。そして体験版に待ち受けるラスト――意味深かつ思わせぶりなシーンでバッサリと切ってしまう。昔ながらのお朱門ちゃんファンからすれば「ああ、相変わらずこのノリか」と頷くところでしょうけれど、これが初朱門となるプレーヤーは「はあ?」ってなもんでしょう。今回は独自色が割と抑え目ですし、要所要所に解説が入ってだいぶ分かりやすくなっていますけれど、それでもなお取っ付きにくいムードが僅かに残る。そこに惹かれるか否かがポイントになるはず。

 キャラクターに目を移しますと、やはり視界に飛び込むのは与神ひよ。私服がアレなんでちょっと曲者臭が漂いますけど、中身は健気っ子です。主人公に対する二人称は「だんなさま」、常にそばに控え見返りを求めず滅私で奉仕、尽くします。も、すんげぇ健気。加えて体験版の後半における扱いがビックリするほど不遇。なんですか、このチッセ・ペペモル? 中の人まで一緒ですから終始デジャヴって仕方なかったですよ。お朱門ちゃんは幸せになれない嫁を書いて悦に入る嗜好でもあるのか。そんなに嫁イジメが大好きなのか。朱門の「しゅ」は姑の「しゅ」か。完全にひよにハートを奪われてしまった当方は心を痛めつつクリックして読み進めたものです。それと、サブヒロインっぽいのですが、主人公を毛嫌いしているもイイ味出してました。イイ味出してる、と言えば半宣雄もか。不良学生なのに姫カットという、どうしようもない矛盾を抱えた容姿が甚だしいインパクトを与えます。

 情報が公開された時点から感じていたことではありますが、やっぱり、つくづく一筋縄では行きそうにないゲームです。しかし濃やかでしっとりとしたテキストの読み心地は良かった。体験版だけで5時間くらいと、『あやかしびと』の体験版を彷彿とさせるボリュームから全体の長さが想像されて少し気が遠くなるものの、7月の注目ソフトとして名を連ねるに相応しい出来ではある。ちなみに、努力家で根はイイ奴なんだろうけれどもチッセ級の嫁属性ホルダーであるひよを泣かせた点で許しがたい主人公は、異常なほど頭部の薄毛を気にしており、「髪」とか「ハゲ」とかいったワードが出てくると強烈に反応を示す仕様となっています。率直に申して即ギレモードオンです。二十代後半に差し掛かり、同じく額前線の後退を気に掛けている身としては笑えるようで泣けてくる描写だぜ……許しがたい野郎なのに、「薄くねえよ!」と強弁する姿には言葉に尽くしがたい共感を覚えてしまう。それだけに体験版のオチはヒドすぎると思うんだ。

・拍手レス。

 みーまーと同じく入間人間の作品ですが電波女と青春男はみーまーと趣が違って面白いですよ。や、当方はみーまーも好きですが。内容としては青春物、かなあ? 読後感がさっぱりとしていてお奨めです。
 入間作品、話の内容はともかく文体やギャグのセンスが合わないんですよね……電波女と青春男はそのうちチェックしてみます。

 焼津さん となりにいつも ぼくの影
 エロゲの画面 暗転するたび映る(字余りすぎ)。

 続きの出ない作者にたびたび言及する貴方に敢えて問おう。ウィンフィールドSSの続きはどうなったのか、とっ!!
 勢い任せに書いた8話目があまりにもヒドかったので停止状態だぜ。

 厭な小説と一緒に読後感の重さのバランス調整に買った「3匹のおっさん」が、軽い話で癒しになりました。私は読書するときも重たいのがつづくともたれるから、と軽い作品を買ったりしますが、そんなことはありますか? 重い話に浸りたい気分の時も当然ありますが・・・
 むしろ『厭な小説』は癒し用だったり。内容はアレですけど文章が非常に読みやすいので、「文章がぎこちなくて読みにくい作品」の後に目を通すとやけに気分が落ち着いたものでした。それはそれとして『3匹のおっさん』は当方も好きです。有川浩といえば『Story Seller Vol.2』に載った「ヒトモドキ」も「内容アレだけど文章が非常に読みやすい」作品で良かった。


2009-06-06.

楽しい五七五を書くと、悲しい七七で台無しにされるスレ(ワラノート)

 ひたすら水を差してやまぬ熱意に脱帽。

 487 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 04:25:44.85 ID:mcPOAotJO
 二人きり
 夜の海での
 初体験

 502 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 04:28:06.86 ID:Byghtdf3O
 最初で最後の
 無理心中

 これとか凄まじい。

ファミコン、ドラゴンボール、ビックリマンシール、ごっつええ感じ、できるかな…昭和50年代生まれが懐かしむ物(痛いニュース(ノ∀`))

 懐かしむもの……「新本格ミステリ」。1987年頃から始まって1990年代に隆盛を極めたから、昭和50年代生まれは直撃世代なんですよね。中学生や高校生のあたりで洗礼を受けた方も少なくないはず。「トリック偏重主義」「人間が描けていない」などといった批判も多かったけれど、あれが我が青春ですよ。『翼ある闇』『夏と冬の奏鳴曲』『鴉』で大きな衝撃を与えてくれた麻耶雄嵩は今でも自信を持って「好きな作家」と呼べる一人です。しかし、かれこれもう4年は新刊が出ていない……『隻眼の少女(仮)』はまだかー。

・京極夏彦の『厭な小説』読了。

 「悪寒、嫌悪、拒絶……あらゆる不愉快、詰め込んだ日本一のどんびきエンターテインメント」というキャッチコピー通り、最初から最後までひたすら不快感に満ちたストーリーを紡ぐ連作形式の短編集です。冒頭に置かれた「厭な子供」を皮切りに、「厭な○○」というタイトルで統一された7つの小説を収録しています。あくまで中身が不快なのであって、文章そのものは至って読みやすく、スルスルとテンポ良くページをめくれる。一種のダメージ加工を気取っているのか、表紙や本体、ページの隅にまで「デザインとしての汚れ」を古本と見紛うばかりの勢いで施しており、古本屋へ持ち込んで意匠を理解されず買い叩かれる人が実際に出てきそうだ。なるほど、これも古本屋対策の一つというわけか。あと、手に持ってみると分厚そうに思えるものの、単に紙質が厚いだけで肝心の本編は460ページ程度しかありません。なんか見た目に騙された気がして、個人的にはそれがもっとも厭だったな。

 さて、前述したように収録作は7編ありますけど、途中が空いたせいもあって一番古いものは1999年発表、つまり始端から終端まで10年にも渡る長大なスパンを持った一冊に仕上がっています。内容自体はそんなに壮大でもなく、むしろせせこましい印象すら与えるのだが。先鋒を務める「厭な子供」は家の中に奇妙な子供が何処からともなく現れ、目を離した隙に消えてしまう――という怪現象について綴っている。子供の正体は何なのか、どうやって姿を現したり居なくなったりするのか、といった謎は一切明かされることなく、砂を噛むが如き後味の悪さを残してあっさりと幕を引いてしまう。「合理的な説明のつかない怪談」という路線では昨年の『幽談』とも通ずるが、あれに比べれば今回はまだ幾分かオチがハッキリとしていてエンターテインメント寄りだと請け合えます。ただ、最初の「厭な子供」を読んで「好みに合わない」と思ったらさっさと見切った方が吉。終始徹底してこの雰囲気が続きますので、「後半で急に面白くなる」なんていう事態はまず起こりえません。序盤でダメなら全編ダメでしょう。そういう意味では親切設計の本と言える。

 2編目の「厭な老人」はボケているわけでもないのに厭がらせとしか思えない奇行を繰り返す老人と、その対応で神経を参らせていく女性を綴っており、厭さに更なる磨きが掛かっています。庭で大切に育てた花の上に笑いながら排便されるとか、生理的嫌悪感に訴える尾篭な描写が多く、当方もさすがにちょっとページをめくる手が緩みました。でも話自体は徐々に面白くなってきているわけで、やめるにやめられない。3編目の「厭な扉」は少し趣を変えて、嫌悪感よりも「気味の悪さ」が重視されている。「そこに行けば幸せになれる」という具体性のない噂に包まれたホテルへ向かう話。相変わらず説明はつきそうでつかないが、いろいろ考えてみるのも楽しく、だんだん作者の術中に嵌まりつつある己に気づく。4編目の「厭な先祖」はヘラヘラ笑ってばかりで苦言の通じない後輩に押し付けられた仏壇の話、5編目の「厭な彼女」は「してほしくないこと」を延々と繰り返す彼女に恐怖を募らせる話であり、どちらも概要だけ見れば割と他愛もないエピソードながら、細かい部分での「厭なニュアンス」を伝えるのが巧い。京極夏彦の本領が存分に発揮されています。6編目の「厭な家」まで来るとさすがに行き詰まってきたのかネタに凝り過ぎでやや苦しい話となってきますが、それでもちゃんとまとめる手際の良さがある。オーラスたる7編目は「厭な小説」、作中に『厭な小説』と題された本が登場するメタ形式のストーリーで、謎が謎のまま進行し、やっぱり説明のつかない居心地悪い状態でエンディングを迎える。爽快感もサプライズもまったくなし。何かモヤモヤとしたものが燻ゆるのだけれど、それは空気中に舞う塵や埃のように掴みどころがなく、たとえ掴めたところでハッキリと掌に残るものなどない。ただただガランとしている。そんなイメージの読後感です。

 厭悪の念をしっかりと凝り固めるのではなく、締め忘れた蛇口から漏れる水みたいに細くダラダラといつまでも垂れ流す。このムードはどんびきというよりも、どちらかと言えば、「だらしない恐怖」って感じなんですよね。思ったよりも不快感の少ない一冊ではあったが、誰彼となく気軽に薦められる内容ではありません。とりあえず平山夢明あたりを平気で読める人なら楽勝でしょうし、作者のファンならば語り口だけで充分楽しめるでしょうが、京極堂シリーズや巷説百物語シリーズといった妖怪モノの流れを期待して着手すると苦い顔するハメに陥るやもしれませぬ。努々ご注意を。

・拍手レス。

 まとめ買い・読みする程に新作欠乏症なら『這いよれ!ニャル子さん』がオススメです。
 おっと、そいつぁ既読ですよ。ストーリーがアレながら小ネタはおもろい。7月に2巻も出ますね。

 入間人間のみーまーを薦めてみたり。
 入間人間のテンションは正直ちょっと苦手……。

 ゾクゾクする内容でした!
 何を指しているのか分かりませんが、とりあえずあざーす。


2009-06-03.

・イラストレーターが『グリードパケット∞』の人ということで、絵に釣られて鏡貴也の新シリーズ『いつか天魔の黒ウサギ』をまとめ買いしてまとめ読みした焼津です、こんばんは。

 タイトルやあらすじを見てもなんだかよく分からなかったので最初はスルーしていましたが、いざ読み出してみるとそんなに分かりにくい内容でもない。ただ、相変わらず、鏡貴也の文章は、書き殴りじみていて。こういう感じの、ぶつ切り臭い文章を、読んでいると、苛々してきて。だから。途中で、もう、投げ出しちゃおうか。なんてことを、思ったりもしたけど。慣れるとだんだん平気になってくるというか、むしろこれが読みやすくなってくるのだから不思議なものです。物凄く強大な力を持った人外ヒロインが少年時代の主人公に惚れて恋に狂った挙句、「死なないように」と彼を不死化(回数制限あり)させて「強大な力」のほとんどを失ってしまう――という展開がなかなか面白い。鏡貴也は文章こそ稚拙に見えるものの、ハッタリの利かせ方が巧い作家なので、実はそんなに嫌いじゃないです。まだまだシリーズの全容は露わになっていませんが、なんとなく気に入ったから続きも読んでみることにしよう。

・今月の購入予定。

(本)

 『境界線上のホライゾンU(上)』/川上稔(アスキー・メディアワークス)
 『戦争の法』/佐藤亜紀(文藝春秋)
 『偽物語(下)』/西尾維新(講談社)
 『魔法少女を忘れない』/しなな泰之(集英社)
 『ドロウの遺産2 星なき夜』/R・A・サルバトーレ(エンターブレイン)

 文庫のライトノベルでありながら1000円近い価格に達している『境界線上のホライゾンU(上)』、なんと900ページを超えるボリュームであり、通常比約3倍の厚さ。来月に出る下巻は1250円にも達するとのことです。それどこの海外小説文庫? 今月の電撃文庫は『アクセル・ワールド』と『ロウきゅーぶ!』、新人賞を取った作品の2巻目がそれぞれ発売されるので、それも要チェック。『有川夕菜の抵抗値』なる新人のデビュー作も出るらしく、一応押さえておくべきかしら。新人と言えば今月頭にスニーカーで『サクラダリセット』を刊行した河野裕は乙一イチ押しだとか。買ったけどまだ冒頭しか読んでおりません。『戦争の法』は復刊。絶版になったせいか古本屋でも見つけられなかったけど、これでようやく読めます。作者の新作短編集『激しく、速やかな死』も下旬刊行予定。

 『偽物語(下)』は阿良々木ハーレムのラストを飾る一冊で、今月出る、とは聞いてますが……本当に出るんかなぁ。半信半疑。『魔法少女を忘れない』は『スイーツ!』で若干評価に困る個性を発揮した著者の受賞後第一作。ところで、作者のしなな泰之は電撃の新人賞に『魔法少女パンツレス鮫島』っていう作品を応募した過去があるんですよね……まさか、あれか? 『ドロウの遺産2 星なき夜』は刊行順序がメチャクチャでしかも既刊に絶版が多くて人には薦めにくいけれど滅法面白いことには間違いない海外ファンタジー“ダークエルフ物語”シリーズの新作。「ドロウの遺産」は“ダークエルフ物語”における3番目のシリーズです。その前日譚に当たる「アイスウィンド・サーガ」の第3部『冥界の門』も夏の間には復刊される予定らしいが、さてはて。他にもいろいろと、列挙し切れないほどの注目作が続々と出版されますけれど、果たして月末まで財布が保つかどうか、ちょっとサバイバルな雰囲気。

(ゲーム)

 『蠅声の王 シナリオU』(LOSTSCRIPT)

 先月も同じこと書いた気がするんですけど、とにかくこれ。他、ダメ姉が想像以上にダメダメだった『鬼うた。』やエロゲー版『家畜人ヤプー』の再臨たる『夢幻廻廊2〜螺旋〜』も逃さずチェック。しかし予算は限られているから、チェックだけに終わりそうな気配。

・拍手レス。

 ホライゾンの2下の値段が1250円という話が・・・もう終わクロ越えか
 上巻だけで900ページを超過しているらしいし、下巻も合わせれば2000ページ近く……「厚くなければ収まりませぬ」と言わんばかりだな。

 凌辱系エロゲの規制が、ロリと同じように「なおこれらの行為は全て同意の上で〜」みたいな注意書きで解決することを願う。切実に。
 陵辱系の語句は勿論のこと、タイトルに「少女」を冠するのがNGになりそうな気配。場合によったら『車輪の国、向日葵の少女』や『仏蘭西少女』すらアウトになるかもしれず。

 暁WORKSの新作って「ぼくらの」元ネタのザ・ムーンを意識してるんですかね。だとしたら鬱エンド一択・・・!
 初周はバッドエンド固定、くらいなら来てもおかしくはないですね。


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