2008年2月分


・本
 『バカとテストと召喚獣3.5』/井上堅二(エンターブレイン)
 『GA(2)』/きゆづきさとこ(芳文社)
 『借金取りの王子』/垣根涼介(新潮社)
 「傷物語 こよみヴァンプ」/西尾維新(講談社、『パンドラ Vol.1 SIDE-A』所収)
 『厭犬伝』/弘也英明(新潮社)
 『アイドルマスター relation(1)』/上田夢人(一迅社)
 『群狼の舞』/船戸与一(新潮社)

・ゲーム
 『こんな娘がいたら僕はもう…!!』体験版(あかべぇそふとつぅ)
 『残暑お見舞い申し上げます。』体験版(めろめろキュート)
 『恋する乙女と守護の楯ドラマCD〜妙子の温泉事件簿〜』(AXL)


2008-02-27.

・先日「叙述トリック」を危うく「呪術トリック」と書きそうになった焼津です、こんばんは。

 「そうか……豊富な食料が用意されていたにも関わらず、密閉された地下室の中で彼が餓死したのは……『痩せゆく男』と同じジプシーの呪いを掛けられていたからだったんだよ!」とかそんなのか、ええおい。ただ、ミステリって伝奇小説と相性がいいから「これは呪いか? はたまたトリックか?」というタイプの謎解きは結構多いですよね。既に絶版していますが、林泰広の『見えない精霊』も呪術に対して論理で立ち向かう話でした。勝負を仕掛けた少女が、「ウィザード」と呼ばれるカメラマンを「wizardの語源はwise、そしてwiseも遡ればラテン語のvis(見る)が元だ。『見る』ことを拠り所とするお前が、『見えない』ものにどう処するというのだ?」ってなふうに挑発するシーンが印象に残っている(現在手元にないのでセリフうろ覚え)。当時の自分は解決編が納得行かなくて評価しなかったけど、今思い返せば不思議と面白そうに感じられる。時間が経つとマイナス部分の記憶って薄れていくのかなぁ。

おいwwwwwヤフーニュースがやらかしたwwwwwwww(日刊スレッドガイド)

 笑いのツボに思いっきり直撃して噎せた。単純なポカミスでしょうけれど、この魔配合は恐ろしいにもほどがある。

チャレンジ一年生DVDに登場する「はてなようせい」が可愛すぎる件(日刊スレッドガイド)

 即座に「はいてないようせい」を連想できた233は達人級(アデプトクラス)だと思う。

『狂乱家族日記』と『スイートホームスイート』のコラボ小説で佐々原史緒が「みんな死ねばいいのに」発言

 「面白いけど伸び悩む」でお馴染みの佐々原史緒(ささはら・ふみお、だと思っていたけど「ささはら・しお」らしい)がさりげなく爆弾投下。この人、既に20冊近い著書があるのに、シリーズものは4巻以上出た試しがないせいかイマイチ知名度低いですね。野村美月みたくキッカケがあればぶわーっと一気にブレイクしそうなんですけども。

銀時計の『おたく☆まっしぐら』、福山美月ルートが終わって現在陽藤麗南ルート。

麗南「こんなレベルで世に戻ろうだなんて少し虫が良すぎるのではなくって!!!」
麗南「……ふぅ」
 自分の剣幕に気絶した。

 蚤の心臓にもほどがある。と言いますか、新ジャンルじゃないですか。「自分の剣幕に気絶」。臆病属性の極北でありましょう。と、そんなこんなで、お嬢様にして原型師の陽藤麗南。むしろお付きのメイドである羽鳥が態度最悪すぎて逆に萌えますけど、麗南も麗南で「ゆかり教育の体現者」たるブルーマウンテンさんがCV当ててるおかげもあって手堅いシャルムを発揮しています。彼女のルートは「オタク文化を消費する側」ではなく「オタク文化を生産する側」として参与していく流れが特徴的。生産と言えば同人作家の綺羅も一応含まれますけど、あの人はルートが未完成だったので……。

 書き忘れていたからついでに美月ルートにも触れておきますと、なんつーか美月は「萌える」とか「可愛い」よりも「面白い」が印象として先立つタイプのヒロインでしたね。勢いがあり、ノリが良く、主人公との掛け合いも息が合っている。どれだけ主人公にアプローチを重ねても努力が実らない不遇者ながら、うまくフラグが立って付き合い出すと照れや恥ずかしさから却って消極的になる逆弁慶ぶりは微笑ましかった。シナリオは途中の展開でちょい疑問を感じたものの、最終的にはそれなりにまとまります。朝美ルートとは違った側面が見えて興味深かった。ただ、A女ネタはもっと濃度を上げて欲しかったところ。「在アキハバラであるにも関わらずお嬢様学園」という設定を使い捨てだなんて豪儀にも程がある。

 で、麗南ルートもそれらと異なる趣のシナリオ展開で魅せてくれています。フィギュアに生きフィギュアに死す。いやぁ、おたまって本当に面白くて、それだけに惜しいゲームなんですねぇ。まだコンプしてませんが、「未完成」という不名誉な名とともに捨て置かれるのが勿体ない出来だと現段階でも請け合えます。空いた時間を潰すためと言いますか、気分転換用にとサプリメント感覚で購入したコメディ分摂取ゲーでしたのに、最近はすっかり夢中になってしまってこれをプレーしたいがために他の予定を延べているほど。おたま☆まっしぐら。

『もやしもん(6)』読みました。

 徹頭徹尾フランス編でしたが、ちょうど一冊に収まるよう話がまとまっており、滅法面白かったです。過不足なくイイ具合に引き込まれた。『もやしもん』はこれといって明確な目標がないせいもあって毎度緩んだ雰囲気が漂いがちですけど、今回は「ワイン」というテーマを軸に様々な人間模様が綴られ、一冊分以上の読み応えを得ることができた次第。まるで作中の土地に「居る」ような気分でゆったりと寛げました。生まれてこの方日本国外に出たことのない人間ですからもちろん錯覚ですけどね。海外経験皆無だからこそ、「ような気分」にさせてくれる作品は心底ありがたいです。

・拍手レス。

 暁の護衛、1/31スタッフ日記の「問い合わせ」ってまさかかお…違うか。でも海斗の証言がグレーだし・・
 スリーサイズからして怪しい、との説も。

 齢十を間近に控えてようやく悟ったて、萌えキャラにも程があんだろ、JK
 「リンゴと牛乳を併せて飲むとイチゴ牛乳の味がするんだぜ」と粋がっていた時期です。

 丼物を編み出した奴はコロンブスに並ぶ天才だと思うんだ。
 海鮮丼の彩りは芸術だと思う。ってか、「海鮮丼」でぐぐったら「ポセイ丼」とか出てきて噴いた。

 初めの話ですが私はご飯だけで食べられるのであまりわかりませんでした。
 知り合いには不思議がられましたが、食べられるこちらとしては食べられない方が不思議です。
 まぁ、面倒くさいときは食パンを焼かず何も付けず食べる人間ですのでわからないのも当然かもしれません。

 今だとご飯のみでも割と平気です。あと、某カップラーメンが「スープを入れなくても旨い」と謳っていたので麺にお湯だけ注いで食べたところ、本当に美味しくてそのまま食べ切ってしまった記憶あり。

 "積読"というのが昔から不思議だったり。私はパラパラ読んでるからでしょうか。
 自分の場合シリーズ物は完結してから暇が出来た時に一気に読むので"積む"必要がないからか。

 「買う」と「読む」、二つの行為を切り離して考えられる者だけが積読家への果てしなく険しい道のりを歩み出せるのです。単に計画性がないだけとも言う。


2008-02-25.

・実は小学校中学年になるまで「ご飯とオカズを一緒に食べる」というスキルを持ち合わせていなかった焼津です、こんばんは。味噌汁なら味噌汁、ご飯ならご飯、オカズならオカズと、とにかく一点食いしかしていなかったので、基本的にあまり味のしないご飯は食欲が湧かず、いつも残しがちでした。悪いとは思うものの、ふたくちみくちと含んでいるうちに飽きてしまう。しかしある日、味付けの濃いオカズが出たのでなんとなく薄めようとしてご飯と合わせて口にしたところ、あまりの美味に「〜〜〜〜〜ッッッ!!?」とバキ顔へ変貌。そうか、ご飯というものはこうして食べるものだったのか! と齢十を間近に控えてようやく悟った次第です。遅すぎんだろ、と我ながらツッコミたいところですが、むしろなぜ周囲が「ご飯に合わせて食べなさい」と言ってくれなかったのか不思議でならない。おかげで白米嫌いと間違われていました。今では「米=麻薬」という認識。これがなくちゃ食事は始まりません。

Littlewitchが七周年

 もうそんなに立つのですか。エロゲー雑誌をパラパラとめくって偶然『白詰草話』のページに出会い、大槍ズム迸るビュジュアルに衝撃を受けた日のことがまるで昨日のように……と書くと大袈裟ですが、ほんの2、3年前のことみたいに思えます。そして体験版で触れたFFDシステムには「遂に新時代が……!」としみじみ感じ入ったものです。残念ながらFFDを使った演出は効率が悪すぎて『Quartett!』で打ち止めになってしまったけれど、あのとき見せてくれた鮮烈なイメージは今も色褪せていない。なんだか久々に白詰とQuartettやりたくなってきました。聞かれてもいないのにあえて答えますと、当方の好きなサブキャラは荒山さんとメイです。

「積み」地獄「厳選!駆け流し」経由)

 趣味を「読書」と言い張るべきか「積読」と素直に認めるべきか悩ましい当方ですが、いったい何がキッカケにこんな購買無間地獄に落ちてしまったのか? と改めて考えてみた結果、思い当たったのは「昔近所にあった古本屋」でした。高校生の頃に潰れてしまって今はもうないんですけれど、小学生の時分からほぼ毎日のペースで足繁く通い、手当たり次第に安い本を買い漁ったものです。「10冊100円」のワゴンは10冊買わないと100円にならない(たとえば5冊しか選ばなかったら500円取られる)から要らない本でもつい買ってしまい、気が付けば買うペースが読むペースを上回っていました。そして、気に入っている作家の新刊が出ても「まだ消化してないのが他にいっぱいあるし……それに、買ってすぐに読むのはなんだかもったいない。寝かせておこう」と、言わば「好きなものほど後回し」の心理が作用して積み具合が加速していった次第。やがて「積んじゃったっていいじゃないか、人間だもの」と開き直り、ゲームすら買ったまま開封しなくなりました。積悟完了。

 今や消化量と購入量の差は目を覆うばかりであり、欲しいものを滅多矢鱈に買い捲って積んでいるせいもあって「書店に行って棚を眺めるよりも自宅の床積み本を掘り返す方がワクワクする」という倒錯した状況に陥っています。有川浩の図書館四部作もそのへんに無造作な感じで置かれていますし、向こうに見えるのは……『薔薇の名前』『薔薇の名前』じゃないか! あっ、あっちには『大聖堂』が!

 世の中には「ある本の上下巻2冊が一緒に並んでいる」というシチュエーションにおいて「まずは上巻だけ読むか」と下巻を華麗にスルーできる人と「両方買わなきゃ」と鷲掴みしてしまう人の2タイプが存在し、当方は無論後者なのです。「上下巻まとめて買わなきゃ」的強迫観念が昂じて「このシリーズ大人買いしなくちゃ」→「この作家の全著作揃えなきゃ……」→「このレーベル制覇しなきゃ!」→「早くしろ、戦車が壊れてしまう!」なゾーンにまで達しているという、ただそれだけの話。

女3人組の空き巣犯を警察が「キャッツアイ」と呼んで捜査していた

 むしろ『ブロッケンブラッドU』の不可能姉妹(インポッシブル・シスターズ)を連想しました。

・船戸与一の『群狼の舞』読了。

「孫文の言葉を忘れたんですか? 日本は西洋覇道の番犬となるか、それとも東洋王道の干城となるのかというあの言葉を?」
「同じことだよ」
「何がです?」
「覇道も王道も結局似たようなものだ、単なる語句の使いまわしかたの差でしかない。どんな言いかたをしようと、真理はたったひとつだ。だれかがだれかを食う。食う側にまわるか、食われる側にまわるか? 選択はそれしかないんだよ」

 渾身の一大クロニクル“満州国演義”3冊目。国家を創りあげるのは男の最高の浪漫だ――という『ファウスト』の引用を背景にして語られる今回は1932年の満州国建国から翌年1933年に結ばれる塘沽(タンクー)停戦協定まで、およそ一年の期間を切り取っています。徹頭徹尾、情け容赦ない固有名詞の嵐。慣れないとすごく読みにくいのですが、さすがに3冊目ともなると覚える苦痛の量も大したものじゃなく、1巻や2巻に比べて割とすいすい読んでいけました。尚旭東(小日向白朗)や川島芳子など『マスクドシャンハイ』にも登場する歴史上の有名人物が、直接的にではなく名前程度でとはいえ、ちょくちょく出てくるあたりも少し楽しかった次第。

 著者の船戸与一は冒険小説方面で有名な作家だけあって、ところどころで銃撃戦や虐殺シーンを描写し、「臨陣格殺」という語句を非常に強烈な勢いで印象づけるものの、この“満州国演義”、全体を通してみれば満州や日本とそれを取り巻く諸外国の情勢について延々と報告し議論を交わす文章が大半を占めており、意外なほど動的な場面が少ないシリーズとなっています。おかげで当時のことについてまるで無知な人間でも「へえ」「ほお」「うわぁ……」と唸ったり呻いたりしながら読み進めていける反面、なかなか話に集中し切れずダレそうになる局面もしばしば訪れます。これ1冊だけなら400ページちょっとで、すごく分厚いってほどでもないのに、字がみっしりと詰まっているせいもあって一気に読もうとすれば疲れてしまう。程良く時間を作って急がずじっくり読むのがベターと見ます。

 中国の大地に「満州国」という名の楔を打ち込み、さながら狼の遠吠えの如く「五族協和の王道楽土」を高らかに謳う人々。ともすれば単調に陥りかねないストーリーを救ってくれるのは、視点人物たる敷島四兄弟のうちの次男と三男、つまり二郎と三郎です。もとは馬賊のリーダーだったけれど、いろいろあってただの流氓となり大陸を放浪している二郎の行動は行き当たりばったりで、自由と言えば自由だけど訪れる先々でしがらみに縛られ、本当に思うままに生きられているのかどうかを怪しみ危ぶみながら生きる姿が面白い。落魄する前の威厳を滲ませる二郎も好きでしたが、茫として掴みどころのない柳絮となりつつある今の二郎も興味深く、彼のパートではページを繰る手が加速する。一方、三郎は憲兵隊所属の中尉で、その役職から「死して靖国に祀られることなし」と自覚しながらも、帝国軍人の一人として義務を果たさんと頑なに思い詰めている。信念の強さが仄かな輝きを帯び、チラチラと明滅する様に興奮を覚えます。やがて降りるであろう崩壊の緞帳を思い描くにつれ、彼の悲愴さがいっそう際立っていく。二郎と三郎、この対照的な二人が満州の地を舞台に展開する物語へ良い塩梅で光と陰を投げ掛けていると思います。正直、太郎と四郎だけだったら当方が途中で本を投げ出していたかもしれません。太郎はもとかく四郎は相変わらず立ち位置がハッキリしないままだな……。

 そして何より、「敷島家の悪霊」たる特務機関員・間垣徳蔵の暗躍っぷり――衰えるところを知りません。絶好のタイミングは必ず逃さず、ちゃっかり登場。節目節目で四兄弟を歴史の暗部へと誘います。彼が出てくるとなんだか無性に嬉しくなってしまう罠。言ってみれば「ここから話が面白くなるよ」という合図みたいなものですんで。ただ、今回は1巻や2巻に比べればあまり激しい動乱がなく、単独で読めばちょっと地味かも。五・一五事件も一応詳しく解説はしていますが、作中で「茶番だ」と切って捨てていますし。種を蒔くだけ蒔き、伏線を張るだけ張ってまだ回収していない段階です。花が芽吹くであろう次巻以降に期待するより他なし。4巻は初夏に刊行予定とのことです。


2008-02-23.

・エロゲーでありがちなこと。エッチシーンの最中にセーブしてしまい、後日再開しようとするも「いきなりエロエロのど真ん中、言わばグランド・エロからおっぱじめるってのもなぁ……」と躊躇が先立ってロードできない。こんばんは、今リアルでそれに陥っている焼津です。

 時間や眠気の関係でついつい性行為の途中でセーブしちゃうんですよねー。こういう形で中断してしまうと、再開する際にテンションを取り戻すのが難しい。みなさんもセーブする場面には気をつけましょう。

「- L.S.D -」のDIARYがチラシの裏モードに

 ちゃんと左右反転してるあたり芸コマ。

『はるはろ!』は別ブランドにて開発を継続すると明言

 噂レベルに留まっていたことが公式的に発表され、どうにか最悪の事態は免れました。ひとまず胸を撫で下ろした次第。しかし、こんだけゴタゴタしてたら年内発売はどう考えても無理そうですね……来年でも間に合うかどうか。なんであれ、少女病ルートやおま天ルートだけは避けてほしいところです。

・上田夢人の『アイドルマスター relations(1)』読んだー。

 作者はtalestuneの絵師さんで、アイマス好きが昂じて遂に公式コミックまで参加することになった模様。アイドルマスターについてはネット上のイラストや会員制になる前のニコニコ動画でしか知らず、辛うじて名前と顔が一致する程度の当方ながら、この人の絵柄が好きなので勇を鼓して買ってみました。数年前に別名義で単行本を出していますが、今のペンネームではこれが初となりますね。

 主人公はX-BOX360に移植する際、新アイドル候補生として追加された星井美希。金髪で巨乳、性格は天真爛漫で気侭、語尾に「なの」。実に覚え易くて宜しい。他にも一通り原作のキャラクターたちは登場しますが、本当に「一通り」って感じで、扱いの差が結構大きいですね。美希と並んでクローズアップされているのは千早。ネット上でネタにされているイメージからすれば「胸のことを気にしているツンデレキャラ」だけど、コミック版では「孤高のアイドル」という影のあるムードで描かれている。美希のプロデューサーはかつて千早を担当し、彼女をスターダムへ押し上げましたが、ある事情から関係が冷え込んで今はろくに会話もない状態となっています。そして彼は、得た売上や人気からすればトップクラスなのに「千早のプロデュースは失敗だった」と広言して憚らない。同じ過ちを繰り返さないよう、美希を「本当のアイドル」に育て上げるため、尽力するが……。

 表では美希の成長、裏では千早との関係修復が眼目となるっぽいストーリーです。美希と千早、そしてプロデューサーの三人に焦点を絞り、他の面々をサブキャラにまで落としたことでスッキリとした話に仕上がっています。ファンによっては「○○の出番少ねぇ〜」と不満が噴出するやもしれませんが、アイマス未プレーな人間からすればこれくらいが丁度いい。佐野美心や魔王エンジェルは、一応原作にも名前はあるみたいですが、オリキャラみたいなものと捉えればいいんだろうか。まだそれほど本筋に絡んでこないが、活躍次第で更に話を盛り上げてくれそうな面々ではある。東豪寺麗華は激しすぎる裏表の差がむしろ可愛い。キャラデザが似てるから最初目にしたときは「ジーザズ! ファックミー! プリーズ!」の人かと思いましたが。

 アイマス知らなくても抵抗を感じずに読める出来だと思いますので、「興味はあるけど詳しいことはよく知らないんだよな……」と迷っている方にもオススメしておきたい。ただ、展開がそこそこ早いので退屈せずに筋を追っていけますが、「アイドルとは何か?」を追及するには少し駆け足気味かもしれない。「みんなを楽しませる自分が楽しいこと」を標榜する美希、「才能のロケットに乗って、凡俗どもの推進剤タンクを切り捨て、宇宙の果てまで――」と索漠たる境地に立って崩壊寸前な千早、「おお、虚像よ(アイドル)! 塵と灰に。おお、無価値よ(胸パッド)!」と芸能界のボイルドを地で行く麗華。三者がどう絡み合うかが見所となってきそうです。

・拍手レス。

 よもや「はるはろ」でスワスチカが開くとは思わなかったよ……。
 もうこんなサプラァイズは願い下げ。

 荒川工に限ってす
 わすちかは無いと思ってたのに。あまりのどうようにキーボードを打つ手が震え豪送信をも。

 お、落ち着いて素数を数えましょう。えっと、1……あ。

 CK2はマジお勧めですよ。後半はシリアスたくみんが堪能できます。
 機会があればやってみようと考えてますが、できればリアルタイムで巡り会いたかった……。

 つーかこれほどの犠牲を払ってスワスチカを開かんと現界できないDies完全版って何なんですかorz
 Dies完全版以外にも『末期、少女病』『霊長流離オクルトゥム』『陰と影』あたりが三騎士として降臨しないと割に合わねぇです。

 ………え? ウソ、あの、ちょ、開発停止って、お、あ、ア"ア"ア"ア"ア"んんんん
 希望は繋がれました。が、だいぶ厳しい状況に傾いてきたことは確か。

 スワスチカなんだから一つ二つで済む訳ないじゃあですか
 ハイドリヒ卿の帰還まで後幾つ?

 ぶっちゃけ8つで打ち止めになるのかどうかすら怪しい気配に。

 mixiでずっと体調不良訴えてましたからねえ>たくみん 別のwillブランドで出ればいいのだが・・・
 公式の発表来ましたね。一縷の望みが残るというのも、スワスチカの共通点なんだろうか。

 公式に「はるはろ!」は製作続けられるのが決まったけれど、やはり複雑な気分です……
 水面下で進んでいるという朱門の企画も、無事陽の目を見れるかどうか不安だ……。

 やったー、はるはろは発売っぽいですよ。荒川氏は関わってるかは別として。
 蓋を開けるまではなんとも、ですね。


2008-02-21.

・金銭的にはまだ少し余裕があるものの、物理的制約が厳しくなってきた昨今、「継続購入を打ち切り、既刊を処分するマンガ」と「継続して購入するが既刊は処分するマンガ」の選定に乗り出した焼津です、こんばんは。

 後者について詳しく書きますと、要するに続きが気になるので最新刊は欠かさず買って読むけど、読み終わったら蔵書に加えないでポイするってことであり、ビブリオマニアな自分にとってやや辛い選択。ふとしたタイミングで読み返したりもできないので、慎重に吟味しなければなりません。とりあえず真っ先に挙がったのは『闇金ウシジマくん』。ひょんなことから闇金を利用することになって、あれよあれよという間に破滅の坂を転がり落ちていく人々の姿を正視に堪えないほど克明に描き、「社会派」を超えてもはやホラーの領域に到達した一作です。新堂冬樹あたりと違って闇金そのものの薀蓄だとかコン・ゲーム要素は若干希薄ですが、債務者たちの送る日常と、それが軋みを上げて壊れていく描写はすごく生々しく、身につまされるってレベルじゃない。

 特に7巻から9巻の約3冊分に渡って展開された「フリーターくん」編は、30過ぎて独身、身勝手で「思考放棄」と「責任転嫁」以外のスキルを持たない借金まみれのフリーター男がズルズルと堕ちていく様を丹念に綴っており、読んでいてひたすら暗澹とした気持ちに浸らされる。とにかく、このフリーター男の挙動や心情が真に迫っています。朝起きて家族の誰とも遭遇しないようキョロキョロ左右を確認した後に台所へ移動、冷蔵庫の牛乳パックを取り出して直接口を付け、ボタボタと口角から雫をこぼしながら「うめェ!! うめェっス!!」と飲み、締まりが悪い冷蔵庫の扉に「ファック!」と罵る――こんな些細なシーン一つを取っても、牛乳飲んでいるときの虚ろな目つきとか、「扉の締まりが悪い」というだけでクワッと一変する形相とか、非常に的確で「あー……」という感じになります。同族嫌悪の権化みたいな彼を通して照らし出される己の底の浅さに、とっても気が滅入る。

 ウシジマくんというマンガは全編に渡り、作中のキャラへ嫌悪を抱いた読者に対し自動で「そういうお前はどうなの?」とリフレクされる、鏡面的な醜悪さがギッチギチに詰まってます。境遇の違いなど、綿密な心理描写を前にすれば無意味。面白いことは確かで、一旦ページを開けば止まらなくなるけど、読み返したくはない。リアリティを深め、話の面白さが増せば増すほど、所持欲は反比例して下がっていく。手元に置きたくない気持ちが募る。それでも続きが気に掛かるから、新刊は買ってしまう。かくして「継続して購入するが既刊は処分するマンガ」の最先鋒となりました。新堂冬樹の闇金モノは生々しい部分も結構コミカルに描いちゃうし、過剰なバイオレンスで単純明快にスカッとさせてくれるし、概ねB級テイスト豊富な作品ばかりでむしろ抵抗が少なく、読み返すのも別段苦にならない。だからウシジマくんも始めは舐めて掛かっていましたが、見通しが甘かった。新刊を期待すると同時に話の続きを恐れるっつージレンマに陥っています。

 前者の「継続購入を打ち切り、既刊を処分するマンガ」に関しては、具体名を挙げない方が良い予感しますので割愛。ただ、ジャンプのマンガもいよいよ買うものが少なくなってきたなぁ……年を取ったということか。

「風道」の中の人が4コママンガの連載を開始するとか

 「月道」の姉妹サイトであり、実はこちらも年単位で通ってました。毒めぐさんとはまた違った絵柄ながら、色彩感や漂うミリ臭も含めてかなり好みに適合していたり。この前地元の書店に行ったら『はつ恋連合艦隊』が平積みされていてギョッとした(発売から結構経っているはずだし)けれど、何はともあれ「らしい」作品になりそうで早くも期待。

ドラクエ武道家をロリ化して少し旅をさせた(神速(´・ω・)VIP)

 ごくごくシンプルな線&色遣いでいてSDキャラ好きのハートをブチ抜く素敵な描画。惚れた。キリの良いところで終わってますが、是非とも続編を希望したい出来です。にしても、武道家なのに全然武道してない罠。

銀時計の『おたく☆まっしぐら』、櫛田綺羅エンドに速攻で到達。

 同人作家で男性恐怖症の眼鏡っ子。地味の極地であり、キャラデザからして好みじゃなかったので、別にこの娘がクリアできなくても……などと軽んじていたのも最初のうち、「オタクなんかじゃありませんよ、一般人ですからー」と言い張る彼女の痛々しさに愛が芽生え、次第に盛り上がっていく。まずい、このルートは未完成なんだぞ、ときめくな我が心! と叱咤したのも束の間、「綺羅かわいいよ綺羅」という呟きが知らぬ間に漏れました。

 そして次の瞬間、キングクリムゾン発動。脈絡が吹っ飛ぶ。話がいきなり『闇金ウシジマくん』に切り替わります。「ドージンくん」編か? エンディングはなんとか綺麗にまとまるが、過程が抜けすぎていてコメントしづらい。Hシーンすら実装されていないし。聞くところによれば、最新のパッチではルートごと抹消されているらしく、不人気がさだめの歴代ロミオ眼鏡ヒロインズでも右に出る者がいないほど最悪な扱いを受けています。もう笛子どころじゃない。

 シナリオの出来がさほどでもなければ簡単に諦めがつくのですが、なまじ面白く仕上がっていて綺羅への愛着が募るだけにキツい。「生殺し」と評して差し支えないクオリティ。これに関してはロミオの腕とセンスが仇になりました。おたまに完全版を求める人々の気持ちをイマや心底まで理解させられた仕儀。確かにこれはないわー。見直しも満足に行ってないのか、あっちゃこっちゃとケアレスな誤字が散らばっているのも萎える。立ち絵もうまく統一されていないのか、表情差分を表示する際に若干ズレることがあって、なんだかなーです。落胆街道一直線。けど明の「ふらぁぁ、来いよぉぉぉぉ、かかって来いよぉぉぉぉぉ!!」の威嚇はちょっぴり胸キュンした。

 さて、順路に沿えば次は美月か……今度は完結しているとのことですし、期待させていただきます。

あかべぇそふとつぅの『こんな娘がいたら僕はもう…!!』、プレー中。

 なんだかんだでオタクにとって学園コメディ系のエロゲーはやり飽きない、言わば日本人にとっての白米みたいなものであり、変わり映えのしない日常をダラダラ過ごして目先のイベントに取り掛かる様が実に心地良い。しかし、多くのエロゲーマーが駆られる想いでしょうが……自分が中高生だった頃のあまりにも何事もなかった青春の日々を思い出して軽く凹みます。こんぼくはまだいいですが『こいびとどうしですることぜんぶ』に含有される「ありもしないノスタルジア」は優に致死量イッてる。学園モノだけに細かい部分で記憶が刺激されて当時の手触りとか匂いが脳裏に甦ってくるんだけど、冷静になれば「どう考えてもこんな嬉し恥ずかしな出来事は俺の人生に存在しなかった」とQEDせざるを得ない――そんな架空の懐古心が胸を締め付けます。

 高校生時代においてまだハッキリと頭に浮かべることができる学校の思い出なんて、教室の窓際で江戸川乱歩全集を読み耽っていたことくらいですよ。乱歩なぞ過去の遺物と決め込んでいました(先に少年探偵団シリーズを読み「なにこの海外古典から引っ張ってきた借用トリックの嵐」と鼻白んでいたせいもある)けど、「二銭銅貨」や「一枚の切符」といった初期短編に触れて目から鱗が滝の如くザラザラ流れ落ちた次第。ようやくまことの探偵小説にめぐり会い申した……ってな調子でひどく感銘を受けたのですが、脱線の方がもっとひどくなってきたのでそろそろ本筋に戻します。

 初対面では「なにこいつ。うざ」としか思わなかった猫型ゴッドのススムもその言動がだんだん愛らしく感じられるようになってきました。見るたびに癒される。爆弾解除や獅子捕獲といった超展開も鳴りを潜め、以降のストーリーはごく普通の学園モノとして堪能できます。現在攻略中の綾菜は正統派幼馴染みキャラで、飛び抜けて魅力的というほどではないにせよ、安定した可愛らしさとエロさを供給してくれる。表情もコミカルで、特に滝涙を流す立ち絵はヘタウマ。ストーリーやギャグはさほどでもないけれど、キャラ立てとセリフの応酬はキッチリ雰囲気に嵌まっていて楽しくプレーできる。「良い意味でベタなもの」を書けるタイプだと思います、このライター。

荒川工、propellerより退職。それに伴いpropellerでの『はるはろ!』開発は停止。

 …………………………………………。(虚ろな視線を宙に彷徨わせること十数分)

 ??!(遅れて届いた驚愕に瞳孔が真っ開き)

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!(声にならない雄叫び)

 …………………ッ……………ッッ…………!(尽きることのない懐旧が走馬灯のようにグルグル巡る)

 『Lien』『このはちゃれんじ!』『ぼくらがここにいるふしぎ。』『てこいれぷりんせす!』――(『クレイジーナックルU』は正直言ってよう知らん)

 (ああ、明日はどっちだ)

・拍手レス。

 怒りの庭、瀬戸口引退。今年はもうあってもG線と俺翼くらいだろうと踏んでいたら
 たくみん離脱とかね、もうね。一体エロゲ神はどこまで僕らを試すのでしょうか。

 2008年は忘れられない年になる――早くもそんな悪寒でいっぱいです。

 荒川工が引退とか…orz
 ギター抱えた親父と月を見上げながら会話する『Lien』のクライマックスがふと脳裏に甦って涙腺バースト。

 ……はるはろが………
 いつか本当の春が来ると信じたい。

 クロノベルトの発表で喜んだのも束の間、propeller代表の荒川氏退社&『はるはろ』開発中止
 嘘だろと思いHPに行ってみたら本当だった。まさか今日は4月1日!?と疑いたくなりました。
 しかし、一体なにがあったのやらHPの文も簡潔すぎてなにかモ勘ぐりたくなりますが『はるはろ』はどこかで
 発売はありえるんですかね。中止じゃなく停止というところに希望を持ちたい

 荒川工の体調が思わしくない、という話はだいぶ前からありましたので、その流れかと。退職後に外注としてシナリオを完成させ、propeller以外のWillブランドで発売する予定との噂もありますが、まだ確定的ではない状態です。

 焼津さん、僕らのpropellorでスワスチカが開きましたよ…… o...rz
 今年はあとどれだけのスワスチカが開くんだろう……。

 はるはろ!どうなっちゃうんでしょうね?当ブランドでの、とのことですから望みは潰えてないと思いたいです
 少なくとも、年単位で待つ覚悟は必要になりそう。

 妙子と優のエロイシーンだけのファンディスクだし欲しい。
 百合スキーがパッケの説明を読まずに買ったらえらいことになりそうなFDですね。


2008-02-19.

『人類は衰退しました3』は今春発売予定とか、『あやかしびと』と『Bullet Butlers』の合同アフターストーリー『クロノベルト』の発売が初夏に予定されているとか、小耳に挟んだ情報でほんのり胸を温かくする焼津です、こんばんは。それにしてもロミオ、本気で印税様街道まっしぐらか……もうエロゲーのシナリオは書かないんでしょうかね。おたまを現在進行形で堪能中だけに寂しさが炸裂しそう。こう、イオナズン的に。

50人の警察官が麻薬取引組織の幹部宅を重機に乗って襲撃「厳選!駆け流し」経由)

 揃いも揃って『アンタッチャブル』の見過ぎか?

銀時計の『おたく☆まっしぐら』、奥井朝美エンド確認。

 すみません。奥井朝美はツンデレキャラだという偏見を抱いてましたが、いざ付き合い出したらデレどころじゃなかったです。なんというかもう、ビースト? 明必殺のアイアンクローを以ってしても引き剥がせないほどの勢いで食らいついて唾液を流し込むなんて、デレの次元を突破している。デレというよりデンジャーですね、ツンデンジャー。実に恐ろしい子でありました。それにツンデレっつったら主人公の方がよっぽどツンデレだ。

(俺は超亭主関白! 命令しまくりだ!)
 今日もまた、明の鬼彼氏ぶりが冴え渡る。
「荷物貸せ。おまえのような未熟者には預けてられん」
「はぁい」
 ふたりの私物が入った鞄を、明が持つ。

 男ツンデレめ!

 「一般的にツンデレと呼ばれるものは、精神的な幼さに裏打ちされている」ことを熟知し抜いた手つきでシナリオを捌いており、クライマックスの展開にはいささか顎が抜けそうになりましたが、総合で判断すれば模範的な仕上がりになっています。ただ「最果て」を使っていると朝美イベントばっかり見ちゃって他のヒロインがまったく登場しないことや、時間経過が分かりにくいことが難点と言えば難点か。しかし、起承転結はしっかりしている。警戒していたキングクリムゾン展開もなかったし、一本のルートとして満足ゆくまで楽しめました。終盤の〆もロミオらしくて乙です。支払った金額からすれば、これだけで充分元が取れた気がする。以降がどうなろうと、もう「買って損した」という気持ちにはならないでしょう、きっと。ぶっちゃけ恋楯ドラマCDよりも安かったくらいだし。まあ、こういう割り切った評価が出来るのもDiesやGardenのショックを経由したからこそだと自己分析。どこまでが「期待」でどこからが「高望み」なのか、弁えるようになりました。

 次の推奨順は通常イベントや特殊イベント、地域の日常をこなしてから綺羅ルート……噂に名高い未完成ルートか。いったいどんなもんなのやら、この目で確かめてみんとす。

・弘也英明の『厭犬伝』読んだ。

 昔、ボンボンやコロコロでプラモデル同士を戦い合わせる漫画が流行ったじゃないですか。『プラモ狂四郎』とか。そして一時隆盛を極めた後、衰亡の一途を辿って行った対戦格闘ゲーム。今は遊戯王とかムシキングみたいなトレカ類が優勢なのかもしれない。よく知りません。ともあれ、第19回日本ファンタジーノベル大賞 <大賞> を受賞した本書はそうしたタイマン系ホビーバトルの系譜に連なると考えても差し支えない気がする一冊です。なんとなく『八犬伝』を連想させるタイトルながら、意味するところは「厭太郎と犬千代、ふたりの男女が決闘するに至った顛末」であり、別に犬嫌いをテーマとした話ではありません。作者は本当に犬が苦手みたいですが。

 汚木――屍を元にしてつくる、皇木族秘伝の材木。それを彫って人の形にしたものが仏肢像、略して「仏」である。仏とは元来神事に用いる祭具であり、軍事に投入する兵器であったが、いつしか土俵の上で壊し合いを演じさせる「合」の玩具として男どもに愛好されるようになっていた。激しい戦闘によって腕がもげ足を切り落とされ首が引っこ抜けても、これまた皇木族秘伝の玉石を食ませればたちまち損傷は癒される。岳稜警の厭太郎は取締りの際、誤って仏師である犬暁を死なせてしまい、犬暁の娘である犬千代に合仏での決闘を申し込まれる運びとなった。女と見紛うばかりの美貌とは裏腹に、山岳警備によって鍛え抜かれた体は頑丈にしてしなやか、実践での格闘に関しては右に出る人間がいないほど練達している厭太郎だが、合についてはせいぜい中級者程度の腕だった。片や、犬千代は仏と心を通い合わせ、手指の如く自在且つ精密に動かすほどの技量を有している。このままでは勝てない。仏を使った決闘とはいえ、決闘である以上、負ければ命喪うは必定。そういう取り決めになっている。死ぬのは厭だと、なんとかして打開策を編み出そうと試みる厭太郎だったが……。

 人間の死体からつくられる生人形でバトル! って、それどこのネクロマンシー? 直接骸同士で闘わせるわけではないし、「汚木」はあくまで死体とは似て非なるものと認識されているみたいだが、それでも遺骨や遺髪に近いものを「おおきなおともだち」のオモチャとして扱う展開はどうなんだろう、と首を傾げながら読み進めました。結局、汚木や仏が生み出されるメカニズム、仏を操るための媒介者として登場する依姫、如何にも黒幕臭い皇木族の面々なんかは深く突っ込んだり解き明かれたりもせず、ほとんど未消化なまま終わるので、あくまで眼目は「仏による決闘」と捉えた方が良さそうです。ホトケファイト、レディ・ゴー!

 人の形とは言っても中には獣めいた造型の仏も混じっているし、アシスト役として獣虫を用いるラウンドもあったりと、単調な対戦描写を避けることに心を砕いている。現状のままじゃ絶対に勝てない、というくらい開いている実力の差を埋めるため、新たに出来た仲間たちと修行したり犬千代の癖を分析したりと厭太郎も努力をするわけですが、このへんは割と地味であまりハッタリの利いた展開もなかったです。ってか、全体的に仰々しさ、派手派手しさがないんですよね。ボンボンやコロコロの漫画には常勝不敗の最強名人やら、必殺必勝の究極魔奥義やら、無茶苦茶なのに読者を問答無用で「すげー」と思わせる要素があれやこれやと過剰に仕込まれていたものでした。本書はそうしたハッタリをばっさり排除し、「どんな名人でも勝ったり負けたり」と、本物の格ゲーマーみたくリアリティを醸す微妙な戦績が保たれている。伝奇バリバリのストーリーなんだから、個人的にはもっとケレン味を利かせても良かったと思いますが……まあ、そのあたりは好みであり、抑制の利いた雰囲気がツボって人もいるかもしれない。

 「それって反則じゃないの?」ってな奇手がOKされたりと、ルールが大雑把でザルな印象を受けたものの、表紙や題名にこびり付くおどろおどろしさとは無縁の内容で意外と読みやすかったです。悩ましげな顔で犬千代戦の対応に苦慮する厭太郎を想像して催したり、細かい部分も楽しめました。凭れ掛かった黒豹が主人に呼ばれて歩み出したため背中側が空になってポテッと畳に着地するヤタロウ(*´Д`)ハァハァ。対する犬千代は身勝手な性格が目立ったこともあり「厭な女」としか思えず、名前以外には魅力を覚えなかった。クール系なのにムキになったら顔を真っ赤にするし、姉属性持ってて気弱な弟を庇護しようとするし、描き方や展開次第では可愛くなりそうだったんですけど……。

・拍手レス。

 あれホモは苦手じゃなかったんすか?
 優ならエニタイムOK。

 極限までドロドロして最後にすっきり終わる。こういうの好きです。
 極限までドロドロした挙句グダグダに終わるのが最悪。


2008-02-16.

・某スレ界隈でヒロイン化されている☆画野朗に比較的本気で萌えてきた焼津です、こんばんは。

トノ「カレーパンとコーヒー牛乳買って来い、超特急でな」
☆「えぇ!?トノちゃん・・・…カレーパンにコーヒー牛乳は合わないよ!」
トノ「ん?そ、そうか?」
☆「駄目だよ偏食は。ユーザーさんだってテキストのそういう所に違和感感じるんだし!」
トノ「じゃ、じゃあフツーの牛乳で頼む」
☆「うん、分かった!」

数分後

☆「トノちゃーん、頼まれてたフルーツ牛乳買ってきたよー♪」

 これは特に噴いた。カレーパンのオーダーが虚空に消えていますし。Gardenの完全版が仕上がるまでは天然薄倖属性な☆子で心の隙間を埋めることにします。

銀時計の『おたく☆まっしぐら』、プレー中。奥井朝美ルート。

 未完成未完成と言われているからサクッと終わるんじゃないかって気軽に構えていましたが、案外長い。投げ売り価格の中古品でゲットしたため、想定した以上の量が詰まっている&今のところ質も一定に保たれているのは嬉しい誤算と言いますか、これだけ地力のあるゲームが叩き売られていた事実にむしろ悲しくなったり。並行プレーしている『こんな娘がいたら僕はもう…!!』は同時期どころか同日に発売されたソフトで、特典攻勢の反動で中古屋に在庫がダブついた際一旦値崩れを起こしたものの、以降は持ち直して「これなら新品で買った方がいいかな」と思わせる程度には安定しています。市場がすべて、とは申しませんが……どちらも楽しく笑えるゲームだから開きまくった差を見るにつけ、つい慨嘆を抑え切れなくなります。

 朝美とはまだくっつくところまで行っていませんが、主人公に対して敵愾心と不遜さを示すばかりだった態度が徐々に軟化し、ほんのり匂うくらいとはいえデレ要素を焚き始める様子に思わず脂下がる。なんというか、見た目の印象に反して防御力が低く脇も甘くて卑語を言わせたくなる庇護欲をそそる子ですね。付き合い出してデレ臭をムンムンと立ち篭もらせたら、どうなっちまうんだろう。想像してワクワクせざるを得ない。一夜やざくろといったサブキャラクターズも良い味を醸しています。あと、シモネタが多いのも個人的にかなり宜しい。

「……それはそれは……またやおい穴の小さいことで……」
「やおい穴って尻穴のことなのか?」
「……シリませんよ」

 など、いやはや絶妙にくだらない。エロゲーなんだから、コメディものやギャグものにはもっと際どいネタを仕込むべき――という当方の理想に合致している。ただ、藤崎竜太クラスまで行くと「笑い」のゲージが超必打てるほど高まってしまい下半身が著しく萎えますので、是非ともシモとエロの配分には気をつけていただきたいところ。シモいのとエロいのとは異なります。塩と砂糖くらい違うのです。ちなみに、現時点でもっともシモエロの均衡が保たれているソフトは『プリンセスうぃっちぃず』だと思っている。だから『ティンクルくるせいだーす』には夥しく期待。……えっと、話が逸れてしまいましたが、そんなわけでおたぐらはシモネタの撃鉄を起こし、それでいてエロの実包を忘れずに込めて撃ち放っていただきたい。

『恋する乙女と守護の楯』ドラマCD、聴き終わり。

 優かわいいよ優。こういう誰のシナリオでもないオマケイベントだと、いっそう優の存在感が引き立ちますね。さあ今からでも遅くない、早急に優ルートの立案を……って、それはともかく。釘宮ボイスも危惧していたほど違和感がなくて、割と馴染めました。取り繕った表面上のセリフと内心の声とのギャップが美味しいです。

 本編の間隙を埋める内容で、特定の誰かとフラグが立った状態じゃありませんから恋愛方面の寄せは少ないものの、原作を知っているといろいろ深読みできる箇所があって楽しい。ドラマCD→原作よりも、原作→ドラマCDの順で堪能する方をオススメ。あくまでオマケイベントであってストーリーはさほど凝っておらず、ファンサービス要素をぽつぽつと仕込んでいる程度ながら、妄想力をフル回転させれば別に仔細なし。全体の時間は70分くらいで、これはドラマCDとして標準的なサイズなのかな? 多少強引な展開もありましたが、最後まで退屈せずに聴けましたし、コストパフォーマンスはそこそこ。妙子(修史)の「いらん、こんな技術!」と叫ぶシーンがさりげにツボだったり。

 諸手を挙げて絶賛――とまで行かないにしても、釘宮理恵の演技は安定感があって寛げます。さる事情から色仕掛けで媚びを売るシーンなどは「やっべえ、耳元でこんなの囁かれりゃパツイチで堕ちるわ」という高威力。オチも良かったです。確かに嘘は吐いてないよな、嘘は。総じて派生商品としては充分な出来に仕上がっているかと。何の変哲もないコメントになりますが、ファンなら買って損なし。ってか、ファンならディスクを取った瞬間に爆笑を抑え切れなくなるでしょう。エフッ、エフッ、エフッ、エフッ、と。是非この調子でFDの発売まで漕ぎ着けてほしい。そしてその暁には優ルートの実装を……!

・拍手レス。

 ……トゥム?アレはもうなかったことおになってるんじゃw
 希望は持たない。でも諦めない。そんな二律背反です。

 キングダム読んだ。信がすげぇ好き。実は王騎より好き。
 なにげに最近のマンガでは少ないタイプの主人公ですね、信って。

 何かを悟ってしまった。女装モノが好きだ。そんなあなたにこの一本「彼女たちの流儀」良作です。
 あれは体験版が合わなかったのでパスしました。秋名涼月は好みな子だけに残念。

 焼津さんと結婚したい
 齢千年以上の人外ロリなら無条件で今すぐ拝跪します。

 我らがトータルブランドがここの話題にでてくるとわw
 「むうっ、射精す!」をもう少しで買いそうになったこともありました。


2008-02-14.

・「怒りの庭」を経験したせいで却って吹っ切れて、かつて回避していた『おたく☆まっしぐら』を今頃購入せる焼津です、こんばんは。

 かの田中ロミオがシナリオを手掛けたソフトながら、あまりの未完成っぷりに多くのファンが涙した一本でもあります。ために「先行して開いていたスワスチカ」と称されることもあり、DiesやGardenと違ってメーカーが一切釈明せず、完全版など夢のまた夢、泣き寝入りするしかない状況に陥っている点では最悪の対応とも言える。銀時計はCLOCKUPの姉妹ブランドで、このCLOCKUPはかつてバグだらけのまま売り出したフラグ破綻ゲームを「仕様」と押し切り、廉価版を発売する際にも手を加えなかったという逸話を保有しています。あまりの迷走に一時は「終わった」と囁かれたものの、『凌辱学園長/奴隷倶楽部』で奇跡の復活を果たし、現在開発中である新作『とらい☆すたーず』は度を越したJOJOリスペクツなネーミングにより期待すべきかネタ扱いすべきかとファンの心を悩ませている模様。

 ザッと調べたみた感じ、体験版をやったときに気に入ったヒロインズは概ねちゃんと攻略できるみたいで踏ん切りがつきました。ここのブランドじゃ絶対に完全版なんて出さないだろうな……という確信も背中を押してくれた次第。以前は「未完成じゃあ、プレーしたくはないな」と頑なに突っ撥ねていた当方も、かくの如く変節する運びと相成りました。なんだかもう、今後は未完成作品くらいで騒ぐのもやめようかな、って心境。これを「強くなった」と見做せばいいんだか、「堕落してんじゃねぇよ、早く考え直せ」と叱咤し戒めるべきなのやら。

・何であれ銀時計の『おたく☆まっしぐら』、プレー開始。

 こう書くと意外かもしれませんが、現時点で唯一タイトルに「おたく」を冠しているエロゲーです。主人公がオタクだったり舞台が秋葉原だったりと、オタ文化を主要テーマに据えたエロゲーなら他にもいくつか類例があるけれど、「おたく」で検索して引っ掛かるのは今のところこれのみだ。体験版の出来があまりにもヤクいので華麗にスルーしていた思い出の一本。当時は「体験版を判断基準にすれば大丈夫」という甘い考えがまだ通用していた時期でした……今はもう体験版が良くても信用できない。死んでいてもプロの殺し屋には近寄りたくない心境と一緒。さて、この「おたま」あるいは「おたぐら」を略称とする『おたく☆まっしぐら』、地方から出てきたオタクの主人公が秋葉原近辺で日常生活を送り、様々なヒロインと出会うっていうストーリーのエロゲーです。パロディやコメディを基調としているためジャンル的にはギャグものに属しますが、例によって後半でシリアス展開があるみたい。

 何をトチ狂ったのかADV方式ではなくSLG方式の妙に凝った仕様で発売しようとして、ろくにフラグ管理もできず、ボイスやシナリオにも欠けがありましたが、修正パッチで補うどころか「修正パッチを適用→既存の内容が削られる」とむしろ後退。ガーデニング商法の魁みたいな真似をやらかしたことにより、単なるバグゲーとしてではなく「メーカーの対応が最悪なソフト」としてエロゲー史に名を残す結果となりました。しかし、これはまだ前半戦。本当の伝説は2ch作品別スレにて幕開けしました。有志による、可能なかぎりのADV化――吉里吉里コンバートツール「最果てへ☆まっしぐら」の制作。バグが多く、一部の環境ではまともにプレーできなかったことから有志制作の互換システムが配布された『秋桜の空に』を彷彿とさせるエピソードですね。製品版に収録されているシナリオはこれでだいたい読めるようになったらしい。七面倒臭いSLGパートを攻略するのも嫌ですから、インストール後早速使用いたしました。

 繰り広げられる冒頭の遣り取りはまだうっすらと記憶が残っていて、しきりに懐かしくなった次第。「○った」がひときわノスタルジーのツボを押す。かぶるの言動も今見ると『人類は衰退しました』の妖精さんを連想させる。推奨順に従って朝美ルートから進捗させていますが、メイド喫茶のイベント一つを取っても「視姦されることが業務」「良い意味で淫売だな」「麾下の緑メイド二機と合流」などふざけたテキストの乱打でいとをかし、です。C†Cやイマもギャグやネタは結構多かったけど、ここまで徹底したものはロミオ初であり、未完成だろうが放置するには勿体ないと改めて痛感しました。執拗に紡がれる夢枕文体も、ちょうど『餓狼伝』読んでいるところなので笑ってしまう。ロミオもいずれ格闘とか剣戟とか、アクション主体の話を書いてくれないものか。イマで描かれたインチキチャンバラ(マリオット盲点に潜り込む、とか)は案外と好みです。「投射弾道学」も本編で詳しく掘り下げてほしかった。けど、人衰で当ててしまった今、そうした方面へ向かう可能性は低いかな。

 オクル……? いや、その名前は挙げないでください。無闇に期待を掻き立てるだけで、希望がひと欠片も見出せませんから。

『恋する乙女と守護の楯』ドラマCD、着弾せり。

 ろくに発売日確認しないまま予約したんですが、そうか、今日だったのか……よりにもよって。TOPページもバレンタイン仕様。相変わらず妙子(修史)はめんこい喃。SDキャラとはいえ、冬服姿がまた似合う。

 私のキモチ受けとって下さい…。 ……3150円です。

 ちゃっかり請求してるし。ソフマップの通販で予約しましたが、ドラマCDとは別に壁紙やシステムボイスの収録されたスペシャルディスクが付いてきました。ショップ特典みたい。注文ページに何も書いてなかったんで、こんなの付属するとは知らなかった。ありがたく頂戴するとしよう。この更新が終わり次第、まったりと恋楯の声世界に浸ると致します。感想はまたいずれ。

・拍手レス。

 傷物語>あの状態羽川や忍の気持ちを理解出来ていない主人公にsit!
 我慢我慢。各地で耳にするおっぱい対決は製品版まで我慢。ずっと我慢のターン。我慢がゲシュタルト崩壊

 もう西尾は複数のルート書いて『化物語』をエロゲ化させるべき。

 最近読み始めてハマったラノベに「円環少女」というのがあるのですが、かなり面白い作品だったのでオススメ
 文章の読みづらさに難があるけど展開の熱さは保証しますので、機会があれば是非ご一読を。

 来月に新刊が出ますね。長谷敏司は短編も好きなので、そろそろノン・シリーズの短編集とか出ないかしら。


2008-02-12.

・うお、いつの間にか『モンキーターン』のワイド版が発売間近に迫ってるじゃないですか! まったく察知していなかった焼津です、こんばんは。もしも私が歩哨なら軍法会議→銃殺刑のコンボを待つまでもなく、侵入者に頚動脈を掻っ切られてセリフゼロのまま噴水係として終わること請け合い。とにかく慌てて注文しました。B6判サイズで読みたかったので、ずっと待ってたんですよ。今月に1巻から3巻、来月に4巻から6巻が発売される予定みたいです。1巻あたりの収録話数が元のコミックス2冊分として、全30冊のマンガでしたから全15巻、今後も月ごとに3巻ずつの発刊ペースが保たれると仮定すれば6月にはすべて揃う計算になりますね。今年の夏はモキタンの夏になりそうだ……。

あかべぇそふとつぅの『こんな娘がいたら僕はもう…!!』、プレー中。綾菜狙い。

 えっと、あの、当方はこのソフトを「明るく楽しくちょっぴりエッチで時にシリアスな学園コメディ」だと、そう信じてポチポチやっていたわけですが……「学園に爆弾が仕掛けられた」とか「サーカス団のライオンが逃げ出した」とか、なんなんですこの超展開の連続。そんな、まるでありふれた日常のひとコマみたく立て続けに語られても対応に困りますよ。「俺たちで爆弾探そうぜ!」やら「ライオン捕獲の有志を募っている」やら、シリアスともギャグともつかない微妙な空気に言い知れぬ火薬臭さを嗅ぎ取った次第です。スワスチカが開くレベルではないにしても、もうちょっとネタは選べなかったのかと疑問が残る。せめて爆弾→放火、ライオン→野良犬くらいで。しかし、仮令そうなったとしてもライターの性格から察するに「うわっ、火炎瓶投げやがった!」だの「あれ? あの犬、水を怖がってるよ」「ハイドロフォビア……狂犬病だ!」だのは平気で書きそう。今後もこんなイベントばかりだったら僕はもう…!!

 あ、ちなみにキャラは綾菜以外だとあすかと志乃が気に入っています。ロリコンと言わば言え。それから渚の「ぶっ殺すぞ」は「ぶっこぉすぞ」にしか聞こえなくてなんだか無性にデジャヴるんだけど、これって永劫回帰?

めろめろキュ〜トの『残暑お見舞い申し上げます。』、体験版をプレー。

 副題「君と過ごしたあの日と今と」。ちょっと時間が空いたので、なんとなくやってみた一本。めろきゅーの3作目に当たります。今月末発売予定。季節はずれも甚だしいが、エロゲーにはよくあること(夏に発売された冬物語『Kanon』、正月にリリースされたクリスマス・ストーリー『螺旋回廊』、春が始まったばかりだったというのに『おまえのなつやすみ』etc……)。ライターはのがみとしあきと藤崎竜太の二人。藤竜は知ってるけど、のがみは知らないな……ザッと調べても引っ掛からないし、今回デビューの新人か、はたまた既存のライターの別名義か。タイトルがいかにも爽やかノスタルジーな感じですが、要は学園モノで、「もうすぐ廃校してダムの底に沈む」という設定。最後の夏に思い出を残すべく、主人公たちはある行動に打って出る。言ってみれば廃校モノに属する一本。ノスタルジーをいっそう強く喚起させる効果があるせいか、エロゲーの学園モノには「廃校間際」系が類例として結構存在してます。中には、あんまり廃校の意味がない奴も見受けられますが……。

 キャラは「ポテンシャル高いけど自堕落でやる気のない主人公」を始めとして、スケベで騒がしい悪友、どっしりと物静かな友人、隣りに住んでいる幼馴染み、いかにも委員長然とした眼鏡っ子、怒りっぽいパツキンお嬢さま、主人公を毛嫌いしている下級生、学園に来る暇がないほど仕事が忙しい黒髪ロングストレートのアイドル、言動や顔がまるきり( ^ω^)のロリ教師と、最後の一人を除けば概ね手堅い陣容です。つーか、「おっおっおっ」とか言っている桃色ツインテール+アホ毛のロリを見ていると無性に拳が熱くなる……けどまあ、「ウザ可愛い」と言えなくもありません。公式に載ってるガキ大将やカッパは体験版の範囲には出てきませんでした。

 最近の体験版は長いのがデフォルトになってますけど、これも結構長い。飛ばし気味でも2時間は要しました。朝幼馴染みに起こされ、漫才やりながら登校――という学園モノの黄金パターンを保守しており、目新しさはないけれど、ちょっとした描写に生活感を滲ませるのが巧く、さほど退屈せずに読み通せる。今のところは「パツキンお嬢さま」が気になるかな。主人公とは訳有りな雰囲気で、どういう関係なのかもったいぶったまま終わりますが、公式の紹介ページではあっさりバラされている。そのうえ「ツンデレっぷり」とかまで書かれてますよ。なんというか、便利で分かりやすいんですけど、風情が……。

 演出面が寂しくて「これ何年前のゲーム?」な気配を醸すものの、シナリオに関してはそこそこ堅実で大きく外すこともなさそうだ。近未来チックなIT都市の設定が妙に細かく、藤崎竜太の息遣いをそこはかとなく感じさせるけど、今回はサブみたいなので変に凝って話が暴走する可能性は薄いでしょう、良くも悪くも。ヒロインとくっついた後のイチャらぶを重視してると謳ってますから、バカップルゲーなお好きな諸氏は注目しておいても損ないかと。

 ただ、個人的に気に掛けているのは同時期発売の『吸血奇譚ムーンタイズ』だったり。『ドラクリウス』の移植版で、ほとんど別物ってくらい変わっているそうな。良い方向に変わっていればプレーしてみたいところだけど、良くない方向に変わるようなら、大人しく下ネタ規制もされていないドラクリ通常版を買うつもりです。

『パンドラ Vol.1 SIDE-A』掲載の「傷物語 こよみヴァンプ」読み終わった。

 前日譚なのでひたぎや駿河といった人気どころは登場しない(「これ、駿河のことかな?」って箇所はありましたが)反面、委員長キャラの羽川翼がメインヒロインへと大抜擢されており、しかもなかなかの魅力ぶりを発揮しますので、『化物語』が好きだった人は心配する必要なし。あの愉快なノリが最初から最後まで貫かれており、ゆったり寛いで楽しめること請け合いです。ただ、シリアス要素が希薄だった『化物語』に比べると、こっちは若干重た目かも。比較すればって話なので別段気にするほどのこともない、と思いますが。

 A5判サイズの上下2段組290ページ弱と、正に「一挙掲載」の四文字に相応しいボリュームを誇っており、食いでは充分。細かいところに変態じみたネタや緩めのメタジョーク、西尾らしい言葉遊びが満載されています。ただ、分量はともかくストーリー自体は中編規模と申しますか、正直引っ張りすぎな気もする。一つのシーンから次のシーンに移るまで結構な枚数を要するので、つらつら考えているうちに先の展開が読めてしまう。もともと『化物語』はサプライズ性を重視したシリーズではないから致命的な欠陥にはなりませんが……もうちょっと詰めても良かったような。

 今回で委員長はだいぶ株が上がりましたが、「なぜこれでくっつかなかった!」と嘆きたくなる無駄なフラグの屹立でむしろ委員長ファンを悲しませている面もあり。忍ちゃんことキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードもようやく主要級のキャラとしてスポットを当たられ、『化物語』でわざと放置されていた穴も多少は埋まりました。話の制約上、キスショットとはあまりはっちゃけたドタバタラブコメを演じられなかったのが残念ではあるけれど、オチの部分が綺麗にまとまっていたのでヨシとしたい。あとはゴールデンウィークにあったという猫のエピソードで欠落を補って、シリーズが過不足なく次のステージを迎えられるよう祈るばかり。GWの話は5月刊行予定という『傷物語』の単行本に書下しで併録されるのかな? それにしても、冒頭で見せた執拗なパンツ描写およびそれに釣られてエロ本を発作買いする暦の思春期全開な姿には震撼しました。このシリーズに女性読者は要らぬ、と力強く宣言するかのよう。

・拍手レス。

 魔王また延期か…なんという怒りの日の帰還フラグ。
 挙動がヤバいことに関しては同意。

 山本くんの人が……!情報ありがと〜
 どういたしまして。

 何とまぁ…あの人が、ね…「自然消滅」を幾度も眺めてきた身としちゃ、何だか救われた気分ですぜ。
 ネットを長く続けていると、どうしてもそういう心当たりが増えてしまいますからね。


2008-02-09.

・「今月は新作買う予定ないからいいよな」と自分に言い訳しつつ『こんぼく』をポチってしまった僕はもう……!

 こんばんは、最近めっきり欲望に弱くなった焼津です。終わった直後はそんな「すごく欲しい」というほどでもなかったけど、時間が経つにつれ全身にジワジワと回ってくる奇妙な成分(仮称:コンボキウム)があり、いつしか抗えない心地に。思えば『明日の君と逢うために』も同じパターンで買っていました。そしてまだクリアしていなかったりする。

『G線上の魔王』の発売予定日が決まった模様

 4月か……延期がなければ2月「こんぼく」、3月「暁」、4月「魔王」とひたすらあかべぇ尽くしの日々になりそうです。ってか、「車輪」もまだ途中だった。発売日当日からチマチマとプレーしているのにまだ終わらない……話が重い方向に差し掛かるにつれ、マウスをクリックする指先も重く鈍り、進めるペースが落ちてしまうのです。FD含めて「魔王」の前にはコンプしておきたいけど、間に合うかしら。

・垣根涼介の『借金取りの王子』読了。

「出来る人間ほど、会社を自ら辞めていく。そして出来ない人間ほど、組織にしがみ付こうとする。なんでだろう?」
 そりゃそうよ、と陽子の答えは単純明快だった。「そういう人って、会社を辞めても結局なんとか生きていくもの。それが、自分でも分かっているもの」
(中略)
「たぶんもう一つは、仕事の出来る人って、自分の将来に楽観的な人が多いからじゃないかな。『お気楽』という意味じゃなくてね。じゃないと、長期的な努力なんて虚しくてやってられないじゃない」

 山本周五郎賞受賞作『君たちに明日はない』の続編。「リストラ請負人・村上真介シリーズ」とでも銘打つべきでしょうか。企業に代わって社員のリストラを請け負う、という一見していかがわしい雰囲気のアウトソーシング業務を主とする「日本ヒューマンリアクト」。そこに勤める主人公・村上真介は、クライアントの会社に赴いて「面接」を行い、クビ切りの対象である人々に懇切丁寧な説明と説得を聞かせた後、「これを機会に、新しい外の世界にチャレンジされるのも一考かと思われますが、いかがでしょう」とキメ台詞を発して自主退職を勧める。一定のパターンに沿って展開する連作小説であり、劇的な変化や大きなサプライズこそないものの、まったり安心して楽しめる仕上がりになっています。

 今回は表題作含む5編を収録。デパート、生命保険、消費者金融、ホテルが舞台となり、ラスト5話目だけは趣を変えてリストラ以外の話題が持ち上がる。どれも主人公が面接を行うパート、面接された人物の視点に切り替わって当人の内面を掘り下げるパート、主人公のプライベート……と、だいたい三つくらいのパートから成り立っています。意地でも辞めない、と頑固に言い張る面接相手を宥め賺し、時には非情な通告を行って自主退職へ誘導するなど、主人公の職務は決して「善行」ではありません。相手から恨まれて闇討ちを受けることもある。人員整理はあくまで組織の都合によって引き起こされることであり、個々人の事柄までは忖度されない。「公平を期すために全員面接としているが、彼女は有能なので退職を勧告しないでくれ」とクライアントに依頼されることもあって、矛盾を感じたり煩悶を抱え込んだりするけれど、それでも遣り甲斐のある仕事だからと常に手を抜かず取り組み続けます。

 「リストラ」がテーマというと何だか暗くて重いイメージが湧き上がりますし、前作のタイトル『君たちに明日はない』っていろんな意味でひどいと思いますが、それでも不思議と陰鬱な印象がなく、終始カラッと明るい雰囲気が貫かれているのは垣根ならではといったところ。初期のクライム・ノヴェルが好きだった身としては「ヌルいなぁ」と溜息をつきたくなることもしばしばながら、作風としてはむしろこっちの方が合っているのかもしれません。表題作「借金取りの王子」も、題名のセンスはどうかと眉を寄せたくなるものの、内容そのものはシリーズ一、二を争う面白さで惹き込まれました。消費者金融と言えば新堂冬樹の『無間地獄』を始めとする諸作や、マンガだと『闇金ウシジマくん』あたりのドロドロ感がまず連想されるところだけど、そのへんを迂回してホロリと来るような心温まるエピソードに仕立てる腕はさすが。生保を題材に採った「女難の相」も登場人物に個性があって美味しかった。ただ、女難云々が放りっぱなしのまま終わるのが不満と言えば不満でした。

 今の仕事、自分は続けたいのか、辞めたいのか……と「働く人々」の気持ちを写し取り、サクサクと軽快にページをめくれるスナックな読み心地を有したリストラ小説。一応はシリーズものなので1作目から順番に読んでいった方が宜しいですけれど、別段気負って読むような本でもないので空いた時間を使ってテキトーに選んだエピソードを摘み食いしても充分イケます。人情ものとビジネスもの、両者の上澄み部分をうまく掬ってカクテルした一冊。でも、個人的にはそろそろ『ワイルド・ソウル』級のたまらなく熱い小説が読みたいです、垣根先生……。

・拍手レス。

 パンドラ乗ってる錦メガネは田中ロミオだとか原田宇陀児だとか噂されてる謎の人。
 ロミオ説は概ね否定されているみたい。

 「傷物語」読みたいけど、多分そのうち加筆修正されて発売されるだろうしなあ。しかし愛ゆえに買うべきか…
 単行本は5月予定だとか。きっと書下しも付くんでしょうね。

・某スレでRIG2さんの生存を確認。まだ時間は掛かるみたいですが、いずれ遠からぬうちに再起される模様。そうか、スワスチカが三つ(怒りの日、ガーデニング、瀬戸口引退)も開いたんで向こう(たぶんエセリアル界か何か)からご帰還あそばれたのですな。新作の「真説白雪姫」も愉快な怪作であり、「ドス黒いしっと心うめぇwwww」と貪り読んで満悦。おれつばのシナリオ構成が変更されたという突然極まりない報せに消沈していた心もだいぶ晴れてきました。


2008-02-07.

・想定内とはいえ、届いた『パンドラ』の分厚さと重さをその手で実感するやゴクリと唾を嚥下せずにはいられなかった焼津です、こんばんは。

 840ページにして1890円(税込)……真実、心置きなく「この本高いよ。」と言える金額を支払ってまで購入した理由は言うまでもありません、自信を持ってマイフェイバリットと断言しうる『化物語』の続編にして前日譚、「傷物語 こよみヴァンプ」が書下しで一挙掲載されているからです。余計な前置きも余分な前口上も何もなく、ただ中折ポスターをめくった次のモノクロページから早速本文が始まっている。全体の1/3を占めているだけあってボリュームはたっぷり、現段階ではまだ読了しておりません。一説によれば原稿用紙換算で800枚にも達するとか。前日譚ゆえ戦場ヶ原ひたぎや神原駿河といった『化物語』以降に出会う面々が出てこないことは容易に察せられて残念極まりないけれど、「雑誌を買わない」という信条を捻じ曲げて買いに走った一冊なのだから、最後までしっかり読み切ってやろうと思います。ぶっちゃけ、「傷物語」以外で期待しているコンテンツとかありませんし……流水大賞獲った新人の原稿が面白かったら儲けものかなっていう程度。ああ、あと森見登美彦のエッセイも載ってるんだっけ。

エロゲライター・瀬戸口廉也が突然の引退表明

 ハッハッハッ、何言ってるんですか、エイプリルフールまであと2ヶ月も……って、え? マジで? うわっ、こっちにも来てますよ! 「『キラ☆キラ』FD(仮)に関しては彼の執筆した原作部分(プロット)は完成」「脚本については現在調整中」ってことは、別ライターが起用されるかもしれないのか……。

 2004年5月に桑島由一原案の『CARNIVAL』で業界デビューを果たし、同年12月に自らノベライズした小説版『CARNIVAL』を刊行、明くる2005年の7月に第2弾となるソフト『SWAN SONG』が発売され、翌年2006年はのんびりとblogを更新するだけでほぼ沈黙を貫くが、2007年に最新作の『キラ☆キラ』を物し、2008年が始まって現在に至る。ゲーム3本と小説1冊。他に同人でちょこっと寄稿していたそうですが、彼の略歴を綴ればその程度に収まります。遅筆という印象はないにせよ、シナリオライターとして格別バリバリに働いて露出しまくったわけでもなく、いっぱしのエロゲーマー相手に名前を持ち出しても「瀬戸口? 誰それ?」な反応を示されるかもしれません。

 牟田口廉也を連想させる筆名ながらもネーミングの由来は不明、自身はあまりエロゲーやそれに類するものを嗜まないのか、「お約束」など眼中にない筆致と展開でプレーする者を戸惑わせたり惹き付けたりしてきました。一つ一つのセリフがやたらと長くなる傾向があり、いささか冗漫に映ることもある一方、その分析的かつリズミカルなテキストは町田康や舞城王太郎に喩えられるほど特徴的です。毎回キリスト教をモチーフにした主題がシナリオに絡み、遠藤周作じみたノリに突入することもあって、名前を知る人には良くも悪くも異端の書き手として認識されていた次第。あまりの独特さから煽り気味に「文学」呼ばわりされていた時期もありました。今となってはそんなことさえ懐かしい。

 デビュー作の『CARNIVAL』は明るく楽しげなOPムービーに反して「生きるって苦しいよね」の一言に代表される暗く重いテーマをメインに扱っており、ハッピーなコメディエロゲーと信じて疑わずに購入した人々を失意のドン底へ突き落としましたが、幾ばくかの儲を生み出すことには成功しました。当方も無論その儲に属する一人。短期間で『CARNIVAL』→小説版『CARNIVAL』→『SWAN SONG』と立て続けに賞味したため、一気に染まり切った。『CARNIVAL』は広報と実態が不一致を起こしているせいかそこそこ名前が売れた割には評判が捗々しくなく、『SWAN SONG』に至ってはろくな広告さえ出なかったので発売時に存在すら感知されない有り様でしたが、奈須きのこが個人の日記で高評価を下した(11月17日付)ことが影響してか、いつの間にかプレミア化していたそうな。『CARNIVAL』と『SWAN SONG』は瀬戸口の手腕はもちろん、原画を手掛けた川原誠の技量も素晴らしいというか凄まじく鬼気迫っていて、「瀬戸口×川原」は黄金コンビとして脳味噌に強く刷り込まれました。瀬戸口が引退するということは、このカップリングも今後金輪際叶わぬ夢へと変わったってことか……メッチャ残念でならない。

 瀬戸口作品未プレーの方に薦めるとしたらダウンロード販売のある『CARNIVAL』か、体験版が結構長い『キラ☆キラ』、この二者択一ですね。『SWAN SONG』も体験版ありますけど、あれは体験版が終わった以降から話が盛り上がってくるタイプ。入手困難なれども再販の噂もあり、あくまで製品版を推したい。小説版の『CARNIVAL』は本編の後日談ですから、先にゲーム版をクリアした方がベター。とは申しても、主人公交代&新キャラ登場という構成ゆえ本編未プレーであっても単独で読めなくはないし、事実ここから入ってきたファンもおられるみたいですが。

 現在『キラ☆キラ』はまだ攻略中で、超低速進行を継続しています。これが最後の瀬戸口作品になるかもしれないのだ――という事実を噛み締め、儲の一人として悔いが残らぬようやりつくす心算。ゲームは無理でも、またどこかで彼の名前を目にしたいものです。いえ三面記事とか以外で。

あかべぇそふとつぅの『こんな娘がいたら僕はもう…!!』、体験版をプレー。

 姉妹ブランドの新作『暁の護衛』の体験版をやってみたところ思ったより面白かったので、ライターの衣笠彰梧をチェックしようと着手した。どうもこのソフトがエロゲーデビュー作だったらしい。略称「こんぼく」。発売された頃にもタイトルを見かけましたが、如何にもヌキゲーっぽい題名だったためスルーしていました。ヌキゲーもヌキゲーで嫌いじゃないですけど、少なくとも「僕はもう…!!」じゃちょっと嗜好に合わない。ただ、発売後チラホラ聞こえる評判も悪くなかったし、最前の『暁』も良かったし、まあ、体験版くらいなら……と気を変えた次第。

 過去の経緯から、二人の友人を除いて全校的にハブられるようになった主人公。彼はある日、頭の天辺に草を生やした変な猫と出会う。自ら「神」と名乗るそいつは、断っても断っても主人公に付きまとってきて……と、概要だけ書けばいい加減としか思えないノリで進行していく学園モノです。神猫たるススムは「愛」を原動力にして奇跡を起こすのだが、現在どうもそれが不足気味らしい。足りない愛を補うべく、主人公が様々な少女たちと出逢いを果たし付き合い始めるよう誘導する。なんともご都合主義にまみれた展開ながら、いざプレーしてみると「おや?」と首を傾げる内容でした。まず、主人公が周囲の状況に流されるタイプのヘタレではないこと。普通こういう設定のエロゲーだと自分の意志に関係なくあれよあれよという間に桃色シチュエーションに突っ込んでいくものですけれど、ちゃんと己の意志に沿って進むせいもあって、あんまり「神さまが奇跡を起こしている」感じがしない。ススム(神の名前)はドタバタラブコメにおけるベタベタなお約束っぷりへのエクスキューズというか、単なる揶揄に過ぎない気もする。あと、設定の割にハーレムめいた雰囲気も希薄なんですよね。いや、一応ハーレムルートも用意されているとのことですけど、主人公の性格からして「どの娘も可愛くて僕はもう…!!」みたいなムカつく迷い箸(迷い竿?)はしそうにない。

 タイトルからして「良い意味で頭の悪い、明るくエロエロな和姦ゲー」かと思いきや、存外に暗い陰を滲ませるシナリオで、こりゃどう考えても不一致じゃないでしょうか? なんでこんなタイトルになったのか、少なくとも体験版をやったかぎりじゃ皆目検討がつかない。まるで分からん、アルデバラン。あるいはタイトルが先に決まってて、企画内容の方が途中から変わってしまったとか? 謎だ。ともあれ、会話の遣り取りは軽妙でコメディゲームとしては心地良く、キャラの個性もなかなかイイ具合に活きておりました。が、やっぱしもっと突き抜けて脳天気なストーリーにしても良かったんじゃないかな……と願う気持ちもあり。喉に小骨が刺さったような違和感が残ります。自社製品のみならず他社製品まで彷彿とさせるネタを使っているのも若干引っ掛かりましたが、俎上に乗せるのは面倒だから流します。

 そもそも主人公の一人称って「僕」じゃなくて「オレ」じゃねーか――などと野暮なツッコミを抑え切れない当方はある意味術中に嵌まっているのかもしれない。ガーッと一気にやり込みたくなるタイプではなくて、時間を見つけてちょこちょこ啄ばむように賞味したい感じのゲームですね。コメディの書き手として充分な素質を持っていることは確かめられたので、『暁の護衛』に対する期待がより高まりました。唯一の不安はレビュー等で「プレー時間がちょっと短い」という声が目立つことかな。ヒロインが6人もいるせいで個別ルートが若干薄くなってる模様。暁〜は4、5人だから、こんぼくに比べれば一人あたりのシナリオは厚くなっているかも……まあ、皮算用が危険なことは「怒りの庭」を経てしっかりと体に叩き込まれましたが。とにかく、どこのメーカーであろうと、もうスティグマを疼かせないでほしいものです。

 余談。わざとか素なのか、『暁の護衛』が2chの某スレでやたらとタイトルを間違われ、『暁の守護者』と呼ばれていたのに笑った。字面はともかく語呂に関しては「護衛」より「守護者」の方が良さげですね。

・拍手レス。

 ぎゃー、瀬戸口廉也が引退だって。また一人惜しい人を失ってしまった。
 もともと風に舞う柳絮のようなイメージでしたから……風向きが変わって舞い戻ることを期待。

 瀬戸口さんエロゲ業界引退するらしいです……ショックすぎる
 去年の12月からこっち、毎月ショックなニュースが舞い込むなぁ。


2008-02-05.

バカテスの最新刊が地殻変動起こしたのかというくらい売れまくっていると聞き及んで「来てる、秀吉の時代が来てる」と確信を深めた焼津です、こんばんは。

 なんでもここ十日間に発売されたライトノベルの中でほぼトップに位置する売れ行きだとか。現在amazonでは最新刊を除いた既刊3冊が品切状態で、他のネット書店でも手に入ったり入らなかったり……といった塩梅。シリーズ開始からちょうど一年、冗談でも何でもなくバカテスがファミ通文庫の看板となりつつある気配です。世の中分からないものだ。

・きゆづきさとこの『GA(2)』読んだー。

 背表紙(本棚に収納したとき見える部分)のイラスト――GA1年のアイドルにして無軌道極まりなき暴れん坊プリンセス、ノダミキが「この本高いよ。」と書かれたスケブを掲げている。「腹黒無邪気」という彼女の特性が巧みに表れ出た、自虐的で危険な匂いの漂うネタであり、よくGOサインが出たものだとつくづく感心させられます。

 本を開ければ、ふんだんなカラーページが待ち構えている。さすがにフルカラーではありませんが、掲載時にカラーだった箇所はそのまま総天然色で収録されているみたいです。「芸術科アートデザインクラス」の4コママンガである以上、カラーページはかなりの強みを帯びて読者の目に訴えかけてきます。税込で860円……少年ジャンプ、それどころか少年マガジンや少年チャンピオンの単行本でも2冊超に相当する額です。なるほど、確かに安くはないでしょう。きららの4コマ単行本は概ねこんなもんですが、これからGAを揃えるとなれば860×2で1720円、同じ作者の『棺担ぎのクロ。』も含めてコンプするとなると3440円になります。コミックス4冊でそれってのは抵抗があるかもしれません。が、しかし、だからと言って短絡的に「この本高いよ。」ということになるでしょうか?

 否、断じて否。

「高うない」

 高い筈はない。焼津の胸の内にさめちゃん先生が燃えていた。

 どうでもいい前置きはさておき、待望の2冊目です。ノダミキの軒昂とフリーダムで無尽にアンチェインな御活躍は据え置きのまま、今回は「Here comes a new Challenger!」とばかりに先輩キャラたちが登場。先輩――それは言わば偉大にして強大なる壁。梶原一騎臭濃厚な昔のバイオレンス学園モノでは明らかに人外化生・冷酷無情の存在として語られていたし、「一年ゴミ、二年人間、三年神」という類の格言もあります。GAの先輩ともなれば、鉛筆で虫を突き殺して「味もみておこう」と芯を舐るくらいのことは朝飯前に違いない。自習ともなれば、ありとあらゆる顔料を混ぜ込んだ壺に幾度となく貫手をかまして「ピグメント・ハンド」をつくり、筆を持たぬ指先からも自由自在に色彩を採り出せるよう備えていたりするわけだ。

 そんなアホな予想をあっさり覆し、出てくる先輩のお歴々は割とフツーの方たちでした。主人公たちとの直接的な絡み合いもあまりなく、如月パートと先輩パートはほとんど独立して進行し、教諭や舞台などを通じて間接的に繋がることの多い構成となっています。下手したら興醒めしそうな試みなれど、それはきゆづき、新キャラ各々の魅力をうまく引き出して読んでいるこちらがビックリするくらい雰囲気に馴染ませてしまう。特にあーさんとぶちさんのコンビは凶悪やわー。付き合いの長さを汲み取るに充分な狎れた遣り取りの数々を眺めるにつけ、百合属性を有さぬ当方とて興奮することしきり。あーさんが猪突猛進してぶちさんが抑えるor往なすor放置する。この「通じ合っている感じ」がたまりません。っていうか「あーさん」こと芦原ちかこ、3年生でしかも美術部部長――という肩書きに似合わぬアホの子っぷりを晒して当方の胸をいたく締め付けます。やめろよ、こんなにときめかしてどうするつもりだ。なかんずく「部長小屋」と題されたダンボールに満面の笑顔で愛おしく腕を回しているコマは過たず心臓を爆裂させる砲撃力です。今すぐこのあーさんワンコを引き取りたいんですが構いませんねッ! ホント、彼女の命中精度および破壊効果は高すぎる。故にセカンドカバーを入手できなかったことに号泣。ただただ、涙流れるままに咽ぶのみ。

 主人公たちの所属が芸術科であるだけに絵画の話題が多く、いろいろ「へー」なネタはあるものの、格別専門的で人を選ぶって印象はありません。アートはあくまでベースであり、ほんわか学園コメディが主と認識しても大丈夫かと。シュルレアリスムの項ではちょっとしたファンタジー展開を見せ、『棺担ぎのクロ。』の世界を彷彿とさせるのも楽しい。ドゥバド。ひつクロ同様、未読の方には是非ともオススメしておきたいシリーズです。ドゥバド!

 余談。ノダミキやあーさんを散々推しておきながら、一番好きなネタは「世界が嫉妬する髪」だったりする。ほほほ、焼津は髪フェチですからー。

・拍手レス。

 「群青の空〜」のノベルは買わないのん?前日談だから本編やってなくてもモススメ
 既に購入済ですが、本編やってから読む計画。

 http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/2555.htmlこれ
 強キャラ+ヤンデレのシロ姉がま●こみたいに穴空けて死ねえぇー!とキレて凄まじいですよ。暇な時どぞ

 ああ、これこそはシロ姉さま必勝の構え「グッサグサにしてやんよ」のお姿……。

 「あの作品のキャラがルイズに召喚されました」スレ、時々膝を打ちたくなる捻った作品があって面白いですよ
 あれもこれも、と考えたくなる美味しいジャンルですね。意外な組み合わせが嵌まったり、ひたすらギャップを楽しんだり。

 FEARLESS、懐かしいなあ。あの主人公は下手すると、『あやうく回避するところ』な彼よりも超人かと
 幽霊に迷わず飛び蹴り(しかも二段蹴りか三段蹴り)や投げナイフを喰らわせる学生なんて彼の他にいないと思う。

 三点リーダーが二つに増えてるんですけどー。そこくらいは統一できなかったものかなあー
 主人公の性格さえ一貫してくれたら、三点リーダくらい二つでも三つでも一向に構わんですよ。

 焼津さんは何気に「業界受け」属性持ちだと思うのですよ。
 どの業界に照準されているのかが若干気になる……。

 トノイケダイスケがスタッフ日記で色々書いてますね。一部攻略不可とか。
 言っても詮無いことですけど、lightも完全版についてこれくらいは言及してほしいところ。


2008-02-03.

・「面白いんだけど未完成っぽくて惜しいエロゲー」と言えば『SEVEN BRIDGE』が思い浮かびますが、ふとした瞬間、それよりも前のソフトが脳裏に甦りました。タイトルは『FEARLESS]』(リンク先音が鳴ります、注意)。現在はほぼ活動停止状態になっているActiveから2002年にリリースされたサスペンス・ホラーADVです。

 ライターは枕流。同社の『Hello Again』『ねがぽじ』を手掛けた人で、今はLeafに移って「男根!! 恐ろしいほどに男根!!」やら「もっとセックスする!」やら書いているらしい。「失踪した兄を捜してほしい」とヒロインに頼まれ、気が進まないながらも調査をする主人公は、いつしか異形の世界へ足を踏み入れることに……といったストーリー。ダブルヒロイン制で、「失踪した兄」を捜す少女と主人公の従妹が修羅場る良き三角関係ゲーでした。そして深夜の学校が魔界に変じ、幽霊や妖怪が跋扈する中、完璧超人の主人公が遺憾なくパワーを発揮する、なんとも芳しい中二病路線でもありました。リンク先に記された「氷の瞳に宿る蒼い炎は、鋼をも焼きつくす」などの一文から見てもそれは明らか。

 前半は、主人公がどこぞの工作員みたいな有能さを見せ付ける点を除けばまだ「普通の学園モノ」の範疇で、本番となる後半は凄かった。ネタバレになるため詳細は書けませんが、Hellsingじみた陶酔系の燃えテキストが乱打され、沸騰的な勢いで邪気眼が開かれていきます。謎も少しずつ解かれ、最高潮に盛り上がる物語。しかしすべての伏線を拾い切る暇もなく、ラスボスの退場シーンさえオミットされ、なんとも尻切れトンボなままエンディングを迎えてしまう。えぐい展開が連続する内容なのに、攫われた少女が死ぬ瞬間や陵辱後のCGが出てくるばかりで肝心の陵辱シーンが描かれないとか、どのニーズに応えようとしたのかもよく分からない迷走感。「隔靴掻痒」の一言に尽きました。結局、二人のヒロインが主人公を取り合う日常コメディ的なシーンがもっとも面白かった次第。

 それでも丹念に読んでいけば、ライターや企画者が何も考えていなかったわけじゃないってことは分かります。まとめきれなかった印象はあるにせよ、残骸となってしまった個々の設定にも興味をそそる部分があるし、「失踪した兄」の人間関係も一筋縄ではいかないほど練られている。本編で触れられなかった箇所、触れられてもあっさりと流されている箇所をキッチリと埋め直して、小物臭漂わせたまま去んでしまったラスボスの威厳を補修し、最終決戦に向けて一大スペクタクルの仕込みを済ませれば、枕流の代表作となっていてもおかしくなかった。もちろん、虚しい仮定ですが。

 この手の「惜しい、あと一歩か二歩か十歩か百歩で……」なゲームを挙げていくとキリがありません。今は亡きproject-μの『銀の蛇 黒の月』(クライマックスが急展開)、あることはあるけどないも同然になってきたケロQの『二重影』(どのヒロイン選んでも展開がほぼ一緒)と『モエかん』(風呂敷広げすぎで、某ルートなんかFDでシナリオ追加されてもまだ畳み切れていない)、コンシューマ移植版で少しはマシになったらしい『リアライズ』(「俺たちの戦いはこれからだ!(第一部・完)」を地で行っている)。有名どころでは何と言っても『それは舞い散る桜のように』ですね。健速の『こなたよりかなたまで』も評判は良いけど、消化不良の感は否めない。どれも基本的には面白いからこそ、もっと完成度が上げられたら――って願わずにはいられなかった。

 「怒りの庭」と称される例の2作に関しては完成度を云々する以前の段階で躓いており、「勿体ない」の思いもひとしお。

・井上堅二の『バカとテストと召喚獣3.5』読んだー。

 売れ線を狙っているとは思えないタイトルから「3冊も続けばいい方だな……」という念を抱いた日から早一年、バカテスも遂に4冊目へと至りました。当方の読みは当たらないことで有名です。これだけ出したら作者もそろそろ自信が付いている頃だろう、とつらつら考えながら目を通したあとがきには、

 本シリーズもついに四冊目と相成りました。まず間違いなく皆様の応援がなければ途中で打ち切られていたことでしょう。

 なんて率直すぎる言葉が。ちょっ……作者なんですからそこは「これだけ続いているのも皆様の応援のおかげです」みたいなオブラートに包んだ表現にしましょうよ! 上記の通りではなんだか、本当に危ない「途中」があったんじゃないかと邪推する微妙な生々しさが伝わってきちゃいます。井上堅二って、酔っているときよりも素面のときが怖そうなイメージ。

 さて、今回は短編集。発表済の3編と書下しの2編、計5編を収録しています。タイトルは「3.5」ですが、時系列的には1巻以前(0.5)だったり、1巻と2巻の間(1.5)だったり、2巻から3巻にかけての穴埋め(2.5)だったり……ぶっちゃけ3巻以降のエピソードは一つもないんです。3巻のラストが物凄く気になる場面で切られていたためファンは軒並みやきもきしているのですけれど、それを完全に放置して「じゃあ、代わりにこちらをお楽しみください」状態となっている。鬼だ。

 尋常ならざる生殺しっぷりについてはともかく、収録されているエピソードそれぞれの出来は安定していて基本的にハズレなし。持ち物検査でのほほんと順番を待っていたところ、教師からヤクの売人並みに警戒される主人公にいきなり噴く。作者のギャグセンスは際立って斬新だったり独自性に満ちていたりするわけじゃないものの、非常にテンポが良くて勢いも充分、活字なのに漫才を見ているような気分を味わわせてくれる。ノリは良くも悪くもマンガっぽいけれど、その「マンガっぽいノリ」をライトノベルの文章に変換する手際が鮮やかでどっぷり読み耽ってしまう。学園コメディとしては一、二を争うほど「続刊が楽しみ」なシリーズであります。

 そして肝心なのは、何と言っても秀吉。これに尽き申す。主人公のクラスメイトである木下秀吉は名前のせいか「ワシ」が一人称で語尾に「じゃ」が付くという、年寄り臭いってか時代劇みたいな喋りをする男子生徒なのですが、具えた容姿がメインヒロインたちをも易々と上回る可憐さのためか、次々と読者を陥落させている「魔性のオノコ」でもある。扱いとしてはサブキャラで、物語上はそんなに重要な役どころでもないのに、作者と読者に熱烈な愛情を寄せられてしまったせいで「シリーズの象徴」とでも言うべき存在に祭り上げられています。分かり易く言えば『はぴねす!』の準にゃんみたいな位置。いえ、別に普段から女装しているわけではありませんよ。むしろ本人は周りから美少女扱いされることを不本意に思っている様子。「いいいイヤじゃっ! ワシは男なのじゃ!」と拒むリアクションの一つ一つが、こちらの理性を蕩けさせ箍を弾き飛ばす。口調だけピックアップすれば陳腐で、「美少女にしか見えない男の子」という属性だけクローズアップすればありがちだけど、二つが融合してフォーカスされたとき――彼はC4をも超える炸裂(エクスプロード)を実現させる。おお――秀吉よ! 男でも女でもない、第三の性別「秀吉」はまさしくここに成る。

 結局秀吉語りで埋めてしまって予想通りの展開になりましたが、なんにしろドタバタ系のコメディが好きな人にはガチで薦められるシリーズです。次はようやく4巻のお目見えとなりますね。長かった……遂に修羅場の幕開け。絶対暴力 VS 天然腹黒、勝つのはドッチだ!? ……まあ、どっちが勝っても負けても和解しても主人公が生存できる見込みはなさそう。あと「曜子ちゃんの再来」と一部で囁かれている翔子先輩と雄二の逝く末(結婚=墓場?)も気になるところだ。

・拍手レス。

 鬼哭街/Zeroの作者です。紹介ありがとうございます。以前からブックマークしていたので本当に光栄です
 よもや作者の方に捕捉されていたとはゆめ思わず仰天。なんとも奇遇ですが、続きを期待してお待ちしております。

 怒りの庭の直撃を喰らったのに、G線もあるすまぐなも買おうとしてるぜ・・・
 あるすまぐな、トップページに連ねられたヒロインズの顔にかつて用意されたDies iraeの速報ページが思い出されてブワッ。

 CLOCKUPの新作『とらい☆すたーず』があまりにコテコテで思わず笑いました
 ヒロインの名前がJOJOとか、敵幹部に「超人」氏がいるとか

 設定がメチャクチャ邪気眼なのに、タイトルはひらがなのうえ「☆」なんだもんなぁ……ある意味楽しみ。

 サージェントグリズリーがどうジャンルわけしたら良いのかまったくわからない。
 よく知りませんが、きっと巨大すぎて如何なる分野(ゲットー)にも収まらない魂なのでしょうね。

 無理しないでマイペースで。
 うぃ。


2008-02-01.

・概ね隔日更新を守ってきた当サイトですが、今月あたりからそろそろ不定期になるやもしれません。とあらかじめサボリの伏線を張っておく焼津です、こんばんは。いろいろ疲れやショックが重なって積読や積ゲーを消化する意欲が減退し、更新のネタに事欠くようになってきた、ってのもあります。もともと「頑張ったり頑張らなかったりする」がスローガンなので、ネタ不足になったら無理矢理更新せずおとなしく過ごすことに致します。

・で、早速ですが、ネタがありません。もうかよ、って感じですがさっさと毎月恒例である「今月の予定」に突入。

(本)

 『狼と香辛料Z Side Colors』/支倉凍砂(メディアワークス)
 『弥勒世(上・下)』/馳星周(小学館)
 『シグルイ(10)』/山口貴由(秋田書店)
 『電撃テンジカーズ(1)』/古賀亮一(メディアワークス)
 『またの名をグレイス(上・下)』/マーガレット・アトウッド(岩波書店)
 『モザイク事件帳』/小林泰三(東京創元社)

 今月文庫化する作品で注目すべきはなんと言っても町田康の『告白』。中短編を主とする作者にしては珍しくハードカバー時で676ページという驚異のボリュームを誇っており、現時点での最長作品となっています。文庫化すればもっとページ数が増えるだろうから分冊するかも、と危惧していましたが、無事全1冊で刊行されるみたいです。予価はきっちり1000円。長大な物語を異常に滑らかな語り口と妥協を知らぬ諧謔精神でするすると最後まで読ませてしまう傑作。他者とうまくコミュニケーションを取ることのできない男が孤独を深め暴発するまでの経緯を執拗に綴っている。高尚な理屈がどうのというより、単純にゲラゲラと笑えますのでオススメ。あと、米澤穂信の『犬はどこだ』も文庫化しますね。「犬探し専門」になりたい私立探偵・紺屋長一郎シリーズの第1弾。と言っても、まだ続編は出ておりませんが。私立探偵モノはミステリにおいて数知れず存在しますけれど、事務所の開設から始める、というのは類例が少ない気がします。「これはあっちに置こうかな……」と部屋のレイアウトに思いを巡らせている主人公を見て、こっちもなんだか探偵業を旗揚げするような気分に陥ってワクワクしてしまった。出だしから巧く読者の関心を掴み、読み終えるそのときまで興味を持続させる理想的なミステリです。ハードボイルドを期待すると肩透かしかもしれませんが、だからこそハードボイルドが苦手な人も「私立探偵」という要素に臆さないで手に取ってほしい。あ、そうそう、ハードボイルドと言えば幻の作家・高城高の全集発行も今月から始まる模様。ミスヲタを自負していた当方もさすがにこの人はよく知りませんので、是非とも読んでみたい。

 「ヒロインが全裸のアニメ」として注目されている『狼と香辛料』の最新刊は短編集。雑誌掲載した分に書き下ろしを加えているのでしょう。前巻は密度の下がった内容で少しガッカリしましたが、「推敲に励んでいるぜ」とアピールするblogの記述を目にして期待再燃中。あと、2月は説明するまでもなく電撃小説大賞の受賞作品刊行月。大賞含めて4冊がリリースされる手筈となっています。その全部をチェックするのは無理そうなので、2冊に絞って突撃する予定を立てている。ただ、去年買った受賞作さえまだ読んでいない体たらくゆえ、報告は期待しないでください。『弥勒世』は1年半ぶりの長編。沖縄が舞台、ということしか存じておりません。直木賞はまた取り逃しちゃったし、「マンネリ」「枯れた」「もう終わっている」と昔から囁かれてきた陰口も一向に収まらないけど、個人的にはまだまだ買い続けたいほど好きな作家です。『シグルイ』はようやく二桁台。読み始めた当初はまさか一試合目の連中の回想だけでこんなに引き延ばされるとは予想だにしなかったが、面白いので別に仔細なし。胸据わって読み進むのみ。

 『電撃テンジカーズ』は遂に、遂に解き放たれる古賀の新刊。古賀分欠乏を憂慮し、読み尽くさぬようチビチビと超低速で『新ゲノム2』を啜っていた焼津もこれでようやく救われます。いいですか皆さん、古賀を知ってしまった身にとって古賀分はミネラルと同等かそれ以上に必須なんですよ。「しばらく見ん内に大きくなりおって フフフ…これワシのチンコの話!!」「コラーッ 女性の前だぞ 俺のチンコの話せんかい親父!!」 こんな異次元シモネタ問答、他の誰に描けるというのか。『またの名をグレイス』はアトウッドの新作で、ブッカー賞候補作。ブッカー賞を獲った『昏き目の暗殺者』の前で、『寝盗る女』の後ですね。ストーリーテリングについては何も心配要らないほど熟達した作家ながら、上下巻で5880円(税込)という値段はさすがに躊躇してます。ちょっと安めのエロゲー並みだなー。『モザイク事件帳』はアームチェア・ディテクティヴをテーマとする連作短編集。意外かもしれませんが、これが著者にとって角川以外で出す初の四六判作品となります(『海を見る人』はJコレクションなのでソフトカバー、ただ『モザイク事件帳』も四六判とはいえハードカバーじゃなく仮フランス装みたいですが)。「同姓同名の別人が書いたのか?」と本気で疑った『ネフィリム』から3年半、今度はアクセル全開でやすみんの真骨頂を示し、遙かな雄飛を遂げてもらいたい。……それまで行かなくても、独自の味わいは期待したいところ。

(ゲーム)

 なし

 発売予定表にはちゃんと目を通したのですが、自分でもビックリするほど気に掛かるソフトがなかった次第。あー、でも恋楯のドラマCDがあったか。既に予約しているから届くのを待つばかりです。

・拍手レス。

 efの分割、FD発表を見て当時「面子が連中でこのやり方って何の皮肉だ?」などと愚痴っていたものですが
 最近の連スワスチカを体験すると、曲芸もminoriも実は優良メーカーなのではないかと錯覚しそうです
 少なくともショップ書下テレカのキャラが全員攻略不可だったり、
 ベッドシーツまであるキャラが攻略不可だったりはしませんでしたからね

 失策に失策が重なった印象がありますね。Diesは2ルートのみでも「先輩と螢」ならこうも炎上しなかったでしょうし。

 長期開発なんて言葉とは無縁に我が道をゆく嘘屋のマスクドに俺は期待してます
 ハズレってことはないでしょうから。少なくともギャグは

 マスクドはOPがライアーとは思えないほどカッコイイ。

 水月郁見の『白銀の闘う姫(上・下)』読みました。「これ下巻じゃなくて中巻だよ!」といいたくもなる理由
 がよくわかりました…。

 護樹シリーズは毎回狙ってあざといヒキをつくっているというより、単に枚数制限や時間制限のせいでブツ切りになっている気がする……。

 双子√を堪能しつつ、他のはDiesのバカスミ√みたいになるんじゃないかとビクビクしてます。
 香純はあのルートがあったせいで逆に人気を落としている気がしてならない。

 鬼哭街/Zero面白ぇぇぇ!!
 唯一の難点はあにさま可憐すぎてルイズの存在が霞むこと。


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